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1971/03/22 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 物価等対策特別委員会 第3号
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1971/03/22 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 物価等対策特別委員会 第3号

#1
第068回国会 物価等対策特別委員会 第3号
昭和四十七年三月二十二日(水曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長屋  茂君
    理 事
                西村 尚治君
                山下 春江君
                片岡 勝治君
                田代富士男君
                中沢伊登子君
    委 員
                亀井 善彰君
                川野辺 静君
                佐田 一郎君
                志村 愛子君
                嶋崎  均君
                玉置 猛夫君
                山本敬三郎君
                田中寿美子君
                森中 守義君
                柏原 ヤス君
                渡辺  武君
   国務大臣
       国 務 大 臣  木村 俊夫君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局長     吉田 文剛君
       経済企画庁国民
       生活局長     宮崎  仁君
       農林省畜産局長  増田  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       植松 守雄君
       特許庁総務部総
       務課長      黒田 四郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (物価対策の基本方針に関する件)
 (公正取引委員会の物価対策関係業務に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長屋茂君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価対策の基本方針に関する件及び公正取引委員会の物価対策関係事務に関する件を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○森中守義君 この前、長官、ごあいさつの中で、四十七年度の消費者物価の上昇率をおおむね年率五・三%、こういう所見の表明が行なわれておりますが、これは、あれですか、試算をした一つの期待目標ですか、そういう程度のものですか、それとも、ぎりぎり、いかなることがあっても五・三%にとどめたいという、そういうことなのか、どちらですか。
#4
○国務大臣(木村俊夫君) 私どもは、あらゆる政策努力を傾注いたしまして、ぜひ四十七年度の消費者物価上昇を五・三以内にとどめたい、政策努力を含めた政策目標、こういうふうに考えております。
#5
○森中守義君 どうなんですか、過去におきまして、各年度ごとに、たとえば年率五・五%であるとか、それぞれこういうものをつくってこられましたが、おおむねそういう政策目標あるいは、もっと意欲的な意味で言うならば、その範囲内に歯どめをしたい、そういう期待というものは実現しておりますか。
#6
○国務大臣(木村俊夫君) 残念ながら、御指摘のとおり、いままでなかなか政策目標が達成しがたい事情下において、その達成が必ずしも実現しておりません。しかしながら、昨年以来のいろいろの経済情勢の変化、その中にあって、特に国民福祉というものをぜひ優先しなければならぬという大きな政策の転換期にも当たっておりますので、従来にも増して、そういう意味の物価安定努力を加味した政策を今回とってまいります。森中先生御指摘のように、それに対する政府の意欲というものは従前に倍加するものを私どもは持たなければなりません。そういう意味において、あらゆる政策努力を傾けてそれ以内にとどめたいという私どもの政策目標のあらわれでございます。
#7
○森中守義君 実は、それが問題なんですね。それはあとにしまして、おおむね、このお述べになりました趣旨からいけば、五・三%にとどめたい、その裏づけとして、率で二七%の予算の率上昇をお述べになっておりますね。金額で一兆四百二十一億であります。このことは、五・三%にとどめるために二七%という予算の成長率を示す一兆四百二十一億という、こういう国家資本も入れた、このことが直ちにいま言われる強い政策のあらわれだという表現ですが、いままで、どうなんです、二七%という四十七年度の予算の以前は、具体的に、四十年から毎年このためにどの程度の金を入れておいでになったのか、残念ながら、私、いまここに数字を持ちませんから、ちょっとお示しを願いたいのと、こういったように前年に比べて二七%の予算の上昇、相当大規模な予算の投入を行なえば物価はおさまると、こういう見解にお立ちですか。逆説的に言うならば、いままで国家資本を入れなかったから物価が上がってきた、こういったように置きかえることもできると思うのです。私は、そういうことになると、いささか、長官並びに政府とは必ずしも所見が同じではありません。けれども、こういった資金を投入する、予算もつける、こういうことで物価がおさまるという保証がどこにあるのか、このこともあわせてちょっとお答え願いたい。
#8
○国務大臣(木村俊夫君) 確かに、物価対策費の増額、昨年に比べまして、前年度比二七%、これは、私ども考えております物価安定のための一つの政策努力のあらわれでございまして、予算が増額されたからといって、物価が安定するものではありません。したがいまして、私ども来年度五・三という政策目標を掲げておりますのは、そういう政府の自身の努力と相まって、いろいろな社会・経済情勢の変化、また国際経済情勢の変化、そういうものを全部総合して判断した結果でございます。
 また、第一のお尋ねの、昨年以前の物価対策費については事務当局からお答えいたさせます。
#9
○森中守義君 きょうは参議院における物価論戦の初めですから、ここで先走って、へたな結論めいたことを申し上げるのはどうかと思いますが、後日こういう問題をもっと克明に掘り下げていくようにしたいと思うのですが、この中で特に私は、いままで、ともすると、あまり議論に提起されなかった一つの問題があるというように思っている。つまり、三十六年以来の過度にわたるような高度成長の政策をとってこられた、そのために、重要な二次産業、これはランクのいかんを問わず、かなりつま立ちしたような成長政策がとられておるわけですね。
 そこで、そういう政策展開あるいは企業が生産体制を強化する過程において、自己資本の投入、借り入れ資本の投入、この辺の問題があまり政策の上に調整されていない。したがって、おおむね大企業といわれるものに準じて、大体借り入れが八三、四%自己資本が一六、七%、こういうちぐはぐな状態を示していると私は思う。だから、そのことが、結局、過大に失するような金利、その金利が消費者物価にはね返る、これはしろうとでも大体わかる。ですから、たとえばアメリカの場合には、自己資本が八十数%一借り入れが十数%、いま、どちらかというとポンドの危機にあえいでいるイギリスにおいてすらも大体七〇から三〇という状態である。日本のように、こういったような自己資本と借り入れ金の比率を保っている国はほかにない。こういうことが専門家の間で指摘されている。
 そこで、これも、私は、まだ昨晩のことなので詳しく数字等は整理しておりませんけれども、思いつきみたいな質問になるけれども、諸外国のほうに比べて日本の自己資本率、これに対応する借り入れ金の状態を一ぺん数字を示してみてください。
#10
○国務大臣(木村俊夫君) 私も、おおよその見当は大体七対三という――あとでまた詳しく数字を事務当局からお答えいたします。そういうような感じで受け取っておりますが、先ほど御指摘の三十六年以来の高度成長政策――私はもう、いまの物価の上昇の最大の原因は、やはり高度経済成長であるということは否定できないと思います。したがって、そういう面で、確かに産業は非常に発展いたしましたが、物価の面ではデメリットがきわめて明白に出てきた。しかしながら、その中で特に卸売り物価は、御承知のとおり、わりあい安定しております。また、卸売り物価を構成するような大企業の資本率は、いまお話しのような自己資本と借り入れ資本、他人資本との比率は外国に比べて非常に不利な関係になっている。かりにこれを七対三にいたしましても、その資本費というものはたいへんなものです。したがって、そういう面から言いますと、いわゆる卸売り物価というものは非常に上昇しなければならない、わが国では、わりあいそれが安定しておるということは、結局、資本費、人件費も上昇しておりますけれども、それを上回る生産性の上昇というものがそれを吸収し得たから、卸売り物価は諸外国に比べまして案外安定しているということが言えると思います。中小企業の中では、その資本費、ただ中小企業金融の問題でありますが、そのまま中小企業の製品に転嫁している。また、御承知のような、そういう生産性の低い部門、あるいは農業、あるいは中小企業、あるいはサービス業、そういう低生産性の部門における賃金の平準化、これがそのまま価格に転嫁されて、ただいま日本の非常に特色のある消費者物価の上昇の原因になった、こういうふうな受け取り方をしております。
#11
○森中守義君 そうしますと、やはり、高生産、高成長の結果がもたらしたものである、こういうお答えですが、結果的に、いままで政府の展開をされた高成長、高生産の政策というものはきわめて放漫なものであって、消費者の次元などは全く考慮されていなかった、こういうことに私は受け取れるのですが、そのとおりにとっていいでしょうか。
#12
○国務大臣(木村俊夫君) そういう面もございますが、しかしながら、わが国の戦後の経済というものをいろいろ考えますと、やはりそれだけのメリットがあった、高成長自体にそれだけのメリットはあったが、反面、また、いま御指摘のようなデメリットも生じた、こういうふうに受け取らざるを得ない。したがいまして、敗戦国の経済がここまで復興するために、また、私どもの所得水準というものがここまで上がるためには、やはり生産第一主義をとらざるを得なかったある時期があった。そのメリットは、私どもは、ここまで来た段階で認めざるを得ませんが、その反面におきまして、生産第一主義あるいは輸出第一主義に流れたそのデメリットが、それが消費者物価に相当強くあらわれてきておる、これは私は否定できない事実であると思います。
#13
○森中守義君 これはむずかしい質問かわかりませんが、いま、メリットがあった、こういうお答えですが、それならば消費者は明らかに犠牲になる、まあ、あえて私はそう言いますよ。そこで、高生産、高成長のメリットが経済界全体に対してどういう具体的なものとして指摘できるのか。他面また、消費者にとっては逆にデメリットがあるわけであります。それをひとつ具体的に示してみてください。
#14
○国務大臣(木村俊夫君) まあ確かに、消費者を犠牲にしたというおことばでございますが、しかしながら、国民を構成するのはやはり生産者であり、かつ消費者であり、また、消費者必ずしも単純な消費者でないので、生産者の場合もございます。そういうような生産と消費との関連において、とにもかくにも、こういう大きな経済力というものがわが国にできてきたという中で、いろいろいま御指摘のような、ひずみが出ておるということは、これはいなめない事実だと思います。そういうものを総合いたしまして、私は、具体的にどういう品目、どういう階層でそういう面があらわれておるかということは、いま直ちに私の知識では即答いたしかねますが、必要であれば事務当局からお答えしたいと思います。
#15
○政府委員(宮崎仁君) いまの御指摘の点は、非常に論議の多い点だと思います。確かに御指摘のようなことも言えるのではないかと考えますが、何といいましても、昭和三十年代後半からの高度成長というものが、現在ありますような非常に大きな経済規模までわが国の水準を持ってきた、その過程におきまして、もちろん、個人の所得も非常にふえたわけでございまして、そういう意味では、本年度の国民生活白書等で分析しておりますように、物的な生活面ということでありますると、やはり戦後二十五年間非常な進歩があった、こういうふうに一応評価をしておるわけでございます。しかしながら、これには、もちろん、御指摘のように、いろいろとまた生活面で高度成長に伴うところのまずい面が出ておることも事実でございます。詳しくは申し上げませんが、そういった面から来るデメリットというものもございますし、また、いま御指摘のような、全体として経済の規模を上げていくというために、最も生産性を高め得る大企業あるいは輸出産業というようなところに重点的に資金ないし資源を投資をいたすということが、結局において、こういったような非常に高い成長をもたらしたわけでございますけれども、それは、一方においては、いま盛んに問題になっておりますような社会資本のおくれとか、あるいは社会保障の面における立ちおくれというようなことを来たしておる、これもまた事実でございまして、そういう意味合いにおいて、資源の配分の上でいままでとってきた政策が、はたしてこれが正しかったかどうかということになりますので、いろいろ議論のあるところであろうと思います。私は、個人的には、やはり、この最近までの高度成長というものが全体としては非常に国民生活の上にプラスになったという面は否定できないと思いますし、そういう評価をあまり軽くするということもできないと考えておりますけれども、確かに、ここ数年の、言ってみれば、四十年代に入ってからは超高度成長といわれるものが行き過ぎではないか、こういう点からいきますと、いろいろ議論があるのではないか、こういうふうに考えております。
#16
○森中守義君 それは、議論だけでは現実に消費者は救われないわけです。
 そこで、もう一つ、もとに戻りますが、私の手元に統計を持っていないので、あなたはおそらく手元に自己資本率と借り入れ率はきちんと整理したものがあるのではないですか。これは出してもらいたい。同時に、米、英、西独、フランス、こういう国と日本の場合の比率をちょっと言ってみてください。
#17
○政府委員(宮崎仁君) わが国の主要企業についての自己資本比率は手元に持っているわけでございますが、外国の該当機関についての数字が手元にございませんので、ちょっと国内だけ申し上げてみますと、全産業につきまして昭和四十五年度で自己資本比率は一九%、製造業で二二%でございます。電気、ガスあたりですと三〇%と、少し高くなっております。大体そういった形でございます。もちろん、アメリカとかあるいはヨーロッパでは、いま御指摘がございましたように、自己資本比率のほうが高くなっているということは、これは間違いない事実でございますが、該当する数字がございませんので、後ほど資料で提出いたします。
#18
○森中守義君 ぜひ、これは資料で出してもらいたい。
 それで、借り入れ金の金利に対する消費者の負担率というものは、どういうふうに数字をはじき出しておりますか。
#19
○政府委員(宮崎仁君) これは、ストレートにそういう計算がなかなかできにくいと思うのでございますが、ともかく、八割に近い借り入れ金があり、それに伴う金利負担があるということでございますので、その意味からいきますと、コスト面にかなりの圧力になることは間違いないわけでございますが、しかし、何のためにこういった大きな借り入れ金が行なわれておるかというと、先ほどから御指摘のような非常に高い成長を一方に行なっている、そのための設備投資が行なわれてきたということが、結局こういう結果になっておるのだと思います。そういう意味からいきますと、高い設備投資ということは、結局、こういう近代産業におきましては非常に高い生産性の向上をもたらします。そういう意味で、原価の面ではむしろ低下をするという要素もあるわけでございまして、これが一方では金利に食われてしまうということにもなるわけでございますが、全体としての生産性向上というのはかなり多くなる。そういう意味からいって、やはり、こういう大企業の製品の価格というような面を見てまいりますと、長期的に見ると若干低下をしておるか、あるいはあまり上がらないで横ばいで推移をしておるというようなものが大部分でございまして、その点では、物価の面では上昇ということにはあまりなっていない。しかし、もっと低下すべきであったかもしれぬということになれば、そういうことが言えると思います。
#20
○委員長(長屋茂君) 宮崎局長に委員長から申し上げますが、ただいま森中委員から御要求のありました資料、ひとつお出し願います。
#21
○政府委員(宮崎仁君) はい。
#22
○森中守義君 いまの局長の答えでは、ちょっと私もどうかと思うのです。これほど高率の借り入れをして、たとえこれが低利長期償還であったにしても、これが金利としてコスト面にあらわれないということは、これはわかりませんよ。あるいは原価を低減させるとか、あるいは横ばいに推移する、こういったことはどうしても考えられない。ですから、これやはりある意味では物価問題の一つの大きなネックをなしていると私は思うのですよ。そこで、そういう統計をお持ちでないようだから、できるだけ早い機会に、自己資本率と借り入れ比率を整理してほしいと同時に、金利負担というものが消費者物価にどういう形であらわれているのか、ぜひこれ、ひとつ出してください。これはあまり影響ありません。ただ、生産費が高い、あるいは流通機構が整備されていない、こういったようなことで日本の物価を論ずるということは、どう考えてみても得心のいく話じゃない。ですから、やはりこの比率というもの、その金利が消費者物価にどういう影響を与えるかということは、どうしても出してもらわないと、このままの状態でいまの説明を承知できる筋のものでは私はないと思う。出せますか。
#23
○政府委員(宮崎仁君) ただいま御指摘の資料は、特に自己資本比率については当然資料はございますし、また、金利負担の問題等については法人企業統計等も出せるはずでございますから、そういったものを整えまして提出をいたします。
#24
○森中守義君 そこで、長官、諸外国とわが国を比べた場合には、あまりにも構成比というものが開き過ぎている。しかも、これは正常なものとは私も思っておりません。したがって、おおむねどの程度の比率が妥当であるのか、また、物価を正しく抑制していくのには資金借り入れの抑制ということも当然検討に値する問題だと思う。ところが、残念ながら、いままでは日銀等の金利操作等によってある種の規制が加えられたり、また、あるときには異常に成長させるという政策をとってみたり、また、やや調整策がとられていますよね。原則になるようなものがきちんとしていないんですね。だから、いまの局長のほうから、どういう寄与率を与えているかという答えが出ないと正確には言えませんけれども、やはり企業の資本構成の基準、まあこれは重要な産業経済政策のむしろ根幹をなすものだと私は思う。したがって、長官のほうでは、この辺のことをどういったふうに議論をされ、どういう方向に政策を展開させていこうとするのか、まず、その辺のことを聞かしてもらいたい。
#25
○国務大臣(木村俊夫君) なかなかむずかしいことでございます。したがいまして、資本費というもの、これは借り入れ資本ならば当然金利を負担しなきゃならない。しかし、外国のように非常に自己資本が多いと、また、その利潤分配と申しますか、配当率の問題に関連してまいります。したがって、適正な配当率であれば借り入れ資本の金利との比較ができるでございましょうが、そういう面で、必ずしも借り入れ資本が多いからといって、コストが非常に大きくなるということも、配当との関連では理論的には言えないと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、弾力性のある配当よりは、むしろ固定的な、固定化の傾向のある金利というものが資本費の面で非常に大きな部分を占めるということから、コストに大きな影響があるということは否定できないと思います。私どもは、今後のいろんな行政的な面で考えますと、どうしてもやはり借り入れ資本をできるだけ減らして自己資本を多くするということは、当然、原則的な政策でなきゃなりませんが、なかなかこれは現在の日本のいまの事情では、経済事情では、そうたやすく実現できるものではない。しかしながら、政策の方向としては、いま御指摘のような、自己資本をできるだけふやしていって、資本費というものを、配当は適正に押さえなきゃなりませんが、そういう意味で自己資本をできるだけ増加していく、そのシェアを増加していくということは政策の根本でなきやならない、こう考えます。
#26
○森中守義君 ですから、やはり、これは借り入れ金によってどういう負担がかかっておるかということがもっと正確に出ないと、ほんとうの物価論議になりませんよ、これは。ところが、いまの局長のお話だと、あまりはっきりした答えにならないのですね。むしろ、そのために原価がずっと落ち込んでいるという説明があってみたり、横ばいだという説明があってみたり、あるいは全面的に私の言うことを否定はされない。結局、根幹になるものがはっきりしないので、そこで、現象的な物価を追求していってもあまり有効な手段は生まれてこない、私はこういう見解を持つのです。だから、経済企画庁の場合には、むしろ資本率というものはどうなのか、それが物価にどういう影響を与えるか、こういう基本的な問題が整理されなければ、とてもじゃないが物価対策にはほど遠いのじゃないか、こういうように私は平素考えてまいりました。特に少し意見を先に進めてみるならば、大企業はぶっつぶれるという例がないのですね。たとえば景気変動の場合でも、これに対応するいろいろな保護政策がとられる。たとえば集中生産の方向に進んでみたり、あるいは、はたして独禁法に照らしてこれが当を得た措置であるかどうか、かなり公取でも吟味はされるのでしょうけれども、直ちに不況カルテルを発動してくるというようなことで、過度にわたるような保護政策がとられておる。ちっとも企業は損しておりませんよ。むしろ、企業拡張のために消費者が苦しむというこの現実を私は否定できない、こういうように思うのですね。だから、これは、すみやかなる機会などということじゃ、これは困ります。そういう根本的なものがきちんと国会に出てこないと、物価の本質的な議論になりません。次の委員会にそういうものを整理して出してもらえますか。大体どういう程度の比率が適正であり、妥当であり、その結果が消費者に対する金利負担の肩がわり等にならないという数字も出してもらいたいし、それと、そういうものを是正をする、抑制をする、つまり、発想の転換ということが最近しきりに言われるけれども、そういうところに今日大きな課題を発見してもいいのじゃないか、こういうように思うのです。したがって、一経済企画庁でそういう資本抑制等が簡単にできるものとは私も思いません。けれども、やはりこれは、必要であれば法の改正をする、あるいは新法制定をする。少なくとも、ほかのことで欧米を凌駕していっているわけですからね。ところが、こういう矛盾を持ち、極度なアンバランスな資本比をもって回転をしていく日本の経済、産業というものが妥当だとは思わない。長官は私の言うことは否定されなかった。やはりバランスのとれたものがよろしい、こういう御意見である限り、具体的にこれを実行しようじゃありませんか。いかがですか。
#27
○国務大臣(木村俊夫君) もう、いま御指摘の点は、おそらく、所得、利潤、そういうものの配分の問題にまでさかのぼっていくだろうと思います。したがいまして、そういう点から言って、経済企画庁の職分といたしまして、何が一番消費者の立場から見て適正な配分であり、また生産コストの中に占める資本費のシェアであるかという一つのモデルは、私どもでできることです。しかしながら、それを、あるいは法律で強制するとか、あるいは行政指導を強化して行なわせるということになりますと、少なくとも統制経済体制をとっておりませんいまの自由企業体制のわが国の経済の中では、なかなか政府としてはそこまで踏み切れないということだけは御了承願いたいと思います。
#28
○森中守義君 いや、そう逃げられると困る。なるほど、統制経済、計画経済とは言っちゃいませんがね。しかし、少なくとも、統制を解くにしても、近代的な計画性を持たなきゃ、これはやっぱり産業経済は伸展しませんよ。ですから、私は、もっと合理性をその中で追求する、可能な限度まで、抑制できるまで抑制する、これはやっぱり当然政策次元としてできるんじゃないですか。いま言われたように逃げられたのじゃ、物価問題はいつまでたっても片づきませんよ。同時に、同じ企業といっても、これはピンからキリまでありますからね。だから一がいには言えませんけれども、少なくとも、消費者と企業というこの因果関係というものは、もっと相対性を持つ必要がある。いまもう全く片手落ちですよ。それが困ると、こう言うんです。だから、それらのことは当然重要な政策面として考慮されていいんじゃないですか。
#29
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、物価は、これはもう総合対策でこれに向かわなきゃならぬという点は、まさにおっしゃるとおりであります。したがって、総合対策の中で、いま御指摘のような資本費の問題、これも私どもは検討課題としていかなきゃならぬと思います。したがって、私どもは、そういう適正な理想的な資本構成、あるいは生産費の中に占める資本費の割合というような、あるべき姿は私どもで一つの想定をいたしたいと思います。また、それに向かって、ある意味の行政指導は行なわれなければならないと思います。しかしながら、それを、いま申し上げたように、ある意味の行政的なことで指導していくということは、これは困難ではないかと、こういうことをお答えしたわけでございます。
#30
○森中守義君 これは、木村長官、少し、まあ口悪く言えば、そういう考えだから、まぼろしの経企庁などと言われるのですよ。これは、いつですか、一月の二十九日の読売新聞で、「幻影物価の経企庁」と、こう言っている。いっか、あなたは、消費者婦人団体かなにかに出席されて、頭をかかえ込んで退席されたということが、だいぶテレビで出ていましたね。もうちょっとやはりしっかりしてくださいよ。困りますよ。さっきも申し上げましたように、何も統制経済などと私は言っちゃいない。しかし、可能な限界といってもできるんです。
 まあ、これは具体的に言えば、通産省のほうでは、六月ないしは七月にガス及び電気の料金改定をしたい、これを田中通産大臣は可とするようなことを言っている。企画庁はあまりコメントしていないじゃないですか、これは。あるいは、いままでずっと軒並みに――ことしの二月ですね、郵便料金及び電報料金の値上げ等を皮切りに、軒並みに公共料金が上がっているじゃないですか。一体、これ、抑制する努力をしましたか。特に国鉄の二十数%等に対しては、どちらかと言えば、運輸省あるいは企画庁のサイドで、あなたはものを言っている。国鉄だって、極端な言い方をすると、新幹線等の設備投資はさることながら、これもやっぱり金利ですよ。金利負担に耐えないから財政再建計画をやっているんだけれども、それでも足りない、すぐ人のふところに手を入れる、これじゃ話にならぬ。そういうものを抑制していくことが木村長官のお仕事じゃないですか。ガスあるいは電気の値上げ申請に対して、どうするつもりですか。通産省にまかせておきますか。押える力がありますか。
#31
○国務大臣(木村俊夫君) 私は必ずしも頭をかかえ込んでいるわけではないので、その主婦の方々の会合で申し上げたのは、やはりわれわれ政治家は常に反省しなければならぬ、したがって、反省の上に政治を前進させなければならぬ、こういうつもりで申し上げたわけでございます。いま御指摘のようなことは、私ども、もちろんこれは国鉄の運賃の場合にも抑制する努力はいたしました。しかしながら、これは今後いろいろ森中先生のところで御審議願うと思いますが、国鉄運賃の問題は国鉄の再建計画との関連で私どもやむを得ないものとして認めたわけでございますが、これはもう、国鉄問題は、国会でこれから御審議願うことであります。しかしながら、ガス、電気料金、これは、電気料金については、もちろん申請らしいものは出ておりませんし、おそらく、年内に申請らしいものが出るとは私ども想定しておりません。ただ、ガス料金は、その企業で申請をしたいという希望は漏らしておるようでございますが、まだ通産省とも何ら正式に話し合いは持たれておりませんが、通産大臣自体においても、これは慎重に考えたいということを先般の衆議院の連合審査会でも答弁しておりますから、私どもは、まだこれを考えるような段階にはなっておりません。
#32
○森中守義君 頭をかかえ込んだわけじゃないと言われると、非常に気を強うしますがね。いまのガス、電気はまだ聞いていないと、こういうことですが、通産省はガス、電気の値上げを示唆した、こう言っていますよ。新聞の誤報だとは思えない。それと、検討を加えるということは、まあ非常に含みがありますが、いままで政府が検討されて却下したという例がない。ただ、上げ幅が、まあ今度、あれですか、ガスの場合には二八%東ガスが申請したと、こういうのですね。この上げ幅を申請者のほうが多少水増しをして申請をする。そうすると、大体妥当な線に、三%か五%ぐらい政府は押えてくるだろう、まあこういう先を見て水増し申請なんというのがいままでありますよ。いま長官、局長とどうだいというような相談をされているようですが、すでに東ガスは二八%申請をしたというこの事実は認知されておりますか。
#33
○国務大臣(木村俊夫君) いま局長に聞きましたのは、申請の有無の問題でございます。まだ申請が出ておりません。
#34
○森中守義君 これはしかし、東ガスが七月の実施を目ざして二八%値上げ申請したと、まあこういって新聞は伝えておりますよ。まあそれは、申請の相手は通産大臣でしょうからね。おれの所管でないから、こういう意味かわかりませんが、当然、これは企画庁としては何がしかの合議があってしかるべきものなんでしょうね。その際に、どうします。
#35
○国務大臣(木村俊夫君) 当然、企画庁にそういう協議がございます。そのときには私どもは慎重にこれを検討するということでございます。
#36
○森中守義君 ちょっとすみません。理事のほうから大事な話があったので、どういう意味か、よく聞こえなかったもので……。
#37
○国務大臣(木村俊夫君) 当然、申請が出ました暁には通産省から協議がございますから、そのときには、私どもは経済企画庁の立場で慎重に検討を加えたいということをお答えしたわけでございます。
#38
○森中守義君 まあ、手順としては、それでけっこうですがね。しかしながら、お考えとしてはどうですか。これほど物価がやかましい。しかも、物価値上げの先頭を切っているのが公共料金。ガスであれ、電気であれ、水道であれ、これはもう、なくてはならないものですから、非常に強度な公共性を持つ。そこで、これほどごうごうたる国民の非難の中に立たされている公共料金の値上げに対して、具体的に新たにガスが二八%という場合、慎重に検討するというだけではこれは困る。いま、この場でイエスかノーかと言ってくれといっても無理かわかりませんが、決意としては、どうですか。そのぐらいのことは言えるでしょうね。却下する、企画庁は反対だというぐらいのことは、ここで言っておいてもいいんじゃないですか。
#39
○国務大臣(木村俊夫君) まだその内容等について承知しておりませんので、イエスかノーかということは、ちょっとむずかしいと思いますが、しかしながら、おしなべて公共料金は極力これを押えるという基本方針は変わっておりません。
#40
○森中守義君 いままでも、何回もそういうことが繰り返されて、結局は、国鉄などの場合には、あれほどしゃんとしていた長官が一晩でころりと、ころんだというのだから、あまり当てにはならないわけだ。それだけに国会としてはゆゆしい問題だ。だから、私がさっき申し上げたように――中身を見なければわからぬと、こう言われるのも、きわめて常識的な意見でしょう。けれども、具体的に七月実施を目ざして現実にごうごうたる公共料金値上げの非難がある。こういう段階に、決意、意思としては、これはもう絶対にいかぬというぐらいのことは言い切ったっていいじゃないですか、こう言っているわけですが、やはり検討してみなければわかりませんか。検討してみなければわからぬということは、通産大臣がやむを得なかろうという示唆をした、こういうように、企画庁長官も、東ガス二八%の値上げ申請に対しては、どうもこれはのみそうだというように理解をしてもいいですか。
#41
○国務大臣(木村俊夫君) 私の前に、総理、通産大臣が、先般の衆議院の連合審査会におきまして、これは押えたいと、こういうはっきりしたことを言っております。したがいまして、私は、もちろん経企庁の立場として極力これは押えたいという考えは、はっきり申し上げております。
#42
○森中守義君 最後はあまり歯切れがよくありませんが、まだこれから機会があることですから、たびごとに責めますよ。
 そこで、大学の学費ですね。それから、これはきょう農林大臣においでいただく予定でしたが、御出席できないようですけれども、米価がまたいろいろ言われ、それから交通関係ですね、タクシー、国鉄、営団地下鉄、航空運賃、都電、都バス、都営地下鉄、郵便、電報、電話、こういったように物価ショックなどと言われるように、メジロ押しに公共料金が上げられる。これが、五・三%の中における寄与率というのが、波及率というのか、どの程度見ておりますか、どの程度になるものですかね。
#43
○国務大臣(木村俊夫君) いろいろいまお示しになりましたが、メジロ押しの公共料金ですが、私どもいますでに認めざるを得ないという判定をいたしましたのは、すでにもう二月一日に上がりました郵便料金、医療費、それから二月五日に上がりましたタクシー料金、三月一日に上がりました電報料金、これだけでございます。したがって、大学の授業料も、どうなりますか、これは国鉄の問題と同じように、いまや国会の問題となっております。ただ、その後に続くであろういろいろお示しになりましたような公共料金は、私どもまだそれを認める段階ではもちろんございません。たとえ、そういう申請が出たとしても、先ほど申し上げましたような基本的な方針に基づいて、これは慎重に検討いたしたい、値上げ幅、あるいは値上げをする時期等も含めて慎重に検討いたしたい、こう考えておりますし、そういう意味で、私どもがすでに認めた、あるいはこれから政府としては認める立場に――国鉄運賃等を含めまして、その物価上昇に対する寄与率というものは〇・七三くらいであろう、こういうような考えでございます。しかしながら、それに対するいろんな心理的波及効果というものを一体どの程度見るかということは、いろいろ御指摘もあろうと思いますが、どうもインフレマインドのような傾向のある時期には便乗値上げもわりあい行なわれやすいのですが、いま非常に不況下にありまして、供給過剰というこの時期にありましては、それをそのまま消費者に転嫁するということは、コストの中でなかなかやりにくいというような物価環境でございますから、私は案外便乗的な値上げというものは行なわれにくいという条件下にあって、私はそう大きな波及効果がこれから生ずるとは考えておりません。ただ、これから何か上がるであろうというような予測的な、むしろそういう心理的なものが、かえって消費者の心理状態にある意味では悪影響を与えるということは、たいへん私ども心配しておるところでございます。そういうことから、私どもは、そういう一部の公共料金を値上げをいたしましても、来年度の五・三%というものは、その他の物価環境等から考えまして、これは十分達成できるのではないか、こういうような考えを持っております。
#44
○森中守義君 五・三%の中に占めるいわゆる公共料金の値上げによる寄与率というのは〇・七%、これは正確な数字ですが、それと、いま何か、こう、波及効果については心理的に影響するのが中心であって、実数としてはそうならないのじゃないか、こういう御説明でしたが、これはしかし、非常に重大な問題ですね。もっと正確に事実関係というものを把握できませんか。私のほうではしておりますよ、そういうことは。長官、そんなことを言われちゃ困るのですね。
 それと、いまさっき、ガスを提示したのですが、これから先というものは、さしずめガスあたりが問題である。それの実施の時期並びに幅等については慎重に検討したい、こういうお答えですが、実際問題として、二八%の東ガスの値上げについては、企画庁としては積極的な同意じゃない、しかたがないというようなことで暗示を与えられたというように私は受け取るのですが、そうなると、さきの答弁と変わりますよ、どうですか。
#45
○国務大臣(木村俊夫君) 私はガスを意識して申し上げたのじゃなしに、すでに認めざるを得なくなった公共料金以外に、もう申請の出たものがございます。すなわち、航空運賃だとか都内乗り入れバスの九社、そういうものを私は頭に置いて申し上げたわけでございます。したがって、まだ申請の出ていないものは、その上げ幅とかあるいは値上げの時期等については、全くいま考えておりません。
#46
○森中守義君 時間が来たそうですから、あと一問で終わりますが、いま消費者物価としてとられている指数というものは、せんだっての衆議院の物価委員会で、新しい連鎖基準方式というものを新年度から併用したい、こういう答弁が行なわれたようですね。これは、いままでの五年がこれから単年度ごとになるということになると、かなり内容的に変わってくると思う。むしろ、いままでの指数のとり方に問題がある。できるだけ直近の時期に新しい指数をとっていきませんと、とてもじゃないが正確な数字になりませんよ。ですから、切りかえに多少のめんどうな作業を伴うということはわかりますけれども、いままでのとられてきた方式というもの、これが、新聞等で言われている、イギリスあるいはスエーデン、こういう国の物価指数のとり方と日本の場合はだいぶ違っておる、だから、一日も早く新しいものに転換をしなければ正確な数字とは言いがたい、こういう指摘が多い。ですから、いままでいろいろ数字を中心にして、国会の議論というものも、企画庁もしくは総理府の統計局の発表したものを中心にやっているわけですから、言いかえるならば、数字と実際はだいぶ違っておったと、まあこういうことになると思うんですね。違っておったということは、われわれが数字を扱う、それ以上に消費生活という、消費経済というものは極度に深刻なものである、まあこういう理解を私はするのが当然だと思うんです。で、したがって、これからの指数のとり方は、政府の言っておられる連鎖基準方式というものに全面的に移行する、それはいつからだ。併用というのは、古いものが何%、新しいものが何%、どういう併用の内容になるのか、そのこともあわせて御答弁をちょうだいしたいと思います。
#47
○国務大臣(木村俊夫君) 確かに、客観的には、物価指数というもの、統計上のものと一般の国民の方々が抱かれる生活実感というものとのズレ、これは非常に私はあると思うんです。これは、しょせん避けがたい問題であろうと思いますが、われわれの個人の消費生活でいろいろ購買いたします商品、購買の頻度ということから、やはり私どもは、たとえば主婦の方々が毎日買いものに行かれる生鮮食料品、それに生活実感のウエートを置かれる、これはもう当然のことだと思います。しかしながら、政府としてとります統計数字としては、やはり客観的なものでなければならない。したがいまして、全国千六百万戸という普通世帯から八千戸というものを抽出いたしまして、その世帯の家計というものを、基準家計調査をもとにして、いまの総理府の統計局の物価指数が算出された。その客観性だけは、これはしかたがない。個人的なものと集団的な消費生活とは違いますから、したがって、そういう客観的な消費生活の実態をあらわす数字ということにはもちろん御了承願うと思いますが、さて、それだけで私どもは満足できないということから、五年間に一度変えなきゃならぬというようなことでなしに、毎年の、いまおっしゃった連鎖基準指数というもの、毎年これをとってきているので、ことしから始めたい、こう考えておりますが、私は、また、それだけでも十分ではない、したがいまして、たとえば老人世帯とか、あるいは生活保護世帯とか、独身者の世帯とか、そういうような各家庭の所得にメスを入れて、そういう方々の階層別の一つの物価指数というものも並行的にやるべきではないかということを、いま、総理府の統計局に注文しておるところでございます。生活実感になるべく近いような客観的な指数をとるということは今後の私どもの役目である、こう考えております。
#48
○森中守義君 最後に、物価安定会議の会議録、これをひとつ、昨年の夏以降の分を、そうひんぱんに行なわれていないようですから、会議録を資料として出してもらいたい。
 これで終わります。
#49
○委員長(長屋茂君) よろしゅうございますか、いまの御要望。
#50
○政府委員(宮崎仁君) ただいま御要望のございました会議録でございますが、これは、私どもの取りきめというよりも、政策会議そのものの取りきめとして、運営の取りきめでございますが、内容は非公開ということになっておりますし、したがいまして、別にそれほど困る点はないと思いますが、たとえば個々のこういう問題についてどういう議論があったかというようなことでございましたならば幾らでもお示ししたいと思いますが、全部を、昨年夏以降の分を差し上げるというわけにはちょっとまいりませんので、その辺をひとつ御相談さしていただきたいと思います。
#51
○森中守義君 問題だよ、それは。これはしかし、その物価問題が非公開にしなきゃならぬのですかね。それ自体が問題だよ。私は、物価安定会議というのは非常に重要な会議だと思っていますよ。どういうことが議論をされ、どういうことを言ったというのがどうして出せないのか。困る、それは。これ、出せないならば、理事会で取り扱いきめてもらいましょう。だめだ、そういうことじゃ。
#52
○国務大臣(木村俊夫君) いま、たてまえは局長が申し上げたとおりでございますが、当然、これは報道人も入っての会議でございますから、たてまえは別といたしまして、安定政策会議によく事の事情を申しまして、国会に提出したいと思います。
#53
○森中守義君 そうだよ、それは当然だよ。それでわかる。
#54
○嶋崎均君 私は、きょうは物価等対策特別委員会の皮切りみたいなものでございますので、一般的に今後議論をされていくだろうというようなわが国の経済運営の方向の問題につきまして御質問をいたしたいと思います。
 ただ、その前に、公取の事務局長も御出席のようでございますから、最近私の関心のある二、三のことにつきまして御質問をいたしたいと思います。
 その一つは、対米の合成繊維の糸布――糸、布でございますが、の輸出については、大手の合繊メーカーが、輸取法に基づきまして輸出カルテルを結成して、合成繊維糸布輸出株式会社を創設するということが新聞に報道されております。それによりまして、輸出貨物の一手買い取り、一手販売を行なうと同時に、滞貨の買い上げを企画するというようなことを考えておりまして、輸出秩序の確立をはかろうという考え方のようでございます。このような措置は、日米政府間協定締結後の秩序ある輸出の実施という観点からは非常に効果があるというふうには思いますけれども、そのやり方のいかんによりましては、大手メーカーが輸出向けの貨物の販売を一本化することによって結局中小企業者の製品が買いたたかれるといったような事態を招きかねない、こういうふうに思っているわけでございます。特に、その買い上げの対象が、このカルテルを形成するところの十一社の製品のみを買い上げるというようなことになりますと、非常に問題があると思うのです。それからまた、その買い上げの対象が、たとえば、合成繊維のメーカーでございますから、ポリエステル等の、あるいはナイロン等のフィラメントを買い上げするというようなことになりますと、それは結局、紡績あるいは加工業のメーカーに影響する。あるいはその買い上げ対象が糸だけに限定をされるというようなことになりますと、それを織物にする、あるいは編みもの、ニットにするといったようなところに非常に大きな影響を与えかねない。したがって、この合成繊維の輸出カルテルであるところの合成繊維糸布輸出株式会社の運営につきまして私は非常に関心を持っているわけでございます。
 そこで、一体、この輸出会社の設立につきまして、公取のほうに通産省から協議があったと思いますけれども、その協議の段階はどういうことになっているか。先ほど申しましたようなところに私の問題点がありますので、その事業の内容について公取はどういうような立場から規制をされているのか、この点を、まず最初にお伺いをしたいと思います。
#55
○政府委員(吉田文剛君) 大手の合繊メーカーによります合成繊維糸布輸出カルテル、これは三月の末の発効を目途にいたしまして現在事務手続が行なわれているわけでございますが、これは、最近の合成繊維輸出をめぐります環境の悪化に対処して、その混乱を防止し、よって秩序ある輸出をはかろうというような趣旨だと聞いております。また、本カルテルに関連して設けられます合成繊維糸布輸出株式会社、これは、大手合繊メーカーと輸出業者との間にありまして、輸出向けの大手合繊メーカーのチョップ品、ブランド品でございますが、これの一手買い取り、一手販売を行なうということによりまして、各社の輸出数量のチェックを行なうということを目的としているわけでございますが、あわせて、中小企業加工業者の最近の環境悪化によります需注減を緩和するため、その製品を買い上げるということになっているわけでございます。
 中小企業加工業者の製造する製品につきまして大手合繊メーカーに対する需注競争が激化をするというようなことから買いたたき等が行なわれるおそれも考えられるのではないかというような御指摘でございますが、以下申しますような点から、そのおそれは少ないというふうに考えております。
 その第一点は、中小企業団体法に基づきます調整規程によりまして、輸出数量に見合った生産数量制限が実施をされております。需注競争の抑制がそれによってはかられておりますので、そういうふうなおそれは、買いたたきのおそれは、少ないのではないかというふうに考えております。
 また、第二点は、合成繊維糸布輸出株式会社の滞貨の買い上げ、これは総額二百四十億円が予定されているわけでございますが、滞貨買い上げの対象となる貨物、これは、大手合繊メーカーがみずから生産する生糸、これを除外いたしまして、中小企業加工業者の手によって加工されたものに限定しておりまして、このカルテルによる買い上げそのものが中小企業加工業者の保護という当初の目的に十分合致するように、業務方法書等に必要な措置を講じているという点が第二点。
 さらに、滞貨買い上げを含めました本会社の運営にあたりましては、各中小企業加工業者の工業組合がそのメンバーになっております諮問委員会、中小企業の加工業者がメンバーになっております諮問委員会の意見を徴するということになっておりまして、その意見が十分これに反映されるという形になっているわけでございます。
 以上申し上げましたような点から、中小企業の加工業者の製品が買いたたかれるといったおそれは少ないものというふうに考えております。
#56
○嶋崎均君 ただいまのお話で了承できるところもあるわけですけれども、ただ一つ、諮問委員会という制度だけでこれが担保できるかということになると、非常に私は問題があるのではなかろうかと思います。いずれ、こういう会社ができますと、業務方法書を読みますと、事業計画を提出してその認可を通産省から受けるという形になるだろうというふうに思いますけれども、その事業計画の認可に際しまして、公取としてどのような関与をされるのか、その点をお伺いしておきたい。
#57
○政府委員(吉田文剛君) 公取に対しましても、業務計画書等は通産からいただくということになっておりまして、十分こちらでもチェックしていきたいというふうに考えます。
#58
○嶋崎均君 その点につきましては、なお今後どういう運用をされるかという点につきまして関心を持って見ていくということにいたします。
 本年の二月二十五日の朝日新聞の「標的」というコラム欄によりますと、輸入の問題につきまして「並行輸入と物価」という題の記事があったわけでございますが、その内容は、要するに、商標権を持っている会社がその専用使用権を日本の国内に持っておる、ところが、それに対しまして、別の輸入業者が同じ商標をつけた商品を輸入をする――具体的にはパーカー万年筆であるようにこの記事には書いてあるわけでございますが、その輸入をするといった場合に、税関で差しとめをするという問題が出てくるわけであります。
 商標権の性格につきましては、このコラム欄を手がかりにしていろいろ勉強をしてみますと、非常にむずかしい問題がたくさんあるということは承知をしましたわけでございますけれども、最近、御承知のように、ケネディ・ラウンドで、どんどん各国の関税というものが引き下げられてきている。わが国の場合でも、ケネディ・ラウンドが終了しますと、平均的に関税が一〇%程度のところに来るやに聞いておりますけれども、そういうぐあいで、だんだん水位が下がってきますと、何というか、逆に、NTBというのが、非関税障壁という岩礁が、浮かび上がってくるというような感じで、どうもそのことが輸入物価の引き下げに支障になっていく面が多いのではないかというようなことが言われておるわけでございます。それに関連しまして、このほんとうのNTBはたくさんあるわけでございまして、ただ単に日本国内の問題じゃなしに、今後日本が国際貿易の場で働いていく場合でも非常に大きな問題があります。現にOECDでも、このNTB問題というのは、各国からNTBであると思われるものをつけ出してそれを整理をしていこうという方向にあるように聞いております。それは非常にけっこうなんでございますけれども、どうもこの商標権の問題につきましては、各国の最近の判例の傾向というのは、商標権保護の性格というものを機能に着目して考えていかなきゃならぬ、中間的な業者なり、あるいは元の商標権を分けていただいて、特定の外国において、何というか、専用使用権を持っておる者の商標の保護というか、あるいは利益の確保のために商標権を考えていくという方向については、だんだん疑問が持たれてきている。法律的な問題で言いますと、だんだん属地主義から、機能主義といいますか、そういう方向に変わっているように、私は「ジュリスト」の論文等を見まして、思うわけでございます。この点に関連しまして、公正取引委員会のほうでは、独占禁止法第六条で、「不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。」、あるいは、そういうものにつきましては届け出をしろ、こういうような規定があるわけでございます。また一方、税関関係のところでいろいろ調べてみますと、商標権だけでも、商標権保護のために、関税定率法の第二十一条一項四号ですか、の規定によりますと、商標権についても輸入禁制品並みに、税関官吏が、それを保護するために輸入を差しとめるというような規定があるわけでございます。
 そういう点から考えまして、どうも日本の商標権の問題は、特にそれが並行輸入と関連する限りにおいていろいろな問題がある。過去の判決も、どちらかというと、日本の場合には、保守的といいますか、並行輸入を認めにくい方向の判示が多かったわけでございますが、昭和四十五年に大阪地裁の判決がありまして、少しく前進的な判決が出たというふうなことも書いてある。
 実は、私、きょうこの問題について質問をしようと思っておりましたところ、この問題が実は朝日新聞に「商標権〃自由化〃で論争」として、「下に、「経企庁、特許庁」という形で書いてある新聞記事を見る結果になりました。したがって、これで私は非常に心配しているのは、そういうNTBというものをだんだんなくしていきたい、特に銘柄商品の輸入というものを多角的に行なって、少しでも国内価格にそれを影響をしてゆきたいというような観点からしますと、非常に問題があるように思うのでございます。
 そこで、一つお伺いいたしたいのは、そういう、新聞で「商標権〃自由化〃で論争」というようなことが書いてありますけれども、一体どういう経緯になっておるのか、経済企画庁及び特許庁からひとつ御説明を願いたいと思います。
#59
○国務大臣(木村俊夫君) きょうの新聞に載っておりますことは、論争というようなものじゃなしに、経済企画庁でこの問題を重視いたしまして、特許庁からヒヤリングをしたというようでございます。詳しい内容は、また事務当局から……。
#60
○政府委員(宮崎仁君) 特につけ加えることはないのでございますが、いま御指摘のような記事も出ましたので、法律的にどういうふうに考えていくべきかということについて、特許庁から、つい最近、ヒヤリングをした、その際に、いま御指摘もございましたが、諸外国の事情その他から見まして、従来の解釈を変えて、もっと進歩的な解釈に持っていくべきでないかというふうな議論も出たようでございますが、特に結論というものは、まだ出ておらないようでございます。
#61
○説明員(黒田四郎君) 御指摘の点につきましては、従来から、商標権の属地的独立の原則、こういうのがございまして、そういった観点から、わが国におきましては、判例等におきましても消極説がとられてきたわけでございますが、先ほど御指摘のごとく大阪地裁の判決がございまして、これが一見積極説と、こういうことになったわけです。しかしながら、最近、諸外国の事例とか、あるいは経済情勢の変化とか、そういうようなことを勘案いたしますと、私たちのほうといたしましては、本件につきましては重要でございますので、以上申し上げました点を含めながら検討をいたしていきたいと、このように考えておる次第でございます。
 なお、具体的な問題といたしましては、たとえば商標の著名性というのは一体どのように考えるのか、著名でない商標についてはどのように考えるのかという問題が含まれるわけでございますが、とか、商標の品質が異なっている場合にはどのように考えていくのかとか、あるいは、わが国におきまして商標権者が広告宣伝のために巨額の資金を投入したような場合にはどのように考えていくのかとか、あるいは諸外国におきます事例とわが国におきます事例との、たとえば法律的な差というものがあるのかないのか、そういうような問題がありますし、反面におきましては、先ほど御指摘になりましたような経済情勢の変化というものもございますので、そういうことを十分に頭に置きまして検討を進めさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
#62
○嶋崎均君 並行輸入の問題につきましては、これは具体的な名前を一々あげるのは別でございますが、税関のほうで、たとえばわいせつ図画といったような輸入禁制品と、そして商標権というようなものを同じようなレベルで実は輸入の禁制品としての扱いを考えていくのがいいのかどうかという問題もありますし、さらにまた、商標権において守られるべきものは何か。特に、いろいろ考えてみますと、消費者がその品質の保証というようなことから考えて、たとえばジョニーウォーカーの赤なら赤、パーカーならパーカー、あるいは、いろんな薬品から、食品、織物――聞いてみますと、いろいろたくさんあるようでございますけれども、そういう、何というか、消費者が安心をしてブランドによって品質を選択できるという意味で、商標権の機能というものがあると思います。それからもう一つは、やっぱり、その商標権の基本になるところの、何というか、外国なら外国で確立された商標権というものと、それから日本に専用使用権が与えられた場合、私は、どちらかというと、もとの商標権を取得したところはあるいは保護されるべきであると思いますけれども、専用使用権ということで得られるものは、結局、その品質の保証と、それから原権者の利益の保全というようなことに分解をして考えられるべきであって、どうもその中間的な業者の利益保護というような形になっては非常に問題があるように思います。そういう意味で、私はいろいろ問題があると思いますけれども、ぜひこの問題については、特許庁のほうで前向きにこれを認める方向で検討すべきであるというふうに考えますので、その点についてのお考えをお聞きしたい。
 それからもう一つは、同じようなことが、たぶん沖繩の返還に関連して問題が出てくるのではないかというふうに思うのでございます。と申しますのは、御承知のように、沖繩の場合には、そういうものについて現在ほとんどフリーな状態になっておるわけでございます。相当たくさんの輸入業者がいるわけでございます。そうした場合に、日本本土に商標権を持っておるという場合と競合的な関係に立つわけであります。いろんな税法上の扱いを勉強しましても、特に沖繩については認めていく方向であるというふうに判断をされるわけでございますが、この点も早急に整備が必要であろうというふうに考えておりますが、その点はどうお考えになるか、御答弁をお願いいたします。
#63
○説明員(黒田四郎君) 御指摘の点は二つございまして、前のほうの問題につきましては、先ほども申し上げましたように、経済情勢の変化等を頭に入れまして検討をさしていただきたいと思っております。
 それから沖繩のほうにつきましては、現在いろいろと検討を進めておりまして、御迷惑をおかけしないように前向きに検討を進めております。
 なお、先ほど申し落としましたのですけれども、経済企画庁との間の論争ということで、経済企画庁さんのほうでおっしゃったのと全く同じになるわけでございますが、そういう論争とか、そういうことは全然ございませんので、その点も申し加えさしていただきます。
#64
○嶋崎均君 いまお話のありましたようなことでございますので、ひとつ、ぜひ、論争ということじゃなしに、前向きにやっていただきたい。どうも日本の役所のなわ張り争いというのですか、そういうことが非常に心配をされるような現在の状態でございますので、特にその点は注意してやっていただきたいと思います。
 時間がありませんので、実は、あまり経済の運営の問題について質問をする余裕がないかと思うのですが、ごく二、三の点につきまして経済企画庁長官のお考えをただしておきたいと思います。
 わが国の経済の運営を考える場合に、少なくとも、われわれ学生時代に勉強したときには、日本の経済の二重構造ということが非常に大きな問題で、これをどうして解消するかということが経済運営の基本でなければならぬというふうにわれわれは考えておったし、現在でも私はそう考えておるわけでございます。過去十数年にわたるところのわが国の経済成長政策、その効果についてはいろいろ問題点があります。特に最近においては、この経済成長のひずみの問題に問題の焦点が当たりまして、今後の経済成長をどういうぐあいに評価をし、考えていかなくちゃならないのかということについての論議がどうも薄れがちであるように思うわけでございます。
 そういう意味合いから、まず第一点、お聞きいたしたいのは、わが国の過去十年間の経済成長の結果、私の見るところでは、少なくとも農業の人口について見ますと、昭和三十年は、就業者の数が四千百五十二万人ありましたですが、それが非農林と農林と分けてみますと、非農林が二千五百五十万人、したがって、その差し引きの千六百二万人が農林の就業者ということになります。同じような数字を三十五年の段階で見ますと、就業者は四千四百六十五万人である。それに対して非農林は三千二百三万人、四十年の段階で見ますと、就業者は四千七百五十四万人で、それに対して非農林が三千七百二十二万人である。四十五年のところで見ますと、五千百八万人就業者があるのに対して、非農林が四千二百七十八万人というような推移をたどっておるわけでございます。こういう形で、結果的に、最近の状態を見ますと、三十年当時千六百二万人であった農業の就業者が八百三十万人になっておるという数字が出ておるわけでございます。そういう意味では、私は、日本の成長政策の基本が、雇用問題を通じての構造改善というようなところに相当大きな寄与をしておるというふうに思うわけでございます。しかも、反面、全国的な消費水準の問題をとってみても、あるいは賃金の名目あるいは実質をとってみましても、諸外国と比較をしまして、日本の経済成長政策の具体的な成果というものは、ある程度――このごろは非常に低く評価されておるようでございますが、高く評価されるべき性格のものであるというふうに思っておるわけでございます。しかし、まだ、先ほど御指摘しましたように、就業者の一六%程度がいる八百三十万人の農業従事者、日本の農地は六百万ヘクタールであるというようなことから、考えますと、国際競争力が非常に強くなった日本の経済ということが言われるわけですけれども、これに関する限りは、私はまことに、「ひよわな花日本」という本が最近出ておりますけれども、そういう状態ではないだろうかということを心配しております。
 そこで、今後の経済運営の方向というのは、やはり私は、日本の、経済の成長政策、特に雇用政策とからむ経済成長政策が十分な関心を持って運営されなきやならぬというふうに考えるわけでございますが、この点についての経済企画庁長官の御意見を伺いたいと思います。
#65
○国務大臣(木村俊夫君) いま御指摘のとおりでございまして、経済成長が非常に急激かつ高度なものである、その間に、日本の経済が宿命的に持っております二重構造というものがひずみとしてあらわれてきた、これが、現在経済成長がむしろ非常に軽く見られている一つの反射的なことになっておるかとも思います。いずれにしろ、いままでのような段階でわが国の経済がここまで成長してきた、その規模が拡大したことによって国民全体の所得も上がってきたということは評価せざるを得ないと思います。しかし、その反面、二重構造から生ずるいろいろなひずみというものが社会現象としてあらわれてきております。また、経済成長が急激であったために、都市化現象、過密・過疎の問題、いろいろな面が、これは政府自体の反省もございますが、社会資本の充実が非常におくれておったということも手伝いまして、いまのような現象になっておるところだろうと思います。したがいまして、今後の経済運営としましても、そういうような二重構造をできるだけ早く解消する、これはもう当然の政策課題の問題でありますが、それと同時に、消費者物価の安定というものと、それから経済の適度な成長というものとの、この二つの、一見二律背反的に見えますが、この二つの課題を両立するような経済運営政策をとっていくというところに大きな眼目があるのではないかと、このように考えます。
#66
○嶋崎均君 その点に関運しまして、最近、いろいろ調べてみますと、西ドイツの一九五〇年代の経済成長の実績と一九六〇年代の実績というものを対比してみますと、どうも一九六〇年代のところを節にしまして非常に大きな変化があるように見えるわけでございます。わが国がドイツより十年おくれて走っておるということを私は言うわけではないけれども、その内容を当たってみますと、たとえば一九六〇年代におけるところの一人当たり国民所得は、ドイツは、ドルで換算して千三百五十億ドル、日本は一九七〇年代において一千九百五十一億ドルでございますが、物価上昇を差し引いて一九六〇年価格で計算しますと千二百三十六億ドルぐらい、また、乗用車の普及率、人口当たりの台数というものを調べてみますと、その普及率は共に百人当たり十一台であるというような数字、重工業化比率というようなものも六〇%である。両方とも六〇%。非常に符合したような形になっておって、私の手元にあるこの論文でもそういうところを指摘をして、屈折するのではないか。その中の試算でいろいろ見ますと、ドイツの一九五〇年代と一九六〇年代のGNPの屈折、あるいは民間設備投資の屈折ということを、その比率をとりまして日本の一九六〇年代の成長率に掛けて今後の十年を予測してみるとどういうことになるのだという数字があるわけでございます。また一方、民間設備投資とGNPの大きさというようなことに関運をしまして、民間設備投資累積額の大きさが結局GNPの大きさを規制する、逆に、GNPをまかなうために民間設備投資累積額がどれだけでなければならぬかというようなことからする下村さんのアプローチもある。
 そういうような点から見ますと、私は、どうも一九七〇年以後の日本の経済成長というのは過去の十年よりも相当大幅に落ちるようなふうに考えるのが常識的なことだ、また、現に技術革新の一巡というようなこともありまして、今後は自国の技術開発をもってしなければ、なかなかうまくいかないというような事態になってきておる。時間がないということでございますので、こまかいあれは省略しますが、私は、いままでのように、ほっておいても経済成長が走り過ぎて困る、頭を押えることによって安定成長するということでなしに、相当意識した努力をしなければ成長政策ができない、また、成長政策によって雇用問題を引き続きいい方向に持っていくというようなことも非常にむずかしくなるように考えておるわけでございます。そういう意味で、今後のわが国の成長政策を考えていく方向をどうお考えになっておるか、その点をお伺いをいたします。
#67
○国務大臣(木村俊夫君) いまおっしゃった、いろんな御指摘の点、私も同感の点が多々ございます。ただ、私どもは、経済成長をこれから押えていくという低成長が目標ではないので、行なうべき経済運営の政策を十分やりつつ、経済成長がどの程度の適度のものになるか、そういう成果を私どもは重視しなければならぬ、こう考えます。したがいまして、たとえば、いまいろいろ御指摘のような今後の経済運営の基本原則、これは国民生活重視、あるいは従来のような高度成長政策というものは転換しなければならぬ、私どもは、国内面におきましても、そういう社会資本の充実、あるいは社会福祉、あるいは社会保障制度、そういうものを今後確立いたしまして、その上で経済成長というものがどういうふうな結果になるか、これはいままでの民間設備主導型から財政主導型にならざるを得ませんから、自然にこの経済成長というものはダウンする、これは私は予想にかたくないと思います。したがいまして、それ以外におきましても、そういう国内的な、一つの均衡を保つ以外におきましても、もうすでに国際的にも、非常に海外的制約要因がふえておりますから、したがいまして、いままでのような輸出本位のようなこともこれからできませんし、また、開発途上国のいろんな意識の向上、また欲求も出ておりますから、そういうような国際協調、あるいは、私が申しますのは、国際的福祉主義というものを十分取り入れた経済運営をやっていかなきゃならぬ。その結果、当然輸出がダウンすることもあり得ましょうし、その結果、また経済成長率というものは、これは低下せざるを得ない。そういうような、わが国として行なうべき対外政策、そういう均衡政策を十分とって、しかる後に経済成長はどの辺に落ちつくか。私は、当然、これはいままでのような高成長ではあり得ないということを予測しております。それが適度に、八%でいいのか、九%になるのか、私は、むしろそういう政策の総合的判断に立っての成果であると、そういうふうに考えております。
#68
○嶋崎均君 もう時間がないという連絡をいただきましたので、私はこれから答えを求める質問はいたさないつもりでおりますが、今後の経済成長の基本方向は、御指摘のように、社会資本の充実なり社会福祉政策の充実なりをはかることによって、また、それを目標に行なっていかなきゃならぬということについては異論がないわけでございまして、現在の四十七年度予算を見ましても、私は、まだまだそういう方向に対する努力が足りない、ただ、その場合に、常に高福祉・高負担ということをさきごろ盛んに言われましたけれども、まあ、そういう問題については、特に高負担のほうにつきましては、なかなか真剣な議論が深められないということがあると思います。いずれ次の機会に、これらの原資をどういうぐあいにし、それが経済運営にどういう役割りを果たすだろうかということを論議する必要があるんじゃないか。かつまた、対外均衡と対内均衡という問題が同時達成をされなければならないという問題があるはずでございまして、そうした場合に、卸売り物価、それから消費者物価、そういう乖離の問題、その中におけるところの、要するに、消費者物価対策の推進というものをどう考えていくのかというような非常に大きな問題があると思うんです。しかも、これらの問題は何らかの形で国民のコンセンサスを求めなければ、強力な政策の展開というものは不可能な分野であろうと私は確信をしておるわけであります。そういう意味で、本日は、こういう問題があるということだけを提起いたしまして、いずれ、次の機会に、これらの問題につきまして論議を深めていきたいというふうに考えて、私の質問を終わります。
#69
○委員長(長屋茂君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#70
○委員長(長屋茂君) 速記を始めて。
#71
○田代富士男君 きょうは、参議院におきます物価の委員会の第一回目でございます。で、いろいろ質問したいことがありますが、第一回目でございますから、全部というわけにはまいらないと思います。先日、木村長官がこの委員会でごあいさつをされました中から、一、二まず最初にお尋ねしてみたいと思います。
 いまもお話が出ておりましたが、木村長官は、四十七年度は成長と福祉の調和に立った新しい経済発展へ踏み出す第一歩の年としたいと、そういう意味のあいさつを述べていらっしゃいますが、四十六年度は実質経済成長率一〇・一%の目標ではございましたが、長官もお述べになっていらっしゃいますように、四・三%に終わるのではないか、このように、経済成長率四・三%というような、長官にするならば、不本意な、そういう線が打ち打されております。
 それに対しまして、今度は、国民生活に一番関係の深い消費者物価指数では、当初、長官も申していらっしゃいますとおりに、五・五%の目標でございましたが、いまでは、現在野菜等一部下がっておることもありますけれども、現時点においては六・一%、そういうような見通しをされて述べていらっしゃいます。理由は、もう長官、たびたび申していらっしゃるとおりに、ドルショック以来の影響だということを申されますけれども、そのために、庶民の皆さま方は、ボーナスの伸び悩み、あるいは時間外手当の減少、そういう中にありまして、物価高騰というような面で非常な生活の困窮というものが目立ってきております。その一つのあらわれというのが、春闘がことしは激しいんじゃないかというような見込みがされております。そういう面にもこのようなひずみというのがあらわれてくるのは当然じゃないかと私は思います。
 また、長官は、四十七年度の見通しにつきまして、現在の不況につきましてどう対処していくかということについて、簡単でございますが、述べていらっしゃいますが、一番庶民の皆さま方が知りたいと願っていることは、いつごろ景気が回復をするのか、端的に一言いまして、いつごろか。それが国民の偽らざる願いであり、希望じゃないかと思う。それが声じゃないかと思うんです。だから、長官は、いろいろ公的な立場もあるでしょうけれども、一応の見込みですね、国民の皆さま方に、現在こういうことになりましたけれども、このような状態になると思うと、その見込みですね。また、長官が述べていらっしゃいます四十七年度の経済成長率は、名目一二・九%、実質七・七%。しかし、この七・七%は、五月十五日に沖繩が帰ってまいりますから、これが入ってさましたら七・二とか申していらっしゃると思いますけれども、じゃ、毎年、この委員会におきましては、これは達成できますと、このように言われますけれども、最後の年度末になりますと、いろいろその弁明というものがされます。たとえば、いまも議論されました物価の目標に対しては五・三%という見通しを立てられたけれども、いま森中委員からもお話がありましたけれども、矢つぎばやの公共料金の値上げで、はたしてこれを堅持できるのか。公共料金は〇・七%ぐらいの影響だというお話もありましたけれども、はたしてどうなのか。こういう点につきまして、国民の皆さんに対して、端的に、長官として、こうだということを、まず最初にお願いしたいと思います。
#72
○国務大臣(木村俊夫君) まず、わが国経済の当面の急務は、やはり、私は景気の回復ということであろうと思います。したがいまして、それに重点を置いて、従来、財政あるいは金融政策あるいは大幅なる予算というものを作成したわけでございます。現在、景気の先行きについては、いろいろ、考えあるいは意見が分れておりますが、私ども政府におきましては、この昭和四十六年度の、もう三月になっておりますが、いろいろ経済指標をとって考えますと、当初、私どもは昭和四十六年度の実質経済成長率というものは四・三%ぐらいに考えておりました。ところが、どうも通貨調整後の輸出が予想よりはなかなか順調に運んでおりますことと、また、財政金融政策あるいは大幅な補正予算その他によりまして、官公需が著しく景気に刺激を与えておるというようないろいろな諸効果を考えますと、もう五月の中ごろには実際にあらわれてくることですから、見通しといたしましても相当確信をもって言わなければなりません段階でございますが、まず、われわれの予想の四・三%は、もちろんこれは維持することができるのみならず、あるいは四・六、七という程度に実質成長率もなるのではないか、こういう予想といいますか、実績見込みを持つに至っております。しかしながら、これが、さて昭和四十七年度に入りまして、このままの趨勢で、たとえば実質見通しの七・二%を大幅に上回ることになるかというと、私どもは必ずしもそう考えておりません。輸出の伸びの鈍化、あるいはどうも民間設備投資意欲がなかなかふるわない、いろいろな悲観的な要素も出ておることを考えますと、私どもは、むしろ昭和四十七年度の上半期にはそう大した成長率の伸びはないのではないか。ただ、これは希望的観測も含まれることではございますが、来年度の下半期では、相当この成長率も加速するのではないかということから、いろいろ経済指標をとりました上で、まず来年度の経済成長見通しも、七・二%の実質、沖繩を入れますと七・七になりますが、これは維持できるのではないかという見通しを現在持っておるところでございます。したがいまして、景気の回復と申せば、やはり民間設備投資意欲もそろそろこれが出てまいりまして、単に財政投融資の官公需面の刺激効果でなしに、それが民間設備投資の意欲にも波及いたしまして景気が回復する時期は、おおむね私は夏から秋口にかけてのころではないかというような観測を、ただいま持っておるところでございます。
#73
○田代富士男君 いま、ここでその問題につきまして時間をとりますと、あとの問題に入れませんから、また次回にいろいろその問題についてはお願いしたいと思いますが、昨年の四月から、外圧を防ぐために、円対策の八項目、輸入の自由化、その他特恵関税実施等八項目を打ち出されて今日までまいりました。ところが、いつまでもこの八項目の理由だけでは通らなくなってきた。御承知のとおりに、ことしの初めに佐藤総理はじめ田中通産大臣等がサンクレメンテの日米会談におもむかれたおりに、いつまでもこの八項目にしがみついていたのですけれども、米側から、牛肉、オレンジ、果汁の輸入ワクの拡大を迫られたわけなんです。そのときに長官は同席なさっていらっしゃらなかったと思いますけれども、しかし、このようにアメリカ側からも迫られてきていることに対しまして今後どうやっていくべきか、これは通産省関係の方にでも聞かなくちゃならないのですけれども、長官は幅広い立場に立っていらっしゃるのですから、こういうことも踏まえた上で、今後どのように対処されるのか、まず、その点をお尋ねいたします。
#74
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、八項目そのものは古くなったとは思っておりません。やはり、この八項目を重点に推進していかなければならぬ事情はいまも変わりはない、こう考えますが、サンクレメンテにおける日米会談の中に出てまいりました、むしろ八項目の推進がまだ足りないじゃないかというようなアメリカのいろいろな要求がございました。当然やるべきことをやったということに私は考えております。ただ、その場合にあくまで考えなきゃならぬのは、予算委員会等でも十分論議されましたが、わが国の生産対策と申しますか、農業政策とのからみ合い、関連をどう考えるか、わが国の食糧の自給度をどうするかというような全体の総合政策から、この八項目というものもやはり考えていかなければならぬということは御了承のとおりであります。今後は、この八項目をもう一度洗い直して、たとえば、新しい八項目というようなことも、通産省、経済企画庁では事務的に考えはしておりますが、あくまでわが国の今後推進すべき国内あるいは国際経済対策というものは、この八項目に盛られた内容を、これを強化して推進していくことであって、この八項目自体は何らまだ古いものではないと、こういう考えでございます。
#75
○田代富士男君 それで、その一環といたしまして、四月の一日から輸入自由化される品目が、ハム及びべーコン、あるいは塩づけ豚肉だとか塩づけの牛肉、あるいは精製糖、氷砂糖、トマトピューレ、トマトペースト、あるいは配合飼料、硫黄、重油、軽油、こういうものが自由化されることになっております。それで、長官は、先日の委員会であいさつされたときに、このように述べていらっしゃいますね。「円切り上げの効果による輸入品価格の低下を消費者物価の引き下げに結びつけるよう、輸入品の追跡調査を行ない、その監視、指導体制の強化につとめますとともに、食料品等を中心とする消費関連物資の積極的な輸入の拡大、輸入物資の流通機構の整備を進めるほか、関税政策や輸入制度等の運用にあたりましても、物価対策の観点から十分配慮いたす考えであります。」、このように、八項目の一つにありますとおりに、関税の問題につきましても述べていらっしゃる。
 ところが、四月一日から行なわれます自由化に対するこの品目の関税は、それとは逆の方向に向かっていると私は思うのです。最近の新聞にもそのことが述べられております。これは読売新聞でございますが、四月一日から実施されるこれに、「また〃政治関税〃」「来月早々にもハム、ベーコンの輸入が自由化される予定だが、これにまたまた悪名高い差額関税がかけられる。自由化で国内の生産者が打撃をうけないようにという大蔵、農林両省が考え出したショック緩和剤で、輸入価格の安いものにはべらぼうに高い関税がかかる仕組み。大蔵省の試算では極端な場合、輸入価格とほぼ同額の関税がかかるケースもあるといわれ、ヨーロッパ産の安いハムなども、消費者の口にはいるときには倍以上の値段になってしまう。」、こういうことですから、消費者の皆さんがカンカンにおこるのは当然じゃないかと思うのです。このように、長官のあいさつにもあります関税の引き下げどころか、このような新しい関税によりますと、引き上げというようなことになりますけれども、これに対して、長官、いかがお考えでしょうか。
#76
○国務大臣(木村俊夫君) いま大蔵省からも参事官がおいでになっていますから、あれですが、関税政策と申しますか、自由化については、これはそれだけのメリットを消費者に還元しなければならぬ。しかしながら、一方、先ほどちょっと触れましたような国内対策、総合農政の一環としての農業政策、畜産政策、そういう面も、私はこれをそう軽視できないと思います。これは、長期的に見ますと、そういう供給政策からわが国の畜産の自給度というものを上げて、長期的にはまた消費者に還元するという農業政策の立場もあろうと思いますので、それ自体は必ずしも私は非常にけしからぬという気持ちにはなっておりませんが、ただ、端的に消費者にそれが還元されないような輸入自由化であるという点は、経済企画庁としてはきわめて遺憾でございます。そういう面で、できるならば、差別関税というものは、国内政策を十分措置しながら、こういう関税差別はこれを撤去していくということが将来の方向であることは、これは私も同感でございます。
#77
○田代富士男君 いま、経企庁長官も、消費者に還元されないような関税は検討すべきだと、遺憾であるというような表明をなさいましたけれども、具体的な例をあげますと、豚肉の自由化の際に初めて採用されましたいまの差額関税制ですか、通称スライド関税とも私たちは言っておりますけれども、これが採用されますと、どうなるか。従来でしたらば、ベーコン、こういうものに対しましては一律に二五%の関税で済まされたわけなんですが、今度の関税になりますと、それどころか、たいへんなことになるんですね。一つの例をあげますと、昨年三月、一キロCIF三百七十八円のデンマーク産のハムですけれども、これに対して従来の関税――従来の関税も安いわけじゃございません。これも高いくらいです。しかし、今度の新しい関税と対比するために一応申し上げる。従来の関税が安いというんじゃないんです。誤解のないように、これは前もって言っておきますけれども。従来の計算でいきますと、九十五円五十銭であったわけなんです。ところが、新しい関税では、これが実に三百六十五円になるわけなんです。三百六十五円。じゃ、このように、従来では九十五円五十銭、まあ三百七十八円にプラスしましても、四百六十円か四百七十円、これに今度は三百六十五円ということは、九六・六%というような、これは値段になるわけです。これがまた最終の消費者の値段じゃないわけなんですね。これはまだ卸しの段階です。これが最終の消費者のほうに渡っていった場合に一体どうなるかということなんです。こういうような事実に対して、どうでございましょう。
#78
○説明員(植松守雄君) 現在、輸入の自由化がまだ行なわれておらないところの、いわゆる残存輸入制限が四十品目ございます。で、一昨年の初めに、たしか百十八あったわけでございまして、約三分の一になっておるわけでございます。相当な急ピッチで自由化が進められておるわけでございますけれども、現在となりますと、どうしてもやはり自由化をこれ以上進めてまいりますためには、ある程度の関税措置というものをやっていかないと、なかなかこれが進んでまいらないという状況でございます。そこで、いま御指摘のハム、ベーコンの話でございますが、これは原料の豚肉価格というものが全体の製品価格の中で決定的な要素を占めております。そして、豚肉につきましては、いま田代委員御指摘のように、昨年の関税改正でいわゆるスライド関税が採用されたわけでございます。そこで、このハム、ベーコンにつきましても、やはり原材料の豚肉に対応する部分については、それとの斉合性ということを考えまして、やはり一種のスライド関税を採用せざるを得ないという発想でございます。
 そこで、それはいまたてまえ論でございまして、もっと具体的に、いまの御指摘の点についても御説明をさしていただきたいと思いますが、確かに、いま田代先生おっしゃいましたように、デンマークから入りました去年の三月のこの豚肉のCIF価格が御指摘だったと思いますが、三百七十八円、御指摘のとおりでございます。それに対しましての今度の関税改正をあてはめまして、三百六十五円の関税がかかる、御指摘のとおりでございます。ただし、このデンマークは、これは、御承知のように、世界のハムの輸出の半分以上を引き受けておるという、特に生産性の高いハム工業を持っておる国でございますが、デンマークの昨年の一−十月の平均の輸入価格が四百七十七円でございます。三百七十八円という御指摘の点は、その中では一番低い価格であろうかと思います。そこで、平均値の四百七十七円をとりますと、今度の関税率をそれに当てはめた場合には関税が三百六円になるわけでございます。そういたしますと、合計で八百三十一円になります。つまり、CIF価格プラス関税額で、輸入価格が八百三十一円になるわけでございます。一方におきまして、昨年のわが国におけるハムの国内の卸売り価格がキログラム当たり千百円から千二百円でございます。したがいまして、確かに、関税の部分だけ取り上げて言われますと、いかにも高い関税じゃないかというような御感想をお持ちじゃないかと思うのでございますけれども、その関税を足しましても、デンマークから参りますものが八百三十一円でございますから、国内の千百円ないし千二百円のものよりは、だいぶまだ差があるわけでございます。それからさらに、デンマークの豚肉価格、特にハムの価格は低いのでございまして、アメリカその他の各国のハムの輸入価格は、総平均いたしますと去年六百九十五円になっております。それで、それに対応する関税率はちょうど二五%でございます。つまり、現在の関税率と結果的には変わらない関税になっておるわけでございます。
 それから、もう一つ、ぜひ申し上げておかなければならないと思いますことは、従来のように数量制限をされておりますと、どうしてもこれは、そのきめられた数量をこえるものは輸入ができないわけでございますから、国内で一種の超過利潤が生ずるわけでございます。したがいまして、若干関税が上がりましても、その関税は従来の超過利潤に食い込むということになるわけでございまして、末端のその卸売り段階あるいは小売り段階までは必ずしも波及しないというようにわれわれ考えております。その具体的な例で申し上げますと、去年同じく自由化いたしまして関税を引き上げてジャーナリズムで一番やり玉に上がりましたものに、グレープフルーツがございます。このグレープフルーツは、従来二割の関税を、季節関税と申しまして、ミカンの出回り期には四割、ちょうど倍に上げたわけでございます。しかしながら、このグレープフルーツの輸入量は、それにもかかわらず、去年の七月に自由化をいたしまして、年内に前年度同期の八・一倍ぐらい入っております。関税が上がりました十二月にも九・七倍ぐらい入っておりまして、御承知のように、現在店頭でわれわれ見ますところのグレープフルーツの価格は、自由化前の五分の一ぐらいに下がっておるというような状況でございます。同じく、この今回のベーコンの関税と同じようなやり方をやっておりますところの豚肉につきましても、輸入量は、同じく去年の十月から十二月までに関税は上がったわけでございますけれども、二・五倍にふえているということでございます。
 確かに、御指摘のとおり、物価政策ということがきわめて重要な今日の情勢でございますから、われわれも極力ストレートの関税の引き上げはしたくない。これは、関税をきめる際には、経済企画庁と十分連絡をとりまして、われわれつとめておるつもりでございます。ストレートな関税引き上げはできるだけ避けたいというようなつもりでおりまして、今回の措置も、一応とにかく自由化をいたしまして、情勢を見て一年後には再検討するという仕組みで、すべて組み立てられておるわけでございます。
#79
○田代富士男君 いまのお話では、あまり影響がない、二五%、従来と変わりがないという、そういうような御説明でございますけれども、この円切り上げがあったときに、水田大蔵大臣は、そういう円切り上げでたいへんだたいへんだというかわりに、安く入ってきて物価安定にも寄与しますというような発言をしているわけなんです。これだったら、どういうことになるのか。影響がないどころか、大いに影響があるのです。そこが問題です。要するに、庶民に必要な安い商品に対しては関税が高くつくのです、今回の関税制度で。高い商品に対しましては関税が安くなる。これはもう一貫して、大企業擁護、大資本擁護のそういう政策というのが端的にあらわれています。
 だから、二五%関税と現在とあまり変わりないとおっしゃいますけれども、たとえて言うならば、アメリカハムですけれども、これは政府のほうから資料をいただいた分で、四十六年の二月に一キロ四百四十三円で輸入されております。CIFの四百四十三円。四月には一キロ千三百円のハムが輸入されております。八月に七百三十三円、十月には六百三円、こういうアメリカ産のハムが輸入されております。これに対しまして、現行の関税でいきますと、二月度の四百四十三円のこのハムに対しては百十円七十五銭です。ところが、新しい関税の方程式は何ぼになるか。二百二十五円九十五銭。それから四月度の千三百円に対しては、現在の関税の率でいきますと三百二十五円、これが、新しい関税でいきますと百三十円。CIFが高ければ高いほど関税が安くなる。八月度でも、七百三十三円のハムは、現行では百八十三円二十五銭、これが新しい関税では五十一円九十五銭。十月度でも六百三円のハムは、現行では百五十円七十五銭。これが、今回の関税では百二十九円九十五銭。まあこのような、政府からいただきました二月、四月、八月、十月のこの輸入価格に見合う関税を計算しただけでも、これだけの違いがある。ここで言うことは、私がただいま申しましたとおり、高級品の関税が安くなる。庶民に一番安く提供されていた現在のハムでさえも、今度は高くなる。それは、直接消費者にそういう影響を与えないような、そういう措置を講じますと言われたが、事実、こういう数字が出ている。こういう関税のあり方ということは、私は検討すべきじゃないかと思うのです。そういう意味におきまして、私は、この問題は端的に、企業擁護、過保護の関税制度ではないかと思うのですけれども、この点、どうでございましょうか。大蔵省の立場からもお聞きしますけれども、経企庁長官が、もしも消費者に影響があるならば、これはもう検討しなくちゃならないということもお考えでございますから、そういう立場の長官からもお伺いしたいと思います。
#80
○説明員(植松守雄君) いま御指摘の数字は、われわれの持っておるデータに基づいた御質問だと思いますが、その前提として、ここでお答えしておかなければならないと思いますのは、ハムの価格の中で、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、豚肉の価格というのが非常に大きな影響を持っておる。全体の七割から八割ぐらいのウエートを占めているということでございます。ところが、これは、やはり各国によりまして豚肉の価格というのは生産性に非常に差があるわけでございまして、大きな差がある。デンマークは安いわけでございますけれども、他の国は、デンマークに比べ、豚肉の価格が高いという状況でございます。そこで、この豚肉の価格が高いところのその豚肉の肉の質がいいかというと、必ずしもそうは言えないというような状況のようでございます。いずれにいたしましても、わが国の現在の豚肉の価格というのは国際的には割高についているということでございまして、そこで、海外におけるそれぞれの豚肉の状況に応じまして、御指摘のように、アメリカは高いし、デンマークは低いというような、ごく図式的に申しますと、比較生産費が成り立っておるわけでございますけれども、その場合に、やはりわが国の畜産安定法に基づきますところの豚肉の価格の安定、さらに、まあ中小企業が多いハム、ベーコンのメーカーの保護という観点まで、これは関税の立場から言いますと、考えざるを得ないわけでございますけれども、その観点から申しますと、やはり豚肉の各国における格差ということを考えざるを得ない。そういたしますと、先ほど来御質問になっておりますスライド関税ということに、まあならざるを得ないというような現状でございます。
 それから、これも先ほどお答えしたことの繰り返しでございますけれども、確かに、関税は今度の措置によりまして、まあ上がるもの、下がるもの、出てまいります。デンマークの輸入ハムにつきましては関税は上がるわけでございますけれども、それにもかかわらず、わが国のハムの価格は、去年一年間の平均で、キログラム当たり、いま千百円から千二百円ぐらいでございますから、デンマークのハムについての差額関税率を考慮いたしましても、それよりもだいぶまだ輸入価格は低いものになっているということをつけ加えさしていただきたいと思います。
#81
○国務大臣(木村俊夫君) 関税の実態については、いま植松審議官からお話があったとおりと思いますが、総じて、消費者行政を預かります経済企画庁といたしましては、こういう差額関税はなきにまさる、これはもう当然でございます。ただ、これはやはり畜産振興対策という別の国の政策目標もございますし、総合農政の真っただ中で非常にいま生産性の向上を急いでおります零細畜産農民の保護は、やはり国としても、これはとらざるを得ない。したがいまして、そういう差額関税によってそういう政策をとるよりも、むしろ、いままでおくれております構造対策をもっと進めて、そういう消費者の負担において零細畜産振興をやらなければならぬという国のいまの政策を大きく私は転換していくべきものだ、そういうふうに考えております。
#82
○田代富士男君 持ち時間があと三分だという紙が回ってきまして、なんでございますが、いま長官のお説のとおりに実行していただきたいと思います。
 これは、私何回も繰り返しますが、今回の新関税の方程式で、私、数字を出してきました。新方程式が1.5x−0.6yで新しい関税が出されます。この1.5x−0.6yの方程式で計算していきますと八百十九田四十銭、これが、もしもCIFが八百十九円四十銭であった場合に、これはゼロになる。これから上がった場合は一律に一〇%である。こういうようなことを考えても、高級品に対する優遇策ということが端的に出ているわけです。いま、安い肉は内容も悪いのだというようなお話もありましたが、最近は、輸送の点におきましても、これ、時間がありませんから触れませんけれども、冷蔵肉であるならば日本の中級の肉として十分通用できるような肉が十分入ってきているのです。こういうところを大蔵省と農林省との相談で、こういうことをやろうということは、私は消費者を無視した政策であると思うのです。だから、これは断じて、消費者無視のこういうような関税に対しましては、経企庁長官としましても対処していただきたいと思うのです。いま申されたとおりに、畜産振興対策の上からも必要であるけれども、そのようなことを申していらっしゃいますが、この畜産振興事業団自身も問題があるのです。これは午後からまた私この問題を取り上げたいと思うのですけれども、だから、そういう消費者に負担をかけてそういうような対策を講ずるというような姿勢を改めさせたいとおっしゃる経企長官が、また確固たる信念でそれを実行に移していただきたいと思います。
 で、時間がありませんから、いろいろお聞きしたいことはありましたが、一つだけ長官にお尋ねいたしますのは、いまさっき森中委員のほうからもお尋ねになっておりました物価安定政策会議の部会の資料提出ということでございましたが、これは、ここでどのような問題であるかということを提起していただくならばここで論ずることはできますと、こういうお話をされて、資料も提出しますという話になりましたが、昨年の暮れ、ここの報告書が出されておりまして、その報告書を見ますと、簡単でございますが、政府側に求めている措置というものが四項目あげられております。一つは、輸入制限による商品の希少価値をなくすために生活関連物資の輸入自由化を進める、これが第一点です。第二点は、原材料に比べ加工品に対して高率になっている関税対策を改める。それから三番目に、農産物などに多い生産者保護のための価格維持制度を洗い直す。それから四番目に、流通機構の合理化をはかる、というような問題点が提起されてありますけれども、また、これは一番現時点において大事な問題です。早急にこれを洗い直すならば、実行するならば、ずいぶんと国民生活にも寄与できるところが多いと思うのです。そういうわけで、国民軽視と申しましょうか、公共料金の値上げは上げっぱなし、またドル・ショック後の手当てとしましては、企業本位で国民を無視されている。こういう意味におきまして、この四項目に対して今後どのように取り組んでいかれるのか。時間がありませんから、最後に一言だけお願いいたします。
#83
○国務大臣(木村俊夫君) いまおあげになりましたような輸入対策について物価安定政策会議の提言、これを実行に移すのが先決だと思います。それぞれについて、いま、たとえば円切り上げに伴う輸入対策を具体的に内容を詰めまして、もうすでに実行に移しておる問題もございますし、また、これから早急に実行に移そうという面もございます。
#84
○柏原ヤス君 せんだっての委員会で長官のごあいさつがありました。そこにいろいろとお述べになっていることを何点かお聞きしたいと思います。
 最初に、上昇率についてでございますが、ここにもございますように、「四十七年度の消費者物価上昇率を五・三%と見込み、消費者物価の上昇をこの範囲にとどめるよう最善の政策努力を傾注することといたしました。」とございます。この五・三%の見込みというものが、ほんとうにこの範囲にとどめることができるのかどうか、見通しがおありだろうと思いますので、お願い申し上げます。
#85
○国務大臣(木村俊夫君) 私どもは、政策目標として五・三%とか、あるいは今年度でございましたら六・一%、そういう数字をあげておりますが、しかし、私は、そういう数字にとらわれなければなりませんが、また、国民の生活実感から申しますと、そういう数字がどう動いたとしても、やはり物価の負担感というものが残れば、これは政治目標としてはなかなかむずかしいことになります。しかしながら、数字としていま申し上げれば、御指摘の五・三%の計算根拠と申しますか、それを申し上げなければならぬと思うんですが、御承知のように、昭和四十六年度、もういまや三月末の年度末になりつつございます。その時点で、今年度の、昭和四十六年度の物価指数を、いまわれわれ検討しております。まあ幸いにして、気象その他の条件に恵まれまして、また、一昨年来の不況というものが、いまじりじりと物価の面に影響があらわれてきております。それに私どもの政策努力も加えさせていただいて、物価の動向はいま非常に落ちつきを示しております。したがいまして、昭和四十六年度当初、物価上昇率を私どもは五・五に見通しましたが、昨年の夏以来の生鮮食料品の急激な騰勢を考えまして、経済の見直しの中では六・一%にこれを修正いたしましたが、幸いにして、この三月の物価の上昇等もいろいろ勘案いたしますと、今年度の物価上昇指数は、まず、六・一%の修正見通しを下回って、五・七%程度には落ちつくのではないか、こういう見通しがきわめて公算大になっています。そういたしますと、御承知のとおり、来年度に持ち込む、いわゆる、私ども専門用語で、げたと申しますが、来年度がたとえ物価が全然上昇しなくとも当然三月末の四十六年度の物価の上昇実勢というものが昭和四十七年度の物価に持ち込みますから、それがもし高いと、昭和四十七年度の物価、年度内の上昇がたとえ低くとも、相当窮屈なことになります。これが幸いにして、二・三%ぐらいと思っておりましたのが、いま申し上げましたような五・七%を下回るような結果になれば、それが私どもは約丁四%のげたをはいて昭和四十七年度に入り込む、進むということになるわけでございます。そういう専門的な用語を用いて恐縮でございますが、数字の問題でございますので申し上げなければならぬと思います。そうしますと、一・四%のげたをはいて昭和四十七年度に進みますと、昭和四十七年度内の上昇のアローアンスといいますか、余裕というものがわりあい楽になります。それをかりに、五・三%から、いま申し上げましたようなげたを引いたものは三・九%、そうすれば、昭和四十七年度の年度内で、かりに三・九%くらいの年度内上昇があっても、私どもの見通しの五・三%は可能になる。一・四%のげたをはいてもそれだけの余裕が生まれる。ところが、昭和四十二年から昭和四十六年度までのいわゆるげたの平均をとってみますと、大体二・八%くらいでございます。また、年度内上昇率は大体平均三%、そうしますと、いま申し上げたような数字と比較していただきますと、この五・三%も決して過大な私どもの見通しではないということが御了承いただけると思います。これは、そういう物価環境がきわめて、おかげさまでよくなったという点が最大の原因でございます。
 また、不幸にして、いま不況でございます。不況が大体一年から一年半のおくれをもって物価の面にあらわれてきます。したがって、昭和四十七年度に入りますと、一昨年来の不況というものが物価の面で相当本格化してまいります。もちろん、野菜その他の生鮮食料品は、これは楽観できません。昭和四十六年度は幸いにして野菜その他が落ちついておりますが、これは、いままでのパターンで見ますと、来年度、昭和四十七年度はこれが騰勢に転ずるというのがいままでのパターンでございますが、そういう気象条件に支配されるようなことでいままでの野菜対策をやっておりました点は十分反省しなければなりませんが、四十七年度に編成いたしました農林省の野菜対策等でも、御承知のとおり、農林省自体も非常にその面の政策努力を強化しまして、その機構においても食品流通局をつくり、野菜対策においても予算を二倍以上のものをとっておりますので、そういう面からの政策努力も千分これに含んで、私ども一は、来年度の消費者物価指数を五・三%内にぜひひとつ押し込めたい。もちろん、御指摘はあろうかと思いますが、一部公共料金の引き上げを含んでも、これを〇・七三%、波及効果を〇・〇九%くらいに見ましても、まず〇・九%、一%を割る程度の寄与効果ではないかと考えております。三・九%の余裕の中にこういうものの物価に与える要素を織り込んで五・三%にこれをぜひ押さえ込みたい、こういうような政策努力をもとに、そういう見通しを組んだわけでございます。
#86
○柏原ヤス君 いま長官のお話を伺っておりますと、去年修正した六・一%を幸いにして下回ったとか、また、五・三%というのは決して過大ではない、そういうようなことばの端々から、五%台というものが当然であるというように私受け取れるわけでございますが、はたしてこの五%という目標が適当かどうか、政策としていいかどうかという点について、過去の政府の計画表をちょっと見ました。
 これは長官も御存じと思いますけれども、昭和四十二年度に経済社会発展計画というのを出しました。そこには、四十二年度から四十六年度の期間をとらえて、そして、終わりには上昇率三%程度にまで低めることを目標とすると、はっきり言っております。「三%程度」というのですから、三%以下にするというふうに考えていいと思うのですね。ところが、これがたいへん狂ってしまって、また、あらためて昭和四十五年に新経済社会発展計画というのをつくり直して、そして発表いたしました。その中にも、「計画期間の終わりには、三%台に止まることとなろう。」とおっしゃっているわけです。今度は「三%台」ですね。こういうふうに言っているわけですね。こういう点から考えますと、五・三%の目標というのはむしろ高過ぎるのではないかと私は思います。この点、長官はどうお考えでしょうか。
#87
○国務大臣(木村俊夫君) 五・三%に、たとえなったとしても、これは私どもにとっては、政策的に考えますと、反省しなきゃならぬ点でございます。新経済社会発展計画の計画期間における平均は四・四%と見ておりますし、また、最終年度の昭和五十年は三・八%程度を考えております。まだ、昭和五十年といえば、あと何年かございますので、今後の経済成長に対するいろんな反省を込めた経済運営政策によって、どの程度最終年にそれを近づけるかということが、これからの政府の努力でございまするが、少なくとも、この二年間における消費者物価に対するわれわれ政府の目的は達成できていないということは、正直に私は認めざるを得ないと思います。
#88
○柏原ヤス君 いまお聞きしていますのは、五%台を当然のようにお考えであると私は受け取るんですけれども、それは目標として高過ぎるのではないかということに対して、長官は、高過ぎると思うのか、当然だと思うのか、その一言をお聞きしたいと思うのです。
#89
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど申し上げましたとおり、五・三%に、たとえ押えられても、それがわれわれの政策的な成功とは思いません。せめてその程度までには押えたい。当然、経済成長がある程度ありますから、これを全然横ばいとか、そういう口幅ったいことは申しませんが、せめて私どもは三%台に消費者物価をとどめることが現在の経済成長の段階では一番適正なことであろう、こういう考えでございます。
#90
○柏原ヤス君 次に、予算の点でございますが、この中に、物価政策を推進するために一兆四百二十一億円の物価対策関係費を計上したとございます。これを見ますと、いかにも物価対策に力を入れたような感じを与えますが、この一兆四百二十一億円の内容を別の表で見ました。この総括表の中にこまかく出ておりますが、私これをずっと見ていて、はたしてどの程度にこの物価対策関係費というものが物価安定に寄与しているか、何か疑問を感じないわけにはいかないのです。これはもう少し納得いく説明をお聞きしたいと思います。
#91
○国務大臣(木村俊夫君) 基本的な考えといたしましては、物価対策というのは個別の政策ではいけないので、きわめて総合的な対策を用いなければ物価対策の成功は期しがたい、こういう考えでございます。したがいまして、私は先ほど森中さんの御質問に答えましたとおり、やはり経済活動全体というものを見て物価対策を考えていかなきゃならぬ、そういうことから言いますと、まず第一に、一番大事なのは、適正な経済成長というものを考えていくということでございます。私、いつも体温にこれをたとえるんですが、やはり経済活動の一つの生理現象であれば、あまりこれが過激な、急激な運動をいたしますと、経済活動をいたしますと、やはり体温が平熱を上回り、それが一つの病的現象となって物価騰貴としてあらわれるということから言いますと、やはり適度の経済成長というものは必要であろう。その次には、その中におけるわが国の特殊性といいますか、先ほど嶋崎さんから御指摘があるような、二重構造――構造政策が非常に大事だと思います。したがって、農業とか中小企業とか、あるいはサービス業というような生産性の低い経済構造が日本の根底にございますから、そういうものが、どうもいままで消費者物価を上げてきた最も大きな原因であるということから言いますと、やはり生産性向上のための構造政策、それが、柏原さん御指摘のような、この予算の中に大きくいろんな項目であらわれてきております。たいへん奇異にお感じになるような、たとえば林道の政策、こういうものも、一体これが物価対策かという御疑問が生ずるのは当然だと思いますが、これもやはり、林道というものをつくることによって、林産というものを大きくし、それが材木の生産費あるいは材木の価格に影響がある、そういう生産性の低いところへ予算を入れまして、その生産性を向上することによって、そういう生産費の価格を低めるというような、非常に迂遠な、間接な物価対策費までこの中に加わっておりますので……。しかしながら、私は、必ずしもこの物価対策一兆云々というものは、われわれの常識にぴったり来るとは思いません。したがって、この中でやはり考えなければならぬのは、流通対策とか、あるいは当面の野菜対策とか、そういうものがほんとうのわれわれ国民の実感にぴったり来る予算の計上費であるということは、その点は同感でございます。
#92
○柏原ヤス君 いま、一つの例として林道事業費の例を取り上げられて、これがひいては物価対策に寄与するんだというお話でございますが、そんな将来のことを考えてやっていく前に、もっといまの物価対策でぜひしなければならない問題はたくさんあると思います。特に企画庁としてはこういうふうにやりたい、ああいうふうにやりたいという点もたくさんあるんじゃないかと思うのです。そうして、それがはたしてどれだけの効果をあげたかということは、やはり反省されなければならないと思うのです。で、この低生産性部門の生産性向上という項目で取られている予算は非常に金額的に多いわけですね。去年とことしを入れますと約一兆に近いわけです。こうした金額が、何か、物価対策のための関係費ではありますけれども、関係費といえば、すべてのものが全部物価対策の関係費になるというふうに拡大して考えられるとも言えると思うんですね。
 で、私が申し上げたいのは、こんな総花的ではなく、もっと効果がはっきり得られるような予算のとり方、また、企画庁にもっと主体性を置いて、その使い方、特に監視を十分にやって、そうしてその効果を具体的にあげていくという方向に企画庁の予算というものがとられるように今後していかなければならないと、こう思うわけでございます。その点で、もう少し長官の積極的な御意見、また今後こういうふうにという希望あるお答えを期待しているわけでございますけれども……。
#93
○国務大臣(木村俊夫君) おことばは、私、まことにごもっともだと思います。しかしながら、やはり、わが国の先ほど申しましたような構造対策という面が、長期的に見て物価の安定に非常に大きく影響するという点は、私、否定できないと思いますので、やはりこの生産性の向上ということは、どうしてもとっていかなければならぬのですが、しかし、それ以外に、当面の物価対策、これは当然政府としてやらなければなりません。そのためには、予算を要するものは十分これに予算をつける。と同時に、予算を要しない、政府の決意あるいは政府の姿勢によって十分効果があがる面もございます。そういう面については政府の努力をもっと傾注していかなければならない、そういう反省も私はしているわけでございますが、当面、公共料金にいたしましても、私、政府部内におりますけれども、いままでの公共料金というものに対する、準公共財に対する政府の、何と申しますか、財政措置、大きく言っては社会資本の充実ということは、私は非常におくれておったと思います。今後は、政策を転換して――今年度からそれを出発したと、私はそう考えておりますが、まだ不十分でございます。そういう面で、重点的にそういう、社会資本の充実も、こういう物価対策の面にもう少し力を入れていきたい、こういう考えでございます。
#94
○柏原ヤス君 次に、冒頭に「円切り上げの効果による輸入品価格の低下を消費者物価の引き下げに結びつけるよう、輸入品の追跡調査を行ない、監視、指導体制の強化につとめるとおっしゃっております。この円切り上げの効果による輸入品価格の低下がどの程度になるのか。これは、理論的にどの程度になるかということは言えると思いますが、その点、お聞かせ願いたいと思います。
#95
○国務大臣(木村俊夫君) いま、円切り上げに伴う輸入品価格の低下の幅を理論的に出せという御注文でございますが、これは、御承知のとおり、純理論的に申しますと、円の各国通貨に対する調整率、各国に従って、いろいろございます。フランス・フラン、あるいはポンドに対する調整率、これを輸入ウエートで――各国からの輸入のいろいろな数量に違いがございますから、輸入のウエートで加重平均したもの、すなわち、それが実効切り上げ率ということになると思います。それを推計いたしますと、現地通貨の方式で約一二%、こういう算定をしておりますが、これはなかなかむずかしい数字でございまして、輸入品の価格が下がれば申し分ございませんけれども、いろいろな阻害要因が――いまから御指摘になると思いますが、阻害要因のために、これもなかなか思うようにはなっていないというのが実情でございます。
#96
○柏原ヤス君 いままで調査をなさっていると思いますが、この輸入品価格の低下がどんな実態を示しておりますでしょうか。
#97
○国務大臣(木村俊夫君) 理論的には、いま申し上げました輸入品の価格低下の幅がこれからどう一体現実に末端に結びついていくか、いろいろ段階がございます。
 まず、第一に申し上げなければならぬのは、せっかく円の切り上げがあったにかかわらず、もう輸出をする国の国際価格が引き上げられておるという面が、たとえばOPECの石油製品価格値上げ、あるいは最近の国際粗糖相場も上がっておりますから、せっかく円切り上げをしましても、わが国に入るときに、もう輸入価格が上がっているという面が、まず、ございます。それから、そういうことでなくて、いよいよ入ってきましても、まず第一に障害になるのが、これはあまり多くないと思いますが、いままでに、もうすでに輸入しておるストックが相当にある。そのストックについてはその円切り上げの効果は及ぼさないという取り扱い業者もありましょうし、また、一番多いのは、やはり、何と申しましても、輸入が総代理店で一つの寡占体制をしいておるということから、そういう総代理店があるために、実際輸入価格が下がらないという面が、第二の面でございます。第三は、私いろいろ考えますと、どうも品物によりましては、いままで消費者の高級品イメージというのがございます。たとえばジョニーウォーカーの黒とか、あるいはパーカーとか、そういうブランドといいますか、一つの商標に着目して、これはもう高いにきまっているというような消費者の安易な考え方がやはり占めております。先ほどもグレープフルーツの例が出ましたが、グレープフルーツがいままで贈答品として高かったゆえに相当に喜ばれた。ところが、実際入って低くなりますと、グレープフルーツを贈ってもしようがないから、むしろ温州ミカンを贈るという傾向があらわれているところを見ますと、消費者の高級品イメージというのは贈答品等ではなかなか払拭できないという面もございましょう。あるいは、いま申し上げた問題以外に、原料で入ってくるものもございます。これはやはり加工段階が二カ月ないし六カ月くらい必要である、そういう期間がたちませんと実際の価格低下のメリットが出てこないというものもございましょう。
 いろいろそういうような、各品目によって差異はございますが、総じて私どもが考えますのは、一番大きな障害は、総代理店契約によるものとか、あるいは、いままで実は人件費その他で、上げたかったけれども上げられなかった、しかし、今回せっかく輸入品が低く入ってきても、値段が安く入ってきたときに、それをちょうどいい機会として下げないのだという消極的な効果をねらう取り扱い業者もあるでございましょう。そういうようないろんな面から、私どもは詳細にこれを追跡調査をいたしまして、公取とも協力いたしまして、こういう各品目にわたって個々に追跡調査をした上で、それにメスを入れるという考えで、いま作業を進めているところでございます。
#98
○柏原ヤス君 そこで、物価対策閣僚協議会で決定した通貨調整に伴う物価対策の強化という項目で、いろいろと決定されたことがこれに出ております。これを調べて見ますと、非常に内容も抽象的でございますので、少しこれを具体的に、どういうふうになさるお考えかをお聞かせいただきたいと思います。この中に、「政府関与物資等についての対策」という中の項目に、輸入小麦について示されております。この輸入小麦は、「政府売渡価格を算定する。」となっておりますが、政府売り渡し価格を現状より下げるのかどうか、それから外国たばこも小売定価について検討を行なうとございますが、この外国製のたばこは現在の小売り定価より安くするのか、この二点をお願いいたします。
#99
○国務大臣(木村俊夫君) いまおあげになりました二つの政府関与物資でございますが、あとの外国製たばこ、これを値下げをすることについては大蔵省とも具体的に検討しております。ただ、これは予算との関係もございまするので、慎重にやっている様子でございます。これはもうはっきり申し上げていいと思いますが、問題は、外国産小麦、この小麦が消費者物価に、パンとかあるいはうどん等に、どの程度の一体効果をもたらし得るようなことができるかという点で、非常に私ども悩んでいるところでございます。正直に申しまして、私ども悩んでおりますのは、かりにそういう外国産の小麦が入ってまいりまして、これが食管会計の中で、これも仮りの話でございますが、数十億円、七十億円くらいに値が低く入ってまいりましても、もともと食管のたてまえとしましては、そういう外国産小麦が高いときでもそこで一応遮断して、国内のそういう製品にいろいろ影響を与えないというのがたてまえでございますから、低く入ってきたからといって、直ちにそれを政府売り渡し価格に影響を与えるということは、食管制度のたてまえからいいますと、そうはなっておりません。しかしながら、よく農林省と話をいたしまして、農林大臣も申し上げておりますとおり、これはやはりそういう輸入品価格の低下のメリットを消費者に還元するという政府の基本的な姿勢をここで示すべきではないか、食管制度のたてまえはたてまえとして、そういう政治姿勢を示すべきではないかということから、強く私ども農林省にお願いいたしまして、政府売り渡し価格を、これはひとつ下げることを検討しよう、ただし、その時期は、いままでのいろんな慣行もございますので、米価審議会で政府売り渡し価格を決定する、麦価を決定する、その場合にひとつ考えましょうということにはなっておりますが、これも仮りの話ですから、そうお聞き願いたいのですが、かりに、七十億円、それを政府売り渡し価格に反映させるとしましても、私どもが食べます、うどんの一ぱいについて、あるいはパン一斤について一体どの程度の引き下げ効果があるかということを試算してみますと、パン一斤については七十数銭、うどん一ぱいについては二十五銭、こういうような引き下げ効果しか生まれてこない。それでは、いままでの商慣行であります、パン一斤であれば五円という段階で値を改定しておりますから、どうも五円の中の七十五銭では一向効果はないではないか、消費者の方々が、なるほど政府関与物資についてもこういう策がとられたということを、実感でお受け取りになるような方法はないものか、ということをいまいろいろ考えて、実は悩んでいる最中でございます。正直のところ、申し上げたわけでございます。
#100
○柏原ヤス君 たばこのほうはいかがですか。
#101
○国務大臣(木村俊夫君) たばこは先ほど申し上げましたが、これはもう下げるようなことで、すでに検討しております。
#102
○柏原ヤス君 時間がございませんので、もう一点お聞きします。
 「民間取扱物資等についての対策」というところに、きめられた品目を対象にして追跡調査をする、そして「極力小売価格に反映させるよう、適切な対策を検討する。」と、こういうふうにございますが、どういう対策を考えていらっしゃるか、この点、お願いいたします。
#103
○国務大臣(木村俊夫君) 円切り上げの効果が末端価格に反映しないということになれば、全く私どもは消費者に申しわけないわけでございますから、そのための追跡調査は責任を持ってひとつやりましょうというので、今回の予算にも計上いたしております。したがって、これは各省の協力がなきゃできません。各省の物価担当官会議を総動員していただきまして、この六十品目について追跡調査をすでに始めておりますが、その過程において、いま、わが国としては、政府としましては、やはりこれは自由経済でございますから、それに対していろいろ直接の干渉をするというわけにはまいりませんけれども、その過程において、もし消費者の利益にそむくような実態があらわれてくれば、その追跡調査の結果を公表する、世論に訴える、また、それに対して公取も含めて強力な行政指導していただく、通産省にもお願いしておりますが、そういうふうなことで、単なる追跡調査でもって足れりとせずに、その追跡調査の結果を、効果を実際の価格面にあらわすような強力な政策措置をとっていきたい、こう考えておるわけでございます。
#104
○柏原ヤス君 時間がございませんので、以上で打ち切ります。ありがとうございました。
#105
○渡辺武君 きょうは、長官がこの委員会で答弁に立たれる最初の日でありますので、私、いろいろ伺いたいこともありますけれども、今後の審議の土台になるような基本的な点について幾つか伺いたいと思います。
 最初に伺いたいのは、いま国民生活上重大な問題になっております消費者物価値上がりのおもな原因、これをどのように見ていらっしゃるか、それをお聞かせいただきたいと思います。
#106
○国務大臣(木村俊夫君) 最も大きくお答えすれば、これはやはり、ここ数年、特に数年間における急激な経済成長、高度成長がその大きな原因であろうと思います。したがいまして、それがわが国の経済構造に非常に著しい変化を来たし、それがまた、わが国の産業構造の中にあります二重構造、すなわち生産性の低い部門に波及いたしまして――これは社会的に見ますと、私は一つのメリットだと思いますが、そういう生産性の低い部門の賃金の平準化というものをもたらした。それが価格に転嫁されて消費者物価の引き上げに通じた、これがまず一番その中では大きい原因であろうと、こう考えます。その他、流通段階における近代化あるいは合理化のおくれ、これは、もとより政府の政策の手おくれもございます。また、社会資本のおくれ、こういうものが、総括的に言いまして、いまの消費者物価の上昇につながっておる、こういう判断をしておるわけでございます。
#107
○渡辺武君 従来の政府の立場は、いまもおっしゃったような、いわゆる構造的要因、これを非常に強調されておりましたが、同時に、需給関係ということも強調されておったと思うのですね。その点については、どうお考えですか。
#108
○国務大臣(木村俊夫君) やはり、物価全体から見ますと、総需要というものがその大きな原因になっておることはもちろんでございますが、その総需要にいたしましても、財政あるいは金融問題と、いろいろこれが関連を持ってまいりますし、そのときどきに応じて総需要対策はそう大きな政策的失敗をおかしてはいないと私は思いますが、いずれにいたしましても、そういう面からの経済成長の急激かつ高度の成長というものが一番大きな規模で物価上昇につながっておる、私はこういう判断をしておるわけでございます。
#109
○渡辺武君 おととしあたり、カラーテレビの二重価格の問題が大きな問題になりました。それに関連して、消費者運動も発展いたしましたし、国会の中でも、大企業の、われわれのことばで言えば独占価格、政府のことばで言えば生産性の高くなっている企業ですね。生産性が高まっているにもかかわらず製品の価格が下がらない、この独占価格の問題についてはどのようにお考えですか。
#110
○国務大臣(木村俊夫君) そういう管理価格と申しますか、大企業の生産する製品の価格は、いま申し上げましたような生産性はわりあい向上しておる、むしろ非常に上昇しておる部門でございますから、大きな価格の上昇はないとしても、消極的に、それが当然引き下げるべき価格が引き下げられていない、下方硬直性と申しますか、そういう現象が出ております。したがいまして、そういう管理価格についてはいろいろいま実態を究明しておるところでございますが、ビールにしましても、あるいはいま御指摘のような寡占体制がございます。これは、独占禁止法にひっかかるような面は公取委員会で厳重に監視、指導いたしますが、それでない、やみ価格でもない、やみカルテルでもない、しかしながら、実際の現実の寡占体制があるために下方硬直性のあるものがございます。そういうものについては、オーソドックスないままでの独禁政策ではなかなか処理できないという面もあらわれておると思います。そういう面については、公取委員会とも私どもいま検討を始めておりますが、現在の独占禁止法で、はたして十分かどうかという面も含めて、私ども今後十分実態を究明しつつ検討していきたい、こう考えておるわけでございます。
#111
○渡辺武君 いまおっしゃったところが消費者物価値上がりのおもな原因であるというふうにお考えになっているというふうに判断してよろしゅうございますか。
#112
○国務大臣(木村俊夫君) 私は決してそうは思っておりません。消費者物価のやはり大きな原因は、先ほど申し上げました、大きく言っては経済成長、高成長、それから低生産性部門、すなわち、農業、中小企業、サービス部門、そういうものが賃金の平準化をもたらし、それが価格に転嫁されて、ただいまの日本の特色である消費者物価の高騰を来たしている、こう考えますが、また面、いま御指摘のような管理価格の存在によって、もっと下がるべきものが下がらない、生産性と比較しまして。そういう面は消極的に物価安定効果を阻害している、こういうことは十分言えると思います。
#113
○渡辺武君 長官の財政報告あるいは総理大臣の所信表明演説の中で、インフレーションの問題については一言もお触れになっていらっしゃらないのですけれども、私は、現在の消費者物価の値上がりですね、これは、日本にインフレーションが高進しつつあるということをはっきり示していることじゃないかと思いますが、インフレーションについてはどのようにお考えでしょうか。
#114
○国務大臣(木村俊夫君) インフレーションということば自体の定義がいろいろございます。したがって、私どもは、いまの日本の消費者物価の騰貴というものは、これはあながちインフレ的現象ではない。したがって、私どもは不況下におりますが、また需給、キャップも非常に大きいものがございます。そういう中で、インフレーションというものを、いままでの定義によるインフレーションがあると見るべきかどうか、これはいろいろ経済学者も意見が分かれております。私ども、少なくとも、たとえばいまの供給面の過剰というもの、これは、どうもいままでの定義によるインフレではない。しかも、金融は、御承知のとおり、超緩慢でございます。こういう面で、どうも、インフレということは、いままでの定義から言うと、ちょっと当たらぬじゃないか、こう考えますが、しかし、消費者物価が今後まだまだ上がるであろうというような消費者のいわゆるインフレマインドという点から見ると、これはまた一つのインフレ現象であろう、これはインフレーションの定義のいかんによっていろいろ考えられるであろう、こう考えております。
#115
○渡辺武君 勉強のためにお聞かせいただきたいのですが、いままでの定義によるインフレーションというのは、どういうことなんでございましょうか。
#116
○国務大臣(木村俊夫君) まず、常識的に考えますと、非常に物の生産が不足をいたしまして、貨幣価値が下落する、金融も非常に梗塞する、こういうのがいままでのインフレーションの定義における一つの現象ではないかと、こう考えております。
#117
○渡辺武君 以上で、物価上昇の原因を幾つか伺ったわけですが、そういう視点を踏まえて、物価対策としてはどういうことをお考えなすっていらっしゃるか。
#118
○国務大臣(木村俊夫君) これは、いまの消費者物価騰貴の原因を先ほど申し上げましたが、それに対応する政策をとるということが根本でございます。したがいまして、私はよく申し上げますが、やはりこれには対症療法的な政策も必要であり、また、内科的と申しますか、その根因にさかのぼって、これを長期的に見て、構造対策その他をとるととも必要である。こういうような長期、短期の政策措置をあわせていかなければならぬと思います。したがって、いままでのような急激かつ高度の経済成長は、もはやもう考えられるべきではないし、おそらくそういうことはあり得ない、そういうような安定成長の中における物価の安定政策は何かということになれば、当然、いままでもとってきたように、構造対策、低生産性部門における構造対策を社会資本の充実という面でとらえ、これを強化することも一つでありましょうし、また、先ほどから問題になっておりますような、わが国の国際経済情勢といいますか、の中に置かれておるわが国の地位、すなわち、円切り上げ、あるいは輸入自由化等の、そういう国際的な価格の低下をわが国の消費者の物価に還元するというような当面の対策もございましょう。いろんな、そういう長期、短期の政策を社会資本の充実という面とあわせてこれをやっていくということが――私はいつも申しますが、奇手妙手はないので、やはりそういう政策を着実にやっていくことが物価安定につながるものであると、こういうような考えで今後努力してまいりたい、こう考えるわけでございます。
#119
○渡辺武君 従来のような高度成長はおそらくなかろうという御意見でございますが、そのように判断されている基礎が一体どこにあるのか、従来も、安定成長にしなきゃならぬということは何回も私どもは政府の答弁として伺っているわけですね、従来は。その言明にもかかわらず、高度成長がずっと続いておりました。いま長官が、おそらく今後は従来のような安定成長はあるまいというふうにおっしゃられたのは、政府の政策よろしきを得ての効果と考えていらっしゃるのか、それとも、また、別の要因によってそういうことになるのか、その辺を伺いたいと思います。
#120
○国務大臣(木村俊夫君) まず、政府自身の政策転換によるものが第一点でございましょう。また、これは、すでに私ども日本が、わが国が当面しております外部的、海外における制約、われわれが経済成長を従前どおり高度に保っていこうとしましても、それをはばむ要因がすでに国際環境に生まれておりますので、いままでのようなことは、やろうとしてもできない。また、わが国の当然とるべき政策の転換、そういう面からも、結果として高度成長はもうあり得ないというような判断でございまして、いままで来た道を歩めばまた高度成長に戻るのではないかということも、私はある部分は真実ではございますが、もうすでにわれわれの置かれておる対外環境、国際環境が、そういう意図を、主観的な意図をあえてしても、そういうことを許さないような国際環境にすでになっておるのではないかと、この両面から申し上げたわけでございます。しかしながら、あくまで私どもは、そういう国際環境から客観的にそういうものを考えるのでなしに、わが国のこれからの経済政策の転換というものを自主的に主体的に考えて、その結果として安定成長の道をいかなければならぬ、そういう点に重点を置きたいと考えております。
#121
○渡辺武君 どうも、われわれが見ていますとね、安定成長にしなきゃならぬ、ならぬのだと言っておったけれども、安定成長にするような措置は、いままで何一つ政府としてはやってこられなかったんじゃないかというふうに思うんですね。ところが、このおととしからの不況、それからまた、円切り上げ、これで不況が一そう深刻化するというような状況で、それに、長官自身もおっしゃっておられるように、国際経済情勢その他の要因が結びついて、今後従来のような高度成長はどうもちょっとむずかしかろうというようなことに来ているんじゃないかと思うのですね。そうでしょう。いままで安定成長のためにどのような政策をとってこられたか、伺いたいと思います。
#122
○国務大臣(木村俊夫君) 確かに、御指摘のような外部からのショックというものが非常に政策転換を早からしめたということは否定できないと思います。しかしながら、もうすでに、わが国の国内的な社会的情勢と申しますか、一つの社会的緊張と言ってもいいと思いますが、そういうものが、もう政府のそういう政策を転換させる――国民の価値観の変化とか、そういうものを含めて、その時期に到達しておりました上に、いままでそのような政策の転換をあわせてしょうとしてもとり得なかった一つの壁、すなわち国際収支という面が大きくこれをはばんでおった、これは事実であろうと思います、したがって、国際収支が、もう外貨準備百六十五億ドルになんなんとするこの国際収支のゆとりというものが、今後わが国がそういう意味で政策転換を現実にやり得るような可能性を提供した、そのように私どもは考えておるわけでございます。
#123
○渡辺武君 どうもよく理解できないんですがね。従来の日本経済が国際収支の天井が低い、だから、やりたくないけれども、金融引き締めをやって、外貨が不足してくると経済の成長をブレーキをかけざるを得ないというようなのが、従来のパターンだったと思うのですね。それが、去年あたりから、にわかに外貨がずっとふえてきて、国際収支の天井が高くなったということ、高くなったということを言っているわけですね。そうしますと、いま長官がおっしゃったこととは逆なことじゃないですか。それをひとつ伺いたいのです。
 それと、もう一つ、具体的に、政府がいわゆる安定成長のためにどのような政策をとってこられたのか、政府の政策を伺いたい。
#124
○国務大臣(木村俊夫君) 従来、安定成長というものに対する対策、これは当然努力してまいりました。あるいは財政金融政策、金融の面でも、公定歩合の引き上げその他いろいろの政策をとってきましたが、いま申し上げたとおり、やはりある程度まで社会資本の充実その他財政政策を思い切った転換をさせようとすれば、そこに国際収支の赤字が露出いたしまして、その壁にぶつかるというのが、いままでの日本の置かれた実際の経済であったと思います。ところが、それが、これは単に日本だけでなしに、国際経済環境が、アメリカのインフレ的傾向とか、いろいろなものも含めて、いろいろ変わってきたために、いま、そこにいろいろショックも外部から加わりまして、経済政策の転換が非常にやりやすくなったというような面で、これから今度は主体的にそういう面を強調してやり得る経済成長の安定化というものをはかっていく、こういう段階に到達したと、このように考えておるわけでございます。
#125
○渡辺武君 どうも政府の政策が具体的に御答弁に出てこないですね。おそらく、なかったんだろうというふうに判断せざるを得ないような状況ですな。その辺ももっといろいろ伺いたいんですが、時間の関係がありますので、一、二もう少し具体的な問題を伺ってみたいと思うのです。
 特に公共料金の引き上げが大きな問題になっておりますが、ここに私、総理府の編集した「時の動き」という政府の宣伝パンフレットを持ってまいりました。これは三月一日号です。ここで長官が土屋清さんと対談をしておられる。「公共料金と物価」という対談をしておられるのですが、この中で、長官は、公共料金の問題について、私ども公共料金値上げに反対する立場の者からすれば、全くこれは聞き捨てならないようなことをいろいろおっしゃっておられる。たとえば、公共料金のストップというのは、これは繁急対策としてはいいんだと、しかし長く続けるべきじゃない、長く続けると、ほかの物価が上がっている状況のもとでは、ひずみを生んで、そうして公共サービスを低下させる、むしろかえって国民福祉を阻害するんだというようなことを言っておられる。あるいはまた、受益者負担は当然のことだ――そのようにはっきりは言明しておられませんけれども、そうとしか受け取れないような表現でおっしゃっておられる。さらにまた、国鉄労働者十一万人首切りなども、それからまた赤字ローカル線の整理など、いわゆる国鉄合理化などは、これは極限までやらなければならぬというようなこともおっしゃっておられる。これは私ども非常に重大なことだと思うんですね。
 いままで国鉄運賃の値上げが問題になったときに、私の記憶ですと、三人の経済企画庁長官がこれに関係しておられました。私の記憶ですと、菅野さんが企画庁長官をやっておられたころ、このときの経済企画庁の立場は、国鉄運賃の値上げはやるべきでない、国鉄運賃というのは公共企業であるから政府が必要な金は出資なりあるいはまた融資なりすべきだというような立場をはっきりと出されておられて、菅野長官は最初はその立場に立っておられたが、最後に閣僚会議などで、いわばねじ伏せられたというような状況が見えました。これは、菅野長官御自身の答弁の中でも、その辺はほの見えたわけであります。その次に佐藤さんが経済企画庁長官をやられました。佐藤さんは、口では公共料金は極力値上がりを抑制すべきだとおっしゃっておられたけれども、国鉄運賃値上げが問題になるときには、むしろ経済企画庁が先頭に立って、そうして他の官庁を説得するということで国鉄運賃の値上げを推進された。この二人の長官に比べて、私は、木村長官がこのパンフレットの中でとっておられる立場、最もこれは悪い立場だと思います。物価を抑制することが私は一番大事な任務だと思う経済企画庁の長官が、むしろ国鉄運賃の値上げを積極的に、いわば推進しよう、むしろ、その理論化を盛んにやっておられる、これは最悪の長官じゃないかというふうに思います。で、この公共料金値上げについて、ひとつ長官のお考えをお聞かせいただきたいと思う。一体、ほんとうに国民生活を考えて公共料金抑制の立場に立っておられるのか、それともまた、公共料金を値上げするのはもう当然だという立場に立っておられるのか、その点、伺いたいと思います。
#126
○国務大臣(木村俊夫君) いま御指摘になりましたそのパンフレットではなしに、私は、責任ある国会の本会議場で、経済演説の中で同じことを言っております。したがいまして、公共料金というものは、これは上げないで済めばまことにこれにこしたことはございません。また、これを極力抑制するという政府の態度も、これは変わっておりません。ただ、御承知のとおり、やはり公共料金も経済活動という全体の中の価格体系の一つをなすものでございますから、これを長期固定化いたしますと、やはりそこにひずみが出てきて、たとえば、やりたいこともやれず、そこに公共サービスというものが質的に低下しましたり、量的に不足しましたりすることは、やはりこれは経済現象としてやむを得ない。したがいまして、たとえばこういう交通料金を――いま、ずいぶんいろいろ論議されておりますが、純粋の公共財と見ますと、これは無償でいいと思います。全部ただでお乗せする、こういうことがはたして国鉄において実行可能かということも、これは判断できることでございますし、公共料金は、やはり何といっても、交通運賃におきましても、これは、歩道とか一般の道路とか、こういう純粋の公共財は別としまして、やはり、国鉄とか公共バスとか、そういうものについても、これは受益者負担というものが原則であるということは、もう私ども政府でなしに、一般の経済学をやっておられる学者も、すでに定説として、なしておられるところでございます。
 ただ、問題は、その中で一番大事なことは、公共料金を極力抑制するが、それがむしろかえって国民の福祉にサービスの低下となってあらわれてきてはいけないから、それを何とかしなければいかぬというときに一番大事なことは、その企業自体の合理化努力、これをないがしろにして、たとえばいまおっしゃったような諸点をないがしろにして、安易に公共料金を改定することは、これは、世論も国民感情も私は許さないと思う。したがいまして、国鉄自身の合理化努力、私どもが外部から言うまでもなしに、国鉄自身がやるべきことである、こう考えますが、と同時に、次に必要なのは、やはり受益者負担とは言いながら、何といっても公共財に近いそういうものであれば、一般の納税者の負担にはなりますが、やはり財政援助、財政措置というものを、これを強化しなければならない。財政事情の許す限り、これは強化するということは、当然政府の考えなければならぬ点である。したがいまして、先般の予算折衝におきましても、前回、前々回の国鉄運賃の改定に比べますと、格段の予算措置をお願いして、千百億を上回る財政措置も、これは獲得したわけでございます。そういうような政府の財政措置を極力やりながら、なお公共料金は上げなければならぬとなれば、これはやはり受益者負担という点で応分の負担をお願いしなければならぬというのが、国鉄運賃の今回の改定の私どもの立場でございます。そういう意味で、どうかひとつ御了承いただきたいと思います。もちろん、公共料金は今後も抑制するという態度は、ごうも変わりございませんし、また、そういう面で政府がこれからやることは、いままでどうもそういう面における政府の財政措置が足りなかった、不十分であったという考えは、私自身が、個人的にせよ持っておりますから、こういう面ももう少し強化しなければならぬということは、この機会に、私の気持ちとして、信念として申し上げておきたい、こう考えております。
#127
○渡辺武君 公共料金は極力抑制しなければならぬと考えておると言いながら、公共料金値上げストップは、これは緊急対策としてはいいけれども長期にわたってはいかぬとか、これは全く矛盾した立場ですね。どだいおかしいじゃないですか。物価対策を、これをやるべき経済企画庁が、公共料金の抑制をすると、ほかの物価が値上がりしている状態のもとでは、これはもう公共サービスの低下につながっていくのだと。だったら、ですよ、公共料金の値上げをストップしておいて、何で、ほかの物価をさらにそこから進んで押えようとしないのですか。そうやって初めて物価対策というものが立っていくのですよ。それを、公共料金ストップして、ほかの物価を押えようとしない。これは、いまの物価の値上がりの状態では、公共企業に赤字が出てくるのは、これは当然のことです。あなた方は、物価を押えるという見地に立たないで、物価を上げるのをどうして合理化するかという見地に立っている。私は、この公共料金政策の中に、はっきりとその点があらわれていると思うのです。
 まあ、きょうは時間がないので、なおその点について詳しい質疑はできませんけれども、その公共料金の問題についてあわせて伺いたいのは、物価安定政策会議の第三調査部会が公共料金についての提言の案をつくったそうであります。これは、二月七日の日本経済新聞にその詳しい内容が、ほとんど全文だと思いますが、出ております。この内容も、私ども全くこれは聞き捨てにならないようなことばっかりが出ているわけでありまして、たとえば、交通事業の運営に必要なコストは利用者が負担することを原則としなければならぬというようなことが書いてありますし、それから、交通料金は単に公共料金という理由だけでいたずらに抑制されるべきではないというようなことが強調されておりますし、それからまた、通勤通学定期などのいわゆる割引運賃制度、これは是正すべきである、そのまま維持することは適当でないというようなことが書いてありますし、公共料金についての許認可制度、これは再検討せよというようなことが書いてありますし、それからまた、国鉄は独立採算を前提にせよというようなことも書いてありますし、これは全くひどい内容だと思うのですね。先ほどもこの物価安定政策会議についての資料の要求がありましたけれども、その詳しい内容を資料として御提出いただきたいと思います。この委員会でも、ぜひこれは討議しなければならぬと思います。
#128
○政府委員(宮崎仁君) いまお示しの新聞記事でございますが、これは確かに、第三調査部会におきまして、専門委員会において現在公共料金の問題を検討中の、その素案が出たわけでございます。その後だいぶ議論が進みまして、いま新聞に出ておるものとはだいぶ違った形に、すでになっておりますが、おそらく今月末か、あるいは来月ぐらいに調査部会が開かれて、そして御提言がいただけるものと、こういうふうに考えております。提言がいただけましたならば資料として提出いたしますが、まだ素案の段階でございますので、固まっておらない、こういうことでございます。
#129
○渡辺武君 そういうことじゃ困るのですよ。国会や国民の目から全く離れたところで、いわば密室でもってこんなことを討議している。物価問題なんというものは国民全体が関心を持っている問題です。当然、これはもう最初の段階から国会でも論議をし、国民の間の意見も聞くというようなことでやっていってもらわなければ、公正な物価政策なんというものは出てこないのですよ。先ほど長官は、学者その他の間で、もうすでに受益者負担は当然だという意見があると言うけれども、それは、政府が目をつけて拾い出した学者はそういう意見を出すでしょう。しかし、学者だってたくさんありますよ。そんな立場をとっていない学者がたくさんありますよ。そういうようなやり方じゃ困るのです。少なくとも、案として新聞にこの資料が流れて、こうやってちゃんと出ているのです。何で委員会に提出できないのですか。いままでの全資料を私は提出していただきたいと思います。重ねてお願いします。
#130
○政府委員(宮崎仁君) 先ほど御要求もございましたので、物価安定政策会議に関する資料は提出いたします。いまのものは、まだ案の段階で、決定になっておりませんので、決定になり次第、提出をいたします。
#131
○渡辺武君 時間がないので、御要望と、それから質問と兼ねて、一言申し上げたいと思います。
 まだ固まっていないというけれども、こうやって新聞に出ているのだから、案でもいいから、ひとつ出してほしいと思うんですよ。
 それからもう一つは、これは長官に伺いたいのですが、先ほど、従来のような意味でのインフレと思わないというふうにおっしゃいましたが、インフレの規定その他は別として、従来の政府及び日本銀行の通貨信用政策、この点については、銀行のオーバーローンをささえたり、あるいはまた、企業のオーバーボローイングの条件をつくったりというようなことに、むしろ問題があると思うのです。全然問題がないとは私は言い切れないと思うのです。これがやはり現在の通貨価値の低下、消費者物値上がりの一つの大きな原因になったのじゃないかと思う。それからまた、政府の財政政策、赤字公債を発行して、結局のところは日本銀行がこれを買い入れるというような形になって、新たな不換銀行券の増発が行なわれるということが、いま行なわれているわけです。それに加えて、外貨が急速に流入して、昨年一年間だけで外為会計の払い超が四兆四千億円にもなったというような状態になっている。西ドイツあたりで典型的にあらわれたいわゆる外貨インフレというようなものが、すでに現実にこの日本で進行しておると見なければならぬような事態があるわけです。このような通貨信用政策、財政政策、あるいはまた外貨流入に対する対策、物価政策としてどのような政策をお持ちなのか、これを伺いたい。
#132
○国務大臣(木村俊夫君) もちろん、総合的な物価対策の中で財政金融政策の占める地位は決して小さくはございません。そういう意味において、いま赤字公債という名前をおつけになりましたが、私どもの考えております公債政策は、これはまあ現時点の景気回復のためにはやむを得ない措置であろう、こういう考えでやっておるわけでございますし、また、そうでなければ、先ごろからいろいろ御指摘のありましたような流入対策、あるいは社会資本の充実その他の効果も期し得られませんので、そういう意味でそういう財政金融政策をとっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、従来とってきた財政金融政策は、これは転換しなければならぬということは、もう当然でございます。これが、物価対策の中で財政金融政策の占める地位というものは、これはおそらく増すとも減らないと思います。そういう面で、十分財政金融政策とも関連を持ちながら物価対策を推進していきたい、こう考えておるわけでございます。
#133
○渡辺武君 いまの資料提出、どうですか。固まっていない案の段階でいいですから、出してください。
#134
○政府委員(宮崎仁君) 先ほど申しましたように、これは物価安定政策会議の運営の仕組みをちょっと申し上げないとわからないと思いますが、専門委員会と申しますのは、外部の学者の方方を委嘱してあるわけでございまして、報告の起草等もすべて専門委員会の責任において行なわれておりまして、事務当局は直接タッチしておりません。そういうことでございますので、未決定のものを資料として差し上げるというわけには、ちょっと国会の権威ということから考えましてもどうかと思いますので、間もなくまとまりますから、その際に提出したいと、こう思います。
#135
○森中守義君 畜産局長、見えましたね。実は、例の中国食肉輸入の問題で、できるだけ早く連合審査を開いて、もう少し、総理なども来てもらって、やろうと思っている。ですから、きょうは主として資料をお願いすることと、それに先立って二、三問だけお尋ねしておきます。
 食肉の場合ですね、農業基本法の八条の規定に該当するのですか。つまり「重要な農産物」ということがある。その「重要な農産物」に食肉は該当するかどうか。
#136
○政府委員(増田久君) 当然含まれるわけでございます。
#137
○森中守義君 そうだとしますと、八条並びに九条、これに伴って、長期の見通しを立てなくちゃならぬ。むろん、これは農政審議会の重要な議題ですね。それで、一番新しい農産物の長期見通し、並びに、改定をされる必要があったならば――当然改定がされるわけですが、改定された長期見通し、これはどうなっておりますか。
#138
○政府委員(増田久君) 私のほうでは、四十三年の十二月二十二日の閣議決定におきまして、その基本法に基づく長期見通し計画を実はつくっておるわけでございます。それで、引き続きまして昨年度、御存じだと思いますが、米の生産調整との関連におきまして地域分担計画というものをつくりました。その際に、全ナショナルベースの需要をどう見るか、生産をどう見るかというのを押えたわけでございますが、その際、米については若干の訂正を行ないましたけれども、食肉につきましては、四十三年の計画をそのまま踏襲いたしておるわけでございます。なお、しかしながら、いま、御存じのとおり、経済の基調は全体が変わってまいっております。それから、食肉につきまして、われわれの予想していないような需要の伸長というものが現実にありました。そういうことで、われわれは、経済社会発展計画の改定が経済企画庁において行なわれるわけでございますので、そういうものの計画の改定を待ちまして、これは基本的にもう一度洗い直してみたいというふうに思っているわけでございます。したがって、現在では、四十三年に決定されました長期計画をそのまま持って、それによって行なわれるというのが現状でございます。
#139
○森中守義君 局長、それが問題なんです。まあしかし、その議論は次回にしましよう。
 それで、四十三年決定の長期需給見通し、これ、この次の委員会に出してください。
 それから、WHO、それからFAO、OIE、この三国際機関で、台湾追放、中国招請が決定をされた。OIEは今度やった。そこで、WHO並びにFAOは何年何月この決定を行なったのか、日本は賛成であったか、反対であったか、棄権であったか、これは資料で出してください。それと、信藤さん見えてるね。あなたが今度のOIEに行かれたわけだね。で、OIEでどういう決定をされたか、日本は賛否いずれに回ったのか、棄権をしたのか、賛否の票数など、この次、資料として出していただきます。
 それから、食肉の実際的な需給計画ですね。これはまあ、四十三年の大綱はできているようですね。これの国内の肉牛の生産の推移五年間、それから需要の推移、価格の推移、輸出輸入並びにその価格の推移、これを表にして出してもらいたい。
 それからWHO、FAO、OIE、この三機関の、中国に口蹄疫ありという、どういう状態でこの三機関が把握をしたのか、それと、日本は、口蹄疫の疑いあり、もしくは存在をする、いかなる根拠に基づいて施行令の中に汚染地域としてそのことを規定したのか、その根拠。
 それから、家伝法の施行規則が昨年改正されましたね、新旧両方出してください。特にその中で、汚染国名がずっと列記されている、その付表を出してもらいたい。
 それから、坂田農林大臣の当時に一たん中国食肉の輸入の決定が行なわれ、その後、大臣の更迭によって、一月足らない間に方針が変わった。ついては、坂田農林大臣がこれを可とした決裁文書、その写しを出してもらいたい。
 それから、昨年の二月二十六日、中国のポークハムが神戸に陸揚げされようとし、差しとめた事件がありましたね、この経緯及びてんまつ。
 それから、地方自治体が中国食肉の輸入実現の決議をして、その意見書を政府に出してるはずです。全国で七つか八つありますよ。その意見書の写し、都道府県別にですね。
 それから、学校給食に際して文部省が指定をしている、子供一人当たりに対して食肉の提供の量並びに給食単価。
 それから、国際的な肉資源の現況。これは、口蹄疫等の汚染国並びに輸入がよろしいという国ですね、その別に、どの国からはどの程度輸入できるであろうかと、まあそういう国際的な規模から輸出輸入の現況を把握してもらったものを出していただきたいと思います。
 これだけの資料を次の委員会までに、ぜひそろえていただけませんか。
 それからもう一つ、三十一年、四十年、四十一年、調査団が行っておりますね。その調査報告書というものがあるはずですから、三調査団の調査報告書、これは大綱じゃ困ります、全部。
 ちょっと委員長、それだけ出してもらえるかどうか、問うてください。
#140
○委員長(長屋茂君) 増田畜産局長、ただいまの森中委員の資料要求に答えてください。
#141
○政府委員(増田久君) いま項目で十二御要求があったと思います。その大部分についてはお出しできるものと思っております。ただ、WHOとFAOの関係ですか、これは実は私どもの所管ではないし、獣疫関係ともこの問題は直接的には関係ございません、口蹄疫問題につきましては。OIEだけでございます、われわれの関係を持つのは。そういうことは調査してお出しいたしますけれども、その点、お含み置きいただきたいと思います。ただし、FAOあたりでは食肉需給見通しはやっておりますけれども、その関係の資料はお出しできると思います。
 それから、去年の坂田さんのときの決裁云々ということは巷間言われておるわけでございますけれども、そういう決裁文はございませんので、御了解願いたいと思っております。
#142
○森中守義君 それはしかし、もうすでに天下公知の事実で、それが出せないというのはちょっとおかしいですよ、それは。すでにこれは農林省の省議できめて、きちんときまったものですよ。どうして出せないのですか、その文書が。そんなことを言うから問題だよ。しかし、それは見なくても私知っているから、実物を突きつけて、ではこの次、やってみよう。だめだ、そんなことでは。これは、木村長官、農林省の所管で、直接あなたに関係ないけれども、さっき渡辺君の意見もありましたが、国会に求められて資料を出さないということはありませんよ。最近の傾向は非常にそういうあれが強い。国政調査の場はここ以外にないじゃないですか。だから、これは、作業の過程であろうと、出したら困るということであっても、そういうものが明らかに出ないと審議できないじゃないですか。何もこの委員会に法案がかかっていないから適当に言っておけばいいというものじゃありませんよ。むしろ、こういう物価等は政府にとっても各政党にとっても非常に重大な問題ですよ。だから、これはひとつ、閣議なんかの際にも一ぺんあなたから特に発言を求めて、要求があったものは出そうとやっておいてくださいよ。困るじゃありませんか。そうでないと、この委員会はなるほど法案はないけれども、ほかの委員会に波及しますよ。これは十分心得てもらわなければ困ります。だから、畜産局長、いまの大臣の決裁文書はあるはずだから、公式に出しなさいよ。帰って赤城さんに相談してごらんなさい。そういう姿勢をとるから中国の口蹄疫は片づかぬ。役人がとめているんじゃないですか、これを。食肉の価格は下がりませんよ。だから、そういう意味で特にこういうものが必要なんです。むろん、政治的に非常に重要です。一人の大臣が所管大臣として決定したことを、大臣がかわって二、三週間の間に方針が変わるなどという、ばかな話はありません。出してください、これは。
 そこで、きょうはひとつ、この程度にとどめておきましょう。資料だけ出してください。
 それと、委員長、この前私どもの理事さんには特にお願いしておきましたが、できるだけ早い機会に連合審査を……。それが一つと、きょうは、いかなる理由であったのか、長官の出席その他閣僚の予算委員会への出席の関係等があったでしょうが、この委員会ではあまり時間の制限をなさらないように。大ワクとしてはけっこうです。みんな時間がない時間がないというわけで、中途はんぱで終わってしまっている。これはひとつ、委員長理事打ち合わせ会で、そのようなことがないように御配慮をいただきたいと思います。
#143
○委員長(長屋茂君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#144
○委員長(長屋茂君) 速記を始めて。
 両件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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