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1972/03/02 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第13号
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1972/03/02 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第13号

#1
第071回国会 本会議 第13号
昭和四十八年三月二日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  昭和四十八年三月二日
   午後一時開議
 第一 国家公務員の寒冷地手当に関する法律の
    一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 鉄道建設審議会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日程第一 国家公務員の寒冷地手当に関する法
  律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後一時六分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 鉄道建設審議会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(中村梅吉君) おはかりいたします。
 内閣から、鉄道建設審議会委員に荒木茂久二君、五島昇君、駒井健一郎君、日向方齊君、西村健次郎君、田實渉君、麻生平八郎君及び片岡文重君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#4
○議長(中村梅吉君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 国家公務員の寒冷地手当に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#5
○議長(中村梅吉君) 日程第一、国家公務員の寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#6
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三原朝雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔三原朝雄君登壇〕
#7
○三原朝雄君 ただいま議題となりました国家公務員の寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、昭和四十七年十二月二十七日付の人事院勧告に基づき、北海道に在勤する職員に支給する寒冷地手当の基準額に加算する額を、世帯主で扶養親族のある職員の場合、甲地で、現行二万九千八百円を三万六千八百円に、乙地で、現行二万七千三百円を三万八百円に引き上げる等の改定を行ない、昭和四十七年八月三十一日から適用しようとするものであります。
 本案は、一月三十一日本委員会に付託、二月二十二日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、三月一日質疑を終了、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同提案による附帯決議が全会一致をもって付されました。
 その内容は、次のとおりであります。
  積雪寒冷地帯に公務員が定着しがたい実情に
 かんがみ、人事院は今後における燃料価格の動
 向を含む寒冷増高費の実態等について十分検討
 を行ない、定額分および加算額の増額ならびに
 基準日後の世帯区分の変更等に応ずる支給額の
 調整について検討すべきである。
  なお、寒冷地手当の支給地域区分について継
 続して検討を行ない、その不均衡の改善措置を
 講ずべきである。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(中村梅吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#10
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣増原恵吉君。
  〔国務大臣増原恵吉君登壇〕
#11
○国務大臣(増原恵吉君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。第一は、自衛官の定数を、陸上自衛隊千人、海上自衛隊三千六十五人、航空自衛隊二千九百十八人及び統合幕僚会議五人、合計六千九百八十八人増加するための改正であります。これらの増員は、沖繩地域における防衛及び災害派遣等の民生協力の任に当たる陸、海、空自衛隊の所要の部隊を沖繩に配備することに伴うもののほか、海上自衛隊の艦船の就役、航空機の就役等に伴うもの、航空自衛隊の航空機の就役、ナイキ部隊の編成等に伴うもの及び統合幕僚会議の情報機能強化に伴うものであります。
 第二は、自衛隊の部隊等で重要な役割りをになう医官をみずから養成し、自衛隊における医官の不足を抜本的に解消するため、防衛庁本庁の付属機関として防衛医科大学校を設置することであります。防衛医科大学校の修業年限は六年とし、入学資格、設備、医学教育の内容、教員の資格等については、学校教育法に基づき医学教育を行なう大学の例にならうこととし、この大学校の卒業生には、医師国家試験の受験資格を与えることとしております。さらに、防衛医科大学校においては、同校卒業生等に対し、医学に関する高度の理論及び応用についての知識などを修得させるための教育訓練などを行なうこととして、自衛隊医官に研さんの場を与え、その資質の向上をはかることとしております。
 第三は、防衛庁本庁の付属機関として、自衛隊離職者就職審査会を設けることであり、これは、学識経験者を含めた五人の委員をもって構成し、自衛隊員の離職後の営利企業の役員等への就職について審査する機関とするものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、沖繩地域における防空任務を完全に実施するために、沖繩に配備する航空自衛隊の航空機部隊、航空警戒管制部隊、ナイキ部隊及び基地隊等の有機的な運用をはかり、一元的に統括し得る指揮機能を現地に置く必要があるので、航空総隊の編成に、司令部及び航空隊その他の直轄部隊からなる航空混成団を加えることとし、新たに司令部の所在地を那覇市とする南西航空混成団を設けることであります。
 第二は、防衛医科大学校卒業生は、卒業後九年間は、自衛隊員として勤続するようにつとめるべきものとし、九年以上勤続した場合を除き、離職者からは、原則として、所定の金額を国に償還させることとしております。これは、自衛隊医官をみずから養成し、自衛隊において医官を確保しようとする防衛医科大学校の設置の趣旨から見て、必要な措置であると考えます。
 第三は、現在、離職した自衛隊員が営利企業の役員等へ就職しようとする場合には、防衛庁長官の承認を要することになっておりますが、この承認を、前述の自衛隊離職者就職審査会の議決に基づいてすることとしようとするものであります。これは、自衛隊員の営利企業への就職の際の承認について、部外者を含む特別の機関の審査にかからせることによって、その公正さを担保しようとするものであります。
 第四は、自衛隊の予備勢力の確保のため、陸上自衛隊の予備自衛官三千人、海上自衛隊の予備自衛官三百人、合計三千三百人を増員するための改正であります。
 これらの改正のほか、防衛医科大学校及び自衛隊離職者就職審査会の設置、南西航空混成団の新編等に伴い、防衛庁設置法、自衛隊法等について、若干の規定の整備を行なうこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#12
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。和田貞夫君。
  〔和田貞夫君登壇〕
#13
○和田貞夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明がございました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、わが党の考えを明らかにしながら、若干の質問を行ない、総理並びに関係閣僚の答弁を要求するものであります。(拍手)
 まず第一に、いままで二回にわたって廃案のうき目を見ている防衛二法を、またまた提案されているのでございますが、世界の各国が平和を目ざして、懸命の努力を続けている現下の国際情勢において、ひとりわが国のみが、専守防衛に名をかりて、戦力増強を推し進めようとする政府の意図が、一体那辺にあるかについてであります。
 第二次世界大戦以降、戦火の絶ゆる間のなかったベトナムに平和が回復し、中国と日本は、大使を交換する段階にまできたのでございます。
