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1971/05/12 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第6号
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1971/05/12 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第6号

#1
第068回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第6号
昭和四十七年五月十二日(金曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤シヅエ君
    理 事
                金井 元彦君
                矢野  登君
                伊部  真君
                内田 善利君
    委 員
                菅野 儀作君
                田口長治郎君
                寺本 広作君
                原 文兵衛君
               茜ケ久保重光君
                小平 芳平君
                加藤  進君
   国務大臣
       国 務 大 臣  大石 武一君
   政府委員
       環境政務次官   小澤 太郎君
       環境庁自然保護
       局長       首尾木 一君
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
       厚生省児童家庭
       局長       松下 廉蔵君
       通商産業省公害
       保安局長     久良知章悟君
       通商産業省化学
       工業局長     山形 栄治君
       建設政務次官   藤尾 正行君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害及び環境保全対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤シヅエ君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。連合審査会に関する件についておはかりいたします。
 公害等調整委員会設置法案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(加藤シヅエ君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○内田善利君 本委員会においてももう一回、PCBについて政府当局の見解をお聞きしたいと思いますが、一番国民がいま不安に思っておることは、このように環境が汚染されてきて、一体どのような食生活をしたらいいのか、生まれてくる赤ん坊は、健康な子供が生まれてくるのかどうか、非常に国民はその点を不安に思っているわけですが、このままじわじわいって汚染されてしまうのではないか、カネミ油症患者のような悲惨な状態がやってくるのではないかという不安が、一番いま国民の最大関心事であり、また心配であると思うのですけれども、長官といたしましては、いまのこのPCBによる汚染状況を、非常に差し迫った心配な状態にあると判断されておるのか、まあいまのところまだまだだいじょうぶだと、このように考えていらっしゃるのか。
 きょうのNHKのテレビを見ておりましたらPCBが取り上げられておりましたが、厚生省のほうでは、〇・七PPMの母乳が出ても決して心配は要りません、このような回答がなされておりましたが、はたしてほんとうに心配はないのか。政治的配慮から、国民に心配をかけてはいけないということから、あのようなデータが示されたにもかかわらず、言っておられるのか。長官は衆議院のほうに行かれるということですから一問だけお聞きしたいのですけれども、非常にPCBのこの汚染はもう差し迫っている、このようにお考えか、決して心配はないとお考えか。もし、差し迫っておる、心配だということならば、どうやってこの国民の不安を解消されていくおつもりなのか。この点をお聞きしておきたいと思います。
#7
○国務大臣(大石武一君) PCBの問題は、私どもは決して差し迫った問題ではないとは考えておりません。非常に重大な差し迫った問題だと考えまして、何とかしてこれを、国民の不安を取り除くようにできるだけ早く推進いたしたいと考えておる次第であります。
 これが、たとえばアメリカでは、ある種の基準をつくりまして一応の規制をいたしております。日本でも何かの基準をつくりまして、そうして国民に、ある程度のPCBに対する考え方、心がまえを与えたらいいのじゃないかということで、いまそのような基準を、来月あるいは再来月あたりまでには作る予定でおりますが、これは私は非常にけっこうなことだと思います。
 ただ、御承知のようにPCBというのは実態がわかりません。どこにどのように広がって、それからどのような経路で人体をおかして、どのような症状、カネミオイルの例はありますけれども、それ以外にはほとんどわかっておりませんし、その分析方法さえ御承知のようにまだ確定しておらない状態でございます。そういうことで、私はやはりこの分析方法の確立なり、それから実態を、日本全体がどのように一体PCBで汚染され、どの部分がどうなっておるのかという実態の調査、総点検と申しますか、それと、できるだけ早くどのような経路、どのようなプロセスで人間のからだに入り、いろいろな変化を起こすのかという、この点を早く究明することが、問題解決の一番大事な点だと考えております。
 ですから、差し迫った問題であるというのは、そのPCBの毒性が猛烈であって、ばたばた人間がやられるという心配、それよりも、むしろ国民にこのような大きな不安を与えているということに、われわれはそうした問題を特に考えなければなりません。そういう意味で、私どもはたとえば、厚生省の意見にはちょっと反対でありますけれども、母乳に出るというならば、それはアメリカの基準の範囲内だから心配あるまいということでございますが、それはそうかもしれません。しかし、ほんとうに心配ならば、そういう母乳はやめて、別な、PCBであまり汚染されておらないような牛乳なら牛乳にかえたほうが、むしろ母親は安心するのではなかろうかというような考えを持っておりますが、そういうことで、PCBの問題を何とかして早く実態をつかみたいと努力いたしておりまして、一応の暫定基準、指針、そういうものを早くつくりまして、その指針を土台として、全国的な調査をいたすつもりでございます。
 幸いに、いま皆さま方のいろいろな御勧告、御注意によりまして、PCBの使用というものは、一部は全然禁止され、一部も厳密な監視のもとに使用が許されているわけでございまして、これ以上PCBがさらに大きな害毒をつけ加えることはなかろうと思いますが、いままでどこにどう散らばっているのか、どこにどう入っているのかわかりませんから、これが一番心配の種でございますので、早くそのような国民の不安をなくしてまいるように努力いたす決意でおります。
#8
○茜ケ久保重光君 私は、公害対策委員会における質問としては非常に残念な質問をしなくちゃならぬと思うのであります。本質的な問題についての御質問はたいへん私としても質問しやすいし、いろいろと前向きに問題を解決するために非常に、何と申しますか、役立つのでありますが、きょうの質問は、こうした本質の問題から離れて、公害対策ないし公害に対する問題ではありますけれども、御承知のように佐藤内閣というのは暴言大臣を数多く出したことで有名でありますが、このこととどういう関連があるかは別として、私、実はいまお答えをお願いする藤尾建設政務次官とは、衆議院時代一緒に仕事をしまして、個人的に非常に親しい仲であります。選挙区が群馬県と栃木県という関係もありましょう、内閣委員会等でも御一緒におりまして非常に親しい仲であります。この藤尾政務次官に詰問的な質問をしなければならぬことは、非常に残念に思っております。しかし事がかなり重大でありますし、いわゆる陳情に参りました群馬県の太田市長並びに市会議長その他の陳情団にとっても、これは非常に大きな問題でありますし、また反面、その真偽がはっきりしなければ、藤尾君としても政治家としてこれは重大なことであろうと思います。そういった点におきまして、端的にこの席で藤尾政務次官にお尋ねをするわけであります。この新聞は、十日付の朝日新聞の夕刊でございます。七段抜きの大きな見出しの記事でありますが、「三百年の怨念に暴言」、「藤尾建設政務次官「いまさら足尾鉱毒とはなんだ」」、「陳情団を追返す」、こういう見出しであります。私、実はすぐに太田市長に電話をいたしたのでありますが、そのとき太田市長が留守でありましたので、太田市長のこれに対する所信を伺うことができませんでしたので、この新聞記事によるほか私としても判ずる材料がないのであります。そこで藤尾次官にお尋ねしますが、この新聞をおそらくあなたもお読みだと思いますが、こういった事態が、これはなかったとは言えぬと思います。ひとつこの間の、この点に対する藤尾次官の当時の実情を御披瀝願うと同時に、いわゆる足尾鉱毒事件、いま特に群馬県の太田市における毛里田地区の、この鉱害に対する賠償請求等もいたしております。私も現地を視察したことがありますが、かなりひどいものでした。こういったものに対する足尾銅山の鉱毒との因果関係について、藤尾次官の御見解をこの際お伺いいたしたいと思います。
#9
