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1972/05/09 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第16号
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1972/05/09 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第16号

#1
第071回国会 外務委員会 第16号
昭和四十八年五月九日(水曜日)
    午後二時十分開議
 出席委員
   委員長 藤井 勝志君
   理事 石井  一君 理事 小坂徳三郎君
   理事 西銘 順治君 理事 福永 一臣君
   理事 堂森 芳夫君 理事 金子 満広君
      石原慎太郎君   小此木彦三郎君
      加藤 紘一君    小林 正巳君
      竹内 黎一君    深谷 隆司君
      福田 篤泰君    宮澤 喜一君
      山田 久就君    川崎 寛治君
      河上 民雄君    三宅 正一君
      米田 東吾君    柴田 睦夫君
      渡部 一郎君    永末 英一君
      瀬長亀次郎君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        外務省アジア局
        長       吉田 健三君
        外務省アメリカ
        局長      大河原良雄君
        外務省欧亜局長 大和田 渉君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   田中 秀穂君
        外務省条約局長 高島 益郎君
        外務省条約局外
        務参事官    松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      影井 梅夫君
 委員外の出席者
        外務省経済協力
        局外務参事官  本野 盛幸君
        外務省経済協力
        局経済協力第二
        課長      加藤 淳平君
        大蔵省国際金融
        局投資第一課長 瀬川 治久君
        文化庁長官官房
        国際文化課長  角井  宏君
        外務委員会調査
        室長      亀倉 四郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君    小此木彦三郎君
  小林 正巳君     山村新治郎君
  竹内 黎一君     阿部 喜元君
  深谷 隆司君     西村 英一君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部 喜元君     竹内 黎一君
 小此木彦三郎君     加藤 紘一君
  西村 英一君     深谷 隆司君
  山村新治郎君     小林 正巳君
同月九日
 辞任         補欠選任
  稻葉  修君    小此木彦三郎君
  石野 久男君     米田 東吾君
同日
 辞任         補欠選任
 小此木彦三郎君     稻葉  修君
  米田 東吾君     石野 久男君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 千九百七十二年の国際ココア協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院
 送付)
五月一日
 ドイツ民主共和国承認に関する請願(金子満広
 君紹介)(第三四五三号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第三四五四号)
 同(松本善明君紹介)(第三四五五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月一日
 日朝国交正常化促進に関する陳情書外七件(益
 田市議会議長中島俊夫外七名)(第二七三号)
 同外五件(高知県議会議長市原芳郎外五名)(
 第三二八号)
 ベトナム民主共和国との国交正常化に関する陳
 情書(寝屋川市議会議長吉田正造)(第三二九
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決
 議第二千八百四十七号(XXVI)によつて採
 択された国際連合憲章の改正の批准について承認
 を求めるの件(条約第一号)
 アフリカ開発基金を設立する協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第二号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
#2
○藤井委員長 これより会議を開きます。
 千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XXVI)によつて採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題といたします。
 両件につきましては、去る四月二十五日に質疑を終局いたしております。
 まず、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。西銘順治君。
#3
○西銘委員 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっておりますアフリカ開発基金を設立する協定について、賛成の意を表明したいと存じます。
 経済協力を通じ、世界平和の維持と開発途上国の経済的、社会的開発の促進に寄与してまいりますことは、わが国にとりまして、真剣に取り組まなければならない緊急の課題であり、そしてまた、わが国の国際的責務でもあります。
 今回、わが国は、アフリカ諸国の経済的、社会的開発を促進する目的で、早ければことしの夏ごろには発足せしめたいとしているアフリカ開発基金に対して、千五百万計算単位相当額を出資することといたしました。
 この基金が活動を開始すれば、後発途上国の多いアフリカ地域と調和のとれた経済協力体制の形成が期待されるわけであります。
 アフリカ諸国は、独立達成後、自国の政治情勢も安定の傾向が強まるにつれて、国づくりへの意欲が急速に高まってまいりました。このため、先進諸国からの協力により、自国の経済社会開発を促進せしめたいとの熱意が国内にみなぎり、既存のアフリカ開発銀行を母体としてアフリカ開発基金を創設し、域外先進諸国とアフリカ諸国との関係を大きく進展せしめようとしているわけであります。経済力の充実したわが国といたしましても、これらアフリカ諸国の期待と要請に即応することがきわめて時宜に適したことであり、わが国にふさわしい経済協力政策の展開であると考えるものであります。
 申すまでもなく、本協定により設立されるアフリカ開発基金は、アフリカ開発銀行を補足する金融機関として、緩和された条件で融資が行なわれ、アフリカ諸国の経済社会開発に貢献しようとするものであり、また基金の運営に関しましては、域外先進国、アフリカ諸国側ともにフィフティ・フィフティの原則に立ち、アフリカ諸国に対する配慮が協定上明確にされておるわけであります。
 さらにわが国政府が積極的にこうした国際機関に参加することは、政府開発援助比率を高めることにもなり、またわが国の経済協力がアフリカ地域に対し、多国間援助を通じ、政治的経済的条件のつかない援助への手がかりにもなるわけであります。
 こうしたわが国の対外経済協力の姿勢が、アフリカ諸国の経済社会開発に寄与するというばかりでなく、今後アフリカ諸国との関係を深め、わが国との友好関係の強化にも大きく資するものとして、本協定に対し賛成の意を表明するものであります。
#4
○藤井委員長 河上民雄君。
#5
○河上委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま賛否が問われておりますところのアフリカ開発基金を設立する協定に対し、反対の意思を表明いたそうとするものであります。
 本協定を貫く、アフリカ開発に対し全世界の国々が経済協力する精神を否定すべきものでないことは、言うまでもございません。しかし本協定の審議に際して幾多露呈されました納得しがたい点があることは、まことに遺憾であります。
 私どもは、以上のような点から、残念ながら本協定に反対せざるを得ないのでございます。その納得しがたい問題点を次に列挙いたしまして、討論にかえさせていただきたいと思います。
 第一には、本協定に対する原参加国が、アフリカ銀行及びユーゴスラビアを除きましてすべて西側諸国に限られているという点であります。したがって、ソ連、中国が加入してないのみならず、フランスも、西側の中においてはこれに参加いたしておりません。しかも本協定をしさいに検討いたしますときに、あとからこれらの諸国が加入することは、必ずしも封じてはおりませんけれども、非常に困難な場合も考えられるのであります。
 第二点といたしまして、この協定がアジア開銀の場合と比較いたしますと幾多の改善された点があることは、審議の過程で明らかになりましたとおりでありますけれども、しかしなお幾つかの点で私どもの不満とする点が残されていることは残念であります。改善された点は、アフリカ開発基金の運営に関しまして、アフリカ銀行、つまりアフリカ諸国、域内諸国のヴォートが五〇%を占めるという点は、アジア開銀とは著しく異なったものではございまするけれども、しかしその半面、第十五条の四項の(a)に基づきまして、この開発金庫の総合計画への融資を行なう場合に、その融資によって生まれる資金は、参加国または構成国、つまりこのアフリカ開発銀行及びアフリカ開発基金に参加した諸国の領域内で生産される物品あるいはそれらの領域から提供をされる役務を調達するもののみに使用さるべきであるというふうに規定されておるのであります。これは薄められているとはいえ、ひもつき援助になる危険が非常に高いものでございます。
 第三点として、私どもが注意しなければなりませんのは、原参加国のメンバーからソ連、中国などいわゆる社会主義諸国が排除されておりますにもかかわらず、他面アメリカ合衆国の参加に対しまして非常に過大な配慮がなされておる点であります。
 この点に関しましては、審議の過程でしばしば政府に質問をいたしましたが、十分な答弁が得られなかったのはまことに残念であります。本協定の附属書A1によりますると、事実上アメリカ合衆国に対してのみ、出資の期限がたとえおくれましても原参加国として認めるようになっておるのでありまして、アジア開銀のその後の状況あるいは最近の国際経済協力機関におけるアメリカの活動から見まして、アメリカは出資をしばしばためらっている場合が非常に多いのでありまして、そのようなアメリカに対しまして本協定において原参加国としてアメリカを入れるために特別な配慮をしている点はわれわれの納得しがたいとする点であります。特に附属書Aの1及び2をあわせて読みますときに、他の諸国に対しましては出資額におきましては計算単位において明記いたしまして、アメリカ合衆国ドルの価値の低下のいかんにかかわらず計算単位をもって出資を確実に要求いたしますのに対しまして、アメリカに対してのみアメリカ合衆国ドルをもって出資する、そういうふうになっておりますことを特に注意しなければならないと思います。これは本来協定の性質から見まして解釈留保をつけるべき性質のものであるというふうにわれわれは考えまして、再三政府に迫まりましたけれども、多国間協定のゆえをもってそれは技術的に困難であるというようなことで、特に外務委員長より政府に先般記録に残されましたような趣旨の要請をしていただいたわけであります。私どもはこの協定の賛否をここに表明するにあたりまして、重ねてこれが具体的に行なわれるようにお願いをしたいと思います。
 しかし、いずれにせよこのようにアメリカ合衆国に対してだけ特に原参加国になるようにすすめるにあたりまして特別な配慮をする、こういう本協定の背景についていささか納得しがたいものをわれわれは感ぜざるを得ないのでございます。
 第四点といたしまして、この千五百万ドル計算単位をわが国が出資するにあたりまして、予算において計上せず国債で支払うというふうになっておる点であります。
 国債の理論についてはいろいろ論議のあるところでございますけれども、本来公共事業に充てらるべきものであるのが常識でございまして、そのような国債理論からいいましても、このような対外支払いに国債を充てることがよいかどうか非常に問題があるように思うのでございます。
 私どもは、以上のような諸点から、冒頭に申し上げましたように、今日アフリカ諸国がその歴史的な課題として開発に非常な熱意を持っておりまして、今日全世界の諸国が経済協力をすべき精神においてはわれわれも変わらないのでありまするけれども、残念ながら本協定に反対せざるを得ないのであります。
 わが党の対外経済政策の基本といたしますところは、平和、自立、経済育成の援助の原則でございまして、これは開発途上国に自立的な成長と真の経済的な独立を実現するようにわれわれは努力すべきである、そういう考え方に立っておるのでございます。そのような点から見まして、今日アフリカ開発基金において、本委員会で討論いたしますにあたりまして、あらためて日本政府が対外経済協力政策につきまして、アジアにおける対外経済協力がいま惨たんたる失敗といいますか非常に多くの問題を引き起こしているおりから、基本的な反省をしていただくよう強く望みたいところであります。
 以上、わが党の立場を付記いたしまして本協定に対し反対の討論とさしていただきます。
#6
○藤井委員長 柴田睦夫君。
#7
○柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、アフリカ開発基金を設立する協定の締結に反対の態度を表明いたします。
 本協定は、基金の構成や運営などについて一定の民主的な内容をうたってはおりますが、協定十五条でこの協定の本質が明らかにされております。
 日本共産党・革新共同は、すべての海外に対する経済技術協力は平和五原則に基づくべきであり、あくまでも平等互恵の立場を貫くことを主張してきました。同時に、この立場に立脚して、社会進歩を目ざす国際的連帯は、世界の平和と諸民族の独立のために積極的なものでなければならないことをも明らかにしてまいりました。
 ところが協定の十五条四項(a)に集中的にあらわれておりますように、アフリカ基金が融資する「資金は、参加国又は構成国の領域内で生産される物品及びそれらの領域から提供される役務をそれらの領域内で調達するためにのみ使用される。」こうなっています。これは融資された資金をアフリカ諸国が使うにあたっては、その調達先が融資をした国または基金構成国からだけに限定されることを明らかに義務づけています。アフリカ開発銀行の構成国も調達先として提起されていますが、開発途上国のアフリカ諸国は結局その経済技術などをいわゆる先進国に依存せざるを得ないことは明白であります。このことは、アフリカ諸国が自国の開発にとって有利な調達先を自由に選べないことを意味しております。それだけでなく、逆に融資を行なう国は、アフリカ諸国に調達先としての地位を協定で法的に確保できることになっております。これが平和五原則の立場に反し、ひもつきになることは明らかであります。
 本開発基金協定は、アフリカ開発援助の名目のもとに、多数国間の援助という形をとり、その内容は、アフリカ諸国人民の主権を侵害し、大企業の海外進出に道をあけるものといわなければなりません。
 以上の理由により、日本共産党・革新共同は、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求める件について反対をするものであります。
