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1972/01/30 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第5号
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1972/01/30 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第5号

#1
第071回国会 本会議 第5号
昭和四十八年一月三十日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和四十八年一月三十日
   午後二時開議
   一 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
    …………………………………
 第 一 皇室会議予備議員の選挙
 第 二 皇室経済会議予備議員の選挙
 第 三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員
    の選挙
 第 四 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 第 五 検察官適格審査会委員及び同予備委員
    の選挙
 第 六 国土総合開発審議会委員の選挙
 第 七 東北開発審議会委員の選挙
 第 八 九州地方開発審議会委員の選挙
 第 九 四国地方開発審議会委員の選挙
 第 十 中国地方開発審議会委員の選挙
 第十一 北陸地方開発審議会委員の選挙
 第十二 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 第十三 離島振興対策審議会委員の選挙
 第十四 国土開発幹線自動車道建設審議会委員
    の選挙
 第十五 台風常襲地帯対策審議会委員の選挙
 第十六 首都圏整備審議会委員の選挙
 第十七 北海道開発審議会委員の選挙
 第十八 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
 第十九 鉄道建設審議会委員の選挙
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員赤城宗徳君、江崎真澄君及び早
  川崇君に対し、院議をもつて功労を表彰する
  こととし、表彰文は議長に一任するの件(議
  長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
 日程第一 皇室会議予備議員の選挙
 日程第二 皇室経済会議予備議員の選挙
 日程第三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備
  員の選挙
 日程第四 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 日程第五 検察官適格審査会委員及び同予備委
  員の選挙
 日程第六 国土総合開発審議会委員の選挙
 日程第七 東北開発審議会委員の選挙
 日程第八 九州地方開発審議会委員の選挙
 日程第九 四国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十 中国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十一 北陸地方開発審議会委員の選挙
 日程第十二 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 日程第十三 離島振興対策審議会委員の選挙
 日程第十四 国土開発幹線自動車道建設審議会
  委員の選挙
 日程第十五 台風常襲地帯対策審議会委員の選
  挙
 日程第十六 首都圏整備審議会委員の選挙
 日程第十七 北海道開発審議会委員の選挙
 日程第十八 日本ユネスコ国内委員会委員の選
  挙
 日程第十九 鉄道建設審議会委員の選挙
   午後四時十分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(中村梅吉君) おはかりいたします。本院議員として在職二十五年に達せられました赤城宗徳君、江崎真澄君及び早川崇君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員赤城宗徳君は衆議院議員に当選すること十一回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員江崎真澄君は衆議院議員に当選すること十一回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
    …………………………………
 議員早川崇君は衆議院議員に当選すること十一回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
  〔拍手〕
 この贈呈方は、議長において取り計らいます。この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。
  〔被表彰議員登壇、拍手〕
#5
○議長(中村梅吉君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、赤城宗徳君から発言を求められております。これを許します。赤城宗徳君。
#6
○赤城宗徳君 新たな機構のもとに召集されました特別国会の初めに当たり、江崎真澄君、早川崇君及び私赤城宗徳に対し、ただいま院議をもって御丁重なる表彰の御決議を賜わりました。まことに光栄に存じ、感謝にたえません。(拍手)ここに、表彰を受けました一同を代表して、一言お礼を申し上げます。
 私たちが、本院に初めて議席を得ましたのは、私が昭和十二年、江崎、早川両君が昭和二十一年でありまして、わが国にとって未曽有の困難のときであり、かつて見ない変転のときでありました。
 自来、私たちは、議会人として、また政党人として、議会政治の発展に志し、今日まで幾多の試練と戦いながら祖国の繁栄のために微力を傾けてまいりましたが、力の及ばなかったことを痛感するものであります。
 しかるに、今日この光栄ある日を迎えることができましたことは、まことに感慨無量でございます。(拍手)これひとえに先輩、同僚諸賢の御指導、御鞭撻と、多年にわたる郷党の理解ある御支援のたまものでありまして、衷心より感謝申し上げる次第であります。(拍手)
 いまやわが国は新しい局面を迎え、国会に寄せる国民の期待もまたひとしお大なるものがあります。私たちは、諸君の驥尾に付し、多様化する国民の願望を政治の上に反映させ、清新なる議会政治の実現をはかるとともに、国民の福祉と世界の平和のために全力をささげる覚悟であります。
 今後とも一そうの御支援を心からお願い申し上げまして、謝辞といたします。(拍手)
#7
○議長(中村梅吉君) 江崎真澄君及び早川崇君のあいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
    江崎真澄君のあいさつ
 このたび、本院永年勤続議員として一院議をもって表彰の決議を賜わりましたことは、まことに身に余る光栄であります。
 過ぐる大戦において、私の友人の多くは戦死し、街は焦土と化して瓦礫の山となりました。生き残ることのできた私は、祖国の再建を進めるためには、政治にたずさわることだと思い立ち、ずいぶん気負った心構えで敗戦直後の昭和二十一年四月の大選挙区連記制選挙に立候補したのであります。それから当選を重ねること十一回、三十歳のときから今日まで四半世紀を国会で過ごすことになりました。さしたる才能もなく、政治的貢献も少なく、顧みて冷汗のでる思いであります。
 この二十五年間は、わが国にとって一大変動の時代でありました。占領下から独立へ、廃墟から復興へ、そうして復興から躍進へと、日本人の勤勉性と努力によって幸い国民生活は向上し、経済大国への道を歩みました。
 しかし、ここにきて生活環境への反省が生まれ、人間優先と福祉国家への道が追求されるようになりました。歴史的に見ますれば、わが国は平和を享受し、国としてのゆとりもでき、まことに順調な足どりを続けておるように思われます。その反面、議会制民主主義は徐々に前進しておりますものの、いまだ理想にはほど遠いものがあります。また、戦争で失った日本民族本来の美しい心が戻ってきておりません。私たちは、今こそ議会制民主主義の完成に全力を傾けるとともに、祖先からうけついだ美しい心を取り戻し、世界の人々から親しまれ尊敬される日本人になりたいものであります。私は、この際、自らを謙虚に反省し、もう一度初心にたちかえり、これ等の問題と取組んでゆく決意であります。
 最後に、今日まで御指導を賜わりました先輩、同僚の皆さまに感謝をいたしますとともに、欠点の多いこの私を、ひたすら二十五年の長きにわたり、御支援をいただきました選挙区の皆さまに、心から御礼を申し上げるものであります。
 ここに、いささか所懐を申し述べて、お礼のことばといたします。
    …………………………………
    早川崇君のあいさつ
 本日、院議をもって、二十五年永年勤続議員としての表彰を受ける光栄に浴しましたことはまことに感慨無量であります。
 これひとえに、先輩、同僚議員各位の多年にわたる御指導の賜であり、謹んで心からお礼申し上げます。
 思えば、昭和二十一年、焦土の中から立ち上って初当選して以来、祖国の復興と民主主義の確立に全力を傾けてまいりましたが、今や日本の政治は大きな転換期にきております。この栄ある受彰を機会に初心に返り、わが国のゆるぎなき繁栄と議会制民主政治の発展のため、微力ではありますが、一身を捧げて御奉公申し上げたいと思います。
 何とぞ、今後とも変らざる御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、お礼のごあいさつといたします。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
#8
○議長(中村梅吉君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。村上弘君。
  〔村上弘君登壇〕
#9
○村上弘君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、田中内閣の施政方針に対して幾つかの質問を行ないます。
 いま、内外情勢は重大な転機を迎えており、国民は新しい政治への転換を強く求めております。総理も施政方針演説の中で、人間性を回復した平和な新しい日本をつくるために、国民のための政治を決断し、実行いたしますと述べております。だが、重要なことは、国民のための政治、新しい日本の具体的内容であります。
 対米従属の日米関係を堅持し、大資本奉仕の経済政策を続け、軍国主義復活強化の道をさらに進めることがそれなのか。それとも、今日までの自民党政治を根本的に改めて、多くの国民が願っている平和、中立の日本、国民生活の向上とつり合いのとれた経済、そして国会が文字どおり国権の最高機関となるような民主日本への道を進むことなのか。以下、私は、外交、経済、政治姿勢の各問題を通じて、具体的に問いただしていきたいと思うのであります。(拍手)
 まず外交問題、とりわけベトナム戦争と日米安保条約の問題であります。
 ベトナムにおける戦争終結と平和の回復に関する協定の調印によって、アメリカの武力干渉を許さないベトナム問題解決の大道が開かれました。アメリカは、南ベトナムをその支配下に握り続けようとして、この七年間だけでも最高時には五十四万にのぼる米軍を送り込み、総計千五百万トン以上、第二次世界大戦における米軍の全使用量の二倍半にものぼる砲爆弾をインドシナ地域に注ぎ込み、殺戮と破壊の限りを尽くしたのであります。
 またその間、ニクソンの訪中、訪ソをはじめ、ベトナムを孤立化させて打ち破るという各個撃破政策を一貫して展開してきました。しかし、世界最大の帝国主義国家の総力をあげての攻撃も、卑劣な外交的策略も、民族の独立と自由を守るベトナム人民の不屈の意思を打ち砕くことはできず、ついにアメリカはその侵略と干渉をやめ、全インドシナから手を引き、今後ベトナム人民の民族自決権を侵さないことを世界に約束せざるを得なかったのであります。(拍手)
 私は、ベトナム問題を国際政治とアジアの平和の最大の焦点として一貫して重視してきた日本共産党の代表として、この協定の調印を、ベトナム人民及び世界の平和と民族独立の事業の歴史的な勝利として心から歓迎するものであります。(拍手)
 しかし日本の国民にとって、ベトナム戦争の終結は、これをただ平和への前進として喜んでいるだけでは済まされない問題であります。なぜなら、わが日本は、日米安保条約と自民党政治のもとで、国民の意思に反して、この野蛮で凶悪な侵略戦争の共犯者の役割りを終始果たさせられてきたからであります。(拍手)ところが、総理は、施政方針演説において、いわばおくめんもなくインドシナの平和確立への貢献などについて述べております。しかし、ベトナム戦争協力の道を進んできたこの事実を反省して、そこから真剣な教訓を引き出すことなしには、総理のことばは全くの空語でしかないのであります。
 そこで、第一の質問は、ベトナム戦争の性格の問題であります。
 ベトナム戦争がアメリカ帝国主義のベトナムに対する干渉、侵略の戦争であったことは、いまではあまりにも明白であります。だが、このことを田中内閣が今日の時点でどう見ているかということは、今後のベトナムをはじめ、アジア外交全体に対する内閣の態度がどのようなものとなるかをはかる最も重要な基準となるものであります。
 周知のように、佐藤前内閣は、これまでアメリカの言い分にそのまま追従して、この国会でも、アメリカのベトナムへの干渉、侵略の戦争をすべて正当化してまいりました。ところが、今回調印されたベトナム協定は、第四条で、米国はその軍事介入を継続せず、南ベトナムの内部問題に干渉しないと明記しており、第五条、第六条で、米軍と米軍基地の南ベトナムからの撤退を規定しています。これは、アメリカのベトナムでの行動が、ベトナム人民の民族自決権を侵した軍事介入であり、これを中止することこそ、ベトナム問題解決の前提であることを確認したことにほかならないのであります。(拍手)総理は、きのうもこのベトナム協定を歓迎すると述べましたが、今日の時点に立って、アメリカの干渉、侵略に対するこれまでの一貫した支持をこれまでどおり正当化し続けるのか、それともアメリカのベトナムでの行動が、ベトナム人民の民族自決権を侵害した不当な介入、干渉であり、ここにベトナム戦争の最大の根源があったことを認めるのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に明確にしておかなければならないことは、自民党政府がアメリカのベトナム戦争をただ支持をしたというだけでなく、日本を作戦補給基地として提供し、軍事的にも協力してきたということに対する態度と責任の問題であります。
 あの残虐なベトナム戦争も、日本の協力がなければ遂行することができなかったことは、米軍首脳自身の言明によっても明白であります。日本政府は、この点においては、ヒトラーに匹敵するともいわれる米軍の戦争犯罪について、重大な共同の責任を負っているのであります。(拍手)ところが政府は、一貫して、ベトナム作戦のための在日米軍基地の利用を安保条約第六条に基づく極東の平和のための行動として美化し、容認する態度をとってきたのであります。総理は、今日でも、北爆を含むアメリカの軍事行動が極東の平和のための正義の行動であったと考え、そのための在日米軍基地の提供を安保条約上の当然の義務だったと強弁するつもりであるかどうか、明確なる答弁を求めるものであります。(拍手)
 第三の問題は、田中内閣のベトナム民主共和国並びに南ベトナムの二つの政権に対する態度の問題であります。
 今日まで歴代自民党政府は、一九五一年のサンフランシスコ平和条約締結のときも、一九五九年の賠償協定締結の際にも、一貫してベトナム民主共和国の存在を無視し、サイゴン政権を全ベトナムを代表する正統政府とみなす立場をとってまいりました。これは、対中国政策で蒋介石政権との国交に固執して、対米従属の外交を行なってきたのと同じ誤りであります。(拍手)政府は、いまこそ従来のベトナム政策を根本的に反省し、ベトナム民主共和国との国交樹立に全力を尽くし、直ちに人的交流や経済交流のあらゆる障害を取り除くこと、また、南ベトナムの二つの政権の存在を承認した協定の精神に厳密に従い、一方だけを承認し、支持するがごとき介入、干渉の態度は直ちに改めることが必要であります。(拍手)ましてや、いかなる名目にせよ、サイゴン政権のために米軍に在日基地を利用させるがごときことは、一切認めるべきではありません。これらの点について総理の見解を問うものであります。(拍手)
 次の問題は、日米安保条約の性格と役割りの問題であります。
