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1947/08/01 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第3号
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1947/08/01 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第3号

#1
第001回国会 厚生委員会 第3号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價格撤廃に関する陳情(第
 二号
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
○兒童の福祉増進に関する法令制定の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廰職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死戰災遺家族並びに傷病者の更正
 に関する陳情(第五十号)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改正するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○傳染病予防法等の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○保健所法を改正する法律案(内閣送
 付)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青少年禁酒法案(小杉イ子君発議)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月一日(金曜日)
   午前十一時二十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○保健所法を改正する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) ではこれより開会いたします。今日は日程の中の主として保健所法に関します質疑を行います。前囘に中山委員から保健所のことについてもう少し詳細に説明を聞きたいという御発議がありましたので、この機会に三木政府委員からお話しを伺うことにいたします。
#3
○政府委員(三木行治君) 保健所法を御審議を頂きますに当りまして保健所に関する若干の説明をしろという御命令でございますので、私から保健所の改革及び現状並びに今囘の保健所法改正を必要といたしましたる客観的情勢その他につきまして、若干の御説明をいたしたいと存じます。
 保健所は昭和十二年に制定せられました保健所法に基きまして國民の本位を向上せしむるために、地方において保健上必要なる指導をなす機関として創設せられたのであります。その業務といたしましては、衞生思想の涵養、栄養の改善及び飲食の衞生、衣服、住宅その他の環境衞生、妊産婦及び乳幼兒の衞生、疾病の予防その他健康の増進に関する事項というものが業務でございます。これは各都道府縣及び勅令によつて定められましたる市、即ち横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の五市が設置地帯であります。國はこれらに対しまして創設費に対しては二分の一、経常費に対しては三分の一の補助をいたしておるわけでございます。
 その運営でありますが、運営に当りましては、先ず創立せられました当時におきましては即ち昭和十二年保健所が創立せられました当時におきましては、従來我が國において行われておりましたところの衞生警察、つまり警察が主体となつておりましたところの衞生行政を、これらの取締行政を指導行政に轉換するということを目標といたしまして、納得の行く行政、衞生行政取締にあらざる行政を展開するということを運営の目標といたしたのでありまするが、この戰争の始まりました昭和十九年各種の保健施設を統合いたしまして、その際におきましては、保健國策末端滲透の下部構機として、特に保健指導に関する中核体であるということ及び必要なる範囲において、事実上行政廰たるの機能を発揮せしめるということを目標にいたしたのであります。
 そうして今日に及んでおる次第でありまするがこの具体的な仕事の内容といたしましては、全國六百七十五ヶ所の保健所におきまして、先ずその規模をちよつと申上げまするというと、昭和二十二年度の保健所の経営費國庫補助額は二千八百三十五万五千円これは保健所経営費に対する國庫費の負担額でありまして、即ち経常費の三分の一額が二千八百三十五万五千円に相当するわけであります。保健所一ヶ所当りの経費は保健所がABCの三階級に分れておりましてAクラスにおきましては一ヶ所一年の経常費が十六万円、Bクラスにおきましては十三万円、Cクラスにおきましては八万円、その外全國各都道府縣に一ヶ所ずつの保健婦養成所を附置いたしておりますのでこれらの保健婦養成所が一万五千円、これは四十六ヶ所でございます。これらのAクラスは九十四ヶ所、Bクラスは四百四十二ヶ所、Cクラスは百三十九ヶ所でございます。お手許に差上げました資料の中に、この保健所の定員等が参つておると存ずるのでございますが……参つておりませんければ申上げます。保健所の職員の定員は、保健所一ヶ所の定員は、Aクラスにおきましては、二級技官が二人、三級事務官一人、三級技官が二人、指導員二人、保健婦八人、雇、用人各一人、計十七名、Bクラスにおきましては、二級技官二人、三級事務官一人、三級技官二人、指導員二人、保健婦四人、雇員一、用人一、計十三名、Cクラスにおきましては二級技官一、三級事務官一、三級技官〇指導員〇、保健婦五、雇員用人各一、計九名、從つてこれが全國の総員は二級技官千二百十一名、三級事務官が六百七十五名、三級技官一千七十二名、指導員一千七十二名、保健婦三千二百十五名、雇員六百七十五名、用人六百七十五名、計八千五百九十五名、これが保健所職員の現況でございます。
 これらの保健所におきましては、以上申上げましたよう業務を以上申上げましたような方針に從つて運営いたしておるのでありますが、尚その他に公衆衞生の実施修練、今度医学教育の制度が変りまして、医育機関の卒業者は國家試驗を受驗いたしまするために、必要な公衆衞生の実施修練をやらなければならんのでありますが、それは保健所においてこれを行なつておる。保健婦に対する臨地訓練も同様保健所で行なつておるのであります。尚都道府縣の保健婦養成所も保健所に附置せられております。又学校衞生に対する協力といたしまして、保健所の職員を視学委員等に任命せしめるというような措置を講じて学校衞生との緊密なる連絡を講じております。尚関係機関との連絡といたしましては、医師会に対しましては関係の医師の方々を保健所の嘱託にお願いし或いは保健所の施設、設備を一般の医師の方々に解放利用して頂く、これは法的な根拠があるというのではなく、事実上これをやつておるわけであります。医療團につきましても、医療團の療養施設或いは國立病院國立療養所の施設と緊密なる連絡をとつております。又國民健康保健組合との関係におきましては特に國民健康保健組合の保健施設及び所属の保健婦に対しましては、保健所が技術的な十分なる連関性を以て仕事をやるというようになつておるわけであります。
 そういう次第で今日進んでおるのでございまするが、併しながら今日の國の内外を繞りますところの客観的情勢殊に憲法二十五條の精神に基く、國が健康にして文化的なる最低生活を保障するという建前からいたましてもこれらの公衆衞生機関を大いに拡充強化する必要がどうしてもある。今までのような戰争のために一千万人の命を投出すということが何でもないことであるという時代と全く異つて、一人の人の命を助けるために何でもしなければならんという今日の情勢に当面いたしまして、是非とも公衆衞生機関を拡充強化して行かなければならんということが一つと、それから今日の我が國の一般行政機構の改革に伴いまして警察は警察固有の業務を行うのでありまするが併しながら從來警察でやつておりました衞生の関係はこれを切離すということに相成りましたので、衞生警察に関する部面を、どうしても保健所で吸収することが一番適当であるというような事情更に又連合軍からの指命…お手許に多分資料として参つておると存じまするがそれらのメモラムダムの関係等もございまして、ここに保健所法を改正いたしたいということで提案御審議をお願いする次第に相成つたのであります。
 以上のような客観的情勢の下に保健所法の改正案を得たのでありまするがその保健所法改正の要点は、先づ第一條におきまして從來は地方にあつて國民の体位を向上するということが目標であつたのであります。併しながらこの國民の体位の向上ということは、やはり戰時立法としての嫌いがある、須らく労働力、兵力を育成培養するというような目的でなく眞に國民みずからのための公衆衞生の向上を図るということが必要でございまするので保健所の目的を單的に「公衆衞生の向上及び増進を図るため」に設置するものであるというように保健所の目的を改め、從來の戰時立法的色彩を拂拭いたしたのであります。
 それから保健所といたしましては、申すまでもないことでありまするが、保健衞生の問題につきましては、特に何といたしましても、住民の盛り上る意欲がなければ決して成功するものではないのでありまするからして、当局といたしましては、依然として保健所は保健指導、納得して協力して頂けるという保健指導を第一の重点、最も大きい重点とすることには変りはないのでありまして、それらを從來よりも一層強化いたす必要がございまするので第二條におきましては先づ冒頭に保健所の強化、特に保健指導の強化をここに謳いまして、指導及び必要なるサービスを行う。ここにおきまして第二号第四号、第六号、第八号、第九号等はこれは皆新たに今囘指導事項として掲げた事項でございます。
 次に今回の改正の第三点は、第三條の権限に関する問題であります。この第三條によりまして、保健所は、地方公共團体の長が持つておりまするところの権限の委任を受けて、前條各号に掲げた事務を行うことになつておるのであります。即ちこれは或る意味におきましては、保健所が衞生郡役所としての機能を持つに至つた点でありましてこれは非常に從來よりも変つた点でございます。固より保健所といたしましては指導ということが根幹でございまするからして、これらの権限を持つたためにお役所式にならないように十分に自戒いたしまして、これらの権限は止むことを得ざる場合において取締りの権限はこれを行使する。そうして深切な明るい民主的な役所であるという行き方をするという点につきましてはこれは十分注意しなければならんと考えておるのであります。
 第四の改正の点は、第四條の保健所で治療をやるという点であります。これはいろいろな意見もあるのでございまするがともかく保健所が保健指導をやります、そのために集團檢診等の方法によりまして、公衆衞生の向上及び増進を図る必要があつて各種の指導を行ないまするが、その際集まつて來られた方々の中から疾病のある者を発見いたしました場合は、これを速かに適当なる医療機関に送るべきでありまするが、併し軽易なるもの等につきましては、折角來られた次第でもありまするからして成るべくこれの治療をやつて行く、併しながらその治療というものはあくまでも予防的処置であります保健指導のための処置でございまするからして、その範囲も結核、性病及び歯科疾患ということに限られておるのであります。ただ例外的には地方的に相当に浸延いたしておりまする青森縣のトラコーマのやうな、公衆衞生の増進に必要な特殊な部面におきましてはこの三者以外にも治療をなし得るの途を開いて置こうというのが第四の治療に新らたに加えました点であります。
 次は第五條「保健所は地方における公衆衞生の向上及び増進を図るため必要な試驗及び檢査を行うことができる」これは從來も試驗及び檢査をやつておつたのでありますが、これは医師歯科医師、藥剤師その他のものに施設の利用解放をいたすということをこの明文で決めました。今日医療施設が非常に高いのでありまするが、開業しておられる医家の方々が、十分にこれらの試驗、檢査の施設を利用せられますように、そうして的確なる診断、医療費の軽減のために、お役に立てるようにということで、これを附加えたわけであります。
