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1971/06/07 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
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1971/06/07 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号

#1
第068回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
昭和四十七年六月七日(水曜日)
   午後一時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         熊谷太三郎君
    理 事
                永野 鎮雄君
                宮崎 正雄君
                松本 賢一君
                多田 省吾君
                岩間 正男君
    委 員
                高橋文五郎君
                秋山 長造君
                林  虎雄君
                中尾 辰義君
                村尾 重雄君
   国務大臣
       自 治 大 臣  渡海元三郎君
   政府委員
       自治省行政局選
       挙部長      山本  悟君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法改正に関する調査
 (選挙制度に関する当面の諸問題に関する件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(熊谷太三郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 選挙制度に関する当面の諸問題に関する件を議題といたします。
 質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
#3
○松本賢一君 大臣にお尋ねいたします。
 ほかでもないですが、せんだって新聞で拝見したのですが、定数是正に関して何か大臣の御発言があったようで、どの席で御発言になったのか、私よく覚えていませんが、新聞紙上で見たところでは、審議会の答申が出て定数に関する答申も出るだろうから、そうしたら、今度の総選挙に間に合うように定数の是正をやりたいと思うというようなふうに受け取れたのですが、そういう意味の御発言だったのですか。
#4
○国務大臣(渡海元三郎君) あの新聞は、衆議院の公職選挙法の審議におきます私の答弁を書いたものだと思います。新聞社の方が聞いておられまして、集約的にああいうふうに書かれたのじゃないかと思います。質疑応答の間には、端的にそういうふうな表現は私はなかったのでございますけれども、総体的にそういうふうに集約をして、記事にされたというふうに理解しております。
#5
○松本賢一君 そうすると、あの内容でございますが、御承知のとおり私も委員の一人としてやっておりますが、答申が出るのはいつごろになるか、まだわかりませんけれども、おそらく秋ごろになるのじゃないかという気がしますが、その中に当然、定数も一応の線が出てくるだろうと思います。そうすると、その答申が出た時点で大臣がお考えになって、全体としてはなかなか容易に法案化するのもむずかしいが、その中の定数の部分だけを取り上げて、次の総選挙に間に合わせようと、そういったようなお考えがあるわけですか。
#6
○国務大臣(渡海元三郎君) 答申が出るまでに、答申の内容に対して、私からかれこれ申し上げることは差し控えたいと思いますが、いま、松本委員御承知のとおり、選挙制度審議会で、次の選挙のために間に合わぬと思うという前提のもとに、定数是正だけは切り離してもやってはどうかという、特別委員の方々の御意見もございましたが、あのときの学識経験者の多数の意見といたしましては、われわれとしてはあわせて定数是正も検討していく道でやりたいというふうな御意見が多数を占めておりまして、いま現実に鋭意急いでいただいております。
 私はその答申を待って、いま松本委員が申されましたような、どう出てまいりますか、そのときの判断によりまして、あるいはその答申によってこれがむずかしいということになったら、切り離してそのときに政府が提案いたしますか、あるいは定数是正とあわせて、次の選挙に改正を行ない得るものとして議会にかけて、各党の御同意を願えるように努力いたしますか、あるいはその答申のいかんによりましては、区制と別の分の定数是正、暫定的な定数是正について、あらためてまた特別に審議会に、その期間が残っておりましたら、至急答申を願うようにお計らいをするか、これらは答申を見た上で考えたい。しかしながら、いずれにしてもアンバランスがあることは事実でございますので、来たるべき選挙におきましては、そのアンバランスが是正された方向で選挙を行ないたいと、こういう方向で答申をお待ちして、答申を得たなれば直ちにそういうふうな処置ができるように、事務当局で検討をさせておるというのが現状でございます、というふうな答弁をさせていただいたのでございます。
#7
○松本賢一君 そうすると、答申がいつごろ出るか、まだわからないし、解散がいつあるかということもまだわからないし、まあ、このどちらもまだはっきりしない段階で話をするわけですから、はっきりした話もしにくいと思いますが、しかし、いずれにしても、双方ともあまり遠い将来ではないということだけはわかるわけなんで、そうすると、いま大臣おっしゃったことは、答申の内容によって、定数だけを切り離さないで、全般的な改正案というものが比較的容易に作成できるようなら、時間的に早くできるようなら、全体のものを一挙にやりたいと、そういうお考えがあり、またそうでなく、全体をやるのがたいへん時間的に余裕もなかろうという御判断になった場合には、定数是正だけはひとつぜひやっていきたいと、こういうことでございますか。
#8
○国務大臣(渡海元三郎君) 答申の内容に触れるような形にもなりますのですが、現在の定数におきまして、アンバランスがあることは事実でございます。来たるべき選挙におきましては、少なくともこのアンバランスを是正するようにつとめるのが、私たちの責任であろうという気持ちで、しかしこれも、いまそれを直ちに急げという御議論もございますが、せっかく審議会で審議をいただいておりますので、いずれにいたしましても、その答申を待ちたい。しかし、私たちの立場といたしましては、次の選挙には、このアンバランスの是正の措置をすることによって行ない得るように、常に考えておくべきではなかろうか、こう申し上げたのです。
#9
○松本賢一君 そうすると、せっかく審議会で答申を急いでおられる段階だから、答申の出ないうちにどうこうしようということは考えない、こういうことはあるわけですね。それから、答申の内容について云々はできないけれども、答申が出た段階でひとつ、全体的に考えるか、定数是正のみを考えるか、とにかく、定数のアンバランスというものは国民の世論にのぼっているわけだから、これだけは次の解散までには何とか考える、まあ大臣としての責任があると、こういうことでございますね。
#10
○国務大臣(渡海元三郎君) さようでございます。
#11
○松本賢一君 そうすると、せんだって主として野党のほうから出たのですが、ひとつ定数是正だけをぜひこの際やろうじゃないかという、その分は、もう大臣としてはお考えはないと、こういうことですか。
#12
○国務大臣(渡海元三郎君) いまのところ、私は、せっかく急いでいただいておりますので、答申の結果を見て処置いたしたいと、かように考えておるわけであります。
#13
○松本賢一君 わかりました。定数の問題はこの程度であれしたいと思いますが、ざっくばらんに申し上げまして、佐藤内閣いつやめるか、もう日取りまではっきり書いたような新聞も出たりしている段階でございますので、ここで大臣が答弁なさったことは、当然次の内閣にその答弁の責任を持っていただくということが、私はぜひ必要だと思うのですけれども、その点もひとつ、大臣の答弁の中でもう一ぺん念を押しておいていただきたいと思うんです。
#14
○国務大臣(渡海元三郎君) まあ、いま申されました御質問に対しまして私は云々するわけにまいりませんけれども、内閣の継続性と申しますか、私が述べましたことは、当然、自由民主党内閣であれば、私たちはこれを引き継いで考えていかなければならぬし、いただけるものと、かように考えておるものでございまして、私も、その意味におきまして、次期担当の方にそういうふうな趣旨でお引き継ぎを完遂しなければならぬのが、私の立場ではないかと、かように考えております。
#15
○松本賢一君 わかりました。ぜひ、そのようにお願いいたしたいと思います。
 それから、もう一つお尋ねしたいのは、これも新聞記事を読んだのですが、地方の議会で市会の選挙区を分割して、小選挙区にしたい、次の地方選挙のときからでもやりたい、大体人目二十万以上の都会でそういうことを考えていきたいと、こういう記事を拝見したわけですが、これについてのお考え方を、ひとつここでおっしゃっていただきたいと思います。
#16
○国務大臣(渡海元三郎君) これまた、どなたの質問だったか忘れましたが、衆議院の予算の分科会におきまして、選挙制度の問題について質問がございました。その内容は、現在の選挙法では、政令都市は区に分けて、選挙区を区ごとに設けて選挙をする、こうなっている。しかし、その他の市町村におきましては、原則として区制はとらない。ただし、必要とされる場合はこれをとるというふうになっておりまして、原則は区制をとらないという問題であるが、実態をながめてみると、多数の議員が選ばれるということになりましたら、現在の都市集中化の傾向からながめまして、実際、選択にも困難であろうし、はたして住民直結としての選挙が行なわれるものであるかどうかということに対して非常に疑問を感ずる、ついては人口の、あの記事には三十万以上と書いておりましたが、質問された方が三十万という数字を指定されたかどうか、とにかく、ある程度の人口以上のところに対しては、むしろ原則として区制にすべきであるということに法律を変えるのが、現在の実情に合っておるのでなかろうかという御意見でございました。私もごもっともな御意見だと思いましたので、十分検討させていただきますというふうなことをお答えしたのでございます。その後、事務当局のほうで検討をいたしておることを、新聞のほうで取り上げられまして、ああいうふうな表現で出たものであると、かように御理解願いたいと存じます。
 私、事務当局から聞いたところによりますと、現在も二、三そのような特別区のできております市も、政令都市以外で、ございます。しかしながら、これを、原則を法制化するといたしましたなれば、人口を幾ら、あるいは議員定数幾ら以上をこれにするか、あるいは区制の限度をどの程度にするかと、いろいろ問題点もあるようでございまして、それらについて検討をしておるというのが、現在の事務当局の姿でございます。次期選挙に対してこれを行なうというふうな表現でございましたが、私自身といたしましては、検討をしておりますが、まだ事務当局からそこまでの、成案と自信を持ってのものはいただいておりませんので、さように御了承賜わりたいと思います。
#17
○松本賢一君 そうすると、私が新聞記事から感じたのは、少し違っていたと思うんですね。大臣の、何か意見が載っているような気がしたのですが、それじゃ、だれかほかの方がそういう意見を出されて、そして、それに対して大臣が検討しようと、そういうことであったわけなんですね。
#18
○国務大臣(渡海元三郎君) 答えに、十分傾聴に値する御意見と思いますので検討をさせていただきますということを答えただけで、その後、私、特別な指示というものはなかったのでございますが、おそらく、事務当局等で研究検討しておりますことを、新聞社の方がお聞きになって、ああいうふうな表現で出たものと御理解賜わりたいと存じます。
#19
○松本賢一君 その後は、これに対して何か検討されて、進展を示しておるわけでございますか。
#20
○国務大臣(渡海元三郎君) あのような新聞が出ましたので、私も事務当局を呼びまして、いま後半でお答えしましたように、聞きましたところ、いかなる人口をどこで切るか、あるいは区制にいたしますにしましても、その一区の定数をどの程度にするかというふうな問題、相当研究すべき課題が多々あるものでございまして、なお検討の段階であると御理解賜わりたいと思います。
#21
○松本賢一君 それで、あの中にこんなようなことがちょっとあったんですね、これは私の意見もまじえての質問になるわけですが、議員の定数も、人口がふえるに従ってふえてくる、と同時に候補者の数もふえてきて、有権者が選択に迷う場合もできてこようといったようなことがあって、区を分けたほうがいいんだろうと。もう一つは、衆議院が小選挙区制をしくというようなことになると、衆議院の選挙区よりも市会議員の選挙区のほうが大きいといったような場合も出てくる、というようなこともあったのです。
 その初めのほうの話ですが、私は大臣も御存じだろうと思いますが、終戦間もないころは、たいへんな候補者が出ていたんですね。市会議員の選挙というと、たいていの中都市程度のところで百人以上。定員四十から四とか八とかいうくらいの程度のところで、百何十人という候補者が常に出ていたわけですよ。それが最近では、定数の何割増しか程度のところに大体整理されてきて、私は、だんだん人数がふえてくるから住民が選択に迷うというような傾向は、むしろ逆じゃないかと思うのです。ここ一昔前と比べてですね。ですからその点では、むしろ私は区分けをしないほうがいいんじゃないか。それともう一つは、広域行政というようなことが一方で言われてきて、できるだけものを広く考えるというと、市会議員とい身ども、自分の地元というか、小さい局部的な代表みたいな気持ちでものを考えないで、全市的な視野あるいはもっと広い視野でものを考えて、仕事をしていただきたいということ、それから選挙民も、そういう視野でもって候補者を選んでいくべきじゃないかと、そういう考え方からして、選挙区をむやみに小さく割っていくということは、まあ、むやみじゃないかもしれませんが、小さく割っていくということは、むしろ時勢に逆行した考え方じゃないかというように私ども考えるのですが、そういう点について、大臣いかがですか。
#22
○国務大臣(渡海元三郎君) そういうふうな御意見も当然あろうと思いまして、長所、短所おのおのあろうと思いますので、それらをあわせて検討をさせていただいておるというのが現状でございまして、貴重なる御意見としてお聞かせ願ったと、こう私この席上でお答えしておきます。
