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1972/11/07 第70回国会 参議院 参議院会議録情報 第070回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第1号
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1972/11/07 第70回国会 参議院

参議院会議録情報 第070回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第1号

#1
第070回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第1号
昭和四十七年十一月七日(火曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
 昭和四十七年十月二十七日商工委員長において
 本委員を左のとおり指名した。
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                矢野  登君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                大矢  正君
                竹田 現照君
                原田  立君
               柴田利右エ門君
                須藤 五郎君
 同日商工委員長は左の者を委員長に指名した。
                阿具根 登君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月七日
    辞任         補欠選任
     原田  立君     中尾 辰義君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿具根 登君
    委 員
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                矢野  登君
                大矢  正君
                中尾 辰義君
               柴田利右エ門君
                須藤 五郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        安田 隆明君
       通商産業省公害
       保安局長     青木 慎三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       通商産業省公害
       保安局石炭課長  原木 雄介君
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部長  佐伯 博蔵君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (石狩炭鉱における爆発事故に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策に関する小委員会を開会いたします。
 小委員の異動について御報告いたします。
 本日、原田立君が小委員を辞任され、その補欠として中尾辰義君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(阿具根登君) 去る十一月二日、北海道石狩炭鉱において発生した爆発事故について、政府側から報告を聴取いたします。安田通商産業政務次官。
#4
○政府委員(安田隆明君) ただいま議題になりました石狩炭鉱のこの事故につきまして、概要を御報告させていただきますが、もうすでに御承知のとおり、二日に発生いたしましてからきょうで六日を経ているわけであります。現況その他につきましては、あとから政府委員のほうから報告さしていただきますが、私は現地へ参りまして参りましたのは三日の日でありますが、この山の特徴は一体、どこにあるんであろうか。いろいろ考えてみまするというと、阿具根先生、大矢先生、十分御承知のとおり、私は、やはり石炭山としてはある程度立地的にもいい山ではなかろうか。あるいは資本参加、あるいは経営参加、大手の中のいろいろこういうパイプを持っておる企業として、企業の内容におきましても、そういうものを読み取り得るんじゃなかろうか、こういう特徴を一つこの山に、私は私なりに考えておるわけであります。
 次に、第二点のこの事故の特徴でありますが、これも十分御承知のとおりに、全く全鉱爆破のような形で、瞬時にしてこういう事故を起こしている。中との連絡を一切これを断ってしまった。こういうところに一つこの事故の特徴があるでしょう。
 第三には、だれかがここから脱出してきた――あるいは有線あるいは無線の連絡がとれ得るのに、脱出のこういう形をもできない、こういうところにこの模索の困難性を与えておる、こういう特徴が一つあるであろう。こういうことをあれこれ考えておるわけであります。
 現地へ参りまして、私、いろいろ家族の痛々しいあの心中、当然、われわれは行政の立場からは、この三十一名を一刻も早く救出する、これに徹する、そのために全力投球を行なう、こういうわけで監督局並びに通産局、それから本省のほうからは局長、課長が向こうへ参りまして、いろいろ現地指揮を行なったわけであります。
 いろいろ私も安全の限界というものを現地で知りました。万一ここに入るとするならば、これは二重事故の可能性はきわめて強い。いよいよ、私が行った日、現地へ入坑救援隊が入りました。第一の難関、これはあとから説明ありますが、第二の難関、これは水、第三の関門、これは千七百メートル地点でありますが、ここに初めて崩壊というものを確認しておるわけであります。その奥にはガスはある、その可能性も確度は高い、こういうふうに判定できるわけであります。まことに、いまだかってないようなこういう一つの教訓をここに与えている今度の事故であろう、私はこういうふうに受けとめておるわけであります。
 いろいろこれから御審議いただくわけでありますが、私たちの今度なすべきこと、こうなりますれば、こういう比較的評価の高いこの山がこのような大きな事故を起こした、さて、ここにはわれわれは非常に遺憾なものを考えるわけであります。こういうものを教訓にしていきたい、今後の行政をもう一ぺん考え直してみたい、こういうことを考えておるわけであります。
 細部につきましては、局長のほうから御報告させていただきますが、引き続き、当面救援隊の増強を行なう。きょうも局長を現地にもう一ぺん派遣いたしまして、そして再度救難体制の強化、こういうことをも考え、付近の山の協力体制ももう一ぺんここで考え直そう、こういうことを考えておるものであります。後ほど御質問にまたお答えいたしたいと思いますが、概要、私のほうからこのように御報告申し上げまして、皆さま方の御協力をこの際、格別にお願い申し上げる次第であります。
 以上をもって報告を終わります。
#5
○政府委員(青木慎三君) お手元にお配りしてございます資料に基づきまして、災害事故の概要を御説明いたします。
 災害を起こしました会社、炭鉱名は石狩炭鉱株式会社石狩炭鉱の狐沢坑でございます。これは保安法上甲種の炭鉱になっております。災害の発生個所は、現在、まだ調査中でございます。災害を発生いたしました日時は、十一月二日の十七時四十八分ごろでございます。災害の種類はガス爆発の疑いが濃厚であるということでございます。罹災者は、不明が三十一名。内訳は、職員七名、鉱員二十四名でございます。
 操業の状況でございますが、当鉱は、石狩炭鉱株式会社が三井鉱山株式会社所有の鉱区の一部を譲り受けまして、昭和三十六年七月一日から操業を開始した炭鉱でございます。生産炭は一般炭でございまして、北海道電力株式会社に納炭しているものでございます。鉱山労働者数は、十月末現在で常用実働労務者七十五名、臨時夫五十二名、請負夫二十一名、職員三十名、計百七十八名でございます。出炭量は、四十五年度に十万六千トン、四十六年度に十二万九千トン、四十七年度の月別の生産は、七月が一万二百十二トン、八月が六千七百五十七トン、九月が一万十八トン、こういう状況でございます。
 災害の状況でございごますが、坑務所にいた職員が十七時四十八分ころに、坑内で爆発音が発生したのを感知いたしました。当日、二番方の入坑者は三十三名でございましたけれども、災害発生前に二名が食事のために出坑しておりまして、三十一名が行くえ不明となっております。
 保安統括者は直ちに自山の救護隊を招集するとともに、三井砂川炭鉱の救護隊の応援を求めまして、二十七名五個班を編成いたしたわけでございます。その後、隣接炭鉱の応援を受けまして、救護隊を増強いたしまして、七十名十個班の編成で、基地を南二片の入口付近に設けまして、探検いたしましたところ、北二片坑道、北部スキップ斜坑手前が崩落していることを発見いたした次第でございます。
