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1972/04/05 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第22号
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1972/04/05 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第22号

#1
第071回国会 本会議 第22号
昭和四十八年四月五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  昭和四十八年四月五日
   午後二時開議
 第一 国家公務員等退職手当法の一部を改正す
    る法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 国家公務員等退職手当法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関す
  る法律案(内閣提出)及び地方公営交通事業
  の経営の健全化の促進に関する法律案(山口
  鶴男君外十九名提出)の趣旨説明及び質疑
   午後二時四分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 国家公務員等退職手当法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(中村梅吉君) 日程第一、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#4
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三原朝雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔三原朝雄君登壇〕
#5
○三原朝雄君 ただいま議題となりました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、
 二十年以上勤続者の公務外死亡に係る退職手当の改善をはかること。
 国家公務員等の期間と公庫等の職員期間との通算措置をはかること。
 二十年以上勤続の勧奨退職者等の退職手当については、当分の間、現行の率で計算した額の二割増の額とすること。等を内容とするものでありまして、本年四月一日から施行し、本年一月一日から適用しようとするものであります。
 本案は、二月二十日本委員会に付託、二月二十二日政府より提案理由の説明を聴取し、四月三日質疑を終了いたしましたところ、加藤委員外四名より、「昭和四十八年四月一日」としている施行期日を「公布の日」に改め、また、「昭和四十八年一月一日」としている適用日を「昭和四十七年十二月一日」に改める旨の、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同提案にかかる修正案が提出され、趣旨説明の後、国会法第五十七条の三の規定に基づき、内閣の意見を聴取しましたところ、坪川国務大臣より、政府としてはやむを得ない旨の意見が述べられ、討論もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同提案にかかる附帯決議が全会一致をもって付されました。
 その内容は、次のとおりであります。
  政府は次の事項についてすみやかに善処するよう要望する。
 一 勤続期間が二十年未満で勧しようを受けて退職した者の退職手当の増額については、今後における民間の退職金の動向を配慮しながら、その改善について検討を行なうこと。
 二 国家公務員等の期間と公庫等の職員期間との通算措置に伴い、国と公庫等との間における相互人事交流が適正に行なわれ、いわゆる天下りの弊害が起らないよう配慮すること。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#6
○議長(中村梅吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案(内閣提出)及び地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案(山口鶴男君外十九名提出)の趣旨説明
#8
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案、及び山口鶴男君外十九名提出、地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。自治大臣江崎真澄君。
  〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
#9
○国務大臣(江崎真澄君) 地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 この法律は、地方公営交通事業の経営悪化の現状にかんがみ、新たに経営の再建制度を発足させ、深刻な経営危機をすみやかに打開し、地域における交通需要にこたえることができるよう必要な措置を講じようとするものであります。
 まず、地方公共団体は、交通事業を経営するにあたっては、事業運営の効率化と利用者負担の適正化をはかることにより、その経営の健全性を確保するようにつとめなければならないことといたしまするとともに、国は、地方公共団体の経営する交通事業の経営の健全化が円滑に推進されるよう配慮すべきことを明らかにいたしております。
 次に、地方公共団体の経営する路面交通事業で、収支が均衡せず、昭和四十七年度末において不良債務を有するものにつきましては、昭和四十八年度を初年度として、新たに経営の再建制度を発足させることといたしております。すなわち、再建団体は、経営の状況に応じ、十五年度以内の再建計画を策定し、これに基づいて、計画的に経営基盤の確立をはかるようにいたしまするとともに、昭和四十七年度末における不良債務をたな上げするため、交通事業再建債を起こすことができることといたしております。なお、交通事業再建債につきましては、国がその利子の全部または大部分を補給することといたしまするほか、当該地方公共団体の一般会計がその元本及び国の補給する部分以外の利子を負担することといたしておるものであります。
 さらに、再建団体は、関係行政機関の長等に対し、路線バスの円滑な運行を確保するために必要な措置を講ずるよう申し出ることができることといたしておりまするほか、公営企業金融公庫の交通事業再建債の引き受け等について、所要の規定を設けることといたしております。
 以上が、地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(中村梅吉君) 提出者山口鶴男君。
  〔山口鶴男君登壇〕
#11
○山口鶴男君 ただいま議題となりました、日本社会党提出の地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案について、提案の理由とその要旨を御説明いたします。(拍手)
 「日本は、経済の高度成長に伴う諸問題、爆発的な都市化、公害、車両の混雑、その他多くの問題を経験しており、しかも、こうした問題のきびしさは、アメリカをはじめ、どの国にもまさるとも劣らないものであります。かなり昔に、私が初めて知ったころの日本の美しさはすばらしいものでありました。経済の成長、豊かさの代償とはこのようなものであります」とガルブレイス教授は今日の日本について述べています。
 開発による破壊、公害の激発はさておき、都市交通のかなめ、庶民の足である地方公営交通事業の現状はどうでしょうか。高度経済成長政策による産業と人口の都市集中が深刻化する中で、独立採算制という手かせ、足かせをはめられ、経営基盤の悪化と赤字の累積を続けてきました。
 とりわけ、路面交通事業は、無政府的なモータリゼーションの進展に伴い、住民の利便で、かつ安い公営交通には、ますますほど遠い存在となりつつあります。
 ちなみに、地方公営企業である交通事業の昭和四十七年の累積赤字は一千九百二十九億円に達し、そのうち、一千七百五十九億円が六大都市の交通事業に集中しているという現状は、歴代の自民党政府の失政が、都市の混乱、過度集中に伴う膨大な外部不経済をもたらし、大都市を中心とした公営交通事業に深刻かつ危機的状態を招来したことを示しております。まさに、その責任の重大さを強く指摘しなければなりません。(拍手)
 このため、不良債務は六大都市において一千四十四億円、第一次再建債の未償還元金をも含めると実に一千四百八十一億円、年間の料金収入の一・七六倍に達しているのであり、公営交通事業のみならず、地方財政全体に大きな負担となっているのであります。
 すでに、ヨーロッパの資本主義国の大都市、ロンドン、ローマ、パリなどにおいても、交通事業の一元化、国による不良債務の引き受け、地下鉄に対する大幅な資金援助、大量輸送優先の交通規制等、抜本的な施策を積極的に講じつつある中で、ひとりわが国の都市交通政策の立ちおくれは、まさにはなはだしいといわなければなりません。(拍手)
 田中総理の「日本列島改造論」には「開幕した新幹線時代、拡大する一日行動圏」「縦貫と輪切りの高速道路、幹線自動車道は一万キロに」などと、不動産会社、土建会社、自動車メーカーなどを喜ばせる記事は充満しているものの、都市住民の切実な要求である便利で安い公営交通の実現、危機に直面した都市交通、公営交通事業の解決策については、全く触れていないのであります。
 いまこそ、政府は、独立採算のみを押しつけ、抜本的対策を怠ってきた過去の怠慢を反省し、大胆な政策転換を行なうべきであります。
 公営交通事業の経営基盤を確立するためには、まず第一に、高度経済成長政策を改め、国民福祉優先に軌道修正を行ない、都市交通は行政の一環であるとの認識に立ち、これまでの不良債務を政府の責任において完全解消すべきであります。
 第二には、路面交通や地下鉄事業など、ばく大な建設費については、国が全面的に負担すべきであります。
 第三には、住民の身近な公共輸送の確立のために、大幅な権限委譲と企業環境の整備をはかるべきであります。
 こうした諸施策の推進によって初めて、住民合意による適切な料金が確保されるのであり、料金値上げ、住民負担の増大のみを押しつける自民党政府の政策では、公営交通の基盤強化は絶対にあり得ないのであります。
 したがって、今後の公営交通事業の経営基盤の確立をはかるためには、国は、地方の自主的努力を援助し、国の責任において不良債務のたな上げをまずはかる必要があります。
 以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。
 なお、わが党は、本法案とともに、住民生活に結びついた地方公営企業については、独立採算のワクを撤廃すること、地方公営企業に働く労働者の労働条件確保をはかること等を骨子とした、地方公営企業法の全面的改正案を提案することを付言をいたしておきます。
 次に、この法律案の内容について御説明いたします。
 第一に、国は、地域的な交通の確保に資するため、必要な財政上の措置を講ずるとともに、交通施設の整備、道路使用の適正化など、交通環境の整備をはかることといたしております。
 第二に、交通事業健全化計画の策定手続及び内容については、昭和四十八年三月三十一日現在、不良債務を有する団体が、議会の議決によって十年間の健全化計画を定め、自治大臣に届け出ることとし、健全化計画の内容におきましては、赤字交通事業に従事する職員の給与その他の労働条件の向上について十分配意した上、(一)経営健全化の基本方針、(二)経営健全化に関する措置の大綱、(三)地方債の各年度ごとの元金償還額、利子支払い額及び収支見込みに関する事項、について定めるものといたしております。
 第三に、交通事業健全化債の発行及びその元利補給については、交通事業健全化団体は、不良債務のワク内において健全化債を発行することとし、国は、元金償還額の三分の二を負担するとともに、利子については全額または大部分を補給することといたしております。
 第四に、地方公共団体は、国の元金負担額及び利子補給額を除いた額を一般会計から補助するものといたしております。
 第五に、地方公共団体が自主的に定めた健全化計画に著しく支障のあるときは、自治大臣は助言または指導することができることといたしております。
 第六に、健全化債は、全額、公営企業金融公庫が引き受けることといたしております。
 第七に、旧財政再建団体の財政再建債について所要の措置を講ずるとともに、附則におきまして、現行、料金の認可制を、届け出制とすることといたしております。
 以上が、公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案の要旨であります。
 政府提出の法律案とわが党提出の法律案の相違を一口で表現すれば、政府案は、金は少ししか出さないのに自治体へは強く干渉するのに対し、わが党案は、金は積極的に出すが自治体の自主性を尊重する案であるといえるのであります。(拍手)
 また、政府案の公営交通事業の第二次再建は必ず失敗し、第三次再建は必至となるであろうことが予見されるのに対し、わが党案の場合は、危機に瀕した公営交通事業を再建し、住民の足と利便を確保し得る最良の案というべきであります。(拍手)
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案(内閣提出)及び地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案(山口鶴男君外十九名提出)の趣旨説明に対する質疑
#12
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。山田芳治君。
  〔山田芳治君登壇〕
#13
○山田芳治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のあった、内閣提出、地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案について、その内容のきわめて不十分な点を指摘し、その全面的撤回を求めるとともに、わが党提出の法律案に議員各位が賛同されることを心から期待する旨の理由を申し述べつつ、内閣総理大臣をはじめ関係閣僚に質問をいたしたいと存じます。(拍手)
 そもそも交通機関は、その国の動脈であって、生産、流通及び一般国民に与える影響がすこぶる大きいのみならず、政治、文化、社会等に対する影響が大きいため、その公共性が要求されるとともに、公共統制が必要であり、交通政策が国の政策の基本となっていることは、いまさら申し述べるまでもないと存じます。
 とりわけ、公共輸送機関、特に都市内の公営交通機関は、通勤、通学及び市民の足としてその公共性が高く、抜本的対策が要求されるととろであります。
 昭和三十年の後半から始まるわが国の高度経済成長政策のひずみの中で、いわゆる三Kならぬ五K、すなわち米、健保、国鉄、国有林、公営交通の軒並みの赤字は、まさに歴代の自民党政府の失政を物語っていると存じます。(拍手)
 交通機関の都市内の部門を担当する公営交通は、高度経済成長政策に伴って、人口、産業の大都市集中とモータリゼーションの無計画な増大により、路面交通部門が最も早く、最も強くその影響を受けることとなり、その上に、インフレによる物価騰貴により、その経営の悪化は破局的な状態となったのであります。
 すなわち、交通機関の公共統制の不徹底、交通及び経済政策貧困の中で、言うならば政府の無策、無責任がまさに都市交通の面においてその矛盾を明確に露呈したものといって過言でないと存じます。(拍手)
 戦前の交通政策は、事のよしあしは別として、自動車交通事業法に代表されるように、一路線一営業主義という政策を採用し、その路線を守るという態度で臨んでまいったものの、戦後は、道路運送法に見られるように、競争を前提とした交通政策をとったため、結局、交通政策不在、企業第一主義となったことは、今日の事態を招来した最大の原因でありましょう。
 国鉄の公共企業体へ、地方公営企業法の改正による公営企業の位置づけ等がそれをあらわしていると思います。
 とりわけ、昭和二十七年、地方公営企業法制定による独立採算制の採用は、わが国の公営交通における公共性の面を著しく後退させ、経済性優先の企業主義を前面に押し出したものといえます。
 こうした中で、昭和三十九年から四十一年にかけて、政府は、地方公営企業制度調査会を設置し、その答申を背景に、地方公営企業法の改正と、その中での第一次の財政再建をはかることといたしました。
 その内容は、財政再建を独立採算制の原則の中で実施することとし、公営交通については、(一)路面電車の撤去。(二)ワンマンカーの増強による収支改善。(三)車庫用地等の不要財産の売却。(四)人員削減と給与体系水準の合理化という名の引き下げ。(五)料金改定、乗客増を見込んでの増収をはかる、ということが内容となっております。
 この結果、やむを得ず再建団体となった団体が、昭和四十一年においては、六大都市を含めて十三団体に及びました。再建団体は、昭和四十年度末における不良債務を財政再建債四百四十三億円の発行によってたな上げし、わずかの利子補給を得て財政再建を開始したのであります。
 しかるに、この第一次再建計画の終了する予定の昭和四十八年度を待たずに、再び破局的な経営の悪化を来たし、今回政府から提案されている第二次再建計画を立てざるを得ないような事態に立ち至ったことは、まことに遺憾といわざるを得ないのであります。この原因は、第一次再建計画を企図した昭和四十一年において、わが党は、単に企業内の合理化のみでは必ず今日の事態を惹起することを指摘し、政府案に対し、わが党の改正案を提出したのでありますが、政府案を若干修正するにとどまり、本質的なものまで修正することを許さなかった自民党の責任であるといえるでありましょう。(拍手)
 今回の第二次再建策ともいうべき政府案は、第一次再建策よりは若干の前進は見たものの、わが党の主張する抜本的対策がほとんど考慮せられていないのみならず、再建後の将来に対しても何らの対策が示されない点から見て、まさに当面を糊塗するびほう策といわざるを得ません。この案のまま政府案が決定され、第二次再建が行なわれるとしても、日ならずして第三次再建案を講ぜざるを得なくなることは、火を見るより明らかであります。(拍手)
 ここで私は、若干公営交通の現状を考えてみますと、公営交通事業は、公営企業法の適用団体は六十団体、八十事業あります。四十六年で、バス事業で二十四億一千六百万人、路面電車で四億一千二百万人、地下鉄で十億七千九百万人を輸送しており、これは都市交通における全輸送人員の二〇%に当たります。
 交通機関別にその推移を見ますと、路面電車は、昭和四十年度末には六百六十六キロの営業路線を有しておりましたが、大都市を中心に撤去が進められ、昭和四十六年度末には三分の一を割る二百十八キロとなり、輸送人員も昭和四十年度の二七%に減少いたしました。
 一方、地下鉄は、大都市の基幹交通機関として急速に建設され、昭和四十年度には五十一キロの営業路線が昭和四十六年末には百三十七キロとなり、著しい増加を示し、今後も、横浜、京都、神戸市等で毎年一千億以上の建設投資が計画されております。
 バスは、昭和四十五年度まで輸送人員は増加してきましたが、昭和四十六年度には、車両及び走行距離は増加はしているものの、輸送人員は若干ながら減少している傾向を示しております。
 また、速度については、バス、路面電車ともおおむね二〇ないし三〇%ダウンし、ラッシュ時には時間当たり十一キロメートル前後と相なっております。
 次に、経営状況についてみますと、先ほどの趣旨説明にもありましたように、昭和四十六年度末の単年度損失は四百二十億、不良債務千四百八十一億に達しております。昭和四十七年度末には、おそらく決損金は二千億をはるかにこえると思われるわけであります。
 こうした現状の中で、今回の再建方策は、地下鉄部門を含めず、路面部門のみであり、それも財産の売却費二百七十億を減額して不良債務のたな上げ額を八百七億とし、これに対し一定の利子補給を行なうこととしているのであります。
 一方、再建団体は、再建計画を定め、自治大臣の承認を得なければならないこととなっており、再建計画には、「一 経営の再建の基本方針」「二
 経営の改善及び合理化に関する措置の大綱」をうたっていて、相も変わらず企業内部に責任を負わせる発想と手法をとっていることは、前回の誤りを全く反省していない態度で、許さるべきことではないと存じます。(拍手)
 第一次再建計画の中で、すでになされるべき合理化は徹底的に強行され、すでにその限界に達している状況は、先日、わが党の角屋堅次郎氏を団長として調査団を大阪市に派遣いたしましたが、その調査によれば、市電はすでに全廃をされ、バスはすべてワンマンカーとなり、人員は昭和四十年に一万一千人おったものがすでに三千九百人に削減され、土地の売却費二百八十一億円を出し、諸手当を徹底的に節減をしているにもかかわらず、赤字額は、昭和四十七年末で、累積、地下鉄四百八十五億、バス二百九十四億円となっております。これをもってしても、赤字原因はあくまでも企業外要因によることはあまりにも明白であり、これが除去施策を何ら講じなかった政府は、みずからをきびしく反省し、その反省の上に立って、今回こそは、わが党が主張している抜本的対策と当面の対策を講ずべきであると存じます。(拍手)
 また、再建にあたっては、公営交通に働く労働者諸君の積極的協力を得られるような方途を講じなければ、再建策も達成できないと存ずる次第であります。
 以下、これらの点について質問をいたしたいと存じますので、田中総理をはじめ、関係大臣の所信を承りたいと存じます。
 質問の第一は、基本問題として、まず交通環境の整備についてであります。
 都市交通問題は、単に交通問題としてでなく、科学的、近代的な都市改造政策、国土利用計画から出発すべきであり、現在のような無計画、無政策のまま発達した大都市のあとから道路、地下鉄などの交通政策を考えるのは、むしろ逆であり、初めに都市交通政策の先行投資の上に立って都市形成の創造を行なわなかった政治の貧困が、今日の都市問題解決の困難性を生み出しているものであります。
 そこで、まず総理にお伺いいたしますが、長期的な都市構造の変革と計画的な都市交通政策を樹立し、実行可能な対策を推進することが強く要求されます。特に、わが国では、職住近接の原理に立つ、たとえばロンドンのニュータウンのような有効な大都市交通需要の軽減策をとらず、放任した結果、大都市の集積の利益、すなわち、中枢管理機能はじめ、工業生産機能、流通機能などの備えられた大都市に企業が集中し、職場が中心部に集中し、住宅は都心の地価高を避けて郊外へと移って、職住の遠隔化を進めたのがわが国の都市集中の過程であるが、これを抜本的に是正するための方策をいかに考えておられるかをお伺いいたしたいと存じます。
 ちなみに、三大都市圏内の宅地並み課税実施は、ますます都市周辺に人口が集中し、職住の遠隔化を一段と促進するものではないかと考えますが、これはいかがでありましょうか。(拍手)
 第二に、職住の遠隔化した現実の事態に対処するためには、通勤通学輸送を確保すべきであり、これが最も有効な手段として、(一)地下高速鉄道の建設促進(二)路面交通については大衆大量輸送優先の交通規制を実施することが道路交通対策改善として強く望まれますが、地下鉄については、本年度、地方自治体当局やわが党の主張を無視できず、従来の二分の一を三分の二にアップし、国と地方団体で折半をする補助制度ができました。しかしながら、西欧諸国で見られるように、建設費については国及び地方団体で全額負担すべきものと思われるが、大蔵大臣の見解をお承りいたしたいと存じます。
 また、数百億にのぼる補助金を支出する地下高速鉄道事業費補助を、単に交付規則による予算補助は適当でなく、わが党がかつて立法化を提案した都市鉄道整備促進法のごとき立法措置を行なうとともに、その中で都市交通整備計画を、関係地方公共団体の意見を聞き、政府の責任において決定する内容を含めて制定する意思がないかどうか。また、開発利益の還元を大法人大企業から求めるべきであると思うが、運輸大臣の御所見を伺いたいと存じます。
 次に、路面交通事業部門の大衆大量輸送優先の交通規制を重点にすることについてお尋ねいたしたいと存じます。
 バスの優先専用レーンの拡充、バスターミナルの設置整備、自動車の車種別時間帯別交通規制及び駐車規制を強化するとともに、自家用車の車庫保有の規制を徹底すべきであり、都心乗り入れ自動車に対する賦課金の徴収及び交通規制について、地方公共団体の長に対する権限委譲強化について政府の見解を承りたいと存じますが、この際、イギリスの交通省から出されておる都市交通のいわゆるブキャナン報告及び「都市道路改善の利用のために」等の有益なるレポートが出されており、注目すべき研究であるが、建設大臣及び運輸大臣は、わが国におけるこの種の検討と現状についてお答えをいただきたいと存じます。
 第三に、大都市公共交通の一元的統一についてお尋ねいたします。
 東京の渋谷に駅長が七人いるといわれるほど、経営主体が分かれている現状の中で、大都市の交通については、地方公共団体が行なう街路整備、都市計画事業その他都市行政との関係はきわめて密接であり、バス、電車、地下鉄を含めて合理的な、総合的、一体的な都市交通の確保をするためには、共通運賃制、相互乗り入れ制の促進、運行計画の調整を行なうべきであると思うが、この点について関係大臣の御所見を承りたいと存じます。
 次に、公営交通に対する財政対策についてお尋ねいたします。
 地方公営事業としての交通事業は、その本来の目的である住民福祉増進のためにどうするべきかということを考えますと、私どもは、その最も根本的な対策としては、独立採算制を打破することであると存じます。公共性すなわち住民の足の確保と独立採算制とは、そもそも両立しないものであることは、すでに国鉄経営諮問委員会でも認めているところであります。このことは、過疎バスの運営において最も特徴的にあらわれているところであります。
 地方公営企業法第十七条の二及び同施行令第八条の五は、きわめて狭義の企業外負担を認めるにとどまり、経営に伴う収入をもって企業を維持するという独立採算制の原則が強く求められている。これでは、当面の経営の再建はかりにできたとしても、将来にわたって赤字を出さないという保証は何らないのであります。今回の政府提出の法律案には、若干の改善策として、第八条に、再建団体においては一般会計から補助を認めるのであるから、これを単に路面交通事業の再建団体のみにとどめず、公営交通事業全般に及ぼすとともに、水道、病院等公共性の強い、住民生活に直接つながりのあるものは、独立採算制によらず、国庫補助を含め一般会計からの繰り入れを既往の分に遡及して認め、これに地方財政計画上の財源措置をすべきであると思うが、総理、大蔵大臣、自治大臣の見解を求めます。
 また、企業債の利子の引き下げ、ワクの拡大、返済の長期化、たとえば地下鉄関係はその耐用年数を五十年程度に延伸すること、企業債制度の改善、すなわち公営企業金融公庫法の改正により、企業債の全額引き受けをすべきであると思うが、大蔵、自治両大臣の見解を求めます。
 また、料金については、その決定原則を原価主義でなく、住民の負担能力、その他経済事情、公共の福祉増進のたてまえを適切に配慮し、妥当なものとすべきではないか。
#14
○議長(中村梅吉君) 山田君、山田君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
#15
○山田芳治君(続) 特に、政府のいう受益者負担は、いまや、都市勤労者については、政府の政策不在の受難者であっても受益者ではない点を強調したいと存じます。
 最後に、私が質問をいたしました内容につきましては、多くの財源を必要といたします。したがって、都市に対して国はもっと多くの財源を付与すべきであります。公営交通が、都市に集中する企業法人の中枢管理機構の中で働く勤労者の通勤に必要な大量輸送機関であり、その公共性とともに、企業法人の便益に貢献している限り、その法人企業から、たとえば事務所事業所税として都市に還元すること。さらに、わが国の法人関係税が諸外国に比べ実効税率が低い点から見て、法人税並びに地方税にある法人関係税の税率を欧米先進諸国並みにすることにより財源を生み出し、その一部を公営交通事業のために充てるべきであると考えるが、大企業のためでなく、国民のために政治を行なっていることを言明されている田中総理の、この問題に対する決断と実行はどう発揮されるかをお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(田中角榮君) 山田芳治君の御質問にお答えをいたします。
 まず第一は、都市交通体系と職住の遠隔化に対する対策についてでございますが、都市交通体系は、国土利用計画や都市計画を踏まえて、都市活動によって発生する大量で多様な交通需要に対して、合理的かつ有機的に対応し得ることが必要であります。
 また、職住の遠隔化の現象に対応して、次のような措置を講ずる必要があると考えます。
 まず第一に、現在の大都市の持つ求心型の構造を多核分散型に改めるため、副都心、新都心を整備し、都心の業務機能の分散をはからなければならないと思います。第二は、都心部においては高層住宅を積極的に建設をして、職住の近接をはかる必要があります。第三は、都心、郊外を結ぶ効率的な交通ネットワークを整備し、都市交通の機能を高め、快適なかつ効率的な交通の確保をはかってまいります。
 このためには、都市の再開発を思い切って行なわなければならないわけであります。再開発の実施によって、十分な交通空間や緑地を持ち、大震火災にも耐え得る、近代的な、環境のよい都市の建設が初めて可能になると思うのであります。
 第二は、三大都市圏における宅地並み課税に関しての御質問がございましたから、お答えをいたします。
 今回の市街化区域内における農地にかかる課税措置は、土地問題の重要性にかんがみ、特に大都市周辺においては宅地と農地の税負担の不均衡が著しいこと及び現に不足しておる宅地の供給の促進をはかる必要があることをも考慮して措置することといたしたものであります。これによってむしろ職住の近接化が促進するものと考えておるのであります。
 第三は、独立採算性の問題でございますが、この問題に対しては、大蔵大臣から詳しく申し上げますが、地方公共団体の交通、水道、病院等の公営企業というものは、やはり利用者がサービス享受の程度に応じて対価を支払い、負担をするという利用者負担の原則によることが、事業経営の効率化に資するものと考えております。また、公平の原則からいたしましても、そうでなければならないと思います。しかし、どうしても地方公営企業の中で応益負担だけで片づかないものがありますれば、それらの分に対しては、区分を明確にしながら、国及び地方公共団体が一般会計から補てんをしてまいるということは、従来もとっておることでございますし、この改正案でもその面を厚くしておるわけでございます。しかし、基本的なたてまえとしては、利用者負担の原則に基づく独立採算性を維持すべきものである、こう考えます。
 それから、必要な財源を確保するために、法人企業から税を徴収してこれをまかなうべしというようなお話でございますが、その経緯と将来の見通しに対して申し上げます。
 都市税源の充実のため、大都市等に所在する事務所事業所等に対して特別な税負担を求めることにつきましては、事務所事業所税または都市整備税の構想を検討してまいりました。しかし、地方中核都市構想やいわゆる列島改造税制との関連もありまして、昭和四十八年度におきましては実現を見るに至らなかったわけでございます。しかしながら、都市の財政需要はますます増加する傾向にあり、都市税源充実の必要性も一そう強まってきておるところでありますので、今後とも、その実現をはかるよう検討を続けてまいりたいと考えます。
 また、法人税負担のあり方につきましては、来年四月末に法人税の付加税率、すなわち一・七五%の期限が到来をいたしますので、その機会にこの付加税率を基本税率に織り込むとともに、さらに何がしかの引き上げを行なうことについて前向きに検討してまいりたいと考えます。
 以上。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#17
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対する御質問の第一点は、地下鉄の建設費は全額、国及び地方公共団体が負担すべきではないかということでございます。
 政府は、四十八年度予算におきまして、地下鉄建設費補助金の補助率を従来の五〇%から六六%に拡大するとともに、従来の八年間分割交付から六年間分割交付に短縮するなど、地下鉄に対する助成については思い切った拡充をはかっているところであります。これ以上建設費を全面的に国及び地方の財政が負担をするということはいかがかと考える次第でございます。
 第二は、交通事業再建団体以外の交通、水道、病院等に対しても、独立採算制によらず、一般会計からの借り入れと国の助成措置を講ずべきではないか。
 このお尋ねは、ただいま総理からもお話がございましたとおり、地方公共団体が交通、水道等の公営企業の経営を通じて住民にサービスを提供する場合に、これに必要な経費については、基本的なたてまえとしては、その利用者がサービスの享受の程度に応じて対価を支払うという独立採算によるべきであると考えております。もちろん、地方公営企業の経費の中には、その性質上、企業経営に伴う収入をもってまかなうごとが適当でない経費もありまするし、また、まかなうことが困難な経費もございますので、それらの経費につきましては、地方公共団体の一般会計からの繰り出し金等による企業の外部からの助成が行なわれております。また、国も地下鉄建設費の補助、四十八年度で申しますと百二十二億七千万円を行なっておりまして、経営の健全化に資することといたしております。今後とも独立採算制のたてまえを維持しながら、地方公営企業法の許容する範囲内で、必要に応じて地方公共団体の一般会計等から適正な負担、補助を求め、経営の改善、合理化を進めるべきものであると考えております。
 第三は、公営事業債の資金ワクの拡大や条件の改善等でございます。
 地方公共団体の企業債につきましては、事業の公共性や起債が民間企業の資本金にも相当するものであるということにかんがみまして、資金ワクに不足の生じないように各団体の起債需要を十分把握した上で地方債計画を作成いたしておるわけでございます。
 また、起債の条件につきましては、下水道、地下鉄の金利、償還年限につきましては、運用上可能な範囲で最優遇の取り扱いをいたしております。
 なお、公営公庫については、政府保証債の発行額を大幅に増額する等によりまして、貸し付けワクは四十七年度に比べますと三五%増しの二千九億円を予定いたしまして、できるだけ公庫資金の拡充につとめております。
 第四は、自主再建に対して財政措置を講ずるかどうかということでございますが、本件については、自治大臣の承認を得た交通事業再建計画に基づきまして、交通事業の再建を推進する地方公共企業体に対しまして、再建債の利子補給、バス、車両の購入費の補助を行なうことにいたしておる次第でございます。
 最後に、再建債については、利子だけでなく、元金も国から補助すべきではないかというお尋ねでございましたが、今回の再建対策にあたりましては、路面交通事業、バス、市電等でありますが、の累積不良債務を交通事業再建債の発行によってたな上げをいたします。そして国がその利子の全部または大半を補給するとともに、地方公共団体の一般会計がその元本と利子の一部を補給することとし、あわせて再建債の元利の全額を企業外の財源によって償還するという、これは実は画期的な措置を講ずることとしておるわけでございまして、元本の補給までは、国としての財政援助の限界を越えるものと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
#18
○国務大臣(江崎真澄君) お答えを申し上げます。
 独立採算制の考え方につきましては、総理及び大蔵大臣から詳しく御説明がありましたので、重複を避けます。
 そこで、企業債について、資金ワクを拡大し、利率の引き下げ、それから償還年限を地下鉄債の場合は五十年に延長をしろ、政府資金以外は公営企業金融公庫で全部引き受けろ、こういう御主張を交えての質問でございまするが、交通事業等公営事業の建設資金につきましては、四十八年度におきましてこの企業債は一兆一千八百十四億円、これは前年度に比べますると五〇%増加をさせておるわけであります。それから企業債については二千九億円というわけでございまして、地下鉄事業に対する、特に公営企業金融公庫資金の貸し付け条件などはずいぶん前進をさせ、またそのあり方も緩和をいたして、地方公共団体の期待にこたえておるところであります。
 次に、再建債のうち、三分の二ぐらいは国庫補助にすべきだということでありまするが、これは地方公共団体の一般会計の負担ということにしておりまするが、この負担が過重になりませんように、再建債はすべて長期債ということで処理をいたしております。
 なお、利子の補給につきましては、現行の利子補給を、全額または全く全額に近い金額、大幅に拡充いたして対処しておるような次第でございます。
 それから料金は、利用者の負担能力を考慮する必要はもとよりございます。しかし、やはり適正な原価を基礎にして決定されなければなりません。これは独立採算制にも関係することでありまするが、いたずらに一般会計から資金を投入いたしますると、まだ社会福祉政策を充実したり社会資本を充実したりしなければならない、その一般の公共事業が停滞してしまうということにもなるわけでありまして、適正な料金の決定ということは、これは企業である以上必要条件であるというふうに私どもは考えております。
 その場合、この料金の決定は、地方の議会で詳細に検討をされて決定を見るわけであります。だから、何も一々政府の許可制にしなくてもいいではないか、これは多くの意見が今日までも展開されておりまするので、自治省におきましても、地方自治体の議決を経て料金がきまるという点は尊重をいたしまして、関係各省庁と十分連絡をとって善処をしてまいりたいと考えております。
 続いて、都市交通の一元化についてどう考えるか。これは大都市におきましては多数の経営主体がありまして、一元化を検討することはまさに必要な点であるというふうに私どもも認識をいたしております。しかしながら、都市交通の経営主体の一元化につきましては、いろいろこれは複雑多岐にわたりまして、議論も多岐にわたっております。現在の時点では、非常に多くの問題をかかえておりますが、当面、経営主体間の、たとえば路線であるとか運賃であるとか、そういう調整等につきましては、一本化の機能が事実上果たされるように、十分行政指導をしてまいりたい、このように考えております。
 以上は自治大臣としてでありまするが、続いて、国家公安委員会の委員長としてお答えを申し上げます。
 それは、仰せの都市交通に関する――急いで申し述べられましたが、御意見に関する部分については同感の面もたくさんありまするので、これは傾聴いたしました。
 そこで、路線バス等の優先または専用通行帯の設定、都心部における駐車規制の強化を行なっておりまするほか、警察では、路線バスの増車、バスターミナルの整備等についても、関係行政機関の協力を求めて、善処に出ておるわけであります。また、車庫の保有につきましても、これはせっかく道路を広げながらそこに駐車される、これが交通渋滞のもとにもなるし、また交通災害のもとにもなるということにかんがみまして、今度は政令を改正いたしまして、車庫の設置義務の地域を拡大し、すべての市それから町、それから大都市周辺の、これはわずかでありますが、村にまで適用する、こういうことにいたしております。これが実効を担保するためには、やはり保管場所法の改正を考えていかなければなりません。それから、賦課金を課すことによる交通混雑の解消、こういう面においても今後関係行政機関とも協議をいたしまして、十分ひとつ配慮をいたしてまいりたいと思います。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣新谷寅三郎君登壇〕
#19
○国務大臣(新谷寅三郎君) お尋ねの諸点の中で、運輸省に関係ある部分についてお答え申し上げます。
 現在政府の行なっております地下高速鉄道建設費の補助は、地下鉄路線網の整備を促進するために、新線建設工事費の一定の割合を補助するものでございまして、従来から予算補助の形で補助を行なっておりまして、国及び地方公共団体による補助制度は確立せられておりまして、これによって輸送需要に対応して都市交通に多大の効果をあげているものと考えておるのでございます。したがいまして、御提案がございましたけれども、この際、地下鉄に関しまして特別に新たな立法措置をする考えは持っておりません。
 開発利益についてのお話がございましたが、一般的に公共交通機関は周辺の土地の所有者とか事業所等に土地価格の騰貴、事業所の便益の増加などの開発利益を発注していることは事実でございます。したがって、この開発利益は交通事業者に還元して利用者の負担の軽減をはかることも考えるべき問題でありましょうが、開発利益の範囲の認定でありますとか徴収方法等、その実施面にはきわめてむずかしい問題が多いのでありまして、今後慎重に検討することにいたしたいと思います。
 それから、都市バスについてのお尋ねでございますが、円滑な都市交通を実現するためには国鉄、私鉄、地下鉄などの高速鉄道と並んで、道路交通にあっては、大量公共輸送機関でありまするバス輸送を整備する必要があります。しかし、これは道路の混雑などによりまして、バスの機能は現在非常に大幅に低下をしておるのが実情でございます。このために、バスの機能を回復するために、昨年来バス専用レーンとか優先レーンの設定をしたり、路線網の再編成をいたしましたり、都市用の車両の新しい開発などを内容とする大都市バス輸送改善対策を策定いたしまして、その実現をはかっておるところでございます。運輸省の所管の都市用のモデルバスにつきましては、最近試作車が完成いたしまして、四十八年度には東京、大阪で実験運行を行なう予定でございまして、今後も引き続きまして、この方針に基づきまして、都市ごとにその実情に適合した具体的な計画を定めまして、おおむね五カ年計画をもちまして、その実現をはかっていくことにいたしておる次第でございます。
 それから、イギリスの交通省のいわゆるブキャナン・レポートは都市の自動車交通と住宅の生活環境との調和を求めて独特の見解を示したものでございまして、これは示唆に富むものと考えます。今日の都市交通において、この中に示されておりまする歩行者優先の見地に立ちまして、生活環境をおかさない範囲で自動車交通が許容されるという考え方は、わが国でも考えるべき点であると思います。
 しかしながら、このレポートでは、都市交通における鉄道の役割りにつきましては非常に評価が低いのでありまして、わが国のような人口稠密な地域におきましては、鉄道の役割りをもっと重視する必要があると考えるのでございます。
 都市政策と交通機関との調整の問題でございますが、地方公共団体の行なっております街路整備とか都市計画事業、その他都市の政策と緊密な関係のありますことは言うまでもございません。この点につきましては、従来からたとえば大都市交通圏にかかる都市高速鉄道網の整備については、都市交通審議会等の場におきまして、関係地方公共団体の代表の参加を得まして、十分検討の上でこの整備計画の策定を行なっております。さらに具体的な施設の整備の段階におきましては、たとえば地下鉄の整備にあたって、都市計画法に基づく都市計画決定を経て行なうこと等によりまして、十分に調整をしてきたつもりでございます。今後ともこのような地方公共団体の連携を強化いたしまして、御指摘の点につきましては、十分配慮をしてまいりたいと思います。なお、共通運賃制の採用でありますとか、相互乗り入れの促進とか、運行計画の調整につきましては、従来から地下鉄と国鉄、私鉄の相互乗り入れの実施でありますとか、ハスの共通回数券でありますとか、定期券の発行等必要に応じてこれは行なっておるのでありまして、今後とも充実した交通サービスの実現に努力をしたいと考えておる次第でございます。
 以上、簡単でございますが、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣金丸信君登壇〕
#20
○国務大臣(金丸信君) 御指摘のありましたイギリス交通省から発表の二つのレポートは、都市環境と自動車交通の調和をはかり、また都市内における道路の有効利用をはかるためのすぐれた提案であると私たちは思っておるわけでございまして、この提案に基づきますとともに、これを生かして、建設省はこれを現在取り入れてやっておるわけですが、今後とも十分に検討して全きを期してまいりたい、こう考えております。(拍手)
#21
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#22
○議長(中村梅吉君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時七分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        建 設 大 臣 金丸  信君
        自 治 大 臣 江崎 真澄君
        国 務 大 臣 坪川 信三君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        運輸大臣官房審
        議官      原田昇左右君
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ソース: 国立国会図書館
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