 昨年一月時点における国際情勢下においても、本会議におけるわが党成田委員長の質問に対する佐藤前総理の答弁中にも、「もとより、現在わが国を侵略しようとする国があるとは考えられませんが」、と言明されておるのでございます。一年後の今日の情勢は、さらに平和に向かって進んでいるにもかかわらず、四十八年度予算案では、実に一兆二千億にものぼる巨額な軍事費が計上され、自衛隊の質、量とも増強をはかろうとしているのでございます。まさに、逆行という以外はございません。(拍手)一体、どこまで軍事力を増強したら気が済むのか、総理の真意を知りたいのでございます。
 私は、そのような防衛力よりも、わが国及び全世界の平和保障にこそ真剣な眼を向けるべきであると考えます。安全保障ではなく、平和保障にであります。
 総理は、日本の防衛費を、GNPと国家予算に占める比率で、日本より少ない国がないと宣伝し、国民の目をそらそうとしておるのでございますが、過去十カ年間の主要各国における防衛費の相対的な変化を見てまいりますと、まず、フランスの軍事支出の増加率は、わずか二六%にすぎません。西ドイツは八七%で、イギリスは二二・五%でございます。ところが、わが国の増加率は、実に三八四%にも及び、西ドイツ、スウェーデンのように、比較的軍事支出が高いテンポで増加している国々の二倍、フランスやイギリスとの比較では、三倍から六倍と、断然群を抜いているのでございます。
 七一年における全世界の軍事支出は二千百六十億ドル、過去十カ年間に九百七十億ドル、八二%の増加であり、その傾向は、六九年をピークに、七一年では二%も減少しておるのでございます。わが国のみ例外で、急テンポで伸ばし続けているのが実情でございます。この調子でいくと、四次防最終年度の七六年には、五十六億ドルをこえ、その上、五次防ということにもなれば、世界第四位の戦力を保持する大自衛隊にのし上がるのでございます。
 しかし、私は、そのような結果にならないと信じております。なぜならば、そのころには自民党政府はなくなっておるからであります。(拍手)
 このような無謀な計画と、世界に脅威を与える意図を持っている限り、田中内閣は、最も近い将来、国民の支持を全く失うものと警告しておきたいと思います。
 ところで総理、あなたは、前の国会で、少なくとも、東西問題から南北問題に世界の重点が移って、南北問題さえ円満に解決できるような状態が来れば、理想に近い姿であり、お互いが個々に防衛力を持たなければいかぬという時代から遠ざかるものだ、こういうように述べておられるのでございます。
 総理、いまや情勢は、あなたのおっしゃるとおりに動いておるのでございます。ベトナム停戦はもとより、ラオスにおいても、自主的平和統一実現のための話し合いが始まっています。このようなときに、なおも軍拡の考え方を放棄しようとしないあなたの真意は、一体どうなのか、具体的にお聞かせ願いたいのでございます。(拍手)
 先ほども申しましたように、軍備による安全保障に依存する考えを捨て、体制の異なる国々とも友好親善を深め、領土と主権の尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存の五原則によって、国際関係を樹立していく平和保障こそ、わが国外交の基本とすべきであると考えますが、田中内閣の防衛政策は、国土と国民を守ることよりも、独占資本主義体制を守ることに重要な視点が置かれていると考えざるを得ませんが、総理並びに関係閣僚の御見解を承りたいと思います。
 第二に、沖繩への自衛隊配備の問題であります。
 昨年の国会で、沖繩派兵要員も含めた防衛二法が廃案になっているのでございますが、沖繩へは、現に、陸海空部隊が一体となった作戦部隊ともいうべき姿で配備されています。これはまさに国会素通りであり、自衛隊法の脱法行為といわざるを得ません。
 その上、いつでも大部隊にふくらませることができる戦時編成になっているのでございます。たとえば、陸上自衛隊にとってみますと、この部隊は、今年一月現在で、総員九百七十六人、そのうち下士官以上が五百一人、兵はたった三百三十六人、三分の一にすぎないのでございます。ところが、自衛隊の広報紙「朝雲」では、ミニ師団と呼んでいるとおり、一個師団の編成に相当する幹部構成なのでございます。兵隊さえ送れば、いつでも師団編成が可能だということです。このことは、自衛隊全体に通ずることでもあり、徴兵制の道さえ開ければ、帝国陸海軍がすでに再現しているのでございます。
 私は、いま、昭和十九年四月福岡で編成され、沖繩に派遣された大本営直轄の第三十二軍を思い起こしてみたいと思います。
 この自衛隊派兵は、すべて防衛庁長官命令で編成され、シビリアンコントロールの最高機関である国会をも無視した派兵である限りにおいては、総理並びに防衛庁長官の現時点における赤裸々な気持ちをお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 ところで総理、総理は、自衛隊員の住民登録拒否の運動が沖繩から起こり立川に発展してきたことについて思いをいたしたことがございますか。あなたはこのことを、住民登録は国民としての権利義務の行使の基礎となるものだけに、はなはだ遺憾である、ときわめて一般的に考えておいでのようでございますが、この住民登録拒否の運動は、ほかでもございません、沖繩の凄惨な戦争体験の中からにじみ出た、自然発生的な感情の噴出が行動となってあらわれたものでございます。
 総理、重ねて言いますが、この運動は沖繩から起こり、本土の革新市長が呼応し、自治体に働く自治労の諸君も参加し、拡大していったのでございます。
 あの米軍の鉄の炎の下を、どろの中をはいずり回った沖繩県民の戦争に対する憎しみ、軍隊に対する、私たちには考えの届かぬ沖繩県民の気持ちを、あなたはお考えになったことがございますか。本土のわれわれには戦争が終わったあとも、沖繩ではその後なお二十数年間米軍暴虐下の生活が続き、しかも今日もなお続いているのでございます。
 帝国軍隊にかわって米軍、そして今度は自衛隊と名のつく新日本軍の配備であります。あの凄惨な太平洋戦争の最後の舞台となった沖繩全県民の生存権をかけた戦争体験と、県民感情を抜きにしては、再び、ニクソン・ドクトリンにいうところの局地的戦争を想定した沖繩派兵に対する、沖繩百万県民の無言の抵抗であることを、おそらく理解できないでありましょう。(拍手)
 総理、自衛隊法を改正するよりも、まず、現行自衛隊法に違反し、国会を無視した、そして百万県民が拒否している沖繩配備の自衛隊をすみやかに撤収すべきであると思いますが、総理の決意のほどをお尋ねいたしたいと思います。(拍手)
 第三に、今回の防衛庁設置法改正による自衛官の増員問題でありますが、昨年の十一月三十日現在で実に二万六千三百六十三人もの欠員があるということです。この事実はいかに志願者が少ないかを示しているのでございます。これに定数を六千九百八十八人増員ということになると、さらに欠員を増加するだけであり、自衛官募集にあたっては、無理が原因で各地で不祥事を起こしているのでございますが、さらに拍車をかけることになるのは火を見るよりも明らかでございます。また、自治体に対しても、募集事務の押しつけがいままでより一そう強化されることも予測されるのでございます。
 最近、大阪で起きた事件でありますが、去る一月十九日、高校二年生のT少年が中学校時代のN君と二人で家出をし、大阪市内で自衛官募集のポスターを見ていたところ、自衛隊大阪地方連絡部の広報係長なるものが来て、二人を同連絡部に連れていき、PR説明したあと、自衛官試験を受けさせ、体験入隊させているのでございます。ところが、入隊日は一月三十日であるため、隊内に宿泊させながら、近くの会社にアルバイト就職させているのであります。わが党大阪府本部の調査によりますと、この会社は、自衛隊からたびたび頼まれると言っておるのでございます。明らかに職業安定法違反行為でございます。
 ところで、T君の家では、十九日の夜から丁君が家に帰らないため、保護願いを出していました。その間、自衛隊では一月二十三日に家庭調査を行なっていますが、肝心の丁君の家には行かず、近所で身元調査を行なった結果、T君が高校二年生であることを知るのでありますが、その事実を知っても、親元へ帰さず、近所からの知らせで、T君の父が返すよう要求して、初めて二十五日に帰宅させているのでございます。このような行為は、暴力団が家出少女を誘拐して働かせるのたぐいとあまり変わらないといっても過言ではございません。
 しかもT君は、未解放部落出身の少年で、差別と圧迫に戦うことができず、おもしろくない毎日を送る中で、学校を休み、家出となったのでございます。このことによって、自衛隊幹部が国民的課題としての部落問題にいかにうといかが実証されておるのでございます。
 T君の在学している高校の校長先生も、今回の問題は、社会的な貧困と差別が解決されていないところに家出少年の問題があり、そこに自衛隊がつけ込んだ悪どい隊員募集であり、自衛隊がいかに反国民的な存在であるかをはっきりと示したものだ、このように言っておられるのでございます。
 少年の向学心を妨害し、少年を略奪するがごとくして少年の未来を破壊しようとする自衛隊が、どうしてわが国土を守り、国民を守ることができるのかと言いたいのでございます。(拍手)
 総理、この問題に対する明確な御見解を承りたいと思います。また、関係閣僚の所見もあわせて伺っておきたいと存じます。
 最後に、私は決断と実行をスローガンにする田中内閣に対し、わが国が平和保障を基本とし、いまや世界の平和への流れに抗しがたい日米軍事同盟ともいうべき日米安全保障条約を直ちに廃棄し……
  〔発言する者多し〕
#14
○議長(中村梅吉君) 静粛に願います。
#15
○和田貞夫君(続) 四次防を直ちに中止し、提案している防衛二法の撤回を、勇気をもって決断されることを強く要求いたしまして……
  〔発言する者多し〕
#16
○議長(中村梅吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。
#17
○和田貞夫君(続) 私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔発言する者多し〕
#18
○議長(中村梅吉君) 静粛に願います。
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
  〔発言する者多し〕
#19
○議長(中村梅吉君) 静粛に願います。
#20
○内閣総理大臣(田中角榮君) 和田君の御質問にお答えをいたします。
 新しい情勢に即応して四次防を中止したり防衛二法を撤回したらどうかという趣旨の御発言でございますが、国際情勢に緊張緩和の傾向が見られておることは、わが国にとって望ましいことでございます。一方、四次防は憲法の許容する範囲内でわが国の自衛のために必要な最小限度の防衛力を漸進的に整備するものであります。アジア諸国に軍事的脅威を与えたり、緊張感をもたらすようなものでないことは言うまでもないのでございます。したがいまして、四次防を遂行するために必要な防衛二法はぜひ成立をさせていただきたい、こう考えておるのでございます。(拍手)
 第二は、現行自衛隊法に違反して、沖繩県民の拒否しておる自衛隊を引き揚げよというような趣旨の御発言でございますが、沖繩への自衛隊の配備は、沖繩の本土復帰に伴いわが国が当然負うことになった同地域の防衛及び民生協力の責務を果たすための、自衛隊法及び同法施行令の規定に基づき防衛庁長官の権限に委任された範囲内でなされたものであります。(拍手)
 第三点は、隊員募集についてでございますが、自衛官の募集については、国民の理解と信頼にこたえられる自衛隊とするため、募集の方法については常に留意し、採用する隊員の質の向上につとめておるところであります。
 詳細につきましては防衛庁長官からお答えをいたします。
 なお、最後に、日米安全保障条約を廃棄せよとの御所論でございますが、日米安全保障体制は、現在のアジアにおける国際政治の基本的なワク組みの重要な柱でありまして、このような意味から、安保体制を維持することは、単にわが国の安全保障のためのみならず、アジア、ひいては世界の平和と安定の維持に寄与するものであり、日米安全保障条約を廃棄する考えは全くありません。(拍手)
  〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
#21
○国務大臣(江崎真澄君) ちょっと聞き取れなかったのでありまするが、質問の通告をいただいておりますそれによれば、要するに、自衛官の募集業務が市町村に委託されておるために、市町村の本来の業務が圧迫、混乱しないか、サービス業務に支障を来たさないか、こういう御通告をいただいておるわけでございます。
 これはいま総理からもお話がありましたように、自衛隊員の募集ということは、国土を守るという重要な任務の性格から申しまして、自衛隊法の九十七条によりまして市町村長に委託をされておるわけです。したがって、市町村長がこれを処理することとなっております。今度の改正法によりまして、募集の業務というものがことさらに市町村業務に支障を来たす、そういうことはありません。また、自治省としては、当然、募集業務、本来の業務が円滑に行なわれるように措置してまいりたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣増原恵吉君登壇〕
#22
○国務大臣(増原恵吉君) まず最初に、自衛隊にはたいへんな欠員があるのに、六千九百八十八人の増員をする理由はどういうことであるかという御趣旨であったように承りました。
 このたびお願いをしました防衛二法で、六千九百八十八人をお願いをしておりまするうちで、陸上自衛隊は、四十七年度にお願いをいたしましたのが廃案になりまして、また再びお願いをしました千人でございまして、残余の五千九百八十八人は、航空自衛隊及び海上自衛隊でございます。
 航空及び海上につきましては、現在も、この定員の充足率は九六ないし九七%でございまして、官庁におけるこうした定員の充足から考えまして、きわめて十分な充足率を持っております。
 陸上自衛隊のみは、八六%程度の充足率であることは、たいへん残念でございまするが、陸上自衛隊における部隊の編成を考えまする場合には、やはり定員をもって部隊編成を考えませんと、部隊の訓練、運用が適切を期し得ないわけでございまして、新しい部隊をつくりまする際には、どうしても定員をとりまして、御協賛を願いまして進展することにいたしてまいりたいと思うのでございます。なお、充足率につきましては、適切な方法を講じまして、この向上を期してまいりたいと思うのでございます。
 なお、部隊員の募集に関しまして、具体的な問題についての御批判がございました。事実を一々申し上げることは、いささか細目にわたり過ぎると存じまするが、自衛官が、満十八歳未満の人について勧誘をいたしましたところ、両名が自衛官になることを承諾をした。ただし、入隊までに期間がある。その間、実は衣食の道が適切にないということで、勧誘しました者がアルバイトをあっせんいたしました。その後、調査によりまして、この両名が十八歳未満の者である、あるいは一名は家出をしておるという事情の者であることがわかりまして、この両名についての採用は取り消しに相なったわけでございます。
 将来といえども、自衛官の募集につきましては、十分に心をいたしまして、間違いのございませんように、適切な募集活動をさせる決意でございまするので、御了承をいただきたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣加藤常太郎君登壇〕
#23
○国務大臣(加藤常太郎君) 少年の勧誘問題につきましては、増原長官からお答えしたとおりでありますが、労働省の立場としてお答えいたします。
 お尋ねの自衛隊の募集、すなわち入隊勧告でありますが、この問題程度では、職業安定法に触れることはありません。しかし、年少者の就職問題は、その御本人の将来を左右する重要な問題でありますので、慎重に対処するよう、当局に連絡をいたします。
 今後かようなことがないように、万一いまのような少年が来た場合には、自衛隊の案内所から安定所に連絡をとってもらって、緊密な協力のもとに、非難のないように対処いたします。(拍手)
  〔国務大臣坪川信三君登壇〕
#24
○国務大臣(坪川信三君) お答え申し上げます。
 同和問題は、御指摘のとおり、まことに重要な国民的な課題でございますので、政府といたしましては、これに対する施策を積極的に推し進めてまいっておるような次第であります。
 特に、行政の執行に当たる公務員の方が、同和問題に対するより以上の熱意と認識を深めることが必要である立場から、昨年度より予算を計上いたしまして、総理府が中心となりまして官庁の幹部職員を集めまして、累次にわたるところの研修会を開いており、その中に防衛庁の職員の幹部諸君も多数御参加をいただいておるような次第であります。
 こうした方針を持って、いまの御質疑の御趣旨にもかんがみまして、政府はさらに同和問題に対して積極的に進めておりますことを、御理解いただきたいと思うのであります。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#25
○国務大臣(大平正芳君) わが国の安全を保障してまいる上におきましては、和田さんも御指摘のように、友好各国との親善を深めてまいることが大事でございます。わが国といたしましても、思想、体制のかきねを越えて、精力的に平和外交の展開をしてまいるつもりでございますが、これとあわせまして、総理も仰せのように、世界、とりわけアジアの現実を考えますと、今日の安定をささえております条約的な仕組みを維持してまいる上からいいましても、また、せっかく出てまいりました緊張緩和の芽ばえを定着さしていく上におきましても、その重要な一環になっております日米安全保障条約というものは、手がたく維持してまいることが賢明であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(中村梅吉君) 木下元二君。
  〔木下元二君登壇〕
#27
○木下元二君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま趣旨説明のありました防衛二法の改正に関して質問を行ないます。
 今回の防衛二法改正案について第一に指摘しなければならないことは、それが大量の自衛隊員増強を企てている点であります。
 四十六年度、四十七年度と過去二カ年にわたって国民の強い批判で廃案となった約四千九百名の自衛隊員増員計画に、新たに四十八年度分約二千八十名の増員を上のせし、総計七千名に達する増員を政府が要求していることは、まさに国民に対する重大な挑戦であります。
 それはアメリカのアジアにおける力の政策への同調、協力を前提に、米極東戦略の新たな再編に積極的に呼応して、対米従属、国民弾圧、憲法違反の自衛隊の増強を行ない、日米安保条約の効率的な運用と日米軍事同盟の侵略的強化を推し進めようとすること以外の何ものでもありません。(拍手)
 今日、アメリカのアジア軍事戦略の重要な力点は、第一に、ベトナム協定に基づいて米軍がベトナムから撤退するという新たな情勢のもとで、力の政策を推進するため、日本をアメリカ帝国主義の前進展開の拠点として固めることに置かれています。
 新たに横須賀を米第七艦隊の空母機動部隊の母港とする計画、あるいは関東地方の米空軍基地の横田基地への集中をはかる関東計画、岩国、三沢の基地強化などに代表される在日米軍基地機能の再編強化などを見れば、そのことは明らかではありませんか。(拍手)
 第二の力点は、ニクソン・ドクトリンによる総合戦力構想に基づいて、同盟従属諸国に責任分担を迫ることです。こうしてたび重なる米当局者の言明にあるように、日本に対して毛自衛隊の増強が要求されています。
 四次防計画によって、自衛隊に米空軍の第一線機であるファントム戦闘機やファントム偵察機などの高性能機を大量装備させ、米軍の事実上の指揮下で海外進攻を可能とする態勢を強化しようとしているのも、また日米共同使用の名で立川基地に陸上自衛隊を強行移駐させ、あるいは横須賀基地の一ないし三号ドックを海上自衛隊に使用させようとしているのも、そのためであります。これらはいずれも、従来在日米軍が果たしていた極東戦略上の役割りの一部を自衛隊に肩がわりさせようとする米側の方針に基づくことは明白であります。(拍手)この点は、すでにマッケーン米海軍作戦本部長特別顧問が、昨年末、日米両国の軍事的関係についての質問に答え、「アメリカの核のかさで防衛されている国はアメリカと協力する責任がある」と言明し、日本がアメリカの核のかさに置かれている代償として、日本の側からの軍事面での対米協力が強められるべきことを強調したことからも裏づけられることであります。
 なお、この場合、日本の対米軍事協力とは 本年度のレアード国防報告が、補完戦力計画の中に日本をあげ、「現地の人的資源の利用と外部からの大規模な侵略に対して、自足できる現地の戦力の増強を目的とする」と述べているように、明らかにアメリカのアジア戦略計画に対し人的資源を分担、提供することを主軸にしたものであることは言うまでもありません。(拍手)
 以上から明らかなように、今回の政府の自衛官七千名増員計画は、アメリカ帝国主義のニクソン・ドクトリンに寄与するために、アメリカの要請による自衛隊増強計画を一段と推し進めるための策謀にほかなりません。
 そこで、政府に質問したい。今回の自衛官七千名増員は、ニクソン・ドクトリンに基づく日本の軍事的責任分担といかなる関係に立つのか。また、レアード国防報告で、「われわれは自衛隊の装備の近代化をはかるよう奨励している」と公然と明言しているが、政府の自衛隊増強政策はアメリカの奨励に従ったものではないのか。国民の前に事実を率直に明らかにすることを望むものであります。(拍手)
 第二に指摘しなければならないことは、今回の防衛二法改正案が、危険な日米共同作戦態勢の飛躍的な強化を目ざしていることであります。すでに安保運用協議会が一月中旬に新設され、これに自衛隊の事実上の最高指揮者である統合幕僚会議議長が参加することによって、在日米軍と自衛隊双方の制服組による軍事協議が初めて公式に開始されています。
 日米共同作戦態勢強化で最近注目すべきことの一つは、昨年六月、米兵が大幅に削減された北海道最北端の稚内の電子情報基地を、巨大な施設とその機能もろとも、自衛隊が引き継ごうとしていることです。この稚内電子情報基地は、最新の高性能電子装備を多数駆使して、シベリア大陸、サハリンあるいは北朝鮮の軍事的動向を大規模かつ緻密に探るものであり、青森県の三沢米軍基地と直結し、さらにハワイや米本土の対社会主義圏のスパイ情報収集機関と直結しているのであります。こうした稚内基地を、日米共同使用の名で、実態は自衛隊が全面的に管理運用し、その電子情報を米軍に提供することは、まさに重大といわねばなりません。(拍手)
 そこで政府に質問します。
 第一は、稚内基地の肩がわり的運用は、ソ連など社会主義国に対する重大な軍事挑発に自衛隊がいよいよ直接乗り出すことではないのか。それは社会主義国との平和共存政策をとるとの政府の再三の言明に反して、文字どおりアジアの社会主義国との敵対関係に立つ重大な国際問題ではないのか。またそれは、自衛隊は仮想敵を持たないと繰り返し政府は言明しているが、まさにアジアの社会主義諸国を仮想敵にひそかに設定していることの明白な証左ではないか。(拍手)
 第二に、この危険きわまりない稚内基地の自衛隊移管は、「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と明確に述べている憲法前文に照らしても、憲法違反は明らかではないのか。総理、外務大臣、防衛庁長官の明確な所見を承りたい。
 次に、去る二月下旬、対潜作戦を主任務とした海上自衛隊初のヘリコプター積載護衛艦「はるな」が完成し、近く実戦配備されます。また、海上自衛隊の艦艇や航空機の配備と作戦行動を、米太平洋軍司令部と第七艦隊が直接思いのままに指揮することのできるCCS、コマンド・コントロール・システムの創設もすでに着手されています。
 この「はるな」の実戦配備とCCSの着手は、海上自衛隊がいよいよ米海軍との結びつきを緊密にし、ソ連や中国などに対する接近政策を進めながら、軍事的には依然として社会主義国包囲政策を続けているアメリカに協力して、事実上社会主義国の潜水艦を対象とするハンター・キラー作戦を実行し得る態勢に乗り出したことを意味するものです。(拍手)
 総理、そこで尋ねたい。今日四次防を通じて、海上自衛隊が「はるな」を第一艦として、対潜ミニ・ヘリ空母を続々と保持しようとし、またCCSの完成や艦艇の大型化、強力な対潜装備とミサイル兵器を保持しようとしているのは、まさに日本周辺海域においてはもとより、日本の領土から遠く離れた広大な西太平洋の洋上において、社会主義諸国の潜水艦や艦艇を仮想敵にしつつ、米海軍の手足となって制海権確立に協力する共同作戦態勢を拡大しようとするきわめて侵略的な意図をはらむものではないのか。(拍手)田中総理の明確な答弁を望みたい。
 今回の防衛庁設置法一部改正案で南西航空混成団を沖繩に新設することも、日米共同作戦態勢の強化の重要な一環であります。それはまさしく、久保・カーチス協定に基づく侵略的で売国的な対米誓約の実行以外の何ものでもありません。(発言する者あり)久保・カーチス協定に基づく自衛隊の沖繩配備のねらいは、わが党が当初から強く指摘してきたように、第一に、アメリカのアジア戦略のキーストーンとして、東アジアの全域に対する緊急出撃態勢を不断に整えている沖繩米軍基地を、自衛隊の手で直接防衛しながら、沖繩を前進拠点として、対米従属的な日米共同作戦を一段と強化することであります。
 第二に、県民抑圧の根源であり、日本とアジアの安全に対する重大な脅威の拠点である沖繩米軍基地撤去を目ざして、二十数年にわたって強力に戦い続けている沖繩県民を弾圧することであります。政府が新たに編成しようとしている南西航空混成団は、以上のような任務を持つ沖繩派遣自衛隊の主力部隊であります。
 もし、田中総理の決断と実行なるものが、アメリカの利益のためでなく、日本国民の利益を真に守ろうとするのであれば、自衛隊の沖繩派遣は即刻中止し、久保・カーチス協定を破棄し、航空自衛隊を主力とする全部隊を撤収すべきであると思うが、総理の明確な答弁を望みたい。(拍手)
 今回の防衛二法改正案の第三の重要な問題点は、防衛医科大学校の新設であります。これは不足している自衛隊の医官を独自養成するとの理由で、学生を除外しても実に千八百名の職員を擁する大規模な学校を、地元所沢市の住民の反対を押し切り、防衛庁の付属機関として設置しようとするものであります。
 これは第一に、自衛隊の任務、目的に沿う教育訓練を施す場であって、教育基本法並びに学校教育法に基づく学問研究の自由を奪った違法、不当な教育体制といわなければなりません。(拍手)
 第二に、同大学校卒業者に対して、学校教育法所定の医学コースを経た者と同様に、医師国家試験の受験資格を与えることは、防衛庁職員である学生を不当に優遇し、かつ、現行教育体系を著しく破壊するものであります。(拍手)
 第三に、同大学校の設置は、将来、航空医学や細菌医学など、軍事医学の研究に道を開き、医学、医療の軍事化を進める危険性を持つものであります。
 以上述べた諸点、すなわち教育基本法と学校教育法の乱暴な軍国主義的なじゅうりん、医師国家試験の受験資格の問題、医学、医療の軍事化の危険性の問題について、総理並びに文部大臣の納得できる答弁を承りたい。(拍手)
 自衛隊は、わが党が一貫して強く指摘してきたように、対米従属、国民抑圧、憲法違反の軍隊であります。日本共産党は、今回の防衛二法改正案に全面的に強く反対するとともに、自衛隊を直ちに解散し、隊員の平和産業への転職を国家が保障すべきことを主張するものであることを明らかにして、私の質問を終える次第です。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(田中角榮君) 今回の自衛隊の増員は、アメリカの奨励によってやっているのではないかという趣旨のものでございますが、自衛官の増員は、沖繩への部隊の配備や艦艇、航空機の就役に伴い必要となった要員であり、装備の近代化につきましても、米国から求められておるようなものでは全くありません。
 稚内の基地について申し上げますが、稚内基地の機能は、北海道周辺において艦艇や航空機等の発射するレーダー電波を捕捉することを目的とする受動的なものであって、特定の国を対象とするものではありません。地元との関係も円満に進んでおります。
 第三は、海上自衛隊の増員等についてでございますが、海上自衛隊の増員は、艦艇の就役に伴って必要とされるものでありまして、装備の近代化は海上自衛隊の任務を効率的に達成させるためのものであります。
 第四は、沖繩への自衛隊の配備、南西航空混成団等の問題でございますが、沖繩の本土復帰に伴い、わが国が当然に負うこととなった同地域における防衛及び民生協力の責務を果たすために必要な措置であることは言うをまちません。沖繩の自衛隊も専守防衛に徹するものであります。
 それから、防衛庁の機関として設置をされる防衛医科大学校は、学問研究の自由を侵すというような趣旨の御発言だったと思いますが、防衛医科大学校は、一般の医師を養成する医科系の大学とは別個に、防衛庁の職員である医官の養成を目的とするものであります。行政官庁が、その職務遂行上の必要から独自の教育機関を設置することは、しばしばある例であります。学校教育法上の大学のほかに、このように特別の目的を有する教育訓練機関が設けられることが、学問研究の自由を侵すなどというものでないことは、私が申し上げるまでもないことであります。
 卒業生に適正な医学教育を修得をさせ、医師たり得る学力と技能を有すると認め得るので、医師の国家試験の受験資格を与えても差しつかえない、こう思っております。
 それから、防衛医科大学は、医療の軍事化を進めるものであるという最後の御質問でございますが、防衛医科大学においては、医の本質にのっとり、一般の医科大学とおおむね同じ内容の教育を行ない、特殊な研究を行なうものではありませんから、医療の軍事化をもたらすことはありません。(拍手)
  〔国務大臣増原恵吉君登壇〕
#29
○国務大臣(増原恵吉君) 防衛庁、自衛隊は、たびたび総理からも申し上げておりまするように、純防衛、専守防衛にのっとりました、わが国を防衛するためのものでございまして、ただいま総理から御説明のございましたように、稚内における通信施設を米軍から引き継ぎまするのも、あるいは沖繩が本土復帰になりますることに関連して陸海空の部隊を派遣いたしまするのも、わが国を自衛、防衛するという専守防衛の立場にすぎないのでございます。
 特に、最近就航することになりました護衛艦「はるな」についての御質問がありましたが、この「はるな」の就役なり、また、御質問の中にありました自衛艦隊司令部のCCS、情報処理装置、この情報処理装置の整備をしておること、あるいは対潜ロケットを搭載をしておる護衛艦をつくっておることなどについて御言及がございましたが、これらは科学技術の進歩に伴いまして、潜水艦が高性能化することに対処をして、海上自衛隊の任務を達成するために、憲法の許容する範囲で必要な措置を構成するものでありまして、この点については十分の御理解をお願いをしたいと思う次第でございます。
 南西航空混成団につきましては、ただいま総理から御説明がございましたとおりでございまして、沖繩におきましては、現在のところは一番航空関係が進んだ防衛、自衛の任務を引き受けておる状態でございます。航空機の部隊あるいはナイキの部隊その他を統括をいたしまして司令部がどうしても必要であることにかんがみまして、南西航空混成団をお願いをしておるのでございまして、十分の御理解をもちまして防衛二法を御賛成くださるようお願いいたします。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#30
○国務大臣(大平正芳君) 安保条約とその運用に関連してのいろいろな御指摘があったわけでございますけれども、安保条約は、一部の方々、とりわけ木下さんの属する政党からは絶えざる批判を受けてきたわけでございますが、この条約が締結されましてから二十年になりますけれども、この実績にかんがみまして、周辺の国を挑発したような実績はないばかりか、日本をめぐって緊張緩和の情勢もだんだんと定着しつつあるわけでございまして、安保条約の性格に関しまして、内外の評価がだんだんと定着してまいっておりますことは、御同慶にたえないと考えております。(拍手)
 稚内基地の問題につきましては、総理並びに長官からも仰せられましたとおり、全く周辺の艦艇や航空機の発射するレーダー電波を捕捉することを目的とする受動的なものでございまして、地位協定のワク内におきまして、米軍の共同使用を認めて差しつかえないと考えたわけでございまして、社会主義諸国に対する軍事的挑発などということはゆめゆめ考えておりません。(拍手)
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#31
○国務大臣(奥野誠亮君) 防衛医科大学校は、防衛庁の職員であります医官の養成を目的とする防衛庁の職員の教育訓練機関でございます。行政官庁がその職務を遂行するために、多様な人間を必要とするわけでございまして、そのすべてを文部省所管の学校教育法上の学校で養成することは困難でございます。そういうところから、現在運輸省所管の海上保安大学校、農林省所管の水産大学校、労働省所管の職業訓練大学校、防衛庁所管の防衛大学校などがあるわけでございまして、この種の教育訓練機関を設けることと学問の自由の問題とは、別個の範疇に属する問題でございます。
 なお、能力ある者が国家試験を受ける、これを許すことは必ずしも排斥すべきことではなかろう、かように考えておるわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(中村梅吉君) 鈴切康雄君。
  〔鈴切康雄君登壇〕
#33
○鈴切康雄君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、わが国防衛の基本問題にも触れて、総理並びに関係大臣に質問を行なわんとするものであります。
  〔議長退席、副議長着席〕
 第一に伺いたいのは、平和国家日本にふさわしい国家目標と、平和実現への具体的なプロセスについてであります。
 最近における国際情勢は、長い過去の冷戦時代から脱却し、新しい平和への幕あけの時代に入ってきております。ことに、日本の軍国主義化が内外で批判されている今日、平和国家日本の進路を明らかにすると同時に、さらに平和に徹するその姿勢を内外に強く印象づけ、定着させる努力が、目下最大の急務であります。
 しかるに、政府の姿勢には、このような新しく胎動しつつある歴史的な国際情勢の動きに対し、何ら積極的に対処する気魄も熱意も全く感じられないが、総理は、現在、どのような国家目標を持ち、平和定着のための具体的な努力と相まって、いかなる進路をとろうとしておられるのか、見解を承りたいのであります。(拍手)
 第二に伺いたいことは、平和時における安全保障政策の重点をどこに置くかということであります。
 政府は、口では平和外交、内政重視等を唱えておりますが、相変わらず日米安保のもとでの冷戦時代の考え方から一歩も出ず、四次防、五次防と、軍事力拡大政策のみに狂奔をしております。一体、政府には、非軍事的な面を含めた、広義の総合的な安全保障政策なるものがあるかと、そのように疑いたくなりますが、政府の広義の安全保障政策をお示し願いたいのであります。
 過去の防衛計画にしろ、先般の平和時の防衛力の限界にせよ、すべてを軍事的な見地からとらえる防衛庁まかせでは、真のシビリアンコントロールが確立されるはずのものではありません。現在の防衛政策は、安全保障政策なき、防衛庁及び軍事産業界主導型の装備増強計画といわざるを得ないのであります。
 今日、平和に向かって大転換のこの時期にあたって、わが国のとるべき安全保障政策は、もっぱら脅威をなくすための積極的な平和外交の推進と、歴代政府の失政による、今日の住宅、物価、交通、公害、社会保障の立ちおくれ等のひずみをすみやかに解決し、国民のすべてが、心から愛することのできる、社会福祉日本建設のための内政に全力を傾けるものでなければならないと考えておりますが、政府の見解を伺いたいと思うのであります。(拍手)
 第三に伺いたいのは、憲法第九条の禁止する戦力と、四次防の自衛力との関係についてであります。
 歴代の保守党内閣は、警察予備隊から保安隊、そして自衛隊へと既成事実をつくり上げ、それに合わせて、憲法第九条を都合のよいように拡大解釈をしてきている事実は、ここで一々申し上げるまでもありません。
 今回、自衛のため、必要最小限度の自衛力は違憲ではない、最小限度を越えなければよいのだという政府の一方的な見解で、伸縮自在の憲法の解釈に立って、四次防を進めてきているのであります。
 すなわち、四次防においては、大型ヘリ三機を積むヘリ搭載護衛艦や、ミサイル搭載護衛艦等、最新型の艦艇を含め、約二十二万トンの勢力を持つ海上自衛隊、また、F4EJ戦闘爆撃機、FST2改地上支援戦闘機、ナイキ部隊等、世界一級の空軍力に迫ろうとする航空自衛隊、さらにまた、強力な30型ロケット、61型改戦車、作戦ヘリコプター等、西欧一流並みの陸軍を目ざす陸上自衛隊、それらを総合すると、まさに世界第六位か七位にランクされるような勢力になろうとしているのであります。
 一体、このような自衛のための勢力が、憲法第九条に禁止されている戦力に該当しないなどと言えるかどうか、全く疑いたくなるのであります。四次防は、すでに憲法第九条二項に禁止する戦力に該当するものと断ぜざるを得ないのでありますが、政府の見解を伺いたいのであります。
 第四に伺いたいことは、四次防の戦略構想の基本についてであります。
 四次防の戦略の基本構想は、従来からの専守防衛のワクをはみ出し、戦術的攻勢へと変化を来たしております。すなわち、日米防衛分担の、いわゆる米軍のやり、自衛隊のたての関係が、米軍の実戦部隊の撤退に伴って、自衛隊がこれに肩がわりをして、戦術的なやりを持とうとしているのであります。
 例をあげるならば、実質的には戦闘爆撃機ともいうべきF4EJ戦闘機や、軽爆撃機といわれているFST2改地上支援戦闘機等、攻撃性の強い機種を持つことになっております。しかも、空中給油技術の発達に伴って、これらがさらに長距離攻撃が可能なことは、今日の軍事常識であり、足の短い、長いは、政府の一時的な言いのがれにすぎないのであります。
 政府が四次防で、これら攻撃型の戦闘機の採用に踏み切ったのは、純軍事的な検討の結果、専守防衛ではもはや防衛は困難であるという観点から、攻撃防御の形をとり、航空戦力の七〇%を敵地攻撃に振り向けようとしておるのであります。
 その証拠には、すでに、増原防衛庁長官も、わが国に対する侵攻の意図が察知された場合は敵のその基地においてたたくこともあり得るという趣旨を、記者会見において発言をしております。また、海上自衛隊では、外洋において敵を攻撃することができる耐波構造のすぐれたヘリ搭載の対潜護衛艦やミサイル搭載護衛艦、涙滴型潜水艦等、いずれも従来の沿岸警備艦隊的な性格から、公海において迎え撃つという外洋艦隊への脱皮を目ざしておるのであります。増原長官自身、それを裏づけるように、自衛隊が戦略的意味で攻撃に出ることはあり得ない、しかし、個々の戦闘では、機先を制して敵を攻撃するのは当然のことなんだ、また、大体、専守防衛という言い方は間違いで、戦略守勢ということなんだと、新聞記者とのインタビューで答えております。
 この増原長官の戦略守勢を基本とする考え方は、敵の出ばなをたたくという、専守防衛からはみ出した攻撃的姿勢を意味し、きわめて危険な考え方であります。
 このように、日本周辺の防衛態勢から航空優勢、制海確保態勢へ、さらに、必要な範囲で公海、公空での敵撃破態勢へと、防衛範囲は無限に拡大されつつあるのでありますが、四次防における戦略の基本は、三次防の専守防衛型から、戦術的には、攻勢を含めた戦略をとるという方向を目ざしているのではないか。陸海空の戦略構想の基本について、政府の見解を求めるものであります。
 第五に伺いたいことは、政府の総合的な核政策についてであります。
 内外におけるわが国の軍国主義化への批判と危惧は、主として経済大国から核武装へという懸念からきているのであります。この際、日本の置かれた立場から考えると、世界における核兵器の現実と将来とを厳密に分析し、わが国は、いかなる核兵器の保有も決してプラスにならないということの認識の上に立って、世界の核軍縮から、核の平和利用に至る、一貫した基本政策を早急に確立し、国連を中心に、国際政治の場で、核兵器の危険性、その防止策等についてイニシアチブをとり、積極的に国際世論を起こすべきではないかと考えるが、政府の見解を承りたいのであります。
 第六に、治安出動に関する問題についてお尋ねをしたい。
 四次防では、政府の姿勢は、直接侵略と同時に、間接侵略重視の姿勢が強くあらわれてきておりますが、これとの関連で、自衛隊の治安出動が安易になされる可能性が懸念されるのであります。
 間接侵略や暴動、騒乱等の最良の防止策は、物心両面における国民生活の安定と向上のためのよい政治、よい行政を行なうことであります。国民不在、財界癒着の反国民的基本姿勢をはじめ、政府の失政のしりぬぐいを安易に自衛隊の治安出動に求めるということは、かりそめにもあってはならないと考えるのでありますが、総理の治安出動に対する見解を承りたいのであります。
 次に、防衛二法の内容に関する問題についてお尋ねをいたしたい。
 自衛官の定数を約七千人近く増員することにしているが、恒常的に三万人近くの欠員をかかえているにもかかわらず、今回、再び大幅増員を行なおうとする防衛庁の意図は、全く理解に苦しむものであります。
 今後、適齢人口の大幅減少が見込まれる中で、進学率はさらに上昇し、産業界においても、求人競争はますます激しくなると思われるが、いままでの欠員すら埋めることは不可能に近い現状にあって、なぜ十八万体制にこだわるのか、その理由と、将来、もし人が集まるならば、この十八万体制をさらに拡大する計画でいるのか、陸上自衛隊の人的限界について、どのようにお考えになっているのか、見解を承りたい。
 また、防衛庁の考え方では、平時欠員があっても、それは有事に集めればよいという考え方のようでありますが、もし、集めることができないとすると、その行き着くところは徴兵制という危惧が起こってくるが、私は、有事、平時を問わず、徴兵制は憲法上絶対にとれないと思うが、念のため、政府の見解を承っておきたいと思うのであります。
 次に、予備自衛官を三千三百名増員することにしているが、当初のいわゆる中曽根案では、予備自衛官による警備連隊構想があったが、現在もその構想は生きていると判断してよいのか。それとも、海原前国防会議事務局長のいう、郷土防衛隊構想を防衛庁としては考えているのか。この際、予備自衛官の性格、運用、数的限界等について、いかなる構想を持っているのか、見解を承っておきたいと思うのであります。
 また、航空総隊のもとに、南西航空混成団を新設しようとしているが、実際は、久保・カーチス協定によって、臨時派遣隊という名称で、すでにその主力部隊は沖繩に配備済みであります。昨年、沖繩増員分を含む防衛二法は国会で廃案となっているのであります。にもかかわらず、国会の意思とは関係なく、一防衛庁長官の訓令等によって、臨時という名称のもとに、先取り的に実戦部隊が配備されるということは、シビリアンコントロールの見地からも、また、国会軽視という見地からも、きわめて重大な問題であり、この先取り的暴挙は、断じて許せないのであります。(拍手)
 とすると、白紙撤回をされるか、総理及び防衛庁長官の見解を承っておきたいのであります。
 最後に、この新しい平和の幕あけの時代を迎えて、わが国がとるべき安全保障政策の方向は、外においては、今日の平和を定着させるための積極的な平和外交を推進することであり、内にあっては、社会福祉の充実による内政のひずみをすみやかに取り除き、民生安定による住みよい国づくりをすることが何よりも重要なことであります。
 しかるに、政府の今回の軍事増強政策は、時代に逆行するばかりでなく、時代錯誤もはなはだしいといわざるを得ないのであります。
 よって、四次防及びその一環であるこの法案は、直ちに撤回されることを強く要求して、私の質問を終わるものであります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(田中角榮君) お答えいたします。
 第一は、平和国家にふさわしい国家目標と平和定着のための方策についてお答えをいたします。
 あらゆる国々とともに友好を通じて平和を享受しようとするのがわが国の国家目標であります。そのためには、互恵平等の立場で話し合いを重ねることが肝要だと思います。また、開発途上国に対しましては、民生の安定に協力することにより平和が定着していくものと念願をしておるのであります。
 平和時の安全保障政策の重点についての御発言に答えます。
 わが国は、外には平和外交を展開し、内には経済社会の発展をはかり、内外に安定がもたらされるようにしなければなりません。しかしながら、それだけでは十分とは言えず、国を守る体制を維持する必要があることも言うをまちません。
 四次防は、憲法九条の禁止する戦力に該当しないかということに対してお答えをいたします。
 憲法第九条は、自衛権を否定するものではなく、自衛のため必要最小限度の防衛力が、同条第二項において禁止されている戦力ではないことについては、政府は一貫して堅持してきた見解でございます。
 治安出動についてお答えをいたします。
 国内治安の問題は、物心両面にわたる国民生活の安定と向上、国民が心から愛することのできる国土と社会の建設によって、おのずから解決されるものだと思います。安易に自衛隊に治安出動を求めるなどということは、あってはならないと考えておるのであります。
 他の問題については、関係閣僚からお答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣増原恵吉君登壇〕
#35
○国務大臣(増原恵吉君) 最初の御質問は、わが憲法の主義といたしまする自衛防衛、専守防衛という立場と違ったことを私が申したということについてでございます。
 新聞記者諸君との話し合いの際に、いわゆる防衛上のことばとしては、専守防衛ということばよりも、戦略守勢ということばのほうが、ことばとしては適当であるということを申したことは間違いございません。これはしかし、いわゆる戦略攻勢でなければ、守勢をどしどしとってよろしいというふうなことでないことは、そのときの談話の中で明確に申し上げておるわけでございまして、われわれが日本国憲法、特に憲法九条に違反して自衛隊を育成しようなどという考え方のございませんことは、十分にひとつ御理解を賜わりたいと思う次第でございます。
 次に、多くの欠員をかかえながら十八万体制に固執をするのは、どういうことかということでございます。
 先ほど、他の方に対しても申し上げましたが、このたび、約七千人近い増員をお願いしておりまする中で、陸は一千人でございます。昨年お願いしたものが廃案になったわけでございます。他の海空につきましては、申し上げましたように、九六ないし九七%の充足率を持っておりまして、将来にわたって心配のないものでございます。しかも海空の増員は、航空機あるいは艦船等の就役に伴いまして必要な員数をお願いしておるということであり、私どもは、将来にわたっての募集ということが、特に陸において困難であることは十分承知をいたしておるのでございまするが、さらに、わが国における経済の成長、あるいは進学率の向上、若年労働者に対する需要の増等いろいろございまして、むずかしいことはよく承知をしておりまするが、このたびの予算にもお願いをしてありまするように、施設の整備、充実等によりまして、隊員の処遇改善をお願いをするほか、十分案を練り想を練りまして、適切な人の充足をしていくことにいたしております。ただし、陸につきましては、そういう事情によりまして、募集ができるようになりましても、十八万体制をただいま増加する考え方は持っておりません。
 予備自衛官につきまして御質問がございました。
 いわゆる中曽根案の時分に、予備自衛官については、警備連隊あるいは警備部隊というふうな構想があったようだが、どういうことであるかということでございまするが、この予備自衛官は、補給、輸送、衛生等の後方支援部隊等に充足をすることを目的としておるものでございます。もとより後方支援という中に、現在ありまする自衛隊が、万一のことがありまして、治安出動等をいたしまして、全然そこに警備の力がなくなりました場合には、いわゆるそういう方面における軽い意味の警備部隊、軽警備部隊に充当するということも考えておりまするが、いわゆる警備連隊というふうな考え方は持っておらないわけでございます。
 最後に、南西航空混成団について御質問がございました。
 先ほどお答えもいたしたところでございまするが、これも決して文民統制の見地を乱るものではございません。本土に帰りました沖繩に対しまして必要最小限度の自衛隊を配備をする。残念ながら、国会において防衛二法の御協賛を得ることができませんでしたので、許されておりまする自衛隊法の運用及び自衛隊法施行令の運用に従いまして、防衛庁長官に許されたる範囲をもって、この陸海空の部隊を沖繩に派遣をいたしたわけでございます。
 沖繩における事態、沖繩における県民の方々の旧軍あるいは現在の自衛隊に対するいろいろのお考え方等は、われわれも十分に了承をしておるのでありまして、この点については十分お話し合いを続け、県民の方々の御理解を得て、沖繩を、本土復帰しました以上は、本土と同じようにわが自衛隊の手をもって自衛、防衛する措置を講じてまいりたい、かように考える次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#36
○国務大臣(大平正芳君) 安全保障政策の立場からの核政策についてのお尋ねでございました。
 御案内のように、わが国は、核政策の重要な柱として非核三原則を持っておることは御承知のとおりでございます。こういう姿勢の上に立ちまして、まず、われわれがなすべきことは、核兵器保有国側の核軍縮を促すということをやってまいらなければならぬわけでございます。そのためには軍縮委員会、これは国連の場等におきまして努力をいたしておるわけでございます。
 当面の目標といたしましては、核実験の包括的な禁止ということと、軍事用の濃縮ウランを平和的に転換するということを二つの目標といたしまして、そのイニシアチブをとって努力中でございます。(拍手)
#37
○副議長(秋田大助君) 防衛庁長官から再答弁があります。国務大臣増原恵吉君。
  〔国務大臣増原恵吉君登壇〕
#38
○国務大臣(増原恵吉君) 御質問を聞き漏らしまして、まことに恐縮に存じます。
 将来、徴兵をするようなことはないかという御質問があったのでございまするが、わが国は、憲法の示すところ、いわゆる徴兵制度というものをとる考えは絶対に持っておりません。
 なお、この際ちょっと申し添えさせていただきまするが、いまの御質問の答えで、予備自衛官を使いまする場合に、防衛出動で部隊が出てまいったあと、警備力がなくなったような場合に使うということを申したときに、治安出動で出動した場合と申したらしいのでございまして、もしそうでありますると、たいへんな言い間違いをしたわけでございまするので、この点は、防衛出動が下令された場合の間違いでございまするので、改めさせていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○副議長(秋田大助君) 永末英一君。
  〔永末英一君登壇〕
#40
○永末英一君 私は、民社党を代表し、防衛二法に関し、政府の防衛構想について田中総理の所信をただしたいと存じます。
 田中総理の防衛に関する見解は、重要な点で、二転、三転いたしておるのであります。すなわち、本年一月の終わり、参議院におきまして日米安保条約と防衛力との関係についてそうでありました。また、本院予算委員会における平和時の防衛力の限界についてそうでありました。
 防衛は、国民にとって命を守る真剣かつ重要な問題であります。孫子は、「兵は国の大事、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり」と申しております。このことばは、孫子以来二千数百年後の今日におきましてもなお真理であります。
 田中総理の防衛に関する見解は、はたして熟慮の末出されたものか、きわめて疑わしいものがあります。一たん防衛に関し、すなわち国民の命の問題に関して発言したものを、あるいはこれを変更し、あるいはこれを撤回するという転変ただならぬ総理の態度は、国民のあなたに対する信頼を著しく失わしめるものであります。(拍手)もし、総理の態度の二転、三転が国会対策のためというのであるならば、防衛問題の重大性を忘れた軽率かつ無責任な態度であって、日本国の総理としてのあなたのためにとらないところであります。孫子のことばをよくよくかみしめ、慎重に答弁をいたされたい。
 核戦略下にあっては、いかなる国も一〇〇%の安全感を持つことはできません。米ソのような強大な核を持つ国も、また核を持たない多くの国々も、国民が一〇〇%の安全感を持ち得ない点では同様であります。しかし、この間、各国は少しでも安全感の確立を高めようと、外、敵を極小にするための外交に主力を尽くし、内、国民に軍事力保有の犠牲を忍ぶように求めておるのであります。
 防衛問題とは、要するに、国の独立を守るため国民が払う犠牲と、それによって得られる安全感とのバランスの問題であると考えられます。
 国民の払うべき犠牲の内容を政府は国民に明らかに示すとともに、安全の確立を十分に説明することが政府のなさねばならぬつとめであります。(拍手)もしこれを怠るならば、国民は政府を信頼しなくなります。このような政府への不信の行きつくところ、犠牲を惜しんで非武装を主張し、侵略を受けたときは相手のじゅうりんにまかすなどと放言する者も出てくるありさまであります。これは、人間の求める最高の価値である個人の自由は、その属する共同体全体の自由、すなわち独立があってはじめて存在することを忘れたものといわなければなりません。(拍手)
 総理、あなたは防衛問題の本質についてどう考えているか、じっくりとお答えを願いたい。
 核戦略時代には、核を持たない国は二流国に転落し、いずれかの核大国に従属せざるを得ないと説く者がおります。しかし、核保有のために払わねばならないばく大な犠牲と、核保有によって得られる安全感の小ささとのアンバランスを考えるならば、核保有の道が賢明でないことは、だれの目にも明らかであります。われわれの課題は、非核武装でわが国の安全を守ることであります。しかし、核武装を放棄することは、強大な攻撃破壊力を持つことによって相手の攻撃意思を抑止し得るという抑止理論のらち外でわが国の安全を考えよと教えていると思わざるを得ません。
 弱肉強食のジャングルの法則がまかり通る国際社会でわが国が生き残るため、わが党は、現行憲法のもとで自衛力の保有は当然だと考えております。(拍手)このわれわれの持つ防衛力は、要するに侵略を排除する自衛に徹した力、すなわち専守防御に立つ防衛力でなければなりません。専守防御とは、核兵器出現前は単なる戦術用語でありました。しかし、いま、核戦略下における非核国の防衛構想の基本を考えるにあたって、新しい見地から見直されねばならぬ戦略概念だといわなければなりません。専守防御は、日米安保を前提にし、戦略守勢を内容とする政府の専守防衛方針とは、全く発想を異にするものであります。専守防御は有事即応でなければなりません。最近の中東戦争やインド・パキスタン戦争に見られるような短期間の戦闘の歴史に照らしてみても、このことは明らかであると存じます。また、スイスのように、予想せられる被害に対して、防災、復旧、救護のため、いわゆる民間防衛組織を常備している国々も、ヨーロッパには見られるのであります。
 政府は、三次防におきまして、「有事の際すみやかに事態に対処し、」として有事即応を志向していましたが、四次防では、これを弊履のように捨てました。そして、平和時の防衛力の限界などというわけのわからぬものを追求し、正面防衛力の整備にばかり気を奪われて、後方体制の整備に目をつむっておるのであります。そのために、たとえば弾薬を六万トンばかり保有してはおりまするけれども、それがどのように役立つのかということを国民に説明し得ないままであります。
 田中総理、あなたはなぜ有事即応を捨てたか、明確に国民の前に説明をせられたい。
 昨年二月、国防会議で決定された四次防の大綱において、政府は、三次防の大綱を踏襲し、日米安全保障体制を基調として防衛力を整備すると明言しています。ところが、本年一月、田中総理は、参議院におきまして、日米安保条約はわが国の自衛力を補完するものと述べました。
 基調か補完か、わが国の自衛力と日米安保条約との関係は、まことにあいまいであります。安保が基調だとする昭和三十二年の国防の基本方針以来の政府の方針は、はっきり、アメリカの極東戦略に組み込まれている自衛隊の姿を浮き彫りにしているのであります。わが自衛隊は、レアード・アメリカ国防長官のことばを借りれば、自由世界の総戦力、トータルフォースの一部をなしているのであります。ニクソン・アメリカ大統領は、この総戦力について、「われわれの安全保障戦力がこれ以下に削減されてはならないという絶対的な線というものがある。それが絶対量の限界である。」と述べております。このようなアメリカ側の日本への期待にこたえてか、陸上自衛隊のごときは、昭和四十四年以来二万名以上の欠員を慢性的にかかえ、昭和六十年に至っても全く回復の見込みなしと判断をしておりながら、なおアメリカとの約束に従って、昭和三十二年一次防で目標と定めました十八万名を目ざして、今回もまた定員増を、防衛二法を改正して求めようとしておるのであります。
 総理、あなたはここで、日米安保はわが自衛力に対して基調ではなく補完だと言われたことを再確認すべきであります。この確認によって、あなたは、昭和三十二年以来のわが国防衛の基本方針を変更したことをお認めになることになります。認めないなどと言われても、基調と補完というのは、まさしく違った概念であります。だとすれば、アメリカとの約束を果たすためだけの無意味な、欠員の中の定員増は、取りやめにしなければなりません。取りやめを総理は言明されますか。
 ベトナム戦争の終結、アメリカ、中国国交正常化の前進というアジア情勢の変化の中で、田中総理がこのように日米安保条約の評価を変更したことは、重大な意味のあることであります。わが党は、わが国土にある米軍基地の撤廃と米軍駐留廃止の時期が来たと判断し、日米安保条約再検討の段階に入ったと考えていますが、総理の判断はどうか、伺いたい。
 昨年、いわゆる四次防予算先取り問題に関して、「文民統制の実をあげるため、適切な措置を講ずる。」という衆議院議長あっせん案をのんだ政府は、昨年十月九日、「文民統制強化のための措置」と称して、国防会議の議員増員と国防会議付議事項の追加を行なおうといたしております。文民統制の実をあげるため、国防会議により多くの権威を与えようとするのは、政府サイドとしては当然でありましょうが、右の二つの措置だけでそれが果たせると総理が考えたといたしますと、とんでもないことであります。
 国防会議は防衛庁設置法を根拠法といたしておりますが、これは、アメリカからMSA援助を受け入れ、保安隊から自衛隊に変容する際の手続のためにとられた措置でありまして、したがって、このような経過のため生まれた国防会議は、有名無実なまま、じんぜん日を送っているありさまであります。これでは、国民が政府の防衛政策を信頼できるはずはありません。この際、防衛庁設置法から国防会議の項目をはずし、単独の国防会議設置法を制定するつもりはないか、総理の見解を伺いたい。
 戦争は武器だけで行なわれるものではありません。それはいまや、きわめて心理的なものになっております。国家が国民に豊かな生活を保障する度合いに応じて、国民は国の独立を守る意思を固めるのであります。総理、あなたは、この相関関係を十分念頭に置いて、わが国の防衛について、最高責任者としての率直な見解を披瀝願いたい。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#41
○内閣総理大臣(田中角榮君) 永末君にお答えいたします。
 日本の防衛をどう考えるかという第一の問題でございますが、自国民の生命と財産を守ることは国の義務であります。そのため、国防の基本方針に基づき、必要最小限の自衛力を漸進的に整備し、日米安保体制を維持してまいります。国際協調のための積極的な外交を展開し、国民が心から愛することのできる国土と社会の建設等の内政政策を推進いたします。これらの努力の総合の上に、わが国の独立と安全が保障されると考えるのであります。(拍手)
 日本の防衛は有事即応体制でなければならず、後方支援体制も整備しなければならないという趣旨の御発言に対して答えます。
 わが国のようにもっぱら自衛を旨とする防衛力においては、有事即応の体制を高めることが望ましいと言えます。防空機能のようなものを除いて、有事即応の体制は整備されるに至っておりませんが、後方支援体制とあわせて、必要な整備につとめてまいりたいと考えます。
 安保条約は日本の防衛の基調なのか補完なのかという問題に対して、御発言がございました。これにお答えをいたします。
 わが国の防衛は、米国との安全保障体制を維持しつつ、わが国みずからも有効にして必要最小限の自衛力を保持して、侵略を未然に防止することを基本としております。国防の基本方針においては、将来国連が有効に外部からの侵略を防止し得るに至るまでは、米国との安保体制を基調として対処することになっておることは、御承知のとおりであります。
 私が参議院で述べたことにつきまして御指摘がございましたが、御指摘の答弁は、わが国の自衛力には憲法上の制約があり、安保条約の有無によってその限界が変わることはない旨を述べるとともに、わが国の防衛を保つには、わが国の自衛力と日米安保体制とが相補っていくべきものであることを説明したものでございます。これは、国防の基本に関する問題についても、安保と自衛力とは相補うものであるが、安保なしでは日本の防衛は考えられないという意味で、安保体制を基調とするものである、こう考えたことを思い出していただきたい、こう思うわけでございます。
 なお、諸外国のように民間防衛の整備に力を入れる考えはないか、これはちょっとお触れになったようでございますから申し上げますが、わが国の防衛は自衛隊のみで全うできるものではなく、国民全体が国を守る気概のもとに協力をすることが必要であることは、論をまちません。が、しかし、現在、いわゆる民間防衛体制の整備等の具体的構想は持っておりません。
 文民統制のための国防会議が防衛庁設置法によっているのはおかしい、単行法にしてはどうかという御趣旨かとも思いますが、国防会議がシビリアンコントロールの実をあげるかどうかは、法律の体系の問題ではなく、その内容だと思うのでございます。
 国防会議は、設立以来運営に支障があったわけでもありませんし、私たちもいろいろな面から考えたのでございますが、現に国防会議は防衛庁設置法の中に記述をしてあるわけでございますので、単独法としてこれを取り出すということよりも、現行の防衛庁設置法の中で改正を行なうことがいいのではないか、このように理解しておるのでございます。
 以上。(拍手)
#42
○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。
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#43
○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時五十六分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 奥野 誠亮君
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        自 治 大 臣 江崎 真澄君
        国 務 大 臣 坪川 信三君
        国 務 大 臣 増原 恵吉君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        防衛庁防衛局長 久保 卓也君
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ソース: 国立国会図書館
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