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1971/04/18 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 予算委員会 第14号
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1971/04/18 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 予算委員会 第14号

#1
第068回国会 予算委員会 第14号
昭和四十七年四月十八日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     大橋 和孝君     小野  明君
     木島 則夫君     向井 長年君
     中沢伊登子君     萩原幽香子君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     石原慎太郎君     川上 為治君
     小野  明君     片岡 勝治君
     矢追 秀彦君     原田  立君
     向井 長年君     木島 則夫君
     河田 賢治君     星野  力君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         徳永 正利君
    理 事
                白井  勇君
                玉置 和郎君
                西田 信一君
                初村滝一郎君
                若林 正武君
                松永 忠二君
                矢山 有作君
                鈴木 一弘君
    委 員
                小笠 公韶君
                長田 裕二君
                梶木 又三君
                川上 為治君
                楠  正俊君
                熊谷太三郎君
                小山邦太郎君
                古賀雷四郎君
                高橋 邦雄君
                内藤誉三郎君
                中村 禎二君
                長屋  茂君
                平島 敏夫君
                細川 護煕君
                矢野  登君
                山崎 竜男君
                山本敬三郎君
                山内 一郎君
                上田  哲君
                小野  明君
                工藤 良平君
                須原 昭二君
                杉原 一雄君
                竹田 四郎君
                西村 関一君
                羽生 三七君
                松井  誠君
                和田 静夫君
                塩出 啓典君
                原田  立君
                三木 忠雄君
                木島 則夫君
                萩原幽香子君
                小笠原貞子君
                河田 賢治君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       法 務 大 臣  前尾繁三郎君
       外 務 大 臣  福田 赳夫君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       文 部 大 臣  高見 三郎君
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
       農 林 大 臣  赤城 宗徳君
       通商産業大臣   田中 角榮君
       運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君
       労 働 大 臣  塚原 俊郎君
       建 設 大 臣  西村 英一君
       自 治 大 臣  渡海元三郎君
       国 務 大 臣  大石 武一君
       国 務 大 臣  木村 俊夫君
       国 務 大 臣  竹下  登君
       国 務 大 臣  中村 寅太君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       須藤 博忠君
       警察庁警備局長  富田 朝彦君
       経済企画庁国民
       生活局長     宮崎  仁君
       環境庁長官官房
       長        城戸 謙次君
       環境庁企画調整
       局長       船後 正道君
       法務省民事局長  川島 一郎君
       外務大臣官房長  佐藤 正二君
       外務省経済協力
       局長       大和田 渉君
       外務省国際連合
       局長       影井 梅夫君
       大蔵省主計局長  相澤 英之君
       大蔵省主税局長  高木 文雄君
       大蔵省国際金融
       局長       稲村 光一君
       国税庁長官    吉國 二郎君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
       文部省社会教育
       局長       今村 武俊君
       文部省管理局長  安嶋  彌君
       厚生政務次官   登坂重次郎君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       松下 廉蔵君
       厚生省年金局長  北川 力夫君
       農林大臣官房長  中野 和仁君
       通商産業省通商
       局長       山下 英明君
       通商産業省企業
       局長       本田 早苗君
       運輸省航空局長  内村 信行君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       建設省計画局長  高橋 弘篤君
       建設省道路局長  高橋国一郎君
       自治省財政局長  鎌田 要人君
       自治省税務局長 佐々木喜久治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       大蔵省大臣官房
       審議官      森谷  要君
       厚生省統計調査
       部長       加倉井駿一君
       労働省労政局労
       政課長      森山 眞弓君
       労働省労働基準
       局賃金部長    廣政 順一君
       日本国有鉄道総
       裁        磯崎  叡君
   参考人
       社会保障研究所
       長        山田 雄三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十七年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十七年度一般会計予算
 昭和四十七年度特別会計予算
 昭和四十七年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 この際、参考人の出席要求につきましておはかりいたします。
 三案審査のため、本日、社会保障研究所長山田雄三君を参考人として出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(徳永正利君) それでは、前回に引き続き、質疑を行ないます。小野明君。
#5
○小野明君 最初に、公安委員長にお尋ねをいたしたいと思います。
 去る四月六日夕刻でありますが、新鶴見の機関区におきまして、神奈川県警の機動隊が、たてやあるいはガス銃を持って乱入して組合員に暴行を加えた、こういう事実があるようであります。これについて公安委員長の見解をいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(中村寅太君) お答えいたします。
 国鉄新鶴見機関区において、四月六日午後七時半過ぎごろ、組合員十数名が運転助役当直室に押しかけて、窓ガラスをたたき割り、当直助役等に対して、頭をなぐるとか、あるいはネクタイを絞め上げる、体をこづく、体当たりをするなどの乱暴を働いているという一一〇番通報があり、機動隊が出動して、助役等に乱暴を働いた組合員一人を、暴力行為等処罰二関スル法律第一条違反で現行犯逮捕するとともに、この逮捕の際に警察官に暴行を加えた二人を、公務執行妨害で現行犯逮捕したものであります。
 警察は、正当なる労働運動に対しましては、常に労使いずれの側にも偏することなく、厳正中立の立場を堅持して、絶対にこれに介入するものではないとの基本的な態度をもって臨んでおるところでございます。しかしながら、労働運動であっても、正当性の限界を逸脱して、暴力の行使等不法な事態に至った場合には、法の定めるところに従って犯罪の予防、鎮圧、捜査を行ない、必要により被疑者を逮捕する場合のあることは、警察の責任上当然であります。本件の場合、さきに述べたように、集団暴力事件が発生したため警察が出動して、被疑者を逮捕したものであります。
 以上でございます。
#7
○小野明君 ただいま公安委員長は、この暴行事件がすでに行なわれておる、こういう認識のもとに派遣をしたのだと、こういうことでありますが、これは事実に相違するのではありませんか。これは四十七年四月の七日、国鉄が正式に発表した情報によりますと、そういうことは記載されていない。特にまた、これは一一〇番をした人に問題があるのではないか。そういう確認をしないで、一一〇番をした人に問題があるにもかかわらず、一方的な判断でもって、暴行があり、あるいは器物の損壊があっておると、一方的な説明というのは納得がいかぬ。公安委員長、これは何かの間違いじゃないのですか。
#8
○国務大臣(中村寅太君) 警備局長からお答えいたさせます。
#9
○政府委員(富田朝彦君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣から申し上げましたように、当日の午後七時三十七分ごろに、国鉄の新鶴見機関区から、所轄の幸警察署に対しまして一一〇番がございました。その内容は、先ほど大臣申されましたように、組合員の人十五、六人が機関区の事務所に乱入して、当直助役に乱暴を働き、窓ガラスをたたきこわしている、公安職員だけではどうにもならないので至急出動して取り静めてもらいたいと、こういうような一一〇番がございました。しかしながら警察といたしましては、さらにその事態を十分に確認する必要がある、こういうことで、その直後の七時五十分ごろに、幸署の幹部が再度鶴見機関区に連絡をとりましたところ、すでに負傷しているような状態もあり、公安職員ではどうにもならないということで再度の要請があったために、警察としては急遽その事態の鎮圧のために出動したと、かような事実でございます。
#10
○小野明君 事実の捏造のはなはだしい答弁だと私は思う。これは公安委員長、そういうふうに、この国会の場で事実をねじ曲げて答弁をなさるということであるならば、私のほうも事実に基づいてお尋ねをするのだが、すでに四月の六日の県警機動隊の派遣については一四月の二日の日に管理局長から幸警察署あてに、署長あてに警察官の出動要請があっておる。そのときに、四月六日の七時に二〇番があったのじゃない。それだけではなくて、二日にもう出動要請している。いわば、組合員に対する、そういう逮捕あるいは暴行の事実を初めから捏造しておるわけです。なぜ、四月の二日に出動要請があっておるのか。しかも、四月の六日に一一〇番が入ったこの電話というのは、神奈川県警本部長の県議会での説明によると、いま、ほぼ公安委員長が言われた内容になっておるのだが、何もそういう暴行あるいは器物損壊のはなはだしいもの、その事実はない。しかも、国鉄の当局の説明ばかりを聞いて、当局の人が、このTという人が暴行を働いたと、そうすると、その人をすぐ現行犯で逮捕していった。あるいは、この人が公務執行妨害をやったと、そうすると警察がそれを逮捕していった。少しも現行犯という事実なくして、当局の言い分ばかりを聞きながら、この三名の逮捕をやっておるわけだ。警察というのは、公安委員長、事実の確認がないままに、当局の言うままをそのまま信じて、そのまま執行するところなのか。
 問題は、労使のこれは紛争である。使用者側の言い分を一方的に聞いて、そうして現行犯逮捕、あるいは窓ガラスが不当に組合員によって破られた、こういう判断をするということは大きな誤りである。しかも、たてやらあるいはガス銃を持って入るなんというのは、過剰警備もはなはだしいのじゃないですか。あなたの答弁のように、労使の間に警察が入るということは、これは望ましいことでない。しかし、たてやらガス銃を持って労使の紛争の場に入っていく。しかも当局の言い分ばかりを聞いて、しかも逮捕まで行なう。これは警察権の乱用じゃないですか。また公安委員長は、そういう捏造された事実だけではなくて、十分その事実を究明をした上で、判断をし答弁をすべきであると思うのです。公安委員長の見解を再度問います。
#11
○国務大臣(中村寅太君) 警察といたしましては、先ほども私が申し上げますように、労使の争議行為に対しましては、厳正な立場に立って対処しておるというのが原則でございます。今回の事案につきましては、先ほど警備局長も答えたように、やはり実情に即した私は処置をしておると、あるいは、一方的な話だけを聞いてやったというものではないと承知しております。
#12
○小野明君 これは、あなたはまた自説を固持して譲らぬのだが、県警本部長が、神奈川の県議会でこういう答弁をしておるんですよ、八時五十五分、当局のほうからこの人がやったということを聞いて、被疑者のTなる人を暴力行為現行犯で逮捕したと。あるいは当局の人が、この人が被疑者で、写真をとった、写真をとって公務執行妨害をやったと、こういう人を当局が指示してこの人を逮捕した、こういうことなんです。また事実、この一一〇番の内容もここにあるのだが、県警本部長が答弁しておるのだが、当直室、区長室の窓が破られておったと。当直室の窓は全然破られていない。区長室は、これは労使ですからね、三枚破れておったというんですよ、ガラスがね。まるで全部破壊されたような言い方というのは、非常におかしいのじゃないですか。処分をめぐって激しい労使間で交渉がある。その際に窓ガラスが三枚破れておったから、現行犯で逮捕する。これは神奈川県警本部長の県議会の答弁なんですよ、いま私が申し上げたのは。こういう、窓ガラスが三枚破れておったらね、ガス銃やたてを持って五十八名機動隊が乱入して、そうして、それこそ組合員に体当たり、暴行を加えて、たてを振り回してね、そうして現行犯逮捕ということで当局の指名者を連行する、これは少し公安委員長、過剰警備、警察権の乱用、労使の場においてそういう行動をやるということは警察権の逸脱と思いませんか。率直に私は労使紛争の場に入ること自体も反省をしてもらいたいと思うんだ。捏造された事実に基づいて役人の報告ばかりを聞くんでなくて、私は県議会の答弁あるいは組合側からの意見も聞いておる。あなたのほうは、当局の側のほうからばっかり意見を聞いておる。そういうのはおかしいじゃないですか。再度、頭を冷やして答弁をしてもらいたいと思う。
#13
○国務大臣(中村寅太君) 私は、警察の態度は先ほど言いますように、労使問題等につきましては、きわめて冷静な立場に立って厳正中立でなければならぬという方針でやってきております。そこで警察が、小野議員がおっしゃるように一方的な、不法行為にも匹敵するような過剰行為をしたということは信じられません。まあそのときの詳細なことは、私はそこに立ち会うたわけではございませんけれども、平素十分注意をして警察の職務を執行させております立場上、私はやはりそういう報告を正しく信じて警察行政をやらしておるわけでございます。なお詳細なことにつきましては、警備局長が来ておりますので、警備局長からもう少し答えさせたいと思います。
#14
○小野明君 いや、答えないでいいんだ。公安委員長、その区長室の窓ガラスが三枚ぐらい割れておった程度だと、こう言われておるんだが、たてやらガス銃を持ってそういった場に入る必要がありますか。あなた、それを判断してもらいたいんだ。ガス銃やたてを持って何で入る必要がありますか。公安委員長の判断を聞いておるんだ。
#15
○国務大臣(中村寅太君) 私はそのときの情勢を、詳細にそういうことを承知しておりませんので、警備局長から答えさしていただきます。
#16
○小野明君 何だ、公安委員長は、役人からその事実を聞きながら、私からまた新たな事実を聞きながら、たてやらガス銃を持つことが適当であるとかないとか、これは行き過ぎであるとか行き過ぎでないとか、そういう判断もできないんですか、あなた。公安委員長ができないんですか。
#17
○国務大臣(中村寅太君) 私はそのときの実情を詳細に、そこにおったわけでございませんから、承知いたしませんので、警備局長から、そのときの情勢等によっての判断を答えさせます。
#18
○小野明君 警備局長の判断を聞いておるんじゃないですよ。警察行政すべてについては、もう私が言うまでもなく、公安委員長あなたが最高責任者ですよ。警察に行き過ぎがあれば、あなたがチェックせにゃいかぬ立場でしょう。そうでしょう。だから私が申し上げ、当局からも聞いておるでしょうから、そういった事実はきておるわけだ。それに、たてやらガス銃を持って入る必要があったかなかったか、これは過剰警備じゃないかと私指摘しておるんだ。あなたの責任でそれぐらい答弁し切らにゃ、公安委員長の資格はないですよ。しゃんとして答えなさい。
#19
○国務大臣(中村寅太君) 私はそのときの実情を詳細に承知いたしませんので、まあガス銃を持っていたとか、あるいはそういうことが過剰防備に該当するのかどうかということもはっきりわかりませんが、警察といたしましては不必要な行為等をする考えは、私はないと信じておりますが、いま小野議員が仰せられるように、窓ガラスが三枚割れたとか、ガラスが割れたということは、やっぱり暴力行為があったということだけは、これはやっぱり事実じゃないかと思うんです。その暴力行為の実態というものを、私はよく承知いたさないので、明確な答えというわけにいきませんけれども、いま仰せられるように、ガス銃とかそういうものはできるだけ使用しないがいいことはきまっておりますし、持っていかないがいいこともきまっておりますが、私は今後の処置としては、できるだけ過剰な防備体制であるというようなことが誤解されないように、慎重な態度で臨むように指導してまいりたいと思います。
#20
○小野明君 あなたの答弁には問題があるんだ。窓ガラスが三枚割れておったら、これは組合員が乱暴して割ったんだというもう前提に立っているんだ。労使の問題というのは、労使対等に見なきゃいかぬでしょう。公安委員長、そうじゃないですか。ここでは当局のほうが、あるいは公安のほうが、消火器を持って振り回しておるわけですよ。そういう事実もあるわけだ。どちらの責任でこの窓ガラスが割れたかということは明確でない。あなたは、それを組合の責任かのように一方的に言っておる。そのこと自体が間違いなんだ。とにかく原則としては、労使間の紛争には警察は入ってならぬ、労使がこれは自主的に解決するものだと、こういう原則的な立場を私は堅持すべきであると思う。一方的に窓ガラスが割れておれば、これは組合員の責任である、そんなばかな理屈がどこにありますか。また、あなたの立場は片寄っていますよ、それを直してもらいたい。
#21
○国務大臣(中村寅太君) 私は、労使の関係につきましては決して片寄った考えを持っておりません。私はどっちかといいますと、労働者に理解を持っておる、自分としては気持ちを持っております。そういうことで、警察というものは労使の争議の中にはできるだけ入らないということが、私はいい道であると思いますが、しかし、暴力行為というものがどこであろうと起こっておる際には、警察は、これをやはり防止するというのが警察の責任であると私は考えております。そういう意味で、今回の処置も、警察が私は暴力行為を排除しなきゃならぬという立場でとった処置であると信じております。
#22
○矢山有作君 委員長、ちょっと関連。
 国家公安委員長に聞きますがね。そのときの状況については、いま小野委員のほうから言われたとおりだと思うんです。私は、労働争議の場に警察官が出動するというような場合は、あなたが言うように警察の厳正中立という立場からするならば、特に慎重でなきゃならぬと思う。そうすれば、少なくとも五、六十人の警察官を、ガス銃を持って、たてを持って完全武装で出動させるというためには、そういうような装備を持って出動する必要があるのかどうかということを、一応やはり現場を確認すべきじゃないですか。現場を確認の上に立って、そのときに判断をすべきなんであって、一一〇番があったから直ちにガス銃とたてを持たして、完全武装で労働争議の場に突入させるという、そういう非常識な警察力の行使がありますか。そのことを聞きたいんです。それこそ、まさに過剰ではありませんか、行き過ぎじゃありませんか。その状況判断は、小野さんから聞いたとおりなんだ。その上に立ってあなたがどういう判断をするのか、判断をひとつ示してもらいたい。大臣だよ、これは。
#23
○委員長(徳永正利君) この答えは大臣にやってもらって、事実のあれがあれば警備局長からやってもらいます。
#24
○国務大臣(中村寅太君) ひとついまの状況は、やはりそのときの情勢によって判断せなければわかりませんので、私がそのときの情勢を詳細に、そこにおったわけではございませんから承知しませんので、警備局長から答えさしていただきます。
#25
○政府委員(富田朝彦君) お答えいたします。
 当日、一一〇番を受けましたあと、先ほど申し上げましたとおり再度確認をいたしたわけでございます。これは、私どもが一一〇番あるいは要請がありました際、常にとっておる態度でございます。同時に、急遽部隊を現場に出すべく、幸警察署としては措置をとったわけでございますが、当日は夜間のことでございますし、また非常に急なことでございます。そこで、おそらく署の幹部としての判断でございますけれども、これは四月の三日ごろから紛争が非常に激しくなっておりますが、四月の三日にもけが人が出たようでございまして、消防署から救急車でけが人を運んだというような連絡が、三日の日に警察にございました。そこで警察としては、さっそくパトカーを派遣をして現地を見るべくやったのでございますけれども、このパトカーが相当数の方に取り囲まれまして、そして結局、中に入れないというような状態もございました。また、これは新鶴見のことではございませんが、先年、都内の某機関区においてやはり学生等が介入いたしまして、たいへんなけがをしたような事案もございましたので、そういう参考例もおそらく署の幹部にあって、少人数のことではあり、これは機動隊員としては三十二名でございます。あとは警察署のいわゆる警察官でございます。したがいまして、そういうことでありましたので、いわゆるたてとガス銃を装備して行った。ガス銃はこれは三丁でございます。そういう事情でございますので御説明をいたしておきたいと思いますが、今後の問題としてどうであるか、これは先ほど来大臣から申し上げておりますとおり、この労働運動に関する警察の基本的態度というのは、十分厳正公平でありかつ慎重でなければならぬと、かように考えておりますし、したがいまして、こうした場合も十分情勢を見きわめた上で慎重な措置をとるように、これを教訓としていくということは、現地警察も十分考えておるところでございます。
#26
○小野明君 今後は厳正公平にというふうな答弁があっておったが、今後だけじゃなくて、これはこの新鶴見に関しても厳正公平にやってもらいたい。これは著しく、新鶴見の問題は当局側の一方的な指示、一方的な要請ばっかりを信用して、過剰警備に私は入ったと思う。公安委員長、いいですか。きちっとやってもらいたい。公平にやってもらわなければいかぬ。特に、労使の紛争に介入するというようなことは、厳に私は慎んでいただきたいと思う。
#27
○矢山有作君 ちょっと。
 公安委員長、あなたは盛んに警察の厳正公平ということを言っておられますがね、警察が厳正公平であり得ないような事例が、ちょくちょくあるので、そのことをひとつ言っておきますから、あなた、それを御承知かどうか、答弁してください。
 たとえば、駐在所をどこかの大会社の敷地内につくる。そして建物もその大会社から提供してもらう。そして、その駐在所に備えつけておる電話も、その会社の内線電話を敷いてもらう。こういう形が駐在所にとられておって、警察が、労使紛争の場合に厳正公平な態度をとれると断言できますか。あなた、そういう事実があるのを御存じですか。これを一つ聞きたい。
 それからもう一つ、警備局長の先ほどの話ですが、警察が出動するときは、弾圧を目的として出動するのじゃないのだろう。要するに、暴力行為、傷害行為が起こらないようにする。そういうことが起こっておるならば、それがさらに激化しないようにする。そういうために出るのであって、労働者の弾圧のために出るのではない。労働者の弾圧のために出るのでないとするならば、やはり情勢を的確につかんで、完全武装というような出動体制はとるべきではない。そういう態度をとれば、そのことがさらに挑発になって、事態が紛糾するということも考えられる。そういう点においては、警察の出動の慎重さというものを私は特に強く要望しておきます。
#28
○国務大臣(中村寅太君) 前段の、駐在所の問題は私はよく承知いたしませんので、よく取り調べてみます。後段の、警察が出動する場合には慎重を期さなければならぬということは、そのとおりでございまして、私はいままでもそういう方向でやってきましたが、今後もなおそういう点に対しては慎重な態度で、公正な警察行為というものが誤解されることのないように、十分注意してまいりたいと、かように考えております。
#29
○矢山有作君 資料要求だけしておきます。
 それでは、全国の警察にわたって、経営者側いわゆる資本家側から敷地を提供してもらったり、建て物を提供してもらったり、あるいは内線電話まで敷いてもらったというような駐在所、宿舎、そういうものがどの程度あるか、全部調べて、資料として提出してほしい。わかりましたね。
#30
○委員長(徳永正利君) 提出できますか。
#31
○国務大臣(中村寅太君) 調査いたしまして、できるだけ早い機会に提出いたしたいと思います。
#32
○小野明君 国鉄総裁にお尋ねをいたします。
 もとはといえば、機動隊を導入をする――この件については先ほど私が申し上げたように、四月二日に、東京南鉄道管理局長から幸警察署長にすでに事前に出動要請があって、しかも当日の一一〇番というのは、きわめて事実を曲げる一一〇番をやっておる。いわば一連の労働組合弾圧の手段に警察を使った、こういうふうにしか私は言えないと思うんです。こういうやり方自体が、私は国鉄の労使不信につながるものである。労使不信の問題はあとでやるとして、今回のこの新鶴見に関しては、事前にこういうことをやっておったということに対する、総裁の見解をいただきたいと思うんです。
#33
○説明員(磯崎叡君) まず、新鶴見の問題につきまして、たくさんのお客さま、また荷主に御迷惑をかけていることをたいへん申しわけなく思っております。
 いま先生のお話でございますが、四月三日以降の事態につきましては、新鶴見機関区の従来の情勢から申しまして、正常な業務を運営するについて、非常に欠ける点があるというふうな客観情勢がございましたので、事前に警察にその状況を申し上げ、万が一、負傷者あるいはけが人等が出まして、不測の事態が起こることもあり得るというふうに考えられました。これは従来の経過によりまして、たくさんの負傷者が実は出ております。そういう状況を踏まえましてやったことでございまして、私はやむを得なかったというふうに存ずる次第でございます。
#34
○小野明君 総裁のそういう御見解なり態度というものが、さらに労使紛争というものをエスカレートさしている。しかも警察は、先ほどから言っておりますように完全武装、たて、ガス銃を持って入っておる。さらにエスカレートしてい、る。これは警察権を介入さして、労使紛争を激化する、組合員の犠牲者をふやす、見方によればそういうふうにしか私はとれないと思うんです。事前にそういった予防的な措置をとるということ自体が、私は許されぬと思う。そういうふうに紛争が予想されるならば、しかるべき本社の責任者が現地に行って、あるいは組合の幹部と話しをするなり、そういった解決のしかたというものは別にあるはずだ。警察権を要請するなんという解決のしかたは、最も下の下の私はやり方だと思う。その点の見解を聞きたいと思います。
#35
○説明員(磯崎叡君) 私どもも多年、労働問題に関係いたしておりまして、先生のおっしゃったとおりだと私は存じております。ただ新鶴見の問題は、御承知のとおり若干異常な事態もございます。したがいまして、その後のトップ会談におきましても、実は昨日まで、実に公式なものだけで六回、非公式なものを含めますと十回近労使会談をやっております。トップ会談をやっております。いままでの例で、トップ同士でそれだけの回数を話しをするということは例がないことでござ一いますけれども、それほどまでに事態がむずかしくなっておるということは、率直に認めざるを得ないと思います。
 そのトップ会談の内容といたしまして、いま先生のおっしゃったいわゆる労使の不信感の問題、それから安全問題この二つにしぼったわけでございますが その労使の不信感の問題におきましても、いわゆる暴力行為というものは、労働組合法第一条を引用するまでもなく、もちろん正当な労働運動ではないということを、お互いに確認し合って話を進めたような次第でございまして、おかげさまで、やっと事態が多少峠を越しましたので、それ以上のことを申し上げるのは慎みたいと存じます。
#36
○小野明君 ATSの問題はあとでいきますが、たとえ異常な事態であろうとも、現場が若干、あなたのお考えになる例と違ったということがありましても、十回で片づかなければ二十回――十回やったからもうこれは限度だ、あるいは十五回やったから限度だ、そういうことではなくて、もっとなぜ組合と精力的に、二十回でも三十回でも話し合いを煮詰めませんか。初めからあなたの考え方の中に、組合というのはこれは暴力集団だと、こういうお考えがあるんじゃありませんか。正常な労働組合と認めないというお考えがあるんじゃありませんか。もっと、組合は一つの大きな組織ですから、組織のルートに乗った煮詰め方、やり方というものが私はあってしかるべきだと思う。新鶴見の問題は、それ自体、解決の熱意が不足しておるんじゃないか、しかも、その解決の手段において間違ったやり方をとられたんではないか、こういうふうに言わざるを得ないと思う。再度見解をいただきます。
#37
○説明員(磯崎叡君) ただいまの先生のお話でございますが、私のほうも、いわゆる動労のほかに国労という非常に大きな組織も持っております。したがって、組合との交渉、折衝につきましては、何と申しますか、両方の組合の間をうまく調整すると申しますか、両方とも満足のいくような話し合いの形式をとらなければならないというふうに思っております。したがいまして、国労との話し合いにつきましても、十分煮詰めるものは煮詰めてまいりますけれども、同じ国労、動労を相手にいたしましても、国労の場合には非常にトップ会談でスムーズに話がつく、動労の場合にはなかなか話がつかないということなどにつきましても、いろいろ問題があると思います。しかし、こういう席で申し上げることは、はばかることもございますので、これは申し上げませんが、同じような力を持ったと申しますか、むしろ人数的に申しますれば国労のほうがずっと多い組合、しかも歴史の古い組合、そういう二つの組合を相手にいたしましていろいろ折衝いたしておりますが、その間に非常にニュアンスの相違がございます。したがって、いろいろな手続等も複雑になるわけでございますが、私といたしましては、初めから動労を暴力集団だというふうに、きめつけるような気持ちは毛頭ございませんし、ただ、暴力の問題が動労と関連して起こってきた――関連するということばは必ずしも正確ではございませんが、国労の場合にはそういう問題がない、動労の場合には不幸にして昨来以来そういう問題があった、ということは事実でございまして、動労との話し合いにおきましても、いわゆる組合運動としてそういう暴力行為をしたことはない、これは私、当然だと思います。したがって、たまたま起きた暴力行為というものは、これは組合運動ではない、正当な組合運動ではないと認めるのは、これは当然だと思います。したがって、私どもといたしましては、そういう暴力行為が関連して起こった場合には、やはり煮詰め方その他につきましても、よほど精力的に、また、お互いにきめたことはお互いに守るというようなルールが確立し、それが実行されませんと、なかなか実益があがらないということで、私どもも、必ずしも動労を初めから、そういうふうに、先生のおっしゃったような見方をしているわけではございませんが、たまたま同じような組合で、片方はそういうことはない、非常に平和裏に話が行なわれている、片方はそうでない、というところに若干の相違があるというふうに思わざるを得ないわけでございます。
#38
○小野明君 人間の顔が違うように、両方の組合がおんなじということは絶対あり得ないですよ。組合が育っていくには、それなりの体質があるわけですからね。それだけに、私は、動労、動力車労働組合の場合のほうが解決がむずかしいというのであれば、それは、処分の問題なり、あるいは職務の態様というものが基因をしておるんではないか、あるいは処分が過酷に過ぎるのではないか。処理方針についても、いろいろ問題のある処理方針が、処分に関する処理の方針が行なわれておるのではないか、こういうふうに言わざるを得ない。ですから、やっぱりそれぞれの体質に合った解決方法をもって、国鉄当局が熱意をもって、私はこれに対応していくということ以外ないと思うんです。
 それから例のATSの問題に関しました労使の交渉というのは、昨日、大詰め、大筋合意を見たようであります。非常にけっこうなことだと私は思います。そこで、今後の方針あるいは大筋合意、残された課題、そういうものについて見解をお述べいただきたいと思います。
