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1972/03/29 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第19号
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1972/03/29 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第19号

#1
第071回国会 本会議 第19号
昭和四十八年三月二十九日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  昭和四十八年三月二十九日
   午後二時開議
 第一 沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関
    する臨時措置法案(内閣提出)
 第二 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
 第三 金属鉱業等鉱害対策特別措置法案(内閣
    提出)
 第四 日本てん菜振興会の解散に関する法律案
    (内閣提出)
    …………………………………
  一 国立学校設置法等の一部を改正する法律
    案(内閣提出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置
  に関する臨時措置法案(内閣提出)
 日程第二 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 金属鉱業等鉱害対策特別措置法案
  (内閣提出)
 日程第四 日本てん菜振興会の解散に関する法
  律案(内閣提出)
 国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後二時三十六分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 沖繩国際海洋博覧会政府代表の設
  置に関する臨時措置法案(内閣提出)
#3
○議長(中村梅吉君) 日程第一、沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#4
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。外務委員長藤井勝志君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔藤井勝志君登壇〕
#5
○藤井勝志君 ただいま議題となりました沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和五十年に沖繩で開催される予定の沖繩国際海洋博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十五条の規定により、開催国は、政府を代表する政府委員または代表を一人指名しなければならないことになっておりますので、本案は、その任務の重要性にかんがみ、外務省に特別職の国家公務員である沖繩国際海洋博覧会政府代表一人を置くこととするものであります。
 代表の任務といたしましては、沖繩国際海洋博覧会に関し、条約の定めるところにより、日本国政府を代表し、かつその約束の履行を保障することであります。
 なお、代表の職は、沖繩国際海洋博覧会のために臨時に設けるものでありますから、本案は、博覧会終了後一年の期間を経過いたしますと、その効力を失うこととしております。
 本案は、去る二月九日外務委員会に付託され、二月二十三日政府より提案理由の説明を聴取し、以後、沖繩及び北方問題に関する特別委員会と連合審査会を開く等、慎重な審査を行ないましたが、その詳細は会議録により御了承を願います。
 かくて、質疑を終了し、三月二十八日採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議が付せられておりますことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(中村梅吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 金属鉱業等鉱害対策特別措置法案(内閣提出)
#8
○議長(中村梅吉君) 日程第二、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案、日程第三、金属鉱業等鉱害対策特別措置法案、右両案を一括して議題といたします。
#9
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。商工委員長浦野幸男君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔浦野幸男君登壇〕
#10
○浦野幸男君 ただいま議題となりました二法案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果の御報告を申し上げます。
 最近、金属鉱業等における鉱害問題は、重大な社会問題となっております。両案は、金属鉱業等における鉱害の特殊性と対策の緊急性にかんがみ、過去に蓄積された鉱害源の処理をはかるとともに、今後における鉱害発生の防止をはかるため提案されたものであります。
 まず、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案の内容は、事業団の業務に金属鉱業等による鉱害の防止に必要な資金の貸し付け等を加えるとともに、これに伴い法律の題名及び目的を改め、同事業団の名称を金属鉱業事業団に改めること等であります。
 本案は、去る二月十九日本委員会に付託され、同月二十七日中曽根通商産業大臣から提案理由の説明を聴取しました。
 次に、金属鉱業等鉱害対策特別措置法案について申し上げます。
 本案の内容は、金属鉱業等における特定施設の使用終了後の鉱害防止事業の費用に充てるため、採掘権者等に鉱害防止積立金の積み立てを行なわせるとともに、本法施行前に使用を終了している特定施設の鉱害防止事業について、通商産業大臣がその実施に関する基本方針を策定、公表し、採掘権者等に鉱害防止事業計画の届け出を行なわせること等であります。
 本案は、去る三月八日本委員会に付託され、同十三日中曽根通商産業大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。
 以後、両案について参考人から意見の聴取、公害対策並びに環境保全特別委員会との連合審査会の開会等、慎重な審査を行ない、昨三月二十八日質疑を終了、直ちに採決の結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、両案に対し、それぞれ附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(中村梅吉君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 日本てん菜振興会の解散に関する
  法律案(内閣提出)
#13
○議長(中村梅吉君) 日程第四、日本てん菜振興会の解散に関する法律案を議題といたします。
#14
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長佐々木義武君。
    ―――――――――――――
  〔報告は末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔佐々木義武君登壇〕
#15
○佐々木義武君 ただいま議題となりました日本てん菜振興会の解散に関する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本案は、日本てん菜振興会によるてん菜に関する試験研究の進展状況等にかんがみ、日本てん菜振興会を解散するとともに、その資産及び債務を国が承継すること、その他必要な経過規定を設けること等を内容とするものであります。
 委員会におきましては、三月二十八日櫻内農林大臣から提案理由の説明を聴取した後、慎重に審査を行ない、同日質疑を終了し、採決に付しましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(中村梅吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#18
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、国立学校設置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣奥野誠亮君。
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#19
○国務大臣(奥野誠亮君) 国立学校設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。
 この法律は、新しい構想に基づく筑波大学の創設を含む国立大学の新設、学部の設置その他国立学校の整備充実について規定するとともに、大学の自主的改革の推進に資するため必要な措置等について規定しているものであります。
 まず、筑波大学以外の大学の設置等について御説明申し上げます。
 その第一は、旭川医科大学を新設し、山形大学及び愛媛大学にそれぞれ医学部を設置するとともに、東北大学医療技術短期大学部を新設することであります。
 これは、近年における医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処し、医師養成の拡充をはかり、医学の研究を一そう推進するとともに看護婦などの医療技術者の資質の向上をはかろうとするものであります。
 第二は、埼玉大学及び滋賀大学にそれぞれ工学及び経済学の修士課程の大学院を新たに設置するとともに、現在なおその病因等が解明されていない難病についての基礎的研究を推進するため、東京医科歯科大学に難治疾患研究所を設置し、大気水圏環境の構造と動態に関する総合的な研究を推進するため、名古屋大学に水圏科学研究所を設置し、千葉大学の腐敗研究所を生物活性研究所に改組し、さらに、これまでの南極観測十八年の成果を踏まえ、極地の総合的、科学的研究及び極地観測の一そうの推進をはかるため、国立大学共同利用機関として国立極地研究所を新設することといたしております。
 以上のほか、国立久里浜養護学校を設置し、国立特殊教育総合研究所との相互協力のもとに、心身に障害を有する児童、生徒のうち特に障害が重度であり、あるいは重複している者の教育に当たらせることといたしております。
 次に、後ほど御説明申し上げます筑波大学の新しい構想の実現と各大学における自主的な改革の推進に資するため、学校教育法を改正し、大学制度の弾力化をはかることといたしております。
 第一は、大学成立の基本となる組織を従来認められてきた学部のみに限定することなく、それぞれの大学における教育、研究上の必要に応じ、学部の設置にかえて学部以外の教育、研究のための組織を置くことができるようにすることであります。
 大学の学部は、特定の学問領域について教育と研究を一体的に行なうための組織でありますが、今後教育研究上の多様な要請に柔軟に対処して、大学の充実発展をはかるためには、その基本的な構成要素を学部のみに限定することなく、教育研究上の必要に応じ、それぞれの大学の判断するところによりさらに弾力的な組織形態をとり得る道を開くことが、大学改革を推進する上でこの際特に必要であると考えた次第であります。
 筑波大学の構想はその一つの例でありますが、筑波大学の構想に限らず、今後、大学がみずからの発意により積極的に新しい適切な組織によることを希望する場合には、その内容を十分検討の上、それが実現できるようにしてまいりたいと考えております。
 第二は、医・歯学部における履修方法の弾力化をはかることであります。
 最近、医・歯学部において、六年間を通じた弾力的なかつ効率的な教育課程を編成する必要性が医・歯学教育に携わる多くの関係者から指摘されるに至っております。そこで、各大学の判断により、従来のとおり進学課程と専門課程を区分して履修させることも、あるいは六年間を通ずる一貫した教育を行なうことも、いずれの方式をもとり得るようにすることといたしております。
 第三は、大学に必要に応じ副学長を置くことができるようにすることであります。大学の規模が拡大し、組織、編成が複雑化するとともに、これを有機的な総合体として教育、研究の両面にわたり適確に運営してまいることは、学長にとってまことに容易ならぬ職責となっております。とのような学長の負担を軽減し、大学の機能的な運営をはかるため、その補佐役を設ける必要があるという指摘が各方面からなされているところであり、このような観点から、大学がその事情により必要があると判断した場合には、学長の職務を助けることを任務とする副学長を置き得ることといたしたのであります。
 以上御説明申し上げました諸点は、いずれも国公私立を通じてすべての大学に適用される規定であり、かつ、大学がみずからの判断によってその採否を決定し得る事項であります。このような制度の弾力化を通じて、大学自身の手による自主的な改革が一そうの進展を見ることを強く期待するものであります。
 次に、この法律は、以上の大学制度の弾力化を踏まえた新しい構想に基づく国立の大学として筑波大学を新設することといたしております。
 この筑波大学は、東京教育大学が自然環境に恵まれた筑波研究学園都市へ移転することを契機として、そのよき伝統と特色を受け継ぎながら、これまでの大学制度にとらわれない新しい総合大学を建設しようとするものであり、かねてから、東京教育大学との緊密な連携のもとに、同大学における検討の成果を基礎としつつ、他大学などの学識経験者の参加も求めて検討を進めてまいったものであります。
 この大学の特色は、第一に、従来の大学に見られる学部、学科制をとらず、学群、学系という新しい教育、研究組織を取り入れていることであります。すなわち、これまでの学部が教育と研究を同一の組織で行なっていることに対し、学群は学生の教育指導のための組織として、もっぱら教育上の観点から編成されているものであります。また、これらの学群の教育に当たる教員の研究上の組織として、学術の専門分野に応じて編成する学系を置き、研究上の要請に十分対処し得る条件を整備することといたしております。
 第二に、大学が開かれた大学として適切に運営されることを確保するため、その管理運営に当たる組織について、次のような措置を講ずることといたしております。
 すなわち、学長の諮問機関として参与会を設置し、大学の運営に当たり、必要に応じて学外の有識者の意見を取り入れることができるようにすることといたしております。
 また、副学長のほか、学群、学系などの教員会議と緊密な連携のもとに、評議会、人事委員会等の全学的な組織を設け、全学の協調を基礎とした機能的な運営をはかることといたしております。人事委員会は、学群、学系制度による教育、研究の機能的分化に対処して、教育、研究両面からの要請を勘案しながら、全学的、総合的な見地に立って、適正な人事を確保することを目的とするものであります。
 このような大学の管理運営方法の改善を通じて、真の総合大学にふさわしい大学の自治の確立を目ざそうとするものであります。
 なお、筑波大学は、昭和四十八年十月の開学後、年次計画をもって整備を進めることといたしております。また、さきに申し上げましたとおり、同大学は、一面において、東京教育大学の移転を契機として創設されるという側面を持つものでありますので、筑波大学の整備と並行いたしまして、東京教育大学については、年次的に閉学措置を進めることといたしております。
 その他、この法律におきましては、以上のことと関連して、所要の規定の整備をはかることといたしております。
 以上が国立学校設置法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#20
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。森喜朗君。
  〔森喜朗君登壇〕
#21
○森喜朗君 私は、自由民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありました国立学校設置法等の一部を改正する法律案、いわゆる筑波大学法案に関し、政府の所信をただしたいと思います。(拍手)
 かつてアメリカのプリンストン大学の卒業式で、一人の優秀な学生が表彰されたことがございます。大学総長に名前を呼ばれ、その学生に表彰状が渡されようとしたその瞬間、突然学生は叫びました。「総長、待ってください。私が表彰されるべきではありません。表彰されるべきはあの人であります。」そう言うと、その学生は父兄席の一隅を指さしたのであります。そこには、すでに頭に白いものがまじった老婆がほほえみを浮かべてすわっておりました。学生は再び叫びました。「先生、あの老婆は私の母親です。私が今日あるのは苦労して育ててくれたあの母のおかげです。きょう表彰されるべきは私ではなく、あの私の母です。」こう言うと、学生は、老婆の手を引いて演壇の前に立ったのであります。(拍手)満場、寂として声なく、やがて万雷の拍手がわき起こったのであります。この親思いの学生こそ、後のプリンストン大学の総長であり、やがてアメリカ合衆国の大統領となったウッドロー・ウィルソンその人であります。(拍手)
 さて、ひるがえって日本の大学の現状、日本の大学の卒業式の風景はいかがでありましょうか。
 三月二十五日午後、私の母校である早稲田大学で、卒業生、父兄九千人を集めて卒業式が開かれました。卒業生の代表は何と言いましたか。「私たちはうしろ髪を引かれる思いでキャンパスを去る。学園は荒廃している。暴力の嵐の前に、私たちにはむなしい脱力感しかなかった。諸悪の根源は大学当局と硬直化した教授会にある。責められなければならないのは、無気力で無責任な大学当局である」ときびしく批判しているのであります。(拍手)他の大学も大同小異の卒業式の光景であるやに聞いております。親子の情愛も、師弟のあたたかい交流も見られない荒廃とした大学の姿。
 冒頭に、まず目標感覚を喪失した現在の大学の実態を指摘して、さらに、本日御列席の総理大臣、関係閣僚、また国民の大いなる期待を一身に受けられている国会議員各位が、現在の混迷した教育を根底から究明して、新しい教育百年を踏み出す歴史的な年であることを自覚して、勇気をもってこの課題に取り組むことが、政治家としての命題であろうと訴えるものであります。(拍手)
 警察庁の調べによると、これまでに内ゲバで死亡者を出した事例は、四十四年七月、中央大学で同志社大生が死亡した事件以来十件、十一人を数え、昨年だけでも、二件の死亡を含め、内ゲバは百七十四件に達し、三百二十二人が負傷しているのであります。全国四十四大学が何らかの形で、学内の教室、研究室、寮が学生に不正使用されているのであります。
 こうした大学のキャンパスが荒廃している背景を究明するためには、現在の大学が教育、研究にふさわしい環境に置かれているのかどうか、これまでのしきたりや制度に致命的な欠陥があるのではないか、そうした根本的な問いかけがなければ、いまの大学の問題の解決にはならないと思うからであります。(拍手)
 「白雲悠々と去り、またきたる」とは白居易の詩であります。「白雲なびく駿河台……」明治大学の校歌であります。しかし、今日、東京の大学のどこに白雲がなびき、白雲がゆうゆうと来たりて去る大学がありましょうか。あるのは薄よごれたスモッグであり、教授と学生の不信の念であります。
 四十六年十月に、文部省が実施した中学校及び高等学校の生徒の進路指導に関する調査で、大学進学の理由を、希望する職業につくため必要だからと、将来の就職用実利一本張りの生徒が実に四四%と、断然トップを占めており、豊かな教養を身につけたいという答えはわずか一一%にすぎないのであります。
 青春のほとんどを灰色の受験勉強に費やす学生が、それでもようやく目的の大学に入学できたとして、彼らがそこで見るものは、お粗末な教育施設と十年一日のごとき講義、そうして、緑も森もグラウンドもない、暗くてせせこましい大学の姿なのであります。マージャンにうつつを抜かし、喫茶店に入りびたり、五月病にかかる学生がふえるのは、ある意味では当然かもしれないのであります。多少元気のよいのが、こん棒でもふるってやろうかとなるのも理解できないことでもないのであります。
 しかし、受験勉強のみに少年期を過ごした、主体性のない、付和雷同的学生の多いこのごろでは、特定の、無責任な政党や革命家にあおられて、羽田デモ、成田闘争とエスカレート、一連の赤軍派事件、浅間山荘、テルアビブと、世界にまでその罪悪を及ぼすに至っては、私ども政治家は、これに目をふさいでおられないのであります。(拍手)
 まず、総理にお伺いをいたしたいのであります。現在の高等教育のあり方、大学の存在価値、これが教育百年を迎えた成果なのか、率直なお考えを承りたいと思います。
