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1972/02/23 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第10号
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1972/02/23 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第10号

#1
第071回国会 本会議 第10号
昭和四十八年二月二十三日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  昭和四十八年二月二十三日
   午後一時開議
 一 国務大臣の演説(昭和四十六年度決算の概
  要について)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を
  求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 愛知大蔵大臣の昭和四十六年度決算の概要につ
  いての演説及び質疑
   午後一時六分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 人事官任命につき同意を求めるの件
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(中村梅吉君) おはかりいたします。
 内閣から、人事官に島田巽君を、宇宙開発委員会委員に山縣昌夫君及び吉識雅夫君を、中央社会保険医療協議会委員に圓城寺次郎君及び土屋清君を、労働保険審査会委員に三浦義男君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、人事官、宇宙開発委員会委員及び中央社会保険医療協議会委員の任命について申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#4
○議長(中村梅吉君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
 次に、労働保険審査会委員の任命について申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(昭和四十六年度決算の概要
  について)
#6
○議長(中村梅吉君) 大蔵大臣から、昭和四十六年度決算の概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣愛知揆一君。
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#7
○国務大臣(愛知揆一君) 昭和四十六年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 昭和四十六年度予算は、昭和四十六年三月二十九日に成立いたしました。この予算は、わが国経済の持続的成長と物価の安定を確保しつつ、国民生活の充実向上をはかっていくため、次のような方針のもとに編成されたものであります。
 第一は、財政の規模を適度なものとするとともに、経済の動向に応じ機動的に財政運営を行なうよう配慮したことであります。
 第二は、国民の租税負担の軽減をはかるため、所得税、住民税等の減税を行なうこととし、また、道路その他の社会資本の充実の要請を考慮して、自動車重量税を創設することとしたことであります。
 第三は、社会経済情勢の進展に即応して、財源の適正かつ効率的な配分を行ない、経済の均衡ある発展と国民福祉の向上をはかるための諸施策を着実に推進することにつとめたことであります。
 昭和四十六年度を顧みますと、わが国経済は、昭和四十五年秋以降、景気は沈滞の様相を呈していましたが、数次にわたる公定歩合の引き下げ、財政投融資の追加、公共事業の施行促進等一連の財政金融措置により、昭和四十六年半ばごろにはようやく回復のきざしが見られました。しかし、昭和四十六年八月に発表された米国の新経済政策とそれに伴う国際通貨不安によって、景気は再び低迷傾向を見せ始め、こうした内外経済情勢の変化に対応して、昭和四十六年十一月九日に補正予算が成立いたしました。
 この補正予算においては、公共事業を中心とする公共投資の追加等、特に緊要となった経費について措置するとともに、所得税減税を年内に実施するため、所要の措置を講じたものであります。
 この補正予算を中心とした景気振興のための諸施策の結果、景気は十二月を底にゆるやかな上昇に転じることとなったのであります。
 このようなわが国経済の状況を背景として昭和四十六年度予算が執行されたのでありますが、以下、その決算の内容を数字をあげて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は九兆九千七百八億円余、歳出の決算額は九兆五千六百十一億円余でありまして、差し引き四千九十七億円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和四十七年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和四十六年度における財政法第六条の純剰余金は千八百十四億円余であります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額九兆六千五百八十九億円余に比べて、三千百十八億円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額千七百五十六億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和四十六年度の歳入の純増加額は千三百六十一億円余となるのであります。
 この内訳は、租税及び印紙収入、雑収入等の増加額千六百九十億円余、公債金における減少額三百二十八億円余となっております。
 一方、歳出につきましては、予算額九兆六千五百八十九億円余に、昭和四十五年度からの繰り越し額七百六十一億円余を加えました歳出予算現額九兆七千三百五十一億円余に対しまして、支出済み歳出額は九兆五千六百十一億円余でありまして、その差額千七百四十億円余のうち、昭和四十七年度に繰り越しました額は九百五億円余となっており、不用となりました額は八百三十五億円余となっております。
 次に、予備費でありますが、昭和四十六年度一般会計における予備費の予算額は九百五十億円でありまして、その使用額は九百十四億円余であります。
 次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。
 財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は三千九百三十二億円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は三千七百五十九億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額三千九十九億円余を加え、昭和四十六年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額二千四百九十四億円余を差し引きました額四千三百六十四億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額になります。
 財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は三百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は百四十八億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額百十一億円余を加え、昭和四十六年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額百十一億円余を差し引きました額百四十八億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額になります。
 次に、昭和四十六年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十三でありまして、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計しますと、歳入決算において十九兆六千二百七十三億円余、歳出決算において十六兆八千六百三十五億円余であります。
 次に、昭和四十六年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は八兆千六百十二億円余でありまして、この資金からの歳入への組み入れ額等は八兆千四百二億円余でありますので、差し引き二百九億円余が昭和四十六年度末の資金残額となります。これは主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。
 次に、昭和四十六年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
 以上、昭和四十六年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(昭和四十六年度決算の概要について)に対する質疑
#8
○議長(中村梅吉君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。綿貫民輔君。
  〔綿貫民輔君登壇〕
#9
○綿貫民輔君 ただいま大蔵大臣から、昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算外二件について報告がありましたが、私は、自由民主党を代表して、総理並びに所管の大臣に質問を行ないたいと思います。(拍手)
 申し上げるまでもなく、四十六年度決算はこれから審議されるものであり、きわめて総花的な質問になることをあらかじめお断わりしておきたいと思います。
 決算の重要性については、いまさら申し上げるまでもありませんが、予算の執行が正当でかつ効果的に行なわれているかどうかは、決算によって初めて明らかにされるのであります。したがって、決算の審議は、単に会計上の不当な支出を指摘することにとどまらず、国の将来の指針を確立する上において重大な役割りを持つものだと思います。そのためには、決算も予算と同様、国会の最も重要な事項として取り扱うべきものであり、憲法第九十条による決算の国会提出の規定は、単に国会に提出すればいいということでなく、国会の審議と議決を必要とすると解釈されるべきだと考えます。この点については、過去に先輩議員やあるいは野党の諸君からもしばしば指摘されておりますが、勇断と実行の田中総理は、この問題提起に対しどのようにお考えであるかをお伺いいたしたいと思います。
 政府は、今国会から、財政投融資の中の資金運用部門を議決対象に入れるなど、財政公開の方向に努力されておりますが、国の財政の実態はできるだけ国民に明らかにする必要があると考えます。したがって、財政法四十六条による財政状況の報告は、もっとわかりやすく、誠実に、親切に行なうべきであると思いますが、これについての所見を承りたいと思います。
 最近の予算委員会が、国政の基本問題、つまり政治、外交、防衛などの一般的問題にメスを加える慣行は尊重されなければなりませんが、そのために予算不在におちいってはならないと思います。総括、一般、分科会の日程や審議の順序を再検討し、予算と決算を関連させながら審議するなど、抜本的な検討を行なうべきだと思いますが、総理のお考えを承りたいと思います。(拍手)
 次に、具体的に二、三質問を行ないたいと思います。
 四十六年度決算の検査報告において、歳入面では公債の増加、歳出面では不用額の増加という矛盾した予算の組み方が指摘されております。また、年度末に組まれた補正予算二千四百億円が、必ずしも効果的に使用されていないという実態を明らかにしております。
 その不用額のおもな内容は健康保険助成費であり、一方、補正予算の問題点は、計上額の大半が公共事業費でありながら、予算執行の結果、繰り越しのおもなものが住宅建設費であったということであります。今日、日本の最も重要な課題である社会資本と福祉の政策推進についてのネックが露呈されているのであります。
 昭和四十五年に二百五十億円であった不用額が、四十六年には一躍八百三十億円となり、特に、そのうちの二百億円は国保の助成費となっております。その不用となった理由として、インフルエンザの流行が少なかったからだと説明しておるのであります。国民保険助成費予算三千五百億円の中で、その一割に近い不用額を生んだことにつき、一考を要すると考えるのであります。
 また、もう一方の建設省所管では、二百八十三億円が繰り越されております。これは、財政法十四条、四十二条の規定による事故繰り越しであります。
 住宅難にあえぐ一家五人が、一部屋に同居し、酸素不足による中毒死すら出している今日、予算を効果的に執行し、一戸でも多くの住宅を供給することは、目下の急務であり、わが自由民主党の最大の政策でもあります。(拍手)
 予算執行遅滞の原因には、土地問題をはじめ、いろいろの問題がありますが、予算消化のために政府の勇断と実行が一そう期待されるのであります。総理の所見と関係大臣のお考えを承りたいと思います。
 次に、私は、公害問題を取り上げたいと思います。
 なぜならば、七〇年代のわが国においては、予算、決算を問わず、公害問題を除いて国政の推進はあり得ないと信ずるからであります。
 公害デパート県といわれる富山県では、歴史的といわれるイタイイタイ病の原告勝利の判決がありました。決算委員会でも、いち早く公害問題に対処するため現地を訪れ、患者のなまの声を聞くなど、その対策に努力を続けてまいりました。幸いに、わが党の積極的な公害に取り組む姿勢を政府に反映し、環境庁の設置や、公害関係法の制定に踏み切らせるなど、被害者救済への道を大きく開いてまいりました。(拍手)
 しかし、せっかく環境庁を中心に公害行政の一元化をはかったにもかかわらず、役所間のセクト主義が災いし、縦割り行政の欠陥が目立ち、国民のための公害行政になっていない点も多いのであります。
 たとえば、カドミウム米を出した汚染土壌をなくするための土地改良で、環境庁と農林省の行政権限の板ばさみにあい、住民が泣いている事態が起こっております。
 また、簡易水道事業を計画しても、建設省と厚生省の予算ワクに縛られ、末端の市町村では、住民の要望する公害対策としてこれを推し進められない現状にあります。
 政府は、この際、さらに抜本的に公害予算、公害のための行政、その有機的推進をはかる必要があると思いますが、この点について総理の所見を伺いたいと思います。
 ただいまの問題にも関連いたしますが、決算上から見て、縦割り行政の欠陥をなくするために、政府の責任体制と指導力の確立、整備の必要性を強く感ずるのであります。
 最近、アメリカ国務省が、本格化する対日経済外交に備えて、日本の重要な政策決定が最終的にどこで行なわれるかについて調査、研究を行なったといわれております。その内容は、通貨、貿易など日米間の懸案事項を解決するには、田中内閣のどのレベルを直接の話し合いの窓口にすればいいか、田中総理の政治的指導力はどうかなど、日本への経済外交戦略の核心をつくものといわれます。これはわが国の政治、行政の体制に対する不信とも受け取れるのであります。
 日本の行政に求められるのは、強力な調整力とリーダーシップであります。
 今日、国民の要望を実現するために、一つの省や庁で解決される事柄はきわめて少ないのであり、過去において経済企画庁、環境庁、今回は国土開発庁と、行政機能の細分化や調整力を生む目的での役所の新設が目立ち、今国会では、新たに参事官制の採用も考えられているようです。しかし、機構の改変、新設もさることながら、いまこそ政党政治の本質に目ざめた強力な責任と指導力のある政治を国民は待ち望んでおります。(拍手)
 総理の御見解を承りたいと思います。
 以上をもって質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(田中角榮君) 私から四点にわたってお答えをいたします。
 予算の執行の当否は、決算報告によって明らかになることであります。また、その結果を、新しい予算編成や、執行の適正、合理化に資するものでもあります。
 政府は、国会での御審議の状況に注目をし、国会の御意見を十分尊重してまいりたいと考えるわけであります。
 第二点は、住宅関連予算の繰り越しが多い等の問題についてでございますが、住宅関係予算の執行上、御指摘の点に隘路があることは否定ができないのでございます。
 政府といたしましては、地価の抑制に全力をあげることとし、土地利用計画の策定と、土地利用の規制、土地税制の改善、宅地供給の促進等の施策を行なうことといたしましたほか、住宅団地建設に必要な用地の確保をはかるため、用地の先行取得の促進、用地費予算単価の引き下げを行なうことといたしたわけでございます。
 また、環境整備による地方公共団体の負担を軽減するため、いわゆる関連公共施設の整備につきまして、特に中小学校建設に対する国庫負担率を引き上げますとともに、関連地方公共団体の連絡協議の緊密化をはかり、一そう事業の推進に努力してまいりたいと考えます。
 第三点は、公害行政の統一的実施に関する発言に対して申し上げます。
 政府は、従来より、環境庁を中心として、一元的な環境行政の推進につとめてまいったのであります。今後も環境庁の行なう環境保全に関する事務の総合調整、環境保全関係経費の見積もり方針の調整、公害の防止等に関する研究費の一括計上などを通じ、総合的な環境保全対策を一そう推進してまいりたいと考えます。
