くにさくロゴ
1972/03/29 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第19号
姉妹サイト
 
1972/03/29 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第19号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第19号
昭和四十八年三月二十九日(木曜日)
    午前十一時二十九分開議
 出席委員
   委員長 鴨田 宗一君
   理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君
   理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君
   理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君
   理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君
      愛野興一郎君    宇野 宗佑君
      越智 通雄君    大西 正男君
      金子 一平君    木野 晴夫君
      栗原 祐幸君    小泉純一郎君
      三枝 三郎君    塩谷 一夫君
      中川 一郎君    野田  毅君
      萩原 幸雄君    坊  秀男君
      村岡 兼造君    山中 貞則君
      高沢 寅男君    塚田 庄平君
      堀  昌雄君    村山 喜一君
      増本 一彦君    広沢 直樹君
      竹本 孫一君
 出席政府委員
        環境庁企画調整
        局長      船後 正道君
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵大臣官房審
        議官      大倉 眞隆君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        国税庁次長   江口 健司君
 委員外の出席者
        国税庁直税部長 吉田冨士雄君
        建設省住宅局住
        宅計画課長   京須  実君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
委員の異動
三月二十九日
 辞任         補欠選任
  地崎宇三郎君     愛野興一郎君
  山田 耻目君     山本 政弘君
  伏木 和雄君     田中 昭二君
同日
 辞任         補欠選任
  愛野興一郎君     地崎宇三郎君
  山本 政弘君     山田 耻目君
  田中 昭二君     伏木 和雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 四号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四二号)
     ――――◇―――――
#2
○木村(武千代)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題となし、質疑を続行いたします。塚田庄平君。
#3
○塚田委員 まず冒頭に、いま国で支給しておる手当の中で、非課税といいますか免税といいますか、そういう措置のとられておる手当は幾らあるか、それを一つ。
#4
○高木(文)政府委員 いますぐ思いつきますのは、通勤手当について一定限度までの非課税制度がございますが、手当と名のつくもので非課税になっているものはこれ一つだけであると思います。
#5
○塚田委員 宿日直手当はどうですか。
#6
○高木(文)政府委員 宿日直手当は課税でございます。
#7
○塚田委員 六百二十円まで一回に限り免税措置をとっておりますね。
#8
○高木(文)政府委員 現在国税庁の通達で、長い歴史がございますが、六百二十円まで非課税という規定は、通達上執行の問題として処理をいたしております。
#9
○塚田委員 通達あるいは制度として、通勤手当は一定限度まで、それから宿日直については六百二十円、一回、これを免税にしておる趣旨はどういう趣旨ですか。
#10
○高木(文)政府委員 原則として手当はすべて、手当の名目をとりましても課税をするというたてまえになっておりますが、通勤手当につきましては、手当と申しましても、それをもって通勤費に充てる実費支弁の性格が非常に強いわけでございます。
 それから、宿日直等につきましては、これはいま宿日直手当という名前を使っておりますが、以前は国の給与の上では夜食料というようなことばを使っておった時代がございまして、一種の、宿日直に伴う労働の対価というよりは、宿日直に伴うところの負担、特に夜勤等に伴うところの食費負担等を頭に置いて、非常に経費性が強いということで、従来から非課税扱いをする取り扱いになっておるわけでございます。
#11
○塚田委員 そこで、大体給与と名のつくもので免税しておる趣旨は、実費弁償的な考えあるいはまた経費性が強い。最近、所得税につきましても、サラリーマンの経費を認めて申告を受け付けるべきだ、こういう考え方が大きく出ておるのですが、この通勤手当あるいは宿日直手当については、経費性の強いものについては免税あるいは控除をする、こういう思想がもうすでに税体系の中であらわれてきておると思うのです。
 そこで、具体的にこの考え方をこれから他の面に及ぼすということについての考え方を聞きたいのですが、まず通勤手当、これはいま答弁のとおり一定限度となっております。おそらく通勤距離によるものだと思います。あるいはまた自動車、マイカー利用者について、十キロを中心として十キロ未満あるいは十キロ以上ということになっておると思うのです。ただ、公務員に支給される通勤手当については、大体これは六千円が限度になっておりますから、全額免税といいますか、免除になっておる、こう考えております。
 そこで自家用車の点ですが、私は、最近の住宅事情からいうと、むしろ十キロ以上遠いところから通っているほうが、いわば所得階層としては非常に低い階層といいますか――好きこのんでつとめ先から遠隔の地に住んでおるのじゃなくて、住宅事情からどうしても遠いところへ行かざるを得ない。車も、マイカーとはいうものの、通勤のために無理をして運転を覚える、車を運転する、遠いところはそれだけまたガソリン代もかかるということで、これを一定の限度で切るということはもうすでに現在の状況においては意味がなくなっているのではないか、むしろ逆じゃないか、こう考えるのですが、局長どうですか。
#12
○高木(文)政府委員 一つは、通勤手当のあり方というのは、むしろ人事院勧告に基づいてきめられておるわけでございますが、人事院勧告で通勤手当のあり方をきめる場合に、自家用車で通わざるを得ないというような場合の通勤手当をどのように評価し、どのように手当制度としてきめていくかという問題があると存じます。ただ、一般的に、現在の人事院勧告の場合の基準は、民間における給与の実態というのが非常に重要な尺度となっておるわけでありまして、いまから十年近く前に通勤手当制度が創設されるに至りました際にも、民間企業におけるところの給与の体系として通勤手当が一般化したということを一つの目安として創設され、その後の金額基準等もやはりそういうものを目安としてきめられておるように了解をいたしております。
 税の問題といたしましては、もっぱら現在のところでは一つの目安として今度は人事院がきめました通勤手当の額を基準にして、公務員に限らず民間の場合にも、逆に人事院の基準をベースにして非課税にしますということにしておるわけでございます。
 そこで、通勤手当の非課税限度をこえた通勤費はどういうことになるかといえば、それは確かに経費でございます。経費でございますが、その経費をどう見るかということについては、まさにそのためにこそ給与所得控除制度があるわけでございまして、通勤手当非課税は給与所得控除制度とは別に置いておりますが、超過額については給与所得控除制度によって見られておるという考え方でございます。
 そこで、ただいま御指摘の自動車の問題等につきましては、これはどうするか問題があるところでございますが、いまの段階では、もっぱら人事院がいろいろかなり詳細に民間の給与実態を調べておるわけでありますので、その給与実態を調べたことに基づく人事院勧告、それに基づく現行公務員に対する通勤手当制度というものを見ながら漸次改善をしていくべきものではないかというように判断をいたします。
#13
○塚田委員 これから人事院のほうでもいろいろ検討されるだろうと思いますが、税という考え方からいえば、いま言ったとおり、通勤手当というのは労働の場まで行く必要やむを得ざる経費だという観点と、それから実態としてはだんだん職場から居住地が離れていく、特に、これは重役とかそういうあれじゃなくて、一般の零細なサラリーマンはどうしても離れざるを得ない、こういう事態になってきていると思うので、きのうからいろいろ議論のありましたサラリーマン減税という問題ともからんで大幅にやるのですから、まずこの辺は絶対に理論的な構成からいっても免税を全面的にやるという体制を理論的にはとるべきではないか、こう考えるのですが、ひとつ御見解を承りたいと思います。
#14
○高木(文)政府委員 第一原則としては、サラリーマンの経費は給与所得控除によって概算的に控除されておるという考え方でございます。にもかかわりませず、通勤手当について非課税制度がございますのは、いま御指摘のように、地域によりまして通勤費が非常にかかるという場合がありますので、地域その他個別事情に関係なく定まっております給与所得控除とは別に、通勤手当を非課税とする制度が持ち込まれてきたわけでございます。
 そこで、いまの自動車で通われるという場合は、これは非常に個別的事情が強いわけでございますが、そういうものについてどのようにして基準を設けて、それを給与所得控除外であるところの通勤手当非課税制度の中へ持ち込んでいくかということが一つ研究を要するわけでございますが、手当制度と違いまして税のほうは、国家公務員、地方公務員等に限らず、一般の民間の方にも一様に適用になるわけでございますから、いまの自動車利用の場合にどのような基準を設けたらいいかということについては、技術的に非常にむずかしい問題があります。
 そこで、いまのところでは、その基準は一応公務員の給与制度に乗っかっておる、その公務員給与は人事院の調査に乗っかっておる、こういう形できておるわけでありまして、御趣旨としてはわかりますけれども、具体的にそれをどういう基準でどうやるべきかということとの関連においては、やはりいまやっておりますような、人事院勧告に基づく国ないし地方公共団体職員の手当制度とバランスさせていくというのが、一番便宜な方法ではないかというふうに思います。
#15
○塚田委員 御趣旨としてはわかるということで、税の理論の一貫性からいくと、しかも現状に即して考えるという場合には、いまの制度をもう一ぺん洗い直して、通勤手当全体としてどう考えたらいいかというふうにしてもらいたいし、そういう検討の用意があると受け取っていいですか。
#16
○高木(文)政府委員 ただいまの自動車の問題に限りませず、通勤手当について六千円まで非課税ということにしておりまして、それをこえる部分は給与所得控除のほうで見られているんだという前提のもとに、実額非課税制度は、いま採用していないわけでございます。
 そこで、通勤費について実額非課税制度を採用すべきかどうかということは、過去において検討いたしたことがございますが、実は、通勤費が非常にかかります場合には今度は住居費のほうが安くなるというように、ある程度の相関関係がございます。したがいまして、家賃手当と申しますか、制度としての家賃手当問題というのが一方においてございまして、税の上でも、今度は家賃控除問題というのがしばしば議論されているところでございます。そこで、その公平論を議論いたしました結果、いまのところでは、ある程度の額で切って、そこまでのところを非課税にするということでやっておるわけでありまして、その非課税限度額をいまの通勤手当の額と合わせているというかっこうになっておるわけでございます。
 そこで、本来論として、通勤費をどう見るべきかということ、実額について全部非課税にすべきかどうかという問題になりますと、他のかかり増し経費、住居費のかかり増し経費との関連がございまして、いずれが公平なりやということはなかなかむずかしい問題があるわけでございます。
 住宅事情がいろいろむずかしいことになってきており、通勤距離が延びてきている、また通勤費も上がってくるという問題がございますから、今後ともその移動状況の変化に即して研究をしていかなければなりませんが、現行の仕組み、つまり実額控除ではなくて一定額控除までにしておくという考え方は、私どもとしては今後もそれをはずすわけにはなかなかまいらぬのではないか、それをはずすと他にいろいろ、一例をあげました住宅控除制度の御意見等との関連もありまして、なかなか複雑な問題を巻き起こしてくるのではないかというふうに思っております。
#17
○塚田委員 その複雑な事情が巻き起こってくるのじゃないかという局長の考えですが、私ども、こういう考えをいわゆる寒冷地手当という分野にやはり適用させていくべきではないかという考え方を持っておるわけですよ。なぜならば、通勤手当について、いま局長の言うとおり実費弁償あるいはまた経費性が特に強いという点で、一定の限度はありますけれども非課税にされておると思うのですが、さて、いま支給されておる寒冷地手当の成り立ちというか、そもそものできた趣旨というのは、これは古く昭和二十一年、終戦直後からできておるのですが、当時の、特に石炭事情等を考えて、現物支給的な考えのもとに石炭手当というものが創設され、その後幾度かの改正を経て現在の寒冷地手当という形になったわけです。それで私は、先ほど局長の言った経費性が強いということからいえば、寒冷地手当はその最たるものだ、こう思うのです。そういう面で私は、寒冷地手当は非課税措置をとるべき最も典型的な手当ではないか、こう考えておるのですが、局長のひとつ御答弁を願いたい。
  〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長代理着席〕
#18
○高木(文)政府委員 寒冷地手当の問題と先ほどの通勤手当の問題は、私どもの理解するところではだいぶ性格が違っておると思っております。そもそも給与のあり方をどうするかという問題が基本的にあるわけでございます。現在のところでは、国家公務員の場合には、給与は等級号俸等によって一律にきまっておる。そこで、それに伴うところの、若干の差をつける一つの手法として手当制度があるわけでございまして、寒冷地に居住する方は生計費がよけいかかるということが起こるであろう、いままさに御指摘のように、石炭手当等からだんだん起こってきた問題でございます。そこで、そういう手当制度ができておるわけでございます。
 この寒冷地手当制度は、給与の体系としては、一般的に何級地、何級地というようなことで基準を設けながら、寒冷地においては若干の給与の割り増しをするということになっておるわけでございますが、さてそれでは、寒冷地における生計費が全体として現在のところそれ以外の地域における生計費よりも高いかどうかということになってまいりますと、いろいろ問題がございまして、しばしばいろいろな御議論がございますが、都会のほうは都会のほうで、生鮮食料品等が農村地域よりは非常に高い等の関係もございまして、生計費全体で見ますと、私どもが承知しております限りでは、必ずしも寒冷地は生計費が高いという関係になっていないように、そういう断定ができないように理解をいたしております。
 そこで、給与体系上のもろもろの手当制度というものは、本来給与体系自体の問題として考えらるべき問題であって、それによって給与に地域別あるいは職能別その他いろいろな差を設けることは適当であるとしても、どのような名目をもって支払われるものであっても、それは給与の収入金額として考えるべきものである、その名前をどうつけたか、どういう性質に着目したかという点によって、税の上で差別をするのは不適当であるというふうに判断をいたしております。
 先ほど引例をされました通勤手当の問題について、その点若干扱いを異にしておるのはなぜかということになろうかと思いますが、その点は通勤手当と申しましても、名前は通勤手当ということになっておりますが、通勤手当とはいいますものの、これは現在の制度では実額をこえることはあり得ないという前提に立っております。そこが違う点でありまして、通勤手当が非課税扱い、しかも一応限度を置きながら非課税扱いになっておるということから、直ちに他のもろもろの諸手当、手当は各種各様のものがございます。公務員については、法律できまっておりますから限度がございますけれども、民間には名前も各種各様の手当がございます。それを一々個別に判断をして、これは課税だ非課税だと言うのは不適当であって、手当という名前を冠したものであっても給与の収入金額として見るべきであるというふうに私どもとしては考えております。
#19
○塚田委員 通勤手当の場合は実額支給で、それをこえることはあり得ないんだ。ところが石炭手当、いま寒冷地手当ですけれども、これは、現在でも実は計算基礎からいうと全く実額支給なんです。これを最も典型的にあらわしておるのは、現在石炭をみんなたくかというと、大部分灯油にかわってきていると思うのです。そういう情勢を見ながら、最近の寒冷地手当は石炭と灯油分を分けて、しかも実額計算で算出されている。そういう実額計算をしておるのはおそらく国家公務員の給与の中でこれだけだと思うのです。端的に申しますと、今度の勧告では石炭は三・八トン程度のあれだと思います。今度は灯油と石炭を六五と三五に分けていると思うのです。きょうは人事院も来ているとわかるのですが、六五と三五の割合に分けている。あくまでも実額計算というのを基礎にしながら何万何千何百何十何円というこまかいところまできまってくるわけですよ。そういう面からいうと、この給与というのは実額支給的な色彩の最も強い給与だ。先ほど通勤手当の問題がありましたけれども、私はそれに次ぐ実額支給的な色彩の強いものだ、こう思うのですが、どうでしょうか。
#20
○高木(文)政府委員 通勤手当の制度ができまして、それを課税にするか非課税にするかというときにも、その点は非常に議論があった点でございます。通勤手当を非課税にするのであれば、場合によっては他の手当についても非課税にするということをすべきではないかということで、ずいぶん議論がありました。その段階において、御指摘のように寒冷地手当の経費性ということが問題になったわけでございますが、通勤手当の場合は全く実額支給の精神であるということがございます。寒冷地手当のほうは、一応計算の基礎はそういうことになっておると思いますけれども、寒冷地手当を受けられましても、その家族が、手当のほうは一人一人に手当が給せられるわけですが、生活のほうはむしろ何人かが寄って生活をしているという関係になります。そこで、寒冷地手当相当額だけ燃料費として使われているかどうかということは、平均的には大体それでいいのでございましょうけれども、個別的には寒冷地手当即暖房費に当たっておるということはいえないわけでございます。そこでやはり通勤手当のように、その通勤手当をもらったその人の定期券なり何なりの通勤料にぴたっと当てはまってくるというものと、一応なるほど経費を算定の基礎にして給与額をきめているけれども必ずしもそれは直に結びついていないものとでは差があるということで、逆にいえば、寒冷地手当について非課税制度がないからといって通勤手当も非課税にしないというのはどうもなじみにくいということで、通勤手当についてその当時かなりの踏み切りをしたという経緯があるわけでございます。
 ものの見ようによっては、通勤手当と寒冷地手当は非常によく似ているのではないかという御見解も、確かに私どもも勉強いたした段階においてそういう感じを持ったこともないわけではないのでありますが、そうなりますと一体どこまででどういうふうに線を引くのかというあたりに無限に問題が広がってまいります。そこで個別対応性といいますか、実額対応性といいますか、それを一つの目安として、通勤手当については一定限度を置きながら非課税とするし、寒冷地手当のほうは一般給与として扱うということで現在やっておるわけでございます。
#21
○塚田委員 私はいまの局長の考え方は非常におかしいと思うのですよ。どうしてサラリーマン給与についてそう厳格に考えるのか。たとえば私どもいま審議しておる特別措置には問題がたくさんあります。これこれについて特別措置を考える、たとえば公害の施設について特別な減価償却を考える、そうは言っておるものの、企業というのは一体だから、結局全体的に経費の削減になっていく、費用の削減になっていく、こういうことで、ここからここまでは公害であって、ここからここまでは合理化であって、ここからここまではということで捕捉しておるかどうかということなんですよ。サラリーマンの給与についてだけは、通勤手当はその人個人にやるから、これははっきり通勤に使った、燃料加給あるいは寒冷地手当についてはどうもポケットに入れているらしい、あるいはビフテキに変わっているらしいというようなしかたで追及していくというやり方は片手落ちじゃないかと思うのです。私は、大なり小なりいま局長の指摘したようなところがあっても、これは特に経費性が強いんだというところから踏み切っていい問題だと思うので、その点はひとつ考え直してもらわなければ困ると思うのですけれども、どうでしょう。
#22
○高木(文)政府委員 寒冷地手当の支給されている地域において、サラリーマンだけのことをおっしゃいますけれども、サラリーマン以外にも事業所得者もありいろいろな所得者があるわけでございます。その場合に通勤手当というものは、要するに給与所得者の給与収入の一形態ということになっておるわけでございます。今度はその経費性ということが問題になるということになりますと、その経費性という問題については、給与については一々特別措置法ができないということで、給与所得控除でもって処理されておる。給与所得控除の額が適当であるかどうかという御議論はいろいろあろうかと思いますが、とにかく制度的には給与所得控除という制度で給与所得者については見ておる。片っ方は、事業所得については必要経費で処理しておる。こういう関係になっておるわけでございますから、そこから考えてみますと、通勤手当と手当という名前はついておりますが、これは通勤費実費支弁でございます。通勤費実費支弁の性格を持つ通勤手当の問題と、一応の基準はありますけれども定額で支給されているものとの間に一つの線を引くということぐらいが公平論――別に減税についてけちな考え方を持つということでなくて、サラリーマン相互間の公平論の問題と、サラリーマンとその他の所得者との公平論の問題からいって、どこかに線を引かなければならない。その線の引き方として実額対応の性格の強いものと強くないものと分けておるということでございます。
#23
○塚田委員 通勤手当と寒冷地手当とごっちゃになってきていますが、いまの局長の議論を進めれば、大体通勤手当に一定限をつけることがおかしいのです。遠いところから通っている者については、それなりの実費を同じように処遇してやる、非課税にしてやる、これがたてまえじゃないかと思うのですけれども、片方に制限をつけて、しかも実費だ実費だと言うのはおかしいじゃないですか。
#24
○高木(文)政府委員 それは現在都市が過密になっておりますので、非常に遠くから通わなければならないという実態があることは事実でございます。どの程度にそれをカバーすべきかということは、通勤手当の額の決定の問題としてどの程度の距離からの通勤をベースとして通勤手当をきめるべきかということが判断をされておるわけでございまして、その基準とはまた別の基準で、現在の通勤手当算定の基礎になっているベースの算定とは別の基準で税の何か特殊な基準をつくるということになりますと、税のほうはそれだけ無制限にするということになりますと、非常に極端な例でございますけれども、かなり遠いところからお通いになれる。まあ一番極端な場合では、新幹線でお通いになるという方も現実には民間企業の方であったわけでありまして、そういう方が、それも実費だからといって引くかということになると、それはまた問題があるということで、やはり通勤手当について経費性を認めるとはいうものの、限度を置きませんと、どこからでも通えば全部それを認めるのかという問題が出ますし、それから次に限度を置くことになりますと、その限度を人事院の通勤手当の基準とまた違う基準を置くかということになりますと、なかなかめんどうな問題が出ますので、現在は一応人事院の通勤手当の基準に合わしてある、こういうふうにしておるわけでございます。
 それが確かにいろいろ問題があるところでございまして、いろいろ御議論があることはわかりますし、私どももこの制度が創設されました当時、非常にその点は議論があったところでございまして、いまの現行制度だけが唯一無二のものだとは思っておりませんけれども、それでは他にもっといい制度をつくり得るかということになると、非常にむずかしいと考えております。
#25
○塚田委員 ひとつそれは十分検討してください。
 では、次に移りたいと思います。
 従来ありました住宅貯蓄控除制度なんですけれども、二万、これは今度三万になりましたですね。これは積算基礎はありますか。――ない。
 建設省、来ておりますか。――建設省は大体この種住宅については基準としておそらく坪何万とかなんかというような計算があると思うのですが、どうですか。
#26
○京須説明員 大ざっぱに申しますと、木造でございますと坪十五万、それから耐火でございますと二十万といったような数字は一応ございます。
#27
○塚田委員 それは木造の場合は付帯工事から何から全部入れて、つまり完全な家になったそういう状態で十五万という線ですか。
#28
○京須説明員 付帯工事というのは非常に差がございまして、たとえば門とかへいとか、そういうものは入っておりませんで、住宅だけということでございます。
#29
○塚田委員 そうすると、逆算していくと、二万円の当時は十万だったということですね。三万が十五万なんですから。
#30
○高木(文)政府委員 ただいま建設省のほうで御説明いただきましたのは、要するに住宅貯蓄控除制度をつくる前提として、およそ家が建つのにはどのくらいの基準の家、非常に建築単価の高い家もございましょうしいろいろございます。また全国で地域によって違いますので、平均的なものをどう見るかというところの基準として、いまお示しのような金額を住宅貯蓄控除制度がつくられた当時に頭に置いたということでございますが、さてそれではその建築単価と現在の税額控除限度額の二万円とにおいて直接のつながりがあるかどうか、勤労者財産形成貯蓄の場合についてだけ奨励の趣旨で、今度の改正案で五割増しにして三万円ということにしておりますが、その二万円なり三万円なりという額と建築単価との間において何らかの関連があるかというと、それは目安としていろいろ計算したことはございますが、直に建築単価と税額控除額とは関係があるということにはなっていないわけでございます。
 ただ、私どものほうでは、現在、所得税の上で税額控除という制度は非常に特例的でございまして、いろいろの軽減措置をします場合には、所得控除の制度はいろいろとございますが、税額控除の制度をとっておりますのは二重課税排除の趣旨から出ております配当控除を除きましてはかなり特例的でございます。顕著なものとしては、このいまの住宅貯蓄控除と昨年度、四十七年度から創設されました持ち家についての住宅取得控除とがあるわけでございます。その場合に、二万円ということはある意味では非常にささいなる金額であるということがいえるわけでございますが、さてどの程度に目安を置くべきやという点については、御存じのように、現在所得税の最低税率が一〇%であるということを頭に置きますというと、二万円の税額控除というのは最低税率で計算した場合に二十万円の所得控除に対応することになるわけでございます。つまり二十万円かける一〇%が二万円になりますから、二万円税額控除をするということは、所得控除で最低税率の人について計算してみると、二十万円の所得控除をしたのに対応してくるわけでございます。
 二十万円の所得控除の持つ意味というものは、現在、昭和四十七年度において見ますと、基礎控除が二十万円である、配偶者控除が二十万円であるということを考えていきますというと、税額控除の制度を置きます場合に、その所得控除を置き直して基礎控除や配偶者控除と比べてまた著しく高い恩典措置というものもいかがなものかというようなことが一つの目安になりまして、そのあたりの判断から二万円という額がきまってきたということではなかろうかというふうに思っております。
 将来の問題としては、このいまの住宅貯蓄控除制度についてはいろいろ足りない点がある。またいまわが国ではフローの時代からストックの時代に入っており、特に住宅問題が大問題でございますから、いろいろ検討する価値はあろうかと思いますが、いまの二万円の根拠いかんということにつきましては、どっちかといいますと建築単価とか建築所要資金とかそういうこともないわけではございませんが、それだけでなくて、現在の所得税の構造との関係からもそういう額が算定されてきたということでございます。
#31
○塚田委員 私は、この住宅貯蓄控除というのは非常にいい制度だと思うのですよ。これからはこれはどんどん広めていかなければならぬ、金額の上においても。それからこの控除制度を利用する面においても、せっかくできたけれどもなかなか利用できないということではいけないので、広めていかなければならぬと思います。ところがこの大事な目玉商品をさて活用しようという場合に、これはたいへんな欠格条件がついておるわけです。私の数えただけでも十一あります。これは時間もございませんからいま一々それはあげません。せっかくやりたいと思ってもやれない。私のところには具体的に住民から手紙も来ているわけですよ。
 まず一番問題になるのは、この制度は一万円から出発したわけです。端的に言いますと、一万円ならと言った人もいると思うのです。なぜならば、これは凍結しなければならぬのですよ、指定されたものに凍結しておかなければならぬ。つまり債権を凍結しておく、使えない。ところがやはり家庭に不時の何かがあったという場合にはやはりそれを利用したいというのがサラリーマンの悲しい願いだと思うのですよ。だから、一万円ならやめようということでしぶしぶやめた。さて次の年になったら二万円になったり、今度は三万円、それじゃひとつやろうといって申請してもこれはおそいのですね。最初からやらなければならぬのですよ。私はこの趣旨からいって、この制限というのは非常に過酷だと思うのですよ。
 その点の泣きごとといいますか、訴えが私のところにはひんぴんと来るわけですよ。いまやりたい。これはたとえばいまやって去年の分まで控除してくれというのじゃないのですから、たとえば五年の貯蓄をする、二年間はもう残念ながら経過してしまった、あと三年分についてこの制度を適用してもらいたいといってもこれはだめなんですね。この点は私は非常に不合理だと思うのですよ。つまり税制のほうでどんどん変化していく、いわば受け取るほうにしてみれば事情の変化ですよ。これに対応する機動性がないのが、これが一つの大きな欠陥だと思うので、この点について改める用意があるかどうか。
#32
○高木(文)政府委員 御指摘のように、現行住宅貯蓄控除制度についてはたくさんの条件がございます。なぜこのようにごたごたと条件がついてこざるを得なかったかという事情を申しますと、これは貯蓄に目的があるのではなくて家を建てていただくということに目的がある。貯蓄という段階と家を建てるという段階の時間的な経過があるものですから、そこで何らかの方法で家が建つということを担保して、それで税法上特例的に税額控除をいたします、こういうことになりました。ところが現実にどうやってそれを担保するか。貯蓄している段階で税額控除してしまってあとで建たなかったらどうするんだというような問題があります。そうかといって、御病人があったとかなんとかいうときにおいて、あとから取り上げるというのもなかなかむずかしい。そういうことをどうやって具体的に担保するかという問題がありますために、えらいいろいろな条件が重なってしまった。そのことのためにどうもこの制度が、たいへんいい制度だと思うのでございますが、うまく伸びないという現状でございます。
 ただ、今度改正になりましたような形で勤労者財産形成制度と結びつけてこれをいたしますれば、勤労者財産形成制度の場合には従業員の方と雇い主の方が要するに一体となってこの貯蓄を奨励していくわけでございますし、従業員について雇い主のほうである程度管理監督みたいなことをやっていただくという関係にあります。従来は、銀行との関係では、ふりのお客さんである預金者との関係でございますので、なかなか銀行がふりのお客さんである預金者の将来の行動を管理監督するというようなことができ得ない環境にありますためにいろいろ条件がついておる。それがうまくいかない理由であるというようなことで、今日まで残念ながらあまりうまく動いてこなかったという経緯がございます。
 たいへん長く前置きを申しましたが、趣旨としては、ただいま御質問の御趣旨は全く私どもも同様に考えておりまして、いろいろな条件はございますが、どの条件をどの程度緩和するかということについては問題があろうかと思いますが、この制度の趣旨に即したものである限りにおいては、御事情があって多少条件にはずれるものがあってもそう一々問題にしないような扱いに、少しおおらかな扱いにしていくことにしてはどうか。
 ただ、条件の中にも、いろいろ基礎的条件はございます。これは頭金に充てるものであるとか、あるいはあくまでも家を建てるものであるとか、またある程度早い時期に家を建てていただきたいという趣旨であるとか、いろいろそういう趣旨からついている条件もございますが、そういう基本的条件は別にいたしまして、いまのようにちょっと都合によって途中で休んだというような場合にどうするかについては、何らかの方法において緩和の方向を考えたい。これは運用上何かできるのではないかというふうに思っております。
#33
○塚田委員 これは基本的にはやはり四十一条の二第一項六号を削るというのが一番いいのです。それが一番いいのですよ、すっきりして。その点まずどうですか。一項六号を削るということです。
#34
○高木(文)政府委員 ちょっといま急な御質問で明快にお答えできませんが、しかしここのところはあくまでやはりその金で家を建ててくださいませんかという趣旨でございますので、すぐに私どもそういうことを考えていけませんが、これは悪用されても困るという問題もありますし、なおよく検討さしていただきますが、この六号は私が申し上げたような基本的な部分に当たりはしまいか。ただ先ほど御指摘のように、途中で不時の支出があってというような場合に何らかのうまい処理方法がないかどうか、なお研究をいたします。
#35
○塚田委員 たいへんこまいあれになりますけれども、研究ついでに次のような点も研究してください。これは三年以上積み立てなければならぬのです。二年十一カ月ではだめなんです。その点もやはり弾力性を持たせる必要があるのじゃないかということ。それから積み立ても、やはり都合のいいときにはたくさん積み立てたい。それから都合の悪いときには積み立ての額を減らすというような融通性も、これはサラリーマンというか勤労者に住宅を持たせることがたてまえなんですから、法律の趣旨はもし建てない場合にはさかのぼって控除分を取ることになっているのです。つまり解除条件的な色彩なんです。あくまで持つということが前提なんですから、それまでの過程についてはある程度手心といいますか、解釈上の融通をきかしていくということがやはり必要だと思います。
 それから、これは百二十平米でありますが、今度の法律改正ではどうですか。私のところの苦情には、両親を引き取りたいが、両親を引き取る場合に百二十平米と限られていたのでは、この控除の恩恵を受けることができないのだ。こういった苦情が相当来ているのですけれども、この点についても、これはこまかいことですが、ひとつ考えていただきたい、こう思います。
#36
○高木(文)政府委員 ただいまの第二の面積基準の問題につきましては、これは国の住宅政策としてどう考えるか、どの程度の面積のものにいま重点を置いて建てるようにしていくかということと関連がありまして、御指摘のように、たとえばお年寄り、御老人を引き取りたいというような場合のことが考慮されて、ちょっと正確には覚えておりませんが、住宅金融公庫等の融資について若干の配慮を最近するようにしておったはずではなかったかと思いますが、そういうことと関連してこの面積基準についても考慮すべき点があれば考慮いたしたいと思いますが、この税の住宅貯蓄控除のところだけ切り離してというのはなかなかむずかしいので、住宅金融公庫なり住宅公団なりいろいろな国の住宅施策がございますので、その住宅施策においてそういう問題をどう取り扱うか。それと同じにしたらいいのか、少し甘目にしたらいいのか、そこらをにらみ合わせながら面積要件についてもう一度見直しといいますか、いまのではいけないかどうかよく見てみます。
#37
○塚田委員 この問題の最後に、いま局長の言われたとおり、これは持ち家促進といいますか、勤労者の財産形成の一部としての持ち家の促進だ。そういう趣旨からいって、実は法律で勤労者住宅協会というのができているわけです。これは同じような趣旨で勤労者に対する住宅を容易に提供するという業務なんですが、この法律では住宅貯蓄契約というのは限定されておるわけです。たとえばこれは地方住宅供給公社と締結した地方住宅供給公社法云々ときまっているので、この扱いの適用される範囲というものを広める。そういう意味で日本勤労者住宅協会というのは設立の趣旨からいって当然扱い機関として認めるべきものだと思うのですが、この点を伺いたい。
#38
○高木(文)政府委員 ただいま御指摘のあった協会の性格等について、私まだこの段階では十分認識を持っておりませんので、御注意でございますからその点を研究いたしました上で判断をいたしたいと思います。
#39
○塚田委員 次に、今度の特別措置で公害施設についての措置が拡大された、こういうことですが、一体公害の防止施設、これは最近非常に大きく公害が問題になってきておりますので、当然これはどんどんつけていかなければならないものですが、これを国でたとえば特別償却の形、あるいは準備金制度、あるいは免税、こういう形でどんどんと保護をするといいますか国民の税金をそちらに向けていく、こういう考え方は一体どこにあるのか、この際、包括的ににひとつ所信を承りたいと思います。
#40
○高木(文)政府委員 公害の処理につきましては、私どもは第一原則としては原因者負担、いわゆるPPP原則というもので処理さるべきものと思っております。したがって、公害に関して税で処理をするのは本来適当でないというのが大原則でございます。ただ、最近わが国の公害問題は非常に緊急に問題になったということがあり、世界的にもたいへん事情が悪いということもありますので、これをどのようにして緊急対策をとるかということを考える必要があろうかと思います。その場合に、たとえば補助金で処理をするということになりますと、完全な意味においてPPP原則に反することになりますが、準備金なり特別償却という制度でありますれば、いわば課税時期の調整ということでありますから、準備金であればあとで取りくずすということが起こりますし、特別償却であれば後年度の償却がふえるということでありますから、若干の課税時期の調整ということで処理される限度のものである。税額控除ということになると完全補助金になりますので好ましくないと思います。
 そこで、非常にものことが緊急であり、そしてまたその関連企業にとっても臨時、巨額の負担がかかってくる。よってもって自分はあまりやりたくない、こんなに負担がかかってはやりたくないということでは困るわけでありますので、その負担を時間的に調整をするという趣旨で、準備金なり償却制度をとるというのは考えられ得ることだと思います。しかしこれは現時点で考えられ得ることであって、なるべくこういうものはある一定時期までにどんどん進められて、早く公害の防止が望ましい基準にまで到達するようになり、そしてこれらの制度がやめられるようになることが望ましいことだと思っております。
#41
○塚田委員 いま局長からの答弁の趣旨を、過去のものと比較して、すでにできたものと比較して検討すると、これは昭和四十二年から社会開発促進、あるいはまた機械化、合理化の促進、いろいろな名目を使って、四十四年、四十五年とずっと助成措置をしてきているわけなんですけれども、いま局長はほんとうに緊急を要するものでなければこういう措置はやらないのだ、あくまでもPPPが原則である。こういうことからいえば、相当既往のものは、そのまま特別償却あるいは準備金の形で保護されているこういうものは、すでに整理されなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、どう考えますか。
#42
○高木(文)政府委員 いまちょっと手元に整理したものがございませんけれども、確かにおっしゃるように公害のための行政はかなりいろいろなものがございますが、いろいろなものの非常に多くのものは四十五年の秋に整備されたものでございます。当時いわゆる環境問題を中心にした臨時国会が四十五年の秋に開かれたことがございました。その時点において、税制のみならず一般に環境対策が相当積極的に取り上げられました。四十六年からは環境庁が発足をするというようなことになっていったわけでございます。この四十五年にいろいろの政策がとられる際に、税制の上におきましてもとられたわけでございまして、その後において四十七年、また今回つけ加えて若干の、ごく一部の手直しのようなことをやっておりますが、大宗は四十五年であったわけでございます。これはそう他の特別措置と比べまして十年も続いているという関係にはないのでございます。ただし一部のものについては、その四十五年に問題になる前にも対策がとられている部分がございました。たとえば地下水の汲み上げ制限とかいろいろなものがありましたから、多少歴史を持ったものもございますが、大宗は四十五年秋であるというふうに私は認識をいたしております。
 これはいつまで続けたらいいのか、いつになったらやめられるかという問題はなかなかむずかしい問題でございますが、環境基準のほうも漸次引き上がっていくということの関係もございますので、私どもいつということはなかなかわかりませんが、気持ちとしては先ほど申しましたように、そういつまでも続くべきものではないというふうに思っております。
#43
○塚田委員 これは局長おそらく御承知であろうと思いますが、昨年の秋、東京でOECDの環境委員会の大気部会ですかをやられて、それで非常に問題になって、特に国が日本の場合には相当厚い保護をしておる、こういう情勢の中で、これは貿易の問題ともからんでくるのですが、これでは将来そういった生産物は国際市場からはじき出されるというようなことさえ真剣に言われた経緯があるわけです。それはやはり単に公害という問題だけを見たのじゃなくて、日本の経済全体の成長の度合いとか、あるいはたとえば自動車等については二重価格をとって相当輸出を促進しているとか、いろいろな要素がかみ合って、特に日本に対する指摘が強いのだろうと思いますけれども、そういう点で早くこれはまず第一に整理するということですね。情勢を見ながら早い機会に整理していく、こう要望しておきます。
 第二は、局長はいま補助金というのはむしろPPPの原則からいうとおかしいんだという話ですが、私の調べた範囲では国際的な通例は、いま言った減税あるいは準備金、特別償却という線から補助金に移ってきておるように見ているんですよ。
 なぜ一体そういう推移をたどるかといったら、先ほど局長が例の通勤手当と寒冷地手当の問題で、これは個人にやって捕捉できるのだ。はっきりわかるのだというのと同じように、補助金ならこれは完全に公害の防止の施設に使っておるのだ、あるいは無公害化しているのだということを国が調べることができるわけですよ。だが税金でぽんとまけてしまうと、実際それが公害の防止に使われておるのかどうかは、これは調べようがないわけですね。そういう面から各国の情勢は、これはアメリカ自体も、イギリスも、フランスも、西ドイツも、西ドイツは比較的そういう点では日本に似ているのですが、すべて防止費用は国の監督の及ぶような形態をとるという方向に推移しておるのですが、これについてはどうですか。
#44
○高木(文)政府委員 つまびらかには環境庁のほうからお答えを願うことにいたしたいと思いますが、一つだけお断わりしておきますが、現在税でやっておりますものにつきましても法律、政令その他省令等によりまして、条件はかなりきびしくなっておりますから、公害企業に漫然と特別償却準備金等を認めておる仕組みにはなっておりませんので、そして税務上、その準備金を立てること、特別償却をすることがいいかどうかは税務調書を通じて明らかになるわけでございますので、かなり個別的には審査可能な状態にあるということだというふうに私は思っておりますことだけをちょっとつけ加えておきます。
#45
○船後政府委員 私もあまり諸外国の事情にはつまびらかではございませんが、知っております限りにおいてお答え申し上げます。
 初めに、OECDでこのPPPが合意されましたときのバックグラウンドでございますが、やはり大勢といたしましては、この汚染コストというものを経済に内部化するという趣旨のものでございますから、補助金あるいは補助金に類似するような税の減免措置というものは原則的に好ましくないということがあるわけでございます。ただ、これはもっぱら国際経済上の秩序を維持するというのが主たる目的の合意でございますので、補助金につきましても、国際貿易と投資に著しいゆがみを引き起こすような補助金は併用してはならぬということになっております。あとの問題は、各国が国内政策の問題として、どのようにこの規制の手段の中に補助金政策なりあるいは税制上の措置を組み入れていくか、それについてはこのPPPのガイディングプリンシプルの趣旨でやれということになっておるわけでございます。
 OECDにおける一般的な議論といたしましても、この補助金あるいは税の減免というものは、経過的に例外的なものとしては許されるというような考え方がかなり有力でございました。これは、補助金なりあるいは税の減免というものを恒久的に続けますと、一向に汚染を減らすという努力に対するインセンティブにならない、あるいは逆に働くということがございますので、やはり考え方といたしましては、現存しておる汚染というものを減らすために、経過的に、ある期間を限って、その間に行なわれた公害防除努力というものに対しまして補助金あるいは税の措置を講ずる、こういうことは経過的に許されていいのではないかというようなことでございまして、各国の現在の税制あるいは財政援助、私はあまりつまびらかではございませんけれども、一般的に申しますと、税制では、やはり日本と同様、特別償却というのはほとんどの国が採用いたしておるようでございます。なお、また低利融資というものもほとんどの先進国は採用しておるような状態でございます。
 で、補助金につきましてはかなり厳密な考え方でございまして、経過的な問題として許されるというふうな趣旨のもとに、たとえばスウェーデンにおきましては、一九六九年から五カ年間を限りまして、現に存在する工場について公害防除装置をつくるときには二五%の補助金を支出するというような規定がございます。その他の各国でも、たとえばイギリスでは、一番顕著なのは、ロンドンスモッグに関連いたしまして、家庭のばい煙というものを防除するために一般家庭に対してかなり高率の補助金を出したという例もございますが、最近の傾向といたしましては、一般的に、水質の汚濁あるいは大気の汚染というものの原因者から広く課徴金というものを求めまして、これを財源といたしまして、他方における公害防除装置に補助金を回そうというような立法傾向がかなり出てきておるのではないか、かように考えます。
#46
○塚田委員 いまいろいろ御答弁がありましたが、反駁する資料はあるわけですよ。しかし時間がございませんからやめます。たとえばイギリスのばい煙の規制にしても、これは地方自治団体に七〇%の高率の補助をやっておるのですよ。それから今度は一般の家庭にいく。こういうような形式をとっておりますので、補助金にしたというのは、一つは国による規制あるいは監督をきつくするという趣旨によると思いますので、その点もひとつあわせて考えてみてください。
 それから、こういういろいろなやり方とは全く別に、今度は低公害車について物品税をまけるという新たな措置といいますか、まあ従来ちょっと考えられない措置が出てきておるのですが、これは一体どういう趣旨で出てきておるか。具体的には、これはおそらく本田技研あるいは東洋工業等を目ざしての措置だろうと思うのですが、その趣旨をひとつ説明してください。
#47
○高木(文)政府委員 現在いわゆるマスキー法基準といいますか、そういうことで、昭和五十年からは一定の基準に合格した車でなければ取引ができないということになる方向でもろもろの準備が進んでおるわけでございます。その場合に、その時期になれば法制上そういう車しか走れないということになるわけですから問題はないわけでございますが、それじゃそれまでは、公害を吐き出す車が走るということをそのまま黙って見ておくかどうかということが問題になります。その場合に、一部の企業で低公害車を具体的に実現することができた、それをどんどん走らせようということであれば、何も昭和五十年まで待たなくてもそれまでの間に公害をまき散らさない車が利用されるということは非常に望ましいことであると思うわけでございます。
 ところが、非常に残念なことに、現在の段階では、低公害車はそうでない一般の車よりはコストが高い。それからその買うときのコスト、ユーザーから見ますと、買うときのコストが高いだけじゃなくて維持経費もどうもよけいかかりそうである。そうなりますと、だれもがあまり公害をまき散らさない車を使ったほうがいいということはわかっていても、現実に買うのに高くて、維持費、走行費も高いというのでは、まあまあ昭和五十年まではそういう公害をまき散らさない車を無理して買うこともないかな、こういうことになっていくおそれが多分にある。何かの措置をとったらそれが防げるかというと、その点ははなはだむずかしいわけでございますけれども、しかしそれを放置するわけにもいくまいということで、四十八年の下期と四十九年の上期、つまりことしの十月から来年の六月までに売られる車につきましては、ある程度何か奨励措置を講じてはどうかということで、いま御指摘のように非常に異例の措置がとられることになったわけでございます。
#48
○塚田委員 この措置は異例といいますか、拡大していったらたいへんなことになると思うのです。それで、マスキー法との関係でおそらく急がれたんだろうと思うのです。しかしそのマスキー法たるものは、これはいまどういう状態になっておるかは局長よく御存じのとおりなんで、そんな、大統領の選挙のときにマスキー法がごたごたいわれた。しかし実際問題としては、これは一年、二年、三年延ばしてくれというような声も出ておる。こういう情勢の中で、あまり国が助成をやりながらマスキー法に合わしていくというかっこうよりも、本田あるいは東洋、そのほかに日産、トヨタというのがあるわけですから、そういった技術開発というものをもう少し期待して、あまり特定のものに補助をするということはこれはよくない考えだと思うのですよ。全般的にやはり経済社会基本計画の中では厳然としてPPPを守るんだということが計画の骨子になっておりますので、そういうような問題ともからんでぜひひとつ規制をしていく、むしろいろいろな形で広めていくということはこれはやはり一考を要するのではないか、こう考えております。最後に、ひとつ考え方を聞いて終わりたいと思います。
#49
○高木(文)政府委員 私どもも基本的には塚田委員御指摘のような考え方でございまして、これが将来弊害を残すということになっては非常にぐあいが悪いという気持ちを強く持っております。ただ、反面におきまして、おっしゃるようにマスキー法自体がどういうことになるのか、したがってそれとの関連でわが国の公害規制、自動車に関する公害規制がどういうことになるのかということが若干不安定でありますけれども、しかしあくまでこれは何とか一日も早く法的規制が実現することが望ましいわけでございますので、現段階において私どもの考え方としては、マスキー法がどうなるかわからぬ、日本のほうもどうなるかわからぬ、はなはだ怪しいという前提でちょっとものを進めるわけにもいきにくいわけでございまして、あくまで五十年から有公害車が走らないようになることがぜひとも望ましいという前提で考えざるを得ない。そうなりますと、現在の時点で有公害車と無公害車と申しますか低公害車とがある。しかも残念なことに低公害車のほうが高い、したがってユーザーの負担がふえる、こういう状態を切りかえ時点において何かの対策をとるというのは、あながちデメリットばかりでもないのではないかという判断に立つものでございます。
#50
○山本(幸)政府委員 いまのお話でございますけれども、日本の公害対策からいって、自動車の排気ガスの問題は、これは非常に困難な問題だけれども、どうしても何とか処理をしなければならぬ問題だ。特に現在の自動車の構造からいいまして、窒素酸化物あるいは炭化水素の処理は、これはいままでの技術開発の上で非常にむずかしいことであった。それをとにかくマスキー法を五十年に控えてどうしてもやらなければならぬ。アメリカでマスキー法を云々といいますが、これは輸出の関係でマスキー法が非常にメーカーとしては気になるんでしょうが、しかし日本国内におきましても光化学スモッグ云々ということから考えても、マスキー法と同じような自動車を、日本国内ではマスキー法とは関係なくとも、日本の国民をモルモットにするわけには絶対いかないわけですから、日本でもマスキー法と同じものを自発的にでも私はやらなければならぬ段階だ、こういうふうに思うわけです。
 公害対策としての自動車の排気ガスという問題をなるべく早くひとつ解決をしていかなければならぬという前提に立てば、どこがつくろうと、この技術開発では各社が非常に競争してやってきたと思うのですが、とにかくそういう開発が日本でできたということでありまして、これをなるべく早くこういう装置を日本国内に普及させて、そして日本国内で自動車から発生するいわゆる光化学スモッグ等々の公害というものを除去する、退治するという方向に私はどうしても早急にいかなければならぬ問題だ、そういう緊急性からこういう措置になったものである。私どもは何とか五十年までに日本国内でマスキー法とひとつ同じ状態をつくりたい、こういう強い願いからこういう措置になったものでありまして、マスキー法がどうなろうとこうなろうと、あるいは延期するのか私は存じませんけれども、しかし日本国内ではほうっておけない状態だ、こういう前提で考えてみたい、考えていきたい、こう思っておるわけなんで、そういう見地からこの問題がほんの短期間でありますけれどもそういうのをやろう、こういうことになったわけであります。
#51
○塚田委員 いま次官から話があったのですが、私も基本的には和製マスキー法をつくるという方向へ行くべきだ、そう思いますよ。しかしそれに合わせるために企業の保護を国民の税金においてあまりやるなということなんです。これがPPPの原則だと思うのですよ。企業に対して野方図に国民の税金を使って保護していくということはやはり見合わせるべきじゃないか、こう言っているのであって、日本でも公害規制をきちっとやらなければならぬ、マスキー法以上のものをやらなければならぬというのはそのとおりだと思うのです。その点ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
 終わります。
#52
○大村委員長代理 高沢寅男君。
#53
○高沢委員 もう時間もありませんので、なるべく短時間のうちにしぼって御質問したいと思います。
 主税局長にお尋ねするわけですが、大蔵大臣が本年の消費者物価の上昇が五・五%という昭和四十八年度の政府の見通しをこすような場合は、年内減税も含めてそれに対する対策をとる、こういうふうに言われているわけですが、ここでは当然そういう消費者物価の上昇と税負担の関係ということがあって、こういう大臣のことばが出ているわけですが、そこでこのことを少しお尋ねをしたいと思うわけです。
 消費者物価が上がる。当然国民の側はそれを追いかけてということになりますが、何とかして所得水準を上げなければいかぬ。名目所得も上がる。そうすると実際上その物価の上昇との関連で、実質上の所得の上昇の率よりは名目所得の率のほうが大きくあらわれて、そのことがまた税の負担の重さとなってくる。こういう関係で、この関係を前に、昭和三十八年度の税制改正に関する臨時答申で当時の中山会長のほうでこれは一定の数式を立てて、そういうふうな消費者物価の上昇がどの程度の税負担の増大をもたらすかということで数式を立てられたことがあったわけです。そこでこの間実はわが党の佐藤委員が質問した際に、主税局長のほうから四十八年度の減税の中でそういう調整減税に当たる、物価の上昇に見合う部分に当たるものは千三百七十億である、こういうお答えがあったわけです。それを今度、千三百七十億を出す前提の数式の御説明がたしかありましたけれども、恐縮ですがもう一回ここでその数式の御説明をお願いしたいと思うのです。
#54
○高木(文)政府委員 直接にお答えいたします前に、物価調整ということが今日まで税の制度に関連して議論されてきた過程におきまして、大別して二つの考え方に分かれておりまして、一つはただいま御指摘の三十八年でございましたかのころの考え方でございます。この考え方は、すべての所得階層について物価の上がり幅を頭に置いた調整の意味での減税を行なうべきだという考え方でございます。それから第二は、最近税制調査会等で御議論願っております点は、控除、主として人的控除の上げ幅を考える場合に物価との関連を考慮すべきだという考え方でございまして、先般御説明いたしました千三百七十億の減税というのは、この物価調整減税所要額というのはこの後者のほうの考え方に基づく計算方式でございます。
 その計算はどうやりますかといいますと、課税最低限を構成いたします現行制度の各種控除総額というものを算定してみますというと、昭和四十七年におきます各種控除の総額は二十二兆八千億になるものと見込まれます。これが一方におきまして四十八年度の物価上昇割合は四十八年の経済見通しでは五・五%になりますから、二十二兆八千億を少なくとも五・五%だけふくらませないことには、いわば課税最低限にノミナルに食い込んでくるということになりますから、二十二兆八千億に一〇五・五をかけたものが少なくとも四十八年度の税制上確保されなければならない、こういうことになるわけでございます。その増加額、いってみれば課税最低限の最小限所要増加額というものを出しまして、それを税率で逆算をいたしますと、その税率で逆算した金額が千三百七十億になる、こういう計算でございます。
#55
○高沢委員 その税率は何%ですか。
#56
○高木(文)政府委員 上積み平均税率ということで、このときの計算では一応一三%で算出しております。
#57
○高沢委員 いまの計算のしかたなり考え方の御説明はわかりましたが、三十八年度の、中山委員会でそういう物価と税負担の関係を出す数式を出された際も、やはり考え方としてはそういう調整は課税最低限の引き上げによってやることが妥当であるというふうな結論を出されているわけで、したがってこの点は、いま第二の方式として局長の言われた考え方と結論的には変わっていない。三十八年度の答申の中でも、したがってそういうことだから課税最低限を、この控除はこれだけ上げろ、この控除はこれだけ上げろというふうな答えになっているわけです。
 そこで私は、中山さんの三十八年度の答申の中で一定の数式が出ている、この数式で今度四十八年度の所得水準の伸びなり物価の上昇なりというふうな数値を適用して、四十八年度の所得税自然増収分の中で物価上昇によるものと思われる分が一体どれだけになるかというものをはじいてみたわけです。この中山さんの数式によって私、はじいてみて、これは別にコンピューターがあったわけではなく、紙と鉛筆でやったわけですが、それによると、三十八年度のときには、この中山方式では、三十八年度の所得税の自然増収分の中で約三〇%というものが物価上昇による租税の伸びに当たる、こういうふうなものが出されたわけですが、それを今度四十八年度のあれに私が適用してはじいてみたところでは大体四一%という数字が出ております。そうすると、これは四十八年度の所得税の自然増収の一兆一千五百九十六億円の中の約四〇%というものが物価の上昇によってもたらされる税収の伸びの部分に当たる、こういうふうなことになるわけです。この立場に立てば、調整減税に当たる分は、少なくも四千億以上の部分を調整減税に充てなければならぬ、こういうことになるわけで、いま局長の説明された千三百七十億との間に非常に大きな数字上の違いが出るわけです。
 そういうことから、新しい数式を採用されたという大蔵省の立場は、つまりできるだけ調整減税の部分を小さい数字で表現しよう、こういうねらいで出されたのじゃないかと思います。私は中山方式との関係において、中山方式をとればこれだけ大きな調整減税が必要だという結論が出ることについて、ひとつ局長の御見解をお尋ねしたいと思うのです。
#58
○高木(文)政府委員 ちょっと私、その後久しく中山方式による計算というのはやっておりませんものですから、私自身の頭の中に中山方式の計算式がぴたっと入っておりませんので、いま正確に御答弁できませんけれども、中山方式はやはり控除だけじゃなくて税率の面においても考慮すべきだ。つい最近カナダでそういう案が出されておるやに聞いておりますが、税率、控除両面にわたって物価の面を配慮すべきだという思想があったのではないかと私思っております。その当時は、何ぶん十年前でございますから、実質的に現在よりも所得税が非常に重いという時期でございましたので、すべての階層にわたって物価調整をしなければ、所得税のあり方が望ましい姿にならないという前提に立っておったと思いますが、その後国民所得もふえ、一人当たり国民所得もふえ、減税も毎年繰り返されてきております今日におきまして、はたして上のほうの階層、五百万とか七百万とか一千万とか、さらにそれより上のほうの階層についてまで物価による調整をすべきかどうか、そこらの必要は現在ではないんではないかという考え方から、最近物価調整減税として議論をいたしますときには、四、五年前からはもっぱら課税最低限の問題として議論しておるわけでありまして、その点は二つ意見が分かれてくると思います。一千万でも三千万でも、場合によりましてはそれよりももっと大きい金額の所得者についても、貨幣価値は下がってくるんだから一種の物価調整をやるべきだということの議論もあろうかと思いますが、それはいずればやらなければならぬとは思いますけれども、毎年毎年上層階層のほうをやる必要はないので、毎年毎年物価に応じて直すという仕事は、それは大衆といいますか、中堅所得層以下のところを中心に考えればいいんじゃないか。そうだとすれば、税率のことはあまり考えないで、主として課税最低限を中心に考えればいいんじゃないかというのがわれわれの考え方でございます。
 なお、もう一つ、計算のしかたの問題で、たいへん恐縮でございますが、先生みずから計算してくださったそうでございますが、その場合にちょっと問題がありますのは、所得税の中でも法人が納めておる所得税というのがあるわけでございます。所得税というのは、個人が納めているばかりでなくて、法人も所得税を納めているわけであります。株式とか配当とかいうものについては源泉徴収で法人が納めていくわけでございます。その金額が、御存じのように源泉選択税率をだんだん上げてまいりました関係で、だいぶふえてきておるという事情があります。
 それからもう一つは、最近の所得税の伸びの大きいのは、譲渡所得の伸びが非常に大きいわけでございます。御存じのように、土地の譲渡所得について分離、比例税率をしました関係で、土地の譲渡が非常にふえてきておるわけでございます。一兆一千億のこの自然増収の中には、配当や預金についての法人が納めた所得税や個人が源泉形態で納めた所得税や、しかもそれの税率が引き上がった分の増加分、それから譲渡所得が比例になることによる譲渡の増加に伴う増収分というものがみな出てきております。私どもの千三百七十億と計算しましたベースとしては、給与所得者の給与所得額をベースにしてみ、それに申告の部分を若干加算して計算する、こういうことでございまして、四千億という数字はちょっと大きく出過ぎていはしないかという感じがします。これは私が計算してありませんから、先生のほうは計算なさっておるんだとすれば、あまり確たることは申し上げられませんが、何か感じとしては少し大き過ぎはしないかという感じがいたします。
#59
○高沢委員 いまの局長の説明によって、所得税自然増収の中にそういう法人の支払う株式配当部分とかあるいは土地譲渡とか、こういうふうなものがまじっている、これはわかります。
 ですから、その点でここでひとつお願いしたいことは、そういうふうな要素を除外して、そうして勤労者所得税なりあるいは申告の所得税部分の伸び部分はこれだけあって、その中で中山方式というものを適用して、それでもって物価上昇による税の伸び部分はこれだけだという計算をひとつ大蔵省の側でも出されて、これを私のほうにお示しをいただきたいということを、ひとつお願いしておきます。
 それから、こういうことを私のほうで問題にしますそのねらいは、要するに毎年減税額として示されるけれども、われわれから見れば、物価上昇に対する調整的な性格の減税額はこれだけだ、その上にほんとうの税負担を軽くするための本物の減税額はこれだけだというようなことがはっきりとわかるような示し方をぜひしていただきたい。
 こういうことで、この月曜日、東畑税調会長が来られたときも、私そのことをお話しして、税調会長も、それは一つの積極的な考えであるから、ぜひやりたいというお考えがあったわけですが、このことは、政府のほうにも、来年度以降、減税額を示される場合には、物価上昇に対する調整減税はこれこれ、これだけである、その上に乗せるほんとうの減税額はこれだけであるというような示し方をぜひしていただくことをお願いをしたいと思うのですが、そこのところをひとつお約束をいただけるかどうか、お答えを願いたいと思います。
#60
○大村委員長代理 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#61
○大村委員長代理 速記を始めて。
#62
○高沢委員 現在は大蔵省としては没にされているかしりませんけれども、歴史的に、昭和三十八年度のそういう数式を入れた答申があって、そのことは歴史的な事実です。その数式を入れた、その数式によって、いまの時点ではじけばこうなる。これは一種の試算のようなものですが、それは政府側の一つの価値判断としては、この数式はすでに没になっていまは別な数式があるのだ、こういう価値判断はそれはあるでしょうが、少なくともそういう一つの参考資料として、過去の数式ではじけばこれだけになるというふうなものは、これは一種機械的に当然出るはずのものなんですから、それはいま大蔵省が過去の数式を採用するあれでないという立場ははっきりしていても、これは別に記者クラブのほうにわかったといっても別段支障があるわけじゃないので、これは支障があるとすれば、そういう方式によればかなり大きな金額になる、現在の方式では金額は小さい、この違いのところが何でそうなるのかというところを国民のほうでは当然疑問を持つわけであって、そこのところがぐあいが悪いということになると、逆に税制調査会のほうがどうこうというよりも、大蔵省自体が、ほんとうはその減税額を大きくしなければならぬところを小さくしておるということが明らかになるのを何とか避けたいというお気持ちじゃないか、こういうふうに思うわけですが、国民の実感からしても、いまのたいへんな物価上昇の中で物価調整減税が千三百七十億というのは、これはわれわれの実感からいっても、数式がそうだと言われたってこれは少しおかしいなという実感が、どうしてもあるわけですから、したがって、過去にあった歴史的な一つの答申の中の数式を当てはめてみればこうだという、参考資料でけっこうですから、ぜひお願いをしたい、こう思うわけです。
#63
○高木(文)政府委員 御趣旨は非常によくわかりますので、計算をするということはけっこうでございます。
