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1972/11/09 第70回国会 参議院 参議院会議録情報 第070回国会 運輸委員会 第2号
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1972/11/09 第70回国会 参議院

参議院会議録情報 第070回国会 運輸委員会 第2号

#1
第070回国会 運輸委員会 第2号
昭和四十七年十一月九日(木曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月七日
    辞任         補欠選任
     藤田  進君     辻  一彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                江藤  智君
                鬼丸 勝之君
                木村 睦男君
                森中 守義君
    委 員
                岩本 政一君
                岡本  悟君
                黒住 忠行君
                菅野 儀作君
                伊部  真君
                小柳  勇君
                瀬谷 英行君
                辻  一彦君
                田代富士男君
                三木 忠雄君
                田渕 哲也君
                山田  勇君
   衆議院議員
       運輸委員長代理  江藤 隆美君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  佐々木秀世君
   政府委員
       運輸政務次官   加藤 六月君
       運輸大臣官房長  薗村 泰彦君
       運輸省海運局長  佐原  亨君
       運輸省船舶局長  田坂 鋭一君
       運輸省鉄道監督
       局長       秋富 公正君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  住田 正二君
       運輸省航空局長  内村 信行君
       自治大臣官房審
       議官       森岡  敞君
       消防庁次長    山田  滋君
   説明員
       建設省道路局次
       長        中村  清君
       消防庁予防課長  永瀬  章君
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
       日本国有鉄道理
       事        阪田 貞之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
 (北陸トンネル内における列車火災事故に関す
 る件)
 (日本航空三五一便乗つ取り事故に関する件)
 (国鉄事故の絶滅に関する決議の件)
○都市モノレールの整備の促進に関する法律案
 (衆議院提出)
○臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案
 (第六十八回国会内閣提出、第七十回国会衆議
 院送付)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 藤田進君が委員を辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(長田裕二君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 まず、北陸トンネル内における列車火災事故に、関する件及び日本航空三五一便乗っ取り事件に関する件について報告を求めます。運輸政務次官。
#4
○政府委員(加藤六月君) 国鉄における列車火災事故及び日本航空三五一便の不法奪取について御報告申し上げます。
 まず、北陸本線北陸トンネル内列車火災事故につきまして御報告申し上げます。
 六日朝一時十分ごろ、北陸本線北陸トンネル内において、大阪発青森行きの急行「きたぐに」の食堂車から出火し、死者二十九名のほか加療を必要とする者六百五十二名を生じました。
 政府では、事件発生後直ちに運輸大臣を長とし、関係各省庁の担当局長を委員とする事故対策本部を設置するとともに、とりあえず私が現地に参り、続いて同日夕刻運輸大臣も現地におもむきまして被害者に対するお見舞い、現場視察等を行なってまいりました。
 現在、死傷者の方々に対し、医療、お見舞い等につきましてできる限りの努力をいたしておりますが、さらにその万全を期するよう国鉄を指導してまいる考えであります。
 また、七日十八時十八分ごろ、九州日田彦山線の釈迦トンネルの手前においてディーゼル列車の最後部車両床下から出火しました。直ちに消火につとめましたが、鎮火は困難と認められましたので、乗客を前部車両に誘導したあと、後部二両を切り離し、乗客には幸い事なきを得ました。
 このような相次ぐ列車火災の発生にかんがみ、八日、運輸大臣は、国鉄監査委員会に対し、北陸トンネル内事故に関し特別監査を実施するよう命ずるとともに、この種事故の絶滅を期するよう国鉄総裁に厳重な警告を発しました。
 今後とも、車両の不燃化をはじめ、長大トンネルの防災対策、事故時の旅客誘導体制等全般にわたる事故防止対策の確立につとめてまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
 次に、日本航空三五一便の不法奪取についてでございますが、六日七時三十六分に東京国際空港を離陸し、福岡へ向け飛行中の日本航空三五一便が名古屋上空において不法奪取され、犯人は、現金二百万ドルを要求するとともに、東京国際空港において航空機をDC8型機に変更してキューバへ向かうように要求するという事件が発生いたしました。
 政府は、運輸省、外務省、警視庁及び日本航空の責任者からなる羽田ハイジャック事故対策合同委員会を東京国際空港に設置し、乗客、乗員の人命の安全の確保を最優先に対策を講じたところ、まず乗客全員及びスチュワーデスが無事に救出され、その後十六時五分、犯人は逮捕され運航要員も救出されました。
 ハイジャックの防止につきましては、従来から諸種の対策を講じてきたところでありますが、今回の事件にかんがみ、これらの対策を総点検し、関係各省庁間の緊密な連絡のもとに、ハイジャックの再発を防止するための有効な対策を確立するようつとめてまいる所存でございます。
 以上、御報告申し上げます。
#5
○委員長(長田裕二君) 磯崎国鉄総裁から発言を求められておりますのでこれを許します。磯崎総裁。
#6
○説明員(磯崎叡君) ただいま政務次官から御報告がございましたけれども、私から、北陸トンネル内における列車火災事故につきまして、つつしんで御報告申し上げます。
 去る十一月六日午前一時十分ごろ、北陸本線の敦賀−今庄間にございます北陸トンネルの中におきまして、大阪発の青森行き下り急行列車「きたぐに」、十五両編成、定員八百名、乗車七百六十一名の前から十一両目の食堂車、これは三号車でございまして、オシ一七二〇一八という車でございます――に火災が発生いたしました。
 火災発生の通報を受けました車掌、これは十三両目におりましたが、お客さまから火災の煙が出ているという通報を受けまして、直ちに同車両におもむきまして、火災を認めましたので、車掌弁によりまして停止手配を行ないました。同時に、直ちに無線でもって機関士にその旨を通報いたしました。五〇一列車の機関士、「きたぐに」の機関士は後方から車掌弁によります非常ブレーキが作用いたしまして、また同時に車掌からの無線もございましたので、急遽停止手配をとりまして、北陸トンネルの敦賀方のほうから約五・三キロの地点で停車いたしました。
 その後、車掌、機関士その他は消火器を使用いたしまして消火につとめましたが、火勢が強く、消火がきわめて困難でございましたので、前から十一両目と十二両目、すなわち食堂車とその次の車の間を切り離しまして、そして十二両目、十三両目並びに十四、十五両、これは荷物車と郵便車でございますが、この四両を切り離しました。さらに切り離した上で二百メートルほど進行いたしまして、十両目と十一両目、すなわち食堂車とその前の車との間を切り離そうといたしましたが、どうしても煙がひどくて十分な作業ができませんでした。そして同時に間もなく停電となりましたために、電気運転でございますので、前途の運転が不可能になったわけでございます。
 この間、乗務員は乗客の誘導につとめ、たまたま一時半ごろ上りの急行「立山3号」というのが今庄を出て敦賀のトンネルに入ってまいりました。これを緊急の停止手配をとりまして、トンネルの中に入りましたところでとめまして、その「立山」に約二百名のお客さまを収容いたしました。同時に、その後二時二十七分ごろから午後十四時二十分までの間にモーターカー等を含めまして、救援列車を約十本運転いたしまして、乗客の収容等に全力をあげました。
 また、午前三時半ごろから、うちの国鉄のバス三両を動員いたしまして、トンネルの両端と市内各病院の救援輸送を消防署の御援助のもとに行なったわけでございます。
 同時に、医療機関につきましては、私どものほうの直営医療機関を動員いたしまして、全力をあげて医療に当たった、救助に当たったわけでございます。
 北陸トンネル内に充満いたしました煙のために、救助の作業は非常に困難をきわめまして、警察、地元、消防等の絶大な御救援を得ましたが、後ほど申しますとおり、残念ながら多数の犠牲者を出しました。十一時ごろまでには一応全乗客の収容を確認いたしまして、車両を引き揚げましたが、その後、警察の現場検証その他を受けまして、現時点、すなわちけさの午前八時現在におきまして、なくなられました方が二十九名でございます。うち一名は五〇一列車の機関士でございます。それから負傷者六百五十二名、うち入院患者三百五十七名、このうちには福井県の病院に入っておられる方が三百四十八名、御郷里に帰えられまして、郷里の病院等で療養されている方九名が含まれて三百五十七名でございます。
 同トンネルは十三キロ八百六十九メートルの複線トンネルで、敦賀方から今庄方に向かいまして、約千分の十一の上り勾配でございます。
 乗っておりました乗務員は、機関車乗務員が三名、それから車掌、その他乗務掛が八名、鉄道公安職員が二名、合計十三名でございました。これは寝台車がございますので、非常に乗務員の多い車でございます。なお、食堂車は大阪を出ましてから二十三時まで営業いたしておりました。
 以上、きわめて簡単な御報告でございますが、私、責任者といたしましては、非常に何とも申し上げようのない大事故でございまして、責任を痛感いたしておる次第でございます。
 なお、私も事故発生の当日、すぐ現地に参りまして、主としてなくなった方の御弔慰、御弔問並びに入院されている方々に対するお見舞いをして、一昨夜おそく帰ってまいりましたが、非常に多数の犠牲者を出しまして、何とも私らといたしましては申しわけない次第でございます。ここに、つつしんでおわびを申し上げる次第でございます。
#7
○委員長(長田裕二君) それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○辻一彦君 私、九月六日未明の北陸トンネルの列車火災事故につきまして若干の質問を行ないたいと思います。
 まず、質疑に入る前に、なくなられた、殉職を含む二十九名の方々に深く弔意を表したいと思います。同時に重傷者六十四名を含む六百五十二名に及ぶところの負傷者の方が多数入院をされておりますが、一日も早く健康を回復されるようお祈りをいたしたいと思います。
 そこで、北陸トンネルが火災に対して無防備であると、一度火災が起こればきわめて危険であるということが早くから関係者の中で指摘をされておったと思います。すでに昭和四十二年十月の四日に、この北陸トンネルを管内に含みますところの敦賀市の消防署から金沢の管理局長あてに要望書が出ております。また、四十三年の鈴鹿峠の火災事故のあとに、同様に敦賀市の消防署は国鉄の敦賀運輸長にトンネル内の火災対策についての申し入れを行なっております。このときにおける敦賀消防署の意見と、そしてその申し入れの経過について、当局のほうでは承知をされておるかどうか、まず伺いたいと思います。
#9
○説明員(阪田貞之君) 私、国鉄の保安担当の常務ですが、このたび、このような事故を起こして心から申しわけない次第でございます。
 ただいまの御質問でございますが、これは昭和四十二年、昭和四十三年にこのような書面をいただいておることは、申しわけございませんが、ただごいまのところ私存じておりません。調査いたしましたのは、昭和四十五年の二月に消防署からいただきました、四十四年の例の北陸トンネルの入口で火災事故を起こしましたときに、消防署からいただきました書面はいま手元にございますが、いま御指摘の四十二年、四十三年の分は、私いまはっきりしておりませんので、よく調査さしていただきたいと思います。
#10
○辻一彦君 それは十分調査をいただくとして、私ここにメモを入手しておりますから、一応今日の、この起こるべくして起こった北陸トンネルの火災事故、それがすでに五年前に明確に指摘をされておると、このことを申し上げたいと思います。
 これは昭和四十二年十月四日、敦賀市の消防署から金鉄の局長あてに出された要望書であります。見出しは、鉄道トンネル火災対策について次の点を検討の上善処してほしいとこういうことで出ております。
 第一は、火災を予定して指揮命令系統と分担をきめておくこと。
 第二は、緊急停止は乗務員の信号によるが、非常警報装置など機械的なもの――自動的な意味をあらわしておりますが、機械的なものを装置されたい。
 第三、トンネル火災は火炎により酸素欠乏による状態が予測されるので、救助器具(酸素マスク)を常備すること。
 第四、初期消火に備え、トンネル内の数ヵ所に消火器、消火栓また湧水利用の小型動力ポンプを近接保線区に設置しておくこと。
 第五、管内消防、警察等の情報連絡を密に行なうこと。
 この点、すでに昭和四十二年十月四日といえば五年前、非常に問題点を明確に指摘をした要望書が金鉄局長に出されておる。こういう内容を、このトンネルの火災対策として国鉄当局の本部が全然関知をしてないということは、私は非常に問題があると思います。その点ひとつ……。
#11
○説明員(阪田貞之君) ここで、たいへん申しわけございませんが、当時の状況を至急調査いたしまして御報告申し上げたいと思います。
#12
○辻一彦君 まあ調べてもらうにしても、これだけの内容が出されておって、これだけの災害で十分な、当局が現地まで行って、総裁以下調べておって、これだけの明文が出されておるということを、いまごろ調べなくちゃいかないということは、私は、やはりこれに対する対策がこの五年間において非常に手抜かりがあったということをまず示しておると思います。この問題は、逐次ひとつあとの質疑の中で明らかにしたいと思います。
 とすれば、その鈴鹿峠で火災が起きたあとに、やはり敦賀市の消防署から敦賀の運輸長に対してトンネル内の火災対策についての具体的な申し入れをして、その中で一部は改善され、一部は聞きっばなしとなっていると、こういうこともありますが、この点も、ひとつまず、はっきり私は調べていただきたいと思います。
 そこで、消防庁見えておりますか――それでは消防庁が来れば、私伺いたいことがありますが、関連して第二に、昭和四十四年の八月二十一日から二十二日、釧路市で第二十一回全国消防長会議が開かれて、予防委員会の付託事項として、「鉄道トンネルにおける防災対策の強化について」が敦賀市の消防長から提案をされている。その内容について、国鉄当局は承知をしているかどうか、その点いかがですか。
#13
○説明員(阪田貞之君) これも、たいへん申しわけございませんが、ただいま初めて伺いまして恐縮に存じます。
#14
○辻一彦君 消防庁の長官もしくはその代理を呼んであるのですが、ちょっと時間の点で、まあ見えないんでありますが、これは見えてから伺います。
 ではもう一つ、昭和四十五年二月六日から七日、大阪市での同じ第十一回の消防庁の予防委員会において、鉄道トンネル防災対策の強化について審議されておりますが、この結果について何らか承知されているか、この点いかがですか。
#15
○説明員(阪田貞之君) この点も、いまのところ承知しておりません。
#16
○辻一彦君 まあいずれも鉄道のトンネルの防災対策について、全国の消防長が各府県から集まってその内容について論議をし、そして具体的な対策を検討している。こういうことを、私は国鉄の当局が何点についても承知をされていないということは、もうああいう大きなトンネルにおける火災事故というようなことは念頭になかったと、こういうふうに考えざるを得ないのですが、この点総裁いかがですか。
#17
○説明員(磯崎叡君) 長大トンネルにつきましてのただいまの問題でございまして、いま先生のおっしゃったとおり、消防庁側でもって、たびたびにわたって、いま御指摘のようなお話が出たということを承りましたが、私どもの担当のほうにおきましても、そういうことは技術的には知っておったというふうに私は思っております、担当のほうでございますが。ただ、それをどう具体化するかということについて、いまいろいろ勉強しておった最中ではなかったかということでございます。しかし、いずれにいたしましても、それが具体化されず今日まで至ったことにつきましては、非常に私どもとしては責任を感じておる次第でございます。
#18
○辻一彦君 消防庁見えましたね。
 では、ちょっと重複しますが、もう一度申し上げます。昭和四十四年の八月二十一日、二十二日、釧路の第二十一回全国消防長会議、ここにおいて、「鉄道トンネルにおける防災対策の強化について」が提案されております。その内容について、消防庁から伺いたいと思います。
#19
○政府委員(山田滋君) 全国消防長会と申しますのは、御存じのように、全国の都市の消防長がいろいろ事務上の連絡をし、そして、まあ当面の問題につきまして協議をして、お互いの今後の努力をいろいろ検討し合う、そういうふうな組織でございますが、特に問題がございます際には、いろいろそこで決議等をいたしまして、関係方面に要望、陳情等いたしております。
 そこで、この四十四年の八月には、やはり鉄道トンネルに対する防災対策の強化についてという議題で、これは、東近畿支部と申しますのは、京都を中心にいたしまして、近畿地方の東、北陸も一部含めておりますが、そういう支部の議題として提案されておりまして、「各地で発生している列車火災に鑑み、鉄道トンネルについては、安全区画、警報、自動消火、排煙設備を設置するよう関係省庁の措置方を要望されたい」そういうふうな内容についての検討がされまして、その結果、まあ第一回では結論が出ませんということで、次回の予防委員会で継続審議をすると、そのときの話し合いはそのようになっているというふうに承知しております。
#20
○辻一彦君 それでは四十五年二月六日から七日、大阪での第十一回予防委員会、これにおいて継続審議がされたと思いますが、その内容はどうであったか伺います。
#21
○政府委員(山田滋君) この際も、やはり鉄道トンネルに対する防災対策の強化についてということで、同じような趣旨で、各地で発生する列車火災にかんがみ、鉄道トンネルについて、さっき申し上げましたようないろんな問題点について、関係省庁にその措置を要望されたい、そういうふうな審議をされまして、まあ当時消防庁の予防課長をいたしておりました高田課長から、その提案の趣旨の内容については消防庁においても検討しているというふうな説明がなされまして、了解されたというふうに承知いたしております。
#22
○辻一彦君 いま言われたように、消防庁高田課長より、提案趣旨の内容について消防庁において検討している旨の説明があり了解されたと、こうなっていますね、記録には。
 それでは消防庁は、その後この問題についてどういう検討を具体的にしたのか、その点を伺いたい。
#23
○政府委員(山田滋君) 実は、その点につきましては、この席で申し上げることが、たいへん具体的に申し上げられないのは残念でございますが、私どもといたしましても、この決議もございましたし、また現地におきましては、特に敦賀の消防長等が金沢の管理局に対して、これは再三そういう強い要望をいたしておりまして、そういう実情を聞きまして審議をいたしてまいりましたけれども、ここで申し上げて申しわけございませんけれども、まとまった結論としてまだ運輸省には正式に申し入れてはおりません。現地のそういった声につきまして検討を続けておったということでございます。
#24
○辻一彦君 じゃ、消防庁はあれですか、四十五年の冬に問題になって、その後まだ二年間検討中ですか。
#25
○政府委員(山田滋君) まだ成案を得て運輸省と話を――正式に申し入れをするということはいたしておりません。
#26
○辻一彦君 まあ、これだけの事故であるということ、しかも四十四年の十二月六日には、明らかに、敦賀の北陸トンネルの中で、わずか二百メートルのところでしたが火災事故が起きている。それにもかかわらず、肝心の消防庁がそういう重大な問題が何回も提案されながらなお検討中ということでは、私は消防庁の役割りとしてもどうかと思いますが、その点の見解はどうですか。
#27
○政府委員(山田滋君) 私の意見を申し上げますと言いわけになりますので、あえて申し上げませんが、従来やはり国鉄の関係につきましては、できる限り国鉄自体で内部的にいろいろ御検討をいただいて、その意見を尊重していくというふうな運営方針をとっておりまして、若干他の対象物に対するのとは、消防庁の態度が変わっておったということは率直に申し上げざるを得ません。私どもはその点は反省いたしておりますけれども、やはり国鉄自体が相当強く責任を持って防災対策等にも取り組むというふうないままで態度でおられましたので、それを信頼をしておるということで、強く追いかけて、たたみかけて御要望申し上げるということをしなかったのでございます。
#28
○辻一彦君 それじゃ国鉄に伺いますが、四十六年の十二月、敦賀市で集団事故による救出、救援、医療実現の計画についての協議が行なわれており、そこに国鉄はもちろん、消防庁みな参加をされておりますが、その内容について御存じかどうか、いかがですか。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
#29
○説明員(阪田貞之君) 四十六年十二月の分につきましても、伺っておりません。
#30
○辻一彦君 何ですか。
#31
○理事(江藤智君) もっと大きい声でやってください。
#32
○説明員(阪田貞之君) 四十六年十二月の分につきましても、そのお話を伺っておりません。
#33
○辻一彦君 いまの若干の質疑を通して、私は問題が明らかにされたと思いますが、消防庁は重大な問題提起を受けながら数年検討しておった。しかし従来の慣例からすれば、国鉄のこういう重要な問題は、国鉄の内部で論議をされて、それを大体尊重していくというたてまえであったとすれば、私はこのなわ張りの問題は存じませんが、やはり国鉄内部においてまず十分な検討をする、取り組みをするということが第一義ではないか。すでに四十二年、四十三年における実態も把握されていない。また、消防庁で、全国で二回もそういう問題が論議をされながら、そのあとにさらに敦賀市において四十六年の十二月に、国鉄当局を加えて消防庁、警察、それから医療機関、いろいろな団体が集まって、集団事故の場合どうするかという対策を協議をしている、そういう実態の把握を私はされていないという、こういうことが全面的にこのトンネルの火災対策について手ぬかりというか、十分な手が打てなかった一番大きな原因でないか、こういうふうに思います。
 そこで、ひとつ具体的に私は伺いたいんでありますが、こういう問題が確認はされていないにしても、いろんなところから先ほどお話のように、技術的には内部で検討していると、こういう問題もありましたが、具体的に昭和四十二年の十月四日、敦賀のあの要望があってから五年間に、あの北陸トンネルが、新幹線のあのトンネルができるまでは日本で一番長いトンネルであった、それに対してどういう改善の対策を具体的に立てられたか、それをひとつ伺いたいと思います。
#34
○説明員(阪田貞之君) 私どもといたしましては、火災事故そのものはまずともかく、火を起こさない、火を発生させないということに非常な重点を置いてまいりまして、車両の防火対策等によって、ともかく火を起こさない、火がかりに起きても極力それが延焼しないというような対策に重点を置いてまいりまして、先ほど総裁から申し上げておりますトンネル自体の問題につきましては、いろいろ問題が、非常に技術的にもむずかしい問題がございまして、具体的な対策というものが実現できないままに今日に至っておる次第であります。
#35
○辻一彦君 まあ現地のほうでは、非常電話をつけたとか、それから消火器を若干備えたとか、そういうことを言っておりますし、それから新聞紙上にもこういうことをやったということが出ております。しかし私は、現地に月曜日、六日に行ってトンネルの中にも入ってみましたが、これは非常にお粗末だと言わざるを得ない。具体的な例をあげてこの点をひとつただしたいと思います。
 第一は、これは非常にむずかしい問題でありますが、排煙装置や換気装置の問題があります。四十四年の十二月六日に「日本海号」が火災を起こしている。このときに乗客は煙でのどや目を痛めて、非常に煙の被害ということがあった。ただ幸いなことに、トンネルから二百メートルということであったために、引っ返したために大事に至らなかった。しかし、この一つの事実をもっても、もしも火災が大きなトンネルの中で起きたならば、煙による被害ということは十分私は体験をされたはずだと思う。また大阪の高層ビルにおいての火災を見ても、焼け死ぬ人よりも、はるかに煙に巻かれて死ぬ人が多いという、ああいう高層ビル、あるいは地下鉄あるいはトンネルの中という似た条件のものは、煙に対する対策というものがどうしても安全上立てられなくてはならないはずであるけれども、その点について、全く、私は対策を欠いておった、こういうふうに思いますが、総裁その点どうですか。
#36
○説明員(磯崎叡君) 国鉄の長大隧道は全国で五キロ以上が十八ヵ所ございます。その中には古い丹那トンネルのようなものもございますが、大部分は新しいものでございます。トンネルの中の防災、これは非常に技術的にもむずかしい問題で、確かに技術者の中ではいろいろ勉強はしておったようでございます。しかし、いずれも具体的に、たとえば排煙がいいのか、あるいは消火が大事なのかという根本論からなかなか議論が分かれてしまって、排煙を主にすると火勢を強めるというふうなこともありまして、二律背反のような防災設備ということで非常に苦心しておったようでございます。いろいろ、六甲トンネルを掘りますときもずいぶん議論して風洞試験などもやったというふうに私は――実は私は直接ではございませんが、そういうことも聞いておりますが、非常にトンネルにつきましては、確かにむずかしいというままにいままであったことは、率直に私、認めざるを得ないと思います。ただ、そういうことを東京の地下駅におきまして、非常にやはり気にいたしまして、東京地下駅、これは地下五階でございますが、これは消防庁からもあらかじめずいぶん御指示いただきまして、先般開業いたしましたが、これは消防的にはあらゆる設備をつくって、そして乗客の、いまおっしゃった、先生の御指摘のあった、火事よりもむしろ煙の対策というものをほとんど、いまありとあらゆる機械を使って万全を期しておるものが、やっと最近、東京駅前の地下五階の駅にできたわけでございます。
 そのときに、こういうものを、どうしてこの長大トンネルに適用できるかということについて、もっと勉強しようじゃないかというふうなことを言っておったやさきでございまして、今後全国に新幹線ができまして、長大トンネルができる際に、その長大トンネルの防災設備ができなければ、トンネルを掘ること自身に意味がないじゃないかということまでお互いに申し合わせて、いろいろ勉強しておる最中でございます。また道路トンネルにつきましても、いろいろやり方があるようでございます。それらも技術者同士で知識を交換しながらやっておりますが、まだ鉄道の長大トンネルにつきまして具体的に名案がないと、たとえばいま一番問題になっておりますけれども、青函トンネルでございます、これが約五十キロあります。これの排煙と申しますか、あるいは換気をどうするか、これはいま青函トンネルを掘っている際の一番問題でございますが、こういったことについての研究、勉強は、確かに私おくれておると思っております。そういう意味で、単に消火器を置いて消すというふうなこそくな手段でなしに、どうしたら本格的にこれから山岳地帯のトンネルを掘っていく場合、日本で長大トンネルの事故を防げるかということについての本格的な勉強が足りてなかった、やってなかった、十分でなかったということは、率直に私は反省せざるを得ないというふうに思っております。
#37
○辻一彦君 きょうは、私は時間の点もありますから煙の問題にはこれより深入りはいたしません。排煙問題はむずかしいということはわかります。しかし、むずかしいからといって、これはそのままにしておいていいものではないということも明らかであると思います。そこで、科学的ないろいろな解明や工事の問題等、直ちに排煙の問題に着手することができなかったにしても、火事や災害に対する具体的な対策はまだまだ幾つかあったはずなんです。それがやられておれば、まだまだこの間のあの大きな犠牲は救われたと思いますが、その点が私は非常に欠けておったと思うのです。
 そこで、そういう点について二、三具体的に伺っていきたいと思います。
 トンネル内の防災対策が排煙、消火、救出とこういう点にあるのは、これはもう言うまでもない。で、消火や救出にはまず明るいということが私は大事で、まっ暗では何にも見えないし、何にもできない、だから照明ということが大事だと思いますが、事故当時、あの北陸トンネル内で照明状況が一体どういう状況にあったか、この点をひとつ御報告をいただきたいと思います。
#38
○説明員(阪田貞之君) 平生照明はつけておりません。事故当時は作業がございまして、敦賀側は電気がついておりまして、二時二十分ごろ保線区員が直ちに入りまして、照明をつけてない――全部がついていたわけではございませんので、照明をつけて回りました。これはただいま五百メートルおきにスイッチがございます。これを中に入ってスイッチをどんどんつけていくような作業でございますが、当日敦賀側はそれで照明をつけてまいりました。それから今庄側は当日全然ついておりませんでした。したがいまして、敦賀側から入りましたモーターカーに乗った保線区員が、電気をつけながら入ってまいった次第で、事故発生当時の五十五キロ付近は車両のあかり以外は暗かったと思います。
#39
○辻一彦君 若干ずつ私は明らかにしたいと思うのですが、私が調べた中では電灯のスイッチは三百メーターおきにあるとこう確認してまいりましたが、五百メーターおきだということで、どちらですか。
#40
○説明員(阪田貞之君) 五百で間違いないと思います。
#41
○辻一彦君 二十メーターおきに六百八十個ですか、たくさんの電灯があり、スイッチは三百と聞きましたが、五百に間違いなければそれが正しいと思います。
 そこで、私も電灯をつけて回った人に様子を聞きました。事故時には、いま言われるように、たまたま補修を要する地区があって、そこにうまく車がとまったので、そこだけは電灯がついておったと。しかし、あとはまっ暗やみ。だから一時外に出た人は、しばらく行けば明るいと思って出たものの、これは先はまっ暗ですね、どうにもならないで、また逆戻りした例もある。だから、要するにこういう災害のときに、暗やみということは非常な不安感とパニック状況を私はつくると思うので、明るさがどうしても大事だと思うのですね。そこでこの問題について、たとえば国鉄の労働組合や、あるいは動労のほうから、常時電灯をつけてもらいたいという要求があって、それに対して、お金がかかるからというので拒否をされておったといいますが、その点について、具体的にどうやったか、この点伺いたい。
#42
○説明員(阪田貞之君) 常時照明をつけておりませんのは、運転台で乗務するときに、ちょうどあれが間隔的に目にぱちぱちぱちぱち当たるわけです。これは新幹線もそうでございますが、乗務上、前途確認している関係上非常に目が疲れるから、むしろ消してもらいたいというような要望のほうがいままで強かったように聞いております。
#43
○辻一彦君 運転の技術といいますか、そういう技能の上からそれがあったとしても、それでは非常の場合に、あの十三キロのトンネルに、何十ヵ所に、三百か五百メーターおきにあるスイッチを、一々押して回らなくちゃ電気がつかない、そういう状態を明確に脱して、トンネルの外で、スイッチによって一斉に点灯ができるようにしようという対策、こういうことが再三出されておったはずでありますが、これについてどういう見解を持っておられたのか、これを伺いたい。
#44
○説明員(阪田貞之君) 私は、そういう要望のあったことをいま承知しておりません。しかし、今回の事故にかんがみまして、このスイッチのあり方について、ただいま御指摘のような点、根本的に考え直さなければいかぬと思っております。
#45
○辻一彦君 一斉点灯――非常の場合にトンネルの外からスイッチを入れれば、全部のあかりがつくという、こういうことは知らなかったと言われるが、再三組合関係の人が行って、金鉄なんかでしょっちゅう交渉している、そんな内容は国鉄の本部にちっとも入っていないということは、体どういうことですか。
#46
○説明員(磯崎叡君) 先ほどの、長大トンネルに対する防災の考え方そのものに私は問題があると思います。と申しますことは、先生のごらんいただきました例の螢光灯の照明は、いわゆる保線作業と申しますか、坑内でもって作業する際の照明というような趣旨でもってつくっておるわけでございます。したがって、一斉につける必要がないというふうな、全然違った角度からものを考えているというところに、私は非常に問題があると思います。したがって、今後、災害時におけるトンネルの中の照明、これは当然外から一斉につけるようにしなければいけないと思いますが、いままでのトンネルの中の照明は、単にトンネル内の作業、すなわち保線作業あるいは電気の作業のためにのみあるのだと、むしろ運転上からいえば、トンネルの中はまっ暗でもって信号だけが見えるほうがいい、こういう考え方そのものを根本的に改めなければいけないというふうに私は思います。したがいまして、いまの考え方はそういう考え方でございますので、いま御指摘のような点が多々ございますので、その考え方自体を私、根本的に変えるということをきめて、それからいろいろな対策を考えなければいけない、こういうふうに思っておる次第でございます。
#47
