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1971/05/24 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第13号
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1971/05/24 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第13号

#1
第068回国会 商工委員会 第13号
昭和四十七年五月二十四日(水曜日)
   午後二時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     山崎 竜男君     矢野  登君
     鶴園 哲夫君     阿具根 登君
     小野  明君     辻  一彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大森 久司君
    理 事
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                竹田 現照君
                藤井 恒男君
    委 員
                赤間 文三君
                植木 光教君
                小笠 公韶君
                山本敬三郎君
                辻  一彦君
                林  虎雄君
                原田  立君
                須藤 五郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        林田悠紀夫君
       通商産業大臣官
       房参事官     増田  実君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     佐々木 敏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   参考人
       日本紡績協会専
       務理事      有田 圓二君
       日本綿スフ織物
       工業組合連合会
       理事長      寺田 忠次君
       日本絹人繊織物
       工業会会長    斉藤  勇君
       日本化学繊維協
       会専務理事    下山 佳雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
#2
○委員長(大森久司君) ただいまから商工委員会
を開会いたします。
    ―――――――――――――
 委員の異動について報告いたします。
 本日、山崎竜男君が委員を辞任され、その補欠として矢野登君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大森久司君) 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本法案について参考人から御意見を承ることになっております。参考人として、日本紡績協会専務理事有田圓二君、日本綿スフ織物工業組合連合会理事長寺田忠次君、日本絹人繊織物工業会会長斉藤勇君、日本化学繊維協会専務理事山下佳雄君、以上四名の方の御出席を求めております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位におかれましては、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって本法律案の審査の参考にしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、各参考人にはそれぞれ十五分程度の陳述をお願いし、その後委員からの質疑にお答えいただくことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず有田参考人にお願い申し上げます。
#4
○参考人(有田圓二君) 私、紡績協会の専務理事をしております有田でございます。本日は、委員長の河崎が参上すべきところでございますが、緊急の所用がございまして、私代理として出席をきしていただきました。
 商工委員会の諸先生方には、昨年以来、対米繊維問題、あるいはそれに関連する補償救済問題等につきまして、非常にお世話になりまして、まことにありがとうございました。この席で厚くお礼を申し上げます。また、本日は、非常に御多忙中のところでございますのに、紡績業の構造改善問題につきまして、われわれ業界の意見をお聞きいただきまして、まことにありがとうございます。紡績業界を代表いたしまして、紡績業界の現在直面しております問題点を御説明申し上げまして、現在国会に上程されております特定繊維工業構造改善臨時措置法の二年間の期間延長を含みますところの改正案につきまして、諸先生方の特段の御高配を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。
 御承知のように、紡績業界は、昭和四十二年度から、現行の特繊法に基づきまして構造改善を実施してきたのでございます。すでに基本計画の最終年次であります昭和四十六年度が終了いたしまして、われわれの構造改善事業も新たな段階を迎えるに至っておるわけでございます。四十二年度から四十六年度までの五年間に、私どもは、設備の近代化、過剰設備の廃棄、企業規模の適正化という三本の柱を中心としまして、構造改善の事業を推進してまいりました。そして、この計画で予定しておりました近代化設備は、計画当初におきましては全体の一三・五%ぐらいしか近代化しておらなかったのでございますが、現在四十六年度末ではすでに八〇%をこえたというふうに思っております。生産性をあらわします数字としまして、綿糸の二十番手一コリ当たりの所要人員、これも計画を始めました当時は四・八人ぐらいでございました。しかし、現在では三・一人ということに減少しておるわけでございます。過剰設備につきましても、これは紡績業界の非常な昔からのがんであったわけでございますが、構造改善計画によりまして、昭和四十三年度に一括処理をいたしまして、プロラタと申しております一律廃棄、任意廃棄、それからそれに関連しましてやりましたスクラップ・アンド・ビルドを含めまして、約百十二万錘というものが廃棄をされました。また、企業規模の適正化につきましては、三十五の中小規模の紡績業が参加をいたしまして九つのグループが成立をしております。そういうふうに構造改善の対策が着実に進行してきたのでございます。その効果は、近年の――近年と申しますか、一昨年以来の景気後退の時期におきまして、確かにあらわれておったということをわれわれは信じております。しかしながら、この間におきます内外環境の変化というものは非常に激しく、当初のわれわれの予想を上回っておりました。そのため、このままで構造改善事業を四十六年度で打ち切りましたならば、紡績業は国際競争力を失墜をいたしまして、せっかく今日まで努力をしてまいりました構造改善の成果が無になるのではないかということを心配するわけでございます。