 取り明け作業の準備を始めまして、三日の二十時ころから取り明けにかかりましたけれども、崩落の規模がかなり大きく、作業は難航いたしておりまして、現在、崩落の始まりました場所から三十三・六メートルを取り明けた状況でございます。
 一方、四日の一番方からは、南水準ポケット付近及び水準大立入スキップ巻室のほうからも崩落個所の取り明けに着手いたしました。
 五日の二十二時四十五分、南水準ポケット付近の崩落個所の通行が可能となりましたので、同坑道の奥部に救護隊基地を設けました。なお、これより先は、水準坑道側から風道昇及び北下添の人道の探検を行なったわけでございます。
 この探検の結果、北下添人道卸口付近及び風道昇においても坑道が崩落しておりますので、六日の一番方から取り明けに着手しまして、現在北下添人道卸口から四・五メートル、風道昇下部へは五十八メートル進行しております。
 現在は、行くえ不明者の救出作業に全力を傾注しております。したがいまして、災害の原因等につきましては、奥部までの探検、救出作業が終了しなければ推定できないという状況でございます。
 次に、当省のとりました措置について御説明いたします。
 事態を重視しました札幌鉱山保安監督局では、直ちに十九名の鉱務監督官等を現地に派遣いたしまして、坑内に閉じ込められた三十一名の救出の指導及び原因の調査に当たらせております。
 また、当省としましては、三日の早朝、公害保安局長及び石炭課長を、さらに続いて安田政務次官を現地に派遣いたしまして、罹災者の救出及び原因調査の指導に当たらせた次第でございます。
 なお、四日から札幌通商産業局、各省の関係出先機関、地方自治体等が今後の救出作業等の検討のために災害対策連絡協議会を開催いたしまして、救済措置、事後措置等について検討いたしました。同時に、全炭鉱に対しまして総点検を実施させるよう、各監督局部を通じまして指示いたした次第でございます。
 それで、ただいま政務次官から申し上げましたように、けさ、大臣からの指示によりまして、私がきょう午後の便で現地に飛びまして、もう一ぺん救護体制の検討をいたしまして、適宜な措置をとりますと同時に、各社に対しましては、協会を通じまして、各社長に協力を要請するという措置をとっております。
 以上、簡単でございますが、災害の状況でございます。
 なお、補足的には石炭課長のほうから、図面に基づきまして若干説明を補足していただきます。
#6
○委員長(阿具根登君) 速記をとめてください。
  〔午前十時二十九分速記中止〕
  〔午前十時五十一分速記開始〕
#7
○委員長(阿具根登君) 速記を起こして。
 ただいまの政府側の報告に対し、これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○大矢正君 いま速記には載りませんでしたが、今般の事故の詳細とそれから現状についての説明をお聞きいたしまして、ともあれ、家族が待ち望んでおります救出作業のすみやかな進行を、私も心から期待をいたしたいと思うのでありますが、どうも内容的にはかなり崩落個所が多い。あるいは坑道の問題、ガスの問題等々から、今後もさらに難航をするような心配も感じられるわけでありますが、今後この遺族の期待にこたえて、すみやかに救出作業を進行せしめるための政府としての具体的な方針がもしあったら、この際、ひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。まあ原因の問題であるとか、どう今後対処するとかという問題の以前の問題として、坑内に閉じ込められておる三十一名の方の救出作業というものをぜひとも早急にやらなきゃならぬ関係もありまして、事実、これはまあ生存をされておられるかどうかという点においては、多くの不安のあるところではございますが、なお一るの望みをつないで救出に全力をあげるべきだと思うのであります。先ほど承りますと、他山からも救護隊を依頼してきて、かなり積極的には進めておられるようでありますが、どうもいまのままでは、まだかなり時間的にこの取り明けを中心として、現場に到着するのには時間がかかるように思われるので、この際、政府の考え方を承っておきたいと、こう思います。
#9
○政府委員(青木慎三君) 私どものほうとしましては、当初から救出第一に全力を注いでいるつもりでございます。
 そこで、ただいま詳細御説明いたしましたように、いろんな困難に逢着しているわけでございますが、現在のところの体制は、約百名の救護隊がこれにかかっておるわけでございますけれども、作業を開始しましてから相当時間もたっておりますので、どれくらいの疲労程度か、相当疲労しておられるんじゃないかという判断もありますので、現在のところ、現地の判断では、すぐに必要はないと言っておりますけれども、措置としましては、この救護隊のほかに赤平の救護隊と空知の救護隊に待機をお願いしておりますので、救護隊の疲労状況によっては、その二山の救護隊に出動を願うということも一案かと思います。ただ、それ以外に新しい方法というのは、おそらく考えられるすべての方法をとっておるように思われますので、やり方自体について特に私どものほうとして、現在、新しいアイデアというものは持ち合わせておらない現状でございます。現状そういうことでございますので、現地へ参りまして状況を見た上で、新しい救護隊の応援を求めるかどうかというのが、さしあたり考えられる次の施策というふうに考えております。
#10
○大矢正君 これは局長の答弁でもよし、また課長の答弁でもけっこうですが、災害の現状から判断をして、この山における三十一名の方々のこの全員を、完全にこれは救出もしくは収容ができるという確信がおありになるかどうかですね。当然、これはそうしてもらわなきゃならぬし、そうすべきであるとは思いますが、この予想外の現場の情勢その他によって、遺体の収容が完全に行なわれないなんというようなことは、まあこの種の災害では、またこの山の現状では私には考えられませんが、そういうことは絶対にないと、完全に救出もしくは収容するという確信を持っておられるかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
#11
○説明員(原木雄介君) お答え申し上げます。
 現在のところ、救出が不可能という条件はないと思います。と申しますのは、ガスは徐々に排出いたしております。それから、時間はかかりますが、崩落は必ず取り明け可能でございます。そういった意味で、救出が不可能だということは全然考えておりません。私どもといたしましては、いかに急ぐかということに重点を置いておるということでございます。
#12
○大矢正君 先ほど来言うとおりに、一時間あるいは十分でも早くそれぞれのおられたと目される地点に到着をするということだと思うのですね。いま局長から、他山からもさらに救護隊をお願いをして、取り明け作業をはじめとして探検その他やりたいというお話でありますが、これはほんとうに私どもも災害に何回も直面をしてわかっておりますが、救護隊の疲労度というものはたいへんなもので、われわれが想像する以上のものがあるわけですね。素面で仕事をするのと違って、やはりマスクをつけての仕事でありますから、これはもうほんとうに疲労度が激しいので、やはりこれからこの北二片ですか、この坑道にかりに将来入れた場合に、この辺がどのようになっておるかということによって、またかなり作業員がいたと目される地点に到達するのに時間がかかるような懸念もなきにしもあらずだと私は思うのですね。ですから、もう少し状況を見て救護隊を依頼するとかなんというようなことではなしに、もう現状においてはやはり直ちに各炭鉱に依頼をして、救護隊を整備をして、現地に来てもらうような手配は、私は、ぜひ講じてもらいたいと、こう思います。そうでないと、いまの段階では、この図面にあります現に確認をされている地点の崩落の取り明けを中心にして、作業員のおる地点に必ず行けるだろうという想定ですから、この想定がくずれてしまって、まだまだほかにも目的地点に行くための障害があるということになりますと、その段階になってあらためて今度はまた救護隊の再編成も――現状の救護隊ではもう疲労が激しくてどうにもならぬから新しい救護隊をということでは、いつになるか、これはもうわかりはしないわけですから、その点はひとつ十分に考えてもらわなければならないと、こう思います。
 そこで、先ほど委員長から各会派におはかりをして、現地のおじゃまにならない限りで最も近い日に、当小委員会として現地調査団を派遣をするという一つの方向がきめられましたので、現地調査団が帰ってからあらためてこの炭鉱の災害の起こった原因なり、また対策なりその他もろもろの事項について議論をすることとなろうと思いますから、私は、仮定に立っての質問や議論は極力本日はいたさないつもりでおるわけでありますが、ただ、こういうことは言えるのじゃないかと思うのであります。
 それは、この炭鉱も三井鉱山の系列の一つの炭鉱と呼んで差しつかえない炭鉱でありますし、北炭にもあるいはその他三菱にも――かつての三菱にも、大手といわれる炭鉱には系列炭鉱がかなりあります。北海道の場合は、ほんとうに零細な炭鉱を除いて、炭鉱らしき一応の規模を備えた中小炭鉱、系列ではないものとしては朝日炭鉱くらいしか残っておらないので、あとはもう全部といっていいほどこれは系列炭鉱、中小炭鉱といわれるものは系列炭鉱なわけですね。したがって、私はこの際、ひとつ政府も系列の炭鉱における現状を保安の面だけではなくて、石炭部としてもあわせて検討をする必要性があるのじゃないか、こういう段階で、いま私が申し上げた議論を深くここで展開をいたしますといろいろ差しさわりもありますから、抽象的な意見にだけとどめておきたいと思うのでありますが、経営のあり方、それから保安の体制、両面にわたって系列炭鉱全般について、私は、特別の検討をする必要性が今日あるのじゃないかという感じがいたしますが、いかがでしょうか。局長、政務次官、どちらでもけっこうでございますからお答えをいただきたいと思います。
#13
○政府委員(青木慎三君) ただいま先生の御指摘の問題については、確かに問題もあると考えますし、私どもの局といたしましては、保安の面からこの事故の始末がつきましたあと原因を十分探求いたしまして、中小炭鉱の保安のあり方というものについて再検討いたしたいというふうに考えております。
#14
○説明員(佐伯博蔵君) 先生お話しのように、系列炭鉱が相当ございますので、従来は、いわゆる親会社のほうが生産面、経理面、いろいろ指導をいたしておったわけでございます。先生のお話もございますし、私たちといたしましても、なおいわゆる系列炭鉱の経営のあり方等についてさっそく検討いたしたいと思います。
#15
○大矢正君 安田政務次官にこれは先ほど私は、この委員会が始まる前に雑談として申し上げたんですが、あらためてこれはきのうのきょうでありますから、私、申し上げておかなければならぬと思いますことは、田中総理がきのうの衆議院の予算委員会で、保安に関して不安のある炭鉱は、これはもうこの際きびしく閉山の措置をとるべきであるというような話が新聞で伝えられております。私も、もちろんこれは、今回のこの炭鉱のように重大な事故を発生せしむるような危険性が想定される山をあえて残せというようなことは申しません。で、まあこの山それ自身には、何か新聞等では、かなり前からガスの問題についてはいろいろ当局側の注意、勧告等も受けておったやにいま承っておりますが、そういう意味では問題があろうかと思うのでありますが、田中総理の言われている意味というものは、今後の石炭問題にとって非常に重要な内容を含んでいるように思われてならぬわけですね。石狩炭鉱がこういうような重大災害を発生せしめたから、したがって、その保安問題についてはきびしくやるということは、これはもう当然のことだと思うのだけれども、そのことと閉山という問題と結びつけてしゃべられるところに私は、どうも問題があるように思われるわけですね。
 そういうことではなしに、かりに保安に関しての不備なりあるいは施設の問題なり、それからこまかい面では保安法上必要とする事項を守らなければならぬ事項の不備とか、そういうものがありとすれば、それは極力それを正すことによって、あるいは設備に関しての資金を投下する等によって保安上心配のないようにするということがたてまえなんであって、それはほんとうにごく限られた――金かけてももうとてもじゃないがこの炭鉱はもちっこないんだと思われるような、過去において保安不良炭鉱と一応目されて、閉山交付金の対象になった炭鉱もございますが、しかし、その種の炭鉱というのはもうほとんど整理が終わってしまって、今日むしろ保安問題で危険性があるとされる炭鉱は、やはりその企業の経理的な面から保安施設その他についての対策を講ずることができない、ないしは多少保安に不備があることをみずからわかりつつも、コストの引き下げその他によって結局のところ保安設備が不完全のまま操業をするというような事態になるわけですね。ですから、その田中総理の発想というのは、私は非常に危険だと思うのですよ。どうして、保安上問題があるとすれば、その保安をもっと充実、強化するように政府が指導し、資金面からも配慮してやるということをなぜ言われないのか。そうじゃなくて、保安面において心配のあるところがあったら、それはびしびしと山をつぶすんだというのは、どうも話が私はおかしいんじゃないか、さかさまじゃないか、こういう感じがしてならないわけですね。
 先般、二千万トンを五十年度において上回る生産量をということで、一応の政府の方針が石炭対策としてきまってまいりましたが、その根底にある考え方は田中総理だって、私どもと二千万トンを上回るものを確保するという約束をしているんですからね。もし二千万トンを逆に下回るような不安が生産面でありとすれば、保安上問題があれば、それはもし資金面でその保安不備を解決することができるなら、それはそういう面でむしろ山を維持して、二千万トン台の炭をなお確保していくということがたてまえでなきゃならぬのであって、何か感情論で瞬間的に結論を出すような、保安の不良な山があったら、片っ端からそんなものつぶしてしまうなんというようなことを簡単に言われたんじゃ、これはたまったもんじゃないですね。そういう面について大臣がおればいいんだけれども、大臣がおりませんから、この際、政務次官にひとつはっきりした考え方を承っておきたいと思います。そうでないと、私ども、どうも田中総理のきのうの発言内容の新聞に記載された部分では非常に大きな不安を感ずるわけですね。
#16
○政府委員(安田隆明君) いまの御質問、私も昨日の衆議防のあの内容を新聞だけで承知しておるわけでありますが、われわれ政府、通産省の石炭行政、これは第五次の答申、それを待つまでもなく、安全しかる後生産と、こういう行政の基調にはもう毛頭変わりないわけでありますからして、総理があのようなことをおっしゃっておられますその本意、これは直接私、また一ぺん総理にお会いすることになろうかと、こう思いますが、何と申しましても、いまのように安全しかる後生産と、こういう基調に立てば、行政も企業も、およそそこには受け入れ体制あるいはそういうものを整備すべきであろう、これをきびしく行政にも企業にも求めると、こういうことを総理はおっしゃっての発言じゃなかろうか、こういうふうに私は考えておるわけであります。
 それから五次の答申、これはもう二千万トンの線を下らない、これはもう以上と、こういうことであの答申をかたくわれわれは厳守し、これを履行する、こういうことをここではっきりと申し上げたいと、こう思っております。
 それから、先ほどちょっと御質問ございましたが、この企業、石狩のこの山を今後どうするか、いまはもう救出第一義でありますからして、その問題には後ほど入るわけになりますが、私も、これは何としても続けていくべきである、こういうことを期待しておりますし、先般、現地へ参りましたときにも、組合の皆さま方にもひとつとくとくんでもらいたい、同時に、道に参りまして知事にも、それからこの山の資本系列の三井のほうにも今後考えてもらいたい、こういうことを――いまは救出第一義でございますけれども、そういうことも心配のあまりに関係方面の協力を要請してきたわけであります。いろいろ今後問題は出ようと思いますが、百七十数名の中で三十数名の一体この労務の喪失――不幸そういう事態になった場合の労務の面から見て、いろいろこう心配される問題があるわけでありますが、いま政府の考え通産省の考えは、何としてもこの山も今後続けていく、こういう方針で協力を求めていく、指導をしていく、こういうことをここで申し上げたいと思います。
 以上であります。
#17
○大矢正君 冒頭、私も申し上げましたように、まだ三十一名の方々全員の生存しておられるのか、あるいはすでに殉職をされておられるのか、そういうことの確認すらできない段階で、この山をさらに存続をするとかしないとか、そういうような議論は私はしたくない。今日の段階ではひたすらとにかく、三十一名の方々の生存をなお期待をして救出作業に全力をあげるということ以外にないので、私は、この山の将来性その他については、先ほど申し上げたとおり触れておらぬわけですね。
 ただ、一般論としてもこれは言い得ることなんでありますが、この種の事故が今後も起こらないという保証はないわけですね、残念ながら。そういうことから考えてまいりますと、どうすれば一体、この種の事故を未然に防止することができるかということになると、これはまあ絶対ということは世の中にないわけだから、これは私の申し上げることも絶対という意味で申し上げるわけではないのだが、よりという仮定で議論をさせていただくならば、やはり石炭産業が、あるいは石炭の企業それ自身が非常にきびしい情勢にあるという前提はもう申すまでもないことで、そのために先般の答申、そしてまた対策というものをいま検討されておるわけであります。ですから、そのことはおくといたしましても、保安面それ自身においてのあり方について、いま少しきびしさというものがあってしかるべきではないだろうかという感じがする。
 で、それはこの山に限らず、よその山にもたまたまあり、耳にすることでありますが、とかく、保安監督官が巡回をしてきた段階、その前後はかなり保安に関しての注意といいましょうか、対策といいましょうか、そういうものをやるのだが、実際にそれが過ぎるとまた手抜きがされるというような、遺憾ながらそういうこともところどころの山で耳にするわけであります。私は、こういうことはできないのかなということを実は常々感じておるわけでありますが、いまは監督官が参りまして、経営者に対して、おまえの山は巡回した結果、この個所とこの個所とこの個所は不安がありますよと、よって、こういう個所はできるだけ早い機会に、あるいは何日後にこういうようにひとつ補強しなさい、あるいは盤ぶくれその他でもって坑道が狭くなっておるために通気がよくなければ、これはいつ幾日ごろまでに直しなさいというようなことを一応言うわけですね。それで指摘された事項を経営者が、保安関係の担当者がそれを改善するというような行き方をとっておるわけですね、現状は。問題はその辺にもあるわけですが、経営者とそれから監督官との対話だけで終わっている場合もあるし、
  〔委員長退席、矢野登君着席〕
それから、それを今度労働組合に説明をする場合もありますね、労働組合に対しても同じことを。会社に対してはこういうことを言いましたと、こういうところに欠陥がありますから、ここはこういうふうに直しなさいと言いましたというて労働組合に言う場合もあります。
 が、しかし、私は、どうでしょうかね。これは保安を守るということに経営者の思想をもっと徹底させる、特に現場の職員なりあるいは保安統括責任者なりに責任感を持たせるという意味において考えなければならぬ面がありますので、どこまで、どの程度というような内容的な問題はありますが、山を巡回して、そして出てきた山の弱点なり保安に関しての不安なり、そういうものをある程度公表をするような形をとったらいかがなものでしょうかね。これは酷なようですが、過去のいままでの長い歴史的な面からいけば、それは非常に酷な面もなきにしもあらずだし、内容的にどの分野まで公表するかということはもちろんあると思いますが、これは局長は、実際問題として技術的に専門家じゃないですから、御答弁を得るということは、これは非常に困難な面があろうかと思うので、課長とよく相談をされて、私の言わんとする意味を、いかがでしょうか、お答えをいただけませんかね。で、私の公表するという意味は、単に経営者、保安監督統括責任者に、この山はこことこことここが悪いからこうしなさいと、言うだけ言ってそれで帰るというのじゃなしに、もっときびしく公に知らしめるような何らかの態度をとりますよというようなことになっていけば、私は、やっぱり経営者もかなり変わらざるを得なくなってくるのじゃないかという感じがすると思うのですね。で、それはどういう形でやるか、どの限度でやるかという、いろんな問題は技術的にあると思うのですが、どうもいまのように責任者とだけ話をする、あるいは文書で回答を得てくる、まあたまには労働組合の幹部を呼んでこういうことを言いましたよという限度ではどうも不安が残るのですが、いかがでしょうか。
#18
○説明員(原木雄介君) ただいまの件で御返答を申します。
 一般的な場合は別にいたしまして、石狩炭鉱の九月二十六、二十七日に行ないました巡回検査の際に際しましては、公表を行ないますが、公表の段階において、会社側のみならず職労組の代表の出席を求めまして、その上で公表の結果を全部連絡いたします。もちろんその際に、たとえば自己救命器の携行をしていなかった者もあったといった事態もございますが、そういった意味で、全社一丸としての、あるいは全山一丸としての注意というものをそういった席で促すということはやっております。御指摘のように、一般的にこれを拡大してということにつきましては、できる限りそういった御趣旨に沿って、特に職労組についての協力といったことについては、従前も心がけてまいっておるわけでございますが、一般的に外部へ出すということについてはまだいたしておりません。その点はまだちょっと検討さしていただかなければならない、こういうように考えております。
#19
○大矢正君 課長、私は、この山に限定して言ってるのじゃないのですよ。で、全体として言い得ることは、いまあなたが言っておったとおりに、保安の責任者に、巡回の結果不良と思われる事項を言っていく。同時に、まあ必要があると考えた場合、これは全部じゃなくて、必要と思われる場合には、労働組合の希望等もあれば受けて、それに説明をしていく、こういうことを指摘しておきましたということを言っていくのですが、どうでしょうね、ここですぐ結論を直ちにいただこうと思っても、これはかなり大きな問題ですから無理だと思いますが、一度考えてもらえませんかね。これはほんとうに現場の保安責任者に保安に関しての注意と関心というものを持たせるという意味において、私は、やるべきでないか。
 確かに、今回の石狩炭鉱の場合には、新聞にもありますように、COのマスクを全然持たないで入っていっているということはきびしく指摘されておるわけですね。確かにこれは、まあ私どもも実際問題としてあいつを腰にぶら下げて入っていくということは、これはいやですね。これは私も、一年に何回か坑内に入ってみるけれども、あれをこんなのを腰にぶら下げて歩くというのはなかなか容易じゃないので、もちろん作業する段階になれば、そいつを腰にぶら下げたまま作業なんていったって現実にはできないから、どっかそこら辺にかけると。まあ言うと、何か非常なときにはそれをはずしてくるなんという余裕はなくて、すぐ走り出してしまって、実際はそんな役に立たないというような場合が過去においてもあったし、あれを腰にぶら下げたまま仕事をせいと言っても、何か道路監督でもやっているならいざ知らず、それは現場にいる者はそう簡単なものじゃないんですよ。しかしながら、そうは言っても、またそれがみずからの命を守るものであります。ですから、そういうものをやはり窮屈だろうが携行をしなさいということで、わざわざこれは長い間かかってつくり、かつ全山に配布をしているわけです。ですから、そういう意味では、たとえばそのこと一つをとらえてみても、やはり経営者自身も心の中では、あんなものを持たしてやって、それはまあ仕事の能率が落ちるよりも、黙って本人が持っていかないなら本人が悪いのだから、ほっておいてもいいのじゃないかという気持ちだって、私は、なきにしもあらずという気がするんですよ、はっきり言って。それに働く者も、よもや爆発するとは思わないから、これは全くいやだと思うのはあたりまえの話で、しかし、それはそうじゃない、これは爆発だってあり得るぞというふうに考えている人たちは、やはりまじめに持っていって、まあめんどうくさいけれども仕事をしているんですがね。それが新聞等によると、必ずしも全部が一致して持っていっているというわけではないし、また逆に、みんなが持っていかないというわけでもないというような状態ですわね。
 ですから、そういうようなことももちろんありますし、それだけではなくてやっぱりどういう告知の方法、どういう公に明らかにする方法があるか。保安の不良個所、不備な個所があるという監督官の指摘を――やり方はいろいろあると思うが、何かそれをやらないと、ただ所長なり統括責任者なりに文書なり口頭で言うだけ言って、それで監督官が帰ってきて、あと何日かたったときに行ってみて追跡検査をするというだけでは、やっぱり事故を未前に防止するということは私は、非常に困難だと思われますので、そういう点でいま直ちに御返事をもらおうとしても、これは長い歴史のあることでもございますからむずかしかろうと思いますので、これを機会に早急にひとつ検討してみてもらえないかという、これは私の希望でございます。
 以上で私の質問を終わりたいと思います。
#20
○須藤五郎君 もう時間も迫っていますから、端的に質問したいと思います。もういままでにあるいは私の質問と同じ内容が出ておったかもわかりませんが、その点はちょっとお許しを願いたいと思うのです。
 この三十一名の内訳ですね、罹災者。ここの書類には、不明三十一名――職員七名、鉱員二十四名と書いてありますが、この鉱員二十四名は、臨時夫、常用、請負とそういう点からいったらどういうふうな内訳になりますか。
#21
○政府委員(安田隆明君) これは、三十一名は全部直営であります、全部直轄。
#22
○須藤五郎君 常用ですね、請負とか臨時夫ではなしに。そういうことですか。そこを聞いておきたいんですよ、間違いありませんか。
#23
○政府委員(青木慎三君) 全部直轄でございますので、請負夫は一人も入っておりませんが、常用労務者のほかに臨時夫が入っておるかどうかにつきまして、いまちょっと手元に資料がございませんで――請負夫はおりません。
#24
