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1971/05/16 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第10号
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1971/05/16 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第10号

#1
第068回国会 商工委員会 第10号
昭和四十七年五月十六日(火曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 五月十二日
    辞任          補欠選任
     原田  立君     鈴木 一弘君
 五月十五日
    辞任          補欠選任
     鈴木 一弘君     原田  立君
    ―――――――――――――
出席者は左のとおり。
    委員長         大森 久司君
    理 事
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                竹田 現照君
                藤井 恒男君
    委 員
                赤間 文三君
                植木 光教君
                小笠 公韶君
                大谷藤之助君
                中山 太郎君
                矢野  登君
                渡辺一太郎君
                阿具根 登君
                小野  明君
                大矢  正君
                林  虎雄君
                中尾 辰義君
                原田  立君
               柴田利右エ門君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   田中 角榮君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        林田悠紀夫君
       通商産業大臣官
       房参事官     増田  実君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     莊   清君
       通商産業省鉱山
       石炭局参事官   飯塚 史郎君
       中小企業庁長官  高橋 淑郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第一課長    高橋  元君
       運輸大臣官房参
       事官       原田昇左右君
       海上保安庁水路
       部長       川上喜代四君
   参考人
       石油開発公団総
       裁        島田 喜仁君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○石油開発公団法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大森久司君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#3
○委員長(大森久司君) 速記を起こしてください。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 石油開発公団法の一部を改正する法律案の審議のため、本日参考人として石油開発公団総裁島田喜仁君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(大森久司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#5
○委員長(大森久司君) 石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○大矢正君 大臣でも局長でもけっこうでございますが、昨年の十二月に出されました総合エネルギー調査会の石油部会の中間報告に関連をしてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、それは、この答申の中で目標実現のための施策ということで、昭和六十年度においてわが国原油供給の三〇%を自主供給源によって確保するという考え方に立って、具体的には、投下される資金は借り入れ期間が非常に長い、あるいはリスクがきわめて大きい、したがって、国において計画的な投資を行なっていくような制度を確立しなきゃならぬということがいわれているわけであります。そこで、もちろん昭和六十年度でありますから、かなり将来のことになりますが、しかし、先般も私は委員会で申し上げましたとおり、昭和六十年度におきまして予想される油の必要量は約七億五千万キロリッターくらいから、もし経済成長が高度であったといたしますれば九億キロリッターくらいという、この間に需要が想定されるわけでありますが、といたしますと、そのうちの三割として二億四、五千万キロリッター前後ほどの油を自主的な供給源に求めなきゃならぬということになります。二億キロリッターといたしますと、今日の全輸入量よりもまだ多い量を自主的な供給源としてこれを求めなきゃならぬということはたいへんな問題だと思うのでありますが、もちろん段階を追って逐次進んでいきますが、現在二億キロリッターに対する二千万ですから、約一割がアラビア石油を中心として自主供給源という形になっておりますが、これには先ほど申し上げたとおりに、審議会の答申自身が相当膨大な資金を要するということと、計画的な投資を行なわなきゃならぬというふうに指摘をされるとおりであろうかと思いますが、この点について政府としては、今後、そういう目標に向かってどういう方向でこの石油政策というものを考えておられるのか。いま申し上げましたその一つの部分である自主供給源の確保についてのとりあえずの判断はどういうことなのか、お尋ねいたしたいと思います。
#7
○政府委員(莊清君) 昭和六十年で七億キロリットルのおおむね三割というのは、申すまでもなく石油の安定供給を確保するための一つの努力目標でございます。今後五億キロリットルほどの輸入増が生ずるわけでございますが、それの過半数というわけにもなかなかまいりませんが、それに近い四割程度のふえ分というものは自主開発原油でやっていく。それからまた、現在民族系の石油精製産業が日本の国内の消費市場の約五割を押えておるわけでございますが、かりに民族系の石油精製産業がそういう自主開発原油を使うということになりました場合には、民族系だけに限って言えば五〇%を若干こえる程度の油というものは、自主性のあるわが国の開発原油というもので一応ソースの手当てができるというふうなことが望ましい目標であるというふうに、とりあえずの目標として審議会で出されたものがこの三割でございます。ただこの三割につきましては、たとえば、イラン石油開発のようないわゆる利権をとりまして、日本が直接開発に乗り出していくという場合もございまするし、相手方に融資をしてこれを取得するというふうな、たとえば、現在検討されているチュメニ油田計画のようなものも当然に計画に入ってまいりますし、こういう融資でも政府がバックアップするもの、それから民間が主体になってやるもの、いろいろあるわけでございまして、そういう日本が積極的に石油の探鉱に参加をした形での開発といういろんな形のものを含めまして、この三割を達成したいというのが考え方でございます。同時に供給源につきましても、地域的な分散もそういう中で達成をするべく、こういういろんな政策目標を含めまして、この三割政策というものを今後政府の強力な助成策のもとで実行をいたしたいということが、この中間答申にも出ておる趣旨でございます。
#8
○大矢正君 私がお尋ねしておりますのは、そういう供給源の分散であるとか、単に自主開発というものにとどまらずして、俗にいわれるメージャーズとの間におけるひもつき原油の供給というものを少なくしていくという努力目標というか、そういうものと当然のことながら理解するわけです。私がお尋ねしたいことは、ここに書かれているとおり、もっと膨大な金を必要とするし、したがってリスクも大きいし、資金の借り入れ期間も長いと、よって、投資はこれを計画的に行ないなさいといわれているが、投資を計画的に行なうということになりますと、やはりどの程度の資金を年次別にどういうように投入をしていくかというような具体的な目標をある程度設定をしなければならぬのじゃないかと思う。で、これは立場は異なりましても、たとえば石炭におきましては、向こう五年なら五年でこの程度の資金という形で石炭産業の育成強化というものをやられたのと同じように、わが国の重要なエネルギー供給に関して、しかも、自主供給源を求めるという前提に立っての資金の投下というものは、おのずから政府としてもその財源の求めどころ、それからその配分、そういうようなものについても計画がなければならぬのじゃないかと、こう思いますし、そういうものをつくりなさいというのがこの審議会の答申だと思うんですね。でありますから、そういうものは現にあるのか、ないのか。ないとすれば、そういうものを作成してこれからいくという考え方があるのかどうかということをお尋ねしておる。
#9
○政府委員(莊清君) 石油の国際的な状況というものは、一言で売り手市場に変化したといわれておりますが、同様に石油の利権をめぐる獲得につきましても、激しい売り手市場的な様相を呈しているわけでございます。通産事務当局といたしましては、六十年で二億キロリットルというものの自主開発というものを一応前提にいたしまして、探鉱の成功率――その他の可能な限りの作業を行ないまして、二兆円とか三兆円とかという大きな金額のもとに資金が全体として要る。これは探鉱だけでございませんで、いわゆる生産資金も入っておりますが、こういうものもこの審議会でいろいろデータに基づく御意見を賜わった経緯もございます。ただ何ぶんにもきわめて流動的かつ競争の激しい世界のことでございますので、国内の石炭をどうするという程度の政府の主導性のもとにおける見通しと申しますか、事の性質上なかなかむずかしい問題がございまして、実はその点は先生からもいま重ねて指摘ございましたが、ひとつ今後さらに研究をして勉強させていただきたいと存じます。
 それで、この中間報告が出ます過程でエネルギー調査会でたいへんやはり問題になりましたのは、そういうマクロ的な意味での話もさることながら、ミクロの個々の開発プロジェクトを進める際にも、一件やはり二百億、三百億、場合によっては五百億以上というふうな巨額のものが予想されるプロジェクトがございますので、やはり事前調査を十分行なうとか、それから探鉱の結果を十分に科学的に、最近はコンピューターなども十分駆使しているようでございますが、科学的によく分析、調査しながら、はたして、これは油を発見したけれども、生産段階まで資金をつぎ込んで進むべきかどうか、あるいはどの程度の規模のものをどう行なうのかということについては、これは政府も、石油公団も相当金を出しておるわけであります。技術も公団等にございますので、十分評価をし、慎重な配慮のもとに行なわなければならない。ただ、いたずらに石油が出たら全部持ってくることが正しいというような単純な割り切り方だけでやってはいけない。そういう点に対する総合的な配慮もしながら努力をすべきだ、こういう御意見が非常にあった。計画的であったというのは、そういうミクロの面の配慮ということも、実はその審議の過程ではあったわけであります。十分そういう点についても今後も注意をして、業界の指導も助成もいたしたいと思います。
#10
○大矢正君 大臣、膨大な資金を必要とする。たとえば開発段階に入ったならば、市中金融機関、あるいは政府関係金融機関でもけっこうでございますが、比較的商業ベースに乗った金融等でかりにやるとしましても、開発段階に至るまでの探鉱段階、開発に向けてのいろいろな資金というものは、たいへんな額にこれはのぼると思うんですが、現在のところそういう意味では、民間資金の導入はもちろんありますが、いまの法案審議をいたしております公団の資金だけしかないわけです。これは申すまでもなく、石油関税収入の中の十二分の二と財源は限定をされておりますから、油の輸入が膨大になれば別でありますが、おおむねそう大した変化のない金額で推移をすることになりますね。しかし、これをふやそうとすれば、逆に石炭の関税収入を加えなければならないということになりますし、油の関税収入で石油開発と石炭対策、両方やるんだという考え方をこれからも持っていかれるということになりますと、どちらも非常に財源的に行き詰まりという問題が必ずくると思うんです。はたしてそいつを踏み切って、石炭だけは関税収入の中でやるとしても、これだけ膨大な三〇%の自主供給源を求めての石油政策ということになれば、そんなワク内でとてもできるものじゃない。せいぜい年間二百億か三百億しかない。この程度の金で十年やってみたって、二千五百億、ないし三千億程度にしかならぬと思うんです。これじゃ幾ら開発、探鉱段階とは言いながら、とてもじゃないが財源的には非常に貧弱なものだと思うんです。この辺のめどをどういうふうに持たれるのか、大臣の御判断をお聞かせいただきたい。
#11
○国務大臣(田中角榮君) いま石油に関しては、去年から二億二千万キロリットル、五十年で三億キロリットル、六十年で七億ないし八億という一つの目標が出ております。このような状態でもってほんとうに無制限に拡大していけるのかどうかという問題もあります。六十年になると、自由世界の、海洋上に動く、世界の移動量の三〇%以上を日本に運び込むということになるわけでございます。ですから、質の問題、いろいろな問題をこれから積み重ねていくわけでありますが、いまの状態で伸ばしていけば、そういう状態になりますので、その中で全部輸入にたよっておるという、非常に不安定な状態ということになりますから、OPEC攻勢もございます。そういう意味で一つのめどというものを答申いただいたわけです。これは三〇%ぐらいを目標にして安定的供給ということにしなければならない。と言っても、あなたが御指摘になったように二億以上、七億の三〇%としても去年の全石油の消費量ということになるわけであります。一つの拠点として、いまのチュメニの問題を見ましても、二千五百万キロリットルないし四千万キロリットルということでありますから、こういうところを一つにして、五つか六つ数えられるわけであります。ですから、われわれもしろうとでありますが、とにかく数えてみるとなかなかたいへんだなということであります。まあひとついまのチュメニの問題があり、沖繩から南シナ海あり、インドネシアあり、それからいまのアラビアがあり、それからイランがありとして見ても、とても二億にはなりません。だからそういう意味で、とにかく三〇%確保するといってもたいへんでございますが、三〇%まずめどをつけるということ。めどをつけないと、一つずつ積み重ねてまいれませんので、三〇%のめどをつけて、そうして、これに対していままでのような状態ではだめなので、石油公団を拡充をして、石油公団で扱える仕事そのものに正面も広げるわけでありますし、まあ、そういう一つの目標だけを立てたわけでありまして、いま鉱山局長中心にして検討を進めております。が、さだかにいまどことどことどこでどうなりますということを申し上げられる段階ではありませんが、これからこの答申をもとにして、少なくとも今年一ぱい、それから来年にかけては具体的プロジェクトに手をつけなければならないわけであります。手をつけなければ三〇%確保できないわけでありますが、そういうプロジェクトを一つずつ選定をしながら積み重ねてまいろう、こういうのが現状でありまして、三〇%答申というものをいただいて、その内訳ということを、さだかにこういたしたいと思います、こういう状態でございます、場所はこういうところがございますというには、まだまとまっておらないというのが実態でございます。
#12
○大矢正君 いまの自主供給源のお話と関連をするのですが、けさの日経を見ますというと、わが国がメージャーに対する依存関係といいますか、そういうものを極力少なくして、自主供給源を求めるという方向に対して、アメリカの石油会社はもちろんのこと、これはおそらく政府も当然参加をしてくると思いますが、わが国に待ったをかけてきているということが出ておりますが、もちろんこれは答申の中でも、メージャーとの関係を何も断ち切ることが前提でなくて、お互いの協調問題といいましょうか、そういうものを維持していく中で、メージャーに対して供給責任を負わせることが方針としてあるのだが、なおかっこういうものが出てくるということは、どういう背景があってこういうことがなされてきたか。事実かどうか私は存じませんけれども、けさの新聞に載りましたから、具体的な内容を調べるまでには至っておりませんが、事実アメリカからこういうことが言われておるのかどうか。たとえば、OECDの中で議論をしようとかというような具体的な提起までされておるように書かれておるので、これは将来非常に大事なことになると思うのでお答えいただきたいと思います。
#13
○国務大臣(田中角榮君) 新聞のことについてでございますが、メージャーから日本に対して一つの提案をしたという事実はありません。ありませんが、これからはOPECはOPECでもって話し合いをするでしょうし、メージャーはメージャーでもって話し合いをするでしょうし、またわれわれのように消費国は消費国でもって話し合いをしなければならぬということは避けがたいことだと思うのです、現実問題としては。しかし、現実的には何もありません。現実的には申し出もないし、何もありませんが、いまあなたが御指摘になったように、やはりOECDの中で話が出るとかというようなことは、これからそういう方向は予想される、こう思います。現実的にはございません。またあっても、これは固定的にどうするのだというようにきめるわけにはまいらないでしょう。これはやっぱりメージャーからは膨大もないものを供給を受けなければなりませんし、またそれだけにたよっていると非常に供給が不安定になって、日本は大消費国としてはそれだけでは困るので、少なくとも最小限安定供給ということに対しては、自信の持てる体制にしなければならぬということでありまして、また、メージャーと話し合いが行なわれても、OPECからの要求に対して、こちらが話し合いに応じないというわけにはまいりませんし、だから、そういう問題は、これからいろいろな状態から話し合いは起こってくると予測をされます。現実的には報道されたような事態はないということが事実でございます。
#14
○大矢正君 これもごく最近の話ですが、インドネシアとの間に、十年間で五千万キロリッターですか、年間五百万キロリッター程度のローサルファ原油を購入するという契約が進行中であるということが出ておりますが、これはどういうことになるのでしょうか。一体だれが金を出して、だれが買うということになるのですか。国が前払いをして、五千八百万キロリッター分に相当するのが一億ドルだと、新聞の説明によるとそういうことなんだが、それを国が出して先払いをしてやって、そうして一体その油をどういうものが受け取るのか。これは民族系の精製会社もあるし、それから外資系の、あるいはまた外資と提携しているというか、いろいろありますが、たとえばそういう非常に売れ口のよいというか、ローサルファの原油をたとえわずか五百万キロリッターでもこれから向こう十カ年間入れる、しかも、それには前払いだというのでありますから、それ相応に国がテコ入れをするということになりますと、どういう形で受け入れさせるのか、どういう企業にこれを精製さして国内に販売させるという経路を持つのかという、そういう面になってくるといろいろあると思うのですが、この際参考のためにお尋ねをしておきたいと思います。
#15
○国務大臣(田中角榮君) スハルト大統領と佐藤総理大臣との間に五月十日及び十二日に会談が行なわれまして、六百二十億円、約二億ドルという借款契約が行なわれたことは事実でございます。これは、公害問題が非常に起こってまいりまして、そのころローサルファの石油の供給を受けたいということで、各地区を調査をいたしておったのでございます。そのときにも、一つはチュメニ油田でございます。チュメニもそのとおりでございますが、インドネシアから、現に供給されておるものプラス五百万キロリットルくらいずつ十カ年間約五千万キロリットルくらいを供給しようという話があったわけでございます。で、一年以上この問題調査をいたしました。これは石油開発公団をして窓口にして調査をしたわけでございまして、実際ほしい石油ではございますが、供給が可能なのかどうかという問題が一番問題でありますので、調査をしてもらいました。で、非常に有望なものである、しかも投資を行なえば、五百万キロリットル以上供給ができるということでございます。その後、日本とインドネシアとの間にそういう話が進んでおるということで、アメリカ資本等もいろいろ注目をし始めて、より条件のいい援助等の提供を申し出たようでございますが、しかし、日本とインドネシアとの関係もありましたので、調査に基づいた結果、二億ドルの、主として石油の開発に充てるということで借款を行なう。しかも、これは来年度のものでございますが、インドネシア債権国会議がありますが、このワク外として提供しよう、そのかわりに石油は五千八百万キロリットルだと思いますが、こまかい数字は事務当局から申し上げますが、提供するということを前提にして話し合いが妥結をいたしたわけでございまして、日本とインドネシア間の両国の友好ということを前提にした一つのプロジェクトと考えていいと思います。まあこれは石油ということが実体でございますが、債権国会議のワク外の借款ということになっておるわけでございます。
 なお、これをどういうふうにして引き取るかというような組織その他は、両国の間でもって話を煮詰めて、そして窓口その他を決定をするということになっておるのが実情でございます。
 以上です。
#16
○大矢正君 局長、続きを。入れる油はどうなるのか。
#17
○政府委員(莊清君) 御案内のように、現在インドネシアから年間約二千五百万キロリットル程度の低硫黄原油がわが国に輸入されております。うち約二千万キロリットルというのは、インドネシアに従来から非常な力を持っておりますアメリカ系のカルテックスが、ここで生産をしてわが国に輸出してきておるものでございます。残りの年間五、六百万キロリットル程度のものが、インドネシアのプルタミナ公社が生産をいたしまして、ファーイーストを通じましてわが国に供給をしておるものでございます。今回の両国間の覚え書きによりますると、従来プルタミナ公社がファーイースト株式会社を通じて、いわゆる商業チャンネルということばを使っておりますが、商業チャンネルを通じて供給してきたものの別途に、別ワクとして十年間に五千八百万キロリットル程度、これは最低という意味でございます。増産になれば、これ以上のものがさらに供給されるわけでございますが、少なくともそれだけは供給をするということが了解されたわけでございます。
 受け取りをどういうふうにするか、受け取り機関をどうするかということは、いま大臣からお答え申し上げましたとおりでございます。今後きめられることでございますが、そういうふうに、入ってくる油はローサルファのものでございまするから、従来プルタミナ公社の分は、電力、鉄鋼等の、特にきびしい公害防止協定を結んでおりますところで消費をされております。それに対する上積み、増加輸入という形で、公害防止の見地から使用されていく、こういうことに相なります。この石油の適正な配分というふうな問題は、当然今後の増ワク五千八百万キロリットルを扱う輸入機関の重要な業務になるわけでございますけれども、政府として、これだけの経済援助というふうな特別のことをして、その見返りとして入ってくる油でございまするから、公害防止という見地から、政府全体として適正にその消費が確保されるようにということで、十分なる指導監督というものを当然に行なうわけであります。
#18
○大矢正君 石油連盟のごく最近の談話によりますと、従来、ある意味で言うと、ことばが悪いかもしれませんが、強制的に割り当てをしてきたアラビア石油のハイサルファの重油は、明年度からこれは御遠慮さしてもらうという、そういう正式な発表がございますね。二千万キロリッター強のこのアラビア石油のハイサルファの原油というものは、これから一体どう処理されるおつもりですか。従来のように強制割り当てはもう連盟としては受けないというわけですから、そうするとこれは宙に浮いてしまいます。これ、長い間問題になってきたわけだが、いよいよ小手先ではこの問題は解決しかねる。もっと抜本的にこの大量の、日本の油の一割にも達しようとするこのアラビア石油の油を、どう政府としては有効に受け入れる一か、いままでの多額の投資があるわけでありますからね。何も日本に持ってくるだけが能ではないと言えばそれまでだが、しかし、実際にアラビア石油がヨーロッパやその他の国々に売れるほど力があると私には思われないですね。メージャーとの間の関係も出てきましょうし、これはやはりここで、いわば日本の国が自主開発の大きなものの一つでありますから、これはハイサルファという問題点はあるにしても、何らかの措置を講じてやらなければならぬと思いますが、これはどうされるおつもりですか。
#19
○政府委員(莊清君) アラビア石油の高サルファの原油は従来、御案内のとおりに、プロラタ方式というので、通産省が非常に強力な行政指導によって実質的には強制割り当てをしておったわけでございます。これは外資系に対してもやっておりました。石油業法で、各精製会社は向こう一年間どのような原油を手当てして製品をつくるかという計画を通産省に出すことに通産省令できまっております。それで、アラビア石油のものを、必ずこれだけのものは引き取って精製いたしますということを書いて出すようにという強い指導をいたしましてやってまいったわけでございます。何ぶん設備の新設の場合には、業法で許可制度がございますので、非常に強力な行政指導という形になっておりましたけれども、三年前に石油審議会で慎重審議の結果、もうあと三年たてば大体十年になる、大体一億五千万キロリットルぐらいのものを引き取ることになるだろう。その場合に、いつまでも強権発動的な輸入強制というだけではなくて、アラビア石油とユーザー側とが取引条件その他についてもやはり話し合いをすべきであろうし、できるならば輸出もする、あるいは現地の脱硫というふうなことも考えられないかというふうないろんな議論があったようでございます。またアラビア石油としても、国内の石油精製会社にその後に資本参加というような形で精製面への進出も間接的にしているというような変化もございます。そういうところを含めて、やはり通産省がもっぱらやるという形を一歩退け、関係者の間でし合いをしなから円滑に引き取るということかより望ましい時点に入ったのではないかということで、三年たったら強制割り当てはやめるようにという御決定があったわけです。その後、いろいろ努力もあったようでございますが、大量のものを海外に輸出するというふうなことができておりません。また、せっかくの自主開発原油で情勢も変わってまいりましたから、これは極力日本でやはり利用するということが長期的に見て望ましいという事情の変化も実は出ていると思います。そういういろんな状況全部考えまして、通産省としてはいまアラビア石油と、それから国内の石油精製業の代表のほうと数量なり価格のあり方について、やはり売り手と買い手の間に話し合いをするようにという姿勢のもとで指導をいたしております。これの話し合いが今後進展するのを十分通産省も見まして、これは精製業界のほうでも決して、せっかくの国産原油を拒否して買わないというのではないという点は私どもも確認をいたしておりますので、その土俵の上での話し合いをするということを今後よく指導もいたしたいと思います。いまのところ全く従来と同じ強制割り当てを今後もまた繰り返すというようなことは、審議会の決定もございまして、通産省としてはいま事務的には考えていない次第でございます。ただ、重要な国産資源が全部井戸を締めなければならないというふうな、そういうことは結果として来たさないように十分配慮いたします。
#20
○大矢正君 局長、いまの御答弁だと、何もないということですかな。最終的には考えております、考えておりますが、いまのところ何もありませんということで、答弁はまことに長くてずいぶんしゃべっているようだけれども、結論一つもないですよ。だからそういうことでなしに、やはり私は、石油政策自身がもう一つの行き詰まりに来ているのではないか。たとえばこの間も私申し上げたとおりに、いわば原油の自由化という一つの大きな転換の時代につくった石油業法でもって日本の石油政策を全部何らか措置しようとするところに、現在すでに無理が生じているのじゃないか。ですから、たとえば精製会社、あるいは元売りの新規なものの設立、それから設備の新増設、こういうものはなるほど石油業法である程度押さえがきくでしょうけれども、それだけでもういいという時代ではなくて、それはあくまでも、言うならば買い手市場であったという前提に立っての石油業法なわけですからね。今日のように売り手市場に変化をした、先ほどあなたもおっしゃっておったように、そういう時代における石油政策の柱となるべき――それが業法であるか何であるかわかりませんけれども、ものがなければならないのじゃないか。したがって、設備はある程度押さえることはできるかもしれぬ。国内の精製会社の数や元売りの数というものはある程度押さえることはできるかもしれぬが、ひとたび海外に向けての開発会社ということになると、結局のところ野放図で押さえようがない。特定の国その他との間に協定らしきものが形づくられれば、それで会社をつくって、雨後のタケノコのように二十八も開発会社ができ上がるという、これからまだまだふえていく、こういうことについては何ら法律的な効果というものは及ばない。
 それから、海外から油を入れて、それをどう全体として調整をしていくか。その油の中には先ほど来申しておりますようなハイサルファもありましょうし、インドネシアのようにもう超ローサルファのところもありましょうし、だといたしますれば、そういうものはハイサルファのアラビアの原油と超ローサルファのたとえばインドネシアの油を組み合わすことによって、大体標準的なものが導入できるのではないかというような考え方がよしんばあっても、いまのように国内の精製段階だけはそういうような設備規制なり何なりで行政が及びますが、それ以外のことには及ばぬということですから、どうも明確な、一貫したといいましょうか、体系的な石油政策というものは生まれてこないように感ぜられますね。今度の場合だって、年間五百万か六百万程度の導入でありますから、そう膨大な数ではないが、しかし、これだって一億ドルの前払いというものがありますが、前提としては、この政府借款の二億ドルというものが結局あるからこれが成立しているわけでしょう。二億ドルというものがなくて、単に油を買う前渡し金といいますか、それに類する民間借款の一億ドルだけでは、はたしてこれだけの契約が成立したかどうかわからぬ。といたしますれば、国の力でそういう超ローサルファの油の確保も可能だということになれば、そういうものをハイサルファと結びつけて、それこそ自主開発をふやしていくという考え方でなければならぬじゃないかと思うのだが、どうも半分では自由競争だと言い、半分では国が力を入れなきゃいかぬと、こう言い、まことに不明確な石油政策しか私は出てきてないと思うのですが、もう一度ひとつお答えいただきたい。
#21
○政府委員(莊清君) 石油業法につきましては、ただいま先生御指摘になりましたようないろいろな問題ございまするし、長期的に見ますれば昭和六十年に至るまでの間にでも立地の問題その他、あるいは経済協力等の観点から、わが国の精製業界は現地に製油所をつくって製品をわが国に持ってくるというような、内外総合立地のような形が徐々に出てくるということはもう事実でございます。したがいまして、そういう情勢の中でなおかつ国内の石油市場に対して、民族系の産業がある程度の安定勢力としての地位を占めるようなことができるようにするため、一体どのような政策が必要であり、またどのような法制が必要であるかということは、新しい次元の問題でございます。石油業法の検討につきましては、そういう問題を含めて今後検討しなければならないだろう。国産原油の引き取りという問題も、業法の問題にからみまして関係の業界等でもだんだん問題意識が出てまいりまして、そういう石油業法の検討の行なわれる際の重要な一本の柱になることは疑いのないところでございます。ただ、現在まだいろんな各国の政策も、ヨーロッパ消費国でもフランスとドイツ、かなり違いまするし、日本ともまた違っておる。外国の制度一つとってもずいぶん違いまするし、情勢は非常に今後流動的でございまするから、エネルギー調査会で先生方から現在実は、御意見を拝聴しながら検討を始めておるのでございまするけれども、なおしばらくこの点は問題の性質上、どうしても早々簡単に結論を出しにくい点が多うございますので、勉強さしていただきたいと思います。
 アラビア石油の問題、また重ねていまお話ございましたが、これは、業界ではもうつとに直接脱硫等でたいへん努力しながらこれの受け入れということにつとめてもおりまするし、低硫黄原油からつくった低硫黄重油との製品段階に配合して売るというふうなこともすでにもちろん行なわれておるわけでございます。インドネシアから輸入がふえるということは、片一方アラビア石油の輸入がふえるわけじゃございませんから、全体としてはそれだけ対応策もふところが広くなって、その中でこなしよくなってきたということもあります。このアラビア石油の引き取り問題は、やはり直接国が数量まで割り当てを済ましてしまったあとで、その価格、取引条件をネゴをするというだけでなくて、やはり数量と価格について一応売り手と買い手の間で話をして、それを見ながら国としても指導するというふうな形でやっていくのが適切と考えられる段階に徐々に入ってきておると、こういう認識が基本にあるわけでございます。決して買っても買わなくてもいいというふうな考えが基本にあって審議会でも議論をされておるわけではございません。その点を十分踏まえまして指導いたします。
#22
○大矢正君 海外に精製設備をわが国の企業が持つということは、いまの石油業法のたてまえ、それから法律の解釈等から推しまして、問題は出ないのかどうかということをお尋ねしてみたいと思うんです。これはいまさら議論するまでもなく、量的に膨大なものがありまするし、なるほど最近は伸び率が比較的低いと申しましょうか、あるいは設備も多少過剰ぎみなところもありますから、設備の新増設というものは、いま押えぎみの状態にあることは私わかりますがね。しかし、公害の発生問題、それからまた逆に言うと、OPEC諸国のダウンストリームに対する参加問題等々を考えますと、ある程度海外における精製というものを認めて、製品輸入の道をとらなければならぬ時期に遠からず来ておるのではないかという前提でいまのお尋ねをいたしておるんです。
#23
○政府委員(莊清君) まだ国内にこれから工業用地の開発もございまするから、相手国の要請、あるいは先行投資というふうな形での小規模な現地精製というものが徐々に行なわれるということであろうと存じます。ただ法的には、現地に対する石油精製工業の進出というものは、海外投資ということでございまして、特に石油業法の許可が要るわけでも、禁止されているわけでもないわけでございます。できたものを海外で相当部分を近隣諸国に販売する、あるいはある部分を日本に持ってくるということになるわけでございますが、製品の輸入は現在でもわが国は自由化をしております。原油からすべて自由化になっておりまして、関税は外国より若干高うございます。国内精製が圧倒的に多くて、現実に輸入されるのが非常に少のうございますから、特にその点を国内精製のシェアにはね返して、海外の親会社から重油を輸入してきたから国内の精製工場の設備化を押えるというような意味でのリンクまでつけた、厳格きわまるようなそういう設備強化の運用は実はやっておらぬ。現在はまだそんな大きな規模のものではない。いずれにいたしましても、今後はだんだんふえてまいりましょうし、民族系の石油企業も、海外進出していくということは、数年先に起こらないという保証はございません。したがいまして、相当ふえていくという場合には、いまの体制では政策的に受けとめ得るかっこうになっておりませんので、やはり石油業法の問題について、先を見て抜本的な検討を実は始めておるというところでございます。
#24
○大矢正君 最後にお尋ねをいたしますが、私は、事業団の組織あるいは機能に関連して、意見だけ、お尋ねというよりも、私の意見を申し上げたいと思うんですが、まあ何回かこの事業団の法案審議の際でも私は指摘をしてきたところでありますが、先般来議論をされているように、わが国のエネルギー供給の非常に重要な部分を占める油、その油に対する開発その他の内容を見ますると、どうもいまの事業団の規模といいますか、組織、人員といいましょうか、内容では心もとないような気がしてなりません。これは人数的にもそうでありまするし、技術的な意味におきましても、技術者の不足というような意味で、現実にはなかなか数多くの企業の海外における探鉱その他開発等についても目を配るということは、どうも手薄じゃないかという感じがいたしますが、将来の、規模やあるいは機能の強大というか、大きくなってまいりますに伴って、当然急速に技術者の養成であるとか強化であるとか、人員の充実というものが事業団になされなければならないと思いますが、そういう一つの将来に対する対策等がもしおありならこの際お答えをいただきたいし、私は、質問というよりも、むしろ希望意見という意味で申し上げておるので、お答えをこの際最後にいただきたい。
#25
○政府委員(莊清君) 現在公団の人数は約百名でございまして、技術系の大学を出たような、しかも、公団に入ってくる前に実務の経験のある、いわゆる高級技術者というのが四十名程度おります。博士クラスの人が数名おりまするが、全体として見た場合に、人数はそうもちろん多くございませんが、一人一人の水準はきわめて高いわけでございます。ただ、いかにもまだ弱体でございまして、相当多くの。プロジェクトをかかえておって、それに対する常時の指導なり助言、あるいは利権情報の価値の分析強化というふうな、非常に多くの技術的な仕事があります。やはり技術的色彩の強い公団でございまするから、人数も、これは実行予算の問題になりますが、四十七年度でもやはり五十名程度は、事務系も若干入りますが、ぜひふやしたいということで、いま大蔵省と交渉をやっておる最中でございます。特に技術系職員の充実に、従来からもやってはおりましたが、今後やはり力を入れる方針でございます。その一つとして、今度の石炭石油特別会計から公団の資金は見ることになりましたが、その中で、五カ年計画の初年度でございますが、四十七年度から約五億円で技術センターというのを付置することにしまして、そこで海外からも優秀な技術者を招いて、探鉱技術というものの非常に高度の技術でございまするから、これの研修と技術の開発を行なう。ある場合には民間の技術者の受け入れもいたしまするが、そういう技術センターというものを公団の機関として付置をするというふうなことをとりあえずしたわけでございます。やはり今後は民間の三十社ほどあるグループ、開発プロジェクトも、資本系統を中心に統括会社をつくりまして、そこで技術者をまとめまして機動的に使うというふうなくふうが、民間自体として絶対に必要だろうと思います。そうやりませんと、やはり技術者だけは急にはふえませんし、また、数だけあっても有能でなければ、非常にむだな投資を行なうという間違った判断もいたしますから、全体として公団をトップにして民間の統括会社というようなものとうまく結びつけて、そして全体としての技術力というものを高めもするし、特に能率的に活用できるという体制はやはりつくるべきであろうと思います。もちろん個々の探鉱作業等では、海外に優秀な専業会社もありますから、メージャーも使っておりますが、日本としてはそういうものはもちろん使う。使うにあたっては、戦略判断は日本の内地できちっとして、そういうものを手足として使うということを今後は出せるようにぜひすべきであろうと思います。
#26
○中尾辰義君 最初に、海外石油開発の統括会社の構想につきまして、通産省のお考えをお伺いしたいと思います。
 このことは総合エネルギー調査会の石油部会の中間報告にも出ておりますか、たとえば三五ページですが、「技術力、情報収集力、交渉力等を集中するとともに、長期的な資金調達能力を保有しうる企業体制」云々と、そこで通産省が考えておる統括会社の構想というか、イメージというか、具体的にひとつどういうことをお考えになっていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(莊清君) 現在統括会社と称するものは、すでに一応三井系統とそれから三菱系統、それから、これは名前はつけにくいのでございますが、俗称興業銀行関係のものというように三つばかりはすでに統括会社として、これから仕事をするという前提のもとにつくられたものがすでにございます。
 何のためのものかという点を申し上げたいと思いまするが、石油の探鉱は従来、プロジェクトの数が三十もあってばらばらだという御指摘が方々であることはございますが、やはり非常にリスクが高いために、一つの会社をつくって数カ所を探鉱するということではなくて、個所ごとに原油のユーザーの協力も得た形で海外投資会社をつくりまして、そこに対して政府の石油公団から出資という形の援助を行なってリスクの分散を、リスクカバーを取りながらやってきたその数が延べ三十くらいになっているということでございますが、数はふえましたが逆に今度は、一つ一つの会社というのは一つのことしかやっておりませんので、新しい情報も海外からとれませんし、技術者も張りついて非常に効率的に使えないというふうなこと、それから資金調達力も独自では弱いということで、そういうグループごとの総合本部のようなものがぜひ必要だという判断になったわけでございます。まだできましたばかりで、その統括会社もこれという仕事を行なうのは全くこれからでございまするが、ようやくできましたので、従来個々の。プロジェクトベースでは欠けておったといわれる点が補われるように、政府としても指導をして続けるということでございます。
#28
○中尾辰義君 そうしますと答申でいっているこの統括会社ということは、いまある三井石油開発あるいは三菱石油開発、ああいう開発企業と同じようなものをつくると、こういうことになるわけですか。そうした場合に、それはいまお答えがありましたようなメリットはありますけれども、デメリットはないのか、その辺のところはいかがですか。
 それから、この統括会社があまり大きくなりますと、かえっていまおっしゃるようなリスクの分散ということができなくなるという限界はないのかどうか、その辺をひとつお尋ねします。
#29
○政府委員(莊清君) 現在の段階では、統括会社のメリットを出すのに大いにこれから努力をしなければならぬという段階でございまして、デメリットということは実際問題、意識もしておりませんのですが、いたずらにただ形、数を減らせばよいということで、うまい協調関係なり協力関係がとり得る範囲を越えまして、無理やりに統括会社をつくるなり、あるいは個々の開発企業そのものを合併させるなんという形をかりにとった場合には、これはやはりデメリットがあるわけでございます。なかなか、実際上その形はできたけれども、きれいだけれども、何ら機動的に動けないというデメリットはあろうかと思います。
 現在のものは資本系統ごとにこうやっておりますので、民間としての資金の調達力を強めるんだとか、あるいは人間を有効に使う点とか、あるいはどこのプロジェクトはこの段階で中断をしてこちらのプロジェクトのほうに金を重点的に入れよというふうな、そういう経営の機動性という点では、現在の形はむしろメリットがあってデメリットのほうはまず考えられない、そういう統括会社の考え方であったと存じます。
#30
○中尾辰義君 この統括会社ができた場合に、独禁法との関係はどうなりますか。
#31
○政府委員(莊清君) 公正取引委員会と私どもの折衝の結果では、いわゆる持ち株会社の禁止という独禁政策がございまするので、やはりその同一資本系統に属するプロジェクトごとの開発会社の株式をただ持っておるというだけでの業務では、形式的に法に触れることになるということでございます。そこで、統括会社自体も石油開発事業を一部行なうし、あるいは技術者も集中して置きまして、そこで高度の技術判断は業務として行なうというふうな、いわゆる現実の業務面も行なうということが条件に実は相なっております。個々のグループも実は公取のほうに事業計画等を事務的には内々出しまして、計画の説明等も行ないながらやっておるという状況でございます。
#32
○中尾辰義君 それじゃ次に、排煙脱硫装置につきましてお伺いしますけれども、これは通産省が排煙の脱硫装置の研究を四十一年度から開発プロジェクトとして開発開始をして、四十四年度には研究は一応終了した。終了したということは一応成功したということであろうと思いますけれども、それ以来二年経過をしておるわけですが、一向に実用化をされておらないという話を聞いておりますが、これはどういうことなのか、一応それお伺いします。
#33
○政府委員(莊清君) 排煙脱硫装置の、いわゆる通産省の工業技術院が行ないました大型プロジェクトの研究は十四億円で、四十四年度一ぱいで終わっております。それで、小さな規模のものでは大体成功という評価がなされたということでございまするが、連続運転、これは発電設備の一部でございまするから、連続運転に耐えるということが非常に重要になりまするので、その点を、現在中規模の研究設備を実際の発電所に三カ所ほどでございますが、東京電力、中部電力、関西電力でくっつけまして、合計で約三十二万キロワットの発電機に対応する排煙脱硫装置に相なっておるようでございまするが、これを現在研究をしておるという段階でございます。したがいまして、いわゆる実用に踏み切れるだけの完全な研究がまだ途上であって終わってない、こういう段階と承知いたしております。
#34
○中尾辰義君 私が聞いているのは、非常に場所をよけいとるとか、コストが非常にに高いとか、こういうことも新聞等で見ておりますがね。今後、通産省も実用化に努力されると思いますが、民間でも排煙脱硫装置の研究開発を行なっておって、新聞等にもちらほらと成功した記事が出ておりますが、民間の開発の状況はどういうぐあいになっておりますか、この辺はいかがです。
 それから、通産省の開発したものと民間のと比べてどうなのか、その利害といいますか、いろいろあるでしょう、問題点が。その辺ひとつ。
#35
○政府委員(莊清君) 通産省が研究いたしましたのは、実は火力発電所というふうな大量の亜硫酸ガスを出して、しかも、煙突の先から百度以上の高い温度で上に吹き上げて、拡散をさせることが望ましいようなそういう設備に、どんな排煙脱硫装置がいいだろうかという研究であったと聞いております。したがいまして、煙をしめさないといいますか、乾式の排煙脱硫装置でございます。かわいた式の排煙脱硫装置でございます。したがって、活性炭等に亜硫酸ガスを吸着させるというのが中心の技術のようでございます。民間で研究いたしておりますのは、煙の温度は少々下がってもいい。あまり大きな発生量がありませんので、そう高くジェットのように高熱で吹き上げて、火力発電所の煙のように高い温度で煙突の口から噴射させる必要は必ずしもない。それよりも少量だが、煙をやや低い煙突で脱硫をうんとやって出したらいいというふうな化学工場とか、パルプ会社であるとかいうふうなところで利用するに適したもので、能力的にも型も小さいというふうなものでございまして、湿式といわれております。これは煙を薬品の溶液の中を通しまして、温度は下げてしまうがそこで吸着をさせるというふうな方式で、小型のものがいい。これは火力発電所では煙の温度が下がってしまいますので、またぐあいが悪いというふうな、向き不向きがあるようでございます。民間で主として研究しておりますのは、一般工場で使う薬液の中を煙を通す方式の中型以下のもののようでございまして、いろんな方式があるようでございまするが、いずれも外国技術を基礎にそれの実用化といいますか、実用化研究であったり、改良研究であったりするわけでございまして、現在化学工場、パルプ工場等を中心に、三十工場程度で実用に次第に供されておるという状況でございます。火力発電所用の煙の温度を下げない大規模な排煙脱硫、これは通産省の結果に基づいて、先ほど申し上げました電力会社三社がいま継続研究をしておるという段階でございまして、一般の化学工場等ではこれは研究はなされておらないはずでございます。
#36
○中尾辰義君 それじゃ大体いつごろ大量に実用化ができるような見通しですか。それもわからない。――その辺わかっておれば  。
#37
○政府委員(莊清君) 私、直接この問題の所管局長でもございませんので、あまり明確なことは申し上げられませんが、電力会社の研究は、実は設備ができ上がりましたのがまだ間がないわけでございまして、少なくともあと一年やそこらは研究にかかるんではないかというふうに私としても承知をいたしております。
#38
○中尾辰義君 いずれにしても、私は、これは去年も四日市を見てきましたけれども、三菱油化なんか見ましたけれども、いろいろ公害の問題も非常に目ざましいときですから、ひとつハッパをかけてやらしてください。
 時間がないのでまとめてお伺いします。
 次は、参考までにちょっと運輸省にお伺いしますがね、タンカーのマラッカ海峡通航について、このことは日本、シンガポール、マレーシア、インドネシア四カ国共同の調査が進められておると聞いているわけですけれども、大体結論はいつごろ出るのか、それが一つ。
 それから、マラッカ海峡の通航が制限をされるようなことがあれば、これはどういうような場合ですかね。
 それから三番目に、マラッカ海峡がもしか通れないとした場合には、いまのバリ島、ロンボク島海峡を通らざるを得ない。こういうことになるわけですが、その前に、たとえば中東と横浜の往復所要日数三十一日が三日よけいになる、これがコストにどのようにはね返ってくるか。
 それから四番目は、現在使用中のタンカーは、トン数で分類しますと、十万トン未満が三〇%、十万トンから二十万トンまでが三八%、二十万トン以上が三〇%、こういうふうになっているわけです。それで、だんだんタンカーの大型化が進んでいるんですが、なお今後の造船は二十万トン以上であると、こういうことも言われておるわけです。ところが、このマラッカ海峡は二十万トン以上は通航できなくなるのではないか、こういうふうに言われておるわけですけれども、そういった場合にタンカーの大型化は取りやめるのかどうか。また大型化を進めるのかどうか。
 五番目は、タンカーの大型化には輸送コストの引き下げというメリットがあると同時に、所要日数三日増というデメリットもある。このプラス、マイナスのバランスをどのようにしてとるのが最もいい方策であるのか。その辺のところをまとめて運輸省のほうからお願いします。
#39
○説明員(川上喜代四君) ただいまの先生の御質問の一番先のことについてお答え申し上げます。
 現在、マラッカ海峡の調査は、昭和四十四年の一月から三月にかけて予備調査を行ないまして、その結果、五つの海域について精密に測量をすることが必要であるという結論が出まして、その五つの海域の約半分の海域につきましては、四十五年の八月下旬から十二月の末にかけましてこれを実施いたしまして、すでにこの成果は現在の海図に全部取り入れられております。で、残された半分の部分の調査は、本年の二月上旬から六月の中旬まで調査が行なわれる予定でございまして、先生いま御指摘のとおり、ただいま実施中でございます。
 で、六月に終わりますと、その成果を持ち帰りまして全部資料整備いたしますので、資料整備のでき上がりの予定は十月の末を目標にいたしております。それらの資料整備ができ上がりますと、それはすぐに、「水路通報」という毎週土曜日発行しておりますものがございますが、これに発表いたしまして、おのおの各国がそれぞれの海図に取り入れていく、こういう予定にいたしております。
#40
○中尾辰義君 それから大臣にお伺いしますが、例の資源の備蓄公団設立の構想、これは財界のほうからもいろいろあったようですけれども、さらに大臣の構想の、いわゆる第二外為会計をつくって、外資を商社に貸し、それによって資源を購入する、こういうような御意見がありましたけれども、その後どうなさったのか。先週も、大蔵委員会に出まして、大蔵大臣にお伺いしましたけれども、第二外為会計というようなものはつくる必要ないと、輸銀に金を預託したらというようなことも出ておるけれども、一体、資源、資源とおっしゃるけれども、何を買うんですかというようなことで、全然これは通じてないような御発言があったんですが、その後の経過等についてお伺いしたい。
#41
○国務大臣(田中角榮君) 石油は御承知のとおり、四十七年、八年、九年、千二百五十万キロリットルを備蓄しようということで予算措置等も始め、そして御審議をいただいておるわけでありますが、これではまだ不足であるという感じでございます。三十日を四十五日に、四十五日を六十日に、六十日を九十日にというふうにまだまだふやしていかなければならないという感じを持っておるわけであります。そして、石油だけではなく、外貨の活用という問題に対しては通産、大蔵両当局で話をつけておるわけでありまして、これはちょっと消えたようになっておりますが、消えておらないんです。火は依然として燃え続けておるわけでございます。そして、私と大蔵大臣の間に話をしておりまして、近く両当局の結論として、通産、大蔵両当局の話し合いの結果がまとまると思います。方向としてはおおむねまとめておるのでございます。作業だけさしておるというのが実情でございます。ただ、通産、大蔵の話し合いの過程で、いろいろな制度、このごろ、金利は引き下げないと言っておったものを、金利の引き下げをやるということが新聞に出ております。公定歩合を引き下げよう、それも〇・五にするか、〇・七五にするかということで違いますが、低金利政策を進めることによって、外資、短資として入っておりまするものがどの程度出るのかという問題も、それで計算が違ってまいりますし、また、外貨を為銀から借りておりますものを低金利の状態になれば返済ができる、円ベースの貿易に切りかえることもできるし、といういろいろな問題がありますので、事態によって見通しは違ってまいります。違ってまいりますが、いつまでもそんなことを言っておってもしようがないので、資金的に三十億ドルを使うのか、五十億ドル使うのかという問題を、腰だめでもまずきめようということで、おおむね三十億ドルくらい上期で使う場合どうするか、五十億ドル使う場合どうするかという問題をいま詰めております。方向としては、両大臣の間ではおおむね話し合いは詰まっておるわけであります。そうして、輸銀だけではなく、私は第二外為を必ずしもつくらなくてもけっこうなんだ、要は外貨が活用できればいいんだ。だから、現在の外為法を改正しないというので問題があるなら、外為法の改正に踏み切ってもけっこうだ。外為法そのもので外貨活用の道を開くということでもけっこうだ。輸銀だけに預託するということには必ずしも賛成をしない、輸銀だけでもできないと思うからである。これは石油に対して、石油にやるなら、石油開発公団にも貸し付けを行なうべきである、それから事業団にもこれは行なうべきだということを主張しておりますから、大体そういうような方向で話は詰まる、こういうことであります。近く詰まるだろう、こういうふうに思っておりますから、四、五日、今週中ぐらいには大体めどをつけたいという感じでございます。
#42
○説明員(原田昇左右君) 先ほどの御質問の五点ございましたが、五点のうち一点は水路部長からお答えをしたのでございますが、残りの四点についてお答えいたします。
 まず、マラッカ海峡における通航制限はどうなるのかという御質問でございますが、マラッカ海峡につきましては、沿岸三国の共同声明が昨年十一月に出ております。これは要点は、一つは、マラッカ海峡の航行の安全は沿岸三国の責任であって、そのための共同の機構をつくるということが一つであります。第二点は、マラッカ海峡は国際水路ではない、しかし、国際水路ではないと言っているのは、これはシンガポールはテークノートしただけでありまして、インドネシアとマレーシアが国際水路でないということを言っております。水路ではないけれども、船舶が無害通航の原則に従って航行する限りにおいては、その航行の自由は完全に認められるということが第二点であります。
 第三点は、いま四カ国――日本も交えまして四カ国共同測量は今後も引続いて継続するという趣旨の共同声明がございます。したがいまして、無害通航の原則に従って航行する限り、完全に自由な航行が認められるということを、沿岸三国が国際海峡であるかどうかということは別問題といたしまして、これは国際法上の法理論になるわけでございますが、事実問題として無害通航の原則に従って航行する限り、完全に自由を認めるということでございますので、沿岸三国として一方的に制限するという意図はないものとわれわれは受け取っております。
 そこで、しからばどんな船でも通れるかといいますと、もちろんロンボク海峡の深いところは別でありますが、マラッカ海峡につきましては、現在のところまだ測量継続中でございますので、喫水何メートルまで通れるかということは、まだ早急には申すわけにはいかないと思います。したがって、測量が完全に完了いたしました結果を見まして、物理的にどの程度の喫水まで行けるかということははっきりいたすわけでございますが、一応現在までの中途段階では、二十三メートルは完全に喫水といいますか、深さ二十三メートルは確保できる水路は十分あるわけでございます。それ以上どれくらいになるかというのは、今後の測量結果を待たなければならない。そこで、その二十三メートルの深さと申しますと、大体アローアンスが二メートルぐらいでございますが、船の喫水線として申しますと二十一メートルぐらいになるのではないかというのが、現在の中間段階における状況でございます。もちろんこれは最後まで測量が完了いたしましてから、どの程度まで完全に水路がとれるかという問題になろうかと思います。そこで、じゃそれはどれくらいの船に相当するかと申しますと、大体二十一メートルでございますと、最近の造船技術ではたらい船のような船もつくれますし、かなりつまり平べったい船もつくれますし、深い船もつくれますし、一がいにトン数で何トンということは申し上げにくいということでございます。大体二十二、三万トンから三十万トンぐらいの船の喫水線は二十一メートル程度でばらつくものとお考えになっていただけばよろしいと思います。
 それから、世界のタンカーは大型化の傾向にございまして、特にスエズ運河が通れないということで、スエズ運河を通るかわりに、南のケープタウン回りでいく。その場合、ケープタウン回りでもスエズ運河を通航するよりはコストが安いということから、二十万トン以上の大型化ということは一般的な傾向として出てまいっております。ただ非常に大きくなりますと、問題は港湾の受け入れ施設の問題に相当な投資が必要になるということでございます。船の運航コストそのものは下がっても、社会的なコストあるいは港湾のコストといったようなところがまた上がってくるという問題がございまして、これは運輸省では、いま百万トンタンカーにした場合に、はたしてそれがどの程度になるかということで、建造費、あるいは運航費、あるいは公害防除費、あるいは港湾の費用、そういったものを目下総合的に検討いたしておる段階でございます。
 それから、ロンボク海峡を回った場合どういうことになるか。たとえばコスト的に申し上げますと、同じ船をマラッカ海峡からロンボク海峡に回しますと、大体コストアップ一六%程度という計算になります。なお、違った船、たとえばマラッカ海峡を二十四万トンの船が通り、あるいは五十万トンとか四十八万トンという船がございますが、そういう船はマラッカ海峡は当然荷物を満載した場合は通れません。しかし、から荷で――片道はから荷になりますので、ペルシャ湾に行く場合は通れるわけです。したがって、まずペルシャ湾から油を満載してロンボクを回り、油を積みに行くときはマラッカを通るというような想定で、四十八万トン型で計算しますと、二十四万トン型が日本1ペルシャ湾を航行する場合と、四十八万トン型がロンボク、マラッカを通りまして日本−ペルシャ湾を航行する場合と比較いたしますと、四十八万トン型のほうが若干コストが安くなるという大型化のメリットがあります。
 以上でございます。
#43
○中尾辰義君 それから六十日分の備蓄計画ですね。これは大矢さんからも質問がありましたけれども、先ほどの答弁では、これは一応の努力目標である、こまかいことはまだきまってないというような御答弁のようでしたが、こまかいことはきまっていなくても、四十九年まで、とにかく六十日分の備蓄をしなければならぬ。ですから、大まかなところは考えていらっしゃるのじゃないかと思うのですよね。備蓄のためのあるいは輸入、供給、資金計画、これはどういうふうになっているのか、その辺どうです。
#44
○政府委員(莊清君) 現在の四十五日から六十日まで備蓄を三年間でふやそうというのは、これは年次計画で明確にいたしております。現在のわが国全体の原油と石油製品の備蓄は、四十六年度末で二千八百五十万キロリットルでございます。原油、製品合わせて翌年度の消費に対して四十五日でございます。ヨーロッパ各国は全部前年度の消費水準の実績に対して言っておりますので、わが国の場合には、もしヨーロッパ水準に引き直すのであれば、かりに年間の消費量の伸びが一〇%と低目に見ても、二年間でございまするから二割くらいはこの日数よりは上げて見ていただけば、ヨーロッパの水準に匹敵するわけでございまするが、日本は翌年で言っておりまして、四十五日でございます。これを四十九年では十五日分ふやすというわけでございますが、根っこにあります四十五日分が当然に消費の増に見合ってふえてまいります。約九百万キロリットル分くらい四十五日分だけで自然増がございます。その上に新規の十五日分が乗っかりますので、四十九年度末では、その十五日分が千二百五十万キロリットルでございます。全体としての総備蓄というのは四十九年度末では約五千万キロリットルに相なるわけでございます。
 これは、五十年度の消費が約三億キロリツトル、それの約六十日分、十二分の二でございまするから、五千万キロリットルに相なるわけでございます。現在が二千八百万でございまするから、二千二百万キロリットルほどの増加。この増分の中で、十五日ふやす分がその半分強の千二百五十万キロリットルである、こういう計画でございます。この千二百五十万キロリットルに対しまして、これはいわば企業経営としては過剰在庫を持つことになるわけでございまして、コストアップになり、製品にはね返りまするから、これを持っておるための円資金の面で利子補給を行なうということが一つと、それからもう一つ、タンクを増設いたしまするから、開発銀行のほうからそれに対する資金の約四割ということで、四十七年度は四十億程度でございますが、これのワクを計上いたしておる。タンクに対しては、また特別償却の制度も改善をして適用していく、こういうことで、数字とそれから助成策のほう、三カ年につきましては、とりあえず計画ができております。それ以降の問題につきましては、また総合エネルギー調査会のほうで、備蓄水準も、六十日でいいのかどうか、もっと上げるべきでないのかという御議論も非常に強いわけでございますので、その問題も含めていま検討いたしております。
#45
○中尾辰義君 これは実際計画じゃなしに、ほんとうは一つの努力目標ということですが、ただ数字的に四十九年度は五千万、これを目標にして千二百五十万キロリットルをたくわえるのに、金はどうするか、この程度のことですが、実際これは計画とまで言えないのです。けれども、聞いてもまだ少し無理なようでありますから、これでよします。
 次に、この答申にもありますように、石油開発公団の機能拡充ということが出ておるわけですが、今度の法案を見ますというと、全然このことにつきましては触れてない。通産省が最も力を入れたところの公団自身による利権取得、この点が実現されなかったということはどういう理由によるのか、この辺お伺いしたい。
#46
○政府委員(莊清君) わが国では、ドイツがやっておりますように、民間が石油の探鉱を行なう、それに対して政府が政府資金で助成をするという形をとっておるわけでございます。フランス、イタリアは、政府機関が中心になって石油の探鉱を行ないますし、生産も行なうし、輸送も、石油精製も国内で直接行なうか、あるいは持ち株会社的なことを政府機関がやって、全部上から下まで一貫してやっておるという違いがございます。日本はドイツ方式でございますが、両方の長所を取り入れたらどうか、少なくとも石油を掘る段階ではそうしたらいいではないかということで、予算折衝をやりましたんですが、公団が直接利権取得したほうがベターではないかと考えましたゆえんは一つございまして、それは、民間の開発体制がまだ弱体でございまするから、せっかくいい利権獲得のチャンスに恵まれても、どういう株主を集めてどう入札するかというふうな新会社の設立等で手間どっておる間に機会を失するというふうな不安もありまして、それで公団がひとつつなぎの意味で取っておいて、そして民間につないだらどうかということが非常に卑近な例として一つあったのであります。必要性の一つの理由でございます。この点は、いまの石油公団法をしいて直さなくても解釈運用でそれは、民間が確実に引き取る準備中であれば、はっきりしておればやろうではないかということにも相なりましたし、また、先ほどお尋ねございました民間の統括会社のようなものが整備されてまいりますると、公団がしいてつながなくても、統括会社が一応利権を取っておくというような機動性も出やすくなりますので、これは過渡的な問題だろうと思います。基本的な問題は、やはり公団がそういうつなぎだけじゃなくて石油を掘るところまでということでございまするが、そうなりますると、わが国としては従来民間がやっておりましただけに、公団が最終的には石油を売る、国内に輸出してくるというふうな、そういういろんな問題もございまするし、また途中で、探鉱が成功した段階で民間に生産段階以降は公団から譲り渡すというふうなことも、もちろん相手国政府の了解を得られればできるわけでございまするから、利権取得の場合に、はたして民間が将来確実に引き取るかどうか保証がございませんから、常に相手国との間では、公団が全部やります、場合によっては譲ります、いいときには、ということにしなきゃならぬということにも相なりますが、そのあたりの問題、これは国内問題にもはね返ってくるわけでございまして、石油の生産をやる業界、それから石油の精製をやる業界もございます。そのあたりとの意見調整及び当然のことですが、財政当局とのそういう場合の国の責任のあり方というふうな問題と、予算期、時間も足りないせいもございまして、ずいぶん真剣に検討の対象になったのでございますが、不幸にして引き続き検討ということに実は相なっております。エネルギー調査会のほうでも、この問題はかなり突っ込んで検討をするということに相なっておりまするが、やはり世界の情勢、非常に流動的でございまするので、通産省としては、この問題は今後も前向きにやはり取り組んで、何らかの解決をつけたい、私としてはそう考えております。
#47
○柴田利右エ門君 運輸省の方お見えになりますので、いま質問の順序を変更いたしまして、一点だけお聞きをしたいと思います。
 いま中尾さんからマラッカ海峡のことだとか、タンカーの大きさだとか、そういう点について御質問がありましたんですが、御承知のように、わが国の石油需要は昭和六十年になれば約七億キロリッターだとこういうふうに予想されているんです。そうなれば、中東の産油量がかりに今後年率一〇%で伸びると仮定をいたしましても、約三分の一にあたるというように、非常に大きな量になるわけでありますが、さらにそうであれば、東南アジアとかアフリカにまで手を伸ばすことになるわけでありますけれども、その場合に、まあタンカーもいまの二十万トンよりはさらに大きくなるだろうと思いますし、マラッカ海峡を通すための造船のことについても御説明がありましたが、船腹としてもかなりな量が必要になるんではないかと、同時にまた、船自身が備蓄との関係もあるんではないかというようなことを考えますと、この石油の需要量との関係で船腹の問題についてお考えがあればお聞かせをいただいておきたいと思います。で、その場合に、日本の船を使用する率というふうなものもあるのかもしれませんが、そういう点についてもお考えがあればひとつお聞かせをいただきたい。運輸省に対しましてはこの一点だけであります。
#48
○説明員(原田昇左右君) 石油の安定かつ低廉な輸送ということはきわめて重大な問題でございまして、御指摘のとおり、私どもそのためにタンカーの建造を計画造船で推進しておる次第でございます。なお、これにつきましては、日本開発銀行からの融資でやります計画造船の分と、それから自己資金でやるもの、それから外国船を用船する場合、それから同時に最近では輸出の形で、輸出したものをできるだけ日本の荷主が確保できるような形で、再び日本と石油産出国との間の輸送にフィックスさせるという長期用船契約をできるだけ結ばせるという形で、また輸出するということもあわせて考えて、総合的な船腹の確保をはかっていく。これによりまして、たとえば最近は、海運市況はだいぶ鎮静いたして、むしろ不況色が強いんですが、昨年、一昨年当時の非常に海上運賃が高騰した場合、ふだんの三倍、四倍くらいに高騰した例がございますが、その際でも大体わが国の七割から八割ぐらいの石油を輸送する船腹につきましては、長期用船契約で安定した輸送ができる体制になっておりますので、むしろ海運市況は三倍、四倍にはね上がっても、わが国の石油輸送の平均運賃は引き続き逓減するという形で石油輸送が行なわれているというのが実情でございます。
#49
○柴田利右エ門君 それでは、石油開発公団の方にお尋ねをいたしたいと思います。
 今回の開発公団法の改正によりまして、公団の業務の範囲を拡大をいたしまして、業務の対象に可燃性天然ガスを加えたり、海外における石油並びに可燃性天然ガスの探鉱に必要な地質構造調査を公団みずからが行なうことになられると、そしてまた原油の備蓄増強についても業務が拡大をされるわけでございますが、これらに対しまして、業務の円滑な実施をはかるために理事を二名増員されると、こういうふうにうたわれておるわけでありますが、一方におきましては、石油業界のほうとしては、開発会社がこれからの基本戦略として自主開発、あるいは事業参加、油田の買収、これを三本柱だというふうに言われまして、さらには産油国への技術経済協力、こういうものも含めます新しい路線が組まれるやに報道をされておりますが、こういうことと関連をいたしまして、今回の石油開発事業団法の一部改正、これによりまして、公団自身の体制が十分にこれに対応できるのかどうか、こういう点につきまして、私ども詳しいことはつまびらかにいたしておりませんけれども、何となくこれでだいじょうぶだろうかという感じがいたしております。さらに、今後公団として体制の整備強化、こういうための準備というのもあるいは構想として、さらにその構想を実現するためのいろんなお考えもあればひとつお聞かせをいただきたいと、このように思います。
#50
○参考人(島田喜仁君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 公団法の改正の内容に関連しまして、公団の職員等を充実しなければならぬというのはそのとおりでございまして、一応理事二名ということになっておりますが、本来公団は外国に対しまして、一つは資源国、あるいは石油会社等に対しまして前向きに情報を収集したり、あるいは隠密裏に首脳部もしくはネゴシエーターと前向きに交渉してまいらなければならぬたてまえから、やはり理事級の人間を増員するというので、二名を今度追加される案になっておるわけでございます。
 なお、先ほど来問題になりました技術者の増員というのは、非常に大事な項目でございまして、この点については基本的には、この前も申し上げましたように、技術者が日本全体として足りませんけれども、特に中堅技術者を中心にして増員をしてまいりたい。ただ、ここで問題になりますのは、やはり定員の関係が予算に縛られておりまして、日本の全体から申しますと技術者数に制限がございます関係から、画期的なかっ大幅な増員には限界があると思いますが、少なくとも可能な範囲内での定員を確保していただくことが必要である、こう考えまして政府に強く要望いたしております。この点は政府事務当局といたしましてもよろしくお願いいたしたい。
 なお、もう一つ問題がございますのは、先ほど来、公団は天然ガスであるとか、その他二、三の機能の拡充がうたわれておりますが、実は問題は外国との関係で公団の業務というのは、この前も申し上げましたように、すわっておってデパートかなんかにいい利権が売り出されるというような問題じゃございませんので、実際にどういうかっこうかというと、ただいま申し上げましたように、積極的に情報をとるということと、それから前向きに手を握ってやっていくかどうかという決断を出すことによりまして、いろんなプロジェクトがだんだん浮かび上がってくるわけでございます。そこに実は問題があるわけでございますので、そのためにはその背景となる公団としてどういうことができるかということがはっきりしておらない限りは、前向きに進んでいけないわけでございます。ここに私は一つの問題がある。先ほど来、事業は、いまの公団法のたてまえから、これは民間がやることになっておりますが、利権を取る関係につきましては、率直に申しまして、公団がわりあいに経験を積んでまいりました。民間よりも情報が集まってまいります。それから、国際的には問題でございますけれども、先ほど来、技術陣は一、二の会社の例外を除きまして、民間よりも私どものほうが技術的評価、たとえば地質評価なり、あるいは地球物理学的評価、あるいは埋蔵量の評価に関する限り、ささやかではございますが、充実をしておりまして、民間企業もこれを認めております。そういう意味ではほとんど民間企業から技術判断を公団に仰いでおりますので、そういう面では今後そういう立場に立って技術者も増員をしてまいりたいし、それからできるだけ経験者を民間からも公団に、事務系もとってまいりたい、こういうふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、定員に制限がある点をひとつよろしくお願いをいたしたい。
 なお、これは、いま申し上げましたのは国内との関係でございますが、国際的には御承知のように、研究が足りません。技術的にも足りませんので、いま、二年前からの問題でございましたが、外国における経験者であり、しかも、相当な権威のある技術者をコンサルタントとして雇うことに努力をしてまいりました。なかなか有能な人が来てくれなかったわけでございますが、最近メージャー等にも長い間つとめておった技術者で、しかも、学者である人間を一人コンサルタントとして雇うことにいたしまして、いろんな技術的評価をすることに相なっております。こういう面でもさらに外国の有能なコンサルタントを雇い入れてまいりたい。これも予算の関係に結びついてまいりますので、この点もどうぞよろしくお願いをいたしたい。そういう面でできるだけ公団は専門家の養成と、それから中堅技術者をできるだけ国内で許す限り集めてまいりたい。なお、民間は公団の技術者をコンサルタントとして活用いたしておりますので、その点は民間との間で問題はございません。
 それから、さらに先ほどお話しの、今度技術センターができますので、これはすぐの間尺には合いませんけれども、今後前向きに、技術の開発、技術者の養成をしてまいりたいと一方で考えておるわけでございます。
#51
○柴田利右エ門君 私の御質問の中に、石油業界としての基本的戦略として、これは一つには三割自主開発という一つの目標に向かっての動きだというふうに思いますけれども、自主開発はもちろんのこと、事業参加、油田買収というような問題も、三本柱として、これでもって当たろうというような構想があるやに報道されておりますけれども、もしこれがそのような形でいっておるものだとすれば、やはり公団のほうとも何らかの形で連絡をされながら、こういう形が打ち出されてくるんではないかと思いますが、その点はいかがですか。
#52
○参考人(島田喜仁君) これは、私どもも全くそのとおりでございまして、リスクのある未探鉱地域の開発のみならず、開発輸入、あるいはすでに油田が一部発見をされた、いわゆる混合地域――未探鉱地域と同時に油田の開発された地域に対するファームイン――資本参加、事業参加等も当然やるべきであるということを考えておりますが、これにつきましては、政府が公団に対してそういうことのできる、先ほど申し上げました具体的な政策なり制度的背景をおつくりいただくことをぜひ要望いたしたいと思います。
#53
○柴田利右エ門君 次に、現在石油開発公団から資金の投融資を受けておる企業というのが約二十社あるということでありますが、これはすべての企業が石油開発公団から投資を受けておるんではないというふうに思います。三十社近くあるということでありますが、この受けていないところは、企業自身が公団に対して融資の申し込みをしなかったのか、あるいはしても、何かの理由で公団がこれを断わったのか、この辺をひとつお聞かせをいただきたいと思います。同時にまた、融資を受けていないという企業は、文字どおり、自主開発ということを自分の力でやっておるということになるんですが、こういう企業に対して公団はどういうふうにごらんになっておられるのか、お聞かせをいただきたい。
#54
○参考人(島田喜仁君) 民間が希望したけれども、公団のほうといたしまして投融資をしなかったという例はございません。簡単に申しますと、かつて、公団ができました当時、できるだけ民間の力でやっていこうとし、どうしても資金的に不足をしたらば公団に期待しようという企業が一社ございました。それからあとは、いわゆる外資系とのつながりがあるために、公団に希望しなかった企業が一、二社ございます。積極的に公団に投融資を期待して、公団との関係でこれを受け入れられなかったというものはございません。それから、ただ今後は、民間だけではみずから大きなプロジェクトに取り組むことがなかなかできない状況になってまいると思われますので、今度は事前に私どもとの間で話し合いをした上で海外進出をするということになります。その間では、全く話し合いによって進めるか進めないかをきめる、こういうことに相なろうかと思います。それから、すでに海外開発の体制のできております企業では、いろんなプロジェクトにつき、民間も情報をとりまして、これに進出するかどうかにつきまして公団に相談のあったケースは相当ございます。しかしながら、それは、ただいま申し上げましたように、技術判断の関係がございますので相談に参りました。それは両者の話し合いの結果、やめておるのもございます。したがって、今後自主開発の企業と公団とは、そういう意味で、投融資に関連し、あるいは海外進出に関連し、あるいは探鉱から開発へと各段階の時点における事業を進めてまいります間におきまして、全く一体となってやってまいりたいと思います。
#55
○柴田利右エ門君 以上で、公団に対する質問を終わります。
 次に御質問申し上げますことは、昨年の十二月、総合エネルギー調査会の石油部会でまとめられました今後のわが国石油政策の基本方針についてと、こういう中間答申では、石油政策の目標として三つの項目があるわけでありますが、一つには石油の安定供給、さらにはこれを安価で確保するということ、その他二項目にわたってあるわけでありますが、この中で今回の公団法の改正の趣旨とこの石油政策の目標との関連についてどのように判断をしたらいいのか。もちろん今回の改正は、できるだけ石油を自主開発をしようというところにあるのは私も承知をいたしておりますが、この中間答申の中にあります可及的に安価に確保をする、こういう項目があるのですが、これはどのような形で生かされていこうとしておるのかひとつお考えをお聞かせいただきたい、このように考えます。
#56
○政府委員(莊清君) 石油公団の機能の強化を法案でおはかり申し上げておるわけでございますが、公団の設置の基本目的というのは、これは終始一貫はっきりいたしておりまして、四十二年発足の当初からわが国石油の安定供給及び可及的低廉にそれを達成するという目的に出ておるわけでございます。そのためにわが国も単に外貨で受け身で買うだけではいけないので、積極的に開発事業に参画をしていくべきであるという根本の考えから、四十二年から公団もつくられたという趣旨でございまして、今回の改正もその基本路線の上でさらに一歩進めようというわけでございます。物理探鉱を公団がやれるようにするのも、これは申すまでもなくそういう探鉱、安定低廉に役立つところの開発事業というものをより的確に行なうために、公団にそこまでさせる必要がどうしてもあるんだという認識によるものでございまするし、天然ガスを取り上げておるというのも、これだけ消費がふえてきて、しかも、良質のものでなければいけない。数だけあるだけではこれはもういわゆる不安定供給といいますか、使えないものでは供給にならないということで天然ガス、LNGを積極的に開発しなきゃならぬ。石油だけではいけないというところから出てきておるわけでありまするから、もうすべて先生御指摘の安定供給と低廉ということをねらいにした改正でございます。で、低廉というのはもちろんただというわけではございませんで、国際的な価格というのは当然あるわけでございまするが、そのときどきの事情に応じてやはり一番安いものが入るような努力を積極的にするという意味の低廉でございます。これは、質が悪くて安いということではほんとうの意味では低廉とは実は考えておりません。質のよいものの供給を安定的に十分に行なう体制を整備することがやはり政策としては基本であろうと思います。それによりまして、その条件のもとでできるだけ低廉にする、これがその石油政策の基本的な考え方でございます。
#57
○柴田利右エ門君 先日、参考人の方に御出席をいただきましていろいろ御意見を承ったわけでありますが、その中で向坂参考人からは、中東をはじめ産油国のほうもそのときの印象についてお話がございました。産油国はおおむねわが国が開発に乗り出すことについては好意的であったというようなお話であったように記憶をいたしております。先日も新聞報道によりますとOPECの事務総長がわが国に参りまして、政府に、OPECがメージャーに二〇%資本参加をして獲得し得る原油をわが国に直接販売をしたい、こういう申し入れが正式にあったというふうに報じられております。これはメーカーの三菱石油にも同様の申し入れがあったと、その解説の中で。この申し入れの売り値は一般より高くなっておるが、リベートを出すことによって実質の価格は安いものになると、そのこと自身が一つの実績となってOPECがメージャーに対する値上げ交渉の材料になるんだというふうな解説もあったわけてありますが、一方、石油戦争以後のメージャーの役割りについてはいろんな論評がなされているわけでありますが、とにもかくにも、メージャーが世界の石油産業で占める支配力というのは低下しつつあると、こういうふうにいわれておりますけれども、依然として大きくてかつ有力なものであるということは事実であろうというふうに思います。原油生産量では一九六九年で世界全体の五二・八%これを占めておると、そしてまた巨大な資本と技術の面、人の蓄積、優良な鉱区を多く持っておると、こういうふうにいわれておるわけでありますが、このように見てまいりますと、わが国の石油の首根っこをある意味ではメージャーに握られておると、こういう面があるというふうにも判断をされておるわけであります。
 こういう情勢の中でわが国が国際協調を基本姿勢として、メージャー、OPECその一方だけに片寄らないで、両者のいずれとも良好な関係を持続して、その上で国際的な競争要因をつくり、競争価格を形成をしていくと、まあことばで言うと非常に簡単なことでありますけれども、実際問題としては決して容易なことではないというふうに思います。はたしてこういう考え方について、これはもういなやはないと私は思うのですが、しからば、どのような効果的な方法でもってこれを実現をされようとしておられるのか、そういう点についてお考えがあればお聞かせをいただきたいと、こう思います。
#58
○政府委員(莊清君) OPECの事務総長とわれわれも会談いたしておりますが、その地位が何ぶん権限のある地位ではないようでございます。それぞれ各国の石油大臣以上の人がOPECの会議を開きまして、そこで総会の形で方策がとられる。各国にはそれぞれ実力者が石油大臣としておるというわけでございまするから、OPECという一つの連合組織の事務総長でございます。正式にわれわれに対して、政府が別に原油を輸入するわけでもございませんから、自分たちの原油を輸入してほしいという話が実はあったわけでもございません。民間の人とは非公式のお話で、もしも将来そういうことをしたときに気持ちがあるか、どういうことを御希望かということは当然あったと承知しております。それで現在、国際石油企業の現地会社の株を二割ほど取ったケースが出てまいったようでございまするが、まだどういう価格でその二割の株式を評価して支払うのかという大問題が残っておるようでございまするので、正式にその原油を取得して日本のみならず海外に売ることになるのは、まだきょう、あすのことではないと存じます。
 いずれにいたしましても、相当量の油を株主として取得して売ってくるということにはなると存じまするが、やはりなるべく高く売るという見地から、一説によりますると、へたをするとメージャーが高い価格でOPEC諸国から買い戻しをして、全体として高い価格にして消費国に売ってくるような形がかりにあるとすれば、これは石油価格の世界的な値段の大幅引き上げの方向に連なるわけでございますが、消費国としてはその間に立って、やはり相当自主性を持って行動する必要があろうと存じます。ただ、自主性といいましても、ただ言っておるだけではどうにもなりませんので、相手方にわが国企業が進出していって、あるいは金を貸すとかいうふうな形で――それぞれの産油国が考えておることは、産油国みずからが石油事業に進出して国民を富ませたいということでございますから、それに対してわが国も、政府も、民間も、石油が割高になっておるのであればそれに対して参加もするし、融資もする、援助もする、経済協力もするということがなければ、これはだめだろうと思います。そういうことを行ないながらどういう有利な条件で直接に買うかということがあるべきでございまして、それなくして従来メージャーから買っておったものを、ドルを使ってOPECから買うというだけでは、これは何も量的にも特に安定するか確証ございませんし、価格もどれだけ安くなるかわからない。やはりパートナーとして事業をやりながら日本もコストの安い油を直接取得もするし、また相手が株主として別途メージャーから取得した油というのは安いわけでございますから、それに対して一緒に事業をしておる国柄として別途交渉をする、こういうやはり対等の立場でお互いに関係者としての取引ということを基本に考えなければならぬと思います。なお、OPECの諸国の中でもイラン、サウジアラビアのような国もあれば、リビア、ベネズエラのような国もある。国情から石油政策まで全くといっていいほどだいぶ違うようでございまするから、一律にはいかない。国ごとにやはり相手方の事情を十分考えながらやっていく、こういうことが非常に大切だろうと思います。
#59
○柴田利右エ門君 先ほど大臣の所見の中にも、この石油問題についてはOPECはOPEC同士で話し合いをすることもあるだろうし、メージャーはメージャー同士でいろいろ話し合い、相談もあるだろうし、消費国は消費国としていろいろ協調、相談というものもあり得るんじゃないだろうかと、こういうことをおっしゃいましたが、これはこの前の石油騒動のことからいって、わが国の置かれておった状態その他からいって、当然そういうことが考えられるわけでありますが、一方には国際協調という、利害相反する立場のものがお互いに協調をしながら、何とか世界の真の石油政策というのを樹立していかなければならぬと、こういうような一方に要請があるわけでありますが、消費国の協調、これはOPECなりメージャーに対して一大敵国を形成すると、こういう意味ではなくて、協調するために世界の石油機構の中の一員として十分な発言ができるような形での、そういうことを前提にしたやはり話し合い、協調というのは私は、ある意味では必要ではないかと思いますし、当然それがなされていると思いますが、そういう場というのは既存の国連だとか、OECDの石油委員会とか、そういうものを活用されるのか、あるいはそのために何か別にそういう話し合いの場を設けようとされるのか、その点についてはいかがですか。
#60
○政府委員(莊清君) OPECは強力なOPECの組織でしょっちゅうその話し合いをしておりますし、メージャーは本来同業者としてカルテルをつくったり、これは非常に緊密でございます。消費国がまだ取り残されておるわけでございますが、今後わが国その他消費国としても、産油国に進出もいたしまするし、直接油を輸入するというふうなことも次第に起こってくると思います。メージャーと消費国とはこれはしょっちゅう売り手と買い手でございまするから、それから事業も石油精製業まで進出しておりますから、これはもうきわめて競争的協調といいますか、相当激しい競争的な協調をやっておるわけでございます。今後はどうしても三者で、消費国もいままでメージャーを通じてのみOPECの諸国と関係があったわけで、直接には全くと言っていいほど無関係であったのが関係できますから、どうしても三者でそれぞれに個別の折衝ということは当然のことでございます。さらに、やはり機運がそこまで進んでくれば、将来の問題としてそういう問題も起こってこようかと思いまするが、現在OECDというのは先進国だけのグループでございますし、そこにOPECが入ってきて、何らかの話し合いに応ずるというふうなことはちょっと考えられません。やはりいま申し上げましたように、消費国も産油国と関係が密接になることを通じて、話し合いが一方に始まっていく、次第に。そういうところから、メージャーも入れて関係者が全部で世界の石油をどうするんだというふうな形のことが、これは相当将来のこととして望ましいことではないか。やはり関係者の間にそういう認識が出てまいりませんと、いまOPECとしては個別撃破折衝でいったほうがはるかに有利だということがここ数年は戦略判断かもしれませんし、なかなか日本だけの思うようにはいかない。やはりやることも日本がやりながら、発言権を強化しながら、もちろんそういう日本が一番消費も多いし、メージャーからも買うし、OPECとも縁も深くなるし、しかも、消費量か大きい国でございますから、やはり将来のそういう世界全体の動きに対してはこれは傍観者ではいかぬ。責任は相当あるし、力も信じていい、こういうふうに私どもは考えて、これから対処いたしたいと考えております。
#61
○柴田利右エ門君 時間がありませんので急ぎますが、一九七〇年のいわゆる石油戦争以降、新しい海外開発、石油資源の開発という動きがピッチをあげておりますし、先ほども申し上げましたように、業界のほうでもいろいろお考えになっておられるわけであります。わが国の場合、今回、開発公団の業務を拡大して大いに意欲的に自主開発に取り組む、こういう体制強化をされているわけでありますが、言いかえれば、公団としては資金の投融資を行ない、国家資金をつぎ込む、こういうことになるわけであります。が、この投融資については、俗にいう出世払いといいますか、企業の業績、こういうものは現在の状況でいけば八年間これを見守って、その時点で判断するというふうになっているやに承知をいたしておりますが、公団が発足以来まだ四年有余ということで、その判定する具体的な事例はないわけであります。しかし、基本姿勢としては、石油というエネルギーは、需要は先々大きくなることはあっても小さくなるようなことはない、こういうことであれば、これは大いに強化をしなければならぬと、こういうことになろうと思いますが、一体、総合エネルギー調査会のほうでこういう自主開発を三割を目標にすると、こういうこととの関連でここ当分の間はこのような形でさらに強化をしていくのか。あるいは開発の成果との関連でこの基本姿勢というものに対して何らかの考え方をはっきりさせるのか、この辺についてひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#62
○政府委員(莊清君) もうこの点は申すまでもなく、相当長期にわたりましてわが国としては輸入量がふえる一方でございますから、へたをするとこれは単純輸入の比率のほうが現在の水準よりもまだふえかねないことすら心配されるわけでございますので、よほどこれは積極的に円も使う、外貨も使う。要するに、国力がついてきましたならば、エネルギーの安定という点は日本は従来非常におくれておりましたから、そちらのほうに力を十分入れるということが非常に大切だろうと思います。長期的にはやはり石油にかわるものは原子力をおいてないというのが通説のようでございますが、わが国においても原子力の資源の開発、あるいは技術の開発にも当然同様に万全の努力を尽くす、こういう長期路線はその二つを考えなければならぬということだろうと思います。石油公団は、あるいは輸出入銀行の資金も、両方でございますけれども、あるいは経済協力基金もやはり当分の間はよほど協力しまして、石油を重点にやっていくということがお説のとおりきわめて重要だろうと思います。
#63
○柴田利右エ門君 二点質問しますが、時間の関係でもうこれで終わります。
 最初の質問は、先ほど中尾さんからもお話のありました統括会社のことでありますが、これは現在、先ほどお話のありましたように、三菱石油開発だとか三井石油開発系の動きが出ているのでありますが、これと関連をして一方には現在三十社近くある企業を再編成をしようというような動きもあるやに聞いております。このいわゆる持ち株事業会社的な構想、統括会社と申しますか、これとの関連でこの三菱石油だとか三井石油開発だとか、こういう動きなり規模についてどのように評価をされているのか。再編成をするということであれば、適正規模はどのような形をお考えになっておられるのかというのが第一点であります。それから二点目は、石油化学工業というのがここ十年くらいの間に、これはそんなに歴史の長い産業ではございません。非常な勢いで発展をしてまいっております。いろいろ理由はあると思いますが、これは一つには六〇年代の石油の買い手市場ということも理由になっていると思います。したがって、現在のような情勢の中で石油化学工業をどのようにごらんになっておられるか。これに対して、そういう買い手市場が現在のような情勢に移り変わりつつあることとの関連で、何かこれに対して構想があれば、ひとつお伺いをしてみたいと思います。
#64
○政府委員(莊清君) 開発企業の再編成といわれておる統括会社の点でございまするが、具体例を申しますと、三菱石油開発というのがことし二月ごろ設立されました。三菱系の二十六社、これは銀行、商社、その他全部入っております。これが株主になりましてつくったものでございます。将来は五百億ぐらいの三菱グループ内の資金をその統括会社に出資という形で集めたい、それと政府との金を合わせて、三菱グループとして海外で、現在でもある程度やっておりまするが、開発地点ごとのプロジェクトを別途、統括会社からの出資というような形でやっていきたい、こういう大きな構想を持っておるようであります。民間で五百億、かりに政府も同額出して千億で三億ドル程度ではないか。三億ドルで海外の石油会社の株をぽっと買えば、それでからっぽになるということではないかと思いますが、従来の考え方に比べますと、こういうユーザーも、金融機関も、商社も、石油精製企業も全部入ったグループとして一つの会社をつくっていく。そこに出資をしておいて、政府の金と合わせてそのグループとして有効に活用していくという考え方は、確かに一歩進んだけっこうなことだと思います。これは五百億より千億のほうがいいし、千億よりも二千億のほうがメージャーと比べても、いいわけでありますが、民間にやらせるにしても、やはり政府が、リスクマネーでございますから、よほど政府の資金を拡充、強化する。政府から融資を、ドルの貸し付け等行なう場合についても、長期でなるたけ条件のいいものにするというようなことが誘導策としてございませんと、なかなか、統括会社もつくったけれども、それほど効果があがらぬということがあろうかと思います。まあすべて政府の政策との関係においてきまってくるし、政府がこれを育てるということが一番大切なんじゃないか。あらかじめ適正規模ということは……。したがいまして、何か政府のほうから特に指導するというふうにはいまは考えておらないわけでございます。
 石油化学の問題はたいへんむずかしいお尋ねでございましたが、たいへんな設備過剰の状態でございまして、いまナフサが六千三、四百円かと存じます。二百円ばかり値上がりをしておるわけでありますが、本来、石油精製の立場から言えば、円の切り上げがあっても、OPEC以前に比べて、日本の輸入価格が優に二割は上がっておりますから、ナフサも実は六百円程度上げませんと、石油精製産業の供給しておったほうが赤字になってしまうという状況でございますが、値ぎめがそこまでいかず、これは産業の不況ということでございますから、石油精製のほうも過剰ぎみで、こういうことで二百円程度、しかも、それが半分程度に修正してもらえないかという話も聞いております。そういうことでありますので、やはり石油化学工業は、現在は海外からある程度は輸入しておりますけれども、これも次第に国際的に値上がりの傾向もございますので、国内の石油精製産業、いつまでもいまのような安い値段でナフサを供給いたしかねると思います。したがいまして、設備の調整問題、これを業界の総力をあげて解決する。前向きの努力と、やはり何といっても高度の技術産業でございますので、製品の高度化なり多角化なりということをやることによって道を打開していく、こういうことが非常に必要な、むずかしい曲りかどになっておるんじゃないか。その影響というものは、当然石油精製産業のほうにも同時にはね返ってくるわけでございます。重要な産業政策上の大きな問題であろうと考えて、通産省でも、最近、産業構造審議会でもこの問題を取り上げまして、局の担当は異なりますが、根本的に勉強を始めておる、実はそういう状況でございます。
#65
○須藤五郎君 大臣にお尋ねします。
 石油需要の見通しについて、まず最初にお伺いいたしたいと思いますが、環境破壊や公害、過密問題の深刻化によりまして、今日経済成長第一ではなく、国民の命と暮らしを第一義に考えるべきである、成長率が低くても、国民の福祉を重要視すべきだと、こういう考え方が国民の間に強く支持されていると思うんです。この見地は、経済全体が生産の規模の拡大、利益の増大に突っ走ることがあってはならないということを私は意味すると同時に、個々の分野、たとえば石油や鉄鋼、自動車などにおいてもそうあるべきことを意味していると思います。個々の分野で国民の福祉や環境保全を第一に考えた活動を行なってこそ、はじめて経済全体としての成長率を低く押えることができる。
 総合エネルギー調査会の石油需要予想では、昭和六十年に約七億キロリットルとなっております。現在の三・五倍の膨大な量を見込んでおりますが、これは見直すべきではないか。なぜなら、この数字は過去の高度成長に基づいて計算されたもので、現状に合わないものである。しかも、その過大な数字が基礎となって、政府の石油政策全体に影響を与えているからでございます。この数字を見直すことは、企業の生産第一ではなくて、国民本位、健康本位の経済のあり方を示す上でも、また政府の石油政策を考える上でも、私は必要なことだと思いますが、通産大臣はどういうふうにお考えですか。
#66
○国務大臣(田中角榮君) 生産第一主義から生活第一主義に転換をしなければならない状態にあるということも事実でございます。また、重化学工業中心のものから、知識集約的な産業に移らなければならないということも事実でございます。重化学工業から知識集約的な産業に移るとすれば、これは電力の需用も変わってくるわけでございますから、その燃料である石油の消費量も変わってまいります。石油そのものもさることながら、日本の経済の実態をどうしようかという問題は、量から質への転換の段階にあるということだけは事実でございます。また、石油そのものも、六十年までにエネルギーの中に占める割合が一〇%程度を目途とされておる原子力というものが、二〇%ということになるとすると、石油の消費量も減るわけでございます。公害の問題でもって、自動車が石油を使っているものが電気自動車に移るとすれば、これは確かに石油は減ります。まあしかし石油だけではなくて、現に石油をたいているものがかなり天然ガスを使うということになれば、これもまた変わってまいります。
 ただ一〇%経済というものが長い間続いてまいりました。昭和二十九年から十六、七年間一〇%経済というものが続いてまいったわけです。これが四%台に総生産が落ちたのが四十六年でございます。今年は七・二%ないし七・五%にしなければならないといわれております。いまの日本の国民所得や、国民総生産の状態を見ますと、やはり、あなたがいみじくも述べられたうんと低い成長率まで下げられるかどうかというと、これにはいろいろな問題があるようでございます。まだ、アメリカの四・四%、拡大EC十カ国の平均六%という数字に対応する一次産業比率は一七・四%でございます。これまた沖繩が返ってまいりましたから、もう少し上がるわけでございます。そういう面からいって、やはりまだ二次産業や三次産業に移らなければならないものが、一〇%くらい人口比率からいいますとある。それは、言うならば、潜在失業者ともいえるわけであります。そういう意味で、やはり経済というものがノーマルな状態で拡大をしていかなければならない。国民所得そのものも、いずれも野党の皆さん申されておる、国民総生産が大きくなったと言うけれども、国民所得はまだ十何番目じゃないか。いま十三番目くらいだと思います。一けたにしたい、こういうこともありますので、やはりその前提になるものは経済の拡大である。だから、経済の拡大ということを押えるのではなく、公害を伴わない経済、これはスイスのように精巧な高度なものに転化でき、付加価値の高いものに転化できれば、経済がもっと拡大することが国民所得の増大につながるわけでありますから、そういう意味では、ただ端的に成長率を引き下げるということではないわけであります。
 それから、東京、大阪、名古屋ということをいつも例に引きますが、東京と大阪と名古屋で五十キロ圏をつくりまして、三つ合わせると全国土の一%で、三千二百万人住んでいる。これをまた五千万人にしようと、そんな無計画な過度集中を是認し、促進するような政策をとっておっては、これはだめですが、しかし、今度の国会で御審議をいただいております工場再配置というようなものが行なわれて、そうして理想的な姿における日本の将来ということを考えますと、私は、少なくともいまの六十年展望に立った七%ないし一〇%の成長というものは可能であり、それに必要な労働力も、土地も、水も、すべてのものが供給可能であって、われわれが知恵を出せば公害も除去できる、こういう考え方に立っておるわけでございます。だから、六十年に石油が七億キロリットルということを、私も計算をしてみたんです。去年が二億二千万キロリットルというと、やはり七億キロリットルというものを六億キロリットルに下げるよりも、このまま使いまして、これは六十年で自動車は三千七百万台くらいになると見ているわけです。これが四千百万台というところまで伸びると、七億キロリットルが八億キロリットルくらいになるはずです。もっと大きくなるはずです。だから、必ずしも七億キロリットルというものは大きくもないのです。ただ、先ほど申し上げましたように、七億キロリットルでも、六十年には、自由世界で運搬する石油の三〇%をこすということでありますから、これは確保するにもたいへんであるということは事実でございます。だから、そういうことを想定をしながら緊急に、低廉、良質、長期安定的なエネルギーの確保ということで、いろいろな施策をお願いしておるわけでございますから、端的にいまあなたが述べられたとおりにはいきませんが、しかし、六十年展望の数字を一ぺんきめたから、それでもって六十年まで押すんだということではないわけです。一応の目標を立てて、それに対する施策を行ないながら、より合理的、効率的な方法を絶えず検討してまいるということで、石油に対しても勉強してまいらなければならないと思います。
#67
○須藤五郎君 しかし、この調査会の需要予想だけ見ていますと、六十年には三・五倍の七億キロリットルになるのだということは、生産第一主義的なこれまでの高度成長を基盤に置いたものの考え方である。こういうものの考え方でいくならば、やはり国民の健康とか、公害とかというものは非常に問題になってくることなんですね。だから私はいま言ったんですが、大臣の意見では、それでは、六十年七億キロリットルということにはこだわらないのだと。私は、何も生産を下げろと言っているのではないのです。こういうことでは、生産が上がっても国民の健康がそこなわれるんじゃないか、だからそういうものの考え方はいかぬということを私は言っているのでありますが、石油の七億キロリットルというものにはこだわらない、そういう考え方ですか、簡単に答えてください。
#68
○国務大臣(田中角榮君) 一応考えられるのは、七億キロリットルをこすであろうという想定。想定の数字でございますから、これは認めざるを得ません。認めざるを得ませんが、それをただあなたは、七億キロリットルも使うということは公害を拡大することであって、国民の生命を脅かすことであるという断定に立っておられますが、しかし、経済というものが成長していって引き伸ばしていけば、六十年に七億キロリットル以上の石油を使う、確保しなければならない。しかも、それを使うが、その使う過程において、国民生活もよくなるが、しかし、あなたの指摘するように、公害を起こさないようにしなければならない。そのためには、先ほど申し上げたように、東京や大阪集中ということではなく、工業の再配置もやりますし、脱硫装置も行ないますし、可燃性天然ガスにも置きかえますし、いろいろなことを考えております。ただ、七億キロリットルを六億キロリットルに下げれば国民の健康を保持できるというのじゃない。それはやはり、経済は拡大し、うまいものを食べ、環境が整備されれば、生命もまた延びるわけでありますから、そういうことをいろいろ考えながら、国民の健康は十分守りながら、経済の拡大は、必要な拡大をはかるということで御理解をいただきたい。
#69
○須藤五郎君 こういう重大な問題を、二十分やそこらで審議せいというのは実際無理なんです。これはもっともっと時間をかけて総合エネルギー対策として大いに検討しなければならぬ問題です。だから私は時間がないですから、端的に、経済第一主義なのか、国民の健康を度外視した経済第一主義でいくのか。この案は、経済第一主義で、国民の健康というものを考えてないから、七億キロリットルというような数字が出てくるのであるから、この点は考え直すべきだというのが私の意見なんです。
#70
○国務大臣(田中角榮君) そこがまあ違いなんです、あなたとの違いは。アメリカやヨーロッパは日本よりもまだ石油を使っておるわけです。それで、アメリカやヨーロッパは日本よりもはるかに健康をそこなっておるかというと、そんなことはないのです。それは、いままでのものさしを使って東京や大阪へむやみやたらに集めておって、それを排除するという政策をとらないから、あなたのような議論が出るのであって、そうじゃない。まだ九九%の広大な土地があるのであって、自然の浄化力もあるし、人間の知恵もどんどん働かせていけば、公害のない……。だからあなた、月給が上がらなければ自分の生活はよくならない。月給を引き下げてということではなく、やはりそういうものの調整は十分考えます。ですから、いまのやつはどう考えても生産第一主義であって、国民の健康を全然考えない政策をもととしてこれを出しでおるのだということではないのです。
#71
○須藤五郎君 どちらを第一にするのですか。
#72
○国務大臣(田中角榮君) 両方――いや、それは国民の健康を第一にするのはあたりまえです。命あってのものだねであって、命がないようなことでは、金が幾らできても何もなりません。そんなことあたりまえのことである。そんなことを考えること自体がおかしい。これは健康が第一である。
#73
○須藤五郎君 いまそういうやり方をやっているから、ぼくはおこるのですよ。
#74
○国務大臣(田中角榮君) そういうところがちょっとあなたとのスタートが違うということです。
#75
○須藤五郎君 こんな論議は、もっとゆっくりやることにしましよう。
 その次に、自主開発原油の三〇%の確保の可能性について質問したいのであります。総合エネルギー調査会の中間報告は、「昭和六十年度において、わが国の総所要原油の三〇%を自主開発によって確保するという目標は達成可能であると、こういうふうに述べておりますね。ところが財政制度審議会は、その報告の中で、三〇%の確保は、たとえ多額の財政資金を投入しても、現実にはほとんど達成不可能であると、まるで正反対の考え方を述べておるのです。そして、三〇%を確保するためには、今後、世界の新規発見油田の約半数をわが国で手がける必要があると、こういうふうにいっておりますね、ちゃんとここに資料があります。三〇%の達成が可能かどうかという問題は、現状をどう見るか、見通しはどうかという認識の私は問題だと思うのです。事柄の性質上見解を統一すること、あるいは接近させることはできる問題だと私は思いますが、同じ政府の組織する会でありながら、正反対の見解が出されているのはなぜかという点が一つですね。しかも、審議会の委員の中にはこの両者に名前をつらねて、三〇%の確保は一方では可能だという意見、また他方では不可能だという正反対の報告をしている人もおるのです。名前をあげろと言えば名前もあげますが、これは一体どういう意味なのかというのが第二点。通産省、大蔵省という官庁のなわ張り意識によりまして、不可能なことが可能とされたり、可能なことが不可能とされるようなことがあるとすれば、これは私はおかしい、許すことのできない問題だと思うのです。もし通産省の石油政策がやれもしないことをやれるのだという立場に立って推進されるとすれば、とんでもないことだと思います。相反する見解の出された場合にとるべき道は、どちらか一方を無視して、通産省の都合のいいほうをとるということではなく、見解の統一をはかり、その上に立って政策を考えていくということだと私は思いますが、どうでございましょうか。現在両者の間で見解の統一がはかられておるかどうかという点をお伺いします。
#76
○国務大臣(田中角榮君) 一応政府部内においては、この答申に基づいて作業をいたしており、しかも、それを実行いたすために諸制度の整備をお願いいたしておるわけでございます。とにかく、いままでのことを率直に申し上げますと、多少手を打つのがおくれたと思います。これは通産省の言うとおりやればよかったのです。これは大蔵省式でやっておったのです。私もそのころには大蔵大臣であったということでありまして、私自身の責任でもある、こう思っておるのです。
 なぜかといいますと、石油というものはこんなに大きくならないという感じで、石油というものはやはり世界でもって長いことやっている専門家の発掘をした、専門家の採油したものを使っておればいいのだという感じだったのです。ですから、石油は安かったから、石油なんて幾らでも日本の必要なものは入ってくる、こういう感じが前提になって、これは自由主義経済のその基本をそのまま踏襲して今日までまいりました。ところが、それでよかったものがそれでよくなくなってきた。なぜならば、もう去年すでに二億二千万キロリットル使うようになった。そして十二、三年後、六十年には世界の三分の一を搬入しなければならない。これは最低に見ても七億キロリットルだ、こういう数字になりましたから、そうなってくると、今度は大蔵省的な考えではちょっとだめなんです。それは今後メージャーやOPECの言うとおりになろうものなら、日本のもうけはみんな飛んじゃうじゃありませんか。これはたいへんである。そうすると、長期、良質、安定的なエネルギーの供給というものに手を打たなければ、日本の経済は幾ら日本人が働いても、そのメリットはみな世界に吸い上げられてしまう。石油資本のいいえじきになってしまう。それじゃ困るから、ここらでせめて何とかかんぬきを入れなければいかぬということで検討してもらったら、三〇%は自主開発をして、世界が、だれが動こうと、日本人が開発に関与している限りにおいては安定的な石油を確保しなければならぬ。その量は二五%であるという意見もあり、三〇%、四〇%、半分でなければならないという意見もありますが、七億キロリットルという膨大な量を考えると、やはり三〇%が限度だというところに、答申は三〇%ということになったのであって、これはやっぱり安定的なものを確保するということになりますと、結局やはり三割ぐらいは……。まあわれわれが財産の保全にはどうするか、動産が三分の一、不動産が三分の一、現金が三分の一だという考えと同じことなんですよ。人間の知恵は大体そんなものなんです。そういう考え方で三割を確保しようというのですから、これをあなたのように理屈を言ってないで、確保しなければならないのです。そうじゃないと、日本人はこれはほんとうにメージャーの言うとおりにかってにやられてしまったら、これはたいへんなんです。
#77
○須藤五郎君 大臣の言うことはよくわかりますよ。
#78
○国務大臣(田中角榮君) そういう意味で大蔵省と、それから通産省もだんだんと話を詰めて、いままでは幾らか違っておりましたが、今度商工委員会にお出しをしているものは、いずれにしても政府としてちゃんと一緒になってやりますからよろしくお願いいたします、こう言っているのでありまして、いままで、かってにおいてはいろいろな議論があったし、あなたがお読みになったような事態もあったでしょうが、しかし議論は議論、現実問題としては三〇%確保しなければいけない。その確保のために具体的な政策はこうだということで御審議をいただいておるということで御理解をお願いしておきます。
#79
○須藤五郎君 時間がないから、もう一問で終わりましょう。
 稲山さんという人は両方の意見、一方では不可能、一方では可能だ、こんな無責任な回答をする人がこの重要な委員会の中にあるということ自体が私はおかしいと思うのですね。そんなことはもうやめたらいいのですね。
 それから最後に、石油備蓄の用地について私、質問したいと思うのですが、計画では、原油の備蓄量を十五日分ふやして現在の四十五日分を六十日分にすることになっておりますね。十五日分の原油量は千二百五十万キロリットルです。そのために必要な用地は十万キロリットルのタンク一基で一万坪、タンクの稼働率を五〇%とすれば、全部で二百五十万坪の用地が必要であり、昭和四十七年は七十万坪、四十八年は八十四万坪、四十九年は九十六万坪を手当しなければならないことになっておると思いますが、現在手当て済みの用地は何万坪ぐらいあるのか、また備蓄タンクの建設予定場所はどこなのか、具体的に答えていただきたいと思います。
#80
○政府委員(莊清君) お尋ねの点は、今回の予算措置をきめます際に大蔵当局と詳細に検討された点でございます。御指摘のように、大体二百五十万坪ぐらいのタンク用地が余分に必要になるわけでございますが、場所は、現在この三年間につきましては石油精製企業がすでに造成済みで、あき地にしておるもの、あるいはもう埋め立て免許がおりておりまして、現在埋め立て中というふうな確実な土地の中で行なうわけでございます。それらの土地が大体五十年までに七百万坪程度あるわけでございますが、すでに許可をしております新しい精製設備を建てる場所もございます。そういうものも含めまして備蓄用地は、大体において現在の手当て済みの工場用地の中でまかなうことが見通しとしてはっきりいたしております。これは企業別にもいろいろ分析調査をいたしております。それ以降も、同じ六十日分でも備蓄の絶対量はふえてまいりまするので、それ以降につきましては、やはり長期的には日本全体として新しい工業基地の開発とか、あるいはCTSの基地を整備していくというふうな、そういう措置を講ずることが当然に必要でございます。
#81
○須藤五郎君 あのね、もっと具体的に答えてほしいな。備蓄用の用地として確実に確保できるのがどこで、どこどこでどれだけか、それから予定しているのは一体どこなんだということを答えてください。
#82
○政府委員(莊清君) これはもう現在所有してあき地になっておる土地が相当ございますのと、現在埋め立て造成中で造成が進んでいるものを合わせまして約七百万坪ございまするので、その範囲でほとんどまかなうことが可能であると……。
#83
○須藤五郎君 場所はどこですか。
#84
○政府委員(莊清君) これはすべての企業が備蓄を増強するわけでございますから、それぞれの企業ごとに調査も十分してございます。余裕の多いところも余裕の少ないところもございますし、いまはほとんどないけれども、すでに埋め立て免許がおりて造成中であり、大体四十七年か四十八年には埋め立てが終わる。これは工場ごとにそういうのがあります。必要ならばいつでもそういうデータは御説明したいと思います。
#85
○須藤五郎君 それじゃ私が言いましょうか。これは確実だとおっしゃっているところは昭和四十七年度分は用地手当て済みが四十二カ所、精油所周辺ね。それから鹿児島の喜入、それから沖繩。それから予定地は志布志湾、むつ小川原湖、それから高知の宿毛、こういうところは予定地になっているんですかどうなんですか。
#86
○政府委員(莊清君) 鹿児島の喜入は日本石油が備蓄専門の用地としてすでに設備を一部つくっております。今後もそこでCTSの設備の増設が行なわれる予定でございます。それから、沖繩では、規模はそれほど大きくございませんが、外資系の企業がCTSを一部すでに建造して使用をいたしております。今後どこまでふやすかということは、すべてこれから沖繩の総合開発の計画の中で議論さるべきことでございます。それから志布志とかむつ小川原の問題これはいわゆる大型工業基地開発の問題でございまするけれども、これからそういう地域については全体的な土地の利用の問題というのが、計画が立てられて実行に移されていくわけでございますが、先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども、昭和五十年から先になってまいりますと、だんだん土地の点も問題になってまいりまするので、当然そういう大型工業基地を将来開発する場合には、その中に石油を備蓄する場所というものもあらかじめ長期的に見て確保するような考え方、これがぜひ必要であろうと思います。これは現在はっきりしておるわけでございます。
#87
○須藤五郎君 宿毛は。
#88
○政府委員(莊清君) 同様でございます。
#89
○須藤五郎君 いろいろ質問をたくさん用意しておりますが、時間がありませんから、また後日機会があるときにやることにいたしましょう。
#90
○委員長(大森久司君) 他に発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(大森久司君) 御異議ないものと認めます。よって、質疑は終局いたしました。
 自後の審査は後刻行ないます。
 午後二時まで休憩いたします。
   午後一時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時九分開会
#92
○委員長(大森久司君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 小規模企業共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法案についての趣旨説明はすでに聴取をいたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#93
○竹田現照君 きょうは時間がだいぶ制約されておりますから、端的に十ほどお尋ねします。
 中小白書の質問も残っていますので、問題点はまだありますから、そっちのほうに譲ってもいいですけれども、最近の中小企業の動向というのは一体どういうふうに通産省としては把握をされているのか、この点をまず最初にお尋ねをいたします。
#94
○政府委員(高橋淑郎君) それでは基本的な問題と、それから最近のいわゆる景気の動向とに分けてお答えさしていただきます。
 基本的な方向といたしましては、従来から中小企業が日本経済の中で果たしてきた役割りは、今日のような国際的、あるいは国内的な環境の急激な変化に直面しましても、その役割りの重要性はますます高くなってくると考えております。しかし、いままでと同じような考え方でこの事態を乗り切るわけにはいかないと、このように考えます。それで、中小企業にとって、最近の需要構造の変化、あるいは福祉社会へ立ち向かう、あるいは環境問題と取り組むと、こういうような課題をしょいまして、中小企業の経営態度についても、これを改めていく必要があろうと考えます。その際、今後進んでいく方向としましては、基本的には、知識集約型の産業に脱皮していくということでありますが、やはり設備のメリットというものを十分生かせる業種もあるわけでございますから、従来に引き続きまして、設備の近代化あるいは構造改善を推進していくということであろうと思います。いずれにいたしましても、マーケットとのつながりを十分考えて対処していかなければならない、こういうように考えまして、事態の変化に対処しまして、積極的な対応策を中小企業対策の中心として施策を講じていく必要があろう、このように考えます。
 それから、最近の景気の動向は、四十六年の中小企業の生産指数は、前年に比べましてわずかに一・五%増ということでございまして、四十年不況を下回る低い水準に終わっております。四十七年に入りましてからも、年初低迷状態を続けておりましたけれども、三月に入りましてやや生産も伸び、景気の底固めの動きが感じられます。倒産の件数も比較的低水準に推移しておりますが、しかし、中小企業の経営の内容は相当程度悪化しておるのではないかということで、今後の動向を十分注意して適時適切な対策をとる必要があろう、このように考えております。
#95
○竹田現照君 そういう状況の中で、明年度、中小企業基本法の抜本的な改正を中小企業庁お考えになっておられるようですけれども、現にその作業に入っていると聞いていますが、最近の情勢に対処して、どこに重点を置いてその抜本的な改正をなさろうとしておられるのか。また中小企業政策審議会においても、いろいろ検討をなさっておるようですけれども、その状況についても、あわせて御説明をいただきたいと思います。
#96
○政府委員(高橋淑郎君) 後段のほうからお答えいたしますが、中小企業政策審議会の中に企画小委員会というのがございます。この企画小委員会を昨年十一月に開催していただきまして、その後、この小委員会に専門委員会を設置いたしまして、現在までに十回検討を行なっていただいております。これからの手順といたしましては、一応六月末を目途として中間的な答申をいただきたいと考えております。
 それから前段のどういう点について重点を置いているかということにつきましては、大きく分けまして四つの課題、第一は、国際化時代への適応、第二は、公害とか、あるいは都市過密問題などの環境問題への対処、第三は、高福祉社会、あるいは人間尊重社会での中小企業の生き方、第四といたしまして、このような課題を達成しながら、日本経済を中小企業が発展させていくための必要とされるみずからの構造改善の方向、これはいわゆる知識集約化への方向と思いますが、こういう諸問題を中心といたしまして、その中で中小企業がどういうようなあり方が望ましいかということについて、重点的に検討を進めていただいている次第でございます。
#97
○竹田現照君 この改正法律についてお尋ねしていきますが、約六年たっている共済法の今日までの実績について、まず最初にお尋ねします。
#98
○政府委員(高橋淑郎君) 四十七年二月末で、加入者の累計は約二十六万人、それから掛け金等の収納累計は約百五十億円であります。
#99
○竹田現照君 加入累計が約二十六万ということになると、この法律の対象となるのが概数約三百八十万と、こういわれておりますが、そうすると七%以下の低率ですけれども、非常に低い加入率しかないということは、この法律の趣旨の徹底というものが十分なされてないんじゃないか、そう思いますけれども、どうですか。
#100
○政府委員(高橋淑郎君) 御指摘のとおり加入率は約七%で、非常に低い水準でございます。ただ、この制度の持ちます性格からしまして、十分に制度の趣旨あるいはメリットを中小企業、小規模零細企業の方が理解をされませんと加入実績はあがりません。それで、従来から中小企業庁は小規模企業共済事業団と一緒になりまして、制度の周知徹底にいろいろと努力をいたしている次第でございますが、まだまだその普及が十分でない。またこういうPR運動を今後とも十分やっていく必要があると痛感いたしております。
#101
○竹田現照君 東京を除いて、大阪であるとか、あるいは京都であるとか、そういうところの利用者が非常に少ないわけですけれども、この中小企業の都市における利用者が非常に少ない、奈良県の目標に対する二・八%を最高にして。それはどういうところに原因があるんでしょう。東京は一二・四%という数字出ていますけれども、大阪地方は四〇%、三〇%台なんですけれども、この最大の理由はどういうふうにお考えになっていますか。
#102
○政府委員(高橋淑郎君) この制度の普及につきましては、事業団自体が当たっておりますほかに、都道府県、それから各種の中小企業の団体、また金融機関の協力を得て制度の普及に努力しておる次第でございますが、大阪はじめ大都市におきましては、どうしても商工会あるいは商工会議所のような、中小企業団体と小規模企業者との関係、あるいは影響力というものが郡部ほど密接ではございませんので、なかなかに制度普及の効果があがらない。つまり加入促進につきまして、中小企業団体の協力に依存する度合いが非常に大きいだけに、大都市におけるこれら中小企業団体と小規模零細企業者との関係、いま申し上げましたような事情でございましたので、加入の立ちおくれが見られる、これが私主たる原因だと思います。
#103
○竹田現照君 五年前に、当時の長官は五年間で三十万人程度の加入者をふやす目標を立てて、その実現に努力するという、そういうことを言われておりますけれども、ことしになってから週刊誌あるいはテレビで事業団のそういうPRが若干見られます。私も見ておりますけれども、今度のこの法律改正が提案をされることと、五年前の長官の委員会における答弁等から見て、何かつけ焼き刃のような気がします。この法律を改正をする前段としてのPRのような気がしますが、事業団はこの五年間、いま金もあまりないようですけれども、積極的な加入をふやすという努力をどのようになさったのか。単に地方の会議所や商工会に代行させていて、それが実績があがらない、あわてて五年後になって、いま始めたというんでは、やっぱり恒久的な加入者増進対策にはひとつもなってないと、そういうふうに私は思いますが、その点についてどうなんでしょう。
#104
○政府委員(高橋淑郎君) 四十二年に法律改正が行なわれまして以来、事業団としてもいろいろと努力を重ねてまいりまして、加入者が逐次ふえてきておりますが、ただ最近、その伸びの率が鈍化しておるということは確かでございます。それで、どういう努力をいままでしておるかということにつきましては、事業団がみずからテレビとかラジオとか、あるいは雑誌、パンフレット類を活用しまして、いろいろPRを行なっておりますが、しかし、先ほども申し上げましたように、みずから行ないます活動には限度がございますので、やはり中小企業関係の団体とか、あるいは金融機関とか、あるいは各都道府県に積極的な協力をお願いしておる次第でございますが、まあ概括的に申し上げますと、年間二カ月ほど加入促進を強調する月間を設けまして、このときに重点的にPRを行なってまいりました。まあこれからも重点は御指摘のありました大都市地区、それからいままで比較的成績をあげております地方の中堅都市に重点を置いて促進をはかっていくべきだと考え、また事業団もそういう計画を持っております。ちなみに、この昭和四十六年度末に終わります三年間におきまして、加入目標三十万人というのに対しまして、約八五%の達成率を示しております。
#105
○竹田現照君 この事業団の事業運営費の内訳というものはどういうことになりますか。今年度の予算でも――予算の中で説明をしていただきたいと思います。
#106
○政府委員(高橋淑郎君) 事業団の四十七年度の予算は全部で七億九百万円でありますが、そのうち出資が二億円、補助金が五億九百万円であります。この五億九百万円の内訳は人件費が一億四千万円、それから委託手数料が二億円、それから、委託手数料を除きます業務運営費が一億五千四百万円、その他四千六百万円という内訳でございますが、このほかに出資金の運用益の繰り入れ三千百万円がございますので、事業団の四十七年度の事業予算規模としましては、五億四千万円となります。
#107
○竹田現照君 この地方団体への活動費、手数料、委託なんとかといういまの長官の御答弁の、委託手数料というんですか、これが二億円、こういうことが、やはり事業の不活発、加入比率が低い原因になってはおらないんですか。それと事業団の人員が総数で七十二名、どうも私は仕事の規模と実績からいって人間が少し多いような気がするんですけれどもね。こんなに七十二名もの人員をかかえてやらなきゃならぬほど事業団本部というのはたくさん仕事があるんですか。その仕事が、内容がわかりませんけれどもですね。それと人件費が一億五千万円、これもどうもどういう人事構成になっておるかわかりませんが、いうところの天下り失業救済団体というような意味合いになっているとすれば、私は多少問題だと思いますが、決算、役員構成、そういうものはどういうことになってますか。
#108
○政府委員(高橋淑郎君) 役員は理事長、それから理事二名、それから現在は非常勤の監事一名でございまして、決してほかの事業団に比べて役員の数が多いとは考えません。それから、役員並びに職員合わせまして七十三名でございますが、これも同じような仕事をやっております他の事業団と比較いたしまして、この共済制度への加入者の数と職員との対比をしてみたり、あるいは予算規模と役職員の数というようなものを対比してみましても、決して事業団の機構が大き過ぎるというようには考えません。何せ非常にじみな仕事をやっていくわけでございますので、なかなか一度に効果はあがりませんが、与えられた予算、人員の能率を最大限に発揮するように事業団として種々努力をしているというように考えます。
#109
○竹田現照君 次に、事業団の発足当初からの資本金はいまどういうことになってますか。それと契約者の掛け金の累計が幾ら、それから死亡、廃業等で支給をした総額は幾らになっているか、差し引き残高はどういうことになってますか。
#110
○政府委員(高橋淑郎君) 出資の合計は六億四千万円でございます。掛け金の累計は運用益を含めまして百四十九億円、それから共済金解約手当金の支払い累計は五億一千五百万円でございます。
#111
○竹田現照君 そうすると、差し引き約百四十五億残っておることになりますけれども、これの運用はどういうふうになっておりますか。
#112
○政府委員(高橋淑郎君) 冒頭、資産の残高について申し上げませんでしたけれども、約百三十五億円でございまして、その内訳は、金融債、商中債でございますが、これが百十一億円、全体の約八三%に当たります。それから政府保証債八億円、定期預予金十五億円、こういう状況でございます。
#113
○竹田現照君 いま長官が百三十五億と言われましたね、残、どっちがほんとうですか、百四十九億と先ほど言われましたが。支払ったのが五億一千万、そうすると百四十三億九千万円一いま百三十五億。十億ほど違いますが……。
#114
○政府委員(高橋淑郎君) 百四十九億円と申しましたのは収入合計でございまして、その中から、先ほど申し上げましたように、約五億円の共済金等の支払いがあります。そうしますと百四十四、五億と、それから現在、申し上げました百三十五億の差の十億でございますが、これは掛け金等が入りましても、銀行に滞留しておるということで、はっきり資産運用に充て得るまでには整理を要する期間がございますので、その未整理分というのが約九億ないし十億円あるということでございます。
#115
○竹田現照君 ぼくが事務当局にさきに聞いておったときには、百四十億ほど残っておるというふうに聞いておったんです。ところがいまの御説明ですと、百三十五億。結局九億というのも残っているというふうにとっていいんですか、銀行のいろんな手続上のおくれがあるというだけで。実際は百四十四億、約百四十五億あるんだというふうにとっていいんですか。その差の十億というのはどうなんですか。
#116
○政府委員(高橋淑郎君) はい、その差額は残っておる、あるわけであります。
#117
○竹田現照君 その百四十四、五億が商工中金債、政府保証債、定期預金、こういうことになっているわけですけれども、これでは私は、資産の運用というものは、普通の生保あるいは損保等の会社が行なっているのとあまり変わらない。しかし、こういう零細な企業から集めた金というのは、もう少し違った形の運用があってしかるべきじゃないか、そういうふうに思います。還元融資等の問題も規定では行なうことになってますけれども、そうしてまた前回の改正のときも、この実施を当時の長官は言われておりますけれども、これが実施に移されない大きな理由、そうしていつからこれを実施なさろうとするのかですね、この点もひとつお答えをいただきたいと思います。
#118
○政府委員(高橋淑郎君) 資産の運用でございますが、御指摘のありましたように、手がたく運用していくということで、商中債を中心に運用をいたしております。それから還元融資につきましては、四十五年度末で資金量が九十五億円――百億円に達しておりませんでした。それで、ある程度の金額になるまでということで今日に至ったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、資金量が約百五十億円に達する現在、いよいよ還元融資を実施することに踏み切ろうということにしたわけでございます。ちなみに本共済制度と似通った仕事をしております中小企業退職金共済事業団の場合も、還元融資は資金量が百億円をこえたときから始めているというような経緯もございます。
#119
○竹田現照君 結局百億こしたわけです、これはいま百四十五億ですから。それじゃこの法律で今年からでも私のいまの質問したようなことで実施をするんですか、しないんですか。
#120
○政府委員(高橋淑郎君) 今年度中にはぜひ還元融資を実際に実施に移していきたい。準備をこれからいたすわけでございますが、ただ融資をやります細目をはっきり固める、あるいは直接金融をやるということはむずかしゅうございますから、関係金融機関の協力を得るための準備も要るということで、なお相当の時間が必要だと思いますが、この年度中には、この法律改正の実現を見ましたならばこれを機会にぜひ実施してまいりたい、こう考えております。
#121
○竹田現照君 そこで、この具体的な貸し付け、運用の方法ということについてどのようにお考えになっているのか。それから先ほど資産運用についてお尋ねをしましたけれども、この還元融資にさしむきどの程度の金を使えば事業団の運営として成り立っていくのか、この点はどうですか。
#122
○政府委員(高橋淑郎君) 現在検討しております還元融資に関する案と申しますか、考え方は次のようなものでございます。
 貸し付けの対象としましては、三年以上掛け金を完納しておる共済契約者。それから貸し付けの金額が十万円ないし五十万円。それから使途といたしましては事業資金ということ。それから貸し出しの形式は証書貸し付けで、保証人は必要としない、担保も特別には取らない。それから貸し付けの方法としては代理貸しの形を取る。利率は年に八%程度。おおむねこういう考え方を現在もとにして検討をいたしております。
 それから初年度のことでありますので、それからまた全体の資金量というものも考えまして、とりあえず二十億円程度を還元融資の融資基金としたい、こう考えております。
#123
○竹田現照君 そこで審議会の答申に関連してお尋ねをしますけれども、なくなった場合には一年未満でも掛け金相当額を支給すべきであるという答申の内容が一項目ありますね。私もこの一年未満は掛け捨てというのはちょっと――かってにやめるのは別として、たとえば交通事故等の不慮の災害、また法定伝染病等による死亡等、あるいはまた炭鉱の閉山等に伴って全く本人の予測もしないように転廃業しなければならぬというような人に対しては、何らかの救済措置が考えられてしかるべきじゃないか、そう思うんです。ですから、額は一年共済の相当額をやるのか、五年相当額をやるのかこれは別として、まるっきり掛け捨てというのはあまり感心はしないのです、保険とは違うけれども。同じ政府機関でやっている簡易保険なんというものは、これは私がさっき言ったような不慮の災害、あるいは法定伝染病等の場合には保険金の全額、あるいは倍額支払いというようなこともありますね。ですから、お聞きするところによると、雇用者の厚生省か労働省でやっているものもやはり一年の掛け捨てだということで、使われている者が掛け捨てなのに、事業者だから払うというのはバランス上よくないと、こういう説ですけれども、私は、使われている者の掛け捨てというのが本来悪いのであって、そういうものを含めて改善をしていくべきが筋でないか。ですから、廃業の問題というのはこれ答申にはありませんけれども、死亡の場合というのは答申にもありますけれども、これはどうですか、実現をさせるという考え方は全然成り立ちませんか。
#124
○政府委員(高橋淑郎君) 死亡の場合に、一年未満であっても共済金を支給してはどうかという点につきましては、確かに中小企業政策審議会の答申の中にもございました。で、まあ実施するかどうかについていろいろ検討をいたしたわけでございますが、先生御指摘のように、この共済制度というものがやはり性格上簡易保険や一般の生命保険とは違うという点、それからこの共済制度の共済事由が廃業とか退職を中心としておるというようなこと、それからやはり横並びということも確かに頭の中にありまして、その一年未満の場合は、死亡の場合も確かにたいへんお気の毒な事情はございますけれども、この際は現行規定をそのままにしていくということで結論を出しまして、改正の用意をいたさなかったわけでございます。まあ、いろいろと問題があるわけでございますので、いま御指摘のように、今後時間をかけて研究させていただきたいと、このように考えます。
#125
○竹田現照君 この中小企業問題に関する、言うならば各界の権威者でこの中小企業政策審議会というものがつくられ、そこでいろいろな角度から検討されて、私がいま質問したような答申もあるわけです。それから、さらに五千円を一万五千円にしろといったのを一万円という提案ですね。それから六十五歳の老齢給付の限界を六十歳に引き下げろと、そういう答申もあるはずです。こういうもの、みんな法律改正の中には盛り込まれていないわけです。そういう意味では完全に答申無視だと、どうも政府は答申をたてにとって、答申がこうだからということで国会にしゃにむに答申どおりの改正案を出すが、こういうものは、あまり自分らのほうに都合の悪いやつは答申どおりにしないというんじゃ、これは審議会というものをつくったって、言われるところの、政府に都合のいい隠れみのだと言われることにも通ずるわけですが、その他の審議会は別として、いまこの中小企業政策審議会が出した、私がいま取り上げている三つの問題なんていうのは、それほど天下国家に重大な影響があるという問題だとは私は思わないのです。ですから、こういうことが行政ベースにおいて答申が実現できないという最大の理由は一体何なんですか。
#126
○政府委員(高橋淑郎君) 基本的な考え方としましては、審議会から答申をいただきましたら、その実現に最善の、最大の努力をし、そして結果的に十分それが尊重されたものであるということでなければならないと思います。で、ただ、審議会から答申をいただきました後、いろいろ関係の方面と折衝をし、あるいは話し合いをしてまいります間に、やはり答申の全部が全部実現必ずしもできないという場合もまたあるのが現実でございます。この共済制度につきましての答申につきましても、いろいろと努力をいたしてまいりましたけれども、ほかの制度とのバランスの問題とか、あるいは時期的に見てまだ少し早いとか、まあいろいろなことがありまして、確かに必ずしも答申を十分結果的に法律改正に反映することができなかったという点はございます。今後こういう実現できなかった点、あるいは検討を要すべき点、不十分だと思われるような点、これにつきましては種々の角度から検討をいたしまして、極力具体化につとめるようにいたしたいと考えます。
#127
○竹田現照君 これは大蔵省にもちょっとお尋ねしますけれども、やはり答申の中に税法上の取り扱いについて、共済金をいまのところ一時所得扱いになっているのを、退職所得扱いにすべきだ、そういうことになっているんです。ところがなかなか大蔵省、これについて同意されないようですけれども、衆議院の附帯決議にも私がいまお尋ねをしている点、退職所得扱いにするようにということになっておりますが、あえてまたこっちのほうでも附帯決議というようなことをいまのところ考えていませんが、大蔵省がなかなかこれにオーケーを与えない最大の理由はどこにあるんですか。
#128
○説明員(高橋元君) 御案内のように、所得税法では全部の所得を十種類に分けております。利子、配当、それから不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時、雑、この十種類に分けまして、それぞれの収入金額から収入を得るに要した必要経費を差し引いた残りを所得といたしまして、すべてを総合して課税をするというのがたてまえでございます。そこで、いまのお話のございました退職所得でございますが、税法上は「退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。」、こういうことになっておりまして、過去の勤務に基づいて退職に際して報酬として支給される、これが退職金で、税法上の退職所得というものに該当するものであるということでございます。
 で、この小規模共済の共済金は、そもそも法のたてまえが任意加入というたてまえでございます。それから掛け金の額を幾らになさるかということにつきましても、御自分で当初共済に加入されるときに、契約でおきめになるわけでございます。そのようにして掛け込みを続けてこられた掛け金の元利合計を共済金という形でお受け取りになるものである。制度の御趣旨からしますと、それは中小企業対策という意味で重要な施策の一つであろうということは私ども重々承知しておりますが、税法が持っております所得の課税のやり方から申しますと、ただいま申し上げましたように、退職所得ということに該当いたすという考え方をとることは非常にむずかしいというふうに思っております。
#129
○竹田現照君 税調でも、個人事業主の報酬、これにはいわゆる勤労部分といいますか、そういうような部分がやはり認められてしかるべきだという意味で目下検討をなさっているということを聞いておりますが、私もやはりそうだと思うんです。ですから、雇用関係というようなことでないからというようなこと、これはいわゆる退職ではないですね、お説のとおり。しかし、こういうものを零細企業の事業主にやろうとした趣旨は、いま課長、中小企業対策として十分理解できるとおっしゃったとおりなんです。ですから、勤労部分、そういうものがこういう個人事業主にも認められるとするならば、私はこれが退職所得として、一〇〇%でないにしても、準じて認められる部面があっていいような気がするんです。税調の検討の中でやはり皆さんのほうが一生懸命反対されましたのでは、全然実現できないわけですけれども、もう少し前向きにその点を検討なさる意思は大蔵省にはいまのところないんでしょうか、その点。
#130
○説明員(高橋元君) 小規模事業主の所得の中に勤労性の部分があるという仰せでありますけれども、私どもは所得税法のたてまえといたしまして、かりにそういう勤労性の部分のしんしゃく控除ということは、給与所得についてもないというふうに考えております。現在の給与所得控除は、御案内のとおり、給与所得を得るのに必要な経費の概算的な控除というたてまえで考えておりまして、給与所得が勤労性の所得であるから特別に認めるというたてまえではございません。したがって、所得につきましても、それはもちろん事業者、事業主御本人が御自分の経営能力と申しますか、御自分の創意くふうというものと、それから御自分がからだを動かすという意味の勤労というものをつけ加えて得られる所得であるということは社会的な事実でございましょうけれども、その中の勤労性部分をしんしゃくして控除するという構成をとりますと、たとえば給与所得につきましても、やはり勤労性部分の控除が必要であるという構成になってまいりまして、先ほど簡単に申し上げました現在の所得税制の骨組みというものが、かなり重要な変更を受けるということになろうと考えております。で、私どもは事業主報酬を認めますことにつきましては、たびたびほかの委員会あたりでも、率直に申し上げてむずかしいということを申し上げているわけでございますけれども、去る四月十四日の税制調査会の総会の際、この問題につきまして、所得税における個人課税、法人税における法人形態の企業の課税、それからさらには、個人の給与所得税全般を通ずる大問題であるという意味で、複雑多岐な、かつ周到な広範な検討をする必要があるだろうということでございまして、そのような見地から、小規模企業税制については特別部会というものを設けております。そこで、部会の終わる時期から近々検討を進めていくということになっております。
#131
○竹田現照君 いずれにしても、答申というのは先ほどお話ししましたように、いろいろな部面で検討された上で答申をなさっているわけですけれども、それが、こういう零細な人にきわめて関係のある部分がみんな法改正のときにはだめになっている。こういうことについてはちょっと釈然としないものがあります。総理大臣に対する答申ですから、この部面は、採決の前に答申の取り扱いについて私は、通産大臣に一言だけお聞きしておく必要がありますので、この部面は質問を保留します。
 そこで、いずれにしても冒頭お聞きいたしましたように、きわめて七%弱というような加入率では、事業のいろんなことをやろうとしても思うようにはいかないと思うので、積極的に私は加入促進、こういうものをはかっていく必要があるし、いま申し上げましたような点が具体的に一つ一つ解決されていけば、小規模企業の共済制度としてふさわしいものにだんだん近づいていくんじゃないか、そういうふうに思いますので、また五年後に法律を改正するときに、あわててPRをするということをやらないように、積極的にひとつ中小企業庁も取り組んでいただきたい。それから、事業団に対しても、よりそういう点の積極性をひとつ指導していただきたい、そう思います。
#132
○林虎雄君 関連で。
 いま質疑応答を聞いておりますと、この事業団の仕事というものは、生命保険会社の仕事によく似ているような気がします、共済ですから若干は違うでしょうが。そこで、大蔵省の所管のもとにある保険会社と競合するような、そんな力もないけれども、そういう関連も大蔵省がいろいろ拒んでいる一つの要素もあるんじゃないかと思いますが、そういう議論は抜きにいたします。
 そこで、ただ一点お聞きしたいことは、ただいまも最後に竹田委員から言われましたように、加入率がきわめて低いということ、つまり、事業団は地方に対して手足を持っておらないので、地方公共団体あるいは経済関係の団体に委託をしまして、加入をさしておる、こういうことです。したがって、委託手数料を出しておるようでございますが、どの程度の委託手数料を出しておるのか。御承知の生命保険などは、一千万契約した場合に、十年満期とすれば、一年に百万円くらいの掛け金をするわけですが、その初回の掛け金に対しまして、代理店なり勧誘員についてはかなり多額の手数料がいくわけですね。ですから、一生懸命で努力するから、加入者も多い。ところが、これのほうはおそらく手数料が低過ぎるのではないかと思う。私は、現実に地方において取り扱っている商工会議所でありますけれども、手数料が少な過ぎて、人件費の高いのにそんなことをしているひまはないと言っては何ですが、そういう余裕がないんだと、こういうことを言っております。ですから加入率を上げてまいりますためには、やはり手数料もかなり生命保険会社並みとは言いませんけれども、かなりよくしないと能率があがらないのではないか。テレビやその他でPRするよりも、手数料を現実に上げていけば、よほど加入率が上昇するのではないかと、こう思いますが、その手数料の内容等について一点だけお聞きしておきたいと思います。
#133
○政府委員(高橋淑郎君) 現在の手数料は新規申し込みの場合、いわゆる掛け金一口五百円につきまして三百円、これは六〇%に当たります。それから、あと掛け金を収納いたす場合の手数料でございますが、これは一口五百円につき十五円、率にいたしますと掛け金の三%でございます。簡易生命保険、あるいは民間の生命保険と比較してみましても、必ずしも低いものではないように思います。実は先ほどもお答えいたしましたように、この手数料は全額国庫補助となっておりますので、従来から御指摘のように極力この手数料を上げて、そうして加入促進に協力していただける中小企業、団体を中心にして仕事がしやすいようにということで、いろいろ努力をいたしておるわけでございますけれども、補助金総額約五億の中の二億ということでございまして、総ワク、なかなかこの引き上げについては財政負担の適正をはかるという見地から、いろいろ折衝いたしておりますけれども、にわかに引き上げるということは率直に申し上げましてむずかしい点がございます。
#134
○原田立君 今回の小規模共済制度はいろいろ中小企業庁も考えて、中小企業者のためをおもんぱかって、いろいろ処置をしているのだろうと思う。そのねらいとして一体どういうところをねらいとしておるのか、そこのところをまず明らかにしてもらいたいと思うのです。小規模企業の保護育成と、こういうような面なのか、あるいは老後の保障的性格、そういうふうな点が重点なのか、一体どっちを重点に置いて考えているのか、その点をまずお伺いしたい。
#135
○政府委員(高橋淑郎君) まず、ねらいは確かに老後に備えてという点もございます。それから小規模企業の振興という点もございます。もう少し詳しく申しますと、この制度は御案内のように、小規模業者がお互いに助け合うということで、そうしていついかなる不測の事態が起こるかもわからない。その際に備えまして、小規模業者が掛け金を積み立てていきまして、たとえば廃業だとか、あるいは死亡というような事態に備えることのほかに、老齢給付という制度もございますので、確かに老後のために掛け金を掛けるという面もございます。しかし、やはり大きなねらいとしましては、不測の事態が起こったときに、また次の事業を行なって再起するという、そのためのつなぎの資金という意味合いも非常にあると思いますし、もともとが小規模企業者というのは非常に競争が激しくて、出入りが激しい不安定な状態にあるわけでございますから、こういう不安定な小規模事業者の方が、将来万一の場合に備えて掛け金を積み立てるということでございまして、繰り返しになりますけれども、制度のねらいは、小規模企業者の福祉を増進するということと、それから広い意味での小規模企業の振興ということを目的としておると思います。
#136
○原田立君 長官、今度のこの法律について、いま言われたような、福祉を増進する非常に魅力的な法律であると、措置法であると、こう自認いたしますか。
#137
○政府委員(高橋淑郎君) 従前に比べまして、魅力が確かに増してくる制度改正だと存じます。
 その内容につきましては、従来第一種共済契約につきましては、掛け金の所得控除額が最大限年六万円でありましたのが、倍の十二万円になるということで、このことは国税を中心にしまして考えてみまして、共済に入っている小規模事業者の方は税法上相当の優遇を受けるということが第一点でございます。それから、先ほど竹田先生から御質問のございました還元融資の実施ということによりまして、迅速に、しかも簡単な手続で、金額は大きくはございませんが、とりあえずの事業資金を借りられると、こういう制度をこの際発足させることにいたしたい、こういう点が、従来に比べまして魅力のある制度になりつつあると思いますが、胸を張って、たいへん魅力があるかどうかということにつきましては、ほどほどであろうかと思います。
#138
○原田立君 長官の人柄が出ている御答弁ですが、実際問題あまり魅力がないと思うのですよ。だから、結局加入率が七%なんというような状態だろうと思うのです。で、福祉を増進するという面も大きく考えているのだとするならば、やはり魅力あるものにする必要があると思うのです。この表をもらってずっと調べてみたらば、東京の場合、四十七万の小規模の企業数があって、三万七千人の加入者があり、平均の六・四に比べて八%ということですから、平均よりプラスです。これはだから、東京なんかもたいへんよくやっていると、こう言えるのですが、その反面、大阪などは二・九%しか入ってない、平均の二分の一ですね、非常に少ない。結局、県で四十六のうち平均以下のところが二十二府県もあるわけです。これは、ただ単にPRの不足というのじゃなくて、やはり魅力の問題だろうとぼくは思うのです。企業の保護育成というような面であるならば、既存の中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等の融資等とも、利便の差、あるいは保障的なものならば、生命保険なんかと比べて有利であるのかどうか、こんな既存のものと絶えず比べて、やっぱり有利なほうにいきたい、こうするのが一般の考え方だろうと思うのですよ。ところが現実にこうやって、平均が六・四、で、平均以下の府県が二十二もあるのは、結局魅力がないからだ、こういうふうにぼくは思うのです。それで、魅力ある法律にするための施策を、国としても中小企業対策として本気になって取り組んでいくのか、こういう姿勢があるのかどうか。これは次官もおいでですから、次官も一緒に御答弁願いたいと思う。
#139
○政府委員(林田悠紀夫君) ただいま長官が御答弁申し上げましたように、ほどほどであるということだろうと思うのですが、私は、いままでの制度から見ますと、今回の改正によりましてだいぶ魅力が出てくるんじゃないかという考え方を持っておるわけでございます。たとえば、いままででは控除も六万円ということでございまするが、今度は十二万円控除するということになりますると、生命保険で三万七千五百円ですか、それだけより控除しないわけですが、それの四倍近い控除が行なわれるということになるわけでございまするし、また、今度は貸し付けが行なわれるということになるわけですから、従来は貸し付けが行なわれなかったという点で、これもまた非常に違う点である、こういうようなことで、ただ、この委託金融機関というのが、これが十分この制度をそれではPRして加入を促進しておるかどうかということにこれから帰していくんじゃないかと思うのでございます。
 それから、これは御承知のように、やはりこういう中小企業政策としましてPRをやっていくというのは、府県というような組織が相当これに尽力してくれるのでなければ、なかなかこういうことの普及は行なわれない次第でございまして、たとえば、国民金融公庫がやるというような場合でも、ただ借りにきておる者を対象にしてこういう話をするというぐらいにすぎないんじゃないか。したがって、小規模企業者を相当そういう府県の機関が集めまして、そしてこれがPRをしてくれるということになりましたら、十二万円も控除になるんだとか、あるいは貸し付けも行なわれるのだというようなことによりまして、だいぶ従来とは変わった魅力が出てまいりまして、これに加入もするんじゃないかというような考え方を私たちは持っておる次第でございまして、そういう地方機関にもお願いしまして、十分これをPRして加入を促進したい、かように考える次第でございます。
#140
○原田立君 そのぐらいのことを言ったってもだめだと思うのですよ。こういう点、ああいう点こういうふうに有利なんだからぜひおやりなさいと、まあ有利な点が四つも五つも六つもなければならぬと思うのです。かりにちょこっと今回改正しただけのようなことで、これで大増加がはかれるか、決してそういうは思わない。問題は、いま竹田委員も質問しましたけれども、「小規模企業共済制度の見直しについて」の答申ですね、それをしっかり実行すると非常に魅力が出てくるだろうと思うのです。その点のお考えいかがですか。
#141
○政府委員(林田悠紀夫君) 確かに鶏が先か卵が先かというような議論にもなるわけでございまするが、答申どおりやりましたならば相当魅力がある、そして加入が促進されるということだろうと存じます。ただ現在のところ、まだ加入しておりまする金額が百四十億円というようなことで、きわめて少額である。そこまでなかなか一挙に飛び越え得ないというようなことで、各省と相談した結果がこういうような改正の線にきまったという次第でございまして、まあ仰せのような御趣旨もごもっともでありまするが、とにかく、五年ごとにこれを見直すということになっておる次第でございまするので、まあ五年かかってようやくここまでこぎつけたということで、これを契機にしましてなお一そう加入を促進して、そして、相当の金額になるということになりましたならば、十分また還元していくような魅力のある制度ができるであろう、かように思う次第でございまして、とりあえず、ひとっこれで改正させていただいて大いに努力させていただきたい、かように考える次第でございます。
#142
○原田立君 これは政府のいわゆる小企業――中小企業の中は別にして、小企業対策というような面での大きい姿勢の問題だと思うのですよ。次官も、小規模企業者がもう野たれ死にしようとどうしようとかまわないと、そんな気はまずないだろうと思う。大いにその仕事の面でも生活の面でも安定させてやろう、こういう気持ちは十分おありだろうと思う。そういうふうな面からいって、この法案をもう一ぺん振り返って見ると、卵が先か鶏が先かというようなお話があったけれども、そんなことじゃなくて、やはり小規模企業は企業者自身の力が弱いのですから、それを大きく救いあげていくような、そういうような姿勢が小企業対策としての政策の基本の姿勢でなければならぬと思う。そういう点どうですか。
#143
○政府委員(林田悠紀夫君) 私も、仰せになるようなことが、最も小規模企業という非常に零細な企業に対しましてやるべきことであるというように考える次第でございます。しかしながら、この共済の制度といたしまして、まだそこまで至っていないというような点がございまして、まあ手数料からこの小規模企業共済事業団の運営費というものはすべて国が補助してやっておるというようなことでございまするので、相当国としてもめんどうを見ておるといってもいい次第でございます。なおこの上大きな力を加えていくということはもちろん必要でございまするので、今後十分そういう方向に向かいまして努力をさせていただきたい、かように存じます。先生と同じような気持ちを持っておる次第でございます。
#144
○原田立君 ある口の悪い人が、口を開けば中小企業対策を政府はしっかりやっているのだと、こういうふうに言っているけれども、実際には何もやってないじゃないか、形だけじゃないか、こういうような意見を言う人がありますが、そんなことであってはならないと、こう思うわけなんです。この答申の中に「政府は、本制度が数少い小規模企業対策の一つの柱であることを認識し、報告の内容の実現に努めることを強く要望するものである。」、こういうふうにいっているわけです。これまたこの次の改正時点が五年後だなんて、五年間このままでずっといくとなると、やはり魅力のないものであり、そんな五年なんかを待たないで、やはりこの答申の実現化に努力する、こうしなきゃいけないと思うのですが、そういう強い意思はございますか。
#145
○政府委員(高橋淑郎君) この法律の規定では、少なくとも五年ごとに見直すというように定めてありますが、御指摘のように、五年間をただ待つということではなくて、必要があれば五年以内の短い期間の間に見直すことは可能でありますので、五年間を待つということではなくて、経済情勢の変動とか、あるいはほかの制度との権衡とかというものをよく考えまして、必要があれは見直しをやるべきものだと考えます。それで、いま御指摘の答申が述べておりますように、強く答申の実現方を要望されながら、幾つかの重要な点について実現を見ていないことについては、私自身の努力の不足ということもございますし、また先ほど申し上げましたように、いまの時点においてすぐ実現するということがむずかしいという点もございますので、今後とも機会をとらまえて関係方面との折衝に当たらせていただきたいと考えます。
#146
○原田立君 五年を待たずして、必要があれば早い機会でも内容充実のために努力すると、こういう御答弁であります。この委員の方々もいまここに十一項目、内容からいくと十八であります。十八の答申をしている。これはそんなのんびりと改正していいというようなことで答申したのじゃなかろうと思うのです。緊急かつ敏速にやる必要があると、こうすべきだと、こういうことで答申がなされたというふうに私は受け取るわけなんです。長官も、もちろんそれぐらいの受けとめ方でこの答申を受けているのだろうと思うのですけれども、その認識は一体どうかということがまず一つ。
 それから、項目では十一項目ですよね。中で一項目の中に二つとか三つとか区分してありますから、その関係からいくと十八項目あります。この十八のうち今回の法改正では何項目採用してつくったのか。それから、あと採用し得なかった分については今後一年後であるとか、二年後であるとか、三年後であるとか、こういうふうな期間にこうやってつくり上げたいとか、そういう計画性があるのかどうか。この二つをお伺いしたい。
#147
○政府委員(高橋淑郎君) 答申をいただきながら実現を見ていませんものは、死亡給付金と、それから老齢給付年齢の引き下げと、それから掛け金掛けどめ制度、それからいわゆる隠居の取り扱い、そういう点がございます。で、この幾つかの答申においていただきました項目につきましては、一つ一つその実現について努力を関係方面と折衝いたしたわけでございますが、一つ一つ一応の御説明はいままでいたしておりますが、とにかく、折衝が実らずして今日に至ったということでございまして、基本的な認識はどうだということであれば、これは御指摘のように、審議会の各委員の方々が小規模企業者に対する緊急な措置を要するものであるということで答申をまとめられるものであるということは、もう先生から御指摘いただきますとおりに認識いたしておりますが、いろいろな関係で一度に実現できていないということで、この際これについては何年以内にという、まだそこまでの計画は立てておりませんが、一つ一つの項目につきまして今後できるだけの努力を続けさしていただきたいと存じます。
#148
○原田立君 どうもやはり長官のお答えでは納得がいきませんよ。次官どうですか。
#149
○政府委員(林田悠紀夫君) 長官も答弁しておるわけでございまするが、これは五年を待たずしてチェックをいたしまして新しい制度をまた導入していくということができるわけでございますので、とりあえず、今回の改正をやらしていただきまして、そして一年間の結果を見る。直ちになお残されておる問題についてこれを取り上げるかどうかということの検討に入りまして、そうして、こういうことではとうてい魅力がなくて伸びないということでございましたならば、直ちにまた改正をさしていただくというようなことですぐ検討をさしていただきたい、かように存じます。
#150
○原田立君 検討の結果、また当委員会で御報告願うということになるわけですが、この問題はやはり小規模企業対策の一番大きな問題だろうと思うのです。とりあえず、これだけ早く改正してもらってという、その気持ちもわからないではありませんけれども、食い逃げであとまた五年間改正しないだなんていう、そういうおそれもたぶんに私、話の聞き方悪いわけですけれども持つわけです。委員長、この問題については、あとで大臣が来るというふうに聞いておりますから、その点については私、留保しておきたいと思います。一応長官及び次官の答弁もありましたから、それをある程度首肯いたしますけれども、もう一度大臣にこの点をはっきりお聞きしておきたいと思います。
 次に、あまり時間がないので個々の問題はやめますけれども、先ほど竹田委員が質問しておりましたが、共済金を受け取る段階について、いわゆる一時所得ということで課税されるというように先ほどお答えしておりましたし、また、衆議院の商工委員会で四月二十五日、長官は、共済金については一時所得として取り扱う、こういうふうなことを言われておりますけれども、これは退職金扱いとして、そういうような退職金のような受け取りですね、そういうようなことにする考えはありませんか。
#151
○政府委員(高橋淑郎君) これも、共済金の退職所得扱いにつきましては、関係の税当局ともいろいろ話をしてまいったわけでございますが、やはりいまの制度のもとでは一時所得扱いとするということで話が通らなかったわけでございます。で、考えてみますと、この制度は、事業主が自分で自分自身のために積み立てる、それから共済金が支給されますのは純然たる退職の場合だけでなくて、廃業とか死亡といった場合が多いと、こういうような点を考えますと、これを一がいに全く退職金と同じだと考えることについてはむずかしい面がございます。しかし他面、この共済金は、小規模零細企業の事業主は一般の従業員と実質的にはあまり変わらないと、そういう方が廃業、あるいは死亡退職によって長い間従事してきた自分の事業から去ると、そういうときに支給されるという点を考えますと、この共済金を単純に一時所得扱いとするということが、はたしてそういう割り切り方しかできないのかどうかという点についての疑問もございます。そういうようにこの共済金は多面的な性格を持っておりますので、この取り扱いについて税体系全体の中での扱いということで、たいへんまあむずかしい問題でございまして、先ほど来申し上げておりますように、一時所得扱いしかできないということでございますが、答申もいただいておることでございますし、今後引き続いて退職所得扱いにできるように検討をさせていただきたいと存じます。まあ一つにはこの制度が発足いたしましていま七年目でございまして、実務の面から申しますと、一時所得扱い、あるいは退職所得扱いにするその実際上のメリットが出てくるのはやはり七、八年後から出てくるわけでございますので、そういう点から申しましても、この制度のいままでの実績、それからこれからの発展のぐあいということも勘案しまして、いろいろと検討させていただきたいと考えております。
#152
○原田立君 長官はね、何でもかんでも苦しい苦しいだなんてね、苦しいことばかり言ってるけれどもね、そんなに苦しいことはないんですよ。こういうふうに小規模企業対策を政府は十分保護的な面でやるときめれば簡単にきまる問題ですよ。大蔵省あたりの意見に引きずり込まれて、そして現行法のたてまえから苦しい苦しいと、そういうことを言っている。ぼくはその姿勢をぜひ改めなくちゃいかぬと思うんですよ。そんなことを百も承知していながら今回も審議会からも答申が出ているはずだと思う。私、年所得百五十万円、標準世帯四人で、一時所得の税額と退職所得の税額が一体どのくらいになるのかなと思ってちょっと調べてみました。そうしたら、たとえば一時所得のものと比べてみると退職所得は約二割低い額、一時所得の八割ぐらいの税金です。それからまた十五年くらいたつと、これがだんだん累進課税になるんですけれども、一時所得と退職所得との差は実にものすごい。一時所得の場合には三十九万五千円であるのが、退職所得の場合には二十六万一千円ということになります。この比率は六割六分ですよ。こういうふうなことで、これも苦しい中で毎月の掛け金を一生懸命かけるわけですから、ということはやっぱり最後へいって手厚くしてもらえるという楽しみがあって掛けるんですからね。それが全然、最後へいってまた税金でがっぽり取られちゃうというようなことになりますと、これは魅力どころの騒ぎじゃないですよ。これはもうぜひ共済金は退職所得の税額にするように本気になって考えてもらいたい。長官と次官、しっかりと御答弁願いたい。
#153
○政府委員(林田悠紀夫君) 一時所得と退職所得の税額の比較でございまするが、大体いま仰せになったような金額になる次第でございます。たとえば、十年目に一時所得の税額でありますると二十三万五千二百円、退職所得の税額でありますると十八万八千四百万円というような税額になるような次第でございます。何にいたしましても、この共済掛け金はきわめて小さい人々が毎月毎月掛けていくという、それから出てまいりまする共済金でございまして、その人のことを考えましたならば、あとでまた大きく税金として取られてしまうということはまことにお気の毒な次第でございまして、税法上退職所得ということにはならないというようないままでの税調の考え方でございまするけれども、そういう中小企業対策ということを重要視いたしまして、今後なお、税調におきまして十分検討をしていただいて、できるだけ退職所得ということに落ちつかしてもらうように大いに努力をしていきたいと、かように存じます。
#154
○原田立君 もう一つ、時間がありませんから、これで終わりにしたいと思うのですが、今回新しく答申の中で一つだけ採用しているのが融資制度の実施ということですね。そのところで、利息を年八分、それから融資額は積み立て金の六四%、償還方法は、三カ月据え置き一年償還と、こうなっているんですけれども、
  〔委員長退席、理事川上為治君着席〕
これも融資のやり方、融資するということは、しろと言っているのに対して、これだけの中身ではまだまだ不完全ですよ。一体、ぼくが言いたいのは、この融資制度を行なうにあたって、利息をもっと安くすべきであるというのが一つ。それから融資額は、積み立て金の六四%だなんていうのじゃなくて、これからも掛けるであろうというようなものを見込んで融資額の額を増額していくようにすべきである。あるいはまた一年償還、三カ月据え置きというのも短い。それは半年や一年くらい据え置いて、そうして五年あるいは十年の償還というような、そういうような姿勢にしていってこそ小規模企業の人たちにとってはまことに魅力あるものだと思う。今回、利息を年八分、一年償還、こういうふうにきめた理由は一体何なのか。これを、いまぼくが申し上げたようなぐあいに改正する意思はないのかどうか、この二つをお伺いいたします。
#155
○政府委員(高橋淑郎君) 初めて還元融資に踏み切るわけでございますので、初めから一件当たりあまり大きな金額を融資するということも、資金量の関係で制約があると、それから貸し出し額が、先ほど申し上げましたように、十万円ないし五十万円ということでございますと、さしあたりましては、一年の償還期間というのがまあ金額的にも見合っているのではないかと思います。
 それから、融資をするにあたりまして、御指摘のように、相当しぼりをかけておりますが、これはやはり零細な小規模事業者が積み立てているその掛け金をもとにして貸し出しを行なうわけでございますので、本来の共済事業の運営に支障のないようにということを念頭に置かなければならないという配慮からでございます。
 それから利息の八分程度と申しますのは、この共済制度におきましては、予定利回りを六・六%としておりますので、その六・六%と関係の金融機関に手数料として支払うものを足しますと、どうしても八分近いものになるということでございまして、金利の問題は、極力低くするということについては、この手数料の引き下げに努力するということ以外にないわけでございまして、この点につきましては、できるだけ手数料の引き下げが行なえるように今後努力をしていきたいと思いますが、全体を通じまして、とりあえず、総額二十億円程度の金額でこの融資制度を発足させていただきまして、そうしてその実績、また今後の資金量の増大というようなものもよく考え合わせまして、今後の融資条件、あるいは融資の体系について、またあらためて検討をさせていただきたい。とにかく、繰り返しますが、初めてスタートいたしますので、現在考えております案は、いま申し上げたような案でございますが、極力その内容は小規模企業者の方にとって手続的にも簡便であり、また、条件としても有利なものであるように持っていくということが私どものつとめであると考えております。
#156
○藤井恒男君 他の委員からそれぞれ質問がありましたので、重複するところを避けまして、簡潔に御質問いたします。
 最初に、やや法案からはずれますが、つい先日、千日前の火災がございました。私も関西におる関係から、あのデパートはよく知っているわけでございますが、たいへんな惨事を引き起こした。あすこには、長官も御存じだと思いますが、中小企業のいわゆる小売り商が雑居しておるわけです。現在、中小企業の小売り業等に対して、通産省として商業近代化の誘導として、寄り合い百貨店というようなものを指導しておるはずです。まあ俗に駅前デパートというようなのがそういう形のものなんだけれども、こういった寄り合い百貨店というようなものになりますと、三階、四階建てのデパートの中に、もう十も二十もの小売り業が寄り合い世帯営業を営むことになる。そうなってまいりますと、ころばぬ先のつえかもしれぬけれども、今度のようなことが起きれば、寄り合い世帯なるがゆえの惨事というものが、これが起きてくる。そういう面で、私ちょっとお伺いしておきたいのだけれども、そういった寄り合い世帯の百貨店、寄り合い百貨店というようなところに参りますと、往々にして通路あるいは階段、階段の踊り場、こういったところに商品を展示して営業を営んでおるわけです。これは明らかに売り場面積との関係もありましょうけれども、こういった千日前のようなことが起きたときに、惨事を引き起こすもとになるわけです。その辺の取り締まりがどうなっておるか、あるいは指導がどうなっておるか。また、単にこれは小売り店だけじゃなくて、新しい傾向として大きなデパートなどでも踊り場などに商品を展示して、お客さんが混乱時には難渋するというようなことが、よく私自身も経験したし、見かけるわけだけれども、これもまた売り場面積との関係にひっかかってくるのじゃないかと思うのだけれども、この辺の指導をどのようにしておるか、ちょっと聞いておきたいと思います。
#157
○政府委員(高橋淑郎君) 一般論といたしましては、いまお話のございます寄り合い百貨店形式で近代化をはかろうという場合には、中小企業振興事業団の高度化資金の融資で行なっておるわけでございまして、そういう融資をします場合に、計画を関係の商業者からいろいろと伺い、そうして必要なアドバイスをやって、計画が健全であると認められた場合に融資が行なわれるわけでございますが、具体的にいま御指摘のように、売り場面積あるいはその階段、通路、そういうところへの商品の展示をやらないようにというような具体的な指導までは、私よく存じませんが、まだやっていないのではないかと思いますが、これは非常に大事なことで、何といっても安全第一ということでございますので、今回のああいう惨事を契機といたしまして、消防当局ともよく連絡をしなければならないと考えておりますが、いま具体的にどういう指導をしておるかということについて、つまびらかにお答えできませんことを御了承いただきたいと思います。
#158
○藤井恒男君 これは次官にもお願いしておきたいのですけれども、これは中小企業と離れて、スーパーと百貨店との違いということになると、営業時間もあるけれども、売り場面積なども規制されているわけです。だから、これは非常にシビアですね、現実の問題、スーパーといわゆる旧来の百貨店との差ということになると。その百貨店が通路などで営業しているというようなことになるというと、いま言ったようなスーパーとの関連ももちろん出てくるけれども、それにも増して消費者という立場から考えて、安全という面から見て、これはたいへん重要な問題だと思うのです。次官も御存じだと思いますけれども、最近の傾向としてそういうところへ商品を展示して、そうしてそこで人を集めてやっておるところが非常に多い。しにせといわれる百貨店でもそうですね、私、名前を申し上げるのははばかりますけれども。その辺をひとつよく指導していただきたいと思うのです。
#159
○政府委員(林田悠紀夫君) わかりました。
#160
○藤井恒男君 その次の問題として、先ほど来、また衆議院の商工委員会でも、大臣、あるいは次官、長官からもたびたびおことばの中にある、中小企業の育成のために今後知識集約型の産業に脱皮せしめなければならないということがたびたび言われるのであります。小規模企業、とりわけ卸売り、あるいは小売り業に関して、これが知識集約型の産業へ移行した姿というものをどのように見ておられるか、簡単にお答え願いたいと思います。
#161
○政府委員(高橋淑郎君) 基本的なことにつきましては、先ほど申し述べました中小企業政策審議会の場でこれから検討していただく手はずになっておりますが、一番の問題は、こういう情報化時代に対処して需要が刻々と変化するわけでございますから、その変化に対応するような品物を供給する。
  〔理事川上為治君退席、委員長着席〕
それからまた、ルートの開拓ということについても努力をする。それから、要するに専門店、あるいは高級品店化するということ、あるいは連鎖店形式による新しい経営方針を考えるということで、いろいろな情報を早期に入手して、そうしてこれを分析して、この変化する需要構造へ即応していくということが、卸し、小売りを通じての基本的な方法ではないか、抽象的ではございますが、そのように考えております。
#162
○藤井恒男君 私は、その答弁についてはあまりにも抽象的過ぎると思うんですが、これはまた商業政策の問題として日を変えていろいろお聞きしたいし、私の考え方も申し述べたいと思います。ちょっと長官の御答弁では、私が質問した要旨にお答えになっておらないように思います。日をあらためてまた御質問いたします。
 そこで、話を中小企業にまた戻しますが、先ほどの竹田委員の御質問に中小企業基本法の抜本改正、これが中小企業政策審議会の企画小委員会で大体六月ごろに答申が得られるというお話がございましたが、産業構造審議会の流通部会の小売問題小委員会というのが設置されておるはずでございますが、この審議の経過、これは中小の商業施策についてのビジョンとシステム化の問題について論議しておると思うんです。論議の経過が現在わかっておればお聞かせいただきたいと思うし、最終的に大体まとまるのがいつごろか、その辺についても聞かしてもらいたいと思います。
#163
○政府委員(高橋淑郎君) 私の承知いたしておりますのは少し古い時点での流通部会の審議状況でございますが、御存じのように、昨年十二月に小売問題小委員会が設置されまして、直ちに審議を進めてすでに六回以上開催されておると承知いたしております。で、その検討の項目としましては、今後の小売り対策の方向を明らかにするという目的を持ちまして商業政策の検討、それからスーパーと百貨店との機能の比較、それから大規模店の進出状況の調査、あるいは利害関係者からの事情調査、そして百貨店法の法律技術上のいろいろな問題点の検討を行なっておると承知いたしておりますが、いつを目標にして一応の結論を出せるかということはちょっと承知いたしておりません。
#164
○藤井恒男君 これは審議の経過の資料があれば、あとで事務局のほうからひとつ出していただきたいと思います。で、また見通しなども聞かしてもらいたいと思います。この場ではそれでは省略します。
 共済制度の法案に入りますが、非常に普及の度合いが悪いわけで、現在六・四%しか加入を見られていないわけなんですが、このことについても、もう皆さんからいろいろな角度からの質問があったわけですが、三百八十万ほどある、きょういただいた資料では四百万からある対象者に対して、加入者が二十六万、六・四%。この普及しない原因ですね。私はこれを三つに分けて、一つが機構上の問題、事業団の機構からくる問題が一つ、それからいま一つが普及のテクニック、PRのしかた、それから三つ目が、この共済制度の内容からくる問題、これぐらいに大体分かれようかと思うんだけれども、どれが一番問題になっておるのか、どのようにその点お考えかお聞きしたいと思うんです。
#165
○政府委員(高橋淑郎君) 私、現実の問題としましては二番目に御指摘になりましたPRのしかた、あるいは不十分さということが最大の原因であったと思います。
 それからこの共済事業の内容につきましての、先ほどからいろいろ御指摘のあります魅力があるかないかという点、この点につきましては、この制度自体が非常にじみな制度でございますし、息の長い仕事でございますので、なかなか趣旨について零細企業の方々にわかっていただけない面がある。ですからその点が周知徹底されますならば、幾つかの改正によりまして、この事業の内容自体は相当程度充実したものになりつつあると思われますので、繰り返しになりますがこの制度を十分にPRする、そのことが大事であり、またその面の処置が従来必ずしも万全でなかったということだと思います。
 それから、事業団の機構自体に由来するかどうかにつきましては、私、まあこういう事業でございますので、少ない人数でこの業務を扱っておりますので、この機構問題によってこの制度の普及が非常におくれておるということは大きな原因ではないように思われます。
#166
○藤井恒男君 私も、まあきょうこの事業団の構成等についての資料をいただいたんですが、七十三名で成るこの事業団それ自体が現在の規模からすればまあまあこんなもんだろうというふうに思うわけで、長官はPR不足が主たる原因だというふうに言われましたが、もちろん内容にも触れたわけですが、まあこれよろしきを得たとして何パーセント、現在六・四%の加入率だけれども、何パーセント入ったらよしとされるか。当面四十七年度は五十万を目安にPRするのだといわれるのだけれども、四百万に対して一体どれくらいの規模を見込んでおられるか。それからもう一つ、中小企業の政策審議会から答申が出て、それが大幅に削られた形で今回改正案が出ておるわけなんです。かりにこの答申案全部そっくりいただいて法を改正していこうとすれば、はたしてそのためにはいまの資金規模がどのくらいになればできるのか。もちろんこれは加入者とのからみも出てきますけれども、その辺の見通しですね。また、それに達するにはいまのピッチでいけばどのくらいの年限を要するのか、その辺のもくろみもお持ちだと思いますので、聞かしてもらいたいと思います。
#167
○政府委員(高橋淑郎君) 第一点につきましては、四十七年度から三年間で五十万人加入を達成することを第一次計画としております。で、その後の計画はまだ具体的に立てられておりませんが、でき得ることならば百万人を目標にしたい。しかし、まず現在二十六万人の累計加入者を五十万人にまで持っていって、次第にそれを大きくしたい、こういう考え方でございます。
 それから第二点の、答申をいただきながら実現できなかった項目につきましては、この共済制度のもとにおきます掛け金の集まりぐあいによって制約があるということよりは、一つ一つの項目につきまして、税体系の中での問題点とか、あるいは類似の制度とのバランスの問題であるとか、あるいは時期的に見てまだ早いというような点が主でございまして、いままで関係当局との折衝が実らなかったという次第でございまして、まあ一言で申し上げますならば、この事業団の資金規模による制約ということは、直接の原因ではございません。
#168
○藤井恒男君 それじゃ大体横とのからみが主たる原因だというふうに解釈されるわけですね、資金規模からくるものじゃないとすれば。大体それらが整理されて、こういった答申が受け入れられるであろう目安は、大体それじゃどのぐらいに置いておられるか。
#169
○政府委員(高橋淑郎君) 一番大きな点は、共済金の課税の態様の問題でありますし、この点は横並びという問題を含めて税体系全体の中での扱いということで、いつまでにというそのめどを立てることがなかなか困難でございますので、先ほど来申し述べておりますように、この共済制度が発足して七年、これから退職金扱いか、一時所得扱いかについての差がはっきり出てまいるわけでございますから、そういう実際上のメリット、あるいはデメリットというものを背景にしまして、税務当局と折衝を続けていくということでございます。
 それから、その死亡の場合の給付の問題あるいは老齢給付の年齢引き下げの問題、こういうのは御指摘のように横並びの問題でございます。
 それから、掛け金掛けどめ制度の導入ということについても、これはやはり共済制度自体に対する考え方ということがからんでまいりますので、引き続き関係方面、あるいは関係者と協議を重ねてまいりますが、この事項については何カ月、この事項については何年という具体的な計画をいまここで申し上げられない実情でございます。掛け金の額の最高限度につきましては、これは経済事情の変化に即応して引き続き折衝をいたしたいということでございます。
#170
○藤井恒男君 私は、別に皮肉った意味で質問するわけじゃないのですけど、この制度それ自体私は賛成をするものです。しかしずっと審議の経過など、あるいはいままでの過去の状況などをいろいろ調べてみますと、私自身の考えでは、まだ七年しかたっていないといわれるわけだけど、多額の補助金をつぎ込み、資金をつぎ込んで、しかも七十三名にものぼる人たちによって運営されているわりにはあまりにも加入者が少ない。その原因はPRの拙劣さからくることよりも、内容そのものだ。内容がよければ、それがすなわちPRになるわけですから、しかも、都市部においてはそんなものがすぐ伝播してしまう。内容以外の何ものでもないと思う。内容を改正しなければ、あるいは事業を拡大しなければ、この共済制度いい試みであろうけど、結局これは死物になってしまう。その見通しがいま立たぬということだとすれば、これは全く先がさびしいわけなんです。もちろん他省との関係もいろいろございましょうから、この辺のところは私、また大臣お見えのおりに……。私、一点だけ質問を留保さしてもらいたいと思います。
 で、もう一つ申し上げますなら、いただいた資料によりますと、大体この加入のいいところというのは、全部地方にまたがっておる。島根県が第一位だし、それから第二位が奈良県だし、第三位が高知県、第四位が香川県、第五位が宮崎県、第六位が岩手県、これは、その県出身の方には申しわけないけれども、この県はどちらかといえば、ことばが悪いかわからぬけれども、日本における後進県ということになっておるわけです。それに引きかえて悪いほうから言うと、それが京都であり、愛知県であり、しかも大阪である、あるいは千葉県、神奈川、こういうようなことになるわけですね。
 で、これは何を意味しているだろうかということなんです。私の考えでは、こういった大都市流通機構も発達し、しかも、第二次産業も発達している、こういったところにおける小規模企業者の実態と、それから加入度が非常に高い後進県といいますか、そういったところにおける小規模企業者の企業の実態に違いがあるのじゃないだろうか。たとえば、雇用者の数は同じであっても、あるいは分類が、それが卸業、小売り業という分類の中に入るにしても、都市における小売り業と、そうして地方における小売り業との企業の実態が違う。このことがこの内容と相まって加入を阻害しておることになると私は思うのです。だから、単にこの内容だけの改善、それももちろん大切ですけれども、それだけでこの共済制度がますます発展していくとは思いませんし、要するに、こういった小規模企業のあるべき姿というものとのからみでこの助成措置というものを考えなきゃならない。しかし、いろいろ御質問しても、あるべき姿もまだ審議会の過程であるし、はっきりしたものはないし、この共済制度それ自体も横とのからみで先がわからぬ。まあいままで続いてきたものだから息を絶やすことはなかろうと、このまま徐々に続けていく中から何とかというようなことしか言えないわけです。これでは私、この共済制度というものが五十年までの間に、おっしゃるように五十万にふえ、それが百万に発展していくということは考えられない。いまサラリーマンでも、会社の身分証明書を見せれば、何の保証もなく十万円ぱっと貸してくれる、こういうような時勢でございます。そういう中で、いかに零細な小売り業かもわからぬけれども、直接還元融資が十万から五十万といっても、それはさして魅力のあるものでもない。だから、その辺のところを総合的に私はやはり考えてもらわなければ、この共済制度を実りあるものにはできないというふうに思います。そういう意味において、ひとつ次官のほうから将来の見通しなどにも立ってお考えを聞かしてもらいたいと思います。委員長のほうに御了解を得ましたように時間も参りましたので、これでやめますけれども、大臣がお見えになったら、総合的な問題としてもう一点だけ質問を留保させてもらいたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#171
○政府委員(林田悠紀夫君) 確かに内容の問題、そればかりではないと存じます。しかしながら、ただいまもお話がございましたように、たとえば東京とか、あるいは京都とか、大阪というような大都市におきまして、あまり伸びてないという問題は、そこの小規模企業者が奈良とかあるいはその他の地方の県よりも少しいい状況にあるんじゃないだろうか。したがって、この内容が魅力が乏しいということがやはり未加入に原因をしているんじゃないだろうか。そして、その内容の魅力が乏しいという問題は、今度たとえば、貸し付けを行なうという場合におきましても、金利が高いという問題がございます。あるいは退職金としての税制が行なわれてないというような問題がございまして、やはりその辺を解決しなければ魅力があるという制度にならないんじゃないか、かように思うわけでございます。したがって、どうしても早くその辺を反省いたしまして、また正しい制度に見直していくということが必要じゃないかということを考えるわけでございます。長官も御答弁申し上げましたように、今年度から向こう三カ年間で加入者累計を五十万にしたいということを言っておりまするが、現在百四十億円の資金が集まっておるということでございまするから、今度は十二万円にたとえば一人当たりの加入金がなるということにいたしますると、それが倍になる。そして五十万人というものは大体二十六万人の倍ということで、大体四倍の資金ということになりましたならば、そこで五百六十億円程度の資金ができるというようなことになるわけでございまして、そういうことになりますると、だいぶこの制度もりっぱに改善していくことができるところの資金になってくる、かように思うのでございます。何にいたしましても、そういう計画を立てまして加入者をふやしていって、そしてよりよい制度にいたしまして、小規模企業者の人々の福祉ということを念頭に置きまして、そのための努力も重ねていかなければならない、かように存ずる次第でございます。
#172
○須藤五郎君 最初に申し上げたいのは、私たちもこの法案には賛成なんです。賛成の立場で質問をしますが、現在この小規模企業共済制度の対象となっている小規模企業者はどれくらいおるのかというんですが、簡単に答えてください。
#173
○政府委員(高橋淑郎君) 三百八十万でございます。
#174
○須藤五郎君 三百八十万のうち、小規模企業共済制度の加入状況は、先ほどからの話を聞いていると、現在約二十五万ということになっていますね。その二十五万の加入者の業種別内訳はどうなっているか。
#175
○政府委員(高橋淑郎君) 小売り業四二・八%、製造業二八・三%、卸商業及びサービス業が一五・六%、その他一三・三%という状況でございます。
#176
○須藤五郎君 その二十五万人の加入者のうち、年額最高額は現在のところは六万円ですね。そういうふうに見ていくと、大体年額どれだけの人が一番多くて、その内訳はどういうふうになっておりますか。
 それから、今度最高が十二万円になるわけですが、その見通しですね、どういうふうに考えていらっしゃるか。
#177
○政府委員(高橋淑郎君) 一番多い口数は現在二口でございます。その次は十口――最高額でございます。
#178
○須藤五郎君 パーセントで言ったらどのくらいになりますか、ちょっと言ってください。
#179
○政府委員(高橋淑郎君) 一口一八・五%、二口三二・一%、三口二・二%、四口九・四%、五口五・二%、六口五・九%、七口〇・一%、八口〇・四%、九口〇・一%、十口二六・一%という加入状況でございます。
#180
○須藤五郎君 平均でいくと幾口くらいになっていますか。
#181
○政府委員(高橋淑郎君) 五・四口くらいです。約五口でございます。
#182
○須藤五郎君 で、現在その二十五万の会員で平均五・五口くらいですね、口数で。それで年に幾らくらいの掛け金が集まっているんですか。年額で言ってください、総額で。
#183
○政府委員(高橋淑郎君) 最近の状況では約五十億円でございます。
#184
○須藤五郎君 年額五十億。それが今度は倍になるわけですから、そうすると年額百億という見通しなのか、それとも、もっと多い見通しなのか、どのくらい見通しを立てていますか、今後は年額。
#185
○政府委員(高橋淑郎君) はっきりした見通しは立ちませんが、一挙に五十億が倍の百億というのはむずかしくて、試算でございますが、七、八十億円ではないかと思います。
#186
○須藤五郎君 そうすると、これも始まってからもう数年たってきているわけですが、その間にこの掛け金をどういうふうに、特別の口座を設けてそこに置いておるのか。それでその金は、掛け金の使途はどういうふうに使っておるのか、その点。
#187
○政府委員(高橋淑郎君) いままでは還元融資もいたしておりませんでしたので、運用はもっぱら商中債の購入、政保債の購入、それと定期預金でございます。
#188
○須藤五郎君 そうすると、掛け金に対する利用はそういう融資によって金利をかせいでおるということなんですね。それを、もしも掛け金をした人が、この共済に入っている人が金を借り出す場合、それはどのぐらいの金利ですか。
#189
○政府委員(高橋淑郎君) 現在考えておりますのは、年八%程度でございます。
#190
○須藤五郎君 ぼく、ちょっと試算してみたんですが、死亡したときには、十五年で三百五十万円、それから二十年で五百六十万円の共済金が支給されることになっておりますが、今度年額十二万円ということになると、二十年掛けるというと二百四十万の金をその人は掛けたことになりますね。十五年だと百八十万円掛けたことになり、そして三百五十万円という金がもらえる。二百四十万円金を掛けた人は五百六十万円もらえる、こういうことですか。それはどういうところからそういう金利が生まれてくるのか。先ほどあんたがおっしゃったようなところからそういうことになってくるのか、どういうことになるんですか、そこは。
#191
○政府委員(高橋淑郎君) 共済金を支給します共済事由というのがいろいろございまして、それからまた共済金を受け取るときの、何年たったときに共済事由が起こるかというようなことをいろいろ試算をいたしまして、テーブル表ができておるわけでございます。そのテーブル表をつくりますときに、大前提として、すべてをひっくるめにして平均利回りは六・六%ということを予定しておるわけでございますので、二十年目にもらう金額、あるいは十年目にもらう金額、あるいは共済事由による差異というのがございまして、その個々のケースについては利回りがまちまちでございます。しかし、総平均で六・六ということでございます。
#192
○須藤五郎君 そうすると、生きている場合、二十年掛けて二百四十万円払ったと、その場合に二十年たってやめた場合はどれだけもらえるんですか。
#193
○政府委員(高橋淑郎君) 約四百三十万円でございます。
#194
○須藤五郎君 死ねば五百六十万円、生きていれば四百数十万円ですね。そういうことですね。
#195
○政府委員(高橋淑郎君) はい。
#196
○須藤五郎君 それの生きている場合の金利の計算も六・何%の金利で、複利計算でやるというわけですか。どういうふうになっているんですか、それは。
#197
○政府委員(高橋淑郎君) 二十年掛け続けまして、年齢六十五歳というときに老齢給付という共済事由に該当して共済金が支払われます。そのときの金額がいま申し上げましたようなことでございますが、総トータルでいいますと、死亡の場合の利回りが七・九、老齢が六・〇、総平均六・六、こういう仕組みになっております。
#198
○須藤五郎君 死んだときの利回りがいいと、共済という意味で。そういうことですね。わかりました。
 じゃ、農業あるいは林業、漁業に従事する小規模企業者は、この共済制度の対象になるのかどうか。
#199
○政府委員(高橋淑郎君) 対象になり得ます。
#200
○須藤五郎君 漁業も入るわけですね。漁業も林業も農業もね。
#201
○政府委員(高橋淑郎君) 制度上は対象になり得ます。ただ、実数は、たとえば農業の場合は、〇・四%、林業の場合は〇・二%と少のうございます。
#202
○須藤五郎君 少ないというのはどういう意味か、ちょっと説明をしてください。
#203
○政府委員(高橋淑郎君) たとえば農業の場合は、別途、農業者年金制度というのがありまして、そちらのほうに入っておるからではないかと思います。
#204
○須藤五郎君 そのために。
#205
○政府委員(高橋淑郎君) はい。
#206
○須藤五郎君 漁業者年金制度があるから。
#207
○政府委員(高橋淑郎君) 漁業者の場合は、そういう制度はございませんので、やはりこの制度のいままでの利用の中心が商工業者であるということでございます。
#208
○須藤五郎君 共済金や解約の手当金の加入者への支払い状況はどうかという点を、もう一度聞いておきたいと思います。
#209
○政府委員(高橋淑郎君) 制度発足以来、共済金、解約手当金の支払い累計は約五億円でございます。
#210
○須藤五郎君 先ほども民社党の方が質問なさいましたが、三百八十万の小規模企業者がありながら二十五万しか入ってない。これは普及率は六・六%だということですが、今後、具体的にどのような方法をもって普及をしていく方針か、その具体的な案をちょっと伺っておきたいと思います。
#211
○政府委員(高橋淑郎君) まず、非常に普及率の悪い大都市中心――大阪、京都、愛知県、こういうところを中心にして、重点的に加入促進をはかるということ。それから、従来比較的加入のよろしい地方の中都市の促進運動をさらに広めていく。それから、府県、それから中小企業関係団体、金融期間一体となって、月間運動を通じてその思想の普及をはかる、こういう点を主眼にしてやっております。
#212
○須藤五郎君 これまでは掛け金が掛け捨てになる場合があったように聞いておりますがね、その点は、どういう場合が掛け捨てになって、それから、これからの方針をちょっと聞いておきたいと思います。
#213
○政府委員(高橋淑郎君) 大部分は、掛け金の滞納によりまして事業団から解約を受けたというのが大部分でございます。これに対する処置としましては、収納、集金体制を充実するということと、やはりこの制度の趣旨を十分承知の上で入ってきておられない方が多かったということで、あらためてこの制度の周知徹底をはかるということで対処すべきだと考えております。
#214
○須藤五郎君 掛けていた人が掛けられなくなるということは、その人の生活の上に非常な不幸な状態が起こっていると判断しなければならないんですね。そのときに、これまでに掛けた金は全部ごったくってしまうというようなやり方は、私は実際の事情に合わないと思うんですね。そういうことが三百八十万人の中小企業者がありながら、二十五万人しかこれに入ってこないという一つの私は理由だと、原因ではないかと、私はそういうふうに判断するんですね。だから、掛けた途中で掛けられなくなった、すぐその場で払えとまでは私は申しませんが、ある期間置くならば、一年なり置くならば、掛けた金はその人に戻すという、そういうことが私は必要じゃないかと、そうすれば掛け捨てにはならないということで、私は入ってくる人がふえるんじゃないかと、こう思うんですが、そういうふうにはならないんですか。
#215
○政府委員(高橋淑郎君) 私の答えが不十分でございまして、いま申し上げましたのは、契約した場合でも加入後一年未満の場合でございまして、一年を経過していますれば掛け捨てにはなりません。
#216
○須藤五郎君 私の言うのは、一年未満でも、ある時期を置いてその人の掛けた金はお返しするというのが、これがほんとうの態度ではないか。そういうふうに考えていくならば、二十五万人にとどまらず、もっとたくさんの人がこの中に入ってくる、こういうことも私は考えられる。だから、大ぜいの人を勧誘するためにも、この制度をほんとうに生かすためにも、そういうふうに考えていくのがほんとうではないかと、私はそういうふうに思うんですが、それに対して政府はどういうふうに考えてらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
#217
○政府委員(高橋淑郎君) この制度の本来の趣旨が、長期にわたって掛け続けていくということでございまして、一口当たりの金額小そうございますから、いろいろ収納手続その他にも手数が、あるいは経費がかかります。そういう実態と、それから類似の制度におきましても、加入後一年未満という場合は掛け捨てになっておりますので、そういう横並びから申しまして、現行制度のたてまえというのは加入後一年未満は掛け捨てということでございます。
#218
○須藤五郎君 かりに、この人が一年未満で十カ月払い込むとしますね。そうすると、最高額で月一万払うと十カ月払いで十万円です。十万円払ったその金額は、あなたのほうでそれを金融に回すわけですね。六分なり七分の金利を取ってそれをするわけです。そうすれば、十万円払ったその金額に対して幾らかの金利が積み重なるわけですね。そうですね。そうすると、元金はごったくる、そこから生まれた金利もごったくる。それはひどいというんです。で、いま何十億かの金があるのですから、何も十二カ月掛けなくても、十カ月掛けて、そこで払えなくなった人がやめるといった場合は、金利まで払えとは私は言いませんよ。しかし、それを掛けた金十万円は私はその人に戻してもいいのではないか。それでも政府のほうは金利だけもうけているのではないか。それを、金利も元金もごったくってしまって払わないというのは私はおかしいというのです。
#219
○政府委員(高橋淑郎君) まあいつでも好きなときに掛け捨てるということでございますと、先ほど来申し上げておりますように、税法上所得控除の恩典が与えられておるわけでございまして、この共済制度の本来の趣旨というものは、できるだけそういう任意制というものをあまり強く押し出さないというところにあるわけでございますので、いま御指摘のように、その一件一件を見ますると、いかにも当を失しているように見えますけれども、この制度自体がたてまえとして長期に掛け続ける大部分の加入者を念頭においての制度でございますから、そういう個別のケースについてだけの観点からは私、律し切れないものがあると思います。
#220
○須藤五郎君 そういう考え方がね、私たちが中小企業者に対する考え方と、気持ちと、政府が中小企業者に対する考え方、気持ちとの差になってあらわれておると思うんですよ。それはもちろん共同責任でやっておることではあるけれども、しかし、どうしても払えなくなってやめるというような立場に立った人に対しては、やはりこの共済制度というものは、この人たちからふんだくってしまうというのが共済制度の精神ではないと思うんですよ。政府の立場に立ったらあなたみたいなことを言えるけれども、払う中小企業者の立場に立つならば、私の言うようなことが言えると思うんですね。だから、この共済制度がやはり払う者の立場、中小企業者の立場に立ってつくったというものにしなければならぬと思うんですね。そこらが政府の考え方と私たちの考え方、私は中小企業の利益の立場に立ってやっている、中小企業者の気持ちの立場に立って意見を述べているので、あなたがそういうような意見をあくまでも述べるならば、私はこれ以上言いませんけれども、やはり意見の対立、やはり中小企業者はあなたたちの気持ちに対しては賛成すまいと思います。
 大臣がせっかく見えましたので……。私は中小企業者の一年未満を没収してしまうのはこれはおかしいと、それはこの精神にも反するのじゃないか。一万円ずつ月々掛けて、十カ月掛けて十万円払ったと、それから利子もできておる。それを一年払わんから十万円も利子も全部没収してしまうということは、それは酷ではないか。直ちに払えとは言わんが、ある期間を置いて掛けた現金だけはもう当然私は企業者に返すべきものだ、こういうのが私の意見です。大臣どういうふうに考えますか。
#221
○国務大臣(田中角榮君) 御発言の考え方や心情はよく理解できます。しかし、こういうものの制度――制度上の問題でごさいますので、必ずしもあなたがいま述べられたように、直ちに行なうというわけにはまいらないわけです。ただ、こういう制度が将来理想的なものに発展をして、国庫補助の問題とか、いろいろの状態が積み重ねられてきたときに、せめて、掛けた金額に利息を付せというのではありませんから、そのうち元金だけを戻すような状態が資金上できるようになれば、そういうことも行なわれると思います。これは行なわれないということではないわけでありますが、いま制度の発足のときにあたって、いますぐそういうことをやるといっても、資金上また制度上非常にむずかしい。
#222
○須藤五郎君 将来はそういう方向にということですか。
#223
○国務大臣(田中角榮君) 将来はまたお互いが検討して、よりよきものを生み出す、そういう中で検討すべきものである、かように考えます。
#224
○委員長(大森久司君) 田中通産大臣が見えましたので、田中通産大臣に対し質疑が留保されておりますので、この際、田中通産大臣に対する発言を許します。
#225
○竹田現照君 時間がありませんから、端的に大臣、いま須藤さんの質問ね、途中から何かつままれたような答弁しましたけれどもね。実は、中小企業政策審議会で去年総理大臣に答申がなされておる中で、先ほどから私ども各党が質問をしておる中で、いまありましたような、たとえば、一年未満の掛け金を全額掛け捨てというようなものね。これは掛け金相当額ぐらいは支給すべきであるとか、あるいは現行六十五歳を六十歳に引き下げるべきであるとか、あるいは一部これは一時所得になっているのを、退職所得として税法上の取り扱いをすべきであるとかいろいろな答申が出て、たとえば、掛け金今度一万円になっていますけれども、一万五千円にすべきだという答申にもなっている。そういうようなことがことごとく今度の改正案には盛られていない。ただ、政府は、この種答申の都合のいいやつは答申をたてにとって押しまくるけれども、都合の悪いのは全然答申を無視して、行政ベースにおいて適当に都合がいいとか悪いとか言って改正案に載せないという便宜主義は非常にけしからぬ。審議会の答申というもの、諮問するなら諮問するように一貫して筋を通してやりなさい。自分らに都合の悪いものはたとえ答申であってもそれはだめだというようなことではわれわれとしては納得がいかない。ですから、この種のものについて大臣は、答申をどういう形において尊重するか、こういうふうに有力閣僚でもありますから、各省全般にわたることでもあるので、この際、大臣の所見というものをはっきり伺っておきたい、これが私の留保した質問なんです。
#226
○国務大臣(田中角榮君) 審議会の答申は、これを尊重しなければならぬことは言うまでもございません。また、将来とも尊重するつもりでございます。しかし、答申の中には理想的なものもございまして、なかなかいますぐこれを実行するには他の制度との権衡を破るものもありますし、なかなか採用しがたいものもあるわけでございます。そういう意味で、時期的に見てやや時期尚早というものもありますし、これを答申どおりやりますと、中小企業共済制度とそのまま全部右へならえしなければならないもの等もあるということで、にわかに本法律案の過程においてこれを十分生かせなかったというのは事実でございます。しかし、こういうものは理想論を掲げており、しかも、その理想に近づく努力を積み重ねるということでないと、なかなか一日にして理想的な制度ができるとも思わないわけでございます。しかし、中政審の答申の実現ということに対しては、これからもなお努力を続けてまいるつもりでございますので、その間の事情は御了承賜わりたいと存じます。
#227
○原田立君 いま竹田委員も答申案のことでお伺いしているわけでありますが、先ほど大臣がいないときに長官並びに次官にお伺いしたその答弁によれば、この答申は非常に重要であると、その実現方に大いに努力すると、また、法案の中に五年ごとに見直していくということがあるけれども、その内容の重要度においては、五年を待たずして二年でも三年でも早目にやっていくようなそういう努力をしていきたいという御答弁がありました。ぼくは、そういう姿勢は当然あたりまえの話だと思うのです。
 ところが、いま大臣の答弁聞いていると、さっきの長官や次官の答弁とはるかにずっと後退しているような感じがしてならない。あらためでお伺いするのですけれども、やはりこういう小規模企業の人たちは、日本の国の産業の中においてのその位置づけも非常に重要だと思う。そこら辺の施策を十分にやらないと非常に困ったことになるわけであります。
 それで、この答申案の中で今回採用されたもの、それから採用されなかったもの、こうあるわけでありますが、この採用されなかった部分について至急に検討して、そうしてこれとこれについては何年度にはもうちゃんと実現すると、そのくらいにしてほしい。これはもうそこいら辺になると次官や長官ではお答えができないだろうと思うから、その点質問を留保しておいたわけでありますけれども、この答申の中のこれとこれについてはこういう年度で実現すると、こういうことが言えるかどうか。また、検討するかどうか、またきまり次第当委員会において公表すると、こういうふうにしてもらいたいと思います。この点だけお聞きします。
#228
○国務大臣(田中角榮君) 中政審の答申というものの実現に対して努力をいたします。しかも、この答申を守らなければならないということを十分承知をいたしておりますし、基本的にはそのとおりでございます。しかし、先ほども申し上げましたとおり、他の制度との権衡の問題もありますし、時期的にいまの段階では時期尚早というようなものもあったわけです。それだけではなく、時期的に全部が全部盛り込むことができなかったということでありまして、盛り込み得なかった部分に対しては引き続き検討を続けます。続けるだけではなく、これが具体化をするように十分な努力を続けてまいりたい、こう存じます。これをいま御指摘がございましたようにこの答申の、審議会答申の個条別な問題に対してできるのかできないのかという問題に対しては、検討いたしていずれお答えを申し上げます。
#229
○藤井恒男君 大臣にお伺いいたします。
 共済制度が発足して七年、出資金の合計が六億五千万、それから補助金の合計が二十億、対象者が四百万に対して加入者が二十六万、加入率が六・四%、きわめてこれは打率の低い内容だと思います。ずっと審議を続けてまいったわけですが、どうしてこの内容が貧弱であるか、内容というより加入がうまくいかないのかという点についていろいろお尋ねしたのですが、事業団の規模が小さ過ぎて加入者が実らないということでもないし、あるいはPRが拙劣なために加入者がふえないということでもないし、むしろ一番大きな原因は内容そのものだというような印象を私は受けました。そこで、内容の拡大と拡充をはからなければ加入者がふえない、加入者がまたふえなければこの共済制度というものが立ち枯れになる、こういうような関係にあるわけです。先ほど来各委員からお話がありますように、答申それ自体も盛り込めないのが他省との並び、あるいは税の体系上からくる問題というようなことでございますので、要するに、事業団の資金規模が小さいからやれないのじゃなくて、横との並びにおいて内容拡充がはかれないということなら、これはやっぱり大臣、ひとつ政治力を発揮して思い切った措置をとらなければ、受ける側にメリットのある魅力のある共済制度にはならないし、加入者はふえてこないと思います。この点のひとつ大臣の御決意を聞かしていただきたいのが一つ。
 もう一つだけでございますが、もう一つは、小規模企業の中で約六七、八%が卸売り商業、サービス業、要するに商業関係なんです。卸売り、小売りそしてサービスですね。こうなってまいりますと七年前と現在の――少なくとも加入者が都市部に少ないわけですが、都市部における小売り、卸売り、サービス業の企業態様がやはり消費者の動向や生活のパターンの変化その他によって、あるいは流通経路の変化などによって変わってきておると思うのです。だから、七年前の発足した当時のこれらの商業部門を見詰めてこれから制度を起こしていったのでは、これはちょっと間尺に合わなくなってくる。だから、せっかく現在産業構造審議会の中に流通部会を設けて、しかも、小売問題小委員会というものをつくっておるわけですから、それらとマッチした形でこの制度というものを見直していく必要があるのじゃないか。あるがままのこの制度をただ加入者をふやしていけばいいのだ、あるいは一時所得のときの税金の問題を取り扱えばいいのだ、それだけではこの制度が魅力あるものにならぬだろう。受ける側の変化というか、要するに、小売り側の変化というものを見越して、しかも、それを先取りする形でやっていただきたい。そうすることが小売り業の小規模企業に対する福祉の増進助成措置にもなると思うのです。そういう意味でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#230
○国務大臣(田中角榮君) 本制度は必要なものであります。必要なものでありますが、こつこつとためて、そうして長い将来のためにということでありますから、どうもはなやかさはないわけでございます。これは転廃業とか、そういう場合のことを考えておりますから、はなやかな面はなかなか持ちにくい。しかし、制度は魅力的なものにしないとなかなか加入が促進されない。だから、やはり制度のメリットや意義というものを周知徹底するようにしなければならぬと思うのです。これは零細企業の無尽とか、それからいま言う郵便貯金とか、簡易生命保険とか、一つの同種なものであります。だから、もう少しこれが制度化して、だんだんとメリットが周知徹底して、やはり必要なものだということになれば、これは非常に重要なものだと思うのです。私は大蔵大臣のときに、火災保険とか生命保険の控除額というのをやったんです。これはあのときまでは、生命保険や損害保険というものが何で控除されるのだと。しかし、保険制度というものがある限りにおいて、これは知らないうちに掛けておくことが一生の上に非常に大きな福利になるということで、それが三万四、五千円か四万円程度までは免税になっておるわけですが、そういうものに比べれば、年額十二万円控除されるということになれば、相当、比較してメリットがあるわけです。あるわけですが、これが二十四万円になり四十八万円になるということになれば、もっとこの制度は全企業的なものにもなるわけであります。だから、そういう意味で魅力あるものに育て上げるということで、中小企業や零細企業そのものも、みずからの互助会のようなものだということを理解して、これを育てるということをやはり考えてもらわなければいかぬと思うのです。政府もそういう意味で、この制度を確固不動なものにし、しかも、それがほんとうに零細企業対策に直結していくように育ててまいりたい、こう思います。
#231
○委員長(大森久司君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#232
○委員長(大森久司君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もなければ、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。
 小規模企業共済法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#233
○委員長(大森久司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(大森久司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#235
○委員長(大森久司君) 次に、石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本法案の質疑は終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。
 石油開発公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#236
○委員長(大森久司君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(大森久司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回は、明後十八日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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