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1949/04/16 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 地方行政委員会 第23号
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1949/04/16 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 地方行政委員会 第23号

#1
第007回国会 地方行政委員会 第23号
昭和二十五年四月十六日(日曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 中島 守利君
   理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君
   理事 川西  清君 理事 川本 末治君
   理事 塚田十一郎君 理事 久保田鶴松君
   理事 立花 敏男君
      河原伊三郎君    清水 逸平君
      野村專太郎君    吉田吉太郎君
      龍野喜一郎君    床次 徳二君
      池田 峯雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 本多 市郎君
 出席政府委員
        地方自治政務次
        官       小野  哲君
        地方自治庁次長 荻田  保君
 委員外の出席者
        議     員 青柳 一郎君
        議     員 岡田 五郎君
        議     員 夏堀源三郎君
        專  門  員 有松  昇君
        專  門  員 長橋 茂男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 地方税法案(内閣提出第一二三号)
    ―――――――――――――
#2
○中島委員長 これより会議を開きます。
 地方税法案を議題といたします。質疑を続行する前に、厚生委員会及び運輸委員会より当委員会への本法に対する申入れ事項の説明のため、当該委員がお見えになつておりますので、この際発言を許したいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中島委員長 御異議なしと認め、厚生委員会青柳委員にお願いいたします。青柳君。
#4
○青柳一郎君 厚生委員会からは四点申入れしてあるのでございまするが、その中の二点につきましてはすでに委員長改正試案に入つておりますので、他の二点につきまして、この際お願いを申し上げたいと存じます。
 まず第一は固定資産税に関してでございます。健康保険という仕事は、大体政府でもつてこれを直接行つておりまするが、大きい企業体におきましては、おのおの組合をつくらせまして、健康保険組合においてこれを行つておるのでございます。すなわち政府の行うことを、かわつて組合が行つております。また一般の自営業者、農業者などを対象といたしましての保険に対しましては、市町村公営をもつて国民健康保険事業を行つておりまするが、従前からございました組合組織でもつていまなお国民健康保險事業を行つておるところが、一千百町村ほどございます。この組合はやはり市町村の行うべき事業を、そのままかわつて行つておるのでございます。この二つの組合並びにその組合の連合会に対しましても、固定資産税の課税の対象外に置いていただきたいというのが、お願いでございます。この三百四十八條の非課税の範囲の九号にも社会事業がうたつてございます。この社会保險事業は、もうすでに御存じのように、社会保障制度の中の二つの足――社会事業と社会保險が社会保障の二つの足とでも、ラフに申し上げれば申し上げられるのでありまして、社会事業と相並びまして社会保險事業も、この非課税の対象の中に入れていただきたい、こういうお願いが一点であります。
 その次のお願いは、市町村目的税といたしまして、国民健康保險の保險料を税でもつて徴收をすることをお考えを願いたい、こういう趣旨であります。現在市町村長の一番の苦心の点は、六三制の実現にあつたのでありますが、それがだんだん解決の方向に向つて参りますと、先ほども申し上げましたように、市町村公営の事業としてやつております国民健康保險の事業が、経済的の面から非常に苦難の道をたどつております点から、第二の市町村長の命取り、こういうふうにも言われております。また市町村自体にとつて考えてみましても、市町村民は今回いろいろたくさん税金を課せられることになりますと、税の方に追われまして保險料の方をなおざりにする傾向がなきにしもあらずと存ぜられます。また市町村の事務当局から考えましても、保險に必要な保險料を税として確実にとることによりまして、財政計画がはつきりとできる。こういう利点もございます。またシヤウプ勧告によつて見ますのに、これは国の行つております社会保險についてでございますが、保険料は税でもつてとるべきであるというような御意見も掲載されてあるような次第でありまして、市町村において行いまする国民健康保險につきましても、何とぞ税金でもつて徴収できるようにお考えを願いたいと思うのであります。なお国民健康保險料を税でとると申しましても、決してそれを増額する気持はないのであります。同じものを税金で徴收することによりまして、町村の財政計画をはつきりさせ、また収入の確実を期そうというのであります。この二点につきまして何とぞわれわれ厚生委員会の要望をかなえられますように、切にお願いする次第であります。
 以上二点につきましてお願いを申し上げます。
#5
○塚田委員 青柳委員にお尋ねいたしたいのでありますが、第一点の固定資産税についてでございますが、私どもはこの固定資産税の修正案の第四項によつて、御希望の趣旨が救済できるのではないかというふうに、実は考えておるのであります。第四項の公益法人というのは、原則として民法三十四條の規定するものでありますが、これに準ずるものとしてそういうような組合は当然考えられるだろう、従つてまたそういうような組合がその本来の事業の用に供する土地及び家屋であれば、これは当然減免の恩典に浴し得る性質のものではないか、こういうように実は考えて、先般のお申出も合せて、この第四項が置いてある、こういうように私どもは考えておるわけであります。
 それからいま一点、先般来申出によつてすでに取込んであります市町村民税に関する部分でありますが、この点は実は修正案をお手元に差上げてあると思うのでお持ちだろうと思いますが、実はこの法文の表現と少しかえてあるのでありますが、御希望の趣旨がこのような表現でもつて達成せられておるのかどうか、その点をひとつ。
#6
○青柳一郎君 第一点のお尋ね、いかにも委員長試案に載つておりますことは存じておりますが、ただいまお話がございましたように、公益法人となりますと、民法上の法人であると考えられます。ただいま私が申し上げました健康保險組合、並びに国民健康保險組合ならびにおのおのの連合会は、いずれも公法人でありますので、その点を心配いたしまして、なお重ねてお願いをした次第でございます。その点を明白にするために社会事業と相並びまして、社会保險事業というものを入れることによりまして、両々相まつて社会保障制度につきましての、あたたかいお気持を現わしていただきたいという次第であります。
 第二のお尋ねの老人の問題につきましては委員長試案に入れていただきましてはなはだありがたいこと存じております。私どもの趣旨はこれとかわるところはないのであります。なおいろいろ事務的の問題もあろうと思いますけれども、この試案に載つております点は、全然私どもの意見と同じであります。ただ具体的にこまかい点になりますと、少し違つておる点がございますが、これでけつこうだと私は存じます。
#7
○床次委員 ただいまの御提案の最後の市町村の目的税として、国民健康保險税を創設するということは、趣旨においては非常にけつこうのようでありますが、いわゆる社会保障制度というものが確立しておらない今日、これを税として取扱うということに対して、まだ基礎的には少し行き過ぎがあるのではないか、もう少し国家の制度としての確立を待つ必要があるのではないかというところに、多少疑問がありますのが第一点であります。
 それから現在の国民健康保險の実情を見て参りますと、非常に国家として考えなければならないことになつております。たびたび各種の審議会等においても、御意見が出ておるのでありますが、今のような状態で国民健康保險の保險料を税としてとるだけでは、決して国民健康保險の制度の確立は見られないのでありまして、どうしても国家から多額の補助をして行くという建前になる必要があるのだと思います。
 それをやらずに保險料だけを税としてとるということについては、これはまだ多少行き過ぎがあるのではないか。
 二十五年度の予算におきまして、国民健康保險の財政を確立するために、どれほどのことを政府がやつておるかどうか、またどういうふうにしてこれを強化する御意思があるのかどうか、その方の御説明もあわせて承りまして、この問題を取扱いたいと思います。
#8
○青柳一郎君 ただいま床次さんのお話は、国民健康保険を確立する、口幅つたいようでございますが、社会保障制度を確立する、そのために税というような強制的なにおいのある制度を、ここに持つて来るということにつきましての御疑念であると、私は存ずるのでございます。その点につきまして、私個人が考えておりますことを申し上げることは、はなはだ恐縮でございますが、立場上やむを得ずそういうことをお許し願いたいと存じます。強制的に社会保險の網を全国に張るということに相なりますれば、いかにもお話のように、現在の日本にあります社会保障あるいは社会保険の面から申しますると、まだほかの方法を講ずることが、根本的の解決の道であるということは、私もよく存じております。ただいまお話の中にもございましたように、各種の社会保險は、現在経済問題で非常に行き詰まつております。この点につきまして、国家はこれに対して何らか補助の道を講じなければならないという気持を十分に持つております。この点につきましては現在行われております社会保障制慶審議会におきまして、関係方面と話合いの上で、この秋ごろまでにはその措置につきまして、何らかの方途が講ぜられることに相なつております。なおその他に医療の方面におきまして、なお全国的に医療保護の分布の問題あるいは整備の問題が残つておるのでございます。そういうものがなければ、強制的な制度をとるということにつきまして疑念の起るのは当然でございます。しかし現実の面におきまして少しでもよくして行こう。現在国民健康保險は、財政的に非常な苦難な状態にございます。これを従前の通り保險料でとつて行きますると、ほかの市町村税がたくさんふえて参ります点から、どうしても日本の国民性から申しまして、保険料の方がなおざりにされる傾向があるということが実情であろうと存ずるのでございます。この点だけでもこの際解決いたしたい、こういう考えでおるのでございます。ただいまのお尋ねのお答えになつておるかどうか存じませんが、私の気持を申し上げまして、なお御質問によりましてお答えをいたしたいと存じます。
#9
○床次委員 ただいまのお答えの中で、もう少し承りたいと思いますことは、現在の国民健康保険の財力強化のために、今日どういう計画があるか。行政制度審議会等の結論によりまして、将来は確立せられるということに対して、私どもも強い熱望をもつておるのでありますが、今日現在においてどの程度の財政的の援助をなすお考えであるかどうか、あるいはどういうことが審議せられておりますか、多少具体的にお話を願いたいと思います。
#10
○青柳一郎君 御存じのように、二十五年度からは、従前よりも国庫の助成が増額せられました。それは事務費に関する点でございます。従前国民健康保險の事務費につきましては、五割の国庫の補助をいただいておつたのでありますが二十五年度からは七割の国庫の補助をもらうことになりました。また最近の事例を申しますと、東北六県におきましては、預金部から金を借りまして、金融上の援助をしていただいておる。そういうことが現実に現われておる問題でございます。今後の問題につきましては、先ほど申し上げました通りでございます。
#11
○塚田委員 ただいまの健康保險の保險料を目的税にするかどうかという問題は、政府側がどういう考えを持つておられて、これをこのままにしておかれたか、その辺のいきさつを一応伺いたいと思います。
#12
○本多国務大臣 この点は政府としても研究をいたしたのでございますが、政府も実はた、だいま厚生委員からお話のございました通りに、今日のこの健康保險会計の実情を考え、さらにこの保險料の徴収を確保する上からは、税として認める方が適当ではないかということで、実は研究をいたしたのでございます。しかし種々やはり考慮すべき点がございましたので、これをこの税法の中に入れて制定するということは、政府として結論を得ることができなかつたのでございます。独立立法といたしまして、さらに研究を続けて、大体そういう方向へ結論を出したいと考えております。これを税としてとるということになりますと、各市町村において国民健康保險を実施するかいなかについての、住民等の御意思も問う必要があるのではないかということも考慮されておりますがために結論が間に合わなかつたので、あとで独立立法で、でき得るならば結論を出した上でやりたい、かように考えております。
#13
○青柳一郎君 その点につきまして、私の知つております点を申し上げたいと思います。また私どもの考えを申し上げたいと思います。ただいま私がお願いをしておりますのは、決してこの際国民健康保險を、現在まだやつておらないところまで押し及ぼそうという考えはないのであります。現在やつておるところについてお願いしておるのであります。やつておらないところにつきましても早く実施することを考えておるのでありますが、これまでに触れておらないのであります。ちよつと速記をとめていただきたいと思います。
#14
○中島委員長 速記をやめてください。
    〔速記中止〕
#15
○中島委員長 速記を始めて……。
#16
○床次委員 ただいまの問題に関連いたしまして、政府の意見を承りたいのでありますが、これを税にしたいという御趣旨につきましては、私どもよく了解できるのでありますが、この機会に国からも單に事務費の補助ということ以外に、やはり相当の額を支出されましたならば、これを税とするのに非常にしやすいのではないかと思うのでありますが、そういう御配慮を政府自体がお考えにならぬでしようか、それを承りたいのであります。従来の保険料をただちに税とするということに対しては、確かに一歩飛躍がある。その飛躍を裏づけるには、やはり政府が特別に国家の制度として考慮するんだという裏づけもほしいような気がいたします。ぜひそういうことを私たちは熱望しておるわけですから、政府がそこまでお考えになる余地がないのかどうか、そこの意向を承りたいと思います。
#17