 最後に、行政の機構の問題についての御発言にお答えをいたしますが、行政の合理化、効率化につきましては、従来から努力をしてまいっておるところでございますが、今後とも関係閣僚協議会等の活用を行なう等、国民のための行政の実をあげるように、十分な努力をしてまいりたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#11
○国務大臣(愛知揆一君) 御質問の第一点は、決算についても国会の議決事項とすべきではないかという御趣旨でございました。
 決算は、国会の議決によって成立いたしました予算の執行の実績でございまして、きわめて重要なものでありますことは、御意見のとおりでございます。同時に、その性格は、過去の事実についての計数的な記録でありまして、これを国会の議決案件とするというのは必ずしもなじまないと考えられる次第でございます。現行憲法の規定も、予算につきましては第六十条第二項で「議決」となっておりますし、決算につきましては第九十条の第一項で「提出」となっておりまして、それぞれ異なる規定のしかたをしておりますのも、こういった関係ではなかろうかと考えておる次第でございます。
 第二は、今回の決算につきましても、会計検査院等から不当と指摘されておりますようなことが相当件数ございますことは、まことに遺憾でございます。特に、その中には補助金等の関係の指摘事項が多いわけでございまして、これらにつきましては、補助金等適正化法等に基づきまして、不正、不当な申請や不正な使用の防止に一そう今後つとめますとともに、適正かつ円滑な実施の確保をはかるために、政府としては格段の努力を払い、また、補助事業等の指導、監督にあたりましては、地方公共団体等の意見も十分勘考の上、適正化法の趣旨を体して、不当事項の発生防止に一そうの努力をいたしてまいりたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕
#12
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。
 国民健康保険の助成費についてでございますが、これは、当該年度の医療費を推計いたしまして、その推計医療費に対しまして、財政調整交付金の分を加え、四五%の定率で補助額を計上することといたしております。この医療費の推計にあたりましては、前三年の平均実績に基づいて推計をいたしておるのでございますが、昭和四十六年度におきましては、この平均の実績の医療費を下回ったために、約二百四十億円の不用額が生じたものであることを御理解いただきたいと思う次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(中村梅吉君) 稲葉誠一君。
  〔稲葉誠一君登壇〕
#14
○稲葉誠一君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十六年度の決算に対して、関連する諸点を中心に質問をしたいと思います。
 申すまでもなく、昭和四十六年度の決算はこれから審議されるものでございますから、詳細は委員会においてやらせていただきます。
 検査の報告を見ますると、不用額が八百三十五億と非常に多く、そのうち厚生省が結核医療費三十五億、精神衛生費三十二億、児童保護費四十七億、社会保険国庫負担金六十四億、ただいま質問のありました国民健康保険助成費二百四十三億と、計四百二十余億円になっておりまして、全体の五〇%をこえておるのでございます。このような多額の不用額を出すのは、厚生省が国民の福祉、健康を守る熱意に欠けているのか、また積算の根拠に不十分なものがあったのではないかと考えられます。各省の通例として、漫然、前年度予算より二〇数%増として積算するから、かかる不用額を生むに至るのではないか。
 また、公共事業関係については、各分野にわたりまして長期計画が策定されております。たとえば治山、治水、道路、港湾、空港あるいは住宅の建設、下水道の整備等、各五カ年計画がございます。これらの進捗状況のうち、一部のものは三カ年で五〇%に満たないものがございます。しかも、現行の五カ年計画が完全に実施されるに至らず、途中から次の五カ年計画に変更されております。
 たとえば、第二次下水道整備五カ年計画は四十二年度から四十六年度にわたって実施されるものであり、計画事業は公共下水道、都市下水道などの管渠で計四千三百九十五キロ、処理場対象人口で計二千百九十万人であります。これに対する実績事業量は、四十五年度末で管渠で計二千九百三十九キロの六七%、処理場対象人口、計九百七十五万人の四四・五%であります。しかるに、第三次下水道整備五カ年計画は、第二次の五カ年計画が完了をしないのに、四十六年度から五十年度で総額二兆六千億で整備の促進をはかることとしております。
 このように、公共事業関係の五カ年計画の実行が、当初の計画より遅延したりして、進捗率が悪く、また、途中において年次計画を変更したりすると、国民は、政府の長期計画については、不安と不信の念を持って、政策策定の見通しの甘さを非難するものと思われます。これらの点について厚生大臣、建設大臣の所見を承りたいのであります。
 せっかく国民の税金を使って予算が組まれても、これが完全に執行されない最大のネックは、物価、特に地価のはなはだしい値上がりであります。
 私は、以下この点を中心にして総理にお尋ねをしたいと思います。
 田中総理は、昨年の七月十七日、総理大臣になった最初の記者会見で、「土地問題は解決しなければならぬ、私はいたします、はっきり申します。」こう言明をしておるのでございます。そこでお尋ねをいたしたいのは、一体いままで何をしたのか。いままでが一番大切なのですけれども、結局のところ、ああだこうだ言いながら、何にもしないではないか。今後一体何をしようとするのか。いまでも、「土地問題は解決しなければならぬ、私はいたします、はっきり申します。」と言明をした、この決意は変わらないのか。このことをまずお尋ねしたいのでございます。
 土地問題はいまや内政上の最大の課題となっておるのに、その対策樹立上必要不可欠の全国的な土地調査や土地の統計が皆無にひとしいのであります。これでは、対策を立てようとしても立たないのではないかというふうに考えます。現在政府は、大会社が不動産部や別会社をつくり、また、大手の不動産業者が土地の買い占めに狂奔をしている実態をどう把握しておるのか。さしあたって個人所有と法人の所有、あるいは市街地と調整地域と、この利用形態を調査して、土地白書とでもいうべきものを公表すべきであると考えるが、どうでありましょうか。もっとも、こういうふうなことは大会社に遠慮をしていまの政府ではできない、こう言うなら、私もいたし方がないと思うのでありまするが、その点についての考え方をお聞きいたしたいのであります。
 四十四年六月から実施されました新都市計画法によって、市街化区域と調整区域を分けた線引きのねらいというものは、調整区域内の乱開発を食いとめることでございました。ところが、もうその手直しが問題になっておるのであります。しかし、このことを率直には受け取れません。何かその裏があるという感じがするのでございます。
 金丸建設大臣と不動産業界を中心とした財界首脳との懇談会が、本年一月二十二日、東京会館で行なわれておるのでありまするが、何のためにこのような会合が必要なのか。その際、不動産協会理事長の三井不動産の社長が、線引きを何とかしてもらわないと不動産業者はつぶれてしまうと大臣に訴えたというのでありまするが、事実でございますか。
 一月二十六日に土地対策要綱というものをきめた地価対策の関係会議の席上、総理大臣は、線引きは地価を引き上げ、宅地供給を阻害しているので間違いだった、開発が活発な地域では手直しをしていいのではないかと、田中派の金丸大臣に線引きの再検討を指示したとのことでございます。三年半でこうも政策がくるくると変わっては、国民は困るのであります。線引き撤廃となると、都内では三・三平方メートル一万円ぐらいで買ったものが、二、三十万円で売れるとのことであります。いま線引きの手直しがあるというので、大手の業者が土地を買い歩き、これが地価を猛烈につり上げておるのであります。引き直せばばく大な利益で、日本全国ではとても計算ができる筋合いではございません。そんな金額ではございません。ある人は三十兆円にのぼると言うのですが、これはオーバーといたしましても、巨額であることは間違いないわけです。どうして総理は、このような調整区域が買い荒らされているという事実をいままで放置しておるのか。このようなことで土地対策というものはできないのではないか、私はこういうふうに考えて、この点をお聞きをいたすのであります。
 建設大臣に対して、線引きは手直ししてもいいのではないかと指示したことがあるか。とすれば、いかなる考え方からか。この点に関し、今後大会社の開発や投機の取引をどう直接規制するのか。こういう点についてもお伺いをいたしたいのであります。
 地価の抑制について、自民党の政権のもとでは効果のある直接的な方法はないというのが回答でございましょう。成り行きまかせなのでしょうか。これでは土地政策というものはなきにひとしいものでございます。遠い昔、どこかの国に何とか無策という総理大臣がいたとか書いてございますが、もう一人日本に無策が出たのでは国民はほんとうに困ると私は思います。(拍手)
 ある自民党の若手代議士がこう語ったと報ぜられております。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)いや、これから言うんだから……。「やはりね、政治献金をどかっとくれるのは不動産、建設業界しかないんだよ。有効な土地政策が打てないわけさ。」こう語ったと報ぜられておるのであります。ここいら辺に無策の秘密が存しているらしい。(発言する者あり)新聞に書いてあるから、私は言っておるのでございます。
 土地保有税と譲渡所得税で地価の値上がりを防げると思っているのか。土地を持っているだけで、時間が経過をすれば地価は上昇する。投機的利益を追求して、底地の所有権の売買だけでもうけるものに対しては、税制調査会委員の小林與三次氏が言うように、分離譲渡所得税額で架空利益を一〇〇%吸収してもいいと考えるが、所見はいかがでございましょうか。(拍手)
 また、金融機関の態度にも問題がございます。銀行がやたらに融資して法人の土地の買い占めを推進させております。大銀行が、節度のない融資を通じて、最近の地価高騰に重要な役割りを果たしているのは、まぎれもない事実でございます。大銀行は、社会的責任を自覚して、国民経済にマイナスになることを差し控えるべきではないかと思うが、いかがでございますか。
 一月三十日、大蔵省は銀行局長通達を出したが、通達一本で効果があがると思うのでございますか。大蔵省は、土地関連融資として、不動産業者、建設業者に対する融資の実態を把握しておるのでございますか。銀行の貸す金の多くは庶民の預金したものであり、その金で企業は、商社も私鉄も鉄鋼も、繊維メーカーまで土地を買いまくります。そのため、地価は高騰し、庶民のマイホームの夢はこわされます。たとえば、取引の許可制、地価凍結のような大胆なドラスチックな手は打てないのかどうか、お尋ねをいたしたいのでございます。
 昭和四十五年、六年、そして四年から、一番大きな問題は政治資金の問題であります。政治資金の問題は、国民の政治不信をなくするためにも最大な案件でございます。政治には金がかかり過ぎます。政治と金との関係で疑惑の第一は、いろいろいわれておりまするが、あの福田赳夫さんが毎日新聞の対談で、総裁の選挙に関連をして、「もうこんなきたない選挙はやめようと思った。」と言っておるのであります。(拍手)さすがにきたない選挙ということの具体的内容を明らかにしておりませんが、あまりにも巨額な金が動いたと伝えられておるのでありまして、総裁選挙を今後清潔なものにする決心があるかどうかをお尋ねをいたしたいのでございます。
 第二は、会社献金と自民党の政策との結びつきでございまして、公害が発生し、国民の健康と生命がむしばまれる、そうした会社から献金を受けていたのでは、公害の撲滅等できるものではございませんが、公害発生の会社、その可能性のある会社からは献金とか会費を受けないと国民の前に誓えますかどうか、お伺いをいたしたいのでございます。(拍手)
 四十二年の四月に、選挙制度審議会は政治献金の規制強化を打ち出しておるのでございますが、このことはあらためて申し上げるまでもございません。佐藤前総理が「小骨一本抜かない」と公言をしたのに対して、その後提案もされておりませんが、そのほんとうの理由はどこにあるのか、お伺いをしたいのであります。
 総理は、次のように形式的に答えるに違いございません。これは政党法の成立とうらはらであるから、今日、政治資金の規制だけを取り上げるのは片手落ちである。しからば、政党法について実現しようとしているのか、その内容はいかがか、どこまで進んでおるのか。政党法は、内容によっては憲法違反の問題が出てきて、とてもできるものではないのであります。だから、できもしないものとうらはらだとかいうのは、結局言いのがれにすぎず、政治資金の規制をするつもりはないと受け取らざるを得ないのでありますが、この点、総理の所見をお伺いいたしたいと思います。
 なるほど、いま政治資金についてはいろいろなことが言われております。四十六年の上半期には、はっきりと、いわゆる電気事業連合会、日本鉄鋼連盟あるいは銀行協会等から、金額が明示をされておりますのに、現在では明示をされておらないのでございます。なるほど現行法は、寄付と会費とを区別して、寄付金なら明示をすべきであるが、会費なら不明でよいとしておりますけれども、審議会の規制強化案は、寄付と会費を区別しないで、すべての金の出所を明らかにするというものでございます。このようなことでありますから、政治資金の透明度は、現在では全体の一七%にすぎず、ほとんどわからないのであります。これでは国民の政治不信を増すばかりでございます。規制をした意味がなくなります。総理のこの点に関する考えをお聞きいたしたいと思うのであります。
 これが決算の一番大きな基本的な問題であると私は考えるのでございまして、この点についての答弁をお願いをいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(田中角榮君) 内閣成立以来、土地問題に対して何をしたかということでございますが、精力的に努力を続けておることを、ひとつ御理解を賜わりたいと存じます。
 第二は、政府は法人等の土地取引の実態に対してどう考えておるかということでございますが、建設省は、昨年、東京証券取引所第一部及び第二部に上場の会社を対象として、土地取引等に関する調査を行なっておるはずでございますから、調査結果の概要につきましては、担当大臣からお答えをいたします。
 それから、政府は国土調査の促進をはかり、早急に国土の実態の把握につとめるべきだという意味の御発言でございますが、国土調査につきましては、国土調査促進特別措置法に基づきまして、四十五年度を初年度とする国土調査事業十カ年計画を策定いたしまして、その実施をはかっておる次第でございます。
 それから、新都市計画に関連して線引きの手直しをするといわれておるが事実かというようなことでございますが、新都市計画法によるいわゆる線引きによって土地の乱開発や無秩序な市街化が防止されている反面、住宅及び宅地の供給が停滞するおそれも生じておることは否定できないのでございます。これは市街化区域でなければ宅地ができないというために供給が非常に抑制をせられ、線引きの中は地価が非常に高騰をし、一歩外は異常に地価が安いという事実もございます。したがいまして、市街化区域をある程度拡大をして宅地供給の場をふやすことも有効なのではないかということで、検討をしておるのでございます。もちろん、この場合、十分な調査を行なった上での合理的な線引きの見直しでなければならぬことは言うをまたないわけでございまして、慎重にやらなければならない、こう考えております。
 それから、政府がさきにきめた土地対策について申し上げますが、土地問題の重要性にかんがみ、政府はさきに土地対策の大綱を決定いたしましたが、その内容は、土地について、憲法の認める範囲内で最大限に公益優先の原則を確立しようとするものでございます。政府は、この大綱に基づきまして今国会に所要の法案を提出いたしますが、十分御審議をいただきたいと思うのでございます。
 また、御言及がありましたとおり、準備中の法案の中には、地域、期間を限定をして土地取引を許可制とすることについても検討を進めておりますことを、念のため申し上げておきます。
 政党法及び政治資金規正法の問題について申し上げますが、政党法の制定につきましていろいろむずかしい問題があることは、専門家である稲葉さん御承知のとおりでございます。ただ、政治資金規正をするという場合に、どのような政治団体を政党としてとらえ、それにどのような役割りを期待するか、また、その場合いかなる選挙制度を考えるかというような点が、当然あわせて検討さるべきものと考えるわけでございます。政治資金規正法改正の問題につきましては、これまでの経緯からいたしましても、今後政党本位の金のかからない選挙制度の実現への動向を踏まえつつ、さらに政党のあり方なども含めて、徹底した検討と論議を積み重ねてまいりたいと考えるのであります。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 御質問の第一点は、土地取得のための融資の規制についての通達の効果はどうであったかというお尋ねでございます。
 この通達の内容は、各金融機関は、業種のいかんを問わず、土地関連の融資については、その貸し出しの増勢を、本年四月から六月までの期間に総貸し出しの増勢以下に抑制するということが中心でございまして、特に増勢の著しい不動産業向けの貸し出しの場合について申しますならば、従来の増勢の三分の一程度には抑制されることができるはずでございます。これはきわめてきびしい措置でありまして、今後その効果は次第にあらわれてくるものと考えております。