 こうした現状分析と、大都市における教育環境の悪化を考えますとき、筑波大学の新構想、つまり、自然環境にも恵まれ、新しいシステムによる研究学園都市の建設は、まさに時宜を得たものであります。(拍手)
 この全く新しい国立大学の誕生は、教育の創造革新への道に通じ、巨大科学時代に一石を投ずるものであり、これこそ、世界史にいどむ日本の若者に新しい哲学思想をもたらす場であると信じて疑わないのであります。(拍手)
 しかし、これで現在の大学問題のすべての解決にはなりません。この構想は一つの自主的解決でありますが、このほかにどのような方策をなされようとされているのか、文部大臣の具体的な方針を伺いたいのであります。
 次に、今回の筑波大学について若干の質問をいたすのでありますが、その第一は、予算規模であります。
 この構想の総額は約六百億円、四十八年度が五十億となっておりますが、はたしてこの程度の予算で、真に二十一世紀の社会に沿い得る大学が建設されるのかといった素朴な疑問であります。
 この三月十九日、私は筑波に参りました。緑の森の中にタータンのトラックが伸び、広大なスペースに球技場、体育施設が点在し、ところどころには池もある。それは実に牧歌的で、青年が活力を発散させるにふさわしいみごとな環境をまのあたりにして、深く感銘したのであります。
 ところが、目を転じて、教授、職員の宿舎となる住宅団地を見て、今度は深い失望感に襲われたのであります。これが未来を先取りする教育研究者の住む住宅とは申せません。都心の団地と同じ程度の、従前の公務員宿舎と全く変わらない。大蔵官僚の頭には、この構想に理解ができているのかということを、問いたださずにはおられないのであります。(拍手)
 大蔵大臣、文部大臣、この計画に関し、両省間の連絡がはたしてできているのか。どのような協力体制をお考えなのか、両大臣のお答えをお願いしたいと存じます。
 ただでさえ、内職には不便だとか、ガマの出るところなんか高度の研究はできないなどと、理由にならない理由を唱えている学者もいるやに仄聞しておりますが、少なくとも、研究できる書斎くらいは完備して、また、学生たちに、「おい、君たち、今夜おれの家ですき焼きでも食わぬか」と言えるぐらいなスペースを用意しなければならないと思うのであります。(拍手)学生と教授の断絶が埋まり、肌の触れ合いがすき焼きでできれば、住宅投資も安いものであります。入れものは内容をつくる、形が内容を整えると申します。大学校舎にしてもそうであります。
 先年、私はモスクワへ参りました。あのレーニンの丘の上にそそり立つモスクワ国立大学の威容を見て驚きました。三十七階建て、二百五十メートルの中央棟。スターリンが何と一九五三年につくったものだそうでありますが、上のほうが雲にかすんでいる。まさに白雲なびくであります。このくらいのやつをつくらないと、気宇壮大な研究、学問なんぞできないのではないか。ひとつ百階建ての校舎を建築して、てっぺんに上がれば、霞ケ浦はおろか、太平洋が見える、そのぐらいりっぱなものをつくるように、関係閣僚にお考えをいただきたいのであります。(拍手)
 質問の第二は、人の問題であります。
 学長の補佐役として副学長を五人置くということでございますが、どういう人材を置くか、その辺の構想を伺っておきたいのであります。と申しますのは、この人材いかんが、新大学の性格決定にたいへん影響があるからであります。
 私見でございますが、世界各国のノーベル賞受賞者を思い切ってどんどん招聘して、副学長や教授陣に加えたらいかがでありましょうか。
 学問の国際化がいわれておりますが、聞くところによりますと、国際舞台で通用する学者は、日本の学者のうち三割もいないそうであります。外国のまねばかり、横のものを縦に翻訳する程度のことしかしていないから、自然科学、人文科学とも人材不足の感があるのであります。そうして、若い有能な学者は、すばらしい研究環境の与えられている外国へ行ってしまう。頭脳の流出が叫ばれてから久しいのに、何一つ歯どめをかけていない。これは政治の怠慢であります。ドルをため込むばかりが能ではない。輸出入で申せば、頭脳の出超ではなく、入超でなければならぬと思います。この構想を推進する機に、たまり過ぎたドルで世界じゅうの優秀な頭脳を集めて、この大学に来なければ利用できないというような世界最高の研究器材を購入すれば、これはドル減らしとして一石二鳥の効果があると考えますが、いかがでありましょうか。総理のお考えをお伺いしたいと存じます。(拍手)
 さらに、現在の計画では、既存国立大学の出店程度に終わってしまう。天下り教授の就職先の一つとなり、特に医学専門学群では、白い巨塔がまた一つふえるだけの結果になりかねないのであります。この際、一部学者の都合のよい閥づくりにならないように、歯どめをかけておきたいと思いますが、文部大臣の明確なる御決意を伺いたいと存じます。
 最近の大学の現状を見るにつけ、大学教授の無能が露呈されてきております。紛争一つ見ても、理想と口はうまいが、手をよごそうとはしない。極端なものは、学生のセクトと取引して身の保全を考え、教授が現行犯でも起こさない限りその身分は保障され、講義をしなくても学校にぬくぬくとしておることができるという。任期制も配置問題も、議論されながら、いまだ政府としての確固たる指導方針が出てこないのは、一体どうなっておるのか。今回の法改正にも全く取り入れられていないのは、政府の弱腰であると思う。国民は正しいことと正しくないことのけじめをしっかり見ていると思いますが、この際、総理の御決断が必要と思われます。御決意を伺いたいと存じます。(拍手)
 質問の第三は、こうしてできたすばらしい環境と施設、豪華けんらんたる教授陣の筑波大学方式を、積極的に他の大学にも及ぼすべきではないかということであります。
 大学自治あるいは学部自治に対する干渉になるのではないかという批判をおそれるのあまり、筑波方式の導入は各大学の自主的判断でということを、しきりに政府は強調されているわけでありますが、私に言わせれば、よき考え、よき方法はどんどんと各大学で採用されてしかるべきであり、憶病になることは毛頭ないと思われるのであります。(拍手)
 ある全国紙のコンピューター調査によりますと、国立大学の拡充を希望している国民は、何と六三%の多きにのぼっているということであります。筑波大学は、単に東京教育大学の場所的移転ではないと思います。従来の型にとらわれない、全く新しい開かれた大学をこしらえるのだという心意気が大切なのであります。(拍手)正々堂々とその教育効果を世に問い、日本の大学の範となる大学づくり、他の大学の改善、改良の引き金的存在にするよう心がけてほしいと思うのであります。(拍手)全国民が期待した田中総理の国土改造計画、この計画の柱こそ新研究学園構想でなければならぬと思います。
 四十八年度予算要求のありました新研究学園公団の構想がなぜ実現しなかったのか、今後再検討の計画がないのか、大蔵大臣のお答えをいただきたいと思います。
 また、さきごろ広島県西条町に総合移転をきめた広島大学、在日米軍が返還した春日原地区への移転を希望している九州大学、さらに、現在金沢城の中に建てられている金沢大学、赤旗やゲバ棒に貴重な文化財が侵されている現状を考慮して総合移転を要望しているのでありますが、いずれも用地、膨大な予算に行き詰まっているわけであります。
 この際、総理の御決断で、四十八年度予算に計上されている新学園建設調査費を有効に活用され、続いて次年度から、学園公団方式でこれら地方国立大学の拡充整備を年次計画で建設されるお考えはないか、所信をお伺いしたいのであります。
 以上、私は問題点の二、三を指摘いたしたのでありますが、野党その他関係者の批判、また、最近配布された民主教育を進める国民連合の反対理由、大体列挙いたしてみますと、
 一、学長の権限強化で大学の自治と学問が侵される、
 二、これを突破口に他の大学に導入する、
 三、教育が国家統制の道を歩む、
などがあげられているわけでありますが、大体、私の質問に対するお答えでそのすべては解消されると思うのであります。(拍手)
 なかんずく、政府が教育に責任を持ち、教育の運営にその責任を果たすための施策を行なうことは、大なり小なり差はあろうとも、世界のいずれの国でも当然のことであります。社会党や共産党が目標とされている社会主義諸国に学問の自由があり、国家管理が全くないとでも思っておられるのでありましょうか。もうそろそろ時代の進展の中で考え直す時期に差しかかっていると思うのであります。まして、変化に富む現代から未来にかけて、いかなる人間づくりをするか教育が志向せねばならないときに、旧態依然とした教育論争では、教育の進歩のためではなくて、政治のかけ引きのために教育をもてあそんでいると批判されてもしかたなかろうと思うのであります。(拍手)
 学問の自由と独立は、私どもが命をかけて守らなければならない原理の一つであることは論をまちません。私もその点の認識では人後に落ちないと自負いたしております。と同時に、ビッグサイエンス時代にはビッグ投資がなされていなければならないというととも真理であります。公害企業に投資するのではありません。学問の研究に投資をするのです。これなくして日本の将来はあり得ないと思うのであります。
 私たちの子供、孫、子々孫々に残すものは、土地でもなければ金でもないと思います。残すにふさわしいもの、それは新たなる文明を創造するに足る頭脳、英知、教養であります。(拍手)
 田中総理、失礼ではありますが、総理は大学へはおいでにならなかった。にもかかわらず、苦学努力をされ、一国の宰相におなりになった。学歴偏重の社会にあっては、日本の若者に大きな夢と希望を与えられたのだと思います。(拍手)
 そこで、大学をお出にならなかった総理が、その内閣の責任において、二十一世紀の文明のゆりかごともなり、母体ともなる真の大学を後世に残す、これほどすばらしい業績、遺産はないと信じます。(拍手)
 事柄は、私どもの祖国日本国家の進運にかかわる問題であります。総理はじめ関係閣僚の大胆かつ率直な御答弁をお願いして、私の代表質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(田中角榮君) 大学教育の荒廃の現状をどう認識し、また、今後の大学教育のあり方についてどう考えるか、このような第一問に対して、まずお答えを申し上げますと、大学の現状につきましては、御指摘のような問題が数多く存在することは事実であります。広く、高い知識を吸収し、人格の陶冶を求めて大学に学ぼうとする国民の希望に正しくこたえることができるよう、必要な施策は適時適切に考慮を払ってまいりたいと考えます。
 このような観点から、大学教育の正すべき点はこれを正し、これからの激動する社会に適切に対応できるよき社会人を育成する大学とするよう、大学関係者の自主的な努力を促しつつ、大学の教育環境の改善を含めて、大学教育全般の改革を進めてまいりたいと考えておるのでございます。
 筑波大学に世界の優秀な学者を招聘し、研究器材も世界的なものを導入してはどうかとの御指摘でございますが、筑波大学のねらいの一つは、国内のみならず国際的にも開かれた大学とすることにあることは言うをまちません。御指摘の点を含めて、同大学に内外の優秀な学者を招聘し、それにふさわしい研究環境を備えていく必要があると考えておるのでございます。
 それから第三点は、新学園建設調査費を有効に活用して、年次計画を立てて、新しい大学の設置計画を勇敢に進めるべきだということでございますが、現在の大学の大都市集中が、大学の地域的偏在をもたらすとともに、学園環境の悪化を来たしていることはいなめない事実でございます。
 このため、恵まれた自然環境の中に新しい構想の学園を建設することを考え、四十八年度において新学園建設等調査費を文部省に計上し、これによって新学園建設のための基本的事項について調査研究を進めることといたしておるのでございます。この五千万円の調査費はわずかなものでございますが、いま御指摘になったような広い視野に立って、将来の大学はどうあるべきかという立場に立って、全国的な視野で調査を進めてまいりたいと考えておるのでございます。自民党が、かつて正式に党議決定をした都市政策大綱の中にも示してありますように、一つの理想の姿として、明治の初年にわれわれの先覚が乏しい中から官立大学や公立大学を築いたような考えと視野に立って、百年の将来に思いをはせながら、新大学をどうすればいいかという一つの姿として、国有地で大体一校五百万平方メートルないし一千万平方メートル。そうすると、世界で最高の大学機構ができるわけでございます。しかも、建設費は、国有地でありますから土地の購入費というものを考える必要はありません。そうすると、最高水準の大学を築くとしても、一校当たり二千五百億程度でございます。十校の建設を行なうとしても、二兆五千億ないし三兆円であります。このような問題を国民的支持と理解を前提として行なうとすれば、さした困難な問題ではないわけでございます。学債を発行するとすれば、三年ないし五年でこれらが完成できるわけであります。
 そういう立場で、そのような理想的な姿を描きながら、広く環境を求めようというのが、この五千万円計上した調査費の目的でございます。これはただ一つの内閣が行なえるものではありません。国民の支持と理解を求めながら、短い間に、できるならば可及的すみやかに結論を出して、次代の国民のために大きな一歩を踏み出すべきである、このように考えておるのであります。
 残余の問題に対しては、文部大臣から答弁いたします。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#23
○国務大臣(小坂善太郎君) 筑波研究学園都市は、新しい構想のもとに、研究者と教育者などに魅力のある学問の府をつくらんとするものでありまして、政府としましては、すでに筑波研究学園都市建設計画の大綱を決定いたしまして、首都圏整備委員会に、筑波研究学園都市のマスタープランを作成するための経費といたしまして一億五千万円を計上して、基本計画を進めておるわけでございます。
 お尋ねの公務員宿舎でございまするが、従来のものに比べまして一部屋多いものを建設している次第でございますが、今後は、さらに研究学園都市にふさわしい宿舎を建設することといたしまして、この予算を活用して検討を続けてまいりたいと考えております。お話のごとく、私もまた、豊かな環境は心の豊かな人物をつくるというふうに考えておりまして、御指摘の点をまことにごもっともと考えておる次第であります。
 次の問題といたしまして、新学園公団をなぜつくらなかったかということでございます。自治省のほうから出資十億円、財投四十二億で新機構をつくりたいという御要求はあったのでありますが、政府といたしましては、新しい機構をつくらないという方針を貫きましたので、それにかわりまして、総理からもお答えございましたが、政府は、この公団の趣旨とするところ、すなわち、大学が大都市に集中されることを抑制し、全国的に均衡のとれた大学の配置と教育環境の改善をはかるという方針を持っておりまして、恵まれた自然環境の中に新しい学園を建設する必要があると考えておるのであります。その基本的な事項を調査するための経費として、新学園建設等調査費という名のもとに五千万円を計上しておるわけでございます。
 かつて大学が東京都内にできましたころ、その周辺はまことに豊かな自然に恵まれておったわけでございますが、今日の人口増加の環境の中にありまして、いまや雑踏の中にうごめいておるという状況でございまして、この新しい事態に立って、新しい学園の構想をぜひ皆さま方とともに進めてまいりたいと考えておる次第であります。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#24
○国務大臣(奥野誠亮君) 今日多くの大学が紛争を繰り返しておるわけでございますけれども、大学の管理運営の方式が一つしかないということには非常な問題があるわけでございますので、今回、東京教育大学の構想を受け入れまして、新しい一つの構想を加えたわけでございます。これが契機になりまして、各大学が積極的に改革の問題と取り組んでくれる、その中からいろいろな構想が生まれてくる、必要に応じまして、また立法措置で加えさしていただきたい、そういうことを一番私たちは念願をいたしておるものでございます。
 同時に、今回、特にあわせまして弾力化の規定も幾らかつけ加えさしていただきました。たとえば医・歯学、二年と四年に分けて教育しなければならない。そんなに限定する必要はない、六年一貫教育をやろうと思えばやれるようにしてあげればいいじゃないかということもございますし、副学長を置きたいとおっしゃるのなら置けるようにもしてあげたらいいじゃないか、かようにも考えるわけでございますし、学部以外に違った組織をくふうしたいと考えられるならば、それもまた認めてあげるような仕組みをとりたい、こういうことが今回の基本的な考え方でございます。
 第二に、筑波研究学園都市は二千七百ヘクタールという広い地域の中で、四十二内外の研究機関も設けられるわけでございますけれども、その中の中心をなすものがこの筑波大学でございます。
 筑波大学は二百四十五ヘクタールを用意しておるわけでございまして、今日、東京教育大学のキャンパスは幾つにも分かれておるわけでございますが、これを全部合わせました五倍の面積があるわけでございます。この中にりっぱな施設――私は、今日総合大学といわれておりますけれども、東京大学にいたしましても、法科大学でありますとか、あるいは医科大学でありますとか、単科大学が一緒になりまして、今日総合大学といわれているだけでございますから、真の総合大学は筑波大学が初めて生まれるんだ、かように考えておるものでございます。そういう考え方におきまして、この大学の設置に当たっていきたい、かように念願をいたしておるものでございます。
 副学長の問題につきましては、東京教育大学は、総務担当、教育担当、研究担当、厚生福祉担当、医療担当、五人の副学長を置きたいと言っておられるわけでございますので、それを採用したい、かように考えておるわけでございます。
 副学長は評議会の定める基準により学長が選考するわけでございますので、大学が副学長をお選びになるわけでございます。りっぱな人が得られますように、森議員の期待にこたえられるような人が選ばれますように、東京教育大学にも強く要請してまいりたい、かように考えるわけでございます。
 なお、人事が閉鎖的になるおそれはないかというお話などがございました。まさにいまの学部自治の欠陥はそれだと考えるわけでございます。
 講座といった固定的な教員組織、したがいまして、教授がやめない限りにおいては、その下の助教授はいつまでたっても教授になれない。このような閉鎖的な人事、そういう問題もございますので、学部のあり方につきまして、教育と研究とを一つにしない、これを筑波大学の場合には研究の組織と教育の組織を分けましょう、こうしておるわけでございますので、人を選びます場合には、教育審議機関からも、また研究の審議機関からも人を出してもらいまして、総合的な角度から人事を行なう、そういう意味で人事委員会をつくるわけでございますから、この人事委員会がいままでの閉鎖的な人事行政を破って、全学的な立場から人事行政をやってくれるものだ、かように期待をいたしておるものでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(中村梅吉君) 嶋崎譲君。
  〔嶋崎譲君登壇〕
#26
○嶋崎譲君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案された国立学校設置法等の一部を改正する法律案に強く反対する立場から、総理並びに関係閣僚に対し、質疑を行なわせていただきます。(拍手)
 法案は二つの部分から構成されています。一つは旭川医科大学の設置、山形、愛媛大学の医学部増設など、国立学校設置法の一部を改正すれば事足りるものと、いま一つは、新筑波大学の創設を通じて、国立学校設置法、学校教育法、教育公務員特例法など、三つの法律を相互に関連づけて改正し、これを契機に国家権力の手によって、学問の自由、大学の自治を侵すおそれのある大学管理政策を方向づけようとするもの、この二つであります。つまり、異質なものが二つ抱き合わされているのです。
 したがって、法案の提出の裏には旭川医科大学の設置など、緊急で、しかも地元の強い要求にささえられた世論を背景に、それを利用し、筑波大学関係法案を一挙に通過させようとするずるい意図が秘められていると断ぜざるを得ません。(拍手)
 私は、総理に対し、まず初めにこのような法案の提出のしかたに強く抗議し、その真意をただしたいと思います。
 最近までの科学技術の急激な発展は、一面において物質文明を飛躍的に前進させたが、他面では、さまざまの矛盾を激発し、その結果、もしもいまにして明確な指針を持たねば、人類はその生存の根底を脅かされるおそれさえ生じています。特にわが国では、六〇年代に進められた産業の高度成長が、三十七万平方キロの国土に一億の人口という状況の中で、環境問題を激発させ、日本列島を公害列島と化しています。美しかった国土の自然は破壊され、このままの状態が進展するならば、国民の生活と健康にはかりしれない損害をもたらすおそれがあり、未来の幾世代にわたって深い後遺症を残す結果となることをおそれるものであります。
 いまこそ資本の要請にこたえてきた科学技術のあり方を、国民の生活と命と健康を守る国民のための科学へとその重点を置きかえるときであります。(拍手)
 現代においては、もはや科学技術の進歩に無条件の信頼を寄せることはできないのであります。ある種の技術開発が、人間の生存や健康や日常生活を脅かすとすれば、そうした技術及びその基礎にある科学のあり方について、深い疑問が生まれることは当然であります。体制批判の科学的精神が必要とされるゆえんであります。国民のための科学はここから始まる。だとすれば、憲法二十三条にいう学問の自由が今日ほど強く自覚されねばならないときはないのであります。(拍手)
 筑波大学構想は、教育研究を経済発展のための投資、手段と見た悪名高き文部省の日本の成長と教育の考え方、日経連、経団連などの財界の教育要求、さらには幾たびか提案された中教審答申を忠実に受け、その延長線上に浮かび上がったものであります。したがって、筑波大学にいう開かれた大学とは、財界、官僚にとって開かれたものであっても、私たちの生活や命と健康を守る国民のための科学にとって開かれたものではないのであります。(拍手)
 そこで総理、文部大臣、科学技術庁長官は、七〇年代以降の科学技術のあり方と、新筑波大学の構想とをどのように関連づけておられるか、明快な御所見を承りたいと思います。
 さて、私は、以下新筑波大学の生まれた過程、法案に示された大学観及びその制度について、順を追って総理並びに関係大臣の御所見を承りたいと思います。
 質問の第一は、筑波大学構想が、東京教育大学の側からの自主的、民主的総意によって生まれたものでなく、文部省、政府主導型の、いわゆる中教審大学というにふさわしい形成過程をとったということであります。
 東京教育大学が筑波における新大学のビジョンの実現を期して筑波移転を決定したのは、昭和四十四年七月のことであります。このビジョンが作成される前に、当時の大学紛争を背景として、日経連、中教審が、次々と矢つぎばやに大学改革案を提出しています。文部省はこれらを受けて、筑波大学創設準備調査会を設け、その二年後には、東京教育大学が筑波大学に関する基本計画を決定すると同時に、筑波大学の創設に踏み切っているのであります。
 この過程の中には二つの問題があります。
 一つは、東京教育大学を、当時強行採決された大学運営臨時措置法にいう紛争大学第一号に仕立て上げ、新大学創設に反対するものを切り捨て、東京教育大学を廃校することによって、東京教育大学の筑波移転から新大学創設へと急いだ大学側の動きと、それに呼応するかのように、新大学創設の機運を利用し、中教審の目ざすモデル大学をつくろうとする文部省の政治的意図とが相通じて、新大学構想が具体化されたのではないかという懸念であります。(拍手)
 総理、文部大臣は、このような懸念にどう答えられるか、経過を明らかにしていただきたい。
 いま一つは、東京教育大学が決定した筑波大学の基本計画が、大学内の総意も取りつけられず、わずか教官の五七%の賛成しか得られないまま、数々の大学内の民主的手続や大学自治の原則を踏みにじって強行決定されたにもかかわらず、文部省は筑波大学創設に踏み切っているという事実であります。
 いかに新筑波大学創設が大学自治の否定の上にあらわれたかは、法案が国会に上程された今日、去る二月二十三日東京教育大学の評議会が、評議員十六名中十四名の連署で学長不信任案を可決しているという事実に示されております。(拍手)文部省と一体となって新大学創設を推進してきた学長のこの不信任こそは、新筑波大学がまさに学問の自由、大学の自治を侵害する中教審モデル大学としてあらわれるであろうことのシンボルであると思うが、この事実を、総理、文部大臣はどう評価するか、明確な答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 質問の第二は、筑波大学構想が、新大学の創設にとどまらず、これをモデルにして、全国の大学にその理念と制度を一般化しようとする意図で貫かれているという点であります。
 一九七〇年を前にして全国に波及したいわゆる大学紛争は、大学改革の二つの道を提示しました。一つは、中教審の考え方をささえた財界、政府、文部省の側からの、上からのそれであり、いま一つは、学術会議、各大学の側からの、下からの自主的改革の道であります。
 中教審の答申は、大学改革の必然性を、科学技術の目ざましい発展と高等教育の大衆化という事実に見ています。
 一方における科学技術の目ざましい発展は、高い水準の研究、教育を必要とするし、他方、高等教育の大衆化は、学問の精髄をきわめるのでなく、就職の手段として、企業の要請にこたえる程度の教育であればよい。急速に膨張した大学の現状では、大学の教師も学生も高い水準の研究者ではない。だから、学生の側からも教師の側からも、もはや研究と教育とは分離せざるを得ないとしているのであります。
 この考え方に立って、法案では、大学には学部以外の教育研究の組織を置くことができるとし、筑波大学では、学部のかわりに学群と学系とが置かれることになっております。したがって、筑波大学は、これまでの大学が学部を基本とし、それを教育研究の組織とし、研究と教育を一体としてとらえた伝統的な大学観とは異なる、文部省の新しい大学観の上に立っており、今後大学政策を根底から変えていく政策意思を体現しているものであると思う。
 総理、文部大臣は、中教審の大学観をどう見るか、研究と教育との関連をどう理解しているか、御所見を賜わりたいと思います。(拍手)
 研究と教育の分離は、一部の大学を除いて、多くの大学では、学力低下に合わせた水準の職業、技術教育をやればよいことを意味し、そこでは、教育を学問の体系に従ってではなく、社会的な企業の要請にこたえて行なえばよいということになります。しかし、これはもはや大学ではありません。大学が大衆化し、学力が低下しているからこそ、一定の教育水準を維持するために、従来とは比較にならないけた違いの国家投資をしなければならないのです。それが国民の教育要求なのであります。それを怠り、人的、物的な条件の整備が進まないままに学生が増大しているからこそ、大学教育の水準は崩壊の一途をたどっているのであります。私立大学はまさにその矛盾の頂点に立っております。
 このように、今日、学生急増のもとで大学教育が崩壊しつつある原因こそ、文教予算の傾向に示されているように、歴代政府の文教政策の軽視にあると思うが、大蔵大臣、文部大臣の御所見を賜わりたい。(拍手)
 また、大学における研究、教育の実態の中で、大学の定員増という要求を一般的行政の基準で処置しているように見受けられるが、行政管理庁長官はどう考えておられるか。
 さらに、法案提出にあたって、政府は、文部大臣の諮問機関である中教審答申のみを重視し、科学者の総意を結集し、総理に勧告権を持つ学術会議のたび重なる大学改革の勧告に耳を傾けず、学術会議を軽視してきたこと、また、国立大学協会、各大学が中教審答申への批判と大学改革の構想を提示している事実にも耳を傾けようとしない、その理由と根拠を明らかにしていただきたい。
 質問の第三は、法案が、筑波大学に新しい大学管理制度を設けることによって、新大学管理法的性格のものになっている点であります。
 法案は、大学管理機関として副学長制を設け、学長、副学長を中心に管理運営体制の中央集権化をはかろうとしています。副学長制は、かつて強行採決された大学運営臨時措置法で紛争大学に設置を認めたものであったが、法案では、これを一般大学にまで適用しようとしています。
 この改正で重要な点は、大学職員以外の学外者を副学長に充て得る道を開いたことであります。筑波大学についていえば、副学長は執行機関でありながら、同時に審議機関である評議会の正式メンバーとなる点も注目しておく必要があります。しかも、副学長は人事に発言できることになっています。このように、副学長制は従来の伝統的な大学の歴史にはなかったものですから、大きな制度の転換であると断ぜざるを得ません。
 さらに注目すべきは、筑波大学に、新しい審議機関として、学外者で構成された参与会を置くとしている点であります。しかも、参与会の人選は、学長の申し出で文部大臣が任命するとし、文部大臣に拒否権を認めていることから、学長と文部大臣が望ましい者しか任命されない。そればかりか、参与会は、大学運営の重要な事項について、学長に助言または勧告できることになっているのであります。したがって、事は重大であります。副学長、参与会制など、学外者の大学行政への参加は戦後の大学立法史の中で争われ、いままで実現されなかったものだけに、筑波大学は新しいダイブの大学出現であることを意味します。
 そればかりか、この制度は、教育基本法第十条に反しているのであります。(拍手)その規定によれば、教育機関や教師が、議会や政府その他の公的管理機関を通じて間接に国民に責任を負うのでなく、自主的判断によって直接的に国民への責任を果たすという直接教育責任の原則を訓示しているからであります。総理、文部大臣は、教育基本法十条の趣旨をどう解されるか、副学長、参与会制はその趣旨に反すると思うが、明確な御所見を承りたい。(拍手)
 法案のさらに重要な点は、人事がいままでは学部教授会で決定されてきたが、筑波大学では人事委員会にその権限を移していることであります。しかも、人事委員会には副学長も加わることになっています。
 大学の教官人事が学部教授会にあるとした従来までの趣旨は……(発言する者あり)静かに聞きなさい。学問の自由という憲法上の要請と高度な専門性とを必要とすることに基づくものであります。ところが、筑波大学では、最終的には人事委員会が決議機関であるとされていることによって、それが拒否権を持つことになるから、教官の学問、思想、信条の自由の侵害となるおそれがあると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)総理並びに文部大臣は、学問の自由と大学における人事権との関係をどう解されているのか、人事委員会制度が憲法上の要請に違反するおそれがあると思うが、明確な答弁を承りたい。
 こうして法案では、大学自治の根幹にかかわる教授会が、研究、教育、人事、予算、決算などについての権限をすべて奪われたわけだから、学校教育法五十九条にいう教授会に残された重要な事項はなきにひとしい。
 伝統的な大学自治の主体である教授会さえこのように解体されたのだから、新しい大学自治の主体である学生集団や職員集団の権利が認められるはずもない。新大学ではおよそ自治の主体が認められていないのだから、学問の自由や大学自治は、死刑宣告されたもひとしいといわねばなりません。(拍手)
 しかも、この法案が通れば、国立学校設置法のみを手直しすれば、すべての大学を筑波大学と同じ大学に仕立て上げることのできる道を開いたという意味で、法案は新大学管理法と断定することができると思うが、この点について、総理、文部大臣の明確な答弁を要求するものであります。
