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1972/07/04 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第28号
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1972/07/04 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第28号

#1
第071回国会 外務委員会 第28号
昭和四十八年七月四日(水曜日)
    午後零時五分開議
 出席委員
   委員長 藤井 勝志君
   理事 石井  一君 理事 西銘 順治君
   理事 福永 一臣君 理事 岡田 春夫君
   理事 堂森 芳夫君
      阿部 喜元君   小此木彦三郎君
      加藤 紘一君    片岡 清一君
      唐沢俊二郎君    小林 正巳君
      國場 幸昌君    中村 弘海君
      橋本龍太郎君    森下 元晴君
      石野 久男君    川崎 寛治君
      柴田 睦夫君    渡部 一郎君
      玉置 一徳君    瀬長亀次郎君
      永末 英一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        外務政務次官  水野  清君
        外務省条約局外
        務参事官    松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      影井 梅夫君
 委員外の出席者
        外務委員会調査
        室長      亀倉 四郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月三日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     松澤 雄藏君
同日
 辞任         補欠選任
  松澤 雄藏君     小林 正巳君
同月四日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     阿部 喜元君
  稻葉  修君     橋本龍太郎君
  木村 俊夫君     片岡 清一君
  竹内 黎一君     中村 弘海君
  原 健三郎君    小此木彦三郎君
  深谷 隆司君     國場 幸昌君
  宮澤 喜一君     森下 元晴君
  山田 久就君     唐沢俊二郎君
  永末 英一君     玉置 一徳君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部 喜元君     石原慎太郎君
 小此木彦三郎君     原 健三郎君
  片岡 清一君     木村 俊夫君
  唐沢俊二郎君     山田 久就君
  國場 幸昌君     深谷 隆司君
  中村 弘海君     竹内 黎一君
  橋本龍太郎君     稻葉  修君
  森下 元晴君     宮澤 喜一君
  玉置 一徳君     永末 英一君
    ―――――――――――――
七月二日
 米航空母艦の横須賀母港化反対及び日米安全保
 障条約廃棄に関する請願(中路雅弘君紹介)(
 第八〇三八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(条約第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○藤井委員長 これより会議を開きます。
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
#3
○石野委員 たいへん時間が短いそうでございまして、協定文の中に質問事項がたくさんありますが、しぼって二、三の点についてお聞きします。
 協定文の改正になります九条A項の問題についてちょっとお聞きしますが、ここに書かれております「総設備容量六万メガワット(電気出力)又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従つて合意される容量を有する原子炉の核燃料サイクルを維持するために必要な分離作業量をこえてはならない。」こういうふうにあります。まず最初に、総設備容量、電気出力六千万キロワット、この六千万キロワットというものは改正される協定においては完全に日本に対してアメリカ側が保証するという意味合いで書かれておるものであるかどうかということが一つ。
 それからもう一つは、旧協定におきまする「又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される量をこえてはならない。」と書いてあったものが、今度は「容量を有する原子炉の核燃料サイクルを維持するために」とこう改められている。その意味はどういうふうに違うのか、この二点についてひとつ御説明いただきます。
#4
○成田政府委員 新協定の、改定後の九条のA項の六万メガワット、六千万キロワット、これは昨年の七月に原子力委員会がつくりました昭和六十年度の原子力発電規模六千万キロワット、これを六万メガワットとして見通しとしてここへ出しているわけでありますが、これについては従来の旧協定による供給保証制度はなくなっておりまして、第七条のA項にありますように、協定上はアメリカ合衆国委員会の施設において能力が残っておって、そして発注があった場合には公平の原則に従って供給するという電力会社とアメリカの原子力委員会とのコマーシャルベースの契約の問題といたしたわけでございます。したがって六千万キロワットを全部アメリカが供給保証をするということもありませんし、日本が六千万キロワットについて全部アメリカの工場から買うことを約束していることでもないのでありまして、六千万キロワットについてアメリカに電力会社が契約を申し込むと、向こうに能力がある場合には契約ベースで売ってやる、そういうたてまえに変わっておるわけであります。
 それからもう一つの「燃料サイクルを維持するために必要な分離作業量をこえてはならない。」そういう表現になっておりますが、従来の旧協定によりますと、十六万一千キログラムとか三十二万八千キログラムというように濃縮ウランのウラン二三五のキログラム表示になっております。こういう表現はなかったのでありますが、今度の協定によりますと、メガワット、キロワットの形で表現しておりますので、したがってその発電所の燃料サイクルを維持するために必要な、そういう表現が新しい表現に変わったのは、キログラム表示からメガワット表示に変わったことに伴う改定でございます。
#5
○石野委員 そうすると、「合意される容量を有する原子炉」というのは、この付表に掲げられた炉以外にこれから幾つかの炉がもう次から次へと重なってくる、そういうことを大体意味すると理解しますが、そのように理解した場合に、この上に書かれております「法律上及び憲法上の手続に従つて」というこの意味は、これはほとんど意味をなさなくなってくるわけですか。
#6
○成田政府委員 六千万キロワットまでは前の形で出ておりますが、「又は」以下は、たとえば昭和六十年度稼働よりもさらに時期的に進みまして七千万キロワットにする必要がある場合には、「又は」以下の両当事国政府の合意によって一千万キロワットを追加するという場合に、この「又は」以下の規定が働くわけであります。付表制度が今後ありませんので、付表の追加という形ではなくて、メガワットの追加という場合に「又は」以下の規定が働くことになります。
#7
○石野委員 そうすると、その意味するところは、六万メガワットが七万メガワット、八万メガワットということになることだけが対象になる、こういうことですか。
#8
○成田政府委員 そのとおりでございます。
#9
○石野委員 その場合、「法律上及び憲法上の手続」というのはどういうふうにしてとられますか。
#10
○松永政府委員 この「法律上及び憲法上の手続」と申しますのは、現行協定の第九条にございます「法律上及び憲法上の手続」というのと全く同じでございます。この解釈につきましては、先般申し上げましたごとく、わが国の国内法上の要件が、先ほどの例で申しますと六万メガワットから七万メガワットに一万メガワット増加するという合意をいたします場合に、政府がわが国の国内法上この合意をしても差しつかえないという権限があるかどうか、すなわち「それぞれの法律上及び憲法上の手続に従って」という規定に即しているかどうかという問題であろうと存じます。
#11
○石野委員 ここではまだ非常に問題が残ります。私は政府のその説明には了解できません。旧協定に基づくいままで説明されたようなことを、ここでそのように理解するかどうかについては、非常に問題が残ります。私はそのようにはなかなかこの条文を読むことができないのです。これはほんとうはここを詰めなければいけないと思いますが、私の見解でいきますと、ここはやはりもし一万メガワット増加させようという場合には、両当事国政府の間でそれぞれ法律上、憲法上の手続を経て、そしてその合意された量を双方でまた協定に入れる、こういう形になると思うのですね。「分離作業量をこえてはならない。」というふうに書いてありますから、この六万メガワットをこえるものについては、いわゆる憲法上の所定の手続、憲法七十三条三号の手続を経るべきだというふうに理解します。政府との間には見解の違いがあるようですが、政府にもう一ぺんその点についての見解だけ聞いておきたいと思います。
#12
○松永政府委員 先般来申し上げておりますごとく、政府といたしましては、政府がこの供給量の変更について合意いたします国内法上の法律的な要件がないということから憲法七十三条二号にいう外交関係の処理として取り扱っていくつもりであります。
#13
○石野委員 それには了解しませんけれども、時間がありませんから先へ進ませていただきます。
 今度の協定でなぜ付表を協定本文からはずして交換公文の付表というような形にしたのかということについて、これは時間がないから簡単にひとつ説明してください。
#14
○成田政府委員 従来は「又は」以下の規定によって交換公文で付表の追加をやっておりましたが、今度の協定は「六万メガワット又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される容量をこえてはならない。」というように付表全体がなくなっております。
#15
○石野委員 ですから、付表をなくしたというのは、なぜそういう処置をされたかということについて政府の見解を聞かしてほしい。
#16
○成田政府委員 このたびの協定の改定におきましては、先ほど言いましたようにアメリカの原子力委員会の供給保証制度がなくなりました。従来は供給保証制度がありましたので、全体としてウラン二三五何キログラム、そして何発電所のどの炉が必要であるか、これはアメリカが原子力法等によって国会に提出する必要がありましたのですが、今後供給保証制が協定上はなくなって、契約ベースで公平の原則で能力があれば売るというたてまえになりましたので、付表によって具体的な炉を掲上する必要がなくなったわけでございます。そういう点から付表が廃止になって六千万キロワットだけが残る形になったわけであります。
#17
○石野委員 そうすると今度の両国の間におけるところの協定は、全体としての量で話をするのですから、当然量の面ではそれでわかりますが、日本の原子力基本法に基づくところの炉の規制という問題、そしてまた炉についてのいろいろな審議されるべき内容というものは、協定自体で本院ではなかなか討議できないという形が出てまいります。それは先ほど国内法によって云々という話がありましたけれども、本委員会においてそれを討議しようとしてもそういうことは問題にならなくなってしまう、そういうことになりますね。たとえば別表に関連していろいろな炉がずっと出てまいりますが、その炉は交換公文の中の内容になってくるので、率直に言えば、われわれは交換公文を見なければ協定の中ではほとんどどんな内容の炉になっているかわからないわけです。したがってその炉の設計者はどういう形であり、製作メーカーはどういうものであるかというようなことも、もちろんわからなくなりますし、それから炉の所有者ないしはその運営に当たる者はどうなっているか、あるいは事故に対する責任はどうなっているのかというようなこと、あるいは現に美浜の事故例なんかに見られるような問題そういうような問題に対する討議がほとんどできなくなってしまいますね。これはこの種の協定を今後審議するにあたっては、どういうところで、協定案件の審議をする場合、国会はそれの衝に当たることになりますか。
#18
○成田政府委員 新協定下におきましては、交換公文によっても付表制度がありませんので、炉が出てまいらないわけでございます。むしろ六万メガワットの中の運用の問題として電力会社とアメリカの原子力委員会と濃縮役務契約を締結する、そういう形でやっていくわけでございます。ただ、具体的には今度の新しい濃縮役務契約等によって引き取りの八年前から契約をしないといけないというふうになって、相当早い段階でこの濃縮役務契約が交わされますが、その後具体的に地点がきまり、そして地元との関係、了解もついて電調審に上がって電源開発計画に繰り込まれ、そしてその後原子炉等規制法によって総理大臣に対する申請がなされ、安全問題、環境問題等審査されて、そこで初めて設置していい、悪いという政府の許可が出るわけでございます。したがって、電調審にかかり、原子炉等規制法によって許可が出る段階で初めて具体的な炉の計画が政府としても審議でき、また国会等で質問がある場合にはそのつどいろいろ科技特等で議論しておるところでございます。それから、ただこれは協定による契約でありますので、この協定ではオーソライズドパースンといいますか、政府が承認した人しか契約ができないというようなことになっております。そういう濃縮役務契約をやる場合には、政府に対してオーソライゼーションの手続を電力会社等がとることになっておりますので、契約段階から実態はよくわかりますが、具体的な計画の許可は、原子炉等規制法によって申請が出てきて初めて具体的な内容がわかるようになるのであります。
#19
○石野委員 協定は日本における原子力の発電量の問題にやはり非常に重要な関係がありますし、エネルギー対策の側面からこの問題を政府としては見ていかなければならないわけですが、エネルギーの対策としては、現実にそれが非常に不足しているという観点と、それからいままでのエネルギーの長期計画でいいのかどうかという観点と二通りあると思うのです。それで私は、特に最近工業公害というもの、産業公害というものが各所に出てきていて、そのことがたとえば海の魚までも食べられなくなってきているというような現実に直面して、原子力の公害がもしそれに加わっていった場合にはもう救い得られないものになるであろう、こういうように考えます。そういう観点から、この協定の内容とされるウラン燃料の確保の問題については、われわれはやはり将来これを十分確保しなければならぬということはわかっているけれども、しかし一面においてはそれを急ぐあまり炉の安全性というものを無視した形でこういうような協定が先行されるということは、将来の環境保全の上からいっても、あるいは産業の安定的な確保という立場からいっても決して策を得たものでないと私は思います。そういう観点から、やはりエネルギー政策について私はもう一度、政府ではこの機会に検討を加えるべきではないだろうか、こういうふうに実は思いますが、そういう点について科学技術庁長官、どういうふうにお考えですか。
#20
○前田国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、先生も御承知のように大体エネルギーの需要は、私正確なパーセンテージは持っておりませんけれども、大体年率九%前後でふえていっておるように私は思っております。その計算でいきますと、これは電力需要でございますが、大体九%前後の率でその需要率が増加しておるわけでございますが、その調子でいきますと昭和六十年には二億四千万キロワットの発電量が要るわけでございまして、それに対処いたしましてその資源のほうはどうかということになりますと、石油は私からくどくど御説明するまでもなく、だんだん……(石野委員「こまかいことはいいから。結論だけでいいです。」と呼ぶ)その意味におきまして原子力に対する期待が非常に大きいということでこういう計画をわれわれ立てておるわけでございます。しかし、先生常に御指摘の公害の問題と申しましょうか、安全性の問題あるいは環境の調和の問題等についてよく考えるべきじゃないかというふうな、いつも御指摘をきびしくいただいておるわけでございますが、その点はわれわれといたしましても安全性の確保のために常に留意をいたしまして原子力の行政を進めてきておるわけでございます。また、環境との調和の問題につきましても、これはいつも御指摘をいただいておりますが、今後は――現在でも原子力委員会内に環境・安全専門部会というものを置いて、温排水問題についてもまだまだその取り組み方がぬるいじゃないかという御指摘じゃないかと思いますが、われわれ一生懸命になって、あるいは公聴会制度というものも考え、地元の理解と協力を得て、公害のない原子力行政というもの、原子力発電というものを進めていきたいということを考えておりますので、私は資源の件等を考えまして現在の段階におきまして、現在の原子力開発計画というものを改定する考えはございません。
#21
○石野委員 原子力についての、やはりエネルギー確保についてのいまの計画を変えないということですが、いま一つお聞きしておきますけれども、燃料確保はやはり炉の形ではほとんど軽水炉。重水のものは実際問題として一つくらいしかないわけですよ。軽水炉でみないっておりますが、ここでほとんどやはり米英にたよっておるわけですね。日本の自主的な開発というものは二、三あるようですけれども、ほとんど数が少ない。それで自主開発の側面で軽水炉にはまだやはりいろいろな問題になる点が多いわけです。特に緊急冷却装置の問題についての危倶されるべき点だとか、あるいは美浜におけるところのああした事故の問題とかいろいろあります。それらのものを勘案しながら、新しい炉の開発という問題にもう少し国が――各電力会社とかあるいは機器メーカーというようなものに依存するのでなくて、政府みずからがもう少しこの問題に腰を落ちつけて、開発の問題を安全性の問題とかね合わせてやるべきではないだろうか。それでないと、幾らウラン燃料を確保してみても将来は非常に危険な危倶が残る。きょう、聞くところによると、魚屋さんが全部集まって大会をやっているのでしょう。それで、とれた魚が食べられなくなったら、幾ら産業が起きても意味ないですね。原子力が幾ら起きても、起こされるような情勢があっても、地域住民に被害を加えるということになれば、炉自体はとめなければならぬということはもう明らかなんです。そういう意味からいうと、私はやはり新しい炉の、安全性を加味した研究開発というものにもう少し力を入れる必要があるのではないか。いま各電力会社にすべてを依存するというようなやり方では日本の現状からいってよくないのではないか、私はこういう考えを持っておるのです。そういうようなことについて、もう少し政府としては積極的な予算措置をして、たとえば高速増殖炉にしても、新型転換炉にしても、あるいは核融合炉の開発の問題についてももっと積極的な対策をとるべきで、この協定が持っているような意味合いのものから、もう少し、やはり自主的な炉への方向性を示すべきでないか、私はこういうように思いますが、長官はどういうふうに考えますか。
#22
○前田国務大臣 現在の軽水炉についてのいろいろな事故というか、そういう危険性といいましょうか、安全性についていろいろ危倶の点があるのじゃないかという先生の御指摘、私もほんとうにその御指摘はいつも身にしみて拝聴しているわけでございます。原子炉につきまして、拝聴すると同時に、それについて積極的に取り組んでいるわけでございますが、それでもまだ先生方に、それでは不十分じゃないかというような御指摘をいつも受けていることも私、存じております。とにかくいずれにいたしましても原子炉についてもっと自主的に、日本が外国に依存せずに自主的な開発を考えるべきじゃないか、全くその御指摘のとおりでございます。それがために本年度の予算におきましても安全性研究についての予算も計上いたしまして、安全性のために取り組んでおることは先生も御承知のとおりでございますが、それでもどうも不十分じゃないかという御叱正はよく私もわかっております。と同時に、動燃事業団におきまして新型転換炉あるいは高速増殖炉につきましても、プロジェクトの目標をつくりまして一生懸命やっておるというわけでございまして、この原子炉の自主開発、安全性の確保という点については、今後御指摘を体しまして一生懸命にやりたいということを申し上げておきます。
#23
○石野委員 政府の原子力政策についての問題は、まだ問題をたくさん残しておりますけれども、本協定を審議するにあたって、いろいろ時間の関係があるようですから、私は、それをあとまた本委員会とかあるいは科学技術特別委員会で追及させてもらうつもりです。それはそういう意味で保留いたします。
 質問を終わります。
#24
○藤井委員長 委員長から外務大臣にお伺いいたします。
 今後本協定第九条にいう濃縮ウランの供給量のワクの変更について、日米両国政府間に合意が行なわれた場合には、それが交換公文であっても外務省より外務委員会理事会に報告を願いたいと存じますが、そのように取り扱う御用意がありますかどうか、御所見を承りたいと存じます。
#25
○大平国務大臣 今後第九条に定める供給ワクを変更する交換公文を取りかわしました場合は、外務委員会理事会に御報告いたします。
#26
○藤井委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#27
○藤井委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。西銘順治君。
#28
○西銘委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております日米原子力協定改正議定書の承認に対し、賛成の意を表するものであります。
 最近世界の工業国においては、石油資源の確保が深刻な問題として検討されております。
 特に、わが国は石油資源が乏しいにもかかわらず、主として火力発電に依存しておるのでありますが、これに必要な分も含めて年間の需要量約二億三千万トンの石油を確保せねばならず、そのほとんどを輸入に依存しておるのであります。
 このような状況の中で、これから三十年、五十年先のエネルギー源を確保するには、原子エネルギーに依存するほかに道がないというのがわれわれの結論であります。
 わが国が、今後ますますその消費量の増大が予見されるエネルギーについて、改正後の協定によってその供給ワクが大幅に確保されるようになります。核燃料の安定確保については、一国のみに依存することなく、できるだけ多角化し、将来は自主開発をも意図すべきことは申すまでもありませんが、本協定が、わが国のそのような意図を何ら阻害するものでないことは明らかであります。
 現在、他国に濃縮ウランを供給することができるのは米国のみであり、わが国としても、当面濃縮ウランの確保については米国に依存せざるを得ないのが現状であります。この現実を十分に踏まえつつ、供給源の多角化のために、フランス並びにイギリス、オランダ、西独との共同事業、米国民間企業との共同濃縮計画、ソ連からの濃縮ウランの購入等が検討されている段階であり、また、わが国の濃縮技術の自主開発も鋭意進められているのであります。
 今日まで続いてきたわが国の原子力産業の発展を中断させることなく、今後の核燃料確保の安定化をはかるためには、当面日米協定に依存しつつ、将来の供給源を多角化することが現実に即した、しかも唯一の方法であることは明らかであります。なお、米国から移転される核燃料の平和利用の確保のための保障措置については、今回の改正により国際原子力機関による適用をたてまえとするとの改善も行なわれております。
 原子力公害等は絶対にあってはならないことは申すまでもありません。この件に対しては、政府は、個々の原子炉の設置にあたり、原子炉等規制法に従い、厳重に安全性並びに環境問題の審査を行なった上で許可しているものであり、安全対策には万全が期されているものと信ずるものであります。
 とのように改正後の協定は、わが国が必要とする核燃料を長期にわたって供給し、わが国における今後の原子力の平和的利用を一そう促進することを可能にするばかりでなく、原子力発電用の燃料が供給されることによって、国民生活の安定にとってもきわめて大きな影響を及ぼすものと考えられますので、本件を承認することは、国民的立場からも絶対に不可欠なことであると確信するものであります。
 なお、審議の過程において供給限度量の変更、付表の修正をめぐっての疑義が表明されましたが、政府の措置は憲法第七十三条第二号に基づくべきものであり、適切な措置であると確信するものであります。
 以上、二、三の所見を申し述べまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#29
○藤井委員長 石野久男君。
#30
○石野委員 日本社会党を代表して、本協定に以下の理由で反対をいたします。
 原子力発電によって枯渇していくエネルギーを確保しようというそういう考え方について、党は決して反対していません。けれども、原子力発電を急ぐあまり、原子力発電所に使われる炉がいろいろな意味においてまだ不安定であります、そしてその運転をするにあたっても幾つかのやはり科学的に未解決のものもありまするし、安全性を確保するにおいての危険も至るところでまだ現に出ておるわけです。そういうような状態で、いわゆる原子力発電炉の乱開発をすることに対しては、党は全く反対であります。これは厳に戒めなければいけない、このように思います。
 原子炉の安全操作、運転が確保されるということが前提となって、前に申しましたようないわゆる熱エネルギーを確保するための原子炉開発、こういうことになるのでございますから、そういう意味からいたしますると、燃料確保について本協定の持つ意味は、われわれにとって非常に不安があります。四十三年の協定のときにもすでにわれわれの側からそのことが提起され、反対の理由にもなったのでありますが、特に四十三年の協定においても本協定においても、協定の持つ内容が依然として炉の自主開発を非常に阻害する、そういう側面がたくさんあります。この点は、原子力エネルギーに依存しようとする政府の態度あるいはまたわれわれの立場からしても厳に戒めなければならぬ問題であり、今後解決しなければならぬ問題だと思います。そういう意味で本協定は、われわれが期待するような原子炉による熱エネルギーの安全確保には必ずしも適応していない、こういうふうに思います。
 それからまた、保障措置の問題について国際管理機関の査定を受けるという点については、われわれはこれが従来よりも悪くなったとは決して思いませんけれども、われわれはこのことについても、NPTとの関係等を考えるとなお問題が残ると思います。
 それから本協定が従来と違って総量が規定されるということから、炉の内容についての規制が非常に緩慢になってしまいます。十分に行き届かない点が出てくると思います。政府の説明によると国内法によって規制されるということになります。もちろん国内法では炉は一応安全審査を経て設置されることになっているわけですから、それで政府の説明のようにはなりますけれども、実際には八年前に燃料確保のために契約をしなくちゃならないという状態から、安全審査が十分固まらないうちに契約が先行されるという危険が残されているわけです。それを補足する側面はどこにもありません。だからそういう意味で私たちは、もしどうしてもそれを早急にやろうとすれば安全審査に不備が出てくるという危険性も感じておりまするし、したがってこの協定が実行されることで安全審査の粗漏な側面への警戒をしなければならないということが出てくるのであって、安全性を確保する観点からすれば、むしろこういう協定の形をとるべきでない、こういうふうに考えます。
 その明らかな理由の一つとして、今回問題になりました九条のA項についてのいわゆる交換公文の取り扱いがあります。交換公文の取り扱いについて、百六十一トンまたは両当事国政府の間において法律上、憲法上の合意を得た量をこえてはならないと書いてあるこの法律上、憲法上の合意を得るという手続の問題について、政府とわれわれとの間に見解の相違がありました。政府は憲法七十三條二号の扱いにする考え方のようでありますが、われわれは、この協定の中に明文化されておるように法律上、憲法上の手続による合意というのは条約に準ずる手続上の問題であるから、七十三條三号の扱いにすべきである。こういう考え方をとっておるし、またそうでなければ、いわゆる原子力基本法に基づくところの炉に対する規制の問題とか、あるいはまた原子力に対する平和三原則の適用の問題にもそごを来たす憂いがあります。そういう観点で改正される協定文についても、七十三條の適用について政府は二号を適用しようとしておるけれども、われわれはこれを第三号の適用にすべきであるということを依然として主張いたします。
 そういう観点からもこの協定の扱いについては、政府はあくまでも産業界の要望する側面に沿うた解釈あるいは政策施行ということをやろうとしているように見受けられる。われわれはやはり原子力の開発、利用という問題については、あくまでも国民の立場に立った安全性の絶対確保ということを前提として産業開発をしなければいけないという立場をとります。そういう点で政府は原子力の開発について、基本法に基づくところの考え方をもう少し真剣に考えるべきであると思います。それがなければこの協定は、原子力基本法の実体というものに非常にそぐわないことになってきますから、われわれとしてはこれを了解することができないわけです。
 以上のような理由で、わが党はこの改正案に対して反対をいたします。(拍手)
#31
○藤井委員長 柴田睦夫君。
#32
○柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、日米原子力協定の改正議定書の承認に対し、反対の態度を表明いたします。
 今回の改正議定書は、アメリカの濃縮ウラン供給役務を旧協定より一そう増大させ、わが国の原子力研究開発を一そう対米従属で推し進めるものであります。
 わが党は、一九六八年の日米原子力協定に対しても、将来のきわめて重要なエネルギー資源である原子力研究開発が、対米一辺倒で進められ、そのことが日本の自主的な技術開発をそこなうとともに、わが国の重要基幹産業に対する米国の支配権を強める従属的な協定であるとして反対してまいりました。
 今回の改定は、アメリカからの濃縮ウランの供給量を約三倍化し、昭和六十年代までに六万メガワットという大規模な原子力発電計画をすべてアメリカまかせで行なうというものであり、エネルギーの対米従属性を一そう進めるものです。これは、昨年九月の田中・ニクソン会談及び鶴見・インガソル会談での取りきめに基づくものであり、原子力の自主開発、自主的、平和的、総合的エネルギー政策の確立を求めるわが党は、今回の改正議定書の締結に反対するものであります。
 なお、本協定の中心となる第九条A項にいう当事国政府の「憲法上の手続」に関し、憲法七十三條三号に従わないとしていることをわが党は断じて認めることはできないのであります。
 第二に、今回の改定は、すでに多くの国民や良心的科学者の間にきびしい批判のある、六千万キロワットに及ぶ大規模な原発設置計画を事実上認めたものとなっていることであります。大型原子力発電による周辺地域の恒常的な放射能汚染と、大量の温排水による沿岸海域の魚介類に対する被害、さらに事故時における放射能汚染の危険等から、六千万キロワットに及ぶ大規模な原子力発電は、火力発電の公害にかわる新しい原子力公害の危険をはらむものです。政府が、この協定を認めたことは、このようなおそるべき原子力公害を無視して、計画強行の腹を示したものとして許すことができないものです。わが党は、国民の生命を守る上からも、この協定に反対するものであります。
 第三に、わが党は、わが国の原子力軍事利用の危険についても指摘してきました。これも「核軍拡」の進む中で、政府が「核兵器全面禁止協定」の締結の態度を明らかにしていない以上、潜在的核保有国であるわが国における軍事利用の危険性は、なお拡大するものといわざるを得ないのであります。
 以上のように、今改正議定書は、三十五年という長期にわたって、エネルギー資源をアメリカに依存従属させ、国内においては原子力公害を全国に広げ、軍事利用の一そうの危険性を強めるものであります。
 わが党は、わが国における原子力研究開発を、安全を守り、自主的、民主的、平和的に発展させるために一貫して努力しています。
 そして日本の原子力の平和利用を積極的に進めるために、原子力を含む総合的エネルギー政策を発表していますが、本協定はこの方向に逆行するものでありますから、本改正議定書に、反対の意思を表明するものであります。(拍手)
#33
○藤井委員長 渡部一郎君。
#34
○渡部(一)委員 私は公明党を代表し、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につき、遺憾ながら反対の意見を表明するものであります。
 四十三年二月二十六日に署名された原子力の非軍事的利用に関する協力のための協定が締結されておりますが、本議定書はこれを改正するものであり、四十八年三月二十八日、ワシントンにおいて署名が行なわれたものであります。
 濃縮ウラニウムの安定供給源を確保することはわが国の外交政策の大きな主題でありますが、本議定書の審議において、その国民的願望に逆行する欠陥が数多くあることが露呈いたしました。たとえば濃縮ウランの安定供給のために必要な公正の原則、融通の原則、先着者順の原則などがいずれも交渉の不成功というか不備というか、きわめてあいまいなものであることが明らかになりました。あるものは当委員会において後に提出されることを当局は約束せられましたが、これらの文書がたとえ提出されたといたしましても、きわめて不備な議定書であることは明らかであります。しかも本議定書に対する私の質疑中重大な問題点が明らかになりました。それは、本協定と改正議定書との間にウラニウム供給量が政府の手によって恣意的に引き上げられ、しかも当委員会に報告をされなかったという事実、それに加えて交換公文まで取りかわされているにもかかわらず、政府はこれを提出しないばかりか報告すらも行なわなかった点が明確になったのであります。すなわちこの交換公文は、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定中の濃縮ウランの供給枠の拡大及び同協定の附表の修正に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の交換公文であります。憲法七十三条二号、三号の解釈については、当局とわが党との間に見解を異にいたします。しかし、国際的に交換公文、国際的諸取りきめが増大しつつあり、その重要性は国民の権利義務に対して重大な影響性を持つことを考えますとき、当交換公文あるいはそれに準ずる交換公文、国際的重要諸取りきめに関しては、国会並びに当外務委員会あるいは外務委員長等に報告あるいは提出、審議することは、日本国憲法を守り、議会民主主義を守る立場からいって当然な義務といわなくてはなりません。その点政府当局及び外務大臣は陳謝の意を表され、今後の反省を誓われました。しかしながら、この問題は日本国憲法の自主的な運用並びに当国会の権威を高からしめるために今後とも十分審議をし、明確にしなければならぬと思う次第でございます。
 ちなみに、外務大臣はこの問題に対して次のように発言されました。「日米原子力協定第九条に定める濃縮ウランの供給ワクの拡大に関する交換公文に関し、国会の審議権を十分に尊重すべきであるとの御指摘については、本件交換公文に関する政府の措置が適切でなかったことは遺憾であり、今後この種の交換公文その他の国際約束を締結するにあたっては、この点に十分に留意しつつ、かかることが起こらないよう処理してまいりたいと存じます。」私は、この後段にある、「この種の交換公文その他の国際約束を締結するにあたって」留意するとの御発言を留意したいと存ずる次第であります。
 さらに、私は、公害完全防除の国民的要請に従って申し上げますが、本議定書の意味するところを考察いたしますと、約七十基に及ぶ原子力発電所の建設を意味するものであり、その安全性はきわめて不十分、不明瞭であります。特に耐用年数三十年といわれるこれら大型原子力発電所が一体今後どう処理されるか、どう解体されるか、その見通しもなく、方法も開発されていない。これは重大な手落ちというべきであるということを指摘した次第であります。
 また、昭和六十年に六千万キロワットアワーの原子力発電、総合計して二億四千万キロワットアワーの総発電量の推定というものは、GNP第一主義の産物であり、これはぜひとも再検討しなければならないのであります。申し上げましたとおり、増大する人間の欲望に一方的に身をゆだねた技術とか政治政策というものはあり得ないことを、わが国はいまや深刻な立場から反省をしなければならぬと考えるからであります。
 また、日本国のウラニウム供給をアメリカにのみゆだねることはきわめて不当であることは、各員からの指摘があったとおりでありますが、私は、事は日米安保体制の原子力版として、三十五年にわたる日本外交の自主自立の手を縛る可能性があることを指摘いたしました。この点、政府の努力はあまりにも不足かつ不成功であったこともまたあわせて指摘しなければならないのであります。
 このような観点から、私は今後の日本外交の基本に触れることがあまりにも多い本協定の議定書に関し、政府並びに外務当局の深刻な反省を求めるとともに、遺憾ながら反対の意を表明するものであります。(拍手)
#35
○藤井委員長 これにて討論は終局いたしました。
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#36
○藤井委員長 起立多数。よって、本件は、承認すべきものと決しました。
 おはかりいたします。ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
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#38
○藤井委員長 次回は、来たる十一日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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