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1971/04/26 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 予算委員会第四分科会 第4号
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1971/04/26 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 予算委員会第四分科会 第4号

#1
第068回国会 予算委員会第四分科会 第4号
昭和四十七年四月二十六日(水曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     杉原 一雄君     上田  哲君
     河田 賢治君     小笠原貞子君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     宮之原貞光君     神沢  浄君
     加瀬  完君     須原 昭二君
     上田  哲君     西村 関一君
     萩原幽香子君     高山 恒雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         塩出 啓典君
    副主査         楠  正俊君
    委 員
                徳永 正利君
                中村 禎二君
                西田 信一君
                初村瀧一郎君
                神沢  浄君
                須原 昭二君
                西村 関一君
                高山 恒雄君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  塚原 俊郎君
   政府委員
       労働政務次官   中山 太郎君
       労働大臣官房長  藤繩 正勝君
       労働大臣官房会
       計課長      大坪健一郎君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  北川 俊夫君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       道正 邦彦君
       労働省職業安定
       局審議官     中原  晁君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  桑原 敬一君
       労働省職業訓練
       局長       遠藤 政夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       渡部 周治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十七年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○主査(塩出啓典君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 分科担当委員の異動について御報告いたします。
 本日、萩原幽香子君及び加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として高山恒雄君及び須原昭二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○主査(塩出啓典君) 昭和四十七年度総予算中、労働省所管を議題といたします。
 慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○主査(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#5
○須原昭二君 御存じのとおり、春闘の最大の山場がいよいよあす二十七日、二十八日、まさに交通の関係では史上空前といわれるゼネストが回避できるかどうか、これは国民的な大きな関心事であります。三公社五現業の組合の賃上げ要求については、当局側は、国鉄を除いて、公共企業体関係閣僚会議の決定に基づいて、定昇込み平均六千八百七円という有額回答をしたことは、すでに御承知のとおりです。この点は、アップ率が九・六一%ですが、これは昨年の回答額と全く同額であります。昨年の妥結額は、裁定額ですね、九千三百二十六円、一四・三五%だと思いますが、これに比べて非常に低く押えられておると言っても私は過言でないと思います。この問題について、実は公共企業体関係閣僚会議に労働大臣はお出かけになっておると思いますし、そこでまたもちろん中心的な役割りをなされておると思いますが、どのような御意見を述べられているのですか、お尋ねをいたしたいと思います。
#6
○国務大臣(塚原俊郎君) ただいま参議院で予算の御審議を願っておるような、例年と比べましてまさに異例の問題が起きていることは、御承知のとおりであります。したがって、暫定予算の間において、つまり本予算審議中に有額回答がやれるかどうかということについても実はかなり悩んだわけであります。ちょうど参議院の予算委員会で御質問もございまして、官房長官、それから大蔵大臣、私と、言うなれば統一見解的な予算が通ったものとしていわゆる当事者能力を発揮する、有額回答をやるという、従来のよき慣行を守るという発言はいたしておるのでありまするが、それに基づきましてそれをいつやるかといういろいろな御忠告やらまたお話もございましたが、結局、いま須原委員のおっしゃった月曜日の日にああいう関係閣僚会議を開いたわけであります。もちろん、三公社五現業、それぞれ自主性をもってそれぞれの企業体において円満妥結を見ることが一番望ましい姿でありまするが、現実におきましてはそうはまいりません。ああいう形をとらざるを得ないということはこれはやむを得ないと思うのでありますが、ただいま金額についての御質問でありまするが、大蔵当局とも御相談いたしまして、今日のきびしい経済情勢のもとにあって、しかもなお、私がたびたび委員会等にも申し上げました太田・池田トップ会談、つまり、当事者能力を発揮しろ、有額回答をやれと、しかし、これは民賃の動向を見てからというようなことを繰り返して申し上げておりましたその民賃というものは、全部出そろったとは申しません。しかし、鉄綱あるいは私鉄、それから造船、電機、こういうものを見ますると、これは私の政治判断でありまするが、まあ六、七割は出たものという政治判断をいたしましたのでああいう会合を開いたわけでありまするので、あの金額につきまして私はとかくの発言はいたしませんでしたけれども、大蔵当局とは十分連絡をとっております。
#7
○須原昭二君 あまり意見はそのときには述べられなかったというお話でございますが、総評系の官公労は要求額が一万七千円ですか、それから同盟系の官公の組合は二〇%の賃上げを要求しているわけですが、そういう点から見まして、それを絶対額とは私は思いませんけれども、六千八百七円の額というものは、最近の軒並みの公共料金の値上げ、物価高、いわゆる労働者の生活の内容からいって、きわめて今日生活難が追い迫ってきているわけです。そういう点から考えまして、六千八百七円という額というのは、労働者を保護するといいますか、労働者の立場に立ついわゆる労働省、労働大臣の立場として、どのように踏まれますか、この点をちょっと御意見を承っておきたいと思います。
#8
○国務大臣(塚原俊郎君) 総評系の方、同盟糸の方、それぞれ私はたびたびお目にかかって、御要望も承り、物価の値上がりその他生活の苦しさ、生活防衛というお話も承っております。先ほど申しましたように、民賃の動向を見ていわゆる有額回答をなすと。民賃というものは、鉄鋼は確かに百五十円上であった、造船は下回っておった、私鉄はまあ同じであったと。足してどうこうというわけではございませんけれども、それに見合ったものとして出す場合には、あの額が至当なものであったと私は考えておりまするが、また、生活防衛というような面から考えますると、それはまたそれぞれの考えもあるわけでありまするが、あの次元においてあの額を出したことは、私は当然の措置であろうと、このように思っております。
#9
○須原昭二君 その時期に出されたという問題を指摘しているわけではないわけです。私が言わんといたしておりますのは、九・六一%今度はアップなんだと、名目賃金は上がったんだと、しかしながら実質賃金は逆に下がっているんではないかということを私は御指摘をいたしておるんで、この六千八百七円というのは実質賃金からいって昨年度とどのぐらい差があるのか、逆に下がっているのではないかという視点をとらえて労働省としてはどういうふうに試算をされているのか、その点をお尋ねしたいのであります。
#10
○政府委員(石黒拓爾君) 六千八百七円というアップ率は、九・六一%でございます。消費者物価のほうの上昇率を見ますと、四十六年の歴年では六・一%、それから四十六年度、年度でとればもう少し下がるのじゃないか。すなわち、昨年の暮れからことしにかけましては、消費者物価がかなり落ちついた動きをしておりますので、まあ六%を少し割り込むのじゃないかというふうに考えておりますので、実質賃金という点につきましてはこの額で心配はないというふうに考えております。
#11
○須原昭二君 六%ぐらいの消費者物価、それよりも下回っているんじゃないかというような御答弁だと、私たちの試算内容からいいますと、ちょっと受け取られないわけです。一〇%ぐらいは、実際下部の末端で働いておる労働者の生活の実態から見ると、高くなっているんじゃないか。その点について、私たちは、いまの消費者物価の指数の問題については若干異議があります。この点はここで問題にしておりましても水かけ論でございますから、先へ進めます。ただ、有額回答の出し方なんですが、四十五年の春闘における政府の有額回答は、その前年度の四十四年度の公労委の裁停額を基礎としております。ここに一覧表を持ってきておりますが、さらに四十六年の春闘における政府の有額回答額は、一律に基準内賃金の五%プラス千七百円でしたか、こういう基礎の上に成っているわけです。同じように、いままでのこの二、三年の経過を踏まえてまいりますと、賃上げの目安を常に前年度の賃上げを一つ結論にされておる。こういう点で、その間におけるところの経済動向、労働者の生活の内容の動向、こうしたもの、特に先ほど申し上げておる物価高だとか、公共料金の値上げだとか、さまざまの労働者の生活の実態あるいは動向というものを考えずに、あえて低く押えて回答されているようなきらいがあるのではないかと思うわけでありますが、その点は、不況不況という宣伝が徹底をされておるその不況の風潮に便乗して、政府あるいは経営者というものが、いわゆる政治的な意図に基づいて、あまり多く初めから出すと行き着くところがたいへんなことになる。したがって、極力低く押えて有額回答したきらいがあるのではないか。こういうのは私は非常に無責任な回答ではないかと思うのですが、その点はどうお考えになっておりますか。
#12
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほども申し上げましたように、民賃の動向を見て、その民賃も出そろったわけではございません、解決がついたわけではございませんが、私の政治判断で六、七割ないし七、八割は大体の傾向というものが見られたという判断のもとに、財政当局並びに関係大臣と御相談いたしたわけでございまして、いま額について非常に低いという御批判はありまするが、また、そこに政治的な一つの何かがあったのではないかとおっしゃっていますが、そういうことは毛頭ございません。
#13
○須原昭二君 私が言っておりますのは、初めからあんまり多く出しますと、その行き着く終着駅はたいへんなことになる、だから、有額回答はきわめて低く出しておいて、そしてあちらの反応を見ると、こういうような意図があって低額を出されてきたのではないか。そういう低額回答というものが、いわゆる労働者の生存権を全く無視して出されてきた数字ではないか。それが最終なものとは私も実は思いませんけれども、何かそこら辺に意図があるのではないかと実は思うわけです。その間、迷惑をするのはやはり国民なんですよ。こういう低い、あるいはまた、ストだと、それに対抗しなければいけない、そのためには実力行使だと、こういう紛争が続いて、ごらんのように国鉄のダイヤなんか非常に乱れておりますが、こうしたことは、ひいては労使間の対立が関係のない国民の皆さんに迷惑をかける、こういう事態をいま引き起こしているわけです。したがって、こういう問題はすべてやはり政府の態度から来るところの責任ではないかと私は思うわけでありますが、その点は、労働大臣、どうお感じになっておりますか。
#14
○国務大臣(塚原俊郎君) 国民がたいへん不安に思っていることは、私も実は心配でたまりません。ことに、冒頭御質問がありましたように、いわゆる二十七、八日の問題等を変えますると、もう重大関心を持たざるを得ないと私は日夜心配をいたしておるところでございます。しかし、御承知のように、ただいま公労委、中労委でそれぞれ調停の作業が進められておりまするので、それを私は最大関心を持ってこれをいま見守っておるというのが現状でございます。
#15
○須原昭二君 ここでもう一度お尋ねをいたしますが、このたびの有額回答の理論的な根拠といいますか、積算根拠といいますか、その点についてどうはじいておられますか、六千八百七円の。
#16
○政府委員(石黒拓爾君) 積算根拠等の詳細は、各企業当局ではじいたわけでございますので、私のほうから詳細申し上げるわけにはまいりませんが、大ざっぱなところは、先ほど大臣が申し上げましたように、民賃の回答状況、なかんずく造船、鉄、私鉄の回答状況から見て、昨年の回答額と同程度の回答額というのが適当なところではないかということで、まず総額のほうを見当をつけまして、それからあと各企業体で五%の昇給原資及び予備費等の状況を見てはじいたというのが実情でございます。
#17
○須原昭二君 私鉄なんかの民賃の動向を見てとおっしゃいますけれども、いままでは、やはり民間企業の賃金のこれを先行さしていく、そういう慣例に基づいて公労委がきめていくと、こういうのがいままでの前例なんですね。しかし、民賃の動向といいましても、これはまだ第一次回答であって、その点従来と私は違っておると思うんです。そこで、今日問題になっております三公社五現業の組合が二十四日有額回答を不満として公労委に調停を申請されておりますが、きのうから非常に精力的に調停あっせんが始まっております。特にその中で、去年もそうではございましたが、国鉄だけは有額回答されておりません。したがって、この問題について、公労委の中におきましても、国鉄から回答がなければ調停ができないんだと。国鉄に回答するように勧告する考えは労働省としてはお持ちになっておりますか。頭を悩めておる問題でございます。率直に申しまして、マスコミ等も伝えておりましたが、国鉄の問題と林野の問題というものが皆さんが非常に御心配になっておった。林野はああいう形でいきましたけれども、ひとり国鉄のみがこういう形になりまして、実は一両日来関係者並びに各方面からもいろいろお話も承っておりまするし、私も、国鉄の総裁、それからけさも運輸大臣と電話の連絡をとりまして、なし得る限りのことをやるべきであるというアドバイスはいたしておきました。しかし、国鉄の実態は、先生御承知のように、一番よく台所の状態を御承知だと思いまするので、当事者間の話し合いでもちろんこれは進められるべきものだとは思いますが、私の想像ではなかなか困難な問題が伴っておるのではなかろうか。しかし、それでもなお私が運輸大臣に申し上げましたのは、出過ぎた行為かもしれませんが、諸般の事情を考慮して十分考えるようにという御連絡はいたしておきました。
#18
○須原昭二君 いま初めて労働大臣がそのような勧告といいますか要請をされたということは、非常にいいことだと思うんです。できるだけ早く出すようにさらに御努力をお願いをしたいと思います。
 そこで、いま民間賃金の動向を見きわめてという御意見があったわけですが、いままで、公労委というのは、民間賃金の動向を見きわめてあっせん調停をいたしているわけです。そういう民間賃金の動向を見きわめてから公共企業体関係の職員の賃金をきめる方針をいままでとってきたわけですが、ことしは、先ほどの鉄鋼、造船といいますか、特に鉄鋼なんかは昨年度よりアップという、何といいますか、高潮ムードといいますか、こういう情勢にあるわけで、その他目立った民間企業における賃上げというのは、まだ賃上げの経過というのがきまっておらないのが大勢ではないかと思います。とりわけ、春闘相場のいま一つの目安になってきた私鉄賃金、特にあすからの問題で焦点にあがっておりますが、中労委では、一万八千円アップの組合の要求と、先ほどおっしゃいました第一次回答六千七百円ですか、この経営者の回答との間に立って、双方とも非常にきびしい態度で立っておりますから、昨晩から実は詰めに入っておるんですが、この妥結の見通しはまだ私は立たないような感じがしてなりません。今晩夜中の十二時まで一生懸命やっておられると思うんですが、この点についてどういうお見通しを持っておられますか。
#19
○政府委員(石黒拓爾君) 私鉄につきましては、ただいま御指摘のとおり、組合側の主張と経営者側の主張というのが非常に離れております。以前ありました例では、経営者側と労働側が全然歩み寄りの努力をしないで、全部中労委でやってくださいというような形をとったこともございますが、これでは中労委は非常に困るわけでございます。したがいまして、石井会長とされましても、中労委も努力するけれども、労使とも努力してもらわなければ困るということを言っておられるように新聞で承知しております。いずれにいたしましても、今日の状況におきましては、私鉄のあっせんというものはなかなか難航であってむずかしいなあと、御苦労だなあという感じを持っております。
#20
○須原昭二君 今晩妥結ができるかどうか、その見通しは立たないですか、いま。むずかしいですか。
#21
○政府委員(石黒拓爾君) 容易ではないと存じますが、しかし、何とか妥結していただきたいということを切望いたしております。
#22
○須原昭二君 願望ですか。いまのお話は願望の域を出ないと思うんです。
 そこで、従来の公労委と中労委の慣行を見ますると、公労委が先行して三公社五現業関係の賃上げをきめる場合、消費者物価指数や生産者物価指数などを判断の材料として、さらにそれが予算上政府の意向に投影しがちなものである、そういうことになると思うんです。したがって、賃金相場に対する政府の介入を防ぐ意味からも、民間のほうを先行さしていく、そういう原則といいますか慣行に基づいていままで中労委がやってから公労委がやると、こういうのがいままでの私は慣行だと思っておるわけですが、このたびは軌を一にして一緒にからみ合いながら今晩十二時まで進行されるわけですけれども、この慣行をくずさないことが私は非常に重要だと思うんですけれども、その点は、労働大臣、どうでしょう。
#23
○国務大臣(塚原俊郎君) 年によって違う形態もあったと思いまするが、私は、やはり、民間が方向がきまって、そうしてあとがきまってくるという形がいいと思います。たまたまいま同時、まあ中労委のほうがやや早かったですかな、しかし、事情聴取その他からいよいよ最後の大詰めに入る時期においてはほぼ同じになると思いまするが、私の考えといたしましては、やはり民間賃金というものの調停が行なわれて、そうして公労委のほうという形がいいのではなかろうかと、私はそう思っておりますがね。
#24
○須原昭二君 私もそれがいいと思うんですけれども、このたびは不幸にして軌を一にして一緒になってしまって、それがともにお互いに牽制し、からみ合いつつ、今晩十二時まで進行するわけです。
 そこで、特にあす二十七日、二十八日にストライキをかまえている段階でありまして、あと十数時間しかないわけです。これは全く近年まれな異例の憂慮すべき段階にあると思うんです。こういう状態から見ますと、私たちの感じからいいますと、スト突入は不可避ではないか、そういうようなきわめて緊迫した観測を持たざるを得ないのですが、その点は労働省はどうつかんでおられますか。
#25
○政府委員(石黒拓爾君) 先ほども申し上げましたように、あっせん調停の作業は難航すると思っております。しかしながら、私どもとして、もうこれはだめなんだという観測をもちろんしているわけではございません。あくまでも最後の最後まで中労委、公労委の御尽力に期待すると、そうして解決することを切望するということで、だめであろうかとか片づくであろうという観測は目下のところいたしておりません。
#26
○須原昭二君 中労委、公労委両機関にすべてを期待をし、願望を持ち、じっとしておっては、また労働省の責務もないのではないか。この際、あと十数時間でありますが、労働大臣を先頭にこのストを回避をするためにお互いに歩み寄るような方向にそういう素地をつくる意思といいますか方法はございませんですか。
#27
○政府委員(石黒拓爾君) 労働省の立場というのは非常に微妙でございまして、労使間の具体的な紛争につきましては内容にタッチしないと、中に立つのは中労委、公労委という政府の影響力から切り離された独立の第三者機関が立つのだというたてまえになっております。政府といたしましても、もちろんなすべきことがあれば喜んでする気持ちは十二分にございますけれども、だからといって、いまの労使の紛争の中に政府が入っていくということは、これはなかなか困難であると思います。
#28
