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1972/07/12 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第41号
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1972/07/12 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第41号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第41号
昭和四十八年七月十二日(木曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 田川 誠一君
   理事 伊東 正義君 理事 塩谷 一夫君
   理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 山下 徳夫君 理事 八木 一男君
   理事 寺前  巖君
      大橋 武夫君    加藤 紘一君
      瓦   力君    小林 正巳君
      斉藤滋与史君    志賀  節君
      住  栄作君    田中  覚君
      高橋 千寿君    戸井田三郎君
      中村 拓道君    羽生田 進君
      増岡 博之君    粟山 ひで君
      枝村 要作君    金子 みつ君
      島本 虎三君    田口 一男君
      田邊  誠君    多賀谷真稔君
      村山 富市君    山本 政弘君
      石母田 達君    大橋 敏雄君
      小宮 武喜君    和田 耕作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 出席政府委員
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        中小企業庁計画
        部長      原山 義史君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局官房審議
        官       後藤 英輔君
        厚生大臣官房審
        議官      福田  勉君
        農林省畜産局牛
        乳乳製品課長  佐野 宏哉君
        水産庁研究開発
        部漁場保全課長 前田  優君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十一日
 辞任         補欠選任
  瓦   力君     高見 三郎君
  住  栄作君     中村 寅太君
同日
 辞任         補欠選任
  高見 三郎君     瓦   力君
  中村 寅太君     住  栄作君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法
 律案(内閣提出第一一〇号)
     ――――◇―――――
#2
○田川委員長 これより会議を開きます。
 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 申し出がありますので、順次これを許します。小林正巳君。
#3
○小林(正)委員 この法案につきましては、私はたいへん賛成でございます。冒頭からその態度は明白にしておきますが、ただ、若干の点について伺いたい、こう思うわけです。
 この法律が今日出されてきたことは、むしろおそきに失するの感がある。何だってこういうふうに、いままでいろいろな被害が実際に新聞紙上をにぎわしておったように起きているにもかかわらず、今日まで遅延をしてきておったかという事情について、まず伺いたいと思います。
#4
○齋藤国務大臣 御承知のように近年非常に化学工業が発達いたしてまいりまして、いろいろな化学物質が家庭用品に使用されるようになって、その面においては私どもの日常生活に豊かさというものをもたらしてきたことは否定できないことでございます。しかしながら、その反面、こうした化学物質について、国民の健康を守る上にいろいろな問題が発生いたしてまいりましたので、今回思い切ってこういう立法をお願いしようということにいたしたわけでございます。
 なるほど小林委員がお述べになりましたように、こういう問題については、もっと早く出すべきではなかったかという御意見、私もその点は虚心たんかい、そのとおりに承っておるわけでございまして、もっと早くという考えもございましたが、実は昨年食品衛生法の改正等を行ない、特に最近に至りましてPCBの問題、それから油の問題そういったふうなことが起こってまいりまして、食品中心に重点がそちらに移っておったわけでございます。しかし、食品だけということになりますと、やはりまだそこにあいている穴もあるというふうなことで、急遽こういう法律を提案することにいたしたわけでございます。あるいはおそかったかもしれませんけれども、今日これは非常にむずかしい問題でございますので、できるだけ早い機会にこの法案を出さなければならないということで決意をいたしたような次第でございます。
#5
○小林(正)委員 いろいろなその被害が実際に起こっておるわけですが、大体こういう法律というのは実際被害が起きてから適用されるということになるわけでございます。それで、いろいろな有害物質を含んだ家庭用品を、この法律では事前にチェックすることが不可能であるように思います。もちろん、一年に何千何万と出るいろいろな新製品について事前に一々チェックをする、届け出をさしてその内容を、成分を調べるということは、実際問題としては不可能であろうと思うわけですが、そうした点で、この法律には若干の行き届かない面があるように思う。それらをどういうふうにカバーをしていくか、その辺について技術的なことでございますが、伺いたいと思います。
#6
○浦田政府委員 今回の家庭用品の規制に関する法案でございますが、この対象とするところは、確かに今回発足する時点におきましては、すべてのいわゆる健康に被害を及ぼすような物質が対象として網羅されているということではございません。もちろん、考えの根底にはそれがあるわけでございますが、現実に規制をかけていこうとしておりますのは、いわゆるネガティブ方式でございまして、全部の物質に対象が及ぶということではございません。
 これは、一つやはり食品衛生法あるいは薬事法の対象にしておりますものと違いまして、直接に人間の体内に摂取されるというようなものではございませんで、いわば皮膚に触れるとかいったような間接的な経路でもって健康障害を起こすことでございまして、必ずしも食品衛生法の対象とかあるいは薬事法の対象といったような考え方でもってすべてを原則的に網羅して縛っていくという考え方でなくても、とりあえずはよろしいのではないかということでございますが、いままでもこの種の健康被害の実態の調査はかなり進めてきておりまして、化学品名で申しますと、約三十一品目のものについての調査が終わっております。今後さらにこのような実態調査、それから研究を進め、逐次対象として取り上げていくことによって次第に全般をおおうというふうなかっこうに持ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#7
○小林(正)委員 諸外国では、こうしたものについて具体的にどういう法律で規制をしておるか、その辺をひとつ参考のためにちょっとお聞かせを願えませんか。
#8
○浦田政府委員 欧米諸国におきましても、やはり家庭用品による被害が問題とされておりまして、立法化その他の手段によって対処をしているところがかなりございます。しかし本法案のように、家庭用品全般に関しまして化学物質の使用規制を行なう、そのことのみを目的とした単独立法というものは、どうも例を見ないようでございます。
 試みに主要各国の例を申し上げますと、まずアメリカ合衆国でございますが、連邦危険物法をはじめ自動車、可燃性繊維、ガス管、玩具等を規制する各法律がございまして、この各法律によりまして安全性についての規制が行なわれてきております。しかしながら製品全般に適用される総合安全立法という形で昨年十月に製品安全法が成立いたしておりまして、その体系の一環として製品に使用されておる化学物質の毒性の問題も取り扱われることとなっております。これがどうもアメリカの実情のようでございます。
 次に、カナダでございますが、これも連邦危険物法というやはり同名の法律が一九六九年に成立いたしておりまして、健康や安全に被害を及ぼしやすい危険品に対しての販売、広告、輸入の規制を行なっております。
 それからフランスでございますが、家庭用品を対象といたしました衛生や安全を確保するための単独の法律はないようでございます。しかしながら、次に述べますような各法律、規制などによりまして規制が行なわれております。まず公衆衛生法でございます。これでは、法律で定める有害物質を含有する衛生用品は医薬品に関する規定を適用するというふうに定められております。次に、容器用塗料及びワニスの規制に関する法律というのがございまして、塗料やワニスの規制が行なわれております。それから三番目といたしまして、食料品と接触する容器等の清浄剤に関する法律というのがございます。それから四番目といたしまして、フランス規格協会による標準規格という定めがございまして、その中で家庭用陶磁器の規格が定められておるといったようなことでございます。
 次に、スウェーデンでございますが、家庭用化学製品による子供の中毒事故が続発したために、スウェーデン政府は毒性管理センターというものを設立いたしまして、家庭用品にかかわる中毒事故等についての情報の収集、分析及び応急手当て等に関する情報提供義務を一九五九年以来開始しておりまして、一九六四年からは自動データ処理システムを採用いたしまして事故の発生の防止などに万全の体制を整備しつつある、このような状況でございます。
#9
○小林(正)委員 実際これは、最初にチェックすることがなかなかむずかしいとしました場合に、逐条的なこまかいことは野党の皆さんがおやりになるでしょうから私は大ざっぱにいきますが、何らかの有害製品が出て、そういう被害があった場合に、回収命令を出すというようなことが予想されますね。その回収をする場合に、まあ小売りからメーカーへと在庫は戻るでしょうが、すでに市販されているものがある。そして、生命にかかわるようなことはないであろうけれども、ちょっとお医者さんへ通うぐらいの被害にかかる場合があろうかと思うのですが、そうした場合についての賠償制度というものが、これに欠けておるように思うのですね。その辺はどう考えておられるのでしょうか。
#10
○福田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生おっしゃいましたように、この法律の期待いたします行政処分といたしましては、基準に適合しないもの、あるいは重大な被害が出てきたものは回収命令をかけるようになっております。その前に第五条で、そういうことのないように基準に適合しないものについては、いわゆる販売の禁止をいたしますので、その大もととして、まず販売の禁止をする、それに漏れたものについては回収命令をするという二重の規制をかけておりますので、非常に被害の大きいものが出回ってくるというおそれは私のほうではそう感じておりません。したがってその前に、基準に適合しない家庭用品をどう基準に取り入れていくかということが、まず大きな問題となっていくであろう、この点は万全を尽くしたいというふうに考えております。
 なお、それに伴いまして、先生のおっしゃいましたように確かに賠償制度ということが問題になってくるわけでございます。これは家庭用品だけではございませんで、食品あるいは薬品の事故につきましても賠償制度というのはかねてからいわれております。御指摘のとおりでございます。私どものほうといたしましては、いま食品、薬品、それから家庭用品の事故を含めまして、中で委員会を設けまして鋭意検討中でございまして、その中の一環として取り上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#11
○小林(正)委員 実際そういうことは起こり得ると思うんですよ。私が何らかの製品を買ったとしますね。それによって被害を受けた――それを使わないで持っておれば、また福田さんなり何なりに返して、有害でないものと引きかえることができるであろうと思うのです。回収命令が出ているんならばですよ。ところがそれを使用したために何らかの被害を受けてしまっておる。使用したものについては、もちろん金で払い戻すわけでもないし、医療費を負担するわけでもないのでしょう。その辺に私は問題があると思うのですよ。実際にこれは把握がなかなかむずかしいかもしれませんがね。また、その因果関係をはっきりすることはなかなか容易でないかもしれないけれども、実態としては、そうした場合にどういうふうに処理されておるんですか。小売りと一般消費者との間の話でやられる場合もあるであろうし、それから消費者とメーカーなり問屋なりとの間の場合もあるでしょう。そういう処理の実態というのは、どういうふうになっているんですか。
#12
○福田説明員 ただいま御指摘のように、こういう家庭用品の場合には、その因果関係が必ずしもはっきりしないという場合が非常に多いだろうというふうに想像しております。しかしながら家庭用品によって皮膚のかぶれが出てきたとか、あるいはそういうふうな被害がございます場合には、当然この法律におきましても、家庭用品衛生監視員を置きましてそういうところの立ち入り検査等を行ないますし、さらにモニターとかあるいはその苦情の処理ということで把握いたしますので、その場合はまず疫学的な調査と申しますか、疫学的な手法によりまして、そういうような被害のケースが多いということになりましたら、やはり一番疑問と思われる家庭用品というものを検査するということをしなければいけないと思っております。しかし、その検査自体も、やはり慢性毒性等につきましては相当時間がかかりますので、一過性のいわゆる急性毒性につきましては相当早い時期にわかるわけでございます。こういうもので原因者はだれかということは突きとめられるというふうに考えております。
 ただ、その場合におきましても、問題は販売業者よりも製造業者、メーカーでございまして、やはり製造業者に一番責任がかかっておるわけでございます。その点は製造業者に対する販売の段階、あるいは製造の段階におきまして、そういうような責務というものは十分普及徹底いたしたいというふうに考えておりますが、賠償の問題につきましても、したがいまして、主としてメーカー、製造業者が保険で担保するというような方法、あるいは一つには基金を設けるとか、あるいは保険制度にするとかというようなことを考えております。ぜひPPPと同じように、いわゆる原因者の負担というような考え方に持っていきたいというふうに考えております。
#13
○小林(正)委員 先ほど申し上げたように、たいへん製品が多いわけですから、一つ一つ事前にチェックするということは、国の能力としても限度を越しておるということはわかるのですが、その中でもとりわけ、おとなの場合はまだしも、子供、赤ん坊、乳幼児に関するような製品というものは、やはり私はある程度重点的に事前にチェックするようなことを考えなくちゃいかぬのじゃないかと思うのですね。せんだっても九州のほうでしたか、赤ちゃんのおむつ、あれも輸入品だと伺っておりますが、そういうふうな問題も起きておる。まあ小さな毒性のものでも、赤ん坊のからだは非常にデリケートにできておるわけですから、被害が起きやすいということもありますね。
 ですから、国がそのメーカーならメーカーに対して、赤ちゃんのそういった家庭品をつくるメーカーに対しては、何らかの方法で事前に相談を求めさせるとか、技術的な指導を受けさせるとか、あるいはメーカー自身あるいは業界自体がそうしたものを自主的に検査できるような機関をつくることを奨励する、そういう実効のあがる方法をやはりとらなくちゃいかぬのではないか、こう思うのですが、厚生省でこの法案にからんで、そうしたことを考えておりますか。
#14
○浦田政府委員 確かに先生の御指摘のように、ことに乳幼児等、皮膚が非常に敏感なと思われる方々への特別な配慮というものは十分にいたさなければならないと思います。本法案を準備する段階でも、いろいろと事前の調査をやっております。そういったような調査の中で、一応今回対象としておる物質の中には、これらのものが、赤ちゃんのはだ着類に使っておる化学物質の問題は含まれておるというふうに私どもは考えております。しかしながら、さらに今後とも、特に乳幼児の方あるいは一般に皮膚の敏感な方々をも対象として考えながら、新しい物質、あるいは現に流通しておりましても、まだその辺のところの実情のわかっていない物質についての試験、調査、研究を進めていきたいと思っております。
 それから十分に情報を集めるという努力、あるいは監視指導ということによりまして、万一、現在流通しておりまして、しかも今回の物質ネガティブリストの中に載っていないものにつきまして、万一そういったような事故が起こっておるといったようなことがございましたならば、この法律の第六条の二項によりまして「厚生大臣又は都道府県知事は、家庭用品によるものと認められる人の健康に係る重大な被害が生じた場合において、当該被害の態様等からみて当該家庭用品に当該被害と関連を有すると認められる人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質が含まれている疑いがあるときは、当該被害の拡大を防止するため必要な限度において、当該家庭用品の製造又は輸入の事業を行なう者に対し、当該家庭用品の回収を図ることその他当該被害の拡大を防止するために必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができる。」という規定を適用いたしまして、さっそく措置するとともに、そのような化学物質につきましては新たに危険な対象として取り入れていくということによって、その辺の措置に遺憾なきを期していきたいと考えております。
#15
○小林(正)委員 私は自然科学に弱いから、舌をかみそうなことばは一切使わぬことにいたしますが、せっかくこういう法律をつくるわけですから、法律が成立した暁には、運用面といいますか実施面で、できるだけ実効のあがるようにしていただきたい。そういう努力を厚生省当局に特にお願いをいたしておきます。
 それで、やはり家庭用品に限らず、子供の健康ですね、特に乳幼児の健康というものについては、できるだけ行き届いた施策といいますか、そういうものが必要であろうと思うのです。それに関連しまして、これはこの法律からはずれますが、最近、先月の十六日に和光堂という会社がつくっているニューレーベンスという粉ミルクが値上がりをしておる、一割以上上がっておるのですね。さらに、この十六日には明治粉ミルクの一割以上の値上げがやはり実施される。また、今月末には森永、雪印といったメーカーの、この四社でほとんど全部、もう九〇%以上のシェアを占めておるのではないかと思うのだけれども、値上げが予定されておるそうです。この値上げにからんで、一部地方では現に粉ミルクが品切れになる、薬屋さんに問屋から粉ミルクがおりてこないということになる、そういう実態が起きておるわけです。
 これは普通われわれが、たとえばきのうまでナショナルのテレビを見ておった、それがぶっこわれたから、きょうは日立だ、じゃあ日立を見ようというのと違って、粉ミルクの場合には、私の聞くところ、たとえばニューレーベンスという粉ミルクを飲んでいた赤ちゃんが、その翌日から、今度は切りかえて、明治なり雪印なりほかのメーカーの製品の粉ミルクを飲むと、赤ん坊は非常にデリケートにできておりますから、発熱をしたり引きつけを起こしたり、そしてまた救急車が夜中に走るというような実態が地方にあるわけです。
 その流通過程がどうなっておるのか。私は、ともかく乳幼児の健康という観点からこの問題ちょっと伺ってみたい。厚生省に伺うことが適切かどうか。ですから、農林省及び公取の方においでをいただいているわけです。そういう実態があることを厚生省自体は把握をしておられるかどうか、ちょっとその辺を伺います。
#16
○浦田政府委員 ニューレーベンスミルクでございますか、この値上げの、あるいはその他のミルク製品の値上げの動きについては、私どもまだ承知いたしておりません。
#17
○小林(正)委員 これは私の選挙区の中で実際にそういうことが起きておるわけです。ある薬屋さんにいままでニューレーベンスを子供に飲ましておった母親が買いに行った、先月ですね。ところが品不足でないということなんですね。私は値上げ自体は、妥当かどうかということは、これはまた別の観点で考えなければいかぬことだけれども、少なくとも各メーカーは、たとえば産院や保健婦さんなんかを通じて赤ちゃんが生まれたときにサンプルとして粉ミルクをプレゼントをする、そういう商習慣があるんですね。これはシェアを伸ばすためのものだろうと思うのです。そういう商習慣が一般的にある。ところがそのミルクを、何らかの銘柄のミルクを飲んだ赤ん坊は一ぺん飲むとかえられなくなるわけですね。そこに商習慣としてのねらいがあるんでしょう。そういうある程度商行為として、自分のところの製品に赤ちゃんをつけるというならば、少なくともその流通の段階で粉ミルクが切れるというふうなことがあっては困るわけですね。これは赤ちゃんにとっては粉ミルクというのは、おとなの主食みたいなものでしょう。それがそういう流通過程で値上げにからんで――からんでと断定していいかどうかわからないけれども、実際に需給のバランスがくずれていく、足らない。現在私のところなんかちょっと私も何軒か聞きましたけれども、明治がいま全然出回ってないそうです。明治の粉ミルク。十六日から値上げするということに影響があるようですね。
 それで、私はきのう東京都内の薬屋さん十何軒か回ってみました。実際にその粉ミルクが不足しておるかどうか。ある小売り店は品不足といえども、どうにか持ちこたえているということです。またある小売り店はどうも値上げだというので、問屋がなかなかこっちが要求したとおりのミルクを持ってこないので、私のところには新聞記者の奥さんがよく買いものに来ますよ。だから新聞に、そういうはっきりとした理由を示してもらえないんなら新聞社にも知らせる、厚生省にも言っていくとか、ある程度脅迫的なおどしがきいたのかどうか知らぬけれども、おかげで一切そういう品不足はない、こう言っていました。またある薬屋さんは、自分のところの地域は乳幼児が比較的少ないからいいけれども、団地付近などで非常に出産率の高いところでは、たいへんだったはずだということを言っておる。どうにか全然品切れでどうにもならぬというふうなところはありませんでしたが、それは東京都内でのお話。
 現に私の選挙区では出回りが非常に悪くなっておるということは事実なんですね。これは米と一緒のように赤ん坊にとって主食ですから、これは農林省でしょう、農林省の乳製品課が所管をしておられるのか、一体農林省あたりはこういう粉ミルクのメーカーに対して日ごろどういう指導をされておるのか、一体今の値上げの動きというものを把握されておるのか、その値上げがある程度妥当だと思われておられるのか、どういう理由での値上げなのか、その辺どういうふうに把握しておられるか、ちょっと農林省のほうに伺います。
#18
○佐野説明員 お答えいたします。
 先生お話しのとおり和光堂は六月十六日から値上げをいたしました。先生お話しの雪印、森永の二社につきましては、私どもまだ詳細は承知いたしておりませんが、明治乳業の値上げが近い時期に迫っておるということも先生お話しのとおりでございます。
 それで、和光堂の値上げは千百五十グラム入りの大かんにつきまして旧価格が八百五十円でございましたものが九百八十円、それから四百五十グラム入りの小さなかんが三百五十円のものが四百円に値上げをされました。それでパーセンテージにいたしますと、一四%強程度でございます。
 それで私どもの感想といたしましては、旧価格は四十五年の値上げ以来据え置かれておりましたので、これは三年目の値上げということに相なるわけでございまして、最近のように原乳代も高くなっておりますし、労賃その他も一般的なコストアップの中で、遺憾なことではございますけれども、そうむげに押え切れるものではないというふうな感じを持っております。
 それから明治乳業のほうは私どもが現在のところ聞いておりますところでは、やはり和光堂と同様一四%強くらいの値上げをするという意向のようでございます。
 それで値上げの前後には値上げを見越した仮需要が生じますので、円滑な供給を確保するためには特別の配慮をしなければならないということは、私どもも先生仰せのとおり考えておりまして、それで明治乳業にも値上げの前後に品がすれが起こらないようにということはくどく申しております。六月の数字では明治乳業の粉ミルクの出荷前年同月に比べて一〇%増の水準で出荷をいたしておりますので、大体は仮需要も含めてまかなっておるものだろうと考えております。
 ただ、先生から和光堂の件につきまして、おしかりをいただきまして調べて感じておりますことは、やはりメーカー段階での出荷ということにつきましては、私ども注意して見ておりますけれども、問屋から薬屋さんへ行く流通段階のところに率直に申して私どもも注意が行き届かなかったところがあるということは反省をいたしております。それで乳製品協会等を通じまして、流通段階での物の流れが円滑にいくということを確保するために、あらためて行政指導を強化していきたいというふうに考えております。
#19
○小林(正)委員 赤ちゃん用の粉ミルクというのは寡占状態ですね。これは四社でほとんど圧倒的なシェアを固めておるわけですから。
 そこで公取の方、きのう公取の委員長は記者会見で非常に勇ましいお話をされていますね。前科があるというか、いままでもそういう価格協定をやっておるような業界に対しては、刑事罰をもって臨むべく検察庁へ告発するんだということが、きょうの新聞のトップででかでかと出ておる。この粉ミルクの件、公取のほう把握しておられますか。
#20
○後藤説明員 今回の粉ミルクの値上げの問題につきましては、業界紙等を通じまして事情を把握しつつあるという程度でございます。ただ、公取が審査に動き出すという場合には、証拠の固めがたいへんむずかしいものでございますので、いつどういう形でもって審査に動き出すかということは、非常に慎重に、また内々極秘にやらなくてはならないというような事情もございますけれども、ただいまの段階では、一斉値上げというような形は少なくとも形式的にはとっておらないで、まず和光堂が上げ、あと競争的にほかの業者が追随するような形を一応とりつつあるようでございますけれども、先生の御指摘のように、あの業界は四社でもってほとんど独占している業界でありますので、そういう協定等の事実というようなものも、はっきりとした形を残さないでも事実上協定と同じような効果をあげるおそれは十分にある業界でございますので、そういうような点も含めまして、公取としては、取り上げるについては非常にむずかしい状態でありますけれども、慎重に対処してまいりたいというふうに考えております。
 先ほどの、公取が今後は刑事罰をもってでも価格協定等の悪質なと見られる事件については対処していかなくてはならないということにつきましては、そういうような決意を持ってでも、ほんとうに独禁法違反の措置が実効ある形でもって働かなければいけないということで検討をいたしているような段階でございます。
#21
○小林(正)委員 よけいなことかもいれませんけれども、公取の場合、証拠主義というか、証拠が出そろってから問題になる。ところが証拠は、すべて価格の値上げが行なわれてから御用といったっておそいのですよ、実際問題。公取がそうした問題について、事前に勧告とかあるいは何らかの形のチェックをしたためしはありますか。
#22
○後藤説明員 公取の事件でも、たとえば不公正取引法なんかにつきましてとか、あるいはまた誇大広告の問題なんかにつきまして、これは明らかにわかっておると思われるものについては事前に警告してあるいはやめさしたり、あるいはまた何らかの自主的な措置をとるというようなこともございます。先ほど申しましたような、証拠をりっぱに固めて審判に応ぜられるというような形をとらなくてはならないようなケース、これは公取の調べました事件につきましては、東京高裁にすぐつながりまして、実質的証拠がある場合には、裁判所も公取の調べを尊重するという態度になっておりますので、証拠調べを厳重にやらなければならないものにつきましては、いま言ったような慎重な手続と慎重な配慮が必要であります。
 それ以外の一般の、行政的に迅速に目的を達したほうがいいというようなものにつきましては警告したり勧告したり、そういうことで効果をあげているという事例もございます。最近では商業品についての並行輸入の問題につきましても、行政的に、業者を呼んですぐやめさせる、そのための誓約書をとるというようなことで措置した事例もございます。
#23
○小林(正)委員 ほかの業界の場合と違って、粉ミルクというのは、先ほど申し上げたように何百万という乳幼児の主食であるということ、そしてメーカーが事実上寡占状態にあるということなんですから――こういう問題は、値上げの可否の問題はわかりませんよ。ただ、さっき農林省が言われたように、三年間値上げをしてないんだから云々は、それなりの理由はあるでしょうが、公取の立場からいうならば、ある会社が先月値上げをしている、ちょうど一カ月後にまた同じパーセンテージで値上げをしている。さらに残る二社も値上げが予想されておる、これは小売り店はみんな知っています。今月末に値上げをするということは、小売り店はみんな知っておるというか、知らされておるわけです。公取も、それを大体把握しておると先ほど言われておったわけですが、御存じなんでしょう、それは。どうですか。
#24
○後藤説明員 粉ミルクの業界につきましては、前に裁判問題で、一応独禁法違反で問題に取り上げられまして、これは現在まだ最高裁まで係属しておるという事情でありますので、業界は独禁法の関係は十分知っている状況だろうと思います。そういうようなこともありまして、一応この業界につきましては、先ほど申し上げましたような寡占の典型的な業界であるというような事情もあって、業界の動きについては業界紙等を通じてのトレースはして、いま言ったような動きがあるという程度の実は把握でございますので、これ以上のところについてどうするかというようなことにつきましては、これはそれによってすぐ証拠隠滅の問題ともからむおそれがありますので、御答弁を遠慮させていただきたいと思います。
#25
○小林(正)委員 そういう問題について公取は、いま農林省などと横の連絡といいますか、そういうものは一切ないんでしょうか。
#26