 総理は、在日米軍基地の問題について、わが国の独立と安全のため必要な施設、区域は今後とも提供を続けると施政方針演説の中で述べております。しかし、新安保条約のもとでの十三年間、米軍基地が果たしてきた実際の役割りは、日本の独立と安全のためどころか、もっぱらベトナム侵略をはじめ、朝鮮半島その他での米軍の軍事行動のために大いに使われてきたということであります。
 前国会でも、わが党の不破哲三議員が指摘したことでありますが、サイミントン委員会でのジョソン国務次官の発言にも見られるように、アメリカ政府自身、在日米軍は日本の防衛には直接関係がない軍隊だということを公式に説明しております。このような米軍を日本に置き、しかもベトナム侵略のごとく、ベトナム民族の自決権に挑戦をし、極東の平和を破壊する軍事行動に在日基地を利用させたということが、どういう意味で日本の安全に役立つというのか、総理の責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらに、根本的な問題として、自民党政府は、アメリカのアジア戦略のすべてを絶対無謬のものとして神聖化してきておるが、これは対米盲従以外のどこに根拠があるのか、はっきりした理論的、政治的な答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理は、日米軍事同盟政策の危険性から国民の目をそらさせるために、最近の世界情勢に関連して、力による対決の時代が終わったかのように述べております。しかし、ニクソン政権が力の政策を放棄していないことは、ベトナム周辺はもとより、極東の米軍兵力を引き続き維持し、強化さえしている事態を見ても明白であります。
 この点で重要なことは、田中内閣自身が、国会にもはからず、アメリカの新戦略構想に従って、日米軍事同盟を再編強化する措置を次々と強行している事実であります。特に、横須賀を米第七艦隊の主力空母ミッドウェーの母港とするという昨年十一月の決定は、日本を、西太平洋からインド洋に至る海域への前進展開の拠点として、新たに強化するものであります。政府がこのような措置をとっていることは、アメリカの力の政策への新しい追随であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)私はこの措置を直ちに中止することを要求するものであります。総理の所見を求めます。
 また、以上のことと関連して四次防の目的、内容について伺います。
 政府は、国民の強い批判を無視し、四次防の内容や必要性について、何ら納得のいく説明も行なうことなく、膨大な予算を伴う四次防を強引に実施しようとしております。なぜ政府はこういうことをするのか、国民が大きな疑問と不安を持つのは当然であります。
 ところで、昨年のレアード国防報告は、同盟国による人的資源の分担と提供を、アメリカの戦力計画の基本方針として強調しております。そして、われわれは日本自衛隊の装備の近代化をはかるよう奨励していると、公然と述べております。これは、自衛隊の増強が、日本の平和と安全を確保する目的からではなく、アメリカのニクソンドクトリンに基づく要請によって進められていることを示すものであり、ここに、政府があらゆる批判を無視して一方的に四次防を強行しようとしている最大の秘密があると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 一体、政府は、アメリカ政府から、いつ、どのように自衛隊の装備の近代化について奨励を受けたのか。四次防をめぐる日米間の交渉内容について、国民の前に明らかにするよう、総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
 安保条約の問題で私が最後に指摘したいことは、政府は、これまで集団安全保障は世界の大勢だなどといって、日米安保条約が日米間の軍事同盟であることを否定してまいりましたが、しかし、集団安全保障とは、社会体制の異なる国を含み、すべての参加国が互いに安全を保障し合う体制のことであります。日米安保条約のように、仮想敵国を持ち、幾つかの国が軍事協力を行なうことをきめた体制は、これは軍事同盟であります。しかも、日米安保条約は、日本にも在日米軍にも何の武力攻撃も加えられないのに、ベトナム戦争などへの協力と加担のために発動されてまいりました。こうした現実に照らすならば、日米安保条約はまぎれもなく侵略的な軍事同盟であります。(拍手)こういう事実を、どんな国でも安全保障が必要だといった抽象的な一般論でごまかすことは絶対に許されません。
 私は、日本の安全とアジアの平和のために、日本が日米安保条約を廃棄し、アメリカとの侵略的軍事同盟から抜け出して、平和、中立の道に進むことこそ、七〇年代の国政の根本課題であることを最後に強調し、この問題についての総理の見解をただすものであります。(拍手)
 次に、いままさに、いよいよ重大化している国民生活と日本経済の問題について質問を行ないます。
 公害、物価高など、今日の国民生活の困難は、何よりもまずこの十数年来の高度成長政策の結果であることは論をまたないところであります。新産都市、工業整備特別地域など、大企業本位の工業開発の対象とされた地方の現状こそ、その何よりの証明であります。
 政府は、いつも、緑と太陽とか、無公害コンビナートとか、農工両全とか、耳ざわりのよいスローガンを掲げて、重化学工業中心の臨海工業地帯づくりを進め、国や地方の財政を大きくこれに注ぎ込んでまいりましたが、その結果は一体どうだったでしょうか。新産都市のモデル地区とされた岡山県の水島でも、工業整備特別地域のチャンピオンである茨城県の鹿島でも、今日繁栄を謳歌しているのは大企業だけであって、住民生活と環境は腹立たしいまでに破壊されております。
 こうして、賃金水準、物価の上昇、社会保障、住宅と環境など、国民生活の重要な指標はいずれも欧米諸国と比べて低いのに、大企業だけはずば抜けた早さで成長してまいりました。昨年度、アメリカを除く世界の大企業上位三百社のうち、日本の大企業はついに四分の一の七十五社を占め、銀行でも上位五十行のうち、約三分の一の十六行を占めるに至っております。
 今日、農産物自給率の急激な低下にあらわれている日本農業の危機も、もとをただせば、アメリカが要求する自由化を進めながら、重化学工業に片寄った高度成長政策を推し進めてきた結果であることは明白であります。(拍手)
 世界に例を見ない日本経済の高度成長の秘密は、まさに、大企業が政府の全面的な援助のもとに、労働者、働く国民を激しく搾取し、国民の生命と生活をはなはだしく犠牲にしながら、急速な資本蓄積を推し進めてきたというところにあるのであります。この点で、歴代自民党政府の責任はまさに重大であります。
 わが党は、昨年十一月、この問題について政府・自民党に公開質問状を提出し、高度成長政策を強行し、大企業の利益のために国民生活を犠牲にしてきた政府の責任、特にまた、公害を起こさないことを国民に約束しながら、その約束を平気で踏みにじって、全国に公害地帯を広げてきたその責任をどう考えているのか質問いたしましたが、今日まで回答がないのであります。私は、あらためてここで総理に対し、自民党政府が過去にとってきた高度成長政策、生産第一主義の政治の誤りを反省しているのかどうか、責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 次の質問は、政府は、大企業本位の高度成長政策を今後ともとり続けるのかどうかという問題であります。
 総理が提唱した日本列島改造論は、昭和六十年までに国民総生産が四倍になるという超高度成長を前提としております。総理は、これは目標ではなくて見通しだと弁明しておりますが、列島改造の諸計画が国民総生産の四倍化というこの見通しから出発し、それだけの工業成長を可能とする全国的な工業地帯づくりや、それを結ぶ交通網の建設などをおもな内容としていることは否定できない事実であります。
 総理は、この国会では、列島改造のあれこれだけを述べて、そのおもな内容であった超高度成長政策には一言も触れておりませんが、これは、総理がその著作で展開した基本構想を投げ捨てたということになるのか、それとも黙って超高度成長政策をとり続けるということなのか、明快な説明を伺いたいと思います。(拍手)
 わが党は、もちろん、自民党政府の高度成長政策に反対するからといって、産業と経済の成長や発展そのものに反対するものではありません。経済成長が、大企業の利益のために国民生活を犠牲にして行なわれ、重化学工業だけを偏重して、農業や中小企業が圧迫される、そのようなやり方で行なわれることに反対しているのであります。(拍手)
 わが国は、いま、国民の生活と生命を守るために、経済政策の大きな転換を必要としております。
 その転換の第一の柱は、大企業の高度成長を経済の主目的にし、すべてをそれに従属させる生産第一主義を改め、国民生活の改善と向上、住みよい環境と国土づくりを第一とする経済政策に切りかえることであります。
 第二の柱は、大企業が支配する産業部門だけにこういう著しく片寄った不均等な発展を打ち切り、国民生活の安定向上を中心に、農業、漁業、地方産業、中小企業を含めた、産業全体のつり合いのとれた発展をはかることであります。
 第三の柱は、日本経済の進路を対米従属と依存の道から、自主的、平和的な発展の道に切りかえることであります。
 私は、この見地から、次に国民生活の幾つかの具体的問題について総理の見解を伺ってまいりたいと思います。
 まず、物価問題です。
 物価安定に国の財政経済政策はきわめて重大な責任があることは言うまでもありません。ところが、現在消費者物価、卸売り物価の上昇が一段と強まりつつあるとき、二兆円をこえる長期国債を発行する超大型のインフレ促進予算を提案したことはきわめて重大であります。政府はいろいろと言いわけをするけれども、政府が四十八年度に消費者物価の五・五%上昇を政策目標とすると言っていること自体、インフレ政策を告白したものではありませんか。私は、政府が五・五%上昇を目標とすることを撤回し、消費者物価のほんとうの安定を目標とした財政経済政策に変えることを主張するものでありますが、総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 さて、物価を安定させる上で、大企業の独占価格を規制することはきわめて重要であります。
 今日、大企業、独占企業集団の力は、十年前、二十年前と比べてはるかに巨大となり、国民生活のさまざまな面で、その横暴さは目に余るものがあります。たとえば、四十六年度上期に、四百七十三社の大企業の資産は五十五兆円に達し、十年前の四倍以上になっております。実は、この数字のほかに、土地の値上がりなどで含み資産が数十兆円にも及ぶと見られることから、実は四倍どころか、はるかに、急速に資産を太らせたのであります。ところが、大企業や独占の横暴を規制する法的根拠は、十年前、二十年前と変わらないばかりか、かえってゆるめられていることは、最近のカルテルに対する政策一つとっても明らかであります。
 私は、大企業、独占企業集団の独占物価、土地、商品の投機など、国民の生活への不当な侵害を調査し、独占価格を引き下げ、規制する新しい対策を打ち出すための機構を国会に新設することを、ここにあらためて提唱するものであります。(拍手)総理の見解を伺います。
 次に、国鉄運賃の問題であります。
 これも、大資本本位の高度成長政策に沿って財政再建計画を立ててきているところに、不当な値上げ案の根拠があります。つまり、総理の改造論によれば、超高度成長にあわせて、昭和六十年までに鉄道貨物輸送を四・六倍に進めるということであります。そして、この膨大な資金の大きな部分を国民に負担させ、十年間で四回もの運賃値上げをやろうというのであります。しかも、貨物の赤字を埋めるため、黒字の旅客のほうにも、大幅な値上げを押しつけております。これはきわめて不当であります。私は、このような不当な運賃値上げを撤回するとともに、国鉄のあり方に根本的な再検討を加え、国民のための民主的な再建計画を立てることを強く主張するものであります。(拍手)
 次に、土地問題であります。この問題でも、私は、大資本本位の土地政策を、国民本位の土地政策に切りかえることを主張するものであります。
 わが党は、早くから、大資本の土地投機を厳禁する土地政策を提起してまいりましたが、歴代の自民党政府は、逆に大資本の土地投機を野放しにし、これをあおる政策をとってきたのであります。その責任はまことに重大であります。今日では、もはや大資本の投機を押えるだけでは足りません。国民は、住宅、学校、保育所など、生活のための用地確保を強く求めております。しかし、すでに目ぼしいところは、大資本によって大半買い占められてしまっておるのであります。
 関東農政局の調査によると、関東地域で一年間に一件五ヘクタール以上の土地買いは、三万三千ヘクタールに及んでおります。一ヘクタール百人という見当で団地をつくるとすれば、これは三百三十万人収容できる用地面積に匹敵するのであります。
 そこで、わが党は、住宅など住民生活に必要な用地を確保するため、必要な地域を指定して、大資本、大土地所有者がかかえ込んでいる土地を、自治体が適正な価格で収用できる措置をとることを提案するものであります。(拍手)ここで適正な価格とは、時価ではなく、大資本が買ったときの値段に、持ち越しの経費程度を加えたものであります。大資本の土地買い占めによって、国民の生活が著しく侵害されているとき、このくらいの措置は思い切ってやるべきだと考えますが、総理の決断と見解を伺うものであります。(拍手)
 次に、年金についてであります。
 田中内閣の五万円年金がまぼろしにすぎないものであったことは、政府がどんなに弁解しても、現実に多くの老人が期待を裏切られているという事実にはっきり示されているのであります。
 しかも、許せないことは、年金給付の改善を口実に、保険料が大幅に引き上げられたことであります。年金の積み立て金は、すでに七兆円をこえておりますが、これがさらにふえ続け、それが大企業のための財政投融資に向けられるのであります。
 このような年金の積み立て方式は、もとはといえば、昭和十六年当時の戦費調達の手段として、ヒトラー・ドイツのまねをして採用されたものであります。これが、今日、大資本の高度成長に欠かせぬ資金とされているのでありますが、老後のしあわせのために積み立てられてきた資金を、事もあろうに大資本のために流用することが、はたして総理の言う国民生活優先でありましょうか。なぜ、積み立て方式をやめて、賦課方式を採用し、直ちに夫婦で最低六万円の年金を実現できないのでしょうか。
 ここでも、問題のカギは、大資本に対する政府の態度いかんにあるということは明白であります。(拍手)総理の明快な答弁を求めるものであります。
 次は、健康保険の問題であります。
 私は、政府が、昨年の国会で廃案になった健康保険の値上げ案を、保険あって医療なしといわれる現状の改善や、保険制度そのものの根本的、民主的改善の努力を全くやらないで、ただ赤字対策だけのために再提出してきたことに強い憤りを感ずるものであります。(拍手)赤字というならば、年間一兆円の四次防予算のほうがはるかに大きな赤字だと国民は感じておるのであります。(拍手)
 わが党は、この問題についての政策をすでに発表しておるので、政府がこれを真剣に検討して、値上げ案は即時撤回するよう、強く要求するものであります。(拍手)
 次に、公害問題であります。
 公害国会以来、二年たちました。しかし、公害はますます猛威をふるっており、現在の公害関係法の不備は歴然としております。政府の中央公害審議会でさえ、すべての制度、慣行、すべての常識は、環境保全の見地から再検討が迫られていると述べております。わが国の歴史が示すとおり、公害防止は、常に、公害の被害を受けた住民の運動によって提起され、政府の公害政策は、この力に押されて、曲がりなりにも進めてきたのであります。ところが、今日の公害法には、この地域住民の声を反映する制度的保障がないのであります。
 そこで、各自治体に公選制の公害委員会を設置し、企業への立ち入り調査権を持って、住民代表の公害の監視者、摘発者として活動できるようにするべきであり、これは公害法改正の緊急課題であります。
 また、これまでの地域開発の苦い経験から、新しく産業立地を行なう場合、公害の予防、環境保全の見地から、きびしい規制を受ける制度を確立することも緊急課題であります。その一つの方法は、工場や発電所などの建設を知事の許可制にすることであります。
 このほか、多くの問題点があるので、わが党は、今国会に公害関係法の再改正案を提出する予定でありますが、総理は、今日の事態にこたえる公害法の抜本的な改正に取り組み、これを今国会に提出する用意があるかどうか、答弁を求めるものであります。(拍手)
 私は、経済問題の最後に、総理のきのうの答弁に関連して一言しておきたいことがあります。
 総理は、きのう、野党の質問者に対し、予算規模を考えない無責任な要求だといった意味の答弁をしておりましたが、国民の要求に対してこのような答弁をもって答えることは、それこそまことに無責任のきわみであります。(拍手)
