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1971/03/22 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第4号
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1971/03/22 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第4号

#1
第068回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第4号
昭和四十七年三月二十二日(水曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     工藤 良平君    茜ケ久保重光君
     中村 波男君     占部 秀男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤シヅエ君
    理 事
                金井 元彦君
                矢野  登君
                内田 善利君
    委 員
                田口長治郎君
                高田 浩運君
                寺本 広作君
                原 文兵衛君
               茜ケ久保重光君
                占部 秀男君
                加瀬  完君
                小平 芳平君
                加藤  進君
   国務大臣
       国 務 大 臣  大石 武一君
   政府委員
       環境政務次官   小澤 太郎君
       環境庁長官官房
       長        城戸 謙次君
       環境庁企画調整
       局長       船後 正道君
       環境庁大気保全
       局長       山形 操六君
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
       食糧庁次長    中村健次郎君
       通商産業省公害
       保安局長     久良知章悟君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  北川 俊夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       厚生省薬務局参
       事官       豊田 勤治君
       農林省農政局参
       事官       川田 則雄君
       通商産業省重工
       業局電子機器電
       機課長      関山 吉彦君
       通商産業省化学
       工業局化学第二
       課長       小幡 八郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害及び環境保全対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤シヅエ君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、工藤良平君及び中村波男君が委員を辞任され、茜ケ久保重光君及び占部秀男君がそれぞれ補欠として選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(加藤シヅエ君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#4
○占部秀男君 大臣に、例の無過失賠償責任制度の問題で二、三お伺いをしたいと思います。
 あとでいずれにしても法案となって出てくるわけですから、そのときに法案の内容については詳しくひとつお伺いしたいと思いますが、主として今度の扱い方の問題を中心にお伺いをしたいと思うのであります。
 新聞によりますと、この制度の問題は、水質汚濁防止法と大気汚染防止法と、この二つの法律の改正というような形で出される、こういうことでありますが、二十一日ですから、きのう閣議決定がされたんではないかと思うんですけれども、どういう状況になっておりますか。
#5
○国務大臣(大石武一君) この無過失責任制度につきましては、お話のとおり、きのうの閣議でこれを決定いたしました。近く国会のほうにその法案を提出いたすのでございますが、おっしゃるとおり、その内容は、水質汚濁防止法と大気汚染防止法の二法の改正案ということになっておるわけでございます。
#6
○占部秀男君 近く国会へ出されるというんでありますが、いつごろ、およそ国会へ出るものかですね、それをひとつお伺いをしたいと思うんです。
 というのは、御案内のように、参議院では、河野議長が、少なくとも重要な法律案は審議期間が十日以上なければ、これはどうも処理できないんだと、こういうことを言われておるわけであります。特にこの法律の問題は、あとでまた触れますけれども、世間的にはいろいろ言われておって、出したくないやつを出すのだから審議未了にするんじゃないかとか、あるいは何とか、いろいろな問題点があるわけです。そこで、少なくとも、おそらく衆議院が先議になると思うんですけれども、参議院に来たときは、今国会の会期内に上がるというめどでこれを出してもらわぬと、参議院側としては非常に迷惑をしますので、その点念を入れてひとつお伺いをいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(大石武一君) 私ども、この法律案は何としても今国会で成立さしたいと考えております。そういうわけで、できるだけ皆さまに早い機会に御審議をお願いして、十分の余裕を持って、このほかにもいろいろな法案が大事なものございますので、早い機会にこれを通過させていただきたいとお願いしているわけでございます。
 で、私は、きょう後ほど衆議院の議運委員長にお目にかかりまして、提案の推進方、早まるように推進をお願いしょうと考えております。できるならば、今週にも、おそらく委員会に付託になる前に本会議にかかると思いますけれども、そういうふうにお願いいたしたいと考えておる次第でございますので、何とか今月中には審議に入れるものと考えておるわけでございます。
#8
○占部秀男君 きのう、私は、長官の所信表明のあれを読ましてもらったのですが、公害対策の問題と自然保護の問題を中心に、環境基準であるとか排出基準の強化であるとか、あるいはまた自然公園の問題であるとか、土地の先取りに対する交付公債の制度の問題であるとか、いろいろこまかい施策が出ておるわけです。ところが、この被害者保護のための無過失損害賠償責任制度については、この中で、法律を出すということだけが簡単に説明をされているわけですが、どうも私は長官の所信表明の内容としては、特に今度の議会の場合には、これは少し軽く扱い過ぎるのではないか、かように疑問を持っておるのですが、そういう点についての長官の所信、ざっくばらんな気持ちをお伺いしたいのです。
#9
○国務大臣(大石武一君) おそらくこの無過失責任制度に関する件が、まあ短い文章で書いてありますので、そのような御不審も抱いたかもしれませんが、決してこれは軽く考えておりません。これは三年越しの問題でございまして、そんなことを国会で言うべきではなかったと思うのでありますが、つい、島本虎三委員のそのような御質問がありましたので、政治責任をかけておりますということを話したわけでございますが、かように重大に考えております法律案でございます。で、書いてある字数は少ないのでございますが、そこの中には、当然、環境庁としての決意が十分入っておると考えておりますので、そのようにひとつ御認識をいただきたいと思います。
#10
○占部秀男君 長官からそういうような御答弁をいただいて、すんなりと実は了解をしたいのですけれども、今度の――まあ、あとでも触れますが、法律案の出された経過あるいは内容から見ますと、なかなかどうもそうはいかぬ面も考えられてくるわけです。これは、言うまでもなく、いま長官も三年越しだと言われましたが、確かに三年前の公害国会のときに、当時、私は、公害対策の参議院の委員長をしておりましたので、まざまざと当時のことを思い出すわけですけれども、一昨年の公害国会でこの問題は大きな懸案であったわけです。その前に、宇都宮の一日内閣ですか、あそこで総理が、この無過失責任の問題についてやろうということについての、公約という言い方はどうかわかりませんが、ともかくそういう意向を出したわけです。一昨年の公害国会では、とうとうこれは出なかった。そして昨年も、通常国会だと思いましたが、政府原案というものができたけれども、これは大臣のほうの与党である自民党の内部事情かどうかわかりませんが、これまた出されなかった。こういうようなところで、今度の国会では、この公約をいわば果たすわけですから、したがって、環境庁としては、今度の国会で、いま大臣はいろいろ重大な法律案がありますということを言われましたが、確かにあると思いますけれども、その中でもこれは一番大きな、いわばこのごろのはやりことばで言えば目玉商品ではないかと私は思うんです。それなのに、ほかのほうは相当詳細に経過、あるいはこうしようということについて述べられておるのに、この問題だけは、大臣は決意を持っておると言われるんですが、決意だけにすぎない。あまりに決意だけに過ぎちゃって、何かどうも実もふたもないような感じがしておるんですが、重ねてひとつ大臣の所信をお伺いしたいんです。
#11
○国務大臣(大石武一君) 私のこの法案に対する信念は、先ほど申し上げたとおりでございます。
 この委員会における所信表明の中にあまり触れることが短かったということでございますが、やはり所信表明とは全般にわたって申し上げなければなりませんので、あまりこまかい内容に立ち入ってお話しするわけにはまいりません。はっきり申し上げますと、その所信表明の原稿をつくりました当時は、まだ具体的な無過失責任制度の内容ができておりませんでした。大体このような考えにしたい、このような方向に持っていきたいということは、構想はございましたけれども、まだ具体的な形にあらわれておりませんでしたので、そのような信念だけを申し上げまして、こまかいことは触れなかったわけでございますが、繰り返し申し上げるようでございますけれども、何としてもこれはぜひこの国会で成立させたいと願っているものでございます。
#12
○占部秀男君 私は、あとではっきり申しますが、今度の法律案の内容は、われわれは、不十分であると思っております。不十分であっても、いいものはいいものとして扱わなければならぬし、そういう考え方も心の中にはあるわけです。
 それで、ひとつお伺いしておきたいのは、一昨年のいわゆる公害国会でなぜそれが出せなかったのか。また、昨年政府原案というものが一応内部関係ではできたと思うんですけれども、それが国会で日の目を見なかった。こういうことについて自民党さんの内部の考え方が相当影響したと私は思うんで、その点について率直に当時の経過をひとつお話し願えたら非常にけっこうだと思います。
#13
○国務大臣(大石武一君) 実は、私は、昨年の通常国会、前回の通常国会までのいきさつはよく詳しいことは存じませんので、正確な詳しい話は申し上げることができませんのでございますが、いろいろな事情、私は、結局は、総体的に申しまして、やはり日本の政治的なものの考え方がこのような無過失の制度をつくり上げるというところまでは進んでおらなかった、こう思うものでございます。なぜ政治情勢が熟しておらなかったかということの内容には、いろいろなものがあると思います。もちろん、自由民主党の中のいろいろな理解度があり、あるいは協力度が少なかったこともございましょう。そのことは、当然、やはり国民全般とは申し上げかねるかどうか知りませんが、国民の相当部分のこれに対するやはり理解の足りなさ、協力の足りなさが反映していると思いますけれども、そのような政治情勢が熟しておらなかったためだと私は考えておる次第でございます。
#14
○占部秀男君 大臣のいまの御答弁では、私は納得できないですね。というのは、大臣は、いま、いまの日本の政治情勢では無過失責任制度の問題については情勢が熟していなかったんじゃないかということを言われるんですが、これは、同時に、国民の協力の点についても大臣が触れられておりますけれども、国民のいま無過失責任制度は当然つくるべきであるということは、水俣あるいは新潟のいろいろな公害問題から、これはもうほとんど世論化されておりますし、各大新聞の論説を見ても、無過失責任制度の問題で、これは後退的な考え方を主張しているところは一つもないわけです。そういうような中で、しかも、水俣にしろ新潟にしろ、被害者は、こういう点については、これはもうことし、去年始まった問題ではなく、非常に多年にわたって要望していたところです。それが政治的情勢が熟さなかったのでこの無過失責任制度の問題がなじまなかったと、こういうふうに言われるのは、私は、納得ができないのであって、これは、むしろ政治情勢が熟していたのだけれども、自民党さんのお家の事情からこういう無過失責任制度の問題はなじまなかったというのが実態ではないかと。というのは、自民党さん以外は、どこの政党といえども、みんなこれは賛成しているのですよ、この無過失責任制度の問題は。ただ、これに反対しているのは、自民党さんと大企業を中心とした財閥関係なんです。率直にいって、日経連その他で。この点は、決して――大臣は非常に一歩々々前進される方ですから、私は、ある程度買っているわけですから、大臣の立場はわかりますけれども、しかし、自民党の出身の大臣なんですから、はっきりとその点について、追及ということじゃありませんけれども、やはり自民党の考え方を直してもらわなければ、こうした問題は結局国民の期待できるように処理できないんじゃないかと、かように考えておるので、重ねてその点をお伺いしたい。
#15
○国務大臣(大石武一君) 私は、実際去年までは、去年の前国会から環境庁長官になりますまでは、あまりこの具体的な内容に触れておりませんので、実際は、その実態はわかりません。ですから、やはり一般論から申しまして、政治情勢が熟さなかったと申し上げたのでございますが、かりに自民党の中の反対によって前国会提案できなかったといたしましても、やはりそういうことは政治上の一つの判断ではなかったかと思います。そういう意味で申し上げたのでございまして、しかし、国民の多数が希望しておりますことは、あなたのおっしゃるとおりだと思います。おそらく日本の企業は、大企業と言わず中小企業と言わず、大体、企業はこれに対してまだ非常な不安な考えを持っていると思います、現実には。それは、これが新しい法律でございますし、新しい考え方でありますし、ことに民法の大きな例外でありますから、どのような結果になるか等について、将来に非常に不安があることは確かだと思います。そういう意味で、いろいろこれに対しても多少批判的な、あるいは疑惑的なものの考え方をする者もあってもやむを得ないと思いますが、政治情勢が熟した証拠には、自民党のあらゆる機関を通じまして了解を得まして、この法律案を国会に提案することになったわけでございますから、やはり自民党といえども、十分に時勢に順応しておるということがはっきり言えると思うのでございます。
#16
○占部秀男君 どうも他党の悪口のような形になって、質問する私もやりにくいのですけれども、これは国民の大事な問題ですから、ざっくばらんに言わぬと審議になりませんので、その点はひとつ大臣も御了解いただきたい。
 いま、大臣は、自民党の内部もこの問題については熟してきたので今度の法律の提案になったのだ、こうお話しになったのですが、私は、その大臣の見解とは反対であって、決して熟してないのじゃないか、こういうことを言いたい。
 というのは、私は、いま二つこの法律案の要綱を持っております。一つは、きのう閣議決定をした後の要綱であります。一つは、閣議決定以前のいわゆる環境庁原案と、こういう二つを持っておるわけです。これをこう比べてみますと、たとえば無過失責任の一般的な規定、あるいはその対象になる公害のもとの物質の範囲、あるいはまた、無過失責任ですから、したがって、工場が多数の場合には共同責任の問題が出てくる、この行為者に対する賠償のあり方の問題、あるいはまた賠償そのものの、被害者のほうにも欠点があるような場合のしんしゃくの問題とか、こういう問題については、この法律案は両方とも同じなんですね。ただ、抜けているのは、いわゆる因果関係の推定の条項が環境庁の原案にはあるけれども、今度の閣議決定をしたこの二十一日の原案――これが今度法律案になるのでしょうが、それにはないということ。つまり、大臣は、今度の法律案を出したということ自体がまあ一歩前進である、自民党の内部もなじんできたのだと言われますけれども、ある程度、決して全面的にそれは否定しませんけれども、この因果関係の推定の問題は、これは私がいまさら言うまでもなく、無過失責任の制度の法律の中では、これは新聞でもそうですし、学者が言うこともそうだし、国民の世論でもそうだし、被害者自身にとってはもちろんそうですけれども、一番大きな柱なんですね。この柱をとられてしまって、新聞等では、これは骨抜き法案だと言っておるのですが、佐藤内閣は、どうも公職選挙法の骨抜き以来、骨抜きがだいぶ好きなようだから、これは骨抜きをまたしたのかもしれませんが、そういうように批評されておる。つまり骨を抜いてから出したのであって、骨を抜かないままでは出さない。それは必ずしも自民党の内部が、大臣の言われているように、この問題について相当の理解の前進を示したということは私は言えないのじゃないか。同時に、私は、ここが質問なんですが、大臣も、その骨を抜かれたことが恥ずかしくて、今度のあなたの所信表明の中には簡単にしか触れてなかったのじゃないか、かように私は勘ぐってこれを読んだわけでありますけれども、率直なひとつ所信をお願いしたい。
#17
