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1972/04/12 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第25号
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1972/04/12 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第25号

#1
第071回国会 本会議 第25号
昭和四十八年四月十二日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十一号
  昭和四十八年四月十二日
   午後二時開議
 一 学校教育の水準の維持向上のための義務教
   育諸学校の教育職員の人材確保に関する特
   別措置法案(内閣提出)の趣旨説明
 二 都市計画法及び建築基準法の一部を改正す
   る法律案(内閣提出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案
  (議院運営委員長提出)
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を
  改正する法律案(議院運営委員長提出)
 学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸
  学校の教育職員の人材確保に関する特別措置
  法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後二時五分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
#3
○中山正暉君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、議院運営委員長提出、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案、及び国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案の両案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(中村梅吉君) 中山正暉君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#6
○議長(中村梅吉君) 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事中川一郎君。
  〔中川一郎君登壇〕
#7
○中川一郎君 ただいま議題となりました両案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 第一は、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案でありますが、これは、互助年金のうち、基礎歳費月額が二十四万円または二十五万円であるものを、本年五月分以降、二十六万円に引き上げ、この費用をまかなうため、納付金の率を百分の六・八から百分の七に改めようとするものであります。
 第二は、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは、国会議員の秘書に対し、本年四月以降、新たに勤続特別手当として、在職十年以上の者には本俸の一割、十五年以上の者には一割五分、二十年以上の者には二割の額を支給することとし、在職期間の計算に関する規定を設け、その他所要の整理を行なおうとするものであります。
 以上両案は、議院運営委員会において起草、提出したものであります。
 何とぞ御賛同くださるようお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(中村梅吉君) これより採決に入ります。
 まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#9
○議長(中村梅吉君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
 次に、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明
#11
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣奥野誠亮君。
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#12
○国務大臣(奥野誠亮君) 学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 国づくりの基礎は人づくりにあると考えておりますが、なかんずく学校教育は、次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであり、国家社会の発展にきわめて重要な役割りを果たしているのであります。教育職員にすぐれた人材を得て、安んじてその情熱を教育に傾けていただくことができるようにすることは、学校教育に対する国民の切実な期待にこたえるとともに、その質的向上をはかるために取り組むべき教育行政の喫緊の課題であると存じます。
 このたび、義務教育諸学校の教育職員の給与改善について、所要の予算を計上し、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置を講ずることといたしましたのは、このような趣旨に基づくものであります。
 次に、法律案の概要について申し上げます。
 第一は、この法律は、学校教育が次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであることにかんがみ、義務教育諸学校の教育職員の給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的といたしております。
 第二は、義務教育諸学校の教育職員の給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならないこととし、この趣旨に沿って、人事院は、義務教育諸学校の教育職員の給与について、国会及び内閣に対し必要な勧告を行なわなければならないことといたしております。
 第三は、国は、義務教育諸学校の教育職員の給与の優遇措置について、計画的にその実現につとめるものといたしております。
 第四は、人事院は、義務教育諸学校の教育職員の給与上の優遇措置の計画的実現のための給与の改善が、おそくとも昭和四十九年一月一日から行なわれるよう、国会及び内閣に対し必要な勧告をしなければならないことといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇――――
 学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#13
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。松永光君。
  〔松永光君登壇〕
#14
○松永光君 私は、自由民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありました法律案に関し、総理並びに文部大臣に対して質問をいたします。(拍手)
 私どもが今日あるのはだれのおかげであろうかと考えてみるに、それは私どもの住む日本の国を築いてきた先達のとうとい努力のたまものでありますが、より直接的には、私どもに生を授け、その成長をはぐくんでくれた親のおかげであり、特に心身ともに未発達の段階から、私どもを限りない情熱と意欲をもって、きびしく、あるときはあたたかく教育してくれた多くの恩師のたまものであります。(拍手)
 教育が人間をつくり、そして国をつくるのでありまして、わが国の将来は、次代をになう青少年の教育のいかんにかかっておると言っても過言ではありません。(拍手)
 教育は人に始まり人に終わるといわれておりますように、教育の成果があがるかいなかは、教師の資質のいかんにかかっておるのであります。したがって、わが国の教育界に優秀な人材を確保し得るかいなかは、わが国の将来を左右する重大な問題であります。(拍手)
 自由民主党は、わが国の将来をおもんばかり、教育界にすぐれた人材を確保するために、真剣な努力を続けてまいりました。すなわち、教職を魅力あるものにするために、教職員の給与を、専門職としての地位とその職責にふさわしいように改善することを主張し、その実現に努力をしてきたのであります。(拍手)
 最近においては、第六十六回国会において、野党の諸君は反対いたしましたけれども、教育職員の給与等に関する特別措置法を成立させて、四十七年一月から、教育職員に俸給の四%の教職調整額を支給するようにしたのも、教員の待遇改善についてのわが自民党の熱意のあらわれであります。(拍手)
 今回、政府が教員給与の大幅な改善措置を計画的に行なうべく本法律案を提案されたことは、まことに時宜を得たものであって、わが国の教育史上、特筆すべきものになると信ずるのであります。(拍手)
