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1972/11/09 第70回国会 参議院 参議院会議録情報 第070回国会 法務委員会 第2号
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1972/11/09 第70回国会 参議院

参議院会議録情報 第070回国会 法務委員会 第2号

#1
第070回国会 法務委員会 第2号
昭和四十七年十一月九日(木曜日)
   午後零時五十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     平井 太郎君     増原 恵吉君
 十一月九日
    辞任         補欠選任
     小枝 一雄君     中村 登美君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 憲一君
    理 事
                後藤 義隆君
                原 文兵衛君
                佐々木静子君
    委 員
                斎藤 十朗君
                中村 登美君
                安田 隆明君
                吉武 恵市君
                鶴園 哲夫君
                中村 英男君
   国務大臣
       法 務 大 臣  郡  祐一君
   政府委員
       法務政務次官   古屋  亨君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  味村  治君
       法務省民事局長  川島 一郎君
       法務省入国管理
       局長       吉岡  章君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   矢口 洪一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
   説明員
       行政管理庁行政
       管理局管理官   正田 泰央君
       法務省保護局長  高瀬 禮二君
       大蔵省主計局主
       計官       海原 公輝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日、小枝一雄君が委員を辞任され、その補欠として中村登美君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(阿部憲一君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。郡法務大臣。
#4
○国務大臣(郡祐一君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
 政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知のとおりであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。
 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することといたしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することとしております。
 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
 これらの改正は 一般の政府職員の場合と同様、昭和四十七年四月一日にさかのぼって適用することとしております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
#5
○委員長(阿部憲一君) 以上で説明は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 両案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○佐々木静子君 それでは、本法案についてお伺いしたいと思います。
 ただいま大臣から提案理由を承ったわけでございますが、この提案理由によりますと、裁判官の報酬、検察官の俸給の改正が、一般の政府職員の例に準じて改正する措置を講ずるというふうにお述べになっていらっしゃるんでございますが、この一般の政府職員に準じなければならない理由とか根拠はどこにあるのか。裁判官の報酬が一般職の給与にこれは追随するような形で改正されること自体が非常に問題であると思うわけでございますが、これは前回も、六十七国会におきまして同じような趣旨のことを最高裁判所長官代理者としての矢口人事局長に御答弁いただいているわけでございますが、重ねてお尋ねするわけでございますが、憲法七十九条に、最高裁判所の裁判官は在任中相当額の報酬を受けることをわざわざ憲法上で規定している。また憲法八十条では、下級裁判所の裁判官は、すべて「相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」というふうに、これをわざわざ憲法上に明文化しているわけでございまして、行政官の給与というものとその性質を異にしていると思うのでございますが、なぜ対応追随の形で改正されるのか、その点について、これは法務省並びに最高裁判所の御見解を伺いたいと思います。
#7
○政府委員(味村治君) 裁判官、検察官の職務が、これは民主主義国家におきまして裁判あるいは検察という非常に重要な職務を行なうものである、そのために報酬、俸給についても独自に考えるべきではあるまいかという先生の御意見、まことにごもっともだと存じます。ただ、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、現在のところでは、現行の裁判官の報酬、検察官の俸給は、一般の行政官と比べまして、その裁判官、検察官の特殊の地位、それをかなり反映した性格を有しておると思います。そしてまたかなりその責任を反映いたしました額になっていると存じております。
 これに対しまして、今回人事院の勧告に基づきまして、一般職につきまして俸給の改定が行なわれますと、これに対応するいわゆる対応額スライド方式によりまして、裁判官、検察官の報酬、俸給を改定するということは、現行の裁判官、検察官の報酬、俸給が一般の公務員に比してその特殊性を持っているわけでございますから、その特殊性を反映したままの形でまたスライドするということにはかなりの合理性があるというふうに考えております。
 もちろん、政府におきましても、今後とも裁判官、検察官の報酬、俸給につきまして何らか独自の体系を検討すべきではないかというふうにも思っておりますし、その検討を続けたいというふうには思っているわけでございますが、何ぶんにもこの裁判官、検察官の給与は、任用制度とやはり密接な関係がございます。現在のわが国におきます現在の任用制度というものを前提にして考えますというと、なかなかむずかしい問題を含んでいようかと思うわけでございます。
#8
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいま法務省からお答与えになりましたと同様の理由と考えておるわけでございます。
#9
○佐々木静子君 先ほど申し上げました六十七国会における裁判官の報酬の御答弁を伺いますと、裁判官はその職務と責任にふさわしくその報酬を定めなければならない。しかし裁判官の報酬の中にも、一般の賃金事情、それから生活費の事情といったようなものによって、これを増額しなければいけないというような面もあるというような御答弁を承っているわけでございますが、この今回の増額を拝見いたしますと、まず最高裁長官の増率を見ますと、これは六十六万六千五百円の現行の報酬額から一挙に九十万円の増額に改正案がなっておる。この増率は実に三五%という大きな額であり、また最高裁判所判事、東京高裁長官その他の高裁長官は、いずれも、少ない人で一四%強の増額、最高裁判事の場合は三四・五という大幅な増率であるのに比べまして、判事の中には、七%ぐらいの増率しかないのもあれば、最も給与の低いほうでも一一%とか、一二%の増率である。生活費というふうな面から考慮するならば、このような増率というものは非常に不自然ではないかと思うのでございますが、それについて法務省並びに最高裁はどのように考えておられますか。
#10
○政府委員(味村治君) 確かに今回は、最高裁判所長官をはじめといたしまして、認証官である裁判官、検察官の方々の増率がその他の裁判官、検察官の増加率より多くなっているということは御指摘のとおりでございます。ただ、この点はもう御説明するまでもなく、すでに三年間、最高裁判所長官及び最高裁判事の報酬は据え置かれていたわけでございます。その間に、まあそれと同様に内閣総理大臣、国務大臣の俸給も据え置かれたわけでございます。その間に一般の政府職員は毎年賃金のアップを行なってまいりました関係で、非常に給与体系上その責任にふさわしい給与というものがいままで実現しておらなかったように思うのでございますが、今回、内閣総理大臣及び国務大臣の俸給がそれぞれ増額になりました。それと同額までに最高裁判所長官及び最高裁判事並びに検事総長の報酬、俸給を増額いたしました。そしてそれとの均衡のもとにおきまして、高裁長官あるいは高検の検事長の報酬、俸給もその均衡を考えまして増額をした結果が、御指摘のような率になっているわけでございます。したがいまして、これは、過去におきます最高裁判所長官及び最高裁判所判事の報酬が過去三年間上がらなかったということを是正した結果にすぎないわけでございまして、決して特別にこれらの認証官である裁判官、検察官の方々の報酬、俸給を優遇したというわけではございません。