 次に第六條は、「厚生大臣は、地方における公衆衞生の向上及び増進を図るため必要と認めるときは、第一條の地方公共團体に対し、保健所の設置及び運営に関して必要な事項を命ずることができる」、これは第一條と対應いたしまして、保健所の業務は國家事務であります。そして地方に委任いたしたものでありまして、厚生大臣が公衆衞生の向上及び増進を図るため必要であるという場合には、保健所の運営に関しての必要なる事項を命ずることができるというふうに規定をいたした次第であります。
 その他は大体旧法と同様であります
 以上のような客観的情勢の下に、極極簡單に申上げましたような改正を盛り込みまして、この保健法の改正案を提出いたした次第であります。
#4
○山下義信君 簡單に伺つて置きたいと思うのでありますが、保健所の第二條のお仕事の中に産兒制限などをお扱いになりますかどうか。第二号の「人口動態統計等に関する事項」、これに関聨しまして、産兒制限をお扱いなりまするか、これを伺つて置きたいと思います。
 次に「栄養の改善及び飲食物の衞生に関する事項」、これを御説明でやや了承いたしましたのでございますが、衞生警察行政が大部分こちらの方でおやりになるということでありますが、営業の許可認可、そういつたことも保健所でお扱いになりますかどうか伺いたいのでございます。
 次に公衆便所でございますが、これも保健所で、いわゆる環境衞生というあの事項の中のお仕事としてお取上げになりますかどうか。
 それから第七にございます「母性及び乳幼兒の衞生に関する事項」でございますがこれはどういう程度までお扱いになりますか極極概略でよろしうございますからお示しを願いたい、と思いますのは当局で御研究中と承つております兒童福祉法の中にも妊産婦乳幼兒を扱つておりまするのでそういうものとの区別、お取扱いの仕事の上の区別、これを承つて置きたいと思います
 それから指導のお仕事の中で保健衞生に関しまするいろいろ保護事業がございます。いわゆる施設それらの指導というものも保健所ですることになりますでしようかどうか、伺つて置きたいと思います。
 それから只今仰せになりましたこの第三條の地方公共團体長の保健所に委任いたしまする團体長の職権でございます。これ又概略項目だけでよろしうございますからお示しを願いたい。
 それから衞生に関しまする資材こういうものも保健所でお扱いになりますのでございましようか、どうでございましようか。それは大体このお仕事の上での内容を伺いたいと思いますのでございます。
 その他伺いたいことがございますが他の同僚委員諸君もいろいろ御質問をお持ちのようでございますから、私はそれを伺いましたあとで又伺いたいと思いますが、この機会に私ちよつと伺いたいと思いますことがございます。それは國立病院の患者のことでございます。今朝も新聞に出ておつたことでございますが、私が先だつて逗子へ参りましたら、逗子の駅頭で國立病院の患者が二十人ばかり並んでおりましてそうして同情を求めまして義捐金の募集をいたしておるのでございます。國立病院の患者は言うまでもなく我々として重大なる感心を持たざるを得ませんので、当局におかれましてあの國立病院患者に対しましてどういうふうな御心配をしておいでになりますか、簡單でよろしうございますからお示しを願いたいと存じます。
#5
○政府委員(三木行治君) 産兒制限の問題を保健所で取扱うかどうかという問題でありますが、産兒制限の問題につきましては政府といたしましては只今無害なる産兒制限、妊娠調節の方法、そういうものは國民の自由に委せて置くわけであります。併しながら有害なる避妊器具を用いるということは禁止いたしております。そうして、これは手術等を行うというような場合におきましては、優生法十二條に定むる以外にはやつておらないのであります。そこで、これらの問題につきましては、その方針の下に保健所においてこれを分担して行うのであります。例えば優生手術の決定につきましては優生法におきまして、保健所長の申請によつてこれを行うということも明記してある訳であります。
 次に栄養の問題でありまするが、保健所におきまする栄養の問題は、殊に保健所というものは農村に多くございまするが、農村における栄養は非常に跛行的でありまして、蛋白質が非常に少なく、カロリーが非常に多いにも拘わらず、栄養失調症状を見せるというような点におきまして、栄養指導の必要を痛感いたしております。從いましてこれらに対しましては栄養士を配置いたしまして、強力に栄養行政を進めて行きたいのです。併しながら、それと共に飲食物関係の取締と申しますか、そういう面につきましても、保健所においてこれを行うことにいたしたいと存じております。從いまして営業の許認可事務というものも例えば飲食店或いは料理店というようなものの許認可事務というものも、これを保健所において行うつもりでおるのであります。
 公衆便所につきましても、環境衞生という立場から、保健所においてこれらの事務を所掌いたしたいと考えております。
 それから第七号の妊産婦、乳幼兒の関係及び兒童福祉法案におきまする兒童相談所との関係はどうかというお尋ねでありまするが、兒童福祉法案におきましては、乳幼兒の保健衞生の問題につきましては保健所を利用するということを、この法案に書いてあるのでありまして、兒童相談所におきましては、保健所と緊密なる連絡をいたしまして、兒童問題中保健関係を除く問題について相談をするというような相成つておるのであります。從いまして、乳幼兒の問題につきましては、兒童相談所と保健所と、これが両々相俟つてその問題の解決に遺憾なきを期することができる、かように考えておる次第であります。
 尚、保健所が知事の権限を譲り受けまして、どういう権限を持つか、その内容についてでありまするが、これは実際に各都道府縣によりまして、多少の相違をみると存ずるのでありまするが厚生省といたしましても考えておりまする点は、先ず明治三十三年法律第十五号第一條第一項に規定いたします飲食物、飲食器、割烹具及び其の他の物品にして衞生上危害を生ずるものの販賣受與又は使用の禁止に関する事項、同法第一条第二項に規定いたしまする事項、同法第二条に規定いたしまする事項、次に氷雪営業取締規則第二條の規定、及び氷雪卸賣認可に関する事項、屠場法第六條及び第八條に規定する事項飲食店、旅館等の営業免許に関する件、浴場、理髪業、遊泳場の営業免許に関する件等を概ね考えておる次第であります。
 次に、衞生資材を取扱うかという御質問でありまするが、医藥品につきましては別の配給系統もございますので医藥品を除きます消毒藥でありますとか、或いは鼠族、昆虫驅除の藥材というようなものは、保健所を通じてこれを配給いたしたいと考えておる次第であります。
 以上簡單でございますがお答えといたします。
#6
○井上なつゑ君 只今の三木政府委員からの御説明でございますが、保健所をこれから民主化させるということを承わりまして、非常にうれしく存ずるのでございます。保健所ができました当時から、何となく官僚的で、一般の人人が接しにくい感じを持つておつたのでございますが、今度は非常にうれしく存じておりますのでございます。この民主化をいたしますのに一番大切なものは保健婦ではないかと存ずるのでございます。政府の有難いこの政策を直接家庭の台所に持つて行つて、直結させるものは、保健所に働く保健婦だろうと思いますが、この新らしい法律が出まして、そうして保健所の保健婦を拡張なさいます、教育なさいます、これらの計画があつたら承りたいと存ずるのでございます。新らしい政令が出まして、保健婦、助産婦、看護婦等の教育は昭和二十五、六年頃から変るということでありますが、それまでの間、どういうふうに使令を全うするために教育をなさいますかを承りたいと存じます。
 その次に承りたいのは、現在の保健婦でございますが、この間休会中に地力に行つてみましたところ、或る保健所では、保健婦の現在の俸給が六百円ということを申していました。そうして又或る所では、いろいろと自分たちが本当に自分の身を犠牲にいたしましても、人類愛のために、社会奉仕のために、本当にこうして自分のことを言うことを非常に恥と思つて、これまで勤務して参つたような関係から朝晝の食事を抜きまして一日六百カロリーしか攝つていないということを承りまして、これは保健婦として、衞生指導者として褒むべきことであるかどうか存じません。却つていけないことではないかと思いますが、そうまでして自分の職場を守つております保健婦が沢山おりますことは大変有難く存じましたのでございますが、こういう保健婦の人々のため、現在御当局ではどういうふうにお考えになつておりましようかこういう立派な法律が出ましても、台所と法律、政府を直結させる保健婦が、こういうようなことでございますと、自分の任務が十分果たされないと存じますのでございます。これが一つ。
 それから、それは結局保健婦の身分保障ということになるのじやないかと存じますが、地力に働いております保健婦の身分が保障されないということのために、非常に不安でございまして、自分たちは本当に尊い氣持をもつて働いておりましても、これがために思うように勤務ができないと言つておりますような状態であります。殊に伺いますと、國保関係の保健婦でございますが、現在日本には保健婦が一万六七千くらい働いておりますそうであります。只今の三木局長のお話でございますけれども、保健所関係は三千二百十五名ということでございますが、國保には五千五百九十八名で、約六千名の保健婦が國保関係に働いておりますのでございます。同じこれは厚生省関係ではございますけれども、やはり命令系統と申しましようか、予算の系統と申しましようか、参りますところが二本になつておりますので、お互いに仕事が重複を來しまして、この大切な仕事をいたしますときに、非常に自分たちも困りますし、それを受入れる一般の人々も非常に困るというような状態になつておりますそうでございますその上國保の只今の財政状態からいたしまして、國保に金のないときには止むを得ず自分で自費を出して、五ヶ月も六ヶ月も働いておりました保健婦もございますそうでございますけれども、金がないからして、その場限りで解雇されてしまうものも数あるということを聞いております。昨年以來國保で解雇された者は八百名に上つておりますとか。甚だしいときになりますと本年だけでも、この春から半年間に五十名乃至六十名が、國保にお金がないために、俸給を支拂われないために解雇になつたというようなことを聞いておるのでありますが、これに対してどういうふうにお考えになつておるのでございましようか。保健婦自身といたしましては、この不安定な所に勤務いたしますその上に、保健所と國保と二本建で参りまして、いろいろと仕事の上に無駄を生じ、又いろいろ一般の人人にも非常に御迷惑を掛けたりいたしておるようなことでございますので、むしろこうしたことを一本にして頂いて小学校の先生が文部省系統の一本になつておりますように、一本にして頂きました方が身分も安定いたしますし、自分の尊いお仕事をよく果せるのじやないかというような希望を持つておりますのでございます。來年度からこの予算にいたしましてもそういうことに政府の方で一本建にして頂くことが出來ますれば、非常に有難いがというようなことを聞いておりますが、これは如何でございましようか。この点も一つ承らして頂きたいと思います。
 そらからもう一つ、その上に保健婦というものは、本当に大事な、度々申しますが、台所と政府とを直結させるものでごいますので厚生省だけではございません。各省とのお仕事の上でも、生活に必要なことについては、よく連絡が取れますように、お互いに縄張りのございませんように仕事を仕向けるように御当局においても考えて頂いておりますかどうか、その点も承りたいと思います。
#7
○政府委員(三木行治君) 御答えいたします。保健所の民主化の問題でありまするが今囘の改正の重要なる点は保健所の民主化でありまして、從來のような保健國策末端滲透の機関であるというような、中央集権的の行き方をこの際拂拭いたしまして、眞に地方にあつて地方の住民の方々の公衆衞生の向上を專ら図る、決してそれらが労働力兵力の育成、培養をするというような考えでなく、國民の保健、健康増進そのもののために奉仕するサービスをするということが今囘の重要な改正の眼目であります。從いましてその運営に当りましては、各種の委員会等を設置いたしまして、十分にその地区の方々の御考えになつておるように、期待に副い、御希望通りに動くような行き方をやつて頂きたいと考えておるのであります。