○須藤五郎君 保安について大矢さんもだいぶ質問なさいましたが、私もこの点で質問しておきたいと思うんですが、実は昨日、東京で炭労の大会がございまして、私もその大会に出席をいたしました。そのときに主催者があいさつをなすったが、その中に、ガスマスクの問題は、長いことかかってわれわれが戦い取ってきた問題だと、しかるに、今回、ガスマスクをつけていない人が相当あるということは、これは問題だと、ガスマスクが重いからつけないという意見もあるが、ガスマスクの重さよりも人命の重さのほうがどれだけ重いか、この点は労働者としても考えてもらいたい、炭労としても、そのことを今後みなに浸透するようにやりたいのだという意見を述べておられました。私も、このガスマスクを全員が持って入坑するようにというためには、従来の石炭対策特別委員会におきまして、私もずいぶんくどくどと要求をしてきて、やっとそれが実現したということを聞いたわけです。それで私も非常にほっとしたんですが、しかし、今回、災害が起こってみると、ガスマスクをつけないで入坑している人が相当あるということです。これは一体、どこに責任があるのかということを私は昨日から考えたわけです。私は、炭労の大会の主催者がみずから反省をして、ガスマスクよりも人命のほうが重いのだと、こういうことばを述べられたが、これは自分たちが反省のことばとして受けるのですが、単にそのことばどおり持って入らなかったのを、労働者のせいにしてしまっていいのかどうかという点なんですね。せっかく金をかけて、人命尊重のためにわれわれも国会で努力してつくったものを、なぜそういうふうな死物にしてしまっておるかという点ですね。これはやはり私は、炭鉱当局者並びに政府が労働者に対する何といいますか、説得といいますか、その重要さをこれまでずっと説明を欠いておった結果がこういうことになったんじゃないか、そういう点も思うわけですね。
 それで、今度の災害に対して一体政府は、責任をどういうふうに考えておるか、政府の責任を私は聞きたいのです。これは次官からお答えになるのが適当だと思います。
#25
○政府委員(安田隆明君) いまほど大矢先生からもマスクの御質問がありました。実態に触れて、大矢先生みずから体験しておられますので、あのようなお話が、御質問があったと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、やはり今度の事故、その中に十六名というマスクを持たない者がいたという事実、われわれは原因の探求と同時に、この問題を後ほどいろいろと慎重に検討してみたい、こういうふうに思っております。行政の指導か、企業の責任か、いろいろあるだろうと思いますが、われわれはこの原因の究明と同時に、この問題を根本的にわれわれも究明していきたい、こういうふうに思っております。
#26
○須藤五郎君 私は、労働者といえども、自分の命を大切にする気持ちにおいては他の人とは劣っていないと思うんです、特にああいう危険な場所に出入りする人たちは。しかし、それすらも外から第三者が見たら、軽視していると見られるようなことを、なぜしたかというところに私は問題があると思うんです。それはやはり政府当局並びに炭鉱のいわゆる資本家側の人たちが、あまりに生産第一主義に走って、とにかく掘れ掘れと、たくさんの出炭を要求する、そこに私は、やはり問題があると思うんです。それで出炭をたくさんしなきゃ労働者は生活が守っていけない、そういうことですね。だから、危険を承知の上でガスマスクをつけないで入って、そうして出炭量を上げる、そうしてやっと生活を立てていくという、そういう悪循環があってこういうことに私は、なってくると思うのですよ。だから、あれをつけて多少出炭量が落ちても、ちゃんと生活の保障があるだけの給料が払われておったならば、ああいうことは起こらない、私はこういうふうに考えるのです。だから、政府の責任としても、そういうふうな指導がなされていないところに、私は、政府は責任を感じてもらいたいと思うのです。もちろん炭鉱の当事者――資本家は、自分たちが出炭量を少しでも出せということで、ああいうことを、先ほども大矢さんおっしゃったように、黙認しておったという、この責任も重大だと思うのです。だから、私は、炭鉱労働者がつけないで入った責任は、そういう生活を守るという点からそういうことが起こってきたので、これは私は、労働者諸君が反省することもけっこうだとは思いますけれども、そこでものが終わってしまっちゃいかぬと思うのです。やはり政府としては、そういうことは、ちゃんとつけて入っても生活ができるような指導をやっていかないとこの問題は守れない、こういうふうに私は思うのですが、その点どうお考えになりますか。政府当局はどういうふうに指導をしていこうとお考えになりますか。
#27
○政府委員(青木慎三君) ただいま御指摘の点でございますが、政府といたしましては、生産第一主義で、保安はどうでもいいというような見解は全然持っておりませんで、保安がまず第一でございまして、りっぱな保安を確保した上での生産というふうに考えておりますので、指導方針もそういうことになっております。
 ただ、この保安に関しましては、政府の監督だけで完全に保安を確保されるというわけにはまいらない。やはり経営者なり、そこで働いている労働者の方々が自主保安ということで、まず、保安を確保するという考え方に立っていただくことが第一に重要でございます。その上に立ちまして、政府としても十分厳重なる監督をやっていくという立場に立つべきだというふうに考えております。したがいまして、生産のために保安を犠牲にしていいというような考えではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
#28
○須藤五郎君 政府だけの責任とは私はそこまでは言いませんが、やはりその保安、せっかくつくったガスマスクをつけないで入るということに対して、危険を労働者諸君に認識させなかった責任は、やはり政府当局も負わなければならぬ面であり、また、山の支配者といいますか、要するに、資本家側――炭鉱側にも私はそれは十分あると思うんです。だから、今後再びああいうことがないように、ガスマスクはぜひつけて入るように、かりにそれで出炭量が落ちても、君たちの生活にそれをしわ寄せをしないというぐらいの気持ちで、やはり政府として炭鉱当局を指導していく、そういうような方向に持っていくことが私は必要だと思うのですが、それに対して政府の見解を伺っておきたい。
#29
○政府委員(青木慎三君) COマスクを携帯しないで入坑した者があることを生じましたことは、きわめて遺憾だと思っております。これは法規上は、鉱業権者が、入坑する労働者にCOマスクを携帯させなければならないということになっております。また、鉱山労働者自身も携帯しなければならないということになっておりまして、なお、政府としても、これを十分指導する責任はあったと考えております。したがいまして、今後、こういうことが起こらないように私どものほうも指導を強化いたしますし、経営者にも十分注意していただく、それから労働者自身も自覚していただく、全員が協力してこういうことのないように協力する必要があるというふうに考えております。
#30
○須藤五郎君 それと同時に、かりにガスマスクをつけて入ることによって、従来よりも出炭量が落ちても、その結果、労働者の賃金にそれがしわ寄せにならないということですね。これが私、まず重要なポイントだと思うんですよ。その点はやはり経営者にはっきりさせる必要があると思いますが、その点もあわせて経営者に政府のほうから指導なさいますか。
#31
○政府委員(青木慎三君) 労働者の賃金にしわ寄せしないというより前に、この保安の問題は規則でございますので、とにかく、携帯しないで入ること自体が一番いけないんで、したがいまして、これが第一でございまして、その結果、その労賃が下がるというようなことは――その前提の問題でございますので、当然そういうことになるべきであると私どもは考えております。
#32
○須藤五郎君 だから、それは下がるか下がらぬかわからないんですから、いまそれをはっきり言うわけにいかないかもわかりませんが、しかし、下がるというようなことが起こらないように、政府として私は指導していってほしい、そういうふうに思うんですが、そういうふうに理解していいですか、政府は指導していくというふうに。どうですか、そこを伺っておきたい。それでないと、せっかくつけろ、つけろと言っても、その裏づけがないというと、それがほんとうに生きてこないと思うんですよ。
#33
○政府委員(青木慎三君) それはそのとおりと思います、先生のおっしゃるとおり。
#34
○須藤五郎君 それじゃ、そういうふうに指導をしていってください。
 それから、石炭不況が起こってくると、災害がひんぱんに起こるようになってくるんですね。石炭の不況と災害とは、いつもうらはらのようについてくる問題だと思うんですよ。
 〔委員長代理矢野登君退席、委員長着席〕
なぜ、そうなるかといえば、私は、やはり不況になれば保安施設に金をかけぬ――要するに、生産にあまり関係がないというふうに考えて、保安のほうが抜けてしまうところに災害が起こってくる原因があるように思うんですよ。今度の問題で言っているわけでもないんですが、総括的にそういうことが言えるように思っているんです。それで災害が起こるとその次に何が起こってくるかというと、閉山という問題が起こってくるんですね。これは北海道の従来の閉山から見ても、そのことがはっきり言える。不況、災害、閉山と、こういうふうな経路を経て閉山にいってしまうわけですね。これはもう労働者の生活を脅かすことになりますから、労働者はたいへんだということで、やはり閉山にならないようにというのが炭鉱で働いている労働者の強い気持ちなんです。だから、つい無理を無理だと知りながら無理をするというようなことも起こってまいると思うんです。さあ、それで閉山になったときに、一体労働者はどうなるか。やはり失職という問題が起こってきますね。労働者は閉山で何もかも失ってしまうわけです。これはたいへんだというので、いま申しましたような無理が続いてくる。そこに災害が起こる。まあ、こういう悪循環が常に私、日本の石炭産業では繰り返されておるように思うんです。これを何とかしないと、私は、この石炭山の災害というものは、断ち切ることができないような感じがするんですが、政務次官、どうしたらこういうことをなくすようなことができるか、これは大きな私は政治的な力が必要なように思うのですが、どうでしょうか。
#35
○政府委員(安田隆明君) 不況と災害、これはうらはらのような、われわれ常識的な心配がありますけれども、幸いなことにここ近年、四十五、四十六、四十七年に、この災害係数は非常に減少してきておるわけです、低下してきておるわけです。だからして、私どもは、監督行政の強化、あるいは保安設備の整備強化、あるいは新しい保安技術の開発、こういったものの集積がきょうまできたんだと、こういうふうに理解しておりました。たまたま、ここにまたこういう事故が起きたもんだから、冷水を浴びたように、ここでもう一ぺんアクセルを踏んで、われわれは災害対策に、保安に取り組まなければならない、こういういま反省を求められていると、こういうふうに理解しておるわけであります。先ほど申しましたように、もうわれわれは行政の中におきましても、あるいは企業に課せられた責任におきましても、これは保安、しかる後生産と、こういう指導理念というものに徹していきたい、こういうふうに御理解いただきたい。
#36
○須藤五郎君 それじゃ、政務次官は、最近災害が起こってないというようなおことばですけどね、最近、ここ三年間ぐらいの間に災害の件数はどれだけありますか。こんな大勢の死者を出した災害というものは、それは今度が最大かもわかりませんよ。しかし、私が通産省のほうから受けている報告によりますと、従来、もう小さい災害が方々に起こっていると思いますよ。北海道でもたくさん起こっているじゃないですか。
#37
○政府委員(安田隆明君) 失礼しました。四十五年九二八、四十六年七八四、四十七年、これは一月から八月でありますけれども、これが七五五係数、こういうふうに漸減いたしておりますということをいま申し上げたわけです。
#38
○須藤五郎君 あなたのおっしゃったのは、だから間違っているでしょう。近年、災害が起こっていないということじゃないでしょう。そういうふうに災害は毎年、一件なり二件なりはずっと起こってきておるでしょう。
#39
○大矢正君 だから、出炭トン当たりの災害率とか、稼働何パーセントの災害率というやつを言わなければだめなんだよ、出炭トン数が下がってくるんだから。そのことを言っているんだろう。そういう資料はあなたのところにあるはずだから、それを説明すればいいんだよ。
#40
○政府委員(青木慎三君) 稼働延べ百万人当たりの災害率で申し上げますと、全国計で申し上げてみますと、四十五年が八一七、四十六年が七二八、四十七年が一−八月で七三六になっております。死亡者数は、四十五年が百七十、四十六年が百一、四十七年が現在までで七十七名、こういう数字になっております。
#41
○須藤五郎君 まあ、いま政府当局の説明によりましても、政務次官の認識は、私は、先ほどの御答弁ははなはだ甘い答弁だと思う。やはり最近もずっと災害が続いておるというふうに私は考えていますよ。だから、そういう立場に立ってこの問題を解決していっていただきたいと思うんですね。やはり不況があり、それから災害があって、その次に今度は閉山だということは、これは一定のスケジュールのような感じがするわけですね。それで、その結果、一体、だれが最も被害者になるかといえば、閉山で首切られて失職するのは労働者ということですね。だから、私は、労働者の立場に立って考えるならば、山に入っても命は失わないと、そうして閉山は受けないと、失職はしないと、そういう政治をやっていって初めて私は炭鉱政策、石炭対策だと、こういうことがはっきり言えると思うんですよ。ところが、そういう対策が石炭対策として政府当局でされてないところにいろいろ問題が起こってくるというふうに私は思っております。まあ第五次石炭政策についてはまたあらためて議論しましょう、金の問題もいろいろあると思うんですが。
 それで今度、私はきのう、炭労の大会に出て、そして炭労の代表者に聞きました。そうすると、今度のガス爆発は、これはもうあの山としては救いようのない問題だと、こう言っておりました。もうどこから掘っていってもみな突き当たっちゃう。そうすると、あの中はもうめちゃめちゃになって、再びあそこで炭を掘るというようなことは、これはもう不可能な状態だ。そうすると、したがって、あの山は閉山をしなきゃならぬという、こういう運命におちいるんだと、こう炭鉱の労働者の代表が私に話をしていらっしゃいました。私はその現場を見ておりませんから、すぐガス爆発が閉山に通ずるかどうかということは、私の意見としては申し述べることができません。できれば閉山をしないことを私は希望しておりますが、現場の労働者の意見では、もうあれは閉山やむを得ないんだというふうな結論ですね。そうすると、あの山が閉山すれば百何十人というのは、これは失職しなければならぬ。その失職なり、それに対する補償、それから今度の三十一名に対する補償ですね。これをどういうふうに政府は考えているか。その補償の内容を伺いたい。今度の三十一名はもうおそらく命はあるまいというのが、これが皆さんの御意見でした。もう何日間というもの、あのガスの中に閉じ込められて、空気は少しも入らない。そうすれば当然三十一名の命はもうないものとわれわれも考えなきゃならぬ。そうすると、三十一名に対する補償の問題が起こってくる。まだ死体も見ないうちに補償の問題を云々するのは不謹慎だとおっしゃるかもわかりませんけれども、しかし、政府としてはそういうことも考えておかなきゃならぬ、そう思うんですね、それに対して……。
#42
○政府委員(青木慎三君) ただいまの段階は、三十一名の方の救出を第一と考えておりますので、救出作業に全力を注いでおります。
#43
○須藤五郎君 うん。それは当然。
#44
○政府委員(青木慎三君) それで、あとの問題につきましては、そういう救出作業が一応一段落つきましたところで検討するということにいたしたいと思いますが、極力、もし御不幸なことがあれば、そういう方々に御迷惑をかけないような方向で指導してまいりたいというふうに考えております。
#45
○須藤五郎君 それで、あの山が閉山になった場合は、閉山に対する何か条件はどういうことなんですか。ああいう山が閉山した場合、今度は炭鉱当局に対する補償といいますか、そういうことはどういうふうになっているのですか。
#46
○政府委員(青木慎三君) これは原因を十分探求しまして、その後の鉱山の状態をよく見ました上でないと、経営者もまだ判断しかねているところと思いますが、もし不幸にして閉山ということになれば、規定に従いまして閉山交付金というものが支払われまして、その中から一定部分は労働者に確保されるというような措置が一般的にとられることになっております。
#47
○須藤五郎君 これでおしまいです。
 そうすると、閉山の場合も炭鉱自体は、経営者自体は閉山に対する補償があると。それでその中から労働者にも何分か出す。閉山して炭鉱経営者はあまり痛痒を感じないという面すらも出てくるんですね。だから不況、災害、閉山というようなこういうことをずっと繰り返して、炭鉱経営者は、どうしても閉山をしないんだと、どうしてもこの石炭は続けていくんだと、生産を続けていくんだと――そのためにどうしたらいいか、そのためには労働者の保安をまず考えていかなきゃならぬという、そういう心がまえが私は、最近の炭鉱経営者になくなりつつあるんじゃないか。閉山したら閉山に対するめんどうは政府が見てくれるんだ、だから、そんなにおれたちはやきもきして保安に金を使う必要もないんだというような、そういう安易な気持ちが経営者にあるんじゃないかと、そういうふうに私は思うんです。そうなればたいへんなことだと思うんですね。そこの点をはっきり私は意見を聞いておきたいですね。
#48
○政府委員(青木慎三君) いま手元に資料を持っておりませんので、閉山交付金の割合を正確に申し上げられませんけれども、地域によって若干その比率が違いますが、七〇%から八〇%ぐらいが労務者に確保されることになっておりまして、経営者は大体負債をかかえておりますので、閉山してそこで何がしかの資金が残るという実態は、現在の炭鉱ではほとんどないという実態でございます。実態だけ御説明いたします。
