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1972/04/03 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第21号
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1972/04/03 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第21号

#1
第071回国会 本会議 第21号
昭和四十八年四月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  昭和四十八年四月三日
   午後二時開議
 一 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対す
   る緊急措置に関する法律案(内閣提出)及
   び生活関連物資の買占め及び売惜しみに対
   する規制措置等に関する法律案(松浦利尚
   君外三名提出)の趣旨説明
 二 労働者災害補償保険法の一部を改正する法
   律案(内閣提出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊
  急措置に関する法律案(内閣提出)及び生活
  関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制
  措置等に関する法律案(松浦利尚君外三名提
  出)の趣旨説明及び質疑
 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後二時六分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
#3
○中山正暉君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(中村梅吉君) 中山正暉君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#6
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員長田川誠一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔田川誠一君登壇〕
#7
○田川誠一君 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、今後における駐留軍関係離職者の発生状況にかんがみ、雇用促進事業団の援護業務を拡充するとともに、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期間を延長しようとするもので、そのおもな内容は、
 第一に、雇用促進事業団は、従来の援護業務のほか、新たに、公共職業安定所の紹介により、広範囲の地域にわたる求職活動を行なう駐留軍関係離職者に対して、広域求職活動費を支給すること。
 第二に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期間をさらに五年間延長すること。等であります。
 本案は、二月九日本委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(中村梅吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案(内閣提出)及び生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案(松浦利尚君外三名提出)の趣旨説明
#10
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案、及び松浦利尚君外三名提出、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣小坂善太郎君。
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#11
○国務大臣(小坂善太郎君) 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 最近、世界的な原材料の一時的供給不足、過剰流動性等を背景として、わが国内においても、投機的な需要が発生し、これが一部の生活関連物資にも及んでおりまして、これらの物資の価格の高騰は、国民生活の安定にとって重大な脅威となっております。
 このような現下の情勢に顧み、政府といたしましては、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、商品取引所の規制、過剰流動性の吸収等の諸施策を行なっておりますが、これらもろもろの行政措置にあわせて、これらを補完するものとして、自由主義経済における企業活動の自由との調整をはかりつつ、行き過ぎた企業活動に対して、これを抑制する措置をとることは、当面の緊急課題であります。
 この法律案は、このような観点から、生活関連物資の価格の異常な上昇を招来するような買占めまたは売惜しみを防止するため、特定物資について、企業に対する立入検査等を行なうとともに、買占めまたは売惜しみを行なっている者に対し、勧告、公表を行なう等の緊急措置を定めることにより、国民生活の安定に資せんとするものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一は、特定物資を指定することであります。
 生活関連物資の価格が異常に上昇しまたは上昇するおそれがある場合において、買占めまたは売惜しみが行なわれまたは行なわれるおそれがあるときは、その物資を特別の調査を要する物資として、政令で指定いたします。
 第二は、特定物資についての調査であります。
 指定された特定物資については、内閣総理大臣及び主務大臣は、その価格の動向及び需給の状況に関し必要な調査を行なうこととしております。
 第三は、買占めまたは売惜しみを行なっている者に対する勧告及び公表であります。
 すなわち、内閣総理大臣及び主務大臣は、特定物資の生産、輸入または販売の事業を行なう者が買占めまたは売惜しみにより、その物資を多量に保有していると認められる場合には、その者に対し、内閣総理大臣及び主務大臣の定める基準に従い適当と認められる売渡先及び売渡価格を指定し、期限を定めて、その特定物資の全部または一部を売り渡すべきことを勧告することができるとともに、その勧告に従わない者については、その旨を公表することとしております。
 第四は、買占めまたは売惜しみを行なっていると認められる者等に対する立入検査等についてであります。
 内閣総理大臣及び主務大臣は、必要な限度において、特定物資の生産、輸入もしくは販売の事業を行なう者に対し、その業務に関し報告をさせ、またはその職員に、これらの者もしくは特定物資を保管していると認められる者の事務所、倉庫等への立入検査等を行なわせることができることとしております。このことによりまして、当該事業者の実態把握ができるとともに、自後の適切な措置が可能となると考えます。
 第五は、価格調査官の設置についてであります。
 すなわち、立入検査等の職務を行なわせるため、経済企画庁及び主務省に価格調査官を置くこととしております。
 以上のほか、罰則等の所要の措置を定めております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#12
○議長(中村梅吉君) 提出者松浦利尚君。
  〔松浦利尚君登壇〕
#13
○松浦利尚君 日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党四党提出、生活関連物資の買占め及び売り惜しみに対する規制措置等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。(拍手)
 最近における卸売り物価の上昇は、残念ながら田中内閣の無策ゆえに、暴騰に一そうの拍車をかけ、日銀統計によれば、一月の上昇率は前月比一・五%高、二月は前月比一・六%高、三月は前月比一・七%高と、しり上がりに騰勢が強まり、終戦直後を除けば戦後最高に達し、年頭初から実に上昇率は五・一%に達しております。
 この急激な卸売り物価の上昇が消費者物価に重大な影響を与え、統計局の発表によっても、三月は前年同月比九%という異常な値上がりとなり、国民生活に深刻な打撃を与えています。この最大の原因が田中総理の的はずれな日本列島改造論からくる大型財政、金融の超緩和、そして巨額な過剰流動性にあることは明らかであります。これが土地、株価の異常な高騰に拍車をかけ、投機とインフレムードをつくり出しています。こうした中で、買占め、売惜しみの投機商法が助長され、拡大していることを何人も否定できません。大豆、木材、羊毛、生糸、綿糸、セメント、鮮魚から米、果てはガーゼ、植樹用樹木まで、ありとあらゆる物資がいまや買占め、売惜しみの対象になっています。
 新学年を迎えた児童は高い学用品に泣き、主婦は安い食料を求めて走り回り、請負大工は建築材の値上がりに苦しみ、公共事業や災害復旧までもセメント不足に停滞ぎみという戦後最悪の事態になろうとしています。
 特に、総合商社の活動は、ラーメンからミサイルまで、もうかるものには何でも手を伸ばし、国税庁の発表を見ても、昨年一年間の所得番付は、大手商社の急上昇ぶりを示しています。住宅建築の材料となる外材輸入は、大手商社十社が輸入総量の七〇%を占め、大豆輸入についても、上位二社で三三・五%、配合飼料用原料は上位二社で六四・一%、小麦上位二社で三六・一%、羊毛上位四社で六〇%、綿花上位二社で三一・九%等、自給率が低下し、資源を海外に依存する割合が増大し、国民生活が海外の資源供給にまたなければならないとき、大手総合商社の輸入に占めるシェアが増大すれば増大するほど、商社の売惜しみは国民生活に重大な支障を与えます。しかも、商社の過剰流動性は、十大商社だけでも二兆六千億といわれ、商社活動はますます活発化し、大商社の海外における買い占め合戦は、国際価格の高騰すら引き起こし、国際的なひんしゅくを買っています。しかも、国内では、輸入物資について大手商社がインテグレーションを実現し、巨大な流通支配が進み、物資のストックポイントを多元化することによって、商品価格を操作することも可能となっています。同時に、膨大な資金を使って国内生産物資にまで買占めの手を伸ばし、大手商社十社の取り扱い高全体に占める国内取り扱いの比率は年々上昇し、五七%近くになっています。こうした商社の活動は、生産や販売の事業を行なう者すべてに買占め、売惜しみを当然のように行なう風潮をつくり出し、まさしく日本列島総ギャンブル社会を現出させてしまいました。