 四十八年度予算に教員給与引き上げの経費として百三十六億が計上され、教員給与の優遇措置を計画的に実施し、教育界に人材を確保するために、この法律案が国会に提案されるということが教育界に伝わるや、現場の教員の多くは非常な感激をし、この法律案の成立を見守っているのであります。(拍手)
 すでに、本年三月採用の教員については、例年よりも志願者が大幅に増加するという傾向が見られておるのであります。すなわち、例年に比べて、埼玉県で千六百名志願者が増加したのをはじめとして、東京、神奈川、千葉の各都県でも、それぞれ千数百名教員志願者が増加したのでありますが、これは教員の給与改善等の政策効果のあらわれであると思われるのであります。
 しかるに、一部の教員団体等の諸君は、この法律案に反対を唱え、ストライキをもってこの法律案の成立を阻止しようとする動きも見られるのでありますが、これほど国民の理解に苦しむことはありません。万一、この法律案が不成立となり、せっかくの給与改善の施策が実行できないということになれば、現場の多くの教員は非常に失望するでありましょう。そのことの教育に及ぼす影響は甚大なものがあります。このことを考えると、この法律案はすみやかに成立をさせ、多くの教員の期待にこたえなければならないと思うのであります。(拍手)
 教員給与の計画的引き上げについては、多額の財源を必要といたします。四十九年一月から一〇%引き上げるだけで、国の負担百三十六億、平年度では六百四十三億円、これとほぼ同額の地方負担があるわけであります。
 しかし、教育水準の維持向上のために金を惜しんではなりません。総理の決断と実行によって、教員給与の計画的引き上げと、教育界に人材を確保するという施策は、ぜひとも完遂されなければならないと思うのでありますが、総理から、この法律案を提案された真意と、この施策の遂行についての決意のほどを承りたいと思うのであります。(拍手)
 次にお尋ねしたいことは、この法律案といわゆる五段階給与制度との関係についてであります。
 この法律案に反対を唱える者は、法律案には何も書いてないのに、いわゆる五段階給与制度を導入するものであるとして反対しておるようであります。
 中教審は、教育に果たす教員の役割りの重要性を強調し、校長、教諭、助教諭の等級のほかに、新たに教頭を加え、また、特別に研修を積んで専門性を高めてきた教員に対して、それなりの優遇措置をすべきことを答申しております。この中教審の答申は、学校の教育活動を円滑に実施する上から当然ともいえるものであり、研修を積んだすぐれた教師には、それなりの待遇をするのも当然であって、今後十分検討に値する答申であると思うのであります。
 しかしながら、この法律案には、これらの問題については何も触れていないのであって、この法律案はもっぱら教員の給与水準の改善を目ざすものであると思うのであります。
 しかるに、いわゆる五段階給与制度を導入するものであるとの理由で、この法律案に反対する者がおるのでありますが、これは反対せんがために、かってに理屈をこじつけておるものといわざるを得ないのでありますが、(拍手)文部大臣の所見を伺いたいのであります。
 教員の給与改善は、教育界全般について考えるべきものであると考えるのであります。しかるに、この法律案は義務教育諸学校の教員についてのみその対象としております。そこで、高等学校等の教員は、給与改善の対象から漏れるのではないかと心配しておる向きもあるようでありますので、この際、その懸念を解消するため、文部大臣より、高等学校、幼稚園等の教員の給与改善についての考え方を明確にしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、この法律案は、附則第二項に、教員給与の優遇措置については、「計画的にその実現に努める」と規定しております。したがって、本年度予算に計上された四十九年一月からの一〇%相当の優遇措置は、給与の計画的改善の初年度分であって、四十九年度あるいは五十年度において、さらに進んだ改善措置がなされるものと思うのであります。これが教員給与優遇措置の計画的実現であると思いますが、この点についての総理の所信をお伺いしたいのであります。特に総理に具体的なお考えがありますならば承りたいと思うのであります。(拍手)
 教員の職務は、通常考えられるより以上に高度の資質と不断の努力を要する仕事であります。教育者としての基本的な資質の上に、教育の理念及び人間の成長と発達についての深い理解、教科の内容に関する専門的学識、そして、この学識をどの児童生徒に対しても教育効果として結実させる実践的、積極的な指導能力など、常に研修につとめ、情熱をもって当たらなければならない困難な仕事であります。
 しかるに、現在の教員の給与は、教職の重要性と困難性に比較して、あまりにも低いということは、だれしも認めているところであります。
 初任給は、教職員の給与が一般行政職員の給与よりも一〇%高いけれども、この差額は年数ごとに縮小し、十五年目で逆転して、その後は一般行政職が高くなり、年数ごとにその差額が増大して、勤続三十五年の小中学校の教諭は一般行政職の係長程度、勤続三十五年の校長の最高給でも一般行政職の課長補佐程度にすぎません。
 このように低い教員の給与を大幅に引き上げて、教職の重要性と困難性にふさわしい給与水準を確保することは、きわめて当を得たことであり、この法律案が成立すれば、このような教員給与の不合理な点がすみやかに是正されると思われるのであります。(拍手)
 われわれがみずからの職業を選ぶ場合、その職業の収入の多いか少ないかが職業選択の大きな要件の一つでありますが、それ以外に大切な要件があります。それは、その職業に対する社会的評価が高いか低いかの問題であります。かりに、収入の多い職業であっても、社会的評価や社会的貢献度の低いといわれておる職業には、人材は集まらないのであります。
 したがって、教育界に人材を確保しようとするならば、給与水準の引き上げと同時に、教員の社会的評価を高めるための措置が必要であります。また、教員自身も児童生徒、父兄、一般社会人の信頼を集めるよう努力をしなければならないと思うのであります。(拍手)
 元来、わが国においては、教育は崇高なものとされ、教育者はとうとい仕事を担当する者として尊敬され、高い社会的評価がなされてきたのであります。教育者も、この信頼と尊敬にこたえて、人を教える者としての使命感に燃えて、教育に当たってきたのであります。
 かくして、学制発布以来数十年間、わが国の教育界にはすぐれた人材が集まり、その人たちの教育努力の積み重ねによって、わが国の教育水準は飛躍的に向上してきたのであります。
 しかしながら、終戦を境として、わが国の教育界は大きく変わりました。すなわち、教育界の一部に、教師は労働者であるとし、階級闘争至上主義の立場から、違法な教育闘争、政治闘争が見られるようになったのであります。
 たとえば、一部の教職員団体は、昭和四十一年から昨年までの七年間に、実に八回に及ぶ違法なストライキを繰り返し、スト参加教員延べ百三十四万七千九百名にも達しているのであります。しかも、地方公務員法第三十七条の規定に違反することを十分認識し、法律違反による処分がなされることを予想して、処分を受けた者の減給分を補うべく、前もって資金を用意した上でストライキを繰り返し行なうにおいては、人を教える者としての倫理感、はたしてありやいなや、疑わざるを得ないのであります。(拍手)
 もちろん、多くの教職員は、教育者としての使命感と責任感をもって子供の教育に専念しておることを私は承知しております。
 しかしながら、一部において、子供に正しい行ないをするよう教える立場にありながら、みずから平然として法律を破り、子供を犠牲にして意に介せず、ストライキをして何ら深い反省のない教員のいることは、まことに残念であります。(拍手)一部にそのような教師がいることが、教員全体の社会的評価を著しく低下させておることはいなめないところであります。世間の一部には、このような違法なストライキやデモを繰り返し、教育者にあるまじき行為をする教員の給与を、何ゆえに引き上げなければならないかという素朴な疑問を持つ父兄もいるのであります。
 一部の教職員団体は、今月末に、スト権奪還、筑波大学法案やこの法律案の粉砕を叫んで、またまた違法なストライキをやるということでありますが、もしストライキがなされるならば、新学期早々でもあり、希望に胸をふくらませて小学校、中学校に新入学した子供たちに、どれほど大きな精神的打撃を与えるか、はかり知れないものがあると思うのであります。(拍手)
 国民の理解を求めつつ、教員給与の大幅引き上げの施策が講じられようとしておるやさきに、何ゆえに、父兄や国民の期待と信頼を裏切る違法なストライキをするのでありましょうか。まことに遺憾千万であります。(拍手)
 しかも、一部の政党の代表者が、ある教職員団体の臨時大会において、その教職員団体の行なうストライキを激励するあいさつをしたということを聞いておりますが、もし事実であるとするならば、国会において審議決定すべき法律案を、国会外でストライキをもって阻止せんとすることを激励または扇動するものと言うべく、まことに遺憾なことであると思うのであります。(拍手、発言する者あり)このような一部の教職員団体の違法なストライキはやめさせるべきであり、父兄や一般国民にも呼びかけて、その協力を得てやめさせるべきであると思いますが、文部大臣の所信を伺いたいと思うのであります。
 教員の社会的評価を高めるために、教員みずからも自分の職務の重要性に思いをいたし、違法なストライキや、父兄や国民の信頼を裏切るような行為は、絶対にしてはならないことはもちろん、進んで、みずからの社会的評価を高めるような積極的な努力をし、社会から寄せられておる大きな期待と信頼にこたえていかなければならないと思うのであります。
 また、一般社会においても、平素から教師を尊敬する風習を養い、国の施策の上でも、教員の社会的評価を高める努力をしていかなければならないと思うのでありますが、これらの点についての総理の所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(田中角榮君) 松永光君に答弁をいたします。
 まず第一は、この法律案を提出した真意及び施策遂行の決意についてでございますが、人間形成の基本が小中学校で定まることを思えば、義務教育を充実し整備することは、何よりも大切な問題であります。今回、これらの教育職員に対して、給与の増額予算を計上し、法律案を提出をいたしましたのは、子供を導く先生によき人材を得て、先生がその情熱を安んじて教育に傾けられるような条件を、一日も早くつくりたいと願ったからであります。(拍手)
 この法律案が国会において賛同を得、成立した上は、この法律案の趣旨を体して、必要な施策の遂行に万全を期する所存であります。(拍手)
 第二点は、四十九年度、五十年度において、さらに給与改善措置がなされるものと思うがどうかという御発言でございますが、教員の処遇の改善につきましては、今後とも、その計画的な実現に努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
 第三点は、教員は、違法なストライキや国民の信頼を裏切るような行動を慎み、政府も、社会的評価を高めるために努力をせよとの趣旨の発言に対してでございますが、教職員は、次代の国民を育成するという、きわめて公共性の高い職務に従事をしておるものであります。また、教職員は、知育はもとよりのこと、徳育に任ずるものでありまして、みずからの行動をもって範となすべき聖職にあります。(拍手)したがって、法律で禁ぜられた違法なストライキを繰り返し、みずからその社会的評価を低めるようなことは、きわめて遺憾であり、切に自戒を求めたいのであります。(拍手)
 政府としては、教職を魅力あるものとし、すぐれた人材を教育界に誘致するための施策の一つとして、今回、教員の待遇を改善しようとするものであります。これからも、教職員の身分、待遇の改善はもとより、各般にわたり、努力を続けてまいりたいと考えます。
 以上。(拍手)
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#16
○国務大臣(奥野誠亮君) 今回の措置は、法律案に規定されておりますとおり、すぐれた人材を確保し、学校教育の水準の維持向上に資するため、教育職員の待遇改善をはかることが目的でありまして、この法律案と、いわゆる五段階給与制度とは、何らの関係はございません。
 給与は、職務と責任に応ずるものでなければなりませんけれども、中教審答申の五段階給与制度につきましては、多くの意見もあることでございますので、それらの意見を聞きながら、今後の問題にすべきものと考えておるわけでございます。
 次に、次代をになう青少年の人間形成の上では、義務教育ばかりでなく、高等学校教育、幼稚園教育等ももちろん重要なことでございます。特に今回、一般の公務員に比較して、教員が優遇されなければならないという措置を講じようとするわけでございますので、特に、一般の公務員との差異をどこに求めるか。そうしますと、学校教員広くということになりますと問題が生じますので、義務教育教員、こううたわせていただいたわけでございます。当然、この義務教育教員と幼稚園、高等学校その他の学校教育に従事する教員との間には、深い関連がございますので、人事院は、当然、その関連において優遇の勧告をしていただけるものだ、かように確信いたしておるわけでございます。
 そういうような期待を込めまして、第一条の目的の中には、単に義務教育に限りませず、「学校教育の水準の維持向上に資することを目的とする。」こううたわせていただいているわけでございます。
 さらに、ストライキに関連する問題でございますが、公務員としての教職員は、全体の奉仕者として、次代の国民を育成するという、きわめて公共性の高い職務に従事しているものでございます。憲法が、公務員は全体の奉仕者だと、うたっているわけでございます。これを受けまして、公務員に関する法律は、公務員は、職務の遂行にあたっては、全力をあげてこれに専念しなければならない、こううたっているわけでございます。このような考え方を受けまして、使用者としての住民に対し、同盟罷業、怠業その他の争議行為をしてはならない、こう規定いたしておるのでございます。
 にもかかわりませず、そのような、教職員が法律で禁じられた違法なストライキを繰り返しまして、みずから社会的評価を低めてまいりましたことは、きわめて遺憾なことでございます。
 今回、政府は、教員の給与の改善にあたりまして、積極的な姿勢をとってまいっておるところでございますだけに、多くの国民の理解が特に必要でございます。そういう際でございますだけに、従来も、教職員がこのような違法な行為を行なって、国民の教育に寄せる信頼を裏切ることのないように、その服務の取り扱いを厳正に行なうよう、各県教育委員会を指導しているところでございますが、今後とも、その指導を特に徹底してまいる必要を感じておるところでございます。組合のすべてがこのような行動に出ているわけではございませんけれども、一部の組合が、組合幹部のための組合に終わっている点が、たいへん残念なところでございます。(拍手)組合員一人一人の理解を、私たちは信じてまいりたいのでございます。その自覚を求めてまいることによりまして、教職員も、自己の職責の重要性に思いをいたし、みずからの手でみずからの社会的評価を低めるような行為を行なうことのないように、われわれは信じてまいりたいものでございます。(拍手)
#17
○議長(中村梅吉君) 馬場昇君。
  〔馬場昇君登壇〕
#18
○馬場昇君 私は、日本社会党を代表して、提案されましたいわゆる教職員の人材確保法に対して、絶対に認めるわけにはいかないという立場から、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 今日、とどまるところを知らない諸物価の高騰の中で、国民の生活は塗炭の苦しみに追い込まれています。総理には、庶民の悲痛な苦しみの声が聞こえますか、怒りの姿が見えますか。
 教職員の生活も、その例外ではありません。教職員の生活実態調査によれば、本人だけの賃金で生活している者は、全体の四四%にすぎません。過半数以上の五六%が、共かせぎかその他の収入を加えて生活しているのであります。苦しい生活の中からも、教職員なるがゆえに、書籍代、研修費等を月々一万円以上も支出しているのであります。
 教職員は、さらに、差別を受けています。民間賃金に比べて、大学卒で二十代で一万円、三十代で二、三万円、五十代になると六、七万円の格差があります。また、一般行政職に比べましても、三十代の後半から低くなり、四十代の後半からは一万円以上の格差が生じています。ちなみに、日本の工業生産力に次ぐ西ドイツの教員賃金に比べましても、わが国で二十五、六年の教職経験を持つ教員賃金が、西ドイツの教員の初任給程度でしかないのであります。
 このような状況の中で、教職員は、毎年毎年、賃金引き上げを強く要求してきましたが、政府は、頑強に応じなかったのであります。(拍手)政府が今回給与の特別措置としてこの法律案を提案したということは、政府が、過去の教職員賃金を押えてきた誤りを反省をして、教職員の低賃金の実態を認め、その改善の必要性を認めたということか、総理の所見をお伺いしたいと思います。(拍手)
 この法律案は、教員を表面上優遇するように見えます。だから、通俗的な意見として、あるいは意図的なPRとして、教職員みずからの賃金が上がるというのに、なぜ教職員や国民が反対するのだろうかというような意見があります。
  〔発言する者あり〕
#19
○議長(中村梅吉君) 静粛に願います。
#20
○馬場昇君(続) 以下、私は、教職員と国民が、その良心と国家百年の大計にかけて反対せざるを得ない意見を述べながら、質問をします。(拍手)
 反対せざるを得ないのは、この法律案は、教員優遇、人材確保、教育水準向上と、甘いことばずくめの表現を用いていますが、そのきれいなことばは粉飾であります。自民党政府の真の意図を糊塗する以外の何ものでもないのであります。(拍手)この法律案の真のねらいは、教員の待遇改善を見せかけての教員統制であり、自民党政府の反動文教政策の新たな出発の引き金であるからであります。(拍手)この法律案の実施は、教員の真の待遇改善にはならず、教育を破壊するものであり、民主主義の危機を感ずるからであります。
 もし、そうでないというならば、中教審答申とのかかわりにおいて、次の質問に明快に答えていただきたい。
 昭和四十六年六月の中教審答申は、第三の教育改革と鳴りもの入りで宣伝されたにもかかわらず、国民各界各層の論議の中で、経済同友会と日経連の積極的な支持以外は、すべての団体、国民から批判を浴び、総スカンを食いました。(拍手)それは、答申が、国家の教育権に基づき、差別、選別により資本に奉仕する人間づくりを行ない、さらに国家主義の戦前教育への復帰を目ざしており、そして、それに積極的に協力する教員づくり、管理体制の確立をうたっているからであります。
 政府は、さきに、中教審路線に基づく筑波大学法案を提案しました。また、教頭法制化法案もあえて提案しようとしています。この人材確保法案もまた中教審答申路線を根拠に提案されていると思うが、いかがですか。
 さらに具体的に、法律案の附則二項の「優遇措置について、計画的にその実現につとめる」とあるが、これは教員の差別と分断をはかる、いわゆる校長、教頭、上級教諭、一般教諭、助教諭という五段階賃金を意図しておると思うがどうか、総理並びに文部大臣のすなおな答弁を求めます。(拍手)
 さらに、自民党が発表している、「身分待遇の根本的改革の施策」の中で、次のようにいっています。「教職が魅力がなくなったのは、戦前、教員には、年功加俸や、恩給の倍額加算のほかに、兵役免除まで与えられるという、恩典があった。戦後それがなくなったから、人材を吸引することが困難になった。」といっています。つまり、恩典を与え、物欲と名誉欲に訴えて、人間を金と地位でつろうというのですか。教員を戦前の聖職教師に引き戻そうとするのですか。もしそうだとするならば、何という時代錯誤の低俗な発想でしょうか。(拍手)拝金思想であり、教育観と価値の尺度が狂っているといわざるを得ません。
 真に、教育界に有能な人材を確保し、進歩する今日の課題にこたえ、教育水準を高めるためには、大幅賃上げは絶対に必要でありますが、教育の本質の上に立って対処していかなければなりません。
 教員は、教職についたときから国民全体に対して責任を負います。だから、自主性、自律性、創造性が強く要求され、高度の教養、技術が必要であります。したがって、高度の技術の習得と教養を高めるためには、教師個人の自主的、創造的な研修が必要であり、さらにそれを集団的に高め合う研修体制の保障が必要であります。上命下服の職務、職階の縦の統制ではなくて、教師の相互信頼の上に立った横の連帯が必要であるという、教育の特殊性の尊重が絶対に必要であります。(拍手)
 また、勤務条件の改善も緊急な課題であります。定数不足一つを例にあげても、定数不足で過重労働をしいられ、年休も年平均六日弱しか消化されず、調査によれば、疲労度も一般に比べてかなり高くなっており、全教職員の七六%は身体の異常を訴えています。女子教職員の異常出産も、一般主婦の九%に比べて三五・五%と、非常に高くなっています。このような労働条件を改善し、健康で明るい職場にすることが必要であります。
 この法律案がねらう五段階賃金では、特別の地位や手当に魅力を感じ、校長や教頭や上級教員を目ざしひしめく教師づくりにしかならないのであります。真の人材、すなわち、子供や父母とともに、受験地獄解消、公害や交通戦争、退廃文化やテスト体制に挑戦して、教育基本法にうたわれているような教育を実現して、一人一人の子供が持っている無限の可能性を開花させるような自主的、創造的な教師は、この法律のねらいからは生まれないのであります。(拍手)真の人材確保、教育水準向上はいかにあるべきかを含めて、総理、文部大臣の見解を承りたいと思います。
 次に、教職員賃金引き上げの原則とその方向についてであります。
 今日までの政府の教職員賃金政策は間違っておりました。
 それは、第一に、教職員からのスト権の剥奪であり、文部省の教職員団体との団体交渉拒否であります。
 第二は、人事院が、実質的には政府の賃金政策執行機関としての性格しかなかったということであります。
 第三は、教職員団体の賃金要求及び団体行動に対する違法な抑圧と処分、弾圧であります。
 政府は、この誤りを現時点で十分反省すべきであります。
 提案されているこの法律案は、予算の執行を人事院に白紙でまかせることもできず、人事院に勧告を義務づけるという、きわめて異例の法律案であります。言うならば、公務員給与についてはすべて人事院の勧告待ちという、従来の政府のいわゆる人事院勧告体制の変更であります。人勧体制の変更であるのかないのか、他の公務員との関係、及び地方公務員たる教職員に対する人事委員会勧告との関係について、自治大臣、公務員給与担当大臣の明確な所見を聞きたいと思います。(拍手)
 この際、人事院を廃止して、賃金決定を原則に戻すべきであります。すなわち、賃金は、労使対等の原則で、交渉によってきめる。そのために、憲法二十八条の労働基本権を、最高裁判決でも認められておるように、名実ともに教職員を含むすべての公務員に認めるべきであります。(拍手)
 また、ILO、ユネスコが一九六七年に採択した教員の地位に関する勧告、これは各国政府間会議で採択され、わが国の文部省も出席をして賛成した、いわば国際的憲章ともいうべきのもであります。同勧告八十二項に「教員の賃金や労働条件は、教員団体と教員の雇用主との間の交渉過程を通じて決定されなければならない」とあるのを、政府は守らなければなりません。(拍手)労働基本権の確認、そしてILO、ユネスコ勧告の順守は、国内の今日的課題であり、国際的義務であり、信義であります。
 総理、文部大臣、総理府総務長官の前向きの答弁を求めます。
 次に、さきに述べました自民党の抜本的教育改革案の中に、「裁判官を目標に、教員の待遇を実質的かつ大幅に改善する」といっています。
 裁判官と教員の員数を比較してみても、予算上、教員給与を裁判官並みにするということは不可能といわざるを得ません。だから、この法律案の最も反動的なねらいとしては、給与改善を見せかけに、それを足場にして、労働基本権を認めた最高裁判決に挑戦し、教員の労働基本権について現行より一段と規制を強め、身分を裁判官を目標とするいわゆる教員身分法を考えているのではないか。(拍手)聖職教師づくりを考えているのではないかということであります。それは歴史に逆行する考えであります。総理、総理府総務長官、文部大臣の見解をはっきり承りたいと思います。
 次に総理、この法律案には、あなたをはじめ、大蔵、自治、労働及び公務員給与担当大臣は、当初は反対かまたは消極的であったと新聞は報じています。しかるに、この法律案が理論的に教育的に議論されず、もっぱら自民党の党利党略による政治問題として処理され、提案されているということは、実に重大な問題であります。(拍手)
 しかも文部省は、当初は幼稚園から大学までの教員を三カ年計画で五〇%アップするという構想でしたが、予算査定で小中だけ一〇%アップと、何の根拠もない妥協となっています。
 それに加えて、奥野文部大臣は、新聞紙上で、「四十八年度分は高校まで計上していないが、愛知大蔵大臣、倉石政調会長との協議で、予備費から支出すると念書を取りかわしている。しかも人事院が高校を除外して勧告するとは考えられない」と言明しています。
 それならば、なぜ念書の趣旨を盛り込んだ法律案を出さないのか。なぜ本日の趣旨説明の中で念書のことを言わないのか。予算委員会で説明をされたのですか、どうですか。大蔵大臣、あなたは念書を書いておるのですか。まさに国会の審議権の権威にかかわる重大な問題であります。(拍手)大蔵大臣、文部大臣の責任ある回答を求めます。
 私は最後に、総理に対し教育行政のあり方について質問します。
 教育は人類の持続と社会進歩にかかわる人間社会の基本的な機能であり、憲法にいう国民の生存権の文化的側面であります。人間尊重の教育観、これが敗戦という犠牲の上に打ち立てられた戦後教育の原点であります。この教育観に立って、教育行政も専制主義から民主主義に変わりました。国は、教育のあらゆる面にわたって専断的な権限を持っているのではありません。まして、教育は、政府のものでも自民党のものでもありません。教育は国民のものであります。(拍手)
 この立場から、教育行政は、どの行政に比較しても、最く強く、絶対に国民の合意のもとに行なわれなければなりません。まして、今日、自民党及びその政府は、国民の半数の支持も受けていないという厳粛な事実もあります。
 戦後、文教関係法律案は、教育委員の公選制廃止の反動的法律を筆頭に、国会に警察官を導入したり、強行採決という事実が多くあり、国民にとってまことに遺憾なことでありました。また、先日の筑波大学法案提案のときの奥野文部大臣の挑戦的な、官僚独善的な、きばでもって教育行政をする姿勢などは、提案者は国民に対して謙虚であれ、という人間性を含めて、私は、教育のかおりのしない、教育行政とは似ても似つかぬ態度であると思います。
#21
○議長(中村梅吉君) 馬場君、申し合わせの時間が過ぎましたから なるべく簡単に願います。
#22
○馬場昇君(続) 総理、教育の問題です。児童、生徒のつぶらな澄み切ったひとみが見ております。かおり高い教育的雰囲気の中で、時間はかかっても、それは百年の日本に生きるのですから、合意を得るまで話し合うという教育行政をやるべきだと私は思います。
 総理の誠実な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(田中角榮君) 馬場昇君にお答えをいたします。
 第一は、今回の措置は、教職員給与を押えてきたことに対する反省から出たものかという御指摘でございますが、中小学校の先生の給与が、その社会的な職責に比べて必ずしも十分でないという声も耳にしておるのであります。今回のような措置をとったのは、義務教育の整備充実が何よりも大切であり、ここに人材を得たいと考えたからなのであります。(拍手)
 第二は、この法律案は中教審答申に基づいて立案をしたのかとの趣旨の御発言でございますが、中央教育審議会の答申は、今後の学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について適切な意見を述べており、これを尊重して、国民の合意を得たものから順次実現をしてまいりたいと考えておるのであります。しかし、このたびの教員の給与改善の措置は、子供を導く先生によき人材を得て、先生がその情熱を安んじて教育に傾けられるような条件をつくりたいという、かねてからの考えを実現に移したものであります。
 第三は、教員に優秀な人材を確保するためには、教育の特殊性を勘案し、魅力ある職場をつくることが基本的に必要であるとの趣旨の御発言でございます。
 職業の選択は、単に給与面からだけではなく、社会的評価、個人の適性、職業観等種々の要因に基づいてなされるものであります。教育職員が安んじてその情熱を教育に傾け得るように、その給与を改善することは、人材確保の最も重要な要件の一つであるものと考えておるのであります。(拍手)
 このほかにも、たとえば教育職員の海外派遣とか、資質及び社会的地位の向上のための諸施策についても、逐次考慮をしてまいりたいと考えます。
 しかし、反面、教育職員自身も、職責の重要さに思いをいたし、いやしくも違法なストなどの行動に走って、みずからの社会的評価を低めるようなことがないように、自重自戒をすることを切に期待したいのであります。(拍手)
 最後の問題は、教育行政は国民の合意を得て、話し合いの上に立って実施すべきであると思うが、いかん。
 そのとおりでございます。教育は、政府のものでも、また教育者自体のものでもありません。国民すべてのものである。全く同感であります。(拍手)教育行政は、国家の将来にかかわる重要な行政であり、当然国民の合意を得て行なわるべきものであります。そのためには、国民各層各界の意見を謙虚に聞き、施策に反映してまいらなければならないと考えますが、今日の議会制民主主義のもとにおきましては、最終的に国民の意思は、議会で制定をされた法律及びそれに基づく政令規則等の規定によってあらわされるものでありまして、一部の団体の意見等によって左右さるべきものでないことは、言うをまちません。(拍手)
 また、私が、報道によると本法案に対して消極的であったのではないかとの私見が述べられましたが、私は本措置に対し最も強い推進論者でありましたので、念のために申し添えておきます。(拍手)
  〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#24
○国務大臣(奥野誠亮君) 今回の法律案が、中教審の答申に基づくものではないかというお話がございました。
 中教審の答申にも明瞭にそのことが書かれているわけでございます。ぜひ、中教審の答申の中でも、よいものはよい、悪いものは悪いというおとなの態度をとっていただけますように、お願いを申し上げたいのでございます。(拍手)
 総理のかねてからの強いお考えでございますが、同時に、自民党は昨年の選挙にあたりまして、このことを公約として掲げてまいったのでございます。
 すなわち、教員の資質向上と処遇改善につきまして、こう述べております。「教員の専門職としての地位を確立するため、年次計画を立て、教員の処遇を大幅に改善する」、この公約を実現しようとしているわけでございますので、正しい御理解を賜わりますようにお願いを申し上げます。(拍手)
 また、金でつろうとしているのじゃないかというお話がございましたが、そのような考え方は毛頭持っていないわけでございます。
 学校管理の問題は、今回の措置とは別に考えなければならない問題でございますが、学校が教育機関として、校長の指揮のもとに教職員全員の協力によって、秩序をもって運営されなければならないことは、言うまでもございません。
 しかしながら、一方において、教職の経験を積んで、高い能力を身につけ、責任ある地位にある教育職員が、それにふさわしい待遇を与えられている形になっていくことは当然であると考えるのでございまして、そのことがまた、御指摘のような、健康で明るい職場がつくられていくもとである、かように考えておるものでございます。
 次に、教員の給与の決定のあり方について御意見がございました。
 もともと教員の身分、地位は、国によって相違しており、ILO、ユネスコの教員の地位に関する勧告は、各加盟国の国情に応じた相違を認め、各国の実情や法制の特殊性に適合した方法で考えていくべきものであり、各加盟国を拘束するものではないとされておるわけでございます。
 教育職員を含め、公務員は全体の奉仕者であります。公務員の使用者は国民であります。その給与は、国民から税負担の形で支払われるものでありますので、給与決定に際しては、広く国民の納得が得られることが必要でございます。
 国家公務員につきましては、国民の意思を代表する国会の定める法律に基づいて、地方公務員については、地方公共団体の議会の定める条例に基づいて定めるべきがたてまえでございます。その具体的内容は、当局と職員団体との直接交渉によらず、中立的第三者機関の勧告に待つ方法が最も適当であるという趣旨に基づいて現行制度が設けられているのでございます。
 特に、教育の基本は教師でございます。教育諸条件の整備に……
  〔発言する者多し〕
#25
○議長(中村梅吉君) 静粛に願います。
#26
○国務大臣(奥野誠亮君)(続) 文部省が当たっておるわけでございますから、教員または教員の組合と文部省とが、真に助言と協力の形に向かって進んでいくことが大切だと思います。
 いまお話しになりました、教員の地位に関する勧告の第七十二項には、「教員及び教員団体は、当局と十分に協力するようつとめるものとする」、とこう書かれているわけでございます。(拍手)ただいまこの法案に対しまして、教職員や国民は反対しているとおっしゃいましたが、反対をあおろうとしておられるのじゃないか、こう考えるわけでございます。(拍手)ぜひ、この教員の地位に関する勧告の精神に基づきまして、十分協力し合えるような体制に持っていけるように御協力賜わるように、お願いを申し上げておきたいと思います。(拍手)
 身分法の問題がございました。
 いわゆる教員身分法といわれるものの内容が不明確でございますが、現在そのような法律の制定については、何ら考えていないわけでございます。
 教育職員は、全体の奉仕者として、次代の国民を育成するという、きわめて公共性の高い職務に従事しているのでありますから、自己の職務の重要さに思いをいたし、国民の信頼を請い得て、みずからの社会的地位を高めるよう、不断の努力をすべきことは当然であると考えております。
 次に、念書の問題がございました。
 念書の内容はこういうことでございます。「教員の処遇の抜本的改善については、昭和四十八年度を初年度とし、年次計画を立てこれを実施する。」ということでございまして、この内容はそのとおり法律案に書き込ませていただいております。お話しになりましたような内容の念書はございません。
 次に、現憲法下におきまして、国は、主権者である国民の信託を受けて国政を行なっているものであり、国とその構成員である国民とを対立するものとしてとらえ、教育権が国にあるとか国民にあるとかを論ずることは、必ずしも当を得ているとは考えません。
 行政のうち、特に教育行政は、国家の将来にかかわる重要な行政であり、当然、国民の合意を得て行なわれるべきものであると考えます。そのためには、国民各層各位の意見を謙虚に聞き、施策に反映していけるものは取り入れていくべきものと考えます。
 最終的には、今日の議会制民主主義のもとにおきましては、国民の意思は、その代表者を送っている国会で制定された法律によってあらわせるものでございます。したがいまして、文部省といたしましても、法律及びこれに基づく法令の規定の範囲内で教育行政を行なっているところであり、今後とも、その姿勢をとってまいる考えでございます。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#27
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 本年度予算におきましては、特に重要であります義務教育教員の給与の引き上げにつきまして、特に積極的に財源措置を講じた次第でございます。
 予算編成の過程におきまして、ただいま文部大臣から言及されましたように、教員の処遇改善については、四十八年度から計画的にこれを実施する旨の覚え書きを取りかわしました上、四十八年度予算に、義務教育教員の給与引き上げについて財源措置を計上した、こういう経緯はございますが、それ以外の念書というようなものはございません。(拍手)
  〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
#28
○国務大臣(江崎真澄君) このたびの特別措置法案は、政策として教職員の重要性を強調しながら、手続としては人事院は勧告をしなければならぬということにしておりまするが、具体的な待遇改善は、人事院の勧告をまって措置しようというのでありまするから、手続上、何ら落ち度のないものであるというふうに認められます。
 それから、第二点でありまするが、地方公共団体の職員の待遇改善は、人事院の勧告を受けまして国家公務員の待遇が具体的に改善される、そのあと、これに準じて措置をするように、こういう指導をいたしておりまするので、地方公共団体におきましても、何ら迷いはないものであります。(拍手)
  〔国務大臣坪川信三君登壇〕
#29
○国務大臣(坪川信三君) 馬場君の三点にわたる御質疑に対しましてお答えいたします。
 今回の法案は、先ほど総理も重ねて御答弁に相なりましたごとく、教育の重要性にかんがみまして、義務教育職員の給与に関しまして、特別の措置を講じたことによりまして、大切な教育の場に、よりよきすぐれた人材を確保いたしまして、教育の水準を向上するということに資するための措置と私は解釈いたしておるような次第でありますので、これを受けられました人事院におきましては、公正な立場でこれに対するところの答申が行なわれる、これを受けました総理府といたしましては、これに対しまして適切な改善措置を、その答申の趣旨を、方針をそんたくいたしまして、改善措置を具体化するということでございますので、従来どおりの給与体系に何ら変更を来たすものでないということを御理解願いたいと思うのであります。
 第二番目の問題につきましては、御承知のとおり、公務員並びに教員を含めましての労働関係の基本に関する事項ということは、国民も非常な深い関心を持っております。公務員こそ、国家、国民のための公務員であるということでございます。
 よって、この問題は、国民的な重要な課題として、公正な第三者機関でありますところの公制審の使用者、労働者側並びに公益委員の方々が、本年に入りまして非常に意欲的に、積極的にこれに取り組んでおられますので、その答申を踏まえまして、私たちはその答申をそんたくいたしまして、この重要なる労働関係の基本に対する措置を講じたいと考えておるのであります。
 第三番目の、これによっての教員の身分の規制を強化するなんという考えは、みじんもございませんことを表明申し上げて、御理解を願いたいと思います。(拍手)
#30
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#31
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。建設大臣金丸信君。
  〔国務大臣金丸信君登壇〕
#32
○国務大臣(金丸信君) 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、わが国においては、全国的な乱開発が進行しており、特に都市地域につきましては、地方の中小都市の地域も含め、生活環境が一そう悪化し、計画的な市街地の開発が著しく阻害されております。このような現状にかんがみ、開発行為の適正化をはかり、良好な都市環境を確保するとともに、大規模ないわゆる面開発事業の施行の円滑化をはかることが強く要請されるに至っております。
 このため、開発許可の対象区域の拡大、許可基準の整備等現行の開発許可制度を拡充強化し、また、新たに市街地開発事業等予定区域を創設するとともに、工業専用地域における建蔽率の強化等の措置を講ずることが必要であると考えた次第であります。
 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
 まず、都市計画法の改正についてであります。
 第一に、開発許可制度を拡充強化することといたしました。
 すなわち、市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区域についても、開発許可制度を適用することといたしております。
 次いで、コンクリートプラント、ゴルフコース等の一定の工作物の建設を目的とする開発行為についても、開発許可の対象に加えることといたしております。
 さらに、開発許可の基準として、樹木の保存、表土の保全等の措置が講ぜられていること及び騒音等による環境の悪化を防止するための緑地帯等が配置されていることを加えることといたしております。
 第二に、市街地開発事業等予定区域の制度を創設することといたしました。
 すなわち、新住宅市街地開発事業等の開発事業については、現行の都市計画の決定に先立って、区域、施行予定者等を内容とする予定区域に関する都市計画を定めることができることといたしました。また、予定区域に関する都市計画を定めた場合には、その後三年以内に、施行区域、区域内の公共施設の配置、宅地の利用計画等を内容とする都市計画の決定を、さらに、この都市計画の決定後二年以内に都市計画事業の認可等の申請をしなければならないことといたしております。
 そして、その間は、建築物の建築その他の行為を都道府県知事の許可にかからしめるとともに、予定区域内の土地所有者には買い取り請求権を付与する等の措置を講ずることといたしております。
 次に、建築基準法の改正についてであります。
 第一に、工業専用地域における建蔽率につきましては、従来一律に十分の六であったのを十分の三、十分の四、十分の五、十分の六の四つに分けることといたしました。
 第二に、製造施設等の一定の工作物について用途地域制度を適用することとし、このため建築主事の確認を要することといたしました。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしました。
 以上が、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#33
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対し質疑の通告があります。これを許します。清水徳松君。
  〔清水徳松君登壇〕
#34
○清水徳松君 ただいま御提案になりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対しまして、私は、日本社会党を代表いたしまして、総理並びに関係閣僚に対しまして、若干の御質問を申し上げたいと存じます。(拍手)
 まず、質問の第一点は、都市計画の推進に重大なる支障を与えておる最近の異常な地価の値上がりについてであります。
 昨年六月、田中総理は「日本列島改造論」なる著書を公にいたしました。日本列島改造を国の政策の軸とすることを公約され、その公約をもって自民党の総選挙に臨まれました。そして総裁となり、総理となられたのであります。そのことがいわゆる列島改造ブームなる開発ブームに拍車をかけたことは、まぎれもない事実でございます。すなわち、不動産、金融業、建設業を中心とする大企業は、日本列島改造利益の先取りに狂奔をいたしまして、争って土地の買い占めに走ったのであります。
 その結果は、御承知のごとく、全国津々浦々に及ぶ土地の買い占めと地方における地価の異常なる暴騰でございます。全国至るところの無秩序、無計画なる乱開発と自然の破壊、そしてがけくずれ、地すべり等の災害の発生でございます。
 建設省がこの四月一日に発表した地価公示法に基づくあの公示価格におきましても、対前年比三〇・九%という土地の異常なる値上がりをはっきり示しております。有効なる土地利用計画とそれに基づく土地利用の具体的な規制措置、あるいは地価抑制のための実効のある政策手段を用意することなしに「日本列島改造論」を発表し、そして、今日のこのおそるべき土地の値上がりを招いたことに対し、田中総理は、一体いかなる反省と責任をお持ちになっておるか、御説明を願いたいと思います。(拍手)
 もちろん、土地の買い占めと乱開発は、「日本列島改造論」を発表する以前より進行しておったとしても、これを一そう刺激したことの責任は、まことに重大であります。総理の明確な御答弁を求めるものでございます。(拍手)
 質問の第二点は、田中総理の土地問題に対する基本的な考え方、あるいは御認識についてであります。
 総理は、その著書「日本列島改造論」において、「土地は、生産できず移動もできない。供給の限られた土地は、国民全体の富と福祉の増大に役立つよう有効に利用しなければならない。そのためには、土地利用について私権よりも公共の福祉を優先させることが大切である。」と述べられ、公共優先を強調されております。ところが、その一方、「個人の土地所有権が個人の財産として尊重されるのは当然だ」とも申し述べられておるわけであります。
 そこで、総理にお尋ねいたしますが、現在の時点で、土地について公共優先の原則をどこまでお貫きになる決意であるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、現行憲法下で、土地所有権に対する公共の福祉からする制限をどこまで可能であるとお考えになっているか、明確なる御答弁をお願いをいたします。
 「土地は商品ではない」と瀬戸山前建設大臣が発言をし、土地の公共性をうたわれたのは数年前であります。以来、歴代の建設大臣は、公共優先の原則に立ち土地対策を進める旨約束しており、現在の建設大臣金丸さんも、委員会の席上において、土地問題を解決することは建設省の政治問題の大半を解決することになるとまで思い詰めておる、こういうふうに言っておられますが、しかし、実際は、全くその成果はあがっておりません。むしろ、土地税制に見られるがごとく、かえって政府が地価の高騰をあおる結果となっているではありませんか。諸物価が急激に値上がりし、インフレが進行している今日、土地は最も安全かつ有利な財産として、その財産価値のみが強調され、また、企業にとっても最も有利な商品として、投機の対象とされ、その中心とすらなっているではありませんか。
 総理が、土地に対する公共優先の原則について、単なることばではなく、実効のある態度で示されようとするならば、大企業による土地買い占めの排除、あるいは大企業によって買い占められた土地を公共の福祉のために有効に吐き出させる具体策を用意し、それを直ちに実行に移すべきであると考えますが、総理の明快なる御所見をお伺いをいたします。(拍手)
 質問の第三点は、都市計画法に基づく市街化区域、市街化調整区域の区分け、いわゆる線引きに対する総理の御認識についてであります。
 御承知のように、昭和四十四年六月、新都市計画法が施行されて以来、今日まで、都市計画区域の決定、市街化区域と市街化調整区域との区分け、いわゆる線引き、この作業が進められ、現在その作業がほとんど完了するところまで至っております。
 ところが、新聞紙上に報ずるところによれば、田中総理は去る一月二十六日、土地対策要綱を閣議で決定するに際し、この市街化区域、市街化調整区域の線引きの再検討を命じ、市街化調整区域内での宅地化を促進させることを考えるべきではないかと述べたといわれておりますが、その事実がはたしておありになるのかどうか。もし事実であるとするならば、建設大臣はそれを受けとめまして、いかなる御検討を加えられておるのか、それをお知らせ願いたいと思います。(拍手)
 このことは、地価の安い市街化調整区域で、企業による大規模な土地の買い占めが進行してしまった今日、宅地の供給を増大させるという名目のもとに、結果的には、大企業による土地投機の現状を追認し、土地を買い占めた不動産業者、金融業者等に著しい利益をもたらすことが明白でございます。
 政府がとるべき措置としては、新たなる混乱を引き起こす線引きの再検討や、あるいは市街化調整区域内での大規模開発の許可ではなくて、市街化区域内の宅地化の促進であり、そうしてまた、土地の有効利用の促進のための具体的な実行であろうと思います。せっかく関係者の努力によって実施された線引きについて、この際厳格にこれを守り、そうして、調整区域内での開発はこれを認めないという、明確な御答弁を求めるものでございます。(拍手)
 質問の第四点は、今回の都市計画法の改正によって、不十分ながら、都市計画区域に編入されておる地域については開発の規制が実施されることになりますが、都市計画区域外のいわゆる無指定地域における無秩序な開発に対して、いかなる措置をお考えになっているかについてであります。
 去る一月二十六日に決定された土地対策要綱では、「昭和五十年の三月をめどに全国的な総合開発計画を策定し、また全国土にわたる土地利用基本計画を策定して、この計画に基づき、開発行為については適正な規制を行なう」と述べているが、列島改造ブームに乗って全国各地で乱開発と自然破壊が急激に進行し、各種の災害が引き起こされている今日、昭和五十年三月までの間、今回の都市計画法改正による開発規制の適用の外に置かれ、しかもまた、森林法、農地法等による規制の網にもかからないところのいわゆる無指定地域の原野等における乱開発に対して、政府はいかなる措置を用意されておるのか、建設大臣より明快なる御説明をお願いするものでございます。(拍手)
 質問の第五点は、現在、レジャーブームの波に乗って、全国至るところで無秩序に行なわれておるゴルフ場の造成に対する規制の措置についてであります。
 建設省の調査でも、現在開発されているゴルフ場の数は六百にものぼります。そうしてまた、計画中あるいは造成中のものが七百件もあるというではありませんか。ゴルフが大衆化した現在、ゴルフ場の造成を今後一切認めませんといったようなことは申しませんけれども、この狭い国土を有効に利用し、公共の福祉の向上をはかるという観点に立てば、ゴルフ場の開設を無制限に認めるということは、現在、多数の国民が宅地難あるいは住宅難に苦しんでいる今日、いかがなものでございましょうか、はなはだ疑問であるといわざるを得ません。(拍手)
 大規模な土地の開発を必要とするゴルフ場の新設については、自然環境の保全や土地利用の優先順位の面からきびしい規制を行なうべきであると考えますが、ゴルフ場の新設について特別の措置を講じられる御用意があるのかないのか、金丸さん、ひとつ御答弁を願いたいと思います。(拍手)
 今回の改正によって、都市計画区域内におけるゴルフ場の造成については、新たに災害防止の見地から開発許可の制度が設けられ、不十分ながら規制の措置がとられることになりましたものの、改正法では、ゴルフ場の造成について、開発を抑制する立場から厳格なる制限を設けておる都市計画法三十四条の市街化調整区域における開発許可基準の適用を除外をいたしまして、ことさらに三十三条の一般的な開発基準を適用することとしておるわけでございます。この結果、現在大企業が買い占めておる市街化調整区域内のゴルフ場の開発はきわめて容易になり、さなきだに拍車をかけておる調整区域内でのゴルフ場建設ブームをますます容易にするものであるということを考えるときに、調整区域内での開発は絶対に認めないという本来の趣旨に戻り、ゴルフ場の造成についても厳格なる規制を加えるべきであると考えますが、この点について建設大臣の確固たる御答弁をお願いをするものであります。(拍手)
 質問の第六点は、市街地開発事業についてであります。
 今回の改正で、市街化区域内での市街地開発事業の施行を容易にするために、予定区域の制度が創設されることとなりましたが、その前提として、現在市街化区域として指定されている区域内に、新住宅市街地開発事業等の大規模な宅地開発を行なうその適地がどの程度存在をするのか、建設省が先般行なわれた宅地開発適地調査の結果をもとに、その明らかなる数字を示していただきたいと考えるわけであります。特に、首都圏、近畿圏、中京圏においてはどれぐらいあるのか、具体的にお示しを願いたいと思います。
 さらに、これに関連して、土地区画整理事業についてもお伺いをいたします。
 今日、市街化区域における住宅建設のために行なう土地区画整理事業の持つ任務はきわめて重大であります。しかるに、その非民主的な運営のゆえに、さらに減歩率や費用負担をめぐりまして問題が多く、事業の計画、施行が妨げられている場合もきわめて多いのであります。政府は、区画整理法を改正して、運営には借地、借家人の代表を役員に加えるなど民主的に行ない、減歩についても原則として有償とするなど、また施行についても地方公共団体が直接当たるなど、抜本的な改善を行なうならば、市街化区域の宅地開発は大きく前進することが明らかであります。政府の御見解をお示し願いたいと思います。
 最後に、都市計画事業の推進と日本の農業の振興対策について、総理並びに農林大臣にお伺いいたします。
 今日の乱開発と国土の荒廃の原因は何でありましょう。それは政府の農業に対する対策及び指導の誤りであります。(拍手)大資本本位の高度成長政策が、農民に農業に対する自信と誇りを失わせ、いたずらに農業放棄に追いやり、土地買い占めのえじきたらしめたではありませんか。総理の「日本列島改造論」のごときも、この誤った指導にさらに拍車をかけた以外の何ものでもございません。
 しかし、いまや、乱開発と国土の荒廃は、人間生存の基盤を大きくゆるがしております。これを見過ごすことはもう許されません。農業、農地、農家の犠牲の上に立って工業生産を高めようとする農業と工業の二律背反の時代はもう過ぎて、いまや二者一体の時代に移りつつあるということを考えなければなりません。農業の荒廃が都市の荒廃につながることがいまや明白になりつつあるときに、日本農業は、単に食糧供給のにない手だけではなくて、人間生存の基盤としての環境保全という重大な使命を持っておったということを忘れてはなりません。(拍手)林業や漁業についても全く同じであります。都市計画法第二条においても、都市計画と農業の調和をはかり、土地の合理的利用を進めることを都市計画の基本理念としているではありませんか。
 日本農業のになう役割りをあらためて発見をし、そして再認識をし、日本農業振興のために、予算、財政、金融、税制、経営技術、労働教育、文化など、あらゆる面からの勇気と決断をもっての抜本的対策を行なうべきであると考えますが、この際、総理並びに農林大臣の明確なる御答弁をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(田中角榮君) 清水徳松君にお答えいたします。
 日本列島改造論が土地の値上がりを刺激したのではないかという趣旨の御発言でございますが、日本列島改造論は、過密過疎の問題、公害、住宅、交通難、地価高騰等の国民の日常生活にかかわる諸問題を抜本的に解決をし、よりよく、より豊かなあしたの日本をつくり上げていくための考え方を提案したものでございます。
 地価高騰の原因は、基本的には宅地需給の不均衡にあると考えられるので、地方開発を推進し、国土の均衡ある利用、発展をはかって、大都市に集中する人と産業の流れを変え、宅地需要の分散をはかることが地価問題解決の抜本策であります。列島改造論もこの趣旨に沿ったものであります。
 ただ、当面の地価高騰の現象は、国民の住宅取得に支障を与え、地方開発の推進をも阻害することとなりますので、政府としては、土地利用基本計画の策定と土地利用規制の強化、土地取引の許可制、土地税制の改善、宅地の供給の促進、あるいは融資の抑制等の緊急措置を講じまして、地価の安定と秩序ある土地利用の確保をはかってまいる考えでございます。
 第二は、土地所有権に対する基本的な考え方いかん、公共優先思想に対してということでございますが、土地所有権は財産権の一つであって、憲法の保障するところでありますが、その内容は、公共の福祉に適合するように法律で定めることになっておるわけであります。私は、憲法の認める範囲内で最大限に公益優先の原則を確立し、広く公正に国民に利用されるようにすべきだと考えておるのでございます。そのために国土総合開発法、都市計画法、区画整理法等の運用によりまして、土地をより公共の用に供し得るようにはかってまいらなければならないと考えております。
 なお、線引き問題に対してどうかということでございますが、今回、三大都市圏の住宅化区域内の特定農地につきまして大幅な減税、融資、利子補給等を総合した宅地化促進のための法案を提出をいたしました。
 さらに、市街化区域をある程度拡大して、宅地供給の場をふやすことも有効ではないかと考えておるのでございます。
 しかし、線引きの見直しにつきましては、十分な調査を行なった上、波及する種々の影響を勘案しつつ慎重に行なう必要があると考えております。
 ただ、線引きを行なったために、また線引き内でなければ宅地にしてはならないということで、宅地の供給が押えられておるということは事実でございますので、線引き内の、すなわち市街化区域内の農地を宅地に転用が促進されるようなことをしないで、宅地はふえないのでございますから、その意味では逆に地価を上げることになっておるのであります。口では地価を下げろ下げろと言いながら、宅地転用ができないようなことをしておれば、地価を押し上げておるということになるわけでございますので、この間の事実は十分理解をしていただきたいと思うのでございます。(拍手)また、宅地の需要の最も多いところは、東京、大阪、名古屋であることは、何人も否定できないのでございます。この宅地というものは、自分で所有する宅地と住宅を提供するための宅地の二つに分けられなければなりません。これを混淆しておるところに議論がいろいろ存在するわけでございます。その意味におきまして、最も住宅や宅地を必要とする三大都市圏で宅地を提供するには、また居住面積を拡大するには、どういう方法があるか。二つしかないわけであります。
 その一つは、未利用地を利用することであります。そのためには、宅地並み課税などは認めなければならぬわけであります。これに反対しておって未利用地が利用されるはずはないじゃありませんか。そのほかに何がありますか、皆さん。(拍手)
 もう一つは、既成市街地の高度化による再利用でございます。いままでは一・七階ないし一・九階平均である既成市街地を、区画整理、再開発をすることによって環境を整備し、その何倍かの住宅面積を提供することができるのであって、土地の高度利用とはかく申すことを言うのでございますから、高層建築に反対をして住宅面積を提供せよ、そうすれば遠いところに住宅を求めるわけでありますが、そこでは、一坪地主などということでは、これはもう宅地問題の解決には全くならぬことを明確にいたしておきます。(拍手)
 第四は、都市計画区域外の原野の乱開発の規制についてでございますが、国土総合開発法案に基づく土地利用基本計画におきましては、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域または自然保全地域等を定めて、乱開発をこの法律によって防ごうとしておるのであります。
 これらの地域につきましては、都市計画法、森林法、農地法等によるほか、自然公園法及び自然環境保全法により、公害の防止、自然環境及び農地の保全、歴史的風土の保全、治山治水等に配意しつつ開発行為の規制を行なうこととしておるのでございますから、乱開発を防止し、より環境保全をはかるためには、どうしても新国土総合開発法を通してもらわなければならぬのでありますから、反対はなさらないようにお願いをいたします。(拍手)
  〔国務大臣金丸信君登壇〕
#36
○国務大臣(金丸信君) 線引きの問題につきましては、ただいま総理からお話があったわけでございますが、これは市町村、県ともに話し合いの結果きまりまして、その結果を建設大臣が確認して、それを承認いたしたわけでありますから、線引きというものにつきましては相当な権威があらねばならぬと私は承知いたしておるわけでございます。
 しかし、このような状況下でありますので、公的な機関等が、いわゆる市街化調整地域等におきましては宅地供給等に必要、あるいは公有地に必要という場合は、その線引きを考えてみなければならぬじゃないか、こういうように私は考えておるわけでございます。
 次に、都市区画外の乱開発についてのお話でございますが、都市区画区域の外縁部において市街化の誘因となるような開発の趨勢が高まった場合は、これを都市計画区域に編入することにより乱開発を規制し、秩序ある市街化をはかることができますが、都市計画区域から離れた原野については、この国会に提出されている国土総合開発法案の土地利用基本計画に基づき、自然環境保全法及び自然公園法により乱開発に対処することができると考えておるわけでございます。
 次に、ゴルフ場の問題についてでございますが、今回の改正によってゴルフ場の開発行為を許可対象に加えたのは、周辺地域への出水、がけくずれ、交通の円滑な処理、樹木の乱伐等の問題に対するためであって、今後は第三十三条の許可基準によって、ゴルフ場の乱立によるこれらの災害や自然環境の破壊に十分対処し得るものと考えています。
 なお、第三十四条は、市街化調整区域の市街化を抑制するための許可基準をきめたものであって、ゴルフ場は、住宅や工場等の開発行為と異なり、市街化の誘因となるものではないので、この規定を適用しないことにいたしておるわけでございます。なお、いわゆる宅地開発の適地はどうかというお話でございますが、全国の都市計画区域のうち、今後の計画的市街化の対象となっておる市街化区域の面積は約百二十万ヘクタールと見込まれておりますが、このうち約五十四万ヘクタールはすでに市街化されております。六十六万ヘクタールが現在対象になっておるわけでございまして、三大都市圏内の市街化区域の面積は、首都圏は三十一万ヘクタール、近畿圏が二十一万ヘクタール、中部圏が十八万ヘクタールでございます。
 また、土地区画整理事業については減歩、費用負担、ボス支配等の問題があり、推進できないという問いでございますが、土地区画整理事業は、公共施設の整備改善と宅地の利用増進とをあわせて目的とする事業であって、いわゆる減歩は、宅地の効用と価値の上昇の範囲内で行なわれているものであります。しかしながら、減歩が大きいと、御指摘のように事業の円滑な推進が思うにまかせませんので、地区内の幹線道路については、用地買収費相当額を含む建設費を基礎として、土地区画整理事業に要する費用を地方公共団体等の負担とし、国庫補助の対象とするよう配慮をいたしております。
 次に、借家人は土地に関する権利者ではないので、土地の区画、形質の変更を内容とする土地区画整理事業では、土地の所有者及び借地権者と同列に扱うことはできませんが、事業計画の決定等にあっては、意見書の提出などにより、借家人として、利益については十分配慮することとしております。
 以上であります。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#37
○国務大臣(櫻内義雄君) 農業が、食糧の安定供給とともに、国土保全、自然環境保護の上に大きな役割りを果たすことは言うまでもありません。農民の農業意欲の喪失なきよう、基盤整備や構造改善事業等を進めるとともに、近代的な地域社会として確立するため、農村の生産と生活を一体としての環境の総合的な整備をはかるようにいたしまして、豊かな農村の建設につとめてまいりたいと思います。(拍手)
#38
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#39
○議長(中村梅吉君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十六分散会
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 出席国務大臣
       内閣総理大臣  田中 角榮君
       大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
       文 部 大 臣 奥野 誠亮君
       農 林 大 臣 櫻内 義雄君
       建 設 大 臣 金丸  信君
       自 治 大 臣 江崎 真澄君
       国 務 大 臣 坪川 信三君
 出席政府委員
       内閣法制局第二 林  信一君
       部長
       文部省初等中等 岩間英太郎君
       教育局長
ソース: 国立国会図書館
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