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1972/03/29 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第11号
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1972/03/29 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第11号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第11号
昭和四十八年三月二十九日(木曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 田川 誠一君
   理事 伊東 正義君 理事 塩谷 一夫君
   理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 山下 徳夫君 理事 川俣健二郎君
   理事 八木 一男君 理事 寺前  巖君
      小沢 辰男君    大橋 武夫君
      加藤 紘一君    粕谷  茂君
      瓦   力君    斉藤滋与史君
      住  栄作君    田中  覚君
      高橋 千寿君    戸井田三郎君
      登坂重次郎君    中村 拓道君
      羽生田 進君    増岡 博之君
      大原  亨君    金子 みつ君
      島本 虎三君    田口 一男君
      田邊  誠君    多賀谷真稔君
      村山 富市君    山田 耻目君
      山本 政弘君    石母田 達君
      田中美智子君    大橋 敏雄君
      坂口  力君    小宮 武喜君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 出席政府委員
        内閣法制局第四
        部長      別府 正夫君
        厚生大臣官房審
        議官      柳瀬 孝吉君
        厚生省公衆衛生
        局長      加倉井駿一君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省医務局次
        長       信澤  清君
        厚生省援護局長 高木  玄君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
 委員外の出席者
        外務省アメリカ
        局外務参事官  角谷  清君
        大蔵省主計局主
        計官      渡部 周治君
        日本国有鉄道職
        員局厚生課長  藤井  徹君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十九日
 辞任         補欠選任
  枝村 要作君     大原  亨君
  山本 政弘君     山田 耻目君
同日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     枝村 要作君
  山田 耻目君     山本 政弘君
    ―――――――――――――
三月二十七日
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第四七号)
 雇用対策法及び雇用促進事業団法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第八九号)
同月二十九日
 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法
 律案(内閣提出第一一〇号)
は本委員会に付託された。
同日
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一
 部を改正する法律案(中村重光君外四名提出、
 衆法第四号)
は委員会の許可を得て撤回された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一
 部を改正する法律案(中村重光君外四名提出、
 衆法第四号)
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一
 部を改正する法律案(中村重光君外四名提出、
 衆法第四号)の撤回許可に関する件
 医療機関等の防火防災体制の強化に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び中村重光君外四名提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。質疑の申し出があります。順次これを許します。山田耻目君。
#3
○山田(耻)委員 しばらくぶりにこちらに帰ってまいりまして、長い間懸案になっております原爆被爆者に対する援護措置等について若干の質問をしていきたいと思いますが、齋藤大臣、長い間この問題について御研究もいただいておりますし、もともとこの種の援護措置というのが第二次世界大戦に基因するものでありますだけに、しかも国際法上きわめて非人道的な原爆の投下によるものでありますし、そのことの救済措置等につきましては、国民も非常に深い関心をもっておることでもありますし、なかんずく裁判の判決の中でも、国として応分な措置を遂げていかなくてはならないことが明らかにされております。こうした問題でありますだけに、比較的今日までその解決の努力のあとが見られないと言っては語弊がございますけれども、十分に享受者がそれを喜ぶという状態に立ち至っていないことは事実でございます。
 大臣就任以来まだそう長い日月ではございませんが、きょうは、特に齋藤さんは非常にあたたかい人情の味わいのある方ですから、ひとつこうした人々の救済に対して格段の御返事がいただけますことを私は期待をいたしております。
 過日、広島の原爆病院に私一人で視察に行ったのでありますけれども、直接被爆を受けた人たちは非常に老齢化してきております。また最近ではその子供などに影響の出る二世問題がやはり影を見せております。こうした二面を持ってはおりますけれども、何といいましても、孤老化していく人たちに対して、いまのままの救済措置でいいのだろうか、政治家の端に座を占める者の一人として痛切に感じてまいりました。したがいまして、きょうはこまかい内部の問題にも触れたいと思いますけれども、やはり私は政治の姿勢と関連をした原則論的な立場からひとつ詰めてみたいと思います。
 私たちが直接被爆をいたしましたのが昭和二十年八月でありますけれども、あれから二十八年たちました。こうした人類として非常に耐えがたい被害を受けてまいりまして、第二次世界大戦は終わっていったのでありますが、ある意味では、考えようによっては、広島、長崎の原爆投下というものが、あの悲惨な第二次世界大戦を終わらせるきっかけとなった、このことは歴史的に見ても間違いはないと思います。そうしてそこには瞬時にして二十数万、今日まで被爆体験者は三十万をこえて生存いたしておりますが、この人々の苦しみというのは言語に絶していたわけです。直接死亡した者は、あるいは言い方は適切でないかもしれませんが、幸いであったと思います。あとに残った人たちは塗炭の苦しみにあえいできました。一般の軍人遺家族援護法などの適用もなく、また昭和十九年に発動されました防空従事者扶助令の適用もなく、ちょうどいまの老人年金は、国民年金が十年年金で六十五歳からもらえて、老人福祉年金は七十歳からもらえる。この六十六歳から六十九歳の中の谷間の存在に被爆者は据え置かれてきたわけです。
 それが年次とともに移行してまいりまして、先刻申し上げましたように、全く寄るべない孤老の生活を暗い病院のベッドで過ごしている。私たちはそういう一つの現状を見るに及びまして、何とかしてこうした人々に対する援護法というものをつくってあげて、二度と繰り返してはならない、原爆被爆者に対して、国として応分の援護体制を整えてあげたい、こういう立場に立ったのは、私はきわめて現実的な適当な措置であろうという判断に立ちました。しかし、この被爆者援護法を提起いたしまして、かれこれ十年近い歳月がたちました。しかし今日、いまだこの問題は日の目を見ることができません。昭和三十一年に原爆医療法という制度ができまして以来、医療の特別措置としての若干の前進を見ておることは認めます。しかし、それは発病、疾病の条件の中からしか報いられない措置なのであります。
 大臣、こういう経緯を私、一口で申し上げたわけですが、一体被爆者援護法をこれからどのように扱おうとなさるのか、その基本の考え方について、あなたのあたたかい、人情味のある齋藤厚生大臣という立場からお答えをいただきたいと思います。
#4
○齋藤国務大臣 原爆被爆者の援護につきましての切々たる御意見を交えてのお尋ね、私も深く感銘をいたしております。人類の歴史において原爆が投下され、その洗礼を受けましたのは唯一、日本民族だけであります。しかも戦争に敗れて、日本は平和憲法を国民が選択いたしました。二度と戦争はしまい、あってはならない、こういう国民の考えというものが、いまや全国民のすみずみにまで定着いたしておるこの段階において、私どもは原爆の悲惨な洗礼を受けた被爆者に対しましては、できるだけの援護をしてあげなければならない、こういう基本的な考えで今日まで終始してまいったものでございます。
 もちろん被爆者の方々にはいろいろな御意見もあり御希望もあり、しかも時のたつにつれ、ただいま御意見にありましたように、だんだんと老齢化してくる、そういう事態も踏まえ、いろいろな要望が出てまいっております。その要望に対して、まだ十分満足せしめるような事態にまで至ってないことは私も残念に思いますが、私としては今日までできるだけの努力をいたしてまいったつもりであり、今後もまた援護の強化のために努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
 そこでお尋ねの原爆被爆者に対する援護法を制定したらどうだろうか。長いこと提案されて今日に至っていまだ解決を見ておりません。私どもの考え方としては、あの悲惨な戦争というものは、ある意味からいえば全国民が犠牲者であったわけであります。そうした中にあって、この原爆被爆者に対して援護法を制定するということになりますと、よそとの関連においてどういうふうな法体系の位置づけをしていかなければならないか、実はそういう問題が法律の場において考えますと、いろいろ問題があるわけでございます。
 そこで私どもは、今日までもろもろの原爆に関する法律その他の社会保障体系の中でできるだけのことをいたしてまいっておりまして、援護法の制定というところまではまだ踏み切れないでおる段階でございます。率直に申しまして、そういう段階でございます。しかし、私はこういうふうな人類に二度とあってはならない、ないであろうということを期待しておる、この原爆による犠牲者、これは人類の歴史においてやはり考えておかなければならぬ問題であろう、こういうふうな考えをもちまして原爆被爆者に対する援護法というようなものを何とかできないであろうかと私は悩んでおります。できることならしたいと私は思います。
 そこで、私はいまここでいつのときこの法律をつくりまして提案したいというお約束はできませんが、何とか援護法というふうなものができないであろうかということを前向きに検討さしていただきたい。それにはもうちょっと時間をかしていただきたいということを私は率直に申し上げまして、お答えといたしたいと思います。
#5
○山田(耻)委員 必要性は認めるし、確かにその悲惨な状況は国際的にも認められておるし、再び起こさしてもならない、そういう背景を持つものであるだけに、おっしゃっているように援護法の制定については大臣としては了解、理解もするし、前向きで検討していく。時期はまだ明示できないが、早晩それをやりたい、こういうお話、たいへんありがたいことだと思います。
 ただ、大臣のそのお気持ちを具体的にお進めになっていく中で、やはり一つの壁に当たるわけですが、その壁が今日まで援護法の制定そのものを私は拒絶してきておると思うわけです。いままで過去何回かこの席で議論されましたときの政府側の言い分としては、いまあなたのおっしゃっていた一般的な他の被災者はどうするのか、だからよるべき法律的根拠というものを明確にすることができない、こういう立場から一つの拒絶の意思を述べられておるわけです。
 しかし、その論議をずっと深めてまいりますと、たとえば西ドイツのように、戦争の傷あとを国の政治力でいやしてあげるという立場で、戦場にかり出されていた人たちの被害は一つの法律で救済をしていく、国内で被災を受けた人たちはその立場の法律で救済していくという二本立ての保護立法を備えておるわけでありますが、日本もその立場がとれないのかと私は求めたことがございます。ところが原爆の死亡者であるとか被爆者であるとか、あるいは焼夷弾なり艦砲射撃で受けた人たちは、それ自体に国益がなかったという国益の論争を政府は述べられていたわけです。私たちは、戦争が終わりまして二十八年たちますと、こういう国益論争というものがこの議場の中で議論されるのかなという今昔の感に打たれるわけです。
 少なくとも昭和十六年以後終戦に至るまでの間、日本が行なっていく戦争と国民との関係はどのように置かれていたのか。そこに初めて提起されてまいりましたのが昭和十九年の防空法でありますし、防空従事者扶助令でありますし、昭和二十年の国家総動員法でありますし、さまざまな法律が生まれまして、いわゆる一億国民総体当たりという組織図がつくり上げられてきたわけです。そうして、しかも国民の中には、男で十二歳から六十歳まで、女の人で四十五歳まで、この人々は刑に服しておる囚人を除き、この組織図に参加をしなかった者は刑法上の罰則、懲役一年を与える、罰金を科するというふうな立場で、がんじがらめに縛られていたのが日本の国民であります。その日本の国民の縛られた中身が、警防団でありましたり、あるいは監視隊員でありましたり、あるいは国防婦人会であったわけです。一体この人たちに国益というものがほんとうになかったのかあったのか、私はいまさらのように考えさせられていくわけです。
 昭和四十四年であったと思いますけれども、広島原爆病院の石田内科部長なり山梨大学の助教授を呼びまして、この国益論争についての意見を聞きました。そのときには、いま私が述べましたように、国家総動員法によってがんじがらめに組織化された日本の国民全体が国家目的に向かって総動員をされていったのだから、その人たち全体に国益があると見なくてはならない。ただ単に軍人だけが、国家公務員だけが国益の享受者であってはならない、こういう立場が述べられていたと記憶をしております。したがいまして、私は齋藤厚生大臣が、これから必要だから前向きでしっかりやるとおっしゃる援護法も、そうした過去の障害を乗り越えていただけるものと理解をいたしております。大臣、そういう過去の障害を乗り越えてやっていただくようにひとつお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
#6
○齋藤国務大臣 あの当時は、いまお話のありましたように、すべての国民が国家目的遂行のために努力をしておった、私はさように考えております。そこで私の考え方は、原爆被爆者に対する援護ということを考えてみますときに、一般のそうした国民との関係においてということも、法律論的には私は一つは問題があると思いますが、私は冒頭に申し上げましたように、日本はこの戦争に敗れて、平和国家というものの建設を理想とした新しい憲法を選択した。そうした中にあって原爆という悲惨なことが二度と起こってならない、起こしてはならない。平和国家建設に進んでいくという理想の旗じるしとしてでも、原爆被爆者に対して何らかの援護の措置を講じた総合的な法律を、平和国家のむしろ象徴的な意味においてでも考える必要があるのじゃないか、こういう考え方を実は私は持っておるわけでございます。一般の方々とのことを考えていきますと、これはいつまでたっても問題は解決しない、私はそう思うのです。
 あの当時、三月五日でありましたか、私も当時東京におりましたが、東京の下町の大空襲で瞬時にして何万という方がなくなりました。そういう方々と一々同じように同じようにということで考えておったのでは、この問題は解決しない。やはり問題は、日本は平和国家建設という理想に向かって全国民がいま邁進し、また邁進していかなければならない。その象徴の中で、二度と原爆ということが人類の歴史にあってはならない。こういう意味合いからいっても、何かそうした法律がつくれないものかどうかということを私は真剣にいま考えておるわけでございます。何とか前向きにこの問題の決着をつけたい、率直に私の心境を申し上げますとそういう心境にある、こういうことを申し上げておきたいと思います。
#7
○山田(耻)委員 たいへん理解ある御答弁でありがとうございます。まあ観念論的に、原則論的にだけ言っていましたのでは、被爆者の今日の救済にはなってまいりません。
 そこで、やはりいまの続きから若干具体的にお伺いしていきたいと思うのでありますが、国益とか被爆者の援護的救済、こういうことの結びつき、からみつきから、厚生省も国も、逐次なしくずし的に措置いただいておる。その措置していただいておることが十全ではございませんけれども、いわゆる見舞い金とかそういう措置で、防空法なりあるいは防空従事者扶助令、そういうもので四十二年以降四十七年までに何がしかの救済がございまして、これも被爆者はほんとうに感謝しているところでありますが、こうした一連の、たとえば警防団員に対する特別支出金、四十四年、四十五年でございました。防空に従事した医療従事者等に対する支出金、四十五年度、四十六年度。入営途上でまだ兵隊さんではありませんでしたが、なくなった遺族に対する特別支出金、四十六年、四十七年、とか、こういうふうにお出しいただいておるわけですけれども、こうした一連の動きは軍人軍属遺家族援護法のワク組みの中に片足を踏み込んできておる、こういう感じが私はするわけです。
 独立した被爆者援護法というものはまだできない。しかし現実の問題として、何らかの措置をしてあげなくてはいけない。よるべき法律としては、防空法であるとか従事者扶助令であるとか、こういうものに準拠しながら逐次そういう措置に道を求めていく、たいへん私はけっこうなことだと思うのですが、これをもう少し幅を広げまして、こういう立場に準拠して遺家族援護法の中に組み込んでいく、あるいは組み入れるような立場をとる、こういうことで、まあずばり言えば、国益があるという立場から、被爆者全員そういうものを組み込んでいただけるという検討はいかがなものでございましょうか。
#8
○齋藤国務大臣 結論的に申しますと、被爆者全員というわけには私はいかないと思います、率直に言いまして。ただ先ほど御指摘になりましたような医療関係従事者、警防団員等につきまして、国会の御意見等も十分尊重いたしまして、先般見舞い金というものを出したわけでございます。これは法律に基づいて出したわけてはありませんが、国が見舞い金を出したという観点から考えてみて、一部援護法的な色彩が出てきた、これは私ははっきり言えると思います。
 そこで、実は先般も社会党の中村重光さん――大原先生からも御質問がございましたか、お答えをしたことがあるのでございますが、あの当時の法律を見ますと、防空法、これは国家防衛という国家的な防空法が軍防空の一環としてあったわけです。もう一つの問題は民間防空の一環として警防団員という仕組みがあったわけでございます。そこで防空法という――いまの援護法のたてまえを堅持しながら何とか援護法の中であたたかく救済できないだろうかということを考えれば、軍防空の一環としての防空法というものを何とか材料に使う方法はないかということで実はいま考えておるわけでございます。
 そこで、その防空法によりますと、警防団員の問題は、当時のやり方を見ますと基幹警防団員というのと一般警防団員の二種類あったようでございます。この基幹警防団員というのは、具体的にその県あるいは町村においてどういうふうにやっているかは知りませんが、防空法上必要があると認められる基幹警防団員については、当時の地方長官――いまなら知事ですが、地方長官が特定の人を指定して、それぞれの訓練をやっておったもののようでございます。
 そういうふうな制度もありますので、この警防団員の仕組みを基幹警防団、一般警防団というふうに分けて、防空法の中で軍防空の一環の仕事をやっておったという前提に立って、援護法の仕組みの中で何か救済する道はないであろうか――私は何でも頭にあることは率直に申しますよ。私はこういう問題は党派を離れて考えるべきものだと思いますから率直に言うのですが、何か防空法との関連において援護法の中に一部取り入れて解決する道はないかと思って、援護法の審議を早くやってくださるだろうと期待しておるのですが、まだそこまできませんので、まだ申し上げるわけにはまいりませんが、実はまだ思い悩んでおるというのがきょうの現在の心境でございます。援護法の質疑に入ってまいりますれば、そのころまでには私の思想をもっとコンクリートにしてお答えできるのではないか、かように考えておるような次第でございます。
 先生のおっしゃったその点は、先般来中村重光先生、大原先生からもたしか御質問があったと思うのですが、あれ以来私は思い悩んでいるのです。しかし具体的に申し上げるには、まだ法案の審議にも入ってない段階でございますので、そこまで固めるにはちょっと時期が早いかな、こう考えておるのが、きょうの段階でございます。
#9
○山田(耻)委員 これは時間の問題ですから、もう間もなくりっぱなお答えをいただけるときが来ると思いますので、そのお答えいただくためにも、きょうはじっくりコンクリート固めの最初の練りをやっておきたいと思いますから……。
 大臣は、私が全被爆者を救済する方途なしやと聞けば、全部は無理だろうとおっしゃる。私は、これは観念的には全部は無理だという無理であって、中身をずっと詰めていきますと、中身に詰まったものは救済をするということになろうと思いますから、それが私の言う被爆者全員だ、こういう言い方ですから、ひとつそう理解をしておいてください。
 いまあなたのおっしゃっていました昭和十九年の防空法によりますと、それは確かに防空従事者扶助令の第二条第一号には監視隊員がございますし、そうして第二号に警防団員がございますし、あなたのおっしゃった基幹警防と一般警防――一般警防は五号に入っておるわけです。市町村長が内務大臣の指定を受けて防空に従事または訓練をするというのが五号に入っております。それからもう一つは、昭和二十年の三月二十三日の閣議決定で国民義勇隊組織というのが出てくるわけです。
 そういたしますと、いまの防空従事者扶助令による二条一号なり二号なり五号、これは警防団――基幹とか一般とかは別として全部該当してまいりますし、それから二十年の国民義勇隊組織という面から見てまいりますと、国防婦人会などもみな入るわけです。そして防空法には、さっき申したように、いわゆる十二歳以上六十歳未満の男の子は全部だよ、これに該当しないのは刑務所の囚人と病人だけだよ、それ以外の者でこの組織に組み入れることを拒否した者は刑法で罰するぞ、こうなっている。だから、大臣、みんな中に組み込まれているわけです。これがよるべき法律の準拠だと私は申し上げておるわけです。これはどなたも異論のないところじゃないかと思うのです。ただ観念的に、一般の戦災者との差別をどうするのか、あるいはいろいろと人間的な情実の中から生まれてきたものが、この措置の実行をはばんでおるのだと私は思うわけです。
 ただ、さっき私六十六歳から六十九歳までのお年寄りがぽっかり、何の年金もない全く空白状態の中に生きておると言いましたが、いまの、防空法なり防空従事者扶助令なり、あるいは国家総動員法なり国民義勇隊組織閣議決定なりというのは、これによって死んだり、けがをしたときには法律で補償するようになっておるのですね。これも御存じのとおりです。ところが、原爆被爆者の人たちはその補償すらも受けなかったのです。なぜ受けなかったかといえば、終戦という冷厳な事実、この人々の被災状況を受け付ける地方自治体の窓口すら閉鎖されていたのです。だから防空従事者扶助令に基づく扶助金すら受けていないのです。これは身柄拘束をされる法律準拠規定は明確にありながら、そうしてそれによる救済的な措置もありながら受けられなかった人たちなんです。同じ戦災被爆者の中でも、終戦以前の一般の戦災者はこの扶助令に基づく措置を受けているのですよ。原爆被爆者だけは受けていないのですよ。
 私はこのことを為政者というものは見忘れてはいけない。ただ観念の上から、よるべき法律がなかったとか国益がなかったとかいう論争は、観念の遊戯である。だからこれは齋藤大臣のいままでのお話のように、おれは前向きにやる、その気持ちの用意をする、法案の審議に入ればコンクリート化したりっぱなものを出す、そういうお気持ちは、そういう過去の沿革を踏み越えて出されてくる結論だと私は思いますだけに、特にきょうはあなたのそのお気持ちを私は非常に大事にいたします。大事にいたしますだけに、そういう過去の経緯をしっかりと踏まえていただいて、全般ということばに語弊があるとするならば、いま申し上げた既存の法律に準拠する人々を救済をしていくんだ、こういう立場でひとつお考えをおまとめいただきますようにお願いをしておきたいと思います。
#10
○齋藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私としては国民の全部というわけにはいかないにしても、少しでも何か現在の法体系の中で足がかりをつけて、そこを理由にして何とかできるだけのことは救済しなければならぬ、これは私の基本的な態度でございます。したがって、援護法等の審議に入りますれば、いまの警防団員だとか医療従事者の問題とか、おそらくいろいろ出てくるだろうと考えております。そういうようなことで、できるだけそうした方向に私は前向きに取り組んでいく、こういう姿勢を貫いていきたいと思います。
#11
○山田(耻)委員 それでは原則的なものはそれくらいにいたしまして、大臣の判断に基づかれた御措置をお示しの上また詰めていきたいと思います。
 それから二つ目は特別措置のことでありますが、私は三年間国会を休んでおりました中で、非常に額の改定がなされておるかと思ったのですが、意に反してほんとうに感謝をするような中身になっていないのが残念なんです。
 御存じのように最近の経済状態というものは、予算委員会などでしばしば論戦されてきておりますように、もう日本の中には過剰流動性、金がだぶつき過ぎて幾つかの投機だとか買い占めだとか、われわれの理解の尺度では許してはならない、そういう現象があらわれてくるほど異常な状態を示しております。そのことが何を直接被爆者なり国民にもたらしたかと申しますと、たいへんな物価騰貴です。これはことしの経済見通し五・五%の物価上昇と政府は言っておりますけれども、少なくとも最低生活を営んでいく、こういうほんとうにみじめな零細国民の立場から受ける衣食住というのは、おそらく三〇%以上の上昇になると私は見ております。これは昨年の衣食住だけの統計を類推しましても二七、八%の上昇なんですね。だからこの特別措置ができましてからこの方、いろいろの料金の改定は出ておりますけれども、それはそういう最低生活を維持することもできない増加率――私は何となく原爆被爆者というものは片すみに追いやられて取り残されているという気持ちがしてならないわけです。
 これが今回上程されておりますけれども、大臣、いかがでございましょうか。ことし修正いただければたいへんありがたいし、大臣の決意としてこの状態でいいんだろうか。この状態でいいということはないと思いますから、そういう一つの具体的な特別措置についてのお考えをお伺いしたいと思います。
#12
○齋藤国務大臣 具体的にいろいろな問題についてこれで十分か。現実問題として十分だとなかなか言い切れないものがたくさんあると思います。そこで不十分な点は私は十分理解いたしておりますが、できるだけ皆さん方の御要望に沿うたような努力は、前向きに努力は少ししておるわけです。少しというのは気に食わぬ、こうおっしゃるわけでございましょうが、したがって私としては、ことしはこれでごしんぼう願って、明年度以降国会の審議を通して出てまいる皆さま方の御意見を十分尊重しながら、将来の問題として努力をしていきたい、こんなふうに考えております。
#13
○山田(耻)委員 せんだって中村重光さんが、特別手当なり健康管理手当なり触れておりますから重複しますので省略いたしますが、中にあります葬祭料が、これをつけますとき私が担当でいたしたこともありまして絶えず気になるわけです。しかし、この制度をつくってから、ようやくことし一万六千円という金額が出てきた。最近は花輪を一つ出しても八千円から一万円くらいするのです。どうも葬祭料という名前をかぶせるのが、ちょっと政府なり私たち国会審議をするのに恥ずかしい。
 私がこれを提起しましたときには、原爆被爆を受けてから昭和三十一年原爆手帳が交付されるまでの人々にも支給をしてくれ。数の確認がなかなかむずかしいとおっしゃるから、それは昭和四十年なり昭和四十五年の国勢調査でお調べになればわかるじゃないですか。三十一年以後は原爆手帳がありますし、もちろんカルテも保存されておりますから、それは期間が切れておるカルテであればしかたがないとしても、手帳があるのでよくわかる。その手帳には死因も明記してあるわけだから、さかのぼって措置をしてくれという立場を言ったが、それは当時の斎藤厚生大臣――あなたとは違った笑わぬ殿下のほうで、この斎藤厚生大臣は、さかのぼって支給するということは、なかなか確認もむずかしいし、できない。それから社会保障的な救済あるいはその立場に立った項目列挙なんだからむずかしい、こういうことで述べられておりました。本会議における私と佐藤さんの論戦とはだいぶ食い違ってきておったわけです。しかし、それは私たちの力及ばず、このまま押し切られていったわけです。
 そのとき一万円。昭和四十八年になって一万六千円、この葬祭料は花輪一つだけという。原爆被爆者の死亡者に対する葬祭料という看板を掲げて花輪一個では、大臣、ちょっとさびしい気がします。せめて三万なり五万という金に増加をしてあげるのが、葬祭料という日本人の概念の中にはまる金である。こういうふうにひとつお考えいただきまして、善処いただくというお気持ちはございませんでしょうか。
#14
○齋藤国務大臣 実は四十八年度の予算をつくりますときに、どの点に重点を置いて要求しようかということを考えたわけでございます。実は葬祭料は四十七年度に改定をいたしましたので、四十八年度は手当、その他の問題にできるだけ努力をしてみようということにいたしたわけでございます。
 そこで葬祭料、おっしゃるとおり、なるほど最近花輪は上がっていることは私もよく承知はいたしておりますが、そういうわけで、四十七年度に改定をいたしたことでもございますので、四十九年度の問題として私は処理したいと思いますので、ことしはひとつこの程度で御了承を賜わっておきたいと思っておる次第でございます。
#15
○山田(耻)委員 まあ、この問題はその程度にしまして、結局、被爆者というのは肉体をむしばまれていく不安と同時に、それを予見する精神的な不安、いろいろなものがあるわけです。だから私は、こういう特殊な、二度とさしてはならない被爆後遺症、こういう一つの人間像というものが地球上に再び起こってはならないし、起こさしてもならない、そういう意味から、こういう人たちに対しては、大事にしてあげても、これでもう十分だ、仕上げ尽くしたという限界はないと思うのですよ。そういう気持ちから、ほかの諸手当等については中村さんのほうからずいぶん議論されておると思いますので、葬祭料だけに触れたわけです。
 何か死んでいったあとの銭の話ばかりで、うまくない気がいたしますが、ほかのほうは論議されたものと思いますので省略いたしますが、いまの点も含めて、やはり葬祭料の関係については、これから十分御審査いただいて、まあまあ世間並みというふうな立場だけは最低に置いていただきたいということをお願いをしておきます。
 時間があまりございませんから、少し先に進みます。
 原爆の患者が収容されております広島の原爆病院なり長崎の原爆病院、その他の公立病院、日赤病院など、同じ傾向を示しておると思いますが、最近の原爆患者の疾病状態がかなり構造的に変わってきておりますね。厚生省にも広島原爆病院の四十七年度の診療白書が届けられているのではないかと思いますが、この診療白書を見ますと、特徴的に目立ってきましたのは、昨年一年の死亡者数が八十名、この八十名の死亡者の中で、五十六名ですから約七〇%近い者がガンでなくなっておられる、こういう症状を示しております。
 これも私、いつか本委員会で議論した記憶があるわけでありますが、昭和二十八年、昭和二十九年ころは白血病が圧倒的に多かった時代です。原爆被爆者はほとんど白血病にかかっておる。そして白血病が昭和三十三年から四年ころ逐次下がってまいりました。それから造血機能、循環機能障害がふえてきて、最近はガン症状が圧倒的に多い、こういう一つの構造変化を示しております。一体こういう傾向を公衆衛生局長はどのようにお考えになりましょうか。
#16
○加倉井政府委員 お答えいたします。
 ガンは直接原爆による発生と同時に、やはり被爆者の方々の老齢化ということも一応考慮に入れなければならないというふうに考えております。しかしながら、いろいろの知見からいたしまして、やはり爆心地に近い方にガンの発生が最近非常に多くなったということを聞いておりますので、そういう認識の上に立ちまして今後の施策を考えてまいりたい、かように考えております。
#17
○山田(耻)委員 いまこの審議会でいろいろ御相談いただきまして認定患者の指定を大臣がなさるわけですが、一体このガンと指定された者で、どの種のガンが認定患者になれるのか、どの種のガンではだめなのか、その区別がございましたらひとつ……。
#18
○加倉井政府委員 従来放射線との因果関係が強くいわれておりましたのは、白血病それから甲状腺ガン、骨髄ガン、肺ガンが主体でございました。しかしながら、いま御指摘のございましたような胃ガンの問題も今後重要課題といたしまして取り上げなければならない、かように考えております。