 又その際におきまして、保健婦が保健所の民主化の重要な役割を演ずるものであるという点にいたりましては、私共も全く同感に存じておるのでありまして、保健婦が身を挺して個々に面接し、家庭を訪問いたしまして、そうして納得の行く仕事をやつて頂くということが、実に保健所行政の民主化の最も重要な点であると私共も考えておるのであります。それについては昭和二十五年以降新たに制定せられますところの保健婦養成教育課の関係においてその間をどういうふうにやる積りであるかという第二の御質問でありますが、その点につきましては、それまでは現行の教育制度の内容を拡充整備いたしまして、新らしい今日の時代精神に從つて教育をいたしますと共に、今年度の経常費としてすでに保健婦補習教育に約百万円を貰つておるのでありますが、これらの経費によりまして全國の保健婦どなたもが殆んど漏れなく再教育が受けられる見込でありますので、これらの再教育の機会におきまして十分に保健婦の方々が話合い、保健婦の方々の技術を磨き精神を磨かせる機会も作りたいと考えておる次第であります。
 それに保健婦の給料の問題でありますが、これは井上議員から御指摘になりましたように、主として保健所以外の問題でありまして、保健所におきましては、一般公務員と同様に予算の金額が決まつておりますのでこれは一般公務員と共に考慮すべき問題であると存ずるのであります。その中、主として起きる問題は組合の関係であると思います。これらにつきましては私共といたしましては、保健婦の給料の基準を一つ作つて、これを関係方面と協議をして決めて行きたい。そうして保健婦が六百カロリーというような言語に絶する、基礎新陳代謝量にも及ばない誠に文字通り身を削るような立場で仕事をして頂かなくてもいいように、一人の人の保健問題のために、どんなことでもしなければならん時でありますからして、保健婦自らが身を削つて働いて頂くというようなことのないように、是非やつて頂きたいと考えておる次第であります。
 尚、國民健康保險組合と保險指導の保健婦の仕事の重複という点につきましては、これは私共も非常に痛感をいたしておる次第でありまして、先般保險当局とも度々話をいたしておりまして、或る程度の了解には到達いたしておるのでありまするが、尚御趣旨の点に副えまして今後十分協議を遂げ、何とか一つこの点につきまして円満な正しい解決に導きたいと考えておる次第であります。
 簡單ではありますが、以上御答えいたします。
#8
○小川友三君 簡單に……只今縷々御説明頂きまして大体保健所の形が分つたのでありますが、予算問題から少しお伺いいたします。
 保健所は六百七十五ヶ所あつて、二千八百三十五万五千円の費用ださうでありますが、この費用を保健所に働く八千九百九十五人で割りますと一人当り一年三千円前後であります。三千円前後の僅少なる支出を以て、この保健所の有するところの大きなスローガンである日本の七千数百万の同胞の健康を背負つて立つという御意見でありまして、これは非常に大きな喰い違いと無理があると思うのであります。少くとも、この予算はこの五倍くらいに拡大をしなければ、これだけの仕事はできないのであります。五倍程度に拡大をして頂きまして、そうしてこの目的を達するためにやつて貰う、併し現在の保健所の数は誠に少い数でありまして、六百七十五ヶ所くらいの少い数で丁度一万人に一人位の、保健所の雇負まで入れて…そんな数で保險衞生を背負つて立つということを言うだけ既に大きな錯誤があると思うのであります保健所は数も数倍に殖やして頂きまして、十二分に國民の保健衞生のために政府当局はやつて貰うように、我々議員としてお伺いするのであります。
 又この保健所法の第四條に「保健所は地方における公衆衞生の向上及び増進を図るため必要があるときは、結核、性病、歯科疾患…」それだけを病氣のように認めておりますが、世界一のトラホーム國である日本――電車に乗りましても、汽車に乗りましても殆どトラホーム患者がブラ下つておる、皆トラホームが次から次へと毎日何万人も染つておるということでこれは特にトラホームも取り入れて治療するというようなことが必要であると思います。それから戰災のために四百五六十万戸の家が足らないので、お産をするのに産院がない。それで産院を保健所に整備して頂く、そうして國民に利用させるというような建前を、是非第四條に入れて頂きたいのであります。
 それから第五條でありますが、「保健所は、地方における公衆衞生の向上及び増進を図るため…」とありまして、「保健所は医師、歯科医師、薬剤師その他の者に」とこう書いてありますが、この「その他」を産婆、いわゆる助産婦、看護婦、獸医師というものをはつきりと加えて頂きまして、後は許可範囲の浴場、料理店などをその他の者の中へ入れて頂いて立派な專門知識を持つておる資格者の助産婦、看護婦、獸医師というものははつきりとここに書いて頂きたいのであります。そうして、積極的に保健衞生に專門的知識を有する者が参加して頂きまして日本のいわゆる健康保險の中心として福祉増進に全幅的に政府は御盡力を願いたいのであります。今も政府委員の方から御説明がありましたが、一千万人の青少年を戰傷死させたというこの度の戰爭で…一人の人の生命は尊いものであるということがありましたが、一人の者の生命の貴重さは、丁度地球全体の重さ、貴重さと匹敵するより以上に尊いのが人間一人の生命でありましてここに重点を置いて頂きまして、政府御当局は実現でき得る、完全にやれる予算と完璧を期す法案を提げて頂きまして、國家のために折角御盡力を願いたいのであります。私の加須という所に保健所がありますが、そこの医者は月給が安くてどうにもしようがないので、暫く二年ばかりいなかつて、薬剤師が注射しておつたということを聞いております。この間医者が來ましたけれども、家がないので或る後家さんの家の八疊の間に保健所の医者が居候をしておりまして、追い立てを喰つておりますが月給が安くて家がないので、当分の間ここにおるからというので、後家さんの人と喧嘩しながら、今加須の保健所長さんは住まつておるという始末であります。月給が安くてしようがない、成る程安いわけであります。一人当り三千円くらいの予算で生活しておるのでありますから、どうにも仕様がないわけでありますから、どうか政府御当局においては、やれる予算を出しまして、十分に働いて頂く、又保健所の所長さんが後家さんの家に居候して喧嘩をしておるというような保健所では、大したことはできないという考えを町民は持つておるのでありまして、十二分に待遇を改善して頂く、ますます悪性インフレーションで、國民は困つておるが、保健所の方々も困つておるのでありまして、十分にこの点に重点をおいて頂きまして政府委員の方は今日いらつしやつておる方は保險局長さんでいらつしやると聞いておりますが大臣が今日見えないので残念ですが、どうか大臣にお傳え頂きまして、もつと積極的に……案ばかり並べたペーパープランだけを我々は審議したくないのであります。実現でき得る完全な保健衞生を施行して頂きたいというので発言したのでありますが、どうかよろしくお願いいたします。
#9
○委員長(塚本重藏君) 厚生大臣は閣議に列席中の由であります。閣議が終ればこの委員会に出席したい、こういう御意向を洩らしておられます。
 それから先程山下委員から御質問がありました國立病院に関する問題でありますが担当の方がおられませんので適当な機会に御答弁があると思います
#10
○山下義信君 了承いたしました。
#11
○政府委員(三木行治君) 只今保健所の計上しておる経常費が少ないではないかという御意見でありまするが、私共も全く同感に存ずるのでありまして今日も我が國の当面いたしておりますところの困難なる財政の現状を照し合せて、実は涙を呑んでこのような予算を組んでおるという現状でございます。併しながら個々の問題につきましては例へば只今の二千八百万円と申しまするのは國庫の負担部分でありまして、それは必要経費の三分の一額に相当いたしておるのであります。從いましてこの俸給等につきましてもその三分の二が計上されておるわけでありまして例えば実際の職員が受取りますところの給料は、基準俸給といたしまして二級医官につきましては一万三千八百円二級事務官も一万三千八百円、三級事務官が六千九百六十円、雇負備員が四千五百六十円というものをこれは組んであるのであります。これは基準俸給でありますから、その外に家族手当或いは、土地によりまするところの勤務地手当というようなものを含めまするならば、御指摘になりました俸給の面におきましては、この予算計上になつておりまする基準俸給の倍、或いは場合によれば、三倍位にもなるのでありまして、この点につきましては特に保健所職員が劣悪なる待遇を受けておるというわけではなく、その過激なる勤務、その重大性に鑑みまするならば、一般職員と同様に律することはどうかと思はわれるという議論はともかくといたしまして、一般公務員と同様な待遇を受けておるものであるということは御了承頂きたいと思うのであります。
 それから結核、性病、歯科以外にトラコーマ等についてもやれという御意見でありまするが、これは例えば青森縣におきまするトラコーマでありますとか、或いは山梨におきまする日本住血吸虫病と申しまするようなものは地方的に特異な例であります。而も公衆衞生の向上及び常識のためには必要であるという地域につきましては、例外的にこれらの仕事もやつて行きたいと考えておるのであります。
 次に産院の整備の問題でありまするが、産院につきましては、次にやがて御審議を頂きますのでありましようところの兒童福祉法案において規定いたしてございまするので、これとの協力によりまして、一つ円滑なる運営をやつて行きたいと考えておるのであります。
 尚保健所の施設の利用の面において医師、歯科医師等の外に、看護婦、獸医師等も入れるべきではないかという御意見でありまするが、全く同感に存ずるのでありまして、ただ立法技術といたしまして第五條第二項に一行に羅列いたしますることはどうかと考えましたので、「医師、歯科医師、薬剤師その他」というように例示いたして置きました次第でございまして、御指摘になりました助産婦、看護婦、獸医師という方には、当然にこの施設を利用して頂く所存でございます。
#12
○河崎ナツ君 結論は小川さんと同じようになつて、予算になつて來るのでございますが保健婦さんの数が今度殖えましたから、多少はよくなるかと思うのでありますが、今度はまあ一人に何世帯ぐらいの受持になるのでございましようかそのことを伺つて申上げたいと思うのですが……。まあその理由はよく相談受けますのですが、殊にこの間も清水におる保健婦さんに汽車の中で相談受けたんですが、本当に眞面目な保健婦さんで使命を十分に果そうと思うと、とても時間がなくて、実は結婚を放棄した方がいいか、それとも結婚すれば、保健婦の仕事ができませんと言う。これは外の勤務の女の人の問題でもありますけれども、殊に保健婦さんの今日の仕事は、外の勤労婦人よりも非常に社会的な使命を持ち、新らしい仕事だけに余計聖職としてやつていらつしやる保健婦さんが多いのであります。殊に受持の世帯が多い、それを本氣にしようと思うと……本当にそうだろうと思うんですが、まあ沢山今度保健婦さんが殖えますれば、随分受持の数も少くなつて参りますと思いますけれども又一方單に妊産婦、乳幼兒などのことばかりでなく、本当はそういう人たちが保健所を通してこれからの日本の家庭に繋がつて行く、家庭生活全般の指導に一番中心になつて行くのが保健婦さんだと私は信じておりまして、非常に重きを置いておるのでありますが、そんな意味で、單に妊産婦、乳幼兒の家庭の指導ばかりでなく、段段その部落内の家庭を訪問をして行くというようなところにも拡がつて行つて貰わなければならんと思いますからどうぞ沢山保健婦さんを置いて頂きたい。その意味におきまして、予算をですね、殊に平和日本の仕事をして行きまするときに、文化日本の仕事をしていきまするときに、一番遅れておりまするのは日本人の生活の仕方ですから今日の非科学的な、非衞生的な、非能率的な生活の仕方ですから……衞生思想がないというのではなく、生活全体が非科学的であり、非能率的であるのでありますから、單なる衞生思想だけを指導するというのが保健婦さんの仕事じやないと思うのであります。殊にそれは主婦に繋がつて行くことであり、主婦を立ち上らせることはなかなかむずかしいので、なかなか出て下さいと言つても出て來られません。母親は忙しくて出られません。暇がないのでありますから又疲れて出られないですから、保健婦さんが行くというのは非常に大切なことで、そんな意味で沢山保健婦さんを置いて頂きたい。