○国務大臣(大石武一君) それでは、率直にいままでの考え方を申し上げます。
 私は、この無過失の責任制度をつくる場合には、三つのことを考えておりました。一つは、まずこれを提案するということ、このようなものの考え方、この政治の考え方をここに、やはり日本の行政を打ち立てるということ、これはひとつ重大な問題だと思います。その場合には、それが十分に役立ち得る、公害の防止なり患者の救済に役立つものであるということ、もっと具体的に申しますと、要するに複合汚染、実は、硫黄酸化物を中心とした複合汚染も取り入れなければならないということでございます。そういうことと、もう一つは財源の問題がございました。そのようないろいろな訴訟が起こりました場合に、ばく大な額になりますと一企業ではささえ切れない、そのような場合には、企業界全体としてそのような財源を考える必要があるんじゃないだろうか、企業が倒れるか倒れないかは別として。企業がつぶれれば補償はできません。賠償はできません。そういう意味で、日本の企業全体で、これに対する何かお互いの拠出、積み立て金か基金か、あるいは保険金かわかりませんが、何らかの形で、企業者自体の責任において、その基金と申しますか、それをつくる必要があるんじゃないだろうか。私は、この三つの点をことに船後局長にも話をしまして、そのような方向でこれを進めるように言ってまいりました。
 実は、去年の末あたりまでは、この因果関係の推定ということは考えておりませんでした、私は。しかし、それまでの判例では、大体無過失のような判例になっておりますので、そういうことを実は別に考えておらなかったのでございます。その後、ただ、御承知のように、これは新しいものの考え方、政治の考え方であり、民法の大きな例外であるということで、私は、法律的にあやまちがあってはいけないということを十分に懸念いたしまして、そうして我妻栄先生とか、その系統の方々並びに内閣の法制局長官をされた林修三さん、そういう方々を顧問にお願いいたしまして、何回も御会合願いまして、この法律についての御検討をいただいたわけでございます。その結果、法的には間違いがないと、それから、いま言ったように、複合汚染、ことに硫黄酸化物ばかりではなくて、粉じんであるとか、あるいは窒素酸化物であるとか、その他いろいろのものも入るようになったということでございます。さらに、私も考えておりませんでしたが、要するに寄与度の少ないものに対するしんしゃくの条項でございますね、中小企業で、特に汚染に対する寄与度の少ないものはしんしゃくして賠償を安くすることができるということ、これもまあ中小企業対策になりますが、そういうことも入りました。この因果関係の推定がそのようないろいろな皆さま方の会合の中で出てきたわけでございます。そのとき、多くの皆さま、我妻先生はじめ皆さまのお考えは、因果関係の推定ということはあってもなくても結果は同じことだという御判断でございました。あってもなくても、いまの判例その他からいって、これはたいして意味はない、だから入れてもいいだろうという御意見でございました。私は、これをいろいろ検討しまして、あってもなくてもいいんなら、なおのこと入れたらよかろうと、それは要するに環境庁の公害に対する強い姿勢を示すことができる、信念を示すことができるという意味合いから、そのような考え方から、私は、入れたほうがいいということを主張したわけでございます。そうしてそのような構想ができあがりました。
 ところが、その後、これを国会に提案するためには、いろんな各方面の折衝がございます。自民党内部の折衝や、法務省、通産省その他のいろんな折衝がございます、その過程におきまして。それから、いろんな各企業方面からの御意見もございました。そういうものをいろいろとしんしゃくいたしました結果、法務省の民事局の言うには、やはりこれはなくても裁判の結果には変わりはないと、ですから、どちらでもいいようなものではあるけれども、これがかりにあいまいな規定の範囲が入っておりますと、将来、これが一人歩きをして、あらゆる場合にこの考えが出てまいりますと、非常に混乱を起こすおそれがある、そのようなおそれがないわけではないという御意見がございまして、そういうことを考えました。また、これに対しては、財界でも――財界というよりは、大中小企業を問わず、みんなが非常な、先ほど申しましたような先に対する不安の念がございました。はっきり理解がないために、非常なこれに対する不安の表明がございました。そういうことをいろいろ勘案しました結果、この条項はなくても大体大筋は通っていると、私は、これで大体もう一応の意味があると判断いたしました。もちろん、今後、この責任制度がこれだけで終わるわけではございませんで、いろんなものがこれにつけ加わってまいります。大きな一つの体系にしなきゃなりません。そういう意味で、これだけでもまず橋頭塗にはなり得ると、今後、この患者救済の大きな総合的な対策の一つの橋頭塗にはなり得ると考えまして、あえて混乱を避けるために一つだけ因果関係の推定を取ったわけでございます。私は、これがなくてもこの実効はあがるということでございますし、問題は、この制度を打ち立てるということ、同時に複合汚染を取り入れるということが一番大きな眼目だろうと思いますので、あえて――多少自分の気持ちとしては後退しておりますけれども、このような姿勢を示したのでございますから、一応ここで落ちついたことになったわけでございます。
#18
○占部秀男君 いま政治の中にこういう制度を打ち立てるということ、また法の対象として複合性いものやいろんなものをとらえるという長官のお気持ちは、これである程度通ったと、こういう点については、私どもも全く評価をしないということはないんであります。しかし、長官がいま言われた内容については、どうしても納得ができないのです。この条項があってもなくても、率直に平たいことばで言えば、たいした変わりはないんだという長官のことばですが、これはあとでちょっと触れますし、さらにまた法案がきてからじっくりと触れてみたいとも思っております。
 その前に、新聞の伝えるところによると、この原案をきめてから後、十日の日の長官の記者会見で、無過失損害賠償のほうの環境庁の原案は、私自身は不十分と思っておるけれども、現時点では必要にして最小限の法律で、これ以上は譲れないんだと、こういうことを十日の日に記者会見の中で長官が言われたということが談話で新聞に載っておるわけです。これはもちろん閣議決定以前の、いま言った因果関係の推定の条項の入っておる環境庁の原案であると思うんですが、十日の日にそう言ったやつがこの十六日の例の党その他との話い合いの中、特に二十一日の閣議決定、こういう中でわずかの間にこれが変わっていっているわけです。そうなると、長官がいま言われたように、たいして変わりはないんだというようなことばをそのまま国民は信用はできないということになってくるわけです。長官は、少なくとも、きのう二十一日とすれば、十日というとわずか十日間前ですね、十日間前には、この因果関係の推定の条項の入った環境庁の原案は私としては不十分であるけれども最小限度のものだと、これ以上は譲れないんだということを公式に記者の諸君の中で話をしておるんですね。それが十日後にはひっくり返ってしまったというのでは、幾らあなたが因果関係の推定の条項があろうとなかろうとたいしたことはないんだと言っても、これは世間では通用しないと、こう思うんですが、長官、その最小限度であるというやつを重ねて聞きますけれども、あるいは長官はたいしたことはないから抜いたんだと言われるかもしれませんけれども、最小限度であるというそこをなぜ抜いて、そうしてこの原案、二十一日の閣議決定の原案になったのか、その点についてざっくばらんにひとつ所信をお伺いしたい。
#19
○国務大臣(大石武一君) 今月の半ばまでの私の考え方、信念は、ただいまおっしゃられたとおりでございます。これが必要にして最小限度のものであるという考え方でございました。そして何としてもこの考え方でこの法律案をまとめ上げたいと願っておりました。しかし、現実には、そうまいりませんでした。いろいろな事情がございます。やはりこの法律案に対する理解度なり、あるいは危惧、そういうものがたくさんあちこちにございます。そういうもののいろいろな関係によりまして、どうしてもこれを削らなければ提案できにくいというような判断に立ちました。岐路に立ちました。そこで、最後の決定を考えたわけでございますが、私は、何としてもこのような無過失責任制度をこの行政の一つの骨にすることが一番大事である、そしてそれが効果あるためには、やはり複合汚染を認めることが大事である、この二つが骨子であると考えました。いま申しましたこの因果関係の推定は、私は、詳しい法律のことはわかりませんが、いろいろなお話によりまして、いま言ったような大体の解釈のとおりでございますが、ただ、私は、政治の姿勢として、環境庁のき然――き然というのはおかしいけれども、き然たる態度を一つの姿勢として、ぜひこれはほしいと思ったのでございます。しかし、これがあることによって、いたずらに一部の不安、企業界の不安を起こし、混乱を起こすとなると提案できにくくなるかもしれません。そういう判断のもとに、迷いましたけれども、一応これを削っても、この無過失賠償制度を成立させることがより意義あると判断いたしました。そういう意味では、私は、不本意でございますけれども、そのような立場からこれは削ったわけでございます。しかし、いずれこのような姿勢が今後とも必要なことになりますれば、またあらためてこれを修正することができると考えておりますので、一歩この際は下がったということになるわけでございます。
#20
○占部秀男君 まあ、長官のほうで、自分としては不本意であるけれども、一歩下がっても制度だけはつくっておきたいんだ、こういうことを率直に言われると、あとは、この法案の内容がいいか悪いかということだけになるわけですけれども、そういう長官の気持ちはわかります。わかるけれども、この問題は、先ほど私が言いましたように、国会で現実に取り上げられ、しかも、総理が宇都宮の一日内閣で公約してから、もう三年になっているわけです。だから一歩前進であるということは、確かに一歩前進であるとは思いますけれども、その三年間の過程から見ますと、決して前進にはなっていない。かえってこの不十分なもので当面を糊塗しようとするいまのやり方ではないか、こういうふうに国民の間から批判が起こってくるのは、私は、当然だと思うんですよ。特にいま長官が言われた話の中で、さっきもそうでしたが、あってもなくても、この法を運用する場合には、いま判決は因果関係の推定がやや定着しつつありますから、そういうような情勢の中で、あってもなくても、これは十分いけるんだ、こういうふうに言われますけれども、ところが、学者に言わせると、そうではないんですよ。私は、野村都立大学の教授、民法やっている人の話をちょっと伺ったんですが、こういうふうにその人は言っているんです。
 確かに裁判所の判例は、富山地裁のイタイイタイ病判決あるいは新潟地裁の阿賀野川水銀中毒判決、前橋地裁の早川メッキ廃液事件判決などでは、因果関係については統計的な手法の疫学的立証で推定しているが、まだその例は少ないんだ、推定している例はまだまだ少ないんだ。あらゆる裁判所、あらゆる裁判官が進んだ考え方をするとは限らない。法律上の推定規定がないと、裁判官の判断に左右される。また推定規定があると、比較的スムーズに裁判が進むけれども、この規定がないと、また一審だけで三年、控訴すれば十年裁判、こういうようなことが繰り返されるんじゃないか。
 こういうことを書っておるわけですね。被害者になってみると、いわゆるこれは法案の中でも、あとで詳しく聞きますけれども、閣議決定をした大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法、たとえば大気汚染の場合は二十五条、これに無過失責任として賠償を負うということは確かに規定としてはできておりますけれども、これはある程度因果関係の類推をさせるという事実が法的になければ、これは訓示規定的なもの、いわゆる道徳規定的なもの、何というか、ほんとうの役に立たない規定的なものにぼくはなっていく危険性が多いんじゃないかと思うんですよ。というのは、立証するためには、ぼくが言うまでもなく、たびたびこの委員会ではやっておるんですが、立証が非常にむずかしいということと、そのために長年月裁判がかかるということから、被害者の中では途中でやめたり、途中でどうにもならなくなった人たちが出てくる。こういうような事情の中で、野村さんが言っておるように、私は、これは必ず出てくる、こういうふうに思うんです。そういうような意味合いからいっても、削ったということは、これはもう大臣の言われるように、削ろうが削るまいが、たいした違いはないというようなことばでは私は納得できない。この因果関係の推定の条項を削ったことによって、こうした問題の被害者への救済措置は、相当この推定がある場合に比べて後退せざるを得ない、かようにざっくばらんに考えているんですが、大臣のお考えはいかがですか。
#21
○国務大臣(大石武一君) 私は、必ずしもそうとは考えません。要するに、これは裁判官の私は判断だと思います。裁判官の判断と、これに対する患者側なり、原告側、被告側の考え方だと思います。ですから、この規定があろうとなかろうと、私は、裁判官の判断は変わるまいと思います。ただし、何年かかるかということは、一審二審三審と、そういうことがありますから、要するに加害者、被害者のものの考え方だと思いますけれども、別にこれによって、因果関係の推定の項があるからないからといって控訴する、上告するしないということは別だと思います。そういう意味で、私は、あるにこしたことはないと思います。おっしゃるように、ある程度の影響あるかもしれませんが、私は、これですべてが全部おくれてしまう、そんな判決がつかないとは考えておりません。おっしゃるとおり、判例の積み重ねによりまして、それが実績になるわけですから、やはりこういうものがあったほうが、なるほど形の上では、気持ちの上ではできやすいと思いますけれども、今後いろいろとそういう判例が重ねられてまいりましょう。そういうことによって方向が確立すると思います。また、かりに、もしこのような条項が必要ならば、今度は残念ながらいろいろな事情で削りましたけれども、また近い将来必要ならば、これは当然取り入れることもできます。これは一つの制度が確立していれば、いろいろな新しい発展もできると思いますので、今回はこれで一応退いたわけでございます。
#22
○占部秀男君 ぼくがいま質問したのは、大臣が答弁されたように、この因果関係の推定の規定がないために、裁判官の判断が変わるとか変わらないとか、そういうことを言ったんじゃないんですよ。この法律自体は何のためにつくられたわけですか。この無過失責任制度の問題は、被害者、公害で被害を受けた人をよりよく救済してやろう、こういうところからこれは入ったわけでしょう。裁判官の判断をより正しくやるために入ったわけでは私はないと思う。そんな行政が司法の干犯なんてできるわけないんですよ。被害者をいかにしてよりよく救済してやろうかということが主眼で今度の改正が行なわれるわけでしょう。そうした場合に、あくまでもわれわれは被害者のために今度の改正の内容がいいか悪いかということを起点にして考えなければならぬわけですよ。裁判官の判断なんて、これは向こうがやればいいんであって、被害者の利益を守るためには、いま言ったように、一審だけでも三年だとか、十年裁判、こういうことになることは、公害という法的な対象の性格からして、被害者の方に対して国家としてほうっておけますか。公害という、自分自身の原因じゃなくて、たとえば表で雷にあってずぶぬれになったと同じように、自分は悪くないのですよ。出した企業が悪いし、そういう企業と、そうなさしめるような政治も悪いですよ。その点では、大臣もわれわれも一半の責任はあると思うのですけれども、少なくとも、こういう因果関係の推定の規定をつくって早く問題の決着をつけてやる、これが今度の法改正の被害者を救済する非常に大きな道じゃないですか。その道を閉ざしたからこそ私はおかしいじゃないかと言っておるわけです。しかし、その点についての大臣のいまのお話ですね、私は、大臣の立場もわかりますから、これ以上は追及しませんけれども、ただ、この点だけは明確にしていただきたい。環境庁の原案よりは被害者の救済問題では大きく一歩も二歩も後退している、今度のこの法律案の内容は。さように私は考えておるんですが、この点だけはざっくばらんにひとつ大臣の御見解を承りたい。
#23
○国務大臣(大石武一君) 私は、この因果関係の推定の条項を削ったからといって、直接の患者の救済にはそうかかわりはないと思います。要するに裁判が長引くかどうかということは裁判官の判断です。それから、同時に原告、被告側の態度でございますから、私は、これはあまり――ただ、私は、やはり間接的には、これはお話のとおり、被害者の救済のための役に立つと思います。それはつまりこのような強い姿勢であるということが当然企業側に対して非常な私は警告になると思うのです。問題は、ですから、これが法律的に無過失であろうと、そのような公害病を出してはならないという自覚を与えることに役立つと思います。そういう意味では、おっしゃるとおり、間接的な患者に対する問題はあるかと思いますが、いずれそういうことがどうしても必要ならば、来年でも再来年でも、そういうことはできるわけでございますから、そういうようにいたしたい。御理解をいただきたいのでございます。
#24
○占部秀男君 どうもあとのほうのことばを言ってくれなきゃがまんしようと思ったんだが、あとのことをつけ加えるからがまんできなくなる。もし必要ならば来年でも再来年でもやりますと、来年、再来年できるものをことしできないわけないのですよ。そうでしょう。もし必要ならば来年でも再来年でもやりますと、来年、再来年やれるならことしやったらいい。それだけ被害者は助かるのですから。まあ、それやるとまた……。