 以上の所論から、法案は、大学をどのように考えるかという大学観の根本にかかわる問題を含むと同時に、他方、憲法、教育基本法の精神をどうとらえるか、さらには、大学の自治、公教育の責任をどう考えるかという根本問題にかかわっているのであります。一片の技術的な法改正では済まされない重大な問題性をはらんでいるのであります。
 しかも、法案が、その精神において、科学者の自律性を押え、学問の自由を侵害するおそれがあり、ひいては、日本の科学技術の将来にとって、それが国民の科学に背を向け、真理と自由と平和を愛する科学者、広範な国民への挑戦と受けとめざるを得ないものだけに、(拍手)党派を越えた立場から、政府がすみやかに本法案を撤回するようここに要求するものであります。
 これで終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(田中角榮君) 筑波大学の新設に伴う法律の御審議をお願いしておるわけでございますが、この法律案の改正のしかた、また、筑波大学設置の重要な点などは、学問の自由や学園の自治を乱るおそれがあるということでございますが、すなおな考え方で見ていただけば理解が得られると思うのでございますが、大学制度も、戦後四半世紀の歴史を経て、森君が先ほど指摘しましたように、いろいろ改革を要する点があることは事実でございまして、国民は、望ましい大学はどうあるべきかということに対してたいへん心配をしておるのであります。(拍手)大学というものは教師だけのものではないのであります。(拍手)学生だけのものではないのであります。(拍手)日本全体のものなのであります。(拍手)その意味で、次代の望ましい国民を教育するためにふさわしい大学はどうあるべきかということを、いま国民全体は真剣に考えておるのであります。(拍手)今度の筑波大学設置に際して、その理想達成のために幾つかの政策を盛ろうとする姿を理解していただけば、このような大学をつくること、このような法律を御審議いただくことが学問の自由と学園の自治を侵すと考えること自体が、私は、観念的な考えであると思うのであります。(拍手)
 第二は、七〇年代以降の科学技術の研究や教育のあり方についての御発言がございましたが、科学や技術は、日に日に進歩いたしてまいることは申すまでもないのでございまして、大学においても新しい形の研究、教育組織をとることによりまして、弾力的な研究活動を確保し、かつ、多様な人材養成をはかることとしなければならぬことは言うをまたないわけであります。このような要請にこたえ得る体制を整えようというのがこの大学設置の一つの目的であります。また次は、学外者の大学行政への参加は、教育基本法第十条にいう直接教育責任の原則にもとるという考えでございますが、筑波大学に、学外者で構成をする参与会を置くことといたしておりますのは、学外の良識ある意見を同大学の管理運営に適切に反映させようとするものでありまして、国民の意見を大学に反映させる一助となるものでありまして、教育基本法の原則に何ら反するものではありません。学園の中だけの考え方、学園の中におる者の恣意によって大学が運営せられるということを国民は望んでおりませんし、そのような事態で望ましい大学の運営はできないのであります。(拍手)だからいろいろな混乱が起き、国民が心配しておるんじゃありませんか。この事実に目をおおうてはなりません。
 次は、人事委員会の性格と教官の学問、思想、信条の自由についての御発言がございましたが、筑波大学に置かれる人事委員会は、全学的な見地に立って、教官人事が円滑、適正に行なわれることを確保するための学内の教官を中心とする組織と承知をしており、このような組織を置くことは、何ら教官の学問や思想、信条の自由を侵すものでありません。より広い国民的立場から、理想の学園を築き、大学を運営することが、学問の自由と学園の自治を侵すものであるという考えには賛成できません。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#28
○国務大臣(小坂善太郎君) 文教予算の国家予算全体に占める比率についてお答えいたします。
 四十八年度の文部省所管一般会計予算の総額は、一兆四千二百一億円でありまして、これを前年度当初予算に比べますと、二千三百八十九億円で二〇・二%の増加となっておりまして、四十年度以降を見ましても、最大の伸びを示しておるわけでございます。これが国の一般会計予算に占める文教予算の割合ということになりまして御指摘があったのだと思いますけれども、これは、文教予算の一つの特色でありまして、給与費の、すなわち、人件費の占める割合がほぼ三分の二を占めておりまして、著しく大きい一方、こうした人件費の伸びにはおのずから一定の限度があるわけでございます。したがって、文教予算全体の伸びもその影響を受けるところになりまして、したがって、また、一般会計予算額に占める文教予算の割合もまたやや低まってくるわけでございます。
 かりに、いま申したような人件費の影響を除いて考えてみますと、四十八年度予算は、対前年度二六・二%の増加でありまして、これは、一般会計予算総額の伸びの二四・六%を上回っているわけでございます。この文教予算の特色というものを考えて御批判を賜わりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#29
○国務大臣(奥野誠亮君) 現在の大学は学部しか認めていないわけでございます。学部の中におきまして、教育と研究を一体として行ないますことによって、学問の自由が濶達に進められていく、これは、それなりに尊重していかなければならないと思います。
 しかし、それだけにしなければならないかということになりますと、やはりまた違った形もあっていいんじゃないだろうか。現在学部だけしか認めておりませんので、それなりに弊害もございます。
 御参考に申し上げますと、研究はますます深みを増してまいります。教育はだんだん広がりを見せていかなきゃなりません。合わないのであります。
 また第二には、科学の発展につれまして、理学部に化学がある、工学部に応用化学がある、農学部に農芸化学がある、薬学部に生化学がある。こういうように学問の境界領域における問題を、いまのように学部で固まって研究しておったのでは、重複します。やはり、適時総合的に研究できるような仕組みも考えなきゃならない。
 また、学部学部で固執しておりますから、全学的な問題をまとめなければならない。学部に足を引っぱられまして、全学的な自治が成り立たないのであります。
 だから、そういうこともございまして、学部の教育と研究の組織を、筑波大学では、教育については学群組織、研究については学系組織をとろうとしているわけでございますから、このような仕組みを認めてはけしからぬとおっしゃるのは、ひとつ御理解を深めていただきたいと思います。(拍手)
 同時にまた、科学の進歩に伴いまして、大規模な総合教育や、境界領域の研究が非常に深まってまいってきておりますので、やはり、適時研究プロジェクトをつくりまして、関係者が集まって、特定の問題を、公害その他研究していく、あるいは外国や国内の大学からも研究者の参加を得て、これらの問題の解決に当たっていくなどしていかなければならない。それがこれからの大学の一つのあり方ではなかろうかと、こう思っているわけでございます。
 次に、筑波大学の生まれた経緯についても誤解があったようでございますから、年次を追って申し上げます。
 昭和三十七年に東教大学五学部の統合移転候補地の調査を東京教育大学が決定されているのであります。キャンパスが幾つにも分かれているものですから、これはやはり統合したい。これを三十七年に決定されているのでございまして、翌年の三十八年に研究学園都市を筑波地区に建設することを閣議了解しているわけでございます。筑波問題はあとから出てきているのでございます。四十四年の七月に、東京教育大学が筑波における新大学のビジョンの実現を期して、筑波に移転する旨を表明されたのでございます。これを受けて、文部省が、十一月に筑波新大学創設準備調査会を設けたわけでございますから、順序もひとつ誤解のないようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、学長の不信任決定が行なわれたというお話がございました。これも若干誤解があるようでございまして、不信任の動議のあったことは事実でございます。さすがに決定はしておりません。内紛がないほうが望ましいのでありますが、お互いの党内にも、ときには内紛があるものでございます。同時に、この内紛は、筑波に移転することに反対ではないのだということを、関係者がわざわざ私のところへ申し出てきておられることも事実でございます。
 次に、学術会議の決定を無視しているなどというお話がございましたが、なるほど日本学術会議から、性急に決定されることには反対だ、こういう式のこともございましたが、学術会議で申し出ておられます「画一的な制度を改め、各大学の自主的な改革により多様化し得るようにすること」、まさにこれに乗って筑波大学の移転を認めようとしているわけでございます。(拍手)あるいはまた「専門教育年限やカリキュラムの画一的な編成基準を再検討すること」と言っておられるわけでありますから、医学の六年一貫教育も今度は認めよう、こういうような法律規定も入れさせていただいているわけでございますので、御了解賜わっておきたいと思います。(「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)お尋ねのとおりやっているのです。(発言する者あり)
 次に、副学長につきまして、中央集権化というようなお話がございました。学長の選任につきましては何ら手を触れておりません。同時に、副学長につきましても、学長が選考するわけでありますが、選考にあたりましては、評議会の定める基準により学長が選考するわけでございます。もっぱら大学にまかせておりますことも御理解を賜わっておきたいと思うのでございます。副学長的なものは、いまの学部長が学長の補佐機関だと思うのですけれども、これが学部ごとに足を引っぱられておるわけでございまして、補佐機関の役を果たしていないわけでございます。そこで、学部に足を引っぱられない学長の補佐機関を置いてあけようとすると、副学長ということになるわけでございまして、東京大学はそういう意味で学長補佐機関を現に設けているわけでございます。
