くにさくロゴ
1972/03/01 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第12号
姉妹サイト
 
1972/03/01 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第12号

#1
第071回国会 本会議 第12号
昭和四十八年三月一日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  昭和四十八年三月一日
   午後一時開議
 第一 有価証券取引税法の一部を改正する法律
    案(内閣提出)
 第二 相続税法の一部を改正する法律案(内閣
    提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 最近における商品騰貴、株式、土地投機に関す
  る緊急質問(渡辺美智雄君提出)
 最近における買い占めなどに見られる商品投機
  等に関する緊急質問(中村重光君提出)
 商品投機など最近の異常な物価高騰に関する緊
  急質問(小林政子君提出)
 商品投機など物価急騰に関する緊急質問(有島
  重武君提出)
 商品投機・異常な物価高騰に関する緊急質問
  (玉置一徳君提出)
 日程第一 有価証券取引税法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 日程第二 相続税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を
  改正する法律案(議院運営委員長提出)
   午後一時十四分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 最近における商品騰貴、株式、土地投機に関
  する緊急質問(渡辺美智雄君提出)
 最近における買い占めなどに見られる商品投
  機等に関する緊急質問(中村重光君提出)
 商品投機など最近の異常な物価高騰に関する
  緊急質問(小林政子君提出)
 商品投機など物価急騰に関する緊急質問(有
  島重武君提出)
 商品投機・異常な物価高騰に関する緊急質問
  (玉置一徳君提出)
#3
○中山正暉君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、渡辺美智雄君提出、最近における商品騰貴、株式、土地投機に関する緊急質問、中村重光君提出、最近における買い占めなどに見られる商品投機等に関する緊急質問、小林政子君提出、商品投機など最近の異常な物価高騰に関する緊急質問、有島重武君提出、商品投機など物価急騰に関する緊急質問、及び玉置一徳君提出、商品投機・異常な物価高騰に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
#4
○議長(中村梅吉君) 中山正暉君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 まず、渡辺美智雄君提出「最近における商品騰貴、株式、土地投機に関する緊急質問を許可いたします。渡辺美智雄君。
  〔渡辺美智雄君登壇〕
#6
○渡辺美智雄君 私は、自由民主党を代表して、ただいまより、商品騰貴、土地、株式等の買い占め、価格の上昇に関し、総理、大蔵、通産「農林各大臣に対し緊急質問をいたします。(拍手)
 天然資源の少ない日本において、国民所得を増大し、近代的で豊かな国民生活を行なわしめるためには、いままで高度経済の成長と輸出の増大は欠くべからざるものであり、今日の繁栄の基礎をなしてきたことは何人も否定することはできません。
 しかしながら、最近における生活用品、ことに大豆、えさ、木材、毛糸等の高騰、土地、株式等の値上がりは著しいものがあり、国民をインフレ的不安に追い込み、さらにインフレ傾向に拍車をかけるような事態に発展するならば、これは実は重大な問題であります。
 四十六年末に円の切り上げが行なわれたとき、輸出はこれからたいへんになるだろう、しかしながら、輸入は増大をして物価の安定には相当役立つであろうと国民は期待したのでありますが、これが期待はずれとなったのであります。今度、近い将来に予想される固定相場への移行が実施されたとしても^円の再切り上げが輸出抑制に働いただけで、物価安定に寄与することがないとするならば、日本にとって意義の少ないことであります。政府は、過去の経験にかんがみ、いまから万余の策を講ずべきであると考えますが、総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、過剰流動性の問題についてお尋ねをいたします。
 毎年の大型予算、大幅な財政資金の投入、金融の超緩和、貿易の大幅黒字は、一方において国内の繁栄をもたらし、輸出を増進したけれども、一方、国内には資金がだぶついてきたのであります。ここに過剰流動性の問題を生じたのであります。ことに四十六年のドル流入に際しては、外為会計から三兆余円の資金散布が行なわれ、四十七年に入っても、一月から十二月で、外為会計よりの資金散布は約一兆三千五百億円に及んでいるのであります。最近におけるマネーサプライ指標を見るならば、昨年十月から十二月における通貨並びに要因通貨となり得る預金の流通額、いわゆる流動性は、約八十兆円であり、三年前の約二倍であります。現金預金の合計とGNPとの比率から見ましても、四十四年から四十五年当時に比べると、四ないし五%ふえておるのであります。手元流動性も、四十五年当時と比べて約三%程度増加をしておるのであります。
 これから推測をいたしますのに、おおよそ四兆円ないし五兆円の過剰流動性があって、このだぶついた資金が、あるいは株式に、土地に、商品にと投機的にあばれ回り、企業のもうけ主義オンリーと相和して諸物価騰貴の元凶になっておるものと考えられるのであります。したがって、これを吸収するための預金準備率の再引き上げを含めて適切な手を打つことが必要と考えられますが、総理大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
 また、預金準備率の引き上げにあたりましては、それが一律に中小企業にストレートに反映をするということは、円の再切り上げにあえぐ中小企業のダブルパンチとなる危険性も反面あるのでありますから、中小企業金融機関に対しては、預金準備率引き上げにあたりましても特別の配慮を払うべきと考えますが、大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 第三に、最近における大豆、毛糸、木材等の高騰は、輸入先、外国の事情によって避けがたい面もございます。しかしながら、それに便乗して売り惜しみを行ない、買いだめをすすめ、むしろ相場をあふり、そういうことをやっておる者があるのではないかという、そういう疑惑を国民に植えつけておることは、まことに遺憾であります。
 たとえば輸入大豆の例を見ても、シカゴ相場は、昨年の一年間でおおよそ五〇%の値上がりを示したことは事実でございますが、中国産大豆の輸入が、二十八万トン中四万トンその入荷がおくれたということが理由となって、ことしの一月初めに一俵約五千円台の大豆が、一月中旬から下旬にかけて大幅な値上がりをし、一俵ついに一万五千円台と、たった二週間で三倍にもはね上がったということは、決して正常なる取引とは私は思わないのであります。
 自由民主党は、食用原油の無税の緊急輸入を断行するという腹をそのとき固めたのであります。一方、農林省は製油業者に対して手持ちの食用転用可能な大豆の放出を督促をし、それを約束させたということだけで、どんどん大豆が値下がりを始めて、いまや、一カ月もたたないのに、一万五千円から八千円台に下がったのであります。この一事を見ても、これはやはり相当仮需要によって相場が支配されておるということの左証であろうと思うのであります。
 最近における生糸の暴騰も、一月五日に一キログラム八千円のものが、二月二十八日には一万二千円にはね上がっておりますが、これは決して国内の生産の生糸が非常に減ったというわけではありません。昭和四十六年度と四十七年度の国内の生糸の引き渡しを比べてみますると、四十七年のほうが十万俵多く、五十万俵を国内に向けておるのであります。十万俵も多く国内に向けておりながらそんなに値上がりをするということは考えられないので、当然これは仮需要が伴って値上げをされていると見なければならないのであります。やろうとすれば私は手はあると思います。
 また、毛糸の問題にいたしましても、これはやや趣を異にいたしますけれども、これもやはり価格操作の疑いがあるのではないかと考えられるのであります。つまり、オーストラリアにおいて昨年五月一キログラム当たり約二百セントの原毛価格が、ことしの二月には五百セントに倍増いたしております。これは確かにオーストラリアにおいて原毛価格が倍になったことは間違いありません。しかしながら、これは、ややもすると国内の某商社がオーストラリアの原毛を買い占め、むしろ価格をあおりながら、一方において現地価格を上げながら日本において国内相場を引き上げ、いわゆるシーソーゲームをやらした疑いが持たれておるのであります。このような商社のあり方を、われわれは手をこまねいて見ておるわけにはまいりません。
 ここで私はまた、銀行の放漫な貸し出しと四十六年以降の大幅な外為会計からの資金散布を背景とした商社の営業活動にスポットライトを当ててみたい、こう考えております。
 たとえば、昭和四十五年上期に、大手商社十九社の手持ち有価証券は三百三十八億円でありましたが、年々増大をして、たった二年間で、昭和四十七年の上期においてこれらの商社合計の有価証券手持ちは四千八百九十六億円と、たった二年間に十四倍に有価証券が増大したのであります。これは一体どこに基因するのか、問題であります。
 また、株式の売却益金も、四十五年上期において四億九千万円であったものが、四十七年の上期に三十八億円と増加をいたしております。
 この商社の有価証券の手持ちがふえたということは、一つにはこれは系列化が進んで、自分の系列を持たない商社が、系列化をつくるために株式を取得したことも当然考えられますが、そればかりではなくして、やはりかなりの余剰資金を背景とした投機資金が流入をされておるものと見なければならないのであります。
 土地取得については、なかなか大手商社だけの統計をとることは困難であります。なぜならば、大部分のものはダミーかあるいは子会社を使って土地買収をいたしておりますから、その実態はつかみにくいのでありますが、四十一年から四十七年の間に、上場会社によって市街化区域と調整区域とにおいておおよそ推定五万ヘクタールの土地が買い占められ、それ以外の原野、山林を加えると、おそらくその十数倍になるのではないかと考えられるのであります。
 そこでわれわれは、これら商社等に対して、大企業を営む者、これらの者に対しては何らかの措置を講じなければなりません。商品、ことに国民の消費生活に重大な影響を及ぼす食料、繊維製品、木材等の買いだめ、売り惜しみ等を行なったり、または行なっている疑いがあって、それが異常なそれらの物資の値上がりを来たしたり、あるいは来たすおそれが非常に強いという場合においては、主務官庁は商社等に対して必要な質問、立ち入り調査、勧告、あるいは勧告に従わない場合はその氏名の公表等の強制的な行為ができるように、何らか立法化等の措置を講ずべきであると思いますが、これらに対して、非常にむずかしい問題を背景とはいたしておりますが、総理大臣の所見を伺いたいのであります。(拍手)
 また、商品取引所法の改正について一言申し上げたいのであります。
 商品取引所法の第一条によりますと、商品の価格形成と売買その他の取引の公正を期するために商品取引所を開いた。第二の目的は、商品の生産及び流通を円滑にして、もって国民経済の運営に寄与することを目的とすると書いておるのであります。平たくいえば、公正な価格形成と保険つなぎの作用を持たせるということなのであります。
 アメリカのシカゴにおける商品取引所等はたいへんな信頼があって、そこできめられる価格が一番公正な価格である。ある人はこれを称して大統領選挙のようなものだという人もあるのであります。ロンドンにおける取引所の取引員は、その社会的信用はきわめて高いと聞いているのであります。
 しかるに、日本の現況は、遺憾ながらそのような社会的信用をかちえておるとはおせじにも申されないのであります。開放経済体制に向かいつつある日本にとって、本来ならば、取引所は、アメリカ並みの信頼のある、そして、たくさんの商品を取り扱う取引所になるべきものであろうと、私は取引所の精神からして考えるのでありますが、最近は、それどころか、取引所をやめちゃったらいいじゃないかという話まで出ておるのは、まことに遺憾であります。
 日本におきましても、商品取引所法八十八条によって、価格操作についてのいろいろな罰則規定があります。たとえば仮需要の問題、なれ合い売買の問題等は禁止をしておるというようなことが、それぞれいろいろ書いてあるけれども、この八十八条が適用されたというためしをいまだかつて私は聞いたことがない。こういうことは、何らかの欠陥があるのではないか。人手の問題、いろいろな問題もあるだろうけれども、もう少しめんどうを見るところはめんどう見てけっこうでありますが、もっと内容の取り締まるべきところは取り締まるという必要があるのであります。
 取引所も、経済自由化体制を控えて、門戸を開放すると同時に、価格操作の罰則強化や建て玉制限等に対する規制等をもっときびしくして、健全な取引所として、また健全な取引員とするために、取引所法の抜本改正を私は強く要求をするものであります。(拍手)通産大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
 えさ、生糸、モチ米、小豆、大豆の異常な値上がりが、世界的食糧の逼迫という、要するに不安感から出ておるとするならば、これは重大なことであって、ただ、自由化さえすればいいというものではありません。日本の食糧を確保するためには、自由化をすれば、安い食糧が入るならば、アズキが値上がりをしたりあるいは生糸が値上がりをしたり、あるいはまた、なたねが値上がりをしたり、そういうことはないはずなのでありますから、自由化だけの問題ではなくして、やはり、ある程度の国内の需給というものについても、その自給率を高め、そうしてその生産体制を合理化し、近代化し、また、価格の保証制度等も完備すべきであると思いますが、これに対しての再検討を農林大臣にひとつ、その所見を伺いたいのであります。(拍手)
 最後に、土地問題について簡単に触れてみたいと思うのであります。
 土地価格の上昇は、昭和三十年に比べて、全国平均で十九倍、六大都市で二十四倍にはね上がっておるのであります。ことに最近は、高速道路の延びるに従って、そのインターチェンジ周辺の土地高騰というものは目に余るものがあります。特に、これらの問題で、ある程度都市といなかとの所得格差を是正をするということには、だれも異議がないのでありますから、ある程度土地の値上がりすることは、これは私はやむを得ない。所得も均衡をとらせる、生活環境も均衡をとらせるというのでありますから、それはある程度のものはしかたがないけれども、しかしながら、あまり極端な値上がりはいけないのであります。
 特に私は、ここで大幅な土地買い占めが行なわれておるのはゴルフ場であると思うのであります。栃木県の場合は、七つぐらいしかなかったゴルフ場が、この二年間の間に六十二計画をされ、間もなく百になるという話なんであります。これは驚くべき問題であって、宅造では何百ヘクタールなんという買収はいたしませんが、ゴルフ場は.一つつくることによって、百ヘクタール、二百ヘクタールというものがどんどんどんどん買収されていくのであります。観光地に三つか四つのゴルフ場ができることは、私は差しつかえないと思っておるのであります。村に一つぐらいのゴルフ場ができることは、何ら差しつかえないと思うのであります。しかしながら、一つの村に六つも五つもゴルフ場ができちゃって、ゴルフ銀座ができてしまって、はたして成り立つのかどうか、私は非常に疑問に考えるのであります。こういうようなことについては、何らかの規制措置をとらなければならない。ことに、最近におけるゴルフ場は、必ずしも自己資金でやっておるとは限らず、銀行等のいろいろな融資、それが行なわれておった。このほかには、会員権募集と称して、無税で何十億という金を集めることができるようなことになっておる。これらが問題なのであります。
 私は、ここに二つの新聞を、一流新聞を持っておりますけれども、どっちも一面の記事で、ゴルフ場の会員権募集が出ておる。これは新聞社は別だ。こういうような問題について……
#7
○議長(中村梅吉君) 渡辺君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
#8
○渡辺美智雄君(続) 私は、やはりこれは、無税で数十億円の金が集められるというような形をそのまま放置し、それによって十億、二十億円余っても、それが法人税の課税対象にならない、こういうようなところに問題があるのでありますから、これらに対しましては何らかの措置を講ずべきものと考えます。税法上の措置、あるいはまた森林法を改正して、山林、原野、こういうようなもの等に対しても規制する措置、国営、県営事業等を行なう土地造成に対しては、そこらにはゴルフ場をつくらせないような規制措置、これらをしてもらいたいのであります。
 私は、最後に、総理大臣に申し上げたい。総理大臣は、惰性を断ち切り、発想の転換をはかり、決断と実行を旗印にして、自民党の満場一致の得票で総理大臣に当選したのであります。田中ブームを起こすほど国民の期待の中で生まれたのであります。期待が大きければ大きいほど、期待に反したときにはその失望も大きいのであります。総理は、いたずらに長期政権を夢みず、公約を守り、発想の転換をはかり、事態に即し、決断と実行をされんことを心から望んで私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(田中角榮君) 第一は、円平価の再調整が物価安定に役立つように措置をせよということでございますが、円切り上げ等による輸入品価格の低下を消費者に適正に還元するために、主要な輸入物資の価格動向の追跡調査並びに並行輸入の条件整備、それから独占禁止法の厳正な適用、流通機構の近代化等の施策を一そう充実してまいりたいと考えます。
 過剰流動性の問題についての発言がございましたが、お答えをいたします。
 現在の地価、株価の高騰あるいは商品投機等の背景には、経済の実勢以上に流動性が供給されてきた状態があることは否定できません。
 金融面における過剰流動性対策としては、本年一月に預金準備率の引き上げを実施しましたほか、土地融資の抑制あるいは商社向け貸し出しの抑制など、各般の措置を可能な限り講じてきたところであります。しかし、最近の情勢にかんがみまして、預金準備率につきましては、再引き上げの方向で検討を行なっておるのであります。また、商社等の手元に存在する過剰流動性を吸収するために、考えられる施策に対しては、現に広範に検討いたしております。
 商社の行動を把握し、投機的な取引を抑制するために、商社の買いだめ、売り惜しみ等に対する調査、勧告、公表等を含む立法措置等についての御発言について申し上げますが、商社の買いだめ、売り惜しみ等が一部商品の騰貴を招いておるとのうわさがあることにかんがみまして、現在、商社の営業活動の実態についての調査につき、協力を求めておるのであります。
 政府といたしましては、今後とも、きめこまかく商社の実態把握につとめてまいりたいと考えます。それによって、かりに、商社の買いだめ等の活動が物価に悪影響を与えていることが明らかになった場合には、行政指導によって、その是正をはかってまいります。この行政指導を補完するための立法措置につきましても、各方面の意見を聞きながら、現に検討を進めておるわけでございます。
 なお、現に緊急に措置すべきいろいろな問題に対しては、決断と実行をせよとの御激励でございますが、決断と実行をしてまいるつもりでございます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#10
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 金融政策の面におきまする過剰流動性の対策でございますが、このほど大蔵省といたしましては、商社の活動に焦点をしぼりまして、本年一月から三月期における十大商社向けの貸し出しにつきましては、昨年十月から十二月期に比しまして、二分の一以下に圧縮することにいたしまして、所要の措置を講じた次第でございます。そして、その効果が十分にあらわれまするよう、今後、金融機関に対する大蔵省の検査及び日銀の考査にあたりましては、ただいま申しましたとおり、商社向け融資と土地融資を重要なチェックポイントとして臨むことといたしました。
 なお、この際、これまで一月以来とりました措置を概略申し上げますと、預金準備率の引き上げ、これは、再切り上げをすみやかに行なうよう、万般の準備をただいまいたしております。
 土地関連融資の抑制については、しばしば申し上げたとおりでございます。
 それから、大手商社等に対する日銀の手形買い入れ限度額制度を創設いたしました。そして、日銀の窓口指導による貸し出し抑制を強化いたしております。また、金融機関によりまする時価発行増資応募等の抑制をいたしております。さらに、金融機関の市場経由株式取得に関する指導を強化いたしておる次第でございます。
 御指摘がございましたが、過剰流動性の対策を実施するに際しましては、中小企業、特に現下の状況におきまして、輸出関連の中小企業に絶対にしわ寄せが及ぶことのないよう、十分配慮いたしまして、今回、準備率の再引き上げをいたします場合にも、この点には特に十分な配慮をいたすつもりでございます。
 商社等の手元に存在する過剰流動性を吸収するために、たとえば、国債を保有させてはどうかというような御提案もございましたが、この点につきましては、まず国債の引き受け、保有というようなものを強制する必要がございますし、また、引き受けた国債に流通性を与えないことが必要でございますが、これらは、法令上も実行上もなかなかむずかしい問題でございます。
 さらに、国の財源調達上の必要性とは無関係に、投機抑制のためだけに国債を発行するということになりますると、国債の本質論という面から申しましても、財政負担という点から見ましても、問題が多いと思われる次第でございます。
 総合的な金融政策で、かつ、個別的なきびしい融資抑制政策で十分目的が達成されるものと、かように考えておる次第でございます。
 土地の融資に対する問題につきましては、しばしば申し上げているとおりでございまして、土地の税制、それから金融政策、あわせて相当な効果を期待しておるわけでございますが、御指摘のございましたゴルフ場の建設の資金につきましては、すでに金融政策上、厳重な規制を行なっておりますが、ゴルフ場の会員権の課税問題につきましては、一般の企業経営に比して、特に租税負担を重課することが適当である、こういう御主張でございますが、その実態を掌握しながら、私は前向きに検討をいたしたいと考えております。
 以上。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#11
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一に、商品取引所法を改正して、もっと規制する必要はないか、こういう御質問でございますが、商品取引所は、元来、商品流通を円滑にしたり、あるいは将来の取引をヘッジするという重要な機能があるところでございます。ところが、これが投機に用いられたりして、かえって、商品取引を不円滑にしたりあるいは不安を与えたりする、そういう情勢も多少見えてまいっております。そのために、私らも、商品取引所というものをこのままに放置してよいかどうかという御質問に対しては、確かに検討の必要ありという感じがしております。
 そこで、この商品取引業務をもう少し正常化し、円滑にし、正常な活動を活発にするという方向、それから、大衆を保護し、それと同時に、投機を防止するという観点、こういう観点に立ちまして法を再検討してみたいと思います。
 第二に、商社の規制の問題でございますが、この商品取引にかんがみまして、商社に対しては、内面的にだいぶ警告を発してまいりました。
 今朝もまた、十六社の商社の社長を呼びまして、通産省の事務次官より、第一に、活動に対する自粛を求め、それから、通産省その他政府が行なう実態調査について協力してもらうということ、第三番目に、必要あらば行政指導を立法行為で補完する考えである、そういうことを通告いたしましたに対し、商社側は、基本姿勢を再検討して自粛するという申し合わせをいたしまして、第一に、社会的責任を痛感して、過去の行為に遺憾なきや反省をし、自粛をする、それから、政府の行なう調査については協力いたします、それから、商社で特別委員会をつくってこの対策を練って報告いたします、こういう約束を今日いたしました。
 第三に、ゴルフ場の規制の問題でございますが、都市計画法の改正によりまして、今度、計画区域におきましては、知事の開発許可を必要とすることになりました。こういうわけで、県当局において、その県の状態全体を見合わせて適正な判断をしていただくことが必要であると思います。
 第二に、不正事件について、事業規制の必要ないか、こういうことがございますが、こういう要請が各方面にございます。ございますので、立法の必要ありやなしや検討してみたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#12
○国務大臣(櫻内義雄君) 大豆や生糸など農林省所管の物資を取り上げられまして、その暴騰の原因などを御指摘になりましたが、私も、渡辺議員の御意見のとおりに見ておる次第でございます。
 そこで、大豆や飼料につきましては、すでに緊急対策を発表いたしまして、それを実行しておるところでございます。それによって小康を得ておると思います。
 しかしながら、過剰流動性をはじめとする投機によるいろいろな影響というものにつきましては、今後農林関係諸物資がそういうことによって暴騰し、国民に大きな不安感を与えるということについては、これは厳正に取り締まってもらいたいということを考えておる次第でございますが、この点については、すでに総理、大蔵大臣から過剰流動性に対する諸施策がお答えされたわけでございます。
 商品取引所が正常な活動をなす、そのことによる効果というものは、やはり考えなければならないのでございまするが、渡辺議員が言われたようないろいろな不正常な面というものは、これは私どもとしても非常に心配をしておるところでございまするが、相場の乱高下あるいは取り組み高の急増などにつきましては、適時適切に証拠金の増徴をいたしたり、受託枚数及び建て玉の制限を公示させたりいたしておるところでございます。
 それから、農産物に対して、自由化さえすればよいというような考えよりも、もっと国内対策を十分にして、自給率を向上せよという御指摘でございました。
 現在、御承知のように、昨年十月に発表いたしました試案に基づきまして、安定した自給率の確保のために、各種の施策をお願いしておるような次第でございまして、今後におきましても、一そう基盤整備事業を拡充し、構造改善事業あるいは価格安定制度などを、これを十分にやることによりまして、国内農産業が安定してやれるような方向へつとめてまいりたいと思う次第でございます。
 それから、ゴルフ場の建設をはじめとする山林の乱開発について触れられたわけでございますが、森林の壊廃を伴うようなそういう開発行為、あるいは投機的な土地の売買につきましては、林野、山林等が、また雑木林等が対象になって行なわれておるという事実は否定をすることができませんので、この点につきましては、近く森林法の改正をお願いいたし、規制措置をいたしたいと思う次第でございます。(拍手)
#13
○議長(中村梅吉君) 次に、中村重光君提出、最近における買い占めなどに見られる商品投機等に関する緊急質問を許可いたします。中村重光君。
  〔中村重光君登壇〕
#14
○中村重光君 私は、日本社会党を代表して、今日きわめて深刻な問題となっておる国民の生活必需物資の異常な価格の高騰、さらには、その犯罪的な役割りを果たしている商社、大企業の不当な投機について、政府の所信をたださんとするものであります。(拍手)
 総理が、日本列島改造論を提唱してはなばなしく登場しましたとき、私たちは、日本列島総買い占めにつながるのではないかときびしく批判したところであります。半年を出ずして、この批判は的中をいたしました。
 土地開発業者に転じて数年にすぎぬ者が、軽く七億から八億の資金を投じてプロ野球球団を買い取るほど高い利益をあげ、大資本が、農業の生産手段としての採算など無視して土地買いあさりに狂奔し、いまや庶民のささやかなマイホームの夢すらかき消しているのであります。
 御承知のとおり、土地買い占めは、木材に伸び、大豆、飼料、毛糸、練糸へと投機商品の対象は広がっています。木材は約二倍、大豆はピーク時の約四倍、毛糸は約三倍等とはね上がりました。
 年収百万円前後がやっと、そうした多くの庶民にとって、しかも、わずかの内職収入すらきびしい税金が取り立てられる今日の政治のもとで、大商社が、大企業が、あり余る余剰資金をかかえて商品市場を荒らし、ささやかな生活の基盤さえむしばんでいく今日の政治の仕組みに深い疑問を投げかけ、激しい怒りをたたきつけるのは当然であります。(拍手)
 いまや、わが国の経済は、巨額の利益をあげた商社、大企業の不当投機によって、総ギャンブル化の様相を呈しているのであります。
