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1972/11/07 第70回国会 参議院 参議院会議録情報 第070回国会 社会労働委員会 第3号
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1972/11/07 第70回国会 参議院

参議院会議録情報 第070回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第070回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十七年十一月七日(火曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月四日
    辞任         補欠選任
     宮崎 正雄君     山下 春江君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢山 有作君
    理 事
                高橋文五郎君
                玉置 和郎君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                川野辺 静君
                丸茂 重貞君
                須原 昭二君
   政府委員
       厚生政務次官   増岡 博之君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       厚生省児童家庭
       局長       穴山 徳夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       渡部 周治君
   参考人
       島田療育園長   小林 提樹君
       全国重症心身障
       害児者を守る会
       副会長      北浦 雅子君
       全国重症心身障
       害児者を守る会
       療育相談部相談
       員        松島美智子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (心身障害児・者対策に関する件)
 (水道問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(矢山有作君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四日、宮崎正雄君が委員を辞任され、その補欠として山下春江君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(矢山有作君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 本日は心身障害児・者対策に関する件、水道問題に関する件の順序で調査を行ないます。
 それでは、まず心身障害児・者対策に関する件について御意見をお聞かせいただくため、委員の皆さまのお手元に配付いたしてございます参考人の御出席をお願いいたしております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は本委員会の調査のため、御多忙のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。つきましては、本件のうち特に重症心身障害児・者問題について忌憚のない御所見を拝聴いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 まず、それぞれのお立場から、各自三十分程度の御発言を願い、そのあと委員からの質問に対し、お答えをお願いいたしたいと存じます。
 それでは、北浦参考人にお願いいたします。
#4
○参考人(北浦雅子君) 北浦でございます。
 日ごろ重症心身障害児について先生方に御尽力いただいておりまして、ほんとうにありがたいと思っております。実は私の次男が終戦後――二十一年に生まれて、まるまる太った元気な子供だったのでございますけれども、七ヵ月目に種痘をいたしまして、種痘のために脳炎を起こして右半身が麻痺して、それからものが言えませんで、知恵がおくれて、その上にけいれんを伴う重症心身障害児となってしまったのでございます。私はほんとうに、いま考えると申しわけなかったと思うのですけれども、その当時自分の身の回りにそういう障害児が一人もおりませんものですから、自分がそういう子供をかかえるということをゆめにも考えておりませんでした。それで、これがほんとうに不治の病だということが宣告されましたときには、いっそ死んでしまったほうが子供もしあわせだろうし、自分もこれは楽なんじゃないかと思って鉄道の線路のほうに向って、親子で死んでしまおうということを考えたこともございます。それでも、やっぱり子供がどんなに障害があっても、少しでもしあわせにしてやらなくちゃいけないということで気持ちを取り直しまして、現在二十六歳で、家庭で療育いたしておりますが、その子供の二十六年の介護の中から、やはり重症心身障害児という者も、どんなに障害があっても、この子に命があるんだし、この命を何とかして守らなくちゃいけないし、しかもまた、この子供たちがほんとうに純粋に生きているこの姿を見ますと、私たちもやっぱり社会の方々の御理解をいただいて、何としても守っていかなくちゃいけない、そういう気持ちになりまして、昭和三十九年の六月に、私たちと同じ悩むおかあさん、おとうさんと手を取り合いまして、重症心身障害児を守る会を結成いたしました。おかげさまで、四十年に大会を開きましたあと国立施設が推進されまして、施設の数がどんどんふえてまいりまして、ずいぶんだくさんの子供たちが施設で療育されてしあわせになってまいりましたんですけれども、まだまだ問題が山積しておりまして、先日、東京の北区で七十六歳のおとうさんが、三十七歳の子供の首を絞めてしまったという悲しい事件が起こって、私どももたいへんショックを受けてしまったのでございます。きょうは対策が進んでまいりました推移と、それと対策が進むにつれて、ここに取り残されてきた子供たちと、それから今後のお願いなどをお話させていただきたいと思います。
 ちょうど私たちが会を結成いたしましたころは、私たちのように、知恵もおくれていて、からだも不自由だという両方ダブッている子供は精薄施設に入りたいと思いますと、肢体不自由があるからだめだと言われ、肢体不自由児のほうに行きますと、精薄があるからだめだと言われて、この子供たちには何の対策もなかったのでございます。当時島田療育園と、秋津療育園と、びわこ学園にわずかなベッド数がございましたけれども、あとはほとんどもう在宅でございました。またその当時の定義が、重症心身障害児とは、その当時の心身障害児対策に漏れた者を重症心身障害児とするということでしたので、重症児というのが寝たきりの子供と、それからいわゆる異常行動をする子供と両方が一緒に守る会の会員となって運動を続けてまいったわけでございます。そうして国立施設が四十一年に発足しまして、それで、まあ私たち、こういう非常に重い子供を、親の私たちが家庭で療育しますのにも、自分の力の限界を感じるわけでございますけれども、それをその施設にお願いした場合に、施設の建物でなくて、そこへ預かってくださる職員の方々にたいへんなお世話をいただくことになるので、国立施設ができた時点で、何とかその職員の方々の待遇を改善していただかないと自分たちの子供がほんとうに守られないのじゃないかということで、職員の待遇の改善という運動をいたしまして、昭和四十二年に職員の待遇改善が、ちょうどらい患者と同じぐらいにしていただきたいというので、三四%お願いしていたのですけれども、それが二〇%だけ調整号俸をつけていただいたわけでございます。そうして四十二年に施設も法制化されまして、その法制化されたときに重度の精薄と、重度の肢体不自由児が重複したものという者が国立施設に入れるようになったものですから、ここに動く重症児が残されるような形になってきたわけでございます。それで私たちはそのときに附帯決議をつけていただきまして、この重症心身障害児の周辺の子供たちも、いままでのように、重症児施設に収容していただくような附帯決議をいまつけていただいております。そうして現在施設の数が約八千床ちょっとこえておりますのですけれども、四十五年の十月に厚生省で調査してくださいまして、結局重症――ほんとうに寝たきりのような重症心身障害児の者が、おとなが四千人取り残されていて、それから子供のほうが約七千七百人まだ在宅で待機しているという調査が出ております。私たち親の立場から申しますと、ほんとうに自分で一生懸命育てて、そうして力が尽きたときに施設に入れていただきたいと思うのでございますけれども、昭和三十九年の対策が進むときに、すでに私の子供のように十八歳をこえているおとなの――これは私たちは年長児というふうに呼んでいるのですが、年長の子供たちがなかなか入所が困難でございます。実際問題、私自分のことになりますけれども、もう二十六歳になりますので、私よりちょっとこう背が高いくらいになりました。それでまあ毎日三度三度食事を食べさせますし、その食事ものどをうまく通らないものでございますから、何でもこまかくきざんでどろどろのようにして食べさせなくちゃならないのです。それを三回食べさせて、あとおしめはもちろんかえますし、床ずれができないようにしょっちゅう清潔にしなくちゃなりませんけれども、おふろに入れますのがなかなかたいへんなので、最近主人のほうが六十を過ぎまして、主人も老人のほうに入ってまいりましたものですから、二人でとてもおふろに入れられなくなってきたわけです。それで、こちらにおります看護婦さんや運転手の方々に月に一ぺんだけおふろに入れていただくということでやっとおふろを楽しむことができるわけでございます。で、あと子供たちがどういうわけですか、夜なかなか眠らないんですね。ですから、昼間ちょっと寝てしまって、夜と昼と取り違えるというんですか、夜起きているわけでございますから、私もつい夜中の二時ぐらいまでは相手になってやらなくちゃならないわけです。ですから、からだのほうもだんだん疲れてまいりましたし、もし種痘をしないで健康でしたら二十六歳になっていますから、当然就職してもう一人前になっているんでございますけれども、いまの私たちの立場ですと、老後の問題と、それと子供の一生の問題と両方考えなくちゃならない。で、その上に八十二歳の母がおりますものですから、何か家じゅうが老化現象が起こったような感じで、正直いま私どももいろいろ自分たちの問題として考えております。先日から何とか施設がもしどっかあったらと思って当たってみますけれども、確かに受け入れがむずかしくてはいれないので、この間のような、高根老人のような事件というものがもっと起こるんじゃないかと思って、私自身も非常に心配してるんでございますけれども、あと先ほど申し上げました動く重症児というのが施設にはいれないで残されておりまして、この動く重症児ということはどういう症状かとお考えと思いますけれども、港区にいらっしゃるおかあさんのお話を一例申し上げますと、この動く重症児というのは非常に異常行動をするわけです。何でもつかんで物は投げますし、お夕飯の支度をすっかりでき終えたときに、何かちょっと発作が起こるとそれを全部ざあっとひっくり返してしまったり、私も寝たきりの子供をかかえてたいへんだなと思いますけれども、あの動く重症児をかかえているおかあさん方よくやっておられると思うように日々日々たいへんでございます。で、その港区のおかあさんは、その子供さんがあるために御主人がちょっと愛人をつくられて、そしてその子供と二人でお家にいるわけですけれども、その子供さんが狭いところで手をしょっちゅうつないでないとどこへ行っちゃうかわかりませんし、それから部屋もかぎを締めるようにしていかないとどっかに行ってしまうものですから、狭いところにいるからよけいなんでしょうが、二階の窓から扇風機でも何でも道路に投げちゃうわけですね。それでほんとうにお人さまにも迷惑をかけるので、一体どうしたらいいだろうか、朝が来るのがつらいと言ってそのおかあさんも非常に青い顔をしておられます。そして子供さんが大きくなってきたものですから、おふろ屋さんに連れていかなくちゃならないのですけれども、その子供がもう大きいので、男性のほうのおふろにはいらなければいけないと言われるのですけれども、おかあさんがついていかなきゃおふろにはいれないし、それが許されないから、一体おふろどうしたらいいだろうかということでいろいろと悩んでおられて、こういう方はどっか施設にお願いしたいと思うんですけれども、こういう重い子供ほど何か施設の受け入れがむずかしいようになってまいりました。
 それからもう一つは、重症心身障害児の中でも重篤重症児というんでしょうか、鼻から管を入れて、そうして栄養をとって、その上にたんが年じゅうからまるわけです。うちの子もそうですけれども、非常にたんがからまりやすい、そのたんがからまりますと命を失うものですから吸疾器でたんを取ってやらなければいけない。全く医療なくては生きていかれないようなそういう重篤の子供たちなんですけれども、そういう子供たちがまだ施設に入れないわけです。それでちょっと肺炎を起こしますと、普通の病院に入院して、二週間も入院しますと十万くらいかかってしまって、年に三回繰り返しますと三十万くらいかかって、おかあさんも入院している間、やむなくホテルのさら洗いとか、いろいろな中小企業のお手伝いをしながらやっと生活を立てているという方もございまして、この間の九月九日に全国大会があって、そのときそうした子供をかかえたおかあさんが発表いたしましたけれども、その子供さんも九月二十一日にとうとうなくなられてしまいました。そのときにもおかあさんは病院に入れたいと思っても、やはり経費のことを考えるので、何となく病院にいれないでいるうちに息を引き取ったものですから、とても嘆いておられます。こうして私どもが取り残されている在宅の子供たちを助けたいという気持ちで、社会福祉法人を在宅事業としていただいて、そうして民間のあゆみの箱とか清水基金、自転車振興会、皆さんの御理解によって相談センターを世田谷の三宿に建てまして、いま取り残されている家庭を訪問したり、それから地方のほうに相談班を編成いたしまして、相談班はお医者さまとか、親の相談員とか、ケースワーカーとか、看護婦とか、そういう相談班を編成して地方に参りますが、これまた地方に参りますと、東京以上にもっともっとひどい状態で、行った相談員がみなほんとうに気持ちがめいってしまうと言って帰ってくることが多いのでございます。施設にはいれたお子さんはいいですけれども、施設にはいれないで、おかあさんが一生懸命かかえている家庭、親子に対しては、ホームヘルパーの方がちょっと来てくださるようになりましたし、自分が死んだときの扶養保険という制度ができましたことと、あと特別扶養手当が所得制限があってなかなかいただけないのですけれども、そのくらいで、施設の子供たちは、施設に入りますと 一ヵ月十何万かの費用がかかって、そして措置されておりますのが、在宅の子供はあまりにちょっとその差がひどいので、できるだけ施設に入れていただきたいのですけれども、いまいろいろの先生方のお話を伺うと、とにかく職員の問題があってなかなか施設も伸び悩んではいれないといういまの現実のお話を伺いますと、やはり在宅対策として何か一つ大きなことをやっていただきたい。そういう気持ちで今度の大会に在宅児のために療護費を支給してくださいという、これまたちょっと思い切った要望をさせていただいたわけでございます。せめて家にいる子供に二万円くらい、つまり特別扶養手当というのは、その経済を助けるという意味から特別扶養手当というのができたわけでございますけれども、療育する子供と施設に入っている子と同じようにいただくという意味で、療護費ということばを私たちの会で使わしていただいたのですけれども、せめて月に二万円でもいただいたら、どんなにか励ましになるんじゃないかということで、会で決議したわけですが、会のおかあさんたちは、在宅している子供にお金がいただけるということだけで、みな涙を流して感激しておりました。これは今後どうなるかわからないですけれども、ぜひそれをお願いしたいことと、それから在宅しておりまして、もし親のどっちかが病気したり、家族に病人ができますともうどうにもならないので、そういうときに緊急に施設でちょっとの間でも、入院している間とか病気している間だけでも預かっていただけるような制度ができたらと思って緊急入園というお願いもしているんですが、これは施設の先生方の御意見もありまして、なかなか思うようにいかないでおります。まあ、私もこういう子供をかかえておりまして、こんなものも言えない、それからからだも動かない、こういう子供たちを生きるしかばねというようなことばでおっしゃる方もございますけれども、私たちはこういう子供をかかえておりまして、この子供たちもことばは言えないんですけれども、目でものを言うと言うんでしょうか、ほんとうにいろんな表現をいたしまして、特に人の愛情というものを受けとめてほんとうに清らかな顔をしておりまして、動く重症児といわれるような子供でも私どもたいへん最近感激したんですが、あっちゃんという子供でうちのセンターでもうほんとうにどうしようもない動く重症児だったんですけれども、それがうちのセンターに通ってきてとてもよくなりまして、半年ぐらいたったころに自分でやっぱり親友、仲間をつくり出すわけです。お友だちができてとても喜んでその男の子に水を飲むと半分やる、おせんべい上げると半分上げる。その子に非常に心をかけておりましたのが、そのあっちゃんのほうがはしかを起こしてそうしてなくなってしまったんです。そのお通夜の席に仲のいい男の子をおかあさんたちが連れてさましたら、ものも全然言えないその男の子がお通夜に飾ってある写真を近寄せてほおずりをしたということがございまして、私どもとても感激したんでございます。そういうふうに非常に重い障害があっても何か人間として生きるというものをとてもいろんな角度から教えられますので、私たちもこういう子供を何とか皆さんの力で守っていただきたい。弱い人間が守られる社会がほんとうにしあわせなんじゃないだろうか。そんなことをいつも考えさせられております。
 以上、失礼いたしました。
#5
○委員長(矢山有作君) どうもありがとうございました。
 次に、小林参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(小林提樹君) 小林でございます。失礼いたします。
 ただいま北浦参考人から御意見がいろいろ述べられましたが、私も大体同じようなことを重複して申し上げるような点が多いことになりそうですが、施設を経営しておるという立場から多少とも違った点などを申し上げ、あるいは強調すべき点などもう一度繰り返して申し上げさしていただくかもしれないと存じます。
 お手元に配付されておると思いますが、「重症児問題の推移」というリコピーがございますが、これをちょっとごらんいただきまして「施設整備」の最初の項目に昭和三十六年島田療育園とございますが、五十床というのが初めてここに生まれております。その当時のことからちょっと歴史的なことを申し上げるようになりますけれども、今日のある姿というものは、こういうものを踏まえて生まれてきたということから、簡単ながら少しことばをつけ加えさしていただきたいと存じます。
 島田療育園ができましたときには、なぜできたかという、この問題は、児童福祉法というりっぱな法律があるけれども、現実的にはどうしても漏れる子供がある、そのためにこの島田というものが生まれたわけであります。それでそのときの目標は、福祉法の施設で取り扱い得ない、あるいは拒否される、あるいは収容がうまくいかないという者を、何でも漏れる者は受け取りましょうというのが最初の方針でありました。こういうところから始まったわけですので、現在それがまだ尾を引いておりまして、もう十年からたちますけれども、最初に入ったそういう子供たちがまだおりますということから、内容的には非常に複雑なものになってしまっております。それから先ほど北浦さんからのお話も出ておりましたけれども、次官通達が三十八年に出ておりまして、ここである程度のワクがはめられました。と申しますのは、どういう子供を収容するのかという一つの規定がここに出てきたのでございます。ことばをかえて、私のほうから申しますと、結局リハビリテーションに値しないものはこの子供たちであるというふうな解釈があの当時はなされたのであります。それから次に児童福祉法が改定になりましたのが、これが昭和四十二年でございます。で、この法によりまして、重度の肢体不自由と重度の精薄とあわせ持った重複障害を重症心身障害児という規定になりました。
 そこで、ちょっと重度の肢体不自由というものはどういうものかを一言申し述べさしていただきますと、たいへん肢体不自由が重いということの現実は、簡単に申しますと、ほとんど歩くことができないで、いざる、あるいは寝返る、あるいは寝て移動をするくらいの程度のところが関の山であって、なかなか歩くこともうまくいかないというのがここの重度の肢体不自由と一言に解釈していいと思います。それから重度の精神薄弱と申しますのは、客観的には知能指数三五以下というふうになっておりますが、この精薄の段階もなかなか日常生活が自立できないという重さになっております。それで一つ一つそれを分析して考えてみますほかに、今度はもう一度その両者が重複しておるということを考えてみますと、一体どういう子供になるであろうか。これはたいへん悲しいことに、実に社会復帰はもちろんのこと、日常生活においても非常に介護を必要とするという段階でありまして、先ほどことばが出ました生けるしかばねということばがありましたが、それに似たような状態、いや、うかつに見ておれば生けるしかばねといってもいいような状態、こういうものがこの中には大部分を占めるような状態でございました。こういう重い重症心身障害児ということばで一括されました障害児は、ここで一応政府の御努力によりまして、四十一年からは国立の施設もでき、また民間の施設もだんだんふえ、そして年ごとに非常な勢いで施設はたくさんに数をふやしていただいたのであります。そして、その収容児の数もたいへん多くなりましたが、推定の日本におります重症心身障害児の数から考えますとまだ半分、まあ半分ちょっと満たないような数が収容されておる状態でございます。昔、重症心身障害児の問題が、たいへん国立の施設ができて、そしてわれわれ希望をたいへん持ちましたその時代におきまして、昭和四十九年までには収容すべき者は全部収容してしまうんだというふうな、たいへんうれしいおことばを大臣のお口から承ったことを記憶しておりますが、まだそこへはなかなか到達しないという現状であります。
 で、そこへ到達しないという現実を考えます裏には一体どういう条件があるのか。これをわれわれ施設を運営しながらしばしば深刻に考えさせられることですが、現在、空席を持っておる施設はないとはいえない、どこも空席を持っておるというふうな現実になってきたのであります。特にそのことは民間の施設においてはたいへんはなはだしいことで、民間の施設においては一人入ればそれだけ収入が多くなるという非常に当面の問題をかかえておるのにかかわらず、なかなかその空席を埋めることができないという現実にあるのであります。
 そういうことを考えてみますと、一番のネックになっておりますのは、職員の問題であります。どうしてこの職員が集まらないのか。これはこの仕事の性質もありますが、労働ということの考え方から非常にきびしいものがあるということもありますけれども、もっと大切なことは、この仕事をどういう考え方でするかというような非常にむずかしい問題をひそめております。そうしたことはどこでも教育されるものではありませんでしたので、つとめる人たちはなかなか長く続くことができない。そこでお願いをしまして、だんだんと俸給のほうも調整額がふえるようなことになり、ここに書いてあります重症児指導費は最初の五十五円六十一銭から現在は一千百六十八円という非常に大きな数にまでのばしていただきまして、そして職員の待遇という問題をここに御考慮をいただいてまいったのでありまするけれども、なお、しかもこれでも職員はなかなか定着できないし、それから募集することも困難だという実情にあるのであります。
 職員の中でどういう職種のものが一番むずかしいかと申しますと、医療関係の人々、まず第一に看護婦、それから医者であります。医者も看護婦も日本的に数がたいへん少ないので、そんなぜいたくは申し上げられる立場ではございませんけれども、この子供たちを守るという立場からいたしますというと、ぎりぎりの線で守らなければならない。あるいはもう、それよりダウンした線で守らなくちゃならないということは、この子供たちを守りきれないというところになってくるのであります。現在、そういう線にあっちこっちで追い込まれつつあります。そういうことがつまり逆に申しますと、建物は建ちましてりっぱにできておりますけれどもあちこちにあき家がある、こういうことになっておるのであります。大体一割近くは日本的にあき家になっておると思います。最もひどいのは私のところのご島田療育園でありまして、約三割があいております。まことに申しわけない、管理者の立場として何ともお恥ずかしいことであり、責任を感じますけれども、どうにもこればかりはしようがない。私がさか立ちをしてやる分には、できることは医者の立場で医療はいたしますけれども、看護婦のかわりになって看護をするということはとてもとてもできるものではございません。現在、私のところでは医療法に従いますと医者の数は十二人からおる必要があることになっておりますけれども、現実には本日は四人しかおりません。東京都庁のほうからきついお達しを受けて、これをどうするのだというふうに詰め寄られております。私自身としては、この解決策はもうお手あげでございます。けれども、子供の医療という問題については四人であっても十分できるような努力は続けておるつもりであります。看護婦の問題につきましてはたいへん頭数を必要とすることでありますので、医療法に従えば四人に一人という数が規定されておりますが、とてもとてもそこには及びもつかない現実で、これは何とか政治的にあるいは行政的にこれを解決していただきたいと実は強く念願いたしておるものであります。そうした解決の問題点としてもっと具体的なことは何があるだろうかと考えますとまず俸給の問題、待遇の問題だと思います。このことは先ほど北浦さんからもちょっとおことばが出ましたが、こういうところをしていただいたならば、しからば看護婦は十分集められるかということをおっしゃられてもたいへん困ります。自信がございませんけれども、けれども少なくも一つの解決の条件にはなり得るのではないかと、そういう気持ちがいたします。看護婦問題のところはたいへん重要な問題で、私たちあるいはこれをもっと違う自分でできる努力によって何か開拓できないかということを考え、努力をしておりますが、そうした考えの中に、ひとつ看護学院をつくったらどうかというような考え方も起こりました。けれども、総合病院ではないという悲しさで、それがなかなか進められないということでつまづきました。なお、われわれ日本じゅうをかけめぐりまして、看護婦募集に努力をしておりますが、やっぱしわれわれだけの問題ではなくて、日本的な問題であるために、あちこちで募集の人たちにぶつかるわけなんです。ああ、あなたにまた会いましたねというような、こういうふうな現実をしみじみと身に味わわされて、これは、まあお互いに日本の国内で同じことをどことも争いをしておるような感じが強くしまして、これは何か抜本的な対策をぜひお願いいたしたいという気持ちを強くするものであります。
 次に、先ほど北浦さんのほうからもお話が出ました動く重症児といわれる子供のことでありますが、島田療育園というのは、そういうふうなことで出発し、そしてまいりましたために、いまの定義に当てはまらない子供が初期にはわんさといいますか、たくさん入ったわけです。そしてあるいは長いことやっているうちに発達が伸びてきて、重症児の域を脱するという者がだんだん多く出てきております。で、そういう者をかかえておりまする関係上、現在の考え方の重症児施設ではやっていけないという者が生まれてきたのであります。そこで、私のところの子供たちを一応分析してみますと、まず、四十二年の児童福祉法改正によって定義づけされた標準的な重症心身障害児、それから、それとはまた別な形で、ちょっと先ほどもおことばが出た、重篤重症児とわれわれ言っておりますが、たいへん重い、生命を保つのにたいへん努力、医療管理が濃厚でなければだめだというふうなそういう子供たち、これはむしろ大学病院のような大きいところでもって手当てをしてもらっていただきたいと思うことですが、いまは逆に大学のほうから、こういう者はいつまで生きてくれるかわからないから施設でもって取り上げてくれといって、われわれのほうへ回されてくる次第であります。
 この重篤重症児という子供、それからいまの標準的な重症心身障害児、それからもう一つ今度は歩けるどころではない、飛んで歩くような、しかもその裏には異常行動を強く持っておるいわゆる動く重症児という、こういうタイプ、ここに三つのタイプをわれわれ分類できるのでございます。それで、おのおのに対する対策のしかた、処遇のしかた、処置のしかたというものは、ここにありますたとえば、医療の問題でいきますと、医療管理はどこに重点があるか、それから医療ではなくて介護的な管理はどこに重点があるか、こうおのおのその三種類によって違うわけです。それでそういう三種類のものが一つの重症心身障害児という施設の中におるということで、実は経営上非常に混乱を招いておるわけであります。そういうことから、この動く重症児問題というものが別個に登場してまいりまして、この守る会がそのためにいろいろあっせんの労をとり、やっていただいたことでありますが、今日一応の筋道は生まれまして、現実とはちょっとまだ離れておるかもしれませんけれども、小児精神病院、それから精神薄弱児施設の重度と、それからもう一つ重症心身障害児施設、こういうふうな三つの場所においてこういう者が取り扱われ得るというふうな形がはっきりと示されるようになっていきまして、今後それに対する行政がさらに推進されることを大いに期待しておることでございます。
 時間がございましたら、最後に、私のほうで取り扱っておりまする異常行動のある子供を一人映画でお目にかけたいと存じております。と申しますのは、こういう子供は百聞は一見にしかずで、お話ではどうも通じない。それでごらんいただくのが一番いいんですが、現場に御案内するのはなかなかたいへんでございますので、幸いに一本だけ映画がございましたので、それを通してごらんいただけたらと思います。しかし、この同じ動く重症児と申しましても、非常にピンからキリまでというような幅がありますので、これが一つの典型的なものであるとか、すべてがこういう形のものであるというふうにおとりいただきたくないのでございます。ただ一つの例としておとりいただけたらありがたいと存じます。
 私たち、こういう問題に取り組んでもう長いこと経過してまいりましたが、現実にこういう職場で働いておりながら感じますことは、弱い者を助けてあげるというふうなそういう気持ち、そういうことをこの子供たちがわれわれに教えてくれているような気持ちがしてならないのであります。これを福祉の精神と言っていいのかどうか迷いますけれども、とにかくこの子供たちの命を守るということ自体がわれわれのなすべき非常に大きな義務であるとともに責任でもあると思うんですが、その命を守る現実の場をかかえまして、いつもこの命が大切にされるという、そういう思想がわれわれ一ばいだれもが持っていただきたいという気持ちをこの子供たちからくみ取れると思うんであります。毎日毎日たいへんな事故が起こっておるその底にある問題点は、いわばその逆の人命軽視ということから始まっておるんではないだろうかと、そういうことを思いますときに、この小さい命を大事にしてあげるということは、こういう福祉に連なる大きな課題を投げかけてくれると思うんであります。そういう考え方で私たちこの障害児をみとりしながら今日までまいりました。どうぞ先生方もよろしく御批判くださるとともに、さらによい進み方ができまするようにお願いをいたしたいものでございます。
 どうも失礼をいたしました。
#7
○委員長(矢山有作君) どうもありがとうございました。
 次に、松島参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(松島美智子君) 私は守る会の看護婦をしております松島でございます。
 私たちは守る会の診療部門で在宅児のために診療相談と、それから通信相談とか、それから巡回相談、それから家庭訪問相談なんかをやっております。そのほかに通園なんかも行なっておりますけれども、まあ通信相談というのは遠いところの方にお手紙でとか電話でいろいろなことを聞いてこられるのに相談に乗ってたりしますし、それから巡回相談と申しますと、いままで来ましたのでは北海道とか、それから沖繩だとか行っております。それから家庭訪問相談でございますけれども、家庭訪問相談は、お家にいられてほんとに重篤な方とか、それから年長者の方のお宅に伺って、訪問をして、いろいろ御相談に乗っております。
 そのような仕事をしておりまして、いろんなおかあさん方にたくさんお会いしておりますけれども、ほんとにもう夜も十分に寝ないで子たちの命を必死に守っていらっしゃる姿をいつも見せていただいているんですけれども、どうぞよろしくお願いします。
#9
○委員長(矢山有作君) どうもありがとうございました。
 ちょっと速記とめてください。
  〔午後一時五十八分速記中止〕
  〔午後二時四十三分速記開始〕
#10
○委員長(矢山有作君) 速記を始めて。
 それでは質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○大橋和孝君 ただいまいろいろ御説明を聞いたり、またスライドなり八ミリを見せていただきまして、たいへん深く感銘をしているところでございますが、この社会福祉の確立がほんとうにいまこそ各方面で強く叫ばれておる。ことに、長い間重症障害児・者を介護していらっしゃる家庭が長年物心両面で非常に苦労されて、そしてついに労苦に尽き果ててしまって障害者を死に至らしめたりという事件が相次いでおるいまの社会情勢でございまして、いろいろな施設なり、その衝に当たっておられる方々のお気持ちを聞きますと、非常に胸に刺される感じがいたしておるわけでございますが、本日のこの委員会ではこういうような問題について、まあ時間の関係がありましたので、十分にお聞きすることはできなかったかもしれませんけれども、私はここで理事者のほうに対して、ひとついろんなこういう問題を、ことさらいま問題を取り上げてひとつ考えてもらいたい、こういう点で一、二質問をさせていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 ことに入所者に対する措置費として、入所者にはある程度されておりますけれども、特に在宅の方々に対しては非常にまだ配慮がされておりません。あるいはまたホームヘルパーの要員の確保につきましても、いままでから何度もいろいろとこういう委員会を通じて質問をさせてもらったんでありますけれども、なかなかこの絶対数の不足というものが増加されないというままになってきているわけであります。この施設の入所の問題も、先ほどからお話を聞きましても、一万何ぼもありまして、わずかその半分以下しか収容されていない、こういうような状態を見ますならば、非常にいまの日本の経済、あるいは日本のこのような状態から考えますと、こういう人たちにもう少し手厚くしなきゃならぬということが非常に各方面から言われながらも、なおなおまだこれがいっていない。こういうようなことを考えますと、ほんとうに私はたいへんな問題だと思いますので、少なくとも政府のほうにおかれては、やはり在宅の方々には養護費というか、この支給の道を開いて、当然一ヵ月に二万円ぐらいの介護料なりを家族が希望していらっしゃるようにお出しするべきじゃないかというふうに思うのでありますが、こういうことに対して今度の予算措置あたりにはどうお考えになっておるのか。その辺のところをまず養護費の問題についてお考えを聞いておきたいと思います。政府のほうでおいでになっていると思いますから、家庭局長なりあるいはその衝の人からひとつ御答弁をお願いいたします。
#12
○政府委員(穴山徳夫君) 来年度の予算要求につきましては、この養護費の問題につきましては実は予算の要求には入っておりませんし、在宅対策につきましては、従来の線の充足ということでいろいろ考えているわけでございますが、率直に申しまして、来年度予算にこの養護費については入っておりません。
#13
○大橋和孝君 これはたいへんな問題でして、あなたも御存じのように、もう非常に尽き果ててその人を殺してまた自分もなくなる。また、介護する各家庭の人が、いまのお話にもありましたように非常に年長になって、もういつ死ぬか知れない、あとのほうがどうも心配だということで、そういうことになろうとしている。いまのことを考えてみますと私はこれは非常に大事なときですね。そういう実情が起こってから言うわけじゃありませんけれども、いままでからいろいろそういうことは申し上げてきたけれどもそういうことができないわけですから、私はこの時期に少なくともやればできぬことはないと思うわけですから、何かの形でひとつやってもらいたい。ちょうど大蔵省のほうからも来てもらっているはずですから、ひとつ大蔵省のほうでもこれは十分取り上げていただいて、何とかこういう重症な人に対しては措置をとるという方向を出してこういう時期に取り上げていただかないと、やってます、やってますと言って実際はまだ半分も収容されていないわけですから、そういう人たちの中で一体どういうふうにされているかということをひとつ考えてもらわなければならぬ時期だと思いますが、その衝の家庭局長のほうから、あるいはまた大蔵省のサイドからもこういう問題に対して特に考えていただきたい。私はこれを強く要望したいと思いますが、この点について大蔵省のほうもちょっと御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
#14
○説明員(渡部周治君) 重症心身対策は、非常にお気の毒な家庭の問題でございまするので、政府といたしましてもこれにつきましては十分の配慮を払いたいと思っているわけでございます。具体的な内容の点につきましては現在われわれはまだ事務的に検討しておる段階でございまするので、その内容の詳細につきまして御説明を申すだけのまだ検討は進んでおりませんが、いずれにいたしましても、厚生省とよく相談いたしましてできる限りの配慮をしたいと思います。
#15
○大橋和孝君 特に、そういう意味では、こういういろんな事象が起こっておりますので、ただそういうことが起こったというだけで見のがしておいてはいけないような感じがいたしますし、いまの施設の実情、あるいはまた八ミリなりを見せてもらって、やはりこれはその施設の中でも非常に問題があろうと思いますし、特に在宅患者に対しましては、ほんとうにこれは疲労こんぱいというか、経済的にもあるいはまた肉体的にももうこれが耐えかねると。入れてもらいたいけれども入れてもらえないというこういう状態を見ますと、いまの在宅者に対しての少なくとも手当てを何とかしてやる、これはもう緊急の問題だろうと思いますから、これを機会に何とかひとつ話を進めていただいて、そういう方々を救えるような一つの方向を出していただきたいということを強く要望したいと思います。これは大臣にもおいで願って特にお願いをしたいと思いますけれども、政務次官もおいでくだすっておりますから、どうぞこの由を大臣にもお伝えしていただいて、そして大蔵当局とも話を詰めて、何とかこれはひとつ問題にしていただくということを、特に次官のほうにお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
 それから、この施設の中につきましての職員の問題ですが、いまちょっと見せてもらってもつくづくそう思いました。なかなか大きい方の、そして非常に手当てをするのにはこれはたいへんだと。またほんとうに動く重症心身障害児・者ということになれば特にこういう方々も、また動けない人をおふろに入れたりあるいはまた御飯を食べさせたり、こういう仕事をやる。それが、手がおくれれば褥瘡なんかも起こってくる。まあいろんなことがある。いま見せてもらったわけでありますが、そういう点から申しますと、昭和四十五年の十二月に中央児童福祉審議会で、重症児の施設における直接介護に当たる職員の数を収容児に対して一対一とすると、これが望ましいということであるが、少なくとも一・五人に対して一とする。こんなことも要望が出ているわけでありますが、こういうものも考えて見まして、どうかひとつ、収容児の成長に向かって介護するところの職員の負担は増大するのでありまして、実際を聞きますと、さきにもお話がありましたように、腰痛症が起こったり、流産や早産が非常に多いとか、そういうことによって看護、介護の内容も非常に低下しておると、こういうようなことでありまして、いま実際の状況を聞いてみますと、やっぱり二対一前後に職員が確保されるのが精一ぱい、あるいはまた、その確保がないために収容ができない。こういう状態が起こっているわけですから、せっかく収容施設ができて、そしてまた収容してもらいたいという人たちが相当あるのにかかわらず、これが十分に収容できないでおる。こういうような状態では非常に私は問題があると思うんです。これはお医者さんの問題もあろうし、看護する看護婦さんの問題もありましょうし、あるいはまた補助者の方々の問題もございますけれども、どこに原因があるんだということをもっと考えてもらって、こういうことに従事する人たちが、精神的にはこういう気の毒な人たちに対して何とか奉仕をしようという気持ちは持っておってくださるわけですけれども、どこまでも奉仕ばかりではいけない。看護婦さんなんかのことを見ましても、もう毎年四万人に近い看護婦が新しくできるけれども、ほんとうに看護婦さんとしてやってもらえるのはその半分も定着をしない。やめて看護婦さんの業務をやらないというのがいまの現状であります。あるいはまた、ことに重症の施設に行く人は非常に少ないといわれる。というのは、やっぱりそこらの人たちの待遇なり、あるいはまたその充足数なり、あるいはまたその一対一ぐらい、あるいはまたそれ以上――ほかの国あたりでは〇・五六人ですか、に対して一人ぐらいのあれが必要だ――これは自治体あたりで現場の労働者から、働いている人たちからの声を聞くと、児童が〇.五六人に対して一人ぐらいの保母なり看護婦さんの要求が出ているわけですが、これは実際現場ではそれぐらいきびしいものだと思うんですね。ですから、そういうことを考えてみますと、やはりこの潜在の看護婦さんたちが十分に働けるような職場環境あるいはまたそういう施設、そういうところに対して、そういう看護をしたりあるいはまた介護をしたりする人たちの休まるような待遇改善、そういうようなことが行なわれなけりゃ、もうとてもこれは言うべくして行なわれないもんだというふうに痛感するわけであります。こういうことに対して局長のほうも、もう少し具体的に考えて、そして、そういう方々が補充できるような方法を具体的に考えたらどうなのかということを――もう、まあいろんなことは施策は考えておりますけれども、なかなかそれがうまくいっていないと言っているような時期じゃないわけですね、いまのような状態を聞きますと。ですから、それを具体的にどうお進めになるのか、何かそこらのところの抱負をひとつ聞いておきたいと思います。次官のほうも、ひとつこれは大臣に、そういうことに対して詰めてもらうような方法を打ち出してもらいたいと思います。
 まず、局長の御意見を……。
#16
○政府委員(穴山徳夫君) 現在の問題につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたような問題のとおりでございまして、実際に私どもも、最近のいろいろな悲しい事件が相次ぎますので、この問題につきまして解決していくには具体的にどういう点を一体是正と申しますか、あるいは充足と申しますか、していったらいいのだろうかということについて、私どもも真剣に検討しているつもりでございまして、先ほどお話がございましたように、この問題については、施設についても在宅についてもいろいろな複雑な問題がからんでいるわけでございまして、それの一つ一つを解きほぐしてやっていかなければいけないと思うわけでございます。いまここでもってすぐに、こういう施策でということは、まだ検討の段階で、はっきり申し上げられないのは申しわけないと思いますけれども、とにかく私どもも、ただいま、何とかしてこの問題については前進させなければいけないということで真剣に取り組んでいるつもりでございます。
#17
○委員長(矢山有作君) ちょっと関連してお伺いしますがね。どの点の充足が必要かということでいろいろ検討しておるという話ですが、この問題は何もきのう、きょう始まった問題ではないんで、長年、守る会等を中心にこの要求があったことであろうし、それに応じて厚生省としても従来検討を続けてきたことだろうと思うんです。私は、きょうの参考人の方の意見を聞いておりましても、やはり問題点というのは、施設の整備をどうするかという問題、職員の確保をどうするかという問題、あるいは、養護費に象徴されるようなそうした経済的な援助をどうするかという問題、これらに大体大まかに言って集約されると思うんですね。だから、いまさら、どういう点の充足が必要なのか検討するというんでなしに、そうした問題点が出されたわけだから、それによって、どう対処するかという厚生省側の見解が示されぬと、いつの場合の委員会でもそうだけれども、ナマズ問答で終わっちまうんです。その点を、きょうの参考人の意見発表なり、あんた方が従来検討してきた実績を踏まえて答弁をしてもらわぬと、何のために委員会をやっているのかわからなくなるのだけれどもね……。
#18
○政府委員(穴山徳夫君) たとえば、先ほどの施設の問題で一番大きな問題は、看護婦の不足、これを確保するという問題でございます。それで、ただいま私どもが措置――措置と申しますか予算で考えておりますのは、重症心身障害児・者の施設はこれは医療機関でございまして、収容児に対しての費用というのは、医療機関として医療費として請求をして支払いを受けるという形になっております。で、看護婦の問題は、結局その医療費の中で看護婦というものはまかなわれていく。これは一般の医療機関と同じ問題でございますが、看護婦について、一体どうやって確保していくかということは、これは看護婦一般の養成の問題、あるいはほかの医療機関と共通の悩みの問題があるわけでございまして、それで、ただいま申しましたように、看護婦のこういったような問題をどうするかという問題があるわけでございます。ただ、普通の病院と違いますことは、この重症心身障害児の施設には、これは、先ほどこの資料にも御説明がございましたように、重症指導費という、まあ一種の措置費のような費用の加算を私どもがやっているわけでございまして、この費用で保母なり指導員なりの充足ができるようにということで加算をいたしております。したがって、一つは、私どもとしては、こういったようなものをさらに充実していって、いわゆる保母なり指導員なりの充足をはかっていかなければいけないということで、これは来年度の予算にも、まあ現在もうすでに予算に計上されておりますけれども、さらに充実をはかっていきたいということで、予算上は考えているわけでございますが、もう一つ、問題は、結局、保母とか指導員の問題とあわせて、医療機関の面としての看護婦の問題が入ってくるわけでございまして、これは、まあ私どもだけのサイドというよりは、むしろ、全般的な医療機関のいわゆる医療関係者の充足の問題ということにからんでまいりますので、私どものサイドだけで解決することができない問題ではございますけれども、やはり、厚生省としては、全般的な医療機関と医療関係者の確保という問題については、これは大いにまっ正面から取り組んでいかなければならない問題だと思います。これは私どもとしても、やはりその一翼をになうものとして当然がんばらなきゃいけないと思います。
 それから、くどいようでございますけれども、先ほどの看護婦以外の直接処遇に当たります指導員とか保母とか、そういったような人たちの充足につきましても、先ほど申しました重症指導費というようなものの充実によって考えていきたい、こういうように考えているわけでございます。
 施設の増床につきましては、これは緊急整備五ヵ年計画がございまして、ただいま二年目を迎えております。それから今度の補正予算では、補正予算の中にこういったような施設の増床の費用も補正として組み込みまして予算を計上いたしまして、そういうことで、できるだけ緊急整備五ヵ年計画もなるべく早く整備がはかられていくようにということで努力をいたしているつもりでございます。
#19
○委員長(矢山有作君) もう一つ、関連ですからこれでやめますが、あなたの答弁を聞いていると、全く大臣答弁なんだな。問題は、切実に要求されている施設整備を具体的にどう早めてやるのかという問題です。これは、だから厚生省がそのテンポを速めるために、積極的に大蔵省に対してどれだけの予算要求をやるのかという問題になってくるわけです。これはあなたのところの責任なんです。
 それから職員の確保の問題にいたしましても、職員が得られないという問題。この問題、一つは、やはり先ほど御指摘のように、労働条件の問題になってくると思う。そうすれば、一体、民間の、一般の、その他の労働条件と、こういう施設の職員の方の労働条件はどういう実態にあるのかということは、あなたよく御承知のはずなんです。それを知らないでやれないわけですからね。そうしたら、そのときに、その労働条件を、賃金問題を含めて解決するためにどうするのかという、それはあなたのほうで具体策が出るはずなんですよ。そういったものをどしどし具体的に出して、予算要求として取り上げて持っていかぬことには、どうしようかと思って考えているんだ、何が問題かと考えているんだ、そんなことばっかり言っておったら、福祉優先と言いながら施策は進まないわけです。ですから、そういうようなとらえどころのない答弁というものは今後はやめてもらって、もう少し質問に対して的確に答えられるような検討をあなた方のほうで積んできてもらいたい。私のほうは、きょうは参考人の方に来ていただいて御意見を聞いているわけだから、これ以上私は申し上げませんが、今後のここに出ておいでになるあなた方のかまえとして、そのことを強く要求しておきます。
#20
○大橋和孝君 いま委員長のほうからもお話がありましたけれども、私、先ほどちょっと例を示して申し上げた、たとえば自治体の現場でやっている人たちからの意見としてあなたのほうに出ているわけですね。こういうところで働いている方に対して看護する保母さんとか、看護婦さんの数を、そういう児童なり者なりの〇・五六人について一人ぐらいは必要だということを言って要求しているわけですね。これは取り上げる意向はあるのですか、ないのですか。具体的に……。
#21
○政府委員(穴山徳夫君) 先ほどちょっと御説明いたしましたが、いわゆる重症の指導費というものの加算によりまして、結局一・五対一が確保できるようにということで来年度は予算の要求をいたしております。
 それから、先ほど委員長からお話ございました、私がちょっと落としましたので申しわけなかったんですけれども、労働条件と申しますか、処遇の改善の一つとして来年度新しく要求しております一つの問題として、いわゆる有給休暇なり、あるいは研修に行くために従来はそういったような措置がしてございませんでしたので、なかなか休暇もとりにくい、あるいは研修にも出にくいというような問題があったわけでございますけれども来年度は、措置費の中に、それについての何と申しますか、穴埋めができるような費用を計上するということによって、そういったような処遇改善というものをはかりたいというようなことも来年度の予算の中では考えているわけでございます。
#22
○大橋和孝君 それは、まあ先ほどから申し上げておるのですが……。
 特別措置費としてつけているというのが、そういうことができるような背景があれば、それが非常に効果としてあらわれてくるでしょうね。物価は高くなっているし、あるいはまた、このようないまの推移をずっと見てみますと、少々それを上げたことは、物価上昇だとか、あるいはその他、生活費の向上のために、消えちゃっているのが現実ですね。
 それから、私は、特にここで申し上げたいのは、労働条件でも、ソビエトあたり見てみましても、そういう困難なところに働いている人は年に二ヵ月なら二ヵ月、一ヵ月なら一ヵ月、ソチならソチのほうへ行って療養しなさい、そういうことができるような従業員に対する年次休暇のかためてのとり方なんかもしているわけですね。だから私は、もしそこらのところを充実しようと思えば、そういう条件をつけて、そうしてやはり腰痛症やら、流産やら、あるいはまた早産やら起きやすいような状態にあるということになっているわけだから、そういう方々にはせめて年のうちに二ヵ月なら二ヵ月、一ヵ月なら一ヵ月、かためてどこかでそういうことができるような――それは、あなたのおっしゃるように、研修も含めてもいいでしょう。いろいろなことで、そういうことから、そういう苦しい、からだに故障が起きるような条件から少しはずして、そうして勉強もしながら、あるいはまた静養もしながらということができるような条件ができておったら、やはり私は、またそこでそういうところに入ってくる人もふえてくる。いまのような状態で、わずかの措置費をやって、そこの中でそれが解決されるだろうというふうな甘い見方自身が、それは現状に即していない、私はそう思うわけです。こういう意味のことは、やはり私は、厚生省でもこういうふうにすっかりと考え方を変えてもらう必要があろうし、また大蔵省のほうにおきましても、こういう問題に対してはどういうふうにしてそれを措置していくかという、その支援もしてもらわないと、厚生省と大蔵省が一体になってやってもらわない限り、そういうことはできないと思うのですけれども、せめて――せめていまこういうような状態が起こっているときだから、こういう重症心身障害児・者の施設に対しての、その看護なりあるいはまた看護要員、保母さんなんかに対しては、かくかくかくかくをするんだというものをひとつ打ち出してもらったら、これが、一つはまた非常に社会保障の前進にもなるし、またそういう従業している人たちに対する掘り出しにもなる。東京都あたりは、潜在看護婦を何とか掘り出すために、直接に独自で呼びかけたりしておりますね。この辺の問題なんかを考えてみると、私は、やっぱりそういうことを呼び出すためには、裏から政府がこういう裏づけをして、少なくともまず重症心身障害児・者だけでよろしい、一ぺんそれをひとつやるというだけのことでもできませんか。これに対して、厚生省のほうとそれから大蔵省のほうの考え方を、ひとつこれだけでも焦点を合わせてやってやろう、こういうことにならぬかどうか、ひとつお聞かせください。
#23
○政府委員(穴山徳夫君) ただいま、予算の要求は、すでに大蔵に出しておりますので、その中には不十分ではありましてもいろいろと要求はしているわけで、私どもとしては、それをできるだけ予算として現実のものにしていきたいというように考えているわけでございます。
#24
○説明員(渡部周治君) 重症心身児対策につきましては、在宅対策、それから施設の対策、いずれも非常に重要な問題でございますと同時に、それを相関連せしめながら、どのように根本的な問題として解決をはかっていくかということであろうかと思います。
 で、具体的な施設の問題につきましては、要員の確保の対策というのが非常にネックになっておるということはわれわれも十分存じておりまして、従来から処遇の改善なり、あるいは定数の改定ということで対処してまいっておりますし、そのほかいろいろの手段につきまして厚生省のほうから現在御要求が出てまいっております。こういう点につきましては、全体の予算の編成の過程におきまして――しかしながらこの問題につきましては重点的な配慮をやってまいるという所存でございまするが、具体的内容としてどういうことを考えておるかということにつきましてはまだ検討中でございまするので、十分厚生省と協議いたしまして、できる限りの配慮をしたい、かように考えております。
#25
○大橋和孝君 私がいまこの重症心身障害児・者だけの対策として、ここに働いている人の待遇を改善する意思ありやなしということを申し上げているのは、こういう実例もあるのです。その実例についてお話ししましょう。具体的なこの実例といたしましては、これは私もタッチした問題ですので、ひとつ聞いてください。
 この国立の神奈川療養所に本年重症心身障害児を入れることになったんで、東京都において二十名のワクが割り当てられたと、こうなんですね、御存じのとおりだと思うんです。
 私のある知人に鈴木重男さんという人がいらっしゃるが、そのむすこさんが、名前は隆さんというんですが、これは十五歳の障害児で、やっとこの二十名のワクに入れてもらったわけです。それもなかなか入らぬというやつをだれか一人遠慮される人があって二十名のワクに入った。ですから、これはことしは入れてもらえるといって家じゅう大喜びし、それからまた福祉協議会ですか、そういうところにも非常に喜んでお礼に行った、こういう状態でこのワクに入れてもらったことを喜んでおった。ところがこの神奈川の療養所の人手がないという理由で今度は、実際は十五、六名しか入れない、こう言って断わられた。せっかく喜んでお礼にまで行った、その二十名の中に入れてもらった大喜びの人が、今度は人手がないからと言って断わられて、とうとうその施設に入れない。東京都はそのような形でもって、考えてみるならば、人口はまあ日本の十分の一あるといわれているんですから、やはりこれは東京都の中で――やはり七千七百名の在宅のその重症心身障害児があるとすれば、七百七十名東京にあると考えていいわけですよ。そうしていったときに、私はわずかな二十名のワクしか持っていないというところに問題があると、これが一つの問題点です。何で二十名にきめにゃならぬか、もう少し東京都がそういうような割合であるとするならば、東京都に二十名のワクをかけずにもっと入れてやったらどうなんだ、入れてやるべきじゃないかという感じもいたします。
 それからまた同時に、この二十名の中から、いま言うような施設の人がいないから、保母さんや看護婦さんがいないから十五、六名しか入れられませんという状況で、この人はオミットされてしまったと言って非常に嘆いております。こういうような実情を見ますとですね、私は、措置費を要求しましたから、あるいはまたあれをしましたからと、いままでのような答弁だけではいけない時期にきているんじゃないかと思う。だからして、この重症心身障害児・者のこの施設に働いている人だけでいいからしていまやってごらんなさいと私が言っているのは、あなた今度の予算要求で、その特別措置でこれが完全にできるという見通しのもとにその措置をつくりましたか。金額が何ぼか、どういう考え方でその金を要求したか、一ぺん局長聞かしてください、どうも納得いかぬです。――もう少し勉強して出てこぬかな。何じゃい、それは。いまの請求金額ではとてもそれはまかなえぬと私は見ているから、それを聞いているんです。
#26
○政府委員(穴山徳夫君) 失礼しました。先ほど申し上げましたように、重症心身障害児の施設は、これは医療機関になっておりまして、先ほど御説明いたしましたように医療費を基金に請求するわけでございますけれども、それの約五五%ぐらい、約半分ぐらいの金額をいわゆる重症指導費として加算をいたしまして、それによって先ほど申しましたように保母、あるいは指導員、そういったような人たちの充足に使うということになっているわけでございます。
 それから、いわゆる医療施設でない福祉施設がございますけれども、これにつきましては重度加算という措置がとられておりまして、これは収容施設につきまして、約五億来年度は要求をいたしておりますけれども、いわゆる医療機関でない児童福祉施設につきましては、重度加算という制度をつくりまして、人手の確保ということにつとめているわけでございます。
 それから、先ほど御説明いたしました、いわゆる研修やあるいは有給休暇などがとれるようにというための裏づけになる措置でございますが、これは指導福祉費という名目で来年度は要求をいたしているわけでございますが、これが全体で約二十八億、これは収容施設ばかりでございませんで、ほかの施設全般でございますけれども、全体で約二十八億ほどの要求をいたしているわけでございます。
#27
○大橋和孝君 いまこの五五%とか、五億とか、あるいはまた二十八億とか言われているこの積算基礎の中には、いま私が申し上げておるように、それをやれば、こういう特殊なところで働いている人の裏づけがきちっとできて、そうして充足のできるような見通しのもとにこれは計算されていますか。
#28
○政府委員(穴山徳夫君) 看護婦につきましては、先生御承知のような医療費としてその中に含まれているわけでございますけれども、ただいまも御説明いたしました、いわゆる重症指導費のようなものを加算いたしまして、直接処遇に当たります保母とか、あるいは指導員とか、そういう職員を確保いたしまして、そうしてそれで総体として大体一・五人に一人の職員が確保できるようにということで要求をしているわけでございます。
#29
○大橋和孝君 私が聞いておるのは、そうじゃないんですよ。そうじゃなくて、あなた、そういうような特別な費用を見なきゃ、たとえば看護婦でも普通の病院の看護婦とは違うわけですね、ここは。先ほどのスライドでも見せてもらったようにたいへんでしょう。ですから、そういうことの裏づけをするものがなかったらそういう看護婦は行かないですよ、それは。あなた行けというほうが無理でしょうが。一方でこうやって働いているのに、一方こっちではこれだけのつらい目をしなければならぬ、それに対しては医療費の中に看護婦の料金は入っていますと、こういうことだったら行かないわけでしょう。ですから、私は重症、そういう者だけに対しては特別の措置をするお考えはあるかと言ったら、あなたはそれでいけると、こう言われたわけでしょう。だから、それでは私はいけないと思うけれども、あなたはその裏づけをきちっと持っていますかということを尋ねているんですよ。だから、もっと言うならば、いまできなくてもいいですから、今度要求された二十八億とか、五億とか、五五%とかいまおっしゃった裏づけを、どういう積算基礎でこれを考えられて請求されたのか、一ぺん資料を私のほうに見せてください。そして、その資料を見て、これならば、重症児施設に働いている人にほんとうにこれだけ裏づけをされていたら、これならばたくさんふえてくるだろうということに納得できれば、私も何ら申し上げる必要はないと思うんです。それがいまの状態ではなかなかそうにはなってない。多くの施設の中にばらまいて、そんな金額ではそういう人たちにほんとうに見合うようなことにはなってない。そうすればやっぱり病院が確保されないから、いま具体的に例を申しましたように、二十名のワクが少ないのに、それですら人がおらぬから十五、六名しかとれないといって、困って困って困りぬいた人は省かれるわけです。省かれたことは、最後にどうなっていくかといえば、いま問題になっているように、それを殺していくとか、あるいはまた殺して自分も死ぬとかいうことの悲惨な状態が出てきているのじゃないか。だから、それを裏づけるためにひとつ考えてくださいというのに、あなたが、その局に当たっている局長さんが、大臣の答弁みたいに、ああでございます、こうでございますと、この場さえのがれればいいような答弁じゃなしに、もっと積極的に考えますとか、あるいはまた今度のことには何とかするようにしますとかいうことにならなかったら、何のためにこれをやっているかわからない。ですから、私がいま言うような裏づけなり、あなたの見通しなり、そういうことを聞きたいと言っているわけです。
#30
○政府委員(穴山徳夫君) わかりました。率直に申し上げまして、たとえば看護婦につきましては、いまの要求では、いま先生がおっしゃいましたように、たとえば重症心身障害児の施設の看護婦は特に手がかかるから、これに対してプラスアルファをつけるというようなことは、看護婦についてはこの要求の中には含まれておりません。ただ、いま先生がおっしゃいましたように、こういったような施設についての職員の処遇というものをどう考えるべきかということは、おっしゃるとおりでございまして、私どももこれからはその処遇の問題並びにそれを通しての確保の問題ということについては、十分考えなきゃいけないと思っておりますが、現在の予算の要求のところでは、看護婦につきましては、特にプラスアルファということではございません。
#31