 これほどまでに事態を悪化させ、しかもそれを放置してきた責任はだれにあるのでしょうか。それは、数多くの提言にもかかわらず、それを実行しなかった田中内閣行政主体に問題があることは言うをまちません。(拍手)国民の生活に直結する生活関連物資を安く買い占め、高く売り込んだり、あるいは買占め、売惜しみによって高い利得を得る企業に対して、自由経済、資本主義経済だということだけで国民が容認するでしょうか。断じていなであります。
 国民にとっては、生活必需物資の価格が暴騰したからといって購入しないで済むものではなく、現物が不足しているからといって済まされるものではありません。こうした問題に対して、おのずからきめられたモラルとしてのルールを守らせること、すなわち、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等を定めることにより、国民生活の安定の一助に資することを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明いたします。
 第一は、食品、繊維、木材その他国民生活との関連性が高い生活関連物資について、買占め及び売惜しみをし、不当な利得を得てはならないこと、また、生活関連物資の価格が異常に上昇したり、上昇するおそれがある場合において、当該生活関連物資の買占めまたは売惜しみが行なわれるおそれがあるときは、政令によって、特別の調査その他の措置を要する物資として指定することとしています。
 第二は、内閣総理大臣または主務大臣は、指定した特定物資について、必要な調査、買占め、売惜しみによる当該特定物資を保有している者に対する売り渡し勧告、さらに、勧告に従わなかったときの公表、さらに、公表にかかる勧告を受けた事業者に対して、必要があると認めるときは、売り渡し命令をすることができることとしています。
 第三に、内閣総理大臣または主務大臣は、必要な限度において、本法の目的遂行のために、事業者に報告をさせ、職員をして立入検査、質問等を行なうことができることとしています。ただし、この場合、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないこととしています。第四は、経済企画庁長官は、本法施行に関し、主務大臣に対する資料提出及び説明を求めること、都道府県知事は、本法施行に関し、内閣総理大臣または主務大臣に意見を申し出ることができること、さらに、政府は、毎年国会に対してこの法律の施行の状況を報告し、その概要を公表しなければならないこととしています。第五に、本法の施行に関する重要事項を調査、審議するために、非常勤委員七名からなる生活関連物資規制審議会を総理府に置き、委員は学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命することとしています。
 第六に、立入検査及び質問に関する職務を行なうために、物資調査官を経済企画庁及び主務省に置くほか、内閣総理大臣または主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、都道府県知事に委任することができることとしています。
 第七に、売り渡し命令に違反した者は二年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、または併科、立入検査等に対する違反行為者は一年以下の懲役、または二百万円以下の罰金、また、行為者を罰するほか、その法人または人に対し、それぞれの罰金刑を科する両罰規定を設けております。
 以上が、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党四党提出の生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ政府案と対比し、野党四党提出の本法案に対し、皆さん方の満場一致の積極的な御審議と御賛同を期待いたしまして、提案を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案(内閣提出)及び生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案(松浦利尚君外三名提出)の趣旨説明に対する質疑
#14
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。羽田野忠文君。
  〔羽田野忠文君登壇〕
#15
○羽田野忠文君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま政府提案の生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案に対し、若干の質疑を行なうものであります。(拍手)
 政治の要諦は、全国民が安心して生活のできる社会をつくり出すことにあります。最近の地価、株価、物価の高騰は、インフレーションムードをかもし、国民生活の安定にとって重大な脅威を与えております。
 物価騰貴の原因は、提案理由でも述べられておりますとおり、わが国の国際収支の大幅な黒字と、金融機関の民間部門に対する貸し出しの増加を背景とする過剰流動性、並びに世界的な原材料の一時的供給不足が加わって、わが国内においても投機的な需要が発生し、これが一部の生活関連物資にも及んだためであります。
 この対策としては、これらの物価騰貴の原因を根本的に解決しなければなりません。
 しかしながら、企業の中には、企業倫理を逸脱して、豊富な資金力にものを言わせ、物資の買占め、売惜しみを行なって、一部特定商品の価格形成をゆがめ、物価騰貴に拍車をかけているものがあります。自由主義経済における企業活動であっても、程度を越えた利益の追求は、それ自体反社会的であり、公共の福祉を害することになります。
 かかる事態を憂慮して、わが党は、一握りの間違った者が、国民生活を営む上で必要欠くべからざる生活関連物資を投機の対象として買占め、売惜しみを行ない、その物資の価格を異常に上昇させることは、自由主義経済体制のもとでも許すことのできない反社会的な行為であると断定をし、去る三月一日、当本会議で政府に対し、かかる行為を排除する施策を確立するために、渡辺美智雄君を代表にして、種々質疑を試みたのでありますが、今回、政府が、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案を積極的に提出されたことは、国民の生活の安定を期するためにも当を得た適切な措置であると思うのであります。(拍手)
 まず、田中総理大臣にお伺いをいたします。
 第一は、わが国経済運営の基調は、自由主義経済体制であります。民間物資については、行政介入を極力排除いたしまして、競争原鯉を活用することによって経済の効率化を進め、経済成長と国民福祉の向上を重点としてまいっております。したがって、最近の物価高騰の状況下においても、過剰流動性の吸収や不足物資の供給促進等の諸施策を行ない、あわせて、これを補う意味で、本案による法的規制をはかられるものと承知をいたしております。この法的規制が、自由なる商取引をいたずらに乱すことになり、自由主義経済の根幹をゆるがすことになっては、角をためて牛を殺すのたぐいともなり、慎重を期せなければならないところであります。
 そこで、総理大臣は、自由主義経済体制と本案による法的規制との調整をどのようにお考えになって本法案を提出されたのであるか、この御見解を承りたいのであります。
 第二番目に、最近の物価騰貴の一因は、世界的な原材料の一時的な供給不足と、国民の物資不足に対する心理的な不安感に起因をいたしております。終戦前後の苦しい経験を持っております国民は、物資の不足と物価の騰貴にはきわめて敏感であります。品物が不足しそうだ、値段が上がりそうだということになりますと、乏しいさいふをはたいて、この不足しそうな生活関連物資を買いあさっておる状態であります。この姿は、ほんとうにいじらしささえ覚えるほどであります。この物資の先買いが物価の値上がりを誘い、物価の値上がりが買占め、売惜しみを助長し、この悪循環が繰り返されて、だんだん物価が騰貴しているのが現在の姿であります。
 しかし、この足りないという品物も、実際に調査をいたしてみますと、最近判明いたしたごとく、毛糸製品にしても、あるいは洋服生地にしても、わが国に必要な羊毛の製品量は十分に確保されておるというのが実情であります。
 そこで、最も大事なことは、生活関連物資については、国民の需要に十分にこたえられるだけの供給を確保するということが、まず大前提でありますが、その確保をした上で、政府は、国民に対して、生活関連物資の需要供給の現状が安心すべき状態であることを、価格の将来についても、先買いや買占め、売惜しみがありさえせなければ、必ず安定した価格供給ができるということを、常時正確な情報を国民に提供して、国民の心理的な安心状態を定着させ、政府の物価政策についで、国民的な信頼をかちうることが最も大事なことであると考えられますが、総理大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、愛知大蔵大臣にお伺いいたします。
 最近の物価騰貴の一因が、過剰流動性にあるといわれております。政府は、最近前後二回にわたって預金準備率を引き上げられました。また、大幅な公定歩合の引き上げを行ないました。金融の窓口規制の強化、こういう一連の金融引き締め政策によって過剰流動性の吸収をはかっておることは、きわめて適切な措置であります。なお、引き続き、預金の利率引き上げによって、国民が取得した金を持っておることによって価値が下がるようなこと、預金をしておることによって物価上昇に預金利率が見合わないために損をするようなこと、こういう事態のないように、金利政策の面でも十分な配慮が必要であります。
 そこで、いままで行ないましたこの金融政策によって、物価抑制の効果がどの程度に実際に効力をあげておるか、また、将来、金融政策あるいは金利政策、物価抑制となるべき政策について、どういう政策を行なわんとしておるか、また、これを行なうことによって、物価対策の面で十分なる実効をあげ得る確信を持っておられるかどうか、大蔵大臣に御見解をお伺いいたします。
 次に、小坂経済企画庁長官にお伺いいたします。
 第一は、買占め等の商品投機は、単にその商品価格を引き上げるにとどまらず、最終商品等の便乗値上げを誘発しております。すなわち、原材料価格の高騰を理由に、中間の人件費増を価格に上のせするだけでなく、マージンさえも大幅に上のせしている状態であります。このようなインフレムードを、経済全般に波及させてはなりません。
