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1971/05/17 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 物価等対策特別委員会 第6号
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1971/05/17 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 物価等対策特別委員会 第6号

#1
第068回国会 物価等対策特別委員会 第6号
昭和四十七年五月十七日(水曜日)
  午後一時二十五分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
    委員長         長屋  茂君
    理 事
                西村 尚治君
                山下 春江君
                片岡 勝治君
                田代富士男君
                中沢伊登子君
    委 員
                亀井 善彰君
                川野辺 静君
                佐田 一郎君
                嶋崎  均君
                田中寿美子君
                竹田 現照君
                柏原 ヤス君
                渡辺  武君
   国務大臣
      国 務 大 臣   木村 俊夫君
   政府委員
      公正取引委員会
      委員長       谷村  裕君
      公正取引委員会
      事務局長      吉田 文剛君
      公正取引委員会
      事務局経済部長  三代川敏三郎君
      公正取引委員会
      事務局取引部長   熊田淳一郎君
      経済企画庁国民
      生活局長      宮崎  仁君
      厚生大臣官房審
      議官        信澤  清君
      食糧庁次長     中村健次郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       田中啓二郎君
       農林省農林経済
       局企業流通部長  下浦 静平君
       食糧庁総務部長  森  整治君
       建設省計画局宅
       地部宅地政策課
       長        関口  洋君
   参考人
       日本銀行理事   渡辺 孝友君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (当面の物価対策に関する件)
 (消費者行政に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長屋茂君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、日本銀行理事渡辺孝友君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(長屋茂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(長屋茂君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査中、当面の物価対策に関する件及び消費者行政に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言をお願いします。
#5
○田中寿美子君 私、きょう主として公正取引委員会委員長に、表示の問題でお尋ねするつもりでおりますけれども、けさの新聞に公取に関する二つの大きな問題が掲載されておりますので、最初に、その問題について、公取委員長の御感想、並びに経企庁長官に、物価と消費者の保護をあずかっておられますので、御感想をいただきたいと思います。
 一つは、明治乳業の異種脂肪混入の問題について。
 これはもうすでに私どもよく知っていたことですけれども、一昨年公取が検査をなすって、そしてそれがわかって、相当の量を植物油あるいはその他の異種脂肪を入れて出していた、大メーカーであるのに、四十億から五十億、年間それで余分なもうけをしていたんではないかと、まあ、きょうはそういうふうに発表されておりますけれども、その当時は、公取委員会はこれを伏せていらっしゃいました。で、私、この問題点は、次の点にあると思います。公正取引委員会が指定機関として国立衛生試験所に検査を依頼された。幾つかの業者の牛乳をとって検査させて、それで異種脂肪が出てきた。で、まあそれ、最初は忠告ですか、あるいは警告を与えて、その後一、二カ月後にもう一度検査した。その検査は、業界の検査機関ですね、業界の検査機関に検査をさした結果、もう異種脂肪は出てこなかった。そういうことで、そのまま隠してあった。それが、ことしの四月に、衆議院の物特で社会党の武部先生が問題にされてから次第に明るみに出てきた問題なんですが、その間に、昨年は明治乳業が厚生省に対してわび状のようなものを入れた。始末書をとられている。そして、なかなか明治のほうでそれを認めないということで、ついに農林省のほうから、畜産局長のほうから注意を受けた。まあ時日は相当経過しておりますけれども、たいへん大きなメーカーがそういうことをしていたということについて、公正取引委員会が何となく隠蔽していたんではないかという感じがすることが重大な問題だし、もう一つは、公正取引協議会に私は問題があると思う。公正競争規約をつくっている業界の公正取引協議会が自主規制をするのは、これは私はいいことだと思います。何でもかんでも役所が監督をしたり、手入れしたりするのが何もいいことではありませんから、自主的に規制するのはいいんですけれども、公正取引協議会そのものに私はちょっと問題があるように思うのですね。この問題も、少しあとで議論するとして、一つ、明治乳業のこの問題。
 それからもう一つ、再販価格維持制度について公正取引委員会が運用方針について指導するということを発表されたわけですね。これも、再販価格の問題は物特ではずいぶん議論されてきている問題なんですけれども、公正取引委員会が「再販制度の今後の運用方針」というのをつくって、これを自民党のほうにお出しになったということを新聞で見ました。もしそうであれば、私たちこの物特委員会にも、公正取引委員会の運用方針ならば、ぜひいただきたい。これは私、委員長から要求していただきたいと思うのです。資料として私らもそれを見たいと思います。新聞によってこれを見ますと、この方針によって――いままで小売り店に対して再販価格でマージンを相当大きく取りながら、流通過程で小売り店に圧力を加えているということを私どもたいへん問題にしてきたところなんですけれども、公取はこの問題で個別指導をするんだと、つまり、リベートの問題ですね、リベートについて個別指導をするんだということですが、これについても、マージンあるいはリベートの率が非常に大きいようなところについては公表はしないということですね。問題は、消費者の知る権利の問題にも関係するわけなんですけれども、この運用方針の御説明をいただきたいのと、資料をいただきたいのと、それから、消費者に対して、これはどこまで知らせてくださるのか。
 こういうことを、けさの公取に関する二つの新聞報道から、さっそくお伺いをしたいと思いますが、委員長からお願いします。
#6
○政府委員(谷村裕君) たいへん内容のたくさんありますことを二つお聞きになりましたので、要約してお答えする以外にないと思いますが、まず最初の牛乳のことでございます。
 これは、一昨年の九月に私どもが試買をいたしまして、試みに買いまして、そしてその牛乳の中に何か異物が入っていないかどうかということを検査いたしますために、国立衛生試験所の慶田と申される方に私どものほうからお願いをいたしたわけでございます。そして、その検査にかなりの日がかかったわけでございますが、結果としまして、昨年の四月に入りまして、そのうちの数種のものについては異種脂肪が混入していると認められる、あるいは異種脂肪が混入している疑いがあるということを、正確に申しますと去年の三月の三十日に、私ども、その報告を受けたわけでございます。そこで、私どもとしては、そういう試験を実は国立衛生試験所の慶田氏にお願いしてやっていただいたわけでございますが、それだけをもって直ちに何らかの手段をとることは慎重を期さなければならないと思いまして、さらに、たしか六月でございましたが、工場に立ち入り検査をいたしまして、そうして、実際にそういった牛乳を製造している工場で、さようなことをやっているかどうかというような証拠をつかむに足るようなものをさがし出そうということをやったわけでございます。ところが、遺憾ながら、そのとき私どもとしては十分な確証を得るに至りませんでした。一方、私どもといたしましては、さらに検査をする必要を感じ、また市中の牛乳を試みに買いまして、そしてまた国立衛生試験所に検査をお願いしようというふうに考えたわけでございます。と同時に、クロスチェックということも必要であると思いまして、これでもやはり検査をしていただく、そして検査結果というものを、一つだけではなくて二つも三つも重ねてみたいと、かように思ったわけでございますが、そのときは、業務の都合上、どうしても国立衛生試験所のほうでお引き受けいただけなかったのでございます。これはまことに私どもとしては残念なことでございましたが、やむを得なかったことでございました。そこで、民間の団体に二カ所お願いして、再び検査をやっていただいたわけでありますが、それは、結果としては、そういう異種脂肪の混入は認められないというふうなのもございました。同時に、東京都におきましても、たしかそのときに牛乳の検査をしたわけでございますが、異種脂肪の検出は認められないという報告を受けたわけでございます。
 かような問題につきましての私どもの態度といたしましては、やはり疑いがありますときに、直ちにそれをもって公表するのがいいか、もう少し慎重に調査を進めた上で何らかの処理をしたほうがいいかということについていろいろ考えたわけでございますが、私ども委員会といたしましては、やはり業者のお互いの間のいろいろな競争関係もございますし、また、消費者に対していたずらなる不安を与えてもいけないのではないかという配慮もございました。一方、また逆の配慮もあるわけでございます。彼此勘案いたしまして、いましばらく調査結果を十分に見た上にしようということにしたわけでございます。隠蔽というふうに言われましたが、私どもの扱いとしまして、どの段階になればこういうものは公表に踏み切るか、どの段階のものであれば……、それはやはり一つの人権の問題というと少し大げさになりますが、慎重に取り扱ったほうがいいかという判断がそこにあったわけでございます。なお、その間におきまして、新聞に、どういうニュースソースか存じませんが、私どもで疑いがあるという報告を受けました六社のうちの四社の名前が報道されたことがございました。そして、その結果が国会において御質問を受けるという結果になりましたが、私どもは、先ほど申し上げましたような理由によって、いましばらくそういう問題についての発表については慎重を期したいという御答弁を申し上げてまいってきたわけでございます。
 その後におきまして、先ほど御指摘になりました公正取引協議会等におきましても、随時、単に東京に限らず、全国にわたって試買検査を行なうというふうなことをやってまいりましたが、私どもがその際業者を個別に呼びまして注意を与え、管理体制について十分遺憾なきを期するようにということを申しました結果であるかどうか、それはわかりませんが、異種脂肪混入の事実というものは認められず、したがって過去のものとなりましたので、いつまでも秘匿しておくということでもないと思い、また一方、どうしたはずみからでございますか、ただいま御指摘の明治乳業のことについて厚生省のほうが始末書かなにかを取られたというのが公になりまして、その結果、それについても国会で御質問になるということがあり、さようなことであれば、むしろ、ぼつぼつとそう出るよりも、過去のことでもございますし、この際、御質問に応じてすべてを申し上げたほうがよいであろうという判断のもとに、先般、衆議院の物特において、六社の名前を、私どもとしては当時疑いを持たれたものとしての会社の名はこうこうであったということを申し上げたわけでございます。私どもは、私どもの立場においての十分な検査機関もなく、また、いわゆる監督官庁としての所管官庁でもありませんので、十分に乳業の実態に立ち入って、どの段階で、どのようにして、故意にか、偶然にか、過失によってか、入ったかということについての取り調べをするだけの十分な組織機構を持っておりません。それでその点につきましては、厚生省、農林省等にもいろいろとお願いをしておったわけでございますが、いまもって、私どもといたしましては、そのときの検査結果というものが、はたしてそのとおり真実であり、かつ、それは業者の手によって故意になされたことであるかどうかということについての、私どもとしては、いまだ心証を得ておりません。なお、この問題については今後ともしっかりやってまいるということを、その当時も御答弁申し上げたわけでございます。
 厚生省に対しまして明治乳業がどのような意図のもとに始末書を出したのであるか、また、本日の新聞報道によりますように、農林省がどういうふうな立場においてどういう内容を承知の上で何をなすったかということについては、ただいまのところ、私はまだ存じておりません。実は、けさの新聞によってそういうことを知ったわけですが、もしほんとうに社長以下の方が引責辞職されるというふうなことが真実でありますとするならば、そこに業者としてどのような意味において責任をお感じになったのか、故意にやられたのであるか、どうしても入っていたということが事実であったとお認めになったのか、あるいは疑いを持たれたことが申しわけないといって引責されたのであるかは、私はそういうことは存じませんが、私どもの立場におきまして、過去において、さようなことをいたしましたことについてそのように扱ってまいりましたところは、こういう問題についてはやはり私ども並びに厚生省、農林省等において十分その実態を突きとめた上ではっきりしたほうがよろしいと、さように思ってやってまいりましたことであり、また、今後におきましても、さような努力は私どもとして怠らない、かようなつもりでおるわけでございます。それが第一の問題でございます。
 それから第二には、やはりけさの新聞にいろいろ出ておりましたが、再販問題でございます。これにつきましては、先般衆議院の商工委員会において御質問がありまして、その際私どもの考え方なり何なりを御答弁申し上げたわけでございますが、私どもは昨年の四月十五日に、再販問題についてどのように対処するかということを実はきめております。そして、その方針に基づいて今日までやってまいりましたのでありまして、いま事あらためてここで運用方針というものをつくるつもりはないわけでございます。新聞に出ましたように、何らかの、たとえば取り締まりなり規制の基準というものをつくって、その基準に合わせて直さしていくというような基準というものを一律につくるということは、これはできることではない、むずかしい問題でございますということを商工委員会でも御答弁申し上げております。そういうようなわけで、私どもがいま考えておりますことは、去年から今日までやってまいりましたいろいろな調査結果をこの際できるだけ早い機会に公表をしたいと考えておりまして、たとえば、そのときに値上げの状況がどうであったかとか、あるいは過大なリベート等というものがどういうぐあいに出ておるかとか、あるいはまた過大な一般管理販売費というようなものがどういうふうになっておるかといったような、ここ一年間に私どもが調査し、ヒアリングしたり、そうしていろいろ検討をいたしました資料を、この際――定期的あるいは随時に発表すると書いてございますが、それによって発表をしたい、その際若干のコメントをしたい、かように実は考えておりますところで、この際あらためて何やら運用方針というものをつくるということではなく、昨年申し上げましたように、かりに過大なリベート、マージン等を出しているものがあれば、それは同種類似の日用品等に比べて行き過ぎを是正してもらう、それはなるべく、一律に私どもが一定のマージン率というものを公定したり、公認したりするというやり方ではなくて、個別的に行政指導をしてまいりたい、かようなことを国会でも御答弁申し上げましたが、いずれお手元にも差し上げることになると思いますが、そう申し上げましたような調査資料を用意しているというところでございます。自民党のほうには、新聞等にそういうことも出ましたし、また、一年たって再販等についていろいろ私どもが調査した結果に基づいて整理しているという状況について、たしか二回ほどにわたって。お尋ねもございましたので、それを御説明に伺ったことがございます。特に運用方針と申すようなものを申し上げたということではございません。
 それから、昨日、新聞報道になっておりますように、消費者団体の方々が多数お見えになりまして、新聞の方々も御同道になりまして、私どもと懇談を申し上げたのでございますが、その際にも、先週衆議院の商工委員会で私が御答弁申し上げましたような内容のことをいろいろと申し上げたわけでございます。さようなことでございまして、消費者側からも、今後公取はそういう意味で弊害規制に乗り出してやっていくについては、自分らにもよくいろいろ実態を教えてもらいたい、また、自分らの意見も反映さしてもらいたい、さようなお話も昨日ございましたので、私ども、もとよりそれはしなければならないことでございますから、もちろん消費者団体だけではございませんけれども、こういう方面とも連絡をとり、また、各省ともそういう点ではお互いに連絡をとって、そうして再販というものがもたらす弊害を、私どもの立場において、昨年の方針に従って、是正してまいりたい、そういうことをしているわけでございます。いま資料を最終的に調整中でございますが、できるだけ――きのうはそういうふうに申したのでございますが、できるだけ早い機会に最終的ないろいろな調査結果を公表したい、さように昨日は消費者団体の方々にお答えしたようなわけでございます。
 一応そこまで申し上げまして、また御質問によって御答弁申し上げます。
#7
○委員長(長屋茂君) 私から谷村委員長にお尋ねしますが、そうしますと、先ほど田中委員から御要望、御要求のございました資料は出していただけますですね。
#8
○政府委員(谷村裕君) 田中委員は運用方針というものを出せとおっしゃいましたが、その運用方針と申しますていのものは、実は昨年の四月十五日にきめました「再販売価格維持行為の弊害規制等について」という公正取引委員会の決定文書でございまして、これはすでにもう公表になっております。いま、もし何か御要求があるとすれば、それは、先ほど申し上げました再販の実態、それから今後私どもがいろいろと弊害是正をやっていくについて必要な数字的な資料並びに過去一年間において起こりましたいろいろな、たとえば値上げ問題でありますとか、物価の関係でありますとか、そういうことをいま集大成――集大成と言うと少し大きいですが、整理しております、その資料並びにそれについてのコメント、これは一般に私ども公表するつもりでいま用意しておりますので、当然のことながら、当物価特別委員会にも差し上げることになると存じます。
#9
○委員長(長屋茂君) 田中君、それでよろしゅうございますね。
#10
○田中寿美子君 それじゃ、ちょっといま疑点がありますので、もう少し明らかにしていただいて、もう少しあとで御意見を伺いたいと思います。
 先のほうの問題なんですがね。まず、明治乳業のほうのことですけれども、私、公取委員長の話を聞いておりますと、実は異種脂肪の混入が故意にされたかどうかもわからない、あくまでもまだ真偽のほどはわからないような言い方なんですね。これはたいへん重大だと思います。公取委員長というのは独禁法の番人だ、消費者の味方だというふうに私たち思っておるわけなんです。それで、現に社長以下重役三人が辞表を出しておるのですね。私ども消費者の団体と乳業の生産者やメーカーの代表と懇談をする会合がございました席上で、明治の会長ですね、国生さんという方がいらっしゃっておわびをなすった。これは事実でございました。それから農林省の畜産局長からも、はっきりとその事実は指摘された。こういうことは公取も大いに関係している問題であって、特に公取は一番関係していたわけなんですが、それなのに真偽のほどもわからないというような考え方に立っているというのは、はなはだ私は合点がいきません。そういう考え方にいらっしゃるとしたら重大だと思う。農林省、厚生省、公取が消費者に対する行政において一致しないということになります。お互いだいへんばらばらで、公取が隠していたことを厚生省・農林省のほうからわかってきたのはけしからぬみたいな言い方なんです。消費者の立場というのは一体どこにあるのですか。私、たいへんいまのお答えを聞いていて憤慨いたしました。もうちょっと公取は、それほど重大なこと――最終的には異種脂肪を含んでいたという会社名を発表なさいましたでしょう。しかも、二年もたってですね。ですから、発表する以上は、その事実をつかんで発表なさるべきだと思います。