#39
○説明員(磯崎叡君) この問題は、去る三月二十八日の総武線の問題に端を発した問題でございます。私どもといたしましては、去る昭和三十六年にございました三河島の大事故の直後、いわゆる安全問題は労使問題よりもっと次元の高い問題だと、全然違った次元の問題である、労使問題以前の問題であるということで、国会の超党派の御勧奨もいただきまして、その後、いわゆる労使という立場でなしに、両組合並びに当局との間で、事故防止委員会をずっと、ここで約十年間持っておりまして、今般もその席にATS問題を上げたわけでございます。専門家同士でございますので、大体話はつきましたが、そのATSプロパーの問題のほかに、九つばかりいろいろな案件を持ってまいりましたので、多少時間がかかりましたけれども、ATSプロパーの問題につきましては、もう大体お互いにわかっている問題でございまして、むしろ、今後規定をどういうふうにつくるとか、あるいは全国的にどう持っていくかというようなテクニカルな問題になりましたので、これは事務ベースで煮詰めるということにいたしまして、今後こういった問題で紛争の起きないようにいたしたいというふうに思っておりますが、なかなか機械化、近代化の過程でございまして、扱い方その他にも、また職員の習熟度等につきましてもいろいろ問題もございますが、こういう問題で国民に御迷惑をかけることのないように全力を傾倒してまいりたいというふうに思っております。
#40
○小野明君 問題は、私は、大きな問題としましては二つあるように思うのです。一つは、ATSの取り扱い基準が全国的に統一されていない――これは話し合われた問題だと思う。
 それからいま一つは、処分に端を発した問題でありますが、これに十分な弁明、弁護の機会が与えられていない、一方的な処分規定の解釈といいますか、それによって押し切っていったと、この辺に問題が私はあるように思うのです。
 さらに、いま申し上げたことは多少内部プロパーの問題になるにいたしましても、問題は、乗務員の不信感、不安――取り扱い基準が統一されていなかったということから来る乗務員の不安感というものが、国鉄輸送に、国民に大きな被害を与える、このことを私はおそれるわけなんです。それが労使の不信ということであります。ですから、その辺を解決するために、さらに私は熱意を持って総裁が当たられることを望みたいと思うし、いま申し上げた二つの問題について、再度御見解を承りたいと思います。
#41
○説明員(磯崎叡君) ATSの問題につきましては、先生もおっしゃいましたとおり、いろいろ機械化、近代化の過程におきまして問題もございますが、乗務員の不安感などがあっては、これはもういけないことでございます。その点につきましては十分話し合いをいたしまして、そうして専門家同士のきちっとした話にしたいというふうに思っておる次第でございます。
 また、もう一点の、弁明、弁護につきましては、私のほうでは、昭和二十四年からでございましたか、弁明、弁護の制度がございまして、処分の通告をいたしましてから本人の意思を聞く、本人の話を聞くということで、実は新鶴見の問題は去年の八月十六日に処分通告をいたしております。その後いろいろ問題もございまして、去る二月の末まで実は弁明、弁護がかかったわけでございます。弁明、弁護の際には、必ず、本人だけでなしに、慣例的に組合の役員が付き添うことになっております。なかなか、乗務員でございますので、時間がとれないというふうなことで、相当日数がたったわけでございますが、この件につきましては、普通は、慣行上、労使の弁明、弁護の機会というものは大体きまっておりますが、それの倍ぐらいの時間をかけ、倍ぐらいの回数をかけてやっております。そのために、去年の八月の通告が、二月まで始末がかかったということでございまして、相当慎重に取り扱ったつもりでございますが、今後、そういう問題につきましても、十分労使間で、もう少し早くケリをつける、また、聞くものは聞くというふうな態度でまいらなきゃいけないと思っておりますが、今度の問題がいままでの労使慣行をはずれたという点はないというふうに私は思っております。
#42
○小野明君 それが、納得が得られないままに、弁明、弁護が二月で打ち切られたというところに私は問題があるように思います。それも、当局の一方的な解釈によってこれが運用されるという結果を招いた、これが今回の深刻な動労闘争の問題に発展したと思うんです。この種の機会というものに対しては、弁明、弁護の機会というものは、やはり私は、さらに一そうの努力というものが総裁のほうにおいてなされてしかるべきではないか。さらに、労使の不信感の深刻さというものが私は非常に問題だと思うんです、国鉄の場合に。これが今後のATS闘争――大筋合意したといいますが、さらに尾を引いてくるのではないかと思います。その辺に対する今後の御所信を伺いたいと思うんです。
#43
○説明員(磯崎叡君) 実は、春闘を控えまして、また同じような事態が繰り返されないとも限らない、違った次元から同じような事態がないとは限らないというふうに思っておりまして、ただ、私どもの規定の解釈その他につきましては、これは私どもの管理者としての責任でございますが、しかし、その解釈にあるいは不明確な点があったり、あるいは不統一な点があったり、これはよくないことだというふうに存じますので、この際、そういった機械化、近代化に伴う新しい機械の使い方、あるいはそれの設備のしかた等につきましては十分慎重に配慮し、また、事故防止委員会等におきましても組合に十分説明いたしまして、業務の面と労使の面と、両方からこの安全問題を十分検討してまいりたいと思っております。何と申しましても、安全問題は私どもの生命でございますので、十分先生のおっしゃったことを体しまして検討してまいりたいと思っております。
#44
○小野明君 これから春闘問題の質問に入りたいと思いますが、官房長官、ちょっとお急ぎのようですが、春闘問題の質問に入ります前に……。
 けさの「朝日」を見ますと、ハノイ、ハイフォンの爆撃、アメリカの爆撃について政府の態度を表明しないと、こういうことが載っております。この軍事行動、今回のアメリカの軍事行動というのは、きわめて私は重大であると思う。これについて、なぜアメリカに抗議をしないんですか。日本政府の態度を表明できないというのは一体いかなる理由によるのか。これをまず最初にお尋ねをしておきたい。
#45
○国務大臣(竹下登君) 私からお答えすべきかどうか判然といたしませんが、私どもが記者会見等を行ないます際、いま申し上げておりますことを、この席でいま一度正確に申し上げたいと思います。
 いわゆる非核三原則を国是とし、また、院の議決もいただいておるという立場において、いかなる国で行なわれましょうとも、核実験、こういうものには政府として今日まで絶えず抗議を申し込むと、こういう姿勢をとっております。しこうして、この地球上に武力紛争が起きました際は、それが話し合いによって解決されることが望ましいと、こういう見解の表明はいたしておりますものの、その軍事行動、一つ一つの軍事行動につきましては、これは、平和憲法をもって立つわが国としては、もとより好ましいことではないという大前提はございますものの、いわゆる他国の国内問題に対する一つの内政干渉というような立場については、これは論評を差し控えると、こういう姿勢をとっておる、このように申し上げておるわけであります。
#46
○小野明君 この軍事行動の強化、アメリカの軍事行動の強化というのは、他国の内政に干渉しないというような、そういうありきたりの態度でいいものかどうか。これは、日米共同声明でもベトナム紛争云々という条項がはっきり入っている。はっきり、そういうベトナム情勢の問題と日本が関連をしながら、ある中で、この北爆強化にアメリカに対して抗議をしない。先ほどのあなたの理屈は通らないですよ。なぜ堂々とアメリカに抗議しないんですか。それが私は納得できない。再度説明をいただきたい。
#47
○国務大臣(竹下登君) 私も、小野委員のおっしゃる、いわゆる御趣旨と申しますか、気持ちと申しますか、非常に表現が適切でないかもしれませんが、そのことは十分私も理解できるところであります。が、重ねて申し上げますが、原則的に申し上げますごとく、いわゆる個々の軍事行動に対し他国の内政上の行為であるという場合には論評を差し控えると、このような筋を通しております。
#48
○小野明君 この際論評をしないということは、関係ないということではなくて、アメリカの北爆に、民族自決を奪うこのハノイ、ハイフォンの爆撃に手をかしている、加担をしている結果にしかならぬと思うんです。そういう事態を避ける、アジアの国民から不信を取り除くためにも、堂々となぜ日本政府は独自の立場で見解を表明し、抗議をしないんですか。私は、あなたの答弁では納得できない。
#49
○国務大臣(竹下登君) 重ねて申し上げますが、私も小野委員の精神は十分理解できるところであります。しかし、今日までの限界といたしまして、非核三原則、こういう問題について、いかなる国の行為であろうと、これに対する抗議の申し出をする、これは政府として今日まで取り続けておることでありますが、個々の武力紛争そのものにつきましては、平和的解決をこいねがうという以上の論評は、今日まで、いかなる国に対してもいたしていないというのが現状であります。
#50
○小野明君 それでは、幾らお尋ねをしても同じ答弁の繰り返しだと思いますから、非常に不安であると、そういうアジアの諸国民から非難を受けぬためにも堂々と日本の立場を表明すべきであると、私はこれを申し上げて、次の質問に移ります。
 これまで春闘問題で、衆参両院の社労委員会等で、三公社五現業、いわゆる公労協の問題については国民に迷惑をかけないようにするのが政府のつとめである、したがって、予算審議中ではあるが、この問題解決のために適当な時期に政府の態度を明らかにしたいと、このように答弁をされておるわけであります。この態度に、この方針に間違いなのかどうか、お尋ねしておきます。
#51
○国務大臣(竹下登君) 若干、表現におきましては多少異なる点がございますが、いま小野委員の御指摘のとおりの精神であります。
#52
○小野明君 すでに労働大臣、官房長官、そのとおりだと、こういうふうに答弁されておりますからね、言われておりますが、再度この予算委員会で、大蔵大臣、いままでの政府の態度、これについて間違いないのかどうか、再度答弁をいただきたいと思います。
#53
○国務大臣(水田三喜男君) 大体その方向で間違いないと思います。
#54
○小野明君 労働大臣。
#55
○国務大臣(塚原俊郎君) 四十七年度の予算はいま参議院で御審議を願っておる最中であります。したがって、そのことも十分念頭に入れながら、しかし、一昨年来有額回答というよき慣行もございまするので、諸般の情勢を勘案いたしまして、私は、タイミングを失しないような時期に処置すべきである、こういう答弁を繰り返しております。
#56
○小野明君 いま労働大臣が言われますように、ここ一、二年の間、各公企体当局は団体交渉におきまして有額回答を提示する、それがきっかけで自主交渉、それを積み重ねた中で、公労委の調停段階で事実上問題の解決が行なわれてまいったと思います。この政府の各当局の姿勢というのは評価してよろしいと思うんです。ことしもこの方針で臨むのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。官房長官。
#57
○国務大臣(竹下登君) そのとおりであります。
#58
○小野明君 労働、大蔵。
#59
○国務大臣(塚原俊郎君) そのとおりでございます。
#60
○国務大臣(水田三喜男君) 大体その方向でございます。
#61
○小野明君 ことしは、それに引き続いてでありますが、各企業体の交渉状況が非常におくれていると思います。これは、政府が各企業体の当事者能力を押さえておるんじゃないか、ブレーキをかけておるんではないかと推察をされます。この点を官房、労働、お二方に御答弁をいただきたいと思います。
#62
○国務大臣(竹下登君) 私は、今日までの労使双方の話し合い等、まあ回数だけですべてを判断するわけじゃございませんが、たいへん例年よりおくれておるというふうには理解しておりません。ほぼ例年並みのテンポではなかろうかと、まあこのように理解をいたしておるわけであります。しこうして、政府といたしまして、よしんば例年との相違といえば、まだ予算が本院で御審議をいただいておるさ中であるとか、こういうような問題がございましても、これらの問題は、それなりに、院の意思のあるところというものがおのずから私は理解できるという精神の上に立って、お互いの当事者能力を発揮しての自主交渉と、こういうものに期待をしているわけでありまして、私どものほうでこれらを押えておるというような考え方は全く持っておりません。
#63
○国務大臣(塚原俊郎君) 従来よりおくれておるんではないかというお話でありまするが、私の見るところでは、同じペースで進んでおると思っております。多いところで八回、あるいは少なくとも二、三回はやっておりまして、自主交渉は円滑に行なわれておる、まあ最後の一点が詰まらない面は、これは御了解いただけると思いまするが、したがって、政府が何かこう、チェックしているんじゃないかというようなことは、これは毛頭ございません。小野委員御承知のように、やはり三十九年の太田議長と池田総理との間に話し合いがございまして、ある程度民間賃金の動向を見てという、このプリンシプルは、当事者間においても、また公労委の方においても、やはりこれを一がいに無視するということは、私はやはり今日とるべきではない、しかし、諸般の情勢ということを私先ほどから申し上げておるように、何もそれにこだわりっきりということがあっては、これはならぬと思いますが、やはりこれはプリンシプルを変えないでいくのが望ましい姿であると、このように思っておりまするし、これは横道にそれたかもしれませんが、御指摘のような、何か政府が押えておるんではないかということはございません。
#64
○小野明君 政府から押えてはいないと、こういうお話でありますが、きのう私は大蔵省関係の全印刷の労働組合の方に会いました。これは、政府関係企業体それぞれ同じだと思うのですが、いま予算審議中であるということが一つ、予算が上がっていないということが一つ、それから、いま労働大臣が若干触れられておるんですが、民間がまだ出ていない、こういうことが理由になって有額回答提示がおくれておる。官房長官はじめ、皆さんは、政府がブレーキをかけていないと、こう言われるが、事実、各公企体ではそういうことが行なわれておるわけです。これについて、どう、あなた方は対処されようとするのか。言われることと実際が各公企体では違うじゃないか。その点を明らかにしていただきたい。
#65
○国務大臣(水田三喜男君) その点は、御承知のように、本予算が国会でまだ審議されている間に各当局が有額回答を行なうことがいいか悪いかというような問題は、いままで検討しておった問題でございます。で、もし有額回答を示すということになりますと、これが受け入れられたという場合にはそのとおり実行しなければならない。実行するとなるというと、予算のきまらない間に確定債務を、もう、かってに負うということになりますので、その辺には一つのむずかしい問題がございますので、そういう点の検討をしておりましたが、先ほど政府の態度として、期を失せずに適当な場合においてということは、もうすでに予算の審議がここまでまいっておる状況にかんがみまして、これが成立した場合にはという一つの前提を置くならば、政府も適当な場合に有額回答ができる、これは差しつかえないだろうというような考えを持っておるために、さっき、労働大臣、官房長官が言ったような態度が大体政府の態度と見ていいと思います。それと同時に、もう一つは、民間の賃上げ状況を見なければこれをきめられないという規定にもなっておりますので、やはりその状況を見てからということ、この二つが重なって、各企業体が回答の時期についていろいろ考えておるということだろうと思いますが、特にこれが政府によって待たされておるとかというような事情は、この間には全然、いまのところございません。で、実際問題として、昨年以前と比べてみましてこの交渉がおくれておるかと申しますと、いままでの回数や、そのほか、また有額回答をいままでしておる日から見ましても、現在立ちおくれしているというようなことはないというふうに私は考えております。
#66
○小野明君 労働大臣にこれをお尋ねしたいと思います。
 政府の景気浮揚策で、国鉄、電々などは工事量はなるほどふえてまいった。しかしながら、給与あるいは労働問題の対策というのはほとんど見るべきものはない。あってもマル生ばかりある。こういった各公企体の実情というのは、それぞれ労使の団体交渉で取り上げられておるところであります。それぞれの企業体で仕事量あるいは生産性、経営展望、こういうものを含めて、これらを自主交渉の素材にあげながら企業体の持ち味を生かすようにその指導をしなければならぬ、こう思います。これが近代的な労使慣行としてサービス向上につながると思うのです。この精神は私は今日貫かれていると思うのですが、再度確認の意味でお尋ねをいたしますが、間違いありませんか。
#67
○国務大臣(塚原俊郎君) それぞれの部門において自主交渉がなされるということは、これは一つの鉄則でございまして、その点、おっしゃられた点は十分私も承知いたしておりまするし、また、そうあることを心から祈っておるわけでございます。
#68
○小野明君 官房長官にお尋ねをいたします。
 これまでの場合、有額回答後も調停、解決までにある程度時間がかかってまいっております。これは自主交渉を尊重しながら公労委が作業するのに当然のことである。昨年の例を見ますと、四月二十八日が有額回答、四月三十日調停申請、五月二十日が解決と、こういう運びになっております。鉄鋼がまあ先行いたしまして四月二十一日に回答をやっておるようであります。公労協の山場はことしは四月末と聞いておる。で、政府の態度をきめる適当なタイミング、最初にお尋ねをした問題でありますが、これらの作業の期間というものを見ますと、どうしても昨年の例から見ると十日ぐらいはかかっておるようであります。ストライキを打たなければ、ストライキに入って世情騒然としなければ回答を出さない、こういうことではなくて、もう山場というのはわかっておるんだから、昨年の例を見ながら、もう十日ぐらいの余裕を見て回答を出すべきであると思いますが、この辺、官房長官の見解を承りたい。
#69
○国務大臣(竹下登君) 労働運動の大先輩であります小野委員、確かにまあ私どもの立場から申しますならば、公企体等関係労働組合は公労法により一切の争議行為は禁止されておるというたてまえの上に立って、今度はそうしたストライキとか、そうした争議行為というものに標準を合わしてスケジュールを組んでいくということは、私どもの立場からはこれは全く言えないことであります。しかし、これは長年お互いの労使双方の中に、ある種の私は秩序というものもそれなりに定着しつつあるのではないか。だから、いつ、いかなるときにということを私がこの際具体的に申し上げるわけにはまいりませんが、時期を失することなく、適切な対処をしなければならない、こういうお答えに本日はとどめさしていただかなければならない、このように考えております。
#70
○小野明君 いまの御答弁ですと、聞いても聞かぬでもいいような答弁です。きょう官房長官ね、鉄鋼が回答していますよね。これは労働大臣とお二人にお尋ねします。昨年を、わずかではありますが、百円上回って七千六百円、一応これは太田・池田会談、この一つのパターンというものはこれで整っておると、こう見なければならぬと思うのです。この鉄鋼回答がもう出た、不況の中で昨年を上回っておるとするならば、これは好むと好まざるとにかかわらず、山場が四月末に来ることはっきりしているわけです。言い方はいろいろあるでしょう。十日間の作業を見れば、いつ回答しなきゃならぬ、有額回答を提示しにゃならぬ、その額についても大体判断ができるわけです、鉄鋼を見ればね。だから、時期をはっきりいつごろと、額については大体幾らぐらい、その辺の御見解をもらわにゃこれはどうにもならぬ。これについて、再度官房、労働大臣の御意見を承りたい。
#71
○国務大臣(竹下登君) 鉄が昨年より三日ぐらい早かったかというふうな理解の程度でございます、私が理解いたしておりますのは。したがいまして、有額回答、鉄のほうが回答が出たという事実を、私どもも新しい事態として踏まえなければならないと、こういうことは思っておりますが、きょう小野委員のただいまの御質問に対して正確にお答えするという用意は、いまだできておりません。
#72
○国務大臣(塚原俊郎君) 本日午前中に鉄鋼の回答が出たと、これが池田・太田間で取りきめたプリンシプルに沿うものであるとかいなか、そういう議論は私はいたしたいと思っておりません。私の考えでは、引き続いて造船あるいは電気、そして私鉄というものが、ここのところずっと続いて出てくると考えておりまするが、やはり民間賃金の動向というものを鉄だけで判断することは、私はどうかと思う。それは大体想像できるではないかというお話もずいぶん私のところへ参っております。それからまた、組合の方とも連日のようにこのところお話を承って、ちょうどこの逆算したタイミングから、アドバイスを含めた御注意等も私も十分承って、その点は十分頭の中に入っておるつもりでありまするが、やはり今日の段階では、民間賃金の動向というものをもう少し見きわめたい。皆さん方の意図されている日がどの辺にあるかということを私はわからぬでもございませんが、今日この席で、それではいつごろどれぐらいというようなことを、それを発言することは……小野委員にも十分御了解いただけると思うのであります。おっしゃっておるその趣旨が那辺にあるかは私も当該大臣として十分承知いたしておるつもりでありまするが、もう小し動向を見まして、繰り返すようでありまするが、タイミングを失しない、国民の批判を最小限度に食いとめるという形でこの問題に当たってまいりたい、こういう考えでございます。
#73
○小野明君 労働大臣、わかったようなわからぬような言い方ですが、やっぱりストライキという事態を迎えなければその回答は出ない、そういう御意思、あるいは造船、電気あるいはその他全部出そろわないと出さない。論争はしたくないけれどもと言いながら、やっぱり民間全部そろうことを予定しておる。それでは私はいかぬと思う。やはりそれではみすみす最悪の事態、国民の批判を受ける事態というものができてくると思う。もういまからわかっておるわけだから、早目に有額回答を出しなさい。出す決意、その辺を伺っておるんですよ。
#74
○国務大臣(塚原俊郎君) 言うまでもなく、争議行為は禁止されております。ですから、そういう挙に出ないことを私は心から望んでおります。また、争議行為があったから、ストライキがあったからやるというかまえではございません。繰り返し申し上げておりまするように、諸般の事情、今次春闘の性格にかんがみまして、私は十分皆さん方の意図もわかっておるつもりでありまするが、なるべく早目にというお話もよくわかります。しかし、それではいつ、一体何日にどうやるんだということについて、きょう私の口からそれを言わせようということは、これは小野委員は賢明なんですからおわかりいただけると思うんですが、わけのわからない答弁になるかもしれませんが、十分その点は御納得いただけるんではなかろうかと、このように考えております。御趣旨に沿うように処置いたす考えには、これはもう非常に強く考えておりまするので、御了承いただきたいと存じます。
#75
○小野明君 十分わかっておると言うて、答弁は非常に悪い。ストライキをやらなきゃ出さぬというのが前提だから、いままでの慣例だから、だからむしろこれはスト権をやったほうがいいわけだ。
 そこで、物価も非常にことしは上がっておる。大体物価の上昇率というのは当月でどれぐらいになっておりますか、企画庁長官。
#76
○国務大臣(木村俊夫君) 当月、まだ東京都区部の指数しか出ておりません。それによりますと、前月比〇・六%上昇、こういうことでございます。しかしながら、総じて、これは東京都区部でございますが、全国的に見ますと、季節商品また工業製品ともに落ち着きぎみでございます。
#77
○小野明君 昨年十月に「朝日」が発表しておりますが、主婦が調べたいわゆる実感上昇率、これは企画庁、総理府のおやりになる調査とかなりの開きがあります。もちろん身近な品物について全部調べた。一六%ぐらい上昇率がある。これは非常に尊重しなければならぬ私は意味合いを持っておると思いますが、二八%という数字、これと、大体当月は六・一%ぐらいだと思いますが、これらから国民の暮らしは非常に苦しくなっておるんだと、こういうことを申し上げたいんですが、長官の見解をいただきたい。
#78
○国務大臣(木村俊夫君) いま御指摘になりました朝日新聞に載りました主婦の方々の御調査、これはたいへん御苦労だったと思います。しかしながら、そういう個別の――それは確か百八十品目ぐらい取り上げております。私どもが取り上げておりますのは四百二十八品目、したがいまして、全国の平均的な消費構造の実態をあらわしたもので、個別的にお取り上げになったそういう方々の生活実感とズレておるということはまことにこれはもっともなことでございます。しかしながら、総じて、昭和四十六年度に比べますと、最近の消費者物価は落ち着きぎみでございまして、私どもあらゆる政策努力を重ねまして、昭和四十七年度の消費者物価はぜひ政府見通しの五・三%以内にとどめたい、こういう考えでございます。
#79
○小野明君 官房長官にお尋ねします。
 確かに太田・池田会談というのはある期間一定の役割りを果たしました。しかしながら、ことしは予算に見られますように、政府主導によって景気浮揚をはかろうとしておる。だから、あながちこれにこだわる必要はないと思うんです。賃金と労働時間というのが一番大きな労働者の問題である。とするならば、昨年を下回る額ということは私は許されないと思うし、回答の時期についても十分な配慮をしなければならぬと思いますが、再度長官の答弁をいただきます。
#80
○国務大臣(竹下登君) 池田・太田会談というまあ一つのプリンシプルというもの、そしてまた民賃の動向を見きわめるという法律上に基づくもの、これらをくずしていくという考え方はございません。しかし、いま労働大臣からもお答えいたしましたとおり、小野委員の御発言の趣旨はよくわかりますと、こういうようなお答えをいたしておるわけでありますが、額そのものにつきましては、私がここで御答弁をするような状態にはこれはない、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#81
○小野明君 労働大臣、労働時間の短縮という点についても、十分まあいろいろ御検討されておると思うんです。週休二日の問題、あるいは有給休暇の増、これはILOでも日本政府が反対したが議決されておる。この二つの問題について、週休二日制、それから有給休暇の三週間、連続二週間、この二つの問題について、いわゆる時間短縮という問題について見解を承りたいと思います。
#82
○国務大臣(塚原俊郎君) 週休二日制の問題はいま一つの世論となって大きな問題となっておることは言うまでもありません。これはもちろん労働時間の短縮も伴うものであります。それで、労働基準法研究会というものがございまして、そこでも御審議を願っておりまするが、それはそれとしてその御審議を待つとして、われわれもこれだけの社会問題、政治問題にまともに取り組んでおるわけであります。おととい発表いたしました資料によりますると、完全な週休二日制は、もちろん若干ふえておりまするが、テストケースとして月に一回あるいは二週間に一回という形のものがとられておることは、これはもう御承知のとおりであろうと思います。
 それからなお、やはり大企業においてそれは多いのですが、中小企業においては今日なおまだ問題があるんじゃなかろうか。
 それから銀行協会にお願いしたいわゆる金融主導型というか、すべてが金融界とのアプローチがありまするから、それはどうかとか、それからまた、よく衆参両院でも、ことに衆議院で御質問がありましたが、やはり親方日の丸だから官庁からやれという、官庁主導型をとるべきであるというような議論もずいぶん出ておりまするが、今日の段階で自治省、人事院、それから総理府等とも御相談いたしておりまするが、今日官庁が先頭に立ってこの問題をやるという事態にはまだ至っておりません。しかし、いずれにいたしましても、労働省といたしましては、資料の提供その他、こういった時間短縮、週休二日制の問題については、前向きに取り組んでおるわけであります。
#83
○小野明君 前向きに取り組んでおる中身がはなはだ私は不徹底であると思うんです。賃金の引き上げと同時に、この日本の労働時間、国際比較から見ると、大臣もこれは御承知であると思いますが、非常に日本が過重であります。これは一時間当たりでもそうですが、普通の週で日本で四十五時間、フランスで四十三時間、英国で四十一時間、かなり週当たりでも大きい。政府のこの労働時間短縮に対する指導性あるいは熱意というものが今後さらに強力にうかがわれるように、有給休暇の問題を含めてさらにこの指導をいただきたいと思うのです。再度見解を承りたい。
#84
○国務大臣(塚原俊郎君) それらの諸問題につきましては、労使間の話し合いにおいて自主的に定まることが一番望ましい姿であります。先ほど申しましたように、私はそのことを念頭に置きながら行政指導に今後とも全力を尽くす考えであります。
#85
○小野明君 終わります。(拍手)
#86
○委員長(徳永正利君) 以上で小野君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#87
○委員長(徳永正利君) 次に、原田立君の質疑を行ないます。(拍手)
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#88
○委員長(徳永正利君) それじゃ速記を起こして。原田立君。
#89
○原田立君 まず大蔵大臣にお伺いしたいんでありますが、わが国の外貨準備高の蓄積は昨年暮れの円の切り上げにもかかわらず、三月末には百六十六億ドルに達しております。今後の見通しについて田中通産大臣は、四十七年度中には二百億ドルに達すると、こういうふうなことを言っておりまするし、また反面水田大蔵大臣は、達しないと、こう言っておるんでありますが、いずれにしても近い将来円の再切り上げという外圧が強まることが予想されますが、この回避をはかるために積極的かつ総合的な対策が必要と思いますが、いかがですか。
#90
○国務大臣(水田三喜男君) 私は二百億ドルに達しないということを言ったことは一ぺんもございませんが、今年度――四十七年度の政府の経済見通しから見ますというと、貿易収支で七十億ドルの黒字が出る。そうして経常収支においては四十七億ドルと、そうして長期資本収支を入れますと二十七億ドルの黒字が予想されると、あとは短資の状態がどうなるかによってきめられると言って、短資のほうの見通しは一応つけてございませんが、ゼロというような見方になっておりますが、もしそうしますというと、四十七年度の見通しどおりにいくというと二百億ドル近いものになるというようなことが一応考えられるために、二百億ドルという数字が出てきておるのだと思いますが、最近の輸出入の先行指標の一つとされております十四商社の成約高を用いて三カ月移動平均の前年同月比を見ますというと、輸出の伸び率が下落している反面、輸入の伸び率が非常に伸びております。で、このような指標から見ますというと、外貨準備が今後はそのわりにふえないのではないかというような見方もいま出てきておるということを申しただけでございまして、これが今後どのくらいまでいくだろうかという見通しにつきましては、内外の景気動向とか金利動向あるいは国際通貨の成り行きというようなものが全部からんで、日本だけの問題で見通せることではございませんので、したがって、今年末までにどれくらいになるだろうかという正確な見通しというものはいまのところ非常に困難であるというふうに私は考えています。しかし、いずれにしましても、通貨調整後まだ依然として黒字基調が続いておりますために、対外均衡を達成するというためには、ここでやはり内需を思い切って刺激して輸出圧力を少なくし、輸入の増大をはかるということをしなけりゃなりませんので、この景気対策として、本年度は財政金融においてそのための措置をとった予算を編成しましていま御審議を願っておるところでございますので、この予算の動き出しによって景気を回復せしめるということがやはり基本的の対策になるんではないかというふうに思っています。で、たまった外貨の活用と、そうじやなくて、依然として続く黒字基調についてどういう対策をとるかということ、二つ考えて対策を立てなければならぬ問題だと思っております。
#91
○原田立君 大蔵大臣、ことばじりをとらえるわけではありませんが、去る十日開かれた国際金融問題懇談会――大蔵大臣の諮問機関だそうでありますが、その席上で、外貨準備高の情勢は三月末で頭打ちとなり、今後は横ばいを続ける見込みだと、外貨準備高が年内に二百億ドルに達するような事態はあり得ないと、こう説明しているというように報道されておりますが、それは、じゃあ、うそですか。
#92
○国務大臣(水田三喜男君) これはうそではございませんが、ここで問題なのは、この貿易関係においてこの黒字基調から自然に増加するであろう外貨というものの動向をそのまま見ることと、同時に、この外貨をふやさないようにいろいろの措置する方法をそこで加えるという問題は別のことでございますが、この外貨を、実際においてはふえる傾向のものを、活用のしかたによって、外貨がふえないという形になる方法というものは別にございますので、そういうことも当然一応政府としては考えますが、それを考えるから外貨はふえないんだというわけにはまいりませんので、したがって、いま私の答弁しましたのは、そういうことは一応するということは特に抜いた場合の動向についてのお話をしたわけでございますが、いま明らかにそういうあまりふえないという動向も出てきておる。同時に、政府自身としましても、たまった外貨についてはこれを中長期の運用をして資本輸出の促進にこれを充てるというようないろんな措置をとりますので、そうすればこの外貨は減りますので、二百億にならない運営はする、また、これは可能であるということでございますが、それと一応自然の場合に外貨がどういうようにふえてくるだろうかという問題は別にいま私は考えて答弁したまででございまして、金融懇談会で述べたことがうそというわけじゃございません。
#93
○原田立君 大蔵大臣の話の結論は、大体二百億ドルぐらいには、それに近いものにいくであろうと、そういう見通しがあるというふうに承っております。ただいまのお話の中にあるわけですが、一般の専門家の意見も、この秋口には二百億ドルの大台に乗るであろうと非常に心配しております。あとはこれに対してどういう処置を講ずるかということになるわけでございますけれども、そういう一般専門家の意見等も十分考慮しなければならないと思います。大蔵大臣、その点はいかがですか。
#94