 参与会のことにつきましても誤解があるようでございます。これは学長などの問題につきましては、大学からの申し出に「基づいて」とすることが、そのとおりずばり採用するんだという性格をあらわしていいと思うのでございますが、参与会になりますと、これは学校の先輩を充てますとか地域からの代表者を充てますとか、そういうことを通じまして、開かれた大学にしていこうと考えるわけでございますから、「基づいて」というような、学長などと同じ表現は使わないほうがよろしいのじゃないかという配慮でございまして、特段これによって干渉を加えようという考えは毛頭ないわけでございます。
 また、教育基本法十条等をからめましてお話がございました。教育基本法十条と申しますのは、教育は直接国民に責任を持たなければならないと書いてあるわけでございまして、そのことは、主権在民の思想に基づいて教育も進められていかなければならないということでございます。戦前は、国会が教育に関与できなかったのであります。天皇大権によって行なわれておったわけでございます。それを、やはり教育といえども国民主権のもとにおいて運営されていかなければならないと書かれたわけでございますから、大学が象牙の塔に閉じこもらないで、社会のいろいろな意見も聞いていくような仕組み、参与会はまさにその仕組みに合った考え方だと私は考えるわけでございます。
 人事委員会につきましても御議論がございましたが、これは学問の自由の侵害どころではないのでございまして、大学の機関なんでございます。大学の機関に人事をまかせるわけでございますから、全く誤解ではなかろうかと思いますし、今後いろいろ改正をします場合には、法律改正でなければ国立大学が筑波方式を取り入れないわけでございますので、また、そういう場合には、大学の要請に応じて御審議いただいたらいいことではなかろうか、かように考えるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今日の大学は昔の大学のようなエリート教育をやるわけではございません。大衆化されたわけでございますから、もっといろんな様式を大学が取り入れ、そして閉鎖的という非難からのがれられるような仕組みを講じていくように努力していきたいものだ、かように考えるものでございます。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#30
○国務大臣(福田赳夫君) 国立大学の定員についてどう考えるか、こういうお話でございまするが、行政管理庁は、その方針といたしまして、時勢の流れに応じまして流動的に考える。必要がなくなったというものは、これは遠慮なく削減します。しかし、必要だというものについては、これは増員をする。国立大学につきましても、まさにそのとおりでございますが、これは非常に重大な問題になってきておる。
 そこで、国立大学の定員は、他の一般官庁に比べると、非常に増加の傾向を示すのであります。つまり、この六年間を見ますと、一般行政職員では、純減少が一万三千九百人になります。これに反し、国立大学におきましては、同じ期間におきまして八千九百八十七名の純増加を来たしておる。非常に大学が重要視されておるわけであります。
 あなたの御出身の九州大学に例をとりますると、二・二人の学生に対し、一人の大学職員がおる。非常に大学職員というものが充実されておる。こういう状態であることをとくと御了解くだされ、御安心願いたい、かように思います。(拍手)
  〔国務大臣前田佳都男君登壇〕
#31
○国務大臣(前田佳都男君) 筑波学園研究都市は、国立試験研究機関及び大学を中核といたしまして、総合的な研究団地をつくりまして、高い水準の研究並びに教育を行なわんとするものでございます。
 このように、国立試験研究機関の多くがこの都市に集まることは、研究環境の向上ばかりではございません、相互の研究協力の促進をはかる上で、まことに意義があると思うのでございます。
 また、この都市内に大学が立地しますことは、国立試験研究機関と大学との協力の増進にたいへん役に立つものと考えます。
 そして、科学技術は、人間尊重の考え方に徹しまして研究を進めたいと思うのでございます。その意味におきまして、私たちは、筑波大学の設置に期待するものがまことに大きいのでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(中村梅吉君) 山原健二郎君。
  〔山原健二郎君登壇〕
#33
○山原健二郎君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま趣旨説明のありました国立学校設置法等の一部を改正する法律案について、幾つかの質問を行ないます。(拍手)
 まず、大学の改革の基本についてであります。
 戦後、わが国の大学は、戦前の大学のように、軍国主義のもとで大学が国家目的に奉仕し、国家思想の涵養機関となっていたことをきびしく否定した原理の上につくられたものであります。すなわち、大学は、憲法二十三条の学問の自由、二十六条の国民の教育を受ける権利に基づき、国民全体に直接責任を負い、平和的、民主的社会の形成に寄与する公的機関として位置づけられているのであります。
 そして、大学のこの目的が国家の力で妨げられないために、憲法、教育基本法などによって、大学の自治が法制的にも確立されているのであります。これは、戦前の絶対主義的天皇制の弾圧下における不屈の学問の自由、大学の自治を守る戦い、また、幾百万青年たちを戦場にかり立てた戦前教育の深刻な反省の中から生み出されたものであり、それはまさに鮮血をもってあがなわれたほどのものであることを忘れてはならないのであります。(拍手)大学の改革は、この方向をこそ一そう発展させるものでなければなりません。わが党をはじめ全国の民主勢力が一致して努力しているのは、実にこの方向であり、現に全国の多くの大学において、国民の支持のもとに、教職員、学生による大学改革の懸命の努力が実を結びつつあることは御承知のとおりであります。
 私は、まずこの大学の改革の基本理念と教職員、学生の努力についてどう考えているか、田中総理大臣の所信を伺いたいのであります。
 政府提案の国立学校設置法等一部改正案は、以上述べてきた学問の自由、大学の自治に反する筑波大学の設置をきめるものであるだけでなく、このような方式を全大学に広げようとするものであります。だからこそ、国大協をはじめ多くの団体が反対や批判を強めているのであります。
 そこで、この法案について質問に入ります。
 第一に、筑波大学は学問の自由、大学の自治の保障のない大学であるということについてであります。
 学問の自由、大学の自治を保障するためには、まず何よりも大学の運営に民主主義を徹底させることが前提条件であります。民主的運営のないところ、学問の自由も大学の自治もありません。大学における民主主義を保障するためには、教職員、学生など大学のすべての構成員の参加による自治を制度的にも確立することが必須の条件なのであります。
 しかるに、筑波大学は全くこれに反し、現に、大学の教員が持っている権限まで制限をし、政府任命による学長を中心とする少数の中枢管理機関に権限を集中して、大学の民主的運営を根本からくつがえそうとしているのであります。
 たとえば筑波大学では、従来の学部にかわって学群と学系が設けられるわけですが、そこにつくられる教員会議には、従来の教授会が持っていた教員人事、予算要求などの教育、研究の権限はほとんど与えられておりません。
 他方、学長によって学外からも選考できる五人の副学長があらゆる重要審議機関に参画をいたしまして、教育、研究、総務、厚生補導などの各部門の責任者となり、絶大な権限を持つことになっております。
 さらに重大なことは、参与会の問題であります。これは学長が学内の意見に拘束されずに選考する学外者で組織され、文部大臣が任命拒否権を持つものでありますが、この参与会は、学長に助言し、さらには勧告する権限まで与えられているではありませんか。これは従来の大学の慣行上、全学的意思の決定機関であった評議会より以上の権限を持ち、学外から大学に干渉する道を開くものであります。(拍手)
 さらに、従来の学部教授会にかわって教員の人事権を持つ人事委員会に至っては、千人をこえる全教員のわずか一%で構成され、しかもその三分の一を副学長が占めるという仕組みになっておるのであります。
 これらを総合すると、結果として、教員の教育と研究は少数者の一方的にきめた計画と方針による管理統制のもとに置かれ、教育、研究の自由が奪われることにならざるを得ないのであります。(拍手)
 これこそ憲法と教育基本法の原則を踏みにじる以外の何ものでもありません。これでもなお筑波大学が学問の自由、大学の自治を保障するものであると文部大臣は考えているのかどうか、その見解を伺いたいのであります。(拍手)
 第二に、筑波大学が学生の権利を全く否定していることについてであります。
 筑波大学は、そこに学ぶ学生を大学の構成員、大学自治のにない手であると認めていないばかりか、その自治組織の存在さえ想定していません。まして、学生の政治活動を敵視し、学生の持つ当然の権利さえ抑圧しようとしていることは重大であります。
 たとえば、学生の意向聴取についても、副学長管理下の課外活動施設の運営委員会への「学生の参加を検討する」というだけの表現しかなく、学長選挙への意向表明はもとより、大学運営についての意思反映もさせようとはいたしておりません。かくて筑波大学では、学生は大学当局が一方的に決定する規則、方針のもとで、管理、統制を受けるだけの全く無権利の存在にしかすぎないのであります。
 数年前の大学紛争の最大の原因の一つが、学生を抑圧の対象とした反動的な大学当局の態度にあったことは、周知の事実であります。ところが、筑波大学は、大学の自治を奪い、学生の権利を抑圧するなど、いわば大学紛争の諸要素を集中しておるのであります。これでは、紛争の要因を取り除くことには全然ならないのであります。紛争なき大学などという宣伝は、もってのほかであります。
 先ほど森君は、自民党を代表しまして、学園の暴力の問題に触れましたが、それが自民党と無関係であるかのような発言をされたのでありますが、暴力を今日まで泳がせ、政治的に利用してきたのは、自民党と政府であるということを、明確にいたします。(発言する者多し)この政策に対して、この暴力に対して、断固として戦ってきたのは日本共産党であります。今日の大学の荒廃が自民党政治の結果であることは、きわめて明白であります。(拍手)
 いま東京大学自治会が大学当局によって公認され、大学の民主的発展が前進し始めているとき、この法案は、まさに歴史の歯車の逆転をたくらんでいるとしか思えないのであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 筑波大学での学生の自治組織を認め、その自主的、民主的活動を保障する用意があるかどうか。さらに、学生の大学の自治への参加を認めるのかいなか。以上二点について明確な答弁を総理大臣に要求いたします。(拍手)
 第三に、本法案の持つ意図と、提出までの手順の非民主的な問題についてであります。
 以上述べてきたように、筑波大学は、教職員や学生などの大学の構成員にとっては、まさにかたく閉ざされた大学であり、政府や一部の学外者、政府の任命する学長、副学長など中枢管理機構を構成する者にのみ広く開かれた大学となっていることは否定できません。これこそ、経団連、日経連が長年にわたって要求し続けてきた、産学協同をはじめとする教育改革の主張にぴったりと符節を合わせたものであります。これは教育を国民の要求に反して独占資本の人づくりに合致させ、研究を国民の生活と福祉の増大でなく、大企業の利益に奉仕させるものであります。
 また、筑波大学構想は、戦後今日まで、日米支配層と歴代の政府が幾たびか試みてきた大学の自治破壊と、中教審答申に基づく大学の反動的再編成を目ざす新たな計画の実行にほかなりません。(拍手)これは単に大学だけの問題でなく、まさにわが国の民主主義全体にかかわる問題であります。(拍手)
 この意味で、今回の国立学校設置法等一部改正案は、三たび国会に提出しようとして三たび果たし得なかった大学管理法をひそかに導入しようとするもので、断じて容認することのできないものであります。(拍手)
 だからこそ、政府と文部省は、筑波大学法案とその計画を、公然と関係者の論議にかけることなく、ある意味で閉ざされた密室の中で作業を続けてまいりました。いまだにその細部は秘密のベールに包まれたままではありませんか。これでどうして正当な論議を続けることができるでありましょうか。
 一九七一年六月の中教審答申は、財界の支持をいち早く得たのみで、ほとんどの教育関係者からは四面楚歌の状況にあり、悪名を天下にさらしたのでありますが、その中教審ですら、八回の公聴会を開いています。この八回の回数があまりにも少なく、かつ不十分であるとの批判が集中している今日、筑波大学に関する閉ざされた密室性は、一そう鋭く国民的批判を呼び起こすことは必至であります。(拍手)この秘密性こそは、筑波大学が世にいわれる中教審大学、自民党大学のそしりをみずから一そう浮き彫りにしてやまないものであります。(拍手)
 私は、いまここに、筑波大学関係法案の重大性と、その法案提出に至る非民主性について強く指摘し、そのゆえに広く国民的合意を得るために、たとえば学術会議、国立大学協会、教職員団体、各学会関係者及び国民各層に資料を提示し、その総意を聴取するという民主的手順を提案するものであります。政府にこれにこたえる用意があるか、その決意のほどを聞かせていただきたいのであります。
 最後に、本法案提出の形式についてただしたいことがあります。
 本法案は、若干の医学部、医科大学等の新設とあわせて、筑波大学の設置及び組織、運営の問題を故意に混在させております。医学部等の新設は国民の切実な要求であります。しかも、緊急な実施が求められているものであります。これに対し筑波大学は、政府みずからが大学改革に資するための新しい構想に基づく大学と称するもので、全く異質のものであります。
 国立学校設置法は、昭和二十三年の国会成立以来、二十二回の改正を経てきていますが、このような乱暴な法案の提出のしかたは全く異例であり、歴代の内閣も行なわなかったところであります。(拍手)それは同法制定の本来の趣旨にももとるものでありますが、性質を異にするこれら二つの問題を、何ゆえに混在させて提出したのか、その理由をはっきりと総理に聞きたいのであります。それは医大等の新設を求める国民に、筑波大学の賛成を強要する魂胆なのか、また、筑波大学への批判を医大設置にまで反対するものと見せかけようとする政府・自民党のとうかつな謀略なのか、明確な答弁をいただきたい。(拍手)
 さらにまた、筑波大学にかかわる本質問題を審議するためには、それなりに一定の期間を要することは当然でありますが、それが済むまで医学部の設置は引き延ばしてもよいと考えておるのか。それとも、医学部等設置の緊急性を理由として、筑波大学関係の諸問題についての徹底した討議や国会審議を回避する腹づもりなのか。いずれにしても、不明朗きわまる今回の提案のやり方について、政府の明確な答弁を要求するものであります。
 終わりに、私は、筑波大学関係法案について、いまだに何らの国民的合意もなく、また、その努力も行なわれていない今日、直ちに撤回されんことを強く政府に要求をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
#34
○議長(中村梅吉君) ただいまの山原君の発言中、不穏当の言辞があるとの申し出がありますが、議長は、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(田中角榮君) 大学改革の基本的理念及び本大学設置により、学問の自由が侵され、学園の自治が破られるという考えに対して、まず申し上げたいと存じます。
 戦後の大学教育につきましては、先ほども申し述べましたように、急速な普及と社会の複雑高度化に伴って、大学の内外からさまざまな新しい要請が出ておることは事実でございます。これまでの高等教育に対する考え方や制度的ワク組みでは対応できなくなっておることが多いのでございます。このような観点から、高等教育の大衆化と学術研究の高度化の要請にこたえて、高等教育の多様化、教育、研究組織の合理化、大学の閉鎖性の是正等の措置を講ずる必要があることは、何人も否定できない事実でございます。
 真に学問の自由を守り、学園の自治を守るためには、お互いが現状を把握し直視をしながら、真に守れるような道を、具体的な方策を講じなければならないわけでございます。ただ、学園を放任しておくことによって学問の自由が守れ、学園の自治が守れるのではないのであります。(拍手)
 そういう意味で、これらの要請にこたえるために、新しい制度の採用を機会に、いろいろな問題に対して具体案を得て御審議をお願いしておるのであります。これらのやり方は、よりよい大学をつくり上げるための必要不可欠のものの一つとして規定をしておるわけでございます。
 御指摘がございました学校の運営に対して、国民の広い立場における良識の参加、副学長を置くというようなことが学問の自由を侵し、学園の自治を乱るという考え方は、これは非常に専断でございます。その意味で、政府が本法案を御審議いただいておる真意を御理解賜わりまして、御賛同のほどを切にお願いいたします。
 具体的な問題については関係閣僚からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#36
○国務大臣(奥野誠亮君) 学問の自由や大学の自治が保障されないという意味の御意見がございました。
 学長の選任につきましても従来と何ら変わりはないわけでございまして、何を奪ったとおっしゃるのだろうかなという疑問を持ちます。ことに政府任命の学長などということばを使われるに至っては、全く理解がなさ過ぎる、こう思うのでございまして、これも大学自身が選ぶのでございます。(拍手)
 これからは筑波大学がみずからの慣行の積み重ねによりまして、新しい管理運営の実態が生まれてくるわけでございまして、法律には別にこまかいことは書いておりません。大学自身が管理運営の実態をつくり上げるものだという御理解を得たいと思います。
 いわんや参与会、助言、勧告の諮問機関として参与会を設けたから大学の自治が奪われるというような話がございました。日本の私立大学にも執行機関の中に理事として学外者が入っております。欧米の先進の大学にもたくさん学外者が理事として入っております。どこに自治が奪われたというお話があるのでしょうか。それほど日本の大学が弱いものでございましょうか。(拍手)
 学生の自治活動についてお話がございましたから申し上げさせてもらいますが、法律においては、何ら従来と変わった規定を置いておりません。学生の自治活動には、学生生活における自律性の涵養や学生相互の啓発などの意義が認められますが、その正常な発展のためには、学生が自己の責任において規律のある諸活動を行なうことが期待されるところでございまして、そのような責任と規律のある自治活動であれば、これを抑制する必要はないと考えます。学生の自治活動に対するこのような考え方は筑波大学においても同様であると考えますが、具体的には大学の投資方針にまつべきものと考えます。学生の正当な要請を大学が適切に受けとめ、大学の運営と教育、研究の活動を積極的に改善する契機とすることが必要なことでございまして、学生の課外活動や福祉厚生事業など適切な分野においては十分配慮すべきものと考えます。
 しかしながら、教職員人事、財政など、大学の管理運営の基本にかかる分野については、学生の知識、経験、責任能力に照らし、いわゆる学生参加の領域に含ましめることは不適当と考えます。このことは筑波大学についても同様でございます。
 私たちは、学校は政治的に中立でなければならないと考えます。にもかかわらず、あまりにも政治的活動が学校に持ち込まれ過ぎております。(拍手)ある著名な日本の大学の総長が私に、革命が大学から起こるのではないかと心配されると訴えておりました。
 今回の改正が反動的再編成のようにおっしゃいましたが、私たちは、大学の管理運営を一つにしぼらないで、いろんな型も認めようとする進歩的な改正でございます。反動というのは、前進を認めないのが反動でございます。われわれはまさに進歩的な改正をしようとしているわけでございます。(拍手)
#37
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
#38
○議長(中村梅吉君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 奥野 誠亮君
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        大蔵大臣臨時代
        理       小坂善太郎君
        国 務 大 臣
        国 務 大 臣 福田 赳夫君
        国 務 大 臣 前田佳都男君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        文部省大学学術
        局長      木田  宏君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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