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1972/04/13 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 内閣委員会 第15号
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1972/04/13 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 内閣委員会 第15号

#1
第071回国会 内閣委員会 第15号
昭和四十八年四月十三日(金曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 三原 朝雄君
   理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君
   理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君
   理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君
   理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君
      伊能繁次郎君    越智 伊平君
      大石 千八君    近藤 鉄雄君
      竹中 修一君    丹羽喬四郎君
      旗野 進一君    林  大幹君
      三塚  博君    吉永 治市君
      上原 康助君    坂本 恭一君
      山崎 始男君    横路 孝弘君
      和田 貞夫君    木下 元二君
      東中 光雄君    鈴切 康雄君
      受田 新吉君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        防衛施設庁長官 高松 敬治君
        防衛施設庁総務
        部長      河路  康君
        防衛施設庁施設
        部長      平井 啓一君
        環境庁水質保全
        局長      岡安  誠君
        外務省アメリカ
        局長      大河原良雄君
        農林大臣官房長 三善 信二君
        農林省構造改善
        局長      小沼  勇君
        農林省農蚕園芸
        局長      伊藤 俊三君
        農林省食品流通
        局長      池田 正範君
        食糧庁長官   中野 和仁君
        林野庁長官   福田 省一君
        水産庁長官   荒勝  巖君
        水産庁次長   安福 数夫君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   小林  朴君
        環境庁水質保全
        局企画課長   松田豊三郎君
        水産庁調査研究
        部長      松下 友成君
        通商産業省鉱山
        石炭局石油業務
        課長      根岸 正男君
        運輸大臣官房参
        事官      佐藤 久衛君
        海上保安庁警備
        救難部長    船谷 近夫君
        内閣委員会調査
        室長      本田 敬信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇号)
 国の防衛に関する件(沖繩における米軍戦車に
 よる婦人死亡事故に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○三原委員長 これより会議を開きます。
 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
#3
○横路委員 今度の場合、水産庁の機構を全面的にかなり変えるということで、当面する水産行政について若干お尋ねをしたいと思います。
 いま直面している問題について、たとえば、経済社会基本計画のことばをかりれば、一方では沿岸の埋め立てによって優良な漁場というのは縮小されていく、都市化、工業化によって環境が非常に悪化していく、外国による漁業専管水域の設定とか国際規制による操業の制約等の条件というのが非常に悪くなっていっている、一方で水産物の需要そのものというのは拡大していく、これにどう対処するかというのが、このことばをかりれば、いままさに直面をしている問題だろうというふうに考えるわけです。
 そこで、四十七年度の漁業白書によれば、四十六年度における漁業総生産量というのは、一千万トン近い九百九十万トン、この大台に迫ったといわれているわけですけれども、われわれの現実の実感から言うと、生産が伸びているが、じゃ国民の需要にこたえているかというと、そうじゃない。そこで、九百九十万トンのうち大体七割ぐらいが食用で残りが非食用ということのようですけれども、需給の動向、とりわけ需要というものを、これから五年後ぐらいにどのように見込んでいるのか。十年後どう見込んでいるのか。それを食用と非食用に分けて、皆さん方のほうでどんな見通しを立てておられるのか。この需要の見通しについて、お考えをまずお聞かせ願いたいと思います。
#4
○荒勝政府委員 ただいま御指摘のように、日本の魚の漁獲量は年々ふえておるわけでございます。したがいまして、九百九十万トンというのが四十六年の実績でございますが、まだ推定でございますが、四十七年あるいは四十八年度におきましては一千万トンをこえるのではなかろうか、こういうふうに見ているわけでございます。それに対処いたしまして、今後の見通しはどうかということでございますが、まだ計算なり作業が完全に終わっていないわけでございますが、私たちの見通しでは、大体五十二年ぐらいの予測をいま作業いたしておりますが、大体千三百万トンぐらいの需要があるのではなかろうかというふうに見通しているわけでございます。それに対しまして、現在、いわゆるフィッシュミールといいますか、非食用も入れて一千万トンと置きますと、まだ非常に大ざっぱな見通しでございますが、需要に対して三百万トンぐらい不足するのではなかろうか。これをどうやってわれわれは確保するかということが重要でございます。
 さらに、日本人の食べております動物性たん白の約五二%は魚から供給されておるということで、相当畜産関係のたん白質への移行があるとはいわれながら、依然として日本人の動物性たん白質の給源が魚に非常にウエートが高いということを念頭に置きまして、われわれといたしましては、こういった面でさらに供給の確保ということに重点を置いているわけでございまして、その供給確保のための一つの大きな目的なり手段なりが、先ほど御指摘になりましたように、一方においては海外におきます漁場の確保ということと、国内におきましては、沿岸におきます漁場の振興といいますか、このためには、少なくとも公害防止対策をなお一そう進めてまいらねばならないのではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
#5
○横路委員 昭和四十四年に、水産物の需給の動向と対策ということで、皆さんのほうで五十二年の見通しを立てられたのが千二百三十四万トンですか。いま千三百万トンというお話がありましたが、その中で食用と非食用は大体どのくらいの割合になるとお考えになっているのか。生産が伸びた、たとえば瀬戸内海あたりを見ても、むしろ養殖のハマチのえさにしかならぬようなものしかふえていない。そういう現実というものがあるわけで、もうちょっと正確に、その辺のところをどの程度に見ておるのか、お答えをいただきたいと思います。
#6
○荒勝政府委員 需要の動向の数字について一応申し上げますと、こまかい数字でございますのであるいは食い違うかもしれませんが、さしあたり五十二年の目標といたしまして、需要の動向を千二百八十五万四千トンというふうに置いております。これは作業中でございますが、さらにそのうち養殖分を九百三十六万トンというふうに置いているわけでございまして、非食用のフィッシュミールとかその他工業用のものを三百四十九万トンというふうに見通しを置いているわけでございます。
#7
○横路委員 問題なのは、その目標に対して、沿岸、沖合い、遠洋というような区別をするならば、一体どういうふうに将来的な見通しを立てられているかということなんですね。いまの、昭和五十二年ですと大体五年後になりますか。十年というめどでなくて、めどを置いているのは大体五年くらいですか。十年先のことはお考えになっていますか。
#8
○荒勝政府委員 ただいまのところは、一応大体五年後の見通しという作業しかいたしておりません。
#9
○横路委員 そこで、たとえば四十六年度を見ますと、沿岸が二百五十四万トンで二六%、沖合いが三百五十四万トンで三六%、遠洋が三百六十七万トンで三七・六%、これが大体四〇%、こういわれているわけですけれども、では、そのいまお話しになった昭和五十二年の需要に対して、沿岸、沖合い、遠洋というこの中身は、皆さんのほうで一体どのようにお考えになっているのか。
#10
○荒勝政府委員 ただいま私、答弁申し上げましたのに、五年後の五十二年だけだと申し上げましたが、一応、作業といたしましては五十七年の作業も多少しかけておりまして、これはまだ申し上げるのは少し早いかとも思いますが、需要量といたしましては千六百四十万トン前後を考えておるわけでございます。それに対しまして、ただいまの御質問の五十二年の生産の見通しでございますが、沿岸漁業で約三百万トンを見通しておるわけでございます。数字でございますから申し上げますと、三百万トンちょっと切れる二百九十七万トンという数字を考えておりまして、そのうち漁船漁業というのが二百十五万トンぐらい。いわゆる養殖関係といいますか、浅海養殖、これは栽培漁業等も含まれますが、八十一万九千トン、約八十二万トンというふうに御理解願いたいと思います。沖合い、遠洋といいますか、海外漁場に依存する部分が約八百万トン。さらに内水面漁業、これは数字としてはこまかいのですが、十九万トン。そういうことで大体千百二十万トン前後の生産の見通しでございます。その足らず前をいわゆる輸入量で補っていかざるを得ないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#11
○横路委員 その八百万トンを沖合いと遠洋に分けることはできませんか。何かこの白書を見ると、その辺のところの数字が分けて出ておるのですけれども。
#12
○荒勝政府委員 白書のほうは実績でございますので、整理はできますけれども、海は太平洋地区におきます海でございまして、結果としてはわかりますけれども、この整理のしかたが、漁法別みたいなかっこうで沖合いと遠洋とを分けておるだけで、魚の種族としては同じでございますので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
#13
○横路委員 大体ここでいっている実績の中で、北洋のスケソウダラあたりは、概念としては沖合いのほうに入っておるのじゃないでしょうか。
#14
○荒勝政府委員 むしろ北洋のスケソウは遠洋漁業ということで御理解願いたいと思います。
#15
○横路委員 そこで、大臣のほうにお尋ねしたいのですが、海洋法会議のことです。四月六日までニューヨークで国連の海底平和利用委員会が開かれ、六日で終わったわけですけれども、いずれ今明年中に会議が開かれるだろう。そこで領海とか漁業専管水域の拡大というのは必至だといわれているわけです。この白書を見ても、けしからぬといっているわけでありますけれども、そういう動きをけしからぬといってみたところで、開発途上国の領海二百海里への動きというのはかなり大きな流れになっているわけでありまして、各国の立場が今度ほどこの点についてはっきりしたことはない、こういわれているわけです。きょう外務省は呼んでないので、皆さんのほうで報告を受けておられる範囲、あるいは担当官の方もちろん出席されているでありましょうから、漁業水域の問題についてどういう報告を受けているのか、今後の会議の動向というものの御報告をひとついただきたいと思います。
#16
○櫻内国務大臣 今回の準備会議におきましては、深海海底の国際管理、領海・公海制度、漁業問題等の海洋法に関する広範な問題が討議されたと報告されております。
 その中でお尋ねの領海でございますが、アジア、アフリカ、中米等の発展途上国の多くが、領海の範囲を十二海里とし、その外側に最大限距岸二百海里に及ぶ排他的水域を設定するという、いわゆる排他的経済水域または固有水域の主張が非常に支持層を深めた、こういうふうに伝えられております。これに対して日本、ソ連等は、沿岸国の沿岸漁業保護のために一定の優先権を認めるものの、沿岸国による排他的管轄権の主張は認められないとの立場で対抗してまいりましたが、この主張は残念ながら少数派の立場に立たされた、こういうことでございます。
#17
○横路委員 そこで問題は、開発途上国ばかりでなくて、先進国の中にもそういう動きに同調する空気が非常に強かった、こういわれているわけですけれども、ソビエトと日本は大体同じ立場らしいのですが、ほかの国はどうなんですか。たとえばオーストラリアとか周辺の先進国といわれる……。
#18
○荒勝政府委員 ただいま大臣が申されましたように、ラテン諸国あるいはアフリカ諸国、あるいはアジア諸国で非常に排他的な漁業専管水域を設けたいという要望が非常に強かったわけでありますが、日本とソ連だけが、端的に申し上げれば海洋に漁業を依存している度合いが非常に強いということで、世界じゅうの国で魚をとっておりますのはソ連と日本だけでございますので、こういった水域の設定には極力反対をせざるを得なかった。それに対しまして、文明国といいますか、先進国でありましても、アメリカとかカナダ、あるいはオーストラリアといった国々は、従来から漁法はあくまで沿岸、むしろ領海内でとっている度合いが強い。大型の漁船を出して漁場で大きくとっている例は、大西洋の一部でマグロをとっているというのがございまして、あとはほとんど沿岸、沖合いでとっておるということから、やはり沿岸国の立場を支持しようという動きが非常に強かった。さらにそれに加えまして、文明国側の意見といたしまして、日本が非常に関心を持っております遡河性魚種、いわゆるサケ、マスでございますが、サケ、マスにつきましては、これは三百で申し上げれば魚に国籍ありということで、産卵する国に遡上してくるサケ、マスはすべて自国のものである、したがって排他的に、他の国が沖合いでサケ、マスをとることは非常に困るという主張が別途ございまして、これにつきましては、全然関係のない一部の国々から、遡河性魚種については排他的もまたやむを得ないのではないかという意見が出されております。
 それに対しましてさらにもう一つ加えますと、回遊性魚種、たとえばマグロとかこういったものにつきましては、沿岸国の近所で、先ほど申し上げました排他的な漁業専管区域二百海里の中でも、回遊性魚種については認めるべきじゃないかというのが文明国の間から多少出されておりまして、これについては一種の協定といいますか、それぞれの国の間で話し合いで、その部分については第三国にもとらせる範囲があってもしかるべきではないかというふうな意見等が出されておりますが、今回のニューヨークでの準備会では、どういう分科会を設けるかというようなことの方法論で非常に議題を費やしてしまいまして、結局あまり深い中身に入れないまま、また話し合いをつける余裕もないまま、各国が一方的な発言を行なって結局解散というか、今回は閉会ということになったようないきさつになっております。
#19
○横路委員 日本としては、いまお話があったように、昨年の八月十四日ですか、平和利用委員会のほうに正式文書として、十二海里を前提にして、開発途上国あるいは零細漁業を持つ先進国の沿岸国に対して漁獲量についての優先権を認めて、その優先権の量というのは、いまの能力に基づいて二カ国の合意で定めるんだというような何か案を出しておるようですけれども、この日本側の意見について、これは若干譲歩したのだというような注釈つきのようでありますけれども、各国の態度というのはどうだったのでしょうか。やはり大勢はもう、領海は十二海里としても二百海里専管水域を設けるというのが圧倒的多数というふうに見てよろしいわけですか。
#20
○荒勝政府委員 この十二海里の説につきましても、どうも世界的に十二海里の説が統一的な規則になる傾向がある。事実上もうほとんどの国が十二海里ということになっておりますので、日本といたしましても、いつまでも三海里に固執する予定ではない、十二海里ということで国際的合意が成立するのであれば、従来の三海里説の立場にとらわれるものではないという前提に立ちまして、日本側としては意見を提出しているわけでございます。その結果ではございませんが、世界的には、領海二百海里説というのはどうもあまりにもひどいではないかということで、領海幅としましては、どうも十二海里ということでコンセンサスといいますか、合意がほぼ成立するのではなかろうかというふうに考えられております。しかしながら、それに対しまして、さらにそのほかに、二百海里という漁業専管区域あるいは排他的エコノミックゾーンというような主張がラテンアメリカ等を中心としてあることは、ただいま御説明申し上げたとおりでありますが、これに対しましては、やはり日本も当然反対でございますが、ソ連も当然反対ですが、アメリカあたりも、いきなり二百海里というような排他的な沿岸固有水域を設定することはまたいかがなりやということで、はっきりした反対の意見は言っておりませんが、どうもそういう動きがあるやに聞いておるわけでございます。
#21
○横路委員 そういう動きがあるという程度でいい問題じゃ実はない。やはりシビアに見ておかないと、これからの論点になるわけですけれども、先ほどの需要を確保することが一体できるのかどうかという問題にかかわっているわけですね。私は認識としては、遠洋漁業といったところで、よその国に言わせるならば、自分の国の沿岸で日本の船がどんどんやってきてとる、だから領海でなくとも二百海里の専管漁業水域を設けようという主張が出てきているのは、結局各国ともねらいは日本なんだという、そういう認識が必要なんじゃないかと思うのですが、大臣どうですか。
#22
○櫻内国務大臣 私もただいまの御意見には同感する点がたくさんございます。そのために、海洋漁業につきましてはどうしても相手国との協力体制が必要ではないか、こういうことで、今回の機構改革の上におきましてもそのような考え方を前提にいたしまして、また四十八年度の予算の中におきましても、そういう国際協力のための公益法人をつくって、相手国の理解も得ながら日本の必要なたん白資源を確保する、そういう方向に考えを持っていかなければ、おっしゃるとおりに、日本人の必要なたん白資源の確保がむずかしいのではないかと見ておるわけでございます。
#23
○横路委員 そうすると、これからの見通しとしては、拡大されるということはもうやむを得ない、したがって、その場合に沿岸各国との協力体制をしいておいて、何とか魚をとらしてもらうようにしようじゃないかというあたりに、お考えのほうもだいぶ変わってきているように見受けられるわけですけれども、見通しとしては、やはり大勢としてはそちらのほうにいってしまうということを前提に対策を考えなければならない時期だろうと私も思うのですけれども、その辺のところの認識はどうなんですか。
#24
○櫻内国務大臣 これは国際的な問題でございまして、にわかにおっしゃるような結論で臨むというわけには、これは相手のある交渉ごとでございますから……。やはり当面するところは、われわれとしては、国際的な大多数が十二海里説であるとするならば、従来の日本側の三海里説は、これはやむを得ない、撤回をしても国際的な協力をしようという一つの段階を持っておるわけでございます。そうして二百海里説とかいう排他的な水域を設けることについては、日本としてはあくまでも反対をしていく、こういう姿勢で、その間に他面、国際協力をどういうふうにするかということについては、先ほど回遊魚の点で長官からも申し上げましたように、それぞれの関係国との話を一方においてはやっていくということで、現在、各国の主張が二百海里、これはやむを得ないんだという立場はとっておらないわけであります。やはりあくまでも日本側としては、それは不当であるという立場でいきたいと思います。
#25
○横路委員 そういう立場はわかるのですけれども、これは日本側の代表の一人じゃないかと思うのですが、東北大学の小田さんという教授の方ですね。海洋法の専門家のようですが、この人の昨年の十月八日の国際法学会の講演を見ても、やはり流れはそこまでいってしまっているという認識に立って、むしろそのあとのことにいかに対処していくかというような考えのように思われる。これは政府の代表でしょう。その人でさえそういう考え方のようですね。だから楽観的な見通しというのはやはりいけないのでして、ともかく需要関係が、先ほどのように、五十二年で千三百万トン、五十七年で千六百四十万トンを立てるということになれば、しかも先ほどのお話を聞いてみても、かなりの部分、沿岸よりは沖合いなり遠洋のほうに依存をするということであれば、その辺の問題の見通しというのはかなりシビアに立てておかなければいけないのではないか。まだこれからの話ですから、日本の態度としては、二百海里の専管漁業水域を認めるのはしようがないだろうということの表明はちょっと無理だろうと思いますけれども、ただ、そのことを予測しながら見通しを立てなければならないということは、やはり行政の責任者として考えておくべきだろうと思うのですけれども、いかがですか。
#26
○櫻内国務大臣 これはあらゆる場合を予想していろいろ考えておく必要は当然あると思います。ただ、われわれとしては、いま国会の席上で、国際的な情勢はこうでございます、やむを得ませんというような、そこまではまだ来ておらない。またそれはそれなりに影響、反響があると思います。したがいまして、いまとっておるわが国の基本的姿勢は、国際的に十二海里ということが大多数であれば、それについていくのもやむを得ないというところで、あとはいろいろな角度からひとつ検討さしていただきたい、こう思います。
#27
○横路委員 そこのところでこの小田教授も指摘しているが、ソビエトの立場というのは日本の立場とかなり似ている。アメリカの場合はかなり変わってきているというわけですね。アメリカの場合、とりわけ漁業というよりは海軍の世界的な戦略の立場から、航行の自由というものを何とか確保するためには、少々のことを沿岸国、つまり開発途上国に対して譲歩していいんだというように、態度がかなり変わってきているわけですね。その辺のところを読みとしては読んでおかないと、アメリカに期待をするということでは、やはりどんでん返しを食らうことにもなりかねないのじゃないかというように考えるのでございます。
 大臣、時間でしょうからけっこうです。あとでお帰りになってから、日ソの漁業交渉その他の点についてお尋ねをしたいと思います。
 その辺のところを、水産当局としても十分お考えをいただきたいと思うのです。これは仮定の質問になって恐縮なんですけれども、二百海里漁業専管水域ということで締め出しを食らうということになった場合、現在の漁獲、遠洋によってあげている生産高がどのくらい減ることになりますか。概算でけっこうでございます。
#28
○荒勝政府委員 いろいろな方法で見通しの内々の作業をいたしているわけでございますが、かりに二百海里が領海ということで、およそ立ち入ることを禁ずというような結論が出ましたとするならば、そういう前提に立っての話だと、現在沖合い、遠洋でとっております魚の六割がそれに引っかかるわけです。大体魚というものは、御存じのように、沿岸を回遊しながら、あるいは沿岸に定着しながら大きくなっておるものでございまして、太平洋のまん中あたりではほとんど魚がいないというようなこともありまして、大体、沖合い、遠洋でとっておる魚の六割ぐらいがとれなくなるのではなかろうかという見通しを立てております。
#29
○横路委員 それで六割とれなくなるということになると、輸入を増大すれば別ですけれども、そうでない限り、かなりきびしいものになるわけですね。そこで、いままでは沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へとどんどん外へ出ていったわけですけれども、そういうきびしい状況をひとつ踏まえて、それはそれで対処していかなければならないわけでありますが、いまの時点で考えてみると、やはり沿岸漁業というものの位置づけをもう一度し直すべきじゃないだろうか。これは全体の生産量はずっとふえているけれども、沿岸そのものは不振だということは白書そのものもお認めになっているわけでありまして、その状況というのは、いまのまま放置したのでは、決してこれからよくなる見通しは全然立たないわけですね。そんな意味では、対外的な規制がきびしくなれば、もう一度沿岸漁業をどうするかという位置づけを行政の中にしっかりと据えておくことが必要じゃないかというふうに考えるわけでありますけれども、その辺のところはどんなにお考えですか。
#30
○荒勝政府委員 いままでずっと、日本の魚の資源確保という観点から沖合いの漁場に大いに依存してきたことは事実でございまして、そういった面で、多少不足ながらも国民の需要にある程度こたえ得たというのが実情でございます。しかしながら、それでも実際の話、先ほど申し上げましたように、どうも不足ぎみということで、魚の値段が高いというふうなおしかりを受けるような結果になっているわけでございますが、今後の問題といたしまして、海外におきます漁場の確保ということにつきましては、先ほどからも御指摘になりますように、非常に不安定性が強いという実情でございます。これに対しましては、われわれといたしましては全力をあげまして、従来のように、単なる海外沖合い漁場への進出という考え方ではなくて、あくまでも国際漁業の協力関係に今後重点を置きまして、円満な話し合いの中で魚をとれるような道を開いていく、またそのための漁場確保をはかっていくということに念願を置いております。しかしながら、やはり今後いろいろな情勢も考えられますので、今度の法案でもお願いいたしておりますように、沿岸におきます漁場の確保あるいは漁場の振興というところに非常に重点を今後置いてまいりたい、こういうふうに考えておりまして、そのために、逐次沿岸におきます魚の一種の栽培漁業に重点を置きたいというふうに考えております。またこういう点で、最近、いろいろな他部門の技術の導入によりまして、魚の栽培漁業というものが可能になってきているというふうにわれわれ理解しております。
 以上でございます。
#31
○横路委員 四十六年度の九百九十万トンのうち四割がサバとスケソウダラだということは、各方面から指摘をされているわけですね。したがって、中身としては国民の需要にこたえることになっていないわけです。そんな意味で、いまのお話を聞いておっても、今度の水産庁の組織改正がそうなんですけれども、もっぱら国際的な関係にどう対処するかということが重点になっている。それは確かに一つの問題でありますけれども、しかし、いまの段階でもう一つの大きな問題は、いまも最後にちょっと触れられまして、重点的にやるのだというお話ですが、「水産庁の組織改正について」という説明文書を見たって、沿岸漁業をどうするなんて話はあまりない。公害対策の面で若干触れられているだけでありまして、今度の機構改革というのは、国際的な問題にいかに対処していくかということが重点になっての機構改革じゃなかろうかというように考えるわけですけれども、その辺のところ、たとえば人員の問題について増員要求を行なうと、こうありますけれども、では一体具体的に沿岸の関係でどのくらいの人間がふえるのかというようなことを見ますと、漁政部のところの変化を見ましても、海洋漁業部のほうがふくれちゃって、沿岸の関係のところは若干縮小ぎみじゃないかというように考えるわけですけれども、御意見ございますか。
#32
○荒勝政府委員 まず魚獲量の面から申し上げますと、先ほど来御指摘のように、一千万トンという魚の数字のうち、沿岸でとっておりますのが約二百四十万トン、それから沖合いでとっておりますのが約六百七十万トンというふうに、たん白源としましては、現在の日本の食糧源としては、沖合い、遠洋に依存せざるを得ないというのが現状でございます。しかもそういったものがたいへん高級魚というものではなくて、スケソウダラに見られますように、これをとってきてすり身にしまして、かまぼこにしていくというような形で非常に大衆的色彩の強い魚種でございまして、こういったものをいかにして最低たん白源の確保ということで、われわれとしてはやはり国民の要望にこたえざるを得ないというところに一つの悩みがあるわけでございまして、これらにつきましては、食糧たん白源としましては今後とも確保していかなければならぬ。
 一方、これに反しまして、沿岸の系統は、御存じのように日本は小さな島国であります関係で、沿岸の魚のとれます海域というのはある程度限定されておる。しかも限定されておる中で、御存じのように、北は日ソというような関係で、オホーツク海あるいは千島列島の一部までも漁場としては確保しにくい。逐次何らかの形で毎年後退せざるを得ないというふうな現状もありますし、また日韓の間におきましても、対馬海峡を中心として、日本が一方的に自由にとれる道は封鎖されて、もう沖合い、沿岸のほんの地先でなければ漁場の活動はできない。それからさらに、日中の漁業の問題も今後の問題でございますが、東海黄海という非常にいい漁場自身を日本だけが一方的にとるということは許されない時代が来ておりまして、日本の沿岸周辺、ほんのわずかな周辺でしか魚がとれないということになりますと、おのずからこれにつきましては限界があるというふうに御理解願いたいと思います。
 この沿岸漁業の振興につきましては、われわれといたしまして、先ほど、今後振興してまいりたい、栽培漁業をいたしてまいりたいというふうに御説明申し上げましたが、これにつきましても、その前提になるべき環境の汚染ということが、魚にとってはあまりどころか、致命的な問題になってきておりまして、これにつきまして、さらに今後いろいろな関係立法を前提といたしまして、沿岸の海の汚染をこれ以上ふやさないどころか、さらにきれいにしていくということに重点を置いてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#33