○辻一彦君 働いている人が作業のために一斉に点灯しようというのじゃなしに、ここで事故が起こったらたいへんだから、毎日入ってみれば、どんなことがあるかということはわかるのだから、その場合に一斉点灯ができるようにしようと、こういうことを言っておったんですね。だから、その点は変えられたわけですね。私が金鉄等で聞いたのでは、一日全部の電灯をつければ二十万要る、だからお金がかかるからそんなことはできぬ、こういうことが理由であったということで、いまの御答弁では、また違った角度からの内容でありますが、しかし私は、これを見ても、いまの御答弁のほうが大事であると思いますが、しかし合理化によって、やはり大事な安全のどこかが抜ける、あるいはそれが無視されていく、軽視されていく、こういう点の大事な問題が一つここに出ている、この点をひとつ指摘をしておきたいと思います。
 第三は電話でありますが、非常の場合に、電話で――無線は御存じのようにあの長い中では使えない、だから有線電話が要る、だから万が一の場合には、有線電話を使って連絡をしなければいけない、そうすれば電話の設備ということが非常に重要でありますが、あの事故時に、電話の状況は一体どうなっておったのか、その点伺いたい。
#48
○説明員(阪田貞之君) 隧道内に三百メートルおきに電話ボックスがございまして、これにかかりますと、今庄の駅か敦賀の駅が出るようになっております。今回もそのターミナルボックスから、中に入りました保線区員から逐次情報が外に出ておりまして、この電話で比較的中の状況というものは外でつかめていたように思います。初めのうちは非常に困難でございましたが、その後三時ごろからは、中の状況が非常に外に連絡がつくようになっていたと、調査の結果では承知しております。
#49
○辻一彦君 その三百メートルおきにある電話というのは、一体どういう電話なんですか。
#50
○説明員(阪田貞之君) これはボックスがございまして、その中に携帯電話を差し込むわけでございます。それで、事故が起こりました第一報を五〇一列車の機関助士が、一時三十分に今庄の駅長に対して電話を送っているのでありますが、これも携帯電話で差し込んで、それで第一報をトンネルの中から今庄の駅が受けて、一時半に中の状況を知ったような状態でございます。
#51
○辻一彦君 携帯電話というのは、列車に乗せておった電話を、持って行って差し込むということですか。そうであれば、一体列車に何台携帯電話が乗っているのか、その点どうですか。
#52
○説明員(阪田貞之君) うしろと前の乗務員室に一台ずつ乗っています。
#53
○辻一彦君 じゃ電話ボックスが三百メートルごとにあると言われるけれども、差し込み口があるということですね。機関助士の方が、電話の番をしなければいかぬし、事故はあるし、右往左往してたいへんで、そこに今庄の消防署員がかけつけて、この人は事故死をしたのじゃないかと言われるほど中におったんですが、電話番をして、息ができなくなって出てきた。私はその話を聞きましたよ。しかし、ああいう非常の場合に、前とうしろに一個ずつある携帯電話を持って、暗やみの中を走ってボックスに行こうとする、そのボックスの差し込み口がどこにあるかなかなかわかりにくいときに、どういう状態が起こると思いますか。ころんで電話をこわしたら、もう全然連絡できませんよ。電話をつくったって、こういう携帯電話の一個か二個汽車に乗せて、夜中にまっ暗なとき、走ってころんで、まくら木が一ぱいでしょう、あれで走った人は、どれだけころんでけがしたかわからない。持っている大事な電話をころんでこわしてしまったら、もう電話はかからぬ。そういうことを考えるときに、私は三百メートルおきにある電話の差し込みというのは、今回の場合は役に立ちましたが、いつも私は有用であるとは思わない、その点どうですか。
#54
○説明員(阪田貞之君) 先ほど総裁からもありましたように、こういういろいろな事故の教訓からかんがみまして、トンネル内の無線の問題その他をひっくるめまして、情報連絡施設については、さらによく検討させていただきたいと存じます。
#55
○辻一彦君 ということは、無線も含めて有線電話を三百メートルおきに配置するということなんですか、どうなんですか。
#56
○説明員(阪田貞之君) 現在、まだそうそこまで具体的には考えておりません。
#57
○辻一彦君 非常の場合に、今日のこの電話の状況は非常に問題があるということは、私は明確だろうと思います。
 第四に消火器、この消火器を設置したということを金鉄のほうは言われておりましたが、調べてみると今庄口に二十一馬力の固定ポンプがあります。それから敦賀口に四分の一馬力の移動の散水器がある。いずれもトンネル内の汚物を清掃するというようなねらいであって、実際としては、今度の場合にほとんどこれが役に立っていないという実態ですね。消火器を備えていますが、一体どういう状態で把握されているか、この点いかがですか。
#58
○説明員(阪田貞之君) 残念ながら、そういう御指摘のような消火設備というものは持ってないと言わざるを得ないと思います。
#59
○辻一彦君 いまの、水をまく消火器もなければ、もちろん粉剤や化学等によるいろんな意味の自動消火器もないということは明らかでしょう。
#60
○説明員(阪田貞之君) ただいまございませんので、前々からの御指摘の全般の、長大トンネルをどうするかという観点からぜひ早急に処置したいと思います。
#61
○辻一彦君 全般の話をやっておれば排煙の問題に及ばなければいかぬのですよ。そんなことをしていたら時間かかってあぶないから、具体的に、早くやることをやったらどうかと、こう言っているんですね。だから、そんな何年もかかって検討するんじゃ間に合いませんよ、早くやらなければ。
 そこで総裁に伺いたいが、今日高速道路を見ますと、どこにも一定の区間にあるボックスに電話が入っておる、そして消火器が置いてある。これは自動車と汽車とは違いますが、高速道路には全部こういう配置が今日されておりますね。あれだけのトンネルに、電話もいまのような状態、それから消火器もそのような状態。私は人命尊重と安全第一という点からいっても、非常に具体的な例として、問題があったやり方だと思いますが、総裁どう考えますか。
#62
○説明員(磯崎叡君) 確かにその点は、道路トンネルは人とか車が通るのがたてまえで、すなわち場合によっては人が中を歩くんだということも考えて、非常にいい設備ができている。私どものトンネルは列車が通るんだということが原則になっている。そういう観念が抜け切らない。そしてトンネルの中にエマージェンシーで人がおりてくるということを想定しないで、とにかく列車が入る、あとは商売人のうちの職員が入るというたてまえで長大トンネルを観念しているところに、私は非常に問題があると、実は先ほど申し上げた次第でございまして、道路トンネルのように、あれは排煙しなければドライバーが死んでしまう、あるいはいつ車のパンクその他で人がおりるかもわからない。そういう常に人が車からおりてトンネルの中を歩く、あるいはトンネルの中から通信するということを前提としてのトンネル、そういう考え方をどこまで鉄道トンネルに及ぼすか、その根本的な問題だと思います。
 しかし、それを言っていますと、先生のおっしゃったように、いつのことだかわかりませんので、とりあえず長大隧道についての、マンホールがついてございますので、人が隠れるところがございます。あのマンホールに、とにかく大型の消火器だけを至急置けということはきめたいと思っております。これも一種類でなしに、なるべく種類の違ったものでなければいかぬというふうなことで、とりあえず、昨日もいろいろ会議もいたしまして、なるべく馬力――パワーの強い消火器をとにかくに長大トンネルに緊急に整備すると、これはだれがまた扱うか、いろいろな問題がございますが、とにかく置いておくということだけは、きわめて拙速でございますが、それだけでもとりあえずやろうというような気持ちでございますけれども、そういう方針でやりたいと思っておりますけれども、とにかく考え方が、先ほど申しましたように、根本的に汽車が走るんだという考え方をどうぶちこわして、いつ何どき人がおりて歩くかもしれないということを頭に置いての、トンネルについての観念のしかたというものを、ここで私はほんとうに考え直さなくちゃいかぬということを、いろいろ言っている次第でございます。とりあえず、そういうことを言っておりましては、いつのことかわかりませんから、やれることをやるということで、いま御指摘の消火器の設置等は至急やりたいと思っております。
#63
○辻一彦君 考え方を変えてもらうということがまず根本で大事だと思います。
 二、三まだ具体的な話で聞きたいと思いますが、次に防毒マスクの問題です。私も朝トンネルに入ったんでありますが、もう煙が強くて、しばらく行くとなかなか奥へ入れない、こういうことで、マスクがなければだめだとみんなが言って、それで引き返しましたが、新聞にも出ておりますが、敦賀口では朝の四時までマスクがないために、なかなか救護隊が入れなかった、今庄の側では九時三十分までマスクがないので待っておった、しかも、消防庁や警察等で借り集めたマスクは十五分か二十分しか使えない、二十分使って引き返したときにはやられちゃうから、とても二十分までは使っておれない、そうすれば有効範囲は十分か十五分ということなんですね。そんなふうじゃあの八キロ――今庄口からいえば奥ですから、歩いたら二時間かかるんですよ。敦賀のほうからだって一時間かかる。そういう中で、十五分や十分のマスクをかぶってもどうにもなるものではない。結局、自衛隊のマスクを借りてくるのを待っておった。そのために今庄では救援隊がトンネルの外に待機をしながら、朝の九時半まで中に入れなかったという実態があったわけですね。このときに、救援隊の中に、こんな状況では助かる命も助からないじゃないかと、マスクの一つもないということは大国鉄として一体どういうことかと、こういう声が盛んに出ていましたが、これを聞かれて、総裁どう思われますか。
#64
○説明員(阪田貞之君) 敦賀口からは二時三十七分に第一回の救援機がトンネルの中に入っております。それから今庄口からは福井から参りました救援機が四時に中に入っております。このときはマスクなしでそのまま入りまして、ぬれ手ぬぐいで全部救援したわけでございます。
#65
○辻一彦君 奥まで行けぬからでしょう。一番奥まで行ってないんでしょう。
#66
○説明員(阪田貞之君) いいえ、災害を受けました五〇一列車の、敦賀口はうしろの火が見えるところまで行って、こちらの第一回で、火災車から敦賀寄りのお客さまは全部収容しております。相当中で救援隊は苦労したようでございますが、それでも火災車から敦賀寄りは第一回の二時三十七分に入りました救援列車によって全部救出しております。それから今庄口は五十五キロ三百という地点が五〇一列車の先頭のところでございましたが、五十六キロまで行きまして、そこで線路上にたくさん苦しんでおられますので、これ以上行くと煙で先が見えないので、一たん列車を五十六キロでとめました。とめて、乗っておりました五、六十人の作業隊が線路におりまして、さらに奥に入りまして、五十五キロ五百まで行っておりますから、ほとんど事故地点のところまで入りまして、その付近におられる方はともかく全部一たん収容して、第一回の救援列車が引き揚げております。それで引き揚げましたときに、今度は敦賀寄りからさらに第二回が入っておりまして、全部、最後に残された方々をお乗せして引き揚げているような状態になっております。
#67
○辻一彦君 ただ、列車風があって、敦賀のほうから入った列車に対しては風は敦賀のほうから吹いておるんですよ。だから敦賀のほうから入った人は風の関係でわりと近づけるけれども、今庄から入ったのはそうはいかない。それから時間によって煙がだんだん動いていくわけですから、だから初め入ったって、朝二時に入ってからあと四時に入れるのがあたりまえとは限らない。かえって朝九時半に入れないときがあったわけですから、これは時間ではなかなか割り切れない問題だと思います、煙の関係は。そこで、さっき私言いました、総裁から御答弁がありませんが、マスクがあれば、いま九時半に救援隊の人が、みんなそこに待って、助かるのに、なぜ入れないかと言って――そのときに自衛隊が九時半過ぎに入りましたけれども、それまでみんな待ってそう言っておったんです。私は大きな国鉄が、このマスクの一つもないというのは一体なんだ、こういう声が盛んに聞こえました。私はさっき冒頭に読み上げましたように、四十二年十月四日、五年前ですよ。ちゃんと敦賀市の消防署は金鉄局に対してトンネル火災は火炎、炎による酸素不足の状況が予測されるので救助器具、酸素マスクを常備するように、こうやって五年前にちゃんと申し入れておるわけです。こういうものを御存じもないし、それから五年間ほったらかされて、いま結果が出て初めてマスクの必要がわかったわけですね。消火器も水もマスクも電話も配置する、こういう状況だと私は思うんです。こういう点が非常におくれている。
 それから、警報の問題でありますが、事実、知らせるのに電話で三十分かかっております。もし非常の場合に、何らか自動警報装置とか、こういうものがあれば、これは早く今庄と敦賀のほうに知らせられた。また敦賀のほうからは貨物列車二十両が突っ込んできて、これがトンネルの中に入って、事故車から一キロのところ、敦賀の口から五キロのところにいた事故車に一キロまで接近したわけです。このために消防の、あるいはいろんな火災の対策というものが、貨物の二十両がトンネルの中に入っておったためになかなか前からできなかった。それから「立山3号」が接近してきた。幸い徐行してこれで負傷者を乗せて帰ったから、これはプラスになりましたが、貨物のほうは残念ながら二十両突っ込んでいるために非常に救援作業がおくれた一つの原因になっている。こういうものも、自動的に、事故があればすぐわかるような装置があれば、これは明らかにこういう問題はなくて、いろんな対策は立てられたわけだし、こういう点の自動警報装置と、これも四十二年にすでに敦賀の消防署から緊急停止は乗務員の信号によるが、非常警報装置など機動的なものを装置してほしいということが出されておるわけですが、この点も、事故があって初めていまそういう必要が出てきたということになっておりますが、この点どうですか。
#68
○説明員(磯崎叡君) 確かにそういう際には、先ほどの電話でもって用が足りると思っておったところに大きな問題があると思います。したがって、今度は警報よりもやはり無線をもう少し金をかけて改良すれば、いま列車に積んでおります運転手と車掌との間の無線、これはトンネルの中ではございましたが、わりあいによく聞こえたようでございます。したがって、無線ですぐ駅なり、あるいは管理局のほうに乗務員が自分でもって知らせられるようにしたほうがいいんじゃないかということをいま考えて、何とか隧道の中から直接無線でもって話ができるような方策をいま考えてやらしていくつもりでおる次第でございます。
#69
○辻一彦君 いまの対策も大事ですが、五年間放置をした責任は、これはやっぱりひとつ考えなくちゃいけないと思います。いまあわてて何々をそろえたということで済む問題では私はないと思います。
 それで、もう一つ七番目に、長大トンネル内における火災時における運転取り扱い規程、基準、こういうものが非常にあいまいであった。これは報道もされておりますが、まあ、あの火災を起こした列車がとまるのか、突き抜けて走るのか、こういう点についても、金鉄局が来て言った発言と、総裁が敦賀に見えた発言と、これは指導しているのと食い違いがあるように思うんですが、この点どうですか。
#70
○説明員(阪田貞之君) 列車の隧道内の火災時における停止の問題は、金鉄で出しておりますマニュアルを各乗務員に持たしておりますが、それの内容どおりでございまして、ただいまお話のような矛盾はないと確信しております。
#71
○辻一彦君 ちょっともう一ぺん、すみません。
#72
○説明員(阪田貞之君) ただいま職員に、こういう火災が発生したときにこうこうせい、こうこうしたらいいというマニュアルを金鉄局で持たしておりますが、それの内容どおりでございまして、ただいま御指摘のようないろいろの矛盾というものは、列車停止せよ、あるいは消火作業に当たれというようなことに対する取り扱いの矛盾というものはないものと確信しております。
#73
○辻一彦君 金鉄局のほうでは、普通は火災の場合はとまるんだが、橋の上やトンネルの場合は通り抜けてそうしてとまれと、こう言っていますね。そうして総裁は、火事はとにかくとめるのだ、とめての処置だとこういうことですね、これは矛盾がないのですか。
#74
○説明員(磯崎叡君) それは私は、あそこへ、敦賀へ参りましてすぐの話でございまして、結局どこで列車がとまったかということの問題だと思います。あと百メートルか二百メートルで出られるなら、これはもう出てしまうのが当然でございますが、あの際には入ってから四キロということでございまして、あの際、もしかりに――よく地元でいわれておりましたが、あと十分あれば通り抜けてしまったのだからそのまま通り抜けたらよかったのじゃないか、こういうふうな御意見でございました。これは機関士といたしましては、火事の大小は全くわかりませんから、やはりとめて消火するというたてまえでいくのが、私は筋じゃないかと。しかし、もう出口が見えているというときには、これはもう通り抜けてしまう、あるいは橋梁のように、もうちょっと先がはっきりわかっているというときには通り抜けてしまうということが正しいので、金沢の局でつくらしておりますあのマニュアルにつきましては、北陸トンネルの中では、とにかく火事が起きたらとまれと、そうして消火に当たれというふうに書いてございます。ただ、出口に近い場合には出てしまえ、こういうふうなマニュアルになっておりまして、その点、私の申しましたことは、あそこへ行ってすぐの記者会見でございまして、あまり詳しい内容を聞かないでの、原則論として、トンネルの中では一たんとまるのだという原則論を言ったわけでございます。ただ、そのとまった場所が出口に近いか、あるいは入り口に近いかという、こまかいことについては私は申せなかった。原則としては、トンネルの中で一たんとまってそうして消さないと、かえって火勢をあおってあぶないというふうに申したわけでございます。あるいはその辺でちょっと表現で矛盾しているとお感じになったことと思いますが、そういう趣旨でございました。
#75
○辻一彦君 排煙――煙の問題と、どこへどうとまるかは、非常にむずかしいし、検討を要する問題であろうと思います。時間の点で、私はこれ以上はきょうは触れません。
 最後に、具体的な問題として、防災訓練がどの程度やられておったか、この点どうですか。
#76
○説明員(阪田貞之君) ことしに入りまして、金鉄局では八月五日付で、この列車火災に関するいろいろ手続、取り扱い、その他の指示を出しておりまして、防災訓練は原則的には車掌区ごとに毎年毎年行なっております。
#77
○辻一彦君 私の言う防災訓練というのは、そういうトンネルの中の火災等を想定した防災訓練が行なわれているかどうか、この点です。
#78
○説明員(阪田貞之君) こまかい点はわかりませんが、実地にトンネル内で具体的に防災訓練をやるということは、列車その他の関係でたいへんむずかしいので、机上で、こういう場合はどうするかという、机上訓練の形式をとるものと考えております。
#79
○辻一彦君 まあ、時間が来ましたからあれですが、この机上訓練というけれども、そういうものがなかなか役に立たなくてこういう問題が起こるということは、ぼくら十分おわかりであろうと思うんですね。これからもそういう机上だけの訓練で済まされる気かどうか、その点どうですか。
#80
○説明員(阪田貞之君) これはトンネルの実態、それからそのときのその線区の列車状況等、十分加味しなければなりませんので、できる場所とできない場所とがあると存じます。ここですべて実体訓練でやれということを、まだちょっと申し上げるだけの私は確信がございません。
#81
○辻一彦君 まあ大体、締めくくりに入りたいと思います。
 先ほどの質疑を通して排煙、照明、非常電話、消火器、防毒マスク、警報の装置ですね、あるいは運転の取り扱い、防災訓練、こういう点については、なるほど御答弁の中にはやむを得なかった点も幾つかはあると思います。しかし、少なくも、繰り返しますが、四十二年十月四日に敦賀から出された、消防署から出された五項目、この五項目のうちの少なくも二、三、四項目、警報の自動化、防毒マスクの装置あるいは初期消火に備えての消火器や消火せん、小型の動力ポンプを設置せよと、こういう問題が、やはり私は残念ながら五年間見過ごされておったと、こういうことは事実であろうと思います。そしてもしも排煙のような、煙のようなむずかしい問題は、これは時間がかかったにしても、このうちの幾つかはやる気になればやれた問題であろうと思いますね。こういうものを手抜きをしたというか、あるいはこの考え方が転換できずに、やっていなかったというところに、今日のあのシートの下から出た火が、これだけの被害と犠牲をもたらした最大の原因である、こういうように私は考えるのでありますが、そういう点について、この五年間、具体的な対策を打たなかった国鉄当局の責任は、まことに私は重大だ、こういうふうに思いますが、この点、総裁のひとつ所見を伺いたいと思います。
#82
○説明員(磯崎叡君) 五年の間と申しますか、今後も長大トンネルを掘るという前提のもとに、いろいろな作業をしておるのに、その長大トンネルの中のエマージェンシーについて考慮しなかったということは、いま御指摘のいろいろな点を通じまして、私もよく肝に銘じてわかっております。したがいまして、今後の問題は今後の問題といたしまして、いままでの対策の不備等は、これ、すべて私の責任でございます。十分私は責任を痛感いたしております。
#83
○辻一彦君 総裁は、新聞紙上においても一〇〇%国鉄のミスであったと、こういうのが新聞に報じられております。いまの御発言もありました。私は、やはり繰り返すことになりますが、人命の尊重、安全第一を常に唱えておる国鉄が、こういう安全対策を怠った、あるいは十分な手が打てなかった、そのためにこれだけの多くの犠牲を出した、こうなれば、私はその責任の取り方、所在というものは必ず明確にされなければならない、こう思いますが、責任を感じておると、こういう問題で済まされる問題ではないと思いますが、どういう形で責任を明らかにされるか、その点を伺いたいと思います。
#84
○説明員(磯崎叡君) 昨日、運輸大臣からの警告書もいただいております。私は、いま私に課せられた責任は、その責任を完遂することが私の一番大事な責任であるというふうに考えております。したがいまして、今後この問題について、再びこういう事故の起こらない、まあいろいろ、やっぱり百年の伝統を持っておりまして、なかなか方向転換のできにくい問題も多々ございます。あるいは技術者としても一流の技術者が相当なプライドを持っている、それをとにかく新しい方向に向けていくと、それの努力、それをしない限り、なかなか私は、こういう根本的な解決にならないと思いますので、まずそれを、私はどうしてもやるということが、私の責任を完遂する第一の問題であるというふうに考える次第でございます。
#85
○辻一彦君 たとえば金鉄当局がこの五年間、何回か私がいまここであげただけの回数ではない、再三にわたっていろんな角度から、こういう問題で申し入れを受けながら、発想、考え方の転換ができずに、依然として同じ状態であった、それを本部の国鉄本社が知らずにおったというような状況、実態を私は伺ったわけですが、そういう中で、これからのあり方だけで、私は責任の所在を明らかにするというわけにはいかないと思いますが、いままでの事実について、そしてこれだけの、そのために出た犠牲に対して、もっと違った責任のとり方が、進退問題も含めてあり得ると思いますが、重ねて総裁の所見を伺いたい。
#86
○説明員(磯崎叡君) いままでそういう御注意を受けながらほうっておいたという責任あるいはいままでの全般的な問題についての責任、これは確かに問題がございます。先ほど申しましたとおり、私は、私に課せられた責任をとにかくここで貫き通すということが私の一番大きな問題である、こういうように考える次第でございます。それの内容につきましては、いろいろな具体的な方法をどうやっていくか、どう実行していくかということをしない限り、私は私の責任が全うできないというふうに考えておる次第でございます。
#87
○辻一彦君 私は、運輸行政の最高責任者である佐々木運輸大臣の出席によって、もう一度この見解について大臣の見解を求めたいと思います。若干の時間を保留して質問を終わります。
#88
○理事(江藤智君) 委員長から申し上げますが、運輸大臣はお昼の休みには出てくることになっております。
#89
○伊部真君 国鉄で最近かなり大きな事故が続いているわけです。そういう意味で、今回の多くの人命を失った事故というのは、責任を感じなければならぬと思うのでありますが、そういう意味で、いまの質疑の内容を聞いておりまして、私は、自分の肉親を失いあるいは病床にあって全快の見通しがあるのかどうかという不安感にある、しかも後遺症が云々されるような状態の中で、国鉄当局がとるべき態度としては非常に私は遺憾であると思う。当然にこれらの人に対しても、やはり償いというもの、あるいはその責任というものを痛感するなれば、もっと私は、総裁としてのとるべき態度というものがあるのではなかろうかというふうに思います。私の感じでは、新聞の報道によりますと、総裁は今度の問題で進退を、やめるというようなことは考えないということを明言されているそうですが、私は不遜な態度と言わざるを得ないのであります。もう少しこれらの犠牲者に対して、総裁として責任を感ずるなれば、私は考え方を改めなければならぬのではないか、こう思います。そういう意味で、まず最初に、いま一度総裁の責任のとり方についてお伺いをいたします。
 さらに、大臣出席してからでも重ねて質問があろうかと思うのでありますけれども、七日の衆議院の運輸委員会で、政務次官が、との問題は総裁の責任問題も含めて、全体としての責任というものを考えなければならぬという意味の発言をされたというふうに聞いておりますが、その真意について、そして総裁と意見の食い違いがあるのかないのかという点について、次官からもお伺いをしたいと思うのです。
#90
○説明員(磯崎叡君) 私も、現地に参りまして、みずからひつぎの前にぬかずき、また病床の方の手を取っておわびをしてまいりました。その意味で、私も十分その点は、今後の問題については、なくなった方、あるいはけがされた方に対する私の気持ちというものは、私は十分自分では自覚しているつもりでございます。その点、それらの方々に対する、私の何といいますか、申しわけないという気持ちは、私はいままで、かつて六十年間過去に経験したことのないほど深い感覚を持っている次第でございます。
 ただ、私の進退問題につきましては、私は、現時点は私の進退問題以前の問題であるというふうに思っております。私は、もっと私には課せられた大きな仕事があるというふうに考えます。その仕事の方向を、行き先等をきめずして進退問題をここで考えるということは、私はきわめて無責任な態度だというふうに考えます。したがって、現時点におきましては、私は、私の進退問題以前の問題として、この問題の具体的な処理をやってまいりたいというふうに思う次第でございます。
#91
○政府委員(加藤六月君) 私が、七日の衆議院の運輸委員会においてお答えいたしました内容と申しますのは、六日の夜、佐々木運輸大臣が現地において記者会見をいたされました。そこへ私がはべっておりまして、いろいろそのときの大臣の発言内容、心境等について衆議院の運輸委員会においては申し上げたわけでございますが、そのとき運輸大臣は、今回のこの事故は佐々木運輸大臣以下全員が責任をかぶって解決し、また善後措置を講じなくてはならない問題であると考えておるわけで、責任云々ということは、不肖佐々木大臣以下全員がこれに当たっていかなくてはならない問題である、運輸行政においては安全というのが最優先するという立場で、この問題については言いのがれはいたしません、責任のがれはいたしませんという内容で記者会見されたことを、まだ大臣は、七日当日は現地においでになられたわけでございますが、私はそういう趣旨で大臣が発言されたわけでございますということを申し上げたわけでございます。
#92
○伊部真君 私は、その内容は進退問題を含めて十分にこの責任の所在について明らかにすると、それは大臣を含めて、もちろん国鉄の総裁以下の所管のものも含めてというふうに理解をするのでありますが、そのとおりでよろしいですか。
#93
○政府委員(加藤六月君) それ以後大臣と詳しくお話をいたしておりませんので、ニュアンスはどうかわかりませんが、私のあの場で聞いた感じというのは、進退問題とかなんとかというようなことは含まれていないように感じておった次第でございます。
#94
○伊部真君 それでは、この問題に関して、進退問題というものは考えていないというふうにおっしゃるわけですか。
#95
○政府委員(加藤六月君) 進退問題云々よりか、現地へおいでになられまして、現地の悲惨な状況をごらんになられて、災害にあわれた方々に対するお見舞い、けがをされた方々に対する陳謝、そういうものを含めて、すべての問題は、これを管理監督する佐々木運輸大臣以下全員がかぶってやるべき問題であるというようなことでございまして、その当時においては、進退問題云々というようなことは、私、大臣の意中にはなかったのではないかというように、そばにおりましてお聞きしておる次第でございます。
#96
○伊部真君 私は、やはりこういう大事件が、しかも背景としては明らかに今日の国鉄の足取りから見て、安全面において欠けていたという重大なミスがある限りは、そのことを含めてやはり検討するのが当然だと思うのです。あの事故のとっさのときには、総裁のことばにありましたけれども、いま直ちにそのことを言うことは、これは避けることができても、これは当然にこの事故の全貌が明らかになったときには、その責任をとるというのは当然のことではないでしょうか。したがって、これは私は、進退問題を含めて、これだけの重大な事件を起こしたわけですから、監督される運輸省としても、これは検討するというのが当然のことではないでしょうか。そのことを除いて考えるというようなことは、私はもってのほかだと思いますが、その点いかがですか。
#97
○政府委員(加藤六月君) 現場へ行きました当時におきましては、事故そのものの原因が何であるかということははっきりわかっておりませんですし、いろいろな事故原因についての内容が取りざたされておりました。またその当時、今日もそうでございますが、警察当局並びに国鉄当局において、事故の原因究明についても鋭意調査中であるということを聞いておりました。そういう過程において、私は進退問題を含めた発言があるということは考えられ得ないというのが正しい解釈ではないかと思っておったわけでございます。繰り返して申さしていただきます。
#98
○伊部真君 それは、その当時としてはある程度やむを得ない状況かもわかりませんが、いま、明らかになりましたときに、一番明らかになったのは、国鉄総裁自身も言われているように、今日までの長大トンネルに対する安全という、これは設備においても、あるいは訓練においても、不十分というよりも、むしろほとんどなかったというところに大きな原因がありますね。あるいは私は、長大トンネル問題というのは、北陸問題ではなしに、国鉄にとってはこれからたいへん重要なことだと思うのです。たとえば新幹線の状態でも、岡山までの場合にも大かた三分の一ある、あるいは福岡の博多まで行くとほとんど半分くらいはトンネルの中を走るという状態になる。こうなりますと、これはトンネル対策というのじゃなしに、もう国鉄の新幹線、いわゆる全体の経営に対する大きな問題として、一部とは言えないような状態だと思うのです。こういうところに大きな抜け道があったと、誤りがあったということは、私は、今度の事件は偶然のことではないと思うのですよ。これはどこかで必ず起きることを予測された事故でしょう。これは、どこかでミスがあって運転者が衝突をしたという事件とは違って、私は、国鉄の首脳としては、あるいは監督をする側にとってはたいへん大きな責任問題だと思うのですよ。交通事故ではないと思うのです。そういう意味で、国鉄としてはいままでの事故と違った責任というものを感じなければいかぬのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。全貌が明らかになりました、大体の筋書きが明らかになりました。
#99
○説明員(磯崎叡君) 先ほど辻先生にもお答えいたしましたとおり、やはり今後の鉄道、まあ国鉄と言わず、鉄道の生きる道というのは、やはり新幹線のようなああいうような輸送形式だと私は思います。したがって、この狭い日本の国土、山岳地帯の国土ではどうしてもトンネルが長大になる。これも避けられない事実だし、また市街を通るときには地元住民からの強い要請によってとても高架鉄道はできない。結局、全部地下鉄道になるということも、一つの先の見えている鉄道事業そのものの趨勢だというふうに考えます。したがって伊部先生の御指摘のとおり、この問題は、私は今後の鉄道の百年の運命をきめる非常に大きな問題だというふうに考えます。したがいまして、まずこの問題をどうこれから具体化し、どう対策を立て、どうそれを具体化するという、まず私のほうのものの考え方を、ほんとうにそれに改めることができるかどうか、そこが私はキーポイントだと思います。すなわち、ほんとうに担当者の末に至るまで確かにこういうことが一番大きな問題だ、場合によっては鉄道経営そのものの問題だ、われわれのめしの食い上げになる問題だというところまで徹底しなければ、なかなかこれは私は、たとえば消防庁から、末端のほうに御注意があった、そこで消えてしまっているということ一つとりましても、やはりものの考え方、取り上げ方が一つの大きな私は問題だと思います。したがって私は、先ほど申しますとおり、いまの段階は、私の進退問題以前の段階だと私は考えております。そういう意味で、私の申し上げていることは、一応話としては御理解をいただけるのじゃないかというふうに思います。
#100
○伊部真君 これは私は、総裁自身とのやりとりということは、この段階を越えますとちょっと不適当だと思うのですね。またあらためてこの問題は議論をしたいと思います。またほかの委員からも御質問があると思います。
 ただ、私が一番問題だと思いますことは、いま総裁の言われたこと、非常に端的に率直に言われたわけでありますが、そういう意味では私も理解できるわけです。しかし具体的な項目は、先ほど辻委員も言いましたけれども、やはり一項大きく抜けているのは、安全面に対する対策というものが具体的にできてないということだと思うんです。それは車両の設備でもそうなんでありますが、車両点検も、そういう意味では、まだ石炭のレンジがついてるようなものが使われている。そういうときに、火がついたらどうなるかということについて訓練ができてない。そのために必要な要員というものをとってない。ここら全部を含めて私は問題だと思うんです。
 で、具体的なことで少し入って聞きますが、食堂車は、営業行為を閉じましたときには、あれは通行はとめるようになっておりますか。
#101
○説明員(阪田貞之君) とめないようになってます。
#102
○伊部真君 それでは、その食堂の従業員の睡眠はどこでとるようになってますか。
#103
○説明員(阪田貞之君) 食堂車の中のテーブルを寝台がわりにしております。
#104
○伊部真君 私は、一つの例ですけれども、食堂車の中にあのテーブルを集めて、その上で寝具も何もなしに寝かすわけでしょう。これは基準法上も問題だという気がするんですけれども、その中を女の子もみな寝るわけでしょう。その中を通るようになるんですか。
#105
○説明員(阪田貞之君) この五〇一列車の食堂車はただいまのお話のようになっております。新しい車は中を通らないようにしております。それから新しい車は寝室を別にいたしまして、寝てるところを人が通行するようにしないようにしております。
#106
○伊部真君 こういうアンバランスを、私はやっぱり直していかなきゃいかぬと思いますね。基準法上も私はこれが仮眠として取り扱えるのかどうか。食堂は日本食堂とか帝国ホテルにやらしているから国鉄と関係はないということじゃ私は済まされぬと思うんですね。設備をしてやらなけりゃ休むことができないわけですからね。この場合でも一番問題だと思いますのは、この場合の状況がよくわかりませんけれども、問題と思うのは、やはり人が、そこへお客さんがおったところで火が出たんならかなり早く手を打っていたと思うんですね。しかし、食堂のようなそういう状況で、しかも設備的に非常に問題があるようなところで火が出たときに、これはやはり手の打ち方が非常におくれるということが考えられるわけですね。そういう意味では、全体としてこの食堂車なり整備というものを均等にするということを考えないと、日本で七車両しかないのが、食堂をここでぽつんと新しいところへつけておいたというところに問題点があるような気がするんですが、その点はいかがですか。
#107
○説明員(阪田貞之君) たいへん恐縮ですが、七車両の食堂車を……。
#108
○伊部真君 全国で日本に七両しかない型でしょう。
#109
○説明員(阪田貞之君) 逐次食堂車、先ほど申し上げましたように、新しいのにかえておりまして、これはまだ前の型式のものが残っておるような状態でございます。
#110
○伊部真君 私は、新しい設備をしたときには、やはりその部分だけが古いということになると、ここは壟断されることになりますね。そんな感じがいたしますので、設備については全体としてやっぱり検討して整備をしていくと、そうしてまた食堂の仮眠施設なんかも、ただ食堂のテーブルを集めておいて、そうしてその上に寝かしておくというようなことについて、国鉄はそのまま見のがしているということは、これは安全面からもそうですが、ほかの面からでも問題だと思いますね。したがって、女子職員がそういうようなことになっておるということについては、監督をすべき国鉄としてやはり十分の処置をしなければならない、そういうことを要望しておきます。
 それから消火器――消火施設については列車の中にどれだけの施設がありましたか。それからそれはいつ施設をしたものか。よく、消火せんはあっても、その消火せんは性能的に非常に古くなったために悪いということがありますから、その点は製造月日なり、これらの設備の状況についてお答えをいただきたいと思います。
#111
○説明員(阪田貞之君) 設備は、食堂車に消火器二個、それから各寝台車に二個備えておりますが、ただいま御質問のその製造年月日は、ただいま私は承知しておりません。
#112
○伊部真君 これは使ったときには性能的にはどうだったか。それから過去において点検はどうだったかですね。
#113
○説明員(阪田貞之君) 消火器は毎年一ぺんは必ず性能検査をしておりまして、悪いものは全部取りかえるようにしております。ですから、性能的には圧力その他まずいものは積み込んでおりません。
#114
○伊部真君 今度の事故の場合、その消火器はどの程度に効果をもたらしたのか。あるいは消火器がもう少し性能がよければ食いとめ得たんではないかというふうに思われるわけですが、その点の検査はどうですか。
#115
○説明員(阪田貞之君) 初めの、発生時の状態については、消火にみな努力をしておりますが、消火器は、初期の消火を、食いとめることを重点にしておりまして、車両自体が全部燃えるような状態にかりになった場合には、全然別の体系の消火器にしなければなりません。今回は、初期消火には一生懸命つとめたのではございますが、その点のこまかい事情を、どこでどういう関係でというところが、供述者の中にまだ重傷者がいまして、こまかい点はわかっておりません。しかし、消火には一生懸命やっておるわけでございます。
#116
○伊部真君 それから列車の誘導関係ですけれども、最初に後尾の客車を置いて、そうして燃えている食堂車を一番最後尾にして出ていくという状態をつくったわけですね。そうして二百メートル行って一たんとめるということになりましたね。それは、食堂車を最後尾のままで抜けることができなかった、この場合に停電が起きたということなんでありますが、その停電の原因についてひとつお伺いします。
#117
○説明員(阪田貞之君) 事故発生のところに隧道の排水用のといがございまして、これが熱によって溶解いたしまして、それが架線にかかりましてショートいたしました。そのために停電いたしました。
#118
○伊部真君 私は、これはいろいろの問題点があろうかと思うのですけれども、長大トンネルのときにとめるということをきめられておるのは、これはそのまま走っていくと後続車が火に包まれるという危険性があるので、これはかえって事故を大きくするという意味で、とめてそれを切り離すという措置をきめられておると思うんです。その場合に問題だと思うのは、今度の場合のようなときには、最後尾の燃えている車だけをそのまま連れて持っていったら、そうした場合には延焼するという状態は出てこないし、事故が局部的になったんではなかろうか。その場合、今度の場合はたまたま停電事故があったためにそれが途中で動くことができなくなったということですね。そうでない場合には、そのまま持っていったほうがいいのではなかったか。今度の場合の処置としては、持っていかれずに二百メ−トルおいたところでもう一ぺんその列車を離して出ていくということを考えられたようでありますけれども、そこら辺の判断については、これはたまたま今度の場合には停電ということがありましたけれども、少し疑問があるわけでありますが、その点はどう判断されますか。
#119
○説明員(阪田貞之君) これも、先ほど御指摘のようになかなか机上で考える場合と実際の場合とではたいへん状態が変わると思います。たまたまこの間のは、残しました車両が四両、前から十一両目でございますが、これがまた逆の場合もあるわけでございまして、やはり原則としては一ぺん切り離して、その火災車を他の車から避けてそこに置いて脱出するというのが正しいのではないかと考えております。
#120
○伊部真君 次に乗員の配置の問題でありますけれども、今度の場合の乗務員は、動力車の乗務員が三名、列車乗務員が五名ということでありますが、そして五名に金沢のほうの関係入れて、これでいきますと十一名ですか、公安関係は別にいたしまして。この乗務員の人員配置というのは、列車の客車数によって配置をされるのか。それから、人員配置の基準というものがあるのかどうか。それがあったとすれば、これはいままでの人員、いわゆる十年前の人員の配置と今日はどのように変化があるのか、お聞かせを願います。
#121
○説明員(阪田貞之君) 寝台車は昔の三等寝台、現在ハネと称しておりますが、それは二車に一人乗っております。それからロネは一車に一人乗っております。これは昔は一車に一名乗っておりました。
#122
○伊部真君 よくわかりませんが、十年前の場合は何名が基準ですか。
#123
○説明員(阪田貞之君) 十年前でございましたら五人乗るところを、現在四名でございます。
#124
○伊部真君 私が申し上げているのは、前は一車に一人乗員がおったというふうに答えられたでしょう。今度の場合は、現在は二車に一名ということで、乗員全体としていまの場合には減っているというふうにお答えを先ほどされたのですがね、その点はどうなんですか。
#125
○説明員(阪田貞之君) ここにございます動力車乗務員は、これは指導機関士が乗っておりますから一人多いんでございますが、列車乗務員が五名と書いてございますが、一人が車掌でございます。四名が乗務掛でございます。その乗務掛の四名が昔でございましたら五名乗っていたわけでございます。そのほかは変わりございません。
#126
○伊部真君 人員的には別に乗員を減らしているという状態ではないということですね。そのように解してよろしいですね。
#127
○説明員(阪田貞之君) 先ほど申しましたように、乗務掛が一人だけ減っております。この全部の添乗者の中で一人だけ乗務掛が減っております。
#128
○伊部真君 これは私は、直接ではありませんけれども、国鉄の最近の人員配置については非常に疑問がありますので、一度内容を提示していただきたいと思うのでありますけれども、いわゆる直接乗務を担当している者と、それ以外の管理者あるいは鉄道公安官という、この比重が非常に変わってきたというふうに思えるわけです。それは直接乗務を担当している者が減ってくれば、そのウエートも変わりましょうし、あるいは管理者をふやした場合にもこの比率は変わるわけですけれども、その辺の内容について、どうも十分じゃありませんので、これは後ほどひとつ聞かしていただきたい、資料があれば私もいただきたい、こう思います。たとえば運輸長とかというようなことで、駅なんかにもかなり管理者がおられるようでありますけれども、そういう者との関係というものをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
 それから、次でありますが、新聞なんかにも出ているのでありますが、車内放送が、あるいはお客さんへの連絡というものが非常に悪かったというふうに言われております。それから、もう一つ疑問点として出ておりますのは、あの煙のさなかに発煙筒の煙が一緒に重なったというふうに言われておるわけですけれども、その辺はいかがですか。
#129
○説明員(阪田貞之君) 発煙筒の問題は、列車防護――列車防護と申しますのは、これは上り線でございますので、下り線から来る列車と二重衝突になってはまずいので、下り線側の列車をとめるために発煙筒をたきます。それが二本たかれております。それからあとお客を、先ほど御指摘のように暗かったものですから、お客を誘導するために携帯の発煙筒をたいた実績がございます。これはやむを得なかった措置と考えております。
#130
○伊部真君 それから車内放送その他の関係はどうなっておりますか。
#131
○説明員(阪田貞之君) 車内放送は列車が分離すると線が切断いたしますので、車内放送がきかなくなります。それまでは、分離するまでは車内放送はいっておりました。
#132
○伊部真君 それから補償問題についてでありますが、これは総裁から、いままでの実情というものもあって、その上に立ってという話がありましたけれども、今回の場合に、私はないことを祈るわけですけれども、なくなられた方と同時に中毒になられて後遺症が残るという心配が出てまいりましたですね。その問題についてはどのようにお考えなのか、この点をお知らせ願いたい。
#133
○説明員(磯崎叡君) 補償問題につきましても、私も現地ではっきり申し上げておりますけれども、なくなった方に対しましても、必ずしも従来の例によらないで、やはりいろいろ最近新しい例がございますので、そういうものもしんしゃくしながら、極力手厚くお弔い申し上げたいというふうに思っております。
 また後遺症の問題でございますが、私も各病院全部回りまして、一応お医者さまからいろいろ伺っておりますが、まあこれは辻先生のほうがよく御承知かと思いますけれども、幸いと申しますか、わりあいにガスを吸った時間が短い。普通は、炭鉱などの後遺症はやっぱり十時間以上だそうでございますが、まあわりに少ないので、何とか後遺症なしにしたいということで、非常に各病院ともお医者さまが初めからそのことに非常に気をつけられて、酸素吸入その他をずいぶん思い切ってやっていただいております。私も敦賀、今庄の病院へ行きまして、あれほど酸素吸入器がそろっているとは思いませんでした、実は。病室は確かに土間で寝ておられた方もおりますけれども、少なくとも酸素吸入だけは、私どのお医者さまに伺いましても、私も実はびっくりしたほどよく整っておったと私は思いました。したがいまして、ずいぶんその点、後遺症の残らないようにということを、まず第一に先生方お考えになったようでございますので、私は病院の先生方の非常な御手腕を信頼申し上げて、まずだいじょうぶであるということを祈っております。しかし万が一のことも、いろいろ個人差もございますので、もしそういうことがあれば、これは十分私どもといたしましても、あとあとまでもごめんどうを見るということは、これははっきり申し上げます。
#134
○伊部真君 補償問題については、これはたいへん、何といいますか、いろいろなケースがあろうかと思います。十分にひとつ考えてもらわなければならぬと思います。
 それから、いま後遺症があるかないかの問題については、もう少し見守らなければいけませんが、やはり短時間であっても、かなり量が多いと残るというふうに言われておるわけです。PPMの内容によって違うというふうにも言われておりますので、そこら辺は、やはりそれらを含めて国鉄のほうでも検討していただきたい、こう思います。
 まだほかに、責任問題その他を含めてありますけれども、ちょうど時間が来ましたので、午後にさせていただきます。
#135
○理事(江藤智君) 本件に対する午前中の調査はこの程度といたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
  〔理事江藤智君委員長席に着く〕
#136
○理事(江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#137
○伊部真君 午前の質問でも、大筋としては明らかになったのでありますけれども、国鉄としては安全対策の面が非常におろそかであったのではなかろうかというふうに思うわけです。これは、たとえば車両の検査の周期も昭和四十五年の十二月からは変更して、かなり、距離的に見ると三十五万キロから五十万キロに延長するとか、安全よりもやはり費用の面だとか、あるいは人員の節約というふうな面が優先されたのではなかろうかというふうに思えるわけですが、そういう点はなかったのかどうかという点について、総裁の意見を聞きたいと思います。
#138
○説明員(磯崎叡君) 第一次の再建計画以来、国鉄といたしましては、安全問題、合理化問題をいろいろ国会の御審議を経まして進めてまいったわけでございますが、安全問題につきましては、私のほうといたしましては、国鉄の輸送の最大の眼目であるということで、毎年相当多額な金を使い、また、安全を犠牲にして合理化をする、安全を犠牲にして経費を節約するというふうな本末転倒の考えはやったことはございません。しかしながら、たとえば、科学が発達して車両の部品が非常に簡単に取りかえられるようになった、すなわち車両構造が変わってきたというふうなことによって回帰キロが延長される、材質の変化あるいは設計の改良、あるいは部品の取りかえの難易等によって車両の回帰キロが延長されるのは、これはもう、車両の性能そのものの関係からいって当然な面もございます。したがって、全般の問題といたしまして、安全を犠牲にして経営を考えるということは、これは本末転倒であるという私の考え方でございます。
#139
○伊部真君 午前の審議でもだいぶ論議になったのですが、大臣に所見を伺いたいと思いますことは、国鉄が新幹線によって新しく脱皮をして、同時に、それはトンネルの距離が非常に長くなったということなんですが、新しい山陽新幹線のごときは、そのトンネルの距離というのは半分以上になるという状態です。そうなりますと、これは当然にトンネル内の安全面というのは常識的に重要な部分を占めるということは明らかであります。これはトンネルの中で停電が起きたとか火災が起きたとか、あるいは不慮の災害が起きたときの訓練、こういうことは当然に考えなければならないことでありまして、新幹線の場合なんかのごときは、その基本の中に――部分ではなく、その点が非常に抜けておったということを総裁も認められたわけです。こうなりますと、これはたいへん大きなことだと思うのです。突発的な事故の発生ということとは性質が違います。その犠牲として多くの人命が失われる、いま多くの人たちが伸吟をしているということになりますと、これは当然に責任問題が明らかにされなければいかぬと思います。そういう意味で、これは当然に――今日までの事故でさえかなりの責任者の処分問題、進退問題というものを起こしているわけです。これもまた国民の理解を得るという意味、あるいはこれからの運営上からいって私は当然なことだと思うのですが、今回の場合は、いままでの事故と違って本質的に大きな誤りをおかしているわけです。この場合に、当然責任者の責任問題というのが起きてこなければいかぬと思うのですが、その点についての大臣の所見を伺いたいと思います。
#140
○国務大臣(佐々木秀世君) 伊部先生の御質問に具体的にお答えする前に、一言おわびを申し上げたいと存じます。
 このたびの北陸本線のたいへんな事故が起きまして、多数の死傷者並びに負傷者を出しましたことにつきましては、何と申し上げてもおわびの申し上げようがございません。その責任者の一人といたしまして、常に運輸問題を御心配くださいます委員の皆さま方に心からおわびを申し上げる次第でございます。
 また、なくなられました方々に対しましては、私、委員会の開会中ではございましたが、さっそく現地に参りまして御冥福をお祈りするとともに、たくさんの負傷者の方々に、できる限りの方方とお会いいたしましてお慰めを申し上げてまいった次第でございます。
 時間をとりませんで、ごく――留守をいたしたものですから、委員会に出なかったという責任がございますので、現地に行きましたごく簡単な御報告を申し上げたいと存じます。
 六日の午後四時の新幹線で参りました。ちょうどハイジャックの問題が起きておりましたので、お客さんが三台のバスに乗り移ったという報告を聞きながらほっといたしましてすぐ現地に向かったのであります。しかし、まだ飛行場が平常になっておりませんでしたから新幹線を利用いたしました。現地に着きましたのは夜の八時でございましたが、できる限り遺体の安置されておりまする場所に参りまして、お参りが済みましたのは夜中の三時ごろでございましたが、遺族の方々に心からおわびを申し上げ、お参りをさせていただいたのであります。次の日は、大体、敦賀と武生の各病院、敦賀は六ヵ所、百三十九人、武生はまたこれも六ヵ所、百三十四人、合計二百七十三人の比較的重い方々に一人一人お会いしておわびを申し上げてまいりました。また、いろいろな方々の多数の御協力によりまして、どうやらこうやら救出のほうは、十分とは申されませんが、消防とか警察とか、あるいは市役所とか、こういう方々のたいへんな御協力をいただいたそうでありますから、この方面にも十分お礼を申し上げまして、昨日十一時五十分羽田着の飛行機で帰ってまいりました。留守中、政務次官をして現状を皆さま方に御報告申し上げたということを承りましたが、以上のような私の行動によって委員会を欠席いたしましたことを心からおわびを申し上げます。
 ただいまの御質問につきまして、確かにこれからのトンネルということにつきましてはたくさんの問題があると私も考えます。また、現場も見せていただき、すっかり焼けただれた食堂車のあの現物も見てまいりました。お話のように、もちろんトンネルの中の事故でありますから悲惨きわまりないものがあります。同時にまた、あの火災が起きた中で停電したということについては、これはその被害をほんとうに大きくしたということはもうお話のとおりであります。
 それで、停電したということについていまだに私納得がいきません。現場に行きましてどうして停電したんだということをいろいろと探究してみましたけれども、食堂の上の電線が焼けて溶けたんであろうというようなこともありますが、私はどうしても納得がいかない。私は私なりに学校も電気のほうをやったものでございますから、上の屋根が抜けていないのに、上の屋根のあんな薄い鉄板が溶けていないのに電線が溶けるなどということは納得がいくわけがありません。しかし、現実に停電したのでありますから、十三・数キロのあのトンネルの中を被害を受けた方々がどんなにかはいずり回ってお困りになったろうということを想像するとき、この停電というものを徹底的に究明しなければならない、こういうように痛切に考えて帰ってきた次第でございます。
 しかしながら、これからの新幹線の建設等につきましては多くのトンネルが必要となるんじゃないか――お話のとおりであります。あるいは都市交通などにおきましても地下鉄などという問題を考えますと、この隧道交通を無視してはこれからの交通というものが解決できないのではないかということを考えますならば、このいわゆる教訓を生かして、トンネル交通というものに対する徹底的な究明と、新しい技術をここに投入いたしましてこれからの交通対策を講じなければならないんじゃないか、こう考えるものでございます。私は、そういう技術部面のことに安易なような意見を差しはさむことはできませんけれども、あらゆる知恵をしぼって今次のいわゆる原因と将来の対策を講ずる覚悟でございます。
 ただ、この問題につきまして、御意見のありましたいろいろ責任者の問題、あるいは具体的に申しますと国鉄総裁の罷免の問題、いろいろ出ております。しかし、私は何としても、ある一人や二人の人をやめさせるとかどうとかいうよりも、この原因をどうしたらなくすか、こういうことが第一の、現下置かれている私としての責任でありますから、そのことをまず第一に究明し、そうしていろいろな総体的な問題を含めて考えなくちゃならないのじゃなかろうかと思います。もちろん皆さん御存じのとおり、総裁の任命というものは内閣にございますからということじゃございません。私にも責任が、大いにまた内閣の一人としてありますから、いろいろな観点から総体的にこの問題の、いわゆる再び事故のないようにするにはどうしたらいいかということから、先決問題を考えて、いろいろな方面の対策を講じたい、こういうふうに考えております。
#141
○伊部真君 いまお話がありましたけれども、私もそのとおりだと思うんです。いまは事故の究明ということ、あるいは遺族の方々に対する措置あるいは負傷された方々に対する手当というものが一番大事だと思うんです。それはもちろんそうでありますが、それと同時に、やっぱりこの問題については責任の所在というものを明らかにして、再びこのような事故が起きないように部内の体制を固めるということが必要ではないか、こういうことを申し上げておるわけです。
 私は午前中から質問をいたしましたけれども、また、ほかの委員も質問をいたしましたけれども、技術的な具体的な問題については、多くの点は、私は総裁の最後のことばに尽きると思うんです。というのは、運輸省の高官でもそうですけれども、国鉄のほうから言われているのは、トンネル内の火事を予測した事故対策というものはなかったということなんです。あるいは停電というものが起きるということを予測してそれの災害訓練というものがなかったということですよ。このような初歩的な問題が大きく抜けておったということ、そうなると、これは個々の技術的な問題を追及していっても、発想にそれがなかったわけですから、これはもう技術的な個々の問題を取り上げて究明しても、私はあまり意味がないという感じがするわけです。そうすると結局、初歩的なことまで抜けておった責任というものは現場のほうにはありません。明らかに新幹線ができ、あるいはトンネルができ、電化が進んだというときに、その情勢に即応した体制というものをとらなかったということが、大きな私は経営者としての責任があると思うんですよ。そうでないと、その点が明らかにならないと私は国民として納得いかぬと思うんです。個々の問題については、私はいろいろ言いたいことがあるのですけれども、たとえば安全対策にしても非常に鈍感であるということが言えると思います。昭和四十四年に火事が起きたあの「日本海号」事件のときに、これがトンネル内で起きたらどうなんだろうか、あるいはこれが大きなものになったらどうなんだろうかということは当然考えなければいけないと思うんです。また小さなことでもそうでありますが、近鉄事故でも、私が前に質問して鉄監局長にお答え願ったのでありますが、たとえばあのときにも、犠牲者が出たときにすぐに車掌が連絡する、駅員にでもすぐに電話連絡ができるという体制をとることができなかった、電話一つついていなかったというところに問題があった。したがって救援が非常におくれた。これはトランシーバーをつけて、無線をつけて、早急に連絡のつかないような地域を走っておる車は、すぐに事故の模様というものを連絡できるような体制をつくるというふうになってきた、国鉄のほうはそれはもうできておりますというお答えだったから、私は済んでおると思った。しかし、当然あのトンネルの中で事故が起きたときは、車掌は車外に出て五百メートルか何ぼかの電話で連絡をするという体制の前に、あの車両から連絡のつくような体制というものはできなかったのかどうか、そうしたらもう少し早く連絡ができた、いずれにしても、個々の問題を取り上げると事故に対して非常に敏感でなかった。
 それから、当然に考えなければならぬ大きな火事だとか停電だとか、あるいは訓練さえ行なっていなかったことは重大だと思う。これだけ新幹線にトスネルができた中で、あそこで火事が起きたときにどうやって退避訓練をさすのかという訓練さえやっていなかったということは、私は重要なことだと思うのです。先ほど質問の中では、何か常務理事の話では机上訓練をやったと。私は、机上訓練なんというものは訓練じゃないですよ。防災に机上訓練なんというものはあり得ないと思うのです。トンネル内で事故が起きた、火災が起きたことすら、それに対する訓練がなかった、あるいは長大トンネル内の火災に対して、事故が起きたときの処置についても、非常に規定上からいってもあいまいな、しかも簡単なものだった。この責任というものは、私は突発的に起きた事故とは違うと思うのです。その性質からいって、私は、こういう大きな誤りを起こした、しかも首脳部が大きな誤りを、方向として誤りを起こしたということの責任は当然に考えなければならぬことじゃないか。したがって、それを含めてこの事故対策なり今後の処置というものを考えるべきではないのかということを私は申し上げている。
 同時にもう一つ、私、考えてもらわなければならぬと思うのは、この事故が起きているいま、この対策がとられていないいまも、やはり電車は走っているわけです、新幹線はトンネルの中を走っているわけです。これはわれわれ国民にとってたいへんに不安だと思う。具体的にこれに対してどう処置をされるのか。私は、当然に専門の学者なり、先ほど消防の方もおられたわけですが、消防関係の人を含めてこれに対する具体的な対策というものをやらなければいかぬのじゃないか。ただ思いつきで総裁が、あそこに防毒マスクを設置をするとかというふうなこと、それも必要でありましょうけれども、やはり早急にそういう総合的な対策を講じて、緊急にいまやれることからやっていかなければいかぬのじゃないかというふうに思いますが、この二つの点について大臣のお答えをいただきたいと思います。
#142
○国務大臣(佐々木秀世君) お説のとおりでありまして、こういう大きな事故が起きて、ただその事故対策として、自分の感じたことや思いつきで、これをこうしたら直るであろうなどというような簡単な問題ではないと思います。そのためにも特別監査をいただいておりまするし、あらゆる人たちのお知恵をちょうだいいたしまして、これこそほんとうに口先だけでない万全の対策を講じていかなければならない、こう考えております。
#143
○伊部真君 前段に申し上げましたように、この問題についての責任の所在というものですね、これはおっしゃるように、具体的な事故に対する処置というものと含めて並行して考えていかなければいかぬことじゃないかと思います。これは、あとからもう一ぺん考えるということではですね。先ほど総裁の御意見によると、これに対する発想の転換を行なって具体的に軌道に乗せていくというのが責任だと。誤りがあったので、安全対策に対する処置というものを、もう一ぺん、十分に考えた施策というものの方向というものをきめていかなければならぬというのが当面の考え方だと言われたわけです。それも必要なんでありますけれども、私は、それだけではいかぬと思うのです。やはり進退問題も含めた責任の所在というものを明確にしないと国民は納得できませんねどんなところの場所でも、どんな事故であっても、私は、いずれにしても責任の所在というものは、それはきょう明らかにするとかあした明らかにするというような、きょう、あすというような問題は別にいたしましても、当然に近々に態度を明らかにするのがあたりまえじゃないですか。それがあいまいになっては、この事故対策というものは私は出てこないと思う。その点は明確にしていただきたいと思います。
#144
○国務大臣(佐々木秀世君) 現場に携わっている国鉄総裁以下理事各位におきましては、その現場のいわゆる原因、今後の技術的な具体的な対策に没頭していることだろうと思います。しかし私は、国務大臣とし、政治家として、しかもこのほうの責任を持っておる立場からいたしまして、現場に参りましても、この事故の責任は、私を含めて国鉄の業務に当たっている全体の責任というような、精神的な部面までも決意しなければ、今後のいわゆるこういう問題を防止することはできないということを発言しておりますので、お説のとおり考えております。
#145
○伊部真君 私は非常に遺憾だと思いますことは、何日か前の新聞に総裁のことばとして、やめないということばが活字になっておるということを非常に遺憾とする。私は真意かどうかわかりませんけれども、こういう事故のときに、そういうことばが活字になるということは、非常に国民感情から見て、あるいは犠牲をこうむられた被害者の立場から見て、私はどうも納得ができません。私はそのうちに隠されたものにいろいろなことがあろうと思いますけれども、いずれにしても、あのことばが活字になったということについては、私は非常に心外だと思う。したがって、私は非常に強く、あるいはしつこく申し上げるわけでありますけれども、そういうことになりますと、大臣が衆議院の運輸委員会なんかで発言された内容と、少し食い違いがあるのではないかというふうな感じを受けますし、どうもその点についての責任の所在というものが明確にならないような気がいたしますので、その辺の問題は、当然、総裁の進退問題を含めた処置というものを考えなければならぬというふうに理解してよろしゅうございますね。
#146
○国務大臣(佐々木秀世君) 事人事の問題でありますから、具体的にどうこうするということは、非常な影響がございます。しかし国民全体に対しましては、先ほど申し上げましたとおり、私を含め、総裁を含め、国鉄に従事する者の全体がこの責任を感ずるというくらいな態度でなければ、将来の完全なる対策にはならないと、こういうことを私は考えております。
#147
○瀬谷英行君 今回のトンネルの事故についていろいろな解説があるわけですけれども、読売新聞の解説によれば、停車したのが間違いだった、「満員列車をいったん停車させたことが、乗客のほとんどを死傷させる決定的な原因となった。」こう書いてあります。この運転士の一時停止の判断が基本に反する間違いだ、こういうふうに書いてある。何でこういう解説があるのかと思ってずっと読んでみますと、金沢鉄道管理局の場合、「トンネル内での火災事故では突っ走れ、列車は止めるなという指導をしてきた。」こう書いてある。ところがこの注に、敦賀駐在運輸長の談話として、金沢管理局ではそういう指導をしてきたのだけれども、「辻運転士は他の鉄道管理局所属の車掌の連絡もあって停車したとも考えられるが、よその局ではその指導が徹底していなかったのではないか」、こういう書き方をしておる。つまり言いかえれば、金沢管理局の指導はよかったけれども、よその管理局の指導が間違っていたから、だからよその管理局の車掌の連絡によって判断を間違えたのじゃないかという意味の書き方ですよ。それを新聞が全面的にこのままふえんをして書いているという形になっている。しかし、これを見て私が思ったのは、事故が起きた場所が十三キロという、たいへんに長いトンネルのしかも五キロ近辺ですね。どっちに行くにしてもたいへんなところですよ。そこで火災を起こしている。だからもし火災を起こしたのにとまらないで、そのまま突っ走ったということになると、火災を起こした車両の前の車はいいけれども、うしろの車はたちまち火の車になっちゃったのじゃないかという、こういう心配がある。そういうことになると、とめたのがいけないというけれども、とまらずに走ったならば、うしろの車両の人は全部熱け死んでしまったということになるということが、常識的には考えられるのだけれども、そういうことになるのかどうかですね。その辺一体金沢管理局の指導でよかったのかどうか、とめるということのほうがよかったのかどうか。これは措置の問題だけれども、一体どのように判断をしたらよろしいのか、その点をまず第一にお伺いしたい。
#148
○説明員(磯崎叡君) 私は、その問題は、なくなりました機関士の名誉のためにも一言申し上げさしていただきます。その新聞記事を私も読みまして非常に驚きました。金沢管理局の指導も、これはきちっとこういうセルロイドのマニュアルができております。北陸隧道の場合には一たんとめろとはっきり書いてございます。ただ、入口に非常に近いような場合には出てしまえと。で、一たんとめてとにかく消火に当たれと、これがマニュアルでございます。したがって死んだ作田機関士を含めましての五〇一列車の機関車乗務員には、一切、私は間違いがないと。もし間違いがあれば、これは非常にたいへんな死者に対する失礼に当たると、私はそういうふうに確信いたしております。
#149
○瀬谷英行君 午前中の辻委員の質問の際の答弁がちょっとはっきりしなかったのです。総裁はとめたほうがいいと言うが、金沢管理局ではとめないほうがいいと、こういうふうに言ってるのだが、その辺食い違いがあるのじゃないかという質問があったのです、午前中に。それに対して何かわかったようなわからないような答弁をされましたね、阪田理事のほうから。それは総裁からあとで説明がありましたけれども、金沢管理局の指導というものはとめると、こういうことであったと、つまりこれは金沢管理局に限らずトンネルの中の火災はとめろということになってたということに理解してよろしいですね、その点は。
#150
○説明員(阪田貞之君) 先ほどあいまいな聞き取り方をされたら、まことに私の説明が悪かったのでございますが、先ほど申し上げましたのは、金沢鉄道管理局のマニュアルには列車を停止させろと書いてある。したがって、その原則には何の誤りもない、というような言い方を申し上げたので、金沢鉄道管理局の列車をとめろと書いてあるマニュアルそのものは正しいのであるということでございます。
#151
○瀬谷英行君 そうすると、ここに書いてある一時停車が致命的な間違いであったという説明は、これは誤りである、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
#152
○説明員(磯崎叡君) その点は、かりにもし一時停車しないであのまま走っていった場合には、私はいま先生のおっしゃったようなことになると思います。それから、かりにうしろ四両切り離したとして、そのまま焼けた車を一番しりにつけて走っていったとしましても、必ずしも火は前にいかないという保障はないわけでございます、ああいう隧道の中では。したがって、もしそのために逆に焼け死んだ方でもおられましたら、これは一種の殺人になると私は思います。したがって私は、あの際の乗務員の判断は正しかったという信念を持っております。
#153
○瀬谷英行君 私もとめたことは正しかったと思うのです。それはなるほどトンネルの出口がすぐに見えているという場合なら別ですけれども、十三キロのトンネルのほぼまん中辺でもって火災を起こしたということになると、そこから出るのは、やっぱり走っても十分やそこらはかかるでしょう。その間燃えたまま走れば、風でもってこれは火吹き竹を吹いたようなかっこうになってしまうから一挙に燃え上がってしまう。そうなると、おそらく、まさに文字どおり火の車になっちゃうのじゃないかという気がするのですね。そうすると走っているから飛びおりることもできない、黙っていれば焼け死んじゃうということになるから、これは火災のまんま、いかにトンネルの中といえども走ることはむちゃな話だし、とめるほかはない。とめて切り離しをした、とめて切り離しをしたために食堂車だけが焼けて、延焼しないで済んだということなんですね。しかし、こういう場合の処置は一体どうしたらいいかということになると、私らでもなかなか簡単に判断がつかない。もしとめて切り離しをして、じゃ乗客を誘導しろといっても、誘導するにしたってトンネルの中ですから、そんなに誘導する適切な場所があるわけじゃない。出口のほうに行くほかない。出口のほうに行くのには十三キロの中の五キロの地点で、口のほうに出るには八キロある。そうすると、歩くとなると平たん地でも八キロは二時間はかかりますね。まっ暗やみのトンネルの中じゃなかなかそう簡単にいかないと思うのです。そういう場合の処置を考えるとこれはほんとうにむずかしいことだと思うのですけれども、ここに書いてあるような、とめたのが間違いだ、「北陸トンネル惨事は人災だった」と、こう書いてある。このとめたのが間違いだったというふうな、あるいは下の敦賀駐在運輸長の談話のように、突っ走れ、トンネル内での火災事故では、突っ走れというのが正しい指導だ、こういう考え方がそのまま一般の乗務員に受け取られると、そのとおりやれば今度はえらい惨事になっちゃうわけですが、これはやはり国鉄としては、とめたのが正しかったのであって、突っ走るなんというのはとんでもない話だと、特にトンネルのまん中辺では。こういうことは徹底させる必要があると思うのですよ。やはりその点は徹底しないとえらいことになる。またこんなトンネルの中の火災事故が起きちゃ困るけれども、万一起きた場合、勘違いをして火の車のまんま突っ走るということになると、とんでもないことになると思うのですが、その点間違いなく指導するようにしているのかどうか。
 それから、こういう惨事を想定しての訓練といったようなことは今後どのようにしてやるのか、その点もお伺いしたいと思います。
#154
○説明員(阪田貞之君) 列車をとめろというマニュアル、指示につきましては、金沢管理局の指導と全く同じ、列車をとめろと、ただ出口が近い場合あるいは橋梁からもうすぐはずれる場合等については、はずしてからとめろということの指導は全国的にすでにしております。今回の事故にかんがみまして、さらにその点、その新聞記事のような誤解が生ずるといけませんので、明確なる形のマニュアルを重ねて全国に周知をする。
 それから訓練につきましては、先ほど申し上げましたように、机上訓練では心もとないことはよくわかるのでございますが、たとえば北陸隧道のごとく十三キロにもわたる隧道になりますと、これの実体訓練、しかも列車回数が片道七、八十回ございますから、こういう合い間に訓練をすること自体のむずかしさ、あるいはそれに付帯して起こる負傷、けが等の問題もございまして、おっしゃることはまことによくわかるのでございますが、各トンネルそれ自体の実際の条件、それから列車の運転条件それを加味いたしました上で実務訓練、やむを得ない場合にはやはり一部机上訓練を行なわざるを得ないと思っております。極力御趣旨に沿うような訓練に持っていきたいと思っております。
#155
○瀬谷英行君 それからこれは、ほんとうに本人がそのとおり言ったのかどうかわかりませんけれども、少なくとも新聞に出ている範囲では、敦賀駐在運輸長の話というのは、いま聞いた話とは全然あべこべのことを言っています。いま話を聞いてみると、すぐトンネルから出られる場合は別だけれども、そうでない場合は一たんとめろというふうに言われておる。ところがここに書いてあるのは、トンネル内での火災事故では突っ走れ、列車はとめるなという指導をしておりますということが談話として出ているのです。これは内部指導よりも新聞に出ちまえばものがわかりやすいのですから、このまま本人が言ったとすれば、国鉄の方針というものを逆に解釈したというふうに思う。少なくとも指導的な立場にある幹部が、こういうあべこべの解釈をしておって、それを新聞にまで発表するということはずいぶんこれは問題があるんじゃないか、事実こう言ったのかどうかわかりませんけれどもね。こういう点は厳に注意する必要があるんじゃないですか。これからもあることなんですからね。その点はどうですか。
#156
○説明員(阪田貞之君) おそらく、その記者と運輸長との会話がどうかわされたかはよくわかりませんが、ある先入観念でいろいろものを考えた場合に、あのまま突っ走ったらいいじゃないかという常識的な考え方がないことはないわけですね、これは一般的に。その場合に、駐在運輸長がいろいろ説明したときに、隧道が近かったらば突っ走るんだというようなことをかりに説明を逐次したときに、最後に突っ走るのだというようなところが談話の一部に入っちゃう場合もあるんではないかと思いますが、その点のいろいろ説明した中の、中に立つ新聞記者の方がどういうふうにおとりになったかという問題だと思いますが、いずれにいたしましても、誤解を招くような表現はまことに遺憾でございますので、今後よく注意いたします。また、金沢へ私も参っておりまして、局長ともお話して、局長も明確に列車はとめるんだ、そのマニュアルもちゃんとつくっておりますので、とめるほうの指導が行き届いているものと思っております。ここに持っておりますから。これは列車火災処置手続き、これは金沢の局でもらってきて、ことしのこれは一番新しい八月につくったものでございます。これには、一、列車停止と列車防護処置。火災列車は直ちに停止。隣接線の列車を停止。というように、いろいろ列車防護まで含めまして、こまかい指導が出ておりまして、列車はとめろと明確に書いてございます。
#157
○瀬谷英行君 それでは、乗務員がとめて切り離しをして消火につとめたというこの手順は間違ってないということになるわけですね。
 今度はそのトンネルの中の構造ですけどね。さっきいろいろ聞いてみたら、幅が八・二メートルだそうですね。幅が八・二メートルで高さが六・四五メートル、車両の幅が二・九メートルということなんです。それでまあ、どの程度になるかということでテープで張ってもらったんですがね。こっちの端から、トンネルの幅がここからここまで、こっちまでなんです。この横のテープが車両の幅になるわけです。そうすると、これは下り列車だから、トンネルの幅に対して車両はこっち側になるわけです。こっち側のこの横のテープが車両の幅になるわけですね。その側壁までの間隔が七十五センチ。こういう状態で車両が焼けた、火災を起こしたという場合には、まあ常識的に考えて、側壁、こっちのほうの七十五センチの間を通るということはおそらく不可能だ、こっち側に避難する以外に方法はなくなるだろうと思うんですがね。こういう状態でその車両が火災を起こしたという場合に、複線だからまだ片側これだけの間がある。単線だったならばこのくらいになるんじゃないかと思うんです。ここからここまでということになるんじゃないかと思います。おそらく単線の場合だったら今度はこうなるわけです。大体このくらいになるんじゃないか、側壁が七十五センチだとすると。その場合には、車両から避難をさせる場合におりたとしても、一列でなければ今度はトンネルの中を歩けないと思うんです。で、複線の場合でも、煙が充満をすると、あるいは対向列車が来るということになると、人間が歩ける幅というのは、このテープ以外のところしか場所がなくなってくるわけです。避難をするといったってたいへんむずかしいことになるわけですね。もしこれが単線だったらもっとえらいことになっちゃうのじゃないかという気がいたしますけれども、現在でも単線の区間というのはかなりあるわけです。そういう場合の処置ということは、排煙装置あるいは避難といったようなことはもっと深刻に考える必要があると思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
#158
○説明員(阪田貞之君) お説のとおり、複線の隧道におきましても、今回のような申しわけない形になりましたので、単線の場合にはもちろん徹底した防災対策を考え直さなければならないと存じます。で、現時点におきましては、地下鉄と同じように、車内を伝わって、できるだけ車内を一つの通路として、そうして前から出ていくようにしております。並びに長大隧道はベッドが砂利ではございません、コンクリートになっておりますので、車内から出ましたあとは砂利の線路よりは避難のしやすい形になっております。
#159
○瀬谷英行君 問題はトンネル構造なんですけれども、こうやって見ると、まあ上下線これだけの車両の幅がある、トンネルの幅はこれだけだということになると、ほとんどぎりぎり一ぱいということでしょう、必要の最小限度しか間隔はあいていない。火災の場合におりて歩いて避難をするといったようなことは想定してないわけですね。想定してないような寸法になっているわけです。だから、これからトンネルをつくる場合、こういうことでいいのかどうかという問題があるんです。いま新幹線にしてもかなり長いトンネルを掘っているわけでしょう。さらに青函トンネルに至っては五十キロもあるわけですね。こんな長いトンネルの中で、北陸隧道でもたいへんだけれども、もっと長いトンネル、たとえば青函トンネルのような長いトンネルで火災を起こしたと、ちょっとその辺の消防署に行って呼んでくるというわけにはいかないわけです、そうなると。また、歩いて逃げるにしたって、出口まで行くにしたって、何十キロもあればこれは逃げ切れるわけじゃない。その間に、もしも火災が一車両にとどまらず他の車両に延焼して燃え広がるということになれば、トンネル自身が巨大な一つの煙突になってしまう。これは熱気と煙とでもってもう逃げようがなくて死んでしまうという問題が出てくるということは考えなければならぬ。そういうことを考えると、トンネルをつくる際にも、やはりもう少し余裕をもって、人間が飛びおりても、両側を歩くのにあまり不便がない程度の間隔を置くといったことも、トンネルそのものをつくる場合に考える必要があるんじゃないか。それと、煙が上のほうへ――もっとも小さいところでは上も下もないかもしれませんけれども、下のほうにマンホールをつくるとか、あるいは何か避難路をつくるとか、そういう方法はないものかどうか。
 今回の経験から見ると、防火とか排煙とか照明とか、そういう火災対策というものは全くなかったということなんですけれども、これは国鉄にしてしかりだから、私鉄のトンネルだってあるわけですからね、私鉄でもかなり長いトンネルがある。そうすると、国鉄、私鉄を問わずトンネル内の事故、これはめったにないことかもしれないけれども、かりにあった場合にはえらいことになるということは今回立証されたわけですから、国鉄、私鉄ともトンネルのつくり方について、監督官庁としての何らかの指導というものをやる必要があるのじゃないか。その点は大臣としてはどのようにお考えですか。
#160
○国務大臣(佐々木秀世君) たまたまこういう事故がありましたので、ことさらトンネルに対する関心が深くなりましたが、つい十日ばかり前に、私がこのトンネルというものに対して、将来の交通はトンネルを無視してはできない。先ほどお答え申し上げました考え方があったものですから、とりあえず最近のトンネルはどういう形でつくっているのかなということで、北海道の青函トンネルを、現地を見てまいりました。お話のような、いまうしろに張ってあるようなぎりぎり一ぱいのトンネルならたいへんなことだと思って現地で見たのでありますが、最近のトンネルはこういう状態とは全然変わっております。おそらく国鉄にいたしましても建設公団にいたしましても、十分このことは配慮していることだろうと思います。もちろんこれの何倍という広さと何倍という高さと、あるいは停電に備えてか蓄電器というものは、もう至るところに無数に備えてありましたし、あるいは斜坑が何本とできておりましたし、これは排気口になるなあと私は感じてまいりましたので、最近のトンネルはこういう形態のトンネルではないということで、一まず安心して帰ったのでありますが、お話のような心配がいままでできているトンネルの中にはありますから、そこでトンネルの総点検あるいはこれからつくりますのには、いま私の見てまいりました、いわゆる青函トンネルのような方針に設計の変更などということも当然考えていかなければならないんじゃないかと、こういうように考えるものでございます。そのための予算は決して惜しんではならないと、こう考えております。
#161
○瀬谷英行君 それと、今回の事故を契機にして、このトンネルの寸法、幅、それから車両の幅というものはどんな関係になっているか、実感としてわからないから、こういうふうに実際の寸法でもってやってみましたけれども、これで感じたことは、両側とまん中の間隔が全くないということですよ、これは。もっともトンネルの中だからやたらと窓から首を出すとかなんとかということは考えなくてもいいということだったのかもしれませんけれども、たとえば、上下列車がすれ違うこの間隔にしてもこれしかないわけですね。これしかないということになると、火災事故のほかにもし、脱線事故でもあったといった場合、トンネルの中で脱線事故があった場合、かつての三河島事故だとか鶴見事故のように、両方から来た車両がぶつかるようなことになったということになれば、これはまたえらい悲惨なことになるんじゃないか、つまり平地でもってぶつかったという場合には車両は外へ飛び出していくということになるけれども、トンネルの中でかりに二重衝突みたいなことになったら、これは想像を絶する惨事になるわけです。そう考えてみますと、この車両の間隔、側壁との間隔、こういうのはおそらく必要の最小限度ということでこうやったのじゃないかと思うけれども、それらの点はやはりどの程度幅があれば安全かということはむずかしい問題でしょう。切りもなく大きくすることはできないと思うけれども、少なくともある程度の余裕を持たせるということが、かりに工費がかかるとしても、トンネルなんというものは永久的な施設なんですから、若干金がかかるとしても私は余裕を持たせる工事をやるように、これは国鉄、私鉄とも指導すべきじゃないか、これからおそらくたくさんのトンネルが新幹線の建設に伴ってできるんじゃないかと思うのですが、その点はどのようにお考えになっていますか。
#162
○国務大臣(佐々木秀世君) 全くお説のとおりでありまして、私は技術的な方面はわかりませんが、先生のおっしゃるような方向に最近のトンネルが設計されているのではないかということは、青函トンネルを見てまいりましてつくづく感じております。しかしなお一そう、お話のようなことについては、この現状を、このうしろのほうのテープによるところの現状を見せていただきまして、こんな状態ではひどいなあと、また敦賀の私も現場に行きましたが、やはり事故の場合の逃げ道とか、あるいは排気道の完備とか、ことに私が一番心配いたしますのは、何といってもいまの北陸の十三・数キロとか、あるいは青函トンネルの五十三キロとかいう長大なトンネルにつきましては、電気の整備、ことに停電になったときの悲惨なことを考えますと、排気口の問題も大事でありますが、電気設備の完全ということも当然これと併用して考えなくちゃならぬのじゃないかというようなことも考えます。お説のとおりでございまして、十分運輸省といたしましては徹底した指導をいたしたいと、こう考えております。
#163
○瀬谷英行君 今回の事故にかんがみて、監査委員会に監査命令を出したということでありますけれどもね、じゃあ、監査委員会の監査報告書を見てみまして、いままで列車火災事故に対してどれだけの注意をしてきているのか、どういう関心を持っておるのかということを、私ちょっと見てみました。ところが、この監査報告書の中に、「列車火災事故の防止」という欄がありまして、この列車火災事故の防止というのは、過去十年間に年平均二十件火災事故が発生していて、たばこの火の不始末によるものが最も多くほぼ四〇%に及んでいる。昭和四十六年十月には、山陽線において乗客一名が死亡するという列車火災が発生したが、その原因もたばこの火の不始末と推定されていると、よって国鉄は、列車火災を防止するために、機器の過熱防止対策等車両の改造と延焼を防止するための難燃化を進めてきているが、これらをさらに推進するとともに乗客に対しても一そうの協力を呼びかけることが必要である、こういうふうに言っておる。つまり、たばこの火の不始末が多いから、乗客に対してもたばこの火の不始末をやらないように協力をしてくれということなんです。こんなのはまことに一般的な話なんでね、たばこの火の不始末は注意してくれなんていうのは汽車に限らないです。どこだって同じことです。そうすると、列車火災を防止するためにというのは、機器の過熱防止、つまりエンジン等から火を出さないように気をつけろ、それから車両は燃えないように気をつけろ、あとはお客に対しても気をつけろ、これだけなんですよ。このトンネル内の火災防止なんてことは考えてもいないのですね、これを見ると。まあ、それはもう想定してなかったから書いてないのかもしれませんがね。それと、監査委員会自体が、これは考えていなかったということだし、列車火災事故の防止なんていうことについては、わずか数行でおざなりに触れているにすぎない。
 さらに監査委員会は、いままでどういうことを言っているかというと、合理化を、従来にもまして合理化の施策を進めなさいと、こう言っているわけです。さらに生産性向上運動といったようなものを高く評価をするといったようなくだりがいままでありました。この生産性向上運動と合理化というのは結びついているわけです。これは、言いかえればどういうことになるかというと、つまり生産性をあげるために、もうからないようなことには金をかけるなということになるわけでしょう。そういう合理化政策というものを進めなさいと言っている監査委員会が、どうしてこの問題について監査をする資格があるのかという疑問が出てきます。これはいままでの監査委員会の感覚そのものがちょっと間違っていたんじゃないか、こういう気がするんですよ。その監査委員会自体が考え方を切りかえない限りは、これらの事故防止について発言をする資格がないんじゃないかという気がします。その点大臣としてはどういうつもりで、特に監査委員会に対して監査を命ずるということになったのか、その点をお伺いしたいと思います。
#164
○国務大臣(佐々木秀世君) 監査委員会は、鉄道問題に対する学識経験者の、あらゆる知識を持たれる方々と信じておりますから監査委員会にお願いしたのでありますが、ただ、先生御指摘のような点につきましては、私、昨日帰ってきたばかりでありまして、まだ勉強しておりませんでした。まことに申しわけございません。しかし、今回の火災というものが大きな、その人たちにも教訓になったことだろうと思いますので、火災に対する真剣な御審議の上おこたえができるものと、こう信じております。
#165
○瀬谷英行君 国鉄総裁は、これは運輸大臣もそうだけれども、監査委員会のいままでの監査報告というものを無視できなかっただろうと思いますね。これは受け取り方はいろいろあると思いますけれども、長い報告書がありますけれども、この監査委員会の中での考え方でもって一貫をしているのは、赤字を解消するために従来にも増してと、こう書いてあるわけです。従来にも増して合理化の施策を進めなさいと言っているわけですね。それから要員を削減するのもけっこうな話だと、こう言っている。つまり、なるべく乗務員は二人乗務はやめて一人乗務にするようにしろと、人数を減らせと、それから合理化を進めろと、こういうことをずっと書いてある。一貫した思想としては、ともかくそろばんを考えてやりなさいと、こういうことなんです、平たく言えばね。そろばんを考えてやりなさいということだから、トンネルの中の火事を想定して十分な金をかけろということにはならぬわけでしょう。そういうことになるんじゃないかと思うんです。だからこの監査委員会の考え方というものは、基本的にこれはもう方向を変えなきゃいかぬと思います。つまり国鉄のあり方について、とにかくもうけなさいという指導をしてきているわけですよ、いままで。もうけなさいという指導をしてきたために、たとえば安全のほうは犠牲にすると、間に合う限りの……。このトンネルの問題だってそうでしょう。とにかく、これだけの幅に上下複線の車両がはまるようになっている。すき間はこれしかないですね、ぎりぎり一ぱいでしょう。つまりぎりぎり一ぱいのトンネルで間に合わせろということになるんです。ぎりぎり一ばいの設備で合理化を進めなさいということになるわけでしょう。こういう考え方に基づいて国鉄の運営をやっていくということになれば、これはあくまでも安全が犠牲になっちまうということになるでしょう。そういう考え方をこのまま進めていってよろしいのかどうか。そういう考え方を進めていけば、これはおざなりの設備しかできないということになるでしょう。安全のために一体どうしたらいいかという基本的な問題があとへ押しやられるということになるんじゃないでしょうか。
 その点は、まず消火器を何台備えるとか、あるいは避難口を、煙突、煙抜けの穴をどうするかという問題を考える以前の基本的な考え方として、私はそれこそ考え方を転換する必要があるんではないかという気がするんですよ。そういう基本的な考え方を改めない限りは問題は解決できないんじゃないかと、こういう気がするんですが、その点はどうでしょうか。
#166
○国務大臣(佐々木秀世君) 先生から、過去の監査委員会の報告に基づいた御意見がありましたが、今回、特別監査をお願いいたしますのは、北陸本線の事故が起きまして、それに対する安全対策としての監査が重点でございますので、必ず期待に沿うような答えができるものと信じております。
#167
○瀬谷英行君 この総裁の言明でも、これはちょっと誤解を招くといけないと思うんですけれども、今回のは全くの国鉄側のミスである、人災であるというふうな言い方をされると、それは受け取りようによると、つまり乗務員等の措置がまずかったと、だからこうなったんだというふうに受け取られかねない点があると思います。それはやはり、特に殉職をした乗務員の名誉も考えて、今回、一たん停止をしたという措置、切り離しをやって消火につとめたという措置そのものについては、間違いないなら間違いないということを言明をしてもらって、そしてさらに国鉄としてやらなきゃならないことは何か、根本問題について一体どうしたらいいかという点を明らかにしてもらう必要があると思う。そうしないと、これは安心して働けないということになると思う。
 一例をあげますと、話は古くなりますけれども、桜木町で電車が火災を起こしたことがありました。これはもうだいぶ前の話です、桜木町事件ですね。あの桜木町事件でもって、六三型の電車が焼けて大ぜいの焼死者を出したという事件がありました。あの事件の前でありますけれども、私は組合におりまして、電車の構造の問題について組合員の中からいろんな意見が出ました。あの六三型の電車は非常に危険だと、三段窓についてもよくない。だから何とか早くあの電車を改善をしてもらいたい、こういう注文が出てまいりました。そういう注文について、私はその当時何をやったかちょっと正確に覚えておりませんけれども、組合の役員として、組合の要求事項の中に六三型の電車の改造ということについて注文を出したんです。そうしたら当局側の回答としては、予算がかかるからとてもできませんといって、にべもなく一蹴されちまったという経験がある。ところが、そのあとでああいう事故が起きた。車両の改造についての組合側の要求を一蹴した当局のほうはだれも刑事責任は問われないけれども、現場の、たとえば信号関係であるとか、電気関係の担当者であるとか、そういう人たちが刑事責任を問われるという結果になりました。これは昔の話でありますけれども、おそらく、こういう毎日動く列車を扱っている人たちからは、危険の問題、あるいは安全の問題は具体的に指摘をされることが多いと思うのですよ。それらの指摘に対して、さっきの消防庁の話もありましたけれども、消防庁から注意されるだけじゃなくて、現場の担当者から指摘をされた問題に対して、予算上それはむずかしいからといって手をこまねいているということになると、またまた、今度のような問題を引き起こす危険があると思う。だから、この辺でやはりそれらの問題については十分に考え方というものを改めて、少くとも安全が第一である、何よりも安全が第一である。そのために金がかかることはやむを得ない。どんなに金がかかっても惜しまないという態度、方針をはっきりと打ち出すということが、いま必要じゃないかという気がするんでありますが、その点についての総裁の考え方をお伺いしたいと思う。
#168
○説明員(磯崎叡君) 私が敦賀へ参りましての記者会見、非常に長かったものでございますから断片的に出ていたと思います。結論は、これは私の責任であり、国鉄全体の一〇〇%責任だと、こう申したのでありますが、その点、もう一ぺん申し上げますと、今回の事故につきまして関係乗務員のとった処置は、私は――実はなくなった機関士が消火器を持ったままなくなっておりました。これは五十歳の人でございましたけれども、機関車から食堂車まで二往復ぐらいしている。したがって、あのガスは一酸化炭素、もう運動して酸素を消耗しますと非常に早くだめになってしまう、からだがまいってしまうというふうな性質でございますので、たぶん、私は彼は消火器を持ってうしろにすっ飛んでいった、大体、二百メーターか、二百五十メーターありますが飛んでいったと、そしてその途中で倒れたのだと思います。また、あの本務の機関士にも私は会いました。本務の機関士、まだ意識もうろうとしておりましたけれども、総裁、私は途中でとにかくからだが動かなくなって、あれ以上救助作業ができなくて申しわけなかったということを、ぼおっとした中でも私に申しました。もう一人の機関助士も、これも非常によく働いている。また、その他車掌、乗務掛等も一人一人、それから公安職員も一人一人、別々に全部供述書が来ております。何なら供述書をお目にかけてもいいぐらいな、私、気持ちでおりますけれども、偶然、ぴたっと時間その他大体全部合っております。ですから、わりあいに、あの混乱の中で私は沈着に救助作業をしたというふうに確信をいたしております。たとえば荷物車の中から新聞の包みをたくさん下へ落としまして、その上からお客さんにおりてもらうというふうな措置までいたしておりました。ですから私は、結果はともかくといたしましても、あのトンネルの中における関係乗務員のやったことにつきましては、私は総裁として非常に感謝いたしております。で、そのうちの一人がなくなったということにつきましては、深い私は哀悼の意を表している次第でございます。それが私は国鉄の一〇〇%だという意味ではないんでございます。全般的に、午前中からお話があったように、トンネルというものに対するものの考え方、そういったことに対する考え方自身が私はミスだった、こういうふうなことを、総括的に最後に締めくくりで申したわけでございます。
 まあ非常に長い会見でございましたから、ちぐはぐになりますとそういうふうに誤解があるかもしれませんが、私はいやしくも、非常な悪意の放火というものでもない、これは確かでございます。また天災でもない。結局国鉄の責任以外に何もないんだということを申したのでございまして、その点、もしなくなった方を含めて乗務員のミスだったというふうにとられているとすれば、これは非常に私は心外でございます。その点は全く私の本心に反するということをはっきり申し上げます。
#169
○小柳勇君 具体的な問題を二、三質問しまして、あと基本的な問題を二、三質問いたします。
 いま総裁が言われたように、私もこの事故発生以来の現地でとられた現場職員の処置は適切であったと考えています。そのことによって死傷が増大したのではないということも考えています。
 そこで、この事故発生は、北陸のトンネルのもそうでありますが、日田彦山線の気動車も、考えてみまして車両故障ではないか、そういうふうに考えます。
 そこで、その車両故障についての質問をするのでありますが、この気動車の場合に、この日田彦山線のやつは交番(A)を四十七年の九月十三日にやっています。交番検査の周期が四十五年の十二月に一ヵ月から二ヵ月に延伸された。この交番(A)というのは周期が二ヵ月ではないかと思いますが、その点いかがですか。
#170
○説明員(阪田貞之君) 交番(A)が六十日でございます。
#171
○小柳勇君 いま私もそうではないかと思いました。以前は交番(A)は一ヵ月の周期で、それが四十五年の十二月に検査周期の延長、検査省略などの車両検修の合理化がなされた。そうして要員削減がなされております。この日田彦山線で発生いたしました気動車の場合に、もしも交番(A)が前のように一ヵ月周期であるならば、これは発見されているはずだと私は考える。けさの新聞によりますと、エンジンのパイプの亀裂のようです、原因は。したがって、交番(A)で検査いたしますと、もう一番にエンジンを検査いたしますから、あるいは発見できなかったかもしれぬが、もしも交番(A)の周期というものが一ヵ月であるならば、四十七年九月十三日ですから、十月十三日には検査が回ってくるわけでしょう。その検査が省略されたためにこの日田彦山線の事故が発生したと考えるが、阪田理事はどうお考えになりますか。
#172
○説明員(阪田貞之君) 交番検査を延長いたしまして、もちろん私ども安全の責任はございますし、そういう面から交番検査後の車両故障が逐年ふえてはいないかというようなチェックをずっと各車区についてやっておりますが、現在までの実績では、交番検査後車両故障がそのために増加傾向よりもむしろ少な目になっているような状況でございまして、たまたまこの車は九月にやったことになっておりますが、そのためにこの火災の直接原因であったとは言い切れないと考えております。
#173
○小柳勇君 そこに表がありますか。四十五年前の交番検査が一ヵ月のときの事故発生件数と、その後の事故発生件数と比べたものがありますか。
#174
○説明員(阪田貞之君) いまここには持っておりません。
#175
○小柳勇君 持ってないでしょう。いま理事は比較されたようにおっしゃるから。私のほうに比較したのがあるんです。それは四十五年の八月から十月までの二ヵ月間で二十二件でありました車両の故障が、四十七年の一月から二ヵ月、同じ二ヵ月間に五十四件になっています。二・五倍。これは現場の報告です。これは一つの例ですよ。あの検修合理化によりまして要員が何名はみ出したんですか。
#176
○説明員(阪田貞之君) 工場その他いろいろ全部合わせまして……。申しわけございませんが、いま正確なところはちょっとわかりません。
#177
○小柳勇君 午前中、総裁の答弁聞いておりまして、車両が新しくなりますし改造されてまいりますから、回帰キロを延長するのは当然でございますという意見がございました。私は、何といいましょうか、科学に対する信頼度、盲信といいましょうか、あるいは技術革新に対する盲信といいましょうか、安心感といいましょうか、そういうものがこういう事故を発生していくんじゃないかという気がしみじみいたしております。あの食堂車も、私はきのうから工作局の課長を呼んで設計図を詳しく検討しています。まだ原因がわからぬそうです。おそらく電気配線のショートではないかという意見もございます。たばこの火でシートにつくとか壁につくとかいう、そのような単純な事故ではないという気がいたします。
 そこで、四十五年の十二月に労働組合員としては相当反対したにもかかわりませず、検修合理化ということでどんどん要員を削減した。そうして回帰キロを延長した。ことに交番検査は一ヵ月間が二ヵ月間に倍になっているんですよ、検査周期というものが。そういうものが事故につながらないわけがないんじゃないかという気がいたします。私も現場の検査掛の経験がありまして、朝から検査いたしますと、その日のうちに事故車が修繕できないくらいに重要な故障個所を発見いたします。一ヵ月で検査をしておってやっと一日で修繕できるものが、二ヵ月に延ばしましたら、倍とは言いませんけれどもやはり故障件数は多いですよ。その故障を完全に修理して出すその時間があればいい。おそらく仕事が終わりますというと、ああこの仕事はいいわいと、あるいは判断する場面もあるのではないか、その現地によりまして。したがって、国鉄合理化方針によって、先般も問題にいたしました十二万要員を削減いたしますと言われる。そのことは世間には非常にいいでしょう。世間的にはいいことばです。国鉄も合理化いたします、政府も金をこれだけ出しますから運賃値上げいたします、こういう論法でした。そのために、いま機関区に、あるいは電車区に、優秀な検査の技術者あるいは修繕の技術者が合理化によってワクからはみ出され、仕事が与えられないで予備員となっています。それをあなた方が無理に回帰キロを延長して、そしてこの車を無理に使っているから、昔ならば足らなかった要員がいま若干余っているんです。その人は次のコースに入っていって次の仕事にいくでしょう。あるいは新幹線に配置転換していくでしょう。予算定員が四十五万何がしの、とにかく見せかけでだんだん減すために、次の新幹線の定員は、そのような無理して、回帰キロを延長して検査や修繕の要員を浮かして、それを持ってきている。事故が発生しないはずはないでしょう。私は、そういうものが、あなた方が無理して運輸省の最高方針である合理化政策、そういうものに順応した結果が、無理な要員削減の合理化政策が今度のこの北陸トンネルの事故であるし、あの日田彦山線の気動車の火災の事故ではないか。極言はいたしません。大きな一つの原因ではないかと思うんですが、常務理事いかがですか。
#178
○説明員(阪田貞之君) 検修合理化は、これは全く単に人を浮かすだけではございませんで、いろいろ信頼性の理論であるとか、さような非常に慎重な数字的なチェックをいたしました上でやったものでございます。
 それから、だんだん機器が進歩してまいりますと、いままで一年に一回あったものが二年に一回というふうにだんだん延びてまいりますが、できればいろんなものの故障とか、私、いま安全担当をやっておりますが、事故のもとというのは、もっともっとうんとうんと下げていきますと結局人のミスがどっかでつながっている。車両におきましても、ものがよくなったらば、できる限り人手はかけないで――人手をかけるというよりも、人がさわらないで、もとの形でものが実際動いていくという形のほうがむしろ故障が少ない。たとえばテレビにいたしましても、調子がいいものを、なまじっか半年かそこらでかえますと、かえって機器に悪い影響を及ぼすのと同じように、できる限りわれわれの自信の持てるところで、作業というものは人の手をかけないほうが、私は安全のほうにはプラスするんではないかというふうに感じております。
#179
○小柳勇君 そういうふうなのはむちゃな理屈ですよ。へたな者が預かって、テレビやラジオをこわす者もおりましょう。しかし、いままで長い伝統がある検修体制ですよ。その長い歴史のある、しかもそれに順応して訓練されてきた者が、その検査期間が倍になりましたら、それだけ事故の発生する件数が多くなるのは当然でしょう。それはしようがないから――あなたは運転屋ですからよくわかるでしょうけれども、それは人数が多くて回帰キロを半分にしたほうが安全だけれども、定員を浮かさなきゃならぬから無理してやっているんでしょうが。そういうものを率直にこういう委員会で訴える、私は具体的に言いましたでしょう。もしこれが(A)交番が一ヵ月ならば十月十三日には検査していますよ。検査したらパイプの亀裂は、運転してみましたら、ガソリンがにじんできますからわからないはずはなかったろうと思うんですよ。それが検査期間が二ヵ月ですから、まだこれはだれにも責任はありません。検査掛にも責任はありませんですよ。運転士にも責任はありません。さっき総理は予算委員会で、トンネルの前四キロだったと、もっと手前でとめられたかもしれないと、そう言う。あれはたまたまそこに勤務外の機関士がおったからあれだけの処置ができたんですよ。あれは偶然ですよ。もしあのときに機関士がいなかったら、運転士がいなかったら、また同じようにトンネルの中で燃えたかもしれないですよ。
 そういうことを考えましたら、いま無理に要員削減といって、合理化といって定員を浮かして、そしてそこへ持ってきて、定員はこれだけ減りました、さあひとつ政府から金を出してください。――そういう無理な国鉄の運営自体が事故のもとじゃないですか。あの気動車は一両幾らでしょうか。二両焼きましたから、損害幾らでしょうか、見積もりは。
#180
○説明員(阪田貞之君) 一両約三千万でございます。
#181
○小柳勇君 回帰キロを延長するために、その直方の気動車区で、あるいは三人なり五人の検査掛や工作掛さんが見たかもしれません。しかし、二両も火災が起こる。もしもこれで死人が出ましたら申しわけないですよ。北陸トンネルのやつも、まだ事故原因がわかりませんから言いませんけれども、私はおそらく車両の故障ではないかという気がいたします。これも回帰キロ内で十分に検査してみなければわかりません。これは最近検査したようでありますから、ほかの原因であるかもわかりませんが、、そういうものがこの統計によりましても、検修合理化前の二ヵ月間と検修合理化後の二ヵ月間では、事故発生件数が二・五倍にもなっている。具体的な数字を出して、検修合理化というものがいまいかに無理かということを書いていますね。したがって、そのことを私はあなたに具体的に聞いたわけですが、国鉄総裁に御意見を聞いておきたいのです。
 いま非常に苦しい国鉄経営で、収入が少ないから要員を削減して浮かしている。これは検修だけじゃありません。ほかのほうにも相当無理した配置転換を行なっています。そういうものがほかにまた事故を発生する原因にならぬとも限らないが、私がいま具体的に言いました、具体的なこの問題についてどう考えますか。
#182
○説明員(磯崎叡君) 午前中も合理化と安全の問題について御質問がございました。もちろん私どもは安全の問題が一たん破れれば、こういう大きな事件になることは、これは十分身をもってよく知っているわけでございます。したがって、いまどうもはっきり御答弁ができなかったようでございますけれども、実際回帰キロを延長した問題と安全問題はほんとうにどこで結びついているかということにつきましては、十分私自身検討いたします。しかし今後とも、私はやはり合理化をやらなければいけないと思っております。しかし安全を犠牲にしての合理化というものは、先ほども申しましたように、確かに本末転倒でございます。その意味で、十分検討いたした上で、今後ともこの問題を進めていきたい、こういうふうに思っております。
#183
○小柳勇君 要員の問題も、今度は指導機関士が乗っておりましてあれだけの働きをいたしました。私どもはあの機関助士の廃止のときも相当問題にいたしました。あれだけの長大な列車をもって、たとえば新幹線にいたしましても、一人の場合、二人の場合安全度が違います。その人件費の計算と、事故発生した場合の世間に不安を与えるもの、あるいは金銭的な損害等計算してみても、むちゃに人を減らすだけが合理化じゃないのではないかと、そう思います。
 で、あと具体的な問題についてはもう再々言っていることですから、常務、ひとつカーブを描いてみてください。運転のほうは特に機械を動かしていますからいろいろ統計はありましょう。統計はありましょうけれども、その回帰キロを延長してこの検修合理化になったために一体どういう事故が発生したのか、具体的に説明できるぐらいに勉強していただきたいと思います。
 それからもう一つは、けさから予算委員会で運輸大臣に質問したことですが、あとで森中君から締めくくってもらいますけれども、大臣、職員がたるんでいるから今度事故が起きたんだという印象で警告書を出した、そういうような受け取り方をしているのです。私は今回の事故、この二つの国鉄事故、現場の職員についてはこれは不可抗力じゃないかという気がいたします。そして事故発生いたしましてから、一生懸命に事故の復旧と遭難者の救出に働いております。その二つの事故を当面の問題にして、総裁に対する警告書をお出しになったとするならば、どこが一体責任をと大臣はお考えになってあの警告書を出されたのか、お聞きいたします。
#184
○国務大臣(佐々木秀世君) どういうふうに受け取られているか知りませんけれども、心がたるんでいるから警告を出すのだというような表現はしておりません。私も心を引き締めますから、どうかこの警告によって、国鉄に従事する者が一体となって心を引き締めましょうとみずからを戒め、そうして総裁に警告書を渡したのであります。それ以上の、他に責任を転嫁するような発言はいたしておりません。これだけを申し上げておきます。
#185
○小柳勇君 その問題はあとでまた森中委員から申し上げると思いますが、根本的な問題は、この事故が発生いたしまして直ちに総裁あてに労働組合から申し入れをしておるようでありますが、これは四十四年の北陸線の火災事故以来いろいろ問題があるから具体的に処理してもらいたいという要請をしておった。しかしながら、合理化のために、金の問題もありましょう、人の問題もありましょう、対策ができなかった。だから今度またこのような事故が起こったではないか。したがって、これこれ問題があるからということで、ここに八つぐらい問題を提起して、直ちに労働組合とひとつ交渉に入ってくれ、そして具体的にこの問題を解決してくれという要求、申し入れが総裁に出されておるようでありますが、この申し入れについて早急に受け入れて具体的にこれを解決する対策をとられるかどうか、総裁にお聞きいたします。
#186
○説明員(磯崎叡君) 事故防止について組合の諸君が真剣になっていろいろ意見を持ってきてくれることは、非常に私はありがたいことだと思っております。いま出てきましたものは、私は実は現地へ行っておりまして、まだ見ておりません。しかしそういうことがあったことはすでに聞いております。なるべく早く具体的な問題として、いわゆる交渉とか何とかでなしに、お互いにひとつ、事故防止という立場でもって早くやろうじゃないかというようなつもりでもって、何も団体交渉とかむずかしいことではなしに、十分にひとつ意見を聞かしてくれという立場でもってこの問題を処理していきたいというふうに思っております。
#187
○小柳勇君 今度は運輸大臣に質問いたしますが、これはさっきの瀬谷君の話にも関連をいたします。
 監査委員会などが経営合理化なり、あるいは経費節約で、なるべく要らない経費をかけるなという方針です。したがって、たとえば労使双方で話がこう進みましても、経費の問題なり人の問題で行き詰まる面もありましょう。そういうときには、やはり運輸大臣が、予算をおれが取ってやる、したがって、ひとつこの心配な問題をこの際すぐ解決せいと、そういう体制をとらなきゃならぬと思うんですが、運輸大臣の決意を聞いておきたいと思います。
#188
○国務大臣(佐々木秀世君) 現地に参りまして、まず第一に心配したことは、先ほど先生お話のとおり、合理化対策などによる原因もありはしないかと、こういうことで、立つ前の衆議院の予算委員会では、たとえば乗務員が一人や二人などということばも、私は答えの中に入れております。だから、現地に参りまして、一体この事故の起きた列車は乗務員が何人乗っていたんだと私すぐ聞きました。これはよけい乗っていたからよかった、悪かったというんじゃありません、そういうことが頭にあったからすぐ聞いたんです。まあしかし、私はほっとしたのは、あの列車には七人乗られていたそうであります。現地で聞きました。七人でぼくはそれで満足だと、これで十分だというのじゃありません。しかし、衆議院の予算委員会で一人か二人しか乗せないような状態では、ということばを私は出しておりますから、合理化によって、もし手薄のために大きな犠牲を出したということでは相すまぬという気持ちがあったものですから、こういう発言をしたのでございます。
 しかし、先生御指摘のようなこともいろいろございましょうが、今回こそは原因を究明いたしまして、いろいろ、あの食堂車の構造とか、あるいはいま先生のお話ですと、専門的なお話ですが、電線の配線の状態からきたのではないかというようなことが明らかになりますれば、その客車の改善とか、あるいは改良とか、新車を増車するとかいうような点につくところの予算には、あらゆる努力をいたしまして、今後このようなことのないように重大な決意をいたしておるということだけを申し上げておきたいと思います。
#189
○小柳勇君 ことばが速記録に残りますから、いま運輸大臣は乗務員の人数とか具体的におっしゃいましたから、少し言っておきたいと思います。でないと問題がはっきりしませんから。
 私がいま言っておりますのは、たとえばトンネルにおける防火あるいは排煙、照明施設など、それから防災訓練などは、ただ口で言ってもできない。みんな勤務を持ってますから。勤務からはずしまして防災訓練しなきゃならぬ面もありましょう。それはやっぱり運輸省が定員も少し考えてやりませんとできませんね。それからあとは、列車防護上の規程など整備して、上司が言うのと、あるいは下部の現場の諸君が判断してやるのと違うようでは困りますから、これからの新幹線では、九州までの約半分ぐらいトンネルですね。したがってトンネル内の防火なり、あるいは列車防護の規程なり、もっと整備しなきゃならぬでしょう。そんなものも要ります。それからトンネル内の火災については、排気口といいましょうか、そういうものが必要だということも今度経験済みのようです。ですからひとつリフトをつけてくれぬかというような要請もあるようでありますから金もかかります。それから不燃性の客車をつくると一口に書いてありますけれども、なかなかそれはたいへんなことですよ。したがってそういうものは、しかしやらなければなりませんね。不燃性の車とは一体どういうものか、火をつけても燃えぬようなものをやりませんと、これは言ったことがうそになりますから、それには金がかかりますから、そういうものをちゃんとひとつ頭に入れておきながら労使の交渉に入ってもらう、そういうことを言っておるのでありますから、大臣ひとつ誤解のないようにしてもらいたい。
#190
○国務大臣(佐々木秀世君) よく承知いたしました。
#191
○小柳勇君 最後の問題は、被災者の救援と遺家族の問題でありますが、一つはCO中毒は、先般私も三池に行って調査をしたのでありますが、三池の爆発事故が起こりましてすでにもう九年になりますが、神経性の――もうほとんど廃人同様です。そんな人が八百二十九人おられます。したがって今回のこの一酸化炭素中毒も、重症の人はおそらく一生後遺症が残るのではないかという気もいたします。私は三池の会社並びに労働省には、これは一切企業責任で、原点に返ってもう一回ひとつ考え直してくれということを言ってきました。もう自分の責任じゃないんですからね。したがって一切企業責任でありますよと、そういう立場でもう一回検討し直してくれということを労働省にも三池の会社にも言って帰りました。この点については、総裁と大臣から御意見を聞いておきたいのですが。
#192
○国務大臣(佐々木秀世君) 具体的な問題については総裁からお答えいたしますが、ただ現地で、総裁に対しましては、補償その他の問題については、過去の例にこだわることなくできる限りの処置をしなさいということを私から申し伝えてあります。
#193
○説明員(磯崎叡君) 被災者の救難につきましては、ただいま大臣がおっしゃいましたとおり、一昨日の朝ちょっとの時間でございますけれども、大臣に敦賀でお目にかかりました。そのときに大臣からまずまっ先に、なくなった方、けがした方についてはできるだけの手厚いことをせよという特にお話が、たしか一昨日火曜日の朝、ちょっと五分しかお目にかかりませんでしたが、その間にまず大臣からお話がございました。私どもももちろんその気持ちでおりますけれども、大臣の御趣旨を十分体しまして、なくなった方に対しましては、もちろん、まだお話し合いはいたしておりません。普通は大体四十五日過ぎぐらいからお話しすることにいたしておりますが、すでにいろいろな関係で調査準備をいたしております。従来の慣例等に必ずしもよることなく、いろいろ最近、国鉄――鉄道以外のそういった悲しい例もあるようでございますが、そういうことも十分勉強いたしまして、決して、将来とも御迷惑がかかることのないようにいたしたいと思っております。
 また、いま入院しておられる方の中で、先生御心配のいわゆる後遺症の問題でございます。これは午前中辻先生からも御質問がございました。私も全くそういう方面には知識がございませんが、私も三池の話を聞いておりましたので心配になりまして、病院に行ってみますと、けがされた方あるいは打撲傷とか――ひかれたという方一人もいないんです、打撲がわずか一人か二人だけ、あとは全部ガスの関係でございます。私も非常にしろうとながら気になりまして、病院に参りますたびに院長さんに、よくわからないけれども後遺症はどうですかということを全部実は伺ってまいりました。まあ必ずしも絶対だいじょうぶだとは言わないけれども、まあわりあいに吸った量が少ないと思う、だからまず第一に、まっ先にどういう治療をするかということについて、だいぶ先生方同士御相談されたようであります。やはり一番考えなければならないのは後遺症だ、それにはとにかく初めのうち酸素をからだに補給しなければいけないということで、けさほども辻先生に申し上げましたが、私は敦賀、武生、鯖江、どの病院も非常にその酸素は、実にほんとうによく使ってくだすっております。非常に私はうれしゅうございまして、ほんとうにあれほど酸素の設備がよくあったと思うぐらい、きっと方々からお集めになったと思うんですが、非常に酸素を潤沢に使っておられました。これは何といっても後遺症を防ぐためだということを、どの病院も口をそろえておっしゃっておられた。私は、そういう先生方の御尽力が必ず実を結ぶというふうに思っておりますが、不幸にしていまおっしゃったようなことがございますれば、できるだけ私どもといたしましても全力を注いでごめんどうを見たいと思っております。たまたま昨日、実は敦賀の病院に入院しておられる五十八歳の御婦人の方が急に容態が悪くなりまして、実は急遽ヘリコプターでもって京大の病院に行ってもらいました。これは高圧酸素のタンクが京大病院にしかございません。京大病院に参りまして数時間後に非常によくなったということを昨日の夜聞きまして、非常に私安心いたしたのでございますが、まあそれも、おかげさまで病院同士の連絡が非常によくてそういうことがしていただけたんだと私思うのでございます。そういう、一例でございますが、もしそういうような例がございましたら、全力をあげて、あらゆる手を惜しまないであとのお見舞いをいたしたいというふうに思っております。もし何かお耳に入りましたことがございましたら、ぜひ私どもにもお知らせ願えれば非常にしあわせだと思っております。
#194
○森中守義君 少しく大臣及び総裁に伺いますが、けさほど政務次官から事件の報告をお聞きしたところ、何か大臣から総裁に、今回のトンネル事件で警告を出されたやにお話がありました。警告の内容は残念ながらわかっておりません。本来ならば、こういうものは当然委員会に、かくかくの趣旨のもとに大臣より国鉄総裁に警告を発しましたという、まあいわば内容報告的なものがされてもしかるべきだと思う。ただ、警告といわれても一体どういう内容の警告なのか、内容がわかりませんから、監査委員長にあてたものも含めてひとつ報告をしてもらいたいと思います。
#195
○国務大臣(佐々木秀世君) こういうものは大事なものでございますから、そのものを朗読してよろしゅうございますか。――先に監査委員会に、監査委員長あてに出しました監査のお願いの全文を朗読さしていただきます。
 日本国有鉄道監査委員会
    委員長 金子佐一郎殿
         運輸大臣 佐々木秀世
   北陸本線、北陸トンネル列車火災事故に関
   する特別監査について
  このたび、北陸本線、北陸トンネル内におい
 て、多数の死傷者を出す列車火災を惹起した。
  国鉄においては、本年三月総武本線船橋駅に
 おける列車衝突、六月東北本線日暮里駅におけ
 る列車衝突と二回にわたる重大事故の発生をみ
 てきたところであるが、このたび再びこのよう
 な大惨事が発生したことはまことに遺憾であ
 る。
  よって、貴委員会は、すみやかに本事故の原
 因及び事故発生後の措置をはじめ、国鉄の保安
 管理体制のあり方について徹底的に監査し、そ
 の結果をすみやかに報告されたい。
  これが監査をお願いした全文でございます。
 総裁に出しました警告書も引き続いて朗読いたします。
 日本国有鉄道総裁 磯崎叡殿
         運輸大臣佐々木秀世
   運転事故防止について(警告)
  十一月六日、北陸本線、北陸トンネル内にお
 いて、多数の死傷者を生じた列車火災事故の発
 生をみたことは遺憾にたえない。
  申すまでもなく、輸送における安全の確保は
 最も重要な使命であり、特に今回のような火災
 による事故に対する国鉄の責務は重大といわね
 ばならない。
  今回の事故については、さきに日本国有鉄道
 監査委員会に対し特別監査を命じ、原因の究
 明、事故発生後の措置をはじめ、保安管理体制
 のあり方について監査し、その結果を報告する
 よう指示したところである。
  また、更に十一月七日再び日田彦山線におい
 て列車火災事故が発生した。幸いに乗客に被害
 が生じなかったとはいえ、誠に憂慮にたえない
 ところである。
  よって、この際国鉄においては、特に長大ト
 ンネル内の防災体制、事故時の避難誘導体制、
 車両の不燃化対策等列車火災事故防止につい
 て、抜本的な対策を樹立し、この種事故の絶滅
 を期すよう強く要望する。
  以上であります。
 〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
#196
○森中守義君 これは在来、こういう経過から見ますと、やや異例に属する措置だとは思う。同時にまた、先般来大臣あるいは総裁のお答えを聞いておりますと、きわめて真剣な表情である。これからひとつこういうことがないようにという、そういう意思であることは一応了承します。
 ただ、それだからといって、これをいま手にしまして、どういう感じを受けるかということになりますと、残念ながら何かしらそらぞらしい、いまさら警告書でもないではないか、いまさら監査委員会の特監でもないではないか、こういう気がしてならぬのです。この内容にもちょっと触れられておるように、三月は船橋、六月は日暮里駅、しかも今回――今度の場合には連続二日です。こういうことを考えてみれば、私はやはり、直接的なもの、あるいは要因をなしているもの、二つのことが究明されていかなきゃまずいんじゃないか。この大臣の警告あるいは監査委員会への特監の命令等ではこう言っておるんです。「原因の究明、事故発生後の措置」ですね。まあこれは、措置等の問題は、事件が起きたあとどう処理をするかというのは、これはあまりにも当然なことですよ。しかし、前段の「原因の究明」ということは、しばしばきわめてみたけれども、直接的な原因はわからなかったとか、あるいは何とはなしにその原因はどうも現場の末端の責任であったという、こういう実は答えた例がいままで往々にして多い。私はこの辺が非常に問題だと思う。これはひとつ、だからそういう意味で、これから申し上げることは直接的なもの、むろんこれはある意味では物理的でしょう、直接的なものは。しかし間接的というよりも、事件発生の背景をなしているものは何なのか、つまり管理体制の問題あるいは予算上の問題、ひいては姿勢の問題、そこまで突きとめていかないと、ほんとうの事故の絶滅にはならぬ、こういうふうに思うんですが、どうですか。
#197
○国務大臣(佐々木秀世君) 監査の委員会にお願いした文面あるいは警告書から先生のおとりになること等につきましては、御承知のとおりこうした文面でありますから、私の精神がどれほど表現されているかという点につきましては、私自身も十分でないと考えます。しかし、こういう警告とか特別監査というようなことが過去にも例がございますから、精一ぱいの態度を持って臨んではおりますが、文面といたしましてはこの程度のことで御了承願うというのは御無理かもしれません。しかし、先生お説のような、この背景となるべき幾多の原因につきましては、これから真剣に検討し、いろいろお説等を賜って対策を講じたい、この決意であることだけは御理解願いたいと存じます。
 ただ、背景に対するいろいろな考え方が、先生と私と全面的に一致するかどうかという点につきましては、多少の違いはあろうと思いますけれども、しかし今後いかなることがあっても、こういう事故を起こしてはならないという点につきましては、一致すると思いますので、何とぞよろしく御指導のほどをお願いいたしたいと思います。
#198
○森中守義君 私が、あえていまさらであるとか、あるいはそらぞらしいということを申し上げたのは、今回この事件が始まりじゃない。さっきもちょっと指摘をしたように、三月、六月、そしてまた新聞等でしばしば報道されるような幾つかの国鉄の事件がある。そこで、問題が起きたたびごとにこの委員会ではそういう問題をかなり掘り下げてきた。しかも前の大臣も、いま言われたようなことをおおむね繰り返された。また国鉄の総裁が、あるいは副総裁が同じようなことを繰り返された。繰り返してきておきながら、事件が発生すれば、自今このようなことが再び起こらないように万全の措置をとりますと言う――大体きまり文句ですよ。一体そういうことを言っておきながら、何をしたのか。やったならばこういうことが起こるはずはない。どこかにやはり欠陥がある。おそらく事件が発生をして、うまいぐあいに国会で言いのがれる、その場で説得をする、将来の約束をする、その場その場を調子よく切り抜ければよろしいという、そういう不遜な気持ちではもちろんないと思う。けれども、一年に何回となくこういう問題をこの委員会は扱ってきておりますよ。にもかかわらず、一向に絶滅しないという点は一体何なのか。だから私は、いまさら警告書とは何なんだ、特監とは一体何なんだ、そういうところにそらぞらしいとか、いまさら何だと、こういう実は気がしてしようがない。そのことをせっかくの機会ですから肝に銘じてほしい。むろんそういう過去の背景を要約をして、この際は、この委員会でも当事者に対し、半ば警告を含めて、後ほど決議案を上程をして自粛自戒を促したいと思うのです。――まだそれは、いま案がまとまりませんから、ここでは申しませんけれども。
 そこで次にお尋ねいたしたいのは、何をやったかという問題ですけれども、要するに安全、保安ということは何よりも重要なんだ。こういうことは、いま大臣が言われるように意見は一致しますよ。乗客の安全、運行の安全を期するということでは、これはもう全然異論はない。ところが、一体それならば現行年度の中における安全、保安のための予算上の措置はどうなのか。これはどうなっておりますか。
#199
○説明員(磯崎叡君) 昭和三十八年に鶴見事故が起きまして以来、またその前の年の三十七年の三河島事故、これが最近の国鉄における一番大きい事故でございましたが、その後私ども――私当時その時点では副総裁でございましたが、全力をあげて事故の撲滅のためにやろうじゃないかということで、思い切って予算をふやしたわけでございます。
 一番大きい予算は、自動列車停止装置等でございましたので、年によって若干の変動はございますが、大体二百億から二百五十億、これは純粋の保安対策費でございますを使っております。たとえばことし四十七年度で申しますれば、これはまだ補正予算が参議院を通っておりませんが、一応四十七年度予算で申しますと、工事経費全体が約五千億でございまして、五千億のうちの二千億が新幹線でございます。したがって、一般に使う金は三千億でございます。その三千億の中に、純粋と申しますか、保安対策以外に目的のないもの、これが二百五十億でございます。そのほかに、たとえば複線化する際に踏切をやめて立体交差にする、あるいは駅の構内を改造する場合に信号、保安装置を直す、あるいはいままでの細いレールを太いレールにする。そういうほかの項目に入っておるものの中から抜き出しますと、大体この二百四十五億の三倍は、取り方によっては若干違いますが、おおむね三倍と私は思っております。いままで全体の予算の目安といたしまして、二割のものを保安対策に使うという、一つの目安でございます。これは年によって多少のでこぼこがございますが、したがって電化、複線化等の一般のサービスの向上はそれだけおくれてくるということになりますが、とにもかくにも過去十年間部内では、保安対策費まかり通るというふうな、非常に極端な私に対する批評もございます。私は、あえてそれはかまわぬと、そして大体十年間で約二千億から三千五、六百億の金を保安対策に投じました。しかし今回のような事故が起こってみますと、やはり私どもの考え方の足りない点、また事故防止がいかに限りないものであるかということをしみじみ痛感するわけでございます。したがって今後とも、一段落、二段落ということではなしに、無限に金をつぎ込む、そして毎年毎年新しいことを考えて保安対策をやるということが、私は保安対策のやり方ではないか。保安対策に限度はないというふうに私は思っております。過去の実績といままでのやり方と、考え方と積み重ねてみても、こういう事故が起こるということは、やはりもっともっと、まだまだ非常に広い範囲のものが残されておると、未開の分野が残されておると、また私の気がつかないことがたくさんあるということを率直に反省いたしまして、今後新しい、いままでにない、保安対策につきましても十分金を入れていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#200
○森中守義君 これは総裁、せっかくの御説明ですが、大体言われる数字とそう大きな食い違いはありません。ただ問題なのは、四十七年度の場合、四千九百一億ですな、正確に工事費として見れるのは。この中のいま言われた二百四十五億、しかも二百四十五億の中身は、たとえば自動信号化が三十八億、それから継電連動化七億、信号機改良九億、運転指令その他百十一億、踏切対策八十億、こういう内容です。
 そこで、いま三千億近いのだと言われるけれども、まあこれはやや合理化を促進するために、人べらしを促進するために用いられる経費と見るべきものが大体大半を占めている。だから私が問題にしている純粋な保安対策費というものは四千九百一億の中の三百四十五億、率に直すと大体五%ですね、四千九百一億の二百四十五億だからほぼ五%。ところが今回トンネルの通風があれこれいろいろ議論をされる。こういったものなど考えた場合に、はたして五%程度のものがほんとうに安全、保安上十分であるかどうか。これをもって私は、安全、保安のためには幾ら金を使ってもいい、保安費まかり通るというように実は言われておるのだということで総裁からお話がありましたけれども、私は残念ながらそう思いません。むしろもっと国鉄の安全、保安を見直す、洗い直すということになれば、大体年間の予算がこの程度では、いま言われるように、まかり通るということにはならぬのじゃないですか。ただ、しさいな資料をまだ手元に持っておりません。ですから総ワクの五%ではたして安全対策がなるかどうか。むろん金高が多いことがすべてだとは言いませんよ、しかしながら十分だとは思えない。
 それとそのことに関連してもう一つ申し上げておきたいのは、鉄道安全会議というのがありますね。これは部外の学識経験者などを集められた会議ですね。それと内部として運転事故防止対策委員会、この二つの機関が主として国鉄の安全、保安を担当する機関ですね。そこで、さっき総裁がお示しになり私が申し上げた予算等は、この二つの安全機関、この辺の一つの構想、一つの計画、こういうものとの関係はどうですか。むろんそれは部外者の安全会議であろうとも、国鉄の意向を無視していろんなことを討議し決定するとは思いません。しかし、この二つの機関というものは、ほんとうに国鉄の安全が完全に確保される、保障されるというようなことを本来ならば扱っている機関だと見ていいと思う。こことの予算との関係はどうなります、こことの関係は。
#201
○説明員(磯崎叡君) 初めに、四千九百一億の中の二百四十五億、五%というお話がございましたが、申しましたとおり、新幹線は全然次元の違うと申しますか、現在線と全く関係ない工事でございます。したがって新幹線工事は、私どもといたしましては頭から天引きと申しますか、全然もう考え方が違って、使う資材から何から全部違っておりますので、この四千九百一億のうちからもう二千億はこれは別なんだという考え方でございます。したがって私どもは、一般在来線は三千億ということで考えておるわけでございまして、予算の御説明でも、いつも新幹線が幾ら、在来線が幾らと、こういう御説明をしておるのは、もう先生御承知のとおりでございます。したがって三千億のうちの二百四十五億、さらにこれにつきまして、さっき申しましたほかの工事に入っております保安対策費、これはなかなか分けにくいわけでございます。それをかりに分けて持ってくればこの三倍ぐらいになるということになります。したがいまして、三千億のうちの二割強という数字ならば私はそう少ない数字ではない、絶対額から申しましてもそう少ない数字ではないというふうに考えておるわけでございます。
 で、この項目がいずれも合理化じゃないかというお話でございます。たとえば手でやる信号を自動信号にする、これは合理化という面から見れば合理化かもしれませんが、それによってどれだけ保安度が向上するか。すなわち人間の間違いが――自動信号の間違いというものはまずいままで皆無といっていいくらいだったと思います。そういう意味で、結果的には合理化になるかもしれませんが、さしあたりはとにかく手でやっている信号を自動信号にする。列車が自分でもってどんどん信号機を変えていく、これは非常に保安度の向上である。しかし、こういう改良をすれば、当然ある程度合理化になるのは、これはもう近代産業としてはやむを得ないことであるというふうに考えます。したがいまして、私どもはこういう項目は合理化が中心ではなくて、あくまで保安度の向上ということを目的として金をつけ、その結果合理化になることもある、こういう意味でございます。それが第一点でございます。
 それからもう一点の、いま私のほうで持っております安全会議と事故防止対策委員会、この安全会議は、これはたしか三河島事故のあとでございましたか、やはり国会の運輸委員会の御勧奨でもって安全問題について部外の、必ずしも鉄道関係の人だけでない人の意見を聞くべきだという御決議がたしかございまして、それに基づいてつくった記憶がございます。初代の委員長は、この間なくなりました三村起一先生でございます。いまは心理学者の宮城音彌先生でございます。これには鉄道の人は一人もおりません。で、たとえば自動車、飛行機それから心理学、それからいわゆる大学の先生が二、三人、それから交通評論家村野賢哉氏のような方が入っておられる。そういう意味で、私どものほうとしましては、安全問題については一応日本のトップレベルの方々であるというふうな感じを持っております。したがって、なかなか具体的にはここでこれをどうしろというお話は、必ずしもいま先生のおっしゃったようにございません。むしろいろいろ実情をお示しいたしまして御批判を賜わるということでございます。
 その次の事故防止対策委員会は、これは技師長が委員長になっておりますが、これは必ず私が出ることにいたしております。こまかい話になりますが、毎月第一月曜ということは、なるべく国会のない日という意味でございます。国会がなければ私は朝から晩までその委員会に出られるという意味でございまして、一ヵ月に一ぺん総裁と副総裁と課長以上は、全員あらゆることを忘れて事故防止をやろうじゃないかという気持ちのもとに、すでに百何十回になっております。これは月一回第一月曜にやっております。ちょうどこの間の事故の日はその日でございまして、非常に皮肉でございましたが、事故対策のこの委員会の日がこの事故の日でございました。委員は全部局長でございますが、関係課長はうしろの幹事席にすわらしております。そこで出ましたこと、そこできまりましたことは、即常務会の決定であるというふうにいたしております。したがいまして、ここで事故対策を具体的にきめれば、そのきまったことを原局に持って帰って、また経理局がどうだこうだということは一切させません。そこできまったことは全部即うちの常務会であるという方針のもとに、運転事故防止対策委員会で決定したことは、即国鉄の意思決定として部内に実施を命じ、それの予算を自動的につけるという、こういう仕事のしかたをいたしております。これは私といたしましては回数を重ねるだけではございませんで、相当実効をあげてまいった委員会であるという気持ちを持っております。で、必ずいままできめたことをチェックをする。そして新しい仕事をここでやっていく。いわゆる会議ではございますが、実施機関であるというふうに思っておりますので、いま申しましたような二百数十億あるいはそれ以上の大きな、保安対策についての相当大きな部分をこの事故防止委員会で決定し使っておる、こういう現状でございます。
#202
○森中守義君 それじゃ、もう二年か三年前のようですが、たしか急行「あそ号」が火を吹きながら走った事件がありましたね。三年くらい前のような気がします。それとすんでのところでトンネルの中で大惨事が起こるようなことがこれまた三、四年前あったような気がします。あのときですよ、神に祈るような気持ちだとおっしゃった。そこでああいったようなことを、おそらくその後の安全会議なり、あるいは運転事故防止会議等で議論されてきていると思う。ところが今回トンネルの中で、不燃物の採用どころじゃない、一酸化炭素の中毒患者まで出す、いわばこういったような材質の選択等は、過去の議論の中になかったんですか。つまり新しいケースの事故が発生した。それを踏み台にして次に発展をしていくというようなことだと、乗客はまさにモルモットみたい。今回も二十九名の痛ましい犠牲を出している。もうトンネルの事故というものはこうすればよろしいという答えが出たんじゃおそ過ぎますよ。乗客が絶えず事故の犠牲になる。その事故を踏まえて、新しい開発が進んでいくということでは、これは日鉄法の一条に反します。公共の福祉どころの騒ぎじゃない。そういうことで、私はこの安全会議と運転事故防止対策委員会というものは、もっと内容的に、形としての権威じゃなくて、内容として充実したものでなくちゃならぬ、こういうように思う。いまお話を聞けば、いや毎週やっているんだと、詰められた予算等については惜しげもなく出している、こういうことなんですけれども、しかし、こういうものがありながら、なお事故が断たないというのは、一体何でしょう。その辺が私はわからない。こういう権威あるものがある、金も惜しまない、毎週のように議論をやっている。むろん、こういう国鉄の頭脳を集めた、あるいは部外の頭脳を集めたものであれば、おそらく想定をされる事故というものは、そう無限大に数百万、数十万という多種多様なものとは思えません。それならば、一通りこういうものに対応できるような、未然に事故を防いでいくという、こういう一つの方針あるいは方策というものがあってしかるべきじゃないですか。それがないために、新しいケースのものが次から次に出てくる。だから私がさっき言っているのは、間接的な、直接的な原因あるいは要因かという、この二つのものは、むしろ遠因をなすもの、要因をなすものがむしろこの際は重要じゃないかというように思うのですがね。この二つの機関の果たしている役割り、もう少しこまかく説明してください。
#203
○説明員(磯崎叡君) 毎週ではございませんで、事故防止委員会は毎月一回月曜日にやっております。安全会議は大体年六回でございます。これはさっき申しましたとおり、大体、まずその前の二ヵ月間の事故の報告をいたします。そして事故の報告のあと、今月はたとえば自動車の問題、今月ば船舶の問題、あらかじめ議題をきめておきます。そしてそれについてのいろんなデータを出します。そうすると、いろんな部外の方々から、これはどうだ、あれはどうだというふうな御質問、御意見が出てまいります。それを収録いたしまして部内の事故対策委員会にかけ、あるいはそれを各原局でもって仕事に、事務にのせるということでございまして、安全会議は一種の部外の日本の頭脳をうかがう会議でございます。そこでもって内容を詰めるということじゃなしに、ものの考え方、たとえば飛行機はどういう限度に安全に金を使うか、どういう角度から飛行機対策というものは金を使っているのか、あるいはトラックはどうだとか、そういうふうな鉄道外の方々から交通事故――鉄道を含めての交通事故に関するいろんな角度の行政的な、警察的な、あるいは一般の利用者としての考え方ということ、あるいは学者としての考え方、こういうことをいろいろ伺うわけでございます。これはむしろ事故といいますか、鉄道のやっている仕事に対する一つの安全の角度から見た判断、それを仰いでいるわけでございます。したがって、さっき申しましたとおり、これはすぐ事務にのると、これで金を幾らどうするという部内の問題ではございません。
 それから事故防止委員会のほうは、先ほど申しましたように、もちろん過去一ヵ月間の事故の反省をいたします。一件ごとに事故なり大きな事故の内容を説明し、それを反省いたしますし、大体その前の月の事故防止委員会で宿題を出します。来月までにこれとこれとこれとをきめてこいということをその会議できめます。そして事故報告のあったあと、先月きまったことはこういうふうにします、これからこういうふうに金をつけて、こうやっていくということを今月の事故防止委員会できめ、それを具体的に実施に移していく、こういうやり方でございます。それから、もちろん全体としての事故の傾向、大体毎年何月はどういう事故が多い、何月はどういう事故が多い――先生のおっしゃった事故の種別でございますね。非常に季節とも関係がある。たとえば十一月の九日、これは鶴見事故のあった日、十一月六日は今度の事故というふうに、何かこう月に重なるとか、もう妙な習癖もございます。そういうふうなものについてのいろいろな検討あるいは気象との問題、すなわち台風の問題あるいは雪の問題等につきましても、具体的に検討いたしております。しかし、それだけやってなぜ事故があるかという先生の御質問でございます。これが私、問題だと思います。これは先ほど申しましたとおり、やはり事故というものは、とにかく無限にあらゆるケースがあり得ると私は思います。これは決して、何と申しますか、わからないという意味でなしに、その事故は完全に克服できるというだけの自信は、私ないと思います。これはもうどんなケースが出てくるかわからないということを常に謙虚に考えなければいけない。もう完全にこれで事故を征服したんだということは、私はまずないと思います。したがいまして、あらゆるケーススタディーをした上でこういう事故が起きたと、これはこういうふうに演繹しなくちゃいかぬ、これはこういうふうに帰納しなくちゃいかぬと、一つのやはり起こった現象をつかまえて、それを核分裂させていくというふうなのが事故対策ではないかというふうに思います。したがいまして、いつまでたっても事故がなくならないじゃないかというおしかり、確かにごもっともでございます。私どもといたしましては、なくす努力をいたしておりますし、傾向的にはなくなってきております。しかし、それではいけないので、傾向がよくたって、一つ大きな事故があればそれっきりでございますから、そういう事故のないようにあらゆるケーススタディーをして、そしてそれから具体策を出すというのが事故防止のやり方ではないか。まあほかに何かいいやり方がないかといろいろ考えておりますけれども、なかなか事故防止のやり方について、事故防止の考え得るケースの想定、非常にやはりむずかしいので、先生いまたまたま過去の事故の例だけを引くとおっしゃいましたけれども、やっぱり一つの例を核にして、それでそれを核分裂して新しいケースを想定するというような私どもとしては頭脳しか持ち合わせませんで、まあそういう意味で、非常に過去になずんだ事故防止だとおっしゃる御意見だと私思うのでございますが、しかし、そうでなしに、それを中心として新しいものを、新しいケースを考えていってつぶしにかかる、こういう考え方ではないか。しかし、この事故防止の態度は全然間違っているという御意見もあるかと存じますが、私どもはそういうような考え方でいままでやってきたわけでございます。
#204
○森中守義君 それでは、いまのお話からいくと、今回のトンネル事故というものは、いままで究明されてきた、あるいは想定をされていた事故のどれかに該当しますか。全く予期しないもの、言ってしまえば、まさに不可抗力的なもの――どう思われるか。
#205
○説明員(磯崎叡君) 今回の事故は、けさほどからのお話のとおり、私二つに分けて考えられると思います。
 一つは火事という問題でございます。で、その火災については、すでに列車火災ということで同じような火災がございました。たとえば同じ型の食堂車がレンジが焼けて、これは急行「安芸」でございますが、列車火災をやったことがございます。その際に、全部この形の車のレンジは、石炭のままでございますが、全部中を鉄板にして、今後二度と厨房から火の出ないような改造をいたしました。しかし、まあ今度は別なところからということでございますが、いずれにいたしましても、列車火災につきましては、いままでケースのあったことでございます、列車火災につきましては。
 今度の事故は、列車の火災と、それがトンネルの中で起きたという問題と、二つになるわけでございます。トンネルの中でこれだけの大きな火災の起きた例はいままで実はございませんでした。もちろんいろいろ推定してどうだこうだということはございました。しかし、たとえばまあ非常に古いトンネルでございます丹那トンネルなどになりますと、もう相当な年数たっておりましても、どういうものかあのトンネルにはこういう事故はないということで、トンネルの中で火事があったという例は、ほとんど、最近ありましたこのトンネルの出口のぎりぎりのところで電源車が火災を起こしたという事故、これはすぐ出てしまいましたが、この程度でもって、長大トンネルの中でこういう火災が起こったのは残念ながら初めてでございます。したがいまして、けさほど先生方に御答弁申し上げましたように、長大トンネルについての考え方に一つ問題があるということを申し上げたのはその点でございます。
#206
○森中守義君 結局不可抗力的なものであるのか、防止策ができたのか、その辺の答えはきわめてあいまいですね。
 それで私は、いままで総裁がお話になった安全会議あるいは事故防止対策委員会、ここでいろいろきめられたことが、実際問題として、運用、運行に当たる立場の人たちにどういう形で伝達をされているのか、つまり私が申し上げたいのは、先般新聞でだいぶ騒がれた大阪の向日町運転所、ここで車検切れの車を平気で走らせておる。何か所長は肯定したそうですね。これらは幸いにして大事件を引き起こさなかったから、これは結果的には幸いであった。ただし、おそらく今回火災を起こした食堂車というものが、向日町運転所の、つまり車検切れに該当したものではなかろうかというような想像さえ出てくる。しかし問題は、それぞれのポジションにある者が、きちんときめられたことすらも守っていない、この辺に私は割り切れないものがある。しかも総裁のお話からいきますと、いかようにしても、事故というものがあまりにもケースが多過ぎて完全な防止ができないんだということになりますと、一体これは列車に乗っていいものなのかどうなのか、少なくとも今回の事件で、利用者、社会、国民というものは言い知れない不信感を持っているのです。非常に危険さを感じている。こういうのをどこでどう締めくくりをつけるのか。子供のときから、汽車は安全なもの、乗りものならば列車だと、こういったように鉄道百年の歴史の中にすべての国民は肌でそのものを感じておった。ところが一瞬にして二十九名の命を取られる、その翌日もまた焼けたということになりますと、いま国鉄に対する国民の不信あるいは危険感というものは簡単に除去できませんね。そうなると、何かの形で信頼をつなぎとめるために、失われた威信を回復するために、どうしたらいいのか。私は、そういうことのために大臣が警告書を出される、しっかりやれ、おれもしっかりする、特別監査委員会も監査をやってみろ、これだけではだれも得心しませんよ。
 だから、もとに戻りますけれども、やはりそらぞらしいし、何だいまごろ、どうにもならぬものだ、こういう感じを受けるのは私一人でないと思う。そこで、大体事故の背景をなすもの、あるいは現状と事故防止の展望等については、ほぼ総裁のお答えによって理解ができました。しかし理解ができたということは、将来の一〇〇%の安全保障ということはあり得ない、こういうことだと思う。大臣どうしますか、この結末は。けさ小柳君が予算委員会で、警告書を出したが、この決着はどうつけるのだという質問があった。いや、それは自分も含めて運輸省及び国鉄、関係者一体となって再現しないように努力します、こういう答えであった。しかし、それだけでは得心できません。警告書の中に「特に今回のような火災による事故に対する国鉄の責務は重大といわねばならない。」こうおっしゃる。「重大といわねばならない。」というならば、重大な事件を発生せしめたその責任はどうしてとるんですか。言いっぱなしですか。あと始末をつければいい、二度と起こさないように努力せい、これで終わりですか。要するに私がさっき申し上げるように、国民や世間は、今日の国鉄にどういう見方をしているか、その見方に対してどうこたえていくかということがむしろ重要だ、それは大臣が言われるようなことでは、わかりましたということではおさまらぬのじゃないでしょうか、どうされますか。
#207
○国務大臣(佐々木秀世君) 私の出しました警告並びに特別監査をお願いした、そういうことの結論は、やはりその問題点に対する、今後いかにそれを実行するかということであり、また警告に対しましては、私をはじめとして運輸担当者がいかに心を新たにしてそれに向かうかという、行動をもって国民の御理解を願うということだろうと思います。また具体的な問題については、先ほどから各先生方の言われた貴重な御意見を御意見とするだけでなく、それをいわゆる実行し、あるいは予算化し、そして総裁等のいままでの体験から出た発言等も十分加味いたしまして、私のできる範囲のことによって償いをするということで御理解を願うことではなかろうかと考えております。いま直ちに国民に、この警告を出したから、特別監査を出したから御理解が願えるものだとは考えておりません。今後のいわゆる行動と、今後のいわゆる実行によって国民の御理解を願うために努力しなくてはならぬ、こう考えております。
#208
○森中守義君 これは私は、大別すれば経営上の問題と、つまり管理上の人的な問題、おおむね二つあると思う。そこで先般、臨時国会の劈頭において、総理が参議院本会議で答えていたことを御記憶ありますか。いま会議録を持っておりませんが、社会党の加瀬君の代表質問に対してこう言っております。いまや国鉄は独立採算を可とするかいなかについて再検討の時期が来た、総理はこう答えておる、これが一つのポイントだ。ただ、その発言というものが、しさいに関係者の間で練りに練られ、詰められた発言であったかどうかは疑問がある。おそらく調子に乗り過ぎてだべりの部分であったかもしれない。けれども、いやしくも新総理が本会議の中における代表質問に対して言ったことですから、これは私どもは軽視しない、きわめて重大な問題だとして受け取っておる。そうなれば、いまお二人並んでおられるけれども、国鉄総裁にいま何の力があるのか。たとえば予算の面で、その余の面で。この前、当事者能力があるのかないのかという議論がありました。これだと思う。そういう意味では総裁も非常に気の毒な面がある。責任はでっかいものをしょわせる、やることはあまり大したものができない、いわゆる限界がありますね。この辺が一つの大きな分かれ道だと思いますよ。何かやろうとしても、予算上すぐぶつかってくる。じゃ、もうけなければならぬ。そこで日鉄法を踏みはずす、つまり公共の福祉増進というものをどこか置き忘れて、どうしても採算中心になる、どうしても企業中心という、こういうようなことがいまの国鉄の宿命的なものになっている。だからまじめに事故の再発を防止する、絶滅をはかるというならば、国鉄の今日の経営の体系――独立採算かいなかというこの問題を早急に解決すべきじゃないですか。これが一つの解決点だろうと私、は思います。
 それからいま一つは、決してこれは非難をするがゆえに言うわけじゃありませんけれども、いま何かしら一般社会というものは、かかる連続する国鉄の事故に対して何かを求めておりますよ。何か求めている。その求めているものはこの中にやや抽象的に表現されている。「国鉄の責務は重大といわねばならない。」、これですよ。その責めが重大であるならば、この重大な責めをだれにどうして処置させるのか。もっと端的なことを言うならば、きのうの各紙の夕刊等で、総裁の進退は微妙であるという言い方がされている。きょうある紙の記者に私は廊下で聞かれました。私は言った、進退と言うが進はないじゃないか、退以外ない、こう言ったことがある。先ほどそのことは強く否定されるような大臣の御意見であり、また総裁も決着をつけること、こういうことがないようにすることが私の責任だと、退など、退くことなどは毛頭考えてないと、こういうことのようでしたが、まあこれは受け取る人によって非常に微妙な受け取り方をします。が私は、経営の体系及び人的な更迭、この三つがさしずめ今日の社会が国鉄に求めている疑問であり、これをどう大臣、総裁が反応を示されるか、きわめて事は重大だと思うんです。
 むろん人の問題は運輸大臣の任命、大臣人事じゃありませんからね、内閣の人事だから。先ほど伊部質問に対してある種のお答えがありました。この辺をもう少し整理をされて、これで質問も終わりますが、この重要な二点、独算制を持続するのか検討するのか、人はどうするか、このことをもう一回正確にお答え願っておきたい。
#209
○国務大臣(佐々木秀世君) 国鉄の現在の置かれている立場、しかもその立場が独立採算制というワクの中での仕事のあり方、これについては私自体も二十一年前に運輸政務次官という立場でいろいろ悩んだことはございます。しかも独立採算制でありながら、その経営がほんとうに独立した自己の考え方を十分に生かせないというある種の制約がたくさんあります。たとえばほとんど運行だけに限られ、あるいは私鉄のようにその鉄道沿線の開発とか、あるいはホテルの経営とか、あるいはその土地を利用するとか、こういうような思い切った独立的に営業のできないようないろんな規定がある。そしてそれができないことだけではなくて、内容を申しますと全く赤字に次ぐ赤字の累積でありますし、そうかといって国鉄という名前でございますから公共性を多分に含んでおります。こうした現在の国鉄を一体将来どうしたらいいのか、私自体もずいぶん悩み、ずいぶん考えました。しかし、それをいまだに昔のほんとうの国有鉄道にして、赤字が出たならば一般会計から補って、黒字が出たならば一般会計に繰り入れるような純然たる国鉄にしたほうがいいのか、あるいはまた公共性があるからある程度の赤字が出ても独立採算制を認めながら、国の思い切った助成によってこのまま持っていくべきがいいか、こういう点はあまりにも大きい問題でございますから、これからたくさんの人のお知恵をちょうだいして結論をつけなくてはならぬと私は考えます。過ぐる国会に、国鉄財政再建法あるいは運賃法などの法案が提出されましたが、いろいろ先生方の御意見が出まして国会を通過できませんでしたが、そういう問題も多分にからんでいたのではないかと私考えられます。
 これから、やはりこのままではどうにもならないんでありますから、真剣に検討いたしまして、いま運輸大臣、おまえはどうするかと言われましても、あまりにも重大な問題でございますから、この問題についてはもうしばらく時をかしていただきたいと存じます。
 それから次の責任の問題は、先ほどお答え申し上げましたので、あの心境でございますので、先ほどのお答えで御理解を願いたいと存じます。
#210
○森中守義君 その独立採算の問題は、確かに事は重大です。むろんあなた一存で決定しかねるでしょう。総理も検討の時期が来たと、こう言っている。当然、あなたがこう言ったじゃないかということをあとあとまでは言いません。現状における運輸大臣としてはどうですか、運輸大臣としてはどうですかと言ったら、あとまでこう言った、ああ言ったということは言いませんよ。いまのあなたの気持ちとしてはどうなんですか。
#211
○国務大臣(佐々木秀世君) 私といたしましては、真剣に検討すべき問題だと考えております。
#212
○森中守義君 もう総理の答弁があってかなり時間がたっていますが、本来ならば、これはやはり運輸省あるいは国鉄などではかなり真剣な議論として取り組まれてもいい筋のものですよ。むろん私どもも、きょう、この事故がなければある程度そこまで入る予定だったんです。しかしこれで一日ほとんどつぶれました。けれども、残念ながらそのことの反応が非常ににぶい。しかも運輸大臣も慎重に検討する、それ以上の答弁はやや困難であるかわかりませんが、しかし固有の意見は私はお持ちだと思う。つまり独立採算はもうやめにゃならぬ、公共の福祉を増進するには現状ではいかぬのだという答えをあなたここまでお持ちだと、それが立場上なのか何なのか言えないだけじゃないかと、こう思うのですがね。そういうように理解しようと思う。
 それと、あとの二番目の問題は、これも大臣に任命権があるわけじゃないから、ややこれも困難でしょう。十分閣議の中でこの問題をどう処理をするのか、つまり社会の信頼を回復するには何かをしなければならぬ、それには一つの方法として、こういうことはどうなのかという程度のことは閣内で発言されても私はいいと思う。いかがですか。
#213
○国務大臣(佐々木秀世君) 閣議決定でありますから、閣議の中におきまする私の発言は誤りのない発言をいたしたいと、こう考えております。
#214
○田代富士男君 大臣、総裁、朝から連続の審議でお疲れだと思いますが、きょうの委員会の質疑者は私で終わりの予定になっているそうでございます。まだあと、どなたか質問されるかわかりませんが、予定はそのようにお聞きしております。で、大事な問題でございますから、少し時間をいただきまして、質問をしたいと思います。
 で、北陸トンネルの事故が起きましてテレビ、新聞で見ましたときに、私はとうとうくるべきものがきたなと率直に感じました。なぜかといえば、去る五月十三日、私は大阪でございますが、大臣あるいは総裁も御承知のとおりに、千日前ビルの大事故が起きました。私は、たまたまその日土曜日でありましたから大阪に帰っておりまして、その燃えていく様相を一部始終この目で見ております。そのときのことにつきまして、これはたいへんだと、この火事は火事ではないぞ――百数十人の死傷者が出たことは御承知のとおりでございます。あのアルサロの中では、全部がきれいな姿のままガスの中毒によって死んでいたことを思い起こしまして、一酸化炭素、その他の煙のこわさというものを私は痛感しまして、早速当参議院の地行の委員会に私は参りまして、この問題を大きくとらえました。そのときにも、私は、再三この千日前の事故は縦の事故である。今度おそろしいのはこの縦の事故が横の事故として起きた場合はどうするか。私はこのときに地下街の問題、それから東京駅の総武線が乗り入れるその問題等も地行の委員会で取り上げております。そして当運輸委員会におきましても、山田副総裁であったかと思いますが、私は心配のあまり、この煙の事故に対する問題というものを、東京駅のあの総武線乗り入れを一つの例としてあげまして、火災ではない、煙だということを口をすっぱくなるくらい私は力説していたのが五月の月でございました。今回火災事故だといいますけれども、火災で焼け死んだのではありません。まあ、そういう火災で焼かれたお方もありますが、ほとんどの人が煙のために死んでいるわけなんです。こういうことを思いまして、私はとうとう縦の事故が横にもきてしまったぞ、これを、私はとうとうきたんだなあということを痛感しまして、どうして、何と申しますか、行政というものは一本化できないものだろうかと私自身、当運輸委員の一人として責任を、まあ小さな責任と言われればそうでございますが、責任を痛感した次第でございます。
 そこで千日前ビルのときにも言われたことでございますが、火災が起きた場合に必要なことは、言うまでもなく避難誘導路の問題、それから排煙設備の問題、この二つが一番大きく取り上げられております。千日前デパートの場合もこの二つの問題が欠如しておりました。今回の北陸トンネルの場合も、いま申しました避難誘導路の問題、排煙設備というものが欠如していたんじゃなかろうかと思います。
 いまさっき、午前中から列車運行のことにつきまして、安全確保に関する規定上で、走ればよかった、とまったらよかったと、いろいろ論議をされました。それは結果論の上の論議であると思いますが、もしかそうしたとしましても、この避難誘導路の問題、煙の排気設備の問題が完備していたならば、私は事故が起きたとき――あってはならないことですけれども、少ない事故者で済んだんじゃないかと思いますが。このまず二点でございます。避難誘導路、排煙設備というものが欠如していたために起こった北陸トンネルの事故じゃないかと思いますが、運輸大臣いかがでございますか。
#215
○国務大臣(佐々木秀世君) お話のように、現場に行ってまいりました私といたしましては、まだいろいろな観点から調査をしておる現段階において、結論が出ておりませんので、これが最終的な原因だということは申し上げられませんが、排煙装置の足りなかったこと、あるいは誘導道路の十分でなかったことは、お説のようなことが十分あったろうということを、私は考えさせられました。
#216
○田代富士男君 これは当然のことだと思います。これがなされていたならば、こういう事故にはなっていないと思います。それで私は、委員会でもいま質疑を聞いておりまして、事故があって進退伺いがどうだとか、いろいろ論議をされます。それはおのおのの主観というものは違いがあると思いますが、こういう事故というものは――これは私の考えでございますが、やめたからといって解決する問題じゃないと思うんです、私は。だから、その事故をほんとうに責任を感じて解決するように前向きにやっていくのが、現在の立場の責任を、申しわけなかったと、このようにやっていくのが責任者の責任者たる処置じゃないかと思うのです。そういう意味におきましては、責任を感じて、再び起こさないという姿勢で臨んでいただきたいと思うんです。
 それと、いまさき総裁からも、この乗務員は最善の力を尽くされたと、そういう御発言もなされておりました。で、私は乗務員の過失を云々するわけではございませんが、私自身は直接は参りませんでしたが、公明党の福井の県連の議員たちが全部支援活動に当たってくれまして、その報告は綿密に受けました。そのときに私が耳にしたことは、この乗務員のお方が一名殉死されたということも聞いておりますし、もちろん、りっぱに仕事をされたかと思いますが、しかし、その現地で聞いたときに、これは乗務員からの話を報告を受けたんですけれども、この列車がとまってから避難をしてくださいという乗務員からの指示が、三十分ぐらいたってからそういうふうに受けたのだという、これは一、二名の乗客じゃないんです、大多数の人から聞きました。また、新聞で読みますと、やはり三十分ないし四十分ぐらいの時間がかかっております。そうした場合には、もちろん最善の処置はとられたと思いますけれども、こういう面では、いささかやはり手落ちというものは認めざるを得ないと。全面的に乗務員の責任はないと――私はその過失を責めるわけでありませんけれども、それをここで寛容していったならば、再びまた事故が起きるんじゃないかと思います。あやまちはあやまち、災いを転じて再びそういう事故を起こしてはならぬというならば、事故の原因はきびしくし、守るべきところは守ると、そのようにしなければ再びこの事故は起きるんじゃないかと思うんです。そういう意味におきまして、三十分ないし四十分、避難命令が出るまでに時間がかかったという点は、これはちょっと大きい問題点があるのじゃないかと思うんです。そういう点、総裁、いかがでございましょうか。
#217
○説明員(磯崎叡君) 現地につきましての、たいへん適切なお話でございまして、私も実はその点を一番心配しておりました、現地へ参りますまで。そうして、大体四十分と私は思っております、ロスをした時間でございます。その四十分に、私どもの乗務員がどういう働きをしたか、これを実は綿密にいろいろ聞いてまいって、また、できるだけ直接乗務員から話も聞きました。結果的に申しますれば確かに少し時間が長過ぎたと思います。ただ、彼らにしてみれば、もうほんとうに懸命になって消せると思った、そのことが一つ問題だと思います。車掌が聞きましたのは、車の、次の次の車に乗っておりまして、そこへお客さんから、自分の車に煙が入ってくるのだということの御申告があったものですから車掌が飛んで行った、そうしてこれは消せると思ったというわけでございます。そこに一つ問題が、判断の問題がございまして、そうして急遽機関士にもそう言って列車をとめるし、そうして列車じゅうの消火器をみんな集めて消火作業をした。それが集めた時間。それから煙がもうもうで、あるいはどこが火の場所であったか、それもわからなかったかもしれません。その辺に、倉卒の間でございますので、必ずしも正確な消火活動が一〇〇%できたと私は申せませんが、少なくとも努力としては最大の努力を、その三十分ないし四十分にしたという意味で、私はあやまちがなかった。ただ人間でございますから、その判断のしかた、あるいはもうだめだと思ったときの四十分が長すぎたか、あるいは三十分でもうあきらめるべきだったかということについては、これは確かに問題が残ると思いますが、ただ私は、決して身びいきで申すわけではございませんが、あの場合、かりに私が車掌だといたしましても、やはり火を消すことに努力し、まあ四十分ぐらいかかったかなあというふうに思いまして、その点、私はどうも責任者として関係者を責める気にはなれません。あやまちはなかったというふうに私は信じておるわけでございます。ただ、そういうお話があったことも、私は直接、やはり外の方から耳にしております。ただ私といたしましては、あらゆる努力を払ったんだというふうに信じておる、こういうふうに申したわけでございます。
#218
○田代富士男君 そこで、これも私はちょっと報告を受けたんですが、これもお聞きして、もし間違っていたならば間違いだということを言っていただきたいと思いますが、火災を起こした旅客列車の直後に貨物ですか、貨物がトンネルの中に入った。そういう時間帯になっていた様子である。その貨物に対する措置といいますか、突っ込んできましたものですから、まあそのまま突っ込まれたらこれまたたいへんなことになりますが、その貨物を一たんトンネルに入ったのを引き出さなくちゃならない、そういうような操作のためにも、今回の救助作業がかなりおくれたんじゃないかと、そういうことの報告がございます。私が現地にいたならば、それは確認いたしますけれども、そういう時間帯になっていたのかどうか、その点はいかがでございましょうか。ちょっとそれ聞かしていただきたいんですが。
#219
○説明員(磯崎叡君) 当日のダイヤ面によりますと、やはり貨物が、二時十二分に二五六五という貨物列車でございますが、二時十二分に現場に入っております。そして逆に見ますと、五〇一列車、すなわち焼けた列車から一時二十八分に関係の駅に連絡されておりますけれども、その時点から逆に指令室に行き、指令室から敦賀にいったんではもう時間が間に合わないということで、敦賀の駅からトンネルまで若干時間がございます。すでに貨物列車が出たあとでいかんともしかたがなかったというふうに聞いております。ただ、あれがあったために、確かに救援列車の入れ方がむずかしかったということは事実でございまして、本来ならばあそこから救援列車を入れるべきものを、あれがあったためにやむを得ずあのうしろへ救援列車をつけまして、そしてお客さんを救助したということで、本来ならばあの場合、逆に上り線と申しまして、焼けた線路じゃないもう片側の線路から入ることも可能ではあったんでございますけれども、逆に上り線に下り列車を入れることは非常にあぶないものでございますから、やはり下り線を使いたかったということで、あの列車があったために近くまで救援列車が行けなかったということは事実でございます。
#220
○田代富士男君 いま総裁のお話を聞きまして、私が受けました地元の公明党の議員の報告と合っていたと、これで確認することができたわけなんですが、それで、私はここで痛感することは、ちょうど近鉄の、伊勢のほうで、トンネルで追突事故がありました。あのときも私は、この委員会で過密ダイヤのためにこういう事故が起きたのだと、こういうことを取り上げました。で、この問題は幸いにも国鉄として最大のいろいろ連絡をとられた結果、こういう事故なく終わることができたと思いますけれども、これがもしも追突していたならばたいへんなことになっていたのじゃないかと思うのです。だから、もちろん輸送力も増加されておりますし、ダイヤを組まざるを得ないということもわかりますけれども、私は、こういう点は今度追突事故が起きなかったからいいというものの、これがもし連絡がとれなかったならば、これはたいへんなことになっていたのじゃないか。まあほんとうに私は、近鉄事故の場合は直接こまかいところまで調べました。そのことを思ったときに、これは不幸中の幸いだったと、しかしまあ、不幸中の幸いというけれども、救助作業はそのためにおくれてしまったのじゃないかと、どちらがどっちだと言っても、これは考え方にもよりますけれども、これはしかし、今後の問題として検討する余地はあるのじゃないかと思います。
 これにつきまして、総裁のお考えとして、すぐ結論は出ないかと思いますけれども、やはり輸送力の増強ということも、安全輸送ということを考えていった場合には、今後この問題を考えていくべき必要があるのじゃないかと思うのです。佐々木運輸大臣は当時の運輸大臣ではありませんが、丹羽運輸大臣にこのことを、私は過密ダイヤのことに対しては厳重に申し上げたことなんですけれども、幸いに追突しなかったわけですけれども、もしかしたらそうなっていたわけですけれども、こういう安全輸送ということを考えたときに、このことも考えるべきじゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
#221
○国務大臣(佐々木秀世君) 御説ごもっともでございまして、私も先ほどの状態は現地で聞きました。それで幸いに先生お話のとおり、そのことによる被害が、まあ救出作業にはある程度はかどったかもしれませんが、それが直接で多くの犠牲者を出す結果にはならなかったということを聞いてほっとしたのであります。こういうこともございますので、過密ダイヤということにつきましては重々これからも注意しなきゃならぬと、こう考えております。
#222
○田代富士男君 それで、これは朝からも質問されたかとも思いますが、この北陸トンネルにつきましては、いろいろ問題のあるトンネルであると、いうことは、もう私が言うまでもなく御承知じゃないかと思います。特に四十四年にはすでに事故を起こしておりますし、それまでにも、これも現地から聞きましたが、北陸トンネルの欠陥の一つというものは一酸化炭素のおそろしさというものを現地の衛生研究所の人たちなんかも取り上げております。まあそういうものを取り上げて改善をしてもらいたい。また四十四年のあの事故があったあとには、きょうも質問が出たかと思いますが、敦賀あるいは三方の消防署の皆さん方が国鉄よりも積極的に取り組んで改善策を国鉄に要求したけれども、それが予算の関係、いろいろの関係で受け入れられなかったというようなことで、まあ地元の私は声を、報告を聞きましたが、あの中の一つでも国鉄が聞いていてくれたならば、まあ数で云々するわけではないけれども、まあ小さな被害でということを聞きまして、やはりこういう意見に対する聞く耳を、そういう赤字だからとか予算がないという、これはたてまえでございますけれども、いまさっき総裁が申されました、この十年間に保安関係の予算は二千億を使ってまいりましたと、二千億まかり通るというような発言をいま総裁されたわけなんですけれども、問題が多いと指摘されたところに対しましては、やはり今後ともこれは聞く耳を持ってもらいたい。その姿、勢が、聞くだけ聞こうよと、あとはそれを実行に移さないというその姿勢では根本解決はどこにあるかと、一人の人の意見を尊重していくという、これは国鉄の事故に対する姿勢としてそうあってもらいたいと思うのですが、この点総裁いかがでございましょうか。
#223
○説明員(磯崎叡君) いまの御指摘の外の人の言われることに耳をかさなかったという点、まさに午前中からのお話のとおりでございまして、とかく私どもは、専門家であるというふうな非常なプライドを持ち過ぎる点もあるかとも存じます。その点は必要な面もあると思いますけれども、むしろ外の方のほうが非常に具体的に妥当なことをおっしゃるケースが多いものでございます。もっとフランクに、外の方の御意見を伺うという習慣をほんとうにつけなければいけないということをしみじみ考える次第でございます。
#224
○田代富士男君 それで私がいま申し上げたいことは、専門家であると、そういうところに自信を失ってはならぬと思うのです。その自信を持続していくということが一番大事じゃないかと思うのです。自信の積み重ね、これが事故を防ぐことになるんじゃないかと思うのです。その自信の積み重ねが過ぎていきますと往々このような事故というものになって、人の意見にも耳をかさない、何かといえば赤字のために予算がないからと逃げの一手でやられたならば、やはり言う人も意欲がなくなってくると思う。
 私思うのですが、こういうような保安に対する財源を注いでいくということは、そのときにはそれだけの財源をと惜しむかわかりませんが、そのために事故が防げたと――防げたということは目に見えるものではありません、しかし今回の場合も、これだけの事故を起こした場合の遺家族の補償の問題――金額を例にあげるわけではありませんが、これだけ国鉄にとりましては赤字にまた赤字を重ねていかなきゃならない。少しばかりの保安設備に金を投資するということは、長い目で見た場合には、私はこれは経済的にも効率は高いんじゃないかと、だからこういう場合に、監査というような問題もありましたけれども、もう一度耳を傾けて、そういう危険地域であると言われたところ対しましては、私は国鉄の全トンネルと言わず、私がこの前指摘したのは縦の事故が横になったらたいへんだと、で、私がいまおそれていることは、国鉄を中心にした大衆駅というべきもの、地下街があります、大衆駅。私は、今度起こってくるのはそこの点じゃないかと思うのです。そうした場合には今度は子供だと。千日前デパートの場合を考えましたときに、今回は二十何人の事故でありますが、今後はそれどころではない、煙の速さというのは一秒間に三メーターから五メーターのスピードで、われわれが階段を上がっていく以上の速さで伸びていくのです。まして最近はカーテン一つをとりましても化繊でできております。これは木製の煙の十倍から二十倍の煙を発生します。そうした場合の事故が大きいですから、私はこの際、監査とかそういうことも大事でございましょうが、私は総点検をやって二度とこういうことはやらないということにするべきじゃないかと思うのですが、運輸大臣いかがでございますか。この点について。
#225
○国務大臣(佐々木秀世君) お説のとおり、この重大事故を起こした今日、今後あらゆる方法を講じて対策を講じていかなければなりませんが、その一つ二つとしてトンネルの総点検、それからいまのお話の総点検、これらのことにつきましては十分心いたしまして徹底するつもりでございます。
#226
○田代富士男君 いま運輸大臣から地下街とそれからそういうトンネルの全部を総点検をしていただくと、そういうことの徹底をはかるということでございますから、事故を未然に防ぐようにひとつ証拠に示していただきたいと私は思います。
 私は、今回の事故を思いまして、事故が起きた車が食堂車とすれば、国鉄で一番古い車だということも報告を受けました。それで私は、つくづく思うことは、たとえば大阪を例にとりますと、環状線は新しい車が走っております。営業係数の悪い路線になりますと、営業係数が悪いからじゃありませんけれども、阪和線や片町線にいきますともう車両というものががたんと落ちてしまうわけなんです。そういうわけでいま国鉄といたしましては、ディスカバージャパンというわけで全部の皆さんに声をかけております。そうして都会地の人々が観光的に地方へ地方へとおもむいていくでありましょう、その多く使う列車に、食堂車に一番古い列車が、営業係数が悪いからというたてまえではないと思うのですけれども、そういうふうに振り向けられていくということは、私はここにも問題点があるんじゃないかと思うのです。だから、考えてみますと、昨年度は六十万台ですか、乗客があったということを聞いておりますし、観光客は十年前に比べまして四倍くらいになっている、こういうときに、もちろん車両建設費等も予算の関係でなかなかできないかわかりませんけれども、やはりそういう車両はローカル線に行けば行くほど悪い。こういう大都市周辺は整備工場も整備されておりますが、ローカル線になればなるほど整備員も少ない。反対に考えるならば、整備員の少ないそちらにこそ故障の少ない電車なり列車を配置するなりしてやってこそバランスもとれるのじゃないかと思うのです。そういう意味におきましても、旧来の路線、旧来のそういう考え方でなくして、この際全部白紙に戻して安全輸送という立場で、そして国民の生命を守るという立場から考えて、根本的にそういう列車の配分、配車等につきましての検討をしていただくようなお考えがあるかどうか、総裁いかがでございましょうか。
#227
○説明員(磯崎叡君) いまのお話の問題、確かに同じ車でも東京の車がよくて地方の車が悪い、これはもうサービスの面から申しましてもたいへんまずいことで、まして安全の面で問題があれば一番問題だと思います。したがって、まあいまいろいろ全国にたくさんの車がばらばらになっておりますけれども、なるべく思い切ってもう古い車をやめてしまう、そしてお金は借金するなり何なりして、とにかく車をつくるというふうに進んでまいりたいと思っておりまして、実はいま御審議願っております予算につきましても、思い切って車に振り向けるということにいたしまして、やはりなるべく古い車を廃車していくという方向で進んでいきたいと思っております。ことに電車につきましては、いまおっしゃったように、大阪付近の電車は非常に悪うございます、最近少しずついい電車を入れておりますけれども。今度関西線が電化いたします。そういたしますとほとんど関西線のいまの古いディーゼルはなくなりまして、ほとんど全部新車になる予定をいたしております。そういうふうに金を入れるときにぱっと入れてよくしたいという気持ちも実はございます。そういう意味で、全国的になるべくバランスのとれた車の配置、ことに安全面の角度から見て車の配置をしなければならないというふうに思っております。
#228
○田代富士男君 いま総裁のお話をお聞きいたしまして、私はもう車両ができたような感じがしてしまいますけれども、そこまでいくには時間がかかると思いますが、これをぜひとも実現していただくならば、現在起こっている事故というものがかなり減ることは間違いないのじゃないかと思うのですね。そのように全国的にひとつ配慮していただきたいと思います。
 それから、それまでかなり時間がかかりますから、現在の既存の電車、車両を使わざるを得ないと思いますが、今回事故にあいました食堂車の問題ですが、この食堂車のカーテンだとか、天井、床、シート、こういう内装品ですね、新幹線はもうこれは燃えないように整備されておりますので、新幹線は除外してのことでございますが、在来線の場合には、やはり今回の食堂車のカーテンも塩化ビニールであった、こういう報告を私は聞いておりますし、それから壁と天井がポリエステル化粧板であると、そういう報告を私は聞いております。そうしますと、これは私が千日前デパートのときにいろいろ調べました、そのときのものに該当するような煙を発するところの製品であることは間違いないわけなんです。特に食堂車の場合は、他の車両と違いまして、そういう火の気を扱うところであるし、私は消火ということを考えた場合に、この責任というものは国鉄でこれを管理するのか、あるいは消防庁のほうでこの辺はどのように指導監督されるのか、その点、消防庁のお方と国鉄側の御意見を聞きたいのですが、消防庁の方どなたかいらっしゃったらお願いいたします。
#229
○説明員(永瀬章君) 消防庁といたしまして、国鉄の車両につきましては、直接建物のような規制権限を持っておりませんので、これにつきましては、従来国鉄でおやりになるのを、いろいろ御相談を受けまして安全性の確保という面ではつとめてきておるつもりでございます。
#230
○田代富士男君 では、端的にいえば車両の場合は権限が及ばないということですね、端的にいえば。どうでございますか。
#231
○説明員(永瀬章君) 車両の内装等につきましての権限は直接的には及んでいないと考えています。
#232
○説明員(磯崎叡君) 車両の内装品あるいは私のほうの駅のそういった消防関係の問題でございますが、車両のほうは運輸大臣の権限になっておりますけれども、実際は消防庁からいろいろ御指示、御支援を得ております。しかし、やはりもっともっと積極的に消防庁からいろいろ教えていただきませんと、車両でも安全性とか走行性とかはこれはうちが専門でございますけれども、燃えるか燃えないかは、やはり消防庁のほうが専門でおられます。そういう意味でもっと謙虚にひとつ御意見を伺おう。実は五月の千日前のあのあと、先生からいろいろ御質問がございまして、東京駅の地下街につきまして思い切った実は機械化をやりました。同時に、私どもだけではいけませんので、消防庁の方を一人私どものほうにいただきまして、そして人的なつながりもとって、専門的にいろいろ教えていただくというシステムをあのとき実はとりましたわけでございます。今後、それと同じように、私どもの技術研究所の中にも何か防火と申しますか、そういうもののセクションが実はございません。防災はございますけれども、防火は研究所にございませんので、研究所の中にも、できればそういった防火専門の研究室をつくり、そことやはり消防研究所などの関係を密接にして、もっともっと初めからお話を聞きながらやるというふうな体制をぜひとっていきたい。いわば私どもの組織の中に防火というものを入れて考えませんと、車両にしても、今後のトンネルあるいは橋梁にしても、いろいろ問題が起こると思います。その点実は昨日からいろいろ部内で考えております。方向としては、私はそういう方向にまいるのが一番よろしいし、まあ東京駅はおかげさまで私はいま実は安心をいたしているのは、やはり消防庁の方が見えて、そして私どもの職員になっていただいた、そしてそういう角度から毎日毎日見ていただいている、そういう安心感があります。そういうふうな組織の中に消防問題、消火問題を取り入れたような形でもって仕事をしていかなきゃいかぬ。これはまだ私だけの考えでございますが、考えておる次第でございます。
#233
○田代富士男君 そこで、これは消防庁の御意見も拝聴していきたいという謙虚な総裁のお考えでございますが、それで消防庁の方にこれは参考としてお聞きしたいと思いますが、千日前デパートのことを例に出して申しわけございませんが、あのときもロッカーのシャッターが上がっていたならば、あそこで死んだ人も全部屋上へ上がれたわけです。また階段のシャッターが上がっていたならば外へにげれたわけです。あれだけの千日前の事故が起きたということはシャッターがおろされていた。一番最初に言いました誘導路という問題にも通ずるかと思いますが、それよりもシャッターがおりていたと、これが大きな問題として取り上げられているわけなんです。そういたしますと、食堂車の場合、まあ新幹線のビュッフェの場合は、これは東京発八時三十分が最終列車でございますから夜行になるということはありません。しかし、在来線の場合はそれぞれ夜行で行った場合には、足の長い列車は全部食堂車がついておりますが、ここに私は問題があるんじゃないかと思うんですね。というのは、食堂車の従業員の人たちがあそこで寝ます。その場合にはやはりかぎを落としてしまう。そうした場合に、列車というものは、十二両なら十二両編成の列車というものが一本の列車で、この間はやはり専務車掌なりいろいろな保安員の人たちが乗ってるわけなんです。やはりこれは行き渡りするべきでありましょうし、また列車によるならば、食堂車の前とうしろとそれぞれ担当の車掌の区域がきまっておるということもされておると思いますけれども、これは乗客の場合はそういうふうにされておりますけれども、いざ事故が起きたといった場合に、今回前に逃げてくれといった場合に、そういうふうになされているといった場合に、動きがとれないと。しかし、これは締めておかなければ従業員の寝台もないしという、こういう点ですね。千日前デパートの場合も、かぎが落ちていたためにああいう事故が起きた。今回の場合は締まっていた。それで一番最初に総裁に質問したとき、煙が出ているけれども、どこで煙が出ているかわからないと、こういう乗務員の人たちの最初の判断であったと。それがもしもこの車両のかぎがあいて、定期的に巡回をするといいますか、これが列車の場合に通用するかどうかわかりませんよ。そういうふうに定期的に異状ないかと見回っておりますけれども、それをやっていたならば、もっと未然に、これはトンネルに入る以前にできたんじゃないか。これは結果論でございますけれども、そういう意味で食堂車の前とあとにかぎをかけるという点ですね、消防庁のお考えいかがでございましょうか。
#234
○説明員(永瀬章君) これは、私ども食堂車の夜間におきます管理状態というのをよく存じませんが、かぎをお締めになる必要があれば、またそれをあける方法、事故時の対策でございますが、これをあわせてお考えになる必要があろうかと思います。一般的に申し上げまして、建物の場合でもかぎを締めてはいけないという考え方を常にとるわけにもいきませんので、常に締めましたかぎは、災害時に早くあけ得るような措置を十分にとれと、必要があれば、最近の考え方では、パニックバーのように、中から押しますと、かぎであけないでもロックがはずれていくという考案もございます。そういうものをつけているものもございますので、こういうような方法等を御採用いただくとか、いろいろな方法でかぎがあけられる形をお考え願えればありがたいと思います。
#235
○田代富士男君 総裁、いま消防庁のお方の御意見でございますが、それに対して、まだまだ御意見については、もっとこまかい具体的にどうするかという詰めになると思いますけれども、そのようにしていただいて、気になることは全部この際チェックをして改善をしていくという点はいかがでございましょうか。
#236
○説明員(磯崎叡君) いろいろそういう私どものいままで気のつかなかったような問題がやはりたくさんあるようでございます。今度の場合はかぎはあいていたようでございますが、しかし、中には締めてしまうこともあるやに聞いております。それは、けさほど伊部先生からも御質問ございました。結局、食堂の女の子たちの寝るところがないからそういうことになるんであって、やはり寝るところをつくるのがあたりまえだということで、今度からは寝るところをつくるようにいたしました。そうすれば、もう自由に、あけっぱなしでいいということになりますが、いずれにしても、そういうこまかい防火上の注意ということについてもっともっと積極的に考えていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。
#237
○田代富士男君 それで今後、いろいろ今回の事故を通じて対策を講じていくと、これは毎回事故のときにこういうことを言われてきておりますけれども、ちょうど、振り返ってみますと、いまさっきから話が出ております桜木町の事件――古い事件ですけれども、これがあったおりには、非常コックを取りつけるという一歩前進の改善がされ、そうして鶴見事故があったあとにはATSの装置がなされてきたと、このように一歩一歩研究し、努力されていることは私も認めるものですけれども、この際、また、いま申されましたいろいろな問題点を取り上げてもらいたい。なおさら今回はトンネル内の事故であった。そうしますと、大阪から岡山までの新幹線は、御承知のとおり、トンネルが三六%ぐらいだったかと私は記憶しております。今度岡山から博多は、トンネルが半分ぐらいじゃないかというようなことを聞いておりますし、また、いま研究所のほうで研究なさっております東海道第二新幹線の場合は六〇%がトンネルである。このようにトンネルに踏み切ったということは、まず路面を走らした場合には、地価の高騰、騒音その他の公害の問題、そういうような問題がからんで、あるいは東京、大阪間で初めて予期しなかった米原付近を中心にした雪に弱い新幹線、それを防ぐためにはトンネル以外にないだろうというようなことで踏み切られたと思うわけなんです。しかし、そのように踏み切られてやろうとされるやさきに、今回の北陸トンネルにおいてこういう事故があったと。現在北陸トンネルにおきまして工事中に掘られた立て坑と斜坑と二、三本あったと思いますが、これは何の役にも立ってない。
  〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
 それから、大臣がそういうことをもって青函トンネルの現場を見てきたとおっしゃいました。青函トンネルは森中理事と一緒に千二百八十メートルの地点まで私たち歩いて行ってきました。大臣は車でお行きになったと思いますが、私たちは歩いて千二百八十メートルのところまで行ってきました。歩いて行きましたからつぶさに見てまいりました。現在まだ本坑の工事まで入ってないと思います。いまやっているのは作業坑だと思います。まだ本坑は本格的にはなっていないと思うわけなんです。あれを見たときに、私は煙のことをそのときにも一番思っておりまして、ガスが一ぱいたまっている姿を見まして、これがガスだからいいけれども、煙だったらおれはここでもう終わりだなという感じをしたわけなんですけれども、そういう意味でトンネルの中の――今回の北陸トンネルの事故を思いまして、今後ますますいま申し上げた地価の問題、公害の問題、雪の問題を避けるためにトンネルを通していこうという考えもわからないわけじゃないですけれども、北陸トンネルの事故を今後参考にされまして、最善の対策を講じて、こういう計画も立てていただきたいと私は思いますが、これに対して時間もありませんけれども、運輸大臣のお考え方をお聞きしたいと思うんです。
#238
○国務大臣(佐々木秀世君) この北陸トンネル火災、事故をほんとうにこのまま単なる事故としないで、非常な教訓といたしまして、今後トンネル対策にはほんとうに真剣に取り組んでいくつもりでございます。
#239
○田代富士男君 じゃ総裁、私、国鉄の問題これで打ち切ります。
#240
○山田勇君 午前中から各先生方の御質疑があったと思いますので、重複することを避けまして簡単にお聞きいたします。
 先ほども田代先生からも触れられましたが、千日前の火災につきましてシャッターが締まっていたという点と、やはり惨事を大きくしたというのは停電であろうかと思います。今回の事故においてもやはり停電という暗やみの中の事故というものが事故を大きくしていると、私はそう判断します。そこで、簡単にお聞きいたしますが、このごろグリーン車に乗りまして、これはグリーン車だけですが、毛布を設備されております。これは私は国鉄としてはたいへん親切な行為だと思って喜んではおりました。そこで、停電ということになりますと、新幹線の問題にしてもそうですが、車両内に、客車の前後に常備灯をおつけになったらいかがかと私は思うんです。いわゆる懐中電灯の大きいものでけっこうです。これは白浜の大火、それから地方行政におりましたときには有馬の満月城の火事があり、それから法律が改正されまして、各ホテルの各部屋にそういう常備灯を設置するというのが義務づけられました。これは若干の法律の改正がありましたが、そういういい方向に法律が改正されまして、義務設置になっております。ですから、国鉄の場合は、車両にかなり大きなそういう常備灯をあれは簡単に取りつけられるんですから、前後にそういうものを設置する。これは簡単にできることですから、ひとつできるかできないかということを御判断をいただいて御返事をいただきたいんです。
#241
○説明員(阪田貞之君) ただいまの非常用の蓄電池の予備灯はついております。それからなお今回のいろいろ事故にかんがみまして、懐中電灯を極力車掌に持たすように今後いたしたいと思います。ただし、ただいま業務用に使っておりますのは、うしろに車をとめましたり何かするための電灯は持っておりますが、旅客誘導用のような意味合いのものも今後あわせて考えたいと考えております。
#242
○山田勇君 まあ、業務用に持っているのは私も承知しておりますけれども、それと蓄電池用のも――これはかなりこういう火災が発生し、煙なんか出ますと、ルックスが非常に暗いものですから、それより乗客自体に緊急な災害があった場合、車両の中からはずして、かなり大きなものを乗客が振ると、そういうことになりますと、暗やみの中で光があるということは、かなり乗客の不安というものは取りのけられるように思います。私も二年ほど消防士の経験がございますが、暗やみの中で光がある一定の方向に移動いたしますと、それについて乗客も移動いたしますし、先頭がだれであろうか、そういう場合もいろいろありまして、誤った方向に導くこともあるかと思いますが、光がたくさん、そういう車両に、各車両に二基ずつありまして、かなり大きな懐中電灯の親玉みたいなものを持ってうろうろされますと、かなり不安が解消すると思いますし、その光の方向に全部が誘導されていくという形で、かなり私は効果はあるし、これは予算の関係もあるでしょうが、そんなに大きな予算をとるものではないと思いますし、そういうものをぜひ私は設置していただければ、乗客が乗ったときに、あそこに電気がある、うしろにも電気があるというふうにしておきますと、事故がある場合、そこに行ってそれを取って、こっちだ、あっちだというふうにして、かなりそう災害を大きくしないで済むことに効果があろうかと思います。
 それから、午前中の質問の中で、組合員のほうから、いわゆるトンネルの電気をもう少し明るくしてくれという要請があるのに明るくならないという話があり、理事のほうからは、それはかえって運転する側から光の弊害があるということで消しているということで、そこで総裁が御答弁の中でトンネル内の電灯のルックス、そういうものは、一応工事用ということで設備されているというふうなただいま御答弁がありました。これは、もうこれからの新幹線の問題にしろ、トンネル工事というようなものがやはり大きな主眼となると思います。そういう場合ですと、トンネルに入るときに自動的に、自動扉と一緒にトンネルの中のルックスを明るくするようにしまして、列車が通過後には、いわゆるルックスが、電灯が消えるようにします。その場合の運転士の措置としては電灯よけのサングラスがありますから、それをかけてトンネルを通過する。トンネルの中は常に明るいというふうにして、列車が通過後隧道の電灯が消えるという形にして、運転士はそういう隧道を通過する間に、光の障害があるならサングラスのようなものをかけて運転をするというようなことも考えられます。これなどは、基本的な基礎工事からそういうような自動装置をやらないといけませんので、問題があろうかと思いますが、何しろそういう停電ということは、非常に私は今回の事故を大きくしているという点から、乗客の不安の解消というためにも、そういう車両内にぜひそういう蓄電の電気もありますが、そういう電灯をひとつぜひ設置してもらいたいということを要望しまして、私の質疑を終わります。
#243
○理事(江藤智君) 森中君から発言を求められております。森中君。
#244
○森中守義君 同僚諸君の同意を得まして、各党の共同提案ということで国鉄事故の絶滅に関する決議をこの際お願いしたいと思います。
 案文を申し上げます。
   国鉄事故の絶滅に関する決議
  本委員会は今日迄国鉄事故の絶滅のため万全
 を期すようしばしば注意を喚起してきたが、今
 また北陸トンネル内において急行「きたぐに」
 の車両炎上事件を発生せしめ、死亡者二十九
 名、負傷者六百五十二名に及ぶ多数の犠牲者を
 出さしめたことは、かえすがえすも遺憾のきわ
 みである。
  本事故による遭難者に対し、衷心よりお悔み
 とお見舞を申し上げるとともに、政府および国
 鉄当局はこれらの方々に対する弔慰および補償
 について万全を期するよう強く要望する。
  本年三月総武線船橋駅、六月東北本線日暮里
 駅と打続く列車衝突事件など、この種事件に対
 し政府の監督ならびに国鉄の管理体制に徹底を
 欠くものがあるといわざるを得ない。
  この際政府と国鉄は真剣に反省し、深く国民
 に謝罪するとともに、将来事故の絶滅を期する
 ようここに厳重に警告し、当面次の事項を速や
 かに実施すべきである。
 一、長大トンネル、長大橋りょうの総点検を直
  ちに実施し、防災、事故防止対策を早急に樹
  立すること。
 一、車両の不燃性構造化の推進、火災時の有害
  物質排出資材の使用禁止、列車内消火設備の
  充実を図ること。
 一、非常時における通報連絡機構を整備するこ
  と。
 一、非常の際とるべき措置について徹底を期す
  ること。
  右決議する。
 以上でございます。
#245
○理事(江藤智君) ただいまの森中君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#246
○理事(江藤智君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐々木運輸大臣、磯崎国鉄総裁から所信を聴取いたします。佐々木運輸大臣。
#247
○国務大臣(佐々木秀世君) ただいま御決議を賜わりました趣旨を尊重いたしまして、政府といたしましては、万全の処置をとる決意でございます。
#248
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御決議の趣旨を十分体しまして、今後あらゆる努力をいたしまして、再びかかる事故のないように努力をいたす所存でございます。
    ―――――――――――――
  〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
#249
○委員長(長田裕二君) 田代君。
#250
○田代富士男君 私は、いま簡単にということでございますので、また、このあと法案が一つあるそうでございますから、皆さんの声を代表して簡単に申し上げます。
 すでにテレビ、ラジオ、新聞等で報道されました先日の日航機のハイジャックの問題でございますが、幸いにも、航空局、日本航空の当事者、また、警察庁の皆さん方の努力によりまして、だれ一人負傷者を出すことなく犯人を逮捕できたということは、いまアメリカ、ヨーロッパを中心といたしまして、ハイジャックの問題が惹起しておる中にありまして、一つの新しい行き方を示したんじゃないかと、その点につきましては、よく連携をとって努力していただいたということを、私はその念を持っている次第でございます。しかし、それだけでは済まされない問題が多々あるのじゃないかと思うのです。だからそういう点につきまして、これを改めていかなくてはならない。
 まず第一点は、「よど号」の事件がありまして以来、こういう金属探知器等を整備されまして、おもな空港にそれが整備をされてまいりまして、いろいろ事前にキャッチした件数等もあげられております。しかし今回の場合、犯人がチェックポイントの目をくらました。これは金属探知器にひっかからなかったということにつきまして、この中岡だけがひっかからなかったのか、機械が故障であったのか。その点、当然ひっかかるべきものがひっかからなかったという点に対して、はたしていまのままでいいものであるかどうかと、私はこのように疑問を持つ次第でございます。テルアビブ空港事件以来、国際線の場合は、そういう意味からかなり厳重にされてまいりましたけれども、国内線の場合は、まさかということで、そういうフリーパス的な状態というものがあるんじゃないか。そのすきをねらって今回起きてきたんじゃないかと私は思うんですけれども、まず金属探知器にひっかからなかったという点に対してどのように航空局長はお考えであるか、その点まず聞かしていただきたいと思います。
#251
○政府委員(内村信行君) 今回の場合に、現実的に金属探知器に表示がされなかったかどうかということにつきましては、現在警察当局のほうで取り調べ中でございますので、その結果を待ちましてでございませんと、はたして表示が出なかったか、出たけれどもキャッチされなかったかという問題はわかりません。
 そこで、先生おっしゃいましたように、かりにひっかかったならば、表示が出たならば、なぜそこでわからなかったのかという御質問が当然出ると思います。その間の事情をちょっと御説明いたしますと、現在凶器等を持ち込むのを防ぐために手荷物を開くとか、あるいは所持品を検査をするというふうな方法が方法としてあるわけでございます。そのための一つの手段といたしまして、金属探知器をもちまして金属のあるなしをみるというふうなことをやっているわけでございます。ところがこの金属探知器は、現実問題といたしまして、非常に感度がよろしゅうございます。したがいまして、ほんの小さな時計も出ますし、ライターも出るというふうなことがございますので、必ずしもピストルとか、あるいは刀とか、そういうふうな凶器のみを反応いたしませんで、むしろあらゆるものを反応いたし過ぎるものでございますから、それによってまあひとつ、三つの電気がございまして、長いものなら三つ、小さなものは一つ、それから中くらいとこう出ておりますけれども、その反応したものを全部調べますと、特に国内線の場合には客も多うございますし、客さばきができなくなるというふうなことから、全部反応したものをすべて調べるというふうなことは現在やっていないようでございます。
 そこで、どうしてやるかと申しますと 一つは事前にいろいろな情報が入ってまいります。それを警察当局のほうで、よく事前の情報を持っていること、それからもう一つはTVカメラがございます。カメラでもって現実に入ってくる人の挙措動作を見ております。これも警察の方がTVカメラで見ておるわけです。そういうふうな事前の情報とか、それから当該人の挙措動作、そういうものを見て、それから探知器の反応を見てこれを総合いたしまして、これはおかしいというものについて重点的に綿密に調べるというふうな方法をとっておるわけでございます。
 したがいまして、今度のような場合には、あるいはその事前の情報というものが、そういう人について流れておらなかった、あるいは比較的、相当の高年齢の人でありますし、したがいまして挙措動作についても格段の不審というものがあるい、はなかったのではあるまいかというふうなことから、結果といたしまして、かりに探知器に出たといたしましても、実際にそれを厳重に調べ、発見するというふうに至らなかったのではないかというふうな気がいたします。私は、この点は確かに一つの盲点ではないかというふうな気がいたしております。
#252
○田代富士男君 いまの局長申されましたこの三つの大、中、小、長いものとうふうに電気がつくようになっている。それ一々やっていたら搭乗時間等の制限があって、これはたいへんだと、ましてジャンボなんかになりますと、これはたいへんなことになるだろうと思いますが、アメリカのサンフランシスコあたりではそれを厳重にやって出発時間がおくれても、もう当然であるというように一般的になってきている感もあるわけなんです。それまでして事故を防ごうという――出発時間がおくれるということはよくないことです。これがまた事故にすぐつながる原因になるかわかりませんが、ハイジャックから多くの生命を守るという点を考えていくならば、それも一つの道じゃないかと思うわけなんです。そういうわけで今回の中岡の場合は出発直前に乗り込んだと、そういうことも聞いておるわけなんですが、何らひっかからずに、年齢者であるからまさかということで大目に見られたかと思うんですけれども、そうい、うまさかということが事故のもとになるわけなんです。この人ということじゃなくて、まさかということが起きてしまったらしかたがない。そこで今後は、やはりそういう各国際的な空港でやっているすべというものも私は参考にすべきじゃないかと思うんですね。香港なんかでは女性の検査官が全部金属探知器でやっている。そういうふうに失礼にあたらない程度でやるならば、私は起きてからよりも、そうすべきじゃないか。事実ヨーロッパやアメリカのそういう空港関係の人は、東京の国際空港というのはえらい寛大だなというような声も聞かれているわけなんです。そういうような面におきまして、少なくともそういう対策を、世界の各国際空港で大かたがやっているやり方を参考にして実施するようなお考えがあるのか。また、私はそうしていくべきじゃないかと思うんです。これはまあ航空局長としてのお考えよりも大臣のお考えにもうなっていくんじゃないかと思うんですが、大臣いかがでございましょうか。まさかということが事故につながっておりますから、この点のお考えいかがでしょうか。
#253
○国務大臣(佐々木秀世君) やはりハイジャックなどという事件は、ことに空を飛んでその被害というものが大きゅうございますから、お話しのように慎重の上にも慎重を期さなければならないというのが私の方針でなければならないと思います。ただ、やっぱりそれを実施するにあたっては、乗客の協力がなければなかなか容易でございませんので、いまの先生のような心がまえを乗客に徹底せしめる必要があり、また御了解を願うような努力が必要じゃないかと思います。ちょうどきのう私が現地から帰ってくるときに小松の飛行場で、ハイジャックがありましたからひとつ厳重な検査をいたしますからと、こう言うと、お客さんのほうはわかったということですなおにこの検査を受けてくださっていたようでございます。要するに、やはり乗客の方々の御協力も必要だと考えますので、あわせてこういう方面にひとつ十分の対策を講じたいとこう考えております。
#254
○田代富士男君 いま大臣御自身が小松飛行場で体験されたお話をお聞きいたしましたが、人のうわさも七十五日ということが昔から言われておりますが、しばらくすると打ち切られるわけなんです。これもいま私は国鉄の北陸トンネルのときにも申しましたけれども、これを持続していくということが一番大事じゃないかと思うんです。ただ事故があったおりにそれだけをやって、まあ何とかその場限りじゃなくして、これをどう持続していくかという、その持続をするということははなはだ簡単なようであって、これはむずかしいんじゃないかと思うんです。ここに全力を注ぐべきじゃないかと思うんですね。だからハイジャックというのは地上だけじゃないわけなんです。今回の中岡の場合は、やはり航空機内で部屋に乗り込んでいったと、これは航空局の内規の中にもありますとおりに、飛行中はかぎをかけなくちゃならないとなっていたわけなんですが、これはかぎをかけていたと思うんですが、ただパーサーがお茶を運んだとそのときに一緒に乗り込んだということになっておりますけれども、この点の真相はいかがでございますか、局長。
#255
○政府委員(内村信行君) この点も現在警察のほうでお調べを願っておりますので、私のほうは詳細に入っておりませんが、ただいままで聞いております限りにおきましては、ドアをロックしておったけれども、操縦席にお茶を持っていくためにあけたところが、そこで一緒に入られてしまったというふうなことを申しております。
#256
○田代富士男君 だからあけたときにいきなり入られたということなんですけれどもね、そういうところの配慮ですね。だからそれがもうただ単に私たちも飛行機に乗った場合には、時間が来ましたら、今度は操縦席のほうに行くんだなということは、もうちょっと飛行機利用しておる人であるならばわかるわけなんですね。だからそういう面で少なくともかぎがあかなかったならば、今度スチュワーデスやパーサーをおどすというようなこともあるかわかりませんけれども、少なくともそういう操縦席を荒らされるということはないじゃないかと思うのです。そういう意味からするならば、まず乗る前のそれも大事でありましょうけれども、今度そういう起きた場合には、これも外国の航空会社を見ますと、オリンピック事件で硬化しましたドイツの当局としては、ルフトハンザの航空会社では、ルフトハンザの航空機には保安員ともいうべきそういう立場の人を搭乗させようか、させまいかと、そういうことが論議されておるということを耳にしておるわけなんですが、それもやるべきじゃないかという説もありますが、もしか今度それが飛行機内で撃ち合いになったらばこれはたいへんじゃないかと思うのですね。そういう意味で、あってはならないことでございますが、今後もそうあった場合には、やはり生命の保持といいますか、乗客、乗員の保持というものは、いかなる事態があろうともそれは守っていくべきじゃないかと、そういう撃ち合いをして被害を起こすというようなことがあってはならぬと思いますが、この点のお考えは大臣いかがでございましょうか。
#257
○国務大臣(佐々木秀世君) 先般の対策本部を羽田の飛行場につくった場合にも、航空局長に私のほうからそのやり方を申しつけておりまして、犯人のいかなる要求があっても乗客の生命を守ることが第一であるから、それを最重点として対策を講じなさいということを申し伝えておきました。そのとおりの処置をいたしまして、相当の時間をかけましても乗客の安全な救出ということに成功したのであろうと、こういうふうに考えておりますから、先生の御趣旨のとおり考えております。
#258
○田代富士男君 それで、ルフトハンザの例をあげましたけれども、日航でもそういうことを今後、日航に限らずこれは全日空にもかかわりあると思いますが、小さな航空会社は別にしまして、日航、全日空あたりではそういう保安員というべき要員を搭乗させる考えがあるのかどうか、目下研究中じゃないかと思いますが、その点のお考えは局長いかがでございますか。
#259
○政府委員(内村信行君) いわゆるスカイマーシャルというふうな問題であると思います。現在制度としてやっておりますのは、アメリカが制度としてはやっております。それから先般新聞その他で御案内のように、ドイツの場合にルフトハンザが乗せるか乗せぬかというふうな問題があったと思います。ただ、現実の問題として最近聞きますところによりますと、アメリカのスカイマーシャルはあまり最近は乗ってないというふうなことのようでございます。これは理由は何かよくわかりません。しかし、なかなかそううまくいくんではないというふうな話を聞いております。そこで、われわれがどうするかという問題でございますが、これは実はやはり真剣な問題として乗せるか乗せぬかということを十分検討しなくちゃいかぬと思っております。一面からの問題といたしましては、先ほど先生も御指摘になりましたように、空中でもしピストルを撃つというふうなことがございまして、たまが飛行機の壁に当たりますと、それを突き抜けまして、これは気密装置になっておりますから、たちまちそうすると飛行機自体が危険になります。そういうふうなこともございますので、はたしてこういうものがいいかどうか、あるいはまた実際乗せることがどれほど役立つかどうか、あるいは水ぎわ作戦というものがどの程度信頼できるかどうか、こういった事情を総合的に考えましてこれはきめにゃいかぬと思っておりますが、実は私昨日も警察のほうに参りまして、今度の先訓によっていろいろこれから考えにゃいかぬということで、現在は捜査の段階であるけれども、その取り調べも一段落ついたらひとつ今度のことを先訓としていろいろ考えていこうじゃありませんかという話をしたわけでございます。その際に、いわゆる航空保安官と申しますか、スカイマーシャルのことも話に出ましたが、いま申し上げましたようなことで、もう少し慎重に検討しようということになっておるのが実情でございます。
#260
○田代富士男君 いずれにいたしましても、あれだけの実弾数十発、ピストルを持った男が乗り込んだことを見のがしてしまったという点につきましては、最初に申し上げましたとおりでありますが、やはり「よど号」のときには北鮮に行かれてしまった。その後の全日空等の事件におきましては未然に解決したと、まさかというような、ある程度気のゆるみはあったのじゃないか。今回また小松飛行場で大臣自身が体験されたようでございますけれども、これだけで終わることなく、ひとつ対策を講じて、生命の尊厳といいますか、それを第一に航空の行政をやっていっていただきたいと思いますが、大臣いかがですか。時間がありませんから、これで私の質問を終わりますが、大臣の決意をお話しいただきたいと思います。
#261
○国務大臣(佐々木秀世君) お説のとおり、十分配慮いたしまして当たりたいと思っております。
#262
○委員長(長田裕二君) 本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#263
○委員長(長田裕二君) 都市モノレールの整備の促進に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院運輸委員長代理、理事江藤隆美君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員、江藤隆美君。
#264
○衆議院議員(江藤隆美君) ただいま議題となりました都市モノレールの整備の促進に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 都市における交通事情は、人口と産業の集中及び自動車の増加に伴い、通勤通学交通の混雑、道路交通の渋滞など著しく悪化しております。このため、交通空間の有効な利用及び効率的な輸送機関の整備の観点から都市モノレールの整備を促進し、交通の円滑化をはかり、もって公衆の利便の増進に寄与しようとするのが、本案提出の趣旨でございます。
 次に、本案の内容の概要について申し上げます。
 第一に、都市モノレールとは、主として道路に架設される、本の軌道けたに跨座し、または懸垂して走行する車両によって人または貨物を運送する施設で、一般交通の用に供するものであって、その路線の大部分が都市計画区域内に存するものといたしております。
 第二に、都市計画区域内に存する都市モノレールの路線については、都市計画において定めることといたしております。
 第三に、国及び地方公共団体は、都市モノレールの整備の促進に資するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるようつとめなければならないことといたしております。
 第四に、道路管理者は、都市モノレールについて都市計画が定められている場合において、当該都市モノレールの路線にかかる道路を新設し、または改築しようとするときは、当該都市モノレールの建設が円滑に遂行できるよう十分な配慮をしなければならないことといたしております。
 以上が、本法律案の提案の趣旨及び内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#265
○委員長(長田裕二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#266
○小柳勇君 二、三点、質問いたします。
 運輸大臣にまず質問いたしますが、モノレール法がいま可決されようといたしておりますが、建設省あるいは自治省とも関係があるわけです。特に建設省と運輸省との間で少し考え方にも違いがあるようでありますし、今後閣議などでも十分御発言になって、運輸省、建設省、自治省などのテンポが合いますように、運輸大臣に努力していただかなければなりませんが、いかがでございますか。
#267
○国務大臣(佐々木秀世君) いままでも各省で十分打ち合わせはいたしておりますが、先生御指摘のような御心配の点が出ますならば、私のほうから十分御理解をいただくように努力いたしたいと思っております。
#268
○小柳勇君 第二は、鉄監局長に対してであります。
 地方鉄道法あるいは軌道法、いずれにもかちっと合わないような面が、将来出るのではないかと思うのです。したがって、このモノレールが、地方都市で必要性がだんだんとあるようでありますが、特別立法でもしなければならぬのではないかと思うのですが、いかがですか。
#269
○政府委員(秋富公正君) 現在、運輸省におきまして免許しておりますモノレールは、全国で八社でございます。これは、いずれも地方鉄道法によりまして免許をいたしておりますが、元来、道路に敷設されるものにつきましては軌道法により、また道路以外に敷設されますものにつきましては地方鉄道法により規制を受けることとなっておりまして、ただいま御提案になりました都市モノレール、これは道路に敷設するものでございますので、これは軌道法が適用されるものと思っております。ただ、御指摘のように、現在ございます軌道法におきましては、モノレールということをいまだ頭に置いてございませんでしたために、停留所における車体の接地設備あるいは正電車線の設置位置、こういった問題につきましては、軌道法におきます軌道建設規定、これの改正が必要でございますので、鋭意その点につきましては作業を進めておる状態でございます。
#270
○小柳勇君 次は、建設省に質問いたします。
 モノレールに対する考え方で、道路優先の考え方がどうしてもやはり建設省では強いのでございますが、この建設の助成に力を入れてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#271
○説明員(中村清君) 御承知のように、最近都市におきます道路というのは非常に混雑してまいりまして、このままでは都市交通の効率性といいますか、そういうものがなかなか確保できません。現在、都市交通の大宗をなしておりますバスとか、あるいは地下鉄といったものにつきましても、その経済性とか、あるいは実際の輸送の実績といった面から見まして、現実の輸送需要になかなか対応し切れないといった面がございまして、そういった意味合いで、都市交通の量的増大と質的対応性に対応するといった意味で、本法案が提出されたものであるとわれわれは理解しておりますが、先ほど道路云々というお話がございましたが、私どもはこの法案の趣旨を体しまして、関係省庁とも十分連絡をとりながら法案の趣旨に沿って進めてまいりたい、かように考えております。
#272
○小柳勇君 次は、自治省に質問いたしますが、モノレールに対する補助はどのように考えておられるのか。地下鉄補助並みにならないものであろうか。これは地方の自治体などが要請をしておりますが、いかがでございますか。
#273
○政府委員(森岡敞君) 地下鉄につきましては、御承知のように現在地方団体も経営いたしておりますので、出資をしまた一定の補助をいたしておりますが、その補助は、国と地方公共団体の一般会計が二分の一ずつ補助いたしておるわけでございます。
 そこで、モノレールの建設が実施に移されました場合にどのような財政措置を講ずるのかということにつきましては、率直に申しまして、私どものほうだけで片がつく問題ではございません。大蔵省とも十分相談をしてまいらなければならないと思っております。ただ、都市モノレールがどのような経営主体で、どのような資金調達方法によって建設が進められていくか、そこのところがこれからの問題でございます。しかし、この本法案で、第四条で書かれておりますように、国なり地方公共団体の努力義務が明示されております。私どもは経営主体なり資金調達方法なり、建設及び経営の方式が確定していきますのに即応いたしまして、必要な財政措置を検討してまいりたい、かように思っております。
#274
○小柳勇君 最後ですが、鉄監局長に。
 建設する場合の建設主体及び経営する場合の経営主体について、新しいやり方があるのではないか。たとえば、民間とか公共企業体あるいは共同実施など、いろいろなやり方があるのではないかと思うが、いま鉄監局長の頭の中に、将来どういうようなやり方、建設するときはこうしたいとか、経営するときはこうしたいとかいろいろありましょうけれども、そういうものについての見解をお聞きしたいと思います。
#275
○政府委員(秋富公正君) ただいまモノレールがございますのは、地方公共団体のものもございます。あるいは純粋の株式会社でいたしておるものもございます。しかし、本案にございますように、都市モノレールにつきましては、やはり地方公共団体が直接建設し経営する場合も考えられますが、第三セクターと申しますか、地方公共団体あるいは一般の民間資金あるいは開発銀行等の公的資金、こういったものも入れました第三セクターがこれを建設し経営するという場合も当然考えられますが、いずれにいたしましても、都市モノレールはきわめて公共性の強いものでございますので、そういったいろんな形態が考えられますが、そういった公的色彩が強いものが予想されるのではないか、かように考えております。
#276
○小柳勇君 整備促進の法律がいま可決されようとしているのでありますから、この上は各省知恵を出し合って、地方自治体なり各都市の要望に沿うようにひとつ御努力を願いまして、質問を終わります。
#277
○森中守義君 提案者にちょっと私質問いたします。
 都市モノレールという場合の、大体どの程度の都市を当該都市と考えておりますか。手っとり早く、人口何十万以上とか、その辺どうなんでしょうか。
#278
○衆議院議員(江藤隆美君) いまいろいろと計画されておりますのが、たとえて申しますと、九州で言いますと、福岡あるいは小倉、それから、仙台、姫路市は目下建設中ではなかったかと思います。大体そういう程度の地方都市と、こういうふうに御理解いただけばよろしいかと思います。それから沖繩の那覇が一つございます。
#279
○森中守義君 いまあげられた固有の都市というのは希望があるから考えているということですか。それとも大体適当であるという、つまり人口の基準は四十万都市であるとかあるいは五十万都市と、だからその辺のところはきちんとしていませんか。
#280
○衆議院議員(江藤隆美君) 確たる線引きをしておるということではございませんけれども、こういう法律案が通りまして、いよいよ整備がなされるということになりますと、各省間でもずいぶんと協議がなされましょうし、また、財政上あるいはその他の援助措置等も講ぜられると、こういうことになってきますというと、各地方都市において積極的に取り組むものが出てくる、こういうふうに考えておるわけでございます。
#281
○森中守義君 いま、那覇の話が出ましたが、これはむしろ総務長官でもお越しいただければよかったのですが、鉄監局長でお答えできるならばそうしていただきたいし、自治省も見えておりますね。那覇では当然この問題を一つの都市計画の中心にしているというように聞いております。これをまだ、助成措置等がさっきの説明だと三分の一、二分の一というお話でしたが、もう少し那覇に対して高率の、沖繩復興という意味で他に公共的な乗りものもありませんので、ここだけは別に何か考えられませんか。つまり、端的に言えば特別助成金ですね、どうでございますか。
#282
○政府委員(秋富公正君) 私のほうがただいま聞いておりますのは、那覇市におきましては第一次の案のあることを承知いたしておりますが、その後、さらに第二次の案も作成されておるということでございますが、この第二次の案はまだ直接には聞いておりません。いずれもこれは那覇空港から首里の間のモノレールでございまして、第一次案でございますと十一・〇五キロ、第二次案でございますと十・七五キロ、こういったものでございます。第一次案では約百二十億円、第二次案では約百五十億円を考えておるようでございます。これは、ただいまございましたように軌道法でいたすものでございますが、いわゆる那覇市におきます都市交通全体の中で考えるものでございますが、その那覇市におきます都市計画との関連、あるいは河川敷、道路敷、こういったものを利用すす計画のようでございますが、こういった面につきましての建設省のほうとの打ち合わせの問題、あるいは用地買収の問題、また採算制あるいは資金調達、こういった問題がございまして、今後関係省庁と、また沖繩県と詰めていきたいと思っております。ただいま御指摘のございました、ここだけ別個の助成ができないかという問題でございますが、私たちといたしましては、本法案第四条精神にのっとりまして、今後関係各省で詰めていきたいと思っておりますが、沖繩県だけにつきまして特別の対策をもし講ずるといたしますれば、やはり沖繩開発庁、こういったような関係がまた特殊のケースといたしまして別個の問題としてあるのではないか、かように考えております。
#283
○説明員(中村清君) お答え申し上げますが、ただいま鉄監局長からもお話がございまして、たとえば道路を一例にとりますと、私どもが聞いております話では、栄町というところと石峯三差路、この間の約三・八キロ、県道四〇号線を利用するということになっておるようでございますけれども、実は拡幅計画が十六メートルということになっております。一般にモノレールにつきましては、大体原則として二十二メートル幅員が要るということになっております。こういうものとの調整といった問題もあるというふうに聞いております。
#284
○政府委員(森岡敞君) 運輸省なり建設省からお話申し上げたのと私どもも同じような状態で話を聞いております。いま少しく計画が確定した段階でその資金をどう調達するか、また、財政的な処置をどういうふうに考えていくかということに取り組んでいきたいと、かように考えております。
#285
○森中守義君 これは、運輸大臣が、必ずしも運輸省独自のものということもないようですから、問題が沖繩のこと、しかも、公共投資などもこれは決していいほうではありません、これからですしね。いわんや公共の交通機関といえば、これはモノレールが沖繩では初めてということになるでしょう。ですから鉄監局長が言われるように、たてまえはたてまえ、そういうことを十分考慮されながら沖繩については特別の助成金などを、実際の施行段階などの際に配慮してもらうようにこれは要望ですけれどもひとつお考え願いたいと思います。
#286
○国務大臣(佐々木秀世君) この法律を通していただけますと、資金部面はやはり法律のたてまえ上第四条の趣旨にのっとって行なわれるとは思いますが、お説のように沖繩は海洋博なんという問題もございまして、それの交通緩和という点がこのモノレールの上にも大きな意味を持っております。先般来海洋博関係閣僚会議などにおきましてもこのモノレールの問題が出ておりますから、そうした場合には、極力先生の御趣旨を閣僚会議に反映してみたいと、こう考えております。
#287
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#288
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。――別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。
 都市モノレールの整備の促進に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#289
○委員長(長田裕二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#290
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#291
○委員長(長田裕二君) 次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。佐々木運輸大臣。
#292
○国務大臣(佐々木秀世君) ただいま議題となりました臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 臨時船舶建造調整法は、わが国の国際海運の健全な発展に資することを目的として、昭和二十八年に制定されたものでありますが、外航船舶の建造を許可にかからしめることにより、船台の調整、船質の確保、航路別船腹調整等をはかり、わが国国際海運の健全な発展に貢献してまいりました。
 わが国経済の発展のためには、今後とも原油、鉄鉱石等の原材料を中心とするきわめて膨大な量の海上貨物の安定輸送が不可欠であり、このため、昭和四十五年秋に策定した改定新海運政策に基づき、引き続き大量の外航船舶の建造を行なうこととしております。このような海運政策を円滑に遂行するためには、臨時船舶建造調整法の機能を活用することにより国内船と輸出船の建造調整をはかることがぜひとも必要であります。
 また、船舶の高速化及び自動化の進展並びに液化天然ガス運搬船などの出現に伴い、高度の造船技術が要求されており、事前に造船事業者の建造能力を十分審査して、建造船舶の船質の確保をはかる必要があります。
 このため、この法律の有効期間を延長することが、今回の改正の趣旨でございます。
 次に、改正案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の有効期間を二年間延長することであります。
 臨時船舶建造調整法の存続期限は、昭和四十八年三月三十一日までとなっておりますが、以上のような理由から現在実施中の改定新海運政策の計画期間に合わせ、昭和五十年三月三十一日まで二年間延長することとしております。
 第二に、この法律による許可の対象船舶の範囲を改めることであります。
 最近における外航船舶の大型化の傾向にかんがみ、許可の対象船舶の範囲を現行の「総トン数五百トン以上又は長さ五十メートル以上の船舶」から「総トン数二千五百トン以上又は長さ九十メートル以上の船舶」に改めることとしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#293
○委員長(長田裕二君) 以上で趣旨説明の聴取を終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#294
○小柳勇君 現行法が昭和二十八年制定以来今日まで計画造船に寄与していることはわかりますが、現在の国際収支あるいは国際競争力あるいは海運政策などを考えまして、現在でもなおこのような助成策を講じながら造船を守っていかなければならぬのかどうか。たとえば先般の国鉄再建の論議のときにもいろいろ問題が出ましたが、造船にはこれだけ利子補給なり融資なり、国が助成しているではないか、日本国有鉄道にはなぜ同じように助成しないかというような疑問もございます。したがって、いまこの本法が二年間延長されようとしておるが、この法律がなお必要であるかどうか、この点についての見解を伺います。
#295
○政府委員(田坂鋭一君) わが国の造船業は、終戦後の荒廃から、今日世界の五〇%以上の建造をいたすようになりました。その中で、政府の方針に従いまして、今日まで輸出船につきましても相当の努力をいたしてきまして、その建造量の六〇%程度が輸出されるというふうな現状になってきております。一方、先ほど趣旨説明にもございましたように、わが国の貿易物資の安定輸送、そういう面を主体にいたしまして、新海運政策といたしまして、四十九年度までわが国の海運、船腹の増強計画がございます。これらの増強計画を円滑に進めていきますためには、輸出船と国内船との調整をいたしまして、国内船が円滑に建造されるようにする必要がございます。また、趣旨説明にもございましたように、最近の技術革新に伴いまして、また公害その他の問題から、いろいろな新たな輸送形態があらわれてきております。これらの輸送形態に即応いたしました船舶を建造いたしますには、相当に高度の技術が必要でございます。これらの新たな船舶を建造いたしますときに、事前に十分に造船所の建造技術あるいは建造施設、そういうものをチェックいたしまして、完全な船ができるというふうなことをチェックいたしまして、建造に当たらしめるということが必要かと考えられます。また航路によりましては、過当競争、そういうものが起こるおそれもございます。また、同盟からはずれてかってに輸送に当たるというおそれのある計画もございます。そういうものにつきましては、私ども海運の正常な発展という面から、いろいろなチェックをする必要もございます。これらの点から、今後なおさらに臨時船舶建造調整法の存続が必要だと私どもは考えておる次第でございます。
#296
○小柳勇君 いまの海運市況から見て、国内船の建造意欲というものはうんと減少しているのではないか、計画しておりましても、それだけ船主が注文せぬのではないかという意見があるが、どうですか。
#297
○政府委員(佐原亨君) 先生御指摘のとおり、景気の停滞に伴いまして、建造意欲は四十五年の景気の盛りに比べますと低下していることは事実でございます。ちなみに海運造船合理化審議会から一昨年いただきました答申の内容から申しますと、明年度、昭和四十八年、第二十九次船でございますけれども、計画といたしましては約三百八十万トンの建造を予定しておりましたが、現実の要望はそれを下回りまして、現在では二百万トンをちょっとこす程度という数字になっております。
#298
○小柳勇君 第三点は、諸外国もそうですし、日本でも百万トン建造のドックを整備した経過があるようでありますが、こういうような大型船の建造計画なりを考えますと、将来もなお計画造船が続くものと考えなければならぬが、計画造船の続く限りこの臨調法というものは続くものと考えていいのですか。
#299
○政府委員(田坂鋭一君) やはりわが国の要請に従いまして海運界の整備がなされるということでございますならば、私どもはその限り必要であるというふうに考えたいと思っております。
#300
○小柳勇君 次は、こういうふうに計画造船やあるいは臨調によりましていまおっしゃったように、つくるとなると、新造船についてのチェックあるいは改造についてのチェック、相当造船業界に対して運輸省というものは責任がありますね。また権威もありますね。にもかかわらず、この欠陥造船というものが最近新聞をにぎわしています。この欠陥造船に対しては一体どういうような措置をとられているのか。いろいろ具体的にたくさんありますが、それは時間がありませんから読み上げません。このような欠陥造船をやらせて、しかも、船員も非常に不安がっていますね。こういう何といいますか、責任をどういうふうに追及しておるかということと、どういうふうな行政指導をしておるかということをお聞きいたします。
#301
○政府委員(田坂鋭一君) ただいま先生からお話のありましたような、世界の造船界に名のあるわが国の造船所におきまして非常に悪質な手抜き工事がございましたことは、私ども非常に遺憾に思っておる次第でございますが、この報告が、九月末に実際に検査をいたしました日本海事協会から私どもに正式にございました。また、引き続きまして造船所からも同様の報告と、それから運輸省の指示に従ってできる限りの事後処置をやるという申し出と報告があったわけでございますが、私どもといたしましては、直ちに両造船所三工場に対しまして詳細な調査を命じますとともに、私どもといたしましても、直接係官を派遣いたしまして事態の調査をいたしたわけでございますが、本件につきましてなされました手抜き工事の個所は、直接重大な海難事故に至るような場所ではございませんでしたけれども、この性質は非常に悪うございます。
 そこで私どもといたしましては、このおそれのある船並びにすでにそういう欠陥の、亀裂の起こりました船を含めまして二十隻でございますが、二十隻につきましては、本来ならば次の定期的な検査で調査をいたし、補修をすればよろしいというふうな性格のものでございますが、姿勢を正すという意味から、これら二十隻の船につきましては、入港次第直ちに調査と補修をなさしめるように指示をいたしました。引き続きましてこの船の前後、直前直後につくられました船舶五隻につきましては、かかる不祥手抜き工事がなされたかなされなかったかということを立証いたしますために、これらにつきましてはできる限り早く、少なくとも次の定期的な検査までには十分な調査をして確証を得るように、これは先ほど先生からもございましたように、乗り組み員あるいは家族の方方の安心感を得るための処置でもあるわけでございます。さらに、当該三造船所につきましては、学識経験者並びに私どもの職員、日本海事協会の検査員、六名からなります品質管理体制の調査班をつくりまして、当該造船所を品質管理につきまして詳細なチェックをいたしました。幸いにいたしまして、その調査の結果は、現在におきましてはこのような手抜き工事が行なわれた心配はないというふうな報告を得ております。なおあわせまして、当該造船所、造船会社の責任者、社長には十分なる注意をいたしますとともに、日本海事協会に対しましても今後このようなことがないように、十分検査体制につきましても配慮をするように指示をいたしております。
#302
○小柳勇君 下請けまかせの手抜き工事があったかと思うと今度は無許可着工というのがこの十一月三十一日に新聞に大きく取り上げられました。これはいまのこの法律によって、許可を受けなければ建造できないはずの造船業が、ただ書類を出しただけで、許可がないのに着工をしておった、それをたまたまこの手抜き工事を調査に行った方が発見しておるというような新聞記事がございますが、この問題についての御報告を求めます。
#303
○政府委員(田坂鋭一君) 臨時船舶建造調整法におきまして、船舶の建造にあたりましては事前に許可が要るということでございます。この法律は、先ほどお話がございましたように二十八年から施行されておりまして、十分に理解されておるというふうに、周知されておるというふうに考えておりましたが、このようなことがなされたことは私どもとして非常に残念に思っている次第でございますが、本件にかかります船舶は二十八次船のジャパン・ラインと川崎汽船の共有のコンテナ船でございまして、本年九月中旬から建造許可を要請されておったものでございます。そういたしまして、計画造船でございますので、私どもの審査と、それから開発銀行の融資の審査でございます。開発銀行の融資の審査が十月の十一日に終わりまして、大体開発銀行の審査が終わりまして、私どもの審査がその当時までにできておりますれば、開発銀行の審査とあわせて許可を出すというのが従来の慣例でございます。ところがこのような、先ほど申し上げましたような手抜き工事の船が判明いたしまして、まさにこの許可申請が出されました工場――石川島播磨重工の相生工場でございますが、それに当たりますので、先ほどこれも申し上げましたが、当該工場の品質管理につきまして十分なチェックをしないと安心して許可が出せないということでございましたので、チェックが終わりますまでこのコンテナ船の建造許可は見合わせておったわけでございます。でございますので、その間に建造に着手されたということにつきましては、完全に造船工場側の違反でございます。
#304
○小柳勇君 大臣に今度見解を聞きますがね。この臨調法の第七条にこう書いてあるんです。「第二条の規定による許可を受けないで、船舶の建造に着手した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」第二条というのは「その建造の着手前に運輸大臣の許可を受けなければならない」と書いてあります。この建造の許可を受けないで着工した者は、これだけの罰を受けるように書いてあります。たくさんの造船所でありまして、監督が十分でない点もあったでありましょうが、大臣、その造船業界から運輸省というものはなめられてはおらぬか、こういう気がするんですがね。そういう点がやはり役所と業者との癒着とかなんとか批判されますね。したがって、まだこれは問題は調査中で、進行中のようでありますが、ちゃんと法律で第七条(罰則)がありますから、大臣はちゃんとして正しい方向に業者を指導しなければならぬと思うんですが、結論は、また近い将来私はどうなったかを聞きますが、いま現在における大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#305
○国務大臣(佐々木秀世君) 申すまでもなく、日本は大国日本として先ほど局長等から御説明のあったように、世界の過半数にも達するような非常な勢いで造船業界が発展してまいりました。それだけに日本の船舶行政あるいは造船行政というものは信頼を高めていかなければなりません。私、就任いたしましてからそういう点に対して非常に心を配りまして、各造船所を見学したりなんかしたんですけれども、やはり気にかかっていたのは、手抜き工事とか、あるいは不良造船などがなかろうかということで、まあしろうとなりにも、われわれが政務次官のときには鉄鋼などの検査がエックス光線でやっていたが、最近そういったことが見られないが一体どうなっているのだというようなことを聞きますと、鋼材の製造所で一々やっているから造船所ではやらないんだなんというようなことの説明を聞きまして、そうかなあと思っていたやさきにこういう手抜き工事とか、あるいはまた許可をしないのに建造をするというような忌まわしい問題が起きましたので、こういうことはひた隠しに隠しておいちゃいかぬと、積極的に運輸省からこれを世間に発表し、そうして適当な処置を早目にやらなくちゃならぬというようなことで、新聞発表なども積極的にこちらから発表し、しかも、こういう手抜き工事をやった各造船所に対しましては厳重な処置をとった次第でであります。
 ただいま先生御指摘の許可の出ていない船をつくったなどに対しましては、それぞれの規定がございますので、その罰則に従って処置をすることは当然でありますが、その罰則の点につきましては、従来の慣例もございましょうから、その慣例に従って処置いたしたいと、こう考えております。
#306
○小柳勇君 終わります。
#307
○委員長(長田裕二君) ほかに御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#308
○委員長(長田裕二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#309
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#310
○委員長(長田裕二君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
 運輸事情等に関する調査につきましては、閉会の場合においてもなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#311
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成及び提出の時期につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#312
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#313
○委員長(長田裕二君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 閉会中、運輸事情等に関する調査のため、委員派遣を行なう必要が生じた場合は、これを行なうこととし、その取り扱い等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#314
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#315
○委員長(長田裕二君) 佐々木運輸大臣。
#316
○国務大臣(佐々木秀世君) ただいま臨時船舶建造調整法案を慎重御審議の結果、御採決をいただきまして、まことにありがとうございました。
#317
○委員長(長田裕二君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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