#11
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいまのお答えと同様に考えております。
#12
○佐々木静子君 昨年の四月から実施されている判事補に対する初任給の調整手当の制度でございますけれども、これはどういう目的でつくられたものであるか、当時の衆議院法務委員会における御答弁を拝見しますと、裁判官志望に相当影響を及ぼす、すなわち裁判官志望者の増加を見込みとした趣旨であるというふうに承っておるのでございますけれども、この初任給調整手当というものを設けた結果、たとえば本年の四月、裁判官志望者がその影響によってかなりその目的を、初任給調整手当を設けたことによる目的を達したのかどうか、その点について具体的に、あるいは統計的に御答弁いただきたいと思います。
#13
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官を志望してもらうということのための一般的な隘路と申しますか、そういうものは幾つかあるわけでございます。非常に転勤が多いという問題でございますとか、給与が在野法曹の方に比して少ないといったような問題があったわけでございます。そういった問題をやはり改良して、適任の裁判官をより多く吸収するということの一つの方策として、初任給調整手当というものを考え、これを御承認いただいたというのが昨年から始まりました初任給調整手当の趣旨であったわけでございます。そういうことでございましたので、初任給調整手当の金額をおきめいただきますにつきましては、やはり研修所を終了して、いわゆるいそ弁として弁護士事務所に入られる方の当初の収入というものを一つの目安といたしたわけでございます。大体その目安に合う程度の報酬との差額というものを初任給調整手当としてお認めをいただくという考え方をとったわけでございまして、それが二万三千円から三千円の間の差をもって判事補の初めのほうの方々に支給するということが、初任給調整手当でございます。私どもは、少なくとも給与の観点からまいりますと、これによってある程度在野法曹を志される方々との間の格差を埋めることができたというふうに考えております。そうしてそのことが裁判官志望者によりよく反映し、裁判官志望者がふえるということを期待しておったわけでございます。で、その結果の最初のあらわれというふうに一般的に考えられますのが本年度の修習希望者でございまして、その修習希望者は、確かに判検事という面から見てまいりますと昨年に比べまして、若干ではございますが、トータルでは増加を示しております。しかし、お尋ねの裁判官という観点だけから見てまいりますと、一昨年裁判官の希望者が六十四名でございましたし、昨年は六十五名でございましたのが、本年は五十八名ということで、必ずしも増加の傾向にはなかったわけでございます。しかし、これは初任給調整手当、それによって、初任給調整手当のまあいわば利益と申しますか、よりよい効果が出てきてなかったというものではないように思っております。たびたび申し上げておることでございますが、裁判官志望者の数のこの程度の増減というものは、そのときの事情によってある程度はやむを得ないことだと思っております。長い目でごらんいただきますれば、やはりこういった手当の効果というものは出てくるのではないか。現に潜在的ではございますけれども、出てきておるのではないかというふうに考えているのでございます。
#14
○佐々木静子君 いまの御答弁でも承りましたように、裁判官、検察官のみならず、これは在野法曹も含めて、報酬を目当てに志望を選んでいる人はきわめて少ないのじゃないか、まずないのではないかと思うのでございますが、いまおっしゃったように、初任給調整手当を設けたからといって、先日来いろいろと私ども申し述べております一人制の問題とか、再任拒否の問題などが解決されない限り、そう簡単に裁判官志望者がふえるとは考えられないわけなのでございますが、しかしちょっとでも、そうした非常に解決されておらない事件がある中からも、りっぱな人に裁判官になっていただく、あるいは検察官になっていただくということは、これは司法の独立、ひいては日本の民主主義を守るためにも非常に大切なことではないかと思うわけでございまして、この初任給の調整手当というものが多少ともでもそれにプラスする、あるいはこれを設けることによって、経済的な理由から裁判官にならない人がなくなるということであれば、これは大いに意義があると思うわけでございます。そういう意味において、この制度は非常にけっこうだと思うんでございますが、本年度の法の改正案の中で初任給調整手当というものが、これが増額にならず、据え置きになっている。それはどういう意味から据え置きにされたのか。物価が上昇しているということから考えますと、この調整手当が据え置きになるということは、新任の裁判官の給与が事実上、下がるということにつながると思うわけでございますが、その点について、最高裁としてどのように考えておられるわけでございますか。
#15
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 初任給調整手当が、ただいまも申し上げましたように、弁護士に最初になられる方、事務所に入られる方の収入というものとの見合いにおいて設けられているということでございますので、今回も各地の弁護士会あるいは司法研修所で教官をしておられます弁護の教官方、そういった方の手を通じまして、ある程度、大都会、中都会等の事務所における弁護士の初任給と申しますか、そういったものについての資料をお願いしたわけでございます。ところが、これはなかなかいろいろのむずかしい問題もおありなのかとは思いますけれども、必ずしも昨年に比しまして本年度の初任給が著しい増加をしておるというような資料を得ることができなかったわけでございます。といたしますと、やはり、この調整手当の本来の趣旨から見て、本俸のほうがこれは一般賃金事情に関連いたしまして増加をいたしておりますので、特に初任給調整手当までをふやすというだけの資料を得ることができなくて、このまま据え置きということになったわけでございます。
#16
○佐々木静子君 いまの御答弁で、弁護士の、いわゆるいそ弁の給与というものが非常に基本になっているように伺ったんでございますが、いまの、非常に抽象的な御答弁だったんですが、具体的には弁護士の初任給というものを全国平均幾らぐらいと踏んでいらっしゃるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
#17
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 全国平均ということになりますと、非常に資料を得るのが困難でございまして、これはもう佐々木委員もおわかりいただけるかと思いますが、いろいろお願いいたしまして私どもが得ました資料の一端を申し述べてみますと、七万円から十三万円ぐらいに散らばっておるのが平均でございまして、まあ十五万円ぐらいというのも一つございますが、私どもの得ました範囲内では、平均十万円足らずというような金額が出ております。それからまた、これは大きいところでお願いしたわけでございますが、各地の地裁の所長等にお願いしました、かなり中都市もひっくるめまして弁護士会での報酬等について調べてみますと、大体約七万円から十万円ぐらいまでの間と、平均的には、金額としてはもう少し下がった金額しか出てこないわけでございます。そういたしますと、裁判官の初任給にこの調整手当を加えた金額と大差ない。一方、弁護士さんは、御承知のように、家屋一つにしましても、私どものほうは宿舎――かなり宿舎等は安うございますが、宿舎にお入りになるにしても相当な金額がお要りになるというふうなことを考えてみますと、なかなかいい数字が出てきていないというのが実情でございます。
#18
○佐々木静子君 最高裁御当局は非常に御苦労なすっていることはよくわかるわけでございます。が、この弁護士の場合は、かりによその事務所へ勤めて給料をもらっておっても、自分の事件というものはたいていこれは自分の収入になるということ、そこら辺の評価がどのようになっているのか。まあ非常に事件のない人であっても、国選弁護外三件や五件はあると思うわけでございまして、それもいろいろ事務所によりますが、大体はそれはそのまま自分のふところに入るというのがおおむね一般的な弁護士事務所のあり方ではないかと思うわけでございます。それと給与があまり変わっておらないという半面、この新任の――新任のといいますか、新しく登録をされる弁護士は非常に旧来の弁護士よりも力が強くなって、たとえば住宅を、所長である弁護士に住宅設備を要求する、あるいはそのほかいろんな、本来ならば弁護士個人が負担すべき支出をその事務所の負担と切りかえるというふうな傾向がいま非常に、特に大都市では非常に強くなってきておるわけでございますが、その点について、実質上の収入の増加というふうなことはどのように踏んでおられるのか、そこら辺もお答えいただきたいと思います。
#19
