くにさくロゴ
1972/11/10 第70回国会 参議院 参議院会議録情報 第070回国会 交通安全対策特別委員会 第2号
姉妹サイト
 
1972/11/10 第70回国会 参議院

参議院会議録情報 第070回国会 交通安全対策特別委員会 第2号

#1
第070回国会 交通安全対策特別委員会 第2号
昭和四十七年十一月十日(金曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     星野  力君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         戸叶  武君
    理 事
                岡本  悟君
                二木 謙吾君
                阿具根 登君
                原田  立君
               柴田利右エ門君
    委 員
                岩本 政一君
                鬼丸 勝之君
                黒住 忠行君
                中村 登美君
                橋本 繁蔵君
                神沢  浄君
                中村 波男君
                星野  力君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  佐々木秀世君
   政府委員
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省航空局長  内村 信行君
   説明員
       警察庁警備局警
       備課長      室城 庸之君
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        阪田 貞之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○交通安全対策樹立に関する調査
 (北陸トンネル内における列車火災事故に関す
 る件)
 (日本航空三五一便乗っ取り事件に関する件)
 (国鉄事故防止に関する決議の件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(戸叶武君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(戸叶武君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、北陸トンネル内における列車火災事故に関する件及び日本航空三五一便乗っ取り事件に関する件について順次報告を求めます。
 秋富鉄道監督局長。
#4
○政府委員(秋富公正君) このたび、北陸本線北陸トンネル内におきまして列車火災事故を起こしまして多数の死傷者を生じましたことはまことに申しわけなく思っております。この事故にかんがみまして、私たちといたしましても十分自戒自粛、今後の対策につきまして十分努力いたす所存でございます。
 まず、北陸本線北陸トンネル内列車火災事故につきまして、御報告申し上げます。
 去る六日朝一時十分ごろ、北陸本線北陸トンネル内において、大阪発青森行の急行「きたぐに」の食堂車から出火し、死者二十九名のほか加療を必要とする者六百五十二名を生じました。
 政府といたしましはて、事件発生後直ちに運輸大臣を長とし、関係各省庁の担当局長を委員とする事故対策本部を設置するとともに、直ちに運輸政務次官が現場に参り、引き続き同日夕刻運輸大臣も現地におもむきまして被害者に対するお見舞い、現場の視察等を行なってまいりました。
 現在、死傷者の方々に対し、医療、お見舞い等につきましてできる限りの努力をいたしておりますが、さらにその万全を期するよう国鉄を指導してまいる考えでございます。
 また、七日十八時十八分ごろ、九州日田彦山線の釈迦ケ岳トンネルの手前においてディーゼル列車の最後部車両床下から出火いたしました。直ちに消火につとめましたが、鎮火は困難と認められましたので、乗客を前部車両に誘導した後、後部二両を切り離し、乗客には幸い事なきを得ました。
 このような相次ぐ列車火災の発生にかんがみ、八日、運輸大臣は、国鉄監査委員会に対し、北陸トンネル事故に関し特別監査を実施するよう命ずるとともに、この種事故の絶滅を期するよう国鉄総裁に厳重な警告を発しました。
 今後とも、車両の不燃化をはじめ、長大トンネルの防火対策、事故時の旅客誘導体制等、全般にわたる事故防止対策の確立につとめてまいる所存でございます。
#5
○委員長(戸叶武君) 内村航空局長。
#6
○政府委員(内村信行君) 今月六日に発生いたしました日本航空三五一便の不法奪取につきまして御報告申し上げたいと思います。
 まず、先般発生しましたことにつきましては、たいへん皆さまに御心配をおかけいたしましてまことに申しわけないと思っております。この機会におわび申し上げます。
 十一月の六日午前七時三十六分、日本航空の三五一便ボーイング七二七型機が東京国際空港を離陸し、福岡に向け航行中、八時五分ごろ名古屋上空におきまして、ピストルを持った乗客の一人に不法奪取され、犯人は二百万ドルの現金と東京国際空港において航空機をDC−8にかえてバンクーバー、メキシコ経由でキューバに行くよう要求するという事件が発生いたしました。同機には、加藤常夫機長以下乗員六名、乗客百二十一名が搭乗しておりましたが、機長は東京航空交通管制部に対し、ハイジャックされ羽田に引き返す旨を通報いたしますとともに、針路を羽田へ変更いたしました。
 ハイジャック通報を受けました航空局としましては、東京国際空港に九時二十分に東京空港長を長といたしまするハイジャック対策本部を設置し、関係機関と対策について検討を開始する一方、日本航空におきましては、代替機としてDC−8型機を用意いたしまして、キューバヘの飛行の準備を始めたわけであります。
 十時四十六分ハイジャックされた三五一便が着陸し、直ちに同空港を全面クローズするとともに、当該機をC−8という駐機場――これは消防署の前でございますが――に停止させました。
 政府は、十一時に対策本部を運輸省、外務省、警視庁及び日本航空の責任者から成る羽田ハイジャック事故対策合同委員会に切りかえまして、乗客、乗員の人命の安全の確保を最優先に対策を講じましたところ、まず十四時四十分ごろ、乗客全員及びスチュワーデスが無事に救出され、その後十六時五分、犯人は逮捕され運航要員も救出されました。
 ハイジャックの防止につきましては、従来から諸種の対策を講じてまいっておるところでございますが、今回の事件にかんがみ、これらの対策を総点検し、関係各省庁間の緊密な連絡のもとに、ハイジャックの再発を防止するための有効な対策を確立するようつとめてまいる所存でございます。
#7
○委員長(戸叶武君) 磯崎国鉄総裁から発言を求められておりますので、これを許します。
#8
○説明員(磯崎叡君) つつしんで先般の北陸トンネル内における列車火災事故について御報告申し上げます。
 去る十一月六日午前一時十分ごろ、北陸本線の敦賀−今庄間――福井県でございますが――北陸トンネルの中におきまして、大阪発の青森行下り急行列車「きたぐに」五〇一列車、十五両編成、定員八百名、乗車人員約七百六十名――の前から十一両目に連結いたしておりました食堂車の中に火災が発生いたしました。
 火災発生の知らせを受けました車掌は、直ちにその車におもむきまして、煙の発生しているのを認めましたので、車掌弁を引きまして急ブレーキの手配をとりました。同時に、無線でもって機関士にその旨を通報いたしました。
 五〇一列車の機関士は、うしろのほうから非常ブレーキが作用いたし、直ちにまた車掌からの通報もございましたので、緊急の非常停止の手配をとりまして、トンネルの敦賀方のほうの入口から約五・三キロの地点に停車いたしました。車掌、機関士等は、その後、車内に設備してございます消火器を使用いたしまして、約三十分前後と思われますが、消火につとめましたが、火勢が強く消火困難でございましたので、やむを得ず、前から十一両目――すなわち食堂車――とその次の車――十二両目を切り離しました。十二両目から車は十二、十三、十四、十五と四両うしろについてございます。さらに二百メートル進行いたしまして、十両目と十一両目、すなわち焼けております食堂車とその前の車とを切り離そうといたしましたが、非常に煙が立ち込めまして作業に難渋をきわめている間に電気が停電いたしまして、前途の運転が不可能となりました。
 このために、乗客を何とかトンネル内におろし、そしてトンネル外に誘導しようとつとめました。たまたまそこへ上りの急行列車「立山3号」五〇六列車が今庄口から隧道に入ってまいりました。それを五〇一列車の乗務員が緊急に停止手配をとりまして、その「立山3号」を途中でとめまして、そこへ乗客約二百人を収容いたしました。その後、その列車はバック運転でもって武生という駅までお客さんを乗せて戻っております。その後、二時二十七分ごろから午後まで救援列車を運転いたしまして乗客の収容につとめましたが、約七百六十人乗っておられたお客さんの中で軽傷を入れまして負傷者七百十九名、けさ現在で入院しておられる方が三百三十五名でございます。不幸にしてなくなられました方は二十九名、うち乗務員一名でございます。
 事故発生後国鉄バスを隧道の入口に配置し、病院との救援輸送あるいは医療機関等を派遣いたしまして救助に当たったわけでございますが、北陸トンネル内は非常に煙が充満いたしておりまして、そのために救助作業が非常に困難をきわめました。地元の警察、消防その他の一般の方々に非常な御支援を得ました。同日昼ごろ、やっと全乗客の収容を確認いたしましたので、事故の列車は十二時四十三分ごろ敦賀、今庄に引き揚げた次第でございます。
 事故の原因につきましては、福井県警察本部で目下まだ現場検証その他取り調べ中でございまして、正確な原因はわかっておりません。車につきましては私ども立ち入りを禁止されておりますので、私ども自身が立ち入って調べることができませんが、推定されるところによりますと、食堂車の中の喫煙室、すなわち台所と反対のほうに喫煙室がございますが、喫煙室附近から発火したものというふうに見られているようでございます。
 このトンネルは十三キロ八百六十九メートルございます複線トンネルでございます。乗っておりました乗務員は、機関車乗務員が三名、列車乗務員が車掌を入れまして八名、公安職員が二名、合計十三名でございます。
 私は事故発生後直ちに現地に参りまして、もっぱら、なくなられた方の弔問とけがをして入院しておられた約五百名の方々のお見舞いに伺ってまいりました。
 事故発生の翌日には、大体御遺体は全部郷里のほうへお引き上げになりまして、いまは地元には御遺体は一体もございません。幸い身元は全部判明いたしました。それだけが私は不幸中の幸いであったというふうに思うわけでございます。
 以下、いろいろこまかい点ございますが、御質問等がございますと思いますが、いずれにいたしましても、たいへん大きな事故を起こしまして、私といたしましては、これは私の全責任でございます。まことに申しわけなく、つつしんでおわびを申し上げる次第でございます。
#9
○委員長(戸叶武君) それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○阿具根登君 国鉄の今度の事故につきましては、なくなられた二十九名の方に対して心からお悔やみを申し上げますとともに、ただいまの報告では、三百三十五名の方々がまだ治療を受けておられる。一日も早く全快されることを祈っておりますが、まずこの問題よりも前に、ハイジャックの問題で一、二質問を申し上げたいと思います。
 新聞等でも報じられておりましたように、比較的、乗っておった方よりも、テレビ報道を見ていた国民の方々が非常な心配をされたというほどのものでございましたが、まあ、結果的に見まして、乗客の方あるいは乗務員の方々一人の負傷者もなくて、そして犯人も負傷もせずに逮捕することができたということは非常にりっぱな処置だったと私は思います。とともに、この種のやつがどうして防げないのかと、これは幸い今日のような結果になったからいいようなものの、もしも間違っておったならば全員死亡するようなことも考えられる。黒色火薬も持っておったと、拳銃も実弾がこもっておった、五十発からの予備弾も持っておったと、こういうことになってまいりますと、たまたま犯人が一人であったからあれは成功しなかった、つかまったということになるかもしれません。あれが二人であったか、あるいはかえの飛行機がなくて、パラシュートまで持っておるので、別な方法をとられたならば、最も憂慮すべき事件が発生したかもしれないということを考えますと、ただあれでよかったということでこれをおさめるわけにはいかないと私はこう思うのです。そうすると、拳銃等のごとき、一番検査でわかるようになっておるはずのものがどうして検出されなかったか、わからなかったか。新聞等では、確かに電波は通るけれども、電波でわかるけれども、ノリかんでさえもそれは映るから人相を見るのだと、一つ出てはきたけれども、ノリかんだろうか拳銃だろうかというのは人相で見るんだというようなことまでついておうたから、そんなことがいま時分に許されるだろうか。じゃあノリかんの中に拳銃入れておったら一体どうなるのか。ノリのかん詰めまで調べることできないでしょう。そうすると、ノリかんだけ見て、ああ、これはノリかんがこれは映ったんだなと、こう見るならば、これはもう楽々と拳銃を持ち込むことができる。一体こういうのに対してどういうようなお考えなのか。
 さらにもう一つは、火薬類は一体どうして取り締まることができるか。火薬類を持っていって、しかも、パイプ等をつなぐ場合でも鉄じゃないものを使ったとするならば、これは一体どういうふうにして見つけ出すことができるか。非常にこういう問題は私はむずかしいと思うんです。極端に身体検査なんかやれば、これはまた国民から非難を受けるし、そうかといって、何かその人の挙動を見る、人相を見る。そこまで訓練されて人間の人相を見、挙動を見てこいつはどうだとわかるほどの警察官がおるだろうかと思うのですね。そういうことであったら、これは安心して飛行機には乗れない。だから、そこは一体どういうふうな訓練をされておるのか、どういうふうにして乗客の安全を守っておられるのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
#11
○政府委員(内村信行君) ハイジャック対策の問題でございますが、これにつきましては警察その他いろんなところが関係しております。必ずしも私の責任で全部申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、概括的に私のほうとして取りまとめまして御説明申し上げたい、こういうふうに考えます。
 一般的にハイジャック対策につきましては、各空港ごとに空港保安委員会というものを設けております。そこで、その保安委員会のメンバーといたしまして、空港事務所、それから警察、国際線のあるところでは税関、検疫、出入国管理、それに航空会社あるいは空港ビル等の関係者が全部入りまして、その当該空港ごとに一体どういうふうにしたら適切なハイジャック対策がとれるかということで研究して進めているというのがまず一般論でございます。
 そこで、次に、羽田などについてどうしておるかということでございますが――その前にハイジャックの対策全般をちょっと申し上げますと、一応法令的な措置がまずございます。
 それといたしましては、先般の「よど」号の奪取事件あるいはそれに続くICAOの勧告等に基づきましていろいろやっておるわけでございますが、まず「航空機の強取等の処罰に関する法律」というものをきめまして、ハイジャック行為等に対して厳重な処罰をするということをきめております。それから東京条約に批准いたし、あるいは「航空機の不法な奪取の防止に関する条約」、これはいわゆるへーグ条約と言っておりますが、こういうふうな国際条約にも批准して、国際的な関連のもとにハイジャック対策をやるということをやっております。さらに、航空法の一部を改正いたしまして機長の権限を強化いたし、さらに航空法の施行規則を改正するとか、あるいは運送約款、これは会社の運送約款でございますが、これを改正いたしまして、機内持ち込みの禁止物件といたしまして、銃砲刀剣類については機内持ち込みを禁止するというふうな措置などをとっております。こういったことがいわゆる法令的な規制でございます。
 次に、具体的にどういうことをやっているかということでございます。とれにつきましては、実施状況は、まず、乗客、手荷物のチェック、これがやっぱり必要でございますので、これにつきましては、不審な場合には開梱を要求するというふうなことを必ずやるようにということをやっております。それから凶器探知機を設置いたしまして、これは先生御存じと思いますが、それによって金属類を探知しておるというふうなことをやっております。それから航空会社のほうといたしましては、旅客の氏名、年齢、住所、連絡先等を正確に書かせまして、虚偽の申告をしたような者についてはこれの搭乗を拒否するというふうなことをやるように指導しております。それから、これは東京国際空港の場合でございますが、旅客と送迎人、これが混雑をいたしますとまぎれやすくなりますので、これをはっきり分けまして、旅客と送迎人とを分離するためにさくをつくりまして、送迎人はここから中には入らないというふうなことをいたしております。
 それから今度、つまり先ほどちょっと話がございましたが、挙措動作、そういうものを見るためにいわゆるテレビカメラをつけまして、いわゆる金属探知機のある門をこうくぐってまいりますけれども、その場所をカメラで写し、そのほかにも数カ所カメラでもって写しておりまして、そこで一体どういう人間がどういうふうな動作をするかということを専門の警察官が監視しております。
 それから次に機上の問題でございますが、これはいわゆる操縦室と客室との間にはロックをしておるということでもって遮断するというふうなことをしております。今回の場合には、それがお茶を持っていくときにあけたということが一つの問題点となっておると思いますけれども、一般的にはそういうふうにいたしております。それから、機長と地上との間に特定の無線のコード番号をつくりまして、犯人に気づかれずに、ハイジャックされたということを地上に知らせるということができるようなことになっております。それから、機上の客室とコックピットとの間に窓をつけるとかあるいはコックピットの中にTVカメラをつけまして、客室の状態が絶えず把握できるようにというふうなことをやっておるわけでございます。
 こういったような、いま申し上げておることがその対策の大体の概要でございます。
 ただ、先ほど御質問の点の、それじゃそういうことをやっていながらどうして今後のようなピストルのようなものがそうやすやすと入ったのであろうかというふうな御疑問が十分おありと存じます。そこで、先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、実はこのように所持品あるいは手荷物というものを検査して、その検査する方法といたしまして、金属探知機を設けまして、それで何か反応した場合にはそれをさらにチェックするということをやっておるわけでございますが、何ぶんにも国内線のお客さまは非常に多うございますので、これを一々全部チェックいたしておりますと、非常に客さばきが悪くなるというふうな実際の難問がまたあるわけでございます。そこで、金属探知機というのは非常に敏感でございまして、あらゆる小さなものまで反応いたします。たとえばライターでございますとか、こういうふうなシャープペンシルでございますとか、あるいは時計とか、そういったものにまで全部反応いたしますので、この反応いたしますものについて全部詳細なチェックをいたしますと、先ほど申しましたように非常に時間もかかるし、さばき切れないというのが実は難点なんでございます。そこで、そういったものをどうするかというために、事前の情報というものが警察のほうにいろいろ入ってまいります。たとえばどういうグループがどういうふうな動きがあるとか、そういうふうな情報を常にキャッチしておるということが一つございます。その上に、先ほどのようないろいろ御指摘もございましたけれども、やはり挙措動作、そういったようなものを十分にこれは専門家が見ております。それと金属探知機がございます。この三者を総合的に判断して、もっと厳密に見るべきものは厳重にチェックをするということをやっているのが実情でございます。したがいまして、今度の場合にはたしてピストルというものが反応があったのか、なかったのか、この問題は現在警察で捜査中でございますので、これを待ちませんと、具体的な場合に反応したかしないか、これはわかりかねますが、一般論として申し上げますとそういうふうなこともございますので、かりに反応いたしましても、ああいうふうな年かっこうの、それも、一見したところではそう……普通の人であるというふうに見えている場合にこれが反応いたしましても、直ちにそれを詳細な検査をやったかということが疑問でございます。それがおっしゃる一つの盲点になっております。したがいまして、こういったものをどう解決するかというのがむしろ今後に課せられた大きな問題だろうと思います。それにつきまして、警察当局ともいろいろ相談をしているわけでございますが、今後はやはり何らかの方法をもって、もう少し厳重なチェックをしていくということを考えざるを得ない。やはりこれは一方においてお客さまの御迷惑であるかもしれないけれども、もっと大きな意味の安全を考えれば、お客さまも御納得いただいて、やはり厳重にチェックをするという方向で進めてまいりたい、そういうふうに考えております。外国あたりではやはりその……わが国でも国際線につきましてはルートによって相当厳重にチェックいたしておりますが、国内線につきましては、やはり外国に比べてチェックの程度はゆるいというのはやはり現状であるかと思います。その辺ははさらに今後検討したいというふうに考えます。それから火薬の問題でございますが、これは実はなかなか困難でございます。これはやはり怪しいものについて実際にあけてみて調べる、あけるのを拒否した者については搭乗を拒否するというふうなことでやってまいりませんと、これはなかなかむずかしい。火薬にもいろいろな種類があると思います。したがいまして、あらゆる火薬を全部調査するというふうなことの万能方法というものはなかなか見当たらない。それぞれのものについてそれぞれの方法を講じながらチェックするということを考えてまいりたいというふうに考えておるわけであります。この辺、ちょっと私、専門ではございませんけれども、概略申し上げた次第でございます。
#12
○阿具根登君 そうすると、なんですな、だれの場合どういう反応を示したというような記録なんかはないのですね。ただその場だけで、たとえば今度の場合でも、中岡ですか、彼が通った場合は反応があったかどうかわからないとこうおっしゃると、だれが通った場合に反応があるとかなんとかという、そういうところまではやっておらないのだ、ただ通るときに反応があったかどうか調べる、見るだけだ、こういうことですね。
#13
○政府委員(内村信行君) そういうことでございますが、警察庁のほうもおいでになっておりますので、もし詳しいことでしたら、警察庁のほうに……。
#14
○説明員(室城庸之君) ただいまお尋ねのありました件でございますが、犯人をただいま取り調べをいたしておりますので、その間に彼自身がどういうくふうをして盲点をくぐってきたかということについて詳しく調べました上で、われわれもその中から新しい反省点、問題点というものをつかんで今後の対策に役立ててまいりたいというふうに考えておりますが、今回の問題についてそういった盲点をつかれたということにつきましては、私どもとしても遺憾に存じておるわけでございます。中岡自身が当時どういうようなくふうをして警戒の目をのがれたかということにつきましては、そういうことでただいまはっきり私どもとしても把握いたしておりませんが、一般的に、ただいま運輸省のほうから御説明ございましたように、空港の保安ということにつきましては、空港側としていろいろ物理的にあるいは人為的に警戒していただく対策をとっていただきました上に、さらに重ねて警察の一般的な警戒力というものをオーバーラップしてやっていこうというふうな形でやっておるわけでございます。当日も国内線のロビーにつきましても、入口に金属探知機もございますし、空港側の保安要員が入口に立っておりまして、これは金属探知機に反応する反応のしかたを見ておるわけでございます。その中で、すぐそのうしろに警察官が各入口ごとに二名ずつ常時配置されておりまして、そこで反応しました者のうち、態度などから見まして調べる必要があると思われる者を、空港側の保安要員と打ち合わせしながら、抜き出して詳しく調べていくというような、一種の抜き取り検査というような形のチェックをいたしておるわけであります。したがって、その際に中岡がいわば抜き取り検査の対象になっておらなかった。特に中岡を調べたという記憶がはっきりしておらないという点で、本人が特別の対象にならなかったということは、手落ちがあったと思いますけれども、そういうような形で一応のチェックはしながらやっておるということ。さらに乗客、見送り人その他が大勢集まっております段階で一般的な空港内のパトロールを実施いたしておりまして、その中から容疑人物をやはり発見し職務質問をするというふうな努力も実はやっておったわけでございます。その段階でもこれといった不審点があってこの犯人をチェックしておるという事実はございません。したがって、警戒体制は一応とっておりながらも、当日何らのチェックを受けないで本人がピストルを機内まで持ち込んだということが事実としてあったわけでございます。羽田の場合は、国際線、国内線、それぞれ入口に金属探知機が計四カ所設けられておりまして、その金属探知機の設置場所に、いま申し上げましたように空港側の保安要員が二名ずつ、さらに警察官が二名ずつ、計八名ずつ常時配置になっております。そのほか空港の要所要所をテレビで監視いたしますセンターがございまして、そこに警察官が三名常置されておりまして、乗客の挙動などをセンターから見ておるわけでございます。さらに今回の中岡の事例について見ますと、アメリカでピストルを購入してまいりまして、これを十月三十一日に日本に持ち込んでおるわけでございまして、税関のチェックもその機会に受けておるわけでございますし、その他、国内線を使って福岡にも行っておるというふうな国内での足取りもございますので、その間に当然一般警察的な視野に入っておらなければならなかったんではないかということも反省しておるわけでございます。そういうことで、いずれにしましても、今回の犯人を十分取り調べまして、どういう形で盲点をついていったかということを十分取り調べました上で、将来二度とこのようなことが起きないように十分教訓をつかんでまいりたいというふうに考えております。
#15
○阿具根登君 私が心配しておったところはそこなんです。ただ、福岡でピストルを購入して入っていったというなら、あるいはそういうこともあるかもしれません。ところが、一ぺん東京へ来たんでしょう。それでまた福岡へ行ったんでしょう。そして福岡へ泊まった。そんなら、その間もう何回もチャンスはあったわけですね。東京から福岡に行って泊まった。そうすれば楽々とピストルを持って出入りされておるというわけなんです。ところが、そのときも調べられておらない。そうしますと、その金属探知機というものは、もうこれは当てにならないんだ、こういうふうに考えるわけなんです。非常に鋭敏だとおっしゃるけれども、鋭敏であるならば、小さいのと大きいの、ピストルと万年筆ぐらいはわかるんだと思うのですが、それもわからない。金属であったならもう大きな反応があるだけで、これはピストルを持っているのか万年筆なのか、あるいはネクタイピンなのかバッジなのかわからないということになってくると、もう金属探知機というのは、全然これは当てにならないと、こうなるわけなんですね。それはどういうことなんですか。ピストルだったら非常に反応が大きいとか、どれだけの金属であったならば非常に反応が大きいけども、バッジとか万年筆だったらまあわずかなものだと、こういうような見さかいがあってそうしてやっておられるならいいけども、同じ反応があっておるとするならば、二回も往復して見つけられていないのですからね。そうすると、今後金属探知機なんというのは全然これは当てにならないんだと、こうなるわけなんです。それは一体どういうことなんですか。
#16
○説明員(室城庸之君) あまり詳しいことを申し上げますと、また裏をかかれるということもございますが、実際にただいま使用しております金属探知機は電測社という会社がつくりました品物でございますが、アーチ型にちょうど足の部分から頭のてっぺんまでまあ線が張りめぐらされておるというような形の中を人がくぐっていくという形になっております。その間横切りますものに反応するということでございまして、まあ短い時間に反応するようなものについてはランプが一つつく。さらに長いものをこう持って入りますようなときには、その長さに応じてランプが二つついたり、三つついたりするというふうなことでございますので、刀などを持って入りますと、これはもう三つランプがつくと、かなり大きなものを持って入っておるということがわかるわけでございます。ただ、その際に、こういう形のアーチの中をくぐりますので、長時間、縦にこう入りますときには非常に長いものがそのとおりに出てまいりますが、これを横にして入りますと、わりあい長時間横切らないというような点の欠点はあります。ただ、これは反応することは事実でございますので、何かを持っておるということはすぐわかります。
 なお、この器材の点では、私ども必ずしも専門家でございませんが、こういった問題を未然に防止したいということで、各国の採用しております機械あるいは研究中の発想などについてもいろいろな情報を集めておりますが、一部からだのどの部分に品物を隠しておるということがわかるような機械も実験的に使われておるというふうなことも聞いておりますし、また、これは携帯品ではございませんが、手荷物として空港側に預けます品物を、ある時点でエックス線で中を透視して見るというようなことも実験的にやっておる国があるというふうな情報も得ております。これらにつきましては、運輸省をはじめ関係機関が集まりまして、いろいろ「よど」号事件以来、この種の問題の対策ということで検討をいたしておりますので、その場に問題を持ち上げていろいろ実用化等について検討をいたしておりまして、将来こういったものとあわせてできるだけ有効なチェックができるようにということを考えておる次第でございます。
#17
○阿具根登君 最後にですね、いままで長い間そういう検査をやられて、事故もわりかた少ないんでありがたいと思っているのですけれども、これは一度あったらたいへんなことでございますが、いままでその検査で何件ぐらい見つかったか、全然そういうものはなかったか、そういう点がありましたら教えていただきたいと思います。
#18
○説明員(室城庸之君) これは従来件数として私どもが承知しておりますのは、まあ正規の登録をいたしまして美術品としての刀を持ち運んでおるというようなものについてもこれ一応チェックをされますので、こういったものも含み、数として申し上げますと、昭和四十六年中に九百三十五件、二千百八十九点、今年一月から九月末までに二千九百九十四件、四千二百三十点というものがチェックされております。これはもちろんみんなが隠し持っておったということではございませんので、要するに、正規に持っておっても反応するということでチェックされた件数でございます。そのうち、銃器が九十二件、百三十五点、さらにその他三千件ばかり、これはいろいろな金属製の品物というものがチェックされております。したがって、相当金属探知機というのは有効に働いておりまして、相当の件数のものをチェックはいたしておりますが、調べてみましたら問題のないものであるということで通過しておるということでございます。
#19
○阿具根登君 まあ、御苦労のほどはほんとうにわかりますし、感謝申し上げますが、この種の事故が起こらないように十分なる配意をお願い申し上げておきます。
 それから国鉄の問題で、まあ時間が昼までということになっておりますから要点だけお尋ねいたしますが、十三キロもあるトンネルの中で不測の状態が起こらないかということは、これは一般常識でもございますし、地元の消防署からも忠告があっておるということは、これはきのうの運輸委員会でも相当突っ込まれております。重複しないようにいきたいと思うんですけれども、端的に質問して、食堂車が火元であったということは大体これは間違いないようです。そうして、まあたばこの火だとかあるいは炊事場の火だとかいうことがいまうわさされておりますが、とにかく確定はしておらぬようですが、その食堂車の進行からうしろのほうの被害が大きかったですか、前のほうの被害が大きかったですか。
#20
○説明員(阪田貞之君) 食堂車を境にいたしまして進行方向のほうが多かった。
#21
○阿具根登君 進行方向のほうが多かったということになれば、かりに食堂車で火災が起きたと、食堂車を切り離してそのままトンネルから出てしまったという場合だったらば、その事故だけは全く防げたわけですね、まるまる防げたわけですね。――それと、かりに火災がわかったと。トンネルの中だから確かに走れば火が走ることはわかる。しかし、あの十三キロのトンネルの中に入ってすでに三分以上たってる。そうすると、最高見ても大体七分では突っ切れる、少し速度出せば。外へ出てさえおれば被害は一番少なくて済むと思うんです。トンネルであったから私はあの被害は大きくなったと思うんです。その場合はどういうふうにお考えになりますか。
#22
○説明員(阪田貞之君) かつて、いままでいろいろ列車火災の経験がございまして、列車火災のときにそのまま突っ走りますと、第一番目は延焼の問題がございます。火力が急激に強くなる。で、隣接の車両に逐次延焼いたしましてさらに被害が大きくなることが一点ございます。それから、やはりトンネル内でございますし、その火力が増すことによって相当な、お客さんに対する非常な不安感、それが非常な混乱を起こすであろうということも一点ございます。それから、原因がはっきりしておりませんで、もしこれが台車――いわゆる台車と申しますか、台ワクより下の車の部分等に火元があったり、あるいはそちらのほうに火が回った場合には、脱線、あるいは車についておりますいろいろな機器が車から落ちまして、それに乗り上げて脱線してしまう危険もございます。それで国鉄では、ともかく火災が起きたときには直ちにとめろと、それで状況を見、まず消火につとめて、さらにあぶないときは車を切り離せということをあくまでも原則として指導しておるわけであります。
#23
○阿具根登君 結果論でものを言うから皆さんに申しわけないと思うのですけれども、しかし、かりにこれを食堂車で切ったと、そうして走ったと、そうすれば、最後は食堂車から火が出ておるから食堂車は全部燃えてしまう。走れば燃えますからね。食堂車に乗っておる人も食堂車の前の車に乗せるかあとの車に乗せて、そこでぶち切って走ったら私は食堂車が燃えるだけで何も前の車は燃えないと思う。そうですね、走っているんだから。食堂車はもちろん燃えますよ、燃えますけれども、火元が食堂車だ、火がついたあと、あそこでずいぶん時間たっておるのですね。おりてくれとか、のぼってくれとか。これで相当な責任を私は国鉄は負わなければいかぬと思う。あのとき適切な処置をされておったならば、これまで大きな事故に私はならないと思う。だから、それ以前の問題として、その問題はその問題として、ただ漫然として、トンネルの中であってもどこであっても、火が出たらとまれというような訓練をされておる、指導をされておる。いまの話でもそのとおり。なら、トンネルの中は、たとえ汽車が走らなくても、あれは煙突です。当然風が流れている、あの中を。非常に火は早いです。だから、どうしてそういう訓練をされなかったか。ぼくは炭鉱だからそういうことをいつも考えるんです。これは炭鉱と同じです。トンネルの中です。そうすると、火の出た車だけを犠牲にすればいいんだ。そうしてその他の人は、それからぶち切っちまう。そうしてそれを連れて走ったら、けが人はなくて、国鉄は一台は損するかもしれませんけれども。そういう訓練はやられたことありますか。
#24
○説明員(磯崎叡君) いまの先生のお話、お話としては私、よくわかります。あのときの状況を、私も現地に行って中に入ってみましたけれども、乗務員はまず先に、食堂車のうしろ寄りが焼けておったものですから、いわゆる食堂車が十一両と申しますか、あと十二両、十三両、十四、十五と、食堂車のうしろにまだ四両つないでおりましたので、とりあえず食堂車と、それに一番近い十二両を切ったわけでございます。そうして、十二両、十三両、十四、十五に乗っているお客さんはとにかく早く敦賀口へ出してしまうということをひとつやったわけです。そのときには、これはあとの話でございますけれども、私の判断では、まだ消せると思ったと思うのでございます。そうして、あの車には消火器が六本か七本乗っておりましたので、機関車乗務員の持っておる、機関車に乗せておりました消火器まで実は持ってきております。そしてあの機関車乗務員がすぐ現場へ――食堂車へ来ておりましたので、そこで車掌と打ち合わせして、とにかく消そうという話をしたように聞いております。それで、それじゃあ消火器全部集めろということで、機関車まで取りに行って戻ってきた。そしてうしろのほうだけ、とにかく食堂車に近いところだけは、早く、あぶないからうしろの客車だけ切り離してしまった。そうして消せると私は思ったと思うのでございます。そこの判断に一つ問題があるかと思います。私、まあ身びいきのようで非常に申しわけございませんけれども、私はあの当時そこに関与しておりました機関車乗務員あるいは車掌、乗務掛――昔の列車ボーイでございます。この連中のあの三十分ないし四十分間における消火作業に対しては、私は相当全力をあげてやったというふうに思わざるを得ないのでございますが、それはもちろんあとから判断いたしますと、少し思い切りが悪かった。もっと早く、もうだめだと、思い切って前を切ってしまって行けばよかったと思うのでございますけれども、まあとにかく消してみようということで、相当な尽力をしたと私は見ております。その一つの例といたしまして、五〇一列車の機関車乗務員が一人なくなっておりますが、これは消火器を持ったまま死んでおります。そういう意味で、私、現地を見ていろいろ話を聞きましたけれども、そこを責めれば責められるかと思いますし、実は新聞では、私、非常にそこは私、責められました。まず乗務員のたるみだということを私、言われました、敦賀に参りましてすぐ。私は、そうじゃないと、これはどう考えても、あのとっさの場合に、確かに人数は相当乗っておりましたけれども、全員がとにかく消そうという気持ちでもってやったことだけは、これは善意であるし、認められると私は思いました。ただそれを、四十分と大体推定されておりますが、とまりましてから四十分でございます。ですから、消火を始めてから三十五分ぐらいだと思いますけれども、それが長かったか短かったかという問題はあるいは残るかと思いますが、しかし、その場の判断でございまして、かりに私が車掌だったといたしましても、あるいは全力をあげて消すことに努力したかどうか。私はたぶんそうしたんじゃないかというふうに思いますので、私は責任者としては、あのときの乗務員の、何といいますか、責任云々という気になれず、どうしても私は、彼らは全力をあげて消火することに力を注いだと、そしてもうだめだと思って、それじゃ走ろうということで前へ少し走ったわけでございます。そうして二百メートルぐらい行きましたところが、もうすでに食堂車はだいぶ焼けてしまって、そして食堂車から出た熱でもって――トンネルに架線がございますが、その架線の上にもう一つメッセンジャーという細い架線をつっているワイヤーがございます。そのワイヤーに上から、ずっとこう水抜きのといが置いてあります。そのといが熱では、ずれまして、そしてショートしたわけでございます。それは的確にはわかっておりませんが、たぶんショートしたんだろうと。そこで停電いたしております。ですから、もうだめだと思って切り離す作業に相当時間がかかったことは確かです。そのときはすでに相当煙が巻いていたと推定されています。わりに客車と客車の切り離しは、連結器以外にいろいろほかに切り離す部分がございますので、ちょっと時間がかかるわけでございます。それを一生懸命やっているうちに、もうだめだと、そのうちに停電してしまったということではないかと思うのでございまして、その点、お客さまからも、とまってから見捨てるまでに時間があり過ぎるというお話も承りましたし、新聞にも書いておりますけれども、私は、かりに私があの際おりましてもやはり火を消すことに全力を注いだんじゃないかというふうに思います。これは第三者の公平な判断にまつことになるかと思いますけれども、私は、身びいきと申されてはあれでございますが、うちの職員はあの際全力を尽くしたというふうに確信をいたしておる次第でございます。ただ、停電いたしましたことにつきましては、後ほど御質問があるかと思いますが、いろいろまた問題がございますが、一応あの場の三十分ないし四十分の――結果から見ますと、非常に時間をロスしたんじゃないかというお話――いま先生の御質問はロスという意味じゃないと思いますけれども――あの時間がなぜたったかということにつきましては、私はこういうふうな見方をいたしております。
#25
○阿具根登君 いや、よくわかりました。確かに乗務員の方が全力をあげられたことは私もよくわかります。ただ、その基本的な問題として、私はさっきの御質問をしたわけなんです。そうすると、日本で二番目だといわれる十三キロのトンネル、また今後も、おそらくこれからトンネルが多くなると思うのです。日本はトンネルの技術は世界一だといって、なるべく金のかからぬようにトンネルばかり掘っていっておりますがね。そうすると、そういう場合の対策というものはもうなくなっちまう。それは乗務員は、自分がなくなるほど一生懸命やっておられるし、確かに食堂車内の女の方々も犠牲者もおられますけれども、これを避難させたとか男は全部残って消火につとめたとか、これは実際もう頭の下がる行動をされておることは新聞でも私はうかがい知ることができます。私はそれを言っておるわけじゃないんです。それを言っておるわけじゃないんです。ただ、トンネルというのはこれは煙突と同じじゃということを私は主張しておるわけなんです。そういう場合の訓練がどういうふうに行なわれておっただろうかですね。ただ消火だけに一生懸命にやるように訓練されておったなら、この人たちはほんとうにまじめであるし、みじめな姿であり、また世間からも冷たい批判も受けておる。事実なんです。だから、そういうトンネルの事故の場合に、そういう訓練だけであったのかということが指摘されるのと、一体今後それでは長いトンネルに対してはどういう対策を立てられるか。いま地下鉄もうんとあります。今度また北海道まで大きなトンネルを掘っております。そういう問題を考えてみます場合に、一体どういうことをされるのか。トンネル十三キロに、空気抜きといいますかガス抜きといいますか、こういうのは幾つぐらいつけておりますか。
#26
○説明員(磯崎叡君) いまの先生のお話のように、これからやはり新幹線その他にトンネルが非常に多くなります。これは市街部分では――町の部分では地下になりますし、そうでないところは大体トンネルということになるだろうと思います。そういたしますと、いまお話しのとおり、確かに長大トンネルがふえてまいります。したがって、私どものほうといたしましても、いま実は五キロ以上のトンネルが、いわゆる長大トンネルと申して、これが十八ございます。そのうち六つが新幹線、十二が在来線でございます。これらのトンネル、いままで実はたとえば丹那トンネルのようなのはもう約四十年近くたってまだ一ぺんもこういう事故がないというふうなことで、率直に申しまして、私どものほうのトンネルに対する考え方がトンネル内の火災ということはまあ逃げられるのじゃないか、いま先生がおっしゃられるように、とにかく走り抜けられるのじゃないかというふうな甘い考えがあったということは、私、率直に認めざるを得ないと思います。それをごまかして御答弁したのじゃ間違えますので、それを前提として、しからば今後どうするかという、いわば百年たってトンネルに対する感覚を全く変えてしまうということをどうしてもやらなければいけないと。やはりトンネルの中である程度――万が一でも、千万が一でもそういう火災が起こるということがあり得るので、トンネルの中のエマージェンシーを考えなければいけないということを前提として、たとえばいまお話しの青函トンネル、これは五十キロございます。一体これに、これは換気の問題もございますと同時に、いまの避難の問題、これについてはずいぶん技術者もいろいろかねがね研究いたしておりますし、多少の具体案もいま出ておりますけれども、いずれも非常にむずかしい案でございまして、これはいまの英仏のドーバー海峡でも非常に問題になっておる問題でございますが、いずれにいたしましても、換気――高速自動車道は大体七キロが最高のトンネルになっております。それ以上は排気の関係でドライバーが一酸化炭素にまいりますので、大体高速道路は六キロが最高というふうに承っております。これは排気がございますから、とにかくあそこはもう換気するのだ。そのかわり一たん火災が起きたらこれはぼっと燃えてしまうわけでございます。そういうその、換気すべきなのか、火が起きたときに換気穴があったのがいいのか、それともないほうがいいのかということは、非常にいまの防災上問題になりまして、いま学者の間でも、かえって換気するとあぶないんだということを言っておられる方も相当おられます。現にあのトンネルの場合には三カ所ございまして、これはそのために――たいへん申しわけないのですが――そのためにつくったというよりも、工事中につくりました斜坑でございまして、斜坑が二本入っております。それから立て坑が一本入っております。それはそのまま残してございます。これは私どもでは、換気と、それから坑内の作業に入るのに、両端から入るよりも入りやすいものですから、線路保守の作業などに入るためにそのまま残してございます。今度はそれは実は避難坑の役をいたしておりません。むしろ、それは非常にたいへんな黒煙が、やっぱり外から見た人が、山に斜坑の口がございますから、相当そこからやっぱり煙が出ていたというふうに聞いております。今後たとえばトンネルのセクションをうんと大きくするとか、あるいはトンネルのほかにもう一本トンネルを掘って、そっちはしょっちゅうフレッシュ・エアが、エア・カーテンかなんかにいたしまして、フレッシュ・エアをしょっちゅう通わせる。そうして本トンネルともう切ってしまう、空気の流通がないように。人は出入りはできますけれども、エア・カーテンでもってシャットしてしまう。そうして細いトンネルのほうを避難坑にするというふうなことも実は考えられて、非常にその長大トンネルの今後の問題というものは、いま実は私どものほうでも数年来いろいろな学者の知恵を借りて勉強いたしておりますが、必ずしもいままでのところ、これなら絶対だいじょうぶというふうなまだ名案が確定するまでに至っておりません。しかし、まあ、いろいろの知恵を借りてやっておりますし、さしあたりは換気がどうしても必要でございます。換気はしなきゃいけない。ただ、燃えたときに、ほんとうにそこに空気を送って燃やしてしまったときに、自動車はばらばらでございますけれども、うちの車はとにかくつながっておるわけでございます。そこに非常に一つむずかしい点があって、今度の例から申しましても、簡単に切れないということなどもございます。したがって、いま先生のおっしゃったように、やはり火事の起きた車をかまわないから早く捨ててしまって出てしまうという、きわめて原始的なことになりますけれども、そういうことも一つの方法だと――これは対策にはならないかもしれませんけれども――一つの方法だというふうに考えられますし、あるいは、中にもっと大型の消火器を置いて、それを乗務員が扱えるようにするということも考えられると思います。しかし、今度の場合でも、むしろ火よりも煙でございました。私、たくさんお見舞いに参りましたけれども、やけどをしておられる方一人もおられませんで、ほとんど煙でございました。その意味で、火事と申し上げますよりも、やはり煙でございますので、対策が非常にその意味ではむずかしいことになるかと思います。あのとき、いろいろあとから調べますと、煙の筒になって、三百メーターぐらいの煙の筒になって、それが列車が入るたびにこっちへ動いたり、こっちへ動いたり、煙の筒が動いているわけでございます。ですから、ある時間帯に、今庄口が非常に楽に入れた、そのときは敦賀口が非常に苦しかったというふうに、長さ三、四百メートルの筒状になりました煙がこうずっと移動しておったように――それはまあ学問的にもそういうふうになるそうでございますけれども――そうなりますと、なかなか簡単な対策ができるかどうかわからぬ。まず第一に、やはり火を起こさないことがまず第一だと思いますし、これはもうあらゆる消防の方のお知恵も拝借いたしまして、不燃車両については全力をあげますけれども、しかし、万が一にはやはりこういうことがあると思いますし、かりに乗客がそういうものを持っておられて火事になるということもないわけじゃございません。そういうことで、もう長大トンネルの中のエマージェンシーを防ぐという前提でいろいろ考えているわけでございます。
 実はこの間の千日前の事故がございました。私どもあれを聞きましてすぐ心配になりましたのは、やはりトンネルと私どものほうの大きな地下駅でございます。東京の地下駅、これは地下五階、東京駅がいま使っておりますが、これはいま消防庁の方にずいぶんいろいろアドバイスをいただきまして、いま日本で考えられる最大の消煙、消火設備をつくってみたわけでございますが、これも長大トンネルを使う第一歩として実はやったんでございますけれども、それも今後それをどういうふうに長い面に及ぼしていくかという点についてまだまだ残念ながら研究、勉強の余地がたくさん残っております。しかし、とりあえず、いまさしあたりはとにかく消火器、相当大型の消火器で、しかも、しろうとで操作できるような大型の消火器をとにかく設置する。それからマスクでございますが、このマスクも、先生もよく御承知のとおり、なかなか一酸化炭素向きのマスクとそうでないマスクといろいろ種類があるようでございまして、しかも、普通のマスクは大体三十分か一時間ぐらいしかもたない、すぐチャージしなきゃいけないというふうなこともあるようでございます。それらについてももっともっと勉強いたしまして、しかし、とりあえずマスクとそれから消火器、これはもう全長大トンネル全部備えつけるということにいたしました。
 しかし、その他、これはちょっと御質問外になるかもしれませんが、無線は前とうしろ、生きております。連絡できております。つまり、車掌と機関士はトンネルの中でございますれば無線で連絡いたしてやっております。ところが、トンネルの中の無線が外の駅につながっていないわけでございます。それは普通の電話でやっているわけでございます。ですから、通信がどうしても二段になっておる。今度は、何とかそのトンネルの中の無線を駅でもってすぐ傍受できるように――これも多少の時間がかかる、まあ一、二カ月かかると思いますが――これは何とか至急やはり長大トンネルに布設いたしまして、すぐじかの情報がわかるようにしたいというような――こまかいことになって恐縮でございますけれども――そういう具体的な問題について、いまとりあえずの策として五つか六つの具体策を考えまして、とりあえずきのう、おとといのうちに決定いたしまして実施いたしたわけでございまして、先生のお話の根本的な長大トンネルの排煙問題はもう少しやはりどうも勉強しないといけないんじゃないかと、まあ、非常に率直に申し上げて、あれでございますけれども、そういうふうに思っております。
#27
○阿具根登君 私たちもまあしろうとですからね、こうして考えると、もうほとんど鉄でつくっておる客車が何でこんなに火が出るんだろうかという考えも持つわけなんですよ。ところが、九州の日田彦山線の釈迦ケ岳トンネルの前の問題でも、これも完全に火が出ている。すぐトンネルの前だったから、これはとまって、それでこれはだめだということになって乗客をおろしてまあ汽車が走ったということになってみると、事故にはつながっておらないけれども、再々車から火が出るものかどうか。そうすると、いまの金属類だって相当発達しておりますから、そんな燃えるようなやつを使わなくても、相当な部分はこれは防げるんじゃなかろうか。どうしてそんなに列車に火事が起こるか、こういう問題が一点と、それから、まあ先ほど御報告のありましたように、三百三十五名の人がまだ病院におる。そうすると、ほとんど煙でやられておると言われるならば、ほとんど一酸化炭素を吸っておると思うんです。で、まあ、こういうところですから、炭鉱と違いまして、こういう事故なんか予測もされないし、そういうこともないから、おそらく治療が非常に手おくれになったと思うんです。こういうところに高圧酸素があるわけでもありませんし、高圧の治療機があるわけでもありませんし、まさかこういうところに九大とか北海道の病院からそんなものをお借りするわけにもいかないから、一酸化炭素の患者が相当発生しておるならば、これは相当長期間の療養を要する人と相当苦しむ方々が私は多いと思うんです。この患者に対する今後の処置はどういうようにお考えになっておるのか。さらにまた、犠牲者に対しては三十万か香典お出しになったということは新聞に出ておりましたが、どういうような補償措置を考えておられるのか、それをひとつお伺いして私の質問をやめます。
#28
○説明員(磯崎叡君) ただいまの車両のほうはちょっと技術的になりますので、後ほど阪田君から……。
 まず、なくなった方に対しまして、おとといの日に、八日にお葬式が全部皆さんお国元で大体お済みになりました。
 いまおっしゃった今後の問題につきましては、いろいろ私のほうもほかの飛行機とかいろいろの例もございますので、しかし、何と申しましてもこれは私のほうの一〇〇%の責任でございます。これはもう全力をあげてできるだけの御弔慰を申し上げたいということをはっきり考えております。すでにもう各御家庭に地元の管理局から人をつかわしまして、そろそろいろいろお話も内々承っておりますが、まだ、四十九日あとというのが大体例になっておりますので、ぜひそういう方法で進ましていただきたいと思っております。
 それから病院に入院されております方、私もほとんど全部お目にかかりました。一酸化炭素中毒で非常にやはりこう黒くなっておられます。私実は二、三ちょっと安心をいたしましたのは、非常に今庄あるいは敦賀武生、鯖江という町、市でございますが、いずれも非常に病院が整っておりまして、そうしてほとんど私、全部院長にお目にかかってまいりましたけれども、一応一酸化炭素の中毒についての勉強は緊急になすったようでございまして、まずとにかく後遺症を残さないためには酸素をとにかく吸わせなくちゃいかぬということで、非常にうれしかったのは、高圧酸素はございませんでしたけれども、非常に驚くほどたくさん酸素吸入器を持っておられました。まあ、ほんとうにああいうところでもってよくこれだけ酸素がそろったと思い、たぶんよほど県の厚生部――衛生部ですか、非常にやはり協力してくださいまして、きっと各地からお集め願ったと思います。ほとんど各病院には、少なくとも普通の酸素吸入はわりあいに潤沢になっておりました。どの院長さんも、やはり非常に心配だ、しかし幸い吸っている時間がわりに短かった、大体三時間か四時間だから、何とか私どももひとつやってみますから、安心はできないけれども、できるだけ後遺症のないようにしてあげますからという、これはほとんど各院長さん口をそろえてお話しになりましたし、またしょっちゅう町でもって、きのうもあったそうですけれども、院長が会同されまして、そうして後遺症についてのいろいろ打ち合わせをしておられます。
 それから非常に私、失礼だと思ったのでございますけれども、先生、御承知の九州大学の黒岩先生、この病気の大家でございます。この黒岩先生に実はお願いいたしまして、現地へきょう行っていただきます。まあこれはお医者さん同士でそういうことをしていいかどうか非常に私、迷いましたけれども、しかし日本の最高の大家であられますので、一応黒岩先生にお願いいたしまして、敦賀と今庄と鯖江の病院にずっと行っていただきまして、きょうたぶんもうお着きになっていると思います。あの先生に御相談、あるいは見ていただいて、そしていまやっている治療法がはたしていいかどうか、それでもう一ぺんひとつきょうからたぶんずっと回っていただいていると思いますが、それは手配いたしたわけでございます。それからもう一つ、先生御承知の、やはり肺炎に非常になりやすいそうでございます。私、お見舞いに参るときも、やはり肺炎で熱の出ている方が相当おられます。これは何かちりが気管から肺に入るというわけで、これはそのために命を失うことはまずないというふうにおっしゃっておりましたが、どの先生もやはり肺炎と後遺症に非常に気をつかっておられました。それから、実は一昨日でございますが、五十八歳になる御婦人の方が急に容体が悪くなりまして、そしてヘリコプターを借りまして、京大病院には酸素の高圧がございましたので、そこへすぐ持ってまいりました。そうしたら幸いきのうからすっかり元気になられまして安心いたしましたけれども、そのほか、幸いあそこに畳敷きの列車がございますので、もしくにへ帰って療養したいという方には、きのうもお一人、あの畳敷きの列車で特別列車をつくりまして、そしてやはり京大の病院にお入れしたというふうにいたしました。それで、全力をあげて、私どももあとのお手当てをいたしたいという気持ちでおります。もし何かお気づきの点がございましたら、ぜひまたいろいろ御教示賜わりたいと思います。
#29
○説明員(阪田貞之君) 初めに御質問のございました、車両がはがねであるにもかかわらずなぜ火が出たのかという御質問でございますが、われわれのただいままでやってまいりました火災対策の根本は、やはり御指摘のとおり、まず火を出さないことと、次は、火が出たときに燃え移らないことを原則にして今日までやってまいったわけでございますが、車にはどうしても過熱する部分がございます。一つにはブレーキをかけるときに制輪子が、鉄と鉄とが一緒になりますと、そこから火花が出ます。そのうち出た火花がいろいろ下の機器についております油につきまして、それから火のもとをつくる、これがまた一つでございます。
 それから先般の彦山線の事故にいたしましても、ディーゼル・エンジンは、エンジンを燃やしておりますので、これもかつての「はつかり」の事故以来ずいぶん技術的には研究してまいって、逐次年々ずっと減ってまいったのでありますが、先般の明確な原因はわかりませんが、エンジン関係の一部の悪さが原因になっているのではないかといま考えております。そういうエンジン部分の火を使っているもの、あるいは雷害がございます。雷が落ちまして、それがもとになって火になるということもございます。これで、ただいままでは車両そのもので考えられるものにつきまして、過去に桜木町という苦い経験もございまして、年々技術的にしてまいったのでありますが、まだ完全にこの火もとを押えるところまでには至っておりません。
 それから不燃化の問題でございますが、鋼鉄そのもの――腰かけもカーテンも何もかもすべてが鉄製のものであるならば、また床にも水以外は何も使わないというような完全構造になり得るならば、これは完全な不燃化という関係になるわけでございますが、ただいまいろいろな研究して燃えない材料、燃えないカーテン、燃えないこういう腰かけのモケットいろいろやっておりますが、現在のところは完全不燃というところまでまいりませんで、これはまだ難燃でございます。したがいまして、列車みたいに相当な速度で走って、火吹き竹で火に酸素を注入するような相当火力の強いときにまでたえ得る材料までは、ちょっと研究されていないような状態でございます。今後一そう研究してまいりたいと思います。
#30
○原田立君 彦山線の事故のことなんですけれども、過去十年間のうちに何か二百九件列車火災の事故があったと、こういうふうに聞いておりますけれども、その点、どうであったのか。それから、どういうふうな状況でなったのか、それを御報告願います。
#31
○説明員(阪田貞之君) 年々の件数を参考に申し上げますと、昭和四十二年が十六件、昭和四十三年が二十四件、以下四十四年十七件、四十五年二十一件、四十六年二十六件、四十七年が十一月までで六件となっておりますが、このうち、先ほど申し上げました比較的火元の大きいのは制輪子の過熱の問題、それからたばこ等の不始末の問題、それからエンジンの過熱の問題等があがっております。
#32
○原田立君 今度燃えた車両はキハ55型というようなことであるそうですけれども、この車両は現在どのくらい全国に使われているんですか。
#33
○説明員(阪田貞之君) ただいま二百十三両を保有しております。
#34
○原田立君 このキハ55型というディーゼルカーは二百十三両あるというんですが、これは全車両に比較してどのくらい多いんだか、その点がよくわかりませんけれども、現にいわゆる現役として使われている車両である。この形のディーゼルカーが、先ほどの過去十年間に、いろいろな理由があったにせよ、二百九件もあったと、こういうことになると、外的なたばこの火であるとか、そういうようなもので起きるのはこれは別にしまして、車両のいわゆる欠陥ですね、車両自体の欠陥によって起きる事故というのは、これは何とか撲滅していくようにしなければならぬわけです。そういう点について、総裁、これはどうなんですかね、このキハ55型ディーゼルカーの使用については、もう抜本的に使わない方向に進めていくとか、もっと二歩も三歩も前進した研究をされて、安全度が確認されなければ使わない、このくらいの姿勢でいかなければ、再々また起きるんじゃないかと心配するんですけれども。
#35
○説明員(阪田貞之君) ただいまの先生の御質問の中に、若干私の説明不足で誤解がございましたので、先ほど申し上げました昭和四十二年以降十六件、二十四件と申しますのは、客車もそれから電源車とかいろいろな種類も含めましてのこれは数でございまして、気動車だけでは年々大体二件から四、五件出ております。しかも、それも全部いまのキハの55が事故となっているものではございません。ちょっとそれだけ補足させていただきます。
#36
○説明員(磯崎叡君) ただいまの原田先生の御質問でございますが、もう少し原因が――私はこれはそうむずかしくない原因が判明いたすと思います。たぶんもうエンジン部分であるということははっきりいたしておりますし、まあ、燃えた状況にもよりますけれども、大体技術的に見れば、的確と言わないまでもそれに近い原因は発見できると思っております。したがって、それは若干の火の部分と油の部分を擁壁で防ぐというふうなことをやりますれば、これはそうむずかしい工事でなしにやれるというふうに思っておりますし、大体、実はいまそういう方向で火災を起こさないものにつきましても、エンジン部分をなるべくブロックごとに、何と申しますか、遮蔽と申しますか、ブロックに切っていくというふうな工事をいまやっておりますので、その工事を大体進めていきますとこれは私は防げるんじゃないかというふうに思っておりますが、ちょっと私はあまり技術者じゃございませんのでこまかいことはわかりませんが、方向としてはこれはそうむずかしい事故ではないんじゃないかというふうに私は思っております。
#37
○原田立君 総裁の考えている認識と私の認識はだいぶ違うんです。というのは、この車両はことしの六月に定期検査を受けたでしょう。また九月に定期検査を受けている。そのように聞いている。九月ですよ、二ヵ月前ですよ。それがこんな火を吹いたと。これはもう完全に車両に欠陥があるんだと、こう見ざるを得ないんです。もし欠陥がないんなら、こんな事故は起きなかったはずだと思います。その検査ミスか何かがあって、実際には欠陥があったのを発見できなかったというならこれは話は別ですよ。だけれども、少なくとも定期検査を受けているとなれば、これは信用せざるを得ない。ところが、検査を受けながらなおかつこういう事故を起こす。これはもう完全に車両自体に欠陥があると、こうぼくは思うんです。だから、これに対して、このディーゼルカーについてですね、キハ55型ですか、中途はんぱなことをしているとですね、やっぱり第二、第三の彦山線事故のようなことが起きると思うんです。あまり認識を甘くしないでもっと厳重にしてやるべきだとぼくは思うんですよ、その点はどうですか。
#38
○説明員(阪田貞之君) そのキハ55型で過去起こっております事故は、今回出ましたようなエンジン部分のものというよりも、一回は温気暖房、一回は変速機が過熱したものでございまして、すでに昭和三十一年以降使っておる車でございます。それで、なかなかこういうものをいろいろ車両の事故――いままでこれに限らず車両の事故というのは初期にたいへんたくさん起こって、それに対していろいろ手を加えまして逐次おさまるもの、また、ときどきひょっと出てくるもの、いろいろございますが、設計不良のものと、製作工程でいろいろ不良が生じたもの、あるいは製作のときはよかったけれども、何か長い間に材質が少し変化したために起こってくるものといろいろございまして、今回、もしも過去にこのようにエンジン部分の事故が多発する、あるいはそれに疑わしいものがひんぱんに出ているというんでありましたら、もうすでに十年以上から使っている車でございますから、すでに出ていたんではないかと思います。いま先生のおっしゃるような、車両そのものが根本的に欠陥があるというよりも、エンジン部分をもう一度綿密に検査し調査すればそれは防ぎ得るものと考えております。
#39
○説明員(磯崎叡君) いま阪田が申したとおりでございますけれども、実はいま先生のおっしゃったとおり、あるいはその点検ミスなのか、その点はまあ別といたしまして、キハ55二百何両、これは全国に散らばっております。これを緊急にエンジン部分だけ全部――昨日でございますが――指令を出しまして一応全部点検さしておるようなわけであります。一応これでもって点検して、そうしてそれをまた、いまのところ何らほかにそういうミスがあったという報告ございませんが、とりあえず全部数日間のうちに点検しろということを指令いたしました。もしほんとうに先生がおっしゃったとおり本質的な欠陥があれば、これはもう考えなければいけないと思います。しかし、現実には大体いまの点検の結果を見ました上で見当が――結論が出ると思いますけれども、いまのまま、その部分を何らかの手当てをして使える車であるというふうに私は思っております。まあ、点検の結果によりまして、あるいはそういうおっしゃったようなことを考えなければならないかもしれませんが、大体だいじょうぶじゃないかという見通しでございます。
#40
○原田立君 人を疑うのはどうかと思いますから、総裁、そこまで言われるんだったら、事故の再発が防止できるであろうと、これは信用するのですけれども、ディーゼルカーに火災が多いのは、車両ごとに燃料タンクがついていて、軽油が燃えるとごみがつきやすくなり発火しやすい、あるいはまた、エンジン部分の構造が電車などに比べて複雑で操縦がしにくいため汚損が激しい、こういう欠陥をディーゼルカー自身はもともと本来持っておるのです。ここら辺も改善しなければ第二、第三は起きますよ。電化されない前ならば、このディーゼルもやむを得ないのかとも思いますけれども、そこら辺の技術的な研究もしておかないとだめだと思うのですね。点検した結果、やっぱり構造改善をするところはもうがっちりやって、そうしてこういう事故が起きないようにしなければならぬと、こう思うのです。ほんとうに北陸トンネルのように、トンネルの中でもし燃えていたらこれはたいへんな問題でしょう、幸い手前であったからいいようなものの。そう思いますと、何か総裁の言われることや、あるいは技術の関係でお答えになるのが、何か楽観視していて、甘い考えじゃないだろうかというような危惧、心配をするわけです。厳重にやってもらいたいと思う。
 それから、そのディーゼルカーの点検をするということだけれども、これは最終的にはこうであったと、こういう結論であったということが私に御報告願えればけっこうでございます。また、当委員会にはかって報告してもらっても、それ、どちらでもけっこうです。
#41
○説明員(磯崎叡君) 承知いたしました。
#42
○原田立君 それから北陸トンネルのほうのことについては、もういま阿具根委員からいろいろと質問があったので一点だけお伺いしたいと思うのですが、いわゆる安全対策費ですね、国鉄のこういう火災等全部含めて事故の安全対策費二百五十億円ぐらいであるということを聞いておりますけれども、国鉄の全体の営業経費から見ればわずか二%である。これはしばしば今回の事故は国鉄の一〇〇%のミスである、こういうことをお認めになっておられるけれども、ということは、裏を返せば、交通安全対策についてはもっと予算もつけたりして整備していく、そういう意味も含まれるのかどうか、その点をお伺いしたい。
#43
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問、確かにそういう御疑念がおありになると思います。多少古いことになりますが、実は私ども昭和三十七年に三河島で大きな事故をやりました。その翌年、三十八年にまた鶴見で大きな事故をやりました。相当多数の人命を失いましたが、その以後実はもう思い切ってひとつ根本的に保安対策に金をかけるべきだということで、ちょうど十年になりますけれども、幸い私は何とか自分の在任中死者ゼロという記録を維持していきたかったわけでございます。幸いこの事故の始まるまでほぼ死者ゼロで――ほぼと申しますのは、御本人の過失であるいは自動車が途中から落っこってきたというふうな、鉄道として防げなかったことはこれは一応別といたしまして、そういうことでなくなった方が三人ほどおりますが、それを除きますと、十年間で死者は、なくなった方は少なくともないという結果が残りました。裏から申しますと、それはもちろん職員が一生懸命やったこともございますけれども、金を約二千七、八百億かけております。やはり、端的に申しまして、おっしゃったとおり、確かに金をかければそれだけのことはあると私は思います。ことしの予算をつくりましたときにも、いまおっしゃった大体二百五十億の直接保安対策費と、それに私のほうでは、たとえば複線電化いたしますと、そのときに、踏切をなくすために高架にするとかあるいは駅の構内を大きく改良するときに、いままでの機械でやっていたものを全部電気に直すとか、そういう保安対策を含めてやっております。そういうものを全部合わせますと大体二百五十億の三倍――七百億から八百億を毎年かけておる結果になっております。ことしのうちの予算が約五千億でございます。そのうち新幹線が二千億ございますので、二千億除きますと三千億でございます。もちろんこの三千億も、御承知のとおり六月に法案が流れてしまって資金手当てがおくれておりますが、その中でも私は保安工事は最優先だということで、あるだけの金はまずまっ先に保安に使っておりますが、ことしはおかげさまでいま補正予算で一応全部借金でめんどうを見ていただきましたので、これが通ればもちろん予定どおり七、八百億の金はかけますが、今後、大体それだけかけてもやはりこういう事故が起こるというのは、私は、事故対策というのは、いかに無限、限りないかということをしみじみ感ずるわけでございまして、決して私は惜しむんでなしに、たとえざるの中へ水をくむようでいいから事故対策に金をかけようじゃないかという方針でやってまいりましたし、今後ともぜひそういう方針を続けてまいりたい。ただ、全体として、三千億に対して二割ぐらい――二割ないし二割五分というもののウエートは、もうこれ以上かけますと、ほかの一般の取りかえその他にまで及びますので、大体七、八百億を限界として、このぐらいかけていけばまあまあ何とかなる。しかし、これから、たとえば先ほどお話しのように、トンネルを根本的に考え直すということになりますと、これはまた相当大きな金がかかりますが、これはこれでまた当然考えておかなくちゃいけないというように思うわけでございます。今後とも十分事故対策には私どもでは最優先の予算をつけてまいりたいということを考えております。
#44
○原田立君 もう一つ。
 国鉄は大衆車両ですから、輸送方法ですから、これは飛行機と違って大ぜいの人が利用するわけですから、その安全対策についてはひとつもっともっと御努力願いたい。
 それから、ハイジャック関係ですけれども、先ほど警備課長、説明しておったけれども、磁気探知機ですね、各空港につけている。これで万全の処置であると、これでもうハイジャックの犯人は必ず発見できるという自信はないでしょう。
#45
○説明員(室城庸之君) ただいまの施設で万全であるというふうには私ども考えておりません。先ほども申し上げましたように、現在全国の六十の空港のうち、金属探知機がまだ設置されておらない――これはローカルな空港でございますが――七カ所ございます。これについてもぜひ設置をしてもらいたい。さらに、金属探知機の性能につきましては、先ほど来申し上げましたように、より的確に効果的なチェックができるような、そういうようなものを各国ともいろいろ研究しておるわけでございまして、われわれもその情報を集めたり自分たち自身でいろいろ発想をしたりというくふうはいたしておりますが、性能のレベルアップということについても、さらにより大幅な前進を期待しなければならない。また、現在やっております金属探知機の設置個所といいますのは、お客さんが通られるところだけでございまして、これはいわゆる身につけておる荷物をチェックするというだけでございますので、実際に飛行機に持ち込まれます荷物の大部分というものは飛行機預けというかっこうの預かり品になりますので、そちらのほうのチェックも完全にやってもらいたい。前回ありましたテルアビブ空港での事件は、預け荷物が税関に出てまいりましたときに、犯人がそれを受け取ると同時に乱射したというようなことでもございますので、身につけておるもの、同時に飛行機で持って動きますもの、全体についてやはりチェック体制をさらに考えていかなければならないというふうに思うわけでございます。したがって、現在の状態で絶対だいじょうぶだというわけにはまいりません。このように考えております。
#46
○原田立君 あなたのさっき説明の中で、アメリカでエックス線照射による発見装置というようなこともちょっと話があったけれども、これなんかは、より効果的であると、こう判断なさっておりますか。
#47
○説明員(室城庸之君) これを運用しますしかたについてはいろいろくふうをしなければならないと思いますが、機械としてこれを採用していただくことは非常に有効ではないかというように考えます。ただ、これは身につけておるものというよりは、預け品をチェックするわけでございますので、警察が直接預け品全部についてチェックをするというわけにはまいりませんので、やはり空港側の体制の中でそういうことを将来御検討いただいて、できるだけ早く採用をしていただくというふうにお願いしたいというふうに考えております。
#48
○原田立君 局長、いまの現在の磁気探知機、あれでは万全ではないというような警察の見解ですが、エックス線照射による発見装置というものも、それはぜひそういう方向で取り入れてもらったらけっこうだというような、意見ですね、警備のほうでは。そこら辺、どうですか。
#49
○政府委員(内村信行君) 現在の探知機必ずしも十分ではないということ、私もそう思います。ただ、現段階におきましては、これなら適確であるというものがまだ開発されておりませんので、そういうものが出れば、それに従ってなおいいものを入れていくにはやぶさかでないというふうに考えております。それからレントゲンと申しますか、エックス線による荷物の探査、その問題につきましても、いいものが開発された場合には、これは税関その他の関係もございますが、関係方面とも十分協議いたしまして、いいものは取り入れていきたい、こういうふうに考えております。
#50
○原田立君 その機械は別にしまして、今度のハイジャックの犯人は、何かスチュワーデスが操縦席にお茶を入れようとしたときにばっと入っていったということのようですね。結局、操縦席と客席とのドアのところで、がっちりとそういう入れないような処置、これはもう飛行機操縦士のほうもお茶ぐらい飲みたいだろうと思うけれども、ハイジャックのことを考えれば、そこら辺、何らか処置がされてしかるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
#51
○政府委員(内村信行君) 当時の状況につきましては、警察のほうで御調査になればいずれ判明すると思いますが、現在私ども聞いておるところは、先ほど先生おっしゃいましたように、お茶を持っていったところが、その機に乗ぜられて突き飛ばされて入られた、こういうふうなことを申しております。現在の指導といたしましては、必ず操縦室と客室との間のドアにはロックしろということを言っておるわけでございますけれども、それがたてまえ――ロックしろということは遮断して何びとも近づけないようにということでございますから、かりにお茶を操縦席に持っていくということが必要であると仮定いたしましても、持って入る際にはやはりその周囲によく気をつけて、よけいな人がいないか、変な人がいないかというようなことも気をつけた上で、そういうふうなつけ込まれる心配のないというふうなことをやっぱり十分注意して行くべきであろうというふうに考えております。やはり先生のおっしゃったような方向で考えていくべきであろうというふうに思います。
#52
○原田立君 アメリカでは何か航空公安官ということで、スカイ・マーシャルというんですか、飛行機に航空公安官を搭乗さしているというようなことをやっているそうですけれども、そういうことは検討されていますか。
#53
○政府委員(内村信行君) このことも検討の一つの大きな課題でございます。
 ただ、アメリカのほうの実情は私もそうつぶさには承知いたしませんけれども、最近聞くところによりますと、制度としては航空保安官制度、いわゆるスカイ・マーシャル制度というものがございまして、それによって各便に乗るたてまえになっておりますが、最近はどうもあまり乗っていないというふうなことを聞いております。必ずしもうまくいっていないというふうなことのように聞いております。その原因もよくわかりませんが、その辺も確かめまして、はたしていいものならば採用していくし、十分検討いたしたいというふうに考えております。
#54
○原田立君 これでやめますけれども、実際私も飛行機をいろいろ、しばしば利用していますけれどもね、もうすぐこれから搭乗だというときにはもうワーッと黒山になってバタバタ入っていくわけですね、あわてふためいて入っていくわけですね。あのときに、警備のほうじゃないけれども、ちょろちょろ人が通られたら、幾ら精巧な探知機があったって見のがしちゃうだろうと、これはしろうと判断ですけれども、そう思うのです。ああいう搭乗のしかたも何とかくふうしていかなければいけないんだろうと。みすみす発見できるものを発見できないで乗っけちゃったということになりはせぬかと、まあ私ども一般利用者の立場として心配するわけです。
 また、飛行機に乗る場合、座席指定してあるからあまりあわてふためいて乗る必要もなかろうと思うのだけれども、ほいのほいの、ほいのほいのと入れさせられて乗るわけです。われわれは、何も凶器なんか持っていないんだから、パーッと入ってかまわないんだけれども、警備の側からしてみれば、あんなに黒山になって人が入ってこられたら、発見できるものも発見できないんじゃないかという心配をするわけです。そこら辺、警察はどう考えているのか。それから警備のほうとしてどう考えているのか。あるいは実際の業務の指導という面で今後どうなさるのか、お聞きしたいわけです。
#55
○説明員(室城庸之君) 警察といたしましては、ただいま先生御指摘のように、できるだけ警備的に都合のよいようにしてほしいということを空港保安委員会などでもテーマとしていつもお願いをしておるわけでございますが、いろいろお客さんをさばくという点で過大の不便をお客さんにかけても、というような御遠慮も従来はあったかと思いますが、今回の問題もございますので、今後、いまおっしゃいましたような点については、われわれとしても、さらに警備上の観点からもいろいろな要求というものを関係者によく御理解いただき、また、国民の方々にもこのような事故を通じてこういった問題についての御理解をいただくというようなことで、より積極的な警備の必要な措置がとられるように努力をしてまいりたいというふうに思います。
#56
○政府委員(内村信行君) 私どもといたしましても、やはり搭乗に際しての整理というものをしっかりやるべきだろうと思っております。そういう点、警察のほうとも十分御相談いたしまして、今後会社側におきましても乗客の搭乗をよく整理をして秩序立つ乗り方をしていただくというふうにさしたいと、こう思っております。
#57
○柴田利右エ門君 私は、列車の火災事故に対して御質問を申し上げたいというふうに思います。
 先ほどからの質問の中でお答えをいただいておりますが、その中で、今回の事故は従来のこの種のものに対する認識の甘さ、あるいは一〇〇%のミスであったのだと、こういうふうに言っておいでになるので、これから私がお聞きしようというのは、そういうことを聞いた上で申し上げるのはいささかどうかと思いますけれども、私はぜひこれはひとつお聞きしておきたいというふうに思いますので申し上げるわけでありますが、先ほど阿具根委員の御質問の中で、乗務員の処置の問題についてお触れになっておったわけでありますが、まず火災を発見して、これに対して全力をあげて消火作業に当たると。これは私は当然だろうというふうに思います。しかし、その結果あのような事故が起きたというのは、途中における判断その他、いろいろあとから見れば論評されるところはあろうというふうに思いますが、私、テレビで見ておりまして、テレビで言っておりましたのは、たしかこういうことを言っておったと思います。あの列車の中に新潟の約三十名くらいの団体の方がおられて、その人を誘導した人はだしか国鉄の新潟県下のある駅の職員の人であったと、火災が起きると同時に、その対応する中で、毛布あるいはシーツ等を利用しながら非常に背を低くして、そしてトンネルの外へ出てからもそのメンバーは、もちろん出た直後は非常に疲労があったのですが、非常に回復が早かったと、かなり大声で話をされておったというようなこともあったわけです。これはその人の専門、あるいはいろいろ生起する問題に対する取り組み方の問題等によっていろいろそういう知識を得る人もありましょうし、専門的に持っておられる方もあると思いますが、そこで、私は、こういう長いトンネルの中での列車の火災、これも初めてじゃなくって以前に「日本海」号だとかそのほかにもありまして、それは比較的トンネルの出口の近くであったので、列車を出して事なきを得たと。しかし、今回の場合は、まん中ではありませんけれども、どちらへ行くにしてもかなりの時間がかかるというようなことなんですが、乗務員の方も消火器を手に持って殉職をしておられたというようなお話もありました。しかし、ここで私は、非常にこういう問題に対して予想もしない事故、まさかと思う事故というのは、いままででも、忘れたころに非常に大きな事故が来るわけなんで、そこのところが、先ほど言いましたように、一〇〇%のミスあるいは甘さということと関連をするわけでありますが、やはりこういうものに対する訓練というのは、ただ指示をし示達をするという、文書で流すだけでなくって、やはり自分のからだで覚えるということが私は必要ではないかというふうに思います。この点が、この間の新聞では、国鉄の技術開発室の方ですか、この方のおっしゃっておられるのは、煙というのは非常に意表をつかれたというようなおことばもございましたし、運輸省の参事官の方は、トンネルの中の火災に対する対策というのはなかったと、こういうふうに言っておられるわけなんです。新聞記事のとおりだとすれば、ずいぶん私は怠慢な話ではないかというふうに思います。したがって、この点は私は、どういうふうにおっしゃろうとも、今回のトンネルの事故が初めてということであれば別なんですが、むしろ、いままでにそれに類したことがあって、それはトンネルの出口の近くで事なきを得た。そうであるとするならば、当然だれが考えても国鉄には非常に優秀な技術者の方もおられるわけで、とにかく新幹線あたりは世界に冠たる技術を誇られるわけですから、そういうことから考えれば、こういう事故に対する対策、こういうものに対しては十分な処置がとられなければならぬのではないかということを考えるわけでありますが、その点は私はどういうふうに御説明を聞いてみても国鉄の怠慢ではないか。特に大ぜいの人命を預かる国鉄としてはその点についての手抜かりがあったのではないか、このように思うわけですが、いかがでしょう。
#58
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生の御指摘の点につきましては、私も率直にそれを認めることにやぶさかではございません。確かにトンネルは大体いままで短かいトンネルが多かったものですから、わりあいに簡単に考えておった。あるいは丹那トンネルなんかもたまたま事故がなかったために関心が薄かったことも決して私は否定できないと思います。しかし、先ほどのお話のとおり、これから本格的にその長大トンネルに取り組むという場合には、いままでのように、トンネルはただ列車を通せばいいというだけでなしに、いつそれが避難場所になるかわからぬということをまず頭に置いて考えるという、長大トンネルに対する考え方自身を変えて、そして設計なり工事の施行をしなきゃいかぬというふうに思うわけでございます。その点、いままでの長大トンネルに対する考え方が、単に従来のトンネルに対する考え方と同じようであったということはたいへん私どもの大きな間違いだったというふうに思うわけでございます。
#59
○柴田利右エ門君 実は、この今回の問題と関連をして、昨年の二月とことしの……いつですか、国鉄の重大事故を起こしたときに、警告書というのが重大災害に対しては国鉄のほうに警告をする意味で手渡されるというふうに聞いておりますし、今回も運輸大臣のほうから国鉄総裁のほうへそれが手渡された。このように大きな重大災害が起きますと、まあ、きまって、こういう事故は予想もしなかったと、しかしこれからはこういう事故を繰り返さないように万全の措置を講ずると、こういうふうに言われて大体ケリがつく――というようなことばではいかぬかもしれませんけれども、一応あとの対策に全力を尽くしておられるわけでありますが、しかし、まあ今回のように、このように二十九人も犠牲者を出し、七百名になんなんとするような重軽傷者が出るというようなこと。そして、まあ先ほどからもお話が出ておりますように、乗務員の不手ぎわだとか、あるいは救援活動の遅延、ガスマスクの設備がなかったとか、排煙装置の欠除、これが一番大きな――先ほども御説明がありましたように、やけどをした人は一人もなくて、すべて煙のために、一酸化炭素のために中毒死をしておられると。さらには、これは運輸委員会でもずいぶん強く言われたようでありますが、地元の消防署からの要望書に対しても、結果的には、言を左右にして取り合われなかったと、こういうようなことになってくるわけであります。いろいろあげればまだほかにもあると思いますが、このように、やはり電化によって危険性が減少をし、車自体も不燃化の限度が非常に高くなってきておると、こういうことで、まさかと思って、よもや起こることはあるまいと思っておったことが起きたわけであります。これによって、きょうも新聞に出ておりましたように、列車の火災防止ということについていろいろ項目をあげて出ておったわけでありますが、もしこういうことが行なわれなければ次の対策がとられないと、こういうことになるとすると、人命軽視といいますか、この二十九人の人は非常にとうとい人柱だと、こういうことになるわけなんですが、国鉄の場合は、いま旅行が非常に盛んでありますし、国鉄自身もディスカバー・ジャパンというようなことで盛んにこれらを奨励をしておられるわけでありますが、なかなか安心して列車にも乗れないと、こういうようなことになるわけでありますけれども、こういう点についての考え方、あるいは訓練の問題そして国鉄としての取り組み方、こういう問題についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#60
○説明員(磯崎叡君) 私のほうも多数のお客さんをお預かりしまた貴重な荷物もお預かりして輸送業務をやっているわけでございまして、やはり何と申しましても安全を確保することが第一であるというふうに思うわけでございます。これはもう当然なことでございますが、そういうふうに思っております。まあ、今後の問題、あるいはいままでの事故があまり生かされてない。そのつど、そのつどの対策に終わっているというふうなお話もございましたが、いろいろな場合を想定して、いろいろな対策を立てるわけでございますが、やはり過去の事例などをよく参考にした上で、それをよく検討し、それを中心にして新しい事故を想定して対策を練るというふうなやり方でございまして、毎月一回、必ず私も出まして事故防止委員会も開き、いろいろ具体的な技術的な研究をいたしておりますが、やはり非常に事故というものが深く、広く、まだまだ幾ら研究し、幾ら探究しても、残る分野は相当あると。したがって、やはり毎日毎日対策を怠らずやる以外に、私は事故を絶対防ぐという方法はなかなか見つからないと思います。人間のやることでございますので、やはり一つ一つ積み上げて、そうして努力をして一つずつつぶしていくということ以外に事故対策の方法はないというふうに考える次第でございます。また、訓練でございますが、確かに、おっしゃったとおり、机上の訓練その他だけではこういう場合にはもう役に立たないことはこれははっきりいたしております。かといって、隧道の中で実地訓練することも列車が多くて非常にむずかしいということで、できればそういうかりに隧道の中でなくても、それと近いような場所、あるいは近いようなところを選んで、少なくとも国鉄職員だけの訓練ぐらいはぜひやらなくちゃいけないというふうに考えて、いま、実際こういう災害の場合の訓練――大体防災と申しますか、天災地変の訓練はわりあいに私どもいたしております。これはもうしょっちゅう水が出たり、台風が来たりいたしますので、天災地変の訓練はわりあいによくいたしておるつもりでございますが、こういう災害訓練は確かに足りない点が多かったとふうに思います。実地訓練はむずかしいにいたしましても、実設訓練と申しますか、それに近いものをつくって、実際にはだで覚えた訓練をさすということにつきまして具体的な方法を考えまして、今後、一たん緩急の場にあわてることのないような処置を講じなければいけないというふうにかたく思っておる次第でございます。
#61
○柴田利右エ門君 今回の事件が起きまして、いろいろ新聞紙上にも、国鉄の当局の方々あるいは監督官庁の運輸省の方々、さらには一般の方々のいろんなあれが載っておりますが、その中で私、こういう事故が起きたのですから、それの補償の問題だとかそうして救援の問題、さらには今後の対策、そういうことが主になるのは当然だと思います。しかし、何といいますか、国民の足として奉仕をするという、まあこれは非常に抽象的な言い方なんですけれども、そういう心がまえというか、いろいろな発言の中にそれが流れていないような感じがするんですね。まあ、何となく乗せてやる式なのが――これはいろいろ平生の問題との関連でこういうのが出てくるのだろうと思いますが、特にやはり国民に奉仕をするんだというその精神、こういうものがやっぱり裏づけにあってこそ初めてこの種の問題を絶滅をし、さらにそれぞれの方が注意をして、みんなでひとつこういう事故をなくしていこう、こういうことになるんではないかというような気がいたしまして、この点が何となく私は漏れておるような、非常に大切なところが欠けておるような気がしてなりません。そうして、こういう災害が起きました場合の責任の問題なんですが、やはり管理をする人の責任というものが明らかになっていかなければならぬのではないかというふうに考えます。ただ、こういう大きな事故が起きた場合には、確かにいろいろ善後処置として早急に手をつけ、講じなければならぬ問題が多々あります。しかし、この種の問題をこれからなくしていこうというのには、信賞必罰といいますか、そういう点を明確にいたしまして、やはり全体の規律をぴりっとしたものにするということがなければならぬのではないかというふうに考えるわけであります。したがって、もちろん、なくなられた方の弔問あるいはお見舞い、そしていろいろ葬儀とか補償とかいう問題、あるいは入院をされておられる方の後遺症等の関係、これはすでに東京からりっぱな先生がお行きになっておられると、こういうことでありますが、いずれにいたしましても、できたことはしかたがないというんでなくって、これをやはり後日の教訓にいたしまして、それこそ気がまえとしては、絶滅をするんだと、こういうことで取り組まなければならぬというふうに思うわけです。したがいまして、その点からいくと、従来のことについては私はつまびらかにいたしませんけれども、やはり一般社会的には、こういう場合の責任の所在というのは明確にして、やはりみんなが見て納得できるような形、そしてそのことが次の事故を避けるための、繰り返さないための一つの、何といいますか、教訓といいますか、綱紀を締めるための行為にならなければならぬと、このように考えるわけでありますが、この点につきましては、政府側としても国鉄側としてもひとつ御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
#62
○説明員(磯崎叡君) 今回の事故は、冒頭に申し上げましたように、国鉄のミスであることは、いわゆる天災とか、そういうことじゃないことは、これははっきりいたしております。したがって、責任は全部国鉄でございますし、国鉄総裁でございます。そういう意味で、私は、いま私に課せられた責任は、いまいみじくも先生おっしゃったように、今後どうやったらこの事故を絶滅するかということが私の責任を完遂するゆえんであるということで頭が一ぱいでございまして、目下その方面に全力を注いで責任の完遂に努力している次第でございます。
#63
○柴田利右エ門君 運輸省の方、おられますか。
#64
○政府委員(住田正二君) 今回の事故につきまして、これから原因の究明等が行なわれることになるわけでございますが、それに従いまして、ただいま国鉄総裁が申されましたように、その原因に従って責任を明確にしていくということになろうかと思います。
#65
○柴田利右エ門君 そういう御答弁は私も予想もしておりましたし、それは私、そのとおりだと思うんです。こういう大きな事故が起こったんで、この原因の究明と同時に、その原因がはっきりしたあとでは、そういうことを二度と繰り返さないようにするために懸命な努力を傾注をすると、これは私、当然なことだと思うんですね。しかし、今回の原因が、総裁もおっしゃっておられるように、やはり国鉄としては一〇〇%のミスだと、同時に、このことがほかのほうからはいろいろこれに対する対策ということについても指摘をされておって、ミスだということは怠慢だということがあるわけですね。それで責任を、ということを考える場合に、私は次のことは、こういう事故を繰り返さないようにすることがその責任をとることだということのほかに、やはり綱紀の面、四十何万というたくさんの人員をかかえておられるわけですから、そうしてまた二十九名というような無事の方がそれによって人命を落とされ、いまなお三百何名という方が病院で呻吟をしておられると、こういうことになりますと、初めての問題でなくって、やはりそういう点があとの当面の問題だけに集中をしてはっきりしないで、私はこういう問題が起きてくる一つの要因でもなかろうかというふうに思うわけです。先ほど、総裁が行かれて、やはり事故にあわれた方に会ってのお話の中で、たしか国鉄はたるんでおるというようなおことばもいただいたというようなお話でございましたが、あれこれ考えてみると、そういう意味での責任の所在をはっきりするということはぜひ私は必要ではないかと、こう思うわけなんですが、いかがでしょうか。
#66
○説明員(磯崎叡君) 昨日の運輸委員会におきましても、いまの先生のお話と同じような決議がされまして、その中で、「国鉄の管理体制に徹底を欠くものがある」というおことばがございました、決議の中に。なお、こまかい点は省略いたしますが、この御決議の趣旨をよく体しまして、十分いまおっしゃったようなことにつきまして具体的な措置を講じなければいかぬというふうに思っております。
#67
○柴田利右エ門君 これは私は国鉄の人を責めるとかなんとかいう意味でなくて、やはりお互いに予想もしない事故ですから、これを再度繰り返すようなことがあってはならないということでそれぞれの人が懸命になって努力しておられるわけですから、そういう意味で、やはりいままでのことから考え合わせてみると、その辺を明らかにすることが好ましいことではないかと、こういう意味で申し上げておりますので、いま聞けば、きのうの委員会でもそれに似たような論議もありまして、総裁のほうからいまも見解が述べられておりますので、私は先ほど言いましたような趣旨でありますので、そういう趣旨が十分に理解をされておれば、これ以上言及することは避けたいと、こう思います。
 これで終わります。
#68
○星野力君 私は、北陸トンネルの火災事故についてだけお尋ねしたいと思います。
 私も現地に参りましたが、あの事故で命を奪われた乗客並びに国鉄の労働者、その御遺族に対して心から哀悼申し上げると同時に、多数の入院者にもお会いしたのですが、あの人々が早く快癒されるようにお見舞い申し上げる次第であります。
 ところで、あの事故の原因につきましては、取り調べ中でまだ正確なところはわからないんだということで、先ほど総裁のほうから推定についてお話がありました。しかし、先ほどの喫煙室云々ということは、これは発火場所の推定でありまして、原因の推定ではないわけでありますが、国鉄当局としましては一体どの辺にこの原因があると推定なされておるんでしょうか。
#69
○説明員(磯崎叡君) 先ほど私が申し上げましたのは確かに発火場所でございまして、原因ではございませんでした。その点は私のことばの不備でございます。焼けました車両の現物につきましては、きょう現在はまだ存じませんが、私ども一切立ち入りができないことになっておりますし、また、私が現場に参りましたときも、あの隧道の中のあそこの食堂車が焼けた場所は、やはり立ち入っちゃいかぬということで、総裁といえども立ち入りを許されませんでした。したがって、私のほうの係員も一切直接見るわけにいかない状況だと思います。したがいまして、発火場所は大体推定ができるといたしましても、原因につきましては、なかなか、私どもとしては現段階でかってな推測をするのはかえってどうかと思いますので、原因についての私のほうの推定は申し上げないほうがいいんじゃないかというふうに思います。
#70
○星野力君 よろしゅうございます。また、それに関連してあとでお聞きしますが、六日の衆議院の予算委員会で運輸大臣が、長大トンネルにおける安全対策について、これまでできるだけの監督、指導が行なわれたと思うが、今後は万全の上にも万全を期すと、こうおっしゃっておられる。できるだけの監督、指導が行なわれていたならばあのような事故は起きなかったであろうし、また、事故はかりに起きても、あのような悲惨な結果にはならなかったのではないかと思うわけです。また、新聞の報道によりますと、運輸大臣は六日夜の敦賀での記者会見で、「排煙装置が完備していたかなど原因を徹底的に究明する」と、こういうことを言っておられる。何をほんとうにこんなことを言ったのかと私、疑うのですが、各新聞とも同じようなことを書いているところを見ますと、大臣、言ったに違いないと、こう思うわけであります。「完備」どころか、トンネル内の排煙設備が全然ないということ、それが問題になっておるときに大臣がこんなことを言ったら……大臣ここにおらないんですから、ちょっと場所が違うんでありますが、排煙設備はもちろん、消防設備もなければ、避難の設備もない。照明施設もない。何一つやられていなかったのではないかと思います。乗客の避難の誘導とか救出を含めて、トンネル内の火災に対する訓練ということも、現地の話では、北陸トンネルの場合には一度もやられたことななかったということでありますが、こういう状態では全くひどいものだと思います。先ほど来お話がありますように、国鉄のトンネルというのはこれはずいぶんたくさんあって、現在でも延べ千四百キロですか、あるそうでありますし、今後、新幹線の全国的ネットワークと、こういうことになりますと、ますますトンネルは多くなるし北陸トンネル以上の長大トンネルも幾つか計画されておる状態でありますから、そうなりますと、どこかのトンネルの中で火災が起こる、列車火災が起こるということは、これはあり得ることですよ。先ほど来総裁、いろいろ今後の決意を述べておられますが、今回の惨事にかんがみて、今後どう対策するおつもりか、その基本的な方針ですね、先ほど確定的な案はないと、こうおっしゃった。がしかし、たとえば換気は困難ではあるが、あるいは排煙はこの施設をすることは困難である、金がかかるが、そういうことは困難であっても、金がかかってやるという姿勢かどうか、その辺をお聞かせ願いたい。
#71
○説明員(磯崎叡君) 先ほど阿具根先生の御質問の際にも私、はっきり申し上げました。今後の長大トンネルというものは、単に電車を通す場所だけでなくて、いつそこで緊急避難が行なわれるかもわからないということを前提としなければいかぬ。そこが根本の問題だと思います。率直に申しまして、いままでトンネルというものは単に線路を敷いて列車が通るという感覚で掘っておったわけでございますが、やはりこういうふうな事例によりまして、一時蒸気機関車がなくなりまして、ほとんど列車火災というものが減りまして、そういうことに対して多少電化の関係で安心したきらいがあったかしれません。しかし、やはり今後トンネルが五キロ、十キロ、あるいは数十キロの長いトンネルということになりますと、その中で緊急状態が起こる可能性があるということを前提としてトンネルを考えるという根本的な態度をとらなければいけないというふうに思います。これは口で言うだけはたいへんやさしゅうございますけれども、実際にいま先生の御質問のとおり、それじゃ具体的にどうか、排煙はどうか、あるいは換気はどうかということになりますと、非常にむずかしい問題があるようでございまして、現に高速道路でやっておられます換気につきましてもいろいろ問題があるというふうに私、承っております。なかなか定説はないようでございまして、学者の間でもいろいろ説が分かれております。ということは、なかなか実地の実験ができない。風洞実験だけではなかなかわからないというふうな点もございまして、はたして換気したほうがいいのかどうか、煙のためにはいいが、火のためにはどうか、火と煙は常に一緒になっておるものですから、扱い方が非常にむずかしいというふうなこともあると思います。しかし、そういっていたのでは、技術が泣くわけでございます。やはり今度は技術者としてはそういうものを全部含めた意味の今後の鉄道技術というものをこれから本格的に勉強しなければいけない。先ほども申し上げました青函トンネルにつきましては、だいぶ私のほうと鉄建公団と共同でいろいろ勉強いたしまして、いまの考えの一つとしては、本トンネルのほかにいま掘っております導坑と言っております――これも大きなトンネルでございますが――その導坑を緊急の避難ルートあるいは換気装置ということにして、その導坑と本坑とを空気の幕で遮蔽するというふうな方法が一つの方法として――これはまだ案にすぎませんが、考えられております。そういたしますと、今後全部長大トンネルを掘る際には本坑の――本トンネルのほかにもう一つトンネルをつくる小さいトンネルじゃございません――トンネルをつくるというふうな方向で、それを空気幕でもって遮断するというふうなことも一つの考え方だと思いますし、いろいろの案が、実行できそうな案と全く実行できない案といろいろあるようでございます。しかし、そういう、むしろトンネル土木技術に対する根本的な考え方の修正という角度で発足しないと、単にちょっとした手先だけでは、短いトンネルは十分役に立ちますけれども、今後の十キロ、二十キロというトンネルになりますと、とてもそういう消化器を置いたとかマスクだけの問題では解決できないと思いますので、たいへん今度のなくなった方にはほんとうに申しわけないと思いますが、決してむだにしないで、ほんとうにとうとい人柱として、今後の鉄道技術の基礎になるような貴重な研究をやるというスタート・ラインにさしていただきたいというふうに思うわけでございます。
#72
○星野力君 トンネルの長大化に伴ってその保安対策に対しては根本的にいままでの認識を改めてかかる、こういう意味と理解しますが、それでよろしゅうございますね。
 昨日の運輸委員会以来問題になりました昭和四十四年十二月六日の急行「日本海」の同じく北陸トンネル――あれは敦賀に入ったばかりのところですが――における出火事故のあのあとで、敦賀消防署がわざわざ特別研究をやって国鉄に対してトンネル内の防災対策について特別勧告をしたという問題、あれが全然今日まで無視されてきた、全然問題にならなかったというのはどういうことでございましょうか。
#73
○説明員(阪田貞之君) 四十四年の十二月に北陸で火災事故がございまして、そのとき消防署からいただきましたものは主として車両関係のものでございまして、それに対しましては後刻御返事申し上げまして、その対策も一、二こまかい点はございますが、大半の、たとえば「A制御弁及び制輪子の改造促進について」という要望にございます、それから「危険物に対する構造設備の強化について」、その中に燃料タンク、給油配管、それから消火設備、それから3に「車両の不燃化について」という項目をいただいておりますが、これらにつきましては、その後一部タンクの遮蔽であるとか、あるいはタンクへの位置を少し変えろという点が少し欠けておりますが、そのあとの分につきましては、消防署の御勧告どおりいたしまして御報告申し上げておるわけでございます。
#74
○星野力君 そういうこともあったかもしれませんが、そのほかトンネル内の中間数カ所に安全な避難場所を設ける。排煙設備を完全にする。消火液噴出あるいは粉末放射、トンネル内に自動消火装置スプリンクラー式の装置を取りつけるなど消火設備をやる。もより駅に消防列車を常駐させる。――まだありますが、そういうようなことが含まれておったと思うのでありますが、そういうものが全然これは無視されてきた、やられなかったというのは、これは、問題にしたところで、金がかかって実行不可能と、そういう考えが頭から当局者にあったんじゃないでしょうか。簡単でよろしゅうございますよ。
#75
○説明員(阪田貞之君) 昨日も、過去にさかのぼりまして四十二年、四十三年にそのようなものがあるはずであるということの御指摘をいただきました。まことに申しわけございませんが、本社にはそういう連絡が来ておりません。さっそく調べましたが、四十二年の分だけわかりましたが、これは消防署から現場の公安室長あてに書面が行っておりまして、この点、たいへん連絡が不十分で申しわけなく存じます。
#76
○星野力君 私は、敦賀消防署から金沢鉄道管理局のほうに出されておると聞いておるのですが、それがあなた方のところまで来ておらないということになると、これは部内の規律の問題としても非常に重大なことではないかと思います。問題は重大ですよ。よくお調べになっていただきたいと思います。
 私は、おそらく金沢の当局の人たちも、こういうものを出しても、金のかかる問題で、問題にならぬと、そういう観念があってのことではないかと疑るわけでありますが、国鉄当局は国鉄財政再建ということで、「営利第一」、「経営第一」――新聞もそういうことばを使っておりますが――そういう立場で国鉄経営をやっておられる。そういう立場から合理化をやって人減らしをやる。保安対策――先ほどいろいろ金額の問題もお話しございましたが、保安対策にもあまり金をかけない。そういうところに今回のような惨事につながる最大の原因があるのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
#77
○説明員(磯崎叡君) こういう事故が起きますと、必ず、国鉄は営利主義でやっておるという御批判を受けます。私は、そのことばはそのつど別に反駁はいたしませんが、私どもといたしましては、やはり国鉄法第一条の精神によって私はやっております。したがって、公共の福祉を増進するという立場からやっておるのでございまして、それにはやはりどうしても金が要る。金はやはりもうけてかせがなくちゃいかぬという意味でもちろん営利も必要でございますし、能率も必要だというふうに私、存じます。これが全部まるがかえでもって、道路のように、とにかく何でも公共に提供すればそれでいいんだというわけにはやはり私どもまいりませんで、企業としての問題も考えなければならぬということで、やはり企業性と公共性の問題が始終私どもの頭の中にあるわけでございます。その意味におきまして、やはり何といっても最終目標は「公共の福祉の増進」でございまして、その点は私どものほうは重々忘れたことはないつもりでございます。しかし、それには金が要るということで、政府のお金もいただき、国民からも運賃をいただいておるという考え方でございまして、決して営利だけを目的としてこういう企業ができるわけではございません。それならば、これだけの大きな赤字をしょって皆さまに御迷惑をかりるわけじゃございませんが、どうかその点は、私どものやり方にも不備な点があると思います。しかし、私の気持ちは、あくまでも国鉄法第一条に定められた気持ちでやっておるということは申し上げておきたいと思います。
#78
○星野力君 具体的なことをお聞きしますが、あの事故のあった列車――「きたぐに」ですか、あの当時、車掌は何人乗っておりましたでしょうか。
#79
○説明員(磯崎叡君) 車掌は一人でございます。機関車乗務員は三人。これは先ほど冒頭に申し上げましたが、車掌が一人、機関車乗務員が三人。それから列車ボーイが四人の、荷物扱いが三人。
#80
○星野力君 多数の人命を預かって、その安全について判断し措置する仕事というのは、私は車掌にあるのではないかと思います、ああいう場合に。その車掌が一人ではまさかの場合には判断も回らぬ、手も回らぬということになると思いますが、今度でも、二人おったならばそれだけのことは――惨害をもっと少なくすることができたんではないかと思うのですが、いつから車掌の乗務を一人にしたのか。どういう理由で一人になさったのか、簡単にお聞かせ願いたい。
#81
○説明員(阪田貞之君) 一般の列車乗務員五名のうちに、この場合車掌一人でございまして、このほか荷扱いのほうは車掌一人で、あとは乗務係が二人でございます。一般の列車乗務員につきましては、前から車掌は一人でございますが、乗務係が、五人が一人減って、四人になっております。
#82
○星野力君 国鉄関係の組合では、たしか車掌乗務を一人にされたのでは、乗客の世話、乗客、従業員の安全について万全を期することができないということで、二人乗務ということを主張し要求してきたと思うのでありますが、いまの御答弁ではその間の事情がよくわからないのですが、先を急ぎますから別の具体的な問題についてお聞きいたします。
 私、先ほど排煙設備とか消防設備とかいろいろあげましたが、ああいうことをどれか一つでもやられておったならば、それだけ事故の犠牲というものを少なくし得たと思うのであります。そこで一つお聞きしますが、事故発生時にトンネル内の照明はどういう状態であったでしょうか。
#83
○委員長(戸叶武君) 答弁は簡単に、時間の関係がありますので。
#84
○説明員(阪田貞之君) この隧道の中には五百メートルごとにスイッチがついております。当日作業をしておりましたので、敦賀側は部分的にずっと電気がついておりまして、事故発生後保線区の係員が入りまして敦賀側は大体照明はつきました。今庄側は当時作業をやっておりませんで、ずっと消えておりまして、後、モーターカーで入りましてやりましたが、事故発生当時におきましては、現場附近は車両の持っております電気以外は照明はございませんでした。
#85
○星野力君 いまおっしゃったように、五百メートルおきですか、私、三百メートル間隔と聞きましたですが、あすこに片側だけ照明がございますね。敦賀から右側だけがありますが、あれが当日一部分ついておったそうですね、敦賀のほう。それはいま、作業があったからと、こうおっしゃったが、現地で聞いたところでは、スイッチか何かの故障でもって五百メートルの間だけ、一区画だけついておったというようなことも言っておりましたが、今庄側はついておらなかった。だから、あの事故の中で、乗客は暗やみの中をはいずり回らなければならなかったということを言っておりました。現地で聞きますと、あすこの電燈は、スイッチをひねるのは非常にうるさい、節約、節約で、うっかりつけておくとしかられるのだ、こういったことを言っておりましたですよ。保安という点から見ましても、こういうやり方ではいけないのじゃないか。それからまた、スイッチが五百メートルなら五百メートルおきにあるが、その部分だけを、ひねれば照らすんですね、ひねれば、それはまあいいです。今度、それを一斉点滅できるようになさるというお話ですが、それはいいとしまして、スイッチがあって、それをひねればあかりがつくということを乗務員は知らないんでしょう。知っておるのですか。そういうふうに指導、監督されておられるのですか、どうですか。
#86
○委員長(戸叶武君) 時間の関係があるので簡潔に答弁を願います。
#87
○説明員(阪田貞之君) はい。乗務員は、原則として知らしておりません。これは保守用の電気でございますから、原則として乗務員には知らしておりません。
#88
○委員長(戸叶武君) 星野委員、時間の関係で、簡潔に。
#89
○星野力君 総裁、どうしますか。いま長大トンネル内の保安対策に対してはいままでの観念を改めて対処すると、こうおっしゃっているのです。あすこの照明ぐらいは、これはやるべきだし、それから、ちゃんとそれが乗務員もああいう事故の場合にはそれができるように知らせもし、訓練もし、またスイッチのあり場所もちゃんとすぐわかるような措置というものは、そのぐらいは簡単なことじゃございませんか。あるいは両側つけたらいいと思うのですね。そういうことをやっていただきたいと思うんですが、総裁、六日の敦賀での記者会見で「国鉄としては火災が発生すれば、まず停車するのが原則になっている」。きょうは坂田常務理事のほうからも同じお話がございましたが、北陸トンネルの場合はそうなっておらなかったのではないですか。今度は実際にとまりましたですよ。私は現地の当局の幹部の話を聞いてみますと、あそこは通り抜けることになっておったそうです。言っておりましたよ。それからまた、これは国鉄の方じゃないでしょうが、鉄道建設公団の浜建介さんですか、あの北陸トンネルの工事に関係された方らしいですが、あの人も、トンネルの排煙工事は非常に困難だと、ああいう問題が起きた場合には「脱出が何といっても第一のことだ」、「少しくらいの火ならそのまま走れば抜け出すのは簡単だ」。大体国鉄の考えとしてもそうじゃなかったんですか。北陸トンネルは走り抜けることになっておった。しかし、実際事故が起こって乗務員の判断であのときはとめたんだろう、こういうことになっておるんですが、どうなんでしょうか、実際問題は。
#90
○説明員(阪田貞之君) 火災時の取り扱いは先ほど申し上げましたようにいろいろ附帯の問題がございますので、直ちにとめることがあくまでも原則でございます。ただトンネルの中とか橋梁とかいうところは、諸先生方も御承知のとおり危険でございますので、抜けられるときは抜けなさいというように指導でございまして、ああいう長大トンネルで、もしもあの場合に走った場合には、あのままとまらずに、かりに走ったといたしますならば、うしろについております客車、あと四両ございますが、その方々ははたして無事でおられたかどうかということは、それは結果論で、何とも申し上げかねますが、私、とめたということは、まさに正しいと思います。あくまでもこれは火災時はとめるのが原則であると思いますけれども、隧道とか、抜けられるときは抜けろというふうに指導しております。
#91
○星野力君 これは非常に重大な問題ですね。実際ああいう事故が起きた場合に、抜けられるならば抜けろというのは、いわば機関士や乗務員の自由判断にまかされている部分が非常に大きいと思うんですが、総裁や常務の言われておることと現場の受け取り方とは私、こうかなり食い違いがある。こういう重大な問題で理事者と現場との間に対処のしかたの違いがあるということでは、理解の違いがあるということでは、これは非常にたいへんではないかと思うんであります。もう時間がありませんからやめますが、先ほども話がございました、総裁、大臣の警告書を受け取られた。あの警告書を出す前に大臣が、国鉄は総裁以下全従業員までたるんでおる、というような談話をやっております。私はそんな精神主義じゃないと思うんですよ。国鉄の労働者諸君、なかなかよくやっておりますし、また理事者の方々も国鉄の商売には非常にこれは御熱心だ。だから、そういうたるんでおるとか、たるんでおらんという精神主義の問題ではございません。やはりあなた方の姿勢の問題じゃないかと。商売熱心はよろしいのでありますが、あくまでも乗客の安全、従業員の安全、そのもとで御商売をやっていただきたい。その覚悟がおありかどうかということと、それから、この安全というような問題につきましては、だれよりも自分たち自身が――列車に乗り、列車を動かしておる従業員自身がよく知っておるわけでありますが、国鉄関係の労働組合のそういう安全対策、保安対策において、組合の意見なんかを受け入れる仕組みというのはできておるのか、また、それが活用されておるか。その覚悟のほどと、そのいまの質問、この二点にお答え願いたい。
#92
○説明員(磯崎叡君) ただいまの第一点は、私は先ほどから申しましたとおり、その覚悟でやります。
 第二点は、十分組合側からの意見を聴取する場、すなわち労使共同の事故防止委員会がございます。そこで十分聞くことにいたします。
#93
○委員長(戸叶武君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#94
○委員長(戸叶武君) 速記つけて。
 簡単に締めくくりをひとつ。
#95
○星野力君 私、もっといろいろ質問したかったんですが、時間が参りましたからやめますが、ここにはおいでになりませんけれど、山田副総裁のいろいろお話なんかも新聞に出ておりますが、お聞きしますと、結局、いろいろ対策のアイディアはあっても困難である。結局は経済性とのかね合いだと、こうおっしゃっておられる。そこへ問題を持っていきますと、先ほど来総裁が言われたような、根本的に姿勢を改めてこの問題には対処すると言われても、結局は金、金ということで、やらなくなりますよ。そこのところをひとつ踏み切ってやらなければいけないということを申し上げて私、終わります。
#96
○説明員(戸叶武君) 阿具根君から発言を求められております。
 阿具根君。
#97
○阿具根登君 それでは、各党の御了解もいただきまして、本事故に対しまして決議をいたしたいと思います。案を朗読いたしますので、よろしく御賛成願いたいと思います。
 以上です。
#98
○委員長(戸叶武君) ただいまの阿具根君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(戸叶武君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し磯崎国鉄総裁から所信を聴取いたします。
 磯崎国鉄総裁。
#100
○説明員(磯崎叡君) ただいま国鉄事故防止に関する貴重な御決議をいただきまして、私どもこの御決議の趣旨に沿いまして再びかかる悲惨事のないようにあらゆる努力をいたす覚悟でございます。
 一言、簡単でございますが、所信を述べさせていただきました。
#101
○委員長(戸叶武君) 本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#102
○委員長(戸叶武君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
 交通安全対策樹立に関する調査につきましては、閉会の場合においてもなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(戸叶武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成及び提出の時期につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(戸叶武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト