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1972/07/04 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第45号
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1972/07/04 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 大蔵委員会 第45号

#1
第071回国会 大蔵委員会 第45号
昭和四十八年七月四日(水曜日)
    午後一時六分開議
 出席委員
   委員長代理理事 木村武千代君
   理事 大村 襄治君 理事 松本 十郎君
   理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君
   理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君
      宇野 宗佑君    大西 正男君
      金子 一平君    木野 晴夫君
      栗原 祐幸君    小泉純一郎君
      塩谷 一夫君    地崎宇三郎君
      萩原 幸雄君    坊  秀男君
      村岡 兼造君    毛利 松平君
      塚田 庄平君    広瀬 秀吉君
      堀  昌雄君    山田 耻目君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵省主計局次
        長       長岡  實君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省関税局長 大蔵 公雄君
        大蔵省理財局長 竹内 道雄君
        大蔵省理財局次
        長       小幡 琢也君
        大蔵省証券局長 高橋 英明君
        大蔵省銀行局長 吉田太郎一君
        大蔵省国際金融
        局長      松川 道哉君
        国税庁次長   吉田冨士雄君
 委員外の出席者
        外務省情報文化
        局文化事業部参
        事官      西宮  一君
        大蔵大臣官房審
        議官      田辺 博通君
        大蔵大臣官房審
        議官      田中啓二郎君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
七月二日
 付加価値税の新設反対等に関する請願(神崎敏
 雄君紹介)(第七九六五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の会計に関する件
 税制に関する件
 金融に関する件
 証券取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○木村(武千代)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長所用のため、その指名により私が委員長の職務を行ないます。
 国の会計、税制、金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。村岡兼造君。
#3
○村岡委員 きょうは大蔵大臣も出席されまして、金融、財政の一般質問でございますが、その前にまず、去る二月、協同飼料の株価操作事件で四大証券のうち三社で逮捕者を出しておるわけです。そのときもいろいろ証券業界のことで私も質問をいたしましたが、その心配が現実となって現在の殖産住宅の株の上場にからむ大型の脱税事件が起き、今度は会社とか何とかではなくて、監督官庁である大蔵省証券局、あるいは証券市場を運営している東京証券取引所、大蔵省のほうは岡村何がし、また東京証券取引所は高田何がしという方が逮捕されておるわけでございます。いま司直の手にゆだねられておるわけでございます。これは正直に申し上げまして、証券業界の非近代的な利益追求のみに独走しておった問題がここに出てきた、私はそう判断しておるわけでございます。
 さらに新聞の報ずるところによれば、日本電気硝子の重役が逮捕された。そしてまた東京地検においては大手証券会社の幹部数人がこの高田何がしにいわゆるわいろ株を贈り、幹部数人を取り調べ中、こういうふうに報道されておりますが、こういう点につきまして、まず最初に証券局長のほうに御質問を申し上げ、あとから大蔵大臣に御質問申し上げたい、こう思っております。
 第一番に、上場や増資の場合の親引け株、あるいはまたその中であいさつ株とかわいろ株というようなこと、これらについて一体こういう上場の場合に規定があるのかどうか、そしてまた今後も親引け株というものが存してもいいのかどうか、これをひとつ証券局長にお答えいただきたい。
#4
○木村(武千代)委員長代理 その前に、大蔵大臣からちょっと発言を求められております。大蔵大臣。
#5
○愛知国務大臣 今回の殖産会社の問題について、大蔵省の証券局の者が容疑を受けまして逮捕されるに至りましたことにつきましては、監督上の責任としてこれはまことに申しわけのないことである、心から遺憾の意をまず表する次第でございます。
 現在、事件はお話しのように捜査中でございますので、その事件自体につきましては司直の手によって事態が解明されることになると思いますので、それはそのほうの捜査の結果を待つことにいたすべきものであると思いますけれども、大蔵省といたしましても、この事件の発生しましたことに対し、まことに遺憾に存じております。あらためて省内全体に対しまして綱紀の粛正について厳重な注意を喚起し、また取り締まりに遺憾なきを期するように所要の措置をとっておるような次第でございます。
 御質疑にお答えする前に、一言おわびを申し上げる次第でございます。
#6
○高橋(英)政府委員 公開上場あるいは時価増資の場合に親引け制度ということが行なわれておりますことは事実でございます。特に公開上場の場合に、今回のような不祥事件といいますか、そういうものが起きましたので、この公開上場にあたっての親引け制度というものが必要であるかどうか、あるいは弊害が多いとすればそれを廃止したらどうかというようなことで、現在検討しておるところでございます。
#7
○村岡委員 この岡村あるいは高田という方々、短時間にこれは千二百五十万のものが二千六百万くらいになる、こういうふうなことでございますけれども、こういうようないま疑いをかけられている方々が、大蔵省やあるいは証券取引所でどういう地位とか権限が相当ある方でございますか、その点ちょっと……。
#8
○高橋(英)政府委員 証券局の証券監査官は、有価証券報告書あるいは有価証券届出書を審査する権限を持っております。審査は主として形式的な不備とか、あるいは明瞭なる誤謬といったようなものを訂正してもらうということで見ておるわけでございます。届出書の場合は、受理いたしましてから一カ月たって自然発効するということでございまして、監査官が監査してその効力をどうのこうのというような権限を持っておるわけではございません。
#9
○村岡委員 その監査官がどうのこうのということでなしに今回このような問題が出てきておる、そこに根源があろうかと思いますが、端的にいいまして、管理者の監督強化あるいはもちろん綱紀粛正、それから適時適切な人事の異動、新聞に出ておりますけれども、総称して課長補佐という方々、長年その任に当たって専門家であろうけれども、専門家なるがゆえにこういうようなものに出くわす、これらの問題点、いま権限はあまりないのだ、こういうような話でございますが、その権限のないところにこういうことがある。そのまま通してやる。やはり私は何かがあるのではないか。一般に国税庁関係、税務署長さんなんかの関係は、転任の場合でも相当早く転任がある。しかし、この方の場合は相当この職に長くおられる。こういう点今後どう考えるか、やはりこういう長年の方でなければこういう職には適しないのかどうか、その点いかがですか。
#10
○高橋(英)政府委員 長年やっていなければできないかということでございますが、必ずしもそうではございません。ただ現実にいままで監査官というものが長かったという事実、あるいは担当の業種を長く続けておったというようなこと、まことに申しわけないことだと思います。これからは担当をかえる、もちろん人をかえるといろことにいたしまして、全部新人というわけにはまいりませんが、そういうことで、人事管理の面からも再びあのようなことのないようにしたい、さように心得ております。
#11
○村岡委員 こういうものがあらわれてまいりますと、証券会社の体質あるいはこの内部状況を知っておる一部の方々が、一夜にして何億あるいは何千万、こういう金をピンするような状況でございます。したがって、先ほども申しましたが、この事件を契機に、高橋証券局長さんも新しくなられましたので、証券業界のうみを徹底的に出しまして、体制の改めるところは改め、機能の改めるところは改正して、こういうことの今後起こらないように、あるいは善良な一般の株主に迷惑のかからぬようにひとつ厳重にお願いをいたしたい’そういうことでございます。
 同時に、この問題についてはこれでやめますけれども、大蔵大臣の決意のほどをお聞きいたしまして、この点の質問については終わりたいと思います。
#12
○愛知国務大臣 第一は、何といいましても大蔵省内の綱紀粛正について、このような不祥事件が起こりましたことについて十分の反省をして、二度と再びこのようなことの起こらないように万全の措置をするということが第一であると思います。
 それからもう一つは、実は株の上場公開制度、公募に際しての親引けの制度等に対しましては、従来からもこういうやり方でいいのであるかということについては、内々検討いたしておったところでございますが、取引所側におきましても、こうした事態がそうこうしているうちに惹起いたしましたことについては非常な反省が起こりまして、早急に改善策についてできるだけ積極的にすみやかに改善措置をとりたいということで、相当具体的かつ相当進んだ考え方も寄り寄り協議をし、意見も、当局側にも協議がされつつあるわけでございますが、その内容等十分検討いたしまして、できるだけ早急に制度自体の徹底した改善措置をとりたい、かように考えている次第でございます。
 それからもう一つは、言及されましたが、証券会社等の立場においての自粛ということ、やはり証券界の社会的な責任に対応するような体制を整える、あるいは人的にも十二分の反省に基づく規律を正しくしなければならない。こういう点につきましてもこの際徹底した措置をとっていきたい、協力していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#13
○村岡委員 いまの証券業界に関する質問はこれで終わります。
 次に、ニクソン大統領は物価凍結とかあるいは輸出制限等のインフレ対策を発表しておりますけれども、世界的なインフレというのは日本にも押し寄せておる現状でございます。また政府とか日銀の金融の本格的な引き締めにもかかわらず、諸物価の高騰というものが続いておる現状でございまして、大蔵大臣もたいへんこの点については頭を悩まし、その対策を立てておる現状でございますが、なおかつまだこのインフレというものはおさまっていない。高物価というものはおさまっていない。したがって、この物価という面と税制という面で質問をいたしたい、こう思っております。
 いろいろこの物価の問題に対して、大蔵大臣も発言をされております。総需要の抑制、それから金融引き締め政策だけでは十分とは思えない、またある意味においては物価、賃金の凍結をしろ、こういう意見もございますが、いま現状では適当でない、それから主要物資の需給を円滑にするため、いわゆる新しい感覚の物動計画を考えていきたい、また近く特別の政府の短期証券を発行し、ボーナス資金を吸収していきたい、こういう発言もしておられるようであります。
 同時に、これは私の考えでございますが、やはりこれらの物価の問題に対しては、どうしてもこの際蛮勇をふるってでも地価抑制策というものを断行しなければならぬのではないか、こう考えておるところでございます。またいろいろ言われておりますが、来年度の財政規模、また民間の設備投資の抑制、片一方では思い切ったこの際競争の促進策をとれと、こういうような意見もございますが、大蔵大臣といたしましては、この物価対策に対して今後どう処置をとっていくか、ひとつ考えをお示し願いたいと思います。
#14
○愛知国務大臣 物価対策は、申すまでもなく現下の最大の問題でございますから、政府も総力をあげてこれに取り組んでいるわけでございます。具体的に申しますと、先般あらためて決定いたしました七項目の実現ということであると思います。
 これは根本的に言えば、需要と供給がバランスがとれるということがある限りにおいては、物価問題については私はよい姿があらわれてくるもの、根本的にはそういう考え方でございますが、現在の状況では、年初以来いろいろとやってまいっておりますけれども、やはり主としては民間の設備投資とか、あるいは個人消費の伸びというものが予想以上に堅調であるということ、したがって、いまの段階は総需要を抑制することが大切である。
 それから、金融上の問題としては、何と申しましても金融機関からの信用の造出ということが圧倒的に比重が多いわけでございますから、金融政策をまず取り上げて、おそらくこれは近来の歴史的にもないくらい立て続けに年初以来の公定歩合引き上げ、預金準備率の引き上げ、窓口規制、それも非常に個別的と申しますか、かなりきめのこまかい選別的な融資の規制、この一連の金融措置というものは、ほんとうに近来にないような総合的であり、同時に追い打ちを次々にかけてきておるわけでありますが、これはやはり総需要の抑制ということに今後ある程度の期間はなおかかるかと思いますが、相当の効果を発揮するものと、こういうふうな認識に立っているわけでございます。
 一方、経済の見通し等から言いますと、財政のほうの関係では御案内のようにワクがきまっておりますから、民間の動きよりは的確にその情勢が掌握もできますし、またコントロールもしやすいわけでございます。また全体の比重からいえば大きくないということも言えると思いますけれども、しかし物資の需給関係から見ましても、特に公共事業費等の支出については細心の注意が要るという認識の上に立ちまして、四月、予算が成立をいたしまして以降二度あるいは三度というふうに、まず契約率において相当思い切った削減といいますか繰り延べを行ないまして、上期から下期に繰り延べることにいたしたわけでございます。
 現状におきましては、先週の金曜及び昨日の閣議でも、引き続き大蔵省としての態度を表明して、関係各省の協力を得たわけでございますが、前年度を通ずると六兆九千億くらいの公共事業費になりますが、そのうちの何といっても大宗は一般の公共事業費で五兆一千億。この五兆一千億については、上期においては四九・三%程度にいたしまして、需要は後半に繰り延べをするということにいたしたわけでございます。
 災害復旧でありますとかあるいは積雪寒冷地帯等については、これはやはり緊急度が高いわけでございますし、それから特に生活関連等も、これは今年度の一つの特色でもございますが、福祉関係に重点を置いておりますから、こういう点も一面考慮しながら、そのほうは繰り延べをあまりやりませんで、例年どおりぐらいの程度の進捗率にしたい。
 総合してみますと、昨年度の実績と比較いたしますと一兆一千億程度のものが繰り延べになる。これは各省の非常な協力も得ましたし、同時に公共事業が物資の需給等に与える影響、物価の関係等も一面におきまして十二分に考慮いたしまして、そうして金融上の順を追うて、強い引き締めと相呼応してこれを補完する意味におきまして、財政上におきましても、私といたしましては相当に、あるいは相当以上に思い切ったやり方を現に展開しているわけでございます。
 これはやはり、先ほど申し上げました七項目の物価対策の中の大きな二つの項目でございますが、同時に財政金融だけで十全の効果をあげるものとも思われませんから、他の総合的な対策を展開していかなければならない。これも当委員会でよく申し上げているところでございますけれども、たとえば物価対策費も四十八年度予算では相当多額に編成されているわけであります。その中には、生鮮食料品等については、生産から流通から消費の段階に至るまでの国としてやるべきこと、あるいは地方公共団体の協力、あるいはさらに進んでは、もっと各方面の民間の協力を得て具体的な施策が展開されるわけでありますけれども、これらの点についてももっと強力な施策の展開をしなければなるまいと考えております。
 土地対策についても御言及でございましたが、これは国土総合開発法等がまだ御審議をいただいておる最中でございますけれども、土地税制はすでに制定されたわけでございますし、それから土地に対する土地関連融資に対しては、これまた先ほど申し上げた一環としてかなりな程度に引き締めをやっておりますので、これらが総合されて効果があらわれてくることを期待しておるわけですが、それにいたしましても、国土総合開発法等関連の法律案等についてはさらに積極的に御審議を促進していただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 また、輸入関係については、今日アメリカの輸出規制策というようなものがここにあらわれてきましたことに対しては、臨機応変の措置をとっていかなければならないわけでございますが、現在のところは、たとえば穀物類等についても、さしあたり需給について基本的な心配はなさそうに推移するようでございますが、さらに一段と外交上の措置も強力に展開しなければなりませんし、また最近における国際収支上の観点からいたしますと、輸入の増勢は相当以上に顕著なものもございますし、海外の物価高ということはもちろんございますけれども、こういった面からも相当程度物価問題に寄与するところもあり得るであろう。
 とにかく、七項目全体についての総合的な施策の推進とその成果を期待するということで強力に施策を推し進めていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
 また、長くなって恐縮なんでありますけれども、一般的に過剰流動性という、そもそも一昨年来起こりましたことにつきましては、最近の国際収支の状況で、あるいは円の相場等でごらんのとおり、あるいは外準の減少の状況でごらんのとおりで、外部的要因から来るところの過剰流動性問題は、当面はなくなったわけでございますが、さらにこういった円相場が平静に推移しているということを一つのてこにして、輸入関係その他の成果がさらに一段とあがるようにいたしてまいりたい。
 同時に別の意味で過剰流動性というものが考えられるとすれば、その吸収についても格別の努力をしなければならないと考えまして、たとえば貯蓄手段についても一段とバラエティーを持った貯蓄手段の創設につとめて、中期預金あるいは郵便貯金の定額預金等についてもくふうをこらしたつもりでございますし、それから小額短期国債の売り出し、これも六月の中旬から始めたわけでございますが、これらの手段を国民的に活用していただくということについても今後できるだけの努力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#15
○村岡委員 時間もなくなりましたが、最後に税制の問題で質問いたしますが、簡潔にお答えをいただきたいわけでございます。
 大臣あるいは政府当局で、来年度は大幅減税というようなことが言われておりますけれども、この点について具体的に所得税についてはどうか、また法人税、それから大企業を利する租税特別措置、こういう問題をどうするか。またいまのインフレ克服のために金融、税制といった面からばかりでなしに、やはり基本戦略をこの際確立する必要があるのではないか、こう考えるわけであります。所得、資産分配の不公正を是正するための賃金上昇が、生産コストにはね返ってインフレを高進させ、それがまた不公正を拡幅しつつ賃金の上昇圧力を強めるといった現在の進行中の悪循環というものをどこかで断ら切らなければ、なかなか物価問題というものは解決しないのじゃないか、こう私は考えるわけでございますが、時間もございませんので、一連の税調やまた何かで審議されておる来年度の税制について、いまどういうことをお考えになっておるか、簡潔にお答え願いたいと思います。
#16
○愛知国務大臣 かねて当委員会でも申し上げておりましたように、例年よりずっと繰り上げまして、税調その他の審議会等もすでに仕事を開始していただいておるわけであります。税につきましては、基本的な考え方といたしまして、とにかくこの年度内に先ほどるる申し上げましたような総合的な対策を推進して、その成果のあがることを期待いたしておりますが、そして来年の四月からは税についても大きな転換をいたしたい。これはただいまもお話がございましたが、不公平感というものをできるだけ是正していく。それから社会的な要請におこたえをしたいということから、税制調査会が始まりましたときにも、私も率直にお願いしたわけでございます。
 まず所得税につきましては標準家庭の課税最低限度を少なくとも百五十万円以上に引き上げたいということが一つ。そして勤労所得控除というようなものについて十分の考慮を払う。しかし一言でいえば、最低限度を相当に引き上げることができれば、いろいろの点がこの中で相当吸収、消化ができるのではなかろうかという考え方を私は持っておるわけでございます。
 それから一方においては、法人税はずばり申しまして税率四〇%。それから特別措置については徹底的な洗い直しをする。それから入場税とか物品税とかにつきましても、今年度の税制改正でいろいろと御熱心に両院の大蔵委員会でもこまかく御論議をいただきましたから、そういう点からにじみ出てきているようないろいろの御意見をできるだけ取り上げながら、一方来年度歳計がどれくらいの規模になるかということにつきましては、まだ確たる見通しを持つに至っておりませんけれども、財政の規模というようなことやあるいは公債の依存度というようなことも考え合わせまして、十分ひとつ来年の税制というものはりっぱな姿のものにしたい、こういう意欲を持っておるわけでございます。
 現在のような時期に、所得税の減税ということを考えるようなことは逆だというような御意見もあるようでございますけれども、これは現在のところはインフレ的ムードを鎮静して正常化するということにできるだけの努力を払っていただく。そして来年度において所得税の大減税、法人税の増徴ということを中心にした税制の改正ができるようにする。このことが現在の一般的な要請にこたえ得るゆえんではないだろうか、こんなふうに考えておるわけであります。
#17
○村岡委員 それでは質問を終わりますが、最後に、今度の事件を契機に、証券業界の徹底的な改善と、物価あるいはインフレに対して大英断を持って諸政策に当たられるようお願いしまして、質問を終わります。
#18
○木村(武千代)委員長代理 塚田庄平君。
#19
○塚田委員 時間もございませんので端的に質問いたしますから、ひとつ簡明にずばりお答え願いたいと思います。
 私の質問は、最近、証券界あるいは関税の関係あるいは銀行の関係においていろいろと不祥事が起きておりまして、監督機関としての大蔵省に対する風当たりといいますか国民の疑惑、あるいは場合によっては非難、こういうのが非常に高くなってきております。私はこの際そういった国民の疑惑にこたえるという立場で、東京都千代田区神田紺屋四十二番地に本店があります興産信用金庫について、これをめぐる諸問題について御質問をいたしたいと思います。
 この金庫はすでに本委員会でも取り上げられましたが、日造市原ポンプの不正融資、あるいはまた昨年は白紙手形流出問題等でとかく問題の多かった金庫でありますが、ことしの四月二十一日の臨時理事会において、この金庫の責任者である理事長が職を辞しました。一応その理由は健康上の理由ということになっておりますが、ただいま申し上げましたもろもろの事件、あるいは私がこれから申し上げますいろいろな疑惑等を考えますと、一方では大蔵省から経営責任が問われたのじゃないかという風評も出ておりますが、まずこの辺の真相についてお答えを願いたいと思います。
#20
○吉田(太)政府委員 御指摘のように、興産信金におきましては、日造市原ポンプという株式会社に対しまして、本店長でございます者が大口不良貸し出しを行なったということから、昨年の四月に背任容疑で東京地検で起訴されたわけでございます。これは先ほどもお話がございましたように、いわゆる白紙手形ということにも関係があって捜査が行なわれたわけでございます。その結果、背任の疑いとして多額の不正貸し出しということが明らかになったわけでございます。関東財務局におきましては、昨年の秋からことしの一月にかけまして検査を行なったわけでございます。検査の結果につきましては、これは何ぶん個別の金融機関のことでございますので、具体的に申し上げることは差し控えさしていただきたいとは存じますが、内部管理の適正化ということ、あるいは債権管理を適切に行なうことによって資産内容を改善していくこと、それから自己資本を充実していくこと、不祥事件の未然防止等ということについて必要な是正措置を求めておるわけでございます。現在そういう措置がいかに行なわれておるかということについて、私どもは非常に慎重にそれを見守っておる、そして指導していっておるというところでございます。
 先ほど御指摘の役員の交代ということにつきましても、理事長その他役員がかわられること、あるいは各担当の職員が新たに配置がえを行なわれたというようなことで、新たに再出発という意気込みを持って、当金庫は現在金融業務を支障なく行なっておるわけでございます。
#21
○塚田委員 いまの御答弁で、昨年の十一月十三日からいろいろ不都合な事件を続発しておる金庫について調査を進めた、その内容についてはここで言明しかねると言いますが、これはあとでいろいろとまた角度を変えて質問をしたいと思いますが、その検査の内容によって示達が具体的になされたかどうか、当該金庫に対して大蔵省としての検査結果に基づく示達がなされておるかどうか、この点ひとつ御答弁願いたい。
#22
○吉田(太)政府委員 これは関東財務局長から示達がなされたものと承知しております。
#23
○塚田委員 何月何日に示達が出されたか、その日付を発表していただきたいと思います。
#24
○吉田(太)政府委員 一、二分お持ちいただければ、いま正確な日にちをお知らせいたします。――本年の五月二十五日でございます。
#25
○塚田委員 すでに示達がなされてから一カ月半になんなんとしています。で、示達に基づいた金庫の回答が寄せられておるかどうか。
#26
○吉田(太)政府委員 まだ受け取ってないということでございます。
#27
○塚田委員 示達がなされてから一カ月半、まだ回答がなされてないというのは、これは摩訶不思議な金庫だと思うのですよ。あるいは大蔵省がなめられておるのか。示達が出されてから一カ月半たって、おそらく、これは私の想像ではこれに対して回答すべき理事会がいまだ開かれない状態にあるのではないか、こう思います。先ほどの局長の答弁の中で、検査に基づいて示達をし現実にいろいろと改善措置がなされ、ほんとうに再建の意気込みでやっていると言いますが、大蔵省から出ている示達に対する回答さえまだ寄せない、あるいはこの回答を責任を持ってやるべき理事会さえ開かれておらない、これが現状じゃないかと思うので、その点明確に御答弁願いたいと思います。
#28
○吉田(太)政府委員 検査の示達に対しての回答ということは、これは御承知のように法に基づいた検査権の行使でございます。これを受ける金庫といたしましても非常に慎重に扱っておるというのが通例でございます。したがいまして、示達が出ますと同時に必ずしも回答が来るものというふうには承知いたしておりません。この件につきまして示達に対する回答を受け取ってないということは事実でございますが、しかしその間におきましても、財務局と連絡をとりながら、それの内容については事実上、聴取しておるということでございます。
 もちろん示達を受け取るということについて私どもがこれを一日も早くということを期待しておることはそのとおりでございますが、私どもとしてはできるだけ早く金庫がその実態を踏まえて誠意のある回答をいたすことを期待しておる状況でございます。
#29
○塚田委員 その示達内容には、たしか金庫が処分行為をしなければならぬ内容が含まれておる。私の手もとに資料があるのですが、金庫が一定の処分をしなければならない内容を含んでおると思いますが、この点どうですか。
#30
○吉田(太)政府委員 示達の内容につきましては、ここで明らかにすることを差し控えたいと存じます。
#31
○塚田委員 私は、特にその示達の内容について四項目程度にわたる内容が入っております。一々四項目についてどうこうせいということじゃないので、その中には、おそらくやめられた理事長の私財産の処分について示達をしておると思いますが、その点ひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。
#32
○吉田(太)政府委員 具体的にお答えいたしますことをごかんべん願いたいと存じます。
#33
○塚田委員 どうしてもやはり公表はできないということは、私は、やはりそこに何かがあると考えております。
 そこで、以下さらにそれを追及したいと思いますが、この興産信金というのは、四十七年度の決算以降、いわゆる決算承認指定金庫ということになっておると思うのです。この点は認めますか。
#34
○吉田(太)政府委員 私どもが特定の金融機関、たとえば資産内容が悪いものあるいは経営体制に問題があるものについては、その決算にあたりまして、その利益処分の事前に私どもの承認を求めるという制度をつくっております。ただ、いかなる金融機関がこのいわゆる決算承認の指定を受けておるかということについては、金融機関の信用機関としての性格上、一切申し上げることを差し控えておりますので、御答弁を差し控えさせていただきます。
#35
○塚田委員 それでは、過去においてこういう決算を承認する、大蔵省が承認する、財務局が承認するという、こういった金庫、金融機関ですね、一体いままでどのくらいありましたか。どの機関にもこういう決算承認という行為を大蔵省はするわけじゃないと思うので、いま言われたとおり、特に不良と疑われるもの、これについてやるのですが、いままでどのくらいありましたか。
#36
○吉田(太)政府委員 この決算承認制度の運用は、これはかなり長く続いております。したがいまして、特定の金融機関が該当しておる場合、大体数年間は続いておる。そして、ある程度それが改善されればそれを解除していくということでございまして、普通、全金融機関を集めまして、おそらく私の記憶に間違いがなければ、二十ないし三十ぐらいの金融機関であろうか、かように考えております。
#37
○塚田委員 改善されれば解除する。実はこの興産信金は、昭和四十五年までは決算の承認指定金庫であったわけです。四十五年になりまして、いま言われたとおり、改善の徴候が見えたというのですか、そこで四十五年決算で承認をはずしております。ところが、今度四十七年で再び決算承認の指定金庫になったわけですよ。
 そこで、この二年間はずされた間に何が起きたかというと、先ほど言いました手形の白紙事件あるいはまた不正貸し付け事件というのはこの二年間で起きているわけです。つまり大蔵省がはずした期間において、たいへん皮肉なんですが、この期間に当該責任者である理事長は勲三等の叙勲をいただいておる。こういう情勢の中で、今度の四十七年、再び実は決算の承認指定を受けたわけです。
 そこで、四十七年度のこの金庫の決算は承認されたんですか、どうですか、総代会で。
#38
○吉田(太)政府委員 承認されております。
#39
○塚田委員 そこで、これは私の調査です。私の調査によれば、この決算のちょっと前ですね、大蔵省が具体的に調査に入ったその時点において、この信用金庫というのは資産内容が非常に悪い。総資産の一三・一二%に当たる六十億八千八百万、これが非常に悪質な、悪い資産の合計額として出ております。
 具体的に言いますと、分類資産の合計です。欠損見込み額は、その時点において十八億一千万円、こう認められますが、この状況にもかかわらず、大蔵省は当該金庫に対して六分の配当を認めたというのは一体どういう理由によるか、御答弁を願いたいと思います。
#40
○吉田(太)政府委員 これを決算を認めたという意味でお答えをすることは適当でないと思います。ただ、事実、この信用金庫が八分配当をいたしておりましたのを、ことしの三月に六分の配当を行なったことは事実でございます。ただ、この興産信金の内部留保というものにかんがみまして、六分という配当を行なったことを適当である、かように判断が行なわれたわけでございまして、減配をしたということあるいは経営陣がかわったということについて、いま御指摘のような事情に対する経営責任を明らかにしておったものといったように理解しております。
#41
○塚田委員 そういう強弁をするなら、私もあまり出したくないのですが、出さざるを得ないわけですよ。端的に言いますが、いま私のあげたこの数字、たとえば悪化しておる資産は総資産の一三・一二%に達しておる、その金額はこれこれだ、欠損見込みは十八億をこえる、この点を認められるかどうか。
#42
○吉田(太)政府委員 先ほど来お答えいたしましたように、いかなる金融機関におきましてもやはり多数の預金者をかかえておりまして、信用機関としての立場もございますので、私どものほうから具体的な検査結果についてここでお答えさせていただくことはひとつぜひ差し控えさせていただきたいと思います。
#43
○塚田委員 これでは質問が進められないんですよ。私はそちらの答弁を実は待って――この追及についても私どもの限界というものを知っております。だけれども、局長のようにそういう強弁をされるならば、四十八年三月二十八日、関財秘、これは関東財務局の秘密文書です。関財秘〇〇号で、局長植松守雄氏から興産信金理事長あてに出された通達文書というものを知っておられるかどうか。
#44
○吉田(太)政府委員 承知しております。
#45
○塚田委員 その文書の内容等、私がいましゃべった数字とはずいぶんかけ離れておるものでしょうか。
#46
○吉田(太)政府委員 お答えを差し控えさせていただきます。
#47
○武藤(山)委員 関連して。
 ちょっとおかしいよ。それは銀行局長、決算書に当然載ることでしょう。決算書というのは貸借対照表にしても損益計算書にしてもみな新聞で公告をしなければならぬことになっている。そういう程度の事項の問題を、この最高機関である国会の場所で、しかもそういう信用金庫の設立の許可を与えている大蔵大臣のところでなぜ発表できないのですか。発表できない何か法的根拠があるのですか。
#48
○吉田(太)政府委員 御指摘のように、外部に発表しておるもの、あるいは決算として公表しておるものにつきましては、私どもはここで当然お答えさしていただかなければならないと思います。ただ、資産内容と申しますのは、御承知のように、私どもの金融検査官が貸し出し内容について判定をいたしまして、回収の見込みがあるかないかということについて判定をいたしましたものを総計いたしましたものを、いわゆる分類資産と称して幾つかに分類しておりまして、その確実性によるグレードをつけておるという内容のものでございまして、先ほど来御指摘の件につきましては、まさにその内容にわたるものでございますので、ひとつ御答弁は控えさしていただきたい、かように申しておるわけでございます。
#49
○塚田委員 私は、先ほどのこの興産信金の決算承認指定からはずれた経緯、おそらく大蔵省はその段階においてこの前の指定のときにいろいろ調査して、これでだいじょうぶだということで二年間はずされたのだろうと思うのですよ。その二年間に一体どんなことが起きたか。これはもう御承知のとおりなんです。つまり国民は、一体大蔵省は何をやっているのか、こういう疑惑を持つのは当然だと思うのです。国会においてはその疑惑に対して究明していく権限もあるし、義務もあると思うのです。だから、いま武藤委員の言われたとおり、大蔵省の調査の結果についてある程度公表しながら国会の審議を受ける、これが当然だと思うのですが、どうでしょうか。
#50
○吉田(太)政府委員 私どももできるだけのことについてはここで申し上げ、御批判を仰ぐということは当然のことであろうかと考えております。しかし、金融検査官の検査の判定にかかわるものにつきましてここでお答えすることにつきましては、ひとつ御容赦を願いたい、かように申し上げておるわけでございます。
#51
○塚田委員 私は、どうしても皆さん方がお答えしないというのであれば、これはあとは世論に訴える以外にないということになって、たいへん不本意なんですよ。この点、ひとつ再度考慮していただきたいと思うのです。
 そこで、金融機関の決算については、統一経理基準というのがあるのはおそらく局長御存じだろうと思うのです。これは別に法律じゃありませんが、そういう基準に基づいて決算がなされる。内容的に申しますと、退職給与引当金あるいはまた価格変動準備金あるいは貸倒引当金等一定の積み立てをしておらなければならない。そうしなければ配当は認められないというのが一応基準になっておると思うのですね。興産信金の場合は、貸倒引当金は明らかに基準に達しておりません。にもかかわらず六分の配当を認めたということは、大蔵省自体が統一経理基準というものを踏みにじっておる、手心を加えておる、こう見られてもしかたがないと思うのですが、その点についての御答弁をひとつ願いたいと思います。
#52
○吉田(太)政府委員 仰せのように、統一経理基準というものをもって私どもは一般に金融機関が健全性を確保するためにあるべき経理上の基準を示しております。これは、たとえば償却あるいは準備金の積み立てといった場合にも非常に大事をとった基準をつくっております。税法基準以上の基準の取り入れを指導しておるわけでございます。これを行政指導上の一つの基準として運用しておるわけでございますが、しかし、これが具体的な場合に、一つの基準としての例外があるということもあり得るわけでございまして、いま御指摘のケースにあたりましては、信用金庫がやはり共同組織であり、その会員の協力によって成り立つものであるというところから、この基準が短期的に守られることができなくても、近い将来その基準を回復するというような見通しがある場合には、その例外を承認しておるケースは従来からあるわけでございまして、この御指摘の興産信金というものが六%の配当を行ないましたということについても、そのような考え方からこれが行なわれたわけでございます。
#53
○塚田委員 それはとんでもない答弁ですよ。まだ局長は私の言った数字を基本的に否定はしていないわけです。再度言いますが、私の調べによりますと、二分類、三分類、四分類、ばく大な不良貸し付け欠損ですよ。これに例外を認めるということになれば、一体統一経理基準というのは何の役割りを果たすのか。最も悪い信金に対して例外を認めていくということになるのじゃないですか。こういうやり方で大蔵省は指導しておるから、たとえば今度の殖産住宅のような事件も出てくるし、また世間に対して大きな疑惑を生み出すということになるのじゃないですか。率直にひとつ御答弁願いたいと思うのです。
#54
○吉田(太)政府委員 御指摘のような刑事事件、不良貸し出しがあったということにつきましては、私どもはまことに遺憾に存じます。また、それが御指摘のように、大蔵省の行政指導が足らないということによって起こったという点があったということにつきましては、私どもは今後十分反省し、そういうことのないようにやりたいと考えております。
 ただ、今回のこの決算処分が、統一経理基準そのものに該当しないということが非常に手ぬかりであったかどうかということについては、私は多少見解を異にしているわけでございまして、内部留保を取りくずしてある程度決算に充当し、それによってなおかつ配当をしておるということは、必ずしもそれほど間違った処分ではない、かように考えております。恒常的にそういうやり方が続くのでございますれば、これはまた問題かとも存じますが、短期間に内部留保を回復するという判断のもとに行なわれるものでございますれば、それほど間違ったこととは私は考えておりません。
#55
○塚田委員 この信金は預金額はだいたい四百億を前後しております。そのうちの、これは私の調べで、六十億以上が欠損を含めて認定されるということになれば、はたしてごく近い将来に改善されるというような見解に立てるかどうか。もう一つは、局長いま警察の手が入った、検察庁の手が入ったというそういった具体的な話は別ですがと答えましたが、現にこの信金は先ほど言いました白紙手形事件、あるいはまた不正融資事件等を契機にして、いま検察庁に書類が押収されておることは皆さん御存じでしょう。どうなんですか。そういうなまぬるい態度で金融機関を指導するということはこの際絶対に排撃しなければならぬと私は思うのですよ。御答弁願いたいと思います。
#56
○吉田(太)政府委員 検察庁の手元に書類がございますことはそのとおりでございます。私ども決して手ぬるい態度で対処していくというつもりは毛頭ないわけでございます。そういう点に関しますいかなる批判につきましても、私どもは虚心にこれを受けていくつもりでございます。ただ、この御提起の問題の処置については、多分に見解を異にしておる面もあろうかと存じますが、基本的には私どもがこれを手ぬるく取り扱うというつもりがないことは、ひとつ何とか御了承願いたいと存じます。
#57
○塚田委員 私は、全くこの委員会に明らかにしない、委員の質問に対して誠意をもって答えない、こういう態度については、この事件については再度追及したいと思いますので、あとで理事会あたりで取り扱いを協議してもらいたい、そう思います。
 そこで、この金庫のいまは解任になった理事長ですが、この人は日ごろ、おれは大蔵大臣とは親交が厚いのだ、別に愛知大蔵大臣に限ったわけじゃありません、歴代大蔵大臣のことですが、こう公言してはばからない人なのです。そういう大蔵省と同前理事長との関係、大蔵省からの金庫に対する人事の差し向け等がからんで、興産信金についての手心を加えているのじゃないかということが、すでに業界紙等では公然の事実として報道されておるということについて、大臣の所見を承りたいと思うのです。
#58
○愛知国務大臣 どういうことがどう言われているかわかりませんが、私といたしましては、金融機関の監督は厳正、公正でなければならないということを旨にしてやっております。
#59
○塚田委員 そう言われますけれども、大蔵大臣、あなたは昭和二十五年に当時の信用金庫協会の顧問にたしか就任されておるはずです。これは、総会において決定された事業報告の中で「定款第二十五条の規定により左のとおり附議決定顧問愛知揆一」こうなっております。自来、いつやめたということなく、今日まで至っていることを大蔵大臣は認められますか。
#60
