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1971/03/22 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
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1971/03/22 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号

#1
第068回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
昭和四十七年三月二十二日(水曜日)
   午後二時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長谷川 仁君
    理 事
                鬼丸 勝之君
                楠  正俊君
                剱木 亨弘君
                丸茂 重貞君
                川村 清一君
                戸叶  武君
                藤原 房雄君
                星野  力君
    委 員
                稲嶺 一郎君
                今泉 正二君
                梶木 又三君
                片山 正英君
                亀井 善彰君
                柴立 芳文君
                鈴木 省吾君
                園田 清充君
                初村滝一郎君
                宮崎 正雄君
                山内 一郎君
                鈴木美枝子君
                田  英夫君
                宮之原貞光君
                森  勝治君
                塩出 啓典君
                宮崎 正義君
                春日 正一君
   国務大臣
       外 務 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       防衛庁装備局長  黒部  穰君
       防衛施設庁総務
       部調停官     銅崎 富司君
       外務政務次官   大西 正男君
       外務省アジア局
       長        吉田 健三君
       外務省アメリカ
       局長       吉野 文六君
       外務省欧亜局長  有田 圭輔君
       外務省条約局長  高島 益郎君
   説明員
       外務省アメリカ
       局外務参事官   橘  正忠君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (沖繩及び北方問題に関する外務省所管事項に
 ついて)
 (沖繩返還協定に関する件)
 (沖繩の基地問題に関する件)
 (沖繩の復帰に伴う準備状況に関する件)
 (尖閣列島の帰属問題に関する件)
 (北方領土問題に関する件)
 (北方海域の安全操業に関する件)
 (北方墓参に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 この際、沖繩及び北方問題に関しての施策のうち、外務省所管事項について、福田外務大臣の説明を聴取いたします。
 福田外務大臣。
#3
○国務大臣(福田赳夫君) 外務省の所管事項につきまして、その概略を御説明いたします。
 沖繩返還協定は、昨年十二月二十二日国会の御承認を得、百万沖繩県民をはじめ、日本全国民の長年にわたる念願であった沖繩の祖国復帰は、いよいよ目前に迫ってまいりました。
 私は、去る一月六日及び七日の両日、米国サンクレメンテで行なわれた日米首脳会談に出席いたしましたが、この首脳会談において、沖繩返還の期日を本年五月十五日に確定いたしました。
 政府といたしましては、沖繩県民をはじめ、日本全国民が一日も早い復帰を望んできたことは十分承知しており、この願望を体して沖繩の早期復帰実現のため全力を尽くしてまいりました。一方、沖繩返還にあたっては、日米双方共に種々の準備が必要であり、かかる準備を整えてこそ円滑な本土復帰が期し得る次第であります。したがって、今回の沖繩返還日決定にあたっては、一日も早い復帰実現を念頭に、そのための諸準備に要する期間を慎重に考慮しつつ対米交渉に当たり、その結果首脳会談において、五月十五日と決定した次第であります。
 次に、サンクレメンテ会談におきましては、返還時において沖繩が核抜きであることを確認すること及び返還後において米軍の施設・区域をできる限り整理縮小するよう十分の考慮が払われること等の諸点についても、あわせ合意されたのであります。
 沖繩の核抜き返還につきましては、すでにしばしば述べましたとおり、一九六九年十一月の日米共同声明第八項にある約束が沖繩返還協定第七条により条文化されましたので、返還時に沖繩に核兵器が存在しないことは何らの疑いの余地もないところであります。しかしながら、政府としましては、核に関する沖繩県民の感情も十分理解でき、また昨年十一月二十四日衆議院本会議において採択された決議も十分考慮に入れ協定上の約束以上に必要であるという意味ではないが心情的には念には念を入れるという意味で、沖繩返還時における核の不存在を確認するための何らかの方法がないものかにつき米側とも話し合いを行なったのであります。その結果、先般サンクレメンテ首脳会談において、ニクソン大統領は、沖繩における核兵器に関する米国政府の確約が完全に履行された旨の確認を返還の際行なうとの米国政府の意向を明らかにするに至ったものであります。
 また、復帰後の沖繩における基地の整理縮小につきましては、サンクレメンテ会談において、総理大臣及び私より大統領に対し、在沖繩米軍施設・区域、特に人口密集地域及び沖繩の産業開発と密接な関係にある地域にある米軍施設・区域が復帰後できる限り整理縮小されることが必要と考える理由を説明いたしました。これに対し、大統領は、双方に受諾し得る施設・区域の調整を安保条約の目的に沿いつつ復帰後行なうにあたって、これらの要素は十分に考慮に入れられるものである旨を答えたのであります。したがって、復帰後整理縮小されるべき施設・区域につきましては、今後日米間において具体的に協議が進められることとなりますが、政府といたしましては、前述のサンクレメンテ会談の際の話し合いの結果を十分踏まえつつ、現地沖繩の要望にも万全の考慮を払い、対米交渉に臨む考えであることを、はっきり申し上げたいと存じます。
 次に、北方領土問題につきまして、同様政府の所信を申し述べたいと存じます。
 政府は、戦後二十六年余を経た現在、なお北方領土問題が未解決であるために、日ソ間に平和条約が締結されていないことをきわめて遺憾であると考え、従来より、あらゆる機会をとらえて北方領土問題の解決と日ソ平和条約締結の必要性をソ連政府に説いてきましたが、本年一月、来日したグロムイコ・ソ連外相との話し合いで、同月二十七日発表された日ソ共同コミュニケにもあるとおり、日ソ平和条約締結交渉を本年中に双方の都合のいい時期に行なうとの合意に達しました。この交渉においては、もちろん、北方領土問題が討議されることになりますが、政府としては、北方領土問題を話し合う場がかかる形でできたこと自体、従来のソ連の「領土問題は解決済み」との態度から見れば大きな前進であると評価しております。この交渉をいつ、いかなる形で行なうかは今後の問題でありますが、この交渉にあたっては、粘り強く、北方領土問題に関する日本側の立場をソ連側に説明し、国民各位の支持と願望を背景に日本固有の領土である歯舞群島、色丹、国後、択捉の諸島の祖国復帰を実現し、もって日ソ平和条約を締結したいと考えております。
 日ソ平和条約を締結し、日ソ関係を真に安定した基礎の上に発展させることは、ひとり日ソ両国の利益に合致するのみならず、アジアの平和と安定、ひいては世界の平和に資するゆえんであり、わが国の平和外交の理念にも合致するものと確信しております。
 以上、簡単ではありますが、外務省の所管事項につきまして、概略御説明申し上げた次第であります。
#4
○委員長(長谷川仁君) 以上で説明は終わりました。
 ただいまの福田外務大臣の説明も含め、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#5
○川村清一君 三月十五日には沖繩返還協定批准書の交換も終わりまして、五月十五日にはいよいよ沖繩が返還されることに決定いたしました。きょうから五十日余りでいよいよ沖繩が返ってくることになるわけであります。昨年十二月、沖繩国会が終わりまして、国際情勢は大きく変わってまいっております。これに対応して沖繩返還の準備作業が進められていると思うわけでありますが、どのように進められているか、この点につきまして、具体的に、若干外務大臣に対して質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、ただいまいろいろ所信表明があったわけでありますが、沖繩国会が終わりましてからニクソン大統領が訪中いたしまして、その結果、アジアの緊張は緩和の方向に向かって大きく動いております。冷戦構造が変化したことは、これは否定できない事実だろうと思うのであります。このことは沖繩返還協定の基本をなしております一九六九年の日米共同声明の背景が大きく変化したものと私どもは考えております。具体的には、この共同声明の中にある台湾海峡と朝鮮半島の緊張状態を前提として沖繩の基地を存在させるとのアメリカと約束いたしました沖繩返還協定の内容というものが、いまや現状に即応しないものになったと私どもは考えておるわけであります。したがって、この認識の上に立って今後どうするか。この返還協定の内容を変えていかなければならない、これが課せられた問題でないかと考えておるわけでありますが、この問題に対して政府はどのような見解を持たれておるのか、まずお尋ねいたしたいと思います。
#6
○国務大臣(福田赳夫君) ニクソン大統領の訪中は、それ自体、世界史的に見まして、これは大きな一石を投じたことになると思います。つまり、アメリカが従来長い間とってきました中国封じ込め政策、これを転換いたしまして、対話の関係に改める、こういうのですから、これはアジアの政治情勢に及ぼす影響、また、ひいては世界の政治に及ぼす影響は甚大なものがある、こういうふうに見ておるわけであります。まあ、このニクソン大統領の北京訪問、これはしさいに国々について検討いたしますと、あるいはこれによって不安をかもし出しておるというような国もあります。しかし、大局的に見まして、私はアジアに緊張緩和という大きなムードをつくり出しておる、こういうふうに考えております。その認識に立ちまして、私はこのムードを大事にしたい、大事に育てあげたい、日本の外交政策はまさにこのニクソン訪中によってかもし出された緊張緩和の線に大きく沿って動いていくのが妥当である、こういうふうに考えるわけであります。ただ、私がお答え申し上げますのは、そういうムードはできましたけれども、なお今日このムードというものが固定化はいたしてはおらぬ、現実化しておらない。ニクソン大統領みずからが言っております。私は長い長い米中問題、その第一歩を北京訪問によって踏み出したんだと、こういうふうに言っておる。また、このムードが定着するそれまでには長い時間がかかるだろう、こういうふうに思います。したがって、時間はかかりますが、そういう方向に向いておるということは、それは十分にとらえていかなければならぬ、これが私の考え方でございますが、日米安全保障条約がそういう際にどういう働きをするか。私は、長い展望からいたしますると、これは日米安全保障条約も、その歴史の流れの過程において、その適用、運用の上において、これはそれに沿ったやり方でなければならぬと、こういうふうに考えておりますが、今日この時点の問題として考えるときに、まだそこまでは行っておらぬ。安保条約の適用区域をどうする――変更するとか、あるいは安保条約自体の改革を行うとか、そこまでは行っておらぬ。われわれはわが国の置かれた立場、つまり、憲法第九条を持っておる、また、国民の間に再び戦争はすまいというコンセンサスがある、経済力も大きくなったけれども軍事大国には再びなるまい、こういうコンセンサスもある。そうすると、抑止力がわが国としては足りない。その抑止力を何によって補うか、こういいますると、日米安全保障体制である。その基本的な考え方につきましては、これを変更するという考え方はない。しかし、外交の大局から見ますると、先ほど申し上げて、また繰り返すようになりまするけれども、緊張緩和という方向に向かって一路邁進いたしたいと、かように考えております。
#7
○川村清一君 外務大臣も、世界の大勢、極東の緊張状態というものが大きく緩和の方向に向いておる、もちろん固定はしておらないけれども、大きく動いておるということは認められておるわけであります。したがって、沖繩返還協定を結んだ背景になっておる、基本になっておる一九六九年の日米共同声明の状態とは変わってきておるということを認められておるわけであります。そこでこういう状態になりますれば、沖繩返還協定の中にある内容というものがもはや現状には即応しないものになっておるのではないかと私は考えるわけでありますが、この点、認められるかどうか。この点をお伺いいたしたいし、私どもといたしましては、ことし一月のサンクレメンテの日米首脳会談において、すでにニクソン訪中によって今日のような状態がそこに生まれるということは読んでおったわけであります。したがって、この会談においては、アメリカ軍基地の大幅の撤去、これは対米折衝の最大の問題として取り上げなければならない、こう考えておったのであります。国民も大きく期待している。われわれ社会党は十二月の沖繩国会において強くこの点を要求し続けてまいったのであります。しかるに、サンクレメンテにおいては、福田外務大臣は、ただいま報告のありましたような核撤去の確認、そして基地の返還この基地の返還にしても、新聞の報ずるところ等によりますれば、米軍のゴルフ場とかあるいは水泳場とかのいわゆるレクリエーションの施設ですね、こういうものの返還要求にとどまって、われわれが期待しておるような、われわれが強く要望しておったところの基地を大幅に撤去すると、こういう点に向かってきわめて消極的であった。このことははなはだ遺憾に思っておる次第であります。なぜこの一月の首脳会談において、もっと米軍基地の実態というものを十分に調査しておいて、完全撤去とはいかなくても、少なくとも復帰後沖繩の経済開発のために必要不可欠な部分については、ぜひこれを返還してもらうように強く要求折衝されなかったのかどうか。この点についてひとつ大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 川村さんがいま、サンクレメンテの会談でわれわれが基地の問題に消極的であったというようなお話をされる。どこからそういう情報を得たか私は承知しませんけれども、真相を申し上げますが、これは実はサンクレメンテ会談では基地の問題に一番力を入れたんです。まあ、沖繩の問題につきましては、返還日の問題と、核抜きの問題と、基地の問題、この三つが議題になったわけでありますが、私どもが一番力を入れ、かつ苦労したのは、これは基地の問題なんです。つまり、アメリカ側からいたしますと、私どもが基地の問題で非常に積極的である。熱心である。これがよく理解されない。私はサンクレメンテへ行く前からそういうような予感がしたんです。つまり、沖繩に行ったことのある人、あるいは沖繩の仕事に携わった人、そういう方々は沖繩の基地問題が重要であるという認識は持っておられるようであるが、どうも対米折衝、そういうものを全局を通じて見た場合に、アメリカの首脳の人にそういう、それほどまでの認識がどうもないような感じがする。そういうようなことで、私は、これはいい機会だから、首脳に、沖繩基地問題が重要な問題である、これは首脳として考えておいてもらわなければならぬ問題であるという前提で出かけた。それでこの話をしてみると、はたせるかな、そういうような私のおそれ、それが感ぜられるわけです。まあ、もっともサンクレメンテ会談の直前にニクソン大統領はヨーロッパに行きまして、ヨーロッパの自由圏の三首脳と会談をしておる。この会談では何が問題であったかというと、NATOの軍隊をどうするかという問題、このアメリカのNATOの駐留兵力、これを減らしてもらいたくない。ことにドイツのごときは非常に積極的で、金も出します、積み増しもします、だから一兵も減らさないようにしてもらいたい、こういう要請をしている。その三首脳との会談の直後にわが国の首脳――佐藤首相との会談が行なわれる。その佐藤首相が一番力点を置いた問題は何かというと、基地を整理縮小せいと、こういう問題です。ですから、その辺にもまあ感触上の問題があったかと思うのでございますが、とにかく基地に対する理解というものが、私どもが思っておったような状態ではないような私は受け取り方をいたしたわけであります。そこで私は、誤解が起きるとこれはたいへんな事態になるだろうと、こういうふうに考えまして、私どもは安全保障条約というものに反対の立場をとっておらぬ、米軍のわが国における駐留、これに反対するものではない。問題は駐留じゃなくて、その駐留のあり方にあるのだというところから入っていったわけです。つまり、米軍が安全保障条約に基づいてわが国に駐留する。しかし、その駐留米軍というものが地域社会から快く迎え入れられる、地域社会と解け合って、そして駐留する。こういうことでないと、駐留自体が非常に困難な事態に当面するおそれがある。その一番大きな問題は沖繩にある。こういうところから沖繩問題に入っていったんです。沖繩問題につきましては、地図も広げ、この村のごときは役場がよその村に置いてある。あるいは小学校までがよその村に置かなきゃならぬというぐらいな基地化という状態である。そういうようなことをるる説明いたしまして、そしてこの基地の問題、これはどうしても日米間で話し合い、かつ解決されなけりゃならぬまことに重大な問題である、こういうアプローチをいたしたわけであります。で、アメリカ側はこういう態度です。基地という問題のことを言うけれども、まだ沖繩返還協定が発効する、つまり沖繩を返還するのは五月十五日じゃないか、あなた方日本は、五月十五日前に沖繩返還協定の改定を求めるという、そういう考え方であるかと、こういうような態度です。私どもは、そうじゃないんだと。沖繩協定、これは五月十五日に発効し沖繩は日本に返るが、その後においてこの問題をひとつ討議する、こういうことなんです。しかし、別に協定は変更するという意図ではありませんけれども、五月十五日を待たず、それ前において、事前にも交渉したい、話し合いをしたい、こういうふうな気持ちを持っている、その辺は誤解なきようにというようなことでまあ話し合った次第でございますが、私どもは、第一は基地の密集地帯、これを指摘し、そしてこの密集状態の解除、それから第二には各種の開発、それに支障のある基地の問題、それからさらにレクリエーションとか、そういうようなもの、あるいは基地機能の維持というところから見て、過剰に基地面積を広げておるというようなところがあるかないか、それらの点をひとつ話し合いたいんだということ、これらをるる話しまして、そしてやっと得た結論というものは、返還後ひとつ両政府の間においてこれらの諸問題は相談いたしましょう、こういうことになりましたわけであります。まあ、私どもとしては、基地の問題については特に力を入れ、全力を尽くした結果があの共同声明発表の示すとおりになったと、かように理解願います。
#9
○川村清一君 前段のアメリカのニクソン大統領の訪中、米中共同声明による極東の冷戦構造の変化、こういうような国際情勢の中において、沖繩返還協定の内容というものは、もはやその情勢の中において即応しないものに変化したのではないかということをお伺いしておるわけでありますが、これに対して御回答がないので御答弁をぜひお願いいたします。
 それから、ただいまるるお話がありまして、その点はそういう経過があったということは理解いたします。そこで結論的にいうならば、その会談によって具体的には何も出ておらないんだと、つまり、沖繩返還協定の中においていわゆる予解覚書A、B、Cとありますが、いわゆるこのA表等の中において変わったものがあるか、変更したものが具体的にあるのかどうか、これは一切ないんだ、ただ、返還後において、これらの問題について今後両国が精力的に話し合うのだ、こういうような結論を得たのだというふうに理解したわけでありますが、その理解でよいのか。要するに、サンクレメンテにおいていろいろ話し合った、そこに重点を置いて話し合った、その点は理解いたしますが、しかし、その結果何も出てこない。これはすべて五月十五日以降に持ち越されているのだ、こういうことなのか、それを明らかにしていただきたい。
#10
○国務大臣(福田赳夫君) まず、後段のお尋ねでございますが、そのとおりであります。返還前においては、これは協定の変更になるというような関係もありますので、A・B・C表を変えるということは考えません。返還が行なわれたその後において、それらを両国の間において相談する、そういうことです。
 それから、前段のことにつきましては、先ほどもるるお答えしたつもりだったんですが、あるいは抽象的だったかもしれませんが、このニクソン大統領のかもし出した雰囲気、これは緊張緩和、大局的に見てそういうふうに見られます。そこで、これを大事に育てていきたい、わが国の外交方針もそれに沿っていきたい、そういうふうに考えますが、まだこれは固定化した状態ではない。長期にわたってこれがどういうふうになっていくか。私どもは、このムードが固定化する、定着するということを願っておりますが、それが定着し、固定化するという時点になりますると、安全保障条約の運用、適用、そういう面についても違った考えがとられましょうが、今日この時点におきまして、私どもは安全保障条約の運用なりあるいは適用なりを、若干のことはありましょうが、大きく変えるということは考えておりません。
#11
○川村清一君 次に、沖繩返還協定の重大な柱になっております核の問題についてお尋ねしますが、沖繩に核兵器が存在しておることは、もう政府がいかようにこれを強弁されましても、すでにいろいろな調査によって明らかになっておると私どもは考えております。しかし、返還時においては核は完全にないんだということを、国会においてはたびたび総理並びに外務大臣は言明されておりまするが、そこでサンクレメンテ会談における重要な議題であった、この核の問題、核の完全撤去というものはいかなる方法によって確認されるのか。先ほどの説明によっては、アメリカ政府が何か文書を出すといいますか、言明されるといったようなことによってそれが確認されたといったようなことになるようでございますけれども、しかしながら、現在の沖繩県民はもちろん、日本国民はいろいろな客観的な情勢、本土にさえ核がある、その疑いが十分あるということが、いろいろな形で国会等において議論の的になっております。さらには、アメリカの元軍人等が、私が本土に核を持ち込んだ、運んだといったようなことを証言しておる。こういうようなことも新聞等に報ぜられておる。したがって、こういう情勢の中において、アメリカのだれが、ニクソンがこういうことを声明するのかどうかわかりませんけれども、アメリカ政府の一高官あたりが、もうすでに沖繩には核は存在しないのだと、こういうようなことを言明しても、もはや沖繩県民、日本国民はこれを信用するような状態ではないと私は考えておるわけであります。したがって、ほんとうにないということを確認するには、そのような方法だけでは足りないと思うのでありますが、できるならば、日本政府がこれを点検する。そういうことによって実証する。その道を経なければならないと考えておりますが、これらの問題について政府はどのように考えておられるのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
#12
○国務大臣(福田赳夫君) 核の問題につきましては、これは私、サンクレメンテ会談に臨みまして、あらためてこの核の扱いということがアメリカ政府においてきわめて重大な問題になっておるということを痛感したわけであります。あの会談を通じまして私は察知できるのでありますが、これはほんとうに大統領の専管事項である、この核の問題はそういう性質のものであるという認識の扱いがされておる、こういうふうに見てとってきたのであります。沖繩の核兵器につきましては、これはまだアメリカ政府のほうでは、あそこに核があるとかないとかいう、そういう意思表示をしていない。私どもは、しかしそれにもかかわらず、核はそこにありそうだ、ある、こうにらんでおる。であればこそ、核問題については政府としても強い姿勢で取り組んでおるという次第でありますが、一九六九年のあの共同声明でも日本の核政策には協力をするということが両首脳の間で合意が成立しておるわけでありますから、返還協定でもそれを引用いたしまして、そうして、それに核の対策に必要な費用というようなものまでが出されておる、こういう状態でありますから、私はそういう大事な扱いの核兵器の不存在に対する証明措置としては、これはかなり最高というか、非常に強い措置がとられる、こういうふうに考えておるわけであります。私ども政府としては返還時に核がなくなるということについては一点の疑いを持たない。しかし、いま川村さんも御指摘のように心配する人がある。ことに沖繩県民の間においてしかり。そういうふうなことも考慮いたしまして核不存在の再確認をアメリカに政府から要請するという措置をとったのでありますが、アメリカ政府においてはこれを了承した。そうしてその形をどうするかというのは、サンクレメンテ会談以後ずっと相談をしておりますが、大体の方向は返還時には核はない、こういうことを書面をもってアメリカ政府から日本に通報をする、こういうことに相なろうか、こういうふうに思うのですが、まだ最終的な詰めを終わっておりません。まあ、これだけの措置をとれば私はまず核については御安心願えるんじゃないか。あるいは大統領がわが国の首相と合意した協定までそれが委任をされた、あるいはその後に至ってアメリカ政府がわが国に現実に核不存在の手紙を出した。そこまでやってそれでなお核が日本にありますというようなことがありますれば、これは一体どうなるのだ。これは日米間のたいへんな国交上の大問題になる。私はそういう諸般の情勢を考えまするときに、これで核の問題については御安心を願えるんじゃないか、そういうふうに考えておりますが、なおいろいろお話がありますれば、その際はその際に応じて適当な措置をとる。ただ、権利として基地を査察するとか、検査をするとか、そういうふうなことは国際法上のたてまえからも考えられない、こういうことでございますが、しかし、できる限り御安心願う措置、これについてはそのときそのときのケースに応じまして妥当な措置をとるというふうに考えておる次第でございます。