○後藤説明員 一般的な行政的な問題につきまして、具体的な品目についての主務官省である農林省とはいろいろと事務的な連絡をするという点はございますけれども、ただ違反事件というような問題を取り上げる場合なんかにつきましては、あらかじめ相談して云々というようなことは、これはちょっとむずかしい問題だろうと思います。それ以外の一般的な調査その他につきましての段階では、十分関係の官庁とも常時連絡をそれぞれとっております。
#27
○小林(正)委員 農林省に伺いますが、農林省はこういう業界に対して、監督官庁としてどの程度の権限の幅を持っておるのか、それをちょっと説明してください。
#28
○佐野説明員 実は乳児用の調製粉乳は、乳製品の中でもたとえば価格の問題につきましては、役所がタッチする度合いの一番希薄な分野になっておると思います。といいますのは、脱脂粉乳でございますとかバターとか練乳、そういうものにつきましては価格を安定させる指標としての安定指標価格というのを役所がきめて、それぞれでその安定指標価格に落ちつかせるように畜産振興事業団が売買操作をするということになっておりまして、それでこれは行政が介入する度合いが最も高い。その次に飲用牛乳のようなものは、これは法律上特にどうこうということはございませんけれども、値上げをするというふうなときには、私どものところへかなり前広に連絡をしてくるというしきたりになっておりまして、そんなに上げるのはけしからぬから、もうちょっと押えておけというような、そういうやりとりが相当濃密に行なわれることになっております。
 調製粉乳の場合は、それらのものに比べますと、従来、役所は価格に介入をするというようなことは私の記憶する限りではございません。業界が自分たちの判断でしかるべく処理をしておるという形でございます。それで先生お話しのように、この業界は四社、しかも和光堂のウエートは非常に少のうございますから、事実上三社で九〇%以上のシェアを占めておりますから、そういう意味では調製粉乳の価格というものは彼らが上げるというふうに決心をしてしまった場合に、なかなか役所としても手が出しにくいというのが実情でございます。
#29
○小林(正)委員 ほかの商品と違って、値が上がったらやめておこうとか、あるいは消費者としての抵抗運動とか、そういうことはできないのですね。日本じゅうの赤ちゃんの大体七〇%は粉ミルクを飲んでおる。食糧ですね。それでいて消費者は非常に立場は弱い。赤ん坊を持つ親は、値上げされても、それじゃやめたというわけにいかぬわけですよ。そうでしょう。それならば、農林省としてこういう問題に対して全く無能だということになりますか。
#30
○佐野説明員 確かに先生御指摘のような側面がないわけではございませんが、ちょっと言いわけをさせていただきますと、実は調製粉乳の価格というのは従来非常に安定しておりまして、それで指数で申し上げますと、たとえばいま値上げをするといううわさが立っております明治乳業の製品は、大型かんの場合で三十一年を一〇〇にして一二〇、それから小型かんの場合が一一六・四ということで、十八年もたって十何%とか二〇%ぐらいしか値上がりしておらない。そういう意味で、だから手を抜いていいというわけではございませんけれども、調製粉乳の価格が非常に値上がりをして、そのために困るので、何か対策を講じなければいけないというふうなことが従来実際問題としてなかった、そういう経過からいま申し上げたような実情になっておるということだと思います。
 ただ今後の問題といたしましては、こういう四社でやる気になれば、少なくとも値上げができるというふうな状態で、役所が何もそれに対してブレーキをかける能力を持たないという現状は確かに放置しておいていいことではないと思います。今後十分に検討してまいりたいと思います。
#31
○小林(正)委員 厚生省に伺いますが、この粉ミルクに関して、地方の保健所の保健婦さんや何かが、一般の民間のお医者さんはいいですが、公共的な医療機関で生まれてきた赤ちゃんの母親に退院のお祝いに業者から受け取っておるミルクをプレゼントするというふうなことが実際に行なわれておるようですね、これはごく一部かもしれませんが。そういうことに、公共的な医療機関が特定のミルクを推薦するということになりますが、ちょっと私好ましくないのじゃないかという気がするのですが、どうでしょう。
#32
○浦田政府委員 保健所あるいは保健婦の問題でございますので、私の所管とは異なりますけれども、しかし厚生省の全般的な行政を適正に伸ばしていくために、そのようなことがもし事実とすれば、やはりおのずからそれは限度もございますし、好ましくないことであるというふうに考えております。特定のそういったメーカーのものをプレゼントする、あるいは何か特別にそこに関係があるといったような誤解を生ずるようなそういった行為というものについては、私はかはり望ましくないものであるというふうに考えております。
#33
○小林(正)委員 商行為としてそういうサンプルをばらまいて、できるだけシェアを広げようということの是非、これは別です。それから粉ミルクの値上げが妥当であるかどうか。常識的に考えて、先ほど御説明がありましたように、三十年からですか、一二〇%ですか、常識的に言うと他のものに比べて少ない。現に一般小売り屋さんでも粉ミルクを扱っても全然メリットがない、商売上はあまり意味ないというふうなことを私も実際に聞いていますから、たいしたマージンはないだろうと思いますね。
 しかし、それは別として、やはりこういう乳幼児の健康に直接的関係のあるものですから、しかも特定のミルクを、商習慣とはいえ、お客さんを固定してしまうわけですからね。なかなか一ぺん飲むとかえられない、かえる場合は半年以内だというふうなことが常識だそうですね。それ以後たってかえると、赤ちゃんの健康被害といいますか、飲まなくなるとか、そういったいろいろな被害が出てくるように伺っています。
 そういう意味で、値上げの是非はともかく、値上げにからんで流通が混乱をしてくる、それによって一般の薬屋さんで品切れが起こって、ほかのミルクを子供に飲ませたところか――これはどの子供もというわけじゃないでしょう、もちろんこれはいろいろ個人差があると思いますし、またミルクをかえたから必ず発熱するというものじゃなくて、そういった状態を起こす赤ちゃんは比較的パーセンテージからいえば低いかもしらぬけれども、実際にそういうことが起こるわけですね。そういう点で、農林省あたりは日ごろそういう行政指導を通じて、流通に混乱が起きて、母親が夜中救急車を頼んで病院にかつぎ込むというふうなことが絶対ないように指導をしていただかなくちゃいかぬと思うのですが、どうですか。
#34
○佐野説明員 先生御指摘のとおり、全くそのとおりだと思います。私どもも従来不行き届きの点があったことは重々反省いたしておりますので、今後業界の関係者に流通段階での混乱が起こらないように十分指導につとめてまいりたいと思っております。
#35
○小林(正)委員 もう時間でございますので、私はこれで終わりますが、厚生大臣にもお願いをしておきたい。
 いまの赤ちゃんのミルクと同様、乳幼児の健康というものは、とりわけ神経を使ったきめのこまかいやり方が必要だと思うのです。この有害物質を含有する家庭用品の規制の実施面においても、先ほど私が要望いたしましたように、赤ん坊に限らず子供のそういった危険のおそれに対して、できるだけ事前に予防していくという措置をとっていただくように関係当局に強くお願いをいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
#36
○田川委員長 田邊誠君。
#37
○田邊委員 国民の生活の安全をはかるのは、もちろん政治の責任であると同時に、また行政の重要な柱であると思うのであります。今日、国民の命を守り、生活をささえるということが七〇年代における政治の一大眠目になっておるわけでございますが、厚生行政はその中心であろうと思うわけです。ところが最近、右を向いても左も向いても、いわば生命の危険にさらされておる、日常生活が安全にできない、こういう状態になっておるわけでありまして、国民の不安は増すばかりである。
    〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
この要因をつくったのは言うまでもなく、そういった国民の切なる願いであり、あるいはまた政治の最も果たすべき要諦である命と暮らしを守るという、そういったことを無視した、いわば生産第一主義、大企業をいつも守るという立場、そういった政治のあり方に対して、今日の大きな不安が増大している最大の原因であると考えざるを得ないわけでございます。まことに政府の責任は重大であるといわなければなりません。
 今回、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律というものが出てまいりましたけれども、私がいま申し上げたような観点から考えるときに、この種のものが今日出されなければならぬということに対する政府の反省というものがまずあるのか、それからまた、いまごろになってこういったものを出さなければならないやり方に対して政府は一体どのように考えておるのか、こういう厳粛な気持ちがなければ、ただ単にこの種の法律案を制定しても、これは決して万全の対策にはならない、このように私は思っておるわけです。
 そこで厚生大臣への質問に入る前に、あなたは昼めしに非常に関心を持っていらっしゃる大臣ですが、まだきょうは昼食を食べていらっしゃらないと思うのですけれども、何を食べられるつもりですか。
#38
○齋藤国務大臣 本日の昼めしは、おすしを食べようと思って考えております。
#39
○田邊委員 そこで大臣、いま私は何も変なやりとりをするつもりはないのですよ。あなたはすしを食べられると言いました。そのあなたの気持ちの中に、いままでたとえばマグロならマグロを幾つか食べておったけれども、しかしそれを一つか二つ減らそうかという気分、こういう気持ちがあなたの心の中に働いてないかどうか。私は働きますね。私はすしは好きでよく食べますけれども、やはり何となしに、どうもこの魚を食べたら許容量をオーバーするんじゃないか、厚生省が発表したいわゆる献立表をオーバーするんじゃないか、そうすると自分の体内に水銀がたまってきやしないか、こういう不安が私はあります。
 これは冗談じゃありません。国民はいまだれでも食べているでしょう、あるいは食べることを少し控えている人もいるでしょう、食べない人もいるでしょうけれども、いずれにしても、私がいま冗談のように昼めしのことを言ったのは、いまその厚生行政を取り締まっているところの大臣の、人間としての生きたいというこういう気持ちの中に、そういう心理が働いていないかどうかということを私はお聞きしたいのでありまして、すしを食べるのはけっこうだけれども、そういう気持ちがあなたの中に実際に働いておるんじゃないかと私は思ってお聞きしたいのですけれども、どうですか。
#40
○齋藤国務大臣 先般の魚介類の水銀暫定基準、あれの発表以来、いま田邊先生がお述べになりましたような気持ちが非常に国民に広がってきているというふうに私も理解をいたしておりまして、私としてもこの基準を設定いたしました責任を痛感いたしまして、この基準の趣旨を十分徹底させるようにつとめなければならない、こういうふうに私は深刻に実は考えておる次第でございます。
#41
○田邊委員 いまあなたからいみじくも、私が質問しないけれども、この間発表した基準のことについて、国民に不安と誤解を与えたということについて非常に率直な発言がありました。
 それはまたお伺いをしますが、もう一つお聞きをしますけれども、あなたは昼めしを食べるときに、自分の持つはしが、たとえば塗りばしだとします。それから貝か何かのみそ汁がついてくる。そのおわんも塗りのおわんである。それからそこにある飯台も塗ってある、こういった食生活に当然付随しているものに対して、これはひょっとすると、この食器を洗ったものに何らかの有害物が含まれておって、この食器は汚染をされていないか。どうも食生活のめぐりにあるものに対して、あなたはやはりそういう不安を同時にお持ちになりませんか。
#42
○齋藤国務大臣 実は私も、厚生大臣になるまではあまり気にしておりませんでした。私率直に申します。厚生大臣になって環境衛生局長さんや専門の課長さん方にいろいろな事例を聞かされるようになりましてから、実は私も多少――そんなことをいってはおしかりをいただくかもしれませんけれども、私はあまり神経質ではないのですが、どうも、大臣になりましてから、環境衛生局長や課長さん方からいろいろな実例を聞かされましてから、実は私も相当神経質に近ごろなっています。しかし大臣になるまでは、あまり気にも実はしなかったのです。大臣になりましてから、食器のほかに中性洗剤とかいろいろな問題を聞かされるようになって、これはなるほどたいへんだ。やはりこれは厚生大臣よほどしっかりしないと、国民にたいへんな不安を与えるのではないか、これは真剣に取り組んでいかなければならぬという気持ちになっておることは事実でございます。
#43
○田邊委員 食べるものも、いまいわば総汚染、それから食べるものに付随するようないろいろなそういった容器なりについても、そういう心配が起こっている。それから大臣、いまあなたの着ていらっしゃるところの洋服は、どういうものか私存じませんけれども、これはいろいろな加工をしておったり防縮をしておったりするけれども、これもやはりどうも少しこの中には有害物が含まれているんじゃないか、こういう話になっている。
 そうしますと、一体、このことを国民に知らせないで、いままでわれわれもそういったものに対しては何の心配感も持っておらなかったのですね。しかしだんだん聞いてくると、なかなかこれが汚染されているということがいわれておるのですね。これはそもそも、そういったことは今度の魚の問題もそうですが、国民にそういった事実を知らせることが、やはり必要なわけでしょうけれども、私は知らせただけでは、その不安感は除去されないと思うのです。いな、むしろ不安感が倍加する、こういう結果におちいるのじゃないかと思うのですね。ですから問題は、もう日常生活の万般についていろいろな疑念が出てくる。不安が持たれるような状態になってきているわけですけれども、問題はその疑問に対して事実を事実として正確に教えること、しかしそのときに、それに対する対策というものがやはり講じられていること、もし直ちに対策が講じられない場合も、今度の法律なんかもこれから基準をつくるわけですから、直ちに対策が講じられるという形にはならぬわけですが、しかし少なくともその対策についての一つの方向が国民に差し示されること、そういうことでなければ、私はこれは、ただ単に何か学者が発表したり、評論家がものをいったり、あるいはやじ馬のようなめぐりにおるものが、何かわいわい騒いだりという形に終わってしまうんじゃないかと思うのです。
 ですから政府のとるべき態度というのは、そういった国民の不安感に対して正しい事実を知らしてやると同時に正しい対策というものが同時に講じられるという、そういう立場を私はとらなければ何にもならないというふうに思うわけでありますけれども、その考え方の上に立って、いろいろな政策を実行されようといたしておるのかどうか、この点をまずひとつ大臣にお伺いしておきたいと思います。
#44
○齋藤国務大臣 私どもの周辺に、いろいろなそういうお述べになりましたような不安が広まってきておることは事実でございまして、私どもはあくまでもそういう不安が起こらないようにすることが基本でございますから、先ほどお述べになりましたように、いろいろな事実は事実として正確に公表し、そしてその事態を正確に解明をし、そしてそういうことのないように、たとえば今回御提案申し上げておる法律でございますれば、いろいろな基準を設けて、自後そういうふうな事実が起こらないようにつとめる、こういうふうな施策が現実に行政の面で行なわれてこなければ意味はないと考えておるわけでございます。
 したがいまして私どもは、この法律を皆さま方の御協力によって成立さしていただきました暁には、基準の設定、そういうふうなことに全力を尽くし、特にいろいろ問題がございますれば、そういう問題について事実を解明し、そしてこれに対する具体的な対策というものと真剣に取り組んでいかなければならない、かように考えておる次第でございます。
#45
○田邊委員 大臣の言われたことは、額面としてそのとおりですね。それならば一体、いま私が述べたような、食生活を中心とした日常生活に対して、その安全を必ずはかってやる、国民のそういった不安というものは必ず除去してやる、有害、有毒のものに対しては、これに対する対策は万全を期してやるというふうな立場でもって一体どのくらいの施策を講じてきたんでしょうか。
 あとでもっていろいろとお聞きをしたいと思うのですけれども、食生活に関係をするものといっても非常にたくさんあるようですね。私ども常識で考えて、まず口に入るものとして、食品、あるいは医薬品その他は、好ましくないけれども劇物、毒物に属するけれども、そういったものを常用するもの、こういった口に入るものに対して一体どうしてきたのか、これがまず第一ですね。
 それから口に入るものに付随するところのいろいろな器具、容器、その容器をまた包装するもの、それからまた、これは食品衛生法にもありまするけれども、子供や赤ん坊のおもちゃ、口や何かによく入れるもの、そういった器具や容器を洗浄するもの、こういったものが第二番目にあるわけですね。いわば食生活に付随するようなもの。
 それから第三番目には、着ているその衣類とかあるいは身の回りのもの、はきもの、こういったもの。
 第四番目には室内装飾やあるいはいろいろな、いすやそういった家庭用のいろいろな器具がある。家具もそのうちに入ると思うのですね。その他の、普通家庭の中で過ごすのにからだに付着をする、あるいはさわるもの、こういったもの。
 それでまた第五番目には、それらを包むところの建築物そのものがある。これについても、実にいま、新建材等が用いられ、いろいろな塗料が用いられしている。こういうものがある。これはまた、近代的な生活の中で必要だといわれるようないろいろな、冷暖房とかあるいはトイレ等におけるところの臭気を防ぐものとかですね、こういうもの。
 これらのものが、いわば有害物であり、用い方によっては有毒物であるというようなことがいわれてきているわけですから、言うなれば毎日毎日の生活というものが、そういった不安とそういった危険なものに包まれながら生活をしているという形になっていると思うのです。
 今日まで確かに毒物及び劇物取締法等、私どもは何回か改正してまいりました。それからまた食品衛生法の改正も行なってまいりました。これらの法律というのは、いわば個別的だと思うのですね。しかも、その一部一部についてだけ規制をしてきたという形であろうと思うのです。ですから、相当な抜け穴といいましょうか、抜けている部分がある形で、そのときのいわば最重要なものだという形で、われわれも含めてほんとうに総合的な判断の上に立って、こういったものに対するところの対策なり規制をするという形を今日までとってこなかった。この包括的な対策、法規制というものが今日までなされてこなかった点、非常におくれてきた点、これが今日のいろんな化学物質が用いられているところの、現在の社会において大きな問題を惹起しているという形だろうと思うのです。
 ただ単に、新聞にときどき、いま、乳幼児がおむつにかぶれたとか、特別何かきれいな衣服を着たところが、そこから赤くかぶれが出たという現象だけとらえるべき段階ではないというふうに実は私は思っておるわけですけれども、その総合的な面に対して調査をし、これに対する包括的な対策を講ずる、こういう考え方がおありなのかどうか、これをまずお聞きして、その上に立って、今度出されたところのこの家庭用品の規制に対する法律というのがどういう位置づけになるかということを私はお聞きしておかなければならぬと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#46
○浦田政府委員 田邊先生がおっしゃるとおり、まことに近代の生活というものを考えてみますと、いろいろな化学物質等による健康被害、障害の危険性というものが、オーバーに言えば充満しているというふうにも受けとめられるわけでございます。これに対しまして、たしかいままでの法律というものは、一つ一ついわば縦割り的に対応してきておりまして、すでに一つ環境汚染の大きな問題としては、例の昭和四十五年末の公害国会ということで種々の対策は、立法措置はとってきたところでございます。また、いま御指摘の食品あるいはそれにかかわります器具、容器の問題につきましては、食品衛生法の一部改正、これは昨年御審議願ったところでございます。
 そういったようなことで、新しい時代に即応してのその場での対応策はとってきておるところでございます。あるいは御指摘の洗剤等につきましても、昨年の食品衛生法の一部改正で、新たに規格、基準を設けていくということでございまして、これはすでに今年の四月にその内容を告示し、六カ月の猶予期間を置いて十一月から実施されることになっておるわけでございます。また、先生がただいま御指摘いただきましたように、毒劇法の一部改正等々、その場その場で、新しい時代に対応しての法改正あるいはそれに伴う行政上の措置はとってきたところでございますが、何と申しましても、やはりいま申しましたような総合的な観点から、これらに対して総体的に一つの組織立った考え方の中でもって、いわゆる抜け穴のないように措置していかなければならないという必要性は申すまでもありません。
 今般の家庭用品の規制に関する法律案は、まさにいままでの現行の法律でもって規制されていない抜け穴の部分を、あるいは谷間と申しますか、そういった部分を私どもとしては新たに対象として取り上げて、われわれの生活をより安全なものにいたしたいという念願から立案いたしたものでございますが、私はこのようなものだけでは、実は完全を期することはできないと思います。
 さらにこれに関連いたしまして、通産省等も日用品あるいは新しい化学物質に対する規制法案を提出、御審議願っているところでございますけれども、私といたしましては、さらに将来新しい化学物質等を取り入れる場合に事前に規制するという体制あるいは何と申しますか、そういった新化学物質を日常生活に取り入れた場合のプラスの面、マイナスの面、ことに人間の健康に及ぼす影響というものを、ただ単に急性の問題だけでなくて、慢性毒性あるいは子孫に対する影響等も含めまして十分チェックする。そうしてその上で採用するかどうか、取り入れるかどうかということをきめるという手法あるいはそういったことに対する立法化ということが必要であろうかと思います。いわゆる、何と申しますか、テクノロジーアセスメント、そういったようなことは、ぜひ行政の面で取り上げていきたいと考えております。
 いま科学技術庁を中心といたしまして、そのような考え方を政府としても検討いたしていると承知いたしておりますが、今回の家庭用品の規制は、いわば過去のものに対する一つの穴埋め、谷間を防ぐという意味でございますけれども、これらの法律を今後運用する精神におきましては、先生の御指摘のような、いわば先取りという形でもって遺憾なきを期してまいりたい。さらには、先ほど申しましたように、テクノロジーアセスメントというものを行政に取り入れるということに努力してまいりたいと考えております。
#47
○田邊委員 いみじくもいま局長はそう言われましたので、私のいま質問する趣旨はある程度消化をされているんですけれども、私はやはりどうもあと追い行政がこの種のものに多いんじゃないかと思うのです。現象が起こってきた、それに対してどう対応するかという形では、もう実は非常に立ちおくれになるのじゃないか。実はこの質問の一番の趣旨は、一体水ぎわでどうするかということではないかと私は思うのです。いわば上陸をしてから、これを一体どうやって撃退するとか、どうやって防ぐとかいっておるわけですけれども、水ぎわでもってこれを防ぐという方法をとらなければ、これから先のもろもろの汚染なり公害なり、あるいは有害物なりというものに対するところの、これを撲滅するといいましょうか、撃退するといいましょうか、防止することはでき得ない、こういうように私は思っておるわけです。
 ですから、今度のいわば法律の発想というものも、たとえば子供がユリア樹脂製の食器を用いておって、そのことによって視野狭窄というようなものが起こってきたというようなことが報道されている。これを一体どうするのかというような、いろいろな現象が起こっていることをとらえて、それを一つ一つつなぎ合わせる形でもって何か法律をつくらなければならない、こういう発想のしかたというのは、私は基本的に誤りであると思うのです。極端な言い方をすれば、確かにこれは飲食に直接関係ある部面だけじゃないですね。からだの外からだんだんに体内に侵食するというような、こういうものはありまするけれども、しかし一番多いのは、やはり食生活なり、それに付随する口を通ずる一つの公害という形をとってみますると、この食品衛生法でもって、かなりこれを拡大すれば防げる部面もあるんですね。
 ですから、いま非常に私はこれを考えるのは、一つに毒物及び劇物取締法がある、食品衛生法、今度この家庭用品の規制の法律ができた。いま局長は縦割りだと言ったけれども、まさしく縦割りに付随したものをもう一つつくるという形に、これはなるんですね。これでいいんだろうか。何かこの際日常生活に、食生活も含めて関連をする化学物質の有害物に対しては総合的にこれを考える、こういうことが必要ではないかと私は思うのです。
 局長もちょっと将来に対する一つの考え方を述べましたけれども、大臣これはこれとして、私どもは審議していかなければならないと思うのですけれども、この機会にあと追い行政を克服する意味からいっても、いま言ったように、日常生活全体に対してこの化学物質が及ぼす影響というものは一体どんなものか。これに対して全体的に、横も縦も含めて見て、総合的な対策を講じよう、こういう考え方が大前提になければ、この法律は意味はない。こう思って私はさっきから質問しているわけですが、一言どうですか、大臣あなたの決意は。
#48
○齋藤国務大臣 ただいま田邊先生がお述べになりましたように、私どもは何かある問題が起こりますと、その問題の解決のためにそれを追っかけていくという姿勢であったことは、私率直に認めざるを得ないと思います。
 そういうふうな考え方から、先般の公害国会において毒物劇物の法律を改正したり、あるいは食品衛生法を改正いたしまして、現に食べるものだけではなく、食器のほうにまで手を伸ばし、それからさらに今度は赤ちゃんのおもちゃや家庭用品についていろいろな問題が起こっているというようなことで、今度また御提案申し上げているような法案を提出する。それからまた、いろいろ私も実は考えておるのですが、先般多少問題になりました石油たん白というような問題になりますと、これは現在規制をしている法律がありません。まさしく抜け穴でございます。すなわち石油たん白をえさとして動物が食べて、その食べた動物の肉を人間が食べる、こういうように濃縮されていくわけですから、これなども一つの穴ということで、これも何とかしなくちゃならぬだろうというふうなことで、確かに御指摘のとおり、もう先取りではなくて、問題が起こったときに追っかけていく、こういうふうな事態できたことは私は否定できないと思います。しかし、これによってはたして私どもの食生活のみならず、家庭の中の人間生活において不安を一切除去できるか。これはなかなかできないと思うのです。
 そこで、いまお述べになりましたように化学物質というものを、われわれの食べるばかりでなくて、食べ、そして触れ、それから日常生活しておる生活環境の中でその化学物質がわれわれの生活、総合的な生活にどういうふうな脅威を与えているのかという観点から、やはりこれは総合的に検討していかなければならぬ段階だと私は思います。
 先般通産省において、化学物質の製造等につきまして有害物質があるかないかということについて検討する法律をつくろうということで、いま国会に提案されておりますが、それは一つの製品としての化学物質、その中でわれわれの生活にどういうふうな影響を与えるのかという観点から見ての総合的な行政のしかた、さらにそれに基づく立法のしかたというものを総合的に考えなければならぬのではないか、もうそういう段階に来ているのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございまして、田邊先生の御指摘のような方向で私も進んでいきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
    〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
#49
○田邊委員 そこでいままで、一体それならば有害物に対してどういう取り扱いをしたのでしょうか、一体どういう規制措置を行なってきたでしょうか。それでいま新しく法律でもっていろいろと基準をつくろうとしておりますけれども、過去においても、これは個々には有害物であると認定をした場合があると思うのです。それに対してどうしてきたのでしょうか。いわば違反をしてきたところの人たちに対してあなた方は、一体これに対するところのどういう罰則を含めた処分をしたのでしょうか。
 私はおそらくこれに対する明確な措置はなかったと思うのです。ですから、こういった手ぬるい行政というものが、今日の一億総汚染といわれるような事態を生んだ最大の原因であると思うのです。いま大臣、私の意見に対して同意をされるところの発言をされました。私はまた当然な形だろうと思うのです。しかし大臣、それには相当な決意が要りますよ。私は一番最初に、抽象的な言い方でもって現政府の政策に対する批判をした。私は何も選挙のスローガンのような形でもって、大企業優先だから、大企業中心だからいまの政治はけしからぬ、こういう形ではないのです。
 この間私も実は都内の魚屋さんを歴訪いたしましたけれども、彼らは持っていきようのない怒りと嘆きを私にぶつけました。それで何日か前に厚生省に行って大臣に会ったという話をその一人は言っておりました。何か過激なデモ隊がガラスを欠いたということで、これからあやまりに行くのだというような話を役員はしておりました。しかし私はそういういまの庶民の、国民の、どこにもやり場のないところの怒り、これを受けとめて、これをあなたが一つのいわば責任とし、業として背中にしょった形で、ひとつ厚生行政を何よりも優先をしてやっていくという決意と決断、これがなければ、私は一つの法律をつくったからといって国民はそれで救われるものではないと思うのですよ。そういったことでもって、いままでのやり方に対して重大な転換が必要である。
 これは私は実は田中総理に聞きたいと思うのです。いろいろなうまいことを言って、国民の前にはなやかな政策を打ち出しておるようだけれども、ほんとうに国民の命を守るという立場、日常生活のこまごましいところまで、ほんとうにその安全を確保してやるぞという立場、これを基本に置いた政治でなければ、もうどんどんと国民から見放されるというように私は思うのです。これは私自身も含めての政治家の一つの決意でなければならぬと思うのです。