 この際、政府と国民が一体となって、物価上昇を監視することが必要であります。そのためには、政府は、原材料価格の騰貴を各種の施策で防ぐとともに、商品の価格または製品のコスト等について、国民に詳細な情報を提供して、便乗値上げの実態を明らかにしていくことが肝要であると思われますが、経済企画庁長官の御見解はいかがでございますか。
 第二番目に、法案の内容に入りますが、本法案は、特定物資を指定して、勧告、公表等を行なうこととしておりますが、この特定物資の指定の対象となる生活関連物資の範囲はばくとしております。政府としてはどのようなものを生活関連物資とお考えになっておられるか、御見解を伺います。
 第三に、買占め、売惜しみの認定基準も、実際にはなかなかむずかしい問題でございます。企業が需給関係の変化を見越してヘッジ行為を行なうというようなことは、通常の企業活動としては行なわれておることでありますが、その物資が、異常天候等の偶発事件の発生によって不足したような場合には、このヘッジ行為は不当なものとなるのであろうか、どうであるか。ヘッジ行為を、買占め、売惜しみという面でどの程度規制するのか、御見解を承ります。
 第四番目に、本案では、買占め、売惜しみにより特定物資を多量に保有していると認められるときは、売り渡しの勧告をし、勧告を受けた者が勧告に従わなかったときはその旨を公表することになっております。一般的に法制上の制裁手段としては、懲役、罰金等の刑を科する方法がとられております。本案において公表という社会的制裁手段を採用したことは、きわめて卓見であると考えます。商行為において、その目的とするところは利益であり、そのよって立つ基盤は信用であります。勧告に従わない者を公表する方法により社会的制裁を加えることは、その制裁が手続的に時間を要する訴訟手続によらず、情報機関により直ちに効果を発揮する公表ということで行なわれることは、まことに適切な方法であります。信用を喪失するという社会制裁の面でも、この制裁の効果はきわめて大きいものがあると思われます。こういうことによって、政府は買占め、売惜しみの措置について、十分なる効果を発揮する確信を持っておられるかどうか、御所見を承ります。
 しかしながら、勧告に従わない者に対して、公表というだけでは制裁が手ぬるい、こういう批判もあるところでありますが、勧告に従わない悪質な者について、その者が不当の利益を、目的をもって……
#16
○議長(中村梅吉君) 羽田野君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔にお願いいたします。
#17
○羽田野忠文君(続) 買占めまたは売惜しみを行なっておる場合に、物価統制令第十四条の適用についてはいかなる御所見を持っておられるか、お伺いいたします。
 最後に、私は、この種の規制立法が国会で議論される経済情勢に立ち至っていることを遺憾とするものであります。自由主義経済体制のもとにおいて強力に行なわれなければならない物価対策は、過剰流動性の吸収であり、需要と供給との調和であります。政府の物価対策に対する国民の安心と信頼をつなぎとめることこそ、最も緊要なことだと信じます。本法案が政府の基本的物価対策と相まって、補完的にその目的を達成することを願って私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(田中角榮君) 第一は、本法案提案の真のねらいは何かということでございますが、経済の基本は自由経済体制を守ってまいるということでございます。
 自由主義経済体制下におきましても、買占め等が不当に国民生活の安定を阻害している場合には、何らかの規制を行なわなければならないのは当然であります。反面また、規制が行き過ぎて、戦時中や戦後の一時期のように、統制経済の弊におちいってはならないこともまた言うをまたないわけであります。本法案は、買占め等に対する対策として勧告、公表、立入検査等の行政的措置を定めておりますが、自由主義経済のよさを生かしながら、買占め等の弊害を除去する手段として有効なものと考えておるのであります。
 第二は、現在の騰貴については、法的な規制も必要であるが、生活必需品等の安定供給対策の情報提供等、具体的な措置を講ずべきであるという趣旨の御発言でございますが、最近の一部商品の高騰につきましては、過剰流動性対策、緊急輸入の実施、政府在庫の放出、業界に対する協力の要請、商品取引所の規制等の行政措置に加え、それを補完するために当法案を国会に提出したものでございます。
 また、先ほどの御指摘のとおり、十分な輸入がはかられ、在庫品も需給に見合ったものがあるにもかかわらず、洋服が上がる、大豆が不足をしておるなどというような風評により、売惜しみや買いだめが起こらないよう、現在の需給体制や、また需給見込み、在庫の状態、輸入の状態等をつまびらかに国民に提供するために、別途方法を考え、実施してまいりたいと考えるのであります。
 以上。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#19
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 昨年後半以降の経済の動きを見ますると、実勢以上に流動性が供給されてきたことは否定できません。流動性はいろいろなルートを通じて供給されますが、何といっても金融機関貸し出しの増加による比重がきわめて大きいと認められますので、ただいまも御言及になりましたように、金融面からの過剰流動性対策に鋭意努力してまいりました。
 すなわち、再度にわたる預金準備率の引き上げ、土地関連融資、商社向け貸し出しの抑制、大商社等を主体とする企業別手形買い取り限度制の創設といったような、きわめてきびしい、またきめのこまかい措置をあわせ実施してまいりました。
 そしてさらに今般、公定歩合を〇・七五%というかってない大幅の引き上げを実施いたしました。今回は長期、短期金利にわたって貸し出しの引き上げが波及することにもなりますので、相当に強い引き締めの効果が期待されるところでございます。
 しかしながら、中小金融あるいは農業関係その他につきましては、たとえば住宅等につきましても、政府関係の貸し出しの金利というものについては、四十八年度予算で御審議をいただきましたように、金利を引き下げることは引き続き実行するつもりでございます。
 その反面におきまして、御指摘がございましたが、預貯金の金利につきましては、これを相当に引き上げて、貯金の大事なことを一また、物価の動向に対して金を持つことが意味がないというような風潮を何とか克服していく一助にいたしたいと考えております。
 さらに今後におきましては、貸し出しにつきましては、窓口指導を一段と強化することにしておりまするので、一連のこうした金融政策を背景にいたしまして、たとえば都市銀行については、この四月から六月に至る四半期の貸し出しにつきましては、前年実績をかなりの程度に下回る水準に押え得る見込みでございます。
 また、企業の手元流動性も、そのかなりの部分が金融機関貸し出しの増加を通じて供給されてまいったものでありますから、金融機関からの貸し出しの規制が本格化してまいりますと、企業の手元流動性の水準は低下するのみならず、手持ちの資金につきましても安易な支出態度を続けることができなくなりますので、これらの点をあわせますると、流動性の過剰感は急速に薄らいでまいると思いまするし、これらの施策あるいは効果は、ただいま提案されました法案の実施とあわせまして、物価安定に必ず具体的に好ましい結果を招来するものと確信いたします。
 なお、四十八年度予算はこれから実施せられるわけでございます。四十八年度の予算におきましては、低生産部門の生産性の向上、流通過程における諸般の施策、末端において国民消費者に接触する部面におきまする、たとえば小売り業者等に対する対策をはじめとして、融資の上でもあるいは税制の上でも、たとえば無担保無保証制貸し付けの創設、あるいは事業主報酬制度の創設といったような政策が行なわれまするし、物価対策に関連する予算が、四十八年度予算の上においては一兆三千億円というような巨額な予算も計上されてあるわけでございますから、これが執行されてまいりますると、基本的な、生産から流通、消費、販売という面にわたりまして、具体的な成果を財政面からも期待することが私はできると信ずる次第でございます。この四十八年度の予算がいよいよこれから実施せられるということにも御注目いただきまして、物価対策に万全を期してまいりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#20
○国務大臣(小坂善太郎君) 羽田野議員の四つの御質問にお答えいたします。
 まず第一は、原材料の高騰が製品の便乗値上げを誘っている。このようなインフレムードは法律だけでは鎮静できないので、政府はもっと国民に対して適時適切に情報を提供し、国民が一体となって、便乗値上げができないように監視していく必要があるのではないかという点でございます。まことにそのとおりだと思います。
 政府は、生鮮食料品の価格動向につきまして、このほど本院において可決していただきましたる四十八年度予算において、農林省において、テレビによる情報提供を拡充することにしておりまするほかに、消費者テレホンサービスというものの助成を行なうことにいたしております。また、経済企画庁においても、物価対策特別推進費というものをいただいておりまして、これを活用して、積極的に情報の提供を行なうことにいたしております。
 また、去る三月三十日の閣議におきまして、生活関連物資の需給の状態を的確に国民に知らせることといたしまして、同日の物価担当官会議におきましては、価格高騰物資の価格動向と価格安定対策を公表するとともに、原材料価格の製品コストに及ぼす影響を試算いたしまして、便乗値上げ阻止のためのPRを行なった次第であります。
 情報の提供によりまして消費者の不安感をなくすことは、インフレムードの鎮静化のために大いに有効であると考えられまするので、今後ともマスメディアに乗りまして消費者の対抗力を強化して、物価の安定に尽くしてまいりたいと考えております。
 第二問は、生活関連物資の範囲はどうかということであります。
 これは具体的に申しますと、生活関連物資とは、当該物資が家計支出に及ぼすウエート、さらに日常生活にとっての緊要性、第三に代替物資の有無というようなものを、国民生活にどの程度重要度を持っているかということを、総合的に勘案して判断することになると思います。
