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1972/03/30 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第20号
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1972/03/30 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第20号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第20号
昭和四十八年三月三十日(金曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 鴨田 宗一君
   理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君
   理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君
   理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君
   理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君
      宇野 宗佑君    小渕 恵三君
      越智 通雄君    笠岡  喬君
      金子 一平君    木野 晴夫君
      栗原 祐幸君    小泉純一郎君
      三枝 三郎君    塩谷 一夫君
      渡海元三郎君    西岡 武夫君
      野田  毅君    萩原 幸雄君
      浜田 幸一君    坊  秀男君
      村岡 兼造君    毛利 松平君
      山中 貞則君    塚田 庄平君
      広瀬 秀吉君    村山 喜一君
      山田 耻目君    増本 一彦君
      田中 昭二君    広沢 直樹君
      内海  清君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    中村  博君
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵大臣官房審
        議官      大倉 眞隆君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        国税庁長官   近藤 道生君
        国税庁次長   江口 健司君
 委員外の出席者
        国税庁直税部所
        得税課長    系  光家君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三十日
 辞任         補欠選任
  宇野 宗佑君     浜田 幸一君
  大西 正男君     西岡 武夫君
  塩谷 一夫君     渡海元三郎君
  地崎宇三郎君     笠岡  喬君
  中川 一郎君     小渕 恵三君
  伏木 和雄君     田中 昭二君
同日
 辞任         補欠選任
  小渕 恵三君     中川 一郎君
  笠岡  喬君     地崎宇三郎君
  渡海元三郎君     塩谷 一夫君
  西岡 武夫君     大西 正男君
  浜田 幸一君     宇野 宗佑君
  田中 昭二君     伏木 和雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 四号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四二号)
     ――――◇―――――
#2
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。村山喜一君。
#3
○村山(喜)委員 私に割り当てられた時間は四十分ですから、その範囲内でやりますが、この際、委員長に、私は要請をしておきたいと思います。
 というのは、発言をする議員の権利は平等なんです。そういうような意味において、一人は四十分、あとは無制限にやるというようなやり方は、これは公平の原則を欠くものです。だからそういう点においては、委員長は委員会の運営についての全責任者ですから、あなたのほうで今後の論議については平等の取り扱いをされるように、要請を、まず初めに申し上げておく。いかがですか。
#4
○鴨田委員長 ただいまの村山君の御意見、ごもっともでございます。それですから、これから持ち時間については理事会にはかりまして、ただいま仰せのとおりのような意見に従ってやりたいと思います。
 以上です。
#5
○村山(喜)委員 そこでまず、三月の二十八日、総理が出席をなさいまして、この席でサラリーマンの必要経費の問題についての控除についていろいろ話を聞きました。橋本幹事長の構想も新聞で拝見をいたしたわけですが、それによりますと、一率三〇%の控除構想、それに人的控除をつけ加えて、わかりやすい税制にしようというような考え方が発表されたようであります。
 そこで、主税局長にお尋ねをいたしますが、いまサラリーマンの給与所得控除は平均どれくらいになっているのですか。
#6
○高木(文)政府委員 御存じのように、現在の給与所得控除は、今度の改正では定額が十六万でございまして、それから十六万をこえる額から百六十六万までは二〇%というような率で、六百十六万まで及ぶということになっておりますので、ただいま御指摘の率は収入金額によって変わるわけでございますが、たとえば収入金額五十万円でございますと四五・六%になります。百万円で三二・八%、それから百五十万円で二八・五%、二百万円で二四・七%、三百万円で一九・八%というような関係になっております。ただいま申し上げました数字は、今回御審議をお願いしております給与所得控除の改正の平年度化後の金額でございまして、初年度は今度改善差額の四分の三だけが引いてくるということになっておりますので、この率、ただいま申し上げました率よりはやや下がってくるということでございます。
 ちなみに新聞その他で橋本幹事長案という形で伝えられております三〇%一率案でございますと、現行の制度とのクロスポイントは百二十八万円のところでありまして、百二十八万円から上は現在よりも有利になりますが、百二十八万円から下は現行のほうが有利ということでありますので、あの案はそのままではちょっと案になりませんで、何かそこらはいろいろ加工修正を要することでございます。
#7
○村山(喜)委員 私もいま主税局長が言われたように、百二十八万以上が、特に高額の場合には一率に三〇%控除方式でいけばきわめて有利になる。そして、百二十八万以下は、これはいまよりも悪くなるわけです。大衆課税であり重役減税なんです。そういうような、基本的なわれわれの思想と相いれないものがあるわけです。それをわかりやすい税制にするんだとか、あるいは簡素化するんだとか、そういうような形の中で、税負担の不公平をいま以上に拡大をされるということは、これはサラリーマンの給与所得控除の問題についていまでさえも論議が、非難の声が高いのに、それをさらに拡大をするということになると私は思う。そういうような点から見て、私はにわかにこの思想を受け入れるわけにはいかぬというように思いますが、主税当局はどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
#8
○高木(文)政府委員 私どもが伺っておりますところでは、お考えの背景は二つあるようでございまして、一つは現在の給与所得控除制度というものが非常に複雑だ。定額と定率があるが、だれも自分はどのくらい給与所得控除を受けておるかということが簡単にわからぬのではないか。よって、とにかく何かわかりやすくしたらどうだという御提案でございまして、三〇%一率とかなんとかというのも、そのわかりやすくという気持ちを別の表現で言われたもののようでございます。
 もう一つの点は、現在現行法では給与所得控除の効果が及びますのは四百十三万円の給与収入までのところでございまして、それから上の収入の方は給与所得控除が全く働かないことに――全くということはありませんが、それからふえる分については働かないことになりますが、今度の改正案ではそこを広げていただきまして、六百十六万まで広げていただくことになっておるわけでありますが、それをさらに若干上のほうまで、率は低くてもいいからだんだん広げるべきであるというお考えがあるようでございます。それは一つには、実は交際費課税の問題の際に非常に問題が起こってまいりますが、いわゆる社用経費的なものが非常に多い。以前は――以前といいましてもかなり古い時代のことをお考えのようでありますが、所得税が安かった時代には、会社なり御自身の新聞社等におつとめのときの御経験でも、自分のいわばポケットマネーである程度若い諸君といろいろ話をしたり、意見交換をしたりする機会があったけれども、いまは中堅以上のサラリーマン層の税が重いので、それができないために社用経費がふえているので、それを何とか考えたらどうだというお考え、この二つから出ておるようでございます。私ども事務的に考えますと、しかし昨日来の御議論のように、給与所得控除はサラリーマンの必要経費であるとはいいながら、やはりサラリーマンと他の所得階層との課税のバランスの調整の役割も結果的には果たしておるということでございますので、一率三〇ということではとてもぐあいが悪いのであって、定額、定率の組み合わせ方式がいいかどうかということは別の問題としまして、何らかの意味でもう少しきめのこまかいことにしないとうまく動かない。それとわかりやすい制度にせよということがなかなかつり合わないということが、技術的にむずかしい問題だと思って、思案をいたしておるところでございます。
#9
○村山(喜)委員 その思案をするだけじゃ意味がないんですよ。やはりきちっとした方向をあなた方は専門家という立場からお出しにならなければいけないのであって、これが上には利益が厚くなり、下のほうにはいまよりも悪くなる、そんな税法は改正ではなくて改悪ですよね。だから、やはりそこら辺はきちっとしておかなければならぬ。私は、その点については政務次官にお尋ねしておきます。あなたの見解を聞かしてください。
#10
○山本(幸)政府委員 いま局長が説明しましたように、橋本幹事長提案というものが新聞に出たわけですけれども、私は三〇%というのは一つの例で申されたので、何も三〇%ということをはっきりいろいろ御検討の上でおっしゃったかどうかわからないのではないか。要するに、目標はいまの税は非常に複雑だ、総理が一昨日言われましたように、確定申告だって大蔵省出身の者でさえわからぬじゃないか、こういうようなお話であります。たいへん複雑でありますので、その辺のところを、サラリーマンの方々が納めていただく上に、納得していただくという意味で、もっとわかりやすくしたらどうかというお気持ちが非常に強く働いておる。そういうお気持ちからおっしゃったのであって、いま村山委員がおっしゃるように、クロスポイントは百二十八万円であると申しますが、それじゃそれ以下のところは高くするんだ、こういうことには私は絶対になりっこない。大蔵省税務当局もさようなことは考えておりません。むしろ百二十八万以下のところをどうするかということが検討の課題でなければならぬ。したがいまして、来年度の税制改正の面では、どうしてもそういう問題にひとつ真剣に取り組んでいかなければならぬ。いま局長は、いまの段階のお話を申し上げたのでありまして、これから四十九年度の税制改正に向かってはそういうのを一つの大きな目標として検討していく、こういうことに私ども承知をいたします。
#11
○村山(喜)委員 そこで、主税局長にお尋ねしますが、今度定額が十六万円、定率が六百万円までは認められる。で、最高限度額が六百十六万円ということになりました。最高で七十六万円の控除が給与所得控除として引かれる。そうなりますと、サラリーマンの階層の中で、どの階層が一番の利益を受けるのですか。
#12
○高木(文)政府委員 給与控除の改正と、それから配偶者控除、基礎控除等の改正と組み合わしておりますものですから、手元に給与所得控除改正分だけを抜き出して階層別に出したものをいまちょっと持っておりませんのですけれども、それを総合して給与所得者全体としてどうなるかと申しますと、かりに夫婦子供二人の例で申しますと、軽減割合は平年度計算で申しまして百五十万円の段階が三一・三%、次に二百万円の段階が一八・五%、三百万円の段階が一三・五%、五百万円の段階が九・二%というふうに課税最低限に近いほうの階層の減税割合が大きく、収入金額がふえるに従って減税メリットが減る。それで、平年でいま申しましたが、初年で申しまして、ちょうど七百万円ちょっとこえたところで物価上昇割合の五・五%とクロスする。つまり給与収入で見まして七百万円ちょっとこした以下のところの方はいわゆる物価上昇率と見込まれます五・五%よりは改善割合が大きく、それから上はそこまでに及ばない、こういう形になっております。
#13
○村山(喜)委員 平年度ベースで五百万円の場合は九・二ですが、四百五十万円の場合は幾らになりますか。
  〔委員長退席、木村(武千代)委員長代理着
    席〕
#14
○高木(文)政府委員 では四百五十万円の場合は――いろいろの数字が込み入って恐縮でございますが、いま四百五十万円の数字は手持ちにございませんで、初年分の数字でそれではまた五十万円刻みで申し上げましょうか……。
#15
○村山(喜)委員 いいえ、それだけでいいです。
 じゃ、お手元に資料がないようですから、佐藤君の要求で出された資料で、四百五十万円は七・〇%、五百万円は七・一%。軽減率は四百万円までは七・七ですから、漸次高くなるに従って率も減るようになっております。ところが、四百五十万は五百万よりも減り方のほうが少ないわけです。この点は一体どういうふうに考えてこういうふうになったのですか。
#16
○高木(文)政府委員 現在税率の刻みが御存じのように四十万円から八十万円まで、四十万円以下は一〇%、それから四十万から八十万は一二%というふうにだんだんこう上がっていきますが、そういうことで最初は四十万という刻みでいっておりますが、あとはたとえば六十万刻みで率が上がるというようなかっこうになっております。
 そこで、こう税率適用のカーブが要するに階段状になっておりますものですから、階段の切れ目のところへきますと、若干ジグザグみたいなことが起こるわけでございまして、それでここのところはもう少し精密に御説明するとすれば、(村山(喜)委員「時間がないからそんなにたくさん要らない」と呼ぶ)佐藤先生の御要求で出しました資料におきましては、このところは非常におかしなかっこうになっておりますが、これをさらに刻んでいきますとなだらかになる。この五百万だけがぽこっと一つ飛び出す。これは前の税率と今度の税率の関係、これは収入金額でございますが、その階段に突き当たる関係でございます。
#17
○村山(喜)委員 そういう姿は望ましい姿ですか。
#18
○高木(文)政府委員 望ましくはないのですが、どうも毎年の改正のたびごとに一カ所か二カ所フリクションを起こす場所が出ます。これはいまの組み立て方式では回避できないようでございます。
#19
○村山(喜)委員 収入が少なければ軽減割合が高く、収入が多くなればなるほど軽減割合が低くなる、こういうような形にしなければならないのに、いただいた表からいえば、収入金額の高いほうが軽減率が高くて、そこに谷間ができるという、ような税率の定め方というのは、どこかに間違いがあるのだ。急にこれを直せといわれても、この場で直すことはできないでしょうが、高木さん、やはりこの次あたり、そういう谷間ができるようなことにならないように何か技術的に考える余地があるのではなかろうかと思いますが、そういう点を訂正をしてもらいたいと思うのです。
#20
○高木(文)政府委員 それを解決しているのが西ドイツの税法でございまして、私も非常に苦手なんでございますが、何か三次方程式というのを使って計算することになっております。そうすると、その刻みが全部消えるという方式で、これはドイツは理論的に非常に研究の末そういう三次方程式なるものを使っておるのですが、これは先ほどの現行の給与所得控除が非常にわかりにくいのと似たような話で、この三次方程式で計算しますと、なかなか計算がしろうとにはやりにくいというような問題がありまして、三次方程式方法をとるか、現在日本、イギリス、アメリカ等がとっておりますような段階別の税率引き上げ方式、階段方式をとるか、どっちがいいか問題でございますが、ときおり、税率改正のつどこの問題は研究はしておりますが、どうも三次方程式というのはなじみにくいようでございまして、御指摘の点はいつも改正のたびごとに問題になりますのですが、まあ長期的に見れば、日本の場合は毎年毎年の改正でございますから、そしてその谷間ができるポイントはいつも動いているわけでございますので、現行のいき方でもいいのじゃないかということで私どもは考えておりますが、なおそこはいつも問題になる点でございますから、今後におきましても検討はいたしてみたいと思います。
#21
○村山(喜)委員 前向きで検討をしていただきたい。
 そこで、今回の税法改正で一番どの階層がもうかっているのか、得したのかということなんです。五百万で私は計算をしてみたのですが、みなし法人課税の選択をした青色事業者の場合が一番のメリットを今度は受けるわけですね。その次にサラリーマン、給与所得者、それから次が青、白の事業所得者、計算をいたしますとそういうふうになっていきますが、そういうふうに見て間違いありませんね。
#22
○高木(文)政府委員 大体おっしゃるとおりでございますが、青で事業主報酬を選択しない方と白との関係は、白のほうが専従者控除の引き上げ幅が大きいので、あるいは白のほうが有利ではないかと思います。というのは、白色の専従者控除を三万円引き上げまして、青のほうは事業主報酬以外にはあまり直しておりません。それと給与所得控除の改善割り当ての関係でどっちがどうなるかちょっと計算しておりませんが、青、白は大体同じくらいじゃないかと思います。
#23
○村山(喜)委員 その数字は私のほうから申し上げますので、あとで確かめておいてください。これは平年度ベースの場合、そのみなし法人の課税を選択した場合には十万四千四百四十円もうかる。それからサラリーマンの場合が六万二千六百四十円、それに青、白の事業申告者の場合が一万八千円、それだけ軽減をされる、こういうことになります。ですからこの問題については、また租税特別措置法の審議の中で論議をいたしますので、きょうは時間がありませんからそれはカットしておきます。
 そこで、給与所得控除の中身は、これはいままでも論議をされましたが、源泉徴収の違憲訴訟の中で、あなた方が答弁書としてお出しになった準備書面、この中身に書いてあるのと同じように、四つの項目があるんだというとらえ方をしていらっしゃるわけだろうと思いますが、それでいいですか。
#24
○高木(文)政府委員 すみませんが、いま準備書面をここに持っておりませんのですが、私どもの考え方は三つ、つまり必要経費の概算控除と、それから租税力の弱さということと、もう一つは源泉徴収に伴うもの、この三つについては、いずれの場合についても説明として成り立つ議論だというふうに考えております。第四というのは、おそらく給与収入についての把握の問題をあるいは準備書面で触れておるかもしれませんが、その問題については、これは実は理論的には成り立たない議論でございまして、執行と制度とを全部総合してみた場合、現実問題としてはクロヨンとかなんとかいうような論議で表現されるような問題がありまして、そのことから給与所得控除額が改善されてきたという事実に基づきますれば、そういう把握を考慮したということがいえるかもしれませんけれども、それはしかし理論的には必ずしもきちっと成り立たないものでございまして、そこのところは論者によって、三つで説明している方と、四つで説明している方があり、政府の公式に出しておりますものでは、普通は三つを中心に説明をいたしております。
#25
○村山(喜)委員 あなた方が準備書面として出されました中身を見てみますと、給与所得控除の四点は、総合的に考えられているんじゃないか。それは「経費の概算控除」、それから「給与所得は自己の勤労を使用主に提供することによって得られる所得であって、有期的で不安定であることに対する考慮」、三番目が「給与所得は他の所得よりもその把握が容易であることに対する考慮」、四番目に「源泉徴収による早期納税に基づく金利調整」、その四つなんだということで裁判で争っていらっしゃるわけです。把握の控除分については異論が若干あるようなことを言われますが、それは徴税当局としてはそういう考え方もあり得るだろう。しかし四つの中身が入っているのだということで争われているわけですから、やはりこれが国側の正当な主張だろうと思うのです。そこで私は、そういうような法定控除といいましょうか、この四つの控除に基づいて、そしてこの給与所得の内容が大体きまっているわけですが、その場合に実額、控除制度というものが現在認められております。それはいままでも論議をされてまいりましたので、いま主税局長からその内容的なものをお聞きしようとは思いません。
 そこで、私はその実額控除制度の導入をはかる場合に、やはりいまの法定額控除制度と実額控除制度のどちらかを選択するという選択制度というものを税法の中で設けるべきではないだろうかということを考えるのです。その選択制度がとれないということになれば、やはり給与所得者の職務を幾つかに類型化して、そしてその類型に応じて法定額控除分というものをきめていくというようなやり方を検討される段階に来ているのではなかろうかというふうに考えておりますが、それに対する見解をお聞かせいただきたいと思います。
 そこでもう一つ、今度は事業主報酬控除の思想が盛り込まれた税法が出されてきているわけですが、その中で、給与所得というのは一体何なのだろうかという問題が争われてきます。そこであなた方が「給与所得の意義」というのを裁判所にお出しになった。それを見ると、「その性質は、「勤労者たる地位にもとづいて使用者から受ける給与」」である。だからそういうような意味において「労務提供の対価として受ける給付を総称するもの」なのだということで掲げておいでになります。とするならば、この事業主報酬控除の思想というのは、これは事業主の個人企業体に対する労働の提供を課税上評価して設けられたものだし、そして労働の対価はコストを構成するのだという理論構成によってつくられたものにほかならない。とするならば、給与所得とは一体何なのだろうかということをもう一回考えなければならない段階に税法の上では来ていると私は思うのです。とするならば、あなた方は「その性質は、「勤労者たる地位にもとづいて使用者から受ける給与」」、これが給与所得の意義なのだ、このことは最高裁の判決の中でも明らかになっておりますというような弁明書をお出しになっていらっしゃる。とするならば、この弁明書自身をまた内容的に変えなければならないことになってくると思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっているのか、その点も合わせてお聞かせいただきたい。
#26
○高木(文)政府委員 実額控除の選択の問題については、先般も御説明申し上げましたが、一つはその実額控除の対象となるべき経費として、どういうものをサラリーマンの経費として認めるかという基準をつくることが非常にむずかしいということを先般申し上げましたが、まさにただいまの御指摘で明らかでありますように、給与所得控除の内容のほうがまた非常にはっきりしておりません。経費的な部分と、地位の不安定さと、もう一つの要素というようなものが一緒になっておりますから、たとえば先ほどの給与所得控除の額で申しましても、年収百万円の方は、三十二万八千円の給与所得控除があるはずでありますが、三十二万八千円のうちのどの程度の部分が概算経費控除的なものであり、どの程度の部分が、担税力の弱さといいますか、不安定さに着目した部分であろうかということの区分ができない。それは三つなり四つなりの性格を持ってはおりますが、それを総合したものとしていまの額がきめられているわけでございまして、その額のうち何割くらいといいますか、何%くらいがどの部分だということがはっきりしないわけですから、それでは今度は実額ということになってまいりましても、実額の部分と給与所得控除全体とをつき合わして過不足を見て、足りなければこっちを選択するということになるのか、給与所得のどの部分と対応させて実額的必要経費と見るのかという問題が一つあるわけであります。その点は先般お答えいたしませんでしたが、いまの御質問で明らかでありますように、そこのところが、給与所得控除が非常にいわばばくとしたものになっておりますので、実額選択ということを導入します場合には、そこのところが明確になっていない限り現状のところは非常に困難だという問題があるわけでございます。しかし、また他の角度からの昨日の御議論ではっきりいたしましたように、不安定性ということは、ある意味からいいますと勤労所得に伴うものでありまして、勤労性所得の一つの別の断面をとらえているわけでありまして、そういうものとの関係から、何らかの意味において給与所得控除の性格を、もっとよく分析をしていかなければならぬではないかという御指摘がありましたが、まさにまたそういう問題もあるわけでございますので、ただいまお話の実額控除選択問題の研究という角度からも、また昨日御指摘の角度からも、この問題は今後とも議論をしていかなければならぬ問題だと思っております。そこが詰まってきませんと、なかなか実額控除の選択制度に入っていけないという難点があるわけであります。
 それから、所得税法上の給与所得の性格が、事業主報酬制度の採用との関係で変わってきはせぬかという第二の御指摘につきましては、租税特別措置法の今回お願いいたしました二十五条の二の三項の各号に触れる問題でございますが、そこで給与所得とはいっておりませんで「給与所得に係る収入金額とみなした場合」とか、「給与等の支払をしたものとみなす。」とか、いわばみなすという考え方をとっております。これはまさに御指摘のように、使用者から受ける給付ではないものですから、給与所得そのものとはいえないわけで、みなし給与所得といいますか、給与所得扱いをするといいますか、税金の計算上は給与所得と同じようにします、こういう意味でありまして、どう見ましても、事業主の方が御自分で幾らというふうに月給をおきめになっても、それ自体は自分の金ですから、人から受ける給与ではありませんから、どうしても給与所得にはなり得ないということで、いわばそこが非常に苦しいわけですが、みなし給与というような概念で整理をいたしております。
#27
○村山(喜)委員 やはりこれは非常に苦しい答弁なんですよ。ですから、従来は給与所得という概念は、従属的な労働関係ないし地位に基づいてなされる労務提供の対価として受ける給与を総称するのだということであなた方は争われておったわけですから、やはりそのたてまえからいえば、幾らみなすんだ、税法上の便法なんだといわれても、それじゃ給与所得という筋では通らぬ。だから給与所得とは一体何かということでもう一回論議をしなければならないという段階にきております。私は、この問題については租税特別措置の中でまた論議をいたしますので、きょうのところは保留をしておきます。
 そこで、国税庁のほうにお尋ねをしておきますが、現在必要経費の控除率というのを、青色申告者あるいは農家、芸能人、あるいは自由職業人、中小法人、そういうようなものでとらえていった場合に、どれぐらいの必要経費控除率を平均的にお認めになっていらっしゃるのか、そういうような職種別の控除率が大体平均したものがあるだろうと思いますが、それを、数字だけでけっこうですから、示していただきたい。
#28
○江口政府委員 いまの問題は、標準率の問題かと思いますが、標準率は、記帳をしております青色申告者の中からサンプル調査をいたしましてそれぞれきめておるわけでございますが、個々に業種別の標準率をここでお答えするわけにはまいりませんので、概括的に一般的な傾向を申し上げますと、非常に幅がございますが、大体三割から四割前後というふうに受けとめていただければ一般的な傾向かと思います。
#29
○村山(喜)委員 きょうは時間がありませんからその問題は詰めませんが、それぞれの職種に基づいてどういうふうになっているのか、ひとつまた後日資料を出していただきたいと思います。
 そこで、これは政務次官にお尋ねしておきますが……
#30
○江口政府委員 いままでにもいろいろ御質問がございまして、標準率を資料として提出するようにという御要望がございましたが、現在のところ、標準率につきましては、私どもの部内の目安としておる資料でございまして、秘扱いになっておりますので、守秘義務の関係で、御容赦をお願いしたいと思います。
#31
○村山(喜)委員 だから、そこに徴税の民主化の問題があると私は思うのですよ。給与所得者等の間から出てくる不満の声もそこにあると思うのです。ですからこの問題については、税法については国会がきめていくわけですから、その取り扱いの内容についての妥当性、これはやはり検討をしておかなければならない段階にきていると思います。私はその、秘の取り扱いをしているから国会には出せない――出せる範囲内のものを出してもらわなければ論議を深めるわけにはまいりません。したがって、きょうお出しをいただきたいということは申し上げませんが、この次の税法の審議のときに提出をしていただきたい。この点は委員長に要請しておきたいと思います。
 そこで、時間がありませんので……
#32
○木村(武千代)委員長代理 いまの村山君からの資料の提出につきましては、いまのところ、ちょっと考慮さしていただきます。理事会で協議します。
#33
○村山(喜)委員 そこで、もう時間がありませんから最後にお尋ねしておきますが、勤労学生控除、これは、該当者の何%の人たちがその手続をしておるかということです。
 それからこれは政務次官にお尋ねしておきますが、いまの税制調査会の構成メンバーは、労働者代表として総評と同盟のほうから一人ずつ出ておるようであります。ところが、消費者代表というのはおりませんね。それに、学者を調べてみても、学識経験者の中で、どうも労働者の側に立つ学識経験者というものはおいでにならないようです。古手の官僚やあるいは利益代表的な、各種の団体のメンバーは入っておりますが、この税調の構成メンバーも、もう新しい、給与所得者がもう三千万をこえるような時代の中にあっては、もっとそういうような側に立つほうの人たちの代表も入れなければならないと私は思うのですが、そういう点について政務次官はどういうふうに考えておるのか。
 それから最後に、課税最低限度額と生計費の問題について指摘だけをしておきたいと思います。それは四十八年度分の白の事業所得者、これは標準世帯の場合です。これは月に直しますと六万三千二十四円というのが課税最低限度額になっている。ところが、人事院のいわゆる標準家計調査の中で示している数字は、四十七年の四月で七万五千百五十円です。それに四十七年度中の物価の上昇並びに四十八年度分の物価の上昇を見込んでいけば、一〇%以上のものをそれに加えなければならない、こういうことになってきます。そうなってくると、白色の事業者の場合には、そういう標準的な生活をしなくてもよろしいという課税最低限度額しか示されていない。生計費の中にそういうようなものが食い込んできているということがはっきり数字の上で出ているんだということ、生計費非課税の原則というのはとられていないということだけ指摘をしておきたいと思います。
 それに今度出されましたこの法案の中で、政令に委任をされているものは六点あるようであります。そこでこの取り扱い、今度のものは政令の中身も大体予測ができるようなものでありますから、税制の民主化の上から考えましても、取り扱いを政令にゆだねてもそう問題はないだろうと思います。しかしながら、執行事項だけではなくてその内容にわたるようなものまで政令に委任をされるということになれば、租税法定主義の原則に立って考えた場合には、この政令をチェックするところがなければならないと思うのです。そういうような意味において、どこかでか、この委員会の税制の小委員会あたりで、政令の内容について検討をする機関が必要だと思いますが、それについては委員長のほうでしかるべき処理をされるべきだと私は考えるのですが、それについての委員長の所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#34
○山本(幸)政府委員 税制調査会のメンバーについての御意見でございます。消費者代表が入っていないというお話でございますが、とりたてて消費者代表というそういう特定の階層といいますか、そういうものをどういうふうな階層の方にお願いするかというのも一つ問題でございます。また、総評、同盟の方には入っていただいておりますので、ある意味ではこの方々も消費者の代表ともいえるであろうと思うのです。税制調査会のメンバーになっていただくのには、いろいろな利益代表みたいな形では困る、やはり全体的な立場に立って、税はあくまでも国民的な立場で公平ということをめどとしなければなりませんので、そういう全体的な立場に立っていただく方々にひとつ税制調査会でいろいろ御論議、御審議願う、こういうことであろうと思うのです。税調の中が利益代表の取引の場になるとするならば、これはたいへんなことでございます。したがいまして、そういう立場から言えば今日の税調のメンバーというのはおおむね妥当なものであろう、こう私は思うわけでございますが、なお御意見もございますので、その点につきましては今後留意をしてまいりたいと思うわけでございます。
#35
○高木(文)政府委員 御指摘の中の勤労学生の割合がどのくらいかということは、これは実は税法上では統計がとれませんのでございますが、先般当委員会に文部省の方が見えまして、他の委員の御質問に答えられたときのあれでは、高等学校に行っている勤労学生については大体八割、大学に行っている方については五割ぐらいがこの勤労学生控除の適用を受けているのではないかしらという見当であるという答弁がございましたので、御参考に申し上げておきます。
 それから政令につきましては、かねてから当委員会の、何といいますか慣行といたしましては、税に関する政令に関しましては毎月の分を取りまとめまして翌月の初めに当委員会に提出するということになっておりまして、それで提出をしましたものにつきまして御批判があります場合には、次の審議の機会に、休会中であってもときどき開かれますので、そういう機会に審議をしていただく、議論していただくということで今日までルールができておりますので、私どもとしては今後もそういうことでお願いできないかという気持ちでございます。
#36
○木村(武千代)委員長代理 委員長に対するところのいまの要望は、高木局長の答弁でよろしいと思いますか。
#37
○村山(喜)委員 いや、よくない。それは提出をされますよ。提出をされる。だけれども、それを論議する機関がない。それはやはり論議するような、そういうような小委員会等をつくっているのですから、論議をするようにしなければならぬ、私は運営の上において注文をつけておきます。
 それで、これで終わりますが、立法過程の中で、国民はわからぬわけですよ、法案が出るまでの間は。ですから、いつも被害者である国民が税法の中に参加していないという声が強いわけです。そうして今度は、実際中身の問題は通達やあるいは政令に委任をされ過ぎる。そういうような点から見て、税制の民主化という問題に今度やはり国民が相当大きな関心を持ってきているわけですから、今後そういうような国民の声にこたえられるようにやっていかなければならないと私たちは思うのです。そういうような意味において、立法過程の中での民主化の問題をはじめ、実施過程の中におけるそういうような内容的な規定にかかるような問題が、国民にわかるように処理されていかなければならないと思いますので、その点については政府並びに委員長のほうに私は要請をして、私の質問を終わります。
#38
○木村(武千代)委員長代理 政令につきましては、政令、通達は理事会に提出されておりますので、今後も提出を求めます。
 また、それについての論議は、税制小委員会がございますので、税制小委員会において十分論議を尽くしたいと思います。以上。
  〔木村(武千代)委員長代理退席、委員長着席〕
#39
○鴨田委員長 田中君。
#40
○田中(昭)委員 私久しく大蔵委員会に出ておりませんから、いろいろ前の大蔵委員会で論議されたことを全部承知しておりませんし、そういう意味で包括的なことからお尋ねしますから、重複するものがあればひとつ適宜取捨選択してお答え願いたいと思います。
 まず最初に、私、現在の日本の税制の中で、まず所得税、所得税というのは、収入のあるところから税金を取るという行き方になっております。そういう意味では、先進国の中でも一番重要な税制になっております。そういう意味ではたいへんりっぱな税法だと思っております。その反面、間接税の消費税、物品税等を見てみますと、わが国の税制の中でも、たいへん大衆収奪といいますか、収入がなくてもいやおうなしに税金を払わなければならないということになっております。例をあげれば切りがありませんけれども、高い宝石にはわりあい安い税率でありますけれども、みんなが使うところのお砂糖、そういうものには、宝石以上の高い税率がかかっておる。入場税についても、ようやく最近百円になりましたけれども、いまごろ入場料百円以上のものには課税するという行き方、マッチ一木にまで税金がかかっておる。こういうものはどんな零細所得者でも税金を負担しなければならない。その反面、所得税は、収入のある中から幾らかをいただくということですから、私はその意味で申し上げたわけでございます。
 ところが、この所得税が、最近わが国の産業優先といいますか、産業を根本にした経済の発展の中では、りっぱな税法がたいへん批判を受けているというようなことについて、まず簡単に主税局長と政務次官のお考えをお聞きしたい。
#41
○高木(文)政府委員 御指摘のとおりでございまして、所得税はすべての税の中で一番基本をなすものである。特に、税の一つの重要な機能でございます所得再分配という目的から申しますと、所得税が何といっても基本でございまして、重要な税制であり、したがって所得税法が非常に重要な税法であると考えております。ただ問題は、必ずしも理論的にだけ割り切って仕組めない税の執行の関係あるいはもろもろの誘導税制との関係で、いろいろの例外ができておりまして、たとえば貯蓄関係につきましては、貯蓄を奨励する趣旨から非課税措置あるいは分離課税の措置がありますし、配当につきましても、貯蓄との関係もあり、また、ある程度申告のわずらわしさを軽減するという見地から、源泉選択の制度があり、土地につきましては、政策的な見地から近来分離課税の制度がとられてきたということで、本来の各種所得を総合して累進をするという基本的所得税の構造がややゆがめられつつあるように思っておるわけでございまして、しばしば当委員会でも御指摘がございますが、勤労性の所得と資産性の所得とのあり方の問題については、私どももこの辺で再検討といいますか、よく考える必要がある段階に来ておると思っておりますが、しかし、それぞれの制度はそれぞれの歴史的な経緯もあり、また理由があって今日に至っておる事情もございますし、そう簡単にはなかなか直せないということでございます。また、特に株式の非課税、譲渡所得の非課税のように、税の執行との関連でどうにも行き詰まっておるということもございます。それらをじみに一つ一つ研究しながら、本来の姿に少しでも立ち戻るように努力をしてまいりたいというのが、私ども事務方の考え方でございます。
#42
○山本(幸)政府委員 今日、税について重いという一つの感じがございまして、国民にそういう重圧感を感ぜずに税を納めていただくという、そういうことを考えていかなければならないと思います。そういう感じはいろいろのところから来ると思いますけれども、やはり所得税、特に勤労性の所得税の重さということが大いにあずかって関係がある、そう思うのであります。したがいまして、そういう観点から、今後の所得税のあり方、あるいは法人税のあり方というものについて考えていかなければならない。
 それから間接税についても御意見がございましたが、間接税は元来の性格がえてして大衆課税になりやすいというものでございますが、最近の日本の経済の姿あるいは国民生活の水準の上がり方から見て、少しその考え方も変わってきたように思うのです。それらのことを踏まえまして、今後の日本の税制のあり方というものを研究していかなければならない、こう思っておるわけでございます。
#43
○田中(昭)委員 主税局長、政務次官、それぞれお述べになりましたが、大蔵省だけがそう思っておるのですよ。歴史的どうであるとか――大蔵省というと、やはり国の財政をあずかっておる。その中で、社会がこれだけ変わっておるのに、これだけ重税感というものがありながら、変えようとしないのは大蔵省だけなんだ。あなたはまたその中で、所得税はりっぱだという私の提言に対して認められた。その所得税の中でさえもたいへんに不公平の声があがっておることは、ちまたにもたくさんある。汗水たらして働く人は百万円から税金がかかる。寝て遊んでおって、株を持っておる人は、その三倍も収入があっても、かからないというような税制になっておる。こういうことを何べん論議しても大蔵省は根本的に姿勢を変えないということは、大衆からだけ税金を取るという行き方だといわざるを得ない。
 そこで、多く論議されておりますから、私、この大蔵省の参考資料でお尋ねしておきたい。
 四十二年のものを持っておりますが、毎年出ておりますけれども、私が大蔵委員会でいろいろ指摘したあと、この参考資料の中の表が翌年からなくなっておる。そういうことについては、また機会があればやりますが、きょうは追及しません。四十二年分の三〇ページに、所得種類別の所得税負担率及び1人当たり税負担額の累年比較、こういうのがありますが、この内容として、戦前と戦後における国民所得と所得税の課税範囲というのがあります。これは一体何をあらわしておるのですか、どういうことをあらわしておるのですか。
#44
○高木(文)政府委員 この表は、個人所得を国民所得ベースで計算をし、それから納税者の所得、これは税務統計のほうから出ておるわけでございまして、これから所得税の負担割合、そういうものを累年に比較したものでございます。
 そこで、この表から問題になりますことは、やはり何といっても、所得の捕捉率ということが一応考えられるわけでございますが、この表が直ちにいわゆる捕捉率をあらわすものというふうには私どもは理解していないわけでございまして、国民所得ベースの個人所得に対する納税者所得の割合というものを、ここにありますところの所得税の課税範囲、A分のBという率であらわされておりますが、それは文字どおり、二つの、国民所得計算上の個人所得と、それから税務統計上の納税者の所得とを比較したものでございます。この割合は、それぞれの所得者の所得区分に応じて、納税者の所得が、非納税者、つまり課税最低限以下の者の所得をも含めた全体の所得のうちでどの程度を占めているかというめどを示すものでございます。前にも、この表とそれから捕捉率との関係のことが御議論になったかと思いますが、私どもは、この表は直ちにいわゆる所得種類別捕捉率を示しているというふうには考えないわけでございます。
#45
○田中(昭)委員 いまあなたの説明は、聞いておりますと、たいへん自己相違があるのです。まず捕捉率の云々というような話がありましたけれども、片方では捕捉率をあらわすものだと言いながら、だけれども捕捉率をあらわしていないのだと言う。税制の神さまである主税局がそんなことじゃ――会議録に残りますから、そういうあやふやなことじゃいけないと思いますよ。これはひとつ政務次官聞いておってください。私が私なりに理解して、わかりやすく申し上げますから。
 この表で見てみますと、昭和九年−十一年、それからずっと、戦後の国民所得の伸びと、それから所得税納税者の伸びと、それから所得税がどういうふうに伸びたか、また、一人当たりどういうふうになっているかということが表示されていると思うのです。これは間違いありませんね。間違いあるかないかだけ言いなさい。
#46
○高木(文)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#47
○田中(昭)委員 そうしますと、いわゆる給与所得者なり営業所得者なり、その他の事業所得者なり農業所得者なりの平均と合計の数字がここに出ております。それからいきますと、これは一々やっておりますとたいへんでございますから、私が数字を申し上げますが、大体間違いありませんから、政務次官聞いておいてもらいます。全体の個人所得、いわゆる個人所得税の伸びは――国民所得は、大体昭和二十五年――昭和二十五年といいますと、たいへん税金が高かった時代です。この時代と比較してみましても、国民所得は十六倍も伸びておる。ですから、その範囲を越えないように納税者の所得も伸びておる。納税者の所得は二十倍に伸びておる。そして納税人員は大体二倍くらいにふくれ上がっております。これは全部個人所得の合計の伸びであります。そこで、この平均の伸びよりもいかに給与所得者が伸びておるかという実態がここにあらわれておるわけであります。その中の給与所得者をとってみますと、国民所得においては一六〇%、いまのこの平均よりも六割も高い伸び率を示しておりますし、納税人員においても平均よりも五割以上の伸び率を示しておる。ですから、所得においても税額においても給与所得者は平均よりもたいへん伸びが大きいということは、どういうことですか。
#48
○高木(文)政府委員 大体の傾向といたしましては御指摘のような点が問題になるわけでございますが、現在の、たとえば昭和二十五年から――いま御指摘になりましたのは四十二年までの表でございますが、二十五年から四十二年までの間において……
#49
○田中(昭)委員 違う違う。四十二年じゃない。だから、いまの伸び率に対してどう考えるかということを言ってくださいよ。あとで計算しなさい、四十二年じゃないとわかるから。決算が出たのは四十六年のが出ておるから、四十六年に比較しておるのです。数字はどうでもいいから、たいした変わりはないから、そういうふうに伸びて、平均よりも給与所得がたくさん課税されておるということに対しての感じを言いなさい。
#50
○高木(文)政府委員 御存じのように、日本の産業構造はかなり変わっております。いわゆる自営業者から給与所得者にかなり大勢が変わっております。たとえば農業人口はまた非常に減っておるというような傾向があります。したがって、いわゆる雇用者所得というものは総体としてふえておるわけでございます。それから、しばしば日本の給与水準は国際比較においてもたいへん低いということでいろいろ批判があったわけでございますが、経済の拡大に伴いまして給与水準も上がってきております。そういうものの総合と、税の関係との総合でいまのような傾向にあるわけでございまして、私どもは、給与関係の所得税の伸び率、その伸びが大きいのは、その各種所得間の税制の変化の度合いが不十分であったから直ちにこういう数字につながっているというふうには理解しないわけでありまして、その基本となりますところの経済構造なり給与水準なりの変化と総合的に分析してみる必要があると思います。しかし、その点は十分分析しておりませんので明確にはお答えできないわけでございますが、御指摘のような傾向にあるということもまた一つの問題点であるということは、よく承知をいたしております。
#51
○田中(昭)委員 そういう分析をすることは、あなたたちは商売だ。最後に給与所得がたいへん課税がきつくなっているということをあなたが言ったということで、私一応そこだけを了解しておきます。
 政務次官聞いておってください。ほんとうはきょうは大臣なり総理に来てもらって、先ほどから問題になっておるサラリーマンの必要経費についてやりたいと思っておったのですが、残念です。こういう議論をしていくときに、事務当局の役人は一生懸命仕事をしてもらうということはありがたいのですが、その方向をきめるのは政治家なんです。そういう意味でひとつ聞いておってもらいたいのですが、政務次官、いま私が申し上げた国民所得と、いわゆるその平均よりもサラリーマンがたいへん課税されているということはおわかりいただけますね。どうですか。――また次を言いますから。わかりますね。
 そうしますと、いま農業人口が減っておるの、どうのこうのという話がありましたが、一つだけ申し上げます。農業人口をとればそれは減っていることは間違いないのです。極端な減り方ですから、これは基準にならないと思う。先ほど言いました全体の個人所得の平均を一にしますと――一〇〇でもいいでしょう。パーセントで一〇〇にしますと――営業所得者、いわゆる商売人等の税金が安くなったということを言いたいのではないが、そうじゃなくて、その平均の所得の伸びよりも、営業所得者の場合は五割近く減っているのです。それはいまたいへん商売する人が少なくなって、サラリーマンになったというようなこともありましょう。しかし、そのあとの納税者の所得なり人員なりを比較してみますと、それからまた一人当たりの税額、こういうものを見てみますと、平均よりもずっと下がっておる。納税人員なんかに至っては平均の十分の一なんです。一割しか納税人員はないんです。戦前の話と違いますよ。昭和二十五年の当時です。ごく最近のでもいいでしょう。納税者人員は一割なんです。一人当たりの税額についても六割ぐらいにしかなっておらない。二十五年の商売人等の一人当たりの税額は六割ぐらいに減っているのです。どうですか。政務次官の考えを聞かせていただきたい。
#52
○山本(幸)政府委員 これは、先ほど局長が言いましたように、日本の経済の姿がだんだん内容的に変わってきたということの一つのあらわれでもあろうと思うのです。事業者、農業がだんだん姿が変わってきたということが数字の上で一つ象徴的にあらわれているんだろうと思いますが、同時に、事業者については、だんだんに個人営業から法人に変わっていった。法人のほうでやはり相当ふえておる、こういうことに移っていったということも、こういう数字のあらわれた一つの原因であろうと思うのです。いま田中委員のおっしゃる具体的な数字というのは、私はよくのみ込めません。傾向としてだけのお話としてひとつ受け取っていただきたいと思うのです。
#53
○田中(昭)委員 それは数字をよく見られますとわかると思うのです。これは専門家ならわかるのです。それは政務次官がわかりにくいとおっしゃることもわかりますけれども、ただ、商売人が減ってサラリーマンがふえた、そういう簡単なことだけじゃないのです。それだけは指摘しておきます。
 次に、これはまだほんとうはいろいろ御論議しなければならないのですけれども、先ほど村山委員も言っておりましたように、ほんとうに税制の審議をするならば、大蔵省が予算をつくって、税制改正案をつくって、その前に審議が必要なんです。その前に税制調査会なんかがといいますけれども、そこではこの大蔵省の考え方を示しただけじゃないですか。こういうものについてはまた給与所得のところで当たっていきたいと思いますけれども、たいへんな――先ほどの標準率の秘扱いについてもそうです。何で標準率を秘扱いにしなければいけないのか。そういうことを言っているのじゃ、この大蔵委員会でどれだけ税制の改正の審議をやってみても、いままでと同じような、生計費を食い込むような税制改正しかできない。
 そこで、この委員会で、先日、田中総理が、サラリーマンの税金がきついという国民の感情を受け取って、サラリーマンに必要経費を認めたらどうか。ところが、これにはその減税になる分だけの財源をどこからか見つけてこなければならないという論議があったと、私は新聞で承知しております。そこで、簡単にひとつ答えてもらいたいのですが、なぜ給与所得に必要経費を認めないのですか。
#54
○高木(文)政府委員 給与所得について必要経費を認める趣旨で給与所得控除制度があるわけでございまして、ただそれは概算的にきめる、実額控除制度はとっていないということでございます。
#55
○田中(昭)委員 必要経費というのは、所得税法第九条ですか、収入を得るために必要な経費と、はっきり書いてある。それを定額控除だ、定率控除だといってわかりにくくして、実情に合わないような控除をするから、問題が起こっているのじゃないですか。どの所得といって区別して、あなたたち大蔵省が――これは戦時中からの流れです。一番徴税費が安くて、大衆から税金を取る一つの道具として、所得税の源泉徴収を始めた。そのなごりがいまでも残っている。そこから起こってきた問題です。
 それじゃ、一応必要経費を政府も認める方向で検討することはいいと思うのです。ところが問題は、その必要経費が少ないということでいままで問題になってきたわけですが、ここにおかしなことがあるのです。国民が給料に必要経費を認めろというのがいま裁判問題になって、例の大島裁判、もう十年近く――十年までにはならぬか、結論が出ない。それからまた、給与所得者が確定申告時期に必要経費を記入して申告する。あるところではサラリーマン組合というのがある。また、そういう法律に基づいてサラリーマンが必要経費を申告した。これも、聞くところによると、四十四年から始まりて、その結論はいまもって出ていない。まあ世間には、やれ、減税してくれということで、いろいろな民主団体、労働組合、会計士、税理士、総評等の確定申告の実情について――中には商工会議所も最近はたいへん節税のPRをしている。政務次官、これも実態はいろいろな批判があるのです。また、商工会議所のほかに民主商工会というものもある。そういういろいろな団体が、必要経費を控除してくれということで、国税庁に、第一線の税務署に提出されておる。これは一体何を物語っておるのですか。事務当局の説明は、長くただ同じことを繰り返すだけであるから、いま私の言ったことはうそではないのですから、政務次官の御答弁をお願いします。
#56
○山本(幸)政府委員 給与について必要経費を認めろという御議論は、私はごもっともなことだと思うのです。ただ、その場合に、税制で一体概算制みたいなことでやるのか、あるいは実額控除でやるのかという問題が出てくるわけでございますが、先般来たびたび局長から御答弁しているように、実額控除でやれば、その実態の把握がなかなかむずかしい、かつまた、同時に、それを具体的に立証していただかなければならぬ、その立証の場合の技術の巧拙によって不公平が生じるおそれがある、こういう御説明を繰り返ししてきたわけであります。したがいまして、必要経費を認めるという原則は、確かにそのとおりであります。そこで、そういう一つの税の理論と、それから税を執行する上でのいろいろな点を考慮しながら、具体的にはどういう制度で給与所得者に対する必要経費を認めていくかということを考えなければならぬわけでございます。そういう見地で今日までの制度ができてきておるわけでございます。しかし、おっしゃるように、給与所得者の数はだんだんに納税者の面でふえてきていることは事実でありますし、今後の税制の上でそういうような点については十二分に留意をしてやらなければならない段階に来ておることも、皆さま御承知のとおりでございます。したがいまして、この問題についてはさらに政府としても一段と勉強をしていかなければならぬだろうと思います。これも各方面の御意見を伺いながら、また、税制調査会というものがあるわけでございますから、それらの御意見も伺いながら、今後の検討の課題としていただいておきたい、こういうように思うのであります。
#57
○田中(昭)委員 私、いろいろまだ、こういう結論を出す前には、ひとつ委員の皆さんにもよくわかってもらって、また事務当局にもわかってもらって議論をするのがほんとうでございますけれども、そういう時間がございません。制限されておりますから、私いま簡略してやっておりますが、いまいろいろな情報が多い中で、価値の多様化というものも、ほんとうに極端に変化を続けておる、こういう社会構造の中で、いま私が、ただ一つの所得税の、その中でもサラリーマンの税金の重いということを取り上げて言いましたが、そういう社会構造の変化に対応するどころか、この所得税の、特に勤労給与所得者の税金というものは何の変化も来たしていない、そういうところに私は大きな根本があるのではなかろうか、こう思いますが、いかがですか、政務次官。
#58
○山本(幸)政府委員 先ほど話もありましたように、たとえば橋本幹事長が三〇%引けと、こういう御議論、これは村山委員もさっき御指摘のように、クロスポイントが百二十八万円で、それ以下のところはむしろ三〇%では重くなるんだ、こういうことであります。そういうことを考えてまいりますと、もう少し国民の皆さま方、納税者がわかりやすいようにするということも私は大切なことであろうと思うのです。たとえば現在の給与所得控除につきましても、私は、実績としては相当の数字になっておると、こう思うのですけれども、それがたいへんわかりにくい。ですから、もっと簡単に納税者がわかるようにしろという御要求も私はもっともだと思います。そういう、わかりやすくなれば、私はずいぶん理解度も進むものではないだろうかと、こう思うわけであります。給与所得の問題は、そういう意味では今後の大きな研究を要する問題だ、こう思っておるわけでございます。
#59
○田中(昭)委員 どうも話がわかりにくいのですが、先ほど私が申し上げた、サラリーマンが、給与所得者が必要経費を計算して申告するという状況がふえつつあるのです。その現況、実情は御存じですか。二千八百万にも及ぶ納税者が――税金がかかっておる者が二千八百万ですから、三千万からそれ以上になるでしょう。そういう人たちが必要経費を計算して申告するようにだんだんなる状況をお考えになったことがございますか。あるかないかだけ……。
#60
○山本(幸)政府委員 そういう動きが最近あるということは承知いたしております。
#61
○田中(昭)委員 それはいいことですか、悪いことですか。
#62
○山本(幸)政府委員 いいとか悪いとかいう、そういう価値判断の問題ではなくて、要するに、そういうことをいまおやりになっている方々は、現在の法制のたてまえからすれば源泉徴収で納めていただくというたてまえの方がそういう確定申告をおやりになっておることであろうと思うのです。現在の法制のたてまえからいたしますれば、政府にいいことか悪いことかとお尋ねがあれば、それは現在の法制に従っておやりをいただきたいと、こう申し上げるほかないわけでございます。
#63
○田中(昭)委員 法制でたいへん矛盾をした税金を納め過ぎたり、問題が多いから、国民は自覚をして、サラリーマンが自覚をして、そういう確定申告書を提出する、必要経費を書いて提出するということを控えたい――控えたいということは、税制を直してくれというその裏があるのです。ところが、ある人は、いや、おれは必要経費を書いて出すんだ、源泉税は還付してくれ、こういう者もあるということなんです。ただ一言にいいとか悪いとかいうことだけで私は税制というのは考えられるものじゃないと思うのです。そういう方向に行っておることを考えるならば、先ほどから言いますように、田中総理が言われたような、必要経費を何とかして見たい、しかし、その減税分の財源は要るから法人税を上げるとかなんとかいうお話があったと聞いております。私は、そういう現況から見れば、必要経費を何らかの形で引くという方向は一つの示唆としていいことではないかと思いますが、いかがでございますか。
#64
○山本(幸)政府委員 まず、総理は、この間、課税最低限を百五十万円に上げろというお話がございますが、もしそういうことをやるとするならば相当財源が要ります、こういうお話をなすったように私は記憶しておるのでございます。
 また、いまお話しの、いろいろな動きがあるというお話でございますが、現在の税制のたてまえ、法律のたてまえからいえば源泉徴収でやっていただくという方がそういうことをおやりになれば、たとえ確定申告でおやりになって必要経費を引いてくれというお話があっても、法律の上で認められていない必要経費というのは引くわけにはおそらくいかないんだろう。したがいまして、必要経費についてもっと実態に合うように見てくれという、そういう御要望、御要求というものとしては私は受け取れると思うのです。しかし、それを先ほど来申し上げますように税制に具体的に当てはめて一つの制度として打ち立てる場合に、それじゃどうしたらいいか、これは税の理論も一つございます。あるいは税執行のこともございます。あるいはいまお話しのような御要求もございます。それらをどういうふうに調和さして考えていくかというのが今後の課題だと、私はこう申し上げておるわけでございます。
#65
○田中(昭)委員 それは当然課題でございますよね。課題については、事務当局なり政府で一生懸命勉強されればいいことなんです。私はいま、くどいようでございますけれども、そういう方向に行かざるを得ないということを先取りして、サラリーマンの必要経費を引く引かぬというものが出ているわけでしょう。そうじゃございませんか。総理の発言はそういう意味じゃございませんか。サラリーマンについては必要経費というそれに相当するようなものを認めていきたい、しかしそれにはいろんな制約がある、しかしその制約を、なるたけいわゆる控除額を上げていきたいという方向があるでしょう。それは間違いございませんね。
#66
○山本(幸)政府委員 総理のこの間のここでのお話は、私は、一つの今後の税制の方向として、おっしゃるように、サラリーマンの給与所得を含めて将来だんだんと所得税の課税最低限を引き続き引き上げていく方法というものを考える、同時に、法人税についての税率の引き上げというものを今後の方向として示唆されたと、こういうふうに承知をしております。
#67
○田中(昭)委員 それじゃ大体言わんとすることは同じですよ、ただことばの言い回しが違うだけで。じゃ、それはそういうことで一応了解しておきます。
 そこで、先ほどから、給与所得ということの概念を変えなければいけないじゃないか。先ほど主税局長も、事業主控除等についていろいろみなし給与にするとかなんとかという発言があっております。そこで私、そのことを議論しますとまた繰り返しますから、端的に申し上げます。
 労務の提供としてもらう報酬の中には、現在でも給与所得に入ってないものもあります。ですから、私は国会議員でございますが、歳費というものは、いまの給与所得の中で給与というものの一番妥当性がないものだと思う。毎日日給をもらってわずかな収入をかせいでいく人から、会社の重役、政治家、それ以外のいろんな給与所得とみなされるような所得がたくさん種類がありますけれども、一応それを大蔵省の主税局のほうでは給与所得とみなすというようなことができるのであれば、給与としてもらうものについては、給料というようなものでもらう中で給料とみなさない取り扱いをしているいわゆるその他事業所得、いわゆる弁護士さんとか作曲家とか、人は問いませんけれども、講演料をもらった謝礼金、そういうふうにして、いまの給与所得者がその給与を謝礼金として受け取っていけば、必要経費を計算して出すことは何も法律に矛盾しておらない。だから私は、サラリーマンは給料として会社が支払うかもしれませんけれども、支払い者と話し合いの上で労務の謝金としてもらったならば、この謝金を一年間計算してそして確定申告するということはいかがでしょうか。
#68
○高木(文)政府委員 それはそういう制度の組み立てにすることもできないわけではないわけでございます。それはむしろ実額控除の問題ともう一つは源泉徴収制度の問題にからんだ問題でございます。ただし、それは、どちらを原則にするか、どちらを原則にしてどちらを選択にするかという問題があり、また、どのような場合に選択を認めるかという問題がございますけれども、現在の二千五百万人をこえる給与所得者につきまして、大幅にそういう実額選択のような制度を認めることを前提とした仕組みにいたしますと、これはたいへんな事務量になってまいりますし、納税者としても、一々全部の方が実際に支出された経費を区分して、人的控除の対象となるべき経費と、その給与を得るに要した経費とを区分をして、そして証憑書類を添えて主張するということは、たいへん複雑ではないかと思います。そのようなことから、現在、一方においては実額控除の選択を特別な業種についてだけ認めてはどうかという意見もあるわけでございます。一般的には非常にむずかしいから、特に現在の給与所得控除ではカバーしきれないという可能性が非常に大きい業種についてだけ認めたらどうかという議論であるとか、業種別選択にしないで全く自由に選択を認めてはどうかとか、いろいろな議論がございますが、いずれにしても、それを突合するということの事務が新しく起こるわけでありますから、そういうことの関係で実額控除の選択というのはわれわれとしてはなかなかむずかしいというふうに考えております。
#69
○田中(昭)委員 政務次官、お聞きになっておりましてあれですが、むずかしいけれども実際やっているのです。サラリーマンの確定申告については適当であろうかなかろうかというような事務をやっておるのです。それは、私が先ほど申し上げた今度の四十七年分については、総評の減税闘争だけで千五百人近くそういう事務をやっておる。それはやるほうの都合でありまして、いまそれをこまかく取り上げますときりがありませんが、私がわかってもらいたいことは、今度の総理の発言は、先ほど村山委員からも話がありましたが、未成年の独身者に初任給から税金がかかるというようなことはやめたい、世間はそういう総理の発言であったと受け取っておるわけです。そして、いま問題になっております必要経費についても、給与所得控除は上げてくれるだろう、上げることは四十九年度からやるというような総理の意向だったと聞いておりますが、問題は、それをやる場合のやり方です。
 ここにある記事によりますと、これはおたくの自民党の閣僚経験者の幹部の方が、この必要経費の概算控除をやると、いまたいへん頭打ちになっております控除額のワクがのいて、いわゆる高額所得者にはたいへん便利になる、こういうことをおっしゃっておる。またサラリーマンユニオンの方は、そういう方向でのくことは賛成する、しかし、それはいままでの基礎控除とか諸控除の、十万円上げたら一万円上げるというような、減税にならないようなことでは困る、ほんとうの意味の減税をこのサラリーマンの控除でやるべきである、そういう意見もある。しかしまた、三〇%を控除する方向でというような大ざっぱな議論が税制の上においては一番困る、ほんとうにやる気ならば、いまの定額定率控除を相当上回ったところのはっきりした議論をすべきである。私は、この議論がいま一番求められておることだろう、こう思うのです。この三様の言い方について、政務次官はどう思われますか。
#70
○山本(幸)政府委員 これはいろいろこれから税調なりあるいは各方面の御意見を伺いながらやらなければならないことであろうと思います。したがいまして、いまここでその三つの方法のどれがいいか――繰り返し申し上げますように、やはり税には一つの理論がある。その理論、筋道をくずしてしまうと、やはり全体の組み立て、構成がくずれてくるということがある。また一方においては、執行面においてたいへんにめんどうが多い、あるいは徴税費がやたらとかかる、人手が非常にかかる、そういうことについてもやはり考えていかなければならないという、税特有の問題も同時に考えていかなければならぬ点がございますので、いま直ちにここでどれがいい、あれがいいと言うわけにはまいりません。ただ、先ほど来の御議論を通して私は方向だけはおおむね御理解がいただけたことであろうと思いますので、その具体的なやり方については、ひとつこれからの検討、研究課題だ、そういうふうに理解をしておるわけでございます。
#71
○田中(昭)委員 時間が経過しておるということですから簡単にやめますが、いま政務次官がおっしゃったが、いわゆる減税をしようとするならば、そういう大ざっぱな議論じゃなくて、真に減税になるような方向で検討するのが、これは事務当局の仕事でございますね。減税の試算を――総理が言ったように、財源が必要となれば、法人税の引き上げをするか何をするかということを事務当局で検討することは何も法に触れないことで、私はどんどんやっていいと思うのです。やっていいから、そのやったものを、この委員会で予算編成の前にそういうことをやるべきです。それでないと意味ないですよ。政府がきめてきた控除額の引き上げを、その前に税制調査会に出して、いろんな理由をつけてそのままの姿で返ってきたものをこの委員会で審議しても、一ぺんでもどうかなったことがございますか。ならないじゃないですか。
 だから、ちょうどこの場で言っておきますけれども、主税局長は、あの東淀川税務署で、三百近い税務署の中でただ一カ所、法に触れないということで、よそでは課税申告加算税を取っておるのを、あなたは、長官の許可を受けたかどうか知らないが、東淀川税務署で課税申告加算税を取らないという方法をとってきたあなたは本人でしょう。そういうことができるくらいなら、何でサラリーマンにもう少しあたたかい方法をやれないのですか。東淀川方式は税法に触れるか触れないか、私が予算委員会で論議したが、そういうことでも法に触れないとしてやるならば――この問題はまだ解決しておりませんが、私は大臣が出てこられたときにまたやりたいと思っているのです。きょうはしいて言わない。
 そこで、政務次官、いま私が言っているのは、そういう必要経費の控除につきましてもいろいろな方向があろう、しかし、それが無制限にはできない、それは財源の関係だ、これは私は当然だと思う。その必要経費を控除することによって財源の穴があくものは、こういう財源を確保したい、そして必要経費については、このようにサラリーマンの方向に近づけたいということを審議することが、ほんとうの税制の審議になると思うのですが、そのことについて、簡単でけっこうですから、あなたの感じを言っていただきたい。
 それともう一つは、このサラリーマンから取っておる税金が、最近十兆円くらいになっておると思います。四十六年度までの決算額で調べてみましても、相当な取り過ぎになっておる。減税するという金額よりも、予算できめた額が、過去昭和三十二年から四十六年までの決算額では五千億もよけい納められておる。こういうことと、源泉徴収の実際の徴税事務をやっております会計担当者はたいへん苦労になっておる。こういう実情を見ますと、徴税の代行をやっておる徴収義務者に税金の取り過ぎ分だけでも還元すべきではなかろうかと思いますが、簡単に結論を申し上げてどうかと思いますが、いまの二点についての政務次官の答弁を聞いて終わりたいと思います。
#72
○山本(幸)政府委員 第一の問題は、国会の審議の基本に触れる問題でございまして、これは皆さま方委員の方々よく御理解いただいておることであろうと思うのです。今日の政治のあり方は、政党内閣制でございますから、内閣が責任をもって国会にお出しをいたしまして御審議を願う、こういう形になっておるわけでございます。ここでいろいろ御審議を願いまして、その結果がまたいろいろな形で内閣、政府が考えるところの施策に大いに影響をし、反映をしていく、こういう姿であろうと思います。
 それから第二の問題につきましては、取り過ぎというのは私も理解に苦しむのでありまして、やはり見積もりと具体的な税収額との差異ということであり、言うなれば私は自然増収と見るべきものであろう、こう思うわけでありまして、決して法律の命ずるところと違ってサラリーマンから取り過ぎをしたということではないであろう。しかし、自然増収が多くなってきたという実態を踏まえて、歳入全体に占める位置あるいは直税の中で所得税の占める位置、こういうものを考えながら将来の問題としてそれを考えていく、こういう態度であろうというふうに考えるわけでございます。
#73
○田中(昭)委員 最後に要望だけしておきます。
 審議のことにつきましてはいろいろおっしゃいましたけれども、当然私が言ったような方向へ行かなければならない時代が来る。
 もう一つは、いまの自然増収、私が取り過ぎと言ったから、取り過ぎということばにこだわっておりますけれども、自然増収でもいいです。なぜサラリーマンからだけ自然増収をたくさん取るような税制になっておるか。こういうことをやっておりますと、先ほど私が言いましたように、サラリーマンが全部必要経費を書いて、三千万人の人が税務署に押しかけるという時代がいまのままでは来るかもしれない。そのときにおいて税務行政が破綻するようなことについては私はたいへん心配しております。そういうことのないように事務当局でよく検討してもらいたいということを要望して、質問を終わります。
#74
○鴨田委員長 次に阿部君。
#75
○阿部(助)委員 私のところで――これは私のところだけじゃないと思うのですけれども、船乗りの家族というのはたいへん苦労しておるわけです。主人が船に乗っておる、たまに港へ入るというと、連絡があると神戸なら神戸へ自分のほうから出かけていく。荷をおろして次は横浜へ行くということになると、横浜へ汽車でまた追っかけていく。そういうことで、たいへんな苦労と経費がかかるわけであります。しかし、そういうことをやらなければ労働者としての家庭生活というものが成り立たぬわけです。ところが、この家族は、いなかにいればひまだからいいだろうといえば、そうではない。かりにつとめてみても、いつ船が入るかわからぬから、すぐに首になってしまうということで、なかなかつとめもできない。この人たちの給与を見ますと、月大体十二、三万円、そう大きな給料でないように皆さんお考えになるかわからぬけれども、いなかの村へいきますと、これでもたいへんな高額者でありまして、町内費であるとか、あるいは子供を保育所へ入れたとかいうことになると、その辺の相当大きなお店屋の税金よりも重いから、したがってそういう経費がよけいかかるというようなことで、たいへん経費がかかるわけであります。ところが、昨年船乗りのストライキがありまして、何か約束で、一年に二回だけは家族の呼び寄せの経費、会いに行く人の汽車賃四千円とか五千円を、これは会社によって多少違うようでありますが、見ることになった。しかし、そういう経費まで収入として所得税で見るというのは、少し残酷過ぎはせぬだろうか。実際にその人たちに会って話を聞きますと、給料はもっと少なくていいから、できれば地元で働きたいというのが本心であります。しかし、なかなかそうはいかない。近海漁業はなくなったというようなことで、やむなく船に乗っておられる。そうしてたまに港へ入ると、家族がそこへ会いにいく、こういうことになっておる。その経費ぐらいは――これは普通の勤労者の所得控除という程度のものではとても間に合わぬのです。たいへんな苦労をされておるわけです。そういう意味で、せめて家族呼び寄せの手当ぐらいは非課税にすべきではないだろうか。いろいろなやり方があると思うのですが、そういう点でまず第一に皆さんのお考えをお伺いしたいと思うのです。
#76
○高木(文)政府委員 この問題は他にも実は類似の問題があるわけでございます。稼得者、サラリーマン等で収入のある方とその家族が離れて生活をしなければならない。これはやむなく離れて生活をしなければならない場合と、全くそれに拘束されるわけではないが、いろいろな便宜から、あるいは子供の教育であるとか、あるいはお年寄りのめんどうを見なければいけないということのために、奥さんが主人と別れて住まなければならないというようなことがいろいろございます。いま御指摘の船員の場合というのは非常に特殊な場合でございまして、職種の性格上、内地に寄港をした場合に面会の機会をつくるのは当然のことでございまして、それに伴う経費をどうするかという問題が一つと、ただいまちょっとお触れになりましたように、私つまびらかに存じませんけれども、あらためてそのために特別な給与を支給するということになった場合のその給与の取り扱いの問題、両方あるわけでございます。たとえば、最近非常に問題になっておりますのは、農村からの出かせぎ者、農閑期に都会に土木事業等のために出てまいりますところの出かせぎ者の中間における帰郷旅費というようなものの扱いであるとか、先ほどちょっと触れました、いわゆるやむなく別居している場合の別居費の扱いであるとか、勤務形態が種々多様でございますことに関連いたしまして、そういうものをどのように見るべきかということは、具体的事例に即しまして、いろいろと私どものほうにも、また執行当局のほうにも寄せられているわけでございます。私どもも、まさにいま御指摘がありましたように、気持ちとしては、これを通常の給与収入として扱うということは少し酷になるのではないか、また、こういう収入がない場合でも一種の経費を認める方法はないのかということを、いわば個人的立場としては非常に共感を覚えるわけでございますけれども、どうもいろいろな形態のものがいろいろとございまして、なかなか判断に苦しんでおるところでございます。現在のところは、どういう形態で各会社からこの面会旅費が支給されているものか、よく承知をしておりませんけれども、その支給形態にもよろうかと思いますけれども、伺いました範囲内においては、現在の段階ではやはり収入に扱わざるを得ないのではないか。ちょっと類似のものでございますけれども、教員に対して研究費等の名目であるいは図書費等の名目で支払われたものの課税の問題というようなものも、やや似て非なる問題として起こっておるわけでございまして、いろいろ本給以外に支払われますこの種の手当制度については、確かに、いわば社会的感情としては問題がありますが、いまのところは、一部認めることにしますと、限界が非常にむずかしいということで、たいへん冷たい扱いになっております。
#77
○阿部(助)委員 局長はだんだん何か問題を広げて薄めてしまうので、それは話にならぬのですが、個人的にはどうだとかこうだとかいう、私、個人的なあれをお伺いしておるのじゃないんでして、もう少ししぼって聞いておるので、全般の問題はあとでお伺いします。
 だけれども、これは実際言うてたいへんな経費がかかるんですよ。それはたまに汽車に乗れば、子供をかかえておればいつどういう病気、事故があるかわからぬということになれば、何がしかまとまったものを持っていかなければならぬ。持っておればやはり使うということで、これが大体月一回としてもたいへんなことなんです。私は、それをいますぐ全部をしろ、こうまでは言わないけれども、とにもかくにも、新しく家族呼び寄せというために支給されたものくらいは、やる気になればできないことはない。これは家族にいったのか、あるいは本人に渡るのか、これもわからない。もし家族に渡ったということになれば、これは少額の収入でありますから、当然、その解釈さえ皆さんがお立てになればこれは可能である。もう少しその辺を、たいへん苦労されておるこういう実態を踏まえて、血の通った政治というものが行なわれてもいいのじゃないか。私、局長の答弁は、問題を一般に広げ過ぎて非常に冷たい答弁だと思うんだが、もう一ぺんひとつその辺は考え得る余地があろうと思うのですが、いかがですか。
#78
○高木(文)政府委員 確かに、面会手当というのは、直接にはおそらく船員さん御自身を通じて実質的には家族に渡るという形態をとっているんじゃないかと思いますが、もしそれをまっすぐ家族に渡るということにしたらどうなるかという問題は確かにあろうかと思います。しかし、勤務に対応するものとして支払われるところの給与の一形態のものが、御本人に渡されるという形式を、とるか、家族に渡るという形式をとるかによって、収入と見ることにするか見ないことにするかという区分を置くということになりますれば、いろいろな形態のものをいわゆる家族への支給ということで処理をすれば、これは一種の家族にとっても一時所得みたいなものになって、それで少額であるから非課税というか、そういう扱いになるということになりますと、これまたちょっといかがなものかということであるわけでありまして、私はいま直ちにこの場でこれを何かうまくいたしましょうというお答えを申し上げるには、まだちょっと――広げるとおっしゃいますけれども、かなりこれは、広げるというか、広がるわけでありますので、他の事例とのバランスを考えませんといけませんので、この場においてこう解釈できますと申し上げにくいのであります。ひとつその辺で御了解を願いたいと思います。
#79
○阿部(助)委員 ここですぐ結論が出ないとしても、それはそれで了承しますけれども、しかし、もう少しあたたかい気持ちでこれは検討をしていただきたいと思うのです。
 それで私は、ほんとうを言えば、この一年間たった二へんの、しかもごくわずかの――とてもこんなものじゃ足らないのです。そうすると、実際にこの人たちの生活というものはそう楽じゃない。十二、三万とってみても、一カ月一ぺんずつ神戸へ行った、横浜へ行った、長崎へ行ったということになりますと、その経費はたいへんな経費がかかる。しかも、うちをあけますと、近所の人に頼んでいけば、みやげを持ってこなければいかぬというような雑費がまたたいへんなんでして、雑費がかかる。子供が病気をすればまた近所に迷惑をかけなければいかぬということで、御主人と一緒におるのとは全然違うんですよ。そういう点で、私はもう少しあたたかい手を検討すべきだと思うのですが、ぜひそれは検討していただきたい。
 そういう点で、次に移りますけれども、労働者の税金が重いことについては、もう幾人かここでお話がありました。繰り返して述べませんけれども、その原因となっておる現在の賃金課税のあり方についてもう一ぺん私はお伺いしたいのでありますが、給与所得控除が設けられておる趣旨についてまずお伺いしたいと思うのであります。なぜこれを設けたのか。
#80
○高木(文)政府委員 給与所得の控除につきましては、まず大宗は、必要経費の概算控除という概念でございます。所得税は、当然、収入から経費を引いたもの、それを課税標準とする大原則でございます。そこで、給与所得者につきましても、いろいろな意味で必要経費がかかる。ただ、事業の場合には、事業をやっておられれば、売り上げが幾らで、仕入れが幾らで、経費が幾らということは、多かれ少なかれ帳簿等をつけておられる。そういうものがないと採算その他がわからないわけですから、税の問題とは全く関係なく帳簿をつけておられるのがまあ大体である。いわゆる正式な意味での会計帳簿等ではなくても、ほんのメモ程度のものであっても何か普通はつけておられるわけですが、給与所得者の場合にはその必要がない。サラリーをもらいまして、そのサラリーで生活をしているわけですが、その場合に、特に給与を得るために必要であると認められるところの経費について何か控えておく、メモをしておくという必要がないわけでございます。そこで、もしそれを個別に積み上げるということになりましたならば、税のためにだけそういう手控えをしなければならぬということで、これは適当ではございませんので、平均的な、概算的な経費を推定をして、最初それを一律に引きましょうというのが、給与所得控除の始まりでございます。その後、ごく最近十年間ぐらいの間は、いわゆる他の所得者とのバランスの問題が起こりまして、給与所得控除を引き上げれば実質的に他の所得者とのバランスがとれるのではないかということから、引き上げられてきたわけでありまして、必ずしも実態は必要経費の概算控除だけではない。そこで、そういうことから、それは一体何であろうかということがいろいろ議論されておりますが、先ほど来他の委員からも御指摘があり、お答え申し上げましたように、非常に身分が不安定である。雇用関係はありますけれども、いつやめてくれということになるかもわからぬという意味で身分が不安定である。いわばそういう意味でややその所得については担税力が弱いという性格や、源泉徴収ということで、いわゆる早く払うということになっておりますから、他の所得者と利子負担関係などからいうと若干不利になっておる、そういうものを総じて見ておるという性格のものでございまして、やはり一番基本となるものは必要経費の概算控除という点にあると存じます。
#81
○阿部(助)委員 必要経費の概算控除、皆さんの前の主税局長の塩崎さんたちが書いた本を見ても、やはりそう書いてあるのですね。「給与所得控除という特殊の控除があり、この控除は、いろんな要素を持つものとして説明されていますが、そのいちばん大きな意味は、サラリーマンの必要経費の概算控除であると解されています。」こういっている。そうしてこれは、そういう一般のサラリーマンに関する限り、大体必要経費がカバーされているじゃないかというようなことをいっておるのでありますが、これは工場労働者あるいはサラリーマンというような生産手段を持たない労働者を一番中心に置いて想定しておられるのだと思うが、いかがですか。
#82
○高木(文)政府委員 大体そのとおりでございまして、いわゆるサラリーマンを中心に初めは考えておったのでございます。ただ、現在では、給与所得控除の額がたいへん毎年増額してまいりました関係で、いわゆる平均的なサラリーマンの生活費を除いた所得を、そういう勤労者としての所得を得るに必要な経費の額よりは実質的には相当上回っていると考えております。
#83
○阿部(助)委員 私は必ずしもその意見には賛成しかねるのでありますが、皆さんのほうでは、これで必要経費は十分見て、余るんだ、こういう解釈のようであって、あとはいろいろなバランスの問題があるんだ、こうお考えになるのだろうと思うのですが、私は必ずしもそうは思わないのであります。それだからこそ、いま重税感が出るとか、あるいは皆さんのほうでも、先ほど来お話しのように幹事長が何十%か引き上げろとか、いろいろなことを言っておるのです。私は、そういう点でこれはもう少し最低限を上げるというのが基本でありますが、いまそれを言ってみてもなかなか皆さんのほうでは承知をされない。
 そこでもう一つ私お伺いをするのでありますが、大工さんの場合、前は大体請け負って住宅を建てるというようなことが大半であったようでありますけれども、最近はだんだん大土建業者が出てくる、そうして大工さんはいわゆる野丁場といわれる形態になり、建設業者に道具を持って雇われていく。そうしますと、皆さんのほうでは、家を請け負って建てる場合には事業所得でやって、大工道具や何かは償却を見るわけですね。これは見ておるわけですね。ところが、最近はそういうのがだんだん少なくなってきまして、道具を持って雇われておるという形態になる。そうすると、これは給与所得であるから、給与所得控除はあるけれども、道具の償却は見ないというのは何か片手落ちだ、不公平だ。そうかといって、それを持っていかなければ大工さんの仕事はできないわけですから、同じ人が片方では償却を見てもらう、片方では見てもらえない。しかし、現実にこの道具が最近だんだん値上がりしまして、ドリルとか、いろいろなものを持たなければいかぬので、これはなかなかまかない切れないということになるわけですが、当然この道具の償却費ぐらいは、どっちでやろうと、認めるべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
#84
○江口政府委員 あるいは先生御案内かと思いますが、非常に古い時期からの取り扱いがございまして、いま御指摘の点は、日雇いの大工、左官等ということでございますが、われわれ、俗に業界のほうで呼称しております一人親方という表現をそのまま使わせていただいておりますが、これは古い時期からのいろいろな議論がございまして、一人親方が家を建てる、あるいはいわゆる家作の工事を請け負ったという場合に、それが請負工事であるのか、あるいは日々の雇用に基づくものであるのか、この辺についてはなかなかむずかしい議論が古くからございました。そこで関係業界とかなり綿密な打ち合わせ、検討が行なわれまして、昭和三十年の初めごろでございますが、実態を国税庁で調査しまして、関係業界と検討した結果、現在のところ、一人親方につきましては、金額にそれぞれ段階を設けまして、そのうちの相当部分が給与所得に該当する、残りの部分につきましては一般の請負という事業のとらえ方もございますので、その部分につきましては事業所得とするということで、収入の各段階ごとに給与分と事業所得分の割合をきめまして、給与所得分につきましては給与所得控除が経費あるいは経費相当額ということになっておりますので、その分については、特にいま御指摘の道具等についての償却はその中に含まれておるというふうに観念されるわけでございますが、残された事業所得に相当する部分につきましては、案分いたしまして、償却資産は当然償却費を見るという取り扱いで合意を見ておるところでございます。
#85
○阿部(助)委員 それは以前合意を見たかもしらぬけれども、もう一ぺんこの償却というものを見ろ、私はこう言っておるのでして、前の話を聞いておるのじゃないのです。
#86
○高木(文)政府委員 いま江口次長から御説明いたしました大工、左官等のいわゆる一人親方問題というのは、昭和三十年代に当委員会において非常に議論がございまして、当委員会での議論に基づきまして実態調査したものが、その後ずっと続いて今日の通達になっておるわけでございますが、この考え方の基本は、従来はどっちかというとむしろ事業扱いになっておったわけでございます。事業扱いになっておりましたが、請負の場合は明らかに事業でありますけれども、請負でない場合については、実態はむしろ給与のほうに近いのじゃないか。給与のほうに近いのであれば、大工さんや左官屋さんたちについても、給与所得控除の適用を受けることによって有利に働かしたらどうだという議論から、当時の議論が起こってきたわけであります。ところが、いまの阿部委員の御質問のほうは、給与では不利であるから、むしろ逆に事業のほうへ持っていったらどうだ、こういう御主張のように思えるわけなのでありまして、それはそれなりにまた一つの別な問題があるのかもしれないと思いますが、これは実は雇用形態が変わってきて、先ほど来御指摘のように、請負業者が出てきて、多くの大工さんがまたその請負業者から一種の下請の形で仕事をするが、その下請の形というのは、必ずしも包括契約ではなくて、日給月給のようなことになっている場合等、いろいろな場合がございますから、確かにおっしゃるように、過去においては、むしろ給与に持っていくほうが有利だからというので、給与にならないかという議論を展開してきたわけですが、逆に今度は事業に持っていくことで境目はどこに見るかという御議論だと思います。この御議論も、ここですぐにはなかなか回答を申し上げられませんが、いま御指摘のような形の大工さんというものが一体どういう収入形態になっており、契約形態になっており、経営の形態になっておるかということを、場合によりましたならば、もう少し詳細にお指図をいただいて研究するというようなことが必要ではないかと思っております。
 なお、給与所得控除が概算経費控除であるということの関連で、給与所得者については、ただいま大工道具の問題をおあげになりましたけれども、給与所得者の中でどうしても道具が要る、その道具が非常に値段が高いというようなことから、いまの給与所得控除ではまかない切れないのではないかということで、しばしば指摘を受けている事例がございます。たとえば、非常に特殊な例で恐縮でございますが、音楽関係の教師というような場合、たとえば楽器であるとか楽譜であるとか、そういうこととの関連で、とても普通の概算経費では引かれないというような議論もあることがあります。ただいま御指摘の大工道具の問題は、あるいはそれとやや似て非なるかと思いますが、ここのところは非常に事業と給与との境目の問題でございまして、実態に合った処理をすることにやぶさかではございませんが、何ぶん対象人員の多い職種の問題でございますので、個別に妥当性を求めると同時に、相互間の公平性という問題もございますから、何か基準をつくって処理をしなければならないということであろうと思います。いずれにしても、御指摘の点はもう少し勉強させていただきまして、場合によったら何か新しい考え方を立てなければならないかもしれない分野が、この分野にもまだ残っているかもしれないという感じがいたします。
#87
○阿部(助)委員 局長、少し私の考えと違うことをおっしゃっておるのですが、給与所得としても、この人たちは――給与の控除という場合、一番最初のたてまえは、生産手段を持たない人たち、こういうものが大体いまでも中心であるし、中心の考えでいかれたと思うのです。しかし、実際この人たちは給与の控除を受けてみたって、さらに道具の償却をしろ、こういう要求なんで、私は端的にそれを言っているわけです。いろいろこれに類した労働者がおるわけです。この問題を申し上げれば、こういう建設労働者のほかに、たとえば大学教授、これは本を買わなければいかぬ、あるいは新聞記者だとか、あるいはサラリーマンの中の特殊の業種について、それぞれ矛盾した、そうして過剰な税負担の原因になっておる業種がいろいろあると思うのです。源泉と申告制度をひっくるめてこういうものをやはり検討すべきだと思うのですが、いかがですか。
#88
○高木(文)政府委員 先般来、給与所得控除と経費の実額控除との選択制の御議論が各委員から御指摘がありましたが、ただいま非常に明確に、特殊の業種についての実額控除制度はどうかという御指摘であったかと思います。いま言われましたように、大工に限りません、学校の先生であるとか、やはりお触れになりました新聞記者の問題であるとか、それから政治関係の方の問題であるとか、あるいはまた、雇われておる芸能人といいますか、自己の責任において個々に契約をしないで雇われておる芸能人で、被服費等が自己持ちのものというようなもので、冒頭にちょっとお触れになりましたいわゆる標準的サラリーマンとは違うような生活形態の方、これについてだけ実額控除との選択制度というものをつくるという考え方はないかという思想は、十分あり得るわけでございます。先般来申しておりますように、実額控除にします場合に、一体給与所得控除というのはそもそも何であろうかという議論、その中の概算必要経費の部分とはどの部分であろうかという議論、それから、実額控除をする場合、実額控除としてどういう基準でサラリーマンの必要経費と見るべきかという議論、それから、そういうことにしますと、多数の方と税務署との間に接触が起こりますので、事務量が非常にふえるではないかという議論、そういった議論を通じましてなおかつ何とか実額選択の道を求めるとしますと、おっしゃるような経費が特別によけいかかりそうであるということが明らかに客観的にも一般的にいえるような業種に限定して実額制度をとったらどうかという声が出てくる可能性があるわけでございまして、そういう意味で、ただいま阿部委員御指摘のような御意見は、実額控除との選択制度を論ずる場合に出てくる議論でございますし、選択論の中では比較的現実性のある議論ということで考えられるわけでございます。ただ、そういうことで合意を得られるかどうかということになりますと、先ほど田中委員から御指摘がありましたような、最近におきますいろいろな運動の中には、必ずしもそういう特殊な職務形態であるがゆえに実額選択的なことを主張しておられるというのではないグループが相当ありますものですから、そこらとの関係もありまして、現実的にはいまおっしゃったような議論が一つの問題アプローチの入り口であると思いますが、社会一般が必ずしもそれを許すかどうかという問題がございまして、これまたそういう意味でもう少し各方面のいわばコンセンサスがどういうところにあるのかということによって判断をしませんと、なかなか特殊の業種だけに限定するということができなくて、一般的に広がっていくということになりますと、またむずかしい問題に前戻りをするという関係にあるわけであります。
#89
○阿部(助)委員 もとをただせば、私は日本の税制が少し曲がってしまったところにあると思うのです。課税最低限を思い切って引き上げて、そうしてそのかわり特別措置なんというものをみんなたたき切ってしまえば、これはもう少しすっきりした税制になると思うのだけれども、いまのようなことをこまかく言っておってもなかなかうまくいかないのじゃないか。皆さんのほうも、それならば日本の税制をもう少し原則に近づける努力をすべきだと思うのでありますが、この所得税制の最大の特徴は、これは何といっても累進税制によって高額所得者から税金を取ってそして所得の再配分を行なう、課税の公平を実現することがこの税の基本だと私は思うのですが、この点は御異論ないのでしょうね。
#90
○高木(文)政府委員 御意見のとおりでございます。
#91
○阿部(助)委員 ところが、御承知のように、わが国の税制はその機能を十分に果たしておるとは私は思わないのであります。もうこれから今度特別措置の論議、法人税の論議に入りますけれども、いままでは全体として資本の蓄積あるいは海外競争力の強化ということに税制が動員されてきた。もっとはっきり言えば、大企業と金持ちに奉仕させられてきた。これが私はいまの税制の姿だ、こう思うのであります。しかし、もう日本もドルがたまって困るとか、あるいはそういう点での政策転換を迫られておるときであります。そうすれば、この日本の税制全体ももう一ぺん考え直して、いまの現実の政策転換を迫られておると同じように税制自体も転換を迫られておるのではないだろうかという感じがするわけです。そういう点で、これは特別措置のほうになりましょうけれども、やはり特別措置を思い切って整理する。特に利子配当の分離課税制度だとか、配当課税制度だとか、有価証券の非課税制度、あるいは土地の長期保有者の問題というような問題をもう思い切ってこの際整理されるべきだ。そうでなければ、先ほど来ここでいろいろな税の要求、あるいはまたアンバランスに対する不満、そういうものが述べられておりますけれども、さっぱり解決をしない。一番問題は、税の根本が曲がっちまって、実際いって、原則がどこなのか、日本の税制がわからなくなったところに一番問題があると私は思うので、名主税局長高木さんの代でひとつ大整理をするお考えはございませんか。
#92
○高木(文)政府委員 たいへん御激励を受けましたが、私もいま一つの転換期に来ていると思います。と申しますのは、一つには、福祉への時代ということになりました場合に、福祉を実現するための財源を税で調達するのか、負担金のようなもので調達していくのかという問題がまず一つあり、もしある程度のものを税で負担するのだとすれば、どのような税で調達すべきかという問題があり、その前に、まさに御指摘のような問題がだんだん出てきて、日本の経済構造なり財産構造なり、所得構造なりの変化が非常に急激に行なわれてきている現在において、現在の制度そのものをいろいろな意味において見直す必要があるということについては、全く同感でございます。
 実は、四十六年の秋から三年の任期でやっていただいております税制調査会におきましても、来年の秋までが任期期間でありますので、また長期の税のあり方について御検討を願うということで、たとえば現在の税制調査会の正規の委員だけでなくて、専門委員というような形で多くの方に参加をしていただいて、そういう問題をさっそくに討議をしていただくべき時期に来ておるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#93
○阿部(助)委員 最後にでありますが、皆さん、何か言うと、すぐ、税制調査会と、こう逃げられるのでありますけれども、私はあまり税制調査会に大きな期待を実は持っていない。問題は、政府自体がやる気になるかどうかでこれはきまる問題であって、この場であんまり税制調査会、税制調査会というお話は、私はあまり聞くのは不愉快なんでして、皆さん自体が腹を据えてこれを整理する意向を持つかどうかに私はかかっておると思うのです。そういう点で、もう少し明確に、まあ来年どうのこうの言われますが、ことしはここまで来ましたが、来年度の税制に対しては、私は、この所得税の問題あるいは法人税の問題、特別措置の問題、これはもう全面的な御検討が必要だ、こう思うのでありますが、そういう点で思い切った検討をされる用意があるかどうかをお伺いして、終わりたいと思います。
#94
○高木(文)政府委員 まあ思い切ったということがどの程度かというのは、みなお一人お一人によって感覚的に違うと思いますが、先般ここに総理大臣が見えまして御答弁を述べられましたときにも、所得税についても、法人税についてもいろいろ述べておられましたが、その総理大臣の感覚からいっても、いわば曲がり角にあるというような感覚をお持ちでございますので、私どもといたしましても、この問題に真摯な態度で臨んでまいりたい、そういう腹を固めております。
#95
○阿部(助)委員 終わります。
#96
○鴨田委員長 午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩といたします。
   午後一時六分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時五分開議
#97
○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。荒木宏君。
#98
○荒木(宏)委員 所得税法の改正案につきまして審議が続けられておるわけでございますが、いままでの質疑の中でも明らかになりましたけれども、納税者人口がたいへんにふえてきておる。したがって、課税案件もたいへん増かしておるのですが、肝心の税制の執行に当たる税務職員の数はほとんどふえていない。数字を申し上げるまでもなく、よく御存じのことと思います。しかもそこへ加えて、経済の成長ということで自然増収の額がたいへんに増加してきておる。しかるに減税の割合はかえって減っている。課税最低限、諸控除の引き上げも国民の期待にははるかに遠い。こういったことで、執行上も、職員の方と納税者の間にそういった意味での処理すべき案件が増加してきておる。ですから、制度上からいいましても、また実際の運用上からいいましても、労働強化になり、職員の方々の御苦労もたいへんだろう、こう思うわけであります。この健康破壊と労働強化、税務職員の人たちのこの問題につきまして、所得税法の改正の機会に、ぜひそれと関連づけて、国税庁長官にもお出ましをいただいてお尋ねをしたい、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
 そこで質問に入りますが、税務職員の中で全国税労働組合が結成されておることは、もう御承知のとおりであります。健康と権利を守るということでそれぞれ関係者が努力をされておるわけでありますけれども、昭和三十七年でありますか、池田内閣の当時の高度経済成長政策とともに予算が大型化し、税収がどんどんワクを広げてくる、それに伴ってこの全国税労働組合に対する当局の分裂攻撃、こういったことがたいへん問題になりました。当時の国会でもこのことが大きく取り上げられまして、ついに、当時は木村さんでありましたか、長官の通達となって国会の追及が一応実を結んだことは、長官も御存じのとおりであると思います。ところが、その後そういったことが依然としてあとを断たず、むしろ昨今、一そう系統的に、一そう露骨にやられておるような節がある。そこで、こういう問題につきまして具体的な一、二の事例を申し上げて、国政全般の問題として、税務行政にかかわる問題として取り上げてまいりたいと思うのです。
 そこで長官にお尋ねしますが、昭和四十八年一月三十一日、刈谷税務署で、署長が、若年職員との打ち合わせ会という名目で、いわゆる第二組合の役員の人たちと一緒に第二組合の組合員の人をマージャン大会に招待した、そして、他の職員が執務をしているときに、そこで食事を提供した、こういう事例があったように聞いておりますが、長官はそのことを御存じでしょうか、それをまずお尋ねしたい。
#99
○近藤(道)政府委員 各署の具体的な事実につきましては、同じ政府委員でございます次長がよく存じておりますので、次長からお答えいたさせます。
#100
○江口政府委員 御指摘の刈谷税務署の件でございますが、本年の一月三十一日に、実はいま第二組合の職員というふうにおっしゃったように思いますが、そうではなくて、いわゆる若年層、税務大学校を卒業しまして一、二年程度の者をわれわれ若年層と申しておりますが、税務大学校を出てから第一線に配属になった場合に、いろいろと個人的にもあるいは職場でもなれない事情がございますので、そういう人たちに対しまして、幹部の者ができるだけ座談会その他接触の機会を持ちまして、安心して仕事ができるように、あるいはまた、そうした若い人たちからいろいろな希望、意見等を聞くためのいろいろな措置を講ずるというととを全国的にやっておるわけでございますが、その一つとして、一月三十一日に、署長、総務課長が参加いたしまして、若年層の諸君十数名と会合を持っております。このときに、後半は、御指摘のマージャンという問題がございますが、前半の会合のときには、たとえば具体的な内容を申し上げますと、若い諸君のほうからこうした希望、意見も出ておるということを申し上げたほうがそのときの内容を御理解いただけるかと思いますけれども、若い諸君からは、もう少し一貫した事務の流れについての研修をやってほしい、あるいは、通達がたくさん出ておりますが、われわれなかなか理解しにくい面があるので、これらについても研修をしてもらいたい、あるいは、こまかな話でございますが、書庫がございますけれども、ここに換気扇をつけてもらいたい、あるいは、単車を利用する場合はヘルメットを着用しておりますが、これが相当痛んでおるので修理をしてほしいとか、あるいは、きょうのようなざっくばらんな幹部との会合がもう少しよけい持てるようにしてほしいとか、こういうふうな意見が出まして、それに対して署長あるいは総務課長、いわゆる管理者側の出席者の応対をするということが行なわれたわけでございます。
#101
○荒木(宏)委員 聞いておることをまず一つずつ確かめていきたいと思いますが、いまおっしゃったような職務上の話が若干あった。そのあとマージャン大会をやったんでしょう。
#102
○江口政府委員 その会合が予定よりも早く終わったということで、引き続いてやっております。
#103
○荒木(宏)委員 場所は十朋亭という料理屋だと聞いておりますが、これはどうですか。
#104
○江口政府委員 市役所の寮を借用しております。
#105
○荒木(宏)委員 何という名前ですか、その寮は。
#106
○江口政府委員 市役所の寮で、十朋亭でございます。
#107
○荒木(宏)委員 これはトヨタの重役が始めた料亭で、その料亭に署長さんが若い人を連れていってマージャン大会をやった。それは幕あきがいきなりマージャン大会というわけにはいかぬから、初めにいまお話しのようなことがあるかもしれませんけれども、しかし、使った時間はどっちが長いんですか。初めにあなたがおっしゃった職場の話が出た時間と、それから料理屋でマージャンやった時間と、どっちが長いんですか。
#108
○江口政府委員 最初の、先ほど申し上げましたようないわゆる座談会は、大体一時間程度でございます。二時過ぎにいま御指摘のマージャン大会に入って、夕方五時ぐらいまでかかっております。
#109
○荒木(宏)委員 そうすると、一時間足らずそういう話をして、あと二時から夕方までマージャン大会をやった、こういうことですね。
 食事も出たように聞いておりますが、これはいかがですか。
#110
○江口政府委員 食事も出ております。
#111
○荒木(宏)委員 金の出所はどこですか。
#112
○江口政府委員 署長が個人の負担として支出をしております。
#113
○荒木(宏)委員 これは五時までだから、もちろん一般の職員は勤務時間中ですね。そうですね。そうすると、署長が二十名余りの人を十朋亭というところへ勤務時間中に連れていって、そこで食事をし、かつマージャン大会をやった――若干の前置きはありますけれども、ということになりますが、行った人は全部第二組合員じゃありませんか。
#114
○江口政府委員 税大を卒業しましてから四年までの全員でございまして、別に組合とは関係がありません。
#115
○荒木(宏)委員 いや、関係のあるなしょりも、第二組合員じゃないか、こう聞いているのですよ。
#116
○江口政府委員 全員第二組合のようでございます。
#117
○荒木(宏)委員 この中に竹林君という人がおりますが、この人と同期の犬塚君という人は呼ばれなかったようですが、これはどういうわけでしょうか。竹林という人は第二組合の青年部長で、犬塚君というのは全国税のほうの青年部長ですがね。つまり、同じ期で片方は呼んで片方は呼ばなかった、こういう結果のようですが、これはいかがですか。
#118
○江口政府委員 私どものほうで報告を求めたところでは、犬塚君も出席しております。
#119
○荒木(宏)委員 そんなことはないでしょう。きのうあなたのほうから出してきた名簿の中には犬塚君はないじゃないですか。ここにあなたのほうの参事官が持ってきた出席者名簿がありますよ。
#120
○江口政府委員 お手元にお届けいたしました資料の左側に名前が列記してございますが、上から八番目に犬飼勇と記名してあるはずでございます。
#121
○荒木(宏)委員 よく聞いていただきたいのです。私は犬塚と言ったのですよ。全国税のここでの青年部長をやっておる人ですが、ここに出席した人と同期で、片方は呼ばれたけれども、片方は呼ばれてない。これは一体どういうわけですか。
#122
○江口政府委員 先ほど四年生までと申し上げましたが、そのうち四年生のクラスでは、指導補助者という、これは部内の名称でございますが、若年層に対していわゆる兄貴分としていろいろ世話をするという意味で、指導補助者なるものをこの署では設けております。この指導補助者に任命されていない者はこの日には来ていなかったということではないかと思いますが……。
#123
○荒木(宏)委員 そうじゃないのです、私が言ったのは。あなたのほうの名簿では、竹林君というのがあるでしょう。これは指導補助者じゃないのですよ。あなたのおっしゃるところによっても同じ条件なのに、片方の組合は呼んで片方は呼ばぬのはどういうわけだ、こう聞いているわけですよ。
#124
○江口政府委員 竹林君は現在総務課総務係の職員でございますので、こういう場合には大体総務係の担当事項になりますので、竹林君は参加したものと思います。
#125
○荒木(宏)委員 それは次長、詭弁ですよ、あなた。ここに出ている。それじゃ総務課全部出ているかというと、このときには総務係長は出ていないんです。だから、あなたが一番初めにおっしゃったように、第二組合の人をずっとごっそり連れていって、そしてめしを食わせて、マージャン大会をやった、それがありのままの形でしょう。
 これは五時までは勤務ということになっているけれども、その点はどうしたのですか。
#126
○江口政府委員 こうした会合の場合に、総務課あるいは総務係の全員が必ず出席するというものではないと私は思います。総務係の仕事はかなり広範囲の仕事を持っておりますので、当然、総務係長等は留守番をするとか、あるいは総務係のその他の係員等につきましても、当然、留守番をする者と、それからある業務に携わる者と、両方あってしかるべきものかと思います。
 それから後半のお話でございますが、手続的には若干問題がございましたが、この二時以降の分につきましては、休暇の手続が行なわれております。
#127
○荒木(宏)委員 それはあとでやったのでしょう。事が公になって、さあこれはたいへんだということで、まことに醜いあと始末をしたじゃないですか。いまあなた、休暇休暇とおっしゃったけれども、このときに休暇をとったのですか。それはどうですか。
#128
○江口政府委員 私どもへの報告では、当日の行事が早く済みましたので、その後の行事に移る。行事といいましても、中身はプライベートな行事という形になるわけでございます。その際に、署長から総務課長に対しまして、休暇の手続をとるようにという指示をしたということでございますが、事実は、御指摘のとおり、総務課長のほうの事務の手おくれになりまして、かなりたってから正式の手続が踏まれていることは事実でございますが、私どもの確認したところでは、署長から口頭でもって、後刻手続をとるようにということを指示したというふうに報告を聞いております。
#129
○荒木(宏)委員 それでは、署長が第二組合の人を集めて、君ら、いまから年休をとれよ、マージャン大会をやるから休暇をとれ、こう言ったというのですか。あとの事後処理じゃないですよ。署長がそのとき一体どういう処置をしたか、これを聞いているのです。
#130
○江口政府委員 総務課長に、先ほど申しましたような指示を与えておりますが、後ほど、かなり時間はたっておるわけでございますが、総務課のほうから……
#131
○荒木(宏)委員 いや、あとじゃない、当日その場でどうしたかということ。
#132
○江口政府委員 各人にはそのときは指示をいたしませんで、総務課長に、後刻手続をとるように指示をしたという報告を聞いております。
#133
○荒木(宏)委員 それでは、休暇を請求する本人の意向はどうなりますか。休暇というものは、とれと言われてとるものじゃないでしょう。休暇を請求する者の労働基準法上の請求権じゃないですか。本人がとるかとらぬかわかりもせぬのに、署長がかってに総務課長に、これはあとでみんな休暇にしておけよ、こう言ったというのですか。
#134
○江口政府委員 次の行事に移ります際に、報告によりますと、総務課長は署長に対して、参加者全員について年次休暇の手続をとりたいというふうに申し出たところ、署長は、そういう手続は当然のことである、しかし、場所が署内ではございませんので、事務手続は後日早急に行なうようにという指示をしたというふうに報告を受けております。
#135
○荒木(宏)委員 ちょっと話がよくわかりませんね。だれがとれと言ったのですか。署長がとれと言ったのですかね。それとも、請求権者が自分でその場で、わしらみな休暇にしたい、こう言ったというのですか。
#136
○江口政府委員 総務課長のほうから、全員これから別な行事に入るということで、休暇の手続をとるべきだということを事務的な立場で申したわけでございますが、署長はそれに対して承認を与え、後日手続をとるようにという指示をこれに対して与えたということでございます。
#137
○荒木(宏)委員 それは、次長、事実の経過としたら全く違いますよ。年休の承認簿を見たって、事がはっきり取り上げられた二月の十二日、大きな問題になった二月十二日からあとに、あわてて休暇承認簿に書き入れておるでしょう。それまでに自分でとりたいと思った人の休暇はちゃんと記載がありますよ。しかもあなたの話だったら、組合員でもない課長のほうで、休暇をとりなさいと言った。全然組合と関係のない反対側の人が、あなた方休暇をとりなさいというようなことを言った。しかも、そこの会合の趣旨であるマージャン大会にみんな参加することがわかっているというのでしょう。それでは、二十人ほどの人が時間中に、これからわしらこういうことをしたいのだ、そろって休暇にしてくれぬかと言ったら、これは承認するというたてまえになるのでしょうかね。全国税の者が、いまからそれじゃ組合の会合をやるからみんな休暇を承認してくれるか、こういうことになると、これはとても同じわけにいかぬでしょう。だから、この署長の扱いは、明らかに第二組合に対して便宜供与をうんとはかっているじゃないですか。だから、結果として処理の早いおそいとか、そんなことはいろいろありましょう。しかし、そのときの署長の行為は、集まった第二組合員のほうに便宜をはかった、この事実は認めますか。
#138
○江口政府委員 私どもは便宜を与えたというふうには解釈しませんで、おそらく初めの、先ほど申し上げました意見交換座談に相当時間を要するものと考えたものと思いますが、それがどの程度の時間を予想したかは、そこまではつまびらかに調べておりませんが、たまたまその日は早く済んだということで、次におそらく予定しておったと思われますマージャンに入ったものと思いますが、その場合に特に便宜をはかったということではなしに、やはり親睦の機会を持つという趣旨でもってそういう計画をあらかじめ立てておったものと思われます。その場合に、もちろん午後の部全体がそういう形での懇親が行なわれるという前提に立っておりますので、ほかの事務系統に支障のない範囲内でという判断が当然あったものと思われます。したがって、第二組合という特定のものを取り上げて特に便宜をはからったという御指摘でございますが、私どもはそう受け取りたくないわけでございます。
#139
○荒木(宏)委員 それはあなたのお立場上、受け取りたくはないでしょう。しかし、事実を見れば、この関係の事案を知っている人なら、みんな、すなおに考えれば、第一組合に同じような扱いをするかというのです。現にここでは、これも現場の関係で話が出ておりますけれども、名古屋から一時間半以上もかかる、子供をかかえた税務職員の人が、肝炎でからだのぐあいが悪いから、もう少し近いところへかえてくれといって、何年も要求しているじゃないですか。にもかかわらず、全国税の組合員であるという理由で、そのことは聞かずに、こっちのほうは時間中に二十人も寄せてマージャン大会をやる、めしは食わせる、休暇をとったらどうだという助言までしている。これは、長官、いかがですか。ほかにも例がありますが、まず一番最初に取り上げたこの例について、いま次長はあんなふうにおっしゃっているけれども、やっぱり外から見てこれはどうかということなら、正すべきは正し、誤解を受けないようにしていく、そして職場の中で民主的な税務を執行していこうというような機運を盛り立てていくようにしなければ、これはいろいろな言いわけをして無理を通すというようなことでは、よけい矛盾が激しくなってくる、私はこう思いますが、いかがですか。
#140
○近藤(道)政府委員 刈谷税務署におきましてそのようなことがあったということは、実は前から知っておったのでございますが、それが一つの組合の所属員だけであったということは、実は私、先ほど先生がおっしゃって初めて知りましたような次第で、私どもといたしましては、組合によって差別をするというようなことはおよそ考えておりません。また、そういう運営をするつもりはございません。
#141
○荒木(宏)委員 そこで、そういう立場から本件を見ればどうかと、こう聞いているのです。一般的な差別するしないという方針でなくて――そんな差別をするなんということがあったらたいへんですからね。そういう方針にもかかわらずこういう事態が起こっている、これをどう見て、どういう処置をされるか。だから、いま指摘したような事例については、正すべきものは正し、そしてこんな遠隔から通って困る、仕事にもさわると言っていることについては、それは要望をいれて直すということは、これは筋の通った話だと私は思う。この件についてどうごらんになりますか。
#142
○近藤(道)政府委員 本件につきましての従来の私の知り得ました報告では、組合という問題は一つも出てきておりませんでしたので、ただいま御指摘もございましたので、そのような点について特別認識をしていたかどうか、私としてもよく調査をしてみたいと思います。
#143
○荒木(宏)委員 これから調査という話ですか、長官。これはずいぶんと現地で問題になって局長交渉までやり、この間から参事官に何回も来てもらって話をしておるのです。これから調査というのじゃ少し問題じゃないですか。きのうきょう起こった話じゃなくして、いまお話をして外形事実は認められた、その認められた事実についてあなたはどう思うか、こういうことですよ。
#144
○近藤(道)政府委員 従来から、その担当者からの報告によりますと、組合を差別して、特に第二組合を優遇するためにやったというような事実では全くないというふうな報告でございましたので、私ども全くそのとおり、およそその組合による差別ということとして全くとらえておりませんでしたので、ただいまそういう御指摘もございましたそういう角度からもう一度検討してみたいと考えております。
#145
○荒木(宏)委員 組合という角度で聞いたのはいまが初めてだ、こういう話ですから、それじゃ、私どもが問題にしておるのはそういう点ですから、これは事実はしっかりといま認識していただきましたね。全部第二組合員だ。それに、休暇をとってさしたらどうだというようなことまで言っている。全国税の組合員が同じことをしたら、じゃ、署長はそのとおりするか。それはいかぬでしょう。どういうふうに想像されますか。だから、その件でそういう角度であらためて検討しなくたって、事実関係がわかればすぐわかるはずです。何もむずかしい問題じゃないでしょう。組合の差別、全国税に対する不当労働行為、不利益扱いですね。いま私は坂本君の例を出しましたけれども、そういう角度から見て一体どう思われますか、長官。
#146
○近藤(道)政府委員 卒業後四年までの全員ということで集めたというふうに聞いておりまして、たまたまその卒業後四年の刈谷署の若年者の中には、一人も先ほど来言っておられます全国税の加入者がいなかったというふうに聞いておりましたので、そうである限り、特に差別をしたという事実はなかろうというふうに考えております。
#147
○荒木(宏)委員 今度は何ですか、先ほどは調査をするとおっしゃって、そしていますぐにわからぬのですかと、こう言えば、たちまちにして、それは差別じゃない、こうおっしゃる。そんなに事は簡単なことじゃないでしょう。いま調査をするとおっしゃるから、検討の方向ということでお尋ねしたのですけれども、この問題については、この署長の行為がこのままでよかったということじゃないんでしょう、はっきり言って。
#148
○江口政府委員 手続の問題でございますから私からお答えさしてもらいますが、時間の長短は別といたしまして、初めからこういう事態を予想した行事であるとするならば、少なくとも手続上の問題は、事前に、予定された内容について打ち合わせをし、あるいは関係者の了解を得ておくということが、一般的には最も正しいわけでございます。したがって、本件につきましては、事後の総務課長の意見もあり、署長がそれに対して承諾を与えておるわけでありますが、実際の手続がかなりおくれておるということについては、適正な処理とは思いませんので、これは十分注意をしなければならないと思っております。
#149
○荒木(宏)委員 これは次長、長官も、いまあなたはそういうふうにおっしゃるけれども、問題になって取り上げられて、二月二十六日ですか、署長はほかへ飛ばされているじゃないですか、名古屋の局付に。しかも、二月二十六日といえば、申告の一番忙しいときでしょう。そのために、還付金請求処理だって、何千枚というものを、署長がかわっためにみな書き直さなければいかぬ。やっぱりこの件に関係しておるわけです、その転勤という辞令は。ですから、先ほどおっしゃったようにもう一度よく調査をして、そして責任のある答弁をこれについてはしていただきたい。
 ほかにも関連がありますから、続いて同じような事例を指摘をして、あわせて検討されることを要求しますけれども、同じ一月の初めに、東京国税局の佐原税務署で、第二組合の組合員が脱退届けを出した。ところが、その届けを出したすぐそのあとで課長と係長に呼ばれていろいろ話をされた。しかもその日の夕方には前からの友人をほかの税務署からここへ呼び出して、そしていろいろ、脱退するな、全国税に入るなというようなことを言っている。こういう事例が報告されておりますけれども、そのことは長官は御存じですか。
#150
○近藤(道)政府委員 聞いております。
#151
○荒木(宏)委員 このときには、課長や係長は、この脱退届けを出した人に対して一体どういうことを言ったんですか、どういう立場から。
#152
○近藤(道)政府委員 個々のこまかいことにつきましては次長からお答え申し上げます。
#153
○江口政府委員 御質問を確認さしていただいてから御説明申し上げたいと思いますが、葛飾の会計係長の酒井君の問題でございますが、佐原の署の総務課長から葛飾署の総務課長に午後三時ごろ電話が参りまして――たまたま佐原の総務課長がカウンセラーという職務を分担しておりますが、自分の部下の中にカウンセリングをすべき職員が一人あったわけでございます。この職員につきまして、かつての先輩であり、非常にめんどうを見ておったといわれておりまする酒井君が葛飾の署におりますので、先輩として彼の悩みを聞いてやってくれ、聞いてやってほしいということで、いま他署に出ておりますので、総務課長から総務課長あてに、酒井君を佐原署のほうによこしてくれという依頼をしたわけでございます。ところが、たまたま酒井君のほうは会計の事務が残っておりましたので、事務が片づくまでは出にくいということを申したようでございます。幸い四時ごろに担当のその日の事務が終わりましたので、それからあとでもよければということで、総務課長の承認を得まして署を出たという経緯を聞いておりますが、それでよろしゅうございますか。
#154
○荒木(宏)委員 カウンセリングの必要ということですけれども、その内容は何ですかね。
#155
○江口政府委員 一般的なカウンセリングの内容は、公務の内容のもの、私的なもの、何でもよろしいことになっております。本件の場合には、つまびらかに――カウンセリングは、これは職員の中でございましても、特定の、特に個人の問題にわたる場合には上司も聞かないということにしませんと、カウンセラーとしての効果が十分に発揮されないということになっておりますので、本件についても具体的な内容については伺っておりません。
#156
○荒木(宏)委員 次長、これはもう少し問題を立てておる趣旨を聞いてはっきり答えていただきたい。
 この日の朝、脱退届けを出しているじゃないですか。次の日の昼に全国税に加入届けを出しているのですよ。そして出すなり、二十分したら、課長なり係長が、ちょっと来いということです。カウンセリングといえば組合の問題にきまっているじゃないですか、だれが考えたって。しかもそのあと、前の友人と称して、勤務時間中に佐原まで呼びつけたわけでしょう。言われた本人が言っているのですよ、組合に入るのを考え直したらどうだって。課長が、おまえが全国税の組合に入ればわしは辞表を出さなければならぬと、こう言っていたというのですよ。その日は、この出した本人は係長の家へ連れていかれて、そこで泊まっているでしょう。次の日は、税務署へやってきて、今度はまた一緒に喫茶店に連れていかれているじゃないですか。この内容は、これほどはっきり本人が言っているのに、どうですか、はっきりカウンセリングの内容が、組合の脱退をやめろということ、全国税に入るなということだったら、あなた、大問題だと思いませんか。この点はどうですか。
#157
○江口政府委員 私どもその点についてもたいへん神経質に実は調べたわけでございますが、先ほど先生御指摘のとおり、不当労働行為にわたることについては特に管理者側は厳に慎むということは、いまでも変わらないわけでございます。その点の問題があるおそれがありますので、この点は十分に慎重に調査をしたわけでございますが、私どもの聞いております報告の限りにおきましては、そうした事実を否定されております。
 それからなお、総務課長がカウンセラーとして当日、たまたま当日でございますが、会ったという事情は、私どもの調べた範囲内では、本人は同僚に対しまして、この二日ほど夜も眠れないのだということで、精神的な苦痛を訴えておったそうでございます。総務課長は、当然、自分の部下の一人でございますから、またカウンセラーという職務を持っておりますので、これは心配するのは当然のことと思います。そこで、一時間程度本人に会って炉いろいろ話を聞いたということでございますが、カウンセラーとしての話の内容でございますので、私どもは一々を確かめるわけにはいかないシステムになっておりますが、少なくとも組合関係について御指摘のような方向があってはいかぬということで、それだけは確かめたわけでございますが、私どもの報告を受けた範囲内では、そういうことはないということの報告を受けております。
#158
○荒木(宏)委員 それは本人には聞いたのですか。脱退届けを出して全国税に入ってひとつやろう、こう思って腹をきめて行動したというその本人からは、一体どういうカウンセリングを受けたのだ、課長や係長から一体どういう話があったのだということは聞きましたか。
#159
○江口政府委員 本人からは直接聞いておりません。
#160
○荒木(宏)委員 なぜ聞かぬのですか、あなたは。受けた本人がそんなに悩んで、しかもこれは不当労働行為だと本人が言って、国会でまで取り上げられているのに、どうしてそんなこと聞かぬのですか。
 これは、長官、どうです。こういう、本人が出したらすぐに課長、係長から呼びつけられて、そうして朝に言われ、昼に言われ、夕方には、何時間もかかる東京からその友人をほかの税務署から呼んできて言われ、その晩は係長の家まで引っぱっていかれ、次の日の朝は、起きたら今度は一緒に税務署に来て、さあ喫茶店に行こうといって引っぱっていかれて、その日の昼に全国税に加入届けを出した。どうです、本人がこうはっきり言っているのだから、そのことをちゃんと調べて、責任のある答弁をするべきだと思いますが、これはいかがですか。
#161
○近藤(道)政府委員 この問題は、まさに先生御指摘のとおり、いわゆる不当労働行為的なことになっているおそれがあるのではないかということが、初めに話を聞きましたとき私どもが一番強く感じた点でございます。したがいまして、その点をしつこく関係者に問いただすように命じておりまして、その結果を聞きましたところでは、いわゆる通常のカウンセリングであるということを報告を受けております。
 それからなお、本人のほうにつきましては、だいぶ弱っているというようなことで、直接の質問はしていないということも聞いておりますが、いずれまた本人のほうの話も十分に聞いてみたいと考えております。
#162
○荒木(宏)委員 それじゃだめです。不当労働行為をしたといわれている、糾弾されている当の人に、おまえ不当労働行為したのか、やりましたと言うような人はまずおらぬでしょう。おまえどろぼうしたか、こういうふうに聞かれて、だれもほかの人が知らぬと思えば、しましたと言うのは、なかなかこれは言いにくいものですよ。ですから、この点については、いまも長官が初めにおっしゃったように、外形事実から見てそういう疑いが非常に強い、こうおっしゃるなら、やはりその点は徹底的に調べて、正すべきは正さなければならぬ、それはそうお思いになるでしょう。記録に残りますから、おっしゃってください。そうお思いになるでしょう。
#163
○近藤(道)政府委員 その点は先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、同時に御了解いただきたいのは、国税庁といたしましてはカウンセリングというものに非常に力を入れてやっております。若年層の職員に対しまして非常にカウンセリングに力を入れてやっておりますので、必ずしも、その形だけを見ましてすぐに不当労働行為的なものであるというふうな断定をすることは、またこれ非常に即断におちいるおそれがある。もともとその話は、一対一の話でございます。両当事者だけが知っていることでもございます。もちろん十分に調べてはおります。そのカウンセリングに力を入れているという点も十分御認識いただきたいと考えております。
#164
○荒木(宏)委員 これが個人的なプライベートな話なら、それはまた少しはニュアンスは違いますよ。しかし、これは職務行為としてやっているんでしょう。上司が部下に対して職務行為としてやっている。非組合員が組合員に対して職務行為としてやっている。そのことを取り上げているわけです。ですから、カウンセラーの、あなたの言われた意味合いというものが、それを一つの衣にして、その中で堂々と不当労働行為がやられている。そんなことは絶対に許すわけにはいかぬですよ。ですから、この中身については、私どものほうでははっきりと本人から、そういうことがあったんだ、課長も係長もやっているんだ、こう答えているんですから、しかもその前に脱退届けが出て、加入届けが出ている。ちょうどその間にはさんで、サンドイッチみたいに、連れて帰り、引っぱっていく、呼んできてぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうやっているわけですよ。いわゆるカウンセラーなるものの中身というものは、だれが考えたってわかるじゃありませんか。ですから、このことは、これももっと徹底的に事実を調査して、責任のある回答をここで出していただきたい。これはよろしいですね。
#165
○近藤(道)政府委員 けっこうです。
#166
○荒木(宏)委員 いまのは東京、名古屋を申し上げたんですが、大阪で、八尾の税務署で昨年の十月三十一日に二人の青年が第二組合を脱退するということで届けを出したところが、その翌日の十一月一日に早速今度はそのうちの一人が上席に自分の家まで連れていかれて、これは勤務時間中ですよ、そして朝から夕方までまた同じようなことをやられている。こういうことが報告されていますが、そのことは長官は御存じですか。
#167
○近藤(道)政府委員 聞いております。
#168
○荒木(宏)委員 これは連れていった上席は、第二組合を脱退した青年に対して、全国税労働組合に入るな、こういうことを時間中にやったんじゃありませんか。
#169
○江口政府委員 事実関係ですから私から御説明いたしますが、確かにこの上席は徴収関係の事務で出張したわけでございますが、その際に若い職員を連れて出張に行く過程において、自宅に行っていろいろ話をしたということは、お説のとおりでございます。ただ、斉藤上席と名前を申しますが、斉藤君は時間中にやったことは事実でございますけれども、彼は管理者ではございません。上席というのは、中の職務上の名称でございまして、いわゆる専門官の古参の者のうち上席と部内的に呼称しておるものでございますが、この上席は、もう一つの国税大阪の支部の執行委員をしております。したがって、自分たちの仲間からある若い職員が脱退をしていくということについて、これをとめようということで組合活動を時間中にしたということになろうかと思います。
#170
○荒木(宏)委員 その第二組合の組合活動を時間中にやることを上司は認めたのでしょう。だって、現にやっているわけだから。この第二組合の、あなたがいまおっしゃった役員をしておる人が、時間中に、それは困るよ、全国税に入ってくれたら困るよと言うことを、上司はこれを認めたんじゃありませんか。
#171
○江口政府委員 管理者は認めておりません。
#172
○荒木(宏)委員 それでは、これは何か処分を受けたんですか。そのやった人は懲戒処分を受けたのですか。
#173
○江口政府委員 出張と称して、その中で職務専念義務を違反した事実が明らかになりましたので、部内の処分をいたしてございます。
#174
○荒木(宏)委員 それは私は初耳ですね。どういう処分をしたのですか。どういう懲戒処分をしたのですか。
#175
○江口政府委員 処分を間違いなくいたしてございますが、本人の今後のこともございますので、あえて具体的な中身については説明を避けさせていただきたいと思います。
#176
○荒木(宏)委員 それはちょっとおかしいですね。これは個人の問題じゃないですよ。あなた方が全国各地で全国税労働組合に対して不当労働行為をやっている。そのことを私は、佐原から刈谷から八尾から、あちこちの事例を取り上げていま問題にしているのじゃないですか。事は労働者の基本権の問題ですよ。このことについては、その上席が外へ出ていくにあたって、当然その上司に相談しているでしょう、私はいまから出ますからと。しかも、いま組合が問題にするまではこのことは何も取り上げてなかったじゃないですか、当該の税務署の中でも。だから、どうなんですか、その点はっきりしたら。あなた方のほうは、第二組合のほうがそういう活動をすることについては、刈谷では、どんどんマージャンまでやれ、有給休暇をとったらどうかというようなことを言い、集団でとることを認めているじゃないですか。しかもそれはあとから。まことに醜い手口です。佐原では、サンドイッチのような中でぎゅうぎゅうやっつけている。そして八尾では、出ていってこれをやったって処分をしてない。処分をしたと言うけれども、それは発表できません、それでは、第二組合の時間中の活動を容認しているのだ、こう言われたってしかたがないでしょう。上司はこの出ていくことを知っていたんじゃないですか。そして、あなたの言う処分なるものはしていないんじゃないですか。
#177
○江口政府委員 この上席が役所から外に出ることについては、出張命令を出しているから、もちろん知っております。しかし、中身について、こういう活動をするということは知っておりません。
 それから、処分をしたということは、本人の名誉のために、ここで具体的な内容を明らかにすることを御容赦さしていただきたいということをお願いしているわけでございまして、処分は確実にいたしてございます。
#178
○荒木(宏)委員 本人はこのときに――本人というのは上席ですけれども、出かける前に上司統括官と話をし、副署長室まで入っていって、さあこれから出ていきますよという相談もしているじゃないですか。しかも、出ていってそれきり署へ帰ってこないものだから、電話でちゃんと報告しておりますよ、私はこれこれのところにおりますと。そのことについて上司のほうで署内で何ら問題にした形跡がない。しかも前日には、全国税労働組合がプレート闘争を六月にやったということで、署長はわざわざみんなを集めて署長注意というのをやっていますよ。だから、第一組合については、そういうことでプレートを張ったというだけでも注意をする。第二組合のほうでは、時間中に出ていって堂々とやったって処分もしない。こういうふうなことでは、差別行為をやっていると言われたって当然でしょう。
 しかも、それだけではなくて、この八尾では、全国税の分会長の此上君はもう二十五年になるそうですが、同僚は全部専門官になっているけれども、いまだに昇任昇格がない。全国税の組合員以外の人がほとんど五等級の八号俸ぐらいで主任の発令を受けて四等級に昇格をしていくけれども、五等級の十一号俸までずっと放置されたままだ。それじゃそんなに成績が悪いのかといえば、南税務署の当時に、上司は、君はもうすぐ主任、係長になっていくのだから、こういうふうに言われたという話です。
 そういった事例が、時間の関係で一々は申し上げられないけれども、全国で各国税局ごとに無数にあって、いまILOへ提訴されている。そのことは長官もよく御存じでしょう。だって、あなたが管轄しておられる関係の職場で起こっておることですから。
 私がいま申し上げたのは三つの例ですけれども、ILO提訴の中で取り上げられた無数の事例、北海道から東北、九州に至るまで、この中に問題が二つあると思うのですよ。
 一つは、こういったことが起こったあとで問題の処置をうやむやでごまかしている。たとえば刈谷の問題にすれば、三月の三十日、といえばきょうですか、きょうまでに明確な回答をされたいということで、項目をあげて公開質問状を出しているのに、署長も局長も何の返事もしてこない。署長は名古屋国税局のほうへ局付ということでぽっとほかに動かしてしまう。佐原の問題にしても、団体交渉で東京の国税局長にしっかり責任をもって回答せいと言っているのにかかわらず、明確な回答を出していない。八尾では、大阪総評はじめ調査団が二月の六日に入りましたけれども、署長は会おうともしない。こういった不当労働行為やあるいは強い疑惑を招くような問題のあとの処置がまことに不明朗である。ですから、この際、長官はこういった事例についてきちっと調査をして、こういうことが二度と再び起こらぬように、あるいは少なくともそうだというふうに見られぬような処置をきちっとこの際とられるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#179
○近藤(道)政府委員 いやしくも不当労働行為的な事実がないように、常にいろいろな事件について調査を厳重にして、あと始末もきちっとするという点、まことに同感でございます。
#180
○荒木(宏)委員 そのことを、長官、それぞれ局長、署長ですね、現場のほうへ周知徹底するような適切な処置をおとりになりますか。
#181
○近藤(道)政府委員 この点につきましては、会議のあるつどそのような話をしておりますので、あらためてあえてまた特別の措置をするというつもりはいまは持っておりませんが、必要とあれば、またいつでもそういう措置をとりたいと考えております。
#182
○荒木(宏)委員 それはだめですよ。現にこれだけ起こっているのですからね。その問題について再度調査をして、明確な回答の措置を責任をもってとられたい。よろしゅうございますか。
#183
○近藤(道)政府委員 はい。
#184
○荒木(宏)委員 では、念のために、回答の期限と回答の方法を明らかにしていただきましょう。
#185
○近藤(道)政府委員 先ほど来お話がございましたように、見解の相違している部分もございますので、その辺の調査がいつできますか、期限までははっきりは申し上げられませんが、できるだけすみやかに検討をいたしてみたいと考えております。
#186
○荒木(宏)委員 こういったことが常に、これはいかぬといわれながら繰り返し繰り返し起こるのは、一番基本にやはり国税庁の労務対策というのですか、全国税の労働組合を敵視する、労働者の基本権を否認する思想がもとにあるのじゃありませんか。私はどうもそういうふうに思えてならぬのです。現に税務大学校でやっておられる教育の中に使われておる解説書などでも、労働者の労働基本権については、いまだに、昭和二十八年のあの国鉄青森機関区事件で出された最高裁判決、これが最高裁の労働基本権に対する態度である、こんなことが載せられておる。労働基本権の問題については、あなたも御承知のように、すでに最高裁でその後全逓中郵の判決があり、東京都教組の判決があり、どんどん基本権を認める方向できていることは御承知のとおりです。こういったことはすみやかに改めるべきだと思いますが、この点はどうですか。
#187
○近藤(道)政府委員 特に不当に組合によって差別をするというようなことは全く考えておりません。
#188
○荒木(宏)委員 しかし、現に税務大学校で使っているテキストには、いまだに昭和二十八年のときの判決を載せているじゃありませんか。それをそのまま続けておくのですか。それともそれを改めるのですか。
#189
○近藤(道)政府委員 二十八年に載せております何の文章でございましょうか。いま御指摘のありましたのは……。
#190
○荒木(宏)委員 これは昭和二十八年に出された最高裁の判決です。
#191
○近藤(道)政府委員 教科書の中にその判決の文章をそのまま載せていることについて、それをそのまま続けるかどうかという趣旨の御質問でございましょうか。
  〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
#192
○荒木(宏)委員 労働者の基本権については、一体それではどうお考えになっているのですか。二十八年に出された反動的な最高裁の判決、これはその後変更されているでしょう。そのことをよもや御存じないとはおっしゃらぬでしょう。
#193
○近藤(道)政府委員 教科書の中にその判決がそのままの形で引用されておりますかどうか。あるいは歴史的事実として引用しているかもしれませんが、載っておるかどうかのことは、後刻調査をいたしてみたいと思います。
#194
○荒木(宏)委員 それでは、きょうお見えの庁の関係の方は、二十八年の労働者の基本権を否定した趣旨の判決がいまも税務大学校の教育に使われておって、その後、そんなのは間違いだとはっきりいわれた都教組の判決や全逓中郵の判決は、これは教材には使わないんだ――こういうふうになっていることも知らぬとおっしゃるのですか。
#195
○近藤(道)政府委員 先ほど申し上げましたように、教科書の中にどういう形で取り上げられておりますか、後ほど調査の上御回答申し上げたいと思います。
#196
○荒木(宏)委員 それでは長官、あとで調査事項、いろいろ伺うことがありますから、そのときに御一緒に処理をしていただいたらけっこうですけれども、こういうことになっておれば、これはやはりすみやかに改めるべきだと思いますが、そういうふうにお思いになりませんか。
#197
○近藤(道)政府委員 どういう形でその判決を引用しておりますか、ただいま手元に資料がございませんので、後ほどその判断もあわせて御報告申し上げます。
#198
○荒木(宏)委員 ですから、引用の形を申し上げておるのです。労働者の基本権については、最高裁判決でかくかくと判示されておるから否定されております、歴史的経過としてこういうふうな過程をずっとたどってきて、労働基本権は拡大されておるのですよ。こういうなら、これはある意味では客観的事実ですよ。それだけを取り上げて、否定されておりますよというふうに書いてあるのだから、これは改めるべきではないでしょうか、こう言っておるのです。
#199
○近藤(道)政府委員 もし、ただいま御指摘のとおりの形で引用されておりましたら、当然改めるべきであると考えております。
#200
○荒木(宏)委員 では、この点も早急に御調査をいただいて、前の諸件とあわせてすみやかに責任のある回答をいただいて、是正の措置をとられたい、こう思いますが、大体これらの結果、労働者の団結権、基本権を尊重せず介入を続け、しかも冒頭に言いましたように事務量はどんどんふえておる、その結果、職場の健康状態、国税職員の健康状態についても、これは非常に思わしくない状態が出ている。
 私はそのことに関連して伺いたいのですけれども、健康管理者というのが職場にありますね。この健康管理者は、現在国税庁としてはどういう組織単位に置かれていらっしゃるのか、そのことをお伺いいたします。
#201
○近藤(道)政府委員 各国税局単位に置いております。
#202
○荒木(宏)委員 人事院の関係にお尋ねをいたしますが、この健康管理者の置かれた趣旨、それから他の役所、たとえば労働省でありますとか、あるいは農林省でありますとか、こういったところではどういう組織単位に置かれているか、その二つのことについて御説明いただきたい。
#203
○中村(博)政府委員 まず、健康管理者の置かれます趣旨でございますが、これは職員の健康障害を防止するため、あるいは職員の健康保持、増進のための指導教育とか、あるいは職員の健康診断の実施、その他いろいろございまして、終局的には職員の健康障害防止、職員の健康安全を増進するというかっこうで置かれておるものでございます。
 なお、どの範囲の組織に置くかということにつきましてはいろいろ問題がございますが、やはり一つのコンパクトな体制として、そこでいま申し上げましたような健康管理者が十分に職員の健康保持のための措置を講じ得る単位、こういうことを考えてございまして、たとえば、先ほど国税庁のほうからも御説明がございましたように、いろいろな、たとえば国税庁におきましては、本庁、税務大学校あるいは国税局、文部省におきましては、国立大学のそれぞれというように、適当だと思われる単位をセットいたしましてこれを規定いたしておる、こういうようになっております。
#204
○荒木(宏)委員 人事院のほうにもう一言お伺いしたいのですけれども、たとえば労働省などでは、労働基準監督署や公共職業安定所、つまり一番末端の出先機関といいますか、たてまえとしてはその単位に置かれておりますね。建設省などでも、出張所やあるいは地方の事務所に置かれておりますが、いま御説明のような、健康状態を把握してそれを管理するということになれば、組織区分としては、できるだけ行き渡るような形でなるべく――あまり上のほうでぽつんと一つ置くよりも、ずっと直接現場の職員に密着し得るような組織単位で置かれるほうが好ましいんじゃないでしょうか。
#205
○中村(博)政府委員 先生御指摘のように、なるべく下へ下げるということは望ましいかと思いますけれども、やはりこれは結局職員の健康というものにつきましては、同種の作業という観点に立ってそしてその健康管理対策というものは立てられるべきだと思います。したがいまして、たとえば労働省の場合に、安定所、監督署までいっておる、あるいはその他の省でいってないところがある、こういうような場合に、一がいにどれがいいということは必ずしも言えない、かように考えております。
#206
○荒木(宏)委員 まあいろいろな観点ありましょうね。しかし、どっちにしても、全国に一人おるのと、現場にずっとおるのと、たとえば、あなた、国税職員の場合どうです、どっちがいいと思うのですか。
#207
○中村(博)政府委員 たとえば国税職員の場合とおっしゃいましたけれども、その状況につきましてよくわかりませんので、いま先生がおっしゃいました御趣旨に沿っていきますと、全国でただ一人ということは、私は健康管理のためにそれは好ましくないと思います。
#208
○荒木(宏)委員 もう一言お伺いしておきましょう。
 東京国税局では約一万三千人余り職員がおりますが、ここには国税局単位で一人だということになりますれば、国税局単位で一万何千人に一人というのは、これは好ましい状態だと思われますか。
#209
○中村(博)政府委員 健康管理者は、その場合確かに一人かと存じますけれども、その健康管理者を補佐して職員の健康保持のために仕事をする担当者が置かれるわけでございまして、したがって、単に形式的に健康管理者の数だけでその善悪を論ずることは私はできないと思います。
#210
○荒木(宏)委員 これはしかし、何じゃありませんか、健康管理者というものを認めた趣旨からいえば、幾らでも補助者がいればいいということなら、何もあなた、現場の末端に置くべきだということをきめなくたっていいじゃありませんか。みんな補助者でいけるなら、労働基準監督署だって、食糧事務所だって、一々出先に置かなくたって、たとえば地方単位で一人置いておいて、あとは補助者でいいということになりますかね。しかし、それじゃ行き届かないから、末端のほうにずっと置きなさい、こういうことになるんじゃないかと思います。制度の趣旨からいえばそうじゃありませんか。
#211
○中村(博)政府委員 制度の本旨からいえば、確かにいま先生の御指摘のとおりです。なるべく多く置いたほうが望ましいこと、あるいは各官署単位に行き渡ることが望ましいということは言えるかもしれません。しかし、まあこれは各官署いろいろ事情があるようでございますので、その点は補助者をもってどの程度これをカバーするかということで、これは具体的事情に沿ってきめられるべき問題ではなかろうか、かように感じております。
 なお、健康管理者と補助者は一体でございまして、補助者であるからその責任は果たせないというような構造には私ども考えておりません。
#212
○荒木(宏)委員 国税庁の長官にお尋ねしますが、いまお聞きのような人事院の御説明を伺ったのですけれども、一般的に言いますと、ずっと十分行き届くほうがいい、しかし、各省庁によってそれぞれ事情もあるだろう、こういうことなんですが、いま例としてあげました東京国税局で一万数千人でただ一人、これは、ずっと仕事がふえて、そうしてこの法案審議の中でもいろいろ言われましたけれども、いろいろ国税職員の人が事務として御苦労がふえておるときに、もっと健康を保持し職場を明るくするために、これはもっとうんと組織を細分して行き届くようにする方向で考えるべきだ、こう考えますが、いかがでしょう。
#213
○近藤(道)政府委員 ただいま人事院のほうからお答えいただきましたように、できるだけ大ぜいの人々の目によって職員の健康管理が維持されるということが望ましいことは、原則論としてはもちろんそうだろうと思います。ただ、これも人事院からお答えいただきましたように、責任者は一人でございましても、担当職員はある程度ございます。
  〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、東京国税局管内の一万三千人を見守りますためには、それぞれの税務署におきまして嘱託医制度というものがございまして、その嘱託医がまた税務署の署員の健康を見ております。そういったようなこともございますので、まずまず現在の状況でうまくいっていると思います。
 なお、健康管理という問題は非常に大事な問題でございまして、特に国税職員の仕事の特性からまいりまして、健康保持のための施策というものは、私どもといたしましても極力努力いたしてまいりたいと思います。
#214
○荒木(宏)委員 特にこれを税務署の単位に置くことはそんなに不都合がありますかね。私は、その気で――予算の問題とか、いろいろ事務処理の問題とかありましょうけれども、しかし、ほんとうに健康を守ろうということでやられるならば、これはそういう方向で進めるべきだし、置くことにそういう意味での支障はないと思います。ですから、先ほど来、調査の結果を伺うという約束を幾つかいただいておりますけれども、これもひとつ検討して、一体何が障害なのか、その障害を除去するためにはどうしたらいいのか、健康管理者をふやすという方向で早急に検討して、あわせて回答をいただきたいと思いますが、そういう約束はいただけますか。
#215
○近藤(道)政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、各署ごとに嘱託医を置きまして、これでやっております。なお予算の関係その他もございます。これをさらに拡充するということは、現在では困難かと思っております。
#216
○荒木(宏)委員 いや、その方向で検討することができないか、こう言っているんです。
#217
○近藤(道)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、健康管理というものは大問題でございますので、検討は絶えず続けていきますし、いまおっしゃいましたようなことにつきましても、検討いたして御報告申し上げてけっこうでございます。
#218
○荒木(宏)委員 事は、憲法で保障された労働者の労働基本権の問題ですから、すでに十年前に国会で問題になって長官が通達を出されたというふうなことになりましたから、私どももこの問題は一そう――きょうは時間の関係でこの程度になりましたけれども、なおほかの事案を取り上げて当局の不当労働行為についてはきびしく追及し監視をしていくつもりですから、先ほど言われた回答は、誠意をもってすみやかにしていただきたい。それとともに、こういう不当労働行為やあるいは健康管理に背を向けるような処置、そういうようなことはきっぱりやめて、そうしてほんとうに保健と安全保持のために処置されることを強く求めて、私の質問を終わります。
#219
○鴨田委員長 広瀬秀吉君。
#220
○広瀬(秀)委員 最初に政務次官にお伺いしますが、今日政府みずからも、これからの日本の経済、財政政策の向かうべき道を、活力ある福祉社会への転換ということを大上段に振りかざしておるわけであります。まさにそのとおりであろうと思うわけでありますが、それが必ずしも予算の面で、あるいは予算を裏づける法律案の面で完全には生かされておらない。そういうところが今日日本国民の大きな不満が渦巻いている原因だと思うわけであります。
 そこで、税制面で福祉社会というものを税制とのかかわり合いにおいてながめる場合には、一般的に政府のおっしゃることは、高福祉高負担である、これから高福祉社会に持っていくんだ、だから国民は高負担を覚悟せよ、こういう言い方が一般的になされておるわけであります。そういう言い方が、いかにも現実にそぐわない、そらぞらしいものにしか国民には聞こえない。まさに低福祉高負担ではないか。されば、これから何年か先にはかくかくの高福祉の景観があるんだというようなことについても、何ら計画的なものはない。建設関係、土建関係というようなところでは、道路計画、道路整備十カ年計画とか五カ年計画とかいうのは次々に出てくる、あるいは空港整備等もそうだろうし、あるいは新幹線の建設というようなことでも、そういう建設計画というようなものはどんどん長期の計画があとからあとから出てくる。それに比較して、社会保障、社会福祉というようなものについて、そういう計画はほとんど欠如しておる。なきにひとしい。こういうところに非常に問題があるわけであります。
 そこで、次官にお伺いしたいことは、そういう今日の情勢を踏まえて、減税ということと高福祉という――いわゆるわれわれが言う減税です。われわれが言う減税、これは公平な税制というものをしっかり実現をしながら、勤労大衆といいますか、勤労国民といいますか、そういう大衆に対しては減税を行なっていけということなんですが、こういう意味での減税というものと、福祉社会の実現ということとは矛盾しないものであるという考えを私ども持つわけだけれども、その点について、減税問題というものと福祉の問題をあなたはどうお考えになっておられるのか、その辺のところをまず伺いたいと思います。
#221
○山本(幸)政府委員 これからわが国が福祉国家という方向をとらなければならない、社会保障を今後前進をして、われわれ国民がほんとうにしあわせになっていかなければならない、そういう一つの曲がりかどである、そういう転換、あるいは思想の転換を求めていかなければならない時代にいまや来た、こういうことは、私はいまや常識になってきたと思うのです。
 そこで、おっしゃるように、高福祉を実現するためには、近代国家としてやはり相当の資金調達をしなければならない。資金調達の方法は一体どうするのだということは、これからの私は非常に大きな課題だと思います。その中にあって一体税がどういう役割りを果たすのか、また、その税を取るために――取るといいますか、税を徴収するための税制の仕組みというものを一体どう考えていくのかということ、これもやはり福祉をどうやっていくかということからスタートいたしまして考えていかなければならぬ時代になってきたと私は思います。
 そこで、社会保障の面でそういうようにやっていく上において、いま国の支出におきましてもだんだんと振りかえ支出がふえてきておる現況にあります。したがって、この税というものと、それから今度は財政の面で一体どういう福祉を国民にもたらすのかという、そういうことと両面考え合わせながら社会保障というものが進んでいかなければならぬと思うのです。したがって、そういう観点からすれば、歳入の面におきましても、これはたいへん理想めいた、原則めいたことでおそれ入りますが、やはり担税力のあるところから公平にひとつ御負担を願うという原則には、いつの時代にあっても変わりはない。そういう税の公平、あるいは担税力のあるところでひとつ負担をしてもらうということをできるだけ考えていくという過程において、働く者が正しい担税をしていくという姿を実現をしていく。それが減税ということにつながるのか、あるいは福祉が非常に高くなってきて、全体として非常な福祉、社会保障の前進がある場合には、ある程度私は場合によっては高負担という場合もあり得ると思うのです。そういう意味からは、要するにバランスのとれた社会、そういう税というものと社会保障というものの関係というものを考えていくべきではないであろうか、こういうふうに思うわけであります。
 たいへん抽象的な理想的なようなことを申し上げましたが、考え方としてはそういうことではないだろうか、私はこう思うわけであります。
#222
○広瀬(秀)委員 端的に聞きますが、減税をするということは、やはりそのままそれは福祉の一環である、こういうことはお認めになりますか。
#223
○山本(幸)政府委員 先ほど来お話しのように、社会保障なり社会福祉の長期計画がないというお話、全くこういう長期計画を今後はつくっていかなければならぬ、そういう長期計画の土台の上に税制というものを立てていかなければならぬ、あるいは減税という問題も考えていかなければならぬ。要は勤労者階級の人たちが社会全体から見て公平な負担をしていく、そういう考え方に立つべきであって、ただ、その減税ということばの意味あるいは内容というと非常に不明確だという議論もだいぶ前からここでも行なわれましたが、要は、そういう社会の組み立て、仕組み全体の中でどういう公平な、そして相応した御負担をしていただいてそうして社会保障の充実した国家をつくっていくか、こういうことであろうと私は思うわけでございます。
#224
○広瀬(秀)委員 端的に私は伺ったのですが、端的なお答えがなくて、回りくどいお答えになっているわけですが、生活優先、生活を大切にしていく政治、福祉向上の政治、こういうようなものの中で、何といっても、生活を向上させるというのは、可処分所得を大衆によけい保証していくということだと思うのですね。可処分所得とは、収入の中から、給与所得者の場合には税金、公的負担、そういうものを引いた残りが可処分所得になるわけでありますが、その可処分所得をふやすということは、やはりこの生活向上につながるし、福祉向上につながるのだ、こういう立場ですから、その点をそういうように問題を限定して考えて、勤労大衆の生活向上ということでは、やはり減税を行なうということが福祉の一環である、こういうことは当然認められてしかるべきだと思うのですが、いかがでございますか。
#225
○高木(文)政府委員 所得税の減税と福祉の見地からの関係について申しますと、わが国の経済は非常に弱く、したがっていままで負担が非常に重かったわけでございます。したがって、先般来御指摘のように、課税最低限等につきましても、生計費等とすれすれの段階から、若干余裕を持つ段階に入りつつあるわけでございますが、そのようにして、いわゆる課税最低限にいわば近い階層といいますか、そういう階層につきまして若干の余裕を持ってくるということは、それはそれなりにレジャーなり何なりを求める余裕が出てくる。このレジャーを求めるというのは決して悪いことではなくて、むしろいいことでありますし、それからまた、それによって貯蓄可能性がふえてくるということになれば、今日の日本の一般の庶民としては、フローはだいぶよくなったけれども、ストックがはなはだ不十分だという現況から申しますと、そこに何がしかの余裕が出てくるということでありまして、そういう意味におきましては、所得税の中小階層の減税というものは当然福祉政策につながるものと思われるわけでございます。ただし、所得税の納税をしていただいてないさらにその下の階層があるわけでありまして、その階層については、もっぱら歳出面を通ずる福祉政策によって対策が考えられるわけでございますので、その辺のところは、所得再分配機能から見ましてどの辺から税負担を求めるか、そしてどの程度に求めるかということ、そしてそれを歳出を通じてどのようにしてさらに低い階層の社会保障制度に向けていくかということでございます。そのあり方はたいへんむずかしいと思いますが、一般的に申しますれば、低所得層の負担をなお今後軽減を続けていくということは、福祉政策の一環としても当然あるべき姿ではないかという感じを私は持っております。
#226
○広瀬(秀)委員 この経済見通しによると、昭和四十八年度の見通しでは、国民総生産は百九兆二千五百億である。これに対して個人消費支出は五十五兆八千五百億、これは五〇・八六%になります。四十七年度は九十三兆八千五百億に対して個人消費支出は四十八兆五千億、こういうことになって、比率としては大体見合う程度のところ、約五一%弱というところであります。これが国民総生産に占める諸外国の比率は、先進諸国、アメリカでもイギリスでも、あるいは西ドイツ、フランス等においても、これはもう六〇%程度になっていることは御承知のとおりだと思うのでありますが、日本の場合にこの個人消費支出が五〇%程度である。かつて日本でも、昭和三十五年あたりには五八%程度の個人消費比率で、五八%からだんだん下がって、経済の高度成長、GNPの飛躍的増大に逆に比例をして下がってきているということが現実の姿になっているわけです。そういうところが、今日の経済の高度成長が庶民大衆の暮らしを豊かにするということにストレートに結びつかない、そういうような大きい問題点を象徴的に示す数字であろうと思うのですが、こういう問題について、やはりこの個人消費支出の比率というものをマクロ的には上げていくんだという立場、そのことの一環として、やはり税制において国民の九七、八%を占める勤労大衆というものの可処分所得がふえることによってこの比率というものがやはり上昇に転じていく、この比率が上昇に転じなければ、これはもう福祉国家、生活優先というような国への転換というものはなされない。少なくとも毎年一%なり二%なりは必ず個人消費部分がふえていくというような、この五〇・八六ぐらいで低迷をしている、ときには五〇%を切ろうかというような状況というものを改めなければならないと思うのです。そういう角度からいっても、やはり勤労大衆に対する減税というのは非常に大きな意味を持っている。こういうような立場というものを私は政策当局として主税当局も持たなければいけないだろうと思うのですが、その辺のところをどのように御認識になって――その辺を税制面からも変えていくということを考えるべき必要が大いにあるのではないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
#227
○高木(文)政府委員 ただいまの点につきましては、経済社会基本計画の中におきましても、ただいま御指摘になりましたように、「過去十年の間に個人消費支出の国民総支出に占める割合は五六%から五一%へと五ポイント低下したが、この計画期間中の個人消費支出の伸び率は、社会保障の積極的な充実などの影響により経済成長率をわずかながら上回るものと見込まれる。今後の五年間は、国民総支出に対して個人消費支出が相対的に縮小した段階から、相対的拡大に向う段階への転換期にあるものとみられる。」ということを、経済構造の問題の一つとして掲げておるわけでございます。これは非常にマクロの見方でございますので、これと税のあり方との関係等についてはなおいろいろ検討しなければならないわけでございますが、私どもも非常に大きな一つの目安と申しますか、税の制度の基本といいますか、ものの考え方の基礎といたしましては、やはりここに示されましたような考え方のもとにおいて税についても考えていくべきであろうというふうに考えるわけでございます。
#228
○広瀬(秀)委員 これはいま申し上げたようなマクロの個人消費支出の比率を上げるということ、これは政策の大きな基本でありますし、税制の果たす役割りも、その面でそういう目的意識というものをきちんと持ちながら、この減税政策というものを十分今日以後においても考えていただかなければならないだろう、このように強く要請をいたしておきたいと思うわけであります。
 次に、来年度も――来年度というよりも、年内減税をもう少しやったらいいじゃないか、ことし、四十八年度は五・五%の物価上昇という見通しは大きく狂うのではないか、こういうような議論のもとに、物価調整減税というような立場を踏まえて、減税を年内にもやれという基本的な要求を私ども持っておるわけですが、それをここではっきり約束しろと言ってもなかなかできない立場だろうと思うけれども、少なくとも来年度減税というものもことしのうちにやはりきちんと論議をして方向づけぐらいはしておかなければならないわれわれの立場もあるわけですが、明年度の所得税減税の最も重点を置くべき点はどういうところであるか、このことをやはりこの際はっきりさせておいていただきたい、こういうように思うわけですが、局長、いかがですか。
#229
○高木(文)政府委員 先般来当委員会においていろいろ御議論いただいておりますように、やはり各種の問題があるわけでございますが、何と申しましても物価の問題が最近非常に問題になっておりますこととの関連から申しますと、本年度あるいは前年度までに引き続きまして、人的控除の問題というのは改善という問題が今後とも――来年度に限らないわけでございますけれども、来年度も含めました意味において、今後とも最も重要な問題の一つであろうかと思いますし、それに伴いまして、各所得別のバランスの問題との関係から、給与所得者の問題というのがやはり従来と同様に大きな課題になってこようかと思いますし、また、その他、所得税につきましては、先般来御指摘のように、資産性所得と勤労性所得との均衡の問題もあるわけでございまして、まだほかにもいろいろ問題はございましょうが、その三つぐらいのところがやはり最も大きな中心課題になるのではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
#230
○広瀬(秀)委員 そういうお答えではなくて、課税最低限の引き上げということがやはり今日なお非常に不十分である、こういう見地でわが党の委員をはじめ野党各委員が追及をしたところだし、また与党の議員ですら、課税最低限がまだ低過ぎるではないかという追及をやられたわけでありますから、課税最低限を中心に、やはりもっと課税最低限の引き上げを行なうというような点を最重点にすべきだと私は思うし、また、税率の改正を行なうというようなことも含めて検討をすべきだと思います。
 その税率の改正の問題について、これは現在最低税率が一〇%でありますが、かつては八%の時代もあったし、戦前等におきましては二%、四%というような税率がずっと長いこと行なわれておった経緯もあるわけであります。まあ課税最低限を中心にやるべきだというお考え、それから最低税率一〇%というのをさらにもっときめこまかい戦前並みのような姿にもう一ぺん戻すお考え、こういうようなものも、今日やはり低所得階層、勤労大衆が課税最低限をこえたらとたんに一〇%というようなことでなしに、五%以下の税率等を最低税率にするというようなことでよほど重税感というものが緩和される、そういう面もあるのではないか、そういうことを考えるわけであります。そういう点についてどうお考えになっておられるか、お聞きしたいわけです。
#231
○高木(文)政府委員 課税最低限をさらに引き上げるということは重要な問題であることは、御指摘のとおりであろうかと思いますが、しかしながら、所得税の減税をいろいろ考えます場合に、どの程度課税最低限のところに重点が置かれるべきであり、どの程度、給与所得者と他の所得者との課税の公平論との関係からいって、給与所得控除等の問題に重点が置かれるべきかということは、やはりもう少し各方面で御議論をいただきませんと、四十八年度税制を御審議いただいている現在の段階で、四十九年度にどっちにどういうふうにということは、なかなか私の立場では申し上げにくいわけでございます。
 それから第二に、税率の問題につきましては、先般来の御質問の中にも、現行の最低税率一〇%をさらに引き上げてはどうか、場合によったら五%というふうにしたらどうか。昨日の当委員会においてもお答えいたしましたように、やはり飛び込み税率が一〇であるというのは高いのではないか、こういう御議論がございましたが、その点につきましては、私どもは意見をやや異にしておるわけでございまして、これは若干見解の相違がありますが、課税最低限が漸次上がってまいりますれば、納税者の限界の負担能力は増加していくわけでございますから、その際に最低税率を現行よりもさらに下げなければならないというふうに考えるかどうかについては、必ずしも私どもはそのような必然性をそれほど強くは感じていないわけでございます。むしろ、諸外国の例を前に申しましたが、極端なイギリスの三八・七五%というような高い飛び込み税率でものごとが解決されている場合もあるわけでございますし、日本の一〇%というのは、比較的計算が簡便であるというようなこともありまして、四十五年でございましたか六年でございましたかから引き続き採用しているわけでございまして、この問題は、先般も答弁申し上げましたように、もちろん研究課題としてはあるわけでございますが、いま直ちに最低税率を下げなければならねということではなくて、どちらかといえば、課税最低限を引き上げることによって、限界負担の方について、実際問題として課税最低限のほうにウエートを置いてものごとを考えますれば、納税者の数も減らすことができるということから見まして、どちらかというと、私は、飛び込み税率の問題よりは課税最低限の問題のほうにより重点が置かれるべきではないかというように考えます。
#232
○広瀬(秀)委員 この点はまたあらためて議論をすることにして、私は、いまの主税局長の答弁では、税率問題については不満を留保しながら、別の機会に譲りたいと思うわけであります。
 そこで、勤労大衆の要求で、今日新しい所得控除をこういう点で設けたらどうかというような問題に、寒冷地手当、通勤手当、夜勤手当あるいは労働組合費等の控除、こういう問題が強い要求として今日出ておるわけです。寒冷地手当にしましても、これも生活給的な、しかも実費支弁的性格の非常に強い給与であります。通勤手当は、まさに今日の住宅事情等からいって、たとえば東京都内に例をとれば、都内のつとめ先に近いところに宅地を取得し居住するなどということは、もう労働者階級にとっては全然夢物語になっておるというようなことで、どんどん通勤圏が広がっておる。そしてまた運賃値上げが行なわれようとしておる。そういうような中で、一時間半以上にも通勤圏が広がっており、そういう点ではまさにこれは必要欠くべからざる経費である、こういうことが言えるわけだし、夜勤手当のごときものも、いろいろ沿革はありますけれども、とにかく本来人間は昼働くようにできている、夜は寝るようにできている、それをいわゆる深夜に働かざるを得ない、そういうようなものに対して、昼と夜と取り違えて、人間の生理、生活の実態といいますか、慣習というか、そういうものをひっくり返して働かなければならないものに対して、そしてまた、夜働くということからくる危険の程度あるいは肉体の過度の異常な消耗、こういうようなものをまかなうために、かつては現物給与というようなことであった時代もありますが、これが夜勤手当という状態になっている。警察官なり看護婦さんなり、あるいは国鉄の職員なりというものは、これはどうしても今日の状態の中では――全世界的にはだんだんそういうものは減ってきておるけれども、やはりこういう人たちについては、どうしたって夜勤をやらなければならない、人間性に反した働き方といいますか、働く態様というものが夜勤という形になってあらわれてくる、こういうものに対するわずかばかりの手当、これを課税の対象にするというようなことはいけないわけでありまして、現行の一定額非課税というこの限度を大幅に引き上げる、実態的にはもう夜勤手当にはほとんど課税をしないというような状況まで持っていくべきだというように考えるわけですし、さらに、労働組合の組合費控除、これも今日、労働組合の存在理由なり、労働組合法にいうように、社会的、経済的地位の向上、そしてまた、労働組合が健全に発展することによって国の隆昌、産業の隆昌、経済の発展というようなことも期せられるわけでありますから、言うならばこれはそういうための労働者の経費である。同業組合なりあるいは商工組合などは、その事業所得者などは、そういう関係の組合に対する負担額というようなものはみな経費で落とされている。そういうことから見れば、これらの問題についても、当然これは全額所得控除の対象になってしかるべきだ、こういうようなことを私ども考えるわけであります。これは当然早急に処置さるべき問題だと思うが、この点どのように処置されるおつもりであるか。大臣、ずっと聞いておられましたから、大臣からまずその点御答弁をいただきたい。
#233
○愛知国務大臣 通勤手当、寒冷地手当、それから労働組合費、夜勤手当、これらの諸手当につきまして、当委員会でも審議の過程で御熱心に御意見を出していただきまして、その御趣旨等につきましては、私どもも、御熱心な御議論の根拠あるいは考え方というものが、そういうお立場にお立ちになっての御議論としては理解できるわけでございますが、従来からの税制の立て方としては、いろいろの手当も収入であるということには違いはないわけでございまして、そういう観点から、個々の手当について特に控除をするかどうかということは、税制の問題としてやはり非常に問題があるのではないだろうかというのが当局側の考え方でございましたこともまた御理解いただけるところと思います。そこで、政府といたしましては、総合的に、包括的に解決をいたしたいというふうな考え方で、課税最低限、それから給与所得控除の改善、この努力の中において何とか早い機会にそうした御要請の趣旨が生きるように、さらに明年度以降において十分検討をさせていただきたい、こういうふうな考え方でおります次第でございまして、御了解をいただきたいと思うわけでございます。
#234
○広瀬(秀)委員 総合的な立場で課税最低限の引き上げあるいは給与所得控除等の中で十二分に考えるという大臣の答弁を一応信頼して、時間がありませんものですから、その点は大臣の誠意に期待をして、次の質問に移ります。
 次に、退職所得控除の特例控除の問題でありますが、いわゆる非課税限度を、特例控除によって、従来の、三十五年勤続で五百万までの退職手当に対しては非課税にするという限度を、今回の改正で八百万円まで引き上げられたわけであります。しかし、その後、昨年暮れでありますか、人事院が、まだ民間と公務員関係の退職所得等についてほぼ見合っているというようなことをいっておったわけでありますが、再調査をいたしましたところ、民間関係の退職手当が、いろいろな名目で、退職手当と全く同性格のものがかなり上積みをされているというようなことが、調査の結果はっきりいたしまして、そういうものを背景にして公務員の退職手当法の一部改正というものが今日出されておりまして、二十年以上の長期勤続者、三十五年までの者について、百分の百二十、すなわち二〇%の増額が行なわれるというような事態になったわけでありますが、そうなりますと、この八百万ということが、実はこれは昨年ここで水田大蔵大臣からお約束いただいたことがそのまま実現したわけでありますが、そういう状況が間に入ったというようなことで、もうすでに今度の改正でも追いつかない。やはり三十五年八百万まで持っていってもなお相当数の者が課税されるというような事態になる。私どもは、長期勤続者についてはやはり退職金には課税しては相ならぬという基本的な立場を踏まえながら、この委員会を通じて努力をし、主税当局も大蔵当局もその線で協力していただいておるわけでありますが、これはもう今日、日経連を含めて労使双方で、大体三十五年で一千万円まではもう税金をかけては相ならぬというようなことで、まさに国民的合意がそういう面では成り立っている、こういうことでありますから、この点について、大臣の、これを改正する、必ず、少なくとも明年度においては改正を実現するというような御見解をここでひとつ表明をしていただきたい、こう思うのでありますが、いかがでございますか。
#235
○愛知国務大臣 退職所得、三十五年勤続で千万円まで非課税にするという御要望につきましては、四十九年度においてさように引き上げをはかりますために万全の努力を払いたいと私としては決心をいたしておる次第であります。
#236
○広瀬(秀)委員 次に、年金の非課税の問題についてお伺いをいたしますが、今日特に老齢年金というようなものに対して――まあ老齢に達した、しかも生産活動から解放された、そしてそういう人たちに所得保障を行なう、こういう立場が年金の問題で非常に明確にされてきた段階であると思うわけであります。しかも「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障されるものとする。」という老人福祉法の思想からいいましても、この問題について、年金、これを給与所得と同じに扱っていく、現在働いている者と同じに扱っていくということではなしに、そういう年金については原則としてやはり非課税の方向というものを打ち出すべきである、これこそが福祉への転換として象徴的な意味を持つものであろう、こういうように考えるのですが、大臣の所見を伺いたい。
#237
○愛知国務大臣 年金につきましては、非課税限度適用の面で、適用対象年金の範囲などにつきまして御意見がございますことは、私といたしましてもよく理解ができるところでございます。これらの点につきましては、なお政府として検討すべき問題も少なくはないと考えますけれども、年金については給付そのものについても拡充を要すると思われますので、財政、税制全般にわたりまして今後前向きに取り組みたい、かように考えておる次第でございます。
#238
○広瀬(秀)委員 ぜひともひとつ十分画期的な前進を遂げられるように要望をいたしておきます。
 時間がございませんので、最後の質問に移りますが、今日、勤労未成年者と申しますか、こういう人たちの税負担の軽減をはからなければならない状況というものは非常に深刻な問題になっていると思うわけでありますし、勤労学生控除などとの関係も踏まえ、また現に、親の仕送りで大学に学んでいるというような人たちには、逆に国が一人当たり百数十万というような多額の支出をしているというようなことから考えて、勤労未成年者の所得税、特に中学卒業生、高校卒業生がその年から税金の対象になるというようなことをぜひとも避けるために、未成年者控除というものを創設するように、これこそ福祉元年にふさわしい善政としてぜひやっていただきたい、こういうことを考えるのですが、いかがでございますか。
#239
○愛知国務大臣 最近における初任給水準の引き上げを反映して、給与所得納税者の数が増加しております。たとえば、中学を卒業して就職した年少労働者に対して、就職の年から所得税が課税されるのは酷ではないかという批判がありますことも十分承知いたしております。所得税における応能負担の原則からいいますと、一定の所得があった場合にはその所得に応じた負担を求めることが所得税の原則でありまして、その意味からも、こうした問題については、本来、課税最低限の改善によって対処することが適当と考えておる次第でございますが、未成年者なり若年労働者に対してできるだけ所得税がかからないようにする。それが望ましいことであるという御主張については、政府としても共感を覚える次第でございます。具体的にどのような方法によってこれを実現するかについては、未成年者控除といったようなやり方もございましょうし、また同時に、こうしたやり方ではあるいはデメリットを伴うこともあろうかと思いますので、他の適当な方法もあわせて研究する必要もあろうかと思いますが、とにかく未成年者の税負担の軽減を実現するということにつきましては、積極的に前向きに大いに努力をいたしたいと存じます。
#240
○広瀬(秀)委員 以上で終わります。
#241
○鴨田委員長 ただいま議題となっております各案中、所得税法の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
     ――――◇―――――
#242
○鴨田委員長 本案に対し、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、武藤山治君外二名より修正案が提出されております。
#243
○鴨田委員長 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。武藤山治君。
#244
○武藤(山)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま提案されております所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨と内容を申し上げます。
 案文は、すでにお手元に配付してございますので、その朗読は省略させていただきます。
 われわれは、当面、夫婦子二人の給与所得者の課税最低限を百五十万円に引き上げることを主張し、今回それを内容とした修正案を提出する予定でありましたが、これを行なうと、簡易税額表の全部の手直しが必要であり、これには日時を要し、すぐにも実施しなければならない勤労者の源泉徴収に間に合わないため、やむなくそれにかわる修正案を準備した次第であります。
 この修正案は、現行法のもとで税負担が他の所得者に比べて重くなっている給与所得者等について、各種の所得控除または非課税措置を設けて、税負担の軽減をはかるとともに、他方、ある種の資産所得について課税を強化しようとするものであります。
 まず第一に、寒冷地控除の創設でありますが、北海道その他寒冷地域におきましては、暖房費その他の生計費が他の地域に比べて多額にかかることは言うまでもないところであります。これに対し、公務員等の場合は寒冷地手当が支給されておりますが、これは課税所得の中に含まれており、また、それ以外の所得者の場合は所得の中から経費をまかなわなければならず、いずれにいたしましても、他の地域の居住者とのバランスを欠くものといえるのであります。そこで、本修正案は、その経費相当分を総所得金額等から控除する制度を新たに設けることといたしております。
 第二は、通勤費の非課税であります。現行制度では、実際支給した通勤手当のうち一定限度までの金額について非課税としておりますが、通勤費は明らかに必要な経費でありますから、その制限をはずし、手当が支給されていない場合でも、通常の実費相当額はこれを非課税とすることといたしております。
 第三は、夜勤手当の非課税であります。御承知のとおり、警察官、看護婦等のように夜間勤務をする者の場合は、心身の消耗が激しく、その回復のためにはかなりの経費が必要でありますが、この点を考慮して、一定額の夜勤手当についてはこれを非課税とすることといたしております。
 第四は、未成年者控除の創設であります。現在では、中学校卒業の就職者の場合、初任給から所得税がかかる事例が出ておりますが、学生の場合には勤労学生控除があり、さらに学校教育については多額の税金が使われているのであります。これではいかにも不公平でありますから、このような働く未成年者のために、所得控除として二十万円の未成年者控除を設けることといたしております。
 第五は、労働組合費控除の創設でありますが、労働組合が労働者の地位向上、福利増進をはかるものであることは明らかであり、組合員はそのための費用でありますから、今日の社会福祉の見地から当然必要経費と見られるものであります。この点に着目して、組合の経常的な費用に充てられる組合費については、これを所得控除として認めることといたしております。
 第六は、有価証券の譲渡等による所得に対する課税であります。申し上げるまでもなく、株式等についてのキャピタルゲインを非課税としていることは、現行制度の大きな欠陥であります。特に昨今のように株式の高騰により巨額の利潤を得ている者が続出している場合には、課税の公平を著しくそこなうものとなるものであります。ここにおいて、現行非課税制度を廃止し、有価証券及びその類似のものの譲渡所得については、すべて課税することといたしている次第であります。
 最後は、配当控除制度の廃止であります。現行制度では、いわゆる法人擬制税により、所得税の前払いである法人税を清算する意味で配当控除が認められておりますが、これによれば、配当のみの所得者の課税最低限は二百七十五万円で、給与所得者の二・五倍でありますから、この制度は資産所得優遇の最たるものといえるのであります。そこで、他の所得者との負担の公平をはかるために、擬制説を維持するという考え方は捨てて、配当控除制度を廃止することといたしております。
 以上が修正案の概要であります。何とぞ、御審議の上、御賛成賜わりますようお願い申し上げます。
#245
○鴨田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#246
○鴨田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。萩原幸雄君。
#247
○萩原委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案に賛成、同法案に対する日本社会党、公明党及び民社党共同提案にかかる修正案に反対の意向を表明するものであります。
 今回の所得税法改正案でまず第一にあげるべきは、給与所得者を中心とした中小所得者の税負担の軽減であります。すなわち、各所得控除の引き上げにより、夫婦子二人の給与所得者の課税最低限について十一万一千円の大幅な引き上げを行ない、平年度百十四万九千円としておりますことは、所得税負担の現状から見て適切な措置と考えられるのであります。この金額は、英国、西ドイツ、フランスの西欧諸国の水準を引き離し、米国に接近している次第であります。また、その引き上げ率一〇・七%は、財政需要の実態から見てやはり評価すべきであると考えます。
 次に、各所得控除の内容について見ると、給与所得者重点の考え方のもとに給与所得控除が大幅に引き上げられ、また、老人扶養控除、特別障害者控除等についても、社会福祉増進の見地から、他に比べて三倍の引き上げ額となっており、きめのこまかい配慮がなされております。
 さらに、退職所得について特別控除の大幅な引き上げが行なわれ、勤続三十五年の場合の非課税限度が現行の五百万円から八百万円に引き上げられておりますことは、給与所得者優遇という点で時宜に適した改正といえるのであります。
 その他、白色専従者控除の引き上げ、寄付金控除限度額の引き上げ、勤労学生控除の対象の拡大、ゴルフ会員権の譲渡に対する課税、役務の提供についての割賦基準の採用等、いずれも昨今の経済社会情勢に即応した妥当な措置と考えられます。
 このような改正により、減税規模は、初年度三千百五十億円となっておりますが、これは過去最高の減税額であります。しかしながら、所得税については、今後も国民の負担軽減をはかる必要が認められますので、来年度以降においても一般減税について特に配意するように、政府に対して強く要望する次第であります。
 次に、修正案でありますが、各種の非課税措置または所得控除につきましては、税負担の均衡をはかる点でなお慎重な検討を要するものであり、株式等のキャピタルゲイン課税については、税務執行上の難点があり、配当控除の廃止については、考え方の変更で急激な制度の転換を行なうことに問題があり、いずれも賛成しがたいものと認められます。
 以上申し述べましたとおり、私は、政府原案に賛成し、修正案に反対するものであります。
#248
○鴨田委員長 広沢直樹君。
#249
○広沢委員 私は、日本社会党、公明党、民社党の三党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案に反対、同法案に対する日本社会党、公明党、民社党共同提案にかかる修正案に賛成の討論を行なうものであります。
 政府は、中小所得者及び給与所得者の税負担の軽減を目的とし、今回の改正案において、サラリーマンの夫婦子二人の場合の課税最低限を初年度百十二万円に引き上げておりますが、このような減税内容では、遺憾ながらはなはだ不十分であると言わざるを得ません。
 すなわち、過去毎年の減税にもかかわらず納税人員が大量にふえ、所得税の自然増収額が顕著な伸びを示していることは、政府案による減税がいかにもなまぬるいことを意味するものであります。さらに、卸売り物価の高騰等によるインフレが進行している現状からすれば、消費者物価が政府見通しの五・五%を大幅に上回ることは明らかでありますので、それだけ実質的な減税がそこなわれ、中小所得者の暮らしは決して楽にならないのであります。
 われわれは、課税最低限を百五十万円に引き上げることを主張しておりますが……。
#250
○鴨田委員長 静粛に願います。
#251
○広沢委員 このような思い切った減税をしなければ、個人の資産蓄積が少なく、社会保障制度の不備なわが国においては、とうてい国民の重税感をぬぐうことはできないのであります。
 次に、現行制度のもとで、給与所得者の税負担が他の所得者に比べて重くなっており、また資産所得者がかなり優遇されていることは明らかであり、そのために納税者の不満感が非常に強いものとなっておりますが、原案はこのような不公平を是正するための適切な措置を欠いているといわなければなりません。修正案は、通勤費及び夜勤手当の非課税、未成年者控除の創設等、勤労所得にかかわるものの課税負担軽減、さらに、株式等のキャピタルゲインの課税、配当控除の廃止等、資産所得優遇の改廃をはかろうとするものであり、時宜にかなった適切なものとして賛成するものであります。
 特に未成年者控除は、中学卒業の若年就職者の初任給から税金がかかるという異常事態を救済するものであり、株式等のキャピタルゲイン課税は、不公平の是正のみならず、過剰投機の抑制にもつながるものでありますから、早急に実施すべきであります。これらの施策が含まれていない政府原案については、とうてい賛成し得ないのであります。
 なお、課税最低限の引き上げについては、簡易税額表の作成に日時を要するという事務手続上の関係もありますので、修正案は各控除制度等の部分的修正となっておりますが、もちろんわれわれとしてはあくまで四十八年分所得税において課税最低限を百五十万円に引き上げることを要求していることは、審議を通じて明らかにしているところであります。
 また、今後において物価の上昇がはなはだしく、所得税の税収がなお伸びると見込まれるようなときは、前述の理由により所得税の年内減税または年度内減税をぜひ実施するように、政府に対して強く要求しておきます。
 以上申し述べました理由により、政府原案に対して反対、修正案に対して賛成の意向を表明して、私の討論を終わります。
#252
○鴨田委員長 荒木宏君。
#253
○荒木(宏)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出にかかる原案に反対、社会党外二党の提案にかかる修正案に賛成の討論をいたします。
 政府提出にかかる原案は、課税最低限につき年所得夫婦子二人で百五十万円まで非課税というわが党の主張にほど遠く、依然として生活費に大幅に食い込む重税案であります。
 政府は、改善の理由として、必要経費を含めた勤労所得者の課税最低限を表示していますが、生活費をまかなう部分とされている基礎控除、配偶者控除、また扶養控除の三控除と社会保険料で表示される白色申告者の事業所得者の課税最低限は、標準世帯である夫婦子二人の四人家族の場合に七十五万六千二百八十八円であって、同じ世帯の生活保護基準額、一級地の場合七十七万三千二百五十円よりも一万六千九百六十二円も少ないのであります。
 また、課税最低限の引き上げが諸物価値上がり分をもカバーできないものとなっていることであり、名目賃金の上昇もあわせてみれば、まさに生活費に食い込む課税はさらに強化されようとしているのであります。ことに二兆五千六百億円という史上未曽有の自然増収が見込まれるにかかわらず、逆に減税割合は低下しており、租税負担率は、昨年の一八・九%から一九・五%に増加しています。自民党政府の高物価、公害をもたらす大資本本位の高度成長政策のもとで、多数の国民が、配当控除などの大資本家に対する特権的減免税をやめ、生活費非課税の原則を貫き、大幅減税を求めています。
 政府提出の原案は、形ばかりの諸控除の引き上げにより、これら国民の切実な諸要求をそらそうとするばかりか、給与所得控除の上限の引き上げにより所得課税の累進度を緩和させ、わが党が主張している高度累進制に逆行する部分があります。よって、わが党は反対であります。
 また、社会党外二党提案にかかる修正案は、年所得百五十万円まで非課税というわが党の基本的主張や生活費非課税の原則などに触れてはおりませんが、わが党の主張に沿う一定の改良部分があり、これに賛成であります。
 以上、討論いたします。
#254
○鴨田委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、本案に対する修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#255
○鴨田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#256
○鴨田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#257
○鴨田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して木村武千代君外五名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。広瀬秀吉君。
#258
○広瀬(秀)委員 ただいま議題になりました所得税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。
 政府は今回の改正により中小所得者及び給与所得者等の負担の軽減をはかることといたしておりますが、なお一そう負担の軽減をはかるため、次の点について十分配慮すべきであります。
 まず、附帯決議の第一は、退職所得の特別控除額を四十九年度においてもさらに引き上げるべきであるとの趣旨に出ずるものであります。勤労者の老後の生活を保障する退職所得の性格にかんがみ、最近における所得、物価水準の上昇を考慮して、さらに四十九年度においてもその引き上げに努力すべきであるとするのが、第一項の趣旨であります。
 第二に、最近における所得、特に初任給水準の上昇に伴い、未成年の給与所得者が相当程度課税を受けることとなっておりますので、これらの者の負担軽減につき特段の配意を政府に要請するのが、第二項の趣旨であります。
 最後に、第三項について申し上げます。
 今後においても所得、物価水準の上昇が見込まれますが、それに伴い納税者数の増加が予想されるところであり、また、所得税の累進構造は納税者に強い負担感を抱かせるという点にも十分留意する必要があります。この点につきましては、通勤手当、寒冷地手当、労働組合費、夜勤手当等について、各種の議論が行なわれましたが、これらの問題を包括的に解決するためにも、早い機会に課税最低限の引き上げ、給与所得控除の改善等に努力する必要があるとの大臣答弁が行なわれました。したがいまして、今後においても引き続き所得税の課税最低限の引き上げに努力することを政府に強く要請するものであります。
 なお、その際は、特に通勤費等の給与所得者の必要経費を十分まかなえるよう重点的に配慮することを強く政府に要望する次第であります。
 以上が附帯決議案の提案の趣旨でありますが、何とぞ満場一致御賛同くださいますようにお願い申し上げ提案説明を終わります。
    ―――――――――――――
  所得税法の一部を改正する附帯決議(案)
 政府は、左記事項につき、十分配慮すべきである。
一、最近における所得、物価水準の上昇を考慮して、退職所得の特別控除額を四十九年度に更に引き上げるよう努力すること。
一、未成年の給与所得者の納税者数の増加傾向にかえりみ、これらの者の負担の軽減につき特段に配意すること。
一、今後においても、引き続き所得税の課税最低限の引上げに努力すること。その際、特に通勤費その他給与所得者の必要経費を十分賄えるよう重点的配意を行なうこと。
    ―――――――――――――
#259
○鴨田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 おはかりいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#260
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。愛知大蔵大臣。
#261
○愛知国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#262
○鴨田委員長 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#263
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#264
○鴨田委員長 次回は、来たる四月三日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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