#49
○須藤五郎君 これで私、質問やめますがね、この問題については第五次石炭政策のそのときにひとつ大いに議論しましょう。それでは、きょうはこれで。
#50
○柴田利右エ門君 簡略に質問をいたしますが、これは先ほど大矢委員のほうからもお触れになったことなんですけれども、そちらからも現在の状況の中では、救出というのがまず第一にとられなければならぬことだと。ただし、きょう午後、青木局長は現地へ飛ばれるということなんですが、もういままであらゆる方法を駆使して、特別新しいアイデアはないということなんですけれども、新聞等で拝見いたしますと、三日の夜なんかは、もうすでに現在、救出に当たっておる人が徹夜で作業をされたというようなことも出ておりますし、特に石狩炭鉱につとめておられる方は、仲間のこういう異常な災害なものですから、多少無理をされておる向きもあるのではないかというふうに思います。同時に、待機をされておる人もあるということなんですが、いままでの、きょう現在まで救援に当たっておられる人は、初めから当たっておられる人がずっと続いておられるのですか、それとも途中でおかわりになったのですか。
#51
○説明員(原木雄介君) 御説明申し上げます。
 先ほど、当初に御説明申し上げましたように、他炭鉱からの応援ということで、砂川から災害直後に参りました救護隊の方々がおります。それ以外に、それから三美炭鉱と申しますか、からの救護隊の方にも応援を求める。さらに三井系列ということで芦別からの救護隊ということでございます。したがいまして、いまのところ徹夜と申しましても、三交代制ということでやっております。現場の作業自体も、救命器をつけての作業は一時間ごとに交代をしているという状況でございます。その疲労度については十分検討をしながらの作業を進めているということでございます。
#52
○柴田利右エ門君 これはもう先ほども言いますとおりに、いまのところは確かに救出をするための作業が第一だというふうに思いますし、私は、こういう災害のときですから、確かに、詳しく状況を御存じの方からお話あったように、どうしても無理をするし、なかなかたいへん疲労のきつい作業だろうと思います、こういう緊急の場合ですから。そういう点は十分勘案をされて、とにかく文字どおり、ことばだけでなしに、実際の作業も救出第一で進んでいただくようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、この災害について、先ほど局長からの御説明によりますと、従来の指導方法としては、保安なくして生産なしと、まあつづめて言えば、そういう趣旨で指導をされておると。これは確かに四十七年度の鉱害労働災害防止実施計画というようなことも詳細に出ておりますし、これらが十分に守られておれば、今度のような災害もあるいは避け得られたのではないかというふうに思いますけれども、自主保安ということも先ほどからお話出ております。自主保安というのは、日本石炭協会のほうでも保安検討班というようなものをそれぞれ出されてやっておられる。組合あたりでは、いまも炭労のお話が出ましたけれども、これは炭労で特に独自でおやりになっておられるでしょうし、全炭鉱もそういうことでやられておられると。しかし、それに加盟をしていないところもあるわけですね、全部が全部あるわけではないので。そうするとやはり、ガスマスクの問題も出ましたけれども、確かにガスマスクというのは、それによって以前の災害で命が助かったという例もあるわけですね。そういうことからいくと、自分の命の問題ですから、当然つけていかなければならぬことなんですけれども、賃金その他の関係からいって、やっぱりそこにいろいろ問題があると。地下で働く人たちが万一というようなことを考えるのは、縁起でもないというような考え方もあって、なかなか……。これはまあわれわれそういう経験がありませんので、人の気持ちとしては、そういうこともあるのかなあと思うのですけれども、いずれにしても、そういう資本投資をして、災害を防止するために、危険を防止するためにそういう設備があるんですから、ぜひまあつけるようにしなければならぬと思います。
 いずれにしても、監督を十分にするという面と、自主保安という面と、何かこう、うまくかみ合っていないような気がするんですね。だから、こういういろんな災害防止の実施計画というのは、中央で出されて示達をされる、そうすると、地方の監督局、あるいは現場のそういう保安の関係の方々、それがそのとおりにやられておれば、私は、そういう面についてもかなり違った面が出てくるんではないかというふうに思いますけれども――こういうことを、非常に平凡なことなんですけれども、やっぱりお互いに危険を防止をし、災害を避けるという意味ではやらなければならぬことがあると思うんです。そういう意味で、監督官庁としてのこういう問題に対するきびしい姿勢というのが多少欠けておるんではないかという気がするわけですね。
 先ほどもお話のありましたように、八月から九月、十月にかけて巡回をして監督をされて、いろいろ指示は出されておるんですけれども、それに対して、その危険を感知しながら、従来は、まあおそらく炭鉱によっては、そういう指示なり指令によって保安に対する、何というのですか、万全の処置がとられることになると思いますけれども、今回の場合はとられていなかった、たまたま。これはまあ新聞で見たんですが、前に入坑した人の証言によれば、一向に会社としてはそういう措置がとられていなかったと、まあこういうようなことも言われておるわけですが、そういう点についてもっときびしい姿勢で臨んでいただかなければいけないんではないか。もちろん、それを守るほうも十分に守るだけの心がまえというか、体制というか、そういうことがなければならぬと思いますけれども、特にその自主保安ということの関連で、私は、今回のようなこういう中小の山における災害防止という面は、何か自主規制ということで監督がなおざりになっているというように思います、断言は私はいたしませんけれども。そういう面では、特にやはり十分にきびしい姿勢というのがとられなければならぬのではないかというふうに思います。
 いずれにいたしましても、これらの面につきましては、先ほど委員長のほうからも、この会議が終わりましたら、視察の日程その他についても打ち合わせをするということでございますから、そういう視察等が終わりますれば、またそういう点についてもいろいろ審議等がなされると思います。しかし、いずれにしても、こういう大きな災害が勃発をいたしましたあとというのは、こういう災害が二度と起こらないようにということで、当局もそういう言明をされ、それに対して、一応の示達その他が出るわけでありますけれども、先ほど次官から御説明のあったように、ここ両三年の間は、そういう災害率というのは下降傾向にあるということなんですけれども、こういう大きな災害がそういう中でもやっぱり起こってきておると、まあ忘れたころに大きな災害が来るということなんです。そういう面から言って私は、こういう災害というのがこのあともうほんとうに、まあ絶対ということは言えないにしても、防止をできるような体制を真剣に考えなければならぬというように思います。
 特にこの石狩炭鉱というのは、非常に――炭鉱というのは、そう繁華なところにあるわけではありませんけれども、まあどちらかといえば、炭鉱の中でも特にへんぴなところにあるというようなことを聞いております。そういう中で、かりにまあ最悪の不幸、山の帰趨の問題が不幸なほうに、閉山というようなことになるとすれば、確かにそこにいままで働いておられる人の生活というものが非常に問題になるわけでありますが、たまたま田中総理の御発言の言及もございましたが、札幌通産局の新川という課長ですか、まあ現地をよく御存じの方は、何とか余力があるんで、残すようにというような意見も述べておられますし、いまも次官ですか、局長ですか、そういう点について重ねて言及がありましたので、私はぜひそういうことも考えて、同時に、災害という問題についてほんとうにことばだけでなく、実際の施策の上でもぜひ実現をしていただきたいというふうに思っております。この災害防止実施計画の基本になります中央災害防止協議会ですか、ここでも、やはり保安対策についてはもう少し国家としての助成が必要ではないかというような、このもとになるものがその会議でも出ておるということでありますので、そういう点につきましても十分に御留意をいただかなければならぬのではないかというふうに思います。
 すでにお二方それぞれいろいろな面から言及されておりますので、私はその辺につきまして御見解があればひとつお聞かせをいただいて、終わりたいと思っております。
#53
○政府委員(安田隆明君) いま柴田先生からも御質問ございましたが、須藤先生からも先ほど御質問ございました。私は、近年における災害の情勢、これは決して甘いものだとは見ておりませんので、そのように御了解をいただきたいと思います。