#23
○松本賢一君 では、そういったいわば時代に順応していくか、逆行していくかというような問題でもあるわけですから、ひとつ十分慎重に御検計いただきたいと思います。事が具体的になっておりませんので、これ以上この質問はいたしません。
 それから事のついでに、私がものを知りませんから、ちょっとこの席を拝借してお聞きしたいのですが、選挙制度審議会の委員さんの日当というか、お手当、いつか野田自治大臣のときに、えらく安いようなお話だったから、もう少し考えたらどうか、りっぱな方々を半日動員して、そんなことじゃ失礼じゃないかというようなことを申し上げたことがあるのですが、あれはその後どうなっておりますか。ちょっとこの席でまことに何ですが、聞かしてください。
#24
○政府委員(山本悟君) ちょっと、ただいま数字を覚えておりませんが、政府関係の審議会等、すべて統一いたしまして、内閣といいますか、総理府のほうで所管いたしておりますので、統一単価になっておりますので、特にこの審議会だけどうこうというかっこうにはなっていないと存じます。ちょっと単価は記憶いたしておりませんので、後ほど調べまして、至急お答えいたします。
#25
○松本賢一君 それでは、数字がわかったら教えてください。あとでけっこうですから。
#26
○政府委員(山本悟君) はい、わかりました。
#27
○松本賢一君 それから、これについて大臣の、政治家としての、閣員としての大臣にお尋ねしたいのですけれども、こういうことはよほどよくお考えいただきませんと、あのときに伺った金額は非常に小さい金額で、ほんとうに時代が違うような金額を聞いたように思うので、そういう点についての今後の考え方について、大臣に一言おっしゃっていただきたいと思います。
#28
○国務大臣(渡海元三郎君) 私も、うかつにしてその金額を承知いたさずに申しわけないのでございますが、閣僚の一人でございます。これは総理大臣の諮問機関になっておりまして、いま政府委員から答弁いたしましたとおり、総理府のほうでまとめて基準をきめられておるということでございますが、私も国務大臣の一人といたしまして、いまの点、ごもっともであろうと思いますので、十分注意いたしまして、閣僚の一人として、今後そのように努力させていただきたい、かように思います。
#29
○松本賢一君 では、よろしくお願いいたします。
 私、質問をこれで打ち切ります。
#30
○多田省吾君 まず最初に質問したいことは、現在、第七次選挙制度審議会が行なわれております。任期は二年です。昭和四十五年の十二月二十四日に総理から諮問されましたので、ことしの十二月二十四日が任期切れだと思います。それまでに答申を出そうと審議が行なわれているわけでございますけれども、もし、答申が出る前に総理大臣が交代するようなことがあったら、その諮問した総理大臣でなくて、諮問しない新しい総理大臣のもとで、結局、選挙制度審議会が続けて行なわれていくというような状態になるわけですね。その場合に、当然私は、新しい総理や自治大臣が審議会に出て、総会等で新しい抱負を述べるべきであると思いますが、自治大臣はどのようにお考えですか。
#31
○国務大臣(渡海元三郎君) はたして、そういうふうな、審議会が任期の途中に内閣かわりましたときに、あらためて諮問するかどうかということもあろうと思いますが、私は、当然これは継続してやっていただけるものと、かように考えます。その際に、新しい大臣の、総理大臣の抱負を聞くかどうか、審議会の運営等につきましては、審議会の運営委員会等々と連絡いたしまして考えるべき問題であろうと、かように考えております。
#32
○多田省吾君 自治大臣おっしゃるように、次の総理大臣が前の総理大臣とは別の諮問をしたいと願ったときには、また新しい諮問が出る、また、新しい審議会が設けられる可能性もある、これは当然だと思います。しかし、前の総理大臣の諮問を受け継いだとしても、やはり私は当然新しい総理大臣なり自治大臣を呼んで、考え方というものを聞くべきが本筋ではないかと思いますけれどもね。もちろんその場合は、当然審議会の委員の意向によって、審議会の会長等が総理や自治大臣に要求はされるだろうと思いますけれども、それが妥当ではないかと私は思うのですが、いかがでございますか。
#33
○国務大臣(渡海元三郎君) これは、委員会の運営によることであろうと思いますが、御要望がありましたら、おそらく実現するように、そのときおそらく私は引き続いて自治大臣をやっていないと思いますが、自治大臣は御尽力されるものと、かように思います。
#34
○多田省吾君 私はいま一般論としてお聞きしたわけですから、これ以上お聞きしませんけれども、次に、先ほど松本委員が、衆議院の定数是正について質問されました。大臣の御意向を承りましたので、大体の大臣のお考えはわかったように私も思うのですけれども、ちょっとまだ二、三わからない点がありますので、一つ一つについて詰めてお尋ねしたい。
 いま審議会が、衆議院の区制や定数について答申を出そうとして審議しておりますけれども、六月は二回第一委員会が行なわれまして、あとまた六月十六日に第三回目が行なわれれば、六月はこれで行なわれないでしょうね。また七月、八月なんかは、いつも大体行なわれない可能性が多い。そうすると、どうしても、早くても秋以降になるということです。
 その場合、答申の前にもし総選挙があるような場合は、自治大臣はせっかくいま、衆議院の選挙区には定数のアンバランスがある、何としても次の総選挙は是正したものでやりたいという切実な御希望が、またそういう願いがあるにもかかわらず、結局は、次の総選挙が定数是正のないままに、いまのアンバランスのままに行なわれる。そうなりますと、もう前回だって非常なアンバランスがあったわけですから、三万一千票で当選して、十二万一千票で落選したというようなケースもありますし、また、もし定数是正が行なわれないで次の総選挙が行なわれたとしますと、大阪三区なんかは十五、六万票で落選と。これは常識ですよ。大阪三区は前回十二万一千票で落ちているのですから、それから今回は三十万以上有権者がふえているのですから、当然十五、六万票じゃ落選ということが考えられますよ。それで、片一方では三万数千票という、そういうようなアンバランスの上での総選挙が行なわれるということは、ゆゆしき事態だと思うのですが、それでもやはり、答申が出ないうちに総選挙が行なわれる場合は、定数是正のないままに総選挙をやるのはやむを得ないと、このように自治大臣はお考えなんですか。その一点だけ、ひとつまずお伺いしたい。
#35
○国務大臣(渡海元三郎君) 解散は予測することができないものでございますから、あるいはいま多田委員御指摘のような、不測の事態が起こり得ることもあるかもわかりませんが、私は、そのときの状況にもよろうと思いますが、次の選挙は、何としてもいま多田委員御指摘のとおりアンバランスもございますから、そのアンバランスを是正した上で行なわれるように、最善の努力をいたすべきである、このように考えて松本委員にも答弁させていただいたような次第であります。
#36
○多田省吾君 常識的に考えて、定数是正は、当然衆議院、参議院の特別委員会あるいは本会議を通らなければできません。それじゃ、来年の通常国会の前に、ことしの臨時国会とか、そういうものでやれる可能性もあると大臣はお考えでございますか。
#37
○国務大臣(渡海元三郎君) 解散がいつ行なわれるかということが予測できない現在でございますし、直ちにお答えすることができないと思いますが、自治大臣といたしましては、松本委員にもお答えいたしましたように、次に行なわれるべき総選挙におきましては、定数是正をした姿において選挙をするような、万全の策を講ずべきが自治大臣としての責任であろうと、かように考え、現在、事務当局にもいろいろな場合の検討をさせておるという姿でございます。
#38
○多田省吾君 ですから自治大臣ね、そういう万全の態勢とおっしゃいますけれども、これは、抽象的にはそのように前向きの姿勢は示されましょうが、具体的な論議をしますと、結局はやれなかった、という事態のほうが九九%だろうと私は案ずるわけですよ。
 もう一つ聞きたいことは、答申を見た上で、そのときになったら、もし区制の改正はちょっと急いではできなくても、定数のアンバランス是正だけは切り離してでも、やれる場合はやるというこのことと、それから、答申が出た上で、まだ任期が少しあったら、現行制度の上で定数是正だけ別に諮問してもいい、このように大臣はお答えになったと思っておりますが、それでよろしいですか。
#39
○国務大臣(渡海元三郎君) いろいろの場合が予定されると思います。定数是正をやります場合、暫定的に行なうにしましても、次に来たるべき、せっかく答申を得ました選挙区制の改正に支障を来たすような定数是正でなしに、スムーズに行なえるような姿の定数是正を暫定的な案として考えるというふうなことを考えますと、私はいま申しましたように、答申をいただいた審議会に、暫定的に行なうべき姿の定数是正のあり方ということをお考え願うのも一案でないかと思い、いまのような仮定の中でございますけれども、そのような案を、松本委員に対して付け加えて御答弁さしていただいたような次第でございます。
#40
○多田省吾君 私は、定数是正と区制改正は、本来は別個のものであると思うのです。そして民主主義の原理にとって最も大事なのは、私は定数だと思います。なぜならば、これは憲法に定められた基本的人権の原理の問題であるし、それからもう一つは、民主主義の根本原理をなすものが定数だと思うのです。
 その上で選挙の区制の問題は、ヨーロッパ諸国の大部分は比例代表制で、国民の意思を公平に議席に反映するという立場をとっておりますし、またイギリスとかアメリカは、アングロサクソン民族の特性でございますか、二大政党が非常に、交代交代のような力関係にありますので小選挙区制をやっておりますけれども、大部分は比例代表制をやっておるわけです。そういう、区制はいろいろあります。しかし、それは定数是正がはっきり法律化し、その上に立った選挙区制であるわけですね。それは、各国の実情によってまた違うと思うんです。それを何だか、この特別委員会においても、また審議会においても、定数是正は区制改正のつけ足しだみたいな感覚があるのじゃないかと私は思う。これは政府自民党として、特にその根本の為政者たる自治大臣のお考えによっては、非常に重大な問題だろうと思うんですね。だから、後ほどまた質問しますけれども、諸外国にあっては、イギリスだってカナダだって西ドイツだって、ほとんどの国が、定数ということははっきり法律に定めてありますよ。厳格に定数はこうあるべきだと。
 ところが、わが国では、先ほどおっしゃったけれども、公職選挙法の第十五条には、都道府県の議会の選挙とか市町村の議会の選挙については厳密にやるべきだという規定がありながら、衆議院とか参議院のほうは、あまり明確じゃないんですね。衆議院のほうは別表にはっきりと法律化されておりますけれども、残念ながら強制規定ではない。任意規定であっても、私はこれは順奉すべきだと思いますけれども、そのように、私は非常にこれは日本の国会選挙における致命的な欠陥であろうと思うんですね。
 ですから私は、定数が一対四・八四なんという、およそ世界第一のアンバランスなそういうところにおいては、現行制度においても、さっそく定数是正はすべきだと思うんですね。また、いま審議会においても早急に、分離してでも緊急に措置すべき事項として私はやるべきだと思うんです。この前の委員会におきましても、野党の特別委員は全部主張した。一般委員でも、主張した人がありますよ。婦人委員なんか、野党と同じように主張しましたよ。それからある委員は、この前もここで論議されたのですが、審議会では時間がちょっと足りないもんだから政府なり各党でやってほしいと、定数是正は、現行制度において切り離して、審議会でできない場合は、さっそく政府なり各党間の話し合いでやってもらいたいという要望もあったわけですよ。それなのに、大臣が定数是正に全然消極的だということは、非常に私は不満でございます。
 もう、言いたいことはたくさんあります。憲法にだって、はっきりあるじゃありませんか。第十四条に、すべての国民は法のもとに平等であって、人種、信条云々、政治的、経済的または社会的関係においても差別されない、また国会の条項の第四十四条においても、両議院の議員及びその選挙人の資格は法律で定めるけれども、ただし、人種、信条云々によって差別されてはならないと、はっきり基本的人権は憲法において定められているんですよ。それをまっこうからくつがえしているのが、いまの衆議院の定数のアンバランスなんです。もうはっきり言いまして、大臣も御存じのように、大阪三区の方たちは、兵庫五区の方々と比べると、この一番大事な衆議院の選挙において、五分の一の基本的人権しか認められていないんですよ。それでなおかつこの定数是正をしようとしないのは、私は非常に不満なんです。
 それから、もう一つありますよ。一昨年、昨年あたりから、この衆議院のアンバランスということについて、前回の総選挙のあとで国民的な世論がわき上がったでしょう。この定数のアンバランスを是正せよ――。それで、一昨年の十二月二十四日の第七次選挙制度審議会における総理大臣の諮問、また総理のあいさつの中に、はっきりと「衆議院議員の定数配分に不均衡があることが問題とされておりますので、この点についてもあわせてご配意を賜りたいと存じます。」と諮問さえしておるんですよ、総理大臣が。もちろんその前に、諮問の第一として、衆議院、参議院の選挙区制の具体案を諮問し、そのあとで「衆議院議員の定数配分に不均衡があることが問題とされておりますので、この点についてもあわせてご配意を賜りたい」と、並列して諮問してあるのです。
 それなら、新しい選挙区制をつくるときに定数是正をすればいいんだというような、そんな考えだったら、何もあらためて衆議院議員の定数是正を諮問しないはずじゃないですか。新しい選挙区制ができたら、定数問題は当然審議されるわけですから。いままでの審議会においてもそうなんですから、あらためて総理大臣が並列して、「定数配分に不均衡があることが問題とされておりますので、この点についてもあわせてご配意を賜りたい」というのは、分離しても、早くこの定数のアンバランス是正をという、審議会に対する私は諮問だろうと思うんですね。ですから、そういう総理大臣のあいさつから見ても、この自治大臣の定数是正に対する姿勢が非常に消極的である、このように私は思うんです。どうですか。
#41
○国務大臣(渡海元三郎君) 多田委員の御要望、お気持ち、ごもっともであろうと思います。私もそのとおりに考えて、お答えしておるつもりでございます。そのために総理大臣も諮問をしておる。
 ただ、何と申しますか、私は、せっかく諮問もし、急ぎ審議をしていただいておりますので、その答申の結果を待ってやりたいと申しておるのでございまして、この点が、答申を待っておったら間に合わぬから、答申がなくても切り離してやるべきだというこういう御意見、この御意見が、先般の選挙制度審議会におきましても議論されたのでございますが、あのときに、私もたまたま総会に出さしていただいておりましたときの議論といたしましては、いま松本委員にもお答えいたしましたとおり、特別委員の中から、もうこの段階では切り離してやってはどうかという御要望がございましたが、審議会としてはあわせて検討をしていくということで、いま鋭意御検討を願っておる。私は、その諮問どおりの作業を進めていただいておりますので、その答申の結果を待って処置いたしたい、この点だけが違うのじゃないかと、かように考えておりまして、多田委員の御趣旨の点は十分私も承知し、またそのように処置せなければならない、このように考えております次第でございます。
#42
○多田省吾君 私は、そうなりますと、審議会というのは政府の隠れみのにすぎないというわれわれの持論が、ほんとうに一〇〇%ほんとであったということを、また再確認せざるを得ないのです。もう審議会にかけましたと。いろいろ政府に責任があるようにみんな言いますし、ここでは、審議会にまかしてあるんだと言いますし、キャッチボールですよ、これは。はっきり言って、それじゃ政府の責任のがれですよ。政治資金規正法なんかは、審議会が緊急措置すべき事項として答申したにもかかわらず、政府は言を左右にしてやらないというようなことがありましたし、前回の参議院地方区の定数是正においては、やはり審議会が答申したにもかかわらず、国勢調査の結果どうのこうの言って、やらなかった。そういうこともありますし、しかも審議会の答申がちょっとおくれておるなんということになりますと、もう鬼の首でもとったように、審議会の答申待ちだと、こうおっしゃる。私たちはそういう点、非常に残念なんです。
 先ほど申したように、総理の諮問だって、区制改正と一緒にやればいいということじゃないんですよ。並列して、そうして配分に不均衡があるから、これは是正してくれという諮問ですから。ですから私先ほど申しましたように、選挙区制あるいは定数問題というふうに考えた場合に、むしろ国民の基本的人権からいえば、定数のほうが問題なんですよ。より重要なんです。たいへんな問題です。だから、あとでも質問しますけれども、諸外国においてはこれはきちんと厳格に定めてありますし、また別表だって、それをきちっと順守すれば、政府は責任を持ってこれをやらなくちゃならないはずだったのです。それを、審議会に諮問しないときもあったし、またあるいは諮問しても、両方の答申が出るまで待つんだ、そういうことでは私は非常に困ると思う。
 それじゃ一点お尋ねしますけれども、いまの中選挙区制単記投票制度において、現行制度において一対四・八四のようなアンバランスがありますけれども、もう一つ問題なのは、同じ県の中で千葉一区と三区のように、人口二百四万のところが定数四名で、人口七十三万人のところが定数五名、こういうアンバランスのところがありますよ。これだって、直そうと思えば直せるんです、はっきり言って。それすら放置しているじゃありませんか。じゃあちょっと、どのくらい大臣がこういう点に、定数に関して熱心に考えておられるかということで大臣にお尋ねしますけれども、こういう千葉一区と三区のような、同じ県内で定数のアンバランスがある個所は、都道府県は幾つで、それから何件の件数があって、そして、そういう選挙区制のかかわりのある選挙区は幾つあるか、この三点お尋ねしてみたい。いかがですか。
#43
○国務大臣(渡海元三郎君) 数は存じ上げておりません。率直にお答えいたします。しかし、そういうふうなところがあるという点、代表的に言われました千葉県がそういうふうになっておるという点も、よく承知いたしております。
 いま御質問の中で、審議会の審議を経ずに定数是正をやったときもある、今回のように審議をする場合もあると。私考えますのに、現在の選挙区制で、人口だけの移動に伴って、その人口によりまして定数是正を行ない得るというふうな時期もございました。現実にそういうふうなことが行なわれたことも、私も長年公職選挙法の委員をさしていただいておりますために、承知いたしております。しかし、今回の場合は、たとえばいま兵庫五区と大阪の三区を例にあげられたのでございますが、兵庫五区の場合は、これは三名でございますから、一名減らすことによりまして、定数が二名となります。このような場合、現在の中選挙区制の中で二名の特別区をつくるかどうか、兵庫五区というところは、それではどこか近くの府県に……。
#44
○多田省吾君 聞いたことを三つ答えればいい。
#45
○国務大臣(渡海元三郎君) その点は、何件あって、それが、関係する県がどのくらいあるかという数字は、存じ上げておりません。
#46
○多田省吾君 選挙部長、お答えになってください。
#47
○政府委員(山本悟君) 現状の数は把握してまいりませんでしたが、同一府県内におきまして、議員一人当たりの人口、それが倍以上になるというようなのは、たとえば北海道で申しますと、一区が三十一万、それに対しまして三区が十八万というようなことがございます。
#48
○多田省吾君 私は、そういう率もありますけれども、そんなのは一対四・八四を頂点に幾らでもあるんです。そんなことを聞いているんじゃない。逆転現象ですよ。千葉一区と三区のように逆転現象、人口が多いのに定数が少ないという逆転現象が、同じ都道府県内で生じている県は幾つあるか、そういう逆転現象の件数は幾つか、それにかかわり合いのある選挙区は幾つか、この三点。
#49
○政府委員(山本悟君) ただいま至急調べましてお答えいたします。
#50
○多田省吾君 いまから調べるのじゃ時間がなくなりますから……。こっちはこっちでありますよ。前から計算してあるんです。きょう計算したわけじゃない。じゃ、あとで計算したらおっしゃってください。
 その前にもう一つ大臣にお尋ねしますけれども、現行中選挙区単記投票制度ができたのは昭和二十二年です。それは昭和二十一年四月の人口調査をもとにしてつくられたわけですよ。そして昭和三十八年ですか、一回だけちょっと手直しがあった。それでは、昭和二十二年のときの、定数の制定時の県別一人当たり人口の比率と、それから選挙区別の一人当たり人口の比率は御存じじゃないですか。最初の大もとがどうなっていたか。
#51
○国務大臣(渡海元三郎君) 存じ上げておりません。
#52
○多田省吾君 選挙部長、お答え願います。
#53
○政府委員(山本悟君) 二十二年当時の都道府県単位で申し上げますと、最高が福井の十七万三千九百二十六人、最低が香川の十四万五千三百八十五人、一対一・一九でございます。区別で申し上げますと、最高が鹿児島二区の十九万二千三十七人、最低が愛媛一区の十二万七千五百九十一人、一対一・五一でございます。
#54
○多田省吾君 これは私は審議会でも述べましたから、そのとおりでございます。大臣ね、県別の差は一対一・一九六ですよ、大体一対一・二ですね。そのくらいの差しかなかったのですよ。それが現在、どうですか、一対二・八くらいあるのです。それから選挙区別では、現行制度が発足当時はアンバランスはほとんどなかったのですよ。一対一・五〇五ですよ。一対二以下ですよ。西ドイツが一対二以下の条文を定めておりますけれども、それ以下だったのです。ほとんどなかったのですよ、アンバランスは。それが現在、一対五までアンバランスが生じたのですよ。そして昭和二十二年当時から、五年ごとの国勢調査の結果をもとにして、「更正するのを例とする」とあるじゃありませんか、それが全然、たった一回、審議会の答申が出て、昭和三十九年の選挙でやむを得ず一回やったわけです。それで、一対三・二の選挙区制のアンバランスが出たのを、大体一対二・一くらいまで縮めたのですよ。現在はどうですか、一対四・八までいっているじゃありませんか。最初は全然なかったのですよ。私はもう、その発足当時まで戻すべきだと思う。それに近づけるべきだと思う。大臣は、このことを全然御存じなかったというのですか、どうですか。この数字をごらんになって、どう考えますか。
#55
○国務大臣(渡海元三郎君) 三十八年でありますか九年でありますか、そのときに選挙区の定数是正を行ないましたときも、私も公職選挙法の委員の一人でございます。あのときも、非常に人口の都市集中がありました結果でございまするが、相当なアンバランスができました。その当時五人をこえる、六人以上の区をつくる、大選挙区のものをつくるという意見もございましたが、五名をこえる、六名以上のものに対しましては非常に困難も伴いましたが、区を割ることによりまして、現在の中選挙区制を保ちながら定数是正をやったというふうに記憶いたしております。
 その当時のことを考えまして、いまちょっと私答弁しかけたのでございますが、現在では、一番人口の少ないのが兵庫五区ということになっておりますが、これを一名減にいたしますと、二名になります。中選挙区ではなくして、特別二名区をつくるべきであるかどうかという姿になる。それでは、その兵庫五区を他の選挙区に合同編入する等の、この前三十八年、九年当時に行ないましたようなやり方で考えますと、地理的な条件、実態等からいたしまして、これを行なうことができないというふうな数になっておる。一方、千葉県におきましても、県全体の数字としましてはいまアンバランスがございますように、千葉県を一名加えるときには、他の府県では相当数の増加はなければならない。県全体の数、他府県との均衡になりますと、千葉県はしたがって千葉県全部の中でこの再編成を行なうべきであるかどうかというふうな問題等、人口の異常なる都市集中によりまして、相当、選挙区制の根本に触れたような状態になっておるというのが実情でございます。
 そのような状態でもございますので、選挙制度審議会におきまして、定数是正もあわせて御審議を賜わっておるというのが現状である。私は、このような認識のもとに立っていま御審議を賜わっておる、かように考えております。したがいまして、選挙制度審議会の答申の結果を待ちまして、その結果を得て、ぜひとも定数是正を行ないたい、かように申し上げたような次第であります。
#56
○多田省吾君 私は、いま大臣の答弁がせっかくあったものですから言いますけれども、中選挙区制だから三人区、四人区、五人区でなければならない、こういう、これは法律事項にはないでしょう。奄美大島は特例として一人区、ありますよ。私は、そのときに一人減らして、二人区をつくるべきだったと思うんです、答申どおりに。それをしなかったのが、自民党じゃなかったですか、政府じゃなかったですか、答申を尊重しなかったのは。私は、なにも二人区をつくろうと六人区をつくろうと、これは法律には全然違反しないと思うのですが、この点はどうですか。この点だけ聞いておきます。
#57
○国務大臣(渡海元三郎君) この前の三十八年、九年のときにも議論がございまして、六名、七名の区をこしらえてもいいじゃないかということがございました。もちろん、そのように法律事項でないことは、私も承知しております。しかし、中選挙区という姿で現在一般的に考えておりますのは、三名から五名という姿を中選挙区と考えて、奄美大島のような特別区に対しましては、特別区という観念で一名と、地理的条件等も含めましてきめられておる、かように考えております。
#58
○多田省吾君 私は、何ももったいぶらずに、兵庫五区は二人区にしてもよかったと思うんです。
 次に、国会議員の場合に、定数及び定数配分の基準というのは、いまの日本の法律にはありますか。
#59
○政府委員(山本悟君) 明文の規定はございません。
#60
○多田省吾君 都道府県会議員選挙なんかが法律にはっきりあるのに、国会議員の明確な規定がないというのは、非常に私は致命的な欠陥だと思うんです。私は、憲法の精神に従って、あくまで基本的人権の立場から、国民の意思の公正な反映、これを定数の基準にしなければならない。これは常識だと思うんです。ところが、昭和二十二年のときには、選挙区の間でも一対一・五ぐらいの差しかなかったのが、いまや一対四・八まで開いてしまった。もう憲法の基本的人権も空洞化されています、はっきり言って。この前の参議院地方区の定数の問題で最高裁判所の判決も出ましたけれども、あれだって、決して野放しでいいということは言っていませんよ。しかも、衆議院の定数において、もうこれはたいへんな問題だと思うんです。法律にはありませんけれども、制度的にはどうなのかということは、どうですか。衆議院の選挙において、この定数の基準というものは、制度的経過はどうだったのかということ。
#61
○国務大臣(渡海元三郎君) 制度的という意味でどうかと思いますが、現在われわれが考えておりますのは、中選挙区は三名から五名の一区……。
#62
○多田省吾君 定数のことを聞いているんです。
#63
○国務大臣(渡海元三郎君) その定数は、大体人口にできるだけ比例してきめるべきである、こういうふうな観念のもとに立って三十八年の改正のときも行なわれた、かように考えております。
#64
○多田省吾君 公職選挙法の別表に、「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によつて、更正するのを例とする。」とありますけれども、この「更正」という意味はどう考えるんですか、大臣、「更正するのを例とする」という「更正」というのは。
#65
○国務大臣(渡海元三郎君) 国勢調査の結果によって手直しをするのを例とすると、こう解釈いたします。
  〔委員長退席、理事永野鎮雄君着席〕
#66
○多田省吾君 それじゃ、国勢調査は五年ごとにきちんと行なわれてきましたけれども、自治省として、五年ごとに更正、手直しということを、自治省の事務として事前、事後に努力されてまいりましたか。
#67
○国務大臣(渡海元三郎君) 過去の例は私も承知いたしておりませんが、今回は手直しをしたいというところから諮問をし、定数是正のいま御審議を願っておる、こういうことでございます。
#68
○多田省吾君 ですから、昭和三十五年の国勢調査の結果をもとにして昭和三十九年の手直しになったのですけれども、じゃ、昭和四十年はそういう努力をされたのか、自治省として、事務として。昭和三十年のときはどうだったのか。昭和二十五年のときはどうだったのか。
#69
○国務大臣(渡海元三郎君) 当時のことは知りませんので、事務当局から、わかっておりましたらお答えいたします。
#70
○政府委員(山本悟君) 国勢調査がありますたびにさようなことが問題になりますことは、選挙事務をあずかる関係の者といたしましては、常に内部的には問題になっていたと思います。ただ、これが法案という形にまでなるかならないかということは、その他の一般的な情勢によってきまってくる問題だと思いますが、したがいまして、戦後では、それは三十九年しかなかったということは御指摘のとおりでございまして、ただ、問題点であるということはもちろん私どもとしては十分存じて、かつ、それを変えたならばどうなるかというようなことは、内部的な資料としては常にやってまいってきたと、かように存じます。
#71
○多田省吾君 私をして言わしめれば、何の努力もしてこなかったということなんです。これは時の、ずっと保守党の政府が続いて、結局、是正しないほうが保守党にとって都合がいいということの理由によって、自治省はこの五年ごとの事務努力というのを全然してこなかった。その証拠に、選挙制度調査会とか選挙制度審議会は戦後ずっと行なわれてきておりますけれども、諮問すら行なわれていないじゃないですか。
 それじゃ、先ほどの都道府県の数と件数と、それからかかわりのある選挙区、幾つですか、ちょっとお答えを願いたい。
#72
○政府委員(山本悟君) 先ほどの答弁、おくれまして申しわけありませんでした。
 ただいま調べましたところによりますと、八都府県で九区でございますか、関係いたしますのが。八都府県でございます。申し上げますと、茨城、千葉、東京、新潟、長野、愛知、大阪、広島の各県におきまして、御質問のございましたような、定員と人口との関係が逆転をいたしておるという例がございます。
#73
○多田省吾君 逆転の件数は御承知ですか。
#74
○政府委員(山本悟君) 件数は、愛知県におきまして、三区と五区が三人区でございますが、これが二区と四区の四人区よりそれぞれ多い、こういう例がございます。その他は、いま大急ぎで調べましたので正確でないかもしれませんが、大体一県で一区ずつの逆転。東京が二つの区で逆転をいたしておるようでございます。
#75
○多田省吾君 東京は三つでしょう。
#76
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、いま多田委員のおっしゃるような意味では、東京は三つ逆転関係があるということでございます。
#77
○多田省吾君 それも違っていますがね。広島県だって、一件じゃありませんでしょう。
#78
○政府委員(山本悟君) 広島は、さようでございます、広島一区が三人区で、これが二区の四人区、三区の五人区よりも多いというかっこうでございますから、いま御指摘のような関係で勘定いたしますと、二つでございます。
#79
○多田省吾君 ですから、おっしゃったように八都府県は、これはいいと思うんです。ただ件数は、おっしゃるように東京は三件ですね。それから愛知県は二つが二つですから、これは順列組み合わせでやりますと四件ということになるんです。それから広島県は二件です。合わせて八都府県で十四件。それから、かかわりあいのある選挙区は合計二十人選挙区と、私の計算ではそうなっているんです。大体それで間違いありませんか。
#80
○政府委員(山本悟君) ただいまの御指摘のような計算のしかたをいたしますと、間違いないと思います。
#81
○多田省吾君 そのように、同じ都道府県の中ですら、そういう逆転現象があらわれているわけです。それじゃ大臣、諸外国の定数基準は、大体どのようになっているか御存じですか。
#82
○国務大臣(渡海元三郎君) 私、詳細には存じ上げておりませんので、事務当局のほうから答弁をさせます。
#83
○政府委員(山本悟君) 諸外国と申しましてもいろいろあろうと存じますが、人口によっておりますところにおきましては、おおむね日本で言う国勢調査に相当するようなもののあとに、それぞれの委員会というようなものを通じまして、区を直すというような規定を設けておるところが相当数あるように存じております。
#84
○多田省吾君 時間もありませんから簡単に申しますと、西ドイツですね、西ドイツは連邦選挙法の中にはっきり「第三条選挙区の区分」、「(1)連邦大統領は常任選挙区委員会を任命する。委員会は連邦統計局長官、連邦行政裁判所の裁判官一人及びその他の五人の委員によつて成立する。」、「(2)委員会は、選挙地域における人口異動に注意し、連邦国会の成立の日以後最初の一年の経過中に、選挙区の区分の改定に関する提案を伴なう報告書を連邦政府に提出することを任務とする。連邦政府はその報告書を遅滞なく連邦国会に伝達し、連邦官報にこれを公示する。」、「(3)すべての選挙区は連絡ある全体を形成しなければならない。選挙区の区分に際しては、邦の境界は必らず、市及び郡の境界はできるだけこれを存置しなければならない。選挙区の平均人口からの偏差は上に向つても下に向つても33カ3分の1%より多くなつてはならない。」と、はっきりあります。
 ですから、西ドイツは比例代表を中心とした小選挙区・比例代表制ですが、しかも四百九十六の半分の二百四十八、これだけの選挙区がありますけれども、その選挙区においては、比率は一対二以下に厳密に守られておりますよ、一対二以下に。これは小選挙区制の区域だったら、一対二以下に押えるのは至難のことですよ。中選挙区制だったら一対一・五で押えられますけれども、小選挙区制の場合は、しかも市及び郡の境界は存置するというのですから、理論的に言ったら、一対二というのは最高に厳格ですよ、最高に厳格。それを西ドイツはきちんと守っておるわけですよ。
  〔理事永野鎮雄君退席、委員長着席〕
 イギリスだってそうです。全部は申しませんけれども、「選挙区委員会は、一選挙区の選挙人数と選挙人定数との間の、又は当該選挙人数と連合王国内の当該管轄区域内の隣接選挙区の選挙人数との間の、過度の不均衡を避けるため、望ましいと考えるときは前項の規定の厳格な適用をしないことができる。」、こうして、いわゆる連合王国内の数がきめられておっても、それをはずしても、もう過度の不均衡を避けるためには変えてもよろしいと、そういうことで、理論的ないわゆる選挙人定数と、それから実際の選挙人数というものを、この規定においてはっきりときめてありますよ。なるべく厳格にすべきだということをうたってあります。
 それからカナダでも、これはカナダの憲法ですが、憲法の中にはっきり定数の問題をきめてあります。五十一条に「庶民院の議員の数は」――これは衆議院のことですね、下院のことです、「二百五十五人とし、庶民院における各州の代表数は、この条の施行後直ちに、かつ、その後においては、十年ごとに行なわれる人口調査が完了するたびごとに、次に掲げる諸原則に基いて調整されなければならない。」と。こうして「それぞれの州には、すべての州の人口の総計を二百五十四で除し、除して得た数で、さらにその州の人口を除し、しかも、この割算の結果、もし、端数が生じたならば、次に定める場合を除き、これを切り捨てることによって計算した議員の数が割り当てられる。」。きちんと憲法に書かれております。そして選挙区においてもそうですよ、これは憲法で定めておる。これはやっぱり定数というものは民主主義の基本だからです。基本的人権の根本だからです。
 それからオーストラリアの憲法だってそうです。憲法です。これは下院という項目に、「各州において選挙される下院議員の定数は、それぞれの人口数に比例するものとし、議会が別段の定めをするまでは、いかなる場合においても次に掲げる方法によって決定する。」、こうして「下院議員一人に対する割当人口は、最近の連邦統計表に掲げる連邦の人口を上院議員の定数の二倍で除することにより決定する。」、「各州において選挙される下院議員の定数は、最近の連邦統計表に掲げるそれぞれの州の人口数を下院議員一人に対する割当人口数で除することにより決定する。この場合において、当該割当人口数の半数以上の剰余があるときは、更に一人を選挙する。」という厳密な人口比例。そのほか、ヨーロッパの比例代表の各国を調べても、大体憲法やあるいは公職選挙法において、このような厳密な人口比例あるいは選挙人の比例によってきめられております。
 それを、わが国だけが一対五近くなっても放置しておいていいというのは、そういうことは私は憲法違反でありますし、憲法を空洞化しておりますし、国民の基本的人権を全然守っていない、民主主義に根本的に反していると、このように私は言わざるを得ない。残念ながら、いまのわが国の憲法及び公職選挙法にはないわけです。県会議員の定数だって、いま公職選挙法に定めてあるように、毎回各県議会において、人口が移動すれば全部移動しておりますよ。減員もありますよ。ですから私は今後、審議会において審議されておりますけれども、自治大臣として、こういう衆議院の定数を、法律的制度的にどのように組み入れられるつもりか、そういうお考えはないのか、それをひとつお答え願いたい。
#85
○国務大臣(渡海元三郎君) 私も県会に議席を持ったことがございますので、県会においては法律に定められたとおりの、相当困難があっても、定数是正を行なっておるということはよく承知いたしております。いま言われました、定数はできるだけアンバランスのないように厳格に施行すべきであるということの多田委員の御主張、私もごもっともであろうと思います。そのために抜本的な御審議を願っておるのでございまして、実情が、あまりにも急激な人口の都市集中がございましたので、現行制度のままでは非常に定数是正にも制約があるというふうな現状でもございますので、審議会に、抜本的なものとして、あわせて定数是正をお願いしておりますゆえんもそこにございまして、その日本の現状、国情によりまして異なると思いますが、御趣旨の点を入れて、おそらく審議会も定数の問題についてもお考え願えるものと、かように考えておるような次第でございます。
#86
○多田省吾君 いままでは審議会の、はっきり言ってそういう議論は私は特別委員として言いましたけれども、一般にはほとんど言った人もいませんよ。だから第五次選挙制度審議会のときも、都道府県一対二とか、四百八十六に神奈川県だけ二名加えてなんて、都道府県の定員というものをつくったことがありますよ、第五次選挙制度審議会で。第四次にもつくりましたけれども、そのときにですら、そういう数は出しましたけれども、この定数を、諸外国のように法律的制度的に、改めるときにはこうするんだという議論は、全然起こっておりませんよ。
 じゃあ、自治大臣はそういう必要を感ずるなら、いまの第七次選挙制度審議会に、いまからでもおそくない、第一委員会の委員長なり、また第七次選挙制度審議会長なりにはっきり、定数は重要だから、ただこうだと数をぱっぱっと並べるだけじゃなくて、今後も国勢調査のたびごとにとか、法律的制度的にこうすべきであるというような、そういう法律的制度的な問題もあわせて審議してもらいたいということを、はっきり自治大臣としておっしゃるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
#87
○国務大臣(渡海元三郎君) 根本的な改正を、定数是正もあわせてお考えになっていただいておりますので、特に多田委員の、そういうふうな点御指摘をしていただいたということでございますから、私はその点も十分考慮に入れて御審議を願っておるものと、このように考えております。
#88
○多田省吾君 私は、審議会に、はっきり自治大臣のお考えをおっしゃるべきだと思うんです。
 それから定数の場合、区画区域確定の基準というものは、いまありますか、ありませんか。
#89
○政府委員(山本悟君) 法律の明文の規定にはございませんが、それぞれ区画を決定する際、たとえば定数是正が三十九年に行なわれました際に、分区をするというような問題が起こりました場合には、市町村行政区域はなるべく同一ににするとか、いろいろな意味での原則は立てて区画の確定が行なわれていると、かように存じております。
#90
○多田省吾君 はっきりした基準はないということですね。ただ慣例によってそういうことをやってきたというだけですね。西ドイツだって、たとえば邦とか市とか郡なんかを分けちゃ困るという、区画区域確定の基準をきめているわけですね。それだって私は制度的法律的につくるべきだと思いますね。
 それから、このように二十五年間、ほとんど法律的制度的な問題はなおざりにされてきたわけです、一番重要な衆議院選挙の定数においてですね。もう、やるべきことは政治的にやることしか残っていない。それすら、先ほどからの御答弁によって、あまり私は積極的とは思われないと思うんですね。それでまた次の選挙で、もし、私は九九%そうだと思いますけれども、次の選挙は、もうまかり間違うと、まかり間違うとどころか九九%、いまの定数のままでいったらほんとにひどい結果が出ると思うんです、前回よりももっとひどい結果が。三万数千票で当選して、十五、六万票でも落選するというケースが私は現実に起こり得ると思うんですよね。それでまた政治不信が高まる。もう目に見えてますよ。そういう混乱を除くために、私はここで自治大臣の政治的配慮と言いますか、これは決断すべきときだと思うんですがね。もう少し前向きにやるおつもりはないですか。それで、その責任はどうなさるおつもりですか。
#91
○国務大臣(渡海元三郎君) 私は、もし次の総選挙がこのままで行なわれるようなことがございましたら、何と申しますか、前回以上のアンバランスが生ずる。そのためには、ぜひとも定数是正をして、そのようなことのないように処置すべきであるということは、前々から述べておるとおりでございまして、私も多田委員の御指摘のとおりのことを痛感いたしておりますので、万全を期して、次の総選挙が、定数是正が行なわれたもとに行なわれるように処置すべきであると、かように考えておる次第であります。
#92
○多田省吾君 では、自治大臣にちょっとお尋ねしたいんですけれども、いま、選挙区間のアンバランスというものが一対四・八四にも達している。いまの第七次選挙制度審議会では、定数の問題も一応審議はしておりますけれども、いまのところ腰だめで、五百二十名前後がよかろうとか、いろいろ言ってますけれども、選挙区――選挙区と言ったって、いま調整案というものが四つ出ているわけです。単純小選挙区制案、小選挙区・比例代表制の併用案、小選挙区・比例代表制の併立案、それから都道府県単位の大選挙区比例代表制案、その四つが出ておりますけれども、おのおのの場合に、大臣どうですか、新しい選挙区制ができたときに、一対四・八四というのが、初めからそういうアンバランスが生じていたのじゃ論外だと思うんですけれども、大体新しい選挙区間のアンバランスは、どの程度まで許さるべきだとお考えですか。たとえば一対三以下にあるべきが望ましいとか、一対二以下であるべきだとか、こういうお考えは大臣としてお持ちだろうと思うんです、国民の基本問題ですからね、担当大臣として当然だと思うんですが、どうですか。
#93
○国務大臣(渡海元三郎君) できるだけ、アンバランスが生じないように考慮さるべきが当然であろうと思います。ただし、区制のいかんによって、あるいは地理的の条件等を加味した場合にどこまでが限界であるというふうなことは考えておりませんが、当然、私はできるだけアンバランスのないような区制のあり方に考慮されるべきものであろうと、かように考えております。
#94
○多田省吾君 たとえば、この第七次選挙制度審議会の答申が、最初から選挙区間のアンバランスが一対四くらいであったとすれば、それは、そんなにあっていいと思いますか。大臣、一対四くらいであったとしたら、どうですか。
#95
○国務大臣(渡海元三郎君) 何がゆえにそのようなアンバランスが生じたかということが、当然答申の中に、もしそういうような場合があったとすれば、あると思います。その理由が当然のことであれば認めますけれども、見ぬことには、そのようにお答えすることはいまのところ困難でございますが、おそらくそういったものは私は出されるようなことはなかろうと、かように考えます。
#96
○多田省吾君 だから私は自治大臣の認識不足だと言うんですよ。何にも自治大臣わかっちゃおられないじゃありませんか。
 私たちは、もちろん自民党の意図する、小選挙区制を柱にするような、単純小選挙区制とかあるいは小選挙区・比例代表制の併立案には絶対反対しておりますよ。だけれども、いまの調整委員会の案というものは、小選挙区。比例代表制の併立案というものが、別紙で出ているじゃありませんか。そうして比率も七対三とか六対四とか五対五とか、いろいろ論ぜられておりますよ。ところが、いままでの御答弁ですと、私は、そういう認識では、一対四くらいのアンバランスが最初から出てくると断言しますよ、そういう案が出た場合は。そんなことは起こり得ないような大臣のあれでしたけれども、そうは私は思わない。
 一般委員の間には、都道府県間のアンバランスを一対二くらいは許すという、そういう委員が大多数なんですよ。一対二くらいのアンバランスはやむを得ない、なぜならば減員できないからだと。それで、もし、小選挙区・比例代表制になったらどうしますか。都道府県内においても、あれですよ、西ドイツの例にもあるように、一対二のアンバランスは理論的に出てくるんですよ、市や郡を分けられないとすれば。めちゃくちゃに分けていいと言うなら別ですけれども、西ドイツのように、分けないとすれば、都道府県の内部で一対二のアンバランスが出てくるんですよ。そうすれば、どうですか、鳥取県は小選挙区制の部分が十二、三万とか、それから片方、東京あたりは五十万とか、すぐ初めから一対四くらいのアンバランスが出てくるんですよ。だから私は、都道府県間のアンバランスは一対一くらいまで厳密に是正すべきだ、そうしなければ選挙区間においてはとんでもないと、こういう発言をしたのですが、これはいれられなかった。残念だと思います。
 ところが、いま自治大臣は、一対四くらいのアンバランスは出てこないだろうというような安易なお考えですけれども、仮定ですが、もし小選挙区・比例代表制のようなものが、これは第四次でも第五次でも、絶対多数じゃなかったわけですけれども、一番多かったのです。今度の調整案でも、一応別紙に書かれておるように、多いのじゃないか。小選挙区・比例代表制併用、われわれはもちろん反対ですけれども、もしそういうものが出てきた場合、どうなんですか、一対四のアンバランスが最初からあるじゃありませんか。それで、制度的また法律的にぴしっと定めなかったら、また五年たち十年たてば、一対六、一対七くらいのアンバランスが出てくると思うのですよ。だから私は認識が浅いと言うのですよ。自治大臣、どうですか。私は理論的に言っているのだ。
#97
○国務大臣(渡海元三郎君) 私は、小選挙区に分けられた場合、はたして一対四で出てくるかどうかということを厳密に当てはめたことございませんから、いまの多田委員の、認識不足だと言うておしかりを受けたのにも、私は、できるだけそういうふうなアンバランスがないように御審議願える、かように考えますし、もしそのような姿にならないのであったならば、それを認めたようなそれだけの理由が答申されるべきものであろう。その理由をながめた上での、私なりの評価をさせていただくべきものである、かように申し上げたのでございまして、私は直ちに初めから、いまありますような兵庫五区と大阪三区というような大きな開きのものが、小選挙区をつくったならば出てくるというお話でございましたが、私はあり得ない。そのために、府県別の人口に応じての定数等もいま御検討を賜わっておる、このようなふうに解釈をいたしております。
#98
○多田省吾君 私は架空の問題で言っているのじゃない。はっきりと自治省から出た、たとえば特別区だとか市の人口だとか、それから五対五にした場合、六対四にした場合、七対三にした場合はどうか、全部、厳密な計算の上に立って言っている。
 たとえば五対五にした場合は、都道府県の間の平均の人口は四十二万でありますから、神奈川、埼玉、大阪とか東京とか、五十六万平均になるわけです。都道府県間の比率が、いま審議会で論じられているように一対二にしたら、鳥取は二十八万なんですよ。そうすると、東京都あたりは五十六万平均ですから、上のほうは七十五万、下のほうが三十七万。理論的にそうなるのですよ。ところが、七十五万とか三十七万とかに接近した人口の区が、現実にあるのですよ。七十五万が最高でしょう。世田谷は七十八万、大田区は七十三万じゃありませんか。三十七万というところは中野区、江東区。豊島区が三十五万とか。分けたりくっつけたりしても、どうしようもありませんよ。だから、そうすると、東京都においても、区の行政単位を尊重すれば、東京都内において一対二のアンバランスがあれば、東京と鳥取が一対二のアンバランスがあれば、全国的には一対四になるじゃありませんか。
 それから七対三の場合だって私は計算しています。平均は、小選挙区は人口三十万でしょう。東京なんかは四十万なんですよ。それから鳥取は二十万ですよ。鳥取だけじゃありません、その他の四人区、五人区の県がだいぶありますよ。そうすれば四十万のところは、上のほうが五十三万、下のほうが二十三万。東京は、杉並が五十三万、練馬は五十二万。分けたらいいのか、分けないほうがいいのか、そういうところまで出てきますよ。それから二十六万、二十七万という区もありますよ。そういう厳密な計算の上で、選挙区間のアンバランスというのは、小選挙区制にした場合はこうなっちゃうと。だから都道府県間のアンバランスは、できるだけ押えなきゃいけないということを主張しているわけです。そういう私は厳密な計算の上で、そうしていま選挙部長が、市とか特別区とか、そういう行政単位はなるべく分けたくないということをおっしゃったから言っているのですよ。架空のそんな議論をしておりません、私。
#99
○国務大臣(渡海元三郎君) いま原則論を選挙部長が述べたのでございまして、そのような開きのある場合、もし単純小選挙区一名ばかりのやつをとらえる場合に、しかもその原則を守ったなれば、いま多田委員言われたようなアンバランスが多いかもわかりません。それは、原則論として分けないほうが好ましいという意味で言ったのでありまして、そういうような場合は、あるいは単純小選挙区制に、一名区ばかりのやつにする場合においてはここにおいても分けるとか、あるいはそういうふうな場合は、分けることによっての弊害等も考慮して特別の区をつくるとか、いろいろな考慮等も考えあわせの上、根本的な検討を加えて、定数是正とあわせての御答申を得られるものと、私はさように期待いたしております。
#100
○多田省吾君 いま自治大臣は、単純小選挙区制なんておっしゃいましたが、単純小選挙区制なんというのは、いま審議会でも論ぜられていませんよ、ほとんど。単純小選挙区制だったら二十万平均ですよ。いま言っているのは、小選挙区・比例代表制で五対五にするか、六対四にするか、七対三にするかということを論じているのです。そうして、小選挙区・比例代表制で小選挙区制の部分で二名なんて、そんなこと考えられますか。
#101
○国務大臣(渡海元三郎君) 単純小選挙区制と申しましたのは誤りでございまして、すべてを一名に厳格にするという意味の表現が誤ったのでございまして、あとから私、一名の分でしかも区を順守すると言いましたのは、多田委員の御指摘のようなものが出てくるということの答えでございます。それを単純小選挙区制と言ったので、これは訂正させていただきます。
#102
○多田省吾君 小選挙区・比例代表制をとっているのは、西ドイツと韓国ですよ。小選挙区・比例代表制はきまっている。いま審議会で論じられているのも、小選挙区制二名なんということはほとんど一人も論じていませんし、これはもうきまり切った議論なんです。
 だから、小選挙区制部分二名なんて考えられない以上、いま論じられているのは、五対五にするとか、六対四とか七対三にするとか、こういう小選挙区制・比例代表制の比率を問題にしているのだからね、私はそういう危険性が十分にあるということを申し上げているのです。大臣は、一対四という、そのようなことが出たら、これは何か理由があるだろうとおっしゃいましたけれども、そういう可能性はいま十分にあるのですから、だから私は、それも不安の一つなんですよ。だから、ほんとうに定数に関しては民主主義のバランスを、憲法の基本的な人権の根本問題に関して大臣も認識不足だし、審議会の委員の人たちも認識不足だし、これはほんとうに、もう日本の民主主義はぶっこわれていると言っても過言じゃないと思うのです。こんな例は諸外国にありませんよ。
 じゃあ、もう一点だけお尋ねしますけれども、たとえば小選挙区・比例代表制併用というのは、別紙で多数上がっています。私は反対ですよ、しかし、もしそういうものが答申された場合に、定数という問題は、第三者の区域確定委員会みたいなものをつくるのですか。それとも審議会が答申されるのですか。それとも、この前のハトマンダ――のように、政府が勝手にやるのですか、どうなんですか。どういうお考えですか。
#103
○国務大臣(渡海元三郎君) それらもあわせて御審議いただけるものであると、かように考えております。もし、それらをあわせて答申が得られないような場合は、そのときに善処をさせていただく、こうお答えしたいと思います。
#104
○多田省吾君 まあ、その問題もいま私は非常に不安です。
 次に、時間もたちましたので、最後に一点だけ、一つの問題だけ質問しますけれども、先ほど松本委員が質問されたこと、これは問題だと思うのです。先ほどお話があったように、これは私も会議録を持っていますけれども、衆議院の予算委員会の第三分科会で、ことしの三月二十四日に自民党議員の方が質問されたのですね、三十万以上の市においては、特別市と同じように分けたらいいじゃないかという。それで自治大臣は、ごもっともだ、検討するなんておっしゃったものだから、もう選挙区においていろいろ何だか検討もされているようですけれども、私は、こんな問題は検討すべき問題じゃないと思うのです。
 ほんとうに私は、こういう問題はひどいと思う。先ほども松本委員もおっしゃったように、ほんとうに前進的な立場のいわゆる見識ある人が、これじゃ立てなくなりますよ、こういうことだったら。そしてこれはもう一つは、衆議院の小選挙区制を促進するような立場ですよ。これはもう逆行もはなはだしいと思う。
 確かに公職選挙法の十五条五項によって、これは法律では禁止されていませんよ。だからいままでも、自治大臣おっしゃったように少しはありましたよね。そういう、特別市でないのに市会選挙が小選挙区で行なわれているなんというところが、確かにいままでもありましたよ。だけれども、そういうところは、市民団体やほんとうに心ある市民がみんな猛反対しまして、署名まで集めて、それでだんだんだんだん、市議会でもごもっともだということで、大選挙区制にいま切り変わっているのですよ。それをまた逆行させようなんというのは、私がいま申しましたように、一つは衆議院の小選挙区制を推進しようという動きであり、もう一つは、これははっきり申せば、第一党である保守系に都合がいいからそういうふうにしようということですよ。こういう動きは、私はもう大反対です。
 そういうことは、衆議院の定数なんかいままで何にも手をつけなかったくせに、こういうことになると、検討しています、作業進めていますなんて、とんでもないことです。自治省選挙局が第一党の走狗であってはならないと私は思うのです。もうほんとうにこの前の会議録あるいは新聞記事を見ましても、がく然といたしましたですよ。その他、具体的にいろいろお尋ねしたいことがたくさんありますけれども、どうなんですか、自治大臣、こんなことを推進しようとしておられるのですか。そうして、ほんとうに四年ごとの統一選挙のたびごとに、こういった問題で実態調査してきたのですか。その実態調査もしないで、このことだけ取り上げてやるなんて、とんでもないことです。どうですか。
#105
○国務大臣(渡海元三郎君) 私は、検討に値する御意見であるとお答えいたしました。私はそのことばによりまして検討を加えておるということで、いまの多田委員の御意見は、御意見として承っておきます。
#106
○多田省吾君 ついでに申し上げますけれども、いままで時代錯誤的な、市会議員選挙で小選挙区制でやっていたところがありますよ。全く私はひどいと思います。千葉県の旭市は昨年の一月三十日、小選挙区制で選挙を行なったのです。定員三十名、六選挙区です。十一とか五とか、四、四、二なんていうのもありますよ。市会議員選挙で、二なんていう小選挙区制でやっているんですよ。ですから、もう社会党さんが一人、やっとのこと十一の選挙区で当選しただけで、残り二十九名はほとんど保守系です。だから、民意が全然反映されていませんね、これじゃ。山梨県の都留市、ここでは四十二年の四月の統一選挙のときに小選挙区制でやったのです。定数は、十五なんていうのも一つありますが、あとは三と五と二と五ですよ。ここもほとんど保守系独占です。
 それから、いま成田空港で騒がれている千葉県成田市だって、三十年と三十八年の統一選挙は小選挙区ですよ。三十四年、四十二年、四十六年のときは全市一区の大選挙区制でやったわけですが、三十八年のときは、もう革新系が二人出ただけです。ところが四十六年の選挙では、革新系が五人ですよ。このように、民意が全然反映していないということでしょう。二ないし三の市会議員の選挙区なんていうのは、およそ中選挙区制にもならないんじゃないですか。だからそういうところは、なるほどということで改めているわけですね。そのほか、いろいろあります。もし成田のあの空港問題でいま騒がれているところが、こんなことをもし続けられているとしたら、どうなりますかね。大問題ですよ、これは。昭和四十二年、四十六年は大選挙区制になりましたけれども。だから小選挙区制は、はっきり言ってゲリマンダーですよ。十五と五と三と二と五なんていう、そんな割り方がどこにありますか。そういうふうに、この間も八日市場だって大選挙区制になった。どんどん切りかわっているわけですね。茨城県だってそうだったし、山梨県だって、去年、ことしあたり小選区制を改めて、どんどん大選挙区制にしているわけです。
 いま、市民意識とか全市民意識とかいわれている市民運動が盛んなときに、ほんとうに全市的な考えを持っている人に立ってもらいたい。中には団地の方だって、ほんとうにその中から立っている人だっているじゃありませんか。そういうときに、小選挙区制にしようという動きは、私は絶対に是認できませんよ。それで四年ごとの、統一地方選挙ごとの市会議員選挙の実態調査なんか、さっぱり行なわれていないくせに、こういう問題だけ検討するなんていうのは、私はこれは全然党利党略だと思いますし、逆コースだと思う。これは自治大臣に、また自治省に、こういったことは進めないように強く要求したいのです。どうですか、大臣。
#107
○国務大臣(渡海元三郎君) いま例をあげられましたのは、おそらく町村合併等が行なわれまして、そのような特別な事情から、その当時の一回限りの選挙として、そういうふうな実態の選挙が行なわれたような例があげられたのじゃないかと思います。
 私、あのときお聞きしました限りにおきましては、いま例にあげられたような小さな人口のところを、なおそれを割るというような意味でない御質問であったと了承をいたしております。いまの御指摘に対しましては、御意見としてはよく承っておきます。
#108
○多田省吾君 私は、そういうことを言っているんじゃありませんよ。町村合併で、やむを得ず最初の一回だけ、そういう小選挙区制で行なわれた例なんか、私は幾つも知っていますよ。この前も、千葉県の興津とか何とかあったじゃありませんか。だけれども、そういうところは、ただ一回だけですよ。そうじゃないんですよ、八日市場なんか、終戦後ずっと小選挙区制で続いてきたじゃありませんか。そういうところがかなりあったんですよ、去年あたりまでは。それがどんどん大選挙区制に切りかわってきたんです、市民の強い熱望によって。だから私はそんな、町村合併によって一回だけ、旧市、旧町、旧村によって行なわれたからそういう小選挙区制になったなんという、特殊な例を言っておるんじゃないですよ。そうじゃなくて、何回も何回も、終戦後から小選挙区制で行なわれた市会選挙がたくさんあるということを申し上げておる。ところが、そういう市議選も、市民の強い要望によって、最近は大選挙区制にぐんぐん変わりつつあるということを言っておる。そういう意味で言っておるのです。だから、私は、自治大臣は担当大臣でしょうけれども、ちょっと認識不足だと思うのですけれどもね。
 大臣は、そういう定員二十名とか三十名とかという小さな市が小選挙区制であるということは、やはり望ましくないでしょう。どうですか。
#109
○国務大臣(渡海元三郎君) 私がこの前、衆議院の分科会で検討しますとお答えしたときには、いま多田委員の御指摘のように、二十名とか三十名とか、そういった少ない定員のところでそういうふうなことが行なわれるということは、むしろ、いま言いましたように、必要もなければ、また、全市的に考えていただいて十分けっこうなことである、こう考えております。
#110
○多田省吾君 ですから、そういうふうに移り変わりつつある。全市的な見識の立場に立った人が望ましいということで、大選挙区制にぐんぐん変わっているのですね。定数四十のところも五十のところもですよ。そのやさきに、三十万以上の市において小選挙区制を実施することを検討するという、そういう考え方は、私は逆コースであろう、このように先ほどから申し上げている。そういうことに私たちは絶対反対です。そのことだけ申し上げておきます。
#111
○岩間正男君 まず最初に関連ですが、いまの問題ですね、これは、松本さんや多田さんからもいろいろ強い意見が出された。これは検討に値しないと思います。傾聴に値するので検討するというのは、これはとんでもない時代錯誤の考え方です。したがって、私は取り消したらどうかと思いますが、大臣、取り消しませんか。検討するなんというのはやめなさい。はっきりしてください。
#112
○国務大臣(渡海元三郎君) 取り消しはお許し賜わりたいのでございますが、御意見は十分……。
#113
○岩間正男君 あなたが就任されたとき、私ははっきり前提条件として申し上げておる。この委員会というのは、ただ話し合うだけじゃないんだ、これをあなた行動するのかどうか、これを実践するのかどうかと、こう言った。ところが、きょうの論議の中で、多数が、全部の党がこれに対して反対の意見を表明している。実践するんだとあなたは答弁されました。単なる、ここで空理空論をやるんじゃない。私は忘れない。あなたが就任されたとき、私はそのとき一番最初にそれを聞いている。そうすれば、当然いまのような、取り消しませんなどということじゃ、まずいんじゃないですか。これはあと十日だか二十日だか知りませんが、最後にひとつどうですか、せめて、それは取り消しますと言ったほうがいいと思うが、どうですか。
#114
○国務大臣(渡海元三郎君) 取り消しは、お許し賜わりたいと思います。
#115
○岩間正男君 おかしいですね。ほんとうに道理の通ることだったら、いさぎよく取り消されるのが、これは渡海自治大臣の聡明な態度だと思うが。
 次にもう一つお聞きしますけれども、選挙制度、これも非常に初歩的な質問になるわけだが、やはり原則論だから確認しておかなければなりませんが、選挙制度の改正には、これは野党も与党もない、そうして、あくまで民主主義を守るという大原則に立って、党利党略を排除して対処しなければならない問題だと、こういうふうに考えますけれども、この点いかがでしょう。
#116
○国務大臣(渡海元三郎君) 選挙制度というものは民主主義の根本になるルールでございますので、いま御意見のあった、与野党を越えましての合意によりましてつくられるべきものである、かように考えます。そのために選挙制度審議会を設けまして、その答申を尊重して、政府といたしましても案を出させていただく、こういうふうな方法をとったのもそのためであろうと考えております。
#117
○岩間正男君 党利党略に立たない、あくまで民主主義を守る大原則の上に立つのだ、こういうことを言われたのですね。もっともきょうの論議は、これはへたすると六日のアヤメ十日の菊になりそうな感じがするんだが、そうさせちゃいけない。だから、その点まず確認して、それから進めたい。
 それで、いままでの論議を聞いておりますと、第一、事務当局の調査が非常に不十分ですね。これは何かこういう調査をやってはいかんと、そういうようなものがあるんじゃないですか。党利党略でやらないと言っているけれども、たとえば、ここでいろいろ出されているわけだ。それに対しても答弁が適切でない。ということは、常に関心がそこにない。したがって、そういう立場からの調査を、あらゆる調査をやっていないということを意味している。結局調査というのは、時の権力のやはり要求するものに従って調査がなされているか知れないが、しかし、ほんとうに問題の真実を解明する、そういう立場からのいろいろな要求がこうして出されている。そういうものを取り上げて、そして、ほんとうに事務局としての専門的な立場から展開するという方向、そういう立場をとらなければならぬと思う。ところが非常に調査不十分。したがって、それが大臣の答弁に影響している、出ている。つまり認識が非常に不十分なわけです。その上に立ってあなたが判断しているのですから、これは政治判断というのは狂ってくるわけです。そういうことを、私はいまここで、いままでの前質問者、同僚の痛切な質問を聞いておりまして、そういうことを痛感した。
 これは非常に今後の運営にとって重要な問題ですけれども、どうなんですか、事務局はやはり専門的な立場に立って、あらゆる問題を掘り下げて検討すべきものだ。そうして、そういうものは常に十分に用意しておくべきものだ。必要に応じては、これは当然国民にも、国会にも、ましてや自治大臣にはしょっちゅう、そういう点についてはこれを助けるような、そういう資料を提供しておくべきものだと思うのですが、この点、はなはだ不十分です。つまり、当然持っている事務局の機能というものが果たされていないという現実を、私は見たのです。この点いかがですか。
#118
○国務大臣(渡海元三郎君) ただいまの答弁、調査その他において、不十分な点があったことは申しわけないと思っておりますが、何と申しますか、いま言われましたように、一方的な考えのもとにのみ調査をやっておる、そういうふうなことはあってはならないし、また、私そういうふうなことを命じた覚えもございませんし、事務当局も、そのような調査の方法で調査研究をしておるというふうなことはないと信じております。
#119
○岩間正男君 そうすると、そのような権力の所在によっての制限とか圧迫とか、そういうものはない、やらぬぞと、そういうことを原則とする、と。したがって、当然ここの論議されました委員会での問題点、こういうものは、速記録を読み直して、そうして厳重にその観点から私は調査を展開しておくべきものだと思うのですが、これ、やられていますか。どうですか。速記録、一体読んでいますか。これは事務局に聞いたほうがいいかもしれない。速記録、読んでいますか。事務局、どうです。
#120
○政府委員(山本悟君) できる限り勉強しないといかぬことは、もうおっしゃるとおりでございますが、速記録も、必要の分につきましては読んでいるつもりでございます。なお足らない点があるかと思います。
#121
○岩間正男君 そんなことを言っているけれども、あなたたち非常に不十分ですよ。わかっている。制限されているんだ。こんなことを調査しちゃぐあいが悪いということがある。そういう制限は撤廃すべきだと思う。そうでないと、ほんとうにこれは民主的な論議を進めるわけにはいかない。
 大体、審議会審議会と言っているが、国会のこの特別委員会と審議会と、どっちが重要なんですか。これははっきり聞いておこう。どっちが重要なんですか、原則論として。
#122
○国務大臣(渡海元三郎君) どちらが重要かということについては、直ちにお答えいたしかねますが、特別委員会は特別委員会としての任務、審議会は審議会としての、法に基づくところの任務がございますので、私たちは両方とも十分尊重をして政府は事に処すべきであると、このように考えています。
#123
○岩間正男君 そんな答弁では、あなた認識不足ですよ。国家の最高機関としての機能というのは、どうなんですか、明確ですよ。本末転倒しているんだ。だめじゃないですか。御答弁、どうでしょう。何を言っているか。
#124
○国務大臣(渡海元三郎君) 選挙制度審議会は、国家の最高機関である国会においてつくられた法律に基づきましての審議会でございまして、その法の示すところによりまして、われわれ政府といたしましては尊重して行動をせなければならない、かように考えています。特別委員会を尊重せなければならないこと、当然のことでございまして……。
#125
○岩間正男君 国会、どうですか。国会のことを言っている。国会のルールで、最高機関の、これは直接の委員会ですよ。これは尊重いたすべきだ。ところが、そうなっていないでしょう。本末転倒になっているのが現状じゃないですか。だから事務局の態勢なんかも、まさにそういうふうになっている。いま言ったように、できるだけ速記録読みますというのはどういうことですか。当然読んでいて、問題点については十分に対処しておきなさいよ。さっきからの答弁を聞くというと、全然関心がない。この関心のなさというのは、当然主管大臣のあなたの答弁の中にはっきりあらわれている。こういう現実を私は読み取ったわけです。いまの二時間の間、ただ居眠りしておったわけではない、勉強しておったわけです。どうです。だから、この委員会のあり方そのものについての機能を、われわれ自身の努力によってこれは明らかにしなければならぬと思って、こういう討論をしているわけですね。この点を明確にしておかれるべきだと思いますが、もう一回お聞きをしておきます。
#126
○国務大臣(渡海元三郎君) 特別委員会、これは私たち十分尊重し、私たちの意見をきめていただくのもここでございます。当然、私は国会の委員会を十分尊重させていただいて、政府として委員会の御要望にこたえなければならぬ。至らぬ点もございまして、御叱責を受けたわけでございますが、今後十分注意をし、そのようなことのないように努力させていただきたいと存じます。
#127
○岩間正男君 これは選挙部長にお聞きしておきますが、いまのような大臣の御答弁ですが、あなたたち、いろいろな角度から十分な今後調査をすべきだと思いますが、いかがですか。
#128
○政府委員(山本悟君) ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、私たちといたしましては、御指摘のとおりの態度で今後やってまいる所存でございます。なお、いままで至りませんでした点は、おわび申し上げます。
#129
○岩間正男君 たとえばこの権力の所在、つまり与党がぐあいが悪いと思うような調査もすべきだと思いますが、いかがですか。
#130
○政府委員(山本悟君) 調査は、特に客観的な事実の調査が主でございます。どういうものが必要であるかということによりまして、必要なものは調査していきたいと思っております。
#131
○岩間正男君 私がこういう質問をしているのは、つまり、いままでのあなたたちの運営のしかたに問題があるから言っておるのです、いままでの論議というものを役立てて、ほんとうにあなたたちの事務局としての、不偏不党の立場から任務を果たすために。遠慮しておるのですか。今後それを受けとめて、そうやりなさいよ。これはもうはっきりしております。
 そこで具体的な質問に入ります。だいぶん前質問者との重複も出てきましょうけれども、できるだけそれは省いてやりますから、てきぱきとひとつお答えをいただきたいと思います。
 ちょっと復習のようになってはなはだ恐縮ですが、私自身もこうは言っておりますが、別に専門家でもありませんので、非常に不十分な点があると思いますが、これは十分にてきぱきと御答弁願いたいと思います。現行の選挙制度、すなわち中選挙区制の定数配分ですね、これは何年にできたもので、また昭和何年の人口をもとにしてつくったものなのか、このときの議員一人当たりの平均はどうなっておるか。これは復習になって恐縮ですが、もう一度確認のためにお伺いしたい。
#132
○政府委員(山本悟君) 現在の公選法の基礎になっております定数は、昭和二十一年四月二十六日現在の人口によるものでございまして、二十二年にできているわけでございます。その際の全国平均の定数一人当たりの人口は、十五万六千九百一人でございます。
#133
○岩間正男君 そのときの県別、区別の人口の、最低と最高はどうなっておりますか。
#134
○政府委員(山本悟君) 定数一人当たりの都道府県単位で申しますと、最高は福井県の十七万三千九百二十六人、最低は、先ほどの答弁で香川県と申し上げましたが、精査いたしましたら鳥取県の十三万九千三百五十七人。それから区単位では、最高は鹿児島二区の十九万二千三十七人、最低は愛媛一区の十二万七千五百九十一人でございます。
#135