○大橋和孝君 ぼくはちょっとことばを荒々に申して失礼だったと思いますけれども、しかしほんとうにいまのところは非常に重大な時期だと思うんですよ。ですから、ここのところでひとつ担当局長さんは、ほんとうに腹を据えてこの問題をやろうとしてもらわなきゃいかぬし、それできょうも大蔵省のほうからも来ていただいてるわけだから、大蔵省のほうに対しても、そういうことを十分把握してもらって、少なくともこの問題だけはひとつ何としてもやろう、突破口として、こういうようなことで考えてもらわないと――一方で死んでいるでしょう、殺しているでしょう、殺人をしているわけですよ。ですから、そういうようなことから考えてみれば、いまの状態をほんとうに何とかしてもらいたいという切々たる気持ちのためにぼくはこういうふうに申し上げているんです。これはひとつ十分考えていただいて、施設としてこういうふうにするというものを出してもらえたら、私はそこへ行く人は出てくると思う。したがって、そういうようなことで一つの突破口として――相当苦しい条件の中でやっているんだから、ほかと同じようなことのつり合いということもその局を担当しておられる方々は考えなきゃならぬような立場も私はよくわかるんですよ。わかるけれども、そういう状態だから、この問題だけはちょっとこういうふうにしようという、そういうものを出してもらうことが――これはやはり田中総理でも福祉云々と言っておられるんだから、そういう時期にそういうことを出しても、私は総理自身も反対はしないと思うんですね。この問題に対しては、たいへんな問題だからこれをしますということで、やっぱりそういうことを裏づけしていかなきゃ、田中総理が言っていることが空文になっちゃうんだから、やはり田中総理のおっしゃっていることに協力して、いまの政府のほうも考えていくということのほうが私はプラスだと思うんですよ。私は、これは場合によっちゃ総理にもいろいろ話をしなきゃならぬ時期もあると思うんですけれども、そういうことでやはりみなが総意をあげて、今度の問題を、いま悲惨な状態であるし、ああやって見せてもらえば、非常に気の毒だということで一ぱいになっているわけですから、そういう気持ちからしても、これだけを何とかひとつスタートをしようという形にやってもらいたいと思うわけです。どうぞひとつそういう意味では、どうか大蔵省も、厚生省も――大臣に、政務次官、どうぞひとつしっかり話をして、腹を割って一ぺん大蔵省とも当たっていただきたい。大臣はちょうど大蔵畑から出ておられるベテランですから、大蔵省に交渉してもらう上では最もいい時期だから、いまの大臣のときにこの問題を具現化してもらいたいということを特に要望しておきたいと思います。
 それからもう一つ。私一人であんまり時間をとってもいけませんから、もう一問だけお聞きしておきます。
 動く重症児というのは、いま非常に問題になっておりまして、私もこの問題はたいへんな問題だと思うんです。ことに在宅のこういう方々の問題に対する対策は、これは非常に私は放置されているような現在じゃないかというふうに思うんです。ですから、こういう症状の進行だとか、あるいは介護家族の苦労の状態をいま見せてもらっても、相当極度に達していると思うのですが、政府としてこういうものに対して実態調査をされていますか、実態調査の結果はどうなのかということがありましたら、私は聞かしていただきたい。
#32
○政府委員(穴山徳夫君) 在宅状態の実態調査ということでございましたらば、調査したことはございません。
#33
○大橋和孝君 こういうような問題では在宅でも非常にずいぶん困っているのですね、いま見せてもらったスライドでも。収容所でも非常に手を焼いておられるけれども、在宅の人はもう一つ手を焼くわけですよ。そういうことの実態を一ぺん完全に調べて――そういうことに対して対応するにはどうしなきゃならぬかという基本方針は、やっぱり実態を知らなければだめじゃないか。この重症心身障害児・者、こういうものの実態ももちろんそうなんですけれども、その中で、ことに動くほうはかなわぬわけですね、目も離されぬし。だから、そういうことを考えてみますと、こういうことに対して焦点を合わして把握をしてもらって、これは重症心身障害児・者の処遇の中でも、まず、こういう人をもう少しやろうじゃないかということもまた必要になってくるのじゃないかと思うものですから、そういう観点で、この実態をもう少し明らかにしてもらって、それに対応する処置というものを十分にやっていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 それからまた、この動く心身障害児・者というものに対しては、やっぱり手厚い介護と同時に医療も必要なわけですね。ですから、この施設養護はほんとうに早くやってもらわなければいかぬわけですけれども、本来の責任を積極的に果たすためにはどうしても施設に入れなければいかぬということ、あるいはまたそこの中で、どちらかといえば、こういう人たちは、いま見せてもらいましたように、非常にあれだからして、まあ切り捨てておくというか、そういうふうな目で見られ、何か十分な手当てができていないのじゃないか、こういうようなふうに勘ぐられるほど私はこの重要性を思いながら、そこに問題があるように思うのです。ですからして、根本的にこれをやるためにはやはり実態と同時に、またそれに対する特別な処置ですね、これこそもっと手も要るし、あるいはまた医療も要るわけですから、そういうことに対する医療のあり方、そういうものも含めて、相当の思い切った措置をしなかったら私はできないと思うのです。ことに動く重症児なんかの場合ですと、やっぱり緊急に対策をすることが必要でしょう。
 それからもう一つここで最後に私が聞いておきたいことは何かと言いますと、緊急な用が起こったときに、緊急処置ができるような措置をしておかないと、やはりそれで困ってこのような悲惨な例を生むわけですね。ことにこの動く重症児あたりは、やはり発見されたときには緊急に特別に措置ができる、そういうふうなことが私は必要じゃないか。あるいはまた在宅の場合には、家族の介護なんかに対してすぐ何とかの手が打てるというふうなことをしないと、こういう方々に対する即応した処置にならないわけですね。ですから、私が特にお尋ねしたいのは、そういう方々について事故が起こったときには、緊急にそれを施設に入れる処置ができるかどうか、そういうことに対して国はどういうベッドをあけておくか、あるいはまた特に何かのそういうことをするかという、特別緊急措置というものを即座に下せるような制度をつくっておいてもらわないと、やはり殺そうかとか、あるいは殺して一緒に死のうかとかいう、そういうようなえげつない、われわれが見のがすことのできないような状態がまた今後も起こるのじゃないか。緊急措置対策というものをどうされるのか、こういうことをひとつ聞きたい。
#34
○政府委員(穴山徳夫君) 率直に申し上げまして、先ほど北浦参考人からのお話がありましたような、いわゆる一一〇番的な緊急の入所措置というようなことは現在まだ制度としてやっておりません。確かにいろいろそういったような必要性があると思いますので、私どもとしては検討さしていただきたいと思いますが、現在はそういう制度としてはございません。
#35
○大橋和孝君 まあ、大体私も一人でしゃべっておってもいけませんから、要約して申し上げたんですけれども、これはそういうふうな事柄がいまではほんとうに必要じゃないかと思うのですよ。緊急にそういう方を救ってあげなきゃ、その人はすぐ困るわけですからね。ですから、たとえば親さんが、たとえば例にありましたようになくなったと、それでもう一人の親しかいなくなってもうどうにもこれじゃできないというときに、さっと引き受けてあげることができたらあの人たちは死ななくて済んだんだろうと思いますね。そういうことを考えてみますと、やはりそういうふうなところまで手を配って、行き届いた措置というものはやはり国でやるべきだと思うのですね。ですから、そういうことは、まだできてない――まだできてないというのじゃなしに、この機会にひとつ前向きに検討してもらって、そして完全にできるような方向をひとつ打ち出してもらいたい。これには金も要りましょうから、大蔵省のほうもひとつ特別な御配慮を願うと、そして、特にそういう意味で厚生省が先頭を切ってこの問題を解決するための具体策はかくかくというものをひとつ示していただきたい。どうぞひとつ、先ほど申し上げたように、裏づけに出されている今度の要求の内訳も聞かしてもらいたいと同時に、今後それに対してはこういう問題をもう一ぺん踏んまえて、厚生省の中で、また大蔵省にも相談をしながらかくかくのものをするということをひとつ詰めていただきたい。
 私はこの次の質問を保留しまして、そして、この次そういうことに対しての具体的な質問をさしてもらうということを前提としてきょうは終わりたいと思います。どうぞひとつ大臣にも、――大蔵大臣にも厚生大臣にもその点は大分通してもらって、この問題を解決するための抜本的なものを出していただきたいとお願いしておきます。
#36
○小平芳平君 それでは、時間もだいぶ長くなりますので、一問だけ簡単に御質問いたしたいと思います。
 初めに小林先生に伺いたいと思いますが、先ほどお話しをいただきました周辺児といいますか、要するに重症心身障害児、重症心身障害者はどういう方が入るかということを厚生省はかってにきめちゃっていると思うのですが、特に先生のところの場合、そうした先ほどの映子ちゃんですか、の場合でも、いまのそういうきめ方からいうとどこへ入るだろうかというふうにちょっと疑問を投げかけられましたですが、先生のところの施設の場合は、特にそういう方がいまなお多くいらっしゃるということ。その辺のことについて小林先生に二点伺いたいんですが、一点としては、そういう周辺にある重症児、重症者の方が一体全国で何人くらいいらっしゃるかということ。厚生省の対策としては、この人数はわからないで、まあおおよそ一万人とか二万人とか言ってベッド数の計画などもしているようなんですが、いただいた資料では、昭和四十七年度完成予定で九千四百九十二になりますか、そういうものができる予定だというのですが、しかし、まだまだその何倍か不足しているんじゃないか。ということは、こちらの施設も入れない、あちらもだめ、そういうふうに断わられるからやむを得ず在宅でかかえていらっしゃるのであって、実際にはこの九千四百という数から相当何倍という、あるいは十倍にもなるかもしれませんが、いらっしゃるんじゃないかというふうに感じます。この辺についての御見解を伺いたいと思います。
 それからもう一点は、特に島田療育園の場合は、看護婦さんの生活環境などにも、私だいぶん前になりますけれども伺ったときに、ずいぶんこうした生活環境にも配慮なさっていらっしゃるように伺ったんですが、いまなお非常に手不足になっていらっしゃるということ、この辺はやはり根本的には先ほど来御指摘のような国の対策が第一だと思います。思いますが、やはりそうしたどちらにも入れない周辺児の多い、そういうことも手不足の一つの原因になっていらっしゃるのでしょうかどうかという点が第二点でございます。
 それから、松島参考人にちょっと伺いたいと思いますが、実際に相談をなさっていらっしゃいまして、施設に対する御要望、それは施設の数が少ない、入ろうと思っても入れてもらえない、あるいはもっと具体的に施設がこれこれこうだから入れたくない、そういうようなことがいろいろ出てこられるのじゃないかと思いますので、そういうような点についての御要望がございましたらお聞かせいただければ幸いだと思います。
#37
○参考人(小林提樹君) ただいま小平先生からの御質問がございましたので、申し上げさせていただきますが、この重症児の周辺にあるその中に一つ顕著なのが動く重症児だと思うのです。この子供たちはどれくらいおるかということ、これはちょっと私存じませんが、推定のところは一万人ぐらいは十分おるのじゃないかという気がしますけれども、何もそうはっきりした根拠があるわけではございません。これに対する調査もされておるようには聞いておりませんが、とにかくかなりの数がおるらしいということ、それと問題点は、たいへんおもしろいことを感じますのは、年齢に応じて動く重症児としての異常行動の非常に強いときと、それがだんだんおさまっていくときと、医療によってある程度おさまることと、こういう変化があるのです。この異常行動は一生つきまとうというほどのものではなくて、その社会環境あるいは教育あるいは指導によってはかなりおさまり得るという問題がありますので、運命的にあるいは宿命的にこれは一生の問題だというふうにはどうもちょっときめかねるところがある。そういうことから言いましても、どれくらいの数があるかということになると、これはたいへん調査がむずかしいという感じがいたします。とにかく、現実にはかなりの数がおるということもわかる、だからそれを突きとめるということになると、いまのような条件から考えましてもたいへんむずかしさがあったろうということを感じますので、いい数はどう出るか、たいへん疑問に思っているところでございます。
 それから第二点でございますが、私のところで申し上げますと動く重症児と、重篤重症児と、普通いっておる重症児と三色に分けられると申し上げましたが、本日百八十六名おります中で、動く重症児と思われる者は四十名おります。それで一つの病棟にそれを収容しました。そういうやり方をしておりますが、実は、これはいまになりまして反省しております。といいますのは、動く重症児、先ほどフィルムでお目にかけましたような、子供でもたいへん気がかりになることをちょっと一言申し上げたのですが、何か人間的感覚というものをなかなかとり得ないところがあるというところに、こういう者だけを集めて別個の世界をつくってやっていこうというところには、やっていくわれわれのほうがやり切れないものがあるのです。そこで普通の重症児よりももっとやり切れないものがあるのです。そこでこれは独立してやることが間違いじゃないかということを感じてまいりました。それで、この独立させましたのは実は新しい施設が、建物ができましたものですから、それを利用するために、この四月にそれができましたので、六月からそれを別個に始めたんですが、その三ヵ月からの経験でそれを疑問を感じてきまして、それでやはり前のような形のほうがいいであろう、それは動く重症児を十名入れる。それから普通の重症児二十名、重篤の者を十名入れる。そうすると、それで四十名になりますから、そういう一つの世界のほうがいいであろうという感じを持つようになりました。いわば込みの収容です。これは子供のためというよりは一に働くわれわれの立場のことを考慮してのことでございまして、われわれが喜んで働けるという環境でなければこの子供たちにサービスできないということをつくづく感じてきたからであります。それで、これはいまの手不足の問題にやっぱし徐々につながりつつあります。この周辺児の問題をどういうふうに持っていくかというのはこれからの大きな研究課題じゃないかと思っております。実は、これは私から申し上げるのはおかしいかもしれませんが、異常行動児の研究班というのが前年にできまして、私もその一員となってこのあり方をどう持っていくかということを私自身研究、調査を続けております。そして、ある程度のデータが少しですけれども出ましたが、今年度はいま先生のおっしゃるような問題を実は突きとめようとして心備えをしておる段階なんでございます。そんなことでございます。
#38
○参考人(松島美智子君) 施設についてでございますが、いま取り残されている年長児とか重篤な方、動く重症児を持っておられるおかあさん方皆さんが希望していらっしゃいますけれども、現在のところ、現在の施設ではあまり進んでは希望をしていらっしゃらない、もう収容で入っていらっしゃるというのでしょうか、そのような状態でございます。やはり人手がないということを聞いていますし、それからおかあさん方は、施設に入ったらいろいろ訓練していただきたいとか、いろいろ希望を持っていらっしゃいますが、やはり人手がなくてできないので、いまのところ、聞いているところでは進んでは施設にいまの状態では入れたくないという気持ちが多いようでございます。
#39
○川野辺静君 先ほど来、各参考人の皆さんからいろいろお話伺いまして、ほんとうに私は胸を打たれた次第でございます。いままでも私どもこういった面については一生懸命やらなければいけないと思いましたが、さらに熱意を持って突っ込まなければいけないなあということをつくづく感じて敬意を表しているわけでございます。
 つきましては、北浦参考人と小林先生にちょっとお伺いしたいんですが、北浦さんは御自分のお子さんにそういう方をお持ちになっていろいろ御苦心なすっていらっしゃり、守る会の会長もしていらっしゃってたいへん御苦労さまでございますが、守る会の皆さま方からいろいろの御希望がきょうお聞きした中に出ておりますが、その中の一つに緊急な入園措置というようなことも出ておりましたので、いままでに、たとえば一一〇番式のことにつきまして、何か事が起きてそれがかなえられなくて支障があったようなことがございましたでしょうか。
 それからまた、これは小さいことですが、おとなになった場合に入浴させるのにたいへんお困りになる、ついては月に一度ぐらい申し入れれば助けに来ていただけるというお話でございましたが、これは月一回ぐらいに限られておりまして、そのほかの場合にはそういうことはかなえられないのでございましょうか。そういったことを伺いたいと思います。
 それから小林先生に、先生のところでいま約三〇%ぐらい空床がおありだということ、この空床については、いままでもいろいろのお話しのような条件で空床があると思いますが、先生のところの空床三割で何ベッドでございましょうか。それからいま全国でこういった施設の空床が大体どのくらいおありでございましょうか、それをちょっとお尋ねしたいと思います。
#40
○参考人(北浦雅子君) 緊急入園の問題は、私たちもだいぶ前から運動しておりますのですけれども、うまくいきました例は、おとうさんが足をけがしましておかあさんが病気になりましたので、私たち親の会同士が力を合わせましてその家を助けようというので施設に入れていただいたと。それからまたおかあさんがお産をいたしますね、そのお産の間だけでも施設に入れていただきたいといろいろと先生方に個々にお願いしまして入れていただいて無事にお産も済んだといって喜んで帰える家庭もありますです。この緊急入園の問題につきましては、私たち親の立場からこれを制度化するために考えなければならないと思いますのは、たとえば、お産のために障害児を入れていただきまして、短期で、一ヵ月かして帰りますと今度は家には赤ちゃんができちゃっているということでよけいに前より手がかかるわけなんですね。それでついつい、お願いしたんだからというのでずるずると短期緊急がそのまま長期に置いていただくようなかっこうになっちゃう例があったんでございます。それで、受け入れられる先生側のほうからすれば、短期だと思って入れておったら結局長期になつちゃって、これは結局療育で収容するというのと同じじゃないかということで、緊急入園について施設の先生のほうから若干の反対がおありでした。それからもう一つは、三ベッドぐらいいつもあけておいていただいたらいいんじゃないかということをお願いしたのですけれども、それに対する経済的な裏づけが施設側にないのであけておけないと。で、私たち親のほうは、自分の気持として、三ベッドあいていて、そこに何人かの職員がおって、常時普通のところで介護していてくださって、緊急のときにその職員をこちらの緊急のほうに回していただくとか、そういう意味でそういう人数をちょっと増していくとか、そんなような考え方もいろいろお願いしたんですけれども、いまのところ、親の私たちが短期でお願いしておるものが長期になっちゃうということから、これはちょっと制度的にむずかしいので、もし、これを制度にしていただく場合にはどこか機関があって、あなたはほんとうに緊急なんだから入れてあげるけれども、これから何ヵ月したらおうちに帰りなさい。――というふうに施設と親との間に入ってそれを制度的にめんどうをみてくださるところが必要なんじゃないかなあというふうに考えております。
 それからおふろの問題は、――その資料の中に入れておきましたが、私どものセンターがあるからおふろに来てもらえるのであって、これは都道府県とかいろいろなそういう制度に乗っているわけじゃないんです。ですから、うちの守る会のセンターを知った方は年をとったおかあさんにできるだけ呼びかけて、おふろに入れてあげるからと声をかけなさいと言っているんです。この間、松島さんも七十六歳のおかあさんが子供をかかえているのを車で高速道路を通って上野まで迎えに行きまして、それでうちのおふろに入れてあげたら、広いおふろに伸び伸びはいれたといってとっても喜ばれたわけで、これは全く私たちの運動の中でわずかにやっていることなんです。このおふろの問題というのは意外と皆さんの大きな問題です。おふろ屋さんに連れて行かれないものですから、小さいたらいの中に入れてお湯を上からかける程度でおふろをがまんさせたり、うちの坊やでも、普通のおふろ屋さんですとちょっと肩がつかれなくて、おふろもなかなか十分に入れてやれませんけれども、私たちはセンターの職員にずいぶん助けられております。
#41
○参考人(小林提樹君) 大体、私のところが三割空床があるということを申し上げましたが、大体の数字でありまして、正確な数字ではございません。本日、百八十六名入っております。そして、定床は一体どれくらいであるか。これがいま考えておりますのは、二百六十四を定床と考えたい。と申しますのは、この問題は、最初に医療法によって定床をきめて、そしてこの十年の間の経過のうちに、内容的にどんどんどんどん変わってくるのです。たとえばプレールームが必要だ、食堂も必要だ、そういうものはとるべきだと。そうしますと、スペースがだんだんだんだん少なくなってきて、そして定床は少なくなるわけなんです。それで、医療法で始まったというところから、今度は福祉の施設であるという色彩がどんどん入ってきたということで、かなり適正なベッド数というのは一体どれくらいかということがはっきりしないところがあるのですね。そういうことで、私も大体三割ということを出しておりますが、いま申し上げました数が大体理想的と言ってはおかしいですけれども、一番穏当な現段階においてはベッド数ではないかという気がしております。
 もう一度申し上げますと、二百六十四という最も妥当と思われる数、それに対して百八十六というのが本日入っております。七十八というのが空床になっております。
 それから次に、全国ではどのくらいの空床が一体あるであろうか。ある新聞には、最近のですが、約二割というふうに出ておりましたが、計算しますと、二割にはならないようです。大体この数、私ちょっと計算したのを持ってきませんでしたが、うろ覚えになりますが、国立、公立、私立、全部合わせるというと 一割内外ではなかったかなと思っておりますが、正確な数字はひとつどなたかお教えいただきたいと思います。
#42
○政府委員(穴山徳夫君) 四十七年の六月の数字でございますが、公法人立のほうは九〇・一%ぐらいでございます。ただ、国立療養所のほうはベッドを各県に割り当てた直後ということで、まだ出ておりませんけれども、いずれわかりましたら、また御報告いたしたいと思います。
#43
○川野辺静君 どうもありがとうございました。つきましては、いま大橋先生と小平先生からも御質問が出ておりますので、あえて重なることを避けさしていただきます。
 結局、在宅療養費につきましてなども御質問がございましたし、それから緊急措置に対しても御質問がもう出ておりますので、それは避けさせていただきまして、ぜひそういうことには積極的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、先ほど北浦さんからの老後問題などについて、会のほうからもいろいろな希望のあることが出ておりましたが、現在、老人福祉法などもたいへん積極的に考えられて、また実行をされつつあります今日ですが、ときにこういった重症者を控えております親御さんが老人になりました場合、あるいは死後等についてはたいへん大きな問題がそこにあると思います。したがって、これは守る会からも、北浦さんからもいま出されておりますけれども、この老後、特にこういった重症障害者をかかえております老人対策については相当に積極的に考えなければいけないと思うわけでございますが、そういうことにつきまして、局長さんのほうではどんなふうに考えていらっしゃいましょうか、その点が一つ。
 それから、いまもお話しのように、空床がまだ相当ございます。まあ、これは使いたい人があってもいろいろの事情でそういう空床のあることもわかっておりますが、先ほど増床について五ヵ年計画でいま考えているということのお返事がございましたけれども、私、その増床も確かに大切ですけれども、この際ぜひせっかくあります空床が充実して使用されますように、とにかく先にそれに対処しなければいけないんじゃないかなということも感じるわけでございますが、それに対してのお考えなども聞かしていただけたら幸いと思います。
 以上でございます。
#44
○政府委員(穴山徳夫君) 老人福祉ということももちろんございますけれども、いわゆる、先ほどお話がございましたように、年長児の問題、これはお話しでございますけれども、ということで、私どももまあ結局は先ほどからお話がございましたように、できるだけ早くたくさん施設をつくって収容できるようにするということがやはり何といっても一番大きな問題だと思いますので、そういったようなことで、できるだけ御希望の向きには入れるように施設の整備をはからなければいけないと思っております。
 ただ、この間の北九州と北区の例でございますが、たとえば片方の北区のほうはてんかんの症状か何かがございまして、まず病院で治療するようにという判定が出たわけでございます。ところが、病院に入れたくないというような問題もあったわけでございます。それから北九州のほうは、ホームヘルパーをこちらから回しますというお話をしましたところが、理由はわからないんですけれども、ホームヘルパーが来るのは困るというようなお話もございまして、しかし一ぺん断わられたからといってそのまま引き下がったということは問題はあるかもしれませんけれども、そういうことで、私どもがいま痛感しております一つの問題は、いわゆる在宅対策の問題の一つの問題としては、いわゆる行政機関の面から、いわゆる在宅指導と申しますか、そういったような専門家が行って、先ほど大橋先生のお話にもございましたけれども、その在宅の実態を把握する、そこでやはりどういうニードがあるかということがわかるわけで、やはりそれを的確につかんでいなかった、したがってそれについて手を打っていなかったということは、一つの大きな行政上の欠陥だと思います。したがって、そういう面、すなわち福祉事務所とか児童相談所、そういったようなところからいまのような問題をどうするかという問題と、それからもう一つは、やはりそういったような気の毒な人たちには一種の精神的なささえというものが必要じゃないかということが考えられるわけであります。そのためには、やはり行政的な措置もすると同時に、やはり地域社会として、いわゆる民生委員でございますとか、あるいは社会福祉協議会の活動でございますとか、そういったようなものとどう連係動作をとってやっていったらいいか、その辺もやはり私どもがいま反省いたしまして欠けている面があるんじゃないかというような点がございまして、やはりそういったようなことを総合的にこれから考えていかなければいけないんじゃないかと思います。
 それから空床の利用の問題でございますが、確かに一方では増床を進めると同時に、現在あるその一割内外の空床についてできるだけ入れるようにということのためには、やはり何といいましても先ほどから問題があるとおしかりを受けておりますいわゆる人手の確保という問題がございますので、やはり空床利用の問題については、その面から私ども解決をはかっていかなければいけないんではないかというように考えております。
#45
○委員長(矢山有作君) 私のほうから一つだけお伺いいたしますが、四十六年度を初年度とした社会福祉施設の緊急整備五ヵ年計画というのがありますね。あれの予算のつきようを見ておると、はたして五ヵ年で計画しておられる施設の整備ができるのかどうかということで、非常に危惧の念を持つわけです。いまの予算のつき方からいくならば、五ヵ年どころじゃない、十ヵ年近くかかってしまうんじゃないかという、そういう気もするわけですが、その点では厚生看なり大蔵省のほうはどういうふうなお考えですか。緊急整備五ヵ年計画は必ず計画どおりに、今後予算のつくテンポを大きくふやしても達成しようというのか。さらに、きょうの参考人の方々の御意見を聞きながら、その緊急整備五ヵ年計画はもっと縮めていって早期に施設整備をはかる必要があるというお考えなのか。その点はどうでしょう。
#46
○政府委員(穴山徳夫君) 私どもは、できれば、できるだけ縮めて早くやりたいとは思っております。
 ただ、実際の問題として、先ほどから申しておりますように、施設をつくって、そのための要員も確保するというような問題もございますので、どのくらい短縮できるかということについては非常に問題がございまして、それは私どももできるだけやりたいという希望でございます。
 それから、五ヵ年計画の達成につきましては、確かにいま委員長のおっしゃるような懸念もございますが、私どもとしては、何としてでも五年間の間に達成したいというふうに考えております。
#47
○委員長(矢山有作君) 渡部主計官どうですか。
#48
○説明員(渡部周治君) 社会福祉施設緊急整備五ヵ年計画につきましては、厚生省の御計画につきまして、われわれのほうもそれを尊重しながら予算上の配慮をしておるつもりでございまして、伸び率等につきましては、われわれとしては十分配慮しておるつもりでございまして、今度の補正予算につきましても、対当初二〇%増の社会福祉施設整備費を計上いたした次第でございます。来年度以降につきましても、十分配慮をいたしまして、御計画どおりの達成、あるいはそれよりも早い達成を期したいと、かように考えております。
#49
○委員長(矢山有作君) それからいま一つ、穴山家庭局長、あなたがおっしゃるように、施設整備の問題の一つの大きなネックになっておるのは、看護婦増を含めた職員の確保の問題ですがね。私は、あなたのほうとして職員確保に具体的にどうすればある程度目的が達成できるんだというようなことをひとつ省内で検討してわれわれに示してくれませんか。私どもも、決してあなた方を委員側でここが悪いんじゃないか、ここが悪いんじゃないかといって追及するだけでなしに、あなた方がいまの欠陥を是正するためにこう考えておるんだとおっしゃれば、それに対して大いに協力をして、実現できるような努力もしてみたいと思うんです。ですから、私どものほうで特にそう思いますから、あなた方のほうではあなた方の立場としてどういうふうに具体策を考えたらいいんだ、より改善できるんだということを一ぺん検討して、また次の機会にでも示していただきたい。
#50
○政府委員(穴山徳夫君) 実は、先ほどからいろいろ答弁申し上げて、わかったようなわからないようなところがございまして申しわけなかったんですが、実は、いろいろな問題を考えれば考えるほどいろいろな問題が出てまいりまして、そこでまあ、そんなまだるっこいことではというようにまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、実は、ついこの間の中央児童福祉審議会で、児童福祉の問題全般につきまして、基本的、総合的な方策というものを諮問したわけでございます。その中には、いまのきょう問題になっておりますような最近の重症心身障害の問題を中心といたしまして、施設なりあるいは職員なり、いろいろな問題が現在ございます。それはまあ、わりに短期に解決できる問題もあるかもしれませんけれども、やはり先ほど小林先生おっしゃいましたように、たとえば異常行動児の問題につきましても、施設をつくってもそれじゃどう扱っていくかということが現在検討中であるというような問題もございまして、したがって、いわゆる最近特にいろいろなきめのこまかい問題が出てきただけに、やはり私どもとしてはそれに即応できるような態勢なりなんなりを立てなければいけない。その場合にはやはりそれに即応する考え方というものをまとめていかなければいけないというようなことで、この間、審議会の委員も新しくなられた方もだいぶできましたので、総会を開きましてそういった諮問をしたわけでございます。たとえば心身障害につきましては三つの特別部会がございまして、その特別部会でただいま問題になりましたような問題とか、いろいろなことを、これから現在の状態を前提として考えていただくというような措置をとったわけでございます。したがいまして、いま委員長がおっしゃいましたような問題も確かに私どもがまず第一にやらなきゃいけない問題でございまして、そういったことのために一つの、何と申しますか前提としてこの間諮問いたしまして、各特別委員会でいろいろと検討していただく糸口をつくりましたので、これからそういったようなところにいろいろとお願いをして、いまのいろいろな問題についての解決策というものを私どもと、それから委員会を通じまして十分に取り組んでいかなければいけない、こういうふうに考えております。
#51
○委員長(矢山有作君) 他に御発言もなければ、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここに重ねて厚くお礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#52
○委員長(矢山有作君) 次に、水道問題に関する件について調査を行ないます。
 質疑のある方は御発言を願います。
#53
○小平芳平君 私は、具体的には岐阜県の高山市ですが、去年の暮れに新しい水道が通水開始しております。ところが水源地はすごい崩壊がある。で、平金鉱山という廃鉱があって、その廃鉱から流れ出る鉱毒水、それが鉱毒水とあえて言えることは、各機関の分析ではっきりしております。きょうは時間もたいへんおそくなって恐縮ですが、水道の水となりますと市民にとっては生活の、朝起きてから夜寝るまで、きわめて大事な問題であります。したがって、きょうのこの時期はあまりいい時期じゃないことは重々承知しておるわけですが、特に委員長、理事の皆さんにお願いして質問さしていただくわけです。
  〔写真を手渡す〕
 県と市は、あるいは厚生省は、取水地点で分析して、その結果鉱毒が発見されないと、要するに水道法の基準内であるということだけを理由にしております。けれども、実際問題いま政務次官がごらんの写真のように崩壊あるいは鉱山あとの鉱毒がはなはだしい。そこで第一に伺いたいことは、厚生省は水道法によって認可する場合に廃鉱があるということを問題にするのかしないのか。要するに、昭和四十五年三月三十一日、水道法による認可を厚生省が出しておりますが、その段階で平金鉱山という廃鉱があったことを知っていたのかどうか。それから現在時点でどの程度の廃鉱があると考えておられますか。以上です。
#54
○政府委員(浦田純一君) 水道法上の、水道事業経営の認可は、御案内のように水道法の第六条、第七条及び第八条によりまして、地方公共団体の申請に基づきまして事業計画が確実かつ合理的であるということなど一定の条件に適合しているものでなければ与えてはならないというふうにされておりますが、御指摘のこれは昭和四十五年三月五日付でございますが、岐阜県を経由して提出されました高山市水道事業の変更認可申請につきましては、それらの条件に適合するものと認めまして同年三月三十一日に認可されたのでございます。それで、このようなときに水道法上、その水源の上流に廃鉱等があった場合を考慮するかということでございますが、これはいろいろとその状況、いわばケース・バイ・ケースによって違うと思いますが、もちろん最終的には私どもは取水地点における水質がその後の浄化方法等によりまして給水する状態において水質基準が水道法にきめられるものであればよろしいと、なければ事業としては適当でないというふうに判断するわけでございますが、そのいろいろな参考の条件として水源の環境状況を調査するということは、この申請に関しましては実は県の段階でそのような副申は保健所のほうから県のほうに出されており、それが厚生省のほうにまいっておるといったようなことはございます。確かに御指摘のように廃鉱があり、そこからいわゆる鉱毒水といったようなものが流れてきておるといったようなときには、私は理想から申しますというと、また感情的な面から申しましても、これはやはり水源として避けられることであるならば避けるに越したことはないと考えますが、現実の問題といたしまして、さてそれがなかなか理想的にいかないということもあろうかと思います。したがいまして、このようなことに備えまして最終的には給水の水質そのもの、またさらにその前の段階におきましては、これは指導でございますけれども、原水の水質というものについて幸いに環境庁のほうでいわゆる環境基準というものもきめておられますので、これに基づきまして原水につきましてもできるだけ理想に近いものにあるようにということを指導しておるところでございます。この高山の上水道の件につきましては平金の廃鉱があることを承知いたしておったと、私は県あるいは市当局が承知いたしておったというふうに推察するわけでございますが、以上のような点から、私どものほうに変更認可の申請されました、その中につけられました水質に関する事項といたしましては、水源の水質試験あるいは取水地点における水質試験、それから浄水方法などをしさいに調べまして、結果的にはこれを水源として水道給水事業を行なうということについては人体に与える影響は、健康に与える障害はないというふうに判断いたしまして認可したものでございます。それから平金廃鉱の状態につきましては先生からの御指摘もございましたし、私どものほうは給水開始前に担当官を派遣いたしまして現地の視察もいたしました。それから廃鉱からあるいはまわりから出てまいります水、いわゆる湧水及び鉱毒水でございますが、そういったものにつきましての分析結果も、市あるいは県で行ないました水質試験の結果、あるいはその他一般で行ないました水質試験の結果につきましても承知いたしておるところでございます。それからその後の廃鉱の状態につきましてはただいま写真で拝見さしていただきましたが特に報告もございません。ただ砂防工事が進捗しておると、それから鉱毒の流出を防ぐような配慮が、工事がなされておるというふうに報告を受けておる以外は承知いたしておりません。
#55
○小平芳平君 厚生省は昭和四十五年三月の時点で平金廃鉱というこの廃鉱があるということ、しかもその廃鉱から約四キロの黒谷川というところには魚も虫も植物、モ類さえもないということ、そういうことを知らないで認可したんでしょう。しかもそれ以後四十七年六月、ことしの六月になって平金以外にも三ヵ所の廃鉱があったということは市民が発見しているんですよ、市民が。市役所じゃないんですよ。市民が発見して新聞報道されているんですから。したがって、厚生省がこの水道の認可にあたってはそういう廃鉱がある、それからいまならどうですか、局長、それだったらいま、平金廃鉱という膨大な廃鉱がある、四キロにわたって虫一匹、魚一匹住んでいない、水産試験所がそういう調査を発表している。そういう鉱毒水を朝晩飲んで何とも思いませんか。そういうことを知らないで認可したんでしょう。いかがです。
#56
○政府委員(浦田純一君) 確かに厚生省に認可申請書が出ました時点並びに厚生省がそれに基づきまして認可をいたしました時点におきましては詳細にこの上流に旧平金鉱山があるということについては私どもは承知しておりません。しかしながら県の報告書、あるいは高山市からの県を通じての報告書、こういったものの中から察しまするに、市あるいは県におきましては、平金鉱山廃鉱というものがあったということを踏まえていろいろと水質の検査をしておったというふうに推察されるのでございます。私どもは理想から申しますと、その流域にこのようなものがないということが確かに望ましい、理想的であるというふうに考えますけれども、現実の問題といたしまして、たとえばこの小八賀川は長さが約二十五キロほどございますが、さらにその上流取水点から申しますと二十六、七キロのところにございます平金廃鉱の坑廃水と申しますか、鉱毒水と申しますか、それが流入する、それがどのような影響を与えるかということにつきましては、やはり現実の問題として、取水地点におきましてこれがどのような状態にあるかということをチェックするということはやむを得ないんじゃなかろうか。さらに最終的なチェックとしては、やはり市民に給水する水質そのもの、これを押えるということが一番肝心なポイントに相なろうかと思います。
 黒谷川の四キロの河川には生物がいないという調査も私は承知いたしております。しかしながら、その下流におきましてはマス等の養殖業も行なっておりまして、その水そのものが生物の生息に適しないといったようなことはなかろうかというふうに考えております。
#57
○小平芳平君 そういうように厚生省が県や市と同じことを言っていたんじゃ困るんです。要するに県衛研から四回の分析結果の成績書がきているでしょう、厚生省に。この四回の分析結果、採水年月日で言いますと四十三年四月八日、四十三年七月十日、四十三年九月十六日、四十三年十一月十三日、この四回の分析結果が厚生省へきていると思いますが、採水者氏名古田弘さんという人が採水者氏名の欄に入っているのは一回だけだ。あと三回はなぜこの採水者さえ入れないんですか。こういうあいまいな書類でいいんですか。
#58
○政府委員(浦田純一君) 県を経由いたしまして厚生省に提出される書類の記載項目といたしましては、これは法律によってきめられているところでございます。その中では採水者の氏名の報告は求めておりません。しかしながら、岐阜県におきましては岐阜県の内部指導といたしまして採水者の氏名を報告させておるようでございます。私どもは、いずれにいたしましてもこの検査をするのは、あるいは採水をいたしますのはいわば公共団体でございまして、そこまで一々承知する必要はなかろうかと考えております。ただし、この水質検査をした責任者、これは明確にしていただくように法律でも要求しているところでございます。
#59
○小平芳平君 ずいぶん役所というところは書類がうるさいところですが、こういう水道に限って採水者氏名という、この県の書類ですか、欄があって、それは空欄でもかまわないんですか、厚生省は。あるいはこれも県の書類らしいですが、水道水源環境施設表というのがある。この環境調査表には汚染源というところがある。便所、ごみため、肥だめですか、ずっとありますが、鉱山とか廃鉱という欄はないですよ。そういうような抜けた書類でそれで十分ですか、いかがですか。
#60
○政府委員(浦田純一君) そのような項目は確かに場合によっては必要に相なってこようかとも思います。例は適当でないかもしれませんけれども、東京都の上水道の水源を考えますと小河内ダムあるいは利根川水系あるいは荒川水系あるいは多摩川水系を利用しておるわけでございますが、利根川のごときになりますと、上流にはずいぶん鉱山も多いことでございますし、それが流れてまいりまして取水地点においてどのような状態になるかということも現実の問題として私どもは直面しておるところでございます。したがいまして、水道法では少なくとも人の口に入る水というものについて厳重な基準を設けましてそれに適合しない限りは給水させない、それが水道の管理者、経営者の義務であるというふうにきびしく締まっておるところでございます。したがいまして、私はもちろん高山市上水道の場合に平金廃鉱がなければないに越したことはないと思いますが、しかし、それは二十数キロも上流のことでございますし、ほかの支川も多うございます。したがいましてそのあとの小八賀川に至りましては、下流に入りますとそこでマスの養魚などもやっておるわけでございまして、これから見ましても水は人間の健康に影響を与えることはほとんどなかろう。さらにはこれを浄水して消毒して市民の皆さん方に給水しておるわけでございますので、その点は心配なかろう。やはり理想というものにできるだけ近づけながらも現実の問題として、それをどこまで現実の条件を受け入れるかというために水道法がございまして水質基準をきめているのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
#61
○小平芳平君 利根川とはけたはずれに距離が違うでしょう。また水量も違うわけです。小八賀川は黒谷川とは五分五分くらいで合流して小八賀川になっているんですよ。
 それはそれとしまして、それでは安全だ、安全だと言いますが、ことしの一月八日県庁で県とそれから衛研と市で部外秘という水道問題に対する会議をやっている。それは御承知ですか。項目が二十七項目のメモがある。その二十七項目の中にはいま局長がいうように安全だ、安全だということばかりは出てこないわけですが、御承知ですか。
#62
○政府委員(浦田純一君) 確かにそのような小八賀川の取水に対する、水源に対する管理対策をどうしようかということを中心議題とした会議が持たれたということを聞いております。その中でこれはおそらくは昨年十二月に通水を開始する前に先生の御指摘もございまして、私どもは十分に取水地点におきまする原水の水質を検査するように、毎日検査するように、それからさらに上流につきましての汚染状況の監視パトロールをするように、あるいはその他いろいろと行政指導をいたしまして市民の皆さん方の不安を解消するように、そういうことを期待したのでございますが、おそらくはその会議は具体的に対策を立てるのにどのような方策をとったらよろしいかということを相談したものであるというふうに私は了解しております。
#63
○小平芳平君 もちろんそうだと思います。そうだと思いますが、政務次官、こうした市民の毎日毎日飲んでいる水、この水が安全であるかどうかパトロールする必要がある、あるいは毎日分析をする必要があるというふうなのが厚生省の指示なんです。それを受けて県や衛研がその厚生省の指示どおりパトロールを強化しよう、毎日分析を継続しよう、そういうことをなぜ秘密会議でやるのですか。それが一つ。政務次官にあとで答えていただきます、まだ秘密でやるということが何ヵ所も出てきますので。
 で最初に、局長はその二十七項目を持っておりますか。――第四項目には「急性毒については、飼育魚の異常発見により、緊急取水停止する」と、こういうふうになっている。ですから、浄水場において魚を飼いなさい。その飼っている魚に異常が発見されたら取水停止するということを秘密会議できめているわけです。ところがこの魚は何回となく死んでいるのです、実際は。これはどういうふうに報告になっておりますか。
#64
○政府委員(浦田純一君) その点につきましては特に念を入れまして高山市のほうに照会いたしました。ただ単に問題が問題だけに私どもは口頭では困るということで、文書でもって回答、報告を求めました。それによりますと、これは四十七年十一月四日付でございますが、岐阜県高山市水道事業管理者山田良一、市長さんだと思いますが、あては厚生省環境衛生局水道課長国川建二でございます。照会いたしましたところ、「当高山市浄水場で、原水により飼育している金魚並びに取水井で飼育しているウグイ等の生死については、飼育してから、現在に至るまで、死んだ事実はないので報告します。」――前は省略いたしましたが、このような文書になっております。したがいまして、私どもはそのような事実はないのではないかというふうに考えております。
#65
○小平芳平君 そういうことを言うから市民はますます疑惑を持つのです。
 それじゃ、死んだためしがないと言いますが、何匹をどれだけの期間入れておいて死ななかったのですか、いまの金魚とウグイは。金魚なんか五十匹が五十匹一年間生きてる、そのほうがむずかしいじゃないですか。事実は、一月十日に行った方が、ことしの一月十日に大体魚が飼ってある、コイ十一、ウグイ八、金魚六、計二十五だと、こう言っている。じゃ、そのとおり書いて張っておきなさいと、書いて張っておいたが、そのときすでに二匹不足している。それから二月十三日、このとき私はこの浄水場に行って見た。ところが張ってあるべき紙はもうすでにはがしてあった。数もそんなたくさんはいなかった。二月二十八日、また市民の方が行ったら今度はコイ二、ウグイ十六、金魚十一、フナ十一、計四十になっている。そういうふうに数が変わっているのですよ。金魚とウグイは一匹も死ななかったなんて言ったって、そういうごまかしたことを言うとなおさら疑問を持たざるを得ない。第一、この写真をごらんください。この写真は金魚がひっくりかえってどうもこの金魚はもう死ぬのじゃないかと思いますがね、どうですか。
  〔写真を手渡す〕
#66
○政府委員(浦田純一君) 日付は違いますが、取水池にウグイを二十匹、管理塔の水質検査室にある試験槽に和金二十匹といったような数字の魚を飼育しておるという、これは新聞の記事でございますけれども、参考として私ども資料を手に入れております。御指摘のようなこと、私どもも懸念いたしまして、それで先ほど申しましたように、これは文書での回答でございますので、そのまま読んでまあお知らせしたわけでございますが、私どもさらにこの点、事実につきまして調査をさしてみたいと思っております。いままでのいきさつを申しますとそのようなことでございまして、私どもの受けた報告としては死んでいないと、そういうことでございます。
#67
○小平芳平君 市長もある段階では一匹も死なないとがんばったけれども、ある段階では市民団体の人に対して実際は魚が死んだのもあるということも認めておりますから、それでひとつその点詳しく調べてみてください。
 それから次に、同じく第四項目で慢性毒――さっきの魚は急性毒ですが、今度は「慢性毒については、3により濁度、浄化水の重金属関連が一応の結論を得るまでは不能」、要するに慢性毒の結論は濁度、浄化水の重金属関連がはっきりするまでは慢性毒についての見解を述べることは不可能だとメモはなっている。そういう、秘密会では急性毒は魚でやってみよう、慢性毒はもう少し分析を続けなければ判断はできないと、こうなっているのですか、いかがですか。
#68
○政府委員(浦田純一君) 私もその会議に直接関与したわけではございませんので、詳細については承知いたしませんが、推察ということになりますが、おそらくは微量重金属の人体へのいわゆる慢性毒性という点が問題のポイントに相なっておろうかと思います。これらにつきまして目につくものとして考えられますものは、たとえば水銀あるいはカドミウムあるいは砒素といったようなものがあろうかと思います。これは微量重金属だけではございませんが、微量金属類でございますが、これらにつきましては、ある程度日本では不幸な例もございまして、人体への影響、ことに急性あるいは亜急性中毒についてはわかっておりますし、また、カドミウムにつきましては御案内のようにイタイイタイ病の主たる原因であろうというふうにも言われております。ある程度明らかになっておるものもあるわけでございますが、一つ御指摘の点は、まあいわゆる複合という問題もあろうかと思います。これらにつきましては、いまのところ研究もあるいはいろいろな報告も十分なものは残念ながらないのでございます。そういった点の一つの問題提出ということと、それからもう一つはまだこの原水の水質検査のデータが十分にそろっていない。いまからまあ始めていこうという時点でございますから、その前には十分に原水の水質につきましても取水点においては問題ないという点は確認されておるわけでございます。さらに、市民の不安を除くために、毎日の検査をやっていこうということでございまして、ちょっとその辺は意味合いの違うところもあろうかと思います。したがいまして、カドミウムあるいはその他の金属の原水の中におきまする濃度といいますか、それらについての見きわめというものを、まあデータが十分にそろった上で判断を下すといったような点もあったのではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、そこでは結論を保留しておるというふうに私は考えております。
#69
○小平芳平君 政務次官どうですか。膨大な廃鉱があるために、それが、公研も何回も分析をしておりますが、岐阜大学あるいは名古屋大学、名城大学、あるいは岡山大学の小林研究室、いろんな分析があるわけです。中には、カドミウムが基準をこしているところもあるんです。しかし、水のことですから、しかも、そうした廃鉱地から流れ出る水ですから、そのときによって違うんです。したがって、いま局長が一生懸命苦しい御答弁をしたけれども、ちょっとこれは早過ぎませんか、まず市民に飲ませるということが。それは、名古屋大学医学部社会医学実習班というところでこうした「高山市民の皆さんへ」というパンフレットをつくっておられますが、人体実験は中止しましょうとか、これではまさしく市民にまず飲ませてみようと、慢性毒性がよくわからない、複合性もよくわからない、まず飲ませてみようというふうなことだと人体実験になっちゃうんです。政務次官はどのように感じられますか。
#70
○政府委員(増岡博之君) まず水道の認可に際しましての水質検査の基準というものは、おそらく常識的に考えられる自然のいろいろな変化、そういうものも考えた上できめておられると思うわけでございます。したがって、基準が相当そういう意味でシビアになっておるはずでございますから、その後の毎日の水質検査というものは、先ほども局長が申しておりましたように、いろいろな先生御指摘のとおりの意見がございますので、それによって住民の方々に安心をしていただくという意味でやっておるのだというふうに私どもは理解しておるわけでございます。そういうことから、先ほどの秘密会議というものも、本来秘密にすべき必要がないにもかかわらず、いたずらに住民の方々に不安を、――会議をするということですぐ不安だということにつながらないようにということの配慮のもとに行なわれておるのではないかというように感じておるわけでございます。
#71
○小平芳平君 じゃ次官、秘密会議が続いて、第九番目には「えん堤付着物の分析について」先ほどの写真の青黒いのがあったでしょう。堰堤付着物の分析について「市で内密にやっている」、「マル秘で県へ送付の筈」。十二項目は土壌及び米の中のカドミウム分析について市で内密に米のカドミウムを検査した、こんなのをどう思いますか。
#72
○政府委員(増岡博之君) 私その点につきましてはまだ報告を受けておりませんから、とかく申し上げることは差し控えたいと思います。
#73
○小平芳平君 いやそれは、報告はぼくも受けてないからわかりませんが、こういう秘密会議そのものは次官のおっしゃったような趣旨かもしれないですよ、市民に不安を与えないようにという。――こうした堰堤付着物の分析を「市で内密にやっている。」「マル秘で県へ送付の筈」。土壌及び米の中のカドミウム分析について、市で内密に米のカドミウムを検査した。――この内密々々といったそういう行政の姿勢、しかも水道というのは一番直接関係があるわけですよ、直接に。水一ぱい飲むにしたって、この中に何が入っているかわからないなんというんじゃ、全く市民はノイローゼになって、これはという家では一生懸命井戸を掘っているんですよ、いま。そういう内密主義をどう思いますかと尋ねているんです。
#74
○政府委員(増岡博之君) まあ、承っておりますとどうもこれは化学的な問題ではなくして人間関係の信頼関係の問題のように感ずるわけでございまして、その点が現地ではどういうふうな政治情勢であるかということも承知しておりませんので、そういう意味から不安があるということでありましたならば、これはまた厚生省の行政指導というワクを越えますので、別に各種相談をいたしてみなければならないというふうに感じます。
#75
○小平芳平君 それこそ厚生省の行政指導で、そういう堰堤の付着物とかカドミウムの分析なんかは公開しなさいと、内密内密といっても市民がみんな知っちゃっているんだから、それが行政指導でしょう。
#76
○政府委員(増岡博之君) ただいま私申し上げましたのは公表の云々の問題じゃございませんで、そういう情勢の話を、市当局と住民の方々との間の人間関係のことを申し上げたので、先生の御指摘のとおりのようなことはやはり公表すべきことが当然であるやに考えます。
#77
○小平芳平君 それから、こうした鉱毒水に対する不安というものは根が深いわけです。すでに平金鉱が稼働している時代でも、鉱毒被害を受けたという記録もあるのです、その沿岸住民が。それから、昭和三十五年から四十年には、乳児の奇病、これは脳水腫あるいは水頭症、この報道では両方使われておって私的確には把握できませんが、しかし被害者の家を私は何軒かお尋ねをしました。で、生後間もない乳幼児が急に高熱が出る、十三人発病してなくなった人七人、生存者も手足の麻痺その他で現在施設に入っていらっしゃるという方がいるわけです。しかし県当局は、それは鉱毒水とは関係ないんだと言うんですが、昭和三十九年簡易水道が引かれてからぴたりとこの奇病がとまっているでしょう。そういう点は報告をされていますか。あるいはそういう点、検討しようという考えがありますか。
#78
○政府委員(浦田純一君) 乳児のいわゆる奇病、これは脳水腫ということでございますが、これらにつきましても、私、県を通じましてこの判断を下した直接の資料を私のところに取り寄せまして私なりにいろいろと検討をいたしました。その結果から申しますと、私が受けた資料に基づきまする限りにおきましては、脳水腫につきましては直接小八賀川の水との関係はないというふうに考えております。確かにこの付近で、ほかの地域と比べました場合に乳児の死亡率がある地域でやや高いといったような傾向、それから脳水腫の発生がほかの地域に比べた場合に少し高いのではないかといったような傾向はあるように見受けます。
#79
○小平芳平君 じゃ、簡易水道が引かれたらぴたりとまったというのはどう考えますか。
#80
○政府委員(浦田純一君) それにつきましては私は、これも推察でございますけれども、ほかに考えられる原因もあり得るのではないかというふうに考えております。
#81
○小平芳平君 それではことしの五月、岐阜県学校保健会、ここで中学一年生のたん白尿の検査をしたですね。ところがこの地域でじん炎が多発しているという報告がありますが、これはどう見ますか。
#82
○政府委員(浦田純一君) なかなかだんだんむずかしい質問になってまいりますので、私の知識で対応するのもむずかしくなってまいりましたが、私の承知しております限りでは、小児のじん炎というものは、これは溶連菌と申しまして、普通、へんとう腺炎とか、あるいはいわゆるかぜひきといったときに取りつくばい菌、これが原因であることが大部分であるというふうに承知しております。したがいまして、小児じん炎が水を介して発病するといったようなことはちょっと考えられないと思います。また本年だと確かに小児じん炎が発生しているようでございますが、これはここ以外の地域との比較においても、どうも水と関係があるというふうに断定づけられないんではないかというふうに思います。
#83
○小平芳平君 何か局長、せっぱ詰まって思いつきみたいに言うけれども、保健所等では五月のじん炎の多発については流行性のものだ、こういう発表をしているという報告がきているでしょう。ところが、実際細菌を扱っている技官は、その技官のお話によると、流行性じん炎に見られる菌ではないと、こういうことをお話しているんです。あるいは藤沢医師による日赤病院小児科入院のじん炎患者の臨床学的資料、この藤沢先生も流行件じん炎と確定されるものは見つけられなかったと、したがって原因をほかに探さなくちゃいけないです。こういうことがあるわけですよ。
 そこで、水道法の基準を再検討すべきだと思いますね。いま二十七項目ですか、この二十七項目の水道法の基準で、とにかく局長が先ほど来答弁していることは取水地点で基準内だった、これだけを主張しているわけですよ。ほかに安全だというものはないんです。私が指摘するような疑問が次から次へわいてくる。それに対する答えというものは、ただ水道法の基準内だったということだけでしょう。ところが実際には環境庁でも通産省でも産業公害については排出基準なり環境基準を再検討しようと言っているわけでしょう。ましてこうした生命、健康を預かる厚生省として現在までの水道法の基準二十六項目で、これでよろしいんだということにならないでしょう。それこそさっきの秘密会の資料みたいなものでとりあえず飲ませておけ、もう少し分析しなきゃ結果はわからないんだということになっちゃうじゃないですか。どうですか。
#84
○政府委員(浦田純一君) 先ほどのじん炎の原因につきましては、実は私まだ詳細に報告を受けておりません。したがいまして、さっそく報告を求めまして厚生省の立場からも十分に検討してみたいと思っております。
 それから水質基準でございますが、これはおことばを返すようですが、取水地点における水質基準ということも含まれておりますが、最終的には水道法ではタップドウオーターといいますか、給水せんから出てくる、つまり末端で人の口に入る水、これが安全であるように基準を設けられておりまして、最終的な担保になるわけであります。取水点におきます水質につきましては、先生御指摘のように、いわゆる環境基準というものを私どもは援用いたしまして、これは法律で、強制ではございませんけれども、行政指導として十分に配慮していくように県のほうにも通知してございます。
 それから水質基準そのものでございますが、確かにいろいろと時代が進みまして、新しい物質も入ってきております。新たに水質基準項目として取り入れなくてはならないものも出てきております。私どもは現水質基準、きめられたものにつきましては、これは十分に安全性を見込んでおるものと考えておりますし、またWHOその他諸外国の水質基準と比較しましても、これはむしろ私どもはきびしいということが言えると考えております。したがいまして、問題は新たに出てきました物質等に対する考え方でございます。これらにつきましても、何と申しますか、まあいわばできるだけ問題になる前にひとつ事前にこれらの安全性について確認したいということで、すでに昭和四十七年の事業計画の中で、いままであまり問題にされておりませんでしたが、やはり一応検討するべきものといたしまして、セレニウム、バリウム、ベリリウム、バナジウム等の微量金属及び、BHC、エルドリン、マラソン、スミチオン等の農薬関係、こういったものの基準値をきめるべく、いま申しました物質の毒性あるいは分析方法等のいま確立を急いでおるところでございます。
#85
○小平芳平君 最後に局長に、いまの事務的なことを一問と、次官に最後にお尋ねして終わりますが、局長、いま最初にあげられた重金属の中ではテルリウムですか。
#86
○政府委員(浦田純一君) ベリリウムです。
#87
○小平芳平君 ベリリウム……。ところがテルリウムのほうも、このアメリカの研究によれば水頭症の原因になるのじゃないかと、水頭症を激発する引き金になるのじゃないかという研究もある。したがって、先ほどの小八賀川流域、あるいは黒谷川流域のそうした乳児の奇病、水頭症についてはそういう点からも私は取り組んでいくのが当然だと思うのです。特にテルリウムの問題と、それから複合汚染ですね、先ほどなお今後分析が必要とすれば複合汚染の問題だと、そういう点についてお答え願いたい。
 それから政務次官から、もう少し生命を守る、健康を守るというところに厚生行政の主眼点があるべきであって、ただ基準内だから水源地がどうか、それは知らなかった、分析結果はこうだからというだけでは通らないと思うのですね。水俣病でも御承知のように、イタイイタイ病でも御承知のように、初めはわからなかったのです。それが十年もしてわかったんですから、そういう点ひとつ厚生行政の基本について御答弁いただきたい。
#88
○政府委員(浦田純一君) ベリリウムが脳水腫の原因物質ではないかというアメリカでの研究結果の文献、これは私どももさっそく取り寄せまして十分に検討したいと思います。
 したがいまして、先ほど申しました物質以外にも問題になるといったようなものがございましたならば、私どもはそれにも取り組みたいと思います。また、何もこれは単年だけで打ち切るべき問題ではございませんので、引き続き水質基準につきましては検討を加えていきたいと考えております。
 それから、まあ立ちましたついでと申してははなはだ失礼でございますけれども、高山市の上野浄水場の原水の水質、その後ずっと継続していろいろな項目について、先ほどの二十数項目でございますか、それ以外にも調べておりますが、カドミウムあるいはシアン、水銀、銅、マンガン、亜鉛、鉛、六価クローム、砒素、そのほかのものにつきましても不検出かあるいは検出されましても、ほとんどもうごく微量でございまして、問題はないというふうに考えております。これは二月から九月までの継続した調査結果でございます。
#89
○政府委員(増岡博之君) 先生御指摘のとおり、人体に害が生じましてから対策を講ずるということではおそいわけでございますので、常時水質基準の内容について検討することはもちろんでございますけれども、特に積極的に進んで予測されますいろいろな物質の急性、慢性の毒性を研究をしておくということが、先生の御指摘のとおりの方針であろうと思いますので、そのほうにも特段の力を入れてまいりたいというふうに考えております。委員長(矢山有作君) 本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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