 ただ、まあどういう提出方式にするかということだけ、後日理事会でも御相談願うということに願っておきたいと思います。
#64
○高沢委員 それでは理事さんのほうへ扱いをおまかせします。
 それでは次へ、もう時間があれですから、あと二つだけお尋ねします。
 株式の課税に関する特別措置ですが、いつも、株式配当で生活をする夫婦二人子供二人の世帯が税金のかからない最低限度はここまでだというのを、毎年示されますが、四十八年度の場合はその数字は幾らになっていますか。
#65
○高木(文)政府委員 二百七十五万でございますが、端数は……。
#66
○高沢委員 けっこうです。たしかこれは昨年は三百万以上の数字だったと思いますが、これが二百七十五万というふうに金額が少なくなってきたのは、どういう根拠といいますか、どういう理由からでしょうか。
#67
○高木(文)政府委員 昭和四十四年度の税制改正で、当時配当控除率が一五%でございましたものを一〇%にすることになりました。その一〇%は昭和四十八年から適用する。その中間過程におきましては、ちょうど一〇と一五の中間の一二・五%を適用するということになっております。その税法は、たしか四十五年の所得税法の改正であったと思いますが、そのときに、いわば階段がだんだん下がるような法律をもうすでにきめていただいておりますので、そこで配当控除割合が四十八年一月一日から下がるわけでございまして、
 その関係ということでございます。
#68
○高沢委員 この特別措置が昭和五十年の十二月三十一日まで、こういうふうなことになっているわけですが、これはもう前から税の不公平の最たるものとして指摘されておるところでありますから、これはできるだけ早く廃止すべきだ、こういう考えですが、少くも現在法で定められておる五十年十二月三十一日、このあとへまた持ち越していくということは、まさかなさらないと思いますが、この辺ひとつ、その辺でもうやめるのだということを、はっきりお示し願いたいのであります。
#69
○高木(文)政府委員 配当控除を一〇%にするということは、これは本法のほうでやっておりまして、租税特別……。
#70
○高沢委員 いや、配当分離。
#71
○高木(文)政府委員 お答えを改めます。
 配当分離につきましては、これは租税特別措置法の規定でやっておるわけでございます。この配当分離の問題はなかなかむずかしい問題でございます。むずかしいというのは直すのがむずかしいとか何とかということじゃなくて、本来非常に議論が多い問題でございます。と申しますのは、一番基本は一つには法人税のあり方の問題ということがございますが、それよりももう一つの問題といたしましては、わが国の産業資金の調達方式として間接金融がいいのか直接金融がいいのかという基本問題がございます。どうも残念ながら自己資本比率が下がっていく、そして間接金融、銀行を通じますところの金融のウエートのほうが高まっていく。そのことがいいか悪いかということはいろいろ問題がございますが、やはりあまり間接金融の割合が高まるということはいろいろな意味において、ことばは悪いですが、経済支配力が金融機関に集中する結果にもなりますから、そういう意味において一般の方が銀行預金され、その金を金融機関が産業資金のほうに回していく、そして自己資本比率が下がっていくという形態はどうもぐあいが悪いのであって、やはり間接金融と直接金融のバランスはあるバランスがあってしかるべきではなかろうか。
 そこで、配当においてどのような税制をとるかということと預金についてどのような税制をとるかということによって間接金融と直接金融の片一方、どっちがより有利になるかという関係になってまいりますので、その角度との関係から預金と配当にバランスをとりながら、なおかつでき得べくんば私どもの気持ちとしては、将来若干直接金融のほうがいままでのように二〇%を割るような状態から少しもとに戻るような状態にならないと日本の金融のあり方としては望ましくないのじゃないかという気持ちを一面において持っておりますので、そこをどう調整すべきかという問題が実は一番大きな問題でございまして、それを背景にした上で今度は税制上、法人税法上一種の擬制説であるとかいうあの種の議論と、それから配当所得と利子所得についての、理論上の問題よりも一種の税務執行上の問題との関連でうまく把握ができるかどうかという問題と、この三つ、つまり根っこの金融のあり方の問題と法人税制のあり方の問題と税務の執行の問題、この三つの積み重ねの結果としてどこへもっていくかということなのでございますが、これは非常にむずかしい議論でございまして、そうだからといってほっておくわけにはまいりませんので、また繰り返しいろいろな場で、主としておそらく税制調査会が中心になりましょうが、議論していただくつもりでございますが、この段階でどういう方向にもっていくかということは、まだ私自身の頭の中でもそっちの方向ということはなかなか申し上げかねるようなむずかしい状態でございます。
#72
○高沢委員 それから配当の分離の結果としての租税特別措置法による減収額というのが過去においても何年度は幾らというふうにずっと示されておりますが、四十八年度は配当分離による特別措置法による減収額が五百三十億というふうに見込みが発表されております。で、過去の場合には昭和四十年は三百三十四億、四十一年は三百三十億、四十二年は三百十、四十三年が三百二十、こうずっときて、四十七年の場合には四百十、今度四十八年は五百三十、こういうふうなあれになっているのですが、過去にこの特別措置によって減収見込みはこういうことであるという数字を示されたことはあるわけですか。今度は、いわば決算のような形で実際に減収になった額はこれだけだというようなものをお示しになったことはあるのですか。
#73
○高木(文)政府委員 昨年の国会におきまして、租税特別措置全体について減収額を決算的に研究せいということを主として野党のほうの御要求がありまして、その作業はいろいろいたしております。その場合にも配当所得の租税特別措置による減収額を実績的に把握することは、不可能ではないかもしれませんが、非常にむずかしいのではないか。というのは、この配当を受けておられる方々が総合になった場合に、それぞれの方について上積み税率がどういうかっこうになってくるか、つまり配当所得を受けていらっしゃる方が他の所得において所得階層別にどういうところにあるかということを出してこないと総合と分離との差額が出てこないもんですから、一人一人によって上積み税率で二五の方もある、三〇の方もある、三五の方もございます。ですから、いわば総合と比べたような恩典といいますか、この制度による減収メリットを受けている方がどういう所得階層にいっているかということになりますと、現在の申告書をそういう角度からその部分だけもう一ぺん集計するというような作業をやれば全く不可能ではないと思いますけれども、かなり複雑であり、ややこしくなりますし、また推定要素も入れないと出てこないかと思います。その意味で、ちょっといままでのところは実績数値は出していないというのが現状でございます。
#74
○高沢委員 私は、しろうとの議論ですが、こういう見込みが出せるならば、その見込みを出すときの、たとえば成長率なら成長率の見通しはどれだけであって、そうして見込み額でこれだけだった。今度は実際の実績と成長率がこれだけだったということから実績は大体これくらいだろうという程度の出し方はできるのじゃないかという感じがするのですが、それはどうなんでしょうか。
#75
○高木(文)政府委員 租税特別措置の減収見込み額を立てます一種の計算方式がございますから、そのときにはたとえば配当総額は幾らであろうか、そのうち個人が受け取る配当分はどれくらいであろうかということを推定し、その他いろいろ推定をしてこの五百三十という数字を出しているわけでございます。ところが、この五百三十という数字は、予算成立前の見込みで出しているわけでございますが、その後配当の総額がふえたとか配当のうちの個人、法人の受け取り分が変わったとかいろいろなことがございますから、その推定要素がわかっただけでも、これだけに変わりましたということで計算し直すことは可能であります、過去の分について。
#76
○高沢委員 そういう資料をひとつお願いいたします。
 もう時間があれですから、最後に一つだけお尋ねします。
 労働組合の組合費。労働組合員になっている人たちが月々受ける給与の中から組合費を、これはチェックオフで引かれる場合もあるし、各人の一たんふところに入った収入の中から組合費として納めるものもありますが、これもずっとこの委員会で論議されてきた必要経費という性格の中の一つに当然数えられるものじゃないか、私はこう考えるわけです。そこにはもちろん労働組合のできておる職場の人と労働組合のできていない職場の人との違いはございましょうが、労働組合のない職場といえば大体おしなべて中小企業、零細企業のようなそういう職場が多いわけで、その点ではすでに労働組合のできている職場の人たちの不均衡というものはそう考える必要はないのじゃないかということから、労働組合費はこれも税制上の扱いとしては必要経費の扱いとしてこれを課税対象から控除するというふうな扱いを私はされてしかるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#77
○高木(文)政府委員 確かに労働組合費は、サラリーマンにとってはある種の必要経費だと思います。それは事業所得者がいろいろ関係事業団体などの会員になるという場合に、それが必要経費になるのと同じ関係にあると思います。ただ、サラリーマンの必要経費は、御存じのように、給与所得控除で概算控除になっておりますから、現在の給与所得控除でそれを見られておるという考え方でございます。給与所得控除は、概算的に、定額と所得に対する率で見ておりますから、どういうものとどういうものとどういうものが入っておるという御説明はいたしておりませんけれども、性質的には給与所得控除で見られているものであるというふうに考えております。
#78
○高沢委員 そういう御説明がありましたが、勤労者、サラリーマンの必要経費的なものはこれこれというように、要素全体をずっとまだ示されていないわけですから、そうであるとすれば、先ほど、通勤費とか寒冷地手当とか、そういう議論がいろいろありましたが、同じようにこの要素もひとつ抜き出して、そういう控除の対象にされるように、これは今後の検討課題としてもぜひ進めていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#79
○大村委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時、休憩いたします。
   午後一時二十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時三十五分開議
#80
○大村委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。竹本孫一君
#81
○竹本委員 所得税に関していろいろ論議が行なわれたわけでございますが、昨日でしたか総理大臣が本委員会に見えまして御意見を述べられた中で、付加価値税につきましては、物価が上がっておる今日の段階において、そしてまた大衆の十分な理解がなかなか得られないような情勢の中で、直ちにこれを実行するということはむずかしいというような御意見を述べられたと思うのです。私は所得税の位置づけという問題から、この問題に特別の関心を持っておるわけでございますが、所得税はやはり収入の大宗であって、所得税中心主義ということばがいいかどうか知りませんけれども、所得税に重点を置いていくということは、一方において負担感が多過ぎるということでいろいろ政治的にむずかしい問題もありますけれども、同時に直接税中心主義というものはいろいろな長所を持っておる。特に負担感の問題につきましても、私はむしろ負担感があるから、所得税なり、税負担を通じて政治を鋭く批判することにもなるだろうという点の期待も込めて、所得税中心主義にも多くの評価をしているわけです。そういう意味で、所得税中心主義は大事な原則であるし、今後も守ってまいりたい。総理その他の御意見では、間接税の比重を、いま三分の一くらいになっておりますから、もう少しふやしてまいりたいという。少しということがむずかしいかもしれぬけれども、その程度の話ならばそれなりに了解ができる。
 そこで、総理の意見はそうでありますが、大蔵省の意見として、一つは所得税に、私のいう所得税中心主義というか、所得税の位置づけといいますかそうした問題で、いまの原則というかウエートというものを原則としては維持していくという形が、裏からいうならば付加価値税についてはきのう総理が述べられたような意見、大蔵省も大体そういう意見であるのか、この二つをまずお伺いいたしたい。
#82
○高木(文)政府委員 税の機能の中にいろいろの機能がございますが、最も重要なものは所得再分配機能だということがいえると存じます。国税の中で所得再分配機能に最も直接的に役立ちますのは所得税でございますから、何としても所得税が中心であるということは御指摘のとおりでございまして、われわれ事務屋といたしましてもそのように考えておるわけでございます。
 ただし問題は、問題が四十六年八月答申で起こってまいりまして、間接税をもう一ぺん見直す必要があるのではないかということが強く指摘されましたのは、四十六年八月答申の前に約一年間にわたりまして、専門委員の制度が置かれまして学者の方々を中心にいろいろ御研究願ったわけでありますが、この過程におきまして、間接税が十年間にウエートとして一〇%下がっておる。それもただ一〇%下がったということではなくて、非常にステディに一%ずつくらいウエートが下がってきておる。そこでこのままどんどんいってしまっていいのかしらということが問題になってきまして、かたがた、まだその段階では今日ほどは明確になっておりませんでしたが、いずれ福祉時代に入るとするならば、もし福祉計画がはっきり立ってくるならば相当大きな財源が必要となるということが要請されるのではないかというようなことから、間接税をもう一ぺん見直してみたらどうだ、間接税を見直すとすれば、諸外国の先例等を徴すると付加価値税が一案ではないか、こういうふうに話がつながってきておるわけであります。しかし、それはそうだからといって所得税を中心の柱に置くという考え方が変わったということでは全くないと思いますし、それからまた付加価値税というようなものをどのような形でどのように導入するかが非常に問題であることは、あの答申の中にも詳しく書かれているわけでありまして、直ちにそれをあるタイムスケジュールのもとに採用するというような考え方は全くあそこでは示されておりませんし、私どものその後の検討結果でもなかなか時間を要するといいますか、時間というよりは御理解を得るのになかなかいろいろ問題があるというふうに考えておるわけでございます。
 ただ一方におきまして、間接税の中の一つの関係でございますところの物品税につきましては、個別物品税方式はどうもぐあいが悪いという問題がありまして、何か社会保障制度を充実する、それがために財源が非常に必要ではないか、それがために付加価値税が一つ考えられてもいいのではないかという考え方とは全く別の道筋から、物品税の行き詰まりということとの関連上やはり間接税体系は何か考え直すべきではないかということを考えております。おりますが、それにいたしましても相当時間のかかる問題だと思っております。
#83
○竹本委員 ただいまの主税局長の、所得税の再分配機能を高く評価して、所得税中心ということについては全く同感です。それから間接税がこのまま下がっていってよろしいかどうかという御心配の点についても私は同感ができます。三番目の福祉国家の建設になれば財源も要ることだしというそれ以下の問題で、ちょっともう一度具体的に念のために伺っておきたいのは、物品税の行き詰まりといいますか、次の新しい展開が必要である、これも私理解できます。ただ、いまのいわゆる本来の付加価値税については、昨日総理大臣が述べられたその考え方と事務当局は大体において同じ考えに立っておるというふうに理解していいのか、あるいは事務当局のほうはもっと進んでより熱意をもって前向きに取り組もうとしておられるのか、その辺の感触はどうですか。
#84
○高木(文)政府委員 非常にデリケートな御質問でございましてお答えしにくいわけでございますが、私どもといたしましては、付加価値税を実施に移すとか移さぬとかいうことよりは、やるとすればどういう問題点があるかということを中心に検討をいたしておるわけでございまして、でき上がったものでいえば非常にりっぱなものであると思いますけれども、付加価値税という体系ができ上がってきますのには大体三十年から五十年くらいの歴史があるわけでございまして、その歴史によって順番に手直し、手直しをしてあそこまでヨーロッパの制度が来たということでございます。そのでき上がった制度としては決して悪くない制度だとは思いますけれども、それにはやはりそれなりのいわば道行きを経ていく必要があるのではないか。そこらのところをどう考えたらいいのかということを、あっちからもこっちからもいろいろな角度からライトを浴びせて問題点を浮き上がらせているというような研究をじみちにいまやらしておるところでございまして、さてそれをどうする、いつどういうふうにやるとかやらぬとかいう話になりますと、もう少し福祉計画とかなんとかいうものがはっきりしてくる必要がありますし、福祉計画の中でその財源がいろいろ必要であるとしても、保険負担のようなものと税負担のようなものとをどういうふうな役割りでどういうふうに分担していくのかということがもう少しはっきりしてまいりませんと、なかなか採否の問題に関連した判断はできないというような感じでおるわけでございまして、いまの段階はやるとかやらぬとかなんとかいうよりも、もう少し客観的といいますか、あらゆる角度から検討を、なるべく幅広く、手落ちなくやっておきたいというような準備をしておるということでございまして、いまのところ、とてもここ一、二年のうちにそういうふうなことになるようなことを前提としては考えておりません。
#85
○竹本委員 デリケートな立場を持っておられるからデリケートな質問だということですから、この辺でとどめておきます。
 ただ私は、付加価値税の問題は、フランスのやり方なんかを見ておりますと非常に苦心をしておる。そういうものも参考にわれわれはわれわれの立場で検討していきたいと思っておりますが、いずれにしても一番大事なことは、私のほうでは福祉国家建設五カ年計画というものをいま検討しておりますが、そういう大きな政治的なねらいとあわせて検討するということでないと、付加価値税をただ税の立場だけから取り上げるということには非常に慎重でなければならぬと思っておりますので、そういうことも申し添えて次へ参ります。
 第二の問題は、所得税というのは取ることだけ考える税金なんですけれども、御承知のように、アメリカのこの前の大統領選挙の場合にも、それから最近ではイギリスの保守党でも、いろいろ呼び方はありますが、逆所得税というものを考えておる。これは新しい社会保障のあり方でありまして、日本もいま年金の問題でいろいろ問題が起こっておりますけれども、あらゆる福祉社会建設のための努力も、思いつくままに、思いつきが中心で次々継ぎ足していっておるというような形でございまして、何かこれはもう少し全体のシステム化が必要であるということも考える。
 その考える場合に一つの柱として、私もまだ結論的にこれがいい、逆所得税という考え方が絶対のものだというほどの結論は持っておりませんけれども、しかしそういう考え方が有力な考え方としてイギリスにもある、アメリカでも言うておる人もあるということでございます。これは大蔵省の所管になるかどうか、名前からいえば大蔵省の所得税のあれですけれども、逆所得税といったような考え方について政府としてそういうものを検討されたことがあるのか、検討される意思があるのか、その辺の感触はどうですか。
#86
○高木(文)政府委員 逆所得税、ネガチブ・インカム・タックスにつきましては、現在のところは、イギリスはどういう事情でどういうことをやろうとしておるのか、アメリカはどういう事情でどういうことをやろうとしておるのかということを検討しているにとどまります。したがいまして、現在の段階でわが国の場合にそれがどう適用さるべきかというところまではまだ検討に入っておりません。
 イギリスの場合は非常に複雑な源泉徴収制度がございまして、しかもウイークリー、毎週俸給が払われるということから、源泉徴収の事務が毎週行なわれるというようなこと、一方において児童手当制度が非常に複雑であるということ、そういうような背景がありまして、社会保障制度と税の制度とを結びつける必要性が非常に高まってきたという事情があるようでございますし、アメリカの場合は教育費の問題との関連でいろいろなことが付加価値税で議論されるということがあり、それぞれ現行制度及び歴史的経緯との関係が非常に濃厚のようでございます。
 この制度は、また理論的には非常にいい制度だというふうに考えられるわけでございますが、わが国の現行社会保障制度との関連から申しますと、日本の社会保障制度は申すまでもなくまだたいへんおくれているわけでございますので、そのもろもろの社会保障制度と税の関係を交通整理しなければならぬということについての緊急性という点については、まだちょっと、その盛んにネガチブ・インカム・タックスが主張されておるような国々とはやや事情が異なるのではないかというのが私個人の感じでございます。しかし理論的には、また仕組みとしても非常にうまくできておるものでございますから、少なくとも諸外国の制度の研究については怠りなくやっていく必要があると思っております。
#87
○竹本委員 これもいま局長のおっしゃるように理論的に非常に興味のある問題であるということが一つと、これからこれがもし大きな柱になれば、日本の雑然とした社会保障のいろいろな試みに一つのバックボーンを通すということになるという点、それからもう一つは、いわゆる百五十万円なら百五十万として九十万円しか取っていない。そうすると六十万円を全額補う、カバーしてやるというのでなくて、たとえばその六割なら六割というようなことにすれば――いまの日本の社会保障というのは無原則といってはまたしかられるでしょうけれども、少し足らない面と行き過ぎた面とがあると思うのですね。これは日本人の今日の教養の程度をもってすれば、一〇〇%何でもカバーするということがはたして社会保障としていいのかどうか、私自身は少し疑問を持っておるのです。そういう意味において、あの逆所得税の中で、かりに六割までは足らないところは保障するけれども、あと四割は自主的な努力に待つんだというような考え方は、もしそういう制度を考えるとすれば一つのおもしろいアイデアだろうと思うのですね。そういう意味で、これは私も、これがいいからこれをやってもらいたいと要求するほどの自信はまだありません。ありませんが、これはお互いにひとつ関心を持ってその動きを勉強したいということで要望を申し上げておきたいと思います。