#13
○川村清一君 いろいろこの問題についてもさらに詰めてお尋ねしたいのですが、時間の制限がありますので、問題を次に移したいと考えますが、私は尖閣列島の問題についてお尋ねしたいと思います。
 尖閣列島の問題につきましては、実は私、一昨年八月の十日のこの委員会におきまして、時の愛知外務大臣に対しましていろいろ御質問いたしました。それ以来数回にわたって質問してまいったわけでありますが、この間私は、できるだけ私の手に入る、また私が調べることのできる限りにおいて書物を見て勉強してきたつもりでございますけれども、その私の勉強の結果は、どのような角度から考えてみても、尖閣列島は間違いなくわが国の固有の領土である、こういうふうな確信を持っておるわけであります。しかし、中国や国民政府は、歴史的にも、地理的にも、地質的にも、自分の国の領土であると領土権を主張しております。日本が窃取したものであるとわが国を批判しておりますが、私は、この中国や台湾政府の議論の根拠がよくわからないのであります。私の調べた本の中には、どうもそういうふうに納得できるような事項がありませんので、したがって、中国や国民政府が、この尖閣列島は歴史的に、地理的に、あるいは地質的に――地質的にというのは、あるいは大陸だなといったような問題から言っているのではないかと思いますが、その点ならば私も理解できる点はあるわけでありますが、この中国や国民政府が主張しておる根拠ですね、これらについて外務省がいろいろ調べられておると思うのでありますが、時間の関係もありますので、ごく簡単にかいつまんで要点だけひとつお聞かせいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 相手側の話ですね。
#15
○川村清一君 相手側の話です。時間の関係がありますので、恐縮ですが、ひとつ簡単に。
#16
○政府委員(高島益郎君) ただいまお尋ねの、尖閣諸島が歴史上、地理上また地質上中国に属するという主張は、私ども国民政府の主張として承っております。
 まず一番目に、「歴史上」と申しますのは、はっきり中華民国の文書あるいは声明等のうちに出ておりませんので、どういう文書に基づくということはわかりません。一般的に中国等の古文書等に尖閣諸島のいろいろな島々の名前が載っておるということだそうでございます。それからまた、これはいろいろ民間の人の意見、学者の意見等も勘案しましてそういう結論を持っておるということであります。
 それから、いろいろ、昔の人がこの島を発見しまして、航海その他の目標に利用したということが古文書に載っておることも聞いております。しかし、これらは、いずれにいたしましても、このような歴史上の根拠というものは国際法上の占有、あるいは領土取得の理由にはならないというふうに考えております。つまり、単なる発見とか、事実の確認だけではその国の領土ということにはならないとわれわれは確信しております。
 なお、この非常に古い文書の位置づけにつきましては、いろいろ勉強しておりますけれども、この場でもってどうこうということは申し上げません。
 「地質的」と申しますのは、先ほど先生おっしゃいましたとおり、私ども想像いたしますに、東シナ海大陸だなの延長線上にあるということが理由だと考えております。しかし、これも国際法上の領土の領土取得の理由には全くならないということでございます。
 それから、「地理上」と申しますのは、これは台湾にむしろ近い。沖繩の本島よりも台湾に距離的に近いということが理由だそうでございます。これもいわゆる国際法上の領土取得の理由にはなりませんで、幾ら先方でそういう主張をいたしましても、これをもって領土取得の理由にはならないと考えております。
#17
○川村清一君 ただいま局長の説明されました事項、具体的にいわゆる歴史的に、地理的というような内容ですね。特に歴史的には、いろいろ古文書ですね、そういうものについての問題をひとつ具体的に文書にして配付していただきたい。私の手元にひとつ届けていただきたい。私も勉強してみたいと思います。委員長のほうでよろしくお願いいたします。
 次に、私、何としても納得できないのはアメリカ政府の態度なんです。この点、十二月十五日の参議院本会議において、私が社会党の代表質問で質問した際にも、外務大臣に対して質問したわけでありますが、外務大臣は、意識的にか、私の質問の本旨をはずして御答弁になっておるわけであります。すなわち、平和条約第二条で日本は台湾を放棄したわけです。第三条で今度は沖繩をアメリカの施政権下に入れた。そうして、その第三条に基づいてこの尖閣列島もアメリカの施政権下に入っておるわけであります。そうして、その中に、御承知のように、アメリカは軍事施設を持っておるわけです。大正島などですね。いわゆる今度の了解覚書A表、黄尾嶼あるいは赤尾嶼というのは、尖閣列島の島ですね、そうして基地を施設してきた。そうして今度沖繩を返還した。施政権を返還したその協定の中の返還区域の中には、はっきりと尖閣列島が入っておる。そういう事実があるにもかかわらず、尖閣列島の領有権というものが国際上の問題になってくるというと、アメリカ政府は施政権は返す、しかしながら、この尖閣列島の領有権についてはアメリカは発言の権限がないんだ、両当事国において話し合って解決してもらいたいと言って手を引いた。いわゆる領土権がどちらかわからないと言うアメリカが、領土権がわからないその地域を施政権下に入れたり、そこに自分の軍事基地をつくるなんということは、はたしてこれが国際法上妥当なものかどうか。こんなえてかってな理不尽な行為は私はないと思います。だから、かかるアメリカの行為に対して日本政府は厳重なる抗議をしなさいということを私は十二月の本会議で外務大臣に申し上げたわけであります。ところが福田外務大臣は、それだから尖閣列島はわが国固有の領土ということがはっきりしている、立証されたことになるんだと。私は、アメリカに抗議すべきである、こういう無責任な話があるかということで抗議すべきである、依頼するとかなんとかということじゃないんです。こんなことが一体認められますか。どこの国の領土だかわからないものを施政権の中に入れて、しかも、今度は自分の軍事基地をそこに設けて、施政権が返ってくるにもかかわらず、A表の中にきちっと黄尾嶼、赤尾嶼として、その島に基地は存在させる。こういうことは一体認められるのかどうか。政府の見解を明確にしていただきたい。
#18
○国務大臣(福田赳夫君) 尖閣列島の帰属についてのアメリカの態度、これについて意見を交えての御質問でございますが、川村さんの意見部分、これにつきましては私も全くそのとおりに思います。私は、この問題はアメリカといたしましてはもう議論の余地はないというふうに腹の中では考えておる、こういうふうに見ておるんです。議論の余地のない問題、御指摘のように基地まで置いておる、返還協定ではA表の中にそれが人っておる、こういうことでございますから、もうアメリカがこの問題につきまして疑いは差しはさむ余地はない、私はアメリカ自身がそういうふうに思っておる、こういうふうに確信して疑いません。それにもかかわらず、事が公の問題になりますると、最近になりまして、どうもあいまいな態度をとる、領土の帰属につきまして何かもの言いがつくならば、それは二国間で解決さるべき問題であるというような中立的な言い回しをしておる。私はアメリカ政府のそういう態度が非常に不満です。これはなにか逃げ腰な態度であると、こういうふうに思いますが、またその背景があるんだろうと思います。つまり、そういう尖閣列島に対する領有権に対し何かアメリカに働きかけがあると、そういうようなことが裏にあるんじゃないかと、私はそういうふうに想像をしておるんですが、いずれにいたしましても態度をはっきりさせる。これがアメリカといたしまして当然のことだと、こういうふうに思うのです。しかし、私はまあ川村さんとも私はこの点も意見が一致するんですが、アメリカに頼んでこれはあれを確認してもらう、そういう性質のものじゃないと思うんです。そこで、そういうことはいたしませんけれども、これはなおアメリカでもプレス・ガイダンスとかなんとかいろいろ検討をしておるようでありますが、そういうかたまった考え方が出ますれば、厳重にアメリカ政府に対して抗議をするという態度をとろうと思っております。そのとおりに心得ております。
#19
○川村清一君 施政権が返還された後において――中国はそういうことは絶対しないと思います――もし台湾政府あたりが何らかのアクションを起こすんではないかという心配を私は持っておるわけであります。これは竹島の例、あるいは国民政府が過去において魚釣島に上陸を行なって国旗を掲げた例等があります。これに対しましてはアメリカの施政権下において琉球政府がしかるべき処置をとりましたが、施政権が返ってきて、まあ日本の施政権下に置かれたあと、こういうようなことが起こり得るんではないか。現に台湾の漁船が尖閣列島の周辺において多数操業を実施しておるというようなことも報ぜられておるわけであります。もしさような事態が発生したあと、政府はどのような処置をとるのか、対処するのか。それは仮定の問題だから答えられないとおっしゃるかもしれませんが、そう言わないで、これは多分に予想されることでありますが、いまから十分この対策を考慮しておく必要があるんではないかと私は思いますが、政府としてはこれに対してどういうようなお考えをお持ちであるか。
#20
○国務大臣(福田赳夫君) この問題について何かアクションがとられそうだというようなことにつきましては、具体的に国民政府が調査団を派遣するとか、そういうようなことが情報として報ぜられたわけであります。そこで、わが国としましては国民政府に対して厳重な抗議を申し入れております。私は、国民政府がそういうようなアクションをとるというようなことにつきましては、全然予想はできません。できませんが、万一ということがある。その万一のことを川村さんは御指摘と思いますが、万一の場合におきましては、わが国の領土である尖閣列島は、これがわが国に帰属する正当性を擁護する。その正当なる立場を擁護すると、こういうために十分な措置をとるということだけはっきり申し上げておきます。
#21
○川村清一君 大陸だな資源論争についてでございますが、これは領土の帰属問題とは全く質の違う問題であると思います。これにつきましては、政府は国際法に基づいて話し合いで解決したいと言っております。これは当然であると思います。そこで考えてみるに、日本政府はいまだに大陸だな条約に加盟しておらない。したがって、この大陸だな条約に加盟する必要があるんではないかと私は思うんです、できるだけ早く。御承知のように北洋の漁業においてもソ連との間にも大陸だな資源論争をめぐって毎年毎年問題を起こしておる。それから、この東シナ海の大陸だなの地下資源の配分の問題等、要するに、尖閣列島問題が大きく国際問題に浮かび上がってきたのも、これは尖閣列島周辺海域においてその地下に良質の豊富な油田が存在しておるということが明らかになってからこの問題が出てきておるわけです。したがって、今後は大陸だなの地下資然論争というものは必ず大きな問題に発展します。ところが、日本政府はいまだにこの条約を批准しておらない。私は一日もこれに早く入って、お互いに同じ土俵の上で誠意を持って話し合いをすべきではないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、大陸だな条約に加盟する意思がいまだにないのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#22
○政府委員(高島益郎君) 大陸だな条約につきましては、実は一般慣習国際法といたしまして、大陸だなの範囲における地下資源、特に鉱物資源でございますけれども、これに対して沿岸国が主権的な権利を持つという点は国際司法裁判所の判例の上でも確立しておりますので、わが国として大陸だなの開発の権利があるということは国際的に十分主張し得るところだろうと思います。ただ、日本として問題がありますのは、大陸だな条約では、単に鉱物資源のみならず定着性の生物資源、つまり、日本の一番重要といたしますカニ等の生物資源につきましても、沿岸国が主権的権利を持つという一部の国の主張が特に強くございまして、特にソ連等はそうでございますけれども、特にその観点からわが国の国益を守るという立場上、現在直ちにこの条約に入るということは非常に問題があろうということでまだ入っておりません。実は来年ないし再来年に国連の主催します海洋法会議という大きな会議がございまして、この会議でもって現在の大陸だな条約そのものを再検討しなければならないということが議題になっております。特に大陸だなの範囲の問題、及び、いま申しました地下資源及び定着性生物資源、そういう主権的行使を行ない得る資源の範囲につきましていろいろ再検討されるということでございますので、これが確定いたしました暁においては、わが国としても今後これに加入するということが実現する可能性はあろうかと思います。現状におきましては、そういう観点から慣習国際法に基づいて権利を持つ、したがって、入る必要は、当面わが国にはない。かように思います。
#23
○川村清一君 時間がございませんので、最後に、まあ大陸だなの地下資源の問題でございますが、大陸だな条約に基づくその沿岸国の大陸だなの問題でございますが、しからば、沿岸国とは、これは国際法上何をさして沿岸国と言うのか。いわゆる日本列島のような一つの大きな国からのいわゆる沿岸国ということならば私も理解できるのですが、沿岸国というのは、一体どこから、尖閣列島という島から、一体沿岸と言えるのかどうか。しかも、沖繩本島を沿岸とするならば、沖繩本島と尖閣列島との間に、これは大陸だなかどうか私が調べたところをみると、この間に海溝があるというじゃないですか。海溝があるとするならば、一体この尖閣列島をいわゆる沿岸大陸だなと言えるかどうか、これも問題があるということ。こんなことは、質問すれば時間ありませんからやめますが、いずれにしても私はいわゆる地下資源、それから海底の定着資源――生物ですね、こういう点からいっても、この日ソのカニ資源の問題、こういう点から考えてみても、いわゆる大陸だな条約に早く入りなさい、入りなさいということを前々から言っている。いまだに日本政府は入らない。もっとも領海にしてもまだ三海里から発展しないですから、まことに政府は、国益国益と言うが、その国益というのは一体だれの利益を国益と言っているのかと言いたいぐらい。まあ、こんなことを議論していると時間がありませんからやめますが、最後に私は要望を申し上げて終わります。
 日中国交回復ということがいま日本の外交に課せられたる最大の問題であることは言うまでもないことであります。一日も早く日中の国交を回復して、そしてアジアに平和を確立する、これが日本の平和と繁栄の最大の道である、かように確信しております。
 そこで、日中国交回復を進めていく経過の中において、この尖閣列島の問題というものは避けて通れない問題になろうと私は考えております。したがって、この大陸だな資源の問題は別として、領土権の問題については誠意を持ってひとつ中国と十分話し合っていただかなければならない。歴史的に地理的に、並びに国際法上立証できる豊富な資料を整えて、そうして中国を納得させ、平和裏に円満に解決するよう最大の努力をすべきである、かように私は考えております。これは結論であります。これに対して外務大臣の御見解をお伺いして私の質問を終わります。
#24
○国務大臣(福田赳夫君) 大陸だなの問題でありますとか、あるいは領海の距離をどういうふうにするかという問題でありますとか、あるいは、最近問題になっているマラッカ海狭ということがありますが、海狭問題でありますとか、いろいろな問題が来年の国連の海洋法会議で問題になるだろう、こういうふうに思いますが、その際には、わが国の海洋国家としての立場を十分踏まえまして適当な対処をいたしたい、かように考え、目下鋭意その対処方策について検討いたしておる、かように御了承願います。
#25
○戸叶武君 福田外相の外交に対する御意見に対して、私は北方領土の問題にしぼって質問をいたします。
 佐藤内閣は、沖繩の次は北方領土の返還であるということをスローガンにして国民運動を推し進めておりますが、沖繩返還の期日が本年五月十五日に確定したからには、直ちにこの問題と本格的に取り組まなければならないと思うのであります。いま、戦後二十六年余を経た現在、なお北方領土問題が未解決、また日ソ間に平和条約が締結されないということは、はなはだ遺憾なことであります。本年一月二十七日グロムイコ・ソ連外相と話し合い、日ソ共同コミュニケにおいて、日ソ平和条約締結交渉を本年中に双方の都合のよい時期に行なうとの合意に達したとの公表がありましたが、政府のソ連に対する外交の基本的な政治姿勢と、その「都合のよい時期」について具体的に示していただきたいのであります。
#26
○国務大臣(福田赳夫君) この一月にグロムイコ外務大臣が来日いたしまして、第二回の日ソ定期協議を久しぶりでやりました。この会談では広範な議題に触れました。世界情勢はもとより、二国間の経済の問題、また漁業の問題、文化、科学技術の問題、そして最後には平和条約の交渉ということになったわけであります。
 この平和条約の交渉と申しましても、実態は領土の確定ということと理解していいくらいに平和条約の内容というものは領土問題にウエートがあるわけでありますが、この領土問題に対するソビエトの従来の態度は、あの問題はもう解決済みである。つまり、解決済みであるという背景は、これは日ソ共同宣言を指しておるのだろうと、こういうふうに思いますが、あれでもう解決されたのだ、その答弁を一歩も出ないという状態であったわけでありますが、今回の第二回の定期協議におきましては、とにかく平和条約交渉をいたしましょう、こういうことに合意を見るということになった。私は、多年の懸案である日ソの領土問題が平和条約交渉という場において討議されるということになったことは、これは北方領土問題に対する前進であると、こういうふうに理解し、みずからこれをそのように評価をいたしておるわけでありますが、この第一回領土交渉はこの秋から暮れにかけてのころにこれをとり行ないたい、かように目算しております。
#27
○戸叶武君 福田さんは、グロムイコ外相との話し合いによって合意に達した日ソ共同コミュニケの内容、それは領土問題について話し合いの場をつくることを確認した、そういう意味において、ソ連の従来の「領土問題は解決済み」という見解から大きく前進したという評価は、ある意味において私も正しいと思うのであります。しかし、その評価の上に立って、政府は、北方領土問題に関する日本政府の立場、それは国民的願望を背景に、日本固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉の諸島の祖国復帰を実現し、その上で日ソ平和条約を締結したいという考えなのかどうなのか、その点を明確にお示し願いたいのであります。
#28
○国務大臣(福田赳夫君) 平和条約でありますから、これは領土問題ばかりじゃない、広範な諸問題がその場において討議されると思いますが、事、領土の問題につきましては、わが国は国後、択捉、歯舞群島、色丹、これらの島々がわが国の固有の領土である、サンフランシスコ条約に言う「千島列島」にはこれらは含まれておらぬという立場を堅持いたしましてこの交渉に臨みたいと、かように考えております。
#29
○戸叶武君 ソ連政府は、この北方領土の問題に対して日本政府といままではまっこうから対立した意見のまま来たが、とにかく話し合いの場を持とうという際に、政府はおそらくは双方の立場を考慮した上で、北方領土といっても千島に制約して、そうして主張しようというかまえの模様でありますが、それは現実的な可能な政策としての打算の上に出ているのかどうなのか。
 それと同時に、私たち日本社会党は昭和二十年に結党以来、その外交方針というものは、一切の軍国主義思想及び行動に反対し、世界各国民の協力による恒久平和の実現を期す、という精神を綱領に高く掲げて、戦時中の秘密外交の打破、不平等条約の廃棄、日本の完全独立ということを目ざして、私たちは当初は、領土問題に関しては、戦争責任を持つ当時の自由党なり民主党の虚脱状態を排して、国民に戦争責任はない、領土は国民のものであるという観点に立って、南樺太、千島、沖繩、小笠原返還というものを主張してまいったのであります。しかしながら、社会党の現在の外交政策は平和条約を早く結ばなけりゃならぬという点に力点がありまするけれども、われわれの主張というものは、日本固有の領土を戦争に負けたからといって他国に奪われる理由はない、その全責任は当時の軍部、政府、その指導者のみが負うべきである。これは、ナポレオン戦争の後にウインナ会議においてタレーランがナポレオンに責任を負わせてフランスの寸土だにさかなかった外交記録すらあるのです。少なくとも第一次世界戦争以後における平和条約締結の基本的理念というものは、勝った国が負けた国から領土を奪ってよいというようなことはあり得ないのであって、ウッドロー・ウィルソンがベルサイユ講和会議において主張したように、平和条約は勝った国が敗れた国を痛めつけるのではなく、次の平和を保障し得るような条件をそこに具備して平和条約というものを締結すべきであるという形において、一九一五年の、連合国がイタリアに、ドイツとの同盟から離脱して連合国に加担するならばアドリア海の彼方及び北阿の領土を与えるという戦時中の軍事謀略協定、ロンドン秘密協定というものを取り上げなかったと同様に、この米・英・ソ三国が一九四五年二月十一日にクリミヤのヤルタで結んだヤルタ軍事秘密協定は、明らかに、アメリカの国務省のヘスがルーズベルトの陰に隠れ、チャーチル、スターリンとともに密約を結んだところの、ソ連を軍事的に加担させるための誘導的な戦時中の軍事秘密協定でありますが、それに対して、中国もあるいはフランスもヤルタ協定からオミットせられた。その戦力低下を理由にオミットせられた両国が、ヤルタ協定打破のために、毛沢東もドゴールもいままで戦ってきているのであります。フランスや毛沢東のこの見解とは違うが、日本において、戦後二十六年を経た後において、民族独立のためにはこの虚脱から脱して、それと同時に日本の軍国主義の復活を許さず、日米軍事同盟を廃棄するならば、ソ連との間も、このヤルタ協定にうたう領土問題に対しても清算を求めなけりゃならない。そういう主張が私は日本の国民の声として当然あらなけりゃならない。政府は、そういう点に、この領土問題に対して、現実的という形において領土問題はそこまでしぼったのは、それならばソ連との交渉が可能だという上に立っているのか。米国は米・英・ソ三国の巨頭が戦時中に行なった軍事秘密協定は、サンフランシスコ講和条約においてもその制約は受けている。ポツダム宣言に従うと言いながら北方領土問題がぼかされているのはそういう関係からです。アメリカがソ連をヤルタ協定でだましたというわけにはいかなかった事情がそこに隠されているのです。その点を明らかにしてもらいたい。
#30
○国務大臣(福田赳夫君) これは非常に基本的な問題でありますが、私ども日本国政府は、ヤルタ会談の成果というか、ヤルタ協定ですね、これには一切の責任は負いませんです。そういう立場で北方領土問題には対処する。ただし、平和条約にはこれは責任を持つ。で、平和条約はわが国自身が当事国でございまするから、ここで結んだ条約、これの条章につきましてはわが国は責任を持たなけりゃならぬと、そういう立場におります。
#31
○戸叶武君 平和条約には責任を負わねばならないというところにいまの政府の非常な恥部があるのでありますが、われわれがサンフランシスコ講和会議において全面的な平和条約を要求したのは、あのような状態で条約を結ぶと、冷戦下において一方のほうに加担してその片棒をかついで、真の意味における次の平和を保障すべきところの平和条約が確立されないのではないかということを特に危惧したからなのであります。少なくとも、あのポツダム宣言の領土条項たる八項には、「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」とその制限は行なっておるが、領土問題に対しては非常にあいまいな点があるのであります。しかし、一九四三年十一月二十七日のカイロ宣言においては、米・英・中「三大同盟国は、日本国ノ侵略ヲ制止シ且之ヲ罰スル為今次ノ戦争ヲ為シツツアルモノナリ右同盟国ハ自国ノ為ニ」「領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ズ」。こういう形において自己制約を持っていると思います。ただ、第二次世界戦争の末期におけるヨーロッパにおけるマーシャル麾下の報告、極東におけるマッカーサーの軍部の報告が、日本をやっつけるのにはあと二年間はかかる。百万の壮丁を犠牲にせざるを得ない。それにはどうしてもソ連を軍事的に加担せしめなきやならないから、これにいかなる条件をも与えて自国の犠牲を少なくしょうというのがあの国務省の中国白書においても明らかにされております。ニクソンは、あの国務省におけるヘスを赤狩りの際に追撃した文書の中においてそのことを明確にしています。これは、私たちはアメリカやソ連を責めるのではない。戦争という人類の罪悪というものの中には、必ず、自国の利益のためにかくのごときところの権謀術策が内在することは明らかなのであります。しかし、戦後二十六年を経て、この戦時中にきめた――かつて、イタリーをイギリスの謀略外交においてドイツから離脱させて連合国に加担させたとほぼ同じような形におけるロンドン秘密協定がベルサイユ講和会議においてウッドロー・ウィルソンの見識において廃棄されたのにもかかわらず、サンフランシスコ講和会議における日本の官廷外交官の卑屈さが、ついに平和条約における国際法の前進的な理念ということを打ち出すことができずして、事実上、米・英・ソのヤルタ協定の制約のもとに、その黙認のもとに屈せざるを得なかったということは返す返すも残念でありますが、そのことをいまどうこう言うのではない。少なくとも、私は、アメリカにしてもソ連にしても、次の平和を、国際連帯の形においてアジア・太平洋における平和共存体制を確立しようとするならば、日本の軍国主義の復活を阻止することを要請すると同時に、われわれ日本国民も軍国主義復活に反対すると同時に、われわれがアメリカとの軍事同盟の安保条約の廃棄をすることなしにソ連とのこの北方領土の解決というものは現実問題としてきわめて至難なのではないかと思うのですが、福田さんはその辺はだいぶ楽観的なようですが、どのようなお考えですか。
#32
○国務大臣(福田赳夫君) ソビエト・ロシアが日米安全保障条約に関心を持っていると、これはそのとおりかと思います。しかし、わが国といたしますとですね、わが国は歴史以来初めていくさに負けたと、もういくさは再びすまいという国民的なコンセンサスがある。それを象徴するかのごとく憲法第九条というものもあるわけであります。そういう日本でありまするから、わが国が自衛力を増強する、それにはおのずからそういう限界がある。やはり自衛の範囲にこれが制約されると。私はこの世界情勢というものを見まして、緊張緩和のムードが出てきておるということを見て喜んではおりまするけれども、しかし、さればといって、手放しでわが国の安全、これが他国の友誼信頼だけで保てるかと、そのことは深く期待はいたしておりまするけれども、しかし、それがそのとおりいくかどうかということを考えるとそういううまいわけにはいくとも限らない。世界じゅうが聖人君子、ほんとうのしんからの平和愛好国だけの集団であればそういう考え方も成り立つかもしれませんけれども、しかし、いついかなる時点において不心得な国が出てこないとも限らない。そういう際に備えてわが国はわが国の安全を保障するかまえを持たなければならぬ。それには戦争抑止力としての自衛隊だけじゃ足らないんです。どうしてもこれは集団安全保障体制というものをとらなければならぬ。そこに日米安全保障条約というものがあるわけでありまするから、あの巨大な軍備を持っておるソビエト・ロシア、これは私どもの立場というものをほんとうに正しく理解できる立場にあると、こういうふうに私は思っております。ですから、領土交渉に対しまして日米安全保障条約が、これが障害になるという見方はとっておりませんです。
#33
○戸叶武君 どうもそういう形だとかっこうだけで、北方領土返還に対する基本理念というものが欠如しているのではないかと私は思いますが、これは別な機会に論戦いたしましょう。
 それでは、そういう形でへっぴり腰で何もできぬという形だと、何か実を得なければならぬという形において、ソ連側においては領土問題よりもシベリア開発に対する経済協力というものに重点を置いて日本の財界なり産業界に呼びかけております。日本の産業界も東西貿易の拡大というだけでなく、本格的にこの資源開発のために取り組もうという姿勢もありますが、それに対して政府はどういう姿勢を持っているか。また、もっと手近な問題では、領土問題には双方の言い分を打ち出すが、時間が相当かかるものと見るから、その場合どうやって過ごそうか、国民も承知しないだろうから、北方領土附近での安全操業、漁業問題の解決でもはかろうかという魂胆もあるかのように見えますが、この二つの点に対して具体的な御回答を願います。
#34
○国務大臣(福田赳夫君) シベリアの無尽蔵とも言えるような資源、その開発、これにつきましては一月のグロムイコ外相来日の際に私に対して、私どもは具体的に三つの計画を持っておると、一つはチュメニというところの石油開発です。一つはヤクートというところの燃料炭の開発、それからもう一つは樺太の近海の石油並びに天燃ガスの開発、これらの開発計画には、これは日本側が希望するならばと、こういうことを特につけ加えております。希望するならば参和を受け入れる用意がある、こういうような話です。そこで、そのあとで、二月になりましてから経済人の団体が来日をしてきて、そして日ソ経済合同委員会というのを開催しております。グロムイコ外相のその発言を受けまして、主としてこの三つの問題を中心に議論が行なわれたわけでありますが、いずれの問題につきましてもまだ具体的な計画ができない。フィージビリティということをよくいいますが、この計画の実行の詳価、これがまだ固まっておらないわけであります。そこでわが国から五月――大体五月になるんじゃないかと思いますが、また先方に経済使節団が出向きましてこの問題を引き続いて討議する、こういうことになっておりますが、その討議の結果フィージビリティが確立するという際には、政府においてもこれを取り上げて、これにいかなる協力をするかしないか、その辺をよく考えた上きめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それから第二の安全操業の問題につきましては、これは領土問題が確定するまでの過渡的措置という基本的な考え方をもって臨んでおります。そこで、昨年の初めからこの安全操業について新たな交渉を始めておるのでありますが、なかなか昨年中は日ソ両方の主張するところの距離が非常に大きい、それでとても妥結の見通しがないという、そういうところから、昨年の暮れに至りまして、政府は新関駐ソ大使に対しまして新たなる訓令を発し、その訓令に基づきまして交渉を新しく取り進めるようにというふうにいたしておりますが、その最終訓令に基づきましての交渉がただいま進行中であるというのが現状でございます。
#35
○戸叶武君 多極化時代の外交の中において、日本の外交というものが、アメリカ一辺倒の時代から、中国、ソ連、朝鮮等に対してそれぞれ独自な外交というものを展開しなければならない、それには日本の外交の独立自主の姿勢というものが必要であるということは、これは福田さんも御承知のとおりと思いますが、それと同時に、与野党を通じての国民外交の名による友好親善関係の団体のあり方というものも、少なくとも国民から第五列的な印象を与えないだけの、自国の国民感情というものを無視しないで、やはり祖国の立場というものを配慮しながら、国際連帯の上に立っての平和共存を進めるというだけの自主的な態度の堅持が必要だと思います。きょうも参議院の社会党のわれわれの仲間において日ソ親善協会と、日ソ協会のあり方、そういう問題を中心として、やはりわれわれはこの面を明らかにしなければならないという点を、中国の問題でも、北鮮に対する問題でも、その他ベトナムに対しても出てくると思うのでありますが、われわれ野党みずからそれだけの自主的立場をもって今後における外交路線というものを進めようという考え方が出てきているときに、外国のいまの多極化の時代における複雑怪奇とまでいわれるような外交のかけ引きの中に友好親善の動きが埋没するようなことがあるならば、かえって日本国民がそしりを受ける危険性があるし、また、政府のように硬直した姿勢では中国問題の解決もできない。そういう非常に重大な岐路に立っていると思いますが、福田さんはどちらかといえば上州っ子だから、幾らか私は官僚の中では気骨、骨のある人だと思うのでありまして、こういうときにおいてこそ、私は、日本の外交というものが、国の力から全体をリードできないけれども、ソ連と中国がモンゴルの問題を通じて、その対立が、領土問題で中ソ論争が起きてきているというのを百も承知の上で、いま外務省の動きがモンゴルの承認ということにあせっているのは、アメリカの動きの中に、台湾問題は中国に屈してこの問題は譲歩しなければならないが、かつて、ソ連がモンゴルに行なったような、人民投票の形において外蒙を独立させるならば、それで済むんじゃないかというような安易な考え方が潜在する。私は、やはり台湾問題の伏線にはモンゴルの問題がある。二十年間、戦乱のうちにおいて、ソ連がかつて占領し、スターリンと松岡洋右氏において、内蒙は日本、外蒙はソ連というような一個の分轄統治的な方式もつくられたこともあったし、戦後におけるところの一九四五年八月十四日における中ソ友好同盟条約の際における中国側の悲運、一九五〇年の初頭におけるスターリンの誕生日に毛沢東、周恩来がソ連に行って悲運の涙をのんだ。大国主義に対する抵抗というものはその辺に私はあったと思うのであります。そういう点を配慮しないで、どうも外務省は、戦争中、おもに西欧諸国に外交官が散らばっておって、アジアにおける諸民族の苦悩というものを私は多分に受けとめない傾向があるところに安易なモンゴル政策の策動が行なわれたのじゃないかと思うのでありますが、その辺のことは十分配慮していかれると思いますけれども、軽々率々にやるならば、いわゆる中国封じ込め政策、依然として変わった形における、中国の周囲を固めて、中国の動きのとれないようにするというような動き、あるいは台湾独立への伏線になりはしないかという疑惑をも呼び起こす危険性があると思います。
 もう一つ追加するのは、要するに、千島、樺太に対する墓参の問題は今後どういうふうに取り扱われるか。その問題を聞きたいと思います。
#36
○国務大臣(福田赳夫君) モンゴリアの問題の処置について台湾を思い起こすというようなことは、もう私ども全然ないわけです。逆なのでありまして、私どもとすると、モンゴリア、これはわが国との間にもう十一年くらい前でありますか、承認関係ができておるわけです。しかし、大使の交換が行なわれておらない。それはどういうところに原因があったかというと、国民政府が、あのモンゴリアの地域を含めまして、これは中国は一つである、わが国の領域であると、こういうような主張をしておった。その中国の一部であるというモンゴリアを日本が承認行為をとったということでたいへんな問題があったわけでありますから、そういうようないきさつから、今日まで大使交換ということが行なわれなかったわけです。今度大使の交換をするということになりましたが、しからば北京の中華人民共和国はどういう態度であるかというと、昨年すでに大使の交換をいたしまして、正常なる外交関係ができておる。私どももまた、かつて、非常にモンゴリアの承認、また、モンゴリアとの間の国交の正常化というものに対しまして反対的な立場をとりました国民政府のほうも現実的な考え方をとるに至ったわけであろう、こういうふうに判断をいたしまして、今度モンゴリアの承認に踏み切ったと、こういうわけでありまして、これはモンゴリアの問題を考えるにあたりましても、モンゴリアの立場、それからモンゴリアをめぐるところのいろんな国際環境、それらを十分に検討いたしまして行なったわけでありまして、これによって日本が国際的なマイナスになるとかというようなことがなく、逆に、また、わが国の、アジアに対する地歩を進め、また、アジアの諸国から愛敬される立場に立つことに裨益するであろう、こういうふうに思っておる次第でございます。
#37
○戸叶武君 墓参……。
#38
○国務大臣(福田赳夫君) 墓参の問題につきましては、昨年一時中断をいたしたといういきさつがありますが、近く墓参の申し入れをいたしたいと、ことしの秋には、ぜひ、それを実現するようにいたしたいと、かように考えておるわけであります。
#39
○戸叶武君 以上で終わります。
#40
○藤原房雄君 ただいまお話しございました外務大臣の外務省所管事項の説明に対しまして、若干御質問をしたいと思います。
 最初に、沖繩に関する問題から入りたいと思うのでありますが、先ほどもお話しございました三月十五日に批准書の交換という、いよいよ沖繩返還五月十五日が間近に迫ってまいりました。沖繩の返還の一日も早からんことを願わない人はいないと思うのでありますが、昨年、数十日間、当委員会をはじめといたしまして、この沖繩返還につきましていろんなことが検討されました。そのときに出た問題につきましては、政府といたしましても謙虚にそれを聞き、そしてまた、できるだけ沖繩県民の立場に立って実現するという、こういう誠意ある回答もございました。いろんなものごとがございますので、全部がスムーズにいくわけはないかと思いますけれども、沖繩返還という大きな問題でありますので、相当な努力を払って、県民の方々の納得のいくように一つ一つが解決をされていかなければならない、こう思うわけであります。
 一番当委員会において問題になったことは、やはり核抜き、核の撤去の問題であり、また、基地の縮小の問題であり、また、現在、通貨問題というのが深刻な問題として地元の方々が何とかこの対策を講じてもらいたい、こういうことが言われております。私も今日、外務大臣のわずかの時間に対しての質問でございますので、何点かにしぼってお聞きをしなければならないわけでございますが、やはり核抜き、核撤去の問題、基地の縮小の問題、当委員会でいろんな議論のあったことが、サンクレメンテにおいてどんな話をし、そしてまた具体的に、それが、もう五十数日に迫ったこの返還を前にいたしまして、それがどのような手順といいますか、スケジュールといいますか、進められておるかという、この問題についてお聞きしたいと思うのであります。
 何といいましても、沖繩県民の方々が納得できるものでなければならないということが基本原則であります。しかし、条文的にはっきりと明記できること、またいろいろな問題があろうかと思いますけれども、私どもが一番危惧いたしますことは、核の撤去の問題につきまして、これは委員会におきましていろんな議論がありました。特にHEのおそろしさということについてはわが党の委員もこの問題についていろんな例を引いて話したわけでありますけれども、この核撤去の問題につきまして安全対策というものが非常に大きな問題である。これについては毒ガスの撤去についても相当な問題が起きたわけでありますけれども、これは十分な安全対策が講じられなければならない。それに対しては政府といたしましても十分な配慮をするということでございましたけれども、この問題につきましてはどのような話し合いを具体的にサンクレメンテでしたのか。あと五十五日に迫った返還を目前にいたしまして、現在はどのような作業が進められておるかというこまごました細部にわたってのことについては別といたしましても、大綱、その辺について御答弁願いたいと思います。
#41
○国務大臣(福田赳夫君) 核の問題につきましては両院で御決議の次第もあります。そういうようなことで、核兵器に対する日本国民の特殊感情、そういうもの、特に沖繩における百万県民の感情、こういうことについて総理大臣からるる大統領に話を申し上げたわけであります。その話はひとり核にとどまらない。藤原さんの党の黒柳さんから羊の話だとかいろいろ例をあげられまして説明がありましたから、その羊の話まで総理は持ち出しまして大統領に説明をするというきわめて念入りな説明をしておりました。したがって、それに対しましてはアメリカ大統領も深い理解を示しまして、核兵器につきましては先ほど申し上げましたような処置をとるということになったわけでございまするが、他の生物兵器あるいは化学兵器等につきましても非常に理解を示し、日本政府の政策に協力をすると、こういうことをはっきりと申しておられる、こういうのが現状でございます。核兵器につきましては特に申し添えますが、そういうことで深いアメリカ側の理解ができ、それに基づきまして返還時において、アメリカ政府は核が沖繩にはないということについての確認の意思表示をいたすということになっておりますが、何せ核というものは非常にアメリカ政府とすると大事なものになっておる。そういうようなことで、その処置につきましてはアメリカ政府にまかしてもらいたいと、こういうふうに言っております。結論だけを申し上げるとこういうことを言っておりますので、それを尊重するということが妥当であろうという結論に到達いたしまして、今日いまさようなことで国民の御理解を得たいと、かように考えております。
#42
○藤原房雄君 国民の納得を得たいというその心情はよくわかるんでありますが、当委員会でたいへん議論になりましたように、非常に危険の多い、危険性に富んだものであり、毒ガスさえもあれだけの問題が起きたわけでありますから、一々数字的なことは申し上げませんけれども、この撤去につきましてはアメリカを信頼するということだけではやはり沖繩県民はもちろん国民としては納得し得ない。やはりもっと納得できるものがないのかという、これは当然のことだろうと思います。特にまた国会で非核三原則の実効性ということからいたしまして、これはまあ米側の一方的な声明を信ずるということでこれが終わるということであれば、これは非核三原則ということを国会の決議としておりながら、実際に何ら確認できずしてそれが通ってしまうというと、決議がくずれてしまうということになるのではないか。やはり先ほど外務大臣も仰せになりましたけれども、日本人の特殊感情、こういうことからいたしまして、アメリカの考えるよりもっともっと強い特殊感情があるわけでありますが、ただ感情だけではなくして、世界のどこの国にもない被爆国としてのこういう立場からいたしましても、この点についてはほんとうに信頼の置ける何らかの証明というものがなければやはり安心できない。特に毒ガスの撤去のああいう問題もあっただけに、このことについては県民の不安というものはこれはたいへんなものだと思います。共同声明等においてもそう一々こまかいことについてはこれを文書につづるということにはできないかもしれませんけれども、この席を通じて福田外務大臣が沖繩県民の方々に納得のいくような、もう一歩はっきりと言えるそういうものがございましたらはっきりとしていただきたいと、こういう気持ちなんでありますけれども、いかがですか。
#43
○国務大臣(福田赳夫君) 私は先ほど申し上げましたように、もう一九六九年の日米両首脳の共同声明でもこのことははっきりしておる。さらにそのことが沖繩返還協定にも引用されておる。その上、さらに返還時にはアメリカ政府の厳粛な意思表示をしよう、これで万事尽きておるんじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、もしそれでも御心配だというような具体的事象がありますれば、そのときあらためてそのときの時点での妥当な措置はとってみると、こういう考え方でございますが、ただ、米軍に基地を提供しておるんですから、その基地を権利として査察をするとか調査をするとか、そういうことはできない。しかし、とにかく県民の御納得がいく、あるいは御安心がいけるような措置はできるだけとってみる、そういう考えでございます。
#44
○藤原房雄君 先ほどもちょっとお話があったのですが、日本本土にも毒ガスが搬入されたということが去年の暮れの国会でもはっきりいたしましたが、CB兵器につきましては、共同声明でははっきりこの問題について触れてはいないわけでありますけれども、それらの間の事情についてはよく話したということでありますけれども、これについても今後どういう処置をとられるのかということについて話し合った内容等といいますか、文面にないだけにはっきりと国民に、こういう話でこうだった、こういうことをこの席で証明していただきたいと思います。
#45
○国務大臣(福田赳夫君) 化学兵器、生物兵器については共同声明には書いてありませんけれども、会談の最中、総理大臣みずからが相当詳しく国会の論議の状態を説明しております。それに対しましてアメリカ側は深い理解を示し、かつ、この日本政府の政策に反しないということについて確言をいたしておるということをこの席を通じましてはっきり申し上げる次第でございます。
#46
○藤原房雄君 まあ、きょうは時間もありませんから、あまり込み入った話はできないのでありますけれども、次は、基地縮小の問題につきましても十分な話し合いがなされたろうと思うんでありますが、しかし、私どもは、当初考えておったのとはだいぶ、話し合いの結果といたしましては、納得のいかないといいますか、もっと積極的なことができなかったのかと、こういう気持ちがするわけでありますが、特に具体的な問題になりますが、基地縮小につきまして、現在すでに撤去されたメースBの基地とか、すでに撤去されたハーキュリーズの基地とか、日本人がオフ・リミットの海水浴場とか、現在使われていない基地とか、こういうところで返すことのできる可能性のあるところがA表の中にあって、当然C表に入るべきであるという、何点かありましたこういう問題について、当委員会を通じまして、具体的に話し合って解決の方向に、ということも十分話し合われたはずでありますし、政府もこれについては十分話し合ってくるというお話があったはずでありますけれども、このことについてはどのような話し合いで、どうなったか。
#47
○国務大臣(福田赳夫君) 基地問題につきましては、これは最も重点を置いて話し合ったわけです。基地の実情をまず詳しく話し、そして返還の必要のあるゆえんを力説をいたす、こういうことでございますが、アメリカの応待の態度は、これは初めはなかなかいろいろ反論をしておりましたが、最後には、返還前において特定の場所を示して意思表示をするということは返還協定の改定になる、これは絶対に私どもとしては受け入れがたいと、こういう態度で、考えてみると、そういうことかとも思いますので、結局、返還が実現した後において日米両国で話し合いを進めることにいたしましょう、その際には、あの共同声明に書いてあります基地の密集地帯の問題、また、開発上支障のある基地の問題等を取り上げるということに書いてありますが、書いてはないこと、たとえば私どもが力説したおもなことを申し上げますると、基地機能はこれを維持するが、その基地機能の維持以上に広大な土地が使用されておるというような問題、それからもう一つはレクリエーションというような問題、そういう問題は再検討の必要ありと、こういうことを指摘しております。それらを含めまして、沖繩返還後において、アメリカとの交渉に当たりたいと、こういうふうに考えております。
#48
○藤原房雄君 先ほど大臣の説明の中にも、日米双方とも種々の準備が必要である、返還にあたりましてはたいへんな作業があることは予測にかたくないわけでありますけれども、特に核の問題、または基地の問題これらを中心といたしまして、あと五十数日に迫った今日、それらの準備が着々と進みつつあると、こう思うんでありますけれども、この準備につきまして、これは政府が実際に対米折衝をして進められていることでありまして、県民は、どこまで、どう進んでいるのか、五月十五日にはすべての施政権が返還になり、それまでのスケジュールというものが手順よく行なわれているだろうという、こういう県民の考え方があるだろうと思いますけれども、なかなかその準備等については聞かされないわけでありますけれども、今日までの準備の、サンクレメンテにおける話し合い、そしてまたあと、批准書交換した今日、そしてまたあと五十数日に迫った今日、この日米双方の話し合い、準備というものがスムーズに進んでおるかどうか、ここら辺のことについて、概略でけっこうでありますから。
#49
○国務大臣(福田赳夫君) これは政府全体として返還準備のためにいろいろなことをしなければならぬわけでありますが、特に外務省、それから防衛庁、それから総理府、この三つの役所の作業が中核をなすわけであります。で、わが外務省として担任している準備は、これは先ほどから問題になっておる核不存在の確認の問題ですね。それから基地の問題の大綱というか、そういう系統の問題。それから防衛施設庁では、基地の提供の契約が、アメリカ政府とそれからあと地の所有者との契約から、今度は日本政府と土地の所有者との間の契約に変わるという問題があるわけでございます。それから労務契約が今度は直接雇用から間接雇用に移行すると、こういう問題があると思います。また、総理府におきましては、返還後において沖繩の経済開発その他の諸施策を円滑に進めるという作業の問題、また米軍が行なってきました行政を円滑に引き継ぐ、こういう問題等があるわけですが、それらの中で一つ外務省の所管というか防衛庁の所管、これにまたがる問題として那覇飛行場の返還問題というのがまだちょっとまあ低迷しておる、こういうことがあるんです。それは予算の成立がおくれてきたことに伴うものであります。五月十五日の時点におきましては那覇飛行場は完全にわが国に返還されるということになっておった。それは間違いなく実行されるのでありますけれども、そこにおりますP3という飛行機、これを普天間というところに移す計画になっておるんでありますが、普天間のほうがP3という重い飛行機にたえ得るような改修をしなければならぬ。ところが、改修に要する予算、これは昭和四十七年度予算に三十八億円を見ておるわけでありまするが、それがまだ成立しない。どうも予算の成立が一月ぐらいおくれそうだということになってきておる。そうすると、まあ暫定予算でその一部を計上するということにならぬとP3の動きがとれぬと、こういう問題がありまして、暫定予算にP3移転のための必要な経費、つまり普天間飛行場の滑走路を強化をする費用なんですが、これを暫定予算に組み込むか組み込まないか。組み込めば、このP3が五月十五日に那覇飛行場にいなくなるということになるのですが、もしこれを織り込まないというようなことになりますると、一月あるいは二月ぐらいP3の移駐自体がおくれると、こういう問題がありまして、ただいまその問題につきましては最後の詰めの作業を行なっておる、かような状態でございます。
#50
○藤原房雄君 沖繩のことにつきましていろいろ具体的なことはございますが、時間もありませんでこれで終わりますが、いずれにしましても数十日間かかりましていろいろ審議した当委員会における政府との間の話し合い、そしてまたお互いに約束し合ったこと、こういうことにつきましては誠心誠意実現していただきたい。中には非常に困難な問題もあろうかと思いますけれども、これをきちっとやっていかなければ国会審議というものが無にひとしくなってしまう。こういうことを痛切に感じましたので、昨年の沖繩国会の問題を中心としまして二、三お聞きしたわけでありますが、残された五十数日間、沖以県民の方々の納得
 のいくようなプログラム、また作業を進めていただきたい。このことを常に心から要望する次第であります。
 次は北方領土のことについて一、二お伺いしたいと思うのでありますが、この共同コミュニケの中では、日ソ平和条約の締結交渉が始まる、非常に私どもにとりましては明るいニュースであるわけでありますが、この合意を見たというこの背景、これには国際情勢の変化というものが大きな問題だろうと思うのでありますけれども、実際にこの交渉に当たった福田外務大臣、それの基本的な態度、そこらの感触といいますか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#51
○国務大臣(福田赳夫君) 日ソ第一回交渉が行なわれましてから大年になりますが、なかなか第二回が始まらなかったんです。それは第一回はモスクワでやった。第二回目は東京になるわけです。そこで、東京へソビエトの外務大臣に来られたいという要請をずっとし続けてきたわけでありまするが、なかなかみこしをあげない。それが昨年の暮れあたりになりまして急にひとつ東京へ行って第二回定期協議をやりましょう、こういうことになってきたわけなんです。それでこの第二回定期協議は、外務省のこの問題にかかわっておるところの役人の方から聞きますと、いまだかつてない友好的な雰囲気のもとに行なわれた、こういうことを率直に述べておるわけでありますが、そういう雰囲気のもとに両国の首相または首脳の交歓をいたしましょう、交歓訪問をいたしましょう、あるいは定期協議は毎年一回以上これを開くことにいたしましょう、あるいは日ソ平和条約交渉を年内に開くことにいたしましょう、いろいろ重大な政治問題がきまったわけでございます。その背景がどうか、どういうふうにしてそういうふうになってきたのか、これは私からなかなか言いにくい問題でございまするが、とにかく結果としてはそういう非常に従来とは変わった雰囲気が出てきておる、こういうことだけをお答え申し上げさせていただきます。
#52
○藤原房雄君 まあ、いずれにしましてもたいへんかたくなな姿勢が、国際情勢の変化、いろんな条件があろうかと思いますけれども、こういう非常に喜ばしいといいますか、そこまで行ったかどうかわかりませんけれども、何とか門戸は開かれたというような感じはするわけですけれども、それに伴って今後どう日ソ間の関係を打開するかということでありますが、過去二十数年の経験を考えまするところ、これは容易なことではない、まだまだ厚い壁があるだろうと思います。これは日本の固有の領土である。どんなに法にそれがはっきりしていましても、それを主張するのみで話し合いがつくことならばこれは問題ないことでありまするけれども、やはりそれだけではならないいろいろな問題があろうかと思います。しかし、領土問題につきましてはわが国の主張は一歩も譲れない、断固として貫かねばならない。それを基本としてどう話し合いを進めていくか、こういう問題になるわけでありまするが、これは今日までソ連がいろいろなことを言っておりますが、やはり一九六〇年、グロムイコ外相が、在日外国軍隊が駐留する限り北方領土返還に応じられない、こういうふうに言われております。安保条約というものが非常に一つの大きな障害になっているということは、これはいままでいろいろな形の話の中からわかるわけでありまするが、北方領土が返還になる、それがどうそのあと日本の領土として位置するのかという、こういう危惧というものももちろんあろうかと思いますし、国際間の問題でありますから、いろいろあるだろうと思います。そこで、この間につきましては、衆議院の委員会におきましても外務大臣がいろいろお話しになっているようでありますが、私は、やはりこの固有の領土ということを強く主張するとともに、それに対応するこちらの考えというものもはっきりまとめておかなければならない、こう思うわけであります。最近伺うところによりますと、外務省でもいろいろ検討しているようでありますが、この辺のいきさつ等についてお伺いしたいと思います。
#53
○国務大臣(福田赳夫君) 衆議院の委員会で、北方領土の返還の際に、ただいま藤原さんからお話がありまするように、こちらからもいろいろ準備をするところがあってしかるべきではないか、その一つといたしまして、あそこに安保条約を適用したいというようなことはどうかというようなお話があったのです。それに対しまして私は、これから交渉に入るところなんですから、ここで一々切り札を出してしまうと、こういうようなことは外交を進めていく上に非常に支障がある問題ですということを強調しながらも、この四つの島々が返ってくる、そういうような時点において、よもやアメリカがこの四つの島々に基地を設けるというようなことを申し入れるということがあろうとはゆめゆめ考えません。しかしながら、もし万一アメリカからそういうような話があったといたしましても、わが国としてはそれをそのとおりにするかしないか、これはよほど慎重に考えなければならぬ問題である、こういうお答えをいたしておるわけでございますが、平和条約交渉は、これはもとより領土の問題が主たる話題になりまするが、平和条約ですから経済、科学技術、文化、各般の問題にわたって討議が行なわれ、それらにつきましていろいろこうありたいということを考えておかなければなりませんが、事、領土の問題につきましては、これらの島々はわが国の固有の領土であるというたてまえをこれは断じて曲げることはできない問題である、こういうかまえでこの交渉には臨みたい、かように考えております。
#54
○藤原房雄君 平和条約はこれは文化、科学、いろいろな問題が討議される、それはそのとおりだと思いますが、どうしても避けることのできない領土問題があるわけなんで、そのためにいろいろな支障が、今日までも折衝が重ねられ、何度も挫折し今日に来たわけでありますけれども、いまのお話ですと、米国の申し入れがないということを期待するようなお話でございましたけれども、私は、やはりこういうアジアの情勢の中にありまして、アメリカにはアメリカ、ソ連にはソ連の言い分があり、日本には日本の立場がある、こういうことでございます。しかし、この四島につきましては、もう一歩進めまして、平和地帯といいますか、非武装地帯といいますか、これはインド洋の非武装地帯というこういう考え方もあるわけでありますけれども、やはりもっと一歩を進めた考え方でピース・ゾーンというような構想といいますか、そういうものを強くこういう面について検討し、また折衝し、話を進めるということがこの問題を解決する上において大事なことじゃないかと、こう考えるわけであります。地元の現地の方々は、軍事的な目的云々ではなくて生活の場としてこの北方領土返還を叫んでいるわけであります。そして、当時あの海域で四島にお住まいになっている方々はだんだん老齢化しておりまして、一日も早く帰りたい、こういう強い願い、それはやはり豊かな生活、過去の生活を夢み、その日の一日も早からんことを願っているわけでありますが、このことを考えますと、決して軍事的なことではなくして、生活の場として豊富な資源を有する四島という、その立場の上に立ってこういうことを内外にもはっきりと表明するというこういうことが必要ではないか、そのためにはいろいろな交渉というものも必要だと思いますけれども、具体的なことになりますといろいろな問題があろうかと思いますが、そういう腹がまえの上に立って推進するという、また、ソ連はもちろんといたしまして、アメリカとも十分な話し合いがなければならないと思います。そしてまた、こういう関係三国によりましてこういうものがはっきりと日本の態度という、またその返還後の問題にいたしましても、国際的にそういうものがはっきりとするということであればまた新たな考えも出てくるのではないかという考えもあるわけでありますけれども、こういう点につきましていかがお考えになっていらっしゃるか。
 それから、安全操業のことにいたしましても、新しい展開がなされようとしておるこういうときでございますので、やはり強く訴えていただきたい、こういうことを心から願うわけでありますけれども、北方領土、これは沖繩とはまた違った立場にありますし、現在この四島には日本人が一人も住んでいないという、こういう状況にあります。それだけにこの折衝面につきましても十分な検討というものがなければならない。こういう点で私は平和地帯宣言といいますか、非武装地帯宣言といいますか、こういうことを考えるべきだと、こう思うのでありますけれども、その点についてはいかがでございますか。
#55
○国務大臣(福田赳夫君) 平和条約交渉、またその中において特に領土交渉、これが簡単に動くとは思いません。これはソビエトもいろんなことを言ってくるだろうし、わが国もいろんなことを言わなければならぬ、そういう複雑困難な、また時間のかかる交渉になるだろう、こういうふうに思いますが、そのまだ交渉も始まっておらぬ、そういうやさきに、わが国が交渉の一つ一つの切り札をこれを公開していく、こういうことがはたしていいかどうか、こういう問題があるだろうと、こういうふうに思うんです。そういうふうに考えますので、藤原さんのせっかくのお尋ねでございますが、ただいまの四つの島々を非武装化するという宣言、御意見につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと、かように思います。
 それから、安全操業の問題につきましては、これはただいま交渉を継続中でありまするが、わが国の漁民が従来のようにしばしば拿捕される、抑留される、こういうようなことにならないようにと念願しながらやっておるわけでございますが、できる限りの努力をいたしましてわれわれの所期の目的を解決したい、かように考えております。
#56
○星野力君 外務大臣、先ほど沖繩の復帰準備について御説明がありましたが、一番沖繩県民が心配しております通貨の問題についてはお話がなかった。外務省の直接の所管ではないかもしれませんが、せっかくの外務大臣ですから、一つ二つお聞きして要望を申し上げたいと思うわけです。
 琉球政府や沖繩の市町村の予算はアメリカの会計年度に合わせてつくられている。もちろん、ドル建てでございますが、返還に伴う予算の切りかえはどういう方法でやられるのですか。
  〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
わかりませんか。アメリカが会計年度があるでしょう。六月で終わりましょう。五月十五日で返還される。その切りかえをどういうふうになさるか、いまやられるのかということです。
#57
○国務大臣(福田赳夫君) 五月十五日になると施政権がわが国に返ってくる、こういうことになりまするから、この施政権があるという上に立ちまして、予算その他万般のわが国の行政がこれに適用されると、こういうふうになるわけであります。あらためてどうのこうのと、こういう問題は起こらないかと思います。
#58
○星野力君 そうしますと、返還後、五月十五日から返還が始まりますが、そこでいままでドルで組んでおった予算を今度円で組むわけですね。何か現地の話だと、琉球政府はとりあえずドルで組むように指示しておるとかという話ですが、その辺はどうなっておりますか。
#59
○国務大臣(福田赳夫君) 私はそのことについては何ら聞いておりませんけれども、わが国の予算がドル建てで組まれるというようなことは全くあり得ざることだと、かように考えています。
#60
○星野力君 これ、外務大臣が信念を持ってお考えになっておるように運ばれておるのかどうか私は危惧を持つのでありますが、ドル・円の切りかえはどの時点で行なわれますか。
#61
○国務大臣(福田赳夫君) これは私からお答えをいたさないほうがいいだろうと思います。これは大蔵大臣からお聞き願いたいと、かように存じます。
#62
○星野力君 どう見ても、現状では沖繩県民は非常に心配いたしておりますし、それから返還に伴う経済混乱というものが思いやられるわけであります。だから、五月の十五日を待たずに、一日も早くドルの円への交換を実行することを考えるべきであると、こう思います。そして、何よりも一ドル三百六十円の交換をやること、賃金、給与を一ドル三百六十円換算で補償すること、それらと同じたてまえに立って各方面での円・ドルの差損を国家が責任を持って補償すること、そうならなければ沖繩県民が大きな打撃を受けることはいまさら言うまでもないと思うんです。沖繩返還ということは、これは二度あることじゃない。二度あってはこれはたいへんでありますが、一度きりの返還がこのままでは沖繩県民にとって非常に苦痛に満ちた返還になるおそれがあるわけであります。
  〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
沖繩県民を日本政府の通貨政策の犠牲にしたままでの返還では、沖繩県民に、返還を喜べと言っても、心から喜ぶわけにはまいらないと思います。沖繩国会での発言で、総理も外務大臣も、言語に尽くしがたい辛酸をなめてこられた沖繩県民の労苦に報いるために、いわば対策を尽くしてあたたかく迎えたいと、こういうことをしばしば言っておられる。それが言行不一致になる気配が私はきわめて濃厚だと思うのでありますが、この通貨切りかえの問題を技術的、事務的に考えるのではなしに、有力な閣僚であるところの外務大臣、こういうときこそひとつ政府があなたのお好きな高度の政治的判断、高度の政治的決断に基づいて事に当たるようにすべきであると思うのであります。その点、お考えいかがでしょうか。
#63
○国務大臣(福田赳夫君) 星野さんから、いま沖繩にあるドルを全部三百六十円でかえちゃえと、こういうような御所見ですが、これは非常にむずかしい問題が起こってくると思うんです。つまり、投機ドルの流入という問題であります。いやしくも沖繩にドルがあれば、それは三百八円じゃなくて三百六十円だということになれば、日本の内地からもどんどん持っていくかもしらぬ、香港あたりからもどんどん持ってくるかもしらぬ、その辺を一体どういうふうにして規制するか、これはなかなか処置のむずかしい問題です。ですから、その辺に大蔵省がいま円・ドル交換という問題について非常に慎重なかまえを見せておるという根源があるのではないか。つまり、手続的に非常にむずかしい問題なんです。まあ、この問題、私は権威を持ってお答えする立場にはありませんけれども、いまアメリカの施政権下にある沖繩であります。その沖繩において施政権がアメリカにある間に円・ドルの交換をする。それは私はそう外交上の問題としてはむずかしい問題じゃないとこういうふうに見ておるのですが、さあ、やる手続の問題、そういうことになると、かなりこれはいろんな複雑な問題があります。そこでなかなかこれが実行できないというのが実情であろうかと、こういうふうに思うのですが、とにかく私ここで権威あるお答えをする立場にありませんから、それ以上のお答えはいたしませんです。そのほうが安全だと思います。
#64
○星野力君 その技術的、事務的な立場に立つから、流入ドルの問題がなかなか事務的に煩瑣だとかむずかしいとか、こう言われるのでありますが、そこを、二度とないところの沖繩返還である、高度の政治的決断に基づいて政治の問題としてやっていただきたいと、こう要望しておるわけです。
 別の問題ですが、先ほどの所管事項の御説明にも、サンクレメンテで沖繩の基地縮小に大いに力を入れたことが述べられております。それに関連しますが、沖繩の米軍は基地外道路の若干の個所におきまして、道路の軍事優先的な利用を常時あるいは随時に行なっております。たとえば御承知の名護市辺野古の辺野古弾薬庫の横を通るところの十三号道路線、これは外務大臣御存じのやつですよ。あそこに、弾薬庫の地域のすぐ横にノー・ストッピングという標示を掲げて、きわめて特異な交通規制がやられております。外務大臣はたしか沖繩国会で、返還後はそんなものは一切なくなると、こう言われたと私記憶しておりますが、それに間違いございませんか。
#65
○国務大臣(福田赳夫君) 基地のあり方につきましては、本土並みと相なります。
#66
○星野力君 沖繩国会では外務大臣、確かに返還後はそんなことはなくなりますとはっきり言ったのですが、いまは何かちょっと後退するようなことになっております。こういうことはきっぱりやめさせなきゃいけないと思うのです。それから嘉手納空軍基地、あのすぐ北側を東西に走っておりますところの十六号線道路。ここではしょっちゅう米軍が交通遮断をやって、一回一回は比較的短い時間ではありますが、すべての交通をとめた上で、この空軍基地の道をへだてて、北にあるところの空軍第四百弾薬整備隊弾薬庫、有名な部隊です。核兵器を持っているあの部隊であります。あそこと嘉手納空軍基地の十八番ゲートとの間に弾薬の輸送を行なっております。このようなことを返還後も続けさせるのかどうか、続けるのを認めるかどうか、その点についてお答え願いたい。
#67
○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員から。
#68
○説明員(橘正忠君) 十六号道路の使用状況につきましては私ども詳しく存じておりませんが、これも返還復帰の後におきましては、わが本土における普通の公共の道路というものの使用状況と、たとえ基地の横であっても、同じ状態になるという考えでございます。
#69
○星野力君 返還後はそういうことはなくなるというお答えですが、あそこに弾薬庫があるんです。あの道路を使って実際運搬をやっている、輸送をやっておるのですが、そうすると、あの弾薬の輸送を一体どうやってやるのか。一体、本土並みといいますが、本土でアメリカが交通遮断をやる、交通規制をやる、そういうようなやり方は私ないのではないかと思うのですが、やめるといまおっしゃったこと、これをほんとうに信用していいのかどうか。
#70
○説明員(橘正忠君) 繰り返しになってまことに恐縮でございますが、公共の道路の使用条件につきましては、復帰後におきまして全く本土における公共の道路の使用状況、米軍が通過する場合にも本土におけると同様の条件になる、そういう考えでございます。
#71
○星野力君 本土におきまして米軍が日本国の道路を自分の手で交通規制をやったり交通遮断をやったというところがございましょうか。
#72
○説明員(橘正忠君) 公共の道路でございますれば、通常わがほうの管理のもとにございますので、わがほうの管理権を持っておる範囲内での、実際上の行為は別として、管理の問題は、わがほうにあるということでございます。
#73
○星野力君 いま、実際の行為は別として、ということになると、この管理権の問題は日本にあるけれども、何か、返還後もあそこで交通規制をやり交通遮断をやって、あの危険な弾薬がしょっちゅう輸送されるということ自体、いまと変わらない事態が続くのではないかと思うのでございますが、この問題は非常に重要な問題です。ここだけじゃない。ほかの道路についてもいろいろ問題があると思うのですが、時間がないですから、これはさらにお聞きします。
 もう一つ、先ほどお話しのありました那覇空港からP3オライオン対潜哨戒機の移転の問題、あの費用を日本が負担することになっておるようですが、先ほどお話しになった三十八億円は普天間滑走路の強化ですか。それだけでございますか、この費用は。
#74
○国務大臣(福田赳夫君) これはP3の移転に必要な経費というので、普天間ばかりでありません、嘉手納にもいろいろ関連もあるし、とにかく移転のための費用であると、こういうことであります。そのうち、さしあたり普天間飛行場を取り急いで整備しなきゃならぬ問題があります。それは滑走路の厚みをもっとつける、こういう問題なんですが、それが先ほど申し上げました暫定予算に計上する必要がある。そうしないと、どうもP3を普天間のほうに持っていくのが危険である、こういう問題が生ずる。そういうことであります。
#75
○星野力君 三十八億円は普天間の飛行場の強化の費用、そのほかにもこの移転に伴って金がかかる、本予算には組んである、こういうことであると思いますが、このP3の移転に伴って、KC130、あれを普天間から岩国へ持っていく、岩国のP3は三沢に持っていく、こういう費用も含まれているんですか。
#76
○国務大臣(福田赳夫君) それは含まれておりません。
#77
○星野力君 それは含まれておらぬとしましても、この移転に伴う費用というのは、どういう条約上の根拠に基づいて日本政府が支出するんでしょうか。
#78
○国務大臣(福田赳夫君) これは、昨年の六月でしたか、愛知・ロジャーズ会談がパリでありましたですね、そのとき、どうしても那覇飛行場の完全返還をひとつ要請するということになって、いろいろ紆余曲折はありましたが、日本側がその移転のための費用を負担するならばそうしましょうと、こういうことになった。これは国会の承認を要する問題でありますので、ただいま三十八億円という予算をお願いをいたしておる、こういうことでございます。
#79
○星野力君 時間がありませんからはしょりますが、私、心配しますのは、こういうことですと、今後、日本側が要求して米軍部隊が――国内あるいは国外も含まれるのかもしらぬが――移駐する場合には、日本政府が金を出さなければならないことになるのではないかということと、もう一点は、沖繩の基地縮小を大いに力説されましたけれども、今度の那覇空港の問題なんかを見ますと、基地縮小、那覇空港は日本に返すといいましても、次々に部隊を移動させて、そうして日本の本土に送り込んできて、本土で分散する。こうなると、本土の沖繩化、しかも、それにも日本政府が金を出さなければならないことになるのではないかと心配になるんですが、その点はどうですか。
#80
○国務大臣(福田赳夫君) いま玉突きというお話がありまして、これは新聞でそう書くんですが、P3が普天間に移転をする、そうすると、そこは確かに、どうも狭くなるという傾向になるわけです。そこで、米軍の間にいま検討しておる問題があるらしいんです。つまり、そこにあるKC130という種類の飛行機を本土へ持ってゆく、そういうことを考えておる様子がある。しかし、まだ、わが日本政府に対して正式なそういうふうな要請はございませんです。これは、その要請があって初めてわが国としてはそれを検討するということになりまするが、万一――これは万々一そういうふうになったという際に、このKC130が移転をするために要する費用をだれが負担するかというと、地位協定に従いまして、わが国がこれを負担する、そういうことになろうかと思いますが、まだ、これは海のものとも山のものともわからない。そういううわさが飛び散っておるという状態であると、こういうふうに御理解願います。
#81
○星野力君 もう一点。
 いま、大臣が最後のところでおっしゃった、もし万一そうなったら地位協定に基づいて日本政府が負担しなければならぬ、その移転の経費を。この問題について私は疑問を持っております。お聞きしたいんですが、次回にこれは延ばします。
 ただ一つ、沖繩に残ると言われたあのSR71戦略偵察機――私が、沖繩国会で、こんなものを残してはいけないと申し上げた、国際的な紛争の種になるしろものでありますし、日本が必ずその紛争に巻き込まれる。日本自身が国際緊張に手をかすようなことにもなるんでありまするから、こういうものを置いちゃいけないということを申し上げたんですが、外務大臣は、外国領空の侵犯はしないから問題はないんだと、返還後も。こういうお答えでした。しかし、このSR71というやつは、そういうことでは私は通らぬと思います。他国の領空を侵犯しなければ、これは仕事にならない飛行機であります。現に私が知っておるだけでも、ことしに入りましてから、一月中に三回、朝鮮民主主義人民共和国――北朝鮮の領空を侵犯して、北の政府はアメリカに厳重な抗議を出しておりまするし、それから、最近も、三月九日に、やはり同様な領空侵犯が行なわれておる。私はこういう飛行機の駐留を返還後は認めるべきじゃない。いまから早くこれを追っ払う手だてを考えておかなければいけないと思いますが、いかがでしょう。これが最後です。
#82
○国務大臣(福田赳夫君) これは国会でもずいぶん前に御質問がありましたが、アメリカ側の回答は、これは領空侵犯はいたしませんと、こういうことを非常に明瞭に言っておるわけです。私どもはそういうアメリカ側の話を信ずるほかはない。ただいまの時点において、SR71ですか、これの退去を求めるという考えは持っておりませんです。
#83
○委員長(長谷川仁君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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