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) その辺になりますとなかなかむずかしい問題でございまして、的確には私どもわかりかねる面が多いのでございます。これを機会に、ひとつ佐々木先生なんかからも御援助をいただけると非常にありがたいと思うわけでございますが、的確にはそういった面での資料というものを得ておりません。たとえば御自分で事件をおやりになった場合には御自分の収入になるというような点も、いろいろ調査して御回答をお願いしますと、そこまでは出てこないことが多うございまして、平均しますと必ずしもいまおっしゃったようなことにはならないようでございます。なかなかむずかしいわけでございます。
#20
○佐々木静子君 こんなにうるさく弁護士の収入を申しますのは、要するに、裁判官の収入を弁護士と比べて劣らないようにしていただきたい、特に新任の裁判官の収入というものを、何とか司法の独立を維持して優秀な人材を裁判所に集めるためにも、ぜひともこの裁判官の報酬というものを高めていただきたい、そう思うからこのようにくどく申し上げておるわけでございまして、裁判官――これは検察官もでございますが――特に憲法上の要請から考えまして、裁判官が経済的に安んじて独立した裁判を行ない得るためにも、裁判所当局が勇気を持って財政当局と折衝していただきたいということを特にお願い申し上げる次第です。
 その点について、最高裁の御姿勢を伺いたいと思います。
#21
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは申し上げるまでもないわけでございます。私どもは、裁判官の職務と責任ということの関連におきまして、一人でも優秀な人材を吸収したいと念願しておるわけでございます。そのための問題でございますならば、いかなる障害がございましょうとも、この目的の達成に努力するという覚悟でおるわけでございます。
#22
○佐々木静子君 それから、最近、最高裁が進めておられる広域人事の問題でございますが、最近、人事の御方針として広域人事というものを推し進められておられる。その基本構想あるいはその実施、実現の状態はどのようになっておりますか。また、そのことによるプラス面、マイナス面などを御説明いただきたいと思います。
#23
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ちょっと恐縮でございますが、裁判官の問題でございましょうか、一般職員の問題でございましょうか。
#24
○佐々木静子君 裁判所の中で、このごろ広域人事――広く、裁判官のみにかかわらず、裁判官を含める裁判所職員の広域人事について伺いたいわけでございまして、その構想とか、現在どのように実現されておるか、プラス面、マイナス面を伺いたいと思います。
#25
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官の場合は、これは特にあらためて御説明を申し上げるまでもないかと思います。大体十数年間は、あらゆる型の裁判所を経験するように、全国的視野におきまして人事の異動を行なっておる、これは先刻御承知のところでございます。
 一般の職員の問題でございますが、戦後、住宅事情でございますとかいろんな問題がございまして、なかなか一般の職員の、裁判所を別にした異動というものは困難でございまして、たかだか地方裁判所管内で、甲号支部、乙号支部、本庁というようなことで異動をするだけであったわけでございます。しかし、これでは、やはり適材適所という問題からいたしましても、また昇進のためのアンバランスといったような問題からいたしましても、また職員個人の視野をいろいろの地域の職場において広めるということからいたしますと、非常に弊害が出てまいりますので、以上の申し上げたような点を解消いたしますために、広域人事ということの方針を確立いたしまして、事務局長、それから事務局の次長あるいは首席書記官、次席書記官という最高級の幹部のクラスにおきましては、これは全国的な視野からする異動というものを行なうということで、ここ数年着々とその方針を実行いたしてまいってきております。その次に位いたします事務局の課長でございますとか、主任書記官クラスの異動におきましては、これは各高等裁判所管内におきます適正異動ということで、これはここ一、二年でございますが、始めまして今年度は大体二年目に当たるということでございます。そういう観点で、全国的な異動というものは大体年間二百人前後、いま申し上げました高等裁判所管内別の異動というのは大体六百人前後をめどに実施をしてきておるという状況でございます。
 しかし、この全国的異動、ブロック別の、管内別の異動といったものは、最初申し上げましたようなことをいたしますために行なったものでございまして、それだけのメリットは十分あるものと考えておるわけでございますが、しかしデメリットというものがないわけではございません。たとえば、異動する職員がせっかくある庁では、なれておりますのに、赴任先には、なれておらないということで、無用のロスが生ずるというようなこともございます。また職員個人にとってみますと、御承知のように子弟の教育といったような観点から、なかなかむずかしい問題がございます。なお、住宅事情も――ただこの住宅事情は、このような全国的異動をいたしますものに優先的に住宅を確保するということを考えておりますので、おおむね住宅に関する限りは何とかそう支障がなく行なわれておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 異動に伴いますそういったロスもばかにはならないわけでございますが、しかし総じて申し上げますと、やはりそれによる人心の一新、適正な配置と、はつらつたる職務執行ということはばかっておりまして、それのメリットは十分あるのではなかろうかと考えて、今後もこの方針をいましばらく一般的に押し進めていきたい、このように考えておるわけでございます。
#26
○佐々木静子君 予定の時間が参りましたので、最後に一点だけ伺いたいわけでございますが、この添付書類の二三ページにございますこの調整手当でございますね。調整手当を拝見いたしますと、注として「調整手当は、支給地域の区分甲地のうち八%の場合の月額による。」というふうにしるされているわけでございますが、この支給地域はいかなる地域をさしているのか。このことについて承りたいと思うわけです。
#27
○政府委員(味村治君) これは国家公務員の給与法の十一条の三に規定してありますところの甲地の中で、特別のところでございまして、たとえば東京都といったようなところでございます。
#28
○佐々木静子君 この寒冷地手当というようなものを伺っているわけでございますが、たとえばこの寒冷地手当というものがどの地域に含まれているのか。あるいは、たとえば寒冷地のほうはわかったわけでございますが、今度復帰いたしました沖繩県などの場合は、酷暑手当なるものが支給されているのか。また、それがどういう基準で、幾らぐらいに織り込まれているのか。その額の根拠をお示しいただきたいと思うわけです。どこだけの地域に寒冷地手当があり、これだけの地域に寒冷地以外のたとえば酷暑手当なるものがあるかないか、また寒冷地手当はいかなる基準で幾らの額が盛り込まれているか、その基本をお知らせいただきたいと思います。
#29
○政府委員(味村治君) 寒冷地手当は、国家公務員の寒冷地手当に関する法律によりまして支給をいたしております。支給されます範囲は非常に広範にわたっておりますが、主として北海道、東北といったような寒冷地でございます。支給金額は、二万九千八百円というところから、ずっと少ないところでは千八百五十円と、これはまあ世帯主である場合とか、世帯主でない場合とか、扶養親族がある場合とかない場合とか、いろいろ違っておりますけれども、大体そのような金額になっております。
 それから酷暑手当につきましては、現在のところそのような手当はないと存じております。
#30
○佐々木静子君 これは実は国家公務員法がどうなっているかということを承っているんじゃなくて、先ほど来申し上げておりますように、この裁判官の給与というものは国家公務員の給与に追随してきめるべきものではない、むしろ独立してきめるべきものではないかということを申し上げておりますし、検察官の場合も、単なる行政官ではないという特殊な事情から、これも独立した判断からきめるべきではないかというふうに私考えますので、お聞きしているわけでございますが、このたとえば寒冷地手当で千八百円というのは、これは練炭などを使っているころは千八百円ぐらいであるいはまかなえたかもわからないけれども、このごろの住宅事情から見ますと、必ずしも千八百円ぐらいの費用で暖房費を一月維持するということは、常識で考えてもなかなかむずかしいというようなことが考えられますことと、これは一例を沖繩にあげまして、酷暑手当、これは私はことしの夏も沖繩へ参りまして、そして沖繩県に赴任されました検察官の方あるいは裁判官の方とも親しくお目にかかっていろいろと住宅事情なども承ったわけでございますけれども、これはもう聞くまでもないことですが、本土といいますか、旧来の本土からまいりますと、これは冷房がなければとてもいても立ってもおれぬ状態でございますし、そういうふうなたとえば沖繩県に赴任されたような裁判官、検察官の方々が、健康を害することなく生活を維持していくためには、やはり酷暑手当というものがどうしても必要じゃないか。事実上皆さんが自分で負担をして何とか夏をしのげるものにしておられる、そういうふうな実情を考えますと、やはり御当局としてもこれら裁判官、検察官が安んじて健康を維持して仕事に従事していくことができるように、あるいは家族の方々が安んじて生活していくことができるように、御配慮をなさるべきが当然じゃないかと思うのでございますが、その点について今後の御構想、お考えを承りたいと思います。
#31
○政府委員(味村治君) 現在のところ、裁判官の報酬等に関する法律第九条あるいは検察官の俸給等に関する法律の第一条によりまして、俸給以外の手当、これにつきましては一般の公務員の例によると、大体そういうことになっているわけでございます。したがいまして、現在も一般の公務員に準じまして寒冷地手当が支給されているわけでございます。御指摘のように、裁判官、検察官につきましてその給与を一般の公務員と別に考え、独立に考えるべきではないかという御指摘は、確かにごもっともだと存ずるわけでございますが、ただ、寒冷地手当といったようなものの性格からいたしますと、これは寒冷地であるためにいろいろ薪炭その他の暖房費がかかるということで支給されるわけでございますので、やはりこの点、そういった寒冷地手当の性格から考えますというと、裁判官、検察官と一般の職員とを区別して支給するということはなかなか困難でなかろうかというふうに思うわけでございます。酷暑手当につきましても同じでございまして、裁判官、検察官が非常に酷暑の地におきましてルームクーラー等がなければ正常な生活ができないということでは非常に困るわけでございますが、そのような事情は一般の公務員にも同じなわけでございます。したがいまして酷暑手当を創設するということになると、これは一般の公務員全般に通じての問題として考えざるを得ないかと思うわけでございますが、まだ現在のところそこまでの動きはないように聞いておるわけでございまして、私どもといたしましても、佐々木先生の御意見を承りまして、その点を十分考えて、機会がございますればそのような手当の検討をするように申し述べたいと存じております。
#32
○佐々木静子君 私の申し上げているのは、一般の公務員がまだだから裁判官や検察官もそういうことは要求すべきではないというふうな御趣旨の御答弁のように承ったのでございますけれども、これは一般公務員の給与というものと裁判官、検察官の給与というもの、報酬とか俸給を担当していらっしゃる方が違うわけでございますから、別に、国家公務員、一般公務員のほうがまだそういう動きがないからといってそれを手をこまねいて待っているというのでは、これは裁判官、検察官の身分を十分に保障することができないのではないかと思うわけで、その裁判官、検察官のほうの身分保障を強化することによって一般公務員のほうもそれに追随していくということであればまだ話はよくわかるわけでございます。と申し上げますのは、先ほど来繰り返しておりますように、憲法上報酬を保障されているのは、これは裁判官と国会議員だけでございまして、ほかの事柄については特に憲法上要請されていることではないと思うわけでございますので、全く行政から独立して、あるいは他の国家権力から独立して裁判官が安んじてその職務を遂行することができるように、また検察官が、行政官とはいえ政治に左右されることなく、行政に左右されることなく独立してその職務をあくまでも追求していくことができるように、それだけの身分保障というものを鋭意法務当局あるいは最高裁のほうで、いままでも御努力いただいているとは思いますが、特段の御努力をお願いしたいということを申し上げているわけでございます。この件につきまして最後に一般的な御意見を法務省から承って、私の質問を終わりたいと思います。
#33
○政府委員(味村治君) 裁判の独立あるいは検察の公正な運営につきまして、裁判官、検察官の待遇を常に適正なものにしなければならぬということはもう御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても常にそのように考えて努力をしているわけでございます。
 この酷暑手当の問題につきましても、確かに御指摘のように裁判の独立あるいは検察の適正な運営というために必要であるという御意見、十分に承ったわけでございます。ただ繰り返すようでございますけれども、やはりこの問題は、裁判官、検察官だけではなく、一般の国家公務員、場合によりましては沖繩に住んでいる民間の会社の方々、そういった方々にも共通の問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、これは裁判官、検察官の待遇の改善という面から検討を進めなければならないと思っておりますが、やはりそういったほかの公務員とのかね合いということも十分に考慮して慎重に検討しなければならない問題ではなかろうかと思っております。
#34
○鶴園哲夫君 先ほど趣旨説明がありました中に、またいま同僚の佐々木委員のほうから質問がございましたですが、判事、判事補等の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきまして「おおむねその額においてこれに対応する一般職の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、」と、「準じて」というふうにあるのですが、この「準じて」ということはどういうことなのか。
 それからもう一つは、具体的にここに金額が出てきているわけですけれども、この金額が出ますについて、きわめて技術的な話なんですけれども、どういうところと御相談の上でこの数字がきまったのですか。公務員の場合、一般職の場合は、御承知のように人事院がどういう形にするのかとはじいて出てくるわけですね。それに準じてということなんですけれども、これは具体的にはどのような相談があって数字が出てくるのか、きわめて技術的な点を伺いたいわけなんです。もう一つ、準ずるという意味はどういうことなのか、たいへん大まかな、「おおむね」ということばがついております。準ずるということばがついていますが、準ずるということはどういうことなのか、この二つをまずお尋ねいたしたい。
#35
○政府委員(味村治君) 準ずるということの内容はどうなっておるかということについてまず申し上げます。
 現在は、この一般の裁判官、検察官に関しましては、対応額スライド方式をとっております。したがいまして、ある号の裁判官の報酬と同額の一般行政職の号俸のものがございますれば、その一般行政職の号俸のアップ率と同じ率を裁判官の報酬にも通用するということにいたしております。しかしながら、ある号に在職しております裁判官の俸給と全く同一の額の俸給を受けている行政職の号俸がございません場合には、それに近い号俸の行政職の俸給をとりまして、そうしてそれとほぼ同一の率でアップするということにいたしているわけでございます。それが「準じて」ということの意味でございます。お手元にございます関係資料でもう少し詳しく申し上げますと、関係資料の一〇ページをお開きいただきますと、たとえば一番下の欄で申し上げますと、判事補六号の方は、現在の報酬が九万三千百円でございます。そうしてこれに対応いたします一般行政職は、二等級の一号が九万五千二百円、三等級の四号が九万八百円でございまして、九万三千百円というぴたりとしたものがないわけでございます。そこでこの九万五千二百円と九万八百円、このアップ率に見合うものを裁判官につきましてはアップするというやり方をやっているわけでございます。
 それから、この裁判官、検察官の報酬、俸給をきめるときにどういう機関と協議するかと申しますと、それは総理府、大蔵省、法務省、最高裁判所と、この四者の間で協議をいたしましてきめるということになっております。これはまあ人事院勧告が出されまして、その人事院勧告に基づきまして一般の政府職員の俸給が改定になるという場合にはそれに応じまして、ただいま申し上げました四機関でもって協議をする。そしてただいま申し上げましたような方法で今回はアップをしたということでございます。
#36
○鶴園哲夫君 いま御説明がありました判事補の六、九万三千百円、それはちょうど二等級になるんでしょうか、一般職俸給表の三等級の一かあるいは三等級の四というところと相応しているんだ、こういうことなんですね。そして九万三千百円というこの金額は、決して二等級の一あるいは三等級の四だけにあるんではなくて、おそらく五等級にもありましょうし、六等級にもあるわけなんです。金額としてはどの等級にもあるわけなんですけれども、その場合に、二等級と三等級に該当するというふうにきめた――だいぶ前におきめになったんだろうと思いますが、あるいは部長はそういうことを御存じないかもしれませんが、二等級、三等級に該当するというふうにきめたその理由ですね。なぜこういうことを伺うかといいますと、一般職の俸給表の場合にはたいへんここのところがうるそうございます。たいへんなんです。そこで、これはどういうわけでこういうふうにおきめになったのか、あるいはいつから、だいぶ前におきめになったのかもしれません、その点が一つと、それからもう一つは、行政職俸給表に準ずるという、こういう形になっているんですけれども、行政職俸給表が相当変わってきますわね、俸給表の内容そのものが。そのたびにそれに相応して、正確に相応して変えていかれるんだろうと思うんですけれども、これは当然の話でしょうが、いまのところ、二、三に、なぜそうなるかというところですね、そこの点をちょっと……。
#37
○政府委員(味村治君) たいへんむずかしい御質問でございまして、私もちょっと自信のあるお答えをいたしかねるんでございますが、この対応関係は、ここに、一〇ページの表にございますように、判事一号ないし三号は指定職の甲、判事四号ないし八号は指定職の乙というふうに、大体それに見合うと申しますか、そういった職の格づけというものがなされておりまして、いわゆる等級につきましても、そういう格づけをした上で、一応見合うところに持っていったということではなかろうかと思うわけでございます。
 確かに御指摘のように、四等級にも判事補六号に似たような数字がある。あるいは五等級にもあるかもしれませんが、判事補の職務ということを考えますと、やはり四等級なり五等級と対応させるというのは少しおかしいのではないかという感覚からこのような対応ができたのではないかと、これはそのように思うわけでございます。
#38
○鶴園哲夫君 私はこれを見まして、行政職としいて対応関係をきびしくつくらなければならないという――あるいは、準ずるという意味が一般の国家公務員行政職と関連しなければならないというところからきているんじゃないかというふうに思うんです。ですから中を見ますと、何となく無理があるような気がするわけですよ。ですから佐々木委員がおっしゃるような話も出てくるんじゃないかと思うんですけれども、確かに準じなければならないと、それが行政職(一)とそれから裁判官との関係の等級を考えなければならないというようなことになりますと、何か少し見ますと、そういう私は気がするわけです。
 まあそれはおきまして、先ほど佐々木さんのほうから話がありました初任給調整手当ですね。これになりますと、どうも公務員と準ずるということじゃないようですね。これは公務員と準ずるのではなくて、法律事務所に働いている、初めに働く、そして五、六年の間あるいは七年、ここにおりますのは大体八年ですね。八年働いている人たちとの均衡をとるためにこのようになっているんだということになりますと、どうも公務員に準ずるというのじゃなくて、全然今度は違って、同じような資格を持ったといいますか、そこに準ずるという形に見えるわけですね。ですから、どうも二元論みたいな感じがするんですけれども、そこの点はどうなんですか。これは準ずるという意味は、いま言った公務員に準ずるのじゃなくて、制度は公務員に準じておりますけれども、金額その他はこれは全然公務員とは別だ。法律事務所に働く人たちとの関係でやると。その考え方を推し進めていけば、これはどうも準ずるという考え方にも問題が出てきそうな気がする。その点をひとつ伺いたい。
#39
○政府委員(味村治君) 公務員の給与に準ずると申しましても、それは改定につきまして、アップ率につきまして準ずるということでございまして、決してその裁判官、検察官の報酬が公務員の給与に準ずるというわけではございません。もうすでに裁判官、検察官の責任、職務、そういったものの特殊性を反映いたしました給与体系が一応できているわけでございます。したがいまして、それと一般の行政職の職員の給与とを比較いたしますと、かなり優位になっているわけでございます。そこで、一般の行政職の職員の給与が増額になりますというと、そのアップ率に見合うだけの、アップ率と同額だけのアップをしておけば、やはり裁判官、検察官の地位、職務の重要性、そういったものを反映した給与体系になるという考えからこのような方法をとっているわけでございまして、準ずるのはあくまでもアップ率でございまして、決して報酬、俸給そのものではないわけでございます。したがいまして、御指摘の初任給調整手当も、これは裁判官、検察官の場合には給源が弁護士と同じでございます。司法修習生から弁護士、裁判官、検察官になるわけでございまして、給源が弁護士と同じだという観点から、先ほど最高裁判所の人事局長のおっしゃいましたような趣旨によりまして初任給調整手当をつけているわけでございまして、やはり裁判官、検察官の特殊性を考慮しているという点では、現在の裁判官、検察官の報酬、俸給の給与体系と別に矛盾はないというように考えます。
#40
○鶴園哲夫君 私は先ほどの説明を伺っておりまして、アップ率が準ずるというお話なんですが、しかし形式的には、ここにありますように、判事補の六というのは行政職の二の何号、三の何号というものとこれは形式的にはリンクされた形になっているでしょう。そうでなければ、アップ率だけ合ったところと合わせるなら、それなら九万何千円というのとここでおとりなるのはおかしいですよ。どこでもあるんですよ、この数字は。極端に言えば六の何号だってあります。あるいはそうでないものもあります。ですから形式的には私はそういうふうに理解したのですけれども、つまり判事補の六というのが行政職の二等級の何号、何号と形式的にはリンクしてあるというふうに見たのですが、そこのところのアップ率というものがこれだけだからこれだけという、こういう形式的なリンクをしてあるんじゃないかというふうに見たんです。さっきのお話ですと、どうも何かアップ率だけというお話でした。そこのところ、食い違っていますね。そこのところはどうなっているんですか。形式的にはリンクしてないんですか。
#41
○政府委員(味村治君) アップ率を同一にするという場合におきましても、現在の給与に見合う、対応する給与をもらっている行政職はどの号俸のものかということをきめなければならないわけでございまして、ただそういったアップ率を同一にするという便宜の観点からこのようなことが行なわれているわけでございまして、決して行政職の二等級の一号と判事補の六号との職責が同一だということを考えているわけではないわけでございます。その意味ではリンクはされていないわけでございます。ただ金額、アップ率をきめます便宜上このようにしているということでございます。
#42
○鶴園哲夫君 どうも私はそこのところわからないですね。形式的にはリンクしてあるんじゃないかと思いますよ。そうでないと、先ほど私が言ったように、九万三千円という金額はこれは相当範囲の広いところにあるわけです。ですからやはり形式的には――これは仕事の内容が違うというのはわかります。わかりますが、形式的にはそこのところに該当する、これはここのところに該当するという、そうじゃありませんか。もしそうなら、毎年ここのリンクは違うのですか。判事補の六というのは去年は二の三だったとか、二の四だったとかいうような形になる。そうじゃないんじゃないですか。やはり形式的にはリンクしている。中身は別として、金額を中心として、あるいは広い意味の行政職と裁判官との関連の中で、形式的にはリンクしてあるんじゃないかというふうに思いますけれども、非常にこまかいことになって恐縮なんですが、内閣委員会ではそういうことをしょっちゅうやるものですから伺っているわけです。
#43
○政府委員(味村治君) 再三申し上げますように、これは別に格付けをきめたわけではございません。しかし形式的にはリンクしてあるじゃないかとおっしゃいますれば、確かに昨年のアップの際もこの号俸をとっておりますし、ことしのアップの際も同じ号俸をとっておるという点では、形式的にはリンクされておると言えるかと思います。
#44
○鶴園哲夫君 そうでしょうね。私も先ほど説明を伺いまして、指定職の甲、乙表からずっと御説明がありましたから、これはこういうふうに形式的にリンクしてある、仕事の内容とか何とかは別にして、広い意味の社会的にリンクしてあるという感じを持ったわけです。そうすれば、そこが、アップしたときに同じようなアップをしていくということだろうと思うんですけれども、しかしそれにしましても、私はこういうことを伺いましたのはやはりこれは、あなた、最高裁なんですね、調査部長なんですね。
#45
○政府委員(味村治君) 法務省でございます。
#46
○鶴園哲夫君 法務省ですか。最高裁どうしたですか。これはまたおかしい。
#47
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) いま調査部長からお答えになりましたようなのと大体同様に考えております。裁判官の報酬と申しますのは、やはり職務と責任ということから、それにふさわしい報酬が導き出されなければいけない。これは最大の原則でございます。しかしそれを実際の金額にどのように反映していくかということになりますと、職務と責任の尺度というものはなかなかむずかしいものでございまして、結局は民間の給与でございますとか、公務員の給与でございますとか、そういったものを参考にして、それらとの関連におきまして適正なる職務と責任にふさわしい給与というものをきめていかなければいけない。これは実際の作業としてはそういうふうになるわけでございます。その結果は、いま調査部長からもお答えがございましたように、行政職(一)表の職務の等級とのリンクの関係におきまして下のほうはきまっておりますし、さらに判事の上のほうになりますと、指定職甲表、乙表とのリンクにおいてきまっております。さらに上のほうの、最高裁の裁判官あるいは高裁長官ということになりますと、一般の公務員の特別職――国務大臣、総理といったような関係とのリンクにおいてきまっているというのが現状でございます。私どもは、そういうふうにきめますにつきましては、裁判官の職務と責任というものを十分反映させてきめていかなければいけないと考えておりますし、そういったものが絶対不変のものであるとは考えておりませんけれども、一応そういうふうにきめていくということにも十分の理由があるのではないかと考えておるわけでございます。そういたしますと、今度はいわゆる一般の賃金事情あるいは民間の賃金事情――生計費のアップというようなことで一般の金額がアップいたします際には、その対応しておるところの金額がどの程度アップしておるかということの関連におきましてアップ率を考えていきさえすれば、結局において裁判官の職務と責任にふさわしい正しい給与というものが常に出てくるのではないだろうかというふうに現在考えて、そのように運用をさしていただいておるというのが実情でございます。
