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1949/04/10 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第48号
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1949/04/10 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第48号

#1
第007回国会 大蔵委員会 第48号
昭和二十五年四月十日(月曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 前尾繁三郎君
   理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君
   理事 島村 一郎君 理事 川島 金次君
   理事 内藤 友明君
      甲木  保君    鹿野 彦吉君
      佐久間 徹君    高間 松吉君
      西村 直己君    三宅 則義君
      宮原幸三郎君    佐竹 新市君
      宮腰 喜助君    竹村奈良一君
      田島 ひで君
 委員外の出席者
        参議院議員   門屋 盛一君
        参議院議員   佐々木鹿藏君
        大蔵事務官
        (管財局国有財
        産第二課長)  森岡謹一郎君
        專  門  員 椎木 文也君
        專  門  員 黒田 久太君
四月八日
 委員奧村又十郎君辞任につき、その補欠として
 保利茂君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
 委員中崎敏君辞任につき、その補欠として佐竹
 新市君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 旧軍港市転換法案(参議院提出、参法第三号)
    ―――――――――――――
#2
○前尾委員長代理 これより会議を開きます。
 予備審査中のところ、去る七日本委員会に本付託となりました旧軍港市転換法案を議題といたしまして、質疑を行います。
#3
○田島委員 まず第一に旧軍港用財産が公共団体にどれだけ拂下げになつておるか。政府の方にお尋ねしたいと思います。
#4
○森岡説明員 お答えいたします。公共団体のみに拂い下げたものについての調査はできておりませんが、軍港都市の財産で現在までに拂い下げましたものの価格を申し上げますならば、これは台帳価格でございますが、横須賀市二千八十六万一千五百五十五円十三銭、舞鶴三千四百八十八万四百二十一円、呉二千二百二十八万八千百六十七円、佐世保は千二百十万六千五百四十四円、合計九千十三万六千六百八十七円十三銭でございます。これは軍港市にありますもので、現在までに処分済みのものであります。
#5
○田島委員 ただいまのお答えによりますと、これはお売りになつたものなのでございますか。どれだけ建物が売却されておるか、それはおわかりですか。
#6
○森岡説明員 これはすべて売り拂つたものでございます。
#7
○田島委員 現在残つておりますので、使用に耐える建物がどのくらいありますか。
#8
○森岡説明員 建物について申し上げます。台帳価格でございますので、次に申し上げます金額のうち、幾らの建物が現に使い得るかということについては、さらに調査しなければわからないのであります。未処分のものの建物を申し上げますと、横須賀市五千八百三万百六十五円、舞鶴五千百四十八万三百二十五円、呉七千五百九十一万六千九百八円、佐世保五千八百十七万二千七百八十六円、合計いたしまして二億四千三百六十万百八十四円であります。
#9
○田島委員 それは使えるものの値段ですか。お売りになつたものですか。現在建物で遊休しておるものはそれはおわかりになりませんか。どのくらいあるかお伺いしたい。
#10
○森岡説明員 ただいま読み上げましたのが売つていない国有建物として残つておるものであります。しかしながらこのうち大部分のものは一時使用中でございます。従つて全然人の入つていないものはおそらくないだろうと思います。入つていないものでありますならば、鉄骨だけの建物が残つておるという現状であります。
#11
○田島委員 お貸しになつておるものは相当ありますね。そういうものの賃貸料などはどうなつておりますか。それから滞納なども相当あるように聞いておりますが、そういうものはどのくらいあるか。おわかりになつておれば……
#12
○森岡説明員 使つておりますものについては使用料を全部徴收いたしております。ただ滞納になつておりますものがこの中に幾らあるかということについては、調査いたしませんとわかりません。
#13
○田島委員 それはおわかりになるのではありませんか。過年度の決算書を調べられれば……。私どもの調べたものの中にはありますが、そういう賃貸料などはどうなつておりますか。ずつとそのままになつておりますか。
#14
○森岡説明員 先ほど申し上げましたように、四軍港のみをまとめたものはございません。貸付料について、二十三年度未收入未済額は一億四千百三十二万八千二百七十六円三十銭でございます。
#15
○田島委員 それは賃貸料ですか。未收入の分ですか。もう少しはつきりおつしやつてください。
#16
○森岡説明員 ただいま申し上げましたのは貸付料の未收入になつておりまするものの全額であります。
#17
○田島委員 その未收入というのはもお聞きしてもおわかりにならないかもわかりませんけれども、やはりどういう原因で未收入になつておるのか。そしてまた今後どういう形でおとりになるのか。その点おわかりになりましたうちよつとお聞きしたいと思います。くどく聞くようですけれども、最近税金なんか相当ひどいことをして取立てているのですから、こういう国の財産がそのままになつているのは遺憾に思います。その点をお聞したいと思います。
#18
○森岡説明員 滞納になつておりまする原因は、主として金詰まりであるのであります。そのほかはことに公共団体等における財政の逼迫ということが大きな原因であるのであります。大蔵省といたしましてはこの整理のために極力努力をいたしておるのでありますが、なかなか解決をいたさない。従いまして相当長期の滞納もありますので、滞納が長いものにつきましては、使用契約の取消しを行い、立ちのきを要求する。そういうように法務府を通じて処置を講ずるというようなことで、処理をいたしておるわけであります。
#19
○田島委員 その点はそれ以上強くお尋ねいたしませんが、大体拂い下げられた旧軍財産、それからお貸しになつていらつしやるものがどういう方面に使われておりますか。おわかりになりましたら、現在どういう企業あたりに使われておりますか。その点をお伺いいたします。
#20
○森岡説明員 お答えいたします。いろいろな産業なり企業なり公共団体の公共の用に供されているわけでありますが、四軍港の転換の状況は、大体に海軍の工廠でありますので、船舶修理業に使われている財産が最も大きいのであります。そのほか倉庫業その他に使われておるわけであります。
#21
○田島委員 提案者にちよつとお尋ねしたいのですが、この法案につきましては、私どもは法案そのものの御趣旨にはもちろん賛成でございます。それから軍港市の市民の市民大会なんかで、戰争の災害に対して再び戰争のない平和な都市としたいという、切々たる御希望に対しては、もちろん同感でございますが、この提案の趣旨の中に、平和産業都市ということが言われておりまするが、平和都市が主なのか産業都市が主なのか。もちろんこれは平和で産業都市だとお答えになるだろうと思いますけれども、やはり平和都市と産業都市との間には相当の隔たりがあると思います。平和を主としてやつて行くその立場から産業をいかにしで興すかということは同時に産業都市としてやつて行くためには相当平和が阻害される。現状から見ますと、私どもはそういうことを強く感じます。平和に反するような産業も現在では相当あるとわれわれは見ておりますので、このどちらを強力に主張なさいますか。單に平和産業都市ということだけでは、われわれ希望いたしましても実行不可能になる点があるのじやないか。あくまでも平和都市として強くこれを押して行かれるか。そのためには産業都市が完全に平和産業に向つて努力されるのかされないのか。その点をちよつとお伺いしたい。
#22
○門屋参議院議員 お答えいたします。第一條の目的は、これは新憲法になりまして日本が軍備はやらないということはわかつているのであります。ただ四軍港とも、御承知のように軍のことばかりやつて来ておつたところでありますから、むろん産業以外にないのでありますから産業に転換するのでありますが、第一條の自的としまするところは、普通の産業都市であるのみならず、それに加えるに、特に平和ということを強くうたいましたのは、この四軍港がかつての軍港であつたがゆえに、平和という観念を深く持つて、市民みずからが平和の産業都市をつくるということを市民に強く認識させるために、平和産業都市という言葉を使つたのであります。それは各市民大会の平和宣言等を盛り込みまして、むろん産業都市でありますけれども、大体四軍港が旧軍の施設であり、軍事工業ばかりやつておつたところでありますから、特に平和という信念を持つて行かなければならぬというので、平和をかぶせた。
#23
○田島委員 もうちよつと具体的にお伺いいたしますと、現在平和産業は中小企業などどんどんつぶれております。産業の転換と言われても、とかく平和的なものでない方の産業におもに力が注がれておる現状でありますが、軍港都市を産業都市に転換するということも、はたして平和産業都市として転換できるかどうか。そこに矛盾がないかどうか。その点をはつきり伺いたい。もう一つ接收されております分はおわかりにならないと思いますが、今後講和会議の後にこういうような接收されておるところの産業が、はたして平和的方面に転換し得る可能性と見通しをお持ちになつているかどうか。そういう点等のはつきりした見通し、それから産業の平和的な方面への転換の強力な具体的措置がなければ、平和産業都市として軍港都市を転換することは非常に困難だ、こう考えるのでありますが、その点具体的にお答え願いたい。
#24
○門屋参議院議員 第一点のお尋ねでございまするが、これはわれわれどの産業が平和であり、どの産業が平和でないということは、ちよつと主観の問題になると思うのでありますが、私たちは今日本に平和でない産業はないと総括的に思うのであります。しかし第一條の目的としますところは、何しろ数十年間軍ばかりで立つて来たところでありますから、ほかの都市よりも軍事的考えの強いところであるから、普通産業に転換をやります上におきましても、もう軍事的の素養が強かつただけに、このみじめな失業状態も深刻にこたえている。この四電港の市民としましては、よその人よりもなお戦争というものをきらつている。この四軍港では再び軍備が拡張されて戦争になることを妊んでいるというような説もあるのでありますけれども、私も軍港から出ておるのでありますが、よそのところよりも終戰によつて失業してしまつて、まざまざとみじめなさまを見せつけられておる今日の占領状態からしましても、どうしても平和でなければならぬという考えをもつて、市民大会等で決議をするようになつたのであります。ただお尋ねのどの産業が平和に適するかどうかということは、私は発議者といたしましては、あらゆる産業が平和の上に立つておる、こういう考え方でありますので、どれとどれとどれと具体的にと費われましても、ちよつとお答えしかねるのであります。この住民の考え方は特に戰争をきらつておるし、またわれわれといたしましても、平和という文字をかぶせましたのは、このきらつておることをいつまでも忘れずに、普通の産業都市でない、かつての軍港であつたことがいけないのであるから、あくまでも平和な産業都市でなければならぬという、こういう思想で進んで行きたいと考えております。
 それから第三は接收されておるところの問題でありますが、お話のように接收中のものは、この法案の恩典には浴しないわけでありますが、これが講和会議になりまして――また講和会議前でも徐々に解除されつつあるのでありますから、その解除を受けましたならば、各市の方で一つの計画を立てまして、その都市計画に当てはまる範囲において、今回の法律でできます審議会等の議を経まして、産業の方に転換するものに対しては、この法の恩典に浴せしめたいと考えております。
#25
○田島委員 最後にもう一つ、もう少しはつきりお伺いいたしたいのでありますが、たとえば横須賀の例なんかで見ますと、これは新聞などでも海軍基地化ということが相当問題になつておりますが、尖鋭化した最近の国際情勢のもとでは、そういう可能性もわれわれは考えられるわけであります。法案の中には盛られていなかつたと思いますが、そういう軍事基地化などに対しては、強力に反対するというようなお考えを何らかの形でこの中へ盛らなければ、平和都市としての転換は不可能ではないか。具体的にそういう措置がなされなければならないのではないかと考えますが、そういう点のお考えはどうでありますか。
#26
○門屋参議院議員 その点につきましては、この法律を立案します途中で、基地問題が世間に現われるようになりましたので、立案者といたしましても、これは容易ならぬ問題であると考えまして、それぞれの手を通じまして、関係方面の意向をただしたのでありますが、基地問題は、今世間で言われておるようなことはないし、米軍当局の方にも直接行つて聞いたのでありますけれども、この転換法は非常に賛成である。決して基地問題は考慮する必要はないという相当のところの言明を得まして、むしろ関係方面ではこの転換法のでき上ることを喜んで、推してもらつたというような実情でございます。
#27
○竹村委員 大体御趣旨はよくわかつておるのでございますが、第二條で、これを施行するにあたつて、大正八年に出されました都市計画法等も適用するということになつておるのでございますが、この大正八年にできた都市計画法というものは、元来がいわゆる都会の戦時的な編成に都市を再編するために――その目的はそう書いてありませんけれども、事実はそのことを目的としてこの法律が施行されたのでありまして、従つてたとえば土地を收用するにいたしましても、軍事的に道路が必要だという場合には、土地收用を都市計画の名前によつて行つて来た。結局この御趣旨にあるように、平和都市に転換するというときには、若干そういうことも必要になるかもしれませんが、大体根本的にはそういうような軍事的都市を編成するためにごしらえられました都市計画法を、こういう法案に適用されるということにつきましては、どうも急に解しかねるのでありますけれども、こういう点につきましては、どういうふうにお考えになつておられますか。
#28
○門屋参議院議員 立案者の方では、大正八年法律第三十六号が戰時計画のために立てられたかどうかということを考えたのではなくして、現在の四軍港は、現存しますところの都市計画法と、また昭和二十一年法律第十九号の特別都市計画法に大体当てはまつておる。横須賀は戰災を受けておりませんから、第十九号の方には当てはまらないところが多いかと思いますが、これは要するに特別都市をつくりましても、現存するところの都市計画法及び特別都市計画法の適用から、除外されるものでないということを書いただけのものでございます。
#29
○竹村委員 そういたしますと、この都市計画法によりまして、こういう平和都市に転換するために、いろいろ施設をやる場合に、計画法によつて、たとえば土地あるいはその他等を收用される場合におきましては、この法案によりますと、審議会によつて問題が決定される。大局的に見たならば審議会によつて、そういう人たちに対する耕作権その他いろいろな点を考えられるということになつておるのでございますが、そういたしますと、処理審議会とかいうようなものに付されるということでございますけれども、それの構成ということになる場合においては、おおむね現在の制度で考えますならば、大体小市民あるいは労働者や勤労者の面が、学識経験者の中にも、従来からいつたらなかなか入つていない。現在の組織ではなかなか入らないわけであります。そういう場合に、そういう人たちの権限を擁護すべきである。もちろんこれは審議会によつて擁護するとおつしやいますけれども、ぞの審議会の構成は先ほど申しましたように、そういう代表者が入つていないというような場合においてはたとえば平和産業都市にするという名目において、そういう人たちがいろいろな不満と犠牲を拂われるのではないかと思うのです。こういう際に、たとえば勤労者側からどれだけ入れる、あるいははつきり階級層によつて選ぶ道を講ずるのが適当だと思うのですが、この点に関してどういうようにお考えになつておりますか。
#30
○佐々木参議院議員 御質問の趣旨に最も沿うような正確をもつて、この転換法をつくつたのであります。われわれのねらいは、ただ財産を処理するのみにこの法律をつくつたのでなく、この七十年、八十年、二代。三代ときたえ上げた優秀なる技術者をいかにして活用するかということが、この転換法の最も主眼でございまして、この審議会は中央に一つしかできないことになつておりますけれども、初めのほどは四つの都市に四つの審議会をつくつて、中央に一つの審議会をつくつて処理してを行こうという考えを持ちましたが、なかなか複雑で容易に意見もとれないという関係から、一つにいたしました。しかしながら四市とも市民を中心に一つまり市民の代表を中心にして労働者の代表もあれば、商工会議所の代表もある、また市会の代表もある、産業界の代表もあるというようなメンバーをもちまして、各市とも大体同一のような復興審議会とか、あるいは今度の法案に即応するような構想のもとに各市とも練られて、市民の総意をもつて建設復興に燃えるような力を持つて行こうということでございますから、労働者に薄く、資本家に厚いというような考えは毛頭持つておりませんから。どうぞ御了承願います。
#31
○竹村委員 それからもう一つ、公共団体に対しては大体五割引、つまり半額でこれを譲渡するということになつておるのですが、今日の公共団体、この中に入つておるたとえば引揚寮とか、あるいは学校、病院の施設に対しては、個人は別でありますが、そういう施設に対しては五割というよりも、これはむしろ無償で譲渡すべきではないかと私たちは考えておるのでありまして、個人のものは、今日の経済組織のもとにおいても、おのおの産業をやられておるとするならば、それはたとい平和産業でありましても、一応の利潤を目的としてやられるのでありますから、これは別でありますけれども、しかし少くとも利潤を目的としないところの公共団体に対しましては、全額つまり全部無償でこれは拂い下げるべきだと考えるのですが、この点に関して立案者であられる人々は、なぜこういうように五割引というようにお考えになつたか。無償とせられる方がいいのではないですか。
#32
○佐々木参議院議員 御説のことについては、立案者は実はただというわけにも参りませんが、一割ないし二割程度の価格で、ほんの名ばかりの値をつけてもらいたいつということを、根本においてねらつたのであります。しかしながらこれは対内、対外とも折衝いたしましたが――対内というのは大蔵省でありまして、対外とはGHQでありますが、その方面と折衝いたしました結果、これ以上はまかりならぬということでございましたので、遺憾ながら、五割程度にいたしたわけであります。なぜ五割にしたかと申しますと、実のところ各都市とも、たとえば学校の拂下げを受けようという場合に、大がいが一坪七千円程度であります。新設いたしましても、一坪一万円足らずでできるのであります。七千円で拂下げを受けて、安いかと申しますと、僻地にありまして学校に適合しないものも七千円だということでは、公共団体としては何ら利得するところはない。五割程度であるならば、たとい僻地であつてもしんぼうができようかという両方面から考えまして、そのような法案にしたわけであります。
#33
○竹村委員 政府の方に伺いたいのですが、大体先ほどから拂い下げるべき財産等を聞いておりますと、あまり大きな額じやないわけであります。従つてこれは個人に拂い下げる分もありますし、あるいは公共団体に拂い下げる分もあるということになつて下おりますので、公共団体に拂い下げる分については、無償にされるのがいいのだと私は思うのですが、政府の方で無償にされても大した金にならない。たとえば今国会に提案されておりますところの、配炭公団の赤字百十何億の補填を政府は平気でおやりになつておる。少くとも平和都市に転換すると言つておられるのでありますから、こんなわずかなものは、公共団体に拂い下げるのに無償で拂い下げるように、政府の方で処置ができないのでありますか。私はこれはできると考えますが、そういうことについて考えたことがあるかどうか、これを目伺いたい。
#34
○森岡説明員 お答えいたします。公共団体に対して、将殊な用途に供するものを拂い下げる場合、無償でやつたらどうかということでございますが、国有財産の処理の方針といたしまして、国有財産の分布が必ずしも全国権衡がとれていないという点がありますので、従来財政法の原則に基いて有償でやる。無償でやります際には、きわめて制限をいたした範囲において、讓與をするということにいたしておるのであります。ただ公共団体が特殊の用途に供するものについて、特別な便宜をはかるべきではないかという点については、事務当局といたしましても賛成であります。従来も特例法による減額の措置、あるいは期限を延長するというような措置を、大蔵省の事務当局といたしましては考えたわけであります。しかしながらそれは関係方面の承認が得られなかつたために、提案するまでに至らなかつたのでありますが、私どもといたしましては、でき得る限りかような教育施設であるとか、あるいは社会施設であるとかいうようなものについては、説明のつく限りいい條件で拂下げをしたいという気持を持つておるわけであります。
#35
○前尾委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。――御質疑がなければ、質疑を打切り、本案を議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮原幸三郎君
#36
○宮原委員 私は自由党の立場から、本案に賛成の意見を申し述べたいのであります。簡單に要旨だけを申し述べます。
 第一に申し述べたいことは、本法案の第一條に規定されております趣旨が、旧軍港市が軍事色を拂拭して一種の平和宣言をして、新憲法の精神に即応したる平和的精神を具現しようという点に、主要なる目的が置かれておるようでありますが、この意義はまことに重要なものがあると確信いたしまして、この法案に双手を上げて賛成する次第であります。もとよりすでに憲法に規定があり、また平和宣言はわが国民の日常生活の実践において具現いたしております。またさきに広島平和記念都市というような、特別的な地方立法も行われたのでありますが、機会あるごとく平和思想の具現ということは、わが国民の常に完璧を期しつつ具現をしなければならぬ点であると思うのであります。しかるに旧軍港市が太平洋戰争中に、一大海軍基地として相当の貢献をしておる。なお終戰後に何らこれに対する特別の平和宣言的措置がとられていないで放置せられておるということは、むしろ何らかの措置を必要とすることのおそきに失しておるということを痛感させるものがあるのであります。旧軍港市の実情は、詳しく申し述べませんけれども、われわれの調査したところによりますれば、したことに対して、一種の賠罪――自責の念まことに痛切なものがあるようであります。また戰争の犠牲度が、他の都市に比較して最も高いようであります。すなわち普通戰災都市との間に差等がありまして、海軍及びそれに伴う軍需産業を敗戰によつで失いましたので、旧軍港市民にとりましては、その牛業でありましたところの根本を失つたのでありますから、終戰後における旧軍港市の経済状態、市民の生活の状態を見て行きますと、一言にしてこれを申せば総失業と申しますか、総破算と申しますか、まことに悲惨な状況にあるのであります。この戰争犠牲度が特に高いために、平和希求の念最も熾烈なものがあるのであります。この旧軍港市を対象としてこの立法がなされるということは、ある意味において全国民の了解と賛同とを得るであろうというだけにとどまらず、世界的にも、この立法についての認識を深めることができましたならば、必ず世界各国から絶大なる賛辞を受けるものであると思うのであります。この意味におきまして、この立法は地方に対する立法であるがごとくに見えますけれども、他面においては世界的国際的の好影響をもたらすものであるということを考えるのであります。こういう意味合いから、この法案に対して最も賛成の意を表するものであります。
 次に、この法案のねらつておりまするところの転換事業というものがありますが、この効果によりまして、敗戰後旧軍港の市民が微力ながらも自力更生で過去五箇外間努力をしたにもかかわらず、すでに自滅両前にあるがごとく見えるこの悲惨なる状態から、ある程度平和産業、港湾都市として転換して、旧軍港市民の再出発をせしめ得るという、社会的また経済的の効果をねらつたという点が、私は最もこの法案に賛意を表せざるを得ない点であります。こういう方面については、詳細のことはすでに提案者の説明のうちにも盡きておることでありますから詳しく申し述べる必要はないと思います。その趣意において賛成をする次第であります。
 第三の点は、厖大なる旧軍用財産、国有財産施設が、旧軍港市に現に遊休施設として雨ざらしのままに放擲せられておる状況であります。今日の現行法上の措置だけでは、この厖大なる遊休施設をとうてい施設することができないのであります。この国有財産施設を転用して、有益に使用するということを期することは困難でありますが、これをこのまま放置しておくことは、いたずらに財産の腐朽を招くだけであつて、非常な国家の損失であります。この意味において、これを転用して平和的に利用するということがこの立法によつてできますならば、これはある意味において国益の擁護であります。それによつてあるいは平和産業が興り、国の税源にもなし得るのであります。また一面同時に旧軍港市民の再出発も期し得るのでありまするから、この点からも、この国有財産施設の転用、平和的活用というような意味におきまして、最も時宜を得たる立法であるということを信ずるものであります。かかる点から本法案にわが自由党の前場から賛意を表せざるを得ないのであります。なお軍事基地等の問題も、この法案とは何ら関係がありません。ただ軍事色を拂拭するということが本法案の目的でありまして、本法案を悪用して云々というようなことを想像せられる向きがありましたならば、一応御心配になるのはその立場上からやむを得ないかもしれませんが、われわれは一点の心配もいたしていないのであります。かかる意味合合いにおいて、本法案に賛意を表する次第であります。
#37
○前尾委員長代理 竹村奈良一君。
#38
○竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、遺憾ながら本法案に反対するものであります。
 大体本法案の骨子といたしまするところは、平和的産業都市を目的とする。もちろんこの基本的なことにつきましては、共産党は賛成であります。しかしながら、現実にはたして今日平和都市に転換することが現内閣の制度のもとにおいてできるような情勢であるかどうか。そのことが問題であります。御承知のように新聞紙上におきましては、吉田内閣は常にいろいろな点において、たとえば軍事基地の問題も、これはいたし方ないことであるといつて是認されております。また至るところにおいてそういうことが散見できるのであります。しかも本法案に現われましたところによりますと、たとえば第二條の劈頭において、大正八年に制定されましたところの都市計画法をも、これに適用するということがうたわれておるのでありますが、この大正八年に発布されました都市計画法そのものが、かつて日本が大きな侵略戰争を行う前におけるところの軍事都市建設法案だと、われわれは解しておるのであります。しかもそういうものを適用すると同時に、なお附近の軍事基地化とあわせるならば、本法案の平和的な産業都市とするという目的だけをもつて、はたしてその目的が達せられるかどうかということについて、非常に疑わざるを得ないのであります。御承知のように法律そのものが、これを担当するところの政府の行政力によつて、どういうふうに変化するか。これは一例を申し上げますならば、一つの刃物を凶器に使うことによつて災害にあうというごとく、本法案も、吉田政府においてこの法案を適用されるならば、あるいは都市計画法によつて軍事道路をつくる場合に、これは平和都市のための道路であるという形において、事実における軍事道路をつくることができる。しかもその場合においては、平和都市を建設するのだという名日において、いろいろな都市計画法を適用いたしまして、土地收用などをすることができる。そういうような懸念からいたしまして、今日の吉田内閣の性格からいたしまして、この法律を運用されるならば、おそらくこの法案の趣旨とは似ても似つかない鬼子生れるであろうということを、私は懸念するものであります。従つて地元の要望でありますところの平和産業都市に転換するというお気持に対しましては、私たちは満腔の賛意を表するものであり、しかもその公共団体に対するいろいろな軍事施設の拂下なげなどにいたしましても、約半額において拂い下げるということになつておるのでありますけれども、これは私たちは不満であります。今日の地方公共団体、あるいはその他の学校施設、あるいは引揚者の寮等を建設するにあたりましては、五割で拂い下げてはたしてそういう社会施設が運営できるかどうか。これは疑わしいのでありまして、こういう面につきましては。少くとも無償で拂い下げるのが当然であると、私たちは考えておるのであります。こういうようないろいろな点から考えまして、しかもこの運用に当る現内閣の方針、またこの末尾に書かれておりますところのこれを運用する審議会の構成等々は、少くとも働く中小商工業者、労働者、農民を審議会に参加せしめ得られないところの現実の実情等々からいたし佳して、遺憾ながら共産党は本法案に反対するものであります。
#39
○前尾委員長代理 佐竹新市君。
#40
○佐竹(新)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に対しまして賛成の意見を述べるものであります。
 理由はごく簡單に申し上げますが、わが日本は世界に対して平和を宣言し、そうして平和な国となつて将来世界に向つて行きますにあたりまして過去におけるところの戰争の基地でありました軍港市が、いまだに軍港の名前が残されてここにあるということは、この一点のみをもつて見ても、国民の頭に古い軍港を思い出させるのでありまして、一日も早くこれを転換して、平和産業に切りかえるということがぜひともこの際必要ではないか、かように考えるのであります。かかる意味からただいま日本共産党の方ではこれは吉田内閣が行なつたものであるというように、こじつけておりますけれども、私はさようには考えぬのであります。かようないわゆる軍港都市を残しておく。そうして旧軍港都市に住まつておつた人々が今日非常に困つておる。これらを平和産業に切りかえて一日も早く日本の平和的産業にかわらせるところの考え方を持ち、その上に日本の産業を発展させて行く。こういう点に重点が置かれなければならないとわれわれは考えております。以上のような点につきまして、詳細にこれをどうして行くかということに対しましては、党としては、できれば軍港平和特別委員会というものを党の内部に置きまして、單にこれを転換させただけでなく、今後平和産業として立つて行く、いわゆる旧軍港地を平和産業に切りかえて行くことを、あらゆる諸政策のうちに織り込んで、この軍港転換法を生かして行く、こういうように考えることが正しい。かように考えている立場から、わが党はこれに対して賛意を表するものであります。
#41
○前尾委員長代理 宮腰喜助君。
#42
○宮腰委員 私は民主党を代表いたしまして、本法案に希望條件を付して賛成するものであります。
 軍港都市は戰争中にも相当犠牲を拂い市町村の損害も甚大であつたと考えられるのでありますが、今回平和都市転換の問題に関しましては、これととものいろいろな国有財産の移管があると思うのであります。この移管と同時に、今まで賃貸借なりいろいろな権利関係が発生しているところと、摩擦の生ずるおそれがありますので、なるべくこういうようなものを民主的に片づけてほしいという希望と、また現在の時価によつたということでありますが、この財産の移管と同時に、五割の値引だとかあるいは十年間で拂うということがありますが、その間インフレなど貨幣価値の移動がありまして、この市の財政関係については相当影響があるのではないかと思うのでありまして、そういう財政関係を考慮しましてておそらくこういうような物件は無償で拂い下げるべきじやないか、こう考えておるのであります。申し上げますと、たくさんな財産でもありますし、今後この管理委員会等によつて、いろいろ審議を進めて行く上において、権利関係の摩擦も起きまた財産上の処分についてもいろいろな関連があり、また複雑な問題が起きて来ると思うのでありますが、十分そういう点を留意しまして、民主的に財政上十分考慮して、この問題を片づけて行きたい、こういう條件を付しまして賛意を表明するものであります。
#43
○前尾委員長代理 討論は終局いたしました。
 次に本案を議題といたしまして採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#44
○前尾委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午前十一時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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