○政府委員(藤尾正行君) まことにこういった機会をお与えいただきまして、真意を私から述べろという機会をお与えいただきましたことを、あらかじめまずもって感謝申し上げます。私も新聞記者でございますから、新聞がどのような報道をするかということはよく存じております。いまお示しの朝日新聞というものをごらんになりましても、確かにそれには私の、まあ主張と申しますか、そういうことも一部載っておりますから、私はその新聞が誤りであるとかあるいは誤報であるとかいうようなことは、弁解じみたことは一切申しません。しかしながら新聞というものが、これは編集権というものがございますから、編集者の主観というものによりましてそれぞれの記事が編集をせられておる。これは、私はあらかじめ御承知をいただかなければならないことであろうと思います。したがいまして、そのときの実態をただいまから申し上げますから、よくお聞き取りの上御批判をちょうだいをいたしたい、かように存ずるわけであります。まずもって、茜ヶ久保委員におかれられましては、私を建設政務次官といたしましてこの場に御召喚でございまするけれども、こういった足尾の鉱毒というものに関する問題は、一部、河川という問題につきましては責任はございます。ございますけれども、これの所管は、鉱山ということでございましたならば、これは鉱山保安に当たっておりまする通産省の権限であり、また環境という問題でございましたならば、お隣におすわりいただいておりまする環境庁長官の御所管であります。また、これが人体に及ぼしている影響ということから考えましたならば、これは厚生省の所管でございます。
 したがいまして、私どものところに実はお見えになられましたときにも、建設政務次官に対して陳情をするという趣旨でお見えになったものではございません。これは、衆議院の会館が、ちょうど私の隣の隣が中島議員の部屋でございます。中島議員は御案内のとおり太田の出身でいらっしゃいますから、そのところにおいでになられまして、ついでにちょっとおまえのところへ行きたいが、こういうお話でございましたので、私は、皆さま方がおいでになられるのは主として道路であるとかあるいは河川であるとか、あるいは橋梁であるとか住宅であるとかいうような問題に関した御陳情であろう、かように思いましたので、喜んで皆さま方に部屋にお入りをいただきまして、応対をさせていただいたわけでございます。したがいまして、これは建設省という官庁で行ないましたものでもございませんし、私に与えられました議員会館の部屋で行なわれましたこれは会見でございます。
 したがいまして、この問題を建設政務次官ということで御批判をちょうだいをいたしますと、私自身としてはよろしいのでございまするけれども、建設省あるいは私が御奉公させていただいておりまする政府、こういったものの言明であるというようにとられましては、これは私の本意ではございません。これは一代議士といたしまして、しかも群馬県とともに最も足尾に大きな関係を持っております栃木県の一代議士といたしまして、私が御応対をさせていただいたわけであります。幸か不幸か、私は二年前に通産政務次官でございました。通産政務次官のときに、大平大臣がおられたわけでございまするけれども、当時大平大臣は繊維問題その他の問題で非常にたくさんのお仕事を持っておられましたものでございますから、石炭の問題と公害に関する問題は一切私が引き受けさせていただきまして、委員会におきまして御答弁をさせていただいたわけであります。でございまするので、その当時、まず問題を提起せられました島本虎三議員の御質問に対しましても私がお答えをいたしたのでございまするけれども、これは当時の速記録に明らかになっておるだろうと思います。私は茜ケ久保委員と同じように、選挙区という意味合いにおきましてこの足尾の問題に対しまして絶大なる責任を持っておりまするし、また、これに対して非常な私は関心を持っております。したがいまして、私は私なりにこの問題に対する研究もいたしておるつもりでございます。
 私が知っておりまするところによりますれば、足尾の鉱山といいまするものは、これは明治に田中正造先生が鉱毒事件ということで取り上げられまして、天下に勇名をはせた鉱毒の問題のこれは端緒になっております。それだけに、全日本に与えますこれの解決という問題は大きいことを私はよく承知いたしております。しかしながら、そうかと申しまして、私は、この事実の究明ということを絶対にいたさなければならぬ、かように考えておるわけでございまして、当日お見えになられました太田市長はじめ皆さま方の御陳情に際しましても、その御陳情の内容は六ケ条をお読みになったわけでありまするけれども、その内容はよく承知いたしておりますと冒頭に申し上げました。
 そうして、第一条に書いてございます古河鉱業というものに対する責任はどうするんだと、こういう御質問がまず第一点でございました。
 私は私なりに、これは衆議院の委員会でもお答えをさせていただいたのでございまするけれども、少なくとも、古河鉱業がこの足尾の鉱山に手をつけましたのは明治に入ってからでございます。その前から約二百年にわたって、江戸時代から、あるいはもっと前からかもしれません、この銅山の開発は行なわれておりまして、そうして、それが非常に粗放な鉱山採掘でございましたために、掘り出されました銅の製錬の残土あるいは鉱滓というようなものが足尾の山には山積されております。今日もこの状態は変わっておりません。これはおそらく茜ケ久保委員におかれましても御存じのはずでございまするし、特に今日お見えになっておられまする矢野先生なんかは、当然、選挙区の中心でございまするから十二分に御承知のはずでございます。したがいまして、非常にたくさん多量に、ほとんど山をなすように積み上げられました鉱滓あるいは残土というようなものが、長きにわたって雨その他によりまして渡良瀬川に流れ出してきておる。これはまことに残念なことでございまするけれども、事実でございます。
 今日、非常にやかましく公害ということがいわれてまいりました。これは私は時代の進歩であり、政治の進歩であり、社会の進歩であろうと思います。それまでの間は、江戸時代におきましても、また古河が操業いたしましてからこの鉱害問題がやかましくいわれまするまでの間、この間におきまする古河の、この問題に対する責任ということはいまだ問われたことはございません。
 したがいまして今日、渡良瀬川に入っておりますカドミウム、あるいはそれがしみ出しております銅その他の重金属というものに対しまするものの考え方というものにいたしましても、いつこれが流れ出したものであるか、これがだれの責任で一体処理されなければならないものかということにつきましては、一がいに、現在古河鉱業がこれを持ち、これを管理しておるから、古河鉱業のこれは責任であるといってきめつけるということには、非常に私は危険があると思います。これは裁判あるいはその他の科学的な調査によりましてその結論をつけるべきものであり、その結論がつかないうちに犯人を仕立て上げまして、これはだれが悪いんだといってきめつけることはよろしくない、私はかように信じております。したがいまして、その場におきましてもそのことは申し上げました。さらに、私どもがこれは非常にお互い不勉強であったと思うのでございまするけれども、長きにわたって日本の国の、これは古河足尾だけでございませんで、全国にわたります鉱山の中で、たとえば熊本におきます水俣病あるいは富山県におきまするイタイイタイ病というようなものも、これは何も最近二、三年間に起こった問題じゃございませんので、長きにわたって蓄積せられ起こっておったはずでございます。それが、たまたま科学技術の進歩とお医者さん方の非常な御努力によりまして、この問題の本質はここにあるということを指摘をせられまして、みなこれが社会問題とし政治問題として提起をされてまいったわけでございます。
#10
○茜ケ久保重光君 あのね、ちょっとすみませんが、足尾のことだけでけっこうですから……。
#11
○政府委員(藤尾正行君) いや、これは関連がございますから、ひとつお聞きをいただきたい。
#12
○茜ケ久保重光君 私いま、ちょっと……。
#13
○政府委員(藤尾正行君) ちょっと待ってください。私の発言中でございます。
#14
○委員長(加藤シヅエ君) ちょっと速記とめてください。
  〔速記中止〕
#15
○委員長(加藤シヅエ君) 速記を起こしてください。政務次官に引き続き御発言を願いますが、質問者の趣旨に従ってどうぞ御発言くださるようにお願いします。
#16
○政府委員(藤尾正行君) はい、わかりました。まあ、さようなことでございまするので、この足尾の問題につきましても、私はその由来、その影響、それがどのような本質のものであるかということの究明が非常に大切であろうと思います。
 特に私が考えておりまするのは、足尾の場合には、公害におきまして問題になりまするのは、足尾の銅製錬所におきまする粉じん、それから汚泥流出に対しまする水質の問題、こういったことが主たる問題であろうと思います。したがいまして、私が政務次官をやっておりましたときにおきましても、そのようなカドミウムという問題が初めて指摘せられましたので、私は直ちに古河鉱業に命じまして、これに対する対策を直ちにとれということを通産省の名におきまして命令をいたしたはずであります。以来、古河鉱業におかれましては非常な努力をせられまして、これに対しまする措置をやられたと私は思います。もしその後におきまして古河鉱業が、カドミウムの水というものを渡良瀬の中に流し込んでおるという事実がございましこならば、これは私の不明であり、いかに私は古河が責められてもしかるべきであろうと思いまするし、私は太田の皆さま方とともに、あるいはそれ以上の迫力をもって、先頭に立ってこの古河の糾明いたします。
 しかしながら、少なくとも古河の発表をいたしておりまするところによりますると、いまの渡良瀬に対しまする数カ地点におきまする水質の検査におきましては、そのような基準以上のものは出ていない、こういうことでございます。私はその真否を確かめたわけでございませんから、これは技術的にあとで御究明をいただきたいと思います。しかしながら、もし会社が責任を持ってそのようなことを言っておるということでございましたならば、水質におきましては一応の私はめんどはそこでついておる、かように考えるのでございまして、その点につきまして古河を犯人であるといって糾明するのはいささか酷である、かように私はいまだに考えております。それが第一点でございます。第二点は、渡良瀬の中に流れておる銅、これを新たに被害重金属として指定せよという御要求でございました。
 今日ただいまにおきましては、実はまだその被害重金属に指定せられておりません。ただいま専門家でございまする通産省の係官に聞き合わせましたところ、私が考えておると同様でございまして、これは明らかに何らかの規制をしなければならぬけれども、カドミウムでありますとかPCBでありますとかいうものと違って、その準備は進めておりますけれどもそこまではいっていない、こういうことでございます。したがいまして、これが新たに政府の名をもちまして、社会的に、これが汚染をするもとであるということで銅が指摘をせられるということでございましたならば、渡良瀬の銅に対する責任を、古河が何らかの措置によって防止するということを要求するのは当然でございまするし、また、それをしないということでございましたならば、古河もまたいかなる指弾を受けてもしかたがない、また私どもはそれに対して率先してその解決に当るべきである、かように考えております。第三にカドミウムの問題であります。この問題につきましては、先ほど申し上げたとおりカドミウムに対しまする対策は、古河はすでにとっておりますと私は信じております。
 しかしながら、カドミウムの汚染といいまするものは、その流出をとめたからといいましても、それが直ちにとまるものではありません。御案内のとおり、長きにわたって自然に流れ出し、それが土壌に浸透していっているという場合に、これは重大な結果を招いてまいります。したがいましてこれにつきましては、その責任者がだれであろう、かれであろうということでなくして、私どもは、こういったたとえばカドミウム米が出てきたというようなことに対しましては最も敏感に反応をし、それに対する、農家の方々の御被害がないようにということを当然考えていかなければなりませんし、同時に、これが食糧として国民一般に流れ出すというようなことがあっては一大事でございまするから、これに対する対策は十二分にいたさなければなりません。当時におきましても、私が通産政務次官をいたしておりましたときも、そういった問題につきまして、農地の表土、これに対しまする入れかえの御要求がございました。これは国と県とそうして古河が、それぞれの責任をもってやれということで私はやったように考えております。この点は私は確認をいたしておりませんから、あるいは私の言うことに間違いがあるかもしれませんけれども、ひとつあとでお調べをいただきたいと存じます。
 こういったことと同時に、私はこういったカドミウム米というようなものが出てきたという不幸な事態に対しましては、今日、その表土を改めましてもなおカドミウムが出てくるおそれがあるということになれば、当然私どもといたしましては、これは農業政策といたしましてこれに対しまする転換を考えて、それに当たられます農家の方々の被害がないように十二分に考えていかなければなりませんし、同時に私は、これは地元の農家の方々もまた農協の方々も、地元の県におかれましても、これに対しまして、カドミウム米の生産というものにかわるべき農作物は一体何だということを徹底的に調べなければなりませんし、たとえばこれを花木にいたしますとか街路樹を植えるとか、あるいは桑苗を植えまして養蚕をするとか、あるいは花卉を植えるとかというような方法で、米の生産というものにかわるべき農業というものを打ち立てなければならぬと考えております。それに対しまする政治責任といいますものは当然あるわけでありまするから、これに対しましては、国、県、地元といいますものがそれぞれの責任を負いましてこれに当たり、そうして地元の、そういったカドミウム米をおつくりになられました農民の方々に御迷惑のかからないように、最善の努力をしてまいるということが私どもの政治家に与えられました当然の責任である、かように考えております。それからなお、つけ加えて申し上げますけれども、御案内のとおり渡良瀬川という川は、足尾に発しまして延々と群馬県に流れ出しまして、それから足利を通って、太田を通って、佐野を通って、私どもの藤岡の遊水池に入ってまいるわけであります。ところがこの問題につきましては、太田の方々は非常に熱心に、この公害の問題に対して対策協議会をおつくりになって戦っておられるわけでありますけれども、私どもの選挙区でございまするその上流の足利、その下流の佐野、藤岡というところにおきましては、そういう問題は起こっておりません。そこに私は問題の一つがあろうと思います。特に飲料水の場合、もしこの水が悪いということでございましたら、これは人命に関する問題でございまするから、これはもうどんなに巨費を投じましても、その水の純化ということに全努力を集中をいたさなければなりませんけれども、これから取水をいたしておりまする足利におきましても、佐野におきましても、また太田自身におかれましても、私は、取られておりまする飲料水についての問題は起こっていないように考えております。そういったところにこの問題の本質があるわけでございまして、私自身は私自身なりに栃木県選出の政治家といたしまして、私ども御選出をいただいておりまする県民の各位に御迷惑のかからないように、積極的にこの問題に取り組みまして、問題の解決に当たるのが当然である、かように考えておりまするから、この公害の問題に対しまする対処のしかたという面におきましては、私は太田の皆さま方以上に、どなたにも負けない熱意と責任をもちましてこの問題に当たりたいと考えておりまするし、また、私がいかなる状態に立ち至りましても、私はそのために邁進をいたさなければ、大先輩でありまする田中先生にも申しわけがない、かように考えておるわけであります。もし田中先生が今日おいでになられましたならば、田中先生は、当時の権力でございました政府権力に対しまして、あのようなりっぱな戦いをやられたわけでありまするけれども、今日、科学技術が進歩をし、そうしてその分析が進み、那辺に一体その問題があるかということがだんだんと究明せられてくるという今日におきまして、田中先生が今日生きておられましても、おそらく私同様の考え方をおとりになるであろうと、私はかように信じております。私は、公害問題一般を取り扱いまする場合に、だれが悪いとか、あるいはそれに対して補償金をよこせとか、ということだけに問題をしぼっていくといういまの風潮といいまするものを、あまり好んでおりません。むしろ、私ども政治家に課せられましたこれに対する対処のしかたは、その根源をさぐって、ただいまPCBに対しまして大石長官が述べられましたように、まだわからない部門がある、そのわからない部門を究明し、あらゆる総力を結集をいたしましてその原因を除去して、地元住民の方々、国民に御安心を願うということこそが私は政治家としてとるべき態度である、かように考えておりまするので、残念ではございましたけれども、当日おいでになられました太田の皆さま方の御見解と私の見解は違っております。その見解の違いといいまするものを私は議論しようとは思いません。皆さま方は御陳情に参られたわけでありまするから、皆さま方の御趣旨はわかりました、しかしながら議論をする筋はございませんからお帰りください、こういうことでお帰りを願ったわけでございます。茜ケ久保委員も御案内のとおり、私は人間が非常に粗野でございまするから、大きな声も出しまするし、また表現もきわめて適当でないということは多々ございます。今日ここにきて、心から反省をいたしておりまするけれども、そういった私の態度、あるいは私のことばの声の大きさとかというようなもので、こいつは無礼なやつだということだけでこの問題を取り上げられるには、問題が非常に大きい、かように考えまするだけに、私は私の所信に従って、基本的な根本的な問題の取り上げ方に邁進することこそが、足尾の今日の鉱毒、こういった問題に対しまする私どもの責任であろうと、かように今日なお考えておるわけでございまして、お答えになったかならないか、わかりませんけれども、一応私の所信を、弁明をさしていただいたわけでございます。
#17
○茜ケ久保重光君 だいぶ藤尾代議士からの長講を聞いたわけでありますが、私がお尋ねしたのは、端的に、少なくとも天下の大新聞あたりがこんなに大きく書くからには、いまの藤尾君の御答弁は公害に対する一般的な該博な知識を御披露になりましたけれども、私の質問した主意というものは、これだけのことが書かれ、市長もかなり興奮しておこっている、しかもその他の人もおこっている。これが事実ならば、藤尾君の陳謝が必要でありましょう。事実でないのならば、これは朝日新聞のほうの責任だと思うのです。こういう点、やはりはっきりしなきゃいかぬと思うんですよ。
 あなたも当選回数はそう多くないけれども、自民党におけるかなり大きな政治的な力をお持ちになっておられる方でありますから、やはり影響も大きいわけです。したがって、私がお尋ねしたのは、いわゆる新聞記事の内容は違っているか、ほんとうか。これによると、ばかやろうと言ったとか言わぬということはありますけれども、少なくとも陳情に来た人たちはあなたに強く言われて、「陳情団を追返す」という記事がありますけれども、追い返したかどうかは別として、かなり強い態度で当たられたのじゃないか。それがやはり陳情に来ている人たちにとっては、何かここに書いてある、三百年の怨念に対する暴言という印象を受けたのではないか。
 この点に対してあなたは最後にちょっと、私は粗野であってことば使いが荒いからとおっしゃられましたけれども、私なども決して上品なほうではありません、かなり何といいますか、野人でありますから、ことばもいろいろ使いますけれども、しかし、こういうふうなやはり書かれ方をするところには、ただ単に粗野だから、あるいはことば使いが少し荒っぽかったからということだけでは、私はこれは弁明にならぬと思う。したがってもう一ぺんお尋ねしますが、この新聞記事にあることは、全然なかったのか、あったのか。もしあったとすれば、私は冒頭言ったように、あなたに友人としていわゆる弁明の機会をつくってあげたいという、私も友情からこうしたことを言ったのですが、しかしいまの御答弁では、私はお答えになってないと思う。その二とが一つと、もう一つは、いまあなたは公害に対することを述べられましたが、私の聞いたのは、毛里田地区、太田市内における公害問題と足尾銅山との因果関係についてどう考えるか、これは大体いまのたくさん並べられたことばの中で、あなたの態度は、毛里田地区におけるいま起こっている公害問題は、足尾の責任ではないといったようなニュアンスを受けたのでございますが、そのように理解していいのかどうか、もう一ぺんひとつ。
#18
○政府委員(藤尾正行君) いまの問いは二つあると思いますけれども、まず、新聞記事が真かどうかという問題であります。この真かいなかということの判定は、非常にむずかしいわけであります。
 たとえば、太田の皆さま方が私のところへ陳情においでになったことは事実であります。それに対して、お帰りを願いたい、こう私が申しましたことは事実であります。しかしながら、その「三百年の怨念」とかなんとかということは、むしろ私は新聞記者的感覚と私が申し上げたことでございまして、そういったことにとらわれるべきでないということを申し上げたのであります。したがいまして私は、公害に対する態度というものと、それが真かどうかいう問題につきましては、これは新聞編集の主観がございますから、おそらく私が新聞社に約二十年おりました経験から考えまして、その記事といいますものは、太田におきます太田の反対同盟の方々の集会か何か、発表か何か、そういったものがまず主体になって、そうしてそれがほとんどの記事でございまして、それを確認する意味で、藤尾、おまえはこれを言ったかどうかということの確認がとられておると思うのです。
 したがいまして、私はその全文を全部見せられておりませんから、そういうことがあったかと言われれば、そういうことはあった。しかしながら、そこにはばかとかなんとかということばが書いてありますけれども、私は、いやしくも私どもの主権者でありまする国民の皆さま方に対して、ばかとかちょんとかというようなことを、いささかも私自身が感じておりませんし、そんなことは言うはずがありません。したがいましてそんなことは言わぬと言っております、その中に書いてありまする太田市長の談話の中にも、これは一緒におられたわけでありますが、そんなことは言わぬと、それにも書いてございます。したがいまして、そういうことがなかったことは事実でございます。
 そういうことになりますと、その記事が真かどうかという判定はこれは非常にむずかしいわけで、私はいままでに何回も新聞記者としてそういう経験は経ておりますから、それで申し上げるわけでありまするけれども、その真否の問題についてこれを立証するものはございません。おれはそれを聞いたと言えばそれきりでございましょうし、いや、おれはそれは言わぬということになりますと、どこまでもこれは水かけ論であります。したがいまして、そういった水かけ論をやる意思は私にはございませんし、また政治家といたしまして、どのように御批判を受けましても、いささかでもその事実があったということでありましたならば当然その責任はとるべきである、私はかように考えております。
 なお、御案内のとおり、多くの陳情の方々に対しまして、御趣旨ごもっともでございます、仰せのとおりでございますとか、そのとおりいたしますとかということで応答をさせていただくならば、たいがいの陳情の方々はお喜びになってお帰りになられるのが通常でございます。しかしながら私は、そのような巧言令色をすることは大きらいであります。したがいまして、私の所信はどうかと言われれば、自分の所信はこうだ、皆さま方の意見とここは違うということになれば違うと申しますし、反対なら反対、私ははっきり申します。そのかわりに私は、やるということに私が言明をいたしたことにつきましては、責任を持って私はやります。もし、おまえがやると言ったにかかわらずそれはやらぬではないか、こういうおしかりをちょうだいするのであれば、私は今日ここで腹かき切っても私の責任はとり得る、私はそのような政治態度こそが政治家としてとるべき態度であって、その場その場に、この国会でもたくさんそういうことがございますけれども、質問をはぐらかしたりなんかするというような態度を、いやしくも国民にとるべきでない。もっと正直でなければいかぬ。
 私はかように考えておりまするために、その問題につきましての弁解はいたしませんけれども、新聞というものの中に書いておりますることが全部が全部、真であるということはほとんどございません。これは写真でも同じでございまするけれども、写真も、これは写真を写す方のアングルによりまして、それぞれの写真の真否が出てまいります。こういったことを、私は二十年間の新聞記者生活を通じまして経験をいたしております。したがいまして、その真否の問題につきまして論争をしようとも思いませんし、抗議する意思もございません。それは、私にも私の弁明の機会を与えていただいておるわけでありまするから、それをいかに判断せられるかということは、これは朝日新聞の編集権の問題でございます。いやしくも新聞の編集権に対しまして他から容喙をするということは、言論の自由に反しますから私はそういった態度はとりたくない、かように考えております。
 第二に、古河の責任はどうだということについて、おまえは古河の責任が全然ないと思っておるかという御質問でございまするけれども、私はさように思っておりません。少なくともこの問題が明らかにせられまして、カドミウムとかあるいは重金属とかということが問題にせられました後、もしそういった問題が起こりましたならばこれに対しまする古河の責任はこれは一〇〇%絶大でございます。したがいましてそれに対する責任は当然負うべきである。それを追及するのは当然だと思います。
 しかしながらそれ以前に、つまり公害という問題が問題になってこなかった以前に、明治時代とか大正時代とかということに対する責任も全部とれということになりますと、これは今日の非常にむずかしい問題でございまするけれども、無過失賠償という問題ともからみまするけれども、無過失であるからといって責任が回避できるか、いなか、あるいはその無過失の場合に、その責任をどの時点からとっていくかということにつきましては、今後、私は政治あるいは社会におきましてとことんまで究明をしていかなければならない問題であろうと思います。
 特に私が考えておりまするのは、これまたよけいなことを言うなとおしかりをちょうだいするかもしれませんけれども、たいがいいままでのところ、山の製錬所といいまするものは山にございます。多くの製錬所がそうでございます。山にございます製錬所が、いろんな意味において川等にいろいろなものを流し込んでおる。これは私は非常に遺憾だと思います。こういったものの立地を変えるというような問題を政治は考えていかなければいかぬ、かように考えます。
 しかしながらこの古河の問題は、この前宮崎で起こっておりました、これは私はその名前を忘れましたけれども――土呂久という、これは十数年前にやめておるところから発しておる問題、こういった問題に対する責任がどうだという問題とやや似ていると思います。したがいまして、これは私は問題が発生をいたしておりまするただいまの水俣病のチッソでありますとか、あるいはイタイイタイ病の福岡でありますとかという問題とは違うと思います。また、河川にメッキの廃液を流しておるというような問題の本質とも著しく異っておる。石油を故意に海に流すというような不心得なやっとの違いも、明確にそこは考えていかなければならぬ、かように考えておるわけでありまして、私は古河に全面的な責任がないとは申しませんけれども、これについてはエクスキューズが少なくともなければならぬ、さように考えまするし、それに対しましては、許可をいたしました国自体もまたこれに対する責任を負わなければならぬ、かように私は考えておる次第でございます。
#19
○茜ケ久保重光君 いろいろとお話を伺うたびに問題点が出てくるようでございまして、これはかなり時間を要するようであります。しかし、きょうはそんなに長い時間をこの問題にかけようと思ってなかったものですから、理事さんとも相談して、検討した結果、もうーペん藤尾衆議院議員においでを願うことがあるかもしれません。しかし、きょうは大体私の質問は、その点に対するお尋ねはやめます。
 そこで通産省見えておるようでありますが、やはりこの際、これはなかなかむずかしい問題でありますけれども、常識的にだれが考えても、太田市周辺、渡良瀬川の鉱毒原因が足尾銅山にあった二とは間違いございません。したがって、これは訴訟にもなるようでありますが、通産省として、あくまでも銅山のいわゆる監督官庁として、いろいろ解明もし調査もされておるようでありますが、ひとつ一点だけ、いま問題になっている太田の毛里田地区に対して、特に水田その他の公害問題と足尾銅山との因果関係を、通産省としてはどのように現時点でお考えになっているか、これをひとつ明確にしていただきたい。
#20
○政府委員(久良知章悟君) 群馬県の太田市の毛里田地区におきまして、銅の汚染、カドミウムの汚染というのが問題になっておるわけでございます。御承知のように足尾銅山では、長年にわたりまして銅を中心にいたします鉱産物を産出してきたわけでございます。先ほど藤尾政務次官からお話がございましたが、過去相当長い間、足尾鉱山並びにその周辺の銅鉱床からは、銅、カドミウム等の重金属を含みました水が流れ出たわけでございます。これが下流の特定の区域について汚染になって残っておるという二とは事実でございます。
 やはりその中で、特に自然汚染と鉱山の寄与の度合いと申しますか、割合がどうなっておるか、それからこの鉱山の中で、古河鉱業と古河鉱業以外の稼行による責任分をどう見るかということが非常に大きな問題になるわけでございます。
 この点につきましては、カドミにつきましては昨年来、これは農林省のほうの予算になるわけでございますが、群馬県、栃木県、それから私どもの出先でございます東京鉱福山保安監督部、三者共同いたしまして調査をしてきたわけでございます。データその他につきましては一応の結論が出ておるわけでございますが、これをどういうふうに判断するかというところに問題があるわけでございまして、群馬におきましては、御承知のように先般、県独自の調査結果も加えまして、県の立場からその結論を打ち出されたわけであります。私ども、先ほど申し上げましたように、この問題につきましては定性的な問題だけではなくて、定量的な寄与の度合いというものを含めました結論を出しませんと、なおいろいろ混乱の原因になるのではないかというふうに考えておるわけでおりまして、監督部を通じましてこの点についての調整をぜひはかりたいと、そういうふうに考えて努力をしておるところでございます。
#21
○茜ケ久保重光君 もちろん太田市の公害問題については、私はあらためてかなり時間をかけて質問もし、また、いろいろと検討もしていきたいと思っております。きょうは、藤尾政務次官にこの問題に限って伺うということで、これ以上時間をとりません。いまの藤尾次官の御答弁に対して、いろいろな問題をはらんでおりますので、後刻理事会等で検討した結果、あるいはもう一回藤尾次官に御足労願うことがあるかもしれませんが、ひとつ御承知願いたいと思います。さらにそのときにまた通産省その他の関係者もお呼びして、いろいろ検討したいと、こう思います。
 私の質問に対しての藤尾さんの答弁、必ずしも期待したものではありませんけれども、とにかくああいうことは国民にとっても、また特に陳情に見えている弱い立場の人々に対して、お互い政治家の態度と申しますか、言動と申しますか、かなりな問題がございます。そこで、新聞記事の真偽は別として、少なくともこれを読んだたくさんの人たちは、いま藤尾君おっしゃるように建設政務次官は直接公害問題とは関係ございませんけれども、やはり藤尾代議士は隣の県から出ておられて、しかも太田に近いわけでありますが、政務次官といえども国の要路にいらっしゃるということで、かなり期待もし信頼もして伺ったものと考えます。
 ところが、はからずも事は逆目に出たわけでございますが、私はできれば、事のいかんはとにかくとして、これだけ大きな問題として出ましたので、藤尾代議士でもいいが、藤尾政務次官でもいいが、謙虚な立場の陳謝的なことばを実は期待しておったわけですけれども、それが出なかったのは残念でありますが、一応きょうのところはこの辺で私の質問を終わりたいと思います。
#22
○政府委員(藤尾正行君) 他の機会にお呼び出しをするということでございますから、私は喜んで参上いたしまするけれども、それはどこまでも建設政務次官、政府委員として出てまいるわけではございませんので、一代議士としての御喚問にしていただきたいということをお願いをいたしたいと存じます。
#23
○伊部真君 関連して私から二、三質問をしたいと思います。いずれにしても、政務次官であることは違いがないわけです。政府の責任ある立場であることも間違いないわけです。したがって、この場での議論の内容につきましては、そういう立場で特にわれわれはのちほど皆さんとおはかりをして、この処置を考えたいとは思いますが、私は、どうしてもこの場で聞きのがすことができないのは、先ほど反省ということばが出ました。その反省というのはどのことを言われるのか、ことばが粗野であったという以外には、この応待の内容については反省すべき内容ではないとおっしゃるのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。
#24
○政府委員(藤尾正行君) この問題の内容につきまして、私は陳謝すべき何ものもない、と。ただ、応対の態度あるいはことば、そういったものに対して、きわめて粗野であってそれが適当でなかった、非常においでになられた方々の感情を刺激したということであれば、その責任は一切私にございますから、いかなる陳謝もいたします。さような意味でございます。
#25
○伊部真君 私、いずれまた時間をかけて質問をしたいと思いますけれども、いずれにしても当時、通産の要路にあって通産次官をしておられた方が、それが、責任だとかあるいは補償だとかいうものを求めるという風潮は好ましくないというふうなことは、これは少なくとも今日、公害で日常困っておる被害者に対する、それを代表する陳情団に対することばではないと思います。その点は、少なくとも政府の責任ある立場の一員である者がそういうことを陳情団に言われること自体が、私は決して適当なことばとは言えないと思います。それからもう一点は、たとえば河流の関係でカドミウムの責任問題、因果関係についても云々がありましたけれども、こういう具体的な事実については、少なくとも科学的な調査というものをやはり行なった上で、それに立脚した言動というものが適当だと思うわけです。それをむしろ逆に、したがってその反対のほうに誘導するようなことばというものは、被害者、陳情団に対することばとしては適当ではない、少なくとも私は、国民の側に立って行なうべき政治家のことばとしては不穏当だと思うわけです。その点については、ことばのやりとりが粗野であったけれども内容については反省する必要がないと言われることに対して、私はどうもわからぬわけであります。もう一度お聞きしたいと思います。
#26
○政府委員(藤尾正行君) ことばが足りなくて、誤解をいただきましたのはまことに申しわけございません。
 ただ、私が申し上げておりまするのは、たとえば水俣病というような問題について、身体の障害を発しておられる、これはいかに金を出してもなおりません。そういったことに対する責任のほうが先行するのであって、私は最後の最後に、もうほかに手段がない、やむを得ぬから金で、とにかく余生をこれだけの金でお過ごしをいただきたい、これは、私は企業としても国家といたしましても最後にとるべき態度で、公害という一般的な政治あるいは社会問題に対すを解決の方法ではない、かように申し上げたわけで、それは最後の問題である。そういうところに行くのは非常に残念である。それで問題が片づいたとするには、問題があまりにも大き過ぎる。そういうことを申し上げたわけであります。
 それが誤解を招きましたことは私のことばの足らざるところでございまして、まことに申しわけがございません。その点は深くおわびを申し上げます。
#27
○伊部真君 いずれにいたしましても、私、陳情に参った方のその当時の模様について十分聞いておりません。したがいまして、それらを調査をして、その上でまた私質問をするかもわかりません。一応きょうのところは、時間の関係もありますのでやめたいと思います。
#28
○矢野登君 この問題で藤尾政務次官は、あくまでも建設政務次官としての応対ではなかったということ、一面に建設政務次官であることは間違いないので、それがために喚問ということになったと思うのですが、理事会には何らこの問題は付議されておらない。どうもこの問題を議論を進めていく上において、一方的な新聞記事を基礎にして、一方はその応対の状況がどういうふうであったかというようなことも全然知らずに審議を進めるということに、かりにも変わった結論が出るようなことがあってはいかんと思いますので、この委員会において、さらにその陳情団が、現在新聞に報道されているのが事実かどうか、そういう問題も十分に検討して今後この問題を進めることにしたらどうかと、こういうふうに考えますが、委員長にひとつこの点をお伺いいたします。
#29
○委員長(加藤シヅエ君) 委員長といたしましては、今日の質疑応答を伺っておりまして、いろいろの御意見あるいは釈明を政務次官から承りましたが、質問者はまだ十分に納得のできない点も残っておりますので、また政務次官は今日お時間の都合があるというお申し出をいただきましたので、今日の政務次官に対する質疑はこの点で打ちとめますが、他日またこちらにおいでをいただきたいという希望がございますので、そのときにはぜひおいでいただきたいと思います。ただし、それは一衆議院議員としておいでいただくのではなくて、やはり建設政務次官というお立場でおいでいただかなくてはならない、このように考えまして、それだけはどうぞ御了承をお願いいたしたいと思います。
#30
○政府委員(藤尾正行君) まことにおことばを返して申しわけございませんけれども、この問題につきましては、それぞれ所管の所管庁がございます。したがいまして、その所管の所管庁を乗り越えまして私が、何だか余分なことを申し上げるということは越権でございます。でございますから、そういった意味合いで、私は御迷惑をかけたくないから、私、一代議士として申し上げたいということを申し上げたわけで、それをお含みの上で、政務次官として、おまえは政府委員なんだから委員会に喚問を受けたら出て来いというお呼び出しでございましたら、喜んで参上させていただきますから、ぜひとも、この問題にはそれぞれの所管の方々がおられる、それに私がよけいなことを言って御迷惑をかけることのないように、ひとつお取り計らいを切にお願いを申し上げます。
#31
○委員長(加藤シヅエ君) ただいまの御発言はわかりますが、所管外のことについて責任ある御答弁をお願いいたすということはいたさないわけでございます。ただ、ここに御出席ございます以上は、単なる一代議士ではなくて、やはり建設政務次官という政府の一つの立場にいらっしゃる方としておいでいただくという、これだけは申し上げておきたいと思います。所管外のことをおっしゃっていただく必要はないわけですけれども、そのお立場だけは、これはちょっと切り離すことができないだろうと、こう考えましてお願いいたします。お帰りくださってけっこうでございます。
#32
○内田善利君 この問題と関連いたしまして一言、久良知局長にお聞きしたいと思いますが、特定物質として、いまカドミウムだけですけれども、銅と砒素はいつきめられるのか。これは通産省でないかもしれませんが、環境庁ですか、お聞きしたいと思いますが。
#33
○政府委員(岡安誠君) 土壌汚染防止法の有害物質の指定は、政令でこれを行なうわけでございまして、現在カドミウムだけが指定されております。
 私ども現在準備いたしておりますのは、銅を有害物質に指定をいたすということで中央公害対策審議会の土壌部会で現在諮問をいたして、ただいま御審議を願っておるところでございます。その御答申をいただきまして、できるだけ早い機会にこれを指定をいたしたいと、かように考えております。
 それから砒素につきましては、いろいろ砒素の問題がございますので、現在いろいろ調査をいたしておりますけれども、現在のところ砒素の土壌中の含有量、それが農作物等に吸収されるメカニズム等が必ずしも明らかでございません。それを明らかにするようなデータも十分でございません。そこで、現在取り急ぎいろいろ調査研究を進めている段階でございまして、データの整い次第、できるだけこれも早い機会に指定をいたしたいと考えております。
#34
○内田善利君 公害問題は、まず環境が汚染されて、それから人体が影響を受けていく、こういうことですから、環境問題についてはいち早く私は取り組んで、環境汚染から健康を守るという立場から、早く基準を設定し環境汚染を防止していく、そういう立場にならなければならないと思うんです。そういったことから、この銅にしても砒素にしても、メカニズムが解明できないということですけれども、アメリカ方式で、ある程度の環境基準を早くきめたほうがいいのではないか、こういうふうに思うのです。正確にメカニズムがわかってからではおそいと思うのです。できるだけ早く設定すべきである、このように思うのですが、銅の答申が出るのはいつごろの予定なのか。
#35
○政府委員(岡安誠君) 銅の指定につきましては、現在諮問をいたしておりますが、部会で二回やりまして、なお専門的にこれは検討する必要があるということで、専門の方々の小委員会を現在開きまして、実は本日その第二回の小委員会があるという段階でございます。私ども、できるだけ委員会の御審議を促進をお願いいたしまして、できるだけ早く御答申をいただきたいということを考えておる次第でございます。
#36
○小平芳平君 関連。それでは環境庁の政務次官に担当の官庁だからお伺いしますが、先ほどの渡良瀬川の鉱毒による農業被害の問題は、これは明治にさかのぼろうと大正にさかのぼろうと、それが足尾銅山による鉱毒被害の損害だということは、とっくにはっきりしているのだけれども、いろんな論争があるわけですが、その補償の責任は当然古河にあるわけでしょう。土呂久と同じだというけれども、土呂久の場合はすでに鉱業権を放棄しちゃっている。しかし足尾の場合には、いまだにそこで生産活動をやっているわけですから、これは土呂久とは全然違って、その農業被害に対する補償の責任は当然古河にある。これはよろしいですか。
#37
○政府委員(小澤太郎君) 先ほど通産省からその問題についてお答えをいたしたいのでありますが、私どもそのとおりに考えております。要約いたしますれば、御承知のように原因者がその損害の賠償の負担をするのは当然でございますが、だれが原因者であるかという問題と、その原因者がどの程度、どれくらいのアロケーション、負担をすべきかという問題、これなどは直接やはりいろいろな問題と利害関係を結ぶ問題でございますから、そういう点についての究明をいたしたいと、こういう態度をとっております。これまた先ほど通産省からの御答弁のとおりでございます。こういうように考えております。
#38
○内田善利君 本論に入ってPCBの問題をお聞きしたいと思いますが、先ほど長官は、PCBによる環境汚染は、非常に差し迫った状態でないとは言えないということだったのですが、しかし、環境が汚染されまして、特に人体に影響する。カネミライスオイル事件以後、母乳に最高〇・七PPMのPCBが検出されたということですが、私はこの問題は非常に大きな問題ではないかと思うのですが、厚生省の浦田局長さんは、この程度の汚染なら差しつかえないと、またきょうのNHKのテレビでは、決して心配要りませんと、このような答弁であったわけですが、この決して心配は要らないという科学的な根拠をお聞きしたいと思うのですが。
#39
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま先生御指摘のありました母乳のPCB汚染の問題、これは確かにおっしゃいますように、私ども特に母子衛生を担当いたします者にとりまして、非常に大きな問題だと考えております。福いまのお話の、大阪府の公衆衛生研究所におきます十五例の検査におきましては、最高〇・七PPMという、いままで検出されました中では最も高い数値が検出されたわけでございます。その後、他の地域における調査もだんだん進んでまいりまして、地域によってはかなり数値にばらつきがございますけれども、特に近畿地区におきまして汚染が進んでおるということが言われておりまして、それを裏づけいたしますように、京都市の公衆衛生研究所におきましても、やはり〇・一けた台の数値が検出されておるという事例があるわけでございます。
 ただ、これは事が母乳の問題でございますので、私どもといたしましても非常に心配いたしまして、すでに設置されております中央児童福祉審議会の母子保健対策特別部会の先生方を中心といたしまして、それにさらにPCB問題の専門家を加えた対策委員会を招集いたしまして、二回にわたりましてこの問題について御討議をいただいております。
 また、大阪府とされましても、これは非常に対策を急がれまして、一カ月半ぐらいたった時点におきまして、この十五例につきましてさらに追跡調査をやっていただいております。その追跡調査の結果を見ますと、十五例のうちで、六例は母乳が出なくなっておりまして、調査ができておりません。残りの九例につきましては、一人の方が大体〇・二というようなオーダーでほとんど変わらないという数値が出たほかは、全体的に下がっておりまして、平均値といたしましては、前回の約三分の一という数値になっておるということでございます。それから京都市の調査につきましても、その後の発表を加えますと、平均値といたしましてはさらに低い数値が出ておるというようなことで、まず母乳汚染につきましても、その時点なりあるいは人によりまして、かなりばらつきのある点が認められております。それから、いま御指摘のような微量の母乳による汚染がかなり蓄積するということは、慢性毒性の問題でございまして、この点は、まだ医学的に解明されていない部分がかなり残されておるわけです。今後急がなければならないわけですけれども、現段階におきます小児科、産婦人科あるいは公衆衛生の専門家の先生方の御意見を総合いたしますと、カネミ油症の際の汚染は、これは先生御案内のように、二〇〇〇PPMないし三〇〇〇PPMという、けた違いに多い量のPCBが含まれております油を使ったということで、急性あるいは少なくとも亜急性の中毒症状が起こっておる。それに対しまして、微量のPCBの蓄積によります慢性毒性につきましては、人体の機序といたしまして、相当排せつあるいは肝臓による除毒というような作用が期待できるということ、あるいは動物実験等によりまして、同じ量のPCBによりましても、これを期間を長くして微量ずつ投与した場合と、短期に大量投与した場合とで、中毒の症状がはっきり分かれておるというようなデータ等々から勘案いたしまして、少なくとも現段階におきましては、この母乳による保育ということを中止することは、公衆衛生上必要ないであろうという御意見をいただきまして、私どもといたしましても、地方の会議等も招集いたしまして、そのように指導しておるところでございます。
 ただ、もちろん先生御指摘のように、また先ほど申し上げましたように、この慢性毒性につきましては、なおわからない点が多いわけでございます。事が赤ちゃんのことでございますから、今後の方針といたしまして、さらに一つは母乳の中のPCBの調査を続けて進めていくということ、それから、並行いたしまして母子の健康診査を励行いたしまして、これは現に母子保健法によりまして妊産婦、乳幼児の健康診査が行なわれておるわけでございますが、この健康診査の際におきまして、PCBの中毒症状等も参考にいたしました新たなチェック・リストをつくりまして、先日、地方の課長会議を持って示したところでございます。
 そういうような方法によりまして、今後さらに追跡を続けてまいりまして、いやしくも少しでもおそれがあるというような場合には、すみやかに対処することができるような方策をとってまいりたい。また、この汚染の原因になります食品の汚染の問題につきましても、できるだけ早い時期におきまして一応の基準等をつくりまして、食品からの汚染源を断つというようなことも並行して進めてまいりたい、そういうふうな対策を考えておる次第でございます。
#40
○内田善利君 カネミライスオイル事件のときには、二〇〇〇PPMも大量にとったからなったんだということですが、また、母乳の場合は〇・二PPM程度ならば差しつかえないということですが、それはよくわかるんですね、一般論として。何でも大量に与えたら毒になることは当然です。また、少しずつ与えていったら害のないことは、私も知っております。しかし、それじゃあ、このように環境が汚染されてきて、一体人間に、動物にじゃなくて人間に、どれだけ与えたら、どの期間与えたら、この程度なら安全かというデータ、さっき二〇〇〇PPMという話がありましたが、今度はおとなと子供はどう違うか、こういうデータがおありなのかどうか、お聞きしたいと思います。
#41
○政府委員(松下廉蔵君) ただいまのお話の、微量に長期に与えた場合の許容量と申しますか、基準と申しますか、そういう意味での慢性毒性の機序ということが、まことに残念でございますが、現段階におきましては、PCBについては明らかになっておりません。これは御答弁漏らしたかと存じます、申しわけございませんが。これは環境庁が主体となられまして、関係九省庁でPCB対策の連絡会議を持っておりまして、各省庁の共同作業によりまして、そういった化学的な研究も至急進めていくということで、いま急いでおる段階でございます。
#42
○内田善利君 そういうデータがなくて、一体安心だと言えるのかどうか。〇・二PPM程度だったら、最高は〇・七PPM出ているわけですが、そういうデータがないのに、安心だと言っていいのかどうかですね。
 国民に心配させないという気持ちもあるかもしれませんけれども、国民が知りたいのはそうじゃなくて、私たちは一体どれだけとったら、カネミライスオイルと同じような症状が出てくる心配があるのか、また特に赤ん坊、乳幼児は一番それが心配なわけですね。〇・二PPMではたしてだいじょうぶなのかどうか、心配でないというデータはあるのかどうか、その点が心配なわけですけれども、与えても差しつかえないということなんですが、けさのテレビでも、宇井先生がデータをあげて説明しておられました。
 乳幼児の場合は、一日に一キログラム当たり一五〇CCの母乳を取るとして、〇・七PPMの母乳中のPCBの量は一〇五マイクログラムになる。一日に一キログラム当たり一〇五マイクログラムになる。ところがカネミライスオイル患者の平均のPCB攝取量が、五カ月間として〇・五グラム、三カ月で〇・五グラムという人もあったそうですが、この人が体重五十キロとして五カ月で計算しますと、一日一キログラム当たり六六マイクログラム。こうなりますと、乳幼児のほうは一日に体重一キログラム当たり一〇五マイクログラムで、カネミライスオイル患者よりも二倍近くなるということですね。
 こういうデータをあげて、どのように考えておられるのかという質問があっておりましたが、国民はこれを聞きますと、〇・七PPMとっておる乳幼児のほうがひどいじゃないか、これはたいへんだと、こう思うわけですが、それに対するお答えが、ネズミを今度は例にとって、ネズミに毎日六ミリグラムずつ与えて、五日間、十日間、十五日間と与えてみたけれども症状がなかった、そういうことで、短かい時間に大量与えれば発症するけれども、長い時間少しずつ与えたら発症はない、また、排せつしにくいのかどうかということについても、ネズミは一日に五五%排出されておる、こういうことで、さしつかえない、決して心配いりませんという答弁があったのですが、これでは国民は納得できない。私も納得できません。
 このようなデータがあるにもかかわらず、心配ないと言う。しかもネズミを例にとって、心配ないと。私の聞くところによりますと、動物によっていろいろ違う。PCBの撮取量によってその症状が違う。また人によっても違う、ましてや乳児は違う、こう思うわけですね。また、そのように聞いております。そうしますと、ネズミの実験だけで、決して心配ないという答弁は、私はけさ納得できなかったわけですが、この点はいかがお考えでしょうか。
#43
○政府委員(松下廉蔵君) 確かに先生御指摘のように、カネミ油症の場合の例といたしましては、成人で五〇〇ミリグラム、いまお話しの〇・五グラムでございますが、それから一〇〇〇ミリグラムぐらいのPCBが急速に体内に蓄積した場合に発病したというデータも私どもいただいております。それで計算上おっしゃるとおり明らかでございますが、もし赤ちゃんの体重が成人の五分の一から十分の一ということになりますと、〇・七PPMの母乳を毎日一〇〇〇CC飲むということになりますと、三カ月で六三ミリグラムという計算になるわけでございます。
 ただ、私どももそういうデータあるいは御意見も加えまして、先ほど申し上げた専門家の会議で御検討いただいたわけでございますが、まず、急性の中毒の場合と、それから長期微量の蓄積の場合とではだいぶ条件が違う、人体の防衛機能が相当程度働くということと、それから先ほどあるいは御答弁を漏らしたかもしれませんが、大阪府の公衆衛生研究所の追跡調査におきまして、二回目に九例の調査をいたしますと同時に、そのお乳を出しておりますおかあさん、それからその乳で育っております子供の非常に精密な健康診断をいたしております。母子ともに、特に赤ちゃんの場合につきましては、何ら健康異常は見られていないというデータも出ておるわけでございます。また先ほど申し上げましたように、時期によりまして母乳のPCBの汚染度というのはかなり違いがございまして、やはりこれは全体的な対策といたしまして、食品の汚染から規制していくということが必要であると同時に、また乳児というものに対する母乳の非常に特殊な栄養的効果、あるいは健康に関する効果というような、諸般の点から判断いたしまして、少なくとも現段階におきましては、この程度のPCB汚染によりまして母乳の授乳をやめるということを考える必要はないという、専門家の御意見をいただいたわけでございます。
 それは確かに御指摘のように、慢性毒性の機序が明らかになっておりませんので、絶対にだいじょうぶかという点につきましては、なお今後の研究に待つべき点もあるわけでございまして、そういった点は、先ほど申し上げましたように、今後の精密検診と並行いたしまして、できるだけ医学的な基礎的な研究を進めていただきまして、総合的な対策をとっていなければならない。その点は、いま御指摘のとおりだと考えております。
#44
○内田善利君 現段階では心配ないというふうに受けとれますが、それでは将来、人間がどの程度のPCBを摂取したら危険になるのか、また、おとなと子供はどれくらい違うのか、この点はいまお答えいただけますか。
#45
○政府委員(松下廉蔵君) いままでも、これは多少断片的なデータということになるのかもしれませんが、たとえば高知県におきまして、特に漁業者の体内の脂肪におけるPCBの調査等も行なわれておりまして、そういった場合の体内の脂肪に対するPCBの蓄積量というのは、相当多量に及んでおりまして、もし急性毒性の場合なら、カネミ油症の例から考えまして発病するのではないかと思われるような人につきましても、長期慢性の蓄積の場合には、健康診断で何ら異常はないというような報告も受けております。こういったものはなお例数が少のうございますので、もちろんそれによって結論を出すことは困難であろうと存じますが、こういった例を積み重ねまして、今後の医学的研究に待たなければならない、そのように考えております。
 それから、おとなと乳児の場合の被害の差でございますが、これは現在のところは、先ほど先生も御指摘になりましたような、やはり一般的なこういう薬物の毒性に関する常識といたしましては、LD50と申しますか、体重当たりの量で一応判断するという以外の具体的なデータは、私どもいまのところは承知いたしておりません。
#46
○内田善利君 非常にPCBが問題になってからの対策がおそいと思うのですけれども、厚生省はPCB対策の予算として、カネミライスオイル事件が起こってから、四十三年度、四十四年度、四十五年度、四十六年度、PCB対策の予算をどれだけ使ってきておられるか、お聞きしたいと思います。
#47
○政府委員(松下廉蔵君) たいへん申しわけございませんが、これは、省内いろいろな局にわたっておりまして、私は児童福祉の担当でございますので、現在手元に資料を持ちあわせておりませんが、調べました上でお答えいたしたいと思います。
#48
○内田善利君 けさのテレビですけれども、科学技術庁からお金をいただいてPCB対策を講じております、こういう発言があったのですが、厚生省としてこれでいいのかどうか。厚生省自身がPCB対策費を要求して、これに向かって、あのカネミライスオイル事件当時から積極的な対策を講じてこられたら、このようなまだデータがありませんとか、こういうことがなかったのじゃないか、このように思うわけです。どういうわけで科学技術庁からPCB対策の予算をもらってやっておられるのか、その点はどうでしょうか。
#49
○政府委員(松下廉蔵君) 先ほどちょっと申し上げましたように、PCBの対策は、これは基本的な製造・使用の規制につきましては通産省、それから環境汚染につきましては環境庁、食品行政につきましては厚生省というように、各省庁にまたがって行なうものでございまして、したがって、環境庁が中心になりまして、九省庁にわたる連絡会議を持ちまして対策を進めておるところでございます。
 経費につきましては、これは各省庁でそれぞれあとう限りの協力をいたしまして、とにかくできるだけ効率的な経費の運用をしていくということで具体的な方法といたしましては、いま御指摘のような科学技術庁で所管しておられます研究調査費、そういう点にもお願いをいたしまして行なっておるところでございますが、たとえば先ほど申し上げましたように、母乳によります乳児の健康診査、そういった対策につきましては、厚生省といたしましても、私どもの局で相当の予算を持っておるわけでございまして、PCBの総合的な対策といたしましては、各省庁がそれぞれ及ぶ限りの力を出し合って対策を講じておる、そういうふうにお考えをいただきたいと考えております。ただ母乳の問題につきましては、いま御指摘のように最近そういうデータが出まして、私どもといたしましても、本年度の対策といたしまして既定の予算等も活用いたしまして進めていくというような形になりましたことは、たいへん残念なことでございまして、今後こういった経費の面におきましてもできるだけの努力を進めてまいりたい、このように考えております。
#50
○内田善利君 私は、五島の玉之浦に黒い赤ちゃんが二人生まれた、また三人目もいま腹に入っている、このように聞いておりますけれども、カネミライスオイルの患者にこうして黒い赤ちゃんが生まれた段階で、やはりこういった調査がなされるべきじゃないか、四十五年に、たった百五十万円が油症対策費として組まれただけでしょう。そういう厚生省の姿勢では、いままでのような答弁しか返ってこないのじゃないか、このように思うわけです。国民がいま一番心配しているのは、このようにPCBによる環境汚染がひどくなって、われわれはこの世で生活できないのじゃないか、特に乳児はだいじょうぶなのかどうか、この辺一番心配しているわけですが、これに対する的確な指示が与えられないようでは、私は国民に対して申しわけない、このように思うわけですね。
 昭和二十四年には、すでに労働科学雑誌にも熊本大学の先生が警告を発しておられるし、また二十八年には、外国のPCBを使った工場で半分も労働災害が出ている。そして四十三年にはこのようなカネミライスオイル事件が起こった。こういう長年のキャリアがありながら、今日までこうしてまだまだやっておらない。いまから基準を設定する。その基準の設定にしても、一体どういう構想で、何を基準にしてその基準が設定できるのか、私もふしぎでならないのですが、何もデータがありません。そういうことでこの六月の基準を待っているわけですが、これさえも心配なわけです。
 今度、環境庁の局長さんが中心になってPCB対策推進会議が発足いたしたそうですが、一体これは何を目標に、どういうスケジュールでPCB対策を講じていかれるのか、この点お聞きしたいと思うのです。
#51
○政府委員(小澤太郎君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、まことに残念ながら十分なデータがないような状態でございます。したがいまして、まことにおくればせではございますけれども、この総合対策をきめなければならぬ。総合対策をきめると同時に、その実施をいかにするかという問題、それから、いまPCBの代替品がいろいろ考えられておりますが、これについての環境汚染が生ずるおそれもございます。その二つを調査の目標としていまやっているような次第でございます。
#52
○内田善利君 厚生省としては、現在までどのような対策を講じてこられたのか、そして今後PCB汚染に対してどういう方策を考えておられるのか、この際、詳細にお聞きしたいと思うのですが。
#53
○政府委員(松下廉蔵君) 母乳の汚染対策につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございます。
 他の、食品の汚染の防止対策等については、私直接の所管ではございませんので概略の御説明にとどめさせていただきたいと思いますが、厚生省といたしましても、各省の連絡会議ができるより早く、省内にもPCBの対策の連絡会議を設置いたしまして、環境問題を担当いたします官房の審議官を中心といたしまして、関係各課におきまして対策の検討を進めております。
 具体的には、厚生省で所管いたします事項といたしましては、一つは食品の汚染の問題でございまして、この食品の汚染と申しますか、許容基準につきましては、先生ただいま御指摘のように六月ぐらいをめどといたしまして、これも確かにいまお話のように、慢性毒性の機序が明らかにされていないというような点もございますので、一応の暫定的な基準にならざるを得ないかと存じますが、そういったものの確立を、食品衛生調査会に諮問いたしまして、急いでおるということが一つございます。それから、あと先になりましたけれども、一番急ぎましたことは、食品に含まれますPCB汚染に関します分析方法、これが従来なお確立されていなかったということで、先ほど御指摘のありました科学技術庁の特別研究促進調整費等によりまして、この環境汚染に関する分析方法の研究をいたしまして、この分析方法につきましては一応の基準を策定いたしまして、なお、各地方で衛生研究所等におきましてガスクロマトグラフィー等の施設の整備を急ぎますとともに、分析手技をはっきりさせますために、先日もそういった技術者を厚生省に招集いたしまして、この手技についても研修会を開催いたしております。そのほかに、研究項目といたしましては、環境汚染の実態、それから汚染機構の解明に関しまして、水道原水であるとか、あるいは牛乳、肉類等の汚染の実態の究明をする。それから慢性毒性につきまして、これは先ほどから申し上げておりますように、今後の対策の中心となる性格のものでございますので、二の慢性毒性に関する研究を続けていく、そのような対策を講じておるところでございます。それからなおもう一つ、廃棄物の対策といたしまして、これは基本的には通産省の御方針とされまして、今後、ごく特殊な閉鎖型の電気器具等を除いてはPCBの使用が規制されるというふうに伺っておりますが、なお、現在出回っております電気器具等の廃棄物の問題もございますので、廃棄物を所管いたしております環境衛生局といたしまして、そういった対策を通産省と御相談しながら進めていく。そういうような諸般の対策をいままでも進めてきておりますし、今後もさらに強化していくそのように考えておる次第でございます。
#54
○内田善利君 新製品に対する対策ですね、代替品も出ているわけですが、これが急性だけで、慢性毒性を調査しないまま発売されておる、こういう状況ですが、新製品に対して、実験段階から製品化されるまでの期間というのは相当期間あるわけです。そういう期間に慢性テストというようなことはできるはずですね。そういうテストをやらないで、でき上がってから、しかも発売してから、昨年の二月発売して十月、十二月に製品の安全性を言うようなことではなくて、実験段階、製品になるまでの間にそういう慢性毒性等はテストできるわけです。そういった製品の調査というようなことは、厚生省としてはやることはできないのかどうか。今後、そういった新製品に対する厳重な調査、そういうことをなすべきじゃないか、このように思いますが、この点はどうでしょう。
#55
○政府委員(松下廉蔵君) そういった問題につきましては、実はPCBの汚染、これが、従来の人体あるいは母乳の汚染という問題は、主として農薬等によります食物連鎖によります汚染という形をとっておりまして、そういった対策につきましては、私どもも、農林省とも御相談いたしまして、また毒物劇物取締法等の規定もございまして、順次対策を講じておったところでございますけれども、こういうPCBのような、食品には直接使われないものであって、そういうものが自然界の循環の中できわめて安定性が強いために、いわゆる環境連鎖によります人体汚染というような形が出てきたのは、実はPCBが初めてというかっこうでございます。
 そういった点から、先ほどからおしかりをいただいておりますような、対策の後手に回った点があろうかと存じますが、そういうようなPCBにかわるべきものがPCBの代替物として使われるという場合には、御指摘のように、よほどはっきりした対策あるいは毒性の究明が行なわれておりませんと、第二、第三の問題が起こってくるわけでございますので、この点は厚生省といたしましては、通産省とも十分御相談をいたしまして、再び同じような問題が起こらないような対策を講じていかなければならない、そのように考えておる次第でございます。
#56
○内田善利君 PCBに含まれておる毒物、PCBの酸化物としてジベンゾフランとか、あるいはジベンゾダイオキシンというようなのがいま問題になっておりますけれども、このPCBの酸化物についてはどのような考えを持っておられますか。
#57
○政府委員(松下廉蔵君) いま先生御指摘のように、PCBに混入しておるといわれておりますいわゆるポリ塩化ジベンゾフラン、あるいはポリ塩化ジベンゾジオキシン、ポリ塩化ナフタレンというような物質につきましては、これはかなり猛毒を持っておるということがいわれております。カネミ油症の原因物質が、あるいは微量にカネクロールに含まれておったこういう物質の作用ではないかというようなこともいわれておるということは、私ども承知いたしておりますが、私どもいままで伺いました限りでは、なお学問的にもそういったものの毒性、あるいはカネミ油症がはたしてこれによるものであるかどうかというような点の医学的な解明が、まだ結論が出されていないというふうに伺っておりますので、御指摘のような点は、今後の対策においても十分に考えなければならない点であろうと思いますが、まずこういった医学的な究明を急いでいただきまして、その結論を得て対策を並行して考えてまいりたい、そりように考えております。
#58
○内田善利君 時間がありませんので、あと一問だけお願いしたいと思います。通産省にお聞きしたいと思うのですけれども、福岡県でPCBを使っている工場を調査しましたら、十六工場あるわけですね。そのうち四工場がもう使っておりませんが、こういった工場で使った製品をどうしているかというと、約一年くらいでトランスやコンデンサーの中のPCBは能力が落ちて、上のほうがぱかぱかになって、ほかしている。これをどうするかということを聞きましたら、三菱モンサントあるいは鐘淵に返している。たくさんのPCBの回収品が返ってきているのですが、そういったものの処置はどのようになされておるか、お聞きしたいと思います。
#59
○政府委員(山形栄治君) PCBにつきましては、いま御指摘のとおり熱媒体等に相当数多く使われておるわけでございますけれども、これは一応耐用年数といいますか、相当の期間でこれを入れかえるということが必要であるわけでございますが、現在のやり方といたしましては、三月二十一日にわれわれ通達を出しまして、熱媒体等に使用しておりますものを切りかえる場合には、これをメーカー側と相談しながら完全に回収いたしまして、これをメーカーに、いま先生が御指摘のモンサントと鐘化でございますが、そこに持ち返りまして、そこの専焼炉で専焼するというかっこうで計画を進め、また現実に、もうすでにそういうかっこうでの動きが進んでおる次第でございます。
#60
○内田善利君 この問題についてはまた次の機会にもっと質問したいと思いますが、もう一つ、PCBを使用している製品ですね、この製品に、これはPCBを使用しているのだという表示をしなければいけないのじゃないか。表示がないとPCBが入っておるかどうかわからないし、はっきり表示しておくと、回収あるいは廃棄物の処理等も非常に便利がいいのじゃないか、このように思うのですがね。このPCB使用製品の表示については、どのように対策を講ぜられるつもりか。いまして、PCBを使用しております製品につきましては、去る三月二十一日に、回収計画を早急に出すようにということで、現在各社から通産省のほうに回収の計画が出ておりますけれども、その通達の中で、少なくとも切りかえ後の新製品については、PCBを使っております場合には、これはPCBを使っておるということを表示することを義務づけております。しかし既存の、すでにできあがったものにつきましては、管理を厳重にして、実質上表示と同じような効果をあげるようにすべきであるということでの通牒を出しておる次第でございます。
#61
○委員長(加藤シヅエ君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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