○須原昭二君 中立の立場を保っておるというような御表現でありますが、政府は、公共企業体関係労働者に対しては、私が申し上げておるように、おたくのほうはそうではないとおっしゃいますけれども、有額回答は非常に低い回答をしておる。そういう低い賃金を強要しておきながら、一方におい、ては、労働組合に対して、ストをやるな、ストは違法だと。なるほどいまの現行法から言うならば違法になりますけれども、ただ一方的に組合だけを押えるといいますか、強いことばで言うならば言辞による弾圧といいますか、そういう形がとられているような感じがしてなりません。これは明らかに私は片手落ちだと思う。したがって、使用者側あるいは経営者側に対して労働省がものを言うべき筋合いもあるんじゃないか。組合だけに言うことは片手落ちではないかと思うのですが、その点はどうですか。
#29
○国務大臣(塚原俊郎君) 法律によって禁止されている争議行為を行なうこと、これは私たちとして認めるわけにはまいりません。したがって、警告を発する私の談話も発表いたしましたのも、これは法治国家としては私は当然のことであろうと思います。だからといって、経営者側には何のおきゅうも加えない、何の注意もしないのは片手落ちではないかというお話でありまするが、私は、決してこちらをどう見て、こちらをどう見るというような、そういう態度はとっておりません。あの禁止されている争議行為、ストライキに出たために、私は労働をあずかる担当大臣としてあの談話を出したのでありまして、決して片手落ちとは思っておりません。
 なお、労働省は何をしておるかと。いま石黒労政局長が労働省の法的な立場と申しまするか、あり方、中立的な立場を述べましたけれども、私はやっぱり政治的判断というものは常に持っております。かといって、労働大臣がなし得ることというもの、これは須原委員すべて御承知のとおりでありまして、そののりを越えることは許されておりませんが、冒頭申しましたように、私も非常に心配いたしております。それだけに、重大関心を払いながらこれを見守っております。ただ手をこまねいているというわけではございません。何かお役に立てばという気持ちでおりまするが、中労委、公労委の性格から見ていま調停の最中に私がとやかく言うべき筋合いのものでは絶対にございませんので、非常な重大関心を持っておるということで御了承いただきたいと思うのであります。
#30
○須原昭二君 なかなか、労働大臣、答弁がうまいもんですが、よく考えてみると、何も中身がないんですよ。しかし、こういうせっぱ詰まって、あと十数時間しかない段階において、具体的にやはり労働大臣としても何らか経営者側にも――組合には言われておりますけれども、経営者側にもものを言う、少なくとも労働者というものの総合をするお役所なんですから、したがって、経営者にも公然とものを言う、そういうぼくは姿勢があってもいいのじゃないかと思うんです。特に数字をどうしなさいとか、額を上げなさいとかなんとかいうことじゃなくても私はいいと思うんです。もう少し経営者も胸襟を開いて労働者と話し合う、そういうことだけでも私はいいと思うんです。公に労働大臣みずからが経営者側に要請をする、そういうことだけでも大きな世論の背景をつくり上げ、経営者にも反省があれば反省を促すところの要諦になると思う。その点はどうでしょう。
#31
○国務大臣(塚原俊郎君) 調停の段階である、それからのりを越えることはできない、しかし重大関心を払っておるということは、拱手傍観しているというわけではございませんので、その点は十分勘のいい須原先生には御了承いただけると思うのですが、私としてなし得る限界というもの、また、いま大事な調停の最中にどうこうすべきものでないことは、これもおわかりいただけると思うのですが、とにかく非常に心配いたしまして、なし得ることは何でもやろうということに考えは固まっておりますから……。
#32
○須原昭二君 いや、よくわかるようですけれどもね、その気持は。調停をやっている段階だから手が入れられないんだと、こうおっしゃいますけれども、あと十二時間ちょっとたちますとストへ入っちゃうんですよ。入ってしまってはしまいなんですよ。ですから、中労委、公労委がからみ合いつつ、お互いに牽制しながら、お互いににらみ合いながらいま進行しているわけですね。それだけに異例な事態ですからね。私は、ことによると、ちょっとしたはずみで、二十七日、二十八日の空前のストライキに入っていってしまうと思う。入っていってしまってはしまいなんですよ。ですから、私は、調停をやっていることはこれは尊重しなければいけないと思う。しかしながら、お役所が、調停は両機関がやっているから、われわれはものを言うわけにはまいらないということで、まあ重大な関心を持っているという労働大臣の御解明でありますが、ここにお見えになります社労の皆さんも議員の皆さんもみんな重大な関心を持っているわけです。ただ、みんなが黙っているだけでは、私は問題の解決にならないと思う。ですから、この際、あと十二時間余りでありますから、この中で労働省がやるべき仕事、やらなければならない仕事、いろいろあると思うんです。その具体的なやつを一つ一つ検討して、ほんとうに全知全能を傾けてこの十二時間というものを私たちは対処しなければならないんじゃないか。調停が不調になった十二時の段階で時間切れだという事態が一番おそろしいと思うわけですが、そういう点について私は具体的にもう少し進んだ労働大臣の御答弁があってもしかるべきではないかと思うのですが、どうでしょう。
#33
○国務大臣(塚原俊郎君) 御意見はありがたく拝聴いたしました。ただし、それに伴ってそれではどういう政治的なアクション、それから役所的なアクションを起こすかということは、この場で私は申し上げることはできません。決して、繰り返すようでありまするが、黙って労働省はこれだけしかやれないんだというような投げやり的な無責任な態度をとろうといたしておるものではありませんから、どうぞその点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。須原委員のおっしゃることはよくわかりまするし、皆さん方が社労の皆さんもそれから国民の皆さんも全部が非常に心配されておることも私はよく承知いたしておりまするから、ただ、それに基づいて、じゃこういうアクションを起こすんだ、こういうことをやるんだということをいま申し述べるときではないと私は思っておりまするが、決してこれを、何と申しまするか、責任のがれをしておるとか、そういう問題ではございません。繰り返すようでありまするが、重大関心を払っておるというそのことばの中にはあらゆるものが含まれているということを御理解いただきたいと思います。
#34
○須原昭二君 いや、実に、ことばだけ聞いておると、まだ私が労働大臣を信頼していないからそういうふうに感ずるかもわかりませんけれども、信頼をして、あと十数時間ひとつ全力をあげていただきたいと思う。これは労働組合だけを押えるんじゃなくて、経営者ともにやはり歩み寄るような行政的ないろいろな働きかけをしていただきたい、こういうふうに要望しておきます。
 それから時間があと五、六分だそうでありますから、若干お尋ねをいたしておきたいと思います。きょうは一時間半ぐらいもらえると思っておりましたら、四十分しかもらえぬものですから、当初、労働災害の問題点をずっと系統的にお尋ねしようと思っておったんですが時間がございません。したがって、一つだけお尋ねをいたしておきたいと思います。というのは、いま労働災害の中で非常に世論になってきておりますのが、現行の労災保険法、これは通勤は一般的には事業主の管理下にないという見解で、いわゆる通勤途上の災害を労働災害とみなされない、こういうことに現行法はなっているわけです。実は、ILO百二十一号条約ですか、これによりますと、わが国はまだ批准をしておりませんが、通勤途上の災害も労災保険などの給付対象にすることになっているわけです。一刻も早くこれはILOの百二十一号条約を批准していただきたいと思っておりますが、この問題について、労働省では、四十五年でしたか、通勤災害を労災保険の対象にするかいなか、この課題をめぐって調査会をつくって検討中だというふうに聞いておりますが、そうですね。
#35
○政府委員(渡邊健二君) 先生お述べになりましたように、四十五年以来、通勤途上災害調査会というものをつくりまして、ただいま鋭意検討を願っておるところでございます。
#36
○須原昭二君 その調査会の構成はどうなっているんですか。
#37
○政府委員(渡邊健二君) 調査会の構成は、関係している審議会に中央多働基準審議会と労災保険審議会と二つございます。この両方の審議会から労・使・公益二・二・二ずつ出しておりますが、合わせて十二名、それに公益の方をさらに四名加えておりまして、十六名で構成をいたしております。
#38
○須原昭二君 その調査会の運営といいますか、調査といいますか、その進行状況はどうなっていますか。
#39
○政府委員(渡邊健二君) 初めいろいろな外国の状況その他を調査されまして、昨年の四月に中間報告を出されておりますが、その後具体的にこの問題をどう処理するかということで中身の詰めに入っておられまして、現在までのところでは、通勤途上災害に対する現行法上の保護、まあこれは大部分の場合は労災保険が適用になりませんで、健康保険等の保護になるわけですが、それでは現在の通勤事情とかそれに伴う交通災害等々の事情から考えて十分でないので、さらにそれ以上の保護を何らかの措置をする必要があるという点につきましては、労・使・公益の委員の意見が大体一致されておると思いますが、その給付の水準をどうするか、あるいはその費用の負担をどうするか等々の問題につきましては、なお労使の委員の中に意見の不一致がございますので、現在公益委員が中に入られまして労使双方の委員の意見の調整に鋭意努力しておられる、こういうのが現在の段階の状況でございます。
#40
○須原昭二君 内容として問題点は、やはり、通勤途上における自宅と事業所との直接往復だけに認めるのか、あるいは寄り道を認めるのかとかいう問題ですね。あるいはまた、労災保険の制度が全般的にどのような影響を受けるか。いまお話しのように、財政的な問題、事務量の問題等、こうしたものの事務的な問題点があると思うんですね。しかし、いまお話を聞くと、大要、その調査会の動向というか、進行状況は、通勤途上の災害を労災保険の適用の中に入れると、こういう考え方で進んでおると見ていいですか。
#41
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険の仕組みを利用してやるかどうかという点も、いま、問題の詰めの非常に大きな柱の一つになっておりますので、現在まだそれが調査会としてまとまった段階になっておりませんので、確実にそうであるということを申し上げるあれにはございませんが、そういうことも一つの重要ないま検討されている問題点になっているということは事実でございます。
 なお、先生御指摘になりました通勤途上というものの定義、範囲であるとか、あるいはその費用の負担等の問題これは先ほども申しましたように、いま詰めの段階に入りまして、それらの点、当然、その中で非常に真剣な討議がされておるわけでございます。
#42
○須原昭二君 大体労災の対象にする方向のように私たちは感じます。そこで、労働大臣、この通勤途上の災害の問題について、労災の対象にする意向を持っておられますか、この点についての労働大臣の所見を承っておきたい。
#43
○国務大臣(塚原俊郎君) いま、審議会で御審議願っていることは、労働基準局長が申し上げたとおりであります。現在、管理下にある者はもちろん対象になるわけでありまするが、しかし、最近の交通事情その他から考えまして、かなり私はこの問題は前向きに取り組まなきゃならぬと思っております。ですから、審議会の答申もそう遠くないと思いますし、出次第、あるいは立法措置をとらなきゃならぬかと。いまのような問題もこれに付随して出てくる問題でありまするから、この問題はいま各方面からも非常に要望されておりまするので、それこそ前向きに取り組みたいと思っております。
#44
○須原昭二君 いま前向きな御答弁があったわけで、大体、通勤途上の災害というものについて労働災害とみなすと、そういう方向に労働大臣が考え、そうして前向きに対処するというふうに解釈してもいいですね。
 そこで、時間がきたようでありますから、守りたいと思います。最後に申し上げておきますが、現在、ILO条約は亘二十四条約あると思います。そのうち、わが国が批准しているのはわずか二十六条約。ILOに加盟している国の数は百二十一国ですね。二十六という数字は、ILOに加盟している百二十一国の中で何番目ですか。
#45
○政府委員(藤繩正勝君) ただいま先生がお述べになりました数字は最近では若干進んでおりまして、ILOでこれまで採択された条約の数は百三十六でございまして、わが国は去年実は三つ批准しておりますので、二十九の条約を批准しております。ILOの加盟国は現在百二十一でございますので、そのうち、数からいいますと、五十七番目に当たっておる、かような状態でございます。
#46
○須原昭二君 五十七番目ですけれども、GNPが世界で第二番目、そういう日本の実態からいって、五十七番目という現状に甘んじているというのは、われわれとしては心さびしい次第なんです。ですから、労働大臣、百二十一国の中で五十七番目、GNPが世界で第二番目、この対比から考えてまさにお粗末だと言わざるを得ないのですが、この点はどうお考えになっておられますか。
#47
○政府委員(藤繩正勝君) ただいま順位としては五十七番目と申し上げましたが、おもな国の批准数を申し上げますと、フランスが多うございまして八十二でございますが、西ドイツ四十二、ソ連四十、イギリス六十五、カナダ二十四、アメリカ七でございまして、まあさような状態になっておるわけでございます。しかしながら、いずれにしましても、さらに私どもとしては可能な限り条約を批准すべきだということで、昨年も実は三つやったわけでございまして、今後ともその努力を続けたいと考えております。
#48
○須原昭二君 いずれにしても、あまりにもお粗末だと思うんですよ、数字から見て。あまりにもお粗末ですよ。これだけ経済大国になった日本ですから、したがって、当然上位にランクされなきゃならない。そういう点から見て、日本の労働行政というのは非常におくれておる、こう言わざるを得ないと思います。
 先ほどの通勤途上災害についても、これは百二十一号条約でありますが、労働大臣、調査会の結論がいつ出てくるかわかりませんけれども、これは出てきたらすぐ批准されますか。
#49
○国務大臣(塚原俊郎君) それは御趣旨に沿えると思います。
 それからなお、非常な経済大国でありながらILO関係では云々というお話がございましたけれども、実は、昨日衆議院で安全衛生法が通りまするときに、これはやがて参議院でもまた御審議を願うと思っておりまするが、百十九号につきましてもいろいろ問題になりまして、この問題にも前向きに対処する考えを申し上げておきました。
#50
○須原昭二君 最後ですが、いずれにしても、われわれ何と言っても重大関心を持っている、労働大臣も重大関心を持っておられるこの夜の十二時まで、これはまあ幸いにしてきょうは委員長の計らいで早く審議が終わるわけですよ。したがって国会のほうはお昼からは若干ひまが出てきますから、直ちに労働省へお帰りになりまして、この問題については専念ひとつがんばっていただくようにお願いしたいと思います。
  〔主査退席、初村瀧一郎君着席〕
#51
○塩出啓典君 それでは、きょうは、染料の原料でありますベンジジンに伴う職業病の問題について質問したいと思います。
 昨年の十月十三日、日本化薬の王子染料工場、住友化学工業の大阪製造所、三菱化成工業の北九州黒崎工場、それから三井東圧化学の大牟田工業所と、これはベンジジンを製造している四つの大きなメーカーでございますが、これが昨年十二月末で製造を中止すると、そしてまた、ベンジジン系の染料の製造も今年の三月までに中止すると、そういうことを発表していることを新聞で拝見したわけでございますが、そういう中止になったいきさつ、そしてまたほんとうにそのとおり中止になっているかどうか、その後の状況をお知らせいただきたい。
#52
○政府委員(渡邊健二君) ベンジジンがきわめて有害でございますことは御承知のとおりでございまして、労働省といたしましては、ベンジジンによる障害を予防いたしますために、三十一年以来、設備改善や健康管理の徹底を中心として強力に行政指導を進めておりまして、現在では、完全密閉で生産をさせ、それから障害予防対策といたしましても、特定化学物質等障害予防規則等々でいろいろな予防措置を義務づけて、鋭意その障害の予防に当たっておるところでございます。しかしながら、昨年三月ごろ、ベンジジン等を製造しております西ドイツのバイエル社、これは世界でも最先進的な化学工業会社でございますが、そこでもいろいろな予防措置をとってもベンジジンについては労働者を完全にその障害から予防することがむずかしいというようなこともありまして、ベンジジンの製造の中止を行なったというような事情もございましたので、労働省といたしましては、ベンジジン・メーカーに対しまして昨年夏以来その生産中止を要請をいたしておったところでございます。その結果、代替品等もだんだん開発されてまいりましたので、先生ただいまお述べになりましたように、三社はすでにベンジジンの生産を中止し、日本でもう一社生産をしておるのがございますが、これも六月までには生産中止を自主的に行なうことと相なっておるわけでございます。
 なお、今回国会に御提案し、御審議を願っております労働安全衛生法案では、ベンジジン及びベンジジンを含有する製剤につきまして、製造、輸入、使用等の禁止を規定いたしておるところでございます。
#53
○塩出啓典君 そこで、三菱化成の黒崎工場におきまして、これはたしか去年ぐらいだったと思うのですけれども、実はここは昭和十一年からつくっているんですね。十一年といえば私が生まれて間もないころですから、だいぶもう三十年以上、三十五年もつくっているわけです。ところが、昭和二十六年十月に初めて膀胱ガン患者が発生して、現在までこの工場だけで膀胱ガンということで労災保険の適用を受けた患者が六十一人、うち七人が死んでおる、そういうことを私は聞いたわけでございますが、このことは事実でございますか。間違いありませんか、これは。
#54
○政府委員(渡邊健二君) 大体先生のおっしゃるとおりでございますが、私どもの資料によりますと、三菱化成の黒崎工場では、現在までベンジジンによって労災の補償を受けた者が六十二名、そのうちなくなられた方は八名に相なっております。
#55
○塩出啓典君 だから、これはあと一名ふえちゃったわけですね。そこで、ベンジジンが発ガン物質であるということは、かなり以前からいわれているわけですね。そうして、昭和二十六年にそういう膀胱ガンの患者が発生している。これは三菱化成黒崎工場だけですから、数で言えば七人、あるいは六十二人かもしれませんけれども、その家族あるいはまたなくなった遺族にとっては、これはたいへんな問題だと思うんですね。ところが、工場や福岡労働基準監督局は、ともにこの事実をひた隠しにしてきたと、そういうように、これは新聞の報道ですけれども、そのようなことが書かれております。このことはどうなんですか。
#56
○政府委員(渡邊健二君) これはそういうベンジジン等を含めまして業務上の疾病があれば労災から補償がされますし、労災から補償いたしましたものに対しまして外に対して隠すとかということは全然ございません。これはもう私ども全体に通じてそういうような指導はとっておらないわけでございます。
#57
○塩出啓典君 どうも、その答弁ははなはだ私は納得しません。
 労働大臣にお伺いしますが、そういうベンジジンによってガンになれば、労災保険を適用すればいいんだと。それはそのとおりですよ、実際はね。しかし、そういうことが起こらないようにしていくことが根本であって、そのような膀胱ガンの患者が発生するならば、やはりそういう因果関係を究明をして、そうしてそれに対する適切な処置をとらなければいけないと思うんですよ。そういう点はどうですか、労働大臣。
#58
○国務大臣(塚原俊郎君) 発ガン性の物質、まあいまベンジジンのお話が出ておりましたけれども、これはやや後手に回った感じがあるという御指摘、私もそのとおりだと思うのです。気がついたのがおそかったといえばそれまでかもしれませんけれども、少しおくれても気がついてこれに対して万全の策をとるということがやはり一番大事なことでありまするので、おそきに失したというおしかりは受けるかもしれませんが、今後万全の措置をとりつつこういったものの絶滅を期すると同時に、こういったものでまたガンその他病気になられた方に対する措置も十分な対策をとらなければならないと、このように考えております。
#59
○塩出啓典君 いま、労働基準局長は、隠していないと言われましたけれども、それは隠していないかもしれませんけれども、これがこのように今度の労働安全衛生法の中にもなったということは、それだけ世論というものが起こって、それで労働省も本気になったのじゃないですか。実際にわれわれも新聞で知ったわけですよ。けれども、労働省は、こういうベンジジンを使う工場においてそのような患者が発生をしておるということは、これはもうちゃんと前から知っておったわけでしょう。それはいつから知っておったのですか、そのことは。
#60
○政府委員(渡邊健二君) 私どもがそういうベンジジンの発ガン性等を承知しましたのは、三十年ごろからでございます。そこで、私どもといたしましては、三十一年以来、設備改善とか健康管理ということを徹底させるように極力指導をしてまいったわけでございまして、したがって、完全密閉で生産をさせて労働者がそれに暴露しないようにすればそういう障害が起きないのではないか、こういうことで完全密閉による生産方式というような、またそれに伴う健康管理というようなものを中心に指導をしてまいったわけでございます。それを守らせるようにという努力をしておったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、世界で最も進んでいるといわれるドイツのバイエル社などで完全密閉方式をやってみましてもなお漏れる、また、少しでも漏れると、これは許容限度がない、こういう非常に毒性の強いものである等々のことが海外の事情その他からわかりましたので、今回の労働安全衛生法によって製造及び使用の禁止に踏み切ったわけでございます。
#61
○塩出啓典君 そういう行政指導を三十一年からいろいろやっておられるわけですよね。これはこういう通達を出したというのを全部読ましていただきました。しかし、結局、それじゃだめだったわけでしょう。確かにそれはもう完全に密閉して吸わなきゃいいにきまっていますよ。けれども、人間は神様じゃないですからね。そのあたり、一つの通達を出すならば、ほんとうに守られる通達でなければならないし、また、その通達が守られているかどうかということをほんとうにチェックしなければ何にもならないと思うんですよ。そういう点で、これは済んだことを言ってもしかたがありませんけれども、まことに労働省の処置は怠慢と言わざるを得ない、三十一年から知っておったんですから。それであるならば、もっとふだんから真剣に調査をしておれば、何も西ドイツのバイエル社がやったからといってまねをしなくても、労働省は日本の労働者の労働省なんですから。バイエル社がやろうがやるまいが、どうあろうとも、現実に日本にこれだけの被害が出ておるならば、二十六年から出ているのですから、バイエル社がやらなければ日本がやっていけないということはないでしょう。そういう点で、私は、まことに手ぬるいというか、この問題を軽率に扱ってき過ぎたそのよう思うわけですが、労働大臣は反省をしているかどうか、もう一回……。
#62
○国務大臣(塚原俊郎君) 三十一年からでしたかこのことを察知いたしまして、それぞれの対応策を講じ、また、それぞれの適切なる指示をしておったことは、これは事実でありまするが、これが守られていないために、いま御批判のような問題ができまして、私は先ほどおそきに失したうらみがあるがということは、やはり考え直さなければならぬ面もたくさんあると。決してほかの国のあれをどうこう言うわけではございませんが、わが国においては、やはり、労働者を保護する、ことにこういう職業病、発ガン性のものについてはなおさらのこと念には念を入れた対策をとらなければならないと、このように考えております。
#63
○塩出啓典君 それで、このベンジジンというのは、潜伏期間が長いそうですね。資料を見ますと、大体平均して十八年だと。長いやつは三十年以上たってあらわれてくるというわけですね。そういうわけで、実際に工場で働いている人がそれを吸ったからといって、あしたあさってぐあいが悪いわけではないわけですよ。一月や二月、あるいは一年や二年吸っても、そのときにはあらわれないで、あとから出てくるんです。そういうわけでしょう。ところが、どうなんですか、いまだにそういう四社の中の一社は生産を続けているわけでしょう。また、その四社のほかには、もっと小規模のベンジジンを使っている工場、そういうのもやっぱりあるわけでしょう。そういうところは、どうなんですか、労働安全衛生法が通るまで、今国会はだいぶいろいろおくれているようですけれども、そのときまでやっぱり待つんですか。どうなんですか、その点は。
#64
○政府委員(渡邊健二君) 先生御指摘のように、それがガンとしてあらわれますのに長時間を要しますために、なかなかそれの有害性というものがわかるのがおそかったという点は、おっしゃるとおりでございまして、しかし、われわれ、その有害性が非常にきついということがわかりましたので、法律が通るまでもなく、昨年以来、関係の企業には生産を自主的に中止するように勧告をしておるわけでございます。そういうことに基づきまして、三社はすでに中止をいたしましたし、残る一社についても六月には自主的に中止する旨を表明いたしておるところでございまして、私ども、法律に基づく権限がございませんでも、放置しておるわけではございませんで、そういう障害が起きないように極力指導をいたしておるところでございます。
#65
○塩出啓典君 それはもう前に聞いたわけですよ。私がいま聞いたのは、そういう原料として使っているい老ける染料製造工場が全国に二十社あると。過去に使用していた工場が五社あると。さらに、小規模な零細工場というものは、これは数もわからない。完全密閉といっても、大きな会社はまだいいですよ。けれども、小さい会社になればなるほど条件が悪いわけだから、あるいは、みんな病気になっても、退職してからずっとあとに出てくるのですから、まさかその勤めたときのベンジジンとは気がつかない、そういう人もいるかもしれない。そういうことを私は心配しているんですよ。だから、あとのそういうもろもろの四社以外はどうなんですか。また、四社にしたって、人を病気にするようなそういう工場を法律がないからといってまだ続けているなんていうのは、私は企業のモラルとしてとんでもないと思うんですよ。それはそれこそ過失致死罪ですよ、そんなのは。どうなんですかね、労働大臣、法律がないからといって、私に言わせるならばこれは殺人的行為と言わざるを得ないと思うんですね、そういうことをほんとうに許しておいていいものですか。それは、労働大臣なりあるいは通産大臣なり、そういうことはもう少し国家権力を発動して従業員の福祉のために私はきちっとしてもらいたいと思うんですよ。
#66
○政府委員(渡邊健二君) 現在ベンジジンを使用しておる他の会社等々につきましても、特定化学物質等障害予防規則という規則を適用いたしまして、そういう場合には、先ほど申し上げましたような設備の密閉、あるいはそのほかのいろいろな予防措置、あるいは健康管理等々を義務づけておるわけでございまして、禁止の法律が発効するまでの間も極力その特定化学物質等予防規則を厳格に守らせまして、そういう障害が生じないよう厳重に監督指導をしてまいりたい、かように考えております。
 なお、先生御指摘の、何年もたってそういう障害があらわれるではないか、こういう点、われわれも存じております。そこで、今回御審議をいただいております労働安全一衛生法におきましては、そういう方々には健康管理手帳いうものをお渡しいたしまして、その職場を離れられたあとでも、その企業から離れられたあとでも、国が責任を持ってその方々の健康診断等をして差し上げる、こういう制度を今回の労働安全衛生法では規定いたしておるところでございます。
#67
○塩出啓典君 労働大臣……。
#68
○国務大臣(塚原俊郎君) ベンジジンに例をとりますると、潜伏期間が十八年、大体こういうものに気がついたのがこの数年じゃなかろうかと私は思うんですよ。たとえば一昨年の秋御審議願った公害関係の法律も、まあ公害ということばが出たのもそう遠いことではなかった。端的に言って、知らぬ間に汚染されておった。事実、あの当時、私は外国に行っておりましたが、ポリューションというのが大きな見出しになっておって、なるほど公害はポリューションと言うのかということに気がついたくらい私もうかつだったわけでありまするが、これは率直なことを申し上げまするが、したがって、職業病といわれまた発ガン性のものを労働省としては三十年からそれぞれの対応策は講じておりましたけれども、やはりそこに手抜かりがあったというか、ミスがあったというか、労働省ではこういう強い通達を出していながら守られていなかった面もあるのじゃなかろうか。ですから、おそきには失したけれども、いまの手帳も一つであります。こういうふうにして、こういうことでお困りになっている方々に対してはできるだけ救済の措置も講じ、今後こういうものの発生を見ないような万全の措置をとることが必要である。今度の労働安全衛生法も、御批判はあるといたしましても、私は非常な前進であろう。なお、それに満足せず、今後あらゆる対応策を講じていきたい。この国会もむしろこういう問題が非常に大きな話題になった国会だと私も承知いたしております。
#69
○塩出啓典君 それで、この際ちょっと労働大臣に考えをお聞きしておきたいと思うのでございますが、労働基準法の百四条に、「(監督機関に対する申告)」「事業場に、この法律又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。」と、こういう条項があるわけですね。ところが、最近、企業において企業秘密ということでこういうものをのけようというような、もっと緩和しろという動きもある。また、きのうもNHKのテレビを見ておりますと、今度の刑法の改正の中においては、企業秘密というものを漏らした者は罰すると、これは企業者側の要望か知りませんけれども、そういうようなことがあるようでございますが、国会でもやはり秘密ということにおいて問題になりましたように、もちろん企業が競争のために秘密を守ることは大事かもしれぬけれども、法令に違反し国民の健康を害するようなそういう公共の福祉の面から考えるならば、企業秘密よりも公共の福祉、人命の尊重が優先をする。そういう点で、そういう人命に関するものに対する企業秘密なんというものは認めるべきではない。むしろ、企業者がそういうことを秘密にして、人体に悪影響を及ぼすような労働基準法違反行為をしたり、あるいはまた、公害を出す、そのほうをきびしく律する、その方面を処罰する、そういう方向に行かなければならない。そういう点で、この労働基準法の第百四条においては絶対に退歩してはならぬと、私はそう思うのですが、労働大臣の考えをお聞きしておきたい。
#70
○政府委員(渡邊健二君) われわれも、人命に関係するようなものについて秘密で隠すということがあってはならないと感じておるところでございまして、いままでも設備の設置届け出制度がございましたけれども、今回の労働安全衛生法でも、新しい設備を設ける場合、新しい工事等を行なう場合には、行政官庁に届け出をさせることになっておりまして、行政官庁では、その届け出の結果、もちろん現行の規制のいろいろな法令にそれが該当する場合には、それが守られているかどうか、申告を待つまでもなく監督をいたしますけれども、申告がございますれば、百四条によりまして優先して申告されたものについては監督を実施し、違反の事実が発見されますならば厳格にその是正措置をとっておるところでございます。今後とも、そういう問題につきましては、厳格な態度で私ども臨んでいく所存でおるわけでございます。
#71
○塩出啓典君 では、結局、私の言ったそういう方向に対しては、労働大臣も異存はないと、そう判断していいわけですね。
#72
○国務大臣(塚原俊郎君) そのとおりであります。
#73
○塩出啓典君 そこで、今後の対策はひとつよろしくお願いしたいと思うのです。法律ができたからそれでいいというものでなくして、あと運用が大事ですから、定員も非常に削減されてまことにたいへんだとは思いますけれども、その点はよろしくお願いしたいと思うのです。
 あとは、いままでのそういうベンジジンを製造する工場、あるいはそれを使って染料をつくる工場、あるいはまた、その染料を使う工場にもガンが発生しているというデータも出ておりますし、そういう工場の労働者、またすでに退職した人もいる、あるいはまた、小規模零細企業等において倒産をしてほかに行っている人もいると思うのですけれども、そういう点の掌握ですね、これは大体どの程度できておるのか、何名ぐらいおるのかですね。
#74
○政府委員(渡邊健二君) 従来は、ベンジジンを原料といたしましても染料になりますとそればもう有害性がなくなるんだと、こういうようにいわれ、われわれもそういうふうに承知いたしておったのでございますが、四十五年の春の泌尿器科学会におきまして、染料も場合によると障害を起こすことがあるというような発表もございましたので、労働省といたしましては、四十六年に、それらの点につきまして、染色作業労働者の膀胱ガン発生等に関する研究のための調査研究班、これは慶大の教授外五名に委嘱いたしまして、それらの点に関する研究を依頼いたしておるところでございます。まだ最終的なその研究報告はいただいておりませんが、近く報告を受けることになっておりますが、漏れ聞いておるところによりますと、そういう染料も口を経て経口でとると有害であるというようなことがいわれておるようでございます。
 なお、いままでのそれらの方々に対する調査研究班による特殊健康診断の結果では、異常所見者は発見されておらないということでございますが、いずれにいたしましても、この問題はきわめて重要でございますので、十分な検討を重ねてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#75
○塩出啓典君 では、結局、そういう追跡調査というものはやっているわけですね。今後もそれをやると、さらに。そうして、たとえ現在退職をしておっても、あるいは仕事をやめておっても、やはり原因がその工場に勤めているときであるということであるならば、これは全部労災保険で救済をすると、そう判断していいわけですね。
#76
○政府委員(渡邊健二君) 業務に基因した疾病でございますならば、たとえそれが退職後でございましても、これは業務上の災害になるわけでございまして、労災保険に加入しておる企業につきましては、当然労災保険から補償がなされるわけでございます。
#77
○塩出啓典君 ところが、これは昭和十一年からやっておるわけですからね、生産を。そうすると、労働者災害補償保険法あるいは労働基準法は二十二年からですね、結局。そうすると、その以前、この種の危険な業務に従事しておった人は、その救済はどうなりますか。企業がやるのですか、これは。
#78
○政府委員(渡邊健二君) それらの方々が昭和十一年ごろから従事されておったといたしましても、労働基準法及び労災保険法の施行後まで在職しておられた、そしておやめになってから発病されたという場合には、労災保険、基準法の適用になるわけでございます。ただ、昭和二十二年の九月、すなわち労災保険法、基準法の施行前にすでにそういう職場を離れてしまっておられる、退職してしまっておられるということになりますと、これは基準法、労災保険法の適用がないわけでございますが、われわれ、そういう場合には、そういう企業がなお当時就職しておられた企業があります場合には、それらの企業に、法律的には補償の義務があるなしは別にいたしまして、強力に指導をいたしまして、しかるべき補償をさせますよう指導しておるところでございます。
#79
○塩出啓典君 労働大臣、労働基準局長の答弁でよろしいですね。
#80
○国務大臣(塚原俊郎君) 二十二年九月以降までお勤めになった方はもちろんそうでありまするが、その前の方はまことに残念でありまするが、その法の適用を受けないと、それではあまりにも片手落ちだという御質問の趣旨だと思います。したがって、企業が全然なくなってわからないものは、これはやむを得ませんけれども、その当時従事しておった会社、企業というものがありますれば、行政指導でその会社に十分の措置をとるよう、これは労働省としてやらなければならないことであると思います。結論においては、渡邊局長と同じであります。
#81
○塩出啓典君 ひとつ、その点、今後とも被害者の救済にも万全の処置をとっていただいて、企業がない場合でも、これはある面から言えばそういう使用を許したという大きな面で言えば国の責任でもあるわけですから、そういう点、ひとつ、万全の処置をとっていただきたい、そのことを要望したいと思います。
 それからもう時間がありませんから、あと二、三お聞きしておきたいのですが、老人雇用の問題でございます。お年寄りの今後生きがいという問題、やっぱり物質的な点ではなくて、どんどん寿命が伸びてきますと、生きがいというものが大事だと思うのですね。そういう点で、やはりお年寄りに自分の好む仕事を与えていくということもこれは非常に大事じゃないかと思うのです。労働省もそれぞれ施策をやっていただいているわけでございますが、先般予算委員会の質問のときに、労働省から、定年退職をしてやめた人の七五%はまた働くと。サラリーマンとして勤める。一二%が会社経営とか個人経営をやると。一三%が大体無職だと。そのうち八割は仕事がしたくても仕事がなくて働けないのだと。これは一三%の八割ですから、サラリーマンの定年退職した一割は働きたくても仕事がないという数になると思うのです。これは私どもの定年退職をしたときの時点の調査ですから、たとえば、六十歳のお年寄り、あるいは六十五歳のお年寄りと、そういう段階での調査であるならば、定年退職して勤めたけれどもどうも自分のカラーに合わなくてやめた人もいるんじゃないかと思うのです。そういう点で、六十五歳あるいは六十歳、そういう定年退職後何年かたった段階においてはやっぱり仕事をしたくても仕事がない人はもっと多いのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。
#82
○政府委員(道正邦彦君) 先生御指摘のとおり、高齢者の方々は長年職業生活を経ておられまして、いろいろ貴重な経験もお持ちでございます。また、一般的な寿命も延びておりますので、いままでと違いまして、年を取られましても働く必要がある方も多くなってきておることは、御指摘のとおりでございます。そういうことで、労働省といたしましては、先般、中高年齢者の雇用促進法が成立いたしまして、それに基づきまして各般の施策を進めておるわけでございますが、中高年齢者の中でも高年齢者につきましては就職が一段と困難でございます。そういう点につきましては、安定所におきまして、高齢者のコーナーを設置するとか、あるいは中高年齢者に適した職場の適職の研究開発等を進めております。さらに、中高年齢者に適している職種につきまして雇用率を設定いたしまして雇用の促進をはかる等々、各般の施策を講じておるわけでございます。しかしながら、今後におきましてもますます中高年齢者のウエートは高まってまいりまするし、いまの従来の施策だけでいいのかどうか問題もあろうかと思いますので、今後の雇用政策の非常に大きな問題の一つとして検討を続け、一人でも多くの方々に生きがいを持って働いていただくように努力をしてまいりたいと思います。
#83
○塩出啓典君 それで、いまお話がありましたように、お年寄りの雇用問題は、これから若年労働者の数も減ってきますし、そういう点で今後の大きな問題でないかと思うのでございますが、そこで、労働大臣に私はお伺いしたいのでございますが、身体障害者の場合は、身体障害者雇用促進法というのがございまして、その職種によって何%は身体障害者を雇うというそういう法律がございますが、お年寄りの場合も、老人雇用促進法という法律をつくって、たとえば、たばこ屋さんとか、あるいはエレベーターガールとか、まあエレベーターガールでも、デパートのエレベーターガールは客寄せに必要かもしれませんけれども、国会のエレベーターガールなんかは別に客寄せしなくても来るのですから、たとえば一つの案としてそういうお年寄りのできる仕事、そういうのをお年寄りに優先的に仕事を与える。そういう点で、私は、老人雇用促進法を制定すべきではないか、そのように思うわけですが、そういう考えはあるかないか。
#84
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほど局長が申し上げましたように、中高年、特に高年の労働力というもの、これがいま大きな社会問題であり、政治問題だと私は思っております。昨年御審議を願った中高年雇用促進特別措置法でありまするか、これもいまその実施されましたあとの状況を見ておりまするけれども、あの場合は最高は四十五歳から六十五歳でありまするが、いま御指摘の老人というものは大体その辺をおさしになるのか、あるいはその上をおさしになるのか、いずれにいたしましても、近年、寿命が非常に延びてきた、それからあまり若い方がお子さんを産まない、それから今後の経済状況の発展とにらみ合わせまして、労働力の需給関係等から見て、大いにこの中高年の――高年の場合もそうでありまするが、労働力というものは高く評価されなければならない。また、その方々の経験も生かさなければならない、私はこのように思っております。しかし、やっぱりお年でありまするから、いかに訓練をいたしましても、いかにいろいろなことを教えましても、困難なものもあるでしょう。たとえば、いまお示しになりましたエレベーターの問題などは、労働省は、身体障害者と、それからエレベーターガールと申しますか、それぞれお年寄りの御婦人も使っておりまして、非常によい結果をあらわしておると私は考えております。ですから、いま、老人雇用促進法ですか、老人雇用対策法ですかをつくる意思はないかということでございまするが、昨年、まあこれは六十五までという一つのあれはあるかもしれませんが、中高年雇用促進特別措置法というものができたばかりでありまするので、これを見ながら――これはもちろん四十五歳から六十五歳までですよ。しかし、今後は、ある年に限ってやるような必要が出てくれば、これはやっぱりつくらなければならない。しかし、現在の時点においては、昨年御審議を願った法律の推移を見てから対処していきたいと、このように思っております。
#85
○塩出啓典君 それで、最後に、週休二日制とかこういうのがいま問題になっているわけでございますが、まあこれは非常にけっこうなことでございますが、労働省も先般週休二日制をとっている企業を調べてそれを発表していますけれども、そっちのほうも調べるならば、実際は休みも取れないそういう企業も小規模企業にはあるわけですよ。そういう実態ももっと調べてもらいたいと思うんですよ。賃金統計とか、労働時間、休日、休暇関係、そういうような資料もいただきましたけれども、賃金なんかにおいては最近ちょっと格差がだんだん大きくなってきている。しかも、これは全部平均ですからね。もちろん全体的な平均で比較するのもいいけれども、やはり最低線ですね、実際に休日を日曜日も全部休めないようなそういうところもある。また、労働条件においても、非常に過酷な条件のところもあるわけですから、こういう統計等においても、もう少しそういう最も労働条件の悪いようなところをもっと目を開いてそういう点の資料というものも労働省は提供していかないと、これを見ると、だんだん格差がなくなって、もういいことばかり書いているわけですよ。いいことは何も言わぬでもいいんだから、悪いほうを大いに宣伝して、そしてそこに世論の目を向けて、そしてそういう一番低いほうをやはりどんどん取り上げていくと、そういう方針でやってもらいたい。この報告等においても、もっと最低線のそういう実態をつかむような、それがまず前進への糸口なんじゃないか。そういう点で労働大臣の御意見をお聞きしておきたいと思います。
#86
○国務大臣(塚原俊郎君) 週休二日制につきましては、まあ至るところで話題になる時代になりました。われわれも、非常に好ましい姿である、これはぜひその方向に行くべきであるという考えのもとに、行政指導をいたしております。しかし、結論から申しまして、これは法律でそういうことをやるべきではなくて、あくまでも労使間の話し合いによってなさるべきものであるという基本観念は持っております。そこで、詳しくあとで統計数字等が御心要とあればお出しいたしますが、まあお持ちのようでございますが、大企業はかなり進んでおります、確かに。それが、完全に週休二日制というもの、あるいはテストケースとして二週間に一回、あるいは月一回というような形もありまするが、そういうふうに大企業は進んでおりまするけれども、いま御指摘の中小企業においてはなかなか進展を見ない。それでも、昨年四十六年度の調査によりますると、かなり数字はアップいたしております。しかし、実際正直なところ、私のところに週休二日制の問題を口にいたしますると必ずはね返ってくることばは、われわれ中小企業ではとうていなし得ないことをどうしてあなたはそういうことを口にするんだ、われわれも週休二日制がたとえ完全な二日制じゃなく月に一回でもいいからとれるようなふうに指導してくれなければ困るという御注文を私自身もずいぶん承っております。労働基準法研究会で御審議願っておりまして、日本においては八〇年代にというような結論も出ておるようでありまするが、私は、世界の情勢、日本の国内情勢から見て、まあ中小企業という一つのハンディキャップはあるかもしれませんが、一九七〇年代の半ばには、形はどうであろうと、この問題が実現することが、労働力を確保するということ、それから十分休んで翌日明るい職場でフルに彼らの能力を発揮するという場面がつくられるというような意味から、大企業も中小企業もあわせましてそのころまでにはこの二日制というものが広がるよう、あらゆる資料の提供、それから情報もどんどん提供する。いま、中小企業に対してはそういう指導が足りないではないかという御指摘もございましたが、いま一番谷間に落ち込んでいる中小企業に対しまして、われわれは、法律による手段はとらないといたしましても、その他行政指導でやり得る面はできるだけやって、格差をなくしながらいま社会問題となっている、あるいは政治問題となっている週休二日制実現のための努力はしなければならないと考えております。
  〔主査代理初村瀧一郎君退席、主査着席〕
#87
○高山恒雄君 だいぶいままでに質問が出ましたけれども、私はもっと具体的にお聞きしたいのですが、通勤途上の労災保険の適用について、最近の交通事故による犠牲者は増加の一途をたどって、まさに深刻な事態だということは、もう言うまでもありません。最近の状況をいろいろ見ますと、四十五年度といたしましても、交通事故件数は七十一万八千八十件、死者が一万六千七百六十五名、負傷者が九十八万一千九十六人、このような犠牲者の中には、通勤途上の犠牲者はもとより、業務遂行上の労働者の犠牲者も増大していると思います。これについて、政府は、調査を行なわれたのですか。もしそういう調査をされたら、その結果をお聞きしたい。いわゆる通勤途上の犠牲者の交通事故の割合というのはどのくらいなのか、これをまずお聞きしたい。
#88
○政府委員(渡邊健二君) 通勤途上の災害につきましては、四十五年に労働省で通勤途上の災害調査というものを実施いたしておるわけでございます。この調査は、四十五年の七月から九月の三カ月間におきまして、労働者が住居と事業所の間を通勤のために行動していた際にこうむった休業一日以上の災害について調べたものでございますが、その発生率は、千人率で一・〇六、千人中一・〇六人でございます。これを同じ期間中に発生いたしました労働災害の発生率五・四九人に比べますと、その約一九%に当たっておるわけでございます。また、この発生率を単純に年間の率に換算いたしますと四・二四となりまして、一年間に労働者千人のうち約四人強が通勤途上で一日以上の休業を要するような災害をこうむっておる、こういう状況が見られるわけでございます。
 なお、四十一年にやはり通勤途上の災害調査をいたしておりますが、その三カ月間の調査でいいますと、四十一年当時は〇・九九であったのが、先ほど申し上げましたように、四十五年には一・〇六というふうになっておるわけでございますから、やはり四十年以降の状況におきまして少しずつではあるが増加傾向にあるということが見られるわけでございます。
#89
○高山恒雄君 いまお聞きしたように、通勤途上というのも非常にふえてきておると思うのです。それは、近代化と同時に、御承知のように、二交代制が三交代制になり、四交代制になり、高度な労働条件ということになるわけです。したがって、そういう事態がふえてくるということは当然のことだと思いますが、そこで、この通勤途上における労働災害としての補償の問題は、これはもう十年前から問題になっておるわけです。きょうやきのう始まったことじゃないんですね。そういう面から申し上げますならば、いろいろ政府も懇談会等を持って審議してもらっておられるようでありますが、この倍増しておる――最近、三十九年四十万人から、四十五年の九十八万と、倍増していますね。これだけ倍増しておる事態の中で、いまだに解決が出ないという理由ですね、どこにその原因があるのか。審議会にはからなくちゃならぬというその結論がまだ出てこないで、新聞等でも出ておりますように、労働者の一部負担というようなこともいわれておりますが、一体、政府としての姿勢ですね、どういうところにその原因があるのか、私はお聞かせ願いたいと思うのです。それは、大臣も前からやっておられるわけじゃありませんから、経過は十分御承知じゃないかもしれませんけれども、これだけ問題になっておる問題を十年間も労働省がほっておいたというようなことは、私は無責任だと思うのですよ。特に、国際的なILOの百二十一号の観点から見ましても、四十六カ国がもう批准をいたしております。日本だけが十年間も論議をして、しかもこれだけ産業が高度化してきておるにもかかわらず放任しておいたというのは、一体、どこに欠陥があるのか、経営者が反対するからできないのか、この点を明らかにしてもらいたい。
#90
○政府委員(渡邊健二君) わが国の基準法及び労災保険法で業務上の災害といたしておりますのは、労働者が使用者の管理下において働いておるときに、業務に基因して負傷、疾病にかかり、あるいは死亡いたしました場合、これを業務上の災害といたしておるわけでございます。通勤途上につきましては、確かに業務と密接な関連はあるわけでございますが、まだ管理下に入っているとまでは言えない、まあいわば使用者の管理下に入る前段的な段階にあるわけでございますので、従来は通勤途上の災害は業務上の災害とは一般的には――特定の場合を除いては、一般的には業務上の災害といたしておらないわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、最近の交通事情、それに伴ういろいろな通勤途上における災害の多発等々からいたしまして、確かにこのままでほっておいていいのかという問題はあるわけでございまして、そういうことから、従来は業務上でないということにしておったわけでございますが、この問題をこのままで放置しておっていいのかと、こういう観点から、通勤途上災害調査会というものをつくって御審議を願っておるわけでございます。しかしながら、使用者と労働者の間には、まず業務上であるかいなかといったような点が最初問題になりまして、そういうような議論等々が、これは理論的には非常にむずかしい問題であるわけでございますので、なかなか早急に結論が出るというところに至らなかったのでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、最近の実情から見て、ともかく現在の保護よりも何らかの手厚い保護をする必要があるという点につきましては、論議の結果、調査会の中の労・使・公益の各委員のおおむね一致するところまできておるわけでございますが、その補償の内容、あるいは通勤途上の範囲をどこまでにするか、あるいはその費用の負担等々の問題につきましてなお労使の間に必ずしも意見の一致を見ておりませんので、現在、公益委員の方が中に入られましてその調整を鋭意はかっておられる、こういうのが状況でございます。
#91
○高山恒雄君 私は、いまいろんな説明をされましたが、このILOの批准という問題は国際信用の問題だと思うんですよ。たとえば、いま日本は非常に貿易に対しての牽制を受けています。しかも、ソシアルダンピングではないかということまで言っておるわけです。ところが、経営者が反対しておるのは、通勤途上を入れないということを経営者が反対しておるのじゃありませんか。労働省はもっとそういう見解を明らかにして、私は、政府の姿勢の問題だと、こう思うんです。政府の姿勢を考えていくならば、百二十一号の批准を四十六カ国もやっておる今日の事態において、いまなお審議会の議を経てその見解を明らかにしなくちゃいかぬということをお考えになっておることそのものが問題ではないかということを私は考えるわけです。
 たとえば、一つの例を申し上げますと、通勤途上の場合は認めていないが、会社の命令で出張をした場合は認めるというのでしょう。現に認めておるわけですよ。そんなら、出張する場合に、あんたは大阪に行ってこいといって、一体、大阪の新幹線の新大阪でおりるのか、あるいは乗りかえして旧駅でおりるのか、そんな指示はしませんよ。そうでしょう。ところが、通勤者は、どういう事態かというと、御承知のように、必ず社宅があります。大企業にはほとんど社宅があります。そうして、社宅に対してはそれ相当の安い家賃で貸しておる。もし社宅が不足した場合は、あなたはどこから通勤しなさいという自宅からの通勤があり、あるいはまた、指定した通勤場所があるわけですよ。これは業務上の一端に入れたって決して過誤じゃないんですよ。ただし、横道をしてはいかぬから、順路の乗り物については定めていかなくちゃいかぬでしょう。そうして、定時刻までには出勤せよと。しかも、タイムレコーダーによって何時に出勤したという時間まで調べるのでしょう。十分前に入るのか、五分前に入るのか。遅刻をすると、それだけの、三日間五分遅刻した場合には十五分の賃金差し引きですよ。そういう事態から見て、通勤自体をやっぱり会社の命令によって会社との協定によって通勤をしておるのだという見解に立てば、世界各国がみなそれをやっておるんじゃありませんか。日本だけが、あなたのようなお考えで、審議会の議に付していまだに結論が出ないで、しかも、審議会の中でも、私が先ほど言いましたように、経営者の負担じゃなくて、あるいは災害者の負担も考えてはどうかというようなことまでいま議論が出ております。労働省自体がそれを考えたらいいじゃないですか。その点はどうですか、大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
#92
○政府委員(渡邊健二君) 先生いまおあげになりました例のうち、出張中の事故等につきましては、それが交通事故によるものでございましても、出張というのは、やはり業務命令によりまして特定の用務を達成するための行為でございますから、これは使用者の管理下にすでに入っておる行為だと、こういうことで、これは交通事故によりますものでありましても、業務上の災害というふうにいたしておるわけでございます。
 それから通勤途上の場合でも、たとえば特定の場合に使用者の管理下に入っておると認められるような場合、例をあげて申しますと、使用者側の通勤専用バス等によって通勤する場合は……
#93
○高山恒雄君 いや、そのことは説明されぬでも私は知っているんですよ。入っておるのは知っていますから。
#94
○政府委員(渡邊健二君) 通勤途上でも災害といたしておりますが、それ以外の場合には、通勤途上が直ちに使用者の管理下にある行為だとまでは言えないのではないかと、こういうことでございます。
 世界各国の例をおあげになりまして、確かに大多数の先進国は通勤途上災害に対しても何らかの保護をしているわけでございますが、通勤途上災害を保護いたします方法も国によっていろいろでございまして、それを、そのものを業務上の災害としておる国もございますけれども、国によりますと業務上の災害ではないが法律の適用関係で業務上とみなすというようなことで擬制適用といったような形でやっている国等々もございまして、理論的にはいろいろむずかしい問題があるわけであります。
 おそいではないかという御指摘、ごもっともだと思いますけれども、現在せっかく三者構成による調査会ができておりまして、いま三者の意見が煮詰まる最終段階に入ってきておりますので、私どもといたしましては、それらの調査会の御意見をいただけるのも遠くないと思っておりますので、その御意見を待ちまして、それによって必要な措置を講じたいと、かように考えておるところでございます。
#95
○高山恒雄君 しつこく言いますけれども、あなたのその業務上の見解は私もわかっておるんです。私は、先ほど申しましたように、出張という命令でこれはその範囲に入るとするならば、通勤は、その業務の達成上、社宅があるんでしょう。業務の遂行をするために社宅をつくっておるんですよ、あんまり遠隔では困るから。もし遠隔地であれば、業務上バスを出すんです。この場合は適用しておるのです。したがって、私は、重要なその関連と同時に、その出勤時間の励行を規制してやっておる場合においてはそうみなしてもいいじゃないかというのが国際的な通念じゃありませんかというんです。国際的にはそう見ておるんですよ。それを日本だけがおくらして、あなたが言われるようにいままでの見解だけを固執しておるところに労働省の見解がおくれておるのじゃないかということを指摘したいんです。それで、審議会をたまたま構成していま審議中だと、こうおっしゃっておりますが、それならば、私はお聞きいたしますが、いつごろそれが結果が出て、労働省としては労働者の一部負担ということは全然考えていないのかどうか。答申でたとえそういう出方がしても、労働者の一部負担ということは考えていないのかどうか、この点を明らかにしてもらいたい、考え方を。
#96
○政府委員(渡邊健二君) 先ほど外国の例等を申し上げましたけれども、外国の例で通勤途上の災害を業務上とみなすような国もございますが、それらの国も、当然に通勤途上災害が業務上とみなされておるわけじゃございませんで、立法によりまして通勤途上とみなすといったような条項を入れてはじめてみなされておるわけでございますから、したがいまして、当然にいまのいままで通勤途上とみなし得るかどうかは、これは議論のあるところであると考えておるわけでございます。
 なお、いま行なっております調査会はいつごろ答申が出るかということでございますが、いま先ほど申しましたように鋭意検討いたしておりますのでまだ結論が出ておる段階ではございませんので、いつということをはっきり確約をもって申し上げるという段階ではございませんけれども、私ども、遠くない機会、まあ大体年内には御結論が出るのではないかと、こういうように期待をいたしておるわけでございます。
 なお、その費用負担等々、労働省としてはどうするつもりかというお尋ねでございますが、それらの点を含めましていま調査会で労・使・公益の三者で鋭意検討がされております。したがって、そこからは妥当な結論がいただけるものとわれわれ思っておりますので、その結論を待ってそれを尊重して処置いたしたいと、かように考えておるところでございます。
#97
○高山恒雄君 大臣の見解をお聞きしたいんですが、いま委員会で大体年度末ぐらいにこの結論が出るのではないかと言われましたが、次の国会には出す意思がございますかどうですか。その結論を待つまでもなく私はやるべきだと、こう思っておりますが、その点を一つ。
 それから私が先ほど申しましたように、これはまあ基準局では無理かと思いますが、労働者の一部負担なんていうようなことは考えるべきじゃないと、私はこう思いますが、大臣はこういう点についてどうお考えになるか、見解をお聞かせ願います。
#98
○国務大臣(塚原俊郎君) 私、労働大臣に就任いたしましてこの問題のレクチャーを受けましたとき以来、私の重大関心を払っておる問題の一つであります。なるほど、諸外国、いま労働基準局長の言うように、いろいろの国でやっておりまして、また、その何と申しますか、業務上の災害の認定というものはそれぞれ違ってまいりまするけれども、それからなお、いま高山委員御指摘のように、官舎ばかりがあるわけでもございませんで、そういう面の論争もあると思うのですが、いずれにしろ、これは私が重大関心を持っておるということは、やらなければならぬという気持ちを持って私はいろいろ事務当局からも調べておるわけでございます。そこで、おそらく年内には出るでしょう、これは。また、出なければいけない問題だと考えております。委員会の主体性というか、そういうものを重んじまするけれども、なるべく早く答申をいただくように私は期待いたしております。年内に出れば、これは次の通常国会には法的措置をとりまして御審議を願うことになると思います。
 それからいまの労働者の一部負担の問題、これはやはり審議の経過の過程において担当大臣がとやかく言うべきものではないと思いまするので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。それを見まして、さらに各方面の御意見等も参酌しながら、立法措置を講じて御審議を願うということになると思います。
#99
○高山恒雄君 すべてこういう問題で労働者に負担をかけなくちゃならぬというような時代ではいま日本はないと思うんですね、私は。少なくともそういうものは全部コストに入るんです。だから、決してそうあまり問題にするほどの問題でもない。経営者がいかにそれを賛成するかしないかの問題だと思うんです。それは政府がやっぱり納得させるという努力が必要だと思うんですね。コストに入るんですよ。災害に出せば、災害に出したコストに入るわけです。いま、日本は、コストに入ったって、国際競争にたえられぬような製品はないじゃありませんか。むしろダンピングとして否定されておるその事実から見ても、当然私は労働者に負担を負わすべき問題ではないと、こういう見解で御意見を聞いておるわけです。ところが、この問題は、私がもう言うまでもなく、政府も十分調査もしておられると思いますが、旭化成工業などは個別の協約でやっぱり結んでおるんですよ。それから三菱もそうでしたかね。だいぶありますよ、これも。こういうものを検討されて、労使の協約の中に補償をするという事実が出ておるわけです。私が先ほど申しますように、労働者の一部負担なんて、委員会はきめるかもしれませんけれども、そうじゃなくて、そういう災害は会社がめんどうを見ても当然いけるようなシステムの中でやれておる会社がたくさんあるわけですよ。むろん、いま大臣のおっしゃるように、官舎だけではないと、こういう話もございますけれども、私は主として会社を中心にして考えてみて、そして徐々にいかないような場合は、別途それは考慮する方法があろうかと、こう思うんですよ。そういう点をお考え願いたいと思いますが、一体、民間企業の労使の協約上協定したものについて検討された経験があるのかどうか、その結果はどう見ておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。
#100
○政府委員(渡邊健二君) その点につきましては、先ほどちょっと引用いたしました通勤途上災害の調査、四十五年の調査でその点についても調査をいたしております。これは、そういう協約等を持っておりますものは、企業の約四・一%がそういう協約を持っております。これは企業規模によっても違いますが、大企業でございますとそういう協約の率はかなり高い、中小企業でございますと少ない、こういうことで、われわれ十分その点も把握をいたしておるわけでございます。
#101
○高山恒雄君 それであなたは矛盾だとは思いませんか。労使で結んでおる協約はそれは矛盾だとおっしゃるのですか、その点をお聞きしたい。
#102
○政府委員(渡邊健二君) これは、労働条件ないしそれに関連することを労使が協約で結ぶのは労使の当然の権利でございますから、そういう協約があることはきわめてけっこうでありまして、そのことを矛盾だというふうには考えておりません。ただ、日本の場合には、先ほど申しましたように、四・一%程度でございますので、まだそれが日本の一般的な状況であるというふうには言えないのではないかと感じております。
#103
○高山恒雄君 労働者の擁護の立場にある労働省が、こういう民間ですでに獲得しておる事実を踏まえて指導する意思は出ませんか、その点をお聞きしたい。
#104
○政府委員(渡邊健二君) こういう協約がありますことは、労働者の保護の立場から言うと、まことにけっこうなことだとは存じますが、まだ日本の現状からいいますと比較的恵まれた一部の企業でございまして、全般にこれを直ちに指導してこういうことを同様の取り扱いをせいというところまでの基盤と申しますか、日本では現在のところまだそこまで言えないのではないかと、こういうふうに感じますので、いま直ちにこれを一般に勧奨するというところまでは考えておりませんが、こういう協約が結べるところはきわめてけっこうなことであると、かように考えておるわけでございます。
#105
○高山恒雄君 大臣に一つお聞きしたいのですが、私は、労働省としては、日の当たらない労働者にどういう指導をするかということがやっぱり基本でなければならぬと思うのですよ。いまの御答弁を聞いておりますと、それはやれる企業はけっこうだ、やれないところまではまだ準備していないと、こう言われるけれども、やれる企業がある限りにおいては、やれない企業をどう指導するかということが私は労働省の指導の立場、労働者擁護の立場に立つ考え方だと思うんですよ。したがって、この問題については、先ほど大臣から答弁をいただきましたが、ぜひ次の国会には出すという立場から、もっと検討していただいて、そうして民間でもそういう協約上締結をしておるという事態を踏まえていただいて、日の当たらない労働者にもどうこれをやっていくかということをひとつ検討してもらいたいと思うのです。
 御承知のように、これは自賠責の調査ですけれども、交通事故の災害というのは、非常に長期にわたっております。死亡した人でも五年かかっております。そういう人がどのくらいおるかというと、六百九十件もございます。死亡した人は実に気の毒ですよ、これは。まあ三年で解決ついたらいいほうです。五年かかっているのです。そして、日本の場合は大体五百万ですね。すでにこれがドイツ等においては二千四百五十万ですか。なお、イギリス等においては制限はございません。さらに、フランスでは三千二百万。これだけの補償がもう自賠責のほうでもできておるわけです。日本ではそれもわずか五百万。どっちをとっても、いわゆる働く者の今日の情勢からいって、まことにそういう擁護措置がないと私は言えると思うのです。もっとそういう点を進歩的に考えていただくことを強くこの点では要望いたしておきまして、それに対しての大臣の結論をお聞きしておきたいと思います。
#106
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほどの資料、四十五年でありまするけれども、やはり一部の企業にのみそれがあるというのが現状ではなかろうかと。そうなりますると、高山委員御指摘のように、労働者を保護する立場からおかしいではないかという議論も出てくるわけであります。もちろんそれは当然であります。おそらくいま審議会で御審議を願っているのでも、労働者に一部負担させるかという費用の問題、この辺がだいぶ論議の中心になっているというふうに私は承知いたしております。ですから、いま審議の過程でありまするから、これについてとやかく私がいま言うべき立場にはありませんが、その答申が出次第、しかも、年内にこれが出れば立法措置を講ずると、それで御審議を願うということであります。それから先ほど週休二日制の問題でも申し上げましたように、中小企業という非常にハンディキャップの多い企業は、やっぱりそういう面でも個人的には私にいろいろなことを苦衷を訴えてくる方もありまするので、そういうものにどう対応するかというようなものもあわせましてこの問題は大きな視野から見ていかなければならぬ。いずれにしろ、決して逃げる意味ではなく、答申待ちであります。答申の過程において論議の最中において内政干渉的なことは私は申し上げないほうがいいと思いまするので、出ましたならば十分御審議を願う場面が出てくると思いますので、その節はよろしくお願いを申し上げます。
#107
○高山恒雄君 これも先ほど主査のほうから質問があったんですけれども、皆がそう関心を持つほど重大だと思うから出るのだろうと思うんですよ。昨年御答弁がございましたように、中高年齢者の雇用促進特別措置法という法律ができましたね。これに基づいていまどういう実態になっておるのか、あらかじめ、簡単でいいですから、ひとつ実態をお聞かせ願いたい。
#108
○政府委員(道正邦彦君) 昨年十月に施行されまして、二月末までに手帳を千八百四十八件発給いたしております。県によりまして必ずしも同じような歩調で手帳の発給等が行なわれているわけでもございませんので、この辺は先般も全国の課長会議の席上指示をいたしまして、せっかくできました法律でございますから、法律の趣旨に沿った運用が全国で均斉のとれた形で進められますように指示をいたしたところでございます。
#109
○高山恒雄君 あれは、求職手帳の発給をすることになっておりますね。一体、それはもう実行されておるのか。されておれば、どのくらいそれを出しておられるのか。
#110
○政府委員(道正邦彦君) 千八百四十八件でございます。
#111
○高山恒雄君 そこで、失対労務者が、御承知のように、前回の処置で約六万退職していますね。そこで、今日の失対法に基づいて、職業区分と申しますか、これがいままで二十五に分かれておったのが十五に改正され、今日では九に改正されておりますね。この改正されております中のCクラスの作業内容を見ますと、清掃作業、除草作業、草花栽培の作業と、主としてこの三つの区分でやっておることは御承知だと思うのです。これが今度の中高年齢者の雇用促進特別措置法で私が申し上げたいのは、六十歳以上の高齢者の職業をどういう職業にあっせんしようという基本があるのかどうか、そういう職種別作業別のものを職安としては制定されておるのかどうか、それをお聞かせを願いたい。
#112
○政府委員(道正邦彦君) 中高年齢者に適する適職の選定につきましては、すでに約三十の職種につきまして制定をいたしております。現在四十七年度におきましても、同じく約三十職種ふやすということで予算措置もいたしておりますので、なるべく早い機会に中高年齢者の適職を選定するように、現在のやつと合わせますと六十になるわけでございますが、適職の決定をして、それぞれ雇用率を設定いたしますので、適職についての雇用率が達成されますように努力をしたいと思います。
#113
○高山恒雄君 三十の職種に区別をしてやりたいというお考えですが、そうすると、これは、先ほど言いましたように、四十歳以上の中高年齢者という意味ですね。私が申し上げますのは、大体失対の労務者のいままでの実態を見ますと、平均年齢は五十五歳から六十五歳までですよ。まあ七歳もおりますけれども、大体そういう見方してもいいと思うんですね。この六十歳以上の高齢者の適性作業というものをこの雇用特別措置法ではお考えになっておるのかおらないのかということが聞きたいんです。四十歳代が聞きたいんじゃないんです。これはどこにでも就職できますよ。いまの実態で言いますと、技術者はなおさらのこと。そうじゃなくて、六十歳以上の失業者がふえておると私は見ておりますが、それを検討されたことがあるかないかと、この二つだけひとつ御答弁願います。
#114
○政府委員(道正邦彦君) 御指摘の点でございますが、法律的には四十五歳以上ということで中高年齢者の適職をきめるという仕組みになっております。しかしながら、その中でも比較的若い人により向いているというような職種もありましょうし、あるいは逆に高年齢者であっても十分やれるというふうなものもあると思います。現在、職業研究所というのが労働省の機関でございます、ここで新しい手法を開発いたしておりまして、年齢別にどういうように肉体的な条件が変化するかと、そういうものに見合って今度は職種のほうがどういう能力適性を要求するかという、両方のかみ合わせ作業を非常に専門的になりますが進めております。そういうものの中から、御指摘のように、四十五歳の人については必ずしも一般の職業紹介が不可能でもございませんので、重点といたしましては御指摘のように中高年齢の中でも高年齢者になろうと思います、そういうところに重点を置きまして検討を進めていきたいと思います。
#115
○高山恒雄君 検討じゃない、実態を聞きたいんです。失対では、御承知のように、もう最近は認めていないでしょう。したがって、六十歳以上の高齢者の職業の認定というものはどういう範囲なのか。三十の中に入っていると思うんですよ、私は。それをどのくらいの範囲内に押えて、先ほど言ったように失対では主として三つを中心にしておるが、あなたがいま職業訓練という問題をおっしゃいましたけれども、六十歳以上の職業訓練を受けておる人が何人おりますか、しからば。おるなら、どこの県におりますか、一ぺん知らしてください。私はないと見ておるんですが。
#116
○政府委員(道正邦彦君) 具体的な数字はいま手許に持っておりません。まことに申しわけございません、後ほどお届けいたしますが、四十七年度の予算におきまして高齢者向きの訓練科目を五科目増設いたしております。これからますます高年齢者の就職の問題は重要性を増してくると思いますので、職業研究所の研究と相まって高年者につきましても訓練が希望に応じて行なえるように進めたいと思います。
#117
○高山恒雄君 それじゃ、その六十歳以上の職業の内容的なものをお考えになっておる問題と、それからどこに六十歳以上の職業訓練がいまあって、入っておるところがあるかないか、あれば事実を知らしてください。私の調べておる範囲内ではないと見ておりますが、あれば知らしてもらいたい。
 そこで、大臣にお聞きしたいのですが、いま、政府は、昨年の中高年齢層の雇用促進法ができてから、いわゆる失対の採用は中止しておるわけです。そこで、先ほども御意見が出ましたように、六十歳以上の適切作業というのは、法律でも雇わなくちゃならぬという義務づけはどこにもないんですね、日本の場合は。六十歳から職業訓練を受けて一体何年働けるかということも、これは疑問の一つでしょう。そうしますと、六十歳以上の失業者がふえざるを得ないですよ、これは必然的に。いままでは五十五歳から六十五歳までの人が失対にまだ相当の人がおられます。いまは一つもそれを認めないという方針でいっている。新しく中高年齢層の措置法をつくって、そこであっせんしようとしておる。ところが、日本には、六十歳以上の高齢者を適性作業として雇うというのは、技術者でない限りは、これは雇うところという範囲はないのですね。こういう場合、一体六十歳以上の高齢者をどういうところに採用していくのかという問題が一つの焦点に私はなろうかと思うんですよ。これは私は政府のやり方の不備だと思うのです。むしろ、ここにA、B、Cで分かれております第一作業のAは、コンクリート作業とか打ち込み作業とか区別しております。第二作業は、道路作業とか床掘り作業とか、こういうふうに区別をいたしております。C作業は六十歳以上の仕事なんです。いま六十歳以上が職を求めようとするならば、六十歳以上の人はむしろ失対でも認めて作業をさしてやるというあたたかい気持ちが一方にあってもいいじゃないか。先ほどおっしゃるように、先ほどの法律制定後一年しかたっておりませんが、三十種類の職種に分かれておるといわれるそのうちの六十歳以上の適性作業は何かというと、これもまだ区分はしておらないと思うんですよ。こういうことでは、先ほど御質問がございましたように、一体、六十歳以上の者の就職というものは何を求めていいのか。それはもう総合的な問題ですけれども、いま日本の場合は、核家族の実態からいくと、どうしても職業を与えてやらなければなりません。これは私は労働省だけの問題じゃないと思うんです。厚生省も含め、労働省もタッチし、あらゆる問題を総合して、今日高齢者がますます増大しようとする日本の現状から見て、六十歳以上の高齢者をどういうところに労働さしてやるか、そうして遊んでいるよりも労働のほうが生きがいを感ずるというこの気持ちを私は労働省は率先してやるべきだと考えますが、そのためには、逆に、失対の六十歳以上は、ビルの掃除もいいでしょうし、あるいは除草もいいだろうし、そういう仕事にどんどん入れていくべきで、そうして後に完備されたらそれをとめていくという方法にしなければ、いま六十歳以上の不安というのはたいへんな状態だと私は思うのです。この点、大臣はどうお考えになるか、お聞かせ願いたいと思います。
#118
○政府委員(道正邦彦君) 先ほど来御指摘の失対労務者の職種は、これは屋外の職種でございまして、中高年齢者の雇用促進法できめておりますのは民間の主として屋内のものでございます。したがって、たとえば、守衛、監視人であるとか、社宅の管理人、舎監、寮母、あるいは用務員ですね、こういうものについてはたとえば七〇%というふうに雇用率をきめております。この用務員の仕事は四十五からでもいいわけでございますけれども、六十になっても十分適職として働いていただける職種だろうと思います。そういうものが三十ございますので、ものによりましては比較的若いほうがいいというものもございますが、いま申しましたような職種につきましては、これは六十以上の方も十分やれると思います。そういう職種もございますので、今後におきましては、五十五から六十以上の方々につきましては、こういう雇用率をせっかくきめておりますので、適職にあっせんをするということで処理をしてまいりたいというふうに考えます。
#119
○高山恒雄君 もう時間がないですが、そんなことをおっしゃるなら、ぼくはあなたに聞いたんじゃない、大臣の見解を聞いたんだ。あなたの言われるのは、それはあたりまえの話ですよ。当然のことですわ、それは。それでもそういう事態であっせんをされるでしょうけれども、日本には法律がないんです。六十歳以上の高齢者を、あるいは五百人以上使う場合にはこういう仕事とこういう仕事には何人ぐらいは使わなくちゃならぬとかいう、そういう規制があるわけでもないんですよ。ただあっせんをするすると言われるだけなんです。一方では、失対労務者は全部とめてしまっておる。そうして六十歳以上のほんとうに働く場所というものは十分なる選定もできていない。そうすると、六十歳以上の方の働く場所というのは、あっせんはすると言われるけれども、事実上はあっせんにならないで、仕事がないのではないかと私は言っているわけです。こういう事態をやっぱり解決をつけるという方法を労働省として考えてもらわにゃいかぬということを私は大臣に質問したんです。
 それからもう一つ、私はついでだから申し上げておきますが、これはもう触れまいと思いましたけれども、いま、失対労務者の賃金にしても、一三%上げています。一三%値上げはしましたけれども、先ほどの賃金構成を見ますと、千七百円から、このCクラスでしたら千二百六十円ですよね。そうでしょう。いま最低賃金を見てみなさい、屋内作業の最低賃金を。東京は千八十円でしょう。北海道は千六十円、長野で千四十円ですか、最賃がですよ。しかも、これには通勤費が出ています。失対労務者には通勤の賃金は組んでないんですよ。ぼくは触れまいと思いましたけれども、あなた方の見解というものが六十歳以上の対象となる就職をどう考えるかというその親切さがないから私は触れてきたんですがね。しかも、屋内作業ですよ、これは。屋内作業でこれだけの賃金を出しておるのにもかかわらず、失対労務者は千二百七十円か四十円じゃありませんか。それなら、政府はその六十歳以上の就労をある程度めんどう見てやるという立場をここ一、二年続けてもいいじゃないかという二とを私は言っておる。しかし、もし職安のあなた方が六十歳以上の職業訓練もでき、これで完備ができたというなら、とめてもいいじゃないか。この見解を大臣にお聞きしたいということを言っておるのであって、あなたの答弁では私は満足しませんね。
#120
○国務大臣(塚原俊郎君) 昨年御審議願った中高年齢雇用促進特別措置法の段階においてそういった問題はずいぶん論戦の中心になったということを私は承知いたしております。まあ新しい法律ができましてまだわずかではありまするが、また、この法律になじまない面もあるのではなかろうか。いま高山委員御指摘のように、それじゃ訓練を受けた者は何人あるかと。まだ資料がないようでありまするが、まさにそういう質問が出るような状況ではなかろうか。それだけに六十歳以上の者に対する配慮というものをわれわれは考えなきゃならぬ重大な問題だと思っております。でありまするから、あの法律が施行されてから今日までどうなっているか、なじまない面があればどういうふうな行政指導をするか、これはひとつ十分検討さしていただきたいと思います。
#121
○主査(塩出啓典君) 別に御発言もなければ、午前の質疑はこの程度といたします。午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
#122
○主査(塩出啓典君) ただいまから第四分科会を再開いたします。
 分科担当委員の異動について御報告いたします。
 本日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として西村関一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#123
○主査(塩出啓典君) 午前に引き続き、労働省所管に関する質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#124
○西村関一君 初めに労働大臣にお伺いをいたしますが、明日、明後日予定されております交通ゼネスト、また三公社五現業賃金紛争、これは公労委及び中労委にゆだねられておりますけれども、時間切れでぎりぎりのところに争議及び重大な事態が発生しないとは限らない情勢にあります。これに対して当面の労働大臣といたしまして、塚原大臣はどのようなお考えで処理しようとしていらっしゃるか、まず、その点をお伺いいたします。
#125
○国務大臣(塚原俊郎君) 今日までの経過は別といたしまして、現実の事態から二十七、八日を展望いたしまする場合に、いま一番大事な、また重要な時期であると私は考えております。午前中も須原議員から、たいへんその問題についていろいろお尋ねをいただきましたが、何としてでも国民の抱いている不安、また、私たちの心配している最悪の事態は避けなければならない、このように考えております。ただいま公労委、中労委においてそれぞれの作業が行なわれておりまするので、重大な関心を持ちながらこれを見守っておるというのが私の現在の気持ちであります。つけ加えまするが、見守っておるということは、何もしないということではございませんで、労働大臣としてのなし得る範囲もありまするし、のりをこえてはならない面もありまするし、その辺苦慮いたしつつ、重大関心を持ちながら、この成り行きを見守っているというのが現在の心境でございます。
#126
○西村関一君 私は国会議員になりまする前は、十年間ばかり地方労働委員会の公益委員をいたしておりました。幾たびか労働紛議や労働争議の調停、あっせんをやった経験がございます。それから地方的な問題でありますけれども、ときには全国的な規模で行なわれた争議に対しても中労委の会長とともに当たった、解決のために努力をした経験がございます。やはりこの種の争議あるいは紛議につきましては、時期と、それから労使の要求が、意見が一致しない場合にそれを足して二で割るというようなかっこうではいかぬ、ただ単なる去年がどうだったからことしはどうだということでもいかぬということは申すまでもございませんが、時期を誤るならば、これはもう取り返しのつかない破局に追い込まれていってしまう。非常にこれはいまの時点において全国民が一日も早く解決するようにということを願っておるこの時点で非常に大事なときだと思うのであります。これはもちろん公労委や中労委の方々が全力を傾けてこの解決に努力をしておられることは言うまでもありません。時期を見守っておるという段階ではないと私は思うんであります。労働大臣としては非常にこの時点において何らかの手を打って中労委なり公労委に対して前向きの解決ができるような側面的な努力をなさっておられると思いますが、なさることがさらに必要ではないかと思うのでございます。伝えられるところによりますと、総評の市川議長がトップ会談をやりましょうということを大臣に申し入れたということでございますが、これはお受けになるお考えでございますか。
#127
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほどのあれでございますが、時期を見守っておる、ということは私は申しません。情勢を見守っておるということで、重大関心を持ってこれを見ておるということでございます。時期ではございません。いまそのタイミングを失しないという、いまが一番大事な時期であるという認識は私も強く持っております。この昼間の間におきましても、野党の先生方から会見も申し込まれ、また、いろいろとお話しもしてまいったような状況であります。なお、総評、同盟を問わず、各組合の方々、ことに今度の公労委、中労委でいろいろ調停中の方々には、組合の方々には私は今日までも常にお会いいたしておりまするし、それから市川さんや大木さんにもたびたびお目にかかっております。昨日もおいでくださいまして、社会労働委員会がありましたためにだいぶお待ち願ったのでありまするが、夕刻お目にかかりまして、こういう重大な事局であるから、重大なときに直面して、しょっちゅう連絡をとれるようにしておこうではないか、それはよろしかろう、こういうことで、連絡があればいつでもお目にかかろうということになっております。この問題ができたから会ったというのじゃなくて、常時私たちはアプローチはいたしておるようなわけでございます。
#128
○西村関一君 誇り高き塚原労働大臣のことでありますからへまなことはなさらないと私は思います。信じます。しかし、国民の期待にこたえて、時期を失せず適当な措置を講じていただきたいということを重ねてお願いをいたします。
 次に、本年度の労働省関係の予算案の内容につきましてお尋ねをいたします。
 これを見ますというと、幾つかの柱がここに立てられております。まず、第一の柱の「勤労者福祉対策の展開」というのがございますが、この1には「豊かな勤労者生活の追求」というのがあり、以下2、3、4、5と5まで項目が分かれて、その項目に従って予算が計上されているんですが、「勤労者福祉対策の展開」、この項目を見ればわかりますが、しかし、内容的にたとえば「豊かな勤労者生活の追求」「労働者生活ビジョン懇談会の実施、週休2日制の普及促進」「定年制延長の促進」ということがありますが、具体的にどういうことを目ざしておられますか、お伺いをいたします。
#129
○政府委員(石黒拓爾君) 労働省の行なっております労働者の福祉に関する行政は非常に多岐にわたっております。そのうちで労働者生活ビジョン懇談会につきましては、これは経済成長の成果を労働者の生活向上に結実させるということが今後の福祉政策の大目標でございますが、その個々の施策はそれぞれの所管の各局ないしはそれぞれの審議会が行なっておりますが、これらを総合した長期的ビジョンをつくる必要があるというのが労働者生活ビジョン懇談会をつくりました趣旨でございまして、その目的のもとに一九八〇年代という非常にかなり長い時期のビジョンをつくるべくこの懇談会ではいま御討論をお願いいたしております。
 それから定年制の件につきましてお尋ねがございましたが、定年制はこれはもとより法律できまっているものではございませんで、労使が自主的におきめになってるものでございますが、現在までのところ五十五歳定年がなお過半数を占めている。これは寿命も延びましたし、また、高齢者の方々も生きがいを求めるために働きたいという御希望も多うございますし、また労働力の不足ということもございますので、定年制は延長されることがしかるべきである。これを労使の話し合いによりまして円満に延長すると。その過程にはいろいろの問題がございますが、その問題を逐次克服して円満に延長されるということが望ましいということでPRを行なっておる、というのが定年制に関する実情でございます。
#130
○西村関一君 このピジョン懇談会というのはどういう構成になり、また、どのような報告をなすっていらっしゃいますか。まだ懇談が続けられておる段階だと思いますが、どういう構成で何回ぐらい開かれたか、どういう展望を持ってお話し合いが進められておるか、お伺いします。
#131
○政府委員(石黒拓爾君) ビジョン懇談会の構成は、労働組合側がいわゆる労働四団体の事務局長、書記長クラスの方、それから、それに対応して経営者側の方並びに相当数の学者、学識経験者の方々ということで、たしか十九名であったと思います。十九名の委員でお願いしております。開催回数は、できましたのが昨年の九月でございまして、それ以来先月末で七回開催いたしております。現在までのところは各種資料につきましてのヒヤリングでございます。次に五月に開きますビジョン懇談会で今後の運営方針をきめていくということに相なっております。
#132
○西村関一君 私は先般カナダを旅行いたしまして、カナダの労働者の諸君が、職場ごとにあるいは地域ごとに専用のゴルフ場を持っている。週二日制でありますから十分にゴルフを楽しみ、からだを鍛える、次の勤労に備えるということをやっておる状態を見ましてうらやましいと思いました。そのような豊かな勤労者生活の実現が――それは一例でございますけれども、その他いろいろここにも掲げてありますそういうような点に対しても、日本の勤労者の、労働者の社会的地位が、また実際的な生活の中身が向上することが願わしいと思いますが、その点について大臣いかがでございますか。
#133
○国務大臣(塚原俊郎君) いまカナダの例を出されましたが、これなどはわれわれが想像できないような恵まれた立場であろうと思います。日本においてもGNPがここまで行ったのだから当然あってしかるべきという声もありますが、やはり高度経済成長政策のもとに設備投資というようなことに重点を置きましたために、国民一人あたりの所得はやっとイタリアを抜いて十五、六番目、GNPは自由主義陣営で二位というきわめてアンバランスな姿を示しておる。これがすなわちいま言う労働者の生活にもはね返ってきているんじゃなかろうと私は思っております。私は大蔵大臣ではございませんが、人間尊重それから福祉の増進という面から考えていくならば、今後はやはり財政消費主導型というか、そういう形のもとに進んでいって、時期的にはどれくらいかかるかは知りませんが、われわれの考えている彼岸に一日も早く到達するということを目標として進んでいかなければならないと考えております。現状においては遺憾ながらとうていカナダ、スエーデン、アメリカなどとは比較ができないような状態ではなかろうか。賃金においてはいろいろまだ問題点もありましょうけれども、いまの二日制の問題その他を中心といたしまして、まだ日本は先進国からだいぶ立ちおくれているということは認めざるを得ません。
#134
○西村関一君 財産形成貯蓄に関連しての住宅貯蓄控除制ということでございますが、これは租税特別措置法を改廃してこれに該当するところの措置を講じようというお考えだと聞きましたが、これはどのくらい進捗しておりますか。その考え方は、担当の方ひとつ。
#135
○政府委員(渡邊健二君) 住宅貯蓄控除、これは従来からもございまして、一定の条件に該当いたします住宅貯蓄につきましては、毎年貯蓄額の四%、二万円を限度といたしまして税額控除がされることに相なっているわけでございます。今年新たにそれが改正をされまして、ことしから始まりました財産形成貯蓄、これにつきましても住宅取得を目的とするものについては、ただいま申し上げましたような住宅貯蓄控除が適用されることに相なったわけであります。ただ、その財産形成貯蓄と申しますのは、これは始まりましたのが、今年の一月からこれが開始されたわけでございますが、ただいまのところそれがどの程度進捗しておるかということにつきましては、まだ公式の統計はできておりません。三月末の状況で、財産形成貯蓄につきましては、金融機関等から大蔵省に対して報告がなされて、それが引き続いてそのうちに集計されて、三月末現在の状況につきましてその統計が出ると思いますが、現在まだ出ておりません。ただわれわれのほうで非公式にいろいろ金融機関に電話等をかけたりいたしまして集計いたしておりますのが、二月末現在の数字が一応ありますが、それによりますと、実施事業場が約七千五百、契約労働者数が約七万人、二月末現在の財産形成貯蓄額の残高が六億円と、かようなことに相なっておりますが、そのうち、この住宅貯蓄控除の対象になる住宅取得を目的とするものがどの程度であるかということは、まだわれわれの非公式な統計では数字は把握いたしておらないわけでございます。
#136
○西村関一君 次の「勤労婦人・青少年福祉対策の積極的推進」というのがございますが、この中で私は婦人少年局の役割りが大きいと思うんでございますが、婦人少年局のお仕事は、一時何か整理されるというような動きがあったようでございますが、現在、そういうことはもはやなくなっておる、ますますその重要性が度を増しておると思うんでございますが、婦人少年局の方から概略簡単にお話しを願いたい。
#137
○政府委員(高橋展子君) 婦人少年行政につきましては、御指摘のように、近年の社会の動きの中でますますその重要性を増してきておると思いますので、私ども施策の展開、あるいは計画の樹立等につきましては鋭意努力しているところでございます。
#138
○西村関一君 婦人勤労者の保護の問題ですが、特に母性の保護という問題でございますが、どのように行なわれているでございましょうか。それと同時に、男女同一職種同一賃金という問題がどのように現在なっておりますか、あわせてお飼いをいたします。
#139
○政府委員(高橋展子君) 働く婦人の母性の保護につきましては、母性の保護といいましても、広い意味と狭い意味があるかと思いますが、狭い意味で、肉体的な意味の母性の保護という点につきましては、これは職場における労働条件の最低基準が労働基準法によって定められておりまして、母性を持つところの婦人が、その就労によって肉体的にいろいろと害を受けることのないような規制が行なわれておるところでございまして、基準法の施行ということによりまして、母性保護の最低基準というものの確保ということが行なわれているわけでございますが、さらに広く母性ということを、この社会的機能と申しましょうか、そのように広げて考えますときには、婦人が子供を育てるというその役割りの尊重ということにつながるわけでございますので、従来から婦人少年局といたしましては、婦人が母性を尊重ざれつつその能力を有効に発揮できるというような状態の実現ということを目標にいたしまして各般の施策を進めてまいっておるところでございます。で、婦人が家庭生活との調和あるいは育児ということの調和をはかりながら働くということ、やはりむずかしい課題ではございますが、そのために各般の施策を進めてまいっておりますし、また、このたび勤労婦人福祉法案を上程いたしまして、より積極的、総合的な施策の展開をはかりたいというふうに考えているところでございます。
 また、男女同一賃金につきましても、それも同一賃金の原則は基準法に明記されているところでございまして、基準法の施行を通じてこの各般の施策が進められているところでございますが、なお、この男女同一賃金の原則あるいは考え方を広く世の中に周知するための啓蒙あるいは行政指導ということもきわめて重要でございますので、この点につきましても努力いたしているところでございます。
#140
○西村関一君 それから、働く青少年の保護育成の問題――育成と申しますか、指導の問題、これは業者、事業所を含めての問題でありますが、集団就職などいたしました場合に、特に中学校を卒業して職場に入った娘さんたちが定着しない。これは女子だけでなくて若い男の子でもそうでありますが、定着しないということが伝えられております。しかも、その若い女の子がバーであるとかいかがわしい、好ましくない職場に行ってしまう。はなやかな職場に行ってしまって転落する例もある。こういう者に対する保護あるいは指導、これは事業主を含めまして労働者としてはどういうふうにやっておられますか。
#141
○政府委員(高橋展子君) 若くして職場に出て働く少年少女に対しますところの指導はきわめて重要な問題でございまして、労働省といたしまして、私ども婦人少年局のほうとそれから職業安定局のほうと、両方で鋭意その施策を進めているところでございますが、先ほどの続きでございますので私のほうから先に申し上げますと、一昨年勤労青少年福祉法が成立を見たわけでございまして、その法律自体は勤労青少年の健全な成長ということを目標にしたものでございまして、その法律の施行を通じまして若い働く人たちの福祉増進をはかっているところでございますが、特に、この法律によりまして事業所の中に勤労青少年福祉推進者という制度を新たに設けることになりまして、その職場において身近に勤労青少年に接する人々の中にそのような相談指導等を担当する者を置くような、そのような制度をただいまこの法律に基づきまして推進しているところでございます。また、最近の青少年の余暇を充実したものとするための施設の整備でございますとか、あるいは余暇における指導等も行なっているところでございますが、なお、さらに関係局のほうの施策も加わるものでございます。
#142
○政府委員(道正邦彦君) 職業安定行政の立場からも、勤労青少年の無用な転職、これは何としても避けるべきだという立場からいろいろ施策を講じております。まず何よりも、学校とタイアップいたしまして、針路指導を強化するということが必要だろうと思います。さらに、適性を把握して適職にあっせんをするということで、新しい技法も入れました職業適性検査も実施いたしております。さらに、職場に入りましてから、労働条件が話と違うとか、そのほか勤労青少年でございますからいろんな問題をかかえて苦しむケースもございます。そういう方々に対しまして、事業主の指導につとめると同時に、相談員制度を設けておりまして相談に応ずるということもいたしております。さらに、中小企業等におきましては、福祉施設等が必ずしも大企業に比しましてよくございません。そういう場合に融資制度を設けましてそういう福祉施設の拡充をはかるというようなことをやっております。さらに、勤労青少年ホームのほか、各種の福祉施設を国の責任でも実施いたしております。そういうことで、現在三年間で大体五割の勤労青少年が離職をいたしておりますが、そういうことはやや異常ではないかというふうに私ども考えますので、今後とも勤労青少年が自分の希望する職場で生きがいを持って働けるように関係方面と連携を密にして努力をしてまいりたいと思います。
#143
○西村関一君 昨日ですか、労働安全衛生法が衆議院で可決されまして参議院に送付された。これに関連をいたしまして、労働者の健康管理というものが従来からどのように守られてきたか、管理されてきたか、この法律の中身の御説明は要りませんけれども、私は労働者の健康管理ということは非常に大事だと思うのでありますから、厚生省の考え方の基本になるものを聞かしていただきたいと思います。
#144
○政府委員(渡邊健二君) 労働者の生命と健康を守ることが、労働者の福祉の向上を推進すべき労働行政の最重点の一つであることは申すまでもないことであると思っております。私どもそういう観点に立ちまして、従来から業務上の災害を防止しますために、安全問題あるいは職業病の予防対策、こういうことを推進をいたしておりますが、さらにそれのみならず、労働者の健康全般という意味におきまして、従来から基準法に基づきあるいは安全衛生規則等々によりまして、健康診断というようなものも義務づけまして、これの推進をはかっておるところでございますが、今回の労働安全衛生法案におきましては、雇い入れ時の健康診断あるいは定時の健康診断等も、従来よりももっと規模の小さいところまで拡充をいたしております。さらに危険有害職場における特殊健康診断といったようなものも、従来は法律に根拠がなかったものでございますが、その根拠も明確にいたしまして、それの拡充をはかっております。なお、一定の非常に有害な職場におりました人につきましては、離職後もその健康管理をするということで、今度の労働安全衛生法案では、健康管理手帳というものをそういう方々にはお渡しをいたしまして、離職されましたあとにおいては国において一定の健康診断をし健康管理をして差し上げるというような規定も設けて、労働者の健康管理の強化をはかっているところでございます。
#145
○西村関一君 時間がありませんので、私はこまかい点にわたってお尋ねをすることができませんが、いまのような御方針でいかれます場合に、労働医学の専門家、またこの労働者の健康管理に当たるところの医者、医師が少ないと思うんです。そういう点についてどういう措置を講じておられますか。
#146
○政府委員(渡邊健二君) 確かに御指摘のように、産業医学と申しますか、そういう面、医学の面でもわりあいに最近になって非常に注目を浴びてきた部面でございます。そのために研究者もわりあいに少なく、ましてそれに直接携われる専門家の方々の数が十分でないことは、われわれも非常に憂慮をいたしておるところでございます。しかしながら、近時、この問題の非常な重要性が社会に認識されるとともに、研究者の方々もかなりこの方面の研究に従事される方がふえております。しかし、実際の医者の方々については、確かにまだまだ不十分な点もございます。そこで、われわれといたしましては、今後こういう産業医学と申しますか、そういう方面に当たられる医師の方々を確保していく努力をしなければならないと、かように考えておるところでございまして、まあ、基本的には医学教育全般の問題にも相なろうかと存じますが、労働省といたしましては、そういうものに対処いたしますために、現在三カ年計画で産業医学総合研究所というものを建設中でございます。で、これは国の機関の研究所といたしまして、完成いたしましたならば、そこで研究を大いに現在よりも拡充いたしまして、研究の高さを高めますとともに、そこで研究いたしましたものにつきましては、たとえば関係の医者の方の研修の場にそれを利用するといったようなことを通じまして、御指摘のような産業医学に携わられる方々の養成、確保ということに今後努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#147
○西村関一君 労働基準行政のあり方につきまして、私は基準法のたてまえがはたして守られているかどうかということに対していささか疑問を持つものであります。その最大な原因は、私は監督官の数が足りないということだと思うんですね。重点的に監督するということにならざるを得ない。落ちこぼれがあってこの基準法の精神が十分に徹底しないというのが現状じゃないかと思うのですが、この点、いかがでしょう。
#148
○政府委員(渡邊健二君) 労働基準法は、確かに先生おっしゃいましたように、制定後なかなかその趣旨が一般に理解されない点もあったわけでございますが、近時だんだんにその趣旨も普及してまいりましたし、それから、人を雇う以上、劣悪な労働条件で人を雇うというようなことがあってはならないんだという観点、あるいはそういうことでは近ごろの人手不足の中では労働力の確保もできないというようなことも相まちまして、以前に比べますと基準法を履行、順守しようという、こういう姿勢が使用主の間にもかなり強まっておると、かようにわれわれは考えてはおります。しかしながら、これの履行を確保いたしますための監督に当たる監督官の数、これは現在二千九百名余りでございますけれども、この数で私ども非常に多数の事業場に対しまして決して十分だと考えておるわけではございませんので、これまでもその増員につきましては極力努力をいたしております。四十七年度におきましても監督官が、まあ定員削減のきびしい中で七十名、さらに近ごろ、そのほかに、先ほど御指摘になりました安全衛生関係、非常に問題になっておりますので、安全衛生の専門官が三十五名、あるいは監督官やそれらの安全衛生専門官の補助に当たる一般職員等を合わせますと、四十七年度百二十名ほどの増員を基準関係では認められておるわけであります。しかしながら、今後ともわれわれもっともっとこの増員のために努力をしなければならないと、かように考えておるところでございまして、今後ともできる限りのそのための努力をしてまいりたいと、かように思います。
#149
○西村関一君 次は雇用政策の推進ということでありますが、職安のあり方、ここにあげられておりますものの中で「中高年令者の雇用対策の強化」というのがございます。私はたとえば美術館とか博物館などの看視をなさるその職種の働き人は高年齢の方でも十分にできると思うんです。従来、ピチピチした若い娘さんがそこで働いているというのは、私は需要供給の関係から申しましてももったいないと思う。
 それからもう一つは「人材銀行の充実」というのがあります。なかなかおもしろいことばだと私は思うのですが、現在その利用状況はどうなっておりますか。職安のあり方全般的なこともさることながら、その二点についてまず伺いたい。
#150
○政府委員(道正邦彦君) 中高年齢者の雇用の促進は中高年齢層が増加しておりますだけに非常に大きな問題だろうと考えております。この点につきましては、前国会、昨年、中高年齢者の雇用促進法が制定されまして、十号から施行を見ております。その法律に基づきまして一定の職種を定め、雇用率をきめるということもやっております。現在約三十の職種につきまして雇用率を設定いたしております。四十七年度におきましても、同じく約三十の職種をきめまして雇用率を設定して中高年齢者の雇用促進に資しようという考えでございます。先生御指摘の、いまの美術館その他の看視人等は適職の一つではないかという御意見、まことにごもっともに存じます。そのほか、どういう職種が中高年に適当であるかということにつきましては、職業研究所というのが労働省の附属機関でございますが、そこが専門的な立場から検討をいたしております。いずれにいたしましても、中高年齢者の適職を定め、雇用率をきめまして、中高年齢者の雇用を促進するように一段の努力をしてまいりたいと思います。
 さらに二番目の人材銀行の点でございますが、これは主として管理的な職業あるいは専門的、技術的な職業に従嘉しておられた方々を中心に職業紹介をしようという趣旨から、安定機関ではございまするけれども、一般の安定所と別に人材銀行という看板を掲げまして特別にごあっせんをいたしておるわけでございまして、現在全国で九カ所ございます。で、いままでに、発足の時期がだいぶあちこちで違いますが、一言で申し上げますと、現在までに九人材銀行で就職のごあっせんを申し上げた数は一万九千四百人にのぼっております。
#151
○西村関一君 4の「生涯訓練体制の多角的推進」というのがございますが、私は各種訓練校を出ました人たちがはたして満足できる職場に働いているかどうか、その教育訓練を受けたところの人たちが成果を発揮しているかどうか、つまり、普通の大学を出た者とは違った特殊な技能を身につけた者が十分にその訓練の成果を生かして働いているかということについて心配をしているのであります。訓練校を出た者はそれを誇りとする、そしてまた自信を持って働けるような教育訓練のあり方があればそれができると思うのであります。そしてまた、社会の認識が訓練校を出た者に集まってくるということが必要だと思うのでありますが、その点が一つの問題だと私は考えております。
 それからその次は、五番目の「心身障害者対策の推進」とあります。私は心身障害者――精神障害また身体障害、またそのダブルの重度心身の労働者、そういう人たちに対する特別な配慮と指導が必要じゃないかと思うのでございますが、いろいろここに書いてございますけれども、私はそのことが欧米先進国並みには至っていない。実際私はいろいろ見て調べてまいりましたが、心身障害者の雇用の問題、この点、それだけでもう時間がなくなりましたから、私はなおほかの問題がありますけれども、この二点をお伺いして、最後に労働大臣の御意見を承って私は質問を終わりたいと思いますが、いまの点についてまずお答えをいただきます。
#152
○政府委員(遠藤政夫君) 労働者の雇用の安定と豊かな生活を実現いたしますためには、先生御指摘のとおり、職業につく前の、いわゆる技能を身につけるための職業訓練というものは非常に必要なことは、もう申すまでもございません。そのために労働省におきましてはいろいろな訓練体系の制度を設けまして、職業訓練の実をあげるように努力してまいっております。養成訓練――まず若い人たちが職場につく前に養成訓練が行なわれますが、入職後におきましても新しい生産技術が開拓されます。あるいはそういった技術に新に伴いまして新しい技能が必要になってくる。こういうことのために、その後におきましても職業生活の全生涯を通じまして、そのつど新しい技術の導入、あるいは新しい生産技術機械の導入に伴って、それに応じた技能を身につけるための訓練を行なうように、ただいまいろいろと検討を進め、制度をつくってまいっております。こういう訓練体制をとりますために、「生涯訓練体制」ということばを用いまして、本年度からいろいろとその新しい試みをまず進めてまいっております。今後におきましても、この生涯訓練体制をさらに充実していきまして、労働者の人たちが、その雇用の安定を生涯を通じてはかられますように、そうしてまた勤労者の福祉の向上につながりますように努力してまいりたい、かように考えております。
#153
○政府委員(道正邦彦君) 心身障害者の雇用対策、これは私ども中高年雇用対策とともに重点施策の一つというふうに考えております。御承知のように、昭和三十五年に身体障害者雇用促進法の制定を見ておりまして、一般の民間、官公署等につきまして雇用率をきめております。で、民間等におきましては、一部未達成の事業場もございますので、雇用率を達成するように指導に努力を続けてまいりたいと思います。問題は特に重度の障害者の対策でございますが、福祉あるいは医療、教育機関等との連携を密にいたしまして、職業相談に徹底を期するため、先般東京に心身障害者職業センターというのを設置いたしまして、すでに仕事を始めております。私どもの想像以上に相談にお見えになる方が多い現状でございます。で、本年度は愛知、大阪等にこういうセンターをさらに設置していく計画でございますが、いずれにいたしましても、心身障害者の問題は今後の雇用政策の大きな柱の一つとして、さらに一段の努力を傾注してまいりたいと考えます。
#154
○国務大臣(塚原俊郎君) 西村委員の各項目にわたりましての御質問、時間が少なくて、なお足りない点があったと思いますけれども、われわれ労働省といたしましては、ただいま申し上げましたような柱を中心といたしまして、あくまでも人間尊重、福祉優先ということから今後の労働行政を進めてまいる考えでございます。御批判もおありと存じますが、足らざる点は今後明年度の予算措置、あるいは必要とあれば立法措置によりまして、働く労働者の立場に立って行政を進めてまいる考えでございます。御理解と御協力をお願い申し上げます。
#155
○小笠原貞子君 予定されておりますストライキ、こうしている間にも刻々と迫ってまいります。労働大臣の立場で、いま労働者が要求している一万八千円の賃金、こういうことをどのように――妥当であるとお思いになるか、それは高過ぎるとお思いになるのか、また私たちにすれば、労働者にとってこれは当然の権利だと、要求する権利があるというふうに思うのですが、労働大臣としてこの点をどうお考えになるのか。それからまた、昨年の公労協のスト宣言に対して原労働大臣は談話をお出しになりました。今度のストライキに対して労働大臣として談話をお出しになるおつもりでいらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
#156
○国務大臣(塚原俊郎君) 今次春闘に際しまして、非常にきびしい経済情勢のもとにあって、労働組合の関係の方々は、やはり福祉優先、生活防衛という立場から戦術転換を行なっていることは私よく存じております。と申しますことは、たびたび組合の方々とお目にかかりまして、あらゆる資料を中心としたお話も承っております。ですから、その金額についての皆さま方のお気持ちも私にはよくわかりまするが、いま、これが妥当であるかどうかということは、ちょっと論評を差し控えさしていただきたいと存じます。
 それから三公社五現業につきましては、これは法律でその争議行為は、ストライキは禁止されております。したがって、いろいろお話の過程において、いつごろ有額回答をすればこうであったというようないろんなやりとりはございましたけれども、そういう過去のことは過去のこととして、現実の立場に立って私はやはり争議行為に出たということはまことに遺憾に存じまするし、三日前でありまするか、四日前になりまするか、十八日でありまするか、労働大臣談話を出しまして、争議行為についてこれは行なわないようにという談話はすでに発表いたしました。
#157
○小笠原貞子君 昨年も原さん、そういうふうな談話を発表されたわけなんです。労働者がいまの情勢の中でこれだけ要求するのは理解できると、理解できるとおっしゃりながら、争議行為というのは認めら恥ていないからということでは、結局、理解しているけれどもこの行為はおもしろくないという立場で、決して労働者の立場を理解されての御発言だと私には思われない。非常に残念だと思うわけですが、いまの労働者がほんとうにこの情勢の中で生活をかかえて切実に戦わなければならないという立場を労働大臣という立場で考えていただきたいと思うわけです。さらに基本的な問題は、公共企業体等労働者からストライキ権を奪っていることが、それが最も根本的な問題なんです。ストライキ権がないからだめなんだと言われる以前に、ストライキ権を奪っていることがはたしてこれでいいのかどうか。ヨーロッパの例をとるまでもなく、ストライキ権は労働者の基本的な権利でございます。で、これを不当にも奪っている政府こそここでもう一度反省し、国民への大きな迷惑をかけるという責任は政府こそとるべきであると、私はそう考えます。したがって、労働者の切実な要求を聞き入れる姿勢、その姿勢、そして企業者当局に対して、労働者に対して違法なストライキはやめろと言うのではなくて、そういうことをせざるを得ないように追い込んだ政府としては、企業に対して、労働大臣として、労働者の要求をとるべきだというような立場に立っていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
#158
○国務大臣(塚原俊郎君) 私は、別に企業の側に立っているわけでも労働者の側に立っているわけでもございません。あくまでも公正であるつもりであります。要求に対しまして、私はいろいろとお話を承り、その生活の実態もよく私は了承いたしております。しかしながら、今次春闘のきびしさというものは、労働組合側も経営者側もそれぞれの立場においてこれを受けとめておりまするし、もとをただせば、その当事者同士によって、その企業ごとにこれは自主的に解決さ知ることが一番望ましいんです。それができないためにこういう経過をたどったと。経過がこういうわけできたんだからどうこうという議論を私はいまいたそうとは思いません。しかし、三公社五現業がストライキに入った、これを追いやったのは政府である、というお話でありまするが、私はこれは小笠原委員と見解を異にいたします。法治国家でありまする以上、法律違反の問題に対しましては、これは許すことはできないと私は思いまするし、また、かれらの争議行為というものが違憲であることはすでにこれは最高裁においても決定しておるという事例もございまするし、また、スト権を与えろというようなお話もございまするが、これは公務員制度審議会においていろいろと御審議を願っておるところでありまして、現実においては争議権というものは与えられておりません。
#159
○小笠原貞子君 見解の相違という問題になりますと、論戦していても時間が長くかかりますのでこれで打ち切りたいと思いますが、私の言いたいことは、労働者の要求がほんとうに切実なものであり、労働者として当然の基本的な権利というものから考えて、私はこのストライキに対して、労働大臣にふさわしい態度を具体的にとっていただきたいと、そう思ったわけなんです。
 これはこれで残しまして、次に具体的な問題に移りたいと思います。
 近時、特に問題に大きくなってまいりました女子に対する若年定年制、それから差別定年制というような問題が非常に大きな問題になってきております。昨年十二月の十日大阪地裁で末浪和美さんが三井造船株式会社を相手に、出産退職は無効という判決があり、末浪さんが勝利しております。それから、ことしの二月十二日には、東京高裁で、志賀穂子さんと会社――日産工機株式会社との和解が成立いたしました。これらは女子の若年定年制や出産とか結婚とかというような問題での女子に対する差別、これは公序良俗に反し、これはいけないということで、婦人の権利というのが一応守られる立場の判決が出てきているわけなんです。労働大臣として、婦人ということで、働く権利に差別をつけられる、年齢や結婚、出産によるそういう差別をつけられるという、いまの出ている問題についてどうお考えになっていらっしゃいますか。
#160
○政府委員(高橋展子君) 私からお答えさしていただきたいと思います。
 企業の中におきまして女子従業員に対してのみ男子と異なった著しく若い定年年齢を設ける――これを若年定年制と言っているわけでございますが、この若年定年制を設ける場合、あるいは女子に限って、結婚したら退職をするということをきめると、そのような――これは結婚退職制と言っておりますが、このような、女子に特殊な一つの不利益な定年制度を設けております企業が確かにございまして、私どもとしてはこれは非常に遺憾なことであると思っております。で、従来から労働省ではこのような制度と申しますか慣行と申しますか、そういうやり方は、直接法律に違反するものではないとしましても、憲法あるいは労働基準法の趣旨には反するところでございますし、また、判決の例にございますように、公序良俗ということに対する違反と申しますか、そういう例もございますので、行政指導を通じましてこのような制度が改められますよう努力をしているところでございます。
#161
○小笠原貞子君 労働大臣もそれと同じ御見解と承ってよろしゅうございますか。
#162
○国務大臣(塚原俊郎君) いま高橋局長が申されたとおりであります。ことに、最近の労働力を全般的に見ますると、婦人の労働力に負うところが非常に多いわけでありまするから、今度御審議を願うことになっておりまする勤労婦人福祉法もその一つでありまするけれども、やはり三千万のうち約三分の一が婦人労働者ということでありまするから、育児と家事という、これをどう調整していくかということも大問題だと考えております。したがって、それぞれの雇い入れ側がそういうことをやっているということは、これはけしからぬことでありまするので、行政指導によってこういうものは改善さしていく、そういう差別があってはならないと、このように考えております。
#163
○小笠原貞子君 たいへん御理解いただきましてありがとうございました。それでは、そのことを具体的に行政指導としてどういうふうにいままで指導、改善されようとなすっていらしたか、そのことを伺いたいと思います。
#164
○政府委員(高橋展子君) これは労働省といたしましては、昭和四十年に通達を出しておりまして、女子の若年定年あるいは結婚退職ということが望ましくないことであるのでその改善をはかるように、ということを私どもの出先でありますところの婦人少年室長あてに通達が出ているところでございますが、地方レベルにおきましては、出先機関が相協力いたしましてこの行政の実効をあげるようにつとめているわけでございます。
#165
○小笠原貞子君 いまおっしゃったとおりでございます。で、この中で、いまおっしゃったようなこと、「以上の点に鑑み、指導啓蒙において適正を期されたい」という通達でございますね。それじゃ、この通達が出されまして実際に改善されたというようなことはどれくらいございましたでしょうか。そして現時点ではどれくらいいままだ残っているというふうにお考えでいらっしゃいますか。
#166
○政府委員(高橋展子君) 具体的な事例につきましての数字的な把握というのはこれはなかなか困難でございますが、婦人少年室で相談等を受けます場合には、これを受けて立ちまして、その改善につとめているところでございます。全体といたしましては、一般的に申しまして最近では企業の中で男女別に異なる定年年齢を定めている、しかも、女子について著しく若い年齢を定めておりますものは、全体の企業の中の二%経度ということのようでございます。また、近年の傾向といたしまして、最近数年の間に定年制を――改善と申しますか、特に女子の定年制を延ばしたという例が、定年制を設けております企業の、特に男女別定年制を設けております企業の四分の一程度でございますので、まあ、これが具体的な行政指導の直接的効果であると言い切ることもできかねる点もございますが、一般に啓発活動等ともあわせましてこのような不合理な差別というものを改善していく機運というものは進んでいるのではないかと思います。
#167
○小笠原貞子君 いまおっしゃいましたお気持ちとしては、その差別は不当である、これは改善したい、と言って、改善をするようにと通知を出されましたにもかかわらず、労働省の四十五年の雇用管理調査によりましても、男女別の差別賃金が残されているのが二四・三%もある。お気持ちは非常にわかるんですけれども、具体的にはあまり実行されていないわけなんです。実効があがっていないわけなんですね。
 そこで、一々お調べになってたいへんだと思いますけれども、こういうような事業所が差別をしているということを私のほうから申し上げますので、それについて、具体的にどういうふうに改善指導していただけるかということをお伺いしたいと思うんです。で、私のほうで、わずかの準備期間でございましたから、全般については言うことはできないと思いますけれども、一番多いのが民放関係ですね。民放関係でこの差別定年制というのが非常に多うございます。たとえば東北テレビ女子四十五歳――これは若年と言えませんけれども、男女差別の定年制。それから東北映画もそのとおりフジテレビは、補助職となっておりますが、これがすべて女子の場合です。これは二十五歳の定年です。それから交換手三十五歳。日本放送が二十五歳。東海テレビが三十歳。東海ラジオが三十歳。名古屋放送が三十歳。福井放送が三十歳。北海道テレビがこれも二十五歳。秋田テレビ二十八歳。福島中央テレビ、十年ごとであれしております。それから新潟総合テレビが三十歳。富山テレビが二十五歳。これが補助職、女子の場合でタイプ、交換の場合は五歳延びまして三十歳。それからテレビ山梨が二十七歳。それから中京テレビが三十歳。島根放送が三十五歳。広島ホームテレビが女子は一年契約ということになっております。それから福岡放送が三十歳。福岡FMが三十歳。テレビ熊本が三十歳。仙台放送が補助職、つまり婦人と給仕、受付のところが二十五歳。タイピスト、電話交換手が三十五歳。福井テレビが男六十歳に対して女が四十五歳。こういうように民放関係はすべてこういうような若年及び男女差別定年ということを就業規則で押しつけてきているというのが実態でございます。
 それから銀行関係を調べますと、宮崎県の宮崎相互銀行、入社時に、結婚したら退職する誓約書を取るということをしております。それから北海道では北洋相互銀行、男子六十歳だけれども女子は四十五歳。その他、河北新報女子が四十五歳。
 また映画関係を調べますと、東宝、松竹、劇場出札・案内等の係は三十歳。
 それから広島県の農協の経済連、ここも新採用時に、結婚したらやめるという念書を取っている。これは私、ちょっとの準備の中でこんなにあるのかとびっくりしたわけなんですね。こういうのが現実にこれだけでもびっくりするくらいあるわけなんです。だから、全国的にいま調べたらたいへんな数になると思うのです。そうしますと、先ほどから大臣もこれは好ましくないということをおっしゃいましたわけですから、私がいまあげましたところについても何らかの御指導をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#168
○政府委員(高橋展子君) いろいろ情報ちょうだいいたしましたので、早速に実情を調べさせていただきまして善処方を進めたいと思います。
#169
○小笠原貞子君 そのときに、いつまでも善処ということで延ばされても困るんです。現実にこれはよくないんだということをお認めになって、現実にこれだけ私のほうの調べではございますので、そちらでまたどうもいかがわしいとお思いになったら、どうぞ私がいま言いましたところを御調査いただきまして、そして御調査のとき労働組合にも連絡をして、そしてその結果どうであったか、それについてどういうような行政指導をするかということについてのその結果を御報告いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#170
○政府委員(高橋展子君) 仰せのように、ただいまお聞きいたしました事例につきましては、すみやかに事実を明らかにいたしたいと思いますし、また、その結果、ここに設けられております差別的な定年というものが不合理なものであるということにつきましては、先ほど申しましたような趣旨で行政指導を強めてまいりたい、そのように思います。
#171
○小笠原貞子君 たいへん積極的な御意見でありがとうございました。私はこれを考えたときに、いままでこんなに放置されていたのかと、私は社労に入りまして労働省関係ではきょうが初めての質問でございますが、ちょっと調べてみまして、これでほんとうに労働省が労働者の立場に立って、守る立場といいますか、そういう労働基準法などの立場に立って考えていただけていたのかと、たいへん私は残念に思ったわけなんです。労働省設置法第三条、もう皆さん御承知のとおり、労働省の任務として労働省はこれこれこれをしなければならない、その「責任を負う行政機関とする」と書いてありますし、それから「労働条件の向上及び労働者の保護」ということも出ております。それから「婦人の地位の向上とその他婦人の問題の調査及び連絡調整」等々と、まことに婦人の立場、労働者の地位の向上ということに文章的には、文字の上では書かれていたわけなんですがいままでこれだけ放置されていたということは、たいへん私は責任がなかったんじゃないかと残念に思うのですが、その点、いまになってどうお考えになりますか、大臣としての御所見を伺わせていただきたいと思います。
#172
○国務大臣(塚原俊郎君) いろいろな事例をあげての御質問、私も拝聴いたしておりました。
 私が労働省に参りましてまだわずかではありまするが、私の知る限り、労働省ができましたのは戦後でありまするが、それからの労働省は、働く者の味方として、御批判はあるが、私は労働行政を展開してまいったものと考えております。しかし、ものごとには完全なものはございませんから、御指摘を受けたような結果もあったでしょう。しかし、それらを乗り越えて、直しながらやはり批判されないような労働行政を展開することが必要であります。ことに婦人問題を中心として小笠原委員は述べられておりましたけれども、高橋局長も述べましたように、そういう問題もおそらく初耳の労働省の役人が多かったのではなかろうかと考えておりまするから、そういうものをとらえながら、禍を転じて福とすという、そういう労働行政を進めることが今後の使命であろうと考えております。
#173
○小笠原貞子君 確かにそうだと思います。そこで、私が調べただけでもこれだけございましたし、また、ほんとうにうちのほうを調べてほしいというような意見もたくさん出てくると思うのです。そういうのが基準局なり婦人少年局なりに、ぜひうちのほうも調査してほしいというようなそういう申請があれば、当然直ちに行政指導、調査をしていただくというふうに解釈してよろしゅうございますでしょうか。
#174
○政府委員(高橋展子君) けっこうでございます。どうぞ。
#175
○小笠原貞子君 それでは、また大臣ちょっと聞いていただきたいわけなんですけれども、私、いまほんとうに今度という今度、こんなにも情勢は進んでるのに、働く婦人の果たしている役割りが大きいのに、こんなに働く婦人に対しての考え方が低いものであったのかということを驚いたわけなんです。きっとお忙しくて御存じないだろうと思いますので、一つの例を申し上げたいと思うんですけれども、大阪地裁で出産退職制をしいていた三井造船株式会社がその裁判の中でこういうことを言っているわけなんです。ほんとうに聞いていただきたいと思います。「(1)事務補助業務は短期間に習熟し、それ以上経験を積んでも能率において特に向上するところがない性質のものであるから、代替性に富み、中、高等学校卒業後の数年間の清心溌剌とした時期にこそ最適」であると。まさに若くてきれいなときには使えるということをもうはっきり言って、よくこんなにおっしゃれたもんだと感心したんですけれども、そういうことを言っています。それからまた、「結婚すれば産前および産後休暇、育児時間等によって勤務自体が断絶される」。また、こういうふうにはっきり言って、まさに労働省のいまおっしゃったような見解とは全く別な、資本むき出しの立場に立っております。「会社は男子従業員と同様女子従業員についても……毎年昇給を実施しているので、勤務不適格の増大傾向にも拘わらず、賃金のみが上昇するという矛盾」と、だから、「不均衡が生じ、業務運営上不効率の結果を招来する」、こういう驚くべきことを堂々と裁判の中で言っているわけなんですね。これ、一例ですけれども、こういう企業がたくさんありましてね、この中で、婦人労働者がいまいかに苦しんでいるかということを考えていただいて、婦人労働者というものをしっかり守っていただきたいと思うんです。
 もう一つ具体的な例で申し上げますと、御承知だと思います。繊維のレナウンといえば一級会社でございますが、このレナウンで、監督署に届け出る就業規則、「生理休暇」のところを見ますと、就業規則では、その三十九条で「生理休暇」「女子従業員で生理日の就業が著しく困難な者は、届出により生理休暇をうけることができる」、これはよろしゅうございますね。こう就業規則では書いて出しているわけなんですね。ところが実際はどうなんだと、労働協約でどういうことをきめてるかというと、「会社は生理日の就業が困難な女子従業員が生理休暇を請求したときは、生理休暇は一来潮につき一日とする」というように日にちを限定して、「一日」といっております。これ違反だと思います。それから、「生理日の就業困難なる者には、二日まで休暇を認める。但し、就業可能と認めたときは、医師の診断書を提出させる」と、こういうふうにいっているわけですね。これも医師の診断書を出せということで、これも違反になるわけなんです。つまり、表ではうまいことを言っておいて、就業規則は差しさわりのないもので出しておいて、そして労働者をごまかして、実際に運用する労働協約では、こういうような、違反するような制約を加えてきているわけなんですね。これは当然――基準局長にもお伺いしますけれども、この労働協約、問題でしょう。こういう日にちを限定したり、医師の診断書を出せというようなことは、当然これは違反になると思うんですが、どうなんでしょうか。
#176
○政府委員(渡邊健二君) 基準法の六十七条では、「生理日の就業が著しく困難な女子又は生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求したときは、その者を就業させてはならない」という規定がございます。したがいまして、それに該当いたします者が請求したのに、日にちを限定して、それ以外は与えないということになれば、基準法の六十七条違反になるわけでございます。
#177
○小笠原貞子君 それから、医師の診断を出せというのも、そうですね。
#178
○政府委員(渡邊健二君) 医師の診断の問題は、われわれもあまり適当なことではないと、かように考えております。
#179
○小笠原貞子君 いまお認めいただきましたように、明らかにこれはいけない、間違った、違反の労働協約をやっているわけです。ここには女子労働者たくさんおりますので、具体的な事例として出ておりますので、ここに対して、しかるべき指導の行政措置をしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
#180
○政府委員(渡邊健二君) 十分に監督をいたしまして、違反の事実に対しては是正させるようにいたします。
#181
○小笠原貞子君 それでは、次に慶応病院の問題に移りたいと思います。
 慶応病院で、生理休暇の労働協約が一方的に破棄されて、無給化になっているという問題で、そちらでも、もうお調べになったかと思います。これは単なる既得権の剥奪というのではなくて、非常に悪質だと私は考えるわけで、きょう質問するわけなんです。
 慶応と、それから労働組合が、昭和四十年の十二月二十一日に締結いたしました、二日を有給とする生理休暇の労働協約があったんです。ところが、慶応当局は、四十五年の十一月十七日、この協約の一方的解約を申し入れ、再度、四十六年一月十四日に申し入れました。団体交渉もできず、そうして労働者には当然これは受け入れられないというので、十分納得もいかないうちに、二月十七日から――実施は四月一日からになりましたが、就業規則で生理休暇は無給になったわけなんです。簡単にいえば、こういう経過なんでございますが、これは私のほうで調査いたしまして、間違いないと思いますが、おたくのほうでも、その点はお調べになったと思いますが、それでよろしゅうございますか。
#182
○政府委員(渡邊健二君) ただいま御指摘の慶応病院の問題でございますが、昨日、先生から御連絡がございまして、私のほうでも調べてみましたところ、大体、先生のおっしゃいますとおり、四十年の十二月二十二日から、四十一年の十二月二十一日まで締結されておりました、ただいまお話しのような労働協約は、その後――一方からの解約の通知がない限りは更新されることに相なっておりまして、四十五年までそういうことで効力を続けてきたわけでございますが、その協約の中には、期間満了の三十日前までに一方から解約の通知がないと更新されるということで、解約の通知があれば更新されないという規定に相なっておるわけでございます。そこで、使用者側は、四十五年の十一月十七日に、その協約の定めに基づきまして解約の通知を行なって、その結果、協約の定めに従いまして、四十五年十二月二十一日をもって協約は失効いたし、無協約になった。その後、ただいまお話しのように、二月になりまして就業規則を変更いたしまして、生理休暇は無給とする旨の定めをし、それを四十五年四月一日から施行しておるということは事実でございます。
#183
○小笠原貞子君 そういうことが、一方的に無給になりまして――時間がないから、私のほうから申し上げますけれども、看護婦さんたち、生理休暇の取得状況は一体どうなのかと調べてみますと、有給であったときは、大体二百二、三十人から三百人近くまで有給を取っておりました。ところが、四十六年四月ですね、無給ということになりまして、そのことで百二十五人になっているんです。それで、取ってみて、ああこれは無給だった、たいへんだということで、だんだん減りまして、多いところで五十人程度ということなんです。だから、いままでだと、二百人から三百人近く取っていたのが、もう五十人程度というふうに、取得率が非常に低くなっているんです。私は、これは婦人の立場、特に、いま母性保護の立場から考えますと、これはいままでサボっていて、ごまかしていて取っていたからこんな数字になったというのではなくて、ほんとうはつらいんだけれども、これが無給になってそうしてカットされるということになりますと、この時勢ですから経済的にたいへん苦労なわけなんですね。それで健康上無理をしてでも、取る人がたいへん少なくなったと、こういう数字だと思うわけなんです。どれくらい一人で賃金カットになって減収になるかというのをいろいろ聞いてみました。平均で幾らというのは、たいへんとりにくい数字でございますが、私が直接会いまして、あなたは幾年つとめていらっしゃいますかというと――十五年看護婦さんをしていらっしゃる方でございます。この方が二日生理で休みますと、五千九百二十二円――約六千円という減収になってくるわけなんですね。そういうふうにして、減収になるということから、無理をして生理を取らなくなったということは、私は、いま看護婦さんの足りない状態から考えても、やはり、もうこれじゃもたないというのが現実でございます。そうしてまた、慶応病院の労働組合で、お産をした人たちの調査をいたしましたら、非常に、異常出産とか、切迫流産とか斜頸が出るとかという、普通の家庭と比べては全然たいへんな数字が出ますし、他の職場と比べても、たいへんな母体が非常にそこなわれているということになって、子供にも影響が出てまいります。これは看護婦さんたちだけの主張ではなくて、日赤病院におつとめになっていらっしゃいますその専門の先生も、看護婦の仕事というのは非常に重労働だと、たいへんなんだということで、この生理休暇無給ということで職場の婦人労働者が母体をはなはだしく衰弱させられているという問題になるわけですね。こういうような結果になった、この無給ということが一方的に出されましたのについて、私はあとでそのことについても御見解を伺いたいと思うんですけれども、婦人の働らく権利も奪われる、そして肉体的にもたいへんな苦労をさせられるというような、非常に婦人労働者にとってきびしい問題というのが、たったこれだけ――まあこれは変更届の用紙でございます。この一片のこれだけでこういうことが起こってくるわけなんですね。私はこれを見まして、こんな一片の紙で婦人の職場でこれだけいじめられて、そして結果的には看護婦不足だというようなことにもつながってくると思うと、こういう就業規則を一方的に通達して、そしてこういう状態に追い込めるというのはまさに許せないと思うんですね。これについてどういうふうにお考えいただけるかどうか、御意見を伺いたいと思います。
#184
○政府委員(渡邊健二君) 慶応病院の問題につきまして、就業規則の変更がありまして以来、生理休暇を取られる方の数が減っておりますこと、これはただいま御指摘のとおりの状況にあるようでございます。われわれといたしましては、基準法の六十七条で、先ほど申し上げましたような生理休暇を与えるべき旨の規定があるわけでございます。慶応病院につきましては、一部には請求したのに与えられなかったという事実の申告等もございまして、これにつきましては、早速監督をし、そういう違反に対しては是正させる措置をとっておるわけでございますが、ただ、生理休暇を与える場合に有給にするか無給にするかということは、基準法ではそこまでは規定をいたしておらないわけでございますので、われわれといたしまして、それにつきましては当事者にまかされておるところでございます。労働条件の一端をなす問題でございますので、そういう点につきましては当事者がよく話し合いをされまして、円満な問題の処理をはかられることが適当であろうと、かように考えているわけでございます。
#185
○小笠原貞子君 確かに労基法には有給無給というのは書いてない。しかし、労働基準のあれは一体何かというと最低でございますね。最低なんです。だから、いままで有給で、そして特に看護婦さんの場合をとりますけれども、そこでは社会的に要請のあるたいへん大事な人命を預かる職場でございます。そういうところで有給でやっとそれでも足りなくてやってきていたのに、それが無給になってこういうような状態に置かれ、社会に対してもたいへん困った状態が起きてくるわけなんですね。そういうものがたった一片の一方的な就業規則でぱっと出されますことが、それは手続上では間違いない、労基法上からいえば有給と書いてないのだからいいんだという立場でこれを受け付けてずっと済ましていらっしゃるということは、やはり労働省として婦人の立場を守るというその基本的な法の精神にも私は問題があるんじゃないかと。やはりこういうような労働協約、一方的なこういう通告で婦人の権利を剥奪して、そして母性を破壊するというようなこういう問題であれば、ここで一体こういうことができたのはどうなんだということで、これについても適当な措置をしていただく。当然、私はこういうことば無効だというふうに考えるわけなんです。参議院の法制局で伺ってみたんですけれども、労働協約失効後の労働契約の内容についていま学説はどうなっているのか、就業規則の一方的変更に関する判例もどうなっているのかということもあわせて聞いてみたわけですけれども、法制局によると、労働協約失効後もなおその効力が残るとするのが学説の多数であり、また就業規則の一方的変更は無効とする判決が圧倒的であるということを伺ったわけなんです。裁判でも――時間がありませんので言えませんけれども、方々でこういう一方的な就業規則の変更ということに対してはいけないんだという判決が出ているわけなんです。そういう立場に立ってこの問題を考えていただくということを私は要請したいんですけれども、いかがでございますか。
#186
○政府委員(渡邊健二君) われわれといたしましては、労働条件が悪くなるということは決して好ましいことだというふうには考えておらないわけでございますが、ただ、労働協約をどういう形で失効させ得るかといったような問題は、協約の当事者が協約で定めておるところでございまして、その協約に定められた手続に従いまして当事者の一方が協約を失効させたということにつきましてわれわれがとやかく言うということは労使の自治に介入することにもなるのではないかと思うわけでございます。その協約が失効いたしました後の労働条件の問題につきましては、基準法その他の法令で最低基準がきめられておるわけでございます。もちろんそれは最低基準でございますから、それよりも高いことが望ましいことはもちろんでございますけれども、ただ、法で許されました範囲で当事者がいろいろきめますことを、一々官庁でそれに対して介入いたしますにはおのずから限度があるのではないか、かように考えるわけでございます。なお、協約が失効した場合の労働契約の効力だとかあるいは就業規則の変更ができるかできないかといったような問題につきましては、これは労働法学上非常に学説、判例が区々に分かれているところでございまして、ただいま先生御指摘のように、労働協約が失効しても余後効があるのだという、いわゆる余後効学説というようなものもございます。しかしながら、余後効を認める説も認めない説もいろいろございまして、学説、判例、私どもはまだ一定の確立した通説とか、そういうものはないんではないかと、かように考えておるわけでございます。したがいまして、そういう点につきましては、やはり民事上の契約の効力なり就業規則の効力というようなことになりますと、最終的にはやはり裁剃でその効力確認――民事上の効力の問題でございますから――される以外にはないのではなかろうかと、かように考えております。
#187
○小笠原貞子君 たいへん初めのほうはかっこいい御答弁だったのですけれども、だんだん本質的なことに関しては全然だめなんですね。で、この前三月二十三日の社労委員会で大橋委員が質問されたとき労政局長は、協約の解約は次の前進のためのステップであると、こういうようにお答えになった。つまり、労働者との協約で労働者がよりよくなるために、そういう意味で解約ということなら許せるんだけれども、まさに一方的にこういうのを押しつけて、労働者の、特に婦人の権利というものを押えつけているというのを、これはいろいろ学説もございまして最後には裁判に持っていかなければなんていうんだったら、労働省何をやるんですか、ほんとうに。初めいいかっこうだからみんな喜んでいたと思うんですよね。ここへ来て、あと裁判だと言われたら、まことに私は残念なんですね。この辺について、やはり労働省が初めにおっしゃいましたように、労働者を守るという立場に立って、そうして特に女子の場合には母性を保護するという――私たちは、自分の子供は自分の子供であるけれども、同時に、それは次代の国民なんだ、その国民を生み育てるという母性に対して特にこういうふうな配慮しなければならぬと法に書かれているのに、こういうふうなことが起きて、それはしようがない、裁判に行ってくれと言うんじゃ、あんまりにも責任がなさ過ぎると思うんです。その点についてもう一度御答弁をいただきたいと思いますが、時間がありませんから質問を先に続けますから、そういうものをどう考えるかということをひとつはっきりさせてください。
 それから、大臣、お聞きになっていらっして、こういう問題が具体的になぜ起こるのか、これは決して慶応病院だけではございませんで、病院の多くにありますし、地の産業の婦人労働者の場合にたくさんございます。その理由は二つ考えられると思うんです。それは労働基準法の婦人の権利に書かれている部分、生休とか産休の規定があいまいだから、最低だからということでそこまで落とせるということ。それから、労働組合法第十五条で、九十日前に通知すれば一方的に協約の解約ができるし、労働基準法第九十条の就業規則の作成、変更の手続が不明確だというところにあると思うんです。いま慶応を言いましたけれども、今度は、最近たいへんな問題が起きてきているのが、先ほども言いました民放の日本テレビなんです。この日本テレビでも私伺っていろいろ調査してみたら、たいへんひどいことが起こっております。それは労働協約の全く解約、女子に関していえば、生理休暇無給、それだけではなくて、つわり、流産休暇は廃止、通院休暇廃止ということが出ているんですね。つまり婦人に対して保護しなければならないということで法にもうたわれ、そして実際にはいままでかちとってきていたこういう生理休暇とか流産休暇、通院休暇というものが無給か廃止というような、まさに婦人労働者に対して全面的な攻撃がかけられてきております。こういうことが九十日前に通告すれば一方的にできるというところに私は問題があるんじゃないか。そういうことから考えて、労働基準法第九十条、そこを「就業規則の変更については、労働者の過半数の同意を要する」というふうに改正をして、そして労使対等の立場に立って労働協約というものを考えるというふうにしなければならないと思うんですが、その点をお伺いしたいと思います。
#188
○政府委員(渡邊健二君) 私ども、労働条件が、労働者にとって悪くなるということは決して好ましいことでない。われわれといたしましては、できるだけ労働条件が引き上げられていくことを願っておるわけでございます。ただ、先ほど効力の問題としておっしゃいましたので、適法な手続で行なわ恥ますならば、その効力が有効無効かといったようなことは、行政官庁としては、きまった判例あるいは学説ということが明確にあれば別といたしまして、そこまでは言えない、それは裁判で決着がつくほかしかたがないんではないか、かようなことを申し上げたわけでございます。
 なお、基準法の九十条を改正して、就業規則の改正については過半数の労働者の同意を得ろと、こういうように変える考えはないか、こういう点でございます。基準法につきましては、御承知のように、昭和二十二年の九月に制定されましてから四半世紀以上たっておりまして、現行の基準法につきましてはいろいろ御意見、問題等もあるわけでございます。これにつきましては労働省でもこれをもう一回見直す必要があるんではないかということで、二年ほど前から労働基準法研究会というものを設けまして、学識経験者の方々にその実際の運用上の実情と問題点を検討していただいておりまして、その検討の結果いろいろ御意見を出していただいております。現在まで安全衛生とか、労働時間、休日、休暇等について御意見が出されまして、そのうちの安全衛生問題等につきましては、御意見に従いまして今国会に労働安全衛生法の制定を御審議願うように提出したわけでございますが、その他の問題につきましても、ただいま御指摘の就業規則関係、これを含めまして現在労働基準法研究会で引き続き検討がされておるわけでございまして、御指摘のような点も問題の一つとして検討されつつありますので、その御検討の結果を待ちましてわれわれ十分に検討してみたいと、かように考えておるわけでございます。
#189
○小笠原貞子君 最後に一問お願いします。
 いろいろ御検討いただくと思いますけれども、それに加えまして具体的に御検討していただきたいと思うわけなんです。いま言いましたような女子保護規定の強化の問題なんですけれども、まさに近代国家として女性の役割りというものを正しく――過当に評価してはいただかなくてけっこうですけれども、正しく評価して、そうしてその能力を発展させるということを保障するという立場に立てば、やはりその具体的な保護規定というものを強化していただきたいと思うのです。
 その一つは、生理休暇というものを無給ではなくて有給にするということでない限り、ほんとうに母体を保護するということが経済的な条件からなしくずしにされて、そのねらっている母体保護ということが不可能になってしまいます。だから、生理休暇を有給とするというふうに考えていただきたいということ。
 それから、産前、産後の休暇を有給とし、そうしてこれも各八週間というふうにはっきりしていただきたい。
 それから、妊娠障害休暇というものも取り上げていただきたい。
 それから、育児時間を延長して有給にするというような、こういう点を、いま非常に、これはもう総評も同盟もそうして組織されていない人たちも、言ってみれば、すべての婦人労働者の要求でございます。先ほども大臣おっしゃいましたように、いま労働者の三分の一以上だと思いますが、婦人労働者でございます。それが、若い間は働かせて、そうしてあとはパートで来いというような、さっきの資本論理の、資本のむき出しのようなああいう考え方に追いやられるのではなくて、やはり一個の人間としての婦人の権利を守る、そうして次代の国民を産み育てるという母性を守るという立場から、こういうような具体的な点を考えていただきたい、こう思うわけなんです。先ほど、基準法研究会というのでいろいろ審議していただいているということでございましたけれども、この研究会は労働大臣の私的諮問機関でございますね。そうしますと、法的根拠に基づいた機関というふうには考えられないんですが、まあ検討していただくのはけっこうでございますが、いま私が言いましたような点について、婦人の権利を守り母性を守るというような立場からの質問に対して、労働大臣としての御見解を最後に伺って質問を終わりたいと思います。
#190
○国務大臣(塚原俊郎君) 当面、慶応病院の問題と日本テレビでございますか、お話を承りまして、私には初耳のものももちろんあります。ですから、われわれも調べなければならぬ面もあると思います。要するに、不信感があるんじゃないでしょうかね。自主的な交渉によって話し合いがまとまる。もう改定は前進でなければならない、これは労政局長も言ったように。そういう姿がとられることが私は一番いいと思う。お互いが信頼感を持ってやらなければこういうものは前進はあり得ないし、今後、これからは日本が進もうとするときに、そういうことがあってはならない。また、あったならば、われわれは十分行政指導をしなければならないと思っております。
 それから働く女性の立場、これは冒頭申し上げましたように、家を守る、そうしてまた子供を育てるという二つの、男性とは異なった大きな任務を持っておるのでありまするから、これに対しましては最大限の考え方を、また処置をとらなければならないと思っております。具体的な問題についていろいろ御指摘がございました。これはいま学校の教員の問題とか、看護婦さんとか、あるいは保母の問題とか、いろいろ、各党においてもそれぞれの機関において御審議を願っているところでありまするが、今日その問題について詳しく申し上げる時間もございませんが、お話はよく承らしていただきました。
#191
○主査(塩出啓典君) 他に御発言もなければ、労働省所管に関する質疑は終了したものと認めます。
 以上をもちまして本分科会の担当事項であります昭和四十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管に対する質疑は終了いたしました。
 これをもって本分科会の審査を終了いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#192
○主査(塩出啓典君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後三時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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