 それからまだ問題点は、おととしの九月でしょう、それからその調査の結果が、国立衛生試験所で調査さして、昨年の三月三十日までかかった――あまりに長いのにも私は実に驚くのですがね。そんなにかかるはずのものではない。その間一体何をしていたかということです。
 それから、新聞報道によりますと、年間五十億くらいのもうけを、異種脂肪を混入することによってやっている。牛乳はメーカーにとってはマージンの少ない企業でございますが、それにもかかわらず、明治が非常にたくさんの配当をしているというようなこともあったようですけれども、公取はそういう点まで当然お調べになるべきだ。それにもかかわらず、いま結果が出てきたのに、どういうわけでどこから漏れたのか知らないけれどもというような言い方は、まことに私はけしからぬと思いますが、もう一ぺんその点を先に御説明願いたいと思います。
#11
○政府委員(谷村裕君) まことにごもっともな御質問だと存じます。私どもは、何らかの機会に、いつかはこういう問題について、はっきりと、私どもが当時何をやってきた、どう考えておったかということを表に出したほうがいいと思って、その時期を待っていたわけでございまして、私どもが不本意にも、よそから漏れたばかりに言わざるを得なくなったんだというような、さようなことではないということを、まず申し上げておきます。私の申し上げ方に、もしさような意味にとられるようなことがあったとすれば、私の申し上げ方が悪かったのだということをここで反省いたします。
 それから第二番目に、厚生省に対してあやまり状を書いた、始末書を書いた、あるいは農林省の畜産局長に対してあやまった、あるいはまた、消費者団体その他の方々に対してもあやまったという、そのあやまったということが、私どものほうで申し上げましたような意味における事実を事実として、混入があったということについて自分もそれを認めたのか、混入の疑いを持たれたということについて申しわけなかったと言ったのか、それとも、自分らは故意にそういう操作をしておったという事実を明らかにしてあやまったのであるか、私どもは、あくまでその点については自分で故意にやったのではない、また、偶然でもそういうふうなことが入る余地はないという説明を聞いておりましたし、また、検査の――検査と申しますか、立ち入り検査の結果でも、そういうことを反論するだけの証拠を見つけることはできなかったのでございます。それはおまえらのやり方がへただからと言われればそれまでかもしれませんが、私どもの行政と申しますか、仕事のやり方といたしましては、やはり最終的には証拠をもって争う、いわば裁判にかけてでも争う、最高裁にまで行ってでも争うという、そういうたてまえで、証拠を十分握った上で、違反なら違反ということを突き詰めていかなければならない、さような法の運用の厳正を要求されておるという面もございますので、特に昨日農林省が云々というふうな記事はけさ見たばかりであり、また、引責辞職するらしいという記事も私どもけさ見たばかりでございまして、それなら、ほんとうに自分たちの非を認めたなら認めたで、いままで私たちに言っておったことがうそであったということを、私たちはまた、きちんと始末をつけなければならないというふうに、けさ新聞を見て思ったわけでございます。どういう意味での引責辞職であるかについて私どもはまだつまびらかにいたしておらない。また、それは、私どもの立場として、厚生省や農林省にばかりあやまっておって、私どものところには相変わらずシラを切っているということはおかしいと思いますから、私どもとしても、どういうことでどうなっているのか、きちんとさせたい、さように思っている、そういうところでございます。
#12
○田中寿美子君 きょうは、厚生省、農林省側は、この問題に関係した方には来ていただいてはいないわけですから、ですから、一緒に発言していただくわけにはいかないわけです。
 しかし、これだけ長いことかかっている間に、消費者の立場を少し考えていただきたいんですが、九月にそれを調べ始めて、そして昨年の三月三十日にようやくわかる、そういう期間がたって、それからまたことしと、一年たっているわけですから、消費者は異種脂肪の混入されたものをその間どんどん飲んでいるということになります。そういう立場からしても、当然、きちんと、どっかが調べるべきであったと思います。もう終わってしまったことですから、あまりそんなに言いたくはないんですが、たとえば、私どもは牛乳のBHCの問題の追及を長くしておりましたものですから、牛乳からBHCをなくすために一生懸命になっておりましたし、そういうBHCが出てきたとか、あるいはDDTが出てきた、あるいはPCBが出てきたなんといいますと、異種脂肪が入っている、あるいはそのほか抗生物質があるなんといいますと、牛乳は非常に需要が減るわけでございます。そういう点からいって、ほんとうなら非常な栄養食品であるところの牛乳がそういうふうになるということは決してうれしいとは思いませんけれども、しかし、きれいな、栄養がある牛乳が手に入らなければいけない。それから特に公取の使命というのは、表示に関して一番の責任を持っていらっしゃるわけですから、内容と表示とが違っているという点では、もっともっとこの問題を厳密にお調べになるべきだったと思います。確かに、明治のほうでは、そういうことはなかった、なかったと言い張りなさった時間がたいへん長うございましたから、私どもも、まさかというふうに思っていたわけです。それがこういうことになったんで、三役が辞任されたということにかんがみましても、私は、はっきりさせておいてほしいと思います。中小メーカーのほうは、自主規制みたいなことをやって、相当罰を受けたのです。あの当時、毎日新聞でしたか、発表いたしました中に、ほかのメーカーの名前も出ました。そうして、そのメーカーは相当な罰を受けております。だから、そういう点では、大メーカーについて、何か、まさか大メーカーだからという気持ちが公取のほうにもおありになったかもしれません。その辺はきちんとやっていただかなければいけない。
 それから先ほど委員長のお話で、自分たちの検査機関がないとおっしゃった。私はこれはたいへん致命的なことじゃないかと思う。これは実はほかの問題についても、そう思っているわけです。公立の検査機関を使うことはもちろん大いにけっこうですが、しかし、試買してきたものを検査するのに公取に検査機関もないということでは、これは重大なんで、だから自信のある発言もできないのじゃないかというように思います。その辺を十分考えていただいて、消費者の立場をまず考えていただきたい。私はそれを御要望して、この問題は、済んだ問題ですから、そんなに蒸し返すつもりはないんで、公取の行政に関して消費者が不信を持つという意味で二つの問題点が出ていますから、そのあとのほうの問題に移ります。
 いま再販売価格維持制度に関する運用方針というような、そういうものはないんだ、これまでのそういういろいろの調査の結果を資料としてつくるのだというような御説明でございましたね。それで、ここには、自民党の物価問題調査会再販問題小委員会に「再販制度の今後の運用方針」として説明したというふうになっておりますけれども、それはいまおっしゃったような意味のものであって、そういう方針書というようなものは出ているわけではないということに理解したらいいんですね。それで、それならば、そこに提出なさったような資料、それから今後の資料などを私もほしいと思いますし、物価対策特別委員にはいただきたいと思うのですが、あらためてその点を委員長からお願いいたします。
#13
○政府委員(谷村裕君) 前段の問題につきましては、私ども、その当時から事柄の重要性を十分に考え、かつ、私どもだけでは必ずしも十分にいかないということも承知いたしておりましたがゆえに、厚生省にお願いいたしまして、厚生省こそ、まさに全国の都道府県知事等を通じまして、またそれぞれの検査機関もお持ちでありますから、この問題に本格的に取り組んでいただきたいということをお願いするとともに、私ども自体もこの問題と取り組みたいということで一生懸命やってまいりました。何ぶんにも、先ほど御指摘のように、試買検査をお願いしましてから結果が出るまでに半年以上かかるというような、そういう、仕事の合い間合い間を見て何かやっていただくようなことでありました。私どもも残念なことだと思いますが、ただいま御指摘をいただきましたような点につきましては、今後ともひとつ私どものあり方を十分考えていきたいと思います。
 それから第二の点につきましては、いわゆる数字、たとえば過去において再販の実態はどういうふうに変化しているか、その他、最終的に取りまとめをいまだに終わっておりませんが、終わります前の段階での資料がございます。それをそのままで表に出すようになりますか、また、それをある程度変えて表に出すようになりますか、まだ検討いたしておりますが、ある程度そういった資料をつくっておりますそれと、それについてのコメント――これはある程度その数字についても衆議院の商工委員会でも申し上げましたし、また、昨日消費者団体の方々にも申し上げたようなことが入っておりますが、それを表にいたしましたものもございます。そして、それについてのコメントもございます。そういう程度で、最終的なものでないということでよろしければ、それはお出しするようにいたします。
#14
○中沢伊登子君 関連。ひとつ私も田中委員の質問に関連をさしていただきたいと思います。
 実は、私も乳業懇話会のメンバーで、田中先生と一緒に、何とかしてヤシ油の入った牛乳だの、あるいはBHCの入った牛乳でない、ほんとうに公正ないい牛乳を、おかあさんや、お子さんたちに飲んでいただきたいということで、一緒に出席をさしてもらっているわけですけれども、いまの牛乳の問題を蒸し返してたいへん恐縮なんですけれども、公取委員長は、いままで明治乳業の浅沼社長にお会いになったこと、おありになりますか。
#15
○政府委員(谷村裕君) 先般、衆議院の物特におきまして武部委員からの御質問がありましたあとにおきまして、私とものところに――私どもじゃございません、私の部屋に、いろいろお騒がせして申しわけございませんでしたという程度のあいさつに見えたことがございます。それだけでございます。
#16
○中沢伊登子君 私の聞いたところでは、ヤシ油が入っているということは、ずいぶん前から騒がれた問題でございまして、その後私どもも、おかしい、おかしいとは思っていたわけでございますけれども、たまたまこの間の発表のようなことになったわけですね。それまでに、乳業懇話会の役員の方々が何べんも、大メーカーの明治乳業のつくった牛乳の中にそういうものが入っているやのうわさがあるけれども、大メーカーがそういうことでは困るということで、再三電話をしても電話に出てくれない、わざわざ明治乳業まで行ってお目にかかろうと思って行っても全然社長は会ってくれない、こういうふうなことで、もうほんとうに泣きそうな顔をして、何とかこんなことが新聞発表にならない前に、そうして、それがほんとうか、うそかということを突きとめたいために何べんも行ってみたけれども、とうとう会ったことがありませんでしたと、こういうお話でありました。この辺に、これは浅沼社長の人柄があるでしょうし、また、たいへん悪く理解すれば、やっぱりその辺を逃げていらしたのではなかろうか、こういうふうな疑いをたいへん私ども持たざるを得ないということは、非常に残念でございます。今後とも、こういったような大メーカー、われわれが信用している大メーカーにこういうようなことがあってはならない。私どもは、これは厳に公取として監督をしていただきたい。このことを要望いたしておきます。
 それと同時に、木村長官ね、いま公取委員長が、自分たちで試験室を持っていない、検査室を持っていない、これがたいへん痛手だとおっしゃっていましたけれども、どうか、公取には今後またいろんな問題があると思いますので、できることならば公取にそういうものを持たす、持ってもらう、こういうことをひとつ経企庁のほうでもお考えいただけないものかどうか、御答弁いただきたい。
#17
○国務大臣(木村俊夫君) 公取委員会の性格等もございますが、ただ、私考えますに、技術者の問題でなかなか困難もあろうと思います。今後十分ひとつ検討さしていただきたいと思います。
#18
○田中寿美子君 それで、どうもきょうは、この問題に関する厚生省側、農林省側、お呼びしておりませんので、それで公取委員長の発言では、何となく欠席裁判になるようなものの言い方があります。たとえば、厚生省が怠慢であったのじゃないかと思われるような節があったり、それからどうしてそっちから漏れていったりしたのかというようなことがありまして、たいへんその辺は遺憾でございます。これは長官、いまお聞きになっておりましたように――私は、公取は消費者がたいへんみんな、たよりにしてきた機関でございます、非常に公正で、消費者の味方だというふうに考えてきたんですけれども、こういうことがありますと、たいへんまた不安になりますのと、それから消費者行政での、それぞれの省間の連絡が、この前も申し上げましたように、たいへん統一を欠いている点があるわけですね。そういう点の調整をきちんとやっていただきたい。この問題について、そういうことをお願いしたいと思いますが、御意見、御感想をお願いいたします。
#19
○国務大臣(木村俊夫君) この問題、もしこの新聞報道のとおり、業界のトップ会社が、ある作為でこれをやっておったとなれば、もうこれは全く論外の問題でございます。ただ、これの検査の経過等を、いま公取委員長からもいろいろ聞きました。たとえば、第二次試験で異種脂肪が検出されなかったというようなこともあったようでございまするし、なかなか技術的にむずかしい検査でもあったと思いますが、しかし、公取委員長のお話がありましたとおり、公取委員会の性格として、あくまで公正を期するという点で、たいへん時間がかかったこともよく理解ができます。それと同時に、先ほど御指摘がありましたように、公取自体がそういう検査機関を持っていないというところから来る、まだるっこさと申しますか、そういう点もわれわれ感ぜざるを得ません。そういう意味におきまして、私ども消費者行政をあずかっております経済企画庁といたしましても、この問題は、公取委員会、厚生省、それから農林省――厚生省、農林省が実地にそういう監督権限を持っておるわけでございますから、そういう三機関と私どもの間で、何にせよ、これはもう実態をもう少し解明することが先決でございますから、私どもの責任でその実態を解明した上で、しかるべき手を打ちたいと、こう考えております。
#20
○田中寿美子君 それから、いまの問題なんですが、検査機関のことも、その第二次検査で異種脂肪が出なかったというけれども、これは業者の検査機関でやっているのです。そういうことについても、私は、もっと厳密な、公的な機関でやるということをしていくように指導していただきたいということを要望しておきます。
 それでは、表示について御質問したいと思います。
 たいへん日本では商品の表示の概念がおくれていたと思います。昭和三十七年に、景表法、不当景品類及び不当表示防止法がようやくできた。あれは、にせ牛かんの事件がきっかけになって、あれと、それからその当時から非常にはやってきた過大な懸賞をくっつける制度ですね、それに対して景表法ができたということだと思いますが、私ども消費者は、物価の値上がりの問題に一番気をとられてしまいまして、質のほうを忘れがちなんです。商品の質が悪くても、安ければいいという考えにおちいりやすいんでございますけれども、いわゆる高度経済成長の中で、非常に商品がたくさんはんらんしてきて、販売競争が激しくなってきて、それとともに、宣伝、広告が非常に活発になってくる。あらゆる手段を通じて品物を売り込むものですから、次第に、よくいいます悪貨が良貨を駆逐してしまうという状況になってきました。そこで、私たち消費者は、もう価格だけじゃなくて、品質を明らかにすることを要求しますし、また、行政当局にもその義務があると思うわけなんです。この景表法の精神というのは、そういう意味で、つまり、品質を明らかにして消費者に選択の権利を保証する、そのために表示をするのだというふうな精神だというふうに理解をしたいと思いますが、それでよろしいですか。
#21
○政府委員(谷村裕君) 御承知のように、不当景品類及び不当表示防止法が制定されました沿革と申しますか、バックグランドは、いま田中委員の申されたとおりでございますが、その不当景品類及び不当表示防止法と申しますのが、いわば競争政策、あるいは不公正取引を防止する、そういう立場、すなわち独禁法体系の中において定められております。と申しますことは、この第一条に書いてございますように、「不当な顧客の誘引を防止する」ということが主眼になっております。およそ、正確に表示すること、間違いなく表示をすること、あるいは規格と内容とが一致すること等々、いろいろの角度から表示という問題は考えられますが、私どものほうで申しますと、景品で言えば、それが不当な顧容誘引手段になっているかどうか、あるいは表示で申しますならば、それが著しく不当であるとか、著しく優良であると誤認させるとか、著しく有利な取引条件であると誤認させるとか、そういう立場に立っているそういう表示の規制ということになっておりますので、必ずしも――私は田中委員のおっしゃることにほとんど同感でございますが、必ずしも全面的にすべての表示の正確さというもの、たとえばそれをこの不当表示防止法がねらっているというふうには申し上げられないと思います。
#22
○田中寿美子君 もちろん、独禁法の特例としてできたもので、業者間の公正な競争でやっているということはよくわかります。ただ、消費者という観念がちょうどこの三十五年以降非常に大きく出てきたと思うんです。たくさんの品物を買わされる消費者の権利というようなことが前面に出てきて、そして、消費者者の自由な選択をさせるために、可能にさせるために、表示も正確に公正な表示をするとか、それから景品も、いまの不当な景品をつけてはいけないということだと思うんです。
 ところで、この法律の四条三号のことを問題にしたいと思うんですが、一号、二号では、商品が「著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧容を誘引し、」ということばがありますね。二号のほうでは、「著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧容を誘引」、第三号のところは、「一般消費者に誤認されるおそれがある表示」となっているわけですね。
 そこで、最初にお伺いしたいのは、「著しく優良」とか「著しく有利である」という、その「著しく」というのは、どのくらいのものであって、どういうふうに判定なさるのか、だれがどういうふうに判定するか、例を引いて……。
#23
○政府委員(谷村裕君) これは、私どものほうが五人で委員会を構成しておりますが、そこで最終的には、こういうのは著しく有利であると誤認させるような不当表示であるというふうに実は判断をする責任を持っているわけでございます。独禁法にいたしましても、また、不当表示防止法等にいたしましても、その辺が、具体的にそれではおまえ、どこが線じゃというふうに言われますと、何か一律の線が実は引けないというところがむずかしい。具体的に、個別にケースで見ていかなければいけないという問題になるわけでございます。大は、新日鉄の合併のようなときに、それが競争を制限することとなるかどうかという線の問題もあれば、小は、いまお聞きになりましたような個別の表示の問題等がそういうことになってくるわけでございます。
 そこで、たとえばそのラインはどうかということを一つの例で申し上げますと、私ども先般、ジーパンというズボンのようなものについて不当表示として処理し、排除命令を出したものと、警告にとどめたものと、それから一般に業界に対する要望という形でやったものと、これだけの使い分けをいたしております。明らかに日本の中で製造されたものであるにもかかわらず、たまたまアメリカのライセンスを使っているとか、アメリカのたとえば原産品を使っているとかいうことだけでもってメード・イン・USAと、こう書いてしまっておる場合には、これは明らかに、原産地のアメリカ産であると、そしてああいうものはアメリカ産がいいものであるという一般の考え方があるという前提のもとに、メード・イン・USAと書き切ったものについては、排除命令を、たしか出したと記憶いたしております。しかし、原産地がアメリカである、そういう糸を使って日本で縫製した、きれを使って日本で縫製したものに対して、アメリカ産のものを使ったということを英語で表示しているものについては、いかにもアメリカ製であるかのごとく誤認させるけれども、それが著しく不当であるという判断は私どもいたしませんで、警告にとどめた。もっとも、これの前提には、輸入品のほうが国内品より著しく優良であるという前提があるという私どもの考え方でございまして、そうでなければこの問題は成り立たないわけでございますが、たとえば一例はさようなところでございまして、おみやげ品の過大包装にいたしましても、あるいは土地、不動産の広告等にいたしましても、どこが消費者をして、著しく有利であり、あるいは優良であると誤認させるかという線を、それぞれすべてのケースについて個別に私どもは見ているというのが実際でございます。それをある程度、一種の基準みたいなものを立てましたものが、先ほど御指摘になりました公正競争規約というようなことによる業者としての自粛基準、さようなものでございます。
#24
○田中寿美子君 「著しく」というもの判定はたいへん私はむずかしいと思います。