 と一緒に、六百七十五ヶ所の保健所が、なかつた時から較べれば沢山あるようでありますけれども、少くとも一万二千……一万三千近くの市町村があるんですから、私も氣をつけておりますが、本当にぽろツぽろツとしか保健所がないから在る保健所を民主化されることは結構でありますけれども、始終氣をつけておりますとなかなかその保健所の数が少ない。又仕事が多くて波及力も少ないということもあります。だから、保健所も殖やし、保健婦さんも殖やす。これは非常な急務だと思うのです。地味な仕事でありますけれどもまい食糧飢饉のことも大事なことでありますけれども、私は日本は保健所の飢饉だといつてもいいと思う。保健衞生思想の飢饉であると同時に生活の仕方においても飢饉であると私は信じて疑いませんが、その点において一番大切なことは保健所だと思います。それは予算の面もありますけれども、どうか職を賭してもやつて頂きたいと思う私たちもそのことについて力を合せたいと思つておりますけれども、その一番先の方におります。実践者は保健婦である。而も若い人たちで結婚という問題を持つておる人達である。手当が少ない。先程も六百カロリーくらいのところでやつておつて俸給も少ないという井上さんのお話がありましたのですがそれも事実です。今度は大変手当を殖やすということで結構なんですけれども、仕事の受持の範囲ということにおきまして手当が多くても、本氣に仕事をしようと思つたら、とてもできないという意味で、沢山殖やして頂きたいということになつて來るわけでありまして、そういう意味におきまして結論は予算でございますから、そのことはとにかく、お前さんの方もやれと言われるなら私たちもどこへ立つても言うつもりでございますから、これは是非厚生省でも本腰をお入れ下すつて、予算を取つて下されば、あとのことはいいことばかりですから、どうかしつかりおやり下さい。
 小川さんは産院のことを仰しやつていましたけれども、兒童福祉法の産院と保健所と協力してやつて行く、協力するということは、保健所に産院が附設されるわけですか、まだそのことがはつきりしていないのですが、これは是非産院ははつきりさしていただきたいのです。お産の問題もどうせ厚生省のお仕事になつて來るのですから、保健所には歯科の手当いろいろな手当もありますけれども、何よりも産院は是非やつて頂きたい。これは私の子供も医者でありますけれども、農業協同組合病院が村にできますと実に村の人たちが安心して、そう大きな病氣でなくても食糧を持つて自分たちで入院したいということで大変入院希望の患者も多くて自分たちの所だけではとても手当ができないということを言つている。さういうわけですからどうか産院もお合せになつて頂きたいと思います
#13
○政府委員(三木行治君) いろいろと御鞭撻を頂きまして非常に有り難うございました。只今御質問になりました保健婦の数が少ないのではないか、もつと殖やす必要があるのではないかという御意見でありますが、私共も全く同感に存じております。ただ今日保健所の問題といたしましては、保健所では主としまして、集團指導という行き方をやつております。勿論家庭訪問もいたしますが、保健所の保健婦の本來の職務は、集團指導という点になつておるのであります。從いまして、今囘八人の保健婦が十五人になりましても、これは実は訪問指導を十分にやるというわけには参らないと存ずるのであります。ただ私共といたしましては、これらの訪問指導、戸別指導というものは市町村駐在保健婦に期待しておるのであります。併しながら、この市町村駐在保健婦に國保組合のものを含めましても、これもまだ十分とは申されないのであります。市におきましては人口三人千に一人、郡部におきましては人口二千人に一人という、我々の理想から言えばまだ相当な距離があるのです。併しながら只今御指摘になりました通り、保健婦というものこそ独り保健衞生に止まらず或いは経済上の問題に止まらず、生活全体の科学化を図るところの綜合的な指導をするものこそ保健婦じやないかという御意見に対しましても、私共も全く同感に存ずるのであります。その点に鑑みまするならば、保健婦の数、保健婦問題というものは誠に前途遼遠の感じがあるのでありまして、御鞭撻を頂きまして、今後十分にこの方面の努力をいたして参りたいと存ずるのであります。
 次に産院が保健所に附置されるのであるかという御質問でありますがこれは兒童福祉法案におきまして、産院を設置することを規定いたしておるようでありますが、保健所に助産婦を置きまして、妊産婦の保健指導をいたしておるのでありますが、無料收容施設といふことは考えておらないので、例えば一般の保健所と結核療養所、國立病院関係の保健所におきまして、集團檢診等によつて見出されました病人等はこれを療養所に置く。集團檢診におきまして見出されましたもの或いは妊産婦手帳によりまして見出されました妊産婦は保健所が保健指導をしますが、これは兒童福祉法で定めるところの産院で手当をする。又この産院から出て参りましたあとの、アフター・ケアは同じく保健所の助産婦に面倒を見て頂くこういうように考えております。御了承を願いたいと思います。
#14
○中平常太郎君 二三質問したいと思うのでありますが、官僚主義の問題は先程お話しにもありましたのでありますが、あの機構を改革をなさる御意見はないか、私は実際保健所に密接な関係を持つておるのでたびたび出入しておるのでよく分るが、B、Cのところへ行くと大抵の場合医者がおらん。郷里に帰つたとかやれ誰が工合が悪いとかいうことで帰つたら一月も帰つて來ない月給があるから世話はないかも知れないが、実際不熱心の点が大分あるのであります。それからその檢診日がどうかというと一週の中に二囘くらいあつて月曜日の午前中とか、或いは水曜日の午後とかいうことで書いてありますこれはとても患者が相談に行きましても医者に会えない。行つて見ると今日は午後にはありません。午前で済みましたとか、或る日に行つて見ると今日はありません、明日でございますということで、折角着物を着替えて相談に行つても、これは殆んど大部分は目的を達せずして帰るのであります。ああいうふうな官僚主義はやめる、どうしても機構の改革をいたしまして患者がいつ何時行つても医者が診るように、朝八時なら八時、九時なら九時から午後は四時まで診てやるというようにしなければならない。自分の時間はどういうふうに変更されましても、患者が來た場合には患者のために働かなければならんわけでありますが、今日はないとか言つて絶えず体よく拒絶されるのは患者でございます。統計の調査などは今日しなかつたら明日できる、明日しなかつたらその次にできるのですが、ただ統計を所管省の厚生省へ持つて行くために立派なものを作つている統計を作るだけが能じやないと思う。事実の問題は保健所の前は門前雀羅を張つておる。これだけの金を使つているのにその金は実際は效用をなしておらん。どの医者の所に行つても保健所の患者の入つておらない所はない。今日はトラホームの檢査をする今日はBCGの注射をするとかいう時だけで、あとは保健所の前は門前雀羅、これを改革なさる御意思はないか。又医師をもつと殖やされる意思はないか。それをまずお聞きしたい。