 それからもう一点は、未利用土地の譲渡益については一〇〇%の課税をすべきではないかという御趣旨がございましたが、土地の投機的な売買による利益に対しまして一〇〇%課税するといろことは、土地の国有化というような極端な政策がとり得ない以上、税制面において一〇〇%課税というような極端な措置はとり得ないところである、政府としてはかように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕
#17
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。
 昭和四十六年度におきまする国民健康保険助成費につきましては、前三年の実績に基づいて行なったのでございますが、その医療費の実績がその推計を下回りましたために、二百四十三億円の不用を生じたものであります。
 さらに、社会保険国庫負担金六十四億円の不用を生じましたのは、昭和四十六年度におきまして、政管健保に対して五%の定率補助を内容といたしました健康保険法の改正案を提案いたしたのでございますが、その法案が廃案になりましたために不用に帰したものでございます。
 児童保護費の不用額のおもな理由は、保育所に入所しておりまする児童の世帯の所得階層率に変動があり、扶養義務者からの徴収金が予算上の見込みより実行において増加いたしましたために、それだけ国費の負担が減少いたしたものであります。
 なお、結核の医療費につきましては、公費負担の対象となりまする結核患者が減少いたしておることによるものであり、精神衛生費につきましては、入所措置によりまする精神病患者は横ばい、さらにまた減少の傾向にあるということに伴いまして、不用額を生じたものでございます。
 そこで、昭和四十七年度、さらに四十八年度におきましては、こうしたことにかんがみまして、医療費の推計を的確に行なうように努力をいたしており、医療費の推計につきましては、前三年の平均医療費というものの推計をいたしまして、それに基づきまして予算を計上いたしております。
 なお、健康保険の国庫負担につきましては、昭和四十七年度におきましては、四十六年度と同じように定率五%の国庫補助金を前提といたしまして法律の改正案を提案いたしました。したがって、それに見合いまして国庫の補助三百七十三億を計上し、四十八年度におきましては、定率一〇%の国庫補助金を前提とした健保法の改正を提案いたしておりますので、これに見合って八百十一億を計上いたしておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣金丸信君登壇〕
#18
○国務大臣(金丸信君) お答えいたします。
 五カ年計画がネコの目のように目まぐるしく変わるという、これは国民のために非常に迷惑だというような御質問でございましたが、経済伸展が非常に加速度的に進んでおりますので、むしろこの五カ年計画を縮めて改定することが国民のためになる、こういう考えでおるわけでございます。
 また、三井不動産の江戸さんの問題につきましては、一月二十二日に東京会館で会合をいたしたわけでございますが、これは恒例の会合でございまして、そのとき線引きの問題が云々されたというお話でございますが、線引きの問題については、その話はありません。私は、この土地の状況のときでありましたから、土地の問題につきまして、大手の皆さま方、商社の、あるいは財界の方々、関係の会社に、持っておられる土地をぜひひとつ国民のために提供していただきたい、こういうことを申し上げて了解を得たわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。(拍手)
 先ほど総理から、計数的な問題については担当大臣から答弁というお話があったわけでございますが、この問題につきまして、きょうは持ってまいりませんので、あらためて、はっきりいたしておりますので、これはお届けをいたします。御了解を願います。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(中村梅吉君) 三浦久君。
  〔三浦久君登壇〕
  〔議長退席、副議長着席〕
#20
○三浦久君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま御説明のありました昭和四十六年度の決算報告等につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。
 昭和四十六年度予算編成にあたり、政府は、物価の安定、公害対策の推進、社会保障の整備等々の諸施策を着実に推進すると強調していましたが、決算の結果あらわれた予算執行に伴う行政実施は、政府のこの見解とはきわめてほど遠いものとなっており、わが党が指摘したとおり、昭和四十六年度の予算は、第一に、軍国主義復活と対外進出のための予算であり、第二に、独占資本の高度成長のための予算であり、第三に、国民生活破壊の予算であることが明らかになったのであります。(拍手)
 昭和四十六年度決算についてまず指摘したい点は、政府が経済協力の名のもとに、アメリカのアジア侵略、とりわけベトナム侵略戦争に全面的に協力していることであります。政府のいわゆる経済協力は年々増大しておりますが、一九六九年の日米共同声明以後、急速に拡大しているのであります。特にサイゴン政権等に対する無償援助は、昭和四十五年度七億円であったものが、昭和四十六年度は何と倍額の十四億円に増大し、その後も年々倍加を続けております。ニクソン大統領は、一九七〇年の外交教書で、南ベトナム軍隊の強化に伴うベトナム経済の負担増大に対処するため援助が必要であると述べ、アジアの発展に果たすべき日本の独特かつ緊急な役割りについて強調をいたしました。昭和四十六年度に始まるベトナム援助の急増は、まさに、このニクソン・ドクトリンに忠実にこたえるものであったのであります。
 サイゴン政府が全ベトナムを代表するものだということが誤りであるということは、予算委員会でのわが党不破議員の質問に対する外務大臣の答弁によっても明らかであります。これは、政府の従来のベトナム援助のあり方が誤っていることを証明するものにほかなりません。(拍手)政府は、和平協定が調印された今日の事態のもとでも、従来と同様、サイゴン政権に援助を続けるつもりなのかどうか、この点について総理並びに外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、住宅関係予算の決算についてお伺いをいたします。
 予算の執行の状況を見てみますと、防衛費関係の予算の執行はほぼ一〇〇%であるのに、住宅関係予算の執行率は毎年きわめて低く、八〇%前後にとどまっているのであります。これでは、国民の切望する住宅問題に対する責任を政府は果たしていないといわなければならないのであります。この原因が用地取得難にあることは、すでに明らかでありますが、政府は、この用地取得についていかなる対策をとられたのかをお伺いをいたしたいと思います。(拍手)
 特に人口急増都市では、急激な宅地開発に伴って、小中学校や幼稚園、保育園、道路、下水道等の関連公共施設の整備が大きく立ちおくれて、住民の生活が悪化していますが、政府は、これら公共施設のための公共用地取得のためにどのような方法を講じてきたのか、総理にお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、政府管掌健保の決算についてお尋ねをいたしたいと思います。
 昭和四十六年度厚生保険特別会計健保勘定のいわゆる赤字は百八十六億円で、累積赤字は千九百八十億円に達しております。政府は、赤字が出るたびに、健康保険制度を改正をし、保険料を値上げしたりして国民への負担を強化していますが、医療保険赤字の大きな原因の一つである製薬大資本の独占薬価には、ほとんど手をつけようとしていないのであります。そのため、わが国では、国民総医療費の中で薬剤費の占める割合が、欧米諸国と比べて異常に高く、日本の政管健保では、昭和四十五年度四三・二%、昭和四十六年度四三・七%と、年々増加し、保険財政を圧迫している大きな原因の一つとなっているのであります。
 昭和四十六年三月十九日、衆議院本会議で、わが党浦井議員のこの点に関する質問に対し、内田厚生大臣は、薬剤費の問題についてはできるだけ必要な措置を講じたい、こういう趣旨の答弁をしておりますが、その後何ら必要な措置をとらずに放置した結果、昭和四十六年度の保険財政の赤字を大きくしたのであります。政府は、今年度もまた保険財政の赤字を理由に、製薬大資本の独占薬価に手をつけないままで保険料の引き上げを行なおうとしておりますけれども、独占薬価をどのように規制しようとしているのか、厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。(拍手)
 次に、政府は、新産都市建設促進法及び工業整備特別地域整備促進法に基づいて、昭和三十九年以来、新産都市及び工業整備特別地域について巨大な投資をしてきましたが、昭和四十六年度の投資実績は、国と地方自治体合わせて九千九百五億円にも達し、昭和四十六年度までの累積投資額は、実に四兆二千九百四十七億九千五百万円にも達しているのであります。
 この結果、住民の生活と環境はおかまいなしに破壊をされました。新産都市のモデル地域とされた岡山県の水島地域では、政府は建設にあたって、緑と太陽と空間の町づくりと宣伝をいたしましたが、事実が示すように、水島地域では、十年後の今日、住民の六割が健康被害を訴え、七割は開発によって生活が苦しくなったと訴え、住みなれた故郷を移転したいと決意する人々が続出をしているありさまであります。
 工業整備特別地域の一つである鹿島臨海工業地帯も全く同様の状態であります。昭和四十七年八月の日本弁護士連合会公害対策委員会の調査によりますと、工場が操業してから二年しかたっていないのに、亜硫酸ガスの一時間の平均値や一日の平均値では、すでに環境基準をこえる汚染がしばしば起きており、シアン、カドミウムによる海の汚染も進行して、魚介類の大量死滅事件を引き起こしているのであります。これこそ大企業優先、国民生活破壊の地域開発でなくて何でありましょうか。(拍手)
 政府は、これら過去の反省の上に立って、生活優先の経済政策、国土政策を打ち立てる必要があるといわざるを得ません。ところが、政府は、何の反省もなく、来年度予算案において総額二兆八千四百七億七千百万円の公共事業関係予算を組んでおりますが、このうち産業基盤整備費が六五・九%にも達し、依然として大企業優先の高度成長政策である日本列島改造を推し進めようとしているのであります。これでは、いままでより以上の速度で全国的に公害を進行させることは明らかだといわなければなりません。
 総理は、日本列島改造によって公害問題を解決するのだ、こう言っておりますが、それならなぜ、衆議院予算委員会での、わが党中島議員の質問に対し、公害関係諸法の改正案を今国会に提出する意思はないと明言をいたしたのでありましょうか。現行公害関係法では公害の防止ができないのは、もはやだれの目にも明らかになっているのであります。
 政府に設けられている公害等調整委員会は、本年二月十一日に、昭和四十六年度に全国の都道府県や市町村が受けた公害に関する苦情の実態を速報の形でまとめましたが、これによれば、苦情件数は約七万六千件で、前年度より二割近くふえ、五年前よりも三・七倍になっていることが明らかになったのであります。特に、これまで苦情が少なかった地域で急速に苦情がふえ始めているのが目立っています。前年度苦情件数で上位にランクされた東京、大阪、愛知、兵庫、福岡の増加率が一〇・九%なのに対し、下位にあった島根、鳥取、山梨、福島、佐賀は八〇・三%も激増しておるのであります。これは、公害が全国的に平均化して広がり始めた傾向を裏づけるものであります。日本列島改造論がこの傾向をさらに急速に進行させるものであることは明らかだといわざるを得ないのであります。
 総理は、これまでどおりの不十分な公害防止対策のままで工業再配置を強行するつもりなのかどうか、大企業の利益のため、国民の命も健康も踏みにじる高度成長を今後も続けるつもりなのかどうか、明確な答弁を求めたいと思います。(拍手)
 最後に指摘したいことは、昭和四十六年度という年が、円の変動相場制移行と円切り上げという、日本経済にとってきわめて重大な年であったということであります。このような経済の激動期に、政府はどのような対策を講じたでありましょうか。
 第一は、参議院大蔵委員会でわが党の渡辺議員が明らかにしたように、ニクソンのドル防衛政策発表の八月十六日から変動相場制移行の二十七旧までの十二日間に、実質四十億ドルといわれるドル売りが行なわれ、大企業がばく大な為替差益を入手したことであります。大企業の投機的なドル売りを何ら規制せず、十二日間も国費を投じて買いに応じた政府の責任は、きわめて重大だといわなければなりません。
 第二は、沖繩県民の即時一ドル三百六十円での円切りかえの要求を無視し、政府がついに円の切り上げを実施して、県民に重大な打撃を与え、沖繩経済に大きな混乱を与えたことであります。政府は、わずかに、昭和四十六年十月の時点で確認をした個人の現金、預金の為替差損の補償と二十億円そこそこの変動相場制移行に伴う値上がり対策費を組んだだけだったのであります。
 第三に、ニクソンの強圧に屈した円の一六・八八%の切り上げは、不況を一そう長引かせ、その上、不況対策のためと称して総額一兆二千億円をこえる国債を発行し、不況下のインフレを促進することによって、労働者、農民、中小企業者の苦しみを倍加させたことであります。
 円切り上げを招いた要因が、低賃金、低福祉、大企業本位の輸出第一主義にあったことは明白でありますが、許せないことは、政府の変動相場制への移行と円切り上げという事態に対する対策の中ですら、大企業奉仕と国民生活無視が貫かれたことであります。
 円切り上げ後十三カ月しか経ていない今日、わが国はまた円再切り上げ必至の情勢のもとにあります。このことは、政府が、昭和四十六年度の経験から何らの反省もせず、依然として低賃金、低福祉政策を続けてきたことから必然的に生み出されたものだと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 政府は、昭和四十六年以来の円対策の誤りを率直に認め、同じ誤りを二度と繰り返さぬために、国民生活優先の経済政策への根本的転換を行なうべきであると思いますが、この点に関する総理の明確な答弁を要求し、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(田中角榮君) 第一は、政府の南ベトナム経済協力等についてでございますが、わが国の対南ベトナムの援助は住民の民生安定のためでありまして、人道的考慮に基づくものでございます。
 第二は、公共用地の確保等についての御発言に答えます。
 用地取得難、関連公共施設整備の問題などによりまして、住宅建設に若干のおくれが生じておることは事実であります。これに対しまして、まず抜本的な土地対策を講ずることが先決であり、政府は、先般決定した地価対策閣僚協議会の方針に基づいて、所要の法令を今国会に提出をいたす予定でございます。
 また、四十八年度におきましては、関連公共施設整備の促進、公営住宅建設上の地元公共団体の超過負担の解消などにより、住宅建設の推進をはかってまいりたいと考えております。
 列島改造もまた公害の拡散にならないかということでございますが、日本列島改造政策は、工業の地方分散を促進することによって過密の弊害を是正する一方、産業構造の中心を重化学工業から、人間の知恵や知識をより多く使う知識集約的産業に移行させることを基本としております。今後の環境問題も解決の方向を確保してまいりたい、こう考えております。
 また、日本人の英知や科学技術の進歩を最大限に活用し、住民の生活環境や自然を守りながら、公害の拡散とならないような開発を進めてまいるつもりでございます。そのためには、公害防止技術の開発等、施策を推進いたしますとともに、開発に際しては、計画を作成する段階で、あらかじめ科学的な調査、分析を十分行ない、これを踏まえて、環境に悪影響を及ぼさない開発を進めてまいりたい、こう考えておるのであります。
 経済政策の転換という問題に対してでございますが、対外均衡達成のためには、従来の生産、輸出優先の経済構造を、福祉指向型経済構造へ転換をしていくことが基本的に重要であることは、しばしば申し上げておるとおりでございます。このような考え方に基づいて政府は四十八年度予算を編成したのでありますが、今後とも国民福祉の向上に努力してまいりたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣金丸信君登壇〕
#22
○国務大臣(金丸信君) ただいま総理が述べましたことで尽きておるわけでございますが、需要供給のバランスが立たないということが認められまして、住宅が若干おくれておることはいなめないわけであります。そういう意味で、この問題につきましては、土地の問題について最善の努力をいたすということを申し上げて、答弁にいたします。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕
#23
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。
 総医療費の中に占める薬剤費の割合が高くなっておるという事実につきましては、御指摘のとおりでございますが、このことが保険財政の赤字の直接の原因であるかどうか、なお検討すべき問題であると考えております。
 薬価基準の価格というものは、毎年薬価調査を定期的に実施いたしまして、その結果に基づいて、実勢価格に合わせるように改定を行なっているところでございますが、本年度はさらにこうした定期的な薬価調査のほかに、必要に応じ追跡調査などを行ないまして、実勢価格を薬価基準の価格に反映させるように、その適正化に一そう努力いたす考えでございます。