 ちょっと余談になりますけれども、ジーパンのことですが、実は、私の知っている人が神田で縫製工場を営んでいて、そして宮城県に持って行って工場二つつくっておりますが、それはみんなアメリカのジーパンです。原材料はアメリカから輸入するけれども、縫製するのは日本でやって、アメリカに出して、メード・イン・USAというのでアメリカからこっちへ入ってくる。ですから、いま確かにちょっと面白い問題があると思います。別の問題があると思います。
 そこで、三号の「誤認されるおそれがある表示」、これには「著しく」はついてないわけですが、これはニュアンスはどういうふうな違いなんですか。そこのところを。
#25
○政府委員(谷村裕君) これはやはり法律第一条から考えまして、「著しく」とかいうようなことでなくても明らかにそういうことが消費者の選択を誤らせる、それによって、その顧客の不当な誘引ということを結果するということであれば、それに該当するものとして、特別に、一号、二号以外に、そういうカテゴリーのようなものをわれわれのほうで指定しようという趣旨でございますから、「著しい」とか、そういうような、何と申しますか、量計的なものでなくて、いわば具体的客観的に一つの当不当がわかるようなもの、そういうものが、まあ、ことばで申しますと変な抽象的なことばになりますが、なってまいりますと思います。
 そこで、あるいはこれから御質問があるかもしれませんけれども、私どもここ十年運用してまいりましたときには、まず、現在ありますところの不当な表示あるいは不当な景品類を規制することを進めてまいってきたがゆえに、一号、二号だけをもって運用してまいったんでありますけれども、おそらくこれから御質問があろうと思いますけれども、やはり三号についての指定を考えなければならないような、そういう、いわば情勢に、われわれの消費者行政あるいはこのような情報化社会における競争のあり方というものは、なってきていると私どもも思い、ここ両三年来そういう問題について内部的に検討を進めているところでございます。
#26
○田中寿美子君 いまおっしゃいましたように、その四条というのは不当な表示の禁止なんですが、一号、二号は、「著しく優良」とか「著しく有利」なものと「消費者に誤認される」ということばが入っているわけですね。で、三号は、ただ「誤認されるおそれがある表示」ということになっているわけなんで、そうしますと、これはもっともっと幅広く使える条項ではないかと思うわけです。現に、もうあらゆる不当だと思われる表示の商品が一般に出回っておるわけなんですが、この景表法四条三号は、つくって以来、法律ができて以来、一ぺんも発動させていないわけですね。一体それは何を目的にしてつくられたのかということ、それから十年間、四条三号による公取の指摘がどの商品にも使われていなかったのはなぜなのかということの御説明を承りたいと思います。
#27
○政府委員(谷村裕君) おっしゃるとおりでありまして、十年使っておりませんのは、先ほど申し上げましたように、当時始めましたこの表示行政あるいは景品類の取り締まり行政におきまして、まず一号、二号について、その運用のルールなり、あるいは広さなりをやってまいりたいということで進めてまいりましたので、いわば、手をつけるならば、まず手をつけねばならぬものからというふうな意味でやってまいったと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、三号に基づくものもいろいろ考えなければならない状況になってきていると思います。ただいま幾つかの問題について三号の問題というものを考えているわけでございます。これの前提といたしましては、「誤認」という問題が一体どういう程度のところを対象として、どの程度ならば考えられるのであるかという問題でございまして、後ほど、あるいはそういう御質問も出るかと思いますが、すでに一つの慣用語になってしまっているようなことばについてすら、それをもっとわれわれはきびしく要求すべきであるか、それとも、それは消費者の一つの常識的な判断というものにまかせてもいいのであるか、もう微に入り細にわたって最終的に正確な表示というものを要求すべきものであるのか、あるいは多少とも文学的な表現というものがあっても、それは法律的にはそこまでは立ち入らないというていのものであっていいか、いろいろのそこに議論があるかと存じます。
 もし詳細、どういうことをいま問題としているかということが必要とならば、担当の政府委員にまた御答弁いたさせます。
#28
○田中寿美子君 いまの委員長の御説明では、四条三号はこれまでは全然使わなかったけれども、これからは使う必要のある段階に来たのではないかという御説明であったというふうに私は理解いたします。
 ところで、あまりに、不当だと思われる表示やあるいは表示のないものが多過ぎる、ことに食品に関して私は多いと思います。
 これは厚生省の方も農林省の方も聞いていていただきたいのですけれども、たとえば、きのう私は自分の台所のものを片っ端から出して、コンソメですね、マギーのコンソメというのですけれども、これなんか全然何にも表示がありません。だから、原材料についての表示ももちろんないし、それから製造年月日なんか、もちろんありません。添加物のことも何も書いてなくて、そして、これは特にビーフコンソメというのですから牛の顔がかいてあるのですけれども、だから牛肉が入っているかと思うけれども、実際使った場合には、もちろんかたまりは入っていません。しかし、業者に言わせれば、これをつくるときに牛肉の粉の大量のところへちょっと入れたと言うかもしれないですね。こういったもの。それからカレー類ですね、これは、景品のほうについてはカレーには公正競争規約なんかつくっているのだけれども、表示のほうには何にもないわけです。ですから、私のところにあったのは「ルーミックカレー」というのですが、これはもう何にも書いてありません。こんなに大きいあれの中に絵はいっぱいかいてあって、そして調理の方法は書いてあります、ですけれども、材料に関しては何もありません。それで、もっとみんなの一番よく使っていると思うのは、「エスビーカレー」、「エスビーカラシ」、「エスビーワサビ」ですね、非常にこれは宣伝もされているものなんです。これなんかも、製造年月日、原材料の表示もありません。私は全部きのう自分のところのを出して、いまさらのように驚いたわけなんです。お料理のしかたは書いてありますね。そういうものはたくさん書いてあります。それから粉チーズなんかも見ました、これは保存法というのが書いてあって――これは会社の名を言うのはあれですけれども、比較的表示はよかったと思いますけれども、ベーキングパウダーなんか、こういうものは「食品衛生法合格品」というのが書いてありました。それで、「優良食品」と書いてあったのかな、何でもみんな合格品でなければならないはずなんですけれども、そういうふうなことが書いてある。食品添加物、そういうものについては何も書いていない。製造元も載っていない。それから、前回にもちょっと触れましたけれども、ハチみつですね。これも、利の持っているものは、そういうことは何も書いてなくて、しかも「純粋」と書いてある。それからコショー、だし、香辛料ですね。これはもうむちゃくちゃだと思います。成分の表示のあるのはあるけれども、製造年月日なんというのはない。それから添加物のことは書いてない。
 まあ、今度食品衛生法の改正で、バラのお菓子なんかにまで表示ができるようにするというのだけれども、一体どういうふうにするつもりなのかしらと私は思っているわけです。たとえば、つけものなんかをスーパーやデパートや店先に山のようにしてあるのの中から選ぶというのは、どういう表示をするのだろうか、あるいは豆腐なんかはどういうふうにするのだろうか、あるいは食肉なんかもそれは表示できない、一体どういうふうな表示をしようと思っているのかということなんで、こういうものに対して、もう少ししっかりとした指示を与える、無表示のもの、それから表示の不完全なもの、不当表示のものがはんらんしているのですね。ですから、景表法四条一号、二号で当てはめないで、四条三号のところに当てはめれば、ほとんどのものがみんな当てはまると思うのです。こういうのは、どういうふうにお考えでございますか。
#29
○政府委員(谷村裕君) いわゆる景表法の目的としております第一条から考えまして、この第四条第三号にいう、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、それが不当に顧客を誘引する、いまのお話でありますと、カレーならカレーというものが――私は不敏にして、カレーの原材料がカレー粉である以外のことは、うどん粉かなにかも入っているかもしれませんし、それがどこの産地のものであるかということも、実はあまりよく存じないのでありますけれども、カレーならカレーというものに対して、それが一般消費者にどういう誤認を起こさすか、また、どういう顧客誘引のあれになるかという角度から私どもはそういう問題を考える立場にあると思います。少なくとも、原材料とか――カレーの場合は私は原材料というものについてどういう表示があればいいのか、よくわかりませんが、あるいはそれに何やら人工のものが、香料なり何なりが、どう添加されているかというふうなこと、さらには製造社名、製造年月日といったようなところの、幾つかいまおあげになりましたようなもののどれが不当な顧客誘引ということを起こす誤認のもとになるかということでございまして、まあ、いまの御質問に端的にお答えするわけにいかないのでございますけれども、そのうちの何がしかは、私、四条三号によって受けるべきものだというふうに思います。たとえば、製造年月日といったようなもの、これも、食品については業者の立場からすると、いろいろな問題があるかと思いますけれども、やはり古いものは買いたくないという消費者の選択の意欲が、もしあるといたしますならば、私は、それは私どもが四条三号を使い得る一つの根拠になるのではないか。原材料についても、やはり、そういう問題があるものもあれば、ないものもあるかと思います。コショーというのは、やっぱりほんとうにコショーの実かなにかをすりつぶしたものがコショーなんで、人工のコショーというのは私はあるかないか存じませんけれども、かりに、もしそういうものがあるとすれば、人工のものであるか天然のものであるかということをはっきりさせるということが、やっぱり四条三号からは必要というよりも、むしろ四条三号ではなくて、あるいは場合によれば、レモンしぼり汁の問題と同じように、四条一号のほうの問題になるのじゃないか、そんなふうに、いろいろあると思います。
#30
○田中寿美子君 四条一号でも二号でも、もっとちゃんと徹底しなければならないと思います。
 それから、四条二号を今後使う根拠になるというふうなお答えは、たいへんこれは前向きだったと思いますので、とれ、覚えておきますので。
 それで、いまのような食品についての内容の表示がしてない、原材料が表示してない、こういう問題について、ちょっと厚生省のほうから御説明願いたいのですが、つまり、公取はこういう問題に関しては厚生省と協議すべきであると思いますので、ちょっと説明してください。
#31
○政府委員(信澤清君) 食品に関する表示の問題は、基本的には私どもが所管しております食品衛生法で処理すべきであると、かように私どもは考えております。したがいまして、いろいろ法律の運用にあたりまして不備の面がございますことは、かねがね御指摘をいただいておるところでございまするし、また、そういう御指摘の点を受けまして、今回、食品衛生法の一部改正の御審議をお願いしたわけでもございます。そこで、率直に申し上げまして、従来私どもが食品の表示について、先生いま御指摘になりましたような問題、これは明らかに違反なものがたくさんあるわけでございますが、必ずしも消費者の選択ということを第一義に表示事項を定めてまいったかどうかということにつきましては、やはり反省すべき点が多々あるように考えております。したがいまして、今後は単に取り締まりのための表示ということではなくて、消費者保護基本法の十条にいっておりますように、消費者の選択に誤りを来たさないようにするための表示というものを私どもの法律の中できめてまいりたい、また、これをきめるにつきましては、いま御指摘がございましたように、公正取引委員会なり農林省なり、そういった関係の各省庁と御相談をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#32
○田中寿美子君 その連絡を密にしていただかないと、さっきの牛乳の問題のようなことが起こりますので、ぜひそれはやっていただきたいと思います。
 そこで、公取は、四十四年三月に公取事務局が発表なさった「不当表示防止法による食品表示規制」という資料を下さっているのですね。これはたぶん消費者保護基本法ができた直後に出されたものだと思います、これはたいへん意欲的なんですよね。これで見ますと、この中の五番目に「今後の方向」という項目がありまして、そこで、「(1)従来どおり不当表示に関する排除命令などによる規制と業界における適正な表示を制度的に保証するための公正競争規約作成の指導、監視を両者一体として推進する。」ということを言っていらっしゃいますね。この「両者一体」というのは、これは一体どういう意味なのか。私、思っているのですが、つまり、公正競争規約作成の指導と、それから監視、これを一体にしてやっていくつもりだという意味ですね。それ以外には、その前後からうかがえないわけです、「両者」というのは。だから、公正競争規約をつくられて業者に自主的な規制をさせるという行政指導と、それから監督を両者一体になってやるということを書いていられる。消費者保護基本法ができたときに非常にたくさん附帯決議がついて、それぞれの省に関係している。今後やらなければならない消費者のための行政を進めていく項目がたくさんあげられましたね。それで公取も、こういうことを発表なさったのだと思うのです。二番目のところに、「排除命令および公正競争規約による規制だけでは十分表示の適正化が達成できないような事態が生じた場合または効果的な表示規制のため必要がある場合には、第四条第三号による指定を考慮する。」ということをちゃんと言明してます。これをごらんになっていただければ、「効果的な表示規制のため必要がある場合」ということになると、非常に幅広くなってきますよね。現在問題になっているような問題として取り上げようとすれば幾らでもある。そういう商品のを四条三号で指定できるんじゃないか。それなのに、なぜいままでそれを使ってこなかったのかということを、もう一度伺いたいと思います。
#33
○政府委員(谷村裕君) 行政の、いろいろといたしますことは、ある意味で言えば多々ますます弁ずということにもなるわけでございますが、やはり、行政のいわば重点と申しますか、まず手をつけなければならないこと、そしてそれによるいわば掘り下げた効果を期待するということもあるかと存じます。そういうような意味において、先ほどお答えいたしましたように、まず正さなければならないことに手をつけてまいってきたというのが現状であり、それはまだまだ、御指摘もありますように、一号でも二号でも、私どもなさねばならぬことがうんとあると思います。そして、三号のほうになってまいりますと、これは一号、二号と違って、「効果的」にという、その効果は一体何をどの程度まで、いわゆる消費者のニードに応じてやるべきかと、これはまた切りのない話かもしれませんけれども、そのうちで何がポイントになるような問題であるかということを、やはりしぼり出さないと、私どもの行政能力も追いつきません。また、関係各省とも、こういった問題についてはいろいろと御相談していかなければならない問題があるわけでございます。さような意味で今日まで手がつかなかったわけでございますので、先ほど来申し上げておりますように、そういうことを公に申し上げました後におきまして、幾つかの問題について私どもはその四条三号の問題を内部的に勉強いたしております。そういう段階でございます。
#34
○田中寿美子君 「効果的な表示規制のため必要がある場合に」というのは、それはもちろん、関係する各省とも相談していただく必要がありますけれども、消費者の立場に立って、これはどうしても必要だと考えるものについては四条三号の指定によってでもこれをちゃんときちんとさしていく、こういうことを、ぜひひとつ進めていただきたいと思います。
 いま申し上げました四十四年に出された資料の中で、今後の行き方ですね、「今後の方向」というものの中に、さらに、四条三号指定の主要予定内容として次のことをあげているのですよ。今後こういうことをやっていきますということですね。それの中に、下に掲げることの末尾の事項を明示させますということが書いてあって、第一番に「商品の種類名が紛らわしいため消費者の商品選択を誤まらせるおそれがある食品について品名」、「主要原材料が不明なため、消費者の商品選択を誤まらせるおそれがある食品については原材料」、それから「鮮度等が不明なため、消費者の商品選択を誤まらせるおそれがある食品について製造年月日」、「有効期間が不明なため、消費者の商品選択を誤まらせるおそれがある食品について有効期間」、「内容量が不明なため、消費者の商品選択を誤まらせるおそれがある食品について内容量」、「合成甘味料、合成着色料等の含有または使用が不明なため消費者の商品選択を誤まらせるおそれがある食品について合成甘味料、合成着色料等の使用」、それから「製造方法が不明なため消費者の商品選択を誤まらせるおそれがある食品について製造方法」――たいへん具体的に考えていらっしゃったわけなんですね。ですから、たいへん意欲的であった。商品の、特に食品関係が重大ですから、表示についての四条三号の取り組みの計画ですね。これは、いまのお話ですと、計画的には進めていられないような憂いがあるのですけれども、消費者の保護の立場からいくと、四条三号というのはたいへん重要なものだと思うのですね。ですから、いのような表示の不十分さ、表示のないもの、あるいは乱れ、あるいは不当なものなんかについて、もっと公取は乗り出していっていただきたい。一体その一番隘路になるのは何かということなんですがね。これは、人員の不足だとかなんとかいうようなことになりますかっこうの問題でしょうか、どういうことでしょうか。
#35
○政府委員(谷村裕君) 行政の効果的運用ということから言えば、そういうことをしておいて、それが十分に手が回らないというのでは何にもならないと思います。私はやはり二つあるのじゃないかと思います。いま申されました機構とか取り締まりの具体的な実行方法とかいうものについては私どももいたしますけれども、やはり、先ほど厚生省の方も言われましたが、政府全体が消費者行政というものに取り組んで、そうしてお互いに連携を密にしてやっていくという態度を、いよいよもっとはっきりしなければならない。ただ公取だけが、何かそういうことの使命を帯びているというふうなことでは私はないと思います。このような意味において、具体的に業者にとってはかなり不利になるようなことであっても、それをあえてすることが、業者としては最終的にはやはり消費者の信頼を得るゆえんであるというふうな内容のものであり、かつ、それが消費者としてどうしても必要なものであれば、私は政府全体が一体となって、こういうものを進め、また、取り締まりに当たらなければならないという考え方を持っております。
 それからもう一つの立場というものは、確かに、おのおの消費者の方々のお立場というものが全部一律に同じではございませんで、ある方は、そういう問題はどうでもいいが、これが大事だとおっしゃるし、ある方は、その問題よりもこっちが大事だとおっしゃるし、そしてまた、それを総平均いたしますと、あらゆる立場から、あらゆることが実は要求されている、その中でこういう表示なら表示ということが消費者の誤認排除のためにどうしても必要だというふうなもの、いま例をあげて言われたようなもの、これは私ども頭の中に実は置いていることでございますが、これをどの商品についてどの程度にやることが必要であるかという、その具体的な問題に煮詰めることには、やはりかなりの時日を要するというふうに私は思います。ある問題については、かなりいま、もう煮詰まってまいったものがございます。特に、ちょっと言われました人工甘味料等を含んでいる、いないといったような問題については、私ども、ある程度もう問題をかなり煮詰めている段階におりますが、それ以外のものにつきましても、その程度と申しますか、その必要度、効果度を考えますと、その作業というものは、これまた、どうせ関係各省とも御相談しなければなりませんが、かなりむずかしい問題があるというふうに思います。それは妨げているのではないし、また、私どもがサボっているということでもない、事柄自体が持つむずかしさであろうというふうに、弁解がましゅうございますが、私は考えます。
#36
○田中寿美子君 ほんとうに商品の数は非常に多いわけですから、簡単にいかないことはわかりますけれども、非常に大量に使われているもの、そして非常に宣伝されているようなもの、そういうものから先に手をつけていっていただきたいと思います。
 それで、公正競争規約のことなんですが、景表法十条で、公正競争規約を定めて業者に自主規制を行なわせるということになっておりますが、現在までの公正競争規約ですね、総数は幾らでしたか。これにあるのが全部ですか。それとも、もっとまだ新しいものがありますのですか。
#37
○政府委員(熊田淳一郎君) その規約集では古うございまして、その後に追加されたものがあるわけでございます。現在までのところ、景品類について十四規約、表示につきまして二十五の規約、合わせまして三十九の規約ができておりまして、そのうち四十六年度に、景品類について二つ、表示につきまして三つの規約が認定をされておるわけでございます。
#38