 内外の環境の変化ということを申し上げましたのでございますが、まず国際環境のほうを見ますと、後進国の繊維産業の発展というものはわれわれの予想を越えて激しかったということはまず言えるのでございます。そのために、わが国の繊維製品の輸出市場におきまして、後進国との競争が非常に激化をいたしました。だんだんとわれわれのシェアを食われていくということもありました。ところが、また近年は、わが国自体に後進国からの製品がどんどんと入ってくるというふうに、輸入が急増をしております。現在、綿製品が日本の国内消費で占めております輸入の比率というものは、昭和四十六年度を見ますと一一%という数字に達しております。アメリカが輸入制限問題を十五、六年前に言い出しました当時は、国内消費に対しまして輸入の割合は五・五%でございました。今日われわれの国内で占めております輸入品の割合はその倍でございます。もちろん、後進国との競争ということは、初めから当然予想をしておったことでございます。けれども、昭和四十六年の八月からは、後進国からの綿製品に対しましても特恵関税が供与されるということになりました。これは全くわれわれの予期しておらない事態であったわけであります。後進国の綿製品というものは、何もなくても非常に競争力が強いわけでございます、先進国に比べますと。特恵関税も何もなくても、非常に競争力が強いわけでございます。したがって、これはわれわれとしましては、特恵関税を適用する場合に例外にしてもらいたいということをかねがね強く要望しておりました。おそらくなるものと期待をしておったのでございますけれども、まぎわになりまして、これは国策のいたすところであると思いますけれども、特恵関税が適用されたわけでございます。そういう予期しない事態の発生しましたために、輸入の増加というものは、ことに昭和四十六年度におきまして非常に激しかったわけでございます。そのために、後進国の製品と直接競合する品物をつくっておりますところの中小紡績は、非常に大きな影響を受けております。将来の影響につきましても、非常に心配をしておる次第でございます。一方また、先進国のほうにおきましては、アメリカはもちろんのこと、西欧主要諸国におきましても、いろいろな形で日本の輸出を抑制をしております。そういう現在抑制されております上に、さらに保護貿易の傾向がだんだんと顕著になってきておる。これは御承知のとおりでございます。その中で、本年の一月には対米繊維輸出に関しまして日米政府間の協定が調印をされました。わが国の米国向けの繊維品の輸出は大幅な減少が予想され、また現実になってきつつございます。まあそういうふうに、わが国の繊維産業は、後進国からは追い上げられ、先進国の市場では大きな試練に直面をしておるわけでございます。
 国内の環境について考えてみましても、近年労働力の不足ということを背景としまして、大幅な賃金の上昇が行なわれております。毎年十数%の賃金の上昇がございます。これは、当初構造改善計画が考えられておりました当時は年率八%ということを予想しておったのでございますが、ことしはこれからきまるのでございますが、昨年も一昨年も一六%をこえております。そういう大幅の賃金の上昇によりまして、コストアップが続いております。これは企業経営にとりまして非常に大きな圧迫要因となっておるわけでございます。また、労働力の需給の面から考えますと、紡績業のわれわれの会員の雇用しております労働力の――約十二万人でございますけれども、それの毎年三分の一を更新しなければいかぬ、その新規雇用というものはここ数年のうちに半減するだろうと、われわれ見通しておるわけです。そういう状態におきましては、一そう大幅な省力化ということを急いでやらなきゃいかぬということになるわけでございます。それからまた、機械の近代化という面から考えますと、この前特繊法が施行されまして、構造改善をやったわけでございますけれども、その当時はまだ考えられておらなかったところの超近代化設備というものが、この二、三年の間に急速に開発されまして、実用化をしております。そういうものを急速に取り入れるということが必要になってきている。また、そういう超近代化設備を取り入れるということは、近代化資金の単価というものも非常に上がってくるわけでございます。そういうこともいろいろございますので、今日までの構造改善というものをさらに今後二年間継続をしまして、いまのコストアップというものを押え、労働力の不足というものをカバーしまして、後進国からの追い上げに対処していかなければならぬというふうに思うわけでございます。そういうふうに内外情勢の著しい変化がございますけれども、これに対処しまして、紡績業がこれから長く生き延びてまいりますためには、昭和四十七年度以降におきましても、引き続きいままでのような抜本的な体質強化というものを行なっていくことが必要であると思うわけでございます。幸いにしまして、昨年、繊維工業審議会及び産業構造審議会におきまして、紡績業の構造改善問題につきまして御審議をいただきました結果、構造改善事業のさらに二年間の延長継続が必要であるという結論が出まして、構造改善法の期間延長、そしてその間に革新紡機の大幅な導入をしまして、画期的な近代化を促進するということと同時に、この構造改善を通じまして、新しい今日の高度の国民生活に対応しますところの消費者志向型の生産・販売体制をつくるということが必要であるという構造改善の答申が出されております。われわれ紡績業界といたしましては、このような答申の方向に即しまして、従来にも増して努力をいたしまして、そして業界の今後の発展を期していきたいと思っておる次第であります。幸いにして、諸先生方の御尽力によりまして、特繊法の延長ということが実現をしましたならば、業界は一丸となりまして構造改善事業を推進をしまして、そのただいま申し上げましたような目的を達成をしていきたいというふうに思っておる次第でございます。
 以上申し上げましたようなわれわれの切なる要望と、われわれが当面しております困難な諸情勢を御勘案いただきまして、構造改善のための特繊法の延長ということを含みますところのこの改正案の成立に特段の御高配をいただきたいというふうにお願いを申し上げる次第でございます。
#5
○委員長(大森久司君) ありがとうございました。
 次に、寺田参考人にお願いをいたします。
#6
○参考人(寺田忠次君) 私は、日本綿スフ織物工業組合連合会の理事長寺田忠次でございます。私どもの綿スフ織布業界の振興対策につきましては、国会の諸先生から平素格別の御指導と御支援を賜わりまして、業界あげて感謝している次第でございますが、本日はまた、特繊法の改正につきまして業界の意見を申し上げる機会を与えていただきまして、重ね重ねの御高配に対しまして、まことにありがたく、感謝している次第でございます。つつしんで厚くお礼を申し上げます。私どもの業界の概況を申し上げますと、同業者の数は約一万七千でございます。従業員の数は十四万人、同業者の平均規模は十人足らずの実に零細な規模のものでございますが、業者は主として全国六十三の地域に分散しておりまして、織物産地を形成しております。毎年五十億メートルの生産を行ないまして、約一千五百億円の付加価値をあげている次第でございます。
 昨年初めごろには、一昨年来の在庫調整がほぼ終わりまして、市況にも好転のきざしが出て、喜んでいたわけでございましたが、三月には対米輸出の自主規制、八月にはニクソンのドル防衛対策、また十月には日米政府間協定によります対米輸出規制の実施など、再三にわたる大きな衝撃を受けまして、この非常事態をどうして乗り切るか、また今後どうすればよいのかと、憂慮にたえなかったのであります。この窮状に対しては、さっそく諸先生から緊急対策について御高配を賜わり、二回にわたる過剰設備の買い上げと、三回にわたる長期低利資金を融資していただけることと相なりまして、この措置のおかげで、私ども中小織布業界は大きな混乱もなく今日に立ち至ることができたのであります。これはひとえに国会の諸先生の御高配のたまものと、業界あげて感謝している次第でございます。厚くお礼を申し上げます。さて、このたびの特繊法の改正についてでございますが、わが業界に特に関係の深い部分は、特定織布業の構造改善期間の二カ年延長ということと振興基金制の創設の二点であると考えますので、この二点について業界の意見を申し上げ、御理解を賜わりたいとかように考えるわけであります。まず、構造改善期間の延長について申し上げます。私どもの業界は、昭和四十二年から四十六年まで五カ年の間、特繊法に基づきまして、国の大幅な助成を受けて構造改善事業を実施してまいったわけであります。この間の実績を見ますと、設備ビルド額は約四百五十三億円に達しまして、おかげでそれまでの投資実績を上回る設備の近代化をはかることができたのであります。この構造改善事業を実施したところは、一人当たりの生産高におきましても、また付加価値におきましても、顕著な効果をあげているわけでございますが、業界全体から見た場合には、今後なお一そう構造改善事業を拡充実施して企業体質の強化をはからねばならない現状でございます。
 繊維品は、日常の衣料品のほか、家庭用品や工業用資材として今後ますます需要が増大する傾向にあります。私どもの織布業は、この繊維業界の中核となる重要な地位に置かれておりますが、現下の織布業界を見ると、先進国の輸入制限、発展途上国の追い上げ、労働力不足などの内外諸情勢が予想以上にきびしく激変しておりますので、私ども現に業に携わっている者は、今後も、現行の構造改善事業を継続実施して、強い国際競争力を持つようにしなければ、輸出は次第に減退いたしまして、わが国の国内市場も外国製品に蚕食されることが必至であると、憂慮にたえない次第でございます。しかし、幸いに現行の構造改善事業を完遂することができますれば、わが国のますます増加するであろう国民需要を私どもの手で充足し、さらに伝統の技術を生かしまして、輸出の増加をはかることができ得ると確信しております。
