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1971/03/14 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 逓信委員会 第3号
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1971/03/14 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 逓信委員会 第3号

#1
第068回国会 逓信委員会 第3号
昭和四十七年三月十四日(火曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十日
   辞任          補欠選任
    中尾 辰義君      山田 徹一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         杉山善太郎君
    理 事
                植竹 春彦君
                長田 裕二君
                古池 信三君
                森  勝治君
    委 員
                今泉 正二君
                郡  祐一君
                迫水 久常君
                新谷寅三郎君
                西村 尚治君
                松平 勇雄君
                鈴木  強君
                松本 賢一君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君
   政府委員
       郵政政務次官   松山千恵子君
       郵政大臣官房長  森田 行正君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   柏木 輝彦君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   牧野 康夫君
       郵政省郵務局長  溝呂木 繁君
       郵政省貯金局長  石井多加三君
       郵政省簡易保険
       局長       野田誠二郎君
       郵政省電波監理
       局長       藤木  栄君
       郵政省人事局長  北 雄一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   柴崎 敏郎君
       会計検査院事務
       総局第二局参事
       官        池田 伊臣君
   参考人
       日本放送協会会
       長        前田 義徳君
       日本放送協会副
       会長       小野 吉郎君
       日本放送協会専
       務理事      竹中 重敏君
       日本放送協会専
       務理事      佐野 弘吉君
       日本放送協会専
       務理事      松浦 隼雄君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会理
       事        吉田 行範君
       日本放送協会理
       事        坂本 朝一君
       日本放送協会理
       事        斎藤  清君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に
 関する調査
 (今期国会における郵政省関係提出予定法律案
 に関する件)
 (日中間の通信連絡に関する件)
 (国際電気通信及び万国郵便連合における中国
 代表権問題に関する件)
 (郵政省の庶民金融構想及び郵便貯金の利子引
 下げに関する件)
 (郵政事業における労使関係に関する件)
○日本放送協会昭和四十四年度財産目録、貸借対
 照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書
 (第六十五回国会提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の皆さんに理事会の経過を報告いたします。
 本日の委員会は、まず本委員会所管の調査を議題として鈴木、森両君から約一時間程度の質疑を行ないます。次に、前回に引き続きNHK昭和四十四年度決算を議題とし、質疑に入り、森君が休憩をはさんで質疑を行ないますが、以上のとおり運びますので、御了承をいただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(杉山善太郎君) まず、委員の異動について報告いたします。
 去る十日、中尾辰義君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(杉山善太郎君) まず、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。鈴木君。
#5
○鈴木強君 私は、きょうは提出予定法案の問題に関連をして若干大臣にお伺いをしておきたいと思いますが、その第一は、電波・放送両法の改正の問題でございますが、大臣の事業概況の御説明の中にも、一言半句この問題についてお触れになっておりませんが、御承知のように、昭和三十九年九月の八日に臨時放送法制調査会の答申が出てから、一度はこの両案を国会に提案をいたしましたが、一応審議未了になっている。自来われわれがこの問題をどうするのだという御質問に対しては、必ずこの国会に出すように検討するという御所見できたけれども、今回はどうしたことか立ち消えになってしまったわけです。われわれにとってはきわめて不満なところでありまして、一体どういう理由でこの国会に出さなかったのか、この点くらいは私は概況説明の中に当然織り込んでしかるべきだと思っておったのですけれども、これもございません。したがって、きょうはその点について大臣からまずお伺いします。
#6
○国務大臣(廣瀬正雄君) ただいまの御質問でございますが、私が担当の行政の概要について御説明申し上げるまでは政府の方針もはっきりきまっておりませんでしたから、あえて触れなかったわけでございますけれども、ただいまでは出さないというふうにきめております。御承知のように、ただいまお話がございましたように、昭和四十一年の第五十一通常国会に電波・放送法の改正の法案を提案いたしたわけでございますが、審議未了に終わったわけでございます。流産してしまったわけでございまして、したがって、その後政府といたしましては、毎国会つど提出予定の法律案には入れておいたわけでございますけれども、五十一国会で成立しなかったわけでございますから、さらに、検討を加える必要があるということで、自来ずっと勉強してまいりましたけれども、とうとういい成案を出せないままに推移いたしたわけでございます。しかし、今度こそは、このたびの通常国会こそは、ぜひとも提出いたしたいということで、昨年の夏ごろから郵政省のほうにおきましても鋭意検討調査を進めてまいりましたし、また、幸いに与党の通信部会の中におきましても、特に電波・放送法改正の――改正のためだけではございませんけれども、電波・放送の小委員会が設けられまして、両法律を改正するという目途のもとに、非常に精力的に御勉強を願ったわけでございまして、最近のごときは日曜、祭日も返上して、しかも、夜となく昼となく非常に忙しく御調査を進めていただきまして、ということは、ぜひ今度の国会に、出すことに政府に協力したいということで、そのような非常な熱意を示していただきました。私どももこれに呼応いたしまして、郵政省は郵政省といたしまして検討を続けてまいったわけでございますが、いろいろ問題点のありますことは当然でございます、御質問のとおりでございます。電波法におきましても、放送法におきましても、一々申し上げませんけれども、ただいま先生のおっしゃられましたように、改正を必要とするというような点が幾つかあるようでございまして、そういうような問題を検討した中で今日まで及んだわけでございますけれども、結局、仕上げまでにはもうちょっと要すると、そしてまあ党のそのような御勉強の結果を私ども郵政省のほうにお出しいただきましても、郵政省は郵政省といたしまして、また、独自の見解も織り込む必要があるのじゃないかというようなことも考えられますし、また、非常に重要な言論の自由に関する、あるいは放送番組の自由に関する大きな問題も包蔵いたしておりますわけでございますから、よほど慎重に各界の御意見もさらにさらによく承りますし、また、世論にも耳を傾けなくちゃならない、そういうようなことを考えますと、物理的にももう少し時間をかけたいというような感じがいたしましたし、そこで、いろいろ考えた末に、今度の国会にはまことに残念でございますけれども、出さないことに決定せざるを得ないというようなことに、つい一両日前に決定を見ることになったわけでございます。しかし、党におきまして非常に御勉強いただきましたその御功績と申しますか、御労作と申しますか、それは最も尊重しなければならないということでありますわけでございますし、私どもの考えもぜひともすみやかに結実させなくちゃならないということもございまして、今後、郵政省の中に特別にこのための小委員会を設けまして、私の在任中はむしろ私が先頭に立ってリードいたす気持ちで皆様方の御好意を必ず達成したいというようなことで、今後進みたいという責任は感じておりますわけでございまして、なるべく早い機会に、今度の国会は出さないということに昨今きめたわけでございます。この次の早い機会に提出させたいと、こういうことになっておりますわけでございまして、御激励を賜わりましたことにつきましては厚くお礼を申し上げます。
#7
○鈴木強君 従来、一度法案を提案されて審議未了になって以来の政府の、郵政省のお考え方というものはいま大臣がお述べになったようなことをずっと三年、四年と続けてきておるわけですね。その間に何らの進歩がないのですね。一体どこにこの問題点があってまとまらないのか、われわれはいつも口をすっぱくして申し上げておりますように、少なくともこの臨調の、臨時放送法制調査会の答申を一応ベターとして、これを内容とした改正案を出すべきであるということを言っておるわけですね。ところが、郵政省のほうでは、一番目玉になる放送局の免許の資格を大臣が与えるか、あるいは答申のように行政委員会というものをつくってそこで与えるのか、ここいらに一番大きな問題点があったと思うんですね。そのほかわれわれが心配するのは、番組に対する不当介入的なものがあってはいけない。こういうことも心配をしておるわけですが、いずれにしても、一応各界の専門家が集まって答申をされた、その答申というものがあるわけですから、大臣は、その諮問に答えて出された答申を尊重して法律改正をすべきであるというのがわれわれの主張なんです。ところが、一番大事な点をそらかして、依然として大臣が免許権を持つような従来の形に持っていこうとする、そこに一つの問題点がある。いまも独自の見解を郵政省としても織り込みたい、これももっともでしょう。ですから、そういう点がなんであるか、私よくわかりませんが、私が心配するのは、なるほど国会へ提案をして、これが審議未了になったといういきさつからして、大臣としてはできるだけ提案された場合にスムーズに国会を通すようにという御配慮があることはわかります。それならば、自民党のほうだけに意見を聞かないで、社会党やあるいは公明党や民社党や二院クラブ、その他あるわけであるから、そういうところにもたまには意見をどうですかと聞いたっていいじゃないですか。また、そういうことを聞いてもらうようにわれわれは従来から意見を出している。そうしますと言っている。にもかかわらず、野党側からは何らの意見も聞いてくれておらない。これは全く片手落ちであるし、われわれのせっかくまとめようとする趣旨にも合ってない。それは政党内閣ですから、与党である自民党にまず、一番に相談すること、これは私は当然だと思います。だから、それはそれとして、なお、野党側とのいろんな問題に対する意見等を聞いてもらって、そして、提案されたものがスムーズに運べるようにするというならそうしてもらいたい、そうすると言っているんですよ。ところが、それもやらないで、野党側はつんぼさじきに置かれて、何か今度の国会でもこれがうやむやになってしまうということでは約束が違うじゃないですか。それと、最近非常に大臣がいまお話になったように、今度の国会には出せない、したがって、党の小委員会をつくって、さらに検討を進めていくということですね。これは郵政省として大いに、陣容は不足かもしれぬけれども、とにかくあなたのスタッフもあるわけですし、するんですから、省は省としての行政の立場からきちっとしたものをつくるべきですよ。その過程においてそうするということならいい。どうも自民党の態度待ちをするようなことは、私は一つのいき方として間違いだと思いますよ。
 そこで、きょう私がこの問題について、一つだけ注意を換起して大臣の所見を承っておきたいのは、昨年の十月に十二チャンネルで「予告爆弾時代」という放映問題が出てきまして、これは自民党の総務会とか政調会でも問題になった。そして電波を介した不穏な発言がされていることを重視し、電波・放送両案の改正を含めた、いわゆる言論統制問題といいますか、そういう問題について検討をすることになったというような報道まで伝わっているわけですよ。したがって、「予告爆弾時代」というのは、確かに十二チャンネルでも制作意図を十分に反映できなかったとして反省しているようですね。これはこれとして、やはり番組の編成権というのは、あくまでも放送局側にあり、しかも、その番組について自主的にそれぞれの審議会等がございまして、そこで、それぞれのコードをつくって、それに適合するようにやっておられるわけですから、私は原則として番組は自主的にやはりコントロールしてもらう、つくってもらう、こういうたてまえでなきゃいかぬと思うんです。ところが、たまたまこういう問題出てまいりますと、直ちに今度は、私たちから言うと、便乗的に番組に対する一つの強い規制をしようとする動きが出てくる。これは非常に憲法の言論の表現の自由の点に照らしてみても私はたいへんな重要な点だと思うのですね。もしこの問題が、この両法改正が、このことによっておくれているとするならば、これは非常に重要な問題ですからね。大臣の所見を承っておきたいし、われわれも意見をまた出したいと思うのですが、ちょっと大臣もそういうようなことにもお触れになりましたけれども、そういうことが、今度の法律改正を提案できなかった大きな理由になっているのでしょうか。どうでしょう。
#8
○国務大臣(廣瀬正雄君) 御指摘になりました問題点はいろいろあると思うのでございまして、まあ、たとえて申しますと、電波法では、従来チャンネルプランと申しますか、チャンネルの配分使用ということについては行政指導でやっておったわけですけれども、これも法定すべきだというような御意見もありますし、また、免許の基準につきましても根本的な自由の問題については法定すべきだというような御意見もあるかと思いますし、また、放送法のほうではNHKはこういうような系統の放送をやるべきだ、民放はこういうような分野を守るべきだというようなことをある程度法律で制定する必要がありはせぬかというような考え方もございますし、また、民放の普及義務と申しますか、NHKにはそのような条文が放送法にありますわけですけれども、民放ではそういうことがない。これでいいのかどうかというようなこともございまして、これを法定してはどうかというような御意見もあるようなわけでございまして、そういうわけで電波法、放送法ともいろいろな問題を包蔵しておりますことは御指摘のとおりでございまして、こういう問題を逐一私どもも検討し、党のほうでも御検討いただいたわけでございまして、番組につきましての御指摘がございましたけれども、これは先刻申しましたように、憲法の自由の大精神に背馳するようなことは絶対できないことでございまして、番組の内容に触れるということはタブーだということもよく存じておりますわけでございますけれども、ただ最近のように暴力が横行する、また、ベッドシーンなんかというあまりにも卑わい、わいせつな番組も非常に多いというようなことを見過していいかどうかというような疑念も持ち得るわけでございまして、したがって、四十四条の三項には触れたくございませんし、また、四十四条三項に書いてあります公序良俗に反するということに暴力の問題もわいせつの問題も含まれておるかと思いますけれども、こういうことはもう少し……、四十四条三項は私は実質上は道徳基準だと思っております。準則だと申しておりますけれども、それに違背したからといってすぐに電波法七十六条に持っていって罰則をかけるわけにはまいりませんし、また、そうあるべきでないと、私どもは考えておりますわけでございます。結局ただいまお話のように、番組の向上というのは放送業者の自主的な良心に訴えてやっていただくということ以外に方法はないと考えておりますけれども、それにいたしましても、準則に暴力の否定とかあるいはわいせつの排除というぐらいのことは道徳的にうたっておく必要がありはせぬか。公序良俗という明文がありますけれども、もう少し強化する必要がありはせぬかという気がいたしておるわけでございますけれども、これもなかなかむずかしい問題でございまして、いわばペンディングのままでございます。
 それで、われわれがなぜ野党に相談がなかったかというお話でございましたが、私どもの気持ちといたしましては、一応与党の御案ができましたならば、それを政府のほうで引き取らせていただきまして、そして、先刻私が申しましたように世論を拝聴し、各方面の各界の意見も承って、政府の案にしなければならないと申したのはこのことなんでございます。与党がそういう案をつくりましても、野党の皆さま方の御意向はどうであるかというような御意見を承るチャンスを私どもといたしましてはつくりたい。どうせ国会に出しますならば、なるべくスムーズに各党の御協力をいただいて成立のできますようなことに持っていきたい、最大公約数を見出し得るものだと、また、そのようなことに努力しなければならないと思っております。決して野党の皆さまの御意見を没却しているわけではないので、自民党は自民党の立場もございましょう。また、ただいま例に出されました十二チャンネルの問題等のこともございますけれども、自民党内にはただいまお話のような御意見がございましたが、これまた私は世論の一種だと思うのでございます。各党各界の御意見を世論として承わって、そして政府といたしましてのりっぱな法律案をつくりたいということでございますから、かなりこれは日数を要するのではなかろうかというふうに考えております。時間的に今度の国会には間に合わないということでございます。自民党のたいへんな御勉強に感謝しつつ、もうしばらく時間を借していただきたいということで、私ども引き取って、皆さんの御意見を承りつつりっぱな法律案をつくりたいということで、今後も努力を重ねたいと思っておりますから、さよう御承知願いたいと思います。
#9
○鈴木強君 あの大臣、歴代大臣というのがもう早いのは半年ぐらいにかわって、まあうまくいっても一年ちょっとぐらいしかおられぬのです。ですから、われわれずっと十数年間ここにおって頭の中にこびりついている。ところがかわってくる大臣にはその間の連携というものが十分頭の中に入っていないように私は感じます。一体この前の法律改正が審議未了になったのはどういうところに原因があったのですか。あなたが言うように、自民党にも相談をしてきまってから野党に相談しようと思うのだ、こんな失礼なことはないですよ。そんなことをやったからこの前流れたのです。しかも、衆参両院に対する工作が同じ与党である自民党でもうまくいっていなかった。だからあなた方が出した法案を国会で修正するということやっと野党の間で話し合いがついて、衆議院段階である程度話し合いがついていたのですけれども、時間切れで廃案になったといういきさつがあるのです。ですから、どうせおやりになるならばコンクリートされてしまって、それを御意見を承りますと言いましても、そこにやはり問題があるのです。ですから、私は逓信部会なんかに政府の皆さんにおいでをいただいて党は党としてお伺いしますけれども、もうこうきまっている状態では意味がないと思うのです。かつてわれわれはなぜもっと前にいろいろな意見を聞いてくれないかという要望も出しました。一時は聞いてくれたこともあります。われわれはそれは意見であり、要望である。それを最終的にとりまとめてやるのが政府でしょう。政府が立法権を持っているわけですから、政府が御提案になったものをわれわれが審議するその前段として下相談なのですから、それであれば、私はあまり形式にこだわらないで、特にこういうふうにこじれた問題についてもっとフランクに各野党にも並行的に伺ってもいいじゃないですか。そういうふうにわれわれは理解しておるのです。しかもまた、前回の提案の経過からしましても、われわれはもう少し衆参両院に対するあれにしましても、あるいは与党、野党にいたしましても、特に与党にしたってこの前なんかは衆議院と参議院とは意見が対立するものが出てきている。それはやはり事前の連絡が非常に不十分だということに第一の原因があったわけです。だから私は、そういうことを申し上げて皆さんにお願いした、大臣も考慮しますと言っておきながら、どうもいよいよの重大階段になってくるとわれわれにはきまったものを押しつけてくるような形でただ説明を形式的にする、こういうことでは意味がないのです。ということをもう一回あなた頭の中に入れておいていただいてこの問題に取り組んでいただかないと、非常に私らとしては過去のいきさつの上から言っても不満です、いまのあなたの態度というのは。
 それからもう一つは番組に対する姿勢のことですけれども、これはいまここで大臣と私と僅かの時間で論争するのにはあまりにも問題が大き過ぎるのです。ですからいずれ私はこの委員会に、委員長にもお願いをして番組関係者を、あるいは国民の皆さん方を代表する方々にもおいでいただいて、そして最近におけるテレビ、ラジオ等の番組について御意見も承って、そしてまたわれわれも参考にしたいと思うのです。私も最近のテレビなんか見ておりまして、確かに目に余る点があります。ですから、こういう点はやはり直してもらわなければならないということを強く感ずるのです。だが、感じたからすぐ放送法によって法律で規制していくという、そういうやり方についてはこれは慎重を期さなければならないということを申し上げているのです。ですから、いまポルノの問題でも、映倫の委員を警察が取り調べるというところまで進んでいるのですが、それは確かに街頭の書店なんかに並んでいる最近の週刊誌だとか、いろいろな雑誌が出ております。写真なんか見ましても確かにわれわれから見ても、年代のあれもあるかもしれませんけれども、目をそむけるようなものがたくさんありますよね。ですからそういう点を、やはり公事良俗ということが憲法上にあるわけですから、その公序良俗を大臣がおっしゃるようにどういうかっこうにしていくかということだと思いますけれども、それを私は法律によるべきでないということを申し上げているのですよ。ですから、もっとこれは、池田内閣以来番組に対するいろいろな懇談会も持たれて番組向上委員会というものをつくっているのですけれども、これも結局いつの間にかうやむやになってしまって、名前だけはあるのだが、実際の活動はできないような資金状態になってしまっているわけですよ。だからもしそのことを重要視するならば、もっと政府はそういう番組向上委員会などに積極的に金を出していいと思うのですよ。そうして報道界、言論界あらゆる皆さんの協力を得て、そうして国民の楽しめる、教養を豊かにするような番組をどんどんつくってもらうようなことを自主的にそういうところからやってもらうということですね。そういう方向にもっともっと力を入れるべきですよ。そうしてこうやってああやって、やってみたが、どうにもこれ直らぬということで話をしていくなら話はわかりますけれども、何もそういう点をあまりやらないどころか、むしろあと下がりになってしまって、そうして法律だけで規制をしようというような、そういうことで、放送法がおくれているように思うのですよね。これは重大問題だと私は申し上げているのです。これはいずれもっと時間をかけて私の意見を述べたいと思います。きょうは私の見解だけ申し上げて、もし大臣あったら言ってもらいたい。
 前段のことについてはもう少しいきさつ等も考えて、もっとこだわらないで、大臣はざっくばらんな人ですからね、ひとつ、われわれも電波法・放送法の改正を考えているのだけれども、各野党にも意見があったら出してくれとか、私どもに公式、非公式問わずにそういうような話し合いをしてもらったっていいじゃないですか、これは。むしろわれわれはそれに対して協力しようという態度があるからそう言っているのですよ。
#10
○国務大臣(廣瀬正雄君) 私さっき御説明申し上げたこと、ちょっと足らなかったかと思いますけれども、成案を得て固まってしまって皆さん方の御意見を承るというわけでは決してないのでございまして、郵政省の省の案を固めるには皆さん方の御意見を承らなければならぬので、ある程度やはり何かたたき台と申しますか、基礎がなければいろいろ御意見を承りにくいわけですから、もうきめてしまって、これを国会に出しますから御審議をしてくださいといって御提出を申し上げるというような内容のものでは決してございませんので、りっぱな法案をつくるには皆さん方の御意見を承って政府の責任においてりっぱに仕上げをして出したいという気持ちでございますから、その点をひとつ誤解のないように。
 それと、番組の向上については、私もつらつら考えてみますと、しょせんやはりこれは法律でとやかくいうことはできないと思っておりますので、やはり放送業者が自主的に、あなたのおっしゃるように番組向上委員会というようなもの、現にございますけれども、そういうようなものがいろいろ意見を申しまして、そうして放送業者が自主的にやっていくということが一番いいと思っておりますが、それで私は、実は放送番組の向上委員会に、いまお話のありましたように、政府からも相当多額な金でも出して活発な活動を願いたいという気持ちも持ったのですが、ただ、政府が金を出しますと、何だか政府が放送番組について官僚統制と申しますか、政府統制というようなことをやったように思われてもぐあいが悪いので、その辺がなかなかむずかしいところでございまして、金はほしいでございましょうし、金がなければ十分の活動はできないということはわかりますけれども、政府の金はなかなか出しにくいようでございます。私どももそのことはよくわかりますので、またその辺のことについてはぜひゆっくりお話を承る機会を得たいと思っておりますのですが、そういうことでございまして、番組を向上する必要があるということに御協力いただいたということについては感謝を申し上げまして、そういう方向で指導してまいりたいと思っております。
#11
○鈴木強君 ちょっと誤解があるので、大臣、いま私が政府からもっと金を出してもいいのじゃないかと、こう言ったのは、大臣がおっしゃるように、政府の金で、政府の金に依存してやるということじゃなくて、もっと、それはやはり何と言ったって、放送業界と国民のものでなければいかぬわけです。放送というのは特定のものじゃいかぬのですから、そういう意味でももっと国民も放送業界もみんなで金を出し合ってもいいじゃないですか。それにやはり政府も応分の補助を、援助をしていただいて、そうしてやってもらうということであって、少なくとも政府が出す金が全体の運営を支配するような形のものは、これは全く私考えておりませんので、誤解があるといけませんから。そういう意味ですからその点をひとつ。
#12
○森勝治君 関連。
 大臣の前段の答弁に関連して質問をしたいんだけれども、大臣がお答えになったような状態で進んでおれば鈴木質問というのは行なわれないわけです。鈴木さんも具体的な事例をあげて質問したわけでありますが、大臣は、いやそういうことしてないと前段で明確にされておりますから、私は、また実態論で申し上げてみたいんですが、たとえば、一例で申し上げますが、四十七年度のNHK予算の提案、この予算の問題につきましてもNHKからもうすでにいち早く郵政省にこの案が出されておる。われわれもこれを知りたいから説明せいと再度にわたって郵政省に説明を求めたが、郵政省の態度いまだ決定するに至らずのゆえをもって、われわれ社会党の逓信部会が要求したって応じてないのですよ。あなたはそんなことないとおっしゃるが、現実にそうなんだよ。大臣の趣旨をもって省の方針とするならば、そういうことはないはずです。私は、このことであまり時間取りたくないから、つぶさに指摘するのはやめますけれども、一つだけ事例をあげて申し上げるんで、これはあなたのほうも十分、大臣の趣旨全くそのとおりならばあなたの部下に命じて、わが党に対する従来の扱い方については十分反省をしていただきたい。
#13
○国務大臣(廣瀬正雄君) ただいま御指摘のことにつきましては、将来そういうことのないように十分注意いたします。
#14
○鈴木強君 それでは、これに関連をするかどうかちょっとわかりませんけれども、もう一つだけ、電波関係でお伺いしておきたいんですけれども、日中間の通信連絡のことですけれども、現在、日中間の通信連絡は短波による電話四回線と電信三回線、このうち一回線は写真の伝送に使っているんですが、非常に回線数が少ないし、短波ですから音質も悪いというので、将来の日中通信に対してはどういうふうにやったらいいかということは、当然、国交回復とあわせて郵政省なり外務省として検討を急がなければならない問題だと思うんです。
 そこで、たまたま御承知のように、ニクソン訪中のときに、北京と上海に地上局というものが設置されました。これは衛星通信用のものですけれども、そのうち北京のほうはニクソンが帰られたあと撤去されたようですけれども、上海につくられたものは、そのまま存置して、それを国際通信用に使おうという話があるそうです。それで、通信衛星暫定委員会ICSCの二月の幹事会でもこのことが承認されているというふうに聞いておりますけれども、そこでKDDがたまたま、四月の中旬から広州で広州交易会が開かれまして、日本からも相当の人たちが参りまして、通信も相当にふくそうするので、この際に、日中間の広州通信連絡用としてもこの衛星通信の地上局を使って日本との間に通信したいということを強く希望しているように聞いておりますけれども、大臣として外務省との関連もあると思いますけれども、この御趣旨は私は無理ないことだと思いますから、ひとつ積極的に外務大臣とも御相談なすって話を進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#15
○国務大臣(廣瀬正雄君) 日中間の通信の問題でございますが、これは戦後の国交がこういう状態になりまして、まだ正常化しておりませんものですから、実務者が非常に努力をされまして、ただいま御指摘のように電話は四回線、そのうち一つ写真伝送になっております。それから電信が三回線ということでやっておりますが、郵便は、御承知のように、わずか香港で航空便も船便も交換しているというような状態でございまして、きわめてまあ活発な状態でないわけでございます。
 そこで、国際電電といたしましては、つとめて短波の通信の時間を長くしたいとかあるいはふやしたいとかいうような努力もずっと続けておるわけでございますが、残念なことには国交が正常化いたしておりませんので、思い切った開発ということがまだ政府間の折衝でできないという状態にあることを残念に思っておるわけでございますけれども、ただいまニクソンの訪中のときに持ってまいりましたポータブルと申しますか、あの地球局のことの例なんかもございますし、一つは残したそうでございますが、そういうことを契機といたしまして、今後も外務省とも相談をしながら国交が正常化するまでは実務者の努力を重ねましてできるだけその道を志してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#16
○鈴木強君 ちょっと積極的ですけれどもね。ニクソン訪中によって少なくともアメリカがチンコム、ココムの制限がかなりある中で、ああいった制限機機器である通信器までやっておるわけでしょう。ですからどうも日本の政府は、日中問題に対してまだ何か割り切れないような考え方を持っている。
 けさの報道を聞くと、イギリスも、台湾は中華人民共和国の領土の一部であるということを正式に認めて大使の交換もするということまで割り切っているわけです。ところが、サンフランシスコ条約その他の問題もありまして、どうも最近の衆議院のほうの論争を聞いておっても行きつ戻りつ何かしら積極性がないように思うのですね。しかしいままで総理が、本会議で質問をしましてもまず日中間でやりたいのは通信の問題あるいは人の交流の問題あるいは気象関係ですから、もっと大臣、担当ですからね、この際もうすでに国連でも中華人民共和国が正統政府として加入されているのでありますし、かなりそういうことを認識して、前提にして話をするというところまで統一見解が出ておるわけですから、もっと積極的にこういう問題を取り上げてほしいのですよ。そして当面この地上局、地球局が上海に残されるわけですから、日本は絶好の機会で、広州交易会等の機会に通信も質のいい衛星通信を使おうという試みがいま担当であるKDDからやられているわけですから、すぐさまこれを取り上げて外交折衝に移して、何とか四月中旬のこの通信に支障がないように取り計らっていくというもっと前向きの姿勢を私は出してほしいと思うのですよ。時間がありませんので、もう一回大臣のその積極的な意見を、KDDの意向を取り上げてやってください、外務大臣と折衝して。どうですか。
#17
○国務大臣(廣瀬正雄君) そのように努力してまいりたいと思っております。
#18
○鈴木強君 それからこれとの関連で一九二〇年、大正九年の九月一日に中国と国際電気通信連合というITUとの関係ですね。これがつくられたわけですけれどもね。いろいろ附属覚え書き等を見ますと、チャイナということばを使っておるので、この点、台湾政権が戦後サンフランシスコ条約に調印をするというようなこういうようないきさつもありますけれども、このITUとの関係はいま日本はどういうふうに考えておるのですか。同時に万国郵便連合のUPUの場合も同様のことが考えられるのですけれども、これ簡単に結論だけひとつ郵政省の見解を表明してください。
#19
○国務大臣(廣瀬正雄君) ITUのほうにつきましては、まだ、中国というまあおことばでございましたが、チャイナでございますか、この加盟問題につきましては、まだ具体的には措置がとられておりませんので、幸いに五月二十七日から管理理事会が開かれることになっておりまして、中国はこの管理理事会のメンバーになっておりますようですから、その管理理事会で問題がきっと取り上げられるというように考えられておりますわけでございまして、その管理理事会の決定によって方針がきまるわけでございますが、外務省とも十分協議いたしまして進めてまいりたいと、管理理事会で一応の結論が出ましたならば、それを取り上げて外務省とも十分協議をいたしまして政府としての方針を確定いたしたい、こういうふうに考えております。
 それからUPUの問題は、御承知のように、日本が執行理事会の議長国となっておりますわけでございまして、UPUにおける中国代表権の問題をどのような手続によって解決するかということにつきまして、昨年の十二月に執行理事会のメンバーの三十一カ国に対しまして、郵便によりまして意見を聞いたんでございますが、その結果、理事国といたしましては、過半数のものが、このUPUに加盟いたしております、全加盟国に対しまして郵便による投票をしてもらって、そして方針をきめるべきであるという意見が、その理事国への諮問によって過半数できまりましたわけでございますから、日本といたしましても、二月の二十一日にUPUの事務局長に対しまして、全加盟国に諮問を行なうようにという指示をいたしましたわけでございまして、全加盟国の意向をそのことによって承りまして、UPUといたしましての方針をきめるということになりますわけでございます。そういうような段階になっております。
#20
○鈴木強君 ここでいう中国というのは、チャイナなんだから、このチャイナというのは中華人民共和国か、あるいは台湾かという論争がまだあるわけですね。それでこれはそれぞれUPUにしても、ITUにしても、国際連合の付属機関ですね、専門機関ですね。ですから私は国際連合というのがああいうふうにはっきり中華人民共和国というのがメンバーになれば、これは即中国というのは中華人民共和国であるというふうに呼びかえてしかるべきだと思うのですね。そういう見解で今後日本政府は進めるべきだと思いますけれども、この点どうですか。
#21
○国務大臣(廣瀬正雄君) どうもそのように簡単にはまいらないようでございまして、やはり全加盟国の意見を聞いて、それによって方針をきめるというようなことであるべきだと思いますので、その手続をただいま申しましたようなことでとっておりますわけでございます。
#22
○鈴木強君 全加盟国に郵便で投票させるといったって、じゃ日本は一体どういう態度なんですか。議長国である日本が一体どういう態度なんですか。人の意見を聞いてからほいほい賛成するんですか。
#23
○政府委員(溝呂木繁君) ただいま大臣の御答弁に少し補足させていただきますが、いま鈴木先生がおっしゃいましたように、国連の決議が出た場合、その専門機関がこれをどのように受けるかという問題が一つございます。その点につきましては、UPU関係につきまして、国際連合と、それから万国郵便連合との間の協定というのがございまして、その条文によりますと、「連合」――いわゆるUPUは「国際連合が連合にあてて行うすべての正式の勧告を、万国郵便条約に規定する手続に従って、有用な目的のため、その大会議、事務小会議及び委員会又は連合員にできる限りすみやかに付託するために、すべての措置を執るものとする。」ということになりまして、ちょうどアルバニア決議案が出まして、それに基づきまして国連からUPUに向かって勧告がなされました。したがって、その勧告を受けまして、その勧告をどのようにUPUの連合員にはかるかということで、先ほど大臣、御答弁しましたように、まず、理事国に全員の投票によろうか、それとも理事国だけの投票できめようかという手続をきめたところ、やはりこれは大問題だから、全加盟国に郵便投票をしてきめるべきだということが理事国からはね返りましたので、今回国際事務局のほうから全加盟国に郵便諮問を行なうという手続をとったわけでございます。
 そして議長国としてとるべき手続はそのような方法でやることが公平であろうということでとりましたが、今度は一加盟国として日本がその諮問に対してどう答えるかという問題が、後段の御質問かと思いますが、この点につきましては、まだ外務省と――これは主として代表権の問題になりますと外務省が主体になりますが、UPUということで郵便に関連しますので、郵政省との間でいろいろ今後検討を続けていきたい、こういう考えでございます。
#24
○鈴木強君 筋道は郵務局長のお話でわかりました。だから、大基本方針というものはきまっているわけだから、それを諮問をするわけですね。ですから、その方針に日本が沿っていくのはこれは当然なことで、あなたは外務省に気がねして少し遠慮されているわけだが、ここは大臣、ひとつ方針がきまっているわけだから、日本もすみやかにそれに大いに賛同し、しかも、幸い議長団ですからリードしてやってもらいたいと思う。これはITUのほうも同じですから、お願いしておきます。
 それから時間が非常に少なくなっておりますので、あと郵便貯金の庶民金融の問題と、郵便貯金の利子の問題でちょっと大臣に伺っておきたいのですが、郵政省が発案されましたこの庶民金融というのはわれわれも賛成ですよ。で、党は先般、意見をまとめまして郵政大臣にも申し入れてありますので、ごらんいただいていると思いますが、これはどこにでも全国一万何ぼ郵便局があるわけですね、窓口が。そして安直に借り得る金融の方法としては非常に時宜を得たものだと思うのです。ただ、自分が定期預金や積み立て貯金をしておって、それが期間の関係で引き出せないので、それを担保にして借りるようなものですから、できるだけ優位に扱ってやるというのがこれが一つのメリットだと思いますね。ですから、金額を何か最初三十万といったのが十万にダウンしちゃったような話を聞いておりますが、われわれは三十万くらいが最低じゃないかというふうに思っております。あとは貸し付けの期間とか、あるいは利子の問題ですけれども、それもひとつできるだけ優位にして差し上げて、それぞれの法案を今度の国会に提案されるように、これはあなたの業務の中に入っているわけでして、われわれも提出を期待しているわけですけれども、どうも一般都市銀行、市中銀行ですね、銀行筋とか、あるいは最近では農協も何か反対だというような陳情がわれわれのところにきておりますよ。それはそれぞれの機関で私は大いにやったらいいと思うんですよ。郵便は郵便。それから一般民間の貯蓄関係、銀行関係、あるいは農協にしても、むしろいままでやっていないのがふしぎで、やっておられたかどうか知らぬけれども、あまりぴんと国民の中には入ってきてない、こういうことですから、大いにこれはおやりになったらいいんです。ですから、郵便の庶民金融というのがいけないというのはちょっと私は筋違いのように思うんですよ。しかし、われわれは特に関係をする者の一人として、ぜひこれは早く実現をするようにしてもらいたい。あまり右往左往しないで、大臣の所信でおやりになったらどうかと思います。
 それからもう一つ、郵便貯金の利子の引き下げの問題は、いま金融は非常にダブついておりますし、景気の問題にもからんで公定歩合も何回か引き下げられておりますので、市中銀行の金利等も引き下げをしようというようなことも出ているわけです。しかし、郵便貯金の庶民性にかんがみて大臣が絶対に利子は引き下げない、こういうふうな所信を表明されておりますから、われわれは大いにこれに共鳴して支援しようと思っているわけです。現在も利子引き下げについては断固反対をし、現状非常に不満であるが、その率を守っていくという所信に変わりないのかどうか。この二つの点を伺いたい。
#25
○国務大臣(廣瀬正雄君) 金融関係で当面いたしております二つの問題について、たいへん御激励をいただきましたことを非常にうれしく思っておるわけでございますが、郵便貯金の預金者の個人貸し付け、俗に庶民金融と言われておりますけれども、大げさに庶民金融と言われておりますけれども、実質はただいまお話のありましたように、預金者に預金の引き出しにかわりまして別途貸し付けをしようというだけのことでございまして、御承知のように郵便貯金、ことにその大宗を占めております定額貯金は、預入の期間が長ければ長いほど有利になるわけでございますから、途中で引き出させるのはいかにもその人のために惜しいということで、わずかの生活資金、ねらいは生活資金でございますけれども、生活資金に郵便貯金を引き出すことなく、別途貸し出しをするというのが私どもの考えの基本をなしますものでございまして、国会でもすでに衆参両院で本会議で四回も決議をいただいておりますわけでございますし、また、世界各国の例を見ましても、政府が郵便貯金をやっております国の多く、また、営利を離れて公益事業として貯蓄銀行をやっておりますその貯蓄銀行も非常に多くが個人貸し出しもやっておりますというような例もありますわけでございますから、ぜひものにしたいということでただいま努力中でございますが、御承知のように、政府の法案提出のタイムリミットというものが切迫してまいっておりまして、非常に気をもんでおりますが、まだ、今日までのところ、主として関係のありますのは大蔵省でありますけれども、大蔵省との間に話し合いが十分遂げられてないわけでございまして、この点はまことに残念に思っておりますけれども、これをぜひすみやかにそういう機会を大蔵省につくっていただきまして、私のほうからは何度となく会見を申し込んで催促をいたしておるような次第でございまして、まだ大臣段階で協議をする、話し合いをするという場がないことをほんとうに残念に思っておりますが、きょうも閣議でその促進方を官房長官にみんなの前で要請をいたしておいたような次第でございます。何とか御期待に沿うような努力を重ねてまいりたいと、こういうように考えております。
 内容につきましては、鈴木先生の所属しておられます社会党では個人貸し付けの個人の限度は三十万にすべきだという御意見がきまりましたことも承っておりますし、与党の中におきましてはその三十万を十万にして、トータルで限度がありますわけでございますから、というのは、郵便貯金は申すまでもなく、財政投融資の非常に大きな部分を担当いたしておりますわけでございまして、それに支障があってはならないということで、全国の総額には限度がありますわけでございますので、個人の単価を小さくしてなるべく口数を多く、あまねくみんなに利用していただくという考え方も私は一理あると思うわけでございます。まだ最終的にその個人の貸し付けの限度を党のほうでは十万と部会のほうではきめていただいておりますが、そのことも非常に参考になる御意見だと思いますし、また、社会党さんのおっしゃっておりますこともきわめて有力な御意見だと思いますので、そういうことを勘案いたしまして、最終的な決定をしなければならないと、こういうように考えておりますわけでございます。何とか政府提案で各方面の了解を得て出したいと、農協につきましては、私は御指摘のとおりだと思うわけでございまして、決して競合するものではないと思っております。農民の反対がありましてはできないということもよく知っておりますわけでございます。私は一部、金融業者の反対をおそれておりませんけれども、農民の反対は非常に考慮しなければならないと思っておりますが、このことにつきましては非常に誤解が多いのじゃないかと思いますので、その方面の説得についてはさらに十分努力を重ね、決して競合するものではない、農協も個人のそうした生活資金を貸したなら貸したでけっこうでございますし、両々相まってお互いに補完し合って国民の生活の福祉の増進をはかっていくことが必要なことじゃないかと思っておりますので、そういう考えで進みたいと思っております。
 それから、預金金利の引き下げの問題でございますが、これは私は、産業資金の銀行預金と、郵便局の、国民の生活資金と申しますか、その累積であります郵便貯金というのは性質がおのずから違うものだというように考えるわけでございまして、産業資金であります銀行預金というのは、公定歩合が引き下げられております現在でございますから、これに関連いたしまして銀行預金の利子は大いに下げていただいてけっこうだと思いますし、そうあるべきだと思っております。国民のためにもそうなくちゃならないと思っておりますわけでございますけれども、郵便貯金はそういう産業資金ではございませんで、国民の生活資金でございます。生活資金だということになりますれば、いわば消費者資金だということになりますわけでございますので、いまのように消費者物価がどんどん上がっているという時勢から考えましても、郵便貯金の金利の引き下げというのは行なわしてはならないということは、私は当然だと思っておりますわけでございます。現在のところ、従来の信念は変わっておりません。
#26
○鈴木強君 どうも、二つとも少し伺っておってニュアンスの点かどうかわからぬが、われわれが新聞などで見る大臣の意気込みと若干ダウンしているように思うのです。これは、私の感じ方が間違っておりますかね。
 それで、貸し付けの利息ですね、貸し付け利息を幾らくらいにするか、あるいは貸し付け期間を幾らくらいにするか、まあ、半年くらいということも聞いておりますが、それから資金総ワクは一千億ですか、そういうようなこともちょっと新聞に出ておりますけれども、その辺は、一人当たりの貸し付け十万というのもわかりました。郵政省は三十万と、いまこう考えているわけでしょう、じゃないのですか、その辺をもう少しはっきりさしていただきたい。
 それから、郵便貯金利子の引き下げについては、これはあなたの言うように思い切ってやってほしいですよ。現在、物価との関係で貯金をしておってもなかなか総理大臣の言うように賃金が上がっているからいいじゃないかという論にはならぬですよ。やはり郵便貯金の利息自体も物価から見ると、物価上昇が多いことから見ると、それだけ金の値打ちが下がっているわけです。ことに、個人に、百五十万円に今度最高なりましたけれども、そういうふうな庶民貯蓄的な意味を持っておる、おっしゃるとおり。だからこの点はっきり、相当強硬な意思でやっていただきたいと思いますがどうですか。何か、大蔵省に陳情しているような話をしているのだけれども、あなたは国務大臣ですから閣議もあるでしょうし、水田大蔵大臣と閣議の席上話すこともできるでしょうから、これは郵政の事務次官や官僚の諸君にまかしておってはだめですよ、やっぱり高度の政治的な判断で、大臣ベースでやるべきですよ。そういうことをおやりになって、何とか目的を達成するようにしてほしいと思いますね。
#27
○国務大臣(廣瀬正雄君) 私は、表現がまずかったかもしれませんけれども、二つの問題に対する意気込みは断じてダウンいたしておりません。
 貯金金利の問題は、これは大蔵大臣にも何も相談する必要がないのでこの所信どおりでまいりますわけでございますから、これは最初からそういう方針でがんばっておりますわけでございます。
 それから、いわゆる庶民金融、郵便貯金の預金者貸し出しの問題でございますが、個人の貸し付け金額の制限につきましては、三十万という郵政省の案を持っておりましたけれども、党内の非常に有力な十万という説も出ている、これも参考にしなくちゃならない。また、社会党のほうにも三十万という御意見も出ている、これも参考にしなければならないということで、まだはっきりした内容ができ上がってないというのが実態だと私は思っております。それから、期間は最初から六カ月、これはまあ党のほうでものんでいただいておりますし、社会党さんのほうでものんでいただいておると思います。
 全国の一年におけるトータルの問題でございますが、これは最初、大体一年の郵便貯金が大蔵省に預託いたします、つまり財政投融資の資金でございますが、これは大体二兆円でございます。その二兆円の一分――一%の二百億程度を、二百億円を全国のリミット――限度というふうに考えておったのでございます。二百億と一口に申しますけれども、半年が期限だということになりますれば、いろいろ計算の方法があるそうでございまして、四回転大体するということでございますから、二百億の四回転でございますから八百億になるということで、その八百億が毎年一分ずつふえてまいりますので、かなり将来は有力な原資ができるというように私ども考えておったのでございますけれども、自民党のほうでは、期間は六カ月でよろしいと、ただ、全体の限度については、二百億じゃ少な過ぎるぞ、一千億程度にしろ。一千億だと申しますれば、財投に預託いたします総額の二兆円の五分になりますわけで、そうなりますと、九五%を財投に預託する、五%はこちらに使わしてもらうということになりますが、その辺も大蔵省のかんにくるところじゃないかというように思っておりますが、これはまだはっきりした――政府といたしましては二百億ということを要項に一応うたっておりますけれども、党からそういう意見も出ておりますので、これも参酌しなければいけないという程度でございます。
#28
○鈴木強君 利息は。
#29
○国務大臣(廣瀬正雄君) 利息は六分でございます。これは党でもそういう意見でございますから、これでいきたいと思っております。そういうところで、きょうはちょっと声がだみ声で、どうもこういう声でございますけれども、意気込みは決して劣っておりませんので、さよう御了承いただきたいと思います。
#30
○鈴木強君 やはり熱意というものがなければだめなんですよ。やはり熱意が世の中を動かすことがあるから、やはり大臣が初心に向かって、いいと思ってやったことは、その目的を達成するために省をあげて進まなきゃいかぬでしょう。そういう気迫から見て、あなたいつも元気だ、きょうはちょっと何かないように思うからね。しかし、これは大蔵省あたりから押されたんじゃないかという気もしたものですから、老婆心ながら……なければけっこうです、やってください。
 それから最後に、時間がないから、私はちょっと自分の考え方を述べて森委員にバトンをタッチしますけれども、先般、私は王子の郵便局に労使間の紛争問題に関連をして二、三お尋ねしたいことがあったものですから、現地のほうに視察に伺ったんです。ところが、郵政省というのは実に国会議員を粗末に扱うところですね。まず、われわれは局長室に入ろうと思って行きましたら、庶務課長にとめられましてね、入っちゃ困るというのですね。こういうことはだれかが指導しているのか、国会議員が行ったときには簡単には局長室に入れてはいかぬぞというような指導をしているのですか。私は、いろいろその後お会いをして幾つか話を伺ったんですが、まさに管理者として適格性を疑いましたね、ほんとうですよ。常識がないですよ。まさにそこらのどろぼうか何かに接するような、まず疑いの目を持っていますね。国会議員だということの認識が足りない。だから、われわれの言うことを一つも聞いてくれない。しかも、われわれが言うことは、そんなに非常識な的はずれな間違ったことじゃないです。だれが聞いてみたって通るような話ですが、そのことすら拒否するのです。これじゃ郵政事業がうまくいくはずがないということを私は率直に感じました。見方がやや一方的だと、大臣がおっしゃるかもしらぬがね、これは具体的にはもっともっと時間をかけて当日の視察の模様等についても、私は大臣に申し上げて、それから御所見を承らなければ、多少誤解があるかもしれませんけれども、私も国会に議席を持たしていただいておりますから、そう間違ったうそを大臣に申し上げようと思いませんし、事実は事実としてあなたに申し上げてお聞きしたいと思っていたのですが、私ちょっと所用がありまして、これ以上質問を続けられませんですから、あと森さんもまた同じように視察に行っていただいておりますから、意見があると思いますから、ひとつ十分聞いていただきたいと思いますけれども、非常に残念ですね。ああいう状態では、郵政事業が幾ら大臣が高邁な指導方針を出してやってみても、うまくいきません。要するに、事業というものは人ですから、その人が一体になってやれるような体制をつくっておかなければ、どんなりっぱな経営者がおっても仕事がうまく回らない。そこでは、相反目して、お互いに疑心暗鬼で、そして疑いの目をもってお互いの行動を監視し合っているというような、そういう異常な状態になっております。これを抜本的に解決してもらわなければ、郵政事業というのはうまくいかないように私は思うのです。そういう感じを私は受けましたので、大臣に申し上げて、あと森委員のほうも、具体的な問題を出すと思いますから、答えてもらいたいと思います。
#31
○国務大臣(廣瀬正雄君) ただいま鈴木先生の御指摘のことは、決してうそじゃないと思っております。事実そうだと思っておりまして、非常に申しわけないと思っております。実はきのうも社会党の諸先生方から、いろいろ具体的に例を出されまして、非常におしかりいただいたわけでありまして、何とも抗弁の余地はなかったわけでございますが、御視察をくださいまして、その内容の見方と申しますか、調査の結果についていろいろ御意見があった、そういう御意見については、多少私ども意見が違いますよというようなことはあるかもしれませんけれども、まだきのうはそこまでは承っておりませんけれども、入口からそういうような態度を局員がとったということは、何とも非礼千万でございまして、ほんとうにおわびの申し上げようもないと思っております。私はやっぱり先生と同じ意見でございまして、国会議員でございますから、それはどの政党の国会議員でございましても、仕事をよくしてやろうというお考えから、わざわざお忙しいところ局においでくださって御調査いただくわけでございますから、気持ちよく迎え入れまして、そして表も裏も十分御視察を願って、そして御指摘いただき、御指導いただきたい、そうなくちゃならないと、私は思っております。ところが、それができなかったということでございまして、これはほんとうに残念千万に思っております。これは結局私の責任でございます。私の指導力がそこまで――もうすでに大臣になりまして七、八カ月経過しておるにかかわりませず、徹底してなかったということは、ほんとうに申しわけないと思っております。国会議員でございますから、具体的に申しますれば、党派を越えて迎え入れまして、十分御視察いただくということが私は当然あるべきことだと思っておりますわけでございます。ただ、いろいろ大挙しておいでになりますと、ちょっと現業局でも困るようなことがあるわけでございまして、ただ、御調査のためには、調査の手足と申しますか、補助員と申しますか、そういう方は必要だと思うわけでございますが、そういう常識の限度を越えて、私は弁護士さんあたりがおいでになるということは、ほんとうはあまり好まないんですけれども、これも相談相手、調査の手足といえばしかたございませんが、その辺は十分お考え願って、やっぱり、常時郵便局は非常に重要な仕事を運行しておるわけでございますから、そういう点、支障のないように、調査を受けるほうも気持ちよく受けさしていただくような雰囲気をつくって御視察いただくことが私としては願わしいと思うのでございます。そういう点を、今度の事例にかんがみまして、十分従業員に徹底するように、御期待に沿うようにいましめてまいりたいと、こういうように思っております。
#32
○鈴木強君 大臣の気持ちはわかりました。
#33
○森勝治君 いま鈴木委員から、先般のわが党の現業局の調査の問題についての具体的な事例を示して、大臣の所見をただしたわけでありますので、私もこの件について若干質問をしたいと思うのです。
 なるほど私どもは、組合側からもろもろの陳情等をもらいまして、そういうものをもとにして調べることもありますが、ただわれわれは若輩者ですが、ここに出ておりますという、そういう立場からいたしまして、国民の福祉ということ、国のしあわせというものを考えて、常に国政に参画しておるつもりでございますが、ややもすれば、われわれが現地調査に参りますと、管理者側の皆さんが、偏見と申しましょうか、偏狭と申しましょうか、特異な眼でわれわれに接しておられることが、残念ながら厳たる事実として指摘をせざるを得ないのであります。この問題については、古いような話を申し上げて恐縮でありますが、かつて全逓の金沢大会の当時、労使が激しく切り結んだときがございます。そこには職場に相互信頼もなければパイプの疎通も十分でございませんでした。したがって、この点については、当時の次官以下全局長においでいただきまして、われわれがつぶさに職場の窮状を打開するためにはいかにあるべきかということにつきまして、数時間隔意のない意見の交換をいたしました。その結果われわれが必要とあらば、局に参って事態の真相を確かめ、一日も早く全国的な規模における解決をはかろうということで両者が一致し、私ども社会党の調査団が全国のいずれの局へ参りましても快くこれを受け入れ、そして調査に応じてくださるというかたい約束をしたわけでございます。このことについては、いま大臣がいみじくもおっしゃいましたように、調査の内容の是非につきましては立場が違いますから、見解が分かれるところであり、また異なるところは当然だろうと思うのです。私どもは見解の隔たりがあろうとも、そのことの問題についてのみきゅうきゅうとことあげしようと考えておるのではないのです。事態の真相を見きわめて、どうすれば労使が相互信頼を取り戻して、期待される逓信事業として発展を望むことができるかという、そういう展望に立っての全国調査を繰り広げたのでありますが、当時も若干トラブルがございました。まあ、そういうことが当時にはありましたが、当時の時点としてはどうやら満足ではないが、やや労使の好転のきざしが見えたということでございました。その後また全国的な規模でもろもろの問題がありまして、最近は御承知のように、国鉄と並び称されたマル生運動なるものが国民の前に露呈されておることは大臣、御承知のとおりであります。国鉄さんでは労使の立場はもう明快になりました。いま残されているのは、この郵政省の中における労使の紛糾でありまして、私どもは一日も早く紛糾のすみやかなる解決を念願をいたしておりますが、残念ながら事態はさようなことにまいっておりません。若者はもう郵政事業にあいそをつかして他に職を求めていこうとする、こういう姿が顕著であります。だから、ブラザー制度などを導入いたしまして、若者の定着性をはかるという当局の苦心はわかるところでありますが、片や全国のあらゆる職場の郵便局の前の公衆電話でなくて、事務用電話に、時間中といえども施錠をして、本来通信の目的に供するものを、郵政省みずから通信の担当、元締めでありながら、文明の利器を使おうとしないこの現実というものを私は先般の委員会でその反省を求めたところでありますが、大臣は何か部下の話ばかり採用されて、私が提案しておやめなさいというのを、当分続けるとおっしゃったけれども、その後あなたは冷静な判断をされまして指令を出されて、勤務時間中はかぎをかけるなという指令をなされ、どうやらこれはやや実行に移された模様でありますが、全国の官公庁のいずれといえども公用電話にかぎをかけて、勤務時間中といえどもそれを使うことができないなんという官庁はどこにもありません。私はこの前つぶさに指摘し、やや好転のきざしが見えておりますから、この点についてはこれ以上触れようといたしませんが、具体的な事例として職場の現況について私は例としてあげたわけでありますが、そういう問題から上司と下部との隔たりはさらに拡大をし、相互信頼などということばは全く遠きいにしえの面影を残す程度になったのであります。かつて国鉄と一緒に、国鉄一家といわれたときに逓信一家と、こういうことばで呼ばれたこの逓信事業のうるわしい相互関係というものは、全国のいずれの職場をたずねてもそのあとを発見することはできない。非常に残念なことでございます。したがって、そういう観点から昨年末のマル生の問題にいたしましても、大臣は私とお話をいたしまして、あのときも事態を好転させるために、解決させるために、われわれが職場に入ることを大臣が快くお約束いただいたあの当時の大臣のおことばをかりますと、「喜んで皆さんを職場にお迎いたします、実態を見てください。」こういうお話でございましたから、私どもはこの大臣のお約束を信頼いたしまして、それぞれの問題と目される諸所の局所について分担をして調査に参ったわけでございますけれども、この全逓金沢大会の当時と昨年末の状態、さらに、いま王子郵便局の具体的な事例を鈴木さんが体験として申されました。この今日的時点においては、これは好転どころではなくてますます深まに入っていく、私はこう指摘せざるを得ないのであります。
 そこで、私は特に東京郵政局管内における問題について申し上げてみたいと思うのですが、大体一日と六日というふうに、その前もやりましたが、今月におきましてはやりました。これは関西、東北もありました。東北はまあ問題がありません模様でございますが、東京郵政局におきましては、私どもが大臣とそういうお約束をしたにもかかわらず――これはお断わりしておきますが、抜き打ちにやったわけでございませんので、事前にいずこの局、いずこの局というふうに出しておる。皆さんは十分御承知のはずでありますから、当然その日はもう国会議員は衆議院ならだれ、参議院ならだれ、随行はだれということがわかっているわけであります。したがって東京郵政局では、六日に先立つことの二日、すなわち四日に、調査団を受け入れるところの局長を呼び出して対策会議なるものを開いたそうであります。しかし、これはここで対策会議なるものを開いた内容というものは、大臣残念でございますが、これはわれわれの調査に快く応ずるのでなくして、いかにして、この調査団を局内に入れないかという対策に腐心した模様であります。おいおい追って具体的に私は事例をあげて指摘をいたしたいと思うのですが、かりそめにも大臣が私どもとお約束をしたことがなぜすなおに下部に伝わらないんでしょうか。自衛隊の問題もなかなか上部の命令を聞きそうもないということを指摘されて、国会の内外に渦を巻き起こしておりますが、郵政省もまたこの大臣の心を心とすることなく、失敬な話でありますが、どうせ大臣は、佐藤内閣が五月十五日で終わっちゃうんだから、かわっちゃうからかまわないという、失敬でありますが、風潮が郵政の高級幹部と目される方々の胸中に去来しておらぬかどうか、潜在しておらぬかどうか、私はこういう点、多分に疑問を持たざるを得ない。なぜならば、私は大臣は正直な方と考えております。ですから、いままで大臣が私どもとお約束したことが破られたことはなきものと信じておりますが、この点については全く裏切られてしまいました。きのうも大臣は快く監督の不明を、快くかどうか知りませんけれども、明快に不明をあなたはわびられました。この点、私は、あなたの真摯な立場というものは理解をいたしますが、さて、現実にあなたがなんとわれわれと約束し、不明をわびられ、その改善方を約束されようとも、だんだんだんだん悪くなる一方というこの現実の、郵政のいわば下剋上の姿を大臣はどう見ておられるのか、この問題にひとつまずお答えをいただきたい。
#34
○国務大臣(廣瀬正雄君) 今度の御調査で、入り口の段階で非常に非礼があったということは、きのうも瀬谷先生御指摘いただきましたし、きょうも御指摘いただいておりまして、このことはさっき鈴木委員にお答えしたとおり、まことに申しわけない、非常に非礼をいたしたと考えております。本省といたしましては、担当官が十分熱意を持って指導はしたようでございますけれども、それが具体的に徹底してなかったということは、つまり、そこに私どもの落度があったというように言わざるを得ないと思うんであります。とにかく、ほんとうに残念千万に思っておりますわけでございます。私といたしましては、労務関係はマル生なんということばを使われまして、お尋ねをいただいておりますけれども、そのような内容は国鉄と違ってないものだと思っております。ただ、事業精神の高揚、企業意欲の高揚というのは、どの職場でも絶えずこれはお願いしていかなくちゃならないことなんでございます。事業精神の堅持などということについては、私も常に、大いに鼓吹いたしておりますわけでございますが、しかし、不当に従業員を駆使して、いわゆる不当な生産をあげようなんという考えは毛頭ないわけでございます。ただ、分に応じて従業員がそれぞれ能力を発揮して事業推進に当たっていただきたいということは、これは申しておりますわけでございますが、そういうことをマル生とおっしゃれば、これはいたしかたないんでございまして、私は、マル生というのはそういう意味ではないと、こういうように考えておりますわけでございますから、郵政省には国鉄と違ってマル生運動というものはないものだというふうに確信をいたしております。御承知のように、一昨年の暮れ十二月の十四日に労変運動の闘争の非常なにがい、苦しい体験にかんがみまして、労使双方が十分話し合いを遂げて、十二月十四日に確認事項を決定いたしておるわけでございます。昨年の暮れ、組合からの要求に対する折衝に当たりましても、この確認事項をもとといたしまして、地方の郵政局の段階におきましても、また、中央の郵政局の段階におきましても、ただいまおことばにお使いになった信頼感をもって、誠意をもってお互いに対処するというようなことをやっていただきましたために、年末には千件ばかりの要求事項がございましたけれども、大部分は中央の段階で解決しましたし、また、地方的な問題については地方の段階で折衝の結果、これまた解決いたしました。ただ残念なことは、ごくわずかでございますけれども、何件かが訴訟を提起されておりますわけでございます。この点はまことに遺憾千万に思っておりますわけでございますが、大部分は解決したことは御承知のとおりでございまして、したがって、年頭の年賀郵便の配達も戦後初めて見るようなスムーズな配達を終了することができまして、従業員、組合の御協力には非常に感謝をいたしておりますわけでございます。中央の段階で折衝した案件にかんがみまして、一昨年の十二月十四日の確認事項はまた少し足らないことがあった、不十分なことがあった、もう少し説明を加える必要がありたということで補足的なまた一そう解釈を掘り下げてやるというような問題につきましては、これは昨年の十二月五日にそういうようなことをいたしまして取りきめをいたしたことは御承知のとおりでございまして、職員問題でありますとか、従業員の問題でありますとか、あるいは訓練の問題でありますとか、そういうようなことについて一そう詳細な補足的な取りきめをいたしました。そして、完ぺきを期して労使間ほんとうに不信感を払拭いたしまして対処していこうというかまえを双方とも示しておりますわけでございます。こういうような努力を重ねて少しずつではございますけれども、労務関係はだんだん改善をされつつあるというように私は考えておりますわけでございまして、そういう点では、私を直接補佐してくれております幹部諸君のお骨折りに対しましては感謝いたしておるわけでございますが、しかし、御指摘をいただきますと、行政というものはほんとうにむずかしいということをしみじみ感ずるわけでございまして、決して私をばかにしているとか、軽視しているとか、あるいは間もなく大臣の更迭があるからこの大臣には誠意を示してつかえなくてもよろしいというような私は不遜な感じは幹部諸君は持っていないと解釈いたしたいのでございまして、しかし、御指摘の点は私もわからないではございませんので、まあその辺は私の威令、私の考え方というものが徹底してなかったということは私みずからが反省しなくちゃならない。私の政治力と申しますか、指導力と申しますか、そういうことに起因していると思います。ただいま先生のおしかりは従業員に対するおしかりではない、大臣私に対するおしかりだと痛切に感じまして今後十分注意いたしまして部下諸君の指導につきましては、さらにさらに行政のむずかしさに思いをいたしまして、私の考え方が十分徹底するように今後対処してまいりたい、こういうふうに考えておりますわけでございます。
#35
○森勝治君 大臣の誠実なお答えと承りました。ただ、私はここで残念な指摘をしなきゃなりませんが、今度のこのわれわれが現地調査をしようとして門前で入局をこばまれたこの状態をもっていたしますれば、郵政労使紛争につきましてはそれぞれに原因があると思ったのでありますが、大臣が国会で議員のわれわれにお約束することも現場の局長側で守られない。なかんづく、郵政局階段で阻止をするというこの考え方が、郵政の労使紛争の大いな原因のような気がしてならぬわけです。なるほど組合に対する意地があるでしょう。これはわかります。しかし、こういう簡単な、大臣も鈴木さんの質問に答えられて中身の問題はさておいてと言われましたが、中身の問題について隔たりや相違があること、このことでの歩み寄りがなされないということならこれまた別ですけれども、局長に会う手続というこの入口論争が全国の至るところの職場で調査団と午後四時まで、五時まで朝からかかるというばかばかしい考え方、郵政官僚の独善的な思い上がり、たとえば、郵政局の中にも官房と称する部門を設けているところ、どこの官庁にもあります。大臣官房というならいざ知らず、東京郵政局に局長官房などということばがある。こんなに変転きわまりないアポロ時代などというのに、そういう過去の残骸というか、幻影にしがみついて、権力をもって事業を推し進めようとしたって、これはできやしません。私は、それこそ新時代に対応する衣がえも必要ではないか。そんな気がするのです。何も東京郵政局の中に官房があるからということじゃないでしょうが、東京郵政局長を、大臣、何と呼んでますか。長官と呼んでるんですよ。郵政省の中で長官という呼称をもって呼ばれる役職がありますか。ないでしょう。これが白昼堂々と、大臣いいですか、東京郵政局長は長官と部下から呼ばれ、うんと返事して、てんと恥じない、こういうところにも前時代的ななごりをとどめておるんじゃないでしょうか。それがすべてだなんということは私は申し上げませんが、そういう一つ一つですね、古き時代にさよならをしていかなきゃならぬのじゃないでしょうか。そういうこともひとつ考えてもらいたいと私は思うのですが、東京郵政局長は、大臣、あなたがきのうお帰りになったあと、こう言ってんですよ。私のつぶさに指摘した件について、大臣の心と違ったことをやったと言うんです。明快に会議で提案、いいですか、やったと言うんですよ。調査団の中で、大臣とお約束したとおり、入って、調査をしてまいりましたのは、自分のこと言うのはどうかと思うんですが、私が参りました東京の蒲田の郵便局だけでした。あなたとお約束どおり、中へ入って調査をいたしてまいりました。もちろん内容については見解の分かれるところですが、ただ一局入った私のところでも、午後一時まで窓口折衝が続いたんです。ばかばかしい話じゃないですか。それもあなたが言った、大挙して押しかけたんじゃないです。わずか七名か八名で、いずれの人もわれわれの調査に必要な人だ。たとえば、蒲田郵便局で告訴事件があるわけですから、それを聞きたい。当然これは労使の双方から事情をお聞きするということになりますけれども、当該の組合の代表の入室を拒んでいるんです、だめですと言って。大臣は喜んで調査に応ずると言う。われわれは局長だけの話を聞いて事足れりといたしません。また、組合だけの話を聞いて当局に迫ろうなんて、そんなけちくさい量見はございません。ですから、両方の話を聞いて、いずれが是なり非なりということよりも、その職場が正常な姿に戻ってくることを願うという前提で、われわれはいずれも現地におもむいているわけですから、ところが入れないということですね。私のところは、私と随行した諸君は全部入りましたから、大臣とお約束したとおり調査はしてまいりましたが、鈴木さんの行きました王子の局では、御承知のように、話し合いに至らずに帰ってきた。労使問題を離れましても、大臣、王子の郵便局は大きな問題がはらんでおりますね。あなたも報告を受けておるでしょう。労使の紛争ばかりでないでしょう。事業の問題についても当然われわれが調査をしなけりゃならぬ問題があるのです。あるいは、そういうことを発見されてはたまったものじゃないというので入れないのかもしらぬ。はなはだしい局は、国会議員がお約束に従って局に行き、局長室に入ろうとしたら、課長クラスが局長室の表でスクラムを組んで入れないというばかげたことが行なわれておる。このことは、きのう大臣がお帰りになったあとで、そういうことを局長諸君にみんな私の仲間が申し上げたのです。全くお話にならぬのです。私は、ここに郵政の労務政策の一端をいまさらのようにうかがい知ったような気がするのです。「新しい管理者の手引」というものを出して、全逓敵視政策、壊滅政策、分断政策を強硬にやってまいりました十年前と今日と、ことばのあやはありますけれども、中身は少しも変わっていないような印象を、特にこの三月六日に私は現地で受けてきた。非常にこれはもう残念なことだと思うのです。大臣は、相当多数にわたって、昨年末は懸案事項を労使で紛争を解決しましたとおっしゃるけれども、それは本質の解明ではないのです。基本的なお約束のものではないのです。現象面だけです、残念でありますけれども。なぜ基本的な問題について十分話し合いをされようとしておらないのか、非常にふしぎであります。だから、私は、先ほどあえて下克上というような表現を用いたのでありますが、非常に残念なことは、いま申し上げたように、東京郵政局で、四月に大臣の心を心としない会議を開き、昨日、当該局長が大臣の趣旨に沿わない決定をし、皆さんに御無礼を働きましたと告白されておるのです。ならば、大臣の趣旨にのっとって私どもと話し合いを続けた蒲田の郵便局長はどういうことになるかという質問に対して、四日の対策会議の内容を逸脱する行為であるということを東京郵政局長ははっきり言われておるのですが、いいですか、よく聞いてくださいよ、あなたがお帰りになったあと。そこで私は重ねて質問をした。大臣の言うことを聞かなかったあなたが悪いのか、あなたの命令によって開かれた四日の対策会議の方針に反してやった蒲田の局長が悪いのか、どちらだ。このことは残念ながらお答えをいただけなかった。そのとき私は言った。大臣の言うことを聞かないでやったあなたのそういう態度は一体どういうところから来ているか、どちらでもよろしい、大臣の言うとおり蒲田の局長はわれわれと約束どおり実行してくれたのだから、どちらでもいいから郵政省の立場の御返答をいただきたいと言ったら、どなたも御返事がなかったのです。大臣、こんなばかげたことがありますか。東京郵政局の、東京都内で数カ所参りましたが、あなた方とお約束どおり会見できたのは、私が調査に参りました蒲田の郵便局だけでございます。他はいずれも話し合いをされず、話し合いを始めても、門前で手続の問題で決裂して帰ってしまったということです。はなはだしいのは、横川さんが調査をいたしました東京国際局におきましては、あと二分お待ちくだされば会見いたしましたのにというおことばがあとで返ってきたのです。あと二分とは何時何分の二分であったのでしょうか。午前十時から会見申し入れをして、何と午後四時直前ですよ。いいですか、午後四時直前になっても返事が来ないから、やむなく横川さんや衆議院の島本君は帰って来たのですよ。そうしたら、あと二分と言うのです。蒲田の局では、午後一時に話し合いがついて中へ入ったわけですから、同じ郵政局の管内で、しかも都内で王子の局は、鈴木さんのところは四時まで待っても結論が出ない、国際でも四時まで待っても結論が出ない、片や蒲田では午後一時には両者が話し合って、大臣と約束どおり入る。一体これはどういうことなんですか。どちらが正しいのか。私は全くきのうは、東京郵政局長のお答えを聞いてあ然とした。そこで私どもは、そういう小ばかにしたようなやり方はないであろうということをきびしく申したのです。いま私は、過ぐる三月六日のわれわれ調査団の現地におもむいた状況の一部を大臣に報告するという意味合いももちまして事態の説明を申し上げたのです。同じ郵政局の管内でこのように扱い方が違うということは一体どういうことなのか。このことについてお答えをいただきたい。
#36
○国務大臣(廣瀬正雄君) もう全くお答えの余地はないのでほんとうに申しわけないと思っておりますが、したがいまして、今後はもうほんとうに今後はさようなことを繰り返さないように、昨日も申しましたような具体的な私の意思をはっきり各局に伝える方法を講じまして、それについては先生方の御意見を承りつつ、どういうような通達をやったらいいか、指令をやったらいいか、いろいろ考えておりますことでございまして、十分徹底して少なくとも御調査が気持ちよく円滑に十分できますようなことはしなくちゃならないと考えておりますけれども、それらが徹底するように何とか措置を講じたい、こういうように考えておりますことでございます。ただいま例に出されました蒲田の局のお話でございますが、これはよくこそやってくれたと私は思いますけれども、そういうような蒲田の局でも若干時間が何したかもしれませんけれども、比較的よかったということでありますれば、ますますそういうようなことが徹底するように、国会議員の御調査ですから、これはもう非常に私は意義があることだと思うのですよ。そういうような御調査をしていただきまして、そうして、私どもの指導力が徹底しているかどうか、本省が考えておりますことがほんとうに実行されているか、そういうことをやはり教えていただくことが行政上非常に参考になると思いますから、私は、非常に貴重なことをやっていただいたと思っているわけでございます。これはことばだけでは決してございません。ほんとうに事業を愛するという気持ちから当然のことだと思いますし、それからさっき申されました逓信一家、これは私は郵政大臣になりまして、私どもの若いころは逓信一家ということばがはやっておりまして、昔のことを思い出して、いわゆる郷愁ということになるかもしれませんけれども、ほんとうに皆さんが愛情を持ち、不信感を拂拭いたしまして、ほんとうに助け合って一家の気持ちで事業を円滑にやっていただくというような雰囲気、空気をつくらなければならないというのが私の考え方でございますから、それは先生も幸いに御協力いただけるようでございますから、そして明るい職場をつくる、これは党派ではない、組合ではないと思っております。やはり逓信一家という気持ちが根幹になっていなければならないと思っております。そういうように今後指導してまいりたいと思っておりますから、何かと御鞭撻いただきたいと、このように考えております。
#37
○森勝治君 かつて若かりしころ現場の長となられてつぶさに現場の体験をされた大臣のお話ですから、私は一〇〇%そのことばをいただきたいと思うのです。ただ、私は大臣がそういう姿勢に出てくれますと、とれ以上あまりどうのこうのやるのもどうかとも思いますから時間をはしょりたいと思うのだが、私は、これだけ人事局長に一つただしてみたいのです。なぜ国会議員の顔色を見て現場の長に対処せよなどという秘密指令を人事局では発するのですか。国会議員の顔ぶれを見て、顔色を見て、あいつは心臓強いのにはやわらかにする、気の弱そうなのは門前で追い返せ、私はげすな表現をしますが、もう少し具体的に言いましょうか、あまりげすになりますが。たとえば今次の調査にいたしましても、私どもが調査する必要の人、たとえば組合の諸君と局長、庶務課長の皆さんと両方のどちらの意見が正しいか。すべて大臣がそういうことを現場でやるのは拒否したならばいざ知らず、あなたは喜んで調査に応ずる約束をしてくださったのですから、これは何度も言うようですが、見解の隔たりはさることながら、両方のその主張というものは当然積極的に開陳あって、説明あってしかるべきものと、私は素朴に考えて現地におもむいたのでありますけれども、そういうことはなかなかしない。特に東京郵政局まっ先に言うことは、局長との面会は国会議員に限ること一人事局長聞いてくださいよ、国会議員に限ること、これで第一段階で押せ。何を言うかと言われたら、もし地元の政党の諸君が来たら、議員さんは地元でいろいろお世話になるから入れてもやむを得ない。それ以上はだめだ。弁護士さんはうちのほうをあばくことばかり考えているから、うちのほうの弁護士ならばいいが――もっともこれは私のつけたりでありますが、あちらから連れてきた弁護士はだめだ。局長と組合の幹部が対決させられたらかなわぬからそれは反対せい。どうしても入られたら、しかたがないぞ、局長はどこかへ出てしまえとか、なぜそういう二段がまえ、三段がまえに、そういうへんちくりんな、私はあえて奇妙なという表現をいたしますが、そんな奇妙な指導をなぜされるのですか。だから私は、そこへおもむいた国会議員の顔を見て皆さんは強くなって押したり退いたりするのか、それで蒲田におもむいた私なんというのは全く心臓そのものの標本だと言いかねじゃないですか。ほかの人はみんな上品で、いわば非常に教養もあり常識もある。蒲田に行った森は、郵便局が蒲田だからどうも局長かまってきたのだなと、どうもそしりを受けるような、そういう言われ方じゃないですか。なぜもっと気持ちよくわれわれを迎えてくれないのですか。あるいは、われわれをとっちめに来たと誤解をされている向きは、気持よく迎え入れなくても、なぜ職場における、たとえば、傷害事件あるいは労使紛争の動きについては胸を張って自分たちの立場を説明してくれないのですか。どうして二段がまえ、三段がまえ、国会議員が職場に行くというただそれだけで、該当の局長を集めて一日会議をしてみたり、長時間にわたって、私どもあえてこれを密議をこらしたと指摘せざるを得ないが、どうしてそういうことをおやりになるのですか。聞くところによると、国会議員が入って来てでかい顔をされたのじゃ組合の諸君がまたいばり出してかなわないからという、そんな小児麻痺的なつまらぬところにばかり考えをはせて、なぜ労使紛争の根本的な中身というものを改革し、改善し、解決しようとしないのですか。人事局長その点、私いま具体的に申し上げたわけですから、そのことについて担当局長としてお答えをいただきたい。
#38
○政府委員(北雄一郎君) 先般、三月六日の御視察にあたりましては、たいへん御不快の念をお持ちになりましたことにつきましてまことに申しわけなく存じております。私、大臣の先ほど述べられました考えというものは十分に体得しておったつもりでございます。ただ結果的にお出でになりましたところに、すなわち、昨年の暮れにもございました、ことし三月一日にもございました、また六日にもございましたが、その中で三月六日の東京の一部の場合がたいへん失礼な結果になったわけでございます。と申しますことは、私どもそういった経験がございますので、したがいまして、今回の三月六日の場合におきましても、関係の郵政局においでになるという連絡はいたしましたけれども、そういった経験がございますので、また昨年の暮れの場合にも、三月一日の場合も、特段にこの入り口問題というものも起こらなかった、若干はありましたにしても、三月六日のような事例はなかったわけでございます。したがいまして、六日の場合も、私の各郵政に対する指導が非常に抽象的でございまして、その結果、結果的に不測の状況が出たということにつきまして、たいへん責任を感じておる次第であります。
 なお、先生方によりまして、どうのこうのというようなことはもちろんあろうはずがございません。
 また、二段がまえ三段がまえ、そういうような具体的な指導は実はしなかったわけでございます。反省いたしまするに、先ほども申しましたように、私の指導が抽象的であり過ぎた、これまでたいしたトラブルもなかったので、抽象的であり過ぎたというところに問題の原因がある。むしろ、そういった具体的な御応対申し上げる方法というものをもっと具体的に指示すればよかった、かように考えております。今後そういった点につとめまして、先生方も気持ちよく御視察をいただけるようにいたしたいと、かように考えております。
#39
○森勝治君 私は、この問題についてこれ以上時間を費やそうとは思いません。まあ、たいていの問題についてはそちらから弁解をされて、御指摘はそのとおりで反省いたしますが、しかしながらという表現を用いて、いままでの問題はたいてい皆さん方の立場をその後にるるつけ加えられておったわけでございますが、今度の問題については弁解をされておりません。私どもが指摘したことが、そのとおりやはりよくなかったと率直にお認め願ったものと私は解釈して、これ以上この問題について、私はこの席上では言おうとはいたしませんけれども、大臣、ひとつあなたにお願いがあるのです。えてして、私どもの立場の発言をいたしますと、一方的に片寄った発言だと目される向きが多多あるのです。組合側ばかり味方しているということを言われます。私ども、先ほども若干触れたように、国政に参画しているという立場から、つとめて労使の立場に立って中立的な立場をとり、どうすれば労使紛争のすみやかなる解決が願えるものかと、長い間仲間が腐心をしてまいりました。しかし、だんだんだんだん地獄におちいる模様でございます。そしてしまいには、大臣の言うことを局長連中が聞かなくなる。本省が通達を出しても、当該郵政局で言うことを聞かない。特に、労働問題についてはただいま明快に指摘し、大臣の耳にも入っておられるでしょう。大臣も立場上、そうだそうだと言うわけにはまいらぬでしょう。私どもは、社会党は組合側に味方ばかりしているからと当時はお思いでしょうけれども、こういう問題が次から次へと露呈されるならば、大臣もやっぱり相手方の言われることも無理もないとおっしゃるでしょう。そういう心境に立ち至ったとするならば、どうかひとつ部下の督励をして、正しい労働行政をおやりになっていただきたい。目まぐるしい時代の進歩に追いつけない郵政事業でありますけれども、それはそれなりに生きる道があり、それはそれなりに社会に貢献する分野があるのです。よしんばその速度はおそくとも、郵政事業に課せられた使命というものは厳に存在をしているわけですから、世間で言う火の車に家庭がなると、親子、夫婦げんかが絶えないと、こうよく言われますが、まさに郵政事業はその範疇を出ているものではないと思うのです。残念ながら、私はそういう表現を用いて指摘せざるを得ないのでありますけれども、たとえ事業が黒字にならなくても、なかなかこれは皆さんいろいろ企業努力されておりますが、そういう運営のつらさはあっても、厳として上官と部下、労使の信頼のきずなというものはつながりを持っておらなければならぬわけです。ところが、きずなどころではなくして、そこにはばり雑言と憎しみ、おとしいれること、告訴ざた、まことに残念であります。ですから、どうぞひとつ、われわれもこういうことをあまりこの席上言うのは正直言って好みません。好まないけれども、しかし、こういうことまでわれわれがここで発言をしなければ、郵政当局の幹部の考え方が直していただけない。先ほども若干触れましたが、東京郵政局長は大臣の考え方と違うということを明快に言っているのですよ、きのうの席上で。場所柄が違いますから、私は、このことについてはこれ以上追及はいたしません。大臣の賢明なるしかるべき措置を私は期待するだけでありますけれども、われわれ国会議員の前で、大ぜいの前で大臣と見解が違うということを明快に言われている。したがって、三月四日の対策会議というものは違うのだ、大臣の言われているようではない、こういうことを言われている。他の局長の皆さんも聞いておられた。そこで、責任論というものに、きのう大臣がお帰りのあとで発展をしたのです。そういうことを言って君は責任をどうする気か、こういう話も出たのです。しかし、この場では私は責任論はしばらくおくことにいたします。大臣の賢明な措置を私は期待をいたします。これなくしては、労使の改善はございません。だんだんだんだん地獄に落ちて深みにはまるばかりです。野党の話を、当局側を非難するそういうことにばかり考えないで、ひとつ建設的な発言として理解していただいて直していただきたい。
 御承知のように、国鉄はマル生運動で当局側がその非を天下に謝罪いたしました。急転直下、労使はいま一陽来福のきざしが見えております。きょうは三月十四日だというのに、もう間もなく桜の花が東京でも咲こうというのに、郵政の職場に花の咲く日はいつ来るのでしょうか。大臣。私は、こういう発言をするだけでも非常にほぞをかむ思いで、残念な思いをして発言をしているのです。どうか一日も早く職場が相互信頼を取り戻して、やり繰りのむずかしいといわれる郵政事業であるけれども、労使が協力一致をして事に当たる以外は、郵政事業が国民に期待される道を歩むことはできないだろうと思うのです。
 いつもいつも大臣には、どうもかたいことやむずかしいことや注文ばかり申し上げて、この点は恐縮いたしております。しかし、真に大臣が先ほど私どもに約束されたこと、しばしば約束されたこと、ほんとうにそのとおりだとするならば、すみやかに、失敬でありますけれども、幹部会議を開いて、少なくとも最高幹部の中で、あるいは出先の郵政局程度は本省の威令が直ちに行なわれるようにしていただかなければ、期待されるわれらが郵政大臣と尊敬することはできない。失敬な表現でありますが、しかとこの点お約束をいただけるものと私は考えて、私のこの点についての質問を終わります。
#40
○国務大臣(廣瀬正雄君) 部内御出身の森先生の、事業を愛する切々たる御忠言、また御激励ほんとうに身にしみてかたじけなく存じます。御趣旨を体して、全事業の私は責任者でございますから十分考えてまいりたいと、善処してまいりたいと、こう思っております。
#41
○委員長(杉山善太郎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#42
○委員長(杉山善太郎君) 速記を起こして。
 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#43
○委員長(杉山善太郎君) 次に、日本放送協会昭和四十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 これより質疑に入ります。森君。
#44
○森勝治君 これから四十四年度のNHKの決算についての質問をしたいと思うのです。
 ちょうど両雄が席を同じゅうして、私も期待をしてこれから質問をしたいと思っておったのです。ただ大臣の衆議院のほうの関係もありまして、私、森個人といたしましては、郵政大臣とNHKの会長がいま話題の御両人でございますから、この両人の顔をつぶさに拝見しながら、自後の質問をすることを私の最も楽しみとしておったところでございますが、どうも、できごとは衆議院のできごとの模様でございますから、参議院のほうまで火がつくのでは私は本意でございませんから、きょうは私のほうで大臣の質問は一点だけにとどめて、ほんとうは一日いて十分お伺いしたがったのでありますが、先ほど大臣からまじめにお答えいただいて、必ずお約束するとおっしゃっているのですから、そのことに期待をいたしまして、決算について一点だけ大臣に質問をし、大臣は衆議院のほうにおいでになっていいと思うのです。そういうことでひとつ、ほんとうはきょうは森のやつNHK会長と大臣並べやがってあいつ意地悪だなというそしりがないでもありませんけれども、その辺はむしろ私のほうで避けてあげたほうが皆さんがよかろうと思って、野党ですがよけいなところで気を使ったわけでございます。
 よけいなことはさておきまして、まず、大臣に四十四年度のNHKの決算についてお伺いをしたいのでありますが、ここ数年来郵政省の意見書なるものは、失敬でありますが、会計検査院の意見書のごとく十年一日の感があります。新味は全くありません。それで新味がないのに、監督官庁としての風を吹かそうという魂胆がありありと私は見えるんです。どうも野党のひがみですからそういうふうに見えるんです。見解の違いですから大臣しょうがないでしょう、そういう気がするのです。だから、その辺のことについてあるいは投げやりになりあるいは風を吹かそう、最近特に失敬でありますが、先般、衆議院でちかちか火花が出た模様であります。これはしかしどうも政府に癒着しているNHKが、中立性を保つための芝居じゃないかという人もあります。私はそんなふうに見ないのです。お二人さんは仲のいい方々ですからそんなことやりゃせん。時の人だから、何といっても電波中心の時代でありますから、そういうことの話が出ただけでありまして、ただ、私どもがちらちら散見するところによりますと、これは大臣、率直に申し上げますが、NHKの事務局と郵政省の事務局が従来と違って必ずしも意思が十分通い合ってないというようなうわさを聞くのです。郵政省とNHKは特に最近はそういう事務的な問題は隣組になったのですから、十分遺漏のないように行なわれているものと私は思っておったわけでありますが、どうも必ずしもそうでもないのです。ですから、勘ぐりスズメの言うのには、衆議院の逓信委員会のあれはその両翼の頂点が先端でアンテナとアンテナとが火花を散らしたんだと、こういうのです。もしそうだとしたら、国民は迷惑しごくですから、そんなちゃちなことは郵政当局もお考えなさることはなかろうし、NHKもひがみ根性で郵政省にかみつくようなこともしないだろうと思うのです。したがって、きょうはNHKの決算に端を発したものの問題について、郵政大臣の所見をただしたいと思って考えておったのでありますが、そういう立場から、私はいま申し上げた問題だけ郵政省の考え方を聞かせていただいて、あとはあとの時間に譲って大臣から十分後ほどお伺いしたいと思います。
#45
○国務大臣(廣瀬正雄君) 昭和四十四年度の決算の問題が本題でございますけれども、それに関連いたしまして森先生のただいまの御質問は、昭和四十七年度の予算に対する私の意見についての御質問じゃないかと思いますけれども、私、郵政大臣といたしましては、郵政省の設置法にはっきり書いてありますように、法令に基づきましてNHKを監督するということになっております。その立場におきまして、しかも、NHKの予算については国会で御審議をするにあたりましては、郵政省の、郵政大臣の意見をつけなくちゃならないということになっておるわけでございますから、そういう立場から、私の信念を持ってはっきりつけただけでございまして、それ以外の何ものでもないわけでございます。ただ、まあ両者間の意思の疎通については御指摘のようなことがあってはならないというように考えておりますということで、ひとつごかんべんを願いたいと存じ上げます。
#46
○委員長(杉山善太郎君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後の部は一時三十分まで休憩をいたします。
   午後零時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十四分開会
#47
○委員長(杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き日本放送協会昭和四十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。森君の質疑を続けます。森君。
#48
○森勝治君 これから、四十四年度のNHKの決算について質問をしたいのですが、まず、会計検査院にちょっと御注意を申し上げておきたいのです。
 きょうは私がお願いした当該局長が来ておりません。仄聞いたしますと、衆議院の法務委員会に出席の模様だそうでありますが、それならなぜ事前にそういうことをおっしゃらないのか。いまもこちらで若干御注文申し上げたが、もう少し誠意をもって、きょうはあなたのお呼びになったこれこれの者はどちらに出ているからだめだとか、何時になったら来られるとか、あるいはかわってだれそれが出ますと、こういうことでなければ、国政の審議なんかできないでしょう。黙っていて、私どもは呼んでない人が来ていると心外なんですよ、正直言って。だから、呼んでない人が来ている理由というのは責任者に、単に事務上の連絡で済むことですから。そうして出さなければならぬでしょう。今後そういうお約束できますか、会計検査院どなたか知りませんが。
#49
○説明員(池田伊臣君) ただいま先生からおことばございましたとおり、まことに連絡が十分でございませんで、ほんとうに御迷惑をおかけいたしましたことを心からおわび申し上げます。今後はこのようなことがないように十分注意いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
#50
○森勝治君 今後はそういうことでお約束を願ったものとして、まず会計検査院に質問をしたいのです。
 先般、四十四年度のNHKの会計検査についての御報告をいただきました。非常に簡潔でございましたし、この報告書を見ましても、特記すべきことはないというようにされているわけでありますが、一体どういう検査をされたのか、まずこの点で検査の方法、概要についてお聞かせを願いたい。
#51
○説明員(池田伊臣君) お答えいたします。
 検査には書面検査と実地検査と二通りございます。
 書面検査につきましては、これは総合、合計、残高資産表など計算書十二冊、それから、証拠書類二百九十四冊、一万三千六百六十枚、こういいました書類を検査院に提出していただきまして、これで私のほうで検討いたしまして書面検査をいたしております。
 このほかに実地検査と申しまして、これは実地検査にいたします要検査個所を、本部一、中央放送局など六十八カ所のうち検査いたしましたのは本部一、中央放送局四、その他の放送局三、こういった個所につきまして、延べ百七日をもちまして検査をいたしておるわけでございます。
#52
○森勝治君 延べ百七日というのは何人でですか。
#53
○説明員(池田伊臣君) これは、検査いたします個所に応じまして人間の移動はございますが、最低三名から、多いところはこれは七人に及んでおります。
#54
○森勝治君 そうすると、こまかいようでありますが、延べ百七日、三人もしくは五人ということになりますと、一体どういうことになるのですか。それをもう少し詳しく教えてくれませんか。一カ所で二日ないし三日ということになりますね、ですから、延べ百七日はわかりました、この延べ百七日というのは、一人のときを一日と数え、三人でやっても一日と数え、こういうふうな御説明と承っておるわけですが、これではどのくらいの力をこのNHKの四十四年度会計検査に投入したかちょっと把握できませんから、もう少し詳しくひとつ御説明願いたい。
#55
○説明員(池田伊臣君) 私たち検査に参りますときは単独で参ることはございませんわけでございまして、必ずいま申し上げました最低三人以上でございます。そういたしまして、したがいまして、この延べ人日の計算でございますが、三人かけますところの当該検査いたします個所に要します日数でございます。たとえば、三日でありますれば、三人で三日かけますときは三かける三で九人目という計算が出るわけでございます。よろしゅうございましょうか。
#56
○森勝治君 そうすると、一人一日という計算ですね。
#57
○説明員(池田伊臣君) 一人が一日検査いたしますれば一人目というわけでございます。
#58
○森勝治君 ですから、お説のとおりだとすれば、三人で三日ならば三、三が九という御説明ですから、百七日というのは、合計百七人をもって会計検査に当たったと、こういうことですね。
#59
○説明員(池田伊臣君) 百七人目でございますので、これは日数と人間をかけ合わせたものでございます。したがいまして、たとえば、最近いたしました本部の例で申し上げますと、これは六日で七人行っておりますので、この計算では四十二人目と、こういう数字が出るわけでございます。
#60
○森勝治君 もう一回最後のほうを。
#61
○説明員(池田伊臣君) 最近いたしました本部でございますが、これは六日間で七人を投入いたしておりますので、この場合は四十二人目という計算が出るわけでございます。
#62
○森勝治君 いまの説明は、ことばじりをつかまえるようですけれども、六日間で七人を投入したという説明でしょう。
#63
○説明員(池田伊臣君) はい。
#64
○森勝治君 七人が六日間かかったという意味じゃないですか。
#65
○説明員(池田伊臣君) これは七人の者が出しっぱなしでもって六日行ったということでございます。
#66
○森勝治君 わかりました。
 ことばじりをつかまえるようですが、あなたは六日間七人と言ったんですよ。だから、私は六日間を全部で七人の員数だと思った。先ほど一人一日と言ったんですね。三人が三日かかれば、三、三が九だと、その合計が百七だという重ねての説明だから、だから、全部で百七日というのは百七人ですかと、こう聞いたんですよ。そうしたら、あなたはまた違った説明をされているから、私はどうも計算が弱いのです。だから、わからなくなっちゃったんですよ。ですから、もう一ぺん聞きますが、百七日というのはどういうわけで、これは百七日が出たのか。いま言ったように、一人が三日やれば三日ということでおそらくやったのでしょう。しかし、これ百七日は、延べ百七日ですから、十人が、百七日なら、一人十日程度になりますね。そういう計算になるのでしょう。だから、その辺のこと、もう少しわかりやすく教えてくれませんか。
#67
○説明員(池田伊臣君) ただいま先生から御指摘ございましたのですが、具体的に申し上げますと、こういうことでございます。非常にわかりにくいようなことを申し上げて恐縮だったのでございますが、実例で申し上げますと、広島に参りましたときは、三日で三人行っておりますので、これが九人目、下関は三人が二日行っておりますので六人目、それから本部の場合は六人で八日行っておりますので一六人で八日でございますが、このうち全員が八日じゃありませんので、四十三人目、こういうものを全部足しましたものが百七人目というわけでございます。
#68
○森勝治君 昨年、四十三年度は何人で幾日でした。
#69
○説明員(池田伊臣君) 昨年は百三十七人目となっております。
#70
○森勝治君 それでは、書面検査に要した員数と日数は幾日ですか。
#71
○説明員(池田伊臣君) 書面検査には、これは十人の者がかかっております。そうしまして、日にちのほうは書面検査は、これは常時検査のたてまえになっておりますので、これは年間を通してということに考えていただきたいと思います。
#72
○森勝治君 書面検査は年間を通しての検査ですか。年間を通すといっても、そう年がら年じゅうNHKはあなた方に書面を提出しているのじゃないでしょう。だから、年がら年じゅう検査といっても、私どもちょっと合点がいかないんだがな。
#73
○説明員(池田伊臣君) ちょっとことばが足りませんでまことにおそれ入りましたが、私たちは、最初に申し上げましたように、十二冊の計算書を出さしておるということを申し上げましたのは、毎月、これは計算証明規則によりまして、検査院の検査を受けるものは証拠書類を出すことになっております。こういった意味におきまして、NHKから毎月計算証明書類が参るわけでございまして、これを検査いたします担当調査官等におきましては、これは在庁しております限り、これは書面の検査をいたす、こういう意味でございまして、これは年間を通してということを申し上げましたのは、あるいはどうも適切でなかったかもしれませんので、実態はいま申し上げましたような実態でございますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
#74
○森勝治君 NHKに聞きますが、いま毎月報告だと言われました。そうすると、一年十二カ月毎月月例報告する、それに年間報告がありますね。都合十三回報告ということですか。
#75
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 毎月の提出いたします資料は、毎月ごとの資料でございます。それから年間は年間として、一冊にまとまった年度の決算ということでございます。
#76
○森勝治君 そうすると、会計検査院に聞きますが、都合、十三回書面審査をするわけになりますね。だから、都合十三回の書面審査に十人が幾日かかったんですか、もう一ぺんひとつ教えてください。
#77
○説明員(池田伊臣君) これは、いまお話しの何日かかったかということでございますが、これはこれを担当しております課がほかの団体も実は検査の所掌として持っているわけでございますので、これを正確には、ここでただいま何日専属にかかったかということは、ちょっとお答えしかねるのでございますが、何でございましたら、後ほどでもお答えさしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#78
○森勝治君 こういうことですね。実地検査で幾日行ったかということは、出張の発令をもって足りますから、わかるわけですね。書面審査は、検査院の庁内でやることだからわからないと、こういうことでしょう。明快に出ていますか。何日やって幾らだとか、一日の三分の一なら三分の一で、これこれと出ますか、そういう資料は。
#79
○説明員(池田伊臣君) これは、いわゆる作業の結果を毎日記録しているわけではございませんので、何と申しますか、一日の基準の作業から逆算するというふうな形での推計しか出ないかと考えております。
#80
○森勝治君 私は勘ぐった質問をして恐縮だが、書面審査はなおざりにしているということをちらちら聞くものですから、しつこいうよですが、そんなあなた方から見ればばかげたようなわかり切ったような質問を繰り返しておるんですよ。書面審査は出しっぱなしだと、机の中へしまったきりだと、こういうことを私は聞くんですよ。あなたは麗々しくことあげされておるけれども、重ねて十人で幾日おやりになりましたかということは、いま答えられない、あとで資料を出しますと言っておられますけれども、さて具体的に資料が出ますかと言ったら、あなたは、若干ことばを濁しておられるんですよ。NHKのことだから、よもや間違いはないと思うけれども、もし机の隅でその提出した書類が眠ったとするならば、せっかく心を込めたNHKの心も生きないし、皆さん方の職務上の是非を云々されても、これはいたし方ないのではないかと、私はあえて勘ぐりということを申しますが、勘ぐった見方で恐縮だが、そういう机の中で眠らしたなんということはよもやあるまいと思うけれども、私のほうにはどうもそんなことが入ってきてしようがないから、この席上で、その点の真偽を明らかにしてもらいたいと、こういう意味で私は回りくどい質問をしておるのです。ですから、もう一歩進んで質問いたしますが、月例報告をNHKからもらって、会計検査院で受け取って、それをどのくらいの日に検査を終了するのですか。
#81
○説明員(池田伊臣君) これは検査いたします場合の方法といたしましては、この証拠書類の中から一定の金額以上のものにつきましては、証拠書類の内容の、たとえば物品の購入でありますれば、一定金額以上のものは書き上げまして、これは今月のたとえば五月のものにあった場合は、五月にAという物品を幾らで買っている、そうしますと、あとで七月なら七月にまた同じような物品を買っておりますような場合でありますと、そのときは幾らでこれは買っているというふうに、これは書き抜き帳と申しまして、これに書き抜くわけでございまして、これを担当から上司のほうに上げまして、このものにつきましての検討をいたす。それから、またこれはNHKではこの値段で買っておりますが、同じような使途に使われますところのものでありますれば、ほかの検査官につきまして、これはどういうふうな買われ方をしているかというふうな横の連絡をして検討するということもする、こういったような機会もございます。したがいまして、これが一月の検査が終わりますのは、当月出てまいりましたものは、次のものが出てまいりますまでの間には極力検査を終わるようにいたしておるわけでございます。また、実地検査に参ります前には、これは必ず提出されてまいりました証拠書類というものに目を通しまして、いま申し上げました書き抜きの要領というような点で書き抜きまして、これは書面ではなんであるから、実地のときにさらにこの点を詳しく見ようというふうな心積もりを各調査官はいたして出てまいると、こういうことをいたしておるわけでございます。
#82
○森勝治君 入り口で問答してはあまり時間がおしいものですから、そのことはさておいて、次に移りたいと思うんですが、さて、それでは実地検査は当該年度中もしくは年度全部決算を締め切りますね。それとの配分はどうされておるんですか、配分検査は。
#83
○説明員(池田伊臣君) 先生の御質問は、決算が終わりましたものと、それから現在予算の執行中の段階のものとに二つに分けて、検査はどのくらいの範囲に前者と後者それぞれしているかと、こういう御質問と考えて御答弁さしていただいてよろしゅうございますか。――そういたしますと、これは四十四年度の場合で申し上げますと、当該年度のものは二カ所でございまして、翌年度のといいますか、いわゆる決算が終わっておりました年度のものは六カ所と、それから当該年度、いわゆる現年度でございますか、これは二カ所というふうになっております。
#84
○森勝治君 その場合に重点目標というのはどこに置いて検査されるわけですか。
#85
○説明員(池田伊臣君) 重点目標と申しますのは、私たち検査は、これは四月が新年度の検査のスタートになるわけでございますが、これに取りかかります前に、予算の観点並びにNHKの事業計画の内容、こういったようなものから何に重点をしぼるかというふうなことの検討会をいたしまして、これできめておるわけでございます。ちなみに四十四年度につきましては、これはこの予算規模なり並びに事業計画等からまいりまして、国内放送費の内容、それから中央調達にかかっております機器、物品、こういったものに重点をしぼりまして検討するというふうなことをいたしたわけでございます。
#86
○森勝治君 いまの説明ですと、実地検査というものは、当該年度で二度、締め切り後は六度、こういう説明ですね。しかし、会計経理を明確にするという、そういうたてまえからするならば、締め切っちゃったあとでやるよりも当該年度中の実地検査のほうに力を注がれたほうが、むしろ、より適切なような気がするのですが、これはあなた方の方針として、従来ずっともう長い間の習慣というか慣習か、そういうことを指針としておやりの模様ですが、その辺のことはどう検査院の中で論議されてこられたんですか。
#87
○説明員(池田伊臣君) ただいまの先生の御指摘、まことに私たちといたしましても同感するところでございます。が、しかしながら、またNHKにつきましては放送法の四十条にございますとおり、やはり決算というものが、これは検査院の検査を経まして国会に提出する、こういうふうなたてまえになっておりますので、この点につきまして、とにかく現年度もただいま御指摘のとおり、私たちといたしましても十分にこれは留意している点ではございますが、決算の書き抜きということに力を注いでおるわけでございまして、このために若干これは人員とか日数というふうな点につきまして、手が回りかねるというふうな形におきまして、ただいま申し上げましたような六カ所に二カ所というふうな事実が出ておる状況でございまして、この点は先生の御指摘もございますので、今後なおまた検討させていただきたいというふうに思っております。
#88
○森勝治君 あなたがいま言われた手薄の点ですね、これはわかります。この前のときも、この関係で質問したようにいまひょいと思い出したのでありますが、いまのお話ですと総体的に見ることもなく、重点ピックアップ方式というやり方をおやりになっているわけですね、員数の関係から。そういうことですね。
#89
○説明員(池田伊臣君) 必ずしもピックアップで重点のものだけ見ましてほかを見ないというわけではございません。いわゆる何と申しますか、時間と人の制約のために、重点はとにかく必ず見ますけれども、ほかのものにはあるいは手が回りかねるという場合もあり得るというわけでございまして、私たちといたしましては極力全体を把握いたしまして、その全体の中から妥当な答えを導き出そう、これは私たち検査につとめる者といたしまして、常に心がけている点でございまして、これは必ずしも重点だけをやっておるというわけではございません。
#90
○森勝治君 でも検査方法等については、十年来ずっと踏襲されているわけででしょう。やり方は少しも変わらないでしょう。昨年こうやったから、ことしはまた違った見方をするとか、やり方をするとかいうことはないでしょう。あたかも報告書が十年一日のごとき報告書が作成されるように、検査の内容も、別にそれが皆さん方の議論の結果あるいは検討の結果、去年こうやったから、ことしは裏から昇るということではなくて、依然として一つのところに中心を集めて、そこをぐるぐる十年間回り続けてきたんでしょう。そうじゃないですか。
#91
○説明員(池田伊臣君) いまお話ございましたわけでございますが、ただ、私たちといたしましては、重点として取り上げました対象はあるいはあまり変わりばえがないかもしれません。と申しますのは、やはり予算が大きくついておりますものといいますものは、これはそう毎年度ぐるぐる変わるわけでもないわけでございまして、ただ、これに取り組みます検査のしかたといたしましては、これは私たちとしても十分心しているわけでございまして、たとえば、同じ調達というふうな観点で見ましても、調達されましたものが末端のほうにおいてまで、どういうふうに使われているかというふうに一貫した追跡検査をしてみるというふうないき方もございますし、契約の段階において、特にそれをしぼって、たとえば、瑕疵担保責任はどうなっているかというふうな、そういったような契約の問題にしぼるというふうなときもございます。したがいまして、これは重点として掲げました目標は同じでございましても、それに近づく方法といたしましては、極力私たちはくふうをこらし、やっているつもりでございますが、なお、こういった問題につきまして御指摘をいただければ、またそういう点もあわせ考えさせていただきまして、今後の検討に資さしていただきたい、こういうふうに思います。
#92
○森勝治君 御承知のように、NHKは放送法によっていわゆる対外出資ということは相当制限されていることは御承知のとおりですね。ところが、実際に難視聴の解消とか、番組向上対策とか、いろいろな、前途に横たわるもろもろの問題を解消するためにNHKなりにそういうふうに金を外に出資している、いわゆる出捐をしていることがあるのですね。そういう問題について、検査院の立場からどういうふうにこれを見られておられるか、お伺いをしたい。
#93
○説明員(池田伊臣君) ただいま先生御指摘いただきました出捐の団体といたしまして、幾つかの団体があるわけでございますが、これらにつきましては、それぞれこの出捐の根拠といたします放送法の九条のそれぞれの条項にのっとります点に根拠があるものと考えられますので、私のほうといたしましても、これはNHKが業務の一環としてこういうことをやっていらっしゃるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、これのそういった点につきましては、私のほうとしては、特にこれがいけないというようなふうには思っていないわけでございますが、ただ、これの、今度は経理といたしまして、はたしてそういった出捐されました団体におきまして、それの出捐に見合うような業績なりが出ておるかどうかというふうなこと、これはやはり経理といたしましても、関心がないわけではございません。したがいまして、決算の書類であるとか、もしくはNHKの本部におきまして検査いたしますときに事情を聴取するというふうな形におきまして、これらの出捐の団体につきましても、注意を払っているという次第でございます。
#94
○森勝治君 いま申し上げたような対外的に出指している場合、たくさんの団体がありますね。一々ここで申し上げるのもなんですが、たとえばNHK交響楽団、日本放送協会学園、放送番組センター、放送番組向上協議会、UHF普及促進会議、航空公害防止協会、その他たくさんありますね。ケーブルビジョンをはじめたくさんありますね。これは出資についてはある種の制限がありますが、出捐、すなわち寄付についての制限は設けてい古いわけです。会計検査院、そうですね。しかし、会計検査院では出絹についての適正な限界とか、限度額とかいうような、指針というか、方針というか、会計検査に臨むにあたっての、そういう基本的な考え方はお持ちですか。そうでなければ、それが是か非かという判定の基準にならぬわけですよね。NHKが寄付をした場合に、ただ出したものをただ自動的に認めるということであってはならぬ。だから検査するには、それが寄付が正しい寄付行為であろうか、あるいは若干逸脱するものであろうか、全く逸脱したものであろうか、あなた方がNHKの会計を検査するときには当然そういう基準をもって臨むのが正しいと思うのですが、そういう方針、指針というものがあるのでしょうか。
#95
○説明員(池田伊臣君) いまお話の出捐の基準という点でございますが、私たち検査いたしました結果、これを行政に反映させるというふうな面につきましては、これは放送法の三十四条にもございまして、一つの検査の結果を行政に反映させるというふうな道が開かれておりますので、当然ただいまの先生御指摘のような点については関心を持っているわけでございます。しかし、これらのことにつきましては何せもとになりますところの実態の把握と申しますものが特に肝要かと思うわけでございますが、これらの団体につきましては、若干私たちのほうといたしましても従来少し手が回りかねておったような点もございますので、これはただいま検査のスケジュールの中に組みまして、これはせっかく検討していくというふうなものもございます。また、これらにつきましては、先ほど申しました根拠の法文が放送法の九条にも書かれておるというような点から、監督官庁でございます郵政省のほうの意見というようなものもあわせ考えまして、私どものほうといたしましては最終的な考えを出したい。こういうふうなことをただいま検討中なものでございますので、この点いましばらくお待ち願いたいと思う次第でございます。
#96
○森勝治君 せっかく努力中だというお話ですから、この問題はこれ以上触れませんけれども、たとえば、出捐等については収入の何%程度とか、こういう基準を設けないことには、会計検査院がその場に臨んで是非を明らかにすることができないだろうと思うのです。いま御努力されるということでしたから私はこれ以上言いませんが、いままではただNHKが出した、ただ、それだけを見てきておったのでは会計検査院の使命を全うすることが、失敬になりますが、できないような気がいたしますので、そういうところにも適正なる判断をくだす根拠というものを検査院がお持ちでなければ会計検査に臨んでの価値がないわけですから、失敬でありますが、十分その点はひとつそういうふうな会計検査院としての是非論を明快にできる基準と申しましょうか、方針あるいは指針というものをひとつ明らかにしてもらいたいのですが、この点約束をしていただけますか。
#97
○説明員(池田伊臣君) ただいま申し上げましたようなことにつきまして先生からいま御注意を承ったわけでございますが、この点につきまして、これは何分検査の何と申しますか基準、これはNHKに限らず、検査報告のいわゆる提案の限度というふうなものにつきましてはこれは内々に役所では持っておりますが、こういった点はつくるように努力はいたしますけれども、ここで申し上げるようになる段階にまでなれるかどうかはちょっとお約束しかねるのではないか。こういうふうに私、個人的に端的に思っておりますが、いかがでございましょう。
#98
○森勝治君 どうも非常にあとの歯切れが悪いので、前段は非常に……、前段というか、私が重ねての質問の前では努力する約束をされたでしょう。だから間違いありませんねと言って私は念を押したつもりなんですよ。そうしたらあとはむにゃむにゃであってはこれは何にもならぬので、あなたのせっかく前向きのお答えがいま後段でお取り消しになった模様なんですが、そういうふうに受けとってよろしいですか。
#99
○説明員(池田伊臣君) 私申し上げましたのは、検査いたしますものといたしましては、ものさしはこれはつくる。それから、これは持っていきたいと、こういうふうに思っておりますけれども、これはいわゆる検査をいたすための、何といいますか、秘密と申すとちょっとことばがどうかと思うんですけれども、検査がやりにくくなるというために、公表するという段階に申し上げにくいということは申し上げたわけでございまして、検査いたしますものといたしましては、どこまでもものさしは持っていきたい。これはものさしがまだ確立されてない段階といたしましては確立するように努力いたしたい、こういうわけでございます。
#100
○森勝治君 私は公表の是非論についてただしているわけじゃないんです。いまあなたがものさしがないからものさしをつくりたいとおっしゃられたことでわかったんですけれども、それならそのように、ものさしはいままでなかったと、目検討でやっておったが、それではやはりもの足りないから会計検査院のものさしをつくるという話ですから、それは御努力を願いたい。ただ、この次の私は四十五年度の当該決算の問題を取り上げるまでに間に合うか間に合わないかは、それはまだお答えはできないでしょうが、少なくとも、会計検査院独自のものさしをつくるというお約束はこの席上でなされたもの、こう思っていいですね。
#101
○説明員(池田伊臣君) 先生の御質問につきまして特に異見はございません。
#102
○森勝治君 異見がないということは私の質問を肯定されたもの、こういうように私は理解して次の問題に移ります。
 NHKの会長、いま会計検査院とこの出損等の問題についてお聞きのような話をお伺いいたしました。私はNHKがその公共性の使命にかんがみて、難視聴の問題やレベルアップ等の問題について、収入の一部をさいてそれらの問題に使われると。それがけしからぬとかなんだとか、そういう意味で申し上げているのではないのです。私が若干懸念いたしますのは、そういうふうに補助金、助成金あるいは寄付金等をNHKが出した場合に、それら出した先の団体についてNHKの発言力というか、拘束力というか、NHK独自の考え方がそれらの団体にどんどんどんどん浸透していく懸念があるのだろうか、ないのだろうか。その辺が若干疑問になったものですから、NHKのことですから、金は出しましょう、発言はしましょう、自分たちの、NHKの思うようにその団体を動かそう、そういうけちなお考えはないだろうけれども、その点をひとつ明快にお示しをいただきたいと思うわけです。
#103
○参考人(前田義徳君) まあ、幾つかのケースがあるかと思いますが、たとえば、NHKの出捐が全体の何分の一というような場合の比重、あるいはNHKが中心になって出指しているという場合のたてまえ、これはそれぞれケース・バイ・ケースで考え方が変わり得ると思います。しかし、私どもとしては、たてまえとしては、金を出す以上は、その団体の仕事の目標に沿うように使っていただきたいと、そういう点について求められればもちろんのこと、求められない場合においてもお金を出す考え方を申し述べるというたてまえを取り続けております。
#104
○森勝治君 そうしますと、それは公平かつ適正にという立場で、寄付金、補助金、助成金等を出すということですね。それらの団体は、NHKの管轄下ということばは大げさでありますが、何でもかんでもNHKの意のままに動く、勢力下に、いわゆるむしろ俗なことばで言うと、がんじがらめにする、そんな意思は毛頭ないのだと、こういうことですね。
#105
○参考人(前田義徳君) たてまえとして、私どもはそういう気持ちでおります。
#106
○森勝治君 郵政省にお伺いをしたいのでありますが、放送番組センターや各地に設けられたケーフルビジョンというものは、御承知のように、郵政大臣の認可にかかる公益法人として発足しておるわけですが、その事業概況について、ひとつお聞かせを願いたい。
#107
○政府委員(藤木栄君) 初めの放送番組センターでございますけれども、放送番組センターは、いわゆるNHKとそれから民間放送、この両者から出捐がございまして、優秀な番組を制作し、あるいは番組の助成をやっておるという状態でございまして、四十四年度におきまして、その放送会社が制作しました教育、教養番組に対して協賛を行なった番組の数は、民間放送五十七社におきまして六番組、百二十八本の番組の放送というものが行なわれておりますという状態でございますし、さらに、NHKや民間放送各社からすでに放送された番組の拠出を受けた番組を貸し出す番組ライブラリーというものがございまして、それは四十四年度におきまして四百九十四本の在庫を有しておりまして、民間放送十三社に対して八百二十本の番組貸し出しを行なっておるという状態でございます。
 それから、いわゆるケーブルビジョンの関係でございますが、現在、東京、それから大阪、名古屋、福岡と、四カ所にいわゆるCATV公益法人というものが設立されておりまして、いわゆる都市におきまするテレビの難視聴の解消ということを第一の目標として業務を行なっておるわけでございますが、ただ、東京のケーブルビジョンは、現在、新宿地区で約八百五十世帯、池袋地区で約三百二十世帯合計約千百七十世帯というものが加入できるような施設を建設しておるということでございますが、実際の加入者は、それの約半分くらいというようなことになっておるわけでございます。それから京阪神、大阪のほうでございますが、京阪神におきましては、現在、大阪の市内の御津地区で約四百世帯、それから神戸の鈴蘭台というところで約二千四百世帯、合計約二千八百世帯が加入し得る規模の施設を建設しておりまして、加入者はすでに鈴蘭台でその半分以上も加入しておるという状態でございます。福岡は、現在福岡の市内で約九百世帯が加入し得る施設を建設しておりまして、現在加入者はまだ百五十世帯程度でございますが、来年度はさらにこれが伸びるという傾向でございます。最後に名古屋のほうでございますが、名古屋は現在スタートして間まなくでございますので、約四十世帯が加入し得る程度のモデル施設を市内に建設しておるという状態でございまして、最近だんだんと伸ばしていくというような計画を持っておるようでございます。
 一応、簡単ですけれども、ケーブルビジョンと番組センターの御説明をいたしました。
#108
○森勝治君 いまケーブルビジョンの一番最初お答えいただいた東京ケーブルビジョンですね、それは八百五十というのは、これは新宿ですか。
#109
○政府委員(藤木栄君) 新宿地区で八百五十世帯の施設を建設した。
#110
○森勝治君 池袋は。
#111
○政府委員(藤木栄君) 池袋は約三百二十世帯でございます。
#112
○森勝治君 都市難視の解消というのがなかなか重要になってきまして、新宿等につきましては私どもも委員会のメンバーの一人として先般視察をしてきたところでありまして、その視察に基づいて当委員会で議論をしたことは真新しいことでありますけれども、いまのお話にもありましたように、一番最初にスタートした東京ケーブルビジョンがですよ、新宿で八百五十、池袋で三百二十、合計千百七十ということになれば、これでは世俗に言うそろばんがはじけないのではないか、私はこう思うのです。ところが、当初こういうものの御説明にあたっては、皆さんは十分採算がとれるという事務当局の御説明がなされたように私は思うのです。あるいは私の聞き違いかしれませんけれども、一体その原因はどこにあるのか、ひとつお聞かせを願いたい。さらに、またこのままでいくと、よその団体等のお話をこういただきましても、やっていけないということであるならば、今後どうこれを対処されようとされるのか、どう指導されようとされるのか、このことですね。鳴りもの入りにしてはちょっとこれはアンテナがずれている話ではないかと私はこう思うのですが、どうですか。
#113
○政府委員(藤木栄君) おっしゃいますように東京ケーブルビジョンの出発にあたりましては、非常にいわゆる未来学的な相当な発展が行なわれるだろうという予想もあったわけでございますけれども、いざ現実に施設を建設してやっていきますと、いろいろ問題が出てきたというわけでございます。特に、この新宿あたりではこのケーブル自体も建設はもちろんでございますが、電柱に共架がかけられない、あるいは道路を占有しなければならないといったような手続きだけでも非常にやっかいでございまして、道路横断には御存じのように国道であれば建設省、都道であれば東京都、あるいは区道であれば区役所といったようなそれぞれ分担がございまして、またその電柱に共架するにしましても、なかなか電力会社としましてもやたらに共架されては自分のほうの仕事にもじゃまになるといったようなことで、相当基準も厳重でございます。そのほか特にこの新宿あたりでは、いわゆるテレビの電界が強いわけでございまして、ケーブルから入ってくる電流と直接強い電波が入ってくる電波とが受信機の中で一緒になってしまうというようなことで、なかなかいい画が受からない。あるいはそのテレビの電波を受けるアンテナ自体の場所がなかなか見つからない。新宿地区あたりではいろいろなところから電波が反射するわけでございますので、なかなかいいところが見つからない。そういったようなこともございまして、技術的な問題自体もはっきり解明されていないというような状態でございましたので、なかなかスタートはしたことはしたけれども進捗していないという状態でございます。しかし、これはアメリカあたりでもやはりスタートはそうであったようでございまして、現在はそういった問題を解明しながら、いわゆるパイオニア的な役割りを果たしているというのが現状でございます。
 しかし、CATV自体は現在御存じのように下田である程度の大きな施設がございます。あるいはまた甲府あたりでも東京の電波を受けた施設もございます。そういったところになりますと、いまのようなあまりめんどうな問題もないようでございまして、立地の条件もよろしいわけで、相当すでに二千世帯あるいは三千世帯というような加入も見込まれているということでございまして、まあ大都市の中心部におきましてはなかなかスムーズには運んでいないわけでございますが、しかし、先ほど申し上げたようにだんだんと進捗するであろうと思いますし、またいま申し上げましたあとの例の、わりあいに大都市の郊外的なところでは相当発達しつつありますし、今後もしていくであろうと思われますので、いろいろ問題ございますけれども、私どもとしましては長い目で見ていただきまして、やはり都市におきまする難視聴の解消ということが絶対的に必要なものでございますので、それにあわせて将来いろいろな教育番組あるいはそのほかの利用ということも考えられることを思いますと、やはりこのCATVというものは私としても伸ばしていかながければならないと、そういうふうに考えておりますので、これはちょっと余談でございますけれども、CATV法案というものも現在国会にお出ししてございまして健全な発達をはかっていきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
#114
○森勝治君 いま私が指摘したように、そちらでもお答えになったように、当初の鳴りものいりですか、そのはなはだしさに比べると、いまの御説明はあまりにもさびしいお答えですね。大都市における難視聴というものはこういう団体をつくって運営すればほとんど防げるという説明がなされておったのですが、経営的に成り立たないというお話ですと、これは事業ですから、そういうこともあるいは言えるのかもしらぬけれども、さてその一翼をになう、になうということばはちょっと語弊がありますが、特に都市の難聴難視についてその解消のために意気込んでおられるNHKは、こうしたケーブルビジョンのような民間が難視聴解消の立役者として弧々の声をあげたが思うようにいかないというこの現状をNHKの立場からどう見ておられるか、そしてどうこの種の問題に対処されようとしておられるのかお聞かせを願いたい。
#115
○参考人(松浦隼雄君) ただいま電監局長もお話になりましたように、都市のケーブルビジョンにつきましてはある程度長い目で見るというお話ございましたが、NHKといたしましては、都市の難視は本来NHKの基本的業務であり、そしてその中で一環としていまお話のありましたケーブルビジョンへ出捐し、それの発展に積極的に協力するという立場を初めからとっておりました。したがって、NHKとしては最初から都市ケーブルビジョンいわゆるいまのケーブルビジョンというものだけで都市の難視を解消するというふうには考えておりません。これはその中の一環である、多くの施策の一つであるという考え方でそこに出指し、かつ協力をするという立場でございまして、同時にNHK自体が受信対策その他によって建造物難視について年間、過去大体七万五千程度の世帯の難視改善をやってきております。また今後についてもいろいろな方式を開発していきたいというふうに考えておりまして、いまのいわゆるケーブルビジョンだけで、この複雑な都市の難視の問題を全部解消できるというふうには当初から考えておりませんでした。
#116
○森勝治君 それではお答えにはならぬと思うのです。これはNHKも出資をするのでしょうが、あなた方これつくるときには、われわれに説得する立場で御説明をされたわけでしょう。思わしくないからといっていまのお答えはよそ事のようなお答えなんですよね。私はこの前も指摘したような気がするのだが、これができると、難視聴解消という使命を持つNHKがこの種の団体に肩がわりすることによって息を抜くのではないかというような指摘をしたような気がするのです。いまの私はこれをもって全部期待をしない、それは、そのとおりでありましょう。しかし、ケーブルビジョン設立についてはNHKもその一翼をになっているわけですからね。出資もされるはずでしょう、いま申し上げたように。それならば、もう少し積極的な発言があってしかるべきだと思うのです。うまくいかないからといって、どうも他人さまのような発言としか受け取れないのですが、あながちこれは私のうがち過ぎた見方でしょうか。もう一ぺんひとつお答えいただきたい。
#117
○参考人(松浦隼雄君) ことばが足りませんで失礼いたしました。先ほど電監局長の申し上げましたとおりに考えております。大都市の中におけるケーブルを敷くという施設的な面についても、道路、電柱、その他について、これは技術的ではありませんけれども、いろいろ解決するところがある。それから技術的には強電界のもとにおける電波のかぶりというような問題についてやはりある程度の時間をかけて解明していかなければならない点があるということで、新宿地区におきましても、池袋地区におきましても、ひとつの。パイロットという考え方がむしろ強く出ておるように思っておりますが、その中でNHKとしては技術的に、たとえば、東京ケーブルビジョンの使用をきめるという中ではきわめて積極的に、これはもちろんNHKだけが団体でございませんので、参加団体でございませんので、各参加団体と一緒になってではございますけれども、かなり指導的立場に立って、たとえば東京ケーブルビジョンの技術企画をきめるというようなことに参画しておりまして、決してどうでもいいやということでやっているわけではございません。ただ先ほど局長もお話がございましたように、やはりかなり長期の目で見ていかないと、この種のものがなかなか所期の目標まで到達できないのではないかということを申し上げたわけでございます。
#118
○森勝治君 新宿が八百五十、それから池袋が三百二十、池袋の数は少ないのですが、同じケーブルビジョンとして池袋のほうが将来性があると、こういうふうに聞かされているわけですが、さて、大東京の当面する難視聴解消は、ケーブルビジョンのいまの現状からもってするならば、都民の期待にこたえ得る難視聴解消の最有力な武器と目されたこの種のものは、これでどうやらとんざを来たしたとまでは私はきめつけませんが、どうも期待倒れになる模様だと、こう考えざるを得ない。さてしからば、難視聴解消の声が、これはもう都会と片いなかとのいずれとを問わず、ほうはいとして起こっているところでございますが、特に都市の難視聴はケーブルビジョンにその解消期待をつなぐことができないとするならば、NHK独自で大都会の難視聴解消の策を講じなければならぬと思うのです。そこで聞きたいのですが、NHKは依然として加害者負担的な立場を大都市でもとられるのかどうか、とくとこの辺のことをひとつお聞かせ願いたい。
#119
○参考人(松浦隼雄君) 原因者、電波の障害に対する原因者がはっきりしております場合は、原因者責任主義ということで、原因者の方に御協力願うという立場でございます。
#120
○森勝治君 その協力ということですが、それは拘束力というのはどのくらいあるのですか。
#121
○参考人(松浦隼雄君) いわゆる法的に拘束力がいまだはっきりしていないと承知しております。
#122
○森勝治君 それならば、いまNHKが大都会において、たとえば、ビルが建つ、ビル陰になる地元から陳情がくる。当該ビルに対して、あなたのビル出現によって近隣これこれの世帯は聴視不可能になりました。難聴になりました。責任をお待ちなさいといういま交渉をNHKみずから先頭に立って強力にやっておられますね。拘束力がないとすれば、それもできないじゃないですか。そうすると、いまやっているNHKのやり方は、若干行き過ぎと言われてもやむを得ないのですか。その辺どうなんですか。
#123
○参考人(松浦隼雄君) NHKが先頭に立ってと申しますよりは、聴視者の方々が、いまお話しのように、NHKのほうへかくかくこういうことで難視なんだけれどもということでお話しがあって、それでたとえば技術的な原因調査をいたしまして、その原因がこれこれの建造物にあるといった場合に、その建造物の責任者との間で聴視者の方々との間に立っていろいろ御協力をお願いしているということでございまして、NHKがさがし歩いて聴視者を抜きにしてそのことをしているということではございません。
#124
○森勝治君 それは受け取り方ですから、それは千差までいかぬですが、二十や三十の誤差はあるでしょう。しかし、たとえば特定のビルが出現したときに、近隣の者がNHKの営業所へ陳情をする。NHKの係員の方が来て測定をする。これを解消するためには、おたくのビルの屋上に有線のアンテナを立てなさい、そのときにおたくの負担はこれこれですと、NHKが率先してそのビルの持ち主に対しておたくは三十万ですよ、五十万ですよという、そういう出し方をいま現在都内でされておるでしょう。そのことを聞いているのです。だから、拘束力があるかどうか。相談をするというならば別だが、NHKが率先してその額をきめておやりになっている模様、これはしかし、NHKの善意に発するところだと思うから、私も善意だろうというそういう立場で、そういう立場を側隠しながらの質問ではありますけれども、今度は出させられるほうから見れば、NHKが何十何万という額を数字であげてきた、これはどうしても払わなければならぬものか、法的にどうか、こういうようなことが私どもにしばしば最近は都内で問い合わせがあるわけです。だから、先ほどのように拘束力があるかどうか。NHKが率先してそういうことをやっているのかどうか。難視聴解消のためには率先しておやりだろうけれども、その住民の争いとか、そういう問題の先頭に立ってNHKが額を進んでお出しなさいというかっこうで出されている。現実に書類も出ている。そういう姿がNHKの方針ですか、最近のやり方ですかと、これを私はただしたいということなんです。
#125
○参考人(松浦隼雄君) 原因者の方々にも御理解をいただくという立場でございまして、強制するということではございません。
#126
○森勝治君 それならば、NHKが一定額を示す前に話し合いがあってしかるべきですね。話し合いもしないで、当該ビルの持ち主に文書でおたくの負担金はこれですといって出すようなことはありませんね。
#127
○参考人(松浦隼雄君) 全くございません。先生御指摘の額の問題は、実態としてはこういうことでございます。ある地域に難視がございまして、住民の方々、難視者の方々が、これは結局はNHKのほうにこないと、どんな設備をしていいかもいまのところではわからないというのが実情でございます。そこで、NHKのほうに参りまして、どのくらいの施設をし、どのくらいのお金をかければこれで難視が解消できるだろうかということの結局御相談があって、それで合意に達して、その上で原因者はかくかくであるから、その原因者の方々の御理解もいただき、これだけの分は原因者の分であるから負担していただくというお話し合いを仲立ちとしてやっておるのでございまして、NHKがかくかくの金額を出せというような強制的なことは全くいたしておりません。
#128
○森勝治君 それは、そのことを論争する場が違いますから、会長、私はこれ以上申し上げません。しかし、いま全く出さぬとおっしゃるけれども、やはりそれは受け取る方は強制されたという受け取り方をまましがちなんですよ、金を負担する経済行為が伴いますから。その辺でNHKは、ややもすれば最近はたとえばカラーテレビの調査に行ったときの行き過ぎ行為のような話も出てくるし、いまのような話も出てくる。NHKが難視聴解消の先頭に立ってやっきになって努力しているその努力は認めますけれども、これは法的な拘束力のないものについてNHKが率先して何十何万おたくのビルでこれを負担しなさいという、そういうやり方が、いまの話だと担当理事はおやりになっていないというお話ですから、この席上では、私がいまさら具体的な問題を出したところで解明にはなりませんから、そこまで私はきょうは追い込みません。追い込みませんけれども、私は具体的な事例を持っておるから言うのでありますから。しかしこの席上で、NHKの立場も考えまして、私はこのことについてはそれ以上触れません。ただ、いま申し上げたように、一つのビルが建っても、その陰になる、ビル陰というんですか、ビルの谷間に住んでおる方々のそういう問題が出るわけです。これは一つ一つ取り上げるとたいへんな問題で、もうあきらめてNHKに来ない方々があるのです。ところがケーブルビジョンがやっていけないということになれば、これは農村地帯だと山のてっぺんに中継所を設ければいい。今度二県もしくは三県にまたがるようなものができますね。秩父の山につくれば、山の向こうとこちら側、こういうことになりますね。そういうことがありますから農村地帯はさておいて、聴視者の一番多い大都会の問題が、依然としてこの問題が文明のなせる一つの公害のような形で解明できないということになると、これは次から次へと、この問題が引き起こされてくるので、この大都会における難視聴の問題に一体KHNはどう対処されるのか。予算案等を見ましても、御努力はされているに違いないけれども、じゃ最善の努力を尽くすというようには去年もことしも、その中身から見てもうかがい知ることはできないのであります。ところが、ビルは容赦なく林立をいたしますから、事件は次から次へと波及して拡大されて、されば紛争の種が至るところに巻き起こされるわけですから、従来のような考え方でいったんでは、これはもうほんとうにお話にならぬ。大都会ではもうテレビを見ることができなくなってしまう。こんな調子になってはなりませんので、かつて会長が、失敬でありますが、私が正力さんの向こうなんか張るようなことはおやめなさいと申し上げた五百五十メートルのテレビ塔の問題等で、やはりそういう抜本的な大乗的見地に立った大都市の難視聴の解消につとめる以外にはないような気がするのでありますが、その辺についてのかね合いはどうされようとなさるのか、ひとつお伺いいたします。
#129
○参考人(前田義徳君) お説のとおり、今日の段階ではこの問題は、聴視者の立場に立って見ましても、またNHKと聴視者との関係、そういう点に立って見ても、非常に重大な問題になりつつあると思っております。この四十四年度の決算、したがって、予算編成当時の状況を先生はもちろんよく御記憶のことと存じますが、都市難視の解消はどこにそれを措置する責任者がいるのかという問題と関連して、御承知のように、第七条の解釈の問題が、まず出てまいりました。私どもとしては法律理論よりもむしろ、今日のNHKが聴視者との結びつきにおいて、また、過去において辺地における共聴というたてまえから、これと関連させて、都市における難視は、NHK自体もこれに乗り出すべきであるという考え方を持ったわけです。しかし、これは当委員会においてもなかなか結論の出る問題ではございませんでした。そのためにNHKとしては二つの方向を、まあしいて言えば三つの方向を考えたわけです。
 第一は、建築基準について、建設省なりあるいは自治体の専管できる条項については、市の条例なりで、この問題を建設省との関係で、基礎的考え方を法律によって明らかにすべきではないかという点でございます。これについても過去の当委員会でしばしば意見を拝聴し、またわれわれからもお答えを申し上げ、建設当局関係者等の意見も出た記憶がございます。記憶ですから正確にこの場でその内容を申し上げるわけにはまいりませんが、そういう事態もあったと思います。
 そしてその次に、これらの問題と関連して、私どもとしては、たとえば東京都の当局と特別の建築基準についての、あるいは建築法との関連で、難視の問題を含めた条例の条項ができないものかどうかという御相談も、かなり長期にわたってしてまいりました。建設省当局にも御意見を聞いております。しかし今日、残念なことにはこの問題はそういう形での解決はできておりません。したがって、私どもとして建築主との問に、まず初期の段階では話し合いをさしていただくというたてまえをとりました。しかし、今日その後の大都市の高層建築は、まさに燎原の火のように広がって、今日は私どもと建築主の関係よりは、実際問題として聴視者と建物の関係が非常にはっきり出てきたわけで、そういう意味で、先ほど来松浦専務理事の答弁があったわけでございます。
 私どもはこれと関連して、第三の方法として、たとえば放送センターの建設と関連して鉄塔の問題を考えました。これらについてもいろいろな御意見があり、また当委員会の外でもいろいろな御批判、御意見がありました。これは第三次長期構想を立てた当初に考えた考え方でありますが、これは、したがって昭和四十三年度の事業計画の中で長期構想の一部として考えたものでございます。しかしながら、その後これらについても内外のいろいろな問題の解決に手間どったばかりでなく、最近では日照権であるとか、あるいは緑地地帯の問題であるとか、この私どもの立場と関連はいたしますが、難視解消という問題以外に新しい問題が、市民権との関係で非常に複雑かつ多岐にわたって出てきております。私どもは率直に申しまして、東京都知事とも、あるいは東京都の事務担当者とも話し合ってまいりましたが、今日の状況のもとではこの新都市計画から申しましても、直ちにこれを実現することはかなり困難な情勢にございます。しかしながら、私どもはこの考え方を今日捨てているわけではございません。ただかなり時間がかかるということであります。したがって、これらの間隙を埋めるために私どもは都市難視の救済を別の技術の開発によってできないかという検討を、おととしから始めてまいりました。その結果、現在、完ぺきではございませんが、一つの方法が開発されまして、郵政御当局の御理解と御支援をいただいて、近く御審議願う昭和四十七年度予算の中での事業の一つの目標として、この開発を、実用化に持っていく準備を進めているわけでございます。
 ただいま申し上げましたように、こういう経過の中で、私どもは松浦専務理事が先ほどお答えいたしましたように、第七条との関連を深く痛感しながら、私どもはCATVについても、それがこの問題解消の一端になり得るならば、われわれは積極的にこれに参加し、これと協力すべきであるという考え方を持っているわけでございます。
#130
○森勝治君 難視聴の問題については、特に都市難視聴の問題については、積極的におやりになるということでありますから、私は、これは期して待つべきものと考えております。いま大都会の難視聴の問題について触れたわけでありますが、今度は、辺地の問題についてちょっとお伺いしてみたいと思うのです。テレビというものが、もう国民の生活の中に深く根ざしておること、いわばあたかも食事のようなものでして、もうテレビを見ることがなくして生活の基盤がないというほど、もうわれわれの重要な生活の一部になってきたわけであります。したがいまして、そういう観点からも国民が安い費用でテレビを見ることができるようにという、このNHKの公共性のしからしむる使命というものをさらに発揮するために御努力を願いたいと思うのです。そこで、そういう見地からお伺いしたんですが、四十四年度からNHKが始めました辺地共聴方式ですか、かつて三分の一助成をおやりでありましたが、今度はそれを建設費支弁に切りかえられたわけでありまするが、その後の実績についてひとつお聞かせ願いたい。
#131
○参考人(松浦隼雄君) いわゆる辺地の共同受信による難視解消につきましては、四十三年度まではお話のとおり助成でございましたけれども、四十四年度からはNHKが幹線を負担するというかっこうでやってまいりまして、四十四年度は新設が六百五十施設、現在まで四十五年度八百施設、四十六年度、これは千施設ということで、合計二千四百五十施設、これによりまして、それぞれ、たとえば四十四年度におきまして四万八千世帯、四十五年度で六万五千世帯、四十六年度で六万九千世帯の救済をしております。
#132
○森勝治君 いま御説明のあった辺地共聴方式というものは置局よりも経済的で、しかも、NHKばりかじゃなくて民放もあわせこれを聴視できるという、利便ですか、長所を持っているわけでありまするけれども、その反面、共聴施設ですから、聴視者の負担が当然これはもうかかってくるわけであります。だから、そうなれば、私がさっきちょっと触れました安いテレビを国民が見ることができるという、そういう面からいたしますと、やや負担がかかってまいりますから、安いということばとは遠のいてくるわけですが、そういう見方からすれば、視聴者の経済的な負担がかかる、重なってくる、こういうことばに置きかえていいだろうと思うんですが、との聴視者の経済的負担が重なってくるのが一体従来のいままでおやりになったような施設二千四百五十カ所ですか、そのときの建設費や維持費等は平均するとどのくらい一体負担加重になっているものか、それをお聞かせ願いたい。
#133
○参考人(松浦隼雄君) 結論的に申しまして、NHKがこういう施策をしておりますのは、先ほど会長が申し上げましたとおり、聴視者の側から見、かつNHKと聴視者の関係を考えておりますので、聴視者個々の負担につきましては、原則としてVHFの場合五千円、UHFの場合それより千円高いと、六千円ということを目標にしております。ただし、いろいろな場合がございまして、非常に離れておって、一軒一軒が離れておるというような場合にそれより少し多くの負担をしていただくという場合もございますが、われわれは目標として普通にアンテナを個々の受信者の方が、聴視者の方が立てられた場合の負担の額を限度に考えております。で、現実に当初は比較的共聴の好適地域がございましたので、四十四年度については一世帯当たり二万二千円台で上がりましたものが、現在投資しております額は三万円を投資するという考え方でございますけれども、そのうち二千円程度は聴視者の負担をNHKの側で負担するということで、できるだけ聴視者の負担増を押えるようにしておりますが、今後といたしましてはいかに努力しても漸次高額化してくるということはまた否定できない傾向でございます。
#134
○森勝治君 先ほど会長の説明の中に、四十七年度の予算案の中に云々というおことばがありましたね。私は、四十七年度の予算案はまだ見ておりませんからわかりませんが、このおことばの中にありました難視聴解消の一助としての何か開発もされたという趣を承ったのでありますが、それは業界紙等に報じておりますところの無線式の簡易共聴施設とでも言いましょうか、そのお話なんでしょうか。それとも全然その簡易共聴施設というものは別個なものでありましょうか。その点をひとつ、もし同じものであったなら同じものだと、しかし中身はどうだ、あるいは違うものならそれは違うけれども、この無線式の簡易共聴施設というのはこういうものだという中身をひとつお聞かせをいただきたい。
#135
○参考人(前田義徳君) これは純粋技術の問題と関連いたしますので、松浦専務理事からお答えさしていただきたいと思います。
#136
○参考人(松浦隼雄君) われわれが開発をいま進めておりますものの中の一つは、いま御指摘の無線式共聴でございます。
#137
○森勝治君 もう一つ、前段の御質問を申し上げたんです。会長がですね、四十七年度の予算案の中で新方式を開発しておる、郵政当局とも話を進めておる云々というお話がありましたから、それは私が申し上げたその無線式の簡易共聴施設なるものかどうか。これが二つのうちの一つの問題でしたが、この点についてお答えがないからひとつお願いします。
#138
○参考人(松浦隼雄君) その一つがいわゆる無線式共聴ということで、現在の共聴施設を基本といたしまして、その一部を無線化した微小出力の送信装置を試作し、これを実験し、いいものであれば直ちに採用していこうという考え方でございます。もう少し詳しく申し上げますと、現在のいわゆるテレビ局、微小局と言われておりますものはUHF局で最低が一ワットでございますけれども、ここで微小と申しますのは、その一ワットの千分の一が一ミリワットでございますが、五十ミリワットないし三十ミリワットという出力を、やはり無線局ではございますが、非常に簡素化して、かつ安定化して、そうして安いコストで逆に聴視者の負担が少なくなるようにということで開発し、郵政御当局の御指導を得ましてすでに実験局の開設の間近までこぎつけているものが新方式の一つでございます。
#139
○森勝治君 そういたしますと、それはあれですね、実用の段階では有料ということばに置きかえられるわけですね。私は、先ほど会長の説明の中で私が質問いたしましたように、低廉なるテレビの視聴という表現を用いているわけですから、NHKが独自なものを開発することは非常にけっこうですけれども、そのことによってそれは有料にするのだということばだと、私は若干異論があるのです。本来、難聴施設というのはNHKがその前面であり、中心であり、最も力を注ぐべきものですから、これは当然NHKの使命の一つでなければならぬのです。したがって、そのNHKが新しい方式を開発したとするならば、それは国民にすみやかに提供あってしかるべきものであって、たとえ低廉であってもNHKの名で開発したものはNHKの難視聴解消のための一つの目的として、当然NHKの全面的な費用をもって、この開発された装置と申しましょうか、そういう方式というものが建てられていかなければならぬ、実用化されていかなければならぬ、私はこう思うのですが、いまの端的な説明だと、NHKで新方式を開発したがこれは有料だと、こういうふうにされておる模様なのですが、その点もう少し詳しく説明してくれませんか。
#140
○参考人(松浦隼雄君) あるいは私のことばが足りなかったかとも思いますけれども、この微小電力局は無線局であり、放送局でございますので、これはNHK自体が経費を負担し、NHK自体が建設するものでございます。
 それで、私がコストの問題を申し上げましたのは、NHKの投資する総ワクの中で、やはり個々の無線局の単価をできるだけ下げることによって、できるだけ早く難視聴を解消したいという意味で低廉化ということを申し上げたので、この無線局について聴視者の方々に御負担願うということはございません。
#141
○森勝治君 その点はわかりました。
 そういたしますと、この新規方式ですね。無線式の簡易共聴施設というのは、別に共聴という表題を用いなくてもよろしいですね。共聴ということばがあって、いままで共聴施設というのは、四十四年以来、受益者がその一部を負担することになっている。――そうでしたね。しかし、皆さんは、私が無線式の簡易共聴施設というものかと聞いたら、そうだとおっしゃる。だから、いままで共聴施設で、NHKは応分の負担という表現を用いられておりますが、受益者から負担をしてもらっているわけですから、この方式を開発されたときも共聴施設だということであるならば、これは取られるじゃないかと私は思ったのですよ。ですから、共聴施設という名前でやっても、これはこの品物を用いたときには一切金は要らぬと、こういうことですね。この点、ひとつあとでまた論争を繰り返してはなりませんから、これをお伺いしたい。
#142
○参考人(松浦隼雄君) 私、先ほどいわゆる無線式共聴と、ことばの問題ではございますが、申し上げましたのはまさにいま先生御指摘のことでございます。で、率直に申し上げまして、こういう無線による微小電力局による難視聴を解消した場合に、それではケーブルを末端まで引き込んでおるいわゆる共聴の消費者の方々との間に、負担金額についてむしろ差が出てくるのではないかということを率直に申しまして心配しておるというものでございます。電波が出て、受けるんでございます。それでいまNHKが幹線を持っております共聴において聴視者に御負担願っておりますのは、幹線から個々の聴視者への引き込みの部分の経費でございます。今度は無線化いたしますとその引き込みはございませんで、アンテナということになりますので、従来の微小局、サテライト局で受信するのと同じようなかっこうになるわけでございます。
#143
○森勝治君 先ほども申し上げておりますように、放送の全国普及ということを効率的にはかるということは、しかもすみやかにこれを達成するということはNHKの大きな使命のうちの一つであります。また過密過疎対策、従来はこれは過疎対策ばかりでありましたが、先ほどのお話しにもありましたように、大都会における難視聴等の問題がありますならば、やはり過密の場所、過疎の場所と両面の対策が当然起こってくるわけです。したがって、いまのお話しのような無線式の簡易共聴施設というものができれば、それだけよい鮮明な画像を国民は見ることができますから、この点は非常によいだろうと思うのであります。ただ、こういう問題の施設の対象となる地域が、特に過疎地域においては文化的な、あるいはまた娯楽機関に乏しいという、そういう周囲の環境等からあわせ考えましても、民放のほうも合わせて視聴できるようにする配慮を当然NHKとしてとるべきだろうと思うのです。NHKだけ独善であってはやっぱりならぬと思うから、NHK本来の使命からいたしましても、そういう面まで配慮して私はしかるべきものと思うのですが、いまお話しのあったような施設ですね。そういうものは民放関係もあわせて聞くことができるかどうか、見ることができるのかどうなのか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
#144
○参考人(松浦隼雄君) 放送法に定められました限界内におきまして、先生のいま御指摘のありましたように商業放送が比較的簡易にジョイントできるように機器は設計してございます。現在の共聴施設におきましては、アンテナあるいは幹線の部分につきましては全くNHK単独の場合と同じものを使いまして、アンテナの基部にございます電波を増幅する部分、その機械だけを差し込めば、NHKのみならず当該の商業放送局も共聴に乗るわけでございますが、それとほぼ同じ考え方で、使う上からはそれと同じ考え方でものを進めてございますが、もちろん、その機械の中までも全部NHKの手で用意するということはいたしておりません。
#145
○森勝治君 先ほども触れましたが、NHKが番組センターなどに出捐されること、それは別に私は先ほどもちょっと触れましたが、そういうことに必ずしも反対をして申し上げたんではないのでありますが、NHKの使命としてNHKの画面さえ鮮明になれば、NHKの放送だけが聞こえればもう民放なんかどうであってもよいということは、NHKは従来もやってこなかったと思うのです。むしろ、民放がNHKに対抗して、追いつき追い越せという姿がやや一部に見られたといって取りざたされたことがありますけれども、日本の放送の水準の向上、ことばを変えますと、番組の向上等についてはNHKは、そういう民間放送関係の開発等の問題についても従来も十分御協力をされてきた模様と、私は思うのです。ですから番組素材の提供や技術協力や研究と、そういう成果、ただいまも無線式共聴施設というようなものも開発されるというようなお話がありますからそればかりでなくて、放送関係のもろもろの開発がなされているわけです。したがって、そういう観点からいたしますならば、放送水準の向上をNHKが従来もやってきたし、これからもこれを果たそうとその目的に向かって邁進していく、こういうふうに私は考えてよろしかろうと思うのでありまして、しからば、どのように以上私がことあげしたような問題についてNHKが今日まで寄与してきたか、一、二のひとつ例をあげてお示しを願いたい。
#146
○参考人(坂本朝一君) 昭和四十四年度の例を一、二申し上げますと、おおむね商業放送の一つ一つの御企画の番組の中でNHKのフィルムなりあるいはVTRなり、そういうものの提供を求められたわけでございます。それがまあおおよそ三十件ぐらい四十四年度にはあるわけでございますが、一、二の例をあげますれば、NHKの海外取材番組の「東南アジアの農業開発」の一部を使用したいとか、あるいは商業放送御自身で一種の歴史的なものを放送される場合に過去のNHKの録音その他の中から、たとえばベルリンオリンピックの女子の実況であるとか、そういうようなものの御提供の御要請があって、それらに御協力申し上げたわけでございます。その他たまたま四十四年度におきましては岐阜放送、近畿放送、サンテレビが開局されまして、NHKのニュースを放送波で中継したいというお申し出がございまして、これらに御協力申し上げた次第でございます。その他先ほど先生のお話の中にございましたように、放送番組センターにあらかじめ番組を提供して、それを商業放送の番組の中で御利用いただくという御協力も申し上げた次第でございます。
#147
○参考人(松浦隼雄君) 技術協力あるいは研究成果の協力ということについて補足いたします。
 いわゆる商業放送に対する技術協力ということは、現実には放送機器あるいは放送施設を通して行なわれておりますので、四十四年の当時におきましては、その全部がいわゆる放送機器の製造業者を通して協力するというかっこうでございました。最近におきましては幾つかもつと直接的な例がございます。その一つはNHKが全国の放送番組の分配に使っております自動化装置というものを各民間商業放送においても採用したいということで、実質的にその方式の実績あるいはその技術的な内容をお伝えするというようなことをやっておりますし、新しいU局ができますときに、技術的な内容について建設あるいは技術運用についての協力を申し上げているということでございます。ただし、いわゆる一般的な研究成果に基づいての技術協力という点では、昭和四十四年度において五十四件、大体五十件から七十件程度を毎年やっておりますが、その多くは音響機器あるいはテレビジョン機器、送信設備、受信技術、あるいは電子管ということで、対象はほとんど製造業者でありまして、これを通して今度は同じような施設を、機械を各商業放送が採用されるということで御協力をしておるという状況でございます。
#148
○森勝治君 いまのお答えはまた私の質問と直接関係はないんでありますがね。アナウンサーの引き抜きの問題は最近あとを断ったのですか。これはどなたかな、人事担当。
#149
○参考人(坂本朝一君) アナウンサーの引き抜きというようなことは、いま現在何も聞いておりません。
#150
○森勝治君 そうすると、最近は民放に移る職員はほとんどないということですね。
#151
○参考人(坂本朝一君) 現状においては承知いたしておりません。
#152
○森勝治君 今後もないですか。最近は民放もほとんどもう育ってまいりましたから、あまりNHKさんが目玉三角にするようなことはないでしょうな。あらかじめ質問しておくんですよ。
#153
○参考人(坂本朝一君) まあ、私が承知しておる限りではないと思います。
#154
○森勝治君 番組審議会というのがございますが、この番組審議会の開催状況をひとつお聞かせ願いたい、と同時に、この番組審議会が具申した特徴的な内容がもしあったとしたならば、それをひとつお聞かせ願いたい。
#155
○参考人(坂本朝一君) 番組審議会は月一回ずつ中央並びに地方番組審議会を開催いたしております。そして、非常に活発な御意見をちょうだいいたしております。一、二例を申し上げますと、たとえば、報道番組等につきまして、御承知のように、激動を続けます内外の情勢に対応して正確かつ迅速な情報を提供することはNHKの最も重大な任務であろうと思われるので、これらの番組の充実と放送時間帯などについて格段の配慮をすべきではないか。あるいは昭和四十六年六月の視聴率調査によりますと、ニュース、報道番組が上位を占めているけれども、これは国民が一刻も早い報道、ニュースを求めているというふうに思われるので、昨今の国内情勢等から勘案して来年度の、四十七年度の、これから御審議願う年度でございますが、四十七年度のニュースの時間の充実、あるいは時間の編成帯等についても考えるべきではない九とか、または公害問題を取り上げる場合にものごとを科学的にとらえて追及していくことは基本的に重要なことだけれども、それと同時に、それが政治経済とも深いかかわりをもっているので、それと関連させながら、その改善策を積極的に探っていくというような番組を考えたらどうかとか、あるいは地方放送番組審議会関係では、ローカル番組について、いまの現状の十五分のローカル放送では地域社会のささいなできごとをきめこまかく放送していくというような要請からいって、もう少しワイドの時間帯も考えていく必要があるんではないかというような御意見をいただいておりまして、昭和四十七年度の番組編成の中に、それらの御意見に呼応するような編成を考えておる次第でございます。
#156
○森勝治君 私は、従来のNHKの経営の専任分野等については私なりの意見を述べてまいりました。この番組審議会のメンバーとしてこれは二十三名ですかな、これを見ましても有名人もしくは大都市ですか、まあ大都市というよりも、特定な都市とでもいうのかな、に片寄り過ぎているきらいがあるような気がしてならぬのです。したがって、もしそうだとするならば、国民の声を視聴者に十分反映できるようなものではない。むしろ、その反対のように危惧されるんです。幸い、これは単に私の杞憂であればよかれと私は願いながらこの質問をするわけだが、この番組審議会の各委員を委嘱する場合にNHKはどういう立場、どういう方針で選考をされるのか、この点は会長からひとつお答えをいただきたい。
#157
○参考人(前田義徳君) 御承知のように、この番組の審議会は法律上の制度でございますので、われわれはこの法律のわれわれに指示している目的を達成するために、その人選については中央、地方を通じ各地域からの推薦を受けながら、最終的にわれわれのほうで理事会で決定し、ことに中央番組審議会の委員の任命については、最終的には経営委員会の了承を経るという手続をとっております。先生の御印象のように、それぞれのお立場からはいろいろな印象があるかと思いますので、私どもはさらにこれを具体的にNHKの使命として別の形で補完するために、一年間数百回にわたる全国各地での聴視者との懇談会も開いております。これは法律上の制度ではございません。経営方針として開いておりまして、これらの意見も吸い上げながら、審議会の議論、またその示唆、その決定を勘案しつつNHKの本来の立場である公正な立場をできるだけ具体的に番組編成の上に反映してまいりたいという措置をあわせとっております。
#158
○森勝治君 それでは大臣もお戻りになった模様ですから角度を変えて質問をしたいと思います。
 前田会長は昨年のカラー契約の伸び、すなわち、増収等によりましてNHKが企てております各種事業の計画は予定どおり促進できた。したがって、第三次の長期構想を一年ですか繰り上げた。こういうことを申されたような気がするんです。さらにまた、沖繩復帰が実現した暁には沖繩の放送等についての、いわゆる放送のサービス等はひとつ本土並みにできるように全力を傾けたい、こういう抱負を述べられたように私は記憶をしております。ところが、片やマスコミ等ではNHKが四十七年度予算編成に関連をいたしまして、十七年ぶりに赤字予算を組んだというのは、すなわち、四十九年度以降受信料の値上げの伏線ではないか、こういうことを言っておるわけです。また沖繩県民は、赤字の原因というものが沖繩復帰によるものであるという、そういう宣伝ではまことに肩身が狭くてしょうがない、しかも、赤字云々という問題によって本土並みのサービスの実現というものが実現されないのではないか、こう県民は懸念をしているとも言われているわけです。
 そこで、私は会長に聞きたいのは、いまちょっと触れました第三次長期構想の成果と、第四次長期構想の具体的内容、そういう問題については、私は、いずれ予算の審議等のときに触れてみたいと、こう思うのでありますけれども、国民の最も関心の深いこの受信料の問題についてどう対処されるおつもりなのか、この点まず聞いておきたいと思います。
#159
○参考人(前田義徳君) 私は、前回の当委員会でも、ある場合には非常に間接的な表現だと記憶しておりますが、私どもは四十七年度、四十八年度、両年度にわたって値上げの考えはないということをいろんな機会に申し上げてきております。まあ、ただいまの御質問は四十九年度はどうかという御質問のようですが、私どもがいま今後の情勢の見通し、これが可能な範囲でデータを集め得るものを勘案いたしますと、私は、ここではいまの段階ではっきりそうだとは申し上げられませんが、できれば四十九年度も値上げは回避したいと、そしてその方法があるのではないかというように簡単ですが感じております。
#160
○森勝治君 郵政大臣、いま私が、NHK会長に料金値上げの見通し等について考え方をただしたんですが、郵政大臣としてはどういうお考えをお持ちですか。
#161
○国務大臣(廣瀬正雄君) 昭和四十七年度の予算の御提出が私どもにございまして、私が意見書をつけるという段階におきましていろいろの御説明を承ったわけでございますが、受信料の問題につきましては、ただいま会長から申されましたように、いま少なくとも四十七年度、四十八年度、この二カ年度は上げないという間違いのない方針だという御説明を聞きますし、四十九年度以降におきましてもなるべく上げないように努力したい、――まあ私にはそれがかなり見通しの明るいようなお話でございました。私も非常に喜んでおりましたわけでございまして、したがって、私がただいま御指摘になりましたような、世間で受信料値上げのための含みを持った四十七年度の赤字予算と、つまり収支予算におきまして資本収支から事業収支に八億二千万円持っていっておられるというようなことが故意に受信料の値上げを意図いたしましてやられたということには毛頭考えておりません。もしそういうことが故意にやられたというように私どもが推察いたしますならば、あのような意見は私はつけません。「やむを得ないものと認める」というのはこれは一応肯定いたしておりますわけでございます。在来の「適当と認める」ということばとは違いましたわけでございますけれども、イエスかノーかと言えばイエスに属することなんでございます、類することなんでございます。ただそれについては、あの意見書に書いてありますように、一種の条件と申しますか、企業意欲について大いに精出していただきたいというようなことを含んでのお認めでございますから、やむを得ないものとして認めるということにいたしておりますが、受信料の値上げを将来見越しての意図的な赤字だということになりますと、私は適当と認めないというように書かなくちゃならないわけでございますけれども、そういうものではない、そのような作為はないものだと、私は解釈いたしております。
#162
○森勝治君 現在、カラーテレビの契約高はどのくらいですか。二月末でも十二月三十一日現在でも、どちらでもよろしいです。
#163
○参考人(吉田行範君) 四十六年度、もうただいま三月でございますが、三月末の見込みが一千百八十六万でございます。
#164
○森勝治君 四十六年の三月ですか、四十七年の三月ですか。
#165
○参考人(吉田行範君) 四十六年でございます。――ただいまお聞きになりましたのは現在の数字でございますか。
#166
○森勝治君 はい。
#167
○参考人(吉田行範君) それは失礼いたしました。千九十二万でございます。
#168
○森勝治君 いつですか、それは。
#169
○参考人(吉田行範君) 一月末でございます。
#170
○森勝治君 前はたしか四十六年の三月一千一百八十六万と、こうおっしゃったように思うんですが、それは何かの……。
#171
○参考人(吉田行範君) いえ、それは先ほど申し上げました数でございまして、四十六年度末が一千百八十六万でございます。
#172
○森勝治君 四十六年度末ですね。
#173
○参考人(吉田行範君) はい。
#174
○森勝治君 四十七年三月調査というのは、四十六年度末というのは今月の三月三十一日ですから、まだ統計は出ておらぬでしょう、年度別でいけば。
#175
○参考人(吉田行範君) ですから、最初に申し上げましたのは、「見込み」と申し上げたわけでございます。
#176
○森勝治君 見込みじゃなく、確定した数字を教えてください。最近の確定した数字。
#177
○参考人(吉田行範君) 確定いたしましたのは、先ほど申し上げました一月末の数字でございますが、一千九十二万です。
#178
○森勝治君 そういたしますと、四十七年の一月末で契約高実数一千九十二万、こういうことですね。
#179
○参考人(吉田行範君) さようでございます。
#180
○森勝治君 推定として四十七年の三月末で一千一百八十六万になる、約九十万ふえるということですね。
#181
○参考人(吉田行範君) 御指摘のとおりでございます。
#182
○森勝治君 はい、わかりました。
 そこで、会長にお伺いをするわけですが、お答えですと、四十九年度以降もできれば値上げを回避したい、こういうお話の模様であります。ただ、四十九年度値上げしないで据え置きにしたいと言っておるが、こちらはどうも逆に値上げするんじゃないかと、げすの勘ぐりをしてみたくなるんです。どうも育ちが悪いものですから。
 そこで、さらに具体的にお伺いしたいんですが、会長はたしか四十六年のNHKの予算案審議の席上では、少なくとも四十七年、四十八年の両年度では、値下げは無理だが、カラー契約の伸び等を見て、その後の引き下げを検討したい、引き下げを検討したいという表現を用いられておるわけです。ですから、その当時でも、沖繩の復帰というのが近くあるであろうということは明らかにされているわけですから、ただ具体的に何月何日というふうに明確な線を、一線を画するまでには至っておりませんが、当然これは沖繩が返ってくるということはわかっている問題だし、そういう問題からいたしますならば、値下げは直ちに困難としても、四十九年度以降も引き続き値上げをしないというふうに明快に推定として、現盲点の――四十九年になったときにとかくどうだと言っているんじゃないんです。いまの時点で四十九年度以降を見通した場合に、値上げをしないというふうなもう少し明快なお答えを実は期待しておったんですが、先のことですから、佐藤さんだって五月十五日まで持つか、持たないか危ぶまれる時代ですから、三年先のことはと言ってお逃げになるかもわからぬですが、長期構想をお立てになっているわけですから、当然長期構想を具体的に実現するためには、裏づけとなる予算、やはりそういうものが必要になってくるわけですから、そういう観点を踏まえてもう少しその点を明らかにしていただければと思うのですが、どうでしょう。
#183
○参考人(前田義徳君) その前提として、ただいま先生の御指摘になりました、私の受信料問題についての将来の考え方については、私はおそらく当委員会においてもかなり前から、ことに受信料の内容を変更したとき以来しばしば御質問をいただております。その際の私の答え方――答え方といいますとおかしいですが、私は、総契約数の九〇%近くになってきたときに、おそらく当委員会におかれても、あるいは関係方面におかれても、受信料を値下げするのかという問題が出てくるかもしれない。その際おそらく、その限界になったときには受信料問題をこのまま継続するか、あるいはほかの方法をとるか、あるいは値下げができるのかという検討が行なわれる時期がくるであろうという意味でのお答えでございます。ただし、現実の問題として、もちろん先生の御指摘のごとく、私も三年後に生きているかどうか、あるいは現在の社会情勢なり経済情勢が三年後も今日と同じかどうかは、神さまでない私にとっても、おそらく神さまでも――まあ普通の俗に言う神さまでもなかなか判断しがたい社会情勢の変化が、ボリュームの変化というものがございますから、私が先ほど申し上げましたように、もちろん、はっきりとは現在の時点では申し上げられないということを申し上げましたが、いま長期構想をわれわれが固めている段階で何かあるのかということになりますと、私はあるとお答えを申し上げたいのです。たとえば、まだ上程されておりませんが、近く審議の対象となる昭和四十七年度のNHKの事業計画と、これと関連する財政計画、あるいは資金計画との関連で御理解いただけるかと思いますが、四十七年度にわれわれに直接影響してくるものは、何種類かの公共料金の改定でございます。この改定分だけで次年度予算で消化する金額は、保険が現在足踏みですので、それ以外すでにきまったものを計算に入れますと、七億二千万円の支出増でございます。しかし、これは私どもの企業努力によって、経営努力によって聴視者には御迷惑をかけない、こういうたてまえをとったわけでございますが、それでは一体、私は四十九年度についても断言申し上げられないけれども、何とか道が開けるかもしれないという玉手箱の中の問題ですが、これは御承知のように、前から申し上げているように、来年八月放送センターの完成とともに現在の内幸町を売却するというたてまえでございます。この売却からおそらく売却利益がかなり出てくる。私どもがいま試算している段階では、まあ実行上ははっきり申し上げられませんが、少なくとも百億内外の利益が出てくるであろう、これを将来の経営に活用したい、こういう考え方でございます。またこれと関連して、先生から御質問を受けた沖繩の問題については、やはりどういうことかという御懸念もおありかと思いますが、まあ政府の政策、国民の要望によって、また各政党の御協力によって沖繩が本土に帰るであろうということは予想されましたが、その返り方についてはごく最近までどういうような行政措置になるかということは予測を許しませんでした。前国会の結果としてわれわれと直接影響する問題は、沖繩については五カ年間の特別立法によって幾つかの特別措置がとられていることでございます。その一番大きな問題といいますか、できるだけ早くまず本土並みの施設をすることが必要になりました。
 それからまたもう一つの大きな問題は、沖繩地域においては料金について、これは四十七年度予算御審議の際はっきりしてくるかと思いますが、特別の料金制度をとる必要があるという法律に基づく行政指導でございます。これによりますと、大体私どもは現在沖繩はテレビ一波、しかも沖繩の人たちは約四半世紀にわたって非常に困難な事態の中に生き抜いてきておられますので、私どもは一日も早く本土並みの放送を始めると同時に、少なくとも、数年間にわたってやはり受信料制度については特別の考慮を払う必要があると、こういう考え方を持っているわけでございまして、受信料も、簡単に申しますと現在の沖繩放送協会のテレビ一波の現在の聴取料を土台として、白黒については二百五十円、カラー料金を含めたものについては四百円という特別措置を考えております。
 したがいまして、原則的には先生の御質問のお気持ちと全く同じでありますが、この特別立法との関連においてはやはりわれわれが予想しなかった事態に逢着するわけでありまして、それらの問題をひっくるめて私どもは予算の面で沖繩分の八億二千万円、これを借り入れ金によってまかなうという考え方でありまして、それ自体が私どもの経営意欲からみれば赤字という考え方は持っておりません。これは当然それに引き続く企業努力によって、この金は借り入れ金を返すことによって、私ははっきりした結果になってくるであろうという確信を持っているわけでございます。
#184
○森勝治君 私は先ほどカラーテレビの契約数についてお伺いをしたのです。お答えはお聞きのとおり四十七年の一月未で一千九十二万、それから今月末の推定が一千一百八十六万、契約数。なぜこういうことをお伺いしたかと申しますと、古いことを申し上げまして恐縮でありますが、今を去ること四年前、何か浪曲みたいで恐縮でありますが、ちょうど四十三年度のNHKの予算案審議に関する質問で、私がこういう質問をしたのです。カラー契約が一千万件になれば当然引き下げを検討すべきではないか、こういう質問をいたしましたところ、会長は御指摘のような状態になれば当然低減の方向で検討をしたい、こういうお答えがあります。で、ちょうどその翌日、いまはおやめになりました永岡委員が、やはり同じような質問をされました。カラー契約がどの程度になれば受信料低減措置が講じられるのか、前田会長のお答えは、一千万をこえる時期にならないと根本的な改定がむずかしい。前日の私の質問と翌日の永岡委員の質問との、質疑応答の内容は基本的に表現は違いますが、同じ中身でございます。ところが四年たちました今日、すでに一千万をはるかに凌駕いたしました。しかも、今月末で一千二百万になんなんといたしております。当然そういう段階ですから、NHKの料金の据え置きというよりも、カラーテレビのいわゆる料金の低減ということ、こういうことは当然基本的に検討する時期がNHKに課せられたものと私は思うのです。なぜこれを申しますかというと、四十三年もそうですが、四十四年のときのやはり予算の質問のときの私の発言の記録を見ますと、カラー契約は大幅に上回わることが必至となってきた、昨年も附帯決議で要望してあったが、受信者への還元を検討しておるのか、こういう趣旨の説明をいたしております。さらにはまた、その翌年度の、今度は四十五年度予算案の質問のときにも私から発言をいたしまして、カラー契約は倍増することが明らかとなったが、増収をどのような形で還元するのかという質問をいたしております。この点については副会長からお答えになっておりますが、四十三年度、四十四年度いずれも前田会長が前向きのお答えをされておるわけです。そのとき新谷委員、あるいはまた鈴木委員、あるいは村尾委員、その他衆議院等のこの質疑応答を見ましても、その当時のことがうかがい知れるのでありますが、もし会長にしてさむらいであるあなたが、私はあなたをさむらいであるとお見受けするのです。したがって、そういう立場からいたしますならば、一千万という大台をこしたわけですから、当時われわれがこれを論争したときには、五百万か六百万程度であったろうと思うのでありますが、そのときこういう一千万論争が記録に載っているわけですから、当然この辺でNHKはカラーテレビの受信料の問題については、協会の中で、当然これはもう作業までいかなくても検討する時期に来ているものと、こういうふうに私は理解をしておるわけだが、そういうふうに理解してよろしいのか、あるいはまた主体的な、客観的な情勢の変化があって、いわゆる見積もりというものを別な角度で見なければならなくなったのか、ひとつその点をお聞かせをいただきたい。
#185
○参考人(前田義徳君) 御指摘のとおり、それは第一回目には、新しい料金体系をとった際の御質問に答えております。それからその翌年度、すなわち四十四年度の予算御審議にあたっても、同じたてまえでお答えを申し上げております。第三次構想は、この受信体系の変化に伴ってわれわれが一応五年間の見通しを立てたわけでございますが、これには大きな見込み違いが二点ございます。一つは、平均物価の値上がり指数を三・五%以内に考えたことです。これは経済企画庁の指数を土台として考えました。もう一つは、これと関連して人件費の増を、やはり一応この関係で低く見ていたということでございます。その後の実情は五%から七%までの物価値上がりが続いております。御審議をいただいた昭和四十三年度、四年度等の階段においては、NHKの人件費は聴取料に対して二六%内外であったかと記憶いたしておりますが、近く御審議いただく昭和四十七年度予算の中では、この人件費の率はおおよそ三二%になっております。したがいまして、こういう実際の変化と計画当初の考え方を引き合わしてさらに検討は続けておりますが、聴取料の形での調整は現在のところ困難である、その意味においては私どもの見通しは、あのお答えを申し上げた時点では組合的変化の計算がきわめて跛行的であったということを申し上げざるを得ないと思います。したがいまして、私どもはこの第三次構想の第五年度を初年度とする第四次構想において、五カ年後の状態はどうかという点についてもかなり慎重な態度をとっているわけでありまして、おそらく明年度から発足して第五年目の最後の段階において、内閣統計局その他の資料を勘案しながら、いわゆる世帯数、われわれが目標とし得る世帯数は三千三百万世帯であろうと考えており、そのころにおける趨勢が今日以下にならない場合には、そのころになれば、ようやく三千三百万世帯に対してカラー契約世帯の総数は二千四百万近くなるであろうという見通しは持っております。しかしながら、その外側にあるいわゆる経済情勢あるいは社会経済の変化がどうなるかということについては、私もとより不詳でございますので、今日予断を許さない気持ちでおります。しかし、私が先ほど申し上げた、それでも四十九年度等についても多少の知恵はあるのだというのは、多少の外界の変化を考慮に入れながら、なおかついまのような方向で計算すると、四十九年度もあるいは値上げ等の問題は起こらずに済むであろうという考え方を申し述べた次第でございます。
#186
○森勝治君 なるほどNHKの努力にもかかわらず客観的情勢の変化によってという話はややうなずけます。しかし、当時は六百万程度であったろうと思うのです。四十三年の三月時点では。あの当時、一千万をこえれば値下げの検討が可能であるということを言われました。なるほどそういういま二つの見込み違い、これはNHKの責任でないのでありましょう。ですから、見込み違いがあったといたしましても、すでにもろ一千二百万を数える段階になるならば、当然これはそういうものを考えてもよかろうと思うのです。なぜ私がこういうことを言いますかといいますと、この四十三年のこの時点では、一千万をこえたら検討するとおっしゃっておられるけれども、その翌年の四十四年も四十五年もこの増収の分の視聴者還元ということについては、設備の拡充をもってするということばで置きかえておるのですよ。今日以降も第四次構想の中でというようなことでやっておられるということになるならば、これはお約束の受信料の軽減どころじゃなくて、値上げをまたNHKがしてくるのではないかという勘ぐりが世上喧伝されてくるのではないかと私は思うのです。特に、そういうお約束だから必ずしもやれと申しません、容観的情勢のしからしめるところで、変更はときにはいたしかたがない場合もあると思うのでありますが、このカラーテレビの生産高等から見ますと、これはメーカー等の生産とNHKの契約とはいつも毎年毎年合わない、多少の差は出るとしても、今日これほどカラーテレビが対外的にドル・ショックの影響を受けて頭打ちとは言われながら、国内における消費者の増というものは大きい、ことばをかえて言いますならば、売れ行きは相当上がってきているわけですから、これはもっと実態の数というものはつけておられるのではないかと思う。したがって、NHKがそこで潜在化したものを顕在化しようとしてみずからの御努力、企業努力でだいぶ契約をしておるようになってきましたことは認めますけれども、われわれが聞いたテレビの生産高というものとNHKが毎年三月どきにわれわれに説明する数字との隔たりはだいぶあるんです。四十三年の私はいま契約高一千万を凌駕したときに何ぞという、そういうようなときにも私はいま記憶を呼び起こしておりますが、それもかすかな記憶でありますが、当時もわが国のカラーテレビの生産高はこうだ、輸出はこうだという具体的指摘の上に立って将来の展望の質問を私ははかったつもりでいるわけです。ですからそういう観点からいたしますならば、NHKがいま出されておるこの線というものは非常に内輪、内輪の気がするんです。内輪でやってもなおかつ一千二百万を算するということになれば、やはりこの辺でNHKが相当勇断を持って検討すべき時期がきているもの、かりそめにも値上げなどということは慎重の上にあってしかるべきもの、こう思うんです。値下げ問題がそれは三、四年前であろうとなかろうと、とにかく普及度が、頻度が激しくなれば値下げという見通しがついているわけだから、NHKの経営の実態から割り出してもできるわけですから、今度はそれができませんよ、企業努力いたしましたが値上げしなければならぬと、かりそめにもそういう伏線ではないとおっしゃるから、大臣もそうではないと言ってNHKをあたかもかばっておられるかのごとき発言をされた模様ですから、それはそのとおり正直に額面どおり受け取ってもよろしいのですけれども、少なくとも、私どもの立場をもっていたしまするならば、国会の決議等からみましても、従来の過程から見ましても、当然ここでNHKカラーテレビの料金の改定というものの検討は真摯にNHKは取り組んでしかるべきもの、こう思うんです。もちろん、いまくどいようでありますが、見込み違いということはあります。NHKがせっかく努力されても客観的情勢が変わってくれば、その努力はある面では結果的には実のらぬことにもなるわけです。人件費等はこれは物価高のおりからですから人件費が増高するのは当然でありましょう。何もNHKの職員だけが高祿をはんだというそしりを受けるわけではございませんから、これはおしなべて他と同じ水準にあるわけですからして、NHKばかりがその責めを負うことはないと思うのでありますけれども、しかし、いまの段階でいきますならば、国民からまた値上げするのかという声が非常に俗なことばで申し上げますとうるさいほどいま私は聞かされるんです。ですから、そういう見込み違いがあったとしても、この値上げなどということばはここ数年来考えられないではないか、こう思うんです。もちろん、いままで過疎地における難視聴というものはありましたが、大都会地における難視聴なんというものはついせんだってまでわれわれはそこまで神経をとがらせなかったんですね。もうNHKの本元のすぐ近くが難視聴ということは夢にも考えられなかったんですが、近代文明のなせる悪と申しましょうか、結局さっきのような東京テレビジョンのときにお話し申し上げたような、そういう問題も派生してくるわけで、これはときにはそういうかすがそこにしわ寄せされた一つの現象と見ることができるだろうと思うが、いずれにいたしましても、私は、この辺でカラーテレビの料金の問題についてはもう一ペん再検討してしかるべきだと思うのです。したがって、皆さんはせっかく御努力なさってまた値下げしろと言うのはおかしいかしれませんけれども、ただ、われわれのしろうと頭から考えますと、一千万台をはるかにこえ二割も多くなったのですから、いかに物価が上がったとしても、一千二百万のカラーテレビということになれば私は、企業努力と相まっておやりになれば再検討の余地があるものと、こうしろうと考えで思うわけです。したがって、この点について重ねてNHKの考え方を聞かしていただきたい。
#187
○参考人(前田義徳君) まず結論的に申し上げますと、先ほど来お答え申し上げましておるように、四十七年度、四十八年度ははっきりと値上げをしないと、四十九年度についても検討を続けておりますが、方法はあるであろうということを申し上げました。四十七年度の予算審議をお願いすればもっと明瞭になってくると思いますが、ノミナリーに受信料の増加率は九%強になります。しかし、周辺物価の変動によって実際上の成長率は三・二%ぐらいでございます。これらの実情を勘案しまして、それからまた根本的な問題は、現在がカラー契約というのは白黒にかわって行なわれるカラー契約のほうがはるかに多くなってきております。このことは、三百十五円を捨てて四百六十五円になるという形でございます。御承知のとおり、四十三年度からはラジオ料金を無料にいたしております。したがって、われわれの方向としてはカラー料金にたよるだけが今後の経営の基礎になると思います。まあ生産台数、国内消化の台数とNHKの説明資料との間にギャップがあるということでございますが、多少のギャップは計算の問題上もあるかもしれませんが、大局的に申し上げますと、ごくここ数年来の傾向は、一世帯ごとに複数の受像機を持つ傾向が出てきている。しかし、NHKの受信料制度は一世帯一契約制度でございますから、今後伸びていく生産台数、カラーの生産台数というものはその限りにおいては複数とは関係がなく、同時に白黒との転換において行なわれるということが実質的な内容でございます。したがいまして、私どもはこのような変化の中で今日かりに再検討をいたしたといたしましても、まだ先生が御指摘になるような時期にはきていないということを申し上げざるを得ないのははなはだ遺憾でございますけれども、実情から類推いたしますと、そういう結果になります。
 で、問題はこのNHKの現状では四百六十五円のカラー料金がその他の物価との関係で相対的に高いのか安いのかという問題に変わりつつあるということを申し上げたいと思います。この点につきましては、経済企画庁の調査でも、日本銀行の調査でも、その他関係当局の調査では、NHKの料金は相対的に現実には値下げの道をたどっているという統計が出ております。私どもはもちろんこういう統計にたよって個々の聴視者との関係を規制しようとは思っておりません。しかしこういう環境の中で、たとえば四年前に何となく一つの想定質問、想定のお答えを申し上げたことははなはだずさんであったかもしれませんが、現実に即して申し上げると今日では値上げはしないが、値下げの問題はまことに特別な環境においてのみあり得る問題というふうに私は痛感いたしております。しかしながら、カラー放送を拡大強化することによって、実質的に聴視者のサービス強化という点で、私は、この四百六十五円の値段が聴視者との個人的な結びつきの中ではわれわれとしてはそれらが実質的に聴視者に理解していただける値段であるというように御理解を願う最大の努力をいたしているつもりでございます。現在、四十四年は第三次構想の二カ年になりますけれども、その当時のカラー放送の規模、今日のわれわれが行なっているカラー放送の規模は全国的に変化いたしておりまして、当時は単に東京あるいは補完的に大阪と名古屋から一部を分担するという形でございますが、今日以後は御理解いただけるかと思いますが、全地方局においてカラー設備を持つようになり、これによって地域聴視者との関係を一そう密にしているという状態でもございますので、その辺のところを御勘案いただき、われわれは結論としては値上げをしない方向で努力するということを申し上げて御理解を賜わりたいと思います。
#188
○森勝治君 ちょっと角度を変えて質問したいのですが、私は、この前も指摘いたしましたように、一世帯一契約というようなこと、なるほどしもた屋の場合はそうでしょう。その際も私はつぶさに指摘をいたしました中の一人として、ホテル等のこの契約――大ホテルでも一戸ということらしいが、各部屋ごとにホテルの中にはカラーテレビ等が据えられておるから、当然ホテルの中の全般について契約すべきではないかというような趣旨の発言をしたようにいま思い起こすわけですが、ホテル等の契約問題等はどういうふうに進んでおりますか。
#189
○参考人(吉田行範君) お答えいたします。
 現状では先ほどもちょっと申しましたけれども、非世帯契約数は四十六年度末で約三十七万件でございます。その内訳は、普通契約が二十六万八千、それからカラー契約が十万二千でございます。ちょっといま説明が不十分でございましたが、非世帯と申しておりますのは、いま御質問になりましたようなホテルとか、そういうところを意味しております。
#190
○森勝治君 そうすると、ホテル等の各部屋にあるのは全部契約しているという御説明ですね。
#191
○参考人(吉田行範君) ホテルにつきましては部屋ごとに受像機が置いてございますところと、それからカウンターに受像機があって、そして客の要望に応じて備えつけるという場合もございます。それからホテル全体といたしますと、常に客室が全部満員で、受像機が稼動しているという実情ばかりではございませんので、そういうことを勘案して契約いたしております。
#192
○森勝治君 それは異なことを承る。受像する時間によって契約の内容を変えるのですか。契約というのは受像を、契約者自身がスイッチをひねろうとひねるまいと契約行為には変わりないでしょう、いまのお話ですと。客室が満員になったりならぬだったりするからそういうことを見てという趣旨のことらしいけれども、全くそういうことは関係ないでしょう、見ようと見まいと。
#193
○参考人(吉田行範君) 御指摘のとおりでございますけれども、ただ、ホテルなどの場合は、部屋数はわかりますけれども、その部屋の中へ私どもの人間が立ち入って一つ一つ検査するわけにはまいりません。したがって、そういうところで約七割とか八割とか、そういうふうな契約をするように結果的にはなるわけでございます。
#194
○森勝治君 ばくたるお答えですが、たとえば客室百ある、そのうちにカラーテレビは百あるが、大体七割ないし八割契約をしているという御説明ですね。
#195
○参考人(吉田行範君) ただいまの御質問でございますが、百あるかどうかは私どもではわからないわけでございます、部屋が百あるということはわかるわけですけれども。
#196
○森勝治君 あなたはいみじくもいま七割ないし八割という表現を用いられたのですが、それは、七割ないし八割常時客室が満員になるというのですか、一体、七割ないし八割契約をしたとおっしゃるのですか、その点ひとつ明らかにしてくれませんか。
#197
○参考人(吉田行範君) 七割ないし八割契約するということでございます。
#198
○森勝治君 契約するという、その未来ではだめなんです、しているのかどうかと聞いているのですから。
#199
○説明員(吉田行範君) 契約しております。
#200
○森勝治君 その点間違いありませんね。都内のホテルとほとんど七割ないし八割契約をしているのですね。この前は、そういう具体的なお答えがなされなかった模様なんですよ。なかなかむずかしいからもう少し時間をくださいというお答えだったのですよ。わずか半年か一年くらいでさっさと全部できたのですか。
#201
○説明員(吉田行範君) 前回お尋ねのときはたぶん三十一万何がしというお答えをいたしたと思いますが、ただいま申し上げましたように、現在では約三十七万件でございますから六万件ふえているわけです。
#202
○森勝治君 どうも私の質問の趣旨をおくみ取りいただいてない模様でして、私は世帯の数を聞いてないのですよ。ホテル等における契約を申し上げているのですから、その趣旨に……。あるいはいま三十何万件ホテル等で契約したというお答えだというふうに受け取れますが、いいですか。そうじゃないでしょう、あなたのおっしゃったのは。
#203
○参考人(吉田行範君) 御指摘のとおり、初めに非世帯と申し上げましたのはホテルばかりではございませんから、若干ほかのものも入っているわけです。
#204
○参考人(小野吉郎君) いろいろ吉田理事から御答弁を申し上げましたが、森先生の御質問に対しまして、私どもも、いまの現状ほんとうに胸を張って全部契約しておりますと、こういう状況にはなっておりません。私どもはやはり設置台数すべて契約対象になるものと、こう考えて努力をいたしておりますけれども、ホテルによりましては一〇〇%契約対象になったものもありますし、まだ、その過程にありましてそこまでいってないものもございます。これは今後の努力に待たなければならないと思いますけれども、いろいろそこに非常なむずかしい問題もございまして、一気にそういう理想の域には到達しておらないというのが現状でございます。
#205
○森勝治君 そういうお答えならけっこうです。
 それでは次に移りますが、最近ときどき受信料不払いというような話を耳にするのです。で、ときには何か集団をもってそういう行動に出ているような向きもあるやに漏れ承るのだが、そういうことがあるのかないのか、あるいはまた、意識的に不払いということで何か文書をもってNHKに申し込んでいるような件もあるやに聞くのですが、その辺のところはどうなっているのですか。
#206
○参考人(吉田行範君) 私どものはじいた数字では大体十五万足らずが先生御指摘のような不払いという――不払いと申しましても、ただ、これは永久に払わないということではございません。一年余り滞っているということでございます。
#207
○森勝治君 意識分子と意識せざる者とありますね。つい引っ越してきてNHKが契約しましょうと言わぬ限り先様からお申し出はいただけないだろうと思うのですね、社会慣行として。だから、そういうものはさておいて、私の言うのは、NHKに払いませんよと、こういう公的に表明される方があるそうだが、それはあるのかないのかという、こういう質問を申し上げているわけですから、よくひとつ私の質問を聞いてからお答えいただけませんか。
#208
○参考人(前田義徳君) 御指摘のとおり、先生が暗示されているグループには二色、もっと端的に申し上げれば三色でございます。第一のグループは、飛行場と公害との関係で払わないという言い方をしておるグループでございますし、第二のグループは、何かの問題で相互理解が成立せずに全国的に不払い運動をやるぞという方々の御意見でございます。第三のグループは、考え方の違いから払うわけにはまいらぬ。この第三のグループは大体契約にも至らない方がほぼ全部でございます。第一の問題については、前国会でもお話し申し上げたかと思いますけれども、原因者責任主義、これが関係当局にも御理解をいただくようになりまして、わりあいに順調に処理の過程にございます。第二のグループにつきましては、経過的な問題はございましたが、相互理解が進みながら、これはほとんど問題の解決点に達しております。第三のグループにつきましては、その後数字は漸減してまいっております。これが実情でございます。
#209
○森勝治君 問題は第三の問題ですね。第一は感情論が多分にあるし、私どもも飛行場周辺は低減をはかったらどうかという主張をしておりますから、その辺で若干トラブルがあることはうなずけますが、第三の認めないという立場ですね。漸減をしておるということですから、それはよい方向に進んでいるには違いないが、聞くところによると、NHKに堂々と文書を出して、そんなもの払いませんよと言っているとか言わぬとかいう話が、昔はそういうことなかったんですが、最近は散見するというふうに聞いていますものですから、もしそれが全国的にびまんをしたら、これはもうNHKの経済のささえを根底からくつがえす重大事件になりかねないものですから、あえて私はこの件については初めて質問をするわけですが、その辺の見通しはどうですか。
#210
○参考人(前田義徳君) これまでの経過から、また、これまでの経験からこれはかなり時間はかかるかと思いますが、しかし社会状態との関連でも、この問題は私どもとしては最終結論を急ぐわけにはまいりませんが、努力を続けながら平穏に解決してまいりたいという決心をいたしております。
#211
○森勝治君 いろいろお伺いしてまいりましたが、先ほども私は沖繩の問題で若干触れたわけです。いま、この沖繩のテレビ、ラジオ等の問題について非常に沖繩の皆さんは本土並みということにテレビの分野についても懸念を持っておるわけです。したがって、先ほどの説明でややわかりましたけれども、それをさらに会長の口から明快にお答えいただきたい。すなわち、沖繩県民の不安をこれは取り除くためにも、沖繩に対する公共サービス等の改善については、従来、計画を発表したとおり本土並みのサービスをするように最善の努力をすることであるから、したがって、四十七年度の予算案等については沖繩の分が赤字だということにはなっておるけれども、そういう問題とは一切関係なく、沖繩が祖国復帰の暁はとにかく本土と寸分違わないようなこの放送網の拡充とサービス改善とをはかるということを、ひとつこの際明解にしていただきたいと思うのです。
#212
○参考人(前田義徳君) まず具体的に申し上げますと、今年中にテレビは二波になります。それから、全くなかった音声放送のうち中波第一、第二は今年中にネットワークの基礎が完成する予定でございます。
 FMにつきましては一年ぐらいおくれまして、あるいは明年度になるかもしれません。
 またカラー放送につきましては、電電公社のマイクロウエーブ完成とともに、おそくとも年末から一月にかけてカラー放送も実施される予定でございます。ただ問題は島の問題がございます。これについては、電電公社のマイクロ回線がどういう形でいつ完成されるかということとかかわりあいを持つわけでございますが、少なくとも、その未完成の時期においても、私どもは、ビデオテープその他の処置でできるだけ完全に近い放送を実施いたしたいと、このように考えており、これは単にNHKの政策というよりは国民の気持ちを代表して、沖繩の人たちに対するわれわれを仲介とした責務であるということを痛感いたしておりまして、以上申し上げたことには、まあ時期的にも全くのそごのない措置をとりたいと考えております。
#213
○森勝治君 郵政大臣、いま会長から沖繩問題についてのお答えをいただきました。これは、沖繩特別委員会等でも私どもこの点についてつぶさに当局の考え方をただしてみたいと、こう考えておったんでありますが、そうそうの間でありますので、なかなかそういう問題あなたからも十分に当時お伺いすることができませんでした。きょうももう時間がなくなりましたから深く長く聞くわけにはまいりません。そこで沖繩問題一点だけお伺いするんでありますが、いまのお話にもありましたように、NHKとしては最善の努力をするというお話であります。
 それから、いまの会長のお話の中にも出てまいりましたように、電電公社があそこで設備を、線を敷くということ、これはもう沖繩特別委員会でも席上で明らかになったことでありますが、沖繩の祖国復帰を契機として郵政当局としてもひとつ万全の措置を講じてもらいたい。
 それからすでにこのカラーテレビ等の問題にいたしましても、方針はきまっている模様でありますが、その辺の問題を一体どうされるのか、明らかにしていただくとともに、何としてでも沖繩の皆さんがいま一番心配しているのは、このNHKのこれはまあ予算案のときにもほんとうはやりたいのでありますが、まあ言及いたしました手前さらにちょっと触れますけれども、今度のNHKの四十七年度の予算案の中に、沖繩の復帰のサービス等の万全を期するために赤字を計上したと、こういうように受け取られるような節があるように見受けられるものですから、沖繩の皆さんは非常にその点が懸念をされておるところであります。したがって、私はNHKの四十七年度の予算は沖繩が返ってくるから、そのことによってNHKが七億円も八億円もの赤字を計上したじゃなくして、それはまた別の角度でそういう線が出たということで、直接的には沖繩復帰に伴うサービスの万全を期すために赤字が計上されたんでないということを、ぜひとも大臣からもこの席上で明らかにしていただいて、沖繩の皆さんが安心して祖国復帰の日を迎えることができるよう、そしてまた、祖国復帰の暁には、本土の皆さんと同じように、やはりNHKのもたらすもろもろの文明の恩恵と申しましょうか、テレビ等の放送等を内地の皆さんと同じように自由に存分に聞くことができるように、政府としても、特に郵政省としても施策の万全を期さなければならぬと思いますので、その点についてひとつこの席上、大臣からも明らかにしていただきたい。
#214
○国務大臣(廣瀬正雄君) 沖繩の放送を本土並みにいたしますということについては、沖繩特別委員会で私から相当詳しく御答弁申し上げ、御説明をいたしたことは御承知のとおりでございますが、ただいまは公共放送のNHKのほうから、会長さんが責任を持ってそのような内容の御答弁があったわけでございまして、私もぜひそのようなことを期待をいたしまして、実現するようにしていただきたいというふうに考えております。
 本土並みとは申しますけれども、さらに沖繩に特は特典だと思いますことは、先ほど会長が申されましたように、料金も私どもラジオ、テレビともに安くするというようなお考えがありますようでございますし、それからまた、沖繩県はいわば九州の一部であると思いますけれども、特に沖繩住民の放送に対する御意見を承るために、特にNHKの番組み審議会の委員に沖繩県人を一人五年間だけ加えていただくというような便宜もはかっていただくようなことにいたしておりますし、それからカラーテレビについて、会長はおそらく年末に本土並みの放送ができるだろうというようにおっしゃられましたが、本土並みのカラーを二波とも放送するという段階は、おそらくそういう時期になろうかと思いますけれども、カラーがNHKの放送によって一部見えるというのは、五月十五日に復帰ができることになったわけでございまして、最初のころは七月一日に復帰だというようなことで、カラーテレビ放送のための本土からのマイクロウエーブ、これを六月末までに完成したいと考えておったわけでありますけれども、電電公社のほうでそのような目途で作業を進めておったわけでございますが、五月十五日に繰り上がりましたので、それまでに間に合わせるように、せっかくマイクロウエーブの工事も完了するということになりまして、そうなれば、それを利用いたしまして、NHK毛民放もカラーテレビを放送するということになりますわけでございますから、しかし、これは五月十五日から放送ができるというだけのことでございまして、カラーでございますが、本土並みというのはただいま会長がおっしゃったように年末ということになろうかと思っておりますが、カラーテレビを放送できるというのは、復帰と同時に一部実現できるというふうにお考えいただいて差しつかえないと思います。
 それから先島につきましては、これはただいま会長からもお話がございましたが、ただいま見通しの外のマイクロウエーブがございまして、電話の疎通にこれを利用いたしておりますわけでございますけれども、何とかそれを利用いたしまして、白黒でもいいから放送できるような方途はないかということで、調査を進めておりますけれども、それはなかなかむずかしいそうでございますし、その見通し外のマイクロウエーブを使えないということになりますれば、特別に電電公社のほうで深海用の海底電線を開発したいということで考えておりますようでございます。これは多少年数を要するわけでございまして、あと数年、まあ五十一年度か五十二年度にはそのような回線の施設ができるというようなことではないかと思っております。そういうようなあらゆる方途を講じまして沖繩の放送業務を本土並みにいたしたいということで、政府のほうも関係の各向きに対しましてお願い申し上げまして着々進めておりますわけでございます。
#215
○森勝治君 いま大臣のお話の中にありましたカラーテレビの実験といいましょうか、試験といいましょうか、五月十五日沖繩復帰のときには現況放送はカラーで、たとえ試験的にもできるということですね。全般的にはケーブルの施設の完了を待ってということでありますが、試験的にもカラーでできるということですね。
#216
○国務大臣(廣瀬正雄君) これは、ただいま見通し外のマイクロウエーブを四回線かやっておりますようでございますけれども、一回線だけ五月十五日に間に合ってできるということになりますれば、実験じゃなくて、もう実際に五月十五日から放送ができるというわけでございます。ただ、一回線だけでございますから、全面的に本土並みでカラーの放送ができるというわけじゃございませんので、これはNHKも使えば民放も使うということになろうと思っております。
#217
○森勝治君 NHKのほうはそういう計画はもう十分聞いておるだろうし、対策は練っておるわけですね、五月十五日実現できますか。
#218
○参考人(小野吉郎君) 十分承知をいたしておりますし、沖繩に対しましてはできるだけすみやかに本土並みのサービスをしようということでいろいろ検討いたしております。
 現在、五月十五日に間に合いますカラー回線は下り一回線のみでございます。これが沖繩の民放と共同になりますので、完全に二波ともカラー化する――特に本土におきましては現在すでに総合テレビは全カラーでございますが、そういう状況には民放と共用いたします限りにおきまして不可能でございますけれども、この回線をNHKが使い得る限度におきましては最高限にカラー放送を行ないたい。その他、あと大体いまの予定では年末には下り二回線ができるであろう。そうなりますと民放とそれぞれ専用できる形になりますので、これは完全に本土並みのサービスができるというように計画を進めておる次第でございます。
#219
○森勝治君 私は、もっと決算の細部にわたって質問をしたいと思って用意はしたのでありますが、もう間もなく五時になる模様でございますから、きょうのところは、四十四年度の決算についてはもうこれ以上ことばを慎みまして、質問はいたしません。残った部分については予算の中、また追って四十五年度の決算等の中でも触れてみたいと思います。
 これで終わります。
#220
○委員長(杉山善太郎君) 本件に対する本日の質問はこの程度にとどめます。
 本日はこれで散会いたします。
   午後四時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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