#48
○鶴園哲夫君 時間の関係もありますし、簡単に申しまして私はどうも、先ほど佐々木さんのほうから御質問があったんですけれども、いまの初任給調整手当について、法律事務所に回答を求めたところがどうだとかという話がございました。弁護士の関係の報酬あるいはそういうものとできるだけ均衡をとっていきたいという気持ちがおありのように受け取るんですけれども、どうも人事局のやり方とするとたいへんおおらかである。回答を求めると、きたところでそれでいい、こなければしようがないという程度の感じがたいへんしまして、これはどうもたいへんおおらかだなという感じがして、これは裁判官としましても御苦労だなという気がする。もう少しそういう面については積極性があっていいんじゃないかという感じがしますよ。それで、先ほど私は調査部長に――私は最高裁だと思っておりましたが法務省であった――伺っておりまして、どうも給与についての考え方というのがたいへんおおらかなような感じがするわけですよ。ですから、できれば――それだけ申し上げておきたいと思うのです。この法案について異議があるわけじゃございません。
 それから、これはまず法務省に伺いたいんですけれども、同時に大蔵省の主計関係の方、それからもう一つ行政管理庁の管理官の方にも伺いたい。これはしょっちゅう内閣委員会で問題になったし、またこの法務委員会で問題になっているんですが、登記所の定数の問題、たいへん登記の件数がふえておりますね。それからちょこちょこと私どもが二、三軒歩いただけでも、不動産の移動、たいへんだなという感じがします。至るところで広告が出ておりまして、たいへんな広告だなという感じ、特に田中さんが総理になって列島改造論という本が出たこともあって、急にまたふえているということもしばしば聞くわけですよ。まあこれはたいへんふえることは好ましくないと思うんですけれども、しかし現実の問題として急にふえてきてる。おそらく来年またこれ、一そうふえていくんじゃないかという心配をするわけです。その場合に、やはり一番問題は、従来からいわれておりました登記所の関係の定員ですね、これはやはり積極的にここでふやす方向へ努力が要るんじゃないかという、非常に心配をしておるわけですよ。たしか法務省のほうでは、ことし、四十八年度の予算要求では千八百名だったですかね、何か数字としては要求されておるんですが、いつもけたが違っちゃって、一けたか二けたになるという場合が多いようです。大体要求は四けたぐらいになるでしょうが、実際は二けた――三けたになっても百台という数字の場合が非常に多いわけですけれども、どうもこれはやはりたいへんな状態に差しかかっておるんじゃないか。ですから四十八年度予算の中でこれははっきりと成功するような努力をしてもらいたいというふうに私は考えておるわけですけれども、それぞれ、先ほど申し上げました大蔵省、行政管理庁、そして法務省のほうから御答弁いただきたい。
#49
○政府委員(川島一郎君) お答えいたします。
 登記所の問題につきましてはかねがね御心配をいただきまして、私どもたいへんありがたく思っております。結論といたしまして登記所の職員を増員すべきであるという点につきましては、私どもといたしましても、必要があるし、ぜひこれを実現したいというふうに考えておるところでございます。
 御承知のように、最近、いや、もうほとんど戦後毎年、登記事件が増加を続けております。最近の登記事件の件数を見ましても、甲号事件――登記簿に記入を要する事件が現在、約一年の間に二千万件ございますが、毎年百万件程度ずつふえております。これはまあ最近における経済の発展に刺激されておる、あるいはまた公共事業の広範な推進によるものであるというふうに思うわけでございまして、この傾向は今後においてもまだ続くであろうということは十分に想像できるところでございます。そこで私どもといたしましては、このような事務量の増加に対処するために、増員も必要である、そのほかいろいろな事務の合理化、機械化といったような措置も必要であるというような観点から、いろいろな角度から登記事務の適正な迅速な処理という目的を達するための検討をいたしているわけでございまして、これまでもそのための予算的な措置、いろいろ講じていただいてまいったわけでございますが、現在なおふえ続けているという実情がございますので、明年度におきましても相当数の増員をお願いしたいと、このように考えておる次第でございます。
#50
○説明員(海原公輝君) お答えいたします。
 法務局におきますところの登記関係業務が年々増大しており、それを受けまして登記関係に従事しておる職員の繁忙の度合いが増加しておるということは、私どもも承知しているところでございます。そこで、あるいはまだまだ努力が足らないというおしかりを受けるかとも思いますが、私どもといたしましては、例年の予算の編成にあたりまして可能な限りの増員措置を講じてきたところでございます。ただ、御存じのとおり定員の削減計画、定員削減というものがございますし、かたがた増員は抑制するということが一つの政府の方針でございまして、事業の増大しておりますことをすべて増員で吸収するということは、現実問題といたしましてなかなか困難かと思います。そこで、われわれといたしましても、たとえば機械化、合理化という、いわば経費でお手伝いいたしまして事務量の軽減をはかっていただくという措置を従来とも講じてきておるわけでございます。今後ともそういう事業量の増大ということが見込まれます場合には、十分その点に配意してまいりたいと、かように存じておる次第でございます。
#51
○説明員(正田泰央君) 定員管理をやっております行政管理庁としてお答え申し上げますが、先生御指摘のような登記件数が増加の一途をたどっておるということは十分認識いたしているつもりでございますが、また昨今の情勢でも、さらにそういった傾向が続くであろうというふうに考えております。
 ただいま大蔵省の海原主計官からお話がございまして、ほぼ同様な認識に立っておるわけでございますが、やはり現在の登記所の定員の状況から見まして、ある程度の所要の定員増というものはやっていかなければいかぬ、こういうふうには考えております。さらに、一方では定員抑制というような大方針がございますので、ある程度は事務処理の機械化、そういったような合理化の方策をも講じていただくということを考慮いたしまして定員増を行なっている次第でございますが、明年度につきましても、先生の御指摘のような情勢、そういったものを十分考慮さしていただきまして、慎重に検討さしていただきたいと、こういうふうに存ずる次第でございます。
#52
○鶴園哲夫君 これで終わります。私は、いままでこういう問題についていろいろ長いこと機会ごとに論議してきましたけれども、どうも民事局もそうですが、局長なり課長というところが、行政官と違いまして裁判官あるいは検事、そういう人たちが局長をやったり、あるいは課長をやっておるという点が私は一番大きいと思うのですけれども、一般行政職の登記所の人たちの労働条件等についてもどうもちょっとおおらかな感じが、おおらかというとちょっと何ですが、逆にどうも理解の行き届かない面があるというふうに、常々機会あるごとにそういうふうな印象を持っておるわけです。で、具体的に定員の問題にいたしましても、私はどうも現場が非常に苦労している、頭にきているということに対して少しばかり理解の届かない点があるんじゃないかということと、それは大蔵省に対して、あるいは行政管理庁とのいろいろな話もございましょうが、一般の行政官に比べてどうもおおらかで粘りが足らぬじゃないかというような気が私はしておるわけです。
 そういう感じもありますので、さらにもう一つ、特に七月から列島改造論というものがたいへんなブームになって、そして土地を買い占めるといいますか、あるいはインフレを待つというか、そういう傾向が非常に全国的に広がっている。それだけに、急激に土地の移動というものが従来の傾向にプラスして増大しつつあるという、たいへん困ったことだと思うのですけれども実際はそういう状況にいまなってきている。そういうこともやはり踏まえて考えていただきたい。これは法務省もそうですし、行政管理庁、大蔵省の主計官のほうも踏まえて考えていただきたいという点を要望いたしまして、終わります。
#53
○原文兵衛君 提案されました二つの法律の改正案の直接の御質問ではないんですが、関連しまして、保護司の処遇改善ということについてお尋ねしたいと思います。
 保護司が刑政上に非常に重要な役割りを占めているということは言うまでもないんですが、どうも最近全国的な傾向として保護司の補充が非常に困難になってきているということがあるわけでございます。われわれ先般、鳥取、島根地方へ委員派遣でもって実地に見聞してきても、全くその状況がはなはだしいということを痛感してきたわけでございます。もちろん保護司の任務というものが社会奉仕的なものであるといたしましても、現在の保護司に対する実費弁償が月額千三百円というような、ちょっと時代離れしたような感じを持つ、そういうような実費弁償しか出していないということにも一つの大きな原因があるんじゃないかと思われるのでございます。そういうようなことで、保護司に対する実費弁償、これを大幅に引き上げるか、あるいはまた実費弁償金の制度を給与制度に改めるかというような根本的な問題があろうと思いますが、これらの問題についての当局の姿勢といいますか、考え方について、まず一言先にお伺いしたいと思います。
#54