 次に保健婦の問題が大分ありましたが、保健婦の学校は第一種、第二種、第三種になつております。第一種は女学校出をお使いになつておるようですが女学校が今年採れないように思いますが、その点はどうか。そうして二十や二十一くらいの保健婦では本当に生活指導というわけに行きませんが、或る意味からもつと学校の程度を高くして立派な人物を出すようにしなければいけないと思います。今までの便宜主義で普通の看護婦がやつた経驗が病院にあつたから、看護婦を三年やつておつたらよかろうというふうに、どんどん通過されては保健婦の値打にもかかる又保健婦が家庭を指導するという力は絶対にありません。だから保健婦の資格をもつとしつかりとしてお出しになるお考えはないか、これは第二のお伺いといたします。
 まだございますが、時間がございませんからこの二つだけお伺いいたします。
#15
○政府委員(三木行治君) 保健所の官僚的な機構を改める意思はないかというお尋ねでありますが、保健所の医師の中に郷里に帰つて仕事を休んでおるというようなものが若しありといたしまするならば、誠にけしからん話であり、私共として恐縮に堪えない次第であります。ただ保健所の仕事というものにつきまして若干私は弁護をいたしたいと思うのでありますが、保健所の仕事は元來一般の医院のように公衆に施設を開放しておるというようなものと異りまして、概ねCクラスにおきましても人口十五万乃至二十万の保健区を持つておるのであります。それらの保健区内に対して年次初頭に一應の計画を立てて集團檢診をやる、或いは各種の指導をやる、或いは保健指導をいたすために何々の村の指導に赴くというふうな日常のスケジユールがございまして野外におけるフイールド・ウワークが主でありますために、私共もしばしばお叱りを受けて実情を調査して見ますとそれに該当する場合が多々あるのでございます。併しながら、若し恣まに任地を離れるという者がございますならば、嚴に自戒をいたさなければなりません。殊に戰時中から人手不足のために御指摘の事情もないとは限らないと考えております。今後は十分注意をいたしたいと思います。
 尚、それにつきましても、今囘の改正法律案に伴いまして、予算案が増額せられまするならば、保健所におきまする人手も相当殖えて参ります。医師につきましても、例えば結核につきましては一人乃至二人、性病いつきましては一人、歯科につきましても一人というように專任の医師も殖えて参ります。尚事務の増加に伴いまして若干の医師の増員もございまして、七八人の医師を擁することができる見込でございますから、そういうことに相成りますれば、御指摘になりましたような場合におきましても、誰かがおつて御面倒みることができると存じますので、保健所の民主化を一層促進いたしますと共に、これらの職員の増員によりまして十分に御期待に副うように努力をいたしたいと存じております。
 尚、保健婦の問題で、立派な人物を作れという御意見に対しましては全く同感であります。保健婦業務の重要性につきましては、先程來、各議員が御指摘になりました通りでありまして、私共といたしましても是非この問題を十分に進展さして頂きたいと考えております。從いまして現行の教育制度を充実いたしまして、女学校卒業生に対して十分なる教育を施す、更に十分なる補習教育を施して、指導者としての人格識見共に理想的とは言えないまでもそれに近ずくように努力して行きたい。更に昭和二十五年度以降におきましては、六三三の次に四ヶ年をやりますと、大学課程を新制度におきましては終了するわけでありますが、その四ヶ年のうち三ヶ年を終りました者は、看護婦学科につきましては、これを卒えたる者につきましては、看護婦の免状を取得するわけでありますが、更にその上に一ヶ年間の保健婦の教育を施しまして、更に國家試驗を受けまして、それに合格いたした者が保健婦になり得るわけであります。即ち昭和二十五年度以降の教育制度の改革に伴いまして、保健婦は大学卒業生というような資格を取得いたします。從いまして保健婦に必要なるところの高き科学的常識、一般的常識、指導力というようなものも、相当期待していいのではないかと、かように考えておる次第であります。
#16
○委員長(塚本重藏君) 今日は時間の都合上この程度にて次囘に延ばしたいと思いますが、いかがでしよう。
#17
○委員長(塚本重藏君) では本日はこれにて散会いたします。次囘は理事の方と相談して定めることにいたします
   午後零時三十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
   委員
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           三木 治朗君
           草葉 隆圓君
           安達 良助君
           木内キヤウ君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小川 友三君
           小杉 イ子君
           波田野林一君
           服部 敢一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
           千田  正君
  政府委員
   厚生政務次官  金光 義邦君
   厚 生 技 官
   (公衆保險局
   長)      三木 行治君
   厚 生 技 官
   (予防局長)  濱野規矩雄君
ソース: 国立国会図書館
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