 そういった意味合いでいままでの規制というもの、こういう法律がなくても、現に有害物のそういったものが発見された際におけるところの処分、罰則というもの、これが私は非常に手ぬるかったことが今日の事態を招いていると思うのですけれども、その点はどうですか。
#50
○浦田政府委員 確かに今回提案いたしましたような家庭用品に関する有害物質の取り締まりは、いわば野放しの状態であったということでございます。これはいろいろと確かに私ども言いわけすれば理由があると思います。しかしながら、結果においてやはりこういった有害物質に対する取り締まりが不十分であったということは、これは私どもの怠慢といわれても私は言いわけできないと思うのです。
 ただ、食品あるいは薬品等、これらにつきましては、先生御案内のとおりに、かなりきびしい取り締まり態度で臨んでおるわけでございますが、家庭用品につきましては、それに比べた場合には、先ほど先生もおっしゃいましたように、直接体内に摂取されることがないということでもって、健康被害が生ずる場合であっても比較的軽度でありたというようなこともございました。それから、なかなかこれらの被害の実態ということに対する私どもの実態把握ということにつきましても、確かに、努力したつもりでございましたけれども、不十分な面がございました。
 そういったようなことでございましたが、今回私どもはやはりどうしても、先ほど申しました谷間と申しますか、そういったようなものをまずふさがなければならない。過去のものに対してやはり万全の措置を講じなければならない。それから次の第一歩を踏み出していく。これから先は、やはり新しい化学物質等を工業化する場合には、あらかじめ事前にチェックしていくという態度をとっていくのだという両々相まって、私どもはいままでのそういった谷間あるいは考え方のその場その場の場当たり的な考え方というものに対して、これはもう改めていく、こういうふうに新たに覚悟をしている次第でございます。
#51
○田邊委員 ぜひひとつ、それがことばだけに終わらないように、私は具体的な施策が前進していくように特に希望しておきたいと思うのです。
 法案の中身について若干お聞きをします。
 今度やはり新しい一つの必要な基準を設けなければならない――厚生省の基準というのは、大体最近国民は信頼してないのですよ、大臣。時間があれば、あとでもって魚の問題について、ちょっとお聞きをしてみたいと思っているのですが、全く国民を惑わすような基準ばかり出しているのですね、あなたのほうは。ですから、この化学物質に対する必要な基準を出すというのですけれども、どういう程度のことを出すのでしょう。さっき決意をお聞きをしました、将来のいろいろな総合的な対策という面からいって、一体これが現在の非常に数の多くなって、無数にといっていいほどある化学物質、それを使用したいろいろな日常用品、こういったものに対して、ほんとうにあなた網羅的な基準が出せるのでしょうか。その基準は、日本だけでなくて、世界各国でもって許容される基準であるべきだろうと私は思うのです。
 最近は、たとえば輸入の家具なら家具にいろいろな防虫剤がついているとか、あるいは衣服に防腐剤がついている、それがまた非常にからだに悪い影響を与える、こういうことになっているわけですから、したがって、これはひとつ、日本で基準をつくると同時に、全世界的にこれがやはり許容される基準でなければならぬと思うのです。そういった点から、FAOなりWHOの規格委員会が設置をされて、規格基準というものを作成をしてまいりました。これと一体どういうような関連づけをしようとしているか。ほんとうに国民の安心のできる、そしてまた国民に理解されるような、そういう基準づくりでなければならぬ、こういうように私は思っておるのです。どうでしょう。
#52
○浦田政府委員 確かに、すべてそうでございますが、いやしくも基準をつくるという上からには、これが国際的にも通用する、それからほんとうにそれによって国民の健康が守られるというものでなくてはならないことは、先生の御指摘のとおりでございます。私どもも、過去の食品衛生の添加物等の規制基準につきましては、常に国際的な視野から、WHOあるいはFAOの基準をいやしくも下回らない、場合によっては、さらに日本の特殊事情というものを考慮いたしまして、それよりきびしくという態度で臨んできたつもりでございます。
 今回のこの法案に関しまする基準でございますが、これは実は各国の立法例がまだあまり明確なものがございません。しかしながら、この法案の考え方は、特定の有害化学物質をきめていくということと、それから特定の規制対象の家庭用品の種類をきめていくという、その結びつきによりまして、これらの家庭用品から生ずるであろうおそれのある健康被害というものを防ごう、こういう考えでございまして、いわばネガティブリストという考え方でございます。そしてこれらの使用化学物質を例示してまいります。そうしますと、その例示によりまして、世界的にそれの有毒性というものについての研究評価が定まっているものもございます。また、いままでのそういったものがないものにつきましては、すでに国内でいろいろと検討いたしまして、それなりの研究の成果もございます。
 そういったものを参考にいたしまして、たとえば有機水銀につきましては、下着、靴下等、長時間直接に接触する家庭用品からは溶出してはならないといったようなこと、それからまた、有機すず化合物の例で申しますと、乳児用おしめ、これには使用してはならない、あるいははだ着類につきましては、これは何PPM以下の濃度にしなければいけない、こういったようにして、個々に具体的に規制を設けていくというふうに考えているわけでございます。
#53
○田邊委員 それで一体国民にわかりましょうかね。これは大臣、この間の魚介類のときにも一番大きな問題は、あなた方はたいへんわかりやすくつくったようなことで「水銀汚染から健康を守るために」というようなものをつくっているのですね。あとでもって、これはあわててつくったとかいろいろなことを言っているけれども、しかし、この中身が非常に誤解されやすい。これは非常にわかりやすく平易につくろうとあなた方は思いついたんでしょうけれども、それがたいへん誤解を生んで、われわれだってこれはいまでもわからぬのですよ。アジが一週間に十二匹、マグロのさしみが四十七切と、こうなっているわけですね。これは確かに言うならば汚染された地域の最高の基準量ですね。
 われわれが考えてみるときに、これは一つの食べられ得る量だとこう言うのでありますけれども、ずいぶん親切に献立表をつくってございますから、これはどうしても国民は、一週間にアジは四匹で、ヒラメは〇・五匹で、イカは一匹というように思わざるを得ないと思うのです。私は魚のときもそうでしたし、それから食品衛生法でもって実はいろいろな表示をいたしましたけれども、まだ非常にわかりにくい。牛乳のびんについて、いわゆる加工乳等の表示についても、食品衛生法の改正のときやかましく言いましたね。公取はいまいるかどうか知らぬけれども、これはまた厳正な態度をとらなかったために非常に誤解を生んできた。われわれがやかましく言ったために、まあ大体あれは半分半分ぐらいの表示に改めてきたのですけれども、あれだって、キャップにくっついているのだから、よく見なければわからぬですよ。
 ですから、今度の場合も、えらい専門的に基準を設けて、これは正しいのでございます、これを守っていればよろしゅうございます、安全ですと言っても、一体国民が衣類なら衣類を買うときに見て、これが安全なのか、一体それはどういう洗い方をしたらいいのか、どういう使い方をしたらいいのかということについてわからぬというのでは、私はこれは法律が意味をなさないというふうに思っているわけですけれども、この表示制度というものに対して、この法律をつくる際にやはり同時に考えておかなければならぬのじゃないか。あなたは、魚のときには、専門家会議でもってりっぱなものを発表されているわけですけれども、あんなのはわかる国民はほとんどいませんよ。わかるのは、いま私が言った献立表だけなんです。そういう形でもって、国民に実は逆に不安感を与えたり、戸惑いを与えたり、あるいは日常生活に非常な支障を与えたりするようなことがあっては、私はこれは意味をなさない、こういうふうに思うのですけれども、この点はどうでしょう。
#54
○福田説明員 先生ただいまおっしゃいますように、特にこういうわれわれの身近にございます家庭用品等につきましては、一番わかりやすい状態でその安全性が確保されるということが、一番大事なことであろうと思います。そのためにその基準をつくる、ただいま局長から御説明いたしましたように、含有量あるいは溶出量、また発散量、そういうものにつきまして、商品ごとに具体的に定めてまいりますが、まあこれだけでは、やはりいろいろ家庭用品は日常の使用のしかたあるいは使用者の問題等で問題があるだろうと思います。その点ではいわゆる安全であるという表示、あるいは使用方法についての詳しい表示ということが必要になってまいりますけれども、これは現在家庭用品品質表示法という法律が御承知のように通産省にございますが、その中で一応対処できるということで、通産省のほうにも十分連絡をとることになっております。現在の表示法そのものの運用が今後の家庭用品の品質を表示する場合に適しないようなことがございましたら、これは私のほうの注文で十分直すというように通産省は申しておりますので、そういうことであらわしてまいりたいと思います。
#55
○田邊委員 そんなことでは問題になりません。そんなことで、このむずかしいいろいろなカメの甲のことについて国民はわかりませんよ。もっと的確な最低基準なら最低基準あるいは使用上の注意なら注意といったものが一緒について回らなければ、国民はだんだんそういうものは買えませんね。食生活なり日常生活が非常に不便になる、不便を感ずるような状態におちいるということを私はおそれるのです。ですから、あなた方のほうでもって非常に親切に国民のためにと思ってつくられた法律が、逆に近代的な生活を阻害するような結果になってもいかぬということで、私はこの表示問題については一考を要したいと思うのです。ひとつあらためて研究してください。在来のものでいいと言うのだったら、これはたいへんな間違いを起こすと思うのです。
 それで大臣、表示もそうですし、基準もそうですが、これは一体どこでつくるのですか。あなたのほうにこの基準をつくったり、それからこれもあとで申しますけれども、いろいろな検査をしたりするような陣容はりっぱに整っていらっしゃいますね。これは金もありますな。法律をつくるけれども、一体あなた方にこれを――慢性的な毒性については一年がかりでしょうけれども、しかしわかるものは二、三カ月ぐらいで、すでにわかっているものもある。そこからまた発足すると思うのです。また法律自身がそうじゃないかと私は思うのですが、これは一体どこでやるのですか。国立衛生試験所でしょう。いまの状態の中でもって、こういった万般の施策を実行するために、いまの厚生省のこういった検査体制なり、あるいは基準をつくる科学的な体制なり陣容というものは、一体整っていらっしゃるのでしょうか。
 予算は確かに試験研究については昨年と比べて幾らかふえております。三千万ぐらいが五千万になっている。これはいわば一つの法律をつくって実証するための予算でしょう。特に慢性毒性試験は約二千六百万、皮膚の刺激試験は二百八十三万五千円。一体こんなものが、いろいろな具体的な事例を求めながらこういう試験をなし、それによって一つの基準を設けるというような体制であるかといったら、全くお寒いと私は思うのです。いまさっき話も出ておりますところのいろいろな乳製品の問題なり今度の魚の問題なり、厚生省自身が権威を持って国民に、ついてこいよ、間違いないぞというような体制にあるのかといったら、私は全くそうでないと思うのですが、このほうは一体どうするのでしょうか。法律をつくったけれども魂を入れるもとが、陣容が整ってないのではどうにもならないと思うのですが、このほうは一体どうするのですか。それをやりませんと、法律なんか通したくない気にもなりますよ。どうでしょう。
#56
○齋藤国務大臣 先ほど来いろいろお話のございましたまず最初の、いろいろな基準を国民にわかりやすくという問題これはもうほんとうに御指摘のとおりでございます。先般の魚などにつきましても、私ども言いわけをするつもりはございませんが、たとえば最高度に、〇・三PPMまで限度一ぱい汚染されている魚ならば、この程度食べてもいいというふうないろいろな前提条件を置いて申し上げたつもりでございましたが、私どもの説明が十分でなく、また新聞のほうでもそういう前提条件についてあまり書きませんでぱっと出たものですから、アジは十二匹までしか食べられないのだというふうに国民に誤解を与えた、こういうことになるわけで、確かに私ども、こういう基準という目で見てわかるしろものではございませんものですから、そういう科学的なことを国民一般にわかっていただくようにするにはどうすればいいか、ほんとうに私は今回の経験を通じて非常に反省させられました。
 これは学問的なことであるけれども、もっと日常生活に沿ってわかりやすく説明するにはどうすればいいのか、この表示問題とからめて今後真剣にこの問題は、そういうPR、専門の方々の御意見も伺いながら、そのやり方を根本的に変えなければ、基準を出して、かえって国民の不安を醸成するということになるのじゃないかというように、実は今度の体験を通じて反省をしておるわけであります。
 したがって、こういう学問的なこと、特に化学物質につきましては私ども頭が弱いですし、国民もなかなかわかりにくいのです。ですからこれは、学問的知識の豊富な方々の常識でやられたのでは、やはりだめなんですね。何も知らない一般大衆ということを頭に描きながらどうすればいいのかということを中心に、今後の基準の問題なり表示の問題なり反省をしていきたいと考えております。
 それがらただいまお尋ねの、こういう法律をつくっても検査体制なりはどうなっているのだというお尋ね、まことに私はごもっともな御意見だと思います。政府側でごもっともだなんて言うと、はなはだ不見識な話かもしれませんが、まことに遺憾な状況にあるわけでございます。そこで実は先般も、だいぶ前になりますが、閣議においてこういうふうな法律施行を期待いたしまして、検査体制の思い切った強化をやらなければだめですということを閣議でも申し上げ、大蔵大臣にもこの点については、法律が通ったあとにできるだけの予算を心配してくださいということを申し入れ、大蔵大臣も、わかったからできるだけの予算は出すようにいたしましょう、こういうことに一応なっておるわけでございます。
 そこで、現在の国立の衛生試験所だけでやろうといっても実際できません。人員やその他予算の関係でいっても手一ぱいでなかなかできません。そこで、各地方にあります衛生試験所の専門の方々に、専門の項目がございますから、それぞれの項目について全国の衛生試験所の方々を動員いたしまして、委託研究ということで金を支出して、こういうふうな検査体制のネットワークをしこうではないかということを考えておりまして、先般閣議で私が発言いたしましたあと、すぐ厚生省の中に検査体制強化に関するプロジェクトチームをつくりまして、一応の案ができました。そこで、近くこれは大蔵省に持ち込みまして、この検査体制についての必要な予算を出してくれということで折衝をいたそうと考えておるわけでございます。
 したがって、現状ではまさしく御指摘のとおり十分な予算もございません。まことに私も遺憾しごくでございまして、今後はやはりこういうふうな国民生活に関係のある検査体制の問題それから魚などについても汚染地域におけるいまの監視体制の強化、これはいま大蔵省と折衝しておりますからきょう、あすじゅうには予算がきまる予定にしておりますが、そういうわけで私は実は深刻に受けとめておるのです。
 そう言ってはあれですが、厚生省はこういう方面にどうも力を入れてなかったのじゃないか。私も昨年なったばかりですから、あまり十分承知してなかったのですが、今後は大いに反省いたしまして、こうした方面にこそ予算は重点的につぎ込むべきである、こういうふうにいま考えて、今後大いに努力をいたしてまいりたいと思いますから、田邊先生のような専門の方々からいろいろ御指摘をいただいて、予備金の確保等について努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#57
○田邊委員 これは今年から実施をするとすれば、ぜひ足らぬ面を、どんどん金を使ってもやるという形でないと、さっきも局長はえらい、品目別に全部並べて基準をつくるようなことを言ったけれども、これだけの予算でもって何事ができますか。
 それと、いま大臣の言われたこと、非常に重要なのは、まあ科学者といいましょうか、いろいろな考え方があるのですね。いろいろな、何というか権威がありましょうから、自分のやったことに対して権威を持っておるという一面において、それを固執するという、こういう面があるのですね。ですから、このことは、かなり広範に学者なりに対して協力を求めて、それからまた地方自治体に対しても協力を求めて、いわば門戸を開放した形で、広い視野で問題に当たりませんと、私はできぬのじゃないかと思う。魚の問題もそうですよ。これから先の汚染海域の調査についてもそうだろうと思うのです。そういった点に対しては特に意を用いて、金の問題もさることながら、やはりそういった人的な、人に対するところの動員にできるだけ措置をして、万全の体制をとってもらいたい、こういうふうに思います。
 それから、この法律でもって有害であると認定をしたものを販売した場合は販売禁止をするようになっていますから、当然これに対しては罰則規定があるようでありますけれども、これは事前チェックはどうなんでしょうか。製品の販売の場合において、あなた方のほうは自主的なチェックをするというだけでもって、あなた方の認めた基準の中でもって製品はつくるべきであるという形だけで製品をつくられる。市販をされる前の事前のチェックというものに対しては、一体どういうふうにするのですか。
#58
○浦田政府委員 実は事前チェックという制度をこの法案ではとっていないわけでございます。
 それは、本制度によります基準はかなり安全率を見込むということになっておりますし、また家庭用品は医薬品、食品とは異なりまして、直接に人体に摂取するものではございませんので、事前検査制度を採用しなくても、監視、指導を十分行なうことによりまして、国民の健康保護をはかれるものであると考えております。
    〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
もちろん事前検査、事前に全部やる。さらにその考え方を適用しまして、テクノロジーアセスメントの指導もするということが望ましいことではございますが、現時点におきましては、一挙にそこまで実現することは事実上不可能でもございます。
 私どもは、事前検査制度はとりませんけれども、この特定の有害物質並びに家庭用品の対象というものを逐次広げていくことによりまして、すべての問題となる物質を含む。それによって事実上事前検査制度というものをとったと同様の効果をあげるように今後の運営でもって考えてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
#59
○田邊委員 それでは効果が半減をする形になる。万全の体制を期するという面から言えば、そういったものが市販をされていろいろな事故が起こり、いろいろな事態が起こる中でもって、一つの問題が発見をされる。あるいはまた、今度あなたのほうで設けられる家庭用品衛生監視員でもっていろいろとチェックをする、こういう形ですね。これも私はいままでの薬事監視員なり環境衛生監視員なりというものの実績等を見た場合に、この陣容の不足を嘆かざるを得ないと思うのです。ですからこの面も早く、やはり大臣がよほどの前進的な対策を考えてこないと、これは有名無実に終わってしまうおそれが私はあるように思うのです。
 時間がありませんから、あまり突っ込んでお聞きしないで、あとの委員に譲りますけれども、これでいろいろな被害が起きますね。いま言った事前の検査が行なわれないという形ですから、いろいろなものが出回る、それに接触をする、あるいは接触をしなくても、それがじわじわと体内に侵食をするという形で、これが時にはその直後に、あるいは相当年月がたってから発見をされる、こういう状態になってくると思うのですね。この被害に対して一体どういうような救済をする措置をお考えでしょうか。
 これは家庭用品ばかりでありませんけれども、それ以外の問題についても万般に言える問題でありまして、あとで魚の問題について一言ずつ通産省と農林省から、それぞれお聞きしたいと思っておりまするが、まずひとつこの問題に対して、あなたのほうは一体どういう救済措置をとるつもりか。これは国民がそれの被害を受けたら被害を受け損、泣き寝入りという形ではまさかないでしょうね。どうでしょう。
#60
○浦田政府委員 この基準に適合している家庭用品によって人の健康にかかる被害が発生するということは、この基準が守られている限りは起こり得ないということは言えるわけでございますが、しかし、この法律案の対象にまだ含まれていない物質ということもございますし、また万一基準に適合していない家庭用品が販売または利用されるということも、これは考えられます。そしてその結果、人の健康にかかる被害が発生することがないということは断言できないわけでございますので、これはやはり当然、ただ単に当事者間の民事訴訟の問題として片づけるということでなくて、いま検討いたしております食品あるいは薬品等における被害者救済の問題といたしまして、私どもとしては考慮に入れて検討してまいりたいと考えております。
#61
○田邊委員 したがって、この法律自身にはそういう救済措置はないのですね。一般的な民事の争いへまかせる形になりますね、この法律上からいえば。
#62
○浦田政府委員 この法案からいきますと、そういうことに相なるわけでございます。
#63
○田邊委員 ですから大臣、私はそういった面からの救済措置がなければ、国民はこの法律ができたら、直ちに、基準ができました、ああこれでもうだいじょうぶです、われわれの生活はもう安全です、いわば信頼をしてまかせ切りということにいかないのですよ。いま起こっておりますところの魚の問題についてはあれでしょうか、これは実はいろいろ私は事前にお聞きをしたかったのですけれども、主題でないから、お聞きができないのですけれども、厚生省がいろいろとまあ何回もくるくると発表が変わって、国民をたいへん惑わしたわけですけれども、要は汚染された魚を食べさせないということ、これが一番だろうと思うのです。汚染された魚を食べて第三水俣病のようなものが起こることに対して、私どもは非常に憂慮すべきことじゃないかと思っておるわけです。
 まず、国民に対してこの被害が及んだ場合には一体どうするのか。これは企業に対して徹底的にこれに対する責任を、因果関係がある限りにおいて、あるいはまた疑わしき限りにおいて、負わせることは当然だけれども、社会全体、国としての立場からも、この問題に対して取り締まらなければならぬ時代的な要請だろうと思うのです。今度の魚の問題に対して一つは国民、消費者、一つは漁民に対して一体どういう対応策なり救済措置をとってきたか。被害の状況についてもお聞きをしたいのですけれども、きょう時間がありませんから、あとで水産庁からお知らせいただきたいと思うのですが、これに対して一体どういう対応策それから漁民に対して救済措置、再建資金なり生業融資なりというものに対して、どういう措置をとるか。従前のありきたった例に従ってやるというような形では、国民の怒りを解くことはできない、また生活を保障することはできないというように思います。魚屋さんに対しても同様のことが私は言えると思うのです。
 これはきょう長くなれば、あとで文書で詳細な魚の被害の状況については出していただきたいと思っておりますし、もう衆参の本会議や各委員会においていろいろと論議されておるところですから、私は申し上げませんが、いま問題にしているこれらの有害物によって被害を受けた場合において国民に対してどうするのかということと関連するこの魚の問題についても、漁民なり魚屋さんに対して、卸業なり小売り商に対して、どういう措置をあなた方はとろうとしておるのか、これは説明できたら簡単に説明してください。
#64
○前田説明員 簡単にお答えいたします。
 今回の漁業被害、漁業者の被害の問題につきまして、この救済対策につきましては、いままでこういう慣例がなかったので、いろいろ議論があったところでございますが、天災融資法に準ずる形で、いわゆる加害者が判明するまでの間のつなぎ融資といたしまして、末端年三分ということで、償還期限一年据え置きの五年償還ということで緊急融資をいたすことと相なっておるわけでございます。
#65
○原山政府委員 確かに先生御指摘のとおり今回の水銀、PCB汚染による被害は単に漁民だけでなくて、それを取り扱っている関連業者、お魚屋さんであるとか仲買いの方々、つくだ煮とか、かまぼこ等の加工業者、さらにはおすし屋さん等関連の中小企業者に対しても非常に重大な影響を与えているというふうに判断しております。
 そこで、先月末閣議で私どもの中曽根大臣から報告いたしましたように、政府は緊急融資をこれらの関連中小企業者に対して行なうということを決定いたしました。
 内容といたしましては、まず融資対象は問題地域に近接するところで事業を行ない、その魚介を取り扱うことを主たる業とされた中小企業者に対しての緊急融資でございます。
 融資を行なう機関といたしましては国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の三政府機関を予定しております。
 貸し付け期間は漁民と同様五年でございます。据え置き期間は一年を見ております。貸し付け限度は一応別ワクとして一業者に対して二百万円を用意し、そのうち五十万円までは国と地方公共団体が負担しまして、三%の特別の融資を行なうということに相なっております。
 なおこの三%の利息については、別途経済団体がさらに負担をするというふうな話も聞いております。
 なお、いままでこれらの業者の方々がこの三機関からお金を借りて、なかなかお金を返すことが困難だというような問題につきましては、返済猶予を認める、いままですでに借りておるお金についても、返済猶予を認めるというようなことで鋭意実行について検討しておるところでございます。
 なお、これらの地域以外の魚屋さん――地域はまだ確定しておりませんが、この地域以外の魚屋さんも間接的に影響を受けて困っておられるというふうなことで、これらの三機関に対して、優先的に困っておる方々の取り扱いをしなさい、貸し出しのときには優先的に取り扱いなさい、また条件を緩和していただくというふうな面で弾力的に運用するように通牒いたしておるところでございます。
#66
○田邊委員 きょう私が質問をする主要な点でないから、あえて言いませんけれども、やはりそういう被害を受けても利子を払って借りなければならぬということじゃ、これはさっきも言ったように、どこへ一体この責任を持っていっていいかわからぬという状態ですから、私は何らかの方法で、国なり地方自治体なりあるいは関連をするところの業界なりで、水産庁にしても中小企業庁にしても、この利子ぐらいは利子補給してやるという措置がとられていいんじゃないかと思うのです。
 それともう一つ立ち上がり資金というか、再建資金というか、そういう面で一時的にダウンをした状態に対して、さっき言いましたけれども、東京都内の魚屋さんを見ても、この魚は市場でもって検査した魚ですから安全ですと表示していますね。表示しておること自身、実は販売上大きな影響があることなんです。そういう目に見えない状態を考えたときに、これに対して融資だけでないものを、資金を出してやってもいいんじゃないか、そういうところに政治のあたたかさ、行政のあたたかさというものがあるんじゃないかというように思っておるわけでございまして、これらについては、ひとつあなたのほうでもってさらにそれぞれ検討されて、今後の措置について、これが拡大をされるような状態をぜひ御努力いただきたいということを強く要望しておきたいと思います。被害の状況等についてかいつまんで御報告を私のところへあとで届けてください。
#67
○前田説明員 ただいまの先生の御要望でございますけれども、被害の状況につきましては現在県から逐次集まってきておる段階でございまして、暫時時間がかかるかと思います。
#68
○原山政府委員 魚屋さんの被害の問題につきましても水産庁、農林省とよく相談しながら逐次調べておるところでございます。一応全体の三機関を通じての金額につきましては百五十億円程度を用意していきたいというふうに思っておるところでございます。
#69
○田邊委員 大臣、ちょっと私いま魚の問題をお聞きしましたけれども、これはまだこんなことでは関連の国民は決して納得しないと思うのです。これによって受けた被害はとうてい償うことができないような状態であるということを強くあなたも御認識をされて、これらに対して対処されるように私は心からお願いしておきたいと思うのです。
 いまこの法律によって規制をされると思われる対象に対してもいろいろな罰則規定というものがあるけれども、毒劇物取締法とか、あるいは食品衛生法との関連の中でもってこれが出されておるわけですから、全体の体系から再検討をしなければならぬことのようですけれども、この程度で一体どうなのか。それから事前のチェック等の問題について、これでは抜け穴じゃないかという批判に対してどう対処するかということもございまするし、被害者に対するところの救済というものに対して法律の規定がないということに対しても、これは一体どうするのかという疑問が私は残っておるわけでありまして、これらはいま直ちに法の中でもって成文化することはできないけれども、今後の基準のつくり方、それから発表のしかた、国民への浸透の状態等もにらみ合わせながら、これらの問題についても当然予測されるわけでありますから、それらの被害に対する救済策についても、別途これは考えてもらわなければならぬというふうに思いますので、さっき申し上げた総合的な対策なり法規制を考えるということと関連をして、これらに対してさらに検討するということをお約束いただきたいと思うのです。よろしゅうございますか。
#70
○齋藤国務大臣 いまお述べになりましたような事前チェックの問題、救済の問題さらにまた総合的な法体系を整備するといったふうな問題、まあたくさん問題があるわけでございまして、こういう問題は引き続き慎重に検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
#71
○田邊委員 それではあと個々の問題についていろいろと質問はありますけれども、総括的な面で私の質問を終わります。
#72
○竹内(黎)委員長代理 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後零時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十八分開議