 次に第三番目は、昨日もいろいろ議論が出ましたサラリーマン減税ですけれども、総理は総理なりにいろいろとおっしゃった。ここで主税局として、事務当局としては、サラリーマン減税の柱というものを那辺に求めようとしておられるのかという基本的な考え方だけ承っておきたい。
#88
○高木(文)政府委員 これまた非常にむずかしい問題でございますが、一つはやはり相変わらず給与所得者と他の所得者とのバランス論というのがいろいろ出てまいります。今回、事業主報酬制度を採用することにはなりましたけれども、事業主報酬制度の採用というのは、特別措置として、しかも臨時の措置として五年間やってみましょうということでございます。これは個人の事業経営者と法人の事業経営者とのバランスをとるというところから始まったわけでございますが、一面におきまして、所得税における勤労性所得と資産性所得との合体であるところの事業所得の一種の分解を来たすおそれのある問題でございます。
 そこで、給与所得控除の拡大は、サラリーマン減税問題単独で考えますと、それなりに非常に重要なファクターになるわけでございますが、私どもとしてそう単純にサラリーマン減税問題と扱いにくいと思っております点は、ただいまの事業所得との関係、特に事業所得の中における給与性所得の関係、さらにそれとのバランスの問題になってまいります。法人の代表者をはじめとするところの、主として同族関係の代表者をはじめとするところの給与所得控除が全額適用になっている問題との関係というようなことがいろいろございますので、サラリーマン問題給与所得控除問題を考えます際には、やはり絶えず他の所得者、場合によりましたら法人の代表者の給与も含めまして、そこらのバランスを考えながらやりませんと、将来長きにわたって所得税のあり方について禍根を残す心配があるのではないかというふうに思っております。
 と同時に、先般来いろいろこの審議を通じて御指摘を受けておりますように、夫婦と子供二人の家庭におきますところのいわゆる課税最低限は、世界の水準と比べましてもかなりのものになっておりますけれども、たとえば独身の場合で考えてみますと、必ずしもそうなっていない場合もあり得るわけでございまして、そういう意味で家族構成別にどういうバランスがよろしいかということを考えますと、給与所得控除のあり方といわゆる人的控除のあり方の組み合わせをどう考えるべきかという問題が起こってまいります。そこで人的控除の問題を全く離れて、給与所得控除だけに問題をあまり寄せ過ぎるということになりますといろいろな問題が起こるということで、やはり何といりても所得税の中心課題は給与所得控除問題だとは思います、サラリーマン課税の問題だとは思いますけれども、それを取り巻くいろいろの問題を考えますと、昨日総理が触れられました三割給与所得控除というような方式等につきましても、いろいろな角度から見てみないといけないのであって、いろいろな角度での負担公平からいって、あのような御提案がどういう結果になるか、それをもう少し慎重に見てみる必要があると思っておるということでございます。
#89
○竹本委員 サラリーマン減税の問題は、なかなか広範多岐にわたりますから、きょうはもうこの程度にとどめておいて次へ移ります。
 未成年者控除の問題、これはきのうも私もちょっと意見を述べましたけれども、何としても未成年の税負担は軽くしてやりたい、あるいは免除してやりたいということでございますが、私ども民社党を支持する組織の中には、特に紡績関係なんかには若い二十前の選挙権も持たない女の従業員が多い。しかも私は浜松ですけれども、それは沖繩からも来れば東北からも来ておりますから、そういうのを現実に見る立場において、たいへんお気の毒であるという考え方も強いので、これはきのう来議論のありました線で善処を要望しておきたいと思います。
 ただ、これに関連して、そういう未成年者については県民税や市町村民税については非課税になっておるかと思っておりますが、そうではないかと思いますが、非課税措置があるという点はどうか。
 それからもう一つ、より根本的な問題として、いま述べられた事業主報酬の問題は特別措置法の場合にあらためて十分論議を尽くさせていただくことにしたいと思っておりますが、この場合にも中央と地方で方針が一貫してない、理論の一貫性がない、食い違っているとまで言うていいかどうか知らぬが一貫性が足りない。いまの非課税の問題も、私も事実をよく調べておりませんからわかりませんが、そういうふうに聞いておるのだが、一方ではかけるが、一方では非課税、一方ではみなし法人と取り扱うが、一方では個人事業税、こういうふうに中央と地方とで同じような税に対する取り組み方が違っておるということについて、一体どういうふうにお考えであるかということをお聞きしたいと思います。
#90
○高木(文)政府委員 地方税におきます未成年者控除の制度は、一つは地方税が応能負担でなくていわば応益負担であり、かつ地方税が世帯課税であるという過去における歴史をしょって今日まで来ておるというものではないかと思っておるわけでございます。それにいたしましても、いま私どもから見ますと、住民税の考え方につきましても、いまや世帯課税のしっぽを残しておる未成年者控除は、理論的には多少問題がある制度ではないかと思っておるわけでございます。しかし一ぺんできた制度はなかなかやめられないということで今日まで続いておるわけでございまして、結果としては御指摘のような矛盾が生じておるということでございます。その点につきましても、先般来御指摘のあります就労直後の方の税の問題との関連で将来議論する場合に、やはりもう一度地方税との関連もよく考えて研究してみるべき問題だと思っておる次第でございます。
 それから、事業税のほうの話については、まさに事業税それ自体が非常にむずかしい立場に置かれていることを意味するわけでありまして、地方税の問題としても個人事業税の問題を将来どういうふうに持っていくべきか、私ども所管ではございませんが、自治省当局でも非常に苦慮しておるところでございます。おっしゃるように、いまその一、二の例を通じて国税と地方税と若干の食い違いが生じておりますが、それらにつきましては、国税と地方税の性格上説明できるものもありますし、なるほど説明しにくいものもあるわけでございまして、時間をかけてやはり議論する必要があり、幸いにして政府の税制調査会は御存じのようにそういうふうに設置されてありまして、そこで統一的な議論がされておりますので、非常にテンポもおそいとおしかりを受けるかもしれませんが、将来への方向としては漸次、いわば思想統一といいますか、そういう方向に向いていくことにならねばならぬというつもりで運用に気をつけていきたいと思います。
#91
○竹本委員 私は、中央と地方との租税原則を、一方は能力に応じ、一方は受益限度に応ずるという立て方は一応わかりますけれども、この間ここで参考人の意見にも若干そういう問題に触れた意見がありましたけれども、これはその一つ覚えで、そういう説明だけですべてが解決するというふうに考えていいかどうか、私は若干疑問を持っております。しかし、いずれにしても、最後に言われたように、受ける国民の側からいえば、大体同じ原則で理論の一貫性がなければおかしいという点もありますから、あらためてまた十分論議をさしていただくことにいたしましょう。
 最後に、白色の専従者控除の問題。今度は十七万から二十万円に引き上げられるわけでありますけれども、一つは、白色、青色になりますと、大蔵省の考え方の基本に、白の連中は脱税が専門であるというか、非常に脱税しがちである、そういうような意味で白色性悪説でとにかく対処しておられるように感じを受ける。ところが、われわれが事実を見ておると、青色にするだけの能力や余裕もない人で白色でやむを得ずやっているというのもずいぶんあると思うのですね。そういう意味で、白色性悪説を前提にすることは間違いではないかという点が一つ。
 それからもう一つは、二十万円というのは、隣の何とか控除が十九万円とかあるいは二十一万円とかいう辺でバランスをとって考えたということでありましょうと思いますが、しかし、それにしても白色の控除が、一方は完全給与制も考えようというような時期に、二十万円前後で一体どうであろう。それこそ控除だけのバランスからいえば一つの考え方だと思いますけれども、そんな控除でいいのだろうか、あるいは完全給与を考える場合と二十万円を考える場合とのアンバランスはどうなるか、この二つの点について御質問をしたいと思います。
#92
○高木(文)政府委員 本来、税法上のたてまえでは白色のほうが原則であって、青が特例であるということではございますが、いわゆる申告制度が採用されましてからまだ二十年余りを経過しただけでございまして、その過程を通じまして申告制度をどのようにして定着さしていくかということに税務執行の最大の重点が置かれてまいりました関係で、どうしても青を奨励する。何といっても、きわめて簡単なものでもけっこうですから、帳簿があるという前提であることのほうが申告納税ということになじむ。収入は幾ら、経費は幾らということをガラス張りでやっていただくということが望ましい。それがまたそれぞれの経営の内容を、税のことを別にいたしましても、記帳ということを通じて経営者御自身が把握することができるという意味でも望ましいのではないかという考え方で流れてまいりました。したがって、青と白の間に若干そのものの見方が違っておるということがなかったとは言えないかもしれないと思います。しかしながら現在青がかなり普及率が高くなってまいりましたこととも関連し、今後の青、白のあり方についてどうあるべきかという点は、竹本委員御指摘のように、もう一度いろいろ考えてみる時期に立ち至っているのではないかという御指摘は、私どももそのような感じがいたすわけでございます。
 第二の白色の控除二十万円の根拠がどうかということでございますが、この点につきましてもなお研究は十分であるとは思っていないわけでございますが、今回の改正につきましては、実は三万円上げたという趣旨は、御存じのように、今回のもろもろの諸控除の引き上げ幅は、基礎控除、配偶者控除あるいは寡婦、勤労学生控除というようなものが大体二万円の上げ幅で、扶養控除が二万円の上げ幅で、あともろもろの若干政策的な意図があり、あるいは昨年来当委員会で御指摘のあったような問題点であります老人扶養控除でありますとか、障害者、特に特別障害者であるとか、それから配偶者のいない扶養控除の問題であるとかいうものについては三万円の引き上げ、それから給与所得控除につきましても定額分を三万円引き上げたということをにらみまして、白色控除についても一番多い上げ幅にはしておこうということで十七万円から二十万円になったというような経緯でございます。
 この二十万円の絶対水準がいいか悪いかという議論は確かに御指摘のようにあるかもしれませんが、この問題については、まさに御指摘のように、基本に白色の事業者に対する課税のあり方、全体の問題が非常に控えておりますものですから、なかなかどういうふうな角度からどういうふうにして詰めていったらいいか、非常にむずかしい問題である。もともと何ぶん帳簿がないという前提でございますし、それから税務署が調査に当たりますにつきましても、御存じのように一種の効率なり標準率によって全体的にいわば推定的課税をせざるを得ないという前提のときに、この部分について青天井というわけにもまいりませんし、なかなかその辺はこの制度を今後動かしていくあり方については問題点が多いということはよく承知しておるわけでございまして、しかしなかなかどこから手をつけていくか、むずかしい問題であるというふうに考えております。
#93
○竹本委員 白色の問題は、いま局長もいろいろ御説明をいただきましたけれども、確かに非常にむずかしい問題はあります。特に帳簿を故意につけないような者もおるでしょうから、そういう点についてもいろいろあれしなければならないと思いますが、一番大きな問題は、とにかく日本のそういう零細企業の中には帳簿をつけることもできないのもいる。それから原価計算が全然わからない連中もおる。したがって、もうかっているか、損したか、それもよくわからないでそのまま事業を続けておる人もおる。
 こういう問題は私は税の問題よりも産業政策の問題だと思うのですね。結局日本の産業の再編成をこの辺で本格的にあるいは全面的にやらなければならぬ。そういう問題をそのままにしておいて、そして青だ、白だといって税の面だけからきびしく論及していくということではなかなか問題は解決しない。日本の経済全体の再編成の問題がより急務ではないかというふうに思います。それから、いま宅地並み課税の問題なんかもそうですけれども、やはり税でいけるには私は限度があると思うのですね。限界がある。すなわち、租税政策で何でもやる、ほかの基本的な政策をなまけておいて足りないところは租税でいこうなんというような安易な考え方では、産業政策をも変なものにしてしまうし、租税にも過重な負担がかかると思うのです。これは本委員会といいますかいまの問題ではありませんけれども、そういう考え方も私は持っております。
 いずれにいたしましても白色の問題についても、いま局長が述べられたような線で前向きに取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。以上です。
#94
○大村委員長代理 増本一彦君。
#95
○増本委員 課税最低限の問題が、すでに各委員からいろいろ主張や要求を含めて発言があり、また質疑もなされました。一定の問題については、政府及び与党の自由民主党のほうでも配慮をされるかのような、そういう答弁も得ているわけでありますけれども、しかしそれにしましても今回の減税額が、全体から見て、やはり国民の期待するところから見ると非常に低いものであるという批判はいなめないことであるというようにいわざるを得ないと思うのです。特に昨年四十七年については減税がなされていなかったという事態を考えてみましても、それでも四十七年の分については、たとえば夫婦子二人の所得控除総額が六十八万円ですから、それが今度の四十八年平年分で見ても七十四万円に上がる、その引き上げ率はわずか八・八%にすぎないわけですね。
 ところが四十七年には政府の統計によりましても物価の上昇率は五・三%。そしてこの四十八年は経済見通しによっても御承知のように五・五%だ。そうすると、実質的には四十八年分はそのうち四分の三しか恩典が受けられないということを考えると、ほとんど物価上昇分に見合うだけしか課税最低限が、つまり所得控除が引き上げられていないということになるだろうと思うのです。四十九年分にいって、それも四十八年の物価上昇率が五・五%で、これが四十九年にも同じような形になるということを想定して初めて、それでようやく三・三%の、つまり引き上げ率八・八%を物価上昇率五・五%で差し引きの三・三%についてだけ、いわば政府の形式的な物価上昇率の統計で見て、国民に実質的な減税といえる部分が上のせされてくるというにすぎない。
 先ほどの局長などのお話によりますと、物価調整部分は減税で一千三百七十億円であるというようにおっしゃいますけれども、これでは生活実感ばかりでなくて、こういう数値を簡単に計算しただけでも、実質的な減税部分というのは全くないといってもいいぐらいであるというようにいわざるを得ないと思いますけれども、この点について政府はどういうようにお考えになるのか。そしてまた、ほんとうに国民の要求する減税を実行していこうという立場に立つならば、この問題に対して今後どういう手だてをおとりになるのか、その点をまず政務次官に御答弁いただきたいと思います。
#96
○山本(幸)政府委員 課税最低限の問題は、もう先ごろ来からいろいろ御議論いただきまして、政府としても今後の特に所得税減税についての御示唆をいろいろいただいたように思います。いまいろいろ数字をあげて仰せられましたが、中身の減税が実質的な減税にあまりなっていないじゃないかというお話、自然増収、特に所得税の自然増収の中から、ことしは相当の部分を減税にさいたわけでございます。将来の方向といたしましても、総理のお話にもありましたように、やはり所得税というものの国税全体に占める位置から考え、また納税の人員が非常にふえてくるということ、それから景気、経済の上昇というものと所得税のあり方との関連といったことから、いろいろ考えてみましても、やはりこの問題については今後とも十二分に注意を払い、また政府としての適切なる措置をしていかなければならないであろう。ただそれをいつの時期にどういうふうな具体的な方法でやっていくか、差し迫ってくる福祉国家に多くの財政需要が出てくるわけでありますから、それらの需要にこたえるという意味もあります。そういうことも含めまして、今後この問題と取り組んでいきたい、こう思うわけであります。
#97
○増本委員 福祉国家を建設していく上ではお金がかかる。ですから税収を確保しなければならぬ。しかしその反面、国民の減税の要求も実現しなければならぬ。この二律背反を解決するような形でだけ問題を見ていきますと、これは福祉国家といいますけれども実質的には魂の入らないものになる。なるほど福祉国家で社会保障を充実するには、これは財源が要ります。しかし減税というのは、御承知のように、国民全体にひとしく恩典が行き渡っていく、そういう性質のものだろうと思うのです。ですから、減税を基礎にすると同時に、福祉国家というのは一面では富の配分の不平等を是正していくという意味を十二分に持っているわけですから、もっともっと取れるところからきちんと税収をあげていく、そして国民の、特に勤労者の生活に、直接生活費にもかかっていくようなそういう部分では、減税を大幅にやっていくということがいま非常に重要だというふうに思います。その点でこれは小林委員などの質問もすでにありましたけれども、どうも政府は所得控除の部分を大幅に引き上げていくということよりも、給与所得控除をはじめその他の諸控除を若干手直しをするということだけにウエートがかかっていて、これでは全体の国民の大部分の納税者に減税の利益を均てんさせていくという、こういうたてまえから見ると非常に問題があるのじゃないかというように思います。
 昭和四十五年の消費者物価の上昇率を一〇〇としまして、昭和四十八年は一体どのくらいになるかというと一九・一%の増加になるわけです。ところが所得控除の引き上げ率は一二・三%ということですから、この物価上昇率だけから見ると、実は所得控除分を大幅に上回って物価が上昇しているという、こういう結果にもなると思うのですが、こういう五年とか十年にわたって一体物価がどのくらい上がっているか。それを起点にすれば、所得控除率の引き上げ率を大幅に上げていく、こういう立場に立って減税の方向を見出していくということがまさにいま必要だろうというように思いますけれども、その点については政務次官はいかがお考えでしょうか。
#98
○高木(文)政府委員 ただいまお示しの数字、ちょっといま書きとれませんでしたが、私どもの手元の数字でございますと、いま増本委員がおっしゃいましたのは給与所得者以外のいわゆる課税最低限の状況を言っておられるのだろうと思います。この十年来は事のよしあしは別として給与所得者に非常にウエートを置いて減税が進められてきたことは否定のできない事実でございます。そこで、昨日来御指摘もございますように、給与所得者については、例の収入基準でものを議論しておりますところに一つの問題があるということでございますが、そのことをちょっとわきに置かせていただいてみますと、四十年――いまたまたまそういう数字しか手元にございませんので、四十年基準で四十八年を見ますと、給与所得者の夫婦子供二人のいわゆる課税最低限の改善率は二・三六%になっております。それに対して物価のほうは一・五三%――むしろ四十年基準で一五三%と申し上げたほうがいいかもしれません。それから子供二人の場合のサラリーマンの課税最低限は二三六%と申し上げたほうがいいかもしれません。そういうふうに非常に重点が置かれました夫婦子供二人のようなサラリーマン家庭について見ますと、物価指数等の変動幅と課税最低限の改善幅とはかなり顕著に開いているわけでございまして、年々では先ほど御指摘のように八・八と五・五で差が非常に小さいということかもしれませんけれども、毎年課税最低限の改善と物価の上昇率との間には若干のすき間がございますから、全体としては長期的に見ていただけば改善の度がはっきりするわけでございます。
 それに比べて問題がありますのは、給与所得者以外の者については給与所得控除が適用されませんから、その場合には人的控除の引き上げ幅で見ていかなければならぬわけでありまして、人的控除の引き上げ幅でいいますと、私がいま御説明申し上げましたものよりははるかに小さい改善率になってくるかと思います。そこらあたりの問題は、一般的に減税を進めていくのか、給与所得者を中心に減税を進めていくのかということの関係で出てくる問題でございまして、事の是非は別として、この十年間は給与所得者中心に改善が主張され、実現され、したがってそのためには給与所得控除制度の拡充にウエートが置かれましたので、そういう経過をたどってきたわけでございました。そのこと自体に御批判があれば、今後の減税のあり方について、またいろいろと御議論をいただく必要があるということであろうかと思います。
#99
○増本委員 局長は給与所得者を前提にしておっしゃったわけですけれども、本委員会での局長の答弁でも給与所得控除というのは経費の概算控除的な意味があるというような趣旨のこともおっしゃっているわけでして、給与所得者にも事業所得者にも適用されるいわば一番中心になる所得控除がふくらむかどうかということが、実質的な減税が国民に均てんされるかどうかということの目安であるというように思うのです。もちろん給与所得控除も同じようにこれが引き上げられてくるということはこれはもう当然のことだと思います。しかし、それとあわせて所得控除を全体として引き上げていくということを考えませんと、実質的な減税が国民に均てんされるということにならないという意味で私は申し上げているのです。
 そう見ると、事業所得者にも給与所得者にも共通する部分となると、この所得控除ですから、この伸び率がどうかということが、実は一番大きな問題であるというように思います。ですからそういう意味で、この伸び率が非常に弱いということになりますと、これは減税だといっても、結局政府の経済見通しでいう物価上昇率に見合うか、あるいはそれをわずかに越える程度のものにしかならない。これは国民の期待している大幅減税という要求にほど遠いものにしかならないというように思うわけで、この点の観点をひとつ百八十度転換すべきであるというように私は思いますが、この問題については、その点についてだけ政府の方向としてお答えいただきたいと思います。
#100
○高木(文)政府委員 私どもは必ずしも心底からそうは思っておらないのでございますが、世の中ではクロヨンとかトーゴーサンとかという議論があるわけでございます。そのことがいまかなり一般的に世論といいますかそういうものの支持がある。そこでいま増本委員がおっしゃるように、本来全体としてもっと減税を考えるべきだということであるならば、もし減税の総額が同じだということになれば、過去においてもっと基礎控除なり、配偶者控除なり、扶養控除なりという人的控除に重点を置いた減税が行なわるべきであったということになるかと思われるのでございますが、そこのところは現在の申告納税制度、――申告納税制度というのは御本人がどれだけの収入があり、どれだけの経費がかかったということを一番御存じでございますから、それを申告なさる。そして税務署の仕事はあまり極端に開きがあるのではないかと思われるものだけを調査をする、こういうのが申告納税制度でございまして、納税者は正しい申告をするのだという前提のもとにし組まれている制度である。一方給与所得のほうはそれを前提にしてはおりますけれども、収入基準で一定計算が行なわれるということのギャップから総合的に見るとそういう社会的批判が生まれてきているわけでございまして、その社会的批判を踏まえてなされてまいりました十年来の改正の経緯につきまして、それが正しくない、給与所得控除よりはむしろ人的控除のほうにより重点を置いて考えるべきではなかったかという御批判になるかと思いますが、そうであるとすれば、それらの点については、なお広く各方面からの御議論をいただいた上で、今後の改善の方向というものがきめられていかなければならないわけでございます。その辺は私どもといたしましても、国会なりあるいは与野党の間の御議論の間に進んでいくわけでございますが、何といいましても、現実問題としてこの十年間は大きな声としては、サラリーマンの問題を何とかもっと考えるべしということで進んできたのでありまして、その結果が御指摘のような数字になってあらわれてくるということであろうかと思います。
#101
○増本委員 そこで局長、クロヨンとかトーゴーサンというお話をしましたけれども、結局、そういう問題とか、あるいは給与所得控除を中心にしてそれを引き上げていく、こういう形で国民の世論が高まってきているのは、やはり源泉制度に一つ問題があると思うのですね。国税通則法でも、申告納税制度を一つの原則的な制度として置いて、源泉徴収制度というのは、いわば言ってみれば例外的な制度のような形で、通則法自身は規定していると思うのです。ところが、納税者の実際の数からいくと全く違って、原則が源泉徴収で、申告納税制度はむしろ非常に納税者の数は少ない。そこから、こういう源泉徴収制度というものを前提にすれば、どうしても給与所得控除を引き上げる以外に給与所得者としては実質的な減税に浴せないし、だからこれを引き上げろという要求になるわけですね。
 せんだっても山田委員から、給与所得者についても確定申告の制度を保障するようにせよというような趣旨を含めた質疑がなされましたけれども、少なくとも、こういう給与所得控除を選択するか、あるいはみずから必要経費を計算して申告をするという申告納税の方法を選択するかを、給与所得者の選択にゆだねるということをやれば、そういう意味ではもっと、国民自身がみずからの所得をきちんとみずからの力で計算して適正な納税もできるし、納税に対する不満もその面では解決できるということになるんだろうと思うのです。政府も、この給与所得控除については、経費の概算控除だという側面をお認めになっているわけですから、ここのところは、給与所得者にも申告納税制度を保障していく方向で法改正を検討すべきであるというように思います。これは選択制でけっこうだと思いますけれども、そういう点ではどのようにお考えになっていますか、お伺いしたいと思います。
#102
○高木(文)政府委員 立法論としては、御意見のような制度も十分考えられると思います。ただ、執行論としては、これは非常に基本的に変わらなければならない。おそらくいまの五万人という税務職員を何倍か、何倍というのも、二倍とか三倍という数ではなくてよほどふやすということでなければ、公平が保てないということになりはしないか。それはどういうふうに選択されるかということにもよるわけでありまして、選択される方が少なければそんな心配はありませんが、選択される方が多ければ、そういうことになってくる可能性があるわけでございます。その執行論の問題が一つございます。
 それからもう一つは、サラリーマンにおける必要経費とは何かということの基準を明確にきめる必要があるわけでございます。給与所得者の中で比較的基準的な生活をしておられる方、いわゆるサラリーマンという概念に当たる方については、比較的簡単に処理ができるかもしれませんが、給与所得者の中でも、やはりいろいろ特殊な経費がかかるという場合があるわけでございまして、そういう方だけが選択をされるということになるわけでございます。平均的な方よりも経費がかかる方だけが選択されることになるわけでございますが、その平均的な方よりもかかる方のもろもろの経費のうち、個別にいかなる部分を所得を得るための経費として算入することにするかという基準のとり方、これが非常にむずかしいだろうと思います。
 たとえば一例をあげますれば、学校の先生が図書を買われる、その図書のうちいかなる図書が給与を得るのに必要なものかということになりますと、その図書のうち、教育に当たられるための図書と研究に当たられるための図書、それからいわば趣味でお買いになっている図書、そういうものの分界を、税務職員が行って、その図書を全部一ぺん見せてくださいということになると、なかなかめんどうな問題が出てくるわけでございまして、これほどいまのサラリーマンの間で、いわばサラリーマンだけが重い税を納めているのではないかという不満がある現状からするならば、むしろ選択制をとったらどうだ、選択制をとっても、私が先ほど申しましたように、そう大ぜいの方が選択されるわけでもなかろうから、それでも場合によったら処理可能ではなかろうかという意見をなす者も、現実にわれわれの事務屋の内部でもあるのですけれども、私どもが考えますには、はたしてそれをやるのに足る基準をいまつくり得るかどうか、そして現在の税務署の職員がそういうことで一人一人の、二千八百万人前後の納税者の方々のうちの何%かの方ではありましょうけれども、そういう方に接触をして、この本はだめだとかなんとかいうことで接触をすることがいいかどうか、その辺は率直に言ってあまり自信がない、そのほうが公平であるか、社会緊張が緩和されるか、その制度のほうがいいかどうか、自信がないということでございます。
 もう一つは、税務署に対する立証技術の巧拙、じょうずかへたかということによりまして、どうしても差が出てくるわけでございます。
 そういうことも考えまして、立法論としては十分あり得る御議論だと思いますし、全く研究していないわけではないのでございますけれども、なかなかそういう方向に踏み切ったほうがよさそうだということにはなりにくい現状判断でございます。しかしこの点については、今後給与所得控除がかなり大幅に上がってまいりますならば、ある程度解決がつくのではないか、そのような不満がだんだん解消してくるのではないかというふうなことでここ数年来きておりますけれども、まだなおそういうことがなかなか解決しない現状において、今後ともやはりサラリーマン課税の最も大きな問題の一つとして、われわれとしても研究しなければならぬ分野であるというふうに考えております。
#103
○増本委員 きのう総理の、調整減税というような形のものも実質的にはやることもあるし、そういう点で、勤労者、低所得層に対する減税を実質的に確保していくことについては苦労もしているという趣旨の発言があったわけですけれども、そういう意味からしますと、一つは、所得控除そのものが、そういう概算控除かあるいは申告納税にするか、その選択制をとる上で、やはり人的控除が低ければ申告をしなければならない人の数が結局はふえるわけですから、そういう申告納税制度の持つ内部的な調査なり事務処理などの税務執行上の能率を確保する上からいって、私は、所得控除を大幅に引き上げるということも、現在の税務執行の能率を促進する上からも非常に重要だというように思うのですよ。そういうことも踏まえて所得控除を大幅に引き上げるということも、給与所得者について概算控除か必要経費として申告納税で処理するかということの選択について今後検討する上では、十分に配慮をしていただきたいというように考えるわけです。
 そこで次に、いまの確定申告の場合でも、あるいは源泉徴収の場合でも、自分の税額を計算する上であまりにいろいろな控除が錯綜しているために非常にめんどうくさい。そればかりではなくて、多くが所得控除になっているために、どれだけ自分の税金が安くなるのかということについて一目瞭然とわかるということがないわけですね。ですから一つは、少額のいろいろな所得控除についてはこれを税額控除に変えていくということをやって、低所得者についてその実質的な減税の利益と効果を及ぼしていくということも方向として考えるべきではないかというように思うのですが、そういう点ではどのようにお考えになっているか、ひとつ御意見を伺いたいと思うのです。
#104
○高木(文)政府委員 もろもろの控除のときに、いかなる性質のものが所得控除になじむか、いかなる性格のものが税額控除になじむかということは非常にむずかしい問題でございまして、ある種の控除につきましてはある時期においては税額控除で処理をした、それからある時期におきましては所得控除で処理をした。必ずしも、常にこれが絶対に所得控除でなければいかぬとか税額控除でなければいかぬということではないのでございまして、いろいろの議論の末で所得控除制度をとりましたり税額控除制度をとりましたりいたしておりますし、それからまた時期によりましてそれが変わったりしております。
 そこで、所得控除がいいか税額控除がいいかという問題につきましては、その目的によっても判断されるべきものでございますし、またおっしゃいますように、税額控除のほうが幾ら引いてもらえたかということがはっきりするというメリットはあるわけでございます。その一つ一つの項目につきまして新しく制度を設けますときには検討するわけでございますが、御指摘は、あるいは現在の所得控除制度を全面的に税額控除制度に変えてはどうかという御意見かと思いますが、その点につきましては、たとえばもろもろの人的控除を税額控除に変えるということがどういう結果になるか、いま直ちにここでお答えするだけの知識その他少しく不十分でございますので、なお今後よく勉強した上でお答えすることにいたしたいと思います。
 ただ、複雑さという点につきましてはまさに御指摘のとおりでございまして、何とか簡素なものにならないかということを考えるのでございますが、簡素なものにするためには、それが所得控除であるか税額控除であるかということよりは、もろもろの制度を新たにつくるよりは、どっちかというと基礎的な控除制度を拡充するほうが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、そうは言っても税は単なる公平だけで片がつきませんので、昨日総理も申しておられましたように、誘導政策に税を使うというような議論も出てまいりますと、やはりかえって複雑になるというあたりで、それをどの辺で調整するかは私ども非常に悩んでおるところでございまして、私どもは事務的にはどっちかというと簡素なほうが望ましいと思うのでございますが、やはりいろいろな御要請があってもろもろの控除ができてきたわけでございまして、そう簡単に簡素だけで片づかないというところで、理屈はわかりながら、現実問題として、処理としてはどうも毎年新しい控除ができるというようなことで来ております。ちょっと答弁が不十分でございますが、所得控除、税額控除の関係については、簡素化という点ではあまり変わりはないのじゃないかというふうに考えております。
#105
○増本委員 きのう局長は、課税最低限というのはここから課税されるといういわばスタートラインだという趣旨のお話をなさいましたね。ところが、課税最低限でここから課税されるというスタートラインから一歩踏み出しますと、税率がいきなり一〇%でどかっとくるわけですね。きのうの小林議員の質問にもその点が触れられておったのですが、はっきりとした答弁はどうもなかったように思うのです。やはり四十万までは一〇%という現在の税率の構造、これをもっと刻みをつけて、そしてそういう点から税負担を軽減していくということも、この際ほんとうに考えるべきではないだろうか。いまの日本の税率構造を見ますと、言ってみれば急激な傾斜で所得がぐっと上がると、あとずっと七五%の高原状態です。これはやはり課税最低限が低い上に、最初のスタートラインから一歩踏み出すともう一〇%の税率がかかるというこの仕組みが、一つは税負担を重くしている原因にもなっていると思うのですね。
 ですから私は、税率はほんとうに超高度累進で、しかし低所得者に対しては税率の刻みをもっとこまかくして、そして税負担を軽減するような構造に変えるべきであるというように思いますけれども、この点については私はことしあたり出るのだろうと思っていたのですが、いろいろな関係からことしは税率に手をつけられなかったというお話ですけれども、どういうようにお考えになり、そのプログラムをいつから実現されようとしているか、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
#106
○高木(文)政府委員 課税が始まる段階の税率を何%から始めるかという問題は、なかなか御議論があるところでございまして、一昨年のいわゆる年内減税のときにもいろいろと御議論いただいたところでございます。わが国の税率は、御存じのように四十四年以来一〇%になっておりますが、その前の三十九年度には最低税率八%でございました。四十一年に八・五%に直し、四十二年に九%、四十三年に九・五%ということで、四十一年から四十四年まで四年間かかりまして一〇%にしたわけでございます。これは、やはり刻みをあまりこまかくすることが計算上非常に複雑であるということで、始まりの税率、私どもの専門のことばで、課税になるところの最初のところという意味で飛び込み税率と言っておりますが、この税率を簡素にしておかないと、ここのところの納税者の数が非常に多うございますし、そして多くの方に源泉徴収事務等をやっていただく関係がありまして、一〇%であればつまり一けた落とせばよろしいということでありますが、八・五とか九とか九・五ということになりますと、そろばんを一つ入れなければならぬという問題がありまして、むしろ一般的には、それならば多少課税最低限の下を思い切って切ってしまっても、税率を一〇くらいから始めることにしたらどうかということで一〇になっておるわけでございます。過去におきましては、その税率の刻みは五%刻みであったわけでございますが、四十一年からいろいろ直してまいりまして、現在二%刻みになってきたということでございます。このスタート税率を幾らにするかということはなかなか問題があるところでございます。
 御存じのように、アメリカではスタート税率は一四%でございますし、イギリスは三八・七五という比率でございます。そのかわりどこまでいっても三八・七五ということで、一定の付加税がかかるまでは比例税率である。ドイツは飛び込み税率は一九になっているということで、日本の飛び込み税率はよその国に比べると必ずしも高いということはいえないわけでございます。前回のいわゆる年内減税のときに、せっかく減税をしましても初めて課税になるところあたりがいきなりぽんと一〇だということについては、四十万円までが一〇であるということについては、いろいろ御議論がございました。カーブをかいてみますと、そこのところだけキュッとカーブが右上がりに上がりますから、そこのところがうまくないのじゃないかという御指摘がいろいろあったわけでございます。これは非常に問題のところでございますけれども、いまのところはこれをさらにまた端数をつけたようなものにするとか、あるいは半分にするとか、そういうことはちょっといかがか、まあそれをやるならば、むしろそこのこまかい税額になりますと、こまかい税額のほうはやはり課税最低限のほうに譲ってしまうというようなことのほうがいいのではないかと思ったりいたしておるのでございまして、現在の段階については、この飛び込み税率一〇を下げるということは考えておりません。
 それから、上のほうの税率につきましては、最高税率がいま幾らであるべきかということでございますが、これは現在七五でございますが、御存じのように、地方税と合わせて八〇%でとまることになっておりますが、この七五という税率もしくは八〇という税率は実効税率でなくて、限界税率であるにいたしましても、どうも少し重いのではないかという議論もあるわけでございます。かたがた、とのいまの七五という税率は、現在は八千万円以上が七五になっておりますが、いまから十年近く前、昭和三十九年を見ましても、六千万円くらいのところが七五であったわけでございますから、それこそ当時と今日との物価水準を見ますと、かなり重くなってきておるわけでございまして、この七五の率をどういうふうにするか、これはいろいろ問題がございます。
 しかし、その前に、勤労性所得と資産性所得の負担の問題、分離課税の問題、いろいろございまして、いまのところはちょっとこの税率を動かすのは、最低の一〇、最高の七五という税率を動かすのはなかなかむずかしいのではないか。刻み、適用の幅を四十万円ずつ広げております。この幅を少しずつ変えていくということは、先ほど高沢委員の御質問にお答えいたしましたように、物価調整減税の思想の中に、片一方においては、課税最低限についてだけ物価減税を見るのでなしに、税率についても見るべきだという御議論がありますので、何年かに一ぺんはやらなければならないと思いますが、一〇という数字と七五という数字は、いまのところは私どもはちょっと動かす気持ちはないわけでございます。
#107
○増本委員 飛び込み税率といいますけれども、結局、はなから一〇ですからねハードルの競争でスタートラインをあれすると、すぐいきなりハードルがあって、パッと飛び込むようなわけで、だから、飛び込みというよりもむしろ飛び上がりみたいな、そういう感じを持つと思うのですよ。ですから、私は見解が違いますけれども、もし源泉徴収でそれが煩瑣だというんでしたら、それはたとえば半分だっていいと思うんですね。あるいは四分の一から始めるというようなことでもいい。だからそこは、設定のしかたを事務の合理化と含めて検討する。これは当然課税最低限を一歩でも飛び出した、そういう人たちが主として恩典を受けるものですし、そこにまた給与所得者をはじめ納税者の多くの人たちがいるということを考えれば、そこも政策的な配慮として検討していただきたいということを強く要求したいと思うんです。
 ところで、キャピタルゲインに対する課税の問題が、今国会でも有価証券取引税法やあるいは土地税制の問題とあわせて相当議論になってまいりました。今度の所得税法の改正案でも、ゴルフ場の会員権を株式の形でやった場合に限って、悪名高い九条の一の十一でしたか、のあそこに加えることになったわけですけれども、これをゴルフ場などの株式会員権だけに限ったその理由というのは、一体どこにあるのでしょう。
#108
○高木(文)政府委員 ゴルフ場が会員からお金を集めて会員にするという形態は、大別して二つございまして、一つは株式制度でなくて、とにかく会費として払い込みを受けて、払い込みになった方々がそのメンバーになる、こういう方式でやっているゴルフ場と、株式会社を設立して株を発行して、その株を持った方だけが会員になれるという制度でやっているところと二つございます。さらにその混合形態として、株式会社の株主になった人だけが一方のまたクラブの会員になり得る。株式会社の株主になれると同時にもう一ぺんある種の会費を払ってクラブのほうの会員になり得る、こういう形態のものもあります。この三種類分かれております。
 そこで、従来の税法の扱いでは、会員権でありますと、それを売った者は、売ってキャピタルゲインが実現いたしますと、譲渡所得になるわけでございます。ところが株式形態の場合には、例の株式の譲渡所得の非課税の関係で課税にならぬということになります。ところが、一般にゴルフ場の会員権というのは、最近はかなり一般的に取引されておりますが、どこかのゴルフ場に入るために会員権を買う。あるいは株を買うという方から見ますと、どこのゴルフ場が株式組織であり、どこのゴルフ場が会員組織であり、どこのゴルフ場が混合形態であるか、なかなかわからないということになっておりまして、現実問題としては会員組織になっておるところについてのみ雑所得としての課税が行なわれるということについて、きわめて奇異な感を受けられて、何かゴルフ場の会員権は非課税だという話だったが、どうしたんだというような批判が出てくるわけでございます。
 実は、今回ゴルフ場の株式について課税のほうに持ち込むことにいたしましたのは、最近どうもひどくゴルフ場の株式の値段が上がっている事例がございます。その上がっておるのはどういう場合かと申しますと、必ずしもそのゴルフ場が非常にいいゴルフ場で愉快にプレーができるからというので上がっているのではなくて、そのゴルフ場の周辺が都市化してきて、その財産価値が高そうだということから上がってきたというものが非常に多いわけでございます。したがって、その株券はゴルフ場の株券なのか土地の分割所有権みたいな経済実態なのかということが問題になってまいりました。そこで今回、土地の譲渡所得について非常に重課制度をしくことになりましたことと関連いたしまして、かねがね問題でありましたゴルフ場の会員権については、株式方式であろうと会員方式であろうと、一切課税ということにするために改めさせていただきたいという提案でございます。
#109
○増本委員 ゴルフ場の株式の会員権だけこれをキャピタルゲインで課税する。ほかの株式を含む有価証券のキャピタルゲインについては相変わらず二十万株、五十回のこの制限でほとんど有名無実だ。この証券譲渡の譲渡益に対する課税についての政府側のこれがやろうと思ってもできない理由というのは、この捕捉が困難だというこの一点にいわば尽きてきているように思うのですけれども、これはそういうことでよろしいわけですか。
#110
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。
 ゴルフ場の会員権等につきましては、ゴルフ場のほうでだれが会員であるかということもはっきりしておりますし、それから、いつその方が会員になられたかということがはっきりしておりますから、取得原価がほぼ想像がつくわけでございます。だれからだれに売られたかということについて、譲渡事実そのものがかなりはっきりしておりますし、もう一つは譲渡原価がはっきりしておりますから、そこでキャピタルゲインの額が確定するわけでございまして、その意味において把握可能である。ところが一般の株式は、どなたがどなたに幾らお売りになったかということはなかなかわからないということが一つと、その株は一体いつどの時点で買われたか、したがって取得価格が幾らであったかということを客観的に把握することが非常にむずかしい。その把握の困難ということが、この株式譲渡所得の非課税を余儀なくされている基本的理由でございます。