○説明員(高瀬禮二君) 保護司は、ただいま先生からお話のありましたように、民間の篤志家でございまして、社会奉仕の精神から、また人間愛の心から、犯罪者の改善、更生に関する仕事に献身的に従事されておられるわけでございます。ただいまお話がございましたように、この保護司に対しましては、先生御承知のように、給与というものを支給いたしておらないわけでございます。これは保護司法にも支給しないという規定がなされておるわけでございます。また、報酬の問題でございますが、報酬も現実には支給いたしていないわけでございます。御承知のように、保護司のほとんどの方は報酬を当てにされずにこの仕事に御努力いただいておるわけでございまして、むしろ報酬を差し上げるということが保護司の方々のお仕事をされます上に必ずしもプラス面にならないんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。ただ問題は、保護司が仕事をされます上にいろいろと実費がかかってまいるわけでございまして、この点はお払いしなければいけない。そこで、実費弁償金という形で実費を支給いたしておるわけでございます。ただ、この実費弁償金、いまお話しのように、たいへんに額が少ないのではないかというお話でございますが、この点につきましても年々改善されてまいっておりまして、次第に増額されてまいっておるわけでございます。で、私どもといたしましては、実費弁償金の予算につきましては、さらに増額につとめてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、ただ、金銭的なこともさることながら、保護司の皆さんに対しましては、さらに顕彰の拡大その他で労にお報いしなければならないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#55
○原文兵衛君 まさに社会奉仕的な精神でもってやっていらっしゃるんですが、しかし、実費弁償金の額があまりにも低い。まあ、年々改善されてきているといいましても、その改善がきわめて微々たるもので、私どものいまのこの時代から考えると少し時代離れしているんじゃないかと思います。熱心になればなるほど足が出るということ。全く自腹を切りながらやっているということでは、これではやっぱりいけないんで、私は、いままでたとえば千三百円であったから、それに何%か加えて百円とか二百円とか三百円上げるということじゃなくて、一回ほかのいろんな情勢と見合わせまして、思い切った実費弁償金の額を検討されてほしいと思います。それと同時に、いまお話がありましたが、そういう経済的な処遇だけでなくて精神面の処遇といいますか、そういうようなものについて十分考えていただくということは、ことにこういう奉仕的な精神でやっていらっしゃる方については大事だろうと思うのでありますが、そこでちょっとお伺いしたいのでありますが、先般、文化の日に叙勲の発表があった。あるいは各種の褒章の発表もあったわけですが、保護司が、今度の叙勲あるいは褒章にどのくらい、保護司であるがゆえにその功績に対する叙勲あるいは褒章というものが含まれているのかという点について、大体のところでいいですが、お伺いしたいと思います。
#56
○説明員(高瀬禮二君) ただいま先生のお話のように、実費弁償金の予算につきましては、さらに私どもといたしましても増額につとめてまいらなければならないというように考えておるのでございますが、これと並行いたしまして、ただいまお話の保護司に対する顕彰の問題でございますが、この点につきましては、私どもといたしましても、かねてから特段の配意をいたしておるつもりでございます。
 で、お尋ねの叙勲並びに褒章――藍綬褒章でございますが、その関係につきましても、おかげで最近におきましてはたいへんに増加いたしております現状でございます。ことしの秋の叙勲について申し上げますと、ことしは三十五名叙勲の栄に浴しておるわけでございます。昨年の秋の叙勲は十九名でございました。また藍綬褒章をちょうだいいたしましたのが、ことしは三十九名でございますが、これは昨年は二十三名でございました。
 なお、叙勲、褒章のほかに、私どもといたしましては、表彰ということを考えておるわけでございます。いろいろ段階がございまして、功労、功績の度合いに準じまして、保護観察所長表彰、地方更生保護委員会委員長表彰、法務大臣表彰というような形になっておりますが、法務大臣表彰につきましても、ことしは百六十九名、昨年が百四十一名でございました。かような次第でございまして、最近におきましては大幅に増加いたしておるという状況でございます。
#57
○原文兵衛君 保護司に対する経済的な処遇、また精神的な処遇について、いままでもおやりになっているということでございます。また徐々に上がっているということでございますが、先ほど私が申し上げましたような理由によって、これは大幅に両方の、経済的なあるいは精神的な処遇について、上向くように積極的に進められるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕
#58
○阿部憲一君 両案に直接関係した問題ではございませんが、この機会にちょっと法務当局に伺いたいと思いますが、それは、先ほど鶴園委員からも御質疑がありましたのですが、いま確かに法務局の仕事、事務が渋滞していることは事実であろうと思いますし、それが結局法務局の職員の労働の強化といいましょうか、これにもつながると思いますが、私申し上げたいのは、特にいまの関連する地方、地域の住民のそのためにこうむる障害といいましょうか、これが非常に大きいんじゃないかと、そのように思うわけでございます。現にそのような声をあちこちから私ども聞いております。そこで、いま当局でもってお考えになって、しかも実施しつつあります法務局の統廃合、それは、いまの住民に対するサービスを強化するといいましょうか、あるいは事務渋滞をなくするというようなこととどういう御関連があるかということを伺いたいと思います。私はむしろ申し上げますが、統廃合そのものは逆に地域によっては事務渋滞を大いに招いている、また招く可能性もある、このように思うわけでございますが、当局の御見解を承りたいと思います。
#59
○政府委員(川島一郎君) 登記所の統廃合の問題でございますが、この問題は、法務省といたしましては、ずいぶん前から何とかしなければならないと考えていた問題でございまして、いま、事務の渋滞とどういう関係があるかというお尋ねもあったわけでございますが、それとあるいは関連する部分もあるかもしれませんが、それよりも前に、現在の登記所の組織の基本的なあり方の問題、これと組織のあり方というものを、いまのままではいけないんではないかというところから出発した問題でございます。
 簡単に問題を申し上げますと、現在の登記所は全国に約千七百あまりございます。これは明治時代に配置されました登記所というものがそのまま現在に至っていると言っても過言ではないのでありまして、非常に数が多いわけでございます。明治時代に登記所を設置いたしましたときは、交通も不便でございましたし、当時の社会事情から見まして、この程度のものは必要であったろうと思われるのでございますが、御承知のように社会の情勢、ことに道路交通事情というものが一変いたしました今日におきましては、非常に登記所の数が多いということが目立ってきておるわけでございます。それからまた、その登記所、千七百ございますが、そのうちの千百あまりというものは、職員が一人か、せいぜい三人――三人以下のものが千二百近くあるわけでございます。こういった小規模な登記所というものは、事務の適正な処理をするについても問題がございますし、予算や人事の管理の面から申しましても、むだや支障が生じているという実情でございます。さらに、その職場に勤務する職員の勤務条件というものも非常に悪いというのが一般でございます。こういう状況から考えまして、もう少し登記所を集約いたしまして、数を少なくする、そして小規模の登記所を少なくすることによって、登記所の体制というものを近代化していこうというのがそもそもの考え方の出発点でございます。その方針に基づいて、最近問題になっておりますけれども、登記所をもう少し整理統合していきたいという方策を考えておるわけでございます。
 いなかの登記所に参りますと、事件が非常に少ないところもございます。そういうところにも最低一人の職員がおるわけでございまして、そういう登記所をほかの登記所に持っていきますと、職員の負担量といたしましては下がるわけでございますので、そういった人員のロスを解消するという面は若干ございます。そういう意味で、登記所を集約することによって、かえって登記所の事務が全体としておくれる、あるいは不便になるというようなことはないと思うわけでございます。ただ、いかに登記所を集約いたしましても、それによって浮く人員というものはわずかなものでございます。したがいまして、登記所を整理統合することによって人員を浮かそうということはそれほど大きな要素にはなっておりませんで、むしろそれよりも、登記所を整理統合して、そうして行政官庁としてふさわしいていさいのものをつくって、むしろそこにおける執務体制なり庁舎その他の設備を完備いたしまして、登記行政というものを適正円滑に行ない得るように、そういう形にして国民のサービスをはかっていく、そういう基本的な考え方に立っておるわけでございます。
#60
○阿部憲一君 いま局長のお話で、そういった整理統合に対する理由はわかりましたのですが、いまおっしゃるように、交通が非常に便利になった、明治、大正時代とは最近は違うのだという御説明でございますけれども、これは主として都市部のものについて言えることでございまして、山間部については、むしろ非常に統合されたために一人の支局がなくなってしまって非常に遠くまで行かなければならない、そういうような不平不満が相当あるわけでございます。私はこれは、このような整理統合するにあたりまして、むしろ地方の自治団体というようなものを、何といいますか、代理機関として使うような方法はないものか、そうすると、非常に遠隔地にいる、過疎地帯にいる人たちにも便宜を与える。村の中心部にあったのに、今度は市の中心まで行かなければ登記所がないという不便もございますので、それならばいっそ、何といいましょうか、その地域の中心地、かりにいままで登記所があったところは存続させられないならば、そのような場合に自治体のほうに委嘱するといいましょうか、自治体事務とさせるという便宜な方法がないものかどうか、お伺いしたいと思います。
#61
○政府委員(川島一郎君) まず、登記所を整理することによって非常に地元が不便するのじゃないかという点について最初にお答えしたいと思いますが、現在の登記所は全国に千七百あるということは、先ほども申し上げたとおりでございます。そうしてその結果、登記所間の距離を見ますと、かなり近接したところに多数の登記所があるという地方が相当ございます。たとえば隣の登記所まで三十分か四十分で行けるというような登記所、いま資料を持ってまいりませんでしたが、そういう登記所の数も相当にあるわけでございます。何百とあるわけでございます。そこで、統廃合を実施するにあたりましても、もちろん地元の方々の利便というものを考慮に入れまして、たとえ山奥にありましても、そこを廃止すると登記所へ行くのに非常に時間がかかるというようなところはいま直ちに統廃合の対象とするということは問題であろう、こういう見地から、いま考えておりますのは、比較的距離の短い、交通機関などによって、統廃合されても新しい登記所へ行くのに時間がかからないというふうなところを考えておるわけでございまして、しかもその統廃合を行なうに際しましては、地元の方々にも十分御説明申し上げまして、そうしてその点御理解をいただいた上で実施する、こういう方針をとっておるわけでございまして、確かに登記所が遠くなるということは不便ではございますけれども、しかしその不便がそれほど大きなものにならないということが一つの条件になっておるわけでございます。それと同時に、登記所を近代化したりっぱなものとすることによって遠くなった分を逆に埋め合わせをするような措置を考えていきたいと、こういうことでございます。
 それから、あとのほうの問題でございますが、登記事務を残しておいて、市町村に、かわってやらせるという方法はどうかというお尋ねでございますが、これは、現在戸籍事務などはそういう形をとっておるわけでございますが、登記事務につきましては、私、非常にむずかしい問題がいろいろあろうと思います。ことに、戸籍事務の場合もそうでございますが、市町村に行なわせた場合には、事件の数にもよるわけでございますが、非常に経済的にも、また人員の関係でも、ロスが大きくなるということが一つあげられるわけでございます。それからもう一つは、登記事務というのは非常に複雑な仕事でございまして、相当長い年数かけて経験を経ませんと一人前の仕事ができない。これは戸籍事務と比べますとはっきりそのことが言えるわけでございまして、現在全国に一人庁というのが五百近くございます。一人しかいない登記所というのが五百近くございますけれども、そこに所長として勤務しております人は、大体どんなに短くても七、八年、十年以上の経験者が来ているわけでございまして、そういう人が行っておりませんと、なかなか問題が多くて事件をこなし切れないと、こういう実情にあるわけでございます。そのほかいろいろ理由はございますけれども、おっしゃったように登記事務を市町村に代行させるということにつきましては、非常に困難が多いというふうに考えております。
#62
○阿部憲一君 たとえば一人庁の場合ですけれども、この一人庁も、やはり法務局の仕事としまして、登記事務のほかに、たとえば人権擁護の仕事だとか、あるいはまた供託金の問題なんか扱うわけでございましょうか、ちょっとお伺いいたします。
#63
○政府委員(川島一郎君) 一人庁というのは地方法務局の出張所でございますが、出張所におきましては登記事務を専門に扱うものが大部分でございます。制度的には、登記事務のほかに供託事務をあわせて行なうことができることになっておりまして、事実大きな出張所で若干供託事務を扱っているところがございます。しかしそれ以外の事務は、これはもう組織法の上で扱うことができないことになっておりまして、実際には扱っておりません。
#64
○阿部憲一君 このいまの人権擁護の仕事あるいは供託を扱う仕事ですけれども、これはやっぱりむしろ仕事の渋帯ということから、登記事務そのものもそうですけれども、人権擁護についてのいろいろな相談等々についての、いわばやはりなかなか親切にと申しましょうか、扱ってもらえないというような不満がございますし、それから供託金の場合も、これは御承知のようにいろいろと係争が多いものですから、供託金を納めるというのにも、朝から行ってもう夕方でなきゃ帰れないんだ、と。非常に、何といいましょうか、これは日にもよりましょうけれども、わずかの家賃を納めるためにもたいへんな時間のロス、労力のロスがあるというような不満をよく伺うわけでございますけれども、やっぱりこの辺についての何らかの改良をしていただきたいと思いますが、お考えを承りたいと思います。
#65
○政府委員(川島一郎君) ただいま申し上げましたように、出張所におきましては人権擁護事務は扱っていないわけでございます。しかしながら、人権擁護は地方法務局の本局とそれから支局で扱っておりまして、そのほかに人権擁護委員というものが任命されておりまして、これはほとんど全国の市町村におるわけでございます。まあそういう方々が自宅で直接人権に関する事件を引き受けてなさっておられるということもあるわけでございますが、いずれにいたしましても、人権擁護の仕事も重要なものでございますので、これを何らかの方法で強化していく必要があるということは御指摘のとおりだろうと思います。
 それから供託事務でございますが、供託事務を扱っている出張所はごくわずかでございまして、したがって、仰せのような家賃の供託というような場合に、相当遠くまで行かなければならないという場合が生ずることはあり得ようかと思います。ただ、実際の事件の数から見ますと、そういう事件はきわめて地方には少ないようでございます。しかしながら、少ないと申しましても、御指摘のような問題があることは確かでございますし、私どもといたしましては、わずかの金額を供託するために遠くへ行かなくちゃならぬということも不便であろうし、何か郵便か何かで供託をできるような方法を考えたらどうかということは思っているわけでございまして、そういう検討を実際にいたしております。ただ、供託は非常に技術的な会計法規の拘束を受けますので、いろいろむずかしい問題がございまして、郵便でやるにいたしましても、相当その辺の問題を解決しておきませんとあとの処理に困るといったようなこともございますので、もう少し時間をかけて検討さしていただきたいというふうに思っております。
#66
○阿部憲一君 最後に一言、もう一つお伺いしますが、この登記事務の渋滞と申しましょうか、繁忙に関連してかどうかわかりませんが、去る九月九日に浅草署が逮捕した地面師のグループがございます。登記所が明らかに、にせの登記権利証であることを注意すれば見破られたと思うのですけれども、それが見破られずに、登記所が認めたために、約六千万円ばかり詐取された、こういうふうな事件がありました。これは非常に私ども遺憾なことだと思っていますが、今後このような事件に対しての防止対策をどのようにおとりになるか、一応お伺いいたしまして、私の質疑を終わらしていただきます。
#67
○政府委員(川島一郎君) 確かに登記所を利用した犯罪というものがときたま起こってくるわけでございますが、これに対しましては、登記事務を扱う職員が十分注意して、そういった不正な事件であるということを見破るようにしなければいけないと思うわけでございますが、実際には、御承知のように、地面師というものは非常に巧妙でございまして、ちょっとやそっとの注意では見破ることができないような巧妙な書類をつくってくることも少なくないわけでございます。それと、都会地の登記所が非常に繁忙でございまして、そのために職員が一件の事件に十分時間をかけて綿密に調査をすることができないといったような場合もございますので、よけいそういうことが起こるのではないかと思います。これに対しましては、私ども、関係の、たとえば登記課長の会同等におきまして、どこの登記所でこういう事件が起こったというようなことを全部拾いまして、それを参考資料として配付いたしまして、こういった事件が起こった場所があるから今後事件の処理にあたってはこういう点にも十分注意をするようにというようなことを指示しておるわけでございますが、なお今後とも十分留意をするように、会同等の機会を通じまして申し伝えたいと思っております。
  〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
#68
○委員長(阿部憲一君) 両案に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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