○横路委員 人員の関係、増員の問題については、どの辺のところを重点的に皆さん方のほうでお考えになっておりますか。
#34
○荒勝政府委員 人員の増大につきましては、極力今回の機構改革に際しまして、われわれといたしましては、要求といいますか、希望を盛ったのでございますが、こういう現在のような情勢下で、そう水産庁のみがたいへんな充員計画というわけにはまいらなかったのでありますが、今回の一応の新規の定員増といたしましては十名ということになっておりまして、そのうち漁政部系統が三名の定員増、漁港部系統が一名の定員増、さらに研究開発部系統で三名というふうに、むしろ漁場保全のための環境汚染防止のために、研究開発部の三名の定員増はその系統でございます。
#35
○横路委員 いま沿岸のほうにはおのずから限界があるというお話ですね。限界はあるけれども、何とかしなくちゃならぬというお話なんですが、その辺のところはあとで詰めて議論することにして、ちょっともとに戻りますけれども、開発途上国への協力というのは、つまり将来の締め出しに備えてしなくちゃならぬという皆さん方のお考えですね。具体的にはどういうようなことをお考えになっているわけですか。先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども。
#36
○荒勝政府委員 日本はただいま、世界じゅうの沿岸国関係と、漁業につきまして、公式あるいは非公式に、民間協定なり政府間協定なりという形で漁業協定を結びまして、魚をとっておるような結果でございます。御存じのように、インドネシアに例をとりますと、あのインドネシアの広大な群島の間に含まれております海面が、一方的にインドネシア政府によりまして、領海どころか、領海の中の内水であるという宣言がありまして、おそらく一隻の船といえどもあすこへはなかなか入れないということから、インドネシアとの間のマグロ協定によりまして、日本の漁船が相当あすこに入りましてとっておるわけでございますが、なかなか年々きびしい条件を付してきておるわけでございます。
 そういった世界じゅうを相手に漁業協定を結びながら、しかし国際的な環境は、国連海洋法会議で話されるように、非常にきびしくなってきておるということを背景といたしまして、では具体的に四十八年度の予算でどうするのだということで、水産庁としても検討いたしまして、従来、ただ要するにとらしてくれということで一方的に来たのですが、その問題をさらに一歩進めまして、お互いに漁業協力をやろうではないか。御存じのように、発展途上国は漁港の整備も非常に悪い、あるいは船もろくろくない。極端なことを申し上げれば、カヌーで一本釣りのような漁法を一方では行ないながら、目の前を大きな外国の、日本とかソ連のトロール船が走るということに対する非常な反発も強いということもありまして、これに対しまして、日本といたしまして、漁業協力を行なうということを呼びかけるような手段をつくったわけでございます。
 その具体的な措置といたしましては、外務省のほうに十億円、海外援助費といたしまして水産分として特掲いたしまして、これは御存じのように、公共的色彩の強い漁港とか桟橋とか、さらに水産技術者の養成のための学校とか、あるいはその漁港に至る道路、鉄道等の整備ということのための援助費として十億円を外務省のほうにお願いいたしております。
 さらに、農林省分といたしまして約十二億円の予算を計上いたしまして、これは無利子もしくは非常に低利融資ということで事業費を組みまして、相手国に対する日本の漁業協力を前提といたしまして、相手国に無利子あるいは低利で金を貸すということを考えておるわけでございます。そのために財団法人を設立いたしまして、ここが中心になって事業を行なっていくという考え方でございますが、これは多少でも経済採算に乗るかもしれないというものでございまして、漁船の建造あるいはカン詰め工場の設立、冷凍設備の設立というふうな経済性の強いものが無利子融資の事業、公共的色彩の強いものを外務省系統の援助費という形で、さしあたり四十八年では約二十億円の予算をもちまして、こういった国際的な漁場の確保のための手段にいたしてまいりたい、こういうふうに考えている次第であります。
#37
○横路委員 開発途上国のほうから、具体的な日本に対するプランですけれども、こうしてもらいたい、ああしてもらいたいという要請は来ているのですか。
#38
○荒勝政府委員 従来は、そういった海外におきます漁業の日本の進出という過程の中におきまして、水産企業と外国の政府との間に民間協定的なもので、各企業が金銭あるいは物質的な負担をされましてその漁場の確保ということを行なってきたわけでありますが、それは従来、例として非常に少ないということで、水産庁といたしましては、これにつきましては、外交折衝におきます手続ぐらいはやるわけでありますが、これは企業の負担において片づけるべき問題であるという理解のもとに、ほとんど国としては援助しなかったのでありますが、それが国際海洋法会議を前提にいたしまして、発展途上国の間で非常にきびしく動きが始まりまして、ほとんど全世界的な形でこの問題が出てきた。これはやはり企業の問題だといって一方的に負担をさせておくわけにいかない。さらに企業といいましても、マグロ船あるいは一部のエビのような国際的な漁業関係になりますと、非常に零細というのはちょっと語弊がありますが、中小企業が非常に多いマグロ船なんかは、一ぱいあるいは二はいというような形でインド洋ないしはアフリカ沖まで行って漁業活動をされておりますが、この方々はおそらくそういった経費の負担というのは限界に達したということでございまして、こういった国際的な一方的、排他的な行為をかりに認めるということになりますと、先ほど申し上げましたように、海洋漁業によってとっております六〇%近いものがとれなくなる、四百万トン近いものがあぶなくなるというようなこともございまして、われわれといたしましては、日本の今後における水産業のあり方にもかかわる問題であるというごともありまして、国際的な漁業協力ということを表に出すことによりまして、たん白源の確保ということを前提にしてこういった作業を進めることにしたわけでございます。
#39
○横路委員 いまの御答弁を伺っておりますと、ただ、従来企業が負担してやっていたものを政府が少し金を出して補助してやるとか、負担の肩がわりをするということだけで、具体的にそれぞれ沿岸国とどういう話をするというような御答弁のようじゃないのですけれども、具体的に開発途上国のほうから、こうしてもらいたいというような要請が日本政府に対して何かあるのですか。それに対して政府のほうでこたえてどうするのか。何かいまの御答弁だと、いままで企業が負担していたものを、企業もなかなか負担し切れないから政府が負担してやるみたいな、それが開発途上国に対する協力の中身のような御答弁に伺ったのですけれども、もしそうじゃないとすれば、もうちょっと具体的に、各国からこういうものが出て、それに対して政府はこうなんだということを説明していただきたい。
#40
○荒勝政府委員 ちょっと私が舌足らずで失礼いたしましたが、最近になりまして、ラテンアメリカ諸国が軒並み二百海里の漁業専管区域というものを持ち出してまいりまして、さらにアフリカ諸国におきましても、最近とみにまたこの動きが激しくなってきた。特に最近政権が変わるたびに動きが激しくなってきているというふうに御理解願いたいと思います。
 その中にありまして、具体的にはモーリタニアという国がございますが、そこからは具体的に、現在自分の国におきましても漁業を始めたい、もっと振興したい、しかしながら財政的な援助を日本政府において持ってもらえないか、そういうことによってモーリタニアと日本との漁業協力関係を深めていくことによって、双方ともに漁獲物を確保することによって利益を得る方法を考え出したいというようなことを言ってきておりまして、その話し合いがつくまでは一切日本の漁船の進出はお断わりというふうな話が来ておる次第でございます。さらに今後インドネシアにおきましても、あるいはその問題が急速にこの五、六月ごろから出てくるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
 それから、つい最近でございますが、これはウルグアイでございますが、日本の漁船が沖合い百八十海里のところで革命政府の駆逐艦によりまして拿捕されまして、これはさしあたり、日本政府の非常な抗議によりまして、約一億数千万円、二億円近い罰金を払うことによりまして釈放はされたんですが、まさに百八十海里の沖合いで拿捕されるというのは、われわれとしてはこれは夢にも思ってなかったことでございまして、こういったことが今後さらに広がっていくんじゃなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
#41
○横路委員 その具体的なお話としていま一つだけ例をあげられたんですが、開発途上国に対する協力といったところで、そんなにうまいぐあいにいく話はないと私は思う。だから、まだまだきびしいことだと思うのです。ちょっとくらい金を出してやって、さっきの話じゃないんですけれども、漁港整備をしてやろう、そのかわり魚をとらせろと言ったって、そんな虫のいい考え方では、いまのように拿捕されて罰金を取られてしまう、そういう状況にずっと流れていっているわけですね。だから、お話を聞いておっても、どうも非常に甘い見通しじゃなかろうかという気がする。この白書を読んでみても、非常に生産は伸びたし、個々の生産額のほうも伸びたし、生産高のほうも伸びたしというので、やはりかなり楽観的な見通しに過ぎるんじゃなかろうか。もうちょっと国際的な関係というのは私はきびしいものじゃなかろうかと考えますので、その辺のところは、いわゆる開発途上国なんというのは、少々金をやれば魚をとることは認めてくれるんだというような、そういう思い上がった立場では、私は相当手痛い反撃を各国から食らうことになるんじゃなかろうかというように心配をするわけでありまして、水産庁の当局においても、この日本は先進国で生産力は世界の第何番目なんということでやったのでは、私は必ずこれは失敗すると考えるわけでありまして、その辺ひとつ、ものごとをシビアに、しかもなおかつ思い上がった立場ではなくて、相手国の立場というものも十分理解した上での協力というものを考えていかなくちゃならない。これは何も漁業ばかりじゃなくて、全般的なこれからの低開発国との関係にかかわる基本的な問題であるわけでありますけれども、その辺のところが、いまの長官の御答弁だとどうも非常に甘い。やはり日本は力があるんだから、少しくらい金を出して助けてやれば、すぐそれに乗っかってくるみたいな印象がどうも御答弁からうかがえますので、ひとつその辺は十分シビアに考えていただきたい。これは要請でありますけれども、ひとつその辺のところの決意をお聞かせいただきたい。
#42
○荒勝政府委員 従来、日本の水産行政なり業界の動きといたしましては、公海自由の原則、日本は三海里である、従来の伝統的なあるいは慣行的な漁業というものは当然確保すべきであるという前提で国際的に進出していったのが、世界じゅうの新興国家の独立等の過程でこういった非常に激しい反撃といいますか、そういう動きが出てきたことも事実でございます。また一方、発展途上国におきましても、やはり国民の所得の増大に伴いまして動物性たん白質資源を供給しなければならない立場にそれぞれの国も置かれていることも事実でございますが、具体的には魚をとる手段を持ち合わしていない。港もなければ、船もない、まして漁労技術者もいない、こういった各国が相当ございますので、こういった国々と、今後とも国連の海洋会議で話し合いを深めるとともに、いままで手ぶらで一方的に魚をさらってきた立場というもの、姿勢を改めまして、あくまで相手国政府との間の話し合いで、漁業協力という立場で、端的にいえば魚をとらしてもらうという姿勢で進んでまいりたい。ことに魚の種類によりましては、とれる魚のうちの半分は向こうの国民が嗜好する魚であるが、全然食べない魚もございます。たとえば、御存じのように、タコとかイカとか、こういったものはほかの国ではほとんど食べない、日本人だけが食べる魚種でございますので、とれた魚のうちそういったものは日本に持ち返るというふうな形で、漁業協力関係というものを前提にして、いままで一方的にとっておったものを、これからはとらしてもらうという姿勢で、話し合いを進めるための手段としてこういった財源的な裏づけを多少用意をし始めた、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
 われわれとしましても、環境は非常にきびしくなっておる、へたすれば魚がほとんどとれなくなるかもしれないという危機感は十分に持っておるわけでございますが、それについて、どうやってこの問題を片づけるかということが、さしあたりの問題として二十億円の予算計上というふうにつながってきた、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
#43
○横路委員 そこで、これから公害対策を含めて沿岸漁業の問題についてちょっと御質問をしていきたいと思うのです。
 とる漁業からつくる漁業へということで沿岸漁業等振興法ができて十年でありますけれども、その改善事業の実施で瀬戸内海だけで百億以上のお金が投資されているわけですね。そのつくる漁業へという戦略目標が瀬戸内海にあったということは明確なわけであります。現在の瀬戸内海の状況は、このまま推移すればまず十年後には魚が全然とれないだろう、少なくともわれわれが食べることのできるような魚はとれぬだろう、こういうふうにいわれているわけでありまして、またその原因をあらためてここで指摘をする必要がないぐらい明確になっているわけですね。これは瀬戸内海だけではなくて、いまや工業開発地域においてはどこでも大きな問題になっている。しかも養殖に適している湾等が工業開発地域の拠点になっている。そして、これはあとで御質問いたしますけれども、いまや現実にそういうところで奇形魚というのですか、背骨や何か曲がったりした魚が、北海道から九州の果てに至るまで全国的にあちこちでどんどん発見をされるという状況になっているわけであります。その辺のところをこれから一つづつお尋ねをしていきたいと思うのです。
 沿岸における優良漁場の確保ということを白書の中でもいっているし、経済社会基本計画の中でも、その辺のところは、漁業政策としてわずか一項目か二項目しかあがっておりませんけれども、やはりその中に述べられているわけでありますが、優良漁場を確保するために一体何をやるのか。今度の白書を見ても、だんだんひどくなってきた、被害の事実が出てきたという記述はあるけれども、それをなくすために水産庁としてこれをやりますよという具体策が非常に乏しいというのが、これを読んでみての感想であります。したがって、具体的に何をどうすることによってそういう漁場を確保していくのか、いまの汚染から水産資源を守っていくのか、その辺の具体的な方針はどうですか。
#44
○荒勝政府委員 沿岸漁場の確保ということにつきましては、これは当然水産庁が行なうべきでありまして、このためにまず沿岸におきます漁業を振興していくということで、一方では非常に野心的にやっております瀬戸内の栽培漁業方式ということでしてまいりたい。瀬戸内は七、八年前にこういった実験的な事業に取り組みましたところ、最近におきまして急速に成果があがってまいりまして、エビとかタイとかにつきましては栽培方式が非常に進んできたということで、今回、日本海に五カ所のそれぞれの栽培漁業センターを設けまして、栽培漁業を今後大いに振興していく。さらに将来の問題として、これは、太平洋地区も含めまして日本じゅうに栽培漁業を行ないまして、産卵ふ化あるいは稚魚の放流ということを含めて、沿岸におきます日本人の好む中高級魚の部類のものを大いに振興してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。そのためにまた一方では、栽培漁業とはあまり関係はございませんが、沿岸におきます構造改善事業というものを行ないまして、今後、それとともに養殖漁業というものも普及してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 さらにその構造改善事業のほかに、漁港の整備を行なうことによって沿岸漁業の振興にも寄与すれば、おのずから沿岸におきます魚につきましても一定量のものは確保できるんじゃなかろうかということで、第五次漁港整備計画を整備いたしまして、これを今後五年間に強力に推進していくという考え方をとっているわけでございます。
 以上、振興対策については、そういった一つの考え方が全面的に出かけておるわけでございますが、問題は、われわれといたしましても、うちにあっての最大の壁というのは、ただいま御指摘のように、公害問題によります漁場の汚染ということでございますが、この点につきましては、従来、いろんな環境整備関係の法律に基づきますその厳正なる実施ということで、油の汚染その他都市用水のたれ流しにつきましては厳重に異議を申し立ててきているわけでございますが、しかしながら、実際問題として汚染問題というのは、今後そう簡単に片づくものではないというふうにわれわれも考えている次第でございます。
 したがいまして、水産庁みずからでこの問題は片づけなければならないということで立ち上がりたい、こう思っているわけでございますが、御存じのように、環境汚染の問題につきましての学問というものが非常に少ない。特に海洋におきます汚染を今後どうやって解毒するかということになりますと、実際問題として学問も非常に立ちおくれておりますし、また水産庁自身の中で、研究陣も十分な蓄積なり成果がないということでございます。しかし、できるまで何もすることができないのでは話にならないということで、さしあたり本年度予算では、約四億円前後の環境保全対策の被害防止のための実験事業といいますか、試験研究費というふうなことで一部実験的にやってみようということが赤潮対策でございますが、瀬戸内の赤潮が年々連続的にふえてきております。そのほんとうの原因はまだわかっていないのでありますけれども、しかしこれは、海の汚染が原因であるということはおおむねわかっておりますので、こういった赤潮対策の実験事業、プラント事業を行なうことによりまして、これがほんとうに成功するならば、われわれといたしましては、一、二年後に、これにつきまして全国的な形での事業予算を組んで赤潮防止事業に本格的に踏み込んでまいりたい、こういうふうに考えておりますけれども、ことしの四十八年度予算におきましては、一部の実験的な事業あるいは試験研究的な事業である、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#45
○横路委員 養殖のほうは成果があがったとおっしゃられますけれども、生産のほうを見てみると、確かにノリは非常にいいようでありますけれども、ただノリというのは、海がよごれて魚がだめになるといいんだそうですね。やがてそのノリもだめになってすべて終わる。大体こういう形になっていっているようで、成果があがったというふうに最後にちょっと触れられましたけれども、やっぱり非常に楽観的でありまして、赤潮というのは、何だかんだといったって、あれは海洋汚染に最大の原因があるわけでしょう。去年だって瀬戸内海だけで七十億以上の被害が出ている。ことしだって大体起きるだろうというふうにいわれているわけです。そうすると、去年は天災融資法か何か発動してやったようですが、また大きな被害が出た場合に、じゃどうするか。そんなゆうちょうなことを言っている事態じゃないと思うのです。やはり水産庁としてもっと積極的にやってもらわなきゃ困ると思うのです。たとえば海洋水産資源開発促進法という法律ができていますね。開発区域の指定を行なって公害防止の成果をあげようということのようですけれども、これは具体的にはまだほとんど指定されてないんでしょう。
#46
○荒勝政府委員 法律が通りましてから時間がたっておるわけでございますが、現在十三カ所から指定の申請が出ておりまして、そのうちの半分ぐらいは四月中にも早いものは指定できるのじゃないか。その指定に際しまして、都道府県知事が県内なり道内の他産業との調整に非常に苦慮されたようでございまして、出てきた以上は今後どんどん進行するのではなかろうか、こういうふうに理解している次第でございます。
#47
○横路委員 開発区域の指定というのは、たとえば構造改善事業等でお金を投資している地域には大体全部指定するということなんでしょう、基本的には。そうですね。
#48
○荒勝政府委員 たてまえといたしましては、構造改善事業で指定いたしました地区をそういう地域に指定する。ただ、地域におきましても、今後の開発予定の地域なり、あるいは港湾関係、あるいは航路関係につきましては、それを何らかの形で例外としてはずすという形で、その調整に多少手間どっておるんじゃないか、こういうふうに理解しておる次第でございます。
#49
○横路委員 二年たってなかなか上がってこないというのは、ほかの省庁の抵抗が強いのか。皆さんのほうの行政監督並びに指導の怠慢なのか。どっちですか。
#50
○荒勝政府委員 ほかの省庁の圧力が高いということではございませんで、都道府県知事が、県内の今後先行するいろいろな事業なり計画、海岸線のからむ事業なり計画をお持ちになっておられる。その計画との調整になかなか苦慮されておるのではなかろうか。一たん指定いたしますと、またあとでそれを取り消したり修正がなかなか困難というふうなお考えのもとに、知事の最終裁決がまだ多少おくれておるのではなかろうか、こういうふうに聞いておる次第でございます。
#51
○横路委員 この開発地域の指定をやってどの程度の効果があるかということも、私、初めてこの法律を調べてみて、たとえば埋め立てなんかが適用除外にされておったり、これまた非常に問題があると思うのです。
 たとえば噴火湾ですね。あそこは養殖の関係でいいますと、いまホタテの養殖をやって、非常に生産が伸びて、出かせぎに出ていった人が戻ってきて定着をするという状況が出ているわけですね。ところが、そこに一方では発電所ができるということで、いま着工をめぐって非常に大きな問題になっているわけでございます。その温排水の関係なんかで少なくとも影響は出る。ところによっては、ときどき奇形魚が出たりなんという報告があるわけです。
 一体、皆さんが公害対策を言う場合に、海洋水産資源促進法を適切に運用しというのが、どこにでもまくらことばのように出てくるわけですけれども、具体的にはまだ一カ所も指定されてない。申請は上がってきているけれども、その数はわずかなものですね。構造改善事業の関係から考えてみると、ほんのわずかなところでしょう。しかもいま上がってきているところでも、たとえば噴火湾のように、養殖事業として非常に成果をあげている、それを守っていくんだということになると、一方で火力発電所を建てるのはどうかという問題があるわけですね。そこらのところはどれだけお考えですか。一体どれだけ効果があるのか。
#52
○荒勝政府委員 北海道並びに北東北におきます一つの具体的な例として、ホタテ貝の振興対策につきまして御指摘ございましたが、私どものほうといたしましても、ホタテ貝の養殖技術が最近非常に急速に発達してまいっておりますし、またホタテ貝の需要も非常に強いということで、これにつきましては相当力こぶを入れて振興を打ち出しておる次第でございます。
 噴火湾のホタテ貝が火力発電所の建設によって重大な悪影響があるのではないかという御質問でございますが、あそこの火力発電所の新設に伴いましていろいろ論議があることは事実でございまして、またそれに伴いまして温排水が海面に流出されるということも事実でございます。これにつきましては、伊達火力のほうでもいろいろお立場があるようでございますが、われわれといたしましては、伊達火力の発電の結果、温排水が海岸に放流される過程で十分なる構築、予防工事をしていただくならば、温度が当然変わるものですから、漁業に多少影響はあると思いますが、これにつきましては、その設備を十分に行なうことによって、魚種にあるいは多少の変化はあるかもわかりませんが、今後一定の温度が確立されるならば、魚の種類が入れかわることによって漁場というものはある程度温存されるのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。いずれにいたしましても、ホタテ貝の振興につきましては、われわれとしては今後とも力こぶを入れてまいりたい、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#53
○横路委員 そうすると、水産庁の立場としては、火力発電所等ができて温排水の影響で魚種が変わってくるだろう、高くなれば高い温度を好む魚がやってくる、それでもしようがない、こういうお考えですか。実際は、たとえばある一定の温度があるでしょう。自然の生態系というのは、温度が上がると、その水温の高いのに合った魚がふえてきますね、いろいろまじっているところでも。ふえてきても、自然というのはやはりその中で調和があるわけですから、一つが力を持っていくと、今度はそれがえさにしている小魚がまたプランクトンをえさにするという、そういう循環形態が立ち切れてしまいます。温度が変わって魚種が変わるだろうくらいで済まされるんですか。それはいまや生態系の常識になっているわけです。水産庁の立場としては、温度でもって影響が出て魚種が変わるだろう、変わったっていいじゃないかということで、火力発電については全般的にそういう指導を皆さんのほうでなさっているんですか。
#54
○荒勝政府委員 発電所の建設に伴いまして、当然にその工事自身に伴ういろいろな悪影響が出ることは、われわれとしては認めざるを得ないのではなかろうか、こういうように思っております。ただ、それにつきまして、工事に伴いまして地元の漁協なり漁民と十分に話し合いをしていただきまして、円満に補償問題が片づくことがやはり前提になるんではなかろうか、こういうように思っております。これは補償問題でございます。
 さらに、技術論といたしまして、温排水に伴いまして、内地のほうでございますが、一、二の先例がございますが、やはり火力発電所の建設に伴いまして、温排水の影響が一部局部的に出ておることは事実でございます。その局部的に出るであろうところの分につきましては、漁業補償ということで相当片づけてきておられる。さらに、水温が高くなる可能性がありますので、一定の温排水が確保される、保証されるということを前提にいたしまして、高温と言ってはおかしいのですが、少し水温の高いところに適した漁業の栽培といいますか、養殖をそこで並行的にやったらいかがか、また多少成功している例なきにしもあらずというふうに私は記憶しておりますが、いずれにいたしましても、この温排水の影響というものはそんなに拡大的なものではない。相当局部的なものでありますので、局部的なところにつきまして十分な補償なり対策が講ぜられることによって、漁業全般に重大なる悪影響を及ぼすものとは私のほうとしてはあまり考えていない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#55
○横路委員 大臣、いま沿岸漁業の問題で公害対策のお話を聞いているわけですけれども、そういう問題は一切補償問題だ、こういう視点のようですね。つまり皆さんのほうの立場というのは、水産庁の立場というのは、いかにして漁場を守るかということでしょう。これから日本人の水産物の需要というのは非常にふえていく。先ほどのお話ですと、五十二年で千三百万トンだ。よそのほうからの規制、対外的規制はきびしい。沿岸だってある程度というか、かなりの比重を占めているわけですよ。それを守っていかなければいかぬというときに、少々影響が出てもかまわぬのだ、要するに円満に話し合って何をするかといえば、補償してもらえばいいんだということですか。補償というのは何かといったら、漁業権を放棄するということですからね。放棄するから補償が出るんだ。そういうのが水産庁の基本的な立場なんですか。通産省が言うならわかりますよ。水産庁がそんなことを言っている。大臣、それは皆さんの基本的姿勢なんですか、沿岸漁業についての。
#56
○櫻内国務大臣 補償という場合は、規制をされた、どの程度に規制されたか、それに伴って補償というものが起きてくると思うのです。この基本的な姿勢といたしましては、いまお話がございましたように、水産庁の立場からいえば、資源を保護しながら、そして国民の必要なたん白資源を得る、こういうことでなくてはならないと思うのであります。しかし、そこに外部的な要因が出てまいりまして規制をされる、ときには全然締め出されるというときに、初めてそこに補償という問題が出てくるのであって、基本的な方針ではなく、そういうやむを得ざる事態、何らかの原因による影響、こういうことで補償のことを申し上げておると思うのであります。
 現在われわれとして考えなければならぬことは、従来でありますればとる漁業であった。しかしこれからは、少なくともそこにいわゆる栽培漁業、つくる漁業ということを頭に置いての、大きくは資源の保護を考えながらやっていく漁業にいくべきである、こういう立場をとっておるのでございまして、どういう論議であったか、いま一、二問聞いただけで、私、十分理解しかねますが、一応お答え申し上げます。
#57
○荒勝政府委員 私のただいまの答弁に舌足らずの点がございましたので補足させていただきますと、私が補償と申したのは、何も補償金だけのことを申し上げるのではなくて、その火力発電所の建設に伴いまして当然悪影響が出る部分もありましょう。そういったことに対する補償工事も含めて、つまり悪影響が出ないような補償工事を含めまして補償を十全に行なってまいりたい、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#58
○横路委員 だからその発想がおかしいと言っているのです。補償の問題を前提にしているわけでしょう。火力発電所なら火力発電所の設置というのは、漁場を守るために何が必要かという発想でなくてはならぬと思うのですよ。
 いいですか。田中さんが「日本列島改造論」の中で指定している地域というのは、全部養殖をやっているところですよ。いま育てる漁業へというお話でしたが、たとえば徳島の橘湾がハマチ、宿毛湾がハマチ、有明がノリでしょう。八代がノリでしょう。山田湾がカキ、ノリでしょう。中海はシジミそのほかですね。それから岩手の広田湾がカキ、ノリ、ワカメですね。志布志湾がハマチですか。むつ湾がホタテでしょう。ともかく、この田中さんの著書の中で開発地域として考えている良好な湾というのは、全部養殖事業をやっているところですよ。そうすると、補償の問題ということをまず先に出す話でなくて、皆さん方が育てる漁業へというなら、その漁場をどうやって守るかということでしょう。守るために何をするかといえば、こういう法律があったら、この法律をどうやって使うかということでしょう。