#73
○伊東委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 休憩前の質疑を続けます。金子君。
#74
○金子(み)委員 この法案の審議をいたします前に、少し御説明いただきたいものがございますのですが、それはこの法案を制定なさろうという御方針をおきめになる前に、実態をお調べになったことがおありになるのかどうかということ。
 それからこの資料によりますと、昭和四十六年度に厚生科学研究費をお出しになっている。この厚生科学研究費で百五十万円をお出しになって研究をなさったと思いますが、その研究の結果を教えていただきたいと思います。
#75
○浦田政府委員 この法案を提出する前に、昭和四十年ごろからいろいろと調査あるいは資料の収集を始めております。たとえば民間団体やあるいは学者などの実態調査がそのころすでに行なわれておりまして、また科学技術庁や厚生省の調査研究でも、多数の被害例の報告がなされております。
 御指摘の昭和四十六年の厚生科学研究費の内容でございますが、これは「日用品等に含まれる化学物質の健康に及ぼす影響に関する研究」というテーマで衣料処理剤の影響の具体例、たとえば螢光増白染料による皮膚への発しん、あるいは柔軟剤による皮膚への影響、または樹脂加工による樹脂及び残留ホルマリンの皮膚への発しん及び目、鼻、口の粘膜への影響等々、およそ七つの諸テーマについて報告がなされております。
#76
○金子(み)委員 その報告の具体的なことを教えていただけますか。
#77
○福田説明員 ただいまの報告はいわゆる豊川レポートというものでございまして、内容につきましては、東京都内の内科、小児科あるいは皮膚科の医師四千八百人を対象にいたしまして調査をいたしましたのが、まず一つございます。それから第二番目には、消費者を対象とした調査をいたしております。
 医師を対象にして調査した内容によりますと、過去二カ年間に家庭用品によります健康被害の経験のある者が七四%、それから健康障害の種類といたしましては、皮膚障害、ぜんそく、鼻炎、結膜炎、頭痛、その他の内科疾患等というふうになっております。また、皮膚障害の原因の製品といたしましては、洗剤、下着、腕時計の皮製バンド、それからくつ下、塗料等が非常に多かったということになっております。
 それから消費者を対象といたしました調査によりますと、過去一年間の衣料品による健康被害の経験のある者、いわゆる何か健康被害をこうむったと訴えた者が約四〇%でございます。それから障害の症状のおもなものは、かゆみ、皮膚の炎症あるいは発赤、発しん等でございまして、またその皮膚症状のあらわれます部位は首、大腿部というところがおもなものである。それからさらに治癒までの日数といたしましては、大体五八%の方が三日以内に治癒をいたしております。衣料の種類といたしましては、スリップ、ブラジャー、セーター、カーディガン等の順序で被害があったというような概要でございます。
#78
○金子(み)委員 一応わかりましたけれども、その調査に関連して、もう一つ伺いたいことがあります。それは、年齢別あるいは性別なんというようなものはおやりになっていらっしゃるんでしょうか。
#79
○福田説明員 年齢別、性別に申しますと、二十歳から二十九歳までの方が接触性皮膚炎では一番多く、これが五十一人中十五人でございまして、その内訳といたしましては女性の方が十三人、男性は二人でございます。それから三十歳から三十九歳までが十三人、これは全部女性でございます。その他の年齢といたしましては、要するに二十から三十九までの人に症状を訴える人が一番多かったわけでございますけれども、あとゼロ歳から九歳までが六人、それから十歳から十九歳までが六人というように相なっております。
#80
○金子(み)委員 私がお伺いをしたいと思いましたことは、いまの年齢別でややわかるのですが、もう一つ伺ったら、もう一つわかるかと思いますのは、さっきのいわゆる厚生科学研究費で二つの対象についてなされました豊川レポートの内容のうちの一つに、内科、小児科、皮膚科のお医者さんたち四千八百人に対する調査があったわけでございますね。その結果として、消費者のほうでは皮膚科が一番多いということですが、小児科ではあまりなかったのでしょうか。私は子供に問題があるんじゃないかと思うのですけれども、いまの数字では子供はわりに少なくて青壮年に多いですね。
#81
○福田説明員 これは衣服が主体でございましたので、皮膚障害が圧倒的に多いわけでございます。その中に皮膚科でなくていわゆる内科あるいは小児科というのもございまして、皮膚障害五百九十八件中に皮膚科が四十四件、それからこれは内科、小児科含めてでございますが、内科小児科が五十九件、外科、整形外科が二十七件、それから婦人科が五件というふうになっております。
#82
○金子(み)委員 内科、小児科合わせて五十九というのは小児科か内科かわからないわけですか、その区別はないんでございますか。しかし内科と小児科じゃずいぶん違いますよね。その区別はございませんでしょうか。
#83
○福田説明員 ちょうどいま手持ちの資料では分かれておりませんで一緒になっておりますが、また原票を調べましてお答え申し上げます。
#84
○金子(み)委員 それではおそれ入りますが、報告の中身をもう少しわからせていただければと思いますので、後ほどお願いいたします。この豊川レポートのほかにはありませんか。これだけですか。
#85
○浦田政府委員 ほかにも三、四ございまして、たとえば科学技術庁の資料といたしまして、主婦連のほうでお調べになった苦情調査のまとめがございます。これは昭和四十一年のものでございます。それから名古屋市立大学の青山助教授の調査がございます。これは昭和四十二年の十一月、十二月の調査でございます。それから兵庫県立姫路生活科学センターの調査がございます。これは昭和四十五年七月の調査でございます。そのほかさっき御紹介しました豊川レポート、こういったものでございます。
#86
○金子(み)委員 ありがとうございました。そうすると、いまのお話によりますと豊川レポートは一番新しくて四十六年でございますね。その前が四十一年、主婦連からのものでありますけれども、そのあたりからそういうようなレポートが出されていたということになりますと、そのころから考えれば、もう数年以上たっているわけでございますね。その間にこういうような規制を設けようということをお考えになるということはなかったのでございますか。数年たってから、それじゃやろうかな、こういうことになったわけでしょうか。
#87
○浦田政府委員 先ほども答弁いたしましたように、昭和四十年ごろからいろいろな調査結果に、衣料品あるいは洗剤などによる健康被害の苦情が目立ち始めてきております。これはさっそく規制法をつくったらどらかというお尋ねでございますが、確かに私どももこの辺の必要性については感じてきていたわけでございます。まあ当時のことを申し上げますのも恐縮でございますけれども、そのころ一般的に環境汚染の問題、ことにいわゆる公害問題が非常に急を要する問題として登場しておりまして、そちらのほうの健康に対する被害がより重大であると思われる、そういった物質あるいは環境の汚染等に対する規制ということが優先した緊急の事項として取り組まれたといういきさつがございます。その際に、実はやはり、いま申し上げておりますような日用品の安全性を確保する必要性も私どもとしては考えておったわけでございまして、昭和四十五年に毒劇法の一部改正を行ないまして、毒劇物である危険な化学物質を含有する家庭用品を規制するという体制は、一応そこで手がかりはつくったわけでございます。
 それから次に起こりました問題といたしまして、やはりより健康に対する影響の大きい食品衛生法、これの改正というふうなことでもって、逐次これらの健康障害に対する規制措置対策というものを法律を整備してとってきたのでございます。そう申しますと、今回ややおそきに失したのではないかというおしかりもあろうかと思いますけれども、私どもはさらに、いままでの昭和四十五年の公害国会に引き続きまして、その一連のものとして、いわば谷間と申しますか、従来の現行の法律では、規制の対象にはならなかったこの家庭用品というものを取り上げたというわけでございまして、食品衛生法あるいは毒劇法というものと比較いたしました場合に、直接体内に取り入れる食物あるいは取り入れる物質を対象としておる食品衛生法あるいは薬事法あるいは毒劇法といったようなものに比べまして、先ほども調査報告を御説明いたしましたように、皮膚等を通じての間接的ないわば健康障害であるといったようなこともございまして、また、このような軽微な健康障害でございますと、実際問題として、いわゆる原因物質と健康障害との因果関係を明らかにしていくということも、なかなか困難な点もございます。
 それで私どもは四十六年にこの有害物質についてのいろいろな基本的な研究といいますか、そういったようなことを至急進めまして、そしてようやく三十一有害物質についての知見を得ましたので、これならば法案として提出しても、さしあたりは目的としておる、健康障害を食いとめるという目的は達成できると考えまして、今回の法案の提出という運びになった次第でございます。
#88
○金子(み)委員 先ほども御答弁があったと記憶しておりますけれども、私が考えておりましたことは、いま局長が先におっしゃったのであれなんですけれども、家庭用品というのが、直接口から入るもの、食物と違って、いわゆる食物に関連のある食器類ですね、あるいは子供のおもちゃというふうに、直接口に入るものでないということから、どうしてもなおざりになりやすい点があるのじゃないかということをたいへん心配いたしております。
 ことにもう一つ問題なのは、直接口から入るものの場合でございますと、中毒症状を起こすという場合もありましょうから、いわゆる急性毒性の問題としては大きくぱっと浮かび上がりますね、そうすると、すぐそれの対策をということになると思うのですけれども、そうでないと、いま局長がおっしゃいましたように皮膚を通しての問題になりますと、非常に緩慢であるというようなことがあるので、なおざりになりやすいと思いますし、手おくれになるだろうと思いますけれども、しかし日常生活上の用品ですから、その頻度が非常に問題になるだろうと思うのですね。口から入るものはそんなに頻度は激しくはないと思うのですけれども、手に触れるもの、からだに触れるものはとにかく生活用品ですから、非常に接触する頻度が多いと思います。ですから、毒性がかりにどんなに微量であっても、それの蓄積ということがたいへん問題になるのじゃないかと思うのです。
 健康上の障害として知らず知らずの間にという形になりますので、たいへんおそろしいと思うのですね。知らず知らずの間になって、そして気がついたときには、もう間に合わなかったということもないこともないというふうに考えられるわけですから、そういうふうな意味から申しまして、私は長期にわたる慢性毒性としてこの問題を問題にしなければいかぬのではないかというふうに考えるわけなのでございます。その点はどういうふうにお考えでございましょうか。
#89
○浦田政府委員 家庭用品の中に含まれております有害物質、それの健康への影響というものを、私どもが今般取り上げまして規制の対象にするというねらいは、先生のおっしゃっておられるとおり、まさに急性毒性ということよりも、それももちろんございますけれども、慢性毒性がどうだとか、さらには催奇形性なり将来の子孫への影響いかんということが一つの大きな問題であり、それに対する対応策をとらなければならないという問題意識を持ってきたわけでございます。
 これらのいわゆる慢性毒性等の研究でございますが、今般家庭用品のこの規制法案の中で考えられております有害物質、これらは実はある程度は、いままでほかの法律体系なり、あるいは既存の研究でもって、そういった慢性毒性なり催奇形性についての知見も得られておるものがかなり含まれておるわけでございます。また一般的には確かに残されておる研究分野は多いと思いますし、そういった意味で十分に慢性毒性の明らかにされていない物質もまだ残っておると思いますけれども、いままでの、現行の法規制の対象になっております物質、これらはもうすでにそのような知見が得られておって、たとえば食品添加物のように科学的な根拠に基づいての規制値基準というものが設けられておるというようなものもございまして、一般的に申し上げますと、まあ問題になるといったような物質についての規制は、今般の法案の対象としても取り上げられておると思います。
 ただ問題は、やはり未知の物質あるいは未調査の物質についての将来への有害性、健康への被害いかんということでありますが、これらにつきましては、私どもはやはり、今後も引き続き調査あるいは研究を推し進めることによりまして、知見を新たに加えてまいりたい。そして逐次この法律案の対象に取り入れていく。あるいはさらに、ほかに適切な規制方法があるならば、それを考えるということによって、今後のこのような努力を通じまして、より理想的なものへの接近をはかってまいりたいと考えております。
#90
○金子(み)委員 私は、よくその辺はわからないのですけれども、家庭用品の場合の毒性とかあるいは有害とかいう問題は、いろんな品物、家庭で使います家具でも衣類でもその他全般でございますけれども、そういうものの加工工程で処理される場合の薬剤が影響するというふうに思われるわけですけれども、それはいま御説明ございましたように、この法案でも二条に「水銀化合物その他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質」というふうに明記されているわけでございますけれども、昭和四十七年度から予算が入って研究をお進めになって、今度四十八年度でございますね。この二年間で三十一品目について検討をすることができた。それで全部ではないだろうというお話でございますけれども、そうすると、その他政令で定める物質とか、あるいはこれから考えられるであろうと思われるものというのは、これからやってみなければ出てこないのでしょうか。あるいはそういった品目に関しては科学的に考えて、こういうものが使われた場合には危険だぞということが専門的に考えられると思うのですけれども、そういうものが含有されてないかどうかということを先に検査するというのは考えられないのでございましょうか。
#91
○福田説明員 四十七年度及び四十八年度で実施いたしておりますのは、先生のただいま御指摘のとおりでございまして、たとえば防炎加工剤の有機燐化合物とか防菌防カビ剤の有機水銀化合物、あるいは防カビ殺菌剤のフェノール系化合物等三十一品目を四十七年及び四十八年度の二年間にわたって、慢性毒性試験あるいはアレルギー性試験あるいは皮膚刺激試験、発ガン性試験等行なっているわけでございますが、この計画はなお、さらに続けてまいりまして、四十九年度以降五カ年計画をもちまして約百八十品目程度を予定しているわけでございます。
 これら有機燐化合物ないし有機水銀化合物というような中にも、御承知のように、いろいろ商品名があるわけでございまして、それを個々に取り上げていく。これは外国及び国内の文献等ですでに明らかになっていることで、百八十品目は五カ年計画ぐらいで全部取り上げてまいりたいという考えでございます。
#92
○金子(み)委員 いまのお話でわかりました。
 五カ年計画で百八十品目ですが、そうすると、五年間という期間がありますね。その五年間に、調査研究が行なわれない間に被害が出てくる可能性もあるわけですね。そういうのはしかたがないと考えざるを得ないのでしょうか。
#93
○福田説明員 御指摘のとおり、五年間の中で、まだ研究の手のつかないところから被害が生ずることはあり得るわけでございます。法律上の構成から申しますと、基準を定めますのは、やはり一番被害が考えられる人たちを対象にする、あるいはものを対象にするということは早急にやらなくてはなりませんので、四十七年度及び四十八年度は、そういうものの一番重点として取り上げるものをすでに手をつけているわけでございます。
 なお、この中でも特に幼児あるいは子供の下着であるとか、おむつであるとかいうものにつきましては、最優先的に取り上げてまいりたい。そのほかのものにつきましては、若干プライオリティーが落ちるわけでございますけれども、先生のおっしゃいますように、確かに健康上の被害は心配もあるわけでございます。そのために、基準は設けなくても、健康上の被害が考えられるときには、その回収まで行政処分がかけられるというものを法律上も想定して考えておるわけでございますが、これは法律上の行政処分の問題でございますので、なるべくそういうことのないように、優先度の高いものあるいは非常に被害を感じられるものから早急に手をつけてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#94
○金子(み)委員 もう一つお尋ねしたいことは、たとえば品目は幾種類かございますね。それから家庭用品のほうもいろいろな種類がたくさんございますね。それらが非常に複合しているだろうと思うのですが、下着の場合なんかでも、下着に使うきれをどういうふうに処理するかという問題があると思いますが、たとえばやわらかくする柔軟処理であるとか、あるいは白をまっ白にするために螢光剤を使うとか漂白剤を使うとか虫がつかないような措置をとるとか、いろいろなことが考えられると思います。それぞれ違った薬品、薬剤が使われるのだと思いますけれども、下着一つをお調べになる場合に、そういうものについて全部お調べになるのでございますか。それとも薬剤のほうの品目を主体にして、この品目がどこに入っているかというのをお調べになっていくのでございましょうか。その辺の動きはどういうふうになるのでございましょう。
#95
○福田説明員 まず有害物質を定めるということが一番先になるわけでございます。したがいまして、先生おっしゃいましたように、防炎加工剤あるいは防虫加工剤というような製品が、たとえば有機燐加工物にいたしますと何種類かございますが、そのうちのホスホリルアミドというものが使われているとなりますと、それの毒性検査をいたしまして、それの含まれている家庭用品、衣料というものを洗ってみます。そのためにいろいろの化学物質と商品名とがダブリでなりまして、おっしゃるように、品目といたしましては相当たくさんの品目の組み合わせになると思いますけれども、まずその化学物質をきめるということが先になるわけでございます。
#96
○金子(み)委員 化学物質をまずきめて、それから品目に入っていくということになるわけですね。結局、違った品目によって何べんも同じものを調べるかっこうになりませんですか。
#97
○福田説明員 ある品目につきまして全部の化学物質がわかれば一番いいわけでございますけれども、全部化学物質を解明するということは、なかなか時間のかかる問題でございます。一番有毒と思われるものから手をつけてまいりまして、それが含まれている品目はそれぞれ指定するということに相なろうかと思います。
#98
○金子(み)委員 そうすると、このものは絶対だいじょうぶだ、完ぺきだということにはならないわけですね。この物質については安全である。しかしそのほかの問題についてはまだ未定である、こういうようなかっこうになる可能性はございますね、一つの品目について。そうすると、そういう標識でも出すようにするのでしょうか。
#99
○福田説明員 私たち、現在とり得る一番最適な手といたしましては、やはり毒性試験の済んだものから化学物質を取り上げていくということでございまして、そういう意味では先生のおっしゃるように、たとえば下着なら下着一つを取り上げましても、下着の中にございます化学物質全部を一斉に化学物質として取り上げることは、ちょっと不可能だろうと思います。したがいまして、そのうちの一番おもなもの、ホルマリンであるとか、あるいはその他のもので一番被害が現実にありそうだと思われるものを優先的に取り上げてまいりますが、これをなるべくその範囲を広げてまいりまして、同時に他の物質、考えられる物質は複合汚染等も考えなければいけないわけで、その辺の安全率を見込みまして基準をつくってまいりたいというふうに考えております。
#100
○金子(み)委員 いずれ、それは基準のほうの問題になっていくんだろうと思いますが、そうすると今度おつくりになろうとしていらっしゃる基準の内容というものに触れますね、なってまいりますね。その基準の内容、もう少しあとで伺おうと思っていたのですが、それじゃまたあとで聞かせていただきます。
 いまのお話は大体それでわかったのでございますが、たとえばこういうことございますね。中性洗剤、いまたいへん問題になっておりますですね。それで皮膚障害が起こるということがもうあたりまえのように考えられて、私自身なんかでもそうですけれども、私はこのごろ洗剤使っておりませんけれども、石けんばかりにしましたが、非常につめが弱くなって、やわらかくなって、曲がりやすくなったり、ぽろっと欠けますね。私の姉なんかでも、このごろとてもつめが弱くなったけれども、どうしてかしらというような質問がありまして、それは中性洗剤の結果だというふうに私ども考えているのですが、そのように障害が当然起こると考えられますが、毒性もあるわけですね。間違って飲んで死亡するという例もございますね。
 ですから、こういう問題非常におそろしいと思うのですけれども、さらに発ガン補助作用もあるんだということなんですが、そういったおそろしい中性洗剤がいろいろなものに使われていますけれども、たいへんにやかましくいわれているのが、お台所で使う野菜を洗ったり食器を洗ったりする洗剤です。これはこのごろ非常に問題にされておりまして、食品衛生法の規定をお出しになりましたから、これはたいへんきびしくなってきてよかったと思っているのですけれども、残っている問題があるのですね。
 医療用とか住居用とかいう洗剤、むしろこのほうが銘柄が多いのですね。私が見ました資料では野菜の洗浄用は五十五銘柄ということになっておりますが、住居用は十一で医療用は百八十七も銘柄があるというのですから、たいへんに種類が多いということだと思うのですけれども、これは一つずつ全部お洗いにならなければならないということになりますが、それはどういうふうにお考えになっておるのでございましょうか。
#101
○浦田政府委員 洗浄剤のうち食品や食器の洗剤、これは食品衛生法で先生先ほど御指摘のように告示を今般改正いたしまして、六カ月の猶予期間を置いて本年の十一月から規格基準を厳重にいたしまして衛生上の問題の解決に当たりたい、こういうふうに手を打っておるところでございます。
 またこれも先生御案内のところでございますが、シャンプーなどにおきまして、これは薬事法の規定を適用していく。それ以外にいま御指摘の医療用あるいは住居用等の洗剤でございますが、これの安全性はやはり本法案の規制の対象として考えてまいりたいということでございます。
#102
○金子(み)委員 こういうものはどこに入りますかしら。
 食器は食品衛生法関係になりますわね。子供用の食器というのがございますでしょう。子供用の食器と同じなんですけれども、食器とか、それからおふろで使う手おけがありますでしょう。何て呼びますか、手はついていないけれども、手おけというのでしょうか、ベースンの。あれで子供のために特別にできたものがありますね、お湯に入れると絵が浮き出てくる、怪獣だとかスーパーマンみたいなのが出てくるのです。とても子供が喜んで、いやがるおふろへ喜んで入るというのですけれども、そういうのはやはり――あれはお湯の中にしみ出てきて、そのお湯がからだにかかって皮膚を直接おかしてということにならないのでしょうか。そういうのはやはり……。
#103
○浦田政府委員 食器あるいはおもちゃ、おもちゃは小児用でございますが、これは食器衛生法の規制がかかっておるわけでございます。したがいまして、その規制を守っておる限りにおいては健康上の問題は生じないと思いますが、いま御指摘の小児用の浴用の洗面器と申しますか、私はそのような実態あまりよく承知しておりませんけれども、そういったものの素材に有害物質が含まれておる、ひいてはそれが溶出して皮膚障害でも起こすというようなことでもありますといけませんので、これはまさにいま御審議中の法案の規制の対象として考えてまいるということであります。
#104
○金子(み)委員 そういたしますと、この法案に書いてあります政令で定める家庭用品「厚生省令で、家庭用品を指定し、」というのがありますね。指定することになっておりますね、第四条。指定する家庭用品というのはどんなものになりますでしょうか、いまあるもののほかに考えられるのだと思うのですけれども。
#105
○福田説明員 法律案第四条に基づきまして厚生省令で定めますものは、先ほど申し上げましたように有害物質について一応知見の得られたものから組み合わせて家庭用品を指定してまいっておるのでございまして、これは家庭用品といたしましては、家庭用の化学品といたしまして、たとえば合成洗剤、洗浄剤、それからつや出し、それから接着剤等でございます。
 それから衣服といたしましては下着、それから外着、くつ下、手袋、その他の衣服類、そのほか身の回り品といたしましてハンカチ、あるいはくつ下どめ、ハンドバッグその他付属品でございます。
 それから、そのほかはきものでございますが、くつ、スリッパのたぐい。
 それから家庭用繊維品といたしまして寝具、クッション、カーテン等ございます。
 そのほかは家具でございますが、家具はたんす、机、これは主として塗料を中心にいたします。
 そういうようないわゆる日用品のものを幅広く考えているわけでございます。
#106
○金子(み)委員 非常に多いと思うのですよ。種類はたいへんだと思います。たとえば一口にカーテンといっても、カーテンにもいろいろな種類がございますね。それから、最近のことですから、次々と新しいものが出てくるわけですね。そういうものを一つ一つ全部追っかけていらっしゃることになるわけでしょうか。質問されたときには、そういう返事をすれば――しろうとわかりのするような考え方としては、新しいものが出たときには、それは全部調べてもらえるのですよというふうなことを言ってもいいでしょうか。
#107
○福田説明員 終局的には、先ほど申しましたように百八十品目を五カ年計画で有害物質を検査いたしますので、その組み合わせば家庭用品はもっとたくさんになろうかと思いますが、とりあえずは先ほど申しましたように、幼児に必要なものでございますね、あるいはからだに直接かつ長時間接するというようなもの、それから接触部位が限定されておるもの等に重点を置きまして、いわゆる健康被害が及ぶのが非常に高いというものから重点的に取り上げていこうという考え方にしております。
#108
○金子(み)委員 その問題はわかりました。
 先ほど田邊委員が御質問なさっていたように記憶しているのですけれども、私が伺ったところでは、そういうものをお調べになるのは国立衛生試験所ですね、厚生省の御所管として。ところが、実際問題としては国立衛生試験所にはこういうものを検査する能力がないというふうに伺いましたけれども、ないのか、少ないのか、低いのかその辺よくわかりませんが、そこで通産省の研究所に協力を求めて実際にはやっておるというふうに伺っておるのですけれども、事実でございますか。
#109
○浦田政府委員 先ほどもお答え申し上げたかと思いますが、国立衛生試験所を中心にしてこういった衛生の問題の研究は進めているところであります。この三十一品目というものの毒性につきましても同様でございます。これの能力が高いか低いかという問題でございますが、確かに私ども、現状でもって検査能力が十分とは思っていないわけでございまして、これは先ほど大臣のほうから田邊委員の御質疑に答えて申し上げたと思いますが、国立衛生試験所を中心として地方衛生研究所、あるいは場合によりましては、さらに保健所の試験室といったようなものまでも動員いたしまして検査体制の画期的な拡充をはかりたいということで、現在省内にプロジェクトチームを組みまして、その検討をやっているところであります。すでに近く結論が出るような段階でございますが、私どもは、まずそういったことが一番この法案を実あらしめるための最大のささえになると考えております。
 お尋ねの、今回のこの調査におきまして通産省の研究所のほうに助力を求めたかということでございますが、実はこれは独自でやったわけでございまして、通産省のほうには協力は求めておりませんが、しかし、先ほど申しましたような検査体制、研究体制というものもございますし、これは国民全般の健康にかかわることでございますので、先ほどの検査体制、研究体制の拡充、プロジェクトチームの検討という中に、やはり国としてどのようにこういった体制を整備するかという方向で検討してほしいということで、通産省あるいはその他関係の各省の協力体制ということについては十分に検討に値するものということで、今後このようなことは、こちらとしても積極的に考えていきたいと考えます。
#110
○金子(み)委員 通産省に協力を求めるのは私は当然だと思うのですね、品物その他衣類等通産省所管のものがたくさんあると思いますから。ですから、通産省の協力は私は別にどうと思わないのですが、検査能力を通産省に協力してもらっているというので――それか事実でないということをいまおっしゃいましたから安心したのですけれども、とんでもない話だと思ったんですね。
 問題は人間の健康に障害が起こるか起こらないかということを検査するわけですから、通産省の御所管ではなくて、これはもう完全に厚生省の御所管なんですから、厚生省はこの問題は絶対的な権限と同時に能力とをお持ちにならなければいけない問題なんですから、厚生大臣、この点はもうほんとうに、先ほども御答弁ありましたから、重ねて御答弁いただかなくてもと思いますけれども、かりそめにも私どもの耳にそのようなことが入るような形であるということは情けないと思うのですよね。ですから、厚生省は、どこが何と言おうと絶対なんだというその権限をお持ちになって、そして同時にそのことを実態としてもお示しになって、みんなが安心できるようにしていただきたいと思いますけれども……。
#111
○齋藤国務大臣 国民の健康にかかわる重大な問題でございますから、厚生省が責任をもって十分検査をいたすようにしたいと考えております。
 それからまた、現在、衛生試験所その他におきまして予算その他不十分な点がたくさんあるわけでございます。したがって、現在検査体制を強化するというふうなことを考えておりまして、必要な予算を公費から出すようにということで目下大蔵省と話をしよう、こういう段階に来ておるわけでございます。今後とも、国民の健康に心配を与えないように厳重に検査体制を強化いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#112
○金子(み)委員 それではその次にお尋ねしたいのは、先ほどちょっと出てまいりましたけれども、これからおつくりになる基準の問題でございますが、どういう形のものができるのでございましょうか。その基準の内容をわからせていただけますでしょうか。
#113
○浦田政府委員 まず、基本的なこの基準の性格についての考え方でございますが、家庭用品の基準というものは、まず国民の健康保護上の最大許容限度を示すものということが一つでございます。
 すなわち、家庭用品に含有されます化学物質による人の健康に対する障害を防止することが最終的な目標でございまして、その基準設定にあたりましては、実施された諸実験の結果を正確に把握いたしまして、科学的な基礎に立つものでなければならないというふうに考えておりまして、具体的には、例示いたしますと、たとえば有機水銀につきましては、防菌防カビ剤として下着等に使用する場合には、次のように基準を定めるように考えております。
 すなわち、第一に、下着、くつ下等、直接身体に長時間接触するものにあっては、これから有機水銀は溶出してはならないということにいたします。
 それから第二といたしまして塗料でございますが、塗料における本剤、すなわち有機水銀でございますが、の含有濃度は、皮膚刺激アレルギー等について現在行なわれている諸実態の結果によって決定いたすということに相なります。
 それから第三点は、いまの二番目のきめによりまして本剤の一定濃度の含有が認められた塗料、それには使用上の注意、たとえば皮膚に触れないように注意しろといったような注意事項を定める。それから皮膚に触れた場合の措置、たとえばすみやかに石けんなどによって洗い流しなさいというような規定などを設けて、それを表示させるというふうなことを考えております。
 以下、たとえば有機化合物などにつきましては、おとなのはだ着にありましては使用濃度をきめる、あるいは乳幼児にあっては使用禁止をするといったように、個々について具体的に設けていきたいと考えております。
#114
○金子(み)委員 よくわかりました。
 それでその基準ですけれども、いつできるのでしょうか。四十六年度から考え始めてやってくだすっているわけですけれども、四十七年度たちました、四十八年になりまして三年目なんでございますが、これは少なくとももう三年になりますから、ことしじゅうにはでき上がらないと困ると思うのですけれども、いかがでございますか。いつ、御予定は。
#115
○福田説明員 先ほども御説明申し上げましたけれども、四十七年度及び四十八年度とわたってやるわけでありまして、慢性毒性試験でございますので約二カ年はかかるわけでございます。したがいまして、本年度一ぱいまでに三十一品目の基準はつくり上げるということで、鋭意進めているところでございます。
#116
○金子(み)委員 四十八年度中にできるわけですね。そうすると、実際には四十九年初めから使う、こういうことになりますでしょうか。
#117
○福田説明員 できるものから、なるべく早めたいと思いますが、一応そろうところは四十九年度から少なくとも実施できるということになるわけでございます。
#118
○金子(み)委員 念のためでございますが、一応の基準でございますね。
 それで、今度新しく百八十品目までずっとやっていらっしゃいますね、五カ年計画で。そうすると、新しいものが発見されたそのつどそのつど、基準の中へ織り込んでいらっしゃるのでしょうか、あるいはある程度まとめてまた基準にお出しになるというようなことになるのでしょうか。
#119
○福田説明員 これは四条の厚生省令で必要な基準を定めることができるようになっておりますので、これはもう先生おっしゃいますように、でき上ったものから順次、その一つでも追加をしていくというほうが好ましいと思っております。そういうような措置をとりたいと思っております。
#120
○金子(み)委員 ぜひ、そのようにしていただきたいと思います。
 続きまして、今度は家庭用品衛生監視員というのを活用しようとしていらっしゃいますですね。この家庭用品衛生監視員について少しお尋ねしたいのですけれども、いままで監視員としては、いろいろな種類がございますね。食品衛生監視員とか環境衛生監視員とかございますね。こういう人たちとは全然別個に、専属におきめになろうということでありますか。
#121
○福田説明員 家庭用品衛生監視員というのは、この法律をお認め願えますれば、新たに設置する監視員になるわけでございます。従前の食品衛生監視員、薬事監視員あるいは環境衛生監視員と並んで新たに設置される監視員となるわけでございます。
#122
○金子(み)委員 そうしますと、今度新たにできるということになりますと、その人たちにある資格が必要になりますね。厚生省令できめられるようでございますけれども、その資格取得の方法とかいうようなものはどういうふうになりますでしょうか。
#123
○福田説明員 家庭用品衛生監視員の資格といたしましては、この家庭用品というのは御承知のように非常に範囲が広いわけでございますので、たとえば医師、獣医師あるいはその他の理学、工学等の分野まで非常に広がってまいりますけれども、現在大体想定いたしておりますのは、食品衛生監視員あるいは薬事監視員並みの資格を持つ人を専属の監視員として設置するという方向が一番適切であろうということで考えておるわけでございます。
#124
○金子(み)委員 私たいへん不勉強でよくわかりませんが、薬事監視員、食品衛生監視員、環境衛生監視員並みの資格とおっしゃったのですが、もうちょっと具体的にわからせていただけませんか。
#125
○福田説明員 現在定まっておりますのは、食品衛生監視員等は、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師及び厚生省の認定いたします養成施設を卒業した者ということになっております。
#126
○金子(み)委員 その一番おしまいのがよくわかりませんね。厚生大臣が指定したとでもいうのですか、あるいは認めた養成所ですか、どういうものでしょうか。
#127
○福田説明員 現在指定しておりますのは、たとえば四年間の栄養士の大学を出て資格を持った者を指定しておるわけでございます。
#128
○金子(み)委員 そうしますと、新しくできるこの家庭用品衛生監視員も同じような内容を持つものというふうに解釈いたしますと、その人たちが、家庭用品衛生監視員としての資格をおきめになれば、それでできるのでしょうけれども、実際の能力としてはどうなるのでございますか。たとえば四年制の栄養科というのは管理栄養士になりますね。管理栄養士の資格を持っている人は家庭用品衛生監視員になり得るわけでございますか。
#129
○福田説明員 少し説明に語弊かあったかと思いますが、食品衛生監視員並びに薬事監視員並みと申し上げましたのは、たとえば医師あるいは獣医師はもちろんのこと、そういうような一定の養成施設なり、あるいは一定の認定し得る資格を持った人という意味で並みと申し上げたわけでございますけれども、直ちに食品衛生監視員をこの法律の監視員にするということではございません。したがいまして、専属の家庭用品衛生監視員といたしましては、医師あるいは獣医師等のような人は当然でございますが、そのほかの人たちにとりましては、たとえば公衆衛生院でそういう資格をとる講習をするとかいうような道を開いてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#130
○金子(み)委員 大体わかりましたけれども、そうすると、この家庭用品衛生監視員の資格の問題とからんでまいりますことは業務内容だと思うのです。たとえば食品衛生監視員とか薬事監視員とかあるいは環境衛生監視員というのは比較的監視しやすいと思うのです。わかりやすいですね。しかしこの家庭用品衛生監視員というのは非常にむずかしいと思うのですけれども、どういうふうな業務内容を持ちますのでしょう。
#131
○福田説明員 家庭用品衛生監視員の職務権限でございますけれども、まず第一に、この法案の一番ねらっておりますところは、いわゆる流通しております家庭用品というものが基準に適合しているかどうかという問題でございますので、そのチェックはこの監視員によって当然行なうわけでございます。これが一番主たる任務になるわけでございますが、さらに確認いたすために、ここに規定してございますが、たとえば立ち入り検査あるいは試験ということをいたしますが、そういうのが主たる家庭用品衛生監視員の任務になるわけでございます。ただ都道府県に置きます場合と、政令都市に置きます場合、あるいは保健所まで置きます場合ということで、任務は同じでございますけれども、取り扱い方といたしましては、多少広さ狭さが出てこようかと思っております。
#132
○金子(み)委員 いまのお話でございますと、この監視員の人たちが監視するために参ります対象はメーカーですね。販売店ではないわけですね。品物を売っている店じゃなくて、品物をつくるところ、そこへ監視に行くわけでございますね。
#133
○福田説明員 監視いたしますのは、たとえば小売り店あるいはメーカーということを問いませんで、メーカーにつきましてももちろん立ち入り検査等をいたします。小売り店にいたしましても、小売り店のものを試買検査等はいたします。
#134
○金子(み)委員 それでは監視員に関してもう一つ伺わせていただきます。
 どれくらい設置なさる御予定かということが一つございます。あるいはいまお話の中に出ました県、政令市、保健所、どういうふうに設置なさるかという問題と、それに対する設置補助をどういうふうに考えていらっしゃるかという問題ですか……。
#135
○福田説明員 新しく設置いたします監視員でございますので、一挙に膨大な数をということはなかなかたいへんでございますけれども、私どもはこの法律の実効を期せられる人数を早くそろえたいということを考えております。
 当面考えておりますのは、非常に専門的な家庭用品衛生監視員といたしまして、とりあえず専属を全国に約二百名程度当初年度から設置いたします。そして先ほど申しましたように、五カ年計画で百八十品目くらいいたしますので、そのときの目標といたしましては、約千二、三百名をそれまでに充実いたしたい。ただし、これは専属の監視員でございまして、そのほか環境衛生監視員あるいは薬事監視員から兼務職員ということで発令もいたしたいというふうに考えるわけでございます。
#136
○金子(み)委員 もう一つお尋ねしたのでしたが、それは設置に関する補助ですが、予算的措置、どうなさいますか。
#137
○福田説明員 予算的措置につきましては、他の監視員と同様に地方交付税交付金で措置したいということでございます。
#138
○金子(み)委員 そういたしますと、あと一つだけ伺いたいと思いますことは、さっき田邊委員がお尋ねになっていらしたかと思いますが、監視員の人たちが監視に入って、そして発見した場合、あるいはこれからもそういうかっこうになるのだと思いますね、いままではそういうことがなかったかと思いますけれども、これからそうなると思いますが、そして摘発された品物が出てくるわけですね。その場合に、この法律にございますように販売を停止したり、あるいはすでに出ているものを回収したりというようなことがございますね。
 そうすると、この問題は二つの被害者が出てくると思うのです。品物を売っているほうの側も被害を受けますね。これを回収して売れなくなるという問題がございますでしょうし、そのつもりがあったでしょうから、そういう面での被害でございますし、それから発見がおそかったために、すでに健康障害を起こしてしまう人も出てまいりますね。その場合、それも一つの被害者だと思うのですけれども、この両方の二つの被害者に対して国としては何か救済といいますか、あるいは補償と申しますか、そういった措置をお考えでございましょうか。
#139
○福田説明員 先生いまお述べになりましたように、二つの意味で被害者といえば被害者が出てまいります。基準に適合しない場合には、そのメーカーなり、あるいは販売業者というものが販売等の禁止になるわけでございます。その点につきましては、製造業者はやはりこの法律三条に書いてございますように、扱う製品が人の健康に与える影響なしという前提のもとにつくりなさいということになっておりますので、いわゆるPPPと申しますか、一種の原因者負担になるわけでございます。この点は、この法律を施行する以上やむを得ないことかと思います。
 もう一つのほうの、いわゆる消費者のほうのサイドに被害がかかるということは、これはもう極力避けなければならないわけでございますが、そういう場合もあろうかと思います。その場合におきましては、やはり一種の救済制度という、被害者救済制度を実施する必要をわれわれも痛感しているわけでございます。これは家庭用品に限らず、あるいは食品あるいは薬品という場合と全く同様のケースであろうかと思います。
 そのために厚生省におきましては、現在食品、薬品それから家庭用品をあわせまして、三本を一本にいたしました救済制度というものを考えております。その内容といたしましては、現在検討中でございますので、まだつまびらかにいたしませんが、方向といたしましては、いわゆる製造業者等が基金あるいは保険制度をもってそういうような被害を救済できるように担保するという道を開いてまいりたいということで、鋭意検討を進めておるところでございます。
#140
○金子(み)委員 いまのお話、よくわかりましたけれども、消費者のほうの救済はどうなるのですか。
#141
○福田説明員 いまの救済制度をもちまして、消費者に対する補償ということをやりたいというわけでございます。
#142
○金子(み)委員 それでは、これは最後の質問になりますが、第四条関係で、生活環境審議会というのがおできになる。これからおできになるわけですね。もうすでにできているわけでございますか。「基準を定めようとするときは、あらかじめ、生活環境審議会の意見をきくとともに、」云々というふうになっておりますですね。この生活環境審議会というのは、すでにできているとしますと、その中の機能としては、今度の「有害物質を含有する家庭用品」云々、この規制に基づいて機能を発揮してもらう審議会の方々があると申しますか、あるいはそういう部局ができると申しますか、そういうものが何かできなければならないのじゃないかと思いますけれども、その辺の関係を教えていただけませんでしょうか。
#143
○浦田政府委員 現在すでに生活環境審議会というものがあるわけでございまして、その所掌事務の中に、厚生大臣の諮問に応じまして水道あるいは廃棄物の処理施設また下水道の終末処理場その他生活環境に関する事項を調査審議するとなっております。審議会は任期二年で四十人以内の委員の方々及び専門の事項を調査するために必要があるときは選任されることになっております専門委員から組織されております。そして審議会には部会を置くことができまして、現在生活環境部会、廃棄物処理部会及び水道部会の三部会と、並びに生活環境部会家庭用品安全性問題専門委員会、あと部会がございますが、省略させていただきますが、等々ございまして、生活環境部会の中の家庭用品安全性問題専門委員会、こういった専門委員会が過去すでにいろいろと御調査いたしておりまして、今回の法案をかけるにあたりましても、専門委員会の方々の御意見をお聞きするといったようなことはいたしたわけでございます。
 それから、今後どうするかということでございますが、今後も私どもはできるだけこの生活審議会、ことに専門家の委員会を活用いたしまして、新しい基準を定めるといったような場合、公正な観点から、また専門的な観点からの御判定を仰ぐ必要があると思っておりますので、意見を徴していくことが適当であるというふうに考えております。
#144
○金子(み)委員 厚生大臣にお願いします。
 審議会の意見あるいは答申、これは厚生大臣が諮問なさったものに対する答申が返ってくるのだと思いますが、その答申はぜひ尊重していただきたいのでございますけれども、予算が十分じゃないから、これはちょっとへずろうかというようなことにならないように、審議会の答申はそのままそれを尊重するということを確認していただきたいのです。事健康に関しますので……。
#145
○齋藤国務大臣 お話の点まことにごもっともでございまして、審議会の意見は十分尊重いたしまして善処いたしたいと考えております。
#146
○金子(み)委員 私は質問を終わりたいと思いますけれども、先ほど田邊委員の質問のときに局長が答弁していらっしゃいましたのに、従来非常に縦割りの制度しかなくて、総合的な観点からものをながめた措置というものができていなかった。今度のこの法案は、いままで幾つかあった縦割りの中の谷間を埋めるものなんだというふうに御説明がありましたね。そういたしますと、谷間を埋めるものができ上がったことによって総合体制はでき上がるというように解釈してよろしいものですかどうですか。そういうことになりますと、この法案ができることによって私どもの健康並びに生活は守られるのだというふうに確認してよろしいかどうか、最後に一言伺わせていただきたい。
#147
○浦田政府委員 本法案は、先ほども私、田邊委員の御質問にお答えしたところでございますが、いわばいままでの縦割りで規制しております法律、それの取り残された部分、抜け穴と申しますか、谷間を埋めるという意図を持ったものでございます。もちろんこれだけで完全という気持ちはございませんで、いまあるすべての関係法律並びに本国会に提出しております同種の法案、通産省でお出しになっておられます法案でございますが、こういったようなものと相補完し合いまして、金子委員のおっしゃるような、これでもって一応全生活関係にかかる健康の問題はおおえると思っております。
 しかしながら、先ほども申しましたように、要は運営の問題でございます。だんだんこれからやはり規制の対象を広げていく、あるいは有害物質も次々に取り入れていくという積極的な運営ということが相まっていかなければならないというふうに考えておりますので、私どもはこの法案の成立した暁には、運営についても積極的に前向きに取り組んでいくことによって、趣旨の徹底をはかってまいりたいというふうに考えております。
#148
○金子(み)委員 おっしゃるとおりだと思います。法案はつくっても、それが運営され、国民の上にそれが反映されなければ意味がないですから、それを実現していくためには予算措置なども十分考えていただいて、せっかく国民の健康並びに生活が守られるということがこれで一応形づくられるとするならば、それがほんとうに守られる形にぜひしていただかなければならないと思いますので、その点十分努力していただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#149
○伊東委員長代理 村山富市君。
#150
○村山(富)委員 いままでの質問で大体問題点は言い尽くされたのではないかと思うのです。ただもう少し具体的に明確にしてもらいたいというような点もございますので、主としてそういうことについてお尋ねしたいわけです。
 まず最初に、いままでいろいろ家庭用品のそれぞれ安全性についての検査をされてこられたわけですね。それによって、五カ年間で百八十品目大体想定しているというお話がございましたけれども、いままでの検査結果で初年度大体どういう家庭用品を指定をしていこうとするのか、この家庭用品の指定は具体的に個々の品目をあげて指定するのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
#151
○福田説明員 ただいまのお尋ねは、昭和四十七年度及び四十八年度の検査結果に基づいて、どういうような家庭用品を指定するのかというようなお尋ねだと思いますけれども、四十七年度、四十八年度につきましては、有機燐化合物であるとか、あるいは有機すず化合物等をはじめといたしまして、三十一品目にわたる化学物質につきまして現在毒性検査を実施しているわけでございます。用途は防炎加工剤であるとかあるいは防虫加工剤あるいは殺菌剤、防ガビ剤というようにいろいろ広がっているわけでございますけれども、この化学物質の毒性の検査が済みましたならば、これが最も用いられているもの、しかも非常にわれわれの皮膚に接触する度合いの多いもの、そういうものから具体的に家庭用品を指定してまいりたいと思っております。
 たとえば具体的に申しますと、一番頻度の多いのは、やはり衣服でございます。衣服のうち下着あるいはくつ下あるいはワイシャツというように皮膚に接する部位の非常に頻度の高いもの、それから合成洗剤とかあるいは接着剤とかいうことで、日用品として使う部分の度の高いもの、そういうものを中心にして取り上げてまいりたいと思います。
#152
○村山(富)委員 この法案をつくる限りにおいては、幾らかやはり現実に使われている日用品が、人の健康に害があるものがあるということが想定されて、この法案はつくられたものですね。そうしますと、それはやはりいままでの経過を踏まえてこの法案をつくられているわけですから、そういう経過から考えて、初年度大体どの程度の日用品を指定をするつもりなのか、あるいはそれは個々の具体的な品物について指定をするのかどうかということなのです。
#153
○福田説明員 先ほどの四十七年度、四十八年度の検査のほかに、実は四十年度あたりからいろいろの情報も収集いたしております。四十六年度におきましては厚生科学研究費をもちまして、どういう健康被害があるのかというものについての頻度調査あるいはそれの原因の調査等もいたしておりますので、それに基づきますと、やはり衣服が一番中心になる。いわゆる健康被害の四〇%が衣服による、特に皮膚疾患の症状を訴えているという点が多いわけでございます。先ほど申しましたような下着類等の衣服の品目を中心にいたしまして、具体的に家庭用品といたしまして現実に指定する考えでおります。
#154
○村山(富)委員 そうするといまのところ、どういう品目がどの程度あると指定をするつもりだということはまだはっきりしないわけですね。
#155
○福田説明員 化学物質といたしましては三十一品目ございますので、この組み合わせによりまして、およそ五、六十種類の品目は指定できるかと思いますが、具体的にどれをやるかは今後なお検討してまいりたいと思います。
#156
○村山(富)委員 そうしますとこれは、たとえばはだ着とかあるいはさっきお話しになりましたようにくつ下とか、そういう個々の品物について指定をするわけですか。
#157
○福田説明員 当然その個々の品物、いわゆる下着であるとかあるいはくつ下であるとかいうことを、日本標準商品分類の家庭用品の分類を参考にして指定することになるわけでございます。
#158
○村山(富)委員 では次に伺いますが、この条文を見ますと、第二条に、有害物質として「水銀化合物その他」とありますね。特に水銀化合物を名ざしであげた何か根拠があるのか、あるいは現実に日用品の中で水銀化合物が含有されているものかどんなものかあるのか、同時に――一緒に聞きますが、その他というものの中にはさっきお話ございました三十八種類ですか、をさしておるのか、そういう点を聞きたいと思います。
#159
○浦田政府委員 水銀化合物を例示として取り上げた理由でございますけれども、御案内のように水銀化合物は古くからその毒性が周知のことでございます。また最近ではさらに水俣病の原因物質のメチル水銀といったようなこともございます。しかもごく微量でもこれは体内に蓄積されて慢性毒性を発揮するといったような性格のものでもございます。このほか一般に特に水銀化合物は有機、無機を問わずに、急性あるいは慢性毒性などが重篤でございます。しかもかなり広範囲に使われているといったようなこともございまして、化学物質の中で有害物質の例示としてあげたものでございます。
 それからどういったものをほかに考えているかと申しますと、さしあたりは、先ほど審議官のほうからもお答え申し上げたことと思いますが、有害物質としては防カビ、防菌剤であるホルマリン、それから有機すず化合物、それからフェノール系化合物、有機塩素化合物及び先ほど申しました有機水銀化合物やまた有機燐化合物などを予定いたしております。
#160
○村山(富)委員 その三十八種類かの有害物質と思われるもの、それをまたあとでいただきたいと思うのです。
 それから先ほど御質問申し上げましたように、特にいま使われている日用品の中で、水銀化合物が含有されていると思われるような品目があるのかないのか。
#161
○浦田政府委員 一般的に広く使われておりますのは塗料関係でございます。
#162
○村山(富)委員 私は有害であるという、有害の定義が非常にむずかしいと思うのです。いまの科学的な観点からしましても、有害という定義をすることはきわめて不安定で、まだいろいろな問題があると思うのですね。と申しますのは、たとえば同じ有害物質でも使用のしかた、使い方によって違う。それから同時に、使う人が子供、特に乳幼児であるか、おとなであるかということによって、またこうむる被害が違うと思うのですね。そういう違いがあると思うのです。
 たとえばこれは例がたいへん悪いのですけれども、しょうゆならしょうゆをとりますね。しょうゆは調味料として使うものについては別に被害はない。しかし茶わん一ぱい飲んだりすると、これはやはり被害があるというようなことがいえるわけですから、たいへんむずかしいと思うのですね。そういう意味で有害とする根拠は一体どういうところに求めるわけですか。
#163
○浦田政府委員 非常にむずかしいお尋ねであろうかと思います。
 一般的に有毒という場合には、物質それ自体の性質として、人体に及ぼす被害の度合いが甚大な場合、いわゆる毒物ということで知られておりまして、かつ致死量もきわめて少量であるという場合が多いと思います。しかし、これもあくまで絶対的な基準ではございませんで、相対的な考え方であろうかと思います。ただ毒劇法あるいは薬事法等で有毒というふうな扱いをしておりますのは、それは法律上の一応の割り切り方でございます。それよりもさらに毒性が弱いものが有毒でないか、あるいは毒劇の対象になっていないけれども、毒物でないかということになりますと、これはそれぞれの場合によって考え方が違ってくる。一般的には有毒という場合には、きわめて微量でも生命に危険を及ぼすといったようなものであろうと思います。
 これに引きかえまして、有害という定義でございますけれども、いま先生が御指摘のように、これもやはり相対的なものでございまして、量並びに濃度との関連があると思います。これもやはり法律上の取り扱いとしてある程度のところで割り切って考えていくということに相なろうかと思います。
 いま私どもで食品衛生法の関連で申し上げますと、食品添加物のいわゆる基準というものに対する考え方は、これはどちらかといえば有毒というよりも有害という考え方をとりまして、ある一定の量以上、ある一定の濃度以上とるということによって健康の障害を起こすおそれがあるといったようなものについて、濃度規制を行なっているわけでございます。この法律におきましても、有害というのは、ここで定義を設けて有害物質というふうに申し上げているわけでございますが、ほかの場合――ほかの場合と申しますと、薬事法あるいは毒劇法あるいは食品衛生法あるいは現在御審議いただいております通産省の化学物質に関する規制法などに比べました場合に、本法案の有害という考え方はどちらかといえば非常に厳格な考え方であろうと思います。そう言えると思います。非常に軽微な皮膚障害あるいはその他の健康障害であっても、私どもとしてはそれを規制の対象として、いやしくも健康障害は絶対起こしてはなならぬぞといったような考え方で、この有害という問題に取り組んでいるつもりでございます。
 有害とは、そういった意味から、有毒に対しまして、これはもう常識的に申しても非常に程度が低い、健康障害を与える度合いが低いということは言えると思いますが、あくまでもやはり結論から申しますと、有毒といい有害といい、それぞれの立場で基準をどこに置くかということを考えるべきものであろうかと思いますが、この法案については、それについてはかなり厳格に考えているというふうに御理解いただきたいと思います。
#164
○村山(富)委員 ちょっとわかったようなわからないような答弁ですけれども、問題はその有害物質の指定をしますね。そしてその有害物質の基準をきめるわけですね。ですからできるだけ広範囲に、疑わしいものは一応指定をして基準をきめていくということが大事だと思うのですね。そういう意味からしますと、基準のきめ方というのは、さっきもお話がございましたけれども、たいへん重要な問題になると思うのです。
 これはいろいろな例が想定されると思うのですが、ちょうどここに昭和四十五年度の苦情処理報告書というのが通産省から出ているわけです。これを見ますと、こういう場合があるのです。たとえばこれは接着剤ですけれども、同じ接着剤でホルマリンが発散するというふうなものにつきましても、いろいろの樹脂系の系統があるわけです。たとえばここに書いてあるのによりますと、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、それからフェノール樹脂系、こういう系統があるわけですね。いま日本で一番多く使われているのはフェノール樹脂系である。これは密着が容易であるし、値段も安い。ところが、このフェノール樹脂系というのが一番ホルマリンが発散して、そして涙が出たり臭気がしたり何かして被害が大きい。だから通産省ではできるだけ良質のものを使うように指導している、こういうのですね。ですから同じ接着剤と一口に言っても、同じホルマリンが含有されているといっても、そういう中身の系統によっていろいろ違うわけですね、ここに書いてあるのを見ますと。そういう分類というのは、基準をつくる場合に、やっぱりこまかいのをずっとあげていくわけですか。
#165
○浦田政府委員 そのとおりでございます。一々きめていく予定でございます。
#166
○村山(富)委員 しかもたとえば合板なら合板をとりますと、接着剤を使われておる。できた製品が乾燥を非常によくした場合と乾燥か悪い場合とまた違うわけですね。そういうところまでやっぱりいろいろ基準をきめていくわけですか。
#167
○浦田政府委員 御指摘のフェノール樹脂系を合板などの接着剤として使うという場合、これは結果論にちょっとなるかもしれませんが、ホルマリンが溶けて出ないといったようなものでなければ、これは販売したり何かしたらいけないことになるわけでございますから、製造工程というものは、それに合わせて十分に乾燥していただく それでなければ市販に出さないというようなことにしなくちゃならないということになるわけでございまして、そういった試験も、こちらとしては立ち入り検査あるいは収去試験などの場合に、そういったホルマリンの発散率の試験などもいたして、違反のないようにつとめていきたいと考えております。ですから、そういったことは十分に製造工程の改善とかということでもって、出回る品物についてはホルマリンが発散しないというふうにさせたい、またそのための試験も検査も十分に、監視も十分にいたすようにいたしたいと考えております。
#168
○村山(富)委員 いや、したいという気持ちはよくわかりますけれども、具体的にいろいろ基準をつくるわけです。ですから、そういう製造工程のやり方によって人体に及ぼす被害というのはまた違ってくるものがあるわけですね。そういうものを含めて、個々に具体的に基準をつくっていくのかどうかということを聞いているわけです。
#169
○福田説明員 先生お尋ねのように、これは非常に人体に、それぞれによってまた違う点もあるわけでございます。
 たとえばアレルギー性体質の者はどうかとかいう点も試験の上では大事な要素になろうかと思います。したがいまして、いま御説明申しましたように、発散性の試験はもちろん行ないます。そのほかアレルギー性につきましても、個々のものにつきまして、しかもどういう使用者に主として使われるかということを考えた上でなければ適正な基準はできないだろう、その点を十分勘案いたしまして、基準を作成いたしたいと考えております。
#170
○村山(富)委員 これもまたわかったようなわからないような話ですけれども、ですから、要するに基準をつくる、その基準のつくり方、中身が非常に重要になってくると思うのです。私もこれは全然しろうとですから、そんなところまで突っ込んで聞く意思もありませんし、わかりませんけれども、ただ、この条文を見る限りは、先ほどもお話が出ましたけれども、生活環境審議会ですか、「生活環境審議会の意見をきく」こうなっているわけですね。生活環境審議会の中にはいろんな部会がある、専門的な部会をつくってそこの意見を聞くということになっているわけです。私はこの法律が実際に効力を持つかどうか、一番の根幹は、やはり基準になると思うのですよ。これほど重要な、しかもむずかしい基準の設定について、ただ意見を聞くだけというのは、何か通産省あたりのいま出されています法案なんかは、全部関係審議会に諮問をして答申を得る、こういうことになっています。ここの場合にはそうでなくて、ただ意見を聞くだけだというふうにしてあるのは一体どういうことなんだろうか。私はむしろ慎重にするためには、やはり当然大臣が諮問して専門家から答申をもらって、そして安全性に対する信頼度を高めていくということが必要ではないかと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
#171
○福田説明員 先生のお尋ねごもっともでございまして、非常に慎重を期し、かつ適正な基準を定めなければ、この法律の実効は期せられないわけでございます。そのために、生活環境審議会の意見を聞くということになっておるわけでございますけれども、この文言といたしまして意見を聞くということになっておりますのは、内容といたしましては諮問を行ないまして、それの答申を得るということでございます。たまたま通産省の法律のほうは諮問というふうに書いてございますけれども、従来の薬事法等の例もございまして、ここの法案では生活環境審議会の意見を聞くという表現をとっておるわけでございます。これはまさに厚生大臣が審議会に諮問し、その意見答申を得てつくるということでございます。
#172
○村山(富)委員 私は、条文の解釈からしますと、諮問をし答申を得るということと、意見を聞くということとは大きな違いがあると思うのですよ。なぜ私はこういう質問をするかと申しますと、この法案作成の過程に生活環境審議会に諮問か何かしましたか、意見を聞きましたかと言ったら、意見は聞きました、では意見を聞いた議事録はありますかと言ったら、いや、議事録はありません。ですから、そういう程度のもので意見を聞くような扱いにされたのでは困る。だから私は、むしろ明確にここで、あなたが言うように諮問をして答申を得るなら、諮問をして答申を得るというふうに、それは表現はともかくとして、そういう内容のものに当然すべきではないかと思うのですが、どうですか。
#173
○福田説明員 まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、私のほうもこれは、文言からいたしまして、必ず諮問をし答申を得る、その答申を尊重して定めるということの手順は当然いたしたいと思います。
#174
○村山(富)委員 そうすると何ですか、条文をそういうふうにしなかったのは、薬事法とかいろんな条文にならってこういう表現を使ったので、実際は諮問をして答申を得てやるのだということなんですか。
#175
○福田説明員 おっしゃるとおりでございます。
    〔伊東委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着
    席〕
#176
○村山(富)委員 そうであれば、私はこの条文に
 そのことをなぜ明記しなかったかと思うのですが、この点は大臣どうなんですか。
#177
○齋藤国務大臣 これは法令上の用語としては大体同じような運営をしようということを考えておりまして、法令上の用語としては意見を聞くというので差しつかえないのではないかということで、たしかそういうふうにいたしたつもりでございます。
#178
○村山(富)委員 意見を聞くということと、諮問をし答申を得てやるということと同じですか、これは。どうですか。
#179
○福田説明員 内容といたしまして、こういうような審議会につきましては、大体諮問、答申というのがまず大筋でございます。そのほかに建議、いわゆる意見を具申するというのもございます。それをまとめまして、法律によって違いますが、意見を聞くという表現をとっている場合もあるわけでございまして、厚生省の薬事法等には審議会の意見を聞くという表現を使っていたということでございます。したがいまして、この法律案も意見を聞くという――これは先生のおっしゃいますように、表現としてはむしろそちらをとれば、諮問をし答申を受けるということをとったほうがよかったかもわかりませんけれども、従前の薬事法等の例によりまして、意見を聞くということばを採用いたしたわけでございます。
#180
○村山(富)委員 そうすると各省によって違うのですか。たとえば通産省の場合には諮問をして答申を得る、だけれども厚生省の場合には、諮問をして答申を得るのだけれども、条文としては意見を聞くというふうにするのだというように、条文の解釈は通産省と厚生省とは違うのですか。
#181
○福田説明員 この生活環境審議会は厚生省の設置法によりましても諮問機関になっておりまして、したがいまして大臣の諮問というのが当然のたてまえでございます。お尋ねのように、これは各省によって若干表現が違っておる場合もあり得るかと思いますが、通産省の場合はお尋ねのように諮問になっているようでありますが、内容は全く同じというふうにわれわれは理解をしておるわけであります。
#182
○村山(富)委員 さっき申し上げたように、私がなぜそういう質問をしつこく聞くかといいますと、実際にこの法案をつくる過程で生活環境審議会の意見を聞いているわけでしょう、意見を聞いたならば、意見を聞いたときの審議の議事録がありますか、こう聞いたわけです、そうしたら別に議事録はありませんと、それでは意見を聞きっぱなしなんですかとこう言ったら、要点だけ書いたものはありますと言うのです。そうなると、これもそういう扱いになる可能性があるのではないかということを私は一番心配をしたわけですよ。だからこそ、これは意見を聞くということと諮問をして答申をもらうということと、厚生省と通産省で条文が違うのだが、中身は同じですというふうな言い方で一体済まされる問題であるかどうかということで聞いているわけですよ。
#183
○浦田政府委員 先ほど先生御指摘の、本法案を準備する段階で生活環境審議会への手続について御指摘があったわけでありますが、やはりそのいきさつを申しまして、そして私どもがこの法案にこのような表現をしておるということについての一つの意味と申しますか、こういうようないきさつでこういうように考えているということについて御説明申し上げたいと思います。
 生活環境審議会というものは、厚生大臣の諮問に応じまして、水道や廃棄物の処理施設その他環境衛生にかかる重要事項を調査審議するということになっているのは、先生御案内のとおりであります。本法案を提出する準備の段階におきまして、この生活環境審議会との関連をどのように考えて、どのように扱うかということをごく概略申し上げますと、厚生省といたしましては、すでに昭和四十五年の毒物及び劇物取締法の一部改正により、毒物、劇物を含有する家庭用品については、その含有する毒劇物の基準を設けて順守を義務づける、また製造方法などについて必要な命令をすることができるというふうになったわけでございます。また、食品衛生法の第九条、第十条及び第二十九条では、飲食物の容器包装、乳幼児用のおもち牛及び台所用洗浄剤などにつきまして、その含有物などの規制を現に行なってきているところでございまして、どう申し上げますか、すでにその根っこにおいて、生活環境審議会で、このような環境衛生にかかわる重要事項についての御意見を伺っておるわけでございます。
 今回の立法措置は、このような一連の動きの延長線上の問題でございまして、あらためて特に審議会にこの部分だけ取り出して諮問をし、答申をお願いするという形でもって進めなくてもよろしいのではないか。意見をそういうことでもってあらためてお聞きしておりませんけれども、この審議会の生活環境部会及び家庭用品安全性問題専門委員会などで、この中身についてはずっと御審議をいただいてきております。そして、そういった意味で、答申という形ではございませんけれども、総会におきまして、この法案の中身について御報告申し上げ、そして御了承を得ているといったようなことでございまして、決して生活環境審議会を軽視するとか、あるいは意見を聞かないといったようなことでございませんで、事実上このような、すべて生活環境の改善にかかわる重要事項の問題として、厚生省としては一連の措置をとってきたのでございますが、その延長線上の問題ということで、あらためてこの部分だけを取り出して諮問申し上げたということではございませんので、その点、形式上は答申という形でございませんけれども、しかし精神は、あくまでも私どもといたしましては、この生活環境審議会の御審議を尊重申し上げていることでもございますし、この点については、総会においても御報告申し上げていることでございますし、先ほど審議官のほうからも御説明申し上げましたように、今後とて、生活環境審議会というものに対する私どもの基本的な態度は、やはり厚生大臣の諮問機関でございますので、ここに御意見を聞くということは、当然諮問するということでもございますので、そのような形でもって生活環境審議会の委員の方々の御意見――これは答申と申し上げるべきですか、御意見と申し上げるべきですか、事実上答申というふうに私どもは受けとめまして、この法案の今後の運用ということについては誤りなきを期してまいりたいと考えております。
#184
○村山(富)委員 これは私さっきから申し上げておりますように、この法案で一番やはりポイントは、基準をどう設けるかということだろうと思うのですね。その基準を設けることは、きわめてむずかしい要素もある。それだけにやはり慎重を期する必要がある。
 そこで、生活環境審議会は、これはもう諮問機関だから、そこで意見を聞くことが、もう答申になるんだというふうに理解をすることが正しいのかどうか。そこらの点については、これは法制局の見解も一ぺん聞かなければならぬと思いますけれども、私はむしろそうじゃなくて、今後起こる問題ですから、そういう答申をいただきましたというのと、いや意見を聞いただけですというのとは、だいぶ違うでしょう。ですから、そこの私の見解は、そうじゃなくて、答申を得るということと、意見を聞くということとは大きな違いがあるんだと私は思うのです。
 実際に厚生省は、運用上はそういうふうにやってきたと言われるかもしれないけれども、この条文だけから解釈する限りにおいては、大きな違いがあるんではないかというふうに思いますから、その点は指摘しておきたいと思うのです。
 そこで、生活環境審議会の、さっきお話が出ましたように、中に専門部会をつくる。そうすると、その部会の構成というのはどういうことになるのですか。
#185
○福田説明員 生活環境審議会の中に専門部会を設けるわけでございますが、その考えられます構成といたしましては、臨床医でございますね、これは特に皮膚科、小児科等の臨床医が入ります。そのほか、病理、毒性の研究の学者、あるいは応用化学、それから中毒学、細菌学、それから基礎化学等の専門学者等を構成員に考えておるわけでございます。
#186
○村山(富)委員 そうすると、部会で審議をしたものを生活環境審議会に持ち込んで、そこでまた総会あたりで審議をして、そして意見が述べられる、あるいは答申かなされるということになるわけですね。そうすると、こういう日用品に一番関連がある、しかもこの法案のねらいというのは日用品を使う消費者を守っていくということがねらいですね、その消費者の声というものを反映する機関というものはあるのかないのか、どうですか。
#187
○福田説明員 生活環境審議会におきましては、いまのような専門的な立場に立った学者からの意見というのは、やはりこういう基準を作成いたします場合には、一番大きな要件になるわけでございます。これはもう当然かたく固めるわけでございますが、さらに国民的な立場に立ってどうするかということも、審議会の場では当然その考慮に入ってくるわけでございます。したがいまして、生活環境審議会の中には、そういうような立場を代表する人もすでに総会の中にも入っているわけでございまして、そういう中から広く見ていくということは必要であろうと思っております。
 なお、生活環境審議会の答申がございましたら、それは当然厚生大臣がそれに基づきまして、その意見を尊重いたしまして基準を定めることになるわけでございます。これは消費者の立場というものを行政の上からどう強く出していくかということは、さらに行政の上からも考慮を加えていくということになろうかと思います。
#188
○村山(富)委員 いや、私がいま御質問申し上げたのは、これはやはりきわめて専門的なことになりますから、部会では、いまお話がございましたようなそれぞれの専門家がお集まりいただいて、そうして慎重に検討していただく。部会で一応基準案ができたら、その案は総会にかけられて、総会で承認を求めて、そうして大臣に答申をされる、こういう経路をたどるわけでしょう。ですから、そういう経路をたどる過程の中で、一番大事な消費者の意見が反映されるようなことになっておるのかどうかということを聞いているわけです。
#189
○浦田政府委員 生活環境審議会の委員の職名を二、三御紹介申し上げればあるいは御納得いただけるかと思います。
 いわゆる消費者代表という形はとっておりませんけれども、実質上そういう消費者の声を十分に反映していただける方、公正な立場からいろいろと意見を述べられる方ということで、たとえば朝日新聞の論説委員の方とか、毎日新聞の論説委員の方とか、それから主婦連の副会長の方とか、読売新聞の論説委員の方とか、大学のそのほうの教授の方とかいうことでもって、私どもは、いままでの運用からいいましても、いわゆる国民一般あるいは消費者の立場として十分に御意見を述べていただける方々が含まれている、また運用についてはそのようにやっておるつもりでございます。
#190
○村山(富)委員 私は必ずしもそういうことになるかならぬかということは、これからの問題ですからわかりませんけれども、しかし、この法案の立法の趣旨あるいはその対象とねらい等から考えた場合に、これはあくまでも消費者が対象ですから、消費者の健康を保持する、安全を期するということ、したがって、その消費者の声をうんと反映される必要があると思うのです。ただ、そういう過程を経て設けられるその基準に対して、なおかつ、使っている消費者のほうから、この基準では甘過ぎると異議がある。逆に今度は、業者のほうから、そんな基準をつくられたんじゃ製品がつくれないという意見があるかもしれません。そういう関係者の、特に消費者ですけれども、不服申し立てをされるような権利というものは、どういうふうに保障されるわけですか。
#191
○浦田政府委員 確かに先生の御指摘のとおり、この基準を設定するという、その基準の内容については、たいへんに慎重を要しなければならない点があると思います。これにつきましては、もちろん最終的には生活環境審議会の御意見を尊重することになるわけでございますが、その運用いかんということは、先生御指摘のとおりであります。また私どもは、その前の段階でできるだけ公正な意見聴取といいますか情報収集といいますか、そういったことについても留意をいたさなければならない。たとえば病院あるいは診療所等からのいろいろな御連絡、あるいは消費者の方々からのいろいろな御通知等について、特に運営上の問題として私どもは処していきたいと考えております。
 それから苦情の問題でございますが、はっきりとこの中に苦情を取り上げるという仕組みにはなっていないと思いますが、第一線で消費者の方々に接する機会の最も多い保健所等におきまして、私どもはこの法律の趣旨を徹底させまして、情報の収集とともに消費者の方々の苦情というものについては、できるだけなまの声を厚生省まで届くように行政指導、指揮してまいりたいと考えておるわけでございます。
#192
○村山(富)委員 私は、ここに条文を持っていませんからよくわからないのですが、いま国会で審議されております通産省の製品安全法の九十何条かに、主務大臣に対して申し出ができるという条文があるようですけれども、そういう意味で私は、この条文の中にも消費者なり関係者の基準に対する不服の申し立て等の権利が保障されるようなものが必要ではなかったかと思うのですが、その点はどういうふうに理解しますか。
#193
○福田説明員 基準の設定は非常に大事な問題でございますし、われわれも消費者の健康の保持、いわゆる安全性の確認という点に最重点を置いてまいりたい、これは当然のことでございます。したがいまして、むしろ家庭用品の場合におきましては、その安全性と有効性との競合の問題ということが、もし意見が違うとすればその点が一番大きな問題になろうかと思います。しかし、われわれは家庭用品をこの法律で取り上げましたのは、あくまでも国民の健康の保持のためにやることを最重点にして考えてまいるわけでございますので、そういうことがいささかも侵されるようなことは基準としては取り上げないつもりでございます。
 したがいまして、その意味で、消費者から基準に対する申し出が制度として法文上担保されていないということでありますが、少なくとも基準をつくりますときには十分の安全性を見ると同時に、流通から考えましても国民の健康の保持のほうを優先して考えるというたてまえを主にして考えましたならば、当然消費者からそういうような基準の苦情が出ることがないようにしなければいけないわけでございます。そういう意味で、法文上の担保はここに置いてないわけでございます。
#194
○村山(富)委員 それもあまり私は深追いしませんから、今後検討してください。
 それからもう一つは、基準がつくられた場合に、その基準に基づいてつくった日用品をどういうふうに消費者が使うか。使い方を誤れば、その基準で害がないはずだったけれども、害が起こることもあり得るわけですね。ですから、商品に使用法についても表示することは当然考えると思いますけれども、しかし、なおかつ徹底しない場合もあり得る。ですから、その基準をつくった場合に、どういう経緯でこの基準がつくられておるのかということを周知徹底される必要があると思うのです。そういう基準をつくった根拠あるいは経緯を消費者が理解することが大事だと思うのですけれども、そういう公表について何か考えていますか。
#195
○福田説明員 基準を定めまして家庭用品が流通をいたします場合に一番大事なことは、使用方法が使用者によっても相当違うわけでございますから、使用法を親切に表示するということを重点にいたしたいと思っております。
 この法案もそういう意味で使用法等につきましては、すべて表示をすることに考えておりますけれども、さらに先生ただいまおっしゃいましたように、どういうふうにして安全性をきめ、どういうような使用の注意をやったかというような経緯について周知徹底させることは必要だろうと思いますので、これは行政の運用上の問題でございますけれども、県あるいは市町村を通じましても、そういう経緯はもう少し周知徹底をはかってまいりたいと考えております。
#196
○村山(富)委員 従来のような、何か基準をつくったときに、たとえば官報に載せるとか、あるいは通達で県、市町村に出すとかいうことだけでは私は公表にならぬと思います。行政レベルで行政の筋としてやるだけですから、一般の人が官報を読んでいるかといえば読んでいませんから、したがって、それでは公表にならぬと思います。これほど重要な問題で、しかも厚生省も腹をきめて落ちこぼれのないようにすくい上げて国民の健康を守っていこうといわれるならば、その気持ちがすなおに大衆の中に入って効果をあげていくようにするためには公表することが大事だ、公表の方法を考えることが大事であると思います。それについて、なお何か検討する余地がないかお答え願いたいと思います。
#197
○福田説明員 公表のしかたにつきましては、先生おっしゃいますように、官報等でただ書いておくだけでは、国民に対する公表というのには少し適切さを欠くというふうに私どもも考えております。やはりこういうものは、特にわれわれの日用品いわゆる家庭で使います消費者の直接的なものでございますので、消費者がほんとうに知り得るような方法、たとえばテレビ、新聞、ラジオ等を使いまして公表し、それを周知徹底させるという方法が一番適切であろうというふうに考えております。ぜひそういうような方法をとって周知徹底をはかってまいりたいと考えております。
#198
○村山(富)委員 その点は、ひとつお願いしたいと思います。
 次に、この法案の五条、六条と罰則の問題とを関連してお尋ねしたいと思いますが、たとえば販売等の禁止とか回収命令とか、いろいろ規定かありますね。そしてこれに違反した場合には、第十条まで罰則規定があるわけです。
 具体的に考えてまいりますと、販売や陳列という問題について、製造、販売から陳列まで一貫してやっている業者はわかるかもしれません。しかし、販売の過程も全然知らない、製造過程も知らない、ただ販売しているだけだ、あるいは陳列しているだけだというような小売り店段階まで参りますと、そういう中身については知らぬわけでしょう。いま陳列している日用品、販売している日用品が、はたして設けられた基準に合致しておるのかどうかということについては全然わからない。ただ卸問屋からもらって販売しているだけだという小売り業者まで、この罰則というのは届くのかどうかという問題についてお答え願いたいと思います。
#199
○福田説明員 第五条の販売等の禁止につきましては、「家庭用品の製造、輸入又は販売の事業を行なう者」についてかかっているわけでございます。それが法律案の第十条の「第五条の規定に違反した者」ということで罰則の適用を受けるようになっているわけでございますけれども、製造業者は、先生のおっしゃいますように、これは責務としてかかってくるのは当然でございますが、販売業者にとっては、それは少し過酷じゃないかという御発言のようでございます。
 この点につきましては、販売業者の場合もやはりそういう責務はあるわけでございますから、一般にそれを知り得ない状態のままでその罰則を適用いたしますならば、これは少し無理であろうというふうに考えております。しかし基準に適合しない家庭用品が出回っておる、しかもそれが監視員の指摘を受けたような場合、これは明らかに販売業者もわかっているわけでございます。そういうようなものをさらに販売する、あるいは陳列するというようなことについては、法の均衡上罰則を適用するということは当然であろうかと思います。そういう際の罰則の運用をいたしてまいりたい、こういう場合を想定いたしました罰則というふうにお考えいただきたいと思います。
#200
○村山(富)委員 たとえば、あとでまた出ますけれども、監視員から指摘をされた、それから厚生省も全国的に回収命令を出したといったような段階で、それを承知の上で、なおかつ販売していくという者について、私は当然罰則は適用されると思うわけです。ところが、この第五条を見る限りにおいては必ずしもそうはならぬと思うのですね。これは全部販売した者、陳列した者を含めるわけですから、したがって、この点の解釈だけはここで明確にしておきたいと思うのですけれども、全然本人は知らずに、また知らされる機会もなくて販売し陳列した、たまたまその品物がその基準に適合してなくて、あとで指摘をされた、こういう場合もあり得るわけですね。製造業者の場合には、いま御答弁がありましたように基準がちゃんと示されるわけですから、製造過程でもって問題があるから、当然承知の上でやりたということで罰則は適用されると思うのですが、そういう場合に、その販売し陳列している業者というものは除外するわけですね。
#201
○福田説明員 罰則の適用につきましては、原則的な問題がまず必要であるわけでございますが、この第五条を適用いたします罰則、これは第十条でございますが、第十条につきましては過失犯は該当しないというわけでございます。故意にやったということがいわゆる罰則の適用になるわけでございます。刑法上も、過失犯を罰するということを特に載せてない限り、過失につきましては罰則を適用いたしませんので、この規定も故意犯のみを適用いたします。先生のお尋ねのような、何も知らなくて売っていたという場合は、当然この五条に対する罰則からはずれてまいるということになろうかと思います。
#202
○村山(富)委員 そうすると、これは形式犯としての扱いでなくて、故意にやったかどうかといったようなことが十分検討されて罰則が適用されるというふうに理解していいわけですね。
 次に、第六条に「重大な被害が生じた場合」という例がありますけれども、その重大な場合というのは、一体どういう状況にあることを重大というふうにいわれるのか、その点の御説明を願いたいと思います。
#203
○福田説明員 人の健康にかかる被害が重大であるというのには二通り意味があろうかと思います。一つは、その被害そのものが、いわゆる健康上の被害として重篤の場合、もう一つは、被害としては、たとえば皮膚疾患のように軽微なものでございましても、広がる範囲が国民層に広く広がるといったような場合、これは当然重大というようなことで、この二つをこの中の重大という意味では取り上げているわけでございます。
#204
○村山(富)委員 これはたとえば使われておる日用品が、いま説明されたような、非常に拡大され、あるいは慢性疾患に進行していくというようなことを対象に重大な被害というふうにいわれた場合の始末のしかたと、そうでなくて、たとえばたいへん涙が出て目を痛めた、あるいは軽度の皮膚疾患で、慢性化する心配はない、こういうふうなものは含まれないわけでしょう、この中には。
 私はなぜこういう質問をするのかと申し上げますと、処置のしかたが違ってくると思うのですね。ですから、いま御説明があったような重大な被害が生じる心配のある場合の処置のしかたと、軽度の被害を与えるというおそれのある場合の処置のしかたと――軽度だから、これはかまわぬといってほうっておくわけにはいかぬでしょう。何らかの措置をしなければならぬ。ですから、ここで具体的な対応のしかたは変わってまいると思いますけれども、しかし、あえてここで「重大な被害」というふうに規定をせずに、健康にかかわる被害が生じた場合においてというふうに表現をされてもよかったんじゃないか。それのほうが、むしろ消費者はこの条項に関する限り安心もできるし、信頼度も増すんではないかというように思うのですけれども、その点はどうでしょう。
#205
○福田説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、「重大な被害」は、私も御説明に触れましたように、被害そのものが重篤である場合だけではございませんで、軽微な被害、健康上の被害でございましても、いわゆる国民層に幅広く及ぶようなものは、やはりここでいう「重大な被害」として取り上げてまいりたいということでございますが、その場合なぜ重大といたしましたかというと、第一項のほうで、いわゆる基準の定めのあるものに対する規定があるわけでございます。それを受けまして第二項は、これは基準の定めのない場合でございます。
 したがいまして、若干、基準の定めのあるものは現在健康に害が及ぶということが予見されるということを想定いたしまして基準をつくるわけでございますから、それをそこまで至らない、いわゆる基準はまだ定めていない、あるいは基準がないというものにつきましては、過渡期といたしましては別でございますが、法体系として整いました場合は、やはり被害度というものは少し落ちるわけでございます。そういたしますと、そこで回収というような行政処分を行なわしめるためには、ある程度重大な被害というようなことで被害程度を問うことになるわけでございます。しかし、ここの「重大な」中には、先生もおっしゃいますように、軽い被害ではあっても広い広がりを持つ、いわゆる広いたくさんの人が被害を受けるという場合は当然含むということでございます。そういう意味では、おっしゃいますように、かりに被害が生じた場合というふうに運用上は広げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#206
○村山(富)委員 指定された日用品で基準が設けられておったという商品の場合と、全然基準も設けられておらない、指定もされておらない日用品の場合とあるわけですね。被害というものは想定しないところで起こってくる可能性もありますから、全然指定されていない日用品で、しかももちろん基準もないというようなものでも被害が起こる可能性があるわけです。そのために五カ年でワクを広げていこうといっているわけですから、したがって、そういう区別はつけておると思うのですよ。この条文の適用に関する限りはつけておると思うのです、
 それからもう一つは、被害がかりに個人個人から見れば軽症であるかもしれない。だけれども、広がる可能性があるというのを重大だというふうにいって、日用品というものが、特殊な人間だけが使われるようなものは指定の対象にならぬのじゃないか。むしろ普遍的に使われるといったようなもののほうが被害の指定の対象になる。そうしますと、広がる可能性というものはみんな持っておるわけですね。そこで、そこの区別のつけ方はやはりおかしいではないかと思うのです。
 ですから、ここにいわれる重大な被害あるいは軽微な被害というような区別はつけられないんじゃないかということが一つと、それからさっきも申し上げましたけれども、むしろ重大な被害だろうと軽微な被害だろうと、その起こった被害に対する対応策は違うかもしれませんよ。しかし、かりに軽微な被害であっても、やはり何らかの措置をして未然に防いでいくということは当然の話でありますから、何もここでそんな区別をする必要はないんじゃないか、こういうように私は思います。
#207