○岩間正男君 さっきの多田さんの指摘でもはっきりしたのですが、そうしますと、県別によりますというと一・一九六、約一・二倍、これは区別によりますと一・五〇五、こういうことになるわけですね。
 そこでこれと対比して、現在の数をお聞きしますが、県別、区別の最高と最低、これもついでにお示しをいただきたい。
#136
○政府委員(山本悟君) 区別の最高は、現在では大阪三区が最高でございまして、一人当たり五十四万五千百三十六人、最低が兵庫五区の十一万二千七百一人、それから県単位で申し上げますと、最高は神奈川県で三十九万八百七十四人、最低は鳥取県の十四万二千百九十四人でございます。
#137
○岩間正男君 しかもその中で、一つの県内で最もアンバランスのひどいのは、千葉県の例をおあげになりましたね。それで大臣にお聞きしますが、千葉県の例、これは県民感情というのは、何せ遠いところは、県が違っておるでしょう、大阪と兵庫ということになれば考えようもある、ところが、同じ県でこういう事態が起こったら、これはどうお考えになりますか。どうですか、こういうことを考えて、この点からこの定数是正の問題を考えられたことがありますか。
#138
○国務大臣(渡海元三郎君) いま御指摘のとおり、県内においてそのような逆転現象がございましたら、選挙区の県民感情から考えますと、当然是正すべきものであると、このように考えます。
 先ほど多田委員からの御指摘によりまして、十数件そういったところがあるということでございましたが、ただ、いま御審議賜わっております選挙制度審議会におきましても、千葉県の場合は、県といたしましては、必ずしも一人当たりの総人口というものが他府県と比べて非常に多くなっておるという姿でございませんので、その千葉県を、単に千葉の一区だけを現行制度においてふやすことがいいのか、あるいはそのためには何らかの方法によりまして是正すべきであるか、いろいろ検討すべき課題であると常々考えておるようなところでございます。
#139
○岩間正男君 とにかくいまのような、そこに立ってやはり考えてみる必要があるんですね。これは政治の不信につながっておるのです、しばしば指摘されましたけれども。そういうことになりますと、どうしたって、こういうところにとにかく努力をするというのは、少なくとも担当大臣としての私は任務だと思うのです。ところが、実際は何もされないでしょう。ことばでは言われました。しかし、あなたの就任のときのお約束は、できない。これは実行を、この点で蛮勇をふるったらどうです。少し蛮勇をふるって、あなた、ほんとうに公平な立場で自治大臣として、民主主義の大原則を打ち立てるというなら、私はそれくらいの努力は少なくとも閣内においてもやるべきだと思うのですよ。全部が、これはもう審議会の答申待ち答申待ちと、こういうふうになってきております。だから、ここはほんとうにやはり国民感情、民意のあるところはどこかというところに立って考える必要があるんじゃないですか、どうですか。
#140
○国務大臣(渡海元三郎君) 松本委員並びに多田委員にもお答えさせていただきましたとおり、定数是正をぜひとも行なわなければならない、これは自治大臣としての十分なる責任であると考えております。そのために答申をお願いしておるわけでございまして、ただ、いまも申しましたように、千葉県におきましては、一区の定員一人当たりの人口が五十一万人になっておるのに対しまして、二区が十四万、三区も十四万九千、約十五万でございますが、そういうふうなアンバランスの状態でございます。したがいまして、単に一区の定員をどうかするということになりましたら千葉県全体として考えますし、他府県とのアンバランスがまた生ずることになりますので、この県別のアンバランス等も考えあわせますときには、あるいは区を変えて行なうべきのほうがよいか、あるいは県の何と申しますか、アンバランスはやむを得ない、県内の不均衡を是正するというふうに行なうべきか等、いろいろ検討すべき問題が生じております。先ほど例にあげました兵庫五区の場合もそのような姿でございまして、総定員数あるいは選挙区制と、根本に触れなければ是正を行ないがたいという実情にありますので、そのような改正を行なうときには、ぜひとも選挙制度審議会等の御意見をいただくのが当然であろうというところから、御答申をお願いしておるようなわけでございまして、答申が出ました結果に基づきまして、ぜひとも定数是正を行ないたい、かように考えましておるような次第でございます。
#141
○岩間正男君 この問題はあとで論議しますけれども、とにかくアンバランスがますます開いていくわけですね。放射線状に開いていく。現行の定数配分は、県に人口十五万六千人に議員一人の割りで配分し、それを区画して一・五倍に押えた。しかし現在は、大阪三区の議員一人当たりの人口は、兵庫五区の約五倍だ。それで、さっきも多田委員からも指摘されましたように、もしこのままで今度行なえば、間近な解散を控えてこれを行なえば、もっとアンバランスになる。そうすると、われわれは自治大臣にある種の期待を持っていたのは、はかない幻想であったかもしれない。とにかく、どの大臣かがこれに立ち向かって、アンバランスを押えて、そして民主主義の原則を守る方向にいくんだと、こう思っておった。あなたがいろいろ展開された議論も、しかし口頭禅に終わってしまう。現実は、あと何日もあるいはないかもしれない。そうして、アンバランスに結局は力をかしたという結果になるわけですね。これは政治責任をお感じになりませんか。渡海大臣の、政治家としての私は責任感をお聞きしているわけなんですがね。
 いまのような答弁で通っていくと、答申は九月に出る。それは、大体のコースからいえば、佐藤さんがおやめになるのは今月中。自民党の大会というのは七月の半ばだろう。そうやって、臨時国会がそのうち開かれる。そうして首班が指名される。まあコップの中のこれは政権争いだから、われわれはこの問題は関知しませんけれども、そうなる公算が多いだろう。それで、そのうちには予算編成に入る。解散は、結局もう秋あるいは少なくとも一月、こういうふうにいわれている。そういう中で、答申を待って、答申を待ってと言うが、この答申がまた、たいへんなしろものだ。たいへんなしろものですよ。それから、そのころになると、これは答申が出るのか出ないのか、わからない。出たにしてもこれはたいへんだ。これに対しては、一体国会を通過しないかもしれない、そういう公算というものがはなはだ大きい。こういう形になってきますと、これはもう実行されない。そういうことを前提としていまのような御答弁があるように思うんですね。これは大臣の腹を探るようなことでぐあいが悪いのですけれども、そういう結果になるのです。あなたがそこのところを意識、不意識にかかわらず、そういう結果になる公算というものはきわめて大きい。
 そういうことになると、そういう形でこの論議がなされているという、むなしさを感ずるわけですね、この国会論議に。どうなんでしょう。だから、自治大臣がとにかくだれかがやるだろう、まあ渡海さんは、今度はとにかくこれについて熱意を持ってやられるだろう、こういう期待というものはむなしくなりかねないですね。いや、なりかねないどころか、九〇%はそういうことになってきているというような現実の中で、いまのような答弁が繰り返されている。どうです。いかがでしょう。
#142
○国務大臣(渡海元三郎君) 私が在職中に答申を得ることができず、次の大臣の時代に答申を得るというふうなことになりましても、私はおそらく、どなたがなられるか知りませんが、私のような気持ちで答申の結果を得て善処していただけるものと期待をいたしております。いま岩間委員が申されたような結果になりました場合、自治大臣のいまとっておる態度というものは、むしろそれを行なわなかったということに対する、力をかしたということの結果の評価になるぞという御指摘でございますが、もしそのようなことが起こりましたなれば、岩間委員御指摘のとおりの責任を私自身感じなければならないだろう、そのような気持ちで、私はこの責任を、いま言われたように何も感じてないというものでございません。答申結果を待ちまして、必ず善処せなければならないという気持ちだけをお認め賜わりたいと存じます。
#143
○岩間正男君 その答申問題は最後にお聞きしますけれども、その前に、これはあらためてお聞きするのもむしろ陳腐なような感じがするが、なぜこういう結果に、要するにアンバランスですね、これを招いた原因というのは、どういうふうにおつかみですか。
#144
○国務大臣(渡海元三郎君) ここ近年、非常なる人口の都市集中という結果が、このような姿になってあらわれたものと理解いたしております。
#145
○岩間正男君 法的には、そして政治的にはどうお考えになります。
#146
○国務大臣(渡海元三郎君) 制度的には、別表によりまして訂正することにきめられるという姿でございまして、多田委員御指摘のように、一つの何と申しますか、基準というもの、もちろん国勢調査の結果によってやるを例とするということがございますけれども、必ずやるべき基準としてのものでございません。そのようなことによりまして、昭和三十九年に、私自身その当時、公職選挙法の委員をさせていただいておりましたので、非常な困難がございましたけれども、手直しさせていただきましたのですが、その後行なわれなかったところにも一つの欠陥があったのじゃなかろうかと、かように考えます。
#147
○岩間正男君 政治的にはいかがです。
#148
○国務大臣(渡海元三郎君) 制度的でございますか。
#149
○岩間正男君 政治的です。
#150
○国務大臣(渡海元三郎君) 政治的……。私は、前に三十九年に行ないましたときには、これは与野党超党派的に衆議院におきましては議論されたと、かように考えます。その後の委員会で、その後の国勢調査のときには委員会の関係上おりませんでしたので、どのような議論がされたか存じませんが、おそらく超党派的にこのことを考えられましたけれども改正するに至らなかったのじゃなかろうかと、かように考えます。
#151
○岩間正男君 ちょっとあなたの立場から言いにくいようですから、私のほうから言いますと、一つは、これは法的に考えれば「五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」と、別表で明記されている。それが、全然野放しになって運営されてきた。むろん多田委員の指摘のように、基準の問題が明確になってない点も問題になった。
 同時に、政治的にこれを利用したでしょう。これを利用してここまで持ってきた。それをいままで、はっきり言って自民党の党利党略があります。これは明確にしなきゃなりません。もしもほんとうに民主主義を守って、そうしてほんとうに、とにかくしなければならないとあるのですから、これを少なくとも守る気があれば、これはやる、そういう努力をすべきですが、三十九年の改正は、これは世論から、下から押し上げられて、全く部分的な、見せかけ的な、ちょろちょろっとした改正だけでごまかしてしまった。少なくともこれは、しなければならないと、こうなっておる、法的には。そうでしょう。そうして、基準が明確になったということになれば、これは自動的にいくわけです。それができる。ところが、これが逆用されて、今日のアンバランス、その上に立って現在の選挙が行なわれ、そして政党の政治分野というのができている。
 その結果、具体的に言えば、もしもほんとうに公正な全国一区の比例代表制でいけば、いま自民党さん、五十六議席ですか、これは減るわけでしょう、実際。あとは全部野党がふえるわけです。だから野党の犠牲によって、そうしてこのような全く不正常な法の運用というものを甘やかして、そうしてそれを党利党略に利用した。それによって現在のアンバランスを生んでいるのであります。つまり、これは悪いことばで言えば、盗み取られた議席なんです。民主主義の公平の原則からいうと、極論すればそういうことになるわけです。これは比例配分でかりにやってみれば、全部野党がふえるわけです。そういうことですから、やはりこの点を明確にしなければならない。
 そういうことで、これと関連してお聞きしたいのですが、五年ごとの国勢調査の人口の動態に基づいて、各選挙区の定数の増減を国民に知らせることがやっぱり必要だ、また、国会に少なくとも報告すべき問題じゃないかと思うのでありますが、これがなされたことはございますか。
#152
○政府委員(山本悟君) 定数一人当たりの人口の増減というようなかっこうでの国勢調査の結果というものを、国会に提出をいたしたことは過去においてはないと思います。ただし、資料要求等があって提出した場合はあるかとも存じますが、別途に、そういう意味でそれだけを取り出してということは、ないと思います。
#153
○岩間正男君 しなければならないと規定している。しなければならない。少なくとも「するのを例とする」。この法の規定に従えば、これは自動的に、選挙の担当局が国会に提出するのはあたりまえです。国民に公表するのはあたりまえです。ところが、国勢調査がなされて、そうして各選挙区ごとにどういう変化があったかということが、一回もあなたのほうから報告されていない。こういうことは許されていいんでしょうか。
 だから、私は劈頭にお聞きしたのは、つまり選挙の担当である事務当局においては、これは別表でこういうふうに「例とする」といっているのですから、その結果については、少なくともそれだけの作業をやって、国会にぐらい報告するのはあたりまえじゃないかと思うのです。ところが、これはまるで寝た子を起こすようなことになりますからね、なるたけそっとしておいて、なるたけ隠しておこうという、そういう態度で貫かれてきておる。少なくとも五年ごとの国勢調査によって、どう一体各選挙区の動態が変わったかぐらい、これは一覧表ぐらい国会に出すべきだと思います。今後、どうですか、これはやるべきだと思いますが、いかがですか。
#154
○国務大臣(渡海元三郎君) 前の、これを例とするという法律を、せなければならないというのでなくして、「例とする」というのを利用して、その後ふやすべき何名かを、党利党略的にやったんだというのは、私は必ずしもそのように認識はいたしておりませんが、岩間さんの御見解として承っておきたいと思います。
 今回におきましても、早く定数是正をしろというふうな強い御要望も、自民党の方々からも私自身聞いておるような状態であるということだけは、つけ加えさしていただいて、いまの、法律的に報告の義務はございませんから、形式的に報告という形じゃさしていただいておりませんが、公職選挙法は常に国会に特別委員会として常置されておりますので、私はおそらく、国勢調査が行なわれたときの公職選挙委員会におきましては、それらの資料は提出されて、御審議の対象になっておることであろう、かように推察いたします。
#155
○岩間正男君 向こうから、事務局から出すのと、要求されていやいやながら出すのと、違うんです。政治姿勢の問題を私は言っておる。「更正するのを例とする」となっている。これが普通ですよ。これがあたりまえですよ。更正しないのは、これは変則なんです。変則がまかり通って、これが実際いまの状態になっているんじゃないですか。これは変則なんです。だから私は、当然これからいっても、国勢調査のたびごとに選挙区の人口の動態の変化について、国会に報告するのがあたりまえだ。われわれが要求しなければ出さないということでは、問題にならない。国民にも公表すべきです。どうです。「例とする」というんですよ。これは普通の状態をさすのだ。ところが、それがまるで根本から変則が行なわれているのが、いまの姿だ。その変則に立ってものを判断するからそういうことになる。この点どうですか。
#156
○国務大臣(渡海元三郎君) いま岩間さんの言われた点、ごもっともであろうと思います。私が申しましたのも、言われたからいやいやながら出したという姿でなくして、私は、選挙直後の公職選挙法の委員会におきましては、当然そのようなことは論議の対象として議論されるべきものであろうと思いますので、要求されたからいやいやながら出したという姿でなくして、当然そのような数字も審議の議題にのぼって議論をされたものであろう、このように私推測いたします。
#157
○岩間正男君 もっと重要なことは、これは選挙民に知らせる当然の義務があると思うんですね。ところが選挙民には、積極的にやったことはないでしょう。これは、都道府県別の有権者数などは新聞に出る。選挙区別の人口は、自治省便覧ぐらいには出ているようです。しかし、ほんとうに国民に公表して、国民がこれに対して関心を持つというようなことは、これはできるだけ避けておる。これは意識的に、なさねばならない政治責任が回避されているような感じを持つのですが、どうです。これは審議会や国会で要求があれば出す、こういうことなんですけれども、それだけではいかぬので、やはりほんとうの民主主義の原則に反している。この点どうですか。
#158
○国務大臣(渡海元三郎君) そのときの判断にもよろうと思います。たとえば今回の場合、そのようなアンバランスが前の選挙のときにあったということは、マスコミ等を通じまして国民にも十分認識され、その後の国勢調査の結果もそのような姿でございましたので、第七次の選挙制度審議会にいま御審議を仰いでおるという姿でございますので、国民も、このような政府の態度を御理解願えるものである、かように考えております。
#159
○岩間正男君 御理解ができないんですよ、国民は。だから非常に一ころおこったのだけれども、もうさっぱり変わらないものだから、政治不信に流れているんですね。これはやっぱり食いとめなきゃなりませんよ。超党派の立場から言って、民主主義を守る大原則に立つならば、これはやっぱりやらなきゃ墓穴を掘ることになるわけですね。だから、そういう意味では積極的に、むしろすすんで国民にそういうことを報告すべきなんですが、実際これは行なわれていない。なるたけ隠している。眠った子を呼びさますようなことじゃぐあいが悪いというようなことが根本的にあるんだから、そこによこしまな、選挙対策の中でも実際これは変則が行なわれておる。ここに日本の政治の大きなゆがみがあるんだということを、これは具体的に指摘をせざるを得ない。
 そこで、あらたまって恐縮ですけれども、一体、どうでしょう、自治大臣、ほんとうにこの定数の是正をすると、こういうふうにお考えになっているんですか。これは先ほどからの御答弁にもありますけれども、あらたまってお聞きするわけですが、公正なる選挙ができるようにしようと、今度の選挙ではほんとうにお考えになっていらっしゃるんですか。
#160
○国務大臣(渡海元三郎君) 他の委員にもたびたびお答えさせていただきましたとおりでございまして、私は、次の総選挙は是正された定数のもとに行なわなければならない、このように考えております。
#161
○岩間正男君 先ほどからこれは論議されましたが、答申がないからやれないということが、一つのあなたたちのたてになっておるわけですね。しかし、この前の公職選挙法の改悪のときには、答申なんか全然顧みなかったじゃないですか。そうでしょう。一昨年の暮れにやった公職選挙法のときには、当然答申を出して、使うのかと思ったら何もなかった。都合のいいときはこれをやる。こんなことをやっていいでしょうか。どっちが大切でしょうか、選挙法の改正と、この定数是正の問題と、どっちが一体重大だとお考えになりますか。当然これは定数是正が重大ですよ。先ほどから、われわれはほんとうに声をからして論議しているわけです。重大な問題だったら、これに対する政治姿勢というのははっきりすべきだ。この前さえ、わずか一年足らずで改悪をやったんだ、公職選挙法を。そういうときは平気で答申なんか顧みないでやっていながら、今度は答申がなければやれませんというのは、これは聞こえません。どういうことです。
#162
○国務大臣(渡海元三郎君) 重要なものでございますから、御指摘のとおり答申を得るべく審議会にはかっておるのでございまして、その審議会でも鋭意御検討を賜わっておりますので、答申をお待ちしておるのでございます。
#163
○岩間正男君 そうすると、この前の公職選挙法の改正は、あれは重要じゃなかったというわけですね。あれは、もう答申なんかかまわないでやれと、こういうようなことになりますよ、いまの反論をやりますと。
#164
○国務大臣(渡海元三郎君) 選挙の制度、重要なことは、すべて重要でございますけれども、十くらいに一つでございまして、従来、このようなものを答申を経ずして改正を行なうというふうなことも行なっておりますので、その例にならったものであろうと存じております。
#165
○岩間正男君 あなたたちは二つのたてを使っておる。一つは、答申を待っております、その答申というやつはまた、区制と定数を同時にやらなきゃならない、これがまた一つの大きなたてになっておるわけです。ところが、先ほどから繰り返されたように、これは切り離すべきでしょう。切り離していい問題だ。切り離さなきゃならない問題だ。これは切実な問題になっているんだ。そうしてこれは、ある意味では公約でもあるんですよ。参議院の地方区の定数是正とともに、公約的なそういう何にさえなっているわけですね。どうしてもこれは実現すべきであります。だから選挙制度審議会にはかるのです、こう言っているけれども、これは別な方向を、選挙区制の問題を中心にして審議会をやっている。それに一緒に結びつけて、一緒に出すということで、実際はそういう態度をとっていればこれは間に合わない。次の国会にはこれは間に合わないということが、先ほども申しましたけれども、これは計算から出てくるのです、間に合わないということを前提として、逆にそういうものを弁護するそういう手段として、一つは答申を待っております、その答申はまた、あくまでもこれは区制の問題と同時でございます、この二重のあなたたちは防御のたてを持っていられるということは明確です。これはどうですか。
#166
○国務大臣(渡海元三郎君) 現在の情勢に対する、解散がもうこの秋か、来年を待たずに、年末かだという御認識のもとに立たれた岩間さんの御議論では、そうなるんじゃないかと思います。もちろん解散というものは、いつ行なわれるか予測は許しませんが、現在の選挙制度審議会におきましても、いま多田委員がお述べになられましたように、審議会におきまして、現段階におきましては切り離して定数だけを審議すべきであるという御議論もございましたが、これはあわせて検討すべきであるという議論もありまして、いま審議を急いでいただいておるという姿でございますので、政府といたしましては答申を待って行ないたいと、これが、私たちのいまとっておりますところの態度でございます。
#167
○岩間正男君 まあそういうことで、あなたはもう、そうなると態度を変えられるんですけれどもね、はたしてその結果はどうなるかということは、見えている。そういう形でいまのような御答弁を繰り返されたのでは、やはりほんとうにこの事態に対処するということにならない。はっきりこれは指摘することができると私は思う。その公算はもう非常に大きい。こういうことですから、わが党としましてもこの前、選挙制度審議会に対しまして申し入れをしたわけですよ。選挙制度審議会が現在行なっている小選挙区制を中心にした論議は、これは直ちにもう中止する。矛盾の集約みたいなかっこうで出てきておりますから、これははっきり一月に、審議会の会長に申し入れをしたわけです。いずれにしろ、自民党の絶対多数を自動的に保証するこういうようなやり方ではまずい、これはわが国の議会制民主主義に重大な打撃を与えるということは、いままでも与えてきたのでありますから、これを拡大することは絶対にわれわれとしては許すことができないと思います。そうしてまた、ほんとうに先ほど原則的に認められました、これは全く一党一派の党利をもとにしない、こういうやり方から考えましても、いまのやり方というのはまずい。
 それはそれとして、とにかく次の総選挙までに答申が出ないという可能性だって、これはあるんですね。そうなれば、当然定数是正の問題というのは切り離してやらなければならない。そうして、そのためにこれは論議されました。当委員会でも、このためにフリートーキングまで開いて、松本議員の提案があって、そういうものを各党の意見も出し合ってここで論議をしたわけですね。そうすると、こういう意見というものは、結局いまのような御答弁によって、結果的には無視されるということになるんですが、こういうことについてはこれは責任をお感じにならないですか。いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(渡海元三郎君) 不測の事態によりましてそういうふうな結果になりましたときには、私としても十分責任を感ずること、現在もそのような気持ちであるということは、先ほど述べさせていただいたとおりでございまして、次の総選挙には、私はぜひとも定数の是正を行なったもので行なわなければならない、そのように痛感し、そのように処置したい、このように考えておる次第でございます。
#169
○岩間正男君 もう希望しても、実際は、それを裏づける行動は何一つやっていられない。いまの、単に希望を述べていられるだけでありまして、裏づけの行動というのはないし、実際はその御答弁そのものが、この道をふさぐような、いわゆるたてとしてのいま役割りをやっている。こういうことで選挙に臨めば、これは棄権者も増大するだろう。それから、当然選挙無効の訴訟というのは出される。こういう事態も予想されるわけです。こういう責任について、そのときだれが負うのかといったって、これは負うあれがないわけですね、もう、そのときは渡海自治大臣がいられるか、どうか。おそらく、いられないという公算、あなた自身が言われたように、そういう事態が起きる。こういうことでいいでしょうか。これを繰り返しやっていては、ほんとうに日本の民主主義を守ることはできない。どうなんですか、一体。この点に対する政治責任の所在、そういうものについて、これはもうほんとうに最後の質問になるかと思いますが、お聞きしたいと思います。
#170
○国務大臣(渡海元三郎君) 私の職を離れました後にそのような事態が起こりましたときに、私が責任を痛感いたしておりましても、何ら責任をとる道ないという御指摘でございます。結果においてそのようなことにもなろうと存じますが、そのときには私はそれなりの、何と申しますか、世論からの批判も受けましょうし、またその批判に、自分の責任は十分考えて、甘んじて受けなければならないと、かように考えておるような次第でございまして、私はそのようなことのないように全力をあげるべきであると現在痛感いたしておりますし、このことをもって答弁にさせていただきたいと思います。
#171
○岩間正男君 まあ全力といっても、あと何日になりますかな。二十日だか一カ月だか、わかりませんけれども、全くもうむなしい感じじゃ、まずいですね。
 最後にもう一つだけお聞きします。参議院はどうします。もう二年後にこれは迫っている。定数是正の問題、昨年の選挙でこれも大きな世論を動かした。この問題も検討されているのか。それから、どうするのか。これについての構想。これはもう、例をあげるまでもないことでありますね。東京は一人当たり百一万八千人ですか、これで八人、鳥取の場合は十九万九千人、こういうことで、全くこれは五倍の差があるんです。これは一つの例でありますけれども、大阪でも神奈川でも、その他でもアンバランスというものはまたものすごく見えてくるわけです。数が大きいだけに、この開きというのは話にならぬ。これについてはどうされるのですか。これは二年後にくるわけです。
#172
○国務大臣(渡海元三郎君) 当面の審議事項として、衆議院の選挙区制、あわせて定数の問題を御審議賜わっておりますが、引き続きまして参議院の問題につきまして御審議賜わることになっておりますので、私は、任期も十二月まででございますので、この点は、本年中には参議院の分もあわせまして御答申をいただけるものと、かように考えております。
#173
○岩間正男君 そうすると、先に衆議院の区制、定数の問題で答申をして、そのあとということになりますか。それとも、一緒にと、こういう意味ですか。
#174
○国務大臣(渡海元三郎君) 中間答申の形で衆議院のときにいただきますか、あるいは一緒に両方あわせて本答申としていただけますか、それは審議会の御判断によるとかように考えますが、とにかく参議院もあわせていただけるものと、本答申のときには参議院もいただけるものと、かようにお願いしております。
#175
○岩間正男君 大臣のお考えとしては、これは定数是正をやる、こういう立場に立っておられますか。
#176
○国務大臣(渡海元三郎君) 当然、定数是正の点も御審議賜わっておりますので、その点も御審議賜わることと期待いたしております。
#177
○政府委員(山本悟君) 先ほど松本委員の御質問の中で、一点、調査をした上でお答えを申し上げると申した分がございますが、審議会の会長並びに委員の手当でございます。一日当たり、会長が六千三百円、委員が五千六百円という単価になっております。
#178
○委員長(熊谷太三郎君) それでは、本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#179
○委員長(熊谷太三郎君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
 公職選挙法改正に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#182
○委員長(熊谷太三郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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