 なお、今回の健康保険法の改正は、従来の構想と異なりまして、給付改善を主として考えて、これに見合う保険料の値上げにつきましては最小限度にとめたい、こういう構想ででき上がっておることを御理解いただきたいと思う次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○副議長(秋田大助君) 坂井弘一君。
  〔坂井弘一君登壇〕
#25
○坂井弘一君 私は、公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十六年度決算に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 初めに、内閣の財政状況報告についてお伺いいたします。
 決算は、国民の血税の行くえを監視するとともに、財政執行の可否を国民に報告する手段として最も基本的なものであります。憲法第九十一条によって、「内閣は、國會及び國民に射し、定期に、少くとも毎年一同、國の財政状況について報告しなければならない。」と規定しております。財政法第四十六条第一項は、予算の成立時において、これを一般国民に公表すべきことを命じ、同二項は、さらにその予算の執行途中において、四半期ごとに国民一般並びに国会にその執行状況などを公表すべきことを求めているのであります。
 しかるに、この報告の実際の状況を見ると、国民に対する報告は、毎年わずかに一回、会計年度終了後十数カ月後にようやく官報に記載する以外の手段は講ぜられていない、まことにお粗末なものであります。これは明らかに政府の怠慢といわねばなりません。
 一般会計、各特別会計の歳出決算額だけでも二十六兆四千二百四十七億万余円、国民の人口は約一億であるのに対して、報告は年一回。しかも、官報発行部数はこれまたわずかに四万二千であります。また、その記載内容に至っては、およそ公務員しか理解できないむずかしいものであります。このような報告は、官公庁本来の形式主義的なものでありまして、まさにお役所仕事の典型であり、決して国民本位のものとはいえません。(拍手)憲法及び財政法にのっとり、国民に対する報告はもっと有効適切な措置を講じるべきと思いますが、まず、この基本的な姿勢について、総理並びに大蔵大臣の御所見を承りたいと存じます。
 次に、日本航空機製造株式会社の赤字対策費について質問をいたします。
 かつて、昭和四十四年度に、会計検査院は日本航空機製造株式会社に対して、まぼろしの販売手数料十億三千五百八十七万円をアメリカのシャーロット社に支払ったとして指摘した経緯があり、衆院決算委員会で大問題となったことは周知のとおりであります。
 ところで、再び会計検査院は、四十六年度決算報告で、資材の購入及び在庫管理が適切ではないとして、日本航空機製造株式会社に対し、是正改善処置要求を出しています。その指摘内容は、四十六年度末の在庫品八十三億三千万円のうち、何と二十八億四千万円が過剰品となっているという指摘がなされているのであります。
 こうしたずさんきわまりない親方日の丸的な経営の日航製は、四十七年度末で累積赤字は実に三百六十億円にものぼっているのでありまして、この膨大な赤字は、まさに血税のむだづかいといわざるを得ません。いまにしては手を施すすべもなく、ついに昭和四十六年九月、航空機工業審議会の答申に基づいて、日航製はアフターサービスだけを残して、債権回収などを中心とした整理会社となったのであります。
 ところで、日航製の赤字三百六十億円の内訳を申しますと、民間負担が三十六億二千三百万円に対しまして、政府の負担が百九十三億一千三百万円。しかも、これに借り入れ金の金利分を含めまして、実に二百九億六千九百万円というばく大な負担となっているのであります。つまり、百九十三億一千三百万円に対する金利が、十六億五千五百万円もの多額を見込んでいるのでありますが、これは、三年間に分割するためにこのように大きくふくれ上がったものであります。
 何ゆえにわざわざ三年間に引き延ばしたのか、すでに日航製は整理解散することがきまったのでありますから、この赤字は、四十八年度の単年度で処理することが妥当であると思います。この場合、その金利は十五日分として六千四百万円で済む計算になります。しかるに、三年間の金利として、前段示しましたとおり、十六億五千五百万円を支払うというのでありますから、その差十五億九千二百万円ものむだづかいとなるではないかということを指摘いたしておるのであります。整理会社に対する支出金を三年間に引き延ばし、そのために十五億九千二百万円もの利子をむざむざ血税から支払うことは、全く理解しがたいのであります。大蔵大臣の明確なる答弁を求めます。
 また、日本航空機製造株式会社のドル建て売り掛け金は、昭和四十八年二月十四日現在、約一億一千万ドルにのぼっております。この売り掛け金は、このたびの円レートの変更によって、三十億ないし四十億円の評価損が見込まれます。したがって、三百六十億円といわれている日航製の累積赤字は一そう増大して、政府の負担を重くすることは必至であります。
 政府は、この膨大な赤字の整理、特にこの為替差損の負担についてどう対処されるのか、御見解を明らかにされたいのであります。
 さらに、この為替差損に関連して総理にお尋ねいたしますが、今回の円レートの実質的変更は、法人税の減収などを通じて四十八年度の歳入見積もりを大きく狂わせるばかりでなく、たとえば日本銀行納付金のごときは、昭和四十六年度の場合と同様、確定的な歳入欠陥になると見られるのであります。かようにほとんど確実な歳入欠陥があるにもかかわらず、この予算をひとまず成立させよというのはいかにも無理であろうと思いますが、政府は、この際、予算を撤回して新事態に対応した予算を再提出すべきでありましょう。
 さらに総理にお伺いしますが、かかる膨大なる赤字を生み、日航製を整理、解散するに至った政府の責任をどう受けとめておられるのか。
 いま一つは、この問題に関連する次期民間旅客機YXの開発について、具体的にどうお考えか、再びYS11の轍を繰り返してはなりません。政府にその決意と方策ありゃ、承りたいと思います。(拍手)
 次に、国有林野事業特別会計の赤字についてお伺いいたします。
 昭和四十五年度の赤字額は百二十一億円、昭和四十六年度は三百五十六億一千万円に達し、昭和二十二年に国有林野事業特別会計が創設されて以来、最大の赤字額を計上しています。国有林野事業特別会計の赤字は今後飛躍的に増加し、国鉄、健保、食管の三K赤字に新たに国有林が加わり、四K赤字となるのは必至の情勢であります。
 この国有林野事業の赤字の原因は、一つには、資源的制約に加え、公益的機能重視の森林施策の拡充による伐採量の減少、二つには販売額の減収、三つには人件費の上昇などによるものであると説明されております。
 しかしながら、これは単なる皮相的な見方でありまして、将来、木材の需要が急激に伸びるであろうことが容易に予測されながらも、何ら適切なる対策を立てず、あまつさえ木材の異常な高騰を描いたことは、あげて政府の責任に帰するものでめると断ぜざるを得ません。したがって、公益的機能を高め、国民生活と自然の調和をはかり、新時代に対応した新たな位置づけを行なう意味からも、国有林の赤字対策につきましては、すみやかに構造的、機能的かつ財政的にも、抜本的対策の立て直しを講じなければならないと考えるものであります。総理並びに農林大臣の御所見を明らかにされたい。
 次に、国有財産の訴訟についてお尋ねいたします。
 国有財産はもとより国民の財産であり、政府は、国民から管理、処分等について一切の権限を信託されたものであります。したがって、その運用にあたっては財政法第九条の趣旨を遵守し、いささかも不適正な処置等により国民の誤解を招くことのないようつとめなければなりません。
 しかるに、直ちに不正ではありませんが、訴訟によって国が敗訴して、国有財産の売り払い代収入の減少、または不必要な支出の原因となる事例が多々見受けられることは、まことに遺憾なことであります。昭和四十六年十月一日現在、大蔵省所管一般会計の国有財産で訴訟中の事案のおもなものは、建物収去、土地明け渡し請求三十三件、所有権確認並びに移転登記請求七十五件、その他十四件、計百二十二件の多きにのぼっておりました。また、四十一年度以降の敗訴事案のおもなものは、所有権確認並びに所有権移転登記手続請求六件、その他六件、計十二件となっております。さらに、四十三特別会計の国有財産で訴訟中事案のおもなものは、農林省所管国有林野事業特別会計の四十五件となっております。
 政府は、これらの事例にかんがみ、国有財産の管理、処分等について、特段の注意を払うよう努力すべきと思いますが、総理並びに大蔵大臣の御所見を承りたいと存じます。
 最後に、わが党は再三再四、決算を議決案にすべきであると主張してまいりました。決算は国会の議決により成立した予算の執行の実績であり、決算の審議は単なる会計処理の適否にとどまらず、長期国家経営の指針を確立するためのきわめて重要な役割りを有するものであります。しかるに、ことばの上では重要だと言われながら、決算そのものは今日なお制度的に軽視せられ、形式的なものになりがちで、その結果、会計検査院が毎年指摘する不正不当事項、まさに氷山の一角でありましょう、しかし、これすらも一向に改善されていないという、まことに憂慮すべき実態であります。政府各機関は、予算の獲得のみに狂奔し、事後における財政処理の適否をなおざりにする、いわゆる決算軽視の原因は、決算が単なる報告案件として取り扱われてきたところにあると思われます。
