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1972/07/13 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第30号
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1972/07/13 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 外務委員会 第30号

#1
第071回国会 外務委員会 第30号
昭和四十八年七月十三日(金曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 藤井 勝志君
   理事 石井  一君 理事 小坂徳三郎君
   理事 西銘 順治君 理事 堂森 芳夫君
      石原慎太郎君    稻葉  修君
      小林 正巳君    竹内 黎一君
      深谷 隆司君    福田 篤泰君
      山田 久就君    石野 久男君
      河上 民雄君    柴田 睦夫君
      渡部 一郎君    永末 英一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        外務政務次官  水野  清君
        外務省アジア局
        長       吉田 健三君
        外務省欧亜局長 大和田 渉君
        外務省条約局長 高島 益郎君
        外務省条約局外
        務参事官    松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      影井 梅夫君
        文部省大学学術
        局長      木田  宏君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部少年調査官 星野鉄次郎君
        外務省アメリカ
        局外務参事官  角谷  清君
        文部省理財局国
        有財産第二課長 川崎 昭典君
        厚生省援護局業
        務第二課長   横溝幸四郎君
        外務委員会調査
        室長      亀倉 四郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 千九百六十一年の麻薬に関する単一条約を改正
 する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第三号)(参議院送付)
 千九百七十二年の国際ココア協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院
 送付)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
#2
○藤井委員長 これより会議を開きます。
 千九百六十一年の麻薬に関する単一条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び千九百七十二年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件、以上二件を議題とし、順次政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣大平正芳君。
#3
○大平国務大臣 ただいま議題となりました千九百六十一年の麻薬に関する単一条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案の理由を御説明いたします。
 麻薬の国際統制に関する基本的な条約といたしましては、千九百六十一年の麻薬に関する単一条約がございますが、近年麻薬の乱用が世界的な社会問題となっている実情にかんがみ、一そう有効な麻薬の国際統制の実現をはからんといたしまして一九七二年三月にジュネーヴで国際連合の主催により同条約を改正するための全権会議が開催され、九十七カ国の参加国中わが国を含めまして七十一カ国の賛成を得てこの議定書が採択されたのであります。
 との議定書の目的は、国際麻薬統制委員会の機能及び統制権限の強化、同委員会の資料収集源の拡大、麻薬犯罪を引き渡し犯罪とみなす規定の新設、麻薬の乱用に対する措置の強化等にあります。
 この議定書の趣旨は、麻薬の乱用がもたらす害毒を防止するための国際協力を増進する上で適切なものでありまして、この議定書を締結いたしますことは、海外からの麻薬の密輸入が依然としてあとを絶たないわが国にとりましてもきわめて有益であると考えられるのであります。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百七十二年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案の理由を御説明いたします。
 この協定は、一九七二年九月から十月にかけてジュネーヴで開催された国際連合ココア会議におきまして採択されました新たな国際商品協定でありまして、わが国を含む四十一カ国及び欧州経済共同体が署名しております。
 この協定の主たる目的は、生産国がすべて開発途上国であり、また、短期的に著しい価格変動を示すことが多いカカオ豆の価格を、生産国及び消費国の協力によって安定せしめ、生産国の輸出収入の安定及び増加に寄与することであります。
 この協定につきましては、国際連合貿易開発会議が開発途上国の一次産品問題解決のための国際協力の代表的な一例であるとして再三にわたりその成立促進を決議しており、この協定を締結いたしますことは、これらの決議にこたえて開発途上にある生産国の経済発展に協力いたす見地から、また、消費国としてのわが国の立場を十分反映せしめる上で、その意義大なるものと考えられるのであります。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。以上二件について何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○藤井委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 両件に対する質疑は、後日行なうことといたします。
     ――――◇―――――
#5
○藤井委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
#6
○堂森委員 与えられました時間、数点につきまして外務大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでございます。
 きのうときょうの各報道機関は、近く行なわれる日米首脳会談、さらに西欧諸国、ソ連等の総理の訪問、もちろんその旅行には大部分外務大臣も同行されるようでありますが、新聞報道によりますと、昨十二日、首相官邸におきまして総理並びに外務大臣その他政府の首脳の会談が行なわれまして、まずアメリカ訪問における首脳会談の内容等について第一回目の詰めでありますか、あるいは大詰めの詰めかもわかりませんが、いろいろと協議をされた。そして新聞の報道を見ておりますと、世界の中における今後の日米間の経済、政治の両面にわたって新しく日米間の今後の協力のしかた等について広く討議をしていくことになるであろう。まあこれは新聞報道でそう書いておるのでありますが、したがってまず新大西洋憲章というものについて両首脳が話し合うことになるであろう、それからまたいろいろな意味での経済問題についても話し合いが行なわれるだろう、当然安保体制についても話し合いがされるであろうというふうな意味の報道がなされておるのであります。先般来私もこの席で外務大臣に新大西洋憲章についてどういうような考え方でおるのかということについてお尋ねをしたことがありましたが、一生懸命にいま勉強中であります、いろいろ意味についても抽象的でわかりにくい点もあるというような理由もあってというような意味の答弁もしておられたのでありますが、新大西洋憲章について話し合うということを重要な会談の内容の一つとしておられる、こういうふうに報道されておりますが、今日となってはもうただいま勉強中というわけにはいかぬと思うのであります。外務大臣が新大西洋憲章についてどのような考え方、構想を持っておられるようになったのか、この点についてまず伺っておきたい、こう思います。
#7
○大平国務大臣 アメリカの外交方針といたしまして、ことしはヨーロッパの年だという意味で米欧関係というものを固めていきたいという考えが基底にあるように拝察されます。したがって、そのタイトルもアトランティックチャーターというようなものになっておることからもそういうことは推察されるわけでございます。このアトランティックチャーターのタイトルにおいてアメリカ側の考え方を示して、目下ヨーロッパの主要国とアメリカとの間で協議が行なわれておると思います。したがって、わが国に直接関係したことではないのでございますけれども、米欧関係の間にありまする通貨問題あるいは貿易問題、資源問題等々は当然これは米欧関係だけで処理できる性質のものではございませんので、したがって、今日までわが国といたしましても、そういうグローバルな広がりを持った、すそ野を持った問題につきましては、アメリカともヨーロッパとも御相談してまいったわけでございます。したがいまして、われわれはそういう意味でこのアトランティックチャーターというものに対しましては関心を持っておるわけでございますので、まず第一に米国首脳から詳細にひとつお考え方を伺いたいと思っております。
 それからそのチャーターの中には、政治、経済は安全保障とのリンケージと申しますか関連において、それぞれが関連を持っておるものであるという考え方が示されておるわけでございまして、米国におきましてそういう問題がどのように取り上げられるかは別といたしまして、こういう考え方に対しましてわが国といたしましてはユニークな体制を持っておるわけでございますので、わが国といたしましては政治、経済、軍事というようなものの結びつきというようなことにつきましては、わが国の特殊な立場というものを十分踏まえて受けとめなければならぬと考えておるわけでございまして、まず先方からよく御意見を拝聴すると同時に、田中総理からもわがほうの見解は先方に伝えていただかなければならぬと考えております。
#8
○堂森委員 ただいまの外務大臣の答弁をお聞きしておりますと、会談の際に向こうからなお詳細に具体的にいろいろ聞いてそして話をやっていくんだ、こういうふうにとれると思うのです。しかし、それは外務大臣としてはなるべくものを言わぬでおこうというような慎重な態度から出てくる答弁だと私は思うのです。
 それではもう一ぺん具体的にお尋ねいたしますが、新大西洋憲章というものは、いまの御答弁では、広く政治、経済、それから集団安全保障などをも全部ひっくるめたような機構になっていくというお考えのようにもとれるのでありますが、集団安全保障のそういう機構というふうなものであるのは、あるいは政治、経済だけのものとしてなるのか。いまの御答弁では全体をひっくるめた、非常に広範なものになっていくようにお考えになっておるような答弁のようにも思われるのでありますが、この点、もう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
#9
○大平国務大臣 新大西洋憲章というのは、アメリカの対欧政策の基本的考え方というものを提示したものと思うのです。したがって、それをヨーロッパ各国がどのように受けとめてまいるかということはこれからの問題でございまして、先ほど私が御答弁申し上げましたように、ヨーロッパ主要国とアメリカとの間には協議が行なわれておるということでございまして、すでにあなたの言う機構的なものができておるわけでは決してないのであります。一つの考え方として提示されて各国との協議をインバイトするというか、そういう性質のものであろうと私は思うわけでございますので、アメリカの考え方もそれからヨーロッパの反応のしかたというようなものもよく聞きただすことは当然われわれの任務であろうと心得ておるわけでございまして、決してとうかいをしておるということではないのであります。
#10
○堂森委員 もちろん私は、いま機構ができておるという意味でお尋ねするのではないのです。どういう機構になっていくと考えておられるのか、どういう受けとめ方をしておられるのか、こういうことをお尋ねしておるので、当然のことであると思います。
 そうすると、これは国連憲章との関係はどうなっていくとお考えでございましょうか。この点も伺っておきたいと思います。
#11
○大平国務大臣 われわれが聞きたださなければならぬと思っていることには、いま御指摘のように既存の仕組みがいろいろあるわけでございまして、そういうものと今度の提唱とがどういう関連を持つのかというようなことをよく聞いてみたいと考えておるので、そういう点はまた明らかになっていないわけでございます。
#12
○堂森委員 もちろん日米首脳会談、田中・ニクソン会談で一つの重要な議題として新大西洋憲章について討議が行なわれる、こういうことはもう明らかな事実だ、いまもそういう意味の御答弁だと思うのです。そこで何らかのコミットを総理がしていくとするならば、十月八日、九日ですか、政府が予定しておる日ソ両国の首脳会談においてソ連のブレジネフ書記長は、アジアの集団安全保障体制というようなものを日本に提唱するというように新聞には報道されております。ある意味では、これを日ソ首脳会談の第一の大きな課題としてソ連側としては臨んでくるのではないかというような報道もされておるのであります。そうしますと、このソ連の提唱するアジア安保というものに対して、田中総理はどういう態度で臨んでいかれるのでありましょうか。外務大臣として、当然これは相談になっておられると思うのでありますが、この点について御答弁を願いたいと思います。
#13
○大平国務大臣 総理の訪ソでございますが、これはまだ本ぎまりになっておりませんで、いま日程等につきまして先方と打ち合わせをいたしておる過程にあるわけでございます。したがって、議題その他につきましてまだ申し上げるまでに至っていないわけでございます。総理の訪ソという問題につきましては、本ぎまりになりました以後あらためて準備をやってまいらなければいかぬと考えておるわけでございまして、いまの段階でまだ申し上げる段階ではないと思います。
#14
○堂森委員 それは外務大臣、どうしてそんなに慎重な答弁になるのか私は理解に苦しむのですが、モスクワを訪問することはもうきまっておるのでございましょう。行こうとしておるプログラム、それは日はまだ確定しないかもしれません。そして向こう側はアジア安保に対して提唱してくるということも、はっきりそういう方向に出てくることもおそらくきまっておる。それに対してまだそういう段階ではない。外務大臣としてそんなにものを言わずにおこうという態度というものは私は理解しがたいのでありますが、答弁されぬものはどうにもならぬのですけれども、そこで私は、大平外務大臣は、日米会談においては新大西洋憲章については大いに向こうの話を聞いて、そしていろいろと話をしていこうという基本的な態度である、こういうふうに理解しますが、日ソ両国の首脳会談においては、まだ答弁をする段階ではない、こういうことでおっしゃるのですからやむを得ないのですが、時間もありませんから先に進みます。
 そこで、当然安保の問題についても議題として触れられるであろう、こういうこともいわれております。また、当然そうあるべきだと思うのであります。たびたびこの外務委員会で日米安保体制は不変である、このままでいくんだ、こういう終始一貫した答弁できておられることは私もよく知っております。しかしこの五月でありますか、アメリカの大統領が発表いたしました外交教書、これはわれわれ日本の国民とすればどうしても納得できない部分がたくさんあると思うのです。その数点について、外務大臣が総理と一緒に日米首脳会談に行かれる――直前ではありませんが、もうあと二週間ぐらいでございますか、向こうへ行かれるのでありますから、この機会にもう一ぺん聞いておきたい、こう思うのです。
 そのアメリカ大統領の外交教書を見ますと、日米安保のおかげで日本は経済的発展が可能となった、こういうふうなことをいっております。よく新聞等にも書いておりますいわゆる安保ただ乗り論というものを繰り返しておりますが、外務大臣はこういう安保ただ乗り論というあの教書の内容について、あれはもっともな考え方だとお考えでございましょうか、どうお考えでありましょうか、この機会に重ねて尋ねておきたい、こう思います。
#15
○大平国務大臣 日米安保条約は日米双方のイコールパートナーという立場で結んだ取りきめでございまして、一方の当事者がこれにただ乗りしておるというようなものとは私は考えておりません。
#16
○堂森委員 それじゃ、外交教書にはそういうことが書いてあるという認識をお持ちでないのでございますか、もう一ぺんお聞きしておきたいと思います。
#17
○大平国務大臣 日米安保体制というものがもたらしたメリットあるいはデメリットというものは、それぞれ評価する人によっていろいろな見解が成り立とうと思うのでありますが、これはわが国の戦後の経済の自立、近代化という点におきまして大きな寄与をなした体制であったという評価を私は持っておるわけでございます。しかしそれはただ乗りして得た成果であったというようには私は考えておりません。
#18
○堂森委員 この外交教書の掲げておるその内容ですね。日米安保条約のおかげで日本が経済的に発展したのだということをいっておることは明らかだと思うのです。そういうことは書いてないとおっしゃるのですか。結果としてそうなっただけであって、教書にはそういうことは書いてないという御答弁でございますか。しつこいようでありますが、もう一ぺん聞いておきたいと思います。
#19
○大平国務大臣 いま日米安保条約のもたらしたメリットについてその教書は書いてございますが、私もいま申し上げましたように、日米安保体制というものが日本の戦後の発展、復興にとりまして非常に大きな寄与をしたという評価、認識は持っておるわけでございますけれども、しかしあなたがおっしゃるようにそれは安保のただ乗りで得た成果であるというような評価はしていないということを私は申し上げたのであります。
#20
○堂森委員 いや、あなたは非常にずるい答弁をしておられると思うのです。明らかにそう書いてありますよ。あれはそう書いておる、そう読まざるを得ないんじゃないでしょうか。外務大臣だからそういう御答弁になるのかもしれません。
 それじゃ方向を変えてお尋ねいたしますが、日米安保条約第六条の極東条項では、わが国は米軍に対し在日基地をほとんど無制限に供与をしておる、使用権を認めておる、こういう状態でございますが、この在日米軍の基地を使用しておる状況というもの、その利用価値といいますか、そういうものがたいへん大きなものであると思いますが、安保条約の六条に基づいてアメリカの在日米軍が得ておる利用価値といいますか、そういうものがどれだけ絶大なものであるか、ある意味では私はたいへんな換算ができないような大きなものがあると思うのです。そういうことについてアメリカ政府からこういうような利用価値を在日米軍が得ておるのだというような表現で日本政府に向かってそういう意思表示等があったことがありますか。そんなことは全然ございませんか、いかがでございますか。ちょっと待ってください。どういうふうな価値の評価をアメリカ政府がしておるかというようなことについて日本政府からただしたことがあるかないかということをつけ加えてお尋ねしておきたいと思います。
#21
○大平国務大臣 仰せのように、安保条約の中の一つの柱でありまする極東条項というものの持っておる意味はたいへん大きなものがあると思います。しかしそれを、具体的にどういうメリットを受けておると思うかというようなことを日本政府からただしたこともなければ、先方からとりわけてそういう問題について証言があったという記憶は私にはございません。
#22
○堂森委員 私は、こういう点についてやはりアメリカ政府に向かって強く主張をすべき責任が政府にはあると思いますから、そういうことも申し上げておきたいと思います。
 それから前回の外務委員会で同僚の私の党の河上委員から、一九六九年ですか、ニクソン・佐藤会談のあとに発表されました共同声明について繰り返しあなたに質問をしておられたのであります。そして台湾条項についての質問がいろいろと繰り返されました。そこで、米中、日中関係の大きな変化等から見て、当時のニクソン・佐藤会談の直後の共同声明にあるところの台湾条項あるいは韓国条項というようなものについてどう考えておられるのかということに対して、外務大臣は、それは当時の両首脳の認識であった、こういう答弁をしておられると思うのです。これは間違っていたと今日思われますか、どうですか。あの共同声明はほんとうに客観的な条件というものを踏まえたものといまでも考えておられますか、あるいは当時の認識であったということは、いまではもうそれは消滅をしておるんだ、台湾条項や韓国条項は消滅しておるんだ、こういうお考えでございますか、この点をまず聞いておきたと思います。
#23
○大平国務大臣 御指摘の点は一九六〇年の時点における日米両国首脳の認識を表明されたものと考えております。それ以上のものでもなければそれ以下のものでもない。それに対してただいま私が申し上げられますことは、その後台湾をめぐる事態、朝鮮半島をめぐる事態は相当変化しておるということだけは申し上げられようかと思います。
#24
○堂森委員 一九六〇年といまおっしゃいましたが、六九年ですよ。――そうしますと、近く日米首脳会談が行なわれますときに、六九年のあの共同声明というものについてはもう田中内閣は、当時の両首脳の認識であったんだから、したがっていまの田中内閣の外交方針としてはそんなものは何も継承する必要はないんだという態度でいかれるのでございますか、この点もあわせて聞いておきたいと思います。
#25
○大平国務大臣 日米両首脳が今月末から来月の初めにかけて会談が行なわれるわけでございまして、その成果はおそらく共同声明のような形のもので内外に発表されることと思うのでございまして、その発表でひとつ読み取っていただきたいと思います。
#26
○堂森委員 私はニクソン・佐藤共同声明の台湾条項、韓国条項は、いまの答弁によりまして、もう消滅しておるんだ、当時の両首脳の認識は誤認であった、こういうふうに私は解釈しておきたい、こう思うのでありますが、それ以上お尋ねしても御答弁もないでありましょう。
 そこでこれはいろいろなアメリカの人たちの意見として伝えられるところでありますから、アメリカ政府がそういうことを言っておるという意味じゃありませんが、日米安保体制というものは日本の軍国主義化することを抑止する役割りを果たしておるんだという考え方がアメリカの指導的な立場の人たちの中にもたくさんある、こういうふうに報道されておりますが、外務大臣はそういうアメリカの人たちの考え方についてどういうふうにお考えになりますか。これもお聞きしておきたい、こう思います。
#27
○大平国務大臣 わが国は軍国主義をとらないということは国民的信念でもございますし、したがって政府の基本的な政策の基調でもあるわけでございまして、安保条約の助けを借りてそうするとかいうようなものではなくて、本来そういうものなんでございまして、そういう軍国主義の道を歩まないという選択をいたしました日本が、日本の安全をどのように保障してまいるかという場合に、現実の問題といたしまして日米安保体制を選んでこれを維持してまいることが一番効果的であるというような文脈において、私は理解をいたしております。
#28
○堂森委員 一応アメリカの指導的な立場におる人たちの中でそういう意見があるということを、大臣もそういうような考え方を一部肯定されるような――また聞きたいことがありましたが、時間もないようですので、次に移ります。
 そこで日中関係について二、三点聞いておきたいと思います。つい最近また、きのうの新聞報道でありますが、覚書貿易の代表の廖承志さんと岡崎さんが会われたときに、廖承志氏から、いまだに日中航空協定ができないことは理解ができない、せめて国交回復一周年までには実現をしたいんだ、こういうようなことでいろいろ述べられたのを岡崎さんが記者団に発表したというようなことが報道されております。先般もいろいろな委員からこの問題について外務大臣に尋ねておるのであります。外務大臣は、これは両方の国にはむずかしい問題はないんだ、もうあとはまるで何か事務的な問題だけで片づくんだというような意味の答弁をしておられたと私は思うのでありますが、そういうふうに記憶しておるのですが、どうしても向こうの人たちの発表を聞いていると、新聞等でわれわれが見たところでは、どうもその点が外務大臣の答弁とは違うと思うのでありますが、一体いつごろ航空協定というものができるのか、もっとはっきりとした御答弁を願っておきたい、こう思うのであります。
#29
○大平国務大臣 日中航空協定の締結につきまして、日中両国に早く促進しなければならぬじゃないかという意向があることはよく承知いたしております。私自身も早く片づけなければならぬ案件と承知いたしておるのでありまして、私は私なりに一つの焦慮を感じておるわけでございまして、できるだけ早く妥結に持っていきたいと考えておりますが、残された問題は、日本政府の決断にかかっておるわけでございまして、私どもといたしましても、できるだけ早く決断にこぎつけて妥結に至りたいものと、いませっかく努力いたしておる段階でございます。
#30
○堂森委員 外務大臣は同じようなことばかり言っておられると思うのですよ。簡単に言いますと、日台間の航空路の便数と空港の問題じゃないのでしょうかね。初めから、日中国交回復したときからはっきりしておることですよ。それがきめられないということは、政府はそれはもうある意味では国際的な信用を落とすことになると私は思うのです。はっきりしておかなければいつまでたっても――努力努力と言っておられますけれども、それでいいのでございますか。私は、やはり日本の国際的信用に関すると思うのですよ。国交回復をしたその日から、どの道を選ばなければならないかということははっきりしておるはずではないでしょうか、私が具体的に申さなくても。それは外交のABCじゃないのでしょうか。信用ある自主的国家としては当然そうあらなければならぬ問題だと思うのです。
 時間がありませんので、かためてお尋ねしますから御答弁を。ほかの問題です。
 日中間の貿易協定がもちろん早くできなければいかぬ。そうなった場合に、ソ連政府が日本に通商代表部というものを置いておりますが、中国の場合も日本に大使館のほかに通商代表部というものを置きたいという、共産国はよくそういうことをやるのですが、中国からそういう申し入れがあったのでしょうか、ないのでしょうか、あった場合はどうされるのでしょうか。
 それから覚書貿易の事務所がございますね。北京にもある。これが今後、貿易協定ができるとこの覚書貿易事務所は一体どうなってくるのでしょうか。この点も政府の考え方を聞いておきたい。
 それから、いままで友好商社による貿易というものが日中間に行なわれておった。それが、貿易協定ができると友好商社の優先的な貿易というものがどういう姿になっていくのでありましょうか。
 この三点についてお尋ねをしたいと思いますから、御答弁願いたいと思います。
#31
○吉田(健)政府委員 事実的な面に関しまして私からかわってお答え申し上げます。
 最初に中国側が通商代表部を設置するかどうかという問題でございますが、いままで中国側からそのような申し入れを受けたこともございませんし、なお中国が世界各国と結んでおる状況を見ますと、通商代表部は設置しておらないというのが現状でございます。
 第二点の覚書事務所でございますが、これは日中双方で年内に覚書事務所をやめて大使館のほうの業務に吸収していきたい、かように考えております。
 第三点の友好商社の問題は、これは現時点におきましても友好商社というような特殊な形の問題は事実上ほとんど解消いたしております。今後私たちといたしましては、政府間のパイプを通じて政府間協定の基礎の上に、なるべく日本側で参加を希望するあらゆる商社が平等に参加して、日中間の貿易を安定拡大していきたい、かように考えておる次第でございます。
#32
○堂森委員 もう時間が終わりましたから、これで終わります。
#33
○藤井委員長 石野久男君。
#34
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、いま同僚の堂森委員からもお話ありましたけれども、今月末から来月の間に日米首脳会談が行なわれますが、その会談に臨むにあたって、政府は世界の新しい情勢、そういう認識をもって臨まれるんだという新聞の報道がありますが、政府の考えている新しい世界の情勢というのは、概略どういうような考え方でしょうか。時間もございませんけれども、短い時間にひとつ大臣からお聞かせ願いたい。
#35
○大平国務大臣 ヨーロッパ、アジアを問わず、緊張緩和のきざしが出てきて、漸次それが定着化の方向をたどっておるという状況が一つあると思うのでございます。それから通貨情勢が非常にこんとんといたしておる中でも貿易の自由な拡大をはかってまいらなければならぬ、それから資源問題も漸次緊張を呼ぶ問題になってきた、環境問題またしかりである。今日の問題は世界的なすそ野を持った協力協調ということが切実に求められておる環境ではないかと思うのでありますが、日米両国はこういう状況の中で非常に大きな地位を占めておる二つの国でございますので、世界の中の日米関係のあり方というものはどういうことであるべきかというような問題がまさにわれわれがいま追及しなければならない問題ではないかというような問題意識をもちまして会談に臨むべきでないかというのが、わが政府の基本的な考え方でございます。
#36
○石野委員 世界の中でも日米の位置が非常に高い、そういう観点から日米の両首脳が話し合いされるのですが、そのことに関してアジアの情勢が非常にベトナム情勢の転換以来変わってきております。このアジアの情勢に対してはどのような見解をお持ちで話し合いをされますか。
#37
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、ヨーロッパにおいて漸次緊張の緩和が定着しつつあるということ、御同慶にたえませんが、アジアにおきましては、いま緊張緩和のきざしが見えかけてきたという段階のようにわれわれは考えておるわけでございまして、したがって、このきざしをより確実なものにしてまいるような努力が要請されておると思うのでございます。
 ベトナムにおきましても、新しい協定ができて撃ち合いはやめになりましたけれども、このインドシナ半島が平和と安定を取り戻すように、日本といたしましても応分の協力をしなければならぬと考えておりまするし、朝鮮半島におきましても対話が始められて、現実的なアプローチが国連政策等の面から見えかけてきておるわけでございますので、その進展を期待しつつ、われわれといたしましてこれをいやしくもそこなうことのないように配慮していかなければならぬと考えておるわけでございます。
#38
○石野委員 ベトナムの事態が変わって以来、インドシナ三国における情勢が必ずしもわれわれの期待したような情勢ではない。この問題について日本は関心を当然持っていると思いますが、今度の日米両首脳会議の中で、この問題について何らかの意見を日本の政府の側からアメリカに対して話し合いをするお考えがありますかどうか。
#39
○大平国務大臣 私もいま申しましたように、インドシナ半島に停戦の取りきめというものが一応できた。しかし、事態はなお御指摘のようにまだ灰色の状態にある。しかし、せっかくここまでやってきたわけでございますので、さらにこの状態、平和がもっと定着度を高めるように努力してまいらなければいかぬと思うのでございまして、日本といたしましても応分の貢献をしなければならぬ責任があるという態度で対処していきたいと思っております。
#40
○石野委員 両首脳会談の中で、特に通貨問題についてドルの買いささえの態度などをアメリカの連銀がとるような情勢が出てまいりましたが、いわゆるドルの買いささえといいますか、ドルを守る立場からすれば、日本としても当然何か要請しなくちゃならぬものがあると私は感じておりますが、この際政府としてはこの通貨問題、特にドルの位置づけという問題について、総理のほうからニクソン大統領に対して話し合いをするという考え方、またそれの方向、そういうものについて御意見がありましたら、ひとつ聞かしていただきたい。
#41
○大平国務大臣 通貨外交は、どちらかと申しますとこれは大蔵大臣の仕事でございまして、こまかいことを申し上げる立場には私はございませんけれども、まず、今日の通貨情勢というのは石野先生御承知のとおりの事態である。これはC20を中心といたしまして打開の道が講じられておるけれども、具体的な収拾のめどはまだついていないということでございますけれども、しかしC20、とりわけアメリカとECと日本という三大エンティティーはこの問題の解決に非常に大きな責任を持っておることには間違いないし、その協調が必要であるということは常識であろうと思うのでございまして、そういう観点に立って、両首脳の間で意見交換が行なわれることを私は期待いたしております。
#42
○石野委員 食糧の問題について、特に大豆の輸出規制というものをアメリカがやって以来、日本の場でも食糧危機の問題が深刻であり、特にこの問題は日本の国内農業政策の問題、かねてから余剰農産物を日本にどんどん入れてきて、日本ではむしろ減反の方向に政府の施策が行なわれていった。その点に対して大きな転換が予想され、またあるいはそういうことの対策を立てなければならぬような情勢になってきておりますが、今度の両首脳会談の中で、この食糧問題等について積極的に何かお話し合いをする用意があるのかどうか、ひとつ聞かせていただきたい。
#43
○大平国務大臣 いま世界的な天候異変の影響もございましてか、農産物の需給が逼迫した状況になってきておるために、世界的に食糧問題というものが非常に緊張を呼んでおりますことは御案内のとおりでございまして、一体この事態がテンポラリーと申しますか、短期的なことで済むのか、非常に長期的な傾向なのか、そのあたりはさだかにわかりませんけれども、われわれといたしましては、いずれの場合におきましても、わが国の食糧需給が安定的な状態になれるような状況を確保しなければならぬ責任があるわけでございまして、国内農業政策のことについて言及する立場には私はございませんけれども、対外折衝におきまして当然のこととして、この食糧確保ということにつきましては見のがしてはならない課題でありまして、今度の首脳会談におきましても当然取り上げられて、十分の意思の疎通をはかって、その後の措置のベースを形成していかなければならぬのではないかと考えております。
#44
○石野委員 先ほど堂森委員の質問に対して、この十月総理が訪ソされる場合の課題として、いわゆるアジア集団安保の構想についての御質問がございました。それに対して外務大臣ははっきりした御返事はございませんでしたが、しかし先般のニクソン・ブレジネフ会談、そして今度また田中・ニクソン会談というものが行なわれるにあたって、ソ連がかねてから提起しておるこのアジア集団安全保障構想というものは、やはり当然日米間の間にも討議、問題とされなければならない課題であろう、私はこのように思います。だから、総理がソ連に行っての構想はどうであるかわかりませんけれども、日米首脳会談が行われる間、ソ連が提起しておるこの構想に対して何がしか触れる筋合いのものであろうと思うし、またそれに触れないのはおかしいと思うのです。そのことについてどのような考え方で臨まれるか、この際、外務大臣からお話を承っておきたいと思います。
#45
○大平国務大臣 先般米ソ最高首脳の会談が持たれたわけでございまして、まず、田中総理といたしましては、米ソ最高首脳会談というものにつきまして先方からの御報告を聞いていただかなければならぬと考えておるわけでございます。またヨーロッパ等で進んでおりまする事態につきましての評価につきましても、おそらく話題になることと期待いたしております。
#46
○石野委員 これは話題になることを期待しているんじゃなくて、日本はその問題についてどういうような心がまえでいくかということを私は聞いておるので、簡単でいいんですから、その心がまえがあるのか、出たとこ勝負で向こうから話があれば――全然かまえはないとおっしゃるのか、そこのところをはっきりしていただきたい。
#47
○大平国務大臣 総理の訪ソ問題というのはまだ本ぎまりしていない、したがって訪ソに関連いたしまして、どういう議題をどのように取り上げるかというような角度からの御質問が先ほど堂森さんからございましたから、それはまだ語るのは早いじゃないかということを申し上げたのです。いま石野さんは、そういうことと一応関係なく、一体ソ連の提唱されておるアジア安保構想というものに対してどう受けとめておるかということでございます。
 その点につきましては、すでに本委員会で私も申し上げてありまするように、これは一九六九年に世界党大会におきましてブレジネフ書記長が提言されたものであって、そしてそれはアジアにおきましても集団安保構想というようなものを考える時期が来たのではないかという提言であるように私は承知をしておるのでありまして、その中身がさだかでないということでございますから、私どもといたしましてはアジアで集団安全保障というものを考えるような時期が来ることは非常に望ましいと考えておるのでございますが、一般論としてそういうことは言えるわけでございますけれども、一体その中身はどういう中身かということがわからぬ先に、知ったかぶりして、これに対してあなた、日本としてはこう考えておるなんということを申し上げたら少し軽率じゃないか。逆に石野さんからおしかりを受けるんじゃないかと私は思うのでございます。したがって、ソ連側と接触を持つ機会がございますならば、そういう考え方というものばかりでなく、その内容というようなものにつきましてもっと聞きただしてみる必要がありはしないかと考えております。
#48
○石野委員 いずれにしても、ここでは言えないが議題になるだろうと私は予想しております。まあ構想がどうあるか、はっきりするしないは別として、私は相当さだかに見きわめるものがあると思っておりますが、時間がありませんから他日またお尋ねいたします。
 日中の共同声明が行なわれて以来、先般来ここでは日中の間の平和条約問題についてのいろいろな話し合いが進められておるということも聞き及んでいますが、それは相当程度進捗しておりますか。
#49
○吉田(健)政府委員 日中共同声明の第八項に「平和友好条約の締結を目的として、交渉を行なうことに合意した。」とあるわけでございますが、まだ双方で具体的に打ち合わせするとか話し合うという段階には入っておりません。
#50
○石野委員 先ほど堂森委員からお尋ねのありました航空協定の問題ですが、この問題で共同声明に書かれている文言について、これを取りきめられました外務大臣に、これをどういうふうに読んだらいいんだろうかということで解明していただきたいと思うのです。
 第三項に「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」この「重ねて」ということは、この場合どういう意味を持っておったのか、これはひとつ折衡に当たられました外務大臣から御解明いただきたい。
#51
○高島政府委員 石野先生の御質問は、日中共同声明第三項にございます台湾の地位についての中国側の立場を書いた部分で、中国側が「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」という「重ねて」の意味は何かということでございますが、これは中国側は従来からそういう立場を一貫してとっておりまして、そのことをここでさらに確認するという意味に私たちとっております。
#52
○石野委員 政府は、この共同声明を発表するまでの間、政府間交渉というものはほとんどなかったと思います。したがって、中国側は重ねて表明する、日本政府がそれを確認するという立場をとりますと、それ以前における政府間折衝というものはなかったけれども、中国がそういう態度を表明していることを政府がまた認めたというふうに理解してよろしいですね。
#53
○高島政府委員 ただいま私が申しましたのは、第三項で中国側の従来一貫してとっておる態度をここに重ねて表明するという意味でございまして、日本政府は、その後段に書いてございますとおりのことを、この共同声明第三項で表明したわけでございます。
#54
○石野委員 だから「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」ということの意味は、中国の前段で言った「重ねて表明する。」ことを認めたということと同義語になると認めてよろしいですね。
#55
○高島政府委員 繰り返しになりまするけれども、私ども日本政府の立場は、第三項の後段に書いてあるとおりのこと以上のことを私として申し上げる立場にございません。
#56
○石野委員 そうしますと、第三項後段以上のことは言えないということは、この「重ねて表明する。」ということについては同意を表明していないということなんですか。
#57
○高島政府委員 ことばづかいの問題でございますけれども、同意を表明するとかなんとかということと全然別な表現といたしまして、第三項のような表現で日中間で合意をしたということでございますので、この席でその内容についてとやかく私が申し上げることは差し控えさしていただきたい、こういうふうに思います。
#58
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、大臣は先ほど日中航空協定の問題は一にかかって日本側の決断の問題である、こうお話がありました。これはもう何べんも外務大臣が御答弁なさっていることなんですが、この決断をするにあたって共同声明の第二項と第三項はきわめて重大な関係を持っていると思うのです。そしてこのことがまさにその決断をどうするかということと関係があるわけなんですから、私は、この際、政府が日中航空協定を締結するにあたっての腹がまえというものについて、やはり共同声明を出したことによって幾つかのことはやらなければならぬわけです。特に第九項に明記されている貿易、海運、航空、漁業などについての民間協定というのは、これを国家間の協定にやはり切りかえる、こういう努力をしなくちゃいけないわけです。その中に航空協定があるわけですが、その他のたとえば貿易協定の問題については、すでに日本側は昨年の十一月に案を出しているし、中国側は本年二月に案を出してきておりますが、そういう問題についての折衝、ことにそういう情勢のもとで、いつの委員会でございましたか、六月六日の委員会だったと思いますが、堂森委員のこの問題に対する質問に、大平外務大臣は、いつまでもだらだらやっているわけにいかないんだ、急いでやりたいんだという意思の表示がありました。この航空協定の問題については、端的に言えば、台湾を国として認めないという態度がはっきりすれば問題は解決するんだと思うのです。私は、この問題は、日台航空の便数がどうであるとか、飛行場がどうであるかという問題のもっと基本に、共同声明の第二項の考え方、第三項の考え方というものが先行するんだ、こういうふうに思っておりますが、そういう点について、ただ単に便数がどうだとか飛行場がどうだとかということで、日中の間の話し合いがきまらないでおるのでございますか、そこのところをはっきりしていただきたい。
#59
○大平国務大臣 日中の間には別段問題はないわけでございまして、あなたの言われる日台路線、ニード、輸送需要をどう評価するかという日本政府の措置が残されておるわけでございまして、その点はあなたがおっしゃられるように、共同声明をベースにいたしまして、筋の通ったことをやってまいらなければならぬと考えておるわけでございまして、他意はないわけでございます。
#60
○石野委員 そうしますと、完全に共同声明の趣意に基づいてやるということになれば、日本側だけの問題になるんだということになりますと、日本が共同声明に対してどのような誠意を示すかどうかということの、それが今度は時間の問題にかかってきていると思うのです。ですから時間がかりにこれから一年も二年も、こういう状態が続いていったら、共同声明の真価は何も発揮されない。先ほども廖承志氏から岡崎嘉平太氏に、一年以内には何とかというような話があったようだという新聞報道もございましたが、私も常識からいって、共同声明を出して一年以内にこういう問題が片づかないようであれば、政府としては国際的に信用をなくするだろうし、対中関係においても非常にまずい結果が出るんじゃなかろうか、こういうふうに私は思います。ことに日米首脳会談も行なわれる時期でございますので、外務大臣はこの問題について、大体九月二十九日のいわゆる共同声明調印の時点にまでこれを解決する決意があるかどうか、この際ひとつはっきりとお聞かせ願いたい。
#61
○大平国務大臣 御指摘を待つまでもなく、国際信用を順守、尊重して迅速に問題を解決せなければならぬと考えておって、できるだけ早く解決すべく努力をいたしておるところでございます。
#62
○石野委員 日台航空の問題について、運輸省は共同声明の第三項をどういうふうに考えているか、私はちょっと理解に苦しむ点があるのです。いま日台航空の問題について、四十八年度事業計画というものを運輸省が日本航空に認可したはずですが、あれはいつでございましたでしょうか。そしていつまでその認可の有効期間があるのでしょうか。運輸省来てない……。
 あとで運輸省にちょっとなにしますが、外務大臣にこれは聞きますが、運輸省は三月の末に、本年十月までに及ぶところのいわゆる日台航空についての認可を与えておるわけです。これは日台航空の認可を与えておるという政府行為は、大臣が言われるように、第二項の規定あるいは第三項の規定と相反すると私は思うのですよ。これがただ需要があるからだということだけでは解決できない。やはり共同声明の真意をひん曲げているやり方でないかと私は思いますが、外務大臣は特に共同声明を実際に締結された当事者でございますが、ただ需要があるからやるんだというようなことだけだったならば、この声明は意味がなくなってしまいますけれども、運輸省の認可をしたという行為を政府としては妥当だとお考えになりますか。
#63
○大平国務大臣 共同声明は外務省が受けたという性質のものではなくて、政府が受けて固めてまいりましたものでございまして、政府全体の責任であると承知いたしているわけでございます。したがいまして、新しい日中航空協定というものができますならば、そのラインで運輸省も処置されることと思います。
#64
○石野委員 重ねて聞きますが、この協定は確かに九月の末か十月くらいまでの認可の期間があると思います。そこで、あらためてまたそれ以後の認可をしなくちゃいけないだろうと思いますが、こういう行為を運輸省がまた九月段階において行なうとするならば、いま外務大臣が御答弁なさったこととは全く違った方向に同じ政府部内で行為が行なわれていくと思います。そういうことについて政府は十分一貫した方針を貫き得るような施策をされる用意がなければならぬと思いますが、外務大臣は、そういう問題を政府部内において明確にする決意がございますか。
#65
○大平国務大臣 当然のことと心得ています。
#66
○石野委員 この際私は、朝鮮の問題でちょっとお聞きしたいのですが、朝鮮学校の生徒五人が昨日また拓大生十数名に囲まれて、池袋でけが人を出しております。六月十一、十二日にやはり国士舘大学の学生が付属高校の生徒と一緒になって、二十数名が朝鮮の高校の学生に対して危害を加えました。これは単なる学校の生徒の問題とか学生の問題あるいは学校相互間の問題だというふうに見るのにはあまりにも事件の内容が大きいと私は思うのです。できる限り私は、これはやはり国会の中でおれば、所管問題としては文部あるいは法務等のところで話をつけてもらえばいいと思っておりますが、しかしこの問題は、きのうきょう起きたものじゃない。もう十数年前から起きている問題です。
 この際、私は外務大臣にお尋ねしますが、この種の問題はもはや国際間におけるところの重要な課題でもある。先ほど大臣は、アジアの情勢について、朝鮮における新しいアプローチが出てきておる、それについてはなるべく達成させるように期待したい、そういう心がけでおるんだというお話がございました。私は、日本と朝鮮との友好関係、特に朝鮮の平和的統一の問題について積極的にわれわれは支持し、あるいはそれに協力する体制づくりをしていかなければなりませんが、特に日本における在日朝鮮人に対するべっ視的な、差別的な扱いが日本人の間にあるということがしばしば言われてきました。新しい情勢のもとで、特にアジアにおける平和をわれわれ考える場合に、この明治以来非常に短い期間ではあったとしても非常にまずい関係が日本と朝鮮との間にありますが、そういう問題が今日の段階においてこのような形でもし出ておるとするならばこれはゆゆしいことだと思います。私はやはりこの問題は単なる国内問題ということよりも国際的な問題としてやはり国内における対策を考えなければいけないだろうと思います。特に若い、しかもそれが学校教育を受けているそういう学生、生徒がこのような集団的な迫害を加えるということについては、これはもはや単に国内問題として考えるべきでないんだ、国際的な問題としてこの問題に対処すべきだというふうに私は思いますが、外務大臣はこの問題について何らかの所見があろうかと思いますし、またそれに対して政府としてどういうふうにするかということのお考えもあろうと思いまするので、この機会にひとつ外務大臣の御所見を承りたいのであります。
#67
○大平国務大臣 本件はたいへん不幸な事件であると思います。ただ、石野さんと違いまして私の受けている報告によりますと、この問題が人種問題である、したがってまた国際問題であるというような性格のものであるとは受け取っていないのでありまして、長い間の遺恨というかしこりというようなものが集団的規模をとるに至った不幸な事件であると承知いたしておるわけでございます。関係者の御自重によりまして問題が根絶されることをわれわれは心から期待いたしておるわけでございます。もとより朝鮮民族に対しましては最大の尊敬と理解を常に持っておつき合いをしてまいらなければならぬことは当然のことでございまして、終始そういう心がけで当たっておるつもりでございます。
#68
○石野委員 私は先月の十一、十二日の国士舘大学の学生が在日朝鮮人の生徒に対して与えた問題、これはもう非常に社会問題化もしておりまして新聞等も非常に大きく取り上げましたし、われわれとしてもこういう問題で朝鮮人に対する日本人の考え方にいろいろな誤った見解を持たれてはいけない。一部の者がこういうことをやることによって日本人全体の朝鮮人に対する考え方が誤解されることを一日も早く阻止しなくちゃいけないと思います。ところがまたきのうやはり拓大生をはじめとする、その中には国士舘大学の生徒もいたやに見られるというふうな新聞報道もございますが、こういうことを見ますると、やはりこれらの学生諸君あるいは生徒諸君が朝鮮人学校または朝鮮人の学生、生徒諸君に対してとっている態度というのはまさに朝鮮人に対するべっ視観というものがそのまま残っているような気がします。それが第一。
 第二番目には、こういうことが何べんも何べんも学生、生徒によって行なわれるということになると、文部当局がそれらの学校または学生に対して学校の教育方針をむしろ認めてかかっている。あるいはまたその学校の教育方針を弁護するというような立場に立っているようにも見受けられます。私はこういうことを許しておいてはいけないと思うのです。かりにこれが国際間の問題として考えないで国内の問題として考えるにしても外務大臣としてはこれは関知しないという立場には置くべきものではないと思います。したがって私は、外務大臣は文部当局に対してそういう問題について国際問題にならないようにすべくやはりはっきりと外務当局からの注意を喚起すべきだと思います。そういう点についてどういうふうにお考えになられるかということをお聞きしたい。
 それから時間もありませんので、重ねて治安当局、法務省に対してお聞きしておきますが、かねてからこういう被害がある、朝鮮人学校の生徒さんの帽子がとられてしまう、帽章がとられる、あるいはまた生徒さんのバッジがとられてしまう、教科書もとられてしまう。これはやはり被害者にそれを返すべきだと思うのです。治安当局がやはりこれを取り戻して返さなくちゃいけないと思います。なぜなら、こういう取り上げられたいわゆる帽章なりあるいはバッジというものが悪用されている結果がある。悪用されて在日朝鮮人の学生、生徒がこういうことをやったんだというふうにやられている面が、従来もそういう例は出ている。だからこういうように略奪されておるところの帽章だとかあるいはバッジだとかいうものはやはり取り戻して在日朝鮮人の学校当局にこれを返すべきだと思います。
 なおまた、こういう事件によってけがをし、あるいは傷ついた方々が現にまだ入院したりあるいはまた目がつぶれたりしておる者がある。こういう者に対してはだれが責任をとるか知らないけれども、学校当局が責任をとる、あるいは学生個人がわからないというのなら政府自身がこの問題について在日朝鮮人に対する責任をとるべきだ。私は少なくとも法務省なり文部当局がこういう問題を考えるべきであるし、あるいは外務省当局もそういう問題に対して思いをいたすべきであろうと思いますが、そういう問題についてやはりそれぞれの担当の方々からひとつ見解を聞かしていただきたいと思います。
#69
○大平国務大臣 本件につきましては、関係者、教育御当局の善処によりまして収拾されますことを私どもは強く希望をいたしております。
#70
○木田政府委員 ことしの五月ごろから国士館大学生によります暴行傷害事件というのがいろんな方面で起こっているということで注目をいたしておりましたところ、いま御指摘がございましたように六月の十一日、十二日にかなり大きな乱闘が起こりまして、私どもも直ちに国士舘大学の柴田学長を六月十四日に招致をいたしまして、いろいろな事情の聴取と今後の善処方を求めた次第でございます。そのときの学長の話によりますと、四月以来新宿かいわいを中心にいたしまして五十数件国士舘の高校生と朝鮮高校の生徒の間になぐり合い、俗にいうけんかが起こって、大学としてはこの高校生の被害届けを五十数件も持っておる。多くの場合に痛めつけられたという訴えである。六月十一日に新宿で五人ほどが多くの朝鮮高校生からなぐられたということから十二日に高田馬場へ仕返しにいったというような経過の説明がございまして、そのことにつきましては、十二日の高田馬場の仕返しはけしからぬ、大学もこれはもう一言の弁解の余地もございませんというふうに学長は言っておりました。いずれにいたしましても、この朝鮮高校のみならず、五月以来いろんな面で他の地区での国士舘の学生の乱暴ろうぜきというのが世間のひんしゅくを買っておるわけでございますから、そのことにつきましては強い反省と善処を求めた次第でございます。幸いその後大学当局も逐次学内で近代化委員会を設けて、いままで大時代的ないろいろなことも重なっておるようでございましたが、その改善策も進められておるようでございます。朝鮮人高校の生徒ときょうまた新聞を見ますと紛議が起こっておるようでございますが、かつても帝京高校あるいは豊島実業の生徒との間にいろいろな紛議が絶えなかったという経緯がございました。それぞれ若い血気の青年時代のことでございまするから、何かのことでこの火が燃え上がるというような経緯が続いておるということだと思うのでございます。学校当局のそれぞれの努力によりまして、かつて事件の多うございました帝京、豊島実業との関係等は比較的静かになっておるように思います。われわれは関係大学の当事者、学校の関係者にもできるだけ強く反省を求めまして、こうした事件がこれ以上大きくならないようにできるだけ注意を促していきたいというふうに考えております。
#71
○星野説明員 警察庁でございますけれども、警察といたしましては、この種問題の予防のために警戒を厳重にする。また学校当局間の話し合いというものも警察の立場でおすすめ申し上げておる。また事案が不幸にして起きました場合には、事案の真相を解明して適切な措置を講じていく。こういう方針でまいったわけでございますけれども、それにもかかわらず今回のような事件が起こったことは非常に遺憾に思っております。先ほど先生からお話のございました朝高生の方の帽子とかバッジとかがとられる。これはいつもそうだということではございませんで、そういう事例も過去にあったようでございます。もちろんこういうものにつきましては、私どもといたしまして当然その回復には全力をあげて努力をする、こういう方針には間違いございませんので、今後ともそういうことで注意をしてまいりたいと考えております。
#72
○石野委員 時間がありませんので、これで終わります。
#73
○藤井委員長 石井一君。
#74
○石井委員 外務大臣、日米首脳会談に臨むにあたりまして、昨日政府部内では最高会議などを持たれまして、日程、議題などについて最終の詰めをなさったということでございますが、日程についてもうほとんど煮詰まったのじゃないかと思います。この点について御発表いただければ幸いだと存じます。
#75
○大平国務大臣 現在、日程の詳細は米側となお協議中でございますが、いまのところ七月二十九日の夕刻、東京を出発してワシントンに直行いたします。七月三十日、八月一日の両日ニクソン大統領と会談が行なわれる予定であります。ワシントンには八月二日まで滞在の予定でございまして、その間政府首脳のほかに、議会の要人、報道関係者、学者等と懇談するかたわら、演説やテレビでの対談等を通じまして、米国民一般と御接触を願いたいと考えております。ワシントンを終えて、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ等にも立ち寄りまして、財界人などと懇談をいたしまして、八月六日午後帰国の予定でございます。
#76
○石井委員 そういたしますと、従来の首脳会談の短期間のみの会合以外に、要するに世論の国であるアメリカにおいて、議会人であるとか報道人であるとか学者であるとか、こういう広範な対話というものが今回は含まれておる、こういうところにも大きな重点を置いておられる、こういうことでございますね。
 そこで先日のナショナルジャーナル紙にも、ニクソン大統領が貿易問題その他を処理するのにピーターソン前商務長官に対していろいろ事前の調査を命じ、キッシンジャー補佐官もそれに参画をして秘密報告書というものが提出されておる。その骨子は御承知のように、相手国との交渉においては単に一つの問題にとらわれずに、国防、通貨、エネルギーその他に結びつけて貿易交渉に当たるべきだ、こういうふうなことをいっておるわけでございますが、その真偽はともかくとしても、こういうニュアンスは最近アメリカの外交教書にも顕著にあらわれております。
 そこで、もう議題もかなり詰まってきておる時点でございますので、お伺いをするわけでございますけれども、日米間の貿易収支の不均衡是正という問題について、最近数字的にはかなりこれが是正された、そういうふうに評価される向きもあるというふうに思うわけでございますけれども、これは実際に基調そのものが変わって、今後これが持続するのかあるいは一時的な現象であるかというふうな面で、まだやはり疑問が残るのではないか、こういうふうに考えるのですが、外務大臣は、昨年から本年にかけて不均衡の是正という問題について非常に前進をしたし、高く評価するという考え方で今回の交渉に臨まれるのか、この点はまずいかがでございますか。
#77
○大平国務大臣 過去一年間の経過を見ておりますと、御指摘のように貿易収支はたいへんな改善の傾向を示しております。とりわけことしに入りましてから顕著でございまして、輸入がたいへんふえて輸出のふえ方が少なくなってきております。それは、一体この傾向は続くかどうかという判断はにわかにできないわけでございますけれども、わが国朝野の努力によりまして、わが国の自由化も進み、政府の生活第一主義に基づく経済政策も漸次緒についてきておりまして、それが輸入の増大という姿で出ておると思うのでありまして、私はこの傾向は大きな狂いなく進んでいくものと期待いたしております。
#78
○石井委員 次にエネルギーの問題でございますけれども、最近中近東の大使会議なども招集されまして、現地ではそれほど大きな摩擦もないというふうに報告が大臣のところに届いておるというふうなことを伺っておるわけでございます。今回の日米会談では、当然大使会議の報告を踏まえて、いわゆる日米間の資源外交という問題が話される、こういうことでございますが、とりわけ焦点はいわゆるメジャーと産油国との対立というふうなこともいわれておった昨今、消費国同盟というものについてどうするのか。この点はやはりアメリカと意見調整をされなければいかぬと思うのでございますが、この構想について大臣のお考えがあれば明らかにしていただきたいと思います。
#79
○大平国務大臣 この間中近東大使を招集いたしまして、中東紛争の問題あるいは中東石油の問題等を中心に現地の御報告をちょうだいいたしたわけでございます。それは石油問題について申しますと、産油国の生産計画というものはいまのところ大きな狂いなく進んでおるわけでございまして、一方需要の増大というようなところを考えてみても、石油の需給が非常に逼迫してくるというようなことは相当期間にわたって考えられないことであるから、石油危機をあおるというようなことはあまり賢明でないのだというような意見が支配的でございました。
 第二には、メジャーとOPECの対立というような姿でとらえられておりますけれども、実際の実情はOPECとメジャーとの生産販売の協力というものは比較的円滑にいっておるのである、とりわけわが国の石油はメジャーを中心に供給をいままで受けてきておるわけでございますので、したがってOPECとメジャーの対立というような認識で石油問題を取り扱うと間違ってくるのじゃないかということでございますので、いわば石油問題に対するアプローチは常識的であり実際的でなければならぬのじゃないか、いわばそういうことでございました。そこでアメリカが、しかしながら新規の大量の輸入国に参入してくる傾向は年とともに強くなってくることは明らかでございますので、消費国という立場におきまして、とりわけメジャーの多くを傘下におさめている国といたしまして、わが国とアメリカとの間におきましては終始石油問題につきましての情報の交換あるいは協調というような点につきまして十分気をつけていかなければいかぬと思うわけでございますので、その点は今度の首脳会談におきましても気をつけてまいりたいと思っております。
#80
○石井委員 一とき中曽根通産大臣が中近東を訪問されたときに、いわゆる消費国同盟に参加する意思がないというふうなことを個人的に発言されたようでございますが、やはりこの点は非常に一つの焦点になると思いますので、消費国同盟に関する大臣の御見解があればひとつお聞かせいただきたいと思いますが、いかがですか。
#81
○大平国務大臣 消費国同盟というものは私まだ聞いていないのでございまして、私のいま申し上げたのは、消費国の間の情報の交換あるいはOECD等を通じての協調というような点について十分気を配っていかなければばいかぬのじゃないかということを申し上げているわけでございまして、消費国同盟というものがどういう国でどう提唱されたものか、そういうようなことは私はまだ全然聞いておりません。
#82
○石井委員 もう一つ、昨今の報道を見ておりまして私矛盾を感じますのは、いわゆる今回米国がとった農産物の輸出規制という問題でございますが、元来アメリカはわが国に対していわゆる農産物の自由化ということをずっと迫ってまいったわけでありますが、今回急遽輸出規制というような措置をとりました。ところがまた本年秋ごろからは豊作に向かうのでこれは緩和されるだろうというふうなこともいわれておるわけでございますけれども、わが国はそういう方向でだんだんと国内体制をそろえていくのに、先方の都合によって非常に原則的な方針というものが変わった場合に、やはりこれは日本の国民生活というものに非常に大きな影響を与える問題である。私などはもう極端な自由化論者でありますけれども、今回のそういう措置に対して考えさせられるところがあったわけでありますが、この辺についてもお話し合いになるのだろうと思いますけれども、外務大臣、この点はどういう御所見をお持ちでございますか。
#83
○大平国務大臣 アメリカも天候を支配することができないわけでございまして、アメリカといたしまして今日の食糧がこういう需給の逼迫状況になるであろうなんということは予想もつかなかったことであろうと思うのであります。つまり、このことはアメリカが恣意的にやったことでないということです。アメリカが恣意的にやったことでございますならば、鼓を鳴らしてアメリカを責めることもいいと思うのでございますけれども、アメリカの責任において起こったことでないことで食糧の需給が逼迫してきた、そして当面アメリカ国内の消費者、畜産業者あるいは物価政策というような観点から一時エンバーゴーをかけなければならなくなったということは、あまりわがまま過ぎるじゃないかということは、私もそういうことを主張することは少し無理があるのではないかと思っておるわけでございます。ただわれわれが考えなければならぬことは、農業というようなものはいわゆる自然条件、害虫その他たいへんむずかしい産業でございまして、計画が立ちにくいことでございますから、今後におきましても需給が思ったより緩慢になったとか、あるいは思ったより緊迫化するということは起こり得ると思うのでございます。しかし、われわれが主要食糧というようなものの需給の安定をいかなる条件のもとにおいてもはからなければならぬために政府はいろいろ手を尽くしておかなければならぬという意味におきまして、対米外交におきましても、今後農産物の安定供給というものをそういう条件のもとで可能な限り安定化の方向に持っていくという努力は怠ってはならないし、田中総理もそういう趣旨で御努力をされることと思います。
#84
○石井委員 当委員会で日米原子力協定を審議いたしました。いま参議院段階でございますが、濃縮ウランの長期的供給、これもわが国にとっては非常に重要なことでございますが、この問題、さらにこれと関連して核軍縮というふうな問題、こういう問題についても今回首脳会談で当然お話しになるお考えがございますか。
#85
○大平国務大臣 限られた御会談の時間においてそういう問題に言及できるかどうか、私もちょっとはっきりいたしません。ただ濃緒ウランの問題につきましては、先ほど衆議院で御承認を得ましたことは、そのラインに沿って今後電力会社とAECの間で契約が結ばれていくわけでございまして、万々その筋からはずれたようなことはないと期待いたしておるのでございまして、首脳間で再確認をしなければならぬほどの案件とは私は考えておりません。御承認を得たラインで措置してまいれるものと思っております。
 それから核軍縮の問題につきましては、わが国は内外に表明いたしておりますとおり、核兵器の廃棄ということを究極の目標といたしまして精力的に内外の世論をつくり上げていかなければならぬと考えておるわけでございまして、ジュネーブの軍縮委員会におきましても率先してそういう趣旨で精力的な活動を行なっておるわけでございまして、この基本的な姿勢というものは変わらぬわけでございまして、今度の首脳会談を通じて変わるようなものではないと私は承知しております。
#86
○石井委員 核防条約の批准の問題については、先般の原子力協定の審査のときにもかなり議論が出たわけでございますが、わが国が署名いたしましたその時点の政府声明を見ましても、これを批准する条件の一つとしては、核軍縮ということが非常に重要な問題である。ところが昨今、フランスの核実験、中国の核実験というふうなものが相次いで起こっておる。政府はこれに対して抗議をされておるわけでありますが、こういうふうな実験が引き続き行なわれておるということは、わが国の核防条約批准に対しては非常に不都合なことだ、こういうふうに大臣はお考えでございますか。
#87
○大平国務大臣 たいへん遺憾なことと考えております。
#88
○石井委員 核防条約は、要するに第六の核保有国をつくらないということが具体的に言いますと一つの目的だというふうに考えておるわけでございますが、そのためには、非核保有国の安全保障体制というものをつくることが非常に重要なことだと思うのです。そういうことが前提なんですけれども、昨今の論調などを見ておりますと、特に共産党の宮本委員長あたりの論評を読んでおりますと、何か核大国の脅威にさらされておる小国、非核保有国は核を持っても当然だというふうな見解もあるようでございます。これは核防条約と大いに矛盾する考え方ですが、この辺に対して、外務大臣はどういう御所見、御見解をお持ちでございますか。
#89
○大平国務大臣 わが国は核兵器を持つような国にならないということは、もう私は各政党を通じて一貫したお考えであるように承知いたしておりまするし、そういう趣旨で歴代の政府も終始当たってきておるわけでございまして、そういう方針は今後も一貫して貫いていかなければならぬと考えております。
 ただ、NPT批准問題でございますが、これは前提といたしまして、御案内のように三つのことが条件という姿で出ておるわけでございますが、歴史におきまして完全ということは望み得ないことでございますので、各政党におかれましても、今日核保有国の軍縮がどのような状況にあるか、あるいは非核保有国の安全保障につきましてどういう状況が熟しつつあるか、第三の保障措置の実質的な公平というような点が確保されるかどうか、そういう御判断はそれぞれの政党においてなされることと思うのでございますし、政府もそういう世論の熟成を見ながらこの問題の処理を国会にお願いしていかなければいかぬのじゃないかと思っておりまして、そういう熟成状況というものを見守っておるというのがいまの状況でございます。
#90
○石井委員 ジュネーブにおける軍縮委員会あたりで、日本が非常にアクティブにこの問題と取り組んでおるということを伺っておりますが、過去に軍縮委員会の討議の中で、たとえばある国の核兵器は防御的でありある国の核兵器は攻撃的だ、こういう議論がなされたことがございますか。
#91
○影井政府委員 軍縮委員会に参加しております核兵器保有国は、御承知のとおりにアメリカ、ソ連、英国の三国でございまして、この場におきましてそのような議論が出たということは私、記憶しておりません。
#92
○石井委員 原爆実験の禁止というのは非常に人道的な問題だと私は思います。これは政治情勢、イデオロギー、国の体制によって変わるものではない、死の灰というのは同じだという考え方を私は持っておるわけでございます。だからそういうふうな意味では、わが国は今後いかなる体制の国の実験に対しても当然抗議をしていかなければいかぬというのが政府の一貫したこれまでの立場だろう、こう私は思うのですけれども、この立場を今後も当然堅持していく、こういう御決意でございますか。
#93
○大平国務大臣 仰せのとおりでございます。
#94
○石井委員 そうすると今度の日米首脳会談においても、超核大国であるアメリカ、ソ連、特にアメリカの核実験に対しては――まあ、先般の委員会でも抗議をしたその資料がないというふうな議論もありましたが、当然首脳会談の議題としてお出しになって日本の立場を明らかにされる、こういうおつもりでございますか。
#95
○大平国務大臣 日本の立場はすでに明らかでございますし、日本の立場につきましてアメリカは理解を持っておると思っております。
#96
○石井委員 ありがとうございました。
#97
○藤井委員長 柴田睦夫君。
#98
○柴田(睦)委員 アメリカ第七艦隊の主力空母ミッドウエーの問題についてお尋ねいたします。
 政府はミッドウェーの横須賀の母港化について、米軍乗り組み員の家族対策の問題であると、いつもこう強弁しております。
  〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
日米安保条約がアメリカのアジア侵略に必要な日本の基地を使用するために存在するということを示す事実は幾らもあるわけですが、今度のアメリカ空母の横須賀母港化は、田中内閣が日本の基地をさらに第七艦隊の出撃基地として提供しているものであることが明らかに示されております。
 この点はきょうの話題とはいたしませんが、先日の新聞報道によりますと、在日米海軍司令部や防衛庁筋が、空母の乗り組み員家族の日本移駐がすでに始まったことを明らかにしたとしております。このことはミッドウエーの寄港が近いと思われるのですけれども、政府はいつミッドウエーが寄港するか知らされているかどうか。まあ、こう聞けば、まだわからないと答えられるかもしれませんけれども、知らされていないとすれば、いつ寄港するものと感得しているか、こういうことをお尋ねしたいと思います。
#99
○角谷説明員 ミッドウエーの寄港につきましては、私ども了解しておりますところは、ただいま本国におきまして整備中で、これがいつ日本へ来るかというような詳細につきましてはまだ何もきまっておらないようでございますが、いずれにいたしましても本年秋以降ということになるであろう、このように了解しております。
 なお、家族の点について御質問がございましたけれども、この点につきましては、昨日現在で四十家族、うち三十五家族が米軍の施設内に居住する、五家族だけ一般の居住地に住むということを聞いております。それが昨日現在の数字でございます。
#100
○柴田(睦)委員 いまの答弁ではいつ寄港するかはまだわからない、秋以降であるだろう、こういうことですけれども、それじゃ一体いつになったらわかるのか。それとも日本の知らないうちにある日気がついたら来るということになっていた、こういうことになるのか。寄港の何日前には知らされるのか、この点さらにお伺いします。
#101
○角谷説明員 寄港の何日前というような特別の約束なり話し合いもそれはございませんけれども、随時アメリカ側と連絡をとりまして、寄港がきまり次第アメリカ側からそれを了知するということにしたいと思っております。
#102
○柴田(睦)委員 少なくとも何日前にはわかるのですか。
#103
○角谷説明員 先ほど申し上げましたとおり、何日前というようなことはちょっと御返答いたしかねると思います。
#104
○柴田(睦)委員 同じ報道によりますと、ミッドウエーの横須賀寄港にあたって、千葉県の木更津飛行場において艦載機の離発着訓練が行なわれる、また艦載機の修理には厚木飛行場が使われる、そういう見通しだということが出ているのですけれども、こうした計画は事実であるかどうか。この点がはっきりしないとするならば、こうした木更津をはじめ飛行場での発着訓練などの基地使用の可能性、その見通しはどうなのか、その点をお伺いします。
#105
○角谷説明員 ミッドウエー自体の寄港がまだきまっておりませんので、寄港いたしました暁に、どのような施設を先方が使うかというようなこともきまってはおりません。ただ、航空母艦の艦載機が飛行いたします場合には、修理、補給等の関係で陸上の基地に移るということも考えられますので、その際には木更津等は、これはただいまいわゆる二4(a)という形で提供しております施設でございますから、これを使うということもあろうと考えられるわけでございます。
#106
○柴田(睦)委員 木更津飛行場を使うということがいわれる場合において、政府はこれを容認するつもりであるわけですか。
#107
○角谷説明員 木更津はただいま申し上げましたとおりいわゆる二4(a)の施設でございまして、これをアメリカ側が使うということにつきましては安保条約上も何ら問題はないわけでございます。
#108
○柴田(睦)委員 私も千葉県に住んでおりますけれども、あの朝鮮戦争当時に盛んに艦載機の離発着訓練がこの木更津の基地で行なわれまして、木更津市周辺の人々が騒音や爆発音などで非常に悩まされたということがあるわけです。また、木更津の上空は羽田空港への進入路になっております。騒音公害ということも国内問題として重要な問題になり、環境衛生の立場から騒音の基準というものも設けられるという時代になっているわけですけれども、この飛行場の艦載機の発着訓練などについて、騒音対策は立てるのかどうか、この点をお伺いします。
#109
○角谷説明員 騒音というような問題はもちろん望ましくない問題でございますので、そういうことになりますれば、これはまた必要に応じましてアメリカ側と適宜話をするということになろうかと思います。
#110
○柴田(睦)委員 もう一つの羽田空港への進入路、ここが訓練区域になるということについてはどういう考えですか。
#111
○角谷説明員 これはやや技術的でございますが、木更津を使うということになりましても、おそらく高度が四百五十メートル以下というようなことになろうと思われますので、その場合は羽田との関係はないわけでございます。
#112
○柴田(睦)委員 ミッドウエーの横須賀母港化に伴って、横須賀周辺の基地に新たな使用目的が追加されるであろうということは十分に想像されるわけです。いま言われました木更津飛行場はもちろん、それから厚木の飛行場なども使用する可能性が現実に考えられるわけですけれども、この横須賀周辺の基地、関東の基地あるいは艦載機の訓練区域の設定などの問題が生じると思うわけですけれども、このミッドウエーの寄港によって横須賀周辺の基地に新たな任務が追加される、あるいは訓練区域が設定されるというような全般的な見通しについて答えていただきたいと思います。
#113
○角谷説明員 ミッドウエーに伴います木更津の使用の法的関係につきましては、先ほど申しましたとおり、これは安保条約あるいは地位協定上、特に問題はないわけでございます。
 基地一般がどうなるかという御質問でございますけれども、これにつきましてはしばしば申し上げておるとおり、安保条約の目的の範囲内でこの基地の整理統合ということを進めていくという方針は今後とも継続されるものである、このように考えております。
#114
○柴田(睦)委員 木更津飛行場が発着訓練の場所に使われる可能性がある、そのほかの基地でもなお発着訓練やあるいはその他の訓練があるかもしれませんし、そういう意味で、このミッドウェーが来ることによって、どういう基地が新しい目的をもって追加的に使用されることになるか、そういう点伺いたいのですが……。
#115
○角谷説明員 ミッドウエーが来まして、新しい基地が云々ということは特にないと思います。ただいま申し上げましたとおり、たとえば木更津につきましても、これはすでに二4(a)で米側に提供しておる施設でございまして、特に新しい施設がふえるということにはならないと存じます。
#116
○柴田(睦)委員 木更津のことが出ているわけですけれども、そのほかの基地も離発着の訓練に使われる、そういう可能性があるか。あるとすれば、どういう基地が使われる可能性があるか。こういうことを聞いておきます。
#117
○角谷説明員 ミッドウエーの来日の期日もまだ確定しておりませんし、参りました際にどのようなことになるかということは、現在の時点ではまだ何にもきまっておらないわけでございまして、その意味におきまして、基地がその関連でどういうふうになるかということは、ただいま別に特に問題になりませんし、お答えする立場ではない、このように存じております。
#118
○柴田(睦)委員 ミッドウエーが来てからきまるという趣旨のようですけれども、四月二十二日の報道によりますと、在日米軍はミッドウエーの母港化に伴って艦載機の使用する訓練空域として鹿島灘沖、房総沖、伊豆半島、駿河湾の各上空を要求していることが報ぜられているわけですけれども、こういう事実はあるのですか。
  〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
#119
○角谷説明員 そのような事実はまだ正式には何も聞いておりません。
#120
○柴田(睦)委員 聞いていないということですけれども、ミッドウエーは当然受け入れるということで来ることになるわけで、そうなると、この新聞が全くないことを書いたということももちろんいえないと思うわけなんですけれども、そしてまた、こうした訓練空域の要求というのが当然なされるであろうという懸念をわれわれは持つわけなんですけれども、訓練空域の指定を要求されるという可能性はどうなんですか。
#121
○角谷説明員 訓練空域につきましては、これは元来民間航路の安全を確保すると申しますか、それと区分けをして民間航路に危険なことのないようにという趣旨でございまして、そういう意味におきまして、訓練空域の話を日米お互いにやるということでは訓練空域というものは話をしておるということは事実でございます。いま申しましたように、訓練空域というのはそのように民間航路の危険をなくそうという趣旨のものでございます。
#122
○柴田(睦)委員 説明によりますと、民間空港の飛行機の空域と矛盾しないような訓練空域だ、こういうことですけれども、新たにミッドウエーがやってきて、七十機、八十機という艦載機をしょっちゅう訓練するということになれば、そう言われてもやはり民間空港の空域と衝突してくることは、そういう懸念は十分あると思うわけです。現在の羽田発着の飛行空域はアメリカの空軍の空域を優先させて、その余ったところで羽田の空域はきめられている、こう思うわけです。参議院で共産党の岩間議員が質問いたしました成田空港への出入民間機の飛行ルートとこの要求されていると新聞でいわれております鹿島灘沖の空域とは大幅に重複する、こういわれております。民間航空機がミッドウエーの艦載機の訓練空域の設定によってまたゆがめられるということになれば、民間航空機の安全な空域という意味においては危険性を伴ってくるんじゃないか、こう思うのですが、この点についての見解はいかがですか。
#123
○角谷説明員 訓練空域は通常非常に高度のものでございまして、そこでいろいろアクロバット式の訓練をするとかなんとかいうのが通例の姿でございます。ミッドウエーに関しましては、先ほど申し上げましたとおり、そんな高いところを飛ぶのではございませんで、おそらく訓練空域の問題とはこれは別のことであろう、このように考えます。
#124
○柴田(睦)委員 このミッドウエーの母港化問題についていままで単なる家族対策であるというような説明を政府側はしておりましたけれども、家族が横須賀に移住するということは、これは過去のいろいろな各地の経験を見てみましても、空母が入港することになって相当期間あるいは数カ月間の滞在というのが当然考えられますし、艦載機の訓練あるいは修理、そういう関係も出てきますし、やはり新たな空域の設定というのが当然考えられると思うのです。母港化ではないというような言い方、家族対策であるということはもう現実には通らない、これはもうごまかしの説明でしかない、私たちはこう思うわけなんですけれども、今回の措置がアメリカ海軍の新しい効果的な出撃拠点を設定するものだ、そしてアメリカの力の政策を一そう推し進める、また第七艦隊の任務から考えても日本の安全保障とはこれは関係がない、政府がいままで家族対策ということをいってきたことから考えてみましても、ここで危険を伴う訓練空域の設定だとかあるいは国民に重大な被害を与える騒音だとか、こういうものを生じるわけですから、新たな問題が生じてきますし、単に家族対策だということであれば、日本国民を危険だとか騒音だとかで犠牲にするというような要求に対しては、これは断固として断わるべきである、このように考えます。この点についての見解を伺って終わりたいと思います。
#125
○角谷説明員 寄港の考え方につきましては、政府の考え方は従来累次申し上げてきているところでございまして、これは考え方の違いと申しますか、見解の相違ということになろうかと思います。騒音対策等につきましては、これは必要に応じましてそういうことがあればできるだけのことはしたい、このように考えます。
#126
○柴田(睦)委員 終わります。
#127
○藤井委員長 渡部一郎君。
#128
○渡部(一)委員 私はまず最初に、このたび総理が世界各国を訪問されるにあたり、外交問題の基本的な問題に対して外務大臣と総理との間でいろいろお話し合いが行なわれておるという報道に接しております。その中で、日米及び日欧間の文化交流基金の問題が御両者の間で合意されたとの報道を見ておりますが、これに対して当委員会で御説明を伺いたい、こう思うわけであります。
 日米文化交流基金及び日欧文化交流基金、合計して四千万ドル程度を訪米あるいは訪欧の際総理の口から提案する旨報じられておりますが、こういう予定はございますのでしょうか。そしてこれに対してどういう計画を現在お持ちなのでありましょうか。直接外務大臣の御答弁をいただきたいと存じます。
#129
○大平国務大臣 いままで安全保障外交とか経済外交とかいうような意味で、外交の重点がそういう面に傾斜しがちでありましたことは御案内のとおりでございますけれども、やはり一番根本は、各国民の間に十分の心の触れ合いがなければなりませんし、それぞれの国が持っておる個性的な文化に対して、相互が尊重と理解と評価を持ち合うということはたいへん大事なことであるし、とりわけそれぞれの言語を大事にして、それの普及というようなことについても十分気を使わなければならぬ時代が来たと思うのでありまして、総じて文化外交というようなものに一段と積極的であらねばならぬと考えております。そういう趣旨で文化交流基金というようなものをせんだってつくらしていただきまして、活動をぼつぼつ開始させていただいておるわけでございます。今度総理の訪米にあたりまして科学とか技術とかあるいは文化というような交流につきましてどういうことを主張するか、またどういうことをやってくるかというようなことにつきましては、目下まだ検討いたしておる段階でございまして、国会を通じて御報告する段階にまだ至っていないのでございますけれども、この問題につきまして何らか考えてみたいということで、いま鋭意御相談をいたしておる段階でございます。
#130
○渡部(一)委員 従来の国際文化交流基金は、四十七年度五十億、四十八年度百億、その後四十九年、五十年度三百億程度を考えたいというのが政府の御説明でありました。しかしこれは基金でありますから、毎年使えるお金というものは十億前後であろうと思います。こういう基金というものが年間十億ぐらいのお金しか使えないということは、事実上は国際交流基金がほとんど意味をなさないということ、先日ここに御出席になりました今理事長が話のほかであるという表現をもって御指摘になったとおりであります。ところがまだお話が詰まっていない段階でありますが、ただいまお話に出ております日米文化交流基金あるいは日欧文化交流基金、両方合わせて四千万ドルといいますのは、日本の円に直しますれば百億円程度のものでありましょう。そうすると実際使えるのはまたしても何分の一かのものであって、十億あるいはそれを下回る前後のものでありましょうから、これは事実上たいしたお金にはなり得ない。文化交流基金などというすごい名前はつけられているにもかかわらず、日本の国家全体としての行動としてはまことにお粗末なものであると言わざるを得ないわけであります。私がいま何を申し上げようとしているかというと、要するにこういうものをおつくりになるのは私はけっこうだと思う。そういう計画を立てられることもけっこうだと思う。しかし国際交流基金も諸外国から見たらけた違いみたいなものでありまして、諸外国では年間に七百億とか千億とかいうランクでアメリカとかヨーロッパ諸国では出している。日本は十億とか十五億のお金しか出さないで、ジャパンファンドなどというすごい名前をつけておって、今度は田中ファンドという名前をつけるということでありますが、未来永劫田中さんの名前と大平さんの名前が妙な形で残られることを私は憂えるわけであります。こんな金額では決して容易ではない。もしおやりになるなら、なぜそういう問題をもっと大型になさらないか。何ら基本的な反省の姿勢があらわれてないのじゃないかと、私ははなはだ遺憾に思うわけであります。ですからもしおやりになるのだったら一段とこの問題を強化されて、四千万ドルなどというような――まだきまってないとおっしゃるのですからこれ以上申しようもありませんけれども、少なくともけたが違うのではないか、私はそう思う。外務大臣はどうお考えになりますか、私は御意思を承りたいと存じます。
#131
○大平国務大臣 つくっていただきました文化交流基金というものは、当面の第一期の目標は三百億ぐらいな基金を今、明年度中に確保したいと考えております。仰せのようにこれは基金でございまして、その果実をもって文化交流をやるわけでございます。そのほかに政府が来年度の予算でもってこれを補充していることでございますので、あなたの言われたように十億円という金額ではなくてもっと大きな金になると思います。それにいたしましても十分でないことは仰せのとおりでございまして、今文化交流基金理事長からも強い要請が私のところに来ておりますけれども、文化交流基金の活動は活動としてやってまいるけれども、政府としてこれを補充するような意味において日米、日欧その他これからの文化交流について特段の配慮をしてまいっていただきたいという趣旨でいろいろな御提案をちょうだいいたしておるわけでございます。そのことはいま検討いたしておりますけれども、日米文化交流基金あるいは日欧文化交流基金というようなものを設立するというつもりではございません。この際どういうことをなすべきであるかということは検討いたしておりますけれども、新たな基金を日米の間あるいは日欧の問でつくろうというようなそういう頭ではございません。それから田中ファンドとかなんとかというような構想で考えているわけでも決してございませんで、私どもといたしまして文化交流につきまして、渡部さんから御指摘のあるようにまだ乏しいものでございますけれども、何らかなすべきじゃないかということを考えまして、目下総理府を中心に御検討いただいておるという段階です。
#132
○渡部(一)委員 それではこの問題に関しては格段の御努力をお願いしたいと存じます。私がアメリカのジャパンファン下の関係者から伺いましたときに、ジャパンファンドという大きな名前がついているので、アメリカの諸大学から日本語講座の開設とその維持について当然のように大きな援助が行なわれるものと信じておるという形でたくさん要求があるけれども、断わるのに精一ぱいである。むしろ仕事はジャパンファンドの運用の問題じゃなくてジャパンファンドに対する申し込みをいかに削るかが重大な仕事なのだというような意見すら伺いました。そこで私は特に申し上げたわけであります。この問題はひとつ十分御配慮をいただきたいと思います。
 それでは次に、ことしの秋の国連総会での南北朝鮮の同時招請あるいは同時加盟、この問題が起こってきております。同時加盟の問題については朴正煕韓国大統領が南北の国連同時招請同時加盟に反対しないという政策転換を明らかにしましたけれども、一方金日成朝鮮民主主義人民共和国主席は、南北が別個の国として国連に加盟することには反対する、ただし朝鮮問題の討議には加わるという形で招請案を受け入れ、同時招請を受け入れる形の表明をいたしております。そういたしますと同時招請に対する条件は両国側が合意しておりますがために機はまさに熟しておる、こう考えるわけであります。このときに日本政府としてはどういう行動をおとりになるか、そろそろ伺ってもいいのではないかと私は思うわけであります。といいますのは、先日大平外務大臣は南北朝鮮問題に対しまして、朝鮮の場合は機が熟していないという言い方で未熟論を唱えられました。しかし国連総会における同時招請の問題はこういう形で両国の首脳の意見によって機は熟してきたと私は考えるわけであります。この熟してきた両国の国連同時招請に対して日本政府はどういう役割りをとるべきであるか、外務大臣から伺いたいと存じます。
#133
○大平国務大臣 今回北鮮側におかれましてニューヨークに、国連に常駐オブザーバーの事務所を置くということに相なりまして、朝鮮問題は同じテーブルについて討議してもいいというところまで実際的な判断を固めてこられましたことに対して、私どもといたしましても歓迎をいたしておるわけでございます。だからこの秋の朝鮮問題というのは朝鮮問題を討議するかどうかという形式論、そういうものから一歩抜け出て実質論、実質的な問題の討議に移る可能性が濃いのではないかと判断をいたしておるわけでございまして、こういう実質問題といたしましてUNCURKの問題でございますとか国連の軍の問題でございますとかあるいはいま御指摘の同時国連加盟の問題とかというような問題が実質問題として考えられるわけでございますが、こういう問題につきましてはまず南北両当事者がどのような考え方を固めてまいるのか、これは十分これから見定めなければならぬと考えまするし、関係各国の受けとめ方、対処のしかたというようなものについてもできる限りのインフォメーションを手にしなければならぬと考えておるわけでございまして、日本政府として今秋の国連総会においてどういう態度をとるべきかというようなことを具体的にいまの段階で申し上げるのは時期尚早ではないかと考えておるわけでございまして、私どもといたしましてはこれから鋭意勉強さしていただきたいと思っています。
#134
○渡部(一)委員 韓国政府はいまお話のあった国連朝鮮統一復興委員会、UNCURKの解体を逆提案する意向を定めつつあるとの情報がございますが、外務省はそういう話を御存じで確認されておられるかどうか。
#135
○大平国務大臣 まだ伺っておりません。
#136
○渡部(一)委員 そうしますと駐韓国連軍の処理の問題についてあるいはUNCURKの問題については当然このたびの訪米の際にアメリカ政府当局と御相談になる、こう見てよろしいわけでしょうか。
#137
○大平国務大臣 そういう技術問題につきまして首脳会談で触れる場面があるかどうか、私にはちょっといま見当がつかないわけでございますが、先ほど私が御答弁申し上げましたように、そういった問題につきまして南北両当事者それぞれの御意見、御意向というものが十分まだつかみ切れていないわけでございまして、そういう問題につきまして首脳会談で御討議をいただくという準備はまだございません。ただ、朝鮮半島の問題はわが国にとりまして重大な問題でありますことはもう申すまでもないことでございますので、両首脳の間におきましては高い次元に立って朝鮮半島の問題というものは当然話し合われることと期待いたしております。
#138
○渡部(一)委員 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約の第三条に「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。」とございます。この問題については、さきに高島条約局長が朝鮮民主主義人民共和国側と国交の正常化の交渉をする際それが支障にならぬ意味の御答弁をされました。外務大臣はいまこうして朝鮮問題が進展する段階において、UNCURKの問題、国連軍の問題、同時加盟の問題等実質的な問題を討議するにあたり、これにもう一つ加えて日本と北朝鮮側との国交正常化の問題を討議するにあたって、この第三条は支障にならぬとのお立場をとられますか、そうでない立場をとられますか。
#139
○大平国務大臣 先般当委員会におきまして条約局長が申し上げました見解は外務省といたしまして一貫した認識でございます。
#140
○渡部(一)委員 そうしますと、この韓国との基本関係条約があるにもかかわらずUNCURKの解体あるいは国連軍の撤退あるいは同時加盟の問題等が起こった場合、日本としては国際的な取りきめで手を縛られることはない、こういう意味に解してよろしゅうございますか。
#141
○高島政府委員 ただいま渡部先生がおっしゃいましたUNCURKの問題、国連軍の問題等について国際連合総会で議論される際にどのような取りきめが行なわれましょうとも日韓基本関係条約は何らの障害になりません。
#142
○渡部(一)委員 外務大臣もそういうお立場でよろしゅうございますね、それは。
#143
○大平国務大臣 同様な見解を持っています。
#144
○渡部(一)委員 そうしますと、日本政府及び日本の外務省当局の朝鮮問題に対する態度は私はきわめて意欲的であるやに拝見するわけであります。この立場をさらに進められまして朝鮮問題に対する多年の懸案のこの問題が解決されるよう要望したい、こう思っているわけであります。
 それと同時に、日本政府が今日まで続けておりました韓国のみとの関係、むしろこれを優先させるような外交的なさまざまな処置に対して、こういう状況が変わっていくときにいろいろな問題点が起こるだろうと思います。経済援助の実質的な強烈な取りきめ、あるいは実質的な軍事的な取りきめというものが行なわれますと、この朝鮮情勢がまとまる上において非常に妨害になると私は心配しております。つまり秋の国連総会との関係で日本政府の対韓国外交はきわめて慎重であるべきだろうと思うわけであります。その点はどうお考えですか。
#145
○大平国務大臣 朝鮮半島の平和と安全というものをどのようにして築き上げてまいるかということは、南北両当事者の間の問題であるばかりでなく、われわれにとりましても重要な関心事でございます。われわれの対韓政策というような問題もそういう大きな方針に背馳しないようにやってまいらなければならぬわけでございまするし、今日までそういう気持ちでやってまいりましたけれども、今後も当然のことといたしまして、十分そういう点に配慮しながら進めてまいりたいと思っております。
#146
○渡部(一)委員 先日外務省は日米首脳会談で討議される内容をいろいろな点で話し合いをなさったそうでありますが、新大西洋憲章についても討議なさったと伺っております。私もこの問題は一番心配でございまして、日米安保体制でここ二十年間日本は身動きのできないほどの方針をきめてしまったわけでございますけれども、この新大西洋憲章という形で日本の外交を大きな路線に乗せてしまうことに対して、これはまたきわめて警戒的でなければならぬと考えておるわけであります。どういうお打ち合わせをされて新大西洋憲章に臨まれるのか、まだ御討議の段階ではありましょうが、基本的な立場をちょっと述べていただきたいと存じます。
#147
○大平国務大臣 御質問の件につきましては、けさほど堂森委員から御質問がございましてお答え申し上げたとおりでございます。すなわちこれは、ことしをヨーロッパの年としたいということで、アメリカが対欧政策の基本的な考え方を示して提言されたものと了承しております。そして、その問題はアメリカとヨーロッパ主要国との間でいま討議が行なわれておると思うのでございます。私どもといたしましては、対米欧関係、つまり大西洋問題という問題の中に通貨であるとか、貿易であるとか、資源であるとか、グローバルなすそ野を持った問題もございまして、日本としても無関心であり得ない問題があるわけでございます。また、それを解決するにつきまして、米欧だけで解決されるような問題でもない問題が含まれておるわけでございますので、日本としても関心を持っておることはよく御理解がいただけると思うのでございます。わがほうといたしましては、アメリカ側の基本的な考え方をよく承り、またこれに対するヨーロッパ各国の反応というようなものもよく承らなければならぬと思いまするし、われわれの立場でそれをどう受けとめるべきかというような点につきまして、首脳間で活発な意見の交換をしていただくように期待いたしております。
#148
○渡部(一)委員 これで私の質疑は終わります。
#149
○藤井委員長 永末英一君。
#150
○永末委員 先日内閣委員会で、元海軍の沈没いたしました艦船の問題で質問をいたして、留保をしておいたものがございました。時間がございませんので、簡明に御答弁願いたいと思いますが、軍艦「那智」に関する措置はその後いかがになりましたか。
#151
○吉田(健)政府委員 私たちは、元日本軍艦「那智」が発見されたという情報に接しまして、六月二十一日、フィリピンのわがほう大使館に本件情報の確認を訓令いたしますとともに、同大使館からフィリピン政府のほうに対しまして、「那智」の引き揚げに際しましては、遺骨及び遺品の回収につきフィリピン政府の協力方を要請した次第でございます。フィリピン政府部内では、この沈船引き揚げを所管しております国家造船製鉄公社というのが、七月六日にフィリピン日本大使館に対しまして、「那智」発見の情報は一民間人がもたらしたもので、その信感性及び位置をまだ確認しておらない、今後の捜査につきサルベージ関係者全員に本件を通知して、もし「那智」らしい沈船を発見した場合には直ちに報告するように通達をし、また遺骨及び遺品については、発見され次第安全に日本側に引き渡すように全面的に協力する旨を約しております。私たちといたしましては、今後とも遺族及び関係者のお気持ちを尊重いたしまして、遺骨及び遺品の回収等に全力をあげて努力するという考えでおります。
#152
○永末委員 「那智」の件につきましては、報道されましたものがはっきりとした確認に基づくものではないということでございますので、フィリピン政府に対しましてはそういうことで連絡をしておいていただきたいと思いますが、那智に限らずたくさんの艦船が沈没いたしておるのでございまして、その沈没いたしました艦船の場所というのは確認をされておりますか。
#153
○横溝説明員 お答えいたします。
 厚生省では、沈没艦船につきまして、潜水艦あるいは単独で行動している艦船など特殊な場合を除きましては、一般に場所は掌握できております。ただ、その場所が正確かどうかという問題になりますと、友軍が遠くから沈没したことを確認して、戦場を離脱した後に報告してきたものだとか、あるいは漂流している乗員を救助いたしまして、そのあとで状況を聴取して沈没場所を判定した、こういうものが多いため、遺憾ながら正確な位置とは言い切れない、こういうのが実情でございます。
#154
○永末委員 概していえば、沈没しておる位置が把握できているというお話でございますが、沈没している場所は、わが日本の領海か他国の領海か公海か、この三つのうちの一つでございまして、したがってそれぞれの三つの場合に、一体、沈没した船の所有権というのはどこにあるというふうに御解釈になっておられますか。
#155
○高島政府委員 サンフランシスコ平和条約の当事国の場合でございますと、その国の領海にもしあるとすれば、これは条約第十四条(a)項の規定によりまして、その管轄内にある日本の財産はすべて処分する権利を持っておりますので、その国の所有権になろうかと思います。それから、日本の領海にある場合は、これは全く問題ないと思いますが、公海にある場合、はたしてどういうふうなことになりますか、これは国際法上もなかなか問題があろうかと思いますが、原則として国際法上は、交戦中のそういう軍艦につきましては、敵側が戦利品としてこれを確保するという何らかの措置をとった場合に、そのようなことが明らかである場合には、その国の所有権に移るということでございますが、そうでない限り、原則としては日本の所有権が残るというのが現行の国際法だろうというふうにわれわれ考えております。
#156
○永末委員 他国の領海内にあると思われるものにつきましても、サンフランシスコ平和条約が効果を及ぼすのはまさにそのサンフランシスコ平和条約に調印をし、それを批准した国に限られているはずでございます。しかし、わがほうの旧海軍の艦船が沈没いたしましたのは、このサンフランシスコ平和条約に調印をしていない国々があるわけでございまして、そこに多数沈没しているはずであります。たとえばインドネシア、マレーシア、シンガポールそれから信託統治地域として現在ございますソロモン海域並びにニューギニアそれからトラック、この辺についてはどういうお考えですか。
#157
○高島政府委員 サンフランシスコ平和条約の当事国でない国の領海にある日本の軍艦の地位につきましては、これは原則として公海にある場合の地位と大体同じだろうというふうに考えます。
#158
○永末委員 日本領海内にあるものは問題ない。それから公海にあるものは、相手方が戦利品の主張をしない限り日本のものだと思われる。そしてまたサンフランシスコ平和条約調印国以外のものにつきましても公海と同様だと思う、こういうことでございますが、そうしますと、それは日本国の所有ですか。
#159
○高島政府委員 軍艦は国のものでございましたので、当然そういうことになろうかと思います。
#160
○永末委員 六月十九日の内閣委員会で、川崎説明員という人が「沈没した艦船につきまして、わが国の主張として国有財産であるというものは一応整理いたしまして、大蔵省に帳簿がございます。」という発言をしておるのですが、帳簿があるのですか。
#161
○川崎説明員 国有財産は国有財産台帳というものに登載する仕組みになっておりますが、沈没した艦船のうちわが国の所有のものである、そういったものの帳簿がございます。しかしながら、沈没した艦船は現実的に財産管理の可能性がございませんので、国有財産台帳には載せていない。したがって台帳はございませんが、整理した帳簿がある。帳簿といいますのは、厚生省の調査に基づいて、その調査の結果を引き継ぎを受けた書類でございます。
#162
○永末委員 わが国政府は戦後どこかの国から、この沈没したわが国の海軍に属しておった艦船について、戦利品の主張をされた船がありますか。
#163
○高島政府委員 私直接所管しているわけではありませんが、そのような記録はないように承知しております。
#164
○永末委員 サンフランシスコ平和条約が締結されまして以後は、この平和条約に調印し批准をした国、すなわちこのサンフランシスコ平和条約の効力を受ける国は、それ以後戦利品の主張をすることはできますか。この条約の文言以外ですよ。
#165
○高島政府委員 先生の御質問の意味は、公海にある日本の軍艦のことでございますか。
#166
○永末委員 公海にある船でも、その戦利品の主張をしてきた場合にはそっちの主張した国のものになりそうなお話でございましたが、すでに平和条約が発効して戦争状態はないわけでございまして、大体戦利品というのは戦争中にぶんどって、そして平和条約などを結ぶ場合に戦利品ということで処置をしているのがいままでの――悪い慣例だと思いますがね。したがって、いま戦利品と言われたのは何のために言われたかわかりませんが、それを聞いていると、あたかもいまでもアメリカが、わがほうの沈んだ船に対して、おれの戦利品だというようなことを言うてきた場合に、受けんならぬような気がしますので、私はもうアメリカはそんな権利はないと思っておる、そこでそのことを伺っておるわけです。
#167
○高島政府委員 戦利品という概念は戦時国際法上の概念でございますので、当然戦争状態にある期間における行為でなければならない、当然のことでございます。ただしかし、戦争当時にそういうことを、戦利品として確保する措置をとったということについての争いは、もちろん平和回復後でも行なえるというふうに私たち思いますが、行為自体は当然戦争中のものでなければならない。
#168
○永末委員 一般に、たとえばわが国の領海内で他国の船が、これは軍艦でございませんで、遭難して沈んだという場合には、その所有権はどこにあるのでしょう。
#169
○高島政府委員 軍艦の場合は別でございますが、一般の商船の場合について、日本の領海で沈んだ場合に、その所有権がどうなるかという問題でございますか。(永年委員「そう」と呼ぶ)ちょっと即席で御答弁できませんので、研究さしていただきます。
#170
○永末委員 研究しておいてください。
 それから、先ほど答弁が少し不明確であったのですが、信託統治地域、つまりソロモン海域、ニューギニア海域それからトラック海域、これは公海とみなしてよろしいか。
#171
○高島政府委員 信託統治地域というのは、これはどこの国の領有にも属さない、要するに国連が信託を受けて統治している地域ということで、その委任を受けた国が実際に行政上のめんどうを見ているわけでございますが、そういう意味で、アメリカならアメリカの領有する地域ではございませんけれども、しかし信託統治地域としての行政上の都合から、領海ないしは公海という部分はあるかと思います。したがいまして、もしアメリカが統治している信託統治地域の中でございますれば、三海里内は領海でございますし、三海里外は公海というふうに考えるのが当然じゃないかというふうに思います。
#172
○永末委員 まさにその信託統治地域になっておるところにわがほうの船がたくさん沈んでいるのでございまして、いまおっしゃったように、信託をしたほうは国連でございます。ところが、信託されたほうが領土と同じように考えてくると、領海という概念が発生してくる。そうすると、先ほどのお話では、その国、すなわち信託統治をしておるその国に所有権のごときものが発生するということになる。ちょっとその辺を、法理をしっかりしておいていただきたい。どっちなんでしょうか、国連なのでしょうか。たとえばソロモン海域についてはオーストラリアなんでしょうか、トラックについてはアメリカなんでしょうか。
#173
○高島政府委員 先生の御質問の意味がよく私もわからないのですが、戦争中これらの領域がどこにあったかということが、やはり基本になろうかと思いますが、現在の領有する地域、オーストラリアあるいはアメリカ、それの支配に入っている場合にその国の所有権に属するというふうにはたして言えるかどうか、私ちょっと即席では御返答いたしかねます。
#174
○永末委員 その辺は研究しておいてください。
 もう時間がございませんので、まとめておきますが、との遺骨収集ということが陸上で行なわれるわけです。ところが沈没した艦船の場合には物理的に不可能なものが多いわけです。私どもは、海のひつぎでございますから、言うならば聖なる墓場としてそれはそのままに葬っておいてほしいなと思っております。しかしたまたまそれが浅いところにあって、そうしてこの前伝えられたように、それをわれわれの知らないうちに引き揚げる企てがあったり、あるいはその方法が爆破をしたりということになりますと、一体その船の所有権、もともとわれわれの所有であったもの、そこにはそのときの日本人が乗っておる――いまでも日本人でありますが。そういう人々の措置については十分政府としては考えなくてはならぬ。したがっていまのような御研究願う場所がございまして、そこには実に多数の元海軍の船と軍人が沈んでおるのでございまして、外務省とされましてはそれぞれの国に外交問題が生ずることもあり得ると思いますので、われわれのほうがそれに対して所有権、と申しましても、実際上それを管理する能力がなければむずかしい概念ではございますけれども、わが日本政府がそれらのものについてはやはり責任を持っているんだということをそれぞれの領海を持っているとおぼしき国々にも通告をして、かつて起こったようなことがあらかじめ起こらないように措置をしておくべきが至当ではないか。これは幾ら戦争で負けたからといって、いまの日本政府の、あのころ戦争した者に対する責任をやはり私は果たすものだと思いますが、大平外務大臣、御見解を承りたい。
#175
○大平国務大臣 仰せの御趣旨ごもっともと考えます。とりわけ遺品、遺骨の収集につきましては政府としてあらゆる措置を講じて御遺族の期待にこたえなければならぬと思います。
#176
○永末委員 終わります。
#177
○藤井委員長 次回は、来たる十九日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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