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1972/04/17 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第27号
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1972/04/17 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 本会議 第27号

#1
第071回国会 本会議 第27号
昭和四十八年四月十七日(火曜日)
 議事日程 第二十三号
  昭和四十八年四月十七日
   午後二時開議
 第一 港湾法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 第二 農林省設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第三 入場税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 第四 物品税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
    …………………………………
  一 地方自治法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)の趣旨説明
  二 大規模小売店舗における小売業の事業活
    動の調整に関する法律案(内閣提出)の
    趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 港湾法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第二 農林省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第三 入場税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第四 物品税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 飼料用米穀等の売渡価格等の臨時特例に関する
  法律案(農林水産委員長提出)
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調
  整に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及
  び質疑
   午後二時四分開議
#2
○議長(中村梅吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 港湾法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#3
○議長(中村梅吉君) 日程第一、港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
#4
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長井原岸高君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔井原岸高君登壇〕
#5
○井原岸高君 ただいま議題となりました港湾法等の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本案は、港湾において、港湾環境整備施設、廃棄物処理施設、港湾公害防止施設等の整備を推進することなどにより、港湾の環境の保全をはかるほか、港湾及び航路の計画的な開発、利用及び保全の体制を確立するとともに、マリーナ等港湾区域外の港湾の諸施設の安全の確保をはかり、あわせて、海洋汚染の防除体制を強化するため、港湾法、海洋汚染防止法、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律、沖繩振興開発特別措置法及び港湾整備緊急措置法について、所要の改正をしようとするものであります。
 港湾法及び海洋汚染防止法の改正のおもな内容について申し上げます。
 まず、港湾法改正の内容は、
 第一に、港湾の環境の保全をはかるため、水域の清掃、廃船の除去、廃棄物埋め立て護岸等の管理運営などを港湾管理者の業務として明示するほか、港湾環境整備施設、廃棄物処理施設、港湾公害防止施設等を港湾施設として追加し、これらの建設等に要する費用の一部を国が補助することといたし、また、港湾管理者は、一定の事業者から環境整備負担金を徴収し得るとともに、港湾管理者の長は、港湾の運営上著しく支障を与える行為に対し、是正のための適正な勧告をなし得ることといたしております。
 第二に、運輸大臣が港湾及び航路の開発等に関する基本方針を定め、港湾管理者の作成する港湾計画は、この基本方針に適合するほか、一定の基準に適合したものでなければならないことといたしております。
 第三に、港湾区域及び河川区域以外の水域における船舶の交通を確保するため、開発及び保全に関する工事を必要とする航路について、運輸大臣が開発し、及び保全することといたしております。
 第四に、港湾区域外に建設されるシーバース、マリーナ等の港湾の施設の安全の確保をはかるため、都道府県知事にこれらの施設の安全上の規制を行なわせることといたしております。
 第五に、地方港湾審議会の新設に関する規定、港湾の施設についての技術上の基準に関する規定、広域的な港湾の管理運営をはかるための港湾管理者の協議会に関する規定等所要の改正を行なうことといたしております。
 次に、海洋汚染防止法の改正の内容は、海洋の環境の保全をはかりますため、海洋において排出した油に臨機応変の措置をとり得るよう、一定の範囲の船舶所有者、油の保管施設の設置者及び係留施設の管理者にオイルフェンス等の油防除資材の備えつけを義務づけること等を定めております。
 本案は、去る二月二十一日本委員会に付託となり、二月二十七日政府から提案理由の説明を聴取し、三月二日質疑に入り、自来、七回にわたって慎重に審査を重ね、また、四月九日には地方行政委員会、公害対策並びに環境保全特別委員会との連合審査会を行なうなど、熱心に質疑を行なったのでありますが、その詳細につきましては委員会議録に譲ることといたします。
 四月十三日質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して小此木彦三郎君から賛成、日本社会党を代表して金瀬俊雄君から反対、日本共産党・革新共同を代表して紺野与次郎君から反対の意見が述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(中村梅吉君) 討論の通告があります。これを許します。金瀬俊雄君。
  〔金瀬俊雄君登壇〕
#7
○金瀬俊雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました港湾法等の一部を改正する法律案に対し、反対の意見を表明いたします。(拍手)
 反対の理由の第一は、地方公共団体の自治権の侵害についてであります。
 昭和二十五年に制定された現行の港湾法は、憲法や地方自治法の精神に基づいて、住民の意思を尊重する立場に立ち、港湾計画の立案権は地方自治体の港湾管理者にあることを明確にいたしております。すなわち、国民経済に重要な位置を占める港湾の管理は、地方公共団体の固有の事務として、住民の意思を尊重することを第一義として運営されてまいりました。
 港湾の開発、管理、運営は、地方自治体の都市政策と一体のものであり、地方自治権の尊重は当然のことであり、港湾法の重要な柱であるといわなければなりません。(拍手)
 しかるに、今回の改正案によると、国が港湾の基本計画をつくり、これを管理者に強制することによって、大幅に自治体の主体性を制限しようとするものであり、このことは、港湾行政の基本理念に反するものであり、改正でなく、改悪といわなければなりません。(拍手)
 民主主義は、住民自治がその基盤であります。中央集権体制によって行政を一元化し、官僚統制をはかる政治の弊害は、すでにわれわれにとって体験済みのことであります。