○浦田政府委員 審議官からも御説明を申し上げたとおり、第六条の第二項は、それによりまして、いわば強制措置がとれるわけでございます。したがいまして、これについてはやはり根拠がなくてはならないという点があろうかと思うわけであります。しかしながら、本法案のもう一つの目的は、健康に障害のあるような物質は、できる限り、今後の研究も進めまして、リストにあげまして、規制の対象にしていくという一つの目的を持っておるわけでございます。そのために、いろいろと、病院、診療所あるいはその他の機関、施設等を通じまして、こういった健康被害の状況、そういったものがかりに軽微なものと特定できなくても、できるだけそういった情報というものは、われわれは積極的に集める必要があると思うのです。これによりまして、そういったことがある程度の全国的な視野のもとに、あるいはある程度の広さのもとに、そういったものを集めてみますと、その被害の全貌というものもわかってこようと思うわけです。
 その時点で新しくそういった物質を規制の対象に取り上げていくということは、これは別問題でございます。私どもは、やはりどうしても、いまこの法案が出発する時点におきましては、いわゆるネガティブ方式でリストをつくって規制の対象をきめていくという方式をとらざるを得ませんけれども、それで満足しているのじゃございませんで、新しくそのような新たなる有害物質が発見された、そういったような事例が起こったという場合には、それに応じてそのリストを広げていくということで対応していくつもりであります。
 この六条二項でいっておるのは、厚生大臣なり都道府県知事が強制措置をとるということでございますので、もちろんこれからも新しい規制基準をつくっていくということも、新しいそういったアクションがとられるということも当然あり得るわけでございますけれども、先ほど申しましたようなことで、いまの六条二項の意図しておりますところと、それから今後将来の問題というものとは、私は一応区別して考えてもよろしいのではなかろうかというふうに存じます。
#208
○村山(富)委員 私は、この条文をすなおに読んでみて、重大な被害が生じた場合において、大臣または都道府県知事は、当該家庭用品の回収をはかることその他被害の拡大を防止するために必要な応急の措置、とあるわけですね。この「必要な応急の措置」というのは、被害の度合いによって、あるいは違うかもしらぬと思うわけですね。けれども、重大な被害を生じた場合というふうにあえて規定しておるのは、軽微な被害については知らぬ顔をしているのか。だから、ここであえて重大な被害ということを入れる必要はないのではないかというふうに私は考えておるわけです。これから全然指定はされておらない、あるいは基準も守られておらない新しい日用品で何か新しい被害が起こったという場合に、それを指定をして基準を設けてやることは、これは当然なことです。けれども、現状の場合にはいろいろなことが想定されるわけです。いろいろなことが想定される日用品の使用によって被害が起こる可能性もあるわけです。あなた方がいま想定されている以上にあるかもしれませんよ。そうした場合に、重大とか軽微とかという区別をつけられるのかつけられないのか、重大な被害の場合には措置をするけれども、軽微の場合には措置はしないのかといったようなことも起こってくるわけです。ここであえて重大な被害というふうに規定づける必要はなかったのではないかというふうに私は思うから言っているわけですよ。その点はどうですか。
#209
○福田説明員 先生おっしゃいますように、確かに「応急の措置」というのがございまして、応急の措置は、これはそれこそ軽い被害であっても、応急措置としては、とることは非常に大事なことになるわけでございます。したがいまして、その回収をはかることよりも応急の措置をとることに重点を置いて運用は当然しなければいけないわけでございますが、同時に行政命令としての回収という意味は、これは製造業者、販売業者にとっては非常に大きな問題になるわけでございます。そういう意味で受けて重大な被害ということを書いてあるわけでございますが、これは先ほど申しましたように、たとえ軽微な被害であっても、それが相当数の人に及んでいるということも含んで重大というふうに書いたわけでございますので、当然先生のおっしゃいますような、応急の措置に応じられるような体制をこれで打ち立てたいと思っております。
#210
○村山(富)委員 それは重大な被害という、重大という中身はそういうものまでも全部含めて解釈しているのだというふうに理解をしておきたいと思うのですけれども、その点も実際の運用面で何か問題があれば今後も検討してもらいたいと思うのです。
 それからいま一つは、これは午前中もちょっと意見がありましたけれども、いま通産省やら厚生省やら農林省やら、この種の法律を持っていますね。いま審議中のものもありますね。そういうものとのかかわり合いというものは、実際いってなかなかわかりにくいのです。たとえばいま議会にかかっている通産省の安全法ですね、その安全法と比較した場合に、通産省が所管をしておるのは構造上の問題である、構造上欠陥があるかどうかといったことが基準になる。それから厚生省のこの法案は、その製品に含まれている有害物質と思われるものがどれほど及ぼしているかということで基準を設けていくのだ、こういうふうに一応区別はできると思うのです。ところが、たとえば戸だなが合板でつくられておる。合板の段階は農林省がJASマークでやるわけです。そうしてつくられた戸だなは通産省の所管になるわけです。その中に使われている接着剤とか、あるいは防腐剤とかいろいろなものがあれば、それは今度は厚生省の管轄になるわけですね。できている製品は一つ、使っている消費者も同じ人間が使っている。ところがこの一つの製品に、日用品に三つの省がからんでいる。こういうことになるわけですね。私はむしろそういうことから考えた場合に、そういうものを何か一体的にするようなものが出てきてもいいのではないかと思うのですけれども、その点はどういうふうに考えていますか。
#211
○福田説明員 先生のおっしゃるように、非常に多岐にそれぞれ分かれておりまして、この法律は御指摘のとおり化学物質による人体の健康問題、人体の問題を取り扱っております。通産省の法律は製品安全法というやつで、物理的、機能的な安全を確かめるということになっておるのは御指摘のとおりでございます。したがいまして一つの商品、家庭用、日用品の中に、たとえば塗料であるとか、あるいは合板であるとかということになりますと、両方が確かにぶつかってまいりますが、それは一つの製品に対しまして二つの法律が同時に入り込んでいるわけでございます。しかしこれは規制基準であるとか、あるいは規制の方法とか、指導監督の方法等で、それぞれその体系を現在の行政では別にいたしておりますので、なるべく近い将来にこういうのをできるだけ一体化してまいりたいというふうに考えておりますが、現在の体系の中では、この体系として立てざるを得ないということであろうかと思います。
#212
○村山(富)委員 こういう矛盾が私は生まれてくる可能性があるのじゃないかと思うのです。たとえばここに例がありますけれども、工作のりですね。これはJISでもってホルマリンなんかの許容量で一応の基準があるわけでしょう。たとえばここに書いてあるのは、許容量は一万PPMとなっていますね。実際にその一万PPMという基準でつくられた製品を子供が使っておって、そうして非常に苦情が多い。目が痛む、涙が出るという苦情が多い。ここで言われているのは基準が甘いのではないかと言われているわけですね。
 ですから、いろいろな法律がある。その法律でそれぞれの観点から基準がつくられている。その基準とこれからつくられる基準と必ずしも合致しないというようなことがあり得るのではないかと思うのですよ。たとえば製品をつくる。そのつくることを前提にしてどうすればいい品物が安全につくられるかという観点から基準をつくるのと、どういう被害が人体にあるかという観点から基準をつくるのと、基準のつくり方に若干の違いが出てくるのじゃないかと私は思うのですね。そういうふうなものの関係というものは、どういうふうに調整されていくわけですか。
#213
○福田説明員 ただいまのJISないしJASマークとの関係でございますが、工業標準化法、これはJISのほうでございます。それから農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、これはJASマークでございますが、これらはそれぞれ規格を制定いたしまして、品質の改善、それから生産の合理化、取引の単純公正化あるいは使用または消費の合理化等をはかる目的でつくられているわけでございます。
 そういうようなJISないしJASマークの中で現在ある程度安全的な許容量というものがきめられているものも確かにございます。しかし、今回この法案が出まして、家庭用品につきまして化学物質は全部この法律で定めることになりますので、この基準ができますれば、それを準用いたします。JISないしJASの基準というものは、それにあわせて改正されるというふうなことに相なろうかと思います。
#214
○村山(富)委員 その点はわかりました。
 そこで、さっきちょっとありましたような基準をつくるということと、それから家庭用品衛生監視員がつくられるということ。その監視員が現地では実際に法の運用をしていくわけですね。監視員の任務、役割りというのが非常に大きくなると思うのです。さっきから御答弁がありましたけれども、いま保健所なんかで配置されている食監や環監の状態では完全に安全性は保持できない。これは私は責任をもって言います。ですから、あれだけ法律はあっても実際にいろいろな不公平や不服が起こるわけです。問題が起こるわけです。これはやはり監視体制が万全を期しておらないというところから起こるのです。さっき金子委員の質問に対してあったようた答弁では私は非常に危惧を持つわけですね。
 さっき答弁の中に兼ねさせるというような話もありましたが、いまでさえ食監、環監が足らずにいろいろな問題が起こっておって不安定になっているというのに、これがまた一つ仕事がふえて兼ねていったのでは、とてもじゃないが、たいへんな過重になってできない。これは具体的に申し上げますと、たとえば環監の委員なんかは野犬の捕獲までやっていますよ。地方ではやらされますよ。だから全くあなた方が想定しないような多岐にわたる任務を持ちながら、少数の人間で仕事をするわけです。それにまた今度はこれができて兼ねさせるということになったのでは、とてもじゃないが、この法の運用に万全を期すことができないと思うのですが、そういう点はどうお考えになりますか。
#215
○浦田政府委員 本法案が成立後、この法律を実施していくということに関しましても、一番肝心なところは御指摘のとおり監視体制、検査体制の確立であろうと思います。これは現在ほかの、たとえば食品衛生法なりあるいは環境衛生の関係の諸法の監視、検査体制についても当然のことでございます。先ほど田邊委員に対する大臣の御答弁だったかと思いますが、その中にも検査体制の画期的な拡充、監視体制の強化ということについてのお答えがあったかと覚えておりますが、私どもはたとえば食品衛生監視員につきましても、自治省との間の御相談によりまして、かなり年々交付税の算定基礎における人員の拡充ということにつとめてきてまいっているところでございます。
 本法案の家庭用品の衛生監視員制度につきましても、法案提出前の自治省との間の協議によりまして一番肝心な点として専従職員の確保という問題が取り上げられているところでございます。私どもはまさに先生の御指摘の点一番の大事な問題として、現在こういった問題も含めましての省内におけるプロジェクトチームでの検討、さらにそれの成案を得るのもすでに間近というふうに承知しておりますが、当面の予算の実現化ということについて努力しておりますので、従来の行きがかりとか行き方というものをさらに私どもは根本的に改めるという気持ちでもって監視体制の拡充強化につとめてまいりたいと考えております。
#216
○村山(富)委員 時間もあまりないので大臣にまとめてお尋ねしますが、いまお話がございましたように、いまの監視体制ではこれはとてもじゃないけれども手一ぱいで十分なことはできない。これは私は責任をもって言います。そこでこの衛生監視員の配置それから検査体制、これは単に中央の検査を強化するだけでなくて、やはり地方で苦情があった場合に、一々東京に持ってくるわけにいかぬわけですから、地方の検査体制も強化する必要がある。これが二つ目。三つ目は、単に交付税で委員の人件費を見るだけでなくて、やはりそういう機能を充実するために国が十分予算措置をやる。そういうことについて大臣の見解を聞きたいと思う。
#217
○齋藤国務大臣 現在の監視員なり監視体制が十分であるとは私どもも考えておりません。そこで今後私どもは監視体制の強化なりあるいは監視員の増員、そういう方面にできるだけの力をいたしていかなければならぬであろう、かように考えております。
 なお、監視員の人件費等につきましては、たてまえ上交付税でまかなうというたてまえになっておりますが、保健所等に配置いたしますいろいろな機械設備等につきましては、当然これは国が補助をしていかなければならぬ問題でございますから、そういう方面に画期的に予算も増額いたしまして監視体制の強化に当たっていくようにしたいと思います。
 なお、いろいろな苦情があったとき東京まで出てこれぬではないか、私はごもっともだと思うのです。実は私も特に大都市などにおいては衛生試験所の分室みたいなのをつくって、安全センターみたいなのを東京ならば一区に一カ所くらいつくる。そうして市民の方々がやはり衣類なり塗料なりその他家庭用品等について、そのほかにもいろいろ問題ありますから、食品等に不安の問題もありますから、何かそういうところに持っていって、どうしても不安なんですが、ちょっと調べていただけませんでしょうか、そういうようなのを仕組みとして考える必要があるのではないかということを実は言うて検討を命じたことがあるわけなんです。ですからそういうわけで、今後はそういう仕組みをどういうふうにしていったがいいか、県単位で一カ所つくるようにしたらいいか、もう少し時間をかけて、私は来年度の予算編成までに間に合うように何かの仕組みを一つ考えるようにしてまいりたい、こんなふうに考えております。
 お述べになりましたこと、まことにごもっともでございまして、この法律をつくりましても、先ほど来御質問ございましたように、ほんとうにわずかな予算なんです。これで責任を持てるかといえば持てない。そこでいわゆる必要な予備費の支出もお願いしようではないか、こういうように考えて、いま努力をしているところでございます。
#218
○村山(富)委員 これは大蔵省が来ていれば言いたかったのですが、いろいろな法律をつくり出した。それは地方に制度を及ぼしていくわけでしょう。だけれども、予算措置が交付税でわずかに見るだけですから、超過負担や過重があるわけです。そういう面で国が責任をもって予算措置をするというところまでいかないと、せっかくつくったものが生きていきません。私は、その点は強く厚生大臣にも要望しておきたいと思うのです。
 最後に、さっき補償の問題が出ましたが、補償は民事で争うことになるわけですけれども、こういうことが起こると思うのです。基準を国がつくるわけですから、その基準に適合したものをこしらえて、そしてなおかつ被害があった。これはそれ以外にいろいろなファクターがあるかもしれませんよ。あるかもしれぬけれども、極端に申しまして、基準どおりのものをこしらえた。そして使った。ところが被害が出た。こういう場合に業者のほうからいわせると、私は国がつくった基準どおりやったのですから、責任はありませんというかもしれませんね。そういう場合に被害者に対する責任というのは国が持つのか、持たないのか。私は、この点をやはり明確にしておく必要があると思うのです。
#219
○福田説明員 ただいまのお尋ねは、きわめてむずかしい問題だろうと思います。と申しますのは、基準をつくります際に、十分の安全率を見込みまして、その基準をつくることはもう当然なことでございますし、そういう意味でその基準に合致しておりますれば、それによって被害が生ずるということがないような基準の設定をしたいということでございますので、そういう想定はちょっとなかなかできないかと思いますけれども、そういうのがございますれば、基準のつくり方を改廃しまして、被害が及ぶ範囲を縮めるということになるわけでございます。そういうことのないように十分な安全性を見込んで基準を作成してまいりたいと思います。
#220
○村山(富)委員 午前中もいろいろ御指摘がありましたように、いままでつくられている基準だって、ずいぶん問題があるわけですよ。同時にここで問題になる基準のつくり方も、もうさっきから何べんも言っておりますけれども、たいへんむずかしい内容のものがある。それだけに、もちろんそれはそういうことが起こらないように慎重な検討を加えて基準はつくられていくと思うのですよ。しかし、なおかつ被害があったという場合に、その被害者に対して、一体基準をつくった国が責任を持つのか持たないのかということについては、私はやはりこれは起こる可能性があると思うのです。
 原因者が明確であればその原因者に、民事でも何でも起こして損害賠償をとればいいのですよ。だけれども、原因者が、たとえば製作者が国の基準を守って基準どおりにつくったという場合に、なおかつその基準を適用して被害が出た、こういう場合に、国がつくった基準が間違っておるのだから、つくった国に責任があるのは当然ではないか。そのときの責任はどうなるのですかということを聞いているのです。これはむしろ大臣のほうからお答え願います。
#221
○齋藤国務大臣 基準をつくるということは、そういう被害を起こさないようにするための実は基準でございますから、基準を守っていただければそういうことはないはずでございましょう。しかし実際問題、世の中ですから、そういうことはあるいはないでもない、こういうことも考えられます。そういう問題につきましては、来年度、薬品だとか食品だとか、そういう被害についての救済措置についての法律をいま考えておりますから、そういう問題もあわせ十分検討させていただきたいと思います。
#222
○村山(富)委員 救済措置は別問題ですよ。ただ、責任の立場はやはり責任の立場で明確にする必要があると思いますから聞いているわけです。ほんとうに慎重な審議を重ねて、そしてこれならば絶対心配ないと思って基準を設けたものであっても、これはわかりませんよ。そういう場合に被害者は一体だれに責任を追及したらいいのかということになりますからね。被害の補償を要求したり、あるいは救済措置が講じられたりすることとは別に、この法律のたてまえからいった場合に、基準を設ける国に責任があるのではないか。その責任はあると思いますかと、こう聞いているのですから、それに対して答えてください。
#223
○齋藤国務大臣 でございますから、そういうふうな場合に国に責任があるのか、製造者が責任を免かれるのか、そういう問題は私あると思うのです。そういう問題も含めて、先ほど申し上げたような、来年度のいろいろな法制の際に十分な検討をしたいと考えております。
#224
○村山(富)委員 その答弁は、私はきわめて不満ですよ。それはわざわざ国が基準をつくるわけですから、つくった基準に対しては、国が責任を持つのはあたりまえのことでしょう。それはそうでしょう。それなら責任を持つと言いなさいよ。
#225
○齋藤国務大臣 でございますから、そういうことが起こらないように基準をつくっておるわけでございますから、その基準をつくった以上は、国にその責任がある。これはもう当然だと思います。ただ、その責任を果たすやり方についてどうすればいいかという問題を含めて十分検討させていただきたい、こういうわけでございます。
#226
○村山(富)委員 時間が来ましたから、終わります。
#227
○竹内(黎)委員長代理 田口一男君。
#228
○田口委員 この法案の内容を見まして、私は原則的に、いままで不備であった人の健康を守るという法体系が一応整備されたということについては、賛成の意を表します。特に、他の委員会で議論をしておるのでしょうが、有害物質のこの法案と、それから化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案、これは通産関係ですね。さらに消費生活用製品安全法案、この三つがこの国会で成立をすればいままで不備であった健康を守る法体系は一応整備をされる、こういう点で私はいま言ったように賛成なんですけれども、この社労でかかっておる法案をずっと考えてみると、問題点が四つどうしても出てくると思うのです。
 これは、いままで何回となく長く質問をされておりますから、十分つかんでもいると思うのですけれども、第一に、午前中やりとりもあった表示の方法ですね。有害物質家庭用品ということを指定をし、特定をしていく。それをどう表示していくかということが第一の問題であろうと思います。それから第二番目の問題は、こういったことをやったために価格問題ということが当然出てくるわけですね。いままで一個百円であったものが百二十円になるとか、そういった物価上昇ということに、いやでもおうでもこの問題がひっかかってくるだろうと思う。それから三つ目の問題が検査機構をどうするか。そして最後の四つ目は、いまも村山さんからもお話のあったような、責任の所在ということをめぐって、どうしてもはっきりしなければならぬ。こういう四つの問題がこの有害物質云々の法案での問題点になろうと思います。
 そこで私は、この四つの問題を一つ一つ重複を避けてお尋ねをしますので、ひとつお答えをいただきたいのです。
 たとえば第一の問題点である表示方法、この表示方法がむずかしいということは私わかります。そこでひとつどういうやり方か、いままとまったものがあれば、お示しをいただきたいのですが、たとえばたばこの場合でも「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と書いてありますね。これも表示だと思うのです。ところが、これはいろいろ学説が分かれておりますから、一つの例として申し上げるのですが、たばこのいわゆるヘビースモーカー、一日に八十本も九十本も吸う。それでガンになった。専売公社はけしからぬじゃないかと文句を言っても、そういう危険があるから表示をしたじゃないですかといってしまえばおしまいですね。
 それからキンチョールとかいろいろな殺虫剤がありますけれども、あれなんかにも電球目がけてやっちゃだめですよと書いてある。ところが蚊であるとかハエであるとかは電球に群がってくる。効率あげようと思ってそこに向かってしゅっと一吹きやれば、その電球が破裂をして危険な状態がある。こういうことでいい面と悪い面とは必ず表示をする場合に裏返しの問題があると思います。
 ですから、この家庭用品なり有害物質を定めて指定をした場合に表示をする方法、合成洗剤の場合の家庭用品品質表示法では、四十六年の四月一日に改正をされたのが、大体五点ほど具体的に表示をされておりますけれども、ああいったような表示にとどめるか。たとえば繊維なんかにいろいろ付着をしておりますから、それを赤ん坊がなめる。なめちゃうと毒ですといったことを書いてあっても、赤ん坊は字が読めませんから、なめる。これはうらはらの関係があると思うのです。ですから、この表示方法はむずかしいと思うのですが、いま厚生省のほうで考えておるこの家庭用品に対する表示方法の一つの例、これはどういうものか、ひとつここで一つの案として出していただきたいと思います。
#229
○浦田政府委員 一般的に申しまして、基準値か設けられまして、その基準値以内である、それを順守していただくということであるならば、わざわざ有害物質を使用しているといったような旨の表示もあるいは必要ないかもしれません。しかしながら、家庭用品によりましては、先生御指摘のように、使用方法を誤ったというようなことでもって、いろいろと実際上の健康被害が起こるということもあり得るわけでございます。私どもはこの本法案では表示制度をこの条項の中には取り入れておりませんが、現在すでに家庭用品品質表示法、これは通産省の所管でございますが、この法律がございまして、この法律を活用することによって、できるだけ御指摘のようにこまかい使用上の注意事項というものも表示内容として盛っていくというふうにいたしたいと考えております。また、いままで食品衛生法その他の関連も、この法律の運用ということを通産省との間で十分に御相談申し上げまして、こちら側の希望しておる、また必要と認めておる表示についても、現在までそういったことが達成されてきておりますので、さらにきびしく、この法案が成立し、実施される段階までに個々のものについて検討を加えてまいりたいと考えております。
#230
○田口委員 そうすると、これに説明があるように、有害物質というものを、まず、いま表示の方法について厚生省が考えておるのは、有機燐が有害物質だ、それからABSが有害物質であると、たとえばこうしますね。それを有害物質として特定をして、それを使った家庭用品、たとえば合成洗剤、メガネのフレーム、いろいろありますね、この家庭用品には有害物質として指定をしたものが、基準がきめられて、たとえば〇・〇何%しか含まれておりません。それからABSはどれどれしか含まれておりませんからという表示なんですか。それとも私が第一番に質問をしたように、合成洗剤は三分くらい水につけて、あとは流水できれいに流しなさいというような使用方法の明示をするのか。その辺が一般消費者の側から見れば、このホルマリンが〇・〇何%しか入っておりませんからというだけでは、まだまだ心配があるわけですね。こういうふうな使い方をすれば安全ですよという表示の方法と、化学物質が何%ですから安全ですよということとは、受けるほうはだいぶ違うと思うのです。そこら辺を一体どういう方法でやるのか。
#231
○福田説明員 先生のおっしゃいますとおり、消費者が使って一番安全な方法を表示すべきである。したがいまして、たとえば洗剤等が一番わかりやすいかと思いますが、洗剤等で申し上げますと、いわゆる洗剤の使用方法、これは表示いたします。たとえば手を三分以上浸してはいけないとか、あるいは野菜に使うときには、こういう使い方をしろ、あとはよく水洗いをしなさいというような、いわゆる物質が何%ということではなくて、使用法で誤りのないように、あるいはそれぞれの人の体質にも合うようにということを、具体的にこまかく表示してまいりたいという考え方でございます。
#232
○田口委員 そういう方法で、ひとつ親切丁寧に、一億国民が毎日使うんですから、そういった表示の方法が望ましいし、そのようにやっていただきたいと思う。
 そうなってくると、私がさっき二番目の問題として取り上げたように、全商品にそれを書くわけですから、たとえばはだ着にしたって何にしたってあるわけでしょう。そうなってくると、つくったほうは、その印刷手間賃ということで、どうしたって価格に上のせするということを考えなければならぬ。量産ですから、たいした金額じゃないといえばそれまでですけれども、いずれは価格のほうに上のせをしてくる危険があるとしなければならぬ。そういう傾向も予測しなければならぬですね。これは、専売公社おりませんからなにですが、これを印刷したためにどれだけコストが上がったかどうか、そういったこともわかると思うのです。
 そうなってくると、命を守るためには高くつくという、これはあたりまえかもしれませんけれども、なるべく価格問題が発生しないように、これは厚生省としても、他の省庁と十分連絡をとってやってもらわなければならぬ。これは注文になるんですが、その辺の懸念というものがあるかどうか、いままでの立案過程で。あればひとつお答えをいただきたいと思います。
#233
○浦田政府委員 実は、いままでに、たとえば食品衛生法上の表示ということで、新しく、従来よりも詳しく食品衛生法上の注意事項などを新たに表示させるというようなこともやってきたことが過去にございます。あるいは牛乳等の加工乳その他の表示の問題につきましても今般改正を行なって、間もなく猶予期間を終えて実施に移されるというふうな状況でございます。それらのときに、過去の実例から申しますと、私ども、直接これが当該の物価の引き上げにつながったというふうには、いままではこういった事例には遭遇しておりません。
 私ども、物価の専門家でございませんので、なかなか物価のからくりと申しますか、機構について、つまびらかにしないのでございますけれども、私どもは、やはりこの表示という問題は、へたをすると、そういう値上げへの口実に使われるということもなきにしもあらずということを考えまして、過去はそういったことはございませんでしたけれども、さらに行政指導を強化していく。それから関連の経済企画庁その他にも十分この旨連絡申し上げまして、国民の健康を守るということを理由での物価への影響ということについては、今後はそういったことは最小限に避けていくという、従来のそういった実績も踏まえまして、なおこの実現については、物価の引き上げへの影響なしということについての努力をしてまいりたいと思っております。
#234
○田口委員 じゃ、物価問題はそういう要望をしておきまして、問題は、先ほどから何人かの方が言われておりますように検査機構の問題ですね。これで特に大臣からひとつお答えをいただきたいんですが、どうも私、こういう検査をする検査機構についての考え方が、食品衛生法のたてまえを見ても、指定検査機関という条項が一項設けられましたね。あの指定検査機関という考え方からすると、どうも国が国民の健康を守っていく、命を守っていくという立場にありながら、そういう検査機構そのものは民間に委託をするという精神が、たとえば食品衛生法をとってみた場合、国立の衛生試験所もあり、各自治体には衛生研究所もあるのですけれども、その人員不足、それからそういった研究所の不備というものに名をかりて民間または財団なんかの検査機関に下請をさせていくという考えが強いように思うのです。
 大臣、ひとつお答えをいただきたいのは、こういう法体系を整備をするといういまの段階で国民の健康に直接関係のあるものを扱う場合には、国が全面的に検査機構については責任を持つべきなのか、またはイギリスなんかの例のように、ハンチングトンではなしに、何とかという株式会社がありますね、財政的な問題からいって、ああいう権威あるところにゆだねたほうがいいのか、どのようにお考えか、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
#235
○齋藤国務大臣 いろいろな試験検査につきましては、国が衛生試験所なりあるいは地方ですと衛生研究所だとか、そういうものを動員いたしまして行なっていく、これが私は一番望ましい姿であることは、そのとおりだと思います。しかしまた、業界においては業界において、それぞれやはり自主検査をやる、これも私は望ましいことだと思います。何から何まですべて国なり県の衛生研究所で全部をやる、あるいは保健所でやる、これは実際問題できないわけですね。そこでやはり民間には民間の自主的な検査、これを指導してつくらしていく、行なわしめる、私はこれも必要だと思います。
 問題は要するに国のきめた基準のとおり、そういう検査が行なわれるかどうか、こういうわけでございまして、検査の指定機関と申しますのは、国の検査機能を代行するというふうに御理解いただければいいのじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。国の検査の代行機関である。しかもこの検査というのは、ただちらっと見て済ますというものではありません。近ごろの試験検査というのは機械で科学的にやるわけでございますから、その検査のしかたなり、やり方なり、これがはっきりしていれば、かってな自由な判断というものをそこに加味する余地はない、こういうふうになるわけでございますし、検査に従事する人は、それぞれりっぱな人でなければならぬ、こういうわけでございますから、私は、指定機関というものがあって差しつかえない。しかし、それはあくまでも国の検査機能を代行する、こういう意味において指定機関というものを設けていいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#236
○田口委員 たてまえは、おっしゃるとおりだと思うのです。ところが思い起こしていただきたいのですが、本年の二月ごろ、例の石油たん白が問題になりましたね。その石油たん白の問題私はいろいろとその渦中にも入ってみて痛感をしたのですが、結局、食品衛生調査会という、いま大臣のおっしゃったような国の代行検査機関と見てもいいと思うのですが、そこで一応検査をした、実験をしたが、安全だと思う、こういう答申が出ました。しかしなおかつ、食品衛生調査会が実験をしたものについてもいまのところ消費者が疑惑の目を持つ。その一番底流に私は企業に対する不信というものがあると思うのです。しかも、企業に対する不信が一方でありながら、食品衛生調査会というものが、その企業の出してきた材料を、自主的に検査をするのではなくて、出された資料で判断をするというだけの機能しか持っていない。独自に実験をするということは、いまのところ衛生研究所でもどこでもなかなかむずかしいと思うのですね。
 そういう苦い経験からいたしますと、やはり企業への不信がどうしてもふっ切れない。そういう場合には国が中立的な検査機関、検査機構というものをもっと確立をしていかないと、なんだ、あれは企業の資料をそのままのみ込んで、それで安全だ、安全だと言っておるじゃないかということで、結局不信が依然として解消されないのじゃないか。そういう経験からいけば、いま大臣がおっしゃったような国の代行検査機構だと言われても、依然としてそういう不信の念は払拭できぬじゃないか。だからこの際、いま言ったようなところから検査機構というもののあるべき姿、これについてこういう法体系を整備をした段階で、もっと根本から取っ組んでいく必要があるのじゃないか、こう思うのですが、重ねて大臣の御見解を賜わりたいと思います。
#237
○浦田政府委員 多少技術的な問題にもわたりますので、私のほうから答弁させていただきます。
 確かに先生御指摘のように、近代の分析科学、分析技術の非常な進歩発達に伴いまして、非常に微妙なものまで測定できるようになりました。それに伴いまして、いろいろと検査機関もできてきております。また企業側でも、それぞれ研究所なり検査室をつくりまして、いろいろと検査、研究をし、そのデータを出しております。この場合、国がいろいろの制度の運営の立場から、あるいは国民の健康を確保していくという立場から、そういったデータをどのように受けとめるか、そのデータの信頼性の問題であろうかと思うのです。
 私は、やはり根本的には国なり、あるいは都道府県の国公立のしっかりした試験研究機関でもって権威のある測定、分析がなされる、それが一番いい方法だと思います。しかしながら現実の問題といたしまして、実はいろいろと検査の技能、要するに研究者の数といったような問題もございますし、また問題は、同じ一つの科学的事実の究明ということでございますので、そのやり方、方法が第三者から納得できる、さらに第三者から追試ができるといったような、いわばガラス張り、オープンの方法であるならば、たとえ企業側の提出のデータであっても、これはうそをつくということはできませんから、もしもうそをついておるとすれば、必ずあとからそれがわかるわけでございますから、そういった意味で信頼性の確保はできるかと思います。
 私どもは、たとえ国公立のものでございましても、一つの検査機関というものから出された、なまのデータというものをそのまま採用するということではなくて、二つ以上の試験検査機関がお互いに同一の資料について分析調査をいたしまして、そしていわばクロスチェックといいますか、そういったような形でもって持っていくことが、より信頼性を高めるゆえんであろうかと思います。このために、いま国公立の衛生試験所なり、あるいは研究所を中心とする一つのネットワークというものを考えました場合に、私どもは必ず、まず根本になる問題として測定、分析の方法の統一ということを行なっております。
 たとえばPCBの例でございますけれども、PCBの騒ぎが起こりましてからすでに時は久しいわけでございますが、厚生省としてこの問題に取り組んだ一番最初の問題は、PCBの分析方法の確立でございます。こう申しては恐縮でございますけれども、昨年の秋までは、実はPCBの各地の分析データというものは、ばらばらでございまして、なかなか比較検討できなかった。しかし十月以降、ようやくどうにか統一された方法ができたというようなこともございまして、私どもはデータの信頼性ということにつきましては、やはりそういったクロスチェックということを考えていくことが一つ肝要かと思います。そういうことによりまして、現在国内にありますいろいろなそういった意味での人的な、あるいは資材としての資源というものを活用していくということは可能かと思います。
 私どもは、もしもそういうふうな場合に、企業側の提出のデータといったような場合には、クロスチェックということで対抗したいし、また今後民間の検査機関というものを活用する場合には、厚生省が指定といったような手続をとれるものならとることによりまして、責任という体制を明確にしていく。たとえばそのような民間の機関というものにつきましては、その業務に関する限りは公務員に準じたような責任というものを負わせるというようなことも考えられるわけでございまして、要は私は一つは運営の面、それからこういったような科学的な実測、分析調査につきましては、相互のクロスチェックということによって、民間の能力の活用ということをはかっていくことも、必ずしも妥当を欠くものではないというように考えておるわけでございます。
 もちろん、繰り返しになりますけれども、私どもはいま省内にプロジェクトチームを編成しておりまして、試験検査体制の画期的な拡充等については来年度の予算を待つまでもなく、場合によりましては、予備費を要求いたしまして、その実現をはかってまいりたいと考えているのでございます。
#238
○田口委員 そこで重ねてお聞きしたいのですが、これは金子委員からも質問がありましたように、ものすごく種類が多いわけですね。合成洗剤を例にとりましても、衣料用が五十七、企業の銘柄百八十七とか、食品だけ例をとっても、通産省の工業統計を見ますと十一製造業、四十八業種、十二万六千の事業所があるという工業統計が出ています。ですから、食品だけでこれだけの数があるのですから、家庭用品ということになれば、もっともっとあると思うのです。何十万ということになりますわね。そういうものを、いま局長がおっしゃったように国公立の試験研究機関というものを、いわゆるネットワークで、さらに民間代行機関もネットワークの中に組み込んで検査をするということになっても、検査をするのに、これはたいへんなものになると思うのです。そうなってくるとたいへんだから、では企業の検査を信用する以外にない。また中小企業なんかでは国公立の試験研究所で検査をする以外にない。だんだん試験研究の方法が民間なんかに肩がわりされていくということは、この数多い業種からいっても当然の成り行きではないのか。
 そういうことを考えた場合、これは一つの例でちょっと極端かもしれませんけれども、どうも厚生省、その辺無関心というのか、不感症というのか、財団法人の食品薬品安全センターというのをつくろうとする計画がありますね。それなんかある新聞を見ますと、建設費三十数億は競輪、競艇のいわゆるテラ銭で建設をする。それから運営についてはそれぞれのメーカーから運営費を徴収する、こういう話をちょっと聞いておるのですけれども、いま言った何百何十というそういった業種を、なかなか国公立の試験研究機関ではチェックできないから、そういった代行機関でチェックさせる、その代行機関をつくるにも競艇、競輪のテラ銭だ、運営費は企業からもらうということになれば、さっき私が申し上げた企業に対する抜きがたい不信感がある今日、これは厚生省としても、ちょっと不感症じゃないか、いまの食品薬品安全センターというのがそういう構想であれば。そうでなければ私は撤回しますけれども、そういう構想を持っておるとすれば不感症である。ましてや家庭用品のチェックをする検査機構というものを一体どこに求めるのか。
 またいまのような食品薬品安全センターのような機構を持つということになれば、そういう考えがあるとすれば、その運営費を一体国が全面的に持とうとするのか、食品薬品安全センターのような運営方法でやっていこうとするのか、その辺のところをここでぴしっとしなければ、やはり国民の企業に対する不信ということがある以上、幾ら科学の結果は一緒だといっても信用がおけないのじゃないか、こういう気がするわけですね。ですからその辺のところをどういう考えを持っておるのか、ここのところで明らかにしてもらいたいと思います。
#239
○福田説明員 ただいまお尋ねの財団法人食品薬品安全センターの件でございますけれども、これはただいまお話のとおり、建設費は自転車振興会から二十三億円補助金として交付されておるわけです。しかしながらこの運営につきましては、先ほど大臣からお話がありましたように、これは民間の指定検査機関の中枢になるような機関にしたいということでございまして、この運営費は国でもって考えるということを現在検討中でございます。現に昭和四十八年度予算におきましては、食品衛生調査研究費の中から若干こちらへ研究費として委託しまして運営もさせる。しかしそれが本格的に動きますのは四十九年度からでございます。これについては国費をもちましても、そういうような運営を見てまいるということで、公正な立場から検査をするということにいたしたいというわけでございます。
#240
○田口委員 食品薬品安全センターの例で申し上げたのですが、そうすると、この家庭用品のチェックする機構というのは、一体厚生省独自で持とうとするのか、そういう代行機関を新しくつくろうとするのか、その辺はどうなのですか。
#241
○福田説明員 この家庭用品の検査につきましては、基準の設定は国立衛生試験所で行ないますけれども、製品そのものの試験検査につきましては地方の衛生研究所が主体になるわけです。同時に、地方の衛生研究所のほかに各指定検査機関を各県に整備をするということを現在プロジェクトチームで検討中でございます。その方向でぜひ実現したいと思っておるわけでございます。地方衛生研究所の中にいわゆる毒性研究センターというものを置きまして拡充強化して、ほとんどここが主体になりまして検査を実施する、それの補充といたしまして指定検査機関を使うということにしたい所存でございます。
#242
○田口委員 研究検査機構について、くどいほど言うのですけれども、さっきお答えがあったように、かりに企業に雇われた科学者、研究者であれ、国の役人が、県の役人が検査をするのであれ、結果はあまり変わりはないと思うのです、科学者、研究者の良心としては。ただ問題は実験の段階では、無害でございます、これは石油たん白の場合にも合成洗剤の場合にも、そうでございましたね、はなはだしく使用目的を逸脱しない限りにおいては無害ですという言い方をしているんですね、実験の段階では。私は民間であれ、官立であれ、試験の結果は信用していいわけです。ところが企業に対する不信ということを何回も言うのですが、試験が一〇〇%安全であったけれども、それを製造に移した場合、この段階でカネミオイルの問題、それから千葉県のニッコーの例のような、試験でやったものを今度は具体的に製品に移したときに、いろいろな要素が加わって安全性が脅かされる。
 ですから私は、これはきめ手がないと思うのですが、ひとついい方法を役所の頭で考えてもらいたいというのは、ここまで法体系を整備することに踏み切った以上、品質管理、工程管理までチェックする権限なり、やり方というのは持てぬのかどうか。そうすると試験を工程管理、品質管理まで一貫してやれば、こういった家庭用品の安全性の確保ということが、一〇〇%というか、少なくとも九九%はできるわけです。そういうものができないかどうか。私にそういう腹案がないのですが、そちらのほうで考えられておるのなら、ひとつ示してもらいたいと思う。
#243
○浦田政府委員 全く先生の御意見どおりのことでございまして、私どもは単に実験室段階における安全性ということだけでなくて、それが大量生産に付された場合のいろいろな要件、ことに製造工程の管理といったところまで手を伸ばして、安全性の確保というものをはかることが一番効率的であり、間違いがないところだと思います。
 食品衛生法の関連で先生が例を引かれたわけでございますが、カネミ油症事件の苦い経験にかんがみまして、多少製造工程に対する規制を、食品衛生法上強めてまいりました。それは、たとえばそのときまで熱媒体として使われておりましたPCBは自今一切使用はいたさないという改正もございましたし、その結果、ビフェニールといったものが使われたわけでございますが、さらに、それが徹底せず、千葉ニッコーのような事件が起こったわけでございます。この段階におきまして、私どもは、実は昨年の食品衛生法の一部改正のとき、第十九条の十八という一つの新しい条項を起こしまして、そのような工程に対する食品衛生上の基準を設置するという根拠を得たわけでございます。現在その中身を検討いたしまして、ほぼ成案を得ておりますが、さらに関連の農林省、その他の省庁との相談もございます。私どもは、一歩さらに食品衛生法上としては、いわゆる工程管理の分野まで乗り出しておるわけでございます。しかしながら、御指摘の石油たん白のような例もございまして、いわばこれらは一つの谷間といったような問題もございます。
 そういったようなことで、さらに総体的に、単に食品衛生の、でき上がったもの、あるいはこの家庭用品の規制法案におけるでき上がったものについてのチェックといっただけでなくて、私どもは、製品の前の段階あるいはつくる段階というものについての管理の根拠というものを、ひとつ今後の問題として真剣に検討してまいりたいというふうに考えておるわけであります。いま出だしといたしましては、いわばこれはネガティブリストだということで、でき上がったものからだんだん規制をかけていくということでございますけれども、当然将来の方向としては、私どもといたしましては、食品衛生法上の例にもならいまして、生産管理、こういったことについても、関係の省庁との間で話を詰めながら、実現については努力してまいりたいと思います。
#244
○田口委員 そういうことになりますと、現状では、結局でき上がった製品、市中に出回っておる製品に対して、家庭用品衛生監視員というものが監視をしていかなければならぬ、こういうことになると思うのです。先ほど村山さんからの御質問もありましたから、くどくどは言いませんが、これだけは強調したいのは、いま保健所に、監視員と名のつくのは食監、環監、薬監、この三つですね。薬事監視員、それから食品衛生監視員、環境衛生監視員、さらに環境衛生指導員、そういった監視体制がとられておることば知っておるのですけれども、食監に例をとった場合、去年なんかは一人年間五百三十九施設ですか、これじゃとても手が回らぬわけです。ここに保健所の四十六年、四十七年の業務内容の資料を持っておるのですが、監視員という資格を持っておる者の人員配置から見れば、少なくとも一保健所に一名ないし二名配置をされておりますけれども、中身を見ると、普及係長であるとか、兼務をしておる実態が多いわけです。
 そうなってくると、そういう実態のところに、今度新たに家庭用品衛生監視員というものを地方交付税で配置をするといたしましても、これはなかなか十分な監視がとれないと思うのです。先ほど大臣も、監視体制は十分でないと、すでにお認めになっているのですから、そこでこの際、あらためて家庭用品衛生監視員なり食監、環監、薬監も含めて、設置基準というものを洗い直す必要があるのではないか。たとえば施設どれだけに対して一名の食監を置くとか、こういう義務づけるようなことがない限りは、いまの政令都市にしましても、それから府県にしましても、保健所の人員は百%充足をしていないわけですから、ましてや今度の家庭用品衛生監視員のように、特定の資格を持った者を配置をしなければならぬ、環監の場合には事務職員でもいいわけですね。これは、事務職員が能がないとは言いませんけれども、家庭用品の場合には特定の資格を持たなければならぬとなると、より確保が十分でない、しかもルール計算による地方交付税の配付ですから、府県によって人件費が違ってまいります。
 そういう面をあれやこれや考えると、一保健所一人確保するのが精一ぱいではないのか。ですから、この際、地方交付税の問題もさることながら、そういった食監、環監、すべての監視員の設置基準というものを洗い直して義務づける、こういうことが必要ではないかと思うのですが、そういったお考えはどうなのか、ひとつ示していただきたいと思います。
#245
○浦田政府委員 確かに先生御指摘のとおり、ことに私どものお世話しております食品衛生あるいは環境衛生、さらにまた家庭用品の衛生の監視ということになりますと、いまのだんだんと膨大になってまいります行政需要に対して、どうも実際の機構なり人員が対応していけないという非常な悩みがございます。先生御案内のとおり、これらにつきましては従来から地方交付税の中身といたしまして見てきたところでございますが、これにつきまして私どもも自治省とも十分に御相談申し上げまして、ことに食品衛生の例で申しますと、その重要性について逐次自治省も理解いたしまして、その算定基礎の人員はふえてきているところでございます。
 この数年、標準団体人口当たり、これは御案内のとおり百七十万人でございますが、それに対しまして昭和四十六年で五十名、毎年五名ずつふえてまいりまして、四十八年では六十名、ほかに事務職員を含めまして現在六十七名という数字にまで増加はしてきているわけでございます。
 このように、まず既存の監視員の拡充強化ということについて、これは何としてもやらなくちゃならない、これをさらに伸ばしていくということで、今度追いかけまして家庭用品の衛生監視員という制度を新しく設けることと相なるわけでございますが、それにつきましても、私どもは食品衛生監視のみならず、全般的に、このような私どもの所管しております衛生関連法規あるいは社会福祉関係の法律の実効を期するために、どうしてもこの方面の機構なり人員の確保には、いわば総体的な角度から抜本的にひとつ取り組んでまいりたい、その一つのあらわれとして、先ほどの検査体制の省内でのプロジェクトチームの編成等々、一つ一つ対処してまいっておるところでございますが、私どもは根本的な問題は、まさにそこにあるということを、この際さらに思いを新たにいたしまして、解決に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#246
○田口委員 では最後の四つ目の問題なんですが、これも先ほどやりとりしましたから重複を避けますか、安全宣言を――基準をきめる、検査をやる、安全宣言を発する。これは、あってはならぬことですが、それによって不祥の事故が起きた場合に責任の所在が一体どこにあるかということがどうしてもついて回るわけです。先ほどの大臣のお答えですと、そういうことのないように万々気をつけるということなんですが、あった場合、当然行政訴訟であるとか国家補償の問題が出てくる。ましてや、さっきの検査機関からいえば国が検査をする、県立衛生研究所が検査をする、安全だといった場合には文句なしに国あるいは県の責任の所在がはっきりしますね。ところが代行機関なんかにそれをやらした場合には、どうも責任がぼやける。
 こういう例があるのです。まだ法律ができませんから、しかたがないのですけれども、私の友人で斉藤実盛のようにしらが染めでやったんです。五回ほどやったら何ともなかったが、六回目にしらがを染めたら、かぶれて全身たいへんなことになったんです。それで床屋さんに文句言ったら、あれほど言ったのにすぐ頭を洗ったんでしょう、頭を洗ってつめでも入れて、それでかぶれたんですよというふうに責任のがれを言われた。その薬を売っておるところに行ったら、いやそれは染め方が悪いんだといって床屋のせいにする。結局泣き寝入りで二十日ほど入院をしてまだ坊主頭になっておるのですが、数多い製品ですから、こういう例が起こらぬとも限らぬわけです。
 そうなってくると、責任の所在ということは万々そういう事故はないという確信があるにしても、やはりこういう法体系を整備したときには責任の所在を明確にしておくことが必要なんではないのか。そこで重ねてこの安全宣言を発する。あってはならぬけれども、不祥事故が起きた場合には国が責任をとりますよということを前もって言っておくことが消費者に対する、国民に対する親切ではないだろうか、こう思うのですが、その辺のところどうでしょうか。
#247
○浦田政府委員 確かにおっしゃるとおりに一応厚生省が責任をもって基準をきめたということでございますから、その基準を守っておるということが明白な限り、それによって、もしも事故が起こったということになりますと、これは私は国の責任ということも免れないと思います。ただ、問題はその被害をどのような形で救済していくかという点にあろうかと思います。食品上の事故の問題あるいは薬事上の事故の問題あるいは広くは公害の問題、いろいろとあると思います。私どもは先ほど大臣のほうからも御答弁ありましたように、現在省内でもって研究班をつくりまして、この実際の制度化、それに伴ういろいろな問題点について、いま鋭意御検討を願っている段階でございます。私どもはできれば、この制度は来年度の通常国会に制度化ができ得るようないろいろな措置をとってまいりたいということで、鋭意努力中でございます。
#248
○田口委員 私は国がすべて責任を持てという言い方は、これは問題があるという考えなんです。むしろ毎日毎日一億国民が使うという現実に立てば、PPPの原則ではありませんけれども、つくった企業が責任を持つのだ。しかも言いのがれは絶対に認めないという――基準どおりつくったじゃありませんか、その使用方法が間違ったから事故を起こしたのですよという言いのがれじゃなくて、消費者も賢くならなければならぬという教育も必要ですけれども、やはりそのものをつくった企業が全面的に責任を持つのだということを明らかにすることによって、こういった家庭用品から起こる事故というものを少なくしていくことになるのではないか。すなわち、企業の社会責任ということを強調していく。そういう点を、やはりこの法案の中に盛り込むべきではないかという気がいたしますし、いま研究班をつくっておるということですから、そういう点を貫くことも一つの考えではないか、このことを強調しておきます。
#249
○竹内(黎)委員長代理 関連質問の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
#250
○島本委員 いま田口委員がいろいろ言ったのは、大臣もよく考えなければなりません。と申しますのは、いかに大臣が言いましても、以前魚の問題で軽々しいような事例が世に悪評を買っているわけです。したがって、これは今度人間の生命やまた健康に重大な影響があるような、こういうようなものに対して軽々しいようなことをやってはいけないという、まことに神の声、天の声でありますから、十分肝に銘じておかないとだめなんであります。偶然にも斉藤実盛の名前が出ましたが、名字も同じでありますが、そういうようなことがないように十分これは気をつけてもらわなければなりません。私は過去の追及はあまりしたくないのでありますが、しかしここで有害物質というのは、すでに使用されているもの及びこれから新規物質を含めて、発ガン性の試験だとか催奇性試験、繁殖試験、必要な長期試験をすべて実行した上できめなければならないし、もうすでにそれもやっておられるようであります。それは了解します。したがって安易な短期の試験だけではなく、魚の問題は一回で終わりにしてもらいたい。今度は安易な短期の試験にまかすべきではなくて、十分に安全性の問題を確認してからでないとだめです。この点だけはきつく言っておくわけでありますが、この点についてはだいじょうぶですか。
#251
○浦田政府委員 本法案の有害物質の考え方は、まさに先生が御注意のとおり単なる急性毒性といったようなものを考えておるのではございませんで、やはり長期慢性の毒性あるいはさらに子孫などに及ぼす影響いかんということを一つの大きな規制の対象として考えておるわけでございます。
#252
○島本委員 当然それは考えておらなければなりません。かつてPCBを使用していたが、現在はそれにかわってアルキルナフタリン、それからアルキルビフェニール、これを使用しているノーカーボン紙がありましたね。家庭なんかで使われていただけじゃなくて、デパートのレシートなんかでも使っているから、自然と家庭に進入してまいります。やがて子供の手や口を通じて体内に入っていくということになります。こういうような物質は単に量的な規制だけでは済まないということになりますが、これは慢性の場合も急性の場合のみならず取り上げますか。亜急性の場合なんかも十分検討してあるのですか。もしそうだとすれば、まだデータは出ていないはずですが、こういうような問題に対してはどうなっていますか。
#253
○浦田政府委員 PCBあるいはPCTにつきましては、先生御案内のとおり目下製造が中止されておるわけでございます。御指摘のアルキルナフタリン、PCTも含んでおります。PCT、アルキルナフタリンあるいは弗化ビフェニール等の亜急性毒性も含めまして、いま毒性試験を実施中でございます。したがいまして、現在のところ、一部しかこれの毒性に関する研究成果は発表されていないのでございます。
#254
○島本委員 これももうすでに製造が禁止されているのです。そしてもうすでに閉鎖系のものは、安全を確認した上で使用許可をしているのです。ところが、禁止されておるから出てないかと思ったら、まだ出回って、官庁でも使っているという例もあるのです。こういうようなことになると一体、製造もしてない、許可もされてないのに、使用されているということになると、どういうことになるのか。まことにこれは奇々怪々であります。そういうようなことからして、生産と使用禁止はもちろんですけれども、もうすでにカーボン紙にも転換させるという、こういう一つの姿勢もいいのじゃないか。こういうような指導も当然してやるべきじゃないのか、これです。また代替紙による使用を認めてやると、その亜急性、また慢性、急性すべて整うということになりますと、ずっと長い間かかってしまって、その間にもう出回ってしまっているというのが、いままでの公害の一つの現象でしょう。
 ですから、これははっきりとわかるまでの間は使用させない、これですよ。あわててやって取り消す。アジ十二匹が四十八匹になった。こんな例が厚生省にあったんだから、二度あることは三度あるんで、再びこういうようなことをやっちゃならない、こういうようなことであります。(「一度しかない」と呼ぶ者あり)一度あるものは二度あるということになります。
 それで今度は、厚生省、洗剤なんかに対しても、これは当然考えられているんじゃないかと思いますが、ABSだとかLAS、こういうようなものは、単なる量規制だけではだめですね。もう生産と使用を禁止しても差しつかえないほどじゃないかと思います。これはどういう見解を持っているでしょう。
 旧来の粉石けん、こういうようなものでも十分でしょう。したがって、全面的にこれを切りかえさせるようにした、安全性を主にしたような指導的な考え方、これはどういうものでしょうか、文化に逆行するとお考えでしょうか。また、もう安全性の点から、国民の健康と生命を考える場合には、そういうようなことさえも、いまもう考えてもいいのじゃないか、こういうように思いますが、通産省の高邁なる御見解を承りたい。
#255
○竹内(黎)委員長代理 呼んでいません。
#256
○島本委員 どうもこれはいけませんな。もうこれではさっぱりだめです。
 私どものほうでも、こういうような問題に対しては、もう発生すると、全人類の問題になると、これまた公害問題と関係してくる。その大もとは厚生省、こういうようなことになっちゃ困るのであります。再々そういうようなことがあって、迷惑をこうむるのは国民、委員会では社労と公害ということになっている。したがって、そういうようなことに対しては二度、三度と起こらないようにしてもらいたいと思うのです。いろいろと化粧品なんかこれははずれているようでありますけれども、これはやはり各種の長期試験なんかによって厳密に安全性が証明されているもの以外は販売させないんだ、こういうふうなことも当然考えてもいいのじゃないか。これは全部薬事法の権限内のようであります。それにしても(「これも呼んでいない」と呼ぶ者あり)これならば答弁できるでしょう、同じ厚生省でありますから、この点ではまあひとつ、だれもいなければ大臣、代表して答弁願います。
#257
○齋藤国務大臣 薬その他につきましても、やはりその安全性を確保するということが非常に大事なことでございまして、それぞれ必要な機関を設けまして、安全を確認するような体制を整備いたしておるような次第でございます。
#258
○島本委員 その安全性の確認のためにずいぶん整備してある、こういうようなことであります。そうすると、これはもう相当長時間をいまの場合要します。長時間を要しても私は、その安全性確保のために、あるいは業者あるいは強い権力のもとに振り回されるような厚生省であってはいけない。あくまでも国民の生命と健康と、そのもとになる安全性、これだけは一切無視しないように強い姿勢でこれは臨まないといけない、このことだけはもう強く要請しておきたいと思うのです。
 どうももっとやりたいのですが、関係外のようでありますから、ましてこれはもう関連質問でありますから、この点でやめさせてもらいますが、大臣にその決意を承って私はやめたいと思います。
#259
○齋藤国務大臣 仰せのごとくこの安全は国民の健康を守るために行なっておるものでございます。いかなる外部の圧力等によっても、ゆがめられるものでは絶対にないことを明らかにいたしておきます。
#260
○島本委員 それでは、私のために関連質問を許してくれた田口委員には最高の敬意を表して、私の関連質問は、これで終わります。
#261
○竹内(黎)委員長代理 次回は来たる十七日火曜日、午前九時五十分理事会、十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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