○国務大臣(水田三喜男君) それの措置は、いま申しましたように、何をおいてもやはり不況対策が本筋な措置でございまして、これによって均衡の姿に直していくということと、そのためには輸入の自由化あるいは関税の引き下げというようなあらゆる措置をとらなければなりませんが、いわゆる前に対外政策八項目といわれたこの項目は順次現在実施に移しておりますので、こういうことによってこの対外均衡を回復するということがいま私は必ず効果を見せてくるだろうと思っております。で、通貨の調整についての効果も当然出るはずでございますが、これはやはり一年ないしそれ以上かかるということでございますし、またいま申しましたような動向も、三月までの成約の状況を見ますというと、六月以降の輸出はやはり減ってくる方向にいくのでございましょうし、そういう通貨調整の効果というものも徐々に出てくることでございましょうし、いわゆる八項目に対する対策の実行というようなものとあわせて私は最初私どもの予期したような対外均衡というものは一歩一歩前進することができるだろうというふうに思います。
#95
○原田立君 八項目のことについてはまた後ほどお伺いするとして、各マスコミ等も、また各界の意見も、外貨減らしに対しては長期的な配慮を望んでおります。一時しのぎでは絶対いけないと、こういうふうに言っておりますが、たまたま通産大臣は外貨を積極的に運用するというそういう意見のようでありますが、具体的にお示し願いたい。
#96
○国務大臣(田中角榮君) 貿易収支が非常に好調でありますのは、一つには国内不況ということでございまして、輸入が激減をし、当然内需がありませんので輸出に重点が置かれるということで、ますます輸出が伸び輸入が減るということで貿易収支の大幅黒字ということになっておるわけでありますから、まず考えなければならぬのは、国内の景気浮揚を行なえば、輸出が減り輸入がふえるという傾向になるわけでございます。
 第二点は、いま大蔵大臣が述べましたように、平価調整の効果は、半年ないし一年、場合によっては一年半もかかるということでありますので、徐々にこの効果があらわれてくるということでございます。
 第三は、自由化及び関税の引き下げ等を行なうということでございます。
 第四はどういうことかといいますと、これからこのような不況がずっと続くわけではありませんので、石油の備蓄、それから原材料の備蓄、特に鉱石等、開発国との間には予定どおり引き取りが行なえないためにトラブルが起きておるという状態がございますので、そういう意味では、開発輸入の拡大をはかり、積み残しておるものを日本に引き取るということが第四点として数え上げられます。
 第五点は、今度のUNCTADで協議が続けられておりますような海外投資の質の向上というような問題もございます。
 また、現実的にこの第四の問題を片づけるためには、第二外為のようなものを設置をしまして、いまの外為法の改正を行なわないで臨時的にも――まあ八項目のうちの八項目目が一つだけ実施に移されずに残っておるわけであります。これは外貨の直接活用という道がまだ実行に移されておりませんので、早急にこのような措置を実現をする措置をとるように努力を続けておるわけでございます。外貨が活用されるということになれば、原材料の輸入、鉱石等の輸入は飛躍的にふえるということが現実だと思うわけであります。
 一番最後に申し上げることは、これは低金利政策ということをやれば、いまの百七十億ドルの中で私は少なくとも二、三十億ドルは出ていくだろうと思われます。低金利政策ということを行なえば、景気も浮揚する。どうも、利息は高過ぎる、こういうことでございます。
#97
○原田立君 通産大臣、要は、外貨準備高が年内二百億ドルは避けられない、あるいはまた、これはどうしてもそのあとに円の再切り上げというような問題も起きるであろう、こういう心配をしているわけであります。その防止策という面で、はたして第二外為会計等でそれが防止し得るやいなや、その点はどうですか。
#98
○国務大臣(田中角榮君) 私ですか。
#99
○委員長(徳永正利君) それでは、もう一ぺんそのままでけっこうですから、質問を繰り返してください。
#100
○原田立君 要するに、第二外為構想を出しておるんだが、結局、外貨準備高が年内二百億ドルは避けられないであろうと。また、この次に起きる円の再切り上げの防止という面でいっても、はたして効果がありますかと、こういう質問です。
#101
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、公定歩合が引き下げられる、実質金利が下がる、少なくとも西ドイツ並みにならなくとも、いま四・七五%が四%になるというようなことが実現をし、しかも、第二外為会計という制度が発足し、長期的開発輸入が実行されれば、私はいまの状態においても二百億ドルをこさないというような状態は確保できる、こう考えております。また、その二つを実行しないと、先ほどあなたが御指摘したように、どうも二百億ドルをこしそうだというのはますますかたくなってきておるわけであります。
#102
○原田立君 先ほど、大蔵大臣、八項目の問題でちょっと触れられましたが、結局、生産優先から国民生活優先へとわが国経済の体質改善、その八項目であったはずでございます。この件について政府としても外貨活用総合策を研究しておられると思いますけれども、その内容は一体どういうことですか。
 また、重ねて申し上げたいのでありますが、前回の円の切り上げによって日本経済界が非常に打撃を受けました。また再切り上げなどあったのでは、日本経済に致命的打撃を与えるであろう、こう心配をしているわけであります。何としてもこれを回避しなきゃいけない、こういう面でどういうふうにお考えですか。二つ質問したわけです。
#103
○国務大臣(水田三喜男君) まず、円対策八項目の実施状況を控えてございますので、一応まとめて御報告申し上げたいと思います。
 まず、輸入自由化の推進が一つの項目でございましたが、これは本年二月一日から電算機の周辺機器の部分自由化を行なって、さらに四月一日からハム、べーコン、重油等六品目を自由化する、現在の残存輸入制限品目は三十三品目となるということで、外国に比してもう水準の同じ程度まで輸入自由化の推進はなされております。
 それから特恵関税の早期実施の問題でございますが、これは昨年の八月一日からもう実施済みでございます。
 それからさらに関税引き下げの推進も一つの項目でございましたが、四十七年度の関税改正におきまして、紅茶、タマネギ、大豆等、国民生活に関連の深い物資七十三品目を含めて合計二百三十八品目の関税引き下げを実施いたしました。なお、乗用車の物品税の引き下げ、そのほか乗用自動車の特例に関する法律を今国会に提出するというようなことで、一応いままで予定されておった一関税の引き下げも全部実行いたしました。
 また、資本自由化の推進も一つの課題でございましたが、対内直接投資については、第四次資本自由化を昨年八月より実施しました。対外投資につきましては、昨年の七月一日より対外直接投資、不動産投資、証券投資というようなものを原則としてもう自由化しました。
 また、非関税障壁の廃止の問題も、本年二月一日以後、自動輸入割り当て品目をゼロ品目、全部割り当て品目をゼロにしてしまいました。
 そうして、経済協力の推進につきましては、これは、御承知のとおり、政府開発援助の量的目標を今回GNPの〇・七%という非常に高いものをUNCTADの総会においてわが国は努力目標としてこれを受け入れるということをいたしましたので、この点も相当大きい推進でございます。
 その次は、秩序ある輸出ということでございましたが、これは昨年八月十日から日銀による輸出の融通金融の是正を行ない、また、先般国会で御審議を願いましたが、輸出振興税制について改正を行なって輸出割り増し償却制度等の廃止を行なったというようなことでございますが、それにもう一つは、いま通産大臣が言われました外貨の活用という問題、これはもうすでに流動性を保持する量は一定量でいいとして、その他はもう収益性を相当優先的に考えて活用するという方向で、この点はすでにもう実施しております。
 残っておるのは、たとえばさっき御質問がございましたような問題、海外資源の開発等について直接外貨を活用する方法があるかというようなことでございますが、これはたとえば第二外為会計というようなものをつくって外貨を移すという場合に、円資金と結びついておったこの外貨をそのままどういう形で移すかというような問題についてはまだまだ検討すべき問題がたくさんございますので、これは関係省の間で検討してそのうちに結論を出すつもりでございますが、そういう問題が若干は残されておりましても、一応外貨の活用策は現在もう実施に移されておる、こういう状態でございます。
 それからその次の問題は、円の再切り上げをどう避けるかということでございますが、たまった外貨の活用ということよりも、何といっても景気回復によってこの異常な黒字基調というものを変えることが本質的な対策でございますので、
  〔委員長退席、理事玉置和郎君着席〕
いまの今回の予算、これが成立して動き出すことによって国際収支の姿を変えていくということに努力しなければならないと思います。外国におきましては、日本のドルが百八十億になるとか二百億になるということについては、あまりこれを問題にしておりません。通貨調整があっても当分この黒字基調は日本において続くだろうと。したがって、日本政府が四十七年度の経済見通しの中で言っているように、それくらいの貿易収支の黒字は日本にまだあるだろう、続くだろうというようなことを予想しておりますので、外貨がたまるということに額についての関心というものはそうない。そうじゃなくて、そういうふうに外貨が蓄積していく傾向について何らかの措置を日本はとってくれいということが関係各国の非常な関心事となっておるところでございますので、私どももいろいろのくふうはしますが、しかし、日本自体が不況から脱することがこの問題の一番の解決策である。それにいま全力を上げているんだと。そのほかに、さっき申しましたような八項目の対策も日本は実施しているし、必ずこの効果はそのうちにあらわれてくるだろうといういま説明をしているところでございますので、私は、いまの財政方針、金融方針がほんとうに今年動き出せば、事情が変わってきて円の再切り上げというものは避けられるというふうに思っています。
 ただ、そこで、きのうも申しましたように、日本自身から円の再切り上げがあるんだなんというようなことを言って、二百七十円というようなことで下請をどんどんたたくというようなことをやってまだ安売りを外国へするというような態度をとっておったら、今度はもう一ぺん通貨の調整というようなことを外国に要望させるような事態にならぬともこれは限らないと思いますので、こういう点についての行儀を直すことがやはり一番必要であって、そういう点を十分気をつけるんでしたら、私は円の再切り上げということを迫られることというものはおそらくない。きのう、おととい、アメリカのボルカー次官が来ましても、何か記者会見で申しましたそうですが、去年の暮れにきまったスミソニアン体制はみんなお互いに守るんだ、だから各国のレートについてどう変更しようとか変更を求めるというようなことは各国ともお互いにしないということを言ったそうでございますが、各国ともいまそういうことで協調しておるときでございますから、私はこちらがやるだけのことをやって実効をあげさえすれば、円の再切り上げというものはもうないというふうに思って差しつかえないと思います。
#104
○原田立君 円の再切り上げ等のようなことがないように万全の処置をしていただきたいと思います。聞くところによりますと、大蔵省あたりから、輸出を規制する必要があるという、そういう意見が強く出ているということであります。私、思うのでありますが、わが国は資源を有しない貿易立国であるがゆえに、どうしても輸出を伸ばし、貿易を拡大させることこそ日本のとるべき道であろう。それなのに、輸出を規制して貿易の縮小をはかるというようなのは、本末転倒ではないか。輸出を拡大させ、そして得たところの外貨をもって輸入の拡大をはかるなり経済協力を推進するなり、その有効な活用をはかるというそこに基本を置くべきであろう。だから、大蔵省あたりから、輸出課徴金をつけるとか、あるいは輸出規制をするとかいうような意見というのは私は非常に解せないのであります。こういうふうな面についての政府の所信は一体どういうことですか、これは大蔵大臣と通産大臣と両方お伺いします。
#105
○国務大臣(水田三喜男君) 輸出の重要なことは言うまでもございませんし、問題は特定の市場に商品が集中して急増する、この現象は長期的なわが国の貿易を非常に阻害するということを私どもは心配しまして、秩序ある輸出をしたいというだけのことでございまして、この秩序ある輸出のしかたについてはこれは十分通産当局がいま考えておってくれるところでございますので、問題は特定地域に特定商品がもう集中的に急増するという事態はやはり避けたいということだけでございます。
#106
○国務大臣(田中角榮君) 日本は貿易立国でございますので、原則的な姿勢はいまお示しになったとおりでございます。戦後、輸出ができなかったとき、日本の生活がどうであったか、輸出が好調になってきて、明治から百年間を見ましても、輸出の伸びに比例して国民総生産も国民所得も向上しております。また、戦後の国民所得の向上は全く輸出の数字に比例しておるといってもいいわけでございますから、輸出をとめるということは、もう日本としては考えてはならないことでございます。しかし、いま大蔵大臣が述べましたとおり、二国間でいろいろ摩擦を起こしておる。摩擦を起こしては元も子もなくなるわけでございますから、摩擦を起こさないようないろいろな政策をとらなければならないということは当然でございます。同時に、いまあなたが述べられたように、輸出で受けた外貨をためておくというところに指摘をされる問題があるのであって、これを経済協力に使うとか、また長期的な観点に立っての備蓄をふやすとか、また国内経済自体が拡大すれば、当然この問題は片づく問題であります。先ほども申し上げましたとおり、経済が好調になれば、輸入はふえ、輸出は減るわけでありますから、基本的には、先ほど述べられたとおりであり、具体的な問題としては、二国間また相手国の事情も十分考えながら摩擦を除去する、長期的友好関係を確立することに努力をしなければならない。それで、外貨はため込むから問題になるので、ため込まないで国際流動性を確保するように努力をするということでなければならない。それで一番最後に残るのは、かせぐだけではなく、国民の福祉政策その他もあわせて行なう。この国民福祉も、日本の景気がいいときに、国民総生産が拡大したときに、それにちょうどスライドして日本の社会保障制度も拡充されてきておるという事実に徴すれれば、明らかなことであります。
#107
○原田立君 外務大臣、ちょっと伺いますが、第三回国連貿易開発会議が十三日からサンチアゴで行なわれておりますが、この件については、過日鈴木委員から質問もありましたけれども、現職大臣が入っていないということについて、私どもも非常に心配するわけであります。外務大臣の話では、りっぱな人だからだいじょうぶだと、こういうふうなお話でございましたが、現職の関係省庁の最高責任者が入っていないことは、会議の席上における具体的な決定について機動性を欠くおそれがないかどうか、これがまず一つ。それから、あらかじめ打ち合わせた以外のことが出て、現地で判断しなければならないようなときに、はたしてスムーズにいくかどうか、これが二つ。この二つだけ、まず聞いておきましょう。
#108
○国務大臣(福田赳夫君) 今回UNCTADの日本政府代表には、愛知前外務大臣を任命いたしたわけでありますが、いまお尋ねの問題は、形式の問題と実質の問題があると思うんです。形式の問題とすると、これは閣僚であってもかまいません。あるいは議員であってもいいんです。あるいは民間人であってもいいんです。つまり、いずれの方にいたしましても、政府は代表権を与えておるわけであります。問題は実質の問題で、その代表権を与える当該代表、これが適切な人物であるかどうかということだろうと思います。そういう際に、原田さんのお話では、閣僚のほうがいいんじゃないかというようなことかと思いますが、愛知前外務大臣は、御承知のように、長い間外務大臣をされておった。で、国際社会ではずいぶん顔見知りの多い方であります。そういう方でありますので、代表権を付与される、そして縦横に活躍できる、まさに私は非常に人を得ておる、こういうふうに存じます。この愛知代表が現地において機動的な活動ができるかというと、そういう方でありまするから、私は十二分の幅の広い活躍ができるのじゃあるまいか、そういうふうに見ております。
 第二に、与えられた権限以外の問題が起こった場合にどうするかというと、これは、ささいな問題でありますれば、政府を代表する立場にある愛知代表でございますので、愛知代表自身の判断にゆだねるということにしますが、事重大な問題になりますれば、これは政府に請訓をいたしてまいりまして、そして判断をするということになろうかと思いますが、いま現実の問題とすると、請訓を仰ぐというような事態は想像されないという状態でございます。
#109
○原田立君 そういうような不安がないということでございますが、私はこう思うのです。それは、発展途上国の要求に対して、決定権がないことを理由として、その場しのぎをしようとする日本政府の姿勢のあらわれだ、こういう非難をされやしないかという心配もしてお聞きしたわけです。それがないということですから、それは了解しましょう。
 政府は、この会議で、政府開発援助の拡大、あるいはひもつき援助の廃止、援助条件の緩和への努力等の方針を明らかにしているわけでありますけれども、このうち政府開発援助については、GNPの〇・七%にまで拡大する、こう述べている。いま大蔵大臣は、〇・七%は努力目標である、こういうことを言っているわけですけれども、政府開発援助自身の日本の実態、これは御承知のとおり〇・二三%で、一番低い。よくない。これをよくするためにも、〇・七%にするために一生懸命努力すると言うた愛知代表の意見というのは、非常に意義が大きいと思うのです。で、しかし、これを実現させるには、かなりの努力が必要と思いますが、そのための具体的なプログラムというようなものは用意されているのかどうか。国際会議の場での発言は、単なる努力目標というわけにはいかないと思うんです。先ほど大蔵大臣は、努力目標ということを言いましたけれども、それだけでは、一たん発言したことについての信義が問われるわけでありますから、計画的な具体性というものがなければならぬと思うんです。その点はいかがですか。
#110
○国務大臣(福田赳夫君) 開発途上国側におきましては、まあ政府開発援助がGNPの〇・七%になるようにということを先進国側に対して要望いたしておるわけであります。で、わが国といたしまして、これに対してどういうふうなこたえ方をするか、これは愛知代表の出発の前におきまして、政府部内において慎重に検討したわけでありまするが、問題は、まあこの〇・七%をいかなる時点において実現をするか、そこにあったわけであります。ところが、この〇・七%というのは、これは財政上から見ますると、大へん大きな問題でありまして、きのうですかおとといでしたか、大蔵大臣は、自衛隊をもう一つ持つくらいな金がかかるんだと、こういうふうなお答えでありましたが、まさにそのとおりでありまして、一九七〇年では、約千億円ぐらいなもので〇・二三%です。かりにですよ、これを一九八〇年に〇・七%に持っていくという場合に財政負担がどうなるか、それを考えてみますると、GNPの成長率を一三%と仮定いたしました場合には、まあ実に財政負担が千億円から九千億ぐらいになる。年率三〇%ずつこれをふやしていくというようなことになるわけでありまして、これは財政上から見ますると、まことに容易ならざる問題でありまして、これをいつの時点で〇・七%だと、こういうふうに断じますと、さてそれができるかできないか、これについてはもう少し経済、財政の推移を見ないと、これはなかなかあぶないことになりゃしないか、そういうふうに考えまして、一応これは〇・七%の実現の時点は、これは決定はいたしておきませんが、われわれは、なるべくすみやかに〇・七%を実現をするという姿勢を打ち出したと、しかし、これはまあ年率三〇%の財政負担の増加ということであります。財政から見ると重大なことではありまするけれども、
  〔理事玉置和郎君退席、委員長着席〕
しかし、わが国が国際社会に臨むこの姿勢、経済大国ではあるけれども軍事大国にはならぬ、平和大国、福祉大国の道を選ぶという旗を掲げた以上、どうしたってこれは努力をしなきゃならぬ問題、そういうふうに考えるわけでありまして、ぜひその辺は大蔵大臣にも深い理解を持っていただきたいと、こういうふうに考えておりますが、できる限り、まあなるべくすみやかにこの目標が達成されるように、最善を政府としては尽くしていくべきものである、かように考えております。
#111
○国務大臣(水田三喜男君) よく、いま日本はドルがたまってるんだと、だからそれをそのまま援助に出してやったら、ちっとも心配ないじゃないか、というようなことを言う方もおられますが、あのドルというものは円の対価によって得た公的資産であって、円と結びついたものでございます。したがって、もし政府の外為会計の持っておるドルをどっかへ出そうとしたら、外為会計は外為証券を出して借金して買ってるドルでありますから、そのドルだけ持っていかれて、その買った借金をどうするかという、その穴埋めをしなくてはこのドルが使えないということになりますし、日本銀行の持っているドルをもし援助に使おうと、かりにしましたとすれば、これは国が予算をもって財政支出をして、そうして、それでそのドルを買い取って外国に援助しなければならぬということになりますから、ドルがたまっておるからそれをすぐ援助に使えるというものではございません。結局、対外援助をするということは財政支出であり、それは終局的に国民負担に全部なるものだということになりますので、そうしますというと、これから福祉政策を強化していくということになりますと、財政需要というものは非常に多くなると思います。そういうときに、こういう需要が二つ重なるということでございますので、したがって、〇・七%というものは、計算しますと、この間私が言いましたように、いままた外務大臣が言いましたように、九千億ということになりますというと、いまの自衛隊をもう一つ持つ以上の、
 これは国民の財政負担ということになりますので、そう、なかなか簡単に、目標としてきめても、いつまでにこれがやれますかという目標は示せない。とにかくその目標に向かって日本は努力するという約束をするだけでも、これはなかなかたいへんなことで、たとえば米国あたりは絶対この約束をいたしません。〇・七というものを目標にすることを承知しないというのを、先がけて日本がこれを承知したということは、大きい日本の積極的な態度であったと思いますが、これはそういう意味で簡単な問題じゃないということを、私は、この間少し強調し過ぎたきらいがあったかもしれませんが、申しただけであって、この対外援助に大蔵省が消極的であるとか反対であるとか、そういうようなことは一切ございません。
#112
○原田立君 他国が先がけて〇・七%を言ったから非常に好感を持たれた、こういう認識、それはそのとおり。非常に開発途上国からは好意を持って迎えられたことは事実であります。そうであるがゆえに、そうであるがゆえに、言って言いっぱなしでは、今度は逆に信義が疑われてくるという非常に大きい問題も出てくるわけであります。福田大臣は、なるべくすみやかにという、何だか、わかったようなわからないような表現のしかたをしておりますけれども、やっぱりこういうのは具体制が帯びなきゃいけないと思うのであります。とにかく実行しようと、こういう意思があるということは、恒久的な政策立案をする、そういうその決心があるんだと、こういうふうに受け取っているわけでありますが、一九八〇年をめどにするというのでは、ちょっとおそいのではないか、もう少し具体的なスケジュール、計画というものが検討されているのかどうか、その点はいかがですか。
#113
○国務大臣(福田赳夫君) その辺がまだ煮詰まっておらないのです。一九八〇年がおそすぎるというような御感触のようでありますが、これは一九八〇年に〇・七%を実現をするといっても、これはなかなか容易ならざることで、これを実現するということにつきましては、かなりまあ思い切った努力を必要とする問題である。いま大蔵大臣から申し上げたとおりでありますが、まあしかし、〇・七%を実現をいたしますと、こういう約束をした、こういうような今日におきましては、これから何とかしてその実現に向かって邁進をしなきゃならぬ、まあ具体的に一九八〇年までの財政計画をつくるというわけにいきませんものですから、そこで、ことばをにごしまして、なるべくすみやかにということを申し上げているようなわけでございますが、これは口約束というふうにはいたしません。必ず近い将来においてこれを実現をする、それが私は、日本国の世界に対する責任である、日本国の使命である、そういうふうに考えております。
#114
○原田立君 同じくその会議で、西ドイツのシラー経済相が、金利二%・十年据え置き・三十年償還という、そういう政府援助ベースの考え方が明らかになりました。これはもう、御承知のように、日本のベースというのが、RMAの会議、あるいはDACの加盟国の利率等からいっても、日本の場合は非常に悪い。先ほど田中大臣は低金利政策が必要云々というふうなことをちらっと言っておりましたけれども、そういう面から関係しても、西ドイツよりも――よりもというよりか、大体そこいら辺までいくようなものは当然考えてしかるべきではないか、かように考えますけれども、これは外務大臣、大蔵大臣、どうですか。
#115
○国務大臣(福田赳夫君) 確かに、わが国の援助の条件は、非常に国際社会において、まあ、あまりよくない、批判も受けておるというような状態でございますが、これは先ほど申し上げました量の問題とも関連をいたしますが、量につきましては、まあまあとにかく国際社会でもかなり胸の張れるような状態である。ただ、いまお話の条件の問題になりますると、かなりまだ国際水準から立ちおくれておる、こういう状態であり、私といたしましては、これももうすみやかに改善を要する問題である、こういうふうに考えるわけであります。ただ、これもまた財政負担に関連をしてくるわけです。財政がそこまで一体耐え得るかどうかというようなことを考えますと、財政当局としては慎重な態度ということになりますると思いますが、しかし、まあ日本の国の世界におけるあり方ということを考えますと、もう、そういう財政論ばかりに膠着しているというわけにもいかないと思います。これも思い切って国際水準に早く到達するという方向へ、たくましくわが国のかじを向けていかなければならぬ。これも口先ばかりじゃない、もうその実があらわれるように、また、日本はそういう方向に動き出してしまったということが、低開発国のみならず、世界の各国にわかるようなはっきりした態度をこれから打ち出していきたい、かように考えております。
#116
○原田立君 福田大臣は、ちょっとことばは悪いけれども、景気いいラッパを吹いた、あるいはまた真実味のある話が出た、こういうわけであります。それを受けて、非常に渋い、石橋をたたいているような大蔵省、大蔵大臣、これは、いまの福田大臣のことばを受けて実際どうするのか、基本的にお伺いしたい。
#117
○国務大臣(水田三喜男君) 先進国のとっておる援助条件というようなものも、結局は、これは日本としてはこれも努力目標として努力する以外にはしかたがないと思います。
#118
○原田立君 そんなに努力目標努力目標って、そんなことを言っていたのでは、ほんとうに開発途上国から総すかんを食うように日本はなりますよ。そうなったらたいへんだと思う。そういう経済援助、あるいはまたそういう外国との交渉、経済的な面で、これは通産大臣、非常に重大な問題だろうと思う、その姿勢のとり方については。いま福田ないし水田両大臣の見解を受けて、あなたはどう考えますか。
#119
○国務大臣(田中角榮君) 政府援助の〇・七%を八〇年までに目標としてと言うことは勇気の要ることであって、今度日本がこれを打ち出したということは、非常に評判のいいことでございます。それだけに、実行過程においては相当な負担がかかるということでございます。これはやはり、八〇年までに〇・七%にするということを打ち出したところに、私はメリットがあると思います。今度はアメリカが一〇%援助の削減ということをやっておりますし、また、いままで政府ベースの援助の高かったフランスその他なかなかむずかしい状態にあるということで、日本が〇・七、七〇年代いっぱい、八〇年を目標としてやるということに対しては、日本の勇気を買っておるわけでございます。これから主要工業国、また発展途上国も入れて、だんだんと年次計画を詰めたり、その条件、質の問題を検討してまいるわけでございますから、それに対応して日本も各年度の計画を立てたり、実行過程において条件を改定していくということで私はいいのではないかと思っております。まあ〇・七%をのんだ大蔵省は相当前向きになったなあという感じを持っておるのです。今度は、こういう条件はあまり長くしないで、大蔵、外務、通産の間でもって、大臣ベースで内容等はきめようという会議も公的に持っておりますし、大蔵省も出さない出さないとは言っておりますが、二対一でございますから、いままでも大体結論はうまく出ておりますので、そういう意味では大蔵省は初めからそんなに前向きなことを言われなくとも、これから開発途上国から信頼、評価をされるような日本の援助になっていく。通産当局としては、今度〇・七%を大蔵大臣がのんだということを非常に高く評価しております。
#120
○原田立君 愛知代表は、同じ演説の中で、ひもつき援助についてはそれを廃止していく、アンタイイングしていくということで、「全面的、一方的な実施についても情勢を勘案しつつ検討する用意がある。」、こういうふうなことで述べております。これは新聞報道されているわけでありますが、これは、たとえアメリカがやらなくとも日本は独自でやるぞと、こういうような意思の表現というふうに受け取っていいのかどうか、その点はどうですか。
#121
○国務大臣(福田赳夫君) そうじゃないのです。これは、わが国の競争、国際市場における競争相手、これの出方も見なければならぬ、こういうことを意味しているわけなんであります。ただ、わが国といたしましては、まあ、アンタイイング、いままでは法でもそれが規制を受けている、こういうような状態でありまするが、その法的規制まで排除いたしましても、もし、われわれの国際市場における競争相手が、そういう同じ歩調を歩むとするならば、このアンタイイングを実現しようと、こういうふうな意図を表明したわけでありますが、何せ、これは国際社会におけるわが国の競争相手というものは強い相手がたくさんおります。そういう国々がこのひもつき政策を一歩も出ぬと、こういうときに、わが国だけがそういうわけにはいかぬが、わが国が、大かたの国々が賛同するならば、ひもつきを廃止するという考え方を打ち出したと、こういうことはかなり国際社会に大きな響きを持つであろう、いいことだったと、こういうふうに考えております。
#122
○原田立君 考え方を示したということで、じゃ、実行はまだずっとあとだと、こういうふうな理解のしかたになるように思うのです。そういうようなことでは、先ほどから何度も言っているように、非常にかっこうのいい演説をしたわけでありますから、好感を持って迎えられたのは、これは事実なんです。だからこそ、なお一そうこれが実現方をしなきゃいけないと思うのであります。アメリカがやらなくても日本はやるぐらいな、やはり強い決意というような、そういう意思表明というふうに受け取れるものでなきゃならぬと思うのです。どうですか。もう一ぺん、外務大臣。
#123
○国務大臣(福田赳夫君) 愛知代表は、このアンタイイングの問題についてはかなり強い姿勢を出しておるわけなんです。全面的アンタイイングの一方的実施についても周囲の状況をも勘案しつつ検討する用意がありますと、こういうことです。つまり、この二国間の問題になりますると、わが国は自分だけできめていいような性格なものでありますから、アンタイの姿勢を強く打ち出しておるわけなんです。しかし、この多国間、一般的な問題として、もうすべてみんなこれを拘束される性格のもとにひとつアンタイにしましょうということになりますと、やはりわが国といえども競争相手ということを考えなきゃならぬ。そのことにつきましては、この演説にもありますように、周囲の状況をも勘案しつつということにならざるを得ないのでありますが、実体的には、もう二カ国間でかなりアンタイの姿勢を出しているのです。日本が一般的アンタイイングにつきまして、まあとにかく積極的な姿勢を打ち出した、こういうことだけでも、これはかなり北の国については大きな関心を呼んだことであり、また南に属するところの国々につきましても、かなりこれは期待を呼んだ、こういう性格のものであったと、こういうように思いますが、ほかの国々の出方も見まするが、ぜひとも一般的アンタイイングということが早期に実現されるような方向で努力をしてみる、こういうように存じておる次第でございます。
#124
○原田立君 この件につきましてはこれで終わりにして、次に、輸入の自由化等についてお伺いします。
 最近のわが国の輸入は景気の停滞を反映して伸び悩んでいるようでございますが、これが輸出の好調と相まって外貨増の要因となっているのも事実であります。これは何らか手を打たなければいけない。そのためにも、制度的な面での検討も課題となっているわけでありますが、そういう意味で、輸入の自由化の推進ということがあげられております。非自由化品目は農産物を中心に約四十品目を残すだけとなっているのでありますが、これらの品目についても最近自由化の圧力が強まっているので、通産省では、さらに輸入自由化を推し進めていくと、こういう方針と伝えられておりますが、それは一体そういうことであるのかどうか、これが一つ。
 それから農産物の輸入自由化が進められれば、当然に関係国内生産者が大きな影響を受けるのでありますから、これに対する十分な配慮をなされる必要が大いにあると思うのであります。輸入自由化に対する通産省及び農林省の両省の今後の方針、これをお伺いしたい。
#125
○国務大臣(田中角榮君) 輸入自由化はこの一、二年来非常にピッチを上げてまいりまして、残す品目は三十三品目となったわけでございまして、なかなかむずかしいものばかり残ったわけでございます。工業品目としては、御承知のとおり、これから日本の知識集約産業の中心ともなるべきコンピューター関係が残っております。それからもう一つは石炭が残っております。それからもう一つは、皮が残っております。いずれにしても非常にむずかしい問題でございます。ちょっとした政策を行なうということくらいでは、将来の日本の運命を決するともいうべきコンピューターなどは非常に慎重にやらなければならないということで、アメリカの強い要請がありましたが、自由化はできないということで、予算措置その他でもって日本のコンピューター技術の開発に専念をいたしておるわけでございます。農産品は、これは自由化圧力というのは非常に強いということでございますが、これは農林大臣があとからお答えになると思いますけれども、急激に一次産品の自由化をやってきて、残ったものというのは、やはり農業地帯に対する政策が先行してまいるということでなければならないということでございまして、農産品に対しては、自由化の窓口は通産省ではございますが、実体は農林大臣の意向に従っておるわけでございます。