 わが党としては、すでに昨年、物価の安定、二兆円の大幅減税、社会保障や教育施設整備の五カ年計画、さらには、生活環境の整備や国土利用計画を含む総合計画を発表しており、経済政策を真に国民本位の方向へ転換するならば、今日の日本経済の規模でも国民の要求に総合的にこたえていくことができることを、財源政策まで含めて明らかにしております。もし、政府がこの計画の内容に批判があるならば、われわれはまじめな政策論争を大いに歓迎するものであります。(拍手)私は、総理が、きのうのような開き直った答弁ではなく、私が提起した諸問題に対し、まじめに回答されることを強く望みたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、田中内閣の政治姿勢について、その根本にかかわる重要な問題として、議会制民主主義の問題について質問を行ないます。
 日本共産党は、正しい議会制民主主義の擁護と発展を徹底的に主張している政党であります。(拍手)
  〔発言する者多し〕
#10
○議長(中村梅吉君) 静粛に願います。
#11
○村上弘君(続) わが党は、国会を文字どおり国権の最高機関とすることを目ざし、そのための欠くことのできない条件として、選挙制度の公正化、憲法の規定に基づく国会運営の民主化、政治資金の規制などについて、責任ある具体的な提案を行なってまいりました。そして、日本共産党が目ざす将来の独立、民主の日本、社会主義の日本においても、一党制度はとらず、暴力的破壊活動を行なわない限り、反対党の活動の自由を保障する複数政党制をとる態度を、公式の責任ある方針の中で繰り返し宣言をしております。(拍手)
 この立場から私は、国民の世論が切実な関心を持っている三つの問題について総理の答弁を求めるものであります。
 第一に、衆参両院の議員定数の是正の問題であります。
 選挙投票に示された国民の意思が議員数に正しく反映されることは、議会制民主主義の大前提であります。しかも、この定数是正は、現行の公職選挙法でも「五年ごとに、直近に行なわれた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」と明記されている問題であります。これを二十三年間にわたってサボり続けてきたのは、前代未聞の党利党略だといわざるを得ません。(拍手)
 総理は、昨日、選挙制度全体の改革の一環として考えたいと答弁しましたが、定数是正は現行選挙法のもとで当然実施することにきまっている問題であって、選挙制度を改革しなければこれができないというのは、政府みずからが法律違反をあえて犯し、議会制民主主義の根幹を踏みにじっていることにほかならないのであります。(拍手)総理は、いま直ちに公職選挙法別表一の規定に基づく定数是正に取り組むべきであると思うが、総理の明確なる答弁を求めるものあります。(拍手)
 第二は、政治資金の規制の問題であります。
 政治が国民の世論と国会での討論に基づいて動くのではなく、利権目当ての財界、大企業の金で動くということほど議会制民主主義を愚弄するものはありません。(拍手)総理の昨日の答弁のように、政治資金規制の問題を選挙制度や政党制度の改革の問題にすりかえることは許されません。あれこれの口実で責任を回避をするのではなく、清潔な民主政治のために、財界からの政治資金を禁止し、政治資金を個人に限るという法改正を決断すべきだと思うが、答弁を求めるものであります。(拍手)
 第三は、反共を看板にしながら、国民の基本的人権に挑戦する各種の暴力集団に対する態度の問題であります。
 反共暴力学生について言えば、大学法強行採決以来、早大事件をはじめ、九件の大学内殺人事件が起き、連合赤軍事件を加えれば、実に死者は二十三名に達しておるのです。これは民主主義の社会ではまことにあり得べからざることであります。これこそ共産党、民青対策のために暴力学生集団をある程度泳がせておくという政府・自民党の政策が生み出した結果ではありませんか。(拍手)反共を看板にした無法な暴力集団は、部落解放運動など、その他の分野でも大きな問題になっています。たとえば私のいる大阪でも、自治体の長に公然と乱暴を働くなど、全く許すべからざる蛮行に出ているのに、警察当局自体が見て見ぬふりをして放置している……。
#12
○議長(中村梅吉君) 村上君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#13
○村上弘君(続) 私は、これら不法な暴力集団について、総理はいかなる対策をとるつもりなのか、明確なる答弁を求めるものであります。(拍手)
 以上、これらはいずれも、日本国民にとってまことに重大な問題であります。したがって、私は、自民党政府のこれまでの路線の根本的な転換を求めて、日本共産党・革新共同は今後とも正々堂々と国会論議を展開することを明らかにして、代表質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(田中角榮君) 第一は、ベトナム問題についてでございますが、政府は、今般、米国をはじめ関係当事者の努力により、南ベトナムの民族自決権を尊重したベトナム和平協定が調印されたことを歓迎するものであります。米国の南ベトナムに対する軍事的支援につきましては、米国は、南ベトナムの要請により、国連憲章第五十一条にいう集団的自衛権の行使であると説明をしておるのであります。今般停戦が実現し、戦火がおさまるに至ったことはきわめて歓迎すべき事態でありまして、わが国としては、和平の定着化のためにできるだけ努力を払ってまいりたいと存じます。(拍手)
 基地提供の問題についてお答えをいたします。
 極東の平和と安全に関係のある場合、米軍が施設、区域を修理、補給などのために使用することは安保条約上認められておるのであります。
 次に、北ベトナムとの国交を樹立し、南ベトナムだけの支援をやめよというような趣旨の御発言について申し上げます。
 ベトナム停戦協定の成立により、これまであったわが国と北ベトナムとの接触を拡大する余地は出てきたと考えておるのであります。北ベトナムとの外交関係を設定する前に、戦後復興のための協力等、同国との交流増大のため、することはたくさんあります。しかし、わが国は南ベトナムと外交関係を有しておりますので、同国との友好関係も維持してまいります。
 次に、ジョンソン次官証言等について、米軍はどういう意味で日本の安全に役立つのかという御質問に対してお答えをします。
 安保条約第六条により、米軍は、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、わが国に駐留をしておるのでございます。それは、米軍の駐留のもたらす抑止力が極東の安定のための大きなささえであり、これによってわが国及び周辺地域の平和の維持に米国が寄与できるとの共通の認識が日米双方にあるからでございまして、ジョンソン次官の発言は問題ないと考えております。(拍手)
 横須賀の母港化というようなものは日米軍事同盟を再編強化するものではないかという御質問に対して申し上げますと、空母の横須賀母港化問題は、空母の乗り組み員家族を横須賀基地及びその周辺の民間の借家に居住させようというものであり、安保条約及びその関連取りきめ上問題がないと考えております。そういうことでございまして、日米軍事同盟の再編強化などということは全くはかっておりません。(拍手)
 昨年の国防報告、すなわちレアード長官の報告に対してでございますが、レアード長官の問題に対して申し上げます。
 レアード国防長官が一昨年夏来日した際、防衛庁長官に対して、自衛隊の装備が古いので質の改善をはかる必要があるのではないかと感想を述べたということは聞いております。が、それは感想でございまして、米国政府から自衛隊の装備の近代化について奨励を受けたというような事実はありません。(拍手)
 日米安全保障条約の廃棄と日本の中立化を主張するという共産党の主張を述べられましたが、今日の国際社会において、単独でその安全を確保することは困難であります。わが国の場合、必要最小限の自衛力を整備するとともに、米国との安全保障体制によって安全を確保することが最も賢明な道であります。(拍手)
 なお、日米安全保障条約は、集団安全保障の一つであることは言うまでもありません。
 高度成長政策を取り続けるつもりかということでございますし、もう一つは、過去の経済政策に対しての御質問がございました。
 戦争に破れてゼロから出発をしたわが国は、四半世紀の短い間でこれだけの日本になったではありませんか。(拍手)国民生活も向上いたしました。所得も増大をいたしました。ただ、正すべきところや修正を行なわなければならないところはたくさんありますが、少なくとも、持たざる国から持てる日本に転化をしてきたではありませんか。その意味で、過去の経済政策は成功であったといわざるを得ません。(拍手)
 しかし、これからの経済政策につきましては、政府は、従来の生産・輸出優先という運営を改めまして、国民福祉の充実を今後の基本的目標として各般の施策を推進することといたしております。四十八年度予算もこうした方向で編成をされたのであります。なお、政府は、近く決定される長期経済計画におきまして、適正な経済成長を維持しながら国民福祉の充実をはかってまいり、なお国際協調を推進いたしてまいりたいという方策を提示をする考えでございます。
 なお、列島改造についての御言及がございましたが、これは、都市に集中をする傾向は全世界的な傾向でございます。そして、都市に集中をする過程において国民総生産や国民所得が増大をされてきておるのでございますが、集中し過ぎるということになりますと過密の弊害が出てくるわけでございます。そこに土地の問題や公害の問題や、生活環境が破壊をされるような問題が起こってまいっております。その意味で、狭いながらも楽しい日本をつくらなければならないというのが日本列島改造政策でありまして、大企業優先のものではありません。日本人のほんとうに豊かな生活を確保するためには、列島改造政策を進める以外にはないと確信をするのであります。(拍手)
 生活向上の目標と具体的年次計画等につきましては、長期経済計画の中でお示しをいたしたいと考えます。
 なお、消費者物価等についての御言及がございましたが、四十八年度の経済見通しにおいては、景気の上昇や前年度の卸売り物価の上昇等、根強い物価上昇要因を極力抑制することによって消費者物価を五・五%に押えてまいるつもりでございます。しかし、これに対しては国民各位の心からなる御協力もお願いをいたしたいのでございます。
 国会に、チェックの機構を新設せよということでございますが、政府としては、独占禁止法の厳正な運用によって対処できると考えております。
 それから、国鉄運賃の問題についての御言及がございましたが、国鉄は過去百年間、国内交通の大動脈として、国民生活の向上と国民経済の発展をささえてきた国民の足であります。特に地形、地勢上、限られたところにある日本の交通機関として、国鉄を無視することはできないのであります。その国有鉄道は一兆二千億にのぼる累積赤字をかかえておる事実も、御承知のとおりであります。しかも過去、物価を押えるために、国鉄運賃は一般物価よりも非常に低く押えられてきたという事実も認識をしなければなりません。その意味で、国鉄の再建政策は緊急の課題でございます。四十八年度から十カ年計画を立てて国鉄の再建を行なおうとしておるのでございますが、国は税金から、すなわち一般会計から三兆六千億、財政投融資から九兆三千億の援助をして、国民の足を確保しようと努力をしておるのであります。その意味で、財政の中にはもっともっと、きのうも申し上げましたように、ほんとうに公費負担でやらなければならない社会保障の要請もあるのでありますから、そういうことも考えながら、国民の皆さまには最小限の負担をお願いをしようというのが国鉄運賃法の改正でございますから、共産党もひとつ御賛成をいただきたい、こう思います。(拍手)
 大資本の持つ土地を適正価格で収用せよという問題でございますが、地方公共団体等は、新住宅市街地開発法、新都市基盤整備法等により、一定の区域について住宅用地を適正な価格で計画的に取得することができるようになっております。必要な場合は収用権も活用してまいりたいと考えます。
 年金問題についてお答えをいたします。
 年金につきましては、五万円年金の実現、物価スライド制の導入など、画期的な措置を講じたのでございます。年金は、現段階ではいまだ加入者数に比べ受給者数が少ないので、保険料収入の相当部分が将来の給付のために積み立てられておる過程でございます。年金の財政運営は長期的視野に立って行なう必要がございまして、財政方式、修正積み立て方式ともいう今度の方式をとっておるわけでございまして、賦課方式への移行はいま考えておりません。
 健康保険改正案について申し上げますと、今回の改正案は、多年改善をされないままであった給付の改善を行なうことを中心とし、あわせて大幅な国庫補助を投入して財政の健全化をはかろうとするものでございまして、出した法律をよく見ていただきたい。昨年廃案となったものを再提出するものではありません。
 公害問題に対してお答えをいたします。
 公害の調査、企業への立ち入り検査等の監視、取り締まりは行政庁が行なうこととなっておりますので、御指摘のような機構をさらに設ける必要はないと考えております。
 政府は、昭和四十五年の公害国会におきまして、公害対策基本法ほか十四法案を制定、改正するなど、公害関係法制の抜本的体系化を行なったことは御承知のとおりでございます。
 また、公害対策基本法につきましては、現行規定の運営により十分対処し得るものと考えておりますので、法改正は考えておりません。
 議員定数の是正及び政治献金を個人に限るべしというような問題がございましたが、本件につきましては、昨日、社会党の方々に十分申し上げておるとおりでございます。
 なお、学生集団による暴力その他暴力の一掃についての決意についての質問がございましたが、最近の学園の荒廃は目に余るものがあります。学園の秩序を維持することは、学園のみならず、わが国の平和な社会生活の保持のため絶対不可欠のものであります。およそ暴力は、これがいかなる団体もしくは個人によって行なわれるものであっても、許すことはできません。(拍手)政府は、従来から学園の秩序維持に全力を傾けてきたのでございますが、今後とも国民の協力を得て、暴力の絶滅に努力をしてまいるつもりでございます。
 以上。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(中村梅吉君) 浅井美幸君。
  〔浅井美幸君登壇〕
#16
○浅井美幸君 私は、公明党を代表して、田中総理に対し質問をいたします。(拍手)
 今日、わが国は、内外ともに歴史的な転換期に直面しております。
 長年にわたる悲惨なベトナム戦争も、戦後にきびしい問題を残しながらも終止符が打たれ、全人類の期待の中で、戦争から平和実現への歴史的な第一歩を踏み出しました。超大国の力の介入の誤りを実証したベトナム戦争の教訓は、日米安保体制を通じてベトナム戦争に加担してきたわが国の外交のあり方に対し、根本的に反省を迫るものというべきであります。
 一方、国内にあっては、長期政権に安住した自民党政治の失政はおおいようもなく、国民福祉の向上と物価安定、公害から国民の命を守ることを要求する国民世論の高まりは、その極に達しております。また、国際収支是正を求める国際的圧力と相まって、大企業優先、国民生活軽視の自民党政治の転換を強く要求しているのであります。
 田中内閣発足以来約半年、第一次組閣当初のあの国民の期待感は、すでに絶望感に変わっております。それは、昨年末の総選挙の得票率が前回よりさらに下回ったことでも明らかであります。
 しかし、ここで総理が、単に政府・自民党の凋落傾向の危機感から出発して事を処する態度であるならば、さらに大きな失敗を招くということであります。田中内閣に期待されたものは、斬新な、国民の側に立った新しい政治でありました。しかし、今回の予算案を見るとき、従来の自民党路線を踏襲しているだけで、決断と実行は単なるキャッチフレーズに終わろうとしています。したがって、少なくとも今国会において明確にしなければならない基本的問題は、今日までとり続けてきた政治姿勢を、政府みずからがいまこそ決断し、転換をはかり、国民福祉最優先への姿勢を確固たるものにすることであります。
 いま一つは、戦後体制のままの外交路線を清算し、二十一世紀を望む展望に立った自主平和外交路線に切りかえるべきであるということを、まず強く申し上げておきたいのであります。(拍手)
 内政問題について総理の所信をお尋ねいたします。政府は、四十八年度予算編成にあたり、国民福祉の向上、物価の安定、国際収支の均衡化を三つの柱としてきたことを強調しております。しかしながら、決定された予算案は、はたして国民への公約にこたえ得たものでありましょうか。総理の施政方針演説の内容に、大かたの国民はどんなにかむなしさを感じたであろうかと思うのであります。
 福祉の向上を理由に、政府は空前の超大型予算を編成したのでありますが、社会資本充実に名をかりて列島改造を先行させ、公共事業関係費を最優先させる中で、政府がうたい上げた福祉予算は、社会保障関係費の一般会計に占める比率が、前年度一四・三%から〇・五%上がっただけというものであります。要するにこの予算は、国内景気をあおり、物価をつり上げることによって輸出価格をかさ上げし、輸出量を減らして国際収支の均衡化をねらう調整インフレ政策になっていることは明らかであります。
 福祉政策の基本は物価の安定と所得の不平等を是正することであり、このためには所得の再配分政策が最も重要であります。所得の再配分をもたらすためには、大企業や高額資産所得者の租税負担を強化し、恵まれない人たちに対し移転的経費として財政支出を行なうことであります。しかしながら、この点についての配慮が全くなされておりません。取るべきところ、すなわち大企業や高額所得者から取らないで、国鉄、健保料金の値上げなど大衆負担の強化と、いたずらに巨額の国債発行によって膨大な予算を組み、ますますインフレを助長し、庶民の生活を圧迫しようとすることはきわめて遺憾であります。
 口に生活優先を唱えながら、産業優先の税制のパターンを改めようとしない政府の姿勢は、自然増収が二兆五千億円以上も見込まれながら、わずか三千百億円余りの所得減税をもって大幅減税であると強調していることからも明らかであります。
 そもそも、自然増収は税の取り過ぎを意味し、これは大衆に還元されなければなりません。この程度の減税では、健保、国鉄などの公共料金の引き上げによる諸物価の高騰で、全くの焼け石に水となるでありましょう。国民生活はますます苦しくなる。そしてさらに、わが国の法人税負担は、法人税率が低い上に、租税特別措置による種々の恩典によって極端に低くなっているのであります。この不公平を是正し、所得再配分を推進するためにも、法人税率を現行の三六・七五%から四〇%に引き上げるべきであり、直ちに三八%に引き上げることを強く主張するものであります。(拍手)
 さらに、税負担の不公平の典型ともいうべき租税特別措置については、大企業や資産所得者を優遇している、たとえば輸出振興税制の全廃、合理化機械の特別償却など各種償却、準備金制度の改廃、利子・配当所得に対する課税優遇の撤廃などを直ちに実施すべきであります。そうして、それによって得た財源を、給与所得者の大幅減税、標準世帯で年間百五十万円までを無税にするために充てるべきであります。
 現行税制の中で、政府は福祉の向上を国民大衆の負担によってはかろうとしておりますが、税の不公平の是正、産業優先の旧態依然たる税体系の是正こそその前に行なうべき急務であることを指摘し、その決断と実行こそ福祉優先を公約した田中内閣の当然の責任と思うのでありますが、総理の御所見を伺いたいのであります。
 物価がいまや政治不信の要因となって定着していることを、政府は強く認識すべきであります。国鉄、健保をはじめ、私鉄、地下鉄、バス、私立大学授業料、電力、石油、ビール、酒、消費者米価、とうふ、みそ、しょうゆ、その上野菜の暴騰も予想され、国民生活に深刻な不安を与えております。加えて、昨年夏以来の卸売り物価の急騰は、慢性的に卸売り物価と消費者物価が並行し上昇するという、欧米型の底なしのインフレにわが国も落ち込んでいく懸念を強くしておるのであります。
 卸売り物価の急騰の中で大きなウエートを占める鉄鋼は、昨年十二月に不況カルテルが解除されましたが、価格は不況カルテルを結んだ当初の二倍近い値上がりとなっております。これは明らかに価格競争が行なわれず、カルテルによる企業の利益保護のもたらした結果であります。このようなカルテルによる卸売り物価の上昇を現実に見ながら、政府は、不況カルテル解除後、さらにポストカルテルをバックアップしようとする気配が見えます。このことは、価格競争を放棄し、不況カルテル同様に、常時、品薄状態を意図する鉄鋼産業に、政府みずからが手をかしていることにほかならないのであります。
 この実情に対して、田中内閣はどのように手を打つのか、また、卸売り物価急騰に対する具体策を明確に承りたいのであります。
 さらに、わが党は、管理価格の規制を排除する法案を提出してまいりましたが、管理価格の規制法を強化するとともに、公正取引委員会に強制調査権限、企業の経理の公開、原価の公表等の権限を持たすべきだと考えますが、総理の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 昨日来の公共料金値上げに対する総理の答弁は、値上げ抑制の姿勢が全く見られず、野放しであります。そこで、国鉄運賃の値上げについて伺いたいのであります。
 今回提出される国鉄運賃法の改正案は、第六十八国会で野党及び国民世論のきびしい批判にあい、廃案となったものと全く同一のものであります。あえて同法案の再提出を行なう政府の不見識きわまる姿勢に対し、厳重なる反省を求めるとともに、運賃法改正案の撤回を強く要求し、総理の国民に対する誠意ある所見を伺うものであります。(拍手)
 また、国鉄再建について見のがすことのできない問題は、列島改造に便乗して、わずか一年の間に国鉄再建計画が大幅に変更されていることであります。すなわち、前回廃案となった再建計画は、赤字線撤去が明確にうたわれておりまして、その面では縮小再整備の姿勢を明らかにいたしておりましたが、今回の再建計画では、赤字線撤去は立ち消え、むしろ列島改造の推進のために、新線計画拡大を行ない、さらに新幹線七千キロの建設等、十年間で十兆円にも及ぶ巨額の全面拡大的な投資を行なおうとしておるのであります。
 わが国の交通基盤の根幹をなす国鉄の基本計画が、わずか一年の間に縮小から拡大へと変更されることは、まさに右往左往路線というべきであります。(拍手)政府の総合交通政策が何ら体系化されていなかったということを証明するものであります。このあいまいな姿勢による国鉄再建計画は、国鉄の赤字を解消するどころか、赤字をますます拡大することは火を見るよりも明らかであります。しかも、運賃値上げが今後十年間に四回も予定され、国鉄再建財源の四七%が直接利用者負担、すなわち国民の負担となっていることは、断じて認めるわけにはいかないのであります。(拍手)
 早急に再建計画の再検討を要求し、総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、諸悪の根源と定説化された地価の高騰は、特に田中内閣発足以来目に余るものがあります。総理の日本列島改造論は、いたずらに地価の暴騰を招いただけではありませんか。そして、庶民のマイホームのささやかな夢をみじんに砕いてしまったのであります。今日の地価の高騰は、政府が大企業優先の高度経済成長政策をとる中で、あえて抜本的な土地対策を実施しなかったためであります。
 四十四年度に改正された現行土地税制は、四十六年度の全国高額所得者の上位九十五名を占める土地成金を生み出し、投機的風潮を高め、大企業、法人の土地買い占めは、金融の超緩和政策、列島改造ブームと相まって、ますます拍車がかかったのであります。
 土地問題の解決は田中総理の就任以来の公約であります。去る二十六日閣議決定された土地対策要綱は、土地利用計画の策定と土地利用の規制、土地税制の改善、宅地供給の促進を三本柱としておりますが、その内容は国民の期待していたものから大幅に後退し、またざる法になるのではないかといわれております。
 国民のきびしい批判によって生まれた土地新税も、まことに低い税率によって国民の批判をかわそうとするものであり、その効果は期待できませんし、また、課税分がそのまま地価に上のせされるおそれが十分に予測されるのであります。しかも、土地保有税の課税適用除外規定は広範囲にわたり、事実上骨抜きがはかられているのであります。
 土地新税を地価対策、土地投機抑制のために機能させるには、土地譲渡税については、譲渡益を完全に分離して、譲渡益に対して八〇%以上の課税をすべきと考えます。また、土地保有税については、課税適用除外項目を再検討し、国民生活に密着する公共の福祉に関するものに限定すべきと考えます。土地取引の届け出制の実施は当然であり、特に都市計画区域内の特定区域においては、一千平方メートル以上の土地売買を公的機関を通じて行なうべきであり、また、地方自治体の先買い権を強化すべきであると考えますが、これらをあわせて総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、国土総合開発庁と国土総合開発公団が設置されることにより、中央集権化の傾向がより強化され、住民自治の機能がますます弱体化されるのではないかと危惧するものでありますが、明確に総理の所信を伺いたいのであります。
 低家賃で快適な住宅の確保は、国民生活の福祉向上のための基本条件となるものであります。しかるに政府は、地価の高騰に伴う用地取得難や、住宅団地建設による関連公共施設整備で超過負担に悩む地方自治体の建設反対運動などを理由に、公共賃貸住宅建設を後退させ、民間自力建設に大きく依存しようとしております。これでは住宅困窮者の夢はまたまた破れ、今後も引き続き高い家賃に悩まされながら賃貸アパートで暮らさなければなりません。今日の住宅不足は、政府が住宅建設を国民福祉政策の一環として、土地政策や都市計画の一体化のもとに総合的に推進しなかったために生じた結果であり、政府の重大な責任であります。政府は、住宅政策、特に公共住宅政策をどのように今後進めようとされておるのか。また、住宅団地建設による超過負担を伴う地方自治に対し、政府の財政援助を大幅に増加すべきであると思いますが、あわせて総理の具体的な見解を承りたいのであります。
 福祉日本の建設はいまや国民的合意となっています。四十八年度の国民総生産は百十兆円に達し、工業生産力ではアメリカに拮抗する一流先進国であるわが国が、福祉水準は欧米先進国に十年以上もおくれている今日の現状に、国民は大きな不満を抱いておるのであります。人間として最低の生活を保障するために、かつ、わが国の福祉水準を国民が納得するものに引き上げるために、まず、わが国の福祉の国家的目標を設定すべきであります。そして、その具体的な年次計画とその実行を国民の前に明らかにすべきであると思うのであります。(拍手)
 かねてわが党の主張する社会保障基本法の制定と、社会保障関係費を今後五カ年の間に少なくとも三倍にし、せめて現在の欧米水準並みに引き上げるべきであると思います。総理の明快な答弁をお伺いいたしたいと思います。
 政府は、福祉の充実を自画自賛しておりますが、福祉予算の実態は見せかけだけで、福祉優先の確固たる姿勢が全く見られないといわざるを得ません。
 その第一は、政府のいう五万円年金、この実現構想でありますが、お年寄りは、今日の生活を保障し得る年金を直ちに受け取ることを望んでいるのであります。ところが、五万円年金といっても、すべての人が平等に年金を受け取れるものではありません。実際に厚生年金五万円をいま直ちに手にできる人々を、総理は一体何人おられると思っているのか、年度別にその受給できる人員を明確に示していただきたいものであります。そうすればその実態が明らかになります。
 さらに、国民年金に至っては、昭和六十一年からの完全実施であります。とするならば、五万円年金は明らかに誇大宣伝であるといえましょう。こうした年金制度が、いま行なわれている積み立て方式をとり続ける限り、年金による老後の保障は全く望めないではありませんか。
 わが党は、修正賦課方式に切りかえ、老後生活を直ちに保障できる年金制度の実現をここで強く要求しておくものであります。同時に、国民年金制定以来、年齢制限のために加入できなかった年金ゼロの百三十万人の気の毒なお年寄りの方々に対する制度の創設も、緊急な課題として取り上げなければなりません。これらについて、明快な総理の答弁を求めるものであります。
 第二に、健康保険法改正であります。
 この改正は、政府の行政の怠慢から生じた赤字を国民の負担において解決をはかろうとする財政対策が中心であり、健保や年金の保険料の引き上げで高負担が先行し、福祉をあと回しにする田中内閣の政治姿勢であるといわざるを得ません。
 国民は、まず安心できる医療システムや給付の改善を求めているのであり、過大な医療の負担のみを押しつけることは許されないことであり、われわれは断じて認めるわけにはまいりません。十年来政府が国民に約束してきた医療の抜本改正を行なう決断があるならば、ここで、老人医療、乳児医療、難病、心身障害者、さらに予防給付に至る公費負担医療を拡充強化し、社会や国の責任により生ずる疾病に対しても、あたたかい思いやりが必要であると主張するものであります。医師や看護婦の不足で重病人の入院が不可能となっている悲惨な現状を、一体総理は御存じでありましょうか。
 さらに、僻地であるがゆえに適切な医療も受けられずに、あたら生命を失っていくという悲惨なこのような状態を持つ今日の日本は、はたして福祉国家といえるでありましょうか。医療の谷間の問題を放置して、単に赤字対策のみに終始する愚かな政治を、国民は望んでいるものではありません。
 こうしたわが国の医療体制の根本的な欠陥に手をつけずに提案する健康保険法改正案は、すみやかに撤回すべきであることを強く申し述べたいと思うのであります。(拍手)
 第三に、老人医療の無料化であります。
 六十五歳以上の寝たきり老人に限って、医療費負担が免除されることになりました。老人の病気は五十五歳を過ぎると急激に増加し、五十代後半から六十代前半の老人が、最も医療を必要とするのが実態であります。したがって、老人医療の無料化は、六十歳以上のお年寄り全員を対象にすべきであり、当面は、六十五歳までを直ちに実施すべきではないかと思うのであります。
 また、三歳までの乳幼児医療費の無料化であります。
 言うまでもなく、幼児期は成長を左右する大事な時期で、それだけに最も病気にかかりやすい時期でもあります。いま、地方都市の一部におきまして無料化の実現を見ておりますが、この際、全国的に政府が実施することを強く主張するものであります。あわせて総理の所信を承りたいのであります。(拍手)
 国民の健康と生活を破壊する公害問題が、量重要な政治課題となって数年を経ております。大気汚染、水質汚濁は全国的規模に拡大され、有害物質の人体蓄積はわれわれの想像を絶するものがあります。また、乱開発による自然破壊は、生活環境のみならず自然災害をも誘発するに至っています。
 しかるに、政府はさらに超高度成長政策をとり続け、列島改造を先行的に実施しようとしております。総理は、列島改造イコール環境保全整備と産業構造の転換になるんだと言い続けておられますが、この相矛盾する政策を一体どのように処理されようとしておるのか。また、超高度成長と、列島改造と産業構造の転換と公害防除施策との関係を、どのように具体的に考えておられるのか、明快なる御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 総理は、排出規制における総量規制の導入、環境制御システムの確立等を公約されておりますが、予算案を見る限り、まさにその効果を期待することはできません。公害防除の先行施策の確立こそ、新しい日本の成長の基本になると私は確信します。そうした意味から、われわれが提案した環境保全基本法を制定し、法律案の整備にまず取り組むことを、ここに再び提唱するものであります。(拍手)
 また、現在、公害発生原因者と、その被害をこうむる国民の間に、権利の平等化を求める声が圧倒的に高まっております。これは、本来あるべき企業の社会的責任を要求するものとして、きわめて当然のことであります。この意味から、現在、無過失損害賠償責任制度が因果関係の推定規定を削除していることは、全く不公平、不平等であり、挙証責任の転換が事業者に対する責任過重になるという企業優遇の姿勢は、まさに時代錯誤であるというべきであります。わが党は、因果関係の推定規定を設けることを、ここで再び、昨年に引き続き重ねて要求するものであります。(拍手)
 さらに、公害病患者は、認定患者だけでも一万人をこえ、さらに増加の一途をたどることが容易に考えられます。被害者の救済制度の改正は急務であり、現行の地域指定をもとにした公害病認定を疾病第一主義に改めるとともに、不幸な患者に対するリハビリテーション施設の創設、身体の不自由になった人の障害年金制度の創設を提唱するものであります。これらに対する総理の見解を伺っておきたいのであります。
 内政の最後に、農政に対する所信をお尋ねいたします。
 「農業生産は一度、縮小すると、それを回復するのに相当の困難と長い期間がかかる。農業はカネさえつぎ込めばすぐに生産があがるという性質の産業ではない」これは日本列島改造論に述べられた総理の見解であります。列島改造論にある農業経営の理想も、過去の経済成長のパターンを踏襲する限り、わが国農業の崩壊は必至でありましょう。
 事実、四十八年度予算案にも明らかなように、農村総合整備関係費は大幅に削減されております。国際的にも食糧供給不足がにわかに懸念される今日、国民生活の基礎である食糧供給の確保はもちろん、都市化の加速度的な進行の中における新しい農業の位置づけは、国民生活と国土の保全という面からも緊要性を増しております。政府は、わが国農業を国民的経済においていかに位置づけておられるのか、この際再確認し、また、特におくれた農村社会の福祉政策をいかに進めていくのか、明確に伺っておきたいのであります。
 次に、外交、防衛について質問します。
 アジアはもとより、最大の国際問題でありましたベトナム和平は、一昨日、歴史的な停戦和平協定が締結されました。私は、この和平協定締結を心から歓迎するとともに、再びこのような大国の不当な軍事侵略行動を断じて許してはならないと思うのであります。
 もとより、ベトナムの真の平和は、この和平協定によって実現されたというものではありません。むしろ、今後に解決されなければならない問題が横たわっていることは、私がここで申し上げるまでもありません。しかし、ベトナム戦争の結果は、アメリカの強大な軍事力を背景とした大国主義、侵略主義的行動の破綻と敗北を象徴的に示したものであることは明らかであるというべきであります。
 昨年末の画期的な国際政治の展開とともに、ベトナム戦争の終結は、力の論理の否定、戦後体制の終えんと再検討はさらに決定的なものとなり、新たなる国際秩序を目ざして大きく展開されつつあると見るべきであります。
 こうしたときにあたって、わが国は一体何をなすべきか、わが国のアジア外交はいかにあるべきか、真剣に考えなければならないことは言うまでもありません。政府は、今日まで自主的な対外政策を持つことなく、無批判にアメリカのアジア戦略体制に従属的な姿勢で追随してきたことは、アメリカのベトナムをはじめとするインドシナ侵略戦争に、積極的に協力、加担をしてきた事実からも明らかであります。
 総理は、ベトナム戦争に対するアメリカの誤りをここで率直に認めるべきであるし、また、安保の名において不当なベトナム侵略戦争に協力、加担してきたわが国の態度を反省すべきであると思うのであります。明確なる所信を承りたいのであります。
 第二次ニクソン政権で示されたアメリカの対外政策は、ニクソン・ドクトリンの逆行、すなわち、同盟国に対する軍事的、経済的肩がわりの強い要請であります。すでに政府は、アメリカ側の要請を受け入れ、ニクソン・ドクトリンを全面的に支持し、具体的な協力を実施しています。これは、去る一月二十三日の日米安保協議委員会の結果を見れば明らかであります。
 特に、懸案の事前協議洗い直しをあいまいにし、基地についても、政府はニクソン・ドクトリンに沿った基地の集約化、再編強化に同意し、主要基地の強化拡充に関し、積極的に費用の負担等の面を含んで、アメリカ側に協力することを決定いたしております。このような安保基地政策は主体性を欠いたものであり、なおかつ、アメリカ側の要求実現のためには国民生活を犠牲にしてもよいとする政府の態度は、全く許せないところであります。基地撤去に関しては、まず何よりも国民の側に立った態度で臨むべきであります。返還された米軍基地は、ほとんど自衛隊が使用しているのであります。私は、返還後の基地は、すべて地域住民の福祉に還元することを、総理は国民に約束すべきであると思うのであります。(拍手)
 さらに、安保協議委員会で、岩国基地の改築に関し、地位協定二十四条の規定に反する合意を行なっております。基地返還にからみ、不当な防衛分担金ともいうべき費用の負担をわが国が行なおうとしております。これら一連の自民党政府による、国際緊張緩和に逆行し、また、国民の意思をじゅうりんする安保最優先の危険な政策は、直ちに中止すべきであります。
 日米安保体制のもと、相次ぐ軍備拡大政策をとり続けて、アジア諸国はもとより、各国からきびしい批判と非難を受けているわが国政府が、あまりにも世界の動向、なかんずくアジア諸国との関係に無理解、無認識であったことを、私はここに指摘したいのであります。インドシナ諸国に根強い反日感情、無原則な経済進出を含めて、今後のアジア政策をどう展開しようとするのか、明確に伺いたいのであります。ポストベトナムのアジア情勢の展望を、総理はどのように見ているのか、そして、アジアの平和に対するわが国の果たすべき役割りを、この際明らかにすべきであると思うのであります。
 私は、アジアの平和はアジア諸国の手によってのみ確立されるべきであると思うものであります。しかも、それぞれの国が、平和五原則に基づき、対等な関係において行なわれるべきであることは言うまでもありません。アジアは今日まで、あまりにも大国の干渉と恣意によって動かされ過ぎてきているのでありますが、もはやこうした歴史に終止符を打ち、いまこそ平和なアジアの国際環境づくりに、わが国が積極的に努力しなければならないと思うのであります。
 そのために、わが国にまず第一義的に必要なことは、アメリカのアジア政策に必然的に組み込まれ、ベトナム戦争にも協力、加担せざるを得なくしている日米安保を基調とする日米関係の再検討と、わが国が自主平和外交を確立することであります。もとよりわれわれは、日米関係の重要性を否定するものではありませんが、重要であればこそ、永続的平和友好関係の確立が必要であると思うものであります。わが党は、安保体制をすみやかに解消し、わが国の主権を回復するとともに、基地のない平和な日本を実現するため、非軍事的な日米友好条約の締結を、この際提案したいと思うのでありますが、総理の御見解を伺っておきたいのであります。(拍手)
 また、まさに際限のない軍備拡大政策を政府がとり続けていくことは、もはや許されるべきではありませんが、直ちに第四次防など、一連の軍備強化路線を改めるよう、強く要求するものであります。
 総理は、さきに、わが国の平和時における自衛力の限界を明示することを国民に約束しながら、いまだにこれを示さないのは、明らかに公約違反であります。したがって、これは絶対この場所において、国民の前にその限界を明らかにしてもらいたいのであります。
 また、私は、いまこそわが国が自主、平和等距離中立外交で、アジアに芽ばえつつある新しい動きを育て、発展させることが重要であると思うのであります。そのために、アジア諸国との経済をも含めた、中立、平和のための連帯を促進するために、わが党の主張するアジア・太平洋平和会議の開催に政府が努力すべきであると思うのであります。
 過日のアジア調査会におけるところの大平外務大臣の発言を含めて、ASPACの取り扱い、ASEANに対する態度など、この際政府の見解を承りたいのであります。(拍手)
 また、ベトナム民主共和国の承認を含めて、ベトナム復興に対する政府の具体的な態度も、あわせて明らかにしていただきたいのであります。
 昨年、自主的平和統一への共同声明が発表され、南北双方で話し合いの場がつくられた朝鮮問題は、その進展が強く期待されるのでありますが、この平和的統一を妨げる政府の朝鮮政策は直ちにやめるべきであると同時に、国連の朝鮮問題に対するたな上げ方式は絶対にとるべきではありません。この朝鮮問題に対するわが国の明確な態度をここで述べていただきたいのであります。
 最後に、北方領土問題についてであります。
 日ソ平和条約締結をめどにした日ソ間の交渉が始められたとはいえ、その前途はきびしいものがあるというのが現実であります。歯舞、色丹、国後、択捉諸島の返還を求め、すみやかに日ソ平和条約の締結をはかるべきと思うのでありますが、政府のこれに臨む方針を確認しておきたいのであります。
 この問題に対しまして、各党とも一致した見解でないのは、はなはだ遺憾とするものであります。党派を越えて国民の願望実現に全力をあげるべきことが、この際最も必要であると考えるものであります。
 この際、私は十分な話し合いによって、統一された形において北方問題に対する国民的合意をはかり、これを背景として日ソ交渉に臨むべきことを強く要求しておきたいと思うのであります。(拍手)
 総理の率直にして明確なる答弁を要望し、以上で私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(田中角榮君) まず第一には、政治路線を転換せよという問題についてお答えをいたします。
 人間性を回復した平和な新しい日本をつくるためには、古い制度や慣行にとらわれることなく、産業や経済のあり方を大胆かつ細心に変えていかなければなりません。経済政策も、生産第一から生活優先、福祉優先に切りかえていかねばならないと考えます。このたび国民福祉重点の予算を編成したのもこのためでございます。新しい時代の創造には、大きな困難と苦痛を伴います。しかし、私はあえてこの困難に挑戦し、国民のための政治を決断し、実行してまいりたいのであります。(拍手)
 第二に、四十八年度予算案についてのお尋ねでございますが、社会保障の充実、生活環境施設の整備など、国民福祉の向上を実現するため、財政は従来以上に積極的な役割りを果たさなければなりません。四十八年度の予算は、このような観点から編成をされたのでございます。
 インフレ防止のために万全の対策を講じなければならぬことは申すまでもないことでございます。国内の過剰流動性を押えるため、金融面の措置もとられつつございますが、今後の経済運営にあたりましては、経済の動向を注視しながら、財政金融政策の適切な組み合わせにより、その安定成長をはかってまいります。いわゆる調整インフレの考えは全くとっておりません。
 第三、税制についての御質問でございますが、昭和四十八年度の減税規模は、国税、地方税を通じまして、初年度四千六百億円、平年度五千二百億円にのぼっておるのでございます。多岐にわたる財政需要にこたえながら、政府としてできるだけの努力をいたしたことを御理解賜わりたいのでございます。
 所得税減税は、初年度三千百五十億円、平年度三千七百億円でございます。この結果、夫婦子二人の標準世帯におきましては、課税最低限は百十四万円余となって、西欧先進国を上回っておることは、先日も申し上げたとおりでございます。
 法人税の税負担を高める道は、税率の引き上げだけではなく、課税所得の拡大もその一つの方法でございます。四十八年度の改正におきまして、産業関連の租税特別措置の積極的な改廃によりまして、平年度四百億円の増税措置を講じたところでございます。なお、別途、固定資産税等につきましても負担を高める措置が講じられており、この面からも、法人の税負担の加重がはかられておるわけでございます。
 卸売り物価急騰対策についてでございますが、需給ギャップの著しいステンレス、鋼板部門を除きまして、鉄鋼業につきましては、御承知のとおり、昨年末をもって全面的に不況カルテルを打ち切ったわけでございます。今後、安定供給につきまして強力な指導を行なってまいるつもりでございます。
 なお、いわゆる管理価格の規制についてでございますが、自由経済体制のもとで、政府が直接企業の価格形成に介入することには慎重でなければならぬわけでございます。現在、公取委におきまして寡占の実態調査を行なっておりますので、不当な価格形成の事実があれば、独禁法の厳正な適用によって対処してまいるつもりでございます。
 国鉄の再建案につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたが、国鉄は、明治から百年間、国民の足であり、日本の経済の大動脈であったわけでございます。この国鉄はいままで、言うなれば料金を一般の物価以上に押えてきたということは御理解がいただけると思います。そういう意味で、そのしわが国鉄に寄っておるという事実もございますので、今般、一般会計三兆六千億、財政投融資九兆三千億にも及ぶ助成措置を十年間においてとることにいたしまして、国鉄としての責めを果たさせようと考えておるわけでございます。
 なお、国有鉄道というものの赤字線であったようなものを一体どうして今度続けるようにしたんだという御指摘でございますが、国民生活上不可欠の路線や地域開発上先行投資の役割りを果たす路線については、その意義を再検討する必要があると考えたわけであります。
 国鉄というのは、大体道路と民間企業との中間を行くものであります。ある意味においては赤字であっても、政策目的を達成するために必要であれば、国費でまかなっても運行をしなければならないというところに国有鉄道法の意義があるのであります。(拍手)
 例をあげて申しわけありませんが、北海道の鉄道は、過去も現在も、まだ当分赤字だかもしれませんが、この国鉄の累積赤字の何千倍、何万倍北海道の国民総生産の拡大に寄与したかという事実を見れば明らかでございます。(拍手)
 しかも、鉄道や交通機関が赤字であるならばこれを廃止せよといえば、東京や大阪の地下鉄は、三三%から三分の二に近い公共負担を行なってもなお赤字であるということでございます。
 その意味で、国有鉄道というものの重要性は別な意味で御認識を賜わりたいのであります。(拍手)
 譲渡益に対して八〇%以上の土地課税を行なうべしという御提案でございますが、今回政府が実施をしようとしております法人の土地譲渡税は二〇%の上乗せをするということでございます。しかし、法人は、法人税や地方税、おおむね五〇%に近い税を課されておりますので、税負担は七〇%というものに近くなるわけでございまして、決して低い税負担ではないと考えておるのでございます。
 保有税の課税除外項目を限定せよということでございますが、保有税制の創設の趣旨から見て、課税除外の対象範囲は、住宅用地の供給等に重点を置きまして、安易に拡大することは考えてはおらないわけでございます。
 なお、特定地域の一千平方メートル以上の土地売買は公的機関を通じ、地方自治体の先買い権を強化せよという御提案でございます。公有地の拡大の推進に関する法律による先買い制度に加え.て、都道府県知事が指定した地域については、土地取引の届け出、中止勧告制とあわせて、地方公共団体等による土地の先買い制度を創設したいと考えておるのでございます。
 国土総合開発庁と公団の設置によって、住民自治の機能の弱体化がはかられるのではないかという御発言でございますが、およそ国土の総合開発を進めるにあたりましては、地域住民の意向を尊重し、地方自治体の意思を尊重することは当然でございます。国土総合開発庁及び公団の計画の策定及び事業の実施については、これを基本としてまいります。
 公共住宅政策の推進の問題についての御質問がございましたが、四十八年度におきましては、公的資金による住宅の規模の拡大と質の向上をはかるほか、日本住宅公団による長期特別分譲制度の新設、住宅金融公庫の融資の拡充等をはかるととにいたしておるわけでございます。
 地方自治体の超過負担の解消のための政府の財政援助の増加等についての御発言についてお答えをいたします。
 四十八年度予算におきまして新たに、児童、生徒が急増している市町村の公立小中学校校舎建設費の国庫負担率を、現行の二分の一から三分の二に引き上げてまいります。また、義務教育施設建設のための国庫負担事業等にかかる地方団体のいわゆる超過負担については、四十八年度及び四十九年の両年度において解消措置を講ずる考えでございます。
 福祉の向上に対して数点御質問がございました。以下、順次お答えをいたします。
 社会保障は長期計画を立てよということでございますが、長期計画につきましては、新しい長期経済計画の中にその位置づけをおおよそいたしたい、こう考えておるわけでございます。
 第二には、年金については、五万円年金の実現、物価スライド制の導入など、画期的な措置を講じたつもりでございます。なお、厚生年金の場合、二十年以上の加入者の標準的な年金額が五万円となるのでございます。
 年金の財政運営は、長期的視野に立って行なう必要があり、現段階で賦課方式への移行は考えておらないわけでございますが、しかし御指摘もございましたように、現在、積み立て方式を修正をして、修正積み立て方式ともいうべきものを採用いたして、これに対処いたしておるわけでございます。
 国民年金発足当時の任意加入対象者で、十年年金または五年年金に加入しなかった者は、今回の改正で措置をいたします。
 健保の改正は、家族給付の改善をはかるとともに、大幅な国庫補助、四十八年度八百億円を導入して、政管健保の財政の再建をはかるものでございます。その意味で、たいへんな改善だと考えておるわけでございます。
 老人医療の無料化は、四十八年一月から七十歳以上を対象として実施をいたしましたが、来年度予算では、さらに六十五歳以上の寝たきり老人等について医療費無料化の対象に取り入れたところでございます。
 また、三歳児までの乳幼児の問題についてのお話がございましたが、乳幼児の医療無料化につきましては、いわゆる難病を対象に治療費の公費負担を実施しております。
 列島改造と産業構造の転換、公害防除の関係と施策の優先順位等に対しての広範なお話がございましたが、国土の改造、産業構造の転換、公害防除の推進は相互に深い関連がありますので、いずれも一体として強力に実施をする必要があると考えます。
 また、列島改造に対しては、自然環境の保護基準等を厳重にやってまいります。しかも、もうすでに国土の一%に三千三百万人もの人が住んでおるのでございまして、これを無制限に集中を是認するような状態で、お互いの生活環境がよくなるはずはないのであります。社会主義国においても、強力に大都市に対する抑制をいたしておる事実を考えてみれば、狭い日本でも、楽しい理想的な日本をつくるために、列島改造が合理的、理想的に進められなければならぬことは言うをまたないことでございます。(拍手)真に御理解をお願いいたします。
 公害についての問題に対して、順次お答えをいたします。
 公害発生源規制の強化の一環として、できるだけ早く総量規制を導入することにいたしたいと考えております。
 また、環境制御システムの確立をはかるため、開発が環境に及ぼす影響を事前に評価するいわゆる環境アセスメントの手法開発、公害防止技術の開発促進等の施策を積極的に講じてまいりたいと考えております。
 無過失損害賠償責任制度について、因果関係の推定規定を設けよという御所論でございますが、公害訴訟における因果関係の立証については、実際上なかなか困難な点があることは御理解いただけると思います。しかしながら、最近の判例では、因果関係を事実上ゆるやかなしかたで認める方向になりつつありますので、因果関係の推定につきましては、このような判例の動向を見守りつつ、その法制化について引き続き検討してまいりたいと考えます。
 公害病認定患者の早期認定等についての御発言に対してお答えをいたします。
 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づいて、健康被害者に対してはすみやかに医療救済措置を講じておるのでございます。
 農政について申し上げます。
 今後の農政政策といたしましては、農産物需給の長期的展望に立ってわが国の農業生産を確保してまいります。このため、新たに総事業費十三兆円にのぼる土地改良十カ年計画を策定し、農業生産基盤の計画的な整備を進め、高能率農業の育成をはかってまいります。新たに農村総合整備モデル事業を実施いたしますとともに、農村地域への工業導入を促進してまいります。
 ベトナム問題についての御質問にお答えをいたします。
 わが国は、南ベトナムが民族自決の原則に従い、みずからの運命を平和的に決定できるように、また、すみやかに平和が回復されるように求めてまいりましたが、今次協定によって、かかる民族自決と和平の目的は達成されたと考えておるのであります。
 極東の平和と安全に関係のある場合、米軍がわが国の施設、区域を修理、補給などのために使用することは、日米安保条約上認められておるところでございます。わが国としては、長年の戦禍に苦しんだこの地域に平和の第一歩が踏み出されたことを心から歓迎いたすものであり、平和の定着と復興、建設のため、相当の努力を払ってまいりたいと考えております。
 事前協議等に対しての御発言にお答えをいたします。
 日米安全保障協議委員会において事前協議制度について討議をしましたが、日米間に密接な意思の疎通がありますので、運用上問題はなく、また、現在のような国際情勢のもとにあっては、事前協議を必要とするような事態は予想されないとの見解の一致を見ております。
 また、同委員会においては、必要でなくなった基地の整理、統合をも決定をいたしました。基地の整理、統合に伴う経費は日本側が負担をすることになっておるのであります。また、返還された軍用地の利用について、公共の用に供するように考えなければならないということは全く御説のとおりでございます。十分配慮してまいりたいと考えます。
 今後のアジア外交のあり方と日本の役割りについての御発言でございますが、過去一年余の間に起きた多くのできごとは、アジアの情勢が対決から対話の方向に進んでおることを示しておると思います。しかしながら、多くのアジア諸国は、独立を獲得してまだ四半世紀を経過したばかりで、政治的にも経済的にも歴史が浅いのであります。産業の分野でも、教育の分野でも、なお乗り越えるべき難問を山のようにかかえておるのであります。しかも、アジア諸国相互間のコミュニケーションは、おおむね不十分であり、関係も相互補完的ではありません。一口に言えば、かかる現実がアジアにおける不安定要因となっておるのであります。アジア諸国はそれぞれなみなみならぬ努力を払っておりますが、これらの自主的な努力をできるだけ助けて、アジアに安定を定着させたいというのがわが国アジア外交のあり方であり、日本の役割りであると考えておるのであります。
 日米安保条約の解消論にお触れになりましたが、わが国と米国を含む自由主義諸国との友好関係は、現在のアジアにおける国際政治の基本的なワク組みの重要な柱となっております。このようなワク組みの中で、政治信条や社会体制を異にする諸国とも友好関係の積極的な増進がはかられておるのであります。日米安保条約を解消することは考えておりません。
 軍備増強政策等に対しての御言及がございましたが、わが国は、憲法を守り、必要最小限の自衛力で自由と独立を守っていくことは国としての義務であり、責任であります。わが国は無制限な防衛力の拡張など全く考えておりませんし、厳重な制約もあることを承知をいたしております。
 平和憲法下における自衛力の限界ということでございますが、平和時の自衛力の限界という問題のように思いますので、その意味でお答えをいたしますが、昨日もお答えを申し上げたとおり、防衛庁に、むずかしい問題であっても、四次防等、国民の理解を得るためには、研究、勉強してほしいということを望んでおるわけでございます。国会も再開されるにあたって、防衛庁長官から中間報告を聴取いたしましたが、まだ結論が出ておりませんので報告になっておりませんが、引き続いて開かれる予算委員会でもこの審議が当然行なわれるはずであるから、引き続き早急に勉強してほしいということを私からも依頼をしてあるわけでございます。
 アジア太平洋平和会議の開催、北ベトナムの問題、ASPACの問題等に対してお答えをいたします。
 アジアの平和維持は、わが国をはじめアジア諸国共通の関心事でございます。この共通の関心事を生かすにはいろいろな方法がありますが、国際会議はその一つであると考えられるのでございます。
 北ベトナムとこれまであった接触は一そう拡大の余地ができました。外交関係の設定を行なう前、戦後復興と北ベトナムとの交流増大のためやることはたくさんあるのであります。
 また、ASPACにつきましては、わが国の一存で一方的にきめるよりは、豪州とかタイなどの関係国とも相談をしてまいることがいいことではないか、より合理的だと考えておるのでございます。
 朝鮮政策を明らかにせよということでございますが、北鮮とは人道、文化、スポーツ、貿易の分野で接触を深めてまいります。
 韓国とは、従来からの友好関係の維持発展をはかってまいります。
 国連における朝鮮問題は、軌道に乗ってきた南北当事者間の会談を無視して考えることはできないわけでございますので、これらの状態も十分配意してまいりたいと考えます。
 最後に、各政党とも一致した立場で北方領土の返還を求め、日ソ平和条約の締結をはかるべきだという御議論でございますが、北方領土問題に関し、各政党が一致した立場のもとに、国後、択捉、歯舞、色丹四島の返還をソ連に求めるべきであるという御趣旨と了解をしますが、政府はこれには全面的に賛成であります。(拍手)今後とも御趣旨に沿って、ソ連との交渉につとめる方針でございます。せっかく御支援のほどをお願いいたします。
 浅井君に対する御答弁は以上で終わりますが、先ほど村上弘君の御質問のうち、議員定数の問題、政治献金等の問題に対して、きのうの答弁をそのまま御了承願いたい旨を申し述べましたが、正確にやはり申し述べることがいいと思いますので、お許しを願って、二点に対してもう一ぺんお答えをいたします。
 衆参両院議員の選挙区別定数の合理化は、もとより重要な問題でありますが、両院議員の総定数、選挙区制、選挙制度をどうするかという問題と切り離して結論を出すべきものではなく、選挙区制全体の根本的改善の一環として検討すべき性格の問題と考えております。
 政治資金規正法の改正は、政党政治の消長、わが国の議会制民主主義の将来にかかわる重大問題で、幾たびか改正法案が国会に提案され、廃案になった経緯があることは周知のとおりでございます。これを今日の時点で振り返ってみますと、金のかかる選挙制度あるいは政党のあり方をそのままにして、これを具体化することにいろいろと無理があったことを示しているように思えるが、くふうによっては、その方法も見出し得るものと考えておるのでございます。
 今後は、政党本位の金のかからない選挙制度の実現への動向も踏まえつつ、さらに政党法のあり方なども含めて、徹底した検討と論議を積み重ねてまいりたいと考えております。
 以上。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(中村梅吉君) 受田新吉君。
  〔議長退席、副議長着席〕
  〔受田新吉君登壇〕
#19
○受田新吉君 私は、民社党を代表して、田中総理の本院における施政方針演説に対し、重要な問題点を提示いたしまして、国民のための明確な答弁を要求するものでございます。(拍手)
 総理は、この施政演説におきまして、あえて困難に挑戦し、結果については責任をとる、と断言されました。しかるに、昨年七月、総理が御就任以後、地価並びに株価の上昇、諸物価の高騰は異常度を加えて、マイホームを夢みる庶民には、まさに宅地を求めることはるけき遠山を望むがごときでございます。
 こうした首相の提案した日本列島改造論の影響は、わが国の産業構造をどうすべきかという基本的な問題の検討なしに、国民的合意を得ることなしに、その基本的な体制をつちかわずして、安易に開発計画をここに発表し、開発地域を列挙した、そのことが異常な土地高騰につながりまして、インフレムードをいやが上にもかり立てたと断言してよいと思うのであります。(拍手)
 私は、ここにおいて、第一に、現在の強度のインフレを抑制することと物価を安定することに対する基本的なお尋ねを申し上げたいと思います。
 政府は、このインフレ進行の原因がどこにあるかということを究明せず、いたずらに経済成長中心、大企業本位の経済政策を進めてきたことはきわめて明らかであります。わが国の場合、中小企業など低生産性の部門が非常な広範囲にわたって存在しており、一方、労働力の不足傾向が強まっておるという、こういう状態の中で消費者物価が上がりやすい構造となっていることもおわかりのとおりです。このような構造のもとで、いままでの高度成長期と同じように、四十八年度も年率一〇%をこえる経済実質成長を続けるということは問題であると、各方面から大きな指摘をされているとおりでございます。そこで、従来より低い経済成長路線をしいていくべきであると考えるのでありますが、総理の御見解を伺います。
 財政主導型経済だからインフレにはならないと言うが、どうしてそうならないのでございましょうか。だぶついている金融、大型の公共予算を組みながら、どうしてインフレにならないのか、国民の前に明白にしていただきたいのでございます。
 私は、第一に、物価抑制の経済長期計画を策定して大企業と中小企業等に存する二重構造を是正させることが大切であると思います。このためには、予想される民間設備投資を秩序立ったものにしなければなりません。このため、少なくとも資本金が五十億円以上の企業に対しましては、設備投資を秩序づけるところの長期計画を政府に提出させ、それを調整することなしにはインフレ物価の抑制は不可能と思うのであります。
 また、大企業製品については、管理価格が形成されており、物価引き上げの大きな原因となっております。この管理価格制度を粉砕しなければ、物価の安定は不可能であると言っても過言でなく、このためには管理価格規制法を制定して、公正取引委員会の規制機能を十分発揮させるようにしなければならないと思います。
 同時に、現在野放しにされております各種のカルテル、このカルテルを廃止させることであります。これとあわせて、カルテル行政の本来のあり方を正していくために、学識経験者あるいは消費者代表等を主体としたカルテル制度改革審議会、こういう制度を設けまして、ともすれば政府の恣意的に運用されてきたカルテル行政を抜本的に改革すべきであると存じます。
 また、公共料金が相次いで引き上げられておる現状からいたしまして、それぞれの企業体の理由からだけで公共料金を単純に引き上げるという、そういう従来の政策の繰り返しであってはならない。そうすると、他物価に甚大な影響を与えるものであって、抑制策とはなりません。
 本来、国民は納税の義務を十分果たしております。その上に公共料金が無制限に引き上げられるということは、いわば二重支払いをしいられるようなものでありまして、政府の国鉄、健保を中心とする公共料金の引き上げ政策には国民の大反対があるところでありまするが、政府は、この公共料金をストップするという勇気があるかどうか、御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 次に、物価高の根源であるところの土地問題に質問を移してまいりたいと思います。
 今日、手の打ちようのないような状態になっている、きわめて異常な地価の高騰に対しては、政府の対策が常になまぬるく、かつ後手、後手に回ってきた結果であります。わが党は、この事態が発生することをいまから五年も前に十分察知して、御承知のように、土地の価格上昇を抑制し、効果的な利用を促進するための余裕地税、それを地方税として創設する、同時に、土地による不当な利得に対処する土地高価譲渡税をそれぞれ高率に課すると同時に、地価の凍結を前提とする地価公示制度を設けてきびしく運用することといたしました。そして、地価の抑制に関する臨時措置法案を国会に提出したことを想起しなければなりません。もし政府が、わが党の提案を真剣に検討して実施に移してくれていたとするならば、今日のような異常な状態は未然に防止できたと思うのでありまするが、総理いかがでございますか。(拍手)
 昭和四十六年度に東京証券取引市場上場千三百社の土地保有面積は四千六百七十五平方キロメートルで、これは昭和四十年の全国の市街地面積に相当する広さであります。このように国民にとって貴重な土地資源を資本の利潤の対象とさせ、昭和三十年から二十四・四倍という地価の上昇をもたらしたその政治責任は全く政府・自民党にあるのであります。(拍手)
 政府は、昭和四十年以来二回の地価対策閣僚協議会というものを持って、土地対策要綱を決定して、税制の改正も行なってまいりました。けれども、それはまさに有名無実のうたい文句に過ぎなかったのでありまして、田中総理もようやく、ようやくこの事態の重要性を認識されたかに見えますが、今回第三回目の閣僚協の決定、税制の改正を見ましたのでありますけれども、全く微温的で、土地高騰の封鎖、そういうことには絶対になってこないのであります。
 土地問題の根本的解決をはかるためには、しからばいかにしたらよいか、私はいまからこれを提案いたします。
 第一に、土地に対する所有権革命を断行する、革命的に所有権を制限するところの制度をつくることであります。すなわち、全国土の土地利用に関しまして、住民が参加した形の、国民福祉優先を原則とする公共的土地利用計画を策定すべきであります。そして、この策定された計画と並行しまして、私権の制限を前提とした土地利用公社を設置して、自由な土地売買は禁止すべきであります。土地評価委員会の決定する価格によりまして、土地利用公社を経て、そこで土地の権利関係が移動するということにしなければ、土地投機を排除することができないのであります。私は、そういうきわめて重大な決意をもって、私権の制限を前提としての土地利用公社の提唱をここにあらためてさせていただきます。(拍手)
 さらに、当面の緊急税制措置として、空閑地税として年間、時価の一〇%を課税し、さらに、法人の土地譲渡につきましては、完全分離で、総合して八〇%以上の譲渡所得税を課することとしなければ、法人の土地の放出をせしめることは不可能であります。
 以上、基本的な問題を提起したのでございますが、この決意と実行をすることによって、国民のための土地、それに権威ある価格の安定の道が開かれると確信するものでございますが、総理の御見解を伺います。(拍手)
 次に、経済成長政策から人間尊重、福祉優先の政策への転換は、口先だけでなくして、決意と勇断をもって実行に移すべきでございます。
 今回の政府予算案において、総理みずからが誇らしげに語ったあの五万円年金、この五万円年金について指摘させていただきますと、この五万円の厚生年金は、二十七年、八万四千円の標準報酬の者のみが該当し、その数七十万人のうち十万人がその恩典に浴するにすぎません。現在、大半の四十歳以降十五年という人々は、三万七千円に増額するにすぎないのでございます。また、既裁定着は適用から除外されているというきびしいものでございます。なお、国民年金受給者は、昭和六十一年になってやっと五万円の支給を受けるという計算となっておりまして、まさしく国民に、羊頭を掲げ狗肉を売る誇大広告でつったような、いわば公取のお世話になるべき性質のものだと思うのです。
 一方、公的年金積み立て金運用について、昭和三十五年社会保障制度審議会の建議である、社会保障の目的のために管理運用することを法律によって保障せよという趣旨に反しまして、実は三分の一が国民年金の還元原資となっておって、残りの三分の二は財政投融資に回され、庶民の拠出した零細な血のにじむ資金の大半が産業優先に用いられているということでございます。
 この福祉政策の基本ともいうべき年金が依然として軽視されているということを思うと、ヨーロッパ先進諸国家で賃金の六割以上を年金として支給されていることとあまりにも大きな隔たりがあり、痛憤にたえない次第でございます。(拍手)
 また、百四十万に及ぶ身体障害者のうち、成年に達した人戸の処遇はきわめて冷たいものでございます。自立できない精薄者、身障者をかかえる家庭の親たちは、ふびんな子供の将来を思うとき、子供を残してはというきわめて悲惨な心情によって、親子心中が続出しているということを、総理も御存じでございましょう。この子残して安心できるよう、そうした不幸な人たちに、国家が全面的に保障できる対策が何よりも必要でございます。
 寝たきり老人においても同様、三十五万人のうち、新年度予算において三万六千人収容の特別養護老人ホーム施設しか計上されておりません。ひとり暮らしの孤独の老人たち、さびしく死して、何日もその死骸に訪れる人もなかった、こういう悲劇も、まことに数多く存在しているのであります。
 こうしたお年寄りの絶無を期すること、すなわち、人間尊重、すべての国民に生きがいある人生、それを育てる愛情豊かな政治が、いまこそ何よりも大切と思うのであります。
 福祉優先の政治実現のために、社会保障をはじめ、福祉予算関係の諸経費を五カ年間に四倍増するという計画、このぐらいの英断をふるわなければ、ヨーロッパの先進諸国家に追いつくことは不可能であります。
 美しい生活環境づくり、公害を排除したわがふるさとを国民はほんとうに願っております。産業優先によって人命が軽視されているという事例は、公害病患者の続出や、道路計画の進む過程で、歩道、歩道橋、子供遊び場等の欠如、そこからくる交通事故者のおびただしい数にのぼることでもまことに明白であります。
 世界の公園といわれてきた美しい瀬戸内海が、いまや工場進出でまさに死の海になろうとしている現状など、住みよいふるさとを願っている国民にとっては、わがふるさと荒れなんとするという状況であります。いまこそ人命軽視の風潮を改め、精神高揚の勇断をふるう時期が来ていると思っております。
 公害発生者に対する責任体制の強化、交通安全措置、瀬戸内海汚染防止法による埋め立て禁止規定の制定など、福祉優先の政治への勇断をもって、これを実行すべきことが総理の使命であると思うのでございまするが、御答弁を願いたいと思います。(拍手)
 次に、教育政策の転換を求めたいと思っております。
 真の福祉国家を目ざす限りは、まず豊かな人間性を涵養する教育国家を建設しなければなりません。しかるに、政府は、受験予備校化している中高校の現状をそのままにし、試験地獄におとしいれられている受験者とその家族の苦境解決に熱意を見せておりません。しかも、すべての大学紛争を治安問題としてとらえ、大学の官僚的な管理体制の強化に終始してまいりました。
 当面、最も重大化している高等教育問題について、そこで、次の諸対策を講ずべきであると提案いたします。
 まず、国立大学における、東京大学を中心として、地方大学を軽視する財政配分格差の抜本的な改革を断行する必要がございます。政府はこれにどう取り組もうとしているのでございますか。
 次に、私立大学における授業料、入学金等引き上げが、ここ数年来最も大きな社会問題であり、紛争点でございますけれども、政府は、私立大学の財政対策にはきわめて消極的でございます。私立大学への財政援助を主体とした抜本的な財政健全化計画を政府の責任で樹立する、それを実行する。そして大学はすべて特殊法人として、国立、公立、私立の教育格差、学生負担の大幅な格差解消を、きわめて近い将来に実現させなければなりません。
 現に国立大学は、その学生数が三十万、私立大学は百五十万、国立に対しましては国家の財政援助が四千六百億、私立に対してはわずかに四百六十億、一人当たりに計算するときに、国立百五十万、私立三万でございます。まさに私立は国立の五十分の一の恩典しか受けていないのであります。
 私は、かつて、国立大学はエリート養成、人材養成機関と言われてきたけれども、いまや国家的の人材は、国立の五倍に及ぶ学生を有する私立大学に転移いたしました。私学対策に積極的に取り組むところ、いまより大なるはなしと感じます。
 また、入学試験制度を改善して、試験地獄をいかに解決するか。知識一点ばりの入試制度を改善して、入学はやすく、卒業はきびしいという新制度を、勇敢に採用する方策を御検討していただきたい。御所見を伺いたいのでございます。(拍手)
 次に、国立大学に夜間部、または夜間大学大学院等をつくって、勤労者青年、もしくは家事から解放された中高青年婦人層を、教育の機会均等のために、大いにふるい立たすべきだと思います。
 身体障害者に養護学校を増置すること、さらに、大学の一部に車いす等特別設備のある校舎を設けて、身障者に学問の道を開く等、この世に生を受けた人間尊重の政治を推進しなければならない。現に百四十万身障者の中で、大学に学ぶ者わずかに百三人という残酷さでございます。これに対して、政府は、すべて国民が教育の機会均等を得られるようなりっぱな政策をすみやかに樹立することを要求し、知育、徳育、体育あわせ備わった全人陶冶によるりっぱな次代の国民を養成することに精魂を傾けるべきではないか、総理の明確な答弁を要求するものでございます。(拍手)
 私は、この機会にいま一つ、たいへん簡単ではございますけれども、農業問題に一言触れておきます。
 洋の東西を問わず、あるいはその国の体制のいかんにかかわらず、農林業は経済計測において引き合わないものであるという形がとられておりまするが、その引き合わない部分が多ければ多いほど、経済のそろばんに乗らない負の価値が大なのでありますから、国家がその負の部分を負担して、農業構造の近代化並びに流通機構の整備、それらに熱心に取っ組むべきである。日本農業の将来像をそこから描き、それを農業者に示すことこそ、現在政治の課題であり、新段階の農政のあり方でなければならぬと思うのでありまするが、御所見を願いたい。(拍手)
 また、農政の朝令暮改の悪弊を一掃して、たとえば、政府奨励によった果樹、畜産等の従事者の、価格不安定のための悲惨な状態を解決する価格安定措置を急ぎ講ずべきであると思うが、御所見を願いたい。総理の、日本国土の上に立つ農政に対する、その御見解に期待を申し上げたいと思います。
 いま一つ、外交防衛の問題に触れてまいります。
 今度ベトナムに和平協定が成立して、とにもかくにも戦争終結の緒を開き、戦争に終止符をつけたことについては、まずもって喜びの意を表するものであります。
 しかし、顧みますれば、長いベトナム戦争の期間を通じて、自民党政府が、一貫してアメリカの戦争介入を合法化したばかりでなく、日米安保条約という名のもとに自衛隊の派遣以外のあらゆる協力をしてきたことについて、われわれは、きびしくその責任を追及しなければなりません。現行の日米安保条約に対して、われわれはもはやこれ以上黙過するわけにはまいらないのであります。
 いまこそ、ベトナム和平協定の成立を期し、日米安保条約及び地位協定そのものばかりでなく、その運用について徹底的の再検討を要するものと確信するものでございます。政府においてはその意思があるかないか、明らかにされたいのであります。
 次にただしたいことは、日米安保条約第六条の、いわゆる極東条項といわれる不条理な条項を削除すべきことであります。特に、極東条項に基づく台湾条項は、日中国交回復が実現をして、さらに台湾が中華人民共和国の不可分の領土であることを承認したわが国として、台湾条項は、中国に対する国際信義の見地からも、両立しないものとなってしまいました。すみやかに削除すべきことが当然だと考えるのでございまするが、政府の見解はいかがでございましょう。(拍手)
 政府は、昨年、事前協議制度について再検討するため、来たる日米安保協議委員会で米国と協議する旨の表明がありました。ところが、去る一月二十三日開催された協議委員会で、はたしてどれほどの協議が行なわれたか、全く疑わしいものがございます。
 政府が発表した発表文では、ただ、討議したとあるだけであり、将来、事前協議が必要とされる事態は予想されないなどという無責任さにとどまっておるのであります。われわれは憤りを禁じ得ません。
 政府は、日米安保協議委員会で、事前協議の解釈運用について、具体的提案をいかに行なったか、また、どのような成果があったかを国民の前に明白にすべきであります。
 次に、安保協議委員会の開催に先立って、安保運用協議会の設置が決定したようでありますが、いかなる必要があって設置を決定したのか、この安保運用協議会なるものは、何を協議するのが目的であるのか、日米安保条約第四条の随時協議条項においては協議できない何かがあるのかどうかを明らかにされたい。この安保運用協議会において事前協議の運用について協議することも、その一つの目的であるのかどうかも明らかにされたいのであります。
 次に、基地の整理統合についてお伺いをいたします。
 先日の安保協議委員会で返還を決定した基地のあと地利用はどうなっておるのか。もし、自衛隊がそのあとに入り込むものであれば、それは基地の縮小ではなくて、むしろそれは、実質的基地の拡大といわなければなりません。返還される基地は、すべて国民の利益のために還元されるべきものと考えるのであるが、御所見を伺いたい。(拍手)
 次に問題にしたいことは、基地の整理統合に際して、ばく大なわがほうの負担についてであります。特に黙視できないのは、日米安保協議委員会できめられた岩国飛行場の施設についての改善、改築についても、地位協定に基づいて、日本側の負担によって行なわれるということであります。
 われわれは、基地の施設の改善、改築に対してわが国が負担する、そういうことは地位協定違反といわなければならない。なぜ、地位協定にもないそのものをあえて財政負担を負おうとするのか、政府の見解をただしてみたいと思います。
 現在、アメリカが行なおうとしている基地の整理統合は、実は、基地縮小を意図したものでなく、むしろ、基地の実質的な強化であることに注目すべきであります。嘉手納基地の強化、岩国、横田等の整備は、実は基地の集約的、合目的的強化であって、決してニクソン・ドクトリンによる米軍基地の縮小というような甘いものではないことを、この際、特に強調しておきたいのであります。
 最後に、ここで政府の明確な態度の表明を求めておきたいのでありますが、今後、ベトナム和平協定が発効した後には、いかなる理由によらず、わが国からベトナム向けの軍需品、特に、武器弾薬、戦車、装甲車等の輸送というような戦争協力は絶対にしないということをここではっきりとわれわれに約束をしていただきたい。
 いまや、アジアのすべての地域より戦争は去っていきました。わが国は、アジアにおける平和推進国家として、灯台の光を放つときが参ったのです。アジアの国々から、経済大国すなわち軍事大国などという懸念を一掃するときがきたのであります。
 ここで、わが党の主張であります、基地と駐留のない日米安保条約に切りかえをするときが参ったと思うのでございまするが、御所見を願いたい。(拍手)そして、すみやかにわが国の、もちろん祖国に復帰した沖繩を含めて、米軍基地をまず全面的に日本に返還する外交を進めるべきであります。
 同時に、和平の訪れた、しかし、あまりにも大きい犠牲を受けたベトナムの人々に対して、インドシナ経済復興基金(仮称)、こういう基金制度を設けて、そこに米中ソ三国を含む協力体の推進役となって、進んで多国間の国際協力関係を推進すべきであると思うが、御所見を伺いたい。
 最後に、私は、首相の政治姿勢について伺いたいのであります。
 いま国民が政治に対する不信を抱く基本問題の一つに、選挙の不明朗をあげることができると思います。清潔な政治は、その前提としての選挙の公正から生まれることは論ずるまでもございません。不正な方法で選ばれた代表者は、真に国民の良心を代表するものでなく、砂上の楼閣というべきでありましょう。
 しかるに、現実の選挙には著しい違反行為が発生し、良心を持つ国民を嘆かせていることは御承知のとおりであります。勝つためには手段を選ばず、先般の総選挙における違反取り締まり状況を警察庁の発表するところによりますと、全国で買収七千百七十二件、約一万三千三百名の検挙があり、先々回に比較しても百件、約二千二百名の増加であります。そして、その大半は自民党の候補者派が占めているという現実であります。こうした悪質違反が平然とまかり通る選挙の実情を悲しまざるを得ません。
 しかも、違反者は、服罪の後、しばしばの恩赦で救われ、明治維新百年恩赦で約七万人、沖繩恩赦で約三万人、次の選挙からそれが復権しておるのであります。当然一国の総理となるべき自民党総裁選挙の不明朗さは、世上に広く知られているとおりであります。
 一方において、欧州の先進諸国家に選挙違反事件のきわめてまれなことは、これを視察した議員のひとしく認めるところで、文明国家として日本政界人の深く学びとらなければならないところであります。
 総理は、この現実に対処して、いかにお考えか、また明正選挙推進本部はいかなる活動をしておるのか、選挙の明正を期するための、国民の不信を除く方途をお示し願いたいのであります。
 さらに、金のかからぬ公営選挙、そうして定数是正の選挙、政治資金のガラス張り、それらの法律を提案して、願わくは国民に信頼される政治へ根本的に引き返すために、総理、検討をすることを要求いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(田中角榮君) 経済成長率を、まず安定成長のために九%以下に押えよということでございますが、来年度の経済は安定的な拡大を続け、おおむね一〇・七%程度の成長となると見込まれるのでございますが、経済全体としての供給力にゆとりがありますので、バランスのとれた成長が実現できるものと思うのでございます。
 次は、来年度予算が大型のこともインフレを加速すると思うがどうかということでございますが、四十八年度一般会計予算は国民福祉の向上に重点が置かれ、前年度当初予算に対して二四・六%増となっておりますが、中央、地方を通ずる政府財貨サービス購入の伸び一六・六%は、ほぼ経済成長率一六・四%に見合った中立的なものとなっておりますほか、国債についても、前年度当初予算の依存率一七%を下回る一六・四%にとどめるなど、経済の動向に十分配意することといたしておりますので、インフレ予算ということは当たらないと思います。しかし、予算執行にあたりましては、物価問題に十分配意してまいりたいと考えておるのでございます。
 また、管理価格規制法を制定せよという問題を第三点において述べられたのでございますが、寡占価格の問題につきましては、独占禁止法の厳正な運用等によりまして対処する考えでございます。また、現在残っておる不況カルテルにつきましては、認可要件を欠くに至った場合にはすみやかに打ち切る所存であります。
 国鉄、健保の値上げをストップしてはどうかということでございますが、国鉄は御承知のとおりの状態でございますし、政府も多大の援助を行なって国鉄の使命を十分果たせるようにいたしたいと考えておるのでございますし、健保についても、その給付内容を改善をし、政府一般会計からの大きな資金援助も考えておるのでございますので、両法案提出の事情に対しては御了承の上、御協力のほどをお願いいたしたいのでございます。
 土地についての認識、地価安定のための私権制限の問題に対してお答えをいたします。
 土地に関しましては、憲法の定める範囲内で最大限に公益優先の原則を確立し、広く公正に国民に利用されるようにすべきものと考えます。このため、土地取引の届け出、中止勧告制度の新設、特定地域における土地利用規制の強化、開発行為の規制の強化のほか、土地の投機的取引を抑制するための法人の土地譲渡益に対する重課及び特別土地保有税の新設などの措置をとることにいたしたのであります。
 私権を制限するということに対して、その所有権に対しても制限を行なえということでございましたが、いま申し上げましたとおり、憲法に定める私有権ということも考えながら、公益優先の最大限の活用をはからなければならないわけであります。そのために、所有権を抑制するというのではなく、土地の利用を規制するということが最も正しいことであることを御理解願いたいのでございます。
 土地利用公社の設置についての御提案がございましたが、政府は、適正かつ合理的な土地利用をはかるため、都道府県が市町村の意見を聞いて土地利用基本計画を定めることといたしておりまして、この計画に定められた地域については、開発行為の規制をはかる等の立法措置を予定をいたしております。
 なお、利用計画を充実して、五十年ぐらいの間不変にしてはどうかという御提案でございましたが、五十年も長期にわたって計画の変更を認めないということは、かえって土地利用の硬直性を招き、変化への適応性を失うおそれがあるわけでございます。公的機関による土地取得の拡大については、土地開発公社等を活用してまいりたいと考えております。
 なお、今回実施をしようといたしております土地保有税や法人の譲渡税に対しての御言及がございましたが、しかし、現時点におけるこれらの制度は、地価抑制や、また地価の将来の値上がりを見越して買いあさりをするような行為、現に保有しておるものを吐き出さすという作用は相当行なわれるものと考えておるのでございまして、これ以上に高い、八〇%、八五%の税ということはいま考えておりません。
 福祉優先の問題に対してたくさん御指摘がございましたが、難病患者とか心身障害者に対しては、国として手厚い援助を行なわなければならぬことは当然でございます。特に、重度心身障害者のうち施設入所を必要とする者については、対象者全員の入所を目途に施設整備を促進しておるわけでございます。
 また、在宅の心身障害者に対しましては、障害福祉年金、特別児童扶養手当等の給付を行なうとともに、家庭奉仕員の派遣などの援護措置を講じておるのでございます。
 親がなくなり、保護者がいなくなった重症心身障害児については、当然収容施設でめんどうを見なければなりません。
 また、今後の道路整備にあたって、人命尊重のたてまえから、特に交通安全施設の整備を行なえという御発言に対しては、重点的に行なっておりますし、また、行なうつもりでございます。
 いわゆる五万円年金は、御指摘のとおり、標準的な加入期間の受給者について標準報酬の六〇%の水準の年金を実現するものでございまして、この制度は、国際的に見ても相当高い水準のものであります。
 また、積み立てておる資金を大企業に使っておるんだということでございますが、これは資金運用部に積み立てられておるわけでございまして、これは住宅とか、道路とか、国民生活に直接影響するものに投資が行なわれておることは御承知のとおりでございます。
 なお、瀬戸内海の環境保全について、現在の排水基準の強化や下水道施設の整備等を進めておりますが、今後さらに汚染実態の解明を急ぎ、環境保全マスタープランをまとめることにいたしたいと存じます。特段の立法を必要とするということでございますが、立法が必要であるかどうかは、その際あわせて検討いたしたいと存じます。
 次に教育問題に対してお答えをいたします。
 わが国における社会的風潮から、学校教育がとかく知育偏重になりがちな傾向が見られますので、学校教育において児童生徒の全人的な育成が行なわれるよう、さらに意を用いていきたいと存じます。
 また、身体障害者のための特別の教育施設である盲学校、ろう学校及び養護学校並びに小学校、中学校等に置かれる特殊学級につきましては、従来から国は積極的にその整備を進めておるのでございます。
 また、勤労青少年や社会人に対する大学教育のあり方については、夜間大学を含め、広く大学改革の一環として検討してまいりたいと存じます。
 私学の助成に対して御熱意ある御発言がございましたが、昭和四十八年度予算案では、前年度より四四%増の四百三十三億円余を計上いたしております。これで足れりとしておるのではないわけでございます。今後ともさらに努力を重ね、国立、私立大学間の格差是正等をはかってまいりたいと考えておるのでございます。
 現在の大学入試に伴う問題を改善するためには、入試方法の改善をはかるとともに、わが国の社会に根強く残っておる学歴主義の是正をはかり、さらに御指摘のように、大学における教育のあり方についても検討を加える必要があります。大学には入学はやすく、卒業はきびしくということでございますが、どこの親でもそういうことを考えておると思います。アメリカでは、現にあなたがいま御指摘になられたとおりのことをやっております。入学はだれでも入れる、しかし、勉強しない者は卒業できない。ところが、日本においては、御指摘にございましたように、入るまでは一生懸命勉強いたします。しかし、入ってしまうと、あまり勉強しなくても、ところてん式に卒業ができるという制度が望ましい制度でないことは事実でございます。私は、そういう意味において、いま御指摘ございましたような問題も、国民的合意を求めながら、改革の重点としていかなければならない問題だと考えております。
 農政の未来像についての御言及がございましたが、今後の農政の推進にあたっては、生産性の向上と農業従事者の所得の確保をはかることを基本として、農業生産基盤の整備、農業団地の育成等による農業の体質改善を進めますとともに、農産物価格の安定につとめてまいります。また、これらの施策と相まって、農村地域への工業導入も推進をしてまいりたいと考えるのでございます。
 ベトナム和平に伴い、駐留なき安保条約に変えるべきだという御説でございます。ベトナム和平の実現を見、緊張緩和の傾向が生まれていることは歓迎すべきことでございます。これを助長するため、あらゆる努力を払うべきでございますが、日米安保条約はアジア安定の維持のために必要な条件の一つであり、これを今後とも維持していくことが必要であると考えます。
 日本の独立と平和を維持するために、日米安全保障条約によってアメリカの協力を求めており、日本は、協定によって基地を提供いたしておるのでございます。基地を提供しない有事駐留ということは、考え方はよく理解できるのでございますが、率直に申し上げて、保険料を払わないで保険金をいただくのかという議論も考えられるわけでございまして、私は、そのような有事駐留ということが、望んでも二国間の協定において了解を得られるものではないような気がいたします。これはもう、考えることを率直に申し上げるわけでございます。(拍手)
 ベトナム和平により日米安保条約第六条の極東条項は不要となった、台湾条項は中国に対する国際信義からも削除せよという趣旨の御発言でございますが、平和を守っていくためには、急激な変化は避けつつ、対決から対話への転換をもたらした国際政治の基本的なワク組みを維持していかなければなりません。極東条項を含む日米安全保障体制は、極東におけるかかる安定要因として認識さるべきなのであります。
 一九六九年の日米共同声明のいわゆる台湾条項は、当時の両国首脳の台湾地域の情勢に対する認識を述べたものでございます。その後、情勢は大きな変化を遂げ、この地域をめぐって武力紛争が発生する可能性はなくなっており、右の認識も変化したというのが、政府の見解でございます。
 今回設置をされた安保運用協議会の任務は何かという御質問でございますが、安保運用協議会の任務は、安保条約と関連取りきめの運用について幅広く協議と調整をはかることにあり、安保条約第四条にいう随時協議の態様に該当しておるのでございます。
 事前協議制の運用についての問題がございましたが、日米安保協議委員会において事前協議制度の運用について討議をしたか、しないか、と。しました。が、日米間に密接な意思の疎通がありますので、運用上の問題はなく、また現在のような国際情勢のもとにあっては、事前協議を必要とするような事態は予想されないとの見解の一致を見ておるのでございます。
 基地に対しての御質問にお答えをいたします。
 政府は、わが国の安全確保とアジアの安定のために、所要の施設、区域の提供を続ける必要があると考えております。同時に、人口稠密地域の場合、地域住民の利益のために施設、区域の整理返還も進めなければなりません。このような二つの要請を調和のとれたものとするためには施設、区域をできるだけ統合し、合理的、効率的なものにしていく必要があるのであります。
 今回の本土、沖繩における整理統合はこのような目的に沿うものでございます。
 この施設、区域の整理統合を進めるにあたり必要とされる代替施設の建設を日本側が実施することは、施設、区域の提供は日本側の負担とする旨定めた地位協定第二十四条に合致するところでございます。
 ベトナム紛争について、対米戦争協力云々の御発言に対してでございますが、わが国はベトナム紛争が早期に解決することを希求してまいりました。こいねがってきたのであります。ベトナムには和平が成立をいたしました。和平の確保のため、これからはできるだけの協力を行なう考えでございます。
 インドシナの戦後復興基金を設立すべしということでございますが、復興基金の設立が必要かどうか、十分検討をしてまいりたいと考えております。
 選挙の公正、明朗化の推進、これはもうほんとうにそのとおりでございます。お互い長い間、選挙を通じて今日を迎え、日本の民主政治をつくり上げるためにいささか微力をいたしてきた私の立場から考えてみても、きょうは特に同僚が永年勤続議員としてこの壇上で表彰をせられたこの事実を前にしても、選挙の公正、明朗化に対して、お互いが努力をしなければならぬことは言うをまたないわけでございます。政府も熱意をもってこれが施策を進めてまいりたいと考えるのでございます。
 最後に、恩赦の問題等もございましたが、恩赦は、中央更生保護審査会の申し出に基づいて内閣が決定するものでございまして、今回の恩赦は、総選挙を目当てに行なったものでないことは当然でございますし、全く事務的に行なわれたものであるということを御理解いただきたい。
 自民党の総裁選挙の公明化ということでございますが、私は、自民党の総裁選挙は公正に行なわれておると考えております。しかも、世界のどの国の歴史を見ても、政党の代表者が公選で争われるという制度がこんなに短い時間に定着をしたという歴史は、世界のどの国にもないのであります。(拍手)その意味では、自由民主党が公選において党首を選んでおるという事実も御理解をいただきたいのであります。しかし、自由民主党の総裁選挙が、一部にもうわさされるような事実があってはならないことは言うをまちません。その意味において、公正明朗化のためには、党則上の問題その他総裁選挙の運営に対して、十分ほめられるような制度をつくってまいりたい、こう考えておるのでございます。
 以上。(拍手)
#21
○副議長(秋田大助君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 皇室会議予備議員の選挙
 日程第二 皇室経済会議予備議員の選挙
 日程第三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
 日程第四 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 日程第五 検察官適格審査会委員及予備委員の選挙
 日程第六 国土総合開発審議会委員の選挙
 日程第七 東北開発審議会委員の選挙
 日程第八 九州地方開発審議会委員の選挙
 日程第九 四国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十 中国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十一 北陸地方開発審議会委員の選挙
 日程第十二 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 日程第十三 離島振興対策審議会委員の選挙
 日程第十四 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 日程第十五 台風常襲地帯対策審議会委員の選挙
 日程第十六 首都圏整備審議会委員の選挙
 日程第十七 北海道開発審議会委員の選挙
 日程第十八 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
 日程第十九 鉄道建設審議会委員の選挙
#22
○副議長(秋田大助君) 日程第一ないし第十九に掲げました各種委員等の選挙を行ないます。
#23
○中山正暉君 各種委員等の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名せられ、皇室会議予備議員、皇室経済会議予備議員、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員、裁判官訴追委員の予備員の職務を行なう順序については、議長において定められんことを望みます。
#24
○副議長(秋田大助君) 中山正暉君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、皇室会議予備議員に船田中君及び久保田鶴松君を指名いたします。
 なお、その職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、皇室経済会議予備議員に小平久雄君及び園田直君を指名いたします。
 なお、その職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、裁判官弾劾裁判所裁判員に大橋武夫君、灘尾弘吉君、小山長規君、大西正男君、横路孝弘君、稲葉誠一君及び青柳盛雄君を指名いたします。
 また、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員に伊東正義君、松永光君、坂本恭一君及び柴田睦夫君を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、裁判官訴追委員に小島徹三君、稻葉修君、瀬戸山三男君、森山欽司君、渡辺美智雄君、中山正暉君、赤松勇君、山本弥之助君、正森成二君及び沖本泰幸君を指名いたします。
 また、裁判官訴追委員の予備員に羽田野忠文君、加藤陽三君、角屋堅次郎君、村田敬次郎君及び野間友一君を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、検察官適格審査会委員に丹羽兵助君、宇野宗佑君、加藤清二君及び諫山博君を指名いたします。
 また、松本十郎君を丹羽兵助君の予備委員に、唐沢俊二郎君を宇野宗佑君の予備委員に、広瀬秀吉君を加藤清二君の予備委員に、荒木宏君を諫山博君の予備委員に指名いたします。
 次に、国土総合開発審議会委員に水田三喜男君、村上勇君、小平久雄君、白浜仁吉君、野田卯一君、中村重光君、渡辺惣蔵君、中島武敏君及び小川新一郎君を指名いたします。
 次に、東北開発審議会委員に黒金泰美君、亀岡高夫君、熊谷義雄君、阿部昭吾君及び津川武一君を指名いたします。
 次に、九州地方開発審議会委員に村上勇君、中村寅太君、中馬辰猪君、細谷治嘉君及び諫山博君を指名いたします。
 次に、四国地方開発審議会委員に關谷勝利君、藤本孝雄君、大西正男君、井上普方君及び山原健二郎君を指名いたします。
 次に、中国地方開発審議会委員に増岡博之君、安倍晋太郎君、大村襄治君、神門至馬夫君及び木下元二君を指名いたします。
 次に、北陸地方開発審議会委員に高見三郎君、奥田敬和君、綿貫民輔君、米田東吾君及び林百郎君を指名いたします。
 次に、豪雪地帯対策審議会委員に笹山茂太郎君、大野市郎君、地崎宇三郎君、安宅常彦君及び中川利三郎君を指名いたします。
 次に、離島振興対策審議会委員に金子岩三君、細田吉藏君、木村武千代君、石原慎太郎君、中村重光君、大柴滋夫君及び米原和君を指名いたします。
 次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に橋本登美三郎君、鈴木善幸君、倉石忠雄君、石田博英君、大石武一君、堀昌雄君、兒玉末男君及び瀬崎博義君を指名いたします。
 次に、台風常襲地帯対策審議会委員に小山長規君、中馬辰猪君、田村良平君、川崎寛治君及び山原健二郎君を指名いたします。
 次に、首都圏整備審議会委員に小平久雄君、野田卯一君、板川正吾君及び金子満広君を指名いたします。
 次に、北海道開発審議会委員に篠田弘作君、地崎宇三郎君、中川一郎君、美濃政市君及び多田光雄君を指名いたします。
 次に、日本ユネスコ国内委員会委員に西岡武夫君、森喜朗君、長谷川正三君及び田中美智子君を指名いたします。
 次に、鉄道建設審議会委員に橋本登美三郎君、鈴木善幸君、倉石忠雄君、石田博英君、堂森芳夫君及び紺野与次郎君を指名いたします。
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#26
○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後七時十八分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        法 務 大 臣 田中伊三次君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
        文 部 大 臣 奧野 誠亮君
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
        郵 政 大 臣 久野 忠治君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        建 設 大 臣 金丸  信君
        自 治 大 臣 江崎 真澄君
        国 務 大 臣 小坂善太郎君
        国 務 大 臣 坪川 信三君
        国 務 大 臣 二階堂 進君
        国 務 大 臣 福田 赳夫君
        国 務 大 臣 前田佳都男君
        国 務 大 臣 増原 恵吉君
        国 務 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
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ソース: 国立国会図書館
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