 これらはいずれも国民生活に欠くことのできない物資であり、このような価格高騰の国民生活に及ぼす影響は、まことに甚大なものであります。近来の地価の高騰といい、いままた各種生活物資の異常騰貴といい、それは資本主義経済体制がみずからの墓穴を掘っているのだと批判しているだけでは済まされないのであります。(拍手)そこには生きた人間が生活をし、その生活が破壊されようとしている実態を見落としてはなりません。
 この際、政府は、今日の異常騰貴がわが国の将来にとって重大な問題をはらんでいることに深く思いをいたすとともに、この事態の発生を可能ならしめている大資本本位の高度成長政策の矛盾を、率直に認識することが必要であります。
 申すまでもなく、今日の国民生活物資の異常高騰の原因は、第一に、歴代保守政権による経済優先の高度成長、生産第一主義であります。加えて、米国のドル信用の失墜による国際通貨危機の招来、その中で、安易にドルの蓄積を放置し、米国に追随してきたわが国の国際通貨政策の欠如を指摘せざるを得ません。(拍手)
 さらに、さきの円切り上げ後、福祉型経済への転換を口では言いながら、何ら有効な対策をとらなかったばかりか、国内景気刺激に籍口して、事実上、調整インフレを推進したことも大きな原因の一つであります。
 こうした節度のない外貨の流入とインフレにより、商社、大企業の手元にだぶついた過剰流動性が、積年にわたり保守政権と癒着し、さらには、田中総理の日本列島改造論に拍車をかけられながら投機に使われたのであります。これら商社、大企業の企業倫理の喪失を政治献金で免罪するところに、政治の腐敗の根源があります。(拍手)
 総理は、今日の事態について責任を痛感しておられるのか。以上の指摘に反駁し得る論拠があれば承りたいのであります。
 政府は、商社、大企業の過剰流動性に着目をし、先般、預金準備率の引き上げ、商社等に対する手形買い取り限度額の設定による金融抑制の措置をとられたが、最も根本的な対処の方策から故意に目をそむけております。すなわち、来年度予算を現在提案しているような超大型インフレ予算にしておいて、区々たる技術的金融抑制措置を講じても、効果は期待できないのであります。
 根本的対策としては、来年度予算を組みかえ、インフレ抑制、国民福祉中心に抜本的に改変することが必要であります。これを除外して、他にどのような対策を樹立しても、実効は期し得ません。来年度予算の組みかえを前提として、過剰流動性対策が重要なことは当然であります。基本的には、重化学工業品から雑貨に至るまで、低福祉、低賃金をてことして、すべて輸出競争のチャンピオンになるような産業構造、貿易構造の転換促進をはかり、経済協力の推進等によって、対外経済関係の均衡のとれた姿を確立すべきであります。
 これとともに、当面、円再切り上げ等による中小零細企業あるいは農業等に対しては、特別の配慮を加えつつ、金融引き締めをはかり、特に、直接過剰流動性を吸収するために、中期債を発行するとか、対外均衡の実をあげるまでの措置として、外貨流入に伴う円のダブつきを切断するとかの方策をとる必要もあると思いますが、これらの過剰流動性対策について、総理、大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 政府・自民党は、今日の事態に対処し、買いだめ、売り惜しみ、暴利取締法の構想を打ち上げ、一転して調査、勧告、公表と、商社が痛くもかゆくもない内容に後退し、マスコミも、どたばた劇を地で行くと批判しているではありませんか。国民の生活を破壊する商社の投機による不当利潤を吐き出させなければ、立法も意味はなく、単に人気取り的な立法劇にすぎません。
 それよりも問いたいのは、政府は、何ゆえ現行法の活用、たとえば独禁法第四十条の発動、行政指導の強化等を行なわなかったのかということであります。(拍手)
 この点に対しましては、先日、商工委員会におきまして、高橋公取委員長の出席を求めて質問をいたしました。総理、この独禁法四十条の適用に対しましては、高橋公取委員長は、これは適用できないのかということに対しましては、「適用できる」、なぜにやらないのかということに対しましては、「これからやります」というのであります。私は、こうした高橋公取委員長の答弁を伺ってみましても、公正取引委員会の調査権発動に対して、政府、財界がこれを押えていると見ざるを得ないのであります。(拍手)
 わが党は、事業者の不当行為取締りに関する法律案の提出の用意があることを、この際明らかにいたしておきます。(拍手)
 なお、われわれがかねて主張している大企業の寡占価格規制の立法措置についても、総理の見解をただしておきたいと思います。
 現在、商品取引所が商社、大企業の不当投機により混乱状態におちいっておることは、先ほどの渡辺議員の指摘によるまでもなく、御承知のとおりであります。商品取引所については、数年来、大衆投資家の保護と健全な取引市場育成のため、われわれといたしましても、問題点を指摘し、その改善を要求してまいりました。しかし、現状は、商社、大企業の過剰流動性の流入により、一部上場商品を除き、取引高に占める当業者の比率が非常に低く、小豆のごときは当業者の比率わずかに七%にすぎない状態であり、過当投機を誘発し、公正価格形成の機能を発揮し得ない実情となっているのであります。この際、われわれがかねて主張している上場商品の適格性を洗い直し、商品取引所制度のあり方を根本的に検討するとともに、当面、国民生活物資については商品取引の停止を断行することが必要であります。
 また、株式市場の混乱も目をおおうものがあります。その原因は、商社、大企業の過剰流動性の流入によるものであり、株価の高騰を背景にして、大手証券会社の株価操作という証券取引法違反事件さえ起きているのであります。このような法人買いの実情は、証券の民主化、企業の民主化を阻害するものであり、事態の改善をはかることが早急に必要であります。
 以上の点について、総理、大蔵、通産、農林各大臣の所見を伺いたい。
 大豆等穀物類の価格高騰については、国際的な需給逼迫が原因の一つとなっていることも事実であります。穀物類の価格高騰は、みそ、しょうゆ、とうふ、納豆、鶏卵、肉類等にこれが反映をし、日常の消費生活に影響するところきわめて大きいものがあります。先般政府は大豆五万トンの放出を決定しましたが、その内容を見てみますと、四割に及ぶアウトサイダーのとうふ業者、消費生活協同組合には、割り当てがないことになっております。このような最も安く消費者のために供給する生活協同組合等に割り当てがないということは、まことに不当であるといわなければなりません。
 また、日常の消費生活に必要な穀物類の安定供給については、価格の安定、農業基盤の整備等を含めまして、長期的な観点から基本的な対策を樹立すべきであります。総理、農林大臣の所見を伺いたい。
 今日、高騰を続けている木材輸入の実情を見てみますと、大手商社の独占に近い形態で取引がなされているのであります。八〇%といわれます。しかも、世論の非難をよそに、ストックのための用地さがしに懸命になっているとさえ伝えられているのであります。住宅政策推進の見地から、きわめて公共性の強い木材を、価格操作も容易にし得るこのような独占体制に、このまま依存するわけにはまいりません。
 この際、私は、真に物価抑制、不当投機の絶滅を期するために、木材、大豆、飼料等、国民生活必需物資を輸入、備蓄し、安定供給、価格調整の機能を持つ公団の設立を提案するものであります。これに要する経費は、必要以上に蓄積された外貨を活用すれば足りるのであり、この公団の設立こそ、まさに福祉型経済の実現をはかる第一歩であります。
 最後に申し上げたいことがあります。
 御承知のとおり、今日の経済の混乱を起こしている最も大きな原因は、世界各国からもきびしく非難されておりますように、わが国の低賃金と長時間労働であります。政府は、通貨対策を理由に外国為替市場の土曜休日制に踏み切りましたが、事は、外国為替市場だけの問題ではありません。この際、週休二日制を全企業に実施させて、長時間労働から解放し、国際間の信用を回復する道を直ちに講ずべきであると思いますが、総理並びに労働大臣のこの点に対する見解を伺いたいのであります。
 以上、私は、数点にわたり提言をし、また、政府の有言不実行を指摘して、その無責任性を明らかにしてまいりました。しかし、独占資本主義体制の矛盾が、日本列島改造論によってさらに混乱を深め、いかに重大な結果をもたらしているかを知ろうとしない総理は、なお小手先の施策でお茶を濁そうとされるのか。私は、率直に総理に進言をしたい。このように国民生活の上で重大な失態をもたらしている今日の経済混乱の責任をとることこそ、政治家として生きる道であるということを強く主張いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(田中角榮君) 第一に、現在の木材、大豆、生糸、綿糸等の異常高騰、過剰流動性対策等に対する御質問に対してお答えを申し上げたいと存じます。
 先ほどもお答えを申し上げましたように、木材、大豆、生糸などの市況商品につきまして価格の高騰が見られることは事実でございます。これに対して政府としましては、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、関係業界への協力要請、商品取引所の規制等の措置を講じておるわけでございます。
 また、過剰流動性対策としましては、去る一月以来、預金準備率の引き上げ、土地関連融資の抑制、日本銀行の窓口指導による貸し出し抑制の強化等の措置を講じており、特に商社につきましては、大手商社等に対する日本銀行の手形買い入れ限度額制度の創設、商社向け貸し出しの抑制等の措置を実施しておることは、御承知のとおりでございます。
 なお、過剰流動性の吸収には今後とも一段と配意をし、投機的活動の排除につとめてまいりたいと考えます。
 第二は、商品取引所制度を根本的に検討し、当面、国民生活物資について取引停止等を断行せよという御発言でございますが、商品取引所制度は、商品の価格の形成、取引の公正化をはかり、商品の生産及び流通を円滑にすることを目的としておることは御承知のとおりでございます。政府としても、この目的を達成するために、従来から商品取引所の運営の健全化につとめておるのであります。
 さらに、この制度の基本的なあり方につきましては、現在産業構造審議会の場において、広く有識者を集め、調査、審議をしておるのでございますが、この結論に基づき、制度の改善をはかってまいりたいと考えます。
 また、価格騰貴の著しい商品につきましては、これまでもきびしい規制措置を講じてきておるのでありますが、今後の価格の推移によっては、他への影響を配慮しつつ、立ち会い停止の措置を含む万般の対策を機動的に講じてまいりたい、こう考えるわけでございます。
 次は、株式市場について早急に事態の改善をはかれよということでございますが、一昨年来の株式市場の状況にかんがみ、政府としては、秩序ある市場の運営という観点から、できる限り行政措置をとってまいりましたが、今後とも、公正な株価の形成を施策の重点として、国民経済の発展に寄与するような市場の育成につとめてまいりたいと考えます。
 寡占価格を規制せよという問題でございますが、政府といたしましては、自由経済体制のもとにおいて、競争維持政策を通じ、価格形成の適正化をはかることを基本とすべきであると考えております。政府が一般的に企業の価格形成等の競争条件を一そう整備することにより対処してまいりたいと考えます。
 今回の大豆、飼料、木材等の価格騰貴は、天候不順等による需給の不均衡からきた国際価格の上昇、国内需要の堅調等にその基本的な要因があると考えておるのでありますが、政府は、輸入の円滑化、政府在庫の放出、業界に対する協力要請等の措置を講じてきたことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 国民生活必需物資に対して公団をつくったらどうかということでございますが、国民生活物資についてある程度の備蓄が必要であるということは事実でございますが、このために公団が必要であるという考えには至っておりません。
 最後に、週休二日制についての問題でございますが、政府は、労働者の福祉向上をはかる見地から、従来より、その普及につとめておるところであります。経済社会基本計画におきましても、大企業の大部分が完全週休二日制に到達し、中小零細企業においてもかなりの程度週休二日制が一般化することにつとめることとしておるのでございまして、今後ともその推進につとめてまいりたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#16
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 国内の流動性の増加要因として、国際収支の黒字に伴う外為会計からの散布超過がその一因でありますことは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほど渡辺議員にお答えいたしましたように、対策といたしましては、総合的な金融政策をきめこまかく、きびしく実施することによって対処いたしたいと考える次第でございます。なぜかならば、国内の全体のマネーサプライを見ますると、圧倒的に大きい地位と役割りを占めるものは金融機関の役割りであり、貸し出しでございます。したがいまして、この点から対策を進めていくことが最も適当であると考えるわけでございます。
 なお、念のために申し上げますと、ただいまの状況は、一月から二月の財政資金と民間資金の状況を見ましても、約九千七百億円程度のいわゆる揚げ超でございます。この中には一般財政と外為、民間との収支を総合してこういう結果になっておるわけでございますが、さらに三月は、例年は払い超の月でございます。したがって、これを頭に入れましても、一月から三月の間で、大体三千億円から四千億円程度の引き揚げ超過になると見込まれております。
 かような状況でございますから、中期債というような御提案もございましたけれども、ただいまこうした新たな措置を講ずる必要はなかろうか、かように考えておる次第でございます。
 その次に、株式市場の問題でございますが、ただいま総理からお答えもございましたが、すでに大蔵省といたしましては、証券会社に対する立ち入り検査も実行をいたしておる次第でございまして、証券会社の自己売買の圧縮、信用取引の規制、そういった措置をとってきておりますが、証券業界自体としても、先月末には営業活動の自粛を申し合わせておるような次第でございます。今後とも政府といたしましては、健全な個人投資家の育成をはじめ、市場の信用向上ということについて徹底した指導行政を展開してまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#17
○国務大臣(中曽根康弘君) 産業構造転換の必要ありやなしやというお尋ねでございますが、お答えはあるということであります。
 日本の産業構造を知識集約型、福祉型の構造に転換していくという大方針を持っておるわけでございますが、最近特にこの為替変動等にもかんがみまして、発展途上国からは追い上げられておる、あるいは米国からは高級品についていろいろなまたサゼスチョンも来ておる。そういうような状況のもとにあって、繊維や雑貨や機械というようなものについては、非常な苦況がまさに来んとしておるという状態でもございます。そういう情勢にもかんがみまして、特に為替変動によって浮き沈みしなければならぬようなケミカルシューズであるとか・あるいはクリスマス電球であるとか、そういうような小企業、抵抗力のないそういう小企業等につきましては、この際思い切って産業構造の転換をやって、為替の変動によってその喫水線の中を浮き沈みするような苦難を再び受けないような構造に転換さしてあげるということが非常に重要であると思いまして、今回思い切ってやるつもりでございます。
 第二に、取引所の上場品目を洗い直せ、取引所法の改正も必要ではないか、こういうお尋ねでございますが、この点につきましては先ほどお答えいたしましたが、最近来、毛糸その他で相場が投機的に上がりましたときに、証拠金を思い切って丸代まで引き上げるとか、あるいは建て玉報告と称しまして、委託者の氏名を報告させる、こういう措置をやりました。また、情勢によっては立ち会い停止もやるぞということを警告いたしまして、部分的には鎮静に帰したものもございます。しかし、取引所法全般についていろいろ問題点もございますので、先ほど総理がお答えいたしましたように、産業構造審議会流通部会で目下検討しておりまして、その検討の結果を待ちまして、われわれは対処したいと思っておるところでございます。
 それから、寡占価格の問題でございますが、これも総理がお答えになりましたけれども、元来われわれは自由競争、自由価格の形成を中心に経済運営を考えておるものでありまして、政府の直接介入はできるだけ避けたいと思っておるところでございます。しかし価格形成が不当に、ある限度以上の不当性をもって行なわれる疑いがあるという場合には、当然独禁法を厳格に解釈して発動すべきであると思いますし、またそれが社会の常識に反するような場合には、通産省も行政指導をもってその非違を是正するようにいたしたいと思っております。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#18
○国務大臣(櫻内義雄君) 二、三補足してお答えを申し上げたいと思います。
 まず商品取引所の問題でございますが、先ほども申し上げましたとおりに、正常な活動が保たれておるということがきわめて重要なことでございます。相場の乱高下あるいは取り組み高の急増等、異常な兆候の発生が見られましたときは、適時適切に臨時増し証拠金の増徴、受託枚数及び建て玉の制限等の措置を講じさせ、市場管理に万全を期せしめておるところでございます。お話しの取り扱い商品の洗い直しであるとかあるいは取引所法の改正につきましては、産業構造審議会の答申を待って検討をするということにつきましては、総理あるいは通産大臣とともに私も同じ見地に立っておるわけでございます。
 それから、大豆の緊急対策につきまして具体的にお尋ねがございました。アウトサイダーあるいは生協への割り当てがなかったことに対する御批判でありまするが、きょう急に承りましたので、私がとっさに考えましたことは、なかなかアウトサイダーは流通経路がはっきり掌握できかねるのではないか。ただでさえ大豆が高騰をしたという原因の中には、これを所要のところに割り当てられずに、これが不必要に投機的な対象になったというようなことがあって、この流通経路をしっかりつかめるかどうかというところにアウトサイダーの割り当ては問題があると思いますが、生協への御意見につきましては、これは私、さっそく検討をさせていただきたいと思います。
 それから、農産物の長期的対策につきましては、これは渡辺議員にお答えいたしましたとおりに、昨年発表いたしております試案に基づきまして、構造改善事業、基盤整備事業、価格安定施策等を積極的に進めていく、四十八年度の予算におきましてもいろいろとお願いをしておるような次第でございます。
 お尋ねの中で、木材の問題につきましては、私も、これは非常に苦慮いたしておるのでございます。と申しますのは、国有林材の出荷の促進とか民有林材の早期出荷の要請等それぞれやってまいりましたが、しかし、何といっても国内材では需給が不均衡であります。しかし、それだからといって、現在主として輸入の相手国になっておりますところのアメリカはどうかというと、非常に需給が逼迫をしておりまして、なかなか思うように出してもらえない、こういう現状にございます。この間うちエバリー氏などが参りましたときに話し合いましたが、その際に、ひとつ日本も丸太でなく製材で受けるようにしてくれと言われましたが、その製材がまた寸法が合わないというようなことがございまするので、これからは木材の問題については、代替品を活用するとか、あるいはカナダとかソ連とかインドネシア等の輸入を促進するとか、さらには、開発輸入の方式などを考えながら、何とかこの木材の問題に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
 なお、木材、大豆、飼料等につきまして、その輸入や備蓄をするところの公団をつくったらばどうかという御意見をちょうだいいたしました。私も、これは検討する価値のある御構想であるといろふうに承ったのでございまするが、よく研究をさしていただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣加藤常太郎君登壇〕
#19
○国務大臣(加藤常太郎君) 週休二日制の問題は、総理からもお答えいたしましたが、この問題は労働省としても従来から、労働者の福祉の向上のためにこの推進に大いに努力してきました。そのために特に関係閣僚懇談会も設けまして、これにほんとうに熱意をもって取り組んでおります。この問題は世界の趨勢でもありますし、私としては、労使がよく話し合って、そして、できるだけ早くこれが実施に進むように努力いたす所存であります。(拍手)
#20
○議長(中村梅吉君) 次に、小林政子君提出、商品投機など最近の異常な物価高騰に関する緊急質問を許可いたします。小林政子君。
  〔小林政子君登壇〕
#21
○小林政子君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、今日重大な政治問題とさえなっている物価の異常な急騰に対し、総理並びに関係閣僚に緊急質問をいたします。(拍手)
 第一に、現在まず最も重視しなければならないのは、いまの物価急騰が、米、大豆、小豆、木材、生糸、羊毛など、いずれも国民の日常生活必需品を中心としており、しかも、それが大商社をはじめとする大企業の投機を目的とした買い占めによって引き起こされているという事実であります。
 現に、国民の主食である一部の銘柄米やモチ米の品薄が伝えられるや、モチ米の価格はたちまち五割から六割も急騰し、その最大の原因が、自主流通米代行買い付けという隠れみのをかぶった大商社のモチ米買い占めにあることは、もうきわめて明白であります。これが、やがて米全体に波及する危険さえあるのであります。
 また、木材も、通常の在庫量と先行き輸入見通しも当時ある中で、市場価格が二倍から三倍にはね上がったのは、アメリカの林業大資本と輸入のほぼ四分の三を占める大手商社の投機の合作によって引き起されたものであります。
 さらに、大豆に例をとってみても、四十七年の年間輸入量は、前年を十八万トン、また国内消費見込みをも約十四万トン上回っており、需給関係では例年に比べて何ら変化はないのであります。また、かりに国際相場の値上がりを考慮したとしても、大商社の輸入価格は、十二月到着分はすでに昨年九月、十月ごろに契約したものであり、シカゴ相場トン当たり四万円以下の大豆が、国内価格では一挙に二十万円以上に暴騰した理由の説明には何らならないのであります。
 したがって、需給関係や輸入価格の面から見ても、今日の異常な生活必需物資の暴騰は、資金力にものをいわせ、輸入物資の大半を押えている大商社の買い占め、ストック操作によってもたらされたものであることは、だれの目にも明らかであります。(拍手)
 大商社、大企業が、このように投機を目当てに生活必需物資の買い占めを行ない、暴利をむさぼっていることは、憲法が保障している国民の生活権と公共の福祉を守る立場から絶対に許すことのできない反社会的行為といわなければなりません。(拍手)
 同時に、こうした大企業の行為を、自由経済体制という口実で今日まで野放しにしてきた政府みずからの責任をどう考えているのか、また、総理は、今日の事態に至ってもなお大企業のこのような反社会的行為が、自由経済体制という名で許されると考えているのかどうか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 わが党は、こうした投機による価格の暴騰を押えるため、米については物価統制令の適用を直ちに復活し、食糧管理制度を改善するとともに、日常生活にかかわりを持つその他の重要物資に対して、投機を目的にした買い占めを防止し、価格規制がとれることを目的にした臨時的な立法措置を直ちに行なうことを強く主張するものであります。(拍手)
 この臨時立法の内容としては、
 一、生活必需物資の価格動向に応じて、必要な場合、一定基準以上の商社、卸売り業者に対して、それら物資の売買に関する数量、価格、在庫の状況を一定の期間、毎週主務官庁に報告させること。
 第二に、主務官庁に立ち入り調査のできる権限を持たせ、調査結果を公表させること。
 第三に、輸入価格、生産者価格を著しく上回る価格の急騰に対しては、主務大臣の命令によって、急騰前の価格で販売させ、また、在庫品を放出させること。
 第四に、これに従わない場合には、罰則を課すること。
 以上のようなきびしい規制を行なうことが必要であります。(拍手)このような内容の立法措置を直ちに行なう考えがあるかどうか。また、米に対する物統令の適用を復活し、食管制度を改善するかどうか、総理並びに関係各大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 第二に、今日の異常な物価高騰について、依然として重視しなければならないことは、鉄鋼をはじめ、大企業がその製品価格を不当につり上げている問題がその基礎にあることであります。すでに鋼材の市中相場は、昨年初めからことしにかけて、ほぼ三割から八割近くも大幅に値上がりをしているのであります。このため、鋼材を必要とする多くの中小業者は深刻な打撃を受けております。
 この鋼材暴騰の最大の原因が、一昨年十二月から昨年十二月まで実施された不況カルテルにあることは、総理も認めているとおりであります。しかも、この鉄鋼の不況カルテルは、独占禁止法によってもとうてい認められるものではなかったにもかかわらず、総理が通産大臣であった一昨年十一月、大鉄鋼資本の意向を受けた通産省がみずから提唱し、これを公正取引委員会に認可させたものにほかなりません。この問題での政府の責任、とりわけ田中総理の責任がきわめて重大であることは今日もはや明白であります。総理は、この責任をどのように反省しているのか、お伺いをいたします。
 さらに、鉄鋼は、昨年十二月末で不況カルテルの期限が終了したにもかかわらず、通産省はなおガイドポストと称して、事実上の生産販売調整を指導し、鋼材が小口需要者へ渡るのを事実上制限をして、市中相場の暴騰をさらに促進させているのが実情であります。また、鉄鋼大メーカーが公開販売制度という名で、事実上のカルテルを維持していることも全く野放しにしております。総理は、独占禁止法の厳正な運用によって不当な価格形成は排除すると何回も言明をしてきましたが、実際には何ら排除されておらないのであります。
 このように不況カルテルをはじめとする大企業のカルテルが、物価つり上げの大きな原因であることがもはや明白になっている以上、現行の独占禁止法から、さしあたり大企業の不況カルテルを認める条項を削除し、大企業が行なう一切の不況カルテルにまぎらわしい行為をはっきり禁止する条項を盛り込むなど、独占禁止法の改正を行なうべきだと考えます。(拍手)総理並びに通産大臣の具体的な答弁を求めます。
 また、こうした製品の価格つり上げ、さらには投機による商品や土地の価格暴騰など、大企業のふるまいは全く横暴をきわめております。政府及び国会が、これら大企業の反社会的な行為を全面的にきびしく取り締まる措置をとることは、今日、国民の生活権を守るために緊要なこととなっております。
 そのため、わが党が以前から提唱してきた、国会に大企業の価格つり上げや投機の実態を調査する委員会を設け、この調査に基づき、政府が価格規制の措置をとることをいま直ちに実施すべきだと、強くこのことを主張するものでございます。(拍手)
 第三に重要なことは、すでに指摘した大商社などを中心とした投機が、自民党政府の進めてきたインフレ的な財政金融政策によってつくり出された過剰資金を利用して行なわれているという事実であります。したがって、政府のインフレ政策の中止こそが、問題を根本的に解決するためきわめて重要になっていることでございます。
 昨年十一月現在の現金通貨と預金通貨の供給額は約三十一兆円に達しており、わずか一年間に五兆八千億円、約二三%も増加しております。ところが、昨年の実質国民総生産は九・二%の増加であり、明らかに通貨の供給が経済規模の拡大をはるかに上回っているのであります。
 このようにして、大企業のもとに蓄積された膨大な資金が投機に向けられ、そして、多くの国民はこれによる異常な物価上昇に苦しめられているのであります。インフレーションが急激に悪性化していることはきわめて明白であるといわざるを得ません。
 この原因の一つは、ドルの流入に伴い外為会計からの円の供給が、昨年及び一昨年を合わせて約六兆一千億円にものぼったにもかかわらず、政府及び日本銀行が、これを吸収する措置をほとんどとってこなかったばかりか、むしろ日本銀行の貸し出しを、昨年は一昨年に比べ一兆四千四百億円もふやすなど、大企業に対し、一そう豊富に資金を供給し続けたからにほかなりません。
 しかも、つい最近に至って、政府は、国民の世論に押され、預金準備率の引き上げ、融資の規制など若干の措置をとらざるを得なくなっていますが、預金準備率の引き上げはわずかに〇・五%、約三千億円の資金を吸収するにすぎません。全く微温的といわなければならないと思います。
 したがって、わが党は、市中銀行に対する預金準備率を、少なくとも数兆円と見られる過剰資金を十分吸収できる程度に引き上げるとともに、大商社、大不動産業などに対する融資をさらにきびしく規制すべきであると考えます。この点に対する総理並びに大蔵大臣の見解を求めます。(拍手)