 田中総理の「列島改造論」に見られる考え方もまた、この中央支配による天下りの開発計画であり、港湾法の改正もその一環であると考えざるを得ません。(拍手)今回の改正案の底に流れるこうした基本的な土与え方に、私はまず強く反対をいたします。(拍手)
 田中総理は、参議院の予算委員会において、悪名高い「日本列島改造論」の失敗を認め、真の福祉を確保するために、観点を切りかえて第二巻をまとめたいと発言されたそうですが、あやまちを改むるにはばかることなく、いまからでも決しておそくはありません。本改正案も地方自治の尊重、国民福祉の立場から、再考を求めるものでございます。(拍手)
 反対理由の第二は、今回の改正案は、第一条の目的である「港湾の秩序ある整備と適正な運営を図る」ためと称し、国の権限を強化した点におもなる目的があると思われます。
 しかし、時代の変化に対応し、その重要な任務を果たすための港湾整備にとって重要な課題は、それに必要な巨額の費用であります。
 港湾行政における自治体の自治権を尊重した上で、十分な国の財政援助をすること、適切な特定財源を与えることが、いまの港湾行政にとって最も必要なことであります。(拍手)
 運輸大臣は、委員会審議の過程で、公共的見地から国がすべての責任を持つ立場で改正したと繰り返し説明されましたが、港湾への財政補助体系の確立こそが大きな国の責任であり、運輸行政の基本でなければなりません。
 しかるに、本改正案は、環境整備に若干の補助対象を追加したにとどまり、現行法と比較して、全く前進も進歩も見られないものでございます。
 現に政府もこの点を認めて、今回は間に合わなかった、検討を急ぎ、次回に提案したいと答えているが、なぜかかる重要問題をあと回しにして、小手先の改正によって国の権限強化だけを先取りしようとするのか、はなはだ理解に苦しむところであります。(拍手)いわゆる「口ばかり出して金は出さない」、そういう非民主的な行政のあり方は許されません。
 反対の理由の第三は、港湾の公害防止や環境の保全をうたっておりますが、その具体的政策がきわめて不明確であることであります。
 今回の法改正によりますと、環境保全のためと称する幾つかの新しい措置が見られます。しかし、海の汚染や公害を防ぎ得る効果があるかどうか、はなはだ疑問であり、全く不十分であります。(拍手)たとえば海の清掃、廃船の除去あるいは廃棄物埋め立て護岸の管理運営等を港湾管理者の業務として明らかにしているが、これで一体どれほどの効果をあげることができるか、きわめて疑問でございます。
 よごれた海の廃棄物を取り除く作業などは、いわば清掃局の業務に似たものであり、根本的な海洋汚染の防止対策にはなり得ないことは言うまでもありません。
 港湾や海洋の汚染の最大の原因は、港湾と結びついた臨海大企業からの工場排水、河川から流入する工場廃液、港湾に出入りする船舶からの廃油等の不法投棄であります。したがって、この防除のためには、公害関係の諸法規によって、発生源の防止を中心とする各種の対策を講ずべきことはもちろんであるが、河川管理者等に対しても法律上の強力な発言権を持つことが必要であると考えます。
 また、多発する重油の流出事故に対処するため、港湾管理者に薬品、オイルフェンス等の油害防止材の備えつけを義務づけているが、運輸省が想定する程度のものでは、流れ出た重油が大量の場合や、事故発生率の高い夜間、あるいは強い風の日には役に立たないものであり、実際の効果があるかどうか、はなはだ疑問であります。
 最近の例に見られるように、大量の油の流出は、漁業関係者に大きな被害を与えるものであり、その防止と処理には、より慎重かつ強力な対策が必要です。
 港湾行政を考えてみると、港湾を働く職場としている労働者、海を生活の場としている漁民に対するあたたかい血の通った配慮が全く見られません。さきの海上交通安全法にいたしましても、この七月一日に施行を控えた現在、法案通過の附帯条件はまだ実施されておりません。
 本改正案におきましても、たとえば東京湾における新しい航路のしゅんせつ、開発保全航路の確保が計画されておりますが、これは、場合によっては海を生産の場としている漁民の死活問題にもなる重大なことでございます。
 小さな漁船をあやつって暮らしを立てておる漁民は、東京湾だけでも一万六千人にも及んでいます。危険が一ぱいの海に働く漁民にとっても、港湾を職場としておる労働者にとっても、海を汚染された上、国の港湾計画を強行するため、さまざまな法改正が、説明も説得もなく次々と打ち出されては、不安を増すばかりでございます。(拍手)この点、政府に対し強い反省を求めます。
 歴代の政府の進めてまいりました高度経済成長政策の中で、輸出入の拠点としての港湾はその重要な役割りを果たしてきましたが、同時にまた、生産至上主義による公害たれ流しの被害は、港湾を中心とする日本列島を取り巻く全域にわたっており、海の荒廃と汚濁は、いまや、根本的な政策の転換を求めております。
 政府は、小細工に近い一片の糊塗政策をやめ、重ねて要求いたしますが、憲法や地方自治の精神を生かし、住民の意思を尊重する、総合的かつ抜本的港湾政策を真剣に考慮すべきであります。
 以上、申し上げましたが、ますます港湾本来の使命である公共性を失い、大企業のみに奉仕する本改正案に対し、強く撤回を要求して、私の討論を終わります。(拍手)
#8
○議長(中村梅吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#9
○議長(中村梅吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#10
○議長(中村梅吉君) 日程第二、農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#11
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三原朝雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔三原朝雄君登壇〕
#12
○三原朝雄君 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、水産庁の生産部及び調査研究部を再編整備して、海洋漁業部及び研究開発部を設置すること等であります。
 本案は一月三十一日本委員会に付託、二月二十二日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、四月十三日質疑を終了いたしましたところ、加藤委員より、「昭和四十八年四月一日」としている施行期日を「公布の日」に改める旨の修正案が提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#13
○議長(中村梅吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#14
○議長(中村梅吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 入場税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#15
○議長(中村梅吉君) 日程第三、入場税法の一部を改正する法律案、日程第四、物品税法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
#16
○議長(中村梅吉君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長鴨田宗一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔鴨田宗一君登壇〕
#17
○鴨田宗一君 ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、入場税法の一部を改正する法律案は、最近における入場税負担の現状に顧み、その軽減をはかるため、映画、演劇等の区分に応じ、千円以下または二千円以下の入場料金について、税率を現行の一〇%から五%に引き下げるとともに、国が企画して行なう一定の催しものを非課税とする等、非課税範囲を若干拡大するほか、制度の合理化等をはかるため、所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 次に、物品税法の一部を改正する法律案は、今次の税制改正の一環として、最近における消費の実態等に即応するため、物品税負担の軽減合理化並びに納税手続の簡素化等をはかろうとするものであり、そのおもな内容は次のとおりであります。
 第一に、税率について、小売り課税の貴石、貴金属製品等を二〇%から一五%に、製造課税のゴルフ用具を四〇%から三〇%に、ストーブ、電気掃除機等を二〇%から一五%にそれぞれ引き下げることといたしております。
 第二に、マッチ等に対する課税を廃止するとともに、セパレート型のルームクーラー、電子レンジ等若干の物品について新たに課税を行なうことといたしております。
 第三に、貴石、貴金属製品類の販売業者について、販売業者証明書の制度を設けるほか、納税手続の簡素化等をはかるため、所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 両案につきましては、去る四月十三日質疑を終了いたしましたが、これらに対し、木村武千代君外四名から、自由民主党の提案により、施行日を「公布の日の翌日」に改める等の修正案が提出されました。
 また、入場税法の改正案につきましては、阿部助哉君外四名から、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の四党共同提案により、入場税を廃止し、暫定的に競馬、競輪等に対する課税のみを残すという修正案が提出されました。
 次いで、これらの原案及び修正案の各案を一括して討論を行ないましたところ、日本社会党を代表して佐藤観樹君、日本共産党・革新共同を代表して荒木宏君、公明党を代表して広沢直樹君の各委員は、両原案及び自由民主党の提案にかかる両修正案に反対の旨を、四党共同提案にかかる修正案に賛成の旨を、それぞれ述べられました。
 続いて採決いたしましたところ、四党共同提案にかかる修正案は少数をもって否決され、自由民主党の提案にかかる修正案並びに修正部分を除く両原案は多数をもって可決され、よって、両法律案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、入場税法の改正案につきましては、全会一致をもって附帯決議を付することに決定いたしましたが、詳細は会議録に譲ります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#18
○議長(中村梅吉君) これより採決に入ります。
 まず、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#19
○議長(中村梅吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#20
○議長(中村梅吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 飼料用米穀等の売渡価格等の臨時特例に関す
  る法律案(農林水産委員長提出)
#21
○中山正暉君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、農林水産委員長提出、飼料用米穀等の売渡価格等の臨時特例に関する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#22
○議長(中村梅吉君) 中山正暉君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 飼料用米穀等の売渡価格等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
#24
○議長(中村梅吉君) 委員長の趣旨弁明を許します。農林水産委員長佐々木義武君。
  〔佐々木義武君登壇〕
#25
○佐々木義武君 ただいま議題となりました農林水産委員長提出、飼料用米穀等の売渡価格等の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 最近の飼料事情を見ますと、国際的に穀物等の需要が逼迫したため、昨年の夏以来飼料原料価格が急騰し、これに伴い、配合飼料の価格は、大幅な上昇を続けております。
 すなわち、配合飼料の価格は、昨年の十二月から本年の三月にかけて二回にわたり、合計トン当たり約八千円の値上げが行なわれたのでありますが、その後においても、事態の好転が見られませんので、今回の通貨調整によるある程度の値上げ抑制効果があるといたしましても、さらに大幅な値上げが避けられない情勢にあります。
 配合飼料は、国内に流通する濃厚飼料の大宗を占めておりますので、昨年来の価格の高騰は、わが国畜産業に大きな影響を与えておりますが、さらにこれ以上の値上げが行なわれるようなことになりますると、その影響ははかり知れないものがありまして、とりわけへ経営基盤の脆弱な中小畜産農家などは壊滅的な打撃をこうむるのではないかと憂慮されております。また、飼料価格の値上がりは、畜産物価格の値上がりを招来し、これが消費者家計に大きくはね返ってくることが必至であります。
 このような情勢の中で、政府においては、去る二月二十七日に飼料緊急対策を決定し、政府操作飼料と過剰米の飼料用としての売却を集中的に行なうこと、配合飼料価格安定基金を強化拡充すること及び畜産農家への低利資金の融通措置を講ずるなどを内容とした一連の施策を講じており、また、農協その他の配合飼料製造業者においても、今日まで値上がり防止のための努力を続けておりますが、これらの対策のみによって今後の配合飼料の値上がりを抑制することは不可能な情勢にあります。
 そこでこの際、その補完的な緊急措置として、政府保有の過剰米等を特別低廉な価格で売却する道を開くことが緊要と考えられるのであります。
 このような事情を背景にして、ここに本案を提出した次第でありまして、政府保有の過剰米及び政府操作飼料を現行価格より大幅に引き下げ、これを緊急、かつ、集中的に払い下げることによって、今後に予測される配合飼料の値上がりを抑制し、畜産経営の安定と畜産物価格の値上がり防止に資することといたしております。
 以下、本案のおもな内容について申し上げます。
 第一に、政府は、過剰米処理計画に基づいて売り渡す配合飼料用の米穀について、数量と時期を限定して、農林大臣の定める特別低廉な価格で、売り渡すことといたしております。
 第二に、政府は、飼料需給安定法により売り渡す配合飼料用の大麦及び小麦等について、数量と時期を限定して、随意契約により、かつ、農林大臣の定める特別低廉な価格で売り渡すことといたしております。
 第三に、本法に基づいて米穀等の売り渡しを受けた者等は、当該米穀等または当該米穀等を原料として製造した配合飼料を適正な価格で譲り渡し、または販売するようにしなければならないこととするとともに、農林大臣は、これらの者から、当該米穀等の譲渡数量及び譲渡価格、当該米穀等を原料として製造した配合飼料の販売数量及び販売価格等に関し報告させ、または職員に立ち入り検査等をさせることができることとしたほか、必要な罰則規定を設けることといたしております。
 以上が本案の提案の趣旨とおもな内容であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(中村梅吉君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(中村梅吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#28
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣江崎真澄君。
  〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
#29
○国務大臣(江崎真澄君) 地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 この法律案は、第十三次及び第十五次地方制度調査会の答申の趣旨にのっとり、まず、特別区の区長の選任制度を中心として、特別区の事務、人事等の諸制度につきまして規定の整備を行なうとともに、住民の生活圏の広域化に対応するため、一部事務組合制度を充実させようとするものであります。
 以上のほか、地方公共団体の処理すべき事務に関する規定等につきましても、この際整備する必要があります。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 その第一は、特別区の区長の選任方式についてでありまするが、昭和五十年度から公選制度を採用することとし、そのために必要な規定等を設けることといたしました。
 第二は、特別区の存する区域においては、都において一体的に処理することが望ましい事務を除き、保健所に関する事務並びにおおむね一般の市に属する事務を特別区に処理させることといたしました。
 第三は、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、都区の財政調整上必要な措置を講じなければならないことといたしました。
 第四は、都配属職員制度を廃止することといたしました。
 以上の改正に関連して、本年七月に予定されておりまする都の議会の議員の一般選挙における議員の定数を現行のまま据え置くことができることといたしております。次に、市町村が広域にわたる総合的な計画を作成し、その実施のために必要な連絡調整をはかり、総合的かつ計画的な事務を共同して処理するため、複合的な一部事務組合を設け得るものとし、この組合運営を円滑に行なうため、規定の整備をすることといたした次第であります。
 さらに、この改正に関連して、地方公共団体の組合に関する直接請求の手続等について、所要の規定の改正を行なうことといたしております。
 なお、これらの改正のほか、監査委員の任期等に関する規定及び地方自治法の別表の規定を改正する等所要の規定の整備を行なうことといたしておるものであります。
 以上、簡単でありまするが、地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨を申し述べた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#30
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。小川省吾君。
  〔小川省吾君登壇〕
#31
○小川省吾君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程議案とされました地方自治法の一部を改正する法律案に関して、その基本的な幾つかの点について、総理並びに関係閣僚の所信と見解をただすものでございます。(拍手)
 まず第一に、田中総理にお尋ねをいたしますが、あなたは総理として、憲法、地方自治法の精神にのっとり、地方自治を充実をさせ、住民の福祉を守る行政を執行することは、けだし当然であろうと思うわけであります。
 しかしながら、今回提案されているこの法案は、一方では、第三十九国会以来、わが党が地方自治法の改正案として提案をしてまいりました区長公選という地方自治拡大充実の内容と、片や住民自治無視の一部事務組合の改正、いわゆる連合法案を一本にして盛り込んだ、まさに木に竹をついだというか、薬の中にカプセルをかぶせた毒薬をまぜたような内容になっておるわけであります。(拍手)地方自治の本旨を、まさに両極端に踏み違えられているわけでありますけれども、私どもは、かねがね分離をして提案をするよう政府に申し入れをしてきたわけでありますけれども、抱き合わせにして出してきたということは、区長公選を実現しようとする意思がほんとうにあるのかどうか、疑わざるを得ないわけであります。一本にして出してきた経過とその意図を明らかにしていただきたいのであります。
 先ほどの港湾法にも見られるとおり、地方自治体に対する政府の権限が強化されようとしております。国土総合開発法をはじめとして、このような地方自治体に対する権限の強化がされようとするときに、連合が再び出てくるということは、真に地方自治を守り、発展させようという意思があるのかどうか、きわめて疑わしいので、この際、総理の地方自治に対する所信と決意のほどを明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 また、いまからでもおそくはない、この際、この法案を撤回をして、分離をして、再提案することを強く要求をするものであります。(拍手)
 また、この点について、地方自治を守るべき直接の衝に当たる江崎自治大臣の見解をあわせて明らかにしていただきたいのであります。
 次に、第二点として、一部事務組合の改正、いわゆる連合条項についてお尋ねをいたします。
 この改正は、第六十五国会以来問題法案として取り扱われて、廃案になってきたものであります。住民の自治体に対する期待と輿望を裏切るものであり、明らかに第二次市町村合併の促進であり、府県連合、道州制への布石であり、わが党の容認し得ないものであります。
 今回は、従来問題にされてきた諸点を削除をして提案をしてきておるわけでありますけれども、本質的には、その意図する点は変わっていないと判断をするものであります。この府県連合と新たな市町村合併を進め、自治体を日本列島改造の受けざらとしようとする改正点について、いま四年目を迎えた広域市町村圏の実態に触れつつお伺いをいたします。
 広域市町村圏の運営の現状はまちまちでありますけれども、大体において一つの自治体から首長なり議長あるいは議会常任委員長等が参加をしておるわけであります。基礎である構成自治体の議会は無視をされ、事前協議や同意も求められず執行され、広域圏の組合議会に必要以上の権限が集中をされているケースが多いわけであります。住民意思はほとんどくみ上げられず、中核である市などの都合により振り回され、負担金に悩んでいる弱小町村も数多くあるのであります。
 さらに、構成をする市町村議会の少数党の意見は締め出されている場合が多いわけであります。
 幸いというか、現状では消防とか道路整備等の事業が多いので、問題は少ないわけでありますけれども、屎尿処理施設の建設場所をめぐる問題や、あるいは住民自治という観点から見た場合には、多くの問題点を含んでいるわけであります。
 今回の改正点は、いわゆる複合的な組合を意図をし、各自治体に共通をしない事務をも包含し得ることになっております。幾つもの事務事業が一部の代表者によって運営をされ、本来の市町村の事務が連合に吸収をされ、憲法違反の独裁化のおそれすらあります。これは明らかに広域市町村圏に法的地位を与え、府県と市町村との間に中間的な自治体をつくる構想であり、これを強化することによって合併を誘発、促進をさせ、府県連合への方向づけをねらっているものと断定し得るのであります。
 本来、法律なり制度なりは、国民の要望に沿って制度化、法制化されていくことが当然のはずであります。そこでいわゆる連合、包括組合の性格はどうなのか、広域市町村圏との関係、位置づけはどうなるのか、組合議会の運営、その財政をどう進めようというのか。
 以上の諸点について、所管の自治大臣の答弁を求めるものであります。
 総理、あなたは、あなたの著書といわれる「日本列島改造論」の中でこう述べておられます。「国土改造の中における地方自治体の役割はきわめて大きい。日本列島再編成のため、行政の広域化が促進されるべきである。その手段としては、まず、市町村を基礎的な地方団体として強化するため、市町村の第二次合併を積極的にすすめ、その行政力、財政力を強化することである。現在の府県制度は行政区域としてはせますぎるし、行政単位としても国と市町村のあいだに立ってあいまいな性格をもっている。現行制度の改廃を含めて将来の府県制度のあり方を根本から検討する時期にきている。その場合、新たに広域ブロック単位で国と地方自治体の中間的性格を持つ新しい広域地方団体を設置するのもひとつのアイデアではないか。」と述べておられるわけであります。明らかに第二次市町村合併と府県連合を、府県をこえる自治体づくりを示唆をしているわけであります。
 この発言や記述を踏まえて、いわゆる連合の意図するところについて、総理の考え方を率直にお示しをいただきたいのでございます。(拍手)
 第三に、区長公選に関連をしてお尋ねをいたします。
 私どもは、昭和二十七年以来この運動を進めてきたものとして、いまようやく日の目を見ようとする自治権拡大の公選制実現については、大いに賛意を表するものであります。本来、住民自治の本旨は、住民みずからが、みずからの首長に対する選挙権、被選挙権を持つこと、すなわち行政への住民参加がその基本であると思うわけです。特別区においては、長年にわたってゆがめられていた自治が、本来の姿に戻るわけでありますから、歓迎をすべきことであります。
 公選に関連をして、数点、自治大臣にお尋ねをいたします。
 第一に、当然、区に多くの事務が帰属をしているわけでありますけれども、業務として、その性格から区分することが困難であり、むしろ都に残すことが都民サービスになると思われる業務がございます。清掃なり下水道なり消防なり、いま趣旨説明されたように、典型的な業務であるというふうに思いますけれども、その他、法律または政令等で都知事に属する事務というふうにいわれておる点について、予想されるものがあるのかどうか、まずお尋ねをいたします。
 次に、配属職員の問題でありますけれども、人事権を確立することは当然でありますけれども、余人をもってかえがたい職、現状においては充足をすることが困難と思われるような職群については、依然として配属とか出向とかいう職が出てくるのではないかと考えます。たとえば医師等についてはどのようになるのか、あるいは出向するような立場に立つ職員があるのかどうか、明確なお答えをいただきたいのであります。
 また、現在空席である区長、本年から来年にかけて任期が満了になることが明らかである区長があるにもかかわらず、即時施行とせずに、五十年四月施行とした理由はなぜか、明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、財源問題について明らかにしていただきたいと思います。
 現行地方自治法や地方交付税法の中では、都に対する特例の扱いをいたしておるわけでございます。超過密の大都市東京においては、大都市としての財源確保がいまは何よりも必要であります。第十五次の地方制度調査会でもその点を指摘をいたしておるわけでございます。公選制提案のこの時期こそ、まさにその機会であるはずであります。また、自治法施行時の公選制が昭和二十七年にくずれ去ったのも、実にこの財源問題にあったわけであります。
 あらゆる産業の本社、事業所、管理部門が集中をし、産業、文化、交通、情報等の中枢としての東京は、地価の高騰、住宅難、通勤難、大気汚染等をはじめとする各種公害、物価高、等、生活環境のすべてが、いま打開をし、解決をしなければならないときに迫られております。また、膨大な都民の要求に根ざす行政需要を持っております。巨大な集積、集中による不利益が、もろに都民におおいかぶさっているわけであります。
 これらを解決するためには、巨額な原資が必要であります。
 しかし、現状では、大都市財源としての特別な手だては何一つ講ぜられていないのが実態であります。公選制を実施をし、普通地方公共団体並みの仲間入りをするいまこそ、過密集中の大都市に対し、適切なる財源確保とその配分こそ、考慮さるべきであります。当然、いまこそ地方交付税法第二十一条の「都等の特例」は廃止すべきときだと考えます。
 特別区に対する今後の財源の付与、大都市財源の確保とその配分について、自治、大蔵両大臣の見解を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、第四点として、東京都の議員定数についてお伺いをいたします。
 御承知のように、都議選はこの六月二十六日公示でございます。いまごろ出してくること自体が不親切きわまるわけであります。この案によれば、現行百二十六でいくということでございます。都道府県の議員定数は、法第九十条で定められているところでありますけれども、都道府県にあってはその定限を百二十人、都にあっては百三十人といたしておるわけでありまして、第二項で、特別区の人口を百五十万人で除することになっております。申し上げるまでもなく、いま人口のドーナツ化現象が進んでいるわけでございますし、超過密の行政需要にこたえていく都議会の重要性からしても、むしろ、私は、百五十万条項を削除をしてよろしい時期に到来をしたのではないかと考えます。また、そのことが都民の期待にこたえるゆえんであると思いますけれども、自治大臣の見解はどうか、明らかにしていただきたいのであります。
 最後に、私は、このような自治法の大改正をするならば、当然改正案として提案すべき緊急な、地方の長年の要望があったはずだと思うのであります。
 あらゆる制度なり法律は、人によって運用し執行されるものであります。すべての行政も、その職員の理解と協力を得て実施をされてこそ初めてその効果をあげ得るわけであります。
 職員問題について、一、二見解をただしたいと存じます。
 その第一は、法第百七十二条とその関連条項であります。
 「普通地方公共団体に吏員その他の職員を置く。」という、いわゆる「その他の職員」規定が、長年にわたり地方公務員に差別と分断と大きな混乱を生じさせているのであります。公務員試験合格者にあらためて吏員昇任試験を課してみたり、同一業務に携わりながら差別がつけられておったり、他人名儀で滞納処分等を執行したり、自己の名前では起案文書も書けないというような実態があるわけであります。そして、ひいては女子職員に対する差別になっているわけであります。自治労の身分差撤廃闘争によって是正をされつつありますけれども、百七十二条とその関連条項が存する限り、問題は残るわけでございます。若い職員の勤労意欲を減退させているわけであります。
 この際、百七十二条と関連条項を改正をして、地方公共団体の行政の円滑なる推進のため、差別をなくすべきだと考えますけれども、その意思があるかどうかお尋ねし、どう解決し対処されようとするのか、自治大臣の見解をお聞きしたいのであります。(拍手)
 次に、長年の懸案の附則第八条であります。
 「当分の間、なお、これを官吏とする」といういわゆる自治法施行時の経過規定が、実に四分の一世紀以上も生き続けているわけであります。社会保険、国民年金、職安、失業保険関係職員等の身分を、名実ともに都道府県に移管をさせるため、附則第八条は即刻撤廃をすべきであります。佐藤前首相や歴代自治大臣も、その方向を明らかにしている問題でもあり、この際、決断と実行をもって、附則第八条を削除をして、長年の懸案にいまこそ決着をつけるべきであります。自治大臣、田中総理の見解と決意のほどを明らかにしていただきたいのであります。
 以上、私は数点にわたり、地方自治の本旨に沿って質問を申し上げました。政府が真に地方自治を守り、発展をさせる意思があるならば、この際、区長公選を直ちに実現をし、連合条項はあくまで分離をすべきだと、重ねて強調いたすものでございます。(拍手)
 田中総理以下関係閣僚も、憲法や地方自治法の精神にのっとり、前向きの答弁を期待し要請をいたしまして、私の質問を終了いたします。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(田中角榮君) 小川省吾君の御質問にお答えをいたします。
 まず第一は、地方自治に対して基本的にどのように考えておるかということでございますが、住民の福祉に直結する事務は地方公共団体が自主的に処理するようにすることが、地方自治の本旨でもあり、望ましい国民生活を築くゆえんでもございます。したがって、いたずらに中央に権限が集中することは避け、地域における問題は地域で解決できるように配慮しておるわけでございます。
 地方自治は民主主義の基本であり、その充実強化のため、今後とも努力を続けてまいりたいと考えます。
 第二は、日本列島改造論の中での地方の広域行政の推進並びに府県制度の根本的な検討についての御発言がございましたが、列島改造論で地方自治体について所見を述べておりますことは、御指摘のとおりでございます。
 府県制度は、明治の時代から長い歴史を持つものであります。しかし、通信、情報、交通等の急速な発展をしております現在、この府県制度に対していろいろな議論が存在をすることは事実でございます。特に、国の出先機関と自治法による府県制度の間には、二重、三重という議論も存在をするのでございます。その意味で、明治の時代に郡制が行政区域として廃止をせられたことにかんがみ、都道府県制度に根本的にメスを入れてみる必要があるのではないかという議論が存在をいたしますので、それらの問題に対して論を試みたわけでございます。
 なお、一つの議論といたしましては、地方自治体として望ましい姿は、いまの市町村よりも大きな、明治時代の郡制以上のものが望ましい、そうすることが真に地方自治の第一線としての市町村としてふさわしいのではないかという議論が長く続けられておることも、御承知だと思うわけでございます。
 しかし、これらは、あくまでも私見として世に議論を提供したわけでございまして、これらを直ちに実行しようという考えに立っておるわけではございません。世論の趨勢を十分見きわめながら、慎重に検討を続けるべきだと考えておるわけでございます。
 あくまでも、府県制度が他のものに置きかえられ、よしんばそれが道州制であり、また国の出先機関との統合等がはかられるにしても、地方自治の基本的精神は守ろうということに対しては、全く人後に落ちないということを明らかにいたしておきます。(拍手)
 それから次は、地方事務官制度を廃止すべきではないかとの御所論でございますが、地方事務官制度の廃止につきましては、行政改革の一環として検討を続けてきておりますことは御承知のとおりだと思うわけでございます。この問題は、各省の地方行政機構のあり方やそこに勤務しておる職員の身分の問題に関連するだけに、なかなか早急に廃止のための成案を見るに至っていないものでございます。しかし、本制度は暫定的な制度でもありますので、できるだけすみやかに結論を得るよう積極的に取り組んでいく方針であります。
 残余は自治大臣から答弁をいたします。(拍手)
  〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#33
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対する御質問の第一点は、地方交付税法第二十一条を、たとえば廃止してはどうかということであります。
 本来、市の行なうべき事務のうちで消防、下水道、清掃等の事務につきましては、都と特別区との間の緊密性から、なお都において処理することとされまして、また、都と特別区との間の税源配分につきましても、現行制度をそのまま維持することが適当とされております。したがいまして、ただいまのところ、地方交付税制度の算定方式については、現行制度を特に改正する必要はないと、かように考えておる次第でございます。
 第二は、大都市をはじめといたします都市税源の充実の問題でございます。
 その充実の必要性につきましては、政府においても十分に認識をいたしております。従来から税制調査会等におきましても、具体的方法について検討が積極的に続けられているところでございます。昭和四十八年度におきましては、政府としては、土地にかかる固定資産税の課税の適正化措置をはかること等によりまして都市財源の充実に資することとしておりますが、今後とも都市財源の充実の方策につきましては、引き続き十分に検討してまいりたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
#34
○国務大臣(江崎真澄君) お答えを申し上げます。
 特別区の区長の公選制と広域市町村圏の問題を一緒にいたすのはけしからぬではないか。
 これは社会党からもしきりに、分離しろ、こういう御要請があったことは私もよく承ったわけでありまするが、御承知のように、二つとも改正の要点は、自治権の拡充と自治の内容を充実させよう、同じ方向のものでありまして、二つの改正を同一の改正法案に盛り込む、これは従来の慣例に照らしましても不自然なものではないというふうに考えておる次第であります。
 次に、一部事務組合は、御承知のように、地方公共団体がその協議によりまして特定の事務を共同して処理する、これは地方自治法上の制度であります。
 この位置づけは、広域市町村圏は、市町村の区域を越える日常社会生活圏の広域化に伴って、市町村が共同して広域行政を行なうために設定された圏域、御質問でも御指摘ありましたように、道路整備であるとか消防であるとか、あるいはごみの処理であるとか屎尿処理とか、これは時代の要請に応ずるものだというふうに思っております。
 その助成措置につきましては、これは従来の補助に上積みをしたり、十分充実をして、交付税等においてめんどうを見ていきたいというふうに考えます。
 都に残す事務について、何と何が残るのか。
 これは第一に廃棄物の収集、運搬及びその処理、これらの事務であります。第二番目に下水道の設置、管理に関する事務、三番目は伝染病予防法、と畜場法に基づく事務、四番は地域地区、市街地開発の事業、流通業務、団地等の都市施設等にかかる都市計画の決定、五番目は特定街区内の建築物等にかかる建築基準等であります。
 職員、いわゆる人事の配属や出向はあるのかないのか、これは一体どうするのか。
 これは、御指摘のように、医師等なかなか求めることが困難な職員におきましては、当然特別区に支障のないように、人事の交流は今後といえども密にいたしてまいりたいというふうに考えておるものであります。
 区長の公選を五十年四月から施行とした理由は一体何なんだ。
 これは、地方制度調査会の答申の趣旨にも明らかにされておりまするように、特別区制度の改正規定の施行期日につきましては、区長公選制の採用、都からの事務の移譲、配属職員制度の廃止、これを一斉に行なうわけでありまして、それらの準備期間にはこの程度の期日が必要であるという断定に立ったものであります。しかし、改正法施行の際区長が欠けておる場合におきまして、選挙人の投票によって区長を選任することができる道を開いておることは御承知のとおりでございます。
 次に、この特別区に対する財源の措置は一体どういうふうか。
 これは特別区財政調整交付金の基本額の増額を行なうことによって対処してまいりたいというふうに考えておるものであります。
 次に、都会議員の数を従前どおりとしたが、これは一体どういうことか。
 これは、一応こういうことに決定をいたしまして、都から特別区へ多くの事務が移譲されることにもなりまするので、その後の実情を十分見きわめた上で、地方自治法第九十条第二項については検討を加えたい、かように考えております。
 その次に、その他の職員という項目について、実情に合致しないような、かりそめにも差別待遇などということがあってはならぬではないか。
 御指摘のとおりだと思います。私どもも、この問題は、前向きで、実情に十分合うように検討を進めてまいる予定でおります。
 最後に、地方事務官制度の廃止についてであります。
 これは総理からも答弁がありましたが、各都道府県知事においては、この廃止について非常に強い要請があります。自治大臣といたしましては、当然関係閣僚と調整をいたしまして、これが促進をはかって実現に進んでまいりたい、かように考えております。(拍手)
#35
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#36
○議長(中村梅吉君) 内閣提出、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。通商産業大臣中曽根康弘君。
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#37
○国務大臣(中曽根康弘君) 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 わが国の小売商店数は、百四十万店をこえ、そこに働く人々も約四百五十万人に達しておりますが、大部分の商店はきわめて零細であるので、百貨店、スーパー等の大規模な小売店の進出によって著しい影響を受ける場合が少なくありません。
 このため、昭和三十一年には、小売業における当時唯一の大企業であった百貨店業を対象として、その事業活動を調整し、もって中小商業の事業活動の機会を確保することを目的として、百貨店法が制定されたのであります。
 以来十数年を経過し、一方では消費者利益確保の要請が高まるとともに、他方では百貨店以外にもスーパー、ショッピングセンター等の大規模な小売店が出現する等、小売業を取り巻く環境は著しく変化するに至っており、また、経済の国際化に伴って、流通業の資本自由化も強く要請されるに至っております。
 政府は、このような情勢の変化に対応した百貨店等の大規模な小売店と中小小売店との事業活動の調整のあり方について、かねてから産業構造審議会にはかっておりましたところ、昨年八月、法改正の方向について答申を受けたのであります。
 本法案は、この答申の示した方向に沿って、関係者の意見を十分聴取しつつ作成したものであり、大規模な小売店の出現により中小小売業者がこうむる不測の被害を未然に防止するとともに、消費者利益の確保にも十分配慮したものであります。
 なお、改正内容が多岐にわたっているので、新法の制定、百貨店法の廃止という形式をとることとしております。
 次に、本法案の概要について御説明いたします。
 第一は、現行百貨店法の中小商業の事業活動の機会の確保という目的に、配慮事項として消費者の利益の保護を加えるものとしていることであります。すなわち、消費者物価の上昇、消費者欲求の多様化、高級化という社会的情勢への対応に配慮すべきことを規定したものであります。
 第二は、同一建物内の店舗面積の合計が基準面積をこえるものを大規模小売店舗として公示するものとし、これに入居するすべての小売業者を規制対象とすることとしたことであります。これにより、従来の百貨店に加えて、大型スーパー、ショッピングセンター等が大規模小売店舗内の小売業者として把握されることとなるのであります。
 第三は、現行百貨店法が採用している許可制を届け出、審査、勧告、命令という体系に改めることとしたことであります。この新しい制度のもとでは、大規模小売店舗において小売業を営もうとする者の届け出があった場合には、通商産業大臣はその地域の人口の推移、中小小売業の近代化の見通し等を勘案して審査を行ない、中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、店舗面積の削減、営業開始時期の繰り延べ等について勧告、命令を行なうこととし、これに違反した者に対しては、現行百貨店法の無許可営業以上の罰則を課するとともに、営業停止をも命じ得ることにしております。
 以上が大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#38
○議長(中村梅吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。竹村幸雄君。
  〔竹村幸雄君登壇〕
#39
○竹村幸雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律案につきまして質問し、政府の見解をただしたいと思うのであります。(拍手)
 今回の立法措置とともに百貨店法が廃止されるのでありますが、その背景は、昨年七月、箱根で行なわれた日米通商会議の事務当局の話し合いにおきまして、小売商業の自由化、すなわち食料品、衣料などの単品については、小売店十一店舗まで一〇〇%の自由化を認めるという決定をしたことにあるといわれております。この決定は、これまで日本の流通産業、ことに小売業につきましては、第一種指定業種として、外資は五〇%の株式の保有までしか認めないという五〇%主義をとってきたのでありますが、この原則を放棄したという意味できわめて重要であると考えるものであります。
 この小売商業におきます五〇%主義の放棄はまた、これまでの外資対策として、小売商業に大きな影響を及ぼすおそれのある巨大外資を入れないという方針の大転換であるといわざるを得ません。私は、この大転換によって、いずれは小売商業の一〇〇%自由化が全業種に及ぶことになると思うのであります。
 そこで、田中総理にお伺いいたしたいのであります。
 第一に、わが国の小売商業は、中小零細企業がきわめて多いことは周知のことであります。こうした分野を一〇〇%自由化することは、競争力を持たないまま放置されている数多くの小売商業の倒産につながり、国内に重大な問題を発生させるおそれがあると思うのであります。そこで、今後、流通産業の自由化を一〇〇%行なうのかどうか、その時期はいつか、その影響と、中小小売商業対策をどのように行なうつもりか、明確な見解をお伺いしたいのであります。(拍手)
 次に、ニクソン米大統領は、一九七三年通商改革法案及びその必要性を強調した通商教書を米国議会に提案したのでありますが、それによりますと、輸入の急増で、米国内産業や労働者に悪影響が出た場合、外国が米国産品に不公正な輸入差別を撤廃しない場合、米国の国際収支が赤字になる場合の三つの場合には、輸入課徴金や関税引き上げ、あるいは輸入割り当てといった、強力な輸入制限手段を発動できる権限を大統領に集中しようというものであります。
 これは、米国のわが国に対する資本の自由化要請とまっこうから矛盾する保護主義であります。米国のこのような自由貿易主義を放棄する態度に、何ら反省を求めることなく、米国の言いなりの経済政策を推し進めることは、国民に対する重大な裏切り行為であります。(拍手)
 今日、わが国の国際収支が黒字を続けているのは、これまでの大企業優先、低賃金低福祉による国際競争力強化のみを目的とした高度経済成長政策の結果であり、そのため、物価の高騰、住宅、土地問題、環境破壊などのひずみがあらわれ、国民生活が犠牲にさらされているわけであります。
 田中総理は、このような国民生活のひずみに目をつぶり、依然として日本列島改造論に見られるように、生産第一の政策を推進しようとしているのであります。これでは日本の労働者、中小企業者、農漁業者、勤労者などは、国際的、国内的な二重の責め苦を受けることになるのであります。
 田中総理は、自由化は国際的至上命題である、日本列島改造論は国民がいかに批判しようとも、あなた自身の野心的なものだから、これを中止する意思はない、国民の犠牲もまたやむを得ずということか、総理の明快な見解を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、通産大臣に質問いたします。
 今回の百貨店法の改正は、外からは流通産業の自由化攻勢、内からは大規模スーパーや疑似百貨店の攻勢に対して、百貨店の利益を保護することにのみねらいがあるのではないか。ことに、提案された法律案は、一方において、スーパーや疑似百貨店など大規模小売店を規制して、競争制限の方針を示しながら、他方で、百貨店の規制をゆるめるという競争促進的なものとなっており、明らかに相矛盾する考え方が見られるのであります。
 また、百貨店法では許可制であったものが、本案では届け出制になっております。この届け出制を事前届け出制にするというが、運用の面ではどのような違いがあるのか、これらの点を明確に説明していただきたい。(拍手)
 第二に、今日、労働時間の短縮や週休二日制の実施の必要性が強調されているとき、年中無休の大規模スーパーや疑似百貨店の休日や営業時間を、大都市の百貨店並みにすることが適当であり、今日的であると考えるが、どのような基準を定めようとしているのか。
 また、諸外国では、休日法あるいは小売商閉店法などによって、休日や営業時間の規制が行なわれ、商店主も店員も十分な休暇をとることになっており、わが国でもこのような立法措置が必要であると思うのでありますが、あわせて労働大臣の見解を承りたいのであります。(拍手)
 第三に、中小小売商は、百貨店やスーパーなど大資本の力に圧迫され、経営が年々苦しくなっております。したがって、大規模店等の新設や拡張、営業時間、休日などの基準の設定については、本法案のごとく、商工会議所や商工会の一部の意見を聞くということではなしに、利害関係の深い労働者、消費者及び小売業者の意見を聞くという審議会制度になければ、弱い者の意見は反映しないと考えるものであります。(拍手)
 これらの点を法律に明記すべきであると考えるが、これに対する見解を伺いたいのであります。
 最後に、現在中小小売商は、百貨店や大スーパーなどの進出によって営業を脅かされながら、消費者の要求にこたえて、流通コストの低下など自主努力を積み重ねているのであります。この中小小売商に対する振興は、消費者、国民の立場から見てきわめて必要であると考えるものであります。
 このため、政府は、中小小売商業振興法案をあわせて提案しています。同法案では、アーケードなど商店街の改造、店舗の共同化などに対して特別の融資をはかることになっておりますが、これらは、一部業者にのみ利益する施策であって、多くの小零細業者に恩恵を与えることにならず、中小小売商業振興の名に値しないのであります。
 加えて、中小企業基本法の改正により、現在より資本金規模の大きい企業が中小企業施策の中に組み込まれることになれば、小零細企業はさらに強い圧迫を受けるのであります。
 一般会計に占める中小企業対策費を見てもわずか〇・五四%にすぎず、さらに、大企業中心の財政投融資の実態から見ても、このことは指摘できるのであります。
 現在の政治課題は、生産性の低い中小企業や農漁業の生産性を高め、安定した経済の確立を行なうことが、生活と福祉を優先する真の政治であることを肝に銘すべきであります。(拍手)
 私は、以上数点にわたって問題点を指摘しながら質問いたしました。本法律案は、今国会における経済立法としては重要なものであることは言うまでもありません。総理をはじめ、関係大臣の真摯な答弁を求めまして、質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(田中角榮君) 竹村幸雄君にお答えいたします。
 まず第一番目は、流通産業の自由化の時期、自由化による影響、対策等について問われたわけでございますが、資本の自由化につきましては、わが国経済の国際化を一そう推進していく見地から、積極的にこれを進めていく方針であり、目下、外資審議会において具体的内容を検討願っておるのでございます。
 しかしながら、小売業につきましては、小売商数百四十万のうち、家族経営のものが百十万を占めておるのでございます。きわめて零細性が強いという実情にありますので、その資本自由化は、経済的にも、社会的にも混乱が起こらないよう、小売業の近代化施策の進展と歩調を合わせて進める必要がありますので、慎重に対処してまいりたいと考えるわけでございます。
 第二の問題は、アメリカ国内の保護主義とわが国の自由化についての御指摘がございましたが、先般発表されました米国の新通商法案には、若干の輸入制限条項が加えられておりますことは事実でございます。しかし、万が一にも長期的な世界経済の発展にそごを来たすような事態を招くことのないよう、また、これらの条項が成立した場合にも、これが乱用されることのないよう、十分アメリカ側と話をしてまいりたい、こう考えるのでございます。
 わが国といたしましては、今後、国際経済社会の均衡ある発展のためにも、国内産業の行動の高度化のためにも、資本の自由化や輸入自由化、輸入ワクの拡大、輸出の調整など、やるべきことはやらなければならないのであります。また、アメリカに対しましても、インフレの抑制、輸出競争力の強化、対外投資の問題等、アメリカ自身で努力すべき点は主張してきたところでございますが、これらの問題は、次第に真剣な政策課題となってきておるわけでございます。
 いずれにしましても、ここ二、三年における日米両国間の経済の変化があまりにも大きかったために、多少の摩擦が存在することは事実でございますが、従来からきわめて緊密な互恵関係にある日米経済関係の基調は、あくまでも不変なものと考えておるのであります。
 第三は、わが国の経済機構に対してのお話でございましたが、輸出第一、生産第一、重化学中心の工業から、社会福祉の充実へ、社会資本の整備、人間環境の充実整備へと、また、構造的には知識集約的産業に転換をしてまいる方向であることは、経済社会基本計画が示すとおりであることで御理解をいただきたいと思います。
 列島改造につきましては、いろいろ御批判もございますが、間々申し上げておりますとおり、高度成長の過程において、都市に人口や産業が過度に集中をし過ぎたところに、社会環境が悪化し、公害が拡大をされ、人間生活の環境整備のためには、どうしても新しい手法を必要とする状態にあることは言うをまちません。土地が上がり、住宅が不足し、水が不足をしておる事実を指摘するまでもなく、国土の総合開発が必要であることは、申すまでもないことでございまして、国民の支持と理解を得ながら、列島改造は強力に進めてまいりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#41
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一に、許可制と届け出制の問題でございますが、本法案によりまする届け出制は、事前審査制を伴うた届け出制というべきもので、ちょうど従来の許可制と届け出制の中間に位するものであると考えます。
 それで、最近はスーパーとか疑似百貨店がだいぶ出てまいりまして、これは、一面においては、消費者のためにもなっておりますが、一面においては、小売商店街に非常な打撃を与えておるところでございます。
 そういう流通秩序体系の変換に際して、ある一つの考えを持って調和点を見出して、新しいポジションを設定しようという考えでございます。消費者の利益の保護、公正競争の確保、それから中小企業、商店街等の擁護、この三つを目標にいたしまして、現在のぎこちのない体系を調整しようとしたわけでございます。
 そこで、消費者利益の保護のためには、届け出制の要素を残しまして、これによってスーパーや商店等がどんどんできるようにしてあげよう。それによって消費者の利益を確保する。中小企業のためには、事前審査制ということを入れまして、もしスーパーや百貨店の行動が行き過ぎたり、あるいは施設が過大であるというような場合には、勧告、命令による、営業停止まで含む権限を持っておるわけでございます。
 公正競争の確保という点におきましては、届け出によりまして、一応自由制を確保すると同時に、審査制によりまして、巨大なものが力を得過ぎるということをチェックしようとしておるわけでございます。
 こういうことと同時に、小売商業振興法という法律を別途に出しまして、小売商店の特別の擁護と、無担保、無保証の金融制度を今回創設いたしまして、小売商店に対する特別の配慮をしているということでございます。
 第二に、休日や労働時間の問題でございますが、この点も審査の対象に入れてあります。
 第一次的には現地で、スーパーや百貨店や商店街で話し合って調整してもらう。そして、先ほど御指摘のありました商業活動調整協議会、いわゆる商調協によりましてそれを調整してもらいまして、もし調整ができない場合には、当局が乗り出していって調整を行なう、そういう関係に立って、休日や労働時間の問題も、百貨店やスーパーや小売商店街の間で大きな矛盾や摩擦が起きないように配慮したいと思っております。
 なお、一般の声を聞くために、同法七条第二項によりまして、一般の御意見をどしどし承るように、歓迎する条文も入れてございます。
 最後に、小売商業の振興の問題でございますが、小売商業については、一面においては、国際的な自由化の波が押し寄せてきております。一面においては、百貨店やスーパーの圧力がしんしんと迫ってきております。そのために、今回は、先ほど申し上げました特別の措置をいたしまして、立法を行なっておるわけです。
 いままでも、商工会議所や商工会を通じまして、経営改善の普及とか、近代化資金の付与とか、設備の貸与とか、小売業に対する共済制度の創立とか、あるいは国民金融公庫や中小企業公庫等による特別融資とか、いろいろな制度をやってまいりましたが、今回はさらに、小売商業振興法という特別の法律をもちまして、駐車場とかアーケードとか、そういう共同事業をやる場合そのほかにつきまして、相当な援助を国として差し出す、そういうことにしたわけでございます。(拍手)
  〔国務大臣加藤常太郎君登壇〕
#42
○国務大臣(加藤常太郎君) ただいま通産大臣から休日に関しての御答弁がありましたが、私からも補足いたしましてお答えをいたします。
 お尋ねのとおり、外国には休日や労働時間を商店法によって規制している例も見られます。わが国は、御承知のように、労働者の労働時間並びに休日については、労働基準法によって統一的に規制いたしているところであります。
 ただ、大規模の小売店等の場合、店の営業時間並びに休業日は、労働者の労働時間に密接な関係があると思われますので、労働者の意見を十分聞き、関係行政機関とも協議いたしまして、これらの点につきまして行政指導上十分な配慮が行なわれるよう努力いたす所存であります。(拍手)
#43
○議長(中村梅吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#44
○議長(中村梅吉君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十六分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
 出席政府委員
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        自 治 大 臣 江崎 真澄君
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        通商産業省企業
        局次長     橋本 利一君
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ソース: 国立国会図書館
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