#19
○山田(耻)委員 いま私が申し上げました二十八、九年白血病が非常にふえた。白血病というのは血液学界では血液のガンである、こういう認定がございますね。その点はお認めになりますか。
#20
○加倉井政府委員 御意見のとおりでございます。
#21
○山田(耻)委員 そういたしますと、人間のからだを構成する細胞というものは、その栄養補給源は血液といわれております。その血液がガンになっておる原爆被爆者は、同じガンといえども――今日の病理学上胃ガンというものが直接放射能作用の比較的遠い距離にある、それは私は認めていいです。しかしそれが、私はお医者でございませんから医者のことはよくわからぬにしても、一般論であろうと思う。原爆の直接被爆を受け、あるいは間接的に被爆を受けて、そしてその人が血液のガンになる、そのことは今日、証明済みなのです。その血液のガンになった特殊な人人、原爆被爆者という特殊な人々は、当然血液ガンから他のガンに誘発をされていく。しかも、ガンというのは、最近、転移性が証明されております。胃ガンになれば、数日あるいは数カ月後には肺ガンに転移をしたり、肝臓に転移をしたり、すい臓に転移をしたりしています。
 そういう一つの経緯から考えてみますならば、確かにこの広島病院の昨年の八十人の死亡者の中で、胃ガンで死んだ人が半分の四十名なんです。しかも、私たちの未熟な調査ではありますけれども、原爆にかからなかった者の胃ガンの死亡に対して、原爆にかかった者の胃ガンの死亡者は三倍も多いわけです。にもかかわらず、この胃ガンの死亡者は、放射線の影響が遠いということで認定患者にされない。
 私は、たいへん形式主義じゃないかと思う。だから、被爆者というものが、白血病になり血液ガンになっておるということは、医者はだれも知っておるわけです。だれも知っていて、その特殊人体構造を持った被爆者というものに対して、胃ガンというものは現代病理学から言えば距離があるので、これは認めない。私は、これでは血の通った行政がそこに生かされていくとは思えないわけです。そこらあたりは、大臣を含めて、いかがでございましょうか。
#22
○齋藤国務大臣 話を承って、私もごもっともなことだと思います。今日まででも、ガンの発生部位等にはあまりとらわれないで認定しているという局長からの答弁もございましたが、今後とも、その直接的な因果関係といったようなことを離れまして、いまお話しのように、審議会において認定させるように指導いたしたいと思います。
#23
○山田(耻)委員 たいへん御理解ある答弁でありがとうございます。一刻も早く、病気になって寝ておる者の身になって――しかもガンというのは、まさに患者に死期を知らさないほど医者も気を配っておるような、ある意味ではたいへんな難病なのでございますから、そういう人たちが、家族を含めて、安んじて療養に専念できるように、私はやはり可能な措置を早くしてあげたいと思う。だから大臣の御検討はありがとうございますが、審議会に対して、すみやかにそういう範疇に加えていただけるように、御努力をひとつお願いをいたしたいと思います。
 それから、これも注文でありますけれども、どうも地方医師から認定患者の申請を出しましても、なかなか時間がかかる。依然として長い感じがいたしまして、認定患者の認定を受けて、間もなく患者は死んでいく、こういう事態がやはりあとを断ちません。そこでひとつ、審議会での決裁も早くやっていただけると――一つのものごとをきめるのには、いわゆる効果がどうあるのか、その人に与える立場からひとつ御審議していただくように、審議の促進を、特に主管大臣である厚生大臣にお願いしておきたいと思います。
 それから、いまの関係は、おそらく原爆病院全体にお入りになっておる――広島だけではなくて、共通的なものだと思いますので、申し上げたわけですが、最近どうも広島の原爆病院は赤字が出ている。それも一億余りの赤字を出しておる。しかし原爆病院ができまして以来の赤字でありますので、単年度で見ますと、たいしたものではないのです。しかし、ああした地方小都市の国立病院の一億の赤字ということは、医療従事者なりみんな何となく暗い感じを持ってしまう。そういうことでは、ほんとうに原爆の患者の療養に専念させてあげるための環境というものが、やはり不十分になってくるのじゃないかと私は心配をするわけです。
 これは単に広島原爆病院だけではなくて、長崎もそうじゃないかと思いますけれども、一体こういう赤字に対する厚生省の判断、措置、ここらあたり何かお考えでございましたら、お伺いしたいと思います。
#24
○加倉井政府委員 御指摘のように、広島、長崎の原爆病院、両病院とも赤字を出しております。その原因といたしましては、老齢者の収容あるいはガン等の不採算医療を積極的に行なっているということが一つの原因じゃないかというふうにも考えておりますし、またやはり病院の規模から申しまして、きわめて小規模の病院であるということも、その原因ではないかと考えております。しかし、これらの病院に対しまして、国の補助といたしましては、設備に対しまして若干の補助をいたしておりますほか、お年玉の益金の助成なども若干いたしております。
 しかしながら、この運営につきまして、現在のところ、そういう補助というような形の援助はいたしておりませんが、現在この両病院につきまして、その経営内容を、県あるいは市におきまして、あるいは日赤自体といたしましても、経営診断委員会というような形のものをつくりまして検討が行なわれております。その結果におきまして、県が利子補給をするというようなことを四十八年度の予算において検討しているということを聞いております。したがいまして、その結果を私ども承知いたしました上におきまして適当な措置を講じたい、かように考えております。
#25
○山田(耻)委員 県が利子補給などを考慮しながらいまの赤字解消への一助ということを考える。それは県でございまして、厚生省として、どういう措置をおとりになるのか。これをひとつお伺いいたしたいと思います。
#26
○齋藤国務大臣 広島も長崎も、いま局長から申し述べましたように、一般の診療もいたしておりまするために、そういう赤字が出ておると私は思います。
 そこで厚生省としては、いろいろな民間団体からの援助、そういうことのあっせんもいたしておりますが、幸いに四十八年度から、御承知のように公的病院に対する補助が――まだこれは全体で、日赤、済生会等を全部ひっくるめて二億八千八百万ですから、十分だとは言えないと思います。そうした中からやりくりして、できるだけの直接の援助をしたい、こんなふうに考えております。
#27
○山田(耻)委員 二億八千八百万の国立の、あるいは日赤、済生会を含めた病院に補助をするということでございまして、どの病院が最も大事で、どの病院があまり大事じゃない、こういうものは私自身にもございませんし、厚生省にもないと思うわけですが、きょう私は、被爆者の問題を中心に扱っておるものですから、一体、直接この一億の赤字をかかえて、精神的にも、運営的にも苦しんでおる、この原子爆弾患者をかかえる原爆病院に対して、この二億八千八百万円の財源から補助していく――大体一億という赤字が具体的に例示されておりますから、この補助は、単年度の赤字ではございませんで、長い間の累積赤字でありますが、これから何年か計画を立てて、この赤字を解消してやるという意味を持った補助金であったというふうに理解してよろしゅうございますか。
#28
○齋藤国務大臣 この公的補助によって、いままでの赤字、将来の赤字、何もかも全部といったふうな計画はいまのところ持っておりませんが、しかし、やはり日赤等にやるにいたしましても、やりますときには、ガンの治療の部門が多いとか、そういうことが理由になるわけでございますから、先生方の国会を通じてのいろいろな御論議、これは私ども行政府としては大いに尊重しなければならぬわけですから、その辺は十分心得て努力をいたす考えでございます。具体的な配分などは何もきめておりません。国会の皆さん方の御意見も十分承って、行政府はこれに従う、こういうのが筋だろうと思いますから、十分心得て努力をしたいと思います。
#29
○山田(耻)委員 私は、この二億八千八百万をどこの病院に何ぼ、どこの病院に何ぼということを聞いているんじゃないのです。それを聞くことは、私は無意味だと思うから、聞く気はありませんが、具体的に示されました広島原爆病院の一億の累積赤字を、これから何年かかけた年次計画の中で消してあげるという意味の助成を含めておるのかと私は伺っておるわけでございます。
 その一つの方向がお話ししていただけますならば、原爆病院の医療従事者もやはり新しい期待の中で、もちろん節約もしていくでございましょうが、患者の療養に専念できる体制がそこで初めて確立をされてくるという立場から、つなぎ合わせながらお尋ねしておるわけでございますから、そういう国の助成、その赤字を何とかして解消してあげるために助成をしてあげるという気持ちをお持ちなのかどうなのか伺っているわけです。
#30
○齋藤国務大臣 この赤字を解消するためには、県なりその他いろいろな方面と総合的に赤字解消の方策を立てますその中で、厚生省としてはこれだけのものを持ちましょう、こういうふうな前向きの計画を進めている。これはそういうふうにしたい、かように考えております。
#31
○山田(耻)委員 たいへん積極的なお話を聞きまして、ありがとうございました。
 そこで、昨日厚生大臣に国鉄の人たちから陳情がございました。この陳情について少し話を深めてみたいと思います。
 その前に、国鉄の厚生課長お見えでございますね。――審議の材料として一言伺っておきたいと思いますが、国鉄職員の被爆患者は全国的に散らばっておると思いますが、集中的にいる広島あるいは長崎、この両市に在住をし、働いている国鉄職員の被爆者の数と、それから散らばっている全国の総数、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#32
○藤井説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 私どもで調査したところによりますと、全国で被爆者数として把握いたしたものは二千四百八十六名でございます。このうち、先生のお尋ねの分類とはちょっと平仄が違っておりますが、広島の鉄道管理局の管内でございますが、大半が広島市内で被爆された方だと思いますが、その方が千六百六十五名。それから門司の鉄道管理局の管内でございますが、これは大体長崎が主体でございますが、二百六十二名となっております。
 なお、この数字につきましては年々異動もあることと存じますので、近々最新の数字を調査したいと思っておるわけでございます。
#33
○山田(耻)委員 従業員が多い関係もございまして、一つの企業体から見ますと、比較的数が多うございますし、なかんずく全国二千四百八十六名の中で広島が千六百六十五名、七〇%近い数を広島だけで占めております。国鉄職員は直接医療機関として鉄道病院を持っております。逓信は御存じのように逓信病院を持っております。こうした直営医療機関が原爆指定医療機関としての認定を受けてない。そのために自分の宿舎の隣に病院があっても、そこにはかかれずに遠隔の地の病院をたずねてかかるというたいへんな不便が出ております。一体なぜ原爆指定医療機関としての指定がなされなかったのか、これからどうするのか、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#34
○加倉井政府委員 国鉄の直営医療機関につきましては、いわゆる職域病院でございまして、診療報酬体系なるものが一般医療機関と若干異なっております。このままの形で私ども指定をするというわけにはいきませんので、診療報酬体系等を社会保険に準じていただきまして、さらに国鉄のほうから原爆指定医療機関としての申請をしていただければ、私のほうはいつでも指定をする用意がございます。
#35
○山田(耻)委員 一つは、社会保険診療報酬の料率と、いわゆる公的医療機関の診療料率と違いがある。それを社会保険の料率のほうに合わせてもらえればいい、そういうことですか。
#36
○加倉井政府委員 そうではございませんで、国鉄の直営医療機関は独自の診療報酬をお持ちでございます。したがいまして、私どもの原爆医療は社会保険の診療報酬点数表によりまして診療報酬の算定をいたしておりますので、その点数表に準拠いたしまして請求をしていただく、こういう手続をとっていただきたい、こういうことでございます。
#37
○山田(耻)委員 それだったら簡単です。だから、国鉄の直営医療機関が原爆の患者を診療したときには、その医療代の請求は社会保険の単価を使って請求してほしい。別に国鉄の直営医療機関の現在の体系をどうしろということじゃない。これはもちろんそうでございますね。だから、あとは国鉄から指定機関の申請をしてもらえれば厚生省何ら異議がない、こういうことですね。――国鉄のほういまのお話を聞かれて、そういう立場で部内整理をされて、そして厚生省に申請をされれば、厚生省は指定医療機関として認定をするということでございますので、そのことを受けて措置をしていただきたい。
#38
○藤井説明員 ただいまの厚生省の御方針も伺いましたし、私どもなお事務的細部の問題につきまして、いろいろ厚生省とも御協議申し上げまして、努力をいたしてまいりたいと思っております。
#39
○山田(耻)委員 非常にこまかい問題でごめんどうだと思いますが、そういう一つの手続でございますから、陳情も出ておりますので……。
 二つ目には、これは私もさっきちょっと触れましたが、現行の認定制度を改めていただいて、だから、認定患者に指定される者は明らかにその疾病が原爆に起因しないものと明確にわかるとき、これは除外してもらってけっこうだが、そのほかの患者に対しては現行の認定の範疇に入れてほしい、こういう被爆者の願いが出ておるわけです。ここらあたりはさっきも答弁あったと思いますけれども、もう一度具体的にお話をいただければありがたいと思います。
#40
○加倉井政府委員 審議会におきます認定基準といたしまして、原爆の放射能に起因することが明らかである疾病、それから二番目といたしまして、原爆の放射能に起因する可能性を否定できない疾病、三番目といたしまして、原爆の放射能に起因することが否定できる疾病、この三つに分けて認定を行なっております。現在の段階におきましては、最初の起因することが明らかである疾病と、起因する可能性を否定できない疾病につきまして認定をいたしておりまして、明らかに否定できるものだけが認定外ということになっております。
#41
○山田(耻)委員 では私が申し上げたとおりになっておるということでございますね。
 それから、昭和四十二年のときのこの委員会の審議で、当時たしか原爆手帳所持者が二十八万六千くらいだったと記憶しておりますが、潜在被爆者が五、六万いるぞということをお話ししておきました。今日では三十三万になっておりますから、確かに潜在被爆者が顕在化してきたというように思っておりますが、まだやはり地方自治体の中には結婚だとか、就職だとか、その域を過ぎていったが、二世、三世がかなり大きくなってきております。そういう者に引き継がれていくわけで、やはり結婚とか、就職に関係があって、まだまだ潜在化の傾向は払拭されておりません。しかし、最近いろいろと患者さんたちもそういうことだけでこの当然受けるべき権利の指定を受けなければいけないという気持ちになりつつあるわけです。
 そこで、厚生省のほうも手帳交付のために要する条件というものを三つ、四つおつくりになっておられますが、やはり下部ではいろいろと厚生省の指導に不手ぎわがあるとは私は思いませんけれども、なかなか手帳の交付を申請する以前のトラブルがございます。
 たとえば、ここに申請して出ておりますのを見ますと、国鉄あたりでは、当時の書類を出して勤務配置図を見てみますと、何のたれべえは何月の何日どこにいた、当時はきびしい軍管理下でございましたから、もう黙って――最近の勤務が私はそうだとは言いませんけれども、ちょっと休むとすぐ憲兵隊が連れに来た時代ですから、当時私たちは休むことを鉄砲を撃つと言っておりましたけれども、勤務はきわめて厳格なのです。だから当時の配置図がわかりますから、いまの現場長である管理者が、確かにおまえは原爆を受けておる、ここにいたということを証明する現場長の証明印があれば、これはいまの許可条項の第一に該当するわけなんです。
 そういうことがスムーズに下部で行なわれていないから、こういう意見が中央に上がってくるわけなのだと思うわけなのですが、きょうここには国鉄も見えておりますので、厚生省として、第一項にはそのことは明確に書いてあるという立場でひとつ私の質問にお答えいただければ、それでありがたいと思いますが、いかがでございますか。
#42
○加倉井政府委員 被爆者の健康手帳の交付申請にあたっていろいろな添付書類が必要でございますが、被爆後すでに二十八年を経過いたしました現在、被爆の事実を証明するにあたりまして、いろいろ困難な点が多いということから、証明方法といたしまして、当時の罹災証明書のほか、本人以外の者の証明書、または本人において当時の状況を記載いたしました記載申述書等がございまする場合には、手帳を交付することになっておりまして、その運用にあたって、もしいろいろのそごがございましたならば、まことに申しわけないことでございますので、今後市町村等におきまして、そういうトラブルのないように、私どもは万全の指導をいたしたい、かように考えております。
#43
○山田(耻)委員 わかりました。
 それからこれは中村重光さんもおやりになっておると思いますが、最近やはり表面化してきましたのが原爆二世、三世の問題です。これは二世、三世全部がそうだということではないけれども、絶えずそういう疾病にかかっていく不安、こういうものは二世、三世は内蔵しておるわけです。しかしいま二世、三世問題が表面化してまいりましたのは、直接疾病にかかっておる人たちです。こういう二世、三世に、やはり一世と同じように被爆者手帳を交付する必要が生まれてきているのではないかという私は気持ちが強いわけですが、その点についてすでにお答えがなされておるかとは思いますけれども、大臣いかがでございましょう。
#44
○齋藤国務大臣 二世、三世の問題でございますが、医学的には、遺伝学的に見て放射能の影響が及ぶかどうかということになりますと、白血病の発生率等から申しまして影響はない、こういう報告がございます。しかし、そうした方々が病気に対する不安をお持ちになることも私はごもっともなことだと思います。
 そこで私どももその実態をできるだけ調べ、そしてまた必要があれば本人の御希望によって実態を調べて、そしてそれによって必要な措置を講じなければならぬかというふうにも考えておりますが、この問題はやはりいろいろ社会的に慎重にしていかなければならぬ問題だと考えております。慎重の上にも慎重を期し、本人の希望、そういうものも十分尊重しながら、慎重な態度で取り扱っていきまして、そしていやしくもそうした方々に不安を持たせないように、必要があったら医療問題にまで及ぶと思いますが、慎重な態度でこの問題は取り扱っていきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
#45
○山田(耻)委員 この慎重なというのは、調査をすることをはばむ、断わるという立場の慎重さではなくて、いわゆるそういう二世、三世というものが被爆二世、三世であるということを対社会的に知られることをいやがっているので、それに対する人々を含めてという意味の慎重さだと私は思うのです。ですから本来的には、やはり調査をしていただくという前提で、むしろこの調査は強制的な調査でなくて、あるいは一世が生きておるわけですから、その一世を通して、やはりうちの子供は登録をしたい、こういう自発的な意思、その意思ならばあなたの慎重さというものは消えていくはずなんです。そういう意味の慎重さで、これから検討していくということで理解してよろしゅうございますね。
 そこで、いまの自発的意思を明確にして二世として登録をしてくれ、そうして必要な健康調査を頼むという意思表示が積極的にある者は、政府としては取り上げていく、この立場を慎重さの結論として私はいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょう。
#46
○齋藤国務大臣 現在の医学的な立場から申しますと、影響がないということにはなっております。その限度においては医療援助をするとかいうような問題はないわけでございますが、やはりそうした二世、三世の方々が将来自分の健康に対していろいろな不安をお持ちになることもごもっともでございますので、強制的に調査などをしていくということは考えておりません。本人の自発的なそういう御意向を十分尊重しながら、そしてまた調査のやり方も慎重な配慮を加えながら、心配のないようにしたい、こういうことを申し上げておるわけです。調査のやり方と事後の処理、こういうものについて社会的な問題がありますので、より慎重にいたしたい、こういうわけで、先生のおっしゃったこととあまり違いはない、かように御理解いただきたいと思います。
#47
○山田(耻)委員 どうも歯切れが悪いようだが、とにかく自発的な意思に基づいて届け出られれば認めるというぐらいの立場は――いまの医学上の後遺症があるか、遺伝性があるかどうかという問題は、これから医者の間で論戦が続けられていくでありましょう。たとえば広島とか九州地方の医者の中には明らかに遺伝性があるということを言い始めている医師も多いわけです。
 そこで、私も専門家ではありませんから、もう少し明らかになってから議論を展開したいと思いますが、きょうここでは、自発的な意思があれば、人間の生命に関する問題でありますから、国としては取り上げて適当な措置をする、その意思をもって積極的な検討に入る、しかもその前提は慎重であらねばならぬ、あなたのことばを全部並べてみたら、そういうことなんです。少し並べようが多いとおかしくなりますから、慎重なということばを私は一番あとに持ってきておりますから、ひとつそういうことで御判断をいただきたいと思います。
 それから最後に、ABCC、広島原爆傷害調査委員会ですか、ここの機能をもっと拡充していただいて、そうして総合的な原爆の研究と治療、こういう立場のABCCに衣がえをしてほしい、ここにはかなりの資料がございますから。私の家内なんか頭のてっペんから足のつめの先まで、大体一週間に二へんずつ血をとられまして、七貫目ぐらいにやせ細りまして、徹底的に検査、検査だけ。やはりそういうことでABCCに対する広島市民の不満が出たりしたことが過去にございます。しかし、これに日本も参加をしておる事実が最近ございますし、ある意味では日本が主体性を持って研究、調査、治療、それにもう一歩加えれば福祉、こういうものを含めた総合的なセンターにひとつ衣がえをしていくように国としても積極的な働きかけ、こういうものをお願いしたいという気がいたしております。いかがでございましょう。
#48
○齋藤国務大臣 ABCCのいろいろな医学的な調査、研究の結果は国際的にも非常に高く評価されておる問題でございます。しかし問題は研究の姿勢の問題で、いろいろ御意見のあることは私も十分承知をいたしておりまして、人類の歴史において二度とやれない調査でございますから、日本側も主体性を持った調査研究の改善策を講ずべきである、かように考えておりまして、厚生省、文部省、科学技術庁、外務省、こういったふうな関係四省と相談しながら、米国側といま非公式にいろいろな話し合いをいたしております。その窓口は厚生省でございますので、厚生省が窓口になりましてABCCの調査についての主体性を持った改善策を目下相談しておる最中である、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
 いずれにいたしましても貴重な調査研究でございますから、日本側としてもあくまでもこれを継続せしめる、こういう考え方に立って善処してまいる考えでございます。
#49
○山田(耻)委員 長くなりましたが、最後に一つだけお伺いしておきます。
 これも中村重光さんのお話にあったかと思いますが、老人医療無料化が実施されておるわけですが、原爆手帳所持者である七十歳以上のお年寄りに対しては交付がない。そのために原爆被爆者で老人医療無料化の年齢に到達した人は、原爆手帳を持っていかなければ診療してもらえない。原爆手帳というのは一県単位でありまして、老人医療無料化のように全国的にどこででもという状態にありませんし、またかかり経費についても、並べてみますと被爆者のほうにデメリットがある。こういう状態をあわせ考えますと、なぜこうなったのか、これはあなたたちは先に無料化になっておるからということもあるかもしれませんけれども、やはり私は今日こういうふうに、あとから追っかけていく措置のほうが非常に便利で益があるというふうになりましたら、原爆被爆者のお年寄りに対しても、当然一般の老人医療無料化と同じ療養受給券を発行すべきじゃないかと思うわけです。
 これはこういう国会で議論する事柄でなくて、むしろ厚生省の主管局なり大臣との話の中で措置できる事柄だと思いますが、それほど軽微なことです。これをひとつやっていただきたいと思うのです。原爆被爆者のお年寄りに対しても、いまの老人医療無料化の措置と同じように、他県のどこへ行っても診療を受けることができる、こういう状態にひとつ置きかえていただきたい、こう思います。
 それはそれで一区切りですが、それからもう一つ。
 原爆被爆者は老齢化が非常に早い。私が四十一歳で衆議院へ出てきましたときには、しらががたくさんございました。いま五十一でございますけれども、こんなにまっ白です。大体私は被爆者の中でも最も優良児と言われるほどの健康体です。ところが原爆病院へ行ってみますと、ほとんど六十二、三歳で七十歳をこえているような状態です。若々しさというものがない。これは病気だからそうでしょうけれども、しかし六十四、五歳の一般の病人と比べてみると非常に年を取っている。こういう一つの現状を踏まえていただいて、いまの寝たきり老人が六十五歳以上というこの範疇に加えていただきたい。
 大体原爆被爆者で六十五歳になりますと、健康で働いている人は皆無に近いのですよ。就職もできないし、家でぶらぶらしている。だから私は、原爆被爆者は六十五歳以上は、いまの寝たきり老人に類似の状態であるというものさしを当てていただいて、老人医療無料化の措置をお願いしたい。これは実態の調査の中から生まれてくる一つの現状ですから、そこらあたりは御検討いただいて、ひとつお加えいただくように、一点、二点あわせて質問でございますけれども、大臣いかがでございましょう。
#50
○加倉井政府委員 第一点の老人医療の受給券の問題でございますが、これは社会局のほうから申請があれば出すようにという指導をいたしてございますので、そういう事例がないように私どもはさらに強く社会局のほうに申し入れをしたいと思います。
 それから第二点のいわゆる加齢現象、早く老齢化するという現象でございますが、これは御指摘のとおり今回の法律改正にも御審議いただいておる点でございます。やはりそういう事実もあろうかと思いますので、この問題につきましては社会局とも相談いたすべく慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
#51
○山田(耻)委員 それではこれで終わりますが、ひとついまのやつは、皆さんたちの慎重に検討から、しばらくひまがかかっていけないのですよ、過去の例から。こういう問題というのは、私はある意味では最も早く、そして全体に一つのメリットを与えていくということが、いまのような世相の中には、こんな小ちゃなことがきわめて重要な役割りを果たすのですから、この点は従来のようなありきたりの慎重にという態度ではなくて、きわめて簡明直截にこれはそうしてやろう、非常に老齢化現象が早いんだから、そうしてやろうというふうな判断をいただけるものと私は期待をしております。これはあなたの直接の所管でございません、社会局と相談していただいて、その措置がほんとうに早く結果として知らしていただけるようになることを私は強く要望して、きょうの質問を終わりたいと思います。ほんとうにありがとうございました。
#52
○田川委員長 大原亨君。
#53
○大原委員 いままでの質問を受けまして、また別の観点から質問いたします。
 第一は、いままでこの被爆者に対する国としての措置をどうするか、あるいは政策の中でどう位置づけるかということを私もずいぶん長い間議論してきたのであります。それで大体国の責任として、国が国家補償の精神に基づいてやるべきだ、こういう議論もいたしてまいりましたし、なお残っておるわけであります。
 それから第二は、これは放射能という人類最初の原爆という物質による被害というものの深刻性から考えてみると、これに対する人道上の措置をとる、こういう考え方で進んできたのが、この第二の問題であります。それがやや具体的であります。そこで、この問題を議論をしております過程の中で、今度は環境破壊、公害問題が起きてきたわけであります。まあ言うならば、公害の救済法とそれから原爆被爆者措置法――原爆被爆者措置法は申し上げたように、放射能に対する人道的な救済措置ということで、兄貴分のようなものでありますが、そういう公害と同じような考え方で放射能の被害に対する人道上の救済措置をする、こういう考え方が第二の思考方法のジャンルでございます。
 それから第三の考え方としましては、やはり現行法にある救貧的な立法である生活保護を中心にいたしました考え方であります。そこで、一般の公害、つまりカドミウムとかPCBとかシアンとかというふうな問題がございますが、そういう問題と、原爆による被害というものを同じように扱っていいのかどうかという議論があります。たとえば先般の水俣裁判では、死没者に対しましては千八百万円の補償金の判決が出たわけであります。事態はずいぶん変わっておるわけです。
 それで第一の国家責任の議論の問題もさることながら、第二のジャンルで考えて、放射能による深刻な被害に対する人道上の救済措置という範囲にとどまっていいものかどうかという問題が一つあります。これは被害の現象だけをとらえてみても、放射能とそれから数千万度の熱線、約六百メートル余りの爆心地、原爆の中心点では五千万度の、数千万度の高温でありましたから、その熱線あるいは爆風、そういうような放射能だけでなしに、原爆という特殊なそういう物質の炸裂による現象というものが、非常に深刻さにおいても深刻であるし、損害も普遍的だ、こういう問題が一つあります。
 そこで私は時間がないから、この議論を蒸し返すつもりはないのですが、これは昭和三十三年以来私どもは党でいろいろ議論しながら、あるいは私が一国会議員といたしましても論争いたしてまいりまして、たとえば私は齋藤国務大臣に、私が議論いたしました中で問題といたしまして、ひとつ聞いてみたいのですが、あなたの認識の程度を承りたいのですが、それは原爆の投下というものは――これは毒ガスやそういうものでも国際法違反の兵器として、慣例法上は、ヘーグの陸戦法規、戦争法規の原案で確認をされた、そういうものです。毒ガスが国際法違反の兵器であるということは、慣例法としては確立されているわけです。
 私は、原爆は毒ガス以上に非人道的な兵器であるから、これを落としたアメリカの行為というものは国際法に明らかに違反をする、こういう見解を持つわけです。国際法違反に対する行為というものは、損害に対する賠償というものについては、いろいろあとで議論があるけれども、もう時間も十分ないが、しかし、戦争に負けておろうが勝っておろうが、国際法は人道と平和の原則の上に立って確立されている原則ですから、これは普通のことではない、国際法上も実定法、慣例法を通じまして明らかに国際法違反のものであるというふうに私は考えるけれども、本質的な議論をひとつしておいて、そこから出発させたいという意味において、齋藤厚生大臣は私の見解に対してどういう意見があるか、国務大臣として御見識のある御答弁をいただきたい。
#54
○齋藤国務大臣 私は、原爆被爆者に対する考え方の問題なんですが、従来は御承知のように一般戦災者等との関係において国家賠償的なものではいけない、社会保障的なものでいくべきである。社会保障の中で足りない点を埋め合わせするようなものをやったらいいじゃないか、こういうことで、率直にいうと、いままでの法体系というものはそうなっておるわけでございます。率直に私の感じを申しますと、私は国家と何らかの関係のあるものについて国が賠償する、こういう国家賠償的な考え方と一般的な社会保障という考え方の中間にある問題じゃないかと実は考えているのです。
 原爆というのは、これは国際法違反とかなんとかいうことを越えて、私はこれは人類を滅ぼすものであるという考え方に立つべきものであって、人類が地球において生存する限り、二度とこういうものは投下してはならないし、あってはならない、こういう基本的なものであるという考え方、そういう悲惨な犠牲者を発生する、こういうものであるという考え方と、もう一つはこの第二次世界大戦に敗れた日本――先ほどもお答えいたしましたが、わが国は平和憲法を国民が選んで二度と戦争はしまい、してはならない、こういう国家体制に入った以上は、平和国家の象徴としてでも人類の滅亡につながるこういうものに対する援助というものは、国家賠償でなくて、すなわち社会保障的な隣保相扶とかそういうふうな観念と違った国家的な立場に立って援護をすべきものであるというのが筋ではなかろうか。
 これはメンタルテストに合格するかどうかは別といたしまして、私はそういう考えを持っているのです。国と何らかの関係のあるものについて国家賠償するという考え方。それからもう一つの貧困や疾病や失業の苦しみをなくさなければならぬという社会保障体系の中のではない、何か中間のものであるような感じを私は持っておるわけでございまして、そういう考え方から、今後何かしらの立法の手段はないものかということを思い悩んでおるというのが、私の偽らざる心境でございます。
#55
○大原委員 戦後二十七年たってなお担当の齋藤国務大臣が悩むということがおかしいのであって、そのことは別にいたしまして、私が質問しておりますのは――あなたは昭和二十年八月十五日のときには生きておられたし、直接活動していた、判断力があった人である。原爆の投下は国際法違反であると、なぜ日本の政治家は言い切ることができないのか、あとのことは別にいたしまして。これは国際法違反でしょう。毒ガスは違反です。慣例法で違反なんですよ。原爆は違反だということがなぜ言えないのか。いま申し上げましたように、毒ガス以上じゃないですか。ここで核論争しようとは思わぬけれども、これは国際法違反でしょう。国際法違反じゃないですか。国務大臣の見識としてお答えいただきたい。
#56
○齋藤国務大臣 戦争に敗れた今日、私どもは、それは国際法違反であるかないかということを言える立場にはなかったと私は思います。思いますけれども、私は個人的に見ると、こういうことは許すまじきものであると考えております。
#57
○大原委員 岸内閣のときに、藤山外務大臣とこの論争をしたのです。そうしたら、当時外務大臣でしたけれども、藤山さんは最後には国際法の精神に違反する、こう言って答弁したのです。精神がくっついているから、これは残っておるけれども、国際法には原爆は当時なかったから、実定法にないけれども、国際法の精神には違反する。
 そこで齋藤国務大臣、いままでの東京裁判とかあったわけですが、国際法違反であるけれども、サンフランシスコ条約で日本はアメリカに対する一切の請求権を放棄しているわけです。これは社労の委員長が中国問題その他で非常に外交問題については、いろいろないままでの経過からいって深いわけですが、そうなんです、放棄したわけです。放棄した日本の政府は、被爆者に対して補償する国家上の責任がある、こういう議論が、一歩下がってみても成立するのではないかという議論ですね。そういう面において社会保障とかあるいは国家賠償ではなしに、第三の国家的な課題である。前向きに善意にあなたの答弁を注釈を加えると、そういうことになるけれども、それと私の考え方は一致するかどうか、いかがですか。
#58
○齋藤国務大臣 私が申し上げているのは、国際法違反であるとか、それに対して権利を放棄したのだから、国がそれにかわって賠償すべきものであるとか、そういう概念を離れて、この問題の取り扱いというものは、従来のいわれておるような国家賠償的な概念と社会保障の概念では割り切れないものがある。その中間ではなかろうか、国家的立場において何らか処理せられるべき問題であろう、こういうふうに私は考えておるわけで、表現のしかた、立論の出発は多少違いましても、大原委員とそう違った考えではあるまいと私は思っております。
#59
○大原委員 それは議論は似通って見えるけれども、かなり違う。この議論だけやると時間がたってしまうから、これはやらない。
 そこで問題は私が言うのは、原爆被爆者対策というものをどのような根拠に基づいて具体的に進めるか、こういう面については、私が申し上げた第三の問題と同じような考え方に立ってやや整理をする必要があるから申し上げた。そこで私は国家賠償の精神を――国家賠償そのものではないが、精神に基づいて、これについては原爆対策というものは進めるべきであるという考え方から、国の責任においてやる。東京裁判の判決はそこまでは認めておるけれども、実際に国内法で、つまり戦争犠牲者に対するあるいは国際法違反に対して権利を放棄した日本の行為に対する補償というものを具体的にきめておらぬ。国内法がないから、手当てがないから判決を出してもどうにもならぬ、こういう議論です。しかし、この議論は少しおかしいところがありますが、前半は認めておる。だが結論として、東京裁判の判決は御指摘のように、GNPがこういうふうになった現状において、人道上からもあるいは国際政治の責任からいっても、このまま放置しておくべきではない。こういう実際上の結論を出して、この中間的な、あいまいな特別措置法ができたわけであります。これは放射能に対する救済措置を一応めどとして公害立法が進んでおる。しかし具体的な公害に対する判決というものは、いま死亡者に対して千八百万円も判決が出るし、チッソ社長との団体交渉があるような実情なんですよ。
 そこで、そういう精神をとらえながら、この法律を進めていく上で一つアプローチする方法があるのです。もう一つは旧防空法上のアプローチのしかたがあるのです。援護法に向かってアプローチする場合に、旧防空法の問題があるわけです。念のために聞いてみるけれども、齋藤厚生大臣は当時昭和二十年の八月六、九、十五日ごろは何をしておられましたか。
#60
○齋藤国務大臣 私は当時厚生省勤労局企画課長をいたしておりました。
#61
○大原委員 前になくなられた斎藤さんは防空総本部の総務局長――三局長のうちの総務局長をやっておった。この人は二回ほど厚生大臣になりましたけれども、前の厚生大臣とあなたは同じサイトウではあっても人間は裏返したような、別人のような、片っ方はがらっ八で、片っ方はおとなしそうに見えて、どっちが政治家として評価されるかということは、これからの問題である。
 そこで、当時あなたもそのことはよく知っておられただろうと思うのだが、私は当時防空法関係は閣議決定等を封印を解いて全部資料を出してもらったことがある。閣議決定から勅令全部です。そのことについては言わない。言わないのだが、その論議の中心点は何かというと、当時防空本部長は内務大臣です。次官が副本部長です。局長がおりまして、陸海空の軍部側に防空本部を持っていくか内務省に持っていくかということでけんかしたのです。しかし、一応防空本部長は内務大臣ということになって、軍の監督下に置くということになりました。民防空の形をとりました。
 私があとで申し上げる義勇隊は、これは軍人軍属、準軍属の中に入る。援護法の中に入っておる。これは陸海空の指揮下に入りました。戦争直前にほとんど閣議決定と勅令でどんどん進めていったわけです。法律以上のことをやりました。
 そこで、防空法関係の問題が、権利義務の関係、国と国民の関係が断絶をしたのはなぜかというと、アメリカ軍が上陸してまいりまして、民防空について非戦闘員を国家権力によって戦闘に動員をしたという国際法上の戦犯追及を受けるという可能性が強くなってきたものだから、そこで資料を全部焼却した。これは私は逆にずっと調べて、その事実を確かめて国会でも議論しておる。焼却しないで残っておる文書が長崎にあったから、私はそれを取り上げて防空法の追跡をしておる。新聞その他で逆に追跡して閣議決定を出してもらった。
 そこで防空法の法体系というものは、当時一切の国民は、軍人軍属であれ、公務員であれ、準軍属に現在規定しておる援護法の対象とするものであれ、すべて国家権力によって動員されたわけであります。基本的に全部がそうで、一応十五歳から六十歳までというふうに、防空従事者の範囲は年齢的にこの法律には制限がされておりますけれども、すべて動員をしたわけです。命令を聞かなかった者は懲役や罰金であります。直接命令を受けた者もあれば、空襲あるいは艦砲射撃という事実に直面したならば、そういう義務を直ちに負うという、そういう仕組みであったわけです。
 この防空法の権力関係を追跡していくならば、特に広島、長崎においては三十万人ほど一瞬のうちに死没をし、三十万人の被害者が出ておるわけです。非常に大きな被害が出ておるわけですから、日本の国内におきましては、人命の問題においては少なくとも一番大きな集中的な被害でした。それで深刻ですし、二世問題が議論されても深刻ですから、そういう点で防空法の関係から被爆者援護の問題について、国との関係を明確にしながら、事実に基づいてこの被爆者の援護を進めていく、こういうアプローチのしかたがある。二つのしかたがあるのです。しばしば本委員会においても決議をされておる防空法の問題や、いままで同僚が議論いたしました問題もあるわけです。
 そこで、私が質問をいたしたいのは、法制局見えておりますか。――法制局にもう一回繰り返して質問いたすのですが、こういう閣議の申し合わせがあって、私は議論したことがあるのですが、陸海空軍の管轄下にあって、ほとんど閣議決定ですね、法律じゃないわけですね、ほとんど勅令と閣議決定でやったのです。終わりごろは閣議決定ですが、これは昭和二十年の四月の十三日に、戦争がいまや日本は決定的に敗北するだろうという見通しのもとに――国民は何も知らされなかったけれども、事態が進んでおるときに、本土決戦に備えて防空態勢をどうするか、義勇隊をどうするかという議論で、管轄の違いがありますけれども、そういう議論をしたときに、いろいろ対立や論争があって、そして閣議了解でこの意見をまとめたのがある。
 それは「警防団ハ之ヲ国民義勇隊ノ組織二一体化スルコトヲ目途トシ一面警防ニ聊モ間隙支障ナカラシムルコトヲ確保シツツ必要ナル措置ヲ講スルモノトス」こういうことで、警防団、つまり防空法上の警防団――ちょっといままでの議論の中で間違いがありましたけれども、警防団は防空法上の組織です。警防団と義勇隊の一体化についての閣議了解がある。その経過を私は調べてみますと、あるわけです。
 そこで、こまかな議論はいたしませんけれども、前吉國法制局次長が私に対しまして二回にわたりまして答弁いたしておりますが、軍人軍属等ということで、準軍属を含めて国家賠償の精神でやりました、援護法の死没者に対する遺族と障害者に対する援護の措置がありますが、あとで議論になりますが、法律が出ておりますが、その中に防空法の犠牲者の関係を入れることは国家の権力関係からいくと当然ではないかという質問に対しまして、法制上の見解を申し述べておるのであります。吉國次長が申し述べた議事録があるのであります。
 その議事録は、「御指摘の国民義勇隊として活動した者と、防空従事者として防空法によりまして下命を受けて活動した者との間には、実質的には差はないという大原委員の御指摘は、まことにそのとおりであるということをお答え申し上げました。」これはさきの機会に申し上げましたことに関してですが、「その線に沿いまして、おそらく厚生省もいろいろ」と措置をいたしておると思いますということを、これはかなり古いのですが、昭和四十四年の二月二十四日の予算委員会分科会で答弁いたしております。いま援護法の対象となっている義勇隊と警防団、防空法関係のそういう問題の指摘に対しましての法律上の見解を法制局からひとつ聞きたいと思います。
#62
○別府政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま大原委員から御指摘ございましたように、四十二年十二月十四日の予算委員会で、当時の法制次長吉國から、大原委員おっしゃいましたように、まず若干の留保はいたしておるわけでございますけれども、「政策の問題にわたりまするので、法制局からお答えすることはあまり適当でないかもしれませんが、その法制面に限って」という留保をいたしましてお答えをしております。最後の結論を申し上げますと、「防空関係もこの閣議決定」この閣議決定というのは三月二十三日の国民義勇隊の閣議決定でございますが、「に基づいて実施せられたものと思いますので、その関係で不幸にあわれた人に対しましては、現在の援護法の準軍属として取り扱われるべきものだと法制上考えられます。」ということを申しております。
 それから四十四年の――よろしゅうございますか。
#63
○大原委員 それでいいね。確認してもらうんだよ。いいね。
 それで私が引用いたしました議事録のその前に、元になる議事録があるわけです。法制上の見解としてという若干の条件がついておるわけですが、法制上の見解としては、申し上げたように防空法上の被害者については――厚生大臣、被害者については、国家賠償の精神からいうて、国が関係ないなどといわれるべきものでないという法制上の見解であります。私の質問いたしましたことに対して出てきておるわけです。
 そこで問題は法律上の解釈、これは大蔵省も出席してもらっているわけですが、法律上の解釈だけでは、いまの日本の行政や予算措置や政策の仕組みの上では問題があるわけです。まだ問題が解決をしていない。なぜかというと、その防空法上の業務の内容と、それから犠牲者の実態というものがわからないのです。実態がわからない、予算上の措置ができぬじゃないか、こういって大蔵省がケッチン食らわせますと、気の弱い厚生省はへなへなとなる。
 それからもう一つは、私が指摘いたしましたように、アメリカ軍が上陸いたします前に、このことについては一切の証拠書類を焼却すべしということを防空本部が解散する直前に内務省を通じまして自治体――内務省も解体いたしましたけれども、自治体を通じまして、その組織に対しまして資料の焼却を命じたのです。こういうことで証拠は残っておりませんが、事実上の関係があることはまぎれもない事実です。関係者も認めておる。そこでこの問題はあまり深入りをすることはタブーといたしまして、援護法の議論のときには、これが避けて通られた経過があるわけです。それを私は数年にわたりまして、この資料を発掘いたしてまいりました。議論いたしまして、厚生省も資料の提出につきましてはかなり協力いたしまして、こういう資料等、「旧時局関係法令抜萃」というのがここにありますけれども、出ておるわけです。
 私は、話の観念的なことでなしに大筋の議論をいたしますが、そこで問題は七万円の死没者の遺族に対する弔慰金と、障害者に対する五万円の支出金、そういう議論の中から一応出てまいりまして、それでお答えいただきたい点は、援護局か消防庁かどちらでもいいが、旧防空法による医療従事者と警防団関係の被害者に七万円、五万円の支給をいたしました。この支給をいたしました実態ですね。この中にはもちろん一般の空襲等による被害者も入っております。その人々は現在の段階で大体どれだけの数字になっておるかという点をお答えいただきたい。
#64
○高木(玄)政府委員 昭和四十四年と四十五年の二カ年度にわたりまして、自治省におきまして防空に従事して死傷した警防団員に対しまして、いまお話のありました傷病警防団員一人につき五万円、死亡警防団員に一人につき七万円の特別支出金を支給されましたが、その数は傷病警防団員四百六十八人、死亡警防団員の遺族に出されたものが二千百四十四人。合計いたしまして二千六百十二人でございます。
    〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
 それから、防空に従事いたしました医療従事者に対しまして、厚生省におきまして昭和四十五年度に同じく障害者に五万円、なくなられた方の遺族に七万円の特別支出金を支給いたしましたが、この医療従事者のうち障害特別支出金を受けた者が四人、遺族特別支出金を受けた者が百四十七人ということに相なっております。
#65
○大原委員 大臣、防空業務に従事した者の中には、第一項目にあるのは防空監視員ですが、これはそういう議論の中から援護法の適用になるわけです。準軍属になっております。これは防空監視所で警察とか軍隊と一緒にやって、死んだり被害を受けたわけですから、これは入っておるわけです。いまそれをさらに追跡して、医療従事者についてはお話があったように合計百五十一名、それから警防団員については二千六百十二名というのが氏名が確認されて、弔慰支出金と傷害支出金が出ているわけです。
 私はこの財産被害につきまして、大蔵省の中ではよく理解してもらいたいのだが、これを言うと、今度は財産被害も出てくるだろうと言う。人命の問題について国の責任を追及し出したら、今度は焼夷弾で家を焼かれた財産被害についても賠償の問題が出てくるのではないか。そうすると、現在の時点で計量するならば、はかり知れないというふうな議論も大蔵省の関係者から、たしかいま偉くなっておるかどうか、岩尾主計官のときかに少し議論したことがあると思います。
 そこで問題は、私どもは軍人軍属、準軍属、公務員等の戦争犠牲者の問題については、国家権力の関係があるものについてはそれぞれ特別法があるが、防空法についても無視できないんじゃないか。実態がわからぬといったって、こういう弔慰金を出していくと、逐次上に浮かび上がってくるじゃないか。これで終わりというのではなしに、いま公害の賠償その他についても、企業責任が議論されて、しかもこういうふうなはっきりした、一億全部が総動員体制にあったときに、官民の差別をつけるということはいけないんじゃないか。財産まで私は議論をする意思はないけれども、ただ人命に関する被害については、こういう大きな被害については援護という観点から可能な限りアプローチをしていって、これを拡大をすることは当然ではないか、こういう議論です。
 これは本格的には援護法の議論でいたすといたしましても、さっき山田委員の質問に対しまして厚生大臣よけいな答弁をしておったけれども、私の言うのは、被爆者の問題についても、アプローチのしかたとしては、国の補償責任がないなどというようなことではなしに、これは法的にも法制局がいっているようにあるのだから、実態のわかっている面については、まずこれを確認をして進めながら、やはり戦傷病者戦没者等の援護法の適用を逐次拡大をしていくべきであって、いまお答えになりました二千六百十二名の警防団員とそれから医療従事者の百五十一名、これからさらに出るかもしれません。たくさんあるわけですから出ると思いますが、これはしかし出るにいたしましても、おおよそ見通しがついておるわけですが、そういう人たちは一方の、これから審議をいたします援護法の対象にして、被爆者の問題についての援護もここでひとつ進めていく、そういう観点でこの問題を取り上げるべきであるという私の見解に対して、厚生大臣の御答弁を、いま山田委員との間に質疑応答がありましたが、具体的に私は問題提起をいたしましたから、御答弁をいただきたい。
#66
○齋藤国務大臣 実はこの問題は、原爆に関するこの法律の質疑ではないと考えておったのです。戦傷病者援護法の御質問、法案の審議の段階に入ったときに私の考え方もいろいろ申し上げようと思っておったのでございますが、御質問がございますから、私の気持ちを申し上げてみたいと思います。
 そこで、皆さん方の御意見も十分尊重しながら、先般警防団それから医療従事者等に対して見舞い金を出したわけでございますが、この考え方は、やはり援護法のワクの中にだいぶ近づいていることを意味しているものと私は理解しておるわけでございます。近づいていなければ見舞い金は出すはずはない。近づいておると私は認識しておる。
 そこで、近づいておるのでありますから、今度はワクの中に入れるかどうかという問題になってくるわけなんです。私は気分的には入れたいのです。ところが、入れるにあたってどういう理屈を立てるかというところに悩んでおるわけなんです。それは援護法の審議にでも入ったときに私の気持ちも申し上げようか、こう考えておったのです。そのことをさっきも山田委員の原爆法に対する質疑の際にお答えを申し上げたわけなんです。ちょっと早過ぎるような感じもするのですが――これは援護法の問題でございますので、ちょっと早いとも思うのですが、先般実は中村重光さんからもお話がありました。
 そこで、援護法のワクに近づいておる。そこで何とかこれにアプローチして入れろということにすると、何かいい手がかりはないだろうかと考えてみますと、やっぱりこれは軍防空の一環としてやっておる、防空法に基づいて何かしらの防空業務に従事しておったということでなければならない、こういう理屈になるわけでございます。そこでそうなってくると、医療関係従事者等につきましては、防空法に基づいて救護その他防空業務に従事せしめるためには、当時の知事、地方長官が指定をしまして、それぞれ必要な防空上の訓練をしておったはずであります。ですから、これは非常にワクに入れやすい理屈になるわけであります。
 ところが、今度は警防団員ということになりますと、御承知のようにこれは法律的にいいますと、民防空でございます。すなわち、消防団と同じ性質のもので民防空でございます。そこで、民防空の人を防空法に基づいた防空業務に従事しておったといえるかどうかというところに問題がある。そこで考えたのは、警防団員の中にも基幹団員と一般団員というものがあるではないか。基幹団員というのは、当時の地方長官が防空法に基づく防空業務に従事せしめるために、それぞれ必要な訓練をしておったに違いない。その実績はいま私はつかむことは困難だと思いますが、知事が指定をして基幹警防団員については指定をして訓練をしておったに違いないと、当時のことを思いながら――これは常識であります。
 そういうふうなことを考えてみれば、防空法に基づいて警防団員の中の基幹団員はおそらく知事の指定を受けて防空業務に従事しておったに違いあるまいという立論に立って、何とか援護法のワクの中に入れることはできないものであろうかということで思い悩んでおる次第でございますと、この前来申し上げておるわけでございまして、何らかそういう立論をいたしまして、問題の解決はできないであろうかということを考えておるのが現在の段階でございます。私は気持ちとしては見舞い金を出した今日、何とかこのワクの中に入れることはできないものであろうかということで努力をし、考えておる、こういうことを私は率直に申し上げます。
#67
○大原委員 これは政府委員からの答弁でもいいですから、基幹団員と一般団員と警防団員の中を二つに分けた議論ですが、これは七万円の弔慰金と五万円の障害手当を出している二千六百十二名の警防団関係の中で、たとえばどういうふうな内訳になるというふうに推定できるのか、こういうことについて考えがあればひとつ……。
#68
○高木(玄)政府委員 警防団員を基幹団員と普通団員とに分けておりますのは、昭和十七年の一月に出された警防力の強化に関する件という通達によって、これを分けるということになっております。
 それで先ほど申し上げました自治省におきまして実施した警防団員に対する特別支出金、この中身は基幹団員と普通団員とにどのように分かれるか、この点については私どもは内容を承知いたしておりませんし、おそらく事実上これを分けて支給していないのじゃないか、かように考えます。
#69
○大原委員 あなたのやつよりも私のほうがそれは詳しいのです。大体七万円と五万円のやつは障害じゃない、死亡者の遺族ですが、これは中身については差をつけてないのです。差をつけられないのです。その後ずっと――昭和十七年の話ですけれども、その後は十八、十九、二十年とずっと全部かわりまして、大臣も、私はことばじりをとらえないのだけれども、あなたもよく防空を知っていないのですよ。あなたは役人にしては非常に粗雑な点がある。粗雑と言っては失言だが大ざっぱな点がある。非常に政治的な点があります。政治家的な要素があるということですよ。
 そこで、ことばは一々言うと、非常に不確実なんです。ただし、医療従事者も警防団員も当時の県の長官、地方長官から一人一人従事令書をもらうのです。隣組防空とか職場防空というのは一括して名簿に出しまして、こういう隊を編成してやりますということを出して、軍隊から監督、命令を受けてやるのです。これは私は一応常識的に分けているが、それは分けることはできないのですよ。警防団は、防空監視員は別ですよ、医療従事者と警防団員は個人個人に従事令書が出ているのですよ。他のほうは包括的に隊員の名簿を出して隊の編成をやって、もし命令に違反したら、ばっとこういうふうに国家権力でやるということになっておるのです。ですから、これは差別をつけることはできない。私が言うことは了解できたでしょう。
 それで法律的には、そういう警防団員や防空従事者と義勇隊員については差別をつけることはすべきではないということは法制局の見解何回もやっている。問題は実態の問題です。そこで、これは私はそういう見解を指摘をして、そこに問題があって、あなたの言っている基幹要員と一般要員に分けることはできない。実際は、私のところに資料がありますけれども、それはできない。私の言うことはわかりましたか。私の言うことがわかったなら、わかったというだけでいいですから、ノーかイエスか答弁してください。
#70
○齋藤国務大臣 当時の警防団というものの経緯について、お話しのように、知事さんが一人一人指定をする、それから一般の消防団員の方々は一括してということは私も知っているのです。そういうことを踏まえて、これを解決するにはどういう方法があるかということを私は議論しているのですよ。私は意味深長なんですよ。アバウトかもしれませんが、それを解決するにはこういうような立論をすることが近づく道ではなかろうかと、こう私は非常にアバウトのような話ですが、言うておるわけでございまして、私の気持ちはおわかりになっていただけると思います。
#71
○大原委員 それであなたの法律の解釈のしかたは若干ずさんな点もあるし、事実認識についても十分でない点がある。しかし、私が言うと、あなた当時厚生省におったから、扶助規定その他については、勤労関係らしいけれども、当時労働省と一緒だったから、これはお門違いの点があったかもしれないけれども、大体理解できるだろうと思うから私は申し上げているのであって、事実に基づいて理解をしてアプローチしてもらいたい。
 そこで問題は、どこまでも無制限に広がるのでなしに、隣組防空とか、職場防空といえども、法律的には差別をつける理由はないじゃないかという議論がなおあるのだという点を念頭に置きながら、やはりいまの段階で遺族の援護や障害者の対策は立てるべきである、こういうふうに私は言っているわけですが、しかし、これは実態がわからないと、予算持っていったって大蔵省が相手にしませんからね。それだから、きょうはこれは呼んで質疑応答をしながら、ここではこの問題のアプローチのしかたを議論しておいて、援護法で議論するということであります。
 大蔵省の主計官は質疑応答については理解ができましたか。理解ができたかどうかで、賛成か反対かということを聞いているのじゃないですから、お答えいただきたい。
#72
○渡部説明員 警防団員等の防空業務に従事する方につきましての取り扱いにつきましては、従来からいろいろ経緯があったことは承知しております。当時の議事録等も私は拝見いたしております。ただいまの議論も拝聴いたしまして、議論の内容につきましては、十分理解いたしたつもりでございます。
#73
○大原委員 それでできるだけ具体的な実りのある議論をするのであって、観念的な議論を私はしようとは思わない。そこでこの問題は、ここにとどめておいて、あとは援護法の問題で議論をするということにいたします。
 それから第二の問題は、いままで若干議論があったのですが、まとめて私が議論したい点は、これは能率的にやりたいと思うのですが、原爆の被爆者の治療と影響の調査と、それから治療方法等の研究、これはどこでも難病奇病等もいま議論しているわけですが、これが調査と研究と治療が一元的に行なわれていない。一元的に行なわれていないというのはどういうことかというと、厚生省の予防衛生研究所、科学技術庁の放射線医学総合研究所、広大の原爆放射能医学研究所、原医研、長崎の同じような医大の研究所、それからいま話があった日赤その他の公的医療機関による原爆病院、そうして五十年間の規模でもって影響調査をやっておるABCC、これらが日本の国内におって活動をしておりながらも、一体的な活動がなされていないということは、被爆者やあるいは日本の国民から見ると、納得できないようなばらばらの政策であるということです。
 で、これの一元化についていままで若干の質問があったけれども、これは私もいままでしばしば取り上げてまいりましたが、これは何といっても国会で議論をして、やはり一歩踏み越えるようなことが、いままでの役人のなわ張りではできぬということです。政治的にやらなければできない、そういう意味において議論しておるわけですが、一元化については次の来年度の予算措置においては、プロジェクトチームその他の編成等を含める思い切った予算の措置をとるし、運営の問題を含めて制度上の措置をとるべきではないか。プロジェクトチームの編成等がその一つの措置であるけれども、そういうことではないか。そういうことから、被爆者や国民の要求や願いに合致するような治療や調査や研究が行なわれるべきであるということについて、来年度の予算の編成期を前にいたしまして、格段の決意と努力をすべきではないか、これが第一の質問です。
#74
○加倉井政府委員 御指摘のように、従来の研究面におきましては、若干連絡等につきまして欠けるところがあったかと思います。しかしながら今後におきましては、御指摘のようにやはり研究面におきましてプロジェクト方式というものが非常に重要であるということの認識の上に立ちまして、厚生省あるいは科学技術庁、文部省一体となりまして、その研究の推進をはかるように、明年度予算の編成に際しまして十分検討いたしてまいりたい、かように考えております。
#75
○大原委員 一元化あるいは総合化について飛躍的な努力を来年度はしたい、こういう点については五カ年計画その他いろいろあるわけですけれども、厚生大臣はいまの政府委員の答弁を十分理解してやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
#76
○齋藤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、こうした研究等は総合的と申しますか、一元的にやるというか、それが一番望ましいことでありますから、そういう方向に努力いたします。
#77
○大原委員 その中で問題がずっと出ているのは、これは占領下と同じベースでいっておって、問題になったのはABCCの問題です。ABCCの問題がなぜ問題かというと、他の治療との関係において総合性がないということです。調査はするけれども治療しない、こういう非難を受けたのです。いま山田委員の奥さんの話があったけれども、そういうことです。しかし、これは医師会が反対して、治療行為をABCCで行なうことはいけない、あるいはABCCのアメリカ側の専門職員は日本において医師法の免許を受けていない、そういう事情があったわけです。しかし、ABCCが広島の比治山の上に君臨的に存在するものですから、民族的な感情その他において非常な問題があった。ただし、五十年規模で長き世代にわたる、あるいは普遍的な調査をするということの意義については、私は今日まで議論の範囲においては理解をしているのです。出ていけという議論があるけれども、私は必ずしもそういう議論については無条件にくみするもではないのです、私はよくこのことを知っておりますから。
 しかし、ABCCのやり方は、いまのような山の上に象徴的にあるような形ですけれども、外交特権を持ちながら、根拠もないのにそういうことになっておるということや、調査のしかたについても、厚生省の予研の医師が非常に機械的に、しかも消極的、事務的に、しかもABCCに対して主体性なしにやっているというようなこと、従属的なそういうやり方というものは全く協力でも何でもない。これは事実をあげれば数限りがない。しかし、それは建設的な議論の中で不必要だと思うからやらないわけです。
 ABCCのやり方を変えていくという問題については、たくさんの問題があるわけですが、これは日本側が引き取るという問題がある。こういう人道的な問題ですから、国連の原子力委員会がウイーンにありますから、それを引き取るということもあるし、日本が金を出してもいいから、そのもとにおいてやるべきだという議論がある。あるいは共同研究の方式で、日本はもう少し主体性を持った形で物心両面、人的にも財政的にも向こうにぶら下がった形でなしに、日本が主体性を持って研究のテーマを取り上げる、そして調査結果の評価等についても、被爆者や国民が納得できるようにすべきであるという議論、こういう三つの議論があると私は思う。
 そこで実際問題となると、いろいろな問題にぶつかるわけですが、この問題に対処して外務省は、いま厚生省と一体の関係でアメリカとのどういう交渉を今日まで続けてきておるか、現在の段階においてお答えいただきたい。
#78
○角谷説明員 アメリカ側との交渉につきまして、先生御承知のとおり問題が幾つかあるわけでございまして、その一つは、先生御指摘になりましたABCCの法的な性格と申しますか、それに伴いますABCC職員の身分という点がございまして、この点につきましては昭和二十七年に口上書をかわしまして、大使館の付属機関としてみなすということで、それに伴う特権を与えておったわけでございますけれども、これが妥当ではないという反省に立ちまして、その性格を変えるという点につきまして、過般来アメリカ側と交渉をしてまいりてきたわけでございます。この結果につきましては、アメリカ側といたしましては、必ずしも納得しておるということでもないわけでございますけれども、わがほうといたしましては、これはその性格を変えるということで、きわめて近日中にそのような措置をとるということにいたしたいと思っております。
 それからもう一つの点、ABCCを今後どういうふうに持っていくのか、日米間のこれに関連する協力と申しますか、今後どういうふうにして運営していくかという点につきましては、先生の御意見をはじめといたしまして、厚生省その他関係当局の御意見を踏まえまして、協力いたしまして、アメリカ側と話をするということで、これも昨年来話し合いを始めておるわけでございます。実態的なことは、これは厚生省はじめ関係各省のほうに御答弁願ったほうがよろしいかと思いますけれども、交渉自体はお互いにいろいろ考えを出し合いまして、本年に入りましても一月に話をいたしましたが、近々またこの話を進めるという段階になっておる次第でございます。
#79
○大原委員 厚生省、いまの外交官の問題については、特権の問題についてはともかくといたしまして、もう少し内容的に報告を願いたい。
#80
○加倉井政府委員 御指摘の共同研究の面につきまして、日本側が主体性を持った調査研究ができるようにするための改善策につきまして、昨年末科学技術庁、それから文部省、外務省、それと厚生省の間で、私ども国内におきます研究協力体制のあり方につきまして、いろいろ検討をいたしました結果、とりあえず、とにかく従来の経過からいたしましても、厚生省が窓口になるという結論に達したわけでございます。
 その結果をもちまして昨年十一月、米国側と第一回の会合を持ちまして、フリートーキングの形でいろいろ問題を検討いたしたわけでございます。そのフリートーキングの形におきまして検討された事項につきまして、日米双方が近く意見を取りまとめ、大体四月末を予定いたしておりますけれども、第二回の会合を開きたい、かように考えております。そしてその結論に基づきまして関係各省とさらに十分協議をいたしまして、先ほどの御指摘の研究体制との関連もございますので、今後ABCCとの共同研究につきましては十分成果があがるように対処してまいりたい、かように考えております。
#81
○大原委員 このことは四月末を目途に第二回の会談をやりながらABCCのあり方や、共同研究の問題等を含めて日本側の提案をして意見をまとめたい、こういうことですね。それは来年度の予算編成に間に合うようにし、それで来年度からこれが一歩を踏み出す、こういうことで、そういう中身のものを日米間の関係機関において協議をして申し合わせる、これは協定を結ぶのかどうかはわからないが、そういうことについて、そういう理解をしてよろしいかどうか。
#82
○加倉井政府委員 こまかい予算的な問題もございまして、そういう具体的な問題につきまして協議の上、四十九年度の予算に実現すべきものは実現したい。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
それから共同研究の面につきましても、当然いろいろ経費を伴う問題もございますので、そういう面も十分反映できるように検討いたすつもりでございます。
#83
○大原委員 大臣、これはABCCの問題は広島、長崎の問題なんですけれども、占領中から天下っている。一片の口上書、昭和二十七年の口上書だけをもって便宜を供与している。そういう形で加害国が被害国の国民を調査するというのは、おかしいじゃないかという国民感情が起きるのは当然なんであって、これは保守も革新もないのです。だから、これは根本的に改めるということは、日米の平和共存の関係を考えてみたって大切なことなんです。原子力基本法の自主、公開、民主そして平和、この四原則からいいましても、重要な国民的関心事です。
 ですから、これは事は小さいようなんですが、放射能の影響、原爆の影響というもの、歴史的なそういう事態を究明をして、そして被爆者の立場に立って――これは公衆衛生局が担当するということはよろしいと私は思う、被爆者の立場に立って施策を転換をしていく、そういうことを含めて国民が納得できるようにすべきである。予算上も、金なんかについても出し惜しみをするんじゃない、こういうふうに私は思います。厚生大臣、あなたの所見をひとつ伺いたいと思います。
#84
○齋藤国務大臣 このABCCの研究の結果というものは国際的に非常に高く評価されているということを私も承っております。ただ、やり方についてはいろいろ問題がございますので、先ほど来局長が答えましたように、自主性を持った調査、研究をやれるようにしなくちゃいかぬということで、せっかくこれが改善策について日米間に話し合いをいたしておるわけでございますから、その話し合いの結果に基づきまして、これを継続せしめるということを前提とした何らかの案を得ましたら、来年度の予算編成に際し、これに対して予算を計上し、予算の増額をはかる、これはもう当然のことでございます。大蔵省も非常にこれについては御理解を持っておりますから、その点はひとつ御安心を願いたいと思います。
#85
○渡部説明員 ABCCのあり方につきましては、現在関係省庁並びに外務省を窓口といたしまして、アメリカ当局といろいろ話し合いが進んでおるやに聞いております。したがいまして、まだその最終的な結論が出ておりませんので、どのような体制になるか、またしたがって、それに基づいて、どのような財政措置が必要であるかということについての正式の話し合いは、私どももまだ承っておらないわけでございますが、せっかく原爆被爆者に対する医療研究の推進という見地からいい案が出てまいりましたら、私どもといたしましては、前向きに十分おつき合いさしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#86
○大原委員 そこで、アメリカとの関係は口上書であったわけだが、今度は協定書になるのですか。
#87
○角谷説明員 御質問の点は、その身分とかそういう関係でございますか。――つまり昭和二十七年に口上書で大使館の一部とみなす、これに基づいて特権等を与えてきたわけでございますけれども、この点につきましては、したがいまして、あらためて別のやはり口上書というようなものになるかと思いますけれども、そういうような形で改めたい、こう思っております。
 それから実体のほうにつきましては、これはまあどういう形でやるかまだ形式につきましては検討しておりませんけれども、このほうは特に協定とかなんとかいう形にする必要はないだろうと思っております。
#88
○大原委員 どういう形にするの。
#89
○角谷説明員 形につきましては、まだ深く考えておりませんけれども、まず実質合意をいたしまして、それをどういう形でいたしますか、今後これから考えたいと思っております。
#90
○大原委員 厚生省はどう考えているのですか。つまりいままでの予防研究所というのはABCCに繰り込まれて、その召し使い以下みたいなんだ、実際上は。主体性がないんですよ。これは皆さん認めるとおりだ。だれも承知のとおりです。それは他の国との関係があるのですから、日本の国内において仕事をするのですから、その国と国との関係を規定する、法律関係を規定する形式があるのではないか。それをあいまいにしておいたならば、だめじゃないか、そこを洗い直すことが一つの大きな側面ではないか。その場合にはいろいろ治療を受けるとか共同研究をするとか、いまのままにするとかいろいろな議論があるだろうけれども、いまのままであってはいかぬということが全体的な一つの議論になっているのではないか。
#91
○加倉井政府委員 これは日本と米国との外交上の問題でございますので、外務省の方からお答えいただいたほうが妥当かと存じます。
#92
○角谷説明員 形につきましては先ほど申し述べましたとおり、どういう形になるか、これは十分検討いたしたいと思います。まず実質につきましてアメリカ側と早いところ合意したい、このように考えております。
#93
○大原委員 その私が指摘した点は、十分承知した上でやっていってください。いままでの行きがかりじゃだめです。占領の継続じゃだめです。
 それから治療と調査と研究と一体化して総合的にやることがどうしても必要なわけです。そのときに治療といえば広島大学、長崎大学の原医研の付属病院的なものがあるわけです。しかし、それ以外に原爆病院というふうな公的医療機関があるので、それが独立採算ではなしに、赤字が一億円という話があったけれども、ちゃんと原爆の専門的な治療機関の意見というものが調査や研究に反映する、相互交流がなされるようにされるということ、そういう実体が大切である。そういうことで原爆病院等を含めて、公的な病院、治療機関等を含めて、もちろん民間の協力等も得てやるということが必要であると思うが、いかがですか。
#94
○加倉井政府委員 治療面につきまして、御指摘の文部省所管の大学の付属機関、それと日赤の原爆病院に勤務されている医療従事者の人事交流面につきましては、非常に困難な面がございますので、人事交流という点からは、なかなか早急に技術の交流ということはできないかと存じますけれども、その研究成果あるいは治療効果等につきます討議等につきましては、その場を提供することによって相互に知識の交換あるいは技術の交換、研究成果の交換ができる、そういう体制が早くつくられまして、各方面に研究の成果があがるような体制をつくってまいりたい、かように考えております。
#95
○大原委員 公衆衛生局がセンターになってプロジェクトチームをつくって、被爆者や国民が納得できる調査、研究をやる。そのときに何億円か何十億円か予算を組んで、そして調査と研究と治療を一緒にやって、原爆病院の赤字を埋めるとか、その観点での予算措置はまた別のところでやるとか、そういうチームワークをとったやり方等があるだろうということを私は言っている。そういうことをやって、名実ともに運営委員会が、名ばかりいままであったわけだけれども、そうでなしに、実質的なプロジェクトチームをつくってやったらどうか、こういう議論ですね、それは了解できますね。
#96
○加倉井政府委員 総合的な研究体制の中におきます治療機関の位置というようなことも、いま御指摘の病院の赤字の問題に触れると思いますので、そういうふうな総合的な研究体制につきまして検討させていただきたいと思っております。
#97
○大原委員 それからABCCの職員はかなりたくさんいるわけです。これは基地とは違うわけですけれども、契約関係は違うわけですけれども、防衛施設庁がやっているわけでも何でもない。関係していないのですけれども、これは単なる民間契約的なものであります。しかし、それにしても従業員のいままで――かつて占領中には、たばこを自動車に乗っておって、くわえたからといって、ちょんと首になったような人権無視があって、それは秘密と一緒になっておった。そういうことではいけないということで、ちゃんとこれは良識を持った運動が展開されておって、生活と権利が、一応日本の国内法でルールはできた。このことは私は民主的な運営と不可欠だと思うのです。
 しかし、いずれにしても日本人側の従業員が、いまの円切り上げ問題等で、アメリカから送ってくるドル等で非常な財政上の圧迫を受けている。それで実際に数万人の被爆者の登録に対して、日常から調査をして、影響調査を五十年間にわたってやろうというわけです。だからこれは非常な予算を伴うものです。努力を伴うし、日本のお役所仕事でもできないような仕事があるわけです。その点はアメリカ的な方式ですけれども、これはかなり思い切った方式で、大きなテーマで、大きな展望でやっているということは私も認めていた。そこで、そのときにやはり円の切り上げ問題等で非常に予算が締められてきた。三百六十円が二百六十円になっているわけだから、百円違うわけです。ですから労使問題も大きく起きてくると思うのです。
 昨年の十一月に中央労働委員会は二件にわたって勧告、あっせんを出しているわけですが、労政局長に出席いただいておりますが、これは実現ができておるのかどうか。もう少し努力をして、アメリカ側に対しても実現をするように、政府として要求をすべきではないかと思いますが、いかがですか。
#98
○石黒政府委員 昨年十一月の中労委のあっせんは、賃上げ、年末一時金でございます。これにつきましては労使双方が受諾をしておりますので、一応この問題は解決でございます。しかしながら、その間に実施時期について労使協議というような、あとに問題を残したものもございます。その問題につきましては、その後も引き続き団体交渉が行なわれておりまして、それからドルの切り下げに関連いたしまして多少問題がございまして、これにつきましても団体交渉が行なわれておりますが、団体交渉は目下のところ異常に深刻なかっこうということではなく、一応進む方向で行なわれておるというふうに報告を受けております。
#99
○大原委員 中労委があっせんした中で、七月一日から昨年の春闘の賃上げ分を払えというやつを六月一日に引き上げるようにということ、そういうこと等に関係をして、なお実施されないというような財政事情にあるのではないか。逆にいうと、アメリカのことを私どもが言えば、安い賃金で、三分の一くらいの賃金で日本で使っているわけですから、そこで調査、研究の目的を達成しておる。その調査、研究もまた全部資料を公開されて、結果というものが日本の被爆者や人道のために役立つということならば、われわれは理解ができる。その面においては労働運動というものは大きな役割りを果たしておるというふうに私は思うわけです。
 だから、それは円の切り上げと一〇%のドルの切り下げをやった、そしてフロートした、二〇%程度いくかもしれない。前の、初回の一昨年のやつと比較いたしますと、百円に達するのであります。そういう国際的な価値の変動に伴うものを持ってくるのは当然のことなんですね、アメリカは。そういうことすらもぴしっと要求できないような厚生省の予研の支所であってはふやけておるのではないか。その点くらいは労働省は、日本政府としては労使の慣行上こういうものは守れ、こういうふうにぴしっとやるべきじゃないか、こういう点で労政局長、もう一回御答弁をいただきたい。
#100
○石黒政府委員 中労委のあっせん案は、実施時期につきましては前進する方向で労使協議することということでございます。これを労使双方が受諾して、その方向で団体交渉が行なわれておったのでございますが、ドルの切り下げが行なわれましたことによりまして、ABCCのアメリカ側からの予算が足らなくなったという事態がありまして、交渉はやや難航しておる。しかしながら、アメリカ側も組合側の言い分を頭からはねつけるという言い方ではなく、何とか解決したいという方向で努力をしているというふうに私どもは承知しております。
#101
○大原委員 厚生省の予防衛生研究所支所があそこにあるわけですが、これも当事者能力がない。アメリカのABCCもおそらくない。そういう形では責任ある研究なんかできやせぬじゃないか、こういう議論ですね。少なくとも日本でやっている場合には、従業員、職員の生活と権利は、ぴしっと保障した上でやるということが、これはあらゆる問題の第一歩である、こういうふうに私どもは思うわけです。だから、アメリカは日本では、一方では日本の円価値の議論をしているわけですから、生活水準の議論をしている。安い賃金で、三分の一の賃金で、低福祉でやっていて、ダンピングだということをいっておるわけですから、そういいながら一方、自分で使っているやつについては、こんなことをするやつがあるか、これは私は国民から見たら当然のことであると思います。
 大体厚生省もふやけておるんじゃないですか。それはしゃんとしてやらなければ、これからの体制の立て直しということで、問題は小さいように見えるけれども、これは日本の国民全体としてみれば、国の利益からいったら、アメリカの立場から考えたって不利益、こんなばかげたことはない。双方の利益からいって、この問題に対する認識と決意が足りないのではないかという点ですね。これはひとつ厚生大臣、国務大臣としても関係者を一そう督励してやってもらいたい。よろしゅうございますね。あなたは労働省出身だから、よくわかっているでしょう。
#102
○齋藤国務大臣 お話の点は十分理解いたしまして、その方向に努力いたします。
#103
○大原委員 時間もたってまいりましたので、あと、いままでの質疑の中で特に取り上げておきたいという点は、二世の問題は遺伝の議論もあるのですけれども、たとえばカドミウムとか重金属なんかでも、胎児は汗を出したりおしっこしたりはしないでしょう。そして十カ月胎内におりますと、母体の胎内で血液を通じまして胎児が汚染をされる。母親が元気であっても、胎児が第二の水俣病になるという問題で議論されているのですから、放射能で母体の血液が汚染されますと、母体を通じて胎児の二世に影響を及ぼすのじゃないか。こういうおそれや議論はあるわけですから、そういう観点からも必要であるというふうな条件については、無条件かどうかは別にいたしまして、二世の健康管理をするのだというふうな問題については、前向きで取り組むことが必要ではないか。
 いまABCCの研究も五十年間たたなければ、一歳の子供が五十歳になるまでどうなるかということをやらなければ影響はわからぬという規模でやっているのだ。だからABCCが結論を出さないからといって、それは疑わしいことがないというわけじゃないのですから、そういう疑いは、いまのような放射能汚染の問題についてはあるわけです。だから、これを無制限に拡大することは不安を増大することになるけれども、私が立論したような議論からいうならば、健康管理をする場合、二世の健康管理をすることは当然じゃないか。こういうことについてはいかがですか。
#104
○齋藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、二世、三世の方に自分の健康について不安を与えるということは好ましいことではありませんので、本人の意向等も十分頭に描きながら、慎重な調査の方式で実態を把握しながら必要な処置を講じていく、こういうふうにいたしたいと考えております。
#105
○大原委員 一般検査と精密検査の制度があるのですが、精密検査はいま単価幾らですか。人間ドックのような検査ができますかどうか。そういう精密検査ができないような、人間ドック的なものでないようなものはだめじゃないか。これは改善しなければならぬのじゃないか。いかがです。
#106
○加倉井政府委員 現在のところの精密検査の単価につきましては、人間ドックの単価よりは低くきめてございまして、人間ドックと同様の検査はできないと存じます。
#107
○大原委員 だから改善しなければならぬかどうか。
#108
○加倉井政府委員 したがいまして、御指摘のような、さらに追跡すべき検査項目等がございました場合には当然改善しなければならぬ、かように考えております。
#109
○大原委員 大臣、原爆孤老とかひとりきりの老人等が全面的な被爆のために非常に多いわけですね。一般よりもさらに多いわけですね、原爆孤老といわれている者が。それと人道上無視できないのは、当時小さかった子供が放射能を受けて、いわゆる原爆小頭症で知能指数が低い子供がいま二十前後になっている。そういう人たちに対しては一応の施策があるのですが、しかし子を持った親の立場から言うならば、一生心配のないような施設がほしい。こういうものも、限られた人数ではあるが、大切な問題としてあるわけです。このような問題等については、重度心身障害児の問題等があるわけですが、やっぱり五カ年計画その他で十分こまかな配慮をして、老人の問題と、いまのような原爆症の中でそういう深刻な小頭症の問題等については、施設等の問題を含めて対策を立てるべきではないか。
#110
○齋藤国務大臣 お話しの小頭症被爆者の問題等につきましても、十分必要な措置を講ずるようにいたします。
#111
○大原委員 いままで議論してなかった点ですが、昭和五十年に全国国勢調査をやるわけです。そのときに、防空法の関係で議論いたしましたけれども、やはり被害の実態がわからなければいけないのです、救済制度を拡大しようと思うと。そこで、その問題については、しばしば本委員会において決議をされているわけですが、被爆の実態については厚生大臣も言われているように、いままで私たちが経験したことのない、そういう歴史的な経験であるから、これを再び繰り返さないという決意のもとに対策を立てる、こういう観点からいっても、広島、長崎の問題だけではなくて、被爆者は全国的にも散在いたしておるわけでありますから、それらの問題も含めて、やはり実態調査については前向きに検討することになっているが、どういう考えを持っておるか、お伺いいたしたい。
#112
○加倉井政府委員 昭和五十年が、ちょうど国勢調査の年でございますので、国勢調査とあわせて調査したらどうかという御意見であろうと思いますが、やはりいろいろ問題もありますので、調査項目等あるいは調査方法等につきまして慎重を期さなければならぬ点もあろうかと思います。あろうかと思いますが、できるだけ御趣旨に沿うような調査ができるべく検討をいたしたい、かように考えております。
#113
○大原委員 これはやや前向きな答弁であるし、やはり調査なくして対策なし。だから、私は、このことはいろいろな角度からの調査があるわけですけれども、ぜひこの問題についてはしてもらいたい。
 それから、それで一応終わって、決議との関係等は大体これでいいと思うのですが、一つ、いままでの質問とちょっとダブるけれども、大切な問題は、一番問題になっているのは胃ガンをどうするかということです。胃ガンは数が多いから、これをやるとどうもいかぬというのが、私はほんとうは厚生省の本音だと思うのです。そこで表面上いろいろと、ああのこうのと言っていると思うが、一般の国民の胃ガンの発生率は公害その他で多いのですよ。内外から汚染されているのですが、しかしそれ以上に発生率が多いということは、しばしばデータに出ておるわけですよ。ですから、転位の問題等含めて、この問題は前向きに審議会にかけるということを、もう一回、念のために厚生大臣確認しておいてくだざい。
#114
○齋藤国務大臣 この問題については、いろいろな資料等におきましても非常に多く発生いたしておる事情でございますので、これが関係があると私どもも考えられますので、審議会に対しましては発生部位などにとらわれないで、これをめんどうを見るように指示いたしたいと考えております。
#115
○大原委員 大体これで私は一応終わりますが、これは基本的な問題で、なおこれから重要な段階に入る問題があるわけです。これから具体的な問題等については、一党派ということではなしに前向きに問題を詰めてまいりたいと思いますが、これは全体、援護法を含めてきちっと議論をして、議論をしただけに終わっておってはいけない、そういうことでは国会としての権威はないと思うのです。そういう点では――もしそういう点で誠意がなければ、この法律案だって、援護法だって、スムーズにいくとは思いませんよ。だから、私はそういう点を、特に理事の要請もあったから、通告しておきます。それによりまして、私の質問を終わります。
 委員長、ありがとうございました。
#116
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三十五分開議
#117
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 医療機関等の防火防災体制の強化に関する件について決議したいと存じます。
 まず、先般来各党間において御協議いただいた案文を朗読いたします。
    医療機関等の防火防災体制の強化に関する件
  去る三月八日済生会八幡病院においては、火災により十三名の死者を出し、誠に遺憾な事態を惹起している。政府は、最近における病院等の火災発生状況にかんがみ、人命尊重のうえから、特に次の事項につき可及的すみやかにその実現に努力し、悲惨な事故が生じないよう措置すべきである。
 一 医療機関及び福祉施設については、建築基準法、消防法等を厳守することはもとより、その特殊性にかんがみ、防火防災上改善を要するものについてはすみやかに必要な措置をとること。
 二 今回の災害にかんがみ、関係行政機関は連絡を一層密にし、ただちに医療機関及び福祉施設の総点検を行なうとともに、共同して今後再びかかる事故をくりかえさないよう防災体制の確保に努めること。
 三 医療機関等の防火防災構造設備の改善については、資金の助成等について十分配慮すること。
 四 火災その他の災害に対処するため防火防災体制の強化を図るとともに、特に夜間時の避難誘導及び救助体制について万全を期するよう指導すること。
 五 火災の発生を未然に防止するよう医療機関等の管理者の責任を明確にし、管理体制を一層強化すること。
 六 遺族及びり災者の補償に関して適切な措置が講じられるよう努めるとともに、この種の補償救済方式について新制度を考えるなど検討を加えること。以上であります。
 なお、これに基づく医療機関及び福祉施設の総点検の実施状況等について、適当な機会に委員会に報告されるよう、強く要望いたしておきます。
    ―――――――――――――
#118
○田川委員長 特に御発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 これを本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#119
○田川委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣齋藤邦吉君。
#120
○齋藤国務大臣 医療機関等の防火防災体制の強化に関するただいまの本委員会の決議につきましては、関係行政機関にも協力を求め、誠実に執行し、医療機関等の総点検の実施状況及びこれに基づく改善措置は、まとまり次第、当委員会に報告するようにいたしたいと存じます。
#121
○田川委員長 なお、本決議の参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○田川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#123
○田川委員長 内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び中村重光君外四名提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案の両案についての質疑を続けます。
 寺前巖君。
#124
○寺前委員 二人の人が御質問になっておりますので、私はできるだけ問題をしぼってお聞きをしたいというふうに思います。
 局長さんはおたくだけでいいのですか。――いいのですね。それじゃこれという順番ではなくて、気づいたままに幾つかのことについてお聞きをしたいというふうに思います。
 この前私、広島の原爆病院に寄ってみたのです。そうしたら、あそこの病院ではずいぶんの赤字が出て、ざっと一億円になるのじゃないかというふうに言われておるのです。今年度だけでも二千数百万円に及ぶところの赤字が出ている。利子だけでも二百七十万は払わなければならない、こういうことを言っているわけですね。一方新聞を見ると、昨年の暮れからことしの一月になってから、いよいよ長崎の原爆病院が病床閉鎖という問題が起こっている。これは世界でも原爆の悲劇を受けた最たる日本のことです。その日本において原爆病院と銘打って、はっきりと原爆の患者の皆さんに対して積極的な医療対策を組んでいるこの病院が赤字になったり、赤字というのは経営上の問題、その経営が赤字のためにいろいろ障害が起こるだろう、あるいは病床閉鎖という事態が起こっている。これを放置していくということは、これはほんとうに、先ほど大臣がいろいろ御答弁になっておられたけれども、一体被爆者に対して、なくなられた方々に対してはもちろんのこと、いま生きておられる方々に対しても、このような状態で政府の責任は済むのだろうか、私はつくづくそう思いました。
 病院へ行って院長先生や事務長先生にもお話を聞いてみた。そこで、私はこういう事態がここ数年間生まれておって、このまま放置されていくということになったらたいへんだと思うので、まずわかりやすく広島の原爆病院における、一般的な他の病院における経営問題もあろうが、特別にここにおけるところの赤字問題が出てきているという原因は一体どこにあるんだろう。それに対して、どういうふうに国として施策を打っていかなければならないというふうに考えておられるのか。これについての御見解を聞きたいと思います。
#125
○加倉井政府委員 広島原爆病院の赤字の問題でございますが、これは親病院でございます広島日赤病院におきましても赤字を出しております。しかしながら一応広島日赤病院とは別会計で原爆病院は経営をいたしておりますが、その赤字の原因といたしまして、老人性の疾患の患者を収容すること、あるいはガン等の不採算医療患者を収容することが病院経営に対しまして、かなりの影響があるのじゃないかというふうに考えられております。
 したがいまして、その赤字の内容そのものにつきまして、日赤自体といたしましても経営診断委員会というような委員会をおつくりになりまして内容の検討に入っております。それに対しまして広島県等も利子補給等の措置を講ずるというようなことを四十八年度に計画しておるやにも聞いておりますし、私どもといたしましても、これは原爆病院ばかりではございません。公的医療機関全体といたしまして、日赤、済生会等につきまして、四十八年度厚生省といたしまして、これは医務局が主体となっていろいろ御検討になっておるようでございますが、公的医療機関に対する赤字の問題の御援助ということにいろいろ関連いたすかと思いますが、私どもといたしましても、先ほど申し上げました病院自体の経営内容の検討の結果に基づきまして、今後御援助申し上げるべきものは御援助しなければならぬという観点に立ちまして、検討してまいりたい、かように考えております。
#126
○寺前委員 いまのお話だったら、結局どういうことになりますの。老人やガンなどを取り扱っているから、なかなか経営は困難であろう。県は利子の補給を考えているようだ、医務局で検討してもらいます。簡単に言うたら、それだけのことでしょう。これではあなた、これはどうなるの。赤字問題というのは、きのうきょう発生したのではないでしょう。いつから赤字になっていますか。
#127
○加倉井政府委員 赤字が生じ始めましたのは、広島原爆病院におきましては四十五年度からでございます。
#128
○寺前委員 間違いありませんか。
#129
○加倉井政府委員 私どものほうで調べました結果におきましては、四十五年度が二千百万、四十六年度が四千二百万、四十七年度は見込みで二千七百万、こういう数字になっております。
#130
○寺前委員 私がこの間病院に行ってもらってきた収支決算――そうすると、いまのお話だったら、これは私らにくれる資料がインチキなので、だから赤字、赤字と言うているけれども、実は違うんだということも、中身にはあるのだというふうな理解になるけれども、よろしいのかな。私のもらってきた資料を言いましょうか。昭和四十一年には収入、支出が、差し引き八百四十一万九千九百十六円の赤字。四十二年は一千二十一万五千八百八十六円の赤字。四十三年になって、向こうの説明によると、医療手当が出た段階で、ここでは四百万四千百五十四円の黒字。あくる年からまた千百十二万八千三百六十五円の赤字。その次四十五年は二千六十九万九百六十九円の赤字。四十六年は四千百九十五万七千二百十七円の赤字。四十七年はいまおっしゃったように二千七百万円の赤字。赤字というのは四十一年からずっと生まれてきておる、途中で医療手当の出たときに変わったことがあるだけで。だからこの報告自身がインチキなのかな。
#131
○加倉井政府委員 私の申し上げましたのは四十五年度からでございまして、先生のお持ちの資料につきましては正しいと思います。四十五年度以前の数字につきましては、その報告が正しい数字ではないかと思います。
#132
○寺前委員 そうだろう。そうしたら、あなた、長期にわたってこういう赤字が生まれてきておるのに、医務局などで、こういう病院はほかの病院もいろいろあって、同じように赤字問題について検討しますでは、長期にわたってこういうことになっていることに対しての責任は済まぬのじゃないかというのだ。原因点についてもっとメスを入れて、経営のやり方が悪いのだったら、悪いとはっきり言うたらいいし、赤字になるのには原因があったのだから、それをはっきりさせる。七年にもなって原爆病院がいまだにこのように扱われている。ゆゆしき問題だ。
 長崎の場合だってそうでしょう。長崎の場合だって病床閉鎖までいってしまった。そんな軽く扱われているということについて、ことばで何ぼきれいなことを言ったって、現実的に問題点はこことここにあります、だから、こういうふうにしたらこういうふうに改善されます、責任を持ちます、これが言えなかったら、私は無責任だと思いますよ。県は利子補給を考えておるようですでは、ほんとうのところだめだ。
 これはあなたたち、陳情を受けてもお読みにならぬのだったら、私ここでちょっと御披露しましょうか。病院長が切々たる訴えについて陳情を出している。
 ちょっと読んでみますよ。「広島原爆病院は医療対象が原爆被爆者のみに限られており、しかも特に高度な医療機器の設備と研究が要求されている機関でありますが、その実情はまことに乏しく、「原爆被爆者の医療と研究」という使命達成には、なお道遠しの感を強くせざるを得ません。その上不運にも年を追って困憊の一途をたどりつつある当病院の経理においては、全く将来に期待のできない現状をいかんともすることができなくなりました。」一億円の赤字が出てきたから、できなくなりましたということを言っているでしょう。「昭和三十二年三月に制定された原爆医療法は、当時被爆者や関係医療施設にとっては大きな福音でありまして、当病院においても、これにより開設以来約十カ年間は貧弱ながらもまず順調な歩みを続けてきましたが、その後の時世の要求と諸情勢の急転とは、当病院の経営の上に痛撃を加え、年ごとの収支のバランスは完全に乱れて、このままの推移にまかせるときは病院崩壊の危機をもたらすの杞憂に苦しむに至りました。」崩壊の危機だと言っているんでしょう。「御承知のごとく「被爆者の医療等に関する法律」は被爆者のみに関するものでありまして、診療を行なう医療施設に対する法的補助の制定は全くなく、しかも当病院の特殊性とも申すべき患者の老齢化に伴う平均在院日数の長期化、ベッド回転率の極度の低下、所定の診療報酬規定によることのできぬ特殊な高度の医療行為の多数等々。また昭和三十五年十二月に付属施設として設置された原子力放射能障害対策研究所は、その研究の成果が斯界の注目の的となっていますが、開設以来これに要した経費は実に一億円にも達し、これがすべて診療請求の対象外で、当病院の経理の中で負担するという、他に例のない収益皆無の事業を続行し、今後とも原爆後遺症の研究を続行しなければならない立場にあります。その上、韓国、沖繩、北海道、その他国内他府県の要請に基づく被爆者検診にも医師を派遣し、人生最大の不幸をになう被爆者のため、経営を度外視した努力を持続して今日に至っています。
 かかる事態の繰り返しは、いよいよ日々の運営費の不如意を増大し、やむを得ず広島赤十字病院からも一億余円の買いかけを余儀なくして今日に及んでいます。
 なお、ここに憂慮にたえないこととして付記したいことは、当病院本館の施設は建設以来十六年を経過したものであるだけに、毀損、消耗がはなはだしく、多大の補修を要する時点に迫られていますが、かかる多額を予想される資金はとうてい償い得るすべもなく、いかんともいたしがたい事実となっています。それに加え、最近の人件費材料費等の高騰もはなはだしく、累積赤字はさらに加速度に膨大となることが考えられるに至りました。
 以上、当病院の窮状について概要を申し上げましたが、収入源としては、固定化した入院患者の医療費を主体とし、他に見るような室料差額等の徴収も不可能であり、ただいちずに奉仕精神による医療行為を根幹とするものであるだけに、経営上からは採算無視の連続というほかなく、いまやそれらの悪条件は極限に達したと認められます。
 つきましては、これら病院の特殊事情等を考慮いただき、当面の窮状打開と」云々ということがずっと書かれている。これが広島原爆病院長の訴えの内容です。
 この訴えだけ見ても、そこに原因点となった幾つかのことを指摘しているわけでしょう。だから、この一つ一つについて真剣に、これについてはなるほどそうだろう、だからこういうふうにしてやる必要があるのじゃないかと、一つ一つについて親切にメスを入れる必要があると思う。一般的に、赤字だから困っているだろう、その利子くらい県が見てやってくれ、よし頼むわな、そういうふうに扱ったらいけないと思うのです。
 御存じのとおりに、ここの院長先生は戦前からここでずっとやってきた人なんでしょう。一貫して原爆病院をになってきた人でしょう。この人は同時に、ここでたくさんの人がなくなっていった、その一切を背負って、あそこで働いている諸君と一緒になって背負った内容をことばとして言っておられる。だから一言、一言をないがしろにしたら、いけないと思う。そういう意味で、せっかくこの人が訴えておられる内容の一つ一つについても、ちょっとメスを入れてみられたらどうなんでしょうか。
 いま読んだところの中からちょっと拾っただけでも幾つか出てくるでしょう。ですから、ここはぼくも直接この内容を一つ一つ聞いてみましたよ。当病院の特殊性は、老齢化に伴う平均在院日数の長期化だ。具体的にはどうなんですか、こう聞いたら、ここの場合には、普通の病院だったら一カ月で退院していく人がたくさんおる、ところが当病院においては三カ月はおるということになる。経営の面からいうたら、最初の一カ月の場合だったら検査やら何やらあるから、経営の採算には合う。だけれども、長期になってきたら、毎月毎月検査をやっているというわけにいかぬから、収入の面から見れば、それは非常に悪い。回転の悪いということは、経営上非常に悪いという特殊条件をつくっているのだ。それは老人が多いだけにそうなんだ。しかも老人の慢性病ということになってくると、治療の対策というのは、次々新しいものをぽんぽんほうり込んでという対策にならないから、経営上の面からもやっていけぬようになっているのだということを、ここで言っているわけですね、あえてこう聞いたら。そうしたら、原爆病院の場合は、そういう特殊性の人を預かっているのだから、すなわち普通の医療点数制度のやり方では合わないということを明確に意味していると思うのですよ。明確に意味しているのだから、明確に意味している場合には、それに対してはどういう手を打ったらいいと思っておられるか。私はそこから結論がそれなりに出てくるだろうと思うのです。
 私はきのうきょうだったら、研究中ですで済むかもしらぬ。七年間もこういうことが起こっておって、いまだに一つずつについてメスを入れないという態度は一体どうなんだ。あるいはその次に言うておられるのは、ここに研究所を持っておるという問題を言うておられるでしょう。ここの研究所というのは普通の病院の、なくなった人の解剖をやって、どうのこうのという研究じゃないわけでしょう、ここの研究所の場合の研究というのは。これは文部省がやるところの広島大学にあります原医研にありますとか、どこどこにありますというやつとは違いますよ。原爆病院としての使命を果たしてこられました。そこでなくなった方々を、どういうふうに自分らも責任をもって、その病院で今後の治療に生かしていくかという意味においての研究というのは、必然的な性格なんです。特殊な病院だけにその研究所というのは特殊な意味を持ってくる。
 そうすると、ここにおけるところの、なくなってからのその解剖というのは、非常に重要な意味を持っておる。それは入院されたときの状況の検査においても、私は総合的に検査をしておって、なくなられたときにも総合的に検査ができる、この関連性がなければならないと思う。そしてふだんの一般検診のときもずっと系統的にめんどうを見るという、一貫性を持った検査機能と研究所の役割りとが結びついていくという性格を、ここの研究所というのは持っている。だから、これを保険の計算の中からそんなものひねり出すことはできるはずがないんで、特殊な性格を持ってきている病院に対して、特殊な問題として手を打ってやるということは、私は当然結論として、なぜいままでお考えにならなんだろうか。これも私はふしぎでならないのですよ。
 ですから、そういう範囲内で解剖をやられるのですから、たとえば患者さんのところへ行って、解剖させてくださいと言ったときに、普通、解剖料のお願いもしなければならない、棺おけも準備しなければならない、薬その他の準備もしなければならない。あなたのところで、一体どのくらいのお礼をして御協力をいただいているのですかと聞いたら、解剖料二千円だ、いろいろ入れて一万円の範囲内だ。一方ABCC、広島にあるこの予研の担当者にABCCのほうは研究のために一体どれだけのお金がそこでは要りますかと聞いてみたら、四万円はかかっていますということを言っておる。
 日本の原爆病院広島、ここはほんとうに内部の人たちも奉仕的な態度で積極的にやっておられる。患者さん方も後世に対する使命として、ほんとうに献身的じゃないですか、その態度も。そういう形にしてかろうじて運営しながらも、またそれが赤字を生んでいる。何でこれを真剣に、この問題を切々と訴えておられるこのことを考えないのだろうか、研究所の問題一つにしても。
 それからまた、病院に来られる人たちに対して検査をする。さっきも検査料は一体どうなんだという質問が出ていました。これは検査料がまた赤字を生む原因になっているということを私ここに行ったときに聞かしてもらいました。広島原爆病院で四十六年の十二月から四十七年の十二月、要するに一年間の、これは去年のことでしょう。精密検査費は、大体月八十件やって、毎月十万円ぐらいの赤字を生んでいます、だけれども病院は、お預かりした以上は、精密検査をやらなければならない人についてはかまっていられません、やっぱりやらなければなりません。こう言っておられるわけです。
 積算の基礎が、人によって全部、精密検査どれだけかかるか、違いますわな、疾病に応じて検査のしかたが変わってくるのはあたりまえのことなんだから。いままで言っておられた精密検査費というのが二千六百何ぼですか、それを今度上げて二千九百になったのですか、およそそれではやれぬということを原爆病院でもいっておられますよ。ほんとうにまじめに――経営のたよるところないわけでしょう。この原爆病院は原爆手帳を持った人に限って入れている病院ですよ。どこから特殊な金が出てくるというのですか。明らかに一般病院における経営も検討しなければならないという問題はあるけれども、それと離してでも緊急に、もう七年もこれできているんでしょうが。
 私がいま言った三つの点でも、一つずつについてなぜメスを入れないのでしょうか、ほんとうに。ひとつ私がいま例をあげた三つの点について、一つずつについて解析してください。聞かしてもらいたいと思うのです。
#133
○加倉井政府委員 御指摘の点につきまして、さっそく詳しく経営分析等を実施いたしまして善処してまいりたいと思っております。
#134
○寺前委員 それはさっそくやってくれなければ困るけれども。何年間も訴え続けて、あんた、よう知っとったわな。ほんとうに、いまさら――大臣一回見解を聞きたいと思うんですよ、私、正直いうて。
#135
○齋藤国務大臣 御質問の点、私先ほど来、寺前委員の御発言を承りながら、ほんとうにごもっともだと思いますね。
    〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
 四十五年の総収入を考えてみましたときに、二億か三億程度の中から二千万の赤字ですね。四十六年度だって、二億か三億のうちで四千万円というわけですから、一割も赤字が出ている。やはり不自然だと思いますね。先ほど局長からも御答弁いたしましたが、やはりこの両原爆病院については財政再建の方針を具体的にはっきりきめなければならぬと私も思います。承っておりながらそう思いました。
 もちろん県が一次的な監督官庁でございますから、県のほうにも再建計画を立てさすようにして、一日も早く、何とか赤字を出さないでやっていけるように、具体的な計画を立てるように指示いたしたいと考えております。そうして、そういう中で県がどの程度の応援をするか、あるいはまた民間においてどの程度の援助をするか、国としてどの程度の援助をしてもらいたいか、そういうふうな計画の中における国の役割りをはっきりきめてやらすようにする必要がある、私はさように考えた次第でございます。
 医療費の点数の問題についても、原爆については特殊な点数が必要であるかないか、あるいは研究についても別な方面で研究費を出す余裕が国にあるのかないのか、どういう点が赤字の一番原因であるか、そういうことを十分に具体的に、まず第一に県において立てさせて、それに基づいて国がどの程度の援助をするかということの責任を持った解決に当たるように指示いたしたいと考えております。
#136
○寺前委員 けっこうです、指示してもらって。また再建計画をしなければならぬところに来ているのだと思う。だけれども私、前だったらそれで済ましておいても責任持ってやってくださるだろうと思う。しかし七年間こういうことになってきたときには、私は一つずつについての見解もあわせて言って、こういうつもりもあるから再建計画をもう具体的に、ひとつ一緒になって相談さしてもらいましょうやないか、こう言わなければ、何だ、なまいきな、いまさら、私ら前からいろいろ問題を提起しているのにと思うだろうと私は思うね、ほんまのところ。だからぼくがいま言った、たとえばこういうような回転の悪いということははっきりしているのだから――よその三分の一なんだから、回転の悪いということ、老人が対象になってきているということは、きわめて明確なんだから、三分の一の回転の状態のときにはどうなるかとはっきりしているのだから、そういう回転の悪い特殊性のものについては、それじゃ必ずめんどう見ることを検討するのかどうか。
 それから研究所の問題については、特殊的に検討してやる必要があると思うのかどうか。私は、基本的な態度だけでもはっきりしなければ、こういう態度もあるから、財政再建について一緒に相談しようじゃないかというふうに言われなければだめだと思う。
 それから検査の問題にしても、あなた、そんな検査の方法なんてあるもんかということを――これもいまに始まったことじゃないんでしょう。たとえば、これは大臣も御存じだと思うんですよ。これはぼくは直接的にイコールで言うわけじゃないんだけれども、森永の砒素ミルクのあれを検査するでしょう。これは子供の話と違うし、一がいに合わすことはできないけれども、金の出どころは森永が出すにしても、厚生省もこれは責任を感じて、検査をやらすということをやっておるわけでしょう。だから、この森永の検査の場合でも、一人当たり一万六、七千円かけて検査をやるわけなんでしょう、精密検査をやるということになったら。そういうものなんでしょう。
 それが、原爆の被爆者の検査を二千六百何ぼか、あるいは最近は二千九百何ぼで、精密検査でございといったって、何が精密検査だ、まじめさはないじゃないかと言われるのは私は当然だと思う。あるいは、たとえば広島の福島病院という、これはやはり原爆の患者がたくさん行っている病院がありますよ。あそこへ行って、昭和四十六年の一月から四十七年の二月までのその検査の状況の表を、ずっと調べたのをもらってきました。そうしたら、ざっとこの一年間にここでは、これは三十三万円の赤字ですかな、こんな小さな病院でも赤字が出てくるのですね。そこで、その病院の院長さんに、一体精密検査というのは、どんなふうに金がかかるものなのか教えてくれといって聞かしてもらったのです。そうすると、種類によって違います。じんや膀胱疾患の場合だったら千百五十八点です、だからお金にすれば一万一千五百八十円ということですね。肝疾患の場合だったら、千二百六十五点ですから一万二千六百五十円です。甲状腺疾患だったら千三百四十三点ですから一万三千四百三十円ですと、一つ一つの疾病の違いを全部教えてくれました。病気というのは、単独じゃなくて複合するもんだから、またいろいろ出てくるとぼくは思う。それは話をちょっと聞いただけで、これは精密検査というたって、ひどい。精密検査をいうて、精密検査を国の方針としてやらしていますなんて、あまりにも不合理過ぎるじゃないかと思う、こういうことになってくると。
 だからこれは、赤字の原因点を、再建プランを立てましてという話とは違った性格として、あまりにも非常識になっている。このやり方に対して、率直に緊急にそれは改善するんだ、率直に認めなかったら、再建計画をつくれなんと言うても、それは冗談じゃないでしょう、あなた方はほんとうに考えているのかと、逆に言われると私は思いますよ。だから、私が言うように、さっきのしぼった話、あの三点について、もっと具体的に、率直に、まだ結論が出ていないんだったら感想でもよろしい。私は、はっきり言わなんだら、あまりにも無責任過ぎると思いますよ。
#137
○加倉井政府委員 第一点の、老人性疾患の収容に対しまして、御指摘のように、長期間入院することによって、診療行為等も入院当初に比べまして若干減ってまいります。したがいまして、それの見返りといたします診療報酬が少なくなってまいりまして、在床期間が長くなることによって病院経営に赤字が生じてくるのは当然でございます。したがいまして、そういうものを主体として収容いたしておりますこの原爆病院はもちろん、その他の医療機関においても、同じようなことがいわれると思います。
 しかしながら、特に原爆病院という立場から考えまして、そういうものに対する検討は当然加えなければならぬ、御指摘のとおりだろうと思います。またそれをどのような形で補給するかということにつきましては、ただいま福島病院の例をおあげになりましたけれども、ほかの医療機関に入った場合との比較をいたしまして、どういうふうな補償の形をとるべきかというようなことも、これは検討しなければならぬ点になってくると思います。そういう点も含めまして検討をいたしたいということを申し上げておるわけでございます。
 また第二点の研究費につきましても、御指摘のようにやはり現在の体制におきましては、診療報酬あるいはその他の経常費のほうから、解剖等に対する謝金というような形でおそらく出ているのだろうと思います。したがって、解剖することが研究の目的を達成するという点から考えまして、やはりそういうものを助成するという措置は、私どもといたしましても当然考えていかなければならぬ点だろうと思います。したがって、解剖のみに限定せずに、やはり原爆病院における研究体制というものもあわせて、私どもは当然これは検討を要する事項だろうというふうに理解をいたします。
 また、最後の第三点の精密検診費でございますが、これは一応一人当たりの平均値を約二千九百円という形で積算をいたしましたものでございまして、患者によりまして、あるいは精密検診を受ける人によりまして、それぞれ点数と申しますか検診料が違ってまいります。したがって、もしこれでほんとうに不十分であるということ、今後の検討あるいは病院当局との話し合いのもとに不足であるということがはっきりいたしました場合には、さらにこれは追加するという措置をとらなければならぬというふうに考えておりますので、その内容等につきまして引き続き、私どもはこれは十分研究してまいりたい、かように考えております。
 そういうことを全体的に含めまして、やはり広島あるいは長崎におきます病院の経営内容というものにつきまして、その三点ばかりではございません、ほかの点もあろうかと思います。そういうものも十分計析させていただきたい、かように考えるのであります。
#138
○寺前委員 それで、いまの最後の精密検査の費用の問題、これは他の病院もいろいろ研究しているというお話でした。これはこの精密検査費でいけるという明確な根拠はありますか。ぼくはいろいろな疾患のこれは何ぼかかるというやつを、点数を全部聞かしてもらいましたよ。どれ一つとったって、そんなものが出てくる話はありませんよ。これは全く非常識な数字ですよ。あるんだったら聞かしてほしいけれども、あなた、これはないですよ。何かあなたのほうで、あるのですか。――いいよ。ばたばたせんかて、ない。はっきりしているんだよ、そんなものは、どれ一つとっていったって。また、言えば言うほどやぼなことになるよ。もうわかったから、それはいいよ。いじめるみたいに聞こえてもいかぬから、いい。だから、真剣に考えてもらいたいということです、緊急に。
 それで、いま広島の原爆病院の例を言ったけれども、それじゃ、長崎の場合には病床閉鎖までいってしまった。これは一体どういうことに原因があって、どうしようというのか、今後にわたってどういうことを考えているか、聞かしてもらいたいと思います。
#139
○加倉井政府委員 長崎の原爆病院につきましては、総病床数の約三〇%が一般患者を収容いたしております。
    〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕
たまたま病床閉鎖という段階におきまして、これは昨年末から本年の当初にかけまして、看護婦が得られなかったという事態におきまして、一般病床のほうを閉鎖いたしまして、原爆患者には影響のない形で病床閉鎖をいたしております。その後看護婦の確保のめども立ちまして、その病床閉鎖につきましては解消するという連絡を受けております。
#140
○寺前委員 また連絡を受けているとか、さっきの広島の場合と同じようなことではぼくは困る。なぜかと言ったら、あなたのところのほうが専門家を一ぱいかかえて、よく研究してもらわなければならぬと思うのに――ぼくは、長崎の原爆病院の院長さんに、一体どうなっておるんだと言って、経営分析から何から資料を送れと言って要求したんだ。送ってきた。ぱっと見たよ。こう書いてある。
 今後の問題について「保育施設等の福利厚生面を充実するよう、三月末をメドに具体策を講じる。」そこまでは、ずっといろいろいわれた話と同じように、待遇の改善をしたり云々というのが書いてあります。そして、さらに今後のことが書いてある。「病院の特殊性から今後かかる事態の起こらないよう、余裕のある人員確保をはかり、理想とされている」理想もおかしいが、「二・八可能の病棟配属を最低百三十名とし、看護要員の一応の基準を四十七年度平均在職看護要員より二十一名増の百七十四名にして、これに五、六名の予備要員を確保、常時百八十名の看護要員とし、」云々というふうにいくんだ。そうすると、いままででもかなりの赤字なんでしょう。ここもやはり一億からの赤字が出てきておる。
 さて、こういうことになってきたら、あなた、経営は一体どういうふうになるのです。そうでなくてもたいへんだということは、広島の場合でも明らか、長崎の場合でも明らか。そうすると、今後の対策問題の保障の裏づけを明確に相談に乗ってやらなかったならば、こういうことでは、だいじょうぶですということにならないだろうと私は思う。
 あなた、病床閉鎖という事態まで起こったのだが、今後は看護婦さんの確保体制ができましたからだいじょうぶ、こう言っておるけれども、なになに、そのあとに控えている問題はこの問題です。こんなことをやったら目に見えてます、すぐにパアになる、そうでしょう。責任ある態度とは聞けませんよ。いまのところ、あなたはどういうふうに特殊性を検討されるつもりです。ちょっと聞かしてください。
#141
○加倉井政府委員 いまお話のございましたように、余裕ある人員を看護婦面におきましてかかえること自体が、私どもといたしましては、それは理想であるかもしれませんけれども、現在の段階としてはちょっと問題があるのではないかというふうにも考えておりますので、そこらの適正経営と申しますか、そういうものがどういう点にあるかということの詰めをいたしまして、それによって、適正に経営されたものによって生ずる赤字という問題につきましては、真剣に処理しなければならぬというふうにも考えております。
#142
○寺前委員 だから私は言うのです。どうなんです。あなたたちは簡単に四十九床のやつを御安心くださいと言わんばかりの話をされるけれども、裏づけの計画はこうです、よろしい、それでやるんだということになって、その裏づけを財政的にもちゃんと保障する体制があるからやってくれ――そこの裏づけを全然やってないのでしょう。だからぼくは無責任だと言うのです。そういうことではほんとうに原爆病院に対する――これは特殊なんでしょう、よその府県にないのだから。だからそういう特殊なところに対する問題として、ほんとうに厚生省は真剣に一はだ脱がなんだらあかん。
 そこで私もう一つ聞くけれども、さっきのお話の中に、日赤病院や済生会病院や、これらの病院に対する一般的な助成を今後考えてますという話があった。一体この一億円からの赤字を出している広島原爆病院に対しては、どれだけの助成をする気です。長崎に対しては、どれだけの助成をする気です。ちょっと聞かせてください。
#143
○滝沢政府委員 四十八年度二億八千万の公的病院の財政再建のための予算が通りまして、これが執行計画につきましては、各病院の実態に合わせてまだ検討中でございますけれども、考え方といたしましては、公的病院のうち赤字を有するもので、なおかつガン、僻地、救急等の特殊医療を担当いたしていただいております病院を対象にいたしまして、二億八千万をそれぞれの実態に応じまして配分いたしたい。具体的に長崎の原爆病院あるいは広島の原爆病院につきましては、ガンの治療施設を有しておるということがこれに該当いたしますので、その面から、この両病院は対象になるというふうにわれわれは考えております。
 具体的な配分の金額その他につきましては、二億八千万で、対象予定が、概算でございますが百二十カ所程度、日赤、済生会、厚生連並びに北海道社協、この四団体の病院のうち百二十程度がその対象になろうかというふうに考えておる次第であります。
#144
○寺前委員 そうすると、具体的に赤字をこんなに出している広島の原爆病院、長崎の原爆病院には何ぼ行くことになりますか。わかりやすく言ってもらわにゃ私らにはわからぬ。
#145
○滝沢政府委員 その点につきましては、ただいま具体的に各病院の赤字の実態と、それからそれぞれいま申し上げましたような特殊な、果たしておる部分についての費用の状況等を詳細に検討した上で、それぞれの病院の規模と実態が違いますので、ただいまの段階では対象になるということだけは申し上げられますが、金額的な点については申し上げられないのであります。
#146
○寺前委員 しかし百二十カ所ですか。二億何ぼで百二十カ所とはどういうことになるか見当はつきますね。現に長崎の新聞を見ると、八百万円わしのところに来るんじゃといって書いてある。これはどこから出た話か知らぬけれども、まあそれはそうだろうと思う。地方の新聞は真剣に考えているから、こんなことではたいへんだ、国が積極的に打って出るそうだ、だが、それは想像がつく、そんなことになるだろうな、新聞記者の人も想像をつけられたかどうか知らぬけれども……。
 そうすると、これはまたもとに戻るけれども、さっきも言ったように、一つずつ見たら、いわゆる一般的にガンのあれが入っているから対象になります、百二十カ所。ということだけでは、厚生省は手を打ちましたということにはなりませんよ。あなたはさっき医務局のほうで検討がありますから、こうおっしゃっていたから気になったが、それだけで考えておられたらだめですよ、その程度のことになってしまうから。私はもっと全面的に援助に打って出る、個々にわたっても研究する。その決意のほどを大臣に聞きたいと思うのです。
#147
○齋藤国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、広島、長崎両原爆病院に対しましては、県を中心として再建計画をつくらせるように間違いなく指示をいたします。
 その計画の中で、病院は独自でどの程度やれるのか、県や市がどの程度援助できるのか、またその計画が具体的にあるのかないのか、それに基づいて国がまたどの程度の援助をしてもらいたいというのか、そういう再建計画を至急につくらせるように指示いたしまして、その再建計画とにらみ合わせながら、先ほど申し上げましたような公的病院に対する補助というのは、ことし初めてでございますから、それとにらみ合わせて、どの程度公的病院に二億八千万のうちから出せるのか、あるいは原爆その他についての必要な調査研究費をよそから出せるのか、そういう問題を十分具体的にひとつきめさせるようにいたしたいと考えております。
#148
○寺前委員 この問題は、その程度にしておきたいと思います。
 それからその次に、ちょっと整理がされてないのですが、思いつくままに、気になった問題から具体的に提起をしてみたいというふうに思うのです。
 先ほどから援護法の話がありました。それで、大臣からその考え方についての話がありました。私、気になってしかたがないのですけれども、原爆が投下されてから二十七年たってきて、いまなお三十三万人からの人が被爆者として、多くの肉親を失いながら、生計の基盤も根こそぎ破壊されながら、今日苦痛と不安に悩まされながら生活をしておられる。ところがこれが、国際法違反の原爆が投下された例の裁判のときでも、国際法違反の投下だということについては、これは認めているけれども、それをどう補償するか云々という問題については、これはまた別な形に終わった。これは裁判がどうあろうと、明らかに毒ガスなどの場合も同じことで、これはたいへんなことをやったわけですよ。普通から言うたら、請求権が当然出てくる事案です。だから、当然これは一般戦災の問題とは違うんだ、特殊な性格を持っている。しかも、国際的に見ても、こういうことは再びやってはならないという性格を持つものだけに、一そうこれに対する責任の意味も含めて、援護法を制定せいという声がずっと長年あったわけでしょう。
 ところが、いつ聞いておっても、その答弁というのが時期尚早でございますということで、これはずっときておるのです。一体何が時期尚早なんだろうか。一年目だから時期尚早だったのか、二年たった、三年たった、四年たった、十年たっても時期尚早だと言われている。いよいよもってそうなってくると、時期尚早だって、ほんとうにそのときのがれのことを言っているのじゃないか。私はいままでは、みなすなおに聞いていたけれども、これではすなおに聞けぬじゃないかということになってくると思うのですよ、大臣。だから、ほんとうに、この間ももういいじゃないか、そろそろはっきりせよというお話があったけれども、私はそれはほんとうに偽らざる感情だと存じます。世界的にも責任を果たすという意味において、いろいろ勘案いたしましてとか、時期尚早でございますというような言い方は、もう何度も聞いた話だということになったのです。私は、もうそういう言い方ははっきりと打ち切って、来年までには態度をきちっとして、皆さんの期待に沿うようにやりますとか、はっきり言わなかったら、無責任のそしりを免れない。原爆病院にあらわれた、ずっと七年間も赤字が続いて、いまだにああいうことであったということと似通った問題の立て方に、私は聞こえてしかたがない。大臣、どうでしょう、この問題。
#149
○齋藤国務大臣 援護法の制定の要望につきましては、長いこと行なわれてまいっておることは、お述べになりましたとおりでございます。歴代の厚生大臣も、その点についてはいろいろ苦慮しておられたと思います。私も先ほど来大原委員なり山田委員にもお答え申し上げましたが、やはり現在の法体系というものも頭に描いてものを考えてもらわなければなりませんので、一足飛びに別の法体系に急遽切りかえるということは困難だと思います。この点は御理解いただけると思います。
 そこで、従来の法体系というものは、従来の社会保障というもので足りない部分について上積みといいますか厚くする、社会保障の線を厚くするという体系できたことは御承知のとおり。それに対して、遺家族援護法等のような国家賠償的なもの、これは国と何らかの関係にあったもの、こういうわけできておったことは御承知のとおり。そこで、私は就任いたしまして以来、何とかこの問題を解決する道はないであろうか。従来のような国家賠償的な考え方でいくというのでは、いつまでたってもこれは解決をしない。社会保障的な考え方を永久に貫くとすれば、皆さま方先ほど来御要望の線を貫くこともできない。そこで何かしらできないであろうか、その中間の法体系の中で問題を解決するということはできないであろうかということを実は私はいま考えておるわけでございまして、私は時期的なことはお約束できませんが、何とか第三のカテゴリーの法体系の中で、いわゆる原爆というものは人類にとっては初めての経験である、そしてこういうことは二度とあってはならない、将来許してはならない。そして、しかもまた、日本は平和憲法を選択し、これを採択し、そして将来とも日本は平和国家として進んでいかなければならぬ、そういう旗じるしを掲げる意味合いにおいても、この際、一つの新しい考え方というもののもとに法体系をつくることはできないであろうかということを、実はいま私は考えておるわけでございまして、何かしら、この問題については私は前向きに取っ組んでみたい。いつの日その案がまとまるとかなんとかいうことを言うのではなく、私は基本的な考え方として、そういう方向を目ざして進むことが問題解決の一助になる、問題解決の糸口をつかめる、こういうふうにいま私は考えておるところでございます。
#150
○寺前委員 それがまた、第三の道だとこう言って、これをいま考えておるのだとそう言って、またどんどん延びていく、これは延ばすということに責任問題が大きい、そのことを私はいま聞いたのです。そういうやり方はいけないと思います。やはり責任をもって一つずつについて処理をしていく、はっきりしていくということが国民に対する責務なんだ。だから、もう同じことを繰り返してくるというやり方はいけない。
 しかし、その第三の道というのはどうなんです。国家賠償か、国家賠償としての立場に立たないのか、この二つしかないのじゃないの。第三の道があるとすれば、それは一体どんな道なんです。ちょっと教えてほしいのですがな。
#151
○齋藤国務大臣 ですから、私は、国家的な立場に立つ援護ということを先ほど来申し上げているわけなんです。そこで、そういうふうな考え方によって、たとえば警防団員の問題等につきましても、先ほど私の考え方を申し述べたわけでございますが、できるだけそういう方面に入れるものは入っていく、入れていくという形で一つ一つ積み重ねて、そうしてそうした中において、いま私が申し上げたような援護法というふうなものができないのかという考えでございます。
 一つ一つ積み重ねていきながら、そうした中でそういう考え方を生み出すことはできないのかということを言うておるのでありまして、私は引き延ばすとかなんとかそんなけちなことは考えておりません。それは皆さん方の御要望のあることは私は前から承知している。それから原爆の被爆者の方からもいろいろな陳情を受けます。その方々も切々として訴えている。私はそういう声を聞きながら、やはり何かしらこの問題については決着をつける必要があるのではないか、こう考えておるのです。
 私は引き延ばすなんという、そんなことは考えておりません。できることならば早くやりたいのだ、前々から私はそう考えている。それがいままでは国家賠償という大きな壁があって、たとえば警防団でも御承知のようにこの中に入れないのです。それを何とか解決する道はないかといって、先ほども実は、援護法の審議ではないが、申し上げているわけなんで、一つ一つやはり積み重ねながらそういう方向にお互いに努力していくということが必要だという意味において私は申し上げておるのであって、引き延ばすなんという考え方で私は申し上げているのではないということだけは御理解をいただきたいと思います。
#152
○寺前委員 第三の道というのがどうもよくわからないままなんですが、積み重ねをやっていきたい、そうでしょう。だけれども、それじゃ積み重ねだったら積み重ねらしく、私はいまある制度の中でも改善できるものをもっと思い切って、なぜ改善しないのか、これは第三の道じゃないのです。いまの道でこういう状態に置いていって積み重ねということになるんだろうか。
 たとえて聞いてみましょう。いまの制度の中で一万円、今度一万一千円にするのですか、特別手当というのがありますね。これは普通の、ほかのところにない原爆に対する措置としてあるいまの道ですよ。これは一体原爆被爆者の中でどれだけの人がその特別手当を受けているんです。
#153
○加倉井政府委員 四十八年度の見込みでございますが、特別手当を受けている者が二千二百七十八件でございます。
#154
○寺前委員 原爆被爆者は何人おります。
#155
○加倉井政府委員 四十七年の三月末現在で三十三万九千六百九十八名でございます。
#156
○寺前委員 そうすると、被爆者の中の一%にも満たない数ですね、特別手当。わずか一%にも満たない数しか――せめて原爆の被爆者の中にだけある、他の制度にないという、いまの道ですらもわずかしかないというのは、何のためにわずかしかないんです。どういう人にだけその特別手当は出るんです。
#157
○加倉井政府委員 特別手当が出ます該当する者は、負傷または疾病が原爆の傷害作用に起因する旨の認定を受けていること、それから二番目に、以上の認定にかかわる負傷または疾病の状態にあること、こういう条件がある場合に特別手当が支給されます。
#158
○寺前委員 ですから、原爆に起因するということで疾病の人、その人にしぼられてくるわけでしょう。だから本人が間違いなくこれに原因して、からだがこうなって困ってます、こういう話でしょう。私は、だからこういう制限があるから、数が少ないんだと思うんだ。ほんとうにせめてもいい措置だと言うんだったら、積み重ねと言うんだったら、そのことによってわずかの人しか対象にならなくなっていることを、なぜワクを取っ払ってしまわないのか。いまの制度のもとにおいても存在している、せめても存在している原爆被爆者に対する措置でしょう。いまの道でも積み重ねをもっとやるならば、第三の道というのはどうか知らぬけれども、いまの道だって、もっともっと改善することができるんじゃないか。何でそこを取っ払わないのか。本人が原爆に起因するということを証明せいと言うんでしょう。おまえそんなこと言うたって、それは弱るのは年いったらみな弱るぜと言われたら、それっきりのものになってしまうんでしょう。
 ほんとうを言うと、そんなきめ方はないと思うのだ。原爆を受けた以上はたいへんなことやということは、死んだ状況を見ただけでわかるじゃないですか、歴史的に見ても、その人個人じゃなくて。原爆を受けた、あの原爆が投下されたあの地域でどういう事態が生まれたか、客観的にただごとでなかったということは、日本人であったらみんな知っているはずですよ。その人が将来にわたってどういうたいへんなことかというのは、その後のなくなられた方の姿を見たら、みんなわかる話ですよ。年がいったから、からだのぐあいが悪うなるのはあたりまえでは済まされないようなからだの状態になっているということは、きわめて明らかなんでしょう。それにもかかわらず、あえて原爆に起因するからということで、その病気について、疾病について証明しなければならないというようなことは、不合理な話じゃないですか。だから、取っ払ったらいいというのだよ。
 ほんとうにそういう被害を受けた人がどんな形であろうと、むしろよくぞ今日まで生きておってくださったと、せめてもいまの制度においてこういう制度があるので、これを生かしたいというのだったら、そこの制限を取っ払うことこそが大事なんじゃないでしょうか。どうです。
#159
○柳瀬政府委員 先生おっしゃいますこと、ごもっともでございます。
 しかしながら、いまの認定患者に対する特別手当の制度だけではございませんで、先生も御承知のように健康管理手当というふうな認定患者と別の状態にあるような方々にも手当というものを差し上げる制度があるわけでございます。そちらのほうは二千何百人というのじゃなくて、六万数千人の方が手当を受けておられるわけであります。それも額が低いじゃないかというようなことも御意見がおありと思いますが、これはまた徐々にやはり検討を進めて引き上げていかなければならぬ問題だというふうに感じておるわけでございます。
#160
○寺前委員 ぼくはそういうことを言っているのじゃないですよ。健康管理手当も含めて同じ性格のものです。だけれども、私はこういうよくぞ生きておってくださったという人について、医療面においても、生活面においても、ほんとうに私どもはその人たちに対する遇し方というのですか、取り扱いというのですか、その人たちに接する態度の問題として、私は原爆に起因するということが明らかでなければどうのこうのという、こういうあり方というのが合理的のように見せて、実は私はたいへんな取り扱い方だということを指摘しているのです。
 いま認定患者の皆さんには責任をもって医療を見ましょうということになっているのでしょう。認定患者でない場合には保険証を持ってきなさい、残り分について自己が負担されるやつについてめんどうを見さしていただきましょうということでしょう。私はこういうような被爆者の皆さんに対しては、医療面においても全面的に責任をもってけちな、それこそ大臣が言われたけちな、保険証を持ってきなさい、二重の手続、保険証に対する手続と原爆に対するのと二つの手続を病院にやらすというのじゃなくして、全面的に、原爆手帳をお持ちになってこられたら、よくぞ生きていてくださったと言って、無条件に見るという医療体制をしてあたりまえじゃないだろうか。私はそのことを聞きたい。
 あわせて、これは私の手元に、これは昭和四十六年の認定の申請のときの話なんです。却下されておこっておられる石田という先生が広島におられる。これは何かこういう先生の会の会長かなんかおやりになっているようですよ。この人の経過をちょっと聞いてくださいよ。
  八月六日、高陽町の家を七時出る。広島駅よ
 り己斐駅行きの電車で宮島に向かう途中八丁堀
 で被爆する。
  車中の中央部に兄と一緒に立っていたため直
 接の火傷はなかったが、顔、額に切傷をうけ、
 窓側にいた人々の即死して倒れてくる下敷きと
 なり意識がなくなった。どのくらいたったか解
 らないが、突風でかぶっていた帽子がふきとば
 されるのに気がつき、隣の兄といっしょに夢中
 で京橋を通り戸坂まで逃げたが、嘔吐が激し
 く、全身力がぬけたようになって歩けなくなり
 倒れた。戸坂の民家で救護され一泊する。兄は
 何んとか高陽町の家にたどりつき家人に話し、
 翌日民家に来てつれて帰ってもらう。その晩中
 嘔吐止まらず、全身衰弱著しかった。八月十五
 日頃までもずっとねむったままであった。全身
 斑点現われ、血液のまじった下痢はげしく、口
 内出血、脱毛、鼻出血あり。九月四日兄死亡する
 と同じくして意識再び不明となる。翌年四月意
 識回復し、他の人に支えられ、やっと起き上が
 れるようになる。七月に無理して教員となり、
 職務につく。脱毛、下痢つづいていた。それ以
 後五、六年間高熱の発熱をみる。原因不明な
 り。下痢は現在も続いている。昭和三十五年膵
 臓炎にて三ケ月入院。昭和四十五年肝硬変、十
 二指腸潰瘍にて一ケ月入院治療す。その後も、
 現在に至り上記の疾患で通院治療中。昭和四十
 五年頃より視力がおとろえ、常にかすみがか
 かったような感じあり。頭部常に痛み覚え、時
 にふらつきを感じるようになる。戦時、空軍で
 あったため視力は大変よかった。この人のからだは、こうなんですね、爆心地から五百メートルのところに、この人はおってやられたわけですね。
 問題は何かというと、白内障認定の申請を出して却下されたのですね。手術をするのだったら認定しましょう、手術をしなかったら認定にならぬ。しかし、なおすやり方というのは、ここにも書かれてあるように、痛みを覚えるといって病院にかけつけたら、そういう爆心地から五百メートルの距離にいた人がよく生きておってくれた――手続の問題、金の問題からいえば、治療については別に関係ないでしょう。なぜかといったら、本人は共済組合のあれを持っているのだから。それは生活の面でいえば、学校の先生だから、まだほかの人よりはましかもしれない。問題はそうじゃないのです。こういう五百メートルのとこによく生きておってくださった。こういう人を無条件に認定患者として、あえて認定をいうのだったら、なぜすなおに受け入れないのだろう。
 だから、私は認定制度そのものに問題があるし、認定制度があったとしても、なぜこんな人が認定されない扱いになるのだろうか。治療のやり方によって変わってくるのだ、そんなばかな話はなかろう。理解に苦しむのですよ。局長さん、これはどうなんでしょう。
#161
○柳瀬政府委員 いまの認定患者に対する審査がきびしいのじゃないかという御意見がいままでもいろいろとございまして、これにつきまして私どもも審議会のほうに要望いたしまして、先ほどもちょっと先生の御質問のときに局長からお答えいたしましたが、明らに原爆に起因しているという疾病にかかっている場合と、それから原爆に起因しているということが否定できないもの、それから明らかに原爆症と関係のないものというふうな三つに分けまして、前の二つについては認定患者として扱っていただくようにということにいたしまして、できるだけ拾い上げるような処置をとったわけでございます。
 現在、たとえば四十七年認定で申しますと、二百三十三件のうち百二十二件が認定をいたしまして、いままでの合計で七千九百五十九件の認定のうち六千九百九十二件というものを認定患者として扱ってきておるわけでございます。
 先ほど先生がおっしゃいました白内障の問題につきましても、ちょっと地元の市町村で原爆性白内障でなければ認定されないというふうな誤解がありまして、老人性白内障ということになりますと、これは関係ないというようなことで扱われておったようなことがありまして、そういう点でちょっとトラブルがございましたが、それはそうでないので、明らかに原爆症ということの否定できないものは扱うというふうにして取り扱ってもらいたいという指示をいたしたわけでございます。
    〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
#162
○寺前委員 いまの話を聞いておったら、要するに認定する機関の側がそれはちょっと原爆と違いますよということをぽんと指摘せぬ限り、要求したやつは全部認定として認めます、こういう態度をとろうというふうに聞こえるのだけれども、それで間違いないのですか。
#163
○柳瀬政府委員 さようでございます。
#164
○寺前委員 それは従来より非常に大きな進歩だと私は思うけれども、しかし、それにしたって疾病を中心としたところの問題ですね、これはあと健康管理手当がある、こういうけれども、私はやはり、いまの制度の中における被爆者の扱いに関するところの一つの特徴点だけに、こういう問題は特別手帳を持っている人たちを疾病にかかわりなく全面的に取り扱ったらどうだろうというふうに思いますけれども、ともかく認定制度というのはもうやめるべきだ、私はむしろそういうふうに思うのです。
 まあそれは別にして、次に先ほどおっしゃった健康管理手当の支給の問題です。今度年齢を下げるというわけでしょう。前は六十歳であったのを五十五歳に下げた。今度五十五歳であったのを五十歳に下げる。広島で聞いてみたら、五十歳に下げて対象者は原爆の人たちの中で大体半々ぐらいだ。広島の大学の先生とかお医者さんとか、いろいろ権威者が広島でおられますよ。そういう人たちがあなたたちのほうに健康管理手当の支給の制限に関する意見を持ち出しておられると思うのですよ。こういう方々が出されておる意見を一体どういうふうに組み入れられておるのか、私はお聞きしたいと思うのです。
 ちょっと聞きたいと思うのですが、昨年の十一月八日付でもって広島大学の先生とか病院の先生とかあるいは試験所の人とか審議会の専門委員の人たちから厚生省に 健康管理手当支給制限に関する意見が出ているのじゃないでしょうか。出ていませんか。
#165
○柳瀬政府委員 健康管理手当に関するいろいろな制限を緩和ないしは制限をはずすように、こういう御要望はいろいろと承っております。
 制限につきましても、年齢の制限、これは、このところ三年にわたりまして、五歳ずつ引き下げてまいりまして、今度の改正で五十まで引き下げよう、こういうことにしておるわけでございます。これもまだいろいろと今後の問題として検討すべき問題があると思います。
 それから疾病の範囲の問題につきましても御要望がございまして、これも私どもも実情に即して、必要であるかどうかという問題について、さらに検討したいというふうに思っております。
 それから所得の制限につきましても、これは撤廃をしたほうがいいというふうな御要望もございましたわけでございますが、これも今回の改正で大幅に改善をしよう。撤廃まではいきませんけれども、実質的に相当の幅のある制限の引き上げ措置をとりたいというふうに思っておるわけでございます。
#166
○寺前委員 あまり抽象的な話は、私はいかぬと思うので、さっきからも何回も言うけれども、やはり出された問題については、すきっと態度を表明しなければいけないと思う。ちょっと、そういう点では大臣、指導監督を頼みますよ。
 それで、あなたたち、これは知ってるだろうと思うのだが、行政、医療の担当者が集まって相談しているのだよ。そういう権威者だよ。行政面、医療面、いろんな面における権威者が集まって、こういうことを言っているのです。あなたたちが言わないから、私のほうが言うよ。「疾病制限について、一、疾病制限の基礎となる障害の種類としては、原爆医療法における、いわゆる八つの障害、施行令第六条第三号が準用され、これらに該当する疾病として、昭和三十五年九月九日、厚生省公衆衛生局長通知によって、別紙のごとく疾病が示されている。しかしながら、その後現地における該当者審査の段階で、該当疾病をこれらのものに限定することについて、種々の疑念が、学問的にも実務的にも生じているので、次のごとく考慮されたい。一、該当疾病名の列記は以下のごとく修正されたい。障害の種類の説明として局長通知に掲げられた該当疾病の根拠が不明確であり、これらの疾病が被爆者に比較的多いということがその根拠であるならば、むしろ疾病名を列記せず、これを欄外の注一に記載の、明らかに放射線の影響によるものでない疾病以外の全疾患を該当することが適当と思われる。」
 これは行政面、医療面の専門家たち、全くのその分野の人たちが、これらの疾病が被爆者に比較的多いということがその根拠であるならば、むしろ疾病名を明記せず、欄外の、明らかに放射線の影響によるものでない疾病以外の全疾患を該当とせいと、実際に実務に携わる諸君たちがそう思っているのでしょうが――実際の治療に携わっている者がそう思っているのでしょうが、意見を出してきているのでしょう。何でこれをすなおに国民の前に明らかにして、これについての見解を述べないのですか。あまり無責任過ぎると私は思いますよ。
 おそらく大臣の耳には、これは入っていないのでしょう。とことん、どういう方々か名前まであげなんだら、あなたたちはこれを明らかにしないのですか。八障害というのは根拠がないということを言っているのです。これは事実、原爆の方々をめんどうを見ているところへ行ってごらんなさい。みんなそう言いますよ。まして今度、五十五歳を五十歳に下げてきた。八疾患で制限をされている限りにおいては、これは年齢を下げたということで、手放しで喜べないということを言っているのですよ。この八障害にしぼっているという問題について、局長さん、これを検討したことがないのですか。
#167
○加倉井政府委員 その問題につきましては、ただいま原爆審議会のうち福祉部会におきまして検討中でございます。その結論をもちまして、私どもは前通知を訂正するなら訂正する、あるいは新たな観点に立ちまして、措置すべきものは措置する、そういうふうな取り扱いにいたしたいと思っております。
#168
○寺前委員 福祉部会で検討、いいですよ。だけれども、問題は、いまあなた、法案を審議する段階まできてしまっているのでしょう。意見は、ちゃんと前に出ておる。前から問題になっておって、いよいよ思い余って、関係の人たちから出たわけでしょう。これは去年の話です。法案を出すまでに、なぜ責任をもってそのことを検討してこなかったのですか。
 ほかの健保や何やらのときは――私は、社会保障制度審議会の委員のメンバーですよ。ぶっ通しででも会議をやったじゃないですか。ぶっ通しで、どうだどうだ、こうきたのです。なぜ原爆の問題をやらないのですか。期限を切ってまでやらないのですか。あまりにもふまじめじゃないですか。八疾患の問題はまだ検討してもらっております――いつまでもそれでいくのですか。検討しなければならぬところまできているというふうにあなたたちは思っているのかどうか。検討しなければいかぬと思っているのですか、ほんまに、まじめに。
#169
○加倉井政府委員 検討しなければならないと思ったから、やはり原爆審議会にいろいろ御意見を承っている状態でございます。
#170
○寺前委員 それじゃあなたたち自身も検討しなければならぬというふうに思っているということとして受け取りたいと思います。そう言っておられるから、そうだと思います。
 それからその次、手当支給期間の統一ということが、ここでその次に触れておられますね。「手当の支給期間は、昭和四十三年八月二十日厚生省告示によって、疾病別に一年または三年ときめられているが、一年または三年に区別する学問的理由は別に見当たらないので、むしろ三年に統一されたい。なお、手当認定書の更新に必要な書類の作成は、被爆者、医師とも繁雑であるので、被爆者がいまもなおその疾病の状態にあることを証する診断書とされたい。」これはどうです。一年、三年で――これは私も聞いてみた。一年なんというのは、一体何を考えておるのだろうか、みんな言いますな、ほんまのところ。これについてどういうふうにお考えになりますか。
#171
○加倉井政府委員 書類の煩瑣な点等につきましては、できるだけ私どもは簡素化をはかりたいと思っております。この問題につきましては、御指摘を待つまでもなく、当然私どもといたしまして、積極的に簡素化の方向に改正しなければならぬというふうに考えておりますので、早急に実施いたしたいと思っております。(寺前委員「年限は」と呼ぶ)年限についても同様でございます。
#172
○寺前委員 その次に書いてあるのは、年齢制限についてですね。「年齢制限については、逐年緩和されているが、この制度には医学的根拠を見出しがたいので、撤廃されたい。」――医学的根拠がないというところまで言い切られていますよ。今度の法案に関係しておる。どうですか。
#173
○加倉井政府委員 私どもといたしましては、やはり一般の人たちと違いまして老化現象が早く来るという観点から、今回もさらに年齢を引き下げたわけでございまして、一がいに医学的根拠がないというふうに退けてしまうのはどうかと思いますが、そういう点につきましても、さらに学問的に私どもは専門家の意見を聞いてまいりたい、かように考えております。
#174
○寺前委員 これはあなたどうなのか。出ている人は全部原爆放射能医学研究所の教授、原爆病院の先生、民間のお医者さん、医師会の役員さん、審議会の専門委員、県の衛生部の関係官、市の関係官じゃないですか。第一線の直接やっている人たちのみんながそう言っている。医学的根拠がないから撤廃されたい。もちろんそう思うよ、しろうとだって。これは私ほんとうに早急に再検討してもらいたいと思うのですよ。よくよくだと思いますよ、ここまでそろって出てきているということは。だからいま出されてきている法案、これ大臣、ほんとうに緊急に検討してくださいよ。これだけの人たちが言っていることが、まだあなたの手元にいっておらぬのじゃないか。きっとあなただったら、また見直して問題考えたかもしらぬと思う。しかし、あなたのところまできてなかったとすれば、あなたもよっぽどどうかしている。国会で審議をさせるにあたっては私は責任を持たなければならぬのだから、関係方面のやつは全部持ってこい、これ以上ないな。とことんまで詰めなければいかぬですよ、大臣だって。ちょっとあなたずさんだ、こんな形で出てくるのは。ここまで言い切ったのですよ。これらの人たちがそこまで言い切っている。知らぬものをあなた提案させられておるのですよ。大臣、どう思います。
#175
○齋藤国務大臣 被爆者援護の問題について私はやはりいろいろ問題があると思います。しかし、それを一挙に全部解決することができないにしても、前向きに一つ一つ積み重ねて解決していこうという気持ちはみんな持っているわけでございまして、いま御指摘になりましたような問題、承りますと審議会に諮問をして研究してもらうというふうな所要の手続をいまやっておるわけでございますから、そういう答申が出たら――それから役所のベースにおいてやれることは省令なり告示等でやっておるわけでございますから、不十分な点は一つでも前向きに御要望に沿うように今後とも努力いたすように指示して解決をいたしたいと思います。
#176
○寺前委員 ひとつほんとうに積極的にやってほしいと思うのですね。
 それで、もうおそくもなりますので、あと一、二聞いて終わりたいと思います。気がついた問題から私は質問するわけでちょっとあれですけれども、生活保護をとっておる人たち、これに放射線障害者加算というのがあるでしょう。これは五千円出されているわけですね。そうするとさっきの話じゃないけれども、特別手当一万円、今度一万一千円ですか、それをもらったとしても、収入認定されてしまって結局五千円になってしまうのでしょう。せめていい制度といわれているものがあるならば、なぜそれをいい制度として、そのまま生かしてやれないのだろうか。何かしらぬけれども、こんな不合理な話はないと思うのですね。それが一つと、あわせて、今度はこれだけではちょっとあれじゃないかといって自治体もいろいろ努力するわけでしょう。自治体の努力が生きてくるようにやってもらいたい。
 たとえば介護手当というものについては、いままでも県や市などでめんどうを見ておられるところありますよ。そのこと自身はどうということはないのだけれども、今度いよいよ東京都が家族にも介護手当を出してやらなければ実際問題だめじゃないかというので、家族にも介護手当を認めましょうということで打って出ることになったわけでしょう。
 さて、これ収入認定するのですか。だから、私は一つは放射線加算をもっと合理的にしたらどうなんだろうか、これが一番です。五千円ということではいかぬのじゃないか。もう一つは、家族にせめても介護手当を出すという場合に、それに対してまた収入認定ということにしてしまうならば、自治体のせっかくの態度をまたつぶしてしまうことになるのじゃないか。こんなことになったら、いまの道でもよくないものが、何が第三の道だということになるでしょうか。このことについての見解を聞きたいと思うのです。
#177
○柳瀬政府委員 五千円をこえる部分につきまして何とかさらに優遇措置はできないだろうかということで、これは目下社会局のほうと相談をいたしまして検討してもらっているところでございます。
 それから東京都のほうの介護手当の問題につきましても同様でございまして、やはりこれはいままでの考え方どおりで、すぱっと収入認定というのはちょっとあれなんで、何とかしてもらえぬだろうかということで、いま相談中でございます。
#178
○寺前委員 積極的におやりになるということだったら、けっこうです。せっかくのことですから、私は何でもいまの制度のワク内においても積極的にやってもらいたいというふうに思います。
 それで、最後にちょっと聞きたいのですが、今度の予算の中に調査研究委託費というのがありますね。三千万円。去年までは一千万円であったわけですね。これは一体何をおやりになるのか、おやりになることをお聞きしたいと思うのです。
#179
○加倉井政府委員 従来この研究費をもちまして原爆被爆者の悪性新生物研究ほか三課題を実施いたしておりました。それも引き続き実施いたしますとともに、新たに原爆被爆者世帯の健康状態に関する研究を加えることといたしまして、大体世帯単位にどういう状況にあるかということの研究をいたしたいということで増額を要求いたしてございます。
#180
○寺前委員 広島県、市、長崎でも現実に被爆二世の調査というのをおやりになっていますね。それは何かというと、もう原爆の被爆者は同時に二世、三世の時代に、いまや二十七年たったのだからなってきているのだ。したがって、これは系統的に調査をやって責任を持つということを考えていかなければいかぬじゃないかということで具体的にそういう形になってきたと思うのですよ。しかし調査というのは先ほど話が出ておったように、これは諸関係に影響を与えるものだから慎重にやらなければならないことは事実です。一面は慎重でなければならないけれども、一面は責任をもってやらなければならないということもまた事実なんです。この県や市がやっておられる問題と、国がやろうという問題とは関係があるのかないのか。一体どういうことになるのでしょう。
#181
○加倉井政府委員 私どもが広島及び長崎の市当局からいろいろ御相談を受けた際に、まず第一に原爆被爆者の世帯についての情報を確実にしておいていただきたいということの御要望を申し上げました結果、ただいま御指摘になりましたような、現在広島及び長崎市におきまして、世帯を中心といたしました家族構成等の調査がなされております。
 したがいまして、そういう世帯を基礎にいたしましたいろいろの今後の予想されます研究等につきましては、やはりはっきりした分母というものをもとにいたしまして、いろいろの将来の問題の解明に当たらなければならないということでございまして、私どもはまずそういう基本的な数字の確定をお願いいたしたわけでございまして、それが現在やられている段階でございます。それをもとにいたしまして、今後私どもは、やはり先ほど申し上げました原爆被爆者の世帯の健康状態に関しまして、分母をはっきりさせた上で調査、研究を実施いたしていきたいというふうに考えております。
#182
○寺前委員 ということは、そうするといま進めている県、市のやっているのとタイアップをして調査、研究を発展さしていきたい、こういうふうに理解していいんでしょうか。
#183
○加倉井政府委員 調査項目あるいは研究項目におきましては、その数字を利用さしていただくこともあろうかと思います。しかし、全部が全部それにタイアップするということではございませんで、やはり調査項目、研究項目によりましては、タイアップする場合もあろうかと思います。
#184
○寺前委員 ということは、それじゃ何をやろうということになるんだろうか。一つはわかった。一千万円、前からやっておるものは継続してやりましょう。新しく二千万円ふやすということには特殊なものがあるんだろう。そうすると、地方では県、市を中心にして、そこの住民と、あるいは被爆者の方々と相談をして、どういうことをやることが一番大事かということを相談してやっているわけでしょう。これと関連する面もあるけれども、これと関連せぬ面もある、こういうことになると、一体何考えているんだろうかと疑問が生まれてくるんです。
 私はやはりこういう問題については、被爆者なり現地の住民の方々を中心とする、これに呼応してやはりやっていくというのが筋道だ。一緒になって相談していくのが一番いい道だと思う。そうでないところで何か研究ということでやられたら、ABCCの歴史的な経験もあったから、みんな、それじゃ何だろうかなというのでまた疑問が生まれるだろう。だから地元の県や市、あるいは被爆者の方々、団体、そういう方々とよく相談をして研究、調査というのはやるのが基本でなければならぬと思うのだけれども、そこはそういうふうに考えてないのかどうか、ちょっと聞かしてください。
#185
○加倉井政府委員 御指摘のように私どもといたしましては、現地の地方公共団体あるいは被爆者の団体の方々、そういう御意見を十分尊重いたしまして、それによりまして研究目的あるいは調査目的が達成されて、その結果が有効に活用できるような体制を考えております。
#186
○寺前委員 そこであわせて聞きたいんだけれども、調査、研究――調査というのは、たとえば検診でもそうです。検診して、ちょっとあなたおかしいのじゃないかと言われるのは、あとあと残るわけでしょう。いい気持ちしないんですからね。われわれだって同じことですよ。だから問題は、積極的に調査、研究という実体を組織しようと思ったら、そのことで明らかになったときには、あとあとめんどう見ますよということがあわせてなければ、積極的に調査、研究に参加してくださいといったって、それは不安をまき散らされるもとになるんです、調査、研究に参加することによってよかったなということにならなければいかぬわけでしょうが。それだったら、私はそれにふさわしいあとあとの体制まで検討して、これをおやりになるのかどうかということが重要な意味を持っている。その点はどうなんでしょう。
#187
○加倉井政府委員 御指摘のとおり、当然この私どもの調査、研究というものは、あとあとの対策までも考えつつ実施をいたさなければなりませんし、その過程においても、もし新たな事態が生じた場合には直ちに対策を立てなければならないということは基本であろうかと思います。
#188
○寺前委員 その対策というのが、原爆手帳、おとうさん持っているわけでしょう、おかあさん持っているわけでしょう、どちらかが。その家族調査でしょう。その家族調査というたって、たとえばだんなさんが持っていると、奥さんを調査するといったって、それはうつるか、うつらぬかという調査をやっても、そんなものだれもうつらぬと知っているんだから、こんなところに調査の基本はない。家族調査といったって、それは二世であり三世である、こういうことになる。このことはだれだって想像つく話ですがね、その関係は。
 そうするとそれらの方々が、おとうさんが、おかあさんが原爆手帳をお持ちだったら、その家族の方々に対して、その手帳を使ってもらって治療をしますよ、めんどう見ますよということを裏づけの、そういう対策を研究しておられなかったら、たとえば医学の面、医療面におけるところのほんとうの意味のあとあと対策にはならないですよ。だから、そこはちゃんとそういうふうに考えているんですね。
#189
○加倉井政府委員 まず第一に実態を明らかにすることが先決であろうと思います。したがいまして、その途中の経過において新たな事態が生ずるということであれば、当然それに対する対策は直ちに考えなければならぬというふうに考えております。
#190
○寺前委員 だから私の言うていることがわかっておらぬということです、まだ。調査に積極的に参加をしてもらう、大事だというので。積極的に参加するということは、検査をされてから新しい事態が起こってはだめなんで、検査を喜んで受けられるということは、検査を受けてよかったなということは、明らかになったときでも、あとは万全の対策がちゃんと打たれるということが裏づけになければだめじゃないですか。そうでなかったら、不安をまき散らすような検査のしかたにされてしまうじゃないですか。
 だからそういう意味において、たとえばの話、おとうさんなりおかあさんなりが手帳を持っていたら、それを内容にして治療を保障します。そのかわり、それは単にあなた個人の問題でなくして、日本の将来の面においても責任を持つという意味があるので、ひとつ一緒になって責任を持ち合って、分かち合って、一緒になってやっていきましょう。治療についてもめんどう見ますよ。そこまで私は腹を固めてもらって、こういう活動をやっていく必要があるというふうに思うのですよ。ひとつ御検討いただきたいと思うのですが、どうでしょう。
#191
○加倉井政府委員 その問題につきましては非常に重要な問題でございまして、慎重に実施しなければならぬ点が非常に多うございますので、十分検討いたしたいと思っております。
#192
○寺前委員 いつまでもやっても皆さんもお困りでしょうから、これでもってやめさせていただきますが、ひとつ大臣、七年間も赤字の問題を、ここへきていまだにいまから検討しますとか、いろいろなことを言われる。先ほどから私、御指摘申し上げましたけれども、そういうことでなくして、ほんとうに積極的に出された問題については一つずつケリをつけて、積極的にやはり受けて立っていくんだという、そういう積極性を示していただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
#193
○山下(徳)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
    〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
#194
○田川委員長 速記を始めてください。
 坂口力君。
#195
○坂口委員 今朝来、被爆者に対する特別措置の論議が続いているわけでございますけれども、多くの方から、多くの方面からいろいろの意見が出ましたので、あるいは重複するかとも思いますが、二、三の問題点を取り上げましてお考えを伺いたいと思います。
 私は、被害者の健康管理について、特にお尋ねをしたいと思うわけでございます。
 まず第一は、特別手当と、それから健康管理手当の問題がございます。この二つの手当のことにつきまして、政府委員の方々からもいろいろ御説明も受けておりますけれども、あらためてこの二つの手当が別々につくられた理由からひとつお聞きしたいと思います。
#196
○柳瀬政府委員 特別手当のほうは、いわゆる認定患者と申しまして、原爆に直接起因する疾病にかかっている方々に医療を公費で見ますと同時に、その疾病にかかっている間差し上げる手当が特別手当でございます。それから健康管理手当のほうは、直接起因する疾病ではございませんが、原爆に関連した疾病、原爆の影響があるであろうということが予想される疾病にかかっている方方、こういう方々に対しまして医療を公費で見て差し上げると同時に、健康管理手当というのを差し上げる。ただこれには、医療のほうはそういう方々を全部見るわけでございますが、手当のほうには若干の制限があるわけでございます。
#197
○坂口委員 被爆による直接の原因があるかどうかということが、たいへんむずかしくなるわけですけれども、そういたしますと、先ほどの特別手当のほうは、これはいわゆる被爆時においていろいろの症状が出て今日に至っている人、それからしばらくあとで発病したような人は、この特別手当のほうには全部入らないわけですか。
#198
○柳瀬政府委員 被爆をした当時疾病にかかった場合と、そのかかったという関係ではございませんで、原爆によって直接それに起因する疾病であるかどうかということと、それから直接起因する疾病ではありませんけれども、それに関連のある疾病にかかっているという、疾病のあれを八つもうけてございますが、そういう違いでございます。
#199
○坂口委員 そういたしますと、たとえば昭和三十年くらいから白血病になった。これは直後に白血病になった人もあれば、三十年くらいになった人、あるいは去年からことしにかけてなってくる人もあるのですが、そうしますと昭和三十年くらいになったような人はどうですか。これは特別手当の中に入るわけでございますか。
#200
○柳瀬政府委員 さようでございます。そういう状態で申請が出て認められている認定患者の方々が、現在でもあるわけでございます。
#201
○坂口委員 そういたしますと、その審査の段階で、これはいわゆる特別手当に該当する人だという申請さえ出れば特別手当のほうに入る、だから時期的な問題ではないというわけでございますね。
 それからこのパンフレット等を見ると、特別手当のほうは、どちらかと言いますと、生活の安定をはかるということが中心になっておる。それから健康管理手当のほうは、どちらかと申しますと「療養生活の安定を図るため」こういう書き方がしてあるわけですけれども、その点いかがでございますか。この手当の内容で、特別手当のほうは生活の安定に重きを置かれたものであり、健康管理手当のほうは療養ということに重きを置かれたものである、こういうふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。
#202
○柳瀬政府委員 さようでございます。
#203
○坂口委員 そういたしますと、特別手当をもらっている人は健康管理手当というのはもらえないわけですね。特別手当というのは生活の安定をはかるためにもらっている。それから健康管理手当のほうは療養生活の安定という別ワクであれば、これは私、双方もらってもいいものだというふうに思いますが、どうでしょう。
#204
○柳瀬政府委員 特別手当も健康管理手当も療養生活の安定をはかるための必要な手当、こういうことでございます。
 医療手当というものがございます。医療手当のほうが、先ほどお話のございましたような、医療に関連して精神的な安定をはかるとか、医療効果の向上をはかるというようなことのために出す手当というふうな仕組みになっておるわけであります。
#205
○坂口委員 そうしますと、初めちょっとお答えいただいたのは違ったという意味でございますね。広島県から出ておりますこのパンフレットを見させていただきますと、特別手当のほうは、生活の安定をはかるということが主目的で支給されるものであるということがここには書かれておりますし、それから健康管理手当のほうは、療養生活の安定をはかるということが主目的で支給せられるものであるということが書かれております。こういうふうな考え方からいきますと、私は双方もらっても、これはいいのではないだろうか、片方もらっているから片方だめだというのは、いささか内容というものと違うのじゃないかという気がいたしましたので、お聞きしたわけです。
 そういたしますと、いまお答えいただいたように、この手当は双方とも療養生活のため、こういうふうに理解させていただいていいわけでございますね。もう一度お願いいたします。
#206
○柳瀬政府委員 さようでございます。
#207
○坂口委員 この特別手当というものが生活の安定というよりも療養生活の安定という意味で出されているということになれば、この特別手当をもらっている人というのは、たとえばその人が生活保護を受けているときには、これは収入認定になるわけですね。
#208
○柳瀬政府委員 健康管理手当につきましては、現在のところ五千円の支給になっております。生活保護ではこれを収入認定しないような措置が講ぜられておるところでございます。特別手当につきましては、五千円をこえる部分については現在収入認定をしておるわけでございます。今度、健康管理手当が五千円から六千円になる。それから特別手当も一万円から一万一千円に引き上げたいということなんでございますが、これにつきまして、その五千円をこえる部分をみんな認定するというのは酷じゃないかということがございますものですから、現在社会局のほうと何らかの措置を講ずるようにしたいということで相談中でございます。
#209
○坂口委員 この特別手当が出されておる内容が生活の安定という意味ではなしに、療養生活の安定のためという意味であれば、これは当然別ワクのものであって、この特別手当が出ているから生活保護をもらっているのを、それだけ差し引くということは、これは全くおかしいと思いますので、いまそういうお答えをいただきましたので、これは大臣からもひとつおことばをちょうだいしたいと思いますけれども、いかがでございますか。この生活保護をお受けになっている方それから特別手当をおもらいになっている方、この問題、ひとつお願いをしたいと思います。
#210
○齋藤国務大臣 社会局と両局でいま相談させておりますが、収入認定するなんということはおかしい、こういうふうに考えております。
#211
○坂口委員 ありがとうございます。じゃそれはよろしくお願いをいたします。
 その次の問題は、健康管理手当についてでありますが、先ほどもお話が出ておりましたが、今回五十歳以上ということに改正されようとしております。先ほどから御説明もありましたように、療養生活の安定をはかることが目的でありますから、療養生活の安定をはかる目的に出されておるものに年齢制限があるということは少しおかしい。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#212
○柳瀬政府委員 健康管理手当につきまして、年齢の制限を設けるのはおかしいのじゃないかという御意見も確かにあるわけでありますが、現在までの考え方は医療を受けている方々のうちで、やはり日常保健上の注意を払う必要がございまして、特にみずからそういう保健の措置を講ずることがなかなかむずかしい、あるいは特に健康管理に注意をしなければならぬというふうな方々、いわゆる老齢の方、それから身体障害の方、母子の状態にある方、こういう方々について健康管理手当を支給いたしましょう、こういう考え方になっておるわけでございます。
 ただ、老齢という場合に何歳が老齢なのかということが問題なんでございまして、被爆者の方々につきましては加齢現象といいますか、通常より老化現象が早くなるというふうなことが一般的にいわれておるわけでございまして、そういうことを考慮いたしまして、この両三年毎年普通の方だったら六十五歳で老齢者であるというのを六十歳に引き下げ、五十五歳に引き下げ、このたびは五十歳に引き下げる、こういうふうな措置を講じようというふうにしているわけでございます。
#213
○坂口委員 健康管理手当は「特別被爆者であって、造血機能障害、肝臓機能障害等の障害を伴う疾病にり患しているものは、日常十分に保健上の注意を払うことが必要であるが、そのうちでもとくに十分な保健措置を講ずることが困難な者に対し、その療養生活の安定を図るため支給される」そういうふうなものですね。この健康管理手当はこういうふうな趣旨で出されておるものです。だからそれでは若い人、たとえば三十歳の人がこれに当てはまらないかと言ったら、幾らも当てはまる人があるわけです。いわゆる老齢のために起こってくることで出るのではなしに、いわゆる被爆ということが原因で起こってくる疾病で、しかも生活上困っておみえになる方々に、こういうふうな趣旨で出てまいるものですから、この趣旨からして、これにいわゆる年齢制限をするということがおかしい、こういうことを私は申し上げている。いかがでございましょうか。
#214
○柳瀬政府委員 原爆に関連いたしまして、病気にかかってこれでお困りになるという場合に、医療につきましては、これは年をとっているとかとってないということの関係なしに、めんどうを見なければいけない筋合いのものであるというふうに感ずるわけでございますが、通常のそういう健康管理のために必要な手当ということになりますと、これも先生のいろいろな制限を撤廃したらどうだという御意見も確かに敬聴すべき御意見ではあるかとも思いますが、ただやはり、より健康管理に注意をしなければいかぬという層の方々に手当を差し上げようということになりますと、年をとられた方とか、あるいは母子の状態にある方、あるいは身体障害の状態にある方ということになるわけでございまして、いままでのところはそういう考え方で、年齢の引き下げというようなことにも努力をしてきたわけでございます。
#215
○坂口委員 私が申し上げておるのは、たとえばこれが老齢健康管理手当というようなもので、被爆をされた方が、それによって疾病がある。そして老齢というものが加味されることによって、それがだんだんと悪くなる。そしていろいろなことが起こってくる。それに対してその手当を出そうというのなら、これは年齢制限があってしかるべきだと思うのです。けれども、この趣旨はそうではなしに、被爆によって造血機能がおかされたり肝臓がおかされたり、そういう病気を持っている人は、なおかつこの療養生活ができにくい一面もある。そういうふうな人にこれは出そうということなんですね。
 ですから、いわゆる年齢が五十歳をこえて六十歳になった人でも生活は安定している人もあるでしょうし、それから三十歳、四十歳でもこれに該当する人は私はあると思うのです。病気なんですから、働けないわけですから。肝臓が悪くなった、あるいは造血機能がやられて貧血がひどくなってきた、働くとどうきがする、目まいがする、動けない。それじゃもうその人は働けないわけです。そういう人にこそ療養生活の安定をはかるために支給される。だから、それにこの年齢制限というものがつくられていること自体が、たいへん初めの趣旨と矛盾をするということを私は申し上げている。これはひとつ年齢をお取りいただくお考えがないかどうか、この初めの趣旨に沿って。いかがでございましょうか。
#216
○柳瀬政府委員 特にみずから保健措置を講ずることが困難である者というものがどういうふうな人かということで、そこでいろいろな考えが出てくるわけでございまして、現在までの考え方では、それはやはりハンディを負っている方々はより一そう保健上の措置を講ずるということが日常必要なんじゃないか、また困難なんじゃないかということで、そういう方々を対象としましょう、こういうことなんでございますが、もっと年齢を引き下げる問題、あるいはこれを撤廃するほうがいいんじゃないかというお考えにつきましては、今後とも私どもも検討してまいりたいと思います。
#217
○坂口委員 年齢というものが加味されるということ自体がこの趣旨から言うとおかしいのであって、健康管理手当なるものの趣旨はそういうふうな趣旨でつくられたものではない。そうでしょう。
 先ほどから何度か申し上げておりますけれども、この健康管理手当というのは、いわゆる被爆者であって、そして造血機能なり肝機能なり、そういった障害を伴っている、そういう人が療養生活の安定をはかるために支出されるものなんです。だから若くたってこれに該当する人は十分あるはずであります、理屈の上からいきましても。それにこの年齢制限を加えたということが、そもそも初めからおかしかった。それが初め高かったのが、だんだん五十五歳になり五十歳になり、まあおりてきたわけですけれども、おりるおりないという問題ではなしに、初めからこういうふうな趣旨できたものに年齢制限というものがあること自体がおかしい。予算上全部にしたら予算がたくさんかかるから、だから制限して、ここから上にしたんだというのなら、これは一つの予算上のそれで理解できるのですけれども、そうじゃなしに、この趣旨から言えばそういう年齢制限があることはおかしい。撤廃するとかどうのこうのではなしに、あることがおかしい。こういうことを私はいま申し上げておるわけなんです。
 これは何度か同じことの言いっこになりますが、また大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、いま私が申し上げたように、これは趣旨というのはそうじゃないかと思うのです。だから年齢制限があること自体おかしいという考え方を私は持つわけなのです。お若い方でもこれに該当する者はたくさんある。だからこれは取るとか取らぬとか、もっと引き下げるとかいう問題ではなしに、この項については年齢制限が初めからあるのがそもそもおかしいという大臣の立場で、この年齢制限は取っていただくという方向で早急に御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#218
○齋藤国務大臣 この特別被爆者に対する健康管理手当、これは最初はそもそも自分で自分の健康を保つ措置を講ずることができないといったようなことで、常識的に六十歳以上、六十五歳以上、まあ年とった方、こういうことで出発したわけなんですね。ところが、それが原爆被爆者は老化現象が早い、年齢を下げてください、こういう要望が出てきて五十歳になった。五十歳になってみれば四十歳だって三十歳だって、そういう例はあるじゃないか、おっしゃるとおりだと思うのです。
 これはそもそも最初からこういう年齢制限というものをやるのがよかったのかどうか、下がってみるとそういう疑問が出てきますけれども、しかし、そもそも最初は、お年寄りの方は自分で自分の健康を保持するための措置をとることは困難であろう、こういう常識的なところから始まってきた。しかしそれがだんだんやってみると、これではどうもおかしいじゃないか、五十まで下げてみると四十だってあるじゃないか、三十だってあるじゃないか、こういうことになるわけでありまして、そもそも最初に考えたのは、比較的お年寄りの方といったような常識的な意味で始まったわけですが、理論的に考えてみると、やはりおかしな点もあったのかなということを、いま先生の御質問を承りまして私もそんな感じをいたしております。ですから、将来の問題としては、こういう点は私は一つの研究課題として検討をすることにいたしましょう。
#219
○坂口委員 半分たいへんありがたい意見だと思いますけれども、半分で、将来の研究ということになりますと、先がたの答弁にもございましたけれども、これもいつになるか、将来というのもたいへん長い将来でございまして、将来にもいろいろございますので、もう原爆が投下されましてからずいぶん長い間たっている今日でございますし、またいまから将来の研究課題として、ずっと十年も二十年も先の話になるというのでは、これはもうほんとうに何にもならないわけでございますので、少なくともひとつ今年度中に御検討いただいて、来年度は変えていただく、まあそのくらいの近い将来に明確な御答弁をお願いしたいと思います。
#220
○齋藤国務大臣 私はすべての皆さん方の御意見は誠意をもって承り、いいと思うことは努力する考えでございますから、できるだけ早くというのは五年も十年も先だなんていうことではなしに、やはりできるだけ早い機会に結論を出すようにいたします。
#221
○坂口委員 それでは、ひとつその点よろしくお願いいたします。大臣がかわられて、おれはもう知らぬなどと言われたら困りますので、ひとつ今年度中には、どうしてもこの問題をお詰めをいただきたいと思います。
 その次に、健康診断の問題でございますけれども、年二回定期健康診断が実施されることになっております。それからまた希望による健康診断が受けられるという二つの種類があるわけでございます。いずれも一般検診と精密検診との二つに分かれております。
 この一般検診の内容についてお聞きをしたいわけでございますが、その前に、けさからの御討議にもありましたが、たとえば最近被爆者の中で、胃ガンでなくなられる方がたいへんふえてきているというお話がございました。確かに統計上の数字もそうなっております。この被爆者の中で非常にふえている胃ガンなどは、これは認定をするというふうにけさお答えになったように思いましたが、その点もう一度ちょっと確かめさせていただきます。
#222
○加倉井政府委員 御指摘の疾病ごとのいろいろの検査がございます。したがいまして、その状況に応じて検査ができるように私ども一応検討いたしておりますし、必ず実施する必要もあろうかと思いますので、実施するようにいたしたいと思っております。
 それから特にいまのガンの問題でございますが、やはりガンにつきましても同様でございまして、本日いろいろ御審議いただいた中にも、胃ガンの問題もたくさん御質問が出てまいったような状況でございまして、その問題につきましても、当然この中に含めて考えなければならぬと考えております。
#223
○坂口委員 一般検査の内容を見せていただきますと、特に血液疾患に重きを置いた検査のしかたでございます。医師の視診ですとか問診、聴診、打触診、こういったもののほかに赤血球沈降速度検査それから血球検査、血色素検査、それから尿の検査、それからふん便検査、血圧測定、これだけになっておるわけです。
 先ほども申されました八種類のいわゆる被爆者がかかりやすい病気、これをながめてみますと、一般検査というのは被爆者の健康の確認と、それからもし異常が出れば、早期にこれを治療することを目的としておると思うのです。八種類の病気を見てみますと、そうするとこれだけの一般検査では、あの八種類の病気のスクリーニングのできる段階のものではないわけです。これだけではどうにもひっかかってこない、いかに名医といえども。そこで私はおもに起こるであろうあの八種類の病気を中心にした、あれがないかどうかということを調べるための一般検査であるならば、これではどうにもならないような気がするわけです。そういたしますと、早急にこの内容というものは変えていただけるわけですか。
#224
○加倉井政府委員 検査項目等につきまして、これはかなり時代もたっておりまして、検査技術等の、あるいは検査器具等の進歩もございますので、そういう点も含めまして、今後検査項目あるいは検査内容等につきましては検討してまいりたいと思っています。
#225
○坂口委員 この統計の数字を見せていただきますと、胃ガンもさることながら肺ガンあたりも、かなりな数字になってきておるわけなんです。これは一般の疾病と重なるということもありまして、むずかしい面もあると思うのですが、しかし一般の人の発生率と、この被爆者の間の発生率とを比べて、もしこの被爆者の間に統計的に優に高い数字が出るということになったら、これはやはり特有な一つの疾病というふうに考えて、私は入れていただくのがしかるべきではないかと思うわけです。
 そういう意味では、先ほどのガンが非常に多くなるといえばこれもそうでございますし、それから循環器系統等で高血圧あるいは動脈硬化というものが、ほかの人々の年齢別の発生率というようなものに比べて非常に高いというようなことになってくれば、こういったものはひとつ含めていただかざるを得ない、含めていただくのが妥当だというふうに私は思うわけでございます。その認定についての基準というものが、どうもいままではっきりいたしておりませんし、それが一つの混乱のもとになるというふうに私思うわけでございます。
 そこで、その認定の一つの基準として、疫学的な調査と申しますか、統計的な処理の中で、明らかに他の一般の人々よりも被爆者の人たちの間で多いというようなものについては、認定をしていくという方向にひとついっていただきたいということを私は提案するわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
#226
○加倉井政府委員 明らかに原爆の被爆による疾病が否定される場合だけが認定外になっておりまして、可能性のあるものにつきましては、現在の段階におきましては認定患者といたしまして認定することになっておりますので、いま御指摘のような統計的な観察も時々刻々加えながら、そういう問題は当然対処しなければならないというふうに私どもは考えております。
#227
○坂口委員 いま御質問いたしましたのが一般検査でございますが、それから精密検査も一方にいろいろ出ておりますが、精密検査のほうも一般検査の中で異常のあるものがあがってまいります。そのあがってまいりましたそれぞれについて、いろいろ精密検査という形でするわけですけれども、この精密検査のほうにあがっております項目も私はあまり十分ではない。先ほどの議論にもございました金銭的な面からも、この精密検査の項目というような、これはどれだけやればいいということではなしに、やはり必要な検査というのは、この中に加えられなければならないというふうに思うわけでございます。当然それに対する費用というものも変えてもらわなければならぬ。二千数百円というようなことでは、これはいまの医療点数からいきましても、どうしてもできない。たとえば肝機能、肝臓が悪くて肝機能の検査を受ける、これは肝機能の検査だけで二千数百円というのは、とっくに飛んでしまうことは明らかであります。
 したがって、この精密検査のほうについても、あわせてこれは専門家の御意見をひとつ聞いていただいて、それに従って御検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。
#228
○加倉井政府委員 精密検査の範囲につきましても幾つか掲げられております。その中に「その他必要な検査」という項目がございまして、先生が御指摘のような必要があれば検査ができるようになっております。ただし、その手当等につきましては、十分私ども今後増額すべく努力いたしたいと思っています。
#229
○坂口委員 たとえば事業所の一般健康診断等見ましても、現在のところ、これとこれとこれはどうしても必要最小限度やらなければならないという検査項目があります。そのほかに医師が認めれば、これこれこれのことは入れるという条件つきのものがございます。ですから私は、一般検診についても、ここにあがっているこれで済む人も中にはあるかもわからぬと思うのです。しかし医師が一般検査の段階でもう少し入れなければならぬと思うときには、さらに加えるというような形も一つの方法かとも思うわけです。これとこれとこれは確実にすべきだということをぽんときめてしまう形ではなしに、必要な項目をある程度あげて、それ以外にさらに医師が必要と認めるときにはやってもいいという、やはり「その他」というものを一般検査の中にも、もう少し加えていただくという形はどうかということを一つ私は提案するわけでございます。
 そういたしますと、精密検査のほうは「その他必要な検査」のところで、必要だと認めるものは全部してよろしい。ところが医療費のほうはいままでは制限がある。精密検査のほうはそうですね。これはそういう意味ですね。だからその点もあわせて、ひとつ御検討をいただきたいと思うわけでございます。これは先ほどお答えいただきましたので、ひとつよろしくお願いいたします。
 それから、指定医療機関というのがございますね。この指定医療機関以外で医療を受ける場合というのがございます。この指定医療機関以外で医療を受けました場合に、本人が支払った額の範囲内で払い戻すということになっております。範囲内で払い戻すということは、そこで支払った分全額、満額は払わないことがあるということでございますか。そういうふうな意味でございますね、ちょっとその点お伺いいたします。
#230
○柳瀬政府委員 御本人が支払われた金額が、社会保険の診療報酬点数に換算しまして、それより低い場合はもちろん全額をお払いするわけでございますが、高い場合は、社会保険の診療報酬の点数で換算して、計算した額の範囲内でお支払いをする、こういうことになっております。
#231
○坂口委員 そういたしますと、指定以外の機関で医療を受けられた場合、これは保険を適用せずに払われるわけですか。
#232
○柳瀬政府委員 言いかえますと、保険を適用してお支払いをする。ただ自由診療というような場合もございますから、その御本人の支払いが、保険の点数ならば三万円だったのを五万円取られたというような場合でも、それは自由診療でございますので、それは社会保険の点数の範囲内で三万円お支払いする。しかし、逆に自由診療でございましても、もっと安く支払ったという場合もございますわけで、そういう場合には、その支払った限度内でお支払いをするというわけでございます。
#233
○坂口委員 よくわかりました。
 それから指定を受けている病院などで、医師の承認を得て医師以外の者から特定の、たとえばはりですとか、きゅうですとか、マッサージ、こういったものを受けた場合には、これはこの支払いの範疇に入っておりますね。払い戻しの範囲内に入っておりますね。
#234
○柳瀬政府委員 おっしゃられるとおり、医師の指示に基づきましてあんま、はり、またはきゅう、こういう施療を行なうところで受けた場合には、その料金はお支払いすることにいたしております。
 それから委員長申しわけございませんが、先ほど私の御説明申し上げました中で、健康管理手当の額を五千円から六千円まで引き上げるというふうに、ちょっと数字を間違えて申しましたのですが、四千円から五千円でございますので、ちょっとその点訂正いたします。
#235
○坂口委員 これを見せていただきますと、指定を受けている病院の医師の承認を得た場合だけ、はり、きゅう、マッサージを受けた場合に、それは払い戻しになっているわけですね。指定以外の病院のときは、なぜこれは入らないのですか。
#236
○柳瀬政府委員 指定医療機関でなくても、医師の指示に基づいて行なわれた施療につきましてはお支払いすることになっております。
#237
○坂口委員 そういたしますと、たいへんこまかなことになって申しわけないのですが、はりなり、きゅうなり開業しておみえになるところがあります。他の機関で開業しておみえになる先生のところへ行って、あなたはあそこでちょっときゅうでもしてもらったほうがよろしいよと言われて、そして、そのはりのほうに行ったのだったら、それは通用するわけでございますか。証明書が要りますか。
#238
○柳瀬政府委員 いまの医師の指示なり承認に基づいてと申しますのは、これはただ口だけで患者さんがそう言われましたというのでも困りますので、これは医師の同意書を添えて行っていただくというようにしていただくようになっております。
#239
○坂口委員 その問題はよろしゅうございますね、間違いございませんね。それはそのくらいにしておきまして、先ほどから何回か出ております援護法のことでございますけれども、大臣のお話も何度かお伺いをいたしました。けさと申しますか、午前中に大臣がおっしゃったのに、法技術的にはむずかしいというふうな御発言があったようにちょっと私、承ったのですけれども、これは私の聞き間違いであったかどうかですね。援護法というものを設けるということは法技術的にはむずかしいというふうに、何かおっしゃったように私ちょっと聞いたのです。この点もう一度お聞きをしたいと思います。
#240
○齋藤国務大臣 けさ来たびたび申し上げたように、現在の法体系においては、社会保障の体系の中で処理するという体系になっており、援護法的なものは国家賠償的な考え方の法体系で、これは戦傷病者援護法といったようなもの。そこでそういうふうな法体系が二つできておるその中で、原爆被爆者について援護法的なものをつくるということは、いまのできておる法体系の中からいえば非常に困難がある。しかし何とかならぬか、こういうところで私がいま悩み、研究をしておるということを申し上げたわけでございます。
#241
○坂口委員 たいへん長い間悩んでいただいているわけでありますけれども、これはあまり長い間悩んでいただいておっては、先ほどの問題と同じでありまして、いつになることかわかりませんので、他の皆さんからも御意見がございましたけれども、ひとつ何とかして早急に決着をおつけをいただきたい、そうお願いをするわけでございます。
 それからもう一つ、介護手当の問題ですね。これもけさから何回か出ましたが、現在のところは、ざっと日割りにいたしますと、大体一日五百円くらいな程度になっているわけです。たとえば寝たきり老人でございますとか、重症の人でございますとか、被爆と関係のないそういう方がたくさんございますが、そういった方のいわゆる家庭奉仕員ですね、この人たちの給与が大体四万五千円くらいになっております。これもこの給与を日割りにするというような勘定は、ちょっと比較しがたい問題ではございますけれども、しかし一日当たりにいたしますと千五百円くらいになるわけです。千五百円でも最近のなにでは私は少ないと思うのです。もしも付き添いの看護婦さんか何かを雇いましたら、いま二千円も三千円も取られるわけなんです。だから千五百円でもこれは少ないと私は思う。もしも雇うとすれば、少なくとも二、三千円これは要るわけなんです。それが現在五百円というのは、いささかあまりにも少なきに失する。だから介護手当という名前がついている限りは、これは少なくとも家庭奉仕員の人に出されている給料の一日当たりくらいには何とかならなければならない。ほんとうはもっと出すべきだと思いますけれども、これに比べても、なおかつ少ないというので、いまの比較の上で私は申し上げておるわけで、この辺のところ、現在大体どの辺のところまでお話が煮詰まっているか、もう一度ひとつお伺いしたいと思います。
#242
○加倉井政府委員 御指摘の介護手当を一日当たりに割り返してみますと五百円程度になるということでございますが、これはほかの制度との関連もございまして、他の諸制度との関連を一応検討しつつ今後は引き上げに努力をいたしたいと思っております。
    〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
#243
○坂口委員 では大臣、もう一度この点もひとつお願いしたいわけでございますが、ひとつその決意をお聞きしたいと思います。
#244
○齋藤国務大臣 ただいま局長から申し上げましたように、実態をまた十分調査をいたしまして、これで十分だとも私も思いませんから、来年度の予算などにおきまして、できるだけ引き上げるように努力いたしたいと思います。
#245
○坂口委員 ではどうぞ、ひとつよろしくお願いいたします。けさからいろいろな方のいろいろな御意見が出ておりますので、重複いたしますので、私はこの辺で終わらせていただきます。
#246
○竹内(黎)委員長代理 小宮武喜君。
#247
○小宮委員 大臣、この原爆被爆者問題について、これは政府の基本的な姿勢にもかかわる問題でございますから、一言質問に入る前に、大事な問題をひとつ質問しておきたいと思います。
 この原爆被爆者を生んだ責任は大体だれにあると思うのですか。これは原子爆弾を投下したアメリカ側にあるのか、それとも日本側にあるのか。これはこの問題を論議する上において基本的な問題ですから、その責任はだれなのか、その点ひとつ厚生大臣から御答弁願いたい。
#248
○齋藤国務大臣 原爆の責任はだれかといえば、歴史上いまだかつてなかった原爆を落としたという点においては、私はアメリカの責任だと思います。しかし、もっとさかのぼっていえば、そういうものが投下されるような戦争というものをだれがやったんだということになれば、日本であるかもしれませんし、あるいはまた日本をして、そういう戦争を起こさせたという見方をすれば、また別な見方もありましょう。しかし、そういうことは、私はだれの責任だということを、いま、敗戦をしました今日、あまりだれだというようなことは私は率直に言って言いにくいんじゃないでしょうか。
 だから私どもは、こういう戦争が起こった原因は、だれにあるとかなんとかは別にしまして、こういう悲惨な、歴史上初めての原爆が投下されたのは現実なんですね。それによって苦しんでおられる方がたくさんおられる。この現実に即して国家的な立場において援護をしていかなければならない、そういうことにひとつ御了承をいただけるように御理解をいただきたいものだと思っております。
#249
○小宮委員 私がなぜこういう問題を質問するかといえば、これはもちろん原爆はアメリカが落とした。しかし戦争をやったというのは日本ですね、これは負けて戦争犯罪人を出しておるわけだから。そういうような意味で、ほんとうにこの問題について、こういうような原爆被爆者、犠牲者を出したということは、国としてどうこれに援護措置をしていくかという基本的な考え方につながってくるから私は聞いているのです。だからそういう意味では、私もいまさら戦争責任を云々する気持ちはさらさらないのです。
 しかしながら、やはりこの基本的な問題にかかわってくるものですから、御参考までに厚生大臣の御意見を聞いておかぬと、あとの問題にずっとつながってくるので、そういう意味で質問したのですけれども、私は少なくとも原子爆弾をアメリカが落としたといっても、戦争をして、国民は戦争に巻き込まれて、そしてみんながそれぞれ犠牲をこうむっているわけですから、その意味からいえば、それは原爆犠牲者ばかりではないと私は思うのですよ。たとえば空襲でなくなった人、艦砲射撃でやられた人、こういうような人たちも含めて、やはり国として何らかの援護措置を講ずるのは当然だと思うのです。終戦後のああいった状態の中ではなかなか困難かもしれませんけれども、現在のような、世界の中でも第二位の経済大国とまで言われるようになった今日、やはりこういった人たちをどうして援護措置を講じていくか、救済していくのか、私はやはり当然国がやるべきだ、こういうように考えているのです。
 そういうような意味で、おそらく私がいまから質問することについても、大臣はまだ時期尚早だと言うかもしれませんが、私はこれはただ原爆犠牲者だけではなくて、一般の戦争犠牲者も私たちはやっぱり救済をすべきだという考えを持っているのです。そうしなければあまりにもかわいそうではないか。そういうような意味で、いま原爆被爆者の方々は、佐藤前総理が沖繩に行って、沖繩が返還されなければ戦後は終わったとは言えないという名句を吐かれましたが、いまの原爆犠牲者から見れば、こういった原爆犠牲者に対しての援護措置が講じられなければ、まだ戦後は終わっていないというのが実感なんです。そういうような意味から、先ほどからもるる質問が出ておりましたけれども、やはり原爆被爆者に対する援護法的なもの、たとえばいまの医療法と特別法を一本にした何らかの援護法を制定すべきだというのがわれわれの強い考え方です。
 実を言えば、私自身も私の家内も特別被爆者なんです。また原爆で私の家内の両親、姉もなくなったし、私もいとこを三人もなくしておるわけですが、長崎、広島では原爆によって三人や四人や五人の家族をなくした方は多いのです。一家全滅したところもあるのです。そういうような人たちから見れば、いま何か政府が、大臣の答弁の中にも、恩恵的に何かしてやるような感じを抱くものですから、やっぱりこの問題の責任はどこにあるのかということを指摘をしたいのです。
 それは別としまして、そういうような意味で援護法の問題にしても、大臣は時期尚早だ、こういうようなことを言われるし、何か生活保障が主体で、それに上積みする分だとかいろいろ言われておりますけれども、やはりそういうような理屈を言うなら、たとえば戦傷病者戦没者遺家族等の援護法の問題にしたって、みんないまやっていることは、そういうような大臣が答弁しておるような論理からいけば、みんなひっかかってくるわけですよ。そういうような問題とはどういうからみ合いになるのか、こういうことなんです。
 たとえば、例を言いますと、そういうような意味では、旧防空法の問題が出ましたね。しかし防空監視隊員は援護法の中に入っておるし、たとえば旧陸海軍の部隊の中の雇員、用員それから工員まで全部入っておるわけですね。援護法の適用の準軍属に入っておるわけですよ。そういうような人たちとどこが違うかと言いたい。
 したがって、大臣にもう一回はっきりした意見を聞きたいのですが、時期尚早と言われるけれども、その時期尚早というのは、午前中も指摘されておりましたけれども、時期尚早ということでもう何年も前からやってきておるのだけれども、やはりここらあたりで、大臣も原爆問題についてはこれでもう終わりだというぐらいの気持ちで、ここでひとつ援護法でもつくろうというぐらいの決意を持ってもらいたい。非常に大臣は前向きに取り組んでおられるようですから、敬意を表しておるわけですけれども、同じ答弁でもけっこうですから、もう一回ひとつ御答弁を願いたいと思うのです。
#250
○齋藤国務大臣 御承知のように、戦争の犠牲者というのは一億国民全部だと思いますが、その全部の一億国民の中において、戦争犠牲者に対する処遇をどうするか。大体いまの立て方は、御承知のように二つあるわけです。国家権力と何か直接関係のあった者、これは戦傷病者戦没者援護法といったような措置でやっているわけです。それから一般の国民、国家と直接そういうつながりがない一般の方々については、社会保障の体系としていこうではないか。しかし社会保障の体系でいくにしても、いわゆる原爆の犠牲者、これについては一般の社会保障体系では足りないから、こういう特例法をつくろう、こういうようにきているわけでございます。すなわち国家援護、国家と直接関係あるものについては援護ということでいこう、そうでない方々については、いわゆる社会保障的な体系でいこう、こういうことで今日まできているわけなんです。私どもとしては、その二つの体系は体系として、こっちの国家援護の中に入れるものはできるだけ入れてあげたい、こういう考えを持っております。
 そのためにいわゆる防空法による監視員の方々も先般この援護法の中に入れてきたわけです。そういう努力を積み重ねてきたのでございますが、原爆の披爆者というものは、二つの法体系に割り切って、こっちはあくまでも社会保障の体系でいくべきだ、こういうことがはたして許されるだろうかというところに考えておるわけでございます。