 以上です。
#8
○藤井委員長 渡部一郎君。
#9
○渡部(一)委員 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりましたアフリカ開発基金を設立する協定に関し、反対の意思を表明するとともに、本協定と不可分の関係にあるわが国の対外経済協力政策について、わが党の立場を明らかにしようとするものであります。
 今回政府は、アフリカ開発基金の創設にあたり、一国の出資規模としては最大の千五百万計算単位相当額を出資することにより、後発途上国の多いアフリカ地域に対して経済協力の体制を整えようとしております。しかし、先進諸国とアフリカ諸国との間を結びつけようとするアフリカ開発基金が、有効適切なるパイプ役としてその効果を発揮するためには、資本主義国、社会主義国のいかんを問わず、ひとしく基金に参加した国がアフリカ諸国の経済的、社会的開発に協力し、アフリカ人民とその他諸国の人民とが真に同一の人間的レベルの上に立ち、友好と連帯を強化し得るような基金運営がなされなければならないと考えるものであります。
 本委員会の質疑を通して明らかになりましたとおり、本協定は数々の問題点を含んでおりますが、最も大切なことは原則的な立場に関する問題であります。ところが、政府側の説明によりますと、本基金は多国間による経済援助方式であるとの御説明でありましたけれども、実際的には集団ひもつき融資とでもいうべきものであり、実際上には大口の出資国がその運営における主導権を握ろうとする顕著な傾向が認められ、特にアメリカ政府のこうした傾向に対して指摘せざるを得ないのであります。
 そもそもアフリカ開発基金構想が具体化する動きを示し始めたのは、一九七〇年三月、アメリカが、カナダの提案するアフリカ開発基金構想にアメリカは参加する用意があるとの表明をなされてから以後のことであり、それから各国の話し合いが急激に進展を見せ始めましたことは事実の示すところであります。このようにアフリカ開発基金設立の具体化へ大きな影響性とイニシアを与えたアメリカのみが、当初出資額を協定上明らかにしていないことは、いかなる国内事情があるとはいえ、はなはだ不可解なことであります。
 しかも一九七三年四月に公表されたアメリカの外交報告では、アメリカは、アフリカ諸国との関係を強化し、貿易と投資の拡大化をはかる旨明らかにしたとおり、アフリカに対するアメリカの経済的関心の深さを強く示しております。このような動向は、今後アフリカに対するアメリカ経済政策を、この基金を通じて強力に推し進めていくものではないかと思われるのであります。したがって、この基金が強国の経済進出の道具として利用される疑いを抱かざるを得ないわけであります。
 このようなアメリカの意図に対して、わが国は多額な外貨準備資金を組み合わせることによって、多額の出資は日本、その主導権はアメリカというような側面を持つというわけでありまして、これは決して好ましいものではありません。うがっていうならば、安保体制の経済協力版とでもいうべきものでありましょう。
 わが国の援助政策は、従来から他国の援助政策の動向を見て、それからわが国の態度を決定するというような受動的な傾向が強く、しかも援助に名をかりた経済権益の確保をねらおうとするわが国の政策に対して、開発途上国の批判がいまや集中しつつあります。
 元来、わが国の対外経済協力政策の展開は、アメリカとの協調を絶対的原則としているため、この対米追従の姿勢を変えない限り、抜本的政策の確立は望み得ないのであります。またわが国の経済界の恣意的な営業行動と、もうかればよい式の発想を離脱しない限り、アジア諸国の間に台頭してきた対日批判は、アフリカ地域にもさらに拡散、定着するおそれがあるのであります。すでに多くの国々から受けている対日批判の中で行き詰まりを示しているわが国の対外援助政策を、まず基本原理から立て直すことが、わが国自身に対しても強く要請されるのであります。しかるに、本委員会における質疑を通じても明らかにされたとおり、いまだ原則が不明確であることはきわめて遺憾であります。
 私は本席をかりて、わが国の経済協力のあるべき姿勢についての基本原則を提示してみたいと思うのであります。
 それは国際間の経済協力に対し、一、自主独立及び主権の相互尊重。政治的、経済的内政の不干渉。第二に、平等互恵の貿易、金融政策。第三に、被援助国のみずからの発意に基づく国内産業の発展をわが国の基本原則とすべきであります。
 また援助についていうならば、第一に、二国間援助から多国間援助方式への移行。第二に、ひもつき援助の排除。さらに第三として、被援助国の経済秩序を破壊しないという三点を明確にしなければなりません。
 これらの原則は、わが国のこれからの外交方針を確定するにあたって考えるべき問題ではなかろうかと思い、この席をかりて同僚議員並びに外交当局に対してあらためて提示するものであります。
 これらの諸点を考えるにつけましても、アフリカ開発基金が必ずしも満足すべきものではなく、むしろ強国の恣意的な運営の危険性を内包していることを率直に指摘し、本件につき反対の意を表明するものであります。
#10
○藤井委員長 永末英一君。
#11
○永末委員 私は民社党を代表いたしまして、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について、承認すべきものと考えます。
 その理由を御説明申し上げます。
 われわれは社会主義者といたしまして、一国内においてそれぞれの国民が経済力の点におきまして均分化すべしということを基本にものを考えてまいりました。それは国際的に考えますと、それぞれ国際社会を形成している国家の経済力に、きわめて不公平な配分が行なわれるとするならば、そしてまた、それが発展途上国の発展に対してきわめて有害な原因になっているとするならば、経済的余力のある国は、それら発展途上国の経済発展のために経済的協力をすべきが、社会主義者の精神においては当然であると考えるからであります。
 われわれ日本の国を取り上げました場合には、必ずしも自民党政権の経済政策のやり方は、わが国の全部の国民に経済的均分化を保障しているものではございません。しかしながら、現在の国際社会を形成している国家の経済力という点からいたしますと、わが国にはやや発展途上国に対する経済協力の余力があろうかと存じます。
 今回アフリカ開発基金に対して多額の出資をいたそうとするのでございますが、自民党政権のやり方の間違いは、外貨準備をたくさん持ちましたけれども、これが国内におけるきわめて悪質な経済混乱を引き起こす原因をもたらしました。しかしこれらの外貨準備の力と見合いつつ、アフリカにおける発展途上国に対して経済協力を、この開発基金を通じて行なおうとすることは、必ずしも現在の国民の意思に反しないものだとわれわれは考えます。しかし、このアフリカ開発基金の構成並びに運用が一〇〇%完全だとは思いません。それぞれ問題がございます。さらにまた、わが国の発展途上国に対する経済協力のあり方もまたきわめて不統一、無原則的な感がございまして、それは借款の供与のしかたあるいは技術協力の取り組み方等につきましても、必ずしも明確な基本的原則を堅持しつつ、国民の支持を受けつつ行なわれているというぐあいには見えません。わが国はアジアの一国でございます。したがって、われわれがまず注目すべきはアジアであります。今回、アフリカにこれらのわが国の経済力をさこうとするにあたって、わが国の政府の責任者である大臣が一度もこのアフリカ地域へ足を踏み入れたこともないというような状況のもとでこのことを行なおうとするのでございますから、国民の金が使われる以上、もっと政府は本腰を入れて、アフリカもまたわが国の経済協力を受ける対象側でございますから、十分の情報をとり、これらの資金が全くわが国民の意思に反しないように使われるよう注意をしていく必要があろうと思います。これらの資金はアフリカの発展途上国の民族国家の発展に資するのが目的であって、いやしくも出資国のどこかの特定国の経済的利益をもたらしたり、あるいはその出資国の一部の者の経済的利益をもたらすものであってはならぬと考えます。これらの点につきましても政府は厳重に戒心をされ、運営に全きを期せられんことを期待いたしまして、われわれの承認の意思を表明いたします。
 終わります。
#12
○藤井委員長 これにて討論は終局いたしました。
 アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#13
○藤井委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XXVI)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#14
○藤井委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#16
○藤井委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。
#17
○石井委員 しばらく外務委員会が開かれておりませんでしたので、最近起こりました世界情勢、国際情勢について総括的な御質疑をさせていただきたいと考えるわけでございます。
 最初に、アメリカのニクソン大統領が出しました外交教書に関しまして、いろいろの問題点があるわけでございますが、これに関して数点お伺いをしたいと思います。
 その一つは、日米安保条約の二条に関連する問題でございますけれども、教書の中に、両国の経済的紛争はその同盟関係の構造を引き裂くことができるものだ、こういう表現がある。私、これはわが国に対する一つの威嚇であるという、そういう感触を持ったわけでございますが、まず、政府のこの点に関する御見解からお伺いしたいと思います。
#18
○大河原(良)政府委員 五月の三日に発表されましたニクソン大統領の外交教書の日本に関しまする部分の中に、ただいま御指摘ございましたように、日米間の経済関係を非常に重視し、経済問題に関する日本側の積極的な取り組み方を要望するくだりにおきまして、安保条約第二条の規定を援用しつつ、経済の協力ということを強調し、その関連におきまして、経済問題について十分な調整が行なわれない場合におきましては、政治関係にもひびを入らせるおそれがあるのだという趣旨のことをいっているくだりがございます。私どもこのくだりを読んでみますと、前後の文脈からいたしますと、日米間にこの二、三年来ずっと続いておりまする経済問題に対する米側の強い要望が重ねて外交教書の当該部分におきまして強調されているということでございまして、経済問題に対する日本側の積極的な取り組みぶりを強く要請しているもの、こういうふうに受けとめてしかるべきかと考えるわけでございます。
#19
○石井委員 いま政府委員が率直に認められましたように、経済的な問題が解決されなければ日米安保を破棄してもかまわないというぐらいの、そういうふうにもとれる表現だということであると、日米安保というものがいわゆるほんとうの友好なり相互理解というものを基礎にできておるものでなくて、アメリカの軍事的、経済的な国益の追及の上に立っておる、こういうふうな考え方までできるのではないかと思うのでございますけれども、この点について外務大臣はどういう御感想を持っておられるか、一言お答えをいただきたいと思います。
#20
○大平国務大臣 経済関係が緊張してまいりますと、それが政治関係に亀裂を生じないとは限らないという意味のことは、いま石井さんは対日関係についての言及でございましたけれども、今度の外交報告の中には、日本だけでなくてヨーロッパにつきましても同様なことが言及されておるわけでございまして、そのことはたいへん日本側には刺激的に映ったようでございますけれども、報告がいっておりますことは、経済関係を円滑にやってまいることがしかく重要であるということを世界全体に対して表明したくだりでございまして、私といたしましては特にこの問題を取り立てて刺激的な表現であるというようには受け取っていないわけでございます。
#21
○石井委員 アメリカの深刻な経済問題ということはわれわれも理解するわけでございますけれども、それにしても、こういう状態に当面したのはどうしてかという反省なり、そういうふうなものに対する配慮が私は非常にアメリカ側として少ないのではなかろうかという感じがいたすわけであります。外務大臣御自身も、記者会見か何かでアメリカ側の理解が少し少ないというふうなことをおっしゃったように――これに対してであったかどうかわかりませんが、そういう見解をお述べになったようでございますけれども、外交教書全体を見られて、少なくとも日本側はパートナーであるアメリカならアメリカに率直に指摘すべき問題、あるいは日本の見解というものも出していかれるということも、これは間断なき対話ということの上からも非常に必要なことではないか、こう思うのでございますけれども、外務大臣としては少なくともそういう問題を指摘し、今後対話の中に繰り入れられていこうとする御意思があるのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
#22
○大平国務大臣 非常に大部な報告でございまして、私も、残念ながら、対日関係の部分だけを読んでおるにすぎません。全体をいま勉強中でございまして、これから、対米外交にばかりでなく、外交担当者といたしましては、この教書、この報告というものを十分消化いたしまして、これに対しましてわが国としての受けとめ方をちゃんと取りそろえなければならぬと考えておるわけでございまして、いま御注意がございましたように、政府といたしましてもこれは十分検討いたしまして、非常に広範にわたる問題を含んでおりますので、これに対しましてちゃんとした、対応に誤りのないようにいたしたいと考えております。
#23
○石井委員 ぜひそのように願いたいと思いますし、私は、やはり率直な日本の見解というものを訴えていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 この教書の中に、たびたび日米同盟関係ということばがあるわけでありますが、同盟といいますと、何となく私たちには昔の軍事同盟というふうな印象がひらめくわけでございますけれども、これはどういうふうに解釈をしたらいいのか。同盟というのを日米安保などをさしておるとすれば、国連憲章に基づく集団安全保障体制というのは、従来の軍事同盟というのとはおよそ質的に異なる考え方である。したがって、この教書の中の同盟の用語について、政府はどういうお考えを持っておられるのか、いかがですか。
#24
○大河原(良)政府委員 同盟という関係を、日本との関係についてだけではございませんで、たとえばヨーロッパ諸国との関係におきましても同盟関係ということを使い、また、別の個所ではパートナーシップという表現も用いておりまして、全体の文脈で読みます限りは、同盟というただいま御指摘の点は、むしろ、アメリカの非常に強いきずなを持った友好国、友邦という趣旨に使われているものと考えたいと思います。
#25
○石井委員 パートナーシップというふうにいわれている場合もありますが、原則的に使われているその同盟ということばは、どういう用語になっておりますか。
#26
○大河原(良)政府委員 最初の御質問の中で、同盟というのが古い意味の軍事同盟的な意味合いを持たないか、こういう御指摘がございましたけれども、日本がアメリカと結んでおります安保条約は、国連憲章にのっとる集団安全保障体制の一つの形式でございまして、その意味では、国連憲章に認められた相互集団安全の形であって、古い意味の軍事同盟的なものではない、こういうことが言える性質のものだと考えます。
#27
○石井委員 原語のものを見ておりませんので、その点私御質問したわけですが、この教書で初めて、同盟関係というものがたびたび指摘されておる。私はちょっとふしぎに感じるわけでございますので、いま答弁を求めませんから、ひとつこの点は、後刻お調べの上御回答をいただきたいと思います。