 国の財政処理は、憲法第八十三条に規定されていますとおり、国会中心主義を明らかにしております。ゆえに、国会が財政処理の結果について単なる報告だけにとどめず、車の両輪のごとく、予算と同様、議案として国会に上程すべきであります。
 先ほど綿貫議員の質問に対し、総理は、国会の意見を尊重する、こう答弁されました。決算を議決案にせよと主張しているのは、与野党あげての一致した提案であります。しからば、これを尊重して議決案とすることは、まさに総理の誠意と決断にあると思います。
 以上述べました五点に対しまして、責任ある明確なる答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#26
○内閣総理大臣(田中角榮君) まず第一は、国民に対し財政状況を周知徹底するように有効な措置をとれということでございますが、財政状況をできる限りわかりやすく国民に報告することは、きわめて重要なことだと考えております。政府としては、今後とも一そうこの趣旨に沿って努力をしてまいりたいと考えます。第二は、日航製の赤字の問題、YXの開発等の問題についてでございますが、日本航空機製造株式会社の国産輸送機YS11事業につきましては、技術的には成功をおさめましたものの、経理的には思わしくなく、赤字を計上するに至ったことは遺憾なことと存じます。航空機産業は、典型的な知識集約的産業でございまして、技術波及効果も大きい産業でありますので、政府としましては、次期民間輸送機YX開発について、昭和四十八年度予算に予備調査段階の経費を計上いたしたわけでございます。しかし、YX開発を本格的に進めていくかどうかということにつきましては、四十八年度における事業の結果に基づいて、四十九年度予算編成の際に決定をする考えでございます。
 変動相場制移行とドル建て売り掛け金、予算の変更というような問題についての御発言にお答えをいたします。
 御指摘のように、YS11売り掛け債権の中にはドル建てのものがあります。これが為替変動によって影響を受けることが考えられますが、現段階でどの程度の影響を受けるかを見きわめることはむずかしい段階にございます。その処理につきましても、今後の推移を見きわめることが先決であると考えておるのでございます。いずれにせよ、日航製株式会社の為替差損が生じたからといって、直ちに同社に対する助成に変更を加えなければならないという性格のものではないと考えております。
 国有林事業の問題についてでございますが、詳細については農林大臣よりお答えをいたしますが、要は、国有林事業の持つ公益的機能と木材生産機能との調和をはかりながら、その改善、合理化をはかることが必要だと考えます。
 国有財産の管理処分については、国有財産については、従来からその適正な管理につとめておるわけでございますが、詳細は大蔵大臣より答弁いたします。御指摘の点にも顧み、今後管理に万遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
 決算を単なる報告だけにとどめず、予算と同じように議案化すべきではないかという問題に対しては、先ほど大蔵大臣からもお答えをいたしましたが、決算は予算の執行の実績であり、重要なものであることは言うまでもございません。その性格は、過去の事実についての計数的な記録でありまして、これを国会の議決案件とするのはなじまないというのが、過去長いこと申し上げておることでございます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#27
○国務大臣(愛知揆一君) 補足してお答えいたします。
 第一の、財政状況を周知徹底するようにという御意見でございますが、財政法第四十六条に基づく国民への財政報告といたしましては、決算を官報に登載するほか、その概況を説明する国の決算概況というものを、官報の資料版あるいは「時の動き」等の国の広報誌に掲載して、周知徹底につとめているところでございます。
 また、財政状況全般の報告としましては、予算使用の状況を各四半期ごとに国会に御報告申し上げており、また、官報にも掲載しております。また、国庫の歳入歳出状況は毎月発表いたしておりますことも御承知のとおりでございます。なお、御趣旨につきましては、今後とも一そうの努力をいたしてまいりたいと思います。
 第二の日本航空機製造販売株式会社関係でございますが、YS11の生産販売事業が大幅な赤字を生むことになりましたのは遺憾でございますが、四十八年度予算の編成の時点におきましては、この赤字を四十八年度から五十年度の三年間で処理することといたしまして、民間と政府とでその負担を分けることにいたしましたのは御指摘のとおりでございます。この赤字額を三年間で処理することにいたしましたのは、四十八年度の予算編成に際しまして、社会保障、社会資本の充実などの重要な施策を織り込む関係から、有効な資源配分の見地から、単年度に処理するよりは三年間で処理するということを考えたわけでございますし、また、日航製の赤字の見込みは、昭和五十七年度までの今後の営業活動等による赤字分を含んでおる関係もございますから、最終的に、その推移を見まして、三カ年間で処理することが適当と考えた次第でございます。
 なお、YS11の販売に関しまして生ずる為替差損の処理の点でございますが、ただいま総理から御答弁ありましたように、売り掛け債権の中にドル建てのものがある、これがいかなる影響を受けるかということにつきましては、現段階でまだ見きわめることがむずかしいので、その処理は今後の検討に譲ることにいたした次第でございます。
 それから、これに関連して、YXの研究開発等につきましては、これらの経験に徴しまして、十分慎重な体制をとりまして、ただいまの研究開発の程度にとどめ、また、今後時期を区切りまして、その後の状況によりまして将来の態度を保留することができるようになっておりますことは、御承知のとおりかと存じます。
 第三は、国有財産の管理処分について訴訟事件が多いではないか、国の敗訴になっているものもあるではないか、こういう御質疑でございました。
 国が敗訴になりました事例をつぶさに検討いたしますと、国の事務処理に周到さを欠いたことが原因と見られるものが多いのでありまして、今後は、このような経験を行政運営の貴重な参考にいたしまして、かかる事態を招来することのないよう、従来よりも一そう慎重で、かつ、十分な事務処理の指導につとめまして、国有財産の適正な管理に遺憾なきを期してまいりたいと考えております。
 最後の、国の財政の処理は、憲法八十三条で国会中心主義が明らかにされており、決算を単なる報告だけにとどめず議案化すべきものであるという点につきましては、先ほどの御質問に私もお答えいたしましたし、ただいま総理から重ねて御答弁のあったとおりでございます。
 以上、私に対する御質問にお答えいたしました。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#28
○国務大臣(櫻内義雄君) 国有林野事業の赤字解消などの改善につきましては、新たな公益的機能と木材生産機能の調和がはかられた森林施業方法の採用を行ないまして、健全な事業運営がはかられるよう、各種事業の改善、合理化と組織、人員配置の適正化などを推進する必要があると考えます。
 伐採量の減少による収入の減少は避けがたいところでございますが、販売方法の改善を行ない、事業実施面では重点的、効率的な投資により、能率の向上による経費節減などをはかりたいと思います。(拍手)
#29
○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。
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#30
○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時四十五分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        建 設 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 二階 堂進君
        国 務 大 臣 前田佳都男君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
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ソース: 国立国会図書館
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