#126
○国務大臣(赤城宗徳君) 御承知のように、四月一日で農産物の四品目につきまして自由化を行ないました結果、現在の残存輸入制限品目は、水産物四品目を含めて二十四品目になっております。今後とも、日本の貿易の黒字調整その他からいって、工業生産品ばかりでなく、農業生産品に対しましても自由化を進めるような要請がまだあると思います。あると思いますが、日本の農業の事情は、輸出産業をするようなそんな事情ではございません。自給度を維持していこうと、こういう状況でございます。でございますが、こういう要請もあるのでございまするから、農業政策といたしましては、農産物の生産につきましても、国際競争力に耐え得るような近代的農業の確立を目ざしまして、農業団地の育成をはじめとする構造政策あるいは農業生産の再編成と、各般の施策を強力に進めておるのが現状でございます。こういう現状でございますので、政府として、特に農業面におきましては、農業の体質改善をはかっておる重要な時期でございますので、その間わが国農業の現在及び将来の基幹となるべき産品につきましては自由化しない。と、こういう考えで対処しておるという次第でございます。
#127
○原田立君 次に、輸入関税の引き下げでありますけれども、今回の関税改正では若干の手直しがされておりますが、今後の関税の引き下げについては抜本的に取り組むべき必要性があるのではないか、こう思いますが、いかがですか。
#128
○国務大臣(水田三喜男君) 七三年度からいわゆる新国際ラウンドの問題が始まりますので、これを中心にして、さらに一段の関税引き下げ問題が起こってくると思います。日本は主唱者である関係で、この関税引き下げについては、この次の国際会議においても、むしろ主導的役割りをとらせられる国にいまなっておるのでございますからして、この問題については、率先、積極的な態度を示したいと思っております。
#129
○原田立君 積極的な姿勢を示すということでございますが、この関税政策の一つとして、開発途上国に対する特恵関税の供与という問題がありますが、これは開発途上国自身の貿易の振興のため、当該地域からの輸入品について関税の減免を行なうという趣旨であって、これは非常にけっこうなことだと思うんであります。で、昨年八月からわが国でも実施に移しているんですが、この現在の法制では不備だと、こういうように大蔵大臣思われませんか。――ちょっと待ってください。現行の制度では供与ワクが実態に合わなくて、品目によっては始めてからもう数日間でワクを越えてしまって打ち切られたというものも出ている。事実です。これらを踏まえて、いかがですか。
#130
○国務大臣(水田三喜男君) 特恵関税について、いま特恵関税の供与国及び地域をもっと増加するということと、いまおっしゃられましたシーリングワクについて三〇%の増ワクははかったわけでございますが、それでもなおかつそういう問題がありますので、ただいま日別管理を月別管理に直すというようなことで、そこでこの運用のいろんな改善策はいたしておりますが、もう一歩これについての改善策は今後考えなければならぬのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#131
○原田立君 考えなきゃならないということですが、もう実際に検討して成案が出ているのかどうか、それがまず一つ。
 それから、農産物の場合には、供与品目がきわめて限定されていることから、開発途上国からは、供与品目の拡大あるいは供与ワクの拡大、こういうことが強い要求が出ているわけであります。今回愛知代表も特恵関税の内容をよくすると、改善すると、こういうふうなことを言ってもいるわけでありますから、これもただ単に努力目標だけではならないし、おそく時期を失してもならないと思うんでありますが、その点いかがですか。
#132
○国務大臣(水田三喜男君) 成案の問題につきましては、事務当局から説明します。
#133
○説明員(森谷要君) お答えいたします。
 ただいま大臣が申し上げましたスキームの改善でございますが、すでに成案を得ておりまして、具体的に申しますと、先ほど大臣もお話しになりましたんですが、受益国をさらに十カ国、それから地域を十八増加いたしましたわけでございます。その結果、四十六年度の九十六から対象地域が百二十四に増加いたしたわけでございます。さらにシーリングの日別管理から月別管理へ移行させましたのが二十七品目ございます。この結果、従来非常にシビアな管理をしておったのが、月別に移りました結果ゆるやかになったと、こういうことでございます。
 さらにこまかくワクが細分されておりましたのを、ワクの統合をはかりましたのが四品目ございます。この結果非常にワクがおおらかにゆるやかになりまして、結果的には開発途上国からの特恵輸入がふえると、こういうことに相なるわけでございます。で、総じましてかようないろいろのことを講じました結果、ワクの総数は四十六年度は二百十四あったのが、今年度は二百十一になる予定でございます。それから四十六年度日別管理品目は百六品目あったのでございますが、今年度は八十四品目に相なったわけでございます。
#134
○原田立君 大蔵大臣、いまの発表、ちょっと数字的にまだはっきりしていないんですけれども、そんなことで、愛知代表の発言と、それから開発途上国の要求と、こういうものを含めてきちっとした処置をしたと、こうお思いですか。
#135
○国務大臣(田中角榮君) ケネディラウンドが終わると同時に、新国際ラウンドが発足をする方向にきまっておるわけでございます。今度のUNCTADの会議の結論というものは、南北問題の一番むずかしい問題をテーブルの上にのせて、この方向をまずきめて、あとは先進工業国は先進工業国同士で、また先進工業国と開発途上国との間にいろいろなものを詰めながら、いま御質問になったような問題を一つずつ解決をしてまいるわけでございます。その中の大きな問題として、特恵供与の問題があるわけでございまして、いまも事務当局から述べましたように、八月の一日から九十六カ国の発展途上国を受益国として特恵の早期実施に踏み切っております。なお、本年の四月一日から、先ほど述べましたように十カ国を追加をし十八の地域、属領を受益地として指定したということは、非常に積極的な姿勢を出しておるということは各国でも認められております。ですから、これからどうするのかという問題は、これは相手のある話でございますし、まあ特に先進工業国同士でこの問題に対して具体的な協議を必要といたすわけであります。ですから、これから愛知代表の発言の実行化というものに対しては、先進工業国との意見調整も行ないながら、開発途上国の要請に応じてまいるということが政府の基本的な姿勢でございます。まあ去年からことしに対して特恵供与のワクを広げたり、いま事務当局から述べましたような適切な処置が行なわれておることは、開発途上国だけではなく、先進工業国側からも評価をされておるということでございます。
 また具体的な問題どうするのかという問題、これはなかなか相手のある話であって、さっきのこれから長期的な政府ベースの投資を、援助を拡大をしていこうという問題と同じことで、いままで日本に要求されておったもの、日本がなさねばならなかったものは、一応四月一日で責任は果たしたということは、言い得ると思います。しかし、新しい発言もあったわけでありますから、UNCTADでどういうことを要求されるのか、愛知代表が帰ってきてから、具体的な問題は政府間で話し合うというのが実態でございます。
#136
○原田立君 輸入価格の引き下げ、輸入品が円の切り上げによって下がってこなきゃならないという問題を、実は聞こうと思ったんですけれども、これはもう割愛しまして、輸出のほうの問題についてお伺いしたいんでありますが、最近の輸出の状況は、三月の輸出認証額が最高になるなど、かなり伸びておりますが、その一方で、ECが日本の化学製品に対してダンピング規制を適用し、あるいはアメリカが反ダンピング法の運用を強化してくる等の外圧が非常に強まってきております。そのため、通産省では合成ゴム、板ガラス等、化学工業製品十品目について輸出カルテルの結成などの具体的な行政指導に乗り出すということであるそうでありますが、これが事実とすれば、いかなる意図及び方法で指導を行なうのか、あるいはまたこれは輸出規制につながりはしないかどうか、そういう点についてはどういうふうに考えておられますか。
#137
○国務大臣(田中角榮君) 輸出の数字はもうお持ちのようでありますから申し上げませんが、昨年度世界各国に対する日本の輸出は相当伸びております。特にその中で拡大EC、中でもイギリスに対する輸出は、対前年度自動車などは四倍にもなっておるわけでありますから、相当伸びておると言わざるを得ません。次には、アメリカ向けの輸出が、ドル・ショック、平価調整等があったにもかかわらず、相当伸びております。そういう意味で、個別な自由規制、その他の要請もございますし、そういう意味で、通産省はここで輸出価格を引き上げるということをまず考えなければならない。輸出価格の引き上げ分は、中小企業や下請に回したらどうかという非常に強い要請をいたしておるわけでございます。そういう意味で、オーダリーマーケティングの問題に対しては、具体的に申しますと電卓、全世界向けの数量規制、それからカラーテレビにおいては、アメリカ向け、工場出荷価格円ベースの現状維持をする。これは一六・八八上がっておりますが、上がった分だけすぐ値上げをするということはなかなかむずかしいので、時間がかかるということでございましたが、これに踏み切る。白黒テレビ、ヨーロッパ向け、工場出荷価格の協定を行なわせる。テープレコーダー、ヨーロッパ向けでございますが、輸出価格の協定を行なう。ラジオ、実施中の数量規制の協定の地域追加を行なう。こういうことでもって、いろいろやっておりましたが、業界も緊急性、その必要性というものを大体認めまして、意向はほぼ統一をされてまいりました。そういう意味で、できるだけ早く実施に移すということでありまして、輸出入取引法による措置が必要になるわけでございますが、そういうふうな、なるべく業界と十分意思を通じながらも、各国から日本がたたかれるようなことのないように、時期を早めて実施をしようという考えでございます。
#138
○委員長(徳永正利君) 原田君の質疑の途中でございますが、午後一時四十五分再開することとしまして、暫時休憩いたします。
   午後零時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時七分開会
#139
○委員長(徳永正利君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続きまして、原田立君の質疑を行ないます。原田立君。
#140
○原田立君 一番最初に、厚生関係また公害関係でお伺いしたいと思いますが、WHOとFAOの合同専門委員会は、食品中に含まれる水銀、カドミウム、鉛、その他の重金属の許可水準を国際的にきめたと、四月十三日、発表しております。同会議の決定は、できるだけ早い機会に加盟各国政府へ勧告するという、そういうふうな報道がされておりますが、ここで、厚生大臣または環境庁長官――環境庁長官はあまり関係ないだろうと思いますけれども――加盟国各政府へ勧告するとのことだが、この勧告をわが国は受け入れる考えはあるのかどうか。
 また、受け入れるとすれば、国内法の整備という問題もあるでしょうから、いつごろから実施に移す、そういうお考えがあるのか、お伺いしたい。
#141
○国務大臣(斎藤昇君) 勧告がなされましたら、できるだけ受け入れたいと存じます。そのためには、いまの法制を変える必要はないと、かように考えております。
#142
○国務大臣(大石武一君) まだ連絡がございませんので、いずれは、近くありましたならば、それを中心に検討いたしたいと思いますが、ここの会議に参りましたメンバーのうちに、たとえば新潟の椿教授とか、水俣病を取り扱った学者も行っております。そういうことで、おそらく水銀とかカドミウムは、大体わが国の考え方がその中に入っているのではないかと思います。そういうことで、もちろん勧告がくれば、いま厚生大臣からお話のありましたようなことになりますが、大体は、わが国のものの考え方が一つの中心になっているのではなかろうかと考える次第でございます。
#143
○原田立君 厚生大臣、関係国内法は改正する必要はないというお話でありますけれども、食品中における水銀、カドミウム、鉛、その他の重金属の許容水準、こういうことでありますから、国内法においては、食品中としては玄米中のカドミウムのことだけ、これだけしかきめてないというふうに私は思うのでありますけれども、その点はどうですか。
#144
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、玄米の中のカドミウム、これはきめております。それから農薬汚染によった場合の基準、これもきめております。これらは、いまの食品衛生法の中でできるわけでございます。それによってやってまいりたいと思います。
#145
○原田立君 勧告は受け入れるということ、それから受け入れることによって国内法の整備についてはやる必要はない、こういうふうな御答弁でありますけれども、ちょっと私、まだ国内法において不備な点があるんじゃないかと、こういう指摘をしているわけなんです。不備はないということで理解してよろしいんですか。
#146
○国務大臣(斎藤昇君) ないと御了解をいただきたいと存じます。いまの玄米の中のカドミウムの量も、これは法律に規定しておるのではございませんで、厚生大臣の指定によってできるわけでございます。そのように指定によってやってまいりたいと思います。
#147
○原田立君 六月に、ストックホルムで国連の人間環境会議が開催されることになっておりますが、これに日本から、いままでにレポートは一体どのぐらい出してあるのかどうか、これが一つ。
 それから、国内にそのレポートがどのようなぐあいで公表されているのか、その二つをお聞きします。
#148
○国務大臣(福田赳夫君) 国連人間環境会議に対しましては、この会議のために、いわゆるナショナルレポートという、わが国の考え方を総合的にまとめました文書を提出してあります。それからその他に、この会議等の資料といたしまして、あるいは水俣病の実況でありますとか、あるいは環境汚染、海洋汚染ですね、そういうことについての実態、あるいは見方、そういうものに対する資料でありますとか、数種類のレポートを出しております。そしてその中でナショナルレポートにつきましては、これを広くわが国内におきましても関係団体等を通じてこれを配布するというようにいたしまして、広報活動を行なっておるというのが現況でございます。
#149
○原田立君 外務大臣、実は私寡聞にして、あんまりいままでそのレポートを拝見したことはございません。ということは、私も公害問題には非常に関心を持っている一人でありますけれども、その関心を持っている人間があんまり見たことがないというのですから、一般の人たちの手に渡っている渡し方が非常に手ぬるい、ずさんな点があるんじゃないかと、こう実は心配するわけなんです。予算面で一体どのくらいのことをやって、何部の印刷をして、どういうふうにしているのか、具体的な点はいかがですか。
#150
○政府委員(影井梅夫君) お答え申し上げます。
 ただいま外務大臣からお話し申し上げましたこのナショナルレポートにつきましては、これは私ども外務省の国際連合局でこのような形の印刷物にいたしまして――配布の実は具体的な方法は私存じません。すぐ調べまして御報告申し上げます。
 なお、国連のほうに提出いたしました英文のこの報告書でございますが、これは外務省の情報文化局におきまして、相当部数印刷して配布しているはずでございます。
#151
○原田立君 ですから、それはやっていないことはないでしょうよ。やっているんでしょうよ。ただし、まあ私がそういうのを実は見たことがなかった。その点を指摘しているわけなんです。だからもう少し、あなたも具体的な点はよくわからないから聞くだなんて言っているけれども、あなたがわからないようなことを私もわからないで聞いているんだから、その点もっとはっきりしてもらいたい。
#152
○政府委員(影井梅夫君) ただいま英文のほうは、大体一万部見当印刷いたしまして配布しているそうでございます。なお、日本語のほうは部数が少のうございまして、大体千部ぐらい印刷しているそうでございます。
#153
○原田立君 千部って、ちょっと聞いてあきれているわけなんですけれども、外務大臣、この国連環境会議等については、その印刷物等、私若干中を見ましたけれども、積極的に意欲をもって取り組むと、こういうふうなことがいわれております。となると、いまの局長の答弁では、英文が一万部、日本字では千部、これであんまり大きなことは言えないように私は思うんですけれども、どうですか。
#154
○国務大臣(福田赳夫君) この人間環境問題についての国際会議、そのための資料ということでございまするから、国民の皆さんに配布いたしましてごらんを願うというような性格のものじゃないんです。これはどうしても、その道の専門家の人にごらん願うというようなことでございまするものですから、まあ和訳の分は限られたものである、しかし、こういう書類が出ておりますよというその原文は、一万部印刷いたしまして、そして関係の、つまり関心を持っておられるところの各位のところへお届けしておる、こういう状態でありますが、これはあくまでも会議のための資料である、そういう性格から、そう国民の皆さんに、多数にごらん願うという性格のものではないんだという点も御理解願いたいと、かように存じます。
#155
○原田立君 外務大臣、だんだんあなた答弁していくと、しりつぼみになってくるような答えですからね。そういうことじゃなくて、英文では一万部だけれども、和文では、日本文では千部だと。あんまり少ないでしょう、実際問題。それはもちろん専門家に渡すだけのものだって、こういうのも、それは理屈は、理由はわからないことはない。あんまり少ないじゃないですか。だから、そういう面で、今日公害問題については非常に関心の強い時代でありますから、もっと充実して、部数の印刷なんかももっと増部していくような、そういうふうな姿勢はございませんか。
#156
○国務大臣(福田赳夫君) 環境問題につきましては、これは私どもは非常に積極的です。それからこの今度の人間環境会議に臨む姿勢も、非常な積極的な態度で臨みます。ただ、いま問題にされておりまするレポートの配布部数、こういうことになりますと、これはもうこのレポートの性格上、会議のために準備したものである、これに関心を持たれる方には知っていただきたい、こういうことで、新聞社とか、そういうようなところには配布をするということにして一万部と、こういうのでございますが……。
#157
○原田立君 いや、一万部は英文……。
#158
○国務大臣(福田赳夫君) そうです。それから和訳のほうは千部ということになっておりますが、なお、今後、この種の問題につきましては、さらに御意見のほどもよく踏んまえまして努力してみたいと、かように考えます。
#159
○原田立君 現在は情報化時代と、こういわれているときなんですから、やっぱり政府が国連に正式に出した文書というものについては国民全体が非常に関心が強いことは、これは外務大臣も御承知だと思うのです。それをたった千部あたりでは、口と実行とでは非常に食い違っておると、たいへん不満に思うわけであります。ただいまは、今後努力するというお話でありますから、何らか具体化されてくるのだろうと思います。それを期待しております。
 なお、この六月に行なわれる会議にそれぞれ代表が、私聞いているのでは、三十名ぐらいというふうにお伺いしているのでありますが、もうその人選は終わったのかどうか。これについては、環境庁長官が代表になっていくのであろうと推測もしているわけでありますけれども、そこいら辺のところ、もう実際に選考し終わったのかどうか。約一カ月半ぐらいしかありませんから、もうきまらなければならないのだろうと思います。その点はいかがですか。
#160
○国務大臣(福田赳夫君) 代表団の選考はまだ終わっておりませんです。ただ大体は、ただいまお話しのように、これは環境庁長官に首席代表というようなことでお出かけ願わなければならぬだろうかなと、こういうふうにいま考えておりますが、その他に政府関係の者を若干名、なお学識経験者、そういうような方々にお願いしたらどうだろうか。
 それで、この会議の主催者当局でありますが、これは、あんまり多くなっても困る、こういうような要請もありまして、大体代表団の総員は三十名程度、そういうようなことを考えております。
#161
○原田立君 大石長官、大体あなたが代表で行くらしいような福田外務大臣の話ですけれども、まだ選考は全体が終わっていないということですね。あと一カ月半、わずかしかないのに、いまの段階でそんな状態では、あなた自身も御不満だろうと思うのです。当然こんなことは終わっていなければならないのだろうと思うのですが、その点いかがですか。
#162
○国務大臣(大石武一君) 大体私が行くようなことになると思いますので、自分としてもそれぞれ準備をしておる段階でございます。で、おっしゃるとおり、早く代表団がすっかりきまれば一番好都合でございます。しかし大体きまったようでございますし、中でわれわれは相談できる人も大体わかっておりますので、そういう人方と相談をして、いろいろとこれに対する準備も整えております。いま外務大臣からも、間もなくきまるだろうということでございます。ただ、学識経験者の中で一人二人まだ交渉中で、まだ諾否の返事がない人がございます。そういうのできまらないのだろうと思うのですが、いずれ間もなくきまりましょうし、できるだけ早く十分な準備を整えてまいりたいと思っております。
#163
○原田立君 第二回のこの国連の会議を、日本でぜひ開催しろという質問が十四日の日にございましたけれども、外務大臣は、これについて誘致運動まではしないと、あまり積極的でない御答弁なんですね。もし日本での開催の声が出ればけっこうなことで、喜んで受けて立つと、こういうふうな、もうあなたまかせ、相手まかせというような御答弁でございましたけれども、そういうようなところも、いま一歩前進せしめる姿勢を外務省も、環境庁も持つべきではないかと、こう思いますが、いかがですか。
#164
○国務大臣(福田赳夫君) この間の御質問に対しまして、私は、この第二回の人間環境会議があるのかないのか、これもまだはっきりした見通しのない状況である。かりに、第二回人間環境会議を開催するということになり、で、日本という声が上がれば、日本もこれを喜んでお迎えする用意があるということを申し上げたわけなんです。だれもその声もなし、ほかのところに声が上がっているというのに、かき分けて日本が、おれのところだ、おれのところだと言うのもおかしなものじゃないか、そんなような感じがいたします。どこかに声が上がってくるということが前提問題で、そういう際には、喜んでこの会議の主催国になる。こういうことを申し上げておるわけでありまして、決して逃げるとか、そういうような考え方は全然持っておりません。
#165
○国務大臣(大石武一君) いままでの準備の段階におきましては、一応第二回目は開かない方針であることに最初はきまっておりました。しかし、だんだんその後は、開いてもいいではないかという声も中にあるようでございます。私としましては、この会議をこれだけで終えてしまうのは惜しいと思います。必ず実りあるものにするためには、さらに今後、同じものであるかどうかはわかりませんが、やっぱりこの種の会合を持ちたいと考えております。そういうことで、もう少し準備も進みましたならば、私は内閣に対しましでも、受け入れる態勢があるかないかを十分にその意思を確かめまして、受け入れてもよろしいという意思ならば、喜んで第二回目の会合を日本でやってもらいたいということを主張いたしたいと考えております。
#166
○原田立君 大石長官のは、やっぱり担当大臣ですから積極的な姿勢である。福田大臣のは、やっぱりどうも外交辞令で、あまり信用ならない。その点は、もう少し両方できっちりやってもらいたいと思う。
 この会議に、代表として患者の人を入れて、連れていったらばどうかと、こういう考えもあるんですが、たとえば水俣病あるいはイタイイタイ病あるいはカネミ患者、これらのおそろしさを身をもって体験しているような人、そういう人を参加させるようなことは、その点いかがであろうか。
#167
○国務大臣(福田赳夫君) この会議の性格は、これは御承知のとおり、今後の人間環境改善のためにどういう対策をとるべきかということを検討するというものでありますので、個々の病気でありますとか、個々の公害、そういうものについての論議をするという場でないということにかんがみまして、そういうイタイイタイ病だとか水俣病の患者をこの会議に御参加願うということは、私ども、ただいま考えておりませんです。ただ、この会議と並行いたしまして、同じストックホルムで人間環境広場というものが開かれる。そしてこの人間環境広場のほうには、ただいま申し上げましたような個々具体的な公害の犠牲者という方々が参集されるわけなんです。そういう方々が日本からも行かれる場合につきましては、それ相応の便宜の供与等はいたしますけれども、これが人間環境会議のほうの代表団だ、こういう考え方は妥当でない、こういうふうに考えております。
#168
○原田立君 これまた、過日この委員会で質問があったことでありますが、国連環境基金の一〇%拠出は賛成であるという態度を、外務大臣あるいは大蔵大臣、両大臣もとっておりますが、世界的な環境保全の重大さを認識するならば、この基金の負担、担当をしていくというような国はほんのわずかしかない。その中の大きい柱になっているのが日本でありますから、少なくとも一〇%だなんて言わないで、二〇%以上はぜひ出すべきである、こういうふうに思いますが、その意思はありますか、ないですか。
#169
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま話題になっております人間環境基金構想、これは基金の総額が一億ドルなんです。そうして五年間でこれを充足しちゃおう、こういうことでございます。そうしますと、年額にしますと二千万ドルということになるわけです。その一割をわが国が負担するということになりますと二百万ドル、この間の御質問は、一割ぐらいはどうかというから、そうすると年額にすると二百万ドルぐらいなものですから、これは大蔵大臣の御了承を得ることは、これもそうむずかしい問題じゃないと思うと、こういうふうなお答えを申し上げたわけですが、会議の反響がどうでございますか、わが国に対する割り当て、そういうものも出てくるだろう、そういうときに、消極的な姿勢はとるべきじゃない。まさに原田さんのおっしゃるとおり、財政の負担におきましても積極的なかまえで臨むべきだと、こういうふうに考えておりますが、その額が一割になるのか二割になるのか、そういうようなことはその会議の雰囲気といいますか、あるいは基金の話の進行の状況等に照らし合わせまして、国際社会から評価されるというような態度で臨んでしかるべしと、そういうふうに考えます。
#170
○原田立君 環境庁長官や大蔵大臣はいいですか、それで。
#171
○国務大臣(大石武一君) いまストロング事務局長からの希望は、一〇%から一五%を持ってもらいたいという希望でございます。一〇%と申しますと、年額二百万ドルでございます。五年間でございますから年額二百万ドルになります。これは、このぐらいの額はぜひ出していただければありがたいと思いますが、いままで日本のこういう国連関係の出資はわりあいに少ないようで、大蔵省が少し財布のひもがきついんですか、大体七・何%ぐらいが一番大きい数字のようでございます。したがいまして、一〇%と申しますと、相当、日本の大蔵省としては飛躍した金になりますが、ぜひこのくらいは私もほしいと願っております。
#172
○原田立君 環境庁長官、だいぶ遠慮して言っていますけれども、こういう問題については、日本あるいはアメリカ、西ドイツ、ほんのわずかの範囲の国しか負担する国はないんですから、その大きい柱になっているのが日本なんですから、だから、この基金の拠出等についても、もっと積極的な姿勢があってしかるべきではないか。いままで七%が一〇%になったのはたいへん前進した姿勢だなんて、あなたそんなことを言って大蔵省をほめるから、大蔵省はいつまでたってもそれ以上の腰を上げない。いかがですか、大蔵大臣。
#173
○国務大臣(水田三喜男君) まだ具体的な交渉はございませんが、交渉があれば、そのぐらいの金で済むことなら何でも……。
#174
○原田立君 それでは次に、外務省の国連環境問題の担当官は一名しかいない。一名。また、予算面でも非常に少なくて、わずか六百万円ぐらいしか組んでない。こういうふうなことを、私調べてわかりましたが、こんなような予算では準備委員会参加の旅費にしかすぎない。外務大臣も、国連環境の問題については積極的な姿勢で取り組むと、こういうふうに言われているのにしては、あんまりにも国内的にはお粗末ではないかと、こう思いますので、本腰を入れて取り組むならば、予算の増額、あるいは国連環境外交の推進のためにも、機構的にももっと内容を充実すべきじゃなかろうかと、こう思いますが、いかがですか。
#175
○国務大臣(福田赳夫君) 外務省というところは、わが国の当面する諸問題、それの国際関連部門を担当するわけであります。いま問題になっておりまするこの人間環境問題、これは環境庁が主になってやっておる仕事です。環境庁でも、国際的側面について関心がないというわけじゃない。一番ここで関心があるんです。その関心のある問題を、直接海外との接触面で取り上げていくというのが外務省の役割りでありますので、外務省の役人が少ないから、その予算が少ないから、政府が人間環境問題についてあまり積極的でないと、こういうふうには断じ得ないと思うんです。現に、わが国ではいま外務省に国連局科学課というのがあります。そこに首席事務官がおりまして、そのもとに三名の事務官がついて、そしてこれが国連局人間環境班を形成をいたしておるわけですが、また、外務省の内部だけをとりましても、そこの部局だけが人間環境の国際問題をやっているかというと、そうじゃないんです。経済局でもこの問題には非常に関係がある、つまりOECDを担当するのが経済局でございますので、その側面から、経済局のほうでもこの問題には取り組んでおる。それからさらに公害問題、これは国際的にいろんな意味において関係がありますので、内閣官房におきましてもこれを専門的に担当する審議官がおる、そうしてそのもとに関係の各局から課長級をもって構成されるところのメンバーをもちまして、人間環境委員会をつくる、いわゆるタスクフォースです。そういうふうなことをやっておりますので、決しておろそかな体制ではないと、こういうふうに思いますが、ことは重大でありまするから、今後とも充実はさせていく方向で努力をいたしたいと、かように考えます。
#176
○原田立君 それでは地方行財政問題に移りたいと思うんですが、昨年の秋、自治省は、昭和四十七年度の地方財政の見通しとして、約一兆円の財源不足が予想されると発表いたしておりますが、その後四十七年度の地方財政対策として決定したところを見ると、自分でしゃべっておきながら、結局、結論は財政対策の総額が八千億円ということになっております。一兆円の財源不足に対し八千億円の対策では、地方としては非常に困るのではないか。その点いかがですか。
#177
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#178
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
#179
○国務大臣(渡海元三郎君) 御指摘のとおり、概算要求を八月末にいたしましたときの見通しといたしましては、概算いたしまして、四十七年度の地方財源の不足が一兆円になるのでないかという姿で概算をいたしておりましたが、その後、国税並びに地方税の額が、見通しが確実になることによりまして、その額が変わってまいりました。また、国庫補助負担金の額もだんだんと確定を見てまいりました。それに伴いますところの地方負担も変わってまいりました。また一方におきまして、使用料、手数料その他の私たちの努力というものもいれさせていただいて、決定いたしましたときに、一応地方財政計画の不足というものは八千億という姿で処置させていただいてよいというバランスを得ましたので、八千億の処置をさせていただいて、四十七年度の地方財政計画を組んでおるような次第でございます。
#180
○原田立君 そんな答弁では、私はどうしても納得しない。まるでごまかしです。昨年、財政局長が一兆円の財源不足をはじき出した根拠を示しております。それが、いつの間にやら八千億でまかなえとなっている。非常に理解に苦しむわけでありますが、そうなると、自治省が一兆円財源不足だなどと言ったのは、きわめていいかげんな根拠で言ったんじゃないかと、こういうふうに私は不信感を持つ。もう少しはっきりしてもらいたい。
#181
○国務大臣(渡海元三郎君) 御承知のとおり、概算要求で要求いたします当時におきましては、どの省の予算にいたしましても、予想し得る最大限のものを計上いたしますのが常でございまして、その後見通しがだんだんと確定いたしまして、国庫財政当局と十分に連絡をし、協議をした上決定した額がそのような姿でございまして、なお小さい数字等の詳細につきましては、御必要であれば事務当局からお答えいたさせます。
#182
○原田立君 けっこうです。自治、大蔵両省の折衝の過程で、大蔵省は暗に、それは過大な主張である、実際は三分の一ぐらいじゃないかと、こういうような主張があったと聞いております。それにとうとう自治省も大蔵省に寄り切られたのじゃないかと、こういうふうな感じをしているわけなんですが、その点は一体どうなのか。それから大蔵大臣、一体地方財政の不足額、これを三分の一ぐらいだなんて言った根拠はどこなんですか、両方お願いしたい。
#183
○国務大臣(渡海元三郎君) 折衝の過程におきまして、大蔵省の考え方に立ったなれば地方財源は不足としてこの程度でけっこうじゃないかという、これは財政に対する見方でございまして、そのようなことがありますことも事実でございます。また、わがほうは、それに対しまして、これだけのものはぜひとも必要だと、折衝の過程で双方の合意する額として八千億という数字を出したのでございまして、これは例年行なう地方財政計画における折衝でございまして、おのおのの財政に対する見方でございますので、組みました予算そのものが四十七年度の地方財政計画をまかなうに十分であるかどうであるか、こういうことによって御判断も賜わりたいと思いますが、決してずさんな折衝でもなく、当時といたしましては一兆円の予算というものは、見通し得る最大限の場合をいつも考慮しておかなければなりませんので、概算請求をいたしました過程におきましては、そのような請求をさしていただきましたが、その後の経過によりまして、国税並びに地方税の確定、あるいは国庫補助事業等の確定によるところの地方財源の数の確定等によりまして、八千億という数字に確定したような次第でございます。
#184
○国務大臣(水田三喜男君) 一兆円の財源不足ということが予算編成の過程において論じられたことは確かでございますが、このときの一兆円ということは、まだ、政府の経済見通しも固まっておりませんし、国の予算編成方針もむろんきまっていないという段階の大まかな試算であって、正確なものではございません。したがって、自治省と大蔵省が折衝している過程でようやく経済の見通しもついてきましたし、したがってそれに伴い税収の見込みも固まり、地方に対する国庫補助金と国の歳出予算の内容が固まるというようなことで、ようやく地方財源対策として八千億円による措置がとられれば地方財政は適切な運営が確保できるというところに話が落ちついたということでございますので、この折衝の過程における両省の数字というようなものは、いま言ったようなまだいろんなものが固まらないときの大まかな試算というものでございます。
#185
○原田立君 地方団体は、自治大臣御承知のように、いまやりたい仕事がたくさんあるわけだ。お金がないばっかりにできないわけだ。一兆円財源不足論なども、実は非常に過小な意見である、こういうふうに地方団体は思っております。地方団体の苦悩を直接はだで感じて、真の住民福祉第一の地方行政を行なう、これはもう自治大臣自身だってそういう姿勢だろうと思うんです。ところが、今度の財源不足論を見てみると、いままでの悪いくせといいますか、大蔵省はもうしぶちんでさいふのひもをほどかない、自治省のほうでは何とかして旗上げてぶんどり合戦と、こういうふうな姿勢であるのだけれども、そういうふうな時点でこの地方行政はとらえるべき問題ではない、もっと真剣にそこのところは取り扱うべきだと、こういうふうに私は考える。その点どうですか。
#186
○国務大臣(渡海元三郎君) その点、私たちも、今回の四十七年度の予算折衝にあたりまして、また四十六年度の補正予算を組ましていただく段階にあたりまして、四十七年度の予算にあたっては非常に地方財政はきびしい段階に置かれるであろう、従来のような大蔵省の財源をぶんどるというふうな姿でやるべきもんでなくして、地方財政はいかにあるべきか、これをまかなうところの国家財政はいかにあるべきか、このことをお互いがよく理解をし合い、すべての点においてほんとうに一体となってはかることこそ四十七年度の予算編成のあり方でなければならない、私はこのことを率直に申しまして、予算編成当時に大蔵当局とも述べておったような状態でございまして、今回におきましてその実があがりましたかどうか、これは御批判賜わるよりしかたがございませんのですが、私といたしましては、地方財政の苦しさも存じながら、しかも国庫財政のきびしい姿、また住民負担に及ぼす影響等を考えまして、今日の地方財政計画を組ましていただいたような次第でございまして、御指摘のような態度で今後は地方財政の予算編成に当たらなければならない、かように考える次第でございます。
#187
○原田立君 また別の問題になりますが、財政計画と決算との誤差についてお聞きしたいと思っておったんですが、ちょっと時間がありませんから、これはまた別の機会に譲るとして、次の問題で、人口急増市町村対策についてお伺いしたいのでありますが、政府は、自治省は、今国会で、人口急増市町村対策要綱というものをまとめて、何とかして立法化しようと、こういうふうな動きであったのが、今回とうとうそれができなかったということでありますが、どうして法案提出ができなかったのか、その点お伺いしたい。
#188
○国務大臣(渡海元三郎君) 人口急増地帯のあらゆる公共施設を整備してまいりますのに、一時に多額の財源が必要になっておるのは、いま御指摘のとおりでございます。このために、通例の国庫補助負担率を引き上げていただきまして、少なくとも最小の公共事業が人口急増地帯において整備できるように、各省と協力いたしまして、たとえば文部省の学校補助に対しては三分の二にしていただきたい、あるいはし尿処理、ごみ処理等の施設、あるいは保育所等の施設につきましても、それぞれ補助の特例を設けまして、人口急増対策の、これらの施設に対する一貫した法律案をつくりたいと思いまして、要綱を出し、それに基づいて各省より予算要求をしていただいた次第でございます。この中におきましては、いままで三分の一でありました小学校の建築に対する国庫補助を二分の一に引き上げる、あるいはいままでございませんでした児童公園等に対する土地の補助も一般公園事業としてやっていただく、補助率を引き上げていただく、それぞれ予算措置としてふやしていただいた分もございましたが、法律をつくり、全般的に実施に移すというところまで予算面におきまして予算獲得が行なわれなかったものでございますから、要綱にきめました立法の措置をやめまして、予算措置で終わらしていただきましたが、この問題はそれによって満足すべき問題でございませんので、引き続きまして四十八年度等におきましてぜひとも立法として実現しますよう努力をいたしたいと目下努力中でございますので、御了承賜わりたいと存じます。
#189
○原田立君 四十八年度は成立さしたいと。そのとき自治大臣やっておられればけっこうなんだけれども、またおやめになる場合もあるでしょうし、それは自治省として出すと、こういうふうに承っておいてよろしいですか。
#190
○国務大臣(渡海元三郎君) もちろん来年度の予算編成に、私がその任に当たるというふうなことはいまから申し上げられないのでございますが、予算が決定いたします段階には、すでに各事務当局も来年度に対する予算の概算要求等についても下準備はいたしておりますので、その意味におきまして私たちは引き続いてそのような努力を四十八年度に対してもせなければならぬという姿勢で立ち向かっておるのが現在の姿でございまして、そのままを述べさしていただいた次第でございます。各省にまたがる内容を持っておりますので、総合的行政をあずかるところの自治省においてできますれば立法をさしていただきたいと、かように考えております。
#191
○原田立君 東京の隣の千葉県では、総合五カ年計画で四十九年度には三百九十八万人ぐらいであろうと、こういっていたのが、実際には四百五十万人ぐらいになりはせぬかということで千葉県はたいへん心配をいたしております。また、この対策については、県だけではお手あげである、困ったもんだと、こういっておりますが、自治大臣は、このような人口急増市町村に対して、その要求を十分受け入れられるような処置を講じるお考えがあるのかどうか。
#192
○国務大臣(渡海元三郎君) 人口急増地帯が計画いたします計画を越えての人口流動がある、これを未然に防ぐ、過密過疎の問題を解決していく、これは単に自治行政の問題だけでなく、あらゆる分野の検討によってその対策を講じなければならないというところの問題であろうと思いますが、総合行政をあずかる私たちといたしましては、この点につきまして各省と連絡の上、十分措置を進めていかなければならないと、かように考えております。いずれにいたしましても、いまも申し述べましたとおり、この急激にふえていきます人口急増地帯に対する行政措置が伴うような財政措置を打ち立てることによりまして、これらの県に対する要望を解決していくために最善の努力をいたすことによりまして、それらの問題を解決していかなければならない。しかし、これはあくまでも緊急性の問題でございまして、大局的に根本的な問題は各種政策によるところの過密過疎の問題の解決というものに国の政策として全力を尽くさなければならない問題であろうと考えますので、そのようなつもりで取り組んでまいりたいと考えております。
#193
○原田立君 要するに、自治大臣、千葉県のように実際いま困っているところがあるんですよね。ほかの都市だってみんなそうですけれども、千葉県の例を私一応出したわけだから、そこら辺のところでもう少しはっきりとした御回答は得られませんか。
#194
○国務大臣(渡海元三郎君) 具体的に千葉県の人口抑制に対しまして、千葉県等が宅地開発の規制をやっておられるというふうな姿によりまして、計画以上の人口流入を極力抑制する政策を進めておられますが、そういった部面に対しましては、私たちもこの自治体の要望がかないますよう関係各省と連絡をとっていきたいというつもりでいままでも当たっておりますが、この問題はそれぞれの具体的な姿によって処置さしていただきたいと、かように思いますが、千葉県の例をとられまして、自治省だけでこのような具体的なものの答えを示せと言われましても直ちにはお答えいたしかねるんでございますが、県の実情はよくわかっておりますので、急激にふえてきます県の財政需要に対しては十分にこたえるよう最大限の努力をいたしますとともに、また千葉県の行なわんとする抑制策等に対しましては関係各省と連絡の上、要望がかないますよう努力さしていただきたい、かように考えております。
#195
○原田立君 建設大臣にお伺いしますけれども、政府の第二期住宅建設五カ年計画は、民間自力建設の落ち込みあるいは千葉県のような団地のお断わり等の動きで予定どおりはたして達成できるのかどうか、たいへん私心配しているのですが、まずその点が一つ。
 それから宅地開発事業が推進されれば当然公共施設用地、すなわち公園、道路、下水道あるいは教育団地等が必要になってくるわけでありますが、大規模な住宅開発をするものにはこれらの用地を確保することを義務づける必要があると思うのですが、その点いかがですか。この点については自治大臣もお願いします。
#196
○国務大臣(西村英一君) いま千葉県のお話が出ましたが、この第二期住宅建設五カ年計画をきめて、そうして公的資金、しかも公団のこの戸数をきめる場合には、地方公共団体とそれぞれ建設大臣が連絡をしてあらかじめきめておるのでございます。あらかじめ協議をして決定したのでございます。しかし、千葉県といたしましては、その後の人口の急激な変化によって、初め了承をしたけれども、いろいろな理由によってひとつ再協議をしたいというようなことがあることは事実でございます。したがいまして、千葉県に関する限りにおきましてはやはり今後交渉を続けていきたいと思っております。しかし、一般的にやはり団地ができて人口がふえる、しかもそれに対して公共・公益施設に対してそれが伴わないというので地方の公共団体の財政を圧迫するということがございますので、地方公共団体としてはややしり込みの形であることはあなたが御指摘のとおりでございます。したがいまして、これはなかなか重大な問題でございます。けれども、われわれは第二期五カ年計画を達成するためにはこの難関を切り抜けていかなければならぬと思っています。また、全般的に申しますと、公団住宅のみならず、全般を申しますというと、昨年から景気が停滞してまいりまして民間がやや低調でございます。しかし、そのためには公的の資金でもって援助をいたして、どちらかというと公的は繰り上げの形でやっております。四十六年、昨年でございまするが、これはやはり民間が落ち込みましたので、途中で財投の追加あるいは補正予算に追加をやりました。また、この今回の予算提出におきましても、四十七年度は初めの計画、公的資金の初めの計画よりもやや上回って実施をする計画になっておるのでございます。
 それからもう一つの問題ですが、そういう宅地開発の場合には、その公共用地、公益用地を義務づけたらいいじゃないかと、これは現在宅地開発はそれぞれの法律に基づいてやらしております。新住宅市街地開発法によって、そういう場合にはこの公的資金によって整備するというふうな義務づけをいたしております。民間の場合は、民間で宅地開発をする場合は地方公共団体の知事にあらかじめ協議をしなければならぬことになっています。それに基づいて知事は許可するわけでございます。許可の基準となるものは、やはり公園とか、あるいは上下水道とか、あるいは道路とか、あるいは学校とかというようなことを義務づけることが、この話し合いによって義務づけることが、この許可基準になっておるようなものでございまして、それぞれ現在は公共施設、公益施設は義務づけるということになっておるわけでございます。
#197
○国務大臣(渡海元三郎君) 人口急増地帯と申しましても、一般的に大都市近郊の住宅地帯は、大規模ないまの公営住宅団地あるいは民間の住宅団地が生まれることによって人口急増になっております。それらの開発が行なわれます場合に、区画整理法あるいは新住宅市街地開発法といったような法律におきまして、御指摘の公益施設のための用地確保を法的にも行なっていただいているのは、いま建設大臣からお答えになられたとおりでございます。また、民間のデベロッパー、それらの行ないますところの宅地開発につきましても、開発許可を行なう際に、これに相応するような用地の確保その他を個別に当たらしていただくこと自身、そのような姿でございます。近時また、各市町村におきましても、人口急増に対する財政事情の困難さから、独自な、そういった受け入れの要綱をつくりまして、実際許可される前の協議によりまして、おのおの協議がととのいましたときに初めて許可するという姿に移っていることは御承知のとおりでございます。しかし、これらの協議につきましては、私たち、従来関係各省と協議を進め、公平な、しかも妥当な線でこれが行なわれるよう指導してきておるところでございますが、各地によってその実情その他が異なりまして、これが過小あるいは過大に至らないよう、十分関係各省と今後とも連絡をとりまして、これらの用地確保のために資していきたいと、かように考え、努力をさしていただいております。
#198
○原田立君 文部大臣、現在、小中学校でプレハブ教室を使用し、不足している教室は全国でどのぐらいあるのか、まずこれが一つ。この不足教室に対しどのように対処するのか。特に人口急増市町村に対してどうするのか。これがまず一つお伺いしたい点であります。
 それから四十七年度は小学校校舎建築費を三分の一から二分の一にしたと聞いているわけでありますが、特に人口急増地域については三分の二に引き上げる考えはないかどうか、これは自治省のほうの要綱の中には三分の二にしようという、そういうことが含められておりますが、そういう意思はないかどうか、あるいは用地取得費を大幅に拡大すべきであると思うが、その点についてはどうか。まあそれだけにしておきましょう。
#199
○国務大臣(高見三郎君) お答えいたします。
 まず第一の、全国の小中学校におきまする不足教室数、これは昭和四十六年の五月一日現在でございますが、普通教室におきまして不足教室数は一万三百八十一、中学校におきまして三千二百六十九、特別教室につきましては小学校で二万一千五百七十四、中学校につきましては一万三千七十六という数になっております。これはいずれも人口急増地帯に起こっておる現象であるのであります。で、私どもはこの問題に対処いたしまするために、今年度は百十二万四千五百平方メートルを補助対象面積として予算をお願いをいたしておるのであります。これは昭和四十三年度の、たしか四十九万平方メートルであったのに比較いたしますると、倍以上になっております。ところが、原田先生御承知のように、四十三年の時点においては小学校が中心であったんです。ところが、最近になりまして中学校にこの急増の波が、子供が大きくなってまいりますから、出てまいりましたので、なお一そう、この問題には力を入れなきゃならぬと思っております。
 それから御指摘のように、私どもは地方財政が許してくれるならば、あるいは国の財政が許してくれるならば、三分の二の補助を心から要望いたします。ただ、いままで三分の一であったものが今回二分の一に増額されました。一応、満足すべき姿であると、あとは地方財政と国家財政とのかね合いの問題であって、私どもからいたしまするならば、三分の二が四分の三になってもまことに望ましいことだと、かように考えておるわけであります。
#200
○国務大臣(渡海元三郎君) 人口急増に対する生徒、児童の増加に対応するためにプレハブ校舎でまかなっておるという実情は、いま文部大臣から御指摘になられたとおりでございます。いま、補助率を人口急増地帯に特に引き上げろということでございます。三分の一の長い間の要求を小学校の校舎について二分の一に引き上げさしていただいた。これは全国の基準でございますが、一番その面で多くの財源補助ができるのは急増地帯であったと思います。しかしながら、全国一般の基準ではまかない切れない財政需要を持っておることが人口急増地帯の実態でございますので、本年度も文部省から三分の二の人口急増地帯に対する補助要求をしていただきまして、まあ二分の一にとどまった次第でございますが、今後も引き続き文部省と連絡をとりまして、人口急増地帯に対するこれらの児童、生徒の急増措置に対するものを実施していきたいと思っております。また、一番必要なのは用地取得の財源でございますが、これも昨四十六年度から始まりました用地取得のための国庫の助成に対する措置を今後ともに拡大してまいりまして、財政難の解消に資してまいりたいと、かように考えております。
#201
○原田立君 文部大臣、横浜市の場合の例を、私、一つ持っているんですが、今後六年間に、小学生が現在十九万三千人いるのが三十一万人になるであろう、中学生が六万八千人が十一万一千人になるであろう、そのために小学校百十、中学校は四十六校、合計百五十六校建てなきゃならないと、こういうような問題があるわけです。で、人口急増地域については特段のやっぱり配慮といいますか、をしなきゃいけない。ところが、先ほどの文部大臣のお話、力を入れなければならないことははっきりしているが、国の財政が許されるならば、三分の二であっても四分の三でもけっこうなんだと、こういうふうな発言は、私、不穏当じゃないかと思う。こういう都市対策としても、教育問題の対策にしても、もっとそういう地方の実情というものをつかんで、がっちりした姿勢で取り組むべきだと思う。横浜市の例を申し上げたんでありますけれども、こういうところを一体どうするんですか、実際にお金がなくて困っているのが地方団体です。
#202
○国務大臣(高見三郎君) お答えします。
 原田先生から横浜市の事情をお引きになりました。実は昭和四十三年度の予算で人口急増地帯について特別な配慮をしなければならないということを考えつきましたのは、私、自由民主党の文教委員として考えつきましたのは、横浜市の飛鳥田市長に頼まれて現地を拝見をいたしまして、これじゃ市長はやっていけないだろうということを、私、痛いほど感じさせられたのであります。それが動機になりまして年次計画というものが進んでまいりました。しかも私どものいまの考え方では、いままでは一年半先を見越して用地の獲得なんかを考えておりましたけれども、一年半ということでは、とてもどうにもならぬということで、三年前向きの計画を進めていくということにいたしたわけであります。文部大臣としてこの仕事を軽んじておるわけでは毛頭ございません。ただ地方財政が――御承知のように地方財政と国の財政とのバランスの問題は、これは文部大臣がとやかく言うべきことではない。私は、地方財政がいかに今日窮迫しておるかということはよく存じております。学校をつくりたくても、地方財政上どうにもつくれないという地域のあることも存じております。それで、できることなら国がめんどうを見てやることを考えなきゃならぬという意味で申し上げたのでありまして、この点、誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。
#203
○原田立君 あといろいろやりたいと思いましたが、時間がございませんから割愛しまして、分科会等でやりたいと思います。
 第二次空港整備五カ年計画案が発表になり、五千六百億円余の予算が総予算であるそうでありますが、これによって空の安全は十分保証をされるのかどうか、その点いかがですか。
#204
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 五千六百億の空港整備計画で空の安全が保証されるかどうかという問題でございます。
 御承知のとおり、私就任直前から、大きな航空事故を二度起こしまして、空の安全対策、これをもう最重点に取り上げなくちゃいかぬということを言っている次第でございますが、もとより施設面におきまして、空港の整備あるいは航空路の整備、それに対する保安施設ということの充実をはかるのはもとよりでございますが、それに伴いまして管制官の充実、それから操縦士の技術の向上、確保、そしてまた各航空会社におきます機械設備、これの整備、これらが相まちましてはじめて航空の安全は保てる、こう思っておる次第でございまして、それらの点につきまして、鋭意ただいま実施また指導中でございます。
#205
○原田立君 羽田の過密状態、あるいは大阪国際空港が過密状態ということは、私も承知しているわけでありますが、それぞれの地域で非常に住民の反対の気持ちが強うございます。それは御承知だろうと思いますが、東京都の羽田の場合には、美濃部都知事も、もし埋め立ての申請があっても都は認めない、こういう態度を表明しております。計画実施上、都知事の同意が最終的に得られないときはどうするのか。まあ、得てからやるのだ、こういうふうな答えだろうとは思うのですけれども、そこら辺が実際しっかりできるのかどうか。あるいは太田区の住民等も、反対の理由として、航空機の排気ガスによる大気汚染、騒音問題の未解消、航空機事故による危険の不安等をあげて、非常に反対をいたしておるわけでありますが、こういう住民の反対について、納得の得られるようなことをしてということなんだろうと思うけれども、第二の成田事件が起きないためにも、一体政府はどういう姿勢で臨むのか、その点をお伺いしたい。
#206
○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいま御指摘をいただきました騒音の問題、また安全の問題、これらに関しましては、私どもも十分、これからの空港の整備というものは騒音公害がないというような、いろいろの都市計画あるいはまたそれらの諸施設を講じなければ、実際の問題といたしまして空港の建設はできないし、またやってもいかぬと、こういうように思っている次第でございます。
 御承知のとおり、関西の国際空港の建設をいま懸命に、位置また規模等を審議をいたさせておりますが、これらも、できれば海上につくりまして、できるだけ陸上民家の住民の皆様方の騒音によるところの被害をなくなそうというあらわれでございまして、最近の空港は、長崎の大村港の新設空港、これも海上につくりますというふうな点を見ましても、みなやはり海上の方面に持っていかなければいけないんじゃないかというふうに思っておる次第でございます。
 また、それゆえに、御承知のとおり羽田の空港はもう一ぱいでございまして、それで、もちろん成田の国際空港ができますると、国際線は全部向こうへまいりますので、過密状態は幾分緩和いたしますが、それにいたしましても、今日の航空事情からまいりまして、必ずすぐ一ぱいになってしまう。しかも今日では、御承知のAランウエーはすでにもう一ぱいでもって、誘導路に使っておる次第でございます。そのそばをエプロンに、舗装いたしまして使っているような状態でございます。これも南風のときにおきましては、十分に利用価値がある。こういうふうな事情でございますので、私どもは、何といたしましても美濃部知事の了解をいただきまして、海岸に飛行場を拡張いたしまして、そうして海岸のほうに持ってまいりますれば、騒音の点につきましても、ただいまよりも非常によくなってまいります。これは漁業補償の問題、いろいろの問題がございます。また住民の問題、ただいま御指摘になりました点もございますが、住民の点につきましても、湾岸道路ができてまいりますると、交通における出入の騒音の問題もこれは解決いたします。またただいまの、今日の私どもの検査の結果におきましては、空港におけるところの汚染の問題はほとんどないというふうに、いま定説になっておる次第でございます。やはり騒音の問題が、いま一番の大きな問題になっておりますので、騒音の問題につきましては、十分これからいろいろの措置を講じてまいりたい。現に御承知のとおり、千葉県におきましては、すでにこれは県にまずとりあえずやっていただいたわけでございますが、民家住宅につきましても、御承知のとおり個人住宅の防音施設につきましても、どんどんとこれを施設していこうという方針を固めまして、大蔵、私ども、県、自治省、一体になりまして、これらの方針を承認した次第でございます。また四十七年度予算を御審議願っておりますが、千六百万の予算で、とりあえず個人住宅に対する騒音、また通気・通風施設等の実験を、約十戸につきまして東京、関西でやりまして、そうして、この空港周辺における騒音の防護対策につきましても、少なくとも来国会におきましては、騒音防止のために法も改正をいたしまして、これらの諸施策を実行いたしまして、そして騒音問題の解決に当たりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
#207
○原田立君 大臣、先ほど都知事の承認というかをもらって、それでやるんだと、こういう話だけれども、それについていままでに具体的に交渉したのか、また今後どういうふうに具体的に交渉していくのか、その点はいかがですか。
#208
○国務大臣(丹羽喬四郎君) 私のほうの案が具体的にまだ固まっておりません。あそこの地帯におきまするいろいろの海底の状況、泥土が、これが何と申しますか、ヘドロ地帯であるとかいろんな問題がございまして、その工事方式も私はしろうとでよくわかりませんが、ドレイン方式というような、水を圧密するような方式を用いるとか、あるいはまた水面に柱を立てて、その上に飛行場をつくるというような方式、いろいろな方式が考えられているようでございます。それらをしさいに検討いたしまして、コンクリートのものにするとともに、漸次それらの点につきましてお話し合いをして、それで了解を得てまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
#209
○原田立君 運輸大臣、そうじゃなくて、いままで会ったかどうかが一つ。具体的にこれからどうするのかということが二つ。その点はっきりしてください。
#210
○国務大臣(丹羽喬四郎君) まだ会っておりません。具体的にはそれらの点を――私のほうの具体的の計画も、まだほんとうにコンクリートに固まっておりませんから、それを持ちまして漸次交渉してまいりたい、こういうふうに思っている次第であります。
#211
○原田立君 そういうような姿勢で、国のほうで何でもかんでもがっちり固めちゃって、それで地方のほうをぎゅっと押え込むというふうな、その姿勢をまず直すべきじゃないですか、大臣。そうでないと、いまのように非常に対立的になっているときですから、話の融和なんというのはできないと思うんです。その姿勢を直すべきだと思いますが、いかがですか。
#212
○国務大臣(丹羽喬四郎君) いや、これは私のほうで、国のほうで固めちゃうというのは、大体の計画は固めませんと、具体的にお話し合いをするにいたしましても、あまり雲をつかむようなあれでは困るわけでございまして、実は、この問題につきまして沿革から申しますと、御承知だと思いますが、成田に持ってまいりますときは、やはり羽田のほうの空港はそういったような湿泥地帯でもってなかなかむずかしいというような点もありまして持ってきた次第でございますが、最近の工法が非常に進んでまいったので、そのほうも可能であるというようなことで、ただいま私のほうで具体的に、そういったようなドレイン方式とか、あるいは浮き基礎工法とかいうようなことでできるかどうかということも、検討している最中でございます。
#213
○原田立君 委員長、答えがちっとも合わないんですよ、ピントが。計画のことまで言っているんじゃないのです。もう少し……。
#214
○委員長(徳永正利君) 運輸大臣に申し上げますが、簡単でけっこうでございますから、的確にお答えをお願いいたします。
#215
○国務大臣(丹羽喬四郎君) ただいま御指摘がございましたが、早急に私どものほうと東京都と話し合いをさせまして、それで具体的に煮詰めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
#216
○原田立君 陸上交通問題で、四十六年度の交通事故死者が一方六千人、九十五万人の負傷者、これはたいへんな問題であります。聞きますところによると、警察庁では、事故の減少したところは大いに表彰してそれをほめた、表彰してかえした、こういうふうなことでありますが、ただそれを表彰したままで終わったのでは何にもならないと思うのであります。また現に、事故がよけいにふえているというところもございますし、そういうような面で、減少したところは減少したように、どういうところで減少したのか、その点十分検討して、それを多発地域に適用して、そうして事故を防ぐようにしていかなきゃならぬと思うのでありますが、昭和四十六年度の中において、交通事故件数が減ったところ、その理由、それからふえたところ、その理由、その点いかがですか。
#217
○国務大臣(中村寅太君) お答えいたしますが、昭和四十六年中に全国で発生しました交通事故のうち、人身事故の発生件数が約七十万件、死者が一万六千二百七十八人、負傷者が約九十五万人で、前年と比較いたしますと、発生件数それから死者、負傷者ともに約三%の減となっておるようでございます。
 これは交通事故といたしましては初めての傾向でございまして、その事故の減少した地域、あるいはその中の死亡事故等についてこれを見てみますと、東京、大阪などの大都会で大体大幅な減少を見ておるようであります。それから、地方部におきましては増加したところが多いようでございます。それから、レジャーブームを反映しまして、行楽期の五月とか八月とか十月あるいは十一月に多発し、また土曜とか日曜の死亡事故等が多かったようでございます。それから歩行者、自転車事故が減少しまして、初めて車両のみの事故が歩行者あるいは自転車事故を上回っておるという結果が出ておるようでございます。それから、自動二輪車乗車中の死者が激増しておるようでございます。それから、子供とか老人の死者は全体としては減少しておりますが、幼児の死者は横ばいの傾向を示しております。マイカーを含む自家用乗用車による事故が大幅な増加を示しておるようでございます。それから、酒酔い運転事故は大幅な減少を示しておりますが、スピード違反による事故が増加を続けておるようでございます。これが四十五年と四十六年の事故の比較でございます。
#218
○原田立君 これで終わりにしたいと思いますが、減少の大きな理由は、やはり交通安全施設の充実であったのであろう、こう思うのです。総務長官もお見えになっておりますから、あわせてお答え願いたいと思うのでありますが、新しい道路については歩道をつけることは義務づけられておりますが、既設の道路については、まだ歩道のついていないところがたくさんございます。これは、かつて当委員会でも指摘したときに、ちゃんとつけていくのだというふうに言っておりましたけれども、その進捗状況は一体どういうふうになっているのか。陸上交通の元締めである総務長官のほうで、一体どういうふうに掌握しているのか。あるいは今回の春の交通安全運動の中の事故は、一体どんなふうな状態であったのか。新聞で報道されているところによれば、たいへん事故が減少したということでありますが、その中で警察庁は、スクール・ゾーン及び三・五メートル未満の道路への車の乗り入れ禁止を今後も続けたいと、こういうふうな意向を持っている、こういう話でございますが、そこら辺まであわせて、今後の交通安全対策ということについて、総務長官、建設大臣あるいは国家公安委員長にお答え願いたいと思います。
#219
○国務大臣(中村寅太君) お答えいたしますが、交通事故を減らすためには歩道を設置するということが、これはきわめて効果の高い適切な処置だと考えられます。御指摘のとおりでございまして、警察といたしましても、現行の五カ年計画の中におきましてもこの点を十分取り入れてまいりたい、かように考えております。また道路を新設する場合におきましては、これは、一定以上の車両及び歩行者の通行が予想される場合におきましては、原則として歩道を敷設することが望ましいと考えておりますので、これは関係省庁とよく打ち合わせながら推進してまいりたいと、かように考えております。
 それから、春の交通安全運動期間中の交通事故の発生事情等を申し上げたいと思いますが、大体昨年の同期に比較しまして、発生件数では九・五%減の状態になっております。死者は一三・六%減、負傷者は八・五%減と、それぞれ減少しております。特に、子供の死者は二三・七%減少しております。こういうふうに成果があがったというのが実情でございます。
 なお、御指摘の今回の安全運動期間中にとりましたスクール・ゾーンにつきましては、大体全国で約一万一千個所設置されましたが、そのゾーン内での事故は、昨年に対比しまして従来の三分の一から四分の一程度に減少しておるという、きわめて効果があったという結果になっておりますので、警察としては、関係省庁とこれは話し合っていかなければなりませんが、スクール・ゾーンを定着化させるような方向でひとつ検討してまいりたい。
 それから、その他の安全施設等につきましても、十分完備させるような方向で、関係省庁と連絡をとりながら対処してまいりたい、かように考えております。
#220
○原田立君 三・五メートル未満のところは。
#221
○国務大臣(中村寅太君) 三・五メートル未満の道路の乗り入れ禁止の効果があったと言われておりますが、その状況及び今後の方針につきましては、面として取り上げまして、そうして安全施設等を整備して、今後交通事故等をできるだけ少なくしていくような方向でやってまいりたいと、かように考えております。
#222
○国務大臣(山中貞則君) ただいま国家公安委員長から、交通安全運動週間中の数字等については御説明がありましたので省略をいたしますが、この減少した地域の大体の原因として、交通安全施設が整備されたところが減少しておるという御指摘は、そのとおりであると私も思います。でありますから、いま交通安全施設整備五カ年計画を設定いたしておりますけれども、全国の主要幹線道路の被害地域については、現時点で三〇%程度歩道等が整備されておりますが、これを五カ年計画では九七%ぐらいまで整備したいということで進めておるわけであります。歩道を整備いたしますと、歩行者事故というものはほとんどゼロになるわけでありますので、この面についてはさらに積極的に努力を展開してまいりたいと思います。
 なお、スクール・ゾーンあるいはまた三メートル未満の道路の自動車の諸規制、あるいは、すでに一昨年発足いたしました交対本部として決定いたしました、日曜祭日における人口二十万以上、あるいは県庁所在地等の都市において、小学校単位ごとに日曜祭日の遊戯道路を設けて、そこを思う存分子供が遊べる場所にしたい、こういうもの等を今後定着させたいと思いますが、いずれにしても、これはやはり地域住民の協力、学校あるいはまた教育委員会、PTA等が理解をしてくれないと、警察側が一方的にやりますと、やはり、ある道路を締め切るという権力行為にもなる可能性がありますので、本日の閣議においても、文部大臣の教育委員会のルート、学校ルート、PTAルートにおける御協力をお願いをしておる次第であります。これをぜひ定着化して、交通事故の減少が、すべての数字において昨年初めて減少傾向になりましたので、ことしはさらに昨年よりも減少させ、一昨年対比も減少していくことを目標として努力をいたしますが、何ものにもかえがたい人命、ことに幼い子供たちの事故が多うございます。これに対しては徹底的に、国民総力をあげてこの絶滅を期するために努力をして、施策を講じてまいるつもりです。
#223
○委員長(徳永正利君) 以上で原田君の質疑は終わりました。(拍手)
    ―――――――――――――
#224
○委員長(徳永正利君) 次に、萩原幽香子君の質疑を行ないます。萩原君。
#225
○萩原幽香子君 まず冒頭に外務大臣に二点お伺いをいたします。
 最近の外務省は、沖繩関係の秘密文書漏洩問題、また米国側よりの秘密電報問題など、国会審議上ゆゆしい事件を連発し、そのために、国会審議もこれらの事件に追われて、他の大切な国民生活上の諸問題についての審議がはなはだ不十分のまま推移しております。このことにつきましての国民の批判はまことにきびしく、国会議員の一人として、私もまことに申しわけなく考えているところでございます。しかし、この責任の一端は、まさに外務省にあると考えますが、いかがでございましょう。
 しかも、今回の秘密文書の漏洩事件におきまして、一番みじめな立場に追い込まれたのが、かよわい女性であったことは何とも重い気持ちでございます。外務大臣、あなたは大蔵大臣当時、妻の座について心あたたかい御理解を示され、私は感謝をしてまいりましたが、このたびの件では、情に弱い女性の立場はやはり御理解いただけなかったようで、まことに残念でございます。私は蓮見さんの罪は罪として、その複雑な心境を思いますときに、惻隠の情を禁ずることができません。知に傾けばかどが立ち、情にさおさせば流される、この人生の機微について、もう少しあたかい御配慮がいただけなかったかと存じます。
 以上の二点、大臣のお考えを承りたいと存じます。
#226
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の外務省の機密電報の漏洩問題、この問題が外務省の綱紀の問題から発しておる。この点につきましては、私は深くこれを遺憾としております。とにかく外務省におきましては電報はその命だと、こう言われる。その電報が職員の手から漏れた。これは私としては外務省の統括者といたしまして、最高責任者といたしまして、はなはだ遺憾としてその責任を深く感じておる、こういうふうに存じます。これから、こういうことが再びあっては相ならぬ、こういうふうに存じまして、省内を引き締め、まあ言論の自由はこれを尊重する、これはもとよりでございますけれども、漏らしてはならない機密、その保持につきましては、これは厳にその道を選ばなければならない、かように存じ、綱紀の振粛に一そう配意してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
 なお、本件の中心人物が大臣官房勤務の蓮見事務官であった。私は常々申し上げておることでございますが、罪を憎むも人を憎まずと、こういうことでございます。蓮見事務官が犯したこの罪といいますのは、機密漏洩の行動、これは本人もそう言っておるようでございまするけれども、これにつきましては厳粛にいまや法のさばきを待たなければならない、こういう立場にあると思う。しかし、この蓮見事務官の家庭の環境だとか、あるいは蓮見事務官がかよわき女性である、こういうようなこと、こういうことを考えますると、私の立場は非常に微妙です。つまり、秘密を漏洩してはならない、させてはならない、こういう外務大臣の立場でございます。微妙ではございまするけれども、この人についての問題、かよわき女性についての私の立場、これは私は蓮見事務官に対しましてほんとうに同情というか、それにたえないような気持ちであると、こういうふうに存じておる次第でございます。いずれにいたしましても、綱紀の粛正、まことに御指摘のとおりでございますので、これからも十分気をつけてまいりたい、最善を尽くしてまいりたいと、かように存ずる次第でございます。
#227
○萩原幽香子君 外務大臣がそのようなあたたかい御配慮があったといたしますならば、私は蓮見さんに対して直ちに懲戒免職という、まことにきびしい処分で臨まれなくても、刑事事件が解消するまで刑事休職という措置もあったのではなかっただろうかと考えるわけでございます。その点はいかがでございましょう。
#228
○国務大臣(福田赳夫君) 私もその辺もとくと考えてみたんです。私の考える立場、それはやはり綱紀は厳にこれを正さなければならぬという問題、同時に御本人がかよわき女性であると、こういう問題、いろいろ考えてみましたけれども、本人はみずから進んで法のさばきを受けるというようなことで、警視庁に出頭する、そういうような態度をとられたわけです。その態度には私は敬意を表するわけでございますけれども、しかし一方におきまして機密の漏洩と、こういうようなことがあってはならない、こういうようなことを考えるとまあ涙をふるって処置すべきところはしなけりゃならぬ、こう考えまして直ちに懲戒免職という、国家公務員法でいいますると最高、最もきびしい措置をとる、こういうふうにしたわけでありまするが、まあ泣いて馬謖を切るというか、そういう気持ちでございます。
#229
○萩原幽香子君 私は過去三年にわたり、引き続き制度上から妻の座確立に対して政府の姿勢を追及してまいりました。昨年は福田前蔵相から、妻の座優遇について税調にはかることのお約束をいただき、植木前法相からは、法制審議会にその検討を依頼する旨のお答えを承ったのでございます。そしてあわせて各マスコミから、妻の座に厚い壁ということでバックアップをいただきまして、一年間全く成果がなかったわけではございませんが、なかなかに全国の妻たちとともに喜べるような進展を見せておりません。そこで今回は、国民生活の実態を閣僚の前に明らかにしつつ、国の施策がいかに妻の座に薄い施策かということを御認識いただき、早急にその改善を求めてまいりたいと存じます。
 福田前蔵相は、かねてわが国の租税負担率の水準は欧米各国に比べて低いと指摘をされ、先進国並みに引き上げるべきだと主張されてまいりましたが、その点水田大蔵大臣はどのようにお考えでございましょうか。
#230
○国務大臣(水田三喜男君) 欧米先進国に比べて日本の税負担率は、これはどの角度から見ても低いということは間違いございません。税という形で負担しているものと、国民所得の比較を見ましても、社会保険料という形で負担する税外の負担の率を見ましても、日本のほうが低い。また、そのほかの税外負担ということには、いろいろ各国とも別々でございますので一律に比較するわけにはいきませんが、いわゆる税外負担というようなものを比べても先進国のほうが負担率は多い。三つの角度から見ましても負担率が非常にわが国より多いということになっていますので、そういうことを集計いたしますというと、たとえば本年度の見通し、一九七二年度の日本の見通しをいいますというと、租税負担率が一九%、社会保険負担率が五・三%、二四・三%ということが国民所得に対する負担率ということになりますが、それならそれに対応する各国の負担率はどうかといいますと、アメリカが三五・六%、イギリスが四五%、フランスが四五・八%、西ドイツが四三・一%ということで、いずれも日本よりは相当の高い負担率となっておるのが現状でございます。
#231
○萩原幽香子君 大蔵大臣、そうおっしゃいますけれどもね、国民は税金は決して低いとは思っておりません。その理由はなぜでございましょうか。どういうふうに分析なさいますか。
#232
○国務大臣(水田三喜男君) 税は税率ではほんとうは負担の重い軽いということを比較することはできないと思います。と申しますのは、国民所得水準が問題である。たとえば一万円の所得者がかりに一〇%の税を納めておったとしても残るところは九千円でございますから、これで生活をするということは実際には不可能である。もし十万円の所得者ということでしたら、五〇%の税を負担しておっても五万円残るということで、この余裕というものははるかに多いということになりますので、問題は、税率ではなくて所得水準ということになると思うのですが、いままで、御承知のとおり、高度成長以前の日本国民の所得水準というものは非常に低かったのでございますから、税率だけで比較をすると諸外国より低いようであっても、感じは非常に強かった、負担感が重いような感じがしたというようなことも一つはあろうと思います。それともう一つは、ようやくいま国民所得水準が西欧並みになってきましたので、この点はだんだんに解決されていく問題であると思いますが、そういう負担感がまだいままでの過去のいきさつから現在残っておるということが言えると思います。それからあとは税制も関係すると思います。直接税と間接税のあり方で、日本のように間接税の約倍の比率を直接税が持っておるというようなことになりますというと、目に見える税金でございますから、目に見えない税金のほうが少なくて目に見える税金のほうが多いということはこれは何としても負担感を感ずるということになります。そういう点も税が重いと感ずることではないかと思います。しかし、大体税というものは軽いほうがいいのでございますから、相当軽くしても、重いか軽いかと聞いたら、たいてい重いと言うことだろうと思いますので、したがって政府が調査したいろいろアンケートの調査、あるいは各言論機関の調査で、調査のしかたにもよると思いますが、まず重いと思うか、軽いと思うかとこういう設問のしかたをすると、過半数重いという回答が出ておりますが、これはやはり税に関する限りは重いと感ずるのが私は一般の、これは当然の現象じゃないかというふうに考えます。
#233
○萩原幽香子君 大蔵大臣なかなかうまいことをおっしゃいますけれども、税負担の不公平ということと、先ほど外国での税外負担の問題もおっしゃって、どれからいってもわが国は低いのだとおっしゃいましたけれども、私はやっぱり税外負担の問題というのはかなり問題があるんじゃないかと思います。そこで大蔵大臣に伺いますけれども、税外負担というものをどのように把握されておりますか。どういう内容のものをお考えになっておりますか、その点を承りたいと存じます。
#234
○国務大臣(水田三喜男君) 税外負担ということについては別に統一的な調査はございませんし、諸外国これはまちまちでございますので、ただ、国民所得計算上の税外負担をさすということでございましたら、一応日本においては専売益金とかあるいは競馬の納付金とか、そういういろいろなものを一応計上して税外負担ということはやっておりますが、いわゆるこれが税外負担であるかどうかということははっきりしておりませんので、別に統一したものはございません。
#235
○萩原幽香子君 先ほど大蔵大臣は、税外負担は外国と比べてみてもということをおっしゃったわけでございますね。そこで私は、どういうふうにそれを把握していらっしゃるか、承りたいと思ったのです。それでは大蔵大臣から今度は厚生大臣がいらっしゃいますので、それでは厚生省に関する税外負担というものが一体どんなものが含まれておりますのか、承りたいと存じます。
#236
○国務大臣(斎藤昇君) 私のほうの所管行政から見ました税外負担は、大体保険料それから社会福祉施設に対する利用者の負担というものであろうと思います。先ほど大蔵大臣の税外負担とおっしゃったのは、これは日本の社会保険料の総額をおっしゃったものと、私伺っておってその数字が合うようでございますから、さように考えます。
#237
○萩原幽香子君 保険料だけを税外負担なんておっしゃることはとんでもない話だと思うのですよ。ですからいま社会福祉の問題とおっしゃいましたし、医療費の問題いろいろな問題を含んで厚生省としてはお考えになっていらっしゃる、その額は一体厚生大臣どれくらいとお踏みでございましょうか。
#238
○国務大臣(斎藤昇君) 社会福祉のこの社会保険料を除いた税外負担は、御承知のように、たとえば保育所における利用者の負担、その他社会福祉施設の利用者の負担でありますが、この総額はただいま私持っておりませんが、これらにつきましては、低所得者の方には負担免除ということになっておりまして、したがって所得の水準のあまりに低い方には負担にはなっていないと、かように把握をいたしております。
#239
○委員長(徳永正利君) ちょっとお待ちください。大蔵大臣から補足答弁があるそうです。
#240
○国務大臣(水田三喜男君) さっき申しました税外負担、これは別に特に何が税外負担であるというあれはございませんが、PTAのたとえば負担だとかなんとかいろいろあると思いますが、そうでなくて、国民所得統計上でいっておる税外負担というものは、たとえば罰金、没収金とか日銀の納付金、専売納付金、中央競馬会の納付金というようなものを国民所得統計上、税外負担といっておりますし、このほかにいろいろ各種社会保険の掛け金というようなものは社会保険負担というふうに別に分けて統計ではとられております。それと税の負担とこの三つを合わせたことで諸外国と比較してはるかに少ないということであります。
#241
○委員長(徳永正利君) ちょっと萩原君に申し上げますが、山田参考人がお見えになりました。
 山田参考人に申し上げます。
 お忙しい中を本委員会に御出席いただきまして厚くお礼申し上げます。御意見は委員の質疑に対しお答えを願うということで御了承いただきたいと思います。ありがとうございました。
#242
○萩原幽香子君 どうもありがとうございました。
 そういう大蔵大臣の認識では私は困ると思うのです。これは好むと好まざるにかかわらず、どうしても納めなければならないといったようなものがございます。小さく小さくそういうふうにお考になることは非常に問題だと思います。
 そこで私は同じ問題で文部大臣にお尋ねしたいと思うんですが、文部大臣のお考えの中で、これは明らかに税外負担だとお考え心なるものをちょっと御指摘いただきたいと思います。
#243
○国務大臣(高見三郎君) 文部省の関係での税外負担は、御承知のようにPTAの寄付等によるものがございますが、そのほかに当然国でまかなうべき経費をPTAが寄付の形において負担をしておる面が、たとえば設備費だとか建設費だとかいうような、あるいは理科設備だとかいうような面に使われておりますものが、大体私どもの昨年調査いたしましたところでは百五十六億円にのぼっております。これが税外負担であります。そこで、この問題は当然国として公の費用をもって支払うべきものであるというたてまえから、文部省といたしましては、従来から教材費の経費負担の軽減というようなことに特に力を注いでまいりまして、今年度におきましては、国、地方の財源を加えまして、ちょうど五年前百八十六億円でありましたものが、四十五年で百五十六億円と負担が減ってまいりました。割合で申しますというと、実は負担は〇・九%、四十一年度の二・二%が〇・九%まで減ってきておるわけでございますけれども、実はプール一つをつくるにいたしましても、国が百二十万補助金を出し、市町村が四百万の起債をし、PTAがおそらく百万前後の金を出しているというのが現実の事実であろう。これを何とか解消しなければならないというのが私どもの念願しておるところであります。
#244
○萩原幽香子君 まだまだたくさん文部大臣ございますよ。しかし、私は時間がございませんから指摘はいたしませんけれども、もっともっと御調査をいただきますとずいぶんたくさんあるんじゃないかと思います。こうしたことは他の分野でもあるはずでございます。私はいま厚生、大蔵両省についてのみお尋ねいたしましたけれども、他の分野でもそういったものはたくさんあると思うのです。国の施策が乏しいために住民の負担になっている、こういうことが考えられるわけでございます。そこで大蔵大臣、伺いますけれども、これは伺ってみてもだめかもしれませんが、一世帯当たりの税外負担は平均年間どれくらいだとお考えでございますか。
#245
○国務大臣(水田三喜男君) その問題に対する調査はまだないそうです。
#246
○萩原幽香子君 そういうことではほんとうに税の負担率が低いとか高いとかということの論議はできないのじゃないかしらと私は思います。で、税金に対して、日本人と欧米人は意識が非常に違うといわれています。つま欧米人は、公共の利益代行をするシビル・サーバンドとしての政府に支払うものだという考え方、そうして日本人は御用金として取られるものだという意識、なぜこうなったかについては、もちろん歴史的な背景もあると思いますけれども、このような御用金意識から公共の利益代行者に支払うものという考え方に切りかえさせることが民主政治の基本であろうかと私は思うのです。これまでそうした国民の意識を変えるような政治をしてこなかったことに対して、国民の批判と不満が一斉に吹き出してきたと思います。いまこそ国民の納得しがたい不公平な税の取り方を改めて、また納めた税金がまことに公平に公共の利益に使われているということを明確に示していただかなければならないと存じます。
 そこで本論に入るわけでございますが、租税の負担率の引き上げについて、高福祉高負担ということばが常に使われております。しかし、高負担の内容になりますと、まことにばく然としていると言わなければなりません。一体、高福祉の中身とはどのような政策なのか、明確にお示しをいただきたいと思います。これは厚生、大蔵、労働、各省にお尋ねをいたします。
#247
○国務大臣(水田三喜男君) 結局、高福祉は何かという問題ですが、国民のすべてが満足のいくよい暮らしができるよう、国民の欲するところを充足していくというところにあると思うのでございますが、そうしますというと、この福祉というものも時代とともにこれはある程度変わっていくものでございますが、当面まず私どもの福祉といったら何かといいますと、いまいわれているように、社会資本の整備、社会保障の充実、一番おくれているこの問題の解決が当面私どもの福祉生活の保障ということになりますので、施策の目標もそういうところに向けられなければならないというように考えております。
#248
○委員長(徳永正利君) 労働大臣は午後四時に入る、もう入ってくると思いますけれども、そういう御了解を得て進めておりますから、御了承いただきたいと思います。
#249
○萩原幽香子君 けさのNHKでも、日本の社会保障は先進国に比べて著しくおくれているということを指摘しておりましたが、一体、どこを目標にその福祉ということを進めていかれるおつもりなのか、承りたいと存じます。
#250
○国務大臣(水田三喜男君) 社会資本の蓄積がおくれておるということは、これはもう言うまでもございません。社会保障につきましては、ようやく制度それ自身の整備というものは先進国並みに一応ここで整ってきたんではないかと思いますが、問題は内容であろうと思います。たとえば年金制度にしましても、まだ発足したばかりで成熟しておりませんので、掛け金はみんなかけても年金を受領する国民というものは数が非常に少ない。これから初めて年金制度というものは成熟していくんだということで、現在のところこれが福祉予策というものにはそう多くはあらわれていないというようなことは、先進諸国予算と比べてこの違いであって、日本の福祉予算が非常に予算の中に占める比率が非常に少ないとか多いとか言われていますが、問題は、年金制度が成熟していないということが一番比重を下げている原因だと思いますが、こういうものが充実してくれば、私は日本の社会制度もりっぱに先進国並みになっていくだろうというふうに考えます。
#251
○萩原幽香子君 ただいまの御答弁のような具体性のない不明確な内容で高負担だけをおっしゃられても、国民は納得いたしがたいと思います。そこで厚生省のほうにお尋ねをしますけれども、どのあたりまで高福祉の目標をお置きになっていらっしゃいますか。
#252
○政府委員(登坂重次郎君) まず厚生省といたしましては、老後の対策、それから社会施設の拡充強化並びに環境整備と、この三大目標に置いて今後進めてまいりたいと思います。老後の保障に関しましては、いわゆる老人の医療対策、あるいは年金の拡充、施設の拡充強化それから社会施設におきましては、養護施設、あるいは重度心身障害児の対策、そういうもの、また施設で働く各施設職員の待遇の改善強化、それに今後だんだん経済が成長してまいりますわれわれの生活環境をやはり整備し、日常生活を快適にすると、そういう方向で進めたいと思います。
#253
○萩原幽香子君 重ねて大蔵大臣にお伺いします。いまの厚生省のような御発言がございましたんですが、それでは防衛予算などでは国民総生産の何%と、こういったような目安がございますね。そこでそういうことをやろうとすれば、福祉のための施策にはたとえば歳入の何%を確保するといったような目安がなければならないはずだと思います。その点いかがでございますか。
#254
○国務大臣(水田三喜男君) その点は、これから福祉政策については、まず生活環境に関係のある公共投資という部面については、一応何カ年計画、五カ年計画をみなつくって、下水の問題から始めまして、すべてこの五カ年計画によって処理するという計画的な行政がこれからできると思いますが、そうでない、今度はこの社会保障の問題につきましてはまだこのそういう財政計画というものは現在できておりません。したがって、今後経済のこれからの見通し、いま作業をやっておりますが、今後の経済計画が一応見通されるようになりましたことにあわせて今後の社会保障政策につきましてもやはり計画的なこの強化をはかるという必要が出ると思いますので、これをあまり短期間に充実するわけにはいきませんが、私は十年ぐいの計画でいったら非常に内容を充実させることができるのじゃないかというふうに考えております。
#255
○萩原幽香子君 そうしたらやっぱり国民の前に、長期計画についてどういうふうにその予算を確保していくかということのお示しがなければいけないはずでございますね。そういったような用意すら示さないで高福祉政策と言えるでございましょうかね、大臣。その点いかがでございましょう。
#256
○国務大臣(水田三喜男君) たとえばことしの予算で見ましても、老人対策一つにしましても、初年度においては百十四億円ぐらいの予算の計上で済んでおりますものが来年はもう千百六十九億円になるというふうに、福祉予算というものは一ぺん踏み切りますというと、これは後年度非常に大きい速度で増大し、財政需要がふくれるものでございますから、よほど慎重にこの長期の計画を立てないというと実行不能になるという心配がございますので、そういう点において十分将来の経済成長の見通しとからんで実行可能な充実策を立てたいというふうに考えております。
#257
○萩原幽香子君 大蔵大臣、それではね、大体どれぐらいの長期計画でどの程度までくるのかというようなものをひとつ国民の前にはっきりお示しをいただきたいと思うのですね。それがなければ高福祉なんて言われても、なるほど高福祉かなんていうような気持ちにはなりにくいものでございますから、その点ひとつよろしくお願いをいたします。
 山田先生、どうもきょうはお忙しいところありがとうございたした。さっそくでございますが、お伺いをさせていただきます。
 先進諸外国などにおきましての社会保障の発達の経緯、それから現在はどういうふうになっておりますでございましょうか。また戦争とか人口などによりまして各国の事情の相違はあろうかと存じますけれども、わが国に取り入れることのできますような制度、そうしたものをひとつお伺いさせていただきたいと存じます。
#258
○参考人(山田雄三君) 諸外国の社会福祉の発端と申しますか、大体一九三〇年あたりからちょうど世界恐慌にぶつかりまして、失業問題を解決すると同時に国民の福祉というものを考えなきゃいけないと、それと成長の政策とを結びつけまして、大体一九三〇年代ごろから起こったと見て差しつかえないと思います。したがって、歴史から申しますと、まあ日本は大体三十年ぐらいおくれているとこうお考えになっていいと思います。日本では昭和三十五年ぐらいから、要するに社会保障と申しますか、国民ベースで、国民、ナショナルという基盤のもとで国民の福祉をはかるために年金とか医療とかというようなものを充実していこうということなんですが、そうなりますと、日本では大体昭和三十五年――一九六〇年以後、まあ十年ちょっとたちますけれども、やはりそれだけ歴史がおくれていると、こういうふうに思われますが。
#259
○萩原幽香子君 そうしたら、そういうおくれを取り返すために、外国の制度でいま日本に取り入れてよろしいようなものがございましたらひとつお聞かせをいただきとうございます。
#260
○参考人(山田雄三君) まあ大体制度としては日本でもみんな手をつけております。ただ、われわれ考えなければなりませんのは、たとえば年金なら年金というものが、発足が大体十年ぐらいですから、保険料を納めて加入をしているという人の数は一応国民をカバーしてかなり大きな人数になっております。しかし、何年間か保険料を納めてその上で給付があらわれるわけですから、その給付の受給権者ということになりますと、実はまだ非常に未成熟だ、あるいは厚生年金が六十万人ぐらいですか、それから国民年金というのはことし去年あたりから十年年金が発足するというようなありさまでございます。したがって、その制度を取り入れると申しましても、いま言いましたような年金のような問題は、成熟度を待たなければならないわけですね。そういう意味においては、まあ何といいますか、自然増というようなものがありまして、十年とか二十年先一体どうなるか、受給権者がどのようにふえるかということの目安は大体立ちます。ただ、年金の問題で申しますと、今後は、一人当たりの給付水準がいろんな意味においていかにも低い、それを引き上げるという政策の問題がございます。それから、あと、児童手当も一応発足いたしましたから、そうなりますと、制度そのものとしては大体取り入れてきていると思います。ただ、ドイツだとかフランスが、国民所得に対して社会保障の給付費が二〇%ぐらい、あるいは二〇%以上だといわれているのに対して、日本では大体六%でございますから、それを西欧並みに持っていくというのには、正直に申しまして時間がかかる。自然増とそれから政策増とをじょうずにかみ合わせて、先ほどのお話のように長期計画を確立すべきだというふうに考えております。
#261
○萩原幽香子君 大蔵大臣、ただいま山田先生のお話を承っておりましても、自然増と政策ということの見合いを考えてということでございましたですね。そして三十年ぐらいおくれているということでございますが、大臣、それを取り返すために急ピッチでやっていただかなければなりませんが、一体どれくらいのことをお考えになっていらっしゃるのかちょっと承りたいと思います。御決意でございますね。
#262
○国務大臣(水田三喜男君) 私はまだ長期計画と計数的に取り組んでおりませんから、はっきり申し上げられませんが、さっき申しましたように、十年計画ぐらいによっておくれを取り戻せるのではないか、それよりも短くやろうということは実際問題としてはむずかしいんじゃないかと思います。まあ昔パンか大砲かといわれておった時代がありましたが、現在ではもう大砲よりもパンのほうが倍になり、一兆六千億という社会保障費の予算を計上するところまできておりますので、この比率が今後どういう比率になることがいいかということにつきましては、いま言った年金の成熟というようなもの、いろんなものとからみ合わせて、これくらいということを先に行ってきめる必要はありましょうが、簡単になかなか何%がいいというようなことをきめることは財政的にもむずかしいと思います。
#263
○萩原幽香子君 そうしますと、やっぱり高福祉とおっしゃいましても、なかなか高福祉ということに見合った政策にはなっていない、こういうことなんでございましょうか。三十年のおくれを取り返すのにはなかなかそうたやすくはいかないということは私もわかりますけれども、しかし、いまの大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと、ほんとうにどこまでやっていただけるんだろうかと、まことに不安な気持ちで一ぱいでございます。どうぞひとつ大蔵大臣のそのお心の中で、これはこう、これはこう、これはこうと、もっとはっきりしたものを出して、ひとつ私の前にお示しをいただきたいと思うのでございますが、いますぐとは申しません。どうぞひとつ、しばらくの余裕をお与えいたしますので、そういうものをぜひ出していただきたいと存じます。
#264
○国務大臣(水田三喜男君) 余裕を与えていただくことはありがたいんですが、大体長期計画の中でやはり私どもが考えなければならぬことは、福祉政策にたえ得る財源ということでございますが、これを考えますというと、もう一歩の高福祉を目ざすというためには、やはりいまいわれている高負担というものに踏み切らざるを得ないと私は考えます。そのときに国民の所得がふえないというようではこれは問題になりませんが、やはり適当な安定経済成長政策がとられて、経済が伸びていくんでしたら、それによって国民の所得も多くなるでしょうし、所得水準の上がるのに応じて国民の負担というものが若干上がってもらわなければ、この高福祉社会というものはできないということを考えますというと、その負担のしかたが、どういう合理的なしかたをもって国民に納得してもらうかというようなことが、事実上は一方の問題として両立する問題であり、そこらの解決と一緒に長期計画もこれはでき上がるということになろうと思いますので、そういうむずかしい問題を含んでおるんだということもあらかじめ御承知を願いたいと思います。
#265
○萩原幽香子君 むずかしいことはよくわかります。けれども、いかにむずかしいと申しましても、高福祉をやるためには高負担が必要なんだと、こうおっしゃっただけでは納得できないんです。たとえばこういう、こういう、こういう高福祉の目安を立てているから、これに対してはこうこう皆さんひとつがんばってくださいよというのがほんとうじゃございませんか。そうでなかったら、これをやるためには高負担が必要なんだから、みなよけい税金を納めてくれなければできませんよとおっしゃったんでは、どうも私は納得いたしかねると、こういうふうに思います。ですから、その点大蔵大臣、もう少し私の納得するような――私にということよりも、私を含めた国民に納得のできるような御回答をいただきたいものだと思います。
#266
○国務大臣(水田三喜男君) その点で私は非常に感心しましたことは、かつてロンドンへ行ったときに、一人のおばあさんをつかまえて税金の話を聞いたときは、おばあさんは、税金は高い、しかしこの税金は私たちにみんな返ってきますということを言われましたので、私は非常に感心いたしましたが、結局、高福祉の内容がはっきりして、長期計画がきまって、こういう点で国民生活がほんとうによくなるんだという目標が示されれば、そのための費用はお互いやはり国民が負担してもいいんだということになっていくだろうと思いますので、そういう方向への考慮を入れた計画がこれから必要だと、そういうふうに考えます。
#267
○萩原幽香子君 大臣、なかなかそれはいい御答弁でございますね。イギリスのおばあさんが言ったことは私当然だと思うんですよ。こういうように私たちは安心して暮らせるから、それはもう税金をかけるのは当然だ、こういうことにならないと、ほんとうは私はだめだと思うんですよ。だから、御用金みたいにして取られるんだといったような考え方ではなくて、シビル・サーバントとしての政府に支払いをするんですという形に切りかえるような政策を私たちに示してください、私はこう言っているわけなんです。それをどうぞひとつよろしくお願いします。
 山田参考人にお尋ねをいたします。
 先生の「社会保障研究序説」を拝見させていただきました。そうしますと、その中に、社会保障は、経済と社会の変動を背景とし、さらに社会開発、社会計画、あるいは経済と社会の調整という視点から考えるべきものだという御主張のようでございましたが、この点もう少し御説明をいただきたいと存じます。そして、これはたいへん大きい問題でございますから、主として老人対策を中心にしてお伺いをさせていただきとう存じます。
#268
○参考人(山田雄三君) ただいまの御質問は、社会保障という狭い分野でなく、もう少し広く、いわゆる福祉国家とか、あるいは福祉社会というようなものの意味をお尋ねだと思いますけれども、先ほどからいろいろ御質問、御答弁を聞いておりますが、社会福祉の中の、社会保障というのはやはりごくその一部でございます。
  〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕
 まず、社会保障につきましても、いろいろ狭い意味あるいは広い意味があることは御承知のとおりだと思うんですが、さらにそれをめぐりまして、住宅の問題、教育の問題、あるいは最近では公害というような問題を含めて、国民の福祉の向上ということを考えるような時代にもうなっていると思います。その意味で、私自身は社会保障研究所を主宰しておりますけれども、しかし、もう少し広い視野から、やはり福祉社会というようなものを日本の場合にどういう形でどのように実現するかというようなことを一応考えているわけでございますが、いまお尋ねの老人問題――私は、いろんな分野で新しい、何といいますか、われわれのことばでよくニードと申しますが、新しいニードというものが最近浮かび上がってきていると思います。公害というようなものに対するいろんな被害を何とかしなきゃいけないというようなこともまた一つの新しい二ードだと思いますが、老人問題も、おそらく、いままでのような特殊な階層を目当てにして老人対策を考えるというよりは、やはり国民全体の中に老人というものの層がどのくらい占めて、それで、それが将来はどういうふうに老齢化が進んでいくかというようなことを考えながら、それに対処するために、あるいは年金、あるいは医療、その他きめのこまかい対策をやらなければならないという情勢にもうなっていると思います。したがって、まあ社会保障というものを中心にしてもいいんですけれども、最近では、問題の展開が多少とももっと広く理解しなければならない。同時に、老人問題なりその新しいニードのかなりの部分は、できるだけ国民の負担にならないように、公費負担で、国の負担でまかなわなければならないのではないかという要求が、これも世論としてかなり起こってまいります。で、そのことも考えなきゃなりませんが、そのことと同時に、先ほど、ヨーロッパで一九三〇年代から福祉国家というような考え方が出てきたということを申しましたが、西ヨーロッパの例で申しますと、やはり国民としては、個人が処置できるものはできるだけ処置して、そうして個人が処置できないものがたくさんふえてきたから、それをやはり社会保障なり、あるいは公費負担なり――社会保障と公費負担とはまた違いますけれども、そういうもので補わなけりゃならないというふうに、多少いままでよりは広い考え方が出てきたというふうに私は理解しております。
#269
○萩原幽香子君 大蔵大臣にお尋ねします。
 高度成長政策はとらないと言いながら、企業優先の租税特別措置を存置しておられるのは、どういう理由でございますか。
#270
○国務大臣(水田三喜男君) 租税特別措置法は、御承知のとおり、経済政策、そのほか社会政策の一端を税制を通じて行なおうとすることでございますので、したがって、いままで高度成長政策をとっておったときには、その政策的な目的からいろいろな特別措置がとられておったことは事実でございますが、いま、そういう政策から国民福祉向上という政策への転換ということが問題になりましてから、本年度におきましては、そういうための新しい特別措置が幾つかふえるかわりに、いままでとられておったものは、一応政策目的を達したといわれるようなものはこれを改廃する。代表的なものは輸出振興税制についての問題ですが、こういうようなものがどんどん改廃されていって置きかえられているというようなことでございまして、当然特別措置法そのものの必要性というものは、今後は、政策転換をすればするほど、その過程においてこの必要性は出てくるものだろうと思います。問題は内容で、一つことがもう特権化したり既得権化したりするようなことを避けるために、洗い直してこの中身を改めていくことが大事だと思っています。
#271
○萩原幽香子君 経済審が、国民福祉指標の基礎とするために、昨年八月、主婦を中心とした女性に対して行なった調査の中で、総合満足度の第一位は仕事のやりがいである。第二位は公平な税と答えているわけでございますね。そしてそのときに、税の不公平はしゃくの種と、こういうことを言っております。それは租税特別措置をさしているのではないだろうかと考えます。で、現在のやり方は、国民の目には、高福祉のための高負担ではなくて高負担実現のための高福祉ということばが使われて、全く本末転倒と映っているように私は思います。そこで大臣、この国民の心を納得させる御説明をお願いいたしたいと思います。
#272
○国務大臣(水田三喜男君) いまの租税特別措置による減税というものは、本年度で大体四千七百億円前後ということでございますが、この五六%前後は国民の貯蓄を中心にした優遇というようなことで、あと、企業についてのこの措置は四四%ぐらいの割合を占めていますが、そのうちの過半は中小企業に関するものでございまして、大企業に関する特別措置というものの比重は一六、七%というところにきておりますので、もう本年あたりから特別措置の内容は変わっておりますので、これはだんだんに、そして何に置きかえられておるかと申しますというと、公害対策であるとか、いまの老人対策をはじめとしていろいろな、そういうところにきておりますので、したがって、いまのような形で福祉政策への転換に伴ったいろいろな特別措置の置きかえが行なわれれば、自然に国民もこの点は了解してくれるものだろうと思います。
#273
○萩原幽香子君 できるだけ国民が納得をするようなものを国民の前に明確にお示しをいただきたいと存じます。租税特別措置については後にもう少し詳しくお尋ねいたしますが、厚生省のほうにお尋ねをいたします。
 昨年六月一日に実施されました国民生活の実態調査の中から、まず四点についてお尋ねをいたします。
 一は、一世帯の平均人員。二、平均年間所得金額。三、所得階層別の比率。四、生活意識。この点についてどういうふうに調査の結果が出ているか伺いたいと存じます。
#274
○説明員(加倉井駿一君) お答えいたします。
 昨年の六月実施いたしました世帯数は、全国で一万七千世帯でございまして、一世帯平均人員が三・六人でございます。その平均所得が百三十万八千円でございます。
#275
○萩原幽香子君 まだ二つ答えが抜けておりますね。所得階層別の比率、生活意識。
  〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕
#276
○説明員(加倉井駿一君) 所得階層別でございますが、二十万未満が二・八%、二十万から四十万が九・四%、四十万から六十万が一九・一%、六十万から八十万が三二・二%、八十万から百万が四四・九%、百万から百二十万が五六・八%、百二十万から百四十万が六六・九%、百四十万から百六十万が七四・六%、百六十万から百八十万が八〇・三%、百八十万から二百万が八四・六%の累積度数になっております。
 それから生活の暮らし向きに対する意識を調査いたしておりますが、これは四十年度に同じような調査をいたしておりまして、その比較におきまして、生活の難易につきまして調査いたしました結果、全体的におきましては、四十年と四十六年を比較いたしまして、それほどの変化はございませんけれども、所特階層別に調査をいたしますと若干の相違がございまして、高所得階層におきましては若干生活の暮らし向きが苦しくなったという率が高くなっております。
#277
○萩原幽香子君 この調査結果につきまして、去る三月の五日の各新聞は、筆をそろえて、「やっと食べていけるだけ」とか、「老後の不安」ということを大きな見出しで掲げておりましたが、ごらんになりましたでしょうか。それについてどういうふうにお考えになりましたでしょうか。厚生省、ちょっと御答弁いただきたいと存じます。
#278
○政府委員(登坂重次郎君) 厚生省といたしましては、老人対策を本年度取り上げまして、老齢福祉年金を十年分千円ほどことしは上げまして、それにおこたえするように、また、来年度はもっと早急に五千円年金まで引き上げたいと、老後の所得の確保並びに老人対策を早急に強化しなければならぬと思っている次第でございます。
#279
○萩原幽香子君 いまのその結果に対して大蔵大臣はどのようにお考えでございますか。
#280
○国務大臣(水田三喜男君) 無拠出年金でございましても、これはいまの物価事情そのほかから考えまして、これはできるだけ上げる必要があると考えまして、いままで毎年月額百円、二百円ずつずっとこの十年上げてきましたが、本年度は一千円上げるというところへ踏み切ったところでございますが、まだ来年度どうするかは、いまのところきめてございません。
#281
○萩原幽香子君 大蔵大臣、これは千円であった、十年前に。そしていま三千三百円にこの十月からなろうとしている。ところが、それは十一年目に二千三百円上がったということでございますね。千円で発足したのが三千三百円――二千三百円上げるのに十年かかった、これ物価上昇と見合ってどうお考えでございましょうか。
#282
○国務大臣(水田三喜男君) 無拠出でありますために、拠出年金というものは二つ重なっておりますが、一歩も成熟していないときでございますので、したがって、こちらのほうにもおのずから制約があったということであろうと思います。
#283
○萩原幽香子君 何か、どうも私大蔵大臣をもういじめっぱなしたような感じでございますが、お許しをいただきたいと思います。これ国民サイドに立っておることでございます。老後の不安の要因は幾つかございましょうから、順を追うて各大臣にお尋ねしてまいりますが、その最大のものは、国の福祉政策の貧困だと思います。年老いても夫婦でいる場合はまだ何とか精神的なささえ合いもあると思いますけれども、女性の平均寿命が男性より五年長いということで、夫に先立たれて一人残された老妻の生活というものは、まことにわびしいものがございます。その数がまたまことに多いと聞いております。
 そこで伺いますが、六十五歳以上の未亡人の数はどれほどございますか。
#284
○政府委員(登坂重次郎君) いろいろ統計のとり方にもよりましょうが、厚生省といたしましては、大体二百六十万前後と承知いたします。
#285
○萩原幽香子君 私は四十五年の国勢調査で二百七十万四千二百人という、こういう結果を見ているわけでございますね。四十五年ですからことしあたりもう少し変わっているのではないかと思います。
 では伺いますが、その老未亡人の生活の実態はどうなっておりますか、承りたいと存じます。
#286
○政府委員(加藤威二君) 六十五歳以上の未亡人の生活実態については、正確な把握はございませんけれども、一つの御参考までに申し上げますけれども、一人暮らし老人の住民税の課税状況、これが非課税が六八%でございます。これは大体月五万円程度以上になりますと住民税の課税がございますから、五万円以下の収入の方が六八%ということでございます。それから健康状態につきましては、三四・四%が大体病気がちと、こういう実態でございます。それから生活保護の適用等を見ますと、六十歳以上の女子が千人について三七・五人の保護率でございます。これは一般の保護率が一二・七%、千人について一二・七でございますから、約三倍であるということから、生活は相当苦しいだろうということが言えると思います。
#287
○萩原幽香子君 時間がございませんので詳しいことがお尋ねできなくてまことに残念でございますけれども、こういうことについて大蔵大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
#288
○国務大臣(水田三喜男君) そのために、まず私どもは今年度は税制におきましては妻の相続について非常な優遇をするということは、いま言われたような妻の身分の将来の保障になることでございますので、まずそういう点というようなものを税制でできる範囲のことを今年度はやりましたが、さらにそれから生前の贈与にしましても、一般の贈与でなくて、妻には特に四百万円までの贈与ができるというようなことを、税制でできる範囲のことは今年度考慮しておりますし、そのほかの社会保障行政としての対策は、これは年を追って強化していく以外には方法がございません。管轄官庁の予算要求に基づいていままで相談の上、毎年毎年これは改善されてきておりますので、今後も財政の関係で、できるだけの強化はしていきたいというふうに考えております。
#289
○萩原幽香子君 この老婦人の実態調査はぜひ一ぺんやっていただきたいと思うんです。どういう暮しをしているかということでございますね。私はそういう人たちとたびたびいろんな機会に会って、その人たちの実態を聞きながら、ほんとうにどこへ回っても老未亡人の座はないのではないか、まるで姥捨山に追いやられたような実態ではないか、こういう感じすらするわけでございます。こうした生活を訴えるすべさえも知らない老人たちが、常にひそかに願い続けております三条件がございます。その三条件とは、つまり、医療の無料の問題であり、生活のできる年金であり、そしてさらには、生きがいのある暮しだと言っているわけです。その現状についてひとつ伺ってまいりたいと存じますが、いかがでございましょうか、そういう現状でございますね、いま申しました三つのことを。
#290
○国務大臣(水田三喜男君) まず、医療の無料化ということは、これは必要でございますので、七十歳以上、ほんとうは六十五歳以上を目標にしたいのですが、なかなか一気にいきませんので、本年度は七十歳以上ということにしまして医療の無料化をすると、それと、いま申しました老齢福祉年金のアップということを今年度はやったわけでございます。
#291
○萩原幽香子君 以上についての御答弁でございますが、まあ時間がありませんから医療の分は分科会に譲ってお聞きしたいと思います。医療が来年一月から七十歳以上が無料になると聞いたおばあさんが、もう十カ月お医者さんにかかることをしんぼうしますよと、こう言ったんです。ところが、そう言ったおばあさんが十カ月待たずに死んだ、こういうことを聞いたときに、私は全く胸のふさがる思いでございました。健康診査を受けたがらない、なぜ受けたがらないのか、ほんとうに六十五歳で受けてみて病気がわかるということがこわいわけです。だから、せっかく診査するのなら、ここまでやっぱり大臣、下げていただかなければ、ほんとうは私は老人対策にはならないのではないかとこう思います。この点、この話を聞いて厚生省の方、いかがでございますか。どうお考えでございますか。
#292
○政府委員(登坂重次郎君) 仰せのとおり、年齢の低下、引き下げたいことは、厚生省当局としては望みたいところでありまするが、なかなか一挙にそこまで改善ができませんので、ただいま七十歳まで医療の無料化をはかり、かつまた、年金の増額を積極的にことしは予算化いたしたわけでございます。
 なお、老人の今後の福祉行政、いわゆる寝たきり老人とかあるいは一人暮らしの老人等に対しましては、特に予算措置を講じた次第でございます。
#293
○萩原幽香子君 何か冷たい御答弁でございますね。私は七十歳になったら見てもらうんです、もう十カ月しんぼうして見てもらうんですと言った人が死んだんでございますよ。だから、それに対してあなたはどうお考えですかと、私は聞いているわけです。
#294
○政府委員(登坂重次郎君) まことにお気の毒と存じますが、現在の厚生省として、また社会福祉のあり方について、将来は年齢の低下ということをよく考えたいと思っております。
#295
○萩原幽香子君 もうこれ以上詰めてもどうしようもない問題でございましょうね。やめます。
 そこで、次に生活できる年金についても大きな問題ですから、これも時間の都合で、分科会で詳しく質問いたしてまいります。十分御答弁いただけますように、御準備をいただきたいと思います。
 そこで、ひとつお尋ねしておきたいのは、国民皆年金のもとでと言われながら、高年齢の人が公的年金の恩恵に浴すことのできない人があると聞いております。その数は幾らでございますか。
#296
○政府委員(北川力夫君) 御承知のように、国民年金制度ができましたときに、五十歳以上につきましては当然加入ではございませんでした。ただ、五十歳から五十五歳までは高齢任意加入ということで、任意の加入の仕組みをとっております。五十五歳をこえまして六十歳までの方々につきましては、年金制度の資格から申しましてこれは加入の措置をとっておりません。その結果、ことしの四月でもってちょうど十一年を経過するわけでございますけれども、昨年の四月現在の推計で申しますと、ただいま私が申し上げました高齢任意加入で法施行当時に十年年金で加入された方、さらに前回の四十四年改正で五年年金で加入された方、こういった方を差し引きますと、百十五万人が任意加入の機会が与えられましたけれども加入されなかった方々でございます。それから法施行当時五十五歳をこえまして六十歳までの方方は、現在大体二百万弱というふうに推計をいたしております。
#297
○萩原幽香子君 その恩恵に浴さない方が大体三百十五万と、こういうことでございますね。その中で、老未亡人は何人くらいでございましょうか。
#298
○政府委員(北川力夫君) はなはだ申しわけございませんが、いま正確な数をつかんでおりませんので、できるだけ調査ができます範囲で、今後十分に調査いたしたいと思います。
#299
○萩原幽香子君 まことに妻の座に薄い施策と言いたいところでございますね。それでは、年金額の適正を期するために、現在積み立て方式を賦課方式に切りかえるべきだと考えますが、大蔵大臣いかがでございましょうか。私がこういう提案をいたします理由は、最近のように経済成長率が高くて物価上昇が著しい中での積み立て方式は適当でないということ、また、現在困っている老人を救う道は、やはり社会保障の精神にのっとった共同連帯的な方法しかないという考え方の上に立って私はこういうことを申し上げます。もちろん賦課方式にも幾つかの難点はあると思いますけれども、大蔵省の明晰な頭脳を集められますならば、これは可能ではないかと考えますが、その点いかがでございましょう。
#300
○国務大臣(水田三喜男君) 積み立て方式を賦課方式にかえることはどうかという問題は、最近各所で論ぜられますので、いま私どもこの問題を検討しておるところでございます。ただ、いまのところ御承知のように、まだこの人口の老齢化が進んでおりませんし、それから年金制度の成熟化というものが見られていない段階でございますので、いますぐに賦課方式に移るということは非常に簡単でやさしいことであろうと思いますが、これがもう少し進んでさましたら、今度は支払いが一度にたくさんになってきますので、そのときの負担というようなこと、負担の公平さから考えて、非常に後年度に大きい負担をかけるというような問題がございますので、やはりある程度老齢化が一定のところまで進み、この年金制度が一定のところまで成熟したときに切りかえることのほうがやりいいというような問題で、なかなかすぐに切りかえるということについては、関係者の間に非常に反対がございまして、まだ意見が一致しておりませんので、できるだけこれを円満に、そういうことができるようにという、いま課題として関係者が検討しておるところでございます。
#301
○萩原幽香子君 では大蔵大臣、やっぱり検討はすると、こういうことなんでございますね。その必要性はお認めなんでございますね。
 それじゃ山田先生にお伺いをいたします。望ましい公的年金のあり方につきましての御所見を承りたいと存じます。
#302
○参考人(山田雄三君) おそらく御質問の御趣旨は、無拠出の福祉年金がございまして、それが非常に低いと、これを一カ月五千円ぐらいの程度に上げたらばどうだという問題が一つございます。ただ、財源をどうするかという場合に、いま積み立て金があるんだから、それを回せばいいじゃないかと、これは一つの可能性を示しているとは思いますけれども、私もいま大蔵大臣が御答弁になったように、積み立て金がやがてはくずされていくと思いますけれども、老齢化が進むという条件をにらみながら、やはり時間をかけて、あまり急激な変化のないような方法でもってやるべきではないだろうか。福祉年金の充実につきましては、たてまえとしては、私は国庫負担でやるべきだと思うんです。積み立て金ではなく、国庫負担でやるべきではないだろうか。ただその場合に、福祉年金の国庫負担額と、それから拠出年金のほうの国庫補助額がございますね、それとあまりに均衡を失しますと、これはやはり不公平ということになりますので、その点を考慮しながら考えなければならないのじゃないだろうか。厚生年金とそれから国民年金というものは、これは先ほど私申し上げたように、成熟がまだおそいわけでございまして、保険金のほうは多く納めているけれども、まだ給付がそこまでいってない。そのために、積み立て金というものがかなりばく大な数になっているわけでございます。ですからその点につきましては、次第に老齢化が進み、受給者がふえてまいります。そのためにいまは、かなり保険料がわりあい低くて済んでいるわけでございますけれども、その保険料負担というものの急激な増加というものを押えながら、これも次第に増加していくと思いますけれども、そういう配慮が必要だ。いきなり積み立て金を賦課方式にするという意見もありますけれども、これは私は一つの可能性を示すけれども、いろいろ吟味を要するのじゃないだろうかというふうに考えております。
#303
○萩原幽香子君 先生、もう一つお伺いさしていただきたいと思うんでございますが、年金がいま国民年金あるいは厚生年金、老齢福祉年金と、ばらばらな形で年金があるわけでございます。そういったような年金の一元化をはかるというような考え方については、いかがでございましょうか。
#304
○参考人(山田雄三君) これも非常に重要な問題でございまして、おそらく各年金に関する審議会でも課題になっていると思います。で、一つの考え方は、厚生年金の定額部分というものがあるわけでございます。それと、それから国民年金、これがやはり定額といいながら、そこに差がございます。そういう差があっていいものかどうか。もし定額というのが、国民生活のミニマムを保障するという意味が多少ともあるならば、これは厚生年金でも国民年金でも同じじゃないだろうか。いわばわれわれのことばでは基礎のほうにげたをはかせて、そしてその上に上積みを考えるような制度を考えたらばどうだろうか、こういう考え方がございましていま議論をしているわけですが、どうもなかなか――いろんな点で皆さんの御意見を聞きながら、できるだけうまい方法をさがしていくといういまのところ段階でございます。
#305
○萩原幽香子君 先生、どうもありがとうございました。
#306
○委員長(徳永正利君) それでは、山田参考人に申し上げます。もうよろしいそうでございますから、どうも長い間ありがとうございました。
#307
○萩原幽香子君 生きがいのある暮らしということについて、厚生省にお伺いをいたします。老人福祉法第三条にはどう規定しておりますか、伺いたいと存じます。
#308
○政府委員(加藤威二君) 老人福祉法の第三条は、「老人は、老齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、その知識と経験を社会に役立たせるように努めるものとする。」、「老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参与する機会を与えられるものとする。」でございます。
#309
○萩原幽香子君 その老人福祉法第三条に対して、実現するために、現在及び将来にわたってどのような施策をお考えでございますか、具体的に承りたいと存じます。
#310
○政府委員(加藤威二君) 老人の生きがいにつきましては、私どもはやはり健康で働ける間は何か社会の役に立つような仕事をしてもらう、そういうことが一番老人の生きがいに役立つだろうというぐあいに考えております。そういうことでまあ厚生省――労働省でもやっておられますけれども、厚生省におきましても、老齢者に就労の機会を与えるということのために、老人のためのそういった就職あっせんの施設、これが現在、四十六年度三十カ所でございますが、これを四十七年度は四十六カ所にふやすというようなことで、できるだけ老人の、健康で働ける老人の方には、その体力に応じたそういった仕事をできるだけお世話をする、これは一つの例でございますが、そういう対策を行なっております。
#311
○萩原幽香子君 就労だけではございませんね。まだいろいろ老人の生きがいについて、この福祉法第三条というものに合致するような具体策というものはほかにもございますね。ほかに何かございませんか。
#312
○政府委員(加藤威二君) そのほか、たとえば老人クラブの助成でございますとか、あるいは老人スポーツというものを二、三年前から始めておりまして、そうして各都道府県別に老人のスポーツも振興する、そういうようなことをやっております。
#313
○萩原幽香子君 そこで大蔵大臣、そういうものに対する財政的な援助とか、そういったふうなものはいかがでございますか。
#314
○国務大臣(水田三喜男君) いま言われた範囲のことは、本年、四十七年度の予算で全部計上してございます。
#315
○萩原幽香子君 そうしたものもぜひもう少し幅広くお考えをいただきたいと思います。
 労働大臣にお尋ねをいたしますが、老後の不安は、労働大臣、あなたにも一半の責任があると私は考えるわけでございます。それは、平均寿命が大幅に延びているにもかかわらず、定年制は依然として五十五歳から五十七歳といったようなのは、いかにも現状無視とお考えになりませんでしょうか。だから定年制を延ばすことについて大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるんでございましょうか。天下り人事で事が運べる人はまことにけっこうでございますけれども、一般のサラリーマンはなかなかそうはいかないわけでございます。そこで、定年後のサラリーマンの生活の実態というものも調査をしていただかなければなりませんが、そういうことについてどういうふうにお考えでございましょうか、承りたいと存じます。
#316
○国務大臣(塚原俊郎君) 定年制は逐次延長されつつ、その傾向にありまするけれども、現在統計でわかっておりまするものは、五十五歳までというのが大体五七・九%、それから六十歳以上というのが二三・一%、こういう数字があらわれております。先ほど萩原委員御指摘のような平均寿命の延び方、また今日の人口構成、ことに労働需給のあり方、それから中高年、特に、中高年齢の方々の働くべきポストその他につきましては、やはり定年制というものは延長されてしかるべきものであろう、いわゆる働き盛りでありまするから。そういうことは、お互いにと申してはたいへん失礼でありまするが、私自身、非常に強く考えておりまして、あらゆる面で資料の提供、それから機運の醸成、コンセンサスをつくるための努力、労働省としてなし得ることは、いま一生懸命やっております。
#317
○萩原幽香子君 もう一つお尋ねしましたね、定年後のサラリーマンの実態調査。
#318
○国務大臣(塚原俊郎君) 数字につきましては、間違うといけませんので森山労政課長から答弁いたさせます。
#319
○説明員(森山眞弓君) 定年退職者の退職後の実態につきまして労働省が実施いたしました調査によりますと、定年に到達いたしました者の七五%は、定年後もまた雇用労働者として就業いたしております。一二%は会社経営とか個人の事業などに従事しておりまして、無職の者は二二%という状況でございます。で、これら無職の者のうち約八割は就業を希望いたしております。さらに、定年到達者の平均家族数は、本人も入れまして四人弱でございます。で、そのうちの扶養家族数は一・八七人という状況でございます。
#320
○萩原幽香子君 これは、なかなかよくお調べいただいてけっこうでございましたけれども、まあしかし、その一三%のうちの八割までは再び就業したいと言っているわけでございますね。そういう人たちに対して、どういうふうにお考えになってらっしゃいますか、その対策でございますね。
#321
○国務大臣(塚原俊郎君) まあただいまの数字、まだまだお気の毒な方々もおられるわけでありまするが、過般御審議を願った中高年雇用促進特別措置法というものによりましてやはり万全を期しておりまするが、なお、それでも満ち足りない面もありまするので、冒頭申し上げましたように、まだ扶養家族を持っておられる方もだいぶ多いようでありますので、いまあらゆる措置を講じて、そういう方々の不安を解消する努力をいたしております。
#322
○萩原幽香子君 ぜひ解消する努力をしていただいて、実績をあげていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 そこで、文部大臣にお伺いをいたします。かつて、わが国におきましては、父母、祖父母は同居して、子供たちは、家庭の中で老人を扶養するという実態に接して、年老いた親の扶養義務は家庭教育の中で教えられてまいりました。ところが、最近の核家族化の激増は、このような家庭教育を実際上不可能なものにしてしまったと思います。そこで、この問題が家庭教育の場でやれないとすれば、学校教育、社会教育でやるべきだと存じます。で、学校教育の中ではどのような具体的な指導がなされておりますか、あるいは社会教育ではどんな方法を考えていらっしゃいますのか、あわせてお伺いをいたしたいと存じます。
#323
○国務大臣(高見三郎君) 私のほうは、権利だとか義務だとかいうぎらぎらした問題でなしに、親と子が、子が親を尊敬し、親が子を愛するという情意の問題でこの問題を片づけなければならないという教育的な立場に立っておるのであります。御承知のように、義務教育課程におきまして一番大事な問題は、やはり基本的人権というものを尊重する道徳性の涵養であろうと、かように考えます。それから、社会教育の場におきまして、一番私は老人にとって、あるいは、どうも年寄りとは話が合わないという若い人が多い、無理もないことだと思います。しかし、お年寄りも一緒になって話し合い、楽しみ合う機会をお持ちになる公民館教育などというようなもの、そういう場を通じての社会教育の場というものはあっていいんじゃないか。現に、私は、堺の老人ホームにおられます方が私のところへ、学習指導要領で書道ということばはやめてくれいという手紙をよこされまして、その手紙に、書道でいう書はこういう書だと、それから習字でいう習字とはこういう習字だと、非常な達筆なんですね、弘法大師の書を臨書せられまして、これが習字だと、自分の感覚でお書きになった書を一幅お贈りになって、これが書道だと。まあ、お答えを申し上げました、小学校の指導要領では習字となっておりますと。ところが、この方は、堺の老人ホームで皆さんと御一緒に書道をやっておられる、皆さんは非常に老後に生きがいを感じておられると。私は、金を出すことだけが老人福祉じゃないという感じがしておるのであります。かつての世代を築いた先人としての尊敬を一身に集めて、そうして愛され、愛し合うところの親子であり、きょうだいであり、孫であってこそ老人の生きがいがあるんじゃないか。それが私は、日本にいま欠けておる道徳教育の姿ではないだろうかという感じを抱いておるのであります。したがいまして、私は、学校教育の段階におきましてもそうであると同時に、社会教育の段階においてもそういう姿の社会教育を進めてまいりたい、かように考えております。
#324
○萩原幽香子君 全く私も同感なんでございますがね、文部大臣。先日、ある一人の若妻から私の相談室に持ち込まれた問題ですが、別居中だったしゅうとがなくなって、しゅうとめが一人残った。夫は、この病身の母を引き取りたいと言うが、私は、いまさらしゅうとめと一緒に暮したくない。この問題をめぐって夫と気まずくなっている。年をとって働けなくなったら当然国がめんどうを見るべきではないかと思うがどうですかと、こういったような質問をしてくる人たちがこのごろふえているのですね。そういう現状に対して、大臣はどういうふうにお考えでございますか。そして、この現状は教育だけの問題でございましょうか、御所見を承りたいと存じます。
#325
○委員長(徳永正利君) 大臣、簡単にひとつお願いいたします。
#326
○国務大臣(高見三郎君) この問題は、ひとり教育だけの問題じゃございません、社会構造自体が変わっておるのでありまするから。でありまするけれども、根底は、私は、人間の愛情が根底にならなければならぬ。施設がどんなによくできても、そこに、愛情がないところには社会福祉のほんとうのよさはない、そう考えております。これは私の基本的な理念であります。
#327
○萩原幽香子君 その文部大臣の基本的な理念を達成するために、具体的に、学校教育ではどうやり、社会教育ではどうやると、そういうカリキュラムが大臣の心の中におありでございましょうか、いかがでしょう。
#328
○国務大臣(高見三郎君) 先ほど申し上げましたように、義務教育課程におきましては、私は、道徳教育を中心に、社会教育の関係におきましては、生涯教育の観点に立っての老人と若者との共同生活というものをひとつ開いてみたいと、こういう考え方を持っております。
#329
○萩原幽香子君 そこでですね、それは今度文教の場で大臣また一問一答でやりましょう。
 そこで、大蔵大臣にお尋ねしますけれども、一緒に住みたくても、住宅関係なんかで住みにくいという現状もございましょう。したがいまして、財政上、この問題についてどうお考えでございましょうか、承りたいと思います。
#330
○委員長(徳永正利君) 財政上、この問題についてどういうふうに考えるかという……
#331
○政府委員(相澤英之君) 住宅対策の面で、たとえば住宅公団の戸当たりの面積、あるいは住宅金融公庫にいたしましても、貸し付け額というようなものを、そういうような事情も考慮いたしましてだんだんとふやしてまいっております。今後とも、そういう点で検討したいというふうに考えております。
#332
○萩原幽香子君 私は、よく中老婦人の会に招かれて参りますが、そのときに、そっと出されることばは、私たちは一番損ですということばです。そこで、嫁のころは全くきびしい、ときには、ものわかりの悪いと思われるしゅうとめに仕えて、しかも夫は、必ずしも自分の立場を守ってくれたわけでもない。しかし、その中にあって、一つの生きがいは子供を育てることでした。この子さえ大きくなったらということでした。ところが、成長した息子たちは、いま文部大臣がおっしゃることとはうらはらのような人間に育って、その妻は、親とともに暮らすことさえもきらう。一歩譲って、同居してくれたとしても、老人は遠慮しているのが実態だ。そういうことを考えたときに、私は、決して、昔をいまになすよしもがな、なんというようなことを考えているんではございません。最も人権を無視された嫁の犠牲の上に成り立った家長制度を賛美する気持ちは毛頭ございません。しかし、私が言いたいのは、私は損ですと考えている老婦人の人権というものはいつ守られるのか、こういうことについて、私は文部大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
#333
○国務大臣(高見三郎君) 私は、老人に対する、また、子が親に対するこれを権利義務の関係で規定づけたくないのであります。どこまでも私は、これは愛情の問題である。また、老人に対します社会全体の姿が愛情に満ちた社会にでき上がるならば、老人問題もおのずから解決する道があるはずであるということを信じております。
#334
○萩原幽香子君 では、大蔵大臣、法務大臣、続いて御答弁をいただきます。
#335
○国務大臣(水田三喜男君) さっき住居の問題が出ましたが、私はやはりこれも関係があると思います。そこで、今度の四十七年度の施策としましては、これは建設省の施策でございますが、住宅公庫の貸し付けにおいて、老人を住まわせる一室を加えるという場合の優遇措置を講ずるというようなことは今年度の住宅政策で配慮しているところでございますが、こういう点についても、今後、さらにこまかい施策の手を伸べる必要があるだろうと考えます。
#336
○国務大臣(前尾繁三郎君) 扶養義務につきましては、これは民法に規定があるわけでありまして、民法の普及徹底というようなことは実は何もいたしておりません、率直に申し上げまして。ただ、いろんな紛争が起こりました場合は、御承知のように、民法においても、家庭裁判所とかそういうところに出訴するとかいうような仕組みになっておりますし、紛争のある場合には、法務局の人権相談というようなところで親切に、いかにすればいいかということを教えるように、また人権擁護委員に徹底をして――人権擁護委員にその紛争に入ってもらい、あるいは相談に乗ってもらうというようなことを徹底さしていく以外にないと思って、また、事実それをやっておるわけであります。
#337
○萩原幽香子君 しかし、現状を見ますと、法務大臣、やはり民法の八百七十七条以下の親族の扶養義務については、この法律をもう少し国民に周知徹底させるという努力が必要ではございませんか、いかがでございましょう。しておりませんとおっしゃいますけれども、しなければならないとお考えになりませんですか、いかがですか。
#338
○国務大臣(前尾繁三郎君) いや、おっしゃるとおりでありますが、ただ、民法全般にわたって、やはり国民が守るべきだというような全般的な問題として普及徹底するということだと思いますし、要するに、そういう法律があることを教育するということ以外にはないんじゃないかと思います。
#339
○萩原幽香子君 そうしますと、法務大臣、やっぱり文部大臣のほうへ、そういうことについて私が努力と申し上げましたのは、法務大臣にやってくださいということではなくて、やはり関係のところへ――そういうものを周知徹底させられるようなところへ協力を求めながらやっていくというのが努力ではございませんですか、そういう点はいかがですか。
#340
○国務大臣(前尾繁三郎君) おっしゃるとおりであります。
#341
○萩原幽香子君 いままでの質疑の中で明らかになってまいりましたように、老人、特に、老未亡人のための生活保障も、生きがいのある暮らしもかなえられているとは申せません。これで高福祉の政治だと言えるでございましょうか。あらためて、厚生、労働、大蔵、文部各大臣の今後の御決意を承ってこの項の質問を終わります。
#342
○政府委員(登坂重次郎君) お答えいたします。
 まことに、老人対策は緊急かつ重要な問題であります。厚生省といたしましても、本年度を起点にいたしまして、今後ますます老人対策に重点を注ぎたいと存じます。
#343
○国務大臣(塚原俊郎君) 今日までの長い経験を生かす重要な方々ばかりでございまするから、最終的には、労使間の話し合いによって賃金体系やら雇用関係もきまってくると思いますが、逐次その傾向があらわれておりますし、先ほども触れましたが、労働省といたしましては、そういう行政指導をいたしております。
 なお、この問題につきましては、経営者並びに労働組合からなっておる産業労働懇談会というのがございますが、これにも付議いたしまして万全を期しておる次第でございます。御趣旨の点によく沿うように努力いたします。
#344
○国務大臣(高見三郎君) 民法の問題は、社会科の高学年には載っておりますけれども、私が申し上げましたのは、どこまでも教育的な立場から申しまする場合は、愛情豊かな世の中、社会をつくりたい、老人を尊敬する世の中をつくりたい、こういう気持ちを申し上げたつもりであります。どうかその辺は御了解をいただきたいと思います。
#345
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、七十歳以上の老人が一千万人に達する時期が近いといわれておるようなときでございますので、日本の社会において、もし、この老人問題が解決するのでなかったら、日本の社会は全く住みづらい社会になってしまう。親と子の関係、あらゆることで、この老人問題を中心にして、日本の社会が快適な社会になるかならぬかの私はこれが分かれ目になりはしないかというほど大きい問題を持っておると思います。したがいまして、いま文部大臣は非常に期待をかけられましたが、すでに日本の家族制度がなくなって、従来のように、必ずしも長男が親をみるというような義務がなくなっている現在においては、親といえども、もうそういうところにたよるというわけにはいきませんので、したがって、老後をそういう子供にたよらなくても自分でやっていけるだけの社会保障制度ができることがやはり必要であるという観点から、この間、羽生さんの質問で、今年はたして福祉政策に踏み切っているのかと言われましたが、さっきの御質問で、一月からこの医療の無料化というのはやっぱりあまり感心したことではございません。途中でなくした方の云々ということがございましたが、もう千億あったらそういうことはなくて済むということで、問題はもうそういう財政問題になってきておりますので、ことしは踏み切りだけつけたということで、実際には来年の一月から初めて平年度化するということでございますが、一番先にやはり老人対策を社会保障問題として取り上げたというのが今度の予算編成の方針でございまして、したがって、この方針をさらに徹底させて、老人問題だけは社会保障のうちで一番先に取り上げて解決すべき問題であるというふうに考えます。
#346
○萩原幽香子君 いま各大臣から承ったわけでございますが、その各大臣おのおのの立場で今後一そうの御努力をいただきまして、老人がほんとうに生きていてよかったと思えるような世の中にしていただきたいと存じます。
 次いで、勤労者の財産形成法について伺ってまいります。
 まず、大蔵省にお尋ねをするわけでございますけれども、本年一月から財形貯蓄非課税制度が発足いたしました。で、制度面では一応すべて整ったわけでございますけれども、三月末現在ではおよそ契約件数はどれほどございますか。それから契約者の給与の平均はどうなっておりますか。その家族構成はどうなっておりますか。まずその三点について承りたいと存じます。
#347
○政府委員(高木文雄君) 制度が始まりましたのは一月一日からでございますので、まだ私どもとしては状況をよく把握いたしておりません。
#348
○萩原幽香子君 全然何も御存じないわけでございますか。――それでは伺いますが、企業別の規模はどうなっておりますか。
#349
○説明員(廣政順一君) ただいま大蔵省の主税局長のほうからお答えございましたように、ただいまのところ公式にはまだ数字はつかめておりません。ただ、私ども労働省で仕事をやってまいります上で、ある程度の傾向は知らなければならないと、こう考えまして、若干の金融機関を通じて二月末に一応調べたものがございますが、それによりますと、事業所数で七千五百、勤労者で約七万、貯蓄残高が約六億という数字がただいまのところ手に入っております。ただ、これはただいまも申し上げましたように、公式に集めたという数字でございませんで、私ども全く非公式に集めたというだけの数字でございます。なお、そういうことでございますので、ただいま先生御指摘のような規模別なり、あるいは家族構成なり、そういうところまでは実はまだ私どももつかめてない、こういう現状でございます。
#350
○萩原幽香子君 私が個々にそういう契約者のことについて聞いたところによりますと、大体は中小企業の方に多いというようなことを聞いているわけでございますし、また結婚して間のない若いような人たちがそういう恩典に浴するように努力をしているというようなことを私は聞いているわけでございます。そういうことについて、労働省は全然タッチしておられないというわけでもございませんでしょうが、傾向はいかがでございますか。
#351
○説明員(廣政順一君) 私どもも都道府県の労働基準局を通じていろいろいわゆる傾向と申しますか、ごく大ざっぱな傾向でございますけれども、それは聞いておりますが、それによりますと、ただいままでのところでは、中小企業、それも規模別にこうだと、三百人以下はどうだとかいうことはわかりませんが、中小企業に多いと、かつまた比較的若い層に多いということは報告を受けております。
#352
○萩原幽香子君 その契約者が中小企業に多いという理由についてはどういうふうにお考えでございましょう。
#353
○説明員(廣政順一君) 中小企業に働く従業員のためのいわゆる福祉問題ということにつきましては、私どもも、数字的にも、種々の施設その他で大企業との間に格差があるということはよく存じておりますが、この制度につきましてもあるいはそういうことが影響しているだろうかというふうにただいまのところ考えておりますが、なお大企業の動きというのはこれからどういうふうに出てくるか、それを私ども注目して見ておるという状況でございます。
#354
○萩原幽香子君 そこで国税庁にお伺いいたしますけれども、民間給与の実態についてお伺いをいたします。
#355
○政府委員(高木文雄君) 民間給与の実態調査の一番新しいのは昭和四十五年分でございます。全体で給与所得者の総数が二千四百二十四万三千人、給与の収入階級別に申しますと、収入階級五十万円以下が五百三十五万九千人、二二.一%になります。百万円以下が――百万円と五十万円との間でございますが、百万円以下が千六十七万人、占める割合が四四・一%でございます。二百万円以下百万円までが六百九十二万九千人、二八・五%でございます。その上は百二十八万五千人でございます。
#356
○萩原幽香子君 ただいまの労働省、国税庁の御答弁から私はいろいろ考えさせられるのですがね。給与の低い従業員が苦しい生活の中からあえて財形貯蓄をしようとしているのは、これはなみなみならぬ努力だと思います。妻の協力なくしてはとてもできない相談だと思います。
 そこで私は、このけなげな妻の内助の功を評価する上から、貯蓄額の一定分を所得税の税額控除の対象にしていただきたいと考えるわけでございますが、これは大蔵大臣、いかがでございましょう。
#357
○政府委員(高木文雄君) この制度がスタートいたします際に、その勤労者財産形成のために税法上どのような措置をとるかということについていろいろ検討いたしましたのでございますが、税額控除という制度は、これはまあいろいろ税のほうの優遇措置という意味では非常に有効ではございますけれども、まあ一方、課税の公平という面から申しますとかなり問題のある制度でございます。そこで、勤労者財産形成制度がスタートいたします当初の段階におきまして、将来この制度がどういうふうに発展していくかということにつきましても、まだ十分の見通しのつかない現状でございますので、現在のところでは現行法で定められておりますような形での程度にまあ詰めるということにしたわけでございます。
#358
○萩原幽香子君 私が調べたところでは、現在年収百万から二百万の所得者が二八.六%、こういう中で、子供のない若い夫婦たちが税金を払いながら将来に向かっての生活設計をしていると、こういうことになると思うのですが、かりに百万といたしますと大体月に六万ぐらい、そういうのでも夫婦二人きりでございますと、課税最低限は大体六十七万ぐらいでございますから、百万ですと三十三万については税金をかけると、こういうことでございますね。そうして夫婦と子供一人というのでも八十五万、そうしますと十五万ぐらいは課税対象になっている。こういうことですから、そういう人たちを救うためには、やっぱり私は一定額だけは控除してやっていただくことが望ましいことではなかろうかと思うわけでございます。重ねて御意見を承りたいと存じます。
#359
○政府委員(高木文雄君) 現在各種の貯蓄制度がございますが、御存じのように、郵便貯金あるいは通常の預金等につきましても、百五十万円までの利息についての非課税制度というものがございます。いろいろの貯蓄手段があるわけでございますので、そのもろもろの貯蓄手段相互間において、どのようないわば誘引的政策をとるべきかということは、なかなかむずかしい問題でございます。この制度は、本来、勤労者が非常に少ない給与の中から積み立てていかれるわけでありますから、貯蓄という意味からいいましても有効な制度であると思いますし、また財産形成という意味から見ましても、将来非常に大きな意味を持つ可能性を持った制度であると思っているわけでございますが、他の貯蓄手段との関係からいいまして、現在のところでは、他の貯蓄手段についても認められておりますところの非課税貯蓄制度を採用したということになっているわけでございまして、なおしばらくこの制度の推移を見たいと思っております。
#360
○萩原幽香子君 それでは、推移を見守りながら私の提案したようなこともあわせてお考えくださる御用意はございますか。
#361
○政府委員(高木文雄君) いずれにいたしましても、この一月一日に発足をいたしたばかりでございます。また一方、最近におきましては、貯蓄全体の奨励制度ということについて、貯蓄奨励ということは、長年いわば勤倹貯蓄ということで非常に奨励すべきものということで、税制上、長年、特別措置法上優遇措置がとられてきたことでございますし、特別措置の中で貯蓄についてのいろいろな減税の占めるウェートは必ずしも低くない現状でございますが、これについても、ある意味からは若干最近は御批判が出てきておるような現状でございますので、貯蓄全体についての国民一般の考え方というものも考え合わせながら考えなければならぬと思います。推移を見ながらと申しましたが、なお、ではたとえば二、三年のうちに、あるいは四、五年のうちにというふうには、なかなか私どもとしても判断しにくい問題ではないかと思っております。
#362
○萩原幽香子君 政府の持ち家制度の優遇と比較いたしますならば、私がいま申し上げましたぐらいのことはいいのではないかと思うんでございますが、いかがでございましょう
#363
○政府委員(高木文雄君) 勤労者財産形成貯蓄のうちでも、それが――税法上こまごま規定がありまして恐縮でございますが、この勤労者財産形成貯蓄によります貯蓄の中で、いわゆる住宅貯蓄に該当するものについては税額控除の制度を置いておるわけでございます。先ほど御質問がございましたのは、一般的御質問でございましたので申し上げませんでしたが、この勤労者財産形成貯蓄を活用して住宅貯蓄――住宅を建てます場合の頭金にそれが活用される場合には、それはさらに何らかの意味で政策的な奨励制度をとるべきだということで、税額控除をこの勤労者財産形成貯蓄の一部について働かしているわけでございます。で、これは頭金部分でありまして、その改正は、いま提出いたしまして国会で御審議願っております部分に属するわけでございます。それと、住宅――持ち家の取得控除と、この両方によって持ち家政策を進めていってはどうかというふうに考えているわけでございます。
#364
○萩原幽香子君 できるだけ低額所得者にあたたかい御配慮をお願いしたいと思います。
 さらに非課税限度を元本百万に据え置かれたことも、その意味では低額に過ぎるではないかと思います。なるほど、他にも非課税制度の貯蓄があることは私も十分承知をいたしておりますけれども、所得の低い者ほど、一たん自分の手に入ればなかなかに自由貯金というものはしにくいものでございます。私は、この財形貯蓄が天引きであることに妙味があると考えているわけでございます。私も長年貧乏世帯のやりくりをしてきたので、そういうことがよくわかります。いかがでございましょう、非課税分をせめて三百万ぐらいにお上げになるつもりはございませんか。
#365
○政府委員(高木文雄君) 現在、非課税制度になっておりますのは、郵便貯蓄が百五十万まででございますし……
#366
○萩原幽香子君 いや、それはよく存じております。
#367
○政府委員(高木文雄君) それから、銀行の貯蓄が百五十万まででございます。これも非常に長い歴史を持っておるわけでございます。そのほかに、国債について別ワク百万円という非課税制度がございます。それらのこととのバランスから考えますと、ただいま一例としておあげになったものと思いますが、三百万というお話がございましたのですが、まあ私どもの感じでは、他の貯蓄手段とのバランスからいって、若干、現在の段階で三百万というのは、他の手段との関連上少し無理があるのではないかと思います。
#368
○萩原幽香子君 天引きの妙味ということを私は申し上げたわけですけれども、まあひとつ御検討いただきたいと思います。
 もうこのうち半分は妻の協力による妻の所有として認める道はございませんか。これは労働、大蔵、法務三大臣に承りたいと存じます。
#369
○国務大臣(塚原俊郎君) 御指摘の低所得者に対する優遇措置の問題、大蔵省とこれは折衝いたしておりまするが、やはり発足間もないことでもありまするので、いまその推移を見ながらこの問題に対処していきたい。なお、私のほうといたしましては、勤労者財産形成審議会にも御意見を承っておりまするので、その御意見も伺ってこの問題に対処したいと思っております。
#370
○国務大臣(水田三喜男君) わが国では給料はサラリーマン自身に払われるのが一般であり、また法制上もそうなっておるということでございますので、夫の天引き貯金を妻の名義にするという方法はこれはむずかしいことだろうと思います。
#371
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまの民法の原則から申しますと、ちょっと無理だと思うのでございます。また、いろいろな形態がありまするから、抽象的にそうすべきだというところにはまだまいらぬと思います。
#372
○萩原幽香子君 その皆さんの御答弁は私も予想をしておったところでございます。
 大蔵大臣にお伺いいたしますが、このたび相続税法の改正をなさったわけですが、その相続税法の改正の要点について御説明をいただきたいと存じます。
#373
○政府委員(高木文雄君) 相続税は、今回は被相続人、つまり、なくなった方から相続される場合に、相続を受ける相続人の中に妻――妻というと不正確でございますが、配偶者がおられる。その配偶者が実際に相続を受ける財産で、評価額――相続税法上の評価によります額ですが、相続の額が三千万円までであれば、その配偶者の相続受け取り分については相続税が課税されないというふうになったわけでございます。で、これは従来もやや似た制度があったわけでございますが、これは従来は法定相続分に対応する部分ということになっておりましたが、今回は、実際に相続が配偶者にありますれば、三千万円を限度といたしましてそれには課税されない。ただし、一つ条件がございまして、婚姻期間が二十年以上ということになっております。婚姻期間が十年までの方は一千万円まで、婚姻期間が十年から二十年に至る間については一年につき二百万円、したがって、たとえば十五年であれば、一千万円プラス二百万円掛ける五ということで、二千万円までが非課税になるということになっております。
#374
○萩原幽香子君 伺いますけれども、それじゃ、その恩典に浴する妻は、本年で何件ございますか。
#375
○政府委員(高木文雄君) 大体、現在年間の相続税の件数は三万件ぐらいでございます。そのうち配偶者のある方は、正確にはわかりませんが、大体六〇%強、三分の二ぐらいであろうかと思いましたので、二万件ぐらいが配偶者のある方であろうと思います。しかし、配偶者のある方のうちで、実際に、その相続分をよけい取られる方と、法定相続による方とがどういうふうに分かれるかということはまだよくわかりません。したがって、大体まあその六割くらいかということで、人数にして一万件強、一万二、三千件ではなかろうかというふうに思っております。
#376
○萩原幽香子君 それでは、減税による減収分の見込みは、一体どれくらいございますか。
#377
○政府委員(高木文雄君) 四十七年度の税収見積もりでは二十八億円見ておるだけでございますが、相続税というのは、大体非常に延納が多いわけでございますので、制度が変わりましても、最初の年に減収となります額はそう多くないわけでございまして、これが制度としてどのぐらい減税になるか、つまり、私どもは平年度計算ということばを使っておりますが、そういう意味で申しますと、私どもの試算で、大体百十五億円ぐらいというふうに考えております。
#378
○萩原幽香子君 初年度で大体二十八億、平年度で大体百十億といえば、非常に少ないわけでございますね。いまの御答弁からも言えるように、実は妻の座優遇に名をかりた、ごく少数の一にぎりの高額所得者、資産家優遇の制度だと私は言わなければならないような感じでございます。私が妻の座確立強化を主張してまいりましたのは、このような形での施策を望んだのではございません。最近の地価の高騰は、低い所得階層まで相続税を負担している現状であることは、大蔵当局十分御承知のはずでございますね。
 そこで相続税の四十三年度以降今年度までの課税件数並びに税額をお示しいただきたいと存じます。
#379
○政府委員(高木文雄君) 四十三年度の課税件数は一万四千五百七十四件、相続税額六百八億四千四百万円。四十四年度一万九千三百六十七件、相続税額九百二十一億九千三百万円。四十五年度課税件数二万四千四百五十四件、相続税額千三百四十一億八千八百万円。四十六年度の予算上の金額、これは件数は出しておりません、税額で千三百九十八億一千五百万円。以上でございます。
#380
○萩原幽香子君 私が調べたのとだいぶ開きがあるようでございます。私が調べたのでは四十二年度には課税件数が一万一千件、税額にして五百十一億。今年度の予算では課税件数が三万件、税額が大体二千五百八十億と見込まれていると、こういうふうに私は調べたわけでございますけれども、こういうように、しばらくの間にも相続税がふえてきた。件数もふえ税額もふえたということは、相続税というものがだんだん大衆課税になってきたということを示すのではないか、こういうふうに思います。最低限の引き上げが急務ではなかろうかと思いますけれども、課税最低限の引き上げを見送られた理由というのは一体どういうところにございますか、その理由を承りたいと存じます。
#381
○政府委員(高木文雄君) 相続税は、御指摘のように、現在主として不動産の評価額が漸次上がっていくということが一つの理由、それから第二の理由は、やはり、戦争直後に、財産を持たれた方が財産税その他で一ぺんなくなったわけでございますが、まあ少しずつ、やはり再び富の集中といいますか、そういうことが行なわれつつあるということからいいまして、件数が漸次増加しているわけでございます。しかしながら、ただいま申しましたように、現在三%ないし四%程度の件数でございます。そうしますと、三%ないし四%の相続税というのが非常に多いということになるかどうか。確かに、ただいま御指摘のように、漸次件数がふえてきておるという事実はあるのでございますが、さりとて、それでは三%なり四%というのは非常に多いということであるかどうかということについては、二つの見方があると思います。そもそも相続税は、まあ人がなくなったということによって、その方の一生についての税の最終清算という意味があるわけでございますので、そういう意味から申しますと、所得税の場合のように、課税最低限を上げていくということについて、所得税とは若干意味が違うのではないかということなのでございます。しかしながら、私どももかねがね、やはりそういうふうに評価額が急激にふえておりますし、ただいま御指摘のように、税収としても、どの税目よりも急激にふえておりますところから、課税最低限の引き上げについても四十七年度税制として検討はいたしましたのですが、四十七年度はたいへん財政上苦しいというような事情もありまして、最も緊急度の高い問題として、かねがねから問題となっておりました配偶者の問題――配偶者についての考え方がいろいろあります。夫婦間については相続税を全く課さなくともいいではないかという御議論もあるような次第でございますので、そういうことも考えまして、そこまではいけませんが、かなり思い切ってそこの控除額を上げるということにとどめたわけでございます。
#382
○萩原幽香子君 後々の問題としていろいろ問題が残ってまいると思いますが、その点どうぞひとつよろしく御検討いただきたいと思います。
 そこで、この一つの具体的な例についてお伺いをいたします。遺産相続が千二百十万、そして配偶者は婚姻十八年、子供二人は十七歳と十五歳、こういう場合に法定相続分によって相続する場合の相続税はどうなってまいりますでしょうか、お伺いいたしたいと存じます。
#383
○政府委員(高木文雄君) 十万九千九百円になるようでございます。
#384
○萩原幽香子君 その場合、妻の相続分は無税でございますね。ところで子供二人が課税されるということになるわけですが、それが十一万近い。未成年の子供に税金を支払う能力がないといたしますならば、結局は無税にしていただいた妻が、妻である未亡人が、やっぱり母親が払うことになりますね、実際問題といたしまして。この場合は延納の恩典があるということも私は承知をいたしておりますけれども、夫をなくして生きることに精一ぱいの未亡人にとって年五万の課税はなかなかにきびしいものではございませんでしょうか。そうすると財産の一部を手放さざるを得なくなるということになるわけでございます。こうした現状では、低所得の中で苦心してやっと獲得した居住用資産について相続税を負担しなければならないということになります。一方では財形貯蓄で勤労者の財産形成を促進しながら、一方では低所得層に課税しようとするのは私は矛盾ではないかと考えるのでございますが、その点いかがでございましょう。
#385
○政府委員(高木文雄君) ただいまの御指摘の点は、確かに問題のある点でございますが、一つは未成年者控除という制度がございまして、相続人がまだ未成年者であるという場合には負担能力がないわけですから、それを考慮する必要があるわけで、成年に達するまで一年につき一万円という税額控除制度があるのでございますが、この未成年控除の額が不十分なのではないかという問題が一点あろうかと思います。ただ、十万円でたいへん納めにくいという御指摘もございましたが、延納制度という制度もあるわけでございますので、決してこれで何とかなりますというふうには申し上げにくいのでございますが、現状においては、今後の問題としては未成年者控除制度の拡充ということで考えることといたしました。当面、延納制度の活用等によって対処をしていただくというふうにお願いしているところでございます。
#386
○萩原幽香子君 では十分でないということは御認識いただいておるところでございますね。
 では、そういう点につきまして、もう一つ私はここで提案をしておきたいと思います。基礎控除、いまは四百万でございますね。それを六百万に、相続人一人当たりの控除額を八十万から百万ぐらいに引き上げることはいかがでございましょうか。
#387
○政府委員(高木文雄君) 各家族の構成によりましていろいろ負担関係が変わってまいりますので、ただいまのような御提案の場合に、どのような家族の場合にどういう軽減割合になるか等々について考えてみたいと思います。いずれにしましても、全体といたしまして、基礎控除と申しますか、課税最低限の引き上げというのは、そう遠からず日程にのせなければならない問題でございますので、御提案の点を十分検討させていただきたいと存じます。
#388
○萩原幽香子君 ぜひ基礎控除の引き上げはしていただきたいというふうに考えます。せめて千五百万ぐらいの遺産については、私は現状では課税すべきではないと、こういうふうに考えているわけでございますが、重ねてお伺いをいたします。いかがでございましょうか。
#389
○政府委員(高木文雄君) ちょっとこの場で、なかなかお答えいたしかねます。よく検討いたします。
#390
○萩原幽香子君 よく検討をしていただきたいと思います。検討は非常に前向きの、よい方向の検討をお願いいたします。私が主張しておりますように、夫の死後、財産は一応妻に帰属することになれば、このたびのいわゆる大蔵省の税制改正で、この場合は確かに無税になります。そこで、やはり現民法下においては、周囲の事情でなかなか未成年の子供の財産をすべて母親のものにすることは困難だと存じます。私が妻の地位向上の民法改正を強く要求するところもここにあるわけでございます。政府が妻の座優遇について真剣に取り組む用意があるとするならば、私がかねがね主張しております夫婦間の財産移転についての不合理な贈与税の課税は廃止すべきだと思います。十二月の決算委員会でも私は幾つかの実例をあげて申してまいりましたとおり、夫婦でつくった財産でありながら、妻の名義にしようと思えば贈与税がかかり、一たん夫の名義になったものは、妻の名義にしようと愛人の名義にしようと、贈与税は全く同じというのは、妻の座無視もはなはだしいと言わざるを得ません。大蔵大臣、あなたはどうお考えでございましょう。
#391
○政府委員(高木文雄君) 贈与税については、まあいわば庶民感覚に合わないということで、非常にまあ評判の悪い制度でございます。しかしながら、税制の立場では、贈与税を全くなくしますといろんな問題が出てくるわけでございまして、たとえば、かつてシャウプ勧告によりまして、贈与税はやらない、そのかわり、生前の贈与につきましては、その被相続人がなくなったときに、累積をしておいて相続時点で清算をするという制度を勧告して、実はしばらく実施をしたのでございますが、それが執行上不可能だということでやめたという経緯がございます。そういう経緯でまた贈与税に戻ったという経緯があるわけでございまして、贈与税をやめるということはなかなか困難な事情があるわけでございます。で、贈与税もやめる、相続税のほうも、それで抜けてしまうのを野放しにするということであればやれるかもしれませんが、贈与税をやめますということは、つまり、相当相続税が、生前にどんどん贈与が行なわれて野放しになってしまうということになりますので、なかなかむずかしいということでございます。で、現在の妻への贈与につきましては、居住用財産についてだけ四百万円までの贈与が認められておりますが、あのような制度を、将来何らかの方法で改善していくということは考えられると思いますけれども、一般的に、贈与税をやめるというのは、税の立場では非常にむずかしいと思います。
#392
○萩原幽香子君 評判が悪いというのは、一体どういうところが評判が悪いのか、お考えになったでございましょうか。先ほど私が指摘いたしましたように、贈与税というものは、居住用財産の場合にのみ妻は恩典がございますけれども、一般の財産になった場合には、全く妻の恩典というもの、何もございませんでしょう。そういう点について私はお伺いをしたわけでございます。大蔵大臣いかがでございましょうか。
#393
○国務大臣(水田三喜男君) 贈与税の評判が悪いというのは、私どものところにずいぶん陳情がまいりますが、たとえば、同じ屋敷の中に子供の家を建てたというときには、もう大きい贈与税がくるというので、せめて子供に建てた家くらい何とかならぬかというような問題が始終くるのでございますが、確かに、そういうことで評判の悪い税金ではございますが、いま主税局長の言われましたように、これを廃止するということになりますというと、これはほとんど、脱税と言っては悪いのですが、税の脱税に使われるという可能性が非常に多いというようなことで、妻の生前贈与の問題について、いま言った住居用の財産に対して四百万円というものを無税にしております。さらに、これを広げるというようなことも必要でしょうし、また、妻に対して、特に資産を残したいということでしたら、遺言の方法もございますし、相続税というもので妻を総括的に優遇すれば、この目的も達するのではないかというようなことから、贈与税の廃止というところまでは踏み切らないということにしたのがいまの税制でございます。
#394
○萩原幽香子君 相続税は死んでからということでございますね。やはり、生きて喜べるということを考えることが新しい発想ではございませんでしょうか。私は、そういう意味でぜひひとつ、この問題――夫婦間の贈与問題、贈与税の問題、これを御検討いただきたいということを申し上げておきたいと存じます。きょうは、その問題について、時間がございませんから、私は議論はいたしません。しかし、不当性は十分認めていただきたいと存じます。
 次に、私は法務大臣にお伺いをしたします。法制審議会の身分法小委員会の審議経過は、その後どうなっておりますでしょうか。
#395
○国務大臣(前尾繁三郎君) 昨年は、御承知のように、まだ三回開いたきりでありました。しかし、審議を促進すべきだというので、この三月から毎月開いて、そうしてできるだけ促進しようというのでいろいろ議論をされておりますが、最初、相続権と相続分についていろいろ議論されたようであります。また、お話が前にありました代襲相続についてもいろいろのケースがありましてなかなか結論が出てこないというような状況のようでありますが、いずれにしましても、できるだけ促進したいというので、われわれも鋭意努力いたしている次第でございます。
#396
○萩原幽香子君 先ほど質問いたしました財形貯蓄にいたしましても、妻の寄与分は所有権として認められないのも、民法の別産制に問題がある。夫の所得は、いわゆる稼得者所得でございますから、妻は何にももらう分がない、こういうことになっているその別産制に問題があると思います。また、税の上でも、妻の相続税は三千万円まで無税にしてあげましょうと税法ではおっしゃっていただいても、現民法の制約のもとで功を奏しないということも、先ほどの例で十分御理解がいただけたと考えるわけでございます。したがいまして、この問題につきましてはすみやかに審議を進めていただきまして、どうぞひとつ、妻が喜べるような――ほんとうに生きていてよかったというのは、老人だけではなくて、妻もまたそういうことを考えているということを、十分お考えいただきたいわけでございます。
 そこで、私は二分二乗についてお尋ねをしてまいりたいと存じます。時間がございませんからもう簡単にお伺いをいたしますけれども、私は、ずっと二年間、二分二乗の採用を主張してまいりました。ところが、ことしはそういうことで、研究のために欧米視察をされたかに承っておりますので、その御報告をお願い申し上げたいと存じます。
#397
○政府委員(高木文雄君) 二分二乗の問題につきましては、主税局員を欧米に、学者の先生と一緒に見てもらったわけでございますが、どうもやはり、各国とも弱っておるようでございます。それで、初めアメリカでも、純粋の二分二乗制度をとったんでありますが、今度は独身のほうから異論が出る、あるいは片かせぎのほうから異論が出るというようなことで、いろいろ調整が行なわれたような経過もございますし、各国とも非常に弱っておるという現状でございまして、なお、いろいろもう少し検討してみなければならぬという現状になっております。私どもも、二分二乗になった場合にはどういうふうになりますかということを具体的にお示しいたしまして、広く国民の皆さんの間で議論していただくようなことにでもするかというようなことで、その前提で、なおこれから政府の税制調査会で御議論願ってみたいというふうに考えております。
#398
○萩原幽香子君 いよいよ時間がなくなってまいりましたので、詳しい詰めができなくなりました。これはその財源難ということも、一つは二分二乗のやれないネックになっていることは確かでございますね。そこで、その財源を見つける方法として、私は租税特別措置のあるものに求めたい。特に、ここでひとつ取り上げたいのは、交際費でございますが、これはいろいろ意見が出たようでもございますし、あちこちの分科会でも出たようでございますけれども、交際費で非常に評判の悪いことが一つ出ておりますから、御紹介しておきたいと思います。非常に、何と申しますか、銀座のクラブのあるマネージャー氏のお話でございます。これは、私どものお店にお見えになるお客さんの中で、仕事の話をしていらっしゃる方は一%、お供ですといった感じが二五%、接待客をだしにして自分たちが遊んでいる方が五〇%、接待ということにして会社あての請求書を請求される方が二四%、請求書の水増し、飲みしろの加算など別要求する方が三〇%、こういったような不正な交際費の出し方もあるわけでございますね。交際費の問題、いろいろお尋ねしたいですが、これは機会をあらためたいと存じます。だから、交際費について、うちの党では、大体、諸般の情勢を考えて八〇%ぐらいは課税していいんじゃないかと言っておりますけれども、家庭をこわされた女性の、あるいは妻の立場、教育上非常に悪かったという子供の立場、そうしたようなものを考えて、私はこの際、交際費については全額課税にすべきである。会社の金は決して個人の持ちものではございません。そうなりますと、会社のお金、そうすることは、やはり会社のお金から個人の財産というものに帰属させないためのやり方というものもお考えいただかなければいけないのではないか。まあ、これぐらいのところでやめさせていただきます。どうもいろいろありがとうございました。
#399
○委員長(徳永正利君) 答弁はよろしゅうございますか。――以上で萩原君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前十時委員会を開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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