○田中寿美子君 じゃ、この公正競争規約をつくった業界は、公取の認定を受けて、そうして、まあある意味では保護されるというのですか、それ以外の同じ業界のいわゆるアウトサイダーですね、アウトサイダーにも規制ができますか、どうですか。
#39
○政府委員(熊田淳一郎君) この公正競争規約は、当然に、その規約に加盟をいたしております協議会の会員に対して自主規制としての効果を持つわけでございますが、アウトサイダーに対しましては、公正取引委員会が景品表示法を適用いたしまして規制をするわけでございます。その際に、この公正競争規約がやはり違反行為の判断基準というものとして用いられておるわけであります。
#40
○田中寿美子君 アウトサイダーは全部それで規制を受けるというふうに考えていいのですか。そうはいかないでしょう。
#41
○政府委員(谷村裕君) アウトサイダーに対しては、この協議会の自主的な監視といいますか、規制が及ばないわけでございます。私どもがやるのが及ぶわけでございます。しかし、全部と言われる意味は、形式的には全部でございますけれども、申しわけないことに、なかなか全部、違反があるのをうまく私どもつかまえることができない、しかし、目につき、承知いたしましたならば、やると、そういう意味で御了承いただきたいと思います。
#42
○田中寿美子君 それで、その公正競争規約をつくっている業界が、自分たちの検査機関を持って、自分たちのつくっている品物の検査をしておりますね。そうして、公正取引協議会というのを大体つくっておりますでしょう。この公正取引協議会の権能といいますか、どのくらいの機能を持っているかということですがね、権限といいましょうか、どうでしょう。
#43
○政府委員(熊田淳一郎君) この協議会は、規約に定められております必要表示事項、あるいは特定表示事項、あるいは禁止されておる表示事項というようなものを常時監視をいたしております。で、もしもその規約に違反する会員がおる場合には、その会員に対しまして制裁措置を加えるように規約に規定がしてございます。その制裁措置でございますけれども、まあ軽いものでは注意とか警告とかいうところから、重いものでは、除名、その前には懈怠金を課するという措置も講ずることができるようになっております。
#44
○田中寿美子君 それで、私は、さっきの牛乳の話にちょっと戻りますけれども、牛乳の公正取引協議会がありますわね。そして、あそこで異種脂肪の問題も問題にしたと思うのです。大体公正取引協議会というのは、前に公取にいたような方がみんな入っていらっしゃるようですね、指導するために。非常に多いと思うのです。ですから、公正取引委員会と、公正取引協議会――これ、民間の団体ですね、業者の中でつくっている団体でしょう。その間の連絡は非常に密接だと思うのです。ですから、異種脂肪の問題なんかも、公正取引協議会が徹底的にやれば、さっきのような情報不足は公取にはなかったはずだ、こういうふうに思うのです。私、これ、深追いする気はもうありませんけれども、すべての業界にある公正取引協議会に同じようなことがありはしないかという疑いを、この際持つようになってしまいますね。ですから、公正取引協議会に対しては、どういうふうに公取は指導監督をなさいますか。
#45
○政府委員(熊田淳一郎君) これは業界の自主規制機関でございますので、原則として、この違反行為があります場合にも、協議会の制裁措置に一次的にはまかせるということにしておりますけれども、しかしながら、協議会の自主規制あるいは制裁措置で十分に規制の効果があがらないというような場合には、公正取引委員会といたしまして別に措置をする、あるいは協議会に対しまして警告を発するとか要望をするというようなことをいたしております。
#46
○田中寿美子君 私、それは厳重にしてほしいし、ゆめゆめ公取との間になれ合いがあるというようなことのないように、委員長、気をつけていただきたいと思います。異種脂肪の問題について非常に情報不足でいらしたように御説明でございましたから、この点は御注意願いたいと思います。公正競争規約をつくる際に認定なさるのですけれども、その認定には十分に皆さんが意見を述べて、業界の持っている規約にはいろいろと介入といったらあれですけれども、つくるときにはよく相談に乗って指導なさっているんだと思いますが、そうですが。
#47
○政府委員(熊田淳一郎君) この公正競争規約の認定をいたします際には、非常に慎重な手続をとって、これは表示連絡会というような連絡会、これには消費者側の代表、学識経験者あるいは関係官庁の方々、さらには業界の方々というような方々にお集まりいただきまして、公正競争規約の案を十分に御討議をいただいておりまして、そこで大体話のまとまりましたところで公聴会を公正取引委員会といたしまして開催をいたしまして、そこで、また、ただいま申し上げましたような関係の方々の御意見をもう一度御披露いただきまして、十分に意見の調整をした上で認定をすると、こういう手続をとっております。なお、この規約の認定をいたしましたあと、さらに規約の施行細則であります規則をつくるわけでございますが、これは公正取引委員会として承認という措置をとっておりますが、その承認をいたします前の段階でも十分に消費者側、その他業界の意見を聞きまして、その意向が十分反映するように考えてやっております。
#48
○田中寿美子君 それにしては少し私も疑問のあるのが、これを拝見したらあるのです。この間ちょっと申し上げましたけれども、たとえばハチみつ、これはハチみつの公正競争規約ができているので、「はちみつ」と「加糖はちみつ」というふうに呼ぶことになっている。ところが、「純粋」だとかなんとか一ぱいつけたものがあるのに、「「純粋」又は、「Pure」」というのをつけてもいいようになっておりますね。そのためにハチみつにも「純粋はちみつ」という名前で出回っているハチみつがたくさんある。そうすると、「はちみつ」と書いてある場合には、本来純粋のものでなければならないんだけれども、ハチみつというので純粋でない、つまり「加糖はちみつ」がある場合もあります。これは私が手に入れているもので、そういうふうになっているのがあるのです。メーカーの名前も言えますけれども、ちょっと控えておきます。だからこういうふうなつまり公正競争規約できめるときにはなるたけ単純化してきて、ハチみつといったら本物で、加糖ハチみつといったらほかのあめとか何か入っていてもいいようにしないと、それに「純粋」をつけてもいい、「Pure」をつけてもいいということになったら、表示の基準がまた乱れてくるのです。公正競争規約をつくっていない食品でずいぶんありますでしょう、「天然」とか「純粋」等とくっつけているものが。この前にも申しましたような「純生」なんというのはちょっと疑わしいことばだと思います。生ビールというのはジョッキの中へ生で持ってきたものである、かんの中に入れたら殺菌しなくちゃならないので、純粋な生でないだろうと思いますが、そういうようなこともできてくるわけで、まして公正競争規約の中で「純粋」「天然」ということばを許すのは問題だと思いますがね。そういうことがありますので、公正競争規約は一ぺんきまったらこれきり直せないというものではないはずだと思いますから、その辺をもう一ぺん点検してみていただきたいのですが、いかがですか、いまの問題と。
#49
○政府委員(熊田淳一郎君) ただいまのハチみつ等の「純粋」とかいう表現の問題でございますが、ハチみつにはこういう経緯がございました。当時、公正競争規約をつくりますときに、ハチみつについていろいろな名前がついておって、売られておったわけでございます。それには「純粋」「Pure」のほかに、「天然」とか「生」とか「完熟」とか、そういうようないろいろな名前がつけられて売られておりました。こういういろいろなまぎらわしい名前はできるだけ単純化するといいますか、統一したほうがよかろうという考え方がございまして、そういうものについては「「純粋」又は、「Pure」という文言に統一」をする、これを規約はうたうことにしたわけでございます。いろいろな品物につきまして、そういう「天然」とか、あるいは「生」とか「純生」とか「純粋」とかいうような表示がつけられておることは事実でございまして、確かにこれは実体と、もしもこれが違っておるということであれば、非常に一般消費者の誤認を誘発するおそれも多いわけでございます。しかしながら、これは商品によりましていろいろ違っておりますので、一律にどうこうということはなかなかむずかしいわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけそういうようなまぎらわしい表現は避けるように公正競争規約の作成等にあたりましては、指導をしてまいりたいと考えております。
#50
○田中寿美子君 公取に対して、私やはりそういう意味で表示に関してきびしい立場に立って各省とも連絡をとりながら日々新たに改正すべきものは改正していってほしいし、業界の自主規制――いまの陣容からいって、ほんとうに自主規制にたよらざるを得ない面があるかと思いますけれども、検査機関なんかについても今後考慮してもらいたい。あるいは公的機関をもっとフルに使えるようにするとか、そういう点を考えていただきたいと思います。
 時間があれですけれども、急いで私、農林省の方についでに表示の関係ですから、しょうゆのJAS規格のことについてお尋ねしたいと思います。
 一月の二十七日にしょうゆのJAS規格の改正をいたしました。しょうゆのJASは昭和三十七年制定して四十七年改正、これまで、それによりますとしょうゆというのはすべて醸造しょうゆだったのですね。こいくち、うすくちしょうゆ、たまりと、三通りあるけれども、全部醸造のしょうゆ、それをJAS法の改正でこいくちしょうゆ、うすくちしょうゆ、たまりしょうゆ、さらに本醸造、新式醸造、それからアミノ酸液混合のこの三通りをそれぞれに三通りを加えた、だから九種類の規格ができたということになるわけですね。で、このことはなぜこういうふうに複雑化させていくのかということをまずお伺いいたしたい。
#51
○説明員(下浦静平君) ただいま御指摘がありましたとおりに、本年一月品質表示基準を定めますとともに規格のほうの改正も行なったわけでございますが、これはしょうゆにつきましての品質表示基準を早くきめてほしいというような声がかなり高まってまいりまして、昨年の二月でございますか、国会におきましても予算委員会あるいは物特の連合審査会等におきまして御議論のあったところでございます。したがいまして、品質表示基準を改正法に基づきましてつくろう、こういうことになったわけでございますが、まあ、大ざっぱに分類をいたしますれば、ただいま本醸造というのを使っておりますけれども、醸造というものと、それからアミノ酸液混合と、こういう二つに分類できるかと存じます。ただ、醸造ものにつきましては、ただいま本醸造という扱いをいたしております分につきまして、昔ながらのものにつきましては区別して表示をしてほしいという声がかなり消費者の皆さま方の間からも強く出てまいっておりましたので、これを区別をいたしました。本醸造というものを規定をいたしたわけでございます。新式醸造につきましては、これは、製造が本醸造のものと若干違っておりますけれども、醸造過程がございますものですから新式醸造と、こういう規定のいたし方をしたわけでございます。
#52
○田中寿美子君 JAS法の改正では、適正かつ合理的な農林物資の規格を制定し、これを普及させることによって、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化及び使用または消費の合理化をはかり、あわせて公共の福祉をはかるとありますね。で、品質の改善、取引の単純化、消費の合理化という立場からしますと、たいへん複雑になったのですね。こいくち、うすくち、たまり、これが全部本醸造。こいくち(本醸造)、うすくち(本醸造)、たまり、となるわけですね。それから新式醸造というのがまた三種類、それからアミノ酸液混合が三種類、九種類になるわけです。いまの御説明で、本醸造と「本」がつくのは、これまた表示の上からいけば、ちょうどさっきの「純粋」とか「天然」とかをくっつけるのと同じことで、醸造と言えば醸造そのものをさすということにすべきだと思うのですね。
 そこで、本醸造というものとアミノ酸液混合と、本質的には二種類だとおっしゃるのですね。だから、片一方は、お酢で言えば合成酢に当たる合成しょうゆ、片一方は醸造のしょうゆである、その中間に新式醸造のしょうゆという表示をつくる。これは確かに、醸造のしょうゆと、それからアミノ酸液混合と、両方の中間ですね。両方まぜてありますね。ですから、これは醸造とは言えないと私は思うんです、アミノ酸液が混合されているわけですから。だから、三通りにしなくても、醸造とアミノ酸液混合、あるいは合成しょうゆというふうにしたら、はっきりするんじゃないかと思うのですけれども、どうしてこうしなければならなかったのですか。
#53
○説明員(下浦静平君) この新式醸造というものにつきましては、先ほどちょっと製法上違いがあると申しましたけれども、原料である大豆を弱酸を用いまして加水分解をいたしまして、その後におきまして発酵させるという過程がございますわけです。したがいまして、これはやはり醸造過程がございますわけですから、何と申しますか、醸造であることには間違いがないということでございます。本醸造は、先ほど申し上げましたような加水分解というような過程がございませんで、発酵だけでやってまいるということになっておりますので、それの区別をしてほしいと、こういうようなことからいたしまして、いまのような分け方になった、こういうことでございます。
#54
○委員長(長屋茂君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#55
○委員長(長屋茂君) 速記を始めて。
#56
○田中寿美子君 需要のほうから見ますと、一体現在、醸造しょうゆですね、ほんとうの醸造したもの、それからアミノ酸液混合のしょうゆと、いま言われる新式醸造の比率は、どんなふうになっていますか。つまり、消費ですね、消費者の買います。
#57
○説明員(下浦静平君) まあ、需要に応じて生産をやっていると、こういう観点からいたしますれば、全生産量は、しょうゆにつきましては百二十万キロリットルでございます。そのうち、本醸造のものにつきましては、シェアといたしまして四割程度でございます。それから新式醸造のものが五〇%程度、それから残りの一割程度がアミノ酸液混合と、こういう状況になっております。
#58
○田中寿美子君 私も、しょうゆというものを、これ、議論するために、少ししょうゆについて本を読んでみて再認識したわけですよ。これは日本の独特の、それこそフレーバーということばで呼ばれている単なる、かおりとか味というものではない。国際的に、これと比べるもののない調味料なんですね。ですから、本来これは醸造であるべきものだと思うのです。だんだん、戦時中いろいろのものを使って、しょうゆの味が失われてきて、再びそれが復活した。いまでは、それこそ外国人がビフテキにもしょうゆをちょっとたらして食べるというぐらいになってきました。非常に独特のものだと思うのです。ですから、これはむしろ日本の独特な味として守っていかなければならない。それを、次第に質をくずしていくということは非常に残念なことだから、そういうことをすべきではないと思う。私、化学に弱いのですけれども、少し勉強してみたのです。アミノ酸しょうゆと醸造しょうゆの違いというものは、たいへんなものですわね。私、こういう図を見てよくわかったのですけれども。だから、塩酸なんかで強引にばらばらに植物性たん白を分解した、何といいますか、アミノ酸液混合しょうゆ、それに比べて、一種の自然な醸造の場合、原料の大豆とか小麦のたん白質が酵素の力で自然に分解していく、そこに出てくるものは、確かにこれ、乳酸でしょう。アミノ酸もできると思いますけれども、非常に特徴のあるのは、おいしい醸造のおしょうゆというのは乳酸というものが作用しているものである。この酸味がいい味をつくり出しているということなんですね。で、いまの新式醸造というのは、確かに大豆や小麦の、こうじを使うけれども、アミノ酸分解液で早く分解させるわけですね。ですから、これを分析した結果で見ると、非常に乳酸の量が違う。それから酸度が、まあたいへん違っているということですね。それから、何といいましたか、レブリン酸ですか、あれがたいへん多いわけです、アミノ酸液混合しょうゆのほうは。そういうところにたいへんな味の違いがあって、独特の味わいを持っているしょうゆが、もし比率で、いま四〇%とおっしゃいました本醸造が、その比率をどんどん下げていくというようなことがあってはたいへんだと思います。ですから、ちょうどお酢で、醸造酢と合成酢、それを公正競争規約でつくっておりますね。あんなふうに、私は、しょうゆも、そういうふうに公正競争規約をつくらせて業者がきちんとそれを守っていくようにしたらいいと思うんですけれども、アミノ酸混合液を用いて分解したしょうゆというのは、いまおっしゃった醸造と、それからそのアミノ酸液混合の中間をいくものだから醸造とは呼べない。そういう意味では、醸造のしょうゆと合成しょうゆ、こういうふうに分けられないかどうかと思うのですが、どうですか。無理ですか。
#59
○説明員(下浦静平君) 御質問の趣旨は二点あろうかと思います。
 第一点の、醸造とアミノ酸液混合と、この二種類に分けられないかという点でございますけれども、これは先ほど来御説明申し上げておりますように、ちょっと私の御説明がまずい点があろうかと思いますが、冒頭にお話し申し上げましたとおり、新式醸造と呼んでおりますものもこれは醸造であるわけでございまして、アミノ酸液混合と中間的な性格というものではないのでございます。ただ製造の前段におきまして弱酸によります加水分解の過程があるというだけの相違でございまして、醸造には違いはないのでございます。したがいましてやはりこの三種類の分類になろうかと、こういうふうに存じております。
 それからあと、合成酢並びに醸造酢というような点でございますけれども、これは酢の場合にはほんとうの、何といいますか、化学製品というようなものによりましての製造が可能でございまして、したがいましてこの合成酢というような言い方も出てくるわけでございますけれども、このしょうゆの場合には、いずれにいたしましても大豆あるいは小麦というようなものを原料にいたしておりますので、すべてこれは全くの化学製品によりましてできるというものではございません。
#60
○田中寿美子君 私も、そのアミノ酸液だけでできているしょうゆとは違っておることはわかりますけれども、せっかくの醸造の質を引き下げる憂いがあるという点でこれはちょっと考えるべきじゃないかと思ったわけです。で、JAS法の改正のときに、私は質の低下をさせる心配があるのじゃないかと思ったので、これはきょうは申しませんけれども、また急いでおりますので、これでやめますけれども、あとでしょうゆづけだなんということになると、今度は非常に規制はゆるくはずしてしまっている。そうすると、それに使うところのしょうゆなんというものはいわゆる本醸造でも新式醸造でもないしょうゆを、しょうゆというふうに呼ぶということになると、そこですっかりワクがはずれてしまって、しょうゆそのものが堕落をしてしまう。そういう点から私は、日本の独特の食品としてこれを守るという立場でもう少し考えてもらいたいと思ったわけでございます。きょうは時間がなくなりましたので、また別の機会にさしていただきたいと思います。
#61
○柏原ヤス君 せんだって、この委員会で米の販売価格に対する物統令の廃止、そしてその措置についていろいろ食糧庁がなさっておりますその点についてお聞きいたしました。そこで引き続き、きょうはその面をお聞きいたしたいと思います。
 物統令が廃止されてその後、米の値段が上がるか上がらないかということを調査するために、この措置の中に示されておりますように、末端販売価格の調査を食糧庁で行なっていらっしゃいます。また、行なうということがここに示されておりますが、その調査のしかたについてここにございますが、「食糧事務所の職員により、米穀の品質区分別の卸売価格および小売価格を調査し、」とございます。ここに「品質区分別」とはっきり示してございます。またそのあとのほうにも、「品質格差の形成状況を把握することとする。」とございますが、この調査が品質区分別にされるのであるとはっきり示してございます。この「品質区分別」というのはどういうふうに区分してあるんでしょうか。
#62
○政府委員(中村健次郎君) ただいま先生から申されました調査は、物統令廃止前においてわれわれが小売り販売価格あるいは卸の販売価格を調査したときの要領ではないかと思います。この前には品質その他につきまして、どういう品質のものは幾らで売られておるというふうな調査をいたしておりましたが、物統令の適用廃止後におきましては、消費者に対する販売価格がどのような変化をするか、上がるかあるいは下がるか、横ばいかということをつかんで米の需給操作をしてまいりたいという趣旨で、小売りの売っております価格につきまして調査する対象の小売り店もふやし、回数も毎週調査をする。こういうふうに密度を大にいたしまして、そのかわり調べる内容につきましては、精米の調査でございますので、精米は品質が店々によって千差万別でございます。精米になりますと玄米のような区分がなかなかむずかしゅうございますので、したがってその小売り店の中で一番上等で高いと言っている米と、それから中くらいな米でございますと言って売っておる中位の米、それから普通の米あるいは一番安い米――こういうふうに売っておる並の米、下の米、こういうふうな区分で継続してその店を調査いたしまして、その店における上の米あるいは中の米がどういうふうに値段が動いていくか、こういう調査でございます。こういう各店のサンプルで平均をいたしまして、その県における小売り販売価格の変化の状況を把握しよう、こういう趣旨で現在、四月からそういう調査を始めておる状態でございます。
#63
○柏原ヤス君 そのことはこの間お伺いしましてわかっております。ただここに調査を「品質区分別」にとございますから、その「品質区分別」というのはどういうふうにしたのかと、これをお聞きしたわけでございますが、いまのお答えですと、値段を上中下に分けたと。ですからこの前見せていただきましたし、またその後のものもいただきましたけれども、どこまでもこの区分は値段の区分である、品質の区分ではないと、こういうふうに思いますが、その点はいかがですか。
#64
○政府委員(中村健次郎君) いまのは私ちょっと思い違いをいたしましたが、先生のおっしゃいましたのは、今度の価格調査の中で品質別に調査をしておると申しますのは、卸が小売りに売ります価格でございまして、それは宮城のササニシキであれば幾らと、あるいは新潟のコシヒカリならば幾ら、あるいはホウネンワセなら幾らというふうな品質に応じた価格の調査をいたしております。しかし、小売りの販売価格につきましてはそういうものがブレンドされますので、そういったどういう品質のものが幾らかという調査は、これはほとんど不可能に近いというふうに考えておりますので、先ほど申しましたような価格水準の動きを把握するための調査をやるようにいたしておるわけでございます。
#65
○柏原ヤス君 そうしますと、この調査は品質区分別の調査ではなくて、値段で区分した調査であると、こういうふうに承知してよろしゅうございますね。
#66
○政府委員(中村健次郎君) まあもちろん値段の、その店で売っている上というものは品質がよくて消費者に好まれて高くても買われる、中というのは中ぐらいであるし、並みというのは従来の配給米程度の品質だ、こういうことでおのおの小売り販売業者もそういうつもりでつくりますし、消費者のほうもそういうつもりでお買いになりますので、自然に価格の上というのは上米、中というのは中米というふうに抽象的に品質をあらわしておる。したがって、品質に無関係でただ価格の調査ということではございません。
#67
○柏原ヤス君 この前の委員会のときには、この上、中、下は上米、中米、下米というんですか、そういう分け方じゃないとはっきりおっしゃったわけですね。ところがきょうは、上米、中米、下米だと、こういうふうにおっしゃったようですが、だいぶ違うと思うんですね。そういう点、もう少しこの調査というものは研究を要するのではないかと、こう感ずるのでお聞きしたわけです。今度その後のをいただきましたら、今度は上、中、下じゃなくて上、中、並みというふうに変わっておりますが、この並みというふうにどうしてお変えになったのですか。
#68
○政府委員(中村健次郎君) これは調査の当初におきましては、われわれ従来内地米ということで、一−四等を原料にした配給米、これを主体に調査をしようという考えでございましたので、その配給米が物価統制令の適用廃止によりまして、いいものは上、並みものは中あるいは下というふうに三段階に分けて調査をしょう。こう考えたのでございますが、調査をいたしておりますと、並み米以下の、いままで下といっておりました米以下の米――従来の徳用上米でごさいますが、千二百五十円で従来旧統制額で売っておりました米に相当するものでございますが、こういった米もかなり出回っておりますし、それが千二百五十円以下でも売られる状態になっておりますので、そういった徳用米に相当する部分の米につきましても、やはり価格の調査をすべきではないかということになりました。なお従来の、途中までやっておりました上、中、下の場合の下というのは、大体東京でいえば千五百二十円あるいは千五百十円といったふうな標準価格米は、従来の旧統制額以下で売られる米というものが下に入ってまいっておりますので、これは従来配給しておった普通の配給米に相当するものでございますから、これを下というのはいかにも妥当でない、やはりこれは並みというべきであるという、こういうことで上、中、並み、下というふうに変更したわけでございます。
#69
○柏原ヤス君 公取の方にお聞きしたいのですが、この消費者米価の値段のきめ方についてですね、これは独禁法がどう適用されるのか、その関係はどうなのでしょう。
#70
○政府委員(吉田文剛君) お答え申し上げます。独占禁止法の適用除外に関する法律というのがございますが、その第一条第三号によりまして、食糧管理法に基づく必要な命令によって政府が行なう正当な行為に対しては独禁法の適用が除外されるわけです。ただ、従来米の価格につきましては、食管法によらないで、物価統制令によりまして価格の統制が行なわれております。これが最高価格ということであったわけでございます。したがって、物統令適用のもとにおきましても、米の販売価格につきまして、小売り業者あるいは卸売り業者が価格協定を行なえば、それは独禁法に違反するということであったわけでございます。また、たとえ今後食糧管理法第十条に基づく命令が出されるようなことがあったといたしましても、価格協定を行なえというような命令は、おそらく出されないんじゃないかというふうに考えられますので、販売業者間の価格協定は、命令によって行なう正当な行為とは考えられないのでございまして、そのような事実があれば独禁法違反として厳重に処置をしなければならないというふうに考えます。
#71
○柏原ヤス君 そこで、この消費者米価の中でも、標準価格米の値段のきめ方でございますが、これは政府が指導価格として一キロ百五十二円ときめております。そして袋代十円が上積みされて、十キロで千五百三十円と、ほとんどの店の標準価格米がこのような値段になって販売されておりますが、これは独禁法の適用除外の行為になるのか、この点をお伺いいたします。
#72
○政府委員(吉田文剛君) 標準価格米制度につきましては、これは農林省の御説明によりますと、農林省の個々の販売業者に対する行政指導によりまして、従来の内地米の販売価格の統制額以下で売る米を各小売り業者の店頭に置かせるようにするものであるというふうに承っておりますが、その制度自体は独禁法上問題があるものとは思いませんが、その実施にあたりまして、卸売り業者による小売り業者の販売価格を維持するような行為、つまり再販価格の維持、そういう行為あるいは小売り業者間の価格協定というものが行なわれた場合には、独禁法違反のおそれが出てまいると思います。
#73
○柏原ヤス君 そこで、これは具体的な例でございますが、確かに従来の内地米の販売価格を下回る価格で販売しても差しつかえないと、こういうふうに示されております。ところがスーパーなどで目玉商品として値引きをして米を売ろうという傾向があるわけです。それに対して、食糧庁では一キロについて十円以上の値引きというものを禁止したということが新聞にも出ておりますが、この点はどういうふうに公取では御解釈なさるでしょうか。
#74
○政府委員(吉田文剛君) はたして食糧庁が十円以上値引きしたらいかぬということを通達か何かで出されたかどうかは、私まだ確認はいたしておりませんが、かりにそうであるとしまして、その場合に、その価格から十円引いた価格が、もし独禁法でいいます不公正取引方法の不当廉売ということになれば、これは法に基づいて規制をしなければいけない。ただ不当廉売になるかならないか。これはもっと実態を見まして、製造原価あるいは仕入れ原価というものを調べた上でないと軽々に結論は申せませんが、少なくともそういうおそれはあるということでございます。
#75
○政府委員(中村健次郎君) ただいまのお話でございますが、いまの新聞に出ました件につきましては、私のほうで通達をしたこともございませんし、そういった指示をしたこともございません。標準価格米につきましては、従来の統制額で売る米を値引きをすることは差しつかえないということが要領の中にも書いてございます。ただ、いまの問題は、不当に値引きをすれば非常に配給秩序が混乱をする。そういった配給秩序が混乱をするようなことは好ましくないというようなことを説明会のときに課長が発言したのが、そういうふうに新聞に伝えられたということでございます。
#76
○柏原ヤス君 それでは、標準価格米について具体的な質問をいたしたいと思いますが、まず、物統令適用廃止後の措置の一つとして標準価格米という制度かつくられましたが、この標準価格米というのはどういうお米ですか。
#77
○政府委員(中村健次郎君) 標準価格米と申しますのは、私のほうでは物統令の適用が廃止になりましたけれども、旧統制額またはそれ以下で販売できる米を、消費者が希望された場合には必ず売れるように店頭に常置しておけと、こういうことを指示しまして、これを標準価格米というふうに名前をつけておるわけでございます。
#78
○柏原ヤス君 ここに食糧庁長官名で出ております書類の中の、標準価格米のことについての定義がございますが、その中に、配給品目の内地米の精米の品位基準以上のものと、こういうふうに示されておりますが、この品位基準以上というのは具体的にどういうことでしょう。
#79
○政府委員(中村健次郎君) 従来、配給米のうちの内地米は、一−四等を原料としてできました精米につきまして品位が定められております。その品位は、形質、これは搗精度、白さでございますが、そういうものでございますとか、あるいは砕粒の混入割合でございますとか、被害粒の割合でございますとか、あるいは水分、そういったものが規定をされておりまして、これ以下であるといけないという基準をきめておりますが、その基準と、今度言っております標準価格米の品位というものは、そういった物理的な品位について、一−四等を原料とした精米であって、しかもそういった従来の配給米の物理形質的な品位以上のものである、しかも価格は旧統制額以下で売却できる米、こういうふうに規定しております。
#80
○柏原ヤス君 そこでお聞きしたいのは、うまさとか、味を含めた基準かどうかということです。
#81
○政府委員(中村健次郎君) 従来から米の品位規格は、米につきましては味という問題は非常に主観的なものでございますし、相対的なものでございますので、計数的に味を表示して規格をつくるというふうなことはできませんので、従来からも、また、いまも味についての品位といいますか、品質というふうなものは規定をいたしておりません。
#82
○柏原ヤス君 この標準価格米の基準が、そのようにうまさとか味とかそういうものを考えない、品位だけの基準できまっている。これですと、この標準価格米というのはだんだんまずくなるという可能性があると思いますが、そういうふうにはお考えになりませんか。
#83
○政府委員(中村健次郎君) いまの考え方、ごもっともでございますが、米のうまさというのにはいろいろ問題がございますけれども、おいしい品種の米はなるべく上米にしていくと、味の悪い米をなるべく標準価格米にするんではないか、したがって標準価格米というのは、従来の配給米よりもだんだん品質が落ちてくるんじゃないか、味が落ちてくるんじゃないかという御疑問なり懸念というものは多分にございます。
 そこで私のほうでは、そういったことが行なわれますと、その小売り店からは消費者が米を買わないというふうになるように、小売り店の新規参入等を大幅に認めることといたしまして、小売り店の競争を通じて、小売り店が従来の配給米よりもまずいものを持ってくるというようなときには、もうこれは消費者から排除される、こういった競争原理に基づいてこういったものは防げる。現実にまだ必要ではなさそうでございますが、町でつくられております標準価格米は、われわれの聞いておりますところでは非常に品質がいい。特に、大精米工場で集中精米をいたして合理的な精米をやっておるものが多くなってまいっておりますが、そういう意味におきましても、標準価格米は現在のところ、いまのような懸念はあらわれておりませんで、むしろよくなりつつあるというのが現状でございます。
#84
○柏原ヤス君 いまのお話を伺っておりますと、結局だんだんまずくなるということも考えられる、しかし、それは消費者がそのまずい米は買わない、米屋さんも売れなければ困るから品質は下げない、こういうふうになるというお話ですね。ということは、それはそうかもしれません、しかし、基準というものが示されているわけですね。標準価格米とこういつて、米の値上げをこれで歯どめしよう、また、標準価格米というのはおいしいお米なんですよということを、食糧庁が、これは極力責任をもってそうするように私は努力しなきゃならないと思うのですね。そういう点で、何かこの基準の持っていき方というか、基準そのものを食糧庁として究研されるとか検討されるとか、そういうことが私もっと努力されていいんじゃないかと思うのですね。その点、何か消費者まかせ、米屋まかせというような行き方じゃまずいと思いますが、いかがでしょう。
#85
○政府委員(中村健次郎君) その点につきましては、われわれといたしましても同じ考え方を持っておりまして、いま申しましたように、味についての基準を設け数値であらわすとかいうようなことは、これは技術的に不可能でございますので、私どものほうでは販売業者に対しまして、標準価格米というのは従来の配給米にかわるものである、したがって、従来の配給米よりもまずい悪い米をつくれば、これは消費者から排撃を受けますよと、したがって、従来つくっておった配給米に劣らない米を標準価格米としてつくるようにという指導はいたしております。なお、各県に消費者の代表の方を含めた流通適正化協議会を設けまして、そこで集まっていただいて、そういったものを売っておる店、あるいはこれはどうも標準価格米として非常にまずいというような米があれば、そういったものを持ち寄って、そういったものを売った小売り店を指導監督する、こういうように都道府県とも協力いたしまして、いま言ったような懸念が起きないように努力をいたしておりますし、今後も続けてまいりたい、このように思っております。
#86
○柏原ヤス君 いまのところ、政府できめているのは価格だけで、うまさを含めた品質の保証というものは不可能だと、こういうことですね。
 で、私は、まあ意見がどこまでも並行してかみ合わさらないんですが、やはり標準価格米という以上は、価格だけの標準ではなくて、どこまでも標準品質価格米という、そういう形にすべきだ、こういうふうに考えるわけです。そうすれば、この品質基準、あるいはその基準がきめられなければ検査規格というようなものを考えて、標準価格米というのが標準品質価格米というようなものにするようにしていくべきだ、そうしていただきたいと、こういうふうに重ねて申し上げるわけですが、いかがですか。
#87
○政府委員(中村健次郎君) 品質と申しますのは、私のほうでも、品質にはいまの物理的な形質品位というものがございます。それは十分にわれわれとしてもチェックできるわけでございますから、先ほど申しましたように品位をきめまして、いままでの配給米と変わらない品位を指定をいたしております。
 ただ、味の問題になりますと、味を規定するということは、いままでも米については行なわれたことはございませんし、これは味というのは、時期により、場所により、食べる人により、たき方により非常に変化いたします。したがって、これを検査規格のような形で味というものを規定をするということは、きわめて困難でございますので、もちろんいろいろわれわれ味の物理的な試験というものは続けておりますけれども、まだ残念ながら、そういうものを物理的、科学的に規定できる段階に至っておらないことば残念でございます。
#88
○柏原ヤス君 政府米の需給操作における品質別操作ということで、五段階に今度分類いたしましたね。この五段階の分類の基準というのは何でしょうか。
#89
○政府委員(中村健次郎君) この品質別の五段階グルーピングという問題は、これは新聞等であたかも米の成績表のように言われておりますが、決してそういうものではございませんで、われわれが需給操作をいたします場合に、なるべく各県に公平な品質の米を送り込みたい、こういうことで、生産県から消費県に送ります場合に、従来も三段階で、非常に評判のいい米、中ぐらいの米、あるいは評判の悪い米というふうに分けて、われわれ運送操作をいたしておりました。しかし、物統令が適用廃止になりまして、品質に対する、品質と申しますか、それを玄米で申しますと銘柄が代表するわけですが、そういったものに対します要求というものが当然強くなってまいりますので、これの各卸あるいは小売りの販売の公平を期するという意味では、三段階では足りないということで五段階に、不十分ではございますが区分をいたしました。
 その五段階に分けますには、生産県から消費県へ搬入されます米につきまして、その産地ごとに、県でいえば三つかあるいは二つに区分いたしてありますが。運送の単位としての地域をきめておりますので、その地域ごとに、その地域の中の銘柄米、山形県の庄内地域の銘柄米はAである、その地域の指定銘柄でない米はBであるというふうな、そういった指定銘柄であるかないかということと、それがどこの地域に産出される米であるかということを組み合わせまして、消費地における評価等を加味して、そういった五段階のグルーピングをして操作をしておる、こういうことでございます。
#90
○柏原ヤス君 いろいろお話を承っているんですが、五段階に分けたわけでしょう。この五段階に分けるのに、やっぱり基準がなければ分けられないと思うんですね。その基準はどういう基準か、できるだけ簡単に、そしてわかりやすくもう一度おっしゃっていただきたいんです。
#91
○政府委員(中村健次郎君) 基準は、いま申しましたように、一つは指定銘柄であるかどうかということ、指定銘柄以外のものか、指定銘柄か、それから、それがどこの地域で生産をされるか、北海道か、青森か、岩手か、こういった地域、これを組み合わせて、たとえば青森のA地区の米であれば東京に持ってきても非常に評判がよくないという、消費地における販売業者なりあるいは事務所なり都県なりの意見を聞きまして、そういった評価をいたしまして、青森のA地区の米は五のランクに入る、あるいは岩手のAの地区の米は銘柄米は三のグループに入る、銘柄以外のものは四のグループに入る、そういうふうな基準をきめたわけでございまして、要は消費地におけるその米の評価を要素としてきめたわけでございます。
#92
○柏原ヤス君 それでは、北海道とか青森の五のグループというのは、具体的にどういう基準ですか。
#93
○政府委員(中村健次郎君) これは、北海道あるいは青森の米は主として東京、神奈川の関東地区に入ってまいっておりますので、東京なり神奈川なり埼玉等における販売業者が、北海道の米は非常にまずい、こういった評価をいたしております。また、これはわれわれが見まして、あるいは都県が見ましても妥当な評価である、そういうことで、残念ながら北海道には申しわけないのでございますけれども、一番まずい米、こういうふうにきめたわけであります。
#94
○柏原ヤス君 そうしますと、この五グループの分け方というのは、結局まずいとかうまいとかということで分けているわけですね。
#95
○政府委員(中村健次郎君) 主として、まずいとかまずくないということが主体になっております。
#96
○柏原ヤス君 いままでは一等米−四等米、五等米まで分けておりますが、いままでの等級を、どういうふうにこれは配慮してあるんでしょうか。
#97
○政府委員(中村健次郎君) これはいま申しましたように、産地と銘柄で考えておりますので、同じ産地、同じ銘柄でございますと、東京では区分をいたしておりません。一等であっても四等であっても、山形のC地区のもので一のグループの銘柄米は一のグループ、こういうふうにいたしております。
#98
○柏原ヤス君 五グループに分けましたこの分け方は、そういうふうに分けたわけですが、量はどうでしょうか。一グルーブはどのくらい量があるのかという点は、おわかりですか。
#99
○政府委員(中村健次郎君) 量は、現在、これは先ほども申しましたように搬出する県の搬出する米についてだけやっておりますので、たとえば兵庫県のように、自分のところで食べる米等はグループのどこにも指定をいたしておりません。そういう意味で、搬入量というものがどの程度のグルーピング別かということでございますが、いま数字をちょっと持っておりませんが、三のグループのものが一番多くございまして、その次が二、四、それから一、五というふうな、大体三を中心にして両方にバランスしております。
#100
○柏原ヤス君 そこで、いままで三段階の分類で需給を行なっていたわけでありますが、そのときには、各段階別にその量がどのくらいあったかということはわかっていたわけですね、三段階のどきには。
#101
○政府委員(中村健次郎君) これは、三段階のときはきわめて簡単なのでございまして、一番評判が悪い北海道、青森と、それから大部分の普通の米、それから、ごく評判のいい宮城のササニシキとか新潟のコシヒカリ、そういうきわめて評価の高いものというふうに分けておりましたので、ほとんど大部分が真ん中であったわけでございます。それから量は、御承知のように北海道の米の作柄によりまして非常に変動いたしますので、そういう、その年の作柄、生産総量によってこれは量は動いているわけでございます。
#102
○柏原ヤス君 そうしますと、物統令の適用のときには、内地米の米はその段階のどれにしていたか、そういうことをお聞きしてみたいんです。
#103
○政府委員(中村健次郎君) これは従来、物統令適用の時代におきましては、精米にして一本になるわけでございますから、全部が混合されたと考えるべきものだと思います。その割合は、これは時期によりまして、それからその年の作柄によりまして、北海道の米が多くなるときもありますし少なくなるときもありますし、新潟が多くなるときも少なくなるときもあります。そういうことで、一定した割合にはなっておりません。