 それから、昨年の箱根会談において、アメリカ側から、軍需品の買い付け増大をコミットしたと、こうなっておるが、これはどういうことなのか。事実に反するという感じもいたしますけれども、そういうコミットメントがなされたのかどうか、この点をひとつ、こまかいことですが、お伺いをしておきたいと思います。
#28
○大河原(良)政府委員 外交教書の一部に、昨年夏の箱根会談に触れましたくだりがございまして、その中で、米側は、箱根会談におきまして日本側から軍需品の買い付け増大についてコミットメントを得たという表現がございます。この表現につきまして、政府といたしましては、全く事実に反することでありますので、ワシントン及び東京におきまして、即刻米側に対しまして、この事実に反する点を指摘いたしましたところ、米政府もこの点の記述が事実に反することを認め、その点を日本政府として言明されて差しつかえないということを連絡してまいっております。
#29
○石井委員 次に、最近キッシンジャー補佐官が提唱いたしました新大西洋憲章機構に関する問題で、外務大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、これもやはり、アメリカの非常に経済的なクライシスと申しますか、経済的な危機というものに関連があるように私には思えてなりません。いわゆるヨーロッパでは、最近、全欧安全保障体制だとか相互兵力削減だとかいうふうな自主的な動きも起こっておるさなかに、アメリカ側からこのような、新たに東西の対立を増すかもしれないというふうな形の提案がなされ、また日本に対してもそれに参加をしてほしいというふうな表明がなされておる。この構想を、外務大臣としてはどういうふうに理解されて、どういう形での協力をされようとしておるのか、この点お答えをいただきたいと思います。
#30
○大平国務大臣 キッシンジャー博士の講演がアトランティックチャーターというようなタイトルで報道されたわけでございますが、なぜそういうタイトルをとったのかということをよく考えてみますと、おそらくアメリカと西洋側が同一の信条あるいは同一の目標、そういうものを保持し、あるいは追求しておるというたてまえに立っておられるように思うのであります。ところが、現実にヨーロッパが直面し、そしてアメリカが直面しておる問題は、貿易にいたしましても通貨の問題にいたしましても、ひとりこれは西洋だけで解決できる問題でもなければ、アメリカの力量をもって処理し得る問題でもない、いわば世界的規模を持った問題であると思うのであります。したがって、そういった問題を解決してまいる場合に日本の参加を求めておるというのが、俗にいう日本に触れた部分ではないかと私は理解するのであります。
 これはキッシンジャー博士の講演をまつまでもなく、すでに貿易や通貨の面におきましても、これから先環境問題とかあるいは資源問題とか、いろいろな問題につきまして世界的な協力体制、とりわけアメリカと日本の欧州、ECとの間の緊密な協力がなければ解決できない筋のものでございまして、そういう筋合いの協力はすでに行なわれておるわけでございます。したがって、その限りにおいて、この講演の趣旨は私は十分理解できるところであると思います。
 ただ、軍事にせよ、政治にせよ、経済にせよ、これは不可分のものであって云々というような筋合いのものがございますけれども、私どもはNATOに関係しておるわけではございませんで、日米間に別個の安全保障体制を持っておるわけでございますので、事経済に関する限りにおきましては、われわれが当面している問題は世界的規模を持った問題である、世界的すそ野を持った問題である。したがって、日本も参加してまいることが日本の利益でもあり、世界のためでもあるという意味合いにおきまして、ここに継承されておる精神は十分理解できるところであると考えております。
#31
○石井委員 最近、ヨーロッパを訪問されまして、それらの話し合いの中で、たとえば日仏定期協議、新しい欧州のいわゆる緊張緩和に対する情勢の認識、ユーゴの中立政策とか、いろんなことについて触れられたと思うのでございますが、これまで記者会見なり参議院の外務委員会で発表されたもの以外で、この点はひとつこの委員会で申し述べておきたいというふうな問題がございましたら、外務大臣としての御見解を伺っておきたいと思います。
#32
○大平国務大臣 今度のヨーロッパ旅行を通じまして、各国の首脳と取り上げました問題は、ヨーロッパにおける安全保障会議の準備会議に臨む各国の態度、それから相互兵力均衡削減交渉の行くえ、中近東、地中海情勢、それから拡大ECの展望、そういった点について当方から先方の見解をただしたわけでございます。先方からは日米関係、日ソ関係、日中関係、インドシナ政策、朝鮮政策等についてわがほうの見解を求められたわけでございます。こういう一連の会談を通じまして感じましたことは、私が十年前に外務大臣として参りました当時に比べまして、ヨーロッパの日本に対する関心が非常に強いということ、日本に対する期待が非常に強いということがまず非常に強い印象を受けたことでございます。
 それから第二には、したがって、日本と安定した関係を持ち、絶えざる対話を繰り広げていかなければならないという必要性を彼らが十分認識しておるということが第二点でございます。
 それから、しかしそれも、先ほど申しましたように、貿易、通貨の問題はもとよりでございますけれども、今後日欧間で協力しなければならない問題は多々ある。資源問題しかり、それからアフリカ、中近東に対する経済協力問題に対する日欧間の協力、それから経済面では、来たるべき新国際ラウンドに対する日欧間の協力というような点につきましては、相当突っ込んだ協議を続けて、そしてそれを成功に導くようにお互いに努力し合おうじゃないかということでございまして、アメリカとの間には絶えざる対話が実は各層にわたってあったわけでございますけれども、日本と欧州の間におきましては、比較的これまで手薄であったと私は思うのでありますが、これからヨーロッパとの間にもっとひんぱんな対話を繰り広げていく必要があるのではなかろうか。そしてアメリカはアメリカ、ヨーロッパはヨーロッパ、日本は日本として、それぞれ主体的な立場を維持しながら、共通の目標達成に協力し合うという仕組みをつくり上げていく必要があろう、そのように私は感じました。
#33
○石井委員 ヨーロッパの問題に関しましてはほかにも質問がございますが、時間の関係もありますので別の機会にいたします。
 アメリカの外交教書の中で、日本の外交の独自性ということに関して触れておる面がございますが、そういう中で、中国との正常化であるとか、モンゴルとの関係なども指摘しておるようであります。私は、アメリカ追従の外交から日本の自主的な外交への展開ということをもっと積極的にやっていただきたいという考え方を持っておるものでありまして、北朝鮮、北ベトナム、東独その他いろいろな懸案事項、これはひとつ外務大臣に推進していただきたいという立場なのでありますが、モンゴルの大使館の開設というのはもう目前に迫っておるのではないか、これに対してはどのような処置をとられようとしておるわけですか。
#34
○大平国務大臣 昨年の二月二十四日に、わが国はモンゴル人民共和国と外交関係を樹立いたしました。引き続き、昨年の八月一日在モンゴル大使館設置関係の法律を施行いたしまして、ソ連にありまする日本大使館管轄のもとに公館事務を行なって今日に至っております。しかしながら、モンゴル政府の強い希望もありまして、わがほうといたしましては、できる限り早期にウランバートルに実館を設置することが必要であると考え、いま準備中でございますが、本年六月中旬には開館できることを目途にいま取り進めております。
#35
○石井委員 北朝鮮との関係で、昨日の報道によりましたら、WHOの加盟に対してたな上げに同調する、そしてその提案国になる、これは私は多少、政府の姿勢に対して遺憾の意を持っておるものでございますけれども、こういう立場になられたその理由というのはどういうところにあるのですか。
#36
○大平国務大臣 WHOは世界的規模で保健衛生の仕事をいたす国際機構でございますので、できるだけ多くの国あるいはできるだけ多くの地域が加盟いたしまして、その仕事が充実してまいりますことは本来望ましいことだと日本政府も考えておるわけでございます。
 それから北朝鮮に対しまして、私どもは特にこれを敵視するとか疎外するとかいうようなつもりは毛頭ないわけでございます。ただ、今回WHO加盟という問題につきましては、本来こういう問題は専門機関であるWHOでお取り扱いをされるのは必ずしも適当でないのじゃないか。その証拠に、東独がWHOに加盟するにつきましてもずいぶん長い間待ったわけで、また経緯もありますことは石井委員も御承知のとおりでございます。私どもとしては、こういうちょうど現時点におきまして、南北間の対話が進展しておるさなかに、相当な政治的インパクトを伴うようなことがWHOという専門機関において取り上げられることは適切でないという判断に基づきまして、今回審議延期の決議案に共同提案国として加わるという決意をいたしたわけでございまして、ほかに他意はございません。
#37
○石井委員 朝鮮半島との関係は、わが国にとっては最も重要だという判断、考え方をいたしましたときに、おそらく、政府が今回たな上げに賛成し、提案国になられたのは、そうすることによって南北の統一というものをおくらし、二つの朝鮮というものを恒久化するということに加担するというふうなお気持ちもあったのではないかと思うのでありますけれども、まだまだ南北の統一というものには時間がかかる。そうなると、やはり北と南との対話の場所というものをできるだけ国際機関その他でつくってやるべきである、こういう感じがいたします。
 しかも北に対する認識というのは、世界的に非常に変わってきておりまして、御承知のように、北鮮を認めておる国が五十二カ国、韓国を認めておる国が八十七カ国でありますが、両者を認めておるのが十九カ国、こういうふうなことでありまして、国連の場においても時間の問題で、世界の趨勢としては南北を認めていくか、何らかの形でもう一歩、一番近い日本としては積極的な手を打たなければならぬという感じがしてなりません。
 そういうふうな意味からは、韓国政府とも非常に関係のいいわが国なんでありますから、ここらでもう少し突っ込んだ話し合いを、北との話し合いも必要でありますけれども、南との話し合いももう少し積極的に推進されるべきである。アメリカが指摘しておるように、中国関係なりモンゴルの関係は、日本は非常に自主的な外交を展開し始めているのだという、それと同じように、日本的なスタイルでこの問題をも解決する方向へ向かうべきである。そういう意味では、今回のWHOに関する政府の御決定というものは遺憾である、こういう考え方を私は持っておるわけでございますが、私がただいま申しましたような構想に関して、何か御所見がございませんですか。
#38
○大平国務大臣 日本の外交は日本的スタイルでやれ、とりわけ朝鮮半島との問題についてはそうあらねばならぬじゃないかという御指摘は、私も石井さんと全く同感でございます。朝鮮半島問題はわが国にとりまして一番大事な問題の一つでございまして、私ども、日夜この問題につきまして考慮を重ねておるわけでございます。したがって、またそれだけに具体的なアクションをとる場合におきまして慎重であらねばならぬと私は考えておるわけでございます。
 先ほど申しましたように、せっかく南北の間に対話が開かれたわけでございますので、この対話は、しかしながら、現在まだ実質的な成果を生むに至っておりませんけれども、このともしびは消してはいけない。したがって、これを見守りながら、これをはばむことのないように用心深く対処していかなければならぬと考えておるわけでございます。
 そういうことで、朝鮮半島に対するわが国のアクションといたしましては、全く薄氷を踏む思いで非常に慎重にやってまいっておるわけでございます。
 WHO加盟問題につきましても、先ほど申しましたような、WHOでこういう問題を取り扱うのは必ずしも適切ではないじゃなかろうか、そういう見解は支持できる考え方でございますので、私どもとしては、この際としてはこれを支持することが適当な判断であると考えたわけでございます。つまり、言いかえれば、この表決の結果いかんによってどうするとかいうことでなくて、事柄の運び方自体必ずしも適切ではないじゃないかという一点に判断の基礎を置いておるわけでございますので、そのあたり政府の苦心の存するところも御理解をいただきたいと思います。
#39
○石井委員 じゃ終わります。
#40
○藤井委員長 堂森芳夫君。
#41
○堂森委員 私は、時間の制限が非常にございますので、二つの点につきまして外務大臣に重ねて、連休前の委員会でお尋ねしたことに対して、きわめて不満足な答弁でございましたので、具体的に御答弁を簡単明瞭に、いつものようなあまり回りくどい答弁でないように私は要求します。
 一つは、この前連休前の委員会で、SR71というアメリカの高性能の偵察機が北ベトナムの上空を偵察しておるということがアメリカの新聞等にも報道されておる。これは私の考えでは明らかに国際法違反であり、また沖繩の基地にこの偵察機がおるという関係からいっても、パリ平和協定が潤滑に守られていって、そしてアジアに平和が早く来るようにするということが日本外交の基本だという御説明でございますから、こういうことについて政府はアメリカ政府にいろいろ話をして、どういう情報を得ておるのか、どういう事実を突きとめておるのか、いろんなことについて質問しました。外務大臣は、そういう事実は知りませんという答弁。それからアメリカ局長も、大臣が知らぬと言ったから、知っておっても知らない、知らぬと言えというような答弁でございました。非常に私は不満でありましたが、権威あるこの委員会でもっと親切な、当然外務大臣として適切なる処置をとらなければならぬ問題について、的確な御答弁を願いたい。
 もう一つは、前にたびたび私は、北ベトナムとの国交の回復はどうなるのかという質問をしておるつもりであります。ほかの人もしました。そうすると外務大臣は、いや、それはやってみなければわからないので、いま大いに努力をしているんだというだけの答弁であります。もちろん相手がありますから、外交交渉は、プログラムをきめてきちんとそのとおり、日本政府が考えるようにプログラムがどんどん進むということは、これは困難かもしれません。しかし日本政府としてはやはり一応のプログラムがなくてはならぬ、場当たりであってはならぬことである。いろいろいわれているところでは、南ベトナムの臨時革命政府と日本政府との関係、今後のアプローチ等、いろんなことが北ベトナムとの国交回復に重要な条件になるのではないかという質問も私はいたしました。そして今後どうしていくのかということも聞きましたところ、いや、南ベトナムの臨時革命政府と接触することは、いかなる意味でのアプローチもないというような極端な御答弁もあったのを覚えておるのです。
 ところが、あなたは、この間訪欧中にパリの記者会見で、もう北ベトナムとの国交回復については何ら重要な障害はない、こういう意味の談話発表をしておられる。そして国交回復も近い、こういうようなことを記者会見で言ったように新聞は報道しておる。そこで、記者会見で発表できるような段階に来たのであるのなら、国会で連休中だったからやむを得ぬといえばそれはそうでありますが、北ベトナムとの国交回復についての見通し、あるいはまた二国間における援助が主体であるか多国間の国連方式でいくのか、いろいろなことがあると思いますが一とにかく具体的な二つの点をお尋ねをしまして私の質問はきょうは終わる、こういう約束でございますので、以上の御答弁を大臣から、それからアメリカ局長もしてもらわなければいかぬ。あとからでいいです。
#42
○大平国務大臣 四月二十六日のワシントン・イブニング・スター紙上に、いま堂森委員から御質問がありましたSR71機が北越上空を偵察飛行しておる旨の報道がございまして、日本政府としてアメリカ側に問い合わせをいたしましたところ、米国政府は北越に対する偵察飛行の実施についても、またSR71機がその偵察に用いられたことについても確認しないということでございます。コンファームしないというお答えでございまして、政府として御質問の点についてそれ以上お答えする立場にないことを御了承いただきたいと思います。
 それから第二点の和平協定との関連でございますが、和平協定についてはわが国はもちろん御承知のように当事国ではございませんので、同協定について権威ある解釈を下し得る立場にはないわけでございますが、アメリカに聞き合わせたところ、米国政府は北越政府に対する四月二十日の口上書におきまして、北越側による大量の軍需物資の南越搬入、ラオス及びそれにつながる南越内での輸送路の拡充、大量の北越部隊の南越侵入、南越内における各種軍事活動の継続等の協定違反が行なわれることを指摘し、かかる北越側の協定違反に対して米側が限定された対抗措置をとることは国際法上正当化されるものである、そういう説明を受けております。その旨御報告申し上げます。
 それから第二の北越との関係についての御質問にお答えいたします。
 御承知のように、先般三宅課長をハノイに派遣いたしまして先方側と接触を行なったのでございます。今回の接触は非公式で、ノンコミッタルな立場で意見交換をしてくるようにという指示をいたしまして行なわせたものでございます。
 その接触におきまして日本といたしましては、国交の樹立はお互いに無条件で行なわれるべきものである、言いかえれば南越政府と日本が関係を結んでおるからいけないとかなんとかいう、そういうことではなくて、全く無条件に樹立さるべきものであるという立場を先方に伝えてもらったわけです。先方は国交樹立に前提条件を付するものではないとの一応の態度でありましたが、必ずしも無条件樹立に同意するとまでは三宅君との接触を通じては言っておりません。
 それから国交樹立に関する意見交換の中でPRGつまり南越臨時革命政府の取り扱いを含む若干の問題について先方の見解が述べられたことは事実でございます。しかしその具体的な内容につきましては、なお今後両国間で話し合いを続ける必要がございますし、先方との約束もありますので、これ以上この機会に御説明申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 そこで、われわれといたしましては五月の半ばにインドシナの三大使、つまり南越とラオスとカンボジアの三大使に帰国を命じまして、それで十分三大使の意見も聴取しつつ、それからあなたの言われた援助問題につきまして、これまで関係国側からもあるいは北越からもいろいろ聞き取ったことがございますので、そういう事柄を踏まえて政府部内でひとつ十分協議をいたしたいと考えております。
 言いかえれば、今後の対北越政策につきましては、今回の接触の結果、双方それぞれの立場が一応理解されたと思います。また、問題も煮詰まってきておるように思いますので、この機会に全インドシナに対する政策を一ぺんわれわれのほうで検討いたしまして、先方の都合を聞きながらなるべく早い機会にパリ等しかるべき場所で国交樹立のための話し合いを始めたいと考えております。
 それじゃその時期はいつかということになりますが、これは話し合いが進展を見なければ何ともいえませんけれども、わがほうからはこれを遷延するつもりはないわけでございます。
#43
○堂森委員 もう終わります。
 ただ、第一番目の問題についての御答弁は私はきわめて不満でありまして、どうもわが国の外務大臣あるいは外務省としてはやはり私は非常な失態だと思うのです。責任がないと思うのです。もっと積極的な態度でアメリカ政府との交渉、接触をはかるように、私は一外務委員として要求しておきまして、私の時間がありませんから、終わりたいと思います。
#44
○藤井委員長 河上民雄君。
#45
○河上委員 大平外務大臣がきのう朝鮮民主主義人民共和国のWHO加盟問題につきましてたな上げの提案国になるという見解を表明されたのでございますが、これは私どもがここ数回にわたりまして何度か御質問いたしまして、検討中である、それでかんべんしてくれというようなお答えであったわけですが、ここに突如そういうようなたいへん意外な態度を表明されましてたいへん失望の念を禁じ得ないのであります。これは中国の国連加盟問題のときにも、政府はこれに似たようなパターンの態度をとられて、歴史に逆行すると世界から批判を一身に浴びたわけでありまして、その同じ轍を再び踏むのではないか。これは非常に残念なことであります。私は大平さんはもっとリベラルな方だと思っておりましたので、非常に残念でありますけれども、こういう態度をとられた理由につきまして重ねてお伺いいたします。
#46
○大平国務大臣 いま河上先生は中国代表権の処理にあたっての轍をもう一度踏むのではないかという御指摘でございますが、事柄が全然違うということを御理解いただきたいと思うのでございます。今回の問題は、WHOという保健衛生機関がこういう政治問題をお取り扱いされるのは必ずしも適切でないじゃないかというのがわれわれの理由なんでございまして、国連の総会で取り扱われるべき問題ではないかという、そういうことを申し上げておるわけでございますので、第一点につきまして一つお断わりをしておきたいと思うのでございます。
 それから今度こういう措置をとりました理由につきましては、先ほど石井委員の御質疑にお答え申し上げましたように、いま申しましたような理由でこういうことは国連総会でやってもらいたい。したがってこの機会にWHOでこの問題を取り上げていくということは適切でないじゃないかということで、この審議延期を求める決議案に共同提案しようということでございます。しかし先ほどもお断わりいたしましたとおり、これは北鮮を敵視するとかあるいはWHOに多くの国が加盟するのがいけないという趣旨では決してないのだということもあわせてお断わり申し上げたことで御理解をいただきたいと思います。
#47
○河上委員 それはあまり理由にならないように思うのですけれども、もしそういうことであったら、百歩、千歩譲りまして提案国にならないということはできなかったのか。先般来大平外務大臣は、南北の統一を目ざし南北共同声明を支持する、北に対する敵対行為はとらないということを何度も言っておられるわけでありますけれども、そういう点から見ますと、ここで提案国にならないという非常に消極的なことでありますけれども、そういう態度がなぜとれなかったか。その点をお伺いいたします。
#48
○影井政府委員 先ほど大臣から御答弁のとおりの理由、これがわが国が立っておる立場でございまして、この立場は私ども十分に検討いたしまして、これが日本に関する限りは正しい立場であると考えている。これを明確にするという意味におきまして共同提案国に加わるという決定に達したわけでございます。
#49
○河上委員 これは全くおかしな議論でありまして、南北の対話に今回のWHOの朝鮮民主主義人民共和国の加盟というものがどういう悪影響があるのか、具体的に伺いたい。現にたな上げ提案国になるということをきめたことが、韓国に対してはともかくとしまして、北朝鮮に対しましてどういう影響を与えておるか。きょうの新聞を見ましても、朝鮮民主主義人民共和国の公式のスポークスマンは、これは口先だけの日朝友好を暴露したものだという非難の声明さえ出しておる。先ほど薄氷を踏むような思いで慎重にやる、こう言っておられるわけでありますが、これでは氷の上をがちゃがちゃ歩くようなことになるんじゃないですか。
#50
○大平国務大臣 この問題は先ほど御説明申し上げましたとおり、WHOとして取り扱うには適当でないという理由なんでございまして、そういう理由でわれわれは審議延期に賛成しようということでございます。そうしてその立場をはっきりさせておこうということにすぎないわけでございます。実体論を言っておるわけでは決してないわけでございまして、そのあたりは先ほども申しましたけれども、再三申し上げて御理解を得たいと思います。
#51
○河上委員 理由にならぬと思うのでありますが、それではちょっと話を変えまして、この四月の中旬に大平外務大臣は韓国の外務大臣の金溶植氏と会談しておる。その会談の内容は一体何であったか。また今回のいわゆるたな上げ提案国になるというこの決定とかかわり合いがないのかどうか。
#52
○大平国務大臣 四月に金外相とお目にかかりましたのは、同外相がエカフェ代表として訪日された機会に私を表敬訪問されたのでございまして、WHOの問題についてその会談で言及されたことはございません。当時はまだ日本政府として検討中でございましたし、金外相の口から日本に同調の要請があったわけでもございません。
#53
○河上委員 大臣はそう言われましたが、その当時の日本の新聞には、「北朝鮮のWHO加盟タナ上げ韓国、同調申入れへ」というふうにはっきり出ておるわけでございます。もちろん大臣のお立場上どういうように言われるかわかりませんけれども、すでにこういうふうにはっきり出ておるわけでございまして、いまのお話は少しいかがかと思うのでございますが、それによりますと、外務省筋の見解もいろいろ書いてございます。もっと率直に韓国との話し合いの内容について、許される範囲でもう少しはっきり言っていただきたいと思うのでございます。
#54
○大平国務大臣 韓国政府から日本に協力方の要請があったのは事実でございます。しかし、金さんと私がお目にかかったときにその話題が出たかというお話でございましたから、そういうことはありませんというお答えを申し上げたわけでございまして、それより以前から韓国側からそういう要請が日本政府に参っておることは、私も万々承知いたしておるわけでございます。
#55
○河上委員 これ以上言ってもどうかと思いますけれども、せっかく向こうの外務大臣が来てこちらの日本の外務大臣がお会いになったわけですから、全然それに触れないというのもおかしなことでございますので、もう少しこういう問題については正確に言っていただきたいと思うのですが、いま朝鮮民主主義人民共和国を国際社会に入れるということについては、世界の流れがかなり激しい勢いで始まっておるわけです。その一つのあらわれは列国議会同盟の総会でありまして、ここで朝鮮民主主義人民共和国の参加が認められているわけでありますけれども、この表決がどうであったか、また日本から代表で出た方はどなたで、どういうふうな採決をされたか、それをお尋ねいたします。
#56
○吉田(健)政府委員 IPU、列国議会同盟の問題は国会のほうでおやりになっておられますので、実は私のほうから国会事務局のほうに聞いておるのですが、その当時の正確な経緯、票数、表決の結果等についてはまだ正確な詳報をいただいておりませんので、むしろ国会のほうの問題としてお取り扱いいただきたい、かように考えておるわけでございます。
#57
○河上委員 数字は大体新聞などに出ておるようでありますが、外務省がそれを御存じないということはちょっと解せないと思うのでありますが、五十七対二十八、棄権二十で承認されているように報道されております。
 これはちょっと技術的なことを伺うようでありますけれども、この採決は、国会代表は個人として投票されるのか、それとも国単位でやられるのか、その点伺いたい。
#58
○吉田(健)政府委員 その点を含めまして実は事務局のほうに私のほうからさっそく聞いておったのでございますが、いまだ正確な回答をいただいておらないというのが実情でございます。
#59
○河上委員 いま非常に重要な問題でありますから、当然知っていただかなければならぬと思うのです。しかし、この採決の結果から見まして、WHOでもほぼ同じような表決結果が出るというような可能性が十分考えられると思うのですね。WHOは東独の加盟の問題はすでに結論が出ておりますが、朝鮮問題も十五日ぐらいに採決になるやに聞いております。ここでこの前私もお尋ねいたしましたけれども、朝鮮民主主義人民共和国の加盟が認められたらどうされるか、大平外務大臣にこの点を伺いたいと思います。
#60
○影井政府委員 恐縮でございますが、ただいまの御質問は、北鮮がWHOに加盟を認められたならばどうするかという御質問で、意味がちょっと不明でございますが……。
#61
○河上委員 国連尊重主義に立っております日本としては、当然国連機関のメンバーである朝鮮民主主義人民共和国に対して従来とは違った態度をとらざるを得ないと思うのです。たとえばWHOの問題で、たとえば東京でWHOの会合をやる場合に、北鮮の代表の人が日本に入ってくるというような事態も起こってくると思うのですが、そういうようないろいろな問題を含めてでありますが、すでに四月、私が御質問いたしましたときに、大臣も朝鮮民主主義人民共和国の国際的地位が上がってくるということは当然あり得るというようなことをおっしゃっておるのです。いよいよ五月の十五日です。さっき大臣は、WHOでこういう問題を取り扱うのはおかしいというお話でしたけれども、人間の健康と人道的な問題に関係のある問題を国際的に論議する場であるWHOに朝鮮民主主義人民共和国が入ることはまずいという議論は、逆にいうとかえっておかしいと思う。それは理屈になりませんね。何かもっと別な理由を言われるならともかくでありますけれども、ちょっとそれは理屈にならない。むしろWHOという問題をあまりにも政治的に考え過ぎておる。その点もう一度、その理屈のつけ方がちょっと私は納得できないだけではなくて、これはもう一度、少しことばを変えて、観点を変えるべきじゃないかと思いますが、その点だけちょっと最後に伺いたい。
#62
○影井政府委員 先ほど大臣から御答弁がありましたとおりに、国際的な保健事業の機関、これになるべく多数の国が加入するのは望ましい。ただ、問題のありますケースにつきましては、これはまた別の考慮が要る。先ほど大臣から御説明がありましたとおりに、東独につきましても過去四年にわたりまして、やはり同じケースでございますが、WHOへの東独の加盟問題、これを審議するかしないかという問題があった。しかしながら、東独の場合には過去四年間政治的な問題がございましたので、こういった政治的な問題、これを決定する場所としてはWHOは不適当であろうという理由に基づきまして、過去四年間、引き続きこの東独の加盟申請の審議というものは延期されてまいった。しかしながら、今回東独につきましては政治的な問題が東西両独の間で片づいた。したがいまして、今年のWHO総会におきましては東独の加盟が認められた、こういう経緯があるわけでございます。言いかえますと、政治的な問題、これがある間は加盟申請の審議が延期されてきた。しかしながら、これが解決されたので今回WHOに加盟が認められた、こういう経緯がある。朝鮮半島の問題につきましても同じ考慮をすべきであろうというのが私どもの立場でございます。
#63
○河上委員 それでは問題が全然前進していないと思うのです。時間もあまりございませんけれども、外務大臣に一言だけその問題について念を押しておきたいのですけれども、国連総会で朝鮮問題のたな上げに昨年動かれたのでございますけれども、ことしはそういうことをしないという約束をここで大臣なさることが、いま、この問題についての、先ほど来大臣が言っておられる南北共同声明の尊重、北への敵対行動はとらないのだという精神に合致するのではないかと思うのですが、大臣いかがでございますか。
#64
○影井政府委員 これは先ほど来御説明申し上げておりますとおりに、せっかく南と北が直接に会談を始めている。この直接に会談を行なう状況をそこなわないということが一番大事であろうという考慮があるわけでございます。ことしの秋の国連総会までまだ時間も相当ございますので、その間にどういうふうな進展があるかわからない、そういう状態のもとにおきまして、現段階におきまして方針を確定するということはいささか無理ではないかというふうに考えております。
#65
○河上委員 大臣に一言。
#66
○大平国務大臣 いま影井局長から御答弁申し上げたとおりでございまして、この国連総会までには十分の検討を加えて、慎重に対処しなければならぬ課題だと考えております。
#67
○河上委員 きょうは時間もあまりありませんので、この問題は非常に重大でありますので、さらに留保して、今後機会ごとに詰めさしていただきたいと思います。
 残りの時間を使いまして、本年三月末に行なわれたのではないかと思いますが、昭和四十四年に日本とアメリカ合衆国との間に結ばれました太平洋諸島信託統治地域に関する協定の問題につきまして、初めてわが国からアメリカに六億円支払われた問題について質問をいたしたいと思います。
 ミクロネシアの現地の新聞でミクロニターという新聞がございますが、私はいまここに持っておりますけれども、その四月二日号に、日本はミクロネシアの戦争の補償に対して十八億円払うことになった。これは三回に分けて払うことになって、その第一回分が払われた、払う話がまとまったという記事が出ております。それはミクロネシアの高等弁務官、ハイコミッショナーのジョンストンという人の言明でありますけれども、このような事実が確かにあったかどうかをまず初めに伺います。
#68
○本野説明員 河上先生の御指摘のとおり、三月三十日に第一回分といたしまして、六億円の支払いが終了いたしました。
#69
○河上委員 それについては、協定のときに、実際の支払いに際しては細目の申し合わせをするということになっておりまして、交換公文がかわされたのではないかと思いますけれども、その点も間違いありませんね。
#70
○本野説明員 調達の手続につきまして合意がありましたことは確かでございます。交換公文によってきめております。
#71
○河上委員 そこで私、二つ三つ問題がありますので、ここで明らかにしていただきたいと思うのでありますが、昭和四十四年のこの協定が成立いたしましたときに、その協定の第一条の1には「日本国は、現在五百万合衆国ドルに換算される十八億円を無償で施政権者としてのアメリカ合衆国の使用に供する。」こういうふうに書いてあります。これに対してアメリカ側は何万ドル払うことになりますか。
#72
○本野説明員 米貨五百万ドルでございます。
#73
○河上委員 そこで今度は大臣にお伺いいたしますけれども、この十八億円というのは当時五百万ドルでありますが、いま私があげました新聞ですね、現地の新聞に出ているのですけれども、日本から十八億円支払われた、これは今日の換算レートにするとこの金は七百万ドルになる、こう書いてあります。われわれがこの国会で承認したときには、アメリカは五百万ドル、そしてそれと相当額の十八億円を払う、つまりアメリカと日本が同額出し合ってミクロネシアの住民の福祉のために、戦争で迷惑をかけた一種の償いとして出すということをきめたはずであります。そのことは田中六助政務次官ですか当時「他方、住民の福祉のために両国がそれぞれ十八億円相当額の自発的拠出を行なうことにつき合意を見るに」至った、こうなっております。そうなりますと日本はいま十八億円払う、アメリカは五百万ドルしか払わない。日本の十八億円は七百万ドルに相当する。協定を結んだ精神、少なくとも政府が国会にこの協定の承認を求めた精神とはかなりかけ離れてくるのではないですか。これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#74
○大河原(良)政府委員 昭和四十四年の四月に東京で署名されまして、その後七月七日に効力を発生いたしましたミクロネシア協定の第一条に、日本側の義務といたしまして「日本国は、現在五百万合衆国ドルに換算される十八億円を無償で施政権者としてのアメリカ合衆国の使用に供する。」というふうにございますし、第二条には「アメリカ合衆国政府は、アメリカ合衆国議会による予算の承認を条件として、信託統治地域のための通常の財政支出のほかに、同地域の住民の福祉のために使用する五百万合衆国ドルの資金を設定すると、こういうふうにございまして、経過的には御指摘のとおりに当時は五百万、五百万ドルというふうに日米双方に同額の資金について合意したということでございますが、協定文にございまするように、「現在」、英語ではカレントリー・コンピューテッド・アットという表現がございまして、当時、円がドルとの関連において今日のような大幅な切り上げになるということを全く想定もいたしておらなかったために、五百万ドルずつということで日米間で合意を見たわけでございまするけれども、協定文の読み方といたしましては、日本側としては十八億円の支出を約束したという関連におきまして、それに見合うドル換算額を今日の時点においてはやられるということになるわけでございます。したがいまして、協定締結当時あるいは交渉当時におきましては、日米同額ということで協定が成立をいたしておりますけれども、その後の通貨価値の変動によりまして、いま御指摘のような事態が発生していると、こういうことでございます。
#75
○河上委員 ただ少なくとも昭和四十四年の外務委員会の審議を見ますと、まあ日本人全体がそうであったかもしれないのですけれども、五百万、五百万で合わせて一千万ドルの仕事をするんだという政府の説明であるし、また国会もそういうことで承認したわけですね。そうなりますと、今後またアメリカ合衆国ドルの価値がさらに変わった場合、これは一体どうなるのでしょうか。大体協定が成立したときに、実際の支払いについては細目の打ち合わせをするということになっておりますけれども、取りきめをするということになっておりますが、一体こういう問題が現に存在しているのは、これはしようがないわというようなことで外務省は認めておったのですか。これは本来なら日本の十八億円を減らすか、あるいはアメリカのほうの五百万ドルを引き上げるか、どちらかにすべきではないかと思うのですけれども、それでないと、これは四年前のことでありますけれども、この委員会で審議された精神というか、やりとりの基礎の了解というものは全然くずれてしまうということになると思うのです。一体今回の交換公文をつくるにあたりましてこういう問題を真剣に討議されたのかどうか。また、いま第一回の支払いですけれども、二回分、三回分とあると思うのですけれども、今後どうされるつもりなのか。これはやはり国民の貴重な税金をもって払うわけです。それもあなたまかせというのではあまりにも無責任のように思いますが、いかがでしょう。
#76
○大河原(良)政府委員 四十四年の五月に国会にこの協定の承認について承認を求めるの件というかっこうでこの協定を提出いたします際に、政府側の説明理由といたしまして、「同地域の住民の福祉のために」日米両国が「それぞれ十八億円及び五百万ドルの自発的拠出を行ない、」とこういうふうに書いてございまして、当時から日本政府としては十八億円、米側は五百万ドルということでこの協定ができているわけでございます。
#77
○河上委員 確かに協定の読み方としてはそうであるかもしれないのですけれども、しかしこれは審議をずっと読んでいきますと、まさにその同額という、同じ額を出すというところにこの協定の精神があるということは繰り返し繰り返し述べられておるのですね。そうすると、国会に承認を求めるにあたって、これはそういう意図はあったとは私は申しませんけれども、結果的にはたいへんな瞞着を行なったことになりはせぬかと思うのです。この問題は、アメリカのドルの価値が下がったからしようがないということじゃ済まないように思うのですが、いかがでございますか。大臣、いかがでございますか。
#78
○大平国務大臣 協定の文言から申しますと、局長が答えたとおりでございますけれども、当時の審議の内容を伺いますと、河上先生の御指摘の点が十分理解されるところでございます。問題は、したがって協定上の問題と申しますよりは、ミクロネシアの住民に対する一つの政治問題といたしましてこの問題についてなお政府として考えなければならぬ問題があるのかどうか、日米間で話し合うべき性質のものかどうか、そういった点につきまして私も就任以来まだこの問題につきまして十分ブリーフも受けておりませんので、よく検討させていただきたいと思います。
#79
○河上委員 これは非常に重大な問題でして、先ほど採決を求められましたアフリカ基金におきましてもこういうアメリカ合衆国の出資額の問題について非常に議論があったところであります。これは今後いろんな分野にも波及する可能性もあるわけで、私は今度の交換公文をつくるにあたって何らこの点を議論しなかったというのは、これは非常に大きな外務省の失態じゃないかと思うのです。しかしいま外務大臣からそういうお話がありましたので、私はこの問題、もう少し留保さしていただきたいと思うのです。
 さらに第二点、この交換公文を拝見いたしますと、2の(1)のところに、「アメリカ合衆国の政府は、日本国民の支配する日本国の外国為替公認銀行と取極を行ない、自己の名義で特別勘定を開設する。」こうなっております。これはどういうことか。またその外国為替公認銀行というものはアメリカ側がきめるのか。もしすでにきまった銀行があるならば、ここで明らかにしていただきたい。
#80
○加藤説明員 ただいまの御質問でございますが、これは外国為替公認銀行のうち、全体で十行の外国為替銀行からアプリケーションが出ておりまして、これはアメリカ側がその間のチョイスをする際に結局抽せんという方法を用いまして、神戸銀行がこの抽せんに当たりまして指定されました。そして三月二十三日この神戸銀行とアメリカ政府との間で、ここにございます特別勘定を開設するための銀行取りきめが結ばれまして、その銀行取りきめに基づきまして三月三十一日に支払いが行なわれたということでございます。
#81
○河上委員 そうすると神戸銀行でございますね。――それからこの交換公文の4の(1)に、「アメリカ合衆国の政府は、表に従って生産物及び役務を調達するため、アメリカ合衆国の政府に代わつて、日本国民又はその支配する日本国の法人と直接に日本円で契約を締結する調達官を任命する。」こうなっております。この調達官というのはすでに任命されたのかどうか。またどういう人がすでに擬せられておるのか、どういう役割りの人が擬せられておるのか。また調達官の交渉相手は直接個々の企業、法人に対してなされるのか、それとも特殊な日本側の窓口、たとえば財団法人のようなものをつくる考え方か、あるいは特殊法人のようなものをつくる考え方があるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#82
○本野説明員 ただいま御指摘のアメリカ側の調達官はすでに任命されておりまして、クイグリーという信託統治地域の職員でございます。
 その分の実施の手続といたしましては、アメリカ側が調達リストを作成して、これを提出してくるわけでございますけれども、その場合に、仰せのように、日本側の企業ないしは財団法人、いずれとも直接にその契約ができるわけでございます。ただし、その契約するに際しましては、そのつど日本国政府の認証を得る、こういう手続になっております。
#83
○河上委員 政府は、いまこの仕事をするための特別な何か特殊法人みたいな窓口をつくる考えは全くないのかどうか、その点をひとつ。
#84
○本野説明員 現在そういう特殊な財団法人等の特別な組織をつくる意向はございません。
#85
○河上委員 それでは、それを一つの言質として伺っておきます。
 三番目に、まだいろいろな問題があるのですけれども、時間があまりありませんので、ちょっとはしょりますが、三番目に伺いたいのは、これは四十四年に成立いたした協定で、その内容によりますと、いずれかの議会がその支出について承認がおくれた場合は、その全体として計画がおくれてもやむを得ないようなことが書いてございます。その結果として三年間おくれたのだと思いますが、こちらは、いろいろ調べましたところ、日本の予算では毎年六億円ずつ計上されながら、使われずに繰り越しになっております。そうなりますと、これはアメリカ側の理由でこんなにおそくなったというふうに解釈するほかないのであります。一体アメリカ側がなぜこんなにおくれたのか、その理由を聞かしていただきたい。
#86
○大河原(良)政府委員 昭和四十四年にこの協定が締結されまして、日本側では昭和四十四年七月七日に効力発生ということで、国内的な予算措置もとり得たわけでございまするけれども、米側といたしましては、ミクロネシアに対するミクロネシア協定による支出のほかに、ポスト・クレーム・セツルメントということで、戦後ミクロネシアに対する住民のための支払い、この問題につきまして議会との関係が必ずしもうまくいきませんで、若干おくれてまいっておったわけでございますけれども、昨年の五月にポスト・クレーム・セツルメントだけを切り離して、この五百万ドルについて議会の予算措置がとられたということで、やっと動き出すことになったわけでございます。
#87
○河上委員 そうすると、全くアメリカ側の理由で、ことにミクロネシアに対するアメリカ側のいわゆる統治政策の関係で、これがまあそばづえを食っておくれたというふうに判断していいわけだと思いますが、これはまさに日本の国会としては、日本政府の調印したこの協定に一生懸命尽力――承認を与えたにもかかわらずこのようになったということ、しかも先ほど言いましたように同額出すということで国会が承認したにもかかわらず、その後のドル不安の結果として、アメリカ側の負担と日本側の負担が、いまでは少なくとも七対五、今後さらにもっと格差が広がるかもしれない、こういう事態に対して一体どういうように考えるのか。私はこの協定そのものが持っておりますいろいろな問題点が、たまたまこういうところに噴出したような感じを受けるのであります。
 ところがそれに対しまして、先ほど大平外務大臣は、今後これを十分検討させてほしいということでしたが、これは大河原局長も交渉に当たられたのだと思うのですけれども、この点について、この問題は具体的に取り上げるおつもりかどうかを、もう一度最後に伺いたいと思うのです。
#88
○大河原(良)政府委員 ミクロネシア協定の前文にございますように、そもそもこの協定につきましては、日本とアメリカ合衆国が戦争中にこの地域の住民がこうむりました苦痛に対して同情の念を表明するために、この地域の住民の福祉のために自発的拠出を行なうということで合意を見ました協定でございまして、その趣旨に基づく協定交渉が行なわれまして、日本側は第一条の義務を負い、米側は第二条の義務を負ったということでございまして、そもそもの趣旨が住民の福祉のための自発的拠出ということにあるわけでございますし、協定をこの段階で変更ということは考えられないわけでございます。
#89
○河上委員 しかしそれではこの国会が審議した本来の精神というものはだいぶゆがめられておると思うので、大平外務大臣は先ほどそう言われたそうですが、これは今後非常に大きな問題だと思う。五対五でやるのだからということで承認を求めたものが、すでに七対五になっているわけですが、それが九対五になるということでもあったら、一体協定そのものがどこへいくのかということを、私は非常に憂うるわけです。
 もし、いまミクロネシアの島民の戦争中こうむった被害に対してわれわれが同情の念からやるのだということでありますならば、今度はミクロネシアの島民の問題に対してわれわれが逆な意味でもっと真剣に、注意深く当たらなければいかぬと思うのです。
 きょうはもうすでに私、時間がないので、その問題についてあまり深く触れることができないのでありますけれども、先日日本の新聞にも大きく報道されましたように、戦争中の罪を償ってほしいという、トール島の出身者で相沢進さんという日系の方が島民の願望を添えて首相に訴えの手紙を出された。これはすでに外務省にも来ておるのじゃないかと思うのでありますが、しかしこれも一つのあらわれですけれども、ミクロネシアの島民の戦争中こうむった被害というものは、実は全く伝えられて――十分に調査されていないわけです。死者の数もほとんどわかりませんし、それからアメリカ人の書いたものによりましても、これはマーシャル群島といわれるわけですが、このミクロネシア地方の人たちにとっては、いわゆるマーシャルプランというものは全くなかった。ヨーロッパにはマーシャルプランというものがあったけれども、ミクロネシアの人たちには戦争中の被害に対する救援の手というものは全く差し伸べられなかったということが強く訴えられております。この問題はまた別個の問題として私、外務省の、大臣の御意見を承りたいと思うのですが、このミクロネシアの島民は確かに十万切れる人口にすぎないのでありますけれども、この人たちに対して、いまこういう訴えが起こっていることについて、外務大臣としてはどういうような御所見を持っておられるか、最後に伺いたいと思います。
#90
○大河原(良)政府委員 ただいま御指摘ございましたトラック地域トル市の相沢市長からの田中総理あての公開状、これを私どもも拝見いたしております。戦争中日本に協力してくれた現地の方々の苦痛に対して日本政府としても非常に同情の念を強く持つものでございまして、そういう意味で法律的にはこの地域の戦争中の苦痛に関連する問題は、平和条約並びにミクロネシア協定によって最後的な解決を見たということにならざるを得ませんけれども、気持ちといたしましては、この地域の住民が戦争中苦痛を受け、また日本に対しても非常に協力をしてくれたということに対する感謝の気持ちは強く持っているわけであります。しかしながら、今回ようやく動き出すことになりましたこのミクロネシア協定の「細目取極」に基づいてわが国の経済協力が住民の福祉に役立つように大いに貢献することを強く期待いたしておりますし、今後わが国とミクロネシアとの交流は各方面において増大していくということが考えられますので、住民の感情についてはきめのこまかい理解を示すよう配慮していきたいという気持ちは私ども持っておるわけでございます。
#91
○河上委員 許された時間もまいりましたので、このミクロネシアの問題につきましてはもう一度詳しくあらためてお尋ねしたいと思いますけれども、今度細目取りきめができまして第一回分が支払われました。この四十四年の協定の中では、一つは個人個人の被害に対して報いるということが書いてあるわけです。しかし実際には日本から拠出された金は港湾施設とかそういうようなものに使われるというようなことになっているようであります。そういう点を一体われわれとしてどう考えたらいいのか、こういうささやかな島民の願いというものをどういうふうにその中で組み込んでいくことができるのだろうかという点をもう少し考えていただくということと、先ほど私が最初に申し上げましたように、日米が同額払うという約束のもとで始まったこの協定が、国際通貨不安の影響を受けてではありますけれども、こういうふうにすでに七対五という形に日本側が、不当にではありませんけれども、結果的にはこういうふうになっておる。これはやはり均等にする、少なくともアメリカは七百万ドルに引き上げさせるとか、そういうような努力を私は強く切望したいと思うのです。どうも大河原局長のかたい答弁ではここですぐ結論は出そうもないですけれども、ひとつそういう点を外務省全体として考えていただきたい。私はそのことを切に望みまして、きょうの質問を終わらしていただきます。
#92
○藤井委員長 柴田睦夫君。
#93
○柴田(睦)委員 私は、きょうニクソン大統領の外交教書の問題についてお尋ねすることにしていますけれども、その前に、先ほどから問題になっております朝鮮民主主義人民共和国のWHO加盟申請に対する日本政府の態度について一つだけはっきりしてもらいたいことがありますので、そのことを先に言わせていただきます。
 このWHOに対する朝鮮民主主義人民共和国の加盟申請の問題について政府の態度というものをずっとこの委員会で私たちはただしてきたわけです。そしてこの申請を、加盟を認めるように、こういう要求もしてまいりました。しかし、いままでの委員会での質疑の中では、慎重検討中である、それ以上のことはかんべんしてもらいたいという返事であったわけです。この点に関しては、わが党の金子議員が、この態度がきまったら質問者またこの委員会に対して外務省としての態度を明らかにすべきであるということも要求していたわけです。ところがこの態度につきましては、大平外務大臣がパリにおられたときに発表された、そしてその前においてこの議会に対しては知らせられなかった。議会で問題になっていることは議会にまず知らせるのが当然だ。金子議員の質問を待つまでもなく当然だと思う。それで、見方によってはこの外務省の態度というのは議会の軽視であるのではないか、こういう批判も出てくるわけです。まず委員会に対して知らせなかったということについての大臣の見解を伺いたいと思います。
#94
○大平国務大臣 私は、本件につきまして、きのうの参議院の外務委員会において初めて政府の態度を鮮明にいたしたわけでございまして、記者会見におきましては本問題についてお答えいたしました記憶はないわけでございます。
#95
○柴田(睦)委員 そうしますと、外務省のほうでもこの態度についてきのうの参議院で発表される以前に発表されたことはないわけですか。
#96
○大平国務大臣 さようでございます。
#97
○柴田(睦)委員 加盟問題の討議は来週といわれておりますけれども、私たちは、いまからでもこの政府の態度を検討されて、加盟を承認するという方向に態度を変えられることを特に要求するものです。
 そこで本論ですが、ニクソン大統領の今回の外交教書に関連して質問します。
 この外交教書の中の日本との関係部分につきまして、大臣は羽田の記者会見において感想を述べられた、そのことが新聞にも出ておるわけです。新聞の記載から見ますと、この外交教書に対する不満の意思が出されたとか、あるいは日本への理解不足ということで外交教書に反論されたというような内容になっております。きょうの委員会での答弁を見てみますと、全般的に十分検討して、これから遺憾のないようにしたい、こういう答弁でありました。きょうの答弁と、この新聞に発表されている、述べられたこととの関連ですが、この関係についてお聞きしたいと思います。
#98
○大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、われわれの当面している問題、アメリカが当面している問題ヨーロッパが当面している問題、そして日本が当面している問題、通貨問題にいたしましても、貿易問題にいたしましてもその他にいたしましても、問題は非常に大きな世界的な関連を持っておるという感を深くするのであります。
 それから第二は、日米経済関係というものは、ニクソン報告にもありますように、世界のGNPの四〇%も両国だけで占めておるというようなこと。したがって、日米経済関係というのは世界経済において占める比重というものの大きさを報告も指摘いたしておりまするし、それは事実として私どもも認めなければならぬと思うのであります。それが第二点でございます。
 第三点は、したがってアメリカは、日本に対しまして、そういう立場から日本の協力ということに対して非常に強い態度で臨んでおられるわけでございますが、私が羽田記者会見におきまして感想を申し述べた際、日本としてはそういう趣旨を十分理解いたしまして、鋭意対米貿易収支の改善策、国内にいろいろ問題があるにかかわりませず、輸入ないし資本の自由化につきましても積極的な措置を講じてきたし、それから通貨調整も行なってきたわけでございます。
 したがいまして、その結果、ことしに入りましてからの対米貿易収支は顕著な改善の徴候を見せておるということでございますので、私どもといたしましては、古い日本に対するイメージを持たれておるというのであれば、それはいささか認識を改めてもらわなければならないことではないかという意味のことを申し述べたつもりでございまして、報告全体について、どこが誤りであるとか理解できないとかいう意味のことを述べたつもりはないわけでございまして、日本がやっておることについての評価というものについて、いささかもの足らなかったという思いをいたしております。
#99
○柴田(睦)委員 この外交教書では、日米安保条約による軍事的な保護、これをアメリカはしてやっているんだからということで、日本に対してそのことの代償として経済問題についての譲歩を求める。あるいは日米の経済関係について、日本のほうが官僚的処理でなくて政治指導性を求める。いろいろなことが書いてありますけれども、これらの中身は内政干渉にひとしいものであると思うわけです。こういうことをアメリカが日本の政治に対して言わせるその法的な根拠、これがあるかどうか、そのことをお聞きします。
#100
○大平国務大臣 安保条約に関するくだりは事実を述べて、つまりアメリカの認識を述べられておると思うのでありまして、第二の、だから日本としてはステーツマンシップを発揮してこうしなければならないのではないかという点につきましては、私は先ほど申しましたように、問題が世界的つながりを持っておるのであって、当然アメリカといわず日本といわずヨーロッパといわず、みんなステーツマンシップをもって対処すべきものであって、当然のことを述べておるというように私は理解いたしております。
#101
○柴田(睦)委員 過去の日本の総理大臣とニクソン大統領との共同声明、一つは一九六九年十一月二十一日、佐藤総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明、ここでは経済の問題の項で、アメリカのほうは「インフレーションを抑制」、それから「自由な貿易を促進するとの原則を米国が堅持すべきことを改めて明らかにした。」こういう抽象的な内容ですけれども、これに対して日本のほうでは、「総理大臣は、日本の貿易及び資本についての制限の縮小をすみやかに進めるとの日本政府の意図を示した。具体的には、総理大臣は、広い範囲の品目につき日本の残存輸入数量制限を千九百七十一年末までに廃止し、また、残余の品目の自由化を促進するよう最大限の努力を行なうとの日本政府の意図を表明した。総理大臣は、日本政府としては、貿易自由化の実施を従来より一層促進するよう、一定の期間を置きつつその自由化計画の見直しを行なっていく考えである旨付言した。」こうして日本のほうは非常に具体的に経済問題についての計画が書かれているわけです。
 そしてまた、その後の一九七二年一月七日の佐藤・ニクソン共同声明、サンクレメンテでの声明ですが、ここでもやはり経済協力、そして昨年の九月一日のハワイでの田中・ニクソン共同声明もありますけれども、これらの全体から見まして、日本はニクソン大統領との会談あるいは共同声明の中で、アメリカに対して安保条約を堅持するということと、そして経済問題については、アメリカの経済政策に対して積極的に協力するということを、過去、いろいろ誓約をしてきているわけですけれども、こうした約束ごとが具体的にアメリカの思うように進んでいないということからこういう強い要求が出ているのだと私は考えるわけですけれども、この点についての見解はいかがですか。
#102
○大平国務大臣 先ほどお答え申しましたように、日米経済関係の世界経済に持つ比重から申しまして、これは日本だ、アメリカだという関係ではなくて、世界経済全体の拡大と伸張という点から考えまして、お互いに自重していかなければならぬ課題であることは申すまでもないことと思うのであります。そういう観点から見た場合に、過去の日本の姿はどうであったかと申しますと、輸入自由化の面におきましては、ブラッセルの関税表に照らしても明らかなごとく、ほかの先進国に比べて多くの非自由化のアイテムをかかえておったわけでございまするし、資本の自由化の観点から申しますと、OECDの自由化コードからはるかに遠い状況にあったわけでございます。したがって、世界経済の拡大、発展をはかっていく上におきまして、アメリカばかりでなく世界各国が日本の市場をもっと大胆に自由化し開放するということを求めてまいることは、これまた十分理解できるところでございまするし、それに対しまして日本政府が積極的な姿勢を示すこともまた私は当然だと思うのであります。一連の日米首脳会談におきましてそういう問題が取り上げられて、そしてコミュニケが発出されてそういうことに前向きの言明が行なわれておるということは、私は何もふしぎなことではないと思っております。事実、その後はたいへん事態が改善されてまいりまして、輸入の自由化も資本の自由化も相当進んでまいり、先進国の仲間に入りましてもそんなに見劣りのしない状態にまで日本が開放化の実をあげてきておるのが今日の姿であると思います。
#103
○柴田(睦)委員 時間がなくなってきましたので、こまかい問題はきょうやる機会がありませんが、一つだけ、この外交教書の中で「特定の部門の貿易不均衡を予測し、それが保護主義的圧力が政治的危機になるまえに手当てするための調査と調整の恒常的機構をつくることが双方の利益である。」この不均衡調整のための恒常的機構をつくるということがいわれておりますけれども、日本の政府としてはこういう機構が必要であると考えているかどうか、お聞きします。
#104
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、大統領の外交報告につきましては今後詳細にわたりまして検討して、日本の対応策を考えていかなければならぬということを申し上げたわけでございますが、いま御指摘の点、貿易の不均衡調整のための常設機構についてアメリカ側が具体的に何を考えているのか、必ずしも明らかでございません。しかし、一部に懸念されているように、特定部門ごとに貿易バランスを確保すべしというような考えではないと私は思います。輸出急増による市場撹乱が両国間の政治問題に発展し、円滑な日米関係の維持を阻害することのないように、両国間で十分対策を協議しようじゃないかという呼びかけではないかと私は理解するわけでございます。もしそういうものであれば、従来からこれは行なってきたわけでございまして、ことさらに常設機関を設けるというほどの必要は必ずしもないのではないかというように私は思います。
#105
○柴田(睦)委員 確認ですが、そうしますと、いま日米貿易経済合同委員会というようなものがあって協議しているわけですけれども、その範囲で日本から見れば間に合う、この教書でいっておりますようなことばどおりに解釈すれば、常設的あるいは恒常的調整機構というものは日本の立場からは必要を認めない、こういうことになるわけですか。
#106
○大平国務大臣 仰せのように日米経済合同委員会ばかりでなく、事務レベルでもいろいろなレベルの接触が行なわれておるわけでございまして、それで十分ではなかろうかというような感じを私は持っております。
#107
○柴田(睦)委員 結局はアメリカのドル危機に見られるような経済の混乱がこういうことを日本にも要求する、こういうことになるのだと思うのですけれども、アメリカの経済混乱の原因は、何といってもやはりベトナムの侵略戦争を中心とする海外侵略政策にあったと思うわけです。そういうところで、アメリカが言っておりますような日本に対する要求、これに従っていけば、結局アメリカの侵略戦争のしりぬぐいを日本がさせられる、そしてそれによって日本の国民、農民や中小企業がどんどん犠牲を押しつけられる、こういうことになると思うのです。アメリカのほうは、この教書では安保関係、同盟関係の構造を引き裂くことになるかもしれないというような脅迫的なことばが出ておりますが、日本の国民にとっては別に安保条約がなくなろうとこれは驚くことではないわけで、むしろ国民の多くがこの安保の廃棄を進んで求めている時代になってきているわけです。安保条約がなくなれば困るというのはやはり政府側のほうだ、こう思うわけです。私はこれからアメリカからまた日本に対していろいろの経済要求が出てくると思いますけれども、これによって日本の国民を犠牲にするような政策がとられてはならない、やはり日本の国民の利益に合致する、そういう政策が立てられるべきで、自主的な態度がつくられなければならない、こういうように考えるわけです。この点について見解があればお聞きします。
#108
○大平国務大臣 私はあなたのお話を聞いておりますと、やや被害意識が強過ぎるのではないかという感じがするのです。アメリカは何も日本の国民を犠牲にして日米関係をよくしようなんて一つも考えているとは思いません。先ほど申しましたように経済を開放化し、自由化していくことによって世界経済が拡大してまいりますことは、アメリカ国民ばかりでなく、とりわけ日本国民にとって非常に利益じゃないかという観点で問題をとらえておると思うのであります。日本政府としても、アメリカに奉仕するために日本の国民に犠牲をしいるなんということはとんでもない話でございまして、私どもは日本の国民の信任を得てやっております以上、そんなことみじんも考えられるはずはないわけでございまして、私どもはいまやっておる経済政策を進めてまいりますことが日本の国民の利益であるんだという信念に基づきましてやっておるわけでございますので、日本はいまやもう被害意識どころか、他の国民経済に与える影響、他の世界経済に与える日本の影響力というものも十分はかりながら、同時に日本の国民の利益をどうしてそういう中で追求していくかという観点に立ってものごとを処理していくべきではないかと私は考えております。
#109
○柴田(睦)委員 もう時間がなくなりましたが、いまの点についてはこれからもいろいろ議論をしなければならぬと思いますけれども、アメリカとの関係におきましては、やはりたとえば円ドル問題、この切り上げによって日本の中小企業をはじめ多くの犠牲があったし、それから貿易の自由化ということが進められることによって中小企業や農民の犠牲があった、こういうことになっているわけです。ですから、これ以上これから対日要求としていろいろな問題が出てくれば、日本の国民はさらに大きな犠牲をこうむることになる、こういうことがあってはならぬということを結論として申し上げて終わります。
#110
○藤井委員長 渡部一郎君。
#111
○渡部(一)委員 私は、まず先ほどから各議員が取り上げられております、アメリカの外交教書の問題からちょっとお話を進めたいと存じます。
 私は、先日請暇をいただいてアメリカへ行ってまいりました際、向こうの方々といろいろなお話し合いをしてまいりました。遺憾なことに、まだその問題について皆さん方にお話をしたことがございません。率直に言いますと、今回の米外交教書の持つトーンといいますか、調子といいますか、こうした雰囲気といいますか、アメリカ側の不満というものは、私がニューヨーク、ワシントンあるいはその他アメリカの経済界あるいは労働界の代表等にお会いした際、明らかに見て取れるような面が非常にあったわけであります。
 例を一つお話し申し上げますと、名前を申し上げるのがいいかどうかわかりませんが、バンク・オブ・アメリカの副頭取という方に私がお会いした際、その席上で出た話でありますが、日本は経済政策をかえるためにどうしたらいいのかということをいままでしばしば議論をしてきたと彼らは言うわけであります。そうしたときに、日本側は、日本の国内では官僚主導型であって、その官僚の意向を変えることは簡単にはできないのであって、ステーツマンは力がないのである、あるいは日本においては、商売人の力というのは非常に重大な力があるのであって、この商売人の力をかりるためには一自由民主党の力ではだめなのだとか、われわれにとって大事なのは、国際的な緊張状態が続くと、日本は直ちに変えることができるのであるというような表明をたくさん聞いたというのであります。したがって、彼らはそれに対して、われわれはもう決意をした、日本政府が、自分の政策をかえるために必要であるならば、その必要な、欲するだけの外圧を差し上げたい、われわれは外圧をプレゼントしたいと彼らは述べたのでありまして、まことに印象的な発言であったわけであります。
 ある新聞に、前の駐日フランス大使のフランソワ・ミソフ氏という方のことばを引かれて、日本には政治がない、日本の場合は追い詰めなければだめだというのが欧州一般の見方であるということばが引用されております。これも同じようなことを言っておるのだと思います。
 もう一つ、もっとすごいのを御紹介いたしますと、あの日本の池田総理が訪仏されました際、池田総理をつかまえてトランジスターのセールスマンと酷評したあのドゴール大統領が、スターリンの発言として紹介したことばであります。それはどういうことばかと言うと、スターリンはこう言っておった。日本という国は頭をこん棒でなぐらない限りは回らないのである。つまり走り出したらとまらないのである。こいつとは礼儀正しい話し合いとか乾杯とかで方向は変わらない。強烈に打撃を与えたときだけ日本というのはきゅっと変わる。このコツを覚えておいたほうがいいだろうというのがスターリンがドゴールに述べたことばであります。
 この三つのエピソードを私は御紹介いたしましたが、今回のアメリカの外交教書に見られるトーンの中でそれと似たトーンがあることを私は気にしておるわけであります。つまり日本外交というのは非常に主体性がないのではないかというふうに向こうは述べておるわけでありまして、それに対しての明確な反論と明確な意向が日本政府側から述べられていないのであります。だから、たとえばこういうことが起こるわけであります。向こう側から見ると、日本はなぜ年間貿易の黒字を四十億ドルも積み上げて知らぬ顔をしておるのか、どうしてそれに対してドラスチックな手を打たないのかとアメリカは朝野をあげて一体になって騒いでおるわけであります。ところが日本側のそれに対する反応はどういうのかというと、この間私が訪米中に、田中総理が記者会見されまして話されたことが、アメリカの新聞に一回だけ載ったことがあります。田中さんのいやらしい顔、それこそ恨みを含んだような写真が載っておりました。私はあわててその新聞を読んでみましたら、日本政府としては、アメリカ政府がドラスチックな手を打つよう求めることは好ましくない旨述べられたことが出ております。こういう印象の積み重ねというのは、要するに日本政府は何にもできないのだ、何にもする気がないのだ。要するにこん棒で頭をなぐられ、胴体をけ飛ばされ、かち上げられ、戦争の一歩手前までぎゅうぎゅうと押し詰められ、谷底へけ飛ばされる寸前になると、そのときに初めてかすかなうなり声をあげて突如として方向が変わるという感覚を向こうは持っておるということであります。これが私のアメリカに行ってての強烈な感じであります。単なる感じでなく、昔からの具体的な例をあげて私は申し上げたわけであります。
 そこで、大平外務大臣がアメリカの外交教書に関して論評を試みられた。それはどの程度のものかおいおい伺わなければなりませんけれども、それは率直な印象でけっこうだと私は実は思っておる。ところが、そういう発言がなくて、こういうふうな追い詰められなければ何にもしないという外交指導をしておる人が、いまそこにすわっておられる大平外務大臣であります。つまりけ飛ばされぶんなぐられなければ動かないと向こうは信じ込んで、また大平さんの風貌が東洋的な風貌であることもあるのでしょうし、ちっとやそっとじゃ変わらない、村夫子然とした風貌それ自体が損しておるのかもしれぬ。しかし、私は、そんなものじゃないんだということをあなたがお感じになっておるのかどうか、ここでひとつはっきりどういうふうにしようとなさっておられるのか、御自分の気持ちとそれからアメリカのそういう決定的な印象を変えるためにどうすべきか、そういった点についてまずお話をいただきたい、こう思っておるわけでございます。
#112
○大平国務大臣 アメリカから帰られての渡部さんの御報告もいま拝聴いたしましたけれども、また別の見方も、また広いアメリカでございますからあるわけでありまして、日本は日本株式会社というものであって度しがたい、民間の業者はどうも度しがたいものであるというのではなくて、政府と癒着してうまいことをやっておるのじゃないかというような見方もあるわけでございますし、また日本というところは政府が弱いのではなくて政府が強いのだという見方もあるようでございまして、これは日本という国はなかなかわかりにくい国だと私は正直に言って思うのです。その証拠に、われわれの外交は常に対米従順に、対米追随の外交をやっておるなんというように日本で論評を受けておるわけでございますけれども、そういう向きもありますけれども、それじゃアメリカでそんな声が出るはずはないわけでございまして、なかなか一つの国を正確に理解するなんというのは、人間の知恵を越えた問題だろうと思うのであります。ただ私は、世界的に見まして日本の国、そして日本の民族というものは相当高い信用を持っておると思います。過去わが国はさればこそ世界の信用を得まして、資源のない領土の狭い国でありながら、これだけの近代国家をつくり上げることに成功いたしたのでありまして、ニューヨークの市場におきましてもロンドンの市場におきましても、日本は依然として堅実な信用を誇っている国だと私は思っておるわけでございまして、一番大事なことは、われわれがどう言うとかわれわれがどういう宣伝をするか、どういう姿勢をするかというような問題ではなくて、日本がどういうことをやり、どういうことをやらないか、これは事実でございますから一番わかりやすいと思うのでありまして、われわれはやるべきことをやる、やるべからざることはやらない、そういう世界の信頼をかちとることが外交の根本じゃないかと思っておるわけでございます。したがって、対米経済関係、たいへん高い緊張が続いておったわけでございますが、われわれはこれに対しまして非常に色よい返事をするということができなかったのであります。これは二、三年以内にマネージャブルな、マルチラテラルな道、多角的な方法を講じて持っていくということしか答えられないのでございます。ここ一両年の間にわれわれはこういたしますなんということを、自由体制をとっておる政府が言えようはずのものでもございません。したがって、われわれは黙ってやはりやるべきことはやる。貿易や資本の自由化もやるべきことであるからやるんだということで黙々とやってまいったわけでございまして、それが先ほども柴田さんにもお答え申し上げましたように、漸次日米経済関係がバランスの方向に好転を見つつあるわけでございます。最近日米間で行なわれた事務レベルの会合におきましても、ずいぶんアメリカの対日認識は私は変わってきたというように思うのでありまして、われわれはそういう信頼のできる日本になりたい、信頼をくずす日本になりたくないということを基本に置きながら、国益を踏まえてやってまいる。これにはずいぶん時間がかかり、理解を得るということは容易なことじゃないと思うのでございますけれども、私は日本は戦後の廃墟から立ち上がって、今日になりまして世界の経済大国だ云々と言われるようになってきたわけでございますけれども、その間の歩みを通じまして私は日本の国運は前進しておるというように思うわけでございまして、これを手がたくやってまいらなければならぬと考えておるわけでございます。しかし日本に対するあらゆる批判、御注文ということは虚心に聞かなければいかぬと思うのでございます。あなたがいま御指摘になりましたような一面もあるわけでございまするし、それぞれの批判ということに対しましては虚心にわれわれは聞いて、みずからの言動というものに対して気をつけてまいらなければならぬと思いますが、急にあらたまっていいことをやろうとあらたまってみてもこれは始まらぬわけでございまして、やるべきことをやるか、やるべきでないことをやらないということを、つらくてもやはり内政においても外交においてもそれを心がけていかなければいかないのじゃないかというように、私は知恵がありませんからそういうところに私の基調を置いてやっておるわけでございます。
#113
○渡部(一)委員 私は、アメリカから日本のやり方についてとやかく言われる筋はないと思っております。その意味で、大平さんの言われたいまの御意見の半分くらいは私は賛成なんです。ところが賛成できないところがある。それは、大平さん黙って態度で示そうよというところがあるでしょう。あなたがいまお話しになりました要するに日本政府としてはあまりはでなことも言えないから黙ってやるべきことはやるのだとおっしゃった部分です。私はそれは違うと思うのです。それは大平さんが通産大臣をなさっていた当時はそういう態度でいいと思う。いまは外務大臣なんです。大臣が違います。だから私は、いま叫ばなければならぬときなんですね。ところが日本政府の叫び方たるや、方角違いというかとんちんかんというか、とんでもない方向に向かって叫ぶことがあるのじゃないかと私は思っておるわけなんです、現場を見てきまして。それは何だったかというと、もうアメリカのほうの意見というのは、日米経済問題の不均衡に関する議論というのは、不均衡ということばそれ自体が問題だと思うのですけれども、世界経済全体に対する資本収支などというものは考えないで、日本に対する貿易収支だけを取り上げて議論するわけでありますから、収支という点でも非常に小さな部局的な議論であります。また日本政府に対して、彼らが見ておると、日本の伝統的外交というのは、こう言った人もあるのです、政経分離政策だというわけです。政治と経済を分離する。中国に対しても、商売は商売、政治は政治という二道てんびんでやってきた。ところがアメリカサイドに対しても政経分離政策をやって、われわれを中国のように扱ってきた。安保条約に関してはうまくアメリカの援助を求め、そして商売はすっかりわれわれに品物を売りつけ、要するにわれわれのふところからドルを片端からかつぎ出していって、そして適当に運用しておるではないかという感じが向こうに積み重なっておるわけであります。こういう問題が累積したときに、経済問題のそういう貿易の不均衡を直すというような面もそれも一つの問題であろうと思います。それと同時に、説明をはっきりする部分がなければならないと私は思うのです。だから私が要求しておるのは、そこで幾つかの例をお話ししたいのです。これはどういう回答をするかということについて、私はこれをやれと言っているのじゃない。一つは、ドイツにおいて対米輸出が非常に急増してドルが積み重なり過ぎた時代が一ぺんあります。そのときに、時のドイツの総理大臣さんは、アメリカに対して名目をつけない金を、五億ドルと聞きましたけれども、それをどかんとアメリカに対して供与したことがあります。このお金をどう使うかについて、アメリカ側は一番優秀なメンバーをよりすぐって委員会をこしらえ、そしてアメリカの文化、経済その他にそれを放出しました。金額としては小さなものであります。しかしドイツというのはわれわれのほうからいろいろ金を巻き上げたけれども、使い方がきれいではないか、理由も何もつけないでぽんと金を出すじゃないか、この印象がいまもなお続いておりまして、私は向こうへ行ったときに話を幾つか聞かされました。ところが日本政府は握ったら永久に放さないではないか、握りしめて。きんちゃく切りにあいそうになった婦人がハンドバッグをふところにかかえ込んで、こうやって放さない形で。そんなにたまったんだからたまには少しこぼしたらどうだと彼らは言うわけなんですね。こういう議論が一つ明らかにあります。
 それからもう一つの議論として私は申し上げておきたいのですが、日本政府はお金がたまっているわけですから、いろいろ悪口を言われているわけですから、果敢に英語で議論しなければならぬわけです。英語で議論しなければならない。ところが、日本側の意見を言う人は向こうに少ないわけであります。それはもう当然だと思うのですけれども。そこで、外交教書が出るといたします。これに対して外務大臣は空港でちょこちょこっとおっしゃっただけです。ほんとに一口何かおっしゃった。そしてそれが明らかに打電されております。しかし一国の大統領が本気になって述べられた外交教書ですから、しかもその相当部分に日本に対するあれが書かれているものでありますから、これに対して、まあ同じ分量とか同じふうにというふうな機械的なことを言っているわけじゃないけれども、それ相応のお答えをなさるのが筋ではなかろうか、こう私は思うわけですね。だから、大統領が言ったことに対して総理が言われるのにちょっと問題があるんでありますならば、私が要求することは、空港の会見ではなくて、十分練り上げられた意見を大平外務大臣なりしかるべき人々の名前によって堂々と、きちっとした格調高き文章で反論をなさることが、私は日米友好のために一番いいことではないかと思うわけなんです。
 ところが実際はどういう形で進むかというと、向こうはこういう厚いものをどかんと出してくる。先ほども大平外務大臣はまだ研究中であって、まだ勉強中であると言っておられましたけれども、それほど厚いものを出してくる。こちらの反論は空港における大平さんの小さな一発である。このバランスのとれないことの積み重なりが、日本は何を言っても変わらないじゃないか、ぶんなぐらなければわからないのかといういら立ちになってあらわれると思うのです。被害者にあるときは黙って実行するというやり方でいいかもしれません。しかし日本が加害者だと思われているときに、小さい発言、少ない発言というのは事態をより悪化させるものではなかろうか、こう私は思うわけであります。したがって私は、日米安保に対するおどかしとも警告ともつかないこういう幼稚な、と思うのでありますが、この外交教書における日米安保についての部分などというものはほんとうに幼稚な、われわれから見ると、日米安保に対する疑いが日本の中に相当数を占める意見となりつつある現在、こうした形で日本に外圧がかかると錯覚した大統領教書が出たということは、日本を不勉強だというよりも、そういう不勉強な状態にアメリカを置いておいているというこちら側の反省材料にもなすべきではなかろうか、こう思っておるわけです。
 その意味で、私は、きょうはただの質問じゃなくて、外務大臣に外交教書に四つに組んでもらいたいと思っているわけです。そして四つに組んで、何だいこれはと、態度で示すというよりも言うべきだ。議論に対しては議論で、金に対しては金で、きちっとした筋立てを整えて、アメリカに対して日本の平和外交のあるべき姿をきちっと明示して押し返していくという取り組みは、ちょっと普通の人にはできないだろうと思いますけれども、外務大臣に私は期待したい、こう思っておるのですが、いかがですか。
#114
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、外交教書をただ受けて黙っておるというわけにはまいらぬわけでございまして、これは精細な検討を加えて、日本としてどのように受けとめていくか。これは対米外交ばかりでなく、外交政策全体にとって非常に大事なことだと思うわけでございまして、そういうことは、渡部委員のおっしゃるとおり私どもも心得なければならぬ課題であると思っております。
 それから第二の説得力の問題でございます。確かに、あなたの言われるようにどんどん言わなければならぬし、理のあるところ、事実を踏まえてわれわれは果敢に言うべきことを言わなければならぬと思うのでございまして、私が申し上げたのは、言うだけじゃだめだ、やはり事実をもってささえなければいけないんじゃないか、日本は言うだけじゃないかという日本になりたくないというわけでございまして、そういうわれわれが対外宣伝ということについてもっと積極果敢にやらなければならぬということは全く賛成でございまして、そのことにおいて十分の努力が足らぬということは自分も認めます。それはわれわれ積極的にやらなければならぬと思いますが、より大事なことは、やはり奥深い信用を世界的につちかうことが根本だと思うわけでございまして、そういう点を踏まえながら仰せられるような方向で積極的に、そして精力的にやってまいらなければならぬことだと私も思います。
#115
○渡部(一)委員 それで大体けっこうだと思うのです。
 言うまでもないことだと私思いますけれども、もう一つ念を押しておきたい。
 大臣、外交教書、これはやはりあまりおそいお返事になりますと、時期的にずれ過ぎますと、またナンセンスになると思うのです。またあわてて拙速のものを出すべきでないと思いますけれども。だからこれは早急にきちっとしたものをぜひ出していただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
#116
○大平国務大臣 私もそれを念頭に置いておるわけでございまして、いわばタイムリーにやらなければならぬと考えております。
#117
○渡部(一)委員 それじゃ、あまり時間があるわけじゃありませんので、時局的なことをあと二つばかりお伺いしたいのですが、一つは中国との航空協定の問題であります。
 航空協定の問題について東郷審議官が向こうに行かれていろいろなお打ち合わせをなさったと承っております。目下交渉中の問題点について公開できる面とできない面があることは了解しております。しかし私は、対中国の航空協定あたりでひっかかりますと、中国との友好あるいは平和条約に至る道筋というものに対してたいへん障害になるんではなかろうかと思いますし、もはやいろいろな議論としての段階は――東郷審議官なんか行きますと、ほぼ決定的に行なわれたでありましょうから、政治的な判断の段階に入っているんではなかろうかと思うわけであります。ぜひともこれを早く推進して決断をしていただきたいと思っているわけであります。
 そこで、現在お述べになれる程度で、どのポイントが問題点になっており、そしてこの問題については目下のところどういうふうに扱おうとするおつもりであるか、伺いたいと思います。
#118
○大平国務大臣 前々から申し上げているとおり、航空協定自体の案文につきましては別段困難な問題点はございません。問題は航空協定上出てこないわけでございまして、日中間で事実上理解と信頼のもとでやっておりまする日台路線をどのように継続するか、そして日台間の輸送需要にこたえるかということでございますが、そこはたびたび申し上げていますとおり、日中関係の基本的な筋道、信頼関係というようなものをこわさぬようにやろう、これが大前提、それをこわしたらたいへんでございますから、そういうことにならないようにしなければならぬ。ワク組みはさまっておるわけでございます。問題は、そのワク内におきまして、どういう技術的な調整をやるかというところが問題の焦点になってまいるわけでございますが、それはあなたも申されたとおり、航空協定上の問題ではございませんで、これは日本側の政治的判断にかかる問題でございまして、私どもとしては予備交渉をやってまいったわけでございますけれども、これを延々繰り返していくつもりはございません。いつ本交渉に持っていくかということをいま考えておるわけでございます。本交渉に持っていくにつきましては、協定上の問題でございませんけれども、日台路線の問題につきまして、一応の判断を持っておらなければいけないことは当然でございますので、それをいま航空当局と詰めておるというのがいまの段階でございまして、その問題の中身は、要するに日中間に今度新しく開放される空港問題でございます。
 これは、日中間でレシプロシティーと申しますか相互主義でいくわけでございまして、日本の飛行機が向こうでどの空港に乗り込めるか、こちらはどちらにお迎えするかという空港の問題が一番大きな問題としてあるということだけが、私がいまの段階で申し上げられることであろうと思います。
#119
○渡部(一)委員 ただいまの御説明で大体大筋のところがわかったわけでありますが、要するに、日本側の政治的判断が最終的に下されなければならぬという点は、おっしゃったとおり一番問題なんだろうと思います。すみやかに決断をしていただいて、この航空協定の締結を望みたいと存じます。
 それから、東独との国交正常化交渉がこの間から行なわれておりまして、どうやら最終段階に入ったようでありますが、その状況について概括的な御説明を承りたいと思います。
#120
○大平国務大臣 これはモスクワにおいて何回か接触が行なわれました結果、来たる五月十五日にモスクワにおきまして署名を行なう運びになりましたので、この問題の終着点に来たと私ども判断しております。
#121
○渡部(一)委員 この場合、東西両ドイツとの交渉というものと同時に、同じような考え方で朝鮮問題、あと北ベトナム、南ベトナムの問題、この三つの分裂国家といいますか、分かれている国々との扱いは、わが国の外交の一番大事な問題点であろうと思う。したがって、東独との交渉の際に後に禍根を残すような判断、あるいはそうした取りきめ等については十分御検討を賜わりたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
#122
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、西独と従来国交を持ってきたわけでございまして、今度新たに東独と持つことによりまして、西独との信頼関係はこわれないようにしなければなりませんし、そしてまた、私はそれは可能であると考えておるわけでございます。ベトナムや朝鮮、それぞれ条件が違うわけでございまして、一がいに論ずるわけにまいりませんけれども、事柄はきわめて微妙である、事柄はきわめて重要でございますので、手がたく、しかも非常に用心深く事に当たって、あとに後遺症を残さぬようにしなければならないと考えております。
#123
○渡部(一)委員 それでは次に、最後に教育の問題について、もう一回、前委員会に引き続きまして御質問をしたいと存じております。
 いろいろな側面がありますものですから、きょうは、南カリフォルニア大学の学長が来日されて、アメリカの大学が日本に分校をつくるというお話があるというふうに新聞報道で承っておるわけであります。こういう事実について外務当局としてはどなたかが接触あるいはお話等を伺っておられますか。あるいは文部省の方が来られておりますので、文部省のほうからお返事を承ってもけっこうであります。
#124
○角井説明員 ただいまの問題につきましては、新聞報道以上には私ども全然承知しておりませんのでございます。
#125
○渡部(一)委員 それではしかたがありませんので、向こうでの話、多少聞いた話もまぜまして、申し上げるわけでありますが、まずアメリカ局長に、質問の前に苦情を申し上げておきたいと思うのであります。私はこの間の在米日本人学校の教育の問題について御質問申し上げようとしましたところ、あなたは個人的な用で退席されました。今度はそういうことのないようにしていただきたい。アメリカの問題討議するのに、アメリカ局長がいないでは話にならぬわけであります。これ、まずくぎをさしておきたいと思います。いかがですか。
#126
○大河原(良)政府委員 前々回であったかと思いますけれども、子女教育の問題で御質問だということで、子女教育の問題は省内的には領事事務の所管であるという観点から、もし私は必要でなければ退席させていただきたいということを、御都合を伺いましたら、よろしいという御承諾を得られたという話を伺ったものですから……(渡部(一)委員「承諾なんかしてないよ、かんべんしてやっただけの話じゃないですか」と呼ぶ)その点誤解がありまして失礼いたしました。出席の要求がございますれば当然出席するものと考えております。
#127
○渡部(一)委員 ひとつそこで申し上げておくのですが、アメリカ側で、私がアメリカのある教育関係の方にお会いしましたときに、アメリカからヨーロッパに対して毎年アンダーグラジュエートの学生が約五万人出かけていっております。これは、一つはアメリカの学校の分校がヨーロッパにある分があるわけであります。ヨーロッパに分校がありまして、そこへ行って勉強する。たとえばスタンフォードの分校であるとか、プリンストンの分校であるとか、あるいはバークレー校の分校であるとかが向こうにある。そしてそこへ行って勉強する。そして半年なり一年なり勉強して戻ってくる。その間にヨーロッパの風土になじんでくるというやり方をとっているのが一つあるのです。
 もう一つは、大学と大学の間で単位交換が行なわれておりまして、両方の大学で単位を相互に認め合いまして、単位交換をしてチェンジしている分があるわけであります。つまりボンの大学あるいはソルボンヌ大学というものと、こちらのアメリカ側の何とかという大学が単位交換をするという形で、学生が交換されております。
 この五万人の青年たちの交換というものは、ヨーロッパとアメリカの相互理解にはたいへんに役に立っていると私は思うわけであります。こういうやり方は日本の場合にとれないものかと私は思うわけであります。つまり私が言おうとしているのは、日本の場合大学と大学の間に単位交換する制度をつくり上げる、それを少なくとも許容できる制度をつくることが一つと、もう一つは、アメリカ側の分校を日本につくるとか、日本側の分校をアメリカ側につくるとかということが行なわれませんと、こういうことがスムーズにいかないわけであります。詳細のデータは文部省から後に提出していただきたいと私は思います。
 しかし私がここで求めているのは、外務大臣にそういう考え方、そういう方向で、要するに日本の若い学生たちを諸外国の国際的な日本人となれるようなやり方で、必ずしもアメリカとは申しませんが、交換していくことはいいことなんじゃないかと私は思うわけであります。まずそれについての御意見を伺いたい。
#128
○大平国務大臣 仰せのようなことが可能でございますならばたいへんけっこうなことだと思います。双方の受け入れ体制その他諸条件につきまして私はよく知識がございませんので、そういった問題につきまして教育行政当局によく御検討をいただきたいものだと思うのであります。
 欧州を回ってまいりまして特に感じますことは、やはり米欧関係というのは非常にインティメートだということでございまして、これはわれわれが何倍もの努力をしないととても追いつけないものを持っておる。そういう歴史的基盤、文明的な基盤をちゃんと持っておるように思いますので、よほど日本側も努力していかないといけないので、一つの方法としてあなたが御指摘になりました点は非常に考えなければならない課題だと思うのでございまして、関係当局に十分御検討をわずらわさなければいかぬと思います。
#129
○渡部(一)委員 御意見には御賛成をいただいたみたいな感じですけれども、大臣、ここでわれわれが大事なことは、われわれは官僚でなく議員として申しますことは、そういう方向性に基づいて、もし可能ならばでなくて、可能にさせる方向で処理をしていかなければならぬということだと思うのです。それは御同意いただけると思います。
 私が簡単に当たってまいりましたので資料的には不足でありますが、アメリカ側でアンダーグラデュエートの学生で、単位交換が成立した場合、日本に行って勉強したいという学生がどのくらいいるのだということを調べてまいりました。お答えは一万七千名おるという返事であります。アメリカからヨーロッパに五万人いま行っている。日本に来ているのはほんの数えるほどであるという状況ですが、一万七千も可能性があるという、もしそれがほんとうならば、これは大きなことじゃないかと私は思っておるわけであります。日本人は何でもきれいに片づけてからお客を迎えるくせがありますけれども、日本の中で騒動があるのも何も自由に青年たちに見てもらっていくというやり方をとったほうが将来いいことでありましょうし、こうしたアメリカの開発をしたやり方の中で少なくとも日本が参考になるやり方というのは、今後の東南アジア諸国あるいは中国というような国々との学生交換にも広げていかるべき問題であると思うわけでありまして、これはぜひ御研究の上御努力をいただきたいと私は思っているのですが、いかがでしょうか。つまり私が求めているのは、いいことだというところから、ひとつ研究させてみてよければひとつ進めようではないかという姿勢がほしいわけでありまして、その点どうお考えになるかを伺いたい。
#130
○大平国務大臣 関係者に御研究願って、よければ、推進することに私は全然異存はありません。
#131
○渡部(一)委員 それから文部省の方に申し上げておきたいのですが、これに関する資料を詳細に調べた上、御提示をいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
#132
○角井説明員 心得ました。
#133
○渡部(一)委員 じゃきょうはこれで。
#134
○藤井委員長 次回は、来たる五月十一日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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