 海洋水産資源開発促進法ですか、これだって実際は全く役に立たない法律だと思います。現実には何も効果はない。埋め立てを除き、都道府県知事にこんな権限を与えたってやるはずはない。開発をやろうとする知事がそこの漁場を守るということは、同じ人がやるはずはないでしょう。だから、効果はないけれども、問題はそこの基本的なところをどうするかということであって、影響が出たら補償するとかなんとかいう話じゃないです。そもそもの問題は、ですから農林大臣、養殖だ、とる漁業から育てる漁業へ、こう言ってみたところで、いま実際にやって、皆さんが成果があがりました、これですといっておるところは、これからどんどん工業開発をやろうという地域になっておるのですよ。農林大臣として基本的にどっちの立場に立たれますか。
#59
○櫻内国務大臣 私は、先ほど水産の行政の衝にあるものとしての考え方は一応申し上げたと思うのであります。ただその場合に、いまの御質問の趣旨からよくわかりましたが、そこにある要因が出てきた、何か問題が出てきた。この一問一答の上では、それを先に考えておるのじゃないか、それは私はそうでないのであります。本来そこで水産業が営まれ、そこへ問題が起きてきた。その場合に、その問題を総合的判断の上に立って一体どうするのか。私が言うまでもないことでございますが、一方において電力需要もどんどんふえておるし、それが民生安定の上にも寄与するし、あるいは水産業の関係からいたしましても、加工事業などについてはどうだとか、いろいろ代償の関係が伴ってくるのでありまするから、そういう場合に総合的な判断の必要は起きてくると思うのです。しかし、水産行政の衝にあるものはどっちを考えていくのか、こういえば、従来ある漁業が円滑にいけるのかどうかというところから判断をし、それに対して、どうしてこれだけの影響が起きるのか、やむを得ないのかというような考え方で順を追って判断する以外にないと思います。
#60
○横路委員 日本が遠洋か沖合いに全部漁業を依存するのだ、やめて全部輸入に依存する、沿岸漁業は全部つぶしてしまいますというなら、それでいいと思うのですよ。しかし、少なくとも皆さんの方針としてそう心やないのだ。やはり日本国民というのは、米と魚といわれるように、魚はわれわれみんな好きで、しかも需要がどんどん伸びていっておるという中で、いかに漁場を守るのかということが水産庁の立場だろう。ほかの役所でやるところはないですよ。それは、漁民の立場に立っていろいろものを言うところはどこかといったら、水産庁だろうと思うのですよ。したがって私は、今回の漁業白書の中でも、現実にいまはこの段階の調査や研究がある程度進んできた段階だろうと思う。そういう意味では非常におくれていると思うのです。ですから、大いに現状をきちっと把握された上で、つくられてしまったあとでどうするかということじゃないのですよ。赤潮が起きて対策をどうするかということじゃ行政としてはだめなんです。赤潮が起きないようにどうするかということで、しかもりっぱな研究報告が、たとえば瀬戸内海等については、かなり前から、南西海区水産研究所ですか、あちらこちらでこんなりっぱな報告があるでしょう。問題は、こういう報告をどうして行政の中に生かしてないのかということですよ。それは基本的な姿勢に問題があると私は思うのですよ。
 これから工業開発をどんどんする。ねらわれておるところがみんな養殖に適しておる湾なんです。したがって、事前にその段階でもって、工業開発をされることについて水産庁としてものを言うべきじゃないか。基本的に漁民を守るという立場に立ってですね。私はその点をぜひ農林大臣に指摘をしておきたいと思うのですけれども、その立場をどうするかということ、これが基本的な姿勢の分かれ目になるのでありまして、いま水産庁の長官の御答弁ですと、どうも何を考えてお話しになっているのか、ほんとうに沿岸漁業を守るという視点は全く欠落しているように思いますので、ひとつその辺、これからの問題を含めて、まず現状をきちっと把握することですね。その上でいままであげてきたいろいろな研究報告を、皆さん方は机の中にしまっておいてもだめですよ。これだけりっぱな研究があったら、それを生かすように各関係省庁にものを言うなら言って、基準が守られていないじゃないか、もうちょっときびしくすべきじゃないかということを、皆さん方の行政管轄でない部分については、ほかのところにどんどんものを言う。ですから工業開発の場合も、私は、水産庁として困るなら困るということを、もうちょっと公害問題に積極的に水産庁のほうがものを言うべきじゃないか、こういうぐあいに思うのですけれども、いかがですか。
#61
○櫻内国務大臣 御意見たいへん勉強になりました。私は、元来農林省が、農業によらず、漁業によらず、食糧の安定的供給をする大きな役割りがありますと同時に、また国土の保全や自然環境保護ということが近年非常に重要性を帯びてきておる、こういうことで、大体いまおっしゃる御趣旨の線に沿って農林漁業行政に当たっておる考えでございまするが、ただいまの御意見は十分参考にしてまいりたいと思います。
#62
○横路委員 そこで一つ、ちょっとこれは具体的な問題で、時間があれば、今度本省のほうで機構改革が若干あった、それに対応して今度は水産研究所の公害に対する研究体制はどうかということを少し実はお尋ねをしたかったわけでありまして、その体制の強化についてはまた別の機会にぜひやりたいと思うのでありますけれども、最近、奇形魚、背骨の曲がった魚みたいなものの報道がずいぶんあるわけであります。私のところの北海道でもあちこちでそういうケースがあって、たしか昨年一年間で十四件くらい発生しておるようでありますけれども、水産庁のほうで、各県の発生状況についてどのようにつかまえておられるか。どのくらいの都道府県に何件くらい発生しているか、その状況をつかまえておられますか。
#63
○松下説明員 先生御指摘の点でございますが、最近、水産庁が都道府県に照会をいたしましたところ、先生御指摘のように、ほとんど全国にわたって、淡水魚あるいは沿岸の魚、あるいは養殖魚等につきまして、背曲がりですとか、あるいは寸詰まり、あるいはひれなし、そういったような奇形魚の発生が報告されております。これは私どもが今後この問題を研究するための基礎資料ということで照会したために、先生ただいま御質問のございました発生のパーセントその他については、各県からの十分な回答が得られておらないような現状でございます。この点につきましては、さらに今後調査したいというふうに考えております。
#64
○横路委員 発生件数そのほかは、皆さんのほうで掌握しているのではありませんか。
#65
○松下説明員 県によりまして、報告がある県とない県とがございますので、そこら辺、全体的にどういう状況になっているかということにつきましては、いまの段階では十分把握しておりません。
#66
○横路委員 その報告のないところを含めてどのくらいの数字になっていますか。
#67
○松下説明員 これは状況により、魚の種類により、また魚の発生段階によりまして非常に発生率が異なってまいりますので、ここで一般的に申し上げるのは非常に危険だろうというふうに考えております。
#68
○横路委員 いや、発生率なんというところまではまだ研究はいっていないわけでしょう。要するに、現実に上がってきているのがどのくらいかということで、発生個所が二百八カ所、発生件数が二百七十四件というようなことになっているんじゃないですか。
#69
○松下説明員 そのとおりでございます。
#70
○横路委員 皆さんのほうで集められたその資料に基づいてお答えを願いたいと思うのですけれども、いまのあれから言うと、都道府県のほとんどすべてにわたって奇形魚というのがかなりあり、発生個所二百八、発生件数二百七十四ということで上がっておるわけですね。各地域別にそれぞれの研究はいま行なっておるわけですが、その魚が出てくるのはどういう原因かということは、どのようにいま調査されておりますか。
#71
○松下説明員 この異常魚の発生の原因でございますが、率直に申しまして、現在ほんとうの原因というのはよくつかんでおらないような状況でございます。推測いたすところによりますと、たとえば一つの原因といたしまして、水中に溶けております微量物質によりまして魚のカルシウムの代謝の異常が起こるという問題。各種の寄生虫が寄生いたしまして、さらに細菌による二次感染によりまして支障を起こすような場合。あるいは天敵等によりまして外傷を起こす、またそれがかいようにつながるという問題。あるいは、これは養殖の魚でございますが、稚魚期の取り扱いに由来する脊椎骨の異常、あるいは水温による異常、そういったような原因によるものもございまして、現在までに判明している点では、必ずしもすべての奇形魚が環境汚染に由来するというふうには、いまのところは考えられないというような状況になっております。
#72
○横路委員 奇形魚というのは自然の中でも発生するのですから、幾らかはそれはもちろんあるわけですよ。しかし、全国的に現実にこれだけ報道されて、しかも皆さんのほうで資料を集めるとたくさん出てくるという事態は、少なくとも自然の形態の中で発生してくる奇形とは違うわけでしょう。そのくらいの認識は皆さん方のほうにあるのでしょう。
#73
○松下説明員 近年多発している傾向は先生御指摘のとおりでございまして、水産庁といたしましても、従来、水産研究所におきまして、いわゆる漁業の研究ということで基礎的な研究を行なってきたわけでございますが、さらに、こういう傾向にかんがみまして、奇形魚の類型区分と申しますか、どういうパターンになっておるか、またそのパターンごとに発生の原因はどうかということにつきまして、現在、関係の大学、水産試験場等の研究者と共同で研究を推進している状況でございます。
#74
○横路委員 海の場合、魚種はどんなのが多いのですか。
#75
○松下説明員 沿岸の魚につきましては、ボラ、カレイ、それからスズキ、そういったようないわゆる沿岸で稚魚期を過ごすような魚が多いように見受けられます。
#76
○横路委員 それらの地域的な関連について、皆さんのほうでは把握されておりますか。私のほうで調べたところによると、奇形魚はかなり工業開発の地域に多いですね。これはボラやそのほかずっと見ておると、パルプ工場のそばとか、新産都市に指定されておるところとかで、いまずっと言ってもいいですけれども、そのほうの分析はまだ皆さん方のほうでされておりませんか。
#77
○松下説明員 まだ現在のところ十分いたしておりません。
#78
○横路委員 これは大臣、奇形魚、たとえばお化け、頭がこう大きくなったハゼとか、背骨が曲がったやつとか、しかもこれは出荷されちゃっているのもあるのですね。前に私のほうの北海道の札幌でもちょっと問題になったことがありますし、皆さんのほうでも、その辺のところは少しつかまえたのもあるでしょう。それから背骨が曲がりながら出荷されておるものがありますね。その集約された中でもって、そういう報告も上がってきておるでしょう。
 問題だと思うのは何かというと、魚ばかりではなくて、最近、朝日新聞を読んでいたら、「動物に異変しきり」、家畜にいろいろな異常が発生しているというわけですね。皆さんのほうにきょうは通告してないから、担当の方おられないでしょう。いますか。
#79
○三原委員長 来ていません。
#80
○横路委員 水俣のときも、最初ネコが魚を食べて異常になったわけですね。つまり、人間に被害が出た段階で公害対策を考えるのはもう昔の話でして、いまはそうじゃなくて、その前の段階、弱い動物や植物の段階でやはりきちっと見ていかなければならない。したがって環境庁のほうも、植生図とか動物の生態図とかいうようなものの全国的な調査に入るということで作業が始まっておるわけです。そういうバロメーターとして、こういう小さな魚、これはフナでもコイでもウグイでもいいし、あるいは沿岸のカレイならカレイでもいいわけですが、そういうところにこういう異常がこれだけ全国的にかなり発生をしてくる。そうして私のほうで調べたところによると、たとえばボラとかハマチにしても、カレイにしても、たとえば茨城県の例の鹿島を含めて工業開発地帯に圧倒的にこの奇形魚は多いんですね、地域的分析をすると。そうでないところは、たとえば農薬散布の直後とか、かなり因果関係が明確なものもあるようでありますけれども、そういう意味で、一つのバロメーターというように考えるならば、実は簡単にほっておくことができない現象じゃなかろうかというように考えるわけですよ。家畜あたりにまでこんな変なのが出てぐるということになると、これはそのうちに人間も奇形児が発生するんじゃないかという心配にもつながっていくわけです。したがって、この辺のところも実は水産庁としてかなり力を入れてやっていただきたいと思うのですけれども、これは調査にどのくらいの予算をつけてやっておるのですか。
#81
○松下説明員 異常魚の研究につきましては、現在約四百五十万円程度と存じております。四十八年度につきましては、さらにこのほかに百五十万円の研究費を要求いたしまして、これは東京大学の日比谷先生に分析を依頼することにしております。
#82
○横路委員 私はやはり、もうちょっとこういうところに研究費として金を出すとか、研究体制を強化するということにする。これは、水産庁のほうで集められた資料というのは、新聞に報道されたやつが中心みたいな感じですね、新聞報道と対応してみますと。実はまだたくさんあって、これはおかしいなと思ってもどこにも持っていかないという、皆さん方のほうで掌握されていない件数を含めると、表に出てきた数字の背後には実は膨大な現実があるんじゃないかということが非常に心配なわけであります。
 そこで農林大臣、いま四百五十万プラス百五十万で、六百万という程度のお金でやるんじゃなくて、これはともかく北海道からずっと南の果てまであるんですから、こういう実態をもうちょっときちっと把握をし、そうして私のほうの調査によると、ともかく新産業都市をはじめとする開発地帯に圧倒的に多いという現実を踏まえて、しかもその原因は、いまお話があったようにいろいろあるでしょうが、しかし、少なくとも自然現象の中で生まれてくる奇形の発生なんというものではないという認識を持って、この辺の体制と対策をきちんとしていただきたい。農林大臣からぜひその辺のところ、これはいろいろなやりくりの中でできるでしょうから、やはり急いでやるべき問題でありますが、われわれの時代の問題じゃなくて、実は次の時代の問題ですね。その辺のところの認識も踏まえて、ひとつもう少し研究体制と現状把握に力を入れていただきたいと思うのです。
#83
○櫻内国務大臣 たいへん有益な御意見をちょうだいして、ありがとうございました。今回の機構改革でも、従来の調査研究部を研究開発部にいたし、漁場保全課も設けるということで、水産庁としてのいろいろ特殊な問題につきましては、水産庁内部においてでき得る限り研究をする、検討をするということは当然だと思うのであります。しかし御承知のように、環境保全、公害についての主務官庁の環境庁がございますので、環境庁においても大いに力を入れてもらわなければならないし、また実はきょう閣議で決定をいたしたのでありますが、もう横路委員の御指摘のように、まさに公害問題や自然環境保護というものが重要になる、こういうことで、少なくとも各大学に公害関係の科を至急に設置をして、いま予算が通過した後ではあるけれども、予備費を使ってでもそういう科を設けてどんどん研究をする、検討をしてもらいたいという話もきょうあった次第でございますが、水産庁は水産庁なりに、お話の趣旨に沿いまして研究面を大いに拡充をしてまいりたいと思いますし、また環境庁や文部省の関係に十分な連絡をとりまして、問題の解明をいたし、将来大きな問題にならざるうちに禍根を断つという気がまえでまいりたいと思います。
#84
○横路委員 こういう実態を公表されたらどうですか。水産庁のほうで、いま皆さんのほうでつかんでいるその実態というやつを。こういうのは隠しておいたってしようがない問題ですね。皆さんのほうで集約されたやつをやはり公表する。そうしないと、国会で幾らおっしゃったって、また来年同じ議論をしなければならないということもいままでたびたびあるわけですよ。私だって、そんなに長い経験じゃないけれども、毎年毎年、そのときだけ調子いいことをおっしゃっても、また次の年同じ議論をしなければならないという繰り返し。もういやになっていますから、それをぴしっとやっていただくためには、実態を公表して、そしてどういう対策でやるかということもあわせて発表願うということを、やはりきちんとしていただきたいというように思うのです。そうでなかったら、新聞に出たやつを国会であとでもって追ってやって議論した、終わった。あとどうなるかというと、事態はますます悪化しておって、われわれだけ何も知らないままということだけでは、これはやはり基本的に行政の姿勢と中身が変わらぬ限り、これは実際動いていかぬのではないか。大いにお金をつけてやるべきことをやるということで、その辺のところはどうですか、これは公表して、対策もあわせてお考えいただくということにしていただきたいと思うのです。
#85
○櫻内国務大臣 これは一応データがまとまって、いわゆる中間報告的なことができれば、それはもうそれにこしたことはないと思います。御発言の御趣旨に沿うかどうかは別といたしまして、そのことによっていわゆる啓蒙もし、また研究資料を大いに得るということにも相なりますので、私としては、ある程度まとまったものであれば、ほんとうにトピック的にやるというのではいかがかと思いますが、少なくとも研究、検討のある段階で公表するということについては、つとめてそのようにいたしたいと思います。
 それと、お話のように、私も長い国会の経験で、委員会でじょうずに私どもが答えてそれで済ますというようなことは、これはいかがかと思うので、きょうも具体的に、閣議できょう内定したことなども申し上げておるわけで、おそらく長い目で見れば、ただ単に繰り返しの話をしておるのじゃなくて、日進月歩をしておると私は思います。
#86
○横路委員 今度のこの機構改革の一つの柱である、漁場環境保全をするという、そのための研究体制を強化するということの手当ても、先ほど何か人員ふえたとかいっても、三人じゃこれはどうしようもないので、また別の機会に行管でも呼んで話をしたいと思いますけれども、ひとり研究所のほうの体制もぜひあわせて、それに伴って強化していっていただきたいということを要望しておきたいと思うのであります。
 時間もなくなりましたので、最後にちょっと、日ソ交渉の問題について大臣に……。
 なかなかきびしい状況で、サケ、マスのほうも、カニのほうも、いま東京とモスクワで交渉されておられるようでありますけれども、どうもこれまた最後は政治レベルの話ということになりそうないまの段階でありますけれども、いまの状況はどういうところに来ているのか、ひとつ大臣のほうから、それぞれについてお答えいただきたいと思います。
#87
○櫻内国務大臣 三月一日にモスクワ、東京におきまして同時に交渉に入ったわけでございまするが、資源評価委員会の作業が長引きまして、この資源評価委員会の内容は長官のほうから必要があれば御説明をさせますが、まずその段階で日ソ間の考え方に、意見の一致を見ているところもありますけれども、相当な食い違いがあったと思います。そして具体的な規制措置につきましては、先週あたりからソ連側の意向がだんだん表明されてまいりまして、今週になりまして、新聞で報道されたようなことがソ連側の主張として言われておるわけでございますが、日本側としては、とうていのみ得ない内容でありますので、これはもう断固はねのけておるわけであります。しかし、ただそういうことだけでは打開の余地がございませんので、いま外務省のほうの手に移しておりますが、モスクワにおける新関大使を通じ、また東京におきましては在日ソ連大使を通じまして、事態の打開のための申し出をする、そういう段階にまいっております。この反応がどういうふうに出てくるかということを待っておるような次第でございますが、何ぶんにも漁期も迫っておることでございまして、今週末か来週早々あたりに、総合的なあらゆる角度からの判断をしなければならないかと考えておるところでございます。
 ただ私は、この際申し上げたいのは、この漁業交渉は、サケ、マスにしても、またカニ、ツブにいたしましても、ほんとうに両国における資源問題からの規制措置ということでありますならば、私はこういうふうに難航をすべきものでない、こう思うのであります。そしてまた毎年毎年同じようなことを繰り返しておるのでございますが、相当長期の間のやりとりでございまするから、資源問題を中心にしてもう事務レベルで当然妥結を見るべきものである、このように見ておるのでございます。また日本側といたしましては、御承知のとおりの長い伝統ある北洋漁業のことでございまして、まあ最近になって大陸だな資源、公海資源というようなやりとりもいろいろございまするけれども、そういうこと以上に、この長い歴史というものをソ連側は十分考慮してもらわなければならないということを強調しておるわけでございます。これは新聞等に報道されておりまするけれども、必要があれば、内容等については長官から御説明を申し上げさせます。
#88
○横路委員 打開のための申し入れ、総合的判断が必要になるだろう、こういうお話でありますが、結局その辺のところに話を持っていかざるを得ないというところまで来ているというわけですな。事務レベルでの話というのは残念ながらなかなかむずかしいというニュアンスのように受け取りましたけれども、出漁の時期も迫っていることでもあるし、結局その辺のところが必要だと、こういうことですね。
#89
○櫻内国務大臣 これは交渉事で、いまちょうどはっしとつばぜり合いのところだと思うのです。私がいま資源とか伝統的な北洋漁業ということを強調しておるゆえんのものは、これは政治的な配慮というものが過去においてはときにあった場合もございまするけれども、そういうことの必要性のないものである。昨年は別段のことなく話が済んでおるわけでございまするから、ことしもこの辺で両国が友好裏にもう話を妥結すべきじゃないか。まあソ連側もソ連側の立場上、ある程度きびしいことを申しておりましても、この辺が山場で、お互いに腹蔵なく話せて、妥結してくれてもいいもんだという見方をしておるわけでございます。
#90
○横路委員 微妙な問題でしょうからこれ以上こまかく聞きませんけれども、ただ、たとえばカニならカニについてソビエトのほうが少し強硬に出てきている、その背景というのはどういうぐあいに認識されていますか。向こうがあれだけいわば強圧的な態度で出てきているその背景というのは、皆さん方のほうではどういうぐあいにつかまえておられるか。
#91
○櫻内国務大臣 日ソ漁業委員会にいたしましても、またモスクワにおけるわがほう代表との政府レベルによる交渉にいたしましても、純粋論議で終始一貫しておるのであります。少なくともわがほうはそういう見地に立っておるのでございまして、お尋ねのような、そこに背景とかどうとかということは、われわれとしては考慮をしておりません。しかも昨年、きわめてスムーズに事務レベルで最後の詰めができましたもので、そういういい例がきわめて近い昨年の場合にあったのでございますから、これをよき慣行にいたしたいということで、いま努力をしておるわけでございます。
#92
○横路委員 やっぱりそれはそうしてもらわぬと、最後は政治レベルのほうの話になるということになりますと、大体大手資本の擁護ということになって、ツブとかスケソウダラのほうにしわ寄せがいくのはもう目に見えていますから、願わくはそういうことにならぬように、絶対そうしていただきたいと思います。
 ただ、向こう側がそういう強い態度に出てきているということは、こちらとしてきちっとつかまえておかなきゃならぬ。まあこういう場でそういう議論はできませんが、ソビエト側と日本側との資源論争の間でかなりデータの違いがある。日本側ではそのデータをきちんとつかまえているのか。たとえば、漁業白書においてもスケソウダラ等については魚体が毎年一センチずつ小さくなって、資源的にも将来心配だということが出ておりますね。そうすると、スケソウダラとカニはほぼ同じような漁場でありまして、そんな意味で向こう側がああいう態度に出てくるバックがあるんじゃないか。まあ漁業白書でも、その資源の問題になりますと、はっきり言い切らないで、どうもだんだん少なくなっていく傾向にあるとか、そんな心細い話しか出てきておらないわけでありますけれども、その辺のところがいまの交渉の一つの問題点であるように、外から見ておりますと感ずるわけですけれども、その辺のところはいかがですか。まあ差しさわりのない範囲で……。
#93
○荒勝政府委員 日ソ双方に利害関係のある魚種につきましては、協定に基づきまして、お互いに資源について徹底的に調査し、かつまた毎年の漁業委員会なり漁業交渉に際しまして、その資源の適正漁獲量の決定ということが毎年のルールになっています。これも日ソの間で十七回も行なわれてまいりまして、この日ソ間の資源評価方法につきましては、世界的にも高い評価が行なわれるほど、両国間で徹底的に詰めてきておる次第でございます。
 ただ問題なのは、たとえばサケ、マス一つ例にとりますと、日本は、過去数年間の漁獲量の中から、三年生のものがことしはその後どのぐらい大きくなって、どのぐらい滞留するかというようなことで、沖合いにおきます資源の評価に比較的重点が置かれる。それに対しまして、ソ連側といたしましては、内陸部といいますか、陸上におきますサケ、マスの母体の遡河量、川をのぼってくる魚が五年前にどのくらいあったかということから判断いたしまして、あるいはまた降河稚魚量、川を下ってくる稚魚がどのくらいあったかというところで評価いたしておりますので、資源評価の調査場所が違うということから、そこにおのずから評価方法が多少分かれてきておるということもある程度事実ではなかろうかと思います。
 これにつきましては、日ソ双方とも完全に資料は出し合っておりまして、お互いにそれほど隠し合いの問題もありませんが、具体的に申し上げますと、ことしのマスにつきましては、日ソ双方が、ことしはおおむね豊漁年である、したがって一九七一年の来遊量とほとんど変わらないというふうな判断をいたしております。ベニあるいはシロになりますと、ソ連側は、日ソ漁業交渉始まって以来最低の資源評価であり、日本側としては、七一年の来遊量とあまり変わらないというような評価をいたしておりまして、その辺で多少食い違っておる次第でございます。
 また、いま問題を提起されましたスケソウダラにつきましては、新聞に出ておりますように、ベーリング海のスケソウダラの魚体が非常に小さくなったというようなことで、この原因につきましても、ただいま日米間で資源評価を急いでおりますが、年々漁獲量をふやすということについては今後問題があるということで、日本側で漁獲量をおおむね百五十万トン前後ということで自粛的に自主規制を行なったということでございますが、日ソの間に関係しておりますカムチャッカを中心とする北洋のスケソウダラにつきましては、日本側の見解でございますが、まだ資源的に悪影響は出ていないということで、これはそれほど強い規制をする気はいまの段階では持ち合わせていない。また、誤解ないように念のために申し上げますが、ソ連側からこの北洋の、特にオホーツク海のスケソウダラについての規制の要求、あるいは議題でそういうことがあったということは全然ございませんので、一応御了解願いたいと思います。
#94
○横路委員 しわ寄せが沿岸漁民のところにいかないようにひとつ解決をしてもらいたいというように思います。
 最後に一つ。西経百七十五度以東のベーリング海のツブの漁業が、去年までは自由だったがことしから水産庁の承認が必要になるということで、二十隻ですか認められたわけですけれども、この経過はどういう経過なのか、簡単にお話しを願います。
#95
○荒勝政府委員 ツブにつきましては、これはまさに北洋水域におきまして日本が開発した漁業でございます。ただ、これが残念なことに、米ソ双方とも大陸だな地帯に主として生息しているということで、ともすれば大陸だな資源であるという議論を誘発いたしておりまして、ソ連は、御存じのようにカニと一緒に大陸だな資源という見解を持っておりまして、米ソともにモスクワで交渉するような経過になっております。また、米ソともに、ツブにつきましては捕獲も食べることもいたしておりませんで、まさに資源的には人間が全然利用していない形態でございますが、日本のみが、このツブにつきましては、とって、かつ最近は非常に人間の利用に供せられているというかっこうになっている次第でございますが、このベーリング海のツブにつきましては、従来そういう意味で自由漁業といいますか、ある程度アメリカもやかましく言いませんでしたし、資源的にもまだ十分あるということでまかしてきたのでありますが、昨年の日米の交渉におきまして、アメリカのほうから、どうも少しツブ漁船が大量にアメリカ側に入り込んでおってというふうなことで、抗議というふうな、あるいは重大な発言ということではございませんが、日米相互間の今後の円満な漁業の発展のためにある程度日本側において少し自粛してもらえないだろうかという、サジェスチョンというふうなかっこうでさりげない話題もございましたので、日本側におきましても、ツブがあまり大量に進出するということは、結果的に見まして、現在すでにベーリング海のツブにつきましては、数年前には相当大量にどの船もとれたのでありますけれども、最近は資源的に一部に偏在しまして、端的に申し上げれば、いい漁場を当てた漁船は満載されますけれども、とれないところはあまりとれなかったというようなことで非常に問題になっておりますので、今回、隻数等を自粛したという形で隻数の制限をいたした、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#96
○横路委員 もうこれでやめますが、サゼスチョンがあってぱっと規制してしまうということですね。いまのお話を聞きますと、そのしわ寄せがやはり一般の沿岸漁民に来る。つまりツブなんというのは大手にとっては片手間なんでしょうけれども、沿岸漁民にとっては非常に大切な生計の手段になっているわけです。今度の日ソの中身を見ても、大手資本が大体半分ぐらい占めて、一社で四隻も船をとっているところもあるわけでありますが、一般的に、大臣、北海道の漁民に言わせると、あちらこちら日本海から北洋のほうを含めて、小さな船でほんとうに命がけで出て行っていろいろと漁場の開拓というのを行なってきたわけですね。漁場の開拓を行なうと、とたんに水産庁のほうでそれを承認事項にしてしまって、そしてツブをとったこともないようなところでも割り当てをもらって行くか、あるいはそういうところは行けないからほかに権利をまた貸しをするというのですか、そんなことも行なわれているようでありまして、たとえば去年のツブにしても、実績は全部が行っているわけじゃなくて、四、五そうですか。全然行かなかったというところもあるようですね。それは全然ツブのとり方を知らぬところに権限を与えているのですから、とりに行こうったって行けるはずもないわけであります。したがって、もう時間もございませんから、最後に、せっかく沿岸の漁民が開拓をした漁場を取り上げて、すぐ大手資本にだけぱっぱっと割り当ててしまうようなことだけは行政の姿勢としてとらないでいただきたい。やはりそういうところをみんなやっているわけでございますから。話を聞くと、今度はこっちのほうはエビだとか何とかと、とにかくいろんなことを考えながらやっているようでありまして、ひとつ行政にあたって、基本的な姿勢として、やはりそういう点も考えてこれから行政に当たっていただきたいということを最後に要望して私の質問を終わります。
#97
○三原委員長 鈴切康雄君。
  〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕
#98
○鈴切委員 いわゆる漁業白書というものがつい最近出されましたので、その漁業白書に基づいて今後日本の漁業政策に対するところの基本的な考え方、並びにこれからどのようにしていかなくてはならないかという点について二、三お聞きをしながら、具体的な問題に入りたいと思うわけであります。
 まず、漁業白書によりますと、昭和四十六年のわが国の漁業生産量は前年を六・四%上回る一千万トンという大台に乗るという状態になってきた。しかし反面、経済の高度成長に伴う環境汚染からなかなか優良な漁場がなくなったために、それを海洋漁場に求めておるけれども、しかし国際規制の強化の措置がだんだんときびしくなってくる、そういうことでわが国の漁業制度それ自体が大きな曲がりかどに来ている、そのようにいわれていますけれども、そういう点から考えまして、水産庁としては今後どのような姿勢でこれに対処していくか、具体的な御答弁をお願いしたいと思います。
#99
○荒勝政府委員 この海外におきます漁業規制の問題につきましては、私たちといたしましては、先ほども御説明申し上げましたように、国際的な海洋会議で二百海里の排他的専管水域を各国が設定しようという世論の動向というものもございますが、それに対しまして日本としては、あくまで公海自由の原則というかねてからの持論にあえてこだわるものじゃございませんが、やはり領海は十二海里ということに国際的な意見の一致を見るならば、日本としてもその方向に従うことについては異論はないという姿勢でございますが、排他的な二百海里の漁業専管水域の設定については、これはあくまで反対、しかし、これについては、沿岸国の利益というものを必ずしも認めないという姿勢ではない。これについては話し合いで、漁業の資源状態を掌握しながら、一定量について沿岸国と遠洋国との間で漁獲量をきめていったらどうかというふうな姿勢でこの問題については対処していきたい。それに伴いまして、国内的にも予算を講じまして、海外漁業協力のための予算を外務省に十億、農林省に十億計上いたしまして、今後こういったものについての話し合いを進めるための、漁業協力を推し進めていくための一つの便宜としてこういう予算を計上して、今後、排他的な漁業水域の規制に対して十分努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#100
○鈴切委員 国際的には、領海幅員、漁業制度を含む海洋法の改定問題とか、あるいは開発途上国を中心に管理権の拡張傾向ということが、いまお話にあったとおりでありますけれども、しかし、その背景に至るものについてどのように認識をされているかということが一つの大きな問題じゃないかと思いますが、その点について伺いたいと思います。
#101
○荒勝政府委員 世界的にたん白源の不足というふうなこともあるかとも思いますが、食糧確保という観点から、動物性たん白資源として水産資源の重要性が非常に国際的に認識が高まってきておるということがまず一つでございます。さらに、発展途上国を中心といたしまして、最近独立いたしました新興国家が、国民に動物性たん白質を食べさせなければならないということから、自国の距岸二百海里近くまでも漁場を確保することによって自国でその魚は確保したい。沿岸の二百海里沖までは魚にはすべて国籍があるんだという立場で二百海里説というものを、ラテンアメリカ諸国、あるいはアフリカ諸国、あるいは東南アジア諸国が言い出したのも、自国の国民へのたん白源の確保ということが一つの背景になりまして出てきたのではなかろうか。さらに、これもあるいは少し言い過ぎかもわかりませんが、日本、ソ連というふうな大海洋国が、大きなトロール船で二百海里の沖合いを、従来ある程度自由に操業しておったということに対する反発も多少あるのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。
#102
○鈴切委員 各国が動物性たん白質は必要であるという認識に立ったということ、これは一つの理由だと思いますけれども、最後に言われた、日本の漁法技術というものは他国に比べて非常に進歩をしておるということもあり、またトロール船を通じて底引き漁法をやっているような状態になりますと、これを野放しにしていくと、まさに魚族が絶滅をするというおそれが出てくるということに、私は大きな問題点があろうかというふうに思うのです。こういう問題については、やはり国際的な協調による魚族の保護が必要であろうかというふうに思うのですけれども、その点、政府としては、今後そういう問題についてはどういうふうに対処をされていくか、お伺いいたします。
#103
○荒勝政府委員 海外におきます遠洋漁業のあり方につきましては、日本も、従来までは国際的な漁業条約にあまり参加してなかったわけでありますが、大西洋方面まで進出し、あるいはアメリカの西部海岸まで進出していった過程で、それぞれ各地域ごと、あるいは国ごとにいろいろな漁業協定なり国際漁業条約がございますので、その条約にそれぞれ参加することによって国際的な規制の指揮下に入るということで、われわれは今後国際的な世論の反発を招かないような方向でやっていきたい。また、条約のない国々に対しましても、二国間で漁業協定をそれぞれ結びまして、相手国の姿勢に対しましては、十分話し合いで、納得ずくで漁業進出を行なうという形で対処しておる次第でございます。
 さらに国内的にも、海外に出ていきます船につきまして、あまり不当に漁業を認める方向ではございませんで、極力、今後そういった新しい希望が出ましても押えるという姿勢で現在対処している次第でございます。
#104
○鈴切委員 大臣にお聞きしますけれども、いわゆる水産物の食糧需要は増大をしつつ、前年度より一三・五%の伸び率であるわけでありますけれども、国民の一人一日当たりの動物性たん白質摂取量というのは三十三グラムであるというふうに白書ではいっております。しかし、それは割合にすると五二・四%を占めておる。このようにして、需要増大に対して供給は質量ともに不十分であるとうたわれておるわけでありますけれども、素朴な感じで、外国に対していわゆる魚類のかん詰めをかなり輸出をしているわけです。確かに国民が摂取する動物性たん白質というものは必要であろうかと思うわけでありますけれども、外国に対するかん詰めの輸出というものに対して、これは結局は乱獲にもつながっていくし、また言うなれば、日本の漁法に対するところの各国の反発というものも十分に考えられるわけでありますから、その点についてはどういうふうにお考えになりましょうか。
#105
○櫻内国務大臣 なかなかむずかしい御質問で、いまのような国際収支の関係からいえば、輸出の抑制の上に、乱獲ともおぼしき魚をかん詰めにしてどんどん出すということはいかがかということになれば、それは私もそういうことは控え目にしたほうがいい、こういう感じがいたします。ツナのかん詰めなどは、国民の消費動向からいうと、あまり日本人は食べない、しかし漁獲はしてきておる、そこでかん詰めとして出す、というようなことでいままできておると思うのであります。したがって、いまの御質問の御趣旨が、日本人の必要なものだけをとることにして、そうでないものをわざわざとって輸出するなということでございますれば、これはまた一つの検討の余地がある問題だと思います。
#106
○鈴切委員 私は、日本人というのは、動物性たん白質として水産資源から補給をするということについては、各国から比べて決して劣るものではないと思うのです。また、日本の国は海に恵まれているという状態から、従来から魚が常食されてきているわけでありますから、そういう点について、必要性ないものをどんどんとるというようなことで開発途上国から非難を受ける、しかも国際協調の点についてもまことに問題があるという状態であっては、これは私は事が非常に問題になっていくのじゃないか、そのように思うわけであります。
 沿岸漁業の場合、公害問題が非常にいま大きな問題になっておりまして、漁業生産の停滞という問題が起こっております。昭和四十七年の水産資源開発促進法により、沿岸には養殖事業を増大する方向に漁業の転換を指向してあるというようにいっておるわけでありますが、一昨年設置されました海洋水産資源開発センターとのからみ合いというのはどのようになっておるか。また、この問題に対してどのように対処されようとしておるのか。また、実績というものもあわせてお伺いをしたいと思います。
#107
○荒勝政府委員 沿岸漁業の振興ということにつきまして、国際漁業の将来の展望が非常に問題があるし、たん白源として漁獲は確保しなければならないということで、国内的には沿岸の漁業の振興をはかってまいりたいというのがわれわれの姿勢でございます。それに伴いまして、ただいま御指摘になりました法律を制定いたしまして行ないたいと思っておるわけでございますが、さしあたり、沿岸漁業の振興すべき、開発すべき地域を指定したいということで、指定の手続を法律に基づきまして実行しておるわけでございますが、ただいままでに、法律が制定されて以来多少時間を食ったわけでございますが、この一月以降逐次各県から指定の申請が参りまして、現在十三カ所の申請が一応知事から出ておりまして、これにつきましては関係各省といま協議中でございますが、おおむね話し合いがつきましたので、近日中にこの旨については農林大臣としては承認の形になるんではなかろうか。さらに、今後、逐次各県ともに、指定の申請が参りますればこれとともに進んでいくのではなかろうか、こういうふうにわれわれは期待している次第でございます。
#108
○鈴切委員 漁業就業者の問題でありますけれども、前年から比べると四・四%の減少である。十年前の状態から比べますと四分の三に減少しておる。しかも、就業者の高齢化の問題あるいは女子化というものが目立って、若年労働力を主とした漁場の労働力は全般的にいま不足であるというふうに白書の中にあるわけでありますけれども、今後、若年労働力の確保にどのような対策を講じられようとしておられますか。
#109
○荒勝政府委員 この漁業の後継者といいますか、若年労働力の問題は、水産の今後の振興についてわれわれも非常に心配している次第でございまして、ただいま御指摘のように、三十六年には全部の漁業就業者というものが五十八万二千もあったものが、四十六年には四十二万三千というふうに相当減ってきております。減ってきている大きな原因が、十五歳から三十九歳までの若い方々が減ったんでありまして、たとえば三十六年には十五歳から三十九歳までの方が三十一万九千あったのが、四十六年には十八万九千というふうに非常に低下しております。それに対しまして、六十歳以上の方は七万八千から六万六千というふうに低下の度合いが非常に少ない。むしろ若い労働力が逐次他産業へ転換していくということが統計的に見られるわけであります。さらに、新規の中学、高等学校の卒業生がどの程度漁業に従事しているかという統計がありますが、三十六年には、毎年新規の卒業生が六千二百人、約六千人漁業に従事しておったのが、四十六年には四千人というふうになっておりまして、こういう点で、新しい学校の卒業者が漁業にはなかなか従事していないというふうに私たち見ておる次第でございまして、これにつきましては、今後、魅力ある漁業というふうにすることによって若い世代の人々に漁業に従事してもらうということが非常に大事なことではなかろうか、こういうふうに思っております。
 また一方では、所得面から申し上げますと、漁業の現在の一世帯当たりの所得といたしましては、決して他産業とそんなに劣っているわけではありませんけれども、一般的な産業に比べて、一人当たりになりますと若干落ちるということが、やはり世継ぎの労働従事者が減っている原因ではなかろうかと考えている次第であります。したがいまして、沿岸漁業の振興を大いにはかるために、構造改善事業なり栽培漁業の積極的な活用等、その他漁港等を整備いたしまして、こういった漁業経営の近代化を促進していくということがまず基本的には必要ではなかろうか。なお、そのほか、こういった若い漁業従事者のための学校を開設するとか、漁業の若い人のための研修会なり、あるいは青壮年の後継者の資質の向上等をあわせ並行しながら、沿岸漁業の振興のために、若い世代を確保してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#110
○鈴切委員 結局、若い労働者が確保できない理由というもの、これはいま魅力がないというおことばで表現をされましたけれども、実際に白書にあるとおり、前年から比べまして二〇%増になって、平均所得は百十二万円という微々たる所得しかありません。そういうことから、対価の安いということと同時に、一つはやはり不安定であるという要素が常にからまっているというふうに私は思うわけです。そういう点から考えまして、若年労働者の確保ということは、いま政府の考えているような、ただ単に口だけのことであってはならない。やはりそれを実際に予算に反映をして、そしてこれに直剣に取り組んでいかなければ若年労働者が確保できないということはもう当然じゃないかと思うのですけれども、この点についてはどう思われますか。
#111
○櫻内国務大臣 お話のとおりに、私どもも、非常にこれは重要な問題である、直剣に取り組んでいかなければいけない、こういうことで、ことしの予算におきましても、後継者育成対策関連予算、項目は幾つか柱が立っておるわけでございまするが、総額では三千六百八十五万ほど青少年育成のための予算も計上してみております。しかし、お話のとおりに、ただ予算でそういうものを計上したからといって容易に若年労働力を確保するものでもないということは、よく承知をしておるわけでございまして、先ほど長官のほうから申し上げましたように、何といっても漁業を根本的に振興する必要があるんだ、基盤整備として漁港をよくしていくことも、またこの栽培漁業の積極的な展開も、公害対策も、構造改善事業も、あるいは価格対策も、それぞれ講じまして、そして若い方々にも漁業に魅力を持ってもらうということが必要かと思います。
#112
○鈴切委員 白書には、「漁業の役割と政策の方向」といたしまして、まず公害の防止と漁場環境の保全につとめ、沿岸、沖合い海域の優良漁場の確保をはかり、生産流通の拠点としての漁港整備を行なってというふうに書いてありますけれども、はたしてその点十分に配慮がされているかどうかということについてお伺いいたします。
#113
○荒勝政府委員 漁業生産の基盤をなします漁港につきましては、第五次漁港整備計画が先般国会で御承認をいただきまして、今後七千五百億円を、向こう五カ年間かかりまして、全力をあげてこの整備をはかってまいりたい、こう思っています。この基盤の整備をはかることによりまして、漁船の大型化も可能になり、したがいまして能率向上にも資すると思いますし、また漁船の乗り組み員の方々の安全性ということも相当強化されてくるんではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。なお、そのほか、こうした沿岸漁業振興のために、沿岸の栽培漁業の振興とか、こういった構造改善事業ということを行なうことによりまして、この漁民の方々のいわゆる近代化といいますか、経営の安定が逐次向上していくんではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
#114
○鈴切委員 公害の防止と漁場環境の保全につとめ、沿岸、沖合い海域の優良漁場の確保というふうにあるわけなんですけれども、きょうは特に時間の関係上、油による海水汚濁についての問題にしぼってお伺いをしたいと思うわけです。
 近年、御存じのように、石油化学工業の発展に伴って、輸入とかあるいは移入というのは非常に増加をしております。さきに、廃油の海中投棄については、海洋汚染防止法で規制されて、これは全面施行されたにもかかわらず、相変わらず汚染がひどく、被害は目をおおうような状態であります。
 なかんずく、伊豆七島国立公園というのは、御存じのように東京の千二百万人のレジャーを楽しむ唯一のいこいの場所であると同時に、日本三大漁場の一つでもありますし、風光明媚な国立公園として実に多くの方々に親しまれております。その島がいまや油による海洋公害によって汚染をされている現状であります。私も八丈島に行きまして公害の調査をし、海浜に打ち上げられたボール状の無数の廃油だまをこの目で見て確かめてきたわけでありますけれども、大きいのはバスケットボールというようなものもありますし、こういうような状態において、政府はこの廃油ボールの実態をどのように掌握されておるか、まずその点について御説明を願いたいと思います。
#115
○船谷説明員 海上保安庁といたしまして、廃油ボール漂着問題が出ましたので、四十六年の七月から去年の六月までの一年間、全国的に巡視船等を使いまして、また漁業協同組合の方々にも依頼をしまして調査いたしました。そのとき、漂流、漂着状況の調査はもちろんでありますが、サンプルの採集をしたり、それから分析もやりました。それからタンカーや陸上貯油施設の廃油投棄の実態も調べました。海上の油類の時間の経過による変化、それから日本近海の気象、海象状況なんかもあわせて調査いたしました。
 それで、大体の実態をつかんだわけでございますが、それによりますと、原因としましては、主としては、大型タンカーが産油地へ行く途中タンクを洗浄しますが、その廃油と、それからバラストを張って積み地へ行くわけですが、それの排出、そういったものを主としては沖繩近海から南シナ海付近で捨てる、それが黒潮に乗って北上する。そのうちに、何十日かたって揮発分は蒸発し、そして残ったものがボール状にかたまって、沖繩のほうからずっと日本沿岸、そして黒潮に乗って伊豆七島のほうに着いておるということであろうということを確かめた次第であります。
#116
○鈴切委員 水産庁にお伺いいたしますけれども、伊豆七島は日本屈指の漁場でありますけれども、年間水揚げされる漁獲高と魚族の種類、また、廃油ボールによって水産物、特に魚介類または漁船、漁具に与える影響をどのようにお考えになっておりますか。
#117
○荒勝政府委員 伊豆七島の漁業の現状を申し上げますと、四十六年には約五千九百五十六トン、金額にいたしますと約十三億六千万円の生産額をあげておりまして、魚種別には、テングサが数量的には漁獲量の三分の一近くを占めておるわけでございますが、次いでアジ、サバ、トビウオ等がありまして、四魚種で漁獲量の約七〇%を占めておる、こういうように御理解願いたいと思います。
  〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
ただ、この漁獲量も、過去五年間の総漁獲量の推移を見ますと、テングサがあまり需要がないものですから、年々減ってきておりまして、一般魚類は大体五トン未満の船が約八五%を占めて、そして零細な形で漁獲を行なっておる、こういうふうに理解している次第でございます。
 これに対しまして、漁獲の被害がどのようになっているかということでございますが、これにつきましては、こういったボールが海岸に付着することによりまして、やはり稚魚の卵あるいは稚魚に対して重大な悪影響を及ぼすのではなかろうか、こういうふうに思っております次第でございます。それで、特にどういう魚かと申しますと、アジ、サバあるいはブリ、メダイ等の産卵場、あるいは生育場にここの地区がなっておりますので、これらが多少被害を受けておるのではなかろうか。さらに、磯物資源でありますテングサあるいはイワノリ、トコブシ等については、直接的な被害を受けておるのではなかろうかということで、昨年の七月、八丈島に漂流いたしました大量の廃油ボールによりまして約五百五十六万円前後の被害があった旨報告を受けておる次第でございます。
#118
○鈴切委員 先ほど海上保安庁のほうから報告がありましたけれども、昨年の六月まで一年間、毎月一回程度、巡視船により伊豆七島付近の海面における漂流油塊の採取を試みた、そういうふうなお話でありますけれども、その採取を試みた状態について、どういうふうな報告がなされておりますか。
#119
○船谷説明員 採集したこと自体の状況といいますか、それはちょっとわかりませんが、要するに廃油ボールがどのようにして発生するかというようなことにつき、また経路につきまして検討するために、廃油ボールそのもの、それが非常に大きいもの、それから小さいものもございます。直径何ミリというようなものもございますし、あるいはまだボールになってないどろどろした状態のもの等がございます。そういったものを採集し、分析をしておるわけでございます。
#120
○鈴切委員 私の手元に出していただいた資料ですけれども、昨年の六月まで一カ年間、毎月一回程度、巡視船により伊豆七島付近海面における漂流油塊の採取を試みたが、二回につき、回の割合で直径数ミリメートルの油塊が採取できたが、大型の浮流油塊は発見できなかった、こういうふうに出ているわけでありますけれども、この漂流油塊の採取の方法なんですが、これはどういうふうにして採取されたんですか。
#121
○船谷説明員 この方法は、ボールはもちろん拾ってきたわけですけれども、ボールになってないもの、あるいは海面、海上にあるもの、それは巡視船で網を引っぱって、そして採集いたしました。
#122
○鈴切委員 その網で採取をするということなんですけれども、この油塊、廃油ボールというものは、決して普通のところを網ですくってみたって、それはとれるものじゃないのです。実は暖流と寒流との潮目があるわけです。潮目にはその油塊というものが浮流をする。長い間そこでもまれながら廃油ボールに成長していくといろ一つの経路をたどっておるわけです。私は飛行機に乗って上から海を見たわけでありますけれども、もう完全に油であると思われる帯状の状態を発見をしているわけです。そういう点で、海上保安庁がわずかに数ミリメートルの油塊を採取をしたというような、そういう採取のしかたであっては、ほんとうのこの廃油ボールの基本的な解決というものはなかなかむずかしいと思います。しょせんは海流に乗って油というものが浮流をするわけですし、また暖流と寒流とのちょうど潮目にすべてが集まってくるわけですから、そこであなたがもし採取されたら、それこそたくさん網にひっかかってくることはもう当然なことなんですが、そういう点について、あまりにも何か海上保安庁は、あの近辺の海をすっとさらったけれども、油塊は発見できなかったというような調査のしかたをしておりますから、ほんとうの調査のしかたじゃない、そういうように私は思うのですけれども、その点どうです。
#123
○船谷説明員 これは初めての試みであったわけでして、いろいろの方法を考えたわけですが、もちろん先生のおっしゃいますように、潮目のところに集まるということでございますが、うちが採取しました目的というのは、サンプルをとろうということでございまして、その浮遊しておる廃油ボールをできるだけ取り除こうという観点からやったわけではございませんでした。
#124
○鈴切委員 油塊のサンプルをとるというだけで、昨年の六月まで一年間、毎月一回程度巡視船によって採取をするというようなことは、これはほんとうに場当たり的な、観念的なことであって、実際にはこの廃油ボールというものがどういうふうな状態で八丈島あるいは新島、大島、そういうところに打ち上げられ、そして被害を及ぼすかということについてはあまりにも役立たない。そういう採取だけの問題であるならば、そんな大げさにする必要はないわけでありまして、これを今後どういうふうにしてなくしていくかという根本的な問題にメスを入れないと、これはいつまでたってもよくならないと実は私は思うわけです。
 私は前に一度この問題を質問をしたときに、確かに海洋汚染防止法というものが施行されれば必ず改善をされる方向に進んでいきます、そういうようなお話があったわけでありますけれども、実際には毎年毎年この状態がひどくなっていくということは、この目で確かめて、決して法律ができたからといってそういう状態ではない、その来たるべき原因というものはどこにあるかという重大な問題についてこれを考えていかなくてはならないじゃないか、こういうふうに実は私思うわけでありますけれども、この公害問題について、先ほど海上保安庁から、南シナ海あるいは沖繩方面で捨てられた油が、長い間潮流に乗って、そして八丈島の沖のところに来るんだというような、ただ単に、外国で捨てられたものがそのようにして八丈島にたどりついて、それが公害源になっているというふうにおっしゃっているわけでありますけれども、私は、そんな簡単なものではない、このように思うわけでありますけれども、その点について、環境庁並びに水産庁、運輸省はどのようなお考え方でこの公害源というものを考えられて対策を練っておられるか、各省についてお伺いいたします。
#125
○松田説明員 環境庁の水質保全局の企画課長でございます。
 環境庁といたしましては、実は油につきましては、海洋汚染防止法上の業務は運輸省の所管でございまして、環境庁は、油以外の廃棄物の排出基準、排出海域、こういうものの設定につきまして所掌いたしておりますけれども、もちろん、環境保全全体の立場からいたしまして、海洋の汚染あるいは廃油ボールの漂着等につきましては、非常に遺憾なことである、こういうふうに考えておりまして、具体的な所掌事務としてはございませんけれども、関係各省とよく連絡をとりまして、たとえば漂着しました廃油ボールにつきましては、海岸とか海浜地を管理する者でありますとかその所管省に対しまして、これらの除去対策につきまして常日ごろ要望いたしておるところであります。そういった点で、今後とも関係各省と、実施各省でございますけれども、緊密な連絡をとりまして、こういうものの防止といいますか、除去、そういうことにつとめてまいりたいというふうに考えております。
#126
○荒勝政府委員 水産庁といたしましては、この油によります海洋汚濁は非常に困った問題でございますので、これに対処するため、海洋汚染防止法が厳正に運用されるよう、監視の取り締まり、あるいは廃油処理施設の整備等につきまして積極的に推進いたしたいということで、関係方面にもまた強くお願いしている次第でございますが、どうしても沖合い奥深くでいろいろな船舶が重油を流すということが非常に頻発いたしておりますので、これにつきましては、今後さらに何らかの形で取り締まりを強化いたしてまいりたいという考え方を持っておるわけでございます。
 これにつきまして、ことしの十月に海洋汚染防止のための国際会議が予定されておりますので、それが船舶からの油の排出規制を強化するための条約改正というふうに聞いておりますので、この会議に、関係方面とも打ち合わせいたしまして積極的に出席して、この問題に国際的な形で対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#127
○鈴切委員 もう時間が本会議まであと何分もございませんので、私は本会議が終わってから質問したいと思いますけれども、やはりその原因と公害源がどこにあるかという問題がほんとうに探求されないと、この問題は絶対解決しない、私はそういう論点から、これから本会議後いろいろ皆さん方にも質問をしてまいりたい、そう思いますので、委員長、その点お計らい願って、本会議後にしたいと思います。
#128
○三原委員長 午後四時二十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
   午後零時四十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時二十九分開議
#129
○三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴切康雄君。
#130
○鈴切委員 休憩前に引き続きまして質問に入るわけでありますが、要するに、廃油ボールの公害源、そしてまた原因がどこにあるかという問題が解明されなければ基本的な解決にはならない。しょせんはそういう問題を含んだ廃油ボールの要素があるわけであります。
 そこで、廃油の海中投棄についての規制は海洋汚染防止法できめられて、すでに全面施行されておりますけれども、同法の中で例外的な場合を除き、船舶からの油の排出は全域において一切禁止をされるとありますけれども、例外的な場合というのはどういうふうになっておりましょうか。こういう点について……。
#131
○佐藤説明員 先生の御質問の件は、海洋汚染防止法の第四条に書いてあるわけでございます。
 まず、油の投棄につきまして一応例外的に認められる場合とはどういうことかと申しますと、「船舶の安全を確保し、船舶若しくは積荷の損傷を防止し、又は人命を救助するための油の排出」、つまり船舶が海難等に遭遇いたしまして、人命あるいは財産の救助のためにやむを得ずして油を排出する、これが第一の例外でございます。第二の例外は、船舶の損傷その他やむを得ない原因によって油が排出された場合、その排出を防止するために可能な一切の措置をとった場合で、この二つの場合が例外的に認められておるわけでございます。
 なお、この条項は第四条第一項でございますけれども、この規定の適用がされていない場合がございます。それは、タンカー以外の船舶で三百総トン未満のもののビルジの排出の場合、それから同条六項で規定してございますけれども、捕鯨業に従事しております船舶が捕鯨作業中に油を流す、この二つの場合はこの規定が適用にならない、こういうことになっております。
#132
○鈴切委員 海洋汚染防止法の排出規制の例外的な規定によって、日本近海の周辺に船舶によって排出される油分については、総量どれくらい排出されているかということについて、昭和四十六年と四十七年の推定量をひとつお願いいたします。
#133
○船谷説明員 海上保安庁では、海洋汚染防止法施行前に廃油ボール等について、先ほど申し上げました調査をしたわけですが、そのときに一緒に立ち入り検査をいたしまして排出の実態を調べました。それは、パーセンテージで相当数、日本船に関しては約半分以上の立ち入り検査をやりましたが、それによりますと、外航タンカーで十九万五千トン、内航タンカーで五千トン、合計二十万トンと推定いたしました。
 それから施行後でございますけれども、これはまだ実態調査をやっておりませんが、この六月から半年間、またこの前やったと同じようなことをやるつもりでございます。そのときある程度はっきりいたしますが、仮定といたしまして、この法律上許されておる、船の油量全体に対して一万五千分の一は捨ててもよろしいということで計算をいたしますと、二億五千万トンぐらいの輸入量に対して、全部で約一万七千トンということになります。
#134
○鈴切委員 内航タンカーの場合、昭和四十六年の推定量はわずかに五千トンだというようなお話でありますけれども、たとえば、川崎とか水島、あるいは四日市等、そういうところから運ぶ船のバラスト水の廃棄等もあるわけでありますが、そういう点について、領海基本線の五十海里の外において排出をするというんではなくして、案外と天候のぐあいによっては港外に廃棄をされるおそれもあるし、また風とかあるいは夜陰に乗じて廃棄をされるということになれば、日本近海における内航タンカーによって排出される油量は推定五千トン以上あるのではないかというように思うのですが、その点はどうでしょうか。
#135
○船谷説明員 大いにあり得るかとも思いますが、そういうことのないようにということで、取り締まりを厳重にできるだけのことをやっておるわけでございます。
 夜の排出に関しまして、これは非常に重要なことであり、われわれとしても頭を悩ましたところでございますが、幸いに、羽田にいますビーチクラフト機に赤外線による夜間監視装置を取りつけまして、目下訓練中でございます。それによりますと、非常に明瞭に油が出てまいります。また四十八年度ももう一台、広島のビーチクラフト機につけることにしてございまして、それによりまして、できるだけの夜間の監視をする。そしてまた、いま研究中でございますが、その投棄される可能性のある海面の陸上から、やはり同じような種類の機械によって監視できないか、そういう機械を開発しなくちゃいかぬということで研究中でございます。
#136
○鈴切委員 外国船は、廃油等の排出規制については海洋汚染防止法のワク外になろうかと思いますけれども、この外国船の廃油については、かなり目に余るものがあるというふうに聞いておりますが、実態はどうでしょうか。
#137
○船谷説明員 外国船の中には、国際条約に加入していない国の船もあるわけでございますが、うちの飛行機でときどき発見しまして、条約上、それを旗国に通知する、そうすればその国の国内法で処罰するということになっておりまして、いままでに数件そういったことをやっております。
#138
○鈴切委員 一九五四年にロンドンにおいて国際的に海洋汚染防止に関する条約というものが提案されまして、日本もこれをおくればせながら批准をしておるわけでありますが、日本の海洋汚染防止法はそれよりも現にきびしくなっているわけであります。外国船の廃油たれ流しについては、言うならば罰するということはできないのじゃないかと思うのですが、その点について、そういう現実を見たときには、相手国のほうに注意を促すというような手段しかとれないのではないか。そうなれば、結局は外国船の廃油たれ流しというものは相も変わらず続けられているというふうに実際には思えるわけですが、その点についてお伺いします。
#139
○佐藤説明員 外国船の廃油等の排出につきましては、領海の中におきましては、先生御承知のとおり海洋汚染防止法が全面的に適用になるわけでございます。
 そこで、先生御指摘の一九五四年の条約と申しますのは、現在の海洋汚染防止法よりゆるやかな規定でございます。この趣旨は、この海洋汚染防止法で廃止いたしました船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律、俗に油濁防止法といっておりましたが、それの内容と大体同じでございます。それによりますれば、先生御指摘のように、その違反事実を領海外で発見いたしました場合には、その事実につきましてその船の所属する国の官憲に通報いたしまして、そしてその国の官憲におきまして処罰をする。この場合に、通報を受けました国は、自国船の領海内におきますところの処罰と同じ程度の処罰を科する、こういうふうなことが一九五四年の条約に規定してございます。したがいまして、海上保安庁等におきまして、その違反事実を領海外におきまして現認いたしましたような場合は、いま申し上げましたような措置をとりまして、外国政府、当該船舶の所属する政府において処罰される、こういう仕組みになっておろうかと存じます。
#140
○鈴切委員 一九六九年の国際条約は、まだ参加国が少なくて発効する段階にはないというふうに聞いておりますけれども、海洋汚染を防止するという考え方から、国際条約についてはさらにそれよりもきびしい方向で検討されているというふうに話を聞いておるわけですけれども、その点について日本政府は、もしそういうふうな条約等が検討される段階になった場合には、どういうふうな対処のしかたをされるつもりですか。
#141
○佐藤説明員 仰せのとおり、一九六九年の条約は、加盟国四十七カ国のうち十五カ国しか加入しておりません。条約の発効条件が加入国の三分の二以上でございます。したがいまして、三十二カ国が加盟いたしますと発効いたすわけでございます。
 それで、その一九六九年条約といいますのは、私どもが実施いたしております海洋汚染防止法の油の排出に関する事項がそれでございまして、海洋汚染防止法は、その六九年条約にございません一般の廃棄物の禁止等につきましても、実はきびしく取り締まりをしておるという意味では、六九年条約より内容が非常にきびしいわけでございます。と同時に、その適用の範囲というふうなものも、海洋汚染防止法におきましては、タンカーにつきましては適用除外をいたしておりません。ところが、六九年条約では、タンカーは百五十総トン以上のもの、その他の一般船舶につきましては五百総トン以上のものというふうに規定してございますけれども、海洋汚染防止法におきましては、それを引き下げまして三百総トンというふうにしてございます。
 そういうふうなあれで、まだ発効いたしておりませんけれども、海洋汚染防止に関する国際的な協力によりまして、海洋をきれいにしていこうというふうな非常に強い動きがございまして、ことしの二月にその準備会議がございました。さらにことしの十一月ごろになるかと思いますけれども、一九七三年の条約案というふうなものが一応議題にのぼっております。これから申し上げます事項はその暫定案でございますので、多少の変動があるかと存じますが、おもな点をかいつまんで申し上げます。
 まず、現在の六九年条約におきましては、タンカーが排出できます油の量は、先ほど海上保安庁から説明ございましたように、そのタンク容量の一万五千分の一というふうに書いてございますが、これが、その倍の三万分の一以上排出してはならないというふうなことに制限されます。
 それから、新しくつくられますコンビネーションキャリアーあるいは十五万総トン以上の新造のオイルタンカーにつきましては、専用のバラストタンクをつけて、在来のように、油のまじったバラスト水が海中に放出されるようなことがないようにしたらどうだろうというようなこと。それから現在は、これはタンカー以外の船舶でございますが、できるだけ陸岸から離れたところで油のまじった水を排出すべきである、こういうふうに条約で書いてございますけれども、それを、陸岸から十海里以内についてはそういう油のまじった水を排出してはならないというふうに、非常に条件をきびしくするというようなこと。それからさらに、現在の六九年条約では、油以外のその他の有害物質の投棄等につきましては規定してございませんけれども、ばら積みのその他の有害な物質、あるいはまた包装されておりますところの有害物質、こういうふうなものを海中に投棄してはならないというふうな新しい規定等が追加される予定でございます。
 同時に、その沿岸国の権限の問題でございます。取り締まりに関しましては、先ほど申し上げましたように、沿岸国が直接その違反船舶というものを取り締まるということはできないわけでございますけれども、この点について、沿岸国のみならず第三国も、条約違反船に対して取り締まり、処罰の権限を行使できるようにしたらどうか。
 以上申し上げましたような点が六九年と異なっておりまして、そういうふうな問題が次の七三年条約で取り上げられる、こういうふうに聞いております。
#142
○鈴切委員 それに対して、日本政府としてはどういうふうな対処のしかたですか。
#143
○佐藤説明員 私どもといたしましては、いま申し上げましたような線につきまして、関係各省とも協議いたしまして、極力その線を取り入れまして海洋汚染防止法というものの中で改正して処理していきたい、かように存じております。
 ただ、先ほどの沿岸国の権限の問題につきましては、私どもも非常に合理的なものかと存じますけれども、第三国におきましてそれが行使できるというふうなことにつきましては、相当慎重に検討を要するのではないか、かように存じております。
#144
○鈴切委員 四十六年度の輸入原油の実績と、五十一年度、六十年度の輸入原油の予定トン数というふうなものはどういうふうなことになりましょうか。
#145
○根岸説明員 お答え申し上げます。
 四十六年度につきましては、二億四千五百万キロリットル原油の輸入がございます。それから四十八年度の予定としましては約三億キロリットル。それから五十二年につきましては三億九千万キロリットル。これは四十八年から五十二年までの五カ年計画を、石油供給計画としまして石油業法できめておりますので、一応こういう数字が見込まれております。
 それから、ただいま六十年度についてもという御指示がございましたが、かつて四十五年にエネルギー調査会などでいろいろ策定した数字がございましたが、その後、国際情勢の変化とか、あるいは国内の需要の変動ということがございまして、ただいま見直しの準備中でございますので、数字はいまのところないという状況でございます。
#146
○鈴切委員 「日本列島改造論」の中に、六十年度の輸入原油の予定というものがこうあるべきであるというふうに書かれておるわけですが、その点ひとつ……。
#147
○根岸説明員 「日本列島改造論」では六十年度に七億五千万キロリットルという数字があったと私は記憶しておりますが、先ほど申しましたエネ調の試算数字では、一応七億ないし六億キロリットルという幅で当時は想定されておる。それで、これはその油の中身の問題がいろいろあるわけでございますが、ただいまでは、一応需要が相当落ちるのではないかという想定がございまして、もう少し下回った数字になる可能性があると思っております。
#148
○鈴切委員 そうなってまいりますと、年々輸入原油がふえてくるということになりますと、それに伴う移入の増大ということによって、当然海洋に対する汚染というものは漸次進んでいくというふうに考えられると私は思うのであります。
 海上保安庁のほうにお聞きしたいと思いますが、排出基準を守らないで海洋汚染をした不届きな者を海上保安庁では検挙をされておるわけでありますが、形式犯というよりも実質犯はどれくらいありましょうか。ここ二、三年のデータでひとつ御説明願いたいと思います。
#149
○船谷説明員 汚染発生件数からいいますと、年次を追って申し上げますが、四十四年が三百八、四十五年が四百十、四十六年が千六百二十一、四十七年が二千二百八十三件というふうになっております。このうち油によるものは、四十四年から申し上げますと、二百七十三、三百四十九、千三百、四十七年が千九百八十三件、そのように発生件数はなっておりまして、実質犯は四十四年、百八十二、それから二百九十八、五百八十八。そして四十七年は、いま実質犯だけ分けたのを持っておりませんで申しわけありませんが、形式犯を入れますと千百七十三となっております。
#150
○鈴切委員 いま件数をおあげになったわけでありますけれども、そのようにたくさんの検挙された者がいたということは、これは実質犯でありますから、当然海に汚染を拡散させたということになるわけでありますが、海上保安庁が検挙できないという状態の中において海洋を汚染しているという例もかなりあろうかと私は思うわけでありますが、それに対して監視体制というものは、現在完全にそういうことはできるような体制になっているかどうか。まだまだそういう状態でないというふうに御判断になっているのか。その点についてお伺いいたします。
#151
○船谷説明員 油による海洋汚染は非常に重要な問題でございますので、東京湾とか伊勢湾、あるいは瀬戸内海、そういった非常に多発し重要なところにつきましては、飛行機によって少なくとも一日二回飛ぶということにしております。そしてまた、船によってももちろん連携して取り締まりをやっております。それで外海につきましては、紀伊水道とか浦賀水道沖とかいうところ、これは一日一回という飛行でやっておる。そのさらに沖のほうということにつきましては、航空機の機数、能力の問題やらございまして、YS機を二機持っておりますが、それを随時飛ばして、遠いところでは沖繩、台湾海峡まで飛ばしております。これによって非常に十分だというわけにはなかなかまいらないと思いますが、ほかの業務とあわせまして極力やっておるつもりでございます。
#152
○鈴切委員 海洋汚染防止法の排出規制の例外による場合の排出された油分、それから外国船の廃油のたれ流し、排出基準を守らないで海洋汚染をした不届きな者、あるいはそういう者に対する未検挙実質犯等を合わせますと、政府が実際に考えている海洋汚染よりもたいへんに上回る海洋汚染がなされているというふうに私は判断をするわけであります。ただ数字的な面というよりも、実質的にはもっと日本の海というものは汚染をされているというふうに判断をしているわけでありますが、この点についてはどのようにお考えになっておりましょうか。
#153
○船谷説明員 実は廃油ボールにも関連しますし、大量に排出されて日本の沿岸をよごすという問題につきましては、日本船についてはロード・オン・トップ方式を外航タンカーについて強力に指導しまして、全船がそういう方式になっております。外国船につきましてはそれが十分でございませんので、日本に入ってくる外国船のタンカーにつきましては、いろいろの方法で極力指導をしておるわけでございます。
 これからどのような方法でいくかということにつきましては、先ほど佐藤参事官から言われましたような条約が規制を強くし、そしてそれにできるだけの国が加入し、取り締まりがしやすくなるということが必要かと考えております。
#154
○鈴切委員 私は、なぜそのように海洋汚染が進んでいるかということを申し上げるについては、廃油ボールが打ち上げられて、それを処理する予算というものが一番大きな問題になってくるわけであります。これは現在、地方自治体である東京都の公害局がこれを担当いたしまして処理の予算を組んでいるわけでありますが、これが昭和四十六年度においては三百六十八万四千円という状態であったのが、今度は昭和四十七年度では七百六十万八千円になってきたということを見ても、これは、島は海洋汚染防止法が適用になったにもかかわらず、廃油ボールというものは相も変わらず減っていないという現実を意味していると思うのです。
 そこで、伊豆七島というのは、先ほど申し上げましたように、日本の国の領海の基線から五十海里の場所を線を引いてみますと、ちょうど伊豆七島を横切るというような状態になってきております。しかも、黒潮がそれを横切るような状態で流れると同時に、今度は上から寒流が流れて、ちょうどそこが暖流と寒流とのぶつかり目になって、汚濁された油がみんなそこに集まってきて袋状のような状態になって、そこで、言うなればもまれ、廃油ボールになっていく、そういう基本的な公害源というものがあろうかというように私は思うわけであります。ゆえに、沖繩のほう、あるいは東シナ海のほうから油が流れてくるというよりも、むしろ日本近海の海洋汚染の状態が現在さらに悪化しつつあるという状態の中から、そういう廃油ボールという問題が起こってきているということでありますが、水産庁あるいは運輸省のほうでは、その点の調査並びに配慮はされているかどうか、お伺いいたします。
#155
○荒勝政府委員 廃油ボールの伊豆七島に対する悪影響につきましては、私のほうで多少の予算を盛っておりまして、もし廃油が流れてまいりました場合には、防除といいますが、オイルフェンスあるいは油処理剤、油吸着資材というようなもので対処するということでございます。
 また、インド洋あるいは太平洋における廃油ボールのこの分布調査ということにつきまして、水産庁におきましても、四十六年の十月から四十七年の九月にかけまして、いろいろな手で調査しておる次第でございます。
#156
○佐藤説明員 船舶からのビルジ廃水、あるいはまた、よごれましたタンククリーニングの水の廃水というふうなものにつきまして、船舶のほうにおいてまずこれを出さないようにしなければならない、こういうことでございますので、まず邦船、わが国の船舶につきましては、内航船につきましては、昨年まで、このビルジの油を除去いたすようにするところの油水分離装置というふうなものの船舶への設置につきまして、船舶整備公団等から助成をしてまいったわけでございます。さらに外航のタンカーなどにつきましては、先ほど海上保安庁のほうから御説明ございましたように、ロード・オン・トップ方式と称しますところの、油の排出しないような装置というふうなものを設置させまして、昨年の六月の海洋汚染防止法の全面実施に伴いましての船舶のほうの面の施設は、一応整備させている次第でございます。
 と同時に、いずれにしましても、そういったビルジ、あるいはまた、タンククリーニングいたしました油のまじった水が出るわけでございます。そういうふうなものを極力この陸上の処理施設において処理すべきであるということから、港湾管理者、あるいはまた民間の廃油処理業者等に対しまして、港湾管理者につきましては政府の予算でもって助成をいたしますし、また民間の廃油処理業者に対しましては日本開発銀行から融資等を行なうというような形で、廃油処理施設の整備を推進してまいったわけでございます。現在、昭和四十七年の年度末におきまして、海洋汚染防止法によりまして、許可あるいは届け出をいたしまして業として廃油処理業をやっております個所が七十一カ所、全国で四十六の港湾で実施しております。
 なお、そのほかに、これは沿岸の工場等から油のまじった水が排出されるというふうな場合もございますので、いわゆる自家用処理施設というようなものもございます。これは海洋汚染防止法によりまして届け出をすることになっておりますけれども、これが八カ所、七つの港湾になっておるわけでございます。
 こういったやり方を、昭和四十八年度におきましてもさらに力を入れまして推進してまいりたいというようなことで、先ほども申し上げました港湾管理者に対する廃油処理施設の整備のための補助が八千四百万、それから民間の廃油処理業者に対します開発銀行からの融資が六千三百万円の助成をいたす、こういうふうになっておるわけでございまして、その結果、大体四十八年度におきましては、五十五の港におきまして八十一の施設が整備されるというふうなことになる予定でございます。
 そのほか、海域に浮遊しております、だれが出したかわからぬいわゆる原因者不明の油、こういうふうなものの回収船というふうなものにつきましての予算も計上してございまして、これは港湾管理者が補助対象でございますけれども、四十八年度におきましては八億四千万円ほどの助成をいたす、かようにしております。そのほか、大量の油のまじった水を分離できますところの容量の大きい油水分離装置の開発とか、あるいはまた海洋におきましての廃油の回収船というふうなものにつきましての建造技術の開発等につきましても、予算措置を講じましてそれを進めておる段階でございます。
#157
○鈴切委員 大臣、沿岸における海洋の汚染というものは、現在進んでいるというふうに御判断になっておられるか。あるいは前から比べると非常によくなったというふうにお考えになっているか。その判断によって、言うならば、これから皆さん方がやられる沿岸における漁業の推進というものがおのずと変わってくるわけでありますけれども、公害については進んでおるように判断をしておられるか、それともそうでないか。いかがでございましょうか。
#158
○櫻内国務大臣 公害関係法案ができて以来、また国民の公害防止に対する非常な関心ということからいたしますれば、海洋汚染というものも次第に従来よりも少なくなっていくのが当然である、このように常識的に見るのでございまするが、実態がしからばどうなっているかということにつきましては、私、いまそれをつかんでおりませんので、あるいは私の常識と反する傾向があるかもしれません。
#159
○鈴切委員 大臣がいま言われたように、まあ確かに公害のいろいろの諸法律が整ったから、その上から見るならば確かに少なくなっていくように思うけれども、実態はどうかわからない、こういうお話があったとおり、伊豆七島におけるところの廃油ボールの被害というものは毎年毎年増大をしていくような傾向にあるわけです。それもしょせんは、海洋汚染防止法のワク外にあって、そして流れていくところの油というものが、どうしても海流の変化によってあ伊豆七島でとまっていくというような問題が起こっているところに大きな問題が実はあるわけでありまして、これは、なかなかちょっとやそっとでこの廃油ボールがなくなるというようには、私、どうしても思えないわけでありますが、これに対して政府として、当然一地方自治体に廃油ボールの処理とかそういうものをまかせておく筋合いのものではない。言うならば、国がこういう問題について真剣に取り組んでいかなければならない問題ではないかと思うのですけれども、その点についてはどういうお考えでございましょうか。
#160
○櫻内国務大臣 従来、このような被害がありますときには、原因者負担ということで、その原因者を探求いたしまして被害に応ずる諸費用を見させるというのが、一応のルールになっておると思うのであります。また私の関知しておるところでは、瀬戸内海における油汚染のような場合は、四、五割見当原因者をつかみ得たということでございまするが、あるいはこの数字はちょっと間違っておるかもしれませんが、しかし、きょうの一問一答を先ほどから承っておりまして、公海上で投棄される油汚染ということでございまして、なかなか原因者を探求することもむずかしい事情にあることを承ったわけでございます。
 こういうことになってまいりますれば、海洋汚染を、日本の領海について日本自身が努力をいたしてまいりましても、それ以上の外部的な原因によることによって汚染されるということになりますれば、これは当然国際会議において、やはり各国が大局的見地に立ってよく話し合って、これに対する対策を講じていく必要があるんではないかというように、きょうの御質問を承って私としては感じた次第であります。
#161
○鈴切委員 原因者負担だということについて話をしてまいりますと、それでは検挙された人が被害をこうむった人の損害を全部負担するのかということになって、これはまた問題があると私は思います。また、外国船においては、先ほど申し上げましたように、言うならば、たれ流しであっても実際には罰する規定がない、そういう状態も実はあるわけです。ですから、こういう問題に対しては、しょせんは国が全体的に取り上げて対処をしていかなくてはならない一つの問題ではないかと思うのです。ただ単に、一人つかまえたからその原因を全部負担させるというわけにいかない。また、海洋汚染防止法の例外措置というものもありますから、そういうことから考えますと、それがだれに原因されたかということはわからないと私は思うのです。こういう問題については、やはり一地方自治体にすべてをおんぶさせるのではなくて、国が予算措置をとりながら何らかの対処をしていかなくてはならないのではないか、このように思うのですけれども、その点どうでしょう。
#162
○櫻内国務大臣 これはなかなかむずかしい問題だと思います。なぜなれば、そういうように国が油汚染について見るのである、こういうことになって、そのために船舶所有者がかって気ままな行動をとるということに相なりますれば、とんでもないことにもなる。概してモラルの低下しておる時代でもあり、また、国際的な関係でなかなかむずかしい折衝になるということになってまいりますると、一がいにいまの御意見に賛成をしかねる面がございます。
 この油汚染については、そのおそれある船舶が、日本国籍であろうが外国国籍であろうが、それぞれが応分の負担をする、いわば共済と申しましょうか、そういうような制度を国際的に確立しておくというのはどうかというような意見も承ったのでありまするが、そういう方向にまいりますれば、解決の一つの方策が見出されると思うのであります。
 しかし、この伊豆七島のように、現にその汚染に困り非常に苦労をしておる場合に、国も何らかの措置をせよ、こういうことにつきましては、先ほど水産庁長官よりもお答えを申し上げましたように、オイルフェンスによる防除などの経費も一応予算に計上しておるということでありますので、そういう点でめんどうを見るとか、あるいは先般、日本海沿岸で原因不明の廃油ボールによって水産業者が非常な影響を受けましたけれども、これに対して、そのときの関係県がそれぞれ措置を講じましたが、これは後日特交ででも見ることにするかというようなことも承っておるわけでございます。国が非常に冷淡に、もうそんなものはほっておけばいい、そういう姿勢はとれない問題だと思います。
#163
○鈴切委員 私は、農林大臣がそのような御答弁をされるなんて、実は意外なんです。なぜかというならば、あなたはこの漁業白書においても、公害の防止と漁場の環境の保全につとめる、まずまっ先にそれをうたっているわけです。それから、優良の漁場の確保をはかるということもいわれているわけです。ところが、この伊豆七島の漁場というのは、日本三大漁場の一つで、まさに廃油ボールによってピンチにならんとしている状態の中にあって、あなたが先ほど言われたように、原因者がだれかわからないのにもし国がそういうものに対して補償をするというようなことをすれば、船舶を持っている者が、海洋汚染をするということに対して相も変わらずそういう態度をとり続ける、こういうような御返事であったように見受けられますけれども、あなたは農林大臣として、とにかく沿岸漁場というものを確保して、できるだけ沿岸漁業を進めていかなくてはならない立場にある大臣であるわけです。そういうような御答弁でありますと、日本の沿岸漁業者は、大臣のおことばを聞いて、消極的で先細りの沿岸漁業に対して悲観をするというような状態になってしまうんじゃないか、私はそのように思うわけです。
 ですから、少なくともとれるだけの体制はとらなくてはならない。たとえば廃油ボールが流れてくる。その廃油ボールは潮目に乗って流れてくるわけでありますから、当然そういう点については監視体制をとると同時に、漂着をする前に、たとえば週に一回ぐらい沖ですくって被害が及ばないような状態にするとか、そういうような何らかの方法があろうかと私は思うのですがね。ただ野放しにして、廃油ボールが沿岸に打ち上げられて、住民がいろいろ被害をこうむって困っている状態を見殺しにする、そういう態度ではいかぬと私は思うのですが、その点についてお伺いいたします。
#164
○櫻内国務大臣 これは誤解のないようにしていただきたいのですが、こういうような事態に対しては、国も地方も、やはり相ともに協力をしていかなければその成果はあげられないと思うのですね。それで、きょうのそれぞれの御説明で、監視体制についても次第に充実をしてきておる。また、そういう汚染があった場合に対応する予算も計上し施策もとっておる。そして私は、それについて、たとえば地方自治体の場合においても、先般、日本海で起きた汚染の例をあげて、そういう場合には特交で見るというようなこともしておるということを申し上げたので、私の立場からすると、それぞれ裏づけのあることは、ここで責任をもってお答えをすることができるわけでございます。
 しかし、それよりさらに進んで、今後の対策あるいは理想としてどうしていくのかというときに、私はきょう御質問を承っておりましていろいろと考えさせられるところがあった次第でございまして、決していままでの施策で十分であるということを申し上げておるわけではない。また同時に、なかなかむずかしい施策であるということも申し上げた。これはあなたのほうでも御理解をいただいた点ではないかと思うのでありますが、今後におきましても、海洋資源確保のために、自然環境保全の上に、農林省は農林省としての分野において考えるし、また、これらの問題の主務官庁である環境庁においても、もっと積極的な姿勢をとるということについては異論のないところであります。
#165
○鈴切委員 海洋汚染防止法が施行されて、一応、先ほど農林大臣が言われたように、法的な面から言うならばあらゆる公害が少なくなっていくだろう、そういう見通しであるけれども、実態はどうかわからない、こういうお話でございます。そこで、今後、こういう日本の三大漁場の一つである伊豆七島の海洋汚染というものが、相も変わらず廃油ボールが打ち上げられるというような状態であるならば、政府としても前向きに何らかの措置をとる、あるいは予算を組む、そういう御決意があるかどうか、その点について最後にお伺いいたします。
#166
○櫻内国務大臣 これは、きょうの御質問で、汚染が激しいということをよく承ったわけでございまして、これに応じて国、自治体相協力いたしまして、国としてできることはもちろん検討してまいってよろしいと思います。
#167
○三原委員長 受田新吉君。
#168
○受田委員 息抜きをしないで質問を続けさしてもらいます。会合へ出席の予定もあるようですから、端的に時間をかけないで質問します。
 櫻内農林大臣、あなたは今度の農林省の設置法の改正の中で、水産庁の機構の改革に思い切った新構想の力点を置かれておるわけですが、日本の国民の食資源の確保の上から、また自給自足体制という形を目ざす上から、水産業の地位をどこに置いておられるか。もう一つは、食資源を別の面でどう置いておられるか、基本構想を伺いたいと思います。
#169
○櫻内国務大臣 農林省は国民に食糧の安定的供給をするという一つの大きな使命がございます。それで、その中におきまして、国民生活の向上に伴ってのたん白資源の供給ということ、これが年々増加をしてまいりました。これに対しての水産物をどの程度に確保していくか、このような点が、われわれとして水産行政を考えまするときに重要な事項になってまいると思うのであります。
 今回の機構改正の上におきましては、一つには、遠洋漁業の上でこれが円滑にいけるように、国際漁業の上で協力をしていくという点から、その面の機構について留意をいたしましたのと、先ほど来お話が出ております公害関係、漁場汚染というようなことに一そうの関心を深めなければならないというような点を眼目として機構改正をお願いをいたした次第でございます。
#170
○受田委員 食資源、たん白資源の確保、水産資源については自治自足で完全にやれるというめどをつけておられるか、また他の食資源についてはどう考えておられるかという、自給自足体制のたてまえから見た問題点の提起をさしていただいているわけでございます。
#171
○櫻内国務大臣 他の食品の関係につきましては、これは昨年十月、農林省の出しました「農産物需給の展望と生産目標」でお示しをいたしておりますように、米、野菜、肉、果実、鶏卵等の完全自給ないし八割の確保ということを目標にしておるわけでございまするが、水産物資源につきましては、これは自給をするように、また、将来ともそれを確保していきたいという考え方に立っております。
#172
○受田委員 これは貿易の自由化も、日本の農業を育成する意味においてワクがつくられておるわけですが、農産物の貿易自由化を撤廃するという意図がおありではないでしょうね。
#173
○櫻内国務大臣 農産物の自由化につきましては、これはきょうも本会議でお答えを申し上げておりますように、いま残っております制限品目、農産物関係につきましては、これは日本農業の重要なる作目であり、また対外競争力をつけるために諸施策を講じておるおりからでございまして、いま農林省として、自由化をさらに進めるということについては考えておらないのであります。
#174
○受田委員 オレンジは片貿易になっておる。これは双方の平等の原則で、特にオレンジ、かんきつ生産業者等の要望にこたえて、片貿易を是正するという御意図がおありかどうか、お答え願います。
#175
○櫻内国務大臣 現在、ミカンの豊作による緊急対策を講じておる実情からいたしまして、これに大きな影響を与えるオレンジについて自由化は考えておりません。アメリカにおいては、オレンジに対して非常な関心品目であるということは承知をいたしております。それだけにまたわれわれは、アメリカの関係者に対しては機会あるごとに、オレンジの自由化はアメリカ側の関心があっても、それは困難であるという事情を詳細に伝えております。
#176
○受田委員 詳細に伝えたとしても、向こうは押しつけ輸出をしようとしておるわけでございまして、それを外交交渉で十分押えるという努力が要るし、またあなたは通産大臣もやられたことがありましたね。だからその点では、貿易についても十分の自信のある御経験がおありなんですから、日本の農業関係者、水産関係者を擁護するという立場からも、通産行政に明るいあなたによって、この問題の解決に熱意ある行動を起こしていただきたいと私は思うのです。人を得ておる農林大臣が核内さんであるという意味から、私は、貿易政策の上において、日本の自給自足体制、同時にかんきつ、園芸等のバランス、これも同時に考慮してもらいたい。
 私、ここで園芸関係、かんきつ関係で一言触れておきたいのですが、ミカンの生産業者には、いろいろな近代化資金等の融資などもしてどんどん増産させた。しかし、いまやミカンの価格はどんどん暴落しておる。生産が拡大して消費が減退というわけじゃないですけれども、バランスがくずれてきた。生産業者は非常にくたびれておる。またもう一つブドウです。これも最近各地区で相当な近代化資金の利用をして、いま増産につとめているわけでございますが、これもあまりやりおると、またミカンの二の舞いを踏む危険があると思うのですけれども、そうしたことについて農林省としての生産調整、生産指導、こういうこともあわせて考えているのかどうか、御答弁を願います。
#177
○櫻内国務大臣 まず、かんきつ類のほうで考えさせられますことは、結果的に見まして、果樹振興方策に伴う植栽面積、それと実際上はどうかということにつきましては、非常な速度で植栽面積が広がっておるわけでございますが、これは各かんきつ農家に対しての十分なる情報の提供というものに欠けるところがあったのではないか。昨年の十二月、農林省の機構改革が発足をいたしまして、その際、統計情報部をつくらしていただいたのでありまするが、これからの農業のあり方といたしましては、国内的はもとより、国際的にも十分なる情報を提供することによって、今回のような不幸な事態を起こさないようにすることも相当できるのではないかというように思う次第でございます。
 ブドウにつきましては、いま受田委員がどういろ点を御指摘されるのか、ちょっと判断に苦しむのでありまするが、私の郷里におきましてもブドウ畑がございまして、当初計画したとおりのような採算がとれておらない、また採算が悪いのでやめたブドウ畑もあるような実情でございまするから、これからのブドウ生産につきましてもっときめのこまかい指導の必要性がある、このように存じております。
#178
○受田委員 質問の趣旨はきわめて明白で、生産をミカン並みに進めていって、そのために過剰生産におちいって価格が暴落して、そして生産者に非常な苦しみを与えるというようなことがあってはならぬという意味の質問でございます。これはだれでもわかる質問だと思うのです。
 私、こうした果樹園芸について、これは国民の嗜好がだんだん高まってくることはよく知っております。と同時に、農林省が朝令暮改、生産奨励をする一方では、価格が安定しないために生産者が苦難な道を歩む、こういうことをなくするための一貫した農政というものを私は要請したいのです。そのためには、果樹等に至るまでの農産物価格安定法というものをつくって、法的基礎をもって生産者に安心して生産させる。生産過剰になったとしても価格安定法によって補償されるのだという原則が確立すれば、みんな安心してその農業に従事するわけですね。そういう形のものを政府としてはとる気はないか。アメリカなどでは農産物価格安定法という法的基礎によって増産をして、あり余るようなときには、国がその生産したものを捨ててでも安定した価格で買い上げるという方法がとられておることを私は聞いておるのですが、それくらいの愛情を持った施策がとれるかどうかと私はお尋ねしておるわけです。
#179
○櫻内国務大臣 価格安定施策については、主たる農産物のおおむね七割見当は何らかの価格政策がとられておることは、受田委員も御承知であろうと思います。おそらく御質問は、それが十分でない、農家に安心を与えるようなことになっていないのじゃないかという御批判があるのではないかと思います。
 ただ、私どもとしては、価格安定だけでやっていった場合に、そのことが非常な生産を刺激して、需給をまた不均衡にするようなことも過去にその例を見ないわけではございません。ときに乳価の場合、あるいは米の場合ということもございまするので、私ども農林行政の責任の衝にあるものとしましては、価格政策ももちろん導入しなければならないが、同時にそれと同じ、あるいはそれ以上に必要な重点は基盤整備であり構造改善である。それらの施策を総合して成果をあげていきたい、かように考えておるようなわけでございます。
#180
○受田委員 農林省は少し幅が広過ぎる。農業立国、水産立国あるいは森林の立国というような基本的な大問題をかかえて、国土の大半を農林省の行政の対象にしておる、しかも海洋まで及んでいるというのですから、行政部面の及ぶところこれより大なるはなき役所ですね。そこで朝令暮改の施策をおとりになったならば、これに従事する人々に非常に不安を与えるわけです。だから、構造改善事業でも何でも一貫した信念で、ときに情勢の変化があるならば、それに即時対応する、そういうような、間髪を入れざる生きものを育てる仕事だけに、私は農林行政に一貫性が要るということを特に要求したいのです。これは、農業従事者、水産従事者などにひとつ安定した基盤づくりをしておかないと、結果論から私は言うのですが、農林行政には従来大失敗が多いのです。養鶏業者に対しても、奨励しておいて、すぐ中国の卵の輸入などが来ると非常な価格暴落がくるというような問題が起こってくる。この点は、あなたがお隣の島根県の、私の郷里にとっても山の裏側の御出身でありまして、中国山脈の、一緒に苦労を体験するお立場にあるわけですから申し上げておきたいのでございますが、政調会長もなさっておるし、貿易政策もなさった、また農林の責任者になっておられるあなたによって、私はこの日本の農林行政というものにほんとうに安定した筋骨を入れてもらいたいのですよ。
 そこで、いま裏側の問題に入りましたが、中国山脈の裏側の御出身であり、現にお住まいになっている櫻内先生は、今度表側の瀬戸内海を少し考えてもらいたいのです。これは水産関係に今度入ってくるわけだ。瀬戸内海を櫻内先生よく知っておられると思うのです。きれいな海ですね。世界の公園といわれて、全世界から注目された。歴史的に見ても、地理的に見ても、瀬戸内海はうるわしの海であることをあなたはよく知っておられる。この海がどのようなかっこうになっておるか。最近、瀬戸内海をごらんになりましたか、見ておられないか、御答弁を願いたいのです。
#181
○櫻内国務大臣 受田委員御承知のように、私は広島経由で郷里に帰る機会もしばしばございまするので、瀬戸内海の実情というものはある程度認識を持っておるつもりでございます。
#182
○受田委員 瀬戸内海を船で農林大臣として視察されたことがあるかどうかですが、また最近、農林大臣に御就任前でもけっこうですが、実際の赤潮、名前は非常にいいけれども、裏側は御存じのようなかっこうの名所ですが、そういうようなところが、沿岸が埋め立てられて公害が発生している状態であるし、浮遊物が清らかな海岸に流れついて、海水浴などのできるところはきわめてわずかにとどまってきた。往年のうるわしの海瀬戸内海は、まさに死の海たらんとしておるという実情を御存じかどうかです。
#183
○櫻内国務大臣 昨年十二月の衆議院総選挙の機会、またはその前に、選挙応援等で何回か瀬戸内海を船で渡った次第でございまして、その間にいま御指摘のようなことを当時べっ見をしておる、こう申し上げるのがよかろうかと思います。私、そのころ農林大臣になるということも別に考えてもおらない。要するに、一選挙応援者として船上から、瀬戸内海もだいぶ荒れたなという、そういう感じを持った次第であります。
#184
○受田委員 瀬戸内海は、沿岸に三十万の漁民が漁業に従事しているところです。島かと見ればみさきなり、みさきと見れば島なり、真帆白帆行きかううるわしの海。それがいまやまさに死の海。繰り返し申し上げますが、私はその瀬戸内海の島の産であり、現に島に住んでいるだけに、往年の清らかな瀬戸内海に懐旧の情をそそられること人一倍です。ところが、一般の企業は瀬戸内海をねらって、交通も便利がよい、温暖でもある、そこで海岸を埋め立てて、狭い瀬戸内海の海面はどんどん減らされていく。海底の砂はどんどん吸い上げて埋め立てに送られている。海底の砂を吸い上げると、魚族が生息するのに条件が悪くなることは、水産庁は御承知であろうと思うのです。そういうことで荒らし、荒らされている。海岸を埋め立てられると、潮の流れその他によって魚族の生息にも条件が悪くなる。海底の砂をあげると魚族の生息に条件が悪くなる。これはみんな漁業に影響してきておる。
 こういうことを考えていくと、瀬戸内海を、今後一切埋め立てを停止して、企業の進出を絶対に防ぐ。それは、水産業の振興という農林大臣の重い使命からいっても、瀬戸内海を清らかな海に返すという環境保全の立場からいっても、何よりも大きな問題だと思うのでございますが、日本列島改造論の中で、埋没せんとする瀬戸内海を生き返す、死中に活を求める施策は、農林大臣、国務大臣としてもあなたが閣内において思い切った主張をし、列島改造などという不届きなことばをやめさして、日本国土改造などにして名前を変えさせるなど、総理の不心得も直しながら、瀬戸内海を清らかにするその対策を推進していただきたいのですが、その御決意ありやなしや、伺いたいのであります。
#185
○櫻内国務大臣 予算委員会で、環境庁長官の三木副総理が、瀬戸内海の浄化についてしばしばお答えをされておりまして、私も三木長官のそういう方針に賛成でございます。
 農林省といたしましても、高砂沖のPCB汚染、あるいは広島のカキのカドミウム汚染、次々と問題がございました。あるいは赤潮によるハマチの大量な損害、これに対する対策についても、われわれもその一翼をになって、対策に奔走をしたわけでございまするので、瀬戸内海の実情がこれ以上荒廃してはならないという認識は十分持っておるつもりでございます。
#186
○受田委員 ちょっとお話がそれますけれども、大臣は、日本列島改造ということばは適当であると思うかどうか。わが聖なる国土を、列島という、われわれから見るとべっ視的なことばだと思うのです。わが聖なる国土、日本国土をりっぱに改めていくというのならいいが、よそのほうの三者的な考えでいくようなこの列島改造を、国土改造とむしろ名称変更するほうがいいと思うか、現状でよろしいと思うか、これは国務大臣としての御見解を伺いたい。
#187
○櫻内国務大臣 これは実際は、国土改造ということにしようということは、田中内閣発足後の自由民主党の考えの中にもございました。また内閣のほうにおいても、そう取り上げようといたしたことがございます。ところが、どういうものか、列島改造ということが全くマスコミに乗ってすっかり定着をしておって、国土改造というように表現を改めるという機会を失ったということが正直なところだと思います。
#188
○受田委員 列島を改造するという劣等感、この劣等感を排除して、もう少し国土に優越感を与えて、うまし国わが国土というところで、ひとつあなたも、せっかくそういう声が一時あったのなら、この機会にこれを改めて、自民党の党議も変更されて、日本国土改造に踏み切られて、劣等感を抹殺してやっていただきたいですね。国民の声は、大半その方向へ行っておると思うのです。その世論に対しても、大臣、勇敢に取っ組んでもらいたい。御答弁をいただくと、総理からしかられやせぬかと思うのです。御答弁がいただけなければ、私はあえて追及しますまい。
#189
○櫻内国務大臣 これはまあ、受田委員とも長いおつき合いで、私はことばよりも内容のことだと思うのです。すでに列島改造ということばがあそこまで徹底をしており、総理も、きょう本会議で、汗を出して列島改造を主張されておるのを見ますると、いまさら国土改造に変えるというのもいかがかと思いまするけれども、しかし、日本列島改造の中心となる法案としては、今回、国土総合開発法というような表現でお願いをしておるということも、御承知をいただきたいと思います。
#190
○受田委員 列島改造の中に、農林行政の占める分野は非常に大きい、国土改造という立場から。これはまず、国土の八割を占める森林がある。広い海面がある。平地がある。農地がある。牧野がある。列島の中で占めるあなたの所管事項は、たいへん、最高限に広いものであることを御存じと思う。(「列島じゃない、国土の中です」と呼ぶ者あり)国土の中にある。だから、それだけにあなたは、日本列島を改造するという総理の構想に神聖さを打ち立てるため、閣内において、列島改造論の中の大半を占めておるのは私の所管だ、その所管の長である私が、ひとつ日本列島の神聖さを主張するためにおいて国土と名称変更せよ、というぐらいのことをやられてもいいですね。これは改むるにはばかるなかれ、これは決してメンツにとらわれる問題じゃないのです。この点は、私は強い要請を申し上げておきます。
 そこで、非常に短い時間でありまして、時間を短縮することに協力する趣旨で、私としてはつらいけれども、私はいまから、列島の中に占める森林行政についてちょっと触れておかなければならぬ。これは林野庁長官からまず御答弁を願いたいと思います。
 長官、日本列島改造論の中で、森林をどのように熱意をもって見ているか。あの改造論をお読みになって、森林対策はどうなっているか、御存じでございましょう。
#191
○福田政府委員 私も改造論は、頭があまりよくないので二度読みました。森林に関する問題につきましても若干触れてございます。私たちの希望といたしましては、国土の約七割を占めておる森林でございますので、森林の重要性、そういったものについて、もう少し記述がほしいという感じはいたします。
 なお、今回、伺うところによりますと、列島改造論の訂正版というか、第二版が出るそうでございますので、その際には、おそらく森林の問題が取り上げられるであろうということを期待しているわけでございます。
 ただ、森林は七割もございまして、日本は森林国と申しますので、特に森林に触れなくても、その重要性はわかり切っているんだというので、あるいは触れなかったのかもしれません。その辺のところはわかりませんが、希望から申し上げますと、今後はやはり森林の重要性についてもう少し強調していただきたい、そのように私は思っております。
#192
○受田委員 同感です。あれを拝見したとき、森林ということばはまれにしか出ていない。この点は、国土の七割という御答弁でありますが、森林が七割、あとが三割しかないのだ。これはひとつ十分施策が要ると思うのです。
 そこで、いま日本の森林の中で、国有林と民有林との比率、一人当たりの面積、主要なる国外の国々とその比率を比較した上の御答弁を願いたいと思います。
#193
○福田政府委員 日本の森林は、国有林と民有林を対照いたしますと、面積におきましては国有林は三分の一でございますし、民有林は三分の二でございます。蓄積の内容を申しますと、大体同じくらいの量になっております。なぜかと申しますと、国有林は奥地林を持っておりますので、比較的老齢な過熟林というものをかかえております関係で、そういうふうな状態になっております。
 なお、ちょうど人口が一億でございまして、森林面積が七割と申しますのは、絶対値では二千五百万ヘクタールでございますから、一人当たりの面積は〇・二五ヘクタールということになっております。世界平均で申しますと〇・五ヘクタールでございます。ですから、百四十数カ国のうち百十番目くらいになっておりまして、一人当たりにいたしますと非常に少ない面積になっております。
#194
○受田委員 一人当たりにして非常に少ない面積の国有林になっているものを広げる。民有林の買い上げをなさってはいかがですか。これは列島改造の上において、新構想としては、民有林を国有林に転換させる施策は大事なことだと思います。長官の御構想を承りたい。
#195
○福田政府委員 非常にむずかしい御質問でございます。実は終戦の直後でございますが、農地解放がございましたときに林地の解放はございませんでした。そのときに、一応、一人当たりの林地につきましては五町歩が適当であるかどうかということで、そういう議論も出たのでございます。しかし、森林はやはりほかの農地の経営と違いまして、植栽してから利用できるようになるまでには大体五十年くらい、長くて百年くらいかかるわけでございます。ですから普通の経営と違いまして、自分一代の間には植えても利用ができないというふうな特質を持っているのでございます。それで、この森林につきましては、持っておる面積を平均化しまして、たとえば五町歩平均にしてあとは解放するというふうなことをいたしますと、植栽、いわゆる造林経営に対する意欲を失うのではないかという意見が非常に多く出まして、林地解放には踏み切れなかったといういきさつがあるのでございます。
 そこで、いまでも林業基本法の第七条にございますように、民有林につきましては、特に自主的な努力を助長して子々孫々にそういった森林を残していく。それに対して、なかなかむずかしいところは国が、いろいろな税制なり融資なり、あるいは補助なりの制度でこれを補完していくというような考え方に立っているのでございます。ただ、保安林であるとか奥地林につきましては、場合によっては国有林にし、里山のほうはできるだけ民地に解放する、あるいは農地に解放するというような、全体といたしましては、そういうふうな修正は現在でもやっておるのでございます。
#196
○受田委員 私は、国有林を国家が十分活用する道を開くためには、融通のきかぬ民有林を、特に民間で山持ちと称する皆さんに十分協力をしてもらって、できるだけ国家目的のためにこれが広く利用できるようにしたらいいと思う。特に環境保全の立場などからいったら、国有林にしておくのが一番いいわけなんです。それにやっぱり環境保全の山林という場合には、その山持ちの企業にしても個人にしても、協力してくれると私は思うのです。そういうところで環境庁とも連絡して、それを実行に移すような努力をされておるのじゃないのですか。拱手傍観しておるのですか。それは長官の御答弁がむずかしければ、大臣の国務大臣としての構想でもけっこうです。
#197
○福田政府委員 特に保安林の買い上げの制度はまだあるわけでございます。そういったような重要水源地帯につきましては、あるいは土砂崩壊地帯につきましては、国有林としてこれを管理していくというような方針をとっているわけでございます。
 環境庁との間におきましては、自然保護あるいは環境保全という立場から、昨年できました環境等の保全法案との関連もありまして、今回森林法の改正ということによりまして、そういったような連携を保ちながら森林保全に環境庁とともに一致協力してやってまいりたい、かように私は考えております。
#198
○受田委員 去年の暮れに林政審議会の答申も出ておる。国有林野の改善についての施策も答申されておりますね。そういうものも含めて、私は、日本の国土の七割を占める森林の開発、これは十分大所高所から政府が立案計画をして、これを実行に移していただきたいものだと思うのです。
 そこで、国土の七割を占める森林について、農林行政の上からは、国有林だけでなく民有林についても、常にその指導育成がされているはずですね。いかがですか。どういうかっこうで民有林の指導育成をされておるか。
#199
○福田政府委員 現在、林野庁の組織が林政部、指導部、業務部、職員部になっております。国有林につきましては主として業務部と職員部で管理しておるわけでございます。民有林の指導行政につきましては、主として指導部、それと林政部というふうな形になっておりまして、これが林野庁の組織でございますが、民有林の指導行政につきましては、それぞれまた都道府県の林務関係の担当部課でこれを指導しておるわけでございます。
#200
○受田委員 それはどういうかっこうで指導しておられるのかを私は聞きたいのですけれども、時間もないようでございますから、掘り下げないで、今度は、そこで働く国家公務員の職員の立場でございますが、国の七割を占める国有林と民有林を指導しあるいはこれを開発していく職員の現在の人員、これは現時点において適切な数字と思うか。あるいは、もう少し開発をしよう、人工林を広げていこう、伐採したあとに新しい植林をしよう、民有林の指導もしよう、こういうことになれば、現在の職員はむしろふやしていくべきか。つまり行政機関職員定員法という法の基礎があります。国家行政組織法と対応する法律がある。その法律の中で、定員を削減して五%を減らすということで今日に来ておるわけですけれども、その中には、人間をふやさなければならぬところと、人間を減らしてもいいところがあるわけです。林野庁の職員はどこへ入るか。
 私は、この間、東大へ行ってみましたら、東大の職員は、常勤的性格を持ちながら定員に入っていない職員が非常に多いわけです。林野庁にもそれと同質の職員がある。文部省と林野庁だけに定員化されていない職員が大量に残っているというこの二つのあり方は、私は、国家行政組織法上の基本問題としても、行政機関職員定員法の研究問題としても非常に大事な問題だと思うのですが、長官御自身は、この林野行政に現に定員化されている三万六千ですか、八千ですか、それ以外に、定員内職員になっていない常用の職員、臨時的、季節的なものを含めた職員の数がさらにそれより多い。この事実を見たときに、林野庁の職員はむしろ定員化を促進して、現在の山を守り、国民の木材需要にこたえ、保安その他の森林資源の確保の上からいったら、定員はむしろふやす役所であっていいと思うのです。減らす対象になる役所とふやす対象になる役所がある。ここは機械化が進んだとしても、実際は機械化、オートメ化が進行するには非常にむずかしい役所です。そういう特色を考えるときに、大臣、これは骨が折れることですが、林野行政担当職員の定数はむしろふやしていく性質のものだと思うのです。私はこの性格論から、いま定員法関係の対象人員をふやして、定員内に入れて安定した仕事をさせるような役所であっていいと思います。御答弁を……。
#201
○福田政府委員 御指摘のようにたいへん重要な問題でございます。従来の考えから申しますと、特に国有林の問題について限定して申し上げますならば、伐採の関係、あるいは造林の関係、従来のそういった仕事につきましては、先生の御指摘がございましたいろいろな機関から、特に林政審議会からの答申を受けまして、今後の森林経営というものは、木材増産のみならず、一般の水資源涵養とか、あるいは土砂流出、崩壊の防備とか、そういった公益的な機能を重視する方向に経営の方向を新しく変えたわけでございます。そこで、従来のそういったような伐採あるいは造林という仕事の面におきましての制約からきます人員の問題もございます。ただ今後は、そういった森林の公益的な機能に対する管理の仕事、こういったものについては相当ふやしていかなければならないと考えておるわけでございます。そういうふうな問題を含めまして、現在、鋭意、組織の問題あるいは人員の問題につきまして検討しておる段階でございます。
 ただ、どれくらいが適正なものであるかということは、いまお答えしておりますそういう公益的な仕事、あるいは経済的な仕事の中で、具体的に現地におろしてその仕事量を決定し、それに必要な人員と組織をきめてまいらなければならぬと思っておりますので、その点につきましては、今後慎重にひとつ、あまりゆっくりもできませんので、林政審議会の中にまた部会を設けまして、特に労働問題については御検討願いたい、かように計画しておるところでございます。
#202
○受田委員 そうすると、林野庁では職員整理の計画はないのでございますね。
#203
○福田政府委員 ただいま申し上げましたように、組織問題、それから職員の問題は、きわめて重要な問題でございますので、ただいま検討しております。私たち当局としての試案等は持っておりますけれども、いまお話ししたような方向で慎重に検討してまいりたい、かように思っております。
#204
○受田委員 全国の営林署、営林局、この関係で機構改革という構想がおありのようですが、営林署を少なくする、廃止をする、こういうようなことを具体的に実行しようとされておるのかどうか。森林は国土の七割を占めているだけに、私は、森林行政の基幹的なお役所は他の役所とはちょっと性格が違うと思うのです。むしろ長官御自身がこの機構は保全して、そこに働く職員を能率的にする。ぶらぶらと遊んでいいかげんなストライキをやる職員という意味でなくて、職員にしっかり働いてもらって森林行政に貢献してもらうという筋からいえば、定員内の職員をふやし、あるいは現在働いている定員外の職員に対しても十分安定した道を立ててあげる必要があると思うのです。営林局、営林署を減らそうというような御計画は、具体的にはないのでございますか。
#205
○福田政府委員 いま申し上げましたように、試案としては私たち持っております。ということは、現在ありますところの営林局、署の機構というのは大正年間にできたものでございまして、その後いろいろと交通事情等も変わっておりまして、隣の営林署に行くのに車で十分か十五分で行ける場所もございます。それと、国有林は御承知のように地域的に偏在しておりますので、地域によっては、非常に交通の便のいいところもございますし、不便なところもございますので、一がいにまいりません。ですから、その辺を修正していきたいと思っておるわけでございます。特に私は、これから山で働く人たちの環境とかあるいは労働条件をよくするという意味におきまして、少なくとも職員の通う場所は、学校、教育機関があるとか医療機関があるとか、そういうところに根拠地を置くことがいいのではないかと思うわけでございます。従来のように、山泊まりいたしまして、家族と離れて不便な生活をするということは、できるならば避けたいというふうに思います。
 そういうことを前提にしまして、労働のあり方とか交通の便とか、そういったいろいろのことを勘案いたしまして、場合によっては減らしたり、場合によってはふやすとか、いろいろな計画を持っているわけでございますが、全体としていまあるのは、沖繩を入れまして三百五十一でございますが、これはやはり問題があるというふうに考えております。
#206
○受田委員 場合によっては減らし、場合によってはふやす、すなわち時代の進運にこたえた措置をしたいという御答弁のようでございまするが、いま局が十四ですか、署が三百五十一、これはたいした異同はないんだ、多少は減るかもしれないが、大勢はたいしたことはないんだという了解でよろしゅうございますか。
#207
○福田政府委員 そういう数字的な問題につきましては、大勢としては、こういう便利な時代になりましたので、なるべく一カ所にまとめるといいますか、人を減らすという問題と組織とは別でございます。組織はなるべく便のいいところに少ない人を集めたいと思っております。人の問題も全体の仕事量に見合った適正な人員配置ということを考えたい、こう思っているわけであります。
#208
○受田委員 森林行政の職員は、やはりあれだけの人を擁しているこの現実だけを見ても、ただごとではない仕事であることがわかるわけです。その点は十分踏まえて、一方的に解雇するとか、自己の意思に反して左遷するとかいうことはないわけですね。
#209
○福田政府委員 ただいまの社会においては、私は強制首切りということはできないことだと思っております。ですから、やはり仕事に見合った人員配置をいたします場合におきましても、その点は十分配慮してまいりたい、こう思っております。
#210
○受田委員 一万三千人削減方針がおありということもちょっと伺っておるのですが、その点いかがですか。
#211
○福田政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、一応試案としては私たちも持っているわけでございます。ただ、これにつきましては慎重に検討してまいりたい、こう思っております。
#212
○受田委員 大臣、いま長官は試案としては持っているというお話でございましたが、森林行政の特殊性から見て、これは文部省の定員外職員と同じような苦労をしている職員をかかえている役所です。この点、実際には、人的資源の確保という意味から、もっともっと逆の方向へいってもいいようなお役所くらいに私は思っているのですが、私の意見は間違っておるのでしょうか。
#213
○櫻内国務大臣 林野行政が、時代の進運にこたえて公益的機能に配慮していかなければならない実情にあることは、私もよく認識をしております。ただこの試案は、私は別段の説明も受けておりません。御承知のように、予算編成から国会の予算審議ということで、じっくり落ちついていろいろ検討する時間的余裕を持たないのでありまして、何らの説明も受けていないこの段階でいろいろと申すのはちょっといかがかと思いますが、ただ長官が、先ほどから率直に説明をしておると思うのです。組織については、やはり時代に応じた便利なところに、人員は適正な配置が好ましいというふうに、言いにくいこともずばずば言っておるのを聞いておりまして、いずれ私は林野庁長官から詳しく説明をお聞きして、またお答えをする機会を得たいと思います。
#214
○受田委員 私の提案した問題を前提にし、また長官の意見も聞くということで、さらにわれわれの主張がその中でどう反映するかを前提としながら、結論は大臣が出されるわけですか。あなたが出されるのですか。だれが出されるのですか。
#215
○櫻内国務大臣 範囲によりましては林野庁長官でも適当であると思いますが、特に重要な事項については私も責任の一端をとりたい、こう思っております。
#216
○受田委員 質問を終わります。
#217
○三原委員長 上原康助君。
#218
○上原委員 質問に入る前に、委員長に一言要望しておきたいのです。実は私、二時間ぐらい農林省に対する質問を申し入れてその準備をしてきたのですが、この委員会の議場に入ってから、三十分そこらしか時間がとれないということで、たいへん残念に思うのです。きょうのところは党の理事とも話し合いましたので、不本意ながら一応了解いたしますが、今後そういうことのないように取り扱うかどうか、まず委員長の見解を求めてから質問に入りたいと思います。
#219
○三原委員長 十分御意見を承りましたので、今後そういう御意思に沿うように運営いたします。
#220
○上原委員 そこで、時間がたいへん短縮されましたので、基本的な農政について、大臣並びに関係政府委員にお尋ねをしたいと思うのです。
 本日たまたま、昭和四十七年度の農業白書に対しての本会議での政府の報告、さらに昭和四十八年度における農政に対する主要な方針等についての大臣の説明があり、またそのことに対する与野党の質疑応答がなされたわけですが、大臣も本会議場でお聞きになってとくと御承知のように、国の農政に対して与党内部ですら鋭い批判の声が出たことは御承知のとおりであります。やはりこの段階でわが国の農政の根本的改革ということが必要じゃなかろうか、私たちはかねがねそういう主張をやってまいりました。しかし残念ながら、農林大臣はじめ総理の御答弁を聞いても、農基法を再検討する必要はないのだ、従来の農政に誤りなかったかのような答弁しかしておらないわけですね。
 農基法の目的とするところは、農民の生活安定というよりも、国の経済基盤そのものを確立をし、他産業との格差をなくして向上せしめていくということ、簡単に言うとそういうことだと思うのです。そういう立場から考えますと、最近のお米の問題にしましても、商品投機の問題等を含めて、農政に対する基本姿勢そのものを変えていかなければいけない段階ではないかと思うのですね。そういう意味で大臣に、これまでの農政のあり方というものがほんとうに反省期に来ていないのかどうか、これで農民の望む農政というものが確立できるのかどうか、そこらについてまずあらためて伺ってから、具体的問題に入っていきたいと思います。
#221
○櫻内国務大臣 お尋ねの御趣旨については私もよくわかるのであります。ただ、私は繰り返し申しておるのでございますが、基本法的なものは、時に時代の進運に沿わない面が若干出ておりましても、これを簡単に変えていくということが、それに伴っての弊害というものと利益というものと、どちらかなということを考えますときに、基本法的なものについてはできるだけ守っていきたいという気がするのです。これは大きくいえば憲法のような場合。それは別だという御意見も出るでありましょうが、何しろ原則的なものはあまりいじらない、いわゆる朝令暮改のそしりを受けるようなことにならないようにする。しかし、農政上のもろもろの施策に伴う各種の法律あるいは政令、省令等がございますが、これはもうそのときどきに応じて弾力的に考えていくのがいいのではないか。これが私の気持ちでございまして、いまの基本法が、きょうも「輸出の振興」があるじゃないかという指摘がございました。いまのこの国際需給関係の上から輸出の振興、なるほどそう言われればという気もいたしますが、要は、いま申し上げたような気持ちに立脚しておるということに御了承いただきたいと思います。
#222
○上原委員 そういたしますと、少なくとも農基法の趣旨に沿った農政が今日十分遂行されていない、その反省の上に立ってこれから進めていかなければいけないというお気持ちなり立場にはあるわけですか。
#223
○櫻内国務大臣 これはやはり米の例なんかでも顕著でございますね。ここ三年ほど米の需給状況から、やむなく生産調整施策をとらなければならない、当時の実情からはそれ以外にいい考えが出なかったというようなことで……。そうすると、それが農業基本法に伴うところの農家の所得の向上の上にどういう関係が出てくるかということを考えれば、やはりこれによって影響を受け、生産意欲も落としたということは事実だと思うのですね。だからといって、それじゃ基本法をいじってしまえということではなく、そういう長い間の経過的な一つの問題が起きた、こういうふうに見ながら基本法の根本の精神はこれを生かしていきたい、かように思う次第でございます。
#224
○上原委員 あまり議論する時間はないのですが、ある程度大臣の農政に対する基本姿勢、農政の位置づけというものがいまの答弁からうかがえるわけです。
 そこで、本土でもいまの農業問題というのは重大な転機に来ている。ましてや沖繩の農政、農業というものを考えた場合に、本土との格差どころじゃないわけですね。私たちは、復帰をしていろんな面でよくなるであろうと期待をしてきたところが、ほとんどが、後退をするか、あるいは期待どおりにいかない。もちろん、短期日だからまだそういう評価はできないのじゃないかという御意見もまたあろうかと思うのですが、本土のいまの農政のあり方を考えてみて、今後の沖繩の農政、農業というものに対して、なおさら先行き不安の感を深くせざるを得ないわけです。そういうことも含めて、沖繩農業に対してはどういう位置づけなりとらえ方をしておられるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
#225
○櫻内国務大臣 沖繩農業の基幹産業というべきサトウキビあるいはパイナップルの現実の姿から、また農民の皆さんの非常な御要望事項などを承ってまいりますと、いまの沖繩県に対する農業施策というものが当を得ておるというように私としても思ってはおりません。本土復帰後間もないことでもございまして、まだまだ目の行き届かない点がある。四十九年度の予算の編成に際しましては、もっと実態に応じての施策も考えなければならないという気持ちは持っております。
 しかし、これは私が指摘をするまでもないことでございますが、私どもが、沖繩が復帰したことによりまして、何か画期的なことを将来のためにしたいということで、海洋博の構想も打ち出し、これに取りかかってみた。しかしそれは、現実におきましては、一方において土地の買いあさりを助長したとか、あるいは諸物価の高騰を来たしたとか、労働力の不足ももたらしたとかいうことを耳にいたしますと、ちょうど万国博をやりましたときの当時の大阪の実情によく似ておる。しかし、ここのところはひとつごしんぼう願って、いずれ、なるほどよかったという結果が得られるのではないか、またそうでなくてはならないというようなことを考えながら、農業もその影響を受けながら、非常にむずかしいところにあるなというのが、私の偽らざる感想でございます。
#226
○上原委員 いま大臣の御答弁の中で海洋博の問題が引用されたわけですが、農林省として、海洋博と沖繩農業の関係についてお考えになったことがあるのかどうか。山林を含めての土地買い占め等の調査なりをやって、これではやはり沖繩農業はいかない、どうにもならない大きな被害を受けつつあるということを、ほんとうに農政を担当する立場で、そういった問題についても御検討なり御研究、調査をしたようないきさつがあるのかどうか。海洋博と沖繩農業の関係についてどうとらえておられるか。そこいらについてもう少し、大臣でもよろしいし、あるいは担当者でもいいですから、お答えをいただきたいと思うのです。
#227
○櫻内国務大臣 これは現実にものごとが進んでいって、そして実態があらわれておることでございますから、それを直視することによって理解が得られる、こう私は見ております。この海洋博と農業というものを、特にどのような関係になってくるかということは、あらかじめ研究をしたということは私は聞いておりませんが、私は私なりに、いろいろな問題で御意見をちょうだいしておりますので、復帰という時点で大きな変化がある、それに伴って思わざるいろいろな問題が起きるものだということを痛感し、またこれに応じて、足らざるところのあることを遺憾に思いながら、何とか、私としてのいまの立場からは、沖繩農政の上にいい影響のあるようにつとめたいという心境にあるわけでございます。
#228
○上原委員 少なくともわれわれも、海洋博そのものに、当初から疑問を持ちながらも反対をしてきたわけじゃありませんが、海洋博を昭和五十年に開催をすることによって沖繩農業が大きなダメージを受けつつあるということについては御理解いただいているわけです。そして、農業がどのような被害を受けているかについて、もちろんこれは、政府だけの責任でもなければ、政府だけのお仕事でもないということも、私は一応そういう前提を踏まえて申し上げるわけですが、政府としても、現在農業に与えている被害というものを十分手当てをしていく、あるいは対応していく、そういう姿勢で、海洋博問題、あるいは沖繩の農政問題、農業問題というものを今後やっていかれると受け取っていいですか。
#229
○櫻内国務大臣 たとえば労働力不足等によって影響を受けておる、これはもう現にその事実があるのでございますから、これについては十分われわれとして考えなければならない問題ではないか。そういたしますと、いずれサトウキビについてこれからどうするかというような問題のときには、そのような情勢を十分踏まえて次の施策を考えるべき段階が来ると思うのです。たいへん歯がゆいことを申し上げておるようでございますが、われわれも、また上原委員も、おそらく予測し得なかったようないろいろな問題が起きておるんではないか、このように見ておるわけでございます。
#230
○上原委員 そこで、一、二点具体的な問題に入りたいわけですが、大臣は、今後の沖繩農業について、政府の農業白書を見ましても、いろいろなパンフを見ても、かなり政策的な表現等で、農業を根本的に構造改善をやって振興していくのだと、いろいろなことがうたわれております。当面、最も重点的に政府は何をやろうとしておられるのか、そこらの点についてまずお聞かせをいただきたいと思うのです。
#231
○櫻内国務大臣 ちょっとお答えにくい点があるんですね。というのは、沖繩についての担当大臣もおられることで、私どものほうは、その沖繩の基本的な振興計画の中において、一体農業はどういうふうに進めていくか、こういうことでその具体的な問題に入ってくると、そこでわれわれはわれわれの立場で意見を申し上げる、こういうことになってくるわけでございますが、ただ私は、そういうしゃくし定木のことでなく、いまの実態について、せっかくの上原委員の御質問でございまするから、私の承知しておる、感じておることをそのまま率直に申し上げておる、こういうことでございまして、その私の率直な気持ちの上からいけば、沖繩の基幹的な農作物について、やはりこれを維持し振興していかなければならない、こういうことを感ずるものでございます。
#232
○上原委員 そこで、基幹作物となりますと、サトウキビとパイン、最近は畜産その他いろいろいわれております。
 キビの問題なんですが、これまでもたびたび、直接お会いしたり、あるいは予算の分科会でも若干お尋ねをしましたが、いままでのキビの価格のきめ方。それともう一点、基本的に政府に御検討なり改めていただきたい点は、わが国の砂糖の消費量、それから国内生産、いわゆる自給量というのは二割かそこらのものなんですが、沖繩のキビ作について、もっと年次的な生産目標を立てるとか、農民が喜んでとまではいかなくとも、キビをつくっても引き合うという政策の転換というものがない限り、今期原料が大体百五十万トンですか、おそらく海洋博までは半分以下になると思うのですよ。ほんとうに壊滅するんじゃないかという気がしてならないのです。県会や県庁からもいろいろな要望が出ても、政府の御答弁なりこれまでの姿勢からしてあまり期待ができない。しかし私は、やはり大臣も、基幹作物であるキビやパインを保護育成していくというお立場にあるならば、キビ作については、もっと国の立場で基幹作物としての位置づけをやって、生産目標を立てるとか買い上げ価格を上げる、そういう方向でこの問題を解決していかないと……。いま農作物の自給性というのが強調されているわけでしょう。そういう面からも、わずか二割の自給度でなくて、これを三割なり四割あるいは五割まで持っていくというような生産目標を政府として立てる必要があると思うのですが、そういう点についてはどうお考えですか。
#233
○池田政府委員 ただいま御質問にございました全体の自給目標につきましては、御質問の中にございましたような全体の現在の自給率が二〇%そこそこでございます。したがって、これを将来的に申しますと、二六ないし七%まで上げていくというふうなことを考えますと、当然、国内産糖の中におけるサトウキビの増産を将来的には考えなければ、達成ができないという問題につながってまいるわけでございます。したがって、現在の砂糖の最低生産者価格にいたしましても、当然それらの将来における伸長度合いを頭の中に置きながら考えていかなければならぬということになりますけれども、しかし、同時に考えておかなければなりませんことは、いかに努力をいたしましても、現在の生産の条件のもとにおいて、国産糖のみをもって将来の伸びる需要をまかなう比率が三〇%をこえることは、ほとんどむずかしいという状態にございます。そうでありますと、当然そこで供給されます砂糖の価格というものは、国内の大部分の消費者が安定した価格でそれを食べられなければならぬということにもつながってまいるわけでございまして、したがって、片一方で先生いま御指摘のような構造改善その他を進める。全体として何しろ一戸当たり五十アール程度の、これは奄美も含めまして非常に零細な経営規模でございますから、そういう零細な経営規模からできる砂糖が、経営構造の改善なしにそのまま直ちに全部価格でそれが償えるのだという形に引き上げられますと、これは価格の問題というワクを越えて出てくる面も出てまいります。
 したがって、私どもといたしましては、早急になかなかいかない面もございますけれども、できる限り、いま御指摘になりましたような全体としての価格水準というものを引き上げながら、一方において生産構造の改善その他を加え、それから沖繩の全体の総合振興計画の進展の中をもにらみ合わせながら総合的に対応していくということが、残された方法ではなかろうかと考えておる次第でございます。
#234
○上原委員 そういたしますと、砂糖の国内生産高は大体三〇%、三割程度は、政府としては目標に持っておられるということですか。
#235
○池田政府委員 ただいま私どもの手元で持っております試案といたしましては、二七%程度を昭和五十七年度において達成するということを一応の目標にいたしております。
#236
○上原委員 五十七年ですか、五十一年ですか。
#237
○池田政府委員 五十七年でございます。
#238
○上原委員 そんな先の長い話を私はしているのじゃないのです。そういう感覚だから困ると思うのですね。確かに、生産性を上げるとか、あるいは品種を改良する、いろいろな面について農民自体も努力をしていかなければいけないことは当然なんです。そういうことは一応踏まえて私は申し上げているわけなんです。ですから、昭和五十七年に三〇%、それまでにどうなるかわかりませんよ。もう少しそういった面は前向きに生産目標を立てて、その目標に向けて農民を誘導、指導していくというのがやはり農政のあり方じゃないでしょうか。それがないところにますます離農者がふえる。キビはつくってもどうにもならないという農民の農政に対する不信というものが私は出てくると思うのです。ですから、時間ありませんから、大臣、この点ぜひ生産目標をまず立てるということ、そしてそこで省力化していく。いろいろな機械化していくということもできるでしょう。そういう努力と相まって、やはり基幹作物であるキビ作に対するはっきりした指導、目途というものを立てない限り、このサトウキビはなくなりますよ。まずそれをぜひやっていただきたいということ。
 もう一点は、こまかい数字の議論をここでやってもなかなかかみ合わないと思うのですが、私は沖繩の原料価格のきめ方そのものにもいろいろ問題があると思うのです。何べんかこの点もお尋ねをしましたが、この間の予算の分科会では、次の価格決定にあたってはいろいろな事情を考慮してきめたいという大臣の御答弁もありましたが、やはり算出基礎がもともと低いのですよ。今年は六千九百五十円できまったのですが、それが来年のたたき台になるわけでしょう。本年の六千九百五十円をはじき出した基礎の数値というものは、昨年の六千七百五十円なんですよね。それを基礎にするのであれば、どうしてもいまの労賃なり物価の値上がり等に見合うキビ価格というのは出てきませんよ。そこいら辺についてもぜひ再検討する。この二点について大臣の明確な答弁をいただきたいと思うのです。
#239
○櫻内国務大臣 五十七年の目標を申し上げたのは、いま「農産物需給の展望と生産目標の試案」に歩調を合わせて申し上げたのでありますが、しかしこの「試案」におきましても、その五年ぐらいの中間的な予測も立てておるわけでございます。したがって、お話しのとおりに、そういう長期なことでなく、当面農家の地についた目標になるようなものを考えろ、これは私もできるだけその御趣旨に沿いたいと思います。
 私、この際ちょっと率直に申し上げておきたいことがあるのです。それは、先般来、沖繩の国会議員の皆さんとお会いしておりまして、現在いわゆるわれわれの選挙区の県、地方自治体というものと国との関係というものが、まだ直接沖繩の諸問題にわれわれがお世話をしなければならない事情が多くて、その実情に即したきめのこまかい配慮というものがなかなかしにくい点がある、そういうことを私痛感するのであります。
 それともう一つは、この間うちいろいろ承っておっても、現に予算をお願いをしておって、それは一つ一つ全部、私がかりに妥協的な発言でもすれば、すぐ予算の仕組みその他にも影響が来てしまう、こういうことで、お話が理解ができる場合でも、なかなかおいそれといかない点もあるわけでございまして、そこで、この前、分科会で、次の機会においては十分御意思を反映するようにしたいとか施策に盛り込んでいきたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
 それから、いまのサトウキビの値段のきめ方で、これもたびたび御説明申し上げましたが、確かに六千七百五十円に二百円の積み上げということで、また四十九年はどうするかというときに、同じような筆法にいくんじゃないかということにいろいろ御懸念をお持ちであろうと思います。しかし、私どもの立場から言えば、六千九百五十円が出た、そこへ五十円をアルファした、そして運賃のほうもこれは会社で持て。しかも今度は会社のほうに八億の金を出しておるというようなことで、これが鹿児島南西諸島の関係から見れば、沖繩にはわれわれとしては一応の配慮をしたというようなことも、御予解いただきたいと思うのです。
#240
○上原委員 再検討していかれる意思は十分あるというふうに受け取っていいですね、キビ価格の件について。長ったらしい答弁はいいですから、はっきりやるというお答えを下さい。
#241
○櫻内国務大臣 これは一応の算式があることでございますから、それに基づいて、またいまの沖繩の実情というものは、いろいろと算式の上に反映してくることが当然だと思います。
#242
○上原委員 きょうもう約束の時間――約束の時間じゃないのですが、どうしてもここいらで締めなさいというあれですから、不満なんですが、きょうは貸しを少しあげておきたいと思います。
 そこで、あと一点だけお尋ねしたいのですが、農地法の適用によって、御承知のように第六条に該当する小作地というのがあったと思うのですね。その調査はどうなっておるのか、またそれに対する措置は、どのように国として県や市町村に指導助言なさったのか、これは重要な件ですので、お尋ねしておきたいと思います。
#243
○小沼政府委員 お答え申し上げます。
 沖繩におきます小作地の面積が、一九七一年のセンサスによりますと一万八百ヘクタールでございますが、その中で、農地法の小作地の所有制限に該当するものが約七千九百ヘクタールぐらいあろうというふうに推定されますが、その中で、この所有制限の措置で国の買収の対象にならないものもございますので、最終的に国が買収することになると思われますのは、大体三千ヘクタールぐらいではないかということでございまして、これについては、四十七年度から買収計画を立てまして現在進めているところでございます。
#244
○上原委員 まだ買い上げはしていないわけですか。
#245
○小沼政府委員 四十七年度には実績七十ヘクタールを買い上げております。
#246
○上原委員 時間がありませんから、あとでまたどこかの委員会でお尋ねしますが、たとえば、これに該当する地域としてはたくさんあると思うのですが、宮古とか八重山の名蔵の件とか、いわゆる従来製糖会社が所有しておった農地ですね。これらについてどうなっているか、あとで資料でいいですから、そういった面を提出をしていただきたいと思います。よろしいですか。
#247
○小沼政府委員 現在の推計では、会社等の法人から借り受ける小作地というのが千三百九十ヘクタールほどあるように推計されておりますが、これらの詳細について、わかり次第御報告申し上げます。
#248
○上原委員 これで農林省についてはきょうは終えますが、最後に大臣に、ぜひいまの沖繩の実態というものを十分御理解いただきたい。まあ私たちも、ただけしからぬという立場にはないわけですよ。協力できる面はやるし、新しい県づくりというものを一緒にやっていかなければいかないことは理解をいたしております。先ほど大臣のおっしゃることをあまり十分理解できなかったのですが、確かに県庁とて、復帰に伴う二十七年間の問題処理、あるいは復帰後のいろんな問題等が相次いで起きている関係上、国の制度になじんでいきにくい、あるいは事務量の問題等、いろいろ繁雑さなり複雑さ、困難な面があるわけですから、それを一つ一つ解決をしていくという国の積極的な姿勢というものがない限り、私は沖繩の農業問題もその他の問題も解決しないと思うのです。そういう面で、先ほど申し上げた点について、特にキビ価格の問題、あるいはパインの自由化は当分見合わすというようなこと等々について、ぜひ農林省としても積極的な施策を進めていく、そういう意味での大臣の決意のほどを少し伺って、質問を閉じたいと思うのです。
#249
○櫻内国務大臣 御心配になっておられる、パイナップルについての自由化は考えておりません。
 また、沖繩の問題につきまして、私が熱意をもって農業施策あるいはその他の問題につきましても御努力申し上げることは、当然なことだと思っております。
#250
○三原委員長 他に質問もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
    ―――――――――――――
#251
○三原委員長 ただいま委員長の手元に、加藤陽三君より本案に対する修正案が提出されております。
#252
○三原委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
#253
○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案では、その施行期日を「昭和四十八年四月一日」としているのでありますが、すでにその日が経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。
 よろしく御賛成をお願いいたします。
#254
○三原委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#255
○三原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 農林省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、加藤陽三君提出の修正案について採決をいたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#256
○三原委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。
 賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#257
○三原委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#259
○三原委員長 この際、国の防衛に関する件について調査を進めます。
 まず、沖繩における米軍戦車による婦人の死亡事故について、政府より報告を求めます。大河原外務省アメリカ局長。
#260
○大河原(良)政府委員 昨日、沖繩に起きました米軍戦車による不幸な事故の概況を次のとおり御報告いたします。
 事件の発生しましたのは、四月十二日午後三時十五分ごろでございます。
 事故の発生いたしました場所は、沖繩県国頭郡金武村字岬原金武ブルービーチ訓練場内でございます。
 事件の概要は次のとおりでございます。
 右訓練場内で訓練を行なっておりました第三海兵師団第三戦車大隊C中隊に所属する戦車が、草むらの中にすわって薬きょうを拾っていたと思われる被害者に気づかず、左前方のキャタピラによりひいたもので、米軍としては直ちに米軍ヘリコプターで被害者をキャンプ桑江内にあります病院に空輸いたしましたが、十五時四十分ごろ病院に着、そこで死亡が確認されました。
 この事故につきましては、演習にあたり、戦車隊と相手側とに分かれて演習を行なっている間に起きたものでありますが、現場は丘や谷が連なっている演習地で、相手方になっていた目撃者が、戦車側に向かって大声で戦車の近づくのを知らしたが、間に合わなかったということでございます。
 この戦車に搭乗しておりました米軍の兵隊は、指揮官といたしましてフランク・J・スキャネロ少尉、操縦をしておりましたのがリッキー・L・スウォード兵長、また同乗しておりましたのがトーマス・A・リード軍曹でございまして、不幸にしてこの事故によりましてなくなられました方は、沖繩県金武村字金武五三九の安富祖ウシという御婦人でございます。
 以上が事件の概要でございます。
#261
○三原委員長 以上で報告は終わりました。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
#262
○上原委員 いま局長から事件のいきさつについての説明がなされたわけですが、この事件が起きたということを昨日報道を受けまして、ほんとうに憤りを禁じ得ません。
 そこで、きょうの段階は二、三点だけお尋ねをしておきたいのですが、被害者が事故にあってから後の取り扱いは米軍だけがやったのか。病院にヘリコプターで運んだという説明でしたが、おそらく戦車にひかれたら即死だと思うのです。そこいらのいきさつについては、どういう調査なり御報告を受けているのか、もう少し詳しく説明をいただきたいと思うのです。
#263
○大河原(良)政府委員 わがほうが警察から受けておりまする報告によりますと、事故が発生いたしました十五時十五分ごろ、米側といたしましては、現場で人工呼吸を行ない、そのあと、十五時三十分ごろ、ヘリコプターで現場からキャンプ桑江内の陸軍病院に空輸したそうでございまするけれども、先ほど御報告申し上げましたように、十五時四十分ごろ病院で死亡が確認されているということでございまして、一方、米軍の憲兵隊から、四時十分ごろに、沖繩県警石川警察署に対しまして、日本人の女性が金武ブルービーチで演習中の戦車にひかれて死亡したようであるという連絡があったということでございまして、警察当局が直ちに現場へかけつけたというふうに承知いたしております。
#264
○上原委員 現場検証については沖繩県警にまかせてあるのか、あるいは政府の那覇防衛施設局なり本庁から出向いて合同で立ち会っておられるのか、そこらのいきさつはどうなんですか。
#265
○大河原(良)政府委員 本日の警察のほうからの連絡によりますと、本日午前九時半から零時十五分までの間、沖繩県警の刑事部長、石川署長が、地検の松田検事とともに海兵隊の憲兵司令官並びに戦車に搭乗をしておりました三名の兵隊と目撃者一名、この関係者とともに実地の検分を行なったということでございます。
#266
○上原委員 先ほどの御答弁の中の、事故があってから現場で人工呼吸をやったということ、これは米側の説明ですか。
#267
○小林説明員 アメリカ側からの説明でございます。
#268
○上原委員 その点について、県警なり政府は確認をしたのですか。
#269
○小林説明員 人工呼吸をしたかどうかの確認はいたしておりませんけれども、私どものほうに話がありましたのは、米軍の憲兵隊から石川警察署のほうに、当日の四時十一分ごろに話があったということでございます。その後そういう状況につきまして、アメリカ側から事情を聞いたという状況でございます。
 それで、御参考まででございますけれども、現在、北谷の陸軍病院におきまして死体を解剖中でございます。これは警察側の嘱託医が中心になりましてやっておるわけでございますので、死因等につきましては、その解剖結果によってわかるだろうというふうに私は考えておりますけれども、外傷の所見によりますと、右の耳から出血がある。それから上下のくちびる、ここに薄い擦過傷がある。それから腰の部分でございますが、線状ないし点線状の赤紫色の表皮剥離がある。それから右の臀部でございますが、頂骨上縁部に鶏卵大の暗色の皮下出血がある。それから右の大腿部内側に十センチかける十八センチくらいの広さの皮下出血が認められる。それから後頭部に米粒大の擦過傷がある。それから着衣でございますが、もんぺの股間部、左の大腿部の内側でございますが、そこの下方に十八センチの、これはひっかけたか何か、そういうようなことで破れるものでございますけれども、不規則な破損個所があるということが、外見上の所見として連絡がきております。
#270
○上原委員 いま説明をなさっている御報告は、どこからの報告資料ですか。
#271
○小林説明員 沖繩県警察本部でございます。
#272
○上原委員 米側のほうからは何も出ていないのですか。
#273
○小林説明員 私のほうで立ち会いをいたしておりますので、そっちのほうの連絡でございます。
#274
○上原委員 加害者のリッキー・L・スウォードは、身柄は現在どうなっておるのですか。
#275
○小林説明員 現在、任意で調べております。
#276
○上原委員 そこで、施設庁にちょっとお尋ねしたいのですが、この事件の起きた地域は、基地の取り扱いはどうなっているのですか。
#277
○平井(啓)政府委員 これは施設番号六〇二〇番の金武ブルービーチ訓練場の一部になっております。
#278
○上原委員 地位協定上の取り扱いは、いわゆる制限地域なのか、黙認耕作地域なのか、もっと詳しく説明してください。
#279
○平井(啓)政府委員 これは御存じのように全部が訓練場でございます。そして通常は訓練場でございまして、一般の立ち入りは禁止されている地域でございます。ただ、金武ブルービーチ訓練場のアメリカ側の使用を認める昨年五月十五日の日米間の協定の中に使用条件がございます。その使用条件では、演習場における立ち入り警告責任、そういった問題を第三十二回の日米合同委員会で取りきめたものがございますが、これをこの地域においても適用するということになっております。そして、その協定の中には、あらかじめ米軍が演習通報を出すとともに、立ち入り日等もそういった場合にあわせて通知する、一週間に一回は、採草採木等の目的で立ち入る必要がある場合には、そういった地元住民たちの生業を尊重してそれを認める、そういう条項が入っております。いわゆるこの施設、区域の扱いというものはそういう状況になっておるわけです。
#280
○上原委員 六〇二〇番、いわゆる金武ブルービーチ訓練場は三つの区域に分かれているでしょう。そのどこに該当するのですか。
#281
○平井(啓)政府委員 施設、区域としては、日米間では特段に陸上部分を三つの区域に分けるというような取りきめは行なっておりません。
#282
○上原委員 そんなごまかしの答弁はいけないですよ。官報にちゃんと出ているでしょう。六月十五日の官報に出ていますよ第一区域、第二区域、第三区域と。この区域のどこに該当するのですか。
#283
○平井(啓)政府委員 六月十五日に告示いたしました点で、あるいは何かお勘違いされているのじゃないかと思いますが、第一区域、第二区域、第三区域と申しますのは、金武ブルービーチ訓練場に接続しました水域を三つの区域に分けておるのでありまして、陸上部分は一括して一つでございます。
#284
○上原委員 先ほどの御答弁は、この事故のあったところは六〇二〇。それ以外にないわけでしょう、訓練場は。水面は陸からしかつないでいませんよ。事件のあった場所は、おそらく第一区域か第二区域か第三区域の中に該当するんじゃないですか。
#285
○平井(啓)政府委員 金武ブルービーチ訓練場と申しますのは、陸上部分と水域とがございます。そして、陸上部分は一つでございます。それには別に何区域という名称はつけておりません。それから、水域の部分を第一区域、第二区域、第三区域としております。
 そこで、先ほどの御質問に対していま一度正確にお答えするとすれば、事件の起こりました場所は金武ブルービーチ訓練場の中の陸上部分であるということでございます。
#286
○上原委員 そういたしますと、この六〇二〇は制限区域で、いろいろうたっておりますね。そこは常時立ち入りは可能なんですか。
#287
○平井(啓)政府委員 陸上部分の立ち入り制限、あるいは一定の日をきめた立ち入りの扱いにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
 水域につきましては、第一区域から第三区域まで、その区域それぞれに応じまして制限内容が違っております。第一区域は常時立ち入り禁止区域でございます。それから第二区域、第三区域につきましては、そこが訓練水域として使用されていないとき、すなわち訓練が行なわれていないときには漁業または船舶の航行には制限がない、そういうことになっております。
#288
○上原委員 事件のあった当日、その地域への立ち入りは許可されておったのですか。それとも制限を受けておったのですか。
#289
○平井(啓)政府委員 訓練計画の一週間前に通報が行なわれることになっております。今回の演習は、四月八日から十四日まで訓練が行なわれるということになっておりまして、那覇防衛施設局には、米軍のほうからの三月三十日付の通報が四月二日に到達したわけであります。ちょうど一週間前でございます。そこで、那覇局は直ちに金武村の役場に対しまして、四月二日、電話でもって演習の内容を通知いたしまして、周知方の取り計らいをお願いしたわけでございます。その通報には、四月八日の午前二時から十四日の二十四時まで戦車訓練を実施する、ただし十二日には、採草採木のために地元民が立ち入ることは差しつかえない、そういうことが書かれておったので、それを金武村に伝えた次第でございます。
#290
○上原委員 いずれにしましても、当日その地域に立ち入ることはできた、ある意味では許可されておったという理解でいいですね。
#291
○平井(啓)政府委員 目的が限定されておりまして、採草のための立ち入りということでございます。
#292
○上原委員 一人の人命が失われたわけですから、この問題はそういう立場で対処をしていかなければいけないきわめて重要な問題だと思います。立ち入りができたという受けとめ方をしたいと思います。
 そこで問題は、なぜこういう不幸な事件が起きたかということなんですね。その根本原因は、現在でも海兵隊は、単に金武ブルービーチ地域での演習だけじゃなくて、沖繩各地でこういう戦車訓練なり上陸訓練なり、いろいろな実弾演習をやっておるわけですが、そういった戦場意識からこの問題が起きているということ、それと政府が基地に対してきわめてあいまいな態度をとってきたということですね。この点、私は免れないと思うのです。
 裁判権の問題については、公務中の事件だということで、第一次裁判権は米側にあるというような見解をとっておられるようですが、事件の背景からして、ただ地位協定なり安保というようなものを引き合いに出してこの問題を処理してはいけないと思うのです。そこらについて外務省あるいは施設庁はどうお考えなのか、現段階で表明できる考えを明らかにしていただきたいと思うのです。
#293
○大河原(良)政府委員 このような事故が起きました際の取り扱いにつきましては、地位協定の十七条の規定があるわけでございます。地位協定十七条第三項(a)によりますと、公務執行中の作為または不作為から生ずる責任について、合衆国軍隊は第一次裁判権を行使する、こういう規定になっておるわけでございます。そこで、いままで明らかになりました事実によりますと、本件は公務執行中に発生した可能性が強いわけでありますが、この点につきましては、実情を正確に把握するということがまず第一でありますので、その調査の結果を待ちたいというふうに考えるわけであります。
#294
○上原委員 米側からはこの件について、外務省にまだ具体的な申し入れなり見解の表明はないですか。
#295
○大河原(良)政府委員 米側は、事故が発生いたしました昨日の午後五時に、第三海兵師団のライアン少将が、この事件の発生に対して遺憾の意を表明いたしたわけでございまするけれども、本日午後三時、インガソル大使が外務大臣を訪問いたしまして、昨日沖繩で米軍戦車による事故によってとうとい人命が失われたことについて、心からの哀悼の意を表したいということを言ってまいりました。これに対しまして外務大臣からは、この不幸な事故については日本政府もたいへん遺憾に思っており、米側においてかかる事故が二度と起こらないように十分の配慮を求めますとともに、事件の実情については日米双方で協力して明らかにし、善後策並びに今後の予防措置をとるに際して遺漏ないようにしたいということを申し入れたわけでございます。
 なお、その際インガソル大使は、沖繩にある米軍はその数、規模において、日本の他の地域における米軍よりもとかく問題が多いため、大使自身、先般、沖繩に実情視察のために出張いたしました際に、このような事故などを避けるためにはどうすべきであるかということについて、現地の軍当局と話し合ってきたばかりであって、まことに残念なことであるということを申しておりましたことを、つけ加えておきたいと思います。
#296
○上原委員 いまお尋ねしたのは、そういった米側の事件に対する哀悼の意を表明するとかそういうことじゃなくして、いわゆる犯人の――私は犯人と呼んでいいと思うのですが、身柄の取り扱いなり裁判権の問題については、現段階では米側はコメントはしていないということですか。
#297
○大河原(良)政府委員 私どもは、米側がこの第一次裁判権について公式にどういう見解を持っているかということにつきましては、まだ承知いたしておりませんけれども、米側といたしましては、当該戦車に搭乗していた二名の軍人及びその指揮官について、その刑事責任があるかどうかなお現在調査中である、こういう段階と承知しております。
 なお、身柄の点について御質問ございましたけれども、これらの者は、現在米軍としての通常の任務を離れて取り調べを受けているというふうに承知いたしております。
#298
○上原委員 私は法律は全然わかりませんので、これ以上はこの件はいまの段階ではお尋ねしませんが、あと少し警察当局にお尋ねしておきたいのですが、やはり単なる公務中の事件ということで済ませる性質のものでないとわれわれ見ているわけです。今後この事件に対しての捜査といいますか、政府独自の立場でやっていく御意思があるのかどうか、米軍と現地の県警あたりにまかすのかどうか、そこら辺についてお尋ねしておきたいと思うのです。
#299
○小林説明員 私どもは、十分相談をいたしましてやっていくつもりでございます。
#300
○上原委員 この種の事件が起きるたびに、再び事故のないように努力するとか、いろいろな政府首脳の見解表明がなされるわけですが、御承知のように、昨年の九月に栄野川さんの痛ましい事件が金武で起きた。まだあの傷あともいえない、県民の記憶になまなましい射殺事件だったわけですね。その後半年そこいらで、また同じように一人の人命が失われた、基地が存在するがゆえに。この米人はわずか十九歳の未成年なんですね。しかもベトナムから帰ってきているということは、これは万々承知のとおりなんです。そこいらに対して、もっと政府としてきびしい申し入れをアメリカ側にやってしかるべきだと思うのです。事件が起きてから幾らきれいごとを言っても、一人の人命というものはよみがえるものじゃないのですよ。そういう点も含めて、外務省あるいは防衛施設庁、この問題に強い姿勢で臨んでいただきたいということを要望しておきたいと思うのです。
 さらに裁判権の問題は、国民感情の問題もあります。あるいは現地沖繩の県民感情の面もあろうと思うのです。そういったこと等をあわせて考えました場合に、地位協定の十七条の三項(a)の(ii)ですか、そこをただ引用させる、アメリカ側の判断にまかせるのでなくして、政府としてき然たる態度でこの問題に対して、今後米側なり現地米軍と話し合いをしていく、そういう御意思があるのかどうか、その点を聞かしていただいて、きょうの段階は質問を終えておきたいと思うのです。
#301
○大河原(良)政府委員 御指摘ございましたように、昨年秋のベンジャミン事件、それからそのあとに起きましたドイル事件、さらに今般戦車によって事故が起きたというふうな事故の発生について、私どもといたしましてもまことに遺憾に思って、ベンジャミン事件の際にも、あるいはドイル事件の際にも、私どもといたしましては、米側に対して、この種の不詳事件の再発防止に対して全力を尽くしてもらいたいということを強く要望いたしたわけでございまして、米側といたしましては、軍当局において、かかる不詳事の再発防止につきましてあらゆる努力を払います、また払ってまいりましたということを、私どものほうにたびたび申してきておった段階に、今回のような事故が起こったことをまことに遺憾に思うわけでございますけれども、先ほど外務大臣がインガソル大使に申したことをお伝え申し上げましたように、外務大臣としても、米側と協力して実情の把握につとめるとともに、善後策並びに今後の予防措置ということについて強くインガソル大使に要望してあるわけでございまして、今後この種の事故が起きませんように、日米協力してこの問題に当たってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
#302
○上原委員 これで閉じますが、あと施設庁にこれも要求しておきたいんですが、施設庁は、ややもするとこの種の事件に対して、すぐ補償問題だけを先行させていくきらいがこれまでなきにしもあらずなんですね。人をひき殺してから金を積めばいいということじゃ済まないと思うのです。少なくとも、裁判権の問題なり事件のいきさつについて、全貌が法的にも客観的にもいろんな面で明らかになるまで、補償問題とかそういうことで事を濁すような姿勢をこの際施設庁もとらない。その点、そういう立場で対処していかれるのかどうか、お聞きをしておきたいと思うのです。
#303
○高松政府委員 このたびの事件につきましては、私どももたいへん遺憾に存じております。現地の那覇局長も、さっそく米軍に対して注意の喚起を求めたという報告をきょうしております。私どもとしては、いやしくも基地内でこういう不詳事件が起きないようにということについては、この前のベンジャミン事件の際にも、私自身もちょうど沖繩に居合わせておりまして、各軍の司令官に対してもそのことを強く申し入れたところでございます。
 ただ、いま、こういう事件につきましては、私やはり大切なことは、警察あるいは施設庁、あるいは外務省と、それぞれの機関が力を合わせて対処していくことであろうと思います。裁判権の問題につきましては、これは私どもの所管ではございませんけれども、私は、そういう所管とか所管でないということよりも、やはり現地の機関あるいは中央の機関がそれぞれ力を合わせて、そうして最善の善後措置を講じていく、それから将来の対策を講じていく、こういうことではなかろうか。もとより私どもの所管であります補償の問題につきましては、これは事件の内容がもっと明らかにならないといけないと思いますけれども、そういう事件の推移を十分見守りまして、私どもとしてできる限りのことをいたしたい、かように考えておるわけでございます。
#304
○三原委員長 東中光雄君。
#305
○東中委員 事実関係でちょっと先ほどはっきりしなかったので、お聞きしておきたいのですが、安富祖ウシさんが戦車にひき殺される直前、安富祖さん自身は、戦車に気づいてそれに訴えたかどうか。それから米側の戦車に乗っておった人、もしくはそれについておった人は、安富祖さんの存在に気づいて何かの処置をしたのかどうか。報道がいろいろありますので、どういうふうになっておるか。
#306
○小林説明員 まだ私どものほうでは、そのようなこまかいところの調べは承知いたしておりません。
#307
○東中委員 アメリカ局長が先ほど、アメリカ側が言ったという、その現場のひき殺される直前の状況について、もう一回ちょっと言っていただきたい。
#308
○大河原(良)政府委員 演習をやります形といたしまして、事故を起こしました戦車と、これに対抗する相手方という対峙の形で演習が行なわれたようでありますが、相手方になっていたケース・A・デック軍曹というのが、被害者である安富祖さんを遠くから目撃した、それで大声をあげた、しかし間に合わなかった、こういうふうに聞いておりますけれども、詳細はまだよくつかんでおりません。
#309
○東中委員 警察は捜査に入っているのですか、入っていないのですか。
#310
○小林説明員 一応事情を聞いておるわけです。
#311
○東中委員 そうすると、捜査に入っていないわけですね。いわゆる調査をしている段階で捜査をしていない、こう聞いていいわけですか。
#312
○小林説明員 いまの捜査という意味でございますけれども、犯罪がありということを前提のもとに動いておるかと言われると、事情を聞いておるということでございます。
#313
○東中委員 法律用語として、捜査ということばは刑事訴訟法だって一ぱいあるのです。すらりと答えてくれればいいのですが、警察は捜査に入っているのかいないのかと聞いているのですから、そのどっちかを答えてください。
#314
○小林説明員 捜査ということばでございますけれども、犯罪を前提とした活動という状況ではございません。
#315
○東中委員 したがって捜査に入っていないということですね。確認しておいてください。どうでしょう。
#316
○小林説明員 そういう意味でございます。
#317
○東中委員 警察が一番最初に現場へ行ったのはいつですか。
#318
○小林説明員 現場へ行ったのは、おそらくきょうではないかと思いますけれども、昨日、米軍関係者と接触をいたしておりますのは、刑事部長等、県警本部の幹部が接触をいたしております。
#319
○東中委員 これは、業務上過失致死になるのか、あるいは未必の故意による殺人になるのかわからぬわけですね。とにかく戦車によってひき殺されたという非常にショッキングな異常な事件が起こっていることだけは事実なんです。そういう事実を聞いて、日本の警察が調査にその現場へ行ったのは一体いつですかということを聞いているのです。
#320
○小林説明員 昨夜でございます。
#321
○東中委員 ひまがかかってしようがない。あなた先ほど、けさだと言われたし……。
#322
○小林説明員 失礼いたしました。きのう出かけまして、米軍と接触したのは、私、確認したのですが、いま係のほうに聞いてみますと、昨夜現場に行ったということを言っております。
#323
○東中委員 普通なら、いわゆる実況見分調書、そういうものをとりますね。それをいつやったのか聞いているんですから、昨夜なんというようなことを言わないで、ちゃんと言ってください。
#324
○小林説明員 本日の九時三十分から零時十五分の間に実況見分をしたということでございます。
#325
○東中委員 そうすると、昨日の午後三時十五分に事件が発生して、間もなしに連絡を受けて、けさまで結果においてはほっておいた。アメリカ軍側とは接触していますけれども、そういうことになりますね。
 だから、先ほど施設庁のほうから、十二日の立ち入りは許可するという事前の通報が、そしてまた連絡が金武村まで行っておったということでありますが、村民が立ち入りをしているその目的が、個々の主観的目的は採草であろうとなかろうと、とにかく現に立ち入っていることを認めている状態で、そこで訓練をやる米軍は、立ち入り者がいないかいるか、これはよく確かめて、入ることを認めているんですから、そしてひき殺すというようなことがかりそめにも起こるようなことのないように、当然これは許可している以上はそういう態度をとらなければいかぬと思うのですけれども、警察はそういう角度からはものを見ておられないのですか。その点どうでしょうか。
#326
○平井(啓)政府委員 実は御指摘のとおり、私も非常にふしぎに思ったわけでございます、立ち入りを許可している日に演習を行なうということが。通常の場合には、演習をやっていないときに立ち入りを許可するという形なんです。十二日、演習を実施しながら採草採木の立ち入りを認めている。そこで、事情を確かめてみましたところ、ブルービーチの訓練場が東西に細長くあるわけでございます。通常、採草採木等をいたします部分は、その西側のほうの部分に採草採木の場所があるわけでございます。そこで、那覇防衛施設局が米軍にそういった点を確かめたところでは、そういう西側のほうの採草採木のできる、通常金武村の方々が立ち入っている部分では演習を行なわないで、東側のほうの部分で行なうので、十二日の立ち入りを認めたということになっているようでございます。そこで、事故の起きました場所が、東側のほうの訓練をやります部分でこの不幸な事故が起こった、そういう状況を一応私、確認した次第でございます。
#327
○東中委員 立ち入りを認めている場所は、西側というふうに特定しているわけではないわけですね。訓練区域のどこへでも立ち入りを認める、訓練の通報のただし書きというのはそういうふうになっているのではないのですか。
#328
○高松政府委員 いま御指摘の点が、私は非常に大事な点だと思います。それで、施設部長がいま御答弁申し上げましたけれども、これらの実際の状況については、これから、もう警察でも調べを始めていると思いますけれども、関係者のそれぞれの調べ、そういうものによって明らかにし、これを確定していかなければいけないことだと思います。いずれにしましても十二日、立ち入り日においてなぜそういうことが行なわれたか、これは今度の事件の一番重要な点だ、こういうふうに私は思います。
#329
○東中委員 私の言っているのは、もうすでに明らかになっていることについて聞いているわけです。というのは、西区域とか東区域とかいうような制限はなくて、訓練区域への立ち入りを許可するということになっておって、草がどこがいいかというようなことは時期によるだろうし、入った人の目的にもよるだろうから、それはいろいろあるでしょうけれども、そういう西とか東とかいうような条件はないわけでしょう。この点ひとつ確認をしておきます。
#330
○高松政府委員 那覇防衛施設局への通報によりますと、そういう西とか東とかいう区別はございません。いま施設部長が申しましたのも、これは関係者の中のだれかのそういう話であります。だから、これについては絶対的に正しいという判断のできる事柄ではないように私は思いますので、それで私から御答弁申し上げたわけです。
#331
○東中委員 西地区、東地区の部分というのは、これはそういう話も出ていたというだけのことであって、そうすると。訓練区域への立ち入りを許可しておって、そこで訓練をする場合には、これは二つのことが考えられると思うのです。
 一つは、人間がおることを前提にしながら、それも演習の想定にしてやっていくというのがあり得るし、要するに仮想敵の相手方になり得るということだってあり得るわけです。そういう場合が想定できるのと、それからもう一つのほうは、そんなにたくさん入らないから、訓練をやるときに、事故の起こらないように、軍のやる側が注意をしてやる、米軍自身がそういう義務を課して立ち入りを認めておる、このどっちかなんです。前者だとすれば、これは沖繩県民を仮想敵にして実際にやるのですから、これは人をひき殺したのですから、これはまさに殺人行為です。それから後者だとすれば、そういう注意義務を自分で課してやっているのですから、道路の自動車運転手と同じですよ。人がやっていることを前提にして、しかも事故を起こさぬということでやっているのだから、当然それを注意する立場におらなければいかぬわけです。それが、現実にひき殺されたという事態が起これば、これは明白な犯罪行為でしょう、いますでに明らかになっている事実だけで。警察は犯罪を前提にしないというけれども、それは一体どういうことなのだ。いま私が言っていることは、すでに明らかになっていること自体で十分判断できることじゃないですか。なぜ警察は捜査をやらないのですか。
#332
○小林説明員 事実関係が現在十分わかっておりませんので、きょう実情を聞いておるというような状況でございますし、その立ち入りの状況その他につきましても、それを全部含めまして現在事情を聞いておるという状況でございます。
#333
○東中委員 私がいま申し上げたのは、あなた方がすでに事情を聞いて知っておることだけで当然そういう判断になるということを言っているのであって、まさに日本人一人が、かつてないような形で戦車で殺されている、死んでおるという事態が起こっておるのに、あまりにも警察は主体性がないじゃないですか。
 さらに、こういう演習のしかたが、ことしの一月末あのベトナムの協定ができてから後も、特にブルービーチの点だけで言ってもそうでありますけれども、水陸両用の揚陸艦LPDが停泊して、そこから戦車を運んで上陸作戦の演習をやる。ずいぶん激しく訓練をやられておる。特にこの二月の二十六日には、宜野座村の城原の部落で簡易水道のパイプが米軍の海兵隊の演習で切断された。ことしに入ってから四回も起こっている。演習のために三十数時間部落の人たちが全く水が使えなかったということで、大きな問題になっています。米軍の演習が県民を無視してやっているという事態、これは訓練外で野宿をしてやっているというところから起こっているわけです。同じような関係でこの事件が起こったと見れば、これは八日から十四日までの訓練の間に、一回県民を入れてやってもいい――仮想敵とまでは言わなくても、そういうふうにさえとれるわけです、あまりにも無視した態度ですから。
 そういう問題としてこの事件を見て、これは警察もそうでありますし、施設庁もそうだと思うのですけれども、外務省ももちろんそういう立場で強力に捜査、対米交渉というものを進めなければいかぬと思うのですけれども、それぞれいかがでございましょうか。
#334
○高松政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、外務省、それから警察と緊密な連絡をとりながら、お互いに力を合わせてこの問題に対処してまいりたい、事件の真相を明確にする、こういうことにつとめてまいりたい、かように思っている次第でございます。
#335
○東中委員 外務省、どうですか。
#336
○大河原(良)政府委員 先ほど施設庁長官から御答弁ありましたように、四月十二日、採草採木のためという限定された目的ではありまするけれども、立ち入りを認めるということになっておりながら、その日に演習が行なわれ、このような事故が起きたということが、いかなる原因によって、あるいはいかなる事情によって起きたものか、そこらをまず実態を把握する必要があると考えております。その上で施設庁並びに警察その他関係の当局と緊密な協力のもとにこの問題に対処していきたい、こういうふうに考えております。
#337
○小林説明員 警察も同様でございます。
#338
○東中委員 施設庁へアメリカ側から演習についての通報があったということを言われましたが、その文書ありますか。
#339
○平井(啓)政府委員 これは那覇防衛施設局のほうに現地米軍から出ておりまして、私どものほうは、文書そのものは手元にまだ届いておりませんし、持っておりませんが、演習通報の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、那覇局のほうから直ちに報告を受け取った次第でございます。
#340
○東中委員 その文面は、先ほど言われたとおりですか。文面があったら、文面を読んでください。
#341
○平井(啓)政府委員 施設名は金武ブルービーチ訓練場でございます。演習日時は、四月八日午前二時から四月十四日午後十二時、二十四時までであります。それから、演習内容は一般演習、演習部隊は海兵隊、その間の立ち入り許可日は四月十二日、そういう通報の内容でございます。採草採木のための立ち入り許可日が四月十二日でございます。
#342
○東中委員 それは書いてあるのですか。いま読んでくださいと言って読んだときは採草だけで、その文書をちょっと……。
#343
○平井(啓)政府委員 採草木は次のとおり許可されるということで、四月十二日ということになっております。
#344
○東中委員 黙認耕作地にしましても、施設、区域への立ち入りにしましても、これは本土とは違って沖繩の歴史的な経験があることは御承知のとおりであります。それは米軍が施政権を持っておって、そしてあの第二次大戦に引き続いた形でのあの例の土地強奪がやられた。村ぐるみ全部追い出された。そして囲まれた。そこから戻ってきたというふうなこと。まず先に基地を取られて、そこへ県民が戻ってくるというような形での、国際法上も問題になる土地の強奪とわれわれが言っておる形での基地の建設であったから、本土と違って、基地にされておっても、そこへ県民が入らなければ生活できないということで、沖繩県民が施政権がない中で戦い取ってきた、いわば既得の権利のようになっているわけです。その立ち入り権といいますか、あるいは施設内へ入る権利、それが沖繩のあのいわゆる軍用地強奪法によって、あるいは強制土地取り上げ法によってそのまま引き継がれた。だから、採草採木日というふうにかりに書いてあったとしても、それは、草刈りあるいは木を刈ること以外のことをやって入ったらいけないというようなものではないことは、これはもう明白ですし、本土における施設、区域の中へ立ち入りを許すという問題ではなくて、全面的に取られていた中へ、そういう権利を獲得してきたその時点で本土法を適用していく、こういう形になったわけです。だから、まさに沖繩県民が基地の中へ入っていくのをアメリカ側が認めざるを得ない。これは沖繩県民のいわば戦い取った権利になっているわけですから、それを採草採木というふうに狭く限定して解釈するというようなことは、本土復帰によってかえって沖繩県民の血みどろで戦い取ってきたやつが踏みにじられていくようになってしまうわけですから、私はそれは許されないというふうに思うわけです。
 そうである以上、沖繩県民が、しかも日を指定して入ることを認めた、そういう条件のもとでひき殺しというような結果が起こっているのですから、いわば軍用地強制取り上げ法が前のままの状態で引き続いて、違憲のかたまりだといわれるあの法律の矛盾がいまここで出てきておるというふうにも言えると思うのです。そういう点で、こういう事故をアメリカ側が今後起こさないようにという問題だけではなくて、この事件自体の持っている、いわば米軍の軍事優先、沖繩県民の人権を認めないこういう姿勢、態度に対して、断固とした抗議をしなければいけないし、同時に、徹底した捜査をやるべきだというふうに強く要請をしておきたいと思います。
 質問を終わります。
#345
○三原委員長 次回は、来たる十七日火曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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