○愛知国務大臣 いろいろのことを私も頼まれておりますから、信用金庫協会の顧問をしておったことも事実でありますが、現在やっておることはございません。
#61
○塚田委員 私どもの調査、これは資料がありますが、現在愛知さんはやっておるのですよ。あなたはそれに対して、今回を限り顧問をやめるというようなこともやっておらないわけですね。あるいは不徳のいたすところで、大臣になった早々にやめるべきであったとお考えだろうと思います、一歩譲ってあなたの気持ちをそんたくすると。だけれども、あなたはれつきとした顧問です。監督機関であるべき、その最高責任者であるべき方が顧問になっておる。しかも、この顧問というのは、こういった不正あるいは疑惑、これをチェックするのが役割りではないかと私は思うのです。
 そういう意味において、大臣になる前を考えましても、この金庫というのはずいぶん不正が行なわれておる。顧問としても職務怠慢ではないか、こういうそしりも免れないと思いますし、また大蔵大臣として、現在協会の顧問となっておる、手続き上これは解消されておりませんから。こういう事態について大臣どう思いますか。
#62
○愛知国務大臣 手続をとっておるはずであります。私は全然顧問である意識はございません。しかし、顧問であったときにおきましても、不正、不当なことはすべきでないという姿勢は持っておったつもりでございます。ただ、個々の金庫について、その業態等について指導するとかお世話する、そういう立場になかったことはよく御理解いただけると思います。
#63
○塚田委員 私は、この問題は時間の推移とともに明らかになってくると思いますが、局長、率直に言いますが、たとえばこの金庫と大華工業という株式会社との関係、これは関連企業を含めますと九億になんなんとする融資です。中小企業をめんどう見なければならぬ金庫が九億も金を貸す、これは日造の場合も同じですが、そういった事態がまた行なわれておる。あるいはまた志津産業という会社があります。これは不動産会社です。前理事長の奥さんの名義でどんどん土地を買う、融資をするのは当然金庫です。そして最近の土地の値上がりに便乗して、どんどん売りさばく、がっぽりもうける、ごたぶんに漏れない方法でやっておるわけです。しかも、これは決して金庫の収益じゃなくて、あくまでもまるまる産業の収益になっていくわけです。一体こういう事態をどう考えますか。おそらく局長の腹の中では、この金庫の内紛について憂慮されている面もあろうかと思います。しかし、殖産住宅に見られるとおり、この種の事件の全貌というのは、残念ながら内紛であらわれる場合が多いのです。大蔵省の検査ではあらわれないのです。いまここで見られるとおり、われわれに白状しないのですから、大蔵省の検査では出ないのです。そしてもう火がついてどうにもこうにもならなくなったときに明らかになってくる、しかもそれは内紛で、こういうケースが多いじゃないですか。そういうことにならないようにやるのが大蔵省の責任だと私は思うのです。これはひとつ大臣に御答弁願いたいと思うのです。
#64
○愛知国務大臣 殖産の問題は、先ほど申しましたように、現在捜査中の問題ですから、どういうふうな経緯でどういうふうになっておるか、これはただいま申し上げる段階ではないと思いますが、新聞などで見るところでは、内紛というようなことが端緒になったというふうに伝えている向きもあることは、私も新聞では見ました。もしそういうことがあって、当局が気のつかないうちにそういうところが端緒になって大問題になったというようなことであるならば、そういう点では私どもとしても、監督の立場からいって申しわけないことであると思います。
#65
○塚田委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
#66
○木村(武千代)委員長代理 武藤山治君。
#67
○武藤(山)委員 大蔵大臣、各局長に申し上げますが、質問は一人四十分の時間の割り当てでありますので、簡潔にわかりやすく結論を答えていただく、そういう約束で、ひとつ時間を大切に進めたいと思います。
 まず最初に、これは大臣の常識的な所感でけっこうでありますが、最近殖産住宅相互株式会社をめぐる増資の問題で、新聞報道がにぎやかに伝えております。東郷某なる者が一日で三十二億円のもうけをふところに入れた、また、その会社の重役が十三億円もうけた、大和証券が二十二億、野村証券という日本一の証券会社が、これをめぐって七十億円のもうけを得た、こういうことが読売新聞にも大きく報道されておりますし、各新聞に報道されております。一日で三十二億円ももうかるうまい商売があるのかと、国民はこの記事を見てあ然として、一体日本という国はどういうことをやってもいいのかという、さまざまな政府に対する疑惑、証券界に対する不信、官僚に対する国民の不信というものは一そうつのっていると思うのですね。大臣、こういう一日で三十二億ももうかるようなことをぱあっと新聞で見て、率直な感想、簡単にどう感じますか。
#68
○愛知国務大臣 新聞の記事だけで見ますと、はっと見た感じは、こういうことがあっていいかなということを、率直に一人の市民として感じます。
#69
○武藤(山)委員 この九百四十万株の新たに増資をする問題をめぐった許可は、大蔵大臣が許可をしなければ上場はできないはずであります、それは証券取引法ではっきり大蔵大臣の権限でありますから。その経過をちょっと調べてみますと、昨年八月八日、届出書を殖産住宅は大蔵省に提出をしております。それを大蔵省は九月十四日に効力を発生するようにこの届出書を認めたわけであります。このころ、殖産住宅というのはどういう会社であり、何がうわさされているか、そういうことを大蔵省は全くわからなかったのでしょうか。これは簡単にひとつ、わかっていたかわかっていなかったか、どうですか。
#70
○田中説明員 ただいまの上場に関する大蔵大臣の承認でございますが……
#71
○武藤(山)委員 そんなこと聞いていないのだよ。その当時、殖産住宅のうわさがわかっていたかわかっていなかったか。
#72
○田中説明員 そのころ新聞等で、かなり内容のいい会社であり、未知の要素も多いので、上場後はあるいは値上がりするのではないかというような新聞記事があったことは記憶しております。
#73
○武藤(山)委員 いいほうの面だけ記憶をしておるようでありますが、当時、八月一日付の月刊雑誌「経済旋風」これの中を見ると、殖産住宅株集め事件のなぞとして、こまごまと詳しく殖産住宅の醜い株のやりとりの問題が報道されている。証券行政に携わる監査官あるいは大蔵省の担当官ならば、おそらくそういう記事は読んでいて、これはなかなか内容複雑で、相当調べなきゃいかぬぞと気がつかなければならぬと私は思うのであります。これだけじゃありません。私が集めた月刊雑誌だけでも三冊、当時もう八月の段階で出ているのですよ。大蔵大臣がその届出書を目下監査をしている最中に、こういう雑誌が出ているのです。にもかかわらず、それに疑いを持たずに、この会社は将来よくなるということだけで上場を認めていくというその大蔵省の姿勢に、私はやはり問題が一つあったと思うのであります。
 過去のことでありますから、その責任を責めても、あるいは愛知さんは、おれは大臣になったばかりで知らぬとか、だれも責任はとろうとしないと思うのでありますが、こういう届出書をだれとだれに審査させたのでしょうか、岡村一人に審査させたのでしょうか、どうなんです。
#74
○田中説明員 上場の事務は、東京証券取引所がその業務規程におきまして「上場に関する事項は本所がこれを行なう」というふうになっておりまして、それは東証自身が有価証券上場規程あるいはそれに基づきまして上場に関する基準あるいは株式公開価格の算定基準というものをつくってやっておりまして、そうしてそれによって東京証券取引所が上場を適当と認め、それについて上場が行なわれるのでありますが、ただその効力を大蔵大臣の承認にかからせるという、いわば承認そのものは補完的な行為であるというのが、一般的に法制局はじめ御見解でございます。
 さてこの場合、先生の御質問で、どの程度本省の係官は審査をしたかという点でございますが、この関係で、証券局内で関係いたしますところは、総務課関係と企業財務課関係になります。企業財務課関係は、公開上場を行なうにあたって提出された有価証券届出書、これに記載漏れなりあるいは不備な点がなかったかという点をおもにチェックしたわけでございまして、殖産住宅そのものにつきましては、経理内容等他の会社と比べましてすぐれている点がございまして、その点で監査官が手心を加えるとかそういう余地は全くございませんと存じます……
#75
○武藤(山)委員 わかった、時間がないから……。私はそんなことを聞いているんじゃない。大体証券取引法を見ても、二十六条にもはっきり、届出書について報告または資料の提出命令、検査ができる。私は不作為、作為を責めているんじゃないんだよ。大蔵省がもっと注意事項をきちっと注意をして、こういう週刊誌や月刊誌が出ているんだから、もっと届出書に基づいて会社の実体、内容を調査すべきであったのではないかということなんです。あなたは、その権限はなくて、それは全部取引所の責任だと言わんばかりのことを言っている。そんなことはない。二十六条に、もしこれはおかしいなと大蔵省が思えば、検査する権限がちゃんと法律で認められているじゃないか、大蔵省の役人は。それを怠っていることが問題なんだ。だから、今後のあり方としてこういう問題をどうするかということについてはあとで述べていくのでありますが、いずれにしても、こういうふうなうわさが出ているときに、気がつかなったといういまの大蔵省の審査や、あるいは総務課か企業財務課か知らぬが、どうもずさんである、こういうことを、私はもう言いのがれは聞きたくないが、はっきり断定してしかるべきではないかと思います。
 次に、上場前のこの会社の資本金は二十五億三千万円、五千六十万株、今回公募増資分が四億七千万円、九百四十万株ということで出したわけであります。私はふしぎに思うのは、この九百四十万株を幹事会社引き受け証券会社に割り振る際に、野村証券に五百六十四万株、大和証券百八十八万株、新日本証券百八十八万株、こういうように分けてある。野村証券だけずば抜けて他の証券会社の三倍も取っているわけですね。こういうことは、従来からずっと行なわれている証券界の慣行なのかどうなのか、何か基準があるのかどうなのか。
#76
○田中説明員 有価証券の引き受けに関しましては、主幹事並びにそれ以外の幹事の話し合いによりまして、それぞれ自分のところはどれだけ引き受けられるかという話し合いの結果、そのようなシェアがきまっているのが慣行でございます。
#77
○武藤(山)委員 大蔵大臣、こういう点を見ると、世間で、一もうけやろうと思えば証券会社はまことにうまいことがやれる、同時に、証券会社と手を組めば金持ちはたいへんうまいことがやれる、こういう仕組みが明らかですね。こういうような証券会社で引き受けた株、特に野村証券引き受け分五百六十四万株のうち、大衆投資家、一般投資家に渡さずに親引けとして各企業や金融機関に当て込んだ、はめ込んだ株、これはどのくらいになりますか。
#78
○田中説明員 ちょっと一、二分時間をいただきたいと思います。
#79
○武藤(山)委員 検討している間に大臣の見解をちょっと聞いておきたいのでありますが、実はこの親引け株の問題についてきょう私が質問をする、大蔵省は十分前向きの答えをいたしたい、こういう約束をおととい審議官といたしました。けさ起きてみたら、日本経済新聞のトップに私が聞かんとしている内容をすでに大蔵大臣の写真入りで報道されているわけですね。そこで、いま数字が明らかになるまでの間、大臣、この親引け株の全面禁止を本気で、完全にやりますか。
#80
○愛知国務大臣 けさの新聞は、私も実は率直に申しましてびっくりいたしまして、これは先ほど申しましたように、親引け公募の問題については、実は率直に申しますとかねてから何とかしなければならぬと考えておりました。それから、たまたま今回の事件が契機になって、取引所におきましてもこれはひとつ制度として徹底的に考え直さなければならぬという意思表示もございましたので、できるならば今朝の新聞――写真を出していただいたことは光栄なんですけれども、私は、きょうの記事には直接関係がないんで、きのうお話ししてあったわけでも何でもございませんから、その点は御了承いただきたいと思います。しかし真剣に大体あの記事に出ているようなことを考えております。そうして実は当委員会を通して、できるならああいうふうなことに持っていきたいということは、ここで申し上げるのが一番よろしい、こういうふうに私考えておりましたので、ひとつ私の真意も御了解いただきたいと思います。できればああいう方向に持っていきたいと思っております。
#81
○武藤(山)委員 たいへん意味深長な発言で、できればというところにひっかかりますね、できればというところに。できればは、じゃまする圧力があり、大資本があり、巨大証券会社があり、財界が背後にあり、できない場合もあるという意味ですか。
#82
○愛知国務大臣 事柄は非常に、これは従来からいえば非常な発想の転換でございます。したがいまして、これをあのとおりにやるのにはいろいろの意味で勇気も要ることであると私は考えております。できるだけやりたいつもりでございます。
#83
○武藤(山)委員 できるだけやりたい、いつやるかはまだ明言はできない、早々に検討に入る、こういうことに受けとって、次に入りたいと思います。時間がとにかく四十分ですから……。
 次に、この殖産住宅の株が十月二日上場されることになりました。上場前に公開価格を一体幾らにするかということをきめるわけでありますが、その公開価格が五十円株が千二百五十円と算定をされたわけですね。それがいよいよ十月二日に店頭に出されてみますと二千五百八十円、一挙に倍額にはね上がったわけであります。ここでたらふくもうけた連中がいるわけでありますが、まず第一段の、前段の千二百五十円ときめた根拠、この計算の基礎のことです。従来のやり方は、殖産住宅と同じような産業で、同じような規模で、同じような配当率が出せる類似の企業をさんしゃくして公開価格をきめてきたというのが従来の慣例のようでありますが、今回の場合、殖産住宅と類似の会社はどことどことどこで、配当はどうで、純資産はどうで、どういう点が殖産住宅と全くよく似ていたと判定したのか、その類似の会社の名前も出してください。
#84
○田中説明員 まず、先ほどの数字は、野村証券が公開に充当した公募が三百万株、いわゆる親引け売り先指定分が二百六十四万株でございました。
 次に、公開価格の決定に関しまして、類似の会社は大和ハウス並びに積水ハウスが選ばれております。
#85
○武藤(山)委員 大臣、大和ハウス、積水ハウス、大体二つを今度の場合とったようですね。その場合、幹事会社の野村と大和と新日本証券、この三つの会社で担当が集まって、今度この殖産住宅の株を幾らに公開価格をきめるかということの相談をするわけでありますが、みんな神さまじゃない、みんなモラルを完全にわきまえていると限らない。ここで公開価格というものをある程度人為的に、意識的に高い水準に置くことも可能であるし、低い水準できめることも可能であるでしょうね。その原則論については大臣どうお考えになりますか。
#86
○愛知国務大臣 そういう点についてはやはり謙虚に反省する必要があると思うのです。したがいまして、値幅といいますか、値ごろをどういうふうにするかということについても十分ひとつ検討さしていただきたいと思っております。
#87
○武藤(山)委員 結局いま申し上げましたように、この公開価格をきめること自体が、すでにその基準価格をきめるのに幹事証券会社が大体力をもってきめているわけですから、これが悪人の場合、腹にもうけをねらっている場合どのようにでもなるんですね。大蔵大臣がそれはいかぬと言えないんですね。この公開価格はいかぬというからには、相当の資料と反駁できるものを大蔵省が持っていない限り、これはどんどん証券会社の思うとおりにやられてしまう。
 その中でまた引き受けできるのは特に大証券会社だけだ。証券会社何百もあるけれども、資本金三十億円以上の証券会社でなければそういううまい汁が吸えないようになっている。その三十億以上のさらに巨大な野村証券、第二位の倍も大きい野村証券が、今回のように一上場会社をめぐって七十億円もうけるというこの姿勢はいかがなものであろうか、大臣率直に見解を聞かしてもらいたいのであります。
#88
○愛知国務大臣 これは一般的に申しましても、やはり個人の善良な投資家の信頼を受けるようにするということだと思います。ですからそういう基本的な認識の上にこれをどういうふうにやったらいいかということについて、いま的確にぴしゃりとしたお答えができませんけれども、ひとつ十二分に検討いたしたいと思っております。
#89
○武藤(山)委員 それじゃ証券局長、大蔵大臣は慎重に十分検討するというお答えでありますが、具体的にその行政をつかさどる局長として、従来のような幹事会社がちょこちょこっと業務方法書に基づいて基準価格をきめるようなことをしないで、店頭に出して、そしてもっとオープンに、大衆投資家がほんとうになるほどと思われるような方法に改正をするその決意ありやいなや。
#90
○高橋(英)政府委員 そういう決意でございます。
#91
○武藤(山)委員 次に、いよいよ今度は上場するとなったその当日、千二百五十円の公開価格が倍額の二千五百八十円の値ぎめになったわけです。この値ぎめも、どうもだれかが株価操作を考えて、うしろに黒い手があったと見ざるを得ない。証拠を出せといわれても、これはなかなかむずかしい。証券界の中でありますから、証拠はなかなかむずかしいが、千二百五十円が一挙に二千五百八十円になった。そのきめ方がなかなかふしぎに思えてしようがないのであります。
 どういう方法できまったのかといろいろと大蔵省の見解なども聞いてみたのでありますが、結局始め値をきめるときに成り行き注文で、もう値段は幾らでもいい、ひとつ成り行き注文で買いたい、こういうことできまったのが二千五百八十円だそうであります。問題はその成り行き注文を出すのがだれが出すか。東郷に頼まれたのか、戸栗に頼まれたのか、証券会社が金もうけを考えて成り行き注文でやったのか、それもわからない。あまり大ぜいの不特定の証券市場でありますから、わからない。わからないけれども、だれかが、そういうことを、株を持っている者が意識的にやろうとすればできるシステムにいまの証券界はなっている。ここに問題がある。これをどうするか、これを今後どうチェックし改善をするかということが、やはり大蔵大臣としての大きな仕事だと私は思うのであります。大蔵大臣、その点についての御所見はいかがですか。
#92
○愛知国務大臣 御趣旨あるいは御懸念の点は私もよく理解できます。具体的にどういうふうにしたらいいかということについては、まだ煮詰まった考えを持っておりませんけれども、先ほど申しましたが、一般の善良なる投資家の立場に立って考えるということが一番適切なことではないか。その考え方のもとに適切な方途を編み出して、そして関係者の協力を求めるようにいたしたいと思います。
#93
○武藤(山)委員 証券局長、証券取引法第五十八条「何人も、左の各号の一に掲げる行為をしてはならない。」の第三号、「有価証券の売買その他の取引を誘引する目的を以て、虚偽の相場を利用すること」、今回の殖産住宅のこういう株の始め値というものは、何か裏で操作されて、証拠はなかなかつかみにくいが、国民から見れば何か操作された株価、虚偽の価格という感じがする。あなたの見解、この五十八条の三号と照らし合わせて今回の場合の見解、どうですか。
#94
○田中説明員 まず「誘引する目的を以て、」でございますが、ここで目的をもってしたのか、自然にそういう買い注文が出てきたのかというところもはっきりいたしませんし、それが虚偽の相場であったかどうかということにつきましても、売買管理は東証において行なわれ、先ほどおっしゃいましたように成り行き注文が殺到したとかという点はございますけれども、その点では需給によって定まった価格だと考えております。
#95
○武藤(山)委員 あなたは需給によって定まった価格と申しますが、いままで殖産住宅の株を持っていた大株主の名前、わかりますか。上場前の大株主の氏名、株数、現在の大株主の氏名、株数、大蔵省ひとつ明らかにしてください。――それを明らかにされるまでの間、ぼくのほうから、去年の分だけちょっと申し上げておきます。
 四十七年三月三十一日現在大株主は、三和銀行四百六十万株、三井銀行四百六十万株、大和証券二百八十八万五千株、野村不動産二百八十七万五千株、殖産土地相互百五十一万株、戸栗百四十九万株等というように、百万株のところをずっといま五、六カ所あげたのでありますが、現在はどうなっておりますか。この会社の大株主名簿はどうですか。
#96
○田中説明員 ただいまわかっておりますのが四十七年六月三十日現在でございまして、それ以降の届出書あるいは報告書は現在地検のほうで持っておられます。
#97
○武藤(山)委員 それではそれはあとで、三月決算なら三月決算の時点で明らかになったら、ぜひ資料として提出を願いたい。というのは、去年の三月とことしの三月を比較してみると、この株主がかなり異動している。おそらく上場と同時に手放してかなりもうけたものがこの中にいる、古い株も売っちゃって。そういう操作をかなり殖産住宅の場合はやっている疑いがある。そういう意味で、この資料に基づいてまた後日その問題については質問をいたしたいと思います。
 そこで証券局、結局成り行き注文が殺到して、需要供給、正当な競争によって価格がきめられたのだとあなたは考えているようでありますが、われわれはどうもその需要供給のあり方に問題がある、株価操作によってそういう成り行き注文を入れたというように思われる。
 こういうような公開価格が一挙に倍になるようなことが例にたくさんあるのですか。大蔵省はこういうことを平然といままで認めたのですか。去年上場した企業は三十七社ですか、そのうち公開価格と当日の売り値が倍になっている企業というのはどのくらいあるのですか。
#98
○田中説明員 いますべての資料がございませんが、そうめったにございません。なお、ことしに入りまして、一月から六月まで行なわれました公開株につきましては価格乖離が三割までのものが八割以上を占めております。
#99
○武藤(山)委員 三割くらいならまだわかるのです。私も三割くらいなら当然だろうと思います。しかし倍になるということは、どこかに何かの黒い手が動いたとしか思えない。こういうような国民の疑惑、一般投資家の不信を招くような結果になったことについての責任の所在というのは一体どこにあるのですか。企業が悪いのか、証券会社がいかぬのか、大蔵省が監督の目を光らすことのできない怠慢なのか、それとも取引所自体があまりにも業界と癒着をし、なれ合っているためにこういうことになったのか、責任の所在はどこにあると証券局では感じておりますか。確答でなくても、こんな感じだ、ここらに欠陥があったんだということでいい。どうお考えになりますか、責任の所在を明らかにしてください。
#100
○高橋(英)政府委員 まことに倍になるというようなことが起きたわけでございますが、この制度そのものはやや私法の自治の世界のことだと思います。やはり一番問題は、公開価格の決定といいますか、その辺が適正でなかった、もちろん神さまでございませんので、純粋にぴたっと一致するというようなことはないかと思いますけれども、やはり一番大きな原因は、公開価格の決定のしかたあるいはその決定された価格といったようなところに問題があったのではなかろうかと私は思います。
#101
○武藤(山)委員 そうなると結局これは証券業者の責任だな。そのうちの一番大口の野村証券にその責めはたいへんある、こう私は推察をいたします。
 次に、この三百四十万株を金融機関に分けた、一体どことどことどこの金融機関に何株ずつ分けたのですか。
#102
○田中説明員 その詳細については承知しておりませんが、予定書に書いてあった数字が実施報告書にも同様の株数として取引所のほうに報告として出ております。
#103
○武藤(山)委員 それはどこの銀行へ何株ずつですか。
#104
○田中説明員 それは金融機関と一からげにまとめてございます。
#105
○武藤(山)委員 銀行局長、いま都市銀行が持っている株式の総金額は幾らくらいになりますか。
#106
○吉田(太)政府委員 ことしの三月末で残高で申し上げますと、都市銀行一兆五千七百二十三億が残高でございます。これは取得価格で評価したものでございます。
#107
○武藤(山)委員 取得価格だそうでありますから、これはおそらく十倍近くなっているでしょうね、時価は。どうですか。
#108
○吉田(太)政府委員 その辺のところは取得時にもよりますので、ちょっと正確には存じておりません。
#109
○武藤(山)委員 銀行局じゃなくて証券局ならわかりますか。
#110
○田中説明員 取引所におきまして上場会社の株式保有が法人及び個人にどのような比率で持たれているかという統計はございます。四十六年三月、法人六二・四%、個人三七・四%、それが四十七年三月におきましては法人が六六・九%、個人が三二・九%というふうになっております。
#111
○武藤(山)委員 それでさらにその法人の中で金融機関が持っている分がどのくらいか。先ほど銀行局は買い入れ価格で一兆五千七百二十三億円。現在の時価にしたらどうだろうか、金融機関が持っている株の額は。
#112
○田中説明員 時価はつまびらかにいたしませんが、先ほどの法人の内わけとしまして、東証で発表しているものによりますと、金融機関が四十七年三月末で三五・一%という数字になっております。
#113
○武藤(山)委員 そうすると金融機関が法人の持ち株の三五・一%、現在の全体の額が四十二兆一千二百三十億円。上場株式時価総額、東証第一部だけで四十二兆円。これは東京だけで大阪、名古屋を除いてです。これはいまの比率で分けますとざっと銀行は十二、三兆円になりますな。大体十二兆円から十三兆円くらいの株を持っていることになる。この株に対する配当にはどういう税金がかかっていますか、主税局長。
#114
○高木(文)政府委員 法人が持っております株の配当は、普通の所得として課税になるわけであります。
#115
○武藤(山)委員 配当分離課税にはなっていない。そうするといまの所得税法施行令二十六条の有価証券の継続的取引から生ずる所得の範囲、個人の場合は年間に五十回、株数において二十万株を取引した場合には税金をかける、それ以内は税金がかからぬ。銀行の場合は、年間何十回やっても法人はこういう規定は全く適用されない、法人税の算定の所得として計算されるだけである、こういうことに理解してよろしいか。
#116
○高木(文)政府委員 株式の譲渡所得非課税問題はすべて個人について考えるわけでございますので、法人につきましては売り値と買い値の差額が利益に出てまいりますと、それは一株でありましてもまた一回でありましても、そのつど決算日ごとに利益としてあがってくるわけでございまして、全額普通の法人税の課税対象になります。
#117
○武藤(山)委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、上場によるプレミアムや株の売買による利益、こういうものを金融機関がかなり収入として得ている。まさに不労所得であります。銀行は金を預かって金を貸して社会公共のためになりながら利益を得るという機関であります。そういう銀行が十二、三兆円の株を持って配当を得たりあるいは時価発行による株の上場に便乗してプレミアムをごっそりいただく。こういう所得については同じ法人税としての収入に見ないでもっと重課をしてしかるべきだと思うのですが、大臣、公平という観点から見た場合、いまの税制は国民がたいへん不満を持つような気がしますが、こういう点検討する必要がある。年五十回、二十万株についてもしかり。これはこういう事態になったら根本的にもう一回洗い直す、こういう必要を私は痛感をいたします。私が大蔵大臣ならこのときやりますよ。自民党は低落傾向で、東京都民の支持率一七%だというような情勢に、こういうことをこのまま野放しにしておくということでは、大蔵大臣の真価が問われると私は思うのであります。大臣、いまの二点についてどのような御見解をお持ちでありますか。
#118
○愛知国務大臣 第一の点は二つの点から考えなければならぬと思います。一つは有価証券の所有の額というか、比率が金融機関としてどうであるかということでありますが、これはいま数字の説明がございましたけれども、日本銀行によっても取得ワクの規制が行なわれておりますから、四十八年に入りましてからはかなり取得の比率も落ちついているように思われます。銀行の資金の運用としては、有価証券を持つということは必ずしも悪いことではない。これが異常に高いということになりますと、またいろいろと問題にされる点もあろうかと思いますけれども、そういう点から一つの問題はそういう問題ではなかろうかと思います。
 そして税の取り扱いでありますが、金融機関も法人でありますから、その課税の対象というものを有価証券の配当とその他からの所得とを分離するということは税制上もいかがであろうか、こういうふうな、いまのお尋ねに対して端的に私の感じを申し上げるとそういうような感じがいたします。
 それから第二段の問題についてはしばしば問題になる点でございますが、税制改正等の関係も考えまして、今後の取り扱いあるいは制度としてどうするかということについてはさらに検討いたしたいと考えております。
#119
○武藤(山)委員 二十万株、五十回はさらに検討したい、こういう答えでありますから了承いたしますが、銀行が株を保有することはあながち悪いことではない、もちろんそれは私も全く持ってはいかぬとは思いません。しかし、全体の法人所有の三二%を銀行が持っているという現状というものは私は少々改善しなければならぬと思うのであります。土地を銀行が、自分の系列の不動産会社がどんどん買い込むことはけしからぬということで、かつて大蔵省銀行局長は通達を出して厳に慎めということで号令をかけているわけであります。株においても企業の支配力というものを銀行がみな握ってしまう。まさに金融独占資本だ。日本の産業というものががんじがらめに金融機関に握られるという姿は好ましくはない。フェアな適正な競争というものを阻害する要因ですよ。
 そういう意味において、私はやはり銀行局は証券局と十分話し合ってそういう点についてのチェック、規制をするある程度の通達を出さなければならぬと思うのでありますが、大臣は金融機関のそういう企業支配権が大きくなっているという現状については――まあことしになってからは過剰流動性吸収や物価問題等から金融の引き締めをやっておる、窓口指導をやっておる。しかし基本的な理念でそういう企業支配をねらうような大きな株投資というものについては、銀行は姿勢を改めて専業に専念するという方向を指導しなければならぬと思うのですが、大蔵大臣の見解を簡単にもう一回お聞きしたい。
#120
○愛知国務大臣 企業を系列的に支配するということが意図的かつ実際上行なわれることがないようにするという点についてはまことに御同感でございます。先ほど申し上げましたのは、これはまた取得価格がどうかというようないろいろの点も具体的にあろうかと思いますが、四十六年の下期から預金や債券に対する株式保有の状況はかなりふえたわけでありますけれども、そこで取得ワクの規制をつくって、そして四十八年に入りましてからは、かなりその比率は落ちついてまいりました。その事実を申し上げたわけでご、ざいまして、必ずしも一般論として株式取得が悪いとは言えないということをコメントとして申し上げた次第でございますから、趣旨は御理解いただいたと思います。
#121
○武藤(山)委員 最後に、これで終わりますが、殖産住宅の株は現在幾らになっているか。六月二十八日時点では八百八十円。おとといあたり何かストップがかかって千円くらいになったというように聞いておるのでありますが、いずれにしても二千五百八十円でつかまされた一般投資家は、これによって現時点ではたいへんな損害をこうむっている。将来上がって二千五百八十円にまた挽回すれば別ですが、それまでに持ちこたえられない投資家は売らなければなりませんから、たいへんな損をする。今回の事件をめぐって現時点で、大蔵省のわかる範囲内で、おとといでも十日前でもいいが、ごく近い現時点で二千五百八十円でつかまされている一般投資家というのはどのくらいいると思っていますか。概数でいいです。
#122
○田中説明員 毎日の出来高が殖産について幾らかということはございますが、二千五百八十円で買った人がどれだけ売りに出たかということはちょっとわかりかねます。
#123
○武藤(山)委員 あとでわかった時点で報告を願います。
 最後に、私は大蔵大臣に要望、希望を申し上げて質問を終わりたいと思います。
 先ほど大臣の答えで、公開価格算定のしかたについては十分検討をする、親引けの慣行廃止については一生懸命努力をする、こういう趣旨で述べられました。
 さらに、今回の事件をめぐって感ずることは、やはりアンダーライター、ブローカー、ディー・ラー、これは会社は同じであっても作業場が違う、事務所が違う、支店内においても引き受け業務と販売業務を分けるというような業務分離というものを、やはり何らかの形で早急に検討すべきではないか。
 次は、大蔵省と取引所の癒着、大蔵官僚が取引所の役員にみな行ってしまうのでは、これでは牽制作用は及ばない、なれ合いでもって悪いことが行なわれる、ほどほどに手かげんがなされる、こういうような点で、大蔵省と取引所や業界との癒着をどう解消するか。これは抜本的に検討し直してもらいたい。
 それから、監査機能の強化でありますが、一人で二百もの企業の内容を調べる。二十一人の監査官で監査するなんということは、いまの上場会社がふえた時代にはそぐわない。いつから一体二十一名なのか、おそらく五年前くらいから同じ定員じゃないかと思うのであります。しかも、監査官は何年もずっと同じ仕事をやっていてよそへ持っていかないでおるのじゃないかと思うのです。中身はわからないけれども、そういう意味で監査官の綱紀の弛緩があると私は思う。業界とのなれ合いがあると私は思う。そういう意味で監査機能の強化、質の向上を早急に検討すべきではないか。
 さらに、巨大証券会社に対する行政指導はいかにあるべきか。適正競争、これが行なわれるような証券業界にしなければいけない。寡占状態が今日の証券界の常態のような気がいたします。したがって、引き受け業務は中小証券でも何軒かが共同すれば引き受け業務ができるというような、そういう道も開くべきではないか。
 そういうような数々の問題点を早急にひとつ検討して、できるものできないもの、明らかに示していただきたい。資料をもって答えていただきたい。、以上で私の持ち時間が来ましたから、質問を終わります。
#124
○木村(武千代)委員長代理 堀昌雄君。
#125
○堀委員 私は最初に、愛知大蔵大臣に大蔵省の運営といいますか、大臣として大蔵省をこれから運営されるかまえといいますか、そういう問題について最初に少しお伺いをしておきたいと思います。
 残念なことでありますけれども、今回の殖産事件において大蔵省の関係者から事件に該当する者が出たというようなこともありまして、武藤委員が指摘をいたしましたように綱紀の粛正といいますか、これは非常に大事な問題だと思いますけれども、私は納得のいかない点が少しありますので、申し上げたいと思います。
 実は今度大蔵省は人事異動を発表になりまして、これまでの事務次官でありました吉國さんがやめて新たに相澤さんが事務次官になられました。私がまず最初にお伺いしたいのは、事務次官というのは、少なくとも大蔵省事務当局を全部統轄する責任者でありますから、これは私は大蔵省としては大蔵大臣とともに非常に重要な職責である、こう考えておるわけでありますが、大臣はこの事務次官というものをどういうふうにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。
#126
○愛知国務大臣 お話のとおりでございまして、事務次官は全体の省務を統轄する地位でありますので、ことに大臣、政務次官というものが当今のように国会関係に忙殺される場合におきましては特に重要な地位である。したがって、ほんとうは相当長い期間、がっちりかなめになってもらうべき地位であると思いますが、これが御案内のように人事行政といいますか、そういうような点から申しまして必ずしもそういうふうにいかない。これは率直に申しまして今後いろいろと考えなければならぬ点ではないか、かように存じます。
#127
○堀委員 いま大臣のお答えになったように、私はまず最初に、その事務次官の問題を少し触れておきたいと思いますけれども、私も大蔵委員会に長くおりまして、これは私も感じておりますが一般的にも言われておりますことは、大蔵省には局あって省なしということばが一般的に言われておるわけであります。私も長い間大蔵省との関係をずっと見ておりまして、まさに局あって省なしというのが大蔵省のこれまでの現状だ、こういうふうに認識しております。まあ愛知さんも大蔵省の御出身者でございますから、愛知さんがおいでになったときはどうか存じませんけれども、今日私たち過去十数年間見ておりまして、そういう感を強くしておるわけであります。そうすると局を補強するためにはどこが重要かといえば、これはやはり次官なり官房長なりというものが全体の局を統轄できるような体制がつくられていないところに、いまの局あって省なしということが起こってくるのではないか。
 ところが、ここ二、三年来の経緯を見ますと、資料で戦後の事務次官の在職年数をいただいておりますけれども、私もずっと過去から見ておりまして、少なくとも澄田さんが次官をやめられるまではおおむね二年というのがわれわれ常識的だと思っておりました。ところがその後は鳩山次官一年、吉國次官一年、おそらく相澤さんもうしろに十八年組が二人も局長が控えておるからこれも一年、そうしてこの十八年組が次に出てくるとこれがまた一年というようなことになるのではないか。私は、事務次官のレッテルを張るために事務次官が設けられておるようなことでは、大蔵省運営のかなめをなす人間の取り扱いとしては不適当である、やはり事務次官というのは大蔵省を統轄できる立場に置かなければなりません。あわせてもう一つは、今度の相澤さんは十七年ですね、事務次官十七年。その下に主計局長の橋口さんが十八年、主税局長の高木さんが十八年。一年違いでは省内の各局を次官が統括するというのは、これはやはり人間関係から見てもちょっといかがであろうか。少なくとも各局長と事務次官の間が二年なり三年開いてくると事務次官というのはかなり先輩で、その事務次官の影響力というものが何年かいるということと合わせて大蔵省の統括機構というものが重加をされてきて、そのことが前段で申し上げた局あって省なしではなくて、要するに省としての統一的な処置ができる道を開くことになるのではないか、私はこういうふうに考えるわけであります。
 ですから、ここで私は一つ歯どめをかけておきたいと思うのです。ということは、巷間いろいろ伝えられておりますけれども、どうもまたこれが一年などということが起きたのでは、大蔵省の事務次官というのは名誉職で、肩書きをつけて一年たったらやめるんだ、これでは私は国民に対して大蔵省の運営については重大な問題になると思うので、ひとつ愛知大蔵大臣ここら辺はひとつ勇断をもって、それは人事の問題ではいろいろありましょうけれども、それはさておき、大蔵省が一つの省として機能できるような状態に置くためには事務次官のあり方というものは再検討されてしかるべきだ、こう私は思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
#128
○愛知国務大臣 大蔵省のシンパ的なお立場でいろいろ御提言をいただいて、まことに感謝いたします。これは大蔵大臣の立場というよりは、私も一人の大蔵省の出身者としても感謝申し上げるところでございます。
 私も実は大臣に就任する前から、これはもうそういう御提案でございますから率直に申し上げるのですけれども、局あって省なしということが耳に聞こえてくるのを非常に残念に思っておりました。そして参りましてからも、なるほどこういうところがあるんだな、これが世評のもとになっているなということを私も感じました。
 そこで、人事の問題はなかなか重要な問題でございますが、もちろんそういう点については御提案のことをとくと胸にしてやってまいりたいと思いますが、同時にこれは省内の運営の問題でもございますから、この点については今後とも十分私としても考えてまいって、省内が協力一致をして、そしてこれは昔語りになるわけでございますけれども、もっと全体の財政金融政策ということについて局長が相協力し合って、ときには所管を離れて建設的な意見をつくり上げるということが世間の御期待に沿うゆえんではないか、かように存じます。非常に仕事が複雑で流動的になったのでやむを得ない面もございますけれども、逆に言えば流動的になっただけに一体として運営されて、局あって省なしというようなそしりを受けないようにしなければならない。この点はいまの人間の人事の問題と密接不可離でございますから、十分その点を考えてまいりたいと思います。
#129
○堀委員 ですから、特に最近の次官の一年、一年、もうすでに私どもは今度の新聞世評を見ても、相澤次官が次一年だ、それではたいへん問題があると私は思いますので、この点は最低二年、今後大蔵事務次官は最低二年、これだけはひとつぜひ大臣として心にとめていただいて、それでなければ人間一年では何にもできないですよ。要するに全体の仕事がわかったころにはやめるということになって、まさに名目次官になって、そのことが私が申し上げておる問題と非常につながりがあると思いますから、この点は私が申し上げておることをひとつ十分心にとめて、将来の人事についてもお考えをいただきたい。要望いたしておきます。
 その次に、各種審議会の構成問題であります。大蔵省が持っております審議会はたしか十七くらいあると思いますけれども、これを全部触れるわけにはいきませんから、少し象徴的なものだけを触れておきたいと思いますけれども、いま国民の中で非常に問題が大きく出ておりますのは、あらゆる問題で現在財界側と国民の側とに対立関係が非常にはっきり出てきているということだと思います。財界といいますか企業といいますか、大きな企業と国民との対立関係というものがいろいろな問題で出ております。
 一つは、物価問題を例にとれば、御承知の商社の問題を含め、これは物価上昇に非常に影響があるにもかかわらず、利益のためには手段を選ばないというかっこうで問題が処理をされておる。あるいは公害問題をとっても、同じように国民は被害者であり企業側が加害者である。この間から魚の問題で国民はたいへん重大な関心を持たざる得ないところに来ておりますが、そういう関係にある。日照権問題一つをとらえても、日光に当たりながら生活をしておった住民の前に高層のマンションなりビルを建てる。これもやはり利益のために、これらの事業会社が高層のマンションやビルを建てて国民から日照権を奪う。言うなれば現在の日本の状態というものは国民と企業側との相克関係にある、こういうふうに私たちは判断せざるを得ないと思うのです。
 ところが、大蔵省が持っておりますこれらの各種審議会の中における構成でありますけれども、これはいずれも要するに財界関係者一辺倒ということに現在仕組みがなっているわけでございます。
 ちょっと例示的に税制調査会、これは委員が二十九名であります。この委員二十九名の中で九名がこういう財界関係者で占められておるわけでありまして、あとは学識経験者が四名、学者が四名、その他税関係の方、報道関係の方がありますけれども、一番主たるものは財界関係者に占められておるわけであります。
 財政制度審議会は委員が二十三名であります。委員二十三名のうち、いわゆる一般の経済界から八名、それから金融機関から六名、合計十四名が実は財界関係者で占められて、残りの九名中四名が報道関係で、学識経験者はわずかに五名、こういうふうになっているわけであります。特にこれで目につきますのは、これらのいろいろの企業関係者の中に、あるいはそうでない場合もありますけれども、大蔵省出身者がきわめて多いということであります。金融機関代表として出ておる人たちのうち、三名はいずれもかつての大蔵省の出身者であるというのが財政制度審議会の現状であります。
 その次に金融制度調査会、この間二年定期の問題が出ておりましたが、金融制度調査会は委員二十名、金融機関の代表者が十一名、証券一名、学者一名、産業関係、経済関係三名、報道三名、谷村さんが入っておりますから大蔵関係が一人ということでありまして、ここでも財界関係といいますか、金融関係というものが主体を占めております。特にここで問題になりますのは、金融制度調査会と証取審議会、保険審議会の三つの審議会でありますが、いずれも業界の代表者が主たるものになっているわけです。金融制度調査会では金融関係が九名、公的金融機関が二名、二十名中公的金融機関はやや角度は違いますけれども、金融機関関係者が十一名で過半数を占めているわけであります。
 保険審議会は二十名中保険関係者が六名、金融関係者三名、財界関係者五名とこうなっておるわけでありますが、ここでは学識経験者四名に対して旧官僚の方が一名、これももと大蔵省の出身者でありますが、報道関係一名、こういう形になっているわけです。
 証券取引審議会は、これはちょっと金融制度調査会と形が変わっていますが、十二名の委員中、証券関係者は三名、あとは金融関係が六名、学者の方が一名、経済関係の人が二名、こういうことであります。
 これらを見て感じることは、これを二つに分けて考えたいのですが、一つは税制調査会、財政制度審議会というのは税なり予算の仕組みに関係する委員会でありますから、本来的にここは業界の問題のないところでありますけれども、そういう国民的立場で問題の処理をされるべきところに財界関係者がこれだけたくさんいるという必要が一体あるのかどうかということであります。
 私どもは昨日、わが党と総評が一緒になっております減税闘争本部で国民の税制調査会というものをつくりたいという提案をしておるわけです。それはなぜかといえば、あまりにも現在の税制調査会が財界の出身者が多くて、そのことが今日までわれわれがずっと前から法人税の引き上げあるいは交際費課税の強化特別措置における大法人関係の問題を取り上げてきても、問題が少しも発展をしなかった一つの大きな原因がそういうところにあるのではないか、こういう感じがいたすものでありますから、われわれとしては国民の立場に立った税制調査会というものをつくって、ここで国民の立場から税制を論議すればどういう問題になるかという問題提起をしているわけであります。
 財政制度審議会に至っては、いま私が申し上げましたように、二十三名中財界関係が八名、金融関係が六名、合計十四名、過半数どころではないわけであります。これが全部財界関係者で占められておるということは、一体財政制度の問題についてこれほど財界の関係者が発言を持たなければならないのかどうか。税制調査会とかあるいは財政制度審議会のようなところは、中心は学者なり学識経験者が中心であって、そこにあるいは労働界の代表なり産業界の代表なり報道機関等の方がプラスアルファーとして参加されているということならわかるわけでありますけれども、どうも私が見る限りでは、これらのすべてが財界関係者で占められておるというのは、大蔵省としてもいまの国民のいろいろな立場から見て改めるべき問題ではないのか。
 まず最初、この二つの問題について大臣の御見解をいただきたいと思うのであります。
#130
○愛知国務大臣 各種の審議会、委員会等につきましては、いろいろ任期の関係その他もございますので、そういう機会にはできるだけいままでよりは範囲を広くしたいという心持ちでお願いをすることにしたい、基本的にはそういうふうに考えております。
 それから、各種審議会の中で、法律を根拠にしているものが大部分でありますが、一つ一つ性格も違うわけでございまして、いわば権限を持った、決定権を持った、いわばそこにかけなければ政策がきまらないという性格のものとしからざるものと、大別すれば二つあると思いますが、そういう点もまたお願いをする委員の方々の選考といいますか、人選についても十分考えなければならないと思います。
 それから、財界という問題につきましては、たとえばいろいろの点で利害関係が多いというようなところは、変更といいますか、任期切れというような機会にはこういう点を十分考え直して人選をいたしたい、こういうふうに考えております。御趣意とされるところについては私も基本的には考えておりますが、ただ、これまたある意味では人事のことでもございますし、直ちに一〇〇%御趣意に沿うように改変するということはむずかしいということも御理解いただきたいと思いますが、お気持ちは十分尊重して事に当たりたい、かように存ずる次第であります。
#131
○堀委員 いま大臣もお答えになりましたように、ここには制度上案件をここへかけなければ立法化できないところとそうでないところとありますが、それを含めてでありますけれども、人事ですからせっかくお引き受けいただいている人を任期途中でやめていただくというわけにもまいりませんでしょうが、この点は大臣の任期中にこの人たちが任期がくるかどうかよくわかりません。こまかいことはつまびらかにいたしておりませんけれども、これはひとつ大蔵省の今後の運営の基本的な態度として十分お考えをいただいて国民が納得をする審議会の構成ということに十分配意をしていただかなければならぬ問題だと思います。
 もう一つは、今度二年定期というものがつくられることになりました。私は、税の問題あるいは金融上の問題あるいは保険の問題等を通じて考えますとことは、そもそも国民の中に二年の定期のあったほうがいいという声が上がってきて国民が希望をするからそれができたというのなら私は何にも問題がないと思うのでありますが、大体すべては業界の希望によってこれが行なわれておる。業界の希望だけが先行をして実は国民自身は一体それができたことがどれだけプラスかどうかということは必ずしもさだかでないような措置がしばしば取られるわけであります。それはどこに問題があるかといえば、一つはこういう審議会を含めて、大蔵省自身がこういう問題の処理をするときにやはり国民の意見を聞くという必要があるのではないか。それは国民の意見を一般的に聞けないとすれば、少なくとも当委員会にこれらの問題についての意見を求めるということであるならば、私たちは金融機関の立場ではなくて、国民の立場からこれらのいろいろな制度の問題についてわれわれなりの意見を述べることが、ここの当委員会の本来の責務であると、こう考えておるわけでありますから、これらの問題についてはまずそういう点を第一頭に入れておいていただきたい。
 第二点は、さっき私がちょっと触れましたけれども、銀行局が所管をしておりますのが金融制度調査会と保険審議会であります。保険審議会については四十五年度は一回も開かれていない。審議会が設けられておって一年間一回も開かなかったというのは、それではいまの保険の制度が非常にりっぱでうまくいっているかというと私はそうだとは思っておりません。
 ずいぶん前から私は返戻金のない解約ということで、行き過ぎた保険勧誘のために国民がたいへんな被害を受けておる問題を当委員会で何回か続けてやってきてその改善を求めてきておるけれども、今日これが十分に改善されておるわけではありません。あるいは御承知の相互会社の総代の問題、取締役会で総代を選任し、今度は総代会で取締役を選任するという、完全にクローズドの中でやりとりがされておるところの問題、これらも私は非常に問題があるといって指摘をし、まあちょっと形ばかりの改正をされたようでありますけれども、しかしこれはいまの保険の関係者に十分満足されるものではない。
 さらには保険審議会については、保険の業務に携わるものを審議会の中に入れたらどうかということを、私は何回かこの委員会で提案をしておりますけれども、要するに保険の業界の側の者は、いま私が申し上げたように二十名中六名も業界関係者が出ておるけれども、その業界の中で働いておる、要するに保険の仕事をしておる職員、これらの人の代表がないというところにも私は現在の保険審議会が非常にゆがんだ姿で運用されておる大きな問題点があると考えるわけでありますが、これらについても、本来の保険審議会のあるべき姿に直さなければならないのではないか。
 そのためには、ここでは実は保険審議会の場合には大学の教授は三名、それで学識経験者として評論家が一名、こういうことになっているわけでありますが、やはり私はこういうところも広く国民の希望が反映できるような考え方を強化をすべきではないか。業界の問題を業界代表を中心として審議会を設けてやるなどということは、本来の審議会の性格としては問題がある。だから業界関係者の意見は業界関係者を呼んで聞けばいいわけで、代表者が入っていけないということではないけれども、このようにたくさん入る必要はないと思うのであります。
 金融制度調査会しかりであります。さっき私が申し上げたように、二十名中、金融制度調査会では金融機関関係者が九名、公的金融機関二名、十一名が金融機関の代表者で占められている。これでは私は、金融機関のためのいろいろな制度なり運営なりが審議会で論議されることになるので、そのことは金融機関内部における対立といいますか、都市銀行等の大手のものと、あるいは中小の金融機関との対立、こういう問題の場にされるのであって、国民側の立場からの要望というものは十分ここに反映されていない、こういうことになるのではないかと思います。
 もう一つは、私はかねてから言っているわけでありますけれども、金融というのは何も間接金融だけが金融ではないわけでありますから、金融というのは御承知のように、言うなれば証券関係を含めて、直接金融を含めて金融であるはずである。ところが、この金融制度調査会の中には証券の代表者というものは一名しか実は入っていない。ところが証券取引審議会のほうを見ますと、証券取引審議会のほうには十二名中証券関係者が三名に対して、生保、損保等を含めて、公的金融機関を含めた金融機関代表六名も入っている。要するにこの証取審というところは金融機関のほうの発言力が強くなる仕組みがされておって、証券界は十二名中三名ですから、これは異例の審議会のような気がするわけであります。
 私は何も証券側の肩を持つわけではありませんけれども、証取審のほうの姿が正常なんであって、金融制度調査会や保険審議会のほうが異常なんだと、こう見ていいのではないかと私は思うわけであります。
 そこらの点については、そういう関係者だけが寄り集まって問題を論議するのではなくて、もう少し中立的な立場にある学者なりあるいはその他の学識経験者をここへ加えるべきである。それから、そういうときにも、大蔵省がこれは管理しておるのですから、できるだけ大蔵省出身者を避けるというのが公正な審議会の運営としては当然ではないか、こう私は考えるわけでありますけれども、これらについての大臣の御見解を承っておきたいと思います。
#132
○愛知国務大臣 まず第一は、二年ものの中期預金のお尋ねでございますが、まあ多くを申し上げませんが、当委員会におきましてもいろいろこれに関する御意見がございましたし、結局私といたしましては、従来のいわゆる低金利政策ということに拘泥しない考え方がむしろ今日の社会からいって、安定成長といい、あるいは福祉社会の建設ということからいって望ましい考え方ではなかろうか。そして貯蓄性預金にバラエティーを持ってもらうことが適当ではないだろうか、こういうふうな考え方、それから資金の主たる提供者であるところの預金者にフェイバーをもっと与えるべきではないか、これが社会的な要請ではなかろうか、こういうふうな考え方で、実は私が就任する前から中期預金の問題というものは世上でいろいろ云々されておりましたが、率直に言いますと、だいぶ換骨奪胎をいたしたつもりでございまして、新しい考え方の中の預金金利の問題の一環として、そしていま申しましたような考え方の中でこの問題を処理をすることが適当である、こういうことで一つの考え方を持ち、そしてこれを関係の審議会等におはかりをいたしまして了承を得た、こういうのが現状でございますが、もちろん当委員会の御意見等も今後におきましても十分参酌してまいりたいと思います。
 なお、郵貯につきましても、御承知のような三年定額貯蓄というようなものもやはり同じような考え方の上で、これも従来はいろいろこんがらがった問題でございましたけれども、一つの協調の上に結論を出したというふうに、これは一人よがりかもしれませんけれども、そういうふうな発想の転換の中でこの問題に一応けりをつけたというふうに考えておるわけでございます。
 それから、審議会の問題については、いろいろさらに詳しく御意見を承りまして、そういう点を心に入れて、今後好機をとらえながら、そういった方向に向かうようにいたしたいと思います。
 なお、先ほど申し忘れましたけれども、これらの審議会の中には内閣所管のものも御承知のようにございますから、こういう点については関係省あるいは内閣とのほうの相談も必要かと思いますが、そういう点は御理解いただいておると思いますが、念のために申し上げておきます。
 それから、これはまた率直なお話で恐縮なんでありますけれども、確かに御指摘のような点がございますけれども、たとえば金融機関ではなくて、銀行と名のつくもの、あるいは金融機関と名のつくものならなおさらでございますが、実に態様がそれぞれ違うわけでございますね。でございますから、それらの代表者一人だけということになりますと、かえって中立的な意見が出ないこともございますものですから、銀行という系統のものの中にも都市銀行あり、地方銀行あり、相銀あり、信金あり等々、それから政府関係機関もあるというようなわけでございますから、そういう点の配慮もいろいろ加えていかなければならない。あるいは保険の問題でも生保あり損保あり、まあそれにしても生保、損保、両方からそれぞれ二人ずつ出ているではないかと御指摘をいただくわけでございますけれども、そういうような考え方もあってクリアカットになかなかいけない実情もございましたわけで、ひとつ御趣旨をできるだけ体して機会あるごとに改善につとめたいと考えております。
#133
○堀委員 私も、それは確かにそういうふうな立場をいいますと、金融機関の場合にはたいへんいろいろバラエティーがあります。しかしそれらは、私はどちらかといえば専門委員会かどこか、そこの中で専門的な立場での利害関係は調整をする。そうしてそういう金融制度調査会のようなところ、そういうところである程度固まったものが出てくるというのがかえって筋ではないか。もしそうでないとするならば、より委員をふやして、そういう人たち、言うなれば金融界の代表者よりも学識経験者なり学者の皆さんの発言のほうが全体のベースになるような構成にするとか、要するに何らかの配慮があってしかるべきであって、私どもが感じておるのは、どうも業界の意見が先行して国民の意見が十分にそこへ反映されていないという感じを強く受けておる点に問題があります。二年定期は、きょうは時間がありませんから触れませんけれども、その点はひとつ十分審議会の今後のあり方について御検討をいただいておきたいと思います。
 そこで、時間がありませんので、簡単に税制上の問題について触れておきたいのでありますけれども、企画庁入っておられると思いますが、いまたいへんな景気の進行状態であります。最近三菱総合研究所が発表いたしましたところでは、四十八年度の名目成長率は二〇・九%になるのじゃないか、物価上昇は九・一%でしたか、なんかだったというふうに聞いております。国民経済研究所も二〇・八%の名目成長率、消費者物価一〇%だ、こう出ておりますが、まあこれから先のことをいまからすぐは問題があろうと思いますが、どうも二〇%をややこえる程度の名目成長になるのではないかというふうに感じますが、企画庁はいまどういうように見ていますか、簡単にひとつ……。
#134
○青木政府委員 簡単に申し上げますと、現在御承知のとおり景気の抑制ということで総需要の抑制、過剰流動性の吸収等をはじめとする各般の施策を実施しておるところでございまして、今般も公定歩合の第三次引き上げあるいは公共事業の実施時期の調整の強化ということを決定して総需要抑制策を非常に強化しておるところでございます。今後の景気動向につきましては、このような総需要抑制策がだんだん浸透してまいりまして、成長のスピードが次第に落ちて、政府見通しの意図する安定成長の軌道に乗るものというふうに考えておりまして、物価もだんだん鎮静化に向かっていくということを期待いたしております。したがいまして、今後もなお経済の動向を十分注視する必要はございますけれども、四十八年度の成長率は、ただいま申し上げましたような総需要抑制策の効果が次第に出てまいりますならば、政府見通しの成長率一〇・七%でございますが、これを若干上回る可能性はございますとしても、大きく乖離することはないというのが現在の私どもの見解でございます。
#135
○堀委員 企画庁にいま聞いたらそういうことでしょう。それはいいのですが、主税局長に伺いますが、きょう皆さんのほうからことしの五月の税収の資料をちょうだいいたしました。これをちょうだいして見ますと、進捗割合が一般会計分で一七・七%、前年度の進捗割合一五・六%、こうなっているわけですね。これを割り算してみますと、大体五月現在までのところで一二二というところに来ているのですね。二二%前年よりは税収が伸びておるわけです。私のほうで、かりに名目成長率を二一%として弾性値を使って計算をしてみると、大体昭和四十八年度の税収総額は十二兆四千七百億円程度になる。いまの一三%増という五月末までのトレンドをそのまま十一兆七百六十八億という本年度の一般会計税収分に掛け合わせてみると、これが十二兆五千百億くらいですね。ほぼ、いまの税収伸び率は、名目成長率で国民経済研究所や三菱総研の出しておる二一%、それから弾性値を使って二一%と五月までの税収伸び率と両面から見て、大体一兆四千億程度の年度内自然増収が今後生ずる、こういうふうに考えているのですが、これも、今後のことで、いまの企画庁みたいに、企画庁が名目が一六%程度におさまるようにこれからやるのだから税収もそうはふえませんという話になるのか。現実に二カ月でふえているわけですからね。企画庁とはちょっと話が違うと思うので、あなたのほうで今後の年度内自然増収はどのくらいあるといま推計できるかどうか、ちょっとお答えいただきたい。
#136
○高木(文)政府委員 どうも御質問の中で答弁申し上げることを先取りされましたので非常に申しにくいのでありますが、率直に申しますと、私自身の過去の経験によりますと、どうもやはり二カ月で一年を類推するのは非常に危険である、両面に危険である。そのときに見当つけて出した数字と最後の結論とを比べてみますと、ひどく下にフレる場合と上にフレた経験もございますので、先ほど御質問の合い間におっしゃいましたように、いまの段階であれすることは非常に危険であるといわざるを得ないわけであります。
 特に、いろいろこまかいことを申し上げて恐縮でございますが、昨年度の年末に日曜日がぶつかって、普通の年であれば前年の収入に入るものがことしに入ってみたり、いろいろなことがございますし、そういう影響は年度の長い期間見ますと消えてしまいますが、二カ月程度見ますとそういう問題がわりに強く出てまいることもございまして、いまの進捗率で全体を伸ばしていただくということは、経済の状態がかりに現在のような状態のまま推移いたすといたしますとちょっと問題があろうかと思います。それではその点どうして推計すればいいのかと言われますと、私にも、こういうふうに計算していただけば大体よろしゅうございますということを申し上げ得られることにならないわけでございますので、いまの先生の計算は、そういう前提に立てばやはりそういう計算になりましょうと申し上げざるを得ないわけでございます。そういう状況でございます。
#137
○堀委員 私はこれまでいろいろな見通し問題を当委員会でやってきましたが、わりに当たるのですよ。それは何も私がやっているのではなくて、それは三菱総研なり国民経済研究所のやった、そういうものが大体類似してくるというのは、これは別々のところでいろいろ前提を置いて試算していることですから、たまたま税収で伸ばしてみてもこういうことになるということでマクロの話です。
 そこで私は、なぜここを触れているかといいますと、率直にいえば、この前私テレビでも言ったことがあるのですけれども、自然増収がずいぶんあるときに、物価が上昇しているときに、公共料金問題を、一兆四千億なくても、かりに半分として七千億はいまの情勢なら軽くいきますね。そうすると国鉄が一千八百八十億円、健保が八百五十億円というのがいま国民負担になっているわけですが、合わせても二千七百億程度、食管も今度消費者米価を据え置いて生産者米価を上げる、ここに幾ら持っていくか、これは生産者米価の上がり方によるでしょうけれども、四千億くらいほうり込めば大体農民の皆さんも納得していただけるような米価になるのではないか。そうすると合わせて七千億くらい財源があるのですから、これだけ物価上昇しているときに、公共料金の問題は一応年度内の財政で補正予算を組んで処理できるものなら処理をして、これらの問題についてはもう少しゆっくり検討してみるという考えがあっていいのではないだろうか、これが一つ。
 それからもう一つは、四十七年度の増収分がありましたね。これはいろいろな処置をされておるわけでありますけれども、こういうときに、それを漫然と翌々年度に繰り越したりするよりも、これはやはり国民生活にとって問題のある物価上昇のときなら、まず何といっても物価上昇を避けるために使うということなら、当年度に補正をして処理をするということのほうがよい、翌々年度に繰り越したりあるいは国債を減額するということはおかしい。このごろ盛んに政府は、安定国債を出したいとか、短期証券を発行して資金を吸い上げると言っているときに、それじゃ増収分は国債の発行を減らすのだというのじゃ論理が通らなくなるわけですから、そこらは大蔵大臣、私がいま申し上げたような点を、これは財政当局としても考える余地がある問題ではないか、こう思うのですけれども、大臣いかがでしょうか。ここまでで私の時間が来ましたから終わります。
#138
○愛知国務大臣 いろいろ御見識のある御意見を承りまして、たいへん参考になるわけでございますが、そのうち、すでにおあげになりましたが、たとえば米価の問題については、これは従来的な感覚からいえばやはり非常な財政負担になるととは当然でございますので、ずいぶんこれは私どもとしても考え抜いたわけでございますが、消費者米価は年度内は上げないということに私どもとしても決意をいたしまして、何とかそれでつじつまを合わせるといいましょうか、処理をいたしたい、かように考えております。
 それから、矛盾しているではないかというお話、税収あるいは国債問題その他ございますが、これがまたなかなか当今むずかしいところでございまして、一方においては何としても外から来る過剰流動性というものの根は絶つことができましたけれども、やはり金融はまだ超緩和、そして民需はきわめて堅調でございますし、それから民間の消費も相当なものでございますから、これを吸収するという面から見れば、公債の銘柄あるいは条件等につきましても、いろいろくふうをいたしたのが、いわゆるこのごろは短国ということばになっておるようでございますが、短期国債、小額債券の問題でございます。したがって七月におきましても、一方普通の公債のほうも七百億程度は出すことにいたしておりますし、いわゆるポリシーミックスをよほどうまく展開していかなければなりません。そこで、場合によると、理論的には相矛盾しているのではないかという御批評を受けるようなこともあろうかと思いますけれども、このところはとにかく既定の予算の範囲内あるいは公債の発行の限度というものも御審議をいただいているわけでございますから、このワクの中でできるだけのくふうをいたしまして、年度内を泳いでいくといいますか、予算の執行をやってまいりたいということで、現在補正ということは考えておりませんわけでございます。
 それから、公共料金問題についても御提案がございましたが、これは現に、たとえば国鉄等につきましては衆議院の御審議を終わり、参議院で御審議中のことでもございますので、私は、現在この政府の提案を何とかひとつ御承認をいただきたいということで政府として考えておりますことを念のために申し添えておきます。
#139
○堀委員 終わります。
#140
○木村(武千代)委員長代理 荒木宏君。
#141
○荒木(宏)委員 私は、いま大きな社会的また政治的な問題になっております土地の問題、これについて国有地の管理、処分、これが民主的になされねばならぬというふうなところから、それに関連をいたしまして政府当局のこれについての政治姿勢といいますか、あるいは内部規律といいますか、殖産住宅の問題も含めて、その是正措置をひとつお伺いをしたい、こういう点から質問をいたします。
 まず第一に、国有地の管理の問題でありますけれども、過ぐる委員会で国有財産法の改正が審議になりました。そこで未利用地となっている普通財産の土地の利用について、国民の利益のためにこれを活用する、こういったことが審議の中で強く要望されました。
 そこでまず大臣にお尋ねをいたしますが、この未利用地となっている国有地の管理、利用について、地元自治体や地域住民の意見を聞いて有効にすみやかに活用されるべきである、こういうふうに考えるのでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#142
○愛知国務大臣 未利用の国有地につきましては、できるだけ当面の社会的の要請に応じて、地元地域社会の方々の御意向もいれて早急に処理をするということを一番基本にいたしております。したがいまして、ひとつこういう点では国有財産地方審議会というものを従来に増して活用していくことが一つの適切な方法ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#143
○荒木(宏)委員 そこで、さっそく具体的な例で申し上げたいと思うのでありますが、中野区の中野四丁目十三番地、ちょうど中野区役所の西隣に元警察大学校のあと地がございまして、五千二百六十平米でありますが、これがいつから未利用になっておって、現況がどうなっておるか、この点を理財局からお伺いいたします。
#144
○小幡政府委員 御指摘の中野区の駅前にございますもとの警察大学校のあと地でございますが、全体で一万一千五百九平方メートルあったわけでございますが、警察大学校の集約立体化に伴いまして、各機関に処理しました残りが五千二百六十平方メートルあるわけでございまして、これは昭和四十五年の二月二十三日に警察大学校から用途廃止されまして、大蔵省が普通財産として引き継いだものであります。
 これにつきましては、非常に中野駅に近いところでもございますし、駅前の広場用地としましての計画もいろいろございますし、こういった貴重な用地につきましては、これはできるだけ有効適切に使いたいということで、まあいろいろその利用計画につきまして検討しているわけでございまして、現在は隣にあります中野区役所に対しまして、環境整備を兼ねまして警備依頼をしているところでございます。
#145
○荒木(宏)委員 まあ警備依頼といえば番をしてくれ、こういうことだと思いますが、今度は、いま現況を伺わなかったのですけれども、警察大学校が移転をしたあとが裸のさら地になっておりまて、早急にやはり利用計画を策定すべきであるというふうに考えております。
 ただ、隣にも実は国の公務員宿舎がございますし、それの地続きであるということもございまして、現地の財務局のほうでは、立地条件から見まして公務員宿舎あたりが適当ではないかというような希望もあるようでございますので、その辺、今後先ほどのドイツ側からの回答を待ちまして至急に利用計画をきめたいと考えております。
#146
○荒木(宏)委員 五年はちょっと長いと思うのでありますが、次に港区港南四丁目の七というところに、もと都有地でありました未利用の国有地がありますが、これは九年ほどそのままに放置されておるわけですね。八千九百五十平米ありますけれども、三十九年二月からでありますから、かれこれ十年近くなるわけでありますけれども、その説明を受けますと、地方国有財産審議会で某民間会社にこれを売り渡しをするということがきまっておるということを伺ったのでありますが、しかし、九年をこえる歳月何もせぬでほっておくというのは一体どういうわけか。これだけ土地問題がいろいろいわれておりますときに、何千坪という一土地を何もしないでほっておく。現地に行きますと、金網が一本張ってあるだけであります。
 あの地域は、たとえば集会所でありますとか、都民の皆さんのための屋内のレジャー施設でありますとか、そういうものは全くないのですよ。地域の要求は、そういったことで、いろいろそういうことをする土地がほしいと言っているにかかわらず、公有地が十年近く放置されている。まん中に都有地が少し残っておりまして、そこに引き込み線をつくる計画が一時はあったそうでありますけれども、いまどんな事情があるにせよ、これはちょっといかがなものかと思うのでありますが、これにつきましても、地方自治体の要求、地域住民の要望を聞いて、さっそく前向きに検討さるべしと思うのでありますが、いかがでありますか。
#147
○小幡政府委員 この港区港南四丁目の本地につきましても、さっそく財務局から事情を聴取したわけでございますが、これはいろいろと複雑な経緯がございます。確かに昭和三十九年六月二十四日開催の国有財産関東地方審議会にかけまして、一方食肉加工業者に対しまして売り払いするという方針をきめたわけでございます。その後相手方がその方針に従いまして、本地を取得していれば問題がなかったわけでございますが、相手方の事業遂行の資金的な問題で行き詰まりましてそのままになっている。
 それからもう一つは、本地がこれは非常に複雑なところでございまして、中央部に鉄道の引き込み線の都有地がちょうどまん中を縦断して介在している、こういった実情もございますし、この場所は芝浦のほうでございますから、ともかく倉庫用地的なものでございまして、公園とか緑地というものにはちょっと適しない、こういったところでございまして、なかなか処理方針がむずかしいということ。
 この二つの事情がありまして、なかなか処理がはっきりしなかったわけでございますが、確かに御指摘のように、これはやはり、従来地方審議会にかけてきまりました方針につきましても、これだけ年月がたっていればやはり再検討すべきであるということで、関東財務局のほうにもこれをできるだけ善処するように指導しているわけでございますが、いま言いましたように、それではあとどうするかという問題につきまして、いま言った特殊性もございますし、まん中に介在している都有地の処理という問題が片づきませんと前進しないという問題がございます。その辺東京都とよく協議いたしまして、何とか至急にこれを善処して処理したいと思います。
#148
○荒木(宏)委員 ですから、これも早く地元自治体と御相談なされば、適切な活用の道はそれぞれ地元の人が一番知っているわけですから、知恵が出てくるわけですね。とても見当違いの緑地とか公園とかおっしゃらなくても、いろいろな要望があるわけですから、ぜひこういうことで前向きに検討いただきたい。
 もう一つ例を申し上げておきますが、港区芝高輪三丁目四百十七番地、これはもと東久邇宮邸のあと地が四千八百八十五平米ありまして、現地は少し傾斜がありますが、緑が保存されておって、まことに自然小公園としてはきわめて適当な土地柄であります。しかるにいまの状態は、この両側に二つのホテルがありまして、そして一方にはゴルフ練習場があり、ここに保存されておる緑はそのホテルの宿泊客、ゴルフ練習場の利用者、これが緑を享受しておるのであります。現地は非常に高い金網を張りめぐらされておりまして、地元の子供たちはそこへ入ることはできない。地域の人たちは、そこに公園のように遊歩道を通って語らいの場を持つことはとてもできぬような、つまり立ち入り禁止にしておるわけであります。
 ですから、この点は、勾配はありますけれども、そこに手を入れて遊歩道をつくるとすれば、まことに都心の中に二つと得がたい自然小公園になる、こういうふうに私は思うのでありますが、これもいま言ったように、特定階層の人の利用にゆだねられたような形になっておって、まことに遺憾だと思います。地元の意見をよく聞いて、前向きに検討さるべしと思うのでありますが、いかがでありますか。
#149
○小幡政府委員 港区高輪三丁目にあります本地は、実は品川駅前旧御用邸あと地でございまして、京浜急行電鉄の現在のパシフィックホテルが建っているところ、あるいは品川税務所、国民生活センターに対しまして処理しましたその残りでございますが、この土地につきましては、最近こういったところに残っている貴重な未利用地でございますので、ぜひ払い下げてほしいという各方面からの要望がございましたが、実はこれにつきましては、やはり緑地としてあくまでも保存すべきではないかという意見もございますので、大蔵省としましては、これはこのままずっと緑地として保存するのが一番いいのではないかと考えているわけでございます。本地は、先生ごらんになっておられると思いますが、半分くらいが傾斜地でございまして、樹木も繁茂しておりますし、非常に古い樹木もございますので、これを切り倒して人工の手を加えるよりもこのまま置いておくべきではないだろうか。ただ、金網がめぐらしてありまして、近所の子供がそこに立ち入ることができないというような問題もございますが、これを管理しております財務局のほうからいいますと、金網を取りはずしますといろいろ……
#150
○荒木(宏)委員 答弁簡潔にしてください。
#151
○小幡政府委員 いろいろございますが、そこで結論といたしましては、できれば、これは確かに今度の管理委託の制度の対象になる非常にいい例ではないかと思いますので、しかるべき管理委託を考えている、こういうことを予期しているわけでございます。
#152
○荒木(宏)委員 そういう方向はけっこうだと思いますのでお考えいただきたいのですが、緑の保全といいましても、いまのようではあれは保全じゃありませんよ。いまの時期における保存としては、私は何も木を切れと言っているのじゃないので、その自然を残しながら都民の皆さんが活用できるようなことと考えるべしと言っておるのでありまして、背たけをこえるような金網を張りめぐらして、近所は寄せつけぬ、ホテル宿泊者のみがこれを享受しているというようなことは、まことにもって論のほかだ、こういうことを言っておるわけでありますから、ひとついま御答弁の趣旨で早急に活用していただきたい。
 それから、大蔵省からいただいた資料によりますと、四十八年四月二十日現在で二千平米以上の未利用地が東京都内だけで三十六万二千百二十三平米あります。政令都市全部含めますと、全国で九百五十七万三千百四十七平米、いま幾つかの例をあげただけでありますけれども、これはこの際総点検をして、ぜひ地元自治体の意見をよく聞いていただいて、そうして地域住民の要望に沿う形で民主的に活用していただきたい。土地問題がただでさえ社会問題、政治問題になっているおりでありますから、このことをぜひお願いをしたいと思うのでありますが、これはひとつ大臣から一言、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#153
○愛知国務大臣 承知いたしました。東京都内等の未利用地については、ひとつ徹底的に洗い直してみたいと思います。
#154
○荒木(宏)委員 ことに先ほどの中野の例などは、都議会議員をされております地元の後藤マンさんから強い御要望も出ていることでありますから、ぜひよろしくお願いしたいと思うのであります。
 次に、国有財産の売り払いについてお尋ねをいたしますが、時間の関係がありますので、質問を簡潔に申し上げますので、御答弁もよろしく協力をお願いしたいのです。
 港区赤坂一ツ木三十六番地の一、これは一ツ木住宅の敷地でありますけれども、三千五百六十七平米といいますのが、TBSに対して売り払いの話が出ておるようであります。ところが大蔵省からいただいた資料によりますと、すでに昭和三十六年から現在まで、この隣接地で国のほうからTBSに売り渡された土地が一万五千七百五十九平米、そこへ今回の三千五百何がしがまた話に出ておるわけでありますが、ところが、私が問題にするのはこれからなんです。
 本年一月一日のTBSの社内報を見ますと、社長の談話といたしまして、すでに確保しておる一万六千平米、これは現在の土地ですね。このうちには三分の一国から渡った土地があるわけです。いま現に確保しておるこの一万六千平米を有効に使いたい、どう有効に使うのか、ここへひとつ超高層のビルを建てて、うんと収益をあげたいというのです。放送事業の将来についてはいろいろななにがあるから、ここにこんなスタジオなんか置いておくのはもったいない。要するにここへうんと高いビルを建てて、そこで貸し室料などを取って収益をあげたい、ことばをかりますと、さら地にして、クリアにして、有効に有利な企業として使いたい、たとえば超高層ビル。といたしますと、いままで国がずっとTBSに渡した一万五千何がし平米の土地は、いまやそのような土地と合わせて、TBSがここでビル業をやって、うんともうけよう、これは社長さんの話ですよ。
 そこへもってきて大蔵省は、三千五百六十七平米をひとつこの上へ追加しましょう、これは昨年の予算ですでに一二億五千百万円が計上されておりますから、話が進んでおるのでありますが、こういうことに相なっておるわけでありますが、この点について、もしこんなことになれば、日照権の問題となりまして御近所の方もたいへんな迷惑です。商店街があります。労働組合も職場の問題にからまりますから、いま団体交渉でさあどうなんだとやっている。そこへ大蔵省が、さあどうぞお使いください、こういう形になっておるのでありますが、これはちょっと検討さるべきことではないかと思うのであります。
 そこで、その関係についての問題と、それからあわせて用途指定について、従来の売り渡し済みの分も調査をして、ぜひ報告をお願いしたい。御案内のように、財政経済統計月報では、以前は国有財産の売り渡しの分は、用途指定のある分は別に掲げて報告がありましたけれども、数年前からこの内容が、個別案件が掲記されなくなって、非常に簡単になってしまった。いまこういった国有財産の管理についての問題がいろいろ出ておるときでありますから、ぜひ従来のような方向で、一定規模以上のものは必ず月報に載せて、国会へも報告して、このとおり国の措置はきれいでありますよということをひとつやっていただくべきじゃないかと思いますので、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#155
○小幡政府委員 本年になりましてから、ある新聞にこのTBS本社が……
#156
○荒木(宏)委員 新聞の話は言っていない。私は社内報の話をしているのです。
#157
○小幡政府委員 そういう移転計画の話を聞きましたので、さっそく関係者を呼びまして、その真否をただしたわけでございますが、TBSとしましては、そのような具体的な計画はない、こうはっきり回答をしていただいておりまして、これにつきましても、責任ある回答として受け取っていいかとただしましたところ、そういうことでけっこうであるということでございますから、そういうことはないと思います。それが一つ。
 それから、用途指定の問題でございますが、これは従来は、昭和三十九年に法律改正が行なわれますまでは、実は用途指定というのはありませんものですから、指定なしでございましたが、昭和三十九年に売り払ったものから指定用途を契約上つけております。ところが、その指定用途に供する期間、こういうものが大体五年ということになっておりますので、現在はいずれもこの五年間の指定期間が切れているのが現状でございます。
 それで、今回売り払う一ツ木住宅のあと地でございますが、これにつきましては、相手方はこれは駐車場の用途に供したいということでございますが、これにつきましても内容をよく審査しまして、契約上用途指定を付することにしたいと思っております。
#158
○荒木(宏)委員 赤坂再開発の計画はないと言っていますか。その点はどうですか。
#159
○小幡政府委員 そういった再開発計画は聞いておりません。
#160
○荒木(宏)委員 再開発計画を放棄したのかどうかという点は出されたのかと聞いているのです。つまり大蔵省からそれは確認していないのかどうかですね。移転と再開発は違うのですよ。私が言っているのは再開発計画を言っているのです。
#161
○小幡政府委員 大蔵省としては、そういった再開発については、向こうが言いませんし、これはそのまま使うということで、要するに現状に変更を加えることはないといっております。
#162
○荒木(宏)委員 だから質問したのです。社内報に再開発をしてもうけるのだと書いているのです。私はそれを言っているのです。移転がどうのこうのじゃないのです。ここへうんと大きいビルを建てて、再開発をしてもうけます、こう書いているから、この点については確かめられたのですか、こうお尋ねしたのです。一言で言ってください。
#163
○小幡政府委員 実は私、社内報は読んでおりませんのでわかりませんが、相手方に再三にわたりましてただしましたところ、要するにそういう報道のような事実はありません。
#164
○荒木(宏)委員 報道は言っていない。再開発を言っている。もう一ぺん聞いてみたらどうですか。
#165
○小幡政府委員 再開発についても聞いておりません。
#166
○荒木(宏)委員 それではちょっとお話にならぬですな。再開発のことをお聞きして、それについてやりとりの中で触れてないとすれば、もう一ぺんこれは確かめていただく必要がある。ひとつ大臣の御意見も伺いたい。
#167
○愛知国務大臣 国会でこうした御質疑を受けたのでありますから、それをもとにして、もう一度再調査いたします。再調査というか問い合わせをいたします。
#168
○荒木(宏)委員 それから、経済統計月報に報告していただくということ、用途指定の分を国会に出していただくのはどうですか。
#169
○小幡政府委員 ちょっと御質問の内容がわかりませんが、どういう形で報告されるのか……。
#170
○荒木(宏)委員 従来統計月報の中に一定規模以上の分は個別に掲げられておりました。それをもう一度復活されてはどうかということです。
#171
○小幡政府委員 一定規模以上のものにつきましては、統計月報に載せるようにいたします。
#172
○荒木(宏)委員 時間がだんだん来ましたので、いよいよ最後の問題に移りますが、殖産住宅の問題が先ほど来いろいろ論議になっておりまして、私は端的に伺いますけれども、親引け株は、ほかの委員さんがおっしゃったので、私は、あいさつ株、御祝儀株、これをひとつお伺いしたいと思うのであります。
 大臣はあいさつ株とか御祝儀株とかいうものについてはどう思っていらっしゃるか、御所見を伺いたいと思います。
#173
○愛知国務大臣 私もそれらの点を、ひとつ徹底的に従来の慣行というものを、この不幸な事実が起こりましたこの機会に、十分調べてみたいと思っております。しかし、それよりも以前に、先ほど申しましたように、公募のやり方、親引けのやり方等については、相当徹底した改善策を講じたい、これを基本にして考えていきたいと思っております。
#174
○荒木(宏)委員 ある新聞によりますと、「会社幹部や得意先に割当てるほか「ご祝儀」として証券会社や関係筋に千株単位で配られるならわしがある」こういっておりますが、今回たまたま大蔵省の証券局の、名前の出ておる方は、刑事犯罪として問題になっておるわけでありますけれども、私は、犯罪になるかどうか、これは別としまして、こういったならわしが従来から大蔵省関係者のところに送られておったのかどうか。もしそうだとしたら、それはそれでひとつまた処置をしなければならぬと思うのであります。その点について調査をなされたかどうか、なされた結果、大蔵省の関係者が刑事犯罪になるかならぬかは別ですよ、とにかくあいさつ株を受け取った、殖産にしろ他の会社にしろ。この点について調査の有無と調査結果、これをひとつ伺いたいと思います。
#175
○高橋(英)政府委員 今回の事件がございましたので、私どものほうで証券局の職員について調査いたしました。あのような事例はほかにはございません。
#176
○荒木(宏)委員 私の聞いておるところでは、調査結果についてまだ詳しく伺っておりませんから、どういうふうに調査なすったのかわかりませんけれども、大蔵省の証券局の方の中であいさつ株を受け取られた、そしてそれについてどう思うかというふうに聞かれた方がおられるのじゃありませんか。そういうことは全然お耳に入っておりませんか。
#177
○高橋(英)政府委員 私、まだ聞いておりません。
#178
○荒木(宏)委員 それではいまおっしゃったその調査の方法というのをひとつ伺いたい。どなたがどういう方法で調査をなさったのか、簡単にひとつおっしゃってください。
#179
○高橋(英)政府委員 監査をやっております課の企業財務課長が職員について問いただしております。
#180
○荒木(宏)委員 職員というのは、もちろん課長さんが部長さんだとか審議官だとか局長だとか次長さんとかそれはみんなに聞かれたのでしょうね。どうなんですか。
#181
○高橋(英)政府委員 課長が自分より上のほうは聞いてないと思います。
#182
○荒木(宏)委員 それじゃ肝心な元締めのところを聞いてないじゃないですか。これは大臣いかがですか。大蔵省の証券局――証券局に限りませんけれども、大蔵省の職員の、これはもう次官、局長さん含めて、在職しておられた方、この中にあいさつ株を受け取った人があるかないか。この点、もしも御調査がまだなら、私はひとつ徹底的に調査をして国会に報告をしてもらいたいと思うのですが、その点ひとつお答えをいただきたいと思います。
#183
○愛知国務大臣 これは行政内部のことでございますから、なお徹底して調査はすべきものであると思いますけれども、ただいままでのところは、証券局内はもちろん大蔵省内に御祝儀株というものをもらった者はないと私は報告を聞いております。
#184
○荒木(宏)委員 先ほどお聞きになったように、課長さんがそこから下しか聞いてないというのですから、まだ上は調査してないわけでしょう、いまの話だったら。ですから、それは調査をしてちゃんと報告をしていただきたい、こう申し上げているわけです。
 それから、新聞によりますと、千株単位でばらまいて、国会議員にもあいさつ株、特捜部で驚くほど広範、こういうふうな報道が見られるわけであります。私はそういうことになりますと、公務員の方はもちろんでありますが、特別公務員も含めて、要するに官界、政界、財界、こういうところにあいさつ株や御祝儀株がばらまかれる。これは刑事問題になるならぬは二の次にしまして、政治上、行政上もたいへんな問題だと思うのですよ。
 ですからひとつ大臣、この際、あいさつ株は好ましくないとおっしゃっているのだから、徹底的にひとつ調べて、政界も官界も財界も、その内容をひとつはっきりとしていただいてただされるべきだと思いますが、いかがでありますか。
#185
○愛知国務大臣 いま申しましたように、まず大蔵省内におきましてはいわゆる行政部内の問題ですから、これは部内の監督権というものを基礎にした調査になると、これは検察官とか警察官が捜査をするというような筋のものではございませんし、私といたしましてはなお御指摘がござい、ましたように至らざるところがありとすれば調査は徹底していたしたいと思います。そしてその結果も御報告をいたしたいと思います。
 同時に、現在刑事事件になっておりますものでもありますし、それから権限的に申しましても、御祝儀株というものが慣行として行なわれていたのだとすると、その内容がかりにわかったとしても、大蔵省からこれを公表するというようなことになじむものであるのかどうか、私にもちょっとはたと御返事に困るわけでございますが、その辺のところも十分検討してみたいと思います。
#186
○荒木(宏)委員 最後にこれ一間にしますが、譲渡益の把握の問題は、これはこの委員会で有価証券取引税法の改正のときにも、私ども党のほうから提案をいたしまして、取引の伝票があるはずだ、それを国税庁の担当者は行って調べておられるのだから、そのつもりでやればこれは把握できる、こういうことで提案をしたわけでありますが、具体的なこの譲渡益に対する把握の方法を検討されて、それを報告をしていただく時期のめど、それからその具体案の内容についてひとつ、これは所轄の国税庁のほうからおられたら伺いたいと思います。もしおられなかったら、大臣の政治的なこの点についての御見解を伺って質問を終わります。
#187
○愛知国務大臣 これはなかなかむずかしいことでございますが、さらに努力をいたしたいと思います。
#188
○荒木(宏)委員 以上で質問を終わりますが、未利用地の活用の問題も、それから譲渡についての適正化の問題も、いまのあいさつ株の問題も、一連の政治姿勢といいますか、規律の問題とそれから国民の皆さんの意向をくんで民主的にやるという問題がからんでおりますから、そこのところをひとつわが党の先日提案をいたしました土地利用の第二次改革についての申し入れ、これもぜひひとつ検討をされるように、そして実行に移されるように強く要望いたしまして質問を終わります。
#189
○木村(武千代)委員長代理 竹本孫一君。
#190
○竹本委員 私は、三つの問題を質問したいと思います。一つは物価問題、一つは輸入のワクの問題、一つは共同フロートの問題であります。
 まず第一の物価問題については、大臣に特に大きな決意を持って対処していただいて、この際オーバーキルという問題をあまり心配しないで、思い切った物価を押える措置を講じてもらいたいということであります。インフレ、物価騰貴がたいへん大きな問題になっておりますし、これは個人としてはその生活の苦しみが非常に拡大される重大な問題でありますが、政治的な立場で考えてみましても、福祉国家建設の基盤をゆるがす大きな問題である。あるいは日本経済の根底をひっくり返す重大な問題である。私はたびたびこの席上でも問題にしておるわけですけれども、現下の最大の問題はインフレと取り組むことであるというふうに思うわけですし、そういう意味で、まず大臣のお考え、もしくは政府のお考え、どちらでもけっこうですけれども、物価がこんなに十三%、おりしも消費者物価も上がろうという時期でございますが、いつごろまでにどの程度押えられようとしておるのかという政治の目標はいま政府は一体どこに置いておられるのですか。
 物価を押えなければならぬ、そんなことはよくわかっておりますが、そしてまた七項目をはじめいろいろな問題を取り上げておられる御努力もよく理解しておるつもりでありますけれども、しかしそれにもかかわらず物価はどんどん上がっておる。そして国民のほうもいわゆる一億総いらいらになっておるわけですけれども、この際政治的にわれわれが重大な関心を持つのは、いつごろまでにどの程度にまで物価は押え込むことができるのであろうかという一つの大きな見通しがほしいということだと思うのです。その点について大臣のお考えを承りたいのですけれども、時間の関係であわせてお伺いすることにいたしたいと思いますが、いつごろまでにどの程度物価を押え込むかということが一つ。
 それに関連をいたしまして、どうしてもそこまで決意をして物価を押えようということになれば、デマンドマネージメント、総需要を押えるということに中心を置かなければならぬだろうと私は思いますが、その点についてのお考えはどうであろうか。
 さらにこれに関連してもう一つお伺いをするのですが、今度政府も公共事業の繰り延べ繰り延べというようなことでいろいろ努力をされておる。その努力は一応敬意を払い、評価もいたしますけれども、私はほんとうは繰り延べではだめだと思うのです。繰り延べということは、上期で使わない金を下期になったら使ってあげますという一種の約束をするわけですから、財界は――これは大蔵大臣とわれわれと意見が違うかもしらぬが、今度の予算それ自体が日本のインフレを招き寄せる原因であるとわれわれは初めから言っておる。したがって、この予算を朝三暮四で出し方、使い方をどういうふうに時期調節をしてみても、全体のトータル残は、総ワクが大き過ぎるというところに問題があるのだから、それを繰り延べてみたところである意味ではあまり役に立たない。一面から言うならば、上期に使わなかったものは下期に使う、上期は瞬間風速二一%とかいろいろな議論が出ましたけれども、そういう上期の景気がかりに下期に悪くなっても、繰り延べられた公共事業の予算を何兆円使うのだから心配ない、したがって景気は大体横ばいにいくという安全保障を与えるわけです。
 このことは他の面から見れば、総需要抑制というわれわれの立場から見るならば、いつまでたっても総需要の抑制は徹底しないのだ、下期になっても不景気にはならない、逆に言えば、心配するな、需要は幾らでも出てくるんだ、こういう保証を与えることになる。したがって、それはもう一つ突っ込んで言うならば、物価騰貴にさらに一つの拍車をかけることになる。そういう意味で、せっかくの御努力ではあるけれども、公共事業の繰り延べというような方式でははなはだ不徹底であって、結果的に見れば下期もいまと同じような瞬間風速で景気は伸びるんだということに保証を与えることになるので、物価を押えるどころか逆に思惑を盛んにするかもしれないということで、物価政策としてはあるいは逆な効果をもたらすかもしれない。そういう意味で、一体公共事業の繰り延べではなくて削減というところまで総需要を押える立場で決意をされることができないのかどうか。
 あわせて、一体日本のGNPはどの辺まで成長をさせればいいのか。いま一けた論も出てきたようでございますけれども、そのくらい思い切ったオーバーキルをやっていくぐらいの腹がなければ、この際物価問題に取り組む政治姿勢としては十分とはいえない、私はこう思いますが、以上の点について大臣のお考えを承りたいと思います。
#191
○愛知国務大臣 物価がいつ、どの程度まで下がるか、なるべくすみやかにいまの騰勢を押えていきたいというふうに考えているわけでございます。それから実質成長率については、政府のかねての見通しのように一〇・六%というようなところが大体のめどではなかろうか。そして卸売り、小売りの消費者物価については現在の騰勢を全力をあげてできるだけ抑制していく、こういうことで現在努力の最中であって、いま何%と申し上げることはできないと思います。
 それから、総需要の抑制ということは私も同様に考えております。それがいま必要なことである。同時に、物資の需給がミートすればインフレあるいはさらに進んでスタグフレーションというものは防げるものである、こういう確信の上に立って総合政策を展開していきつつある、私はかように考えますから、公共事業費についても、上期においては御承知のような相当徹底した切り込み方をしたわけでございます。現在まだ第一・四半期の状況でありますから、将来どうこうということは申し上げられない状況が起こるかもしれませんけれども、同時に、災害復旧にしても、あるいは国民生活環境の整備にしても、あるいは積雪地にしても、あるいはそのほかの福祉関係の問題にいたしましても、これはできるだけ年度内にやりたいということが別個の要求でもございますから、現在のところ、切り捨てあるいは予算の補正ということは考える時期ではない、私はかような認識の上に立っておる次第でございます。
#192
○竹本委員 せっかくでございますが、ただいまの御答弁はほとんど問題にならないと思うのですね。これはやはり単なる質問応答ということでなくて、やはりほんとうに物価を押え込むのだという決意あるいは姿勢というものがことばの節々にも、あるいは文章に書けば行間にも出てくるかまえにならないと、物価はおさまらぬと思うのですね。そういう意味から、ただいまの御答弁を速記録で読んだら、私が株屋なら株は上がるなと思いますね。物価は当分下がらないと思いますよ。
 そういうことでなくて、きょうは時間もありませんから要望にとどめておきますが、とにかくわれわれ一通り経済を知っている者が御答弁を聞くなり、速記録を読むなり、新聞を読むなりして、なるほど政府は物価問題に本気で取り組むのだなという政治的な効果のある印象を与えるのでなければ、物価問題には絶対に取り組めない。現にわれわれがドイツの問題を見て、やはり西ドイツはよくやるな――われわれは同じ社民党でありますから身びいきをするわけでもないが、公平に見てドイツはよくやるなと思いますよ。あるいはアメリカが六十日の凍結をやったり、公定歩合を思い切って上げてみたりするのを見ても、やはりニクソンはニクソンなりに、その効果があるかないかは一応別にしても、その努力だけは努力賞として高く評価しなければならぬという感じを持ちますね。
 そういう意味からいうと、これは先ほど堀さんもいろいろ議論しておられたようだが、いまの物価問題に対する政府の取り組みというものはあまりにも行政事務的で、羅列主義で、どこに重点があるのか、われわれに何の感銘も与えない。これでは、物価を押える腹が政府にあるのだとか、できたんだというようにはおそらくだれも受け取らないし、印象を与えない、感銘を与えない、感動を呼び起こさないと思う。そういう答弁や声明書を何回出したって、ゼロは何回かけてもゼロなんだから問題にはならない。むしろ逆効果もあるだろう。この辺は、賢明な大蔵大臣はひとつ政治的な決断というものができなければいかぬということを私は要望しておきます。少なくともいまの御答弁では、とれではやはり物価は上がるなという感じしかわれわれは持てないことを非常に遺憾に存じます。
 次に、第二番目にまいります。輸入のワクを拡大したらどうかということにつきまして、実は私も具体的にこの問題にタッチするきっかけがありましたので、関税の暫定措置法第八条の四というものを中心に、木製品の輸入という問題について三つばかり質問をしてみたいと思うのです。
 結論は輸入ワクの拡大ということでございますけれども、その第一点は、この八条の四で木製品については限度額というのがもちろんきめられておりまして、四十三年の開発途上国からの輸入の実績に四十六年の先進国の輸入の一〇%を足したもの、その結論が大蔵大臣の告示として六億九千九百万円の輸入だ、こういうことになっているわけです。その間の努力は努力としてこれまた評価しなければなりませんが、問題はその六億九千九百万、約七億円のワクをつくってやられた木製品の輸入ということについて、これは一年分のワクとして設定されたと思いますが、違いますか。
#193
○大蔵政府委員 御指摘のとおりでございます。
#194
○竹本委員 一年分の予定として約七億円の輸入ワクを設定した。しかし事実を見れば、大体五月には満ぱいである。五月といえば四月、五月の二カ月だ。二カ月は十二カ月の六分の一だ。六分の一の短期間で満ぱいになってしまうようなワクを――輸入を大いに拡大してそれによって物価を押えましょうとか、後進国に大いに協力しますよとか、ドル問題の解決に役立てましょうとか、いろいろ項目を並べて政府として輸入ワクの拡大を、七項目を決定されたと思うのだが、大蔵大臣に伺いますが、政府が輸入をひとつふやしてでも物価問題にも取り組もう、後進国にも協力しようといわれた七項目は、相当積極的な意欲と熱意をもって七項目の一つとして輸入ワクをきめられたと思うのだけれども、そうではありませんか。
#195
○愛知国務大臣 そのとおりでございますから、今後とも輸入ワクの拡大については大いに促進すべきものであると思います。
#196
○竹本委員 そこで大臣にお伺いするが、一年分の輸入ワクとしてきめた七億を五月には大体満ぱいになる、二カ月でもうアウト春だというようなことが一体ワクとしたり見通しとして何かの参考や役に立つのですか。関税局長どうですか。
#197
○大蔵政府委員 先生御指摘の問題は特恵ワクの問題であろうと思いますけれども、御承知のように、特恵ワクの設定に関しましては、関税暫定措置法の八条の四の一項によりまして、法律的にこういう天井を設けるようにきめられておるわけでございます。ことしの関税定率法の改正におきまして御審議をいただきまして、この特恵ワクの天井の運用に関しまして弾力化することをお認めいただいたわけでございます。したがいまして、今年の天井をきめます数字、すなわち先生御指摘の木材及びその製品に関しましては六億九千九百八十万という数字は、これは法律によって天井がきまっておりますので、動かすわけにはいかないわけでございます。したがいまして、その運用をいかに弾力化をするか、要するに特恵税率による輸入を増大をさせるかという問題かと思います。
 先生御指摘の品目につきましては、五月の末までに特恵税率によって日本に輸入されました実績が十五億五千百七十六万円でございまして、一方この特恵税率の適用に関しましては国内の中小業者が、合板業者、非常に多いわけでございます。約三百社あるわけでございまして、最近のいわゆる木材あるいは合板の日本に対しまする輸入と申しますものは非常に急増をいたしておりまして、おそらく最近四カ月くらいの間は一昨年の一年分に相当するような量がすでに日本に入ってきておるわけでございます。
 国内の中小合板業者その他の連盟におきましては、自分の生活の問題であるということで非常に大きな問題となっているわけでございまして、国内の物価問題との関連におきまして、私どもといたしましてはできるだけこの輸入ワク、特に特恵による後進国の輸入をふやすことをできるだけ考えまして処理をいたしたいと考えておりましたが、国内に最近御承知のように木製品に関しまして、木材に関する限りは一時のピークからだんだん相当大幅な値くずれが来ておりまして、国内の中小三百の合板メーカーの団体が盛んに陳情を行なっておるような現状でございまして、すでに天井を二倍以上オーバーして五月に入っておる。さらに六月にも相当多量のものが入っておりまして、結局特恵による輸入は本年度の場合、おそらく天井を三倍オーバーするようなものがすでに六月末までに入ってくるというような状態でございましたので、私ども非常に残念でございましたけれども、七月の一日に特恵による輸入というものの停止の告示を出したわけでございまして、一般の特恵によらない輸入と申しますものはさらに入ってまいっておるわけでございます。
#198
○竹本委員 いま数字的にも大体説明がありましたように、とにかく一年分のワクとして特定ワクなら特定ワクにしろやっておいて、二カ月で満ぱい、あるいは六月末にはへたをすれば二倍、三倍というように入ってきておるということになりますと、やはりこれは、いやことしは思惑が行なわれたから予想しませんでしたということは説明にならないと思うのですね、思惑が行なわれるような条件ができておるところにまた問題があるのだから。
 結局いずれにしてもせっかく輸入は拡大するのだ、後進国にも協力するのだ、特恵の特別のワクもつくるのだといって、われわれが大いに期待をしたのに、やってみれば二カ月くらいで満ぱいで、三カ月日にはもう超過も超過、大超過になっておる。しかし、あと一カ月は特別サービスとしてこれは許すのだということに行政の運用がなっておるので、それに救われたとしても、そのあとはもうなしでしょう。そのあとはないのでしょう。
 そこで、法律によれば弾力化を規定して、第八条の四の二項というのがあるようですが、その弾力化の規定を現実に適用して、そしてワクをこれから広げる。大臣もいまワクはどんどん広げるような御答弁があったけれども、このワクは現実に第八条四の二項によって広げられる可能性はあるのですかないのですか。
#199
○大蔵政府委員 本年と申しますか、いわゆる特恵適用品目が百八十九品目ございまして、そのうち百十品目に関しまして、いわゆるワクのシーリングの弾力化ということを本年度いたすことにいたしておるわけでございます。先生御指摘の問題、確かに後進国からの輸入をわが国が拡大をするために、こういう方策をお認めいただいたわけでございますけれども、一方国会の附帯決議におきましても、特恵の適用に対しましては国内の中小企業に迷惑をかけないようにという御指摘も私どもいただいておるわけでございまして、いわゆる国内の中小企業に対して影響を与えないということと、それから後進国からの輸入を拡大するということの二つの問題、これに加えて最近の物価の問題、この三つの要素を勘案をいたしまして、今後私どもといたしましてはできるだけ特恵対象の輸入のワクを拡大をする。シーリングは一応あっても、日本の国内物価に対しまして影響のない限りにおきましては、輸入をふやすような方向で関係各省とも折衝をし、弾力化の実をあげてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#200
○竹本委員 端的に聞きますが、弾力化の条項によって、ワクは年内にも広げられる可能性があるのかないのかということが一つ。
 もう一つ、いまの国内産業に重大なる影響がなければ、物品の品目を設定して特別のワクを拡大していくのだということはよくわかります。そこでこれは特に大臣のほうにお伺いしなければならぬと思いますが、私はこの輸入という問題の効果といいますか、われわれが期待をする面にいろいろあると思うのですね。
 一つは、いまの物価の面に及ぼすいい影響というものがあるでしょう。それから後進国のほうに協力をしてあげるという面もあるでしょう。いろいろありますが、あるいはドルの問題、円の問題の解決にもプラスされるというねらいもあるでしょう。
 しかし、私はもう一つ大事な問題として、特に私がひそかに大きく期待をしておるのは、日本の国内産業が、これはまた私がたびたび指摘をしておるのだけれども過保護ですよね。だからこれを安いりっぱな品物、あるいは安く入ってくる品物を入れることによって、国内の温室経済、過保護の経済に少しきびしい風を当てて国内の産業の再編成をやるということも、私は一つの効果として期待をしておるのです。
 そこで、これはちょうど真正面から相反する二つの問題になるわけですが、国内産業を保護しなければならぬ、それはよくわかります。しかしながらすぐそのことを引っぱり出してきて、だからあとは困るのだということになれば、いつまでたっても日本人は二倍、三倍高い米を食い、二倍、三倍高いものを買っていかなければならぬ、そうして物価もどんどん上がっていく、この矛盾を解決することはできない。先ほど決断ということを申し上げましたけれども、この点についても私は決断が要ると思うのですね。やはり日本の国内の少なくとも非合理的なあるいは将来見込みのないようなもの、そういうものにも国内産業擁護の美名のもとに一切手を入れないということになれば、日本の国内の産業というものはいつまでたっても合理的な再編成はできない。
 そういう意味の効果も、一体輸入政策には政府は期待をしておられるのかおらないのか。この点は大臣から。それからワクを拡大されるかされないかという、いろいろな説明は要りませんよ、されるかされないか、イエスかノーか、それだけでいいが、その点は局長から。
#201
○愛知国務大臣 端的に申しますが、ワクは拡大したい、特恵のシーリングをこえても弾力化をはかりたい、これは基本的な態度です。ただ同時に、国内問題があって、いまも関税局長から率直に申し上げたように附帯決議もついているわけですね。国内の業界の態度も十分見ていかなければならない。それがいいことか悪いことかは別にまた批判もあるでしょうが、国内のコンセンサスでもある。そこで具体的な、たとえば合板あるいは特殊の木材等についての需給関係がこれで十分だということであるかどうかという点が私はきめ手になると思う。それで十分だということになれば、何も国会の御決議まであるものを特に広げる必要もないではないか。そこには物価対策としてのほかのきめ手もまた別にあり得るわけです。私は端的に言ってそういうことだと思います。
#202
○大蔵政府委員 最初の御質問でございますけれども、各品目に設けられましたシーリング枠に関しましては、法律によって定められたシーリング枠でございますから、このワクを、数値そのものを動かすことはできないと思います。ただ弾力化によりまして、シーリング枠に達する輸入があった後においても特恵税率の適用を先に伸ばすということは可能でございます。
#203
○竹本委員 これは善処を要望しておきます。とにかく輸入によって物価も押えましょう、輸入によって後進国にも大いに開発に協力しましょう、特恵関税はそういう意味だということを言われる以上は、それらしくやっていただかなければ、何を議論しているか意味がわからないという意味も含めて、弾力化の条項もいま言ったように、一年分のワクをつくっておいて二カ月たったらもう満ぱいでどうにもならぬ。そういうような面が、いろいろ思惑はあったにしろ、これは話がどうもおかしいと思うのですね。
 それから、今度は政治的な考慮、いまおっしゃった中小企業や国内産業の問題とも関連をいたしますからついでに申し上げますが、大臣、これは政治判断でいいのです。いまのワクが二カ月で満ぱいになる、こういうような情勢からいくと、今度は中小企業は輸入する場合にほとんど締め出されちゃう。これは行政の面から見れば差別するという意思はないと思うのですね。税関は大体先着順、申し込み順に輸入ワクを許可してワクを与えている。ところが実際の経済の動きを見れば、大体一月ごろから、あとで申し上げますが、住宅建設は政府の重要政策なのだ、木製品が足らないということで、それこそ思惑も含めて大資本は一月から船に積んで横浜の沖に持ってきちゃうわけですね。そして四月になって受付ということになれば、四月一日にはいつもこれだけのものが港に来ましたということで、税関にかけ込んでやるだけのものをそこへ動員してためておるわけです。ところが中小企業はその日暮らしですから、LCの関係においても一々集めてきて一々届け出しなければならぬ。大資本のほうは港にたまっておるやつを一ぺんに持ってくる。中小企業は資金力も動員力もないから一々その日暮らしでやってくる。
 そうなれば、税関のほうではきわめておとなしく忠実にまじめにやられても受付は先着順でやられても、結果から見れば、船に積んで原産地の証明も何も持ってきてばんとやったということになると、実力関係においてもう大会社が九割か十割かしりませんが独占してしまう。とにかく一月ごろから待っているということから、四月一日には朝早くばんとやってしまえば二日か三日でワクを一年分の予約をつぶしてしまった、こういうことにならざるを得ない。
 そこで、先ほど大臣から、中小企業を守るというりっぱな御答弁があったからお伺いをし、また御決意を聞きたいのですが、これは私は中小のもののために全体のワクをつくるべきである。たとえば四四の品目で七億円輸入するならば、数字は別ですよ、そのうちの五億円は大資本で二億円は中小企業のためにワクを残しておいてやる。ぼつぼつ申し込んでくる中小企業がワクを先取りされて大資本にみんな持っていって食われてしまうという心配のないように、中小企業のためにあたたかい政治的な配慮をやる御意思はありませんかということを伺いたい。
#204
○愛知国務大臣 そういう面であたたかい配慮をぜひやりたい、こう考えておるわけでありまして、お答えの範囲を逸脱するかもしれませんけれども、中小企業に対する、この問題に限らず全面的に中小企業というものの規模に着目して、各経済政策の面において積極的に行政運営についても考えたい。これはいずれ立案をいたしまして御審議をお願いしたいと考えます。
#205
○竹本委員 この点は珍しく積極的な御答弁をいただいたのだけれども、私はいま大臣が御答弁のように、この問題だけでなくて、すべて強いものと弱いものが自由競争をやれば、強いものはほとんど全部ワクを食ってしまう。昔桑田経済学博士が自由競争は烈風のごとし、強い火はどんどん燃え盛る、弱い火はろうそくのように消えてしまうと経済学の原典にも書いております。ワクの問題もみんなそうです。
 だから私は、先ほど言ったように、中小企業の非合理性を貫けということは言わない。やはり経済は経済の論理、原則、法則があるから合理性を貫くのが第一です。しかし、第二は大臣も先ほど来言われるように、中小企業のためには政治的な特別の配慮も要ると思うのです。その配慮のしかたは、自由に、先着順で公平に受け付けますというようなとぼけたことでなくて、ちゃんと中小企業のためのワクをつくってやるのだというだけのあたたかい御配慮を、いまお話しのようにこの問題だけでなく全面的にあらゆる産業経済政策の中で取り入れていただくことを御要望申し上げておきたいと思います。
 そこでもう一つ、この問題に関連して住宅政策が政府の重大な政策となっておりますので、私は建築用材についてはこの際特別に配慮すべきではないか。いま四四のところですけれども、建築用の木工品及び木製品の建具、この二つについては普通の製品と違う、そのワクの中に四四の二二のところですが、これはむしろ四四の一三のところに持っていってしまって、建築用の木工品及び木製の建具というようなものについては、政府が住宅政策に力を入れる限り、そして現在の木製品の値上がりというようなものを考える場合、何としてもこれは特別の扱いをするのがほんとうじゃないか、それが政府の政策に対して一体となって役立つのではないか、かように思います。
 この点について、おそらくまた先ほどの国内産業に重大な影響ということからくれば、農林省の貿易関税課とかあるいは林野庁とかいうようなところがら若干異論が出るかもしらぬと思いますけれども、しかし住宅政策というのがこれだけ重大な課題になっておるし、マイホームの夢がこれだけ重大な問題を持っておるときで、しかも足らないのですから、木製品というのは床柱だってないのだから、そういうものについては一々税金をかけるということ、建築についてワクを弾力措置で広げましょうなんてまだるっこしいことを考えなくても、政府の住宅政策という超重点政策があるのだから、それに対応するような関税のとり方も考えたらいいのじゃないか、かように思いますが、この建築用木製品及び木製の建具について、こまかい表を入れかえるなり再検討する御意思はありませんかということです。
#206
○大蔵政府委員 御指摘のように、私どもといたしましては、建築用木製品等の関税に関しまして、できるだけこれは引き下げるべく考えるのが現在の情勢に適応するものと考えておりますので、今後関係各省と相談をいたしまして前向きにひとつ検討さしていただきたいと考えております。
#207
○竹本委員 今度は前向きの内容の問題になるわけですが、もう一度念を押しますが、いままでのこの品目の分け方というものは、これはいつ分けられたか私詳しく知りませんが、相当前でしょう。ところがいまのように住宅政策、マイホームというものが非常に大きな政治課題になり、東京都議選でもこれが一番大きな問題の一つになっておる。しかも木材は足らないということになっておれば、関税関係の表も、いつも昔の古い表を持ってきて、これはこちらに位置づけられておるからこれだ、しかしその範囲内において最大限の努力をしましよう、前向きに努力しましょうということでなくて、表の編成のあり方そのものを、住宅政策なりマイホームなりに重点を置いたという政策に対応するように編成がえをしなければいかぬとぼくは思うのです。昔の表をそのまま使って、その表の範囲内で最大限度の前向きの努力をしましようということでなくてですね。表そのものが、住宅政策がこれほど重点になっていない、木材がこれほど足らないという問題のないときにつくった表を幾ら活用してみたって限界がありますよ。だから政府の政策は効果を示さないのですね。
 物価を押えるといったら全部物価を押えるように組みかえなければだめですよ。輸入のワクを広げようということならまたそれに応じたように組みかえる。さらに住宅政策に力を入れようということなら住宅政策にひとつ真正面から取り組むようにあらゆる分野から協力をしていかなければならぬと思うのに、関税のほうは古い表を使って、その中でひとつ最大限度に努力します、こういうことをいっておったのでは間に合わない。そこで私が言うのは、表の組みかえをやられることも含めて前向きに検討していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#208
○大蔵政府委員 関税の分類に関しましては、国際的に実はいわゆるCCC――関税協力理事会という場におきまして、各国の分類が違っておりますと非常に不便な点がございますので、国際的に統一をしようということで毎年何回か会合が行なわれます。ほかの国との統合性と申しますか統一性というものの必要性というものもございますので、日本だけがかってに分類の表を組みかえるという問題はなかなかむずかしいかと思いますが、その分類をされました中の税率に関しましては、各国それぞれの立場から税率を定めることができるわけでございますから、この中の、要するに日本の重点を置くべきものの関税をできるだけ今後下げていくという方向にできるだけ重点を置きまして、分類そのものを組みかえるということはなかなかむずかしい問題かと考えております。
#209
○竹本委員 いまおっしゃるのはよくわかりますよ。ところが初めは四四の一三で適用してみた、後には二三で適用してみたというような例もあるらしいんだね。これはまだお互いの間ではっきり調べておらぬからよくわかりませんが、一応そういう話も聞いておる。
 そうしてみると、これはまたある意味からいえば解釈の問題だ。かんなをかけたものといったり、建築用の木製品といってみたりすると、国際的な表の編成がえはできないにしても、あるいは解釈の適用で、日本はいま特に住宅問題が重要だ、田中政府もこれを一生懸命やっておるのだ、これでいくほうが日本の実情に合うから、少し解釈に無理があってもこれでいこうということができるなら、それも含めてひとつ検討してもらいたい。時間がなくなりましたから、このくらいであとは要望しておきますので、文字どおり前向きに取り組んでもらいたい。
 とにかく、輸入をふやすという以上は、ほんとうならば輸入はどの品物をも含めてどの辺まではふやすというようなねらいがなければ、七億円を割ってみたけれども五月にはもう終わりです、六月には特別サービスで一回だけ猶予期間を置きます、七月からは全部だめです、こういうような話ばかりやっておったのでは、輸入政策が物価問題に役立つことはほとんど期待できないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、六月二十九日のマルクの五・五%切り上げを中心にしていろいろ問題が起こっておる。そこで時間がありませんからまとめて私の考えを先に申し上げますが、共同フロート、EC各国がやっておるものには二重、三重に無理があると私は思っておるのです。その無理の第一は、これは何といってもいま国際通貨危機の背後にあるものはドル問題である。過剰ドルである。これはもう大臣は専門でよく御存じでございますから、言う必要はありませんが、あることは事実です。それからその次に今度共同フロートの内部において、ドイツとフランスの場合をとってみてもすぐわかるように、国際収支あるいは経済の生産性の問題あるいはインフレに対する取り組みの問題、各国各様のそれぞれの特殊事情というものが相当あり、それが経済の力にあらわれ、それが為替のレートにまたあらわれてくるということで基本的な矛盾がある。
 したがって、共同フロートというのはもともと変則的な事態であって無理がある。もしこの無理を調整しようと思えば、この間ドイツがやったように、三%、今度また五・五%、こういうふうになればしょっちゅう通貨価値の調整をやらなければならぬ。しょっちゅう調整しているなら、何のために共同フロート制を組んでいるかということになるから、現にドイツだって、大臣御存じのように、こうなったらやりきれない、単独フロートのほうがさっぱりしておっていいんだというような意見も出てきておるように見受けておりますが、ドイツだけではない、こんなややこしいものはかなわない、入ってもワクを組んでいくにはなかなかたいへんだというので、イギリスやイタリアは初めから入らない、こういうことになっておる。入ったドイツも今度飛び出して、単独フロートになるかならないかは別として、そこに大きな矛盾がある。
 要するに共同フロートというものは、各国の経済事情がそれぞれの行き方や内容が違うものだから非常にむずかしい。それに応ずるためには通貨調整をひんぱんに繰り返すということになる。そうすればまた、共同フロートが何のためになるかがわからなくなる。そうかといって今度飛び出して単独フロートということになれば、共同フロートは御破算ということになる、こういうふうに考えるので、共同フロートの弊害とか危険性とかいうことにも関連いたしますが、共同フロートについて大臣は一体いかなるお考えをお持ちであるかが第一点。
 それから第二は、これも私の持論でございますから先に申し上げておきますが、これは大臣もそのようだけれども、固定相場制に返るべきである。日本はいまの条件がむずかしいことはよくわかりますけれども、方向として固定相場制に返るべきであり、その返る場合については日本こそが積極的なイニシアをとるべきである。日本がとらぬでだれが一体とるかというのは、ここで何度か私も議論を申し上げたつもりであります。
 それから同時に、固定相場制に返るということと相関連して、やはり交換性回復ということを考えなければいかぬというふうに私は思っておる。
 ところがこれはいろいろまた変わった動きがあるようですから、きょうは最後にお伺いをするのですが、第一点は、いま申しました共同フロートというものについてどれだけの期待を持ち、どういうふうにお考えになっておるかということ。それから第二点は、固定相場制に返り、交換性回復ということはむずかしいことはよくわかりますが、そのために日本がもう少し積極的にイニシアをとっていただきたいと思いますが、いかがでございますかということ。
 最後に第三点としましては、二十カ国委員会代理会議における国際通貨改革討議の中で、金廃貨の可能性をも含む金の二重価格制度の解体構想がいま具体的に持ち上がっておるということを聞くのでございますけれども、はたしてそうであるか。また一説によれば、日本政府は二重価格制度の解体構想にはそれこそ前向きに取り組もうという決意をなさっておるということを言うものもあるが、そうであるか。各国が一斉に公的に持っておる金を全部自由市場に投げ出せというような強い意見もあるこの際でございますから、あわせて第三点としてその点をお伺いしたい。
 以上でございます。
#210
○愛知国務大臣 まず第一の共同フロートということばでございますが、これは正確にいえば、ドイツ、フランス等がヨーロッパで共同フロートをやっている意味と理解いたしたいと思います。あとはそれぞれ自主的な立場でフロートをしているということが現状であります。マルクの切り上げは、そのヨーロッパにおける共同フロートをしているその中での調節であって、そしてその共同している各国の対ドルの関係において、これは共同でフロートをしているその状態には何らの関係はないわけでございます。同時に、日本に対してはそういう限りにおいて、また日本と他国との関係においては直接の影響はございません。したがって、東京市場ではむしろドルが現状は不足ぎみであって、したがって平静に円相場が推移している、それが現状である。
 ところでドルが、また再切り下げをやるのかどうかということは、これは今後の問題でわかりませんし、あり得るかどうかわかりませんが、ともかく不安定な状況下において、切り上げはともかくとして切り下げ競争のようなことになることは一番世界的に不安定な状態が繰り返されることになりますから、そういう状態は起こらないようにいたさなければならない。
 したがって、日本の立場としては、すでに合意ができていますステーブル・バット・アジャスタブルなパーバリューシステム、これがいわゆる固定相場、しかしながら調整可能なという考え方、これは各国が合意をしているものでありますから、抽象的な表現ではあるけれども、固定相場制ということを頭に置きながら、一日もすみやかに国際通貨制度の再建ということが建設できることを望んで、日本は積極的に、リーダーというおこがましいことは申しませんけれども、積極的な役割りを引き続き続けてまいりたい、こういうふうに基本的に考えておるわけでございます。
 それから、その際にはもちろんコンバーティビリティ、交換性の問題というものがその中の大きな課題であるということは御説のとおりでございます。
 それから、金につきましては、たとえばアメリカの当局などが金の廃貨論ということに触れた意見を出しておることも事実のように見受けられますけれども、日本としてはやはり金の問題については真剣な考え方をしていかなければなりません。現状におきましては金について日本政府が、こうこういう態度をとるべきであるということを国際的に表明したことはございません。金の問題につきましては、これは大きな問題であり、また日本といたしましても十分慎重に対処しなければならない問題でございますから、世界各国の状況を十分掌握しながら、日本として将来ともに国益に適するような考え方というものを、各国協調の中に確立していくような努力を続けるべきである、このように考えております。
#211
○竹本委員 この問題は非常に重要な問題でありますし、短時間で論議すべき問題ではありませんので、私の持論を述べた程度で終わってしまいますけれども、この辺できょうの質問は終わります。
#212
○木村(武千代)委員長代理 次回は、来たる十日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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