 すなわち、この二つの法体系の中にもう一つ体系があっていいんじゃないか。原爆という人類史上初めての被害を与え、そしてまたこういう原爆というものが将来人類の続く限り二度とあってはならぬ、こういう考え方があります、国民の気持ちの中には。それと同時に、また日本は幸いに、戦争に敗れて平和憲法というものを選択した。そして永久に戦争はしないんだ、したくないんだし、しないんだ、こういうふうな意思というものが国民の合意になっておる。そこで、平和国家というもので将来日本人は進んでいくんだという一つのシンボル的な意味合いにおいて、原爆は絶対に許さないよという気持ちで、国家的な社会保障というものよりも一段上の何らかの国家的な援護をするような法体系というものは編み出せないかというので実は思い悩んでおるということを山田委員はじめ皆さんにも、きょうは朝から同じことを実は申し上げてきているわけなんです。それは時期尚早だから、引き延ばすんだなんて、そんなけちなことは私は考えておりません。
 何かしら現在きておるこの二つの法体系きりないのですから、この二つの法体系の中でできるだけこっちに行くものは上げてあげたいと同時に、原爆被爆者に対する一般的な処遇の問題として、国家的な援護を強化するような援護法というものはできないだろうか。できるならば、それもできるだけ早く成案をつくって進んでいこうではないか、こういうふうに考えているんだということを私は率直に心境を吐露しておるわけでございまして、引き延ばすためにそんなことを申し上げている気持ちはさらさらないんだということを御了承願っておきたいと思います。
#251
○小宮委員 私も午前中から大臣の答弁を聞いておりまして、非常に誠意をもって答弁されておるということについては、非常に敬意を表しておるわけですが、しかし、やはりほんとうにそういった具体的な問題について取り組もうと思えば取り組めるはずです。しかし、なかなかそれがいままでの歴代の厚生大臣が同じようなことを答弁してきておるものだから、なかなかわれわれもまた、いまさっき厚生大臣言われても、いつやるのか、またこのことで何年延びるかということで非常に不安があるわけですね。
 そういうような意味で、できればもうちょっと突っ込んで、そういうようなことで検討をいまからでも始める、それでできれば来年の国会くらいにはひとつ何とかしたいというような、もうちょっと具体性を持ったものをひとつ答弁していただければ幸いと思うのですがいかがでしょうか。
#252
○齋藤国務大臣 その時期的な――私ははっきりすればほんとうにこういうきっぷですから、やると言ったら必ずやりますよ。しかし、いまのところそう言うだけの成案を得るところまでいってないので、はっきりしたことはいま時期的には申し上げられません。しかしながら、私はここにおる公衆衛生局長なり原爆のほうの被爆者の援護に関する仕事をやっておられる課長にも何とかならぬか、法体系というものを、ということを実ははっきり言っておるのです。だから、私は単に引き延ばしだなんて、そんなことは一つも考えてない。これだけは明らかにしておきます。
 成案ができたら、それは来年であろうが再来年であろうが、やると言ったら必ずやる。しかし、うそになってもいけませんから、来年やると言って法案を通すための手段だろう、またあいつ言うたなということを言われたくないものだから、いま時期だけは、自信のないことは言えないわけでございます。私の熱意だけは買っていただきたいと思う。何とかしなければいかぬと私は思っております。
#253
○小宮委員 大臣のいまの熱意はもう十分に買います。そこで、やはりいませめて大臣が在任中に、ひとつこの問題に具体的に取り組んで具体化していただくように御要望申し上げておきます。
 それから原爆被爆者の医療に関する法律で、被爆者の範囲がきめられておりますね、特別被爆者と一般被爆者の。これは結局爆心地から三キロ以内と三キロ以外に分かれていますね。これがどうも私はよく理解がいかぬのです。それは五キロにしても、そのことはいえるかもわからぬ。しかし少なくともいまの一般被爆者の手帳をもらっておる人たちを含めて、やはりこれを一本化すべきだ。それでは三キロといわゆる三・一キロとどう違うのか。それはだから、そうすれば十キロにしても、十キロ以外とどう違うかということはいえるかもしれないが、しかしいまの少なくとも現状では、三キロと三キロ以外で特別被爆者と一般被爆者が分かれておりますね。だからその意味で、三キロという基準がどうもわからぬのだけれども、そして三日以内に長崎市なら長崎市、広島市に入った人と二週間以内に入ったのと分かれていますね。何か根拠がありますか。あったら教えてください。
#254
○加倉井政府委員 特別被爆者というのは、御指摘のように原爆被爆者医療法の十四条の二において「原子爆弾の放射線を多量に浴びた被爆者」と定められております。直接被爆者で三キロメートル以内の者を特別被爆者としたのは、推定の放射線量が国際的に認められております一般国民に許容される線量、すなわち将来にわたり健康障害を起こさない線量以上であるところから判断したものでございまして、大体国際放射線防護委員会勧告というのがございます。これは一九六五年に出されたものでございますが、公衆の構成員についての線量の限度は一年につき〇・五レムというふうになっておりまして、そのほかに私ども自然の状態におきまして、いわゆる自然放射線、たとえば宇宙線というようなものでございますが、その線量につきまして一年につき〇・一ラドというふうに一応の基準がございます。それらを勘案いたしまして、大体三キロ以内がその線量に該当するのではないかということできめられたというふうに了解いたしております。
#255
○小宮委員 それは気象条件はどうなっているのですか。そのときの風速によっても違うし、いろいろ条件は変わるわけだね。たとえば原爆問題を一番大きく取り上げるようになったのは、第五福竜丸がアメリカのビキニ環礁で水爆実験をした場合に死の灰をかぶったということで、この問題は非常に大きく社会的な問題となってきたわけですね。
 そうするとそのときの、それでは御参考までに質問しますが、それでは第五福竜丸はアメリカがビキニ環礁で水爆実験をやった地点をどれぐらい離れておったのですか。
#256
○加倉井政府委員 御指摘の水爆実験の距離は、ビキニの東方約八十マイル、すなわち百二十八キロということになろうかと思います。
#257
○小宮委員 だからいま言われたように、三キロとかなんとか言っておることは、われわれから見れば何らそういうような、世界の何とかかんとかという話だったのですけれども、根拠というより、そういうようなものは現実的に、ほんとうにそういうような信頼性ができるのかどうか。第五福竜丸は百二十八キロ離れておって、そして死の灰をかぶってなくなったわけでしょう。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
それが三キロとか三・五キロとかということ自体ナンセンスじゃないのかね。たとえば中国で核実験をやる。もちろん、われわれは核実験反対ですから騒ぎもしますけれども、特に九州あたりでは、結局風に乗って核実験の放射能がやはり流れてくるということもおそれて、核実験反対という、市民の中には素朴な考え方で反対をやっている人もかなりおるのです。
 そういうような、そのときの風の状態、気象条件によっては、三キロとか四キロとかは問題ではないのです。それを三キロで特別被爆者だ、三・一キロになれば一般被爆者という区別をするところに、私はナンセンスじゃないかと思うわけですけれども、どうでしょうか。
#258
○加倉井政府委員 広島、長崎に投下されました爆弾につきましては、原子爆弾でございます。それから、ビキニの実験に使われましたのは水素爆弾でございまして、爆弾の種類によりましても放射能の種類が違ってくると思いますし、また、空中におきます爆発と地上におきます爆発によりまして、放射能を浴びた物質の飛散状況その他もいろいろ違ってくると思います。広島、長崎に落とされました核爆弾は、空中におきまして一応爆発いたしておりまして、それに対する放射能につきましてのいろいろの検討の結果、先ほど申し上げましたような国際会議の一応の基準を援用いたしまして、三キロというものの範囲を決定したのだろうというふうに推測いたします。
#259
○小宮委員 広島と長崎に原子爆弾が落とされて、その以前は世界のどこにも原子爆弾が落とされたところはないのですよ。もちろん実験したことはあるでしょう。しかし、それがそのまま通用するかどうかということは非常に疑問だと思うのです。しかし、それはそれとして、結局いま特別被爆者と一般被爆者ですね、この割合が、大体特別手帳を持った人が八三%、一般手帳を持った人は一七%ですね。これは率からいってもたいしたものじゃないのです。特に、厚生大臣が言われるように、被爆者に対してできるだけのことはしてやりたい。しかし、いまの法体系上非常にむずかしいので、何かそういうような手がかりがあればということで、鋭意いま研究しておるのだ、そういうような前向きの立場から見ても、少なくともいまの現行法で――新たに法律をつくるというのは、そういうような問題では非常にむずかしいかもしれませんが、少なくとも現行法の中でやれる分だったら、すぐいまでもできるのじゃないですか。
 だから私は、そういう特別手帳とか一般手帳とかという区別をせぬで、特別手帳でも全部に交付して、そして少しでもそういうふうな状況をよくしてやるという努力をするというのが、いま大臣の答弁の趣旨から言っても当然だと思うのです。どうでしょうか、この際特別手帳とか一般手帳とかはもうやめて、全部特別手帳にして、いまの大臣の答弁の趣旨にものっとって、ひとつできるだけのことはしましょう、それだけのことはいまの法律の中でできます、ということで改正すればいいわけです。だからその意味で、どうでしょうか、今度の国会でやる気持ちはございませんか、やりましょうや。
#260
○加倉井政府委員 御指摘の一般被爆者につきましても、特別被爆者と同じような疾病状況その他の状況にあります場合には、特別被爆者としての取り扱いを現行法でもやってございます。したがいまして、先ほど御指摘のように、約三十万対四万人の比率でございまして、まあ人数から申しますと、きわめて少ない者がまだ取り残されているという印象を受けるわけでございまして、この問題につきましては、私どもひとつ前向きに検討さしていただきたいと思っております。
#261
○小宮委員 いまの一般手帳を持っておる人を、特別手帳に移した場合に、大体どれくらいの出費になりますか。何億になりますか。たいした額じゃないでしょう。
#262
○加倉井政府委員 詳しく試算をしてみなければわかりませんけれども、かなりの額になるんじゃないかと推定いたしております。
#263
○小宮委員 前向きで検討するということはよくわかりますけれども、まあ今度の国会でそれをやれとは言いませんけれども、少なくとも来年度の予算では特別手帳に全部一本化してやるというふうに理解していいですね。それくらいは当然でしょうね。
#264
○齋藤国務大臣 ひとつ十分検討してみます。
#265
○小宮委員 それから被爆者の中で、被爆障害によって自宅で療養しておる人とか、あるいは施設の都合で入院できない人が、かなり自宅で療養しておるのですよ。特に寝たきり老人あたりは、その意味では訪診制度というものを非常に期待しておるのです。それでこの人たちが、いま長崎でも原爆病院に三人の訪診医がおるのですけれども、この人たちがずっと回りますと、ほんとうに神様のように喜ばれて尊敬されておるのです。寝たきり老人あたりは、やはりいつ死ぬかわからぬというような、そういうような不安にかられながら自宅療養しておるので、訪診医が行くと非常に喜んでおるわけです。だから、少なくともそういうような訪診制度を拡充して、やはりそういった訪診に対する国の助成あたりをぜひやってもらいたいと思うわけですが、その点どうでしょうか。
#266
○加倉井政府委員 在宅の重度の身体障害者や寝たきり老人に対します家庭訪診の問題でございますが、これは現在そういう制度も着々実りつつあります。したがって、原爆の場合にもその訪診の制度を活用してまいりたい、かように考えておりますし、このことにつきましては、所管である社会局にも十分申し入れをいたしたいと思っております。
#267
○小宮委員 ぜひ実現するように御努力を願いたい。
 それから、この被爆者は健康管理上、温泉療養が非常に有効だということをいわれておるわけでありますが、もし医者がやはり温泉療養をやったほうがよろしいという指示をした場合、こういった被爆者の方々が温泉療養をする場合のその滞在費とか、そのほかのいろいろな経費もかかりますけれども、そういうような温泉療養をする場合に、この被爆者に対する助成というか、何かの補助制度というものを考えられないかどうか、その点いかがでしょうか。
#268
○加倉井政府委員 医者が特に温泉治療を指定いたしまして、いわゆる温泉病院あるいは温泉療養所等に入所いたします場合には、これは当然私どもの措置の対象になろうかと思いますけれども、いわゆる保養所等に参りまして、あるいは温泉旅館に参りまして温泉につかるということにつきましては、現在のところ、それに対する措置をいたす手だてもございませんし、そこまで手を広げるということにつきましては若干疑問もございますので、純粋に医学的に治療を要するという、医師の指示によりまして治療をいたす場合に限らざるを得ないというふうに考えております。
#269
○小宮委員 大臣にひとつお尋ねしますが、いま言ったように、これは全国的に何十カ所というわけではないのですから、たとえば国が原爆被爆者の保養センターというのを、広島と長崎のもよりの温泉地につくったらどうかという一つの提案をしたいと思うのです。これは本年度といっても無理かもしれませんが、来年度あたりはやはり予算化して、ぜひ実現してもらいたいと思うのですが、その点ひとつ大臣から、ぜひ御答弁を願います。
#270
○齋藤国務大臣 厚生省所管では、厚生年金だとか国民年金の関係で、だいぶあっちこっちに保養所を持っているのです。ですから、そういうものを相当利用していただければいいのではないかというような感じが、私は率直にいたします。原爆被爆者だけの保養所ということよりも、一般のどなたも利用するような国民年金の保養施設とか厚生年金の保養施設とかいろいろありますから、できるだけそういうものを利用していただくということのほうがいいんじゃないかという感じもいたします。原爆の被爆者だけ何とかならぬか、それよりも、一般の方と一緒になって保養に行かれるほうがかえっていいんじゃないでしょうか、そんな感じがいたします。
#271
○小宮委員 まあそれはそれくらいにしまして、今度の四十八年度予算案を見ますと、これもさっきからいろいろ質問が出ておるわけですけれども、特別手当が千円、健康管理手当が千円、医療手当が千円と、それぞれ千円ずつ引き上げられておるわけですが、この千円についても、大臣、これはもう問題にならぬ金額ですが、これも第一次査定では全部ゼロだったわけですね。これは厚生省の原爆被爆者に対する姿勢が、大蔵省との折衝の中で非常に消極的だったのか。そうしなければ、大体ゼロ査定だなんて――復活で千円ずつ上がったわけですから、その意味では、厚生省は大蔵省に、こういうような各種手当はどういうような要求をしたのですか。
#272
○加倉井政府委員 現在予算書にございます単価の額を限度といたしまして、要求を出したのでございます。
#273
○小宮委員 よくわかりませんが、今度四十八年度予算で結局千円ずつ上がったわけですね。そうするとそれは、厚生省が大蔵省に要求したのは、千円ずつ上げて要求はやったんですか。
#274
○柳瀬政府委員 要求は、いろいろな手当がございますので、あれですが、一番おもな手当の健康管理手当、特別手当――健康管理手当につきましては、要求は七千円の要求をいたしております。それから特別手当につきましては、一万二千円の要求を要求としてはいたしたわけでございます。
#275
○小宮委員 大蔵省を呼ぶのをきょうは忘れておったのですが、大体大蔵省はどういうような意味で一次査定で没にしたのですか。話を聞いておるでしょう。
#276
○齋藤国務大臣 役所の内部の予算の復活のやり方を申し上げますと、大体手当の増額というのは、大蔵省はしょっぱなはゼロにしてくるのが例なんですよ。向こうは手当というのはいやがるんです。しかし、入れないなんということを初めから言っていないんです。入れますが、あとにしてくれという意味の一次の内示をしてくるんです。その点は、冷淡だから一回目に入れないというものじゃないんです。これは入れるものなんですが、一回目に入れないで二回目から入れてくる。(小宮委員「恩を着せるわけですか」と呼ぶ)恩を着せるわけじゃないんですが、大体そういうやり方が大蔵省なんですね。あまりいいことじゃないと私も思っています。
#277
○小宮委員 そういうふうなかけ引きをやるなら、厚生省だけがつつましい、ささやかな要求をすれば、どうせ大蔵省は半分にちょん切ってくるということをやるのでしょうから、それならやはり今度は、切られてちょうどこちらの要求の金額になるような要求ぐらい少し吹っかけてみたらどうですか。これはここだけの話ですよ。それくらいせぬでは、確かに大蔵省は、必ず出した予算はちょこっとちょん切らなければ大蔵省じゃないくらいに思っておる。査定する立場で、自分たちはえらいくらいに思っておるものだから、その点はちゃんと大蔵省に対して、厚生省はあまりまじめに、正直一方じゃなくて、少しはかけ引きも皆さん方やってもらって、被爆者の方々が喜ぶようにしてもらいたいと思います。
 それから、各種手当の増額の実施時期、これがことしの十月になっていますね。一方、所得制限の緩和は、ことしは四月一日になっていますね。これは何でそういうように半年ずらしたのですか。手当の増額は何で四月一日から実施できなかったのですか。
#278
○加倉井政府委員 十月からの実施につきましては、ほかの制度の額の引き上げ等も十月になっておりまして、それに合わせたという、きわめて機械的な問題でございます。
 それからもう一つは、やはり額の増額等につきまして、たとえば所得制限の額の引き上げ等もございまして、いろいろ準備等もあろうかという配慮もございまして、先ほど申し上げましたほかの制度との単純な比較ということで十月にいたしたわけでございますが、所得制限だけにつきましては四月一日からということでございます。
#279
○小宮委員 この所得制限についても、これは撤廃してもらいたい――いろいろな制限が加わってきているわけですね。被爆者に対して、年齢制限とか病気制限とか、いろいろなことがある。したがって、この所得制限を取っ払ってくれというのがほとんど全員の声なんですが、これはどうしても撤廃できませんか。
#280
○柳瀬政府委員 所得制限を撤廃すべしという御意見も非常に強い御意見としてあるわけでございます。私どもも、できますれば撤廃をしてもらいたいわけでございます。しかし、ほかの各種の手当等にもやはり所得制限のあるものもあるわけでございまして、それらの手当につきましても撤廃せよという御意見があるわけでございます。そういう関連で、いま直ちに撤廃というところまでいけなかったわけでございます。
 しかし、今回は相当大幅に所得制限を緩和いたしました。従来の所得税額の四万八千四百円以下の者というのを七万一千七十円以下というふうに大幅な引き上げをやりまして、これは月額に直しますと、月収約十五万円くらいまでの方なら所得制限にひっかからない、こういうところまで引き上げたわけでありますので、今回はこれでひとつ御了承を願いたいと思います。
#281
○小宮委員 今回はやむを得ぬとして、大幅に引き上げたということを言っておるわけですけれども、来年はもっと大幅に、私に言わしめれば大体二十万ぐらいまで引き上げるべきだ。だから、撤廃しろとは無理には言いませんが、とにかくことしは四万八千四百円を七万一千七十円ですか、ここまで上げて大幅と言われても、ちょっとわれわれにはぴんときません。だから、われわれにほんとうに大幅に引き上げた、なるほど厚生省は思い切ってよくやったと言われるくらいに、来年は大幅に引き上げてもらいたい。
 この所得制限が、本人だけでなくて、結局扶養する兄弟とか孫とかみんな入っておるわけですね。そういうようなことで、被爆者に対して何とか金を出さぬように、手当を出さぬようにという考え方が、どうもこの所得制限の中にあらわれてきておるというように感じるのですが、まあせめて親か――兄弟といったって皆さん他人と一緒ですよ。親か子くらいまでならまだしも、兄弟や孫まで、いとこかはとこまでみんな持ってきて、扶養義務者という名をひっつけて、それで所得制限をしているというのは、あまりにも血も涙もないやり方だと思う。それで困っている人を私も何人も知っておるのです。だからこういうような制限の中でも、やはり範囲をもっとすっきりしてもらわぬと、もうネコもしゃくしも親戚という名のつくやつはみんな持ってきて、そうしてだれかがおると、これはもう全部だめだ、そういうふうなことは、あまりにもかわいそうじゃないかと思うのです。そういうふうな点についての改善する意思はないですか。
#282
○柳瀬政府委員 他の手当には、本人と扶養義務者を分けておりまして、本人の所得が幾ら以下、扶養義務者の所得は幾ら以下というふうにしている制度もございますが、原爆被爆者の場合には、生計を一にしている扶養義務者だけに限っておりまして、いとこ、はとこ、兄弟が幾らおりましても、それは生計を一にしておらなければ、その人は扶養義務者とみなしておらないわけでございます。
#283
○小宮委員 それから、先ほども原爆病院の問題が出ておりましたけれども、これは私も実をいえば病院に行っていろいろ話を聞いてきました。広島と同じというより、むしろ長崎の原爆病院のほうがやはり赤字が多いのですね。それは、広島はもともとあそこに日赤病院があって原爆病院がありますのに、長崎は初めからそれを建築したという関係もあって、非常に赤字が出ております。調べたところでは、もうすでに四十七年度の末、今月末まで大体累積赤字が一億四百万、それからさらに昭和五十年度までに大体新たに三億五千二百万の赤字が見込まれております。それで、非常に病院側も一生懸命企業努力はやっておるようです。しかし、普通の病院の経営の場合は大体差額ベッドである程度まで利益を得ておるわけですが、原爆病院という特殊な病院である以上はそういうこともできないし、非常に企業努力をやってお侍るけれども、もう企業努力だけではどうにもならぬというところまで追い込まれておるようです。私もいろいろ聞きまして、なるほどよく企業努力をやっておるなということを感じてまいりましたが、しかし、この赤字の問題についても、これは日赤の支部長は知事ですから、それで経営審議会でいまいろいろ検討しておるようですが、しかし、やはりそれだけでは、長崎も特に貧乏県だし、そういうような財政援助をするといっても、これは限度がございます。
 そういうような意味で、午前中からいろいろ話が出ておりましたけれども、いままで国が補助したのは四十三年と四十六年の大体二回きりですね。それで三千二百万でしたか、それと、長崎県と長崎市は、それでも六千五百万ぐらい出しておるのですよ。そういうような意味では、やはりこの原爆病院の経営安定をはかるために国の助成をぜひお願いしたい。特に先ほどからお話がありましたように、ちょうど看護婦さんが去年の十月からやめられて、そして一時病床を減らしたことがありましたが、いまようやく看護婦さんもまたもとの数になって、新年度からはベッド数も同じになりましたけれども、しかし、またいつそのようなことが起こるかわかりませんので、先ほどからいろいろ話があっておりましたけれども、ひとつ厚生大臣から、四十三年とか四十六年とかとぎれとぎれじゃなくて、やはり毎年継続して、ある程度の助成をしていくということを、ひとつぜひお願いをしたいのですが、またひとつあらためて大臣の御所見を願いたい。
#284
○齋藤国務大臣 長崎原爆病院につきましては、だいぶ赤字もたくさん出ておるようでございます。しかし幸いに、県も市も非常に御熱心に、この長崎原爆病院については心配してあげなければならぬという非常に熱意を持っておられるようでございます。
 そこで幸いに現地に審議会といいますか、そういうものをつくっておりますから、それでひとつ何年計画かでこの赤字をなくすという計画をつくってもらいたいと思うのです。それは私のほうから県知事のほうに指示をいたします。そして何年計画かでこの赤字を解消する道を考えろ。そして県で出すべきものは出すでしょう。また市は市で協力するものもありましょう。しかし市と県と、これだけ援助してもどうにもならぬということがありますから、そういうふうなものについては国が各方面と連絡をとりながら、お年玉の益金というふうな出どころもありましようし、あるいは自転車振興会から金を出すという道もありましょう。それらについては、こちらも援助し、同時に、先般もちょっと申し上げましたが、公的病院に対する補助がことし初めて二億八千八百万円、わずかといえばわずかですが、ことし初めて取れた補助金でございますから、そういう原爆の重要性に思いをいたして、できるだけその赤字を解消するように計画的なやり方をやらすように、国としても責任をもって努力いたしたいと考えております。御了承を願っておきたいと思います。
#285
○小宮委員 いま赤字経営の一番大きな問題は、ちょっと午前中も出ておりましたけれども、被爆者医療という特殊の性格からいって、やはりガンセンターの設備だとか放射能障害の設備だとか、こういうような不採算部門のこれの経費が多いのですね。それだけでも、四十八年度だけでも五千九百万の経費が計上されております。したがって、やはりこういうようなものを今後は、ただ赤字全体に対してある程度やることも必要だけれども一、こういった特殊の病院だけに、こういうふうな不採算部門についての経費あたりをやはり国で見てやるとか、そういうふうな問題をひとつぜひ考えてもらいたいのです。これは県でも市でもやりますけれども……。
 それからもう一つ、いろいろな手続とかなんとか原爆病院で全部やっておるわけですね。そういうふうなあれも全部経費もみんな入っておる。あれは当然市なり県なりが負担せにゃならぬやつが全部病院がひっかぶっているということで、そういうふうな問題もあるので、やはりこういった今後の病院の経営のあり方も十分再検討してもらわぬと、病院側だけそれをみんなしょい込んでしまって非常に気の毒であるというような感じもしておりますので、そういった面について、たとえば不採算部門についてはこうなんだというような一つの方針でも出していただけば幸いだと思うのですが、その点やはり今後の問題として考えてもらいたいと思います。
 それから、いま大臣が言われたように、ことしの場合はやはり二億八千八百万円ですか、その中から幾らかやるということですか。
#286
○齋藤国務大臣 ええ、そうです。
#287
○小宮委員 幾らですか。
#288
○齋藤国務大臣 ですから、先ほど来申し上げておりますように、財政再建計画を立てさせて、この分は市が持ちなさい、この辺は県が持ってくださいよ、こういうふうな計画を立て、そうして不採算部門については国が――先ほど申し上げましたような初めての予算でございますから、その中から、補助は、予算が通らぬうちに具体的にいま何ぼということは私の口から申し上げられません。要するに再建計画とにらみ合わせて計画を立てて国がめんどうをみるというふうにいたしたいと思います。
#289
○小宮委員 それからいま被爆者の人たちは非常に老齢化してきて、発ガン率は高いですね。だからガンの定期検診、定検というものをやはりひとつぜひ実施してもらいたいと思うのですが、たとえば年々二回なら二回はぜひやるというようなことで、それは行政指導の面でやれますか。
#290
○加倉井政府委員 御指摘の点につきましては、私どもも行政指導の面から実施いたしたいと考えております。
#291
○小宮委員 二世の問題ですね、いま長崎で二世の方がなくなられておるわけですけれども、二世に対する調査研究というのは現在どうなっておりますか、そうして今後どういうふうにされるつもりか、その点を聞きたいと思います。
#292
○加倉井政府委員 二世の方々の調査研究という問題につきましては、それを表に立てて実施すること自体非常に慎重にならざるを得ない面がございますので、それをどのような形で実施するかにつきましては、慎重に検討いたしたいと思いますし、また、その調査結果につきまして、早く二世の方々の不安を除去できるならば除去して差し上げたい、かように考えて、いろいろいま考え中でございます。
#293
○小宮委員 長崎大学の医学部の原爆後障害医療研究施設、これあたりはひとつ研究所に昇格させて、原爆関係の研究、調査、対策等について、ひとつ本格的に取り組んでもらいたいと思うのですが、これは文部省の関係になりますか、この長崎大学の医学部の原爆後障害医療研究施設を研究所に昇格させるということは可能かどうかということをちょっとお聞きしたいのです。
#294
○加倉井政府委員 長崎の研究施設を研究所に昇格させる問題につきましては、これは文部省所管でございますので、御要望のありました点につきましては、文部省のほうにお伝えいたしたいと思います。
#295
○小宮委員 まだ質問したいのですが、私もくたびれましたので、これくらいでやめます。どうもありがとうございました。
#296
○田川委員長 これにて内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案についての質疑は終局いたしました。
     ――――◇―――――
#297
○田川委員長 おはかりいたします。
 中村重光君外四名提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者全員から撤回の請求がありました。
 本案は、すでに本委員会の議題となっておりますので、これを撤回するには、委員会の許可を要することになっております。
 本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#298
○田川委員長 御異議なしと認め、撤回を許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#299
○田川委員長 これより内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#300
○田川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#301
○田川委員長 この際、竹内黎一君、山田耻目君、寺前巖君、大橋敏雄君及び小宮武喜君より、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 趣旨の説明を聴取いたします。山田耻目君。
#302
○山田(耻)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の五党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について、その実現に努めること。
 一 認定疾病については、悪性腫瘍等最近の被爆者医療の実情に即応するよう検討するとともに、範囲の拡大に努めること。
 二 特別手当、健康管理手当、医療手当及び介護手当については、その額の引上げと所得制限の大幅な緩和及び適用範囲の拡大(年齢及び地理的条件を含む。)並びに期間の延長に努めること。
 三 六十五才以上の原爆被爆老人の医療費の無料化に努めること。
 四 葬祭料の金額を大幅に増額するとともに、過去の死亡者にも遡及して支給することを検討すること。
 五 被爆者の医療費については、全額公費負担とするよう検討することとし、さしあたり、国民健康保険の特別調整交付金の増額については十分配慮すること。
 六 昭和五十年の国勢調査を目標として、被爆者の実態調査を行なうこと。
 七 被爆者の生活、医療等の相談に十分応じられる態勢の充実に努め、被爆者に対する相談業務の強化を図ること。
 八 被爆者の子及び孫に対する放射能の影響についての調査研究及びその対策について十分配慮すること。
 九 沖繩在住の原子爆弾被爆者が本土なみに、治療が受けられるよう専門病院等の整備に努めること。
 十 原爆傷害調査委員会(ABCC)と国立予防衛生研究所の協力関係について再検討するとともに、各省にまたがる研究機関及び民間医療機関が放射能の影響や治療、研究調査を一元的に行ないうるよう促進を図ること。
 十一 被爆者の救済に当たつては、戦争犠牲者救済の公平を確保するうえから、旧防空法による犠牲者に対してもすみやかに施策を講ずること。
 十二 広島、長崎の原爆病院等の特殊性にかんがみ病院財政の助成について十分配慮すること。
 十三 特別手当、家族介護手当については、生活保護の収入認定からはずすよう検討すること。
  以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
#303
○田川委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#304
○田川委員長 起立総員。よって、本案については竹内黎一君外四名提出の動議のごとく、附帯決議を付するに決しました。
 この際、厚生大臣より発言を求められております。これを許します。厚生大臣齋藤邦吉君。
#305
○齋藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後とも一そう努力をいたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#306
○田川委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#307
○田川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#308
○田川委員長 次回は来たる四月三日火曜日、午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後八時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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