 それから、監督行政と企業の責任、これは、おっしゃるとおりに、監督行政はこれはきびしくやっていかなければならない。もうここで指摘事項、ここには――先ほど大矢先生からいろいろ提案もございました、これももちろんわれわれ検討しなければならぬ。私はだからして、もうここで指摘する、追跡、さらに追跡、今後これはきびしくやっていかなければならぬ。同時にまた、これを指摘いたしますると、ここに財政の負担というものが出てくる。いわゆる投資がここに出てくる。これらについても、中小についての融資のあっせんなどは従来ともやっておられますけれども、こういうときにはやはり親切丁寧に、懇切に、従来に倍して融資のあっせんまで、これはあたたかい手を伸ばしてやるべきではないか。温泉で事件を起こしました、事故を起こしました、さあ環境衛生はもうたいへんなてんやわんや、指摘いたしますわ。しかし、ここに新たな官営資金の投入、こういうことを見出して、そして今後、不慮の災害を防止する、こういう手段を温泉、ホテルその他でやらせた経験があるわけでありますけれども、私ども、山につきましても、従来ともやっておりますけれども、指摘につきましては、やはりここに資金の投入、これについての局あっせん、あるいは県あっせん。補完制度ならば保証協会の機能をこれに別に付与する。こういうこまかいところまで今後やるべきであろう、こういうことを私は感じておりますが、これをもちまして御答弁にかえさせていただきます。
#54
○大矢正君 私、先ほど数点にわたって質問をし、また意見も申し上げて政府側の検討をお願いをしたわけでありますが、いま一点、政府側においてぜひひとつ早急に検討を願いたいと思われる事項があります。
 それは、先ほど申し上げましたような坑内における保安の不備、不良、そういうものの監督官による指摘、その指摘の公表、そうすることによって、経営者もしくは統括責任者に保安対策に万全を期するような態度や考え方を持たせるという意味においての先ほどの提案と、もう一つは、災害が万一発生した際における、たとえば今回のような場合においての緊急の措置について、新たな、従来と異なる一つの方向というものを申し上げたいと思うのでありますが、今度の場合も、なるほど各社各山からそれぞれ救護隊が参りまして、現在のところ、たいへん御苦労をなさって救援活動に当たられておることは、私も十分存じておるわけでありますが、ただ、いまの救護隊のあり方というものは、私が申すまでもなく、企業の救護隊なんですね、三井鉱山の救護隊。三井鉱山もまたそれぞれの山に分かれて救護隊がある。北炭もそのとおり。言ってみれば、企業もしくはその山で編成をされる救護隊、こういうことになるわけですね。したがって、一切の権限はもちろんそれは会社にあり、山にあるわけでありますし、まあ以前に政府の予算によって九・北に保安センターが設けられて、それぞれ救護隊員その他職員も含めて防災対策、それから救護活動等についての研究、検討、それから実地訓練等やっており、私も何回か行ってそれを見てきておるわけでありますが、やはり緊急を要するような場合、あるいはまた、その災害の状況にもよりますけれども、大量の救護隊を必要とするというような、まあ今回のような場合ですね。なかなか他の企業、山等に依頼をして救護隊を派遣してもらうわけでありますから、時間的な問題もあるし、それから派遣した会社それ自身はやっぱり人を抜かれるわけだから、生産にそれだけ影響が出てくるわけですね、残念ながら。それはまあ相見互いでございますから、どこの山が災害が起きるかわからぬのだから、自分の山が起きたときに、またほかの企業からも救護隊を借りなきゃならぬという事態もあるのでありますから、そういう意味ではまあ当然のことではあるんだが、まだそこにすみやかに救護隊を集合させる、編成をする、あるいは作業に入ってもらうというような、そういう点で欠ける面があるんじゃないか。
 したがって、私はこの際思い切って、通産省の一つの指揮下――と言いましても、これも救護隊員に万が一のことがあった場合に、通産省の指揮下ということになると、いろいろ法律上も問題が起きる点がある点は、私もちょっと懸念はするんですよ。懸念はしますがね、ともあれ、それが百人の規模であるか、百五十人の規模であるか、あるいは二百人の規模であるかは別にして、山別にその山の規模その他によって何名かずつ割り当てて、これは通産省なら通産省の連絡、指示一下直ちにその指定の場所に来て、そして救援活動、救護活動に、あるいは探検に当たるというような組織をつくったらどんなもんだろうかという感じがするんです。で、いまの救護隊はその用をなしてないと私は申し上げてるんじゃないんですよ。そういう意味で申し上げてるんじゃないんだが、もっと量的にも、それから機動性を持たせるという意味においても、そういう方向をとったらどうだろうかと。炭鉱の数もこれだけ減ってきたんでありますから、もう一体となってせめて救護隊ぐらいが活動しても差しつかえないんじゃないかと。それはもう招集権限者は通産省なら通産省、通産局長なら通産局長、保安局長なら保安局長にあっても、実際のこの指揮命令系統は、それは現地の実際の災害を起こしたその山の責任者ということにはなるでしょうが、ともあれ、たとえば最小限度百人なりあるいは三百人なりの救護隊員を直ちに集めることが可能だということであれば、それだけ今回のような場合にも、私は、もっと機動力を持った救援活動というものが、救護活動といいますか、救助活動というものができるのではないかと、こういう感じがするわけですね。
 したがって、ただその際に、いろいろと組織の編成のしかたとか、それから、ただAという山には、お前の山には五名なら五名救護隊員を割り当てるとか、Bという山には五名割り当てるとかというような、単に割り当てをするだけでは、これはどうにもならぬことで、そういうようなことじゃなしに、やはり一年に何回かは百人なら百人、二百人なら二百人が通産省なら通産省の一つの指示のもとに集合できるような、救護隊員が集まってお互いに意思の疎通をはかるとか、あるいは一緒に共同訓練をするとか、センターもあることですから。そういう活動で常に非常事態に即応できるような形で、しかも、それに対してやはり会社から何人かの人間を出すわけですから、企業もそれだけの負担をしなければならぬわけですね。自分の山じゃない、よその山の災害に出すわけですから。ですから、そういうものに対して通産省がある程度資金的な負担をしてやるとか、それから、こんなことを言っちゃ何ですが、通産省としても、それ相応の手当なりを通産省として支給をするとか、それから、万が一救援活動の中で――これはあっていいことではないのだが、殉職をされるような場合においては、単に労災にとどまらずして、通産省として独自に上積みをするような補償措置を講じてやるとか、そういう体制を整えて、半面にそういう組織をつくって、この機動力を持たして、万が一災害が起きた場合――これは起きないことはけっこうなんだけれども、起きないようにしてもらいたいし、そう願いたいところなんだけれども、現に起きるわけですからね、起きた場合の対策もやはり考えておかないわけにはいきませんわけですから。
 私は、いろいろ困難性もあることではあると思いますが、幸いにしてちょうど来年の予算編成は、石炭の抜本策も織り込んでのこれは予算ですから、ひとつこの際、私の申し上げる点でいろいろむずかしい点もあるでしょうが、私は、構想としては悪い構想ではないんじゃないかという感じがしますね。企業のエゴとか何かいろいろ障害があるでありましょうけれども、そんなことを言っていられるような時期じゃないので、もう実質上北海道なら北海道は一つの炭鉱だというくらいな気持ちでやらなければ、これからの石炭というものは生きていかれないわけですから、私はぜひひとつそういうことも局の検討の案件にしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
 何回も申し上げるようでありますが、この山が今後生きれるか、生きれないかとか、何かそういうような問題等は、これはまだ三十一名の方が生死すら不明な段階で、この山は残れるとか、残れないとか、保安上どうとか、こうとか言ってみても、せんかたない話で、したがって、私は、そういう面にわたっての質問はきょうは保留しているのでありまして、そういう点はひとつ御了承賜わりたいと存じます。
#55
○政府委員(青木慎三君) ただいま大矢さんの御意見でございますが、実施上いろいろなかなかむずかしい問題もあろうかと存じますけれども、こういう百名編成の救護隊が何日にもわたって活動しなければならぬという事態も起きましたので、こういう事態を踏まえまして十分検討さしていただきたいと思います。
#56
○委員長(阿具根登君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度といたします。
 今次の事故に関し、調査のため委員を派遣いたしますことにつきましては、私から委員長にその旨申し出まして取りきめたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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