 このような次第で、織布業の構造改善対策はこの事業が完成するまで継続実施できるようにしていただきたいのでございますが、とりあえずは特繊法改正案の原案どおり二カ年延長をしていただきたく、お願い申し上げます。
 また、二年後以降のことにつきましても、織布業の重要性と内外諸情勢の緊迫性がますます加重されてくる情勢にありますので、業界の振興対策につきましては、引き続いて格段の御指導と御高配を賜わりたく、お願い申し上げる次第であります。
 次に、振興基金制度について申し上げます。構造改善事業につきましては、設備のスクラップ・アンド・ビルドのほか、設備開発、商品開発、市場調査、労務対策等の諸事業をあわせ実施することになっていますが、この事業を実施するにつきましては多額の資金を要します。いままでこの資金の調達がなかなか円滑に進まなかったのであります。このたびの振興基金の制度は、これらの事業が円滑に実施でき得るように助成しようとするものでございまして、資金力の乏しい織布業界としては、この基金に大きな期待をかけているわけであります。この見地から、私どもは、業界から拠出すべき出指金については、相当額の拠出をする覚悟をきめております。どうかこの事情もごしんしゃくありまして、この制度の創設につきまして格段の御高配を賜わりたく、お願い申し上げる次第であります。
 この制度の創設にあたりまして、四十七年度の政府からの出資は十億円と承っておりますが、この政府出資は今後毎年継続実施して、最終的には政府出資額が私ども民間出捐金を上回ることとなりますよう御高配を賜わりたく、また業界からの出捐金は、政府の出資金と合わせて業界の振興事業助成に充当される性質のものでありまして、業界としては出損することの責務を自覚して、苦しい経営内容の中から、拠出するものでございますので、この出捐金の税法上の取り扱いについては、非課税の措置を講じていただきたいと、あわせてお願い申し上げます。
 意見並びにお願い申し上げることは以上のとおりでございますが、私ども中小織布業界の実情を御賢察賜わりまして、中小織布業界が一日も早く法改正の恩恵を受けることができ得ますよう、今国会におきましてぜひとも法改正を実現していただきたく、特段の御高配のほどをお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
#7
○委員長(大森久司君) ありがとうございました。
 次に、斉藤参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(斉藤勇君) 私は、ただいま御指名にあずかりました日本絹人繊織物工業組合連合会理事長斉藤勇であります。平素、当業界の振興に関しましては、諸先生方の格別の御配慮と御尽力を賜わりまして、厚くお礼申し上げます。
 まず、当業界の概況を申し上げますと、企業数は二万七千二百企業でございます。織機台数は本年三月末で二十五万八千台、労働者数は同じく三月末で十七万九千名、したがって、一企業当たりの織機台数は九・五台でございます。労働者数は六・六名でございます。生産高は、昭和四十六年で、絹織物が二千五十一億八千一百万円、人絹織物が五百六十三億九千百万円、合繊長繊維織物が一千九百三十八億六百万円、合計で四千五百五十三億七千七百万円、そのうち輸出高が、絹織物が四十七億二千二百万円、人絹織物が一百三十一億一千六百万円、合繊長繊維織物が一千三十七億七千八百万円、合計で一千二百十六億一千六百万円でございます。
 御高承のとおり、米国向け繊維製品の輸出規制問題は、米国の執拗なる要求に屈しまして、昨年七月一日から業界の自主規制に踏み切りましたが、米国の飽くところない要求によりまして、ついに政府間取りきめによる規制に切かえられまして、昨年十月一日から実施に入っております。その間、政府におかれましては、これが特別救済対策として、過剰設備の買い上げ廃棄の助成と長期低利資金の融資との手厚い施策を策定されまして、目下その実施に移されておる次第でございます。これら施策の効果は、昨年来の経済環境の著しい変化に対処しまして、業界の構造改善の推進に寄与するところまことに大なるものがあると期待しておりまして、これを基盤といたしまして、将来の安定発展のため一そうの努力をいたす覚悟をいたしております。ここに、今回の特別措置に対し、国会の諸先生方に深く感謝の意を表する次第でございます。
 次に、絹人繊織布業の構造改善対策につきましては、これまた諸先生方の特別なる御配慮によりまして、旧態依然たる単純労働集約的産業から脱皮いたしまして、国際競争力を備えた近代的な産業として再生することを根本的目標といたしております。昭和四十二年度に出発して以来、各産地におきまして積極的に実施しておりましたが、その実績を見ますと、ビルド総額につきまして、当初計画は五百二十七億七千六百万円に対しまして、昭和四十二年度から四十六年度までの実績は四百四十二億五千三百万円で、その達成率は八三・九%でありまして、設備構造の改善に寄与するとともに、企業集約化の意欲を高めておる次第でございます。
 さらに、付加価値額は、四十一年度から四十五年度までに計画を上回る伸長を遂げておりまして、輸出につきましても、数量、金額ともに計画を上回る上昇となっております。
 また、一人当たりの物的生産性につきましても、昭和四十一年度から四十五年度までに計画を上回る上昇を実現し、次に一人当たりの付加価値額も同様大幅に計画を上回っております。
 また、導入された織機の機種別構成を見ますと、構造改善事業の進展によりまして織機メーカーの設備開発意欲がとみに盛り上がり、高性能の設備が開発されましたため、超自動織機の導入比率が大幅に高まっております。
 上述のように、構造改善事業は、相当の成果をあげておりますが、当初構造改善計画を策定した時点に比較いたしまして、内外の経済環境の著しい変化、特に一般物価上昇の傾向と設備の性能の向上を反映いたしました導入機械設備単価の大幅な上昇、当初計画を上回る賃金の上昇、企業の零細過多性の改善、生産技術並びに商品開発の進展もいまだしの感が強うございまして、むしろ問題は、今後その深刻さは一そう増加してくるものと考えられます。
 したがいまして、前述の著しい環境の変化と過去の構造改善事業の経験に立脚した新らしいビジョンを作成いたしまして、これを実現し、織布業の構造改善事業の当初の目標をぜひとも達成いたしたいので、最小限二年間の期間延長を含む特繊法改正案の成立を業界をあげてお願いを申し上げる次第であります。
 以上で終わります。
#9
○委員長(大森久司君) ありがとうございました。
 最後に、下山参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(下山佳雄君) 私、ただいま御指名がございました化学繊維協会の専務理事をいたしております下山でございます。
 日ごろ諸先生方に一方ならぬお世話さまに相なっておりまして、まことにありがたく、厚く御礼を申し上げます。また、本日は、この特繊法の一部改正法律案が審議されるにあたりまして、われわれ業界の意見を御聴取いただく機会を得ましたこと、またこれも厚く御礼申し上げます。
 さて、御高承のとおり、織布業の構造改善につきましては、一昨年の十二月、また紡績業の構造改善につきましては昨年の九月、それぞれ、繊維工業審議会、産業構造審議会の答申がございまして、これに基づいて主としてこの法案が作成されておるわけでございます。特に、この紡績織布の構造改善の期限が六月末で切れるわけでございますので、ぜひとも今国会におきましてこの法案を成立きせていただきたい、まずもってこれをお願いを申し上げる次第でございます。
 ただ、この繊維工業審議会におきまして審議されました当時と比較いたしますと、その当時の想像以上に、その後この繊維工業を取り巻く環境がきわめて悪化しておるわけでございます。まず第一に、対米繊維の輸出規制につきまして政府間協定が結ばれたわけでございまするが、その後、これがいろいろな形におきまして、たとえばカナダ、豪州、その他の地域におきまして、連鎖反応を起こし始めております。また、この日米繊維協定が、極東諸国からの対米の輸出規制に関する協定、これが同時に結ばれたわけでございます。そして、この極東諸国への輸出というものがまた非常に打撃を受けておるという実情がございます。さらにまた、こういう対米輸出というはけ口がなくなりました極東諸国から日本に対しまする輸入が、漸次激化してまいるという事情もございます。最後にまた、これが将来多国間協定に進むのではないかという不安が非常に強く業界人の中に不安として残っておるわけでございます。で、このような問題のほかに、また昨年末に一六・八八%という円切り上げが行なわれたわけでございます。で、この率自体が想像以上に高かったわけでございまするけれども、しかも、今日外貨は、その後もどうもたまる一方のようでございまして、この為替レートにつきまして絶えざるこれがまた不安にさらされている、こういう状況でございます。どうも私ども業界から拝見しておりますと、こういう為替レートの問題、外貨のたまり方の問題に対する政府の動きが、全体としてどうもきわめて遅々としているのではないかと、こういう感じを非常に強く持っておるわけでございます。
 で、新聞によりますと、この外貨減らし対策というものもまた進められておるようでございますけれども、おそらくこれで十分だとは言えないだろうと思います。まあ業界としては、こういう動きをやきもきしながらながめておるというのが実情でございます。従来、繊維産業というものは輸出産業として非常に高く評価されてまいったわけでございます。輸出の割合も繊維全体といたしまして三割強、化合繊にとってみますと四割をこえております。繊維産業というのは、今日までそういう構造ででき上がっておるわけでございます。その構造自体が、現在大きくゆらいでおるという実情にございます。平価調整とそれに続きまする円高の基調によりまして、輸出採算は極度に悪化しております。しかも、量的な圧力が輸出価格の引き上げを困難にしておるという事情もございます。いまこういうような影響を真っ正面に受けておりますのが、いわゆる化合繊メーカーでございまするけれども、これは当然化合繊メーカーだけで済むものではないと思います。今後これがどうも全繊維産業に影響が波及することを私はおそれるものでございます。このように、日米の繊維協定に端を発しました多国間協定の動き、あるいはまた通貨不安と、こういうような将来に控えております大きな不安が解消してくれないことには、どうも実のところどうにもならないかもしれないのでございまするけれども、いずれにいたしましても、このような激変後の今日におきまして、この辺で将来の繊維産業のあり方というものをもう一度じっくり検討してみる必要があるんではなかろうか。あるいはまた、ことばをかえて申しまするならば、繊維産業の長期ビジョンというものをこの際お役所が中心になって立ててみていただく必要があるのではなかろうか。繊維産業にとりまして、問題が終わったのではなく、むしろまさにこれから非常にむずかしい問題が出てくるかと思うわけでございます。で、こういうような将来の繊維産業のあり方につきます全般的な見直しと申しますか、そういうものをいたしましたときに、あるいはもう少し施策の重点の置き方を変えるとか、あるいはまた新しい何らかの施策を打ち出すとかいうことがやっぱり必要なのではなかろうかという感じがするわけでございまするけれども、じゃそれまで、そういう繊維産業のあり方を検討し直すまで、当分この構造改善をストップしたらどうか、こういうようなあるいはお考えをもし持たれるとすれば、これはたいへんな誤解でございまして、今日まで政府がおとりいただきました繊維に対します緊急措置、これを含めまして考えてみますると、過剰設備の買い上げとか、あるいはまた設備の近代化融資とか、あるいはつなぎの運転資金融資とか、とにかく今日において考えられるものは全部一応そろえてやっていただいておるわけでございます。現在の段階では、まずせっかく政府がこれだけの努力をして進めようとしておられまするところを着実に実行するということが何よりもまず必要かと思うわけでございまして、その意味におきまして、今後まあ何を考えるにいたしましても、まずただいま上程されておりますこの法律が早く国会において成立していただきまして、そしてこの構造改善を進めていただくということが必要かと思うわけでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
#11
○委員長(大森久司君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の陳述は終わりました。
 参考人の方々に対して質疑のある方は順次御発言を願います。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(大森久司君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小野明君、鶴園哲夫君が委員を辞任され、その補欠として辻一彦君、阿具根登君が選任されました。
    ―――――――――――――
#13
○山本敬三郎君 下山さんにお伺いしますけれども、すばらしいところをお突きになったと、すばらしい点を御指摘になったと思うんですが、先ほど言われたように、問題が終わったのではなしに、これから始まる、私は繊維産業の問題はそのとおりだと思うんです。しかし、もう一歩進めて考えていただきたいのは、農業関係では役所の言うとおりやると失敗するということばがあるんです。私は中小企業においても今後そうではないかと思うんです。というのは、五年前の構造改善を取り上げるとき自体、実は日本経済の変質していくことに対して役所はきわめてかたい考えを持っておった。実は昭和四十三年から日本の貿易構造はもう変わり始めたんです。明らかに、結果から見れば、日本の貿易構造は四十三年から変わっている。それにもかかわらず、役所は見通しが非常に甘かったために、五カ年で計画を達成したとしても、現実には間に合わないという事態がきている。そこで、あなたのおっしゃるように、将来のあり方をもう一ぺんじっくり検討することが必要だと、私はそのとおりなんですけれども、いま私たちが臨んでいる危機は繊維だけではないと思うんです。どんな大きな転換点かというと、明治以来百年の国是が実は変わっていくときじゃないでしょうか。明治以来百年間連綿として続いた国是は、やっぱり資源のない日本が輸出競争力を強化しようと、これはもうナショナルコンセンサスであったと思うんです。その輸出競争力を強化する路線をこのまま追っていけば、日本は世界の孤児にならざるを得ないという、もう決定的ないま境目まできているわけです。ですから、今後は輸出は、単にアメリカだけではなしに、日本側としてセーブしなければならない。あるいは未開発国、発展途上国からやっぱり輸入はやらざるを得ない。これは、どんな内閣ができても、経済の歴史的な方向を逆行することはできない、こういう状況だと思うわけです。
 そこで、繊維産業自体を今後の経済の発展の中で位置づけようとしますと、このごろ盛んに言われているのは、脱本業化とか、いろいろ言われております。そこで、長期ビジョンを役所に依存しておつくりになるなんということはおやめになって、皆さん自体が皆さんの問題として、しかも大きな経済の流れの中で実はお考えにならなければ、またやっても失敗するのではないか。ことに、紡績協会の有田さんにも、その点ぜひお願いしたいと思うんです。役所というのは、一番頭がかたくて硬直的で、そして将来に対して先見性をなかなか考えておっても出し得ない、そういう弱さがありますから、それにワードされるような紡績協会のあり方であったら、私は将来もっときびしい現実がくると、そして逆に言いますと、一番恵まれておったのはあるいは紡績業界かもしれないと思うんです。今後紡績業と同じような状況で、先進国への輸出がとめられ、未開発国からキャッチアップされる、一ぱい出てくると思うんです。ですから、将来そういうものが出てきた場合には、紡績業に与えられたほどの政府の援助というものはできにくいような事態さえくるかもしれないわけです。私はもう何よりも下山さんの御意見に非常に賛成なんですが、それをさらに一歩進めて、役所のリードではなしに、みずから自分たちが、将来のため、国民経済の中におけるあり方、あるべき位置づけ、そういったものを真剣に検討されることが一番必要ではなかろうか、こういう点を考えますので、有田さんと下山さんからもし御感想があったら聞かしていただきたいです。
#14
○参考人(有田圓二君) ただいまおっしゃいましたとおりだと思うわけでございます。いままでの構造改善というものは、先ほどおっしゃいました明治以来百年間の日本の経済政策、輸出促進と国際競争力の強化、それもいままでの考え方は物的生産性の向上ということにもっぱら力が置かれておったと思うんです。これから先は、輸出につきましても、輸入の問題につきましても、物的生産性の向上、これはもちろん必要でございますけれども、それだけでなくて、ほんとうに国内国外ともにそうした志向的な繊維対策、商品計画というものをつくらなければいけない。流通問題、輸出問題、すべてそういう立場で考えなければいけない。
 それからまた、後進国との関係でございますけれども、これから先、まあ先ほど下山専務理事が申しましたような将来の対策をじっくり考えるということになりますと、やはりいままでのような物的生産性向上ということばかりでなくて、国際化ということも当然考えなければいけない。それから、いま先生おっしゃいましたような脱本業ということも当然考えなければいけない。まあ脱本業ということは、転廃業者に対する補償救済というような問題も出てまいります。あるいは転業に対する指導という問題も出る。国際化ということになりますと、これはまたいろいろ多岐にわたりますので、必ずしも後進国から輸出をして先進国から輸入をするというだけではないと思います。先進国に輸出すべきものも非常にたくさんある。それからまた、単に理屈から申しますと、後進国と同じようなものをつくっているものは、この際転廃業をして、後進国から輸入したらいいじゃないかという問題もございますけれども、しかし、やはりこれは、大きな資本をかかえ、労働者をかかえております。雇用問題も考えなければいけません。それから地域問題も考えなければいけません。そういうことがございますので、やはり国際化と申しましても、ある程度の国内産業の保護ということも一応頭に置かなければいけない。まあいろいろそういうことをミックスしましてこれから先考えていかなければいかぬ。
 それからまた、先ほど先生、役所にリードされておったのではどうも革新的なことは考えられない。この前の構造改善対策でも、これはわれわれ自体、英国なり、フランスなり、あるいはOECDなりというようなものと密接に連絡もし、議論もいたしました。材料を手に入れました。役所とも御相談をいたしました。役所もその点、われわれの持って帰りました資料もよく十分勉強していただきました。密接に協同しております。これから先もそういうことで考えていきたいと思います。
#15
○参考人(下山佳雄君) ただいま先生のおっしゃいましたこと、まことにごもっともでございますが、私役所が中心になってと申し上げましたことは、この業界におきましても、極東の諸国、あるいはまた欧米の各先進国、それぞれの企業と非常に密接な関係がございます。ただ、やはりいまこの業界が置かれている問題、これは、先ほどお話しのとおり、まさに日本経済全体が置かれている問題でございまして、これは政府がどういうかじ取りをされるかということによって非常に左右されてまいるわけでございます。したがって、それから政府はまた政府でいろいろなルートをお持ちである。それで、やっぱり政府がある程度リードをとられて、そうして業界を糾合してやはり将来のビジョンをつくっていただくということが私ども必要なんじゃなかろうか。業界だけではやはりできにくい点が非常に多いということは、私率直に認めざるを得ないかと思うわけでございます。
#16
○山本敬三郎君 さっき、知識集約型にすれば輸出がいいのではないかと、こういうお話がありましたけれども、昨年の貿易収支が八十五億という輸出超過ですね。アメリカの戦後での歴史から見ますと、一番輸出超過の年が百億といいます。経済のあれが違いますから、その当時の百億ドルと八十五億ドルと比較はできません。しかし、このままで輸出を続けていけばやっぱり世界の孤児にならざるを得ないということは、これは必然の勢いだと思うんです。そういう意味で、輸出が悪だというわけではありませんが、輸出には明らかに限界が出てきている。輸出をするには、輸入をせざるを得ない。で、いままではごまかしてこれたけれども、ごまかしてこれない限界までいまやきつつある。それは日本経済全体がそうなってきているわけです。そういう中ですから――しかし、政府はなかなかそういうことを言えないわけです、抵抗がありますから。ことに役所はなかなか言えないという状況でありますから、下山さんにぜひ、やはり民間のイニシアということが私はやっぱり一番必要なときだと思うんです。役所の資料、データとか役所の考え方をとることはいいんですけれども、やっぱり民間のイニシアという形で問題を解決していかないと、かえって禍根を残す。たとえば、あとでどなたか御質問なさると思うんですが、無籍織機の問題等もそう甘いことを言っていたらかえって苦しめる結果になる。やっぱりきびしい百年の国是の転換の時代だと、それは単に紡績業だけでは絶対にない、日本経済全体の中で大きな波乱が来る現状だということに立って、ぜひ、民間のイニシアこそいま一番必要なときだということを考えますので、お願い申し上げたい。答弁は要りません。
#17
○辻一彦君 私はひとつ、各参考人にそれぞれ御意見を伺いたい。
 一つは、この二年間構革を延ばすということですね、これはお話のように何とかして延ばさなくちゃいけない思います。その場合――私も冬から春にかけて五、六軒この調査に歩いたんですが、片方で織機を買い上げている、政府が金を出して。これが第一。片方で無登録――無籍といいますか、簡単に言うとやみ織機と言われていますが、これがかなりふえている。これをどうするかということが、これを二年延期するにしても非常に大事なことだと、特にこれについての対策がかなりしっかりしないと政策的な効果がどうもあらわれないというように思うわけなんです。なかなかこれは言いにくいこともおそらくあると思う。私の手元にも、これをしっかりやれというのと、それから無籍もの組合というのができて、都合のいいときには固定資産税も地方自治体の所得税もみんな納めたと、ぐあい悪くなったら締め出すとは何事だという、こういう意見もあるので、なかなかむずかしいと思いますが、しかしむずかしくても、これに対して何らかの有効な対策を立てない限り、どうも政策的な効果が出ないと思うんですが、これについて、それぞれの立場もあると思いますが、差しつかえない範囲で聞かしていただきたい。これは御発言いただいた順番に、有田さんのほうからずっと寺田さん、斉藤さん、山下さんと御意見があれば、まあ紡績の場合はちょっとあれでしょうね――それじゃ寺田さんと斉藤さん。
#18
○参考人(寺田忠次君) ただいま御指摘いただきました、無籍、無登録織機のことでございます。仰せのとおり、たいへんまあ、いまも、役所から試案なるものが出ておりまして、これにつきましていろいろ検討もさしていただいているわけでございます。無登録織機の問題、非常に重要でございます。最も重要な問題でございまして、これをどうするかということにつきまして最も真剣に考えなきゃならぬわけでございます。で、私は、私どもの工業会の組合の各産地の状況をよく承りまして、産地産地によりまして意見もまだまちまちでございます。そこで、どうあっても私どもの最も大切なことは団結でございます。それでございますので、その団結を解くと、破壊すると、崩壊させるというようなことがあってはいけませんので、これを第一に考えまして、そうしていまなお現在は無登録織機の調査中でございます。役所の指示を得まして調査中でございますので、これができ上がりましてからおもむろに、よくそういったことを、最も円満な解決方法をしまして、あくまでも分解はさせないという方針で進みたいと、こう思っておりますので、ただいまのところまだ各意見もまとめておりませんしいたしますので、そういったことで御了解いただきたいと、かように考えます。
#19
○参考人(斉藤勇君) ただいま綿工連の寺田理事長が申し上げましたとおりの状態でやざいますので、私の村でも賛否両論がございまして、非常に慎重に議論はいたしておりますけれども、両方に理屈があるように思いますので、この処置につきましてはお役所はじめ非常に御心配をかけておりますけれども、まず、いま実態調査をして全体の状態を把握をしてから少し時間をかけて、やはり組織の崩壊をしないような、また正直者がばかをみないような政治を何とかひとつやっていただきたいし、また私どももそういう名案をひとつ見つけたいといま苦慮をしている途中でございますので、いまのところ寺田さんのお話のような状態でございますので、御了承願いたいと思います。
#20
○辻一彦君 まあ、これはたいへんむずかしいので、あんまり聞くのもどうかと思いますからあれですが、これは何とか、確かにまあ正直者がばかをみちゃいかないし、組織の点も大事ですから、そういう点を考えながら何らかの対策を立てないと、どうもせっかく国が、また民間の皆さんが自分で負担をされてやっていらっしゃるこの構造政策が、ある面では片方からしりが抜けていくということになるんで、考えなければいけない。しかし、あんまり立ち入ってお伺いするのも、非常に皆さんも内部にそれぞれの御意見も持っておられる、まだ整理がつかない段階でありますから、これはまあこれ以上はあまり聞けないと思います。
 それからもう一つ寺田さんにお伺いしたいんですけれども、振興基金で業界が出資される、それに非課税の措置をとれということですが、いまほかの県でも、こういう中央のこれに準じてやはり基金制度をつくって、そして取り組もうというような動きがあるわけですが、そのいまの御要望の中には、各県において行なわれるそういうような基金に対しても非課税の税制上の措置をとるようにしてほしいと、こういうことであるのかどうか、そこらを含んでいるのかどうか、ひとつ。
#21
○参考人(寺田忠次君) 各府県のことについては、私いまお願いしておりますことは、含んでおりません。
#22
○辻一彦君 各県でこういうような実態があるかどうか、もしあったらひとつ伺いたいと思います。
#23
○参考人(斉藤勇君) 実は、各府県にも、みずから業界から拠金をいたしまして、政府が出していただいたような金と合わせて前向きの金を積み立てていこうという意見がございまして――実は私は福井県でございますが、福井県でも立案しておるんでございますが、税法上の問題がございまして、ちょっとまあ様子を見送っておるような状態でございますので、いま寺田さん、含まぬとおっしゃいましたけれども、含めていただければ非常にけっこうでございますので、ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
#24
○辻一彦君 これは、私もあす質疑に立つ予定ですけれども、含んだほうがいいということであれば……。
#25
○参考人(斉藤勇君) ええ、もちろんです。
#26
○辻一彦君 含めて論議をしたいと思います。
#27
○藤井恒男君 ちょっと私聞き漏らしたんだけれども、有田さんにお伺いしたいんです。
 先ほどちょっとお話のありました、十二万人の現在の従業員を、年々三分の一更新していかなければならないけど、将来の展望として、ちょっとお話があったが、聞き取れなかったんです。それが一つと、それから四十七年度の紡機の買い上げの問題ですね。これについて、まあ新聞紙上では大体割り当ての四倍ぐらいの希望があるというふうに承っておるわけなんだけど、もう全部業界として手元に希望を把握されておるかどうか。まあ四倍ということになると、これは総ワク予算というものは大体固まっておるわけなんだから、まあ他の部門からシフトするか、あるいは次年度に繰り越すか、追加予算を組むか、いずれかの方法しかこれはないわけなんです。その辺の見通しをどういうふうに業界ではお持ちか、ちょっとお聞きしたい。
#28
○参考人(有田圓二君) 藤井先生の御質問の初めのほうの、労働力の需給でございます。これは、私はきわめて大ざっぱな数字を申し上げたのです。藤井先生よく御存じだと思いますので、こまかい点は間違っておるかもしれません。大体、私どもの会員の紡績、兼営織布を含めまして、十二万人おります。いままでそれを大体四万人ぐらいずつ新規に採用しまして更新しております。ところが、いろいろ労働層や何かの見通しを考えますと、これは年に七%とか五%とか減っていく。これを見ておりますと、ここ数年のうちにその減り方もだんだん加速をしておりますので、私は数年のうちに――数年というのは、五年ないし七年のうちに新規更新というものはその半分ぐらいしか採れなくなるんじゃないかというふうに考えて、非常に心配しておるわけであります。それはまあ、そういうことを何とか省力化によってカバーをしていくということでございます。こまかい数字は間違っておるかもしれません。
 それから、あとのおっしゃいました買い上げの問題でございます。これはわれわれ率直に申しまして、ある程度初めその見通しを誤っておった、それほどたくさん買い上げ希望が出るとは思っておらなかった。ところが、いざ予算がつきまして買い上げの希望をとりましたところが、われわれのほうだけで約七十六万錘という希望が出たんであります。しかも、それを一応締め切りましたあとでも、まだまだそういう希望が続きそうなんであります。そういう状態でございます。これは、そういうことでは、予算の――先ほど四倍とおっしゃいましたけれども、三倍はこえておるんじゃないかと思います。三倍ということになりますと、どうしてもその三分の一に何らかの形で削らなければいかぬ、これは非常にむずかしい問題です。中には、ほんとうにその仕事を全部やめて、脱本業で転廃業をしようという人がだいぶあるわけなんです。そういう真剣な希望がございます。といって、それだけ取り上げますと、ほかに、自分の持っている設備を半分廃棄しまして、残った半分もこれはまあ廃棄をして新しいものと取りかえたいという人もあるわけでございます。出て行く人を救うべきか、これから残って非常にまじめな近代化をやろうと思っている人を救うべきか、非常にむずかしい問題でございます。簡単にはこれは言えないわけでございます。
 そこで、いま役所のほうで調査票を出していただきまして、実態調査の票をいま集め中でございます。それが集まりましたら、今度はこれを現実にその工場へ行きまして実態調査をしてみようと、そしてどういう方法でこれを削るかということを考えなければいかぬ。これは、お役所のほうとも協力をしまして、三分の一にすることでございますから、なかなかみんなが満足するわけにいきません、おそらくみんなが不満になると思いますけれども、なるべく公平にして、しかも構造改善の目的に沿った方向に進まなければいかぬというふうに思っております。
 それから、後段でおっしゃいました、これじゃどうにも三分の一にはなりません、もうちょっとこれを予算をふやしていただく、追加をしていただく、あるいはほかで余ったものを回していただく、そういう問題は当然考えなければならない。それと合わせてその三分の一に削るということを考えなければいけない。これはわれわれも状況をいろいろ考えまして、適当な時期に再び政府、国会等にお願いをしなければいかぬというふうに考えまして、これも、いまの調査の結果によりまして、ほんとうにどれだけのものが余るのか、あるいはいま出ております七十六万のほかにまだ希望があるのかないのか、そういうことをひとつ的確につかみまして、そしてさらに御要望申し上げたいと思っております。その節はまたよろしくお願いいたします。
#29
○藤井恒男君 これは、寺田さん、斉藤さんにお聞きしたいんだけど、四十六年度の百三十億の買い付けですね、こいつがずいぶんおくれておるわけなんです。破砕が終わるのは六月末ごろだということになるわけですね。そうすると、四十七年度分の買い付けというのが実質上それより以降に繰り延べられていく。そうなってくると、現実に転廃業を余儀なくされている企業というのはたくさんあるわけなんだけど、この失業者対策ですね、たとえば一時金を支給する、あるいは手帳を交付する、これが契約の前後一カ月ということになっておるわけです。現にもう本来四十七年度の買い上げが年度当初から行なわれていれば、四十七年度の事業計画に沿ってこの問題を労働者救済対策として前回法案がきまった形で処置していけるわけなんだけど、これがこう、うしろにずれ込んでいくために、せっかくああいったいい法案ができたにもかかわらず、これ活用できない、こういう点を私どもこれはむしろ従業員の側から見るのです。また、中小の企業者のほうから事業計画が立たないということを聞くんだけど、実態として、そういった点についてどのように処理されておるのか、あるいはどういった考え方を持っているのか、どなたでもけっこうだけど、お聞きしたいと思います。
#30
○参考人(斉藤勇君) 実は、この過剰織機の買い上げにつきましては、綿スフ系統と絹人繊系統と二つに分かれておりまして、ほとんど今年度の過剰織機の場合には綿スフ系統でございます、私のほうは、最初の予定よりだいぶん減りまして、そして転廃業という企業はほとんどわずかでございますので、いま先生おっしゃいましたような、その労務者のトラブルはほとんど起きておりませんのです。こういう人手不足の時代でございますから、転業はスムーズに全部できております。賃金の問題、失業保険の問題につきましても、それぞれ個々の企業で解決していると思いまして、労働者の組織のほうから上の組織へ上げてトラブルを起こして困っているという事例をまず聞いておりませんので――具体的には何かありましたらまた調査をいたしますけれども。それから、綿工連のほうにいたしましても、おそらく、中小企業が主体でございますから、まとめて何百人と失業したというようなことはございません。かりに五人や十人の労務者がありましても、全部その付近で何かに吸収しておるというのが実情ではないかと私は考えております。
#31
○参考人(寺田忠次君) 綿スフにおきましては、現在は契約ベースで処理しているわけでございます。今後におきましては、労働省と通産省の確認で処理していただきたい、かように考えておるわけでございます。どうぞひとつよろしくお願いいたします。
#32
○藤井恒男君 契約ベースを両省の確認に変えてほしいというわけですね。
#33
○参考人(寺田忠次君) はい、そうでございます。
#34
○藤井恒男君 契約時点じゃなくて、確認時点ということですね。
#35
○参考人(寺田忠次君) はい。
#36
○原田立君 私、全然しろうとなもんで、的はずれになるかもしれませんけれども、お答えいただければ幸いと思います。
 先ほど下山参考人のお話しになった中に、多国間競争における不安、あるいは通貨の不安、これを解決しないと業界全体が不安である、将来の繊維の行き方を見る必要があるし、ここで長期ビジョンの確立が必要だと、こういうような御意見がございました。私も当然そうであろうと思うのであります。例は、農業問題等にしても、いわゆる過保護的な農業では国際農業に立ち向かっていけない、そういうために、何らかの国内農業に力をつけなければいけないと、こういう議論あるわけです。それと同じように、やはり繊維業界におきましても、国際競争力というものを十分つけていかなければ、それこそ取りおくれ、取り残しにされていってしまうだろう、こう思うんです。それで、先ほど山本委員から、業界自身でもしっかり考えておやんなさいと、こういう話があった。私ももっともだと思うのです。
 それで、民間あるいは業界として、どのように力をつけていこうと、こう考えているのか、これがまず一つ。
 それから、長期ビジョンの必要性を下山参考人言われたのですけれども、業界自身でそういう考えを持ってある程度まとまったものがあるのかどうか。それから、当然、力をつけていくというためにも、省力化というようなことになるでしょう。先ほどもどなたかのお話で、以前十六人ぐらいであったのが現在は三・人であるというような数字のお話がありました。設備の近代化、省力化等々になっていく。そうすると、業界自身がずっと今後も伸びていくために必要労働力というのをどのくらいのラインでお考えになっているのか。省力化、省力化といってあまり少なくして規模を小さいものにしていけばまたつぶされるでしょうし、あまり大きいとまた今後の輸出問題ということで悩みも出てくるのだろうと、こう思うのですが、そういう内外の情勢に対応して、このぐらいのものはぜひ必要労働力として確保していきたいと、こういうふうな基本的なものがお考えがあるのかどうか。現状でよいのか、悪くなるのか、あるいは失業する数が少なくなっていくのかと、まあこういうような問題です。ちょっとばく然とした質問のようでありますけれども、お考えがありましたらお聞きしたいと思います。
#37
○参考人(下山佳雄君) 先ほど先生のほうから脱繊維ということばが出ておりましたが、確かに業界の中で脱繊維を考えているものが非常に多うございます。それから、先ほどございました紡績でも、当初考えておりました何倍もの廃業したいというような希望が出ておるのがございます。結局、繊維業というものが、こういう動乱、何と言いますか、非常に変化の時代で、将来どうなるのだろうかという自信が持てなくなっている人が非常に多いのではなかろうかという感じがするわけなんです。そういう意味におきまして、私どももちろん、現在化繊メーカーとしては大幅な実操短をいたしておりますが、これも年がたてば内需が、これはもう必ず毎年何%か、全体ではおそらく毎年六、七%、化合繊でまいりますればやっぱり一〇%以上の伸びが出てまいりますので、輸出が将来落ちましても、漸次これが内需のほうに振りかわってくるのではなかろうかという期待は持っておりますけれども、しかし、たとえば、繊維の中では、御承知のとおり、長繊維と短繊維の区別がございます。それから織布とメリヤスの区別がございます。一体何がどのように伸びるのか、後進国からどのように追い上げられてくるのか、その辺がどうも見通しがつかないので、結局先ほどのような廃業希望というようなものが出てくるのではなかろうか。だから、この辺に対して、大体繊維というのは今後こういうふうになっていくんだというような将来のあり方というものをやはりそこに打ち立てられないと、どうも安心して仕事がやっていけないというようなことなんではなかろうか。特に、まだ現在の段階におきましては、あまりにも未確定の要素がございます。特に為替不安等は、これはもう一日も早く解消していただきたいのでございますけれども、そういうような不安をやはりなくしていただくということが一番必要じゃないかと思います。あまりお答えにならないかと思いますが、要するに、そういうような業界が非常に不安を持っておるということでございますね。行き先について自信を失ってきている。この自信を与えるような方向を示して、まあ政府にと申しますとまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、まあみんなで、業界も政府も一体になりまして、やはりその辺、学識経験者も入れまして、というような感じがしておるわけでございます。
#38
○原田立君 いま最後のお話の、学者等も含めて何か御意見なんか聞いてある程度まとまっているのかどうか、そこら辺をひとつ。
#39
○参考人(下山佳雄君) 業界としては、もちろん寄り寄り業界だけで考えております。これは先ほどもお話がございました世界経済全体の動きの問題とも関連いたしますので、やはりもっと広い視野の方々を入れてこの辺のところは検討いたしませんと、将来の姿というものは明らかにならないかと考えるわけでございます。
#40
○須藤五郎君 二点お尋ねしたいと思うのですが、今度法律の一部改正をやる動機は、世界情勢の変化とかいうようなことがあげられているわけですね。そうして、政府は繊維工業審議会及び産業構造審議会繊維部会などに諮問した結果、こういう案が出たということになっているのですが、皆さんは、この二年間これを延長すること、また十億円の出資をすることであらゆる問題が解決するという見通しを立てていらっしゃるのか。もしもそういう見通しならば、その見通しの根拠を示していただきたいと思うのです。というのは、私たちこの法案を審議する参考にしてまいりたいと思うのですね。それから、アメリカの繊維輸入制限がなければこういう法案の延長をする必要がなかったのかどうかという、その二点をどなたからでもいいからひとつお答え願いたいと思うのです。
#41
○参考人(寺田忠次君) ただいまの御下問でございますが、先ほど申し上げましたように、この二カ年間ですべてが解決するというようなことは毛頭考えておりません。それでございますので、あととにかく、繊維はほんとうに、今後の――現在もそうでありますが、後進国の追い上げとか、そんなことを考えますと、実にたいした問題でございまして、そこで今後、とりあえず二カ年でございますが、二カ年経過したあとでも、ひとつ継続的にこういったようなことにつきましては、いろいろまた国の御援助をお願いしまして、構造改善というようなものを継続――まあどういった形になりますか、要するにわれわれ業界の構造をすべて革新するための策を講じていただきたい、こう考えているわけでございます。この十億円につきましても、同じでございまして、先ほど私お願いいたしましたように、今後私どもは、この原案によりますと、十億国から出していただきまして、私どものほうから三十数億出すというようなことになっておりますが、こういったようなことにつきましても、何ぶんひとつ、まだその使途につきましてはいろいろ御指示を得ておりませんが、設備の開発であるとか、あるいは商品の開発、市場調査、労務対策、いろいろな面に使うわけでありますが、そういったような点につきましても、ぜひ今後いろいろお願いしたい、こう思うわけでございます。どうかひとつよろしくお願いいたします。
 それから、アメリカの問題がありませんでも、ほんとうに大きな変革の時代へ入っておりますので、そのことも私どもはそう考えております。アメリカ問題によって拍車をかけたということは言い得ると思います。
#42
○辻一彦君 寺田さんと斉藤さんに伺いたいのですが、日本の繊維産業をどのように位置づけるかという問題がありますね。それと同時に、各産地には産地の特色というものがありますが、いままでの長い歴史でつくられておるのですが、そうなれば、産地ごとのビジョン、こういうものが、先ほど言われたのですけれども、民間でそれぞれつくられてくると思うのです。これは、政府が考えると同時に――それも大事だと思いますが、産地ごとのビジョンづくりというか、将来の展望という面、こういうものをそれぞれ検討されておるかどうか。
 それからもう一つは、これは斉藤さんにお伺いしたいのですが、開発途上国、こういうものの追い上げがだんだん強くなってくる。そうすると、同じものをつくってもなかなかうまくいかないことは当然であろうと思います。そこで、付加価値を高めるという、そのためには、私はいまここで聞いたのですが、織機の構造改善、これは非常に重要だが、たとえば準備過程がかなりあるような場合には、そういう準備過程の構造改善、近代化をやらないとほんとうの付加価値が高まらない、こういう意見を聞きましたが、そこらについてどういう見解を持っておられるか、この二点をひとつお伺いします。
#43
○参考人(斉藤勇君) まず最初の、各いわゆる産地においてビジョンがあるかどうかという御質問でございますが、実は四十二年の構造改善をまずやらしていただくときに、各産地でビジョンを立てて着手したわけでございますが、これが急速に時代が進歩いたしますので、まず機械の進歩が激しい、それから世界の政治経済の情勢が変わる。たとえば、アメリカがああいうことを急に言い出す。また、先ほど山本先生がおっしゃったように、明治百年からやっているんだから、もう変わるところへ、転換期にきたのだという、大きな変わり目であろうと思いますが、こういう問題で、四、五年前に立てたビジョンがもう古いということでございますが、さしあたりさっき須藤先生がお尋ねになりましたいまの二カ年延長でいいのかどうかという御質問にも関連いたしますけれども、これは二カ年でようございません。しかし、いまのところせめてそれだけでも立案されたものをさしてもらうというお願いでございます。その間に、やはり先ほど下山さんがおっしゃったような長期ビジョンを国と――まあ私どもすぐ国に御依頼して申しわけないんですが、みずからもひとつ考えて、日本全体の繊維産業の長期ビジョンというものをしっかりここでひとつ考えなければならぬ時代にまさに到達した。ほかの基幹産業はみなそうでございましょうが、特にわれわれ中小企業の繊維産業は、後進国の追い上げがきついのと、それから輸出の先がなくなるということでございますので、かりに参考的に申し上げますと、五百億、三百億という構造改革資金をきょうまで使わしていただきましたが、今後もしそういう予算が取ることができましたら、そういう金で中小企業が、南米なりあるいは北米なり、業者みずから移住したほうがいいと私は思います。それで、南米なら南米、北米なら北米、あるいは東南アジアでもまだまだ衣料が足らぬのですから、日本の熟練した中小企業と熟練した労務者が行ってやれば幾らでも生きる道があろうと思いますが、一番繊維産業困っているのはやはり資金の問題でございますので、そういう国の資金を使わしてもらいまして海外へどんどん出れば大いに活路は見い出せ、そういうこともひとつ考えて長期ビジョンを立てたいというふうに考えております。つい最近も、寺田さんは、南米チリですか、どこかへ設備ごと行って、現地で織布業をやるというまさに時代になって――戦前もございましたけれども、いままさに、そういう時代になりましたので、どうか、えらい陳情大会になってたいへん申しわけございませんが、そういうこともひとつ国の力で考えてもらって、私ども大いにやるべきである、そういうような時代に到達したと考えておるわけでございます。
 それから、辻先生の準備機に対してもっと構造改革をやらなければいかぬという御説は、これは業界は常に陳情いたしておりますけれども、最初のビジョンが準備機と織機本体とがある程度つり合いがとれないとというお役所の計算もございまして、私どもそれを痛感しておるわけでございますが、最近特に付加価値をつけるために準備機の構造改革に力を入れたいと思いますが、もう残り二年になりましたので、この間予算もそうたくさんございませんし、議論している間に時間が経過するというふうないら立ちを感じているような次第でございます。できましたら予算ももっとちょうだいいたしまして、準備機もやりたい、そしてこの資金でもって海外へもどんどん行きたいという業者の希望でございます。
#44
○山本敬三郎君 先ほど下山さんから、おこられたと言われたんですが、そうとっていただいては実は困るのです。私自体のほんとうの考え方は、政府というのはやはり選挙の上に成り立ちますから、きわめて保守的な性格を持っております。それから官僚制度というのは、これはもう本来非常に保守的なものなんです。そこに依存してまいりますと、対応のし方を失敗して、皆さんがかえってお困りになる結果になるのではないか。そこで、やはり各企業が盛んにこのごろ脱本業とか多角化等をやってきておりますし、また石炭の例を見ましても、古いものに依存した人はかえって結果は気の毒な結果になっているという例もあるわけなんです。そういう点を考えまして、宮崎さんからも何回もいろいろ伺ったんですけれども、私は、紡績業界全体としてやはり発想を変えていかれる、逆に民間がイニシアをとって政府なり役所を引きずっていくくらいな、そういう考え方が必要じゃないか。たとえば、再び円切り上げのおそれがあるといわれますけれども、昨年の円切り上げのときの政府の姿勢というのは非常に硬直化している、変化に全くなじまない。現在の七項目も、これがなかなかやれない。圧力団体もありますから、やれない。そういうものだけに依存していると、業界自体が本来あるべき地位までも失っていくというようなおそれがあるんじゃなかろうか。そういう意味で、民間が自主的にやっていただく意欲を持っていただきたいということを私のほうからお願いしたいのです。決しておしかり申し上げたわけじゃないですから、この点どうぞ御理解をいただきたい。御答弁は要りません。
#45
○参考人(寺田忠次君) 先ほど辻先生からお話がございましたが、実は産地のビジョンということにつきまして若干参考のために申し上げますが、要するに、構造改革をしていない織機につきましては、大体一カ月一台の織機の上がりが、生産性というものが、現在三万五、六千円から四万円ということになっているのがあります。それから構造改革をいたしましたものになりますと、優秀なものになりますと、十万円内外、十一万円ぐらいいっているところがございます。そういったような差異がございますので、各産地ともに、そういった、つまり零細企業なら零細企業なりにふさわしい生産性をあげたい、付加価値を大ならしめたいということで努力しているわけでございまして、それがいまの構造改革をぜひ実現していただきたいという考え方の一つでございます。それで、それがやはり各産地のビジョンとして成り立っているわけでございます。
 その次に、なお私どもが一番心がけておりますのは、流通部門の変革、開拓、こういったことをするためにも、ぜひとも、先ほどの振興資金でございますか、こういったものをおふやしいただくということが最も適切なことでございまして、あれによりまして私どもは大いに今後開拓をしていきたい、こういうふうに考えております。
#46
○藤井恒男君 先ほど下山さんから通貨不安のことについてお話があったのですが、輸出依存度が一番高いのは化合繊――化合繊の先物について大体どれくらいでいま契約されているか。これは品種によってだいぶ違うし、仕向け地によっても違うわけです。概略、いまの三百一円ですか――に対してどれくらい上がっておりますか、聞かしてもらいたい。
#47
○参考人(下山佳雄君) これは、私自身商売しておりませんものでございますから、ただうわさでございます。うわさでは、前は二百八十円とか九十円とか言っておりましたけれども、最近はもっとまた下がった。二百七十円台というような話も聞いておりますし、これがほんとうであるかどうか存じませんけれども、とにかくそういうようなうわさが出るだけでも非常な不安でございます。
#48
○藤井恒男君 二百七十円くらい……。
#49
○参考人(下山佳雄君) といううわさが出ておる。全部じゃないと思いますが、中にそういうような話があるんじゃないかと私思うのでございます。
#50
○委員長(大森久司君) 参考人に対する質疑は、この程度にいたします。
 参考人各位には、御多忙中御出席いただき、また貴重な御意見を拝聴させていただき、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。
 次回は明二十五日午前十時二十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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