 また、大企業のかかえている過剰資金を吸収する抜本的な措置は、大企業に対する特権的減免税をやめ、法人税を累進課税にして、法人所得十億円以上の法人税率を四三%まで引き上げること、土地や株式の売買益に対しては、大幅な課税を実施することであります。総理はこれを実行する意思があるかどうか、あわせてお伺いをするものであります。(拍手)
 インフレ促進のもう一つの問題は政府の財政政策であります。今年度予算に続き、いま審議している来年度予算も、二兆三千億円をこえる長期国債の発行によって予算規模を急激に膨張させており、まさに典型的なインフレ予算になっております。これが今日のインフレを天井知らずに高進させてしまうことは、もはやだれも否定できません。すでに円の事実上の大幅な切り上げにより、来年度予算の編成の前提が大きくくずれていることとあわせ、いま急激に悪性化しつつあるインフレを早急に防止し、国民にとってきわめて緊急で切実な課題を実現するために、長期国債の発行を全面的に中止し、軍事費と日本列島改造関係への予算支出を徹底的に削減し、予算を再検討すべきであると考えますが、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めるものであります。(拍手)
 以上、今日の物価急騰の問題の解決は、国民に対して政治が負っている最も重要で緊急の課題であります。そして、こうした事態を生み出した根源が、自民党政府の大企業本位の経済政策にあることも、もはや明白であります。私は、こうした政策を全面的に転換し、国民生活優先の経済政策を確立することこそ、問題を根本的に解決する道であることを最後に強く主張して、日本共産党・革新共同を代表しての質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(田中角榮君) 第一に、生活関連重要物資の急騰は、大商社、大企業の投機を目的とした買い占め等によるものではないか、その実態を明らかにせよという問題でございますが、最近、世界的な農産物の不作、需要の動きなどによりまして、大豆、木材等国民生活に密接に関連を有する物資の価格が高騰しておりますことは事実でございます。政府といたしましても、できる限り実態の調査を行ない、必要な対策を実施してまいりたいと考えます。
 第二は、大商社などの反社会的行為を、自由経済体制という口実で放置をしておくのかという問題でございますが、わが国は、これまで自由経済体制のもとで、世界にもまれな経済成長を遂げ、その結果、国民の生活水準は著しく向上してまいったことは事実であります。今後も自由経済体制をとってまいりますが、かりに公共の福祉をそこなうような反社会的行為があったときには、必要な措置を講じて、経済運営に遺漏なきを期してまいりたいと考えます。
 第三は、米に対する物統令の適用を復活せよ、重要物資に対する投機を取り締まる臨時措置の立法化をせよという問題でございますが、米の販売価格に対する物価統制令の適用を廃止をいたしましたのは、良質米に対する消費者の需要が強まっている中で、米の品質に応じた価格形成を進めるとともに、良質米の供給の増大をはかるためでございまして、物統令を復活することは考えておりません。
 なお、生活関連物資についての当面の対策としては、先ほど申し上げましたとおり、緊急輸入の促進とか、政府在庫の放出とか、諸般の措置を講じてまいります。しかも、立法に対しましては、これらの行政措置を補完するための措置として、早急に検討を進めておる次第でございます。
 独禁法を改正し、不況カルテル条項を削除せよとの趣旨の御発言がございましたが、不況カルテルは、需給の不均衡がはなはだしく明らかにコスト割れの事態におちいった場合に、緊急避難的措置として必要最小限に認められるものであります。経済の安定をはかるため、不況カルテル条項は必要であります。また、不況カルテルについての認可を受けないで不況カルテルにまぎらわしい行為を行なう場合には、現行独禁法により規制ができることは御承知のとおりでございます。
 過剰資金の吸収対策、または金融、予算等についての御発言がございましたが、過剰流動性を是正するため、すでに預金準備率の引き上げを行なったほか、特に大手商社等に対する融資については、きびしく規制しておりますことは、間々申し上げておるとおりでございます。
 なお、四十八年度予算についてお触れになりました防衛関係費や国土総合開発関係費についてでございますが、防衛関係費は、さきに国防会議の議を経て決定をした四次防計画に基づき、効率的な防衛力の整備につとめることとなし、必要最小限度の額を計上したものであります。また、国土総合開発関係費につきましては、内閣の重点施策として、その推進をはかっておるところでありますので、いずれの経費についても、その削減を行なうつもりはありません。
 以上。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#23
○国務大臣(小坂善太郎君) 私を名ざして特に御質問がなかったものでありますから、すでに総理のお答えになったことで、大体私がお答え申し上げることは尽きておるように思いますけれども、せっかくでございますから一言申し上げたいと思います。
 最近、世界的な農産物の不作がございますし、そこへ投機的な需要が出まして、大豆、木材、羊毛、綿糸あるいは生糸といった国民生活に非常に密着した物資が上がっておりますことは、はなはだ遺憾に存じておりまして、これが対策といたしましては、すでに総理がお述べになりましたような対策をいろいろ講じておるわけでございます。
 ことに、過剰流動性の問題に対しましては、先般来、預金準備率を日銀を通じて引き上げましたのをはじめ、その他、日銀の窓口指導あるいは日銀の手形買い入れ限度の設定、これは貿易商社の大口の手形について、買い入れ限度を設定したわけでございますが、その他、土地に対する融資を規制したり、いろいろやっておるわけでございます。
 なお、こういうことが行なわれまする半面、通産、農林当局によって行政指導を強化してもらう。そして、もし、この行政指導によって足りないところがあれば、補完的な立法をしてはどうかというようなことを考えておりまするが、これは、関係の方面のいろいろな御意見を聞いて、適切なる立法措置を講じてまいりたい。政府がやるがいいか、あるいは国会の各党の皆さんがおやりになるのがいいか、そういうことも含めて御検討をいただきたい、こう考えておりまするわけでございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 私に対する御質問も、総理が二点にわたってお答えでございまして、蛇足を加える必要はないと思いますが、特定物資、投機物資等に対する価格規制の立法が必要ではないかという点につきましては、目下、自民党におきまして、いろいろ検討されておるところで、通産省としてはいろいろ資料を提供しておりますが、私見によれば、報告を徴し、調査を行ないあるいは勧告を行なう、こういう程度のことは、政府としてそういうことを行なうということは、私はいいのではないかと思っております。しかし、これはあくまで行政指導を補完する立法として考えられておるのであります。やはり、公共の利益に反する自由の乱用を規制する必要はありますが、思想でも商売でも、自由までを規制する必要はない、そう考えております。(拍手)
 それからカルテルの問題につきましては、総理がお答えになったとおりでございます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#25
○国務大臣(愛知揆一君) お答え申し上げます。
 準備率の再引き上げは、きわめてすみやかな機会に実施されるはずでございます。
 それから、法人税負担の将来のあり方については、福祉充実のための財政需要が増大いたしますから、将来の問題としては、負担は上げていくべきであると思いますが、四十八年度においては、税率の問題よりは、課税所得の拡大をはかるということに重点を置きましたことは、累次申し上げておるとおりでございます。
 公債につきましては、景気調整政策の見地からだけではなくて、公私両部門の資源の適正な配分をはかるために、この際、民間資金を活用して、社会資本整備を推進するということがきわめて大切であると考えまして、建設公債市中消化の原則を堅持して、適切な運営を進めていきたいと思っております。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#26
○国務大臣(櫻内義雄君) 大豆について御指摘がございました。たいへん投機対象となったということは、まことに遺憾ですが、御指摘のように、輸入量について昨年度と申しますか、四十六年度と四十七年度を比較して一つも減っておらぬじゃないか、こういう御指摘、これはたいへんごもっともなんですが、しかし、一つ御説明を申し上げておく必要があるのであります。
 それは、大豆は搾油用のものと食品用のものとがございます。その食品用のものにつきまして、アメリカの五大湖付近が降雪が早くて、これがなかなか出荷ができない。また、中国ものが輸入がおくれた、こういうことで中国につきましては糧油公司にお願いをして協力を得た。また、飼料に非常に影響があることでございましたが、製油業界の協力を得て手持ち五万トンの放出をして、未選別のものであるが、これをやむなく、とうふ、みそ、しょうゆ等に使ってもらった、こういうことであります。
 それから、物統令についての御意見を承りました。すでに総理からお答えのとおりでございますが、現在、食管法に基づいて、物量的にも制度的にも、米の流通を支配しておるところでございまして、全体としての米価水準を適正に維持しておるところでございまするから、食管法の改正については考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(中村梅吉君) 次に、有島重武君提出、商品投機など物価急騰に関する緊急質問を許可いたします。有島重武君。
  〔有島重武君登壇〕
#28
○有島重武君 このところ、土地や株式の投機、思惑買いがますます過激になりまして、これが今日では、木材、大豆、生糸、綿糸、羊毛、銘柄米などの生活必需物資にまで拡大し、ちまたでは、投機社会ということばすら出ているほどの様相を呈しております。
 こうした中で、国民生活が甚大な被害を受けて、日々の家計は脅威にさらされております。
  〔議長退席、副議長着席〕
大豆の相場が暴騰すると、とうふが一丁十円、二十円と値上がりになりました。木材の急騰で、せっかくのマイホームの夢がくずれました。また、綿糸高騰から、医療用ガーゼが底をついて、大病院まで手術ピンチにおちいりました。さらには、米の買い占めがうわさされるなど、全くのゆゆしき事態に立ち至っているのであります。
 私は、公明党を代表いたしまして、大商社を中心とする大企業の投機行為が大きな社会不安をつくり出しているという今日の異常事態に対し、政府の責任と、その責任の上に立っての対応策について、総理並びに関係大臣の見解をお伺いいたします。(拍手)
 まずただしておきたいのは、現在のような状態におちいっている原因がどこにあるかということであります。
 今日の異常事態は、直接的には許しがたい大商社などの投機行為にあるとしても、その基盤がどこにあったのか。それは、池田内閣以来の自民党政府のインフレ政策、ざらに、それに輪をかけた現田中内閣のインフレ政策にあると断言せざるを得ません。(拍手)
 総理、あなたが長い年月をかけて、金や貯蓄に対する国民の信頼を失なわしめたのであります。金を物にかえる機運が充満して、投機の基盤をつくってこられたのであります。そうして、こうした機運の上に、外貨流入によるだぶつき資金、いわゆる過剰流動性が、政府の無策のままに、インフレ期待から土地、株式、さらには木材、大豆へと投機の手を広げていったというのがその実態であります。
 識者の警告にもかかわらず、また、たび重なるわが党の提言にもかかわらず、政府は、ついにインフレ抑制の根本対策を何ら行ないませんでした。予見されていた過剰流動性を防ぎとどめる努力を何ら行なわなかったのであります。結局、国民生活を大商社などの食いものにしてしまったのは、政府の責任であるといわなければならないのであります。この責任をどう受けとめられるのか、政府の責任の所在を明確にすべきだと思いますが、政府の御見解を伺いたいと存じます。
 あわせて、当面している過剰流動性をどのように吸収していくのか、また、その効果がどのように期待できるのか、どのように期待できると確信するのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
 政府は、ことし二月に入って、初めて投機の規制に行動を起こしたのでありますが、政府が根本的な問題にメスを入れないで、現象面だけの糊塗的対策に終わることは断じて許されないのであります。
 商社の首脳たちが何と言っているか、「政府が紙幣を乱発して、お金の価値が下がっているときに、企業が自衛策として株や土地に走ったってこれはしようがないじゃないか、政府としてはそれを批判できないはずだ」、こう言っています。また、政府与党の内部ですら、「十四兆円ものインフレ予算を組んでおきながら、流動性がどうのこうのといったってしようがない」というような批判が出ております。政府は、これに対してはっきりと答えてもらいたいと思うのであります。そうして、政府の商社などに対する投機規制の構想をいつ国会へ提出するのか、これも伺っておきたいのであります。
 総理は、当初、物価統制令を適用したいとまでの強い姿勢を示されたのでありますけれども、報ぜられるところによりますと、日に日に後退の色を濃くしております。私は、物価統制令の適用は可能であると信じております。したがいまして、新規立法は当然のこと、不当な利益を意図する売り惜しみ、買い占めには、立ち入り検査をはじめ、生活必需物資に関する場合には、強制的にこれを放出せしめるというような事項を織り込んでしかるべきである。また、暴利をむさぼろうというものに対しては、きびしい罰則の適用をも準備すべきであると思いますが、政府のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 こうして質問をしております間にも、投機活動が進んでいることであります。政府は、いつ国会へ提出する予定か、これをまずお示しいただきたい。
 特別立法に関連いたしまして、政府、自民党の内部では、自由経済のたてまえから、きびしい取り締まりは憲法上の疑義があるとの論があると報ぜられておりますけれども、私は、憲法で営業の自由が保障されているとは申せ、そこには、おのずと企業の社会的責任が存在する。その意味でも、営業の自由とはいえ、公共の福祉に反しないこと、これが前提となっていると思うのであります。いかに自由経済のたてまえをとるとはいえ、営業の自由が認められるとはいっても、そこには、おのずと守るべき倫理と道徳がなければなりません。金もうけのためにはすべてが自由であるというのであれば、秩序も何もあったものではありません。
 昨年、四十七年十一月二十二日の最高裁判決の中で、営業の自由に関連して、次のような記述がございます。
 「憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。このような点を総合的に考察すると、憲法は、国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定しているものということができ、個人の経済活動の自由に関する限り、個人の精神的自由等に関する場合と異なって、右社会経済政策の実施の一手段として、これに一定の合理的規制措置を講ずることは、もともと、憲法が予定し、かつ、許容するところと解するのが相当であり、国は、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、もって社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るために、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることも、許されるべきであって、決して、憲法の禁ずるところではないと解すべきである。」こう記述があるのであります。
 総理は、この最高裁の判決を現状と照らしてどのようにお受けとめになるか、御所見を承りたいのであります。
 したがいまして、商社に対してきびしい規制をしていくことを要求したいと思うものでありますが、基本的な御見解をお伺いいたします。
 次に、商品価格が急騰しております今日におきまして、商品取引所制度の有する機能が正常な商品価格の形成にどれだけ役に立っておるのか、機能そのものもはたして存在しているのかどうか、これについて総理並びに関係大臣にお尋ねしておきたい。
 申すまでもなく、商品取引所の機能として、需給や経済情勢、国際情勢などを反映した適正価格の形成、地域的、時間的な相場の凹凸を是正するという平準化作用、あるいは売りつなぎ、買いつなぎなど価格変動に対する保険作用などがあるわけでございますけれども、あまりにも激しい現物価格の暴騰は、これらの機能をものみ込んでしまって、商品取引所の存在価値すらもいま云々されている現状であります。
 政府は、毛糸相場の急騰に対して、通常四万円の証拠金に加えて、臨時割り増し証拠金一枚につき七十万円として、相場の鎮静化をはかって、一応の効果を見たのでありますが、この種の措置だけで、この過熱した投機相場を鎮静することが将来ともできると考えておるのか、総じて、商品取引所制度は現状のままでよいと考えておられるのか、これらに対して伺っておきたいのであります。
 最後に、政府が今日の過剰流動性について全面的に金融政策に依存していることと関連いたしまして、日銀法の改正についてお伺いしておきます。
 さきにも述べましたように、私は、今日の過剰流動性を吸収するためには、政府の財政金融政策にわたって、インフレ抑制、これがきわめて緊要であると思いますけれども、今日では、日銀に多くを期待せざるを得ない状態になっております。しかしながら、現在の日銀は、政府の出先機関のごとく、あるいは政府の代言人のような存在に成り下がっておる面もあるのであります。それが現在のインフレ経済を助長することにもなっているのであります。
 私は、日本銀行の中立性、独自性、これを維持するたてまえから、これを保障する日銀法の改正が必要ではないか、このように考えるものであります。日銀法の改正は何回か論議がかわされてまいったのでございますけれども、この際、インフレ抑制の政府の姿勢を示す意味からも、政府の決断が必要であると思いますが、政府のお考えをお伺いいたします。
 なお、政府は大企業の法人税、高額所得者の課税強化、特に大企業の法人税は、直ちに四〇%程度まで引き上げるべきだと考えますけれども、あわせて御答弁をお願いしておきます。
 以上で質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(田中角榮君) 今日の異常事態に対する対策、過剰流動性吸収のための具体策、これについてまず申し上げます。
 先ほどから申し上げておりますとおり、木材、大豆、繊維などの市況商品につきまして、価格の高騰が見られることは事実でございます。これに対して、政府としては、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、関係業界の協力要請、商品取引所の規制等の措置を講じてまいったわけでございます。
 また、過剰流動性対策といたしましては、去る一月以来預金準備率の引き上げ、土地関連融資の抑制、日本銀行の窓口指導による貸し出し抑制の強化等の措置を講じており、特に商社については、大手商社等に対する日本銀行の手形買い入れ限度額制度の創設、商社向け貸し出しの抑制等の措置を実施しておるのでございます。
 これら諸般の措置の効果は、次第に浸透していくものと考えておりますが、過剰流動性の吸収には今後とも一段と配慮をし、投機的活動の排除につとめてまいりたいと考えます。
 商社などの投機行為を徹底的に取り締まるべし、特別立法はつくるのかという趣旨の御発言に対しましては、政府としましては、現在の事態に対しては、基本的には行政的措置で対処する考えでございますが、これを補完するための立法措置は、各方面の御意見を聞きながら、現に検討を続けておるのでございます。
 それから、法人の企業活動、商行為その他に対しての、自由との問題に対しての言及がございましたが、企業活動の自由が確保されなければならないことは当然であります。が、しかし、反社会的な行為が許されるものでないこともまたあたりまえのことだと思うのでございます。正常な商行為が行なわれるよう、政府は適時適切なる措置を講じてまいりたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#30
○国務大臣(愛知揆一君) 日本銀行は、中央銀行として十分にその自主性を保ち、機能を発揮しておると考える次第でございます。今日の、なかなかむずかしい金融政策の時期でございますが、十分にその使命にこたえていると感じております。したがいまして、ただいま特に日本銀行法の改正を取り急ぐというような必要は考えておりません。
 ただ、中央銀行としての日本銀行はいかにあるべきか。制度の問題として、恒久的な問題として、常に研究を怠るべきではないと考えております。
 それから次に、租税の重課についての御意見がございましたが、法人税については、累次申し上げておるとおりでございます。所得税につきましては、累進税率によって、高額所得者に対して、ずいぶん現在重課されておるわけでございまして、たとえば八千万円超の所得に対しましては、七五%の税率が課せられておるわけでございます。こうした税率の構造は、国際的に見ましても、相当の累進税の強いものでございまして、この最高税率をさらに引き上げるということについては、なお慎重に検討の必要があるのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#31
○国務大臣(中曽根康弘君) 商品取引所の機能を再検討せよということでございますが、お説のとおり、取引所は価格形成の安定のためにあり、取引の円滑化及び保険担保の意味もあるわけでございます。しかし、最近ややもすれば、この取引所が投機の場所あるいはかけの場所という方向に動く傾向があり、世間からもそう見られておることは、非常に遺憾なことであります。
 政府としては、とりあえずの措置として、いままで申し上げましたように、最近特に建て玉報告ということをやりまして、委託者、つまり買った人の氏名を報告させておるわけであります。そういうこととか、あるいは情勢によっては立ち会い停止もやるぞということで、最近、毛糸その他が鎮静してきておりますけれども、私は、やはり大衆の保護、及び一面においてはまた、いまのような経済の需給安定、取引の円滑化という両面を兼ねて、取引所というものは考えなければならぬと思っております。
 これが単なる射幸心をそそる場所になるならば、法も改正しなければなりませんし、第一、競馬や競輪みたいに相当納付金も納めなければならぬ筋のものであります。
 そういうものではなくして、国民経済の安定的発展のために、取引所はあるのでありますから、そういう本来の機能をますます発揮させるために、われわれは指導していくべきものであると考えて、取引所を廃止したり、閉鎖するという考えには、私は反対であります。
 やはり、欧米におきますように、商品取引というものは、大体、実需を中心にして、そして長期にわたる価格のヘッジという作用を行なって、これが資本主義の発展に非常に貢献しておるところであります。日本も資本主義が健全に発展していくためには、商品取引所の機能が正常化して、これがますます活発化していくということが非常に重要であると思っておるのです。
 しかし、遺憾ながら、これがいまそういう投機の場所のように受け取られているということは、日本の資本主義発展のためにも遺憾なところでありまして、これを正しい取引所として、活発に、また正常化した発展を行なうように、私たちは指導していきたいと思っております。
 そのために、現在産業構造審議会において流通部会をつくって、いろいろ検討してもらっておりますが、その検討の結果をまって、私たちは対処していくつもりでおります。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#32
○国務大臣(櫻内義雄君) 通産大臣の答弁と重複するようでございますが、大事なことでありますので、私からもお答えをいたします。
 商品取引所が正常な活動をしておるかどうかということについて、たいへん御心配をいただきました。先ほどから申し上げておるとおりに、異常な徴候の発生が見られますれば、適時適切に臨時増し証拠金の増徴、受託枚数及び建て玉の制限等の措置により、市場管理に万全を期せしめておる次第でございます。
 なお、商品取引所法についての御意見については、通産大臣の言われたとおりでございますが、産業構造審議会で検討中でございますが、答申があれば、商品取引所審議会の意見を尊重しながら、なお、農林省としては通産省と十分連携をとって進めてまいりたい、かように思います。(拍手)
  〔国務大臣田中伊三次君登壇〕
#33
○国務大臣(田中伊三次君) 私に対する御質問は、暴利には処罰をせよという御意見でありまして、暴利に対しましては厳重処罰をすることに賛成でございます。
 ただ問題は、新たな処罰法をつくる必要があるのか、現行法はどういうことになっておるかということを考える必要がございます。
 まず、昨今問題になっておるようなものを取り締まるための現行の法律といたしましては、先ほどから改正が論議されております商品取引所法、それから証券取引法、食糧管理法、それから、勅令ではございますが物統令、このうち、御質問の暴利に関しますもので直接の関係の深いものは物統令でございます。これは昭和二十一年に勅令として出されたものでありますが、昭和二十七年の法律八十八号によりまして法律としての資格を与えておるのが、この物統令でございます。
 この物統令によりますと、不当に高い価格をもって物を販売して暴利をむさぼった者に対しましては、最高、体刑懲役十年、罰金刑につきましては十万円以下の処置をすることとなっております。それから、さらに重要な点は、買い占め、売り惜しみをいたしました場合には、最高は体刑五年、それから罰金は五万円以下という規定となっておりますので、これらの規定を活用すれば取り締まりは十分である、新たなる罰則の制定は必要はない、これが意見でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(秋田大助君) 次に、玉置一徳君提出、商品投機・異常な物価高騰に関する緊急質問を許可いたします。玉置一徳君。
  〔玉置一徳君登壇〕
#35
○玉置一徳君 私は、民社党を代表いたしまして、現下最大の社会問題である商品投機の問題について、政府の所見をただしたいと思います。(拍手)
 昨年十一月、旺盛な国内需要にささえられた木材価格は、海外原料の先高見込みを織りまぜまして、突如、前月比八割高という異常な高騰を見せ、翌十二月には、前年比十割高という高値をつけたのであります。これにつられまして、十二月には大豆、もち米、生糸、羊毛、鉄鋼、綿糸布に至るまで異常な値上がりを見せ、一月、二月にいずれも最高潮を示すに至り、かくて、一般国民は生活に大きな脅威を受け、二次加工業者は操業を停止するのやむなきに至りました。現下最大の社会問題に発展してきたのであります。
 今次の異常な物価騰貴は、そのいずれもが、海外のインフレによる品物の先高見込みや、あるいは気象条件によります農産物の不作とか流通経路の未整備など、そのほかに旺盛な国内需要など、それぞれの原因のあることは事実でございますけれども、年間総需要と供給にさしたる過不足もないのに、売り惜しみ、買いだめのため仮需要のみ旺盛でありまして、十一月から十二月、一月、二月にかけて、類は類を呼び、片っ端から価格のつり上げを行なってきたのであります。その陰に銀行の資金をバックにした大商社の暗躍が、国民大衆の脳裏にいやというほど焼きつけられ、いやが上にもその憤激を高めてまいったのであります。
 前回、円の切り上げに対処するため、政府は、公定歩合を引き下げ、市中の金融を緩慢にし、国内需要を喚起する政策をとったのであります。加えて、十四兆二千八百億円という思い切った大型予算を編成し、景気刺激策をとったということが、九十億ドルにのぼるという、円切り上げ直後の年としては予想を越えた輸出超過と相まちまして、いわゆる余剰流動性のはんらんを招来したのであります。これが今回の異常なまでに過熱した商品投機の悪の背景であり、その温床であります。
 インフレ基調にございましたわが国の経済は、さきの総選挙の景気のよい与党・自民党の積極政策の声に力を得て、完全に悪性インフレの軌道に乗ったものと国民の目には映り、金より物に関心が移っていったのであります。かくて、国内にたまり過ぎた余剰流動性は、そのはけ口を土地と株式に見出し、不動産会社といわず、大商社、銀行までが、恥も外聞もなぐ、その資金の動員力にものを言わせ、日本じゅうの土地を買いあさったのでありますが、ようやくにして国民世論の反撃が高まり、土地規制の機運が熟するとともに、うまみがないという見込みで、反転して商品投機になだれ込んで、国民大衆の生活の破壊に目もくれず、利潤の追求に強者の力をいかんなく発揮して、あれよあれよという間に手当たり次第に物価をつり上げ、縦横無尽にあばれまくったのであります。
 これが資本主義のたてまえだとばかりのしぐさ、法律に違反しなければ何をしてもいいというやり方は、今日ではもはや通用いたしません。企業はすべて国民に奉仕する社会的責任を持つべきであります。この調子で日本品海外進出の先兵としてあばれられたら、世界各国の非難と反撃を受けるのも、むしろ当然であります。政府も国会も、よほど腰を据えてかからなければならないと思います。(拍手)
 そこで、総理にお伺いをいたしたい。
 今次の商品投機による異常な物価高の現出について、政府の施策の誤りはなかったかどうか。どのように反省しておいでになるか。
 次に、今次の投機の問題を徹底的に解決して、今後二度とこのような事態の起きないよう十分な対策を講じ、国民大衆の暮らしを守るために、総理はどのような決意をお持ちになっておるか。なお、その際、将来とも、さきに政府から示された本年度の消費者物価上昇目標でございます五・五%を守り抜く決意ありやいなや、明確にお答えをいただきたいのであります。
 さらに、わが党は、さきに、かかる事態に対処し、買いだめ、売り惜しみなど反社会的行為を規制するための特別立法のすみやかな制定を政府に申し入れ、これが立法の成立に協力する用意があることを表明してきたのでありますが、政府にその用意ありやいなや。その内容として、先進各国の例に見るごとく、この種反社会的行為に対しては厳罰をもって臨むことが必要であろうと思うけれども、御所見はいかん。
 なお、事前にこの種行為を防止するため、立ち入り調査権を持った専門の物価調査官、いわば物価Gメンともいうものを常時設置することが望ましいと思われるが、御所見をあわせて承りたいのであります。
 さらに、今次商品投機の経験にかんがみまして、商社がその巨大な資金動員力でもって反社会的な商行為をやりますことをどのようにして規制するか。また、平時にあっても、中小企業が不本意にその資金力のために買収されることがあるのをどう防ぐか。あるいは資金力の相違による不当な競争等をどのように排除するか。いわゆる商社業法の立法化を検討する時期に来ておると思われますが、総理並びに所管大臣の御所見を承りたいと思います。
 次に、商品取引について通産、農林大臣にお伺いしたいのでありますが、今回の異常な価格の暴騰を来たした大豆、モチ米、生糸、飼料、木材並びに鉄鋼、羊毛、綿糸布は、どのような手を尽くすことによって、いつごろ、どの程度まで価格に下げられると思うか、この際、できるだけ詳しく国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 なお、公正取引委員会は、今次の事態にどのように対処しておられるのか。独禁法の改正をすることによって、すなわち、その目的に一項目を追加することによって、たちどころに立ち入り調査、報告、勧告など、今次事態にも対処し得ると思うが、公正取引委員会委員長の見解をお伺いしたいと思います。
 さらに、今次商品投機の背景となりました余剰流動性の対策について、総理及び所管大臣にお伺いを申し上げたい。
 前回の円切り上げに対処いたしまして政府のとった金融、財政施策が、裏目に出たわけでございます。余剰流動性吸い上げのために、数次にわたって政府は、預金準備率、公定歩合の引き上げ、不動産融資の規制及び商社に対する融資の窓口規制を実施してきたのでありますが、その効果をどのように測定され、さらにどのような手を打とうとしておられるか、所管大臣より御説明をいただきたいと思います。
 なお、この際、余剰流動性吸い上げのため、かねて税制調査会より答申のありました法人税の引き上げを、思い切って実施に移すべきだと思いますが、これまた、所管大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
 さらに、余剰流動性吸い上げのため、貿易商社その他の貿易収支の黒字分につきまして国債を買わすことを検討していると聞きますが、その内容及び所見を経済企画庁長官にお伺い申し上げたいと思います。
 同様な意味で、西ドイツの例にならい、外資預金の手数料徴収制度を取り上げ、余剰流動性の吸い上げに使う考えはないかどうか、所管大臣にお伺いしたいと思います。
 同じく、投機の対象となりました土地の売買につきまして、その超過利得の一定割合分につきまして国債を買わす方法が、余剰流動性の吸い上げのためにぜひとも必要であると思いますが、どう思われるか。
 株式の時価発行についても、超過利得の一定割合について国債を持たせることが、この意味において必要と思われるが、大蔵大臣の所見をお伺いしたい。
 次に、長期にわたる物価対策、特に、主として海外の輸入に仰がなければならない物資の資源の安定的供給につきまして、総理並びに所管大臣にお伺いしたいと思います。
 今次の大豆、モチ米、木材、生糸、飼料、羊毛、綿花等の投機による価格高騰の教訓は、備蓄制度の拡充強化でございます。諸外国におけるインフレの高進から国内価格の長期安定をはかるために、輸入先の多角化と長期契約あるいは開発輸入が絶対に必要だと思いますが、政府はどのように対処されようとしておるか。
 なお、その際、今年ソビエトがアメリカから大量の穀物を輸入した事態は、不足傾向の世界食糧の需給の中で将来とも不安定要素を加えたことになるが、その経験に徴し、食管法の堅持は、あらためてその必要性を痛感させられたわけでありますが、あわせて所管大臣の所見をお伺い申し上げたい。
 同様のことは、石油、非鉄金属等について一そう痛感せられるわけであります。生産国周辺の紛争、移送途中の故障が生じた場合、わが国産業界の混乱は思い半ばに過ぐるものがあります。産業構造審議会の石油の三割自給対策はどのようにして達成するのか。特にチュメニ油田開発とイランその他産油諸国の直輸入問題について、及びわが国の石油の備蓄をあわせて、所管大臣より御説明を承りたい。
 非鉄金属の海外開発と価格安定対策から見た国内鉱山の位置づけにつきまして、同様、所管大臣の御所見をいただきたいと思います。
 これらの海外開発輸入につきましては、従来のぶったくり開発では、資源の略奪という非難を受けることとなり、二国間相互信頼と資源の確保にも悪影響をもたらすおそれがなしといえません。海外経済協力と並行して、できる限り合弁事業として、十分その国の発展に留意して、資源の開発に向かわなければならないと思いますが、外交を展開すべき外務大臣の御所見を承っておきたいと思います。
 さらに、輸入品の国内価格でございますが、円相場のフロート、そしてドルの切り下げを積極的に物価政策に生かすことが肝要であります。輸入物資が、ドルの切り下げにかかわらず、あまり価格の切り下げを見ていない現状にかんがみ、どのような施策をとられんとしておるか、経済企画庁長官の御所見を承りたい。
 さらに、流通機構の整備及び近代化が、今回のような投機による売り惜しみ、買い占めに対処するときに、非常に必要であることが痛感されたのでありますが、これについての対策はどうするか、所管大臣よりそれぞれ承りたいと思います。
 あわせて、関税引き下げと貿易の自由化の促進が、長期的物価対策に貢献するところ大でありますが、これについての所管大臣の所見を承りたい。
 以上、要するに、今次の商品投機は、前回の円切り上げに対処する政府の一連の財政、金融、税制政策の結果であり、一言でいえば、インフレの発生しやすい土壌の上に開花した悪の花であります。さきの総選挙で、総理の言う日本列島改造論もまた、そのよしあしは別として、そういう意味においては無縁のものであったとはいえません。
 一生懸命に働いてたくわえた貯金を、不時の出費並びに老後の生活の安定に充てるという期待を持てる社会を現出することがよい政治といわなければならないのであります。この意味におきまして、政治家たる者、悪性インフレとの戦いに全力を傾注すべきだと思います。この意味におきまして、最後に総理並びに所管大臣の御所見を承っておきます。
 インフレ回避のため、膨大な予算の実行にあたっては、余剰流動性の原因をつくらないよう慎重な配慮が必要と思われるが、どう思われるか。
 二つ目に、今回の事例に徴するも、銀行が一般国民生活に与える影響は実にはかりしれないほど大きゅうございます。銀行の運営は、その社会的使命にかんがみ、利益をのみ考えた運営であってはならないと思います。この意味で、一般消費者、産業界、労働者、学識経験者等の代表を取締役会の経営諮問機関として置く必要があると思うが、どう思われるか。
 さらに、日銀政策委員の改組についてでありますが、そのことは、日銀政策委員についても当てはまると思います。役所代表が三名、銀行代表が二名、こういうものであっては断じてならないのであります。この意味におきまして、日銀政策委員をさらに拡充強化されるお考えがあるかどうか、最後に御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#36
○内閣総理大臣(田中角榮君) 私から四点にわたってお答えをいたします。
 まず第一番目は、商品価格の高騰及び投機等に対してでございますが、先刻来申し述べておりますごとく、諸般の措置をとっておりますが、引き続いて事態の推移を監視しつつ、所要の対策を講じてまいりたいと考えます。
 第二点は、商品投機規制法の制定等に対してでございますが、政府といたしましては、現在の事態に対しては、基本的には行政的措置で対処する考えでございます。これを補完するための立法措置につきましても、各方面の意見を聞きながら検討いたしております。本件に関して貴党の熱意は十分承知をいたしておりまして、心から敬意を払っておる次第でございます。
 第三点は、消費者物価の上昇率を五・五%以下に押えられるのかという具体的な御質問でございますが、円の変動相場制移行へのメリットを物価面に反映させるよう、輸入政策をはじめ万般の措置を講じまして、消費者物価の上がりを目標以内にとどめたい、こういう決意でありますことをこの際申し上げておきたいと存じます。
 なお、最後に、インフレ抑制のため、また過剰流動性にプラスが起こらないように、大型予算の実行にあたって十分な配慮を求められた件につきましては、昭和四十八年度予算の執行にあたりましては、景気の動向を見守りながら、十分な配慮を加えてまいりたいと考えます。
 残余に関しては、関係閣僚から答弁を申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対する第一のお尋ねは、過剰流動性を吸収するために、たとえば時価発行によるプレミアムを国債発行で吸い上げることはどうであろうかと、こういう御提案でございました。
 この問題につきましては、先ほど渡辺議員にもお答えいたしましたように、まずその引き受けとか保有を強制することが必要でございますし、同時に、引き受けた国債に流通性を与えないということが必要でございますが、これらは法令上、実行上なかなかむずかしい問題ではなかろうかと思います。さらに、国の財源調達上の必要とは無関係に、投機を抑制するためだけに国債を発行するということになりますると、国債の本質論という面からも、財政負担という面から見ましても問題が多いと思われます。一面、先ほども申しましたように、わが国のマネーサプライの現状が、圧倒的に金融機関からの資金造出が多いことから見ましても、総合的で、きびしい、きめのこまかい、かつ対象別の金融政策をとりますことが最も実際的で、効果のあがるところではないかと、かように考えておる次第でございます。
 御質問の第二は、西ドイツでやっておるように、非居住者の預金を通じた外貨の流入を抑制すべきではないか、こういう御指摘でございました。
 スイスにおきましても、あるいはドイツにおきましても、かようなことが行なわれておりますが、わが国は、スイス、西ドイツとは事情が異なりまして、幸いにして、非居住者の自由円預金勘定を円転規制の対象とするというようなことをやっておりますので、自由円の増加部分について預金準備率を適用しておる関係もあり、非居住者からの預金受け入れを通じて外貨が流入してくるというおそれはない、封殺されておるわけでございますから。現在のところ、さしあたりこの西ドイツ方式を採用する必要はないのではなかろうかと考えておるわけでございます。なお十分検討をいたしたいと思います。
 第三のお尋ねは、日銀政策委員会の問題でございます。
 この点につきましては、昭和三十五年の金融制度調査会の答申におきましても、金融政策について識見のある人であることを必要として、広く経験を有する者または学識経験者から選任するものとするということが述べられておる関係もございますので、今後日本銀行法を改正するというような機会がございますれば、その改正の一環として、御趣旨の点についても十分検討いたしたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#38
○国務大臣(小坂善太郎君) 玉置さんにお答えを申し上げますが、まず第一点は、外為会計の資金の散布超と円資金とを遮断する方法として、国債を持たしてはどうかという点でございますが、御承知のとおり、四十六年度に外為の散布超が四兆四千億円、銀行の貸し出し増加が十三兆一千億円でございまして、四十七年になりまして、この一月までに外為会計の散布超が一兆三千億円、それから金融機関の貸し出し増が十五兆五千億円でございます。この数字で見まするように、四十六年度には非常に多くの円資金が散布されたのでありますが、これはかなりドルを買いささえた、そのしりが来ているわけでございます。今日は円がフロートしておりますから、その買いささえによる円資金の散布超というのは、もう非常に少ないわけでございます。したがって、いまこの問題について非常に真剣に国債を持たせねばならぬ、そのために円とドルとの遮断をしなければならぬという必要性は、よほど変わってきていると思われるわけでございます。
 そこで、まずその問題点については、大蔵大臣もちょっと言われましたことでありますが、まず国債を持たせるということになりますと、これは売ってはいけない、保有を強制するということになるわけでございまして、そうすると、その行為が資金の統制につながらないかどうかという問題がございます。
 第二点といたしますと、大企業と中小企業はそれぞれ輸出をするわけでございますが、大企業には国債を持たせる、中小企業には持たせないという区別ができるかどうか。輸出代金というのはやはりそれぞれ支払いに充てられるわけでございますから、そういう点に問題があるわけだと思います。
 それから第三点に関しまして、それでは国債を保持することを強制し得ないとしたら、よほど条件をよくしておかないと国債がどんどん売られて、国債の市場価格が非常に暴落してしまうという問題があるということで、いろいろ実行上にも問題があるというふうに考えられるわけでございます。
 第二点は、輸入品の値下げを消費者に還元するようにいろいろな施策を講じろという点でございまして、この点はまことに同感でございます。御承知のように、政府としては、第三者による真正品の輸入を総代理店以外に許していくということを昨年の十月からやっておるのでありまして、この点は相当に効果をあげておると思いますが、さらに追跡調査をする、そして消費者へいろいろな情報を提供するというようなことによりまして、この点を確保していきたいと思っておりますが、ただ、われわれといたしましては、経済は自由主義体制のたてまえに立っておるのでございまして、公正かつ自由な競争原理を通じて適正な市場価格を形成するということを基本原則といたしておりますから、一般的に輸入価格の中に介入していって、政府が価格をきめるということには非常に慎重でなければならないと思っておるわけでございます。
 それから第三点は、立法の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、政府としてはいろいろな過剰流動性の吸い上げ施策を講じ、また行政施策をとりまして、さらに、これを補完する意味において立法も考えまするが、これは政府というより、むしろ国会の皆さま方によってお考えいただくのが一番いいと考えておりまして、ことに玉置さんが物価調査官の問題を提案されました。これは私どもとしても非常に時宜を得た御提案だと思いまするので、自由民主党のほうともよくお話しくださいますことを希望する次第でございます。
 以上をもってお答えといたします。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#39
○国務大臣(櫻内義雄君) 農林物資に対するこれからの施策、見通しのお尋ねでございました。
 大豆につきましては、先ほどから申し上げておるとおりに、二月三日発表の緊急対策によりまして、価格面でもおわかりのように、一月三十日一万五千円のものが二月二十八日七千九百八十円と落ちついてまいっておると思うのであります。
 飼料につきましては、この火曜日に緊急対策を発表いたしまして、本年上半期に集中的に政府手持ちの麦類あるいは古々米――麦類は二十五万トン、古々米五十万トンを放出いたしまするとともに、畜産農家への金融上の措置や、あるいは現在価格の値上がりを多少でも緩和するための全農、全酪がやっております価格安定基金に、政府もまた応援をする、出資や利子補給をする。同時に、商系のものについても同様の措置をとらせることにいたしておりまするので、飼料の値上がり幅をできるだけ少なくするということはできると思うのであります。
 大豆をはじめ、この飼料の原料たるトウモロコシ、コウリャン等の穀類につきましては、本年、主たる輸出国であるアメリカにおきまして、増産をしようと、従来減反をしておりましたのを大幅に緩和をいたしますので、それらの効果があがってくると思うのであります。
 モチ米につきましては、政府の手持ちを放出いたしまするとともに、タイとの買い付け成約ができました。そこで落ちついてまいってきておるのでございます。今後におきましては、契約栽培による計画生産を行ないまして、確実に自主流通米として流通に乗せていくようにいたしたいと思います。
 生糸につきましては、日本蚕糸事業団の保有生糸を全部売り渡したのでありますが、現在のような高騰を続けておるわけでございまするが、これは輸入生糸の減少ということが問題であります。そこで、中国に対しまして輸出のお願いを現にいたしておるような次第でございます。
 木材につきましては、本年一月になりましてからは落ちついておるのでございまするけれども、国内産を増伐するということについて困難性がございまするし、主たる輸入国のアメリカにおきましても、アメリカからの輸出を渋るというような事態でございまするので、先ほど申し上げましたように、今後建築資材の代替品のくふうであるとか、あるいはソ連、インドネシア、カナダ等の輸入の促進であるとか、さらには開発輸入方式を取り入れてまいりたいと思う次第でございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#40
○国務大臣(中曽根康弘君) 重要物資の価格の動向でございますが、鉄鋼は、緊急増産等手を打ちまして、たとえば丸鋼がトン五万二千円ぐらいであったのが、最近四万七千円まで下がってまいりました。引き続いて下げるように努力をいたしております。
 それから、繊維につきましては、毛糸が、取引所の規制強化によりまして、キロ当たり三千八円までいったのが、二千七百九十九円程度まで鎮静してきました。ただ、遺憾ながら綿糸と原毛がまだ下がりません。横ばいでありまして、これについては努力を継続してまいります。
 それから、資源の輸入の問題でございますが、LNGや石油や木材やその他について、できるだけ多元的に、国際協調をもって長期安定の方向で輸入するように手配をしております。この際、過当競争を起こすことをできるだけ排除したいと思っておりまして、最近石油などについてはそういうような傾向がございます。あるいは天然ガス等についても、輸入競争のような傾向がございます。これらが現価格をつり上げる危険性もありますので、石油公団等を中心にいたしまして、その調整を強めてやっております。
 そのほか、やはり国内資源の開発につきましても、あるいは大陸だなの開発につきましても、石油、天然ガスあるいは非鉄金属等について、公団あるいは探鉱事業団等を通じまして、積極的に努力してまいるつもりであります。
 資源の開発輸入も非常に重要でございまして、石油やガスや木材やあるいは農産物等について全面的に実施しておりますが、これも引き続いて努力してまいるつもりでございます。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#41
○国務大臣(大平正芳君) 資源の開発輸入の件につきましては、通産大臣からお答えがございました。
 私どもといたしましては、従来のように商業的手段だけでなくて、御指摘のように、計画的な開発輸入によりまして、安定的な供給を確保するように、経済協力政策の重要な一環といたしまして、今後鋭意努力してまいるつもりでございます。
 御指摘のチュメニ油田の問題でございますが、これは総理の施政方針演説にもうたわれておりましたとおり、両国の長期的な利益になるような姿において実現することを政府は期待しておりますが、日ソ両国の当事者間におきまして、近く基本契約の締結を目ざしまして、折衝が行なわれておるようでございます。それが満足すべきものである限り、政府としては協力を惜しむものではございません。(拍手)
  〔政府委員高橋俊英君登壇〕
#42
○政府委員(高橋俊英君) 初めに、商社等の買い占め、売り惜しみなどに対して、公正取引委員会はどう対処しているかという点について申し上げます。
 このような商品投機の場合、事業者間の共同行為によることはきわめてまれであると見られます。したがいまして、独占禁止法を適用してこれを規制することは、よほど特殊な場合を除いてはむずかしいものと考えております。もちろん、いやしくも共同行為等の疑いのあるものは厳にこれを追及する必要がありますので、法律による権限の範囲内において極力情報収集につとめ、関係事業者等から事情を聴取しておる次第であります。
 次に、独占禁止法を改正してこのような事態に対処してはどうかという点でありますが、御承知のとおり、独占禁止法の趣旨は「自由主義経済下において事業者の事業活動に対する不当な拘束を排除することにより、公正かつ自由な競争を促進することを目的としておるのでありまして、独占禁止法で禁止している不公正な取引方法というものも、このような目的を阻害する競争制限的行為をさすものであると解される次第でございます。たまたま商社その他の事業者が、それぞれ自己の判断とリスクに基づいて買い占め、売り惜しみをするというような投機的行為は、著しく公共の利益をそこなう事態を招くおそれがありますけれども、直ちに競争制限的行為に該当するとはいえないと考えられます。また、少なくとも先進国の独占禁止法の中には、そういった投機的な行為を規制するものは見当たりません。したがいまして、こうした買い占め等の行為を規制するためには、しいて独占禁止法の改正または拡大解釈を行なうよりは、別個に目的を明確にした立法措置を講ずるほうがより適切ではないかと考えるものであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 有価証券取引税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#43
○副議長(秋田大助君) 日程第一、有価証券取引税法の一部を改正する法律案、日程第二、相続税法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
#44
○副議長(秋田大助君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事大村襄治君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔大村襄治君登壇〕
#45
○大村襄治君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、有価証券取引税法の一部を改正する法律案は、証券市場の状況等に顧み、株式等を譲渡した場合の有価証券取引税の税率を現行の二倍に引き上げることをそのおもな内容とするものであります。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案は、最近における相続税の負担の状況に顧み、おおむね次のような改正を行なおうとするものであります。
 まず初めに、相続税の遺産にかかる基礎控除につきまして、その定額控除を現行の四百万円から六百万円に、法定相続人一人ごとの控除額を現行の八十万円から百二十万円に、それぞれ引き上げることといたしております。また、相続税の遺産にかかる配偶者控除につきまして、現行の四十万円から六十万円に、その最高限度額を現行の四百万円から六百万円に、それぞれ引き上げることといたしております。以上の結果、配偶者を含む相続人五人の場合の課税最低限は、現行の千二百万円から千八百万円に引き上げられることとなります。
 さらに、贈与税の配偶者控除を現行の三百六十万円から五百六十万円に引き上げることといたしております。この結果、贈与税の配偶者に対する課税最低限は、現行の四百万円から六百万円に引き上げられることとなります。
 以上のほか、相続税の未成年者控除及び障害者控除の引き上げや、延納利子税の軽減もはかることといたしております。
 以上が両案の概要であります。
 審査の結果、去る二月二十七日質疑を終了いたしましたが、昨二月二十八日、有価証券取引税法の一部を改正する法律案に対し、武藤山治君外一名より、日本社会党提案にかかる修正案が提出されました。
 その内容は、現行税率の二倍引き上げの政府案に対し、現行税率を六倍に引き上げようとするものであります。
 また、相続税法の一部を改正する法律案に対しても、武藤山治君外二名より、日本社会党、公明党及び民社党の三党共同提案にかかる修正案が提出されました。
 その内容は、相続税及び贈与税の最高税率を現行の七〇%から八〇%に、それぞれ引き上げる等のものであります。
 次いで、両原案及び両修正案を一括して討論を行ないましたところ、日本共産党・革新共同を代表して荒木宏君より、有価証券取引税法の一部を改正する法律案については、修正案、原案とも基本的問題があり賛成しがたい旨の、また、相続税法の一部を改正する法律案については、修正案には税率につき、原案には基礎控除等の引き上げにつき若干の改良があり、賛成する旨の意見が述べられました。また、公明党を代表して広沢直樹君より、富の再配分をはかる等の見地から、両修正案に賛成、両原案に反対の旨の意見が述べられました。
 続いて採決いたしましたところ、両修正案は少数をもって否決、両法律案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、両案に対しまして、それぞれ附帯決議が付せられましたが、その内容は会議録に譲らさせていただきます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#46
○副議長(秋田大助君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#47
○副議長(秋田大助君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#48
○副議長(秋田大助君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#49
○中山正暉君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、議院運営委員長提出、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#50
○副議長(秋田大助君) 中山正暉君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#52
○副議長(秋田大助君) 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事中川一郎君。
  〔中川一郎君登壇〕
#53
○中川一郎君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、国会議員の秘書の期末手当及び勤勉手当について所要の是正を行なおうとするものでありまして、その内容は、
 第一に、勤勉手当の在職期間の計算上、議員の任期満限または衆議院の解散により退職した秘書で四十日以内に再び秘書となったものは、その期間引き続き秘書の職にあったものとすることとし、
 第二に、期末、勤勉手当の基準日前に議員の任期満限または衆議院の解散により退職した秘書で基準日後に行なわれた選挙後直ちに再び秘書となったものに対して、基準日まで引き続き在職したものとみなして、これらの手当を支給することとし、その他これらの措置に伴う所要の整理を行なおうとするものであります。
 この法律案は、公布の日から施行し、昭和四十七年十一月十三日の衆議院の解散の日から適用しようとするものであります。
 本案は、議院運営委員会において起草、提出したものであります。何とぞ御賛同くださいますようお願いいたします。
    ―――――――――――――
#54
○副議長(秋田大助君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#56
○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        法 務 大 臣 田中伊三次君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        国 務 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト