くにさくロゴ
1972/07/19 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号
姉妹サイト
 
1972/07/19 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号

#1
第071回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和四十八年二月九日(金曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月十六日
 本小委員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      宇野 宗佑君    越智 通雄君
      金子 一平君    萩原 幸雄君
      村岡 兼造君    村山 達雄君
      毛利 松平君    森  美秀君
      平林  剛君    広瀬 秀吉君
      山田 耻目君    荒木  宏君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
二月十六日
 森美秀君が委員長の指名で、小委員長に選任さ
 れた。
―――――――――――――――――――――
昭和四十八年七月十九日(木曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席小委員
   小委員長 森  美秀君
      越智 通雄君    村岡 兼造君
      村山 達雄君    平林  剛君
      広瀬 秀吉君    村山 喜一君
      山田 耻目君    荒木  宏君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省理財局次
        長       後藤 達太君
        大蔵省証券局長 高橋 英明君
        大蔵省銀行局長 吉田太郎一君
        大蔵省国際金融
        局長      松川 道哉君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   鴨田 宗一君
        大 蔵 委 員 小泉純一郎君
        大 蔵 委 員 増本 一彦君
        大蔵大臣官房審
        議官      田中啓二郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      岩瀬 義郎君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
七月十九日
 小委員竹本孫一君三月三日委員辞任につき、そ
 の補欠として竹本孫一君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員広沢直樹君三月九日委員辞任につき、そ
 の補欠として広沢直樹君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員萩原幸雄君三月二十八日委員辞任につ
 き、その補欠として萩原幸雄君が委員長の指名
 で小委員に選任された。
同日
 小委員山田耻目君三月二十九日委員辞任につ
 き、その補欠として村山喜一君が委員長の指名
 で小委員に選任された。
同日
 小委員宇野宗佑君三月三十日委員辞任につき、
 その補欠として宇野宗佑君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
同日
 小委員金子一平君四月四日委員辞任につき、そ
 の補欠として金子一平君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員村岡兼造君四月六日委員辞任につき、そ
 の補欠として村岡兼造君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員広瀬秀吉君六月十九日委員辞任につき、
 その補欠として広瀬秀吉君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
同日
 小委員村山喜一君同日小委員辞任につき、その
 補欠として山田耻目君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 金融及び証券に関する件(最近の金融情勢及び
 証券取引の実情)
     ――――◇―――――
#2
○森小委員長 これより金融及び証券に関する小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 先般各位の御推挙により、私が当金融及び証券に関する小委員会の小委員長に就任いたしました。
 最近の激動する経済情勢に対処するため、金融、証券取引の諸施策は一そう適切な運営が期待されるところであります。かかるときにあたり、本小委員会の使命もまことに重大なことと存ずる次第であります。各位の御協力を得てその職責を全うしたい所存であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 金融及び証券に関する件について調査を進めます。
 まず、最近の金融情勢及び証券取引の実情について政府より説明を求めます。吉田銀行局長。
#3
○吉田(太)政府委員 最近の金融情勢等につきまして概略を御説明させていただきたいと思います。
 御承知のように、金融引き締め政策を始めましてから六カ月余りがたっておるわけでございます。もう申すまでもなくこの間に三回にわたりまして公定歩合の引き上げと預金準備率の引き上げ、それから実質的に非常に影響のございます窓口指導の強化をいたしております。また個別的な問題といたしまして、商社向けの貸し出しの抑制あるいは土地関連融資の抑制など、いろいろ具体的な引き締め措置も実施してきたところでございます。こういう引き締めのあり方と申しますのは、これまでの引き締めの期間を振り返ってみましても、これほど矢つぎばやに数多くの措置が打たれたという例はないわけでございまして、いわば総力をあげて現在総需要の抑制ということに取り組んでおるわけでございます。
 その目的といいますものは、申すまでもなく総需要抑制を通じまして経済活動の行き過ぎを押える、これが物価安定に資するということを目的とするわけでございますが、現在までのところ金融面と申しますか貨幣面と申しますか、そういう面におきましては、金融機関の貸し出しの増勢が鈍化しておること、それから市中貸し出し金利が急上昇しておることなどがかなり明らかに出てきておるという状況でございます。
 そういう状況が企業サイドにどういう影響を及ぼしておるかということでございますが、私どもあるいは日本銀行は一緒になって銀行の聞き取り調査を行なっておるわけでございますが、大体窓口指導の強化というようなことを通じまして、借り入れがかなり困難になってきておるということから、各企業とも手元資金を極力温存しようという傾向が出ているように思われます。このため現象的にあらわれておりますものは、土地の大口取引でございますとか、あるいはことしの春ごろ見られました思惑によります商品の仕入れというようなものが、春ごろほど盛んには行なわれなくなってきたということは言えるか、かように考えております。
 また、このところ預金の伸びが鈍化しておるわけでございまして、こういう事情から判断いたしますと、五月の後半からあとに、ちょうど六月が決算期でございます関係もございまして、納税資金でございますとか、あるいはボーナス資金の支払いがかさんだというようなことがあって、手元資金の取りくずし、具体的には預金の取りくずしということがかなり行なわれておるのではないか。そういう企業が次第にふえてきておるというように見受けられます。このことは、日本銀行が三カ月ごとに行なっておりますいわゆる短期経済観測というものを見ますと、企業の手元流動性、これは御承知のように売り上げ高とそれから手元現金の割合でございますが、その水準というのは、七月から九月、これは見込みも入るわけでございますが、七月から九月には、いわゆる過剰流動性という問題が生じました以前の、一昨年の四月から六月くらいの水準にまで手元流動性の水準が戻るのではないか、こういうように見込んでおります。
 こういうふうに、いわゆる引き締め効果というものは、金融面、資金的な面ではかなり浸透していると思われますが、今後の問題といたしましては、これが経済の実体活動に反映をしているということがまだ十分ではないということは、率直にやはり認めるべきではなかろうかと思います。これからの問題点といたしましては、やはり企業のしぶりと申しますか、営業活動のあり方と申しますか、あるいは投資活動のあり方という点で、より一そう慎重な態度に変化していくような、そういうやり方をやっていかなくてはいけないということが一番重要なことである、かように考えております。
 申すまでもなく、いままでの引き締め政策はこういう実体経済の経済活動の大きさをいわばできるだけ縮めていこうということを目標としておるわけでございます。そういう意味におきましては、去る七月二日に行ないました第三回目の公定歩合の引き上げ、これが公共事業の施行時期の年度内調整というような財政面の措置と同時に行なったという点に特色があるわけでございまして、それだけに総需要を抑制していく、実体面の経済活動を押えていくということに、より一そう期待しておるわけでございます。
 こういうことが今後効果が出てまいりますと、個人の消費支出というものもおのずから堅実と申しますか、その伸び率というものも鎮静化していくことが期待されるわけでございます。たとえば現在非常に高い伸び率を示しております日本銀行券の増発基調というようなものにも変化が出てくるのではないか、かように考えます。
 もちろん、現在の最重要の課題でございます物価の騰貴をいかにして押えていくかということにつきましても、物価騰貴の原因はいろいろあろうかと存じますが、基本的にはやはり経済活動全体の大きさ、そのところからくるところの需要超過の状況をできるだけ解消していくということでございますので、そういう意味で金融政策が総需要の抑制ということを目標としておるのは、物価安定の面で必ずその効果が、時期的にはもちろんズレはあろうかと存じますが、出てくるもの、かように期待しておるものでございます。
 そういう中で、中小企業金融について申し上げますと、中小企業金融は総体としては私は順調に推移してきているのではないかと思っております。すなわち、相互銀行あるいは信用金庫等のいわゆる中小企業専門金融機関の貸し出しの伸び率は、引き締めを始めましてからも高い水準を維持しております。それから、そういう中小企業専門機関よりもむしろ大きい量を中小企業金融に回しております都市銀行や地方銀行について見ましても、中小企業向け貸し出しの全体の貸し出しの中における比率というものは、昨年をかなり上回る水準でいま行なわれております。
 ただ、企業倒産が統計的にはこのところ増加の傾向を示しております。この辺のところは、私どもとしても常に関心を持っておるところでございますが、その実態などを中小公庫の調査部あるいは興信所というものを通じて調べてみますと、どうも昨年の秋の金融が非常に緩和してきた時期に、非常に無理な業容拡大をはかっていたというものがこのところ行き詰まるという例が多いようでございました。健全なあるいは堅実な中小企業が金融引き締めのために非常に困っておられるという例は私どもは非常に少ない、むしろそういう状況ではなくて、中小企業金融の疎通はいまのところは順調にいっているのではないか、これはあくまで総体的な話でありますが、そういうように考えております。
 現在の経済活動の中で、御承知のように中小企業部門の比重は非常に高くなってきております。そういう実態があるからでございましょうが、先ほども申しましたように中小企業向け貸し出しが全金融機関の総体の貸し出しの五割近くまで来ておるわけであります。そういう意味からいたしますと、中小企業金融を完全に引き締めのらち外に置くということは、これは考えるべきではございませんが、これからも中小企業金融についてはできるだけの配慮を行なっていく必要がある、かように考えております。
 なお、住宅ローンという問題がございます。これにつきましても、今日の社会的な要請という点から考えまして、各金融機関につきましてはできるだけ配慮をしておるようでございまして、貸し出し増加額の水準は、これまでの実績以上維持する、引き締めになったからといって従来の貸し出しの水準は減らさないということでやっておるというように見受けられます。
 ただ、長期的な問題といたしまして、住宅金融というものが安定的にこれからの経済の中で定着していくという点からいたしますと、まだまだ検討する問題は多かろうかと存じます。そういう意味からいたしますと、たとえば金融機関が金を貸しておる、これは二十年ぐらいの期間で貸すわけでございまして、そういう貸し付け債権ができるだけ流動化して、次にまた新しい要望にこたえられるように債権の流動化をはかるにはどうしていくかという問題もございます。あるいは貸し付け住宅金融の専門会社というものを育成していかなければならないという問題もございます。こういう点につきましては、今後あるいは法改正をお願いするというような問題も含めまして、金融制度の基本的な問題でございますので、目下金融制度調査会において審議を進めておりまして、できるだけ早く結論を出そう、かように考えております。
 以上、簡単に最近の金融情勢を中心にしてお話を申し上げましたが、申すまでもなくきわめて流動的な事態でございます。これからも日本銀行と非常に緊密な連絡をとりまして機動的に金融政策を行なって、一日も早く現在の経済が安定的な状況に戻ることを期待しておるわけでございます。同時に、長期的な問題として、短期的なそういう景気変動にいかに対処していくかという問題とは別に、より長期的な問題として私どもは金利のあり方と申しますか、金利政策というものが、今後十年、二十年というわが国経済社会がうまく回転していくことを考えますと、金利政策というものが円滑に運営されなければならない、かように考えております。
 そういう意味からいたしますと、金利政策のいわば根幹、基本ともいえます預金金利のあり方について、これができるだけ硬直化しないようにしていくことも考えていかなくてはいけないのではないか、かように考えておるわけでございまして、そのためにいかにして弾力化できる仕組みを経済の中につくっていくかということがこれからの大きな問題ではなかろうかと考えております。
 そういうような問題意識からいたしますと、たとえばこれからの福祉社会というようなあり方から考えますと、たとえば個人の貯蓄というものと法人の事業資金というものに対して、これまで同じ預金金利を適用していたこと自身についてもあらためて考え直すべきではないかという問題意識を持っておるわけでございまして、こういう点でまずその礎石をつくるという意味からいたしまして、個人の貯蓄性預金、法人預金というものの分離というようなこともこれから検討していくべきではないか、かように考えておるわけでございます。
 はなはだ簡単でございますが、御説明にかえさせていただきたいと思います。
#4
○森小委員長 高橋証券局長。
#5
○高橋(英)政府委員 最近の証券市場の動向と問題点等について概略御説明させていただきます。
 初めに、証券市場をめぐる環境変化でございますが、近年証券市場をめぐる環境は著しい変化を見せております。昭和三十年代は民間設備投資と輸出主導による経済成長が続いておりましたが、最近は公共投資の比重が高まってまいりまして、より財政に比重を置いた成長へと移行が行なわれておるわけでございますが、その結果、証券市場におきましても、公共部門の資金調達というものが非常に増加してまいっております。一方、一昨年から昨年にかけまして金融緩和がございましたので、増資、転換社債の発行といったようなものが盛んになりまして、企業の資金調達の多様化といわれるようなことが進みました。また、国際化の波は証券市場にも押し寄せてまいっておりまして、外国の政府や企業がわが国の市場で資金調達を行なうことが活発になりますと同時に、こちらの、わが国の投資家が外国の証券投資を行なうようになったというような変化が見られます。
 このような環境変化に伴いまして、わが国の証券市場は、株式市場が昨年未曽有の活況を呈したのでございますが、単にそれだけでなく、株式や債券の発行あるいは流通といった面で幾つかの新しい動きが生じてきております。
 これらの多くは、市場が本来期待されている機能を発揮し始めたものであるというふうにも考えられるわけでございますけれども、また同時に行き過ぎその他の問題をも引き起こしたのでございます。