#104
○柏原ヤス君 そうしますと、三段階に分けられるけれども、内地米として配給されるときには混米されていたわけですね。そういうふうに承知してよろしゅうございますね。
#105
○政府委員(中村健次郎君) そのとおりでございます。
#106
○柏原ヤス君 そうしますと、混米されたものは、まずいのもあるかもしれませんけれども、おいしいのも入っているわけですね。ですから、あの当時の配給米はまずいはずがないわけですね。ところが、配給米はまずいということがもう一般の消費者の感覚になって、そしてもう少しおいしい米が食べたいというような、そうした要求から自主流通米の制度がつくられた。そして今度は、そうした物統令を廃止した理由は、うまい米はうまい、まずい米はまずいと、そういう品質に応じた値段で売ってもよろしいというふうにしたわけですが、そうした混合された米は決してまずくはないんだ、むしろおいしいはずなんですね。ところが、それがだんだんまずいというふうになり、うまい米を食べたい、また、それを売りましょうというふうに、うまい米とかまずい米とかいうものができてきたというのは私おかしいと思うんです。いかがでしょうか。
#107
○政府委員(中村健次郎君) これは、米にいろんな銘柄なり品種なり産地の米がございますので、それを一つにまとめて精米にしますと、そのときの混合比率は時期により場所によって違いますけれども、それぞれ平均的な味といいますか、普通の米の味になるわけでございますが、そういうものでは満足できないで、特にその中のおいしい品種のものだけでつくった米がほしい、こういうことで自主流通というふうな制度もできてまいりました。これに応じて、そういったおいしい米の銘柄の作付けなり生産量も非常にふえてまいりました。そういう意味で、そういった平均的な米というよりも、その中のいいものだけでつくった精米がほしいという人、あるいはそうじゃなくて、値段が安くて平均的なものでいい、あるいは悪い米でもいいから安いものがいい、こういうそれぞれの希望に応じた精米をつくり、配給していくという制度にしてほしいということで、それをきっかけといたしまして、生産も、評判のいい、よく売れる米に生産が移っていく、こういう生産面の改善もはかりたい、こういうことで物統令の適用を廃止したということでございます。
#108
○柏原ヤス君 もう一度、お聞きしたいことを答えていただきたいのですが、三段階にいままで分けていた、分けていたけれども、均等に混米してそれを配給していたんだ、だから配給米はまずくないのだ、おいしいのだ、こういうふうに考えるわけです。また、そうでなければならないわけです。ところが、うまい米とかまずい米、むしろもっとうまい米がというふうな、そうした発想が起きるのが私おかしいと思うのですね。配給米がおいしければ、うまい米を高いお金で買おうという消費者はないと思うのですね。ですから、均等に全部を混米したのだったら、配給米はうまいはずじゃないか。やっぱりまずいから、うまい米を高くても買おうというふうになったんだと私は思うのです。
#109
○委員長(長屋茂君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#110
○委員長(長屋茂君) 速記をつけて。
#111
○政府委員(中村健次郎君) いまの問題は、それは配給米はまずいとかうまいとかという問題は、これはいろいろ主観的な問題なんでございますが、やはり全部いろいろな米をまぜましてつくった平均的な米の味というものは、これは非常にうまいというわけにはまいらないと思います。したがって、北海道だけ非常にたくさんくる時期、あるいはたくさんとれた時期、そういうときには、場合によれば配給米が非常にまずいという声も出ますし、あるいは最近のように低温米あるいは銘柄米が多くなってきたという場合には、配給米もうまくなります。ですから、しかしそれが平均的な、並みのものでございますので、なおさらにもつとうまい米がほしいという消費者の声、こういうものが、いわゆる自主流通による銘柄米だけの自主流通米の要求、こういうことになったと思います。
#112
○柏原ヤス君 標準米のあり方を考えてみたんですが、やはり標準米として打ち出しているのですから、おいしいという品質も考えていくべきだ、こういう立場から、この五段階の中の第三グループのところ、これを消費者米価水準と、こういうふうに考えて標準価格米の基準にしてはどうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#113
○説明員(森整治君) 標準価格米をどれにするかということになりますと、結局政府が需給上売却する場合に、たとえば北海道の米を西のほうにずっと遠くまで持っていくというようなことを別にいたしておりません。やはり運賃がかかるというようなことで、それぞれの地域に組み合わせてなるべく公平に配分はいたしますものの、やはり運賃という要素を勘案してやっておりますから、ですから一がいに、どこのお米をどうするということはちょっとむずかしいのではないかというふうに思います。
#114
○柏原ヤス君 標準価格米のいわゆる品質の問題ですが、品質の保証というのはどこで行なっておりますか。
#115
○説明員(森整治君) 標準価格米につきましては、原則といたしまして、大型の集中精米で袋詰めにする、表示もそこで袋に書いて行なうというようなことですが、特定検定機関にそれを検定させる。それから、その他のもの、一般の小売りにつきましても、一応食糧事務所、県を通じてそういう指導をしてまいるというたてまえでやっておるわけでございます。
#116
○柏原ヤス君 この検査体制がだいじょうぶかどうかということを心配するわけでございますが、特に大型精米工場においては、検査体制は自家精米よりはよく行なわれると思いますが、この自家精米というものが行なわれておりますが、これはどうしてですか。
#117
○説明員(森整治君) 従来から、先生御承知のように、大都会ではやはり専業のお米屋さんというのがございまして、そこの店頭でいろいろ玄米をついて精米にしまして、それを配達をしてきたのがむしろ従来からの形態でございます。中心的な形態でございます。それではやはり人件費も非常に上がってまいりますし、という問題がございまして、昨今この数年来、食糧庁としましては、むしろ集中精米で合理的にやってまいったらということで指導してまいったわけでございます。それがある程度普及をしてきたという段階でございまして、今後ともその線で進めてまいりたいというふうに思うわけでございますが、やはり従来からの小売り屋さんという存在を一がいに無視するわけにもまいらない。むしろ、その方々が集まって合理化し、また協業するなり、その方々がまたそういう精米場をまとまってつくるというようなことも、あわせて指導していかないといけないということではないかと考えております。
#118
○柏原ヤス君 そこで、自家精米の標準価格米に私、問題があると思います。それで、これを調査したわけなんです。そこに一つの結果が出ました。
 ちょっとこれを見ていただきたいのですが、この自家精米の、適正なものですね、また品位の適正なもの、不適正なものが出たわけですね。それで、これは三十三点の中で適正なものが二十七、不適正なものが六でした。それで、これは品位だけの範囲で調べたわけですけれども、それでもこういうような悪い結果が出ているわけです。
 この袋の中で、ここにこういうしるしがついているわけなんですね。しかもマル検というしるしになっておりますので、このマル検というのは何でしようか、これ。
#119
○説明員(森整治君) いま先生の御指摘のありましたのは、おそらく東京の小売り商業組合が自主検査をいたしておりますそのしるしであろうと思います。それにつきましては、小売り組合の自主検査について、穀物検定協会がそれを指導をしてやっておるという、そういう検定の証拠、証票であろうというふうに思います。
#120
○柏原ヤス君 これは食糧庁で認めておりますのですか。
#121
○説明員(森整治君) まあ、そういうようなことにしたらよかろうというふうな指導は、食糧庁としてどうもしておらないようでございまして、早急に、むしろ合理的な表示といいますか、検定のほうへ至急誘導をしたいと思っております。
#122
○柏原ヤス君 このように、食糧庁で認めていないこうしたマル検が全部押してある。これを見れば消費者は、ちゃんと中を検査したものだなと、こう思うわけですね。また実際、たくさんのお米屋さんの精米の状態を検査するということは、ほとんど不可能じゃないか。そういう点で、検査体制というものをもっと真剣に考えていただきたい。事実、内容を検査しますと、先ほども申しましたように合格は八二%で、あとは全部、品位の点だけでも不合格なんですから、非常にこの自家精米の標準価格米というものはよくないわけですね。その点、むしろ、こうした検査体制も整わないうちに物統令を廃止したということが、やはり大きな問題点であると、私はこう思うわけでございます。その点いかがでしょうか。
#123
○説明員(森整治君) ただいま御指摘のございました点、早急に私どもの手で調査をいたしまして、早急に正しいものに切りかえさせたいというふうに思います。
#124
○柏原ヤス君 それで、表示の点についていろいろとお聞きいたしたいと思います。
 まず、小袋詰めの精米の表示というのは、どういう表示が示されているのでしょうか。
#125
○説明員(森整治君) われわれが指導しておりますのは、「配給米表示実施要領」というのがございます。それで、必要な記載事項としましては「配給品目」、それから「正味重量」、それから「とう精工場名」、それから「袋詰精米を製造した販売業者の氏名または名称および住所ならびに電話番号」、それから「ビタミン強化米を混入している場合には、その混入量」、それから「とう精年月日」でございます。それから、生産地、品種、産年、何年産のお米かということにつきましては、必要な表示事項ではございませんが、一定のルールをつくりましてそれに従って表示をさせる。それから不当な表示、「消費者に誤認されるおそれのあるような文字」その他を押してはいけないというようなことで指導を実はしているわけでございます。
#126
○柏原ヤス君 そこで、いま売られているこの袋をいろいろと見たのですが、こういうのがたくさん出ているのですね。こういうのですね、「特選白米」、これだけしか書いてないですよね。それから「おいしい白米」、それから「ミンパス米」、それからこんな、これは「パール」ですか、これも「パール」ですけれども、袋、黄色くなっていますね。こういうようなのがほとんどですよ。
 それで、いまここに必ず示さなければならない表示の第一項目に「配給品目」がございますね。この配給品目というのは、内地米か、徳用上米か、徳用米かというこの三つを必ずここに表示しなさいと言っているんですけれども、内地米なんて書いてあるのは一つもないわけですね。どうでしょうか、実態をお調べになりましたか。
#127
○説明員(森整治君) いままで物統令廃止前に、いろいろ配給米につきまして、それから自主流通米につきまして、あまり表示の指導を実はしてなかった面がございます。そこで、その切りかえにあたりまして、従来の袋を廃止後も使っておるという面が相当まだあるというふうに、実態はそういうふうにわれわれ理解をしております。先生御指摘のように、そういう必要なことは記載事項というのを今度きめて指導をしてまいるわけでございまして、そういうことが正しい表示がされるように、全食糧庁の機構を動員いたしまして早急に善処をいたしたいというふうに思っております。
#128
○柏原ヤス君 搗精の年月日、これはまだ示さないことになっておりますが、いつから表示させますか。
#129
○説明員(森整治君) 半年か一年ということでございますが、なるべく早いほうで指導してまいりたいというふうに思います。
#130
○柏原ヤス君 そこで、先ほど産地とか品種、産年、こういうようなものは必要ではないというふうにおっしゃっておりましたが、「必要的表示事項」の中には入っていないわけですね。けれども、私は、この表示が内地米というだけでは、とうてい消費者はその品質とか、これはいい米であるかどうかということはわからないと思うんですね。そういう点で、ほんとにうまい米をということを考えるならば、やはりこの産地、品種、産年というのは「必要的表示事項」の中に入れるべきだと、こういうふうに思いますが、その点いかがでしょう。
#131
○説明員(森整治君) 先ほどもちょっと出たと思うのでございますが、わりに喜ばれる、歓迎されるお米というのは、量がそうたくさんあるというふうには必ずしも限りません。そこでいろいろブレンドをどうしてもせざるを得ない。悪意ではなしに、やはりおいしいお米をということになりますと、ブレンドをなるたけ三種願か四種類というふうな数の、種類を多くするということがどうしても必要なことがございます。そういう面が一つございます。それに対しまして、いろいろ品種なり何なりを安易に表示をさせますと、逆に、まあ特定の名前は差し控えますけれども、どこのササニシキとかいう米がいかにもたくさん入っているような印象をどうしても与える、そういう表示になりはしないだろうかという意味で、われわれ表示について、産地、品種の問題につきましては非常に慎重でございまして、むしろ二種類のものに限って一応届け出させまして、そういうものならはっきり表示してください、パーセンテージも入れてやってくださいということを、品種と産年とそれから産地につきましてそういうルールを実はぎめて、それで指導をしてまいりたいということでございます。
 もう少しわれわれのほうでも、技術的に数がふえても表示がちゃんと指導を間違いなく、中身と外身を間違いなく保証できるということになって、経験を経てまいりますれば、もちろんそういうことも大いにふやしていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、必ずやれといいますと何かまたどうしても間違いが起こってはいけないという意味で、むしろわれわれのほうといたしましては慎重を期して、そういうのを必要的な記載事項にしなかったということでございます。その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
#132
○委員長(長屋茂君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#133
○委員長(長屋茂君) 速記を始めて。
#134
○柏原ヤス君 それでは自主流通米の点でちょっとお聞きしたいのですが、自主流通米にも表示がちゃんと示されておりますね。その点どうでしょうか。
#135
○説明員(森整治君) 自主流通米の表示につきましても、一がいにその表示を禁止するということはやっておりません。ただ良質米の代名詞みたいなような最近感じもいたしますので、むしろ完全に自主流通米といいまして、要するに政府の指導のもとに卸が入手したものが全部、ほかのものはまぜない、そういう証明がある場合でなければ表示をしてはならないという、そういうことで指導いたしております。
#136
○柏原ヤス君 自主流通米とはっきり表示できるのは、その米屋さんの台帳に、確かに自主流通米の米がこれだけ入った、それをこのように売っているのだと、そうした証拠がなければ自主流通米という名前をはっきり表示できないということになっておりますね。そこで、この自主流通米の表示の問題も調べてみますと、これは食糧庁で示されている表示とは、およそ違う袋がほとんどですね。
 こういうのがあるわけですね。この「自主流通米」というのを書くのじゃなくて、内地米とやはり書くのだ、これは必要事項ですから書かなければならない。そうしてその内地米の中に、自主流通米の場合には自主流通米と小さく書くなら書いてもよろしいと、ただしそれは台帳でちゃんと証拠があるものに限るということになっているわけですね。また、自主流通米のこの袋にやはり「検」という判が押してあるわけです。これはほんとうにナンセンスですね。自主流通米に「マル検」を押すというのは。こういうのがあるわけですね、これは「自」と書いてあるのですが、自主流通米です。こういうのもあるんです、これも自主流通米。たくさんございます。こういうふうに全部、自主流通米の表示も、非常に食糧庁で示されている表示とは違ったものがこのように出ているということですね。この点いかがでしょうか。
#137
○説明員(森整治君) 表示の切りかえ時期でございます。一カ月ぐらいということで指導をしているようでございますけれども、まだそういうものが残っておるというふうに推察をします。そこで、先生が御指摘されましたことにつきましては、十分食糧事務所を通じまして直ちに再点検をいたしたいというふうに思っております。
#138
○柏原ヤス君 この自主流通米はよい米だという感覚をみんな持っているわけです。けれども、はたしてよいかどうかという、この点が、非常に消費者にとっては不満なわけですね。そういう意味で、この自主流通米の表示の中身はどこで検査するか、また、買うときに台帳見せてくださいと言って買う人もないわけです。そういう点から、この自主流通米という表示はよしたほうがいいのじゃないか、やめたほうがいいのじゃないか、こういうふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
#139
○説明員(森整治君) 先ほど申しましたように、それが確実に自主流通米であれば、別に悪いことではないと思いますが、ただ、何かやはりそれが弊害を及ぼすということが実際に出てまいりますれば、その時点で再検討はいたしたいと思います。
#140
○柏原ヤス君 そこでこの自主流通米の中身なんですね。これも検査をしてもらって結果が出ました。これは三十四点のうち適正が二十八で、不適正が六あるのですね。ですから合格率は八二・四%。私、こういう自主流通米でも、こんな中身が不適正なものがあるのだなと思って驚いたわけなんですが、こういう不適正な自主流通米が多い、しかもこの検査は品位だけの基準の検査なんですね、最低の基準の検査でやってすら、こういうものがあるということです。そういう点で、この自主流通米も政府はこれは管理しているのじゃないと、紋次郎じゃありませんけれども、あっしの知らないところでござんすと言われてしまえばそれきりでございますけれども、内容のよくわかる表示をきちんとさせて、そして、うまい米が安心して買えるような対策というものをしっかりやっていただきたいと、こう思うわけでございます。
#141
○説明員(森整治君) 先生御指摘の点、十分肝に銘じまして、食糧事務所を通じまして全部再点検をいたしまして、指導要綱どおり早く切りかえができますように十分留意したいと思います。
#142
○柏原ヤス君 この表示の点でもう一点、袋の表示というものはどんなものでも届け出をしてチェックされて、そしてそれが使われるようになっているわけでございますね。
#143
○政府委員(中村健次郎君) そのとおりでございます。
#144
○柏原ヤス君 そういう点で、ものすごいのがあるのですね、不当表示と思われる。これ、一番問題だと思いますけれども、これがそうなんですね、御存じかもしれませんけれども、持ってきたのです。こういうのがある、「品質保証」なんて。それで、しかもこれが一キロ二百二十五円ですよ。ですから十キロ二千二百五十円ですね。それからこんなのがあるのですね、「山形名産特級」なんて、お酒じゃないですが。それで一キロ二百五円、ですから十キロ二千五十円でしょう。ほんとうに「極上」なんて、「極上新米」、しかもこれが十キロ二千円ですね。これは「特選」。「秋田米」なんというのもこれはいけないのでしょう。これが一キロ二百十円ですから十キロ二千百円。みんなそれが高いのですね、こういう袋に入っているのに限って。「最高級宮城米」、「特選白米」。ほんとうに念が入っていますよ。それで、これは必要な表示は全然ないわけでしょう。全部これ、不当表示の表示、まあ、疑わしいというふうにつけておきますけれども、そういうものですね。「味一番」、味なんというのはなかなかむずかしいというのに「味一番」と書いてある。そして十キロ二千二百円ですね。ほんとうに高いですよ、こういう米は。どうですか、これ。これもそうですね。こういうのが出ているわけですね。お米の品質を消費者が理解するということが非常に困難だという中で、こういう不当表示のおそれのあるものが出ている。
 しかも食糧庁で示されている「配給米表示実施要領」の中には、「消費者の選好に応じた価格形式が行なわれることを通じて、消費者が自ら品質に応じた選択を行ないうるようにする」、また、「消費者の選択の利便に資するとともに」と、非常に趣旨はけっこうなんですね。また「精米の品質等を可能な限り具体的かつ正確に表示させることが従来にもまして要請されるところである」と、こういうふうにうたって、そして表示の基準を示していながら、実際にはこういうものがはんらんしている。
 それで、いやこれは以前からのものです、まあ大いに取り締まります、と。それはそうしていただきたいのですけれども、私が心配するのは、物統令がはずれまして、ますます競争が激しくなる。そうなりますと、この袋の表示というものもますますどぎつく不当表示がされていくのではないか、そういう心配がございますので特に申し上げたわけですが、公取は、これをどう取り締まりますでしょうか。
#145
○政府委員(吉田文剛君) 米の統制令撤廃に伴いまして、現在過渡的にいろいろな、一部において混乱あるいは表示についても乱れがあると思いますが、公正取引委員会としましては、米の品種規格等について適正な、ほんとうに消費者が商品を選択するのに必要にして十分な事項が記載されているように、かねがね注視、監視をしておるところでございますけれども、万一、米の品質規格、価格等につきまして、一般消費者を誤認させるような不当な表示というものが、農林省の指導にもかかわらず今後発生するというような事態になりますれば、これはまた私どもとしては個別事件としても取り上げて、もし法に違反すれば処置してまいりたい。さらにこれには、適正な表示ということにつきましては業界の自主規制ということも必要でございますので、そういった事態が起こりますれば、公正競争規約の認定等を考慮することになると考えております。
#146
○政府委員(中村健次郎君) ただいま先生からお示しいただきました袋表示の問題でございますが、これは残念ながら、自主流通米につきまして、従来、表示についてあまり私のほうで指導監督をいたしておらなかったものでございますので、いまお示しのようないろいろ内容を誤解せしめるような表示の袋が出回っておりまして、そこで物統令適用廃止後、われわれとしては先ほど先生のお読みいただきましたような趣旨で、的確な表示指導をいたしまして消費者の便に供したい、また、でたらめな表示をなさせないようにしたいということで、現在切りかえ中でございます。しばらく時間をかしていただきまして、そのような内容を誤認させるような表示はさせないように指導いたしてまいりたいと思います。
#147
○柏原ヤス君 最後に、五月十六日の新聞にも出ておりますが、農林大臣が生産者米価の引き上げを強調しているという記事が出ておりました。この点、生産者米価は引き上げても、政府の売り渡し価格は据え置きをすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#148
○政府委員(中村健次郎君) 現在、米価につきましては、政府といたしましては、生産者米価につきましてもあるいは消費者米価につきましても一、何ら決定をいたしておりません。六月の終わりになりますか、あるいは七月になりますか、その辺もまだきまっておりませんが、米価審議会にはかりまして決定するということに相なります。それまでにいろいろな準備をいたしまして決定をされていくと、かように思っております。
#149
○柏原ヤス君 最後に企画庁長官に、この点どういうお考えか、お聞きしたいと思います。
#150
○国務大臣(木村俊夫君) いろいろ農林大臣も申しておりますが、とにかく私どものほうといたしましては、政府の売り渡し価格、これは据え置く方針でございます。
#151
○渡辺武君 私は、最近の地価の値上がりですね、これについて伺いたいと思います。
 昨年来、不況にもかかわらず地価と株価の異常な高騰が続いております。特に、不況下で設備投資が沈滞しているのにもかかわらず地価が急騰しているというのは、これは銀行や大企業が、金融緩慢でダブついた資金を土地の買いあさり・買い占めに向けている、投機的なものに原因があるというふうに言われております。地価は、私申し上げるまでもなく、住宅建設費あるいは家賃、これらを値上げさして庶民の生活を非常に脅かす。それだけじゃなくて、公共投資に大きな困難を与えるという点でこれは見のがすことのできない重大問題ではないかというふうに思うのです。
 それで、建設省からおいでいただいていると思いますが、最近の地価の値上がりの実情、それからその原因あるいは投機の実態、こういう点をどのように見ておられるか、御報告いただきたいと思います。
#152
○説明員(関口洋君) お答えいたします。
 地価の上昇は、毎年いろいろな事情によりまして一定でございませんので、ここ一両年の動きを御参考までに申し上げたいと思います。
 地価の問題といたしまして、私どもで行なっております地価公示価格、これもまだ地点数が少のうございますが、それで見ますと、四十六年一月現在で対前年の上昇率を見ますと一六・五%、それが、四十七年一月現在で対前年の上昇率を見ますと一二・四%ということで、この一年間に関する限りは、前年より上昇率は下がっております。それからなお、不動産研究所の調査がございますが、これはいずれも三月現在でございますが、四十五年三月現在で対前年の伸び率を見ますと一九%、それに対しまして、四十六年三月現在で対前年の伸び率を見ますと一五%というふうな状況になっております。
 なお、地価の上昇の原因についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、やはり基本的な問題としては、先生御案内のとおりに、大都市に対する人口・産業の集中、またその裏返しでございますが、国土全体の立場から見ますと、国土の利用が偏在化しておるというところに基本的な原因があろうかと、かように考えております。したがいまして、基本的な恒久対策といたしましては、大都市への人口・産業の集中の抑制、さらに人口・産業の分散の促進、これが一つの大きな柱になるわけでございますが、それがいろいろ実行して効果をあげるまで慢然と手をこまねいているわけにもまいりません。
 そこで、私ども宅地部といたしましては、当面の問題といたしまして、宅地需給のバランスの回復という点に力を注いでおります。この宅地需給のバランスの回復のためには、これまた先生御案内のとおりに、何と申しましても宅地の大量供給というものが必要でございますので、そういう観点から、従来から公的機関による宅地開発の推進、さらには民間の優良な宅地開発事業の促進、この二つを柱としてまいる。さらに、この国会におきまして、新都市基盤整備法案、公有地拡大法案の御審議をお願いしておりますが、こういう二つの法案によりまして、所要の宅地なり公共施設用地の先行的な確保をはかって、今後の大量供給の推進をはかってまいりたい、かように考えております。なおそのほかに、これは土地自体の属性といたしまして、いわゆる投機的な取引の対象となりやすい性格を持っておりますので、それらの問題の防止をはかるためには、税制措置、そういうものによっても効果をあげなければならないために、税制についても大蔵省と御相談をして、適切な措置がとられるように今後とも努力してまいりたい、かように考えております。
#153
○渡辺武君 いろいろ御説明いただきましたが、一言で申し上げると非常に抽象的でね、いま新聞などでもいろいろ問題にしている大企業の土地の買いあさりというような問題について、十分触れられていないのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点どうですか。特に、建設省が最近大法人の土地購入についての実態調査をするというような向きも新聞に報道されておりますけれども、そういうことはお始めになっておられるのか、あるいはその意図がおありになるのか、その辺もあわせてお願いしたいと思います。
#154
○説明員(関口洋君) 失礼いたしました。
 去る五月四日に、東京証券取引市場に上場されております一部、二部の上場会社に、最近の土地の取得と、取得した土地がどういうふうに使われておるかということについて、アンケート調査をお願いいたしております。これらはまだ回答が参っておりませんので、結果につきまして御報告申し上げる段階には至っておりませんが、調査は行なっております。
#155
○渡辺武君 何社くらいに対してアンケートを出しておられるのですか。また、そういうことをお始めになった動機はどういうことですか。
#156
○説明員(関口洋君) 対象数は、正確に覚えておりませんけれども、約千百社でございます。
 で、これの背景になりましたことは、いろいろの報道を通じまして、先生が御指摘のようないわゆる大法人による土地の買い占めが、金融緩和を背景として盛んに行なわれておるということが報道されております。私ども、従来はいわゆる純粋の宅地問題に焦点をできるだけしぼりまして、大都市圏における宅地問題のほうに多大の精力を傾けておったつもりでございますが、近ごろは、いわゆるレジャーであるとか別荘地、こういう需要が多くなったために、従来の考え方からすれば、ことばははなはだ不適切であるかもしれませんけれども、私どもが対象にしております都市計画区域外の土地の取得に及んでおるということがございます。それらの土地の取得につきましては、いわば別荘地なりあるいはレジャーなりで一定の計画のもとに取得しておられる向きと、それから、そうではなしに、ことばがあるいは不適切かもしれませんけれども、いわば保有するだけの目的のものと、断片的にお伺いする範囲内でもいろいろあるようでございまして、それが実態が明らかでございませんので、私どもとしてはそういう、現在ここ数年における土地の取得の実態を洗いたい、こういう意味でこの調査を行なっておるような次第でございます。
#157
○渡辺武君 その辺が非常に大事だと思うのですね。少しおそきに失したと思いますけれども、それでも、大法人のそういう土地の購入について焦点を当て始めたということについて、私はある程度やはり核心に触れつつあるなあという感じがするのです。先ほど土地の公示価格あるいは不動産研究所の指数なども報告されて、若干値上がりが鈍化しつつあるという傾向があらわれていると言われましたけれども、やはり最近の傾向は、これはもう六大都市で急速に上昇していた地価が、これが全国に波及するという傾向を持っているのですね。同時にまた、都市でも郊外ですね、つまり、特にやはり通勤をする人たちが集中的に住んでいる住宅地域、そこでの値上がりが依然として急激だというような傾向もあって、決してこれは楽観はできない現象だと思うのですね。ですから、そういう点もあわせて、私、今後の対策を後ほど伺いたいと思うのです。
 で、大蔵省のほうに伺いたいのですが、ここに私、四月十三日付の地方銀行協会の報告「底固めの兆が出始めた地方景況」というのを持っておりますが、この中でこういうことを言っておるのですね。「一方、非製造業方面では、建設、不動産、レジャー関連で相当根強い増勢を続けており、とくに、中央大資本が地方に進出し、大規模な土地の先行取得を進めていることは最近の顕著な現象である。」ということを言っております。また地方別に申しますと、たとえば関東の場合ですと、
 「新幹線、高速道路の開通を見通して、大手私鉄資本による土地の買い漁りが活発化している。」ということが出ておりますし、それからまた九州の場合ですと、「非製造業では、ポストボーリングの傾向として、ホテル建設、大型洗車場の新設が目立ってきているほか、ゴルフ場用地など中央大資本による大規模な土地の先行取得が活発な動きを示している。」という報告が出ている。こういう報告が銀行協会の報告にあらわれたというのは、非常に珍しい現象ですね。それほどに著しく目立つ現象だと思うのですね。私ここに幾つかの新聞を持っておりますが、いろいろな新聞に出ているので別に日本経済新聞だけに出ていた記事じゃないのですが、四月三日の日本経済新聞、ここには、都市銀行など大金融機関の建設・不動産産業向け貸し付けは前年比五割増のテンポでふえ続け、これが土地関連部門に金融インフレをもたらし、地価高騰の原因になっている、と報道している。これは銀行が土地関連部門にものすごい勢いで貸し出しをふやしているという記事なんですけれども、大蔵省としてこの実態つかんでいらっしゃるかどうか、これを伺いたい。
#158
○参考人(渡辺孝友君) 日本銀行の渡辺でございますが、大蔵省から銀行局関係の方がお見えになっておりませんので、私どもでお答えできる限り、かわってお答えさしていただきたいと思います。
 確かに先生がおっしゃっていますように、このところ不動産関係の融資は、かなり顕著に伸びている次第でございます。これにつきまして、私どもの窓口で様子を、銀行を通じて聞いておりますけれども、全体はもちろん的確に把握することは困難でございますけれども、私どもで銀行の申し分を聞きます限りにおきまして、大体いま住宅建設とか宅地造成は重要なことだとされておるわけでございます。大部分の融資は、確かに不動産会社そのほか一部は総合商社とかまた私鉄、それから不動産会社でもこのごろは企業が不動産業を兼営するという傾向もございますので、そういうところもございます。そういうところが大口の宅地造成を目的として借りているものが多い。それらは実需に基づくものである。また相互、信金筋などの様子を聞きますと、これはそういったものはございませんが、工場建設用地とかあるいは倉庫建設用地だとか、中にはボウリング場建設用地というのもあるようでございますけれども、まあ金融機関の態度としましては、そういう実需のものにつきましてはかなり積極的な態度を示しております。これは、一般に資金需要が低調を示しておりますし、一方で宅地造成、住宅建設推進という考え方がございますので、一応当然の方向かと思うのでございます。
 問題は、そのやり方がどうなっているかというような点で、私ども少なくともその過程において、ときどきうわさに聞きますように、それによって地価をつり上げるというようなことがあってはならない。いやしくも投機的な目的でそういう不動産を取得するような融資に応じてはならないということで、金融機関に対しまして強く注意を喚起している次第でございます。
#159
○渡辺武君 私がまだ伺わない点までおっしゃいまして、実需に基づいているのだとか、一応難はないとか、そういうことを先に言いわけ的におっしゃって、実情をおっしゃるということは、これから私その点は審議したいと思っているわけですからね、ありのままに実情をおっしゃっていただきたいと思うのです。あなた方が実需だとおっしゃっても、そうでないと言う人たちのほうがはるかに多いのですよ。また実情も私そうだと思う。
 たとえば都市銀行の業種別貸し出し高というのを毎月、日本銀行は発表しておられますね。それで、たとえば建設業、不動産業、これに対する貸し出しの増加の状況ですね、その辺はどうなっておりますか。
#160
○参考人(渡辺孝友君) ちょっと全国銀行の勘定、用意しておりませんが、よろしゅうございましょうか――。
 業種別貸し出し統計でございますが、これで見ますと、建設業は四十六年中に七千二百六十七億増加しておりまして、前年同期の二・三倍の増加ぶりを示しております。また不動産業に対しましては八千三百四十一億円の増加でございまして、前年中の、つまり四十五年中の増加額に対しまして二・六倍の増加と、この増加状況は顕著でございます。四十七年に入りまして、一、二月の数字がございますが、大体同様の傾向でございます。
#161
○渡辺武君 いろいろ、去年から今年にかけては特別深刻な不況なんです。特に昨年末の円の切り上げで、その不況も一段とひどくなったという状況なんですが、製造業ですね、これはいまの何でいいますと、どういう増加率になっていますか。
#162
○参考人(渡辺孝友君) 四十六年中の製造業に対します貸し出し増加額は三兆六千九百七十九億円でございまして、前年同期における貸し出し増加額に対しまして五〇%増ということになっております。
#163
○渡辺武君 ですから、これはたいへんだと思うのですよ。これは投機的なものじゃないからだいじょうぶだなんて、すましておられる事態じゃないと思うのですね。不況で、それでもって急に外貨が急増して、もう金融が非常に緩慢になっている。そういう時期に、製造業のほうは五〇%しか前年に比べてふえてないというのに、この不動産関係だけは二倍以上というようなべらぼうなふえ方をしている。これは銀行の融資態度に非常に大きな問題がある。つまり、金がだぶついているからといって、いまこの際だから土地を買っておけということでもって銀行自身も買っている。銀行自身もそうじゃないですか。同時にまた、いろんな企業に金を貸して、そうして土地を買わせている。そういう状況じゃないですか。どうですか。
#164
○参考人(渡辺孝友君) 少なくとも、銀行自体がそういうことをしているということはないと存じますが、一般の貸し出し、銀行以外のことでございますが、こういう不動産関係、それは先ほど申しましたような不動産業相手が主でございまして、問題は、本来そういう不動産、宅地造成とかそういうことに関係のない企業に漫然と貸し出して、それが土地を何の目的もなしに持つというようなことは、はなはだ好ましくないと考えております。私どもの、金融機関を通じて調べております限りにおきましては、先ほど申し上げましたけれども、貸し出し先の七、八割までが不動産業者である。それが全部適正なものであるかどうかというところまではちょっと、中には問題のあるものもあろうかとは思いますけれども、貸し出し先としては不動産業が主体であり、そういう宅地造成資金とかが中心であるという状況でございます。
#165
○渡辺武君 銀行があまり買ってないようなことをおっしゃいましたが、あなた方は銀行を直接に指導しておられるから、銀行がどのくらい土地や特に株、これを買いあさっているのか、その実態はお調べになっておられますか。
#166
○参考人(渡辺孝友君) 土地につきましては、大蔵省の厳重な監督がありますので、私は直接それには関係しておりませんけれども、もう開設のきまった支店用地ということ以外に土地を買っているとは考えられないのでございますが、株式につきましては、これははっきり私ども調査をいたしております。
 株式は、都市銀行と長期信用銀行、信託銀行、調べておるのでございますけれども、確かにここのところ保有額はかなり増加しております。四半期別に申しますと、昨年の一−三月が三百八十億、四−六月が二百六十億、七−九月が七百億、十−十二月が八百三十七億に対しまして、この一−三月になりまして千五百七十億と、かなり顕著にふえております。
#167
○渡辺武君 やはり背後に銀行があり、株などについてはみずからも株式投機に乗り出しているという実態だということは、非常にはっきりしていると思うのですね。それで不動産業者が土地買いあさりの主軸だ、それは当然だと思うのです、それは商売ですから。しかし最近の傾向は、いままで不動産関係に何の関係もなかったような一般の大企業が、これがレジャー産業だとか、あるいはまた観光開発だとか、あるいは住宅建設だとかいうところへ乗り出して、そうして銀行の融資と相まって土地の買いあさりを猛烈に始めているというのが最近の特徴だと思うのですね。ですから、たとえばこの四月二十二日の読売新聞に出ているのですが、こういうことを言っている。「表面化しているだけで、ここ一、二年の間にざっと三億平方メートル、動いた資金は約一兆円。人が住むことの可能な原野全面積(一万七百平方キロ)の三十五分の一にも達している」。これらの企業が買いあさった土地は、わずか一、二年の間にこういう事態が生まれているのですよ。これが、いまの地価がなかなか下がってこない、不況の中であまりいままでと変わりないような上昇率を依然として保っている、しかもそれが全国に波及しつつあるということの一番大きな理由になっているのじゃないかと思いますね。私はいま現在起こっている土地投機のことを申しましたけれども、こういう大企業の土地投機や土地の買い占め、これは今回に限ったことじゃないと思うのですね。従来の土地騰貴の一番主要な原因、これがまさしく大企業の土地の買い占め、土地投機にあったのじゃないかというふうに思います。たとえば先ほどおっしゃった不動産研究所の地域別六大都市市街地価格推移指数表というのがありますが、これ、建設省の方お持ちになっていますか。
#168
○説明員(関口洋君) こまかいものは、きょう持っておりませんが……。
#169
○渡辺武君 それでは私、手元にありますので申し上げますけれども、昭和三十年の三月ごろから調査を始めて、私の手元にあるのは四十六年九月の数字ですけれども、三十年三月を一〇〇として、商業地は一二・一一倍、住宅地は二三・三八倍、ところが工業地は二七・一七倍、こうなっているのですね。つまり工業地が一貫して急速な上昇を続けて、そうして住宅用地及び商業用地の地価の高騰をいわばリードしてきているというのが、この数字で非常に特徴的にあらわれていると思うのですね。これは、あなたのおっしゃるように地域開発その他、実需に基づいていると、かりに譲歩してみるとして、最近「ジュリスト」という雑誌一九七一年四月十日号に、「現代の土地投機とその影響」という題で、佐藤美紀雄という方が土地投機の分析をやっておられる。建設省の方、この論文はごらんになりましたか。
#170
○説明員(関口洋君) 全体を通じていろいろ教えられることが多かったのでございますが、佐藤先生のという具体的なことになりますと、まだ――読んだことはございますけれども、記憶はさだかでございません。
#171