#111
○増本委員 そうしますと、ゴルフ場の株式会員権ですね、この場合には、何かゴルフ場から資料筆を出させることになるのですか。その点はどういうぐあいになるのですか、捕捉の点は。
#112
○高木(文)政府委員 立法にあたりまして関係の方々といろいろお話をして、いま協力を求めているところでございますが、特に資料を出していただかなくても、要するに関係会社には会員名簿が大体できております。それで、通常の事業会社の株主名簿というものもございますが、株主名簿に登載されている方と実際に持っていらっしゃる方とは普通の会社の場合には非常に違う。つまり株主権を行使する、あるいは配当受領権を行使をするということを目当てとしている株主さんはちゃんと株主名簿に名前の明確化をしておりますけれども、そうでない株主さんが一般の企業の場合はたくさんおられる。ところがゴルフの場合は、まあいまのところは、大部分の方がプレーをするという目的でやっておられますからして、少なくとも現段階では御本人の住所、氏名その他が登録されておりますし、名義書きかえの場合には大体名義書きかえ料制度がありますので、名義書きかえ料の支払いというようなこともあるものですから、ゴルフ場のサイドとしてはそういうことについて協力しても別段何ら差しつかえ――何らということもないかもしれませんが、差しつかえないということで、そういう移動について資料筆ということになりますかどういうことになりますかわかりませんが、こちらが調べに行ったら見せていただくとか、あるいは先方から定期的に出していただく。いずれにしても協力をいただけるという前提
 になっております。
#113
○増本委員 会員名簿を見に行くということになるのかあるいはゴルフ場会社から任意の資料筆として出させるのかというのは、これはだいぶやり方が違いますね。これを正確に捕捉する上では、少なくともこれは法定資料筆じゃないですからね、何らかの形で出させるということを、任意資料筆にしても出させるというととを保証しないと、これは実効をはかることができないだろうと思うのです。
 あえてほかのキャピタルゲインに対する課税については目をおつむりになっていながら、これだけは出すということになると、これについては捕捉が可能であるという一定の確信をお持ちになった上でおやりになっているだろうと思うので、それだったら、それは一体どういう手だてでやろうとしているのか。これは局長よりもあるいは部長のほうがいいかもしれませんけれども、ひとつどういう手だてを考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
#114
○吉田説明員 新しく課税になります株式の問題もございますが、従来から譲渡所得の対象になっております会員権の問題もあるわけでございまして、私どもといたしましては、現在は関係のゴルフ場の方、あるいはその協会の方とお話し合いいたしまして、任意の協力というかっこうで資料をいただいておるということでございまして、現在の段階では非常に協力状況はよろしゅうございます。
#115
○増本委員 そうすると、この株式会員権の場合もそういう任意の資料を提出してもらう、こういう形でやっていくということなんですか。
#116
○吉田説明員 現在は協力状況がわりあいによろしいものですからそう考えておりますが、いろいろ問題がありましたら、そのときまた検討してみたいと思います。
#117
○増本委員 そこで、このほかの有価証券の譲渡益について、これは捕捉が困難だとおっしゃっておるわけですけれども、ほかの有価証券についても証券会社に少なくとも売買の報告書とか特に最近はオンラインシステムが採用されてすべて本店に集中され、コンピューターも採用されてコード番号でもはっきりとしている。だから架空名義であろうと、コード番号はちゃんとしているわけですから、それに基づいて一定の作業さえすれば、キャピタルゲインを捕捉するという難問は相当程度解決できるんじゃないだろうかというように考えるのですけれどもね。その点については主税局なりあるいは国税庁では検討されていないんでしょうか。
#118
○高木(文)政府委員 まず株券については、ゴルフ場の場合と違いまして、一般の株券は量がものすごく多いわけでございます。しかもそれは極端な場合には、きのう買って値上がりを待ってすぐきょうまた売るということでございますから、株券の量が多いのみならず、取引の量が猛烈なる量でございます。そこで、これを何らかの形でとらまえなければならぬということになりますと、考えられる知識としては、一定量のものに限る、いまの何回何万株ということでなくて、一回の取引量が非常に大きいものに限るということにすれば事務量をそんなに負担を証券会社にかけず、また税務署側にもそう負担にならず、可能ではないかということが一応考えられるわけですが、もし一定量取引以上の株の取引だけを、たとえば届け出制度なり登録制度なりにするということを考えますならば、必ず一定量、XならX量ときめまして制度をきめますればXマイナス一の株券が売買される、こういう制度になっていきますので、どうも量で限るのではうまくないということになってきまして、そこでどういうふうにしたらよろしいかというのをたいへん苦慮しているわけでありまして、現在の五十回、二十万株というのも、事の性質上それはいわゆる株の単純な譲渡というよりはむしろ事業所得なり雑所得に類するものだ、商売として株を売ったり買ったりしているんだということがいえるということであの知恵がいま出ているわけでありますが、その制度がなかなかうまく動かないということでありますので、何とかこの株の取引を捕捉をするということにつきましては、いまの五十回二十万株のような思想を若干発展をさせていく方法が、当面は一つのアプローチをする道ではないかと思っておるわけでございまして、実は私自身は、昨年でき得るならばそういうことをもう少し詰めて研究したいと思っておりましたが、非常に恐縮でございますが、いろいろな改正の法がございました関係もございまして、率直に申しまして、なかなか手が回りかねるということで、結論までに至りませんでした。しかし、この問題は、われわれとしていつまでも放置できない問題でございますので、この技術を何か開発をしなければならぬというふうに考えております。
 と同時に、もう一つは、仮名あるいは無記名で取引されますので、仮名で取引されますとほかの名前を使われた方に迷惑がかかる。よくありますのは、電話帳を使って、電話帳の適当なページの名前を書いて取引するということがありますので、うっかりなかなか使えないというようなことが、名前そのもので分別できないということで、関係ない方に御迷惑をかけてしまうという危険が非常にありますものですから、そこらを考え、さらに言ってみれば、業界の問題の考え方についても漸次改めてもらうことを考えながら、何とかこの入り口を見つけたいと考えておりますけれども、ゴルフ場の株式のようには簡単にはいかないと思います。
#119
○増本委員 ちょっと有価証券取引税の税務執行上の扱いを伺いたいのですけれども、これは御承知のように、申告による納付とそれから特別徴収による納付と大体二つの種類、それから御本人さんが印紙によって払う場合とあるわけですね。これについては、法律によると、それぞれ政令で定めた様式の納付書とか、あるいは有価証券取引高書ですか、というようなものを税務署長に提出をするということになっていますね。これはそのとおりでよろしいわけでしょう。国税庁いかがですか。――そうですね。それはどこのセクションでやっているのですか、それぞれの税務署では。
#120
○吉田説明員 直税系統の資産税の部門でやっております。
#121
○増本委員 そうすると、なお都合がいいですね。証券会社には記帳の義務がある。この有価証券取引税法の二十二条には質問検査権も保障されている。問題は、このほかのそれぞれの有価証券取引税を納付するときに税務署長に提出をする書面の様式は、この政令の四条や四条の二で、譲渡価格を記載するようになっておるわけですね。この政令を改善して、たとえば取得価格についても、証券会社がそれを扱っている場合には、その譲渡した株の取得価格についても明らかになるわけですから、それまで記載させるとかいうことをやると、かなり譲渡益の実体をこういう側面からも捕捉することが可能になると思うのですけれども、こういうようにして捕捉の方法をいろいろいま検討すべき段階にきているんだと私は思うのですよ。
 ですから、こういう徴税の方法を事こまかに一体検討するたてまえでやっておられるのかどうか、この点はどうなんでしょう。ただ有価証券の譲渡益については捕捉が困難だからもうだめだということだけで終わったんでは、国民のこのキャピタルゲイン課税の悲願をいつまでたっても果たせない。そうして資産所得者はもういつまでもぬくぬくして大もうけをし、過剰流動性まで問題になるということだと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#122
○吉田説明員 ただいま御指摘の特別徴収による納付の四条の二の場合は、御案内のように有価証券の取引をまとめて全部一括してやります。先生のおっしゃいますように、具体的な譲渡者あるいは譲受者というかっこうで、たとえば個別の場合の印紙納付の場合のようにすると非常に手数がたいへんでございますので、現在の特別徴収の場合は御承知のように一括まとめてやっておりますので、それをこまかく個々の取引に分けてやるということはやっておりません。
  〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕
#123
○増本委員 四条のこの申告書の場合でも、これは取引税だけのことを考えていますから、この「譲渡価格の合計額」というように四条の二号でも書いてあるし、四条の二の二号の場合もそうだし、それから七条の証券会社の記帳義務についても同じような、価格や数量、約定年月日、受け渡し先、受け渡し年月日というように、譲渡するそのことは書いてあるけれども、これは政令ですから、大蔵省が、政府がその気になってこういう点についても一定の改善を加えることによって、私はキャピタルゲインの捕捉もそういう面では改善されてくるというように思うのです。だから、そういうところも、まあこれは一つの例なんで、たとえばこういうこともあるということです。それからコンピューターも採用されるようになって、コード番号で、もう偽名を使っていようと名義貸しをしていようと、コード番号は動かないわけですから、そういう点では、たとえば一年、二年、三年ぐらいの間にそれを報告書を整理させて、そうしてやっていけば、あとはその同じコード番号でこの株の入ってくるものと出ていくものとの関係は、これは報告させればあとはわかるわけですから、そうすれば捕捉は、最初のスタートは確かに一定の事務が煩瑣でたいへんかもしれないけれども、そこで腰を据えてやれば、あとはかなり捕捉が楽になるし、徴税能率もあがっていくんじゃないだろうか。だから、そういう点も含めてひとつ検討してほしいと思うのですが、いかがですか。
#124
○高木(文)政府委員 御指摘のようにいろいろな方法でいろいろな入り口をさがそうとしておりますから、いま一つのサゼスチョンをいただいたわけでございますので、よく研究していきたいと思います。
 ただこれは、譲渡価格そのものは証券会社が当然知っておりますからいいのだろうと思いますが、それの原価ということになりますと、これは一人一人のお客さんの問題になりますのでうまくいくかどうか。また現在この所要の方式をどの程度どういう事務所がやっているか。いまコンピューター等もありますから、やりようによってはできるかもしれませんし、そのあたりのところを含めまして、もう一度その辺をよく勉強いたします。
#125
○増本委員 これは、だからそういう意味でいろいろ捕捉についての徴税技術は、やはり科学的にきめこまかに本気になって検討していただきたい。そうすればこういう――言ってみれば国民の批判は九条の第一項の十一号。これは政令でやっている問題も含めて二十万株五十回というのはまやかしだ。だからこれを削除して堂々とやはり課税していくというたてまえで私は考えていくべきだというように思うのです。だから、そういう点を強く要求したいというように思います。
 だいぶ時間が過ぎてしまったので、はしょってあと一つの問題だけちょっとお答えをいただきたいと思うのです。
 それは事業主報酬制度の問題であります。この事業主報酬制度につきましては、これはかねてから中小零細業者を含めまして、自分たちの事業所得の中には勤労部分が当然含まれている、これに対しては給与所得と同じように扱ってくれ、あるいは自家労賃はちゃんと経費として扱ってくれ、こういう要求と運動が前提にあったんだろうと思うのですね。ところが今回のこの制度を見てみますと、それをそのまますなおに実現するというのではなくて、何か一口で言うとみなし法人にして、いままで中小零細業者が自分たちの報酬とか給与所得に見合う部分を何とか確保しようというので法人成りしていた、これをいわば所得税という木に竹をつぐといったような形で、言ってみればみなし法人成りという制度を制度として新たにつくってしまった、こういうような結果になっているというように言わざるを得ないと思うのです。これはむしろうしろを向いて自由民主党に質問をしたほうがいいのかもしれません。ですけれどもこれは政府の提案でありますから……。ですから、これはほんとうに中小業者の要求をすなおに正当に反映したものではなくて、何か別の制度みたいになってしまったというように思うのですけれども、まずこの制度の目的は一体何なのかという点をお答えをいただきたいというように思います。
#126
○高木(文)政府委員 事業所得者の問題がいろいろありまして、その中で一つの流れは、いま御指摘になりましたように、事業所得者のその所得は勤労のたまものである。お店をやっておられて、物を売ったりつくったりという場合に、これはまさに労働のたまものである。したがって、この勤労性所得の性格を持つ事業所得について何らかの形でその勤労性を認めよという主張がある。これが一つの流れであります。それからもう一つの全く別の流れとしては、個人事業所得者の中で法人経営でやる場合と個人経営でやる場合とで税法上の扱いが違い過ぎるので、しいて商法の規定による法人方式でなくても税法上法人扱いしてもらってもいいではないかという主張の流れがございます。前の流れのほうの事業所得における勤労性を認めよという問題については、これは実は私どもといたしましては非常にむずかしい御要求であるというか、御要請であるというか、扱いにくい問題なのでございます。御存じのように、所得税は利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得等十種類の所得に分かれておりまして、十種類の所得ごとに経費の計算方式その他がきまっておるわけでございます。その所得税の中で、いわば十種類のものの中で一番中心的なもの、あるいはもとをなすものが事業所得でございます。その意味は事業所得というのは資産からなるところの所得と労働からなるところの所得が分離不可能だ。お店があって、そこで事業をして所得があがってくるという場合に、そのお店の資産、いろいろの意味での資産、固定資産なりたな卸資産なりの資産、そういうものから生まれてくるものと、その方の労働自身から生まれてくるものと、それが合体して所得が発生してくるところに事業所得の特色がございます。その事業所得の特色こそ考え方として所得税の中心をなすものであります。したがって、事業所得を二つに分解して、勤労性所得と資産性所得とに分解せよということになりますと、実は現在の所得税法のものの考え方といいますか、組み立て方が全部分解をしてくることになりますので、非常に長期の問題といいますか、全く発想を変えた考え方としては考えられないわけではないといえるかもしれませんけれども、この事業所得を二つに分解して勤労性部分と資産性部分に分けるという考え方をとれということは、所得税を全面的に組み立て直しませんと、なかなかできないものではないかというふうに私どもは考えるわけでございます。
 ところが、一方の商法の規定による法人でなくても税法上だけは法人と同じような扱いにしてはどうかという考え方につきましても、これはいろいろと問題があるわけでございます。いろいろと問題があるわけでございますが、こっちのほうは全く実現不可能だということではございませんし、まあ町でお店を並べて二軒の八百屋さんなら八百屋さんがあって、片っ方が個人組織で片っ方が法人組織だという場合に、片っ方が個人組織の場合の租税負担と、片っ方が法人組織の場合の租税負担とは、家族の方のところまでは専従者控除ということである程度バランスがとれていくわけでございますけれども、経営者御本人の税負担についてはバランスがとれなくなってくる。片っ方の累進税率構造と、片っ方の比例税率構造との関係で、バランスがとれなくなってくる。そのあたりについては非常に複雑な規定にはなりますけれども、それを自分は税法上だけは法人にしてくれということならば、それはまあ、かなりむずかしい問題でありますけれども、やってできないことはない。そこで、そもそも青色申告制度というのは、スタートが、単に税が軽くなるということが目的でなくて、経理の内容を明確にすることが目的であり、経理の内容を明確にするということの一つの主眼は、いわばお店の勘定と個人の勘定といいますか奥の勘定とを分離する点にあり、青色申告制度の本来の意味はそこにあるということをだんだん突き詰めていきますと、それの分離が可能であるならば、商法上の法人でなくても、税法上の法人といいますか、そういう形で処理をすることも不可能ではない。しかし、それはいろいろ問題があることでございますので、所得税法そのものを直すということではなくして、政策的に臨時的にやるという意味もあり、特別措置法上の手段としてこういう道を開く。それで、五年間なら五年間ということをいま予定して御審議をお願いいたしておるわけでございますが、その間やってみて、それがうまくいけば、またそれに応じていろいろ考えていったらいいのではないかということにしたわけでございまして、今回の事業主報酬制度の考え方は、ただいま御指摘のような考え方と入り口のところで若干違いまして、勤労性所得についての配慮ということは考えておりませんで、事業形態によるところの法人、個人の差異を解消しようというところから出たものでございます。
#127
○増本委員 出発点が違うというお話ですけれども、戦後の中小業者の要求や運動の系譜をずっと見てみますと、家族の勤労による部分も、言ってみれば総合的にその店のあるじの所得となってしまう。そこから、そういう家族の労働部分についてまずしっかりと経費として認めるとか控除をしてくれ、こういう要求になって、専従者控除とかいろいろな制度ができるようになった。しかし、御本人の勤労性所得の部分についてはどうにもならない、何とかしてくれという要求は依然として強かったと私は思うのです。しかし、これが現在の税体系の中でなかなか実現がむずかしい。確かにその運動の中では、事業所得と給与所得とに分離して申告するなどということをやって、直税当局との間に緊張関係をもたらした時期もあったわけですね。
 それくらいに問題は深刻であったのに、それができない。というのは、現在の税体系が、先ほどもお話ししたように、給与所得については源泉徴収が厳然としてある。だから、一つの事業所得としてきめてしまって、それについて勤労性の所得とそれ以外の資産性の所得とに分けて考えるということができないという問題も実定法の上からやはりあるということもあって、これがむずかしかった。しかし、これを何とかして実現してほしいという要求が出ていて、現在の実定法の中でもやれるやり方があるではないかということで、一つは、いままで中小業者が法人成りしていくという形であらわれてきたと思うのですよ。中小業者は自分で体を動かし、汗して、そしてなりわいしているのにこれを事業所得として、本質的には勤労性所得と資産性所得というように分離ができるにもかかわらず、現在の所得税法の体系の中でそれを認めていないがゆえに法人成りが起き、そうならない人たちの要求はやはりうっせきしていくという状態が今日まで続いてきたんだと思うのですね。ですから、中小業者の要求としては、あくまでも勤労性所得をそれなりにすなおに認めてくれ、こういう要求であったと思うのですよ。
 局長は先ほど、そういう勤労性所得を所得としてすなおに認めてくれという潮流と、もう一つ、法人成りしたものと法人成りしていない同じような程度の中小業者との間のバランスがとれないので、それを解決してくれという潮流があった、こういうようにおっしゃったけれども、その流れは一つであって、政府がそういう要求をなかなか認めてくれないところから、法人成りとのつり合いをとってくれという形で、一歩下がったところの妥協的な提案として出てきたんじゃないだろうか。それを、実は政府が今度のみなし法人という形でつかまえてしまった。ですから、事実からいっても、たとえば青色申告会が昭和四十七年七月二十八日に政府に対して要望と反論をしていますけれども、それを見ても、あまりに政府の壁が厚いから、事業所得と合算して課税してくれという要求、それから人格なき集団として法人税が適用できるような、そういうことも考えてくれという要求、もう一つは、これは相当問題ですけれども、中小企業税法のようなものを制定して救済してくれという要求、こういう三つのやり方が可能であるという形で、やはり事業所得と勤労性所得とを合算して課税してくれ、そういう道を開いてくれというのが青色申告会の第一の要求であったと思うのですね。それにもかかわらずみなし法人課税という制度にしてしまった。こうなると、中小業者の勤労性所得を給与所得として保障してくれという要求に対して、それを取り入れるような形で、実際には中小業者の間の法人と個人との課税の均衡をはかるという別のほうに政策重点を置いてしまって、結局中小業者の要求は十分にいれられなかったというように評価をせざるを得ないと思うのですけれども、その点ではいかがなんでしょう。
#128
○高木(文)政府委員 非常にむずかしい議論でございますけれども、今回の考え方につきましても、全体として百なら百の所得がある、そのうち六十なら六十をかりに給与に充てる、そうすると四十は一種のみなし法人所得になります。そのみなし法人所得について法人税と同じだけの税率の税を納めてもらう。それで、納めたあと、残ったものは配当と考える。配当と考えたものと給与と一ぺん考えたものとを給与所得控除を働かした上で合算をして、総合累進課税で所得税方式でそこを計算する。その計算をしたものとさっき一ぺん計算した法人税相当額とを足したものが最終的な所得税になる、こういうのが今回の措置でございますから、ある意味では、一ぺん観念的に勤労部分とその他部分とに分けたあとで、もう一ぺん合算をして所得税形式をとる、こういう非常にわかりにくい複雑な制度になっておるわけでございます。