 私は、大臣を責めるのじゃなくて、内容の問題についてやっておるのですから、これ以上は言いませんが、いま大臣の言われた中で、私は、特に大臣に今後この問題について注意をしてもらいたい点があるのです。というのは、いま大臣のお話の中にも、因果関係の推定の条項を盛るか盛らないかで裁判そのものにはそう関係はないと、その裁判官の判断ですね。ただ、長引くような問題は確かにある。長引くような問題に一体だれがさしたかということに問題がある。被害者は、これをはっきりしてもらえばいいわけですから、決して長引かせようということは考えておりません。裁判官も、こういう問題について長引かせようと、意識的にやるということはないのです。ほとんど水俣の場合でも、あるいは新潟の場合でも、前橋の場合でも、長引いている一番大きな原因はやっぱり会社側にあるのです。会社側が逃げよう逃げようとしていろいろな手を使うために一年で済むものが二年になり、三年になり、十年になる。それが現状なんです。その現状の上に立って今回のこの法律改正が行なわれているわけですから、私は、きわめて不十分であると思うのですが、内容については、先ほどお話しましたように、さらに法案ができ上がってこちらに来てからひとつ審議をしたいと思います。
 そこで、二、三これに関連をしてお聞きをしておきたいことは、これは程度の差はどうあろうとも後退であるといって大臣自身が認めておるところなんですが、これを二十一日の閣議決定をする前に、環境庁の原案に対して通産省と法務省が、新聞によりますと、特にいま言った因果関係の推定の問題については反対であったんだ、こういうことがいろいろな新聞に報道されておるのですが、この点は事実としてあったかないか。あったとすれば、どういう点を通産なりあるいは法務省なりが主張したのか、こういう点をお聞きしたいと思う。
#25
○国務大臣(大石武一君) 反対といいましても、これは必ずしも新聞に詳しいこと出ていたわけではございませんので、詳しいいきさつは、その折衝に当たった局長にお答えさせたいと思いますが、法務省としては別にそう反対でございませんでした。ただ、先ほど申しましたように、必ず置かなければならないという規定ではないというお考えと、もう一つは、このような新しい考えを取り入れますと、それがどのように発展するかわからぬ、これはいずれひとり歩きをするようになると鬼っ子にかわりまして、どのような解釈もできるようなことに広がってしまう、そういう可能性もある、そういうことを十分にやはりわれわれは考えなければならないというだけの判断でございました。それから通産省におきましては、これは特に企業側に対して、先ほど申し上げましたいろいろな、先がわからないので非常な不安を与えておる、このようなことを十分に考えてもらいたいというのがその意見の大部分だったように思いますが、もし御必要ならば、詳しいことは、折衝いたしました局長にお答えさせてもよろしゅうございます。
#26
○占部秀男君 局長さんに答えていただきます。
#27
○政府委員(船後正道君) 環境庁原案を各省に協議いたしたわけでございますが、簡単な条文、特に民事の規定ではかなり包括的な規定にならざるを得ませんが、その解釈をめぐりまして種々の疑問点というものが出されておるのは、これは当然でございますが、そういった疑問点といたしましては、たとえば規制の対象となる物質というものにつきまして、原案では、人の健康にかかわる被害の生ずるおそれがある物質、こういう物質はどの範囲まで含むのか、硫黄酸化物、窒素酸化物等も含むのかどうかといったような点は当然検討事項になったわけでございますし、共同不法行為の場合に、特に微量寄与者につきましてはしんしゃく規定を考えたわけでありますが、微量寄与というのは一体どういうことであるか、こういった点につきましては種々の問題点が提起されておりますし、また、最終的には、削除いたしました因果関係の推定規定につきましても、民事の領域でこのような推定規定を設けることの意義というものにつきましては、かなり突っ込んだ議論をいたしたわけでございます。そういうことで、この法案の全般にわたりまして各省と種々疑問点に対して説明をし、話を詰めました結果、最終的には昨日閣議決定いたしましたような姿でもって各省の協議がととのったということでございます。
#28
○占部秀男君 もう一つは、財界の態度なんですが、新聞によりますと、経団連は三月の四日にこの問題についての意見書を出した、こういうことですが、どんな内容の意見書であったか、明らかにしてもらいたい。
#29
○国務大臣(大石武一君) その意見書は、われわれ環境庁にも郵送されてまいりました。それを見ますると、結局は、このような新らしい法律をつくるにおいては、財界というか、企業界ですか、経済界が安心をして、自信を持って経済の活動に努力できるような方向において進めてもらいたいと、ですから、その中に特に因果関係の推定と、それから複合汚染ですか、こういうようなものはやめてほしいという御希望の内容がございました。
#30
○占部秀男君 複合の問題はともかくとして、大臣、その因果関係の推定の問題をやめてほしいというやつがですね、今度の閣議決定ではやめたということに、外の現象だけ見ますと、なるわけですがね、そうなると、これは環境庁あるいは環境庁の大臣はそういうことはないと私どもも知っておりますし、また大臣も非常に進歩的にやってくれていることはわかるのですが、やはり政府部内といいますか、自民党さん自体の中というか、そういう中でやはりこの財界の要望のほうが国民の要望よりは強くこれを取り上げるんじゃないかと、こういう私は批判が出てくると思うんですよ。現に新聞なんかでもそういうふうに書いていますね。財界のプッシュに、何というか、屈するなと、環境庁は徹底的にこの点を守れと、これは新聞の主張ですから、何もそのとおり大臣はやらなくてもいいんですけれども、やはりあの新聞の主張は、大部分の国民が持っている考えなんですよ。したがって、今度の法律案は、あとでこれは審議しますけれども、少なくとも大臣が言われるように、次の機会なり、あるいはまた今度の国会でもですね、法の修正をして因果関係の推定の事項を必要なら入れてもいいというなら――これはすべて議院の中ですね、これは修正もできるわけですから、そういう点についての大臣のざっくばらんな考え方をお聞きしたい。
#31
○国務大臣(大石武一君) あの経団連からはそのような書面の申し入れがありましたが、そのほかにも中小企業団体から同じような申し入れがございました。これは決して大企業だけではございません。そこで、やはりこのようないろんな不安は実は一応理解ができたんでございますが、その他のいろいろな諸般の事情がございまして、これは決して圧力に負けたと思いませんけれども、そのようなことがありまして、実はこのようなことになったわけでございます。
 それから、なお、もう少し詳しいいきさつにつきまして、いま局長からお答えさせますが、話は違いますが、この法律案ですね、これは本日国会に提出することになっております。そうして、おそらく付託は衆議院の本会議で趣旨説明をして質問があったあと、そのあとこの公特委に提案になることと考えております。
#32
○政府委員(船後正道君) この因果関係の推定規定につきまして、いま少し法律的な説明をつけ加えさせていただきたいと思いますが、千差万別な態様を持つ公害事案につきまして、民事上一般的な形で推定規定を設けることはきわめて困難でございます。したがいまして、環境庁のもとの案におきましても、代表的なケースを取り上げまして因果関係の推定規定を盛ったわけでございます。この点につきましては、各方面から御発表されております。因果関係の推定規定は、いずれも一般的な推定規定ではなくて、ある代表的な事案についての推定規定である、かようにわれわれは了承いたしております。
 ところで、環境庁の原案をいま少しかみくだいて申し上げますと、この種の公害事案で、因果関係の立法は一応三つのプロセスに分かれるのではないか。一つは、排出原因者におきましてその物質を排出したという事実の証明でございます。それから第二は、その排出された物質と当該病気との因果関係、いわゆる病気の原因度についての立証でございます。それから第三には、その当該原告の病気が当該被告の施設から排出された物質であるという汚染経路の証明でございます。
 私どもの当初の案におきましては、このうち、ただいま申しました一と二の排出の事実、病気の原因、これにつきましては何ら推定はいたしておりません。これは被告において立証する必要がある、かように考えております。ただ、汚染経路につきましては一定の要件を設けまして、当該排出により被害が生じ得る地域におきましては、同質の物質によって被害が生ずるときはというような要件を設けまして、汚染経路につきまして一つの推定をしたわけでございます。ところが、この当該排出により被害が生ずるというのは、これはいわゆる蓋然性の理論も含んでおるわけでございますけれども、この種の民事法規は、一たん成立いたしますと、ひとり歩きをするわけでございまして、いろいろな解釈が生じてまいります。たとえば排出がごく微量でございましても、当該被害との間に因果関係があるというような拡張解釈も可能になるわけでございまして、むしろ因果関係の立証というものは、これは本来事実認定の問題でございますが、ケースに即し裁判所にゆだねるというのが適当ではないか、ことに最近の判例動向にかんがみますと、先ほど先生も御指摘のように、かなり公害事案の特殊性に即しまして因果関係の立証をしておる例は少のうございますが、これはむしろ公害事案につきましての判例が少ないというだけでございまして、やはりいままで出ました判例はほとんどこのような方向であるというようなことから、むしろ広く解されるおそれもあり、あるいは狭く反対に解釈されるおそれもあるというようなこの種の因果関係は、やはり民事法規に入れるのは適当ではないのではないかという判断からこれを削除することにしたわけでございます。先ほど来、長官が申しておりますように、民事の裁判におきましては、因果関係は事実に即して積み上げ立証してまいるわけでございますから、この規定がなくても被害者の救済にはいささかも技術的に関係がない、かように考えたわけでございます。
#33
○占部秀男君 最後に、時間がもうありませんから、それでは二つ簡単にお伺いしておきます。
 一つは、中央公害対策審議会が何かこれに対して反対の意見を前に言った、因果関係の推定の問題について反対意見を出したということがちょっと新聞に出ているんですが、もしそういうようなことになると、これは非常に重大なことになってくるんじゃないかと思うんです。これは大臣も御存じのとおり、基本法の二十七条でこれはできておる諮問機関であります。進歩的に先へ進もうというものの足を引っぱるようなことをこの諮問機関がするようなことになったら、一体、その委員会はどんな委員が出ておるのか、そういうことからこれは調べていかなければならぬ問題になってくるのですが、きょうは時間がありませんから、そういう事実があったかないかを一つ。
 それからもう一つは、御存じのように、富山の市で、市内の三菱アセテートでしたか、その他七つの企業と公害防止協定をきのう実は締結をする予定であったというんですね。その内容は、環境庁の前の原案を出して、たとえば排出基準が法にかなったとしても、被害が出た場合には無過失責任でこれは企業が相当の責任を負うのだということまで協定の中に織り込んである、そういう協定だということなんですね。ところが環境庁のが今度これを抜いたということから、富山のこの協定がまた影響されてはならぬと思うのです。特に環境庁の行政指導としては、そういう点については制約をするよりは、むしろ奨励をするくらいにいってもらわぬといかぬと思うんですが、その二つの点で大臣の率直な御意見をお聞きしたい。
#34
○国務大臣(大石武一君) 中公審につきましては、今回これをそこにおはかりする必要はなかったのでありますが、一応内容を説明するという意味で、総合部会の方々においでいただきまして、二日間にわたって説明をし、質問をもらいました。おっしゃるとおり、その中には相当の方々がこれに対して批判的な意見であったことは、そのとおりであります。しかし、それはやむを得ないことですが、ただ、ああいう審議会というものは、一般的に私はきらいなんです。いままでの審議会というのは、みな役所の隠れみのになりまして、役所の都合のいいように動いているのが審議会の大多数だと思うのです。その審議会の委員なんというものは、十も二十もみんな委員を兼ねまして、そのときの思いつきによって意見を出すという方々が多かったのじゃないか。私はきらいなんでありますが、御承知のように、公害問題というものは、これは新しい分野であります。したがって、これから総合的な大きな対策を立てなければならない。それには日本の英知を集めまして、そういう人方のいろんな見識なり知識というものを借りなければならぬ。そういう意味で、私は、環境庁の中公審というものは尊敬をいたしまして、それだけの権威のあるものになっていただきたいと願っておるわけでございますが、そういう意味では、決して役所の言いなり次第になるような方では困りますので、いろいろな反対な御意見があっても、私は、けっこうだと思っておるわけでございます。
 なお、後段につきましては、局長からひとつ答弁いたさせます。
#35
○政府委員(船後正道君) 富山の公害防止協定は、内容を私まだ詳細に存じておりませんが、ただいま先生御指摘の点につきましては、いわゆる無過失責任を定めたものであろうと思います。公害防止協定の性格自体がやはり民事上の一種の契約と解するほかはないのでありますが、現行民法のもとにおきましては、民法七百九条で「故意又ハ過失ニ因リテ」他人の権利を侵害した場合にのみ損害賠償の責めに任ずるわけでありますから、この防止協定におきましては、企業と県とのそういった契約でもって、かりにそれで基準を守っておる場合であっても、無過失でもって損害賠償の責任問題ということでありますから、その内容につきましては、私どもが今回提案いたしております無過失責任の大気法の二十五条の規定と同様の趣旨であろうと、かように解しております。
#36
○小平芳平君 私は、イタイイタイ病の救済について御質問をいたしますが、この点については、大石長官に直接陳情にも参りましてお話ししたこともございましたが、きょうは、きわめて私の時間が限られておりますので、ひとつ簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
 第一に、大石長官が自然保護について積極的な姿勢をとられたとともに、また被害者救済についても積極的な姿勢をとられたことが昨年八月七日の環境庁事務次官の通知ということになってあらわれていると思います。しかしながら、実際問題、はたしてイタイイタイ病の救済が次官通知のように行政が動いているかどうか、こういう点について質問したわけであります。
 そこで、事務当局にまずお答えいただきたいことは、十五人の鑑別診断班がおられます。これを十五人の委員会とかりにいたします。そのほかに七人の、救済制度におけるイタイイタイ病にかかる公害病認定条件に関する研究という委員会がございます。かりにこれを七人の委員会といたします。この十五人の委員会並びに七人の委員会についての四十六年度予算は幾らなのか、四十七年度予算は幾らなのか、この点についてお答えをいただきたい。
#37
○政府委員(船後正道君) 鑑別診断班、先生御指摘の十五人でありますが、四十六年度の委託費は四百万円でございます。それから、公害認定に関する班でございますが、七人でございます。これは四十六年度百五十万円でございます。なお、四十七年度につきましては、四十六年度の実績、四十七年度の作業計画等を勘案いたして今後配賦額を決定することになります。
#38
○小平芳平君 ということは、四十七年度はないわけですか。
#39
○政府委員(船後正道君) この種の研究は、大ワクといたしまして調査研究費というのがあるわけでございまして、その中から、前年度のいろいろな研究の進捗状況等も考意に入れながら、新年度の実行予算をつくる際に額を考えることにしております。
#40
○小平芳平君 それでは、その実行予算の段階で、必要があれば予算は取れるというふうに理解してよろしゅうございますね。
#41
○政府委員(船後正道君) 前年度に解決いたしました場合を除きまして、なお継続する必要がある、あるいは新規に新しいことをやる必要があるというふうな場合には、まあ額及び継続するかしないかということを含めまして、実行予算の際に配慮することにいたしております。
#42
○小平芳平君 そこで、十五人の診断班は、きょうやっているわけでしょう。で、大体この十二月二十四日に要観察地域五地域については心配ないと、そして、新聞報道によりますと、要観察からはずす、十五人の人が継続的な検査はやりますが、要観察からはずすと、こういうようにこの研究班が発表しているというふうに報道されておりますが、そのとおりですか。
#43
○政府委員(船後正道君) 先生の御質問は五地域についてでございますが、五地域につきましては、今後もさらに引き続き研究してまいるわけでございまして、特にこれを要観察地域からはずすほうがいいというような意見は、われわれは承知いたしておりません。
#44
○小平芳平君 そうじゃないですよ、要観察地域の指定は大臣でしょう、違いますか。大体この研究班に環境庁は何を委託しているんですか。
#45
○政府委員(船後正道君) 御承知の暫定対策要領に基づきまして、要観察地域につきましては種々の健康調査をいたしておるわけでございますが、それを最終的に判断する、カドミウムの慢性中毒症があるかどうか、イタイイタイ病があるかどうかといったことも含めまして、医学上の見地からの御判断をこの研究班にお願いしておるわけでございます。
 それから、要観察地域に指定するかどうかということは、御指摘のとおり、環境庁で決定する問題でございます。
#46
○小平芳平君 そういたしますと、地域の指定は環境庁、ところがこの方がカドミウム被害者であるか、イタイイタイ病であるかないか、それをきめるのはだれですか、研究班がきめるんですか。
#47
○政府委員(船後正道君) 非常にむずかしい専門的な知識を要する判断でございますので、研究班で、御依頼してございます各界の権威の先生方の協議検討によりましてそのような医学上の問題はきめていただくと、こういうことになっております。
#48
○小平芳平君 それは何の法律に基づいてそういうことをやるのですか。
#49
○政府委員(船後正道君) 法律上の根拠はございません。行政上の判断を得るための有力なる材料としてこの研究班に委託いたしておるわけでございます。
#50
○小平芳平君 そうすると、法律上には根拠がないが、要は研究班に環境庁が白紙委任をするんだ、たとえば最近報道された兵庫県生野町のこれらの方々がはたしてカドミウムによる健康被害であるかないか、それは研究班に白紙委任しちゃったと、環境庁が判断する余地はないのだと、こういうことですか。
#51
○政府委員(船後正道君) 医学上の判断につきましては、このような専門家のグループの御判断をお聞きしておるということでございます。
#52
○小平芳平君 それは医学上の問題、法律上の問題、科学上の問題、いろんな問題がありますね。それについて大石長官が、私は審議会はきらいだとおっしゃったけれども、各種審議会が設けられておりますが、しかし、大体、審議会は大臣に答申するわけでしょう。大臣の責任でされるわけでしょう、政府の責任で。けれども、この審議会だけは白紙委任だと、そういうたてまえでよろしいですか、大臣。
#53
○政府委員(船後正道君) ただいま申しましたように、個々の患者の症状等につきまして医学上の判断を下すことはこの研究班に委託いたしております。法律上の関係につきましては、最終的には被害者救済法があるわけでございまして、この被害者救済法に基づくところの公害病として指定するかどうか、あるいはその公害病につきまして指定地域とするかどうかという問題が残っておりますが、この点につきましては、このような医学上の御判断を基礎にしながら環境庁においてきめるということになるわけでございます。
#54
○小平芳平君 その救済法による患者の認定は県知事でしょうが、そうでしょう、違いますか。患者の認定は県知事であり、地域と疾病については大臣がきめることになっているでしょう。その場合に、最初指摘しましたせっかくの次官通知も、各県とも環境庁待ちなんです。環境庁はこの診断班待ちなんです。そこで一つも行政が進んでない。たとえば富山県では、要観察者からはずしているでしょう。三人の人が現在要観察者であって、百数十人の人がすでに要観察者からはずされている、解除されている。じゃ、県として、このすでに解除された人でもなおかつ病院で治療を受けている人があるが、その治療を受けている人はほったらかして何の手も打っていない。何をやっているんだといえば環境庁待ち、これが現状じゃないですか、いかがですか。
#55
○政府委員(船後正道君) 先ほど来申しておりますように、この研究班では、要観察地域につきましての種々の健康調査のデータに基づきまして、医学上の見地から検討いたしておるわけでございます。それらの人々を行政上あるいは法律上どのような救済をするかというのは、また別の問題でございまして、このような医学上の判断というものを基礎にしながら、それぞれのケースに即して実施しておるという体制になっておるわけでございます。
#56
○小平芳平君 じゃ、富山県は何をやりましたか、次官通知に基づいて何をやりましたか。
#57
○政府委員(船後正道君) 昨年、水俣に関連いたしまして出しました次官通達は、救済法に基づく県知事の認定を行ないます場合に、従来、指導の不徹底であったという点にかんがみまして、種々のことを明らかにして、県あてに法の運用に公正を期するように通達したわけでございますから、特にこれに基づいてどのような行為をしたかということは非常に区分しがたいのでございますけれども、通達以後の救済法に基づく公害病患者の認定につきましては、関係府県とも、いずれもあの通達の趣旨でもって運用しておるというような関係でございます。
#58
○小平芳平君 何もやっていないのです。八月七日の次官通知に基づいて各県がカドミウム被害者救済にどの手を打ちましたか、何の手を打ちましたか。
#59
○政府委員(船後正道君) 御承知のように、現在、イタイイタイ病で地域指定をされておりますのは神通川の流域だけでございます。その地域における患者の認定につきましては、先ほど来申しました次官通達の趣旨に従って認定を進めるということでございまして……。
#60
○小平芳平君 何を認定したか。
#61
○政府委員(船後正道君) 新たに患者があった場合には、それをそれぞれ県のほうで所定の手続をもってやっているということになるわけでございますが、その他の地域につきまして、いわゆる要観察地域につきましては、これは先ほど来申しておりますような種々の調査をいたしまして、その地域を今後行政上、法律上どのように扱っていくかということを検討を続けておる段階であるわけであります。
#62
○小平芳平君 何もやっていないのに、抽象的にやっています、やっていますというのではだめじゃないですか、そういうことじゃ。要はこの認定条件に関する研究が一番の問題です、いまの一つの。
 もう一つは、十五人の委員会が、過去において五地域にはなかった、そうして新たにきょう二地域を検討して、ここにもなかったと言ってしまえば、大石長官ね、白紙委任しちゃっているんですから、一体、行政は何のための行政、次官通知は何のための次官通知かということになりませんですか。
#63
○国務大臣(大石武一君) 患者の認定ということは、これはきわめて私は慎重にしなければならないと思います。ただし、認定する場合には、先ほど次官通達で申しましたように、人間を尊重する立場から、そのような気持ちですね。広く判断することは必要でございますけれども、やはり医学的な信念において判断しなければならないことは、おっしゃるとおりでございます。そういう意味で、われわれは、この鑑別診断班というものをつくりまして、これは各県で一応疑わしい医者なり、あるいはそういう者についてのいろいろな健康診断なり、あるいは精密検査をいたしますが、その場合には環境庁ができる以前においては県独自で、必ずしも環境庁ありませんでしたけれども、中央のほうとの十分な連絡をなさらない面いままでございましたが、その後は、できるだけ十分な連絡をとりまして、お互いの一番手落ちのないような方法において診断いたしておるわけでございます。しかし、その場合にも、最後の判定は、公害病患者であるかどうかということの最後の判定は、やはり日本の一応最高の権威と考えられます鑑別診断班によりまして、ここにおいて判定をするということでございまして、われわれは、それ以外にやはりどうしても患者を認定する場合には、やはり医学的な形式にたよる以外には道はございませんので、そういう方法をとっておるわけでございます。
 ただ、イタイイタイ病、ことに富山県のイタイイタイ病につきましては、患者認定の条件に関する研究がまだ実は十分ではございません。そういうことで、ことし四十六年度からイタイイタイ病にかかる公害病認定条件に関する研究を進めておりまして、御承知のように、あるいは七人でございましたか、その委員会をつくりまして、認定条件の的確な――八月四日でごさいましたか、次官通達のような精神を盛った、そのような認定の条件をつくるというようなことにいたしておるわけでございます。
#64
○小平芳平君 そこで、二つの問題がありまして、一つは、認定条件をきめられる七人の委員会で、あの次官通知に基づいて、イタイイタイ病を疑わしきは救済という簡単な表現で、疑わしきは救済という認定条件をきめてくれるかどうか、これが一つですね。長官としては、きめてくれることを願っていらっしゃると思いますが、したがって、この七人の委員会でそれがきまれば、十五人の委員会の従来の鑑別診断班も、十二月二十四日にきめた五地域はだいじょうぶだとか、きょうやろうとする二地域はまただいじょうぶだとか、そういう前提じゃなくて、こうした新しい認定条件に基づく鑑別診断あるいは救済、それをとられることが望ましいと思いますが、いかがですか。
#65
○国務大臣(大石武一君) おっしゃるとおりでございます。
#66
○小平芳平君 で、長官はこれよく御承知と思いますが、その白紙委任を受けていらっしゃる委員会の委員の中に、武内重五郎教授という方はその両方に入っておられます。その日本の最高権威者、医学上の最高権威の意見を求めるというふうに先ほど来局長が言っておられますが、そうすると、医学上の白紙委任をしている環境庁が、政府の最高機関の環境庁がほとんど白紙に近い状態で医学上の御意見を白紙委任しておりますというその委員の両方を兼ねていらっしゃる方が裁判で、地域も患者も知らないで、机の上で考えたビタミンD説であったとか、あるいは裁判長から正直に言えとか、偽証罪になるぞとか、こういうような、あるいは三井側から資料をもらって、その資料によって判断したとか、こういう程度の判断じゃ困るじゃありませんか。いかがですか。
#67
○国務大臣(大石武一君) その話については、いろいろ各方面からも御意見を承っております。武内教授が裁判所においていろいろなことを裁判長から言われたということは事実じゃなくて、むしろあたりの不規則発言の中にそういう発言があったというように聞いておりますが、それはそれとして、別として、私は、近ごろ考えるのでありますが、鑑別診断班というものは医学的な判断をするのでございますから、必ずしも同じような考えを持った学者ばかりではなくて、中には、これは多数では困りますけれども、ごく少数はやはり違う考えの者があっても、学問という意味から、科学という意味からけっこうだと思います。鑑別診断班においては、武内教授が近ごろはイタイイタイ病の病因については別な意見を立てているように聞いておりますが、そういう方があっても私はかまわないと思います。ただ、問題は、いま委託しておりますイタイイタイ病にかかる公害病認定条件に関する研究という、これは認定条件ですから、この場合、やはり必ずしもイタイイタイ病の病源、病因について違う考え、病因について異見のある人が入るということはどうか、やっぱりこれは一応考えなければならぬと思います。そういう意味で、われわれは、はたして武内教授がどのようなお考えを持っているか、まだ明確にしておりませんので、それで一応主任の重松教授に御連絡をいたしまして、そして御判断を仰ぐ、いま連絡をいたしておるところでございます。その御意見を承りまして、そして一番正しい認定条件がつくられるようにいたしてまいりたいと思っております。
#68
○小平芳平君 たいへん時間が過ぎて恐縮ですが、最後に、それではお尋ねしますが、イタイイタイ病の原因はカドミウムであるかないか、こういうことを争うわけですね。
 そこで、十五人の委員の中には、イタイイタイ病の原因がカドミウムであるという方が何人、ないという方が何人ですか、これが一つ。それから、先ほどの予算も百五十万円、四百万円という予算ではほんのもう汽車賃と昼めし代くらいですが、こういうようなことで環境庁は何を研究してもらおうとしているのか。この二点について。
#69
○国務大臣(大石武一君) 私どもは、鑑別診断班でお願いしているのは、これはイタイイタイ病の原因がカドミウムであるかないかということではございません。いろいろ検査をしました、精密検査をしました患者がイタイイタイ病患者であるかないかということでございます。その判断をすることでございます。われわれは、行政的にはイタイイタイ病の原因はカドミウムときめてあります。これは、ただし、科学の社会におきましては――私も、事実、科学でもそうだと思いますけれども、しかし、すべてがそうであるとは断定できないと思います。長いことやはり疑いを持って、疑問を持ってみるということも一つの私は科学の道だと思います。そういう意味で、この鑑別診断班には、おそらく十五人のうち一人くらいはカドミウム説に異見を持っておられる方、あとは全部カドミウム説と思いますが、そういうことでございますので、そのような少数の意見の違う方がおられても、私は、正しい鑑別診断のそれが障害にならないと考えておるわけでございます。
 あとの部分につきましては、局長から御説明いたします。
#70
○政府委員(船後正道君) 四十七年度の予算は、先ほど申しましたように、この種の委託費で総額三千六百万円でございます。その範囲内におきまして、四十七年度、このイタイイタイ病患者につきましてどの程度を支出するか、実行予算の際に十分検討いたしたい、このように考えております。
#71
○内田善利君 先日も亜砒酸公害が議題になったわけですが、私、あちこち亜砒酸鉱山を見てまいりまして、どうしても疑問に感ずる点がまだありますので、この点についてお伺いしたいと思うわけですが、環境庁長官、午後はいらっしゃらないという話なので、環境庁関係に焦点をしぼりながら質問していきたいと思います。
 先日の委員会だったと思いますが、どうしてこういう亜砒酸公害がいままでわからなかったのかという質問があったと思いますけれども、これも私は強く感ずるわけです。どういったことでこのような亜砒酸鉱山による公害がわからなかったのか、こういう被害の状況がわからなかったのかと非常に疑問を感ずるわけですが、先日、大分県の木浦鉱山に行ってまいりましたが、ここも、ほぼ土呂久あるいは松尾鉱山等々と同じような状況です。通産省のほうで総点検の一部が行なわれているとうかがわれますが、たくさん積まれた、山のように積まれたズリのズリどめ、あるいは川に流れないようにさくをしてとめておる、そういった措置がとられておるだけで、被害者に対する救済というようなことは全然なされてないように思うわけです。現地の方々にいろいろ聞いてみますと、もうみんな死んだと、作業しておった人はみんな死んだと、若死にしましたと、そういう状況なんですね。作業員の人は、みな外部から見ておったのでよくわからないが、背の高い岡田という人もなくなったのだ、いろいろそういったことが言われております。現在は、飼っておるマスが大雨のときに全滅したとか、コイが全滅したとか、あるいはシイタケ、カヅラが全滅し、あるいは養バチ一戸当たり五箱ないし六箱のミツバチが、亜砒酸を焼くと、みんな死んでしまったというような、いろんな生活上の被害が起こっておる、そういう状況。特に木浦鉱山の場合は、四十戸ぐらいの現地の人たちが簡単なかまを使って、四人ないし五人、あるいは三人ぐらいでかまを焼いておった。そういう非常に、何といいますか、これはそういう登録許可を受けながらやったのかどうか、疑問に思うわけですが、そういった状況でございまして、三十六年に、非常に砒素の富鉱――富んだ鉱石ですね。富鉱が見つかったということで、また再開しようとした。三十三年にやめて三十六年に再開しようとした。そのときに、そういった亜砒がまを焼いた経験のある現地の人たちが猛反対運動を行なったわけです。これは反対運動が功を奏して、三十七年には取りやめておるわけですけれども、そういった事実もあります。そういったことなどあわせて考えてみるときに、通産省並びに環境庁は、こういった亜砒酸鉱山に対する処置あるいは概況をどのようにつかんで対策を講じておられるのか、まずこの点をお聞きしたいと思うわけです。
#72
○国務大臣(大石武一君) いろいろな鉱業につきましては、やはり非常に、何というんですか、近代化が依然おくれておったと思います。昔から佐渡の金山この世の地獄と言われておりますように、そのようなあり方が鉱業の徳川時代から明治にかけての考え方ではなかったかと思います。その思想がずっと最近まで残ってきた、そういうところにいろいろの鉱業についての現在のいろんな公害その他の問題を引き起こしておると思います。しかし、それは過去のことで、いますぐどのようなことをしましても、それをすぐ戻すわけにはまいりません。したがって、あと始末をできるだけよくするというのがわれわれの一番いいやり方だと思います。そういう意味では、第一に、今後そのような砒素の災害を起こさないように、まずそのあとの始末をやらなければならぬと思います。そのことにつきましては、もちろん通産省が中心となりまして、あらゆる坑廃水あるいはズリなり、鉱滓なり、そういうものを十分に検討いたしまして、水質なり土壌の検査を十分にいたしまして、それに問題があれば対策を講ずることが大事だと思います。
 それから、もう一つ、患者の問題であります。はたしてその砒素中毒の患者だったかどうか、こういうことをやっぱり十分に、できる限り努力をして検査をいたしまして、そうしてそれに対する処置を講ずること、たとえば公害病であるか、あるいは公害病患者としてこれを救済できるのか、あるいは労災でもってこれが救済できるのか、しかし、もし公害病でなかったならば、どんな方法があるか、そういうことは、労働省なり、厚生省なり、われわれなり、みんなで相談をしてきめなきゃならぬということでございまして、まあ、そのようなことしか、いまのところ、できることはないじゃないかと考えております。
#73
○内田善利君 長官、そう言われますけれども、土呂久は確かに調査がなされたようです。また、広域調査をして、漏れた方々も調査すべきじゃないかということで、この委員会でもお願いしたわけですが、確かに行なわれたようでございますが、松尾鉱山周辺の住民検診、いまの木浦鉱山周辺の住民検診あるいは農作物等その他の生活被害に対する調査などは、まだ全然手がついていないように思うんですけれども、この点はいかがでしょう。
#74
○国務大臣(大石武一君) その新木浦の鉱山の問題も、最近われわれも認識しただけで、実際、おっしゃるとおり、ろくに手がついておりません。これはいままでやはり世間から隔離されておりました問題だけに、一々これを掘り起こしてすぐ全部に手を回すということはなかなか不可能でございます。幸い通産省さんがこのような休廃止鉱山について、問題になるようなものを選んで、これを一々点検をしておりますから、それと連絡をとりながら、また、通産省さんでは患者のほうには手が及ばないですから、そういう方面はわれわれが担当いたしまして、そうしていろいろな調査の手を進めてまいりたいと思います。いままでは、そういう情報もありませんし、手が伸びませんで、おっしゃるとおり、何もしておりませんでしたけれども、このような方法並びに、幸いにいまいろいろな市民運動が盛んになりまして、こういうことがだんだん表に出るようになりました。これは非常にありがたいことです。われわれとしては、ときどきおしかりを受けますけれども、非常にけっこうなことでございますから、こういうことでいろいろとわれわれのおしりをたたいていただいて、そうしてできるだけ調査をしたい、救済することができるようにいたしてまいりたいと思います。
#75
○内田善利君 久良知局長にお聞きしたいんですが、木浦鉱山のほうはどうなんですか、どのようにつかんでおられますか。
#76
○政府委員(久良知章悟君) 新木浦鉱山、これは大分県の南海部郡に所在する鉱山でございまして、非常に歴史の古い、やはり慶長三年から開発を進められまして、むしろ近年に至りましては、稼行したり休止したりということを繰り返した山でございますが、過去におきましては、金、銀、銅、鉛、亜鉛、すず、硫化鉄、硫砒鉄鉱等を採掘いたしております。昭和に入りましてから亜砒酸の生産をしておりまして、戦時中、終戦近くまで、戦後も細々と若干の生産をしておるわけでございますが、昭和三十年代に入りましては三十六年と三十七年に、先生いまおっしゃいましたように、再開の機運があったわけでございますが、若干の生産をしただけでやめておるわけでございます。
 この六、七年の稼行時には、稼行鉱山としての巡回監督をいたしてきたわけでございますが、それ以後、休止いたしましてから監督を中止いたしておったわけでございますが、四十年代に入りまして休廃止鉱山を対象にいたします、おもに重金属による鉱害防止というふうな観点からの監督を再開いたしまして、四十三年、四十五年と実施をいたしておるわけでございますが、このときにおきましては、砒素の鉱山の鉱害の問題といたしましては三つ態様があるわけでございます。一つは、鉱煙と申しますか、煙、それから二番目は坑水、廃水の中に砒素またはカドミウム等の重金属が含まれるという問題、それから三番目は捨て石、それから選鉱のときに出ますスライム等の流出による鉱害の防止、この三つの問題があるわけでございますが、鉱煙については、休止いたしておりますので、問題はございません。坑廃水並びに捨て石等の堆積場の問題に重点を置いて監督をしてきたわけでございます。坑廃水につきましては、この砒素につきましては〇・五PPM以下、それからカドミウムにつきましては〇・一PPM以下というふうな基準がきめられておるわけでございます。四十三年、四十五年、四十七年に測定をいたしました結果によりましては、いずれも基準を下回っておるというふうな結果が出ておるわけでございます。
#77
○内田善利君 下回っておるということですが、私は、福岡の鉱山保安監督局長からデータをもらったんですけれども、これは上回っているところがあるわけですね。ぎりぎり一ぱい、あるいはそれを上回っているのがたくさんあるわけです、読み上げませんけれども。私も向こうに行きまして、選鉱場から出てくるスライム、それから坑口の土、一ぱい積んであるわけです。これはもう雨が降ったら流れ出ることは間違いありません。それから堆積場のズリ等をとって分析したわけですが、これは大分県の工業試験場に依頼して、結果が出たわけですけれども、非常に大きなデータがあって、私もびっくりしているわけですけれども、砒素の場合だけ申し上げますと、選鉱場のスライムが一・三PPM、それから坑口の鉱主ですね、これが五万三〇〇〇PPM、五%――これは鉱石そのものみたいな感じですけれども、五万三〇〇〇PPMですから、大体五%の砒素を含んでいる。それから堆積場がずっと下のほうの川の上にあるわけですが、これが二万三〇〇〇PPMと、このように、サンプリングも問題でしょうけれども、こういった砒素を含んで鉱滓あるいは鉱主、あるいはズリ、こういうものが放置されているみたいなんですね。山へずうっと上がって行きますと、もう硫砒鉄鉱の鉱石があっちこっち散らばっていると、こういう状況で、これは毒にはならないのかどうか。雨が降ったりしたら、砒素が水に溶けることは間違いない事実ですが、こういったものがもうあちこちに見られる。それに、いま応急手当てとして、通産省のほうでとめる工事が行なわれておるという現状です。
 それから、川の水もとってきたわけですが、これも砒素だけを申し上げますと、一・二四ミリグラム・パー・リッター、大体PPMに同じですから、一・二四PPMに等しいわけですね。そういった川の水でも、〇・〇五PPMが基準なのに、こういう大きなデータが出ております。カドミウムも〇・一三ミリグラム・パー・リッター、銅も二十ミリグラム・パー・リッター、鉛が〇・一五ミリグラム・パー・リッター、そういうデータが出たわけです。
 土呂久、松尾鉱山のほうも非常にサンプルをたくさんとって帰りまして、まだ結果は出ておりませんけれども、大分県の工業試験場で分析したデータによりますと、こういう状況でございます。
 通産省のほうとしては、そのようなことをなさっておるわけですが、私は、現地住民に聞きまして、みんな若死にしていったということなんです。米田という方に会いましたが、これは父も早く死んだし、兄も長兄が三十四歳、次兄が四十歳で死んだ。これは亜砒酸を実際製造したわけです、この人は。そういう状況で、一体、これがなぜわからなかったかということでいろいろ検討してみたわけですが、まず、亜砒酸は毒物劇物取締法で取り締まることができるのかどうか、できないのかどうか、この点が一点です。
 この聞いただきました「亜砒酸の人体に対する影響」という資料によりますと、人体への影響は、許容濃度が〇・五ミリグラム・パー立方メートル、代表的毒物で、致死量は〇・一ないし〇・三グラムであると、このように、いただいた資料では書いてあるわけです。その他、いろいろな亜砒酸――三酸化砒素ですね、に対するいろいろなデータを教えていただいたわけですけれども、これが毒物劇物取締法の対象にならなければならないと、私は、こう思うのですけれども、この点、厚生省のほうはいかがなんでしょうか。
#78
○説明員(豊田勤治君) お答えいたします。
 亜砒酸を製造する場合におきましては、先生御指摘のとおり、毒物及び劇物取締法の第三条に基づきまして、「販売又は授与の目的で製造してはならない。」という禁止規定がございまして、この毒物であります亜砒酸を製造する場合には、四条に基づきまして、営業の登録をいたさなくてはならない規定がございます。
#79
○内田善利君 その登録はなされておったかどうかです。
#80
○説明員(豊田勤治君) 新木浦の鉱山の登録につきましては、昭和三十六年十一月の六日に、中島鉱山株式会社新木浦鉱業所亜砒酸製練所として、登録番号一九九九号で、登録品目が亜砒酸として登録されております。
#81
○内田善利君 登録されておるということですが、松尾鉱山は登録されておりますか。
#82
○説明員(豊田勤治君) 松尾鉱山は登録されておりませんでした。
#83
○内田善利君 私ども調査したところでは、ほとんど登録されてないですね。土呂久と中島鉱業関係のいまの木浦、これは登録されておりますけれども、ほかは全然登録なし。したがって、毒物劇物取締法では、いろいろな規制があるわけですけれども、製造に対する監視あるいは閉山するときの登録の変更、そういったことなどは厚生省のほうでは全然なされてないと、このように私は承知しておるわけですが、この点はいかがですか。
#84
○説明員(豊田勤治君) 毒物劇物取締法におきましては、製造しようとする場合に登録するという規定でございますので、実際製造されておるかどうかという点につきましては、私たちのほうでは、たいへん申しわけないと思いますが、監督のしようがないというのが現状でございます。
#85
○内田善利君 十八条の毒物劇物監視員は、監視をしておったのですかどうですか。
#86
○説明員(豊田勤治君) 登録する場合におきましては、都道府県に置きます監視員が参りまして、一応の検査はすることになっております。
#87
○内田善利君 なっておるじゃなくて、現実にやったかどうか。この亜砒焼きがまをつぶすときに、厚生省の監視員が立ち会ったかどうか、全然立ち会ってないわけですね。そうして、ほんとうにけしからぬ話ですよ、厚生省。
 もう時間がありませんので、午後から詳しくこまごまとやりますけれども、そういったことで議物が放置されておった、九年ないし十年。どの鉱山も同じです。亜砒酸が放置されておった。これは子供がなめても死んでしまう毒物なんです。そういった毒物に対する取締法があるにもかかわらず、その当時取り締まらないで、山の中に放置してあったということが今日までこの亜砒酸公害がわからなかった原因の一つじゃないかと、このように思うわけです。もしその当時、この取締法によってきちっと監視されていたならば、こういった被害は起こらなかったのじゃないかと、このように思うわけですが、この点、環境庁長官、いかがでしょうか。
#88
○国務大臣(大石武一君) どうも前のことは、詳しいことは私もどう言っていいかわからないのでございますが、確かに、いままでの行政につきましては、日本全体の行政あるいは政治の方向がそうだったでしょうが、いろいろな問題があったと思いますが、これからはやはりみんなでお互いに十分連絡をとりながら新しい政治の方向に向かっていくように、その方向において、このような問題についても十分な調査なり、救済なりをしていかなきゃならぬと考える次第でございます。
#89
○内田善利君 もう一言長官にお願いをしておきますが、土呂久あるいは宮崎県の松尾、あるいは岐阜県の遠ケ根、あるいはこの大分県の木浦というふうに、亜砒酸による鉱害被害状況が出ておるわけですけれども、みんな若いときに死んでいったと、あるいはいろんな山におけるシイタケその他農作物、そういった農業等が被害を受けておる。そういう状況でございますので、いま打たれている手は、ズリどめとか、防災関係がなされておるようですが、こういった健康被害あるいは農作物等の被害について早急に調査をして、被害者救済のほうに早く手を打っていただきたいと、このように思うわけですけれども、その点いかがですか。
#90
○国務大臣(大石武一君) おっしゃるとおり努力いたします。
#91
○加藤進君 きょうは、本委員会と並行してイタイイタイ病鑑別診断に関する研究班の会議が開かれておるはずだと思いますが、ここでは生野鉱山にかかるイタイイタイ病の判定が大きな問題にされると聞いておりますが、どうですか。
#92
○政府委員(船後正道君) 本日、鑑別診断班の会合を持っておりますが、この会合で、生野鉱山周辺の健康調査の結果につきましても、ここで御検討願うようにいたしておるわけでございます。
#93
○加藤進君 私は、最初に希望を申し上げておくわけでございますけれども、この研究班の判定はきわめて重大な内容を持つと思います。この地域の患者の皆さんのこれからの生活にかかわり、健康、生命にかかわる問題の判定でございますから、私は、できるならば、本日だけの結論によってこの判定を行なうのではなしに、さらに引き続いて慎重な検討を進められることをまず要望したいと思いますが、これに関連して、環境庁長官に御質問申し上げたいと思います。
 それは去る十日に開かれました衆議院の委員会におきまして、環境庁長官は、こういう答弁をされておるわけであります。環境庁としては、イタイイタイ病ではないという兵庫県の調査結果は信用する、しかし、近く荻野医師からも見解を聞いて総合的に判断したい、こう私は聞いておるわけでございますけれども、総合的な判断は、今日、大石長官お持ちになっておるでしょうか、どうでしょうか。
#94
○国務大臣(大石武一君) それは、きょうの鑑別診断班の会合を考えているわけでございます。
#95
○加藤進君 それでは、この研究班の鑑別の重要な基礎となると思われる兵庫県の健康診断が、はたして科学的で十分納得のいくような調査や診断であったかどうか、この点について環境庁の所見を承りたいと思います。
#96
○政府委員(船後正道君) 兵庫県が生野鉱山につきまして実施いたしました一連の調査につきましては、去る十五日に県の衛生部長から係のほうで詳細を聞いたわけでございますが、調査のやり方につきましては、国で定めておりますいわゆる暫定対策要領、これに準じて実施いたしておるわけでございますから、その内容につきましては、どのような結論に相なるか。兵庫県におきましては、ただいま先生御指摘のように、慢性中毒ないしはイタイイタイ病のおそれはないということでございますけれども、総合的な結果につきましては、本日の鑑別診断班でも御検討を願うことにしておるわけでございます。
#97
○加藤進君 事柄はきわめて重大な問題ですから、私は、特に端的にお伺いしたいわけでございますけれども、環境庁は、はたしてこの調査について十分確信ある結論をお持ちになっておるかどうか、きわめて疑わしいと思うのです。と申しますのは、一体、このカドミウムの汚染健康調査なるものが具体的にはどのように進行されてきたのか、どのような調査が現に行なわれているのか、こういう点をはっきりと指摘しておきたいと思います。
 時間がありませんので、こまかく質問はできないわけでございますから、ここに兵庫県の出しました健康調査の結果に基づいて、この点を私は指摘したいと思います。
 まず最初に予備調査がやられたわけでありますけれども、これは関係の地域を五十四地区に分けました。分けて、その地区の住民を農家と非農家と二つに分けまして、そして全体の住民の中から三十名くらいを無作為にピックアップする、こうやったのですね。無作為にピックアップした。三十名を集めてどうしたかというと、その尿を検査したわけでございますけれども、三十名の尿はどうして検査されたかというと、一つのつぼに集められた。一つのつぼに尿が集められて、その尿の中に含まれるカドミウムの量が検査されたわけであります。御存じでしょうか。
#98
○政府委員(船後正道君) 兵庫県におきましては、調査の進め方といたしまして、まずとれる米のカドミウムの含有量等から始めまして、次第次第に対象地区をしぼっていったわけでございますが、その過程におきまして、ただいま御指摘のように、予備調査といたしまして、三十人平均の尿中カドミウムの濃度が九マイクログラム・パー・リッターということで健康調査の一次調査に入る地域をしぼった、かような報告を受けております。
#99
○加藤進君 私は、そんな説明を聞いておるわけじゃございません。この予備調査がはたして科学的に信用できるような調査であったかどうかということを確かめておるわけでございます。試みに、その地区の中の神崎町の寺野というところの調査の結果を私は指摘したいと思います。
 これはすでに荻野医師が健康診断を行ないまして、その結果、この症状はイタイイタイ病の第五期に該当するというふうに指摘されておるAさんという七十七歳の御婦人の例であります。これは尿を調べたところが、一リットルについて四十ミリグラムのカドミウムが検出されています。四十ミリグラムです。ところが、この同じ寺野の先ほど申し上げました平均的なカドミウムの調査によりますと、こういう結果が出ております。農家百六十五の検体のうち、三十体が無作為に抽出されました。三十体の中に、はたしてこの四十ミリグラムのカドミウム汚染を受けておられる患者が含まれておるかどうかは保証の限りでないと思います。三十人が無作為に調査されておる。そうして採取された尿がまぜられた平均値は、何と十三・一ミリグラムになっております。十三・一ミリグラムです。これではたして患者が発見できるでしょうか。こういうやり方がまず最初に予備調査として全地域やられたわけであります。これは、言うならば、患者をさがすのじゃなしに、患者を振り落とす、こういうやり方に当たりはしないか、私は、非常な疑問を持つわけでございますけれども、その点の環境庁の見解はいかがでしょうか。
#100
○政府委員(船後正道君) 広範な地域を対象といたしまして、漸次詳細な調査に入っていったわけでございますが、そのプロセスにおきまして、やはり平均的、統計的な手法も用いたと、かように理解いたしておるのでございますが、その詳細につきましては、担当課長から説明させます。
#101
○加藤進君 ちょっとお答えの前に、時間の都合をたいへん私は心配しておりますので、きわめて簡潔にやっていただきまして、あとで環境庁長官の所見を承りたいと思いますが、いま私が指摘したような方法によってカドミウム汚染の患者が発見できるかどうか、あるいはカドミウム汚染によるイタイイタイ病と思われるような患者の方たちが見落とされる、あるいは振り落とされるというような危険性はないかどうか、その保証をはっきり聞かしていただきたいと思います。
#102
○国務大臣(大石武一君) いまのお話だけをお聞きすれば、なるほどちょっと疑問がございます。しかし、それは全体の面で、どのような範囲で、どのような計画で、どのような方法でやったか、もう少し全体の姿がわからなければ、私としては、何ともいま言いかねるわけでございますが、ただ、いやしくも、あれは兵庫県ですか、兵庫というりっぱな県であって、しかも、環境庁と打ち合わせをして、集団検診をする場合に、まさか手落ちのあるようなことは常識上――まあそう言っちゃあ失礼でありますけれども、しろうとが考えても、それが手落ちのあるような検査はしまいと思うのでありますが、なお、いま初めてそのような疑問を持ちましたので、詳しいことはあとで調査いたしまして、お返事申し上げますけれども、また、いろいろなその後について、われわれ考えなければなりませんが、いまは、まあそんなことしかお答えできませんで、残念でございます。
#103
○加藤進君 私は、名前まで申し上げませんけれども、兵庫県のその調査の担当官自身がこういうことを言っています。平均値をとるということは確かに問題がございます――これはもうはっきり認めています。しかし、一人一人を調べておるのでは時間がかかり過ぎて困りました、そこで住民の中でどういう傾向があるか、大きな傾向を知りたいので平均値を出したのでございますと。大きな傾向を調べるだけのいわば予備調査でございまして、これは住民の中にどれだけの患者が実際いらっしゃるかどうか、患者に該当する方があるかどうかを調べるような調査ではなかった、こういう点がきわめてはっきりしておるのであります。こういう調査に基づいて出された県のいわゆる結論的なもの、生野の地域にはイタイイタイ病患者は存在しませんでした、将来も起こるはずはございません、こういう結論を出されるようではきわめて困るのでございまして、私は、長官がおられるときに一言だけお願いしておきたいのでございますけれども、あの富山のイタイイタイ病の患者の調査のとき、あるいは新潟の水俣病の患者の調査のとき、政府は相当な努力を最後には払ったと思います。この調査のために全国的な権威者を集めて、そうしてその地域を全面的に調査研究をするように指導されたと思います。この生野の地域の問題につきましても、環境庁長官がはっきりとした確信を持たれるならば、持たれるだけの私は前提が必要だと思うが、その前提が欠けている。したがって、この際、環境庁として、政府として、いままでのような兵庫県の調査だけにまかせることなく、政府が責任を持って、この地域における一般地域住民が納得のできる、科学的で、これならばだいじょうぶ、安心できるというような調査研究のシステムをつくっていただきたい、そして調査に入っていただきたい、そのことを要望するわけでございますけれども、環境庁長官いかがでございますか。
#104
○国務大臣(大石武一君) 御趣旨はよくわかりました。
 なお、実態が――実は、そんなことを言うと、まことに申しわけないのでありますが、実態をまだよく認識しておりませんので、一応よく調査をいたしまして、それで疑問があるならば、それについて十分に追及してまいりたいと思います。
#105
○加藤進君 それから、これも環境庁長官に要望でございますけれども、きょうの研究班の会議は非公開でございますね、報道陣の方も入れない。きょうは、地元から患者の代表の方たちも来ておられますけれども、シャットアウト、お医者さんたちもこれには参加できない、こういう状態でございます。私は、本来公害の問題を検討するようなこういう会議は、ガラス張りであっていいと思う。秘密にしなくてもいいと思う。もちろん、いろいろ度を過ごすような状態を現出してはなりませんけれども、秩序ある状態であるならば、これは公開にして、ガラス張りにして、国民の前ではっきりこのような問題についての究明と判定をされるのが当然である。この点を私は要望したいと思いますけれども、その点は環境庁長官いかがでございますか。
#106
○国務大臣(大石武一君) 私は、これは非公開とか公開という問題ではなくて、これは要するに正しい判断をすることが一番前提でございますから、そういう意味では、雑音の入らないところが
 一番いいと思います。ガラス張りとかなんとかと言いますのと問題が違うと思うのです。私は、それは学問の、科学の会議をするところでございますから、別に一般のしろうとが入らなくても、マスコミが入らなくても、また、役人が入らなくても、私は、正しい判断ができようと思いますし、いろいろな雑音が入っては、かえってやりにくいと思います。そういう意味で、私は、非公開とか公開という意味でなくて、十分審議できるような状態を、条件をつくり上げることが大事だと考える次第でございます。
#107
○加藤進君 最後に一つ、その点につきまして、私は、一言指摘したいのは、先ほど小平委員も質問されましたけれども、この研究班の構成メンバーについて、十分な納得のいくような構成になっていないということです。その内部には、すでにイタイイタイ病につきましても、厚生省の見解、環境庁の見解をも否定するような考え方を持っておられる方がいわば選ばれている。こういうような状態について相当の不信感があるということは、これはいろいろなところから聞いています。私は、環境庁が責任をもって組織される研究班でございますし、また諮問される重要な機関でございますから、国民が納得し、国民が信頼できるようないわば研究のシステムと、そして会議の持ち方を要望したいと思います。
 その点で私の質問は終わらせていただきます。
#108
○国務大臣(大石武一君) 私は、このような研究をする場合には、いろいろな意見の人があっていいと思います。ただ、反対意見の人が多くて、その研究を、結果を左右するようでは困りますけれども、大体において、私は、いままでこの組織はそう悪いと思いません。あえて個人をシャットアウトしなければならぬほどの必要があるとは考えておりません。これは研究の会合でございますから、いろいろな意見があってもいい。しかし、結果においては間違いない正しいものが出ると信じております。
#109
○加藤進君 今後もこの問題についてはいろいろ質問をしたいと思いますけれども、時間の都合上これで終わらしていただきます。
#110
○委員長(加藤シヅエ君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は二時に再開いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十四分開会
  〔理事矢野登君委員長席に着く〕
#111
○理事(矢野登君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、質疑に入ります。
#112
○内田善利君 午前に引き続き、亜砒酸鉱山の問題を御質問したいと思います。
 厚生省に引き続き質問したいと思いますけれども、先ほどの御答弁では、中島鉱業関係の鉱山だけがこの亜砒酸の毒物劇物の取締法で登録があったということですが、ほかの――松尾鉱山はこれは日本鉱業だと思いますけれども、こういった鉱山は亜砒酸製造の登録の届け出がないわけですが、その他はどうなっているのか、この辺。
#113
○説明員(豊田勤治君) 現在、亜砒酸を製造品目として登録をしておりますのは二カ所ございまして、その一カ所は足尾鉱山、それと佐賀関鉱山でございまして、足尾製錬所におきましては古河鉱業株式会社、それから佐賀関製錬所におきましては日本鉱業株式会社が現在登録いたしております。
#114
○内田善利君 この佐賀関は製錬所ですね。亜砒酸鉱山としての製造の登録です。あそこは砒素を製錬しているわけですから、私が聞いているのは亜砒酸です。亜砒酸を製錬している鉱山の取り扱いとしての登録を、日本鉱業は佐賀関製錬所がしているとおっしゃったけれども、日本鉱業の松尾鉱山はしてないのですから、そこを聞いておるのです。ほかの鉱山で、亜砒酸を製錬する鉱山で中島鉱業以外に登録をしておるところを聞いておるのです。
#115
○説明員(豊田勤治君) 足尾製錬所だけでございます。
#116
○内田善利君 じゃ、いま問題になっております岐阜県の遠ケ根鉱山も亜砒酸を製錬していたわけですが、これも登録してありませんね。
#117
○説明員(豊田勤治君) ちょっと聞き漏らしたんですが、どこでございますか。
#118
○内田善利君 岐阜県の遠ケ根鉱山です、亜砒酸を製造しているわけですが。
#119
○説明員(豊田勤治君) 登録をとっております。
#120
○内田善利君 登録しておりますね。
#121
○説明員(豊田勤治君) はい。
#122
○内田善利君 登録しておりながら、遠ケ根鉱山の場合は十年近く亜砒酸が――十トン、先月二月二十八日に運んだわけです。佐賀関製錬所へですね。そのまま放置しておったことは、これは取締法違反にならないのかどうか。また、土呂久の場合も木浦の場合も、松尾鉱山の場合も、十年ないし二十年の間毒物をそのまま放置しておった。登録しておるけれども放置しておったということは、取締法違反にならないかどうか。
#123
○説明員(豊田勤治君) 遠ケ根鉱山鉱業所の場合は、登録は昭和二十六年九月一日に登録いたしまして、その後、五年後の昭和三十一年八月三十一日に更新をしなかったものでございまして、登録はもうすでに失効いたしております。
 で、先ほど先生の御指摘のとおり、そういうような毒物が放置してあった場合の毒物劇物取締法の適用を受けるかどうかという問題につきましては、私たちといたしましては、適用を受けるものと考えております。
#124
○内田善利君 適用を受けるということになれば、これは厚生省の行政上の怠慢ではないですか。
#125
○説明員(豊田勤治君) 毒物劇物取締法は、その亜砒酸そのものを業として行なう場合に登録をしなきゃいけないというような法律でございまして、そのものが製造されてそのまま放置されるような場合におきましては、その量的な問題によって考えていかなくちゃいけない問題じゃないかと思います。
#126
○内田善利君 量的な問題と言われますけれどもね、先ほど申し上げましたように、この毒物は〇・一グラムないし〇・三グラムで致死量なんですね、これはおたくからいただいた資料なんです。代表的毒物、致死量は〇・一ないし〇・二グラムである。そういうものは量的も何も私はないと思うのですよ。土呂久の場合は二トンですね、それから、いまの遠ケ根の場合は十トン、松尾鉱山の場合は知りません。これは通産局に聞けばわかると思いますけれども、二トンとか十トンとかというのは〇・一ないし〇・二グラムが致死量ですから、問題にならないと思うのです。どうしてもこれは放置はできない問題じゃないかと思うのですね。これを放置しておったということは、やはり取り締まり当局である、所管省である、責任省である厚生省がこれはやっぱり責任を持つべきじゃないか。大臣が来ていらっしゃらないから、きょうは詰めませんけれども、大臣の責任問題じゃないか。というのは、どうして被害がいままでわからなかったかというととが私は一番残念なわけです。だから、いろいろ調査した結果、厚生省がやっぱり人間の健康を守るという立場から、取締法によってこういう毒物を製造する登録、これも松尾鉱山の場合はしていないわけですから、県庁も通ってないわけですから、当然、厚生省にも書類は行っていない。そういうずさんさを露呈していると思うのですよ。小さい個人的な製造業ではなくて、大きな日本鉱業という鉱山が経営しているわけですから、当然、毒物及び劇物取締法によって登録をすべきじゃないかと思うのですよ。それをしないで放置しておった厚生省当局、こういった面で考えますと、どうしても、これは厚生省の行政上の怠慢があったのじゃないか、もしその時点で厚生省がもう少ししっかり行政指導しておられたならば、こういった悲惨な問題は起こらなかったのじゃないか。行ってみて聞きますと、みんなもう死んでしまいました、仕事をしておった者はもうなくなりました、わずかしか残っておりませんという状態でありますから、おそらく当時は悲惨な状況であったに違いない、三十六年にはそういった亜砒酸製造をやっておられた方々が反対運動をしておるわけですから。ところが県の当局は、五十メートル以内でなければだいじょうぶだ、そういったことで、土呂久、木浦でも廃鉱をさらに再開しようとしたわけですね。そういう実情があるわけですから、これは当然厚生省として責任を負うべき問題じゃないかと、このように考えるのですが、いかがでしょうか。
#127
○説明員(豊田勤治君) 鉱山に関しましては、先生御指摘のとおり、現在非常に遺憾な点があったように見られますので、今後こういう鉱山に対しましても監視体制の充実をはかりまして、強力な指導をやっていきたいと思っております。
#128
○内田善利君 健康被害ということについて、私は、厚生省がまっ先に調査をし、対策を講ずべきじゃないかと思うのですけれども、何でもかんでもそれは環境庁だ、これは環境庁だと――前回の委員会のときもこういった問題をお聞きしたいと思ったのですけれども、いや全部環境庁だと。きのうも、厚生省をひとつ呼んでいろいろお聞きしたいと思いましたけれども、いや、それは環境庁だという非常に逃げ腰なんですね。そうじゃなくて、私は、国民の健康を守る立場から厚生省が一番矢面に立ってがんばっていただきたいと、このように思うのですけれども、どうも環境庁ができてから、責任を転嫁されるようで、非常に私は残念に思うのですけれども、ひとつ環境庁以上に健康を守る立場からやっていただきたいと、このように思うのです。
 それからもう一つは、木浦の場合は、先ほどお話ししましたが、現地住民の方が三人ないし四人で小さなかまをつくって、そうして亜砒酸を焼いていたということですが、これはどうなんですか、通産省当局としてはどういうように思いますか。
#129
○政府委員(久良知章悟君) 新木浦鉱山の周辺におきまして、そういうごく小規模の業者と申しますか、おそらくこれは正規の業者ではなくて、たまたまその土地にあります砒鉱の豊富な鉱区と申しますか、そういうようなものを段素掘りをいたしまして、比較的簡単に亜砒酸の製錬ができるわけでございますので、そういうふうなごく小規模のものをやったのがあるのではないかということで、私どものほうも、かなり調査をいたしておるわけでございますが、新木浦鉱山の瓜谷地区に、昔、戦前になると思いますが、亜砒酸を製錬したと思われる十二基のかまのあとが残っておったわけでございます。その一部のものは、昭和初期まで地元の人が非常に小規模に稼行しておったというふうな話は聞いたわけでございますが、どういう人が、どういうときに、どういうふうにやっておったか、具体的な点については、現在でははっきりとしておりません。そういう事実は一部にあったのではないかと思われるわけでございます。
#130
○内田善利君 それは、当然、登録を申請しなければならないことと思いますが、私が聞いた方は、許可をもらっておったということを言っておりました。許可をもらっていても、毒物及び劇物取締法では、七条で取扱責任者を置かなければならないし、登録あるいは届け出、廃止というときにも届け出をしなければならない。その後の亜砒酸の状況等はどうなっているのかと聞きましたら、もうどこにあるかもわからない、行ったらわからないことはないけれども、おそらくもう木が生えたりしてわからないだろうということでした。これも即刻点検していただきたい、このように思います。
 亜砒酸の鉱石を私は焼いてみましたけれども、簡単に白い煙が出てきますから、二百度で溶けるということですけれども、昇華してしまうということですから、簡単にそういう炭焼きがまと同じようなかっこうでできておったんだというお話ですけれども、そういったことも考えあわせて、そういう毒物なんですから、しかも、猛毒の代表的毒物だという砒素が非常に安易に取り扱われておったのじゃないかと、かように思うわけです。
 そこで、亜砒酸のことについてはわかりましたが、硫砒鉄鉱そのものについては毒ではないのか、毒物ではないのか、この点はいかがですか。
#131
○説明員(豊田勤治君) 原鉱石は毒物、劇物ではございません。
#132
○内田善利君 原鉱石は毒物ではないということですが、先ほどのように、ズリが二万三〇〇〇PPM、大体二%も含まれている状況ですから、鉱石そのものはまだ砒素が含まれていると思います。砒素も水にぬれたり、溶けたり、水の中に落ち込んだり、溶け込めば、溶剤の砒素ということになれば、これは毒性が強いわけですから、この点毒物でないということですけれども、非常に危険性を感ずるわけですが、これはだいじょうぶですね。
#133
○説明員(豊田勤治君) 砒素そのものは天然上に多く含まれておるものでございまして、われわれ日常食べております植物、特にリンゴ等には砒素がわりに含まれておるわけでございますが、量的に多くなればやはり危険なものと思います。
#134
○内田善利君 リンゴ等自然の果物の中に入っている砒素は無毒なことは私たちもわかります。だけれども、砒素を含んだいわゆるリッチな富鉱であれば、これは当然私たちは危険視しなきゃならないと、このように思うんですね。そういったことから、下流の川の水あるいは井戸水、そういったことで、飼ってあるコイやマスが全滅しているわけですから、人間に危険性がないということは言えないと思うんですね。あるいは養魚池が全滅したというような状態にあるわけですから、鉱物そのものの取り扱いを十分注意していかなきゃならないと思います。したがって、ズリも、それから選鉱の場所にあった土砂も積んであるわけですが、もう川の周辺に置いてある。いま通産当局がそれをどうやって水に流れないようにとめるかということで、精一ぱいの工事があちこちで通産局長の指示で行なわれているわけですね。しかしながら、先ほども申しましたように、被害者の調査、土壌汚染の調査、そういうことが全然まだなされていないわけですけれども、先ほど環境庁長官はぜひやっていきたいということですが、農林省としては、土壌汚染の調査はやっておられるのかどうか。特に米の被害等ですね。土呂久の場合あるいは松尾鉱山の場合、あるいは木浦鉱山、遠ヶ根鉱山の場合ですね、農林省としては、どのように考えておられるのか、対策をお聞きしたい。
#135
○説明員(川田則雄君) いまお話ありました物質につきましては、農林省のほうは、全国に調査基準点を設けまして、発生源と関連させまして全国に調査基準点を設けまして、それで実態把握と、同時に、その後の汚染の進行をチェックする基準点を設けております。その後、そこに汚染があると認められる場合には、環境庁と連絡をとりまして、環境庁のほうで細部調査をやるというようなことで、両方一体化して汚染の調査の実態を把握するようにいたしております。
 それから、いまお話がありました土呂久につきましては、宮崎県が、御承知のように、以前から調査をやっております。それから岐阜県につきましては、岐阜県庁から報告が入っておりますが、たぶん、きょうあたりから調査にかかるというような話を聞いております。それから、今回の、いまお話がありました木浦につきましては、木浦の町に調査基準点が一点ございまして、それは大分県が調査いたしておりまして、この六月にその調査結果が参ることになっております。
 なお、御承知のように、木浦のところは、川がいろいろな経緯を経て流れて、落水川、中岳川、北川というように、宮崎県にも影響がございますので、宮崎県と現在話しておりますけれども、宮崎県のほうでも、調査基準点を主要なところには何カ所か置くようにいたしたい、ただ、現在は、土呂久に全精力を注ぎ込んでおるので、計画としては、できるだけ早い機会に宮崎県側も大分県と相談をして調査基準点を設けたい、そういうぐあいに報告を受けております。
#136
○内田善利君 ひとつ、先ほども申しますように、健康被害以外にそういった被害が出ておりますので、早急に土壌汚染、特に米の被害については調査をやっていただきたいというように思います。
 それから、松尾鉱山の場合ですが、これも健康診断はまだ全然なされてないわけですけれども、県知事のお話では、国がやると言ったのでまだやっていないと、そういう盲点をお聞きしたわけですけれども、聞くところによりますと、労働者は労働災害関係で調査をやるというので、知事はやっていないのではないかと思いますが、この点の連絡がとれていないように思いますけれども、やはり知事は知事として健康調査すべきじゃないか、さらに、まあ労働省としては労働災害の関係で御調査をすべきであると、このように思うのですが、こういった点はどのようになっておりますか。
#137
○政府委員(北川俊夫君) 松尾鉱山の問題につきましては、主として従業員に対して砒素の職業病その他が起こる可能性が非常に強い、こう判断をいたしまして、労働省では、二月の下旬に、労働衛生学会の会長以下学識経験者に調査を依頼いたしました。その際に、焙焼炉その他に残っております残留物を東京に持ち帰りまして、このほど分析が終わりまして、どういう項目について検診をするかということをきめまして、来月の中旬には、これらの人方の、かつて労働者であった方々の検診を行ないたいと思っております。現在まで、過去に松尾鉱山で働いた方につきまして把握しましたのは百九十六名でございまして、そのうちにはすでになくなられた方もございますので、生存の方で住所の把握できる方についてはなるべく早い機会に検診が受けられるように配慮をしたい。
 なお、この検診項目の検討その他につきましては、宮崎県と御連絡をとりながらやっておりますので、労働者の検診を行ないます際に、あわせて住民の検診についてどうするか、一緒にやるのか、あるいは別個にやるのか、その点につきましては十分連絡をとりながら今後作業を進めたいと思います。
#138
○内田善利君 労働省でおやりになった分析結果はすぐわかりますか。
#139
○政府委員(北川俊夫君) 松尾鉱山の場合には、単に砒素だけでなくて、それ以外の複合金属汚染というものがあるのではないだろうか、そういう結果が出ております。たとえば鉛あるいはアンチモン、セレン、こういうものがまじっておる、こういう分析でございますので、それに応じましての健康診断、たとえば皮膚の関係、貧血の関係、鼻中隔穿孔あるいは肝臓、そういうものにつきましても検診を行ないたい、こう考えております。
#140
○内田善利君 私は、この木浦の鉱山に行きましてわかったことですけれども、従業員の方が非常に皆さんが遠方の方なんですね。そうして、近所の方で従業員になっている方はあまりいらっしゃらない。この従業員の調査ということは非常に大事じゃないか、砒素鉱山の場合ですね。そこで、遠ケ根の場合も、それから木浦の場合も、従業員をひとつ早急に把握していただきたいと、そのように思いますが、その点はいかがですか。やっておられますか。
#141
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、元従業員、しかも、終戦直後あたりに働いておられた方の氏名の確認も非常にむずかしゅうございます。松尾の例で申し上げますと、健康保険関係の書類と、たまたま日本鉱業が引き継いでおりますので、日本鉱業にございます書類、それから私どものほうの労災関係の保険の書類というようなものを集めまして、名前を全部取り抜いて、その中で住所を逐一確認をするということで、たいへん手間をとっておりますが、やはり付近の住民の方にいろいろ影響を及ぼしました問題につきましては、その作業場の中で砒素を取り扱った労働者にいろいろの影響をもっと及ぼしたということが推測にかたくございませんので、やや時間的に手間どりましても、詳細に御指摘のような鉱山につきましての労働者の追跡調査をいたしまして把握をして、できるだけ労働省のこの健康診断が受けられるように配慮をしたいと思います。
#142
○内田善利君 厚生省ですね、この際、毒物劇物取締法の所管省なんですから、当然健康診断を行なうべきだと思いますが、この点はどうですか。
#143
○説明員(豊田勤治君) 毒物劇物取締法に基づきましては、先生御指摘のような健康診断の規定はないように見受けられるのでございます。
#144
○内田善利君 ないけれども、今日まで十数年、長いところは二十年放置してきたわけですからね。その責任上――もし被害が出たら、あなたは最初厚生省の責任だとおっしゃったですね、法の上からいって。あるいは処罰規定もありますけれども、登録していないところの処罰も何もしていないわけですから、そういった行政上の怠慢を考えると、当然国民の健康を守る立場にある厚生省は、この際、その責任上、健康診断をすべきじゃないか、このように思うのですけれども、この点は取締法上にないからやらないわけですね。
#145
○説明員(豊田勤治君) お答えいたします。
 先生の御指摘どおり、われわれといたしましても、十分先生の御趣旨に沿うように、今後、環境庁とも御相談の上、前向きの姿勢でやっていきたいと思っております。
#146
○内田善利君 通産省に最後にお聞きしたいのですけれども、岐阜県の遠ケ根鉱山の実態、これはどのようになっているか、それと木浦鉱山の鉱業権者が明確でないのですけれども、どうなっておるか、この二点お聞きしたいと思います。
#147
○政府委員(久良知章悟君) 岐阜県の遠ケ根鉱山は、同県の恵那郡蛭川村にございまして、稼行いたしております鉱種は、タングステン、それから砒鉱、金、銀、銅、ビスマス、すずといった鉱物でございます。
 沿革は、昭和十六年に砒鉱、それからタングステン鉱を目的といたしまして開山をされました。昭和十八年に亜砒酸の製錬所の設置認可を受けましたが、そのときには完成する前に終戦となったわけでございます。二十一年から三十二年までの間に亜砒酸を生産をいたしておりまして、二十八年の十月に、現鉱業権者の竹内正吉さんが相続によりまして鉱業権を取得いたしております。三十二年の六月に休山をいたしまして現在に至ったわけでございます。昭和二十八年がこの鉱山の最盛期でございますが、その当時、一年間に亜砒酸を約二百七十トン、それからタングステンを約十トン、これは鉱石でございますが、生産をいたしております。で、当時の従業員が約四十五名から五十五名ということでございます。
 最近、砒素鉱山の一斉調査の一環といたしまして検査を行ないましたときに、付近の水質についての調査をいたしたわけでございますが、坑口、それから沈でん池の排水、それから鉱山近傍の利水地点というふうなところをとりまして検査をいたしたわけでございますが、旧本坑の坑口で一分間に約三十リットル程度の排水でございますが、これがPHが四・六、それから砒素が〇・四〇四、排出基準にすれすれの砒素を示しております。他の地点では、砒素の量はかなり低いようでございます。そういうところが一カ所あったわけでございます。
 それから新木浦炭鉱の鉱業権者でございますが、これは土呂久鉱山と同じように、現在は住友金属鉱山の所有になっております。
#148
○内田善利君 岐阜県の遠ケ根鉱山の健康被害状況、これはどういうようになっておりますか、環境庁。
#149
○政府委員(船後正道君) 岐阜県の遠ケ根鉱山につきましては、健康被害状況につきまして、まだ報告に接しておりません。
#150
○内田善利君 早急に調査すべきだと思いますが、どうですか。
#151
○政府委員(船後正道君) 御指摘もございましたので、さっそく岐阜県に問い合わせてみます。
#152
○内田善利君 最後に政務次官にお聞きしますけれども、いままでの亜砒酸鉱山につきましては、土呂久をはじめ遠ケ根、新木浦鉱山というふうに、あちこちの鉱山の被害が見えているわけですが、こういったことに対して、現地に行ってみますと、鉱山局のほうで、ズリどめとか、いろいろな措置がされておりますけれども、やはり健康被害状況の調査、また救済、そういった面が非常におくれているように思いますが、こういった点について、環境庁としては、ぜひ早く手を打っていただきたい、このように思うのですが、この点についてお伺いして私の質問を終わります。
#153
○政府委員(小澤太郎君) 休廃鉱の問題、また現在稼働しておる鉱山につきましても同様でございますが、健康被害を起こすような状態のところを、私どもは、通産省からリストアップをしてもらいまして、一応地質調査、その水質、また土壌の調査をいたしたい、こう考えておるような次第でございます。
#154
○小平芳平君 PCBの汚染について、環境庁長官が退席されましたので、たいへんちょっと話が通じなくて恐縮なんですが、前の委員会のときに田子の浦のヘドロの処理につきまして、田子の浦のヘドロ処理、要するに富士川の河川敷で乾燥させて、乾燥したものをまた港に持っていって埋め立てに使っているというのが昨年のやり方なんです。で、本年もこの田子の浦のヘドロを富士川の河川敷で乾燥させようという、県のほうではそういう方針を発表しておりますが、しかし、去年の段階でも非常に地元に問題が多かった。反対が多かった。ことしの段階では、PCBという新しい公害、しかも、水にも溶けない、永久に残るという、こうした汚染物質が大量に含まれている。私たちの調査で四七〇〇PPMというような、こういうものが検出されております。したがって、無処理のまま、従来のようにただ乾燥させて、埋め立てておいたのではPCBの絶対量が減らないのじゃないか、そうすると、現在でも魚が汚染されているといったようなことで、太平洋の魚が食べられなくなるのじゃないか、これから本格的に生物連鎖でPCB汚染が深刻化されるのじゃないかといわれているときに、そういう点を考慮に入れないで、そういう河川敷でやっていいものかどうかということで、前回、長官に質問いたしましたところ、長官としては、この河川敷でかわかすのもいい考えだと思ったが、PCBという新しい問題が提起されたので、再検討する必要があると思うと、このように答弁されたわけです。ところが、県としても市としても環境庁待ちで、これは環境庁がどうきめるかによって非常に行政当局は便乗するわけですね。ですから、環境庁で、そういうやり方はPCB汚染を太平洋に拡大する、だから考えものだという方針か、あるいは目をつむって、去年どおりのことをやってよろしいという方針か、そのことによって非常に県や市は迷うわけですが、この点についてはどのように検討されましたか。
#155
○政府委員(岡安誠君) お話しの田子の浦のヘドロの処理でございますけれども、いま県が考えておりますのは、お話しのとおり、まずこれを富七川の河川敷に持ってまいりまして、天日乾燥をいたしまして、脱水をして、残りのかすを処理をするという方法、この方法は大体昨年と同じでございます。
 違う点でございますけれども、昨年は、田子の浦のヘドロを取りまして、これは船で富士川河口まで送りまして、それから河川敷に送るという方法をとったのでございますけれども、今回予定しておりますのはサンドポンプでございます。ポンプで吸い上げましてパイプでもって河川敷まで送泥をするという方法が昨年と違うわけでございます。それから、量も、昨年は結果的には大体十万トン余りでございましたけれども、今年度は三十万トン程度はやりたいということでやっております。
 で、お話の、この処理によって環境の二次汚染がないかというお話でございますけれども、私どもは、まず田子の浦からヘドロを採取するにあたりまして、まず亜硫酸ガスその他の発生の問題でございますけれども、これは昨年もいろいろ石灰等を投入いたしまして処置をいたしまして、ほぼ周囲の環境につきましては、十分注意してやったので、あまり影響がなかったと聞いておりますし、今年度も当然そのような措置をいたしますけれども、問題はサンドポンプで吸い上げますから、昨年より周辺の汚染といいますか、それは少なかろうというふうにまず考えております。
 もう一つ、河川敷におきます脱水の過程におきまして、悪臭その他の問題も、これは昨年いろいろ経験をいたしまして、ほとんど周囲に影響がないということになっております。
 それから問題は、PCBがどうかという問題が新たにと申しますか、昨年はあまり気にいたさなかったのでございますけれども、今年度は量も多いこともございますし、そういう問題がございますので、私どもは、県に指示をいたしまして、PCBが河川敷の下等に浸透いたしまして、地下水、また、ひいては海のほうに流出しないように、これにつきましては、実験といいますか、調査をさせたわけでございます。で、静岡県でやりました実験結果によりますと、大体河川敷でやるのと同じような形のろ過試験をいたしたわけでございますけれども、その結果によりますと、廃液と申しますか、浸透水中に出てまいりますPCBが、静岡の調査によりますと、大体〇・六PPBという単位では出ますけれども、それをこえることはないというような調査結果も出ておりますので、この程度ならば、むしろ田子の浦のヘドロをそのまま放置するよりも、やはりしゅんせつ化しまして処理をしたほうがよかろうと実は考えておるのでございます。
 最後に、脱水いたしましたかすといいますか、スラッジの処理でございますけれども、今回考えておりますのは、そのごく一部につきましては、試験的に河川敷にほかの一般の土とまぜましてこれを置きまして、そこに緑地化の計画がございます。残りの大部分は、これは埋め立てと申しますよりは、実は田子の浦港の中の空地でございますけれども、そこに堆積をする、積み上げるという方式、昨年もそういう方式をやったわけでございまして、今回もそういう方式でもって積み上げるということを考えております。したがって、これは大量にヘドロを処理するにあたりましては、適当な場所ではございませんけれども、今回の三十万トン程度の処理につきましては可能でございますし、この方法によりますれば、港湾内または港湾外への汚物といいますか、汚染物質の流出は避けられるというふうに実は私たちは考えております。ただ、お話しのとおり、ヘドロにいろいろたくさんの有害物質、特にPCBを含みます有害物質が含まれているというふうに考えられますので、現在、静岡県に委託をいたしまして、ヘドロの調査、分析等をやっております。その結果等も考えながら、スラッジの処理につきましては適切な指導をいたしたいと実は考えておる次第でございます。
#156
○小平芳平君 それは、環境庁としての決定ですか。
#157
○政府委員(岡安誠君) そういうような考え方を静岡県から聞きまして、私どもも、そのように指示をいたしておる次第でございます。
#158
○小平芳平君 そういう指示をなさるならお尋ねいたしますが、じゃ三十万トン減らして、新しく出るのは幾らですか。それで、いつになったらなくなるのですか。それからまた、新しく出てくるヘドロの中に依然としてPCBがあったらどうしますか。
#159
○政府委員(岡安誠君) まあ、現在、田子の浦港のヘドロは約百二十万トン程度という推定をされております。昨年十万トン程度しゅんせつをいたしたわけでございますけれども、お話しのとおり、その後も製紙工場の排水の規制をやっておりますけれども、完全にSSが除去されておるというわけではございませんので、おそらくヘドロはある程度堆積したというふうに考えております。これは私、ちょっと正確な数字は持っておりませんけれども、相当カットいたしましても十万トン以内と思いますけれども、その程度のヘドロはやはりある程度堆積をするものと考えますが、今後三十万トン――ことし三十万トン、それから今後も継続的に事業を実施する予定でございますので、一応百二十万トンに達しております現在のヘドロをしゅんせついたしますれば、また規制がさらに強化されるということもございますので、田子の浦港内のヘドロというものは相当除去をされると、ほぼ完全に除去をされるというように実は考えております。
 PCBにつきましては、おっしゃるとおり、あそこのまあ古紙の再生その他がございましてPCBが出ておるわけでございますので、現在、先ほど申し上げましたとおり、静岡県に委託をいたしまして、ヘドロのPCBの調査とあわせまして製紙工場からのPCBの排出状況等につきまして現在その調査をいたしております。まだ結果は出ておりませんけれども、私ども、できるならば、できるだけ早く排出の規制その他はやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#160
○小平芳平君 百二十万トンが三十万トンさらって、また一年たてばそれ以上たまっちゃうんじゃないですか。とんとんにたまっちゃうんじゃないですか。あるいはせめて三分の一、十万トン減ったとしても、十二年がかりじゃないですか。しかも、三十万トン分のその乾燥したものは、港へ持ってきてほうり投げておくんですか。あとその何倍も出るわけでしょう、それならどこにほうり出すんですか。
#161
○政府委員(岡安誠君) 私ども、まだ確たる計算ではございませんけれども、相当排出の規制をいたして、相当きびしい規制もかかっておりますので、従来のような状況で今後とも田子の浦港にヘドロが堆積するとは考えておらないわけでございまして、三十万トン程度のテンポでやれば、田子の浦港の中のヘドロはこれはしゅんせつされるというふうに考えております。今回の処理は、先ほど申し上げましたように、一時的に、まあ試験的な部分もございますし、一時的に港内の空地に堆積をするわけでございまして、おっしゃるとおり、今後これ以上のしゅんせつをする場合には、本格的なと申しますか、別途このスラッジの処理は考えなければいけないというふうに私どもは考えております。
#162
○小平芳平君 ですから、何年でヘドロがなくなり、別途処理を考えるというのは、どう考えるのですか。
#163
○政府委員(岡安誠君) 何年といいますか、たとえば今年度はその計画は三十万トンでございますけれども、来年度以降の計画はまだ静岡県でも立っておらないわけでございまして、今後、来年度以降どういうテンポでやるかという問題もございます。そこで何年間でなくなるかということは、確たるお答えをするわけにはまいりませんけれども、おっしゃるとおり、相当大量に処理をいたしますれば、当然大量のスラッジが出るわけでございまして、このスラッジの処理とあわせて、これはやはりしゅんせつしなければならない。現在、静岡県でも苦慮いたしておりまして、そのスラッジを大量に受け入れるといいますか、まだ処理するあてがないというのが正直なところ現状でございます。私どもは、やはりスラッジの内容分析もいたしまして、もし有害物質が大量に含まれておれば、それなりのやはり処理といいますか、処分方法は検討しなければなりませんし、現在その調査を急いでおる。その性状いかんによりまして安全な処理の場所並びに方法を指示いたしたいと実は考えておるわけでございます。
#164
○小平芳平君 政務次官、この前は大石長官は再考慮するというふうに言われておりましたが、いま局長は県当局に指示をしたと言われますが、そういうスラッジの処理の当てもなく指示をされても困るんじゃないですか。
#165
○政府委員(小澤太郎君) 長官が答弁されましたことは、私、聞いておりませんけれども、概略の方針として言われたと、いま局長が答弁いたしましたのは、具体的な方法を模索しておるということを申し上げておるわけでございます。
 で、先ほどからの御質問私伺っておりまして、あとからどんどんどんどん出てくるじゃないかと、これは御承知のように、大企業につきましては、みずからの責任において処理をして、SSを出さないような処置をさせております。それから中小企業につきましては、終末の共同処理場をやらせると、これも話が進んでおりましたが、いろんなことで多少いまおくれておるような次第でございますが、そういう方法をもって新たにSSを出さないようにする。それからもう一つは、PCBの問題は、御承知のように、再生紙の原料の問題でございます。したがって、その原料はPCBを出すものを使わさないということを、これは関係省において指示をいたしまして実行さしております。こういうことにいたしまして、SS並びにPCBの排出を厳重に実行してやっていく、あわせて現在すでに百二十万トン底にたまっておりますヘドロを取り上げると、取り上げるにいたしましても、実はこれもたびたび御説明を申し上げたと思いますが、持っていき場所に実は困っておるわけであります。そこで、とりあえずの措置として、先般は港の近くに積み上げておる、またその余裕がございますから、これは当分三十万トンの問題についてはやっていく、これが恒久的な施設ではございません。そこで、この富士川の河川敷にこれを持っていくということ、前から計画をやっておるのでございます。しかし、新しく先生方の御指摘によりましてPCBの問題が出てまいりました。そこで、静岡県に依頼いたしまして、PCBの二次公害を起こすかどうかという問題、これを脱水いたしまして乾燥した場合に、その水がどんどん浸透してまいりますと、これがまた二次公害を起こします。この試験をしていただきました。その結果は、先ほど局長が申し上げましたように、浸透した水によるところの二次公害というものはそう考えられないんじゃないか。そこで問題は、脱水して乾燥したヘドロを河川敷に積んで土をまぜてそこに置きますということ、そしてその上を緑化すると、こういう構想でやれば、相当将来にわたって、それがよければ方法が発見されるわけでございます。
 そこで、現在その方法について、PCBをいかにして――多少は入っておることは間違いありませんから、いかにしてそれを出さないようにするかということのくふうをいま検討しておるというような状態でございまして、これが長官が言われたこれについての概括的な考えであり、現在の経過を局長が申し上げた次第でございまして、そういう方法で全力をあげて、この問題はまあ日本の一つの典型的な問題でございますから、県を督励すると同時に、環境庁みずからもこの問題の処理にいろいろくふうをいたしまして問題の解決に当たりたいと、こういう考えでございます。
#166
○小平芳平君 まあ、政務次官がおっしゃるように、模索し検討をすることが必要だと思うんです。局長の言うように、ぽっきり指示をされたって、先々の見通しが何もないのに指示をされたって困るわけですよね。ですから確かに緑化する、そこへ堆積したその乾燥物、ヘドロの乾燥したもの、それにほかの土も加えて緑化すると言う、それじゃ緑化した場合植物にどう影響するかですね、このPCBが。植物にどう影響するか、そしてひいて生物にどう影響するか、地下水にどう影響するか、長い年月にわたって何一つ結論が出ていないことを差しあたって指示をするというようなことでは、何ら根本的解決にならないと思うのです。ですから、政務次官のおっしゃることで了解いたしますが、それは大いに模索し検討し、それで第一現実問題としては中小企業が自分で処理施設をつくる、そしてとったものを、スラッジを持っていく先がないのです、現実問題として。これは局長、どこへ持っていっていると思いますか。
#167
○政府委員(岡安誠君) 現在、ことしの六月二十五日以降規制が強化されますので、それを目ざしまして、各中小企業につきましては、共同処理場にかえまして、現在特別処理の施設をつくっておる最中でございますので、まだスラッジはそういう施設から出ておらないとは思っておりますけれども、おっしゃるとおり、これは集めますと相当な量になりますので、やはり共同処理といいますか、これを焼却するなり、共同的な処理を指導せざるを得ないというように実は考えております。大企業につきましては、現在まだ量が少ないので港内等に堆積しておりますけれども、大企業は、将来これは個別に焼却するというような計画を持っておるというように私どもは聞いております。
#168
○小平芳平君 それがもう間違いじゃないですか。中小企業でそういうスラッジがまだ出てないとどうして言えますか、現に出ているんですから。それが道路や側溝にほうり出してあるものから私たちが検出をしたのが四七〇〇PPMなんですから。
 そういうような判断違いをされては困るので、政務次官に大いに模索し検討されることをお願いしまして、要請しまして、次に通産省は昨日業界に指示されましたね。電機製品はすべてPCBの使用を禁止する、九月一日以降禁止するということですが、その辺の内容となおかつ残るものは何が残るかということをお答え願いたい。
#169
○政府委員(久良知章悟君) 昨日、メーカー、使用者、輸入業者に対しまして重工業局からPCBを使った閉鎖系の電機製品についての通達について御説明申し上げたわけでございますが、基本方針といたしましては、この閉鎖系のPCB使用製品の中で、将来このPCBの回収に万全を期し得ない用途向け、これにつきましては生産、輸入を中止するというのが基本方針でございます。
 内容について申し上げますと、第一はこの機器のメーカーを対象にいたしまして、第一にこのPCBを使いましたトランス、コンデンサー、それから、これらを用いました電気機器、それと熱交換器というふうな機器は、将来PCBの回収が完全にできないというものにつきましては、おそくとも今年の九月一日、その中で熱交換器につきましては七月一日までに生産を中止をするということ、これが骨でございます。
 それから、四十七年の九月一日以降の生産につきましては、最終の使用者が特定をされておりまして、将来PCBの回収が可能な用途向けだけに限定をすると、これが第二でございます。
 それから、いま申し上げましたように、この特定の用途向けといたしまして、PCBを使いました機器を生産をする場合には、第一に、生産する機種、それから工場の排水処理状況というものを事前に通産省に届け出る。それから、二番目に、機器の出荷先、それからPCBの回収方法、それからPCBの使用量等につきまして定期的に通産省に報告をすると。それから、三番目に、つくりました機器に、この機器はPCBを使っておるということが明示されるような表示をつける、この三つの条件を守ることを通達いたしたわけでございます。で、この場合に最終使用者の状況等を勘案いたしまして、将来PCBの回収体制というふうなものが十分でないというふうに通産省が判定をいたしました場合には、そういう機器の生産の中止を要請する方針であるということを明らかにいたしております。
 以上がメーカーに対するものでございます。
 それから、次に、やはりいま申し上げましたような機器の特定使用者と申しますか、きわめて限定をされるわけでございますが、回収が確実に行なわれるという認定のもとに使用を認められる使用者でございますが、これに対しましては、今後PCBを使いましたトランス、コンデンサーというふうな機器の設置にあたりましては管理台帳というものを整備をいたしまして、将来PCBが放置されるというふうな事態がないように、PCBの回収に万全の対策をとり得るものに限って行なうんだということを明らかにいたしました。このような回収体制というものがとり得る場合でありましても、代替品がある場合には代替品を使う、これによりましてPCBの使用機器を極力少なくするということを通達をいたしました。
 それから、特に電気炉等でかなり多量のコンデンサーを使っておる実情があるわけでございますが、そういう特定の使用者につきましては、現在設置されておりますPCBを使っておるコンデンサーにつきましても、なるべく早い時期に現在の設置個所、設置機器の確認を行ないまして、管理台帳を整備をいたしまして、将来の回収体制に備えるということを通知したわけでございます。
 それから、なお防衛庁、運輸省、郵政省、建設省に対しましても、機器の調達、管理にあたりましてPCBが放置されることのないように関係機関への指導方を依頼いたしました。
 最後に輸入業者でございますが、ただいまメーカー使用者にそういうきびしい措置をとったわけでございますが、外国からPCBを使いました機器を輸入されるというケースが十分予想されるわけでありますので、通産省といたしましても、なるべくそういう機器の輸入というものは望ましくないわけでございますが、やむを得ず輸入する場合には、その機器の使用者と協力いたしまして、将来のPCBの回収に万全を期するような体制をとることと通牒で指示をしたわけでございます。
 それから、なお、通産省といたしまして、必要によりましては検査を実施いたしまして、PCBに対する監視を強化する意向でございますが、その結果PCBを使っておることがわかりまして、かつその上その回収体制が十分でないと認められるときには、輸入業者に対しまして輸入の中止の指導をすることにいたしております。
 以上でございます。
#170
○小平芳平君 そんなに詳しくなくていいんですからね。
 私がお伺いしたいことは、以下の届け出をした上で、なおかつPCBを依然として九月一日以降も使用するものはどれどれかということと、それからもう一つは、昨年の総生産が六千七百トンくらいですか、それがどのくらいに減らされるのか。逆に言えば、どのくらい依然としてPCBの生産が残るのか、そういう点についてです。
#171
○政府委員(久良知章悟君) 先ほど御説明申し上げましたPCBについての回収体制を確立いたしまして、なお、PCBの使用の製品が生産される分野といいますか、高電圧回路用のトランス、コンデンサーに限られるわけでございます。こういう製品は電気事業、それから電気炉、鉄道用、こういうものに限定される見込みでございまして、PCBの使用量といたしましては、推定でございますが、四分の一以下に減少するというふうに見込んでおるわけでございます。
#172
○小平芳平君 そこで、なおかつ、これは問題ありますけれども、四分の一のPCBの生産が残るということについては、じゃ、その生産工場において、あるいはその加工する工場においてどういう公害が発生するかということに問題がありますが、その点は次にいたしまして、代替品のあるものは代替品を使うべきなんでしょう。すでにノーカーボン紙についてはPCBの使用を禁止して代替品を使わせている。そうしてコンデンサーについても高電圧回路用以外のトランス、コンデンサーは代替品を使うということでしょう。そこで、ノーカーボン紙の代替品が、あるいはトランス、コンデンサーの代替品がその成分はどういうものであるということ、つまりPCBに比べて無害であるということ、それを公表すべきであると思いますが、いかがですか。
#173
○説明員(小幡八郎君) 感圧紙用のPCBの代替品といたしましては、昨年開発されたものが二種類ございます。その成分は一つはアルキルナフタレン系の炭化水素でございます。それからもう一つはアルキルジフェニール系炭化水素でございまして、いずれも塩素を含まない鉱油系の炭化水素であるということでございます。
#174
○小平芳平君 コンデンサー。
#175
○説明員(関山吉彦君) 電機関係におきましては、トランスとコンデンサーとあるわけでございますが、トランスの場合は、鉱物油もしくは油を使わない乾式という方式が考えられております。それからコンデンサーでございますが、コンデンサーも同じく鉱物油もしくはこれとほかのポリプロピレン・ペーパーとか、それからメタライズド・ペーパーというようなものの組み合わせというようなことが考えられておりまして、鉱物油でございますから、この点につきましての御心配はないものと見られております。
#176
○小平芳平君 したがいまして、これだけ日本の地上と言わず海と言わず、あるいは地球の全体を汚染し尽くそうとするようなこのPCB、しかも、知らないうちに生産され、知らないうちに使われ、自分も知らないうちに使い、こう汚染が深刻になって急いで禁止しようということなんですが、いま御説明のあった代替品につきましては、第三者機関なりあるいは権威ある機関の分析によって、これこれしかじかで無害ですということを、どうですか、政務次官、そういうことを公表する義務、公表を義務づけるとか、これは法律的にそういう義務がないかもしれませんけれども、これだけの地球汚染を引き起こした、したがって、これからはそうした地球全体の汚染になるようなものではないということを、それぞれの専門家、科学者が納得できるようなものを公表するということはいかがですか。
#177
○政府委員(小澤太郎君) 私は、あまり専門家でございませんが、たとえば先生の御指摘のようなPCBのような問題、これはカネミ油のときから問題になってきたわけですが、そういうふうに新しく開発された物質、それが人間の健康に有害であるというようなことが将来もあり得ると思います。したがいまして、先生のお話のように、十分に科学的な検討をし、しかも、これが人体への影響とかなんとかいうものについては特に十分な研究をした上での使用ということが私は必要かと思います。公表するかどうかというよりも、むしろ、そのようなものを使用するとか、製造するというようなところで押えていくべきではないかと、なかなか技術が現在までそれほど進んでおらぬという欠点もございますけれども、これは日本だけでなしに世界全人類の英知を傾けて、このような問題と取っ組むべきである、こういうように私は考えております。
#178
○小平芳平君 環境庁かあるいは通産省か、こうした汚染物質を流されたと、まあ流し続けてきたと、さて、そこで通産省の指導によって生産は禁止した、禁止しても相変わらずしろうとが見たら同じものが出回っている、けれども、そこは安全ですということを一ただ単にこれは安全ですというだけじゃなくて、それが科学的にこれこれしかじかで安全ですということは、こうしたPCBの研究をしていらっしゃる科学者にとっても、また、公害をまともに受ける国民にとっても、知る権利がある、そう思われませんか。
#179
○政府委員(小澤太郎君) もちろん、知る権利がございます。と同時に、局に当たる者がそのようなことの起こらないようにつとめる義務がございます。権利と義務の問題ではございますけれども、現実にはやはり科学技術の研究、検討ということが先行いたしますから、あらゆる英知を傾けて人類共通の問題としてやらなきやならぬ、こういう考えでございますから、そういうような考えと方向に沿って国の行政もあるべきであると、こう私考えております。そしてまた、そういう研究の体制なり、その成果の公表なり、あるいはそれに基づいた行政措置なりということは、当然しかるべき問題である、これは先生の御指摘のとおりだと思います。
#180
○小平芳平君 通産省、どうですか、これ。そういうことでもたもたしているから通産省は企業寄りだと言われるんじゃないですか。要するに、日本コンデンサ草津工場にしましても、たんぼの土まで相当の汚染がある。排水用のため池のヘドロから三万二〇〇〇PPMが検出されたということでありましたが、行ってみると、あれは排水用のため池じゃないんですね。全く工場とは関係のないたんぼの中のため池です。ため池という表現がいいかどうかとにかく、そこから三万PPM、そしてまた、次に川のヘドロから一万PPM、あるいはたんぼの土からも。そしてこの京都市衛研の藤原先生は、そんなところへはだしで入っていって足に被害がないものかどうか疑問だ、はだしでたんぼに入ったら足がPCBにやられちゃうじゃないかということまで指摘しておられるわけですよ。したがって、禁止しました、さあけっこうです、御安心くださいじゃ済まされないと思うんですよ。できる限り防除体制とともに、これからは安全なら安全だということを、そうした科学者に納得できるそういうものを公表すべきじゃないですか。いかがですか。
#181
○政府委員(久良知章悟君) 新しいいろんな新製品が無害であるかどうかということをきめますことは非常にむずかしい問題であろうかと思うわけでございまして、PCBにつきましても、戦前からつくられておりまして、昭和十九年から生物体の一部のものにはPCBが検出をされ始めたわけでございますが、やはり四十年代になって初めて大きな問題として出てきたわけでございまして、その間、二十年近いやはり時間の経過というものがあるわけでございまして、この問題の出初めと申しますか、新製品が出ましたときに、そういう遠い先を見通しまして安全かどうかということをきめますためには、やはり新しい考え方に基づく技術が必要ではないかと思うわけでございまして、現在、先生御承知のように、テクノロジー・アセスメントと申しますか、技術事前評価という新しいやはり考え方なり、体制を確立する必要があるわけでございまして、通産省におきましても、工業技術院を中心にいたしまして、現在それに取り組み始めているところでございまして、もちろん、御趣旨は先生のおっしゃるとおりでございますし、私どもといたしましても、そういう新しい技術を完成いたしまして、新しいそういう新製品、それから新しい製品以外の技術そのものの遠い将来を見通しての安全性というものの確立には格段の努力をしていかなければならないと思っているわけでございます。
#182
○小平芳平君 またいずれ……。
#183
○理事(矢野登君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
   午後三時二十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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