○渡辺武君 これは工業用地の問題でなくて、住宅用地の買い占めの現状、これを分析しているのです。私、時間もないのでおもな点だけ、一つ二つかいつまんで読んでみますと、「首都圏では分譲住宅地の七割近くの供給を」社団法人不動産協会の「会員企業が握っており、いままで立ち遅れていた建売住宅部門でも今年のシェアは五割を突破しそうだ。また、ブームにある高層住宅部門でも五割の大台をすでにこえている。」、この社団法人不動産協会というのは百十何社ですね、ほんのわずかな会社が、これが分譲住宅の七割、建て売り住宅の五割、それから高層住宅部門の五割、これのシェアを握っている、こういう状況。「昭和四十五年春、社団法人不動産協会では、会員企業が首都圏で所有している分譲宅地用の土地は七、五三〇万平方メートルに達していると発表した」。そのほかの事情も考慮に入れて佐藤さんは、こういうふうに評価している。「首都圏で大小の不動産業者によって買い占められた土地は、すでに一億平方メートルを突破しているとみるのは、決して根拠の薄いものとはいえない」。たいへんな土地を大手不動産業者を中心とする不動産業者が買い占めている。二億平方メートルという先買いされた土地は、過去の実績から割り出すと、首都圏における宅地造成の七年から一〇年分の用地が確保済みということになる。」、こういうことを言っています。しかも、その中の「三井不動産・三菱地所・東急不動産・西武鉄道・東武鉄道の五社はいずれも一、〇〇〇万平方メートル以上の土地を取得している」、そうしてほんのわずかな数社が大きな土地を独占している。西武の場合でいいますと、「西武鉄道が首都圏で所有している住宅地用の土地は一、〇〇〇万平方メートルをこえていると目されている。年間三〇万平方メートルずつ売り出していっても、三三年間の需要をまかなえるという途方もない結果が出てくる」、こういう状態。いま日本銀行の渡辺さんは、これは実需に基づいているんだと。なるほど、土地はやがては需要が出てくるでしょう。しかし、自分の宅地造成能力が年間三十万平米だと。それなのにもかかわらず一千万平米も持っておって、三三年間分の土地まで買い占めている。これは明らかに投機的な性格を持った土地の買い占めだと見て差しつかえないんじゃないでしょうか。これがいまの地価の高騰の一番大きな原因じゃないかと思うのですね。これに、現在では、先ほど申しました金融緩和を背景にして、銀行の猛烈な貸し出し競争を背景にした土地の投機が加わっているという状態だと思うのですね。こういう実情を建設省として、先ほども若干の報告はありましたけれども、どんなふうにつかんでおられるのか、あらためて私は伺いたいと思います。
#172
○説明員(関口洋君) ただいま「ジュリスト」の記事を引かれまして、不動産協会の、首都圏における保有面積というのを御披露なさったわけでございますが、これは都市計画法に基づきまして線引きをする際に、不動産協会が会員各社から保有の状況を調べたという数字がおそらく基礎になっているものと、かように考えております。
 なぜそういうことを不動産協会のほうで調べたかということでございますが、御承知のように線引きによりまして、市街化区域と市街化調整区域の区分設定もほぼ全国的に了しておりますが、その中で、市街化調整区域に入りますと開発が非常に規制されます。そこで不動産協会と申しますか一大手のいわゆるデベロッパーは、自分の持っている土地は全部市街化区域にしてもらいたい。ところが一方、予想される当時の線引きの見通しで申しますと、そのうちの大部分が調整区域に編入されそうだということで、そういう資料として調査をし発表をしたものだと、かように考えております。
 そこで、確かに大手の不動産業者の中には、いま御披露がございましたように、かなりの土地を保有していることは事実でございます。ただ、その保有している土地が、ただいま申しましたように、市街化調整区域に設定されましたというような事情によりまして、直ちには開発できない、こういうところがあることもこれまた事実でございます。そういういろんな要素が入っておりますので、不動産業者自体の土地保有も、行き過ぎではないかという御批判もあるいはあろうかと存じますが、一方ではそういう事情もあるということも御承知くださるようにお願いしたい、かように考えるような次第でございます。
#173
○渡辺武君 何かよくわかりませんでしたがね。つまり実態は、大企業特に法人大企業ですね、これが猛烈な勢いで土地を買いあさり、買い占めている。ここにいまの住宅地の不足あるいは地価の高騰、そこの一番の核心がある。ですから、今後の対策もそこに焦点を当てていかなければ、私は有効な地価対策というのは出てこないのではないか。先ほども一般的に今後の対策らしきものをおっしゃったけれども、その点に焦点を当てた今後の対策、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#174
○説明員(関口洋君) 都市計画区域の中、特に調整区域の場合には、今後、当該土地を取得いたしましても早急に開発できませんので、大体の傾向といたしまして、調整区域の土地を取得するという場合には、事前に開発許可権者である県のほうに、開発の見通しについての相談がございます。そういう機会を通じまして、私どもとしては、調整区域内の土地の開発が乱雑に流れることのないように、必要な行政指導を行なってきたところでございます。
 また一方、先ほど申しましたような都市計画区域以外のところにつきましては、現在、都市計画法が適用されておりませんので線引きもされていない。したがいまして、開発すべきところと開発を保留すべきところ、こういうところは、法的のものとしてはたとえば国立公園の区域であるとか、こういう明記されたところはよろしいのでございますが、それ以外のところにつきましてはさだかでございません。しかしながら、こういうところで土地を取得され、また別荘をつくるということになりますと、関東近県の場合には、水の需要問題あるいは足の問題、こういう問題が生じますので、私どもとしましては、今後の問題といたしまして、そういうところにつきましても、あとで開発する場合にいろいろ困った事態になるのもお互いに困るわけでございますので、地元の地方公共団体と事前に協議するというような行政措置を講じてまいりたい、かように考えております。
#175
○渡辺武君 どうも質問の焦点と若干はずれた答弁になっているんじゃないかと思うのですね。時間がないので繰り返して申し上げるわけにいきませんけれどもね。私がいま質問の中で明らかにしたことをお考えいただけば、質問の要点はわかっていただけると思う。
 いままで地価が上昇してきた。特に、地域開発その他で大工場が進出する、工業用の用地を買いあおるということが、地価高騰の一つの大きな原因だ。それからまた現在でいえば、これに土地投機が加わる。それからまた住宅産業その他が、この首都圏でいえば一億平米、べらぼうなものを握っている。これはまだ宅地として造成されて売り出されていないものですよ。こういうものがいまの地価の上昇の一番大きな原因じゃないかと思うのですね。こういう企業の土地の買いあさり、これについて、建設省としてどういう地価対策をお講じなさるのかということを伺っている。
 なおついでに申しますと、最近、新聞によりますと、建設省としては新しい土地税制の案をつくっているというような記事もありますし、あるいは地価申告制度というようなものも検討しているというような記事もありますけれども、そういう点も含めて、どうなさるおつもりなのかおっしゃっていただきたい。
#176
○説明員(関口洋君) いわば投機的な土地の取引を抑制する措置としては、土地利用を規制するという行き方と、それから投機的な土地の取得というものについて、一定の税の体系でこれを是正していくというやり方と、二通りあろうかと思います。
 それで、前者のほうの土地利用の規制からする問題につきましては、現実にいわばいなかのほうについてまでいろんな規制を加えていくということについての、まだ確定した措置がございません。そこで私どもといたしましては、これはことしの税制改正の要望として昨年来お願いしておることでございますが、やはり法人の極端な土地保有というものの熱をさます意味で、法人税制というような形でこれを解決することが考えられないだろうかということで、大蔵省のほうと御相談をいたしておるというのが現状でございます。
 なおいま御指摘のございました将来の方向でございますが、これにつきましては、地価対策閣僚協議会の決定、これは四十五年の八月でございますが、この中に、今後の検討すべき措置といたしまして、土地の評価の合理化と申しますか、統一ということがあげられております。この趣旨とするところは、各種の税、国税、地方税を含めましての税の評価額と、それから私どもが実施いたしております地価公示の関係というものは、現在までのところ必ずしも相関関係に立っておりませんので、これを相関づけて、それで各種の土地についての評価額を統一し、これをベースにいたしまして、実際のそれを上回る土地の譲渡、こういうものがあった場合に、俗に言われております土地高課所得税、こういうような措置によって投機的な土地取引を一般的に防止する施策としてなお検討し、何らかの方策を見出していきたいと、こういう意味で考えております。
#177
○委員長(長屋茂君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#178
○委員長(長屋茂君) 速記を起こしてください。
#179
○渡辺武君 どうも長官、せっかくおいでいただいて申しわけない。
 それでは長官に一言だけ伺って、なお建設省にはもう少し詳しく伺いたい点もあるのですが、長官、いままで政府が全然地価対策を講じてこなかったとは私は申しません。いまおっしゃった閣議決定もありますし、それから物価安定推進会議の提言もありますし、それ以前の物価問題懇談会の提言もあります。地価公示制度あるいはまた土地収用法、あるいはまた最近で言えば土地の先買い権ですね、そのことの土地税制などもやってきた。しかし現状は、これらの措置が成果をあげなかった。簡単に言えば、失敗してきたということだと思うのですね。
 この地価の値上がりというのは、これは特に株価も含めて、若干の性質の違いはありますけれども、現実に価値のないものを、いまの発達した信用制度のもとでいわば架空の価格をつけて、そして評価する、こういうことになっている。それに銀行資本が、だっと金を貸しておる。これは、やがてはインフレの大きな原因になっていくんですよ。そういう点からしましても、物価問題という点からして見落とすことのできない重要問題になってくるのですね。
 経済企画庁として、この地価についてどのような抑制策、これを講じなさるのか。特に、いまの質問の中で明らかになっているような大法人の土地投機、土地の買い占め、これは非常に重要ですよ。この点について特にどのような対策をお考えになっておられるか、これを一言お伺いしたい。
#180
○国務大臣(木村俊夫君) いろいろ御意見承っておりましたが、私も非常に同感の点が多いんです。
 先ほど日銀当局からお話のありました、どうも金融機関自身が融資の態度に非常に考えられるところがあると。確かに、なかなか融資の判断をする場合には、たいへんむずかしい点があると思いますが、しかしながら、大蔵当局もまた日銀当局も、私どもが経済閣僚会議でその点を相当強く申しましたのに対して、都市銀行あるいは長期銀行、また主要な地方銀行においては、たしか地方の財務局でその融資担当者より、何と申しましょうか、聞き取り調査を始めております。それが法的にどういう効果を持つか、これは疑問ですが、しかし、これはある程度予防的効果はあると私は聞いております。また、そういうことが必要になってきた。
 確かにいま御指摘のとおり、大企業、大法人が土地を買いあさる。まあ都市区域よりはむしろ、非常ににオーバーに言えば、国土全体にわたって、日本列島全体にわたってそういう傾向が出てきておる。私は、非常にこれは大きな事態だと思うのです。したがって私どもは、いま考えております新全総計画も、そういう点にもう一つの焦点を当てたいと考えておるわけでございます。とにかく大企業、大法人がいまの金融緩慢を理由として、そういう投機的な土地に対する仮需要を生ぜしめるということは、これは私ども看過できない。ただその中で、実需に基づく土地の買い上げ、これは当然私どもも賛成するところでございますが、仮需要と申しますか、投機的な土地の買収と申しますか、そういうものが非常にに行なわれておるということは、私どもこれは租税政策あるいは物価対策の面からいって、とうてい看過できないところでございます。
 したがって、そういう面をどういうふうにわれわれとしては対策を講じていくか。確かにいま渡邊さんの御質問、御意見の中にもありましたし、最後の建設省の答弁の中にそれが見えておりましたが、まず実態を把握することが第一だと思います。したがって、都市区域におけるそういう申告は、いろいろ法制的にも講ぜられておりますが、都市区域のそういう大規模な土地の移動というものが全然つかまれておらない。そういうことについて建設省がいまやろうとしております調査、これはけっこうですが、しかし、それには何ら罰則もありませんから、どこまでほんとうの申告をするかわかりません。したがって私も建設大臣に、思い切って大規模な土地の取得についての申告を全国的にやるような法制を考えてはどうかという、私はおすすめをしております。したがって、そういうことによって実態を把握することがまず第一だと思います。
 第二は、それに基づいて地方公共団体――中央の建設省が一々それに対していろいろ指導をするのもなかなかむずかしいと思いますが――地方公共団体が相当強い行政指導なりあるいは行政関与をするということも法制的に考えられてはどうかと、こういうことも考えております。これはなかなか、建設省もたいへん踏み切るのに困難があろうと思いますが、政策の方向としてはそう行かざるを得ないのではないかと、こう考えます。
 そのあとで、私ども反省として申し上げますが、いろいろ先ほど申されたような土地政策について法律も制定し、いろいろ政策も実行をしてまいりましたが、どうも政府のとってまいりました土地政策そのものに、また地価対策に不十分な点が多いということは、私ども率直に認めざるを得ない。
 たとえば土地税制にしましても、その供給の面については非常にいろいろ手を打っております、手放すように非常に手を打っておりますが、個人の手放された土地が一体だれによって取得されておるかという点については、きわめて不十分な把握しかしておらない。したがって、そういう土地が仮需要として投機的に扱われるということは何らの意味も私はないと思いますので、せっかくの土地税制が生きてこないと思います。そういう意味で、その取得の面については先ほど建設省のほうからお答えがありましたように大法人――個人についてはもうすでにある程度の税制はできておりますが――そういう大法人の、法人の土地取得についての、短期保有についての所得税の重課あるいは高課所得税の創設、そういうことをやらないと、せっかくやりました土地税制も生きてこないじゃないかと、こういうことも大蔵省当局には申しております。
 したがいまして、そういう面におそらく渡辺さんの御意見のウエートもあろうかと思います。土地政策は総合的にやりませんと、一カ所いじったところで意味がありませんから、そういう総合的な政策を今後政府としてはやっていかなければならぬという決意を固めておるところでございます。
#181
○委員長(長屋茂君) 木村長官におかれては、御多忙中、長時間にわたってこの調査に御参加ありがとうございました。
#182
○渡辺武君 申しわけないが、ちょっと三問だけ。どうぞ、もうけっこうです、ありがとうございました。
 いま、土地税制について木村長官の御意見ありました。私も、この前の土地税制が制定されたときに、これは個人対象ですね、法人の土地の取得、これについては何の措置もない、これじゃ、農民などは持っている土地を手放されて、そして、言ってみれば大きな宅造会社が土地を買いあおるというのを促進するような税制じゃないかということを批判しましたが、建設省がいまお答えになった土地税制ですね、これ、どうですか、宅地をいま中心的に買いあおっている不動産業者あるいは住宅産業、こういうようなものの土地の売買、これについても適用されるわけですか、あなた方のおっしゃっている、譲渡について重課をするというあれですね。これ、どうですか。
#183
○説明員(関口洋君) 考え方といたしましては、法人税につきまして、改正は、個人の場合と同じように短期重課、長期低課という方向をまず考えなきゃならぬのではないか。いまお尋ねのございました問題につきましては、閣議決定の中にも一番望ましい宅地供給を阻害しないという問題がございますので、その点についての配慮もあわせしていかなければならない、かように考えております。
#184
○渡辺武君 それじゃやっぱり尻抜けになるわけですね。だって、さっき申し上げた数字で言えば、向こう三十三年間くらいの土地を持っているんですよ。だから、先ほどのお話ですと、短期で売ったら、その売り値と公示価格との差額に税金かけて吸収するなんといっても、そんなものは痛くもかゆくもないということじゃないでしょうか。
 瀬戸山さんだったと思いますけれども、土地は商品でないという、名言か何かしらぬが、有名なことばがある。そうして、その攻撃の弱いところに向けられたと言えば、農民が先祖代々持っておる土地に攻撃をかける。そして土地の高いところはけしからぬ、土地は公共性があるんだからということで、言ってみれば、いままでは農民いじめですよ、政府の土地政策というのは。そうして、農民から土地を手放させるように手放させるようにして、そうしてこれを大企業が買いあおって、若干の造成をし高く売ってもうけている。つまり、土地を商品にしているのには何の規制措置も設けなかったというのが特徴だと思う。私は、いま言った法人の土地の譲渡、これに対して重課するというのも、全然それは否定的に見ているわけじゃありませんが、非常に不十分だ。むしろ、いまの土地問題を根本的に解決しようと思うならば、大法人が買い占めている土地、これに対してこそ土地収用法を適用して、公示価格で政府がこれを適正な価格で買って、そうして住宅が必要な人たちにこれを適正な値段で分け与えるという政策をとれば、一番根本的に解決する。こういう対策をおとりになるおつもりがあるかどうか、これを一点伺いたい。
 それからもう一つ、時間がないので、大蔵省の方に伺いますが、先ほど申しましたように金融が緩慢になっている。そのために、銀行がどんどん貸し付けをして土地を買いあおらせている。企業が借りた金を返そうと思っても、返すに及ばない、土地を買え、土地を買えば担保ができるし、土地を売った人には預金しなさいといってすすめることができる。こういうことで、銀行こそが土地投機を促進させている親玉だといって差しつかえない。こういう事態をどういうふうに規制されますか。
 私は予算委員会でも、いまの銀行のオーバーローンその他について適切な規制措置を講ずべきだということを、あなたにも申し上げました。たとえば、いままで大蔵省は、銀行の預貸率は大体八〇%以内だと指導していながら、現在いまだに、もうこれは二十年間くらい八〇%以上ですよ、銀行の預貸率は。こんなに金融が緩慢になって、余った金を投機へ投機へと向けているとき、預貸率の改善のために適切な措置を打つべきだと思う。また準備預金制度、これを十分に活用して、預金の一定率、たとえば一割でもいい、今度法案が通れば最高限二割ということになる、その二割の分を、日本銀行に準備預金として預けさせる、こういう措置をとればいまの投機的融資、これは規制できる。そういう措置をおとりになるおつもりがあるかどうか、これを伺いたい。
#185
○説明員(関口洋君) 今度の、いま国会で御審議をお願いしております新都市基盤整備法案につきましては先生御存じだと思いますが、この考え方の内容といたしましては、人口五万人以上の新たに都市をつくる必要がある場合に、それを都市計画決定いたしまして、計画的な用地取得、これをはかってまいりたい。そのためには、一定率による取得にしておりますが、お売りいただけないときは、最悪の場合、収用法を使うという形になつております。したがって、こういう意味で、この法案が成立いたしまして実施の段階に入った場合に、必要な新都市基盤整備の区域内にございます大法人の土地につきましては、やはり一定の率によって土地を売っていただき、もしこれをどうしても最後まで了承いただけないときは、残念ながら土地収用法の規定に従いまして、一定率の土地を施行者に売っていただくという措置が可能だと思います。そういう意味で、私どもといたしましては別に大法人の持っている土地について宅地開発上特別の扱いをするというふうな気持ちはございませんので、御了承のほどをお願いします。
#186
○説明員(田中啓二郎君) 本日、銀行局からまいっておりませんので、ただいまの先生のお話をそのまま銀行局に申し伝えるというふうにいたしたいと思います。
#187
○渡辺武君 日本銀行としてどうです、準備預金。
#188
○参考人(渡辺孝友君) ただいまは、全体として日本の経済運営のために金融緩和基調を継持することが必要、こう考えておりまして、現在金融緩和政策をとっておる次第でございます。しかし先生のおっしゃるとおり、こういう時期にこそ銀行は、預貸率と申しますか、いわゆるポジションを改善すべきだ、そのことには私ども全く同感でございまして、極力そういう方向に指導をしておる次第でございます。なお、準備預金制度の活用ということも状況によっては考えられるわけでございますけれども、ただいま申しましたように、現時点ではこの金融緩和政策が全体として必要である。
 そうして、先生のおっしゃるように確かに、先ほど私は、金融機関を通じて調べた場合に、大部分実需だというふうに言われているということを申し上げましたけれども、実需は実需であるにしても、それが適正であるか、買いあさりであるか、必要な土地の買い入れであるかという、その辺がなかなかむずかしいところでございますので、私どもとしてはそういった全体の金融政策の中で、銀行がほんとうに融資先のプロジェクトをよく審査して、適切なもののみに融資し、いやしくも金融の面から地価を上げることのないようにということで極力指導いたしておりますし、今後も指導してまいりたい、そう考えておる次第でございます。
#189
○委員長(長屋茂君) 両件に対する本日の調査は、この程度にとどめます。
 なお、この際、渡辺理事に一言お礼を申し上げます。御多忙中、たいへん貴重な時間をさいていだだきまして、本日の委員会の調査に御協力いただきましてありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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