 株式市場について申し上げますと、一昨年の十一月以降今年初めまで大幅な金融緩和というものをバックにいたしまして、事業法人の株式取得がおそらく主因になったと思いますが、市場は例を見ない活況を続けました。この間に株式の時価発行あるいは時価転換社債の発行というものも非常に盛んに行なわれるということになったわけでございます。
 その結果、昨年末からことしの初めにかけまして、株式市場は過熱化といったような様相を呈しましたので、昨年の十二月と本年一月の二度にわたりまして信用取引の規制を中心とする市場対策というものを講じました。その結果もございましょうし、金融引き締め政策の進展もございまして、二月の末から株価は一進一退を続けて今日に至っておりますが、七月の初めからまた市況はやや上向いております。今後とも市場の動向というものにつきましては私ども慎重に見守ってまいりたい、かように考えております。
 次に、公社債市場についてでございますが、昨年の前半は金融緩和がございまして、需給関係が非常に好転いたしました。したがいまして、流通価格の急速な上昇が続きまして、むしろ事業債等の発行条件は三回にもわたって引き下げられるというような状態でございました。昨年の後半にはやや金融情勢に変化を来たしましたし、またことしに入ってからは金融引き締め政策へ転換されましたので、逆に流通価格は低下を続けて今日に至っております。
 そういう情勢をバックにいたしまして、最近では流通利回りが応募者利回りを上回るいわゆる乖離現象というものが生じてきております。二月からそういうふうになってまいりまして、ことしに入ってからは今度は逆に事業債その他の公社債の発行条件の引き上げが行なわれてきたわけでございます。
 この一年を振り返ってみますと、公社債市場におきましては非常に発行条件の改定がひんぱんに行なわれるようになったということでありますし、また償還期限というものも長期化されましたし、あるいは消化構造が個人層にも行き渡るというように多様化が進んできておりまして、この意味で市場の機能が発揮されてきているのではないかということで、これは歓迎すべきことではないのかというふうに考えております。
 次に、証券市場をめぐる問題点と対策、そういう点について申し上げます。
 もとより証券市場が国民経済に果たす役割りは非常に大きなものでありますが、昨年来の株式市場におきましては、価格形成のあり方あるいは時価発行増資の進め方といったようなものについて幾つかの問題を起こしましたことは御承知のとおりでございます。市場におきまして公正な価格形成が確保されるということは、もとより証券市場存立の基本でございますが、遺憾ながらこの面での信頼を問われるような問題が相次いで生じまして、まことに残念に思っております。このような事態を反省いたしまして関係者の協力を得ていろいろな改善策というものを打ち出してまいりました。
 その内容といたしましては、たとえば時価発行銘柄等の売買、あるいは証券会社の自己売買あるいは証券会社内部の情報管理といったようなものに関しまして自主ルールを策定して、そしてそれを守る、あるいは時価発行増資の自主調整基準、あるいは株式への収益還元策といったようなものについてのいろいろな申し合わせが行なわれております。それからまた、最近でございますけれども、株式の上場に伴う公開制度というものにつきましても、取引所において去る十七日に改善策というものを決定して実施に移しました。上場制度のあり方あるいは店頭市場の整備といったことは非常に大きな問題でございまして、これからも引き続き検討を重ねてまいりたいと思っております。
 それからまた、証券市場にとって非常に大きな問題は、個人の持ち株比率というものが逐年低下を続けておりまして、特に四十七年度におきましては、これが四・四ポイント減少いたしまして、現在三二・八%という非常に低い水準になっております。個人投資家が株式市場から離散していくということについては大きな問題であろうと思いまして、これは引き続き検討してまいりたいと考えております。
 証券市場が国民経済に果たす役割りは非常に大きくなっておりますし、最近やや信頼を失うようなことが相次ぎまして、これは非常に残念なことでありまして、信用機構の一翼をになう証券市場の関係者というようなものが、旧来の考え方あるいは伝統といったものを考え直して、新しく信頼を回復するような方途を目ざして努力していただきたい、かように思っております。もとより私ども行政当局といたしましても、大きな警鐘が打ち鳴らされたというふうに考えておりまして、謙虚に反省し、今後あらゆる努力を重ねまして価格形成の公正化をはかり、投資家が安心して投資できる市場になるように指導監督してまいりたい、かように考えております。
 なお、公社債市場につきましては、長年にわたりその育成整備ということが言われておりましたが、環境が未成熟でございまして、なかなか思うようにはかどってまいりませんでした。本年の二月に証取審から「公社債市場のあり方」という具体的な答申いただきましたので、その方向に沿ってこれもまた努力を続けてまいりたいと考えております。
 それから、国際化でございますが、近年国際的な証券取引というものがわが国で行なわれるということになってまいりまして、昭和四十五年には数十年ぶりに外国機関による債券発行が再開されたわけでございますし、その後円建て外国債あるいは私募外国債というようなものが相当の規模になっております。また昨年には初めて外国株式の国内公募も行なわれたというようなふうになっております。最近では外国企業の上場といったような希望も出てきておりますので、そういったものに対しても即応できるような体制をとってまいりたい、かように考えております。
 いずれにいたしましても、昨今いろいろな事件を起こしましてまことに申しわけないと思っております。その点につきましてはほんとうに反省し、これからしっかりやって信頼を回復したい、かように考えております。最善の努力を尽くしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#6
○森小委員長 以上で政府の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○森小委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
#8
○村山(喜)小委員 松川国際金融局長にお尋ねいたしますが、第九回の日米経済合同委員会が行なわれまして、共同声明が発表になったわけですね。ところが、シュルツ財務長官やバッツ農務長官が欠席をしたというようなこともありまして、主役を欠いた会合になっておるわけでありますが、その中で、国際通貨の問題をめぐりまして共同声明が出ているのですね。これは私は中身を読んで一体どういう成果があったのかさっぱりわけがわからないわけです。あなた方としてはそれをどういうふうな成果だということで発表されておるのか、どのような成果があったということで国民に説明ができるのか、お答えをいただきたいと思います。
#9
○松川政府委員 今回の日米経済合同委員会におきまして、私どもの相手方でございます財務省の責任者であるシュルツ長官が急に来られないことになりました。私どもその理由として、これは本国において経済政策全体、すなわち賃金物価抑制の第四段階についていろいろ討議があるものというふうに理解して、了解しておった次第でございます。そして御案内のとおり、日本時間で申しますと、本朝、賃金物価抑制第四段階が発表になった、やはりシュルツ長官はその意味でほんとうに忙しかったのであろう、このように推察しておる次第でございます。
 そこで、御質問の点でございますが、国際通貨の問題についてどのような成果があったかということでございます。これは御案内のとおり、昨年ワシントンのIMF総会で設置されました国際通貨制度改革のための二十カ国蔵相委員会が、その後代理会議をひんぱんに開催いたしております。つい最近では過ぐる七月の十一日から十三日までワシントンにおいて三日間びっしりいろいろ議論をしておったのでございます。私どものほうからこの代理会議に参加いたしました稲村財務官並びに私のほうの国際金融局の次長、これらはこの会議が終わるやいなやすぐに東京に飛び帰って、そしてこの経済合同委員会に参加したのでございます。
 そのような情勢を背景といたしまして、この合同委員会自体では、日米がこれから両国間のみならず他国間の問題についてどんなことを考えていかなければならないかということで、あるいは貿易関係の問題、あるいは投資関係の問題と並びまして、通貨の問題も合同委員会の全体から見て一応の討議はなされました。しかしながらその大部分は、私どもがカウンターパート会議と呼んでおります両国の財務省、大蔵省の当事者のみの間の話し合いにおいて、主として種々な意見交換がなされた次第でございます。
 そこで、成果があったかどうかということでございますが、これは問題自体が非常に大きく、かつそのように二十カ国代表を集めて討議されておりますので、その間において日本ないしアメリカが自国の立場をどのように表明し、またその中で、あるいは共同して他国に対しいろいろ説得することができるような項目があるのかどうか、そういった観点も織りまぜまして、率直かつ有益な意見交換をカウンターパートでいたした次第でございます。したがいまして、具体的にどのような成果があるかというお尋ねになりますと、率直に申しまして、ここがこういうふうにきまりましたということはなはだ申し上げにくいのでございますが、全体についてそのような自由な意見交換をし、そして来たる今月の三十日と三十一日、ワシントンにおきまして二十カ国蔵相委員会そのものが、大臣レベル会議が開催されますので、その準備として非常に有益であった、私どもはそのように評価をいたしておる次第でございます。
#10
○村山(喜)小委員 まあ事務レベルの間の話し合い、意見の交換をされて、そして次の会合の準備のために有益であった。ところが共同声明の中身を見てみますと、「ナイロビにおける国際通貨基金の年次総会までに、改革されるべき制度の主要な原則につき出来るだけ広範な合意に達しうるよう努めるとの意向が表明された。」こういうような声明でありまして、たとえばいま両国間で見解が違っている金の役割りなり、あるいはSDRの問題なり、あるいはドルの交換性の回復の問題、あるいは過剰ドルに対するメスを入れる問題、あるいは多国籍企業に対応する問題等は、見解の一致なりあるいは共同歩調をとるというようなことについては何ら合意をされていないわけでしょう。
 そういうような意味から、いま国際的なインフレ下においてフロートしているわけですが、そういうような状態の中で資本の自由化が迫ってくる。そうなった場合には、日本の市場に対するメリットというものを考えて多国籍企業というものが進出をしてくることは十分予測できるわけです。それに対応する方策としてはどういうようなものをお持ちになっているのですか。先ほど私が申し上げました個々の問題に対する詰めがどういうふうになったのか、そこもあわせて簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#11
○松川政府委員 御案内のとおり、この国際通貨制度の改革の問題は、内容を分けていきますと幾つかの柱がございます。たとえば国際収支の調整過程をどうするか、それから準備資産をどうするか、そしてまた先生が御指摘になりましたようなあるいは交換性であるとか、そういった問題にたくさん分かれるのでございますが、これらはどちらかと申しますと相互に有機的に関連をいたしておりまして、その一部分だけを取り出してこのようにきめ、ほかの議論はあとまわしにするという性格のものではございません。
 そこで、米国またわれわれがそれぞれの立場をどのような考え方で主張しておるか、そしてそれができるだけ早く合意点に到達するように希望するという点では日米ともに意見が一致しておりまして、この点は二十カ国委員会を構成するほかの国々の意見とは若干違いますが、日米間ではここにございますように、なるべく早く解決したいという点では意見の一致をみております。
 しからばその点がどういうふうにきまっていくのかということになりますと、いろいろな問題につきましてそれぞれ種々の対応策というのが出る可能性がございますが、それをどのように組み合わせてどのように妥結するのか、これは二十カ国蔵相委員会のおそらく最後の段階できめられるべき非常に重大な問題であろうと思います。
 そこで、最後の段階に至るプロセスにおいて米国が個々の問題につきどのようなことを考え、そしてこれをどのようにしてほかのいろいろな項目と調和させていくということを考えておるか、またわわれとしてもそれぞれの項目につきどういうことを考え、どういうふうに調和させていくかということを考えておるか、この辺のすり合わせと申しますか意見の交換ということは、どうしてもこのような大きい問題の解決をはかる上においては必要なプロセスでございまして、その意味で私ども日米の両通貨当局の首脳者が相互に自由に意見を交換し得ることができたということは非常に有益であったろうと思います。
 そのような問題の性格から申しまして、個々の点についてこれはこうするということで完全に意見の一致を見るということは、今回の会合でもある意味では期待することが無理でございましたし、また現実の問題としてもいろいろ相互に相手方の立場も考えて、最後の段階に至る際には弾力的に対処し得るような、そういう素地をつくる上において非常に有益であったと考えておる次第でございます。
#12
○村山(喜)小委員 山本政務次官にお尋ねしますが、いま松川国際金融局長の話を聞いていると非常に微妙な説明をされているわけです。そこで端的にお伺いしますが、いま国際的なインフレという状態にあると私は思う。この端的な原因というのは、国際通貨の不安から生まれてきているのだと思うのです。それはやはり国際流動性の過剰という存在があるから生まれているのだと思うのですが、それはやはりアメリカの過剰ドルの処理の問題、多国籍企業が海外投資をやる、過剰ドルの通貨投機という問題、これが一つの主因になっているのじゃないだろうか、世界インフレの元凶というのはまさにそこにあるのだということをヨーロッパ筋では見ているわけですね。アメリカはこれを否定をしております。日本はどちらの側に立っておるのですか。
#13
○山本(幸)政府委員 最近の国際的なインフレといっていいのか存じませんが、少なくも物価の騰貴という現象は、日本もそのらち内に巻き込まれておるわけであります。それは国際通貨、それに国際貿易とからんで因となり果となっていろんなことが現在起こっておるわけであります。いまのお話も、確かに今日までの国際決済の手段としてのドルを今後一体どういうふうにしていくのか、ドルにかわって新しい国際通貨というものが一体生まれるのか、あるいはまた生まれなければならないのか、その辺のところはこれからの非常な重要な国際会議の課題であろうと私は思います。
 御指摘のように、確かに私も、アメリカが今日まで何か八百億ドルともいわれておるようなたいへんなドルが出ておるわけでありますから、そういう原因をつくったアメリカにも確かにこれを収拾する責任がある、そういう面ではアメリカの今後におけるこれに対する措置というものも、私は日本としても要求をしていかなければならないことであろうと思います。今後の国際会議の一番の課題はそういう問題であろう、こう思うわけでございます。
 日本としましては、為替管理が非常に徹底して行なわれておるという特殊性がございますから、過剰ドルが日本に流入をしてくるということは、日本としては今日防止はできておるように私は思うのでありますけれども、それをグローバル的に見たら、やはり御指摘のような問題は私は確かに存在し、今後の国際通貨も何とかこれを解決していかなければならぬ問題であろう、こう思うのであります。
#14
○村山(喜)小委員 時間がありませんのでこの問題そう詰められませんが、やはりアメリカの多国籍企業というものが英国や西ドイツの自動車産業を支配をし石油を支配をして、そして日本の市場に対して進出をしてくるということは、資本の自由化の原則からいって当然生まれてくる状態になると思うのですよ。ただし日本の市場を一〇〇%支配をするというようなやり方ではなくて、日本を一つの拠点として東南アジアの支配を目ざすというような方向にやってくるだろうと思うのですが、ニクソン政権はこういうユダヤ系の資本というものを背景にして切り札を持っておるわけですね、日本に対しても油であるとか食糧であるとかいうような意味において。日本の場合には切り札を持っていない。これが日米経済合同委員会の共同声明にも何ら内容的にそういうようなものを表現できない力関係にあると思うのですが、やはりそういうような点から、今日インフレの問題は、まあ消費者物価も卸売り物価も二けたの数字になっているのは日本とイタリアだけですが、卸売り物価は世界的にたいへんなインフレです。そういうような状態が続いていってその最後の段階においては一体どうなるのだろうかという問題を考えますと、国際的なインフレというのはいまのような状態で行けばおさまるところを知らないだろう。
 だから日本だけでこの問題を解決できない要素があるわけですから、そういうような問題の中においていまフロート下にありますが、資本の自由化という事態を迎えてくる。その中において、アメリカの戦略的な方向というものもあるでありましょうし、それに対するわが国の国益をどういうふうに守っていくのかということをお考えをいただいて、やはりこれについては形骸化した日米経済合同委員会というようなものだけではなしに、もっとわれわれがどういうふうにすべきかということをきちっとしたものをつくっておいていただきたいということを要請を申し上げておきたい。
 そこで、吉田銀行局長にお尋ねいたしますが、総需要抑制という問題、これは一体どういうような内容なわけですか。われわれの見るところではいまとられているのは金融面からの供給をいろいろな手を使いまして窓口規制とかあるいは公定歩合の引き上げとかあるいは預金準備率の引き上げとかそういうようなもので抑制をして産業界に対する供給を圧縮をしていく。それと財政の一部の公共事業関係の繰り延べということのようですが、総需要抑制というその中身はまだほかにあるわけでしょう。消費の需要の拡大を押えるとかそういうような面も入り、あるいは所得政策その他も総需要抑制の概念に入りますけれども、いまとられている総需要抑制政策というものの内容は、われわれが聞いているところでは金融政策が柱になっての一つの政策にとどまっているようでありますが、それはこれから拡大をしていかなければならないおつもりなのですか。たとえば貸し出し準備率等の問題も考えておられるわけですか。
#15
○吉田(太)政府委員 総需要抑制といういわば理念と申しますか、ものの考え方と申しますのは、あくまでわが国の需要水準そのものを圧縮していこうということを申しておるわけでございます。ただ、御承知のとおり、それでは金融政策がそういう需要に対してどういう効果があるのかという問題が次にあるわけでございます。御承知のように、今日の経済の需要水準の拡大というものが何と何からきておるかと申しますと、これは申すまでもなく企業の設備投資の大きさというものがまず中核になっておるということ、それからもちろん御承知のように国民経済全体の中にはそういう企業の設備投資以外に在庫投資もございますし、それから政府支出がございます。あるいは輸出入の関係もございます。それからかなりの部分、半分をこえる部分が消費支出が需要の中での比率を占めておるわけでございます。したがいまして、こういう全体の需要水準と申しますか総需要の大きさをどういうふうに押えていくかということについては、それぞれの項目について有効適切な手を打つべきであるということは御指摘のとおりだろうと思います。
 ただ、それでは金融政策がそれに対してどういう浸透効果があるのかというのがおそらく御指摘の問題かと思います。現在まで公定歩合の引き上げあるいは預金準備率の引き上げということで、金融政策が行なってきておりました目的は、やはり最初に第一義的にそれが効果を発するのは企業の行動原理と申しますか企業の行動のあり方に対して金融面でこれを押えることが有効である、こういう論理に立っておるのだろうと思います。特に三十年代の非常に銀行に対する借り入れ依存度の高い時代においては銀行の貸し出しを締めることによって企業のそういう投資活動が押えられたということはより端的でございました。
 今日におきましては、確かに金融面で締めることがはたしてどれだけ企業の設備投資のそういう姿勢を変えていくかということについては、これはかなり変化しておると思います。これはわが国の経済がやはりいわゆる先進国型の経済になればなるほどそういうむずかしい問題が起こってきておるわけでございます。今日公定歩合というものの政策の意味、これが金利を上げることによってその貸し出しを押えていく。貸し出しが締められることによって企業の行動が変化していくやり方というものについてもかなりその限界はあろうかと思います。しかしまだわが国の経済の中ではやはり金融依存度、借り入れ依存度というものは非常に高いという前提がございます。金利が上がればそれに応じてあるいは公社債の調達金利も上がっていくという形での資金調達のむずかしさということを通じて企業の設備投資等に対するあり方が変わっていくということは、まだまだ期待し得る段階にあろうかと思います。
 ただ、そういう金利面の効果だけではなくて、何と申しましてもやはり各個別の企業が将来の需要はどうなるのだろうかという、いわば需要予測というものによっていろいろ行動するわけでございます。将来その需要というものは従来のように明るいものではないのだというようなことが、それぞれの企業の関係しておる市場予測と市場の先行きというものを占うことによって投資活動をやめていく、あるいは押えていくというようなところに期待される、これがいわゆる金融政策の心理面での効果ということもあろうかと思います。
 そういう意味からいたしまして、金融の引き締めというものは万能薬ではないとは思います。しかし、今日のような経済活動のかなりの部分と申しますか、非常に重要な部分がやはり私企業の設備投資あるいはその設備投資に関連する在庫投資というものによってささえられておるということは否定できないわけでございまして、そういう面におきましては、やはり金融引き締め政策というものはかなりの効果がある。それがいわゆる総需要抑制ということを考えておる理由でございます。
 なぜここで総需要抑制という割り切ったことを申し上げるのかといいますと、それはことしの一月くらいの引き締めの段階においては、いわば過剰流動性を吸収するのが目的であったというそういう姿勢で出発した。それはあくまで資金面での流動性吸収だという姿勢から、資金面を越えた経済の実態活動まで押えなければいけないのだという意味での総需要抑制という、そういう旗を振っておる、かように理解しておるわけでございます。
 なお、貸し出し準備率の問題については、私どもはいすればわが国においてもこういう制度をつくっていくべきだ、かように考えております。しかし、何ぶんこれは現在の預金準備に関する法律を改正する必要がございますので、その辺のところとかね合わせまして今後貸し出し準備率というようなものもわが国の中につくっておく必要があろう、かように考えておるわけでございます。
#16
○村山(喜)小委員 そこでお尋ねしておきますが、過剰流動性の問題から発足をして総需要抑制に移っていくわけですが、私は日銀の調査月報の六月号を見てみまして、四十七年の資金循環、この中で法人の手元流動性比率の問題が出ておりますが、四十六年の六月の一・六六カ月から四十六年の十二月が一・七八カ月、四十七年の三月が一・八九カ月、こういうような形で流動性は高まっているわけですが、三次に及ぶところの公定歩合の操作あるいは窓口規制、預金準備率の引き上げ等によりまして、いま手持ちの企業流動性というのは、先ほどの説明では四十六年ごろに大体落ち着いたような説明でございましたが、そうなると流動性比率は一・六カ月分程度まだ持っているということでございますか。それでこれはどこまで比率を引き下げていかれるつもりでいまブレーキをかけていらっしゃるのですか。
#17
○吉田(太)政府委員 ちょっと私、いま御指摘の月別の数字を持ち合わせておりませんが、大体御指摘のような感触の話だろうと思います。私ども、四月から六月、三カ月ごとにまとめておりますので、まず手元流動性比率、すなわち売り上げ高に対する現金、預金の割合というものについては、これはどれが適正かということは私は固定的には考えるべきではない。ある意味では流動性がふえておるということを、これはいいことである、従来のように非常に銀行に借りないと事業が行なえないという事態のほうがむしろ異常であったという考え方も成り立つわけでございます。そういう時代においてはいわゆる過小流動性という問題で三十年代、いわゆるオーバーローンというような現象が起きていろいろな弊害が生じたことももう御承知のとおりでございます。
 したがいまして、適正水準というものはどういうものかというその決定的な数字を申し上げることはできないわけでございますが、先ほど御指摘の、たとえばいわゆる過剰流動性問題が起こる前の水準というのは一・六というような御指摘がございました。私どもは、主要企業の全産業の手元流動性比率の四−六としては一・一三、ただ製造業の大企業は一・六ぐらいの流動性比率を持っておったと、かように考えております。今日、そういう製造業でございません全産業を含めました手元流動性比率というのは、一月から三月までの実績としては一・二カ月分ちょっとぐらいの水準にあるかと思います。これが四−六には、六月の実績がわかりませんので見込みも含まれておりますが、大体一・二カ月分ぐらい、これが七月から九月になりますと大体一・一四ぐらいの見込みというのが日本銀行の経済観測の見込みでございます。ということは、四−六が一・一三カ月であったということからいたしますと、そういった水準に戻るのではなかろうか、かように考えております。
 ただ私は、この手元流動性が、すなわち政策の指標として直接それを考えて政策を考えていくことではなくて、むしろいわば副次的な参考にすべきことではなかろうかと、かように考えております。ただ少なくとも流動性が非常に多いという状況は、それが経済活動の必要以上に多いという状況が投機である、あるいは思惑であるというような現象をいわば招いておった点からすると、できるだけそういう事態の前の程度の水準ということを一応ノーマルとして差しあたりは考えていくべきではなかろうか、かように考えておる意味から、大体七−九というのはそういう水準に戻ることを目的とした引き締め効果と申しますか、具体的にいえば日本銀行の窓口規制の強さが行なわれておるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#18
○村山(喜)小委員 そこで、まあ間接金融の面ではそういうような引き締めをやる。ところが問題は、先ほど証券局長のほうからもお話がありましたように、時価による公募増資とかあるいは転換社債ですね、これが四十七年度は公募増資分が八千七百三十七億、うち時価発行増資が五千三百三十億、転換社債が二千八百八十億ということで前に説明を聞いたことがあります。そういうふうにして自己資金を金利のかからないもので調達をしていくというようなことになりますと、それだけ法人の手元流動性というものはまた高まっていきますね、直接金融のほうで。それはいまのところ手を触れないで、ウエートがそうさほど大きくないからというようなことで放置をされるわけですか。この点は証券局長、高橋さんのほうからお聞かせいただきたい。
#19
○高橋(英)政府委員 放置するということではございませんで、やはりこれは金融政策あるいは金融市場といったようなものに大きく影響されます。昨年は確かに先生の数字のような非常に大きな数字でございました。本年に入りましてから株価水準といったようなものが低迷といいますか、上昇傾向が頭打ちになったというようなことから、実際は時価発行増資あるいは転換社債の発行というものの勢いがとまってまいりまして、しかも昨年少し集中し過ぎたといったような反省もございまして、アンダーライターのほうでも非常に厳格にやろうというような申し合わせをつくりまして、資金の使途といったようなものについては厳重にチェックする、あるいは企業の内容、そういったものが絶対に優秀なところでないといけないといったような標準をつくりまして、ややきびしいといいますか、反省した引き受け態度になってまいりましたので、本年の一月くらいが山でございまして、それ以後はずっと収縮傾向になってきております。
#20
○村山(喜)小委員 それで高橋証券局長にお尋ねしますが、先ほど株の法人と個人の所有別の割合が四・四%、個人の占有率のほうが減って三二・八%になったという説明でございましたね。そうなると、十万株以上のもの、いわゆる集中率は四十六年は六五%だったのですが、これはもっと高くなっているのじゃないですか。幾らぐらいになっているのでしょうか。
#21
○高橋(英)政府委員 そういう数字、私、いま持っておりませんので、ちょっとお答えできません。
#22
○村山(喜)小委員 あとほどまた資料がありましたら私の部屋に届けていただきたいと思いますが、こういうような形の中で株が法人のほうに帰属をして、個人株主というものは全体の中における所有率も低下して、いよいよ法人というものは実在的なものとして存在をしていくということが出てきたわけですから、今度はいよいよ税法のほうでもそういうような立場で取り組まれることになるだろうと私は思っておりますが、最近の株の集中も、小さな株主というものは整理をされていくのだということがこの四十七年の資金循環の中できわめてよく出ているわけですね。
 というのは、法人関係が土地とか株を買いあさっていく。それに対して個人のほうはそれを手放して、そして金融資産というのですか、銀行あたりの預金が増大をしていく、それをまた借りて企業は発展をしていくというような資金勘定になっているようでございます。そういう面から一体四十七年の資金循環を注視して、金融政策というものははたしてこれでよかったのだろうかということに対して、吉田局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
 というのは、ブレーキを踏まなければならないところにアクセルを踏んでしまったのではなかろうかというような気がしてなりません。というのは、銀行の場合を調べてみますと、資金量の増加額が十一兆二千六百五十八億ですか、それに対して資金運用の貸し出しのほうが十四兆七千十億円という数字が出ておりますね。だから銀行の限界預貸証率は一一六・一%になって、資金ポジションが非常に悪化した。そしてそれを日銀が一兆四千四百八十四億円も貸し出しをしてカバーしておりますね。
 こういうような形の中で過剰流動性というものが幾らあったのか、これもお答えをいただきたいと思いますが、そういうような形の中で、ブレーキがきかないような形をつくり出してインフレをさらに進めていった、こういうようなふうに思われるわけですね。その反省の上に立っていまの金融引き締め政策をやっていらっしゃるのだとも受け取れるのですが、その点いかがですか。
#23
○吉田(太)政府委員 私は先生のいまのお話はまことにそのとおりだと思っております。と申しますのは、これまでの日本の経済の発展が、個人の貯蓄超過分が企業部門に回り、そして政府部門は中立であったという形で行なわれてまいりましたことは、もう御指摘のとおりだろうと思います。そういう戦後の再建復興の過程においてとられてきた経済の発展の姿そのものに対する一つの転換の時期に来ておるというのが現段階であろうかと思います。そういう意味からいたしますと、政府部門が個人からの貯蓄超過部分をもっと使うべきであるという議論もこれから必要であろうと思いますし、あるいは個人部門と申しますか、家計部門が自分の貯蓄をもっと使っていくということからして、たとえば住宅ローンに見られるようないわゆる預金者が利用者の立場に変わっていくという形の経済の姿あるいは金融の姿になっていくことが必要だろうと思います。
 しかし、そういうことはいずれにしてもやはり経済活動でございますので、どうしても時間的に着実なそういう事実の積み上げの上にそういう構造が変わっていくことであるべきでございまして、なかなか一挙にそういうことが実現することはむずかしいと思いますが、今後の方向としてはそういう方向での経済政策が行なわれていくべきだというように考えております。
 昨年の秋の金融政策がむしろ間違いであったのではなかろうかということについては、私どもももちろん反省はしていかなくてはいけないと思います。言いわけがましいわけでございますが、何ぶん初めての大変動の時期であり、その中において福祉経済への転換を行なっていこうというそういう問題の中でいろんな今日見られる現象が起こってきたということについては、いま申し上げましたような考え方のもとに、できるだけ積極的な手を考えていくべきだ、かように考えております。過去の事例を踏まえてやはりこれから考えていかなくてはいけない、かように考えております。
#24
○村山(喜)小委員 時間があと十分しかありませんので次に中期預金の問題ですが、今度中期預金の創設が行なわれて、有利な貯蓄手段提供で利益を預金者に還元するのだというようなことで金融機関も太鼓をたたいてやっているようでございます。これはほんとうのねらいというものはそれだけの流動性というものを吸収しようというところにあるのでしょうが、この波及するところはきわめて大きいわけですね。そのねらいというのは、先ほど吉田さんの説明を聞いておりますと、預金の選好性あるいは金利の自由化論みたいなところまで触れられたように承ったわけですが、そういうような形の中で行った場合には、長短金融の同質化という問題が生まれてきているわけですね。それから資金コストに金融機関間の格差がついてくる。そうなれば金融二法の制定がさきになされてそれが金融再編成の流れを進めるものだという、それを今度また追い打ち、追認をするような形のものとしても受け取れるわけです。
 そうすると、こういうような形になってきた場合に、割引金融債なりあるいは利付債なりあるいは国債、公社債、投資信託、貸付信託というような問題がありますね。こういうようないわゆる長期ものとの関係等はどういうふうに調整をされるわけですか。
 それから定期預金の比重の非常に大きい金融機関ほど今度はコストが高くなるということを考えますと、その比率を見てみれば相互銀行、信用金庫、それから地方銀行、最後に都市銀行というような順位になっているようであります。そうなってきたときには、相互銀行なり信用金庫なりというようなものが、今度の六・五%の二年ものの割高の金利の設定が行なわれた場合には、それだけ経営的に圧迫を受けることは間違いがない。勢いそれをカバーするためには合同、合併をやるとか、何かコストを下げる方法を講じなければ存在が許されないということになりますから、そういうような面からどういうふうにされるのか。
 それから短期国債の市中公募の問題ですが、これが二カ月ものを今度三カ月もの、六カ月ものということで、割引年利から見ましても年利回りから見ましても割高のものが新しくつくられるわけですね。それの引き受け先は一体どういうふうになっておるのだろうかということを考えますと、これはきわめて大きな内容を持つものであるというふうにわれわれは見ているわけでございますけれども、それとの関係がどういうふうになっているのか。
 特に私がここでお伺いしておきたいのは、四十八年度の貯蓄増加目標というものがさきに示されましたね。一般預金と証券との割合ですが、公社債なりあるいは投資信託というものが数字が変わってこないのかどうか。これはただ銀行局だけではなくて証券局のほうにも関係がありますので、それとの関連はどういうふうになっておるのかお尋ねをしておきたい。
#25
○吉田(太)政府委員 まず、中期預金についてお答えさせていただきたいと思います。
 中期預金は沿革的に金融効率化と申しますか、長短金融のあり方を見直すのだというような発想で数年前中期預金の問題が提唱されたことは、私はそのとおりだろうと思います。ただ当時と現在とではかなりこれに対するものの考え方が変化しておるというように考えております。長短金融の金利でございますが、問題はあくまでいわば金融界の中のできごと、業界と業界との関係に変化が起こる問題。もちろんそれが非常に国民経済的に影響が大きいという意味では私どもは決してこれを軽視すべきではないと思います。しかし私は、今日におきます中期預金の問題は、そういう金融機関の種類の関係、金融機関のグループの関係の問題を進めていくための中期預金の問題と考えるべきであってはならない、かように考えております。むしろ中期預金の問題は、いかにして長く預金をしておる人にそれに応じた金利を付していくかという預金金利の問題として考えるべきではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
 そういう意味から申しますと、むしろ中期預金の問題というのはすべて預金金利と申しますか、貯蓄性の預金金利の問題として解決すべきことに最優先を置くべきである。そのような考え方から、一年以上の預金金制をこの際引き上げることになったわけでございまして、それと同時に長期に預金をしておる人に金利をさらに有利にしていくという形で金利の問題として扱ったわけでございます。
 それで、もしも中期預金が当初と申しますか提唱された時期の考え方どおりであるのならば、いわば三年預金というようなことでございますれば、あるいはその色彩はかなり強くなり得たと思いますが、現在一年半の定期を六カ月伸ばすという程度の問題であり、しかもいわゆる直接金融により近いほうの国債市場の期間あるいは金融債の期間等を考えますと、むしろ一年半のものが六カ月伸びたということはそれほど大きな影響を与えないというところで、そういうふうに考えたわけでございます。
 なお、中小企業金融機関、具体的には相互銀行、信用金庫等の中小企業金融機関に対する経営への影響ということについても私どもは非常に心配をしております。それで、たとえば最も下位の金融機関についていろいろの変化について計算をいたしましたところ、まずこれの直接的な影響というのはきわめて軽微である、かように考えております。これがたとえばその期間が三年でございますということになりますれば非常に問題であろうと思いますが、二年のものでございますればまずそう大きな目立った影響はない、こういうように考えたわけでございます。
 短期証券のことにつきましては理財局から答弁をさせていただきます。
#26
○後藤政府委員 短期証券の今日までの公募の状況につきまして私から御報告をいたしたいと思います。
 今回のようなシステムによりまして公募を開始しましたのが六月の十八日の週からでございます。先週まででちょうど一月でございます。その間の公募の額が合わせて千三百五十七億でございます。このうち二カ月もの、三カ月もの、六カ月ものと期間の割合で申し上げますと、大部分が従来からございました二カ月ものでございまして、千三十五億でございます。割合は七六・三%と相なっております。それから三カ月ものが二百一億でございまして一四・八%、六カ月ものが百二十一億でございまして八・九%、期間別に申し上げますとこういうことでございます。
 なお、公募の消化主体と申しますか、消化先でございますが、これは厳密にはとりにくい統計上の事情がございますが、大ざっぱに申し上げますと、ただいま申し上げましたもののうち個人の消化分が全体の一六・五%程度になっております。
 一番大きいウエートを占めておりますのは一般の企業法人が六八・六%、そのほか特殊法人とか共済組合とかが主でございます。
#27
○吉田(太)政府委員 先ほど貯蓄目標について御質問がございましてお答えをいたしませんで申しわけございませんでした。
 貯蓄目標は、これは日本銀行の貯蓄増強中央委員会できめておるわけでございますが、これは一種のいわば生活運動と申しますか努力目標、各関係者の努力目標的な貯蓄増強運動という性格のものでございまして、その目標につきましては、これは御承知のように預貯金のほかに保険、証券も入っておるわけでありますが、大体過去の趨勢の伸び率いうものを積み上げたということでやっておるわけでございまして、特に政策的な意図を持たないで過去の趨勢を積み上げて努力目標にしておる、かようなものと承知いたしております。
#28
○村山(喜)小委員 時間が参りましたのでやめますが、実際やってみたらどういうふうになるのかわかりませんが、一年半ものが二年ものにシフトしていくという形になるでしょうし、普通預金取引から定期預金取引へとシフトしていくのではなかろうかという点も考えられるわけです。私もやはりこの際、相互銀行なり信用金庫というような中小企業の専門金融機関が、中期預金の創設のメリットというのはどっちかというと都市銀行のほうにあるわけですから、そちらのほうからのなにでしわ寄せを受けて、そしてこの割高のものが、定期預金の比重の大きいのは相互銀行なり信用金庫のほうが大きいわけですから、今度公定歩合を引き上げただけでも資金コストは逆ざや現象になっておるし、そこへ持ってきて中期預金の創設に伴いましてそういうような六・五%のものが創設をされるということになると、預金者にとっては一つのメリットでありましょうが、金融機関同士の中では確かに優劣の競争が起こって、しわ寄せが今度は中小企業者あたりにくるというような点が私は懸念される点だと思うのです。
 そういうような点がこれからの実際の運用の中でどういうふうになっていくのかということをわれわれは注目してまいりたいと思いますし、こういうようなことが過剰流動性の吸収にも幾らか役に立つでしょうが、はたして物価高を鎮静させることになるのかどうかということについてば非常に問題があると思うのです。それだけコストが上がることによってまた製品価格に上乗せになる、そういうような状態も出てくるわけですから、一つの長い間の懸案が実現をしたわけでありましょうが、これらの波及の問題いかんによりましては、これからの大きな金融政策の問題として提起されることにもなると思いますので、運用面等については十分注意をしながらそれぞれ所期の目的を達成されるように要請をいたしまして、時間が参りましたので終わります。
#29
○森小委員長 平林剛君。
#30
○平林小委員 きょう私は、時間の関係もあるので証券行政にしぼってお尋ねします。
 殖産住宅相互の事件を契機にしまして、新規の公開制度の改善を検討しておりました東京証券取引所が当面の暫定改善策案をまとめました。これは新聞等で私も承知いたしました。これについて大蔵省の見解はどうですか。
#31
○高橋(英)政府委員 従来新規公開上場といったようなものが盛んに行なわれまして、そして従来は取引所におきます上場規程あるいは上場審査基準といったようなものがかなり整備されておったのでございますが、いわゆる親引け制度あるいは公開価格と始め値との間の差ができ過ぎたといったようなことがございまして、殖産住宅事件のようなことに発展してしまったわけでございます。
    〔小委員長退席、村岡小委員長代理着席〕
制度としてかなり完備しておったつもりでございましたが、若干その不備なところもあったというようなことから、私ども急速対策を考えようということになりまして、先般十七日の取引所の理事会において決定されました当面の改善策といったようなもの、これは御承知かと存じますが、公開価格の決定をより厳正にする、あるいは親引けは一切禁止する、あるいは上場前に特殊な増資をやったり不適当な増資をやっておった場合にはその上場を受理しない、あるいは厳正に公開が行なわれたかどうかということを確認した後でなければ上場しないといったような、かなりきびしい内容になっておると思われます。したがいまして、相当な改善ができたのではないかというふうに考えております。
    〔村岡小委員長代理退席、小委員長着席〕
 もちろんどこの国でも新規上場というものにつきましては絶対的なこうだというような制度はないようでございまして、どこでも悩んでおるようでございます。しかし、私どもも当面これでかなりの改善になったと思いますけれども、よりりっぱな上場制度というものができないか。たとえば上場する前に店頭というところに必ずかけて、そこである程度値段が練られてから上場させる、そういったようなことは長期的に、より根本的に検討してやってみたらどうだろうか。そのためにはもちろん店頭市場の整備というようなことがまず第一になりますが、とりあえずは先般の改善案というものはかなりの効果があるのではないかというふうに考えております。
#32
○平林小委員 いまの御見解は、当面は相当の改善だという理解をして、長期的には店頭の上場制度というのが考えられるということに尽きると思うのです。親引けの禁止について、一応全面禁止という形で東京証券取引所では改善策の結論にしたわけですが、親引けの禁止といっても、実際にそれは順守される保障があるとお考えになりますか。
#33
○高橋(英)政府委員 禁止でございますから、順守されるというふうに考えるわけでございます。
#34
○平林小委員 発行会社がたとえば証券会社に対して公開株の売り先を指定するというような形で抜け穴が残されているのじゃありませんか。その点はどうでしょう。
#35
○高橋(英)政府委員 それは今度つくりました改善ルールでは、公開株の配分につきましても書いてございまして、申請会社の売り先指定による割り当て、これは認めない、行なわないというふうに書いてございます。
#36
○平林小委員 親引けが殖産住宅事件を起こした一つの温床だと私は思う。証券界が特定の株主や大企業の私物になっている、持ち株が個人より法人にだんだんに偏向して証券市場の大衆化という面から逆流している。これは先ほどお話があったように数字で立証されていると思う。そういう傾向がある。
 そこで、親引けの禁止の問題について、あなたは順守されると思うということだけでございますが、これを法律で禁止するというようなことは考えなくていいと思っていますか。
#37
○高橋(英)政府委員 現在法律で規定するということにはなじまないのではないかというふうに考えております。商法の問題になろうかと思いますけれども、増資の場合に現在の法律では何ら抵触するところはないと思いますし、今後もそれが適正な値段であれば問題ではないのではないかということでございます。
 今度禁止いたしましたのは、適正な値段というのがわからない新規上場の場合でございますので、むしろ上場されておる株式、既上場の株式の増資などの場合には、その練れた価格で親引けされるということにつきましては法律で禁止するというほどのことはないのじゃないか、かように考えております。
#38
○平林小委員 少し私は見解が違いますけれども、あとで議論をします。
 そこで、今度の親引けというものについては、大蔵大臣と私はことしの三月に議論したことがある。邪道だ、正しいあり方じゃない、これは大蔵大臣も認めたわけです。今回は殖産住宅相互の事件があって、これは従来のやり方を改めて全面禁止ということを打ち出されたわけです。私は、正しい措置であって、むしろ大蔵省がもっと主導的立場に立ってそういう行政指導を行なうべきであった、それを検察庁の摘発を受けてこういう形に追い込まれたというのは証券行政としての責任が問われてもしかたがない、そう考えておるわけです。
 そこで、これは何も新規上場株に関することだけではないと思うのです。時価発行株の増資などにおいても親引けが行なわれている。こういうことについてもやはり同じような措置をとるべきじゃないか。いかがでしょうか。
#39
○高橋(英)政府委員 根本的には商法の問題であろうかと思います。私、先ほども申し上げましたように、新規上場でない場合にまで禁止するべきであるかどうかということについては、その必要はないのではないかというふうに考えております。
#40
○平林小委員 私は、実は三月の段階に親引けの問題を指摘したのは、この前にも問題があったから証券行政の責任をついたわけです。またここで殖産住宅の問題が起きた。それでなお大蔵省のほうは根本的には商法の問題だと言っていていいのですか。三度繰り返されたらどうします。私はそういう意味から考えると、これは商法の問題だという形で済ましていいのかどうか、これはもう一度御発言をいただきます。
#41
○高橋(英)政府委員 それでは、私どもも勉強させていただきます。
#42
○平林小委員 親引けの禁止の実効をあげるために、大蔵省としてやるべきことは何があるか、私はそれを聞きたい。つまり、現在は東京証券取引所において順守されるだろうという形で、いわば遠くからながめている形です。しかし、親引けの問題について、いま証券界に対する国民の目というものは非常に疑惑に富んでおる。そのときに、直接その衝に当たる大蔵省は何がなし得るか。
 たとえば発行会社が証券取引所に新規上場を申請する。取引所は大蔵省に対して承認申請をしてくる。大蔵省が承認すると取引所は発行会社に連絡をして上場が認められる。こういう仕組みで、その間大蔵省がタッチする機会はあるわけですね。また上場の条件がそろって増資をするという場合には、有価証券届出書を証取法に基づいて提出をすることになっている。大蔵省がこれを審査して届け出の効力が出れば増資をする。ここでも大蔵省は関与する。今度の殖産住宅相互の問題は、証券監査官に問題があって、世間の批判を浴びて皆さんも一汗かいたわけです。しかし、いずれにしても、こうした一つの手続の中において大蔵省はタッチできるわけであります。世間の批判を浴びておる親引け禁止の実効をあげるために、大蔵省はどういう措置が考えられるか。
#43
○高橋(英)政府委員 親引けがなかったというようなことをどうやって公表するかということでございますが、これから全部公開株に回るということになると思います。そこで、公開が適正に行なわれたかどうかということは、証券取引所においてその実施報告を今度とることにいたしました。したがいまして、公開株の行き先ということがわかりますので、親引けが実質あったかなかったかということはわかる仕組みになっております。その段階で親引けがなかったということになろうかと存じます。
#44
○平林小委員 ただいまのような措置をとって親引けが実際にあったかないかわかる。こういう形で親引け禁止というのが進んだ場合、なおかつあったときはどうするのですか。
#45
○高橋(英)政府委員 それは東京証券取引所のルール違反でございますので、証券取引所においてもちろん上場はいたしません。そういうことがあろうかと思います。
#46
○平林小委員 次に、上場する場合の発行価格について申し上げます。
 これも私は、殖産住宅相互の事件の背景の一つとしてポイントになると思うのです。昭和四十六年、四十七年、四十八年の状況を見ますというと、新規に上場した会社は、東京、大阪、名古屋を含めまして、昭和四十六年においては約二十二社、四十七年は東京、大阪、名古屋合わせまして二十八社、ことし四十八年に入りまして、東京、大阪だけでありますが約三十三社あるわけです。この合計八十三社の公開価格と、それからいわゆる実際に上場をされた寄りつき、つまり始め値の開きを見ますと、非常に価格が大きいのであります。
 問題となった殖産住宅は、すでに御承知のように二倍をこえておる。それでは殖産住宅だけが、公開価格と始め値との間が二倍になったというかというとそうじゃない、ナショナル住宅建材、オオバ、岡部、殖産住宅相互、東宝不動産、泉州銀行など六社、そして一・五倍をこえているもの、これは十七社あるわけであります。公開株と始め値の差が低いものは、おもにことしになって上場された地方銀行でございます。公開価格の算定基準というのが東京証券取引所にありながら、なぜこのように開きが大き過ぎるようになったのか。それはどうお考えになっているのですか。
#47
○高橋(英)政府委員 公開価格につきましては、算定基準というのがございまして、その基準に従って厳正にやろうということで出した価格だと思いますけれども、一般的に新規上場になります場合には、新しく市場に登場してくるということで人気といいますか、期待感があるのが一つでございます。それから一つは、かなりきびしい上場審査基準を経ておりますので、ある意味ではその会社は試験に及第したといったような評価が受けられる。それから第三番目には、新たに出てまいりますような企業は概して資本が小そうございます。したがって市場で取引される株というものがそれほど多くないというような三つの理由から、どうしても当初は人気が出ます。
 そんなことで公開価格というものを相当厳正に判定いたしましても、その人気といったような面がどうしても評価できなくなりますので、その人気といったようなものが乖離を生ずる大きな原因ではなかろうかと思います。
 いま先生御指摘のように二倍以上になったというものが六社あるというようなことでございますが、確かにそうでございますが、公開価格に対しまして二割くらいの値開きであったというものが大半でございまして、三割以内ということになりますとその八五、六%のものがその線に入っておりますので、公開価格が総じてでたらめであったというふうには申されないかと思います。
#48
○平林小委員 私はそれは見解の違いだと思います。総体的に開きが大き過ぎる。
 そこでお尋ねしますけれども、今度の東京証券の改善案、この差を縮めるための改善案が出されております。これでこの開きを縮めることが可能だと思っていますか。
#49
○高橋(英)政府委員 これで従来よりは縮まるというふうに思われます。それからこれははなはだ申し上げにくいことなのでございますけれども、従来証券会社のビヘービアといたしましても、新規上場株が上場されますときにかなり推奨したりといったような行動がありましたが、そういうことも自粛されますると両々相まってそれほど大きな開きにはならないのではないかというふうに考えられます。
#50
○平林小委員 私は従来の三年間の例を見て、大体二割も三割も開き値があるというのは、算定基準、これらを厳正にやっているという程度が、結果的に見るとそうじゃなかったと思うのですね。それであなたは、いわばちょうちんを今度つけるようなことはないだろう、新規上場のときにちょうちんをつけて推奨したりすることはなくなる、それは自粛されるだろう、それは従来より縮まるだろうと思うと言われましたが、この世の中は少しでももうけがあったほうがいいというのが大体において人情でありますから、こうした一つの制度を利用して目立たぬようにやはりある程度のうまみを見出すというのが、これは商売が商売だから、そうなくならぬと思うのです。
 そこで私は、証券行政はもう少しその点は厳粛にやるべきである。特に今度東京証券の改善案として出されました上場する場合の発行価格の改善案、これは私承知している昭和四十五年の六月に株式の公開の算定基準を引き受け証券会社で申し合わせたものと比較いたしましてどこが違うのですか。どこも違ってないのですよ。これは大蔵省は御専門だからお調べになったと思うけれども、昭和四十五年の六月に引き受け証券会社が申し合わせをして株式公開算定基準をまとめたのです。いま言いましたように厳正な基準ということで、類似会社の選定方法から、業績比較の時期から、類似会社の株価から、市況等による調整とか、いろいろ基準というのを設けてやってきた。やってきた結果が二倍になるもの、一・五倍になるもの、こういう状態の開きになっているわけであります。四十五年の六月に申し合わせたのと今度の改善案として出されたものはちっとも変わっていない。どこに改善の進歩があるか、私はこう思うのですけれども、この点はいかがですか。
#51
○高橋(英)政府委員 類似会社の選定にあたりましては、今度の改善案では、取引所がこの会社は必ず類似会社として選んでその対象にせよということを言うことになりましたのが、従来引き受け会社だけで類似会社を選んでいたこととはだいぶ違うことだと思います。その点が一つ改善されたことだと思います。
 それからそれ以外に、引き受け会社のほうで選びました類似会社、それはどういう理由でこういう会社を類似会社として選んだかということを取引所のほうに詳しく説明させるということで、従来より公開価格の算定につきまして取引所が介入する度合いが非常に強くなったという点が従来の基準とは違うと思います。
#52
○平林小委員 お尋ねしますが、先ほど従来の開き値が二倍になり一・五倍になり、あるいは三割、これは主税局長おられるけれども、もし税収見込みにこんな違いがあったらこれはたいへんな問題になる。私は今日までのこうした問題についての算定基準について、いろいろな思惑があってこういう結果になっていると思うのです。
 そこで、先ほど証券局長は、基準に従って厳正にやったと思う、市場に上場するときには人気や期待感があるから、そこでやむを得ない形の不可抗力的な開きが出てくるということもあるし、言いにくいことだけれどもちょうちんというようなことがあった、しかしこれは自粛されるでしょう、こう言いましたけれども、昭和四十五年六月に引き受け証券会社の申し合わせでできた「株式公開価格算定基準」の中には、いろいろむむずかしい基準を列記して、その方法で算出された算定価格が「全般的な市況、当該公開会社の人気、需給見通しを勘案して、当該公開を適正にするため合理的と認められる場合には、算定価格につき適正と認められる範囲で調整を行なうことができる。」と書いてある。
 ですから、公開価格が、上場されてその寄りつきから二倍にもなるというようなときには、当然調整をしていくという考え方が以前の申し合わせにあったわけですね。これは大蔵省も御承知だと思いますけれども、しかしそれをほうってある。そこに私は、これでいいのだというその温床が生まれて、それに巣くう人たちが群がって殖産住宅相互のような事件が表に出てくるわけです。
 従来こういう申し合わせがあり、人気だとか期待だとかというものによって、もう寄りつきで上場したときの価格が違ったときには調整するということがあったのに、なぜやらなかったか。ここが従来の証券行政の中においても反省すべきことだし、東京証券取引所においても考えなければならぬ点だと私は思う。この点はどうお考えになりますか。
#53
○高橋(英)政府委員 調整と申しますのは、公開価格がきまって、そして新規に上場して、そこで寄りつきの値ができたときに、公開価格を調整するという規定ではないと思います。公開価格が先にきまりまして、その公開価格で増資をして、増資が完了した後に上場されるものでございますから、取引所の初日に値段がついて、そこで二倍になったというので、あとでさかのぼって増資の公募価格を調整するということはできないのではないか、さように思っております。
#54
○平林小委員 それならいままで厳正にやっていたということじゃないのだ。あなたはその基準に従って厳正にやったと言うのだけれども、初めからそれを織り込んでやらなければいけなかったわけです。つまり当てはずれだね、そして予測違いだね、善意に解釈すれば。しかし、それを織り込んで公開価格をきめなければならなかった立場の発行会社にしてもあるいは引き受け証券会社にしても、そこにゆるみがあったと見なければならぬわけです。私はその点をこれから相当、それこそ文字どおり厳正にやらなければならぬと思うのです。
 そこで、今日までの経過を見て、大蔵省としてはこうしたこと、つまり先ほどちょっと言いにくいことだがという前提を置いて言われました、新規上場のときには証券会社からの推奨もあった、あるいは俗に言えばちょうちんをつけたものもある、だれがつけたかこれはわからぬけれども。しかしこれらのことは、証取法の五十八条、禁止される不正取引行為あるいはその他何条でしたか、こうした法と比較をいたしまして、立証することは困難だとしても、それらに該当するのではないか、こう思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
#55
○田中説明員 お答え申し上げます。
 五十八条につきましては、それが不正な手段、計画または技巧であったかということ、あるいは三号におきまして、虚偽の相場を利用したかという場合でございますが、その点、ただいま先生も御指摘のようになかなか立証も困難でございまして、ちょうちんをつけたということが、要するにこれに該当するかどうかという立証はなかなかむずかしいのではないかと思っております。したがいまして、問題はそういったような営業態度、勧誘のしかた、これについて十分自粛を求めるように行政的に指導、誘掖していくということが私どものまずなすべきことではないかと考えております。
#56
○平林小委員 それはするのですね。
#57
○高橋(英)政府委員 そのようにいたしたいと思います。
#58
○平林小委員 時間も来たようですが、ちょっと最後に。
 私がいま言いました親引け、それから公開価格のきめ方、これも今日世間から指摘をされる温床であり問題点だと思いますが、もう一つ税制上の問題が私はあると思うのです。これは御承知のように、もう時間がないから言いますが、新規上場をする場合には、特に所得税法第九条第十一項並びに施行令によりまして、公開で行なうところの株譲渡は、その発行法人の発行済み株式の総数の百分の二十五に相当していなければ非課税にする。昔はそういう規定がなくて、私がかつて赤井電機の例を用いて指摘をしました。その結果野放しではなくて百分の二十五まで、これをこえれば課税します、それ以下であれば課税しません、こういうふうに一歩前進をしたことは認めます。施行令が改正されたことは認めます。
 しかし私は、ここ最近の例を見て、これで十分であろうかと考えますと、なお、そうでないと考えざるを得ない。もちろん、株の譲渡によるところの膨大な利益に対して、いわゆる譲渡に対する税がかけられていないということも、私は現在の経済、国民生活から見て一番不公平である、こう思う点は、もちろん声を大きくして指摘しなければならぬところでありますが、きょうはこの上場株の非課税の問題だけに限って問題にいたしましても、そういうことが言えると思うのです。私、調べてみた。いままで昭和四十六年、四十七年、四十八年、いわゆる株式の譲渡によって公開をした上場会社は、増資をあわせて行なった企業も含めて二十一社ある。三年間に、九十三社の中で二十一社ある。そのうち、いわゆる売りだけ、譲渡だけによるものが十一社あるわけです。その比率を見てみますと、低いのは二・五%、六・三%、八・四%、九・二%、一〇・五%、二二%、一六・六%、一七・八%、いずれも二五%以下をねらって売りに出しておる、つまり譲渡をしておる。したがって、この二、三年の例を見ると、二五%というふうに制限をいたしましたが、実際の上場会社が売りに出したものは、いずれも低いわけですね。そうすれば、二五%というのは高きに失したというように私は主税局長、残念ながらこの三年の例を見て言えると思うのですね。本来私は、課税すべしという議論でありますが、それにしても、二五%ということは割合が低くなったんではないか、これを私は問題点として指摘します。
 それから、このことは、上場をするということは何のために行なわれるかということから考えると、私はいろいろの理由があると思う。いろいろな理由があるけれども、株の大衆化ということをはかる、つまり、特定の企業の経営者が独占をしないで、それを市場に放出をしていく、証券市場の民主化、大衆化、これが一つの大きな目標でもあったわけですね。ところが、実際に公開をするときの比率がこんなに低いということは、株式市場の大衆化を停滞させておるということにもなる。私は、そういうことから考えると、これを非課税にする理由は、いよいよ根拠が薄くなったんじゃないか。
 そこで、結論からもう一ぺんに申し上げますけれども、この開きを縮小していくという一つの一環、先ほど証券行政で言いましたけれども、今度は税務行政の面から、縮小していくという一つの役割りを果たす意味で、一定の倍率をこえるもの、つまり公開価格からですね、寄りつき、つまり上場したときの価格の開きが一定の比率をこえる場合には、これは私はその上場銘柄について得た所得は非課税をやめるべきだ、つまり、一定の比率は、二割とか三割とかいうふうにきめまして、それをこえる分については、開きが出た場合には非課税措置はやめますよ、こういう形を打ち出すことが、今日指摘をされている問題を解決する一つの一環になるのではないか、私はそういう提案をしたい、こう思っておるわけです。この点について、主税局長の御見解を承りたい。
#59
○高木(文)政府委員 株の譲渡所得の問題につきましては、非課税になっておりますのはそれなりに理由はありますけれども、いろいろと障害を生ずるわけでございまして、私どもといたしましても、何らかの方法で、少なくともいろいろと目立つ所得については、非課税対象からはずしていいんでないかということは、日ごろから考えているわけです。したがいまして、ただいま御指摘のように、非常に払い込み価格と寄りつき価格との間が開差が大きいということのために、特定の個人に特定の譲渡益が実現するということがありました場合には、それを何らかの方法で非課税対象から除外をする、つまり、またもう一つもとに戻って課税対象にするということは、何とか考えられないものかという気がいたします。
 ただ、これはそもそも非課税になっております理由が、技術的に非常に困難だというところから発生をいたしておるわけでございますので、はたしてどのようなテクニックをもってそれをとらえることができるかということと、もう一つは、どの辺のところに線を引くべきかということについて、税制だけで基準をきめることもなかなかむずかしいわけでございますので、これは証券行政との関係もあるわけでございます。その辺をうまく組み立てることができるかどうかということが問題であろうかと思っております。何ぶんこれだけの天下を騒がせる事件でございますから、何とか方法がないかということはなお考えてみたいと思っておりますが、いままで短期間でございましたけれども詰めてみました結果では、どうもいろいろと非課税になっていることとの関連でむずかしい問題がいろいろあるわけでございまして、この段階で、ただいま御示唆をいただきましたような仕組みを立て得るかどうかということについて、明快なお答えができないのは残念でございますけれども、さりながら、ほうっておいていいというふうにも私どもも考えていないわけでございますから、なお今後ともいろいろな観点から詰めてみたいというふうに考えております。
#60
○平林小委員 証券行政のあり方、それがもちろん機軸である。しかし私は、いままでの推移から見て、なかなか困難な事情がある。その場合、本来の株式譲渡の非課税問題がもちろん中心でございますが、さしあたりこうした問題の補完策として、それは十分検討し、そうして推移を見てだめなら実行する、こういう態度を税の面においてもとることを要求しまして、私の質問はこれで終わります。
#61
○森小委員長 広瀬秀吉君。
#62
○広瀬(秀)小委員 最初に、銀行局長にお伺いいたしますが、この金利の問題、先ほど村山委員も触れたわけでありますが、公定歩合が三次にわたって引き上げられておるわけでありますが、それに伴いまして、四月には銀行預金の金利がそれぞれ上がりましたし、郵貯もしかりであります。五月段階では、信託配当率、金融債の関係あるいは国債、政保債、地方債等の金利も上昇をいたしました。これがまあ四月、五月で大体金利を上げました。そして中期預金も四月には設定をされて、もう実行に移されておるわけでありますが、この預貯金の金利の引き上げ、これは公定歩合もこういうふうに上がった段階で、先ほどから中期預金の問題で触れておるように、預金者を優遇するという趣旨も入っているわけでありますから、これはこういう物価高の中で、言うならば物価を追いかけるような形でとられた措置として理解できるわけでありますが、これがそのままストレートに貸し出し金利に波及していくことは、逆にこれがまた物価上昇の一因にもなるという面も考えられますし、また、事業の規模別の受ける影響の格差というものも出てくることは当然でありまして、先ほども指摘がありましたように、回り回って、結局は中小零細企業の融資に対する金利負担が耐えがたいものになってくるということになっては、中小企業金融機関としても問題だし、融資を受ける中小企業サイドにおいてもたいへんな問題になるだろう、こういうふうに考えられるわけでございます。
 その点について中小企業問題は確かに頭の痛い問題で、十分注意しなければならぬという御答弁は先ほどもあったわけでありますが、そういう事態に対して、これからどのような手を銀行行政を担当される銀行局として打っていかれるおつもりがあるのか、その一点だけを、まずお伺いしたいと思います。
#63
○吉田(太)政府委員 全く御指摘のように、中小企業金融に配慮しつつ金融引き締め政策の実効をあげていくことは、いわば二律背反を追うことだけに、非常にむずかしいことだと考えております。
 先ほども申し上げましたように、全体のわが国の産業の中で中小企業のウエートが今後高くなっていくことは予想されます。現在でももうすでに中小企業は五割を占めるウエートを持っておるという段階になっておるわけでございまして、これを引き締めの別においてやっていくことはむずかしいと思います。ただ、総量の全体としてのワクの中で、健全な中小企業に向けられるべきものをできるだけ配慮していくことで、私どもはやっていかないといけないと思います。
 その点は、金利の面でまず公定歩合が上がりました場合に、標準金利というもの、これが全体の貸し出しの三割ぐらいを占めておりますが、大体大企業に対する貸し出し金利をいっておりますが、及びそれに準ずるものを含めまして、そういうものについては従来から公定歩合が上がりますと同時に一〇〇%引き上げられるということで来ております。それに対しまして、一般のいわば中小企業金利の追随の割合は、今回の場合はかなり低い段階でしか追随していないというのが実情のようでございます。的確な数字をいまここに持ち合わせておりませんのでお答えはできませんが、その追随の割合というのは非常に上げ渋っておるというのが実情でございます。
 これは一つには銀行間の競争が激しくなってきておるという、いわばいい意味での金融の効率的な動きになってきておる。金利をむやみやたらに上げていけば、優良な健全な企業からは逃げられていってしまう。むしろそういういい中小企業については、できるだけ確保していくような形から、金融機関としてなかなか上げにくいという要素があるようでございます。このことは、先ほどまさにむずかしい問題だと御指摘のとおり、ある意味では、今度は貸していくほうの金融機関にとっては非常に利ざやが縮小していくという問題として、つらいことだろうと思います。資金コストが上がる。それに応じて貸し出し金利が上げられないという形で進められていく。そういうことからいたしますと、金融機関の中で、より良質の資金を供給できるように、いろいろの面で合理化と申しますか効率化をやっていく余地は、今後もその努力はやはり期待すべきである、かように考えておりますが、現在のところでは、貸し出し金利を金融機関のサイドの一方的な理由でなかなか上げにくい状況にあるということは、私どもあるいは日本銀行の調査から見ますと、大体いえるようでございます。
 それから、貸し出しの量の問題でございますが、これも先ほど申し上げましたように、今回の引き締めの特徴は、金融機関の貸し出しの中で中小企業向けの比率がむしろふえておるという状況でございます。これは従来でございますと、貸し出しの中でまず大企業に優先されて、そのしわが中小企業に寄っていくということがいわれておったわけで、事実そのとおりでございましたが、現在までの推移を見ますと、むしろ中小企業金融機関の貸し出しは非常に順調に伸びております。それから都市銀行、地方銀行の資金の流れ、中小企業に回しておる割合は、去年よりもむしろふえておるという割合で貸し出しを行なっております。このことは、全体としての貸し出しが御承知のように窓口規制ということで非常にきびしく締められておりますけれども、このワクの中で中小企業に向けるべき量を確保しておるということを物語っておるものと思います。
 ただ、現状がこういうことだから今後とももう心配要らないんだというようには、私どもはもちろん考えておりません。今後八月、九月というのが、特に八月が金融面で非常に逼迫する時期でございます。それから年末を控えての中小企業からの資金需要というものが強くなる客観的な要素もございます。私どもはその辺は非常に慎重に注意して見守っていきたいと思っておりますが、こういう状況を確保していくということでぜひ推移していきたい、かように考えております。
#64
○広瀬(秀)小委員 この問題で詳しくやる時間がございませんので、ひとつ資料要求をしておきたいと思いますが、とにかく銀行は好況の場合でも不況の場合でも大体収益は恒常的にいいということは、きわめてマクロの姿でありますが、そういわれておるわけです。公定歩合が下がっても貸し出し金利はなかなか下がらぬというのが金融機関のビヘービアであったというようなこともいわれます。それと同時に、今度は公定歩合が上がる場合には貸し出し金利は比較的すみやかに対応して連動的に上げていく。こういうような事態が、いまおっしゃったように、いい意味での競争原理がほんとうに働いてということならば、それはけっこうであるけれども、必ずしもそうではないと思うのです。
 それというのも、いままで公定歩合がずっと下がって、四・二五まで下がってきたというときにも、貸し出し金利はそれほど下がっていなかったという流れがあるから、まだ余力が――むしろ公定歩合が上がっても、しかも手元流動性あるいは過剰流動性という問題も含めて若干余裕があるというところで、そういう状態に金利の面でもあったということから、いまのところはそういうことが行なわれている。しかし間もなく、預貯金のコスト、すなわち資金コストの大部分を占める預金金利が必ず貸し出し金利に大きくはね返っていくのではないかということがどうしてもおそれられるわけであります。
 そういう点で、いままでの公定歩合がずっと下がってきたときの貸し出し金利の推移と、それから公定歩合を上げ始めてからの貸し出し金利の推移、これを対照させたなるべく新しい表を、七月段階まででも調べていただいて、資料として御提出をいただきたいと思います。
 時間がありませんから、次に相互銀行関係の労働問題について若干質問をしたいのですが、それは具体的には昭和四十一年あるいは四十三年ごろに、全国の相互銀行で三十数名――三十四名と記憶しておりますが、不当労働行為としてそれぞれの機関で認定されるようなケースの解雇問題が発生をしました。いま私が取り上げようと思っておるのは、その中での大東相互銀行、郡山に本店のある機関でありますが、ここの安田政幸君、渡辺衛君、こういう二人の問題について主としてお伺いをしたいと思うのであります。先ほど申し上げた三十四名の中で、その後、従業員組合あるいは労働組合と銀行側との団交を通じて復職した者が二十九名にのぼっておるのですが、まだ五名は復職を認められてない。そのうちの二人がこの大東相互銀行、こういう問題であります。
 なぜ一体、こういう相互銀行に集中的にそういう不当労働行為等を中心にした解雇処分というようなものが行なわれたかということについて、これは前に大蔵委員会でも、四十三年に、大蔵委員であった広沢君が、銀行局長あるいは当時の松永労政局長等に質問をいたしておるわけでありますが、どうも銀行に対する検査、こういうものを通じて大蔵省がそういう不当労働行為が銀行に出てくるような種をまいたのじゃないか。銀行に対する検査講評というような形で、労使問題にそこまで銀行局の検査というものが及んでは、もはやこれは、言うならば不当労働行為を相互銀行の当事者にやるべきだと言わぬばかりの検査講評が出ているというようなことに私は原因があるのではないか、こういうように思うのです。
 その一部を読んでみますが、これは三十八年十二月十六日付で出ているものです。前略、中略で必要な部分だけ読みますが、「最後に当行の改善しなければならない問題は何か、現在時点に於ける本当の姿と云うものを少し申し上げたいと思います。」ということで、二つは組合問題です。御存じの様に当行組合はここ一、二年非常に強くなって色々問題を起した。特長的なものを申し上げますと、完全ユニオンであること、」――完全ユニオンであるというようなこと、これがいけないということなんでしょうね。そういうことをにおわしている。「それから給与体系は年齢給一本で他に何んらメリットがない。それから組合活動と云うのは届出さえすれば時間内に或る程度の組合役員は自由な行動が出来る、幾ら業務を阻害してもチェックが仲々出来ない。」銀行検査に行って、組合活動で阻害をしているのだというようなことがどこまではっきりつかめたか知らぬけれども、どんなに業務を阻害してもチェックすることができない。こんなことがこの検査を通じて、一方的な銀行の使用者側というか、経営者側というか、そういう人たちの言を信ずる以外は――現に検査をやっているときに、組合活動をどんどんかってほうだいにやってサボっているというようなことがわかるはずがないのです。一方的な銀行側の説明を聞いてこういうことをずばりと、「幾ら業務を阻害してもチェックが仲々出来ない。そう云う様な点、陰に陽に銀行の業務推進にブレーキをかけていると思います。」こう断定をされておる。「この様に完全後退しつゝ現在迄来たと云う事にも過去の色々のいきさつを私達なりに見ますと、経営者の側にも組合情勢の判断が多少あまかった、又温情第一主義だつたと思われるのであります。」こういうように言っておられるわけでございます。
 こういう検査というようなものの講評のあり方、こういうものについて銀行局長は、あらためて伺いますが、前にもこれは大蔵委員会での質疑応答もございますが、それとは別に、銀行局長かわってからもう一年でございますから、当時の責任者ではないけれども、銀行行政の最高責任者として、こういう講評がなされるということについて、これは何か私どもの観点からすれば、不当労働行為のアジテートをやるというような感を抱かざるを得ないのですが、こういうことがいいのかどうか、このことについてひとつあなたの所見というか、所信を伺いたいと思います。
#65
○吉田(太)政府委員 私どもが銀行を監督しておりますのは、金融機関としての銀行を監督しておるわけでございます。労使の問題についてそういう判断を差しはさむということは全く間違っておると思います。そういう意味から、私どもたびたびいろいろな先生方からも御指摘を受けておるわけでございますが、検査については、少なくとも私の承知しております時点以後においては、絶対にそういう疑いを持たれるような言動はしないということを、検査にあたっては確立しておると信じております。
 そういう意味から、私どもはあくまで労使の間については正常な慣行が確立されることを期待しておるわけでございます。一日も早く使用者側においても労働関係の適正な維持、そして労働法規にのっとった行動ということをやってもらうように期待しておるわけでございます。そういう意味からいたしますと、私どもはいずれにも中立的な、形で今後行政をやっていきたい、かように考えております。検査にあたっていやしくもそういう労使の関係に影響を与えるようなことについては、今後とも厳に注意いたしていきたいと思います。
#66
○広瀬(秀)小委員 銀行局長の一般的な所見はわかったのですが、いま私がわざわざ労をいとわず読み上げたわけですけれども、こういうような事実があったとすれば、これはあったということで、この講評を各店長に銀行が配ったものなんです。そのコピーを持ってきているわけです。そういうように表現をされている。この具体的な問題について、これはやはり行き過ぎであった、こういうように思われるのか、これは当然であったと思われるのか、その点の所見を伺いたいと思うのです。
#67
○吉田(太)政府委員 その講評を私実はよく承知しておりませんが、もしもそういう表現がございますれば、それは適当でなかった、かように考えております。
#68
○広瀬(秀)小委員 おっしゃるとおりであろうと私も思うわけであります。前の澄田さんも、それから大蔵委員会に出席した労働省の、当時の松永労政局長も同趣旨の答弁をいたしておるわけであります。したがって、その問題についてはもうはっきりしているところです。そういうことを銀行検査の段階ではしてはならない、また検査の段階以外においても、銀行行政に携わる銀行局としては、そういう点では労使問題についてはまさに公正中立の存在である、こういうことをいま御確認いただいた、このように理解をするわけであります。
 ところが、このような講評が各支店長に全部配られた。もちろんこれは本店でも従業員にそういう講評文書が回覧されるというようなことであります。それ以来大東相互銀行においては不当労働行為がかなり表面切って行なわれるようになってきた。その結果、それに反抗をするというような立場が当然生まれてくるということで、今度はこれに対する銀行側の解雇処分というようなことが出てきたわけであります。
 安田君というのは現在三十一歳になっております。妻と子供二人がおるわけですが、解雇当時は二十四歳。当時青年婦人部書記長という役目をして二本松支店に勤務をしておった。こういう中で、銀行側が不当労働行為である組織分裂というようなものを盛んに策動したというようなことに対して反対の中心的な活動をした、こういうことでありますが、この者に対して昭和四十一年の八月に、当時の労働協約等を無視して異例の転勤命令を出した。これに従わないというかどで一方的に解雇をした、こういうことであります。
 それから渡辺衛君というのは三十三歳、今日まだ独身でありますが、解雇当時二十七歳。これは福島支店勤務、当時中央執行委員として組合本部で活躍しておる。四十一年の九月に金銭横領があるとして――この事実もきわめてあいまいなものであります。銀行にこんなことがあっていいのかと思われるようなことのようでありますが、そういうものを一応口実にして、そしてその間に第一組合に残っている者はどんな小さな、ミスでも処分をするというようなことをいいながら、あらゆるいやがらせを続けて、昭和四十二年の三月に解雇をした、こういうことであります。
 そこで非常に重要なことは、安田君の場合にも渡辺君の場合にも、まずいままでの経過をたどってみますと、四十一年の九月二十八日に安田君の身分保全の仮処分が郡山地裁で、これはもう安田君の勝訴になっておるわけであります。不当労働行為による協約違反の解雇処分であるということで身分保全に勝訴をした。さらに同年の十二月十八日には、銀行の不当労働行為が福島地方労働委員会で認定をされました。安田君の分だけ申し上げますと、本訴第一審で解雇無効の判決が四十三年一月、同じく郡山地裁から出ておるわけであります。さらに仙台高裁で四十六年の一月二十一日には安田君の賃金追加の仮処分、こういうものも勝利をいたしておる。さらに最近のことでありますが、四十七年の六月二十九日には、仙台高裁で争われたわけでありますが、本訴の第二審で解雇無効の判決も出ておるわけであります。これに対していま最高裁判所に上告をしておる、こういうことになっておるわけであります。
 こういうように労働委員会でも銀行側が負けているし、不当労働行為があったということが認定をされる。それから身分保全の訴えというものが仮処分の段階でも本訴の段階でも、そして第二審の段階でも解雇無効の判決が出ておるわけですね。
 さらにまた渡辺君の場合にも、身分保全に対する仮処分が勝利をして認められておるし、さらに渡辺君の身分保全に対する銀行の異議申し立てば却下をされるということになっております。それから中央労働委員会においてもこの不当労働行為が確定をされまして、銀行が組合に謝罪をするというようなことになっておることを、さっき言い忘れましたからちょっと追加しておきます。渡辺君の場合を続けますが、四十六年七月九日には本訴で、身分保全の解雇無効の判決というものも郡山地裁から出ておる、こういう段階にあるわけであります。
 このような事態で、これだけもう労働者の立場というものが正しかった、銀行側が間違いであるということが、なるほど最高裁判所で確定をするというところまではいっていないけれども、公的な機関でここまで来ているという段階で、いまだに復職の団体交渉に誠意をもって臨まない、何回申し入れてもたまに一ぺんくらい会うという程度で非常に拒否し続けている、こういうようなこともあって一向に復職闘争というものが進捗をしてない。
 そうしますと、これだけ労働委員会なり第一審、第二審で勝訴をしているということになれば、当然復職させていいではないかという気持ちが労働者の間にも非常に広がってまいりまして、この安田君を守る共闘会議というようなものもできて、毎日のようにビラをまき、その銀行の不当なあり方というものに対する非難攻撃のビラが配られる、あるいは銀行の前でデモンストレーションが行なわれるというふうに、非常にそういう形で盛り上がるという状態になっておるわけであります。
 こういう状態の中でこれ以上争いを続けて引っぱっていくと、おそらく上告審だってこれだけ下級審の判決が明快になされているという段階では――すべての金融機関がそうでありますが、信用を第一とする大東相互銀行にしても、あらゆる観点からその銀行の不当性が毎日のように市民に宣伝をされ、デモもかけられるというような状態というのは、こういう状態こそほんとうに銀行の経営を脅かすようなことにもなりかねない。銀行に対する不信というようなことにも結びつくのは当然だと思うし、これはやはり銀行行政としても大きな問題たらざるを得ないだろう。したがって率直に非は非として認めて新しく出直すことにして、この両君の復職を認めるというような段階に当然いくべきだろうと思うのですが、銀行局でもこのような事案に対してどのようにお考えになり、こういう問題に対してどういう御指導をなされようとしておるのか、この点をひとつお伺いをいたしたいのであります。
#69
○吉田(太)政府委員 私どもといたしましては、できるだけ労使に紛争が起こらないような正常な関係が樹立されることがまず第一である、かように考えております。不幸にして何らかの形でそういう紛争が起こったときは、できるだけ早く公正な第三者機関の裁定にまつべきである、こういうルールでできるだけ早くそういう紛争を解決し、金融機関が正常な活動を営んでもらうというのが基本的な考え方でございます。ただ、先ほども申しましたように、私ども労働関係についてはきわめて厳正中立な立場を維持していくことがそういう正常な労使の慣行の確立ということの基本的な条件であるということで考えておるわけでございます。そういう意味からいたしますと、双方ともに裁判を受ける権利というものの中で、どの程度良職をもって行動してもらえるかどうかという問題だろうと思います。具体的なこの事案につきまして、現在行政指導という形でいかに臨むべきかということは、これはそういう基本的なものの考え方から非常にむずかしいことでございます。
 たとえばいま御指摘の事件につきましても、四十四年の十二月に仙台高裁で判事からも和解の勧告が行なわれ、しかもそれが条件でこじれてなかなかまとまらなかったという経緯があったようでございます。しかし、古いことにこだわって議論をしていくということがどれほど前向きの態度であるかということからいたしますと、この際ひとつ双方良識をもって折り合ってもらいたいということは、もちろん私どもとして常に考えておるわけでございます。
#70
○広瀬(秀)小委員 こういう労使問題に対して、大蔵省がこうすべきであるという結論を出して――確かに銀行はこうせよというような権限というものはないだろう、このように私ども考えるわけですが、指導行政というものがそこにはあるということはいま局長もおっしゃられたとおりであります。いま局長がおっしゃったように、やはりこういうことでもうすでに労働委員会、一審、二審で銀行側が負けている。銀行側が不当であるということが、私どもこの控訴審における判決の一部も持っておるわけなんですが、これを見ましても実に明快にいわれているわけなんですね。したがって、またその段階で裁判長からも、これは和解を進めたらどうだというようなことも同時に勧告をされている。判決は判決ということで、和解のような形がやはり労使問題ですからいいではないかという勧告もあったということも私ども聞いておる。まさにこの段階で、銀行というものが非常に公共性の高い、しかも信用を売りものにするものである以上、この段階でほこをおさめて、労働者の正しい言い分というものをすなおに認めるという態度というものがとるべき最善の策であったと私は思うわけであります。
 最高裁まで断固として争ってやるのだというようなことまでやって、それから復職ということになったのでは、これは人事の問題でありますから、なかなかじっくり将来の発展を目ざして――安田君にしても渡辺君にしてもやり切れない気持ちにもなるだろうし、銀行側としてもとことん争って負けたというよりは、その前段階でやはり労働者の言い分が正しい、われわれも最高裁の判決を待つまでもなく考えるというようなことになったほうが、将来を展望して先に向かって前進をするということでは最も好ましい方向であろう、労使問題の解決としても労使双方がそういう立場でいくということがやはり望ましい方向であろう、こう考えるわけなんですね。
 何回も団交を申し入れたけれども、この問題で復職に関する話し合いをしたいということで言っているけれども、めったに会わないというのですね。したがって労使ともこの面での話し合いというものに対して少なくとも団交で、控訴審における裁判長の勧奨というものも踏まえて十分ひとつ話し合いをして和解の方向というものをとったほうがいいのではないか。こういう形で団交をしっかりやって、和解に至れるものならば和解で話をつけるような、これは裁判外の和解になりますけれども、そういうことを銀行に指導するという立場での指導をなされてはいかがかと私思うのでありますが、その程度のことならば、これは指導行政の範囲として幾らでも銀行局としてはやっていいことであろう。またそういう方向が、あなたの指導のもとにある一つの銀行でそういうことが起きているということについて、より指導行政の立場にある大蔵省としてもとるべき態度ではなかろうか、こういうように思うのですが、その点いかがでございますか。
#71
○吉田(太)政府委員 一般的に申しますならば、当然よく話し合い、交渉の解決のために双方が歩み寄るべきだろうということは、まさに仰せのとおりだろうと思います。こういう問題、それぞれ非常に複雑な背景があったからこそこういうふうになっておると思いますし、感情的な問題もあろうかと思います。したがいまして、いま直ちにここでこれはこうすべきだと思うということを指導の内容についてお答えすることについては差し控えさせていただきたいと思いますが、いまの広瀬先生の御趣旨というものは十分伝えるつもりでおります。
#72
○広瀬(秀)小委員 銀行局長、いろいろ職務の権限の限界というものはむずかしいだろうと思うけれども、また大東相互銀行そのものが相当決意を固めてやっているというようなことから見ると、若干むずかしい面もあろうかと思うけれども、やはり何といっても住民の信頼というものにこたえて銀行業務というものは初めて発展をするものだし、人事争いが継続をして、しかも最高裁は一年経過をしてもまだ一回も何もやっていない。これは何年先に持ち越されるかわからぬ。
 そうすれば、その間激烈な復職を目ざす労働者の戦いは続くわけだし、それを支援する多くの労働者が、あまりにもひどいではないか、何のためにこれだけ引き延ばして最高裁まで争う利益があるのか。そのほかにも、いろいろ銀行の姿勢につきましても、大東相互銀行のいろいろな問題についての、こまかい、銀行の良識を疑わせるような問題なんかもいろいろあるのだけれども、きょうはそういうところまで入って徹底的にやる時間的余裕がないので残念なんですけれども、そういうようなことをあれこれ踏まえまして、やはりこれはかなり強力な銀行局からの指導というものによってこの長年にわたる――もうすでに五年を経過し、これから何年この問題が長引くかわからぬ。
 地域社会に対する大東相互の役割りというものや使命というものもこういうような形の中では十二分に果たされないし、銀行の公益的な立場というものも生かされないし、地域社会の発展のために貢献をする、あるいは中小専門金融機関として貢献をするというようなことについても、こういうことではだんだん先行きも危ぶまれるという状態であるとするならば、やはり労使問題としてこの不当労働行為――出発は不当労働行為である。そしてそういうものを踏まえた上での解雇である。
 その解雇がもうすでに正式な裁判所において一、二審とも銀行側が負けているのだという、それをとことんまで、あと何年かかるかわからないような最高裁に持ち込んで、その判定がおりないうちはどこまでもやっていくのだというようなかたくなな態度というものは、全社会的な立場から見て、そして今日における労働者の基本的な人権を認めるという立場において、銀行のとるべき態度としてほめられたものでは断じてない。非難さるべき問題こそあれ、ほめられるべきことではない。そういうものがあなたの指導監督の中の一機関としてやられているというようなことは決して望ましいことではないわけでありますから、かなり強力な指導を、しかも権限逸脱というようなことではない範囲というものもあるわけでありますから、そういうものを十分ひとつ考慮されて、指導を強化されるように強く要請をいたしますが、もう一ぺん、どのような立場で御指導をなされるか、もう一言、より明確に聞いて終わりたいと思うのであります。
#73
○吉田(太)政府委員 先生御指摘のように、私ども労使の問題に介入しないということを基本原則として貫きたいということは先ほどから申し上げておるとおりでございます。したがいまして、いま先生の御指摘の金融機関としてのあり方と、そういう労使の問題をどう調和していくかということで、私どもが行政指導をするということになりますれば、やはり労使の関係に入った判断を加えた指導ということにえてしてなりがちであります。もちろん、できるだけその間において調和をとるようなことをやること、あえてその労をいとうつもりはございません。しかし、ともすれば逆にいってそういう弊害も起こる。その間どういうふうにそういう問題と調和をとるかとなると、これは非常にむずかしい問題のように考えております。そういうことからいたしますと、私は、ここでそういう行政指導をいたしますということをお約束することは差し控えさしていただきたい。ただ、先生御指摘の内容については十分伝えさしていただき、そしてその判断にまつということにさしていただきたいと思います。
#74
○森小委員長 荒木宏君。
#75
○荒木(宏)小委員 私は、時間がたいへんに限られておりますので、金融政策と金融行政、それと労務関係ということにしぼって、主として銀行局長にお尋ねをしたいと思いますが、いま物価問題を解決するということでさまざまな金融政策がとられております。これは主として金の流れを変える、あるいはその流れの手綱をいろいろにさばく、こういったことでやられておるわけでありますが、私は、金の流れをさわれば、金は一人歩きをするわけじゃありませんから、お金をさわっておる人の境遇やその環境に必ず影響がある、これは否定できないことだと思います。
 そこで、先ほどもお話がありましたが、金融機関に働いておる従業員の人たち、金融労働者の人たちがいろいろといまさばかれておる。金融政策、金融行政を実際に現場において担当している主たる人たちである。だとすれば、それは第三者的であるとか、あるいは中立であるとかいったことでは済まされない問題がある。つまり金融政策に変化があれば、必ず職場の労働条件、労働実態に波及する。これは波及効果は決して金の面だけじゃありませんで、人の面にも大いに私はあると思うのです。
 そこで、その点について、まず、いま金融機関の職場で労使紛争といわれていますものが多々あります。これをどういうふうにとらえるか。これはいろいろなとらえ方があると思います。たとえば春闘の賃上げのように、通常の労使の過程の中で解決されるようなもの、それとは違って年を越しておる、持ち越しになっておる解雇問題であるとか、あるいは分裂支配の問題でありますとか、あるいはまた転勤の問題でありますとか、差別の問題であるとか、こういったことが一体いつごろ起こったか、どこでどのような形で起こったか、そしてそれについて金融政策、金融行政はどのようなかかわり合いを持っているか。
 私たちの調査したところによりますと、都市銀行は一応おきまして、地方銀行、相互銀行、信用金庫、この三つの金融機関系統について申しますと、いわゆる世間で労使紛争といわれておりますものは、三十七年から三十九年までは一年間に五件ないし六件であります。ところが四十年に入りますと、これが二けたになりまして、四十年が十二件、四十一年が十三件、四十二年が十四件と二けた台が続きまして、四十三年以後また一けたに戻っております。この十年来の経過を見てみますと、こういうかなり顕著な現象があります。
 そこで、局長にお尋ねをしたいのでありますが、この実態をどういうふうに把握していらっしゃるのか。もし詳しい資料がなければ感触としてどのようにごらんになっているか、そしてその原因は一体何にあるとお考えになっているか、これをまずお尋ねしたいと思います。
#76
○吉田(太)政府委員 労使の間の紛争をどこでとらえるかということは、まさに荒木先生の御指摘のように、非常にむずかしい段階でございます。私どもとして手元に持っております資料は、むしろ労使紛争の結果これが労働委員会あるいは裁判所に係属しておるという事案として承知しておるわけでございまして、公正な第三者機関の判断にゆだねられておるという形でどういうふうになっておるかということで承知しております。ただその間において解決した事案については現在手元に資料がございませんので、現在のところ係争中の事案といたしましては、まず金融機関の種類といたしましては、地方銀行が十九件、相互銀行が十五件、信用金庫が八件となっておるわけでございます。これを年次別に申し上げますと、四十年が四件、四十一年が二件、四十二年、四十三年はなくて、四十四年が二件、四十五年が二件、四十六年が一件、四十七年が五件となっておりますが、この五件は、そのうちの二件はむしろ前の問題について新たにまた紛争が起こった、こういうことでございまして、こういう古いものが残っておるということを意味しておるわけでございます。
 内容につきましては、賃金差別問題が十件、支配介入、それから不当解雇が十四件、業務命令違反処分が二件、職業病問題が二件、不祥事件などの処分が五件、事務所の貸与問題が二件、その他七件、こういうような形で、地銀、相銀、信用金庫、かように分かれておるわけでございます。
#77
○荒木(宏)小委員 お尋ねした一番肝心なことにお答えいただけなかったのでありますが、まずその前に、いまおっしゃった数字の点で、係争事件四十年四件というのは私どもの調査と一致しておるが、四十一年は私どもの調査では十件あります。つまり裁判にかけられた、提訴した時期ではなく、その事態が起こった時期です。
 私が言っておりますのは、裁判にかかるということはよくよくのことでありましょう、また裁判にかけるについてはいろいろな当時者間のそれまでの事情があります。したがって、事態の真相を把握するには、単に裁判にかけられた件数だけでは十分ではないと思います。しかし、かりに裁判なり労働委員会なりのそこにあらわれた問題をとらえるにしても、そのもとになっておる事実がいつ発生したか、そのことが実態を見きわめる上で非常に大事だと思うのです。その意味で、四十年が四件、四十一年が十件、四十二年が四件という数字になっております。
 局長はこの原因を一体どうごらんになるか。つまり三十七年から十年間この方見てみますと、裁判や労働委員会にまでなるような金融機関の紛争が四十年、四十一年、四十二年に集中して起こってきておる。これは一体どこに原因があるとごらんになっておるか、これを伺いたいのであります。
#78
○吉田(太)政府委員 私、いまその内容についてつぶさに承知しておりませんので、それがどういう原因から起こってきたかということをいまここで申し上げるだけの用意がございません。
#79
○荒木(宏)小委員 私はこれは非常に残念なことだと思います。世間で金融機関といえば、これはいわゆるホワイトカラーの労働者でありますから、きわめて常識的にいえばこういうことばが適当かどうかわかりませんが、そう争いごとが激しく起こるような一般的な環境でもない。ところが、いま指摘しましたような年次に集中して起こっている。私はこのことは経済政策、金融政策並びに金融行政と決して無縁ではないというように考えております。
 そのことは三十九年にOECDの加盟がきまりましてIMFの八条国移行ということになりました。資本の自由化ということが叫ばれて、それに対抗するために良質の低コストの資金を調達しなければならない、こういった外からの資金調達の合理化の必要性ということが大いに政策上強調されました。四十年には御承知のように国債が発行されました。そして低利の国債を金融機関に引き受けさせるためにも、職場の合理化、低コストの資金調達を政策として進める必要が生じてきておったことは、これはもう歴史的に明らかな事実であります。そうして御承知のように経済社会発展計画の制定の中に、経済の効率化ということがうんと強調されました。そして昭和四十二年にはそれを受けて中小金融問題についての答申があって、その中で金融の効率化ということが特に指摘をされました。コストの安い資金調達をする、そして合理化を進める、経費を削減する、したがって人件費もできるだけ安くする、低賃金長時間労働、合理化、こういったことがこれら一連の経済政策、金融政策、金融行政となって要請されたことは否定できない事実ではないでしょうか。
 人の問題については銀行局は関係ないとあるいはおっしゃるかもしれませんが、しかし金は決してひとり歩きはいたしません。ですから、金の流れを扱う場合において、いまの私が指摘をしました一連の金融政策と、それから先ほど申し上げたあの紛争が起こってきた歴史的な経過、これが原因の大きな一つとして指摘できると思うのでありますが、局長のお考えはいかがでございますか。
#80
○吉田(太)政府委員 そういう大きな経済あるいは金融政策あるいはむしろ当時経済の効率化というようなことが基本計画の背景にもなっておったと記憶しております。それがこの金融機関、相互銀行、地方銀行、信用金庫等の具体的な紛争の問題に直接結びついておるかどうか、これはそういう背景があったことは事実だろうと思います。これは申すまでもなくそういう新しい従来のいわば封鎖経済の中での高度成長の姿が国際化された、開放された環境の中での経済の発展につながるという考え方が、四十年くらいからとられてきたことはまさに御指摘のとおりでございます。したがいまして、そういう国際的に適応したあるいは国際化された社会に応じたメカニズムと申しますか、社会の仕組みをつくっていこうということがいわゆる経済の効率化という発想になってあらわれてきたことも、これも御指摘のとおりだろうと思います。
 その中において、個別の金融機関がいかに対応していくかということについては非常にむずかしい問題が起こったろうと思います。現にまたそういう問題は今後の新しい福祉社会における金融機関のあり方ということからして、確かにそれに適応する努力というものが要請されることは当然だろうと思います。その過程において確かに幾つかの問題があろうかと思いますが、全然無縁であるということは、それは先ほど申し上げましたようにあらゆる経済の動きというものが金融機関の人間関係にとって無縁ではないのだという意味と同じ意味において、そういう意味でございますればそうだと思いますが、この具体的なケースそのものに直接どれだけ関係しておるかということになりますと、私どもはそういう分析を必ずしもしておりません。ちょっと私には正確にはお答えできない、かように考えます。
#81
○荒木(宏)小委員 私は、この政策と職場の変化、これを結びつける一つの事例を申し上げたいと思うのであります。ここに東京銀行の実例がありますが、昭和四十年に東京銀行は国産の電算機の稼働を始めました。これは先ほど申し上げたこの金融効率化の方向を受けて、こういった職場での合理化政策、合理化の方向がとられたわけであります。四十一年にはこれをIBMの三六〇に切りかえるという提案をいたしました。四十二年には電算機の要員を増加をいたしました。そして四十三年、金融二法がいよいよ施行というときになりますと、IBMを導入して貸し付け部門、預金部門、予約部門、さらに輸入部門へとこれを広げていった。
 その結果、東京銀行の労働者の皆さんはどういう影響を受けたか。四十年の国産電算機の稼動のときには二交代制が導入されて、オペレーター、。プログラマーの人たちは深夜勤務、徹夜勤務ということになりました。これは女子労働者であります。そして四十三年、金融二法が発効したときには、IBM導入に伴ってこの職場で腱鞘炎が問題化しております。患者会が結成をされて、そのことを取り上げた労働組合の役員は配置転換になりました。こうして裁判が起こって四十四年になったわけであります。
 全国の職場のこの種事例の分析を逐一申し上げることはできませんけれども、たとえばこの東京銀行の例で申しましたように、金融政策の変化につれて、職場の合理化、労働の体制が変化をし、そのことによって労働者の肉体がむしばまれて、それに対して是正を求めるというか、患者会の結成となり、組合の要求となる。そしてそれに対する銀行側の対応のしかたが、この金融効率化という政策に沿って配置転換ということになってきたという例は、いま申し上げたところで明らかだと思うのです。
 局長は先ほど、背景としての関係はお認めになりました。いま私が指摘をしました東京銀行のこの一例についての結びつきはどうごらんになるでしょう。
#82
○吉田(太)政府委員 いま東京銀行のお話でございますが、東京銀行がそういう業務のあり方を変えているということが金融政策によって変えたということのように承りましたわけでございます。私はむしろそうは考えておりません。むしろ東京銀行が新しい環境に対応するために、その業務のあり方をどういうふうに変化していくかということのほうがより基本的なことでございまして、金融行政なり金融政策によって変わっていく、そのわれわれの金融行政なり金融政策はそういう経済界全体の動きを背景として初めて成り立ち、また初めて説得力があり得ることだと思います。そういう意味からいたしますと、そういう金融政策なり金融行政の背景にある経済の変貌に対して企業がいかに適応していくか、東京銀行がいかにそれに対応していくか、こういう問題だろうと思います。
 そういう意味におきましては、お話のように関係は全然ないということはございませんでしょう。しかしそれは一金融行政なり一金融政策の問題ではなく、より大きな経済社会の変貌に個々の企業なり金融機関がいかに対応していくか、こういう問題として考えるべきだろうと思います。そしてそれの対応の中において正当なあるいは正常な労使関係が確立していくことをぜひ期待している、これが私どもの基本的な姿勢でございます。
#83
○荒木(宏)小委員 いまの御答弁の中に、部分的には私はおっしゃるとおりの面があると思います。つまり政府やあるいは大蔵省の政策や行政がそのままストレートに職場に及んでいくということは申しておりません。しかし、たとえば先ほどの八条国移行やOECD加盟の問題に関連をいたしまして、東京銀行はその年にシカゴに開店いたしております。そしてそれに見合って電算機システム、外為、貸し付け業務を中心に電算化が進んだわけであります。ですから、個別企業はそれに対応するべくいろいろなくふうをしておる、こういう話であります。政府や大蔵省が政策を打ち出して強力に進めるときに、個別企業の対応策というのはそれに沿った方向で進められるのが常識であり、経済的には法則ではないか。ですから、そういう場合には金の面の動きだけをとるのではなくて、必ずそのときにそれを扱う金融機関の労働者や従業員の人たちがどういう影響を受けるかということを同時に考えるのでなければ、政策としては、基本的な権利をよく考えた民主的なあり方だとは言えないと思うのです。
 ですから、そういう意味で先ほど問題になっておりました大東相互の例は、広瀬委員もお取り上げになっておりましたけれども、政策の結びつきだけではなくて人の結びつきも非常に濃いものがある。先ほど例にあげました東京銀行でいま頭取をなすっておられます原さんは大蔵省の御出身の方でありましょう。この大東相互でいま専務として実際に経営の衝に当たっておられる方も大蔵省の御出身の方であります。つまり在職中にこの方針をやろうといって、みずからも参画して方針を出した。それを受けて民間の企業がいろいろ対応する。そこへ大蔵省におられた方が出向かれて要職、役職につかれる。当然出された方向に沿っての個別企業の努力がなされるのはあたりまえじゃないかというふうに私は思うのです。
 この大東相互の例につきましては、先ほどもお話がありましたので繰り返しはいたしませんけれども、そういった意味での金融行政とか、そういった意味での金融人事、大蔵省人事ですね、そのことがさらに通達という形になっても結びつきを強めている、このことを申し上げたいと思うのであります。
 昭和三十一年に大蔵省銀行局長通達三百三十三号というのがあります。この中に「今後における銀行経営上遺憾なきよう措置されたい。」とあって、冒頭に「経営の合理化について」というのがありまして、「経営の合理化については、各行から提出された諸報告についてみても、新規採用の抑制、給与水準引上げの回避等人件費の節減に特段の努力を払うほか、物件費についても、」「削減を図る等幾多の努力の跡がうかがわれ、また、その成果に相当みるべきものがあると認められるが、」まだ今後一そう経費の節約をはかり、大幅な低下を期することが緊要である。つまり給与は上げないほうが望ましい、裏を返していいますとそうとられるようなことが通達として出されている。
 これは一定の時期的な関係がありましょうけれども、しかし私が確認をしたところによりますと、昭和三十年度下期決算に限った面は別として、趣旨は現在でも生きている、こういう話であります。「給与水準引上げの回避等人件費の節減に特段の努力を払う」このいまの前年対比一〇%をこえるような物価高の時期に人件費の節減につとめよ、こういった通達がいまなお趣旨が生きておるというふうなこと、そのことが背景となっておる金融政策、金融の効率化、それから人の結びつき、天下りと結びついていまのような職場の事例になっておるということは否定はできないのじゃないでしょうか。
 そういう点からも、例としてあげました大東相互の件については、団体交渉にも応じて解決をするように指導なさることが行政当局としての責任でもあると思うのでありますが、いかがでありましょう。
#84
○吉田(太)政府委員 昭和三十一年の通達についてお触れになりましたが、確かにこの通達の文章は現在もそのまま、その後の累次の改正はありましたけれども、生きております。
 その趣旨が生きておると申し上げたのは、それはどういう趣旨で申し上げたか私つまびらかにはいたしておりませんが、この通達の内容は必ずしもそこのところに重点があるばかりではございません。むしろ自己資本の充実でございますとか、資産内容の健全化、資産構成の適正化、そういうようなことを含めた全体の経営上留意すべき事項についての通達が生きておる、こういう趣旨で申し上げたのだろうと私は思います。もしもこういう表現がはなはだ適当でないということでございますれば、私どもは、先ほど広瀬委員にもお答えいたしましたように、できるだけ労使間の紛争にこれを籍口されることのないようにという配慮から、これは確かに研究の余地がある、あるいはこれが適当でないというのなら、この部分を改めるのにやぶさかではありません。しかしここに残っておるから私どもがそういう指導をしておるのだ、そういう仰せでありますれば、私どもはそういうことはございませんということをはっきりしておきたいと思います。
#85
○荒木(宏)小委員 この際は、大蔵省当局の直接指導でもって分裂であるとか、あるいは差別扱いであるとか、そういうことが行なわれたかどうか、それはひとつ論議の外に置きたいと思います。
 私が申し上げておるのは、局長も認められた背景がある。それからこれはもう客観的に明らかな人的な関係があり、しかもそのことがあるいは本旨ではないけれども、誤解を生むかもしれないというふうにお認めになる通達がなおあり、その結果こういうことが起きている。責任のあるなしとか、あるいは直接手を下したのはだれかというような論議は別としても、いまのこの結果の収拾については正常な関係が望ましいとみずからもおっしゃっておるわけでありますから、望ましいとおっしゃる以上は、その望ましいやり方のために手をおかしになるのが当然のことではないか。
 具体的に申しますと、先ほど広瀬委員お取り上げのあの件は、なるほど解雇理由の中には千六百円の横領事犯ということが部分的にはあるようであります。しかし事実の存否は裁判の結果で、下級審でも明らかであります。一方一千万円とか三千万円とかいうような元支店長さんの横領事件は、これは何ら表ざたにされることなく、依頼退職の扱いになっておる。
 前の四十二年のときに当時の銀行局長が正常化のために努力をするというふうにおっしゃっておることは、先ほども部分的に御指摘のあったとおりでございます。局長がいろいろ従来から御連絡、御相談を申し上げて、そのつどできる範囲で正常化のために御配慮になった事実があることは、私もよく知っております。また関係者もそのことは評価をしておるところであります。しかし肝心な、例の金融二法ができてきた、金融政策が大きく転換した時期に端を発して、そうしてその後もなおこうして続いておることについて、しかもおられる方が、もと大蔵省に長らくおられた方が一方の当事者になっておられるわけでありますから、そういった関係の類推はともかくとしても、正常化のために団体交渉に応じて、そうして早期解決をはかるように、そういった指導がなされるべきことは当然だと思いますし、またそのことによって労使に介入したということは全くないというように考えておるわけであります。
 先ほどの通達についての是正とあわせて、先ほどおっしゃった幾つかの件数がありますが、それらすべてについて、この際そういった立場から点検をされ、前向きの適切な指導をされるべきものだと思いますが、お考えを伺いたいと思います。
#86
○吉田(太)政府委員 先ほど来繰り返しておりますように、私どもの立場、基本的な原則はおわかりいただいておると思います。したがって、あえてくどくは申し上げるつもりはございません。もちろんその一件一件について、その問題について調べることはやぶさかではございません。そのことと私どもが行政指導に乗り出すということとは全く切り離して考えていくべきことであると考えております。行政指導という形で、どちらの側にブレてもいけないということは、先ほど広瀬先生が検査の問題として御指摘になった事例がらもわかりますし、私どもはあくまでも中立的な立場という形で今後やっていきたい、かように考えております。
#87
○荒木(宏)小委員 時間が来ましたので、もう一言お尋ねをして終わりたいと思います。
 一つは、先ほど来おっしゃっております紛争事案について、大蔵省として調査をして御報告をお願いしたい。紛争の起こってきた経過、それからそれについての解決の見通しですね。これはまあ直接行政指導に乗り出すかどうかは別としてというお話がありますが、事実はひとつ正確につかんでいただきたい。そして御報告をお願いしたい。そのことが一つ。
 それから、時間が参りましたので、これは一言申し上げるにとどめますが、前に相銀、信金の法案のときにも申し上げましたけれども、小口金融に比べて大口シフトが数字の上ではっきり出てきている。その種の政府系金融機関の中でも、たとえば輸銀、開銀と比べると、国民金融公庫、中小企業金融公庫、これらは資金量から見ましても三分の一にも満たない、前後の金額にしかならない。しかもその中で、本年の二月にいわゆる円問題が起こりましたときに、二千二百億円の融資ワクの積み増しがありました。そのうち国民金融公庫に五百五十億円、中小企業金融公庫に七百五十億円ということであります。これがすでに六月現在で、国民金融公庫では、申し込みで五百四十九億円、まあ一億足らずのワクしかないというところまで逼迫してきている。中小企業金融公庫のほうも四百二十一億円でありますから、これもワクが十分とは言えないわけであります。
 そこで、九月までは申し込みがあるのでありますが、たとえば私の関与しております例で申し・上げますと、チューブマット業界の人たちがいろいろと転換をしたいというので、いま書類作成その他準備中でありますけれども、これは八月に申し込んでもすでにワクがないということになりかねない。この問題を重視することは、今国会の予算委員会でもはっきり責任者から、大臣から答弁があったところでありますので、実務の上からもこの増ワクの点についてひとつ御配慮をいただきたい、これが二つであります。
 それからもう一つは、大蔵省の金融機関に対する指導監督の上でなお改善を要する点があるのではないか。一例を申し上げますが、北伊勢信用金庫、ここで北伊勢商事というのが設立をされておりますけれども、この役員が全部信用金庫の役員と兼任であります。これについて許可がなされていないというふうに聞いておりますけれども、そういった点についてもどのように処置をされておるか。
 この三つの点についてお尋ねをして、そしてたとえば先ほど申し上げた大東の例についても、実務上の指導を一そう前向きに強化されるように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
#88
○吉田(太)政府委員 最初の質問の、実態については事実をそのままとりまとめてひとつ提出いたします。
 二番目の、中小三機関のうちの御指摘の、たとえば国民金融公庫その他の申し込みが非常に多いではないかというお話は、その通りでございます。ただ、現在の貸し付けの実行ベースでございますと、なお余裕がございます。したがいまして、それが貸し付ける場合に限度が一ぱいに来たときにどうするかということについては、大臣がお話しになりましたそういう考え方で、今後研究していきたい、かように考えております。
 最後の北伊勢信用金庫の件でございますが、これはおそらく信用金庫法の条文の兼職禁止に該当するかしないかという場合に、金融機関の役職員が他の企業の常務に従事するという場合には、兼職を承認を受けなければならないという規定についての御質問であろうかと思います。その常務に従事しておるかどうかということの実態的な判断に応じて、これが承認の対象になるかならぬかという扱いをしております。いまの御指摘、全部の役職員がそのまま全部向こうの役職員になっておる、それがしかも全部非常勤であるということは、なかなか常識的に見ておかしいなという感じがいたしますので、その辺のところは実態をよく調べてみたいと思います。
#89
○森小委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト