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1972/06/12 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 法務委員会 第31号
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1972/06/12 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 法務委員会 第31号

#1
第071回国会 法務委員会 第31号
昭和四十八年六月十二日(火曜日)
    午前十時二十一分開議
 出席委員
   委員長 中垣 國男君
   理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
   理事 谷川 和穗君 理事 福永 健司君
   理事 古屋  亨君 理事 稲葉 誠一君
   理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君
      井出一太郎君    植木庚子郎君
      松澤 雄藏君    三池  信君
      阿部 助哉君    正森 成二君
      沖本 泰幸君    山田 太郎君
      塚本 三郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 田中伊三次君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 香川 保一君
        法務省民事局長 川島 一郎君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省証券局長 坂野 常和君
 委員外の出席者
        法務省民事局参
        事官      田邊  明君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   伊豫田敏雄君
        大蔵省証券局企
        業財務課長   白鳥 正人君
        法務委員会調査
        室長      松本 卓矣君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月七日
 辞任         補欠選任
  青柳 盛雄君     平田 藤吉君
同日
 辞任         補欠選任
  平田 藤吉君     青柳 盛雄君
同月十二日
 辞任         補欠選任
  楯 兼次郎君     阿部 助哉君
  佐々木良作君     塚本 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部 助哉君     楯 兼次郎君
  塚本 三郎君     佐々木良作君
同日
 理事青柳盛雄君同月七日委員辞任につき、その
 補欠として青柳盛雄君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
六月六日
 出入国法案反対に関する請願(井上泉君紹介)
 (第六〇三五号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第六〇三六号)
 同(太田一夫君紹介)(第六〇三七号)
 同(岡田哲児君紹介)(第六〇三八号)
 同(上坂昇君紹介)(第六〇三九号)
 同(島田琢郎君紹介)(第六〇四〇号)
 同(山崎始男君紹介)(第六〇四一号)
 同(横山利秋君紹介)(第六〇四二号)
 同(広沢直樹君紹介)(第六一二四号)
 保護司の活動強化に関する請願(古屋亨君紹
 介)(第六一二二号)
 同(藤尾正行君紹介)(第六一二三号)
 司法書士法改正に関する請願(松本十郎君紹
 介)(第六二〇二号)
 同(山本弥之助君紹介)(第六二〇三号)
 同外一件(横山利秋君紹介)(第六二〇四号)
同月八日
 出入国法案反対に関する請願(川俣健二郎君紹
 介)(第六三七三号)
 同(山田耻目君紹介)(第六三七四号)
 同(新井彬之君紹介)(第六五三六号)
 同(井上泉君紹介)(第六五三七号)
 同(大久保直彦君紹介)(第六五三八号)
 同(土井たか子君紹介)(第六五三九号)
 同(広沢直樹君紹介)(第六五四〇号)
 同(松本忠助君紹介)(第六五四一号)
 保護司の活動強化に関する請願(伊東正義君紹
 介)(第六五三四号)
 同外二件(江崎真澄君紹介)(第六五三五号)
 司法書士法改正に関する請願(安里積千代君紹
 介)(第六五四二号)
同月十一日
 出入国法案反対に関する請願(木島喜兵衞君紹
 介)(第六六九三号)
 同外四件(土井たか子君紹介)(第六八七九
 号)
 司法書士法改正に関する請願外八十五件(松澤
 雄藏君紹介)(第六六九四号)
 同(横山利秋君紹介)(第六七八八号)
 同(福永健司君紹介)(第六八八〇号)
 保護司の活動強化に関する請願(江崎真澄君紹
 介)(第六七八九号)
 同(小山省二君紹介)(第六七九〇号)
 同(森喜朗君紹介)(第六七九一号)
 同(福田篤泰君紹介)(第六八七八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 商法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇
 二号)
 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する
 法律案(内閣提出第一〇三号)
 商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係
 法律の整理等に関する法律案(内閣提出第一〇
 四号)
     ――――◇―――――
#2
○中垣委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事補欠選任についておはかりいたします。
 去る七日、理事青柳盛雄君が委員を辞任され、理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により委員長に御一任をお願いいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、青柳盛雄君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○中垣委員長 内閣提出、商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上三法律案を一括議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。沖本泰幸君。
#5
○沖本委員 まず御質問の初めにあたりまして、先日の当委員会で、大臣は、監査制度の改正の実効は監査役に人を得るかどうかという点に十分重みがあるのだ、こういうお答えをたしかしていらっしゃった、こう考えます。そういう観点から、今度の商法の一部改正法案に関しまして、財界はどういう考え方、動き方をしているか、それで、この改正にどういうふうに積極的に対処する考えを持っているか、大臣のほうでお話し合いなり、あるいはそういう点についていろいろおとりになった情報なり何なりについて、お答えいただきたいと思います。
#6
○田中(伊)国務大臣 私が直接に財界人との間に懇談をしたということはございませんけれども、この商法改正をめぐる、ことに監査制度の改正、ことに監査役の権限の強化ということを公表いたしまして以後、財界の方面では、この改正が行なわれる場合を前提にしまして、監査役には当該企業について権威のある大ものを起用していくべきである、これによって会社の経営を堅実に進めていかなければならぬという方向に向かって動きがあるようで、この点はたいへん喜んでおるのでございます。しかし先生仰せのように、前回もおことばがございましたが、制度の改正をいたしましても、その制度に沿うような人材を企業内部の監査役に起用していくということはなかなか容易なことではなかろう。相当日時をかけてやってまいりませんと、そういう理想の人選にはなかなかむずかしいのではなかろうかということは、たいへん気にしておるところでございます。
 しかし、人選の問題は事実上の問題でございますから、これは別といたしまして、制度それ自体について、ここに提出しておりますような改正をぜひお認めをいただくということでなければなるまい。大ものの起用、人選と相まって、この制度の改正にものをいわせて、企業の健全な成長、発展ということを期してまいりまして、海外に対するわが国の企業の信用もこれによって増大していくようにしていきたい、こう考える次第であります。
#7
○沖本委員 あとでいろいろ触れるつもりではおりますけれども、聞くところによりますと、この法律を改正するにあたって、相当財界が難色を示したという点が一部ある。その辺、財界の納得のいくような内容に中身を変えて、やっと同意を得られるような方向を得たというお話も伺っておるわけでありますけれども、真偽のほどは私はわかりませんが、それにつきまして、どちらかといいますと、海外の経済の動向なりあるいはドルとか円とかの動き、いろいろな最近の経済事情の中から国民全体が受け取る印象としては、株式会社制度そのものの内容に非常に疑いの目をもって見なければならないようなことが多く出ておる。そういうことのあらわれのあり方として、買い占めとか、株の操作であるとか、いろいろなことが新聞をにぎわせてもおりますし、それから物価の高騰なりいろいろな日本経済にかかってきている国民全体が困るような経済のあり方そのものに、企業の動き方がずいぶん出てきておる。売り惜しみなり投機なりという面で、国民は幾らお金をためてみたってそれはむだになってみたり、あるいは家を建てかけてみて、物の騰貴によって全然家が建たないで放棄してしまっている。そういうふうないろいろな事情がどんどん出ておるわけです。この委員会で、ほかの法律をもってこういうふうな売り惜しみとか買い占めとかいうものに対処していくような、現在の法律を使ってやっていくのだ、こういう大臣の答弁もいろいろあったわけです。
 そのように現在国民の目がこういうところに集中しておって、企業のあり方そのものに対して非常な疑問を生じておるということになるわけですけれども、同じように、チッソの問題であるとかそういうこともからみながら、総会屋を入れて株主総会を一定の形式化してしまっていっている。そういうふうなことも新聞にいろいろ出ております。
 そういう点からか、この六日の新聞にも、警視庁が商法の贈収賄罪で総会屋を逮捕し、会社のほうも同じようにやってきたということで、新聞では、図書印刷の株主総会について、事前工作、不正の請託があったと判断をして、贈収賄罪で四人を逮捕した、こういう内容のものが出ております。そういう中で、この記事を読んでみますと、きょう警察庁お見えになっていませんけれども、あとでお越しになったらお聞きするつもりではおりますけれども、警視庁のほうは、「これまで総会屋の取締りには刑法を適用してやってきた。しかし企業側が被害届を出したがらないこともあって、十分な取締りができにくかった。企業側の責任も大きい。今後は商法をはじめあらゆる法律を適用して取締りにあたるが、総会屋をなくすために一、二の企業が矢おもてにたたされるのはやむを得ないと思っている。」こういう談話が出ております。こういう点からいくと、一、二が矢面に立たされているということはこれは氷山の一角であって、その他大ぜいということに、つまり内容がたくさんある。しかし取り締まりするには非常に内容が複雑であってむずかしいということで、以前の国会でも、買収というものについては請託があったかなかったかという点が一番大きな論拠になってきていることも前にもあったわけです。こういう点から考えまして、大臣のほうからおっしゃればそういうためにもこの商法の一部改正というものが大きな役割りを果たす、あるいは監査制度というものが役割りを果たすのだという御答弁も出てくるとは思いますけれども、いわゆるこういうふうな刑事犯なり何なりが横行しておるという点について、検察庁のほうはこの問題にどういう方針でいままで対処されてきたか、あるいは今後臨んでいかれるか、あるいはいま申し上げましたこの一つの例の図書印刷の事件について、検察庁としてはどういうお考えに立っていらっしゃるか、この点についてお伺いしたいと思います。
#8
○安原政府委員 従来から総会屋をめぐるいわゆる恐喝事件、株主総会がもめないように総会屋に依頼する形において、企業側の恐喝の被害者であったという事件は相当ございましたが、先ほど新聞の記事にもございましたように、被害者であると目される企業のほうで恐喝の被害を受けたということをなかなかいわないというような実態もございまして、この種の、企業暴力とわれわれはいっておりますが、事件の立証は非常に困難であったという場合がずいぶん多いのでございますが、しかしながら広い意味での株主の保護のために、こういう総会屋がはびこるというようなことがあってはならないという観点に検察庁も立っておるわけでございまして、そういう意味におきまして、今回の図書印刷のいわゆる商法違反につきましても、当然警視庁とも十分連絡をとって、この種の行為の絶滅を期するために厳正な方針で臨むということで検察庁は臨んでおります。
#9
○沖本委員 そうするといままでとは方針を変えるというふうに受け取ってよろしいのでしょうか。
#10
○安原政府委員 方針を変えるというのではなくて、総会をめぐる不正事件、それによって総会屋がはびこるということが広い意味での株主の保護にはならないということで、いわゆる法律の定めるあらゆる手段を講じてそういうものがなくなるようにつとめていくという検察の方針に変わりはございませんで、方法として、いままで恐喝という形でやっておった場合が多いのですが、商法違反という形で防圧に対処していく、方策としてそういう方法もとるということでございまして、方針が変わるということではございません。
#11
○沖本委員 そうすると、よりきびしくこの問題を取り上げていくということになりますと、どういう点が期待されますでしょうか。この総会屋の取り締まりにつきまして、いままで以上にきびしくやるのだということですか、いままでどおりでしょうか。あるいはきびしくやるについての方針なり何なりから出てくる、われわれが何か期待が持てるものがあるのかないのかという点についてお答え願いたいと思います。
#12
○安原政府委員 検察の効果というのは目に見えてお示しするということはなかなかむずかしい問題ではございますが、少なくとも警察、検察当局といたしましては、検挙することによってそういう事案が減少することをかたく信じてやっておる次第でございます。私ども、そういう意味で減少することを期待し、かつ確信してやっておるということでございます。
#13
○沖本委員 ここでは、警察庁はこれからあらゆる法律を駆使して取り締まりに当たるという方針を打ち出しております。いま委員部からのお話ですと、きょうは警察庁のほうが間に合わないということなんですけれども、法務大臣として、最近非常にこの問題が問題化されてきておるわけです。ある新聞の主張からいきましても、「営業成績が低下すれば、ほとんど金融機関で占められている大株主の意を迎えるために粉飾決算を行ない、株価を操作しては株式の時価発行を強行する、あり余る資金を手にすれば買占めの投機に狂奔する等々、世に憚るところがない。」こういうふうにきびしく表現しているところもあるわけです。こういうところから、結局この法律がたまたま当委員会にかかった時期を同じうしてということではありませんけれども、先日の株主総会でもシャンシャンでもってほとんど終わっていっているということ、それから警察庁の談話でも被害届けがほとんどない、こういう点、あるいは総会屋をむしろ待ちかまえてそういう点を利用していこうと、そういうところに非常なつながりが出てくるわけですね。そういうものをやっぱり切り離していって、そして健全な点をはかっていかなければならない、こういうことになるわけですけれども、そういう点について、そういうつながりやくされ縁があったんでは、その人を得ようと思ってみたところで、そのもの自体がそういう方向に向かっているということになれば、最初の出発点からもう内容が同じことである、こういうことになってまいりますし、刑事局長さんのお答えにも出てきておりますけれども、大臣としては、この総会屋のあり方についてどういう御方針で今後臨んでいかれるか、それをお伺いしたいと思うのです。
#14
○田中(伊)国務大臣 総会屋のはびこる余地があるということは一体どこに余地があるのかと申しますと、総会の運営が形式に流れやすいということです。どうして形式に流れるのかというと、株主総会に出ていって何を論議されるのか事前にものがわかっていない。株主総会の会場に、講堂に出かけていって株主の席にすわって初めて一体どういう議案が出てくるのかという、議案の内容というものが初めてわかる。こういうやり方では株主総会は形式に流れやすいこと、当然でございます。そこで今度お手元に提出しておりますように改正をいたしまして、企業のその年度における計算書類というものは、これは取締役会がつくるのでございますけれども、つくりましたものを会計監査人の監査に付する。監査に付しましたものを企業内部の監査役にまたこれを監査をさす。こういう手続を経ましたものをあらかじめ印刷をしまして、厳重につくりましたものをあらかじめ印刷にしまして、株主総会招集通知状にこれをつけてあらかじめ送り届ける。自分で見られる人は自分で見てくれる。専門家に見せたい者は専門家に見せる。株主総会に行けばどういう内容のことが審査をされるのかという、会議の議題にのぼるのかということが手にとるように具体的に数字が示してある。こういう手続を事前に踏んでいこうということが改正の大きなねらいでございます。何をねろうておるのかというと、株主総会が形式に流れることがないように、論議をする内容、会議をする内容というものが事前に印刷物をもって示されておる。新しい今度の行き方でございますが、この改正を施しましてそういう処置を講ずる、これで対策の一つができるのではないか。論議したいと思う者は発言を求めて発言ができる、こういう余地をそこに十分に残しておきますと、総会屋が出てきてシャンシャンという形をとる余地がなくなる、こういうことになります。もう一つは不正の請託と申しまして、法律はそう書いてあるのでありますが、不正の請託をいれて株主総会の運営をこの方向に持っていこうなどというけしからぬことを考えて金銭授受を行ないます場合においては、商法による贈収賄罪を適用して検挙をする、これを厳重にやっていく考えでございます。ただいま私どもの刑事局長の答弁によりますと、いままでどおり別に変わったことはないんだと、こういうふうに言っておりますが、それは理論はそのとおりでございます。法律に書いてある罪なんですから、その罪あれば検挙をするので、いままでとちっとも変わったことはない。変わったことはないが、特にこの総会屋をめぐる不正の請託による贈収賄という行き方につきましては断固たる態度で取り締まりをする、特に今後は。いままでもやってきておりますが、特に今後は断固たる取り締まりをやる。いままではどちらかといいますと、この点に注意をして――同じ考えを持ってきたことには間違いはないのでありますけれども、恐喝をめぐる行き過ぎた問題について恐喝事犯として処理をしてきた、こういうことでございます。今度は商法に基づく贈収賄の規定を適用いたしまして厳重にこれをやっていく。この改正をお願いいたしまして、計算書類の事前送付ということのほかに、いま申しますように厳重なる態度で商法による贈収賄の規定を適用していく。この二つの方法によりまして株主総会の適正な運営が行なわれるようにつとめていきたい、これによって企業の健全なる運営をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
#15
○沖本委員 断固やっていただきたい。これは国民的な立場からぜひともそう願いたいところですけれども、大臣のおっしゃった点では警察庁の談話と相一致する、こういうことになるわけでございますが、そういう点について法務省としては警察庁と何らかの連絡をとったり、今後いろんな会合を持ち、そういう点を検討を深めながら、いろんな事前の捜査内容を積み上げながらそういう方向に向かっていかれるか。問題点は、断固ということでありますけれども、いわゆるその贈収賄ということにかかってきますと、請託があったかなかったか非常に微妙な内容を持ったものが出てくるわけでして、その請託云々ということは国会でも非常な議論を呼んで、請託の有無という点の置きどころという点が非常な問題点になったわけでございますが、そういう点について横の連絡をするなり、あるいはそういう内容についての被害届けという点ですね。その被害届けを出していけば会社自体の内容にまで影響が及んでいくし、そうすれば結局総会屋とのつながりを切ってしまうと、今後いろんなことで問題も起きてくるし、あるいはいろいろな点で不便も生じてくるということになるわけで、そこに粉飾の一つの原因もちゃんとあるわけなんですけれども、その辺について未然に防止していくということは、請託を強要されたとか、請託があったとかなかったとかいう内容についてのことがちゃんと届け出がなければならないということになるわけです。そういう点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
#16
○田中(伊)国務大臣 具体的なことは刑事局長からお答えをさせますが、ただいま先生仰せになりました請託の有無ということはなかなか容易でごごいません。実際の捜査に当たりますとたいへんむずかしいところです。むずかしいところですが、一方において請託の有無だけで検挙ができるかというと、そうはまいりません。請託があって同時に金銭の授受があるという点が明らかにならないと犯罪は成立をいたしませんので、金銭授受という形式が整いますと、請託と合わせまして一つの捜査当局の判断が生まれるわけでございます。これは必ずしも届け出があるわけではございません。私は強要をやりましたという届け出をするというばかはおらぬわけでございますが、何らかの形で風聞、投書、非公式の申告、そういうものによりまして表に出てくること、これをとらえて糸をたぐれば重大事件が展開されてくるということが筋でございます。あらゆる機会をとらえまして厳重に取り締まるという態度を失わないように全国的に徹底をしていきたい。すでに現に徹底をしておりますが、今後も徹底をしてまいりたい、こう考えております。
#17
○沖本委員 刑事局長から具体的なお話があるというあれですが……。
#18
○安原政府委員 総会屋の恐喝事件というのはたびたび事例があるわけですが、総会屋をめぐる商法四百九十四条の贈収賄という形での事件というものは、先例としては、かつて東洋電機株式会社の事件というのがあったくらいで前例としては非常に少ないわけでございますので、今度の事件の着手につきましても、報告によりますと、検察庁は十分に警視庁の相談を受けて、そして法律的にもやれるという判断のもとに警視庁は着手したというふうに聞いておりますので、そういう意味におきまして先例のない事件でありますだけに十分検、警協力してやっておるというのが実態でございます。その点は御心配ないように……。
#19
○沖本委員 同じ点について言えるわけですが、少し話が横道にそれるとは思うわけですけれども、最近の買い占め、売り惜しみというような内容を考えていきますと、いわゆる商社、企業のモラルというものが非常に気になるわけです。結局これもやはり経営の内容につながっていくわけですから、いわゆる資金が余るならば、そういう投機的なところ、買い占め、売り惜しみのほうに走るということになっていくわけです。新聞で少し拾ってみたわけですけれども、三月一日には豚肉が高くなったという点、これは買い占めが出ております。それから、これは朝日だったわけですが、同じ三月一日には建築資材、鋼材、木材、セメント、同じ一日、読売にはオーストラリアの羊毛が総輸出量の五五%を商社が買い占めておる。それから三月七日の日経では、通産省が大手商社を緊急調査、同じ七日に朝日がマグロの買い占めについて神奈川の三崎港で一隻一億円の札束攻勢があったという点、あるいは三月九日にタラコにまで商社の影が浮かんできている。北海道の漁港で空前の高値を呼んでおる。三月十日にはモチ米の問題が出てきて、水戸で千二百トンが浮き上がってきました。三月二十日、毎日ではコンクリートパネルによって建設業者がピンチになっている。商社側はこれを否定しておる。三月二十三日には買い占めは野菜も食うということで、東京の九つの市場で高値に拍車がかかってきておる。
 それから四月三日は閣議で商社の買い占めの容疑が濃いという内容、これは大臣はお聞き及びだったと思うのですが、出てきている。四月四日には朝日で丸紅が浮かび上がってきた。同じ九日には丸紅に捜査令状で、四月三日には全商社の労働団体で内部告発を行なっておる。あるいは九日には自民党でこの六社の代表を呼んできびしく言っている。四月十一日は丸紅の捜査。同じ十一日には物特で参考人に商社を呼んでやっている。十二日には札幌では大学を買って酒屋に転売した。それから五月八日にはやはりその三月期決算で前期の倍増に出てきている。
 こういうふうな内容がどんどんどんどん浮かび上がってきている。これはまあ経済上のいろいろな問題もあって円がだぶついてきているといういろいろな政策上の問題、経済事情の問題もさることながら、やはり一番大事なことは経済を動かしておる人たちのモラルという点にかかってきている、こう考えるわけですけれども、そういう観点からこういう企業、商社のモラルについてどうあるべきであるかという点。まあそういうためにこの法律改正が大いに役立つんだ、こういう大臣のお話に向いていくだろうとは思うわけですけれども、大臣として現在のこういう事情を踏まえてどういうふうにお考えでしょうか。
#20
○田中(伊)国務大臣 商社が買い占め、売り惜しみの行為をとるということを是正していきますために、具体的な制度的な考え方はどうすればこれが改まるのかということで、これは申し上げるまでもないことでありますが、買い占めをやり、売り惜しみをするということは、当該商社のどこがきめるのかというと、社長を中心とする執行部がこれをきめる。社長の考え、専務の考え、常務の考え、一般取締役の考えというものが中心となって買い占めをやろうじゃないか、このモチ米を買おうじゃないか、あの羊毛を買おうではないかという買い占めが行なわれてくる。その執行部の会議は取締役会できまっていくのでございます。取締役会を経ないでかってに社長といえども買い占めをやるといったようなことは起こりません、今日の運営では。その席に新しい制度の権限を強化された、拡大権限を持った監査役が出席をする。意見を言う。それはおかしいじゃないか、企業としてそういう行き過ぎたことをやることはおかしいじゃないか、これはその企業の本体の目的と違うじゃないか、第一、定款にないじゃないか、法律に違反をしておるではないか、買い占め禁止の法律があるじゃないか、売り惜しみ禁止の法律があるじゃないか、物統令違反じゃないか、たとえば米の場合であるというと、食管法違反ではないか、商品の問題であると商品取引違反ではないかということを、監査役がこれをやるわけで、それを差しとめる。差しとめを聞かなければ裁判所に請求をして仮処分命令も出すんだ、こういう権限を今度の改正によって監査役に与えてあるものでございますから、監査役がその執行部の会議である取締役会に出まして、商法上の与えられた権限に基づいて意見を述べて差しとめの請求を行なうということになりますというと、これはおそらく企業のそういう買い占め、そういう売り惜しみはできないのではなかろうか、こう考えるのでございます。
 それでもなおかつやったという場合には、これを法規の命ずるところによって処断をしていく以外にはない、これは遠慮しないのだ、こういう考え方でやっておるわけでございます。厳重、厳重と申しますけれども、いま先生御心配のようにそういう売り惜しみ、買い占めのような違反の起こる余地がないような制度としてのたてまえをつくっていくことが善の善なる道でございます。その上で違反があれば遺憾ながらこれを処分せざるを得ないという行き方でいきますことが善の善なる政治のやり方である、こう考えますので、いま申しますようなこの改正のお願いをいたしますと、いま御心配をいただきましたようなことを是正していく上に必ず役に立つ、こう信念をしておりますので、ぜひ御採用をいただきたいと思うわけでございます。
#21
○沖本委員 そこで、商法は取締役と違って監査役は一人でもいいということになっているわけです。しかし大会社においては改正法にあるような重要な仕事をするには監査役が二人も三人も必要になるのじゃないか、こう考えられるわけですけれども、その場合、監査役一人一人の意見が異なってくる、こういうふうなことになる場合にはどういうふうにお考えになっていらっしゃるわけですか。
#22
○川島政府委員 仰せのように監査役の人数につきましては法律は何も規定しておりませんので、複数の監査役が選任されるという場合もあり得るわけでございます。取締役につきましては、法律は三人以上というふうにきめておりまして、取締役が取締役会という合議体を形成して過半数で事を決していくというふうに定めておるわけでございますが、監査役につきましては、その点は特に何らの規定もないわけでございます。
 そこで、監査役が最近の大会社におきましては二人、三人という複数の者が充てられておりますが、このような場合に監査役の職務を執行するにあたってどのように監査業務をやっていくかということが問題になりますが、これは法律のたてまえといたしましては各自権限を単独で行使できるということに考えられております。
 もちろん同じ会社の監査をするのでございますから、監査役が共同で監査を行なうということはあり得ると思いますし、望ましいことであろうと思いますけれども、監査役の内部で意見が違いました場合に正しい意見がほかの監査役によって押えられてしまうというのでは監査の意味をなしませんので、そういう場合におきましては監査役が一人でも監査役の権限を行使できる。たとえば、先ほど問題になりました差しとめ請求にいたしましても、一人の監査役が自分だけでこれを行なうことができる、こういうことになろうかと思います。
#23
○沖本委員 大臣からはその請求権の問題について言及なさったわけでございますけれども、この業務監査につきましても法務省からいただいた新旧、前の法律と新しい法律との対比を見てみますと、監査制度に関する改正で、取締役解任のための株主総会請求権、それから取締役会招集権、これは削除され、取締役定期報告義務、これも削除されたということになりますね、この表から見ていきますと。そうすると、監査役の権限の強化をうたいながら、この権限を削除したということになれば、結局、監査役の権限の骨抜きになってしまうのじゃないかという疑問が出てくるわけですけれども、その点についてお考えをお伺いしたい。
#24
○川島政府委員 御指摘のように今回の法律案と法制審議会の要綱と対比いたしてみますと、株主総会招集権その他若干の権限が要綱にはのせられておりながら法案のほうでは落としております。これは法律案作成段階におきましていろいろ検討をいたしたわけでございますが、監査制度の改善と申しましても、その中心は監査役に業務監査を行なわせるという点にあるわけでありまして、それ自体でも相当大きな現状の改善、変更になるわけでございます。
 そこで、実際界にこれを当てはめてまいります場合に、あまり一挙に理想的な形に改めるということは現実の実際界がそれに対応していくのに困難を感ずる場合があるのではなかろうか。なるべく無理のない形でこの監査制度の改善を進めていきたいというふうに考えたわけでございまして、その意味で個々的に監査役の権限について検討いたしたわけでございますが、今回の改正で中心となりますのは監査役の権限を業務監査に拡大するということとそれから子会社に対する調査権を認めたこと、さらに取締役の違法行為の差しとめ請求を認めること、この辺が眼目となるわけでございまして、株主総会招集権というのは現在株主にも認められておりますけれども、ほとんど行使されたことがございません。これを監査役に認めましても実際に行使されることはまずないであろう。取締役会の招集権にいたしましても、大体大きな会社では取締役会というのは定期的に開かれておりまして、特に監査役にそれを認めるまでもないのではないか。それから取締役の監査役に対する業務の定期的な報告義務でありますが、この点につきましても、監査役は取締役会に出席することになっておりますし、また特に重大な損害を生ずるようなおそれが出てまいりました場合には、取締役は監査役に報告しなければならないという点は残してございますので、この点も必ずしも規定として置いておく必要はないのではないかというようなことで、御指摘の三点ばかり要綱案にのせられておりました権限を法案では落としているということになっております。実務の上から申しましてあまり急激な変更を与えないということ、比較的問題が重要性の度合いにおいて少ないということ、そういった点を勘案いたしまして、このような措置をとったわけでございます。
#25
○沖本委員 この取締役の定期報告義務、定期的に業務についての報告をしてもらうということは制度の上からは非常にいいことじゃないのでしょうか。一々その間にチェックがしていけるということで、あえて削除しなければならないという理由にはならない。またある新聞には「粉飾といい逆粉飾というものは日々継続して記帳されているものではない。社長命令により、決算に際して行なわれるのだ。しかも前述のとおり社長を押えうるものはないとしたら全く歯止めはないのである。」こういう点から、これは社長が強大な権力を握っていく場合ですけれども、結局監査役の権限を強化して粉飾決算を絶滅しようというのがねらいであるわけですから、そうすると、株主総会招集権、取締役会招集権、取締役の定期報告義務、監査費用の独立、これが削除された。これは「社長の任免権と経済的な支配には一指も染められていない。」こういうふうに指摘しているところもあるわけです。そういう点から考えてみましても、むしろあったほうがいいのじゃないか。あえて削除するほどのものではない。むしろ削除したというところが財界からのこれに対するいわゆる同意を得るための一つの条件であったのではないかというようなお話も出ておるわけです。そういう点について、こういうことで悪影響を及ぼすからこれは削除するのだというのではなくて、そこまでの御説明にはならないわけですね。そういう点についてもう一つすっきりしないわけです。むしろあったほうがいい。そのほうが内容的に十分監査業務が正確にいくということになるわけですから、あえてとらなければならない理由にはならない、こういうことになるわけですけれども、その点どうなんですか。
#26
○川島政府委員 監査役が業務監査の実をあげるような仕事をしてまいりますためには、会社の業務がどのように行なわれているかということを把握していることは仰せのように非常に重要なことでございます。
 ところで、その方法といたしまして、原案では取締役会に出席して意見を述べるということと、それから三カ月ごとに取締役から業務に関する定期的な報告を受けるということを考えておったわけでございますが、取締役の報告を三カ月ごとに受けるということにいたしますと、たいてい大会社の場合には、その程度のことであれば取締役会を開催しておりますので、そこに出ていけば会社の業務というものはより詳しく把握できるわけであります。そのほか、随時監査役は会社の業務について調査をしたり、取締役に報告を求めたりすることはできるわけでございますので、必ずしもこういった形式的な三カ月に一回というような形での報告義務を取締役に課する必要はないのではないか、これは実情論でございます。あるいは法律に規定するということも考えられるわけでございますけれども、しかし何もそこまでの必要はないのではないか。そうしなくても、会社の業務というものは監査役に十分わかるようになっているというような点から、これはあまり形式的に規定したということだけでややこしくなるのではないかというようなことで、これを法案には規定しなかったということでございまして、決してこの点について、この規定を何とかしてくれというような依頼が具体的になされた、それに応じてこの規定を落としたのだ、そういうことではございません。そういうことでございます。
#27
○沖本委員 これは大臣がおっしゃっておられた有能な人材を得るという点にかかってくるわけですけれども、そのあり方としてはむしろこういうものがあって、業務報告を受けながら、それからいろいろな点を、まじめな監査役である場合、受けて、その内容について結局不備な点があれば取締役会を招集して、その中で意見の交換をはかって内容を改めさせていける、こういう仕組みにもなっていくわけですから、そういう点から考えていくと、むしろ削除するには当たらない、むしろあったほうがより綿密であり、ちゃんとなっていく方法になるのじゃないか、こういうことが考えられるわけです。ですから、その削除の理由が、大臣は差しとめ請求権で十分そういうことはまかなえるのだ、ということはありますけれども、その点に十分のものがなければ何をやっても人ということにかかってくるわけですから、やはりこういう制度はちゃんと設けていただかなければおかしいのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 それで責任規定の改正、報酬費用に関する改正、これも削除になったわけですけれども、現在の報酬はどの程度あるわけなんでしょうか。
#28
○川島政府委員 現在の報酬はどの程度だということは調査しておりませんので、ちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
#29
○沖本委員 それはそれとしてけっこうですが、これは先ほどのお話と重複するようになりますけれども、差しとめ請求権と相まって、裏表できちっとやっていけることになるのじゃないか。この法律を削除しないで置いておくことのほうが、権限があることのほうがよりいいのじゃないか、むしろ監査役のほうのミスもそれで防げるのじゃないかということになっていくと私は考えるわけです。その点いかがでしょうか。
#30
○川島政府委員 裏表というようなことでございますが、監査制度の改正に関しましては、そういった点は十分に考えたつもりでございます。これによって要綱と若干違った点はございますけれども、法制審議会の要綱が目的としております点は十分果たしていくものと考えております。ただ、責任の規定であるとか報酬費用に関する規定、こういった点につきまして今回改正を加えませんでしたのは、一つには取締役の制度との関係があるわけでございまして、監査役の責任規定だけを切り離して規定いたしますと、今度は取締役の責任規定がこのままでいいのかという問題が出てまいります。この責任規定の関係になりますが、現行法の解釈をめぐって非常に複雑な学説の分裂と申しますか、解釈の違いが出ておるわけでございまして、こういった点について早急に整備する必要があるとは思いますけれども、今回の改正におきましては、ちょっとそこまでの検討ができなかった。
  〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
そのために今回はこの改正を見送ったわけでございますが、今後これらの点につきましては、検討がなされていくものというふうに考えております。
#31
○沖本委員 いま局長のお答えになった点はいろいろなところで議論されておって、その辺が疑問なんだ。それで、疑ればその辺にいわゆる財界の同意を得るところの内容があったので、結局歯どめにならないためにそういうふうな形になってしまった、こういうふうな意見もあるわけです。その真偽のほどは私は確めてはおりませんけれども、いま議論した内容からいくと、そういうことは考えられるということになるわけです。
 そこで、やはり業務監査の権限についても、昭和二十五年の監査制度の改正にあたっては、機能の重複を避けるために、取締役と同じ地盤から、しかも第二級的人物が選ばれるという監査役の実情からして、監査役に二つの監査機能を期待することは無理である。そういう点から、資格制限について結局は何らの考慮も払われなかった。そこで権限と会計監査に限定しただけで、監査役の実情は同じことである、こういう点があるわけですけれども、監査役の資格については、今度の改正では何もお触れになっていらっしゃらない。監査役の権限を強化し、その地位を安定する方策を講じたとしても、優秀な――大臣のおっしゃる時を待たなければならない、時間が要るということですけれども、そういう人を得るための担保が何もない、こういうことになっておるわけです。
  〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
ですからこの点は未解決ということになりますし、また今回の改正は、日本の会社の場合は取締役に従業員重役が非常に多い。形が変わっておる。そのために取締役会の業務監査機能が形式化しておるという点が理由としてあげられるし、そういう点から考えまして、業務監査機能を十分発揮し得るような改善策、こういうものが考えられなかったか、この点についてはどうなんでしょう。
#32
○川島政府委員 監査制度を改正しても人を得なければその実をあげられないではないかというのは、御指摘のとおりでありまして、そういった点につきましては、最初の御質問に対する大臣のお答えにもありましたように、現在の企業の態度といたしまして、もっと国民の理解を得られるように会社の運営を正していこうという風潮がございますので、今回は経済界におきましても、かなり積極的な態度をもってこれに対処していくということを期待いたしておるわけでございます。
 それから、たとえば社外重役のような者を入れて執行機関みずから姿勢を正していく、取締役会自体での監査機能を強化するということも十分考えられるわけでございますが、これを法律に規定するということになりますと、非常にいろいろな問題が出てまいります。そこで法制審議会におきましては、そういう点につきましても検討をいたしたわけでございますけれども、いま直ちに社外重役の制度を規定するということについてはいろいろな難点があるというようなことで、それよりもむしろ専門的に監査を行なう監査役というものを強化していく、このほうが実効があがるであろう、こういう観点から今回の改正に進んできた、こういう経緯でございまして、今後におきまして社外重役のような制度を会社が自主的に採用していくということはもちろん望ましいことであると思いますし、法律的な制度としてこれを規定するかどうかということは、これは今後商法部会がどのような問題をお取り上げになるかわかりませんけれども、その検討すべき課題の一つになり得るであろうということはわれわれも考えておるところでございます。
#33
○沖本委員 そこで今度の改正は特例法案で、資本金が一億円未満の株式会社には適用しないということになっておりますが、一億円以上の会社は当然適用を受けることになります。そのため監査役の権限強化、他位の安定などの改正によってもかえって会社の内部抗争が起きるのじゃないか。特にそういう点についての心配が中小会社にあるということになりますが、その監査役の監査機能が正常に行使される限り心配はないわけですけれども、むしろこの改正によってそういう弊害が出てきて、危惧を持っていることが現実になるのじゃないかという点を心配していらっしゃる方もたくさんいらっしゃるのですが、その点についてはいかがですか。
#34
○川島政府委員 その点はしばしば実際界あたりからも指摘された問題でございます。しかしながら監査役の機能を強化するということは会社の健全化をはかる意味においてきわめて重要な問題でございますし、ある程度のそれによるマイナス面というものが生じたとしても、それは忍ばなければならないという意味があろうと思います。のみならず、われわれといたしましては、監査役の権限というものは、これは会社の執行機関の行為が適法になされるように監査をするということでございますので、この点につきまして、会社の運営に問題が起こってくるというようなことは本来あり得ないはずである。もしそういう点について紛争が起こったとすれば、それは十分検討をした上で会社が適正な方向を決定すべきである、そのように考えております。
#35
○沖本委員 いろいろ疑問点があるわけですから、その点についてはまだまだ検討を要することではないかと思うわけですし、そういう点についての疑問が解消されるところまで明らかになっていかなければならないと考えるわけです。
 そこでまた問題点はほかにいきますけれども、新聞の切り抜きを見ますと、一年決算でも中間配当ができる、こういうことで、大半が年二回決算だった日本の上場会社を、年一回決算に変える原動力になって、経団連の調査でもほとんどの会社が商法の改正後三月を決算期とする一年決算へ移行するのを希望している。企業にとって決算が年一回のほうが楽だし、法務省でも、年二回決算は季節変動が大きい百貨店、ガス、ビール会社などでとかく決算が粉飾されがちなことを気にしていた。しかし、収入源を配当にたよる株主が、年一回になれば不便を感じるということで、なかなか企業も踏み切れなかった。それが前期末の利益準備金の範囲内なら、取締役会の権限で中間配当ができることになり、一年決算にしても株主への言いわけが立つことになって、総会屋、一株株主とのおつき合いも年一回で済むという総会担当の総務部の陰の声だ。こういうことで非常に歓迎されているという向きもあるのですが、中間配当ということばは見込み配当になるのではないか、単純に考えまして。大体法定準備金または任意準備金として積み立てているお金は次の決算期まで手をつけられないのが原則であると考えるわけですが、もし途中で利益配当する金が残っているのであれば、前決算期のときに支払っておけば問題はない、こういうことになるわけですけれども、ここでいうところの中間配当は見込み配当ということになるのではないかということで、たとえば国債の発行が税金の先食いであるとも考えられるわけですが、この中間配当は結局利益の先食いになるのではないかとも考えられるわけですけれども、こういうことでドルの切り下げ、円の切り上げ等があったらどうするか。いままでにも事実そのようなことがあったわけで、そうなったときには結局赤字の配当になってしまうということで、手足を食うようなタコ配当になってしまうのではないか、こういう問題があるわけです。そこにまた粉飾決算の問題が出てくるわけですけれども、そうすると、むしろ粉飾決算をするという危険性を助長するのではないかという考えが出てくるわけです。
 いただいた資料の中で、「粉飾決算事件一覧表」でタコ配当金額を見ていきますと、これは印刷されて出ておりますから、もう裁判の結果が出ているわけですから申し上げますけれども、後藤観光株式会社は一千百万円、富士車両株式会社は七億五千六百万円、山陽特殊製鋼、これは粉飾決算で会社更生法にかけた、当時有名になった会社ですけれども、十四億八千五百万円、大阪土木株式会社は一億四千二百万円、北海興業株式会社は五千六百万円、近江絹糸紡績株式会社は二億一千万円、こういうふうなタコ配当が事実あったということが出ておりますし、またサンウェーブは四億七千九百万円、栗田工業は三億七千六百万円、それからセンター興業株式会社は千二百万円、こういうふうに出ておるわけですけれども、こういうことになってくると、この中間配当というこういう内容を持ったものは、むしろ粉飾決算を進めさせるような内容を伴ってくる危険性を十分持っておるということに考えられるわけですけれども、この点についてはどうお考えになっておるわけですか。
#36
○川島政府委員 まず中間配当の点でございますが、中間配当によって不正な経理が行なわれることになりはしないかという御質問でございます。この点につきましては、今回の改正案、商法の二百九十三条ノ五の規定でございますが、この規定におきまして、かなり厳格な制限をいたしておりまして、これによって、不当な経理が行なわれることのないように十分配慮いたしておるつもりでございます。特に、第三項におきまして、いわゆる中間配当、法文の上では「金銭ノ分配」というふうにいっておりますが、この「金銭ノ分配」の限度額を定めております。これは、要するに、前期末における決算の株主総会において処分をしたその利益の残りを限度として中間配当を認めるという趣旨でございまして、したがって、当期において利益が生じたとしてもそれに手をつけてはいけない、こういうことになるわけでございます。
 さらに四項におきまして、前期の残額が残っておって中間配当が可能である場合におきましても、当期の営業年度の終わりにおいて利益が出てこないというおそれがある場合には、中間配当を行なってはいけない、こういうことにいたしまして、さらに制限を強化しているわけでございます。この点につきまして、違反した場合には、取締役の責任規定がございますし、こういう規定を設けることによって、中間配当が、先ほどおっしゃいますようなタコ配当その他不正な経理に用いられることのないように、規定上十分注意しておるわけでございます。また、この中間配当いたします場合には、取締役会を開いて、その決議できめることになるわけでありますが、この取締役会には監査役も出席することになるわけでありまして、監査役としても、中間配当を行なうことが適法であるかどうかという点についての十分な配慮をする余地ができるようになっておるわけでございます。そういうことで、中間配当の制度を認めましても、これによって経理の不祥事例が増大をするということはおそらく起こり得ないであろうというふうに考えておるわけでございます。
 それから、過去の粉飾決算の事件についていろいろ御指摘があったわけでございます。この詳しい点につきましては、私、あまり専門でございませんので承知いたしておりませんけれども、しかし、こういう粉飾決算が行なわれます場合に、従来はそれを監査役の手元でチェックするということがなかなか困難であったという実情にあったと思います。これは、監査役が従来会計監査の機能を持っておった、したがって、それを十分に活用すれば、ある程度防げる場合もあったかと思いますけれども、しかし、会計監査というものはとかく数字上のつじつまを合わせるということで、書類に不備がなければそれでよしとする場合が多かったわけでございます。しかも、現在の監査役というのは業務にはタッチしないというたてまえでありますので、どうしてもその点についての十分な配慮ができなかった、これが一つの原因になっているかと思います。今後は、そういう意味で、改正案のように業務監査に広げることによって、こういった粉飾に対するチェック機能というのがかなり増大をするというふうに期待をしているわけでございます。
#37
○沖本委員 法案の逐条説明では「監査期間の伸張に伴い、営業年度を一年とすることが会社の決算にとって必要となることが多いと考えられる。しかし、現在営業年度を六か月として六か月ごとに配当している会社が多いから、営業年度を一年として一年ごとに配当することになれば、株主に不利益となるおそれもあるので、中間配当の制度を認めたものである。」こういう説明書きがついておるわけですけれども、ほんとうに株主に不利益になるという考えに立つのなら、そういうために中間配当をしていくのなら、営業年度を二回決算にして決定配当をしたほうが間違いがない。そのほうが粉飾決算も防止できるし、株主の利益を守ることになるのではないかということが考えられるわけです。そして、現在年二回決算をやっているところもたくさんあるという実例もあるわけです。会社が年一回決算に関心を持つという点が新聞なんかにも出ておりますけれども、結局いろいろな点から考えてみると、そういうふうにやっていけば、半期報告書の提出が義務づけられているものの、人為的な操作の点から考えると、会計士の監査が要らないということになってきて、監査の強化をはかっていくという点にはならない、こう考えられるわけです。営業年度中に一回決算した場合で中間配当ができないと困っている会社がたくさんあるわけです。
 日経によりますと、日本郵船の場合、現行の年四円配当を維持するためには十二億円の余剰金が必要だ。昨年九月期末では九億七千六百万円しか余剰金がない。しかも、配当準備金など剰余金を多くするように決算操作すると、海運助成法で利子補給の返還規定に触れることになる。また、東京電力では、うちは中間配当を何とかできるだろうが、業界の半数以上の会社はできないだろう。改正案では中間配当しなくてもいいことになっておるけれども、株式市場で資金を調達しなければならないから、投資家の不利になるのではないか、こういうふうなことを言っておるわけですけれども、こういったことに対するお答えとしては、どういうふうになりますか。
#38
○川島政府委員 中間配当をなぜ認めたかということから申し上げたほうがいいかと思いますが、最初に新聞記事をお読み上げになりましたようなことになるわけでございますが、要するに現在の大多数の会社が営業年度を半年としている。半年としておりまして、したがって二回配当を行なっているというわけでございます。しかしながら、会社によりましては上期と下期とによって収益の差がはなはだしいという企業があるわけでございます。たとえば夏のレジャーに関係のある事業を営んでおりますと、どうしても夏の売り上げが多くなって冬の売り上げが減る、こういうようなことで、一年のうちの上期と下期との収益の差がはなはだしくなる。そのために利益の平準化と申しますか、これをはかるためにある程度の粉飾をするということが実際界においてはかなり広く行なわれておるわけでございます。こういった点から申しましても、年一回の決算に改めて、そしてそういった不当な経理が行なわれないようにするということは、会社の安定のためにもきわめて必要なわけであります。それから年二回決算をいたしますと、そのつど決算書類の作成、株主総会の招集といったようなことが必要になりますし、それに伴う決算書類の監査、株主名簿の閉鎖といったようなことが行なわれるわけであります。ところで、今回は監査を少し厳重にいたしましたので、決算期における決算書類の監査期間が延長されまして、それに伴って株主名簿の閉鎖期間が二カ月から三カ月に伸長される、こういうことになります。さらに大会社におきましては会計監査人という専門のものが会計の監査に携わる、こういうことになってくるわけでありまして、従来のとおり半年決算でこれを繰り返しておきますと、たとえば株主の側から見ますと株主名簿の閉鎖期間が現在は二カ月、それが年二回ということでありましたのが、今度は三カ月年二回ということになりまして非常に不便になるわけであります。そういうことから半期決算というのはどうも会社の実情から見て適当でないというので、これを一年決算に改めるということにしたわけでありますけれども、一年決算に改めるという会社がふえてくると思うわけでありますが、その場合に問題となりますのは、年二回配当をしておったのが一回しか配当できなくなるという点でございます。これを年一回の配当にしてしまいますと、現在の株価の決定などに影響が出てまいりまして、また株主としても年二回の配当のほうを喜んでおるような実情でございますので、株主の立場からいっても困る。会社としてもその希望に沿えないという事態が生じますので、その中間において決算期ではないけれども一定の時期に配当をするということにしようということで、中間配当の制度を認めたというわけでございまして、このような例は外国などにもあるわけでございます。実際界の要望も相当あったわけでございますし、われわれも今回の監査制度の改正に付随いたしましてこれも必要なことであろうということで、中間配当の制度を認めることにしたわけであります。先ほど会社によっては中間配当を行なうことが非常にむずかしい企業があるということをおっしゃったわけでございます。企業の種類によりましてはそういう場合も出てくるかと思いますけれども、たとえば一般的に理屈の上で申し上げますと、一年に配当すべき利益を二回に分けて配当するというのと実質的にはほとんど異ならないわけでございまして、移行の際に若干の問題が出てくるということと、特定の業種によってはほかの関係で若干問題が出てくるところもあろうかと思いますけれども、一般的な制度として考えます場合に、これが特に会社にとって運用のしにくいものとなるというようなことはあり得ないというふうに考えておる次第でございます。
#39
○沖本委員 これはもう少し検討していただく余地があるのではないか、こう考えるわけですけれども、もう少し検討していただいて問題をずっと詰めていただいたほうが大事じゃないか、こう考えますので、その点はもっと詰めていただきたいと思います。
 それから大蔵省のほうにお伺いいたしますが、今度の改正法では、金融機関にも公認会計士の監査を入れなければならないことになっておるわけですけれども、現在の証券取引法では、公認会計士の監査についてはその適用が除外されているわけであります。そうしますと、証券取引法関係についてはどういうふうにおやりになるか、最初銀行筋では相当抵抗なさったということも聞いておりますけれども、その点はいかがなんですか。
#40
○坂野政府委員 いきさつはお話しのとおりいろいろ問題がございましたが、商法が施行されますと、金融機関についても当然公認会計士監査を行なうということになりますので、証取法施行令の付則を改正いたしまして、金融機関についても普通の証取法適用会社とするということに話はきまっておりまして、そういう準備中でございます。
#41
○沖本委員 それはいつごろ改正されることになりますでしょうか。
#42
○坂野政府委員 実際の監査が始まりますのは五十一年からでありますが、証取法の手当てはできればことし中にも行ないたいというふうに考えております。
#43
○沖本委員 資本金五億円以上の株式会社については公認会計士または監査法人による監査を義務づけることは税理士の職域をおかすことになると、こういうふうにいわれてもおりますけれども、公認会計士のうち、税理士業務を営んでいらっしゃる方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
#44
○坂野政府委員 四十七年の十二月末の公認会計士の登録している者の数は四千四百五十名でありますが、そのうち、これは推計計算でありますが、監査業務のみを行なっている者が二百五十名、監査業務と税務を一緒に行なっているものと思われる者が約三千名、税務だけを行なっているものと思われる者が千名、その他二百となっております。これは昭和四十四年の実態調査のときには確実な数字があったわけでありますが、その後実態調査を行なっておりませんので、四十七年末の人員を案分して計算いたしますと、大体そういうことではないかというふうに考えるわけでございます。したがって、御質問の主として税務のみというのは約千名と思われます。
#45
○沖本委員 資本金五億円以上の株式会社の税務を担当する税理士さんは既得権として税金の仕事をしていらっしゃる、こういう方々はどれくらいいらっしゃるわけでしょうか。いまの千名でいいわけですか。
#46
○田邊説明員 御質問は大蔵省の主税局の御所管でございますが、私のほうに御返事をいただきましたところでは、資本金五億円以上の株式会社約二千七百、そのうちの一割前後に関して、御承知のように税理士法で申しております税務相談あるいは税務書類の作成あるいは申告代理、何らかの形で関与していると思われる、こういう御返事でございます。
#47
○沖本委員 商法上の監査を行なう公認会計士の方々に対する利害関係の規制は大蔵省の政令で規定すると答弁されておるわけですけれども、その政令の内容はどういうものなんでしょうか。
#48
○坂野政府委員 いままで証取法の監査証明省令で利害関係を規定しておりましたが、商法が施行されますとこれと同様の規制を公認会計士法の施行令に盛り込む予定にしております。その中身は、従来やっていたものとほぼ同様でございますが、具体的に申し上げますと、公認会計士とかその配偶者が被監査会社の株主あるいは出資者である場合、それから被監査会社に対して債権債務を有している場合、被監査会社から経済上の利益、たとえばお金を借りているとか家賃を安くまけてもらっているというような、そういう利益を受けている場合、また四番目といたしまして、被監査会社から継続的に公認会計士業務以外の業務、主として税務でありますが、そういうことで報酬を受けている場合、これは個人の場合であります。五番目に、被監査会社の関係会社の役員または使用人である場合、六番目に被監査会社の役員等から経済上の特別の利益または報酬を受けている場合、これが公認会計士個人としての利害関係という項目でございます。
 また、監査法人もほぼ同様でございますが、その監査法人が被監査会社に対しまして債権または債務を持っている場合、被監査会社から経済上の特別の利益を受けている場合、被監査会社の役員等から経済上の特別の利益を受けている場合、監査法人の社員の半数以上が被監査会社の役員、使用人、株主、出資者、債権者、債務者あるいは関係会社の役員または使用人である場合、また被監査会社から経済上の特別の利益または税務等公認会計士業務以外の業務により継続的な報酬を受けている場合、以上が政令の内容に盛り込もうとしている内容であります。
#49
○沖本委員 まだたくさんあるのですが、質問の時間がなくなってきましたので、三つまとめて伺っておきます。お答えいただきたいと思います。
 監査法人の社員の一人でも監査を受ける会社の税務を担当しているときは監査法人はその会社の監査はできない、こういうふうにすべきではないかという点と、公認会計士の利害関係、特に監査と税務の関係は外国においてはどういうふうに取り扱われているか、これは非常にこれからあと複雑な事情が起きてくると考えられます。そういう点について明らかにしていただかないと、将来についての方針をきめたり、これからの業務についてもいろいろな問題点が出てくると思うので、この点が明らかにしていただきたい点です。
 それから、いわゆる一般商人に損益計算書の作成を義務づけているわけですけれども、この改正からいくと、零細な商売人の方にまで複式簿記を強制することになってしまう、こういうことになるわけですが、市場の魚屋さんだとか八百屋さんという方は、実際に見ると、買ってきて、それで品物を売ってざるの中にお金を入れておつりを渡して、その場で出し入れがあるわけですね。そういう点について事務能力ということよりも、きょう買ってきたものが晩にどれくらい利益があったかなかったか、損することもあるし、もうけることもあるというようなことになるわけですけれども、そういうふうな方々に複式簿記をつけろということはちょっと考えられないことでもありますし、そういうことがお役所式に行き渡っていきますと、これはたいへんなことになって、記帳係を置かなければならないとか、あるいはどこかに頼んで帳面をつけてもらわなければならないとか、大混乱を起こしてくるのではないかというふうに考えられるわけです。自分の損益というものを考えた場合には帳面つけするのは当然であるということに常識上はなるわけですけれども、実際はそうはいっていないということになると、この点はとにかくたいへんな問題をはらんでおるということになっていくわけで、見ていると、どうも納得できないわけです。そういうことになりますと、零細な商売人の方はこのために振り回されて、余分な神経を使ったり、余分なことで今度はそういうことに対する事務屋さんの仕事をふやして、そっちのほうへ問題を持ち込んでいく、こういうことになってくると、たいへん問題が複雑になってくると思うのですが、この三つについてお答えをいただきたいと思います。
#50
○坂野政府委員 前の二問についてお答えいたします。
  〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
 監査法人の利害関係、被監査会社との利害関係を定めております目的は、監査法人が監査をいたしますときに公正な監査ができるかどうかという点であることは申し上げるまでもないことであります。その点につきまして、利害関係はただいままでのところは社員の半数以下でなければいけないという定めをしております。御質問の一人でもその会社の税務を見ておればいかぬじゃないかというようなお説でありますが、私どもはそういうふうに考えておりません。一人税務を見ているからといって、監査法人の監査が公正を欠くということにはならないというふうに考えております。
 二番目の諸外国でございますが、アメリカはSEC、証券取引委員会の規則あるいは公認会計士協会の規則で、監査と同時に税務を行なうことは差しつかえないということになっております。英国では会社法並びに公認会計士協会の規則でやはり同様になっております。カナダ、西ドイツ、カナダは連邦会社法、西ドイツは株式会社法、いずれも米国と同様の制度になっております。
#51
○川島政府委員 三番目の点についてお答えいたします。
 三番目の御質問は、零細規模の商人に対して損益計算書の作成を義務づけることは、複式簿記を強制することになって不都合を生ずるのではないかという御趣旨の質問でございますが、御指摘のように、今回の商法改正におきましては、商人は損益計算書を作成することを義務づけております。しかしながら、この損益計算書というのは、一定期間、一営業年度と言ってもいいかと思いますが、その間における収益と、それに見合うところの費用を対照させて、そして純利益あるいは損失といったものを明らかにするものであります。
 損益計算書の様式につきましては、法律は別に一定いたしておりません。株式会社につきましては、改正商法施行法によりまして、一応その様式等を法定することにいたしておりますけれども、それ以外の会社あるいは個人商人等につきましては、特に形式を一定しておりません。したがいまして、その営業規模あるいは種類に応じまして、妥当と思われる形式で損益計算書を作成すればよいのでありまして、これを作成するために、必ずしも複式簿記が必要になるということではないと思います。
 現在簿記の知識が非常に普及しておりまして、個人商人におきましても複式簿記を用いているところは少なくないようでございますけれども、そういうものを用いていないものも大ぜいおるわけでございまして、たとえば、現金出納帳のようなものに若干メモ的なものを加えて記載しておくというようなことが行なわれておりますが、これに基づきまして、損益計算書をつくるという場合には、ごく簡単なものでよいということになろうと思います。
 そういう意味で、その商人の営んでおります営業規模あるいは種類というものに応じたものをつくればよいのでありますから、特に過重な負担となることはない、このように考えます。
#52
○沖本委員 もう時間をオーバーしているのですが、まだ疑問が解けません。
 一点は、先ほどの外国における点について、ただ御説明があっただけなんですけれども、外国では、先ほど御説明があったように、税務会計の関係と監査業務の関係を一緒にしているところ、そういうところがたくさんあるわけです。そういたしますと、そういう関係の方が日本に入り込んでこないかという点も出てくるわけです、日本の法律がきびしくなってきますと。それから、資本の導入とかいろいろなことなり、そういう企業なり、いろいろな観点から、これから起きる問題ということが予測されるわけですけれども、そういう点について、この法律の改正によって、税務行政なり、あるいは監査なり、そういうものについての大きな問題点が今後出てきては困るわけなんですね。新しいことで今後事件が起きてくるような事態になったのでは、何のために法律を改正したかわけがわからなくなる。こういう点が一点なんです。
 それから、先ほど民事局長のお答えで、それほど強制はしてないのだということになりますけれども、初めに申し上げたとおり、夢にも思ってないことを言われるということになるのです、商売人になると。いままでやっていることがころっと変わってくるということになるわけです、法律できめられるわけですから。ですから、そんなにつけなくていいのだ――全然つけてない人が多いはずなんです、メモ程度で。そういうことから、いろいろな税務監査の対象になっていき、青色申告がどんどん進められていって、そういう方向には向いていますけれども、そういうことを義務づけるだけで大騒動を起こすということに当たってくると思うのです。ですから、いままでどおりでいいのじゃないですかということなんです。ですから、ここからこれをはずしたほうがむしろ無難じゃないですか。
  〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
そしていろいろ指導しながら十分そういう時期を待って、それであらためてそういう法律規制をしていくということがいいのではないか。ですから現状のままでは、そういうものをぺたんとはめて、八百屋のおやじさんも何もかも、晩になると帳面づけしなければならない。このことでそういうことが起きてくることが想像できるわけなんですけれども、そうすると何に書いたらいいんだろうか、どんな帳面につけたらいいんだろうかということで、どうやったらそういう問題から抜けられるだろうか。またそれが税務署からの監督のいろいろな面の材料になっていくとか、いい面に用いられればいいですけれども、そういうことによって大きな騒動を起こしたりしていくと、将来にまで影響していく。零細な事業の方々なんですから、この法律の持つ重みと、持っている仕事、事業の内容とを比べていくと、この法律の持つ意味というものがないというふうに私は考えるわけです。
 ですから、この法律はむしろなくしたほうが無難であるというように考えます。これはその第一の目的の、粉飾決算をなくしていくとか、五億円以上とか、こういうものとの関連性は全然ないわけなんですから、何かちょっとこれだけくっつけておいたというふうな感じを受けるわけなんですけれども、その二つについてお答え願いたいと思います。
#53
○坂野政府委員 外国の発行会社がわが国に来て新しい証券を募集するとか、あるいは外国の証券がわが国で流通する、これはまあ取引所上場、そういう過程を通じまして流通する。そういう場合には、わが国の証券取引法が当然適用になるわけであります。
 わが国の証券取引法は、御承知のとおり日本の公認会計士による監査証明が必要であるということになっておりますので、御心配の点は証取法でカバーできる、こういうふうに考えております。
#54
○沖本委員 以上で終わります。
#55
○横山委員 関連して。
 いまの質疑応答聞いておりまして、だめを押すようですけれども、個人の公認会計士が被監査会社を監査なし得る条件と、監査法人が被監査会社を監査し得る条件と分けてお話しになりました。私の質問は、質問というよりかだめ押しは、監査法人から監査法人の傘下の公認会計士が被監査会社を監査する条件、それは個人の場合と同じと理解してよろしいかどうか。意味がわかりますか。
#56
○坂野政府委員 御承知のとおり、監査法人は、大ぜいの公認会計士がメンバーとして入っております。直接関与する人と、それから関与しない人と、当然あるわけでございます。個人の場合は何といっても一人ですから、もう使い分けするとかいうことはできないわけでございます。監査法人の場合はそれができる。こういう理論に立っておるわけでございます。
#57
○横山委員 こういうことですよ。個人の公認会計士が監査する条件は、こういう場合は監査できない、こういう場合は監査できない、政令できちんときまっておる。そのきまっておる条件は、監査法人へ依嘱していて、Aという公認会計士が行くでしょう、そのAという公認会計士もまた個人の場合と同じ条件が課せられる、こう考えてよろしいかと言うのです。
#58
○坂野政府委員 そのとおりであります。
#59
○中垣委員長 次に、阿部助哉君。
#60
○阿部(助)委員 このたびの商法改正案は当初の粉飾決算をなくするため監査制度の強化を目的として出発したと思うのでありますが、本改正案は監査役の権限強化は当初の案に比べてだいぶ骨抜きにされた反面、いわゆる逆粉飾の合法化をはかった、こう思うのであります。その影響はまた税制の面にも大きく響いてくるだろうと私思います。私は本改正案の計算規定のうち、特に法人税制との関係の深いもの、これを中心にして質問をいたします。まずその質問の前提に二、三非常に技術的な問題を確かめておきたい、こう思うのであります。
 まず第一に、商法改正案は第三十二条、第三十三条で従来作成を義務づけられていた財産目録を削除して損益計算書にかえた。この趣旨は商法と証取法の監査を一元化するため商法の立場を財産法から損益法にしたと理解してよろしいかどうか、お答え願いたい。
#61
○川島政府委員 三十二条以下商業帳簿に関する規定をお尋ねのように改めることにしたわけでございますが、これは株式会社につきまして従来から認められておった損益計算書、これをこちらに出してきたということはもちろんございますけれども、全体の考えといたしましては、最近における会計のやり方あるいは簿記の実務というものを前提として考えました場合には、従来のいわゆる財産目録を基本とした考え方……(阿部(助)委員「簡単明瞭に答えてくださいませんか」と呼ぶ)最近の会計の実務に合わせたということでございます。
#62
○阿部(助)委員 そうすると、私がお伺いしたのに一つもお答えになっていないのでして、時間がかかって……。そうすると、いままでどおりでございます、こういうのですか。
#63
○川島政府委員 いままでどおりと――規定の上では違います。財産目録がなくなりまして損益計算書ができた、こういうことでございます。
#64
○阿部(助)委員 それだから損益法の立場を今度はおとりになった、こう私は理解するのですが、違いですか。違いかどうか言ってくださればいいのです。
#65
○川島政府委員 損益法の考え方を取り入れておるということがいえると思います。
#66
○阿部(助)委員 次に、商法改正案第三十二条二項で「公正ナル会計慣行を斟酌スベシ」という包括規定をことさらに設けられましたが、この趣旨はどういうことか、なるたけ簡単にひとつ……。
#67
○川島政府委員 商法の計算関係の規定は簡単でございますので、それを補充するためにこのような規定を設けたものでございます。
#68
○阿部(助)委員 「斟酌」という法律用語はこれはたいへん包括的であいまいなんですが、こういう用語はあんまりお使いにならぬほうがいいんじゃないですか、どうなんです。
#69
○川島政府委員 こういう場合は別といたしまして法令上は「斟酌」ということばをしばしば用いておりまして、こういった事項をくみ入れて考えるということでございます。
#70
○阿部(助)委員 「公正ナル会計慣行」とは具体的にどういうことをおっしゃるのです。
#71
○川島政府委員 会計上行なわれておるならわしでありまして、特に公正なというのは商業帳簿を作成する目的に照らして公正である、そういう会計上のならわし、こういう意味でございます。
#72
○阿部(助)委員 それが公正であるとか公正でないとかという判断はしからばどなたがやられるわけですか。
#73
○川島政府委員 第一義的には作成者でございますが、終局的には、問題になりました場合に裁判所が決定いたします。
#74
○阿部(助)委員 「公正ナル会計慣行」ということばは証取法の百九十三条、法人税法の二十二条四項、これと同じ意味と解していいのですか。確認だけしますから簡単に答弁してください。
#75
○川島政府委員 税法のことを存じませんので、お答えいたしかねます。
#76
○阿部(助)委員 大蔵省どうですか。
#77
○坂野政府委員 ほぼ同様であると考えております。
#78
○阿部(助)委員 ほぼということになると、どこか違うところがあるのですか。どこが違うのですか。
#79
○坂野政府委員 この「公正ナル会計慣行」というものは、ただいま法務省のほうからも御説明がありましたように、一般的に昔から日本だけでもなく世界の各企業がとってきた会計慣行というようなことを意味しております。したがいまして、そのうちのどの部分を取り上げていくかは、税務は税務の目的がある場合がございますし、それから商法のほうは私ども詳しくわかりませんけれども、若干そういうところで取り扱いが違うものもあり得る。したがって、そのことばがすべて一つのことをさしているのかどうかは必ずしも明確でないという感じがいたします。
#80
○阿部(助)委員 当初の案では、公正な会計慣行による、こうなっておったと聞いておりますが、「斟酌」に改められた理由はどういうことなのか。
 もう一つは、「斟酌」という用語の解釈をもう少し明確にしてもらわぬと会計が、当初の解釈の責任が、いまお話しになったように企業それ自体がそれを解釈する、そういうことになるといろいろとかってな粉飾決算、そういう問題が起きる可能性を生じますので、この「斟酌」という用語をもう少し明確にしておかぬと問題が起きると思うので、ひとつ解釈してください。
#81
○田邊説明員 お尋ねの斟酌規定の決定でございますが、法制審議会の審議過程では先生の御指摘のような依拠すべし、準拠すべしという案が出されました。しかしこの案に決定いたしました経緯は、商法が一応の計算規定を用意いたしております、特に商業帳簿を作成するに関しての規定を持っておるわけでございますが、局長が申しましたようにこれに漏れるものについて商法は実際の企業会計の実務、登記の実務、こういうものを予想してこれを補足するといっておるわけであります。その場合にそれらのならわしに当然依拠せよ、あるいは準拠せよということになりますと、法律的な性格を持たないならわし、慣行あるいは後に議論に出てまいります企業会計原則というものもございます、これらのものが法律化されないで商法の準拠規定としてあらわれることを阻止しよう、そういう考え方に基づくものでございます。
 「斟酌」は御指摘のように若干あいまいな考え方でございますけれども、法令の用語の常識といたしましてはいろいろな素材をくみ入れて判断するという考え方に立っておりまして、この場合の素材は会計原則もしかり、学説しかり、判例しかり、いろいろなものを考えておるわけでございます。
#82
○阿部(助)委員 そうすると企業会計原則修正案は商法上公正な会計慣行として認知された、それに従って企業会計の計算が義務づけられると考えてよろしいかどうか。
#83
○田邊説明員 現在、商法上の考えといたしましては、昭和四十四年十二月に企業会計審議会が報告いたしました企業会計原則修正案及びその注解の修正案というものについて、これは公正な会計の慣行を要約したものであるといわれておるとおり、商法側も公正な会計慣行を要約したものと考えておりますので、それに準拠しておれば双方でいう公正な会計慣行であると認められると考えております。
#84
○阿部(助)委員 次に、商法と証取法上の監査の一元化を理由に、商法がその立場を企業会計原則の立場に修正して、企業会計原則が実質的に法制化されてきた、こういうことになるのじゃないかと思います。公正な基準として法人税法に影響するとすると、これは企業会計原則修正案を私企業の会計処理方法としてのみ考えることはできなくなるのであります。また単に会計学上の、それも大企業奉仕の意見だけで内容を律するということに問題が出てくるのであります。会計処理の方法はやはり広く国民経済的な立場で考察しなければならぬのじゃないか。最近問題になっておる買い占めとかいろいろな問題を考えてまいりますと、これは単に企業会計――私企業だけではない、税制の面あるいは社会的な企業の責任という面でいろいろ問題が出てくると思うのであります。
 そこでお伺いしますけれども、本商法改正案がもし国会を通過したと仮定しますと企業会計原則修正案がもう案ではなくなる、こういわれておりますが、これはほんとうですか。
#85
○田邊説明員 そう理解しております。
#86
○阿部(助)委員 次に、企業会計原則は商法との一元化をはかると称して、一般原則五、継続性の原則のうち処理方法の変更にあたっての要件のうち「正当な理由」を削除しました。よく知られているとおり、損益法の立場に立った場合、期間損益計算において会計処理の継続は期間損益の真実な表示を行なう大黒柱だと理解しておるのでありますが、それをお認めになりますか。
#87
○坂野政府委員 継続性の原則は公正な会計慣行の中で最も重要な原則の一つでありますので、当然これは今後とも守られていくわけであります。「正当な理由」ということばを削った理由は、何が正当であり何が正当でないかというようなことについていたずらに論争を招くことはかえって好ましくない。したがいまして、「正当な理由」は削りましたけれども、「みだりにこれを変更してはならない。」ということばが残っておりまして、この点で継続性の原則は従来どおりであるというふうに確認されております。
#88
○阿部(助)委員 この問題は、時間があれば「みだりに」という点でまた少し御質問いたしますけれども、時間の関係でちょっと先を急ぎます。
 私はさきに円切り上げに伴う差損の処理について問題にいたしました。この趣旨の一つはやはりこの原則に関係をしてくるわけであります。
 具体的にお伺いしますが、三菱重工は、四十六年九月期には外貨建て長期金銭債権債務について、取得時、発生時価額で処理をいたしまして、差損益を計上いたしておりません。四十七年三月期には同様に決算処理では差損益を計上せず、法人税は経常利益二百二十八億円に対してゼロであります。四十八年三月期には経常利益約四百三十七億円、前年同期の約二倍の利益をあげた。そこでこれは税金が一ぱいかかってくるのでたいへんだ、こういうことで、今度は一挙に差損を三百三十億円計上いたしました。そうすれば納める税金は幾らもないじゃないですか。一体この三つのやり方がどれが正しいあり方なのか、証券局長か主税局長、ひとつ答弁してください。
#89
○坂野政府委員 意見第三は通貨問題が生じました直後に企業会計審議会から発表された意見であります。これはお説のように当時の激変緩和というような思想もございまして、長期、短期の債権債務につきまして、取得価額あるいは時価評価というようなことについてかなり企業の選択を許された意見であったわけであります。しかし、それはその当時経済界の激変を緩和するというようなことからとられた措置でございまして、その後意見第四、第五と次第にルールは固まってきております。したがいまして、その第三による処理というものは企業会計上は一応従来のやり方とあまり激変しないようにというようなことでとられた措置であったわけです。
#90
○阿部(助)委員 私の質問とは少しもかみ合っていないわけであります。なぜ三通りのやり方をしておるか。原理は一つしかないわけです。どれが一体公正妥当なのか。税金の問題は国会において審議をされて、国会できまって、そして変更したならばこれはわかります。国会で何もいままで審議もされない、法案も出していないじゃないですか。それにかかわらず三通りの案をやって税金を免れておる。一体どれがほんとうの正しいやり方なのか、明確に答弁をお願いします。
#91
○坂野政府委員 結論から申し上げれば、当時の慣行として最大公約数的に認めるならばいずれの方法もとって差しつかえないということであったと思います。
#92
○阿部(助)委員 当時の慣行――四十六年の九月でありますから一年半ばかりの間にどれだけ慣行が変わってきたのですか。
#93
○坂野政府委員 その後切り上げが一回、それから本年二月以降フロートということになりまして、その間それぞれ意見第四、第五というものが出ておりますが、次第に長期の債権債務、短期の債権債務を区別して、短期のものはもうすぐ実現するわけでありますから時価評価、長期のものは取得価額のまま置いておくというようなそういう方針に固まりつつあるわけであります。
#94
○阿部(助)委員 そうしますと、前ののは間違っておって、あとのほうにだんだん固まってきて正しいことになった、こういうふうにあなたおっしゃるのですか。
#95
○坂野政府委員 前のが間違いでいまが正しいという意味で申し上げたのではなく、そういった激変時においては非常に巨額の損失あるいは利益が出ますものですから、それを緩和していくというのも会計のやり方の一つの慣行であります。したがってそういう方針がとられた。その後は次第に国際通貨情勢も見通しがついてまいりましたし、現在のような状態になってまいりますと、企業としても経理のやり方というものについて先の見通しというものもある程度立ってきたということから、その方式を一定化しても企業会計の上で著しく経理が異なるというようなことはないというような状態になってまいったので、次第に方針がかたまってきた、こういうことであります。
#96
○阿部(助)委員 さっぱりわからないですね。あるときには配当を行なうために、損益を出しておる、差損が出ておる、だけれども、それを配当を行なうための帳面のつけ方をしている。次には特別措置の減免を受けるために、私に言わせれば二重帳簿をつくっており、そして今度はたいへんな利益が出たから一挙に三百三十億も利益の中から差損と称して落とす。もし差損を落とすならば、前の期からそれをやればいいことであって、この三菱重工は三通りやっておるのですよ。一つは、配当をするために適当にやって配当はちゃんとしました、損があれば配当できませんから。次には、多少利益があったが、特別措置でこれは税金を落としたから税金を一つも納めていない。今度は四百何十億ももうけてたいへん税金がよけいかぶってくると見るや、三百三十億も利益の中から差損を落とす。この三つのやり方が一体みんな公正妥当で正しいのだ――為替の変動は同じようにあったに違いないのであります。同じような一つの為替変動、円の切り上げという現象に対して三通りの案が、いずれも企業の独断的なやり方、しかもそれが公正妥当であるということになったら、法人税は上がるわけがないのであります。
 西野嘉一郎さんという芝浦製作所の社長さんでこの道のベテランでありますが、こういうことをいっております。法人税の税率をいじってもあまり意味がない、税率を上げたところで法人税がよけいになるということは限らないんだ、こういっておるのです。差損の操作やいろんなことをやって課税客体を小さくすれば、それにかける税率が少しぐらい大きくなったって小さくなったって、これは税額にはあまり関係がないということになるでしょう。こんなむちゃなことを皆さん――一体どれが正しいのかも答弁ができないのでは、これはどうしようもないじゃないですか。どうなんです。もう一ぺんわかりやすく、私の頭にわかるようにひとつ答弁をしてください。
#97
○坂野政府委員 一番最後の、今度の決算で大幅の損を出したということでございますが、それは今度フロートになりまして、フロートになりますと、長期の債権債務につきましてもこの際新しく評価し直すということも、これは会計法上はむしろそれを直してしまうほうが正しい経理なんだという議論もあるわけでございます。したがいまして、それはたまたま税金の面でそういうことになりますけれども、企業会計としては、もはや円が三百八円から二百六十何円ということになるわけですから、落としてしまうということは正しいやり方であったわけです。
#98
○阿部(助)委員 そうすると、もう一つ、いま差損で落としてない会社がありますね。いずれはもうかって、うんともうかったときに落とすのかもわからぬが、いま落としてない会社がある。そうすると、この会社は経理は間違いだということになるのですか。それとも会社の御都合で、企業の御都合で好きなときに、落としたいときに差損を落とすということが、これが公正妥当なんですか。
#99
○坂野政府委員 これはやはり経理の一貫性というものがありますから、その落としたいときに落とすというのは公正な経理ではありません。しかし、新しい事態が生じた場合に、その事態に応じて落とすということは、経理としては一つの正しいやり方であるというふうに考えております。
#100
○阿部(助)委員 これは違うでしょう。一貫性、何もないじゃないですか。いまの三菱重工の例を私があげましたように、あるときは配当するためにこうやる、あるときは特別措置でやる、うんともうかった今回は差損を落とす、何も一貫してないですよ。どこに一貫性があるのです。
#101
○坂野政府委員 その一貫性と申し上げましたのは、たとえば今度フロートになって落とすのだけれども、その落とすのは一部だけ落として、またあとはとっておく、その次に落としたり落とさなかったりする、こういうことはいけない。落とすなら全部落とす、落とさないなら全部落とさない、こういうことが一貫性という意味であります。
#102
○阿部(助)委員 そこまで自由自在にやったら、法人税法なんというのは要らないということになるじゃないですか。そこまで、あなた、徹底した言い方をされるなら、税法は企業のためにあるという判断をする以外にないではないですか。そんなふざけた答弁はありませんよ。もう一ぺん答弁してください。そんなふざけた答弁、ありますか。
#103
○坂野政府委員 申し上げている意味が不徹底だったかもしれませんが、私が申し上げたい理由は、一つの会計処理方針をとったならばそれはずっと継続しなければならぬ。したがってフロートになって債権債務を時価でもって置きかえて落とすという方針をとった以上は、今後ずっとそういう方針をとっていかなければならぬ。ですから、落としたいときには落とす、落としたくないときには落とさないということは許されないということを申し上げたわけであります。
#104
○阿部(助)委員 どうにも私は納得ができないですが、大体国際通貨情勢の変化という場合、法制上からいっても現実からいっても、固定相場制であるか、変動相場制であるかという区別、三菱重工の場合、さきの変動制のもとでは換算がえを行なわなかった。そのときにやって一貫してくるというならともかく、私はまだそのやり方は不満はあるのですよ。法律できめたのではない、企業会計審議会なんというもうろうとした機関で、その集まりで相談したものがストレートに税制にまで響くなんというのは言語道断だと私は思う。私はそういう不満はあるけれども、それにしてもなぜそのときにやらなかったのか。皆さんはそれをなぜやらせなかったのか。そうしておいて、今度は四百何十億も利益が出た。その段階でばっさり落とすなんというのは、これでは企業は金がだぶついてしようがないですよ。これでは、法人税法、めちゃくちゃですよ。主税局長、その点はどうなんです。
#105
○高木(文)政府委員 阿部委員が御存じのとおり、法人税法のたてまえは、二十二条二項の計算をなすにあたって二十二条の四項で「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って」と、こうなっているわけでございます。
 そこで、公正妥当と認められる会計処理の基準というものにいわば税が盲従をいたしますと、おっしゃるように企業の選択によって税がふえたり減ったり、あめ細工のようになるという危険があるわけでございます。そこで先般来もしばしば御指摘がございましたが、この通貨の問題は私ども税の立場からはたいへん悩ましい問題であったわけでございますが、したがってこれをどう受けとめるか、企業会計のほうできめられるところのルールをどう受けとめるかということは、私どもとしても非常に悩ましい問題であったわけでございますが、ただ、ただいま御指摘になりましたのは、三菱重工という例をおあげになり、そして各期の変化をおあげになりましたが、まさに私どもはそういうことが起こる心配があるということを心配をしておったわけでございます。しかしながら、一方におきまして通貨の問題というのは非常にめんどうになりますのは、企業ごとに外貨建ての債権と債務の状況がいろいろ違っております。たとえば業種ごとにも非常に違って、ある種の傾向があります。つまり、債権を非常に持っておる傾向の強い業態あるいは債務を非常にたくさん持っておる業態の場合がございます。それからまた、例として適当かどうかわかりませんが、たとえば同じ造船をやっておる企業でありましても、造船オンリーの企業と、造船と造船以外の事業とをやっておる企業と、いろいろございます。そういうことを見まして、全部を通じて、一体ある一定のルールを企業会計のほうでぴしっと選択の余地のないルールがきめられるかどうかということについて、いろいろ議論をいたしました。これは、企業会計審議会等でそういう議論がございまして、私どもも委員の一員として参画しておるわけでございますが、そこにおいてそういう議論がございましたけれども、あまりにも業種、業態が多様であり、かつまた起こった事態が、臨時にかつ巨額にショックが起こってきたという事態がございましたものですから、やはりそこはある種の選択を頭に入れたような企業会計原則を立てざるを得ないであろうというふうに私どもも考えましたし、税の立場としては、非常に犠牲が大きいわけでございますが、まずそこできめられたならば、それを一般に公正妥当と認められる原則ということで、私どもとしても受け入れざるを得ないのではないかということであったわけでございます。おっしゃるとおり、企業ごとには、それを縦系列、横系列に見ると、いろいろな問題が起こってきたわけでございますが、漸次この通貨問題も安定してまいりましたので、よってもって会計原則のほうも安定してくるというふうに考えておるわけでございます。御指摘の点は、ある意味で非常によくわかりますが、また各種各様の業種、業態のものがあって、なかなか一つのルールだけできめられないということがあったことを、ひとつ御了解いただきたいと思います。
#106
○阿部(助)委員 むずかしいからしようがない、適当にやってくれ、こういうことですか。
#107
○高木(文)政府委員 適当ということでは決してございませんで、造船オンリーの会社で、そして、ドル建てで輸出をたくさんしておりまして、新しい円建て契約への切りかえというようなことがまだ終わっていない造船会社などにおいては、まさに企業自体が存続不可能というような事態におちいる危険もあるわけでございます。そういうショックをいかに避けるかということは、この問題に限らず、財政金融を通じて、私どもが一昨年の暮れ以来いろいろと問題にしたことでございますので、その意味においては、そのことの結果として一部の企業に甘い結果になったかもしれませんけれども、それはそれなりにその時点としてやむを得ない処理であったというふうに私どもは考えております。
#108
○阿部(助)委員 主税局長の答弁としてはたいへん不満足であります。いま庶民はどうなんです。労働者は、幾らももらわない金の中から天引きで税金を取られ、零細企業は重箱のすみをほじくり返すようにして税務署は税金を取っておる。そういうときに、大企業だって商売をしておるなら、何がしかの危険性というものは当然覚悟の上でやっておる。それは覚悟しなければいかぬと思うのです。企業が商売をするのに、絶対にもうかるなどという道はあり得ないのであって、何がしかのリスクは覚悟の上でやらなければいかぬ。大企業にたいへんな被害がくるから認めたというなら、やはり税というものは昔からイギリスの革命にしたってフランス革命にしたって、税、収奪なのです。これがもとになってああいういろいろな問題が起きて、税金は法律できめるとなっておる。緊急事態なら緊急事態として、臨時国会でも何でも、国会開いてでも法律で税をきめて、かくかくだからこういう大企業にはこうしてやらなければいかぬということで法律を出し、ここで審議して、その上で通過をしたらこれをめんどう見てやるというならこれはわかりますよ。皆さんかってに、何百億という税金を企業のわがままかってにまかせて、これをどうこう処理するなんというのは、私は主税局長の答弁としてはいただけないのですね。国際通貨は安定に向かっておるなんと言うけれども、いつまたドルは動き出すかわからない。まだまだこの問題は続くわけなんですよ。その続いたたびごとにこうやって何百億という金を、配当するときには都合よく配当してやる。うんともうかって税金を納めるときは、差損だといって落としてやるということを次から次へとまた続ける。なぜ一体皆さんはきちんとしないのですか。皆さんの判断一つで、自民党政府の判断一つで、大企業がこのような形で税金をがっぽがっぽまけられたのでは、国民は、苦しい生活を切り詰めて税金を納めておる庶民の立場は一体どうなるのです。
#109
○高木(文)政府委員 いまの外貨建て債権というような債権の評価あるいは換算という問題を、税法上どのように処理すべきかという問題は御指摘のようにございます。先般の阿部委員の予算委員会における御指摘以来、私どももなお引き続き検討いたしたわけでありますが、当初から申し上げておりますように私どもとしてはこの問題に関する限りはやはり現行の二十二条の二項ないし四項の考え方、これによって処理いたすべきものではないか。つまり法律事項として判定するべきものか、あるいは企業がみずから益なり損なりということを認識しているということを前提として課税を行なうという考え方に立つべきものか、そこのところはなお議論がございますが、私どもはそういう意味では従来の処理が誤っているとは考えていないわけでございます。ただ御指摘のように、先般の外貨建て債権の処理の問題に関する限りにおきましては、企業のほうにある種の選択が認められるというルールが立てられました結果、一部の企業に非常に有利に働いたという事実があることも、これは否定できない。またそれは当時からある程度予測されたことでございますけれども、しかし半面、このルールがありましたがゆえにはじめて当時のいろいろのショックを避けることができた。どうにか会社の存立を継続することができた。また会社ということはつまり広く関連する下請その他の企業等を含めまして考えますならば、やはりめったに起こらない、しかも非常に大きなショックでありますような場合に、それは会社がつぶれてもよろしいというわけになかなかまいらないわけでありますので、日本経済全体としても、そう企業の責任だけ、完全な意味において単純な企業の責任として処理できない問題がございましたから、そういう選択の余地があるという方法をとりました企業会計を税のほうも認める、こういうことにしたわけでございます。それはいろいろな御批判があろうかと思います。そのきめ方の問題もそうでございますし、また内容の問題についても御批判があろうかと思います。私どもも今後の問題といたしましては、為替変動の持ちますショックの程度ということも変わってきておりますし、いろいろ御示唆いただいた点を織り込んでいかなければいかぬと思いますが、当時のような急激な初めてのショックというようなときには、なかなか簡単ではなかったということでお許しを願いたいと思っております。
#110
○阿部(助)委員 どうもわからないですよ。それで局長、下請のあれがあるとか、国民経済に影響するみたいなことをおっしゃる。それは影響します。それは影響しますよ。だけれども、そんなことで自由かってに企業が自分の判断で税金を左右するなんということは、これは許されないですよ。それは皆さんが企業の利益代表として発言されておるならば、それはそれなりで私は理解ができるのです。国民全体の奉仕者として発言をしておるとすれば、いまの発言は許されないです。私はこの前予算委員会で質問いたしました。大体商社を中心にして質問した。なるほど今度は、商社は何がしか皆さんの御意図をくんだようで、差損の計上は何がしか遠慮したようであります。しかし、今度はこういうふうに別のところでまたやっておる。そういう問題を国会にきちんと提案をし、国会の承認を受けることなしに、大蔵省当局だけでかってに企業にまけてやるなんということは、どう考えたって、租税法律主義、また税金のあり方という点からいって不合理だ、間違いだというふうに皆さん反省されないのですか。これはいいことなんだ、しかたがないんだということなんですか。
 私はこの問題にあまり触れておりたくないのでして、先へ進みたいのですけれども、皆さんがあまりかってな答弁をされたまま記録に残ったんじゃ困るから、もう少し詰めておかないと引っ込みがつかなくなる。
#111
○坂野政府委員 御承知のとおり、四十六年の九月に意見第三というものが出ましてから、十二月に切り上げがあって意見第四、それから平時の為替差損を対象として、昨年の七月に意見第五というものをつくりました。これで一応ルールは落ちついたものというふうに考えておったわけですが、その後本年に入りましてフロートが再び行なわれて、そのフロートは前のフロートとはまた非常に性質が違うということから、本年の三月に意見第六というものが出たわけでございます。
 今後の世界の通貨情勢はまたわれわれが想像しないような新しい事態も起こり得るかとも思いますけれども、いまのところこういうことでだんだん落ちついてまいりますれば、できるだけ近い将来に、恒久的な意見と申しますか、そういうものを企業会計審議会で議論していただきまして、為替差損のやり方というものはこういうことでいこうということをきちっときめて、そうして今度はそれはずっと継続してやっていくという体制をとりたいというふうに考えております。
#112
○阿部(助)委員 皆さん最近国際通貨が何ぼか落ちついているみたいなことを言いますけれども、これは底流はそんなに甘い考えでは済まされないんじゃないですか。国際金融局長じゃないけれども、アメリカの外国へ出ておるドルが、二千六百八十億ドルもたれ流しておるという今日の事態からいけば、ドルが価値を減らしていくなんということはあたりまえのことなんで、このあとにまた大きな変動がないという保証は何もないと私は思うのです。あのスミソニアン体制のときも、当時皆さんのほうの大蔵当局では、これでしばらく何とか落ちつくみたいな話だったけれども、一年か一年半でまたこのようにがたついてしまっている。いまの国際通貨情勢は、局長おっしゃるように、これからいまの程度の変動制で落ちついていくなんという見通しがあるなら、私は別の機会にゆっくりお伺いしますけれども、そんな見通しは立たないと私は思うのです。そうするとまたこれは変動する。そのするときはまた同じことをやる。
 私はほんとうに答弁が不満です。だけれども先へ進めます。
 ただ、このようなかってな、国民の側から見れば粉飾決算としか言いようのない会計処理の変更が、企業会計原則をつくる企業会計審議会のお墨つきさえいただけば公正妥当になる、企業会計審議会というのは一体どういう権限を持っておるのです。
#113
○坂野政府委員 企業会計審議会は、大蔵省設置法に根拠のある審議会でございまして、企業会計の基準の設定、それから監査基準の設定、原価計算の統一、それから企業会計制度の整備改善、その他企業会計に関する重要な事項について意見を述べる、こういう大蔵大臣の諮問機関であります。したがいまして、ここで出された意見に基づいて、大蔵大臣がこれを判断いたしまして、企業の会計慣行の公正な最大公約数として採用してもよろしいということになりますれば、それによって証券行政を進めるというたてまえになっております。
#114
○阿部(助)委員 まあ、企業会計審議会委員のメンバーを見ましても、十条製紙の社長、関西経済連合会常務理事、経済団体連合会常務理事なんというのと、たいへん失礼だけれども、皆さんと非常に親しい学者先生、そこへ法務省の民事局長、大蔵省の主税局長、国税庁長官、大蔵省証券局長、まさに財界と官界とがべったり癒着をしておるという感じすら受ける。この審議会で意見を出せば、それが大蔵大臣の指示で公正妥当と認めるといったって、国民はこんなもの公正妥当と認めませんよ。少なくともこの国の最高議決機関である国会へお出しにならないで税金がかってにまけられる制度、まさに審議会とかあるいはまた調査会の大半は、皆さんの隠れみのというか、口を悪く言えばイチジクの葉っぱみたいなものではないのか。こんなもので一々税金を左右されたのでは、国民はたまったものじゃないですよ。そうじゃなしに、もしおやりになるならば、大蔵省は自分の全責任をもって、かくかくのことでこういたしますということをなぜ国会にちゃんとはからないのです。それすらしないで、やみからやみのような形で、審議会の意見第何が出た、それでやってもようございますということでやるから、すぐかってにやっている。円の切り上げという一つの現象に対して、ある者はAという方式で、ある者はBという方式で、ある者はCという方式で、三通りものやり方をやってきた。またこれからもやる。それに対して反省がないんですかね。それが審議会の意見をまとめて――皆さんがまとめるんだろうけれども、まとめればそれが公正妥当ということになるのは一体どういうことなんです。それが公正妥当になるんですか。
#115
○坂野政府委員 審議会の意見が公正妥当だということではなくて、審議会の意見を公正妥当なものとして取り扱っていいかどうかという判断がもう一つあるわけであります。この公正妥当かどうかというのは、証券行政上は、先ほどのお話のように、証取法百九十三条の二によりまして、会計士がそういう扱いであったならば意見を限定しない、これで監査をしてよろしいという基準にしよう。これは御承知のとおり、たくさんの企業の中で最大公約数的にとっても差しつかえなかろうという基準をきめておるのでありまして、法律とかそういう性格のものではない。しかも、わが国だけではなくて、世界の企業慣行としてどういうものがあるかというようなことも考えながらやっていくということであります。したがいまして、あくまで一つの基準を示しておるというものであります。また同時に、これを法制化しようということになりましても、その慣行がどんどん変わってまいります。また、先ほど来お話しのような新しい事態に備えて、新しい慣行というものもふえてまいります。そういうようなことで、法律でこれを全部定めるというようなことは技術的にも非常にむずかしい問題ではないか。しかし基本のところはやはり法制等できめておく必要がある、これは私どもも痛感しております。したがいまして、今度商法が改正されまして、商法の計算規定も若干基本のところが改定されます。さらにまた、計算書類規則も今度は改定されるというふうに伺っておりますが、そういうことになりまして、基本のところは法制できちっと定められておる。そして細部の取り扱いについては基準を審議会が審議して、そしてそれを公正妥当な基準として証券行政を進めて差しつかえないという判断を大蔵大臣がいたしまして、それを取り扱っていく、こういうたてまえになっておるわけであります。
#116
○阿部(助)委員 私は企業原則と税の原則とは違うと思うのですよ。企業の原則としては企業が伸びていくということをたてまえとするでしょう。税はやはり公平の原則、富の再配分、こういうものが基本にある。そこに何がしかの原則の違いがあると私は思う。それを証取方式の審議会で出したわ、それがストレートに税金に響いてくるというところを私は問題にしておるのでして、そこをきちんとされない限りこれは公正妥当という、しかもしんしゃくだとかみんなあいまいにしておる。だから経団連の居林さんじゃありませんか、この審議委員の番場さんが経団連の御意見は九〇%方取り入れましたなんという凱歌をあげておられるわけですね。まさにこの商法改正は経団連の意のままになったと言って凱歌をあげておられるのは、これは中を調べてみれば全くそのとおりなんだ。
 企業会計審議会のお墨つきさえいただけば税金はいかようにも変更できる。先ほど言ったように、税率を三六・七五から今度四〇%にするという御意見があるようですけれども、四〇%にしたところで課税客体を小さくすれば、法人税は金額としては上がらないということになってくる。一体皆さんと財界と一緒になって、この税制をめちゃくちゃにしておるというふうに私は極論をしたいのです。それぐらい今度の商法の改正には私はそこに問題があるのではないかという感じがするのであります。
 そういう点で私は、いま局長おっしゃったように基本は法律でやる、こういうお話でありますから、この問題はあまり触れていると時間がなくなりますので、先へ移りますけれども、次に今度の改正で「正当な理由」という文言が企業会計原則にあっても、すでに具体的に示したとおり企業の利潤の平準化のために会計処理、ことばをかえて言えば脱税の方法まで正当な理由の範囲に加えておる。この文言が削除された場合にはその乱用は明白であります。いままでだって、あったところでこれはいろいろとやっておるのに、今度それがなくなってしまえば、極端に言えば減価償却の場合にいたしましても、都合のいいときには定率でやって、今度定額が都合よくなったら定額でやるというような変更をすることすらできるのではないかということに私はなると思うのですが、いかがですか。
#117
○坂野政府委員 お話は継続性の原則の修正案のお話かと思いまするが、先ほども御答弁いたしましたように、これは継続性の原則をゆるめるとか、あるいは曲げるとかいう考え方はごうもございません。「正当な理由」ということばが入っておることによってかえって何が正当であるか何が正当でないかという論議を呼ぶおそれもありますので、これは注解のほうに落としまして、「みだりにこれを変更してはならない。」ということばはもちろん残っておりますが、継続性の原則はそのまま従来どおり守っていくということであります。
#118
○横山委員 理事として重要な問題ですから放置できません。先ほどの阿部君と証券局長の詰めですがね、局長がその基本は法律でやるとおっしゃった。それはどういう意味だか、もう一ぺん確認をしたいと存じますが、この企業会計原則の変更によって税が左右される。その税が左右されるというのは、ぼくがやじったように租税法定主義に反する。だから法律事項、国会の承認事項にしろと阿部君は言う。あなたは基本は法律でやりたいと言っているのですが、一体その基本の法律とはどういう意味なのかもう一ぺん。
#119
○坂野政府委員 商法の本文の中の計算の規定、それから計算書類規則が今後おそらく改正されるでありましょうから、その内容、それは法務省のほうでいまおやりになっておるようであります。それは従来の企業会計となるべく同じような考え方でそういう規則をつくりたいというお気持ちのようでありますが、その点から商法を受けた省令でそれがきまってくるということになれば、法律に根拠のある基本ができてくる、こういうふうに考えております。こういう意味でございます。
#120
○横山委員 もう一つだめ押しをしますが、そういうことによって先ほど主税局長の今回の問題は悩ましい問題だと二回も悩ましいをお使いになったのですが、その企業会計原則を変更することによって租税負担が左右される、そういうことについてはよくないよというのが質問の焦点ですね。よくないよということは、税金の大変動をするときには必ず国会の承認を得ろ、当然のことなんです。租税法定の原則で当然のことなんです。その質問の趣旨が満たされるのかどうか、こういうことです。主税局長、どうです。
#121
○高木(文)政府委員 今回の商法の改正に伴いましてそれが何か特別に税負担に影響を与えるというようなことはないというふうに解しております。先ほど来御指摘のような異常事態の問題についていろいろ問題がございますが、今回の商法の問題に関連して何か税負担に異動が起こるということはないというふうに考えております。
#122
○横山委員 今回の問題じゃないのです。いまの企業会計原則をもってしても、先ほどのようなAという方式、Bという方式、Cという方式、何をやってもいいのだ。で、あなたはそのことについて悩ましいことだ、本来これはおかしいことだ、だけれども、しかたがない、適当にやってもらってやむを得ぬ、こういう言い方であった。けれども、あなたもいいとは思っていないようだね。だから、将来はこういうことのないようにいたしたいということから端を発しているわけですね。
 そこで阿部君の質問もそういうことが基本的には企業会計原則にある、その企業会計原則は企業会計審議会で国会の議を経ずに適当におやりになる、その構成要員は財界がそうである、そういうことがよくないからひとつ企業会計原則の現状においても統一した方式をとれ、また第二番目にそういう税に関係のある変動を行なう場合、決定をする場合においては国会の審議を経ろ、こういうことなんですよ。
#123
○高木(文)政府委員 そこは法人税法の先ほど来出ております二十二条四項の問題になるわけでございますが、そこで租税法定主義との関連においてどこまで一種の内部取引関係の計算規定を法定すべきかという問題は租税法定主義の限界の問題として議論されてしかるべきことと思います。それは先般の予算委員会で阿部委員から強く御指摘のあった点でございますので、私どもとしてもその点は今後とも十分検討すべき重要課題である、法人税法自体の重要課題であるというふうに認識はいたしております。
 ただ、先ほど申しましたのは緊急の問題であります。外貨建て債権の評価の問題に関する限りにおきまして、今日までの検討いたしました結果では、やはり評価ないし換算の問題でありますので、これを法律で定めるべき事項であるかどうかという点については、なお私どもは現段階では法律事項であるというふうには考えておりませんということを申したわけでございます。そこで問題は、二十二条の二項なり四項なりの問題として、どこまで法律できめるべきかということは、いま横山委員御指摘のように、今後ともあるわけでございまして、その点は引き続き検討してまいりたいと思います。
#124
○阿部(助)委員 ちょっと違うのですよ、それは。予算委員会のときの答弁は、総理は国会にかけますという答弁をしているでしょう。ただ、この機にいますぐ国会に出すというのは非常に困難であるから、今回は何とかいろいろ企業のほうにも注意をするから、今回国会に出すということは少し何とか、食言だと言わないでくれろというから、私はどうしても間に合わないなら今回はしかたがないだろうということでおとなしくしてきたわけです。しかし、これを国会にかけるかどうかがまだ問題であって、わからないのだという局長のいまの答弁だと、これは総理の答弁と食い違うのでして、もう一ぺん予算委員会の速記録を持ってきて、ここで総理立ち会いでたださないと、私引っ込みがつかなくなりますからね。どうです、いまのあなたの答弁は違いますよ。
#125
○高木(文)政府委員 その問題については、私どもの理解しておりますところでは、そのあとにおきまして、大蔵委員会におきまして、大蔵大臣から御答弁申し上げましたように、阿部委員のおっしゃることは十分理解できます、ただ、この問題は会計技術的な性格の問題でもございますので、企業会計、商法との関係や諸外国の慣行等も十分研究いたします、その結果、御意見の方法によるのが最も適当だという結論が出れば、御意見のとおり法令をもって処理をいたします、こういう御答弁を申し上げておりますと思いますが、それは私どものその後の大臣の指示のもとにとっておる態度でございます。
#126
○阿部(助)委員 だから、基本は検討しなきゃ、こういう新事態でなかなか外国の例も勉強しなければならないから待ってくれろというので、私どもも承知したのであって、やむを得ないじゃないかということであって、もう全然出さないというような逃げ道を、私はいま局長がおっしゃっているような形でやるのは間違いだと思うのでありまして、そうなると、私は総理にここへ出てもらって、たださないとだめだということになるのです。やはり基本は検討して国会にかけるということにしてもらわぬと、総理は答弁は違うのですよ。
#127
○高木(文)政府委員 その点は私どもはおっしゃるとおり非常に問題がありますので、検討をいたさなければならぬ、そして、基本的の方向によって処理をする、つまり法律をもって処理をするという結論になればそういうふうにやりましょうということを言っておるのでありまして、それ以上は総理も大蔵大臣も御答弁申し上げてないというふうに理解をいたしております。しかし、いずれにしても御指摘のように非常に大きな問題でございますから、そういうことも、法令をもって処理するということも十分考えられることでありまして、どっちの方向に結論が出ますかは別といたしまして、これは十分に検討いたしますという気持ちでございます。
#128
○阿部(助)委員 局長、それは大臣との話のときの経過があるのでして、とにかくこの国会にすぐ出せないから、検討してその方向でいくという話し合いの上で私は承知をしたのでして、あなたはそういう逃げ口上ばかりおっしゃらないで、本腰を入れて検討し、基本はやはり国会の審議を経るということでいってもらわぬと、私は約束違反だと思うのであります。
 次に移りますけれども、先ほど証券局長、「みだりに」ということばがあるから「正当な理由によって」というのははずしたんだ、こう言っておりますけれども、「みだりに」ということばにどの程度の強制力があるんです。
#129
○坂野政府委員 修正案は「正当な理由」を落としまして、どういう場合には変更ができる、どういう場合にはできないということは注解で詳しく書くことになって、そういう案になっております。したがいまして、「みだりに」というのは、原則としていけないんだということを意味しております。
#130
○阿部(助)委員 まあ、いままでの経過を見ても、会計処理の問題を見ても、また審議会の顔ぶれから見ても、皆さんが国民の期待に沿うような形で厳格なものが出てくるとは思わぬのでして、これは明らかに私は改悪だ、こう思わざるを得ないのであります。民事局長、商法を損益法に改めたんじゃないんだそうでありますけれども、加味したんだ、こう先ほどたしかおっしゃったですね。しかしそれにしても、企業会計の処理の継続を保証する、局長も継続の原則は守るんだ、こうおっしゃっておるけれども、何かそれならば厳格にその問題を規定する必要があるのではないか。ところが企業会計修正案の立場は全く逆で、国民に被害を与えるものと私は思わざるを得ないのでありますが、厳格な規定をつくるべきじゃないか、こう思うのですがどうです。
#131
○坂野政府委員 御趣旨まことにそのとおりでありまして、私ども現在継続性の原則をこの修正案によってゆるめようというような気持ちは毛頭ございません。会計士の指導等にあたりましても、従来同様厳格にこれを執行するということを行政上やってまいりたいと思います。
#132
○阿部(助)委員 企業会計原則修正案、貸借対照表原則四の(二)のA、流動負債、四の(二)Aの注18これはめんどうくさいのでして、この負債性引当金のうち大幅な修正がされておる。経団連のパンフのこの項の解説によると、「今回の修正案では、負債性引当金に損失性引当金を含む旨の諒解がなされた。」こう述べております。具体的に負債性引当金として新たに計上すべきものとしては、「出血受注引当金、特許損害賠償引当金、資産除却損引当金、原木単価調整引当金」なんというのを並べているわけであります。負債性引当金の中に損失性引当金を含むという了解がされたというのは、これはほんとうですか。
#133
○坂野政府委員 引当金、特定引当金の中身を整理いたしまして、負債性引当金あるいは特定引当金、そういうものを区別しなければいかぬというふうに整理した案になっております。
#134
○阿部(助)委員 答弁、ちょっと違うですよ。だから負債性引当金に損失性引当金を含むという了解をされたわけですね。
#135
○坂野政府委員 そうではなくて、そもそも企業会計としては利益性の引当金と負債性引当金とを峻別するたてまえで従来から来ておりますので、商法の特定引当金あるいは税法の準備金、こういうものを整理いたしまして、負債性のものと利益性のものを区分して経理するということを今後は明確にやっていこう、こういうことにいたしたわけであります。
#136
○阿部(助)委員 整理して区分はするけれども、認めるんでしょう。(坂野政府委員「はい」と呼ぶ)じゃ同じじゃないですか、私の言ったとおりじゃないですか。整理をして、片一方、いまのは考えているということならわかるけれども、あなたは回りくどいことを言うけれども、これを認めるということについては変わりないじゃないですか。そういうことになるとした理由はどういう理由なんですか。
#137
○坂野政府委員 本来、利益処分の一種と思われるものが税法上は負債所得の負債の項目として認められておる。あるいは商法の特定引当金の中には、負債性のもの、利益性のもの、ともに含まれているのではないかという解釈になっております。したがいまして、商法なり税法のたてまえと企業会計のたてまえと食い違いますると、これは企業の経理上また非常に混乱いたしますので、そこは認めてまいりたい。しかし、利益性のものと負債性のものを区分することによって、投資者なり株主にはっきりとそこを認識できるような、そういう姿にするということであります。したがいまして、それは区分はいたしますが、経費として税務も処理するならば、それは企業会計としても認める、こういうたてまえであります。
#138
○阿部(助)委員 そうすると、それは損益法という立場からいくと逆粉飾、こういうことになりませんか。
#139
○坂野政府委員 逆粉飾ということばの定義いかんにもかかわります。しかし、普通使われておりますのは、逆粉飾ということは、表から見えない隠れた姿で、利益を隠しておくということに使われますので、こういうふうに明確にしておけばこれは逆粉飾ではない、こういうふうに考えております。
#140
○阿部(助)委員 大体銀行の貸倒引当金を見たって、銀行は一体どれだけ貸し倒れがあるのです。それに都市銀行、十四の都市銀行だけでたしか六千億近い貸倒引当金なんというのを持っておるでしょう。一体このうちどれだけが貸倒引当金として取りくずされ、活用されているのです。退職給与引き当て金にしたって、大きなところはつぶれっこないのですよ。皆さん、すぐ山一証券のようにてこ入れしてやればつぶれっこないじゃないですか。しかし、中小がつぶれたときは働いている労働者の退職給与引き当て金も全部手形の担保になって流れてしまってないのですよ。現実問題としてはこんなものは何も作用をしていないのです。大企業の資本蓄積、これだけに大きな作用をしておるだけであって、大衆の立場に立てば全く無意味なんです。つぶれっこのない大企業、そしてうんともうけておる大企業だけがべらぼうにこれを積み上げておるという、これは税法から言ったらまさに課税から隠蔽しておると言っても私は言い過ぎではないと思うのです。そんなものを幾らでもこうやって認めていけば、経団連さん、九〇%以上要求が通ったと言って凱歌をあげるのは、これは当然のことなんですね。そこまで大蔵省は財界のめんどうを見なければいかぬのですか。どうなんですか。
#141
○高木(文)政府委員 引き当て金は御存じのように税法で定められておりまして、そして国会の御承認を得たものだけが認められるということになっております。しかし、その中に今度は評価の問題として、金融機関が主として利用することが多い貸倒引当金が、企業の率が甘いではないかということは、これはしばしば御指摘を受けており、今国会の政府側の答弁といたしましても御検討をお約束しておるところでございまして、その点は十分検討することにしております。
 それから貸倒引当金の問題は、これは現在は御存じのように退職給与引き当て金の積み立ては二分の一まで積むということになっておるのでございますが、これは私どもの持っております評価といたしましては、大企業、中小企業を問わず、やはりその程度のものは引き当てておいていいのではないかというふうに感ずるわけでございまして、現在のところ、退職給与引き当て金について、それが特に税法上、えらく恩典措置であるというふうには考えていないわけでございます。
#142
○阿部(助)委員 たびたび申し上げますけれども、この経団連のパンフによると、諸引き当て金についてはこの際、有税でもいいから皆さん積んでくれい、そうすればやがて慣行になり、公正妥当のお墨付きをいただいてこれが免税されるのだという、実力行使を教唆扇動しておる、こういうことになるのです。そうすると、だんだん企業は粉飾決算、そして企業会計慣行が公正な慣行ということになっちまう。そうすればもうこれは企業のかってなやり方で税金が負けてもらえるということになる。すでに評価性引当金であるとか貸倒引当金、退職給与引き当て金の負債性引当金など、大多数の引き当て金は、実質的には私は、企業の利益隠蔽の手段に利用されておる。この範囲をこれ以上拡大しないという保証は皆さん、ここで言明できますか。
#143
○高木(文)政府委員 引き当て金は普通の特別措置とは性格は違いますけれども、おっしゃるように、それが非常に企業会計に影響をし、かつ税額に影響してまいります。したがって、絶えず洗いがえを行なうという従来の立場を今後も堅持してまいりたい。拡大という問題もありましたが、必要があるものはあるいはそれはやむを得ない場合も認めてよろしいものもあるかと思いますけれども、むしろ従来のもので、しばしば御指摘のように、貸倒引当金のように縮小の方向に進むべきものもありますので、それらの洗いがえは、来年度法人税制のかなり大幅な改正を考えておりますので、その際によく洗いがえを行ないたいというふうに考えております。
#144
○阿部(助)委員 時間でありますので最後の質問に入りますが、商社の投機あるいは鉄鋼カルテル等の独占価格に対して、国民はたいへん苦しんでおります。企業会計の実情をそのために知りたいと望んでいる、これは当然のことだと私は思うのであります。企業もまた社会性というものを持っておると思うのであります。ところが、この株主総会といえば、先ほどの御質問にありましたように、十分か二十分、これでお聞きになっちまって、内容はさっぱりわからない。先ほど大臣からいろいろと、今度総会の、何ですか、あれを先に配っておいてどうのこうのするというけれども、今度の商法の改正は大臣のお話とはうらはらに進んでおるんではないだろうか。会計の内容はそういう点でできるだけ明確にすべきであると私は思いますけれども、だんだん不明確になってきておる。明確にすべきだという点ではこれは御意見はなかろうと思うが、大臣いかがですか。
#145
○田中(伊)国務大臣 明確にすべきであるという点については、お説のとおりと存じます。
#146
○阿部(助)委員 会計原則修正案では、国民や大衆株主にこたえ、現行の会計原則に比べどのように明確な表示が行なわれるようになるのか。たとえばどの商品でどのくらいもうけたのがわかるようになるのかどうか。私は反対のように思うのですが、いかがですか。
#147
○坂野政府委員 原則自体もさることながら、それに基づきまして、監査証明規則の改正も行ないたいと思っております。そういう細目におきましても、従来問題になっておるような点を検討いたしまして、従来よりも一段といわゆる財務内容開示、ディスクロージャー制度の実をあげまして、国民の期待にこたえたい、そういうふうに考えております。
#148
○阿部(助)委員 この損益計算書原則二Aでは、営業別に費用区分する、こうなっておったのを削除しましたね。三Aで商品販売と役務による収益の区分を削除した。三Aでは、商社などの場合でありますが、商品販売とサービスをする場合を削除した。そうすると、現在以上に企業会計に秘密の、ベールをかぶせることになるのではないか。
 もう少しわかりやすくいえば、たとえば三光汽船は汽船会社だから船の関係で利益をあげておるか、こういうと船の関係の利益はあまり大きくなくて、証券の売買による利益のほうがはるかに大きいのですよ。ところが今度のこれで削除されますと、全体のもうけはわかるけれども、どういう形でもうかったかという区分は一般にはわからなくなってしまう、そういうことになりはせぬですか。
#149
○坂野政府委員 いまの損益計算書原則の問題についてはちょっといま調べておりますが、少なくとも証取法の開示の面ではお説のようなことは全部書くことになっております。届出書、報告書すべてそれを分けてあれしておりますので、あるいはそういうことは全部もう行なわれておるから原則にそれを書くまでもないと思って削ったのかどうか、これはいまちょっと検討してみます。
#150
○阿部(助)委員 先ほどのお話で総会の問題が出ましたけれども、いまの総会のあり方が民主的なあり方だというふうに証券局長は判断しておられるのですか。証券局長、どうです。
#151
○坂野政府委員 担当の部局でありませんので、そのお答えは私からはちょっと申し上げられない次第であります。
#152
○阿部(助)委員 常識的にどうです。
#153
○川島政府委員 商法上株主総会というのは会社の最も重要な事項を審議決定する機関でありますので、それに応じた実質を持つ総会が開かれるのが商法の期待しておるところであります。それから見まして、新聞などに伝えられておりますような現状というのはほど遠いものであるというふうに考えております。
#154
○阿部(助)委員 私大蔵委員で証取法の審議をいたしましたときに、一般株主保護であるとか会社の民主化だとかいう御説明をいろいろとお伺いしてきたわけでありますが、いまの株主総会のあり方は、これが民主的だとは私はだれしもが思わぬと思うのであります。ある意味で、あれくらい大企業になったら二日や三日総会を開いたっていいだろうし、あるいは零細な株主の発言も認めていいと思うのです。それが総会屋と一緒になって、黄色い紙で手を上げれば第一番目の質問者、青い紙のしるしで手を上げれば二番目、それで終わりだというような形で、実際おとなしい人、初めての人は総会なんというところには入れないような雰囲気でおやりになっておる。しかもチッソでありますとかこういう水俣病を起こした企業、これがヨーロッパや何かにこんな企業があったらほんとうは世論に抹殺されて、私はもう消えてしまっていると思うのです。日本だからこそまだああやってめちゃくちゃな総会を開いておるけれども、ほんとうに民主的な立場に立ち、社会性とおっしゃるならば、こんな会社は世論に抹殺されておるのにそういうのがのさばっておる。同じような企業が総会といえば総会屋とグルになって、あれだけいろいろな問題があるだろう大会社が二十分かそこらで総会を終わる。ここで資本主義、その基盤である一番大きな責任を持つ企業が、モラルの問題だとか商社の何とかいう原則だなんというのを幾らやってみたって、あの総会の姿一つ見れば、私は日本の大企業に民主性だとかモラルなんというものは毛頭期待することができないのではないか。そうすれば、この問題こそ、総会のあり方こそ皆さんが指導され、この商法で大きく取り上げてやるべきであって、いまのような企業会計原則、それをそのまま公正妥当と認めてくる、そして国民大衆の期待に沿わない。また最後の質問のように、だんだん企業の秘密というベールによって企業の中身が国民からわからないところへ押しやられてくるという点で、私はたいへん問題があると思うのであります。国民の利害と企業の秘密と、これが対立したときには、国民の利益という点をまず優先させていくべきだと私は思う。ところが原子力の問題にしろ公害の問題にしろ、常に企業の秘密のベールによってなかなか問題が解決されないのが今日の実情でありまして、私はこの商法の改正、いろいろ皆さん理屈をこねられるだろうけれども、これは改悪であるし、むしろ総会問題にもっと大きなメスを入れて、ほんとうに日本の大企業が社会的な責任を持って、そして堂々と国民の前に仕事をおやりになるという姿勢に直すべきだと思うのですが、これは大臣からお伺いして私の質問を終わります。
#155
○田中(伊)国務大臣 この改正の大きなねらいの一つでございます。先ほど私から御答弁を申し上げましたように、株主総会がなぜ一体形式に流れておるのかというと、それは非常に具体的にわかりやすく一口に申しますと、集まりました株主が本日の株主総会で何を審議するのかということがわからないままで出てきておる。そこでその計算書類というものをあらかじめ出しまして……(阿部(助)委員「それだけではどうしようもないじゃないですか」と呼ぶ)いや、それは非常に大きな改革の要素である。計算書類というものをあらかじめ株主総会招集の通知状に添付して何十日前に出しておく、これによって審議をしてもらう。これはいかに会社側と総会屋との間の結託がありましても、発言の自由が保てるように配慮するということが一つの改革でございます。
 その上に今度の改正には特別に案を出しておるわけではありませんが、法務省の大方針として打ち出しておりますのは、商法の規定上における贈収賄、汚職をめぐりましては厳重なる処断をするという方針をとっていく。いままでのように恐喝のような形式が出てこなければタッチしなかったという態度は、警察も検察も今後は改める。そしていやしくも商法における贈収賄が予想されますときにおいては、これに対しては断固たる態度をもってやっていく。この二つの方法でいきますと、株式会社の株主総会の運営が形式に堕していく、一分、二分で形式的にこれをやり上げていくというようなことはだんだんと修正されていくもの、こう信じておりまして、今回の改正はこの限度で一応お許しをいただきたい。根本的な改革は、株主総会の運営ないしその組織、それからもう一つは取締役会の運営並びにその組織、この両面につきまして続いて根本的な改革というものに着手すべく検討を加えたいと考えておるので、今回はこの限度でお許しをいただいて、その経過を見たい、こう考えております。
#156
○阿部(助)委員 いまのお話は、私はほんとうは商法改正の場合、まず総会のあり方を最優先に皆さんお考えになるのが当然だったと思うのですよ。そこが間違っておるのと、問題は、総会で発言ができないのですよ、こわくて。われわれみたいのは、総会屋が両わきへすわって、これはこわくて普通の人では発言ができないようないまの総会の姿なんですね。そんな姿じゃなしに、もっとじっくりと――書類を先にやったから発言ができる、できないの問題じゃないので、あそこの空気は、もう取締役会と総会屋とがぐるになって、そういう者には警戒をして、こわくて発言ができないようなものに総会がなっておる。一体これが民主的な株主総会なのか。これだけ日本の経済を背負っておる大企業が、これが民主的な姿なのかということになると、書類を先に渡すとか渡さぬじゃなしに、総会でもっとものの言えるような総会にするということが大前提だ、こう私は申しておるので、大臣の技術的な問題ではないと私は思うのです。そういう点で御検討を早急にいただきたい、こう思うのであります。
 質問を終わります。(拍手)
#157
○中垣委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後一時四十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十二分開議
#158
○中垣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。塚本三郎君。
#159
○塚本委員 大臣に最初にお尋ねいたしますが、今回提案されております商法改正の目的は幾つかあると思いますが、その主たる点がどことどこにあるか、最初に御説明いただきたいと思います。
#160
○田中(伊)国務大臣 さらりと項目だけで申し上げますと、第一は、一番大事なものでございますが、監査制度を業務監査の制度にまで拡大をしたという点であります。それから監査役の権限、権能を強化いたしました。
 それから第二には取締役を二名以上選びます場合に、従来まで適用されてまいりましたいわゆる累積投票、これを完全に排除することができるように処置をした点でございます。
 それから第三には、時価による新株発行をいたします場合に、額面以上の金額はいずれも資本準備金に繰り入れることになるわけでございます。その場合に株主に対しまして発行価額の一部を免除すると申しますか、払い込まなくてもよろしいということにする制度を設けますとともに、もう一つは転換社債の発行は原則として取締役会に一任をしよう、増資をするか転換社債の発行をするか、どちらをとるかという場合には、取締役会がどう考えるかということにまかして手っとり早く機動性の持てるようにしていこうという考え方に立っておる、それが第三でございます。
 第四には、会社によりましては、ガス会社であるとか電灯会社であるとかいう会社に多いのでございますが、営業年度を一年として年一回決算をしております会社がございます。こういう会社は株主の便宜のために、また会社の安定のために中間配当ができるようにしていこうということがこの第四の改正でございます。
 それから最後に第五の改正といたしましては、現在株式会社と名づけますものは百一万の数に及んでおるのでございますが、その会社のうち相当なものはほとんど事実上会社の経営をしないで休眠をしておる。こういう休眠会社などというものは取引の上からも整理をする必要があると考えますので、思い切った整理をしてみたいというので、一定の手続を踏みました上で整理をすることにしたいと思うのであります。
 商法の改正の要点といたしましては、ほかにこまかいことはございますけれども、この五つに尽きる、こういうことでお手数をわずらわしておるわけであります。
#161
○塚本委員 いまの一番最後の、思い切って整理をする、たとえばどんなふうに整理をしようとしておられるのですか。
#162
○田中(伊)国務大臣 民事局長からお答えいたします。
#163
○川島政府委員 大臣が最後にお答えになりましたのは、休眠会社の整理に関する問題でございます。休眠会社というのは登記の上で長年月にわたって登記をしていない、そして実際にも営業していないという会社を予定しておるのでございまして、整理の方法といたしましては、法務大臣が告示をいたしまして五年以上何の登記もしていない会社は、一定の期間内に実際に営業をしている場合にはその旨を届け出よということを告示するわけでございまして、その届け出がない場合にはその期間を経過したときに該当する会社は解散したものとみなして登記の上でも解散の登記をする、こういうことを考えておるわけであります。
#164
○塚本委員 その場合にいま大部分という大臣の御説明がありましたが、想定せられる、この百一万のうちでそういう手続を踏んだときどれほどのものがこれで消滅をさせられるという見通しですか。
#165
○川島政府委員 現在株式会社の数が百一万ございますが、大体二割程度、二十万くらいの会社がこれに該当するのではないかと考えております。
#166
○塚本委員 それでは話を変えますけれども、株主総会に取締役が提示した議案が総会でもって修正されたりというようなことの可能性についてちょっと御説明いただきたいと思います。
#167
○田邊説明員 一般的に商法上株主総会は最高の機関でございますので、取締役会の提案いたします議案についてこれを修正する権限を持っております。最も大きい対象になりますものが、改正法でとられております計算書類の承認決議に際してその決算内容についての修正をいたすという場合であろうかと思います。
#168
○塚本委員 動いてないやつを消すことは当然だと私は思います。しかし事実上取締役から出されたその案が総会において否決を食った、こういうふうな事例はいままでにたくさんありますか。
#169
○田邊説明員 正確な統計は持ちませんけれども、実際上は、そのように総会が否決する場合というのは非常に少ないと聞いております。
#170
○塚本委員 御承知のとおり、株主総会の形骸化ということが叫ばれております。最高の決議機関であることには間違いないと思います。しかし、そのことがいわゆる機能を全く発揮しておらないというふうな形になっておることも常識とせられておるのですね。いまや、商法を改正なさるのだったら、このことに最重点を置いた改正こそが必要ではないかと思いますが、大臣いかがでしょう。
#171
○田中(伊)国務大臣 まことにおことばごもっともでございます。そこで、それでは審議の実があがるような株主総会に運営を持っていくためにはどうしたらよかろうということをだんだん苦心をして考えました結果、一体その招集された株主総会で発言が少ないとか発言の余地のない間に終わってしまったというようなこと、ことに驚くべきことは総会屋と会社側の結託が行なわれているなどというのはもってのほかでありまして、この根本原因は一体どこにあるかというと、総会を開いてみて、出席をしてみても、その総会で何を決議するかということがあらかじめわかっていない。何のことやらわからぬが、とにかく総会に出席をして、そこで拍手をもってきまってしまったというようなことが多いのではなかろうか。そこで、このたびの改正は、計算書類を、これは取締役がつくるものでございますが、つくりましたものを、会計監査人にこれを示しまして、会計監査人がこれの監査をいたします。それでよろしいということになりましたものを、会社内部の監査役である、いわゆる新しい制度の監査役がこれを監査をいたします。その慎重な手続を踏みましたものを具体的な印刷物といたしまして、これを株主総会招集の通知状に添付してあらかじめ送る。これはいままでにないことでございます。そういうことをいたしまして、今度何日の総会に行ったならば――それが二週間も三週間も前に送られるわけでございます。何日の総会に行ったならば、こういう内容のことが問題になるのだということで、議題が明らかになるようにこれを運んでいこう。自分で読める人は自分でお読みいただくのはけっこう、人に読まして調べることが必要ならば人に読んでもらうということができますようにいたしまして、総会においては何を議せられるかということが念頭にあって御出席をいただくというふうに持っていくことが必要であろう。それならば、発言する人は手をあげて発言ができる、大いに所論の余地がここで出てくるわけであります。機会を積極的にとらえることができるというふうになるわけでございます。
 それから、お尋ねはございませんけれども、もう一点これと前後して重要だと考えております点は、今度の改正には特別にはございませんけれども、めったにいままで適用したことのない商法上の涜職の、贈収賄に関する規定が商法にございます。これは会社側と総会屋側が結託をいたしまして、金銭の授受をして、そして不当な運営を行なおうと企てることに犯罪が成立をするわけでございます。いままでめったにこれを適用した事例がございませんでしたが、今後はこれを厳重に適用をいたしまして、反省を求めたい。
 この二つをもって株主総会の運営が漸次改まっていくように努力をしてみたい。それだけでは不十分でございますが、何もかもやるというわけにまいりませんので、一応それに重点を置きまして今後の運営を見てみる、そして根本的な株主総会の制度上の運用改正ということにつきましては、第二段のかまえとしてこれは検討を加えていく、こういう考えでやっていきたいと思っています。
#172
○塚本委員 粉飾決算等の心配についてのための処置としての大臣の御答弁は、一応その方向に一歩踏み出した――十分ではないと思いますが、その点あとからまたお聞きいたしますが、一歩踏み出したと思いますけれども、世にいわれております会社の中の不明朗な人事あるいは販売に対する価格が社会的にいわゆる問題になっておる会社運営、さらにまたそれが公害等についてこれまた社会問題になっておる、こういうような問題等、あげて株主も社会的責任を感じて企業に対して決議機関たるの任務を果たしていただかなければなりません。もちろんそれがまた逆の意味で政治的に利用されるということは警戒しなければなりませんけれども、しかし前向きではやはり社会的責任を負う上場会社の企業責任の声が、その株主総会において全く反映されておらないという事実がいまや企業責任として問題になっておること御承知のとおりです。名前は言いませんけれども、どこどこの会社が九分であったとかあるいはどこどこが十何分であったとか、どこどこの会社が三十何分であったとか、まさに週刊誌には連載ものとして騒がれておりまするのにかかわらず、幸か不幸かこれらは粉飾決算の問題ではございませんけれども、しかし意図的に、これを政治的に利用しようとする、あえて右の立場からとも左の立場からとも申し上げておきましょう。よろしくないと思いますけれども、しかしほとんどこのことが社会的に問題になっておりながら、粉飾決算そのものについてはわずかに努力のあとを認めますけれども、企業として会社法を取り上げられるときには、これらの問題についてもっと苦心があってしかるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
#173
○田中(伊)国務大臣 これまたまことにおことばごもっともと存じます。
 そこで粉飾決算の根絶をはかる方法でございますが、何と申しましても民間企業のことでございますので、自主的にこれをやらす以外にはございません。いたずらに権力による取り締まりというような方向を強化することもいかがかと考えられますので、そこでこのたびは監査役に強い権限を持たせまして、監査役の権限を強化することによって監査役を取締役会に出席をせしめ、意見を述べさせ、いまおことばのような粉飾決算、逆粉飾決算のような場合におきましても、これを取りとめることを命ずる権限を監査役に持たす、聞かざれば、それに対しましては裁判所に対する請求によって仮処分等の処分までする権限を与える、こういう処置を講じまして粉飾決算、逆粉飾決算等の忌まわしい事柄が陸続として起こってくることのないように、取締役に責任を持たして、自主的内部の関係でしっかり取締役に仕事をしてもらうということで、思い切った監査役の権限の強化をはかったところでございます。監査役の権限は、理想を申し上げますと、まだまだやりたいことがたくさん残っておるのでございまして、法制審議会においてもいろいろな意見を出しておるわけでございますが、今回はこの程度で一応、監査役の権限強化をいたしまして、これによってその実施の状況を見守りました上で、さらに改正を考えたい、こう考えております。
#174
○塚本委員 しかし世間では、監査役というものが取締役によって実は任命されておる立場で、権限強化しても、うるさいやつはこの際切ってしまえといえばそれまでになってしまうのではないか、人事権を相手に与えられておる者が監査すると、権限強化といってみたって根本的な解決にならないのではないか。さればといって私に腹案があるわけではございません。ただ御苦心のほどはわかりますけれども、しり抜けじゃないか、こういう非難にどうお答えになりますか。
#175
○川島政府委員 今度の改正案の立場を一応私ら申し上げておきたいと思いますが、企業の経営のあり方が問題になっておりまして、社会的責任というようなものが云々されております。こういう時代にいろいろな対処のしかたがあると思うわけでございますが、何よりも大事なのは、運用の面だろうと思います。しかしながら法律制度としても欠けた部分がありますれば、これを補っていかなければならない。商法の関係では株式会社というのは組織法でございます。この組織法の中で、特にそういう問題について考えまするのは、監査部門の強化ということであろうと思います。そこで先ほど来お話に出ておりますように、監査役の権限を強化して業務の適正を期するという方向が打ち出されておるわけでございますが、監査役にどういう人が得られるかということが実際の運用については非常に重要な問題であろうと思います。監査役を選任するのが実際は取締役ではないかというお話でございますが、実際の運用はそういった実質を持っておるものも少なくないと思います。しかしながら本来のたてまえといたしましては監査役を任命するのは株主総会であり、株主総会がもっとしっかりしなければならないという最初の問題に戻ってくるわけであろうと思います。株主総会のあり方につきましては、最近経済界の各企業におきましては、社会に対して企業の立場というものをもっとイメージアップしていかなければならないというようなことでいろいろ考えておるようでございますので、そういった風潮と相合わせまして、今回の改正によって運営の改善がはかられていくということを期待しているわけでございます。
#176
○塚本委員 どうも株主総会のことについて、実は私、今度問題になっております企業に、実際私も小さな株主となって――全部株主総会の通知をいただいたのです。塚本三郎という名前で行って見てやろうかと思ったのです。そして一々決算とか営業内容、大臣がおっしゃったあれよりもいろいろ詳しく説明があります。実に懇切丁寧にありました。実は商法についてここで質問しなければならぬのだから、ほんとうのところ各企業に行ってみようと思ったのです。しかし私が行きますと別の政治的意味かあるいはまた変な、いわゆる総会屋さんとは別な意味で特別の待遇を受けて始末されても変なことになる等、あれやこれや考えまして、とかく政治家が非難されやすい現在の時点でございますから、だから五つばかり問題になっているところに自分で決算を一々詳しく読んで、ほんとうに大臣、出かけてこの目で見てと思ったのですけれども、そういう私自身にもためらいがありまして、ひいてはそのことが全体の代議士、同僚があらぬ非難を同じ政治家として受けてはいけないと思って実は自重したのでございます。ところが先ほどのように、そういう会社がみんなこういうふうな形でいってしまっておる。だから粉飾決算等の経理に対しては前向きかあるいは後退かは別にして、努力のあとを私は認めていきたいと思いまするが、しかしいまや叫ばれております大企業に対する独占価格等の問題やあるいはまた公害の問題、社会的不安まで醸成している問題、さらに週刊誌等で人事問題、こういう問題等がいまや経済界としての姿勢を問われておる。そのことがせっかく戦後二十数年間努力してまいりました経済人の信用を一挙に失墜するような事態になってきたとき、しかも結果を見てみたら、いずれも三十分そこそこで必ずみな終わってしまっておる、こういうふうな事態のときに、粉飾決算のことはわかります。それ以外のことで、いまや商法をここに手がけんとするとき、大臣、この際やはりそういうことに対して一くふうも二くふうもして、いまやいわゆる企業経営者であるとか、総会屋さん等の問題、この点は、現に行ってみたって実はわからせぬと思うのです。くろうとのことで、そんなことはわからせはせぬ。万が一善意の人たちが押しかけてきても発言が聞きとれないというふうな形になっておる。これを排除すべきことを考えないと、さればといって私は鉄帽かぶった一株株主を奨励する意思は毛頭持っておりません。両極端はいけないと思います。やはり社会の常識の中で、社会的な責任を民主的に果たすべき道をこの際つくっていく必要があると思います。この改正案の中に直ちに修正案として織り込むことはむずかしいと思いまするが、具体的にこれを契機にして御検討いただくということの御発言がいただきたいと思います。
#177
○田中(伊)国務大臣 先ほど申し上げましたように、何ぶんにも民間企業のことでございます。そういうところからどうしても、民主的であることもちろんでございますが、特に官憲の力、さらに権力の力でこれを左右するということでなしに、自主的に理想の方向に導いていくように国会で法律の制定、改正を願いたいという気持ちを持っておるのでございますが、いま先生仰せのとおり、このたびはいわば中間的改正でございますので、理想の姿に至らない中間的な段階の改正では、これを十分に取り入れることができなかったのでありますけれども、今後におきましてはどうしても取締役会の組織運営ということと、いまのおことばの株主総会の組織運営というこの二点につきましては根本的な改正が必要になります。これを目ざしましていまのおことばをよく胸に入れまして改正の準備、検討をいたしてみたい、かように考えております。
#178
○塚本委員 強く希望を申し上げておきます。
 それから具体的な問題になりますが、昭和三十七年の改正の時点で追加設定されたと承っております特定引当金、この制度はどういう意図のもとに設定されたか御説明いただきたいと思います。
#179
○田邊説明員 御指摘の引き当て金は商法二百八十七条の二の規定の新設でございます。その改正前の商法は、もちろん引き当て金の規定を持っておりませんでしたが、会計の慣行として、いわゆる負債性引当金というものが企業によって設定されております。商法改正の論議におきましては、まず負債性引当金はどういうものであるかという議論から始まりまして、結論といたしまして、商法は一般に行なわれている負債性引当金のうち多くは債務である。法律上は債務であって、商法上は必ず計上しなくてはならないものである。しかし必ず計上しなければならない債務以外のいわゆる負債性引当金というものもある。つまり企業が将来の支出とか損失を予測して、あらかじめその準備をする意味の引き当て金、これを具体的な例で申し上げますと、いわゆる退職給与引き当て金というものがその適例であろうかと思います。この引き当て金には二種類あると私どもは考えております。その一種は商法上の債務であるもの、これはその企業が当該従業員と労働協約に基づいて、退職の暁には会社が退職金を支給するという約束をしているもの、これは企業にとってはあらかじめの債務でありますから、商法上は必ず計上しなければいけない。ところが一般界では、まだ改正当時におきましては労働協約を持たない中小企業の労働者、これらの人に対する退職給与の支払いというものは経営者のいわば恩恵的なものである。しかし約束はしておりませんけれども、これを排除するということはありません。つまりその経営者が、自分は労働者と約束していないけれども、おまえがやめたときにはこれこれの引き当て金に準備しているようなものを払うんだといっている場合には、それは商法上は引き当て金として認めよう。その認め方が商法の条文に出ましたように、設定が任意であるという規定になったわけでございます。したがって、商法が考えております引き当て金と申しますのは、いわゆる必ず計上しなければならない債務たる引き当て金ではなしに、企業が負債性引当金と考えるものを含めた、いわば広い意味の引き当て金というものを、しかも任意に計上を認める。ただ、その計上する場所はやはり負債の部に記載させて、その目的を明らかにさせると同時に、これを取りくずして使うときには、予定した目的以外に、退職給与以外のものに使うという場合には、これを損益計算書で明らかにして株主に示す、そういう制度をつくったわけでございます。
#180
○塚本委員 いい制度でありますけれども、悪用しようと思うとこれまた粉飾決算の逃げ道にもなってきたり、あるいはまた経営者に対してルーズな経営を許すような道を開いてしまう。おっしゃったように、われわれ革新政党の立場からまいりますと、退職金と言われればぐうの音も出ない。それならこの一つの例だけではなしに、もっと悪い例で、こういう点は注意しなければならぬということを御説明いただいたらどうでしょう。
#181
○田邊説明員 商法は二百八十七条ノ二にその要件を定めております。将来の損失、支出に備えて引き当て金を設けるときはという要件を書いておるわけですが、悪いものがないかという御指摘ですけれども、現在までにいわゆる会計の実際界において論議されております問題は、負債性引当金というものは当然認められる、しかし利益性の引当金というものがあるではないか。たとえば十年も二十年も先の記念事業というものを予定して、その経費に引き当てるというふうなものは、名前は引き当て金でありますけれども、それは準備金的なものではないのか、つまり利益を控除しているという意味のものではないのかという問題があるわけであります。もちろん商法はこれを無批判に受け入れているわけではないので、商法で考えている将来に支出や損失が起こる蓋然性というものが経営者の合理的な判断で推測できるものに限る、そういうものを設定していっていい、こういっているわけであります。
 そこで問題は、商法は株式会社に関して、これを取り巻く、つまり企業を取り巻く二つの集団の利害を調整しようといたします。一つは言うまでもなく企業の持ち主である株主でございます。この人たちは自己の投じた資本が有効に運用されて利潤をあげ、その利潤の分け前を取ろうとする立場にある。もう一つの立場が債権者という人々でございます。この債権者の中には、企業との雇用契約に基づく労働者を含めて、一般の契約取引に参加している債権者一般を含みます。ところが、この二つの集団の考え方はそれぞれ相矛盾するわけでございまして、株主側はいま申し上げたようにできるだけ配当という形で利益を分けろと申します。債権者の側は、会社があげた利益はできるだけ会社の外に出ないように温存させて、自分の取引の担保にしようという考えでございます。
 そこでいま例にあげました引き当て金の問題が、その両方の利害を調整するために商法上どう規制すべきかという問題になるわけでございます。商法上は引き当て金を法令の要件にかなっておる場合に計上いたしまして、これを貸借対照表に明らかにし、そしてまず株主にその当否を判断させるというたてまえに立っております。つまり先生が最初に御質問になった、総会がそのような利益を留保するということを認めるのであれば、その決算は有効に承認される。しかし株主から、いやそれは利益性のものであるからおれたちに配れというのであれば、それを承認しないで株主配当に回すということを商法は予定しておるわけでございます。
#182
○塚本委員 そういうあいまいなことが出てくるものだから、結局取締役会の出したものをスムーズにいかせるために、議長と言って発言するやつを異議なし、異議なしと言って封ずるようなそういう者が必要になってしまうのじゃございませんか。退職金は認めていきましょう、あるいはまたそういう記念事業があるなら十年、二十年とか一区切りのときにはいわゆる利益に対する何%までは認めていきましょうとすきっとしておいて、そういう総会屋の助けを借りなくても当然のごとくいちゃもんをつけられないようにきちっとしておいたらどうでしょう。そういう考えは間違いですか。
#183
○田邊説明員 おっしゃるとおりでございますが、法律上の要件といたしましては税法のように利益の何%というふうなものを一律にきめるわけにはまいりません。それぞれの企業の実態に応じた額を合理的に判断して積めというたてまえでございます。ただ、総会がこれを審査するというたてまえにおいて、先生御指摘のとおり、現在の総会がこれで十分かという問題はあるわけであります。
#184
○塚本委員 退職金は初めから負債で置いておいてけっこうですと、きちっとしておけばいいことですし、記念事業等のごときものはマイナスになったり、もうかってないときには幾らでも延ばせばいいことなんでしょう。そういうものについては利益のどれだけ見るというふうに、実際上そんなわけにいかないと思うのですよ。もはや退職金のごときは人件費の一部とみなされておるでしょう。賞与も人件費の一部とみなされておるというふうな今日の労働情勢においては、それは利益との関係なしに――そうでなければ労務対策の確立もできません。だからそれは初めからまいらぬという理論でいいのです。だけれども、記念事業等のごときは、マイナスのときに、利益のないときに何%初めから計上して、それで利益を少なくして、株主に対する配当を少なくするなんということは、経営者としての資格を失うものだから、自由にもうかったときには大いに次への利益のために載せていいものでございます、しかしもうからぬときにはそれは不当だ、だから項目じゃなくて、利益との見合いにおいて許されてしかるべきものもあればあるいは許されないものもあるのです。だからそういうものは別の方面できちっとやっていかないと、ごっちゃにして、そして説明のときだけわれわれに文句のつけられないような退職引き当て金なんというようなことを言われると、結局その中で網にかぶせてしまいますから、どこかから発言があるといけないということで、出したものが承認されないときには役員に対する威信も失墜をするでしょうというようなことから、無理にそういう総会屋に依存せざるを得ない、こういうふうなみずから墓穴を掘るような道を開いておるのです。その点はっきりなさったらどうでしょうか。
#185
○田邊説明員 御指摘は、商法の引き当て金の規定がゆるやかに運用されておるのではないか、こういう点だろうと思います。法律上の解釈としては、一定の要件を定めてありますので、それに適合しない引き当て金をあげる場合は、その決算は適法ではないということになります。そこで、今回の改正によりまして、先ほど来大臣が答えますように、監査役が、その決算案を作成する取締役会をはじめとして、日常の業務監査権の行使によってそのような不適法な決算を行なうことを阻止しよう、そういう働きをいたしますと同時に、世間の耳目を引く資本金五億円以上というふうな大企業につきましては、専門の公認会計士の参加を得て、しかも現行の証券取引法とは異なって、株主総会の承認前に専門の会計士の監査を受けることといたしました。これらの改正案が相まって御指摘のような不合理な点というものは改善されるというふうに私どもは考えております。
#186
○塚本委員 わざわざ三十七年にゆるめておいて、それをそのままにしておいて、一方で会計監査をあれするよりもそれを削除せよという声が一方においては強いのですよ。だからこれを削除しておいて、そして残すべきものを明確に規定においてそれをしておいてから、さらにと、こういうふうにくるのがほんとうじゃございませんか。考え方としてかえってゆるめてしまってそういう粉飾への疑わしき道をあけておきながら、一方においてはいわゆる監査をきびしくする制度を設けておるということは、どうも別の意図があると疑われてもしかたがないと思うのです。いかがでしょう。
#187
○田邊説明員 商法の引き当て金の条項についての修正議論というのは、御指摘のように今回の改正で出たわけでございます。しかし、私どもの判断ではこれを改正するという理由は現在ない。ただ運用において商法が予定したことと違う、つまり利益の粉飾というふうなことに使われている余地はあり得る。これを是正すれば現行商法が考えている引き当て金というものの本質は、商法の目的に照らして合理的なものとして運用されるだろうという判断をしたわけでございます。
#188
○塚本委員 実は納得いきかねます。しかし、このことだけにこだわっておりますと、またなかなか時間がこれだけで過ぎてしまいますから、次に進みます。
 いままで粉飾決算によってたいへん社会的問題が起こったということで御苦心なさったと思うのですが、こういう点が粉飾決算の一番問題でございますという点を一、二、ひとつ専門家の立場からあげてみていただけませんか。
#189
○白鳥説明員 粉飾決算が特に問題になってまいりましたのは昭和三十九年、四十年ごろ、御承知のとおりいろいろ問題が起こってきたわけでございますが、こういうように企業の粉飾が盛んに行なわれるという背景にはいろいろ問題があったわけでございますが、従来、特に昭和三十年代までは、会社というものは安定した利益を公表して、安定した配当を行なう、これが最良の経営である、こういう考え方でございまして、そのために若干の粉飾を行なうのはこれは必要悪なんだ、こういったような認識がございました。そういった経営者の経理に対する認識が低かったという点が一つと、また会社の体質と申しますか、その会社の内部において経理の担当者というか経理部というものの地位が非常に低うございまして、特殊技術者の集まり、一般の経営とは別の単なる技術者なんだという認識がございまして、そういったような風潮が一つの粉飾を誘発する原因にもなっている。さらには公認会計士が会社に対して指導的な機能を発揮するような情勢が整っていなかった。こういったような情勢もございまして、昭和三十九、四十年ごろ非常に粉飾が盛んに起こったわけでございます。さらに具体的に申しますと、やはり企業としましては、配当や株価を維持して株主の信用を得るとか、金融機関の信用を維持して資金取得を容易にするとか、あるいは取引先の信用を維持して取引関係を円滑にする、また利益減少による経営者の責任追及を避ける、こういった動機から粉飾決算を行なうわけでございます。そこにはまた、企業の間で同業者間の過当競争といったこともこれに拍車をかけていた、こういったような状態が従来はあったのではないかと存じます。
#190
○塚本委員 だからそういう意味では、監査を厳重にするということとともに、しかしながら監査の基準は弱めておるという声があるのです。私は専門家じゃないからこの点はぴしっと申し上げるわけにいきませんけれども、しかし、世間では一方において監査をきびしくする、きびしくするよう監査の手を広げておるけれども、しかし基準はゆるめるというような形になっておるのじゃないかという声があるが、どう答えられますか。
#191
○田邊説明員 御指摘の点は、いままでに当委員会でいろいろ出てまいった企業会計原則の修正にまつわる問題と思います。その最も大きい問題は継続性の原則を修正したのではないか、それから先ほど御指摘の引き当て金の規定がゆるやかになったのではないか、こういう点だろうと思います。商法のほうから申しますと、継続性の原則と申しますのは、私もしろうとでございますが、実は会計における絶対的な真実をつかむ方法というのが確立したものがないということに原因しているように思います。常に問題にされる定率法とか定額法とか申しますものも、実は二つの適法な手段を認めておる、そこに問題があろうかと思います。理想から申しますと、減価償却でございますから、ある一定の資産がそれぞれの資産に応じて、何年で命脈が尽きて、しかも命脈が尽きたときの価額が幾らでというようなことが価額的に明らかになりますものでありますれば、つまりそれを算定できる基準が一つありますれば、それに従って会計の処理はできるはずです。ところが会計上の問題としては、定率法といい定額法といい、現在の価額のもとにおいては、いずれも会計の真実を探る手段として適法なものである、こういうたてまえをとります以上は、企業によっては認められている二つの手段を選択して認められる、選択して使ってよろしい、ここに問題があるので、商法の立場からは、二つとも認められている限りは企業の判断で、その企業の実態に応じた方法を使いなさい、しかし一たん使ったものでも、同種同業の他の企業が別の方法を使っているためにあまりにも格差があるというのであればこれを変更することもやむを得ない、しかし変更したときには計算書類の上で株主、債権者等に、いままではこういう尺度を使って計算したが、今期はこの尺度を変えた、変えた結果こういう変化がありますということを注意するようにという趣旨で、ことばの上で商法はそれを継続性の原則といえばそういうものを考えているわけであります。今回の修正は、会計原則におきましても、従前どおり継続性の原則というものを貫かなければ、先ほどの尺度を自由自在に毎年変えるというような方法をとられれば、これはほんとうの利益の比較がむずかしくなる。したがってこれをみだりに変更してはならないという原則を貫き、そして、いままでありました、正当の理由によってこれを変更するという文言を削ったわけであります。つまり正当の理由というものの中身がいままで確立していない。個々の事例を見てみますと、企業は、わが社の経営方針の変更により、あるいは企業の体質改善によりというふうないろいろな理由をつけてまいりました。しかし監査をする側からそれに立ち向かって、それは正当の理由でないというだけの論理を提出することが非常にむずかしい。そういう文言があることによって企業と監査の間でトラブルが起こり過ぎているというふうな問題もありましたために、原則はみだりにこれを変更してはならない、ただし変更した場合は、商法もいっておりますように、その変更した事柄を明らかにして、変更前の計算と変更したあとの計算でこれだけの金額的な違いがございます、こういうことを計算書類に明らかにするということによって、投資家を保護しよう、債権者の期待にこたえよう、こういう修正をやったわけでございます。これを見ようによっては会計原則が後退したと称する方もありますが、商法上は後退したわけではなくて、商法がいままで考えているとおりの内容をより明確にしたんだ、より株主に周知徹底するように改めた、こう考えております。
#192
○塚本委員 法務省という役所の中では、改めるなら一緒に、いわゆる右行きも左行きも一緒に直したいという気持ちはわかるのです。しかしこの二つを考えてみるときに、片一方においては監査の手をきびしく、基準はゆるやかにということは避けられないと思うのですね。そうすると、何がためにこんなものを出してきたのか、これは別の意図があったんだという、いわゆる探りを入れられても、これは言いわけができない、こういうふうな立場にいまあなたのほうは立っておると思うのです。だからもしそういうふうに同一業種の中で片っ方は定率、片っ方は定額の場合、いわゆる償却に対するたいへんな金額の差がある。私も参考にちょっと聞いてみたら、とり方によっては年間一千億から違う会社も出てくる。こんなに大きなことになるとするなら、これだけのものが――その会社がやったというわけじゃないのですよ。そういうことができる道を開くということは、あなたたちが片っ方においてきびしくしなければならぬと言っておって片っ方でこんな重大なことを一緒に出してくるものだから、いや、これは監査制度をきびしくして粉飾決算をなくするためだといっておるがそんなことはうそっぱちだ、別な目的があるんだよ、こういうことで業界対業界の中におけるいわゆる要らぬ対立や摩擦を起こしてしまうことになりはしないか。もしそれが今日までそのままきたとするなら、あなたのほうがそういう必要があるというならばもう一年ぐらい待って、この制度だけは切っておいて、そしてもうしばらく事態を静観するというふうにしたほうがすなおに受け取られはしませんか。一緒に出してきておるところに要らぬ、いわゆる腹のうちを探られるということになりはしませんか。
#193
○田邊説明員 御指摘の会計原則の修正と申しますものは、この商法改正一連の関係法案には関係ございません。ただ会計原則の修正は、公認会計士の監査を商法に導き入れるについて、商法監査と証券取引法の監査の基準に矛盾があってはならないということから、商法と会計原則の修正という作業が続けられました。商法側に対しては改正の要望がなされ、その分は御指摘のように改正案に盛ってございます。同時に会計原則自体も修正を要する部分を修正したというたてまえになっております。
 で、商法側は、おっしゃるような継続性の原則を変えたわけでもございません。はっきり申し上げると、商法は会計でいう継続性の原則というものを認めておりません。商法はそういうたてまえに相なっております。
#194
○塚本委員 どうも言いのがれのような気がいたしますね。私は、あらぬ疑いをかけられておるその根本的な問題は、せっかくここできつく取り締まるというにかかわらずそういう最も大きなところで逃げていくというようなことから、この法律の中でこのことが一緒にうたわれてくる中に大いに問題があるような気がするので、それならばこの際、証取法の中でもその点だけちょっと待ったらどうなんでしょうか。
#195
○白鳥説明員 企業会計原則は、今回の商法の改正に伴いまして、ただいま田邊参事官からも答弁がございましたように、商法で監査をすると同時に、証取法上の監査を従来から行なっております公認会計士の監査が商法の上にも取り込まれてくるということになりますと、商法と証取法の監査との間の基準に食い違いがありますと無用の混乱を起こす、こういうことのないように調整をはかると申しますか整理を行なったわけでございます。
 先ほど来お話の出ております継続性の原則であるとかあるいは特定引当金の取り扱いであるとか、こういう点が粉飾決算、特に逆粉飾を助長することになるのではないかという御指摘でございますが、継続性の原則につきましては、先ほど田邊参事官からも御説明がありましたように、企業会計原則として特にこの継続性をゆるめるというような趣旨ではございません。修正後の企業会計原則においてもこれは毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならないという精神が生きておるわけでございまして、「正当な理由によって」ということを削ったということから、これをゆるめたのではないかというような批判が一般になされておることは私も存じておりますけれども、継続性を重視するという精神は現在も変わっておりません。
 また、特定引当金につきましていろいろ議論がございます。これはまさに逆粉飾に利用されるという問題点をはらんでいる議論だと存じますが、特定引当金につきましては、従来企業会計原則におきましては、いわゆる評価性引当金、たとえば貸倒引当金であるとか減価償却引当金というようなものでございますが、こういうものとか、それから退職給与引き当て金なども例に出ておりますが、こういった負債性引当金、こういう種類のものは会計理論上引き当て金として認められておりますけれども、そのような負債性あるいは評価性という性格を持たない利益留保性の引き当て金につきましては、企業会計原則上は認めておりません。
 しかしながらこの点につきましては、商法の二百八十七条ノ二の規定との斉合性を保つために、引き当て金そのものの存続を否認するということはいたしません。しかしながらこれが逆粉飾に利用されることのないように、特定引当金の残高については、貸借対照表の負債の部に流動負債でもなく固定負債でもなく、別個の、特定引当金という個別の項目をあげてこれを区分して計上させる。また損益計算書には、特定引当金の繰り入れ額とか取りくずし額につきましては、これを経常のといいますか、当期の純利益には影響させないで、この損益計算書を新しい修正案では四つに区分しております。
 第一が営業損益計算、これは通常の営業活動からくる売り上げだとか仕入れから出てくる損益でございます。第二は経常損益計算、これは営業外の収益でございます。ここまでが従来の企業会計原則における当期業績主義による当期利益を出す欄でございますが、そのあとに純損益計算という項目を設けまして、ここに臨時の取引による臨時の損益であるとか、通常の取引と関係のない臨時の損益項目とか、前期の損益の修正額、こういったものを入れまして、そのしりに当期純利益というものが出てくるわけでございまして、そこにはまだ特定引当金は関係してきておりません。したがいまして、この第三欄のしりである当期純利益というところを見ますと、その企業の実態がはっきりと出てまいります。特定引当金によってこれを左右することはできないことになっております。そして最後の第四欄で、この特定引当金の繰り入れ額とか取りくずし額を合計いたしまして、最終的な未処分損益という計算を行なう、こういう形にしておりますので、特定引当金を全く利益処分でやれということが一番望ましいかとは存じますけれども、そういたしませんでも特定引当金というものの出し入れあるいはその残高というものが財務諸表に明確に表示されることになりまして、粉飾決算を行なう余地を一掃しているわけでございます。
#196
○塚本委員 事務的な立場からはわかるんです。あなたたちがこうだ、こうだとしっぽのほうで逃げ道はある程度イバラの道にして簡単には逃げられぬようにしてあることはわかる。わかるけれども、門を開いたということ、逃げ道だけは谷があり山があるから簡単には逃げられないということだけれども、締まっちゃっているものをあけたんだからだめなんです。それじゃなぜ正当性の理由というものを削ったのだ。そこだけぴたっと締めたあとなんだから、イバラの道や谷などつくらなくたっていいはずなんですよ。
 だからそういう意味でバランスをとるということは私はわかるんですよ。それならこの際強化しようとするときに一方だけ逃がしなさんな。どうしてもそうしたかったならこれはあとの機会にしないと、片っ方で強化しておいて基準だけゆるめるというような形にするから、何をやってるのかわからぬ、別の意図があるんじゃないかというふうに疑われるのですよ。そういうことから各職域においてそういう意見が出てくるのです。
 だからあなたたちが一方に片寄ったり、別の意図を持っているとは私は思っておりません。もう事務的に統一したいんだということはわかるんですよ。ところがそのときに一緒くたに持ってくるもんだから、たとえば酔っぱらいとかスピード違反も、取り締まりをやらずにおいて違反がなかったなんて言ったってだめだ、こういうふうな引例まで出てくるわけなんですよ。だから取り締まりをゆるくしておいて違反がなかったといったってだめだ、こういうふうな表現が聞こえてくる。事ほどさように、この問題については私は別の意図があったとは思いませんけれども、しかしプラスとマイナスを一緒に持ってきておるところにあらぬ批判が出てくるというふうに私どもは思うわけです。その点をもう一ぺん考慮していただきたいというふうに思っております。
 さて、たとえば一番問題になりました山陽特殊鋼なんかの例を見ると、大蔵省の証券局には黒字決算が出ている。ところが国税庁のほうには赤字の決算が出ている。同じ大蔵省関係であっても、しかも一回だけじゃない、片一方は黒字の決算だが、片一方は赤字の決算だというような状態が何年も続いてきたというようなばかなことがあるか。あれほどみみっちい、あれほどまでどけちな大蔵省が平気で済ましておったということは、私は世間の笑われものだと思うのですよ。理由はありますよ。とにかく税に対しては公開できないのだけれども、しかし赤字が出ているが、だいじょうぶかというくらい、国税庁が受け取ってみて何年も続いておったら、証券局に対してそれぐらいのことは問い合わせてみるだけの努力があって――何も公開する必要はない。あれはあぶないぞと言う必要はない。だけれども大蔵省の中におったらそれくらいのことがなぜ統一できなかったのか。こういう根本的な役所の中をいわゆるえりを正さずして法律だけでやろうとしてもそれは無理だというふうに思うが、どうでしょう。
#197
○白鳥説明員 まことにごもっともな御指摘だと存じます。従来確かに納税申告書と有価証券報告書あるいは届け出書と、その間の所管が違っていたということと、さらに税務につきましては公務上の秘密の守秘義務というような点もございまして連携が保たれていなかったという点はおっしゃるとおりでございます。そこで昭和三十九年、四十年、いま例をおあげになりました山陽特殊鋼の事件を契機といたしまして、やはりこれは納税申告書を取り寄せて、それによって有価証券の報告書あるいは届け出書の審査も行なうべきであるという考え方に立ちまして、四十年九月以降は有価証券取引法上の審査におきましては企業の納税申告書を参考として、これと対比しながら審査を進めるというふうに改善しております。
#198
○塚本委員 それから専門的な形になりますけれども、監査にあたって監査法人の社員が当該会社の監査に従事しておらないということの理由をもって税務を扱うことができるというふうなこと、これも職域の中の争いになっておること、御承知のとおりだと思うのですね。しかしこれはどうでしょうか。私は実際確たることはわかりませんけれども、公認会計士さんの立場では、そんなことはしていません、できることになっておってもやった例はないんだという声が多いようですけれども、実態はどうなんですか。
#199
○白鳥説明員 これは監査法人の中の一社員が税理士業務を行なう場合に、監査法人の業務制限規定にひっかかるかどうかという問題でございます。現在、監査証明省令におきましては、監査法人のうちの半数以上の者が個人の場合には、税務を行なっておりますと、これは継続的な報酬を得ているということで業務制限の条項に該当するわけでございますが、監査法人の場合には半数以上の者が何らかの業務制限条項に該当する場合、ここには税務もございますし、そのほかその会社の社員である場合とか、会社に債権債務を持っている場合とか、いろいろ制限条項がございますが、その制限条項にひっかかる者が半数以上いる場合には監査法人としてその当該会社の監査業務を営むことはできないという規定になっておるわけでございます。ただ監査法人がそういうことで半数以下の場合、監査はできますけれども、その場合にもその業務制限条項にひっかかる社員は自分では監査に直接関与できない、こういう規定になっておるわけでございます。この考え方の趣旨は、個人の場合にはやはり会社から継続的に報酬をもらっているということで会社との間に利害関係があるということで直ちに業務制限の条項にひっかかるわけですけれども、監査法人の場合には、監査法人としての意思を決定するのはやはり論理的に考えますと過半数というのが一番合理的な基準と考えられるわけでございます。したがいまして過半数の者の意見が監査法人の意見として監査の意見を表明する場合にも、過半数の意見がそこに反映されてくるという考え方からしますと、一人、二人少数の者が業務制限条項にひっかかっておりましても、そういう人は直接その監査には関与しない、それ以外の大多数の人の中から適当な人が監査に携わる、その結果を持ち帰って監査法人の内部で検討を加えて監査法人としての監査意見を形成する、こういうことになりますと、少数の者が利害関係がありましても、監査法人の監査……
#200
○塚本委員 それはわかっておるんだ。そういう事例がたくさんあるかどうか、どんな程度あるかということをちょっと聞いている。
#201
○白鳥説明員 公認会計士協会におきましては内部に倫理規定がございまして、監査法人の場合にも業務制限にかかるような疑いを持たれるような行為は慎むようにという通達を行なっておりまして、実際はほとんど例がないというふうに聞いております。
#202
○塚本委員 何がために監査法人という法人をこしらえたのか。法律的にいえば公認会計士ならば単独でできるはずなんです。にもかかわらず監査法人という法人をこしらえて、できるだけ法人としていわゆる監査をしなさいという大蔵省の指導は何を目的にしておやりになったのですか。
#203
○白鳥説明員 最近におきまして企業の規模が非常に大規模になってきております。また経営内容も非常に複雑多岐にわたっておりまして、そういう複雑かつ大規模な企業の監査を行なうためには、単独の公認会計士で行なうよりも、複数の公認会計士によって組織的な監査を行なったほうが非常に効果的な監査が行なわれるのではないかという点が第一点。さらに、大規模な企業に対して独立性を維持して独立性のある監査を行なうためには、監査人の側においても組織的な監査を行なっていくことによって独立性が維持できるのではないか。こういう二点が基本的な目的となって公認会計士の組織化を進めているわけでございます。
#204
○塚本委員 なぜそれでは法人にしなければならないのですか。わざわざそれなら法人にしなくたっていいでしょう、そのくらいのことだったら。いわゆる共同連帯責任を強化することがなければ――できるだけ法人の中から監査を頼めというふうな指導をあなたたちがするのは、法人にして連帯責任を強くするということの責任性をはっきりするためじゃありませんか。
#205
○白鳥説明員 おっしゃるとおりでございまして、単純なる共同監査方式というものも従来から進められてきておりましたが、これでは十分に監査法人の間の連絡の緊密性が保てないということで監査法人につきましては合名会社に準じた連帯責任を持たせるということによりまして組織的監査を充実させるということにしたわけでございます。
#206
○塚本委員 ならば、その同一法人の中からいわゆる片方は監査で片方は税務関係というような形は事実上はほとんど希有に属するということでけっこうです。それは公認会計士さんの良識だとわれわれはたたえておきましょう。だったら、こんな道はつくって置かずにおいたほうがいいじゃありませんか。世にいわれるように、監査は取締役会から任命されるという意味ではそれは信用できないということを先ほど私は論じましたけれども、あなたたちがそれほどに公認会計士の監査をこれから強化しようとなさればなさるほど、疑われるべきいわゆる税務のほうの仕事なんかができるような道は閉ざしておいたほうがいいんじゃありませんか。それはなぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、公認会計士さんのほうはおそらく税務というようなことを希望はなさらぬだろうと思うのです。やはりそういうややこしい仕事は専門家の税理士さんにおまかせしましょうという気持ちが多いから、自発的にはおやりにならぬだろうと私は想定いたします。にもかかわらず、企業の立場になるとこれはまた別なんですよね。そうは思っても、公認会計士さんを頼むとすれば、一緒にできるとするならばあなたのほうはもうお断わり、こうなると思うのですよ、二重にそういう肩書きのある人たちを雇う必要はないということで。現に上場になると自動的にお断わりされてしまうということで、税理士さんのほうでは残念がっております。このことは公認会計士さんを責めるのではなくて、こういう道を残しておくからかえって公認会計士さんのほうも、こんなものは迷惑でございます、私たちはあえて税理士さんの職域を侵そうといたしませんとおっしゃるなら、これはいさぎよく整理しておいたほうがいいのと違いますか。
#207
○白鳥説明員 監査法人の間に連帯責任があるということによりまして、一人でも会社との間に利害関係があるという場合に、この利害関係を業務制限の対象にしておりますのは、言うまでもなく会社との間に債権債務があるとか、あるいは継続的な報酬を受けているとか、こういった関係がございますととかく監査に手心を加えるというようなことがあるのではないか、そういうことのないように独立性を保つようにということで、この利害関係を業務監査の制限の条項にしているわけでございます。一人でもそういう利害関係に該当する人がいた場合に、ほかの公認会計士がそれに引きずられて監査の手をゆるめるというようなことは、監査法人の社員全体が連帯責任を持っている限り、もしそういう手心を加えて不適正な監査を行なった場合には全員が民事責任を負うことになるわけでございます。そういうことを考えますと、むしろそういう手心を加えるということを防止する効果を持っているのじゃなかろうか。もちろんその利害関係のある公認会計士自身が監査することは排除されております。これがもし一人でもそういう利害関係に該当する者がいた場合に、監査法人全体としてその監査ができないということになりますと、今後監査法人を、いま申しましたような理由から組織的監査をますます育てていかなければならないという私どもの方針に反して、監査法人自身が非常に業務がしにくくなる。特に監査法人の社員が百人、二百人というふうにふえてまいりますと、その中に一人でも業務制限条項に該当するような者がいた場合にはその百人の監査法人はだれもできない、こういうようなことになりますと、監査法人の制限事由が個人の場合に比べて不当にきつくなってしまうという弊害がございますので、ここで過半数というのが合理的な線ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#208
○塚本委員 けれども、現実には例がないというふうにおっしゃったのだから、そしてますます監査を強化するというときに、別に税理士さんが粉飾決算をやるにない手だと申し上げているわけではないのですけれども、しかし言ってみるならば税理士さんの場合は企業弁護の立場に立たなければならぬ使命を負っているんでしょうし、そしてまた公認会計士さんの監査のほうは検事的な使命を負っていただかなければならぬでしょうし、これはやはり言ってみれば一致しないものじゃありませんか。検事さんと弁護士さんとが一つの法人をつくって両方出かけていくような形になってしまう。その点はお互いに、公認会計士さんも税理士さんも高い教養と国家試験をお通りになっておられる方だから、その双方がそうすることは断じてないと私は思います。にもかかわらず、雇うほうの企業側にするなら、こんな便利なものはないと思うのですね。そういう道を残しておいて、こういうりっぱな資格をおとりになった両職域の皆さま方にいやな思いをさせたり、あるいはまただれが見ても理論上おかしいような、そういう道は閉ざしておいたほうがいい。というのは、御承知のとおり人間関係というのが特に日本の企業の中においては重んじられるのです。またそれが一面においては必要なんです。そのときに、片一方は監査していただくところ、片一方は税務をやっていただくところという道を設けておくと、やはりそういう企業の立場になると、ついでにやっておいたほうがいいのだとついついくちばしをいれてそこにお願いする。だから、税理士さん御無礼というような形――公認会計士さんはそう意図せられぬでも、おのずからそういうふうになっていく傾向がある。だからこそ税理士さんの立場になりますと、せっかく中小企業を初めから――いま税務会計だけじゃないのですね。企業経営の指導まで御苦心なさったり、実は金融まで御努力なさっている。そして出世すると、ある一定の資本金になるとお払い箱というふうな形になるとするならば、数は少ないかもしれないけれども、ここはやはり職域の問題として税理士会の皆さま方にしたら問題だと思うし、その点は理論的におかしくありませんか。
#209
○白鳥説明員 税理士会の方々がこの商法改正によって現在の証券取引法以外の分野に公認会計士の監査が動入されてくることによって職域を脅かされるのではないかということでたいへん心配しておられるということは、よく承っております。そういう問題もございまして、実はこの問題は、おことばを返すのはちょっとはばかるのでございますけれども、この税理士の立場というものが企業の代理者である、弁護士と同じような立場であるというおことばでございますが、私は税理士を担当している主税局とは違いますので責任のあることは申し上げられませんけれども、主税局で考えております考え方としましても、税理士はやはり公認会計士と同じように社会正義の観点から中正な立場で税務のお手伝いをするのだ、こういうふうに聞いております。そういう問題はございます。
 また、諸外国においては公認会計士業務と税務業務とは一人の人間がやっている場合が多うございまして、諸外国の公認会計士の規則とかあるいは商法とかそれぞれの規則を見てまいりますと、税務と監査業務とを一緒にやってはいけないというような規定をしている実例は見当たらないのでございます。ただ日本の場合には、たまたま公認会計士という職域と税理士という職域とが二つにはっきり区分しております。こういうこともございまして、やはり税務と公認会計士業務とは別の体系から考えなければいけないということで、税務を行なうということも、継続的な報酬を得ているという考え方から、公認会計士の業務制限条項の中に取り入れてきておるわけでございます。しかしながら、従来からいろいろ税理士会の方々の御心配もありましたので、そういう心配がないようにということで、商法に公認会計士監査を取り入れ、限度を五億円まで引き上げて、ほとんど影響がないというようなところまで税理士の皆さん方の御心配を緩和するような措置をとって、この商法改正案の審議をお願いしておるというような実情にあるわけでございます。
#210
○塚本委員 法務大臣、お聞きいただいておって、私も害が少ないということは認めておるのです。しかし理論的に考えて、これは公認会計士さんの立場あるいは税理士さんの立場から考えても、それは公認会計士さんの立場になれば、税務というようなことは税理士におまかせして、それがために食い込もうとはいささかも思っておりませんというふうにおっしゃる紳士的な気持ちは私も了としたい。それは許されても、そこまでこまかいことには手を出さないということを言っていただければそれはけっこうなことだと思うのです。税理士さんのほうはそれが自分たちの職域のすべてですから、これを確保したいという気持ちはわかります。だから両方は、さっきから申し上げているようにそうけんかはないのですよ。これはおそらく両職域においては、ときには対立をしたとしても、話し合いもできることだと思うのです。しかし、頼むほうが問題なんですよ。その頼むほうが、いわばいわゆる検事さんと弁護士さんが一緒の会社でやっておられるということならば、人情の常としてこういうふうな形に頼みやすくなってしまって、お互いに意図しないような形にいく危険性があるし、また理論的にもこれはおかしいので、やはりいわゆる会計の監査は監査という厳然たる国家的使命にのっとって、公認会計士さんの使命と、税理士さんは税務ということと、もう分野は明らかなんだから、この点をごっちゃにしないようにしておいていただくほうが、大臣、直接の事務担当じゃないけれども、お考えいただいて、そのほうがすなおでいいし、また、そうでなくとも人間関係が大切だといわれるいわゆる企業会社の立場から見たときに、すきっとしていくほうがいいというふうに私考えるのですが、どうでしょう大臣、どう考えるのでしょう。
#211
○田中(伊)国務大臣 直接の所管事項でございませんので、私の見解を申し上げにくいのでございます。しかし、この商法改正法律案を提出いたしまして御審議を願いまして以来、多くの議員の皆さんの発言の中に、いま先生御心配のような御質疑が何度も出てまいりました。それは、いかにこの問題が深刻な問題かということを物語っておる。この問題を一口に申し上げますと、大蔵省所管の公認会計士法、それから同じく大蔵省の御所管の税理士法、この両法律上の業務上の権限をいかに調整するかという問題にかかっておる。これは理想のことから申します、調整をせなければならぬものと私は思うものでございます。法律にたいへんに詳細な規定があるわけでございますが、その規定によって利害関係ありと認められるものが半分以上おる場合においては、一方はこうだというこの規定でございます、この規定を適当に調整するということ、私はこれ不可能でない。私が大蔵大臣に直接会いまして、これは調整するがよろしいぞという話も、ひとつ私の見解は側面から言った、調整の道はございます。双方誠意をもっていたしますならば、自分の位置ということにこだわらないで、自分の位置という係数を、その率をどうするかということで調整の道があるものではなかろうか。これはこの機会にやはり調整したほうがよい、こういうふうに私は思うのでございます。
 それから、もう一つの問題は、複数のA、B、C、D、Eというふうに、五人なら五人で監査法人ができ上がっておりまする場合に、そのうちの三名なら三名、二名なら二名が指定を受けておる。指定を受けたものは責任があって監査の事務に従事するわけであります。同じ構成員でも、指定の受けない、A、Bが指定を受けておればCDEFという四人の者は指定を受けなければ、監査法人は構成しておるけれども、これは税務の仕事をしてよいんだ、こういう形になっておるわけです。この問題も調整の余地はある。またこれ調整せなければならぬ。誠意をもって、その所管省が中心となって、私たちも所見を申し上げまして、これは調整をしてもらわなければならぬ。それから税理士の諸君も公認会計士の諸君も、この調整にはやはりえりを正してお考えを願わなければならぬ、こういう機会に調整の道に考えを持ち直すべきものである、こういうふうに考えますので、ここで単に答弁をいたしますだけでなしに、これはぜひ調整の努力をしようじゃないか、できる、できぬは別でございます、その努力をしようではないかということを両大臣の間でひとつ話し合いもしてみたい、こう考えるのでございます。
#212
○塚本委員 ごりっぱな御答弁、ありがとうございました。ぜひひとつそのように、この点は野党だけじゃない、与党の先生方もやはり相当に突っ込んで職域の問題で御相談になっておいでになると信じております。したがって、可能だというお答えでございますが、これただの一人といま大蔵省はおっしゃったけれども、こちらの法人がこちらの監査に行く、こちらの法人がこちらの監査に行く、しかし税理だけはこちらがこちらに行くと、ゼロだってだめなんですよ。というのは、この問題は何度も申し上げるように、私は公認会計士さんや税理士さんの態度は疑っていないのです。にもかかわらず、実は企業家というのは、まさにユダヤ人に一けた上回ったすばらしい能力を持っておると総合商社などに表現されておりますように、日本の経済人というのは法の抜け道は一〇〇%利用して、ついに国家あるいは政府の意図することと違った方向に、抜け道さえあればどんな道でもくぐり抜けて利用してしまって、まさにわれわれがここで論じたことが逆利用されてしまうというふうな形で、逆に紛争の種をまき散らしたり、あるいは社会的に信用を失墜するような形になることを憂えております。したがって、ぜひこのことは、両大臣の中で御努力いただくことをお願い申し上げたいと思って、私、この問題だけは一応留保させておいていただきます。
 それから今度の改正によりまして、二百七十四条ノ三の関係で、親会社が子会社に対して営業の報告を求めることができる、こういうふうになるわけでございますが、この点実は報告を求めることに対しては節度というものが必要だ。いままでのところ、親会社が株を取得する場合には、ほとんど金融機関を通じて、銀行屋が実は子会社に対する支配権というものを思うままにしておりました。それは金融の関係の場合は、子会社が有能な経営者の場合は、いわゆる干渉されずに済んだわけでございます。しかし今度は直接に干渉する道を開いてしまったというふうに心配されますが、この点どうでしょう。
#213
○川島政府委員 改正案の二百七十四条ノ三、子会社調査権の規定でございますが、これは規定の趣旨はあくまでも親会社自身の業務の適正かどうかを判断するために、その限度で子会社に関係する部分を調査するというのでございまして、子会社自身の業務を監査する、そういう趣旨ではないわけでございます。したがいまして、子会社に対し干渉するというような趣旨は毛頭含まれていないわけでございます。
#214
○塚本委員 そんなことわかっておりますけれども、どこにそのことのけじめをつけてあるのですか、それだけの規定しかないでしょう。そんなものは、いろいろなところから、どこからでもそういう理屈はつけられるじゃあませんか。その節度をきちっとしておかなければいかぬというふうに心配するんですが、どうでしょう。
#215
○川島政府委員 第二百七十四条ノ三の第一項で、これこれの会社の監査役、これは親会社の監査役でございますが、「監査役ハ其ノ職務ヲ行フ為必要アルトキハ」云々とございます。親会社の監査役は、親会社の業務の監査をするというのがその職務でございます。したがって「其ノ職務ヲ行フ為必要アルトキ」というのは、親会社自身の業務を監査するために必要があるとき、こういう意味になるわけでございます。その場合に初めて子会社に対して営業の報告を求める、こういうことになるわけでございます。
#216
○塚本委員 何がためにそういうふうなことをするのですか。
#217
○川島政府委員 ただいま申し上げましたように、親会社の業務の監査を行なうためでございます。
#218
○塚本委員 どうしてそんなことが必要あるのですか。子会社は関係ないじゃありませんか、別の会社ですから。
#219
○川島政府委員 これはたとえば粉飾決算などの場合におきまして最も事例が多いといわれておりますのは、親会社が子会社を利用して自分のところの決算に粉飾を加えるという事例があるわけでございます。その粉飾を見破るためには子会社がはたして親会社の計算書類のとおりの経理関係にあるかどうか、たとえば債権債務が子会社に対してあるという形になっておりましても、子会社のほうを調べてみないと実際にそのような債権債務があるかどうかわからぬ、こういう場合があるわけでございます。そういった点をさらによく調べるために子会社に対してその点の報告を求める、こういうことでございます。
#220
○田邊説明員 この立法の目的は、実はいままで会社の不正経理、不正な業務運営というものに子会社がずいぶん利用されてきた。具体的に申しますと親会社が大いにもうかったと称しておりまして、売り上げがどんどん伸びている。ところが子会社に製品を回して、子会社に行ってみますと過去一年の売り渡した製品なるものが山積みされているというような事例、これを俗に押し込み販売と申しております。その場合に親会社の監査役が、売り上げが伸びているというが子会社に売っているのではないか、ほんとうに子会社がそれを買って、本来の目的に従って独立の子会社が売ったんだろうかという点を調べない限りは親会社の決算の経理の適否が決しがたい。そこで子会社にほんとうにこのような製品を買ったのか、さらにこれをどういう価格でいつ売っているかというふうなことをまず照会させる。しかし子会社が親会社と結託してしまって答えをしてくれないというときには、初めてその答えを求めた事項に限定して監査役なりあるいは公認会計士が調べに行くという制度でございます。これは逆から申しますと、子会社の独立の人格を尊重し、かつこれが不正に利用されることを防止することをねらっているわけでございます。したがって、子会社にとっては保護される制度であるとわれわれは考えているわけでございます。
#221
○塚本委員 いい説明だと思うのですね。しかしそれならば逆に子会社から親会社に対してそういういわゆる監査の請求をして、そして報告を求めるという道がここの場合にも、逆の場合にも必要ではないかというふうに思いますが、どうでしょう。
#222
○田邊説明員 実はその議論も法改正の議論で出てまいったわけでございます。しかし今度の改正商法で考えた親子関係と申しますのが、親の側からする過半数の所有というものをとらえて親と子を分けたわけです。これ以外に外国の立法例にもございますように、親会社がわずかの株式しか持ちませんが、実質的に役員派遣等で支配しているものも外国ではこれを子会社として規制しております。そういう観点から見ますと、実は親子でありながら逆の関係のものがあり得るわけでございます。そこで将来の法改正の検討の場合には御指摘のような子から上に対する監査というものを考えるべきだという議論があったわけであります。しかしとりあえずは本来の親子というものでまず規制を及ぼして、その運用のいかんによっては子からする規制というものを考えようじゃないか。そのときにはおそらく親子の概念というのはもっと広がったものになるだろう。とりあえずの改正は、実質的に過半数持たれた場合には実は何をされてもしようがない関係にありそうな範囲のもので押えていく、こういうのがいまの改正の考え方でございます。
#223
○塚本委員 実にいい御説明なんですが、ところが現実にこれが運用になると反対になってしまう。しかし私たちが心配しておりますのは、関連倒産によって、親会社がそういうふうないいかげんな経営をすることによっていわゆる子会社自身や下請企業等がもう将棋倒しになっておる例が多過ぎるのです。うちの親会社あぶないなと思ったときに子会社もその道を開いておく。子会社先にやってくれて、それから親会社の悪いところもまたやるというのがほんとうじゃありませんか。それをあとにする。被害を受けておるのはまず子会社というふうな形になってくると私は思いますが、どうでしょう。
#224
○田邊説明員 おっしゃるとおり、論理的にはそうなるかと思いますが、今度の改正はそのあぶなくなる前に親会社のほうでまずとめよう、そういう改正目的でございます。
#225
○塚本委員 あぶなくなることが一番早くわかるのは会計監査人じゃないのですよ。手形のサイトが長くなるから一番早く気がつくのは子会社なんですよ。そうでしょう。これをなぜ最初にやらぬのですか。
#226
○田邊説明員 おっしゃる内容は実は監査役がまずいち早くチェックしてほしいというのが今度の法改正であります。そのために監査報告義務を規定したりあるいはみずから進んで取締役会の会議の運営を監視したりあるいは日常の業務について個々に取締役から報告を求めあるいは会社の帳簿を調べ、伝票を調べるという作業を予定しておりますので、まず子会社を含めて株主その他の利益を代弁するものとして監査役を位置づけている。これが今度の改正の目的でございます。
#227
○塚本委員 こんな問題が出てこなければ私は申し上げるつもりはなかったのですけれども、だって、監査みたいなものはそうしょっちゅうしょっちゅうやるものじゃない。毎日毎日手形を受け取っておる、あるいは支払いを受けるときに支払いをおくらせている。そこで一番敏感にくるのが子会社なんですよ。だから子会社からすうっと監査役のところに監査請求が行って報告を受けたほうがより合理的じゃありませんか。だからその道を修正するということのほうが私は筋が通っておるし、最も近道だと思いますが、いかがでしょうか。
#228
○田邊説明員 御指摘の問題点は、実は先ほど申し上げたように親会社、子会社の概念規定の根本にかかわる問題でございます。今度の改正案では支配、従属という法律上の事態を規定して子会社調査権というものを導き入れたのですけれども、先生のおっしゃるように法律的に子から親に対する調査というものを導き入れるためには、いまの過半数の所有以外に親子関係の実質をきめるようなものをもう少しきめこまかく検討させていただきたい。これは総会の権限しかり、取締役しかり、すべてに関連する問題であろうかと思っております。
#229
○塚本委員 関連倒産の防止に関する法律や下請代金支払遅延防止法やいろいろあります。少なくともここまできちっとやるのだったら、もう少し支払遅延防止の法律を強化するなり何なりということを並行しておいて、その中におきまして修正も出して――監査請求をこの体系の中に入れられないのかもしれません。おっしゃるとおり私は一緒に言っておりますけれども、一緒に中に入れることは無理ということは承知の上なんです。だったら別の幾つかの法律があるから、あわせてお出しいただくことのほうがよりベターではありませんか。それでなければいろいろな金融支配だけであったのを、より事業支配にまで手を出したなというふうに、子会社はひいひいいって悲鳴をあげてくる形になりはしませんか。したがってあなたのほうの親切というものが逆の効果になることを私は憂えております。いかがでしょう。
#230
○田邊説明員 御指摘の点は、法制審議会の商法部会にも私ども以外のそれぞれの所管省からも参画しておりますので、先生のこの御意見というものは十分伝えまして、法制審議会の審議で検討いたしたい、こう考えます。
#231
○塚本委員 それも検討していただくことにいたしまして、委員長、時間が来たからこちらも申しわけないと思っているのですが、きょうはまだ四時ですから、もう少し会計監査人の責任について、会計監査人は重要な事項について監査報告書に虚偽の記載をしたときは、第三者に対し連帯して損害賠償の責任を負う、こういうふうなことが今度の改正法案の中で出てくるようでございます。これは証取法の中ではすでに出ておると思いますが、連帯して会計監査人が損害賠償の責任を負わされた事例があるかどうか、御説明願いたいと思います。
#232
○白鳥説明員 証券取引法におきましては、御承知のように昭和四十六年三月に国会で御審議をいただきまして、これの改正を行なったわけでございます。この改正後の証券取引法によりまして、有価証券届出書に虚偽証明があった場合の罰則として、証取法の第二十一条、第二十二条、また有価証券報告書にかかわる虚偽証明につきましては、同じく第二十四条、こういう規定によりまして、公認会計士に対して、損害を受けた人が訴え出れば、損害賠償の責めに任ずるという規定がございます。ただ、この規定は、昭和四十六年に改正が行なわれましてからまだ日が浅いことでもございますし、実際に損害賠償の請求というものが行なわれた例はございません。
#233
○塚本委員 それはないはずだと思うのです。
 「ただし、その職務を行なうについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。」と今度の改正案にも出ているのです。こんなものがついてしまったら、何も連帯責任なんか価値がないと思うのですよ。だって、注意みたいなものは――しかもりっぱな資格のある人がおやりになることだから、それならこんな規定なんかないと同じことになってしまいやしないか。私は御無礼なことだと思うのです。公認会計士の方がおやりになったことについて、はっきりと断固として責任をとらせるんだ、それだけの権限も与えてやるんだとおっしゃるなら、こんな免責なんかつけないほうがいいというふうに思うのですが、どうでしょうか。
#234
○白鳥説明員 いまの免責規定のお話でございますが、故意、過失がなければ、ないことを立証すれば、これは免責されるわけでございます。これにつきましては、同じような規定が公認会計士の処分の場合にも公認会計士法にございます。この場合には、故意があった場合あるいは重大な過失があった場合と、公認会計士の処罰の規定がいろいろ使い分けてございます。この故意があったか過失があったかにつきましては、公認会計士審査会において厳重な審査をいたしまして処分をしているわけでございますが、従来そういう虚偽証明であるとか粉飾決算にまつわりまして公認会計士が処分された事例が幾つかございまして、やはり故意であると指摘された場合もございますし、重大な過失があったと指摘された場合もございます。したがいまして、故意、過失がなければということで何でもうやむやに葬ってしまうということではございませんので、どうかこの点は御心配いただきませんように。
#235
○塚本委員 損害賠償の責任を負うといっても、公認会計士さんは事業家じゃございませんから、大部分は大会社のいわゆる監査をなさると思いますが、そういう場合に損害賠償となればたいへんな問題だと思うのですね。そんなのを背負わせるほどの能力があるんでしょうか。事業家なら別ですが、金融の道も――保険という道があるかもしれませんけれども、ちょっとこの点は空文になるんじゃないかという感じがいたしますが、能力がなかった場合はどうするんでしょう。
#236
○白鳥説明員 おっしゃるとおり、公認会計士が賠償責任を要求されたときに支払う能力があるかどうかという問題でございますが、いま御質問の中にも出てまいりましたように、損害賠償のための保険の制度もございます。また、公認会計士が姿勢を正して厳密な監査を行なえば、損害賠償の責任を負うようなことにはならないわけでございますが、これはあくまでもそういう意味では、空文という御指摘でございますが、むしろ予防的効果のほうに重要な効果があるのではないかと存じます。その一つの証左と申しますか、昭和四十六年の証取法改正によりましてこういった公認会計士の民事責任の規定がつけ加えられましてから、公認会計士の側におきましても監査の点に対する態度の厳正化と申しますか自覚が非常に高まりまして、最近粉飾の事例が著しく減少しておるというのもこの予防的効果のあらわれではないかというふうに考えるわけでございます。
#237
○塚本委員 もうぼつぼつ終わらせていただきますが、会計監査人の責任について損害賠償の責任まで、連帯責任として重い規定をのせるお考えならば、先ほど申し上げたような職域の問題で税務と監査との関係を一つにするような道を開いておいて、そして片一方で、事業者から強要されてくるときに断わり切れずというような形でこういうあやまち等が起こるような道は残さないほうがいいんじゃないか。そうしておいて、実際にずるずるっと引っぱられてしまって粉飾決算等が行なわれた場合にはたいへんなことになると思うのですね。だから、連帯責任まで公認会計士さんにしょわせるというふうな強い規定をおつくりになるだけの決意があるならば、そういう道なんかは残さないほうがいいというふうに私は考えております。
 その他幾つかもう少し煮詰めていかなければならぬ問題等が残っておりますので、お急ぎでもないようだから、私はまた日を改めて少々時間をいただきたいと思いますが、きょうは未解決の点も三、四点あったようでございますから、その点等、ぜひひとつ大臣お骨折りをいただきまして、せっかく乗り出していただきましたので、その実があがるように煮詰めていただきまするよう希望申し上げまして、私の質問は本日はこれで終わらせていただきます。
#238
○中垣委員長 次回は、明十三日水曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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