 第三問は、特定物資を指定し、勧告、公表、立入検査等を行なうことによって、買占め、売惜しみを防止し、価格の高騰を防ぐことにしているが、これでは投機に関する規制が手ぬるいという意見があるが、どうかというお話でございました。
 現在の自由経済体制下におきましても、買占め等が不当に国民生活の安定を阻害している場合には、何らかの規制を行なわなければならないのは当然でありまするが、統制経済のもととは異なりまして、本来自由にまかされておりまする企業の行動に政府がどの程度介入できるかは、いろいろと議論のあるところでありまして、おのずから、そこには限界があると考えます。このような観点からいたしまして、買占め等を行なった者に対して、直ちに放出命令を出すとか、あるいは刑罰を科するという考え方には問題があると思われまするので、これらの買占め等を行なった者に対しましては、適当な価格で売り渡すことを勧告する、そして、これに従わなかった場合には公表するという社会的な制裁を科することによって、買占め等の弊害を防止しようとするのが本案の意図するところでございます。(拍手)
 第四点は、物統令、特に第十四条と本案との関係についてでございましたが、本法案は、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対しまして行政的に対処してまいりますための手続及び処分をきめたものでありまして、直接に違反者に対してきびしい罰則を科するという趣旨のものではございません。その点で、物統令の第十四条とは、その性格がおのずから異なっておるのであります。
 すなわち、物統令第十四条を適用しまする場合には、買占め、売惜しみという要件のほかに、業務上不当の利益を得る目的というものが存在するということが必要とされまするが、本法では、そのような目的の認定が必要でない。すなわち、客観的に買占めあるいは売惜しみの行為が認定されれば適用されるということにあるのであります。すなわち、不法なものであるかどうかということを審査する、そういう時間を省いている。買いだめがある、売惜しみがあると考えられれば、直ちにそこに行って立入検査をして、そうしてその内容を政府において把握して、そうして、これはお売りなさいと言い、聞かなかった場合には、これに対して社会的制裁を要求するということになるのでございます。
 また、物統令の第十四条につきましては、行政官吏の手による調査ないし検査等が行なえないのに対しまして、この法律におきましては、勧告等の目的で、行政官吏の立入検査について明確な規定を設け、立入検査ができるということにしております。すなわち、犯罪を調べるという形で入りますると、そこに黙秘権というものが当然出てくるのでありますが、これは黙秘権を認めないのであります。直ちに行政官が入っていって検査ができるという点で、非常に機動的に弾力的に問題に対処し得るという点で、私は、すぐれた実効をあげると考えております。(拍手)
 なお、本法が成立いたしましても、物統令の適用を阻害するものではなくて、物統令の違反の構成要件に該当する者がいれば、司法当局の手で摘発が行なわれることは、これ、もとよりでございます。
 さような点で、いろいろな御意見がございますけれども、私としては、政府といたしましては、もう一日も早くこの法律を通していただきたい。この法律を通していただいて、そして、この法律の弾力的、機動的な運用によって、国民の皆さまに安心していただいて、国民の皆さまの期待する物価の安定を一日も早く招来したいと考えておる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
#21
○議長(中村梅吉君) 森井忠良君。
  〔森井忠良君登壇〕
#22
○森井忠良君 インフレと投機とギャンブルの渦巻きが、田中総理の日本列島改造論を契機としてますます日本国内に吹き荒れ、国民生活と国民道義を根本から破壊しつつある現状に対し、私は、心からの憤りを込め、日本社会党を代表して、内閣提出、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案に対し質問いたします。(拍手)
 まず最初に、基本的な問題について、田中総理をはじめ関係閣僚に御質問をいたします。
 この法案は、その名前が示すとおり、買占め、売惜しみをなくすることが目的であります。
 このような法案を出される以上、現在の商品投機がきわめて異常な状態であり、このままで推移すると国民生活に重大な支障を及ぼすと判断されたからであろうと存じます。日本の資本主義体制の中で、自由主義経済を指向される自民党政府が、クラゲのような骨抜き案にしろ、目に余る商社の反社会的な買占めや売惜しみを規制しようとされるわけでありますから、それなりの現状認識をされての上であろうと存じます。
 一つの例をあげましょう。去る三月二十二日、東京に全国の大工さんや左官さんが五千人も集まりまして、この一年間に倍にも三倍にもなった木材の値上がりに強く抗議をする大会を持ち、一つは政府の無策と、一つは横暴な商社に対して、反省を求めたわけでございます。この集会には、三十万人近い消費者の、マイホームの夢を破られたことに対する怒りの署名が集められ、また、異常な値上がり分の金策に追われ自殺までした大工さんの、恨みの声も出されていたのであります。
 確かに、木材の暴騰は目に余るものがありまして、東京では杉の製材が、昨年七月に一立方メートル三万八千円であったものが、四カ月後には実に八万五千円にもはね上がったわけであり、関係商社はこれで二百億円以上のもうけをしたと聞くのであります。国内消費量の約六割を外材にたより、その九〇%を大手商社が扱っている現状を見ますとき、アメリカですら警戒するほど、日本商社の木材買占め、さらには価格のつり上げは、目に余るものがあるのであります。わが国では、品不足どころか、貯木場にあふれていて、それで値段がつり上がる、まさに経済倫理にもとる、反社会的な行為でありましょう。
 田中総理、先ほどわが党の松浦議員も指摘しましたように、この商社の、もうかることなら何でもするという行為は、単に木材だけでなく、繊維三品、大豆、果ては絵画や競馬馬にまで及んでいるのであります。まさに異常な事態であり、これらの暴利行為は国民生活を破壊する反社会的行為だと考えますが、総理の、商品投機そのものについての御認識を承っておきたいと存じます。(拍手)
 さらに、これら生活関連物資を国民に供給するため商社と接触してこられた通産、農林各大臣から、それぞれ所管の主要品目について、商品投機の現状と対策を御発表願いたいと思うのであります。
 さて、田中総理、土地や商品の投機のもとは、しばしば今国会で議論されたとおり、過剰流動性であります。また、その過剰流動性を生んだのは、自民党政府の通貨政策の失敗、ひいては経済政策の欠陥によるものであります。(拍手)
 すなわち、一昨年のドル・ショックと、それに伴う円切り上げのとき、すでに国際世論に逆行する大資本優先、輸出第一主義の日本経済は、福祉優先の経済へ転換をしなければならなかったのであります。労働者の低賃金、長時間労働をやめ、GNPにふさわしい社会保障を実現し、輸出よりも高福祉、高賃金によって内需をふやす経済へスタートすべきであったのであります。
 しかるに、政府・自民党は、大資本擁護を改めず、ドル・ショックで受けた企業の痛手の手当てに熱中し、金融緩和、為替差損の補てんから、さらには、たとえば鉄鋼業界における粗鋼、中間製品の不況カルテルを認めるなど、あらゆる手段を講じてまいりました。加えて、田中内閣になってからは、日本列島改造論を打ち上げ、生産第一主義に大きく拍車をかけたのであります。
 その結果、金の裏づけのない、単に紙切れにひとしいドルがどんどんふえ、ついに現在では百九十億ドルとなったのであります。大量のドルを保有しながら、政府自身ですらこの貨幣価値の不安をどうすることもできず、アメリカの言いなりになってきたのでありますから、商社、企業による円の流出は避けることができないはずであります。まさに商品、土地などの暴騰は、商社だけでなく、政府の責任でもあると思うのでございます。
 今回提案をされた法案は、その反省の上に立って出されたものかどうか、お伺いしたいと思います。
 また、過剰流動性による土地、商品の投機は、一昨年のドル・ショックのあとに政府がとった一連の公定歩合引き下げなどの金融緩和措置や、輸入関税引き下げなどで一そうやりやすくなったのでありまして、小手先だけの輸入促進対策や不況対策が明らかに裏目に出たと思うのでありますが、大蔵大臣の所見を承っておきたいと思うのでございます。(拍手)
 次に、経済企画庁長官並びに通産大臣にお伺いをいたします。
 先般国税庁から発表されました四十七年度の法人所得は、銀行、証券、商社の大幅の伸びが目立っております。商社の所得増は目ざましいものがありまして、三井物産、三菱商事など、大手六社だけで八百二十三億円をこし、軒並み二倍から三倍近く前年よりふえているのであります。皮肉なことに、これとはうらはらに、経済企画庁が調査した資料によりますと、卸売り物価上昇の著しい生活関連上位三十品目は、最高三二四%の羊毛をはじめ、最低のノリでも一六二%の値上がりとなっており、そのほとんどがこれらの商社の扱いによるものであります。
 つい先日発表された東京の卸、消費両物価、特に九%の大台に乗った消費者物価と無関係ではなく、商社の暴利が影響していると思うのでありますが、この関連性と業者の指導につき、お答えを願いたいのであります。
 また、大蔵大臣からも、商社等の所得の大幅な伸びの原因などにつき所見を伺うとともに、この所得は申告によるものであり、暴利による急激な所得増については、きびしい審査が必要だと考えるので、その御意思があるかないか、承っておきたいと存じます。
 さて、次に、法案についての質問をいたします。
 この法案は、現実に国民生活を圧迫している商品投機に対して、田中内閣が本気で取り組もうとしているかどうかを示すバロメーターとして国民は見ていると思うのであります。しかし、提案された内容は、国民の不満に対して申しわけ的に出されたものであり、全く実効のあがらないものと断ぜざるを得ません。
 第一に、総理の決意についてお聞きしたいと存じます。
 この法案が閣議決定されるまでにいろいろ経過があったのでありますが、特に総理は、物価統制令の適用を最初考えられたと聞いております。立法技術の問題は別といたしまして、その考えの中には、このような強力な措置が必要とされたと考えるのであります。それがいつの間にか、勧告とそれに従わなかったときの公表という強制力のないざる法と化したことについて、総理の真意を知りたいと思うのであります。一体、これであくどい暴利を求めて買い占める商社から国民生活が守れると考えておられるのかどうか、はっきりお答えを願いたい。
 第二の問題は、政府・自民党の政策が原因で、商社、企業が数兆円のダブついた資金を持ち、その金は本来の事業や生産に回されず、暴利を求めて投機に狂っている現実があるにもかかわらず、依然としてその行為は自由主義経済のワク内であるとして、禁止し得ない日本資本主義の古さがこの法案の底に流れていると思うのであります。(拍手)
 その点、全野党が共同提案した法案は、国民生活を守る上から政府案に反省を求めたものであり、商社のギャンブル的な数々の行為そのものを規制するものであり、国民の要求を満たしていると考えます。
 田中総理、自由主義経済下であるから、投機行為そのものは取り締まれないとのこれまでの国会答弁は、この際撤回をされ、野党四党案に賛成をされる御意思はないかどうか、お伺いをいたします。(拍手)
 現に農地法、都市計画法、浴場法、薬事法など、営業活動や個人の財産権にまで制限を加えた法律は、幾らでも自民党政府の手で今日までつくられてきたのであります。買占め、売惜しみをする企業こそ公共の福祉に反し、憲法上、その行為を制限する必要があると考えますが、見解を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 第三は、経済企画庁長官にお伺いいたしたい。
 その一つは、罰則のない法律をつくって、利潤追求にあくなき商社を押えることができるかという点であります。価格調査官の検査等への協力義務については、ゆるやかな罰則があるものの、肝心な物資については放出命令も出せず、企業の公表のみでは、悪徳業者は痛くもかゆくもないと思うのであります。(拍手)
 その二つは、オーストラリアの羊毛やアメリカの木材のように、日本の商社もしくは日本商社がつくった多国籍企業が海外で買占めを行ない、船積みを調整するなどして、わが国の価格をつり上げている例があるが、これらの行為が規制できるのかどうなのか、お伺いをいたしたいと存じます。
 その三は、野党案には、生活関連物資規制審議会を置き、この法律の民主的運用をはかろうというすぐれた点がありますが、政府案にはないのであります。価格の異常な上昇などの範囲も明確でなく、しかも行為を規制しようというのでありますから、当然他の法令にあるような審議会を設ける必要があると存じますが、所信のほどを伺いたいのであります。
 以上のように考えてきますと、政府案は欠陥も多く、国民の声にこたえておりません。この際、田中総理は、決断と実行により政府案を撤回され、野党四党案に統一されるよう要求いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(田中角榮君) 近ごろにおける物価の騰貴、買いだめ、売惜しみ等は何によって起こったのかと、基本的な認識を問われたわけでございますが、これらの問題は、海外インフレ要因とか国内景気の上昇等もございますが、御指摘のとおり、過剰流動性が大きな原因であることは否定できないのでございます。
 なぜ、このように金融が緩和されたのかということでございますが、第一回の円平価の調整が行なわれて、いまだ一年半もたたないのでございます。多国間通貨調整という、例のない問題が解決したわけでございますが、大幅な平価調整の結果、国内の経済に影響があらわれるというのは、通説では一年ないし二年、時間がかかれば三年といわれておるのであります。このようなことが行なわれた結果、当然起こり得ることは、世界に類例のないような特殊な状態を持つ、すなわち中小企業や零細企業に大きな影響が与えられると思うので、これを回避するために、諸般の政策を必要とすべしということは、あに与党のみならず、国民的な要請であったことは、指摘するまでもないのでございます。そのために、政府は、財政、金融、税制上、諸般の措置を講じてまいったこともまた事実でございます。
 そのような状態におきまして、過剰流動性の問題が起こったわけでございます。四十六年の一月には外貨準備高わずかに四十五億ドルというのが、一年余の間に百五十億ドル余の外貨の積み重ねが行なわれたわけでございますが、これらの過程において、過剰流動性という一つの現象が生じたことは、御指摘のとおりでございます。
 その意味で、正常な経済活動を確保しながら、これから起こるであろうところの中小企業や零細企業に対する対策に万全を期さなければならないことは言うまでもないのでございます。でございますから、このような状態においてさえ、財投の中小企業や零細企業に対する追加投資を必要としておることもまた事実なのでございます。一面において過剰流動性を吸収しながら、必要な面に対しては適時、適切なる施策を推進していかなければならないという両面的な政策遂行が、現に政府に課せられた使命であることを御理解賜わりたいのでございます。
 経済の正常な発展をもたらすためには、自由経済体制がいいことはもう言うをまたないのでございまして、政府もその基本を堅持してまいっておるわけでございますが、一部において買占めや売惜しみというような事態があることは、はなはだ遺憾でございます。正常な企業活動をしなければならない中で、このような反社会的な行為が行なわれておることをそのままに看過するわけにはまいらないわけでございます。
 そして、第二の問題でございますが、これらを正常に戻すための決意はどういうのかということでございます。そのためには、野党提案のように、放出命令を聞かなかったものに対して罰則を設けてはどうかということでございますが……(「異議なし」と呼ぶ者あり)これは簡単に「異議なし」と言うわけにはまいらないのでございます。
 それはなぜかといいますと、これは二つ問題があります。
 一つには、放出命令を出す以上は、公的機関によって買い取りを行なうということが前提でなければならないのであります。ですから、その意味におきましては、御審議を願っております土地税制においては、知事が特定な地域を指定して、その中で開発の規制を行なったり、移動を禁止するような私権制限をする場合には、当然、憲法による個人の自由の権利を守るために、公の機関に対して買い取り請求権を認めておるのでございますが、このような状態において、どれが適正なのかということの判断は非常にむずかしいのであります。
 これを、ただ政府の見解において一方的に罰を加えるということはありました。戦時、戦後における物価統制令であり、それは、すなわち、最も一部がきらう総動員法的な性格を持つということでございます。(拍手)このような道を開くと、統制経済に移行する大きな危険をはらむのでありまして、これらの問題は国民が求めておる道ではないのであります。
 そのような意味において、この法律案に書いておりますように、調査、勧告、公表という社会的制裁によって、企業の公的責任を果たさせるよう誘導するととが真の政策であることを御理解いただきたい。(拍手)
 それは、ある国では、物資が欠乏しておる国は、わずかな品物を買いだめしても銃殺をするという国もございます。そういうような例と現在の日本を直ちに比肩することが望ましくないことは言うまでもありません。
 わが国は、自由主義経済のもとで経済運営を行なっておりますが、各種の規制等を行なうことは、公衆衛生等の諸施策はありますが、そのような意味で、統制を行なわないで、誘導政策を適宜行なうということによって、経済の正常化をはかってまいろうということでございますので、野党提案に賛成をし政府案をひっ込める意思はございません。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#24
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 まず第一の私に対する御質疑は、基本的に物価問題に対してどういうふうに考えるかという御趣旨であったと思います。
 私は、基本的には、総需要を適正な水準に保つとともに、円滑な供給体制を整備することであると思います。
 これをもう少し申しますれば、低生産性部門や流通部門を近代化することである、競争条件を整備することである、輸入政策を積極的に活用するというような構造政策を強力に進めることが重要であると思います。四十八年度物価関係の予算は、こういう基本的な考え方で編成いたしたつもりでございます。
 第二に、過去の金融政策についての御批判もあわせて御質疑がございましたが、ただいま総理からもお話がございましたが、わが国の金融市場は、一昨年来、お話のように緩和基調を維持してまいったことは御指摘のとおりでございます。これは、わが国の経済が四十六年末の多国間通貨調整による不況下のデフレショックを克服して、順調な景気回復を達成し得た背景には、あのような金融政策が果たしてきた大きな働きがあったのであって、それなりに私は評価されてしかるべきであると考える次第でございます。
 ところで、経済がすでに自律的に拡大基調をたどりつつある現在におきまして、また、国際的な通貨情勢も小康を得つつある段階になりましたので、現下の物価動向をきわめて大きく取り上げまして、経済運営の姿勢を転換していくことが今日の状況では必要でありますし、したがって、金融面におきましても、るるしばしば申し上げておりますように、二回にわたる預金準備率の引き上げから、昨日の大幅な公定歩合の引き上げによりまして、金融に対する今日の体制というものを確立したつもりでございます。そして、金融の引き締めに対して、これで大きな徹底した体制と具体的なかまえ方ができたわけでございます。相当の効果がこれによって発生すると思います。
 同時に、忘れてならないのは、中小対策、零細な対策でございまして、これについては、先ほども答弁申し上げたとおりでございます。
 次の御質疑は、関税に関連する問題でございますが、関税の引き下げについては、まさに、ただいま御質疑がありましたように、輸入の拡大等を通じて物価安定の効果をもたらすものでありまして、反面において、これが商品の投機をあおったとは考えません。
 最後に、私に対する御質疑は、大商社、大銀行等の大規模な法人のあげた所得、利潤等については、徹底した究明をせよという御趣旨でございました。
 これらの大規模法人につきましては、従来から重点的に多くの日数を費やして、多数の人員をもって、綿密な税務調査等を行なっているところでございますが、今後とも、特に御指摘もありますので、十分配意いたしまして、充実した税務調査等を行なうこととし、厳粛な課税の適正化をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 商社に買占めあるいは投機ありやということでございますが、三月の十三日から十五日にわたりまして、通産省で、六大商社について調査を実施いたしました。
 四十六年上期から四十七年下期にかけまして調べましたところ、四十七年九月末におきましては、通常の営業に必要な運転資金を上回る、約六千六百億円にわたるきわめて流動性の高い手元資金がありました。そして、四十六年度においては、これらの流動性の高い資金が債券に主として回って、四十七年にはそれが株式に回り、また四十六年から四十七年にかけて、土地が商品取引として相当対象にされてきたということが判明いたしました。
 これらのものは相当な利潤を生んだと認められますが、これらは、いま大蔵大臣が申されましたように、厳格に徴税行為によって処置すべきものであると考えます。
 次に、羊毛、毛糸、綿糸、生糸につきましては、商社の買占めまたは買い急ぎと疑われることがありました。部分的ではございましたけれども、買占めまたは買い急きと疑われることが見受けられました。綿花については、ございません。
 大豆と木材につきましては、国際的な要因と、それから内需が急増した、そういうようなことに加えて、思惑が入りまして、騰貴いたしました。それと同時に、供給に対する対応力が欠けていたということが反省されます。
 しかし、これらは、いま次第に鎮静に帰しておりまして、大体繊維製品については需給が非常にゆるんでまいりまして、商品取引所においてもストップ安をかけているという状態であります。通産省の一部で調べたところによりますと、日本人の男の洋服の需要は年間八百万着程度だそうですが、現在毛糸の在庫は一千万着分ぐらいあるそうです。そういうことが判明してきまして、需給は次第にゆるんできている情勢で、こういう情勢はほかのものにも波及していくだろうと思われます。
 次に、三月の都の消費物価指数を見ますと、対前年九%ふえておりますが、この内訳を見ますと、食料が三・三%、衣料が三・七%、そのほか住居、光熱、雑費等でございますが、この騰貴の中身を見てみますと、一部には流通段階における売惜しみや、あるいは消費者心理からくる買い急ぎというところによって、騰貴があおられてきたという感がなくもないところがございます。
 これらは、必ずしも商社が買い占めして上がったと断定できないものでございます。しかし、商社に対しましては、各社の社長を呼びまして、厳重に個別的に指導をやっております。そして、いま案件になっておりまする本緊急措置法を背景にいたしまして、個別的に各商社に対して通産省としては決意を表明して、この法律を至急成立させて、所要の措置を講ずるという決意を示しております。これらの個別指導によりまして、商社の不正行為と疑われるようなことはなくしていくという考え方であります。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたしますが、まず第一点は、消費者物価が異常に高騰しているが、これと商品投機との関係いかん、また、これに対する政府の対策いかんということであります。
 昨年来、世界的な農産物の不作、海外のインフレ、国内景気の上昇、一部商品に対する投機的な動きなどから卸売り物価が上昇し、その影響もあって、最近、食料、被服などを中心に消費者物価の上昇率が高まっていますことは事実でありまして、警戒をしなければならないと考えております。
 また、これに対する対策については、すでに大蔵大臣、通産大臣からお話がございましたとおりでありまして、生産はふえておるのであります。しかし、消費は漸増しておりますが、しかも物価をこれほど押し上げるだけの消費があるとは思われない。すなわち、この間に投機があるというふうに考えざるを得ないのでありまして、それに対する対策として、行政指導のほかに、この法律を出してすみやかに御可決をいただきまして、物価対策に遺漏なきを期したいというのが政府の対処策でございます。
 第二問は、直接罰則のない法律で商社を取り締まれるかどうかということでありますが、この点は、すでに総理からお答えがございましたが、とにかく、今日の自由主義経済体制のもとにおいて、買占め等を行なった者に対して、直ちに放出命令を出すとか、あるいは刑罰を科するという考え方には問題があると思うのでありまして、これらの買占め等を行なった者に対しては、適当な価格で売り渡すことを勧告して、これに従わなかった場合には公表することによって、社会的制裁を科するということが十分な効果をあげる方法であろうと考えておるのであります。
 われわれは、罪人をつくるということが目的ではないんで、潤沢な商品が国民を潤せばよいと考えておるわけでございます。
 そういうような点からいいますと、物統令十四条との関係は、先ほども申し上げましたが、物統令でございますと、行政官吏が入っていって調査あるいは検査をするということは、これはできないのであります。そこで、本法では、勧告の目的で、行政官吏が立ち入りして検査ができるという点を非常なメリットと考えておるわけでございます。すなわち、今日のようなこうした売惜しみ、買いだめというのが一部にせよあるということは、はなはだ残念なことで、これは何としても行政的に機動力を発揮し、弾力的に対処する、そういう手段を選ばねばならないと考えたわけでございます。
 なお、この法律があるからといって、物統令違反の構成要件に該当する者がいれば、これは仮借なく司直の手によって摘発されることは当然であります。ですから、決してこの物統令の適用をやめるというんじゃございませんで、さらに有効なる規制をしようというのが本法案の目的でございます。
 その次の質問は、オーストラリアの羊毛やアメリカの木材買い付けのように、日本商社が現地の子会社にやらせるという場合、この法律で取り締まれるかということでございます。
 これは、現在の法体系は主権の及ぶ範囲に限られておるのでありまして、外国に存在する外国法人等には、本法案の効力は及ばないことは当然であります。この点は野党案でもまた同じでございます。しかし、効力が及ばないからといって放置するということではなくて、必要な場合には、本法案第三条に基づきまして海外調査を行なうほか、親会社を通して、その過剰流動性の吸収による金融面からの締めつけやあるいは他の地域からの輸入促進等、各種の行政措置を講じることによって、外地法人の投機的弊害がもしあればこれを除去するようにつとめてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
 最後の御質問は、野党案では、公正を期するために審議会をつくることになっているが、政府案では審議会を設けていない、この理由は何だということであります。
 これは、先ほどから申し上げておりますように、非常に機動的に、迅速に、臨機応変に調査を行なって実効をあげるという必要があるわけでございまして、特定物資の指定を政令で行なうという、そういう措置をとっております。そしてなお、主務大臣だけでなくて、総理大臣をも加えまして、政府一体となってこれに当たることにしておりまして、審議会等で甲論乙駁やっているうちに機を失するという点を私どもは考えておる次第でございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#27
○国務大臣(櫻内義雄君) 農林省関係の生活関連物資についてのお尋ねでございましたが、すでに通産大臣より木材、大豆、生糸については御報告がございました。
 そこで、私よりはアズキ、モチ米、飼料について申し上げますが、アズキにつきましては、商品取引所の取引の状況からいたしまして投機筋の動いたことは明らかでございましたが、北海道のアズキの放出、それから一万トンの緊急輸入によりまして、市況は現在鎮静化の傾向にございます。
 モチ米につきましては、本年度の需給の不均衡から商社の動きが見られたのでありまするが、食管法によるところの立入調査をいたし、また、その中の悪質なもの三件は告発をいたしたのであります。また、外国からの一万五千トンの輸入を促進いたしまして、タイ国からの五千トンはすでに到着する段階に至っております。こういうことで、現在、モチ米価格は横ばい状況でございまするし、今回の苦い経験にのっとりまして、明年度以降はモチ米については契約栽培をいたしたいと思っております。
 それから、問題は飼料でございまするが、これは、国際需給の関係からの影響を受けたのでございまして、そのために、この飼料価格の中心になりまするところの全農の建て値において、一月で三千二百円、三月で四千八百円と値上げをいたしました。しかし、この全農の値上げについては、安定基金を利用することによりまして、農家に対する実質的な負担増にならざるよう、できるだけ押えてまいってきたのであります。
 問題はこれからでございまするが、三月−六月の間には古々米、政府麦の集中放出を行なう予定にいたしておりまして、また、この価格につきましては、現在検討中でございまするが、でき得る限り低廉で、そして、この上飼料の値上げに至らざるよう、四月の飼料の値上げについては、全農の協力を得てこれを押えておる実情にございまするが、このあと、ドルの切り下げによる輸入効果というものがあらわれてまいります。現在までは、昨年下期の契約したものが入ってまいりましたので、ドルの切り下げの効果が出ておりませんが、これからは効果があらわれてまいりまするので、まず最悪の事態は回避し得たものと、このように存じておる次第でございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#28
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#29
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。労働大臣加藤常太郎君。
  〔国務大臣加藤常太郎君登壇〕
#30
○国務大臣(加藤常太郎君) 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。
 近年、わが国における交通事情等の変化に伴い、労働者が通勤の途上においてこうむる災害もまた多くなってきております。こうした情勢を背景に、通勤災害についても、より手厚い保護を行なうべきであるとの声が関係者の間で強くなってまいりました。
 このような情勢にかんがみ、労働省は、昭和四十五年二月、通勤途上災害調査会を設置し、通勤災害に係る諸問題について検討をお願いしたのであります。同調査会は、二年有余にわたる審議の結果、昨年八月、通勤災害については業務災害に準じて保護する必要があるという趣旨の報告を労使公益各側委員全員一致によって決定し、提出されたのであります。
 政府といたしましては、この報告の趣旨を全面的に尊重し、鋭意検討を進めてまいりましたが、その成案を得ましたので、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ了承する旨の答申をいただきました。その結果に基づいて、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を作成し、ここに提案いたした次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 まず第一は、従来の業務災害に加えて、通勤災害についても保険給付及び保険施設を行なうことができるように、労働者災害補償保険の目的を改正することであります。
 第二は、労働者災害補償保険において保護の対象とする通勤の範囲であります。
 この法律案では、通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいうこととしております。
 第三は、通勤災害に関する保険給付についてであります。
 通勤災害に関する保険給付の種類、支給事由及び内容は、業務災害に関する保険給付の場合に準ずることとしております。
 第四は、通勤災害に関する保険給付等に要する費用の負担についてであります。
 通勤災害に関する保険給付等に要する費用に充てるための保険料は、事業主が負担することとしており、その保険料は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定による労働保険料として徴収することとしております。
 なお、療養給付を受ける労働者は、二百円以内の一定額の一部負担を行なうこととしております。
 第五は、通勤災害に関する保険給付の特例についてであります。
 保険関係が成立していない事業場の労働者であって、この法律の施行後に通勤災害をこうむった者に対しても、保険関係成立後の被災者と同様の保護を行なうため、業務災害に関する保険給付の特例に準じた措置を講ずることとしております。
 以上のほか、この法律案においては、その附則において、関係法律について所要の整理を行なうとともに、必要な経過措置を定めております。
 なお、施行期日につきましては、公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとし、この法律案による改正規定は、施行の日以後に発生した事故について適用することとしております。
 以上が労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#31
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。村山富市君。
  〔村山富市君登壇〕
#32
○村山富市君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 先月二十日、水俣病裁判の判決がありました。公害の原点といわれ、争われていたこの裁判は、住民の全面勝訴となったことは御承知のとおりであります。特に注目に値するのは、その判決文に、「いかなる工場といえども、その生産活動を通じてその環境を汚染、破壊してはならず、いわんや地域住民の生命と健康を侵害し、これを犠牲にすることは許されない」と述べていることであります。これは、戦後一貫をしてとられてきた高度経済成長政策がすべてに優先をして生産活動が推し進められてきた結果であり、人命や生活環境、自然環境の破壊を必然的にもたらしたという今日の日本の姿、政府や企業の姿勢に対する鋭い批判となっているのであります。(拍手)
 企業による人命や生活環境の破壊は、公害問題として広く国民の糾弾を受けているところでありますが、しかし、より直接的には、企業内で働いている労働者に日々のしかかっている問題であります。公害や交通事故、労働災害は、日本の社会の構造そのものが生み出す災害でありますが、労働災害は、そうした社会的災害の原型といえましょう。労働災害は、政府においてもその絶滅をたびたび言明されているのでありますが、重大災害は逆に増加の一途をたどっているのであります。労働災害による死者は、毎年約六千人を数え、昭和四十六年の業務上疾病は二万九千三百五十六件と、昭和四十年に比べ五割以上の増加を見せているのであります。特に、最近における労働災害の特徴は、建設業関係に最も多く、死亡者のうち四〇%を占めていることや、PCB中毒に見られるような化学薬品による疾病、冷房病、神経障害、内分泌障害など新しい職業病が発生していることであります。
 私は、最近問題になっている顕著な労働災害の二つの事例を申し述べ、労働災害に対する総理並びに関係大臣の所見を承りたいと思います。
 その一つは、電電公社における労働災害についてであります。
 電電公社が施行している工事関係の死亡者は、四十六年に六十三名、四十七年は八十名に及ぶといわれております。これらの事故は、電柱からの墜落事故、マンホールのガス爆発事故、作業中の交通事故などであります。
 そして、これらの事故の原因は、工事規模が膨大であるのに対し、技術者や安全要員の配置が十分でなく、事前の安全教育訓練が徹底しないこと、工事請負業界の下部構造が三重にも四重にも拡大をされて、保安上の責任が不明確なまま工事が施行されていること、そのために保安の設備が十分でないことなどによると思われるのであります。末端の請負工事の現場では、出かせぎ労働者が多く、労働基準法も労災法も安全衛生法もその適用効力が及ばず、無法地帯となって、深夜に及ぶ工事が強行されているというのであります。
 国が責任をもってやる工事がこういう現状でよいのかどうか。こうした無責任な事故の多発をそのままにして、新五カ年計画を強行しようとしている電電公社の姿勢は、下請業界のあり方も含めてきびしく追及されなければならないと思います。(拍手)
 まして、田中内閣の一枚看板である日本列島改造が、このような現状を無視して推し進められるとするならば、単に、土地の価格を急騰させるだけではなく、労働災害もまた急増するでありましょう。
 第二の例は、白ろう病についてであります。
 山林労働者が使っておるチェーンソーや刈り払い機、石山などで使用されるさく岩機など、振動の激しい機械を使用することによって起こるのであります。
 わが党の調査によれば、国有林関係で機械を使用しておる労働者一万四千三百九十七名のうち、白ろう罹病者約五千名、病状を訴えている者のうち、そのほとんどが機械要員として使用を続けているのであります。
 白ろう病も早期に治療すればなおるといわれておりますが、病状が悪化をしてまいりますと、ついに廃人同様となるのであります。労働者は、機械を使用すれば病状が悪化することを知りながら、職場をかえられると賃金が下がる、認定患者が出てもあとの補充をしてくれないと訴えているのであります。病状を隠して働いている労働者もいるのであります。
 この白ろう病をつくり出しておる原因は、山林労働者の出来高払い賃金という雇用のあり方、労働環境、低賃金など、労働者を虫けらのごとく扱い、人命を軽視して生産にかり立てている林野行政にあるといわなければなりません。(拍手)
 以上、最近における労働災害、新しい職業病などについて申し述べましたが、これは、新しい技術や資材、機械装置が、労働者の健康や安全にどのような影響をもたらすかを検討することなく採用されているからであります。労働災害が、その原因を個人の不注意などに帰せられるものではなく、労働条件、賃金、職場環境、生活環境、そして職場の安全、衛生、保安施設などに基因するものであり、国民総生産資本主義世界第二位という数字の背景には、人間が物よりも、労働者の生命と健康が商品生産よりも、軽視され、そのために生ずるおびただしい犠牲者のあることを知らなければなりません。
 それらを無視して労働者に合理化を押しつけ、生産第一主義の経済政策を強行してきた政府、企業に、強く反省を求めるものであります。(拍手)
 総理は、一体、このような労働災害発生の傾向、新しい職業病の続出などについてどのような認識と見解を持っておられるのか、所信を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 また、郵政、農林、労働の各大臣に、労働災害防止についての今後の具体的な対策を承りたいと思います。
 次に、労災法の内容についてお尋ねいたします。
 今回提案されましたこの改正案は、通勤途上災害を業務上災害とみなさず、単に保険給付のみを行なうという内容のものであります。したがって、被災労働者に一部負担をさせるだけではなく、労働基準法第十九条の解雇制限も受けられないのであります。通勤途上災害を受けた労働者になぜ解雇制限を適用することができないのか、理解ができないのであります。わが党が長年主張し続けてきた、通勤は事実上事業者の指揮のもとにあり、当然業務上災害とみなすべきであるという認識と著しく異なるものであり、労働者の期待を裏切るものであるといわなければなりません。
 通勤途上災害を業務上災害とみなすことは、すでに国際的常識であります。ILO第四十七回総会における百二十一号条約に関する報告書によると、西ドイツ、フランス、オーストリア、ニュージーランド等五十カ国が、業務上災害とみなしているのであります。なぜ、わが国において業務上災害とみなすことができないのか。かりに労使の意見の対立があったとしても、政府はもっと権威をもってやるべきではないのか、労働大臣の率直な意見を聞かしていただきたいと存じます。(拍手)
 第二に、リハビリテーションの問題であります。
 労働者が、労働災害により通常の業務につくことができない重度の身体障害となった場合、その労働者が働きたいという意欲がある限り、社会復帰のための必要な施設を利用できるようにすることは当然であり、国の責任でもあります。しかし、現状はまことにお粗末の限りであります。労災による重度の身体障害者が社会復帰を願って懸命に努力をしておる、そのほとんどの人々が放置されたままになっているといっても過言ではありません。
 労災法がその第一条に、労働者の福祉に必要な施設をなすことを目的としている法の趣旨からするならば、現在までの政府の態度は、そしてその施策は、きわめて無責任であり、怠慢であったといわなければなりません。労働大臣は、これらの被災者に対してどのような責任を果たしていると考えているのか、その見解と今後の方針を承りたいと存じます。
 第三は、補償の範囲についてであります。
 労働によって身体に障害を受けた労働者が、その障害に対して十分な補償を受けるのは当然でありますが、その労働者の将来はさらに重要であります。労災で負傷したことが職業上のハンディキャップとなり、あるいは雇用の不安定化をもたらしておるこの現状は、何としても改善されなければなりません。
 労働災害は、単に災害補償の給付をするだけではなく、リハビリテーションの整備、充実をはかるとともに、職業復帰をする労働者の雇用の安定、労働条件の向上まで含めた労災補償制度とすることがぜひとも必要であると思いますが、労働大臣の見解を承りたいのであります。
 第四は、労災補償制度の認定の問題についてであります。
 冒頭に申し述べましたように、労働災害はきわめて多様化しているのであります。そして、現在の労働災害の特徴は、内部疾患、神経障害、化学薬品による新たな疾病が増加をしておるのであります。しかし、現在の労災法は外傷を基本に組み立てられているために、業務上災害であるにもかかわらず、内部疾患、神経障害の場合、業務上であるかどうかの認定がたいへん問題となっているのであります。そのために、新しい職業病として認定を受けられるまでに相当の期間を要し、その間被災者は、不安と生活難に苦しみ悩みながら生きているのであります。しかも現状は、業務起因性や業務遂行性から見ても業務上でないと断定できる根拠もないのに、認定からはずされる場合が多いのであります。
 国際的に見ても、イギリス、フランス、西ドイツ等、多くの国々では、業務上災害でないという反証のない限り、すべて業務上災害として救済をしているのであります。疑わしきは適用せずというのではなく、労災法の立法の趣旨からいっても、積極的に救済するという態度こそ必要であると思うのでありますが、労働大臣の見解を承りたいと思います。(拍手)
 第五は、労働災害補償額の問題であります。
 労働災害による補償額はあまりにも低額に過ぎることは、いまさら申し上げるまでもなく、たびたび指摘されているところであります。特に、最近の公害における補償額や、労災が民法で争われた場合の補償額、さらに、現実に労働組合が協約で取りきめている補償額は、すでに一千万円をはるかにこしているのであります。それに比較して労災補償額はあまりにも低く、一家の大黒柱を失い、また、廃人同様になるほどの重大災害にあった本人や遺族の最低生活すら保障するものではありません。たとえば、月給六万円、日給二千円の労働者が労災で死亡した場合、遺族に対する一時金はわずかに千日分であり、その額は二百万円にすぎないのであります。他の災害補償と違い、労災法が無過失賠償責任制をとっているという理由だけでは済まされない問題であります。労災法による補償が、他の災害補償と比較をして著しく低いこの格差を、いかなる方法で公平化する考えであるか、承りたいのであります。(拍手)
 特に今日、国際通貨がやかましく論議されている国々、すなわち、イタリア、フランス、西ドイツ等と労働災害による遺族年金を、ILO百二十一号条約の基準である妻と子供二人、三人家族の場合を比較してみますと、日本の五〇%に対し、フランス六〇%、西ドイツ八〇%、イタリアは九〇%となっているのであります。さらに、その給付の最高限を見ますと、日本の六〇%に対し、フランス八五%、西ドイツ八〇%、イタリアは一〇〇%となっており、ILOの基準をはかるにこしているのであります。
 政府は、ILO百二十一号条約の基準だけを取り上げて、わが国もようやく国際水準に達したと、おくめんもなく宣伝をしておりますが、それがいかにまやかしものであるかは、この数字が明らかにしております。しかも、日本の場合は、約四カ月分にも相当する期末手当などは、給付の基礎額に算定されていないのであって、外国の場合とはたいへん異なるのであります。しかるに、給付する場合は算入しないにもかかわらず、健康保険法の改正案に見られるように、総報酬制と称して、取るほうは期末手当からも保険料を徴収するというこの政府のやり方は、まさに盗人たけだけしいといわなければなりません。(拍手)労働大臣の見解を承りたいと思います。
 最後に、総理にお尋ねをいたします。
 以上、幾つかの問題点を指摘してまいりましたが、ILO条約に示された基準は、到達すべき目標ではなく、乗り越えるための最低の一つの基準にすぎません。わが国の現行労災法は、国際的水準から見てもきわめて立ちおくれた低いものであり、そのワク組み、補償の範囲、認定の問題、補償額など、社会、経済の変動に対応し得ず、はなはだしく現状にそぐわないものとなっているのであります。したがって、わが党は、この際全面的な法の改正を要求するものでありますが、経済大国をもって任ずる総理に、現行労災法の抜本的改革をはかる決意があるかどうか承って、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(田中角榮君) 第一は、重大災害、新しい職業病等についての御質問にお答えをいたします。
 政府としましては、これまでも労働災害の防止につとめてきたところでございますが、最近の技術革新の進展に伴い、新しい災害や職業病の発生も見られ、労働安全衛生対策は、福祉優先の理念からも最も重要な問題であると考えておるのであります。したがいまして、今後とも最重点的施策の一つとして、働く人に安全で快適な職場を確保するための施策を積極的に進めていく所存でございます。
 第二問は、現行の労災保険制度は全面的な改正を行なうべきではないかとの趣旨の御発言でございますが、労災保険制度は、制度発足以来数次の法律改正を行なって、給付及び制度の改善につとめてきたところでございますが、今後とも、経済、社会の伸展に即応して、その改善につとめてまいりたいと考えております。
 以上。(拍手)
  〔国務大臣加藤常太郎君登壇〕
#34
○国務大臣(加藤常太郎君) 村山議員のお尋ねでありますが、労働災害の防止問題でありますが、政府は、ただいま総理からお話があったように、人間尊重の立場から、従来からも、災害防止対策については重点課題として取り上げております。さような意味で、今後、災害の防止、減少、そして職業病の発生防止、これに対しましては積極的に推進して、そして万全の対策を立てていく所存であります。
 次は、白ろう病並びに建設業の下請業その他逓信関係の問題でございますが、関係大臣からお答えがあると思いますけれども、これもやはり労働省の管轄でありますので、白ろう病並びに郵政関係の問題も、関係大臣と連絡をとって対処いたします。
 また、建設業の下請の問題は、いろいろこれは問題があります。やはり災害の防止、労働条件の改善、そして労働基準のこの問題を遵守さす、これが何といっても必要でありますので、今後、下部機構を動員いたしまして、大いに監督、指導を厳重にいたす所存であります。
 次に、本問題の通勤災害の問題であります。いままでの問題はこの問題でありませんが、通勤災害の問題であります。これは、御承知のように政府がつくっております通勤途上災害調査会、この構成員の公労使三者完全一致の結論でありますが、それは通勤災害は、やはり使用者の管理下でない、支配下でない発生でありますので、これを業務災害にみなすことは困難であります。しかし、やはり労災保険の仕組みを活用し、利用して、そして業務災害と準じた方法を労働者に与える、大いに保護を与える、こういうような見地から、労働省におきましては、この調査会の結論をまってこれを法制化し、関係各審議会の了承を得て、今回この国会に改正案を提案いたしたのであります。いろいろな御意見がありましょうが、いままでにないことを政府はやったのでありますから、十分強力なる御審議、御協力をひとつお願いいたす次第であります。
 次に、被災労働者の社会復帰の施設についてお答えいたします。
 労災リハビリテーション作業所等を設けるほか、身体障害者職業訓練校で職業訓練を行なわす等、いろいろな各種施策を講じておりますが、これでもなお私は十分と思っておりません。今後これらの施策に対しましても、いろいろ前向きで対処いたしますことを申し上げます。
 次に、リハビリテーションの拡大の問題についてお答えいたします。
 労災保険は、なおったあともアフターケアの実施、また社会復帰資金の融資、これらの施策を講じておりますが、これでもなおまだ、いまの村山議員の御指摘では、もう一そうやれという御意見でありますので、十分これらの点を熱意をもって対処いたします。
 職業性疾病の業務時外の認定問題についてでありますが、これは申し上げるといろいろおこられますが、労災保険は、業務と疾病との間に相当因果関係がありますことは御承知のとおりであります。この因果関係について補償を行なうこととなっております。職業性疾病のうち認定困難な事案の認定促進については、認定基準の整備、労災医員の委嘱等の措置を講じ、労働者の保護に万全の策を講ずる次第であります。
 次に、労災保険制度の再検討の問題でありますが、先ほど総理からもお答えいたしたとおり、わが国の数次の法律改正によって、労災保険の給付水準はILO百二十一号条約の水準には達しております。しかしながら、給付の改善をはじめ、各方面からいろいろの御意見が出ております。さような意味で、労働省としては、労災保険審議会に災害保険の全般について再検討をお願いいたしております。この結果をまって、労働省としてはこの問題の改正に取り組む所存であります。
 以上、七点についてお答えいたしました。(拍手)
  〔国務大臣久野忠治君登壇〕
#35
○国務大臣(久野忠治君) 毎年度大量の建設工事を実施している電電公社といたしましては、事故防止、安全対策等につきましては、常に慎重な配慮をいたしていると考えますが、御指摘のような事故がありましたことはまことに遺憾に存じますので、今後第五次五カ年計画を実施していくにあたりましても、かかる事故が再発しないよう、公社に安全対策についてより一そうの配慮を望むとともに、私といたしましては、御趣旨に沿って指導監督につとめる所存でございます。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#36
○国務大臣(櫻内義雄君) 国有林野事業に従事する労働者の白ろう病について御指摘がありました。
 チェーンソー等の振動機械の使用者について、白ろう病を消滅するという基本姿勢によりまして、振動機械の操作時間の規制、基本動作の普及と指導、作業仕組みの改善、健康診断の徹底を行なうとともに、機械の改良、代替機の開発をいたし、レーノー現象の防止に極力努力してまいりたいと思います。(拍手)
#37
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#38
○議長(中村梅吉君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        郵 政 大 臣 久野 忠治君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        国 務 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        内閣法制次長  真田 秀夫君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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