 その考え方は、いま言われました青色申告会がいっておられました、一応勤労部分とその他の部分とを分けるという思想の上に結果的には乗っておる形になっておるわけであります。その結果的に乗っておるということは、法人の場合にはそれがほとんど一人、実態的に一人株主、一人経営というような場合でも実際的にはそういういう計算になるわけでございますから、片方を法人税として納め、片方を所得税として納めますけれども、そこはやはり商法に基づいて法人を設立しておやりになれば、非常に少数の株主、少数の経営者の場合にもそういうことができるわけでございますから、それと全く同じ課税をやってできないはずはないではないか、いかに複雑なものになろうともそれはやってやれないはずはないではないかという御主張に対しては、所得税の基本的仕組みを必ずしも変えることなくそういう計算ができるということで、そこまでは御意見、御主張に応ずることができる。ところが基本的に根っこから所得税の中を勤労性所得とそうでない所得とに分けるということになってきますと、現在の所得税全部についていろいろ問題が起こってきますので、それはいわば所得税の全面組み立て直しということにでもしなければできないということで、そこにとどまったわけであります。
 御指摘の中小企業者のかねがねの要望として勤労性部分についてどう考えるのだという問題については、そういう流れがあることはよく承知しておりますし、同時に、それがなかなか解決できない問題であり、そこまでいきますと、何度も繰り返しますが、所得税全体の問題として組み立てをし直さなければなりませんので、そこまではとうてい短時日、よほど長期の検討を重ねないとできないということで、そこまでは追いついていけないということになっておるわけでございます。
#129
○増本委員 そうすると、これは中小業者の勤労性所得を保証するというスタートに立ったけれども、結局はこの制度の実態は、中小業者の法人の場合と、それから個人の場合との税の均衡をはかる、この点を重点に置いた制度である、こういうように理解をしてよろしいですか。
#130
○高木(文)政府委員 そのとおりでけっこうでございます。スタートに置いたと、こう言われましたが、まあそれをスタートに置くことが正面からぶつかるわけでございまして、むしろスタートは、いわば店の勘定と奥の勘定とを分離可能な経営体において法人税負担形式をとる場合と、所得税負担形式をとる場合の実質的負担の均衡をはかるという考え方でございます。
#131
○増本委員 そこで、これはもう所得税の法体系からも、それから法人税の法体系からも全く違った、何かあいのこみたいな制度になっている、こういうことになると思うのですね。法人でもないのにみなし法人として課税をし、そしてそのほかにみなし配当所得として課税をし、この給与所得の部分はさらに源泉徴収として所得税でやっぱり課税をされる、いわばこういう三重の課税手続を経ることになる。これは全く現在の法体系、税制度との関連では、それとは全く切り離された特別の制度である、体系上はそういうように考えてよろしいんですか。
#132
○高木(文)政府委員 全く別だと考えますか、あるいはちょうど所得税と法人税の中間のようなものを一つ、みなし法人、みなしという擬制を使いまして組み立てたということであろうかと思います。ただ、いま何か、何回も課税になるようなお話でございましたが、それはそういうことではなくて、給与であればその部分は源泉徴収の問題はございますが、その他の部分は課税という行為がそこで起こるのではなくて、計算上そういう式の計算をして申告をするという過程があるわけでございます。
 なお、諸外国におきましても、この法人と個人のまたがりのところは非常にいろいろ悩んでおるところでございます。と申しますのは、所得税は、程度の差こそあれ比例でなしに累進税率を何らかの形式でとっておりますし、法人税のほうはいずれの国におきましても大体比例税率をとっておりますから、比例税率と累進税率のクロスポイントをどう見つけるかということで各国とも弱っておるわけでございますが、特にわが国の場合は累進のほうの税率の区分がこまかくできておりますから、さっきのイギリスのように、飛び込み税率が高いかわりにずっとそのブラッケットがものすごく広いという場合はあまり問題は少ないんだろうと思いますけれども、税率区分を多くして総合にしますと、そこのクロスポイントをどうするかという問題はどうしても出てくるわけでございます。
  〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長代理着席〕
アメリカでは、みなし法人とみなし個人と両方あったのでございますが、現在はみなし個人のほうの制度が残っておりまして、みなし法人のほうの制度はあまり実益がないというので、現在はやめております。その辺の問題は、税制が基本的に比例税制か累進税制かという制度をとる以上は、どうしてもそのまたがりのところはどうするかという問題は出てくる問題だと思います。
#133
○増本委員 そこで、みなし配当という考え方ですけれども、いってみれば、これはみなし法人だとしても、社外流出しているわけじゃないんですね。これをみなし配当として考えるというようなこととか、それからもう一つは、資産の運用所得者についても、不動産などの資産運用者についても、これは青色申告者であればできるわけですね。勤労性の所得が全然ない資産所得の人間にもこういう点を認めているというような矛盾は、これは一体どういうようにお考えになっているわけですか。
#134
○高木(文)政府委員 まず第一に、みなし配当というのはこれはどういう意味かと申しますと、先ほども例に引きました、百のうちで六十を引いて残りが四十だ、四十については何かの形において法人税率に対応する税率のもので一ぺん税額計算をやる必要があるわけでございますが、御存じのように法人税には留保に対する課税と配当に対する課税がございます。大法人でいえば、よくいわれます三六・七五と二六、二種類あるわけでございます。その四十の部分にどっちの税率で課税をするか、法人扱いをするという場合にこういう問題があるわけですが、これは何といっても一人の人の話ですから、一ぺん給与計算をしたといっても、残りの部分の税引き後の所得というものと、この給与として扱った部分の中から消費を引いた部分とは合体してその金庫の中に入っている。そこの部分は、こっちの部分は法人の金であり、こっちの部分はみなし給与から出てきた金であるということは、とても分別ができない、こういうことになりますので、一応そこのところは配当と考えるか、留保と考えるかは非常にむずかしいところでございますが、まあ低い税率である配当といわばみなして、そこで三百万円以下ならば二二だということで税率計算をする。しかし、それはまさにいま御指摘のように、配当のように社外に流出――社外にというか、その個人から外へ出ているわけではないものですから、配当と概念できませんので、みなし配当ということで、単に法人における低いほうの税率、配当に課税されるべき低いほうの税率を適用するという趣旨でみなし配当という概念を使っておるわけでございます。
 それから、資産所得といわれますが、そこはこれまた非常にややこしいことになっておりますが、あくまで事業所得者についての特例措置でございますから、事業所得のない方のいわば資産から生まれてくるところの所得については、このみなし法人制度は働いてこないわけでございますが、この事業所得をやっていらっしゃる方の場合には働いてくる。そこは法人と同じにしてくれということだものですから、それを考えてみますと、法人が資産を持っておって、ものをつくったりものを売ったりすることは全くしないで、そして法人が不動産から何らかの所得を得ておるという場合を一つ考えてみて、それと個人との関係を考えてみますというと、法人の場合にはすべてが営業行為であるという前提に立うておりますからして、そして所得分類のような概念が全くありませんから、そこで法人の不動産賃貸業の場合と同じように個人の不動産賃貸業についても、これは事業主配当制度を採用すればみなし法人課税制度を採用できる、こういう仕組みにいたしております。
#135
○増本委員 そうしますと、この不動産などの所得の場合ですけれども、所得税法の九十六条から百一条、世帯が資産所得を有する場合の税額の計算の特例というのがありますけれども、これとの関係では、事業主報酬制度をとるとどういうぐあいになるのでしょうか。たとえば事業主が資産を持っておる。それで事業主報酬制度を採用する。配偶者や世帯も持っておる。こういう場合の関係はどういうように処理するのですか。
#136
○高木(文)政府委員 簡単に申しますと、みなし配当所得については九十六条以下の資産合算所得が適用になる仕組みにいたしております。――すみません、いまのをもう少し正確に申しますと、不動産所得そのもの全体が資産合算の対象になるのじゃなくて、不動産所得であってもそれについてみなし事業主報酬制度、みなし法人制度が適用になりましたならば、そのみなし配当になった部分だけ資産合算のほうへ引っぱってくる、こういう仕組みにいたしております。
#137
○増本委員 あと、また検討しまして、それで質問できる点があったらその点についてさらにほかの委員との関連で質問させていただくようにしたいと思うのですが、では、この資産合算の点はちょっとあれして先に進みます。
 これは、事前に報酬の額として定めた額や月割り額にかかる経理の期日その他を税務署長に届け出をするという、こういう制度になっていますね。そこでこの届け出をしたあと事業が非常にうまくいき、報酬額をその年度の途中で引き上げたいというような場合の手だてについてはどういうようになるのですか。
#138
○高木(文)政府委員 もともとこの事業主報酬制度の御要請がありますときに、私どもといたしましては非常にむずかしいではないかということを言った点の一つとして、自分で自分の給料をきめるというのは一体どういうことでございましょうか、たとえ小さい企業であっても、法人企業の場合には経営者の給料なり賞与なりというものは一応形式的には株主総会とか取締役会とかいう機関を通じて決定されるわけでございますが、個人の場合は自分のからだを二つに分けるわけにはいかないので、自分で自分の給料をきめるということはできないのではないかということで、当初、昨年当時は非常に反対をしておったわけでございます。
 今回の場合にも、給与部分とその他の部分と分けるといいましても、給与部分をどうやって分けるかというのが難点の一つだったわけでございます。そこで給与を適当に操作をして年度が経過をいたしましてから、翌年の三月の十五日に、申告時期になってから、実は去年の自分の給与は幾らであるということについて一番有利なポイントを求めるということにしたのでは、これはまた法人と違ったことになる。法人の場合では何らかの形で客観的に給与がきまっているわけでございますから、法人と同じ扱いにしてくれという以上はやはり法人と同じように事前に給与がきまっているということでなければまずかろう。そこで税務署に届け出るということを通じて、ある時期に自分で給与をきめてそれを前提にして事業をやられるということであれば、まあまあ何とかいくかなというふうに仕組んだわけでございますので、あとになって年度の途中に、どうも事業の成績がよくないから給与を減らすことにしましょうとか、非常に成績がいいから給与をふやすことにしましょうということでそこにフレキシビリティを持たせるということになりますと、いわば秩序がなくなってしまうということになりますので、現在の段階では、前年の末までに来年はこういう給与を私はとるという前提のもとに計算しますということを届けてもらうことにしておりまして、途中で変更するということはだめだという前提になっております。そこはもともと自分で自分の月給を適当な時期に適当にきめられるということになっては何とも計算のしようがないということでございますので、そういう前提をとったわけでございます。
#139
○増本委員 そうしますと、たとえばこの事業はまず報酬が適正であるかどうかということを、事業主である納税者が自分できめて届け出すれば、そのままそれを受理するという立場でこの問題は処理されるのですか。それとも、いま法人で、行政指導で、同業種、同規模あるいは類似の事業法人とのからみ合いで、あなたのところはこのくらいにしたほうがいいだろうというような手だてもやっているようですけれども、そこらの関係は、まず過大報酬かどうかということの判定の前に、適正な報酬額というのはどういうふうにして対比されようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。
#140
○高木(文)政府委員 基本的には法人と全く同じにするという思想から出ておりますので、ただいまおっしゃった点も、法人と全く同じにするということで、法人税法施行令の六十九条による役員報酬の扱いと同じにするということになっております。ただ、問題は、一々届け出のあった段階で、非常に額が多いとか少ないとかいう前提の上で批判をして、もっと少なくあるべしということになりますと、なかなか動かないという危険がありますので、現在のところでは、届け出は届け出のままでそのまま受理をしておきますが、後において、それがどう見ても同種、同様の同業者と比べてみておかしいということになりましたならば、それはあとで、いわば法人と同じように否認をするという考え方でございまして、その辺の思想は全部法人に合わせる、法人にならなくても法人と同じように扱ってもいいではないかということからスタートしておりますので、この点も全く法人と合わせるという思想でございます。
#141
○増本委員 そういう事項は全部政令にゆだねられる、こういうことになるわけですね。そうしますと、事業が左前にその年度内になってきて報酬だけもらうと、あと法人決算では赤が出るという場合、これは繰り越しあるいは繰り戻しをする、法人扱いでやる、さらに報酬額も実質的には払えないというような場合にはどうなりますか、そういう場合も繰り越し欠損でそのままやってしまうということになるのですか。
#142
○高木(文)政府委員 現実に法人の場合には、給与がきまっておる、法人全体としては赤字だという場合にも、法人の場合は給与は支払わなければならないわけでありまして、法人は全体としては赤字だけれども、代表者は給与をもらっておって、その代表者についてはやはり源泉徴収が行なわれておるということでございますから、商法上は個人であるが、税法上は法人と同じにするということになれば、給与部分とその他の部分は切ってしまいまして、給与部分については、もし課税最低限をこえる部分については、普通の給与所得控除を働かした上で源泉徴収をして納めていただきますし、給与部分以外の部分は、赤であればその分は繰り越しなり繰り戻しということで年度をまたがらして通算で処理をしていく。その給与部分と給与を引いた残りの部分といわば横の通算ということは全く考えない。法人には代表者の給料と法人の損益の通算という概念はないわけですから、それと全く同じようにいくということでございます。
#143
○増本委員 最後になりますけれども、報酬が過大だとして否認されると、その部分が、これはみなし法人所得となって、あと配当課税となりますね。これはわかるのですが、これは青色申告を前提にしていますから、青色申告そのものの承認が取り消されたりしますと、これは白に戻ってえらい状態になりますね。これに対する救済措置みたいなものが、これを一たん採用した以上非常に必要ではないかというように思うのですけれども、こういう点ではいかがなんでしょう。つまり一定の、いろいろ私も計算してみたけれども、たとえば所得金額が――いまちょっと先を急ぎますから、資料を出して具体的にやると時間がかかりますから、たとえば三百万の所得で事業主報酬を、六〇%だと普通の青で申告したほうがまだ得だ、しかし七〇%になると事業主報酬制度をとったほうが得だというので採用した。ところが、それが過大報酬だというので削られる分にはまだがまんできる部分があるとしても、青色申告の承認まで取り消されて、もとへ戻って全部白だということになると、それを採用した納税者の期待に反する結果というのはたいへんなことになるだろうと思うのです。単に青色申告の承認が取り消されて白になったという以上に非常に大きな問題が起こるのではないだろうか。実際の青色申告の承認の取り消し事例を見ましても、私もいろいろ税金の裁判をやってきた関係からいっても、かなり青色申告の承認の取り消しというのは簡単にやられるというそういう事態もあるわけで、救済措置なり手だてというものはどういうように考えておるか、その一点をちょっとお伺いしたいと思います。
#144
○高木(文)政府委員 この点については格別なことはいま考えておりません。と申しますのは、事業主報酬というのは、いまの御質問、それに対しての私の答弁でおわかりいただいたと思いますが、非常に複雑な制度でございまして、そこで、まずよほどきっちりとした青色申告者でなければなかなかできないということになるわけでございます。青色申告できっちりしておる、そのきっちりという程度は、つまり法人並みにやっておるということが前提であるわけでございます。そこで、それが何か不正計算があった、売り上げ歩合いなり経費の水増しがあったということで、それが青色申告を取り消すというような事態にならなければならないような――青色法人であればその状態のときには全く白色に戻るわけでございますので、全部一切のことが御破算になって白に戻る、これは少し酷かもしれません、冷たいかもしれませんが、言ってみれば、やむを得ないのではないか。
 ただ、先ほどの個人との関連で申しますと、過大報酬という程度のことでは青色申告取り消し理由にはならないということでございます。この点につきましては、国税庁を通じまして、事業主報酬制度を採用するについてはその辺のところがよほどきちっとしたものでないと困る。青色申告しておるとはいうものの、実態その他からいって必ずしも青の実態を備えていないということになりますと、計算上いろいろトラブルが起こりますから、そういう法人でないとなかなか事業主報酬制度を採用されても全体の運営がうまくいかないということで指導をやってもらうつもりでおります。
#145
○増本委員 では、最後にお聞きしますけれども、結局いままでのお話を聞きましても、みなし法人としたことによって、一つは所得税の累進税率の適用がなくなって法人税の比例税率が適用される。そういう点では、所得税の税率構造が、この制度が採用されたために所得税納税者の適用の面で一つは破壊されてきている。その上、本来ならば、先ほどからお話ししましたように、事業所得者の勤労所得部分と資産所得部分、この両方の所得をきちんと計算してそれを合算して、それに累進構造になっておる税率をかければすぱっといくはずのものが、結局法人税、配当課税、源泉所得税という、一つの所得の範疇にありながら、結局三つの分離課税をやっているのと同じ結果になる、こういうような点から見ても非常にこの制度というのは問題があるし、いま局長も、それを採用する人についてはよほど厳重にいろいろ行政指導もしなければならないというお話もありましたのですが、そういうことをきちんとしないと、これはたいへんな、実質的にどの程度中小業者が運用できる制度かどうかということも疑念を持たざるを得ないと思うのですけれども、その点について最後にひとつお答えいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#146
○高木(文)政府委員 これは一種の政策として、しかも臨時措置としてやるわけでございまして、しばしば個人の事業所得者と法人の事業経営者との間で、どうもお隣のほうが税が安いようだという議論がいろいろあるわけでございますので、しかもそれは個人のサイドから法人のほうが有利だ有利だという御議論があるわけでございまして、事業所得者が、事業をやっていらっしゃるうちの法人経営者の方と個人経営者の方が、どうもお互いに向こうのほうが税負担が少なくて済んでいるようだという御議論があるようでございますので、一応やや実験的な意味において、それの問題を、法人形態にすればこういう負担になるということでやってみる。それが、ただいまお触れになりませんでしたけれども、それに関連して地方税の問題がいろいろからんでまいりますし、それから家族についての給与の問題もいろいろからんでまいりますから、それを全部ひっくるめた総合負担で一体どっちが有利かというあたり。それからもう一つやっかいな問題は、法人税のほうは、先般来の御議論でも明らかになっておりますように、中小企業は問題ないかもしれませんが、全般としては法人税率の引き上げの方向にある。個人のほうはどっちかといえば減税の方向にあるということになってきますと、税制改正によってクロスポイントが毎年動いてくるという問題もあるわけでございまして、なかなかこれはやっかいな問題であるということは、実は私どもは前から考えておるわけでございます。
 しかし、とにかく個人であっても、そして企業の性格上法人になりたくても法人になれないような場合があるので、そんなに税金が重くて困るならば法人になれ、無理にそう言わなくても、個人のままでも法人と同じ税負担で済むように道を開くということ自体に意義があるのではないかという主張がずっと続けられまして、それは長年の歴史におきましては、法人税は法人になるということを前提にして適用があり、法人にならないものは個人だという、ずっと長い歴史があるわけでございますが、そこを商法上法人にならなくても、税負担だけは法人と、完全に同じではございませんで、やや同じような総合税負担になるような道を開くところに意義があるわけでございまして、これが今後どのように発展していきますかは、関係納税者の方々の熱意といいますか、そういうものと、それから税務署の指導によってうまく成功するかどうか、率直に申し上げて私はいまから成功するかしないか、なかなかむずかしいところである。アメリカでさっき申しましたように、やってみたけれどもうまくいかなかったというようなこともございますし、今後われわれとしては着実な指導は国税庁を通じてやってもらいますが、しばらく様子を見るほかないというふうに思っております。
#147
○増本委員 この問題については、メリットとデメリットを包み隠さず納税者に全部明らかにして、ほんとうに間違って選択するということのないような指導をやはりする必要があるというふうに思うわけです。そういう点で、せんだっての野田議員のような肯定的にじゃなくて、ほんとうにはっきりさせていただきたい。
 時間がありませんでしたので、地方税との関係についてもいろいろ疑問がありますけれども、この点は省きました。私の質問を終わります。
#148
○大村委員長代理 次回は、明三十日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後七時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト