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1971/03/30 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 逓信委員会 第8号
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1971/03/30 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 逓信委員会 第8号

#1
第068回国会 逓信委員会 第8号
昭和四十七年三月三十日(木曜日)
   午前十時二十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         杉山善太郎君
    理 事
                植竹 春彦君
                長田 裕二君
                古池 信三君
                森  勝治君
    委 員
                今泉 正二君
                郡  祐一君
                迫水 久常君
                白井  勇君
                新谷寅三郎君
                西村 尚治君
                松平 勇雄君
                鈴木  強君
                松本 賢一君
                塩出 啓典君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君
   政府委員
       防衛施設庁施設
       部長       薄田  浩君
       郵政大臣官房長  森田 行正君
       郵政省電波監理
       局長       藤木  栄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   参考人
       東京大学教授   江村  稔君
       放送番組向上委
       員会委員長    高田元三郎君
       日本放送協会会
       長        前田 義徳君
       日本放送協会副
       会長       小野 吉郎君
       日本放送協会専
       務理事      竹中 重敏君
       日本放送協会専
       務理事      佐野 弘吉君
       日本放送協会専
       務理事      大村 三郎君
       日本放送協会専
       務理事      松浦 隼雄君
       日本放送協会専
       務理事      藤根井和夫君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会理
       事        吉田 行範君
       日本放送協会理
       事        坂本 朝一君
       日本放送協会理
       事        斎藤  清君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 本日は、参考人として東京大学教授江村稔君、放送番組向上委員会委員長高田元三郎君の出席をお願いしております。
 この際、参考人の方々に委員会を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。お二方には御多忙のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 本日は、当委員会におきまして審査を進めております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、参考人の方々の御意見を承り、本件審査の参考にいたしたいと存じております。何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。
 なお、議事の都合これありまして、まず御意見をお一人、三十分程度で順次お願いをいただきたいと思います。そのあと委員からの質疑にお答えもお願いいたしたいと存じます。
 それでは、江村参考人からお願いいたします。
#3
○参考人(江村稔君) 江村でございます。
 ただいまこの委員会で御審議になっております日本放送協会の予算についての私の研究上の意見を申し上げる機会を持ちましたことをはなはだ幸いに存じております。
 で、いろいろ問題点があるかと思いますが、それに先立ちまして、一つだけお断わりをしておきたいことは、本来予算の問題は、ある種の事業計画を金額的にあらわしたものでございまするが、私の意見は、この金額の当否につきましては十分な検討を加える余裕もございませんし、また、その権限も持ちませんので、たとえば、受信料収入何がしが正当であるかどうかという問題については一切申し上げないという立場で御説明をさせていただきたいと思います。
 昭和四十七年度の収支予算を拝見いたしますと、いわば予算形式上、あるいは予算の実質上、二つの顕著な問題が指摘されるように思います。
 で、日本放送協会の予算は、本年度からだと思いますが、予算の内訳を基本収支と沖繩分の二つに分けておりますが、この基本収支につきまして事業収支において両者が全く均衡いたします。収入と支出が完全に均衡いたしまして、結論的に申しますと、いわゆる収支差額、すなわち余剰金も欠損金もないという方式をとっている点がおそらく第一の問題点ではないかと思います。したがいまして、資本収支の場合もこれに相応じまして、収入額と支出額が同額であるという立場をとるわけでございますが、その限りにおきまして、基本収支に関する収支予算の収支差額が一切生じていないというのが一つの問題点となり得ると思います。
 第二の問題点は、沖繩分として明示されております部分につきまして、いわゆる事業収支の中に事業収入の一つとして資本収支、もしくは資本勘定から受け入れという金額が載っております。通常事業収支の予算のほうは、ごく通常に考えられます形式から申しますと、事業支出のほうが少なく、したがって、事業支出の最終項目としてあらかじめ予算の項にございますように資本収支へ繰り入れというのが通常でございますが、本年度におきましては資本収支へ繰り入ればゼロでございまして、そのかわりに事業収入の収入の一項目として資本収支から受け入れという項目が金額で申しますと八億二千万円計上されているわけでございます。この八億二千万円の金額は、当然資本収支の勘定区分の資本支出の最終項目に事業収支へ繰り入れというかっこうをとっているわけでございますが、この八億二千万円の資本収支から受け入れ、あるいは事業収支へ繰り入れという項目が存在していることがおそらく第二の点ではないかと思います。
 この第一の問題のほうは、予算の全体の体系の問題あるいは予算における基本的な問題との関連で、いわゆる収支均衡というのが理想なのか、それとも収支差額、通常は収入が支出を越える額でございますが、収支差額があるのが通常なのかという議論に関連する一つの問題でございますが、その観点からいたしますと、沖繩分として計上されております資本収支から受け入れ八億二千万円、あるいは事業収支へ繰り入れ八億二千万円というのは、ある意味での赤字ということになるかと思います。ただ、予算の問題を論ずる場合に、会計学でもそうでございますけれども、赤字という概念ははなはだ不明確でございまして、予算上の単なる差額にすぎないのか、それとも予算、決算の執行をいたしましたときの赤字なのか、この辺を十分に詰めませんと、赤字ということばを不用意に使うことははなはだ危険でございます。その限りで、世上たびたび言われておりますように、私は八億二千万円の金額を単純に赤字という表現で呼ぶことはやや無理があると思いますが、表現の問題といたしまして、ここでの便宜としてしばしば赤字ということばを使わせていただくことがあることをあらかじめ申し上げておきたいと思います。ただ、この八億二千万円の算定結果はきわめて明瞭でございまして、少なくとも事業収支と資本収支を沖繩分について見ますと、どのような実際のいわゆる金の流れが予想されているかということは、これによって完全にディスクローズされているように考えます。つまり、ここでは沖繩分として考えられております経常的な支出額が事業支出と総額として明示される。で、そのための収入といたしまして受信料、交付金収入、雑収入の三項目からなるいわば経常的な収入では不足をしているということが、この予算をもってきわめて明瞭に出ているわけであります。その限りでこれを赤字ということは用語の上では必ずしも不適切とは言えないわけでございますが、このような事業収支上のマイナス差額というものを予算の上でどのような形で処理するかということは、逆に資本収支のほうから明瞭に示されているわけでございまして、資本収入の一部と資本支出に充てた残りの金額の八億二千万円で充てるということが示されているわけでございますから、この八億二千万円なるものの生じた理由は非常に問題でございますけれども、予算の形式の上ではほとんど問題はないと、こう言ってよろしいのではないかと思います。もちろん、私どもが予算の問題を議論し、特に事業収支と資本収支を分けて考えるというような予算体系をとりました場合には、はたしてここに示されておりますような方式、つまり沖繩分につきまして八億二千万円の資本収支から受け入れ、同じく事業収支へ繰り入れという項目が常に立つことが理想であるのかどうか、これははなはだ問題がございます。少なくとも従来の議論におきましては、先ほども触れましたように、事業収支、つまり経常的な収支の勘定で若干の余剰があって、その余剰を資本収支、すなわち建設的なもの、あるいは恒常的なものを含むところの勘定に充てるというのが通常でございまして、この逆のケースが今回ここに出現しているわけでございますが、これについての学者の議論、あるいは研究者の議論は必ずしも従来明瞭であったとは言えないかと思います。ただ、ここで御参考までに申し上げておきたい問題は、現在のような予算の方式をとっていない場合、この意味でのいわゆる赤字というのは、実はほかにはいろいろな形で処理をされているわけでございます。
 本日の意見開陳にあたりまして、必ずしも十分な準備の時間がございませんでしたので、多少私の手元にある資料の中で持ってきたものというふうに御了解いただければはなはだ幸いでございますが、現在この予算についていろいろな方式がございますが、その中でやや違った方式を採用しております地方公営企業について見ますと、たまたまいわゆる事業収支あるいは資本収支に赤字を計上している例は幾つかあるようでございます。本日、手元にございますのは、東京都下水道事業の昭和四十六年度の予算でございますけれども、元来、この地方公営企業の予算は、収益的収支に関する部分と資本的収支に関する部分という大きな二つに分けまして、その限りでは、現在ここに審議の対象となっております日本放送協会の予算の立て方と若干似ているわけでございますが、考え方においてはきわめて両者は違っております。地方公営企業の場合の収益的収入、収益的支出よりなる収益的収支予算は、予定損益計算書というようなものからつくられるという考え方が普通とられております。つまり、地方公営企業の企業会計方式によりまして、一年先もしくは二年先を予想いたしましたその姿を予定損益計算書というもので考え、その予定損益計算書に計上されている各項目、すなわち、収益項目と費用項目をそのまま収益的収支予算にあげるという方式をとります。したがって、昭和四十六年度の東京都下水道事業の場合におきましては、この収益的収入と収益的支出の額は均衡しておりません。同額ではございません。収益的収入は二百七十四億円、収益的支出は二百八十一億円ということで、ここに約七億円のいわゆる赤字が厳然として計上されているわけでございます。この金額は、地方公営企業の予算体系、もしくは東京都下水道事業の予算体系としましては、さらに期間外収入、期間外支出というもので若干の操作を行ないましたあとで、さらに全然別の計算体系、あるいは予算体系としての資本的収支予算と対比されます。言いかえますと、収益的収入、収益的支出のプラス差額にしても、マイナスの差額にしても、資本的収入、資本的支出のほうにはいかないわけでございます。少し明確に申しますと、結局地方公営企業の予算におきましては、収益的収支予算と資本的支出予算は完全に独立をするわけでございます。ですから、収益的収支予算の場合に、支出の額のほうが超過するという事実と並んで、資本的収支予算の場合におきましても資本的収入のほうが多い場合、あるいは資本的支出のほうが多い場合、当然二つのケースがあり得るわけでございます。たまたま昭和四十六年度の東京都下水道事業の資本的収支予算につきましては、資本的収入の額と資本的支出の額は同額でございますが、他の面の、たとえば、その前年度の昭和四十五年について、収益的収支予算及び資本的収支予算の状態及び決算を見ますと、資本的収支予算の場合、資本的支出のほうが大きいという形をとっております。そうして、この差額、つまり支出のほうが超過する金額につきましては、地方公営企業法の規定するところでは文言的にこのてん補状態を示すという方式がとられます。たとえば、収益的収支予算の差額があった場合には、損益勘定留保資金何々、あるいは利益剰余金処分額何々をもってこの支出が収入を超過する金額を処理したと、あるいは処理すると、こういう文言を予算上明確にいたしまして、いわゆる収支差額、なかんずくマイナス差額を処理するという方式も現在存在しているわけでございます。
 そこで、私ども多少予算の問題を議論する場合におきましては、どの方式が最も理論的に妥当であるのかということが当然問題になってまいります。わが国の種々の機関、一応これを私の表現に従いまして公企業というふうに呼ばしていただきますが、見方を変えますと、政府関係機関というような表現もできますし、あるいは企業の内容からいたしまして公共企業体、公団、事業団、公庫あるいは特別会計ないしは地方公営企業というような分類ももちろん可能でございますが、いま用語をやや明確に使うことにいたしますと、公企業の場合の予算の体系というものは、かなりの程度ばらつきがございまして、必ずしも一定の明確な理論によってつくられているものとはどうも了解しがたいと思います。ある人はこのような予算体系というものは、たまたまたとえば特定の公社に関する法律を立案する場合の立案者の考え方によって左右されるのだという見方をとる方もおられますが、いずれにいたしましても、各公企業において予算を作成しているその予算の方式があまりにもばらばらであるということについてはかねがね多くの方々からその統一化を含めて問題点が指摘されております。非常に明確な例をあげるといたしますと、現在三公社と呼ばれる三つの公共企業体がございますが、この三つの公共企業体、つまり日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社、この三つはすべて予算の方式が違っております。そのうち日本専売公社はいわば一括予算でございまして、事業収支と資本収支を明瞭にしない方式がとられておりますが、国鉄と電電公社につきましては若干の違いはございますけれども、従来の慣行その他から資本的収支と経常的収支を分かつというようなやり方がとられておるわけでございますが、その場合でも、収支は原則的に均衡するものとして考えているというのがおそらく従来の考え方ではないかと思います。その意味で、地方公営企業法の定める予算というものがきわめて特殊でございまして、収益的収支におきましても必ずしも両者がバランスする必要はないと考える。特に資本的収支におきましては、少なくとも、予算の面におきましてはどれだけの支出を行なうのに対してどれだけの収入しか存在しないか。したがって、その支出の超過額をどのように処理するかということについての基本的な方針がここで示されるというだけでございまして、少なくとも、ここでは官庁会計等における予算の基本的な考え方、すなわち、特定機関において特定の主体が特定の項目についてどれだけの支出権限を付与するかという考え方では作成されていないということが言えると思います。昭和四十五年度の東京都の下水道事業の予算に対する決算の文言を借用いたしますと、収支、資本収支の差し引き不足額何々円は減債積み立て金幾らの取りくずし及び前年度よりの繰り越し工事資金並びに損益勘定留保資金をもって補てんした、こういういい方をとっておりまして、とにかく、収支の差額なるものは完全に処理済みであるという事実だけが明示されておりますが、どのような支出権限を行使して、どのように処理したかということについては、ここでは考えていないというようなことが言えるかと思うのであります。その意味で、問題をもとに戻しますが、八億二千万円というこの新しい問題を持った項目につきましての見解といたしましては、現在示されている方式は、この予算制度の中では最も妥当な方式でございまして、これをもし問題にするとすれば、むしろ、根本的に予算制度そのもの、あるいは予算体系そのものについて、もう一ぺん考え直さない限り、正しい結論は出ないのではないか。これが私の前半の意見でございます。
 後半で若干触れておきたい問題は、ただいまも申し上げたことでございますが、この予算の考え方といたしまして、すでに日本放送協会の予算の場合は、法の定めるところによりまして、予算科目の区分が少なくとも大項目であるところの項については指摘され、当然この項の各内訳といたしまして、日本放送協会が実際に予算を執行する必要がありまして、経理規程等におきまして、きわめて詳細な予算科目を制定し、その内容まですべて明文をもってきめているわけでございますが、どの程度の項目のところをもって予算として審議すべきか、こういう問題は当然一般論的にはございます。で、こまかいことがよろしいという説もありましょうし、あるいは予算そのものが、実は事業計画というものをある形で表示したものだというならば、あまりこまかい点にまで予算の審議をしないで、むしろ、審議すべきものは事業計画であるというような考え方からこの予算を使っていくやり方もございまして、この辺については現在のところ、先ほど申し上げました公企業一般についても予算案として提出されるものの項目の内訳はきわめてまちまちでございます。細区分、小区分のほうが適当か、あるいは大区分が適当かというのは、単に予算の形式の問題ではございませんで、事業計画との関連において、その金額的表現であるところの予算を考えるという理論を媒介にいたしますと、かなりの程度、この問題の処理が変わってくるのではないかという感じはいたします。もちろん、このほかにいろいろ議論の立て方といたしまして問題の見方がございます。たとえば国会なり、あるいは政府なりがどの程度までいわゆる公企業のコントロールを行なうべきかという問題を考えて、その見地から予算の制定をどこで行ない、かつ予算の最終承認をどこで行なうかという問題も当然あるかと思いますが、この問題は一応避けるといたしますと、やはり基本的にはどうも事業計画というものを金銭的に表現するものとしての予算を考えて、その予算についての御議論をなさることが最も適当ではないのかと思います。官庁会計の予算というのは、先ほども触れましたように、実は支出権限の付与でございまして、これ以外に審議の対象となるものはございません。つまり、予算をもって逆にどのようなことが行なわれるのかということが議論されるという、そういう形をとるわけでございますが、いわゆる事業体の場合は、問題はむしろ逆でございまして、どのような事業が行なわれるかということが基本的な問題で、その事業がどのような形で金額的に、金銭的に表示されるかというところに予算の持っている問題があるわけでございます。その意味で、実は財政投融資の問題等に関連いたしまして、各公企業がどのような予算を提出し、どのような形で認可を受け、また、それに付属するところの資料として何が必要なのかという議論は、もう少しわが国の場合統一性を考えて詰めていく必要がいろいろあるかと思います。たとえば、現在日本国有鉄道の例をかりにとってみますと、もちろん、日本国有鉄道の予算は国会に提出されますけれども、これと並びまして事業計画、資金計画、貸借対照表、損益計算書、財産目録といったような会計報告書が添付される。また、そのほかに借り入れ金の金額及び借り入れ権の限定をしたり、あるいは債券発行の限度を規定したり、いろいろな方式がございますけれども、これを一般的に見ますと、必ずしも各公庫、公団等の予算の添付書類などは統一性はございません。日本放送協会の場合には予算を国会に提出する場合にあたって、事業計画と資金計画並びに予算総則等の関係で申しますと、債券発行の権限規定がございますけれども、たとえば他の公団、公庫につきましては、必ずしもそこまで要求しているとはいえないわけでございます。
 そういう意味で、この全体をどのように統一するかという問題も一つの大きな問題でございますが、多少、私個人の考え方を、いままで述べてまいりましたものをごく簡単に要約いたしますと、いままで述べてまいりましたところと重複するわけでございますが、事業あるいは企業活動、もちろん、これは営利活動ではないといたしましても、事業活動を営むような事業体の予算につきましては、私は基本的には事業計画というものが最も必要である。この事業計画を認定し、認可するという関連においてその金額的表現である何ものかをきめるという方式が最も妥当ではないのかというふうに思っております。その意味で、必ずしも研究者の中の通説ではございませんが、私の説といたしましては、現に若干の公企業が作成しております資金計画のごときもののほうが、むしろ事業計画、あるいは事業のプロジェクトの実態を示すものとしてもう少し利用の道があるのではないかというふうに考えます。端的に申しますと、今回の予算におきましても、たとえば減価償却費のごときものが事業支出の中に計上され、そして、これと同額のものが資本収入のほうに事業収支から受け入れとは別に計上されるという方式がとられております。これは日本放送協会に限ったわけではございませんで、ほかの事業においてもしばしば見られるわけでございますが、このように実際の現金の支出を伴わないような項目を予算の中に入れることについては、基本的に非常に大きな問題があるかと存じます。むしろ少しことばが俗で恐縮でございますが、ある期間中における現ナマの流れ、現金の流れ、これをもう少し明確にいたしました上で、かりに資金という拡張概念を使ってもよろしいかと思いますが、ある期間中の資金の流れというものを通じまして、この資金の流れを基本的に考えるというような方向も一つ当然考えてしかるべきではないのかと思います。御承知のように、現在、国民経済計算等におきましては、いわゆるファンド・フォロー資金の流れというものが非常に大きな問題になり、国民経済全体について資金表というものをどのように作成するかということが、いわゆる社会体系を研究している者の関心でございます。その限りから申しますと、少なくとも、伝統的に支出権限の付与という問題との関連で考えられていた予算という体系をあまり多くの公企業にそのまま適用することについては原理上基本的な問題があるのではないかというような感じもしております。
 前段と後段に分けまして、一応前段のほうにつきましては日本放送協会の予算についての見解を申し上げ、後段につきましては論じ足りない点がたくさんございますけれども、公企業の予算のあり方についての基本的な考え方を申し上げまして私の意見といたします。
 以上です。
#4
○委員長(杉山善太郎君) ありがとうございました。
 それでは、高田参考人に御意見をお願いいたします。
#5
○参考人(高田元三郎君) 高田でございます。
 ただいま、江村参考人からたいへん皆さまの御審議に御参考になる御意見がございましたが、私はどうもさような皆さまに御参考になるような御意見を申し上げることはできないんじゃないかということをあらかじめ一つお断わりして申し上げたいと思うのでございます。と申しまするのは、NHKの予算について格別に私どもが検討したこともなく、また、考えておることもございません。ただ、平素私どもがNHKについて考えておるところの一端、今日の御審議の御参考になるような点がありやしないかと、そういう点をあらかじめ何の準備もなくて申し上げるのははなはだ恐縮でございまするが、多少の御参考になればと存じまして申し上げさしていただきたいと思うのでございます。
 御承知のように、私はいわばNHKの関係者の一人と申し上げても差しつかえないんじゃないかと思う。と申しまするのは、中央放送番組審議会の委員としてもう何年になりまするか、おそらくもう十数年以上その職を汚しておる。たいしてお手伝いはできないんでございまするが、そういうようなことをさしていただいております。のみならず放送番組センター並びに放送番組向上委員会、いずれもその団体がNHKの助成金あるいは出資金と申しまするか、それがその団体の一番おもな収入、その上に乗っかって事業活動をやっているというような関係がございまするので、何か私が申し上げることは、どうもNHKをひいき目で見るというようなことにお考えになるかもしれませんが、この席で、私はそういう関係で申し上げるのではなくて、長年マスコミに従事した者の一人として今日のNHKというものを考えまするときに、どうしてもやはりNHKの現在の活動というものを高く評価するというようなことを申し上げざるを得ないのです。こういうことをこの席で申し上げる必要もなく、もう皆さんがすでに御承知のとおりでございまするが、私はこれだけの放送機関というものが世界に類がないものだというふうに平素から考えております。単に報道あるいは教養、娯楽、教育と、そういう面にわたって非常にすぐれた放送を通じてのサービスを提供している機関、つまり国民の公共放送としての機関であるばかりでなく、いまNHKは情報伝達あるいは収集の機関としておそらく日本において最もすぐれた最も強力な、最も大きな機関になっておるばかりでなくて、私は世界におきましてもそういう意味でも最大の機関の一つではないかと思うんです。こういう機能が非常にこのすぐれた活動によって国民に与えておりますところの影響というものは、これは何人もやはり高く評価せざるを得ないと思うんでございますが、これも申し上げる必要もないのでございますが、いろいろ技術発達に伴ってNHKが現在行なっておるような活動がさらにもっと多様化し、もっとまた強い活動が要請され、期待されるようなことになることは必然でございまして、このNHKの将来というものが、このまま発展し続けていったならば、どんな強大な力となるものか、これはもうおそらく予想し得ないものになると想像できるんじゃないかと思うんでございます。私どもはそういう意味で、NHKの将来にさらに大きな期待をかけておるものでございまするが、そういうときに、私ども多少のNHKに関係を持つ者の一人として、これはよけいな心配かもしれませんが、来年度の予算にあたりまして、初めて赤字予算と俗に言っていいようなものを出したという、これは私ども実態を、詳しいことを知らないのでございまするが、ただ、そのことだけを聞いただけで、何かこう、このことをただ見のがすわけにはいかないというような気持ちがするのでございます。それは先ほども申しましたとおり、私が関係しております二つの機関、いずれもNHKから――一つは、年額三億円の助成金をもらって活動を続けておる団体でございます。もう一つは、年額二千百万円の出資金を出していただいて活動を続けておる団体である。何かそれを出してもらっているところのNHKのほうはだんだん収入のほうが頭打ちになって、しかも支出は増大する一方であるというようなことになって、またことしそういうことが示されたばかりでなくて、将来そういうことも懸念されるんではないかというふうに伝えられますると、私どもとしても、これは何かこのNHKの将来について新しい観点から新しい検討がなされる必要があるんじゃないかというようなこと、これは全く私どものいわば思いつきの考えにすぎないのでございまするが、そういうことをひとつ考える必要があるんじゃないかということを私どもは強く感じておるのでございます。
 先ごろ郵政省で「通信行政の展望」という、これはそういうことを申し上げては失礼でございまするが、官庁で出されたそういう種類のものとしては私どもは非常に大胆な提言を含んでおるものとして受け取ったのでございまするが、それにも言われておりまするように、総合通信行政の一環、あるいは放送体系総合整備計画の一環としてのNHKというものを十分将来検討して適切なる改善を加える必要があるんじゃないかというような気がしてならぬのでございます。言うまでもなく、国民の公共放送として経営の基盤はあくまで受信料収入によっておるというのが現在のたてまえでございまするが、このたてまえは、いかにNHKが将来巨大になり、いかに活動がますます多岐、多様になるともこのたてまえはくずすべきでない。また、くずされてはならぬものだというふうに考えております。しかし、一方、増大する経費というものは、ますます事業活動がもうわれわれの想像し得ないようなところまで及ぶということが考えられます。しかも、受信料収入というものがどういうものか。やはり限られた人口というものを考えますると、この上、非常に急増する受信料収入というようなものを期待するということはどうかと思う。そんなことを考えますると、全くこれはしろうと論でございますが、先ほど申しましたようなぐあいに、総合通信行政としてのNHKというようなことでNHKの再検討をひとつ加える。何かいまNHKはやっぱり公共企業体の一つであるというようなことに置かれておる関係もございましょうが、NHKがいろいろのサービスをする、しかも、それによって得る収入というものは、何かあまりそういうことをしてはいかぬようなふうになっておるんじゃないかと、私どもよく知らないのですが考えられるのです。受信料以外に新しい収入の道を講ずるというようなことはできないものであろうか、そういうことはNHKのためにやっぱり考えなきゃいかぬのじゃないかというふうに、これは全くのしろうと論でございまするが、私どもはそんなこともやっぱり考えております。
 しかし私は、さればといって、それならどういうことを考えるか、それほど具体的の考えも何も持ち合わせがないのでございまするが、たとえてみますると、これはまあさらに新しい仕事として発展するところのものがいろいろございましょう。CATVがどういうような形をとって発展するか。あるいはビデオテープ、あるいはカセット、これによって国民が放送をまた新しい方法をもって受け取るというようなことが、ますます、いろいろな形で発展するのじゃないかと思うのです。そういう場合に、NHKとしては非常な大きなサービスを提供できるんじゃないかと思うのです。現在でも、たとえば、NHKがやっておりまするところの出版収入、これだって、私は、将来ますます大きなものになるだろうと思うのです。NHKが出しておりまするところのテキスト、いまは限られたものでございましょうが、さらに、どこまで広がりまするか、これもあるいは予想以上のものになるのじゃないかということも一応は考えられると思うのでございます。あるいは番組そのもの、これは広くこれを売って収入を得るというようなことは、NHKは考えてはいかぬのでありますかどうか。その辺のことは、私はよく存じないのでございまするが、こういうようなものこれを国内及び国外における販売、あるいはまた、全くこれもしろうとの暴論かもしれませんが、現在、NHKの行なっておりまするところの技術研究所、あるいは放送文化研究所というものを、NHKがやはり依然としてそれを続けることは、当然したほうがいいと思うのでございまするが、これを民放その他こういうものの恩恵を、享受を望んでおるところのものにも開放する。その場合、やはり有料の技術援助をするというようなことも考えられるのじゃないか。いろいろそういうようなことも考えられるのじゃないかと思いまするが、これは現在のNHKに対するいろいろの法規、あるいは規制というようなものの上からは、そういうことはできないんじゃないかと思いまするが、そういうことはさらに新しい観点から考える必要があるんじゃないか。そうでないと、やはりNHKが受信料収入――いまのような副収入を含めまして、やはり受信料収入と申して差しつかえないと思うのです。それによって、これからますます広がっておるところの活動あるいは事業を運営していくということを考えなければならぬとするならば、何かそういうことはやはり考える必要があるのじゃないかというふうな気がしてならぬのでございまするが、特に、私がそういうことを強く要望しまするのは、先ほども申しましたとおり、私は、NHKから多額の助成金を出してもらって、一種の番組向上のための活動というものを、それに携わっておるものの一人なのでございまするが、これはどうしても、現在、まさにそうでありまするが、将来もこのNHKの助成金あるいは出資金というようなものによって運営しなければ、なかなかやっぱり存立はむずかしいのじゃないかという気がいたすのでございます。
 たとえて申しますると、番組センターのごときは、番組センターの活動によって受ける利益というものは、NHKは何ら恩典にあずからぬのでございまするが、民放のほうが利益を受けるということになる。としますると、NHKの出資金以上のものを民放が負担すれば何でもないんじゃないかということになるのでございます。私どももやはりそういうように考えて、そういうぐあいにやっぱり持っていかなければならぬということで努力はいたしつつありまするが、なかなか実際問題としてはそれができない。なぜできないかということ、これはもう皆さまのほうがよく御承知だろうと思うのです。なかなか、民放の一社一社をとりますと、非常に収益をあげているというようなところもございましょうが、そういうような活動をする場合には、なかなか金が出ないというような仕組みになっておる。そのために、やはり民放連のたとえば会長のごときは、なかなかそうでなくて、やはりNHKと少なくとも同額のものを出さなければいかぬと思っておりましても、そういうことが実際にはできないような状態になっておる。さればといって、そういう機関の、やはりほかから助成金をもらうとか、あるいは出資金をもらうということをしたらどうか。むろん、この番組センターなどは、私どもの考えおるその一つは、もう少し広くやっぱり多少放送事業に関連あるというような、たとえば電信電話公社、あるいは国際電信電話株式会社、そういうようなところから、また、やっぱり同じような多少の出資をしてもらうというようなことも考えられましょう。現にそういう努力ばしております。ある形をもってそういうことを頼んでおるという実情もございますが、しかし、なかなか、やはり、それも大きな額を期待するということは困難である。さればといって、政府から助成金をもらうとか、あるいは補助をもらってそういう活動をするということは、これは、非常に国民に誤解を与えるもととなりまするので、そういうことは私はできないと思っております。また、すべきではないものというふうに考えておるのです。としますると、どこからおもな出資をしてもらってひとつそういう活動を続けるかと申しますると、やはりNHKから出していただくということ以外にないのじゃないかということを考えざるを得ない。
 私は、現在、前田会長はじめNHKの首脳部が、番組センター、あるいは向上委員会などにNHKから多額の助成金、出資金を出しておるのは、やはりNHKがそういうことをしなければならぬ義務は何らないが、やはり放送全体の向上、発展ということを考えると、NHKはやはり受信料収入というもの、国民からの、放送を受信する契約を結んだ対価として入ってくるところの金によって運営をしておる。やはり、そういうことが、NHKが事業に使うばかりでなくて、放送事業、あるいは放送全体の事業の向上、発展ということにもできるだけの援助はすると、また、しなければならぬという考え方から、私は、番組センターなどにそういう多額の出資金をしておるのだと思うのであります。
 また、私どもも、公平に考えまして、やはりNHKが今日のような公共放送の形をとるならば、しかも受信料収入に収入の大半を仰ぐというたてまえをとるならば、やはり、その収入がたとえNHKの予算のうちからいうとごく僅少の部分でありましょうとも、やはり放送全体の事業の発展というものに何がしかの寄与をするというようなことは、これはやはりNHKとしてその自分の職分の一つ、あるいは義務の一つとしてではないにしましても、そういうことをするということは、私は今後もやはり続けていただいたほうがいいんじゃないかということの気がするわけでございます。
 でありまするから、私なぞは、そういう観点から、ただいま申したような、番組向上の活動というようなものが、もっとひとつ積極的にやるというためには、やはり繰り返すようでございまするが、NHKあたりから現在、あるいは現在以上のそういう助成金をひとつ出していただく、あるいは出資金をしてもらうというようなことを考えなきゃならぬと思うのです。のでございまするから先ほど申しましたようなぐあいに、あくまで受信料収入というものを基盤としてNHKが成り立つためには、受信料プラスアルファ、何かそういうようなものが入る仕組みにこれを考えていただいたならば、いま申したようなこれは放送全体の向上発展ということにつながる仕事でございまするが、そういう方面にNHKが負担していただくことをわれわれとしても十分このお願いができるんじゃないか、かように考えておる次第でございます。
 はなはだ取りとめのないことを申し上げましたが、私はNHKの予算審議に、これが御参考になるものとは考えておりませんが、たまたまやはりこのNHKの予算に関連して私どもが感じておることを率直に申し上げた次第でございます。
 まだ申し上げたいことがございまするが、それはひとつ皆さま方のほうからの御質問にお答えする形でひとつ申し上げさしていただきたいと思います。ありがとうございました。
#6
○委員長(杉山善太郎君) ありがとうございました。
 以上をもちまして参考人の方々よりの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(杉山善太郎君) これより参考人の方々に質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願いたいと思います。
#8
○鈴木強君 最初に、江村先生にちょっとお尋ねしたいんですが、NHKは放送法に基づく事業体ですね。その事業体の予算のあり方についていろいろお述べになりましたが、私も原則的に先生と全く同じでして、公共企業体ですから自主性というものはやはり民間企業と違ってどんと協会に与えていいと思うんです。ですから、あまりしさいにわたって国会で審議する、審議というか、あまりくちばしをいれるということはわれわれも遠慮しているわけです。ですから考え方はそれでいいんです。ただ結局、この予算の審議が逓信委員会にまかされておるわけでして、チェックできるのはここですね。あとは会計検査院の検査、あとはNHKの経営者の皆さまを信頼してわれわれお願いしておるわけですから、もし間違いがあればその方々にかわっていただく、こういう考え方でやっております。しかし、非常に困るのは審議の際に官庁会計なんかと違いまして、款項、いわゆる事業計画の中で大筋が項目として出てくるわけですね。先生は大きく分けるか、あるいは中に分けるか、もう少し小さく分けるかということも事業計画の中で論ずべきであると言われました。これは当然だと思います。ただ審議の際に、どうもたとえば国内放送番組費とありまして、それが目節的にはどういうふうになっているのか、あるいは交際費とか旅費、こういうものが一体どうなっておるかということについては、実は全然わからぬわけです。ですからわれわれは予算の立て方は基本的にはいま申し上げたようなことでいいけれど、われわれの審議の便をよくするために官庁会計の目節に属するようなそういうものを資料として出していただいて、審議の参考にしたい。これはあくまでも便宜的なことであって、そのことが本筋ではない、こういうことが明らかですけれども、そういうふうなことで若干審議するときに困るわけです。で、まあ目的なものはいま出していただいておりますけれども、さらに、もう少し詳細な資料を出していただくようにお願いしておきます。
 そこでお尋ねしたいのは、いま御指摘になりました八億二千万という、俗にいわれている赤字予算というものは、御承知のように、沖繩を受け入れるための必要経費と、こう協会は言っております。OHKを引き受け、さらに、一年間国内と沖繩との格差を是正するということになりますと、あの程度の金が必要になるわけですね。ですから、本来これは国家的立場に立ってやられる事業ですから、ある程度、政府から金を出してもいいと思うのですね。ところが法人の立場、要するに、放送法に基づくNHKの立場からすれば、政府からのそういう補助的なものはもらいたくない、また、もらうとそれによって多少なりとも性格がゆがめられるというような心配もあると思います。ですからそれは借金で埋めていこう、こういう形になって、資本収支からの受け入れが八億二千万になっているわけですね。ですからこれについてわれわれもいろいろここで意見出しまして、こういう予算の立て方が放送法施行令によってきめられているわけでして、その施行令によると、どうしてもそうなるわけですね。ですから先生のおっしゃるように、資金計画というものは重要視して、料金収入と、それから法律に基づいて発行する債券ですね、放送債券それと長期短期の借り入れ金というのは額をちゃんときめてあるわけですから、そういうものがいわゆる収入合計になりまして、その中で支出をまかなっていくということになるわけです。その項目の中に事業収支から受け入れということがありますけれども、それは聞いてみますと、長期借り入れ金になっている。ですから、その立て方については放送法施行令等もひとつ検討していただいて、われわれが見てよくわかるような形にしてもらったらどうだろうかという意見を出しまして、大臣も協会側もこれは検討することを約しているわけです。それはそれでいいと思いますけれども、先生のお考え方を、もしありましらお伺いしたい。
 それからもう一つ、いい機会ですからお伺いしたいのですが、NHKの場合、管理費というものを項の中に組んでおりますが、その管理費の中に役員の給与が入っているわけです。一方には給与費という項が起こっておりますね。ですから、その給与費の中に役員給を入れるか、あるいは新しく役員給というものを起こすか、いずれにしても、そういうふうにしたほうがよろしいのではないかということをずっと主張しているのですけれども、なかなかそれが実現しないで、ことしも同じような形でやっておりますけれども、役所の会計なんかの場合には、官庁会計の場合は、当然全部入れたものが給与になっていますね。公共企業体なんかの予算を見ますと、役員給というものが載っておりますし、企業会計なんかの場合も、そういうふうになっているようですから、わかりやすくそうしたらどうかということを私は主張しているのですがね。そういうような点についての先生の御所見がありましたらお伺いしたいと思います。それから、一緒に質問してよろしゅうございますか。
 高田参考人のほうに次にお伺いしたいのですけれども、たいへん先生は放送関係については御見識の方でありまして、われわれ平素から尊敬をし敬意を表しているわけですけれども、特に中央番組審議会の委員を長くやられておりまして、番組関係について私ちょっと伺いたいのですけれども、実は「暮しの手帖」が一九七〇年八月から十一月までずっと各民放を含めた放送番組について世論調査を広般にやっておりますが、その中で意外に私思いましたのは、「困った番組」という中のトップを占めたのがNHKのニュースなんです。きょうも私ここへその雑誌を持ってきておるのですけれども、「困った番組」というその「困った」ということがどういうふうに理解をされているか、そこのところがひとつ問題だと思いますけれども、概してここで言っておりますのは、NHKニュースというのは「政府や自民党の、御用放送の感じがする」とか、「体制べったりすぎる」とか、「右に偏向している」とか、あるいは「事実をまげて報道している」とか、「民間放送のニュースや、新聞が堂々とニュースに報道している事件について、すこしも触れないことがたびたびある」とか、こういうようなことの事由から言っているようであります。その中には確かに先生がちょっとお触れになりましたような、NHKが、とにかく放送界においては世界的にも負けない実力を持っておる、そういうことが、どうかすると過信になりアナウンサーの放送の態度にもあるいは解説者の態度の中にも、少し傲慢に見えるようなそういう点が出てくるということもあると思うんです。ですから、そこいらを含めまして、私どもは協会に、放送法四十四条に基づく精神を生かして、不偏不党、公序良俗に反しないような、そういう内容の四十四条の精神を生かしていただくように常にお願いをし、こういう線でやっていただいているんですけれども、見るほうから見ると、やはりそういう世論集約に出ているようなことが出てくるわけです。で、平素中央番組審議会の中で御苦労をしていただいている高田先生、こういうふうなものもごらんになったと思いますれれども、これはまあニュース、ニュース解説、そのほか娯楽、芸能、スポーツというふうに大別をして、それぞれの意見を聞いているようですけれども、ここにある、事実を曲げているとか、あるいは一方に偏しているとか、肩を持ち過ぎているとかいろいろございます。特にここのところに参考のために幾つかNHKニュースに対する批評が出ているんですけれども、たとえば、「愛知県下に原子力発電所を作ることになって住民が反対しているのに、ある日のニュースに測量をはじめましたとだけ言ったので、オヤ、反対なしでしたのかナと思っていると、翌日の新聞には猛烈に抵抗したと出ているではありませんか。」「今までNHKは公正であると思っていたのに、これで偏向があるのだなと思いました。」「帰省している娘が民放ニュースをみていて、NHKはこれは放送しないよといいました。なるほどしませんでした。」、まあこんなふうなことも載っているわけですね。それから「アナウンサーの姿、及び字幕の時間が多すぎる。又、政府要人?の写真も、度々は不必要ではないかと思う。」というように、あげればたくさんありますけれども、個々の例をあげて回答者のまあ要するに困った番組だという集約をしているようですけれども、まあニュース、それからニュース解説ですね、教養、娯楽、そういうふうな番組について、先生として中央審議会の中で平素御苦心されているような点がございましたら、それをひとつ御披露をいただき、また、この具体的な暮しの手帖に取り上げられたようなNHKあるいは民放に対する批判等に対して、何か審議会として御討議をなさって、これはもっともの批判だということで一部是正をするようなことがなされておりますかどうですか。むしろ、これは一方的にどうも抽象的で当たってないということであれば、そういうことも含めてお教えをいただければけっこうだと思います。
 それからもう一つ、番組向上委員会の委員長さんとして、いろいろさっきも御苦心をお述べになりました。私たちもこの番組向上委員会というものができました歴史的な経過も、たびたび大臣にも申し上げ、あるいは放送関係者にも申し上げて、何とか全体の力でいい番組をつくるようにしようじゃないかということで、われわれはわれわれなりに苦心をしているわけです。ところが一方民放なりあるいは政府なり、まあ政府があまりまざるとこれまたおかしくなりますから私は賛成じゃありませんけれども、NHKにかなり負担を負わして、どうかすると、民放のほうがそっぽを向くようなことがあると思うんですね。ですから、それではいけないんで、やはり放送業者としてこれはもう電波というのはやはり公共のものであるという上に立って、そして番組を通じて国民の教養を高め、文化の向上に資するという、そういう思想に立つならば、見る人から見て、何だこんなおかしな番組をというようなことのないように、いい番組を送ってもらわなきゃならぬと思うんです。ここにもありますけれども、チャンネルを回しておって、最近の夜中に放映するようなメロドラマとか、ああいうものになりますと、実際子供たちが見ていてどうかというようなそういう番組が流れておりますよ。ですから、そういうことについても番組審議会あたりが非常に熱心にいろんな意見を出していただいて、そして放送法なり番組審議会を通じて、まあ抽象的で恐縮ですけれども、みんなが喜ぶような番組というものを、あまり批判の起こらないような番組をつくっていただくようなことがいいのじゃないか。これは見方によっては何言ってもいいんだ、だからそれによって国民が批判をし、いいところは取り、悪いところは捨ててもいいんだ、こういう論ももちろんございますけれども、一応私は放送法に基づく番組基準というものを基礎にして申し上げているわけです。いつか先生のところで夏季の児童向けの番組なんかにつきましても、いろいろ苦労されまして、各放送局とも、夏休み等長期にわたって児童が家庭で生活するような場合には、それなりの家庭向け、児童向けの番組をつくっていただいて、いろいろと批判をしていただいて、毎年毎年そういうものを基礎にしていい番組ができていったということもございます。ですから番組向上委員会の使命あるいは活動というものは、私は高く評価しなければならぬと思っております。いまの貧弱な財政ではなかなかわれわれが期待するところまではお仕事ができないと思いますけれども、将来に向かってなお一そう向上委員会というものが十分な活動ができるようなことをわれわれも考えていきたいと思いますけれども、そのあり方ですね、御苦心の中でこうしてほしいというような具体的な問題がありましたらひとつお聞かせをいただきたいと思います。少し両先生にわたりまして質問が長くなりましたけれども、よろしくお願いします。
#9
○委員長(杉山善太郎君) ただいまの鈴木委員の質問に対しまして、まず最初に、江村参考人からの御見解をお願いいたします。
#10
○参考人(江村稔君) お答えいたします。
 ただいまの御質問の第一は、資本収支からの受け入れ、したがって、事業収支へ繰り入れの金額八億二千万円の表示方法に関する御質問かと思いますが、先ほども申し上げたつもりでございますが、事業収支と資本収支を分けるというたてまえをとる限り、当然このような場合は予想されるわけでございます。したがって、御指摘のように、放送法施行規則の別表によるところの予算科目の区分の場合でも、注といたしまして、必要な場合には四十七年度予算に行なわれておるような方式、つまり事業収支へ繰り入れ、資本収支から受け入れというような事項を設けてよろしいということになっておりますから、少なくともこの予算形式による限り、私はこの表示のしかたが最も適切であるというふうに申し上げたわけでございます。ただ実質的に八億二千万円という金額がどのような形で取り扱われるのかという問題、つまり予算面のいわば予算形式の問題から離れて議論をいたしますと、たまたま私の手元にいただきました資料では、日本放送協会昭和四十七年度収支予算、事業計画の概説という別のパンフレットがございまして、その最終ページ、二三ページにいわゆる沖繩分の収支予算の概要が述べられております。その最後の資本収支のところでは支出額のほうが先に書いてございまして、「建設費一〇億円」、「長期借入金の返還八億七千万円」、「放送債券償還積立金の繰入れ一億円」、そうして「事業収支へ繰入れ」というのが八億二千万円ございまして、合計二十七億九千万円という数字があげられ、説明といたしまして、「これに対する財源」として、「減価償却引当金一億四千万円」、「外部資金の借入れ二六億五千万円」、こういう形で表示されております。したがって、この点から考えますと、明らかに八億二千万円という金がどこから出るかということにつきましては、すでに御指摘のとおり、あるいは御議論のございましたとおり、外部資金の借り入れにたよらざるを得ないということはある意味で明瞭に示されているわけでございます。
 ですから、問題は実は二つ分かれておりまして、予算形式の上で八億二千万円というものをどのように表示したほうがいいのかという問題と、その八億二千万円というものがいわばいかなる理由から生じ、かつその生じた理由との関連においてどのように本年度については取り扱ったらよろしいか、この問題かどうも二つ、予算という形で御議論になられているんではないかという感じがいたします。はなはだ技術的な言い方でございますけれども、ある形式の予算というものを前提にいたしますと、ある特定の項目の処理はそのワクの中でしかできないわけでございまして、この予算の体系に従う限り、私は先ほども申しましたように、この八億二千万円がいかにして生じ、かつどのような内容のものであるかということを最も明瞭に表示している、ディスクローズしている方式としてこれはきわめて当然のことではないだろうかという意見を申し上げたわけでございます。先ほども触れましたように、別表の放送法の規定するところの予算科目の区分の注にもこういうことが本来あり得るということは予想していたわけでございますので、これ以上の表示形式というものは予算の体系を別にしない限りはあり得ないというようなことで御説明申し上げたわけでございますが、実質上はおっしゃるとおり借り入れ金をもって負担されるということになります。しかし、そういう観点をとりますと、ほかの場合もすべてそのようになってまいりまして資本収支の部分、たまたま本年度は資本収支から受け入れというような項目がございませんが、ゼロという金額になっておりますけれども、ある特定の支出額がどのような財源によってある場合に負担されるのかということはこの表の上ではわからないわけでございます。全体の流れから申しまして、たとえば、建設費というものが全部外部資金でもって充てられたとか、あるいは内部資金であるところの減価償却引き当て金でもって若干の建設が行なわれているどいうようなことになるわけでございまして、こういう点はどうも私の考え方では現在の予算の中にこの問題を明確に書くということは形式的には不可能ではないだろうか、あるいは少なくとも困難ではないだろうかという感じがいたします。したがって、明瞭表示という点から申しますと、かりにいまのような御議論があるとすれば、八億二千万円については、このような取り扱いをもってするんだという注書きのような形で、やや特殊な性格を持ったものでございます資本収支からの受け入れ、事業収支への繰り入れというものの説明を行なうということは十分に考えられると思いますが、一定の予算体系の場合では、繰り返しでございますが、この方式はきわめて妥当ではないというのがきょう申し上げた私の意見でございます。
 それから第二に、御指摘になりました予算というものがどの程度精密であるべきかということとの関連で、具体的には管理費の内容等について、特に役員関係の手当等をおあげになったかと思うんでありますが、問題がその意味で二つに分かれますが、まず第一の、予算としてどこまでを編成した上でどこまでを認可していただくかという問題は、これは基本的には常に存在するわけでございまして、よほどずさんな事業でない限りこの大項目でもって総計幾らということをきめて、小項目をつくらないということはあり得ません。必ず事業計画というものとの関連において非常に小さな項目、おそらく官庁的な表現をもってすれば、款項目節ということになると思いますが、その節というものを積み上げていくわけでございます。ただ、私ども会計学の立場から申しますと、いわゆる勘定科目の中でも款項目節の節というものがどの程度のものでなければならないかというのは実はあまりはっきりしておりませんで、節の下にさらに細節を設けるなどというようなことも当然ございますが、少なくとも、企業一般といたしまして、公企業を含んでの話でございますけれども、款項目節、なかんずく節については部内的にかなり厳重な規定が行なわれているというのがこれは当然のことでございます。もし私はそれがなければ、その公企業としては若干経営に欠けるところがあるとまで断言してよろしいと思うのでありますが、私の知っている限りでは、当然日本放送協会も経理規程等を設けまして予算科目の款項目節の節まで非常に詳細にきめていると思います。実態を必ずしも十分存じておりませんが、現在日本放送協会におけるコンピューターの会計への活用というのはかなり高度でございまして、少なくとも、私どもが一つの理想的な類型に近いというふうな考え方をもって説明ができるものだと思いますが、このコンピューターを使えば使うほどこの細節についてコード番号を付し、そしていかなるものがコード番号で、たとえば一千番に入るかということは明定しない限りはコンピューターは動かないわけでございますから、当然日本放送協会の側におきましてここに示されておりますところの款項の下のところの目節というものはあると存じます。ですから、給与にいたしましても、国内放送費にいたしましても、どこまでこの委員会において御検討なさるかという問題は私のかかわる問題ではないかと存じますけれども、少なくとも、数字の上では、完全に体系化されているということだけは私も確信しております。いままで私の調べました限りでいわゆる公企業会計の諸問題を調べた場合に、すべての企業におきまして、このような勘定科目表というものが明定されております。特に日本国有鉄道における勘定科目表というのは、わが国において発表されております勘定科目表の中で最も部厚いもの、最も詳細なものということができると思います。したがって、あまり詳細過ぎまして、しろうとの方がごらんになりますと、まあ、しろうとということばは少しどぎつうございますが、会計のことをあまり御存じない方がごらんになりますと、雑収入の中の雑収入のまた雑収入の雑だというような、はなはだ持って回ったような表現が款項目節、細節との関係で出てまいります。それほど一つ一つについていわゆる精査を加えまして、内容を規定しておりますので、予算をどこで、どの線で審議するかという問題との関連でいえばいろいろな組み合わせができると思います。で、その意味で、私は、私の理想論から申しますと、事業計画の中にある程度のものを入れ込み、そしてその事業計画をある中区分くらいのところでまとめた資金計画というものがどうも事業の活動を考える場合の規制措置としては最も適切であって、少なくとも、官庁会計あるいは官庁予算とのつながりを完全に断ち切ることのできない収支予算にその基本をたよることは理論的には必ずしも適当ではないというような意見を持っていたわけでございます。そういう見解からいたしまして、御質問の後段にございました役員、この場合、NHKの場合はおそらく私は経営委員会の委員を中心にするものだと思っておりますが、役員手当を給与のほうに入れるのか、あるいは管理費のほうに入れるのかという問題につきましての御質問でございますが、これも予算というものの立て方の点から一つの結論が出てまいります。
 たとえば、分け方として必ずしも適切であるかどうかわかりませんが、完全に機能別に予算科目を分ける場合と、多少、部門というものを考慮して分ける場合、二通りございます。もし各種の部門というものを一切考慮に入れないで機能別に分けるということになりますと、人件費、業務費といったような分け方になってまいります。
 いまここで私が比較的わかりやすい例ということで、水道事業の例をちょっと申し上げさしていただきたいのですが、水道事業につきましては御承知のとおり一番最初の原水から始めまして、もとの水――原水を取り扱うところの原水部門、したがって原水費、そういうものを次にきれいにする浄水部門、浄水費等々の分け方がございますので、分け方といたしまして原水費、浄水費、給配水費などというように現在上水道事業の行なっております活動別に部門を分けるということがございますが、その場合には実は最終的には一般管理部門というものが最後に登場してまいります。この一般監理部門は別に職員と役員ということを区別するわけではございませんで、直接に原水部門に働く人々の人件費は全部原水部門に入りますけれども、一般管理的な方々の給与はすべて一般管理部門に入る、こういう分け方、これに対して業務あるいは機能というものを中心に分けますと、その部門の考え方を一切無視いたしますので、機能別に人件費あるいは業務費あるいは特に重要だという点において修繕費、減価償却費、支払い利息というような費目の分け方が出てまいります。この二つは実は原理上交錯をしておりまして、どちらが適切かということはなかなか判定できないと思います。一般の企業会計におきましては、通常、営業費用、営業外費用というような分け方をいたしました上で営業費用の中で一般管理費というものを設けて、これに役員のいわば従業員としての給与というものを入れるというのがたてまえでございます。いわゆる利益処分的なものはこれは利益の処分として行なわれるということになりますので少し表現がおかしゅうございますが、役員のうちでも従業員分の給与というものは、一般管理費の中に入ってくるというような形をとっているわけでございまして、その点から申しますと、やはり表示の方式としても二通り出てまいります。ただ先ほどお触れになりましたように、いままでの予算の方式、特に公企業の予算の方式がかなりの程度官庁会計的な方式を念頭に置いておりますので、人件費というものの中に職員、それから役員というものを込みで記載するという例は、これは私は通常に見られる。NHKの方式が特に理論的にすぐれているということまで申し上げるつもりはございませんで、御指摘のとおり、法人の役員関係の諸手当を給与の中に入れるということは一つの考えだと思いますが、ただ、それをいたしますと、それに伴いまして、たとえば、退職金のごときものを給与の中に入れるのか、入れないのかというような問題は当然出てまいります。そういうような観点からいたしますと、一般管理的なものというような考え方で現在款項目節を分けておられると考えますが、管理費の立て方もそれほど不自然ではないという感じもいたしますが、いわゆる手当、給与だけを問題にしたいという場合でございますれば、職員と役員というものを含めて給与に入れるという方式は少なくとも一つのあり得る方式としてはなはだけっこうなものの一つだというふうに考えております。お答えになったかどうか存じませんが、一応申し上げます。
#11
○委員長(杉山善太郎君) 次に、高田参考人にお願いいたします。
#12
○参考人(高田元三郎君) お答えいたします。
 先ほど二点についてお尋ねが鈴木委員からございましたが、最初の「暮しの手帖」の放送番組について、「困った番組」の中にNHKのニュースというものが筆頭にあげられておったということは私どもも承知しておりまして、これはやはり番組審議会におきまして、それが非常に話題になったばかりでなくて、審議会の委員のほとんど全部の人がNHKのニュースというものに対して「暮しの手帖」があげたような評価をしておらぬ人が多いものでございまするから、ああいうことを、やはり雑誌で書かれてNHKは黙っているのかということを言われた人があったくらいでございまして、私自身などもやはりどういうところからそういうような評価をしておるのか。なるほど体制べったりというようなこともあげられているようでございまするが、考えようによってはそういうことも受け取る人の考え次第によってはあるのじゃないかと思って、これは私はやはり一にNHKの公共放送というものに徹するという心がまえからニュースの放送のあり方というものの何か無色、公正とどっちにもつかぬというようなことを一番気にとめておりまして、そういうところからきた結果だろうと思うんです。でありますからNHKのニュースを聞いていて取る人によりましては非常におもしろくないという感じを抱く方もあるだろう。あるいは考えによっては、体制べったりと受け取る方もあるだろう。また、中には全く反対にNHKのああいうことをニュース放送の中に入れるのはけしからぬじゃないかという人もいるくらいで、やはり私はいまNHKはそういうところからやはり十分、何といいますか、公共放送としてのニュース放送という、そのあり方というものを十分心得ているためにそういう批判が起こったのじゃないかというふうに私自身も考えております。審議会で問題になりましたのもやはりそういうようなところで、むしろNHKがそういうような批判を受けるのは不当じゃないかというようなところの御意見が強かったように記憶しております。
 第二点の向上委員会につきましては、特に鈴木委員はこの向上委員会の創立の最初からのいきさつをよく御存じでございまして、陰ながら向上委員会の発展、向上というために非常にお力添えをいただいておることは私どもは平素から感謝申し上げているところでございます。ただ、私ども非常にそういうような御精励を受けながらどうも一向向上委員会、はかばかしい結果をあげておらぬじゃないかというお考えがさだめし強かろうと思うんです。その点は私ども自身は非常に残念に思っておるのでございますが、やはりこの自主規制というようなものにはおのずからやっぱり限度があって、限界がございまして、それ以上はやっぱりどうしてもできないというものであろうと思うんでございます。まあ、申し上げるのもなんでございますけれども、番組審議会のほうは、やはり放送法によっての規定でございますが、向上委員会のほうは何らそういう規定は法的には規定された団体ではない。でありまするから、これに権力あるいは規制力、向上委員会の意見を出すと、やはりそれを聞かせるという強制力はむろん持ち得ないわけでございます。しかしながら、前に向上委員会の委員をされておりました渋沢秀雄さんが言われたことばに、これはもうあとで有名なことばになりましたから御存じだろうと思いますが、向上委員会は速効薬のきき目はないが、漢方薬のきき目はあるのだというようなことを申しまして、まことに私はこれは事実を説明し尽くしておると思うのでございます。初めはどうも漢方薬の効果すらなかなかこの調子なら期待できないのじゃないかと思っておりましたが、これだけははっきりと申し上げられるのでございますが、最近はどうやら民放のほうにおきましても向上委員会を受け入れるようなぐあいに、まあいわば定着しておると申しますか、そういうような状態になっておりまして、ただしかし向上委員会からいろいろ出した意見を民放のほうで、こちらが期待しておるとおり受け取って適正な措置をとってくれるかどうかということ、これはまだ十分ではなかろうと思うのでございます。しかし、私どもはやはり時間というものがその間に必要じゃないかと。渋沢さんの言われたように、速効的にはまだこういう番組はすぐやめてもらいたいといって、すぐやめられるものじゃなかろうと思うのでございますけれども、よく民放の首脳部がこのごろ申すことばに、向上委員会というものはいま民放ではこわいおじさんだということになっている。だからそういうものの存在というものは確かに必要なんで、で、ある首脳部が私にまたこわいおじさんからこういうことを言われたから気をつけろと言うのですと、言うには言うけれども、しかし、その場ですぐ番組をやめるとか、改善するとかいうことが具体的にできるかというとなかなかそうはいかぬと思いますと、しかし、たびたびまたこわいおじさんから言われたぞ、気をつけろということを申すと、やはり次第に番組が改善されるということになる、それだけの効果は確かに出てきましたよということを申しましたが、どうも現在ではそれ以上は期待できないのじゃないかと思います。やはりこういう自主規制というものは、やはり民放、放送の制作者あるいは首脳部その人の認識の問題いかんにかかわるものでございますから、私どものほうとしてはやはり話し合いによってその人たちにやはり公共的見地からもう少し考えてもらうということを実際にやってもらう以外にはないのじゃないかと思うのでございます。で、そういう方法でただいまのところは進めておりますから、自然どうもはたから見ますと、やっておることが手ぬるいという感じを抱かれるのは当然だろうと思います。で、先ほどお話がございましたが、向上委員会の活動をしますのにもやはり基礎になるものは番組に対する調査あるいは番組に対する世論調査というものに立脚して、その上に基づいて向上委員会で十分検討して意見を出す、あるいは勧告をするというようなことでなければならぬと思います。その基礎になる調査活動というものがまだ不十分でございます。これはわれわれとしてももう少しそういうものが十分信頼し得る、また放送局側の人もわれわれの出す意見がそういう世論に基づいての意見だということを受け取ってくれるようになるような十分のことをしなければいかぬのじゃないかというふうに考えておりますが、これもやはりいろいろどうしても一挙に、たとえば番組のモニターあるいは放送向上委員会ではいまリポーターというものを頼んでやってもらっておりますが、そういう人を非常にふやすというようなことにはまだ資力的に不可能な状態でございます。さればといって、そういうようなものを充実させるために、かりにあるいは郵政省あたりのほうから何らかの形で助成金をいただくというようなことになりますると、これはやっぱり結果が全く逆になるのじゃないかということを私どもおそれております。つまり、何かやつていることが、官製のモニターという、そういうものに基づいて意見を出すのはけしからぬというようなこと、あるいは何か向上委員会は自主的の規制機関じゃないじゃないかというようなことを言われることにもなりかねないと思うのでございます。そればかりでなくて、われわれがやっていることが民放のほうで受け入れられるということが一番大事であります。民放が協力してくれなければ効果がないと思う。われわれがかりに政府のほうから何がしかの出資、助成金をもらうとか、補助をいただくとかというようなことになりますると、民放のほうは必ずやこれに対して反発するだろうと思う。そういうことが私はあり得ると思うので、そういうことはまた、したくないし、しないほうがいいんじゃないかと思うのです。それで私は先ほど申しましたように、いまのところはNHKの助成金といいますか、出資金、そういうものは一番多く占めておるのでございまするが、次第に民放が、先ほど申しましたように、向上委員会の活動というものを是認するようなふうになってきましたから、民放のほうもそれに対して応分の出資金をふやすということは当然考えられるだろうと思いますが、やはり自主的の規制機関でございまするから、そういうことでやっていかなきゃならぬのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
#13
○森勝治君 江村先生に二問、高田先生に三問お伺いしたいと思うのでありますが、一問、御質問申し上げてお答えをいただくという一問一答方式と申しましょうか、そういう形で質問させていただきますことをお許しいただきたいと思うんです。
 先ほどのお話の中にありました四十七年度のNHKの予算は必ずしも赤字という表現は適切でない、こういう意味のおことばがありましたが、しかし通説で赤字という話であるから、私も赤字予算という表現を用いるという御説明もございました。いま私どもの中で問題になっておりますのは、従来こういう予算の赤字と俗説に言われるような形ではNHKまだいままで全然出しておらなかったのです。そういう問題から私どもの関係の向きでも、この問題は非常に論議がいま集中しておるところであります。そこで、先生にお伺いしたいのは、今度のこの予算編成の内容等から、これが将来の値上げの伏線ではないか、こういっていわゆる勘ぐる向きがたくさんあるわけで、私どももそういう疑問があるのではないかと、いま首をどちらへかしげようかと、こう考えておるところでありますので、先生がお感じになられたものはそういう意味に感じとれるものなのか、全く沖繩復帰に要する費用にのみ充てるためだと、こういうふうに簡明に理解をできるしろものかどうか、この点ひとつお教えいただきたい。
#14
○参考人(江村稔君) 赤字予算というものの定義づけも若干ございますけれども、私の感じでは赤字予算といわれるものの最も典型的なものは収支が相整わずに、特にいわゆる経常収支という面でございますが、支出のほうがオーバーしているということを明示した形のものをもって赤字予算というふうに考えたいというふうに考えておりますので、おことばの使い方から申しますと、あえてこれを避けたわけでございます。たとえば、先ほどの鈴木委員の御質問とも関連するわけでございますが、この八億二千万円というものを資本収支から受け入れの形をとらないでやるということは、事業収入、事業支出ということを明らかにしようとする現在の予算体系では若干無理があるかと思いますけれども、経常的な部分の収入不足額を一時借り入れ金でもって負担するというようなことが、もし予算面で示すことを許されるならば、事業収入の最終項目に一時借り入れ金という形で八億二千万円計上すれば、実はつじつまは合うわけでございます。かりにそういう場合に、そのことが認められたとしての話でございますけれども、一時借り入れ金を設けるようなこと自身が適当でないというような議論との関連で、これをもまた赤字予算というような言い方もできないわけではございませんが、用語の使い方に若干の問題がございます。その意味で俗に言われているけれども、必ずしもそのことばは適切とは思えない、しかし、一般に使うという意味で使うことがあるというようなお断わりを申し上げたわけでございます。で、このいわゆる赤字の部分が出てきたことは先ほども申しましたように、私の感じでは沖繩分というものを明瞭に示したところで出てきた問題でございまして、問題の立て方に従って二つあるわけでございます。つまり、沖繩だけを一つの経理単位として切り離して考えた場合に、今後もこのような形、つまり、資本収入の中から経常的な支出に充てる部分というものが続くのかどうかという点において、資本収入をふやす、あるいは事業収入をふやすという方向をとらない限りへこの金額は消えてまいりませんので、その処理といたしまして受信料をふやすということは、論理的にはきわめて簡単に出てまいりますけれども、これを取り巻くいろいろな問題点の決定、つまりいわゆる料金論の立場から申しますと、やはり私はこの場合、沖繩分についてこの明示があったということは、あるいは来年以降も続くのではないかと思いますけれども、それはまさに資本収入から事業支出に充てるといういわば特例的な形が存在するということで、この予算面の問題では片がつくと思います。また、沖繩につきまして、十分勉強しておりませんので、この点についての見解は必ずしも十分な根拠がございませんけれども、いわゆる受信料、簡単に申しますと料金の決定というものがどのようなものであるべきなのかということについては、資本収支関係の受信料と均一でなければならない、いわゆる料金は無差別であるというような議論との関係なども含めまして、非常に大きな問題になると思いますが、単純に資本収支から受け入れというものがあるから値上げというものが沖繩について行なわれるという短絡した議論にはすぐにはならないような感じがいたします。私の感じといたしましては、この八億二千万円というのはいわゆる先行投資の性格を持つものでございまして、徐々にこの金額の効果が現われて、また事業支出の側でももちろん減価償却費の負担増という結果を伴いますけれども、ある時期には均衡するという見込みのものではないだろうかというふうに想像しております。
 それから第二の問題点は、資本収支の点におきまして、資本収支からこの受け入れ、もしくは資本収支へ繰り入れがゼロになっているということから、いわゆる値上げという問題との関連を云々するという議論は十分にできると思いますけれども、この点につきましては、やはり料金論の立場から申しまして、いかなるものを経常支出に充て、いかなるものを資本支出に充てるかという問題、これを十分に議論したところでないと、直ちに受信料の値上げを行なって、問題の解決をするというわけにはやはりいかないと思います。その辺が公企業一般のいわゆる料金論あるいは資金収支論のたいへん大きな問題でございまして、種々の方式が従来でも主張されております。たとえば、いわゆる負担金というものをとるとかいうような考え方も特に上下水道の場合などにはしばしばあらわれては消えていくというような形をとっておるわけでございます。あるいは一般会計からの繰り入れ、政府からの出資というものでもって長期的な資金をまかなうべきであるという基本的な考えをとる方は、経常収支というものだけを、この経常的な収入である料金でまかなうべきだという議論もなさるわけでございますから、幾つかの方法はございますが、ただ、若干ここに、将来を見通して問題になってまいりますのは、従来日本放送協会の財務諸表、確定しました決算を拝見いたしますと、前期の損益計算において生じた余剰のうちの一部をもって資産充当に充てるという行き方をとっております。私どもの一般的な表現によりますと、自己資本造成ということでございますが、この自己資本造成比率が少なくとも年次別にはかなり減少していく方向が見られる。ということは、今後NHKが新しい追加投資――先行投資といってもよろしいかと思いますが、これ々行なうという前提がある限りは、はなはだ危険でございますけれども、巷間伝えられるところのいろいろな資料を総合いたしますと、すでにNHKが自主的に判断して先行的に投資した分というのは、その効果をまさに発揮しつつあるというようなことが判定できるようでございますし、その判定に立つ限りは、その構造に従っての経常的収支の均衡というものがある程度十分に可能である。言いかえますと、自己資本の造成というものをあえて従来のように行なわなくても、一応経営体として現在の規模をそのまま安定できるという見通しが相当程度あるように私は考えており年す。したがって、先ほど申し上げました、一番最初に、基本収支について、事業収支の完全な均衡が出ているという点は一つの問題点ではございますけれども、これをもって直ちに値上げというような問題に結びつけるという論理には若干大きな疑問点があるんではないかというふうに考えます。
 以上です。
#15
○森勝治君 第二点、お伺いしたいと思うのでありますが、款項目節ですか、これは理想に近い、しかも、数字の上では体系化しているという御説明がありました。そこで、若干つたない質問をするわけですが、そのようにやや理想に近い予算の編成方法をもってしますならば、たとえば一つの劇なら劇を制作する場合に、歳出根拠を求めて、それを細分化して、何に使った、衣装に使った、人件費に使った、と出てまいりますね。当然そういう制作内容等の予算措置については、これはもう公開してしかるべきものと私は思うのですが、どうでしょうか。
#16
○参考人(江村稔君) ただいまの御質問についてお答え申し上げます。
 予算の公開というのは、公企業に限らず一般の民間企業にすら必要であるという議論もございます。またその予算について、相当程度経理の知識を持った専門家、たとえば、公認会計士の監査が必要だという議論もございます。すでにわが国の場合、一部の特殊な事業、たとえば学校法人等につきましては予算監査というようなものの義務も非常に強く言われております。諸外国の例におきましても、予算というよりも、むしろ、数年間における損益の見積もりというものを、投資家保護等の立場から考えて監査をすべきだというような議論は、特に強くイギリスの場合にあらわれております。したがいまして、その前提として予算の内容を審議するということは、私は原則論的には全く否定をいたしませんけれども、ただ、現行の予算がかなりの程度支出権限の付与ということで、きわめて厳重なものとして考えられるというところに一つの問題があるのではないだろうか。つまり、今日の会計制度、予算制度におきましては、予算の費目の流用につきまして、予算総則をもって若干の規定をしております。今回提出されております予算総則につきましても、この彼此流用の規定については第何条かに規定されておる。そしてそれ以外に、いわゆる弾力条項なり、あるいは予備費というようなものを設けて、これの規制をしているわけでございまして、やはり現行の日本放送協会の予算を含めて、各公企業の予算というものが相当程度まで支出権限の付与という性格を持っているということを一方に考えますと、款項目節、細節に至るまできわめて厳重に審議の対象にし、認可の対象にするということは、かえって経営活動を拘束するという面がでてくる。ここに私はいわば二律背反といいますか、一つの矛盾点があるように思います。その意味で、参考資料として数字の、表現は適切でございませんが、積み上げ、要するに積算の基礎、あるいはその過程を明らかにするということで御検討になるという段階であればさほどの問題はないかと思いますが、予算として一括承認をする中に款項目節、細節まで含めるということについては、おそらくかなり大きな抵抗が、なかんずく事業体の側から一般論的に出てくるのではないかと思います。この点につきまして、日本放送協会の側がどういう御意見を出しておられるか、私は全然存じませんけれども、いままでいろいろ取り扱ってまいりました公企業会計の問題、あるいは予算の問題から申しますと、実はこれはかなりの大きな問題として多くの企業に共通の問題でございまして、なるべくそういった支出権限の付与という観点に立った、いわば強制のワクからはずれようという傾向は、公共企業体の中にきわめて強いということもあわせて申し上げてよろしいかと思います。
 以上です。
#17
○森勝治君 高田先生にお伺いしたいのでありますが、第一点は、NHKの番組が少しかた過ぎるきらいがあるという批判が一部にあるのですが、先生はそういう問題についてどうお考えでしょうか。
#18
○参考人(高田元三郎君) お答えいたします。
 確かにそういう批判もあるということは私どもも承知しておりますが、私はやはり先ほども申しましたように、NHKはやはり公共放送であるというたてまえから、番組制作がそれをもととしてやっぱりやっているんだろうと思うのです。そういう点から申しますると、かた過ぎるということになるかもしれませんが、中には逆にNHKはもっとかたい番組をやって、極端に言うと娯楽番組は全部NHKやる必要ないじゃないか、民放がみんな娯楽番組をやって、NHKはいわゆる教養放送、あるいは報道放送、あるいは教育放送に徹すればいいじゃないかと言う人すらあります。それは今日のNHKのできた由来から考えましても、そういう片寄ったことは許さるべきではないと思いますから、あまねくいろいろな放送をやっぱり全国に流さなければならぬ義務があると思います。そういう公共放送に徹するというところから、どうしてもそういう批判を受けることになるのだろうと思います。これはいたし方ないのじゃないかと思いますが、そういうふうに考えております。
#19
○森勝治君 先ほど先生がおっしゃったNHKの技術等を民放に開放する話、これは私ども賛成なのです。ただ私どもが、最近聞くと、ややもすれば出しものについても、このNHK側がむしろ民放と競争意識を燃やしているというような批判が出る反面、NHKは独善的な傾向がある、こういうこともささやかれている模様であります。この点について先生はどうお考えでしょうか。
#20
○参考人(高田元三郎君) お答えいたします。
 いまおっしゃったような批判もあるということは、私どもも承知しております。番組審議会などでも、たまにはそういう声を聞くが、やはり独善的になってはいかぬというようなことを発言する委員の方もございます。しかし全体的にみまして、私はやはりそういうことはまあ当たらない批判じゃないかというふうに見ておる次第でございます。
#21
○森勝治君 三点目でございますが、高田先生、この点はNHKの予算と直接関係がありませんから、お答えがもし御希望でなければ私はけっこうでありますが、一言、民放に関して御質問を申し上げたいのですが、それはコマーシャルの問題なんです。最近、特に民放は子供、なかんずく幼児をコマーシャルに引き出す傾向が顕著でございまして、早朝深夜を問わず、たとえば学齢期に達しない者ですね、こういう幼児をコマーシャルいわゆる商業宣伝ぺースに乗せているきらいがありますので、私は、先般の当委員会でもこの点を当局側に、郵政省側に指摘し、その改善方を要望したのでありますけれども、番組向上対策の立場の先生として、こういう点についての御指導をより一そう積極的にやっていただけないものでしょうか。その点お伺いをしたいと思うわけです。
#22
○参考人(高田元三郎君) お答えいたします。
 私どもも森理事のお考えと全く同感でございまして、その点はたびたび番組向上委員会でも問題になりまして、何とかやはりあまり子供、ことに幼児をコマーシャルに使うというようなことは避けてもらえないものだろうか、そういう点から何か適切な措置をとるべきじゃないかという意見がだいぶ出たことがございます。向上委員会の委員の一人にやはり広告主協会を代表されておる方が一人入っておりまして、その委員の人すらも、最近やはりそういうことが顕著に見受けられるようになったということはまことに困ったことだ、これは広告主協会においても言われておるのだ、ところが、広告主協会としても実際自粛というようなことでそういう点も話し合うという機会はあるんだが、どうもそういうコマーシャルを出すものが広告主協会にも参加をしてないスポンサーがえてしてそういうようなものを出しているというようなことがあるので困ったことだ、というようなことを申しておる場合もございます。いずれにしましても、私どももやはりその点は全く同感でございまするから、今後向上委員会におきましても、できるだけの努力はいたしていきたいと、かように考えております。
#23
○森勝治君 どうもありがとうございました。
#24
○長田裕二君 時間もありませんし、ほかの方もありますので、私は江村先生に一つだけ伺いたいと思います。先ほどNHKの予算と申しますか、こういう公企業の予算というか、経理は、事業計画を中心にしてそれに資金の流れというものをはっきりさせるといいますか、そういうものを中心にしたようなものであるほうがいいんではないかという御意見を伺ったのであります。ごもっともなことだと思うわけですが、ただ、NHKの場合もう御承知のように、およそテレビを見れる状態にすると聴視料を納めなければならない、契約をしなければならない、納めなければならないというようなたてまえになっておりますし、それからまた、その特殊性から、ほかの政府関係機関や公共企業体なんかと違いまして、自分で予算をつくって、それがそのまま郵政省を経由して国会に出されるというようなことで、それでイエスかノーかというような形になっているわけで、公共企業体などはいわば自分のところの希望する予算案というか、そういうものを要求をし、それが財政当局からの査定を受けてあらためて提出されるというような特殊な形、この形そのものは特殊性に応じたものだと思うわけですけれども、しかし一種の、国民全体がほとんど所得にもかかわりなく一定の金額を必ず納めなければならないというような筋合いの面から申しますと、事業計画でどういうことをやろうとしているかというようなことももちろん非常に重要である。そのためにある存在なわけですからけっこうですが、同時に、そういうことをやるためにどういう金を使うことになっているか、こまかく言いますと、積算単価というか、そういうものもやはり国民が喜んで納める、喜んでといいますか、何らの抵抗感なしに納めるという意味でフェアなわかりやすい予算だと、支出権限ということばも先ほどお話になりましたように、あるいは官庁会計とか、こちらに重点を置くだけでないという御意見も伺ったのですが、両者やっぱり事業計画と、それをするために非常にあまり無理でない世間並みの常識で当然だと思われるような経費の使われ方をするという安心感というものを国民が持つということも非常に必要なことではないかという感じがいたしますのですけれども、現在の予算の立て方は、私どもも実は国会での審議、郵政大臣意見書と、この委員会での審議がほとんどNHK予算に対する外からのあれとしては唯一というか、二つの場面があるだけでございます。そこらの点で予算を見る場合に、なかなかわかりにくいという面から、先ほどほかの方からも御質疑があった、その表現の当否は別としまして、そこらの点について、先生の公企業についての一般理論のほかに別の面の特殊性ということからの改善といいますか、表現形式というものについてあらためて御意見を伺いたいと思います。
#25
○参考人(江村稔君) ただいまの御質問は、公企業一般について常に問題になるところだろうと私は思います。そうしてその場合の検討の中心点は、まあ政府という行政組織もございましょうし、国会という機関もございましょうし、あるいは内容ははなはだばく然といたしますが、いわゆる公共という立場もあり得ると思います。そこで考えられます方式としましては、予算をどのように考えるかということについての議論が一応明確になっておりませんといろいろ分かれてまいりますけれども、私のような意見をとりますと、たとえば、公共的な見地から一般大衆を交えてこの内容を明らかにするということは、実はかなり技術的には困難な問題というものを常に持ってまいります。そこで、おそらく結果論というものを頭に置いてかなり妥当な表現、表示方式といたしましては、私はやはり政府なりあるいは国会なりがある程度の予算の作定に関与をするという形でもって、いわゆるパブリック・コントロールを行なう。そして最終的には確定いたしました財務諸表の監査等を厳重にするという条件をつけて差しつかえないかと思いますが、これを公開するということがやはり妥当な方式ではないのかという感じを持っております。したがって前者につきまして、いま御指摘のようにかなりこまかい点にまで積算の基準を明らかにするということは、これは当然事業計画の中に盛り込むべき内容でございまして、たとえば給与合計何億円という形のほかに、若干現在の事業計画にも出ているようでございますけれども、職員の数が何人、これを大学出と短大出と高校出に分けて何%というようなもののほかに、給与水準というようなものを明らかにした上で算定をしていくということも一つのやり方でございます。ただ、先ほど申しましたように、現在の予算がやはり款項の項までの非常に厳重な規定をやっておりますので、この辺に一つの大きな難点はあるかと思いますけれども、そのような形で、いわゆる予算の積算根拠について国会ないしは政府が関与するという形をもっと一般的にとるということは考えられます。なかんずく後者の提案につきましては、行政の合理化を目的といたしました臨時行政審議会等の意見で、どうも最終的には明確になりませんでしたけれども、公共企業体を含む公企業一般につきまして別の監督機関を設けるというような考え方もあったように思いますけれども、政府機関を通じて行なう公共的な監督というものもかなり私はできるのではないかというふうに思います。
 それから、後段の財務諸表の公開でございますけれども、現在、各公企業に関する法規は原則としてみな財産目録、貸借対照表、損益計算書の官報による公告を義務づけているはずでございますが、これをどれだけの方かごらんになるか、はなはだ疑問でございますし、また、ある公社は一時新聞を使ってやったことがございますけれども、現在のところ経費との関係もあるかもわかりませんが、ほとんどすべて官報でございます。このやり方は私は必ずしも適切だとは思わないので、もしどうしてもパブリック・コントロールあるいはまた公共的な監視の必要があるということであれば、たとえばイギリスの公共企業体あるいは国有産業がやっておりますように、きわめて詳細な年次報告書の作成を義務づけまして、これを有料で売り出すということを考えれば十分ではないかという感じを持っております。現にイギリスの政府刊行物の一つでありますBOACの年次報告書あるいは郵政公社の年次報告書というものは、その詳細の度合いにおきましては実はわが国の一般の株式会社よりもかなり徹底しているという点において非常に注目すべきものだと思いますが、いわば法規によって義務づけられている財務諸表の公表公開だけでは私は問題が実は片づかないのではないかと思うのですが、まあ幸か不幸かわが国の場合には商法も、一般の株式会社につきましては単に貸借対照表のみの一般の時事を掲げる新聞への公告もしくは官報への公告を義務づけているだけでございまして、わずかに証券取引法が一部の会社についてかなり詳細な有価証券報告書の提出を求めているだけでございますから、全体的に言いましてかなり企業のディスクロージャーというものの水準を上げない限りは、公共企業体あるいは公企業にのみ詳細な資料の公開を要求するのはいささか酷だと思いますが、理想論といたしましては、各公社あるいは公企業において従来発表しておりますようないわばPR用の業務報告書から、真にインフォメーションを必要とするものにとっては十分な資料を提供するような年次報告書の公開に踏み切るというようなことは、当然ある時点で考えていいのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#26
○長田裕二君 ありがとうございました。
#27
○木島則夫君 高田参考人にお尋ねいたします。
 番組向上委員会というところは、放送局から放送された番組についてだけの論評なりお話をされるんでしょうか。それとも番組の編成上の問題までタッチされるんでしょうか。もうちょっと具体的に申しますと、朝六時から夜中まで、東京においてはNHKをまじえて幾つありますか、たくさんの放送局からこれだけの映像が放送される。こんなにたくさん放送される必要があるんだろうかというような議論は内部で起こっておりますでしょうか。時間量の問題についてです。
#28
○参考人(高田元三郎君) お答えいたします。
 向上委員会は、いまお尋ねのような編成の問題まで委員会としては取り上げておりません。しかし、委員会が開かれましたいろいろの場合に、そういう点についての意見が出ることはございます。こういう点は、何とかやっぱりもうちょっと、ある時間どこのチャンネルをひねってみても同じものが出て好ましくないんじゃないか、何とかならぬのかという、そこまで向上委員会が意見を出すということはできないわけじゃなかろうと思います。そういうものが、やはり番組向上のために、何かやっぱり改善される必要があるという考えならば、委員会としてもこの検討はできると思います。また、しなきゃならぬのじゃないかと考えております。いまのところは、いわゆる低俗番組とか、そういうものだけに終始しております。
#29
○委員長(杉山善太郎君) これで参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、御多忙のところ長時間にわたり御出席をいただき貴重な御意見をお述べいただきまして、たいへんありがとうございました。お述べいただきました御意見は今後の当委員会の審査の多大な参考になることと存じます。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 午後は一時三十分に再開いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十二分開会
#30
○委員長(杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。新谷君。
#31
○新谷寅三郎君 先般若干の質問をしたんですが、きょうはこのあと取りまとめてお尋ねをしたいと思います。
 こまかい内容に入る前に、これは郵政省とNHK両方に希望があるんです。NHKの予算は、大体いろいろの形、予算の組み方というようなものについては、大体省令で大綱をきめて、それにはまるようにNHKが予算を組んでいる。これがいままでの状態ですけれども、だんだん予算が大型になって、非常に仕事の内容も複雑になってきておりまして、したがって、収入についても、支出についても、いままでのような、いわば大ざっぱな数字では、これを見たって、おそらく同僚議員でこの内容を的確に理解できる人はないと思うんですよ。私は政府予算と同じように――あの膨大な資料を整えて国会に出せということを言うんじゃないんですけれども、まあ政府予算でいうと款項ぐらいまでが書いてあって、それ以下は全然書いてない。それはNHKからいうと、質問があればお答えしますと、こういうことをおっしゃるけれども、これではほんとうに予算の審議をしようと思えば、政府予算みたいに一月もかかりますよ。ですから、大体だれが見てもわかるように、結局国会で審議する場合は、委員会でわれわれがわかるようにというほかに、やはりNHKの性格上、これは国民的なものですから、そういう予算や決算を見て、国民が理解し得るような程度のものにはしておかないと、これは相当国民の間から批判が出てもやむを得ないと思うんです。したがって、私はどの項目をどうしろということをいま具体的に――多少私見は持っておりますけれども、言いませんが、至急に来々年度の予算編成までに間に合うように、よく両者で相談をされまして、そして場合によっては、関係省令は変えるということをおやりになって、もう少し内容が、予算書あるいは事業計画書、資金計画書ですか、そういったものを見れば、内容もある程度捕捉できるというようなものにされるのが当然だと思うんですが、これはどうですか。大臣おられませんので、主管局長からお答え願いたいと思います。これはNHKのそれについての意見も聞きたい。
#32
○政府委員(藤木栄君) おっしゃいますように、従来もNHKの予算、決算というものにつきましては、わかりにくいというようなことがございまして、昭和四十三年に放送法施行規則を改正しまして、現在のような事業収支、資本収支の勘定方式に改めたというわけでございますが、おっしゃいますように、確かにまだこまかい点その他わかりにくいという御批判も先般もございましたのでございますので、私どもとしましても、さらに研究いたしまして、御趣旨に沿うように努力したいと、かように考えております。
#33
○参考人(小野吉郎君) ただいま省令の点にも触れて郵政省のほうからお答えがありました。私どもといたしましても、予算審議に、より役立つような方向におきまして、予算を明確に科目上、内容がわかるように資料を御提出するようにいたしたいと思います。
#34
○新谷寅三郎君 予算書その他関係書類は、いまお話しのような方向で、次の予算審議の際までに成案を得るように、御相談の上、努力していただきたいと思います。
 ついでながら申し上げますと、NHKの予算は、これは収支ともにそうですが、大体予算総則、これにもうすべて左右されている。もちろん、これにはNHKの内部規程でいろいろなこまかい規定はあるだろうと思います。どういうふうに支出するか、収納した収入はどういうふうに処理するかというようなことは、政府の会計法に類するようなものもあるだろうし、ものによりましては、あるいは政府の財政法に類するような部分もなければならぬと思いますね、内規かなんかで。しかし、いまこの予算書にあらわれている予算総則では、とにかく経営委員会がオールマイティーで、経営委員会の議決を経れば何でもやれる、一口で言えば。これも、私は長い間NHKの予算を審議をしてまいりましたが、ある意味においては必要だと思うのですね。事業活動を非常に阻害するようなことがあっちゃならぬと思うのですね。その点では、相当融通性を持たした運用々可能なようにするということは、私はいいと思います。ただ、こればかりじゃないと思うのです。予算総則に書いてあることも必要だが、われわれから見ると、行き過ぎたというような点もありますから、この予算総則に書いてある事柄についでも、これからのNHKの仕事の進め方、現状というようなものから考えられて、やはりもう少し収支予算の処理方、あるいは事業計画の処理方、こういったものについてもう少しこれは詳細な規定を置いて、それでやはりわれわれも、こういうふうに動かしているのだ、国民から見ても、こういうことだということがわかるように、予算総則それ自身についても、再検討される必要があると思うのです、どうですか。
#35
○政府委員(藤木栄君) 先ほどもお答え申し上げましたように、予算総則自体についても問題があるかと思いますが、さらにNHKともよく連絡をとりまして検討してみたいと思います。
#36
○参考人(小野吉郎君) 結局は、款項の流用の問題であろうと思います。款の流用は、これは厳密に禁止されております。各項間の流用につきましては、一定の費目を除いては、経営委員会の議決によってこれを行ない得ると、こういう総則になっておりますが、これは政府予算の場合も同様で、大差ございません。大蔵大臣の承認があれば、必要による項間の流用は認められております。これは予算の執行の弾力に応じまして、事態の必要に応ずるため置かれたやむを得ない規定であろうと思います。そういった面で、これが国民の立場からわかりにくいということでございますけれども、これは予算と決算を比較いたしますと、その款の流用の経過は明確でございまして、そういった面から申しまして、この予算総則は予算の執行が実際の需要にマッチすると、こういう意味合いからいえば、必要最小限のものではないかと思います。ただ、新谷先生が非常に御指摘になりたい点は、あるいは繰り越し剰余金があった場合に、それをどう使うかというようなことがございます。これはその限度においてその使途も非常に限られておりますし、おそらくこの総則のたてまえというものは、決して国会審議を無視するものではなく、そういう事前の国会の御承認のもとに、必要最小限の限られた限りにおきまして、そういった弾力運用ができると、これは実情にマッチするのではないか、私はかように考えております。
#37
○新谷寅三郎君 NHKのほうとしては、端的にいうと、なるべくこれは包括的なルールの規定のほうがやりやすいですわね。それはよくわかります。そういう意味から、あなたは言っているのかしらんけれども、これはある意味においては、国の予算でいいますと、財政法に匹敵するものです。それからある部分、会計法の基本的な原則を書いたものです。それにしては何もかも入れて十三条でまかなおうとしている。これは無理があるのはあたりまえですよね。私は、NHKを縛ろうというのではない。しかし、こういう場合にはこうするのだという原則は、当然予算総則に書くべきだと思うということを言っているわけです。いま、これから質問する問題も同じようなことに触れてくるわけであります。ですから、なるべく楽にいこうということでなしに、やっぱり国民全体の支持を得ているNHKなんだということが基本観念ですからね、そういったものについては、なるべく、国民がこれを見てもわかりやすいように仕組んでおいたほうがいい。私はそういう観点で言っているわけです。だから、あなたと意見が違っても――これはあとにしましょう。
 しかし、郵政省にはこの点はもう少し、いまの予算の各項目ですね、款項だけじゃなく、目節というようなことについてもそういうことをどうするかということを考えると同時に、予算総則そのものについても、その原則を基本的に変えろと言っていないのです。いろんな場合を想定しまして、少なくとも、国の財政法に書いてあるような原則的なことは、これはやっぱり総則に書いておいたほうがいい。私はそういうふうな意見ですから、これは大臣によくおっしゃって、この次のときまでには、あわせて検討されるということを希望しておきます。
 それから、少し内容ですが、いま小野君も言われたのですがね、四十七年度の予算案を見まして、実情がそうかもしれないけれども、前期繰り越し金のことですが、ゼロになっている。前期繰り越し金ゼロという時代もありましたね、いままで。これは御承知のように、委員会で非常に強く指摘をして、前期繰り越し金は一これは予算ですからね、当然、予算全体がこれは見込みです。前期繰り越し金がゼロということはあり得ないじゃないか。余るか、足りないか、どっちかなんだと。だから、たとえば四十七年度予算を編成された時期がいつか知れませんが、去年の十二月なら十二月、あるいは十一月なら十一月と時期をおいて、そこで、そのあとは見込みをつけてやるということでしょうがね。何年間か私は御注意をしたので――前期繰り越し金については、前年度のいわば剰余金ですね、これを計上してもらいたいと。計上されたのでよかったと思うんですよ。計上されないと、決算にはあらわれてくるけれど、予算面じゃ全然あらわれてこないですね。国会の審議とは全然無関係に使われるのですよ。そういうことが明らかになって、その当時、委員会でも皆さんで指摘した、そういう制度が初めて確立をして今日にきているわけです。私の調べによると、四十二年度からずっと繰り越し金の受け入れの予算があるわけですね。四十七年度はそれがない。これは昨年の十一月か、十二月か、知りませんが、予算編成の基本になった月までに、毎月これはおそらく業務報告ですか、収支報告ですか、何かそういったものを郵政省に出しておられるので、今日までに余ったか、足りなかったかということは各月ずっとわかっているわけでしょうね。今度は、四十七年度は、これはもう差し引きゼロだというような見通しをつけなきゃならぬような状態だったのか。その点、どなたか会計の関係の方、説明をしてください。
#38
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、前期からの翌期への繰り越し金につきましては、昭和四十二年度から予算化するようになっておりまして、当時から現在に至っておりますが、この間、年々繰り越し金につきましては減ってまいりまして、予定が、昨年度について申し上げますと、一億円でございます。その予定に対しまして、ほぼ同額の繰り越しということで決算は出ておるわけであります。
 これにつきまして、来年度についてどう考えたかと申しますと、原則として同じ考え方を適用したわけでありますが、昭和四十六年度の実際の予算の実行の見込みといたしまして、契約者の見込みを、例年になく非常に大きく見まして、カラー契約四百二十万を達成するということが目標の第一でございました。これらのことにつきまして、なかなか、目標の達成が困難でございまして、年度末の見込みを立てましたところ、ほぼ、かつかつで達成し得るであろうという程度の見込みと相なったわけでございます。したがいまして、収入総体につきまして、俗に申し上げます増収というようなものがちょっと期待できない。他方、また、支出につきましても、年度途中からかなり強い節減令を出しましてやってきておりますが、なかなか、全体としての、たとえば未収受信料の欠損の見込みにつきましても、前年度分の回収が思うにまかせないというような諸点もありまして、総体の年度末の見込みにつきまして、十二月当時の見込みといたしましては、大体三億円程度の赤字になるおそれもあるというような事態もございましたが、支出の削減ということを強硬に実施いたしまして、年度末までにほぼ何とか赤字は出さないで済むというような見込みを立てまして、したがいまして、来年度へ持ち越し得る金額というものが事実上ゼロというふうな数字になら、ざるを得ないであろう、かような見込みを立てまして予算の編成に当たったわけでございます。したがいまして四十七年度の予算といたしまして、四十六年度から受け入れます繰り越し資金というものについては、ゼロというような経費の計上にせざるを得ないというような判断から、かような措置に相なったわけでございます。
#39
○新谷寅三郎君 大体いまの説明で内容はわかりました。赤字になるかもしれぬというのを、年度内実行で節約して、赤字を出さないような措置々して、収支ゼロというようなことになると、繰り越し金が出てこない。こういうことのようですから、一応これは決算を見ればわかりますから、子のときまでにこれは留保しておいて様子を見ることにしましょう。
 私はしかしこういう、まあ非常な見込みですからね。ことに資本収支に関連しては大体ラウンドナンバーなんですね、みな――出しておられる計画ですか、予算といいますか、ラウンドナンバーです。事業収支のほうは千円ぐらいまで書いてある。こういうのですから、ラウンドナンバーでいくと、一億余りましょうとか、三億余りましょうとかいうような非常に大ざっぱなことしかお書きにならないのが例ですね。しかし国の予算でももにかく十一兆何千億の予算でもこんなラウンドナンバーじゃないですよ。百万単位のラウンドナンバーじゃない。だから、これももう少しあなた方が精密に調べられると、あるいは五千万円足りませんとか、あるいは三千万円余りましたというようなものが、出てくるんじゃないかと私は思うのですけれどもね。収支差し引きゼロなんていうことは、これはもう絶対あり得ないのだから、こういう神わざはできっこないのですから、どっちか足りないか余るかですね、幾らかでも。それが言うに足らないものだからゼロにしましたということだろう、いまのは。一応承っておきます。しかしもう少し書き方を、資本収支のほうなんかはこれ大体百万円単位でしょう。こういうことでなしにもう少し詳細な、さっきのいろんな科目の問題も考えまして、もう少しわかるような親切な予算案をお出しになったらいいだろうと思います。この前期繰り越し金の問題はその程度にしましよう。
 そこで、これは前から私も一ぺん言ったことがあるのですが、この機会に郵政省にもNHKにも、これは少し大きな問題になるおそれがありますからよく考えて御答弁願いたいと思うのは、明らかにしておきたい問題は、法律の三十七条の問題なんです。これは郵政省に先に聞きますが、三十七条の第一項では、こういうふうに毎年度の予算案、事業計画の案、資金計画の案というものを郵政大臣に提出をして、そうして第二項で、意見をつけて、内閣を経て国会に提出し、この承認を受けるということになっていますね、いまのやり方から言うと。第一項の一番おしまいに、これを変更しようとするときも同様だと、書いてある。変更しようというときも同様である。年度途中で、予算とか、事業計画、資金計画を変えようとするときには、やっぱり同じような手続を踏めということですね。予算ですから、私は、もう一円も違わないようにすっきりいくということは、これはあり得ないと思うのです。しかし法律にこういうことが書いてある精神は、やはり年度途中において、相当に予算なり、事業計画なり、資金計画の内容が変更される場合に、やはり、郵政大臣に届け出といいますか、提出をして、そうして国会に提案して、承認を受けるという手続をしなさいということを、法律は言っているものとしか考えられない。それは相当著しい変更というふうに、常識的に考えてもけっこうです。ところが、さっき申し上げたような、前期繰り越し金が、非常にふえたことがありましょう、四十二年、三年、あるいはその前からもそうですね。私の持っている資料によりますと、三十八年からいきますと――間違っていたら訂正して下さい。私の持っている資料は間違いないと思いますけれども、違っていたら訂正していただきたいと思いますが、三十八年には二十九億、三十九年には三十六億、四十年には二十九億、四十一年には二十五億、四十二年は四十四億、四十三年は九億、四十四年、四十五年が三億、四十六年が一億というふうに、前期繰り越し金がずっと毎年上がってきているわけです。これをどうするかというと、さっき申し上げた予算総則によりまして、経営委員会の決議を経まして、たとえば借り入れ金の返還に充てたり、新しい建設資金に充てたり、そういうこともやるし、それから、従業員の努力によって得たものであれば、従業員にもある程度分けるというようなことを、予算総則には書いてある、それはそれでいいんですけれども。ところが、こういうふうな何十億というような予算の変更、これは事業計画にも資金計画にも関係があるわけです。年度途中において経営委員会の議決を経るということは、これはNHKの内部関係です。経営委員会の議決を経れば、NHKは、そういう前期からの繰り越し金をこういう方面に使ってもよろしいのだという、そういうNHKにおける内部関係を書いたものが予算総則、国会の関係は別ですね。経営委員会がよろしいといったからといって、国会に出さなくてもいいということではない。今日までそういう手続が私の記憶ではとられたことがないと思うのです、一ぺんも。郵政省は、これはNHKからそういう書類の提出があったけれども、国会に出さなかったのですか、あるいはNHKがそういう書類は提出したことがないのですか、どっちなんですか。
#40
○政府委員(藤木栄君) これまでに、この放送法の三十七条の第一項の後段の、御指摘になりました規定によりまして、NHKから提出されました事例というのは、昭和二十七年にちょうどテレビジョン放送が開始されたというときに、年度の途中におきまして、このテレビジョン放送の開始という、テレビジョン放送の実施という点につきまして追加予算、事業計画及び資金計画というものを編成して、所定の手続を経まして、国会の承認を求めたという例が一件ございます。
#41
○新谷寅三郎君 それだけですか。
#42
○政府委員(藤木栄君) はい、それだけでございます。
#43
○新谷寅三郎君 いまお聞きのとおり、NHKはどういうわけでしょうか、一件だけだと言うんですね。そうするとね、たとえば昭和三十八年ごろは、予算規模が、大体、五百億ぐらいじゃなかったでしょうか、はっきり覚えてませんが。それに対して三十億とか、四十億とかいうような、まあ一割ぐらいの予算規模を変更し得るような、私から言えば、予算の変更があったわけですね。また事実、結果を見ますと、それを予算総則の規定に従って使ってるわけですよ。そうすると、事業計画も変わってくるわけだ、資金計画も変わってくるわけだ。予算そのものも変わってくるでしょう。予算で予定してないような金が入ってきたんですからね、それを事実使うんですから。それを手続をされなかったのはどういう何か理由があるんですか。私は過去にさかのぼってこれを責めようというんじゃないんです。責めようというんじゃないけれども、こういう法律の規定がある以上は、やっぱりこれはさっき初めに申し上げたように、予算ですから、一銭一厘も違わぬようにというようなことはあり得ない。しかし、大体社会通念からいいまして、何十億という予算変更、事業計画、資金計画の変更がある場合は、これは何といっても、三十七条に該当するものとして手続をすべきだと思うんです。しなくてもいいんだということはおっしゃらないと思いますけれども、その当時どういう事情があったのか。それが言いにくければ、今後どうしますかということについて責任のある方からお答えを願いたい。
#44
○参考人(小野吉郎君) 放送法三十七条と予算総則との関係を御対照になってお考えいただければ、事柄はしごく明白であろうと思います。放送法三十七条は、予算の編成、これを承認を受けるのには、郵政省へ提出をいたしまして、郵政大臣がこれに意見を付して国会に提出され、御審議を仰いで、承認を受けて実行されるわけでございます。変更のときもまた、同じとなっております。
 ただ、前期繰り越し金は、お説のとおり、過去の年度におきましては、先ほど御指摘のとおりの金額があったことは事実でございます。そういうものの限りにおきましては、総則が明示しておりまして、経営委員会の議決を経て、これを、これこれに使うことができる、こういうことが規定されております。これは国会と関係なくNHK内部の問題だと、こう御指摘でございますけれども、予算の承認は、各金額の具体的な配分だけでなく、その中に盛られた事業計画、資金計画を御承認いただくだけでなく、総則も一体として御承認を受けるわけでございます。国会の議決によってそういう方法を御承認になっておるわけでございまして、そういう根拠に基づいて放送法三十七条のそれにかかわらず、総則上可能である。もしこういう総則の規定がなければ、三十七条によるべきでございましょう。が、総則にはこういうものがございますので、少なくとも前期繰り越し金の限度においては三十七条に該当せず、総則の規定に従ってこういうことをやってよろしいと、こういう御承認を受けて、そのような方向をとっておるわけでございまして、御提出申し上ぐべきものを故意に御提出しない、こういうことではなく、法体系は十分に守った上で、そのような措置をとってあるわけでございます。ただ、三十七条の変更を要する場合は、それよりも範囲が広くて、これは非常な情勢の激変でございましょう。当初御承認を得た計画を、ただいまの前期繰り越し金の限度の額でなくて、変更しなければならぬような必要が起きた場合には、これは所定の手続によって国会の御審議を仰ぐべきものと考えております。
#45
○新谷寅三郎君 そうすると、法律解釈があなたと全く違いますね。三十七条に書いてあることは、予算総則とかそんなことは全然触れてないですよ。三十七条で、あとにNHKの収支予算を承認することによって受信料がきまるのだと書いてありますね。これはいわゆる予算総則か予算そのものか知りませんが、とにかく予算を承認したときにこれはきまると書いてある。法律にちゃんと明示してあるわけです。ところが、いまの予算総則に書いてあるということは、これは国会のほうで予算総則はもちろんこれに承認を与えます。与えますが、それによってNHKがその予算を、これは初めに予定しなかった予算ですから、それをどういうふうな方法で、どう使うかということを制限をし、それで権限を与えておる。NHKがそういうことをなし得るという権限を与えたにすぎないので、国会がそれをすぐに審議するとかしないとかという問題は、全然別個です。それによって、三十七条の提出、つまり届け出ですね、郵政大臣に対する「届け出」とか、あるいは「これを変更しようとするときも、同様とする。」という、国会の承認を受けるという規定の、この法的な効力を左右するものではない、全然これは別個です。あなたがそういうふうな考えを持っておられると、これは非常に間違いを起こすと思います、私は。これは全然別個の問題だと思います。こんなに国会が、包括的に法律の規定によらないで、法律に書いてあることを――これはもう法律にこう書いてあるけれども、これでなくてもいいのだということを、やれるはずがないのですよ。そういうことを国会が承認したとあなたがおっしゃるなら、承認そのものが三十七条の規定とこれはもうぶつかってくるわけです。そういう承認というものはあり得ないと私は思います。
#46
○参考人(小野吉郎君) 法制関係の権威であられる新谷委員には、その辺のことはよく御理解しておられると思いますけれども、予算の関係といたしましては、三十七条は予算に関係する法律の条文でございます。これと予算とは同じ効力を持っておる、こういうことでありまして、予算総則の中にこういう条項がなければ、三十七条によって、事業計画、資金計画の変更を要するものは、再審議をお願いしなければならぬ筋合いでございましょう。ところが、三十七条はそういう場合を想定して、一定の限度で、一定の目的に対して、予算の承認に伴って、その事業計画がその限度で、変更があり得ることを包括承認されておるのでございまして、これは法律三十七条と同じ効力でございますし、その限度においては、三十七条の、変更しようという場合に、これこれの手続をとれということからは除外されておる、こう解釈をいたしております。
#47
○新谷寅三郎君 あなたの解釈はあまり有権的じゃないと私は思うのです。だから、これは法律の解釈は、むしろ委員会のほうが有権的な解釈権を持っていると思うし、監督官庁と言っていいかどうかしらぬが、郵政大臣の解釈のほうがもっと優先すると私は思います。ですから、この法律の解釈についていまこれ以上あなたと水かけ論をするのはやめましょう。やめましょうが伺っておきましょう。これは予算や事業計画、資金計画が変更されたという事実は認めますね。
#48
○参考人(小野吉郎君) これはそのとおりでございます。
#49
○新谷寅三郎君 それならば、この三十七条を、私が言ったような趣旨に解すべきである。変更があったのだから、変更があった場合も同様とするということを法律に明定している。それを事前に、法律に書いてあっても、これはもう包括承認したんだから、国会に出さなくてもいいんだなんというようなことをこの委員会も言うはずがないし、あなた方もそういう解釈をされるのはこれはひとりよがりだと、私はそう思うのです。これはいずれ、私だけの意見ではきまりませんでしょうから、委員会でも検討してみましょう。郵政大臣の意見も聞いてみましょう。もしそうだとすると、私は過去は責めたくはないが、三十七条からみると非常なあやまちをおかしているということです。その解釈いかんによっては、その処理についてお考えを願いたいと思います。
#50
○参考人(前田義徳君) はなはだ失礼ですが、繰り返すようですが、やはり予算総則というものは、国会によって承認をされるかされないかというものの対象でありまして、したがって予算総則で処理し得る限度の常識的な金額は、この三十七条の変更の場合とは異なった取り扱いをしていただいていたということは事実だったと思うのです。これが法律上不当であるかどうかという問題になりますと、これは法理論の問題になるかと思いますが、しかも実際上そういう数字が出ておりますけれども、それは全部受信料の収入超過だけではないわけですね。建設計画の繰り越しが当時非常に多かったわけです。というのは、局の建設等においても、郵政省の御指導によって、商業放送と一緒にやれ、チャンネルの策定にしましても、そういう状態でございますから、民放との折り合いがつかないと、やっぱり延びざるを得ないというような場合もございます。したがいまして、従来、毎年当委員会におかれても、その事情を御理解の上、予算総則の内容を検討していただいていたというように私は考えるのですが、しかし将来、放送法を改正するにあたって、この問題がどうなるかということは、これはまあ皆さんのお力の問題であって、われわれが意見を述べる筋合いではないと思いますが、しかし過去にさかのぼって、現実を土台としてこの法律と予算総則との関係を考えますと、当委員会におかれても、数年にわたってそのたてまえに立って御審議いただいて御承認を得ていた、この事実は、われわれがごまかしたのではないということだけはここで申し上げておきたいと思います。
#51
○新谷寅三郎君 いまの前田会長のお話、これはあなたの言われたほうが、副会長の言われたよりも事実をとらえていると私は思います。あなたの言っていられるところには、ある程度私もそういう考え方でいいと思います。しかし、これは変更というのは、いやしくも一円でも二円でも変更すれば変更じゃないか、そういうことを私は言うてない。ただ、内容的に、事業計画あるいは資金計画に相当な変更を及ぼすような予算の変更をした場合には、これは事業計画、資金計画と並べて郵政大臣にも出さなきゃいくまいし、国会にも出さなきゃいくまい。あなた方いつも言われるように、NHKについて何がしか郵政大臣が監督権を持っているようですが、予算総則については修正権も何もないのですよ、郵政大臣ね。ただ国会が見ているのだとおっしゃるでしょう、いつも。そのとおりです、いまの法律では。その国会が一ぺんこれを予算審議しますと、年度途中でどんな変更があっても、これはもうノー・タッチだ、包括的にまかしてあるのだ、経営委員会に。そんなことは立法論としてもあり得ないのです。だから、相当の変更があった場合には、当然国会に手続をなさるべきだ、これがこの三十七条の立法精神だと私は思いますということを言っているのです。だからね、この点はさっき言ったように、これ長くなったらきょう終わりませんよ。だからいいかげんにしましょう。あなたのほうでもこれはほんとうにこうやったほうが楽なんだということじゃなしに、ほんとうに国会が唯一の、何といいますか、監督じゃないけれども、唯一のこれは審査機関だと、予算についての。それをその制度がいいのだということであれば、これはあなた当然いまのような三十七条の解釈運用について、もっと高い視野から考えなければいかぬと私は思います。これはいずれ郵政大臣と相談します。
#52
○参考人(前田義徳君) その精神に私は別に反抗しておりません。ただ、御指摘の年度を通じて、予算、決算の結果から見るとそういうことになったと、そしてその内容は、前提としてその年度の予算御審議の際御議論をいただいて、この限りはその内容はただ収入増ばかりでございませんので、予算総則に従って処理すべきものだという御判断をいただき、その限りで承認をいただきたい。ただ先ほど電監局長からも御発言がありましたように、全く事業計画と資金計画が根本的に変わってくるというようなケースは、私どもも郵政大臣にその訂正の案を出しまして、御意見を付して当委員会でまた御審議していただいたと、こういう事実を申し述べております。
#53
○新谷寅三郎君 ですから、もうこれ以上言いませんが、根本的にとおっしゃったが、もちろんのことですね、根本的の場合は。相当の変更があっ場合た――これはもう相当と書いていませんよ、法律にはね。だから、私はこれは社会通念として、これを変更しようとするときも同様だというので、相当にこれは大きな変更というふうに考えてもいいが、その場合でも、年度途中において相当大きな変更があっても、予算総則に書いてあるんだから、国会にも提出しなくてもいいのだなんというのは、そういうことを言っておられると、これは間違いですよということを私は自分の考えとして言っているのです。だからあとの問題に、これは来年の問題にしましょう。
 郵政省もその点はこれ真剣に考えてください。いままでのあなたがたのやり方も必ずしも適切じゃなかったと私は思いますよ。年間ですね、途中から予算全体の一割に近いような変更があっても、大したことありませんというようなかっこうをしているのは、実にこれは私は法の解釈が間違っているのか、あるいは法の運用が間違っているのか、いずれかだと思います。郵政大臣によく話してください。
 それから郵政大臣の意見書についていろいろ問題がありましたが、これはあと回しにしましょう。私はいままでに例のないようなこういう予算案を出されて、なるべくこれは四十七年度の実行予算ですね、こういう非常な変則的な事態にならないように、極力防止策を講ずべきだという観点から、収入と支出両方について少しお尋ねをしたいと思います、意見もまじえますが。
 それで、こういうことについてはこれは非常にむずかしいことだと思いますけれども、NHKの資料によると、まあこの三十七条の規定が非常にあいまいなものですから、初めのうちはよかったけれども、今日になると、この条文だけで、受信料を徴収せられることが非常に困難になってきたという事実はよくわかる。まあ努力もしておられるでしょう。そこで私はこの受信機を持っていますと、しかしいろいろな理由でね、まあ保護世帯であったり、身体障害者であったりというので免除規定に該当するものは別にしましょうね。そうでなくても、私はこれは払いません、払いたくないんですというので拒否している件数が――これは間違っていたら教えてください、三万ぐらいあると言っているんですね。三万か四万か知れませんけれども、とにかく何万かある。これは、毎年行ってもやはり拒否されるんでしょう。これに対してどうしますか、これNHKは。
 これは、多少の材料はあるんです。たとえば、これはNHKから聞いた話ですが、伊丹市の市会の決議、あれがどういうふうに動いているとか、それから何か、小金井か何かでもあったようですね。そういったもののほかに、個人的に、私は払わないというようなのが相当あるそうですね。これは、払ってくださいという説得に行かれるようです。説得しても払わなかったら、そままにしてほっといてあるんですね、いままでは。やむを得ない、徴収が不能であるというので、いつでも決算のときにはそんな金が出てきますね。今後もこれ以上にどうもできないんでしょうか。
 ですから、何かあなた方が建設的に――もうこれがどうにもしようがない。どんどんまたふえるような傾向にあるようですね。そうなると、NHKの唯一の財源がだんだん、だんだんこれ追われていくということでしょうから、ゆゆしい問題だと思う。この間も小野君言われたように、まことに公共負担というような考え方でいきますと、負担の公平ということですね。税金のように重い、軽いがあるわけじゃない。受信機を持っている人には、どんな人にだってとにかく平等に受信料を取っているわけです。もっともこれは、公平に取らないと、自分は払いたくないからいやだという人は取らないと、結局、払ってもいいよという人だけとって、それでNHKの財政をまかなっているというかっこうは、実にこれは私まずいと思うんです。何か方法はないでしょうか。何かいい案を持っておられて、現行法ではだめです、こういうふうにしてもらったらいいんだというようなものでもあれば、率直に言ってほしいと思うんです。また、実際、方法としては、現行法でいくと、まず、契約をしてくださいということで、契約を締結するということについての訴訟を起こすわけですよね、NHKが。そうして、その訴訟に勝つでしょう、こんな規定があるんだから。憲法上何とかというような議論も一方であるということを聞いていますけれども、これは勝つでしょう。勝った場合には、判決に従って受信料を払ってくれという、受信料の支払い請求の訴訟を起こすんですね。二重の訴訟になるんでしょう。これはたいへんなことだと思いますよ。たいへんなことであるけれども、費用もかかるでしょう。しかし、といってほうってあるんじゃ困まりますね、これ。何にもしないで、ただ説得あるのみ、それだけの態度で終始されますと、これがだんだん、だんだんふえてくると、これこそほんとうに混乱状態になると思う。何かこれについて建設的な御意見ありませんか。会長、どうですか。
#54
○参考人(前田義徳君) その不払いあるいは不払い要求の一番大きな数字の部分は、端的に申しまして、最近のいろんな意味での公害関係が一番大きいわけです。航空公害であるとか、その他まあ鉄道、飛行機その他の騒音の関係であるとか、これらにつきましては、前国会でも関係御当局の御理解もいただいて責任者の負担という方向が明らかに出てきているわけです。これはまだ不十分でございます、率直に言わしていただけば。しかし私たちもやはりその面で聴視者と協力する意思表示も必要だと思っております。
 それから、もう一つのたとえばニュースがおかしい、だから払わないというようなことも昨年来ありましたけれども、その一番大きなグループとの話し合いはすでについております。で、最終的にどのぐらいの数字になりますか、二千と三千の間になりますか、思想的な面で払わないという方も存在しております。しかし、これらについても順次その一部に御理解をいただく結果になってきているということは事実です。その他の問題は料金徴取、収納の過程において――これは吉田理事から説明してもらいたいと思いますが、いろいろな全国都市の出入りといいますか、人口の移動、それからいまの社会の、仕事との関係での実態というものと関連する部分でありまして、これは不払いの分に入らないので、ただ、その年度内にどれだけ回収できるかというのは、これはまあかなり大きな部分にもなりますから、その年度の予算、あるいは決算との関係で、どのぐらいの成果があがったかということに属する問題になるかと思います。まあ受信料の徴取、あるいはまた契約が非常にむずかしくなってくるということは、この社会的現状からすれば、ある程度、複雑な社会になっておりますから、昔のように簡単にはいかぬということは事実であり、したがって、当委員会におかれても、いろいろな施策をやれという附帯決議も連続していただいているわけです。明年度予算でもその対策についても、営業関係の費用として、そしてその計画に基づく費用として御審議いただいているわけでございます。ただ、私どもの立場に立って考えますと、お許しいただきたいと思うんですが、単なる法律問題だけではこの問題は解決できないだろう。やはり第一義は、難視聴をなくし、第二義には、番組の質を向上させるということに、NHKの事業としては、そこに全力を注ぐことが法律改定よりも、もっと前の問題として、必要ではないかというように私は考えているわけです。ただいま申し上げた部分については吉田理事から説明いたさせます。
#55
○新谷寅三郎君 担当の方から説明を聞く前に、まあ根本的にはNHKのいまの現行法のもとではあなたの言われるようなこと以外に方法はないだろうと思いますよ。だから、番組をよくするとか、難視聴を解消するとか、そういったことについて最大限の努力をせられるのはこれは当然のことでしょうね。ただ、あとでもまた触れますけれども、一生懸命努力しておられるというのにかかわらず、NHKも自分でも自覚しておられるように、いままでは大体〇・六%ぐらいのを今度は一%ぐらいに引き上げておられるでしょう。ということは、相当ふえるという前提ですね。で、大体の傾向を見ると――これはあなたのほうから出た資料ですよ。まあ横ばいのような数字になっていますけれども、伊丹市とか、あるいは小金井市とか横田基地、あるいは新幹線の陰になっておるところとか、鶴見とか。そのほかにはこれはどういう傾向の団体か知りませんが、全日本カラーテレビ受信料不払い同盟というようなものが、こういったのがあちらこちらに出てきておることは事実ですね。ですから、私は今後どういうふうに推移するか知りませんけれども、これまあNHKとしては、唯一の収入財源です。これ以外に収入ないはずです。ですからこれの基礎をゆるがすようなことになっては困る。いままで放送法制定以来二十年余りの間に非常に社会の事情も違ってきておる。だから、ほかの国のいろんな例がありますが、それが必ずしも成功していると思いませんが、そういったことまで考えないと、このNHKの財源を確保する方法は、だんだんなくなってくるんじゃないか、というようなことを心配をするもんですからね。建設的に何か意見があれば言ってください。制度的にもけっこうですと、もし法律改正の必要があれば、その方向で検討してみましょう、こういうことを私は言っているわけです。現行法のもとで、NHKに最大限の努力をしろと言うと、前田会長が言ったような、それ以外じゃ方法ないでしょうと思いますよ――そのもう一つ広い視野から立って、現行法にとらわれないで考えた場合にはどうですか、ということを言っているわけです。
 それからもう一つ、これは担当者からでもいいんですけれども、どうも受信料を、ある地域は受信機を持っておると、それを一々収納するのに、受信料をね、非常に金がかかって困ると、こんな金がかかるくらいなら受信料をとらないほうがいいということで、受信料を収納するのを控えている、というような事例がある、ということを私は仄聞するのですが、間違いであればけっこうですよ。つまりせっかく増収をはかろうと思っても、結果として減収になったら困るというような、そういう意図がどこかにあるようにも聞くのです、そうでないことを希望するのですが。私は、こういう形の、税金じゃありませんが、公共負担、こういうような受信料の性格からいきますと、経費がかかろうがかかるまいが、全国民に出してもらうのだ、こういう考えで、それが非常に収納費のほうが高くなるところもあるかもしれませんね、それでもやっぱりこれはきちょうめんに徴収していかなければならぬという前提で申し上げているのですが、そういう前提からいくと、非常に極端な話ですけれども、さっきも申し上げたように、どうしても払わぬというのがあれば、取ろうと思えば提訴する以外にないでしょうね。そんなことは一件もないですね。ないが、必ず提訴しなさいと言っているのじゃないですけれども、その効果がどうだろうかというようなことについて、何か真剣に検討されたことがあるのか、ないのか、考えたこともないのか、そういうことを初めにお聞きしたのですよ。
#56
○参考人(前田義徳君) ただいまの新谷先生のお話しの後段の件は、そういう御心配ございません。全力をあげてやっております。ただ私は、法律制度としてどうあるべきかという問題は私自身も非常に考えてきております。ただ、NHKという、国民の機関という形をとっている場合に、法律によってすべてを処理するという考え方については、自分自身どうも法律があってもその法律が空文になった場合を考えますと、効果は逆になるおそれもあると、率直に言ってそういう感じ方を持っております。したがって、聴視料を一種の税金化するような考え方には、私は賛成はできません。ただ、従来の考え方の中から、私が、この問題、こういうあり方はどうかと考えている点は一つございます。それは何らかの形で威力的に契約を妨害し、あるいは支払いを妨害する、一人の問題ばかりでなく、ことに集団を組むというようなことについて、新しい立法、価値ある立法が可能であるかどうかという点は始終考えておりますけれども、しかし、こういうことが、私の口から申し上げることも、全国民の機関というたてまえからいうと、率直に言って相当なやはり研究を積まない限り、軽々には申し上げられないという気持ちでおります。
 以上でございます。
#57
○新谷寅三郎君 担当の人から説明してください。
#58
○参考人(吉田行範君) ただいま会長から、いろいろな面から御説明がございましたから、それ以上特に申し上げることはございませんけれども、まあ私は、営業の立場といたしまして、前回も申し上げたと思いますけれども、現在の新谷先生の御指摘の未契約あるいは未収という問題につきまして、その一番大きな理由は、不在世帯がきわめて多いということと、それから移動がきわめて多い、それから第三の問題は、社会公害と申しますか、都市難視あるいは騒音の問題、そういうことで、大ざっぱにくくりますとそういうことになろうかと思います。で、先生から御要望がありまして、資料も御提出申し上、げたわけでございますが、先ほど御指摘がありましたように、いわゆる何といいますか、そういうふうなただいま私が申しました移動の非常な激化、あるいは不在世帯が非常にふえているということ以外の契約を拒否する、あるいは金を払わないという数につきましては、先ほど御指摘がございましたように、未契約者は三万足らずでございます。それから収納を意識的に拒否している――これは先ほど会長から申し上げましたように、二千ないし三千でございます。で、ただ、これらについても全然解決する方法がないかというと、必ずしもそうではないわけでございまして、若干たとえば、番組についての意見が相違するから、契約しないとか、金を払わないとかという方々に対しては、私ども営業の担当者、あるいは管理職、営業所長が直接参りましてお話し合いをして解決する場合もございますし、あるいはそれでも満足されないで、番組の関係の場合には、番組の担当者に直接来て説明しろというふうな事例も若干ございました。そうして、そういう場合には、そういう担当の管理職が直接お宅へ伺いまして、そして御了解を求めて、契約なり収納をはかったという事例もございます。ただ、それですべて片づくということでないことは御指摘のとおりでございます。
 ただ、また繰り返しになりますけれども、私どもがいま最も困難を感じている問題は、やはり初めにあげましたような移動が非常に多いと、しかもその移動者の大部分の方が移動先を登録しないで行ってしまうということでありまして、いわゆる未契約者という人たちの大部分は、そういうふうに、一度は契約した方であって、そしてどこへ移ったかわからないために、過渡的に未契約という形になっているという事例が非常に多いわけでございます。
 それからなお、これはもう御承知のとおりと思いますけれども、私どもの調査によりましても、不在世帯がきわめて多い。前回申し上げたと思いますけれども、家庭の支払い能力を持っている方で、午前八時から午後九時までの間の不在率が二七%であるというふうな実情がございますので、それで私どもは、そういう方々に会う、どうやって会うかということが問題でございまして、必ずしも人数が多いから会えるということではなくて、そこにも、変なことばでたいへん恐縮でございますけれども、恒常的不在というふうな、あまり日本語としてふさわしくないことばを使っておりますけれども、これはそういう意味でございまして、問題は会うことである。そのために職場へ参ることもございますし、それからそこにも、しるしてございますように、督促状にいろいろな書類を添えてお送りして、若干の成果をあげていることもある。まあいろいろな方法をとっておりますし、それからいわゆる都市の問題につきましては、主として未契約にいたしましても、それから未収の問題にいたしましても、大都市にきわめて多い、集中しているというのが実情でございますから、私どもは、私どもの持っている人間の再編成を行ないまして、そういう未収対策のためには外務職員を主としてこれに充てる。そうして、従来外務職員が持っておりました単純集金の仕事は受託者に振り向ける。これを、私どもは外務体制と言っておりますけれども、それからさらに地域の管理を厳密にするということでユニット制というものをとりまして、全国にわたって地区を細分して管理をやる、そういう方法もとっているわけでございます。それからなお、そういう問題受信者に対しましては、これは先ほど申しましたように、都市に非常に多いわけでありまして、東京で申しますと、池袋とか新宿とか、そういうところはきわめて多いわけでありますから、そういうところに来年度からは一種の機動部隊を設けて、そうしてそういうことを機動的に処理してまいりたいという考え方でございます。
 それから一番初めの問題にさかのぼるわけでありますけれども、まあ会長からも御意見がございましたし、新谷先生の御意見もございましたわけでございますけれども、三万ないし二千あるいは三千というのは、三万というのは未契約者の概数、それから二千、三千というのは未払い受信者の概数でございますが、こういう人たちに対しても、私は何か罰則を――これは御指摘のとおり、たとえばホテルや何かの問題にいたしましても、立ち入り権がないために十分な調査ができないという事実は明らかにございます。そのために非常に私どもの契約者なり集金者が苦労をしている。こういう実体はあるわけでございますが、ですから、そういう面については、そういうことが現時点の放送法では多少問題があるということは私どももすなおに認めざるを得ないわけでありますけれども、まあしかし、私は性善説をとるものでございますから、大多数の日本人が性善説であると、ことにいまの放送法の精神は性善説であると私は考えております。したがって、やはりわれわれの仲間である国民が性善である以上は、やはり誠意を尽くしてやったほうが、罰則を設けて、そしてそれでおどかして取るということよりは、やはり公共放送としては正しいやり方ではないか。ただし、そのためにも私どもはベストを尽くして、そういう未契約者なり、あるいは未払いの受信者はできるだけ根絶するように努力してまいりたいと、まあそういうふうに考えているわけであります。
#59
○新谷寅三郎君 詳しくいままでのやり方を御説明になって、それは非常に私は努力は多とするのですよ。そのくらいのことしかやれないだろうと思うのですね。しかし、それだからといって、まあ全体で言うと三十万ぐらいのものが対象になる。それからその中で特にまあ悪質ということばはどうか知らぬけれども、とにかく契約をすることを拒否する、受信機を持っておっても拒否する人がいるというのだから、これはただいままでのように、ただ一生懸命やっておりますというだけで、済むか済まぬかということを考えるものですから、さっきから繰り返し言うように、大体の傾向としてこういうものは減ることはない、ふえる。ちょっといろいろの運動をする人ができて、少し呼びかけると、そうか、それでもいいのか、というので、また払わない人がふえてくる。これは現実ですわね。だから、あなたのほうだって一%ふやしたわけです。ですから、そういう傾向にあるだけに、私はいまからそれを考えておかないと、NHKの唯一の財政基礎をゆるがすような結果になりかねない。これがずっと広がっていったら、これはたいへんなことになりますよ。こういうことはしたくないとか、こういうことをすると、かえって刺激をするとか、国民的な立場において何だとかということは、それはそのとおりだと思うのです。そうありたい。ありたいけれども、それで済まない場合を考えているのですよ。そこで私たちとしては制度上どうですかということを聞かざるを得ないのです。まあその問題はなかなかいますぐは言いにくいでしょう。訴訟を起こしても悪質なものはやりますということをいまあなた方に言えといっても、なかなか言えないでしょうから、無理やりに言わせようとは思いませんが、しかし、そのくらいの最終的には悪質な者に対しては――善意な者ばかり相手にしないで、悪質な者に対しては、強硬な手段をもってしても、法律でもって与えられた権限というよりも、これはむしろ私は義務といってもいいと思うのですが、そういうものを集めて、それをもとにしてよい放送をするというのがあなた方の義務でしょうから、そういうものを最大限に活用して、それで国民の皆さんに満足するような放送を提供したいというようなかまえのほうがいいかもしれない。むずかしい問題ですけれども、これは郵政大臣にも考えてもらいましょう。ひとつこれは基本的に、何か曲り角に来ているような気がしてしょうがないものですから、両方でよく考えなさいということでこの問題はやめます。
 そこで私は、こういう数字はへたなんで、こんなことは言いたくないのだけれども、ちょっとあなた前に出てください−こまかい数字ですから。
 これは実はいろいろな方面で、私はことしも四百万くらいカラーがふえるということを見込んでおられる。これはおそらくいままで全然受像機を持っていなかった人が一ぺんに四百万ふえると、四百万ふえるということは、受信契約を解約する人があるのですから、実質的にはもっとふえるということでしょう。差し引きずると五百万も五百五十万にもなるのでしょうね。ということは、決してそんなにいま受信機、まあテレビですね、テレビの受像機を買えないで、四十七年度になって初めて受像機を買えるような状態になったという人ばかりを対象にしての話じゃないと思うのです。これは私はもっと別な意味で努力をされるともっと契約者というものはふえるだろうと、こういうふうな大ざっぱな考えから、いろいろな方面に頼んで数字を集めてみたのですよ。これはあなた方の出された数字も入っていますから、これは委員の方にも聞いていただきたいと思うから申しますと、大体、全国の全世帯ですが、これは人口問題研究所で調べたところでは二千九百万、大体二千九百万世帯、これはよろしいですね。
#60
○参考人(吉田行範君) はい。
#61
○新谷寅三郎君 それからその契約者の総数があなたのほうの資料にも出ているけれども、大体二千三百二十八万円という数字ですね。これもいいですね。
#62
○参考人(吉田行範君) はい。
#63
○新谷寅三郎君 その中で、あなた方のほうの計算で、世帯でないところ、非世帯数というのは大体三十七万というふうに見ているのですね。それを差し引きますと、二千二百九十万という数字が出るのです。これが有料契約の対象になっている世帯数だと、こういうふうに考えていいんじゃないかと思うんです。――私の言っているのに間違いがあったら、あとでまとめてどこが間違っていますということをおっしゃってください。
 それから、有料契約の対象外になるものはどのぐらいあるだろうかということを見てみますと、これは厚生省の統計によりましたり、あるいはあなた方の統計によりまして、たとえば生活困窮者が六十六万だとか貧困な身体障害者が四十八万だとか、老人ホームや母子家庭が五万だとか、そういう数字が出るわけですね。そういったものを合計しますと、免除に該当する世帯数というのが百十九万――これもよろしいですか。
#64
○参考人(吉田行範君) はい。
#65
○新谷寅三郎君 それから難視聴の世帯数がどのくらいあるのか、これはNHKから出しているわけです、六十二万ですか。というのが、これが難視聴で、払うのがむずかしいといえるわけでしょう。
 そこで、テレビを持っていないというのがどのぐらいあるだろうか。波は届いている、しかしテレビを持っていない家庭がどのぐらいあるだろうかという推定ですね、これが私は一番の問題であると思うんですよ。
 いままで言ってきたことは、大体これは国勢調査とか、人口問題研究所とか、NHKの調査で拾っておられる数字なんだから、まあ間違いないと思うんです。
 そこで、テレビを持っていないというものの世帯数というものの推定ですけれども、どういうふうにするか。結局、さっき申し上げた全世帯数から、あなたのほうで契約をしているという数字ですね、二千三百万という数字、それの残りの六百十七万の中でどのくらいが一体持てなくて、あるいは持っていても契約をしないか、こういう計算をしなければならぬということになるわけですね。それを、まあいろいろの考え方ありますけれども、これは厚生省の調べで、いわゆる単身の世帯ですね、これは二百六十万ぐらいあるそうですね、一人ものの。この単身の世帯は、これは経済企画庁の調べによると、単身世帯でテレビを持っている率は四三%だそうです。――これもいいですね。それから、下宿屋さんとかあるいは寮なんかに住んでいる、これは世帯を持ってないんですね、自分じゃ。そういうのはどのくらい持っているかということを推定しますと、若干持っていると思いますね。自分の部屋に持っていると思います。しかしこれはあまり持っていまいという推定でいってもいいと思う。そのほかに、二人以上の家庭――夫婦で生活している、あるいは子供を持っているという家庭、そういったものの数が二千三百七十万ぐらいあるらしいんです。これは今日の経済状態からいきますと、私は大部分波の届いているところは、テレビを買って持っているというふうに見てもいいんじゃないかしらんと思うんですよ。四万円、五万円の月賦でテレビが入るんだから、これも買えないという経済状態ではないだろう。ただ、中には、自分のところは、子供の教育のために、テレビは置かないんだという人も、若干おるかもしれませんけれども、大体において、この人たちは、テレビを買って持っているだろうというふうに推定してもいいだろう。
 そういうことをもとにしまして計算していきますと、有料契約の対象になると思われる世帯数で、まだ契約をしてないというのは、これはいろんな計算がありますけれども、大体二百万ぐらいいるというんですね、現在でもですよ。ですから、私は、NHKにすぐに来年度この二百万を掘り起こせと言っても、これはほとんど実行ができないような、何か困難な事情があって、できないという気がしてしようがないと思うんですけどね。しかし、こういうような相当権威のある数字から類推しましても、新しい契約を締結をし得るような可能性のある世帯というものは相当にたくさんあると――NHKはわれわれに公式には、さっきおっしゃった不在とか、支払いが積滞をして、どこへ行ったかわからないというようなことで、あるいは騒音、難視聴というようなことで、どうしても捕捉できない、契約のできない人たちが大体二十八万ぐらいですか、と言っておられますね。公式にはこういう数字を出しておられる。私は、対象になる数字はそんなものじゃないんじゃないかということを言いたいんですよ。それで、いま言ったような数字にどっかに間違いがあれば、どこが間違っていますよと言ってください。私は、これがすぐに現実の問題として、二百万世帯から受信料が取れるんじゃないかというようなことを、いまここで言おうとしているんじゃないんですけれども、ただ、努力が足りておっても、方法がまずいか何か知らぬけれども、とにかくこういったものは、どっかに置き去りになっているということだけは、事実じゃないかということを――私、数字はへたですからあまり自信はありませんけれども、まあ集めた数字をもとにして類推してみるとそういうことを――これはNHKにもお話しをし、NHKもそれがもっともだというなら、さらに新しい有料契約の開拓について、もっと努力すれば、十万や二十万はたいしたことじゃないんじゃないかということを私は言いたいんです。どうですか。
#66
○参考人(吉田行範君) ただいま新谷先生が御指摘になりましたいろんな数字は、若干私は訂正さしていただきますが、私の持っております資料とあまり変わってないような気がいたします。ただ、これはその数をとった時点にたぶん関係があると私は判断いたしますけれども、私が持っております資料は、四十六年九月末現在で推定した資料でございます。で、この四十六年九月末現在では、私どもは世帯数、これは公式発表でございますから誤りがないと思いますが、二千八百六十七万世帯でございます。それから世帯契約数がその時点におきまして二千二百五十四万でございます。したがって、その差し引きは六百十三万でございます。それで、先ほど先生も御指摘になりましたが、有料契約の対象にならないもの、いわゆる生活保護世帯、あるいは貧困な身障者、この合計は全く同じで百十九万でございます。それから、その次の難視のための辺地難視世帯というものを、先生は六十二万とお見込みになりましたが、これは年度末においてたびたび御説明いたしておりますように六十二万でございます。ただし、私のこの数字をとりました時点、九月においては、この全部の難視が年度内で六十二万になるわけでございますから、若干、十万余りの違いはございます。これはたいしたことではありませんけれども、そこのところが一つ違います。
 それからテレビの未所有世帯というものにつきましては、御指摘のとおり、私どもも二人以上の普通世帯は一〇〇%持っているという推定をいたしております。それからさらに単身者のテレビ所有率は、先ほど先生四三%とおっしゃったと思いますけれども、私どもも全く同じ資料を駆使いたしまして、それは四十六年三月の経済企画庁の独身勤労者の消費生活という記録から推計したものでございますが、四二%でございます。一%ちょっとズレがございます。で、こういうものを加えますと、先ほど申しました有料契約の対象にならないものが四百四十八万、ですから、テレビ未所有世帯というのは、私どもは二百四十九万と、先ほどの理由で推定いたしております。したがって、六百十三万から四百四十八万を引いた百六十万ないし百七十万――このないしと申しますのは、先ほど申しました難視世帯の解消と関係がございますから、若干、五万か六万の差はあろうかと思いますが、そのくらいが私どもの現時点における開発対象である、そういうふうに判断いたしております。
#67
○新谷寅三郎君 まあ大体において数字が合っているようです。で、私の言った中には、これはまだ厚生省の人口問題研究所の推計が入っているわけです。で、四十六年度末で納めている、あるいは四十六年九月で納めているのではなくて、四十七年度の末で推定している世帯数、そういったものをもとにしておりますから若干のズレはあると思います。しかし、先ほど言ったように、私は数字がへたですから、あまり自信を持ってこの数字が正しいとかいうことは言いません。言いませんが、大体において、とにかく二百万に近い、あるいは二百万を上回るかもしれない、そのくらいの開発といいますかね、対象になる世帯があるわけですよ。これはひとつ、会長、よく聞いてください、そういう状態だと思うんです。そこで、まあ三十万、三十万ということはあまりおっしゃらずに、私はやっぱりそういった数字が二百万ぐらいはあるんだという前提においては、どういうふうにしてそれを捕捉し、そうして契約をするかという現実の問題はありますが、しかしこれはどうしてもやらなきゃならぬことだから、あらゆる努力をされれば、百何十万あるいは二百万近い中で、年度内において十万や二十万、場合によってふやすことは可能ではないか。それから当然払うべくして払わない人たちなんだろうと推定されるわけです、受信料を。当然払うべくして払わない人かちなんです。ですから、努力目標は高いところに置けば、まだまだ実績はあげ得るんじゃないか、収入面でもですよ。――という感じがしてならないんですよ。だから、これは前田会長ね、そういう状態だということだけは、これはあなたもよく認識をしてもらいたいと思うのです。この数字の問題じゃなく、大きなこの実情の判断です。そういうところに目を置いて、小野君がこの間、もうこれ以上一歩も収入はあげられませんと、支出のほうはこれを一歩もこれ以上節約はできません言ってみえを切られたのです。私はそうじゃないと言っているのですよ。そのためにこういう私としてはよけいな勉強までさせられた。
#68
○参考人(前田義徳君) 基礎的数字としては私も同感です。ただ、それじゃこの年度内の動きがどうであったかという問題になりますと、先ほど吉田理事から申し上げましたように、その二百万何がしのうち一五%は、最小限度一五%は常に日本全国を移動しているということ。それから御承知だと思いますが、昨年の、まあ数カ月にわたってテレビの受像機との関連で消費者側から不買運動が起こっていた。そういうようなことで、時間的なギャップと申しますか、実態上の動きが非常に激しかった年でございます。したがいまして、安定いたしますれば、年度内に処理が不可能の部分も出てきますが、これはやはり次年度にわたって時間的経過の中でとらえていかなければならない、そういう点を実はしさいに検討いたしまして、四十七年度予算というものを編成し、したがって、そういう意味でも今年度はわれわれの努力目標を達成することがマキシマムであろうと、こういう見解をとっているわけで、しかし根本的には私はこの数字は納得できますし、将来のいわゆる契約源としての努力目標はそこになければならないということは同感でございます。
#69
○参考人(吉田行範君) ただいま会長が申し上げたとおりでございますが、ちょっと先ほど新谷先生のおっしゃったことで私の意見を申し述べたいと思いますが、先ほど新谷先生は、三十万だけじゃないんだ、あと二百万ぐらいあるじゃないかという御指摘でございましたが、その資料に提出しました三十万足らずの人間というのは、契約をして払ってない、払うのが、収納するのが困難あるいはやや困難な数でございます。いま私が申しました百六十万ないし七十万というのは、これはまだ契約してない、契約開発対象であるというので、ちょっと範囲が違いますので、それからその百六十万ないし七十万につきましては、いま会長から申し上げましたとおりで、先ほど来申しますように、移動によるズレとか、あるいはその受像機を買ってから契約するまでのタイムラグとか、あるいは不在世帯、そういうものの合計でございまして、したがって、これらは開発対象でございますし、で、将来新たに町に出回る受像機とあわせて私どもが来年度四百万をとる対象数になるわけでございます。
#70
○新谷寅三郎君 吉田理事のおっしゃった、私はね、自分の言い方が足りなかったと思うのです。あなたのおっしゃったとおりで、私も数字はそれでいいと思います。そこで、この問題については、あなたのおっしゃったように、吉田理事の言われたように、契約をしたんじゃない、これから契約をすべくしてまだしないというのが、どのくらいの数があるだろうという推定ができるということですからね。これは本来であれば、それは前田会長の言うように、いろいろな動きがありますからね。それを全部いつでも確実に捕捉していくということは、これは困難でしょうね。しかし百何十万、私は二百万近いと思うのですけれども、この数字というのは、これは推定ですけれども、あることはあるのだから、それでその努力次第でそれに食い込んでいくことはこれは可能であるし、それはやらなければならぬことだという意識だけは、これは十分持ってもらわないと、これはまあ将来の問題なんだと、ことしはそこまでは手をつけないんだと、やらないんだと、また、やれないんだということでは困るんです。どんなに費用をかけましても、今度あなたのほうは収納のために九十何億ですかの経費をかけて十何%かの増額をしてやろうとしてるんですから、経費の増額をしてやれるものなら、そういう百何十万、二百万に近いものに対しても手をつけるべきだと、こういうことを――これは実情は別として、一応の考えとしてはそういうことを言わざるを得ないと思うんです。だから、その点は私は努力目標としては、これは年度内においてはもう一切ないとおっしゃるけれども、ないことはないじゃないかということを申し上げておきます。
 それから、時間ももうありませんから、簡単にお聞きいたしますが、一応歳入面ではそれが唯一の問題ですから、そこに重点を置いてもう少し努力をなさい。やり方についてももう少し考えたらどうですかというようなことを私は言いたいんですけれども、これ最後に締めくくって申し上げますが、歳出のほうでは、これの資料もいただいたので、これは非常にこまかい問題たくさんありますけれども、荒っぽい問題だけ少し申し上げておきます。
 それで、資料によると、ラジオの第二放送、これは場所によるでしょうが、場所によってはだんだんに整理をして廃止するような方向で考えるということですが――これは場所を言っちゃいけないかもしれませんが、もう四十七年度には、そういうことを実行される局も出てくるんでしょう。四十八年度からですか。四十七年度から実行されるんじゃないですか。
#71
○参考人(松浦隼雄君) 四十七年度については廃局の予定はしておりません。
#72
○新谷寅三郎君 それはどうして四十七年度にはやれないんですか。やれるんだけれどもやらないんですか、やれないんですか、どちらですか。
#73
○参考人(松浦隼雄君) 条件が整えばできるというふうに考えておりますが、四十七年度においては、条件がまだ整わないというふうに考えております。
#74
○新谷寅三郎君 条件というのはどんなんですか。
#75
○参考人(松浦隼雄君) われわれは放送事業の中で一もちろんの話でございますけれども、音声放送を非常に基幹的なものだと考えておりますが、その中で中波を利用いたしました放送というのは、これはひとり日本だけの問題ではなくて、全世界的に非常にまあ昔に比べれば逼迫しておる。むしろ、いかにしてこれを守るかという点から大電力化をまず進める。同時に、全体の調整の中で、すでに打ち出しておりますように、ローカル放送は将来にわたってFMという、より高的なものに持っていくと、それで中波については全国同一放送という方向を指向してはおりますけれども、現在、たとえば五百キロワットに割り当てられております秋田第二の波においてすら、完全なクリアーチャンネルではございません。したがって、やや、大電力の利点は、地上波のほかに、夜間に空間波でもって遠くへ届くということでございますが、その空間波によるサービスは、地元の中継局によるサービスより、いまだ劣っておるという状況でございます。
 そういうことの条件が整いまして、かつ、これは七四年あるいは一九七八年まで及ぶと思いますけれども、現在中波の問題について大陸あるいは日本の近隣に少なくとも国際的なITUの中の主管庁会議その他の中で調整がとれておらないという状況の中では、やはりわれわれは、中波放送が放送の基幹であるという点からかんがみまして、非常に慎重な態度をとっております。と同時に、聴視者の側から見まして、これはヨーロッパなどで非常に顕著に出ておるんでございますけれども、聴視習慣というものを変えるというのには、やはりかなりの時間がかかるという実態が出ております。こんなような点を踏まえまして、方向としてはそういう方向をねらいますけれども、四十七年度においては具体的に廃局の計画をあげなかった次第でございます。
#76
○新谷寅三郎君 廃局まではいかなくて、今度は少なくともローカル番組を全国一つにして、一つに統一することによって、ローカル番組をほかへ持っていって、そうして放送時間の何といいますかね、節減をして経費を浮かそうと、こういう計画があるということが書いてありますが、これはどうなんですか、松浦理事。
#77
○参考人(松浦隼雄君) 第二放送について、ローカル放送番組につきましては、来年度から同一番組という形をとっております。それからFMローカルということにつきましては、御承知のとおり、FMの普及台数が、現在世帯数ですと約五一%というふうに推定されるわけでございます。それからローカルをやる上に移動体――自動車でございます。自動車における交通情報その他の利用というのは非常に大事なことでございますが、これについて現在率直に申し上げまして、大阪と東京の間、東名阪についてはいろいろ検討いたしておりますけれども、ここにおいては広域の中波のサービスが必要だ。同時に、もっと小さいところについてFMのいろいろな技術、アンテナをくふうすることによって移動体についても、サービスができるかというような検討をしております段階で、これの結論がいいという方向にできるだけ早く出したいわけでございますが、そういうところまでは施設面については動けない。しかし番組面については来年度同一放送ということでございます。
#78
○新谷寅三郎君 それで実は私はこの種の問題について、単にこれに限りませんが、もう十年も前から、この間も申し上げたように、こういう不経済なむだな放送を整理するようにということを前から申し上げておったんですけれども、これがまあいまも話すように、四十七年度はあまり効果がないようですね。これは多少技術的な問題もあり、受信関係の指導というようなこともあると思いますから、あんまり急速にやってもこれは混乱を起こすかもしれないんですが、第二の関係においては、言うまでもないですが、地区地区によって相当これは郵政省も大電力に切りかえておったり、またいまお話のように、ある部分はFMのほうにローカルがかわってきておるという実態を踏まえますと、これは早く実効の上がるようにされるのが当然だろうと、で、端的にいいまして、これは私は単に第二だけの問題ではないと思っているんです。ラジオの第一にしましても、広域圏では、いわゆるローカル局でやっているローカル番組というものはきわめて短時間ですね、ラジオで。きわめて短時間です。あとは、中心になる大電力の局から送ってくる番組を、そのままローカル局でも採用しているというのが例です。この間もちょっと申し上げたように、違ったダイヤルで、違った周波数をひねってみましても、同じ放送をしているんです、二重にね。むだですね、これは。人件費もむだ、物件費もむだ、何もかもむだです。だから、ローカル放送を全廃しろということになると問題があると思いますよ。しかしローカル放送は、民放のように各府県別に一つ一つ局を置かないとローカル放送はできないんだという考え方は、NHKとしては私はおかしいと思っているのです。これは単に第二だけの問題じゃない。第一についても言えるでしょう。時間がありませんから簡単に言いますけれども、将来ともむだな――放送内容をよくすることはいいですよ。いいが、同じ放送を二つの波で同じ地区に届けているというような状態は早くやめたほうがいいと思います。前田会長どうですか。
#79
○参考人(前田義徳君) 私はむだだとは思っておりません、これはやつ。はりNHKがただ一つの全国網を持っている局ですから。ただ、御趣旨の存するところについては非常な関心を持ちます。しかし、今日のやはり内外の動きというものは、ローカルがローカルだけで済むという日本じゃないと思います。ですから、その辺の配合の問題になってくるかと思います。ですから、むだであるというおことばには多少抵抗感を感ずるんですがね。しかし、将来の方向としてわれわれが考えておる方向と先生がお考えになっておる方向は、必ずしも食い違っていないということだけは申し上げられると思います。
#80
○新谷寅三郎君 ちょっととらえ方があなたと違うかもしれない。私の言っている意味もよく理解されていないのかもしれませんが、たとえば近畿とかあるいは九州とかというようなところでお聞きになりますと、大部分のローカル局の番組がほんとうのローカル番組だけで十八時間埋まっておるとお考えになっておると大間違いですね。ローカル番組というのはごく少時間です。短時間です。おそらくラジオでは三時間くらいじゃないでしょうか。あとはどんなものを放送しているかというと、受信機を持っている人に届かないんじゃないんですよ。ただチャンネルが違うだけで、同じNHKから全国ネットの番組を届けているわけですよ。だから提供してないんじゃない。提供しているんです。しているんですが、結局ローカルの周波数でも聞けるし、全国ネットの大電力のところでも聞けるというような二重の放送をやっているということ言っているのです。だからむだだ。
#81
○参考人(松浦隼雄君) 放送番組内容につきまして、確かに時間が少ないということはございますけれども、一方聴視者の立場からいたしましてこういう事情がございます。ちょうど国際放送において多数の波を使って、そのうち公的なものを受信するというほどではございませんけれども、それに近い状況がまだございます。と申しますのは、NHKは一系統百七十局あまりの局を持っておりますが、割り当てられております波は第一放送三十五波、第二放送二十二波でございます。かつてこれは両方合わせて六十六波を割り当てられておりましたのが、現在五十七波でございます。このうちで単独、つまり、ある特定の地点だけに割り当てられております波は、第一放送三十五波のうちの十七波、第二放送二十二波のうちの九波という、大きな電力のところだけでございまして、あとはいわゆる子チャンネルで、同じ周波数を方々で使っておる。しかも外国電波の混信というものが非常に強くなっておりまして、当然、測定上中間において、たとえば親局の、大電力の局のほうが強いというところも現実にございますけれども、夜間になりますとその放送所の近傍においては、やはり地元局のほうが強いという事情がございまして、その電波の質のサービスという点からいたしますと、やはりそういう一見先生御指摘のように、重複のように見えますけれども、われわれとしては、聴視者のほうの側から見ると、なかなかそこまでいきかねるという事情もございます。ただ、だからそれでいいのだということを申し上げているのではなくて、その点についてはもちろんわれわれは経営の合理化をはかりますけれども、同時にやや何といいますか、うしろのほうにある音声放送というものについて、再びここでその役割りを再認識をし、かつ聴視者との関係をより強く結んでいこうということで、基本方向は先ほど来申し上げておるように、それから現実にはそういう事情がございますので、単に番組内容だけで判断してはおりませんということを申し上げます。
#82
○新谷寅三郎君 いま申し上げておることは松浦君もよく知っておられるはずなんですよ。それはラジオでもテレビでも幾つか周波数を予備に持っておって、ある周波数で聞こえなくなった、これはまあ一年に何回あるか知りませんが、そういう場合には、ほかの周波数を使うというふうにしたほうが便利なことはもちろんですけれども、そういう、ぜいたくなことを言っている時代じゃないでしょう。国際放送は少し違うんですよ。たぶん他の同僚委員が質問すると思いますが、国際放送では外国へ行って裏側へ行きますと、やっておられてもほとんど聞こえない。だからもっと何とかしてくれということです。それにはいろいろ原因がそれぞれにあると思いますが、ある周波数について非常にその地域には届きにくいというような事情もあるでしょう。そういった場合と、いま国内放送の場合と私はこれはすっかり違うと思うのです。ですから大電力で聞けるような場所、まあ大電力でなくてもその地域の中心になる、いわゆるキーステーションのようなところから出している電波が届くようなところ、現実に届くようなところ、そういうところではローカル放送で同じ番組を、内容を同じ時間に並べて放送している必要ないじゃないか、こういうことを言っているのですよ。そういう例は相当たくさんありますよ。これは一つ一つ言っていると非常に時間がかかりますから省略しますが、私はそういう方面でもさらにNHKが――これについて私の承知している範囲では、そういうことをやると一番困るのは地元なんですね。あなた方が困られるのは。いままで放送しておったのにそれをやめるのはけしからぬというような地元の反対空気が非常に強いというので、心ならずもやっているという例が多いんだろうと思いますよ。しかしそういうことを言っている時期ではなくて、NHKも財政的に非常に困ってきた。何とかしてこれを合理化して経費の節減をしなければならぬという前提に立って考えると、テレビの波を届けないんじゃない、届けている、現に聞こえている、だから二波持っていたほうがよりいいのだというような、そういう安易な考え方でなしに、私は整理すべきものは思い切って整理をして経費の節減をはかるべきだ、こういう前提に立っていま自分の意見を述べているということをひとつ覚えておいてください。これは郵政省にも私は前から言っているのですが、ほんとうにこれはこれから強く主張をし、それを実行してもらわないと、一方で言うと、ラジオについてはFMも出てくるでしょうね、そのFMとの関係、それからテレビにおけるUHFとの関係、これはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、そういった問題がもう現に考えなければならぬような時期になってきておりますから、あわせて経費の節減という観点からも、これは非常にNHKとしてはいままでのやり方がいいのだというだけではなしに、基本的な立場から再検討すべきだと、こういうことだけ言っておきます。これは実は私の持っている材料まだあるんですけれども、これを言っているとまた一時間ぐらいたってしまうから、これはまた別の機会に言いましょう。皆さんは京都とか徳島ということをすぐに言われました。それだけじゃないんです。同じような状態にある局が、多少技術的には問題があるところがありますけれども、幾つかありますよ、秋田方面でもあるし、九州でもある、四国にもございますというようなことを調べましたが、それはきょうはやめておきます。
 それからこまかい問題ですけれども、これは非常に誤解があるといけないので、断わりながら言うけれども、経費の節減に関連しまして、いろいろな点をあげると聞きたいことがたくさんありますが、ただ一つだけ聞いておきたいと思いますのは、よくこのごろ世間で話が出るのですけれども、経営委員の問題です。経営委員の問題といいますと、数や何かの問題じゃなくて、われわれはかつて経営委員会というものを、これはNHKの最高機関であるから、もっと経営委員が経営委員らしい活動ができるようにしなさいということをやかましく言ったことがありますがね。ある程度それに応じて経営委員会にも事務局のようなものを置いて部屋をこしらえた、それから経営委員のいす、テーブルを用意したということも聞いております。いままでよりもよくなったと思いますけれども、ただこの経営委員というのは、私は放送法を制定された当時からこれにタッチしていますけれども、初めからこれは経営委員に対して人並みの報酬を出そうとか、待遇をしようというような考え方は全然なかったんですね。いろいろ聞いてみると、経営委員そのものに対する待遇のしかたが、待遇がいいから悪いというのではないんですからね。これは他の公社、公団等に比べますと、これは並みはずれたことになっているようですね。ですからこれは、経営委員がとにかく毎月一回経営委員会をおやりになる、その経営委員の報酬が日額で三万円、日当が二千円である。交通費が出る、宿泊費が一万円である、こういう数字を取り上げていまここで論議をすることはしたくない。したくないが、とにかく問題は、これは非常勤でしょう、みんな非常勤でしょうね。だから公社、公団、その他と類似の機関がありますよ。電電公社に経営委員会があったり、国鉄であるとすれば何とか委員会があったりというような、そういったこととあまりにかけ離れたことをおやりになるのは実にまずいと思うのですよ。経営委員も、まさかわずかな報酬を当てにしているものじゃないと思うんだな。調べてみますと、これはあなた方のほうから出た資料らしいが、たとえば経営委員に対して毎年毎年、これ何ていうんですか、特別報酬といってボーナスみたいなものを出しておられる。それから経営委員がやめられるときには、これなんかおかしいと思うんだな、経営委員がやめられるときには何か退職金みたいなものを出しているんですね、退職金のようなものをね。こういったことは、私は経営委員だけをつかまえて云々するんじゃありませんが、私はやっぱりNHKというのは、放送事業をやっているところで他にも類似のたとえば放送会社があり、あるいは新聞があり、そういったのとあまり見劣りするようでは社員も士気が上がらないだろうと思うので、それはそれにふさわしい待遇をされたほうがいいと思います。しかし、何といっても法律に基づく特殊法人です。その点では仕事の内容は違うかもしれぬけれども、他の公社、公団とあまりにかけ離れたような制度、給与制度というものはとらないほうがいい、ことに役員についてそうだ。一番われわれのこのごろ耳に入ってくるのは経営委員のことです。経営委員の待遇を悪くしなさいというのではないが、とにかくこういうふうな、ほかに例のないような、非常勤の経営委員に退職手当を出したり、毎年毎年ボーナスみたいなものを出したりということは、これは慎んだほうがいいんじゃないか、よくお考えになったらどうでしょう。
#83
○参考人(前田義徳君) まあそういういろいろ御意見があることは承っておりますし、ただいま新谷先生からはっきりとそういう御意見を伺ったわけですが、これは新谷先生はもちろん大専門家ですから御存じだと思いますが、最初に放送法ができたのは昭和二十五年、事実上の実施は二十六年くらいになるかもしれませんが、昭和三十四年に放送法の第十三条が改定されております。それでこの経営委員会は、協会の経営方針、その他の業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有するということになったわけです。したがって、私どもの立場でいいますと、非常勤ではございますが、経営委員会というのは執行機関の上に、事実上上に立つ重要機関なわけですね。したがって、その当時、御記憶かと思いますが、経営委員の日当を幾らにするか、その他の件について衆議院でも、また当委員会でもかなり、この何といいますか、詳細な御審議をいただき、議論も行なわれたわけです。それでその結果として日当二万円、これは電電公社の経営委員会その他とは異なって、むしろ、日銀の政策委員に匹敵する責任と任務を与えられておるわけです。日銀の政策委員よりももっと大きな問題は、これがまた一つの問題になると思いますが、経営委員会が会長を任命することになっています。この人たちがただでいいんだという精神は、したがって、昭和三十四年の放送法改正以来なくなったわけです。これに従って定款も改正されましたし、御審議をいただいた金額を基礎としてその待遇が決定したわけです。したがいまして、この問題が今日新たに出てきておるということについては、私は多少――、私どもの気持ちですから、先生に反対する意味で申し上げるのでないんですが、少し逆行的な、三十四年以前に戻せというお考えかどうか、その辺が私には理解ができないわけです。しかも今日の経営委員会というのは、昔の経営委員会のように月一回などということはないわけなんです。御承知かと思いますが、ことに在京委員というのは、定期の会合のほかに業務全般にわたって毎週研究しておられるわけです。そういうような実態もお考えいただいて、この問題についてもし改めるべき必要があれば、これは将来放送法との関係でお考え願ったほうがしかるべきことではないか、気持ちはよくわかります。しかし、これは放送法改定のときにきまった基礎的金額なんでして、その辺ひとつよろしく御理解いただきたいと思います。
#84
○新谷寅三郎君 数字を並べていろいろ議論をしますと、非常にこれ委員会としてもしゃべりにくいし、あなた方のほうも答えにくい。だから三万円と言いましたが、これは現実三万円ですから、その当時二万円。あなたのおっしゃるように、そういうことをここで一つ一つ洗いざらいして議論しようということじゃないのです。ただ、その経営委員会について、もっとわれわれが積極的に取り組んでほしいと言ったのは、経営委員にあなたが言われるように非常に大きな職責を持たしておるわけです。ところが、われわれがやかましく言った当時には、大部屋で経営委員一人一人の机もなかった、事務局もないというような状態だったものですから、われわれがNHKに視察に行きましてそういう状態を見たものですから、これじゃいかぬ、もっと経営委員がそういう重要な仕事に取り組めるような事務局も持たしてやったらいいじゃないか、少なくとも出勤をなされた場合に、これは自分のテーブルで自分のいすだということで十分勉強できるような、そういうような条件のもとで経営委員の処遇を考えてほしいと、こういうことを言ったんで、経営委員の三万円にしろとか、いま何かやっておられるそうですね、月に一回の委員会だけれども、何か何日分ですか、八日か九日分の報酬を上げているのだとか、そんなことが世間に出ますと、私は経営委員に対しても非常に失礼だと思うんですよ。もっと、まあ外国にあるワンダラーシステムなんということをここで取り上げようとは思いませんけれども、しかし、そういうことよりもあまりそういった方面で困ってない方が、経営委員にむしろ頼んでなってもらっているようなかっこうですから、ほんとうに経営委員としての職責を果だせるような、そういうようなむしろスタッフでもうんと置いてやってもらったほうがいいんじゃないか。いまの退職金なんか四十七年度で千九百万円ぐらい、四人分。四人分千九百万円の退職金を用意しておられるというが、経営委員は幾らもらわれるのか知りませんが、退職金みたいなものをもらわなくても、そういう経費こそいまの経営委員会がまことに名実ともに職務に専念できるような、そういう体制をつくるために使ってもらうと、われわれがやかましく言ったような値打ちがあると思うんですよ。だから待遇のことにあまり重きを置き過ぎるんです。だから、そういったことはむしろ減らされても、経営委員は文句を言いますまい。むしろ私どもは、経営委員会の方々が与えられた職責を在職中にフルに発揮してもらえるような、そういう形に早くしてあげたいということで、いまのような問題を取り上げているわけです。だからそういう点においては、経費の使い方についても考慮すべき点があるんじゃないかということを申し上げておきます。
 時間がないので、締めくくって最後に申し上げますと、この間いろいろことばの行き違いも前田さん、あったようですね。それで意見があるとかないとか、小野君の意見と違うじゃないかと言ったら、私は同じですと、副会長を私が任命しましたとおっしゃった。で、それは考えようですから、私は速記録を調べてここへそっくり持ってきました。で、小野君が言われるように、小野君は、大臣は大臣の立場としてこういう意見書をつけられたのももっともだと思いますと、しかし、私たちはこうやっているんです、こういう考えでこうやっているんですということを言っておられる。これは小野君の意見です。だから私は小野君と違うじゃありませんかと言ったのはそこをつかまえて言ったんだけれども、これでおしまいにどうこう言いません。それは小野君の言われたような意見であなたもおられると思いますから、それはそれでけっこうですが、締めくくりで申し上げたいことは、まだこんなにたくさん資料は幾らでもあるのです。あるのですけれども、これはもう私よりもあなた方のほうがよく知っているわけですよ、NHKの内容は。だから私から取り立てていうよりも、いま申し上げたような歳入面、それから歳出面、両方ともにまだ私は考慮すべき余地があるんじゃないか、まだその努力をすれば歳入をふやし歳出面で節約できるような問題があるんじゃないか。だから一応、この八億二千万円の資本勘定からの繰り入れについては、国会もこれを修正するような権限も与えられてないし、ただイエスかノーかだけですから、これはやってもらいましょう、このままでやってもらいましょうと私は思います。思いますが、実行上こういう異例なことが前例になって、足りなかったらすぐ借り入れ金を借りてくればいいのだというようなことにならないように、歳入をふやし、歳出を減らすことについて、さらにさらに努力をされる必要があるということを初めから、この予算案を見ましたときから痛感するものですから、いまのようないろいろな問題をつかまえて私の意見を述べたわけです。そういう方向で努力していただけますか。
#85
○参考人(前田義徳君) それは当然のことだと思っておるのです、私としても……。ですから前回の副会長の答えは私と全く同じだという意味で、副会長と私は一心同体であるという意味の説明が、少し法律的な言辞を弄したというだけのことなんです。ただ予算の編成のしかたについては、今回はこういう形をとら、ざるを得なかったと私どもは感じているわけなんです。と申しますのは、いろいろ新しい条件が、法律に基づく条件が発生しているわけです。たとえば、ただいまお話のありました経営委員等についても、あそこでは特別の経営委員をつくる。従来の考え方では、かりに沖繩が本土に戻ってくれば、これは地区的に言えば放送法の別表のとおりこれは九州地区の一部になるわけです。そういうような、たとえば聴視料についても特別措置をとらなければならない、サービスの加速的本土並みについても、各段の努力をしなければならないと同時に、沖繩は御承知のように戦後今日まで全く別の行政体系の中で外国人の支配を受けていたわけですから、沖繩の産業の発展に関連しても、あるいは教育の向上に対してもわれわれは全力を注がなければならない、こういう意味で全部から言えば一千百十四億のうち八億二千万円が足りない。しかし、いまの規定に基づく予算の編成方法によれば、建設費については借り入れ金とか放送債券の発行はたてまえとして認められておりますけれども、運営についての借り入れ金というものは考えられていないわけです。したがって、形の上では資本収支からの繰り入れという形になっておりますけれども、これはただ法規に基づく表現のしかたでありまして、経営の責任者としては、結論的には新谷先生のお考えに全く同感で、私自身お話がなくてもそういう方向で努力しなければいけないというように感じているわけでございます。
#86
○新谷寅三郎君 委員長、これで終わります。
#87
○森勝治君 私がお答えをしていただく方、お願いしておるのですが、いまだ出席がございません。したがって委員長においてひとつつまびらかに御調査をいただいてから、しかる後に質問をいたします。
#88
○委員長(杉山善太郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#89
○委員長(杉山善太郎君) 速記を起こして。
#90
○政府委員(森田行正君) 大臣、政務次官の出席に関しまして、非常な御迷惑をおかけしたことをおわびいたします。大臣は、ただいま衆議院におきまして予算委員会の暫定予算のほうへ出ておりまして、ただいまのところ当委員会には出席はできません。で、政務次官は、昨日までは登庁しておりましたが、一週間来腰痛がございまして、聞くところによりますと、非常に痛みが激しくて、けさから宿舎で病臥しているということでございます。で、政務次官から、きょうはどうしてもからだのぐあいで休ましてもらいたいという連絡が、私のほうへありましたのは午前中でございますが、私どもの手落ちによりまして、当委員会へ御報告するのがお昼になりまして、まことに御迷惑をおかけしたことを深くおわびいたします。
#91
○森勝治君 官房長からそういうお答えですが、ふに落ちませんな。私どもは答弁者を前から指定を申し上げて、お答えを願うことになっておるのだが、松本さんが質問を取りやめました裏にも、自分の意向が無視されたということで、私の前に質問する予定でしたが、取りやめてしまったのですよ。いいですか。松本さんにあなた方は、なるほど客観的には、大臣がきょう衆議院の予算委員会に呼ばれているということはわれわれは聞いておりますから、そこまではわかります。しかし、それは衆議院のことでありますから、参議院はまた別な角度でわれわれは審議しているわけですから、当然、大臣があちらに行ってこちらに出られないということがもしあるとするならば、私の前の質問予定者でありました松本さんには、あなた方から事情を説明して、了解を求めるべきではなかったですか。しかも、従来の慣行からいたしまして、大臣のかわりは次官でございますから、当然、次官が出席してしかるべきです。なるほど一週間来の腰痛というのは、やや私はうわさとしては漏れ承っておりましたが、きのうまではちゃんと登院をし、次官として政務は万々怠りなく相つとめおられたわけですから。衆議院議員松山千恵子が衆議院議長船田中殿に、議長に出されたのは、議員としての欠席届けが出されておるわけでありまして、郵政大臣の代役をつとめます郵政次官としての御連絡は何らないわけでございますから、われわれが指摘後、松本さんが憤激されまして質問を取りやめされた。われわれが指摘してから初めてあなた方はそういうことを言うのです。これで、きょうもしこの四十七年度の予算案が可決をし得なかったら、どういたしますか。大臣の所管でおやりになりますか。NHKの予算は、なるほど大臣の所管で自由に裁量できることになっておりますね。それをおやりになるつもりですか。われわれは本朝来、当委員会におきまして画期的といわれました外部の先生方をお呼びして、一四十七年度の予算案の御高見を拝聴しておるほど、われわれは熱心にやっておるのですよ。一番この議事の促進方を、法案の成立方をこいねがう立場にある郵政省が、このていたらくは何ですか一体。われわれに指摘されてから、いまのような話をされる。これで真剣に国会が審議されておるということが立証できますか、はなはだ疑問であります。あなたはきょうはいかなる資格でここにおいでになったのですか。私はお呼びしておりませんよ。官房長、失敬でありますが、あなたは私どもはだれも呼んでない。委員長は非常に温情あふれる人でありますから、呼んでない人の発言でも取り上げられた。だから、委員長の立場を推しはかって、私はあえてあなたの退場を求めないのですよ。われわれは、あなたがいかなる資格で出られたかわからぬ。もしあなたが大臣、次官の代理をしたとおっしゃるならば、郵政省の今後の重大な方針についても私は質問する用意があるわけですから、そういう立場の責任、重責を帯びて、大臣にかわる発言ができるという自信と使命と義務があるならば、そういう立場でのお答えをいただきたい。しからざれば、必要がありませんから、即刻退場をしていただきたい。少なくとも私の質問中は、あなたには用事はございませんから、お帰りになってけっこうでございます。
#92
○政府委員(森田行正君) 私は、政府委員の立場として当委員会に出席いたしておりますが、大臣、次官というふうな重責を帯びられた方の全権委任を受けて御質問にお答えするようなあれは持っておりません。
#93
○森勝治君 それでは、この中で、郵政省の中ではあなたが一番右翼だと、こう見ます。右翼というのは、上官という意味に私は拝見をいたしまして、さらに質問をいたしたいと思うのでありますが、手続の問題ですよ。私は、大臣に御出席をお願いいたしました。大臣はなるほど御報告がありましたように、衆議院の予算委員会に出ております。きょうは大事な暫定予算の審議ですから、ときにはそういうこともあるでしょう。しからば大臣の代理をつとめる者はどなたでしょう。次官でしょう。次官が事故があったときはだれですか。きょうの郵政省を代表する大臣にかわって答弁する人はどなたですか。
#94
○政府委員(森田行正君) 本日の議題はNHKの予算ということでございまして、省としては担当局長の電波局長が参っております。
#95
○森勝治君 それでは藤木局長が、郵政省の方針についても、大臣になりかわってお答えいただける、こういうことでございますね。私どもにはそういうお知らせがありませんから、あなたのいまのお答えを聞いて、初めて真相が明らかになった。いまさらのごとく驚いているわけです。あいた口がふさがらぬということばを出してしまったんじゃ、私の次のことばが出ませんから、あいた口がふさがらぬとは申しません。あいた口をふさいだり開いたりして、いまあなたに質問申上しげているのです。
#96
○委員長(杉山善太郎君) 森田官房長、あなたも発言されるなら発言されてもいいですよ。あなた消えてなくなるわけにはいかぬから。
#97
○政府委員(森田行正君) 私は最初から申し上げましたとおり、本日の当委員会の議題に関しましては、電監局長が説明員としての責任ある御答弁をいたすことと思います。
#98
○森勝治君 もう少し具体的に、簡明に率直にお答えいただけませんか。郵政省を代表するのは本日どなたですかと聞いているのです。郵政省の省の方針一切の全般にわたって大臣にかわって答え得る人はどなたですかと、こう明快に、私は具体的に率直に質問をしているのですから、私の趣旨に沿ってひとつお答えをいただきたい。
#99
○政府委員(森田行正君) 電波関係につきましては電波監理局長でございます。
#100
○森勝治君 それでは、郵政省の方針につきましても大臣になりかわってお答えくださるという、いまその確言のもとにお答えいただいたわけですね。くどいようでありますが、これは大事なお答えとお見受け奉りましたから、私は重ねていま愚問を発している次第です。
#101
○政府委員(森田行正君) 先ほど申し上げましたとおり、電波関係につきましては、大臣、次官が御出席にならぬ場合は、藤木電波監理局長が責任を持ってお答えいたします。
#102
○森勝治君 しゃくし定木のお答えはまことに迷惑なのです。あなたをもってしてそれだけ大臣になりかわって郵政省のきょうの見解を表明されたならば、なぜ質問者であります松本さんとか私どもに、きょうは大臣、次官が出られませんよと、郵政省の最高の責任者は藤木電波局長ですと、御連絡あってしかるべきではないですか。私どもがこうして言いにくいことを、私どもに言わせなければあなた方は答弁しないのですか。そこに郵政官僚の時代にマッチしない、一番悪いくせがいま如実に出ているのではないですか。改めなさい。
#103
○政府委員(森田行正君) 最初に申し上げましたとおり、お届けその他が私どもの手落ちでおくれましたことにつきましては、私が全責任をもっておわびいたします。ただ、電波局長が大臣のかわりに御答弁申し上げるということは、従前の例からいたしましても、大臣がお見えにならぬときは担当局長がやっておるというふうに私は理解をしておりまして、その点に関しては別段御報告はいたしませんでした。
#104
○森勝治君 官房長、失敬なことを言いなさんな。私は大臣が来なければ、いまだかつてあまり質問したことはないのですよ。いいですか。大臣が御同席くださらぬとみんな質問をやめているのですよ。こまかい問題については大臣が所用があって退出されることは間々ありますけれども、私の質問のときに、大臣が寸時たりとも席にとどまることなく発言したことはないのですよ。いいですか。この前の決算のときも、やむを得ずして私は大臣に了承を与えたわけですよ。いいですか。それに、あなた方は十分大臣を補佐する官房長の位置にありながらどうしてそうぬけぬけと、しゃあしゃあとそういうことを言うのですか。大臣や次官がいない委員会なんというのはないでしょう、省の方針を聞くのですから。失敬でありますが、大臣、次官が出ないから担当の局長で間に合わせる、そこに思い上がった郵政官僚の姿が出ているのではないですか。なぜもっと率直に言わないのですか。私は質問しませんよ、そんなことを言うならば。考えて答弁しなさいよ。私どもの呼んでいるのは大臣もしくは次官を呼んでいるのですから。いいですか。何ですか、それは。そんなことを言うならば質問しませんよ。あなたの答弁改めない限り質問を保留しますよ。私の要求する人が出てきていないのだから。
#105
○政府委員(森田行正君) 先ほども申し上げましたとおり、大臣、次官に出席していただきたいのはやまやまでございますが、大臣は衆議院のほうに出席いたしておりますし、政務次官は腰痛のためきょうは病臥している事情でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
#106
○鈴木強君 ちょっと委員長。
 官房長、あなたがみずからの職責を果たしておらぬのですよ。前回の私の質疑のときにも、大臣が衆議院の関係で御出席できない、したがって、政務次官がかわって出ていただくようにというので――当然のことですけれども、そういう取り運びをしていただいたのです。ところが、御出席をしておりながら、腰が痛いというので出られませんでしたね。私も、かなり委員会の運営としては問題だと思いましたけれども、まあNHKの予算も期切れの案件ですから審議に協力してきたわけですけれどもね。だから政務次官が、大臣が不在の場合には当然委員会に出席をするというのがたてまえですからね。その政務次官の出席についても前回のいきさつがありますから、率直に言ってわれわれは多少の疑いを持つのですよ。腰痛であり、病気であればこれはやむを得ませんけれども、しかし、きのうまで出席しておって、きょうはNHKの予算の採決の時期に当たる、もう会期末ですから、重大なときですから、少々腰が痛くてもやはりがまんして、努力して御出席をいただくくらいなことはすべきですよ。しかも宿舎におられるのでしょう。そうであるならば、ここへ来て、たいへんきょうは済みませんくらいのことを言ったっていいですよ。もしそれができないとするならば、あなたが早朝からあらかじめ、委員長はじめ質疑者の皆さんにはこれこれこういう理由で大臣も政務次官もどうしても出られませんから、しかしまげて、きょうは大事な時期に来ておるので審議をしていただきたいということを言うのが、当然の責務じゃないですか。その責務をあなたがやらなかったのだから、だからもうあなたはへたな答弁をする必要はない、まことに申しわけないという陳謝しかないでしょう、これは。委員長も、非常に人格者で尊敬されている方ですけれどもね、この委員長がやはり語を荒々しく言うということは、あなたはちゃんと聞いておかなければいけませんよ。それはお互いに、あなたが今度は国会議員の立場になってごらんなさい。せっかく質疑の通告をしておる大事な問題について所管する大臣が出てこない、政務次官も出てこない。そういう中で電波監理局長が不在のときには代理ですなんということをあなたが言うからおかしいのだ。それは万やむを得ないときは――本来ならば審議はこれはできない。しかし、いろいろなことを政治的に配慮しつつ、いまここでどうしようかということをお互いに悩んでいるときですからね、もう少し心から済まなかったという気持ちを吐露すべきだ。ところがあなたのを聞いていると、委員長もおこられるように、わしがしろうとだからなめているかというように、そういうようにとれるような節もあるのだ。だから、もう少し運営については慎重を期していきませんとこういう結果になるのですよ。官房長もちょこちょこ変え過ぎる。この前だってそういうことがあったのです。一度ならず二度三度になれば、だれだっておこりますよ。国会運営上の重大なこれは問題ですからね。抗弁の余地はなしだ、あなたは全くミスしたのだから、きょうは。だから陳謝をしてもらうしかないでしょう。
#107
○政府委員(森田行正君) 全くお説のとおりでございまして、私の至らぬために委員会の皆さま方に御迷惑をおかけいたしましたことを、深くおわびいたします。
#108
○森勝治君 私は、何も大臣が四六時中私の質問中はここにいなさいと言っているのじゃないのですよ。私どもは大臣の多忙なことよく知っている。ですからこの席にすわっていても発言者にも相談をして、大臣が次なる会場に行かなければならぬから、どうだ解放してやらぬかと、われわれはそこまで協力してきたのに――あなたはその姿をその目で見てきているじゃないですか。それがわれわれがそうやって思いはかってあげますと、あなた方はそれになれてこういうていたらくになるのですよ。いま、いみじくも鈴木さんの御指摘によってあなたが率直に非礼をわびられたから、私もやや胸がおさまりかけてまいりましたけれども、全くお話にならぬでしょう。あなた方は口でNHK四十七年度の予算案きょうじゅうに通してくださいとおっしゃるが、心の中ではどうでもいいと思っているのじゃないですか。私はそんな気がしてならぬ。しかし、何と申しましても国民のNHKの四十七年度の予算、もう明日が年度末でありますが、まあ大臣がおりません。ただ何か大臣にかわって局長がお答えくださるということですから、なるほどそのくらいの自信満々でなければ、情報化産業時代の電監局長は相つとまらぬものと私は理解して、信頼をし、かつ期待を寄せながらそういう問題についての質問をしていきたいのです。
 そこで、いまお話がありまして、私は若干ことあげいたしました。どうも郵政省は四十七年度の予算案、私はげすな人間ですからげすな表現を用いますが、昭和四十七年三月三十一日に可決、決定に参議院が運びにならぬでもよいというような態度とお見受けいたしましたが、いいですね、そういうことで。これは、郵政省を今度は代表するのは電監局長だそうですから、人格者のあなたにひとつお伺いいたします。官房長、だめですよ、郵政省を代理するりは官房長じゃないと言っているのだからだめなんですよ。もうあなたの発言は用がない。
#109
○政府委員(藤木栄君) 私は、大臣の代理というわけにはいきませんけれども、電波監理局の代表とさせていただきまして、政府委員として、郵政省としましては当然この年度内に予算の成立をお願い申し上げたいと思います。
#110
○森勝治君 郵政省の代表であるあなたをもってして大臣のかわりがつとまらぬということならば、きょうのこの委員会というものは正常な姿で運営されてないということをお認め願えますね。変形であるということをお認め願えますね。
#111
○政府委員(藤木栄君) 先ほど官房長からも申し上げましたように、まことに大臣並びに政務次官が出席できませんで、申しわけございません。私としまして、たいへん未熟でございまして、郵政省の代表というわけにはいかないかもしれませんけれども、政府委員としまして、電波を監理する者としまして、できる限りの御答弁を申し上げたいと思います。
#112
○森勝治君 そういたしますと、大臣の代理でございませんから、省の最高方針についてはいまの時点でお伺いができないということですね。あなたの電波監理局長として与えられた所管についてのみの発言しかあなたは与えられていないという意味のことをおっしゃっておられるから、省全般のこととは承れないですね。そうなれば、本日の、当局側を代表するのは藤木電波監理局長だという官房長の話とあなたの話は明らかに食い違いがありますね。これではわれわれはだれを信頼し、だれに期待をかけて質問すればいいのですか。
#113
○政府委員(藤木栄君) もちろん、私は大臣の代理でございませんので、郵政省全般のことにつきましては申し上げるわけにはまいりませんけれども、今回のNHKの昭和四十七年度の予算というものにつきましては、大臣とも十分連絡をとりまして、大臣の御意向も伺っておりますので、その限りにおきましては、御意向を体しまして御答弁申し上げることができると思います。
#114
○森勝治君 失敬でありますが、きょうは私の質問が終了次第、当委員会で採決の運びというのが自然の成り行きでありますね。そういう大切な日であるということは十分御記憶の上に、この委員会に御出席なのでしょうね。
#115
○政府委員(藤木栄君) もちろん十分にわかっております。
#116
○森勝治君 そういうのを万般承知の上で大臣が出られない、大臣を補佐する次官も出られない。したがいまして、郵政省の四十七年度のNHK予算案については、郵政省を代表する問題については、今日ただいまの時点で、四時三十五分の時点では拝聴できないということでありますね。
#117
○政府委員(藤木栄君) 先ほど来申し上げておりますように、私は大臣の代理ではございませんので、少なくともこの電波監理に関する限りにおきましては、大臣の意向を体しまして御答弁申し上げることができると思いますが、それ以外につきましては、私は何とも申し上げるわけにはまいりません。
#118
○森勝治君 担当局長の御発言もっともだと思います。したがって、先ほどの官房長の発言は、これは官房長の何か記憶違いか見解の違いだろうと思います。しかし、もうここまで私が発言をいたしたものですから、そのことについてはこれ以上追及をやめます。
 で、次にその質問の中身にやや入りたいと思うのです。ややです、やや質問の中身に入りたいと思うのでありますが、あなたから非常にいままじめなお答えをいただいたのですよ。しかし、あなたをもってして私はまだ信用できないのです。今日のこのていたらく、先般における、私どもがNHKの四十七年度の予算案についての説明をお願いいたしましたときには、あなた方は二度にわたってわれわれの期待にこたえてくれなかった、そういう数々がある。さらにはきょうのようなこの姿がある。だから私の先ほどのように、あなたがたは今年度中にNHKの予算案なんか通さなくともいいのですねという皮肉な質問が飛び出したわけですよ、いいですか。しかし、まああなたがまじめにお答えいただきましたから、私はこれ以上そのことについては責めはしません。しかし十分反省をしていただきたい。こんな変形ですね。正常な姿で四十七年度のNHKの予算案が審議願えることを私は願いつつきょうは質問を始めたところが、変形委員会と申しましょうか、郵政省の最高の方針を聞き得ずして質疑を続けることは、非常に私も苦しい立場であります。しかし、残念ながら国民の期待にこたえるために私はこれからもろもろの問題について質問したいと思うのです。
 そこで私は、率直に電波監理局長に聞くのでありますが、衆議院における郵政大臣とNHK会長との、まあ何かことばの行き違いがありました。私は、あれは偶発的なできごととは少しも思っておらぬのです。なぜかと申しますと、NHKと――NHKの事務当局の事務レベルと申しましょうか、と郵政省の事務レベルでは何か最近非常に考え方の違いと申しましょうか、放送法の改正の問題か何かはわれわれは知る由もございませんが、何となく、いま春の桜が咲こうという季節に、秋風よりも冷たいすき間風が吹いているような気配がしてならぬのであります。私どもそれをしみじみ痛感させられるのです。いま電波の問題が非常に世界の中心的課題になってきておるおりから、NHKのこの事務レベルと郵政省の事務レベルの方々がしっくりいかぬという、われわれもそんな疑いを持ち、こうしてこの席で発言をせざるを得ないような私は状態でありますから、あえて勇を鼓舞して発言をしているわけですが、一体そういうことはどこからきたのか。常日ごろ、最近は特にそういうことが多くなって、それがたまたま衆議院の逓信委員会の両巨頭のこの頂点で火花が出たと、こういうのだと一部の人も言い、私もそう思っているわけです。これはどういうところからきたんですか。その点についてひとつ監理局長お答えいただきたい。
#119
○政府委員(藤木栄君) 私ども事務レベルと申しますか、のほうにおきましては、NHKの問題というものは電波行政の中におきましても非常に重要な位置を占めるわけでございまして、特にこのNHKが公共放送としての責任を持って全国的に放送されるという点につきましては、私どもも大いに責任を感じ、事務レベルにおきましてはいろいろな点におきまして日ごろ接触を続け、まあ場合によってはいろいろ議論もするということもあるわけでございますが、どうも、先生が御指摘になりましたような、事務レベルにおきましてしっくりいかないということは、私としましてはそういうことはないのじゃないかと思っているわけでございます。少なくとも私個人につきましては、電波監理局長としましてNHKの皆さま方とはいろいろな点で接触がございますけれども、秋風が吹くような問題はないと思います。もちろん、この予算につきましてはいろいろこちらの事務レベルとしての意見は申し上げたこともございます。そのほかの問題につきましても、いろいろディスカッションはございますけれども、特にNHKの方々と非常に冷戦状態といいますか、しっくりいかないということは、私自身としてはそういうことは全然感じておらないということを断言申し上げたいと思います。
#120
○森勝治君 大臣がおいでになれば、いまの問題は大臣にお伺いしたがったのですが、大臣がおいでになりませんから、今度はNHKにこの問題について、会長にお伺いするわけにはまいりません。そこで小野副会長にお伺いするのでありますが、何か郵政はNHKに対して監督官庁と申しましょうか、NHKに対して官僚風を吹かせている、こういう風評を耳にいたします。そこでNHKは、何を言うのだと言って反撃をしているという逆な面もあります。そういう姿を見て、ある者は、NHKのまた独善だと、こう言う者もあります。したがって、まあ私が電波監理局長に質問したような内容の問題について、何かそういうもやもやとしたものがおありになるのかどうか、この点をお伺いしたい。
#121
○参考人(小野吉郎君) お尋ねの面につきましては、立場立場によりましてそれぞれ郵政御当局のほうでは、いわゆる所管の官庁といたしまして、放送に対する非常なる認識を持たれ、これに対する御熱心な態度をとっておられます。NHKといたしましては当然、事業体といたしまして、この事業の発展によって国民の期待に沿いますように、意欲を燃やしていることは事実でございます。こういうような、お互いにやはり事の非常に発展を期しながらの立場から、いろいろな意見はありますけれども、ただいま御心配になりますような、そのために感情的にどうであるとか、あるいは両者の間で非常に不信の感がある、そういうような余地はないと私は信じておるのでございます。
#122
○森勝治君 ぜひそうありたいものだと私は願います。
 そこで、さらにもうちょっと具体的な問題について聞きます。何か、これはうわさですから定かではございません。ですから私のこれからの発言は一笑に付されてもけっこうでございます。ただ、そういうことがあってはならぬという心配のあまり質問するわけですが、郵政省の山本前人事局長がNHKにお入りになりましたね。これは山本君の人材登用のためにおとりになったのですか。もしそうだとすれば、閑職じゃなくて要職につければいいのですが、いま閑職ですね。この山本君をNHKに入れるにつきまして、是非論が分かれたというふうに聞きます。いやだというのと入れろというのと。片一方では押し込み、片一方ではいやだと本能的に忌避するという、そういうことがあったとかいう話ですが、その辺はどうですか。大臣いませんから、そのことはいいです、あなたの立場を考えて。その点は副会長にお答えいただきたい。
#123
○参考人(小野吉郎君) いま御心配になるような事例はございません。放送行政、放送事業の非常な重要性を踏まえられましていろいろ御心配を願っておりますことは、まことに感謝にたえません。と同時に、いろんな御心配をおかけしていることがかりにあるとすれば、まことに遺憾千万に存じますけれども、先ほども申しましたように、そういうこともございませんし、山本君を迎えますときも喜んで迎えているわけでございまして、押しつけだというようなことは毛頭ございません。
#124
○森勝治君 まことに失敬な推量を申し上げて恐縮でありますが、なるほど、山本君は郵政省では名人事局長でございました。しかし、この名人事局長をもってしてNHKの体質改善をはかろうするのか、人事を一新されようとするのか。せっかくその卓絶せる手腕、力量を持っていることで、いやいやながら受け取ったのならいいですよ、いまのお答えで。しかしNHKにおいて山本君の人柄にほれ込んで懇望いたしましたならば、山本君をもっと活用してしかるべきでしょう。いま閑職でしょう。その辺のところがどうも私どもには合点がいかないのですよ。だからその点についてひとつ、いやいやながらとったならいまのような閑職につけてもいいでしょうが、山本君の人材を見込んでNHKの前進のために寄与させようとするならば、もっともっと活用してしかるべきだと、私はこう思うのです。その辺がどうも私ども外野におってはわかりませんから、差しつかえなければちょっとお聞かせ願いたい。
#125
○参考人(小野吉郎君) 山本君のお人柄並びにこの手腕に対しまして、これを高く評価して喜んで迎えましたことは、事実そのとおりでございます。現在いろいろ人事の都合もございまして、何もそういった立場が、非常に無恥に悩むというような立場ではないと思います。会長室にもよく来られますし、私のところへもよく参られまして、いろいろやはり将来発展される基礎を築かれつつあるように見受けますし、私どもも喜んでそういう面ではいろんなざっくばらんな話をいたしているわけでございます。
#126
○森勝治君 失敬でありますが、人事のことでもう一つお伺いいたします。仄聞いたしますに、どうもうわさをもとにしての発言はほんとうに恐縮するわけでありますが、そういうことのなきことを願いながらの発言でありますからお許しをいただきたい。
 先般フジテレビの副社長になりました浅野賢澄君ですね、あの方と、何か郵政省のどなたかとはNHK入りの話が進んだ、これをNHKでだめだというので忌避されたという話があるわけですね、山本君との関連において。そういう問題が世上流布されるNHKの官僚臭の押しつけ、それからNHKが排他的に、独善的なことでほっぽり出すというふうに私は流布された遠い源のような気がしてならぬ。遠い原因のような気がしてならぬのですが、それはあながち私の杞憂に過ぎないのでしょうか。
#127
○参考人(小野吉郎君) 浅野君につきまして、ただいま御指摘のような事実はございませんでした。
#128
○森勝治君 いずれにいたしましても、最近は郵政省とNHKとの仲があまりよくないというふうにうわさをされているわけです。四十七年間のNHKの歴史の中ですから、四十七年間郵政省とNHKがハネムーンだというわけにはまいらぬでしょう。ときには秋風も吹く、すき間風も忍んでこようでありましょうけれども、何と申しましてもいまは電波を軸として世界が動いているわけですから、そういうことについては意見が違うのは当然であります。片や政府事業、あなた方は国民のためのNHKたらんとするわけですから、中立的立場を標榜するわけですから、それはいろいろな問題、運営の問題につきましても連絡の問題につきましてもそごを来たすことはときにあるでしょう。その辺はそれぞれの立場に立って今後とも十分ひとつ連絡をとってやっていただきたい。このことは私のほうのお願いであります。
 そこで、予算の具体的な中身に入りますが、この四十七年度の予算案の内容を一べついたしますと、財政面では十七年ぶりに赤字、こういうふうに言われておるわけであります。事業面では第四次長期経営構想の発足、こういうことでありまして、しかも、この中では沖繩の復帰を盛り込んで赤字予算ということでありますから、従来の年度と違って、この四十七年度の予算というものはいわば特色のある、――まあ異色ということはどうかと思うのでありますが、特色のある予算の内容、こういうことが言えるだろうと思うのです。
 そこで私は、NHKが持ちましたこの第三次長期構想の問題について若干お伺いしてみたいのです。第三次長期経営構想はすなわち、来年度昭和四十七年度で終わるというわけでありますが、皆さんの運営計画よろしきを得たのでありましょう、四十六年度でこの第三次長期経営構想の目的を達した、こう言われているわけですね。そこで、NHKではこの四十七年度を待たずに、最終年度の来年を待たずに、一年年度を繰り上げて第四次長期経営構想なるものを策定しておるわけです。だからそういたしますと、収支面では第三次構想とこの四十七年度の計画を含めたいわゆる実績との関係がどうなっておるのか、この辺のかね合いについてひとつお答えをいただきたい。
#129
○参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、NHKといたしましては昭和四十三年から四十七年までの長期構想を策定いたして現在に至っておるわけでありますが、この期間中に基本的に大きな事項といたしまして、経営の基礎でございますカラーテレビの契約者が著しく増大いたしました。これが基礎になりまして、先生ただいまお話のございましたような四十七年度の時点に至るまでの実質的な発展を四十六年度末までに来たすと、こういうような事態と相なってきております。これを具体的に申し上げますと、昭和四十三年から年次を追って申し上げますと、昭和四十三年におきまして、長期構想時点での予測といたしまして百四十万でございました。これが年度結果といたしまして百六十九万。こういうような形で具体的にカラー契約者の伸びがかなりあったわけでございます。これが累年、毎年度の予算という形で内容的にやや補正されてきておりますが、最終的には昭和四十六年におきましてカラーの契約者が千百八十六万。したがいまして、第三次長期構想の当初見込んだ数値よりもはるかに多い数値、あるいはまた第三次長期構想の途中において後期の見通しを補正いたしました一千二百六万という、目標数値にほぼひとしい数値まで達成ができたわけでございます。このような全体的な伸びというものを基礎といたしまして、その期間中の総体収入見込みで申しますと、当初四千三百五十九億円を五年間に収入として見込んだものでありましたが、これが四千五百九十三億円。すなわち、当初予定に対しまして二百三十四億円の増収と相なっております。これは五年間の累計でございます。全体的な比率で申しますと、五・四%の増収が得られたという結果に相なっております。このような財源の増加がございまして、これをもとにしてNHKといたしましては、企業の基本的な性格でございますところの受信者へのサービスと申しますか、あるいは難視対策というものを最重点に諸計画を進めてきておりますが、特に第三次構想上予定しておりませんでした事項のうち、社会的な環境の変化等でぜひとも受信者の利便という意味で、必要な計画事項が各年度の予算で追加されてまいりました。
 これの一番大きな点から申しますと、第一点は、辺地におきます難視対策の新しい方法といたしまして、昭和四十三年から当初は助成計画で進めてまいる見込みでありましたが、途中昭和四十四年度以降はNHKの自力によって建設をして、これによって難視対策を推進するというふうに計画の基本的な変更をいたしたわけでございます。この段階で、以降毎年一千施設前後の建設を行なってまいりました。さらに当初予定になかった事項で、その後の都市の難視聴問題、すなわち建造物障害その他公害的な要因によりますところのいろいろな難視問題が続生してまいりましたので、これに関係いたしまして、都市難視対策あるいは建造物障害防止対策あるいは空港周辺の騒音対策、こういうような諸事項について新しく全面的に手を染めていく、こういうような事態も必要といたしました。さらにまた、一般的な聴視者の要望におこたえするという意味で、従来大電力周辺におきましてはラジオの放送を行なっておりませんでしたが、これが全国で十三府県あったわけでございますが、これにつきましてFMをもって県域放送を実施する、こういうことを新しく計画として設定いたしまして、これらを計画の途中から行なっております。そのほかUHFの実験放送局を新しく東京と大阪の二カ所におきまして実施することといたしまして、これらの建設を行なう。以上の建設的な諸計画等を実際に実行いたしました結果の推持費等につきまして、かなり大幅な経費の増加が必要となりました。
 さらにまたもう一点は、カラーの受信機の非常に飛躍的な普及ということに対応いたしまして、受信者の増があったわけでございますが、当然のことながらこれに対するサービスの主体でありますカラー放送の時間というものを、当初構想段階で四十七年度の事業の計画は十五時間という限度で考えておりましたが、これは実態的には毎年度の計画でさらに拡充を進めてまいりまして、現在お手元で御審議いただきますような、すなわちカラーの放送時間については、四十七年度は二十二時間三十分。総合テレビにつきましては全時間カラー。教育テレビにつきましては四時間半のカラー。合わせて二十二時間三十分のカラー放送を実施するというような事態になっております。
 以上のような諸計画が長期放送の初期段階の計画と、その後の発展によりましての改定ということで進めてまいりまして、必要な経費がこれによって累計で二百九十億円ございます。したがいまして、全体といたしまして二百三十四億の増収でございますが、総体に投入いたしました経費といたしましては、二百九十億円を新しく投入した。この差額につきましては、毎年の経費の節減、全体の企業の効率化ということによって、まかなってきたというのが、第三次長期構想の全体の動向とその結果でございます。
#130
○森勝治君 実績の問題ですね。実績との関係の問題を聞いているわけですから、もうちょっと補足してください。
#131
○参考人(斎藤清君) 補足さしていただきます。
 第一に、カラー契約の増による受信料収入の増加につきまして申し上げます。カラー契約数については、五年間の見込みといたしまして、千五百八十六万まで伸びましたから、当初の予想に比べますと九百三十六万伸びております。契約総数について申し上げますと、二千四百二十九万までいくであろうという予想を立てておりましたが、二千三百九十九万という見込みに相なっておりまして、これは三十万件減という結果と相なります。で、御存じのとおり、カラー契約の収入につきましては、ほぼ普通契約からの移行が大部分でありますので、百五十円の増収力といいますか、そういう内容になりますので、総体の受信料収入といたしましては、当初予定四千三百五十九億円、これに対しまして四千五百九十三億円、すなわち、二百三十四億円の増という結果と相なります。
 次に、事業経費の増加のただいま申し上げた各事項について申し上げますと、必要な新しい追加計画によりますものが二百九十四億円と申し上げました。これの各年度の実際上の経費といたしまして、これから申し上げる部分としては、建設投資の部分を除きまして、事業経費のほうの部分を申し上げます。その部分で申しますと、カラー放送の拡充、これに関係します諸経費が累計で二百四十二億円でございます。
 次に、辺地の共同受信施設の建設、テレビ難視解消の推進という意味におきまして、置局関係は、ほぼ変化なかったわけでありますが、共聴については、この五年間で新しくNHKの自前の建設でやるという結果は三千四百五十地区完成いたします。これらの運用経費といたしましては二十億円の増加ということでございます。
 その次に、大電力周辺のFM県域放送関係は、先ほど申し上げました東京、大阪、名古屋の周辺各県、あわせて十三府県でございますが、十三府県におのおの置局を完了いたしまして、これらの運用に当たっております。運用関係の経費といたしまして十四億円の増でございます。
 次に、東京、大阪のUHF実験放送関係、これにつきましては、二局が完成いたしておりまして、この運用の経費といたしましては八億円の増であります。
 最後に、都市難視を解消いたしますための建造物障害防止その他のCAテレビの出捐等も含めまして十億円の増加が必要と相なっております。
 以上あわせますと二百九十四億円の増であります。で、したがいまして、これらが収入の増加二百三十四億円に対しまして、二百九十四億円の支出増加ということでございますので、六十億円の経費の補てんが必要でありました。それらにつきましては、一般の業務の効率化、あるいはまた、期間中の経費の節減というようなものをさらに強めて実施いたしまして、総体として収支を償わしたということでございます。
#132
○森勝治君 四十三年度から四十七年度までのいわゆる第三次長期構想、このあれでいきますと、当初の予想は、いまも触れておられましたが、四千四百十二億ですね。実績の見込みが四千六百七十三億ですから、事業収入の面では当初計画に比べて二百六十一億多い。それから四十五年度に見直しをしましたから、それからでも百億円増加ということになりますね。そうなれば、これはいずれも増収ということになりますから、見積もりというか、計画というか――失敬でありますが、その辺若干ずさんのそしりを免がれないと思うのですが、その点ひとつお聞かせを願いたい。
#133
○参考人(小野吉郎君) ただいまのそれは、四十三年度に始まり四十七年度に終了いたします当初構想に対しまして、大体におきましては、順調な歩みを続けておりますが、先ほど斎藤理事からお話し申し上げました各種の項目につきましては、全然予定していなかったゼロの事業を実施をし、また、難視聴等の関係につきましては、およそ四十七年度末に解消すべきものを四十六年度末に達成をしたというようなことでございまして、むしろ増収の面は、もちろん先ほど御説明申し上げましたように、当初のカラー契約の伸び、現実の実績はかなり上回っておりますので、その間に所要の増収がありました。その増収は二百三十四億と、このように御答弁申し上げたわけでございますけれども、それとは反対に、当初構想では考えていなかったもの、そういうもののために二百九十数億かけておりますので、結局は増収分は事業の伸展のそれに沿わない。その沿わない六十億近いそれは、節減なり、いろいろな合理化なりの努力によって、これをまかなってきたという結果になるわけでございます。
#134
○森勝治君 しかし、それは見方、角度によっていろいろ違うでしょうから、見込み違いということになるんじゃないですか。
#135
○参考人(小野吉郎君) 契約の伸び、これは収入につながるわけでございますけれども、この面につきましては、明らかに見込み違いと言えば――大きな増が出ておりますので、増収の原因になっておりますので、見込み違いと言わざるを得ません。
 事業の伸展の面につきましては、これも将来構想の中で取り入れればそれでよかったのでございますけれども、東京、大阪のVHF局の開局の問題、あるいはカラー関係のサービスの改善につきまして、放送時間を当初五カ年構想の末、十五時間を二十二時間半にする、こういうこと、並びに当初はいまの地方本部でございます地方本部段階までカラー放送ができるように考えておりましたが、末端の各放送局どこからでも全国カラー放送の拠点にするというようなこと、これは計画を是正をいたしまして促進をはかったわけでございまして、これはあながち見込み違いというようには言い切れぬのじゃないかと思います。
#136
○森勝治君 これはもうしばしば私どもが議論をしたことでありますが、カラー契約の著しい増加に伴って、いわゆる増収費としての使い方、われわれはこれを国民に返せという主張をしばしばやってまいりましたが、この二百六十億という増収費をNHKはどういう形でこの私どもの主張にここたえられたか、その点ひとつ。
#137
○参考人(小野吉郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、そういった財源は、いわゆる国民へのサービスの向上、並びに、まあ当時考えておりませんでしたサービスの新設、こういったようなことで使用しておるわけでございまして、国民への還元のそれは、そういう姿において果たしておるというようにお答え申し上げたいと思います。
#138
○森勝治君 委員長、ちょっと速記とめてください。
#139
○委員長(杉山善太郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#140
○委員長(杉山善太郎君) 速記を起こして。
#141
○森勝治君 私どもは、視聴者にこれを還元せよということを、しばしば主張もし、皆さん方の側でも、その期待にこたえます、というお答えであったんですよ。そういうところから、この受信料の値下げという論にもまた、発展をしていったわけなんです。ところがいまのお話では設備の拡充という、そういう面に間々使われたというようなことでありますが、この二百六十億のNHKの使われた中身というのは、事業運営に百二十一億お使いになってるわけですね。それで、いまあなたが言われた規模の増大ですか、建設規模の増大に伴う減価償却の引き当てというのに三十八億、事業収入の赤字補てんに五十一億、資本収支への繰り入れば五十三億充てておられます。ところが、建設関係を見ますと当初構想よりも約二百二十億増加、こういうことになってますが、そのうちの五〇%ないし六〇%というものは放送センターや放送会館の整備にこう充てられておるわけですね。したがって、われわれが最も主張をしたような国民に返すという、すなわち別なことばで表現いたしますと難視聴の解消の促進などという問題については、これはわれわれはこの二百六十億の中からはあまり寄与してない、すなわち国民の側に返していない、こんな気がしてならぬのです。それからまた資金の面をとりましても、減価償却費や関連経費、いわゆる利子負担が最近は非常に激増しておる。特に四十七年度は関連経費が四十億余、減価償却費を合わせますと二百億以上、こうなっているわけです。これはとりもなおさず建設規模を拡大し過ぎた、そのためにこういう結果が生まれたものである、私はこう言わざるを得ないのですが、そのとおり肯定されますか。
#142
○参考人(前田義徳君) お許しをいただいて……。
 数字づらで見るとそういう印象をお持ちになると思います。で、第三次構想の一番大きな問題は、実は当時カラー時間を五カ年間何時間にするかという問題が、実は、まあある意味では、その構想をつくった当初には、関係各方面の御理解をいただけなかったという事実がございます。しかも、それとの関連で、御承知のように、第三次構想というものは、ラジオ料金を無料とし、白黒料金を十五円引き下げてやっていくということですから、事業という点から見れば、やはり需要を増すことを考えながら考えなければ、相関関係に立つと思うんです。で、その意味で第三次構想の当初の五カ年間の赤字は合計五十一億という想定が立ったわけです。しかし私としてはこの五十一億の赤字を出してはいけないということと、それから、その後の内外の情勢を見ましても、新しく地方にできる民放はすべてカラー化のもとで行なわれている、こういう状態の中でNHKの経営的な面から考えますと、やはりカラー時間を延ばすことと、全国の末端局のカラー化の設備を整えていくことが必要である。で、そういう意味で―御指摘のこの数字の中には、放送センターはございますけれども、経過的にはこれは借り入れ金で行なうという経過を示しておりますが、これは四十八年度予算の中で、それがどう処理されたかということを御審議をいただくことになると思います。で、そういう意味で考えてまいりますと、私としては、このいままで第三次構想のとり行ない方は、全く聴視者を目標とし、なおかつ放送事業というものの中で、NHKの義務と責任を中心として、これを延ばしてきているということを御理解いただきたいと思うのです。で、先ほど斎藤理事からも申し上げましたが、これによって、たとえば、番組の質的向上は、聴視者に対するサービスとして、非常に高く変わってきております、この五カ年間に――実際的には四カ年間に。
 それから、たとえば先ほど斎藤理事も言いましたように、この辺地の共聴はNHKが補助するというたてまえで、一部金を出したものを、NHKの置局と同じ価値を持つというふうに変えまして、末端線は別として、その中心設備はすべてNHKの負担によって、これを行なうということをやってきております。
 それから、また、これは具体的には、実際の面にあらわれておらないかもしれませんが、従来ですと、置局というものは大体現地の協力を得て、たとえば、道路なども現地の寄付をいただくとか――率直に言いまして、こういうことを一切やめる方針を立てまして、だんだん地区が狭くなればなるほど現地の実態も負担能力はなくなりますから、こういうものは一切自前でNHKがやるという方向に切りかえたわけです。このことは私どもの考え方としては、やはり聴視者にその収入を返していくという考え方の一部でございます。で、私といたしましては、その意味では、当初予想された五十一億円の赤字を消して、なおかつ幾ばくかのさらに大きな聴視者への利益転換ができたと考えているわけです。ただ帳じりから見ますと、たとえば減価償却費がふえてくる、あるいはまた過渡的形態として借り入れ金がふえてくる。現在借り入れ金の総額はおそらく五百億をこえていると思いますが、幸いにその後の一般情勢は低金利時代が出てまいりまして、今日の問題は、これは四十三年から当時の郵政大臣にもお願いしていた問題は、放送法との関連でいわゆる放送債券の減債基金をどう活用すべきかという問題もあったわけでありますが、いずれにいたしましても、私どもの第一次計画をスタートして以来、将来の目標としては、将来はたてまえとして減価償却の金額で、簡単に言いますと建設事業が進められる時期がくるであろうという考え方に立っているわけです。したがいまして、この数字の面で先生の御指摘いただくような印象は私は当然だと考えておりますけれども、その中身に対する考え方はきわめてざっぱくではございますが、そのような気持ちの中身が、その中に含まれているということを御理解いただきたいと思います。
#143
○森勝治君 斎藤理事や会長の言われた番組の質的向上というものが顕著ならば、私はこういう質問は取り下げしたいところです。ところが、番組向上、難視聴というものが、心はここにあれども、姿は事業費の拡大に向けているわけですから、そういう問題について私は指摘をしているわけです。私は何も受信料だけ引き下げなさい、これが国民への還元サービスだと、そういう偏見でものを申しているんではないのです。いま会長が言われたように、これらの増収というものが、番組の向上や難視聴の解消などに、適切に配分されておるとするならば、これは国民も納得するのは当然でありましょう。ただ数字の面から見ても残念ながら私どもの立場をもって言わしむるならば、それはそういうふうに会長が力説されるほど、そういうふうにお見受けするわけにはまいりません。ことばをかえて申しますならば、結局、これは建設投資の拡大が、事業運営費を圧迫しているのではないか、こういう指摘をせざるを得ないのであります。この逓信委員会におきましても、昭和四十五年度の予算案の審議に際しましては、このことについて附帯決議で触れておるのです。放送の拡大、修正の実施に当たっては受信者の負担の増大を来たさないように配意されたい、こういうことであります。つまり、事業規模の拡大に慎重な配慮を当委員会は要望したのでありますが、結果的には、この決議というものは、皆さん方の事業を推進する中にあっては、反映されておらないような気がしてならぬわけでありますので、その辺についてのかね合いと申しましょうか、四十五年度の附帯決議をどう生かされたのか、生かそうとしたけれども、これを全く生かし得なかっだのか、客観的情勢のしからしむるところによって、今日のようなことになったのか、その辺のことについてひとつつまびらかにされたい。
#144
○参考人(前田義徳君) その点につきましては、結論から申し上げますと、これがそのままずばりのお答えになるかということには多少の問題もあるかもしれませんが、私どもはそういう内容を持ちながら、実はこの経営がきわめて堅実であるというたてまえに立って、したがって、これを引き継ぐ第四次構想の中で御審議いただいている昭和四十七年度においても、また、四十八年度においても値上げはしないというたてまえを明らかにしたわけです。それで四十六年度から始まっておりますが、物価の騰勢というものはこの第三次構想では、平均三・五%しか見積もっておりませんでした。これは政府の発表であるとか、方針の発表その他と関連して、私どもは、物価の騰勢を年三・五%と考えたわけですが、御承知のように、現在は少なくとも昭和四十四年から六年にかけて、その間の物価の値上がりは、三二%ということになっており、しかも公共料金の値上がりは二〇%−二三%という計算も出ているわけでございます。
 ただ問題は、将来を考えたときに、この建設計画がNHKの財政を圧迫することになるのではないかということについては、私は基本的に同感の意を表したいと思います。もし今日以後の建設が、単なる機械設備の更新や、もしくはりっぱな放送会館をつくるということが主眼であるならばこれは問題であると考えております。したがって、第四次構想の大体のいまの構想では、先ほども当委員会で申し上げたかと記憶いたしておりますが、昭和五十一年度末の大体契約可能の世帯数をいろいろな公式統計から類推して三千三百万世帯と考え、そのうちカラー契約だけで二千四百万世帯の可能性があるという推算のもとに、今後、五カ年間の収入の総額を六千二百億強と考えているわけです。この中で一体御指摘の建設費をどう把握していくかということが、御指摘のとおり今後のNHKの経営のかなり重要なポイントになるということについては先生と全く同じ考え方を私は持っております。
#145
○森勝治君 いまもちょっと会長が触れられました第四次長期構想ですね。これはいわゆる四十七年度末で第三次長期計画を終わるわけですが、ことしから一年繰り上げて第四次ということになるわけですが、そういう長期構想を、長期ビジョンとでも申しましょうか、そういうことを策定していますが、その内容というものは、第一次からから第三次にわたるものから比べれば、かなり詳細になります。これはそこまでは認めますけれども、これはやはり何と申しましょうか、構想の域を脱していないような気がするのです。言うまでもなく、国民のささえを基盤とする公共企業体であり、NHKでありますから、いわば国民すなわち視聴者の理解と協力を得るためにも、NHKの経営方針や、今後の長期計画というものを当然明らかにすべきである。また、それが必要であると私は思うのでありますが、そちらでも、うしろのほうで、うなづいておられるように、この長期構想というのは、どうもあいまいの域を脱していないので、なぜこういうふうに、あいまいな方向をとっているのか、むしろもっと明確にというか、明快というか、そういう方法をとって出されたほうがよいのではないか、私はこう思うのですが、そのことについてお聞かせ願いたい。
#146
○参考人(前田義徳君) 第一次、第二次は、長期計画というたてまえで、これをかなり明らかにしておりますし、その期間に第三次構想、第四次構想と――そのあとで変えた理由は、内外の情勢の変化が非常に激しくて、数年前にきめた計画というものが、事実上用をなさなくなるという事実に直面した結果にほかなりません。しかし考え方は全くどこも変わっておらないわけです。したがって私の記憶では多少年月に差があるかもしれませんが、昭和四十四年でしたか、その長期構想を土台としてNHK青書――ブルーブックというのを一般に公開いたしました。私は、この点についてはやはりこの次の段階で、これとの関連で、NHKブルーブックを公表すべきであるという考え方を、私自身は持っておりますが、まだそこまで部内の意見をまとめておりませんので、私としては、しかし部内も理解してもらえると思いますので、適当な機会に私は関係方面はもとよりのことですが、聴視者全般に、この構想の中身と、いままでの継続性と今後の見通しについて、私としては、特別の文書を発行いたしたいと、このように考えております。
#147
○森勝治君 第四次構想というものを見ますと、事業収支で約三百八億の赤字を計上している。計上というよりも予定で今ね、三百八億赤字が出るだろう、こういうふうに出されておるわけです。この三百八億の赤字の想定というもの、予定というのが一番いいでしょうか、予定というものは、現行受信料の料金、現行の料金をもって算出したものだと私は考えています。したがってそうなりますと、人件費あるいはまた先ほど会長が言われた、従来第一次構想当時は三・五%程度の上昇を見込んでおったのが、相当、三一%も上がったということを言われておりますが、
  〔委員長退席、理事植竹春彦君着席〕
人件費や物価のアップなどをどの程度見込んでおられるのか。また、この三百八億の赤字の中には、沖繩関係がどのくらい占めているのか、この点ひとつお聞かせ願いたい。
#148
○参考人(前田義徳君) これは事務的計算でありまして、したがってまだ公表しないわけでありますが、基本政策として考えますと、この五年間に従来の方式で見積もられる建設費は一千億、千百億に達しております。先ほど来の御質問との関連で、私としてはこの点をもっと具体的にする必要があるということをまず考えております。で、それがどの限度事務的計算の赤字を埋めることになるかということは、なるべく早く私は検討したいと思っておりますし、もう一つの問題は、これは一応いまの会計関係の諸規則によれば借金の返還という形になるでしょうが、四十七年度中に、四十八年度予算編成の基礎として内幸町の処分がございます。これがおおよそ、私の期待は非常に幅が広いのですが、百十億から百五十億の間を考えております。このように考えますと、私は現状のもとでもかなりの実行計画が立てられると、このように考えておるわけであり、第四次構想においての物価の上昇率は今回は五%を見込んでおります。
#149
○森勝治君 斎藤さんちょっとお願いします。あとのほうです。
#150
○参考人(斎藤清君) 数字的な側面についてちょっと補足させていただきたいと思います。
 お尋ねの物価の問題がまず第一でございますが、これは平均消費者物価の上昇五%というふうに一応想定をいたしております。実はこれはもう先生御存じのとおりのことでございますが、いろいろ物価の変動というものが非常に激しい環境もございまして、前回の長期構想策定当時におきましては、当時の国で定めました経済社会発展計画で想定した数字を用いました。しかし結果としては、かなりこれを上回りまして、六%強の結果になっております。われわれとしては、まあいろいろな材料を検討いたしたわけでありますが、オーソドックスな形で国が今後五年間どうかということについては、特に昨年以来のいろいろな経済変動という中でなかなかむずかしい点でございますが、一応たとえば経済研究センターというようなところの想定数字を用いてみたということでございます。
 それから人件費の点でございますが、これも社会的な環境の中でおのずから一つのレベルの変化がございますので、たいへんむずかしい想定の問題になりますが、一応社会水準に劣らないようにしようと、こういう考え方で考えておる次第でございます。
#151
○森勝治君 ちょっと私聞き漏らしかと思うのですが、沖繩関係のこの三百八億の占める額と申しますか、それを聞かしてください。
#152
○参考人(斎藤清君) たいへん失礼を申し上げました。
 沖繩関係につきましては、先生御存じのとおりの現在の沖繩の特殊な事情というものがございまして、これに対してわれわれからいえば、ほんとうに新しい経営をそこで実施していくわけでございます。そういう意味で、可能性というものを上のほうで見るか、それとも非常にむずかしいんだということを、強調してみるかで、たいへん差があるわけでございますが、この期間中は一応の見積もりとしては、堅実な形で見ておこうという想定をいたしまして、五年間で大約四十億円の赤字になるだろう、それも年々収支率はよくなるだろうと、こういう考え方を持っております。
#153
○森勝治君 先ほども触れましたように、第三次構想で、もちろんこれは四十七年度の予算の中身に触れますが、第三次構想で二百六十一億という利益が計上されたわけです。したがって、第四次構想でも、皆さんが第一次から第三次のときのように努力されるとするならば、そしてまた、いま会長がおっしゃったように、本部建物の売却益等を有効に活用するとするならば、私は赤字を解消することができると思うのです何かどうも最近御説明などを聞きますと、NHKに危機があらわれたような、前途が非常に暗いような言辞を弄する方もあるわけでありまして、しかし、そういう形から見ますならば、むしろ私は悲観的な見方よりも、洋々たるNHKの前途こそ、私は期して待つべきものがあるだろうと思うのであります。何と申しましても、これは会長以下皆さんの御努力で世界に冠たる今日のNHKを築いたわけですから、今日まで、これだけ皆さんが努力して、このようにりっぱな業績を、この放送事業界に不動の地位を占めたと申しましょうか、画期的な事業もおやりになっているNHKが、もうあたかも行き詰まったような、私は、形にはならぬのじゃないか。したがって、この点について特に会長からひとつお答えをいただきたい。
#154
○参考人(前田義徳君) 私は、かねがね機会あるごとに私の心境を申し上げておりますが、私は今後、五カ年間に対しても、きわめて楽観的でございます。ただいま御質問に答えた限度でお考えいただいても、NHKの危機はどこにもないと思っております。ただ、もし危機がありとすれば、NHK全員の心の危機と、これに関連しての外との関係が妙なぐあいに伸びること、発展することを私はむしろ警戒している。したがって私は、第三次構想から引き継ぐ第四次構想の期間の中で、できれば私は明年度以降新しい職制と組織の運用を考えたい、このように考えているわけでございます。
#155
○森勝治君 会長、先ほどのお答えの中で、ちょっと重ねて明らかにしていただきたいのは、本部建物の売却費が会長は百十億から百五十億の間と、こういうお話がありました。私どもは、先般の委員会だと思うのですが、これは百五十億という御発言をなさったように記憶をするのでありますが、まあそれは売り手、買い手の中ですから多少の段差はありましょうが、百十億と百五十億となるとこれはちょっと隔たりがありますので、概算で百五十億と、こう考えておられると、これはまた百四十億になる、百六十億になる場合もあるでしょうが、おおむね百五十億と、こう考えておいてよろしいですか、この点ひとつ明らかにしておいていただきたい。
#156
○参考人(前田義徳君) 私に対する事務当局のアドバイスは百十億なんです。ですけれども、私自身はミニマム百五十億と考えております。
#157
○森勝治君 会長はおそらく物価の値上がりを予定されていることもあるんでしょうし、場所が場所だからそうおっしゃっておるんでしょう。ですから、それはむしろ会長がかねがね御発言なさった百五十億見当ということでお答えいただいたものと私は理解をいたします。
 で、次に移りますが、建設投資額が一千一百十億円を予定しているわけですが、このうちテレビの難視聴解消のための何と申しますか、直接経費ですか、直接経費というものはどのくらいになるのか、それから共聴施設関係はどの程度になるのか、この点お答えをいただきたい。
#158
○参考人(松浦隼雄君) 中継放送局の建設七百四十局、これに七十七億円でございます。それから共同受信施設四千六百施設の建設に百三十四億、合計二百十一億円を総合、教育テレビジョンの難視解消の直接建設費と見ております。
#159
○森勝治君 私は、先般の四十四年度の決算審議の際にも言及したのでありますが、今後の共聴施設による難聴解消の比重というものがだんだんだんだん大きくなっていくだろうと思うのです。そうなりますと、聴視者の経済的な負担というものが軽減をするほうに方向づけられるならけっこうですけれども、逆に増高を来たすような、こんな気がしてならぬわけです。ですから、そういう観点についてNHKと郵政当局と両方の考え方をお聞かせ願いたい。
  〔理事植竹春彦君退席、委員長着席〕
#160
○参考人(前田義徳君) まずNHK側から申し上げますが、私はそういう結果になることを極力阻止しなければならないと考えております。
#161
○政府委員(藤木栄君) 郵政省のほうとしましては、まあいわゆる難視世帯がだんだん少なくなるということによりまして、一つの共同聴視施設あるいは中継局といったものでカバーされる数が少なくなる点からいいますと、むしろ一世帯当たりの経費というものは非常に高くなると思いますけれども、NHKの負担で実施される限りにおきまして、いわゆる聴視者自体の負担というのは従来とそれほど変わらない。共同聴視施設にしましても、幹線部分はNHKがおやりになるということになれば、聴視者自体の負担というのはほとんど変わらないのじゃないかと、そういうふうに考えているわけでございます。
#162
○森勝治君 私は、その点負担増高を来たさないように、むしろそういう問題については負担を軽減するほうにこれは御努力あってしかるべきだと思うのです。
 そこで、もう一つお伺いしたいんですが、民放における置局がおくれている現段階では、やはりNHKが現在おやりになっている共聴方式というものに、この利点のあることは当然これは理解できるわけです。だが負担能力の乏しい、なかんずく地方の、何といいましょうか、辺地などということばがありますが、俗にいう辺地住民の犠牲において難視聴解消をはかるという、こういう結果になってはならぬと思うのです。ですから、私は前段でそういう質問をいま申し上げたわけでありますが、この難視聴解消というものを促進させるための暫定措置であればよいのでありますが、恒久的なものとすることには問題が派生してきやせぬかと思うのですが、これはまず藤木さんからお答えいただいて、それから同じ問題についてNHKからお答えいただきたい。
#163
○政府委員(藤木栄君) この難視聴解消というものに共聴ということは、おっしゃいますように、NHKのみならず民放も両方聴取できるという点で、非常に地域住民にとっては好ましい対策であると思っているわけでございますが、このいわゆる中継局をつくるということになりますと、これはおっしゃいますように、なかなか民放におきましては促進が困難でございます。私どもも声を大きくしまして、その点につきましては機会あるごとに民放事業者に対して要請申し上げているという状態でありますが、なかなか御存じのようなかっこうで促進がされておりません。したがいまして、この暫定的といいますか、この共聴施設というものが中継局にとってかわるという点がいつになるかという点は、非常にむずかしいわけでございますが、しかし、もちろんこの中継局が設置されれば共聴施設というのはなくなるわけでございますが、いまのようなことで、相当な期間はそういうことにならざるを得ないと思います。しかし、NHKにおかれましては、この四十七年度におきまして難視聴解消のための効率的あるいは経済的置局方式というものも開発を進められておるわけでございますので、私どもとしましてはこの成果を大いに期待をしているという状況でございます。
#164
○参考人(松浦隼雄君) 私どもは共同受信施設につきまして、先ほど斎藤理事からお話し申し上げましたように、四十四年度以来これをやはりNHKの一つの基幹施設と考えてやっておりますので、中継局が将来共同受信施設にとってかわるというふうにはまず考えておらないのでございます。で、これまで自然難視とかいろんなことがございますけれども、難視の問題が複雑化してまいりますと、あくまで電波が最も経済的であり、かっ正当的なものであるとは思いますけれども、やはりその組み合わせということによって、放送手段の問題ではなくて、放送内容をいかに各聴視者にお伝えするかということから見れば、これは重要度については同じであるというふうに私どもはまず考えておりますということを申し上げたいと思います。
 それから、経済的な面での聴視者の負担の軽減ということは、先ほど御指摘のように、放置しておけば漸次高くなるというおそれがございます。われわれの側におきましても、たとえば今年度における置局の一世帯当たりの経費は二万二千円でございますけれども、四十七年度についてはこれを三万二千円というふうにならざるを得ないというふうに踏んでございます。同じく共同受信施設につきましても、それまではやはり本年度は三万二千円ということで同じ程度、今後を見渡しますと、このままいきますと、置局のほうがよりコスト高になるという傾向がございます。そこで、先ほど局長からもちょっと触れましたように二つのことを考えております。
 一つは、受信者の、聴視者の負担を軽減するために、なお、この軽減の目的としては、都市内においてもアンテナをおつけになる聴視者の方々が大体五千円、UHFの場合に六千円見当の御負担をなさっておるから、その限度においてやはり御負担を願うというのを限度にしておりますが、そういうものがだんだんいわゆる辺地にいきますと、一戸当たりの負担がふえてくる、それをケーブルでやっていたんではさらにふえてくるということで、もう一度個々に地上局の電波を使おうということで、いま郵政当局の御指導を得まして、その実験をしておるということは、この当委員会でも何回か申し上げているところでございます。
 もう一つは、中継放送所そのもののさらに簡素化ということで、一ワットの放送局を五百ミリワットで済むところはそういうふうにし、施設を聴視者の側から見て支障ない限り簡素化するという方法によってさらに軽減をはかろう、これによって何とかして聴視者の負担の増高を押えようというふうに努力しておるのが現状でございます。
#165
○森勝治君 順序を追って質問しておるつもりでありますが、防衛庁関係の方が何か所用がある模様ですから前後いたしますけれども、この問題に対して防衛庁関係の問題について質問をお伺いしたいわけです。
 その前に、ちょっとNHKと郵政省にこの防衛庁関係の問題について若干聞きたいんです。
 受信料の不払いの中には、大阪空港の周辺のように航空騒音やビル陰難視、こういうことでよく見えない、よく聞こえないなどという不満を持っておる方が相当おるわけです。したがって、聞くという立場からいわせればこれは当然なことだと、無理はない、こう思うわけでありますが、私も、この点はもうすでにしばしば指摘をしてまいりましたし、ほかの方も指摘をいたしてまいりましたが、本来、いまことあげいたしましたような方々からは聴視料を取るなという主張を私はしてまいりました。少なくとも全廃が不可能ならば半面措置――全面でなくて半面措置等を講じてはどうか、こういう発言をしておったわけであります。そうしてまた、これによって生じた減収というものは加害者に負担させるということ、NHKはこれは原因者負担ですか、そういう表現を用いておられますけれども、当然これは原因者負担――私は当時加害者負担と申し上げたら、NHKで原因者負担というふうな立場でお答えになったと思うのですが、まあ帰するところは、これは中味は同じでありますが、こうした加害者に負担させるという何と申しましょうか、加害者に補てんさせるという制度的なものを考慮すべきではないか、こう考えておりますけれども、このことについて郵政省、それからNHKの考え方を聞かしていただきたい。
#166
○政府委員(藤木栄君) おっしゃいますような加害者負担制度と申しますか、そういったことは私どもとしましてはまことに望ましいことであると思います。私どもとしましては従来、あくまでもこの障害の原因者において措置をしてもらうという基本的な考えをとっておりまして、各方面とも御理解を願うように常に努力をしてきているわけでございますが、そういった方向で今後やっていきたいと思いますが、ただ制度と申しますか、法律までつくるかどうかということになりますと、なかなかむずかしい問題もございまして、私どもとしましても苦慮しているところでございますが、さらに検討いたしましてその方向に努力をしていきたいと、そういうふうに考えます。
#167
○参考人(前田義徳君) 御指摘の点については、私も強く期待しますと同時に、それが原則の問題としても御理解いただきたいと思っております。この点については前国会以来、関係当局におかれても最善の努力をしてくださっており、多少道は開けつつある。しかし私は、まだそういう点では、いろいろ各省の関係、各当局の予算の問題等と関連して、踏み切れないところもおありかと私なりに考えているわけですが、これはやはり行政官庁の、政府全体としてお考え願いたいところだという、強い期待を持っております。
#168
○森勝治君 NHKにお伺いしたいのですが、私は、たしか四十五年度の予算案審議の際だと思うのです。当時防衛庁から、基地周辺の減免拡大措置を講じたという問題がありましたときに発言をいたしまして、減収全額に対しては予算補助という、そういうたてまえでなくして、過失補償という、そういう措置を、措置することを検討する、こういう確約を、私はあえて確約という表現を用いますが、確約を得たわけでありますが、その後NHKと防衛庁の間では、どういう措置をとられておるか、このことをお伺いしたい。
#169
○参考人(吉田行範君) ただいまお尋ねの問題につきましては、来年度予算におきまして、防衛庁のほうでも非常に御努力をいただきまして、従来の免除額の半分を防衛庁のほうで負担していただくというふうに相なった模様でございますので、私どもの主張でございます、現在NHKが持っているものが今後もなお、ただいま御指摘がありましたように、全額国の負担になるように希望はいたしておりますけれども、当面、過渡的な措置としてそういうふうにやっていただいたということを、その御努力に敬意を表しております。
#170
○森勝治君 これは意外なるおことばをいただく。そういう質問はいたしておりません。私は、そういう質問をしていないのだ。議事進行上私のほうからもう一ぺん言いますが、あなた方がかねてから主張されている原因者負担ということを私は申し上げているのです。これは補助額というのではなくして、過失補償、過失補償をする、これを検討するという約束をもらっていますよ、当委員会で。ですから、そのことについてあなた方が主張している原因者負担、あなた方が当委員会に、防衛庁が検討するとおっしゃっているのだから、あなた方原因者負担ということでどんどん防衛庁と折衝すればよかったんですよ。それをあなた方が努力したかどうか、NHKは防衛庁とどうなったか、全額もらったから感謝だなんて全く心外だ、その答弁は。
#171
○参考人(前田義徳君) 吉田理事のことばがはなはだ足りない表現で失礼いたしました。私どもはその原則に立っております。したがいまして、従来も防衛庁はその点についてはっきりとお考えを進めておられますが、最近の文書の取りかわし方についても、理事会等においてもその表現についてかなり議論をいたしましたし、その考え方は捨てておりません。まあしかし、これは同時に政府の問題であり、政府の行政機関の一部としての防衛庁の立場も考えながら、この御指摘の原則が近き将来に明らかになるように強く期待している、こういうことでございます。
#172
○森勝治君 藤木局長にお聞きしますが、同じ原因者負担という考え方は、郵政省も肯定しておられるのですね、さっきのお話で。ただ法律とかそういう規定とかということは時間的にまだ隔たりがあると、こうおっしゃるわけでしょう。したがって、そういう説をおとりになるならば、あなた方も、多分藤木さん聞いておられたと思うのですね。当時、あなたが就任された直後じゃなかったかと思うのでありますが、私と防衛庁とのやりとりで、いわゆる過失補償としての検討をするということでありますから、当然あなた方の主張される線に沿って防衛施設庁がおやりになるということですから、そういう点について当然論議がかわされているものと私は理解するのです。そういう御努力をされましたか。
#173
○政府委員(藤木栄君) 私のほうとしましても、先ほど来申し上げておりますように、原因者負担主義ということはもう徹底しているわけでございますので、防衛庁のみならず運輸省もございますので、そういった関係官庁と接触を保って、その方向に努力しているという状態でございます。
#174
○森勝治君 防衛庁にお伺いいたしますが、いまお聞きのとおりであります。四十五年度の予算のときに私がお約束願った点について、御検討をわずらわされておられるかどうか、この点についてお答えいただきたい。
#175
○政府委員(薄田浩君) 当委員会におきまして、四十五年の三月でございますか、いろいろ、私の前任の部長でございますが、御議論がありまして、いわゆる加害者、いわゆる原因者、われわれ原因者ということばを使わしていただいておりますが、原因者負担の方向でやるということと、それから先生のもう一つの御指摘は、いわゆる補助金ではなくて損失の補てん、損失補償じゃないか、こういう御議論があります。実は私、前任の部長から全額負担のことについてはぜひ努力する、損失補てんにつきましては、先生といろいろ御議論をお互いにやっておるようで、検討するという御答弁も前任者がしておりますが、なかなか損失補てんというような制度にぴたりとすぐいくかどうか、これは郵政省のほうともいろいろ御相談しておりますが、申しわけございませんが、現在のところ損失補てんということになりますと、なかなか法律制度上の問題ございます。それからまた、これの支払い先の問題等いろいろございますので、検討はしておりますが、現段階では、先ほど申し上げました原因者負担というほうに努力をいたしたという段階でございまして、今後また、損失補てん等についても検討いたしたいと思っております。
 それから、いずれにいたしましてもこのテレビの場合、見れないという原因がジェット機ということになるわけでございますが、見れない方々の見たいという御要望に対しては何とかしなければならぬということで、損失補てん等の問題とは別で、ほかの答弁で恐縮でございますが、われわれといたしましては、四十五年以来テレビ共同アンテナの関係に力を注いでおりまして、四十七年度も約二千戸の住宅建物につきまして四千八百万ばかりの予算をお願いしたい、こういうふうに思っております。
 それからもう一つ、音につきましては民間も同じでございますが、どうしても個人防音までつながりますので、そういう検討もやっていかなければならぬ、そういう面もあわせて検討はさせていただいております。
#176
○森勝治君 御努力願ってない模様でありますが、その点は残念です。ただあなたのおことばの中で原因者負担という線にのっとってやりたいというおことばがありましたが、その点は間違いありませんね。
#177
○政府委員(薄田浩君) 間違いございません。
#178
○森勝治君 原因者負担ということばは、ことばを返しますならば、過失補償ということになりますよ、よろしいですね。
#179
○政府委員(薄田浩君) おことばでございますが、過失補償という、私も、過失補償ということばあまりなれておりませんが、原因者負担ということばじゃいかがなものでございましょうか。過失補償とはちょっと理解できない点がございますが……。
#180
○森勝治君 理解できなくても、あなたの前任者がお約束をして帰られたのですよ。いいですか確約されて帰られたのです、検討するという約束を。あなたのおっしゃる原因者負担というのは、補助金という名目で金を出すからよかろうという思い上がりの考え方ですよ。申しわけないという気持ちがないんですよ、かけらが。それでは困りますよ。いいですか。全部金を出して、NHKに補助金を出してやるからいいだろうと、こう言っているんですよ。そうじゃないんですよ。御迷惑かけてすみませんでしたと、そういう立場の補てんになるんですよ、いいですか。ここの違いをされちゃ困りますよ。そういうところから、私が当時出した過失補償という表現に対しましては、それは過失補償として措置することを検討するという確約をされて、あなたの前任者はお帰りになったのですから。ですから私が、その過失補償というのは原因者負担という精神ですかと申し上げたら、そうだと言う。いいですか、あなたは原因者負担ということですねと、そういう線にのっとっておやりになるんですねと言ったら、そうですという。その線、じゃ原因者負担というのは過失補償であなたがお気に召さなければ、それは損失補償でもいいですよ。そういうことなんです。損失補償ということばに置きかえてもいいですよ。そういうことなんです。全額補助金を出すから事足りるとするのでは、当委員会でお約束願ったこととたいへんな隔たりがございます、これは。電波一瞬万里を走る世の中ですからね。そんな隔たりのあるお答えではちょっと私も心もとなくて残念ですな。
#181
○政府委員(薄田浩君) たいへん私の理解が足りませんで申しわけございません。先生のことばじりで恐縮でございましたが、過失補償とおっしゃいましたので、私、いわゆる損害補償的な考え方では検討いたしております。
#182
○森勝治君 原因者負担というのは損害補償的な精神のものですよ。どういうつもりでお答えになったか、私はそういう解釈で質問しているのですから。あなたは賛成です、原因者負担いたしますと、そういう精神でやりますとおっしゃっているんだよ。じゃ違うじゃないですか。
#183
○政府委員(薄田浩君) 損失補償といいますか、損害補償という意味と、原因者負担という意味に理解さしていただければ、先生のおっしゃるとおりでございます。
#184
○森勝治君 じゃいいですね、それで。損害補償ということは原因者負担と同意語だ、同じ意味でいいですね。
#185
○政府委員(薄田浩君) けっこうでございます。
#186
○森勝治君 それならば、昭和四十五年以来御検討をわずらわしてきたということになりますね。それならば、四十七年度においても、そういう原因者負担ということでおやりになったらどうなんですか。依然として補助金という名前を使っている。看板に偽りありじゃないですか、看板に偽りです。あなたのおっしゃっておることと違うでしょう、措置されていることは。
#187
○政府委員(薄田浩君) 御指摘でございますが、実はいろいろ検討いたしましたが、なかなか立法技術上の問題もございまして、検討は今後とも続けてまいってまいりますが、四十七年度は結果的に先生の御趣旨には沿わなかったことになるのかもしれませんが、一応現行どおりの形で予算を計上さしていただいたということでございます。その辺、御不満もあろうかと思います。
#188
○森勝治君 不満というよりも、約束されたことを履行されないからなんですよ。不満じゃないのです、約束されたのですから。いわゆるあなたの言うのは、過失補償ということばはいやだ、損失補償ならよろしい。損失補償ということばを別な文字であらわせば原因者負担である、このことはあなたはお認め願ったのですよ。お認め願っておるけれども、あなた方は依然としてNHKには補助金の名目をもって事足れりとしておるのです。補助金ということであるならば、あなたがいま明言された、間違いありませんとおっしゃられた、あなたの前任者が昭和四十五年におっしゃられたこととおやりになっておることと違うと言うのです。すなわち加害者負担ではない、損失補償ではない。それが助成金という名目でごまかしているということを私は指摘したいのですよ。あなたのおっしゃっていることと、防衛施設庁がおやりになっていることが違うのでは困りますよ。もう少し――あなたの立場、わかりますよ、わかりますけれども、もう少し明快に、もう三年前にそういう約束をしているのですから、明快にひとつお答えしてくれませんか。
#189
○政府委員(薄田浩君) なかなかこの問題は検討に時間がかかっておることは事実でございます。それで、そういう認識はわれわれ持っておりますが、そこまで実は行き得なかったということが明白に申し上げられると思います。
#190
○森勝治君 あなた方は、いわゆる加害者という意識がないのですよ。損失補償ということ、原因者負担ということは、ことばを変えるならば加害者の立場をしょわされておるわけですから。いいですか。そうでしょう。加害者の立場をとらないで、補助金を出すという助成者の立場を堅持しておられるのですよ、助成者の立場。金をNHKに与えるという助成者の立場を堅持している。これでは、あなたが明快に答えられた原因者負担ということにはなりはしませんと申し上げているのです。しかし、あなたの立場もおありのことだし、前は原因者負担ということで明快にお答えはなかったのですよ。しかし、きょうは明快にお答えいただきました、おかげさまで。三年間の努力が実ったと私は理解するわけです。前は、検討するということだった。検討した結果、この損失補償というのは原因者負担であるということを明快にお答えいただいたのですから、まあこれは四十六年度の年度末でありますから、おそらくことしの予算編成に間に合わなくても、四十八年度の予算編成に際しては、助成者という立場をかなぐり捨てて損害を補てんするという立場、原因者負担という立場を堅持していただくようにお願いいたします。したがって、あなたの――あなたのというより、これはあなた個人でございませんで、施設庁の今後の方針についてお答えをいただきたい。
#191
○政府委員(薄田浩君) 施設庁といたしましては、先ほども申し上げましたように、ジェット機が原因で見えない、聞こえないということは十分認識しておりまして、原因者の考え方を持っております。それからもう一つ、助成の形でいまとりあえずやっておりますが、やはり損失補てんの考え方で前部長も答えております。私もそういうことで鋭意努力いたしたい、こういうふうに思っております。
#192
○森勝治君 こういうことですね、当時、私の質問に文書をもって答えられた中身があるのですよ。この中身は、いまの法律といたしますと、予算補助というこの文字を使わざるを得ない、いまのところは。だから、これでやるということだ、という意味のことを書いてあるわけですね。ですから、将来これを直すということでありますけれども、だから、それと同じように四十七年度の予算のときの、ことしはNHKに対する助成ということで予算補助というこのたてまえをとったけれども、これは助成者という立場じゃなくして、原因者負担の立場を防衛施設庁がとったものである。したがって、今後この線に沿って名実ともにそれを具体化することをいま検討中である、こういうお答えと理解していいですね。
#193
○政府委員(薄田浩君) 先ほど先生おっしゃいましたように、NHKとの関係では、損失補てん的な考え方で補助金のあれを使ったと、こういうことでは先生の御指摘どおりでございますが、制度としていろいろまた考えていかなければならぬ面もございますので、私が先ほど申し上げましたように、鋭意検討いたしたい、こういうふうに思っております。
#194
○森勝治君 空港関係の問題もう一つお伺いします。
 この国際空港関係についても、基地とほぼ同様な措置が講じられて、いわゆるNHKの持ち出しは解決された、こう聞いておるんでありますが、そのとおりかどうか、NHKにお答え願いたい。それからまた、大阪空港関係は低減措置の対象を拡大すべきだという要望が強いわけでありますが、この点についてのその後の措置状況をお聞かせ願いたい。
#195
○参考人(吉田行範君) ただいま御指摘のとおり、国際空港につきましては、国において、つまり運輸省におかれて、これ、従来NHKが負担していた分も含めて全額国の負担とするということは、御指摘のとおりでございます。なお、それに引き続いて国際空港周辺の方々から、範囲を拡大してほしいという御要望が参っておりまして、これはNHKへも代表の方がおいでになりました。で、私どもは、したがって、そういう御趣旨も十分に考慮いたしまして、運輸当局にもこの方針で拡大していただきたいということをお願いしております。そして、まあこれは仄聞するところでございますけれども、運輸省におかれても、この拡大をいろいろ検討しておいでになるというふうに伺っております。
#196
○森勝治君 そういたしますと、地元住民の要望、そのとおりNHKは実施をしたいという方針で関係方面と折衝している、こういうことですね。
#197
○参考人(吉田行範君) さようでございます。
#198
○森勝治君 会長、その点間違いありませんね。
#199
○参考人(前田義徳君) 間違いございません。
#200
○森勝治君 そうすると、NHKと住民との中で適用範囲の距離の問題が出ている模様ですが、住民の意向を全部のんだとおっしゃっているわけですね。その点を私は聞いているんですよ。簡単に間違いないとおっしゃるけれども、あなた方がいつも、ここまでは認めるが、これから先はだめだと言って地域住民とよく議論の押しくらまんじゅうをおやりになっているでしょう。そういうことは一切やめて、住民の希望をもっともだと考えて、NHKが救済措置――救済ということばはどうかと思いますが、解消措置をとると、こういうことですね。
#201
○参考人(吉田行範君) ただいまの御指摘で、ちょっと私の発言の間違いに気がつきました。私が先ほど申しましたのは、そういう方々の要望に沿って範囲を拡大するということについて運輸当局にお願いしているということでございます。
#202
○森勝治君 だから申し上げているんですよ。地域住民の要望と同じ考えで関係当局と折衝しているのかと、だから聞いているんですよ。それはあなた、いみじくも違うということじゃないですか。
#203
○参考人(吉田行範君) どうもまた失礼いたしました。拡大という御要望について私どもも意見が全く一致している。ただ先生御指摘のその範囲の問題につきましては、これは私どもとしては、今後は運輸当局がおきめになる問題なので、われわれのほうで――これはまた騒音のいろんな問題で環境庁でも御研究のことでございますので、にわかに範囲についてまで私どもが申し上げることは多少差しさわりがあるのじゃないか、そういうふうに考えております。
#204
○森勝治君 どうも前向き、うしろ向き、色とりどりの御答弁で、私はどれがあなたの正しいお答えかいま理解に苦しんでおるんですよ。いいですか、一番最初私が御質問申し上げたのは、たとえば大阪空港周辺等における低減措置の問題について対象を拡大すべきだという、この要望についてはHNKは全面的にこの地域住民の要望を受け入れてその方向に向かって関係当局に御努力されておるのか、あなたも会長も、これは大切なことですから、失敬でありますが、一見してこんな小さい問題です。問題は小さいですが、これは将来のたいへんな問題になりますから会長にも御意見をわずらわしたのです。そしたらそのとおりで間違いないとおっしゃる。それでは範囲の問題も住民の言うとおり要望を聞くのだなと言ったら、そのことは違うと、こうおっしゃるのでは、あなたのお答えはどれがほんとうかわからないですよ。会長その点ちょっと統率者ですから、ひとつまとめていただけませんか。
#205
○参考人(前田義徳君) 拡大の御要望については、NHKは同じたてまえをとっているという点は事実でございます。ただし、その拡大の限度がどの範囲になるかということについてはまだ未定であるという意味でございます。
#206
○森勝治君 その点はわかりました。
 そこで、今度はちょっと角度を変えて質問をしたいのです。これはNHKの番組編成の内容についてちょっと触れてみたいのです。
 御承知のように、最近は暖房とか冷房とかというものの出現によって、季節感というものがなくなりました。それからまたアポロ時代ですから、距離感というのも薄れてまいりました。私どもの人間生活の中にも盛衰起状というものがあるように、自然にも春夏秋冬があるわけですね。したがって、この季節の移り変わりというものをすなおに受けることによって、私どもは自立への心というものが養われ、あるいはまた何と申しましょうか、体力というものがたくわえられていくような気がするのです。ある人はこれを自然に返れという表現を用いております。ところが、今日のようなこの時代になりますと、われわれは郷愁を感じつつも、自然から離れていくような気がしてならぬのです。なぜならば、近代文明のこれはまあかすと申しましょうか、自然をそこねる姿が至るところに派生をしているからです。人は最近これを公害という名で呼ぶ場合があります。こういう自然の移り変わりというものを、人の心と心を通わすような番組の編成というものが、ややもすれば乏しくなって、最近はポルノとか、そういうどぎついということでしょうな、何かせちがらいようなのが番組の中にも、世相の反映といってしまえばそれまでですが、間々見受けられるような気がするのです。しかしNHKの立場をもってしますならば、自然の姿というものをありのままに人の心にすなおに入ってくるようなこの番組の編成をもってしていただくならば、人々の生活に潤いと活力を与え、またあした一生懸命がんばるぞという気力を持たせることができるだろうと思うのでありまして、したがってたとえばふるさとめぐりですか、なにかありますね、そういう一つの出し物もありますけれども、そういう自然に返ろう、自然を取り戻そうと、こういう編成についてのお考えをひとつお聞かせをいただきたい。
#207
○参考人(前田義徳君) 全く同感でございます。いまのようにいろいろなメディアが季節を越えて表現可能である、そしてまたそれがわが国ばかりでなく、全世界的な傾向で、おそらくそれがもうマキシマムに達している時点だと思います。したがいまして、私どもとしては、幾多の番組の中で、簡単な例を申し上げますと、「自然のアルバム」であるとか、御指摘の、各地を回っての「歌まつり」とか、あるいは「新日本紀行」、それからまた社会的ドキュメンタリーとしては、ゆうべもやっておりましたが、季節の渡り鳥、港の開発という問題を各角度から取り上げております。しかし御指摘のように、現在の限度で私としてももう足りるかどうかということが新しいやはり番組編成上の一つの問題点である。
 御承知かと思いますが、昨年の化学ノーベル賞受賞者のガーバー博士をきのうからお招きして、ゆうべも特別番組をつくっておりますが、この先生の一番新しい著作である、いわゆる「技術・社会・哲学のインノベーション」という著作がございまして、私はきのうちょうだいしたのでそれを読んでおりますが、今後の問題はやはり自然、したがって季節、これと技術の発展との調和をどのように人間が調整していくかというところに問題がある。まあ簡単に言いますと、自然人は数億年にわたって自然とともに生きてきている。まあ十六世紀以降科学の発達によってそれが逆の経過をたどってきており、そして今日それが極限に達しておる。ですから第一種の人間と第二種の人間ができた。ところがこの数年間、その間に介在する第三種の人間ができた。まことに先礼な――これは私の表現でございませんので、ガーバ一博士は、この第三の人間とは政治家であるということを言っております。そしてこの第三の人間が、今後この第一の人間と第二の人間との間にどういう政策を打ち立てていくかということが今後の問題になる。はたして第三の人間に期待できるかどうか。期待できなかったとしても、まあ人間としては御指摘の方向にいくべきであるということを書いておられます。私はきのうこれを読みまして、非常に感銘を深くいたしました。この第三の人間については私の考え方ではなく、ガーバー教授の考え方ですからお許しいただきたいと思います。私は「自然のアルバム」であるとか、ああいう番組を過去十年余りの間に編成事務当局からは、もう変えたほうがいいという意見も出ましたけれども、非常にりょうりょうたるこの種番組の中で、残っておるものの代表的なものであり、しかも、これはやはり国民全体が何となく期待している番組ではないかという意味で、私はその存続をいままで主張してきておりますが、こういう本を読んでみますと、この限度ではもう足りない。やはり新しい視野に立って自然観――人間と自然の関係を明らかにしていく番組が必要であろう、このように考えております。
#208
○森勝治君 会長からしばらくぶりでよい話を聞きました。
 そこで、もう一つお伺いをしたいのでありますが、御承知のように、最近は何と申しましょうかな、せちがらい世の中という俗っぽいことばがありますが、文字どおりせちがらい世の中になりまして、失敬でありますが、たとえばNHKの歌の放送などを聞いておりましても、何となくせせこましい表現の歌が最近は取り上げられている。これは時の移り変わりのなせるしわざでありましょう。ですから私ごときが軽々に論断を下すのは早計かもしれません。しかしながら、私は率直に申し上げたいのでありますが、いま自然にということばを申し上げたと同じように、何か人の心にすなおさがなくなってきている。親切心がなくなってきたようだ。ほのぼのと心のあたたまるような問題にあまり最近は遭遇しない。もちろん私はかつての修身的な復活は反対であります。しかしこの前いつか、もう数年前でありましょう。私もそういう一つの感動した事例といたしまして、NHKの報道についてこの席上で申し上げたことがあります。忘れもしません。有名な作曲家の古賀政男さんが浪々の若かりしころ、ともに苦労を重ねて古賀さんを育ててくれたなき母をしのんだときに、あの人はぼうだたる涙をこぼしてこの母の追憶を語った報道がありました。あれは劇というのか、何というのか、私ちょっとその中身は忘れましたが、そういうことがありました。私どもはそういう潤いのあるものが、最近は若干と申しましょうか、NHKの番組に欠けてきたというと、一生懸命おやりになっている皆さんにおしかりを受けるかもしれませんが、至って少なくなってきたような感じがするわけです。したがって、そういう面にもひとつ何とか心を用いてやっていただけないものだろうか。「ふるさとの歌まつり」のように、南から北へと人々の心をなごめて歩いているNHKのあれも、なかなか民放でまねのできないような出しものがあるわけですから、そういう面からいたしましても、全国いずこにもそういう親切な人や、あるいは心あたたまるような話がたくさんあります。したがって、これは昔と今というふうには私は申しません。この目まぐるしい世の中でありますから、三十一文字をもっておのれの心を他に伝えたという万葉の昔のようなのどかな現代ではございませんから、私はそこまでは求めませんけれども、何となく、そういう心と心の触れ合うようなものが場面から薄れていくようなことを残念な気がして見ている者の一人として、ぜひともそういうものを今後とも、これはむしろこんなこと私が言いますと、この席上で予算案審議いたしまして、要望的な個人的な見解になってしまうような気がしますのですが、私は私の感想を率直に述べて、そういうものもお取り上げになったらどうかというNHKの考え方をただしてみたいと思うのです。
#209
○参考人(前田義徳君) 私はたてまえとして全く同感であります。現在でもかなり一日の間にそういうことを目標として、しかも、文化的内容あるいはどの社会でも共感をいただける番組がかなりございます。たとえば「スタジオ一〇二」でも、現在はいろいろな激しい社会の移り変わりを報道しておりますが、同時にいずれかの部分にも必ず自然を取り上げております。
 それから、たとえば「繭子ひとり」という、テレビ小説と私どもは言っておりますが、これはかつてない、終わりに近づくほど聴視者の皆さんの共感をいただいている番組ですが、これは明らかに季節感との中で、聴視者との結びつきがはっきり出てきた番組の一つだと私は理解するわけです。あるいはまた午後二時過ぎの「女性手帳」の中で、大体そういう目標でいろいろな文化的な問題が取り上げられております。
 またその時間に先立って「町から村から」という、まあ東京の場合は特にその番組は目立つわけですが、これもはっきりと季節感を取り入れて行なっております。
 私が先ほどの御質問に答えて申し上げた私の考え方は、現在でもかなりございますけれども、やはりNHKの編成方針の大きな柱として、この点を助長していくべきであるという御質問を伺いながら、痛感している次第でございます。
#210
○森勝治君 もう一つ、同じ関連のような中身で質問をしてみたいと思うのです。
 私どもはだれしもがふるさとを持つわけです。しかし、そのふるさとすらも住みにくいといわれるような世の中になりました。だからこそ私どもは郷愁というものをさらに痛感するものではないかと思うのです。したがって、先人のあとをしのび、これを後世に伝える、人呼んでこれを伝承ということばで表現いたしておりますが、そういう問題についてもぜひともNHKで取り組んでもらったらどうかと私は思うのです。もっとも、限りある番組の中で、あれもこれもというのは、これはたいへんです。ですから、そう無理な注文を申し上げてもどうかと思うのですが……。
 それからもう一つ、このアポロ時代ですから、あまり人間の知能が進んでまいりますと、みずからの生存を脅かすようなことにもなりかねませんけれども、やっぱり発明とか開発というものをNHKの番組にして、進んで世に紹介してやるべきではないかと私は思うのです。だからその二つについて、これは時間の関係から私は簡単にいま申し上げたのですが、この二つの点についてひとつお答えをいただければと思って質問いたします。
#211
○参考人(前田義徳君) この点についても私は同感でございます。で、おそらく一週間のうちに数回その二つの目標を持った番組が総合テレビジョンでも放送されております。まあ歴史は御承知のように、非常に異なった語りの、まあ学者でもなければ、ただその道に詳しい人に語っていただいて、その中から、その人の環境とか、その時代を反映する番組がございます。一週一回でございますが、これも御承知のことと思います。たとえば最近の明日香村の古墳の発掘についても、NHKはいろいろな時間に全力をあげて放送いたしております。また、人間国宝とか、そういう問題とも関連して、郷土芸能――今回は特に沖繩の文化財として指定された芸能の御紹介もいたしております。それからまた新しい発明発見についても、たとえばPCBを中和する新しい酵母ができたというニュースはおそらくNHKが最初だったと思います。それをさらに発展的に継続して放送いたしております。ですから、われわれもその方向で検討しておりますが、同時に、この問題もNHKの番組編成方針の基本的方針として私どもは堅持しておりますが、できれば、これもさらに発展させてまいりたい、このように考えております。
#212
○委員長(杉山善太郎君) 質疑の途中ですが、これにて午後七時半まで休憩をいたします。
   午後六時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時開会
#213
○委員長(杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 休憩前に引き続き、森君の質疑を続けます。
#214
○森勝治君 郵政省に――郵政省というよりも郵政省の電波監理局長にお伺いをします。なぜ私がこういう表現を用いるかと申しますと、先ほど私の質問の冒頭でもおわかりになるように、郵政省を代表する御意見は残念ながらきょういただけないんです。あなたの所管事項に関することのみしかいただけませんので、私はそういう表現を用いたのです。
 そこで、これをあなたに聞くというのも、実は、そういう観点からは若干おかしいのです。なぜなら、私がこれから拝聴しようといたしておりますものは、郵政大臣の本予算案に対する意見書の問題についてだからであります。ですから、あなたの考えは局長の考えであって、省を代表するものではないという先ほどのお話ですから、ほんとうはもう聞いても聞けないんでありますが、あなたに対してそれはそんたくして恐縮でありますが、省を代表する御意見を聞けないんでありますが、しかし、そう言ってあまりかたくなになっても議事進行上いかぬと思いますので、私は所管の長としてのあなたに御意見を求めるのでありますが、作文した事務当局でありますから、従来の意見書と違って、違った御意見を出されておりますので、そのことについての考え方をひとつお聞かせ願いたい。
#215
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。
 郵政大臣の意見書というものは、今回、従来のものと多少変わっているわけでございますが、私ども、特に他意があって特別こういうものをつけたというわけではございませんで、ただ、NHKの昭和四十七年度の予算につきましては、先ほど来、けさほども御審議がございましたような、いわゆる資本収支から事業収支への八億二千万円の繰り入れというまあ異常な事態が計上されているわけでございますが、この原因とするもの自体につきましては、すでにいろいろ議論がありましたように、いわゆる沖繩の復帰という特別な事情があるということは私どももよく理解しているわけでございますが、昭和四十七年度におきましては、いわゆる前年度に比べまして九十六億余りの増収が予定されている。これは、いわゆる前年度に比較した率にしますと九・六%の増加率でございまして、この増加率自体は、過去数年見ましても、昭和四十六年度は一一%というわりあい大きな額でございますが、それに次ぐものでございまして、収入の面から見ますれば、昭和四十七年度の増収というものは低いものとはいえないというわけでございます。
 一方、事業の支出というものは、沖繩におきまする支出の超過というものが見込まれるという事情があるにいたしましても、この収入の増を上回ったということのために、総計しまして資本収支から八億二千万円の繰り入れということを計上するに至ったということは、いわゆる昭和四十八年度以降の収入の増というものが、カラー契約というものが、明年度末では契約全体の三分の二にも達するといったようなわけでございまして、今後大きな増というものは期待できないということを考えますと、あまり好ましいものではないというふうに考えるわけでございます。大臣の意見というものは、こういった長期的な展望というもののもとで、協会経営の今後の安定という見地から、予算としましてはこれは認めるのにやむを得ないということにいたしましても、予算の執行の段階で経費の節約と経営の合理化といったものをさらに徹底していただいて、繰り入れを回避することができるように協会に対しまして一そうの努力を要望したというわけでございます。
#216
○森勝治君 どうも理解力がありませんから、げすな表現で、あなたのおっしゃっているのはこういうことですかということで私なりにそしゃくしたものをことばであらわしてみれば、ことしの予算はけしからぬと、しかし出してきたのだからしょうがないが、あとは気をつけろ、こういうことでしょうか。
#217
○政府委員(藤木栄君) 私どもは特にけしからぬとか、けしかるということは申し上げてないわけでございまして、この八億二千万の赤字ということ自体につきましては、なるほど沖繩の復帰ということで理解はできるわけでございますが、先ほど申しましたような、今後の長期的な見地に立ちました場合、この収入の増というものが相当あることを考えますと、好ましくはないんじゃなかろうかと思うわけでございますが、しかし予算は予算としてお認めしましょう。ただ実行の段階におきまして、経営の努力をされまして、少しでも赤字を返していただきたい、こういう趣旨のものでございます。
#218
○森勝治君 会長にお伺いしますが、いま局長はああ言っておられるのです。大臣はまたほかの角度で、この問題について言及されている模様でありますが、これはもう衆議院等におきましても、おそらく大臣の見解というものは、もうつぶさに御承知だと思うのであります。したがって郵政大臣、郵政省の出された意見書に対するNHKとしての受けとめ方は、どういう受けとめ方をされておりますか。そのことをひとつお聞かせ願いたい。
#219
○参考人(前田義徳君) 私は郵政大臣が、郵政大臣のお立場で意見をお書きになることは当然だと思っておりますし、また、それが制度上のしきたりでもあると思っております。しかし、非常に御熱心な御討議で私どもの考え方を明らかにしているように、私どもとしては全般について理由のない赤字をつくったわけでもなく、これからの展望でも、まあこの赤字の解消はできるというたてまえで、実はいろいろと御説明申し上、げたわけで、ただ私どもにとって、率直に言って経営責任ということばを使われることはかってなかった表現でございます。普通「協会は」とか、そういう「経営責任」ということになりますと、まあ私をはじめ総勢十二人が執行機関でございますから、これはやはり私も人間でございますので、この表現はかってない表現であるというように理解するわけでございます。
#220
○森勝治君 郵政大臣、着席早々ですみませんけれども、大臣にひとつ注文があります。
 実はきょう、私どもはいよいよ四十七年度のNHK予算の大詰めの審議を、御承知のとおり展開中でございます。ところが、従来もそうでありましたが、今朝来の郵政省の態度というものは、全く審議に御協力願えない。このことは残念でございます。もちろん、大臣は衆議院のほうにおいでですから私は大臣までとは申さぬけれども、大臣にかわる者を出してほしいということを、私もこちらにおられる松本さんも要求をしておりましたが、われわれが指摘するまで大臣の御出席ができるものやら、あなたを補佐する次官がおいでになるものやら、郵政当局からは一片の御相談も御報告もなかった。そういう観点から、私の前に質問を予定しておりました松本さんは憤慨されまして質問を取りやめいたしました。いいですか、私が質問の冒頭に申し上げたことは、すでにもう下僚からの報告がおありでしょうけれども、したがって、私は残念ですが、いま変則質問をいたしております。なぜ私が変則という表現を用いますかというと、この大切な郵政省が四十七年度のNHKの予算案を提案する当事者でありながら、郵政省を代表して説明する立場の者がだれもおらなかったということであります。残念でございます。この点は確言を私の手からいたしまして、ただいままで変形委員会の審議を取り行なったということ。郵政大臣としても、これは部下の監督という点からいたしましても、まことに私どもは残念しごくでございます。大臣、私は本来このように侮辱された委員会では発言をいたしたくなかったのであります。しかし、国民のためにNHKの当面するもろもろの課題を解決しなければなりません。そういう段階からNHKのこの問題につきましていま取り組んでおりますけれども、口では可及的すみやかになどと言っておりますけれども、この現実の姿というものは、まさに絵空事に等しい、私は、あえて具体的にこの問題について、いま指摘をしているわけであります。まことにこれでは困る。私はこういう中におきまして、従来もわれわれはしばしば指摘しておりましたマル生の問題、労使の問題というものは、郵政当局の高級官僚と申しましょうか、幹部の中の、国会に対しても、こういうゆるがせにできない態度というものが下僚に対しても、あるいはまた現場のもろもろの職員に対しても、そういう態度で臨んでいるんだと、私は失敬でありますが、まじめにいまおいでくださったあなたに敬意を表しまして、これは全く国会無視であるという表現は使いません。しかし、少なくともそういう傾向のあったことは、残念でございますが、現象として指摘せざるを得ないのであります。この点について、まあ先般もマル生の問題については、大臣の正直なお答えをいただき、また、ここで、私がこういうような苦言を呈することが、私個人としてはまことに忍びないのでありますが、私どもこの逓信委員会の名誉のために、私は、ちょうど大臣の顔を見ましたから、あなたのまじめな顔を見ると、私は口が悪いですが、一言は遠慮しなければならぬ、植木等の弟くらいの気持ちであいさつをしなければならぬと、こう考えたわけでございます。これは一言多いのは植木等――植木という俳優さんの何かキャッチフレーズみたいになっておりますから、そのことばをちょっとなぞったわけでございますけれども、何としても残念でございます。私は先ほど郵政省を代表する方はだれかといって申し上げたんですが、官房長は私でございますと言わず、いや官房長は藤木局長だとおっしゃられた。しかし私どもは官房長をお呼びしてない。そこで、今度は藤木担当局長にお伺いしようとしたら、私は郵政省を代表できません。所管の長としての権限の範囲内、ワク内だけのお答えしかできませんというお話でございましたから、これは速記録を見ていただければわかりますが、官房長の話と藤木さんの話には明らかに食い違いがございます。しかし、いま申し上げたように、この問題が、定例日のきようで採決しなければ今年度にNHKの予算というものを可決するチャンスは当委員会でございません。したがって、そういう観点から私は忍びがたきを忍んで今日ただいままで質問を続けてきたわけでございますから、今後このようなことのないようにひとつ十分お気をつけいただきたい。このことにつきましてはお答えは要りません。
 そこで、次の問題に移りますが、郵政大臣、実はいまNHKが十七年ぶりに赤字予算を計上したことについて大臣の見解をただしたかったわけでありますが、大臣がおられませんし、郵政省を代表する方がおりませんから、所管の長として藤木さんに局長としてどうかという御意見をいまお聞きしておったところであります。それで、いま会長のお答えをいただいたところであります。そこへちょうど大臣がおいでになりましたからあなたにさっそくお尋ねをするわけでありますが、郵政大臣のこの意見書を見ますと、NHKはいま申し上げたように十七年ぶりの特異な予算を組んだということもあるでありましょうが、郵政省としても例年に異なった御意見の内容でございますから、この点についてお伺いをしたいと思います。
#221
○国務大臣(廣瀬正雄君) NHKの明年度の予算をなるべくすみやかに審議を終了したいということで、夜間に至るまでこうして御熱心に委員会を開いて御検討くださっております皆さんの御支援に対しましては、心からお礼を申し上げる次第でございますが、このきわめて重要な委員会にあたりまして、私は御承知のように朝来ずっと引き続きまして衆議院の暫定予算の審議に出席いたしておりましたために、こちらのほうに参ることができなかったわけでございまして、私の代人たるべき政務次官が御病気ではございますけれども出席ができずに皆さま方にたいへんに御迷惑をおかけいたしましたことは、実は私は朝のうちは知らなかったのでございますけれども、先刻官房長からそういう報告を委員会の最中に受けてびっくりいたしますとともに、皆さま方に対してほんとうに申しわけなかったと考えておるわけでございます。決して郵政省が国会軽視というような気持ちを持っておるわけでは断じてございませんですけれども、とにかく形におきましてはそういうようなことになってしまったわけでありまして、大臣といたしましてほんとうに申しわけないと痛切に感じておりますわけでございます。この点につきまして、今後十分気をつけてまいりたいと思っておりますので、心からおわび申し上げる次第でございます。
 ただいまお尋ねの四十七年度のNHKの予算につきまして、近年異例の「やむを得ないものと認める」という意見書をつけましたことについてお尋ねでございましたが、私はNHKが決して放慢政策で仕事に不熱心であるとか、あるいは企業努力に足らぬところがあるというようには考えていないわけでございますけれども、ごらんのとおり、沖繩が新しく本土に入ってくるということについて、その放送事業の整備のために相当多額な経費を必要とする、そのために八億二千万の赤字を出しておりますわけでございますが、これと同じ金額の八億二千万が資本収支から事業収支に繰り入れられなければならないというような、一口に申しますれば、赤字予算を組んでおるということは、私どもといたしましては、いかにも遺憾に思いますわけでございます。いろいろ御勉強なさっておるとは思いますけれども、さらにさらにこの予算の執行にあたりましては、一カ年間あることでございますから、一そう企業努力、経費の節約等万般の配慮に一そうの御努力を願って、そうして総額千百十四億円というかなり大きな金額のうち、八億二千万でございますから、パーセンテージで申しますと、〇・七四%でございますか、というような数字でございまして、こういうことは、官庁としましては、よく行政管理庁あたりからいろいろ叱正されるような事柄でもありますわけでございます。そういうような私どもの考えから、支出については最善の節約を願い、収入についてはこれまた最上の御勉強をいただきまして、そうして何とか執行において赤字を解消するように御奮闘願いたい。もちろん、この予算の執行にあたりましては、NHKの自主的なお立場からおやりになることでございますから、どの項目をどういうふうにやったらいいというような具体的な考えを持っているわけではございませんけれども、とにかく、総括的に全般としてそのような御努力を願いたい、そうしてひとつ八億二千万という赤字の解消に御奮闘賜わりたいという意味の意見書を添えたわけであります。意見書を添えましたのは、そういう趣旨でございます。
#222
○森勝治君 十七年ぶりに赤字予算を組んだということで、組まざるを得なかったのでありましょうけれども、世間では、あっと驚く為五郎ではございませんが、びっくりして目をまだ開いたままでございます。世間では、親方日の丸の放送協会などという声も、かしましい向きからはそういう声も聞こえます。その親方日の丸と目されるNHKにして、赤字予算とは何ごとぞやとある人は言いたいところでございましょう。あるいは郵政省がそれを端的に、ことばは違うかもしらぬが、そういう面を指摘したのでありましょう。したがいまして、この赤字予算を組まざるを得なかった理由並びに編成にあたって経費の節減等にどのような配慮をされたか、この点を聞きたいのです。
 実はきょう午前参考人に来ていただきまして、有益な話を聞かせていただきました。参考人の一人の方は、赤字予算と通説ではいわれるが、必ずしもこれは赤字予算ではなさそうだ、赤字予算と銘打つのには云々というようなおことばもその中にありました。したがって、そういう点について、いま私が前段で申し上げました点について、ひとつお聞かせをいただきたい。
#223
○参考人(小野吉郎君) 予算といたしましては、沖繩分も入れまして総体で収支償う予算を組むことが理想でございます。私どももそのような努力をいたしたわけでございます。何も本土と沖繩を分離いたしまして別々編成は基本的にはいたしておりません。
 ただ、何ぶんにも過去いろいろ節約に節約を重ねてまいった四十七年度の予算でございます。この年度につきましても、過去の年度よりも一そうの勉強をいたしまして、経費の節減、これについてはあとう限りの最大の努力を払ったつもりでございます。これと同時に、もろもろの公共料企の値上げ等の影響は七億二千万ばかりの影響をかぶります。他の料金の値上げの圧力のもとに、経費の節減につきましては先ほどから御答弁を申し上げましたように、二十億の節減をつとめておりまして、いまこれがぎりぎりの限界だというところで編成をいたしてみますと、本土の分につきましては収支償うわけでありますけれども、沖繩分について、遺憾ながら八億二千万どうしてもこれを収支償う状況に持っていけないと、こういうことでございまして、何もこれは沖繩分を別にするとか、どうとかいうような、たてまえ上そういうような立場はとっておりませんし、また、全体で節減可能なものを惜しんで編成をしたわけでもございません。精一ぱいの努力をいたしました結果あらわれました数字がこのようなことで、私どもはこれを赤字とは称さないで、収支不足分と考えております。これはいずれあとでこれを解消し得る努力をしますし、道もあろうかと思いますので、そのような表現をとっているわけでございます。編成上のいきさつはそのようにいたしたわけでございます。
#224
○森勝治君 この前の新谷さんの御質問にも、副会長は節約に節約を重ねた上、そのまた節約云々というおことばを使われました。きょうは一つ省かれまして、失敬でありますが、節約に節約を重ねたと、こうおっしゃっておられますが、副会長あなたがそのように広言されるほどNHKの経費というものは節約を旨とされておるでしょうか。私は必ずしもそうでないような気がするのです。あなた方が何か赤飯の重詰めを重ねたように、重ねた重ねたとおっしゃるが、そこまで強調されぬでもよかろうと思うのです。私は、そこであなたがおっしゃるほどNHKの予算使用にあたっては節約を重ねられてないという一つのうわさ話を申し上げます、ごく小さい問題について。大きい問題もありますが、背が小さいですから、小さい問題を取り上げて申します。一例でございます。たとえば、皆さんがこれはどこの部門か知りません。あるいは報道局か芸能局かいずれかはさだかでございません。皆さんがたとえば地方に取材にいかれる場合がありますね。NHKの車ばかりは使用はいたしません。民間のものを雇い上げられる場合があるでしょう、ささやかな話をしておりますよ、ごく小さい話をしているんですよ、いいですか。東京から車を雇い上げて現地へ参ります。現地では車は必要ないわけなので、行ったり来たりするだけに使うわけですから、必要はないのでありますが、その車は取材が終わるまでそこへ一日でも二日でも置いておくそうであります。うわさでございますから私はそういう表現を用います。連れていかれた運転手は仕事がありませんからあくびしている。向こうでその運転手が次の用、次の使命を帯びて転々と移動されるなら、また作業される、行動されるならいざ知らず、雇い上げた運転手はそこへ置きっぱなし。それで今度用事が終わって帰ってこられる。なるほど急速に忙しい場合もあるでしょう。だからそこに待たしておくということもあるでしょう。しかし、全然車を持ってったきり動かさずして一日ほうってあるわけですね。運転手の宿泊代もかさむ。雇い上げの費用もかさむ。これは見解の相違だと言えば分かれてしまうわけでありますが、私はこの辺のところにもう少しこまかい心づかいをされるならば、それを目撃した皆さんからむだづかいと指摘されるようなことにならぬだろうと思うのです。いいですか、会長。ごくわずかな問題についてと私は断わりをしたのです。小さいことで言ったのです。あまり大きいことを言うと差しさわりますから小さい例で言いましたが、小野さん、あなたがおっしゃるように、節約に節約を重ねる――ことばを取りかえれば耐えがたきを耐えしのぶなんてことば、それにあてはまるようなわけにはまいらぬと思うんです。だから、あなたは正直におっしゃっていると思うのです。正直におっしゃっておられるならば、NHK全体がそういう空気で動いてもらわなければならぬのではないかと思うのです。ごく小さい問題を私引例いたしました。その辺のところの問題が非常に肝要ではなかろうかと思いますから私は申し上げたのです。したがって、そういうことに御努力されれば、――なおかつ、御努力される余地がおありのように私はこの一事をもってしても指摘できるように考えます。したがって、いま、私は、ほんとうに微小なる事件について申し上げたのであります。あるいはこれは群盲象をなでるというものかもしれません。しかし、たとえ、群盲が象をなでたような小なる問題といえども、千慮の一失ということ、アリの穴から王国がくずれるというたとえもあるわけですから、そういうところにこまかい配慮があってしかるべきものではないか。したがって、節約に節約を重ね、そのまた上にというような文字の浪費的な表現というものはできるだけおやめになったほうがよろしかろう。私は、あえてこういう発言をいたしまして、副会長の御意見をいただきます。
#225
○参考人(小野吉郎君) 多少、私の発言がお気にさわったようでございますけれども、ただいま、うわさ話を例として引用されました。私どもは、そういうことがあってはならないと思います。そういうことでいろいろ引き締めをいたしておるわけでございまして、かりに、そういう面がまだあるとすれば、これは大いに努力をしなければならないと。そういった面で、私ども、そういうような事例は現実にはないであろうと、こう考えますし、また取材のことでございますから、いつどういうことがあるかもわからない態勢に応じなければならないこともまた取材上の必要でございます。そういう点は一そう注意をいたしまして、綿密な管理をいたしたいと思います。
#226
○森勝治君 会長にお伺いしたいのでありますが、先般の決算のときの私の質問に関連いたしまして、会長はこういう発言をされておるのです。受信料の引き下げという期待には答えられないが、少なくとも、四十七、八年度は据え置き、さらに内幸町の本部建物の売却益という玉手箱があるので、四十九年度も値上げは回避できるのではなかろうか云々という、こういうお答えをいただいております。このことは放送センターの総合整理に要した費用百十五億ですかを相殺した上、相当な利益が生じるから、だから値上げは回避できるのではないかというお答えになったものと、こう理解してよろしいですね。
#227
○参考人(前田義徳君) 結論的に申し上げれば、さようでございます。同時に、私としては詳細に検討いたしております。しかし、四十九年度について、確言ができないというのは、その間に社会的環境がどうなるかという問題がありますから……。
 それから百十五億のこの建設費のうちで、二十七億はすでに霞が関との関係で、もう償却しておるわけです。そうして、その霞が関の処分の一部分は借金の返済にも充てておるわけです。そういうことをしさいに考えていきますと、可能性はあり得ると私は考えておるわけなんです。
#228
○森勝治君 一般の企業では、いま、会長がおっしゃられましたように、土地、建物、いわゆる不動産などの処分益や、積み立て金などを取りくずしまして配当に回している、多少会社の営業成績が悪くても。世間ではタコ配などということばで表現いたしますが、そういう形を民間ではままとっている例があります。民間ではそうでありますが、さて、NHKの場合、固定資産の処分益などの積み立て金を事業支出に充てることができるのかどうか、この点をお伺いをしたい。
#229
○参考人(前田義徳君) それは現在の、何といいますか、予算書の形式、あるいは会計制度の形式では、そういう形がそのまま適用できるとは思っておりません。したがいまして、御審議いただいている明年度予算でも、資本収支から一般収支への繰り入れという形をとらしていただいたわけです。この点は、将来の制度の問題で、私どもとしては、その点については、やはり私ども自身も研究いたさなければならないし、必要あれば御当局にもお願い申し上げ、また、その御指導を得る必要もあるかというように考えております。
#230
○森勝治君 会長が言明されておりますように、早晩、本部建物というのは売却という形に進むでありましょう。また、私はここで一言申し上げておきたいことがあるのです。それは、なるほど、日本放送協会というものの所有物でありましょう。しかし、これをせんじ詰めてまいりますなら、ば、これらの建物は視聴者の貴重な財産であるということばでも表現ができるだろうと思うのであります。したがいまして、私の申し上げていることばが是ということに相なりますならば、やはり視聴者の立場を考えまして、これらの建物等の処分につきましても慎重の上慎重を期さなければならない、私はこのように思うんであります。したがいまして、さて、それではこれを処分する場合にどんな処分方法をもってするのか、この点伺っておきたい。
#231
○参考人(前田義徳君) まことにお説のとおりでありまして、前段で、私がこのお金を聴視者との関係では値上げを回避するという形で御説明申し上げましたが、端的にただいまの御質問に答えますと、これは公共的な競売の方法をとるべきであると、はっきりだれでもが御理解願える方式をとるべきであると、このように考えております。
#232
○森勝治君 それはぜひそういう方法をしていただきたいと思います。
 そこで、次の問題に移りますが、御承知のように、NHKは受信料を唯一の経営財源としているわけでありますから、受信契約の普及、開拓や受信料の収納等には万全を期しておられることと、私はそういうふうに理解をいたしております。だが、そういう御努力はされてもそこにまだ改善の余地があるのではないか、私はそんな気がするのです。もちろん、NHKのやり方に行き過ぎがあってはなりませんし、NHKというものが、いまも触れましたように大衆負担の上に成り立っておるわけでありますから、いたずらに刺激をしたくないという、こういう気持ちもわかります。しかし、いま世上若干の場所で取りざたされております不払いや未契約、こういうような、私はこの際あえて悪慣行という表現を用いますが、悪慣行が蔓延する傾向があるのではないかと思うのです。決算のときに私はこの点を指摘いたしましたところ、小野副会長から、いや、それはほんのわずかですと、こういう意味のお答えをいただきましたが、私はどうもその点が懸念されるところであります。したがって、負担の公平を期するという、そういう観点からも営業努力を期待をするわけです。特に営業努力について期待をするわけでありますが、先般の、たぶん塩出先生の御質問の中にも関連したホテルの問題が出てきましたように、これ以上のことは手が出ませんという、ホテル関係では、私どもをもって言わしむるならば、やや投げやり的なお答えです。そういう問題については、そんな非常に消極的なお答えにとれたわけであります。しかし、それであってはならぬわけでありますので、何と申しましても、このことはNHKの四大重点事項の一つでございましょうから、十分前向きの姿勢でお取り組み願わなければならぬのではないか、私はこう思うのでありますが、その点についてお答えをいただきたい。
#233
○参考人(小野吉郎君) 御教示のとおりでございます。私どもも契約の捕捉を完全にいたし、また契約いたしましたものの収納はできるだけ一〇〇%収納ができるようにつとめることは私どもの責務であろうと思います。この点につきましてはいろんな問題もございますけれども、そういう困難を乗り越え乗り越え努力に努力を重ねていかなければならない問題でございまして、私の先般の御答弁が、何か投げやり、消極的なように聞こえたといたしますならば、これはことばが足らなかったのではないかと思いますが、そういうようなつもりではなく、この点こそより一そう積極的な努力を不断に続けていかなければならないと思っております。
#234
○森勝治君 この点についてさらに私はお伺いしたいのでありますが、新規開拓と申しましょうか、普及開拓の場合ですね、NHKの職員が当たる場合と、委託者ですか委託団体ですか、そういう方が当たる場合と二通りありますね。ですから、ならばその比率ですね、協会の職員と、そういう委託された方々との比率についてはどうなっておるのか。もし外部委託というものの比重というものが大きいということになりますならば、皆さん方の直属部下すなわち直属職員ならば皆さん方幹部の意向が反映できますけれども、これらの委託の方々はあるいは個々契約でありましょうから、そうなれば皆さん方のこうした前向きの積極的な意向というものが必ずしも十分に反映できないうらみがあるのではないか、私はこう考えるのであります。したがいまして、これらの皆さん方にも手当等を十分支給する等の方法などをもってして、契約率を高めるというのもまた一つの方法だろう、私はこう考えるのでありますが、一体この辺のところは実際はどうなっておりますか。
#235
○参考人(小野吉郎君) 御指摘のとおり、契約、やっておりますものと委託によるものがございます。その委託にも個人委託と郵政省の一つの機関としての委託がございます。この辺につきましては、職員については管理が行き届くけれども、委託の関係については個々契約なので管理が十分に行き届かないのではないか、この面は非常な協会の重要な責務の一つとして不断の格段の努力をしなければならないことでございますけれども、その努力の協会の方針、意思が十分に徹底しないのではないかと、こういうような御質問と拝しますけれども、その点につきましては万遺漏のないような処置をとっております。
 なお、御質問のそういった種別の現在の状況がどうなっておりますかは吉田理事のほうからお答えを申し上げたいと思います。
#236
○参考人(吉田行範君) 御指摘のとおり、それからまた、ただいま副会長からもお答え申し上げましたように、私どものほうのこの契約並びに集金の仕事は外務職員と、それから受託者、大体大ざっぱに分けますと、この二つに分かれておるわけでございます。で、おもな相違は、外務職員のほうは先ほど来御指摘がございましたように、主として問題受信者の解決に当たるということが一点でございます。それからさらに口座前納の開発をいたします。それから受託者の指導に当たります。したがいまして、外務職員の集金区と申しますか、あるいは契約区と申しますか、それは必ずしも場所が限られているわけではなくて、そういういろいろむずかしい問題が発生いたしましたときに、臨機に活動できるようなことも考えておるわけでございます。で、それに対しまして、契約者、受託者のほうは一定の地域で自分の裁量で契約なり収納なりをいたすというたてまえになっております。ただいま待遇のことでお話がございましたので、来年度の例をごく簡単に申し上げますと、大体受託者に対しては、一一%程度の手数料のアップをいたしております。そのほかに、従来はつけておりませんでしたいわゆる報労見舞金と申しますか、医療並びに労災、そういうものについてのめんどうを見るということで、一億七千万円ぐらいの支出をいたしております。
#237
○森勝治君 その外部委託の方々の生活というものは十分成り立つのでしょうか。
#238
○参考人(吉田行範君) 外部委託の方々で、都市を担当していられる方と、それから郡部と申しますか、いなかを担当していられる方とありますが、平均いたしまして十万五千円程度の収納でございます。
#239
○森勝治君 この前も質問がありましたが、たとえばホテル、旅館等の場合、四十五年度の調査でも、NHKさんがおっしゃったのも、ホテルは三万八千、旅館と名づけるものは七十三万というお話でありますね。最近は、そのほとんどがテレビを持っているけれども、さてその収納成績、契約成績と聞くと、どうもお答えができかねるということばがはね返ってきておるわけです。だから、失敬でありますが、ほんとうにNHKでそういう問題ですね、赤字といいましょうか、まあ赤字予算といわれる八億二千万程度を解消しようとするならば、この一点に集中をしても、そのぐらいは年間でたちどころに出てくるんではないでしょうか。そこに私は、企業努力に待つべきものが相当大きいだろうと、こう考えております。と同時に、もう一つ郵政省に聞きたいのは、最近はテレビを料金をとって貸す人が出てきている。しかも、これはNHKと契約をしてない。このままでほうっておくと、至るところでこういうのがばっこするこことになりますが、これについて担当局長はどういう対策をお持ちでしょうか。
#240
○政府委員(藤木栄君) ホテルなどでそういったケースがあるということは聞いておりますけれども、おそらくホテル自体としては、そのテレビセットの使用料というようなことで、百円などを入れると何時間持つというようなことになっておるかと思うわけでございまして、私どもとしましては、現在のところ、特にそれに対する対策というものはございませんが、それが弊害が起こるというような事態になれば検討しなければならないんじゃないかと思っております。
#241
○森勝治君 それは、当分の間放任しておくということですね。NHKと受信契約を結ばなくて、料金をとり収益に充ててもよろしいということですね。
#242
○政府委員(藤木栄君) もちろん、ホテルがそういう設備を設置するということになれば、現在の法律上、契約をしなければならないということになりまして、当然NHKの料金を払わなければならないということでございますので、そういう点につきましては、私どもとしても、当然そういったものはNHKと契約しなければならぬ、そういうふうに考えておるわけでございます。
#243
○森勝治君 一歩進めて、違った角度でお伺いしましょう。
 受信料というものは、その受像機の画面の大小には関係ないんですね。愚問でございますが、明快にお答えいただきたい。
#244
○政府委員(藤木栄君) 関係ございません。
#245
○森勝治君 先般、カーラジオの料金徴収の問題、料金の徴収というが、税金ですからね、問題が出ましたね。あなた方は提案をして、捕捉困難なるゆえをもって野放しにいたしましたね、カーラジオは。そうでしたね。それは御記憶ですね、担当局長。
#246
○政府委員(藤木栄君) カーラジオのみならず、現在ラジオ料金は全然取ってないというわけでございます。
#247
○森勝治君 当時はあれでしょう。当時はカーラジオ対象で、法案を提案されて数年を経ずして捕捉困難だというんで、そういうゆえでやめちゃったですね。このことをお聞きしているんです、そうですね。
 そこで聞きたいんですが、今度はカーテレビのことです。一時東京等でも、大都市でははやりましたが、いまカーテレビなどは下火でございます。画面の大小を問わず料金を取るというならば、ホテル等の固定したものじゃなくて、こうした車等に移動的につけられるものにもやはり受信料契約の対象に当然なるわけですね。これもホテル同様に捕捉困難でNHKの努力に待つというので、郵政省はこれも腕をこまねいて待っていると、こういうことですね。
#248
○政府委員(藤木栄君) 現在、カーテレビというものはいわゆる個人的にカーを持っておってカーテレビをつけているというところでは現在取ってないそうでございます。契約約款上そうなっているということでございます。
#249
○森勝治君 カーテレビは取らない、そういうことですか。
#250
○政府委員(藤木栄君) 営業上以外は取らないと、そういうことでございます。
#251
○森勝治君 営業以外は取らないというのは、それを見せて、料金を取らない限り取らないということですね。
#252
○政府委員(藤木栄君) 現在この契約約款上いわゆるこの営業用の自動車以外のものについては取らないと、そういうことでございます。
#253
○森勝治君 カーテレビは大体営業用がほとんどついているのですよ。営業用でないのもありますけれどもね。やはり百円入れて何分間か見せると、こういうしろものです。しかしあなたは先ほどテレビの受信料の契約のときに、画面の大小の問題について私が質問したとき、画面の大小にかかわらず料金は取るとおっしゃっておったじゃないですか。同一の料金を取るとおっしゃったじゃないですか。そうお答えでしたね。ところが、いまは画面の最も小さいカーテレビなら取らないと、こうおっしゃっておる。それならやはり画面のいわゆる矮小なものについてはこの限りにあらずというお答えが返ってきてしかるべきじゃなかったでしょうかね。
#254
○政府委員(藤木栄君) 画面の大小にかかわらず一般の個人の住宅にそういうものが設置されれば、非常に小さいものであっても取るということになるわけでございますが、現在の契約約款上営業用の自動車以外は取らないということになっておるわけでございますので、このNHKの受信契約約款を改正すれば取れるということにはなると思います。
#255
○森勝治君 私は現行法律に関して聞いているわけです。それではもう一度聞きますが、画面の大きいもの、十九インチですか、そういう呼び方ですか、そういう大きいものを車の中に乗せて見る分にはよろしいんですね、あなたの御説明だと。
#256
○政府委員(藤木栄君) 先ほど来申し上げましているように、車はいわゆる営業用以外は取らないということでありますので、その画面の大きさには関係ございません。
#257
○森勝治君 ですから、十九インチのものを自動車の中へ持ち込んで見る場合には受信料を取らないんですね、そうですね。そのことを聞いているんですよ。
#258
○政府委員(藤木栄君) おっしゃるとおりでございます。
#259
○森勝治君 いまのお答えは、たとえ十九インチのような大きいやつであっても、車の中に持ち込んで聞く場合には無料である、受信料は要らない、こういうお答えですね。この点明らかにしてください。これからどんどんふえてまいりますから、ちょっと明らかにしてください、その点は。
#260
○政府委員(藤木栄君) 現在のいわゆるNHKの受信契約約款というものによれば、各家庭で何台持っていても、それは一台分しか取らないということになっておるわけでございまして、それを自動車に持ち込むということでございますれば、各家庭にたとえば一台しかないというものを常時その自動車に持ち込んで見ているということになれば、それは対象になるかと思いますけれども、普通そういった大きなものは、カーテレビとしては私どもが知る限りにおきましてはあまり実用的じゃない方法だろうと思いますので、そういうことは実際上はあまりないんじゃないかと思います。まあ普通のカーテレビと申しますものは、車の中に取りつけるような小さなものじゃないと、車が振動いたしますので十分に見えない、そういうふうに考えております。
#261
○森勝治君 あなたはあまりないとおっしゃるが、これからどんどんそれがふえる傾向にあるのですよ。いいですか、NHKの皆さんがおたくは契約してくださいと行った場合に、私どものは車の中で見るんですから必要ありませんよと、よくあるでしょう。昔ラジオでよくあったでしょう。私のところはNHKのものは受信していませんよ。テレビだってNHKはやっていません。六チャンネル、八チャンネルはチャンバラがあっておもしろいからと、よくそういう例があるでしょう。それでもなおかつ、それはテレビがあれば契約をお願いするんでしょう。ところがNHKの外務委託の方が行った場合に、それじゃ何もできやしないじゃないですか。いや、十九インチでも家で見るんじゃないのだ、車に乗せて見るだけだ、たまたま掃除のために外へ出しただけだと言いのがれてしまうのではないですか。局長、現実に全国の家庭を一軒一軒契約をお願いする外務の方々の気苦労もひとつ考えてやってください。
#262
○政府委員(藤木栄君) 私の表現がどうも適当じゃなく申しわけございませんでした。先ほども申し上げましたように、各住宅で何台持っていてもそれは一台でございますが、一台しかない人がそれを車に乗せて、これはもう住宅にはないのだということであっても、これはもうその人のところにはそれしかないわけでございますから、それは当然対象になると、そういうことでございます。
#263
○森勝治君 したがいまして、営業車でなくても、いまあなたが説明されたように、一家庭の一つのテレビであれば、たとえ車の中で走りながら見ようと、聞こうと、それは契約をお願いする、契約の対象になるということでしょう。この点を明確にしてくれなければ、これから、どんどんいわゆるNHKが御心配している契約をされない方がふえてまいりますから、私はその点は明快に監督官庁として郵政省の態度を明らかにしてもらうためにあえてこういうこまかい発言をしているのです。この点ひとつもう一度重ねて明快にお答え願いたい。
#264
○政府委員(藤木栄君) おっしゃるとおりでございます。
#265
○森勝治君 もう一つ重ねてお伺いしますが、一家庭は何台持っても一つだけしか受信契約をお願いしないということですから、おたくは白黒ですよ、カラーですよ、別々に料金をいただきますということはよもないでしょうね。これも明らかにしておいてください。
#266
○政府委員(藤木栄君) 白黒一台カラー一台という場合はもちろんカラー料金をとるわけです。
#267
○森勝治君 これはどなたか……、吉田さんか、小野さんにお願いしましょうね。小野さん、いま質疑応答で明らかになりました。したがって、皆さん方の職員や外部委託の方々がちまたでそういうものでえてしてトラブルを起こしていることをわれわれ聞いているのですよね。ですから明快になりましたから、もともとあたりまえのことだったでしょう、規則か諸規定に照らせばそうなるのでしょうが、ややもするとそのとおりいかないことになっていますから、この点はひとつ十分に外務員等を督励して元気づけてもらいたいのです、この点を。
 それともう一つ、いまの藤木局長の話ですと、カラーテレビで一回百円をとってやるものは先ほどは対象にしないというのですが、それは対象になるという説明に置きかえられたものと理解していいですね。
#268
○政府委員(藤木栄君) はい。
#269
○森勝治君 そういたしますと、いまのはカーテレビの話ですが、いわゆるこの前もお話出ましたように、これで私も二度触れますが、ホテル等で料金を取るものもいま放任しているということばも訂正してもらわなければいけませんね、あなたの理論からいけば。さきは放任ということばがございましたが、この点も受信契約をお願いする対象に入りますね。
#270
○政府委員(藤木栄君) 当然ホテルが設置したということでございますれば、それがいわゆる料金を取ろうが、取らない場合であっても当然受信契約の対象になると、そういうふうに考えております。
#271
○森勝治君 もう一つ藤木さんにお伺いいたしますが、現在のあきナンバー、たとえば五とか七とか二とかいう数字があいていますね、一応いまのあれでは。これを利用して民間で何というんでしようか、自主番組と――番組ということまでは大げさかもしれませんが、よく画面を流すのがありますね。これは放任ですか。
#272
○政府委員(藤木栄君) 現在いわゆる自主番組を、もしテレビを利用して流すということになれば、おそらくそれは有線放送の一環であろうかと思います。したがいまして、現在の有線放送の運用の規正に関する法律というものに従いまして、届け出の対象になると、そういうことでございます。
#273
○森勝治君 そうすると、電波監理局ではそういう御努力も願っておるということですね。手が足りませんからやむを得ませんというお答えではないですね。
#274
○政府委員(藤木栄君) 現在のこの有線放送の運用の規正に関する法律というものにつきましては、御存じのように、同一構内であるとか、あるいは汽車であるとか、電車であるとか、船舶、航空機内といったようなところにおいて、もしそういう有線放送の業務が行なわれるといったような場合におきましては、これは適用が除外されているわけでございますので、同一構内で小規模にやっている分はこれは適用の対象にならない、そういうことになるわけでございます。
#275
○森勝治君 時間がきたようですから、そのことについてはまたあとで詳しくお聞かせ願うことにして、次の問題に移ります。
 先ほども難視聴の問題について若干触れましたが、いまもことばの中にありましたCAテレビということばが出ましたが、都市の難視の救済についてはCAテレビが最も有力であると、こう郵政省は私にもそういうことをおっしゃり、その普及にも十分力を尽くしてきた模様でありますが、その経費を全額加入者に負担をさせるというのは、先ほどですか、藤木さん、あなたの見解もお伺いした、いわゆる原因者負担の立場を貫くということから見ますと、これはおかしくなると私は思うのです。むしろ、これから問題が尾を引いて発展しそうな気がするわけでありますが、郵政省としてはこの都市難聴を解消するためにはどういう、これは救済ということばを使うのが適当かどうかしりませんが、私は一応救済という表現を用いますが、救済をしていくためにはどういう方針をもってするのか、ひとつお聞かせを願いたい。
#276
○政府委員(藤木栄君) 都市の難視聴につきましては、先生おっしゃいましたように、いわゆる原因者負担、原因者が責任を持って負担するという原則は、これは当然のことでございまして、私どももその線に沿って指導しておるというわけでございます。ただ、原因者がはっきりしないというような場合もしばしばあるわけでございまして、御存じのように、現在新宿地区におきましては、東京ケーブル・ビジョンというものが有線テレビを実施しておりまして、これは一つの建物というふうにとらえることはできないのでございまして、どの建物からの影響によって画像が見えなくなるか、難視になっておるか、よくわからない場合があるわけでございまして、こういった場合ば、はっきりした原因者を確定できないわけでございますので、いわゆる難視になっておる人たちが、たとえば東京ケーブルービジョンのようなところに加入していい絵を見ていただくということもやむを得ないことであろうかと思います。もちろん、個々の家庭におきましてアンテナの位置を変えたり、あるいはほかから信号をもらってくるというようなことはあるわけでございますので、私どもとしましてもそういった点も十分指導はしておるわけでございますが、都市におきます難視聴対策としましては、いまのようなまず第一にその原因者負担ということでやっておるわけでございますが、それ以外のものもあるわけでございまして、非常に複雑になっておる状態でございます。私どもとしましては、おっしゃいますように、できるだけ視聴者が困らないような方法で指導しておるということでございます。
#277
○森勝治君 時間ございません。次の問題に移ります。
 いま藤木局長からアンテナということばが出ましたね、そこで、NHKさんにお伺いするのでありますが、私どもの難視聴ということで聞く中の何分の一かはアンテナの立て方によって、たとえば高低によってそれがだいぶ左右されるという問題で、よく調べてみたら、これは受信機の故障ではなくして、アンテナがキャッチする方向が違ったとか、あるいは立て方が低かったというようなことが間々、私の近所でもいわれるわけですが、そのことについて、NHKではよく正しいテレビの見方というので、たまたま解説はされておりますが、アンテナの立て方とか、その他についての、そういう具体的な指導というのはおやりになっているのですか。
#278
○参考人(松浦隼雄君) アンテナにつきましては、アンテナ業界あるいは電子機械工業会というようなところを通じましてNHKが技術的な指導をし、直接的には放送法の関係もございますので、業界の方々がそれぞれの御家庭のアンテナについてさらに念入りな手当てができるようにということに努力はしておりますが、なおそういうことでも、実情を申し上げますと、いまの人手難とか、そういうことがございます。それから、どうしても、高いところに登りますので、だれでもできるということでないので、いろいろなくふうをいたしまして、そういう各家庭のアンテナをもっとよくするというようなことができるような手を業界の中に何とかして育成できないかというようなところまで含めまして努力をしております。
 なお、御指摘のように、難視の中にはアンテナを改善することによってかなり救われる部分がございますので、当委員会でも何回か申し上げましたように、そういう新しい形の難視聴のためのアンテナというものも目下開発中で、これはおそくも一年くらいのうちに相当見込みがあるというふうにいま踏んでおります。
 なお、集合住宅がたくさんできましたので、いわゆる分配器を使って、一つのマスターアンテナで各集団住宅の団地の中などでも、やるときに、どうしても従来業者の方々が強電の業者の方々で、こういう弱電のほうが弱いということが大きな傾何でございますので、建設業界にも働きかけて、特別のそういう専門家の育成を来年度早々開始したいというふうに考えております。
#279
○森勝治君 会長にお伺いしたいのですが、それは職員の待遇の問題であります。何か昨今急に、NHK職員が高禄をはんでいるというようなことがささやかれてきている模様でありますが、どうも私ども中身を知るものにとっては、これは職員の皆さんはまさに迷惑千万至極ではないかと思うのです。どうも、よって来たる原因等を私なりに見ますと、たとえば芸能人のギャラ等、あれと同じような受け取り方を職員の方々にもお持ちになっているのじゃないか。たとえば、まあだれそれさんは出演料を、当時薄謝協会は、失敬でありますが、藤山さんはワンステージ一万円といわれた時代もありましたね。ところがこのごろは何十万取る人もある。だからNHKはそんなに金をどんどん出せる団体だから、職員もさぞ高禄をはんでいるのだろう。一人の英雄――あえて英雄ということばを使いますが、年俸で三千万円、五千万円だと取りざたされる人も出てくる。したがって、そういうところから、それがすべてだとは申し上げませんが、そういうのがNHK職員が高禄をはんでいるという誤解の生まれた一つの原因じゃないかと思うのです。御承知の、NHKは公務員労働者と同じような待遇でありますから、そんなに他の企業と隔絶したものを、給与の恩恵を受けておらぬわけでありまして、したがって、この点は衆議院でも指摘されたように、きょうも若干指摘されましたように、失敬でありますが、理事の皆さん、経営委員の皆さん方の退職手当てのそういう算定等が外部に出されて、そういうことでもまた推しはかられてしまうのではないかと思うのです。したがって、そういうことにつきましても、私どもは世間の誤解の受けないように、職員が安心して働く職場であるように、一万六千人の皆さんが心を一つにして国民に奉仕するHNKであるように、その使命を十分発揮できるようにするためには、何といっても、これは皆さんに対する正当な労働の報酬というものを、安定感を持たせなきゃならぬと思うのです。したがって会長としても、そういう立場からも、ややもすれば最近そういう誤解を受けがちなNHKの職員の立場の、ことにこまかいところにも気を配って正当な評価を受けるようにする御努力あってしかるべきものと、私はこう思うのです。したがって、今日のように次から次へ公共料金等が上がってまいりますならば、当然これは、他の官公庁の労働者もそうであります、民間の労働者もそうでありますように、NHKの職員にもやはりその仕事にふさわしい報酬というものを当然見てやらなきゃならぬと思うのでありますので、この点についてあえてひとつ会長の見解を承りたい。
#280
○参考人(前田義徳君) 巷間いろいろなことが言われていることについては私も多少聞いております。しかし、NHKの給与水準というのは、かねがね申し上げておりますように、社会水準にふさわしき水準ということを考えておるわけです。したがいまして、NHKの職員が巷間うわさされるような特別の給与を受けているという事実はございません。これは約一万六千五百名でございますが、これに対してその総額を引き合わしてお考えいただけば、これは全く明瞭なことなんです。たとえば、いろいろな意味で御審議いただいている昭和四十七年度の人件費のパーセンテージは三二%ぐらいになっておりますが、このパーセンテージも、ある種の事業と申しますか、かなり私としては合理的なパーセンテージだと思っております。それから、まあ具体的に申しますと、たとえば、同種あるいはこれに類するものを見ましても、これとNHKの格差というものはまだ多少残っているという気がいたしております。ことにボーナス等については、同業関係を見てもまことに合理的な数字であると私は考えており、したがって、私の方針としては社会水準から見てふさわしい給与を与えたいというように考えているわけでございます。
#281
○森勝治君 あと沖繩の問題で二、三点お伺いして終わります。
 いよいよ沖繩が二十七年ぶりで返ってまいりますし、いままでの県民の御苦労にも報いるという、そういう見地からも、テレビ等につきましてはぜひとも本土並みのサービスを行なうべきだと私は思うのでありますが、ところが、NHKの計画などをこう私どもが仄聞いたしますところ、背に腹はかえられない、こんな気持ちが皆さんの胸の中に去来しているんではないかと思うのです。いま、あちらでは特別料金制度がとられているということがありますけれども、本島と先島地区とではサービスに相当な格差があるわけですね。しかし、NHKさんがいま考えておられるのは同一料金ということを考えておられるわけですね。サービスに格差があるのに同一料金というのはどういうことなのでしょうかね。私が前段で触れた点から考えますならば、この辺はNHKが再考慮してしかるべきだと思うのですが、この点ひとつお答えをいただきたい。
#282
○参考人(小野吉郎君) サービス面でまいりますと、沖繩本島と先島の間には、いろいろマイクロ回線が先島にはそのまま届かないというようなことで、将来の海底ケーブルの建設の実現に待たなければならない面があります。そういったような面から格差があることは事実でございますけれども、そういうことも考慮いたしまして、特別の料金を設定しておるわけでございます。しからば、先島と本島の間に差をつけていいではないか、本島はおよそ本土と変わらないサービス状況には復帰の年になるわけでございますので、そういったお考えも一理あることでございますけれども、私どもはそういう先島の状況、こういった面も十分考慮いたして、沖繩全体としてこれを分割しないで一体として特別な料金を設定をしたということでございまして、さらにそれを本島と先島、この関係を区別して、本島は復帰の年には本土並みになるんだから、これは本土並みの料金でいき、先島だけを下げる、こういうような考えもあろうかとも思いますけれども、そういった面はいろいろ日本本土におきましても何がしかの影響を持つおそれがないとも申せません。そういった面から先島にも着目をいたしまして特殊料金を設定し、しかも、沖繩は一体としてこれを考えるというような結果で御提案のような趣旨になっておるわけでございます。
#283
○森勝治君 先島地区はテレビは一波ですね。したがって、放映時間も少ないわけですから経費の関係で同時にできないということならば、カラーのほうはさておきましても、テレビ二系統の整備のほうを優先させたほうがよいのではないですか。
#284
○参考人(松浦隼雄君) いま副会長からお話申し上げましたように、先島地区にはマイクロ回線が届きませんので、現在は週二十八便あります飛行便を使いまして一日十五時間分のビデオテープを送るというのが限界でございます。したがって、その線で計画を立てておりますけれども、以後さらにそのサービスの及ばざるところについては、いま私どもは個々の聴視者に対していろいろな手段で別にさらにそのサービスを補完していくことを考えておりますが、可能であれば、計画を繰り上げて教育テレビの置局をもそのいろいろな施策の中に含めて考えております。ただ、なぜ五十一年度と一応計上したかと申しますと、同軸回線の開通がその時期に見込まれるからでございます。
#285
○森勝治君 小野さん、先ほど本島と先島の差をあなた方は認めておって、同一料金ということは若干、若干というか、酷な話ではないですか。先島地区はもうちゃんとわかっているのですから、その部分だけは減免措置か、低減措置か、そういうことをしてやってこそ、NHKの、国民のNHKたるゆえんではないでしょうかね。重ねてその点、再考を促したいのです。
#286
○参考人(小野吉郎君) いろいろ御指摘の点、もっともな点もあろうかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、先島の事情も十分考慮をいたし、そういった面からの最低本土よりも低い料金を設定いたしまして、それを沖繩全域に適用しようというものでございます。
#287
○森勝治君 資料等を見ますと、現在沖繩の関係は未契約がたくさんおありだそうですね。その未契約を皆さんはこれからどのように取り組んでいかれるのか、そのことについてお伺いをしたい。
#288
○参考人(吉田行範君) ただいま御指摘のとおりでございまして、沖繩県民九十七万、世帯が大体二十二万でございます。そのうちに受像機を持っておりますのが十九万世帯、OHKと契約をいたしておりますものが十二万世帯。そのうちで受信料を払っているのが四九%でございます。そういうのが現在実情でございます。
 そういうことに対しまして、五月十五日以後日本に復帰した場合の対策につきましては、私どもはっとにこれの計画を練っているわけでございまして、現在非常に契約率なりあるいは収納率が悪い理由は、やはり沖繩の特殊性ということもございまして、たとえば、民放が先行しているということもございます。それから受信知識というものがきわめて不足しているということもございます。また、ただいま御指摘のようなそういう受信サービスというものもOHKにおいては欠けているという実情もございます。それから、何よりもあそこの受像機はアメリカ製の受像機でございまして、これを日本チャンネルに合わせて改造したいと見えないわけでございます。したがって、復帰に先立って六万の受像機並びに八百校の学校、これらの受像機の改造をいたしたいと計画いたしております。同時に営業体制につきましてもNHKのベテランを送り込んで万全を期したい、技術者についても全く同様でございます。
#289
○森勝治君 そうしますと、吉田さん、本土復帰の暁、OHKからNHKに継承いたしますね。継承いたしましても、いまあなたのお話にあったように、受像機等がアメリカ製でありますから、日本のテレビを受像するので若干違うでしょう、構造が。そういたしますと、いま沖繩にある受信機というもの、受像機というものは、本土復帰の暁、直ちにフル回転ができませんね。しからば、NHKの所属になったとしても五月十五日、直ちにNHKとの契約はしなくてもいいんですね。万全のサービス体制ができないから猶予期間を当然置かれるのが正しいのではないですか。
#290
○参考人(吉田行範君) ただいま私の説明が若干不足いたしたと思いますが、受像機の改善をいたさなければならない一番大きな部分は教育テレビジョンでございます。これは新しい波でございますから、これは直さざるを得ないわけです。これにつきましては、復帰に先立ってただいま御審議いただいています予算が通りますれば、直ちに着工する。これにつきましてはNHKと本土メーカーとの十分な連絡がすでにとれておりまして、できるだけ早くこれを改善する。ただし、もう一点のところは、かつてOHKが日本のJA二チャンネルと申しますか、日本二チャンネルをもらって放送を始めたときに、アメリカ製の受像機の改造をいたしまして、相当数の、当時八万台ぐらいだと、私は記憶いたしておりますけれども、改造いたしているわけでありますが、その改造のしかたとか、あるいは改造したときのリストとか、そういう事務的処理にきわめて欠陥があったために、どこの受像機がどういうふうに直っているかということについての捕捉がきわめて欠けている部分がございます。ただし、先ほど申しましたように、たとえ契約者の四九%であっても、受信料を払っているのはちゃんと見えるから払っているわけでございます。だから全然見えないということではございません。
#291
○森勝治君 従来は向こうで独自でおやりですから向こうは見えるでしょう。しかし、今度はこちらからやるんでしょう。だから方式その他が違ってくるから、あなた方が十分に視聴者の皆さんに、いわゆるあなた方のいうやや満足できるサービスを行なうに至るまでの間、若干時間が必要でしょう。だから五月十五日祖国復帰時から直ちに新しい設定料金で取るという、そういう過酷なことはしないでしょうねと、暫定期間を用いるんでしょうねと、こう申し上げているんですよ。
#292
○参考人(吉田行範君) ただいまOHKでは、NHKの番組をほとんど中心として放送しているわけでございます。したがって、今度新たにつけ加わりますのは、主として教育テレビの分野でございますから、ですから、ただいま先生の御心配になるようなことはないと存じます。
#293
○森勝治君 ことばを返すようですが、それならそれともっと早く親切におっしゃってくださればいいのに、疑問点を私が一つ一つほぐすようにすると、あなたはそういうふうにおっしゃる。それなら心配ありませんとおっしゃればいいんですよ。形も変わりますから、アメリカ製ですから不完全ですとおっしゃるから、不完全なものが今度日本流で見せたら、沖繩の皆さんはさぞ御不満であろう。だから日本の放送に対してですね、一〇〇%キャッチできる。いいですか、受像機が配置されるまで、その契約を延期されてやるのがごく至当なやり方でしょう。だから私はそういう観点で申し上げた。ところがいまの私の質問を一つ一つつぶしてまいりますと、私の杞憂がだいぶ薄らいだような気がいたします。しかしいずれにしても、何といっても私どものこの東京から見ますならば、まあ辺地という表現が当てはまると思うのですが、はるか遠隔の地でありますから、したがいまして、そういう問題については内地並みと言いながらも、先島等はそういうことでカラーも当分見られないという状況でありますから、これからも沖繩のこの受信料の契約等につきましては、ひとつ沖繩の県民の反感を招来しないようなあたたかい思いやりのある態度をNHKは示していただきたい。
 そこで私、最後の質問をいたしますが、いまのお話にもありましたように、いよいよOHKの財産をNHKが継承することになります。そうなりますと、OHK解散後の清算というものは、一体だれがどのようにおやりになるのか、これは小野副会長ですか、お答えをいただきたい。また、その承継資産というものは一体どの程度なのか、あわせてお答えをいただきたい。
#294
○参考人(小野吉郎君) 復帰の前日に、これを期限といたしまして、OHKは決算をいたすことになります。それで、初めて資産、負債においてこれが損益の関係が明確になるわけでございまして、五月十四日を待ちませんと確定した数字は申し上げられませんけれども、御承知のとおり、受信料関係の収納が十分思わしくいっておりません。そういうようなことで、あそこには日本政府並びに琉球政府からの出資金がございますけれども、この出資金はその形では残らないで、大体欠損を重ねておりますので、現在の見通しでは大体とんとんぐらいになるのではないかと、このように考えております。
#295
○国務大臣(廣瀬正雄君) 御質問の清算事務につきましては、沖繩復帰に伴う特別措置法によりまして、OHKの清算事務をNHKが継承することになりますので、清算事務もNHKのほうでやることが適当だと考えております。
#296
○森勝治君 大臣がこちらに参られたものですから、郵政省を代表する大臣に御質問をしたいところがたくさんあるのでございます。しかし、何ぶんにも時間がもう十時をさそうというわけで、時計がさそうというわけですから、私の質問はこれで終わります。大臣もだいぶお疲れの模様ですから、ひとつ御希望ならこの二、三時間、大臣だけ個々面接の形で御質問してもよろしいのでありますが、そういうことも何でありますから、きょうのところは私の質問はこれで終わりますが、大臣、最後にお願いがあります。毎度私は苦情めいた、苦言めいた、忠告めいた発言をいたしまして、さぞお耳をろうすることだと思うのであります。しかし私は断わっておきますが、一片の私心だにはさんだ発言はいたした覚えはございません。したがって、そういう観点であなたのお得意の、ぼつぼつでも、前向きでもけっこうでございますから、ひとつ誠意のあるこれからの郵政省としての態度を私は御期待申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
#297
○国務大臣(廣瀬正雄君) 森委員の御期待に沿うように十分努力してまいりたいと、かように考えております。
#298
○委員長(杉山善太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#299
○委員長(杉山善太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#300
○森勝治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、これを承認するに賛成の意を表明するものであります。
 日本放送協会の昭和四十七年度の収支予算等における事業計画の重点は、ラジオ、テレビの全国普及をはかるための両放送網の建設、放送センターの総合整備、放送系統の性格の明確化、番組の刷新充実、営業活動の充実強化を推進するほか、沖繩地域の公共放送サービスの拡充等としております。
 これらの施策はいずれも協会の使命、放送界の現状に照らして、ほぼ妥当なものであると判断し、わが党はその適正な執行を期待して、これに賛成するものであります。
 なお、この際一、二政府及び協会当局に希望を申し上げておきます。
 その第一は、放送による表現の自由と不偏不党の堅持についてであります。
 昨今テレビの普及により、放送の社会に及ぼす影響力はきわめて大きくなっておりますとともに、政治、社会情勢の複雑化に伴い放送の果たす役割りが一そう重要になってまいりました。
 協会は、今後とも放送の実施にあたっては不偏不党を堅持されたいのであります。
 また、政府におかれましても、放送による表現の自由の確保について一そうの留意を願いたいのであります。
 第二は、協会職員の処遇改善についてであります。
 協会職員の給与は当年度も若干の改善が見込まれてはおりますが、類似企業の職員に比較して十分とは申せません。したがいまして協会は、職員に赤字のしわ寄せをする結果とならないよう経営の合理化、能率の向上を通じて処遇改善に意を用いられることを要望するものであります。
 以上をもって、私の賛成討論といたします。
#301
○塩出啓典君 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、若干の希望意見を付し、承認を与えることに賛成の意を表するものであります。
 戦後二十七年の長きにわたり、米国に支配されていた沖繩の本土復帰を五月に迎え、沖繩百万の同胞に対して、協会は本土並みの放送の早期実現を目ざして最大の努力を払われるよう強く望むものであります。
 特に先島地区については、沖繩本土に比べ、放送サービスにかなりの格差があることを十二分に認識せられ、復帰後の措置に万全の対策と考慮を払われんことを、特に要求するものであります。
 次に、日本放送協会は、公共放送機関として、公共の福祉のためにあまねく全国において受信できるように放送を行なうことこそ最大の使命であります。したがって、協会はすみやかに難視の実態を掌握し、ことに電波障害の発生原因者の明らかなものについては、原因者負担の姿勢を貫き、一刻も早く難視聴が解決できるよう積極的に推進されんことを要望するものであります。
 次に、受信未契約世帯の解消に一そうの努力を払っていただきたいと思うのであります。これは、受信料の負担公平という見地からも、また協会の事業経営上の財源確保のためにも、積極的に契約の普及開拓に努力されるよう協会に強く要望いたします。
 特に、本年度の予算執行にあたっては、鋭意経費の節減につとめ、赤字分の八億二千万円を解消するよう期待するものであります。
 最後に、国民による協会として、国民の期待にこたえる責務を遂行するためには、いま一そう視聴者との連携を深め、世論の要望にこたえるとともに、民放を含む放送界全体の放送文化の向上につとめていただきたいと思うのであります。
 また、今後におけるわが国の情報化社会の進展を思うとき、協会の果たすべき役割りはますます重大になると思います。放送法第七条に明記された公共の福祉のための精神に基き、また国家権力にいささかも迎合することなく、不偏不党の精神を貫かれんことを心から期待しまして、私の賛成討論といたします。
#302
○委員長(杉山善太郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#303
○委員長(杉山善太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を問題といたします。
 本件を承認することに賛成の方の挙手をお願いいたします
  〔賛成者挙手〕
#304
○委員長(杉山善太郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 森君から発言を求められておりますので、これを許します。森君。
#305
○森勝治君 私は、この際、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブを代表して、次の決議を付することを提案いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
 政府および日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送法の精神にのっとり、放送による表現
の自由を確保し、放送の不偏不党を堅持すること。
 一、協会は、事業活動全般にわたりいっそうの経営努力をはらい、当年度予算に計上の事業収支の赤字を解消するよう努めること。
 一、難視聴解消対策をさらに積極的に推進すること。
 一、国会に提出する協会の予算および決算関係書類については、国会の効率的審査に資するよう改善すること。
 一、協会は、なおいっそう職員の士気高揚に努めること。
 右決議する。
 以上であります。
 これは、先般来の本委員会における審議の経過を参酌して起案したものであり、各委員もおわかりのことと存じますので、その要旨を簡単に御説明申し上げます。
 第一は、表現の自由、放送の不偏不党に関する基本原則の確認についてであります。今日、政治、社会情勢の複雑化に伴い、放送の果たす役割りが一そう重要となってまいりましたので、この際、政府及び協会当局に対し、放送法の本旨の再確認をお願いしておこうとするものであります。
 第二は、協会の経営努力に関するものであります。当年度は、沖繩の復帰という特殊な事態もありますが、借り入れ金をもって事業収支に充てるという、いわゆる赤字予算の形となっております。しかも、今後社会の進展に即応して放送の刷新、施設の整備をはかってまいらなければならないのであります。本予算においても、協会当局が経営の合理化、経費の節減になみなみならぬ努力をしていることを認めるにやぶさかではありませんが、この上とも事業運営の効率化、受信料の収納努力、積極的な契約の開拓など一そうの経営努力を払い、事業収支の赤字解消につとめることを要望するものであります。
 第三は、テレビ難視聴の総合施策の推進についてであります。協会の積極的な置局や共聴施設により難視地域は漸次減少をされつつありますけれども、なお六十万の難視世帯が残されております。しかも、最近はビル陰障害をはじめ、多様の受信障害が増加しておりますので、これらに対しても適切な改善措置を講じられたいとするものであります。
 第四は、予算、決算に関する書類の改善についてであります。言うまでもなく、協会は国民の公共放送機関として、その予算、決算の内容を明らかにし、国民の理解と協力を得るようにつとめたければなりません。ことに受信料は収支予算を国会が承認することによってその額が定まるものであります。したがって、国会に提出する予算、決算に関する書類は、その事業計画の内容が適正であるかいなか、また、執行結果が適正であったかどうかを判断し得るに足るものでなければなりません。このような見地から、予算、決算に関する書類の改善についてのくふうを要望しておくものであります。なお、これは協会の自主性を制約しようとする意図に出ておるものでないことは言うまでもありません。
 最後は、職員の士気高揚に関する点であります。国民の協会がこの上ともりっぱな仕事をしていかれるためには、職員のすべてが仕事の意欲に燃え、高い士気によって裏づけられなければなりませんので、このための有効な諸施策の実施についても一そうの御努力を協会にお願いするものであります。
 以上、附帯決議の要旨を申し上げました。何とぞ御賛同くださいますようお願いをいたします。
#306
○委員長(杉山善太郎君) おはかりいたします。
 森君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
  〔賛成者挙手〕
#307
○委員長(杉山善太郎君) 全会一致と認めます。よって、森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることを決定いたしました
 ただいまの決議に対し、廣瀬郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。廣瀬郵政大臣。
#308
○国務大臣(廣瀬正雄君) 本件に関しましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認いただきましたことを、厚く御礼申し上げます。
 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても今後の放送行政にあたりまして御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
#309
○委員長(杉山善太郎君) 前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際これを許します。前田会長。
#310
○参考人(前田義徳君) 当協会の昭和四十七年度収支予算、事業計画及び資金計画に関しまして、連日非常にお心のこもった熱心な御審議の結果、全会一致をもって承認をいただきましたことは、まことにありがとうございました。
 なおこの際、NHKといたしましては附帯決議の精神を尊重し、これを今後の経営の基礎とするばかりでなく、討論の過程において示された各党のお考え方も貴重な参考として、国民の放送としての日本放送協会の経営に誤りなきを期したいと考えております。まことにありがとうございました。
#311
○委員長(杉山善太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#312
○委員長(杉山善太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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