○本多国務大臣 この点は本年の予算編成の際にも、でき得る限り政府の支出をその点につきまして増加したいと考えまして、研究いたしたのでございますが、本年度はいろいろ財政の関係から、予算の計上が遅れたのでございます。将来のことといたしましては、でき得る限りやはり増額するように努力いたしたいと考えております。
#18
○中島委員長 次は運輸委員会の岡田委員にお願いいたします。
#19
○岡田五郎君 運輸関係事項につきまして、数点当委員会に修正の申入れを正したいのであります。まず地方鉄道軌道関係の地方税につきまして、運輸委員会の意向のほどを簡單に御説明いたしたいと思います。地方鉄道軌道の本質につきましては、国有鉄道と何らかわりがないということにつきましては、もうここで私が喋々するまでもなく、皆さまよく御承知おきのことであるのであります。また地方鉄道の経営條件、設備その他につきましても、運輸省の監督に基きまして、国有鉄道と同じような設備、同じような経営條件でやつておるのでありまして、この点もよく御承知おき願つておることと存ずるのであります。にもかかわりませず、国有鉄道におきましては、公租公課の免税を受けておるのであります。一面地方鉄道軌道は私企業といたしまして、公租公課の賦課を受けておるのであります。そのような実情からいたしまして、地方鉄道軌道の経営状態は非常に悪い。約半数がすでに倒産一歩手前にまで行つておるということにつきましても、関係業者からの陳情、また連合審査会における関係委員からの説明、質問におきまして明らかになつておると考えるのであります。一方さらに国有鉄道事業は、御承知のように運賃収入下足に関連いたしまして、政府から交付金あるいは貸付金と称しまして、数年間に七百億近くの貸付金が出ておりますが、地方鉄道軌道に対しましては、一文も国家の補助がないのであります。にかかわらず、公益事業としての使命を遂行いたしておるのでありまして、先ほど申し上げました経営状態が悪化するのは当然であると考えるのであります。かような事態からいたしまして、地方鉄道のある一部におきましては、事業の中止を申し出ておる。現に北海道拓殖鉄道の一部は事業を一応停止し、草軽鉄道は目下事業を停止したいというので、地方住民と運輸省あるいは関係会社の間において、やめるやめさせないということで、いろいろ問題になつておることも御承知の通りであります。かような事態かような本質から見まして、地方鉄道においては御承知のように数年前までは、国家の補助金をもらつておつた一のでありますが、これも中止されました。幸いにいたしまして、現在は地租が免除されまして、国家の補助を受けておりますが、今回の改正によつて地租も免除されない。しかも従来に比して数倍に当る固定資産税をかけられる、かようなことになりましたので、運輸委員会といたしましては愼重審査いたしまして、次に御説明申し上げます点につきまして、修正意見を提出したようなわけであります。
 その修正意見の第一といたしましては、地方鉄道軌道につきまして、鉄道用地、軌道用地を従来通り課税の対象から免除していただきたいということであります。これは先ほどちよつと申し述べましたように、従来公共事業たる本質に基く国家補助として免除されておつた地租を、従来通り免除していただきたい、かような意味であります。
 次に軌道及び附帶施設、括弧いたしまして、隧道、橋梁、送電線、通信施設をあげておりますが、これを独立税として固定資産税から除外していただきたい、かように申入れいたしておるのでありますが、御承知のように軌道及び附属施設は普通の固定資産と違いまして、一定の区域、たとえば大阪、和歌山間、あるいはちよつと長くなりますが、東京、大阪間、一定の区間、広域にわたりまして、一連性といいますか、一連的の形をもつて存在いたしておるのでありまして、この資産の存在の仕方が、普通の固定資産と違つた特異の形で存在しておることは、いまさら私が喋々するまでもないと考えるのであります。これを課税対象として分割いたしまするにおきましても、事実上私は不可能である、かようにも考えるのであります。かような軌道及び附属施設の特異な存在の杉というような見地からいたしましても、独立税として別個に切り離していただく、しかも先ほど申し上げました地方鉄道の公共性にかんがみまして、できるだけ低い率を課していただく、かようにお願い申し上げておるのであります。
 軌道税につきましては、一メートル当り十二円、申入れに漏れましたが現在ございます電柱税、木柱、鉄柱、鉄塔とわけて、五十円、二百五十円、五百円、従来の電柱税を申入れの送配電通信施設として、特に独立税を設置していただきたい、かように考えておる次第であります。
 次に車輌でございますが、御承知のように車輌は一定の区域、広域にわたりましてしよつちゆう移動いたしておるのであります。移動することによつてこの車輌の使命を果しているのでありまして、車庫すなわち車輌の眠るところは仮の置場でありまして、これをもつて車輌の使命を果すということは考えられない。またその車庫のあるところの市町村がそれだけ利益を受けるということは考えられない、かように運輸委員会として考えたような次第であります。後ほど申し上げます船舶と同じような意味におきまして、車輌は固定資産の課税対象から除外いたしていただきまして、独立税として設置していただきたい、一台当り五千円ということにしていただいたならばと、かように申し出ている次第であります。
 次に海運業の船舶につきまして、固定資屋税から除外をいたしていただきまして、従来通り独立税として設置していただきたい、かように申し出ているのであります。その理由は私からここに申し上げるまでもなく、先ほど申し上げました車輌と同様に、その国際性と移動性を根本の性質といたしているのであります。広域にわたりまして移動いたしまして、その経済的使命を果すのであります。従いましてその船舶の船籍のある公共団体から受ける利益というものが、非常に稀薄なのであります。また船舶は危険な海上を航行いたします関係上、経済価値が非常に低くて一般の固定資産のように担税力を推定するのに、同一の課税標準をもつてすることは適当でない、かようにも考えるのであります。また一方船舶は非常に高度の国際性からいたしまして、世界各国の例を見ましても、これに対する課税方につきましては、普通のものに比べまして非常に低く課せられている関連からいたしましても、これを独立税として、できるだけ低い税を課していただきたい、かように考えたのであります。ことに御承知のように四月一日から運営会の解消、船舶の民営化、こういうようなことが起りまして、現在の輸送事情からいたしまして、繋船約六十万トンにも達するのではないかという状態になりまして、海運界最も不況のどん底にある現況でありますので、不況は当分の間解消するとも考えられない、海運界のこの実情からも考えまして、できるだけ低い率、少くとも現行税率をもつて進んで行きますならばと、かように考えたような次第であります。
#20
○中島委員長 ちよつとお諮りいたします。ただいま放送協会より委員会の録音をしたいということであります。委員会にお諮りいたします。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○中島委員長 御異議がなければさようにいたします。
 それでは岡田君続けてください。
#22
○岡田五郎君 次に陸上運送に関連いたしましての附加価値税でございます。まず地方鉄道軌道につきましての附加価値税につきまして、お願いを申し上げたいのであります。御承知のように地方鉄道軌道は創業当初におきまして、厖大なる固定資産を投資いたしまして、その後は巨大なる労働力によりまして、旅客、貨物の輸送というサービスをいたしているのであります。従いまして事業運営のためにする労働力の使用量というものが、非常に多いのであります。かような関係からいたしまして、附加価値税の欠点とも一般に称せられておりまする人件費の多い項目につきまして、事業と同様に相当この附加価値税の課税率がふえて参るのであります。かような意味からいたしまして、先ほど申し上げました地方鉄道軌道の事業の実態からいたしまして、附加価値税をできるだけ軽減していただく、かような意味をもちまして、地方鉄道軌道につきましては課税率を三〇%、その他の運送業及び倉庫業につきましては四〇%、こういうようにしていただきたいと、実は申し上げたような次第であります。
 次に自動車税でありますが、自動車税につきましては、理由といたしまして、自動車事業の健全なる発達をはかるために、自動車税の税率をなるべくなら現行通りに残しておいていただきたい、かように思うのであります。
 次にこの自動車に関連いたしまして、現在自動車関係におきまして、実は道路損傷負担金というようなものを、道路法の第四十條によりまして課せられておるのであります。大体一輌あたり二千五、六百円から三千円程度課せられておるようでありますが、このたびの地方税の実施とともに、かような道路損傷負担金というようなものは、できるだけ撤廃していただきたい、かようにお願い申し上げる次第であります。
 次に地方鉄道軌道、鋼造船の修理業に対する電気ガス税の免税であります。今回の改正地方税によりますと、石炭あるいは鉱山、あるいは化学工業等のような重点産業で、しかも電力を相当使用するものは電気ガス税の課税対象から除外されておるようでございますが、御承知のように、地方鉄道の大部分は、この動力源といたしまして、電力を主として使用いたしておるのであります。これの使用量は大体営業費の一三%近くにもなつております。また地方鉄道軌道が、先ほど申し上げました石炭及び鉱山、化学工業と同様に、国の基礎産業であるということは、私がここに強調するまでもなく、これが日本経済の基盤をなすものであるという点からいたしまして、また使用電力量の多いという点からいたしましても、これら産業と同様、電気ガス税を課税範囲から除外していただきたい、かように考えるのであります。
 次に鋼造船の修理業でありますが、御承知のようにこの造船工業につきましては、電力の使用も非常に多いのであります。しかもまた造船工業の重点産業であるということにつきましても、私から御説明申し上げるまでもない一つの重要な工業であります。しかも最近熔接技術の採用、またこれの促進という点が、造船界において焦眉の問題になつておるのであります。かような点から見まして鋼造船修繕業につきましても、電気ガス税を免除していただきたい、かように考えておる次第であります。
 以上がはなはだ簡単でございますが、運輸委員会といたしまして、修正希望事項として提出いたしました事項であります。簡單でございますが、以上御説明申し上げます。
#23
○中島委員長 運輸委員に何か御質疑がありますか。
#24
○河原委員 ただいまの御発言中の道路損傷負担金の点についてお伺いしたいと思います。これは税とは趣を異にするものでありますが、ただいまの御発言によりますと、道路損傷負担金をなくしてもらうことを、業者は希望しておるというように受取つたのであります。私の知る範囲においては、自動車業界におきまして一番の関心事は路面でありまして、この路面のよい悪いということが自動車の損耗上、非常な影響を與えるものであります。従つて路面の悪い場合自動車業者は府県の修理をまつことができないで、府県に願い出て、自費でもつてこれの修理を許してもらつておるというところなどもありますし、また路面の修理は主として自動車業者の懇請あるいは当局に対する鞭撻といつたようなもので直される場合が多いのであります。その場合道路損傷負担金が幾分でもありますれば、その発言も強いわけでありますが、これを全部なくすということになりますれば、自然そういう面の発言力が弱まり、これによつてかえつて業者は不便を感ずることになるのであつて、むしろあまり高きに失する道路損傷負担金をかりにいたしましても、これを全廃することは業者はむしろ喜ばないのではないか、かように私の実際見ました経験から考えるのでありますが、この点をお伺いしたいと思います。
#25
○岡田五郎君 自動車関係業者といたしましては、関係業者の立場から、受けます利益の負担という意味におきまして、相当増加いたします今回の改正地方税を負担するわけであります。現に今回改正されまする自動車税、その他にもガソリン税というようなものも負担いたしております。道路損傷負担金のほかに、なお道路改修労力費と称するような費用も負担しております。その他にさらにいろいろな名目をもちまして道路関係の寄付金をも負担させられておるのであります。受益者なるがゆえに、税のほかにそのようないろいろな課税に似たような負担を課せられておるのでありまして、自動車業者といたしましては、このたびの地方税改正によりまして地方自治体の財源の拡充の機会に、これら雑多ないろいろな課税を免除していただく、課税の方法というか、形をできるだけ一元化していただきたい。かように業者は要望しておるような次第であります。
#26
○塚田委員 お尋ねいたしたいのでありますが、運送業、地方鉄道及び軌道事業に対する附加価値税を下げてほしいという御希望があつたのでありますが、ただいま本委員会において審議をいたしております。委員長試案には附加価値の標準税率全体を三%を二%に下げるという案があるわけであります。そこでこの税率で私調べてみますと、標準率は政府案のまますえ置いても、御希望の線が大体出て来るのではないかと考えるのであります。その点運輸委員会の御意向を承りたい。次に船舶税でありますが、大体御希望のように、委員長試案でも船舶税を独立税とするようになつておると思うのであります。ただ私どもが非常に疑問に思つておりますのは、税率をどの程度にすれば、一番妥当な税率が出て来るのか、また税率の立て方をどういうぐあいにするのか。私どもが承知しておるところでは、現在実際に行われております船舶税というものは、市町村によつて非常に雑多になつておるということを承知しておるのであります。それらの点について運輸委員会はどういうふうにお考えになつておるか。それから第三点、電柱税はただいまも御発言がありましたように、これは今までお受けしている申出にはお聞きしておらぬのでありますが、かりにこういうものを新設するとしたらどういうような程度の税率をお希望になるのか、この点が第三点、それだけをお聞きします。
#27
○岡田五郎君 第一間の附加価値税の料率を二%にする場合どうかというお話でございますが、実は修正案につきまして、今朝初めて拝見いたしまして、これとの比較につきましてはまだ検討しておりませんが、多分私個人の意見になるかもしれませんが、改正案でけつこうではないか、かように考えております。
 次に船舶税でありますが、運輸委員会の希望といたしましては、一デッド・ウエイト三万三千円に対しまして、〇・五%ないし二%、大体こういう希望を持つておるようなわけであります。
 次に電柱税でございますが、大体運輸委員会といたしましては、木柱につきましては五十円、鉄柱につきましては二百五十円、それから鉄塔でございますが、これは一本五百円、こういうようにしていただければと考えている次第でございます。
#28
○床次委員 ただいまの御説明の中に、固定資産が非常に高く、固定資産税が非常に増額になりますので、事業界の影響が非常に大きいということを理由にして言われておりますが、固定資産の評価におきまして、委員会の方ほどの程度の評価を考慮しておられるかどうか。今日までこの議論は、資産の評価がはたして確実につかめるかどうかというところに、大きな問題がありましたのと、それからその評価がはたして業者の考えておられるような方側でよろしいか、あるいは政府当局で存えておられるような方向でいいかというところに、相当差があるように考えておりますが、委員会におきましては、どの程度の評価をしておられますかどうか、大体お考えがありましたならば、御説明いただきたいと思います。
#29
○岡田五郎君 大体評価は自治庁案と同じように見ております。多分この前も自治庁から御説明があつたと思いますが、現在の帳簿価格がたしか七十億見当だつたと思います。これを資産再評価法によりまして評価いたしますと、大体一千数百億というような状態になつております。ただ過般自治庁かつ配付されました現行税率による税額と、改正税法による税額との比較によりますと、改正税法によれば、かえつて税が安くなるような評価が配付されました。これもいろいろ検討いたしますと、自治庁の案の中には通行税の額り免除の七億が入つてみたり、あるいは固定資産税の計算の基礎になつております軌道につきまして、自治庁はただ営業キロだけを対象にしておられるようであります。御承知のように、地方鉄道は営業線だけではありませんで、いろいろ側線があり、引込み線あり、これが全部軌道になるのでありまして、自治庁の計算されております営業キロに対しまして、軌道キロは大体倍になつでおります。従いまして、軌道を対象としての自治庁の計算は大体半額しか見込まれてない。しかも通行税というのは、事業者が納めるのではなくて、旅行者に負担させられる、旅行者の税が軽減される。それが通行税は事業者だけが税が軽くなつたように計算されておる。かようなことからいたしまして、自治庁がお示しになりました数字に多少齟齬といいますか、手落ちがあつたように私見受けましたので、御質問とは関連が多少切れましたかもしれませんが、申し上げたいと思うのであります。
#30
○中島委員長 次いで水産委員会より夏堀議員がお見えになりましたので、当委員会の申出等につきまして、同委員会を代表して説明を求めることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○中島委員長 それでは夏堀水産委員より説明を聽取いたします。
#32
○夏堀源三郎君 水産常任委員会におきましては、この地方税の問題につきまして、現在の水産業のこの苦しい立場、そしてこの地方税を実施する際に水産業は完全に潰滅状態になるということを前提として、各委員の間に愼重審議をいたしまして、委員長のお手元に差上げてあります通りの三項目にわたつて修正案の提出をお願いいたしたのであります。
 まず私はこの水産業の非常に苦しい立場の概要を申し上げてみたいと存じます。日本の水産業としてこの産業面において何が一体最も大きく金詰まりが来るかというと、もちろんこれは漁業労働者の方であり、アメリカからの輸入の漁業資材であるのであります。その漁業資材は補給金の打切りによつて、二倍ないし三倍の値上げになつているのでありまして、すでに漁業の経営は不可能であるとさえ叫ばれているのであります。加えて四月一日からの統制撤廃は、われわれの予期しおつた通りはなはだしきは五割、ややいい程度においても二割程度の大暴落を示したのであります。これは国民の購買力の減退にもよりましようし、いろいろな理由もありましようけれども、こうしたような混乱時期が到来したのであります。そこで私は日本の水産に対する重要性、これは申し上げるまでもないのでありますけれども、こうした時期に、最も不均衡なこの課税方法によつて水産業に地方税が賦課されることは、致命傷的な大打撃となるのであります。そこで政府は国民の地方税負担の合理化とその均衡化を確保することが、今次地方税法改正の大眼目であると申されているのでありますが、確かにその通りであろうと存じます。水産業においてはさらにこの点についてきわめて不合理及び不均衡が多いということが、この修正案の根本の理由となつているのであります。まず私は法の精神から言つて、このはなはだしき不均衡を――事業の潰滅状態になるまでたたいて、この法の目的を果すのでなくして、目的遂行に支障を来すことをなぜやらなければならぬのか、これを私は言いたいのであります。しからばどういう点が不合理であり、不均衡であるかということの理由を、次に申し述べることにいたします。
 まず第一項目として、前申し上げたような理由によつて、附加価値税については水産業は非課税とするということを、お願いしたいのであります。その理由といたしましては、同じ原始産業である農業及び林業が非課税となつており、鉱山業も非課税となつております。その理由は農業林業においては土地、家屋等の固定資産税が著しく増徴されるというのであつて、水産業の固定資産税の負担が実情において決して農業、林業に劣るものではないのであります。そうして鉱山の方でも鉱区税と申しましようか、そういう税があるからということでありますけれども、漁業においては漁業権税があるのであります。そうしてなお二十七年度から許可料、免許料として全漁獲高の三%、この附加価値税よりももつと重い率をもつて政府に納めなければならぬのであります。こうした理由は完全に他業者に比較してその負担が多いということであります。農業においてその附加価値相当額が四十万円以上に及ぶものが非課税となつておるのに、水産業の附加価値九万円以上のものが課税されるということであります。農業の場合におきましては皆様も御承知の通り野菜類とかあるいはみそとか、そういうようなものもめいめい農家の手で、これをつくることができ、食糧の面においてもいくらか保有米等で楽になる面もありましようけれども、漁業の面においては一々買わなければなりませんので、その生活状態が違つておるのであります。そうした面において九万円程度においてこの課税がいわゆる何の役に立つかということでありますが、九万円程度においては全漁業者の一人も残らず課税されなければならないという結果になるのでありまして、九万円を限度として云々ということは当らない、こういうことであります。もつと詳しく申し上げますと農業に附随して行う畜産業、これは非課税、畜産業を経営する北海道の農業及び林業における附加価値相当額は右をはるかに越えるものである。先ほど申し上げた水産業の数字からはるかに越えるものである。これらはすべて非課税であつて、水産業は自然の制約を受けることがきわめて強い。絶えずその生命、財産を直接不可抗力の危険にさらす。いわゆるいまだ産業としての確立を見ておらぬという点もあるのでありまして、かつその機械的な合理化、計画的水産ということはきわめて困難であつて、将来産業として確立し得るという的確な水産計画の見通しも必ずこれをつかみ得ることはできないのであります。従つて労賃等の支出は非常に多い。たとえば、これは専門的に申し上げてもおわかりにならぬ方もあるかと思いますが、あぐりとかかつを、まぐろ、いろいろの業種別から詳しく申し上げますと、各業種別によつて多数の漁業労働者を使わなければならぬ。大体私の算定によりますと、全収入の八五%から六〇%程度をいわゆる附加価値税として見出せる。こういう結果になるだろうと存じます。私はここに日本の産業界のあり方は、なるほど大企業によつて、近代設備によつて水産の能率化ということが絶対必要ではありましようけれども、その半面人口問題失業問題、この解決点を見出さずして、日本の産業経済を語るということはどうかと存じます。私はこの労力問題の解決点は、できる、だけ雇用率を多くするということが当然であつて、これは漁業ばかりではないだろうと思いますけれども、この附加価値税によつてそうした問題の解決点は非常に困難になるということであります。そうして今この附加価値税を実施されることによつて、どういう結果になるかと申し述べますると、水産業の場合はほとんど事業的に成立たない。それで設備を放棄するであろう事態になるおそれが多分にあるのであります。そうした場合に、私ただいま申し上げましたような労働問題、失業問題、こうした面は漁業のみならず各企業に相当大きく展開するであろう。これは日本再建の途上において、非常に悲しむべき事態が起るではないか、こう私は考えるのであります。しかしこの法律によりますると、労働者を多く使うところが附加価値税の課税がいわゆる重課されるのだ、そうして近代設備を持つた大企業は軽課されるというように、結果においてそうなると私は考えております。政府の説明はその反対に、いわゆる今まで大企業が軽課されてあるから、この均衡をとるとこう仰せられておりまするけれども、私の意見としてはかえつて反対の結果になるのではなかろうか、特に漁業の場合は中企業、たとえばまぐろ、あぐりその他の定置漁業の中企業の中に、最もたくさんの労力を要するために、最もこの負担が重いということになつて、私の算定によりますると、大体平均漁獲において見ますると、現行法の所得税及び舟税、船舶税、そういうものを総合して比較いたしますると、大体現行法と改正案の比率は、はなはだしいのは三十倍となる。大体十五倍くらいになるじやなかろうか、そういう結果になるのであります。それは固定資産税において大体この算定は十二倍程度を見ておるのであります。これを総合してそのような重課される産業は、とうてい成立とうとは考えられないのであつて、私はこの産業を総合的に申し上げると、日本の中小企業の育成、これは絶対必要であつて、この近代設備を持つことのできない資力のない中小企業に対して、重課されるという結果になるこの法律案に対しては、どうしても修正していただかなければならぬ。こう思うのであります。
 第二に、漁業権税では昭和二十七年以後廃止すること、これは昭和二十七年度から新漁業法に基いて免許料が徴収される。これは漁業権税と重複することが多いということでありますが、先ほども申し上げたように全漁獲高の三%程度免許料として全漁業から徴収されるのであります。こうしたような多額の金額は、やはり政府に納めなければならぬのであつて、法の解釈からいつて、どういうりくつになるかしれませんけれども、漁業権税というものと、この免許料というものと重複すると、私どもは解釈しておるのであります。漁民が負担し、支拂いするのは確かに重複するのでありますから、どのような解釈があつても、その解釈は是正すべきである。こう考えております。固定資産税の漁船の課税率について、これを何とかもつと減少してもらいたいということでありますが、漁船は自然の制約に縛られることがきわめて強いのであつて、たえず直接に不可抗力の危險にさらされておる。従つてその危險及び事故はきわめて多いのであります。土地、家屋その他の一般陸上償却資産のように、これを保護すべき十分なる保險制度の活用すら不可能であるのであります。現在漁船保險において、建造後四年未満の総トン数三十トン以上の漁船については、保險金額は建造価格の五割を越える額を引受けることはできない。こうなつておりまして、危險性の多い漁船であるがために、資産の保護制度さえ十分に認められていないのであります。そこで資産保護制度の不十分及び償却の不徹底等の理由から、漁船についてはその課税標準においても、別個に特段の措置をなすべきである、こう考えるのであります。中島委員長案として新聞に発表になつておりますが、いわゆる船舶税は独立税として、トン数によつてとるということが見えております。私どもまだ内容もよく伺つておりませんけれども、せつかく御苦心の上でこの船舶税なるものを独立税にしてとるというお考えになつたのでありまして、私どももこの線に同調することは一向さしつかえないと思います。
#33
○塚田委員 夏堀委員にお尋ねいたしたいのでありますが、委員長私案で水産業の附加価値税を課さないこととする案が出ておる。私ども趣旨としてこの考えには賛成しておるのであります。ただ私今いろいろ御説明を伺つておりまして、一応念のためにお尋ねしておきたいと考えております点は、率直な気持から申し上げまして、私どもはやはり農業と水産業というものは少し違いがあるだろうという感じを持つておる。現在御説のように水産業が非常な苦境にあるということは、私どももよく承知しておるのであります。ただそれが日本の水産業の恒久的な状態かどうか。農業なんかの状態の場合には、これはいろいろな主要食料もつくつておるというような関係、それから供出や価格の統制の関係などで、あるいは相当租税政策の面などで救済しなければならぬ恒久的な面がある。ただ水産業が非常な苦境に陥つておるということは、農業と同じように国の政策において、恒久的に救済しなければならぬ理由がある苦境なのかどうか。それを大きな面からいいますならば、現在非常に苦境にあるから、少くとも二十五年もしくは二十六年の間くらいは、附加価値税を課税しないものにするという措置でいいじやないかということが一つ非常に疑問に感ずる点であります。そこで農業と水産業といくらか違うと考えておりますのは、やはり農業が固定資産税を非常にとられるから、附加価値税を出せないという大きな理由になつておりますが、この農業の一経営単位当り持つておる固定資産と、農業の上に出て来る附加価値の大きさと、それから水産が同じ一経営単位当り持つておる固定資産の額と、それによつて生む一年間の生産の額との間に、非常な大きな開きがあるのではないか。農業のように所得が一世帶当り十万円しかないように、日本の実情では推定されておるのでありますが、水産業の場合は、漁船を一艘持つておつて、労働者は家族二、三人でやつておるという標準規模で、どのくらい一年に水揚高があるかどうかということを御説明願うと、判断の参考になると思いますので、その点をお聞かせ願いたいと思います。
#34
○夏堀源三郎君 私は日本の水産業と農業と比較して、いわゆる重要性と申しましようか、そういう点は絶対的なものであつて、日本の今の食糧問題において、いわゆる動物性蛋白質のようなものは、世界のどこの国よりも少いのであります。これをせめて諸外国の三分の一程度に上げなければならぬ。そのために私は国策として水産業はぜひ育成して行かなければならぬ、こう思うのであります。そのためにただいま申し上げたような統制撤廃、補給金の打切り、こうした面でどうにもならぬ段階に入つたという、このどたんばにおいて、この地方税でまた一層苦境に陥るということが、斯業を壊滅状態に陥れる可能性があるということで、私はこれを非常に重大問題と考えておるのであります。
 なお各漁民と農民との比較でありますが、昭和三十三年の北陸の農家の所得一戸当りが平均二十万一千八百五十二円となつておる。これは農林省の農家経済調査報告によつて明らかになつております。昭和二十三年度推定のものであります。なお全国の平均――これは北海道を除いて十一万二千百四十二円がいわゆる非課税となつておるのであつて、同年の三重県の漁民の附加価値十戸平均十二万三千六百十二円、漁業収入平均二十万五千八百四十六円、これは昭和二十三年の水産庁の漁家調査によるものであります。漁家は家族従事者三人ないし五人となつており、刺網、延べなわ等に従事しておるのであります。こういうことで私はこれを大体大ざつぱに見まして、先ほど申し上げたように、大体畜産を含めて推算した場合に、農家は平均四十万程度の非課税となる。そうして漁業者は九万円です。それ以下でなければいわゆる非課税とならぬということになれば、日本の漁業者は何の恩典もないのであつて、実際面においてはなはだ不均衡である。法の建前としては公平、均衡ということを言つておりますが、これと相反するものであるということが、私どもこの修正をお願いする理由となつておるのであります。
#35
○河原委員 私の聞き誤りであつたかもしれませんが、この地方税の改正をめぐりまして、税制の改革でありますから従来の税制と違いまして、非常にふえる面もあり、減る面もあるということはやむを得ぬと思いますが、しかしそれに伴いまして一種の風声鶴唳的に、事実と相違して、非常に大げさな変動があるように宣伝されておる向きもあると思うのであります。ただいまの御発言中に、ある業種においては総収入の七、八十パーセントまで税になるということ、または税制の改革によつて三十倍ぐらいの増税になるというふうな御発言もあつたように聞いたのでありますが、それらを数字により、ひとつ御説明願いたいと思います。
#36
○夏堀源三郎君 お答えいたします。まず、まぐろ漁業について御説明を申し上げます。まぐろの根拠地は今三崎が一番大きいのでありまして、時間に余裕があれば、委員の皆様方が三崎においでになつて御調査になれば、一番わかることでありますが、今の漁区の制限によりまして、非常に苦しい立場になつておることは御承知の通りと思います。そこで一統当りどれくらいとつて来るのかというと、大体七千貫、一万貫、おそらくそれ以上は相当の成績を上げたといつて、うわさに上ることになつておる漁業であるのであります。そこでこれを数字的に申し上げますると、大体統制撤廃になりましたから、その点は品種にもよりまするが、私の調査したところによりますと、年額一千二百四十五万九千円になる。支出は、資材七百六十二万一千円、船舶費二百四十二万一千円、人件費三百二十四万四千円、その他三百六十三万九千円ということになつて、大体損が四百万円になります。この場合に所得税はありません。事業税もありません。これは現行の場合です。船舶税は一万三千五百円程度になります。改正案によりますると、所得税なし、附加価値税は七万三千四百九十三円、固定資産、これは評価の方法でどうなりますか、わかりませんけれども、大体トン当り七万円くらいに見たつもりであります。十六万一千八百七十五円が改正案によつて現われる。この利益は二十三万四千三百六十八円、現行と改正を比較いたしまして、十七倍となるのであります。一万貫とつた際にはどうか、大体漁獲高において千八百六十三万円、資材において七百八十五万六千円、船舶費において二百四十二万一千円へ人件費において五百七十五万七千円、その他三百九十七万四千円となるのでありまして、ここにまた損というものが百三十七万九千円になるのであります。この場合において、現行法と改正法の比率は三十倍となるのであります。これを一万一千五百貫とつた船のことを考えますと、今のような数字の比率によると、大体倍率は三・七倍となるのであります。一万三千貫、二千三百万円とつて、一・五倍となるのであります。これはまぐろの場合であります。
 それからあぐり――あぐりとはきんちやく網のことですが、いわしをとるものです。これも同様でありまして、漁獲高九百二十万円とつた船、これは最近ほとんど漁が非常な不漁続きであつて、おそらく九百二十万円をとる船もあるいはないかもしれません。大体を見たのでありますが、九百二十万円とつた船で、漁獲数量は十一万五千貫であります。資材は五百七万二千円、漁船費六十四万円、人件費五百十万二千円、その他の支出が約百万円ということになりまして、この損失二百六十一万四千円、この比率は、現行法と改正法の比率を見ますると、現行法は所得税なし、附加価値税なし、船舶税は一万一千四百円、改正は所得税なし、附加価値税において十一万四千六百二十五円、固定資産において十三万九千六百五十四円となつて、二十四倍となるのであります。なるほど相当の漁獲を示し、相当な成績を収める船も中にはあると仮定いたしましても、しかしこれは非常な最大のものであつても、それでなお現行法と改正法の比率はこれ以下になることはない。この比率が現行法よりは楽になるということはありません。平均して十五倍ないし二十五倍の倍率において、多く負担しなければならぬのであつて、これは負担しきれない、こう考えておるのであります。
#37
○河原委員 ただいまの御説明によりまして、非常な大きな倍率になるその理由は、従来ほとんど税を納めておられなかつた関係だということがわかつたのでありますが、しかしこの数字の御説明で、まぐろの場合は一年に四百四十万円の損害、もしくはいわしの場合は二百六十万円の損害という非常に莫大な損害でありますが、その損害は、わずかな損害であれば赤字でもよろしいが、それだけの大きな損害をどういうふうにして乗り切つておられるのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
#38
○夏堀源三郎君 今まで税金を納めておらぬということは当らないと存じます。それは、利益がないから所得税は納めておらぬ。ただ船舶税が今と比較して安かつたことは、こればかりではないのであつて、みなそうであります。利益がないから納めておらぬということであつて、何もその点は理由はないのである。しからばなぜ利益のないのにその事業を継続しなければならぬのかと申し上げますると、シヤウプ勧告案において、いわゆる変動所得の繰延べ、繰越しを認められておるのであります。それは、いわゆる安定性のない漁業に対する所得のあり方をよく御承知願つての御処置である、こう私は考えておるのであります。しからばなぜ利益のないものを継続するのか、そこに変動所得というものによつて、本年はだめでも、明年何とかなるだろう、これは漁業者のどなたも考えておる。一縷の望みを持つて、明年は何とかしようという気分で、この事業を継続するのであります。しかし全部が損をするということじやないのであつて、たまには利益をあげておるものもあります。しかし今申し上げたあぐり漁業に対しては、ほとんど全部が欠損と申し上げてもさしつかえはない。そのために休業をしております。もうすでにぼつぼつ廃業しておるような人方も出ておるのであります。事は日本の漁業です。このままこれを継続することができないどたんばに追い込めて、今の地方税によつて特にこれを促進させるということは困る。で日本の食糧問題、特に蛋白給源の最も大きなこの魚類に対しては、一応今ここしばらくの間、この税に対して御考慮くださいまして、この事業を継続させていただきたい。現在の産額は世界一でありまするけれども、経営はてんで問題でなく、非常に苦しいのであります。世界一の苦しい経営をし、世界一の産額をあげて、いわゆる食糧に協力すると申しましようか、一応はかつこうをつけておりますけれども、しかし日本の食糧問題の大きな今後の見通しから考えて、これは多少採算がとれなくとも、やはり継続すべきものである、こう私は考えております。
#39
○龍野委員 ちよつとお伺いいたしたいと思いますが、水産業がわが国の食糧問題解決の非常な部門を受持つておることは、われわれも御同感であります。しかしながら農業の今日の経営状態は、農地改革の結果、いわゆる大農、地主というものがなくなつてしまつた。漁業法の改正によりまして、漁村もそういうような形態になるようでありますが、われわれが産業としてこれを助長しなければならぬという点からばかり考えるとするならば、水産業に限らず、あるいは肥料製造のような会社も、これを助成しなければならぬことは当然であります。それで税制の上から特別の考慮を拂う問題としてのみ取上げる場合には、いわゆる今日の漁民と農民とを比較して考えるのが最も妥当ではないか、農業を営んでおる農民に対しましては、今度の附加価値税は免税になつております。それと対照的な立場にあるところの漁民に対しても、同じような措置を講ずるのが常識だろうというふうに、われわれも、考えるのであります。しかるに農業と異なりまして、水産業はいわゆる大資本の企業の対象にもなり得るという点が、非常な相違ではないかと存ずるのであります。先ほどお言葉の中に、漁業という言葉を盛んにお使いになつたのでありまするが、私は水産業の中にあつて、漁業というものは――専門家ではありませんから、よく詳しくはわかりませんけれども、少し範囲が狭くて、いわゆる零細なる漁民の営んでおるものが漁業ではなかろうかというふうに感ずる。水産業はそれよりもつと広くて、いわゆる大企業の対象ともなり得るものも含んでおるというふうに考えるのであります。その際にこの漁民の行うところの漁業に対しまして、農業と同じような措置を講ずることは、われわれは先ほども何度も申しました通りに、ことごとく賛成でありまするけれども、ただそれが国として助長しなければならぬという意味のみをもつて、大企業の対象であるところの水産業、たとえば大洋漁業等のような大きな会社の営みまするところの、あの水産業に対してまで、同じようにひとしく免税もしくは減税の措置を講じなければならぬというのは、たとえばかの肥料工場等に比べて、どういう本質的な差があるとお考えになりまするか、その辺のことについて承りたいと思います。
#40
○夏堀源三郎君 漁業と申しましても、御説の通り捕鯨のような国際漁業もあり、てんで問題にならぬ零細漁民もあり、これを一緒にして漁業を論ずるということは当らないと私も考えております。それで正直のところを申し上げますると、私ども委員会としては、この問題を再度取上げて、二段構えに案をつくつたわけであります。そこで捕鯨のような国際漁業は、課税してもいいじやないか、それから私先ほど説明申し上げた通り、中企業は一番苦しいのであります。中企業以下はこれは何とか考えてもらおうじやないか、ということで考えたのでありますが、今までの実情から言つて、全部非課税とすることは非常にむりがあるという御説であれば、一応この問題も委員会で取上げたのではありまするけれども、まあかけ引というわけでもありませんけれども、いわゆる農業、水産業、鉱山業と区分いたしまして、たとえば鉱山業の場合、大企業をやつておる方はそろばんがとれるのだ、小企業の方はそろばんがとれないのだという区分をいたすとともどうかと思いまするので、あとはあととして、一応全部の水産業を非課税とすることにしようじやないかということで、案がまとまつたのでありまするので、御説の通り大洋漁業というような捕鯨事業、いわゆる国際的事業に対しては、そうしたようなお考えは、私どもも論じた次第であります。
#41
○床次委員 ただいまのお話もありましたが、水産業で一番問題になるのは――漁業という言い方が一番明瞭であると思いまするが、第三項にあげております固定資産税に関しまして、漁民の固定資産税の課税という問題が、一番私たちは取上ぐべき問題だと思います。これは先ほどの運輸関係の船舶に対する課税との振合いから、どうかということについて、多少検討を要するのじやないかと思うのであります。なお問題になりますのは、いわゆる漁船の免税点が、御趣旨のような程度において、どの程度できまるかという問題であります。私どもは、いわゆる漁業者という程度の漁船もしくは漁具、その他固定資産に対しましては、でき得る限り、むしろ免税でいいのではないかと思うのでありまするが、この点に関しまして、委員会がどの程度の免税点を頭に置いておられるかどうか。第三項はあま力明瞭でありませんが、その点ひとつ御説明をいただきたいと思います。
#42
○夏堀源三郎君 評価の基準について、まだ政府の方の説明もよく承つてもおりませんですが、私どもといたしましては、大体今の建造費にかんがみまして、トン七万円くらいを要するのじやないだろうか、そういたしますと、この七万円そのままに対する課税でありますると、これはもうとてもたいへんなことになりまするので、せめてこの二分の一以下にしていただきたいものである、というような意見のまとまりをつけた次第でございます。
#43
○床次委員 しからば、いわゆる漁業者の漁船という程度のものは、いくらぐらいの金額をもつて免税点としたらいいとお考えでございましようか。
#44
○夏堀源三郎君 漁船と申しましても、いわゆる機械のついておらぬ、動力船でない漁船もありまするし、また近代的な設備をしておる漁船もありまするので、ここに評価の方法は、実際その業種別にその船に当つて算定しなければ、ただ一概に漁船に対して云々ということは、非常にめんどうであると考えます。たとえばトン十三万円かかる船もあるかもしれません。あるいは三万円くらいで済む船もあるかもしれないというようなことで、これは各その漁業の業態によつて、漁船の設備が異りまするので、各業種別によつて、あとで委員会で検討さるべきものじやないかと考えております。
#45
○床次委員 ただいま御説明のように、非常に評価がむずかしいのでありまするが、最近はいわゆる漁船の形が漸次大きくなつて来つつあるのであります。従つてただいまお話のような、評価を二分の一にするという現在の免税点では、どうも漁業者の救済ができないのじやないか。特に私ども考えますのは、いわゆる小さい漁業者に限つて、その危険率というものが非常に大きい。大漁業者と比べますると、小さいものほど船を破壊し、失う機会が多い。失う場合は全然なくしてしまうという場合がありますので、特別の考慮が必要である。漁船に限つては普通以上の免税点が必要になつて来るということは、これは農業その他とは相当かわつて来ておるのではないか。だから数倍高い免税点を置くべきではないかというふうに私は考えるのでありますが、この点はお申込みの数字では、その趣旨が現われていない、足らないような気がするのでありますが、いかがですか。私どもと同じお考えであるかどうかお尋ねいたします。
#46
○夏堀源三郎君 御意見の通りで、零細漁民に対する漁業経営のあり方は、全然そういうものとは違つておりますので、お説の通りに考えております。ことに零細漁民に対する分は、適当な方法があれば別個に取扱いたいものだと、こう率直に申し上げておきたいのでありますが、これは法の建前においてはどうなつておりますか、相当研究を要する問題であると考えております。
#47
○中島委員長 それでは、農林委員会はどなたも御出席になりません。農林委員会、厚生委員会、水産委員会、運輸委員会、これら各委員会からの申入れ事項につきましては、本委員会としてはこれより懇談会を開きまして、御協議いたすごとにいたしたいと思います。
 これより懇談会を開きます。
     ――――◇―――――
    〔午後零時十二分懇談会に入る〕
    〔午後零時二十五分懇談会を終る〕
     ――――◇―――――
#48
○中島委員長 これをもつて懇談会を終ります。地方税法案に対する質疑は、明日に護ることといたしまして、明日は午前十時理事会を開きます。午前十時三十分より委員会を開きます。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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