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1971/05/25 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第14号
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1971/05/25 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 商工委員会 第14号

#1
第068回国会 商工委員会 第14号
昭和四十七年五月二十五日(木曜日)
   午前十一時七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大森 久司君
    理 事
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                竹田 現照君
                藤井 恒男君
    委 員
                赤間 文三君
                小笠 公韶君
                大谷藤之助君
                阿具根 登君
                辻  一彦君
                林  虎雄君
                中尾 辰義君
                原田  立君
               柴田利右エ門君
                須藤 五郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        林田悠紀夫君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     佐々木 敏君
       中小企業庁長官  高橋 淑郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大森久司君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○辻一彦君 私、午前中だけ繊維問題について若干質疑を行ないたいと思います。
 第一は、日米繊維協定に伴ってその後いろいろ問題が起こっておりますが、その点について二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 一つは、日米の繊維協定が、アメリカの業界が日本の繊維の輸入によって赤字が出る、被害を受ける、こういう主張をして、正当な調査もやらせずに大統領選にからんで佐藤・ニクソンの密約と、これによって協定が結ばれた、このことはいまでも私たちは遺憾に思っているところです。そこで、アメリカのいうところの被害といいますか、の実態というものを、アメリカの繊維業界の動向というものを若干お尋ねをしたいと思うんです。赤字が出る、倒産が出る、失業が出る、こういうふうにいわれた米国の繊維業界の動向は、日本化繊業界が入手したATMI――全米繊維製造業者協会というのがありますが――の報告書に若干出ておるようですが、日本に比べて必ずしも悪くはないと、こういうように大まかにいわれておりますが、その実態をどういうふうに通産省のほうで把握をしておられるか、これをまず伺いたいと思います。
#4
○政府委員(佐々木敏君) 本年初めのATMIの会長の発表を見ますと、米国の繊維産業全般は、最近における米国の一般的な国内景気回復によりまして、繊維産業も改善の方向に向かっておるようであります。若干具体的に申し上げますと、生産につきましては、七一年は前年に比べまして一・一%の伸びでございます。売り上げにつきましても二百二十三億ドル程度でありまして、前年比三・二%の増加になっております。売り上げ利益率も前年比の一五%増でございます二・二%ばかりの利益率になっておるようでございます。一般的な国内景気回復によりまして、繊維産業も急速に改善の方向に向かっているような情報でございます。
#5
○辻一彦君 まあいまの御報告、そのとおりだと思うんですが、ただ、七一年をいま見てのお話ですが、それを見ると、それほど日本の繊維産業によって落ち込みがあったり、マイナスの影響が大きく出ておったというようには言えない。少なくともパーセントとしては少数ですが、生産高においても金額においても上昇している、七一年全体を見てですね。そういうことがいまの報告書の中の御発言でもわかると思うんです。で、それに比べてわが国の繊維業界のほうは、この糸等を中心にしてどういう状況にあるか。大まかに言えば、残念ながら当然でありますが、減収、減益、減配という方向をたどっておると思うんですが、そこの実態を、簡単でけっこうですが、お聞きしたいと思います。
#6
○政府委員(佐々木敏君) 先生おっしゃいますように、わが国の繊維産業は昨年来非常に不況でありまして、これは申し上げるまでもなく、一般的な国内景気の落ち込み、あるいは昨年後半におきますドル・ショックの問題、円切り上げの問題等々の影響もございますが、日米政府間協定の対米輸出の減少ももちろん一つの要因だろうと思います。
 最近の繊維産業の景況一般でありますけれども、合繊糸の一部あるいは輸出関係の繊維製品を除きましては、最近、比較的あるいは若干予想外の好調のようであります。合繊はこの四月から第二次操短に入りまして生産を縮小しております。また在庫調整も済みまして、最近、合繊糸の市況は下げどまっております。一時よりも一〇%ぐらい上回っておるものもございます。また、機屋につきましても、東南アジアとか中近東等の輸出が相当でございまして、特に北陸関係の合繊関係の機屋は七−九月のものにつきましても大体製織スペースは満ぱいになっておる、加工賃につきましても若干上がりぎみであるというような状況でございます。また、毛紡績につきましては、毛糸の市況が本年初めから相当高騰しているというような状況であります。おしなべて繊維産業、もちろんまだ非常に不況の段階を脱しておりませんけれども、政府間取りきめに基づく救済対策によりましてある程度の資金も流れておりますし、ただいまのところは比較的悪い状態は脱しておる、かように判断しておる次第であります。
#7
○辻一彦君 まあそれはごく最近の状況と思いますが、三月等における大手の決算等を見ると、これはまあ残念ながら、当然のことですが、減収、減配あるいは操短ということが起こっているということは確認できると思うのです。そこで、アメリカの実態が去年においてもそれほど落ち込みもなしにむしろ向上、幾らかはふえていると、こうすれば、今度の繊維協定がいよいよことしあたり、こちらのほうには大体マイナスの影響、アメリカのほうには逆にプラスの影響として出てくるんじゃないかと思われますが、その場合に、アメリカの繊維関係というものは私は、上向きにしていく可能性があると思います。そういう場合に、たとえば、日本繊維産業連盟は協定の無効の訴訟を五・一五のこの日に起こしておりますが、もしアメリカの繊維業界が今年上半期で上向くようになったならば、協定内容の緩和を政府に要求しなくちゃいかぬと、こういうことを検討しているということを聞いておりますが、そういうアメリカの繊維状況というものがかなり上向きになるという場合に、政府としては協定内容の緩和を要求していくような考え方があるのかどうか、この点をひとつ伺いたいと思います。
#8
○政府委員(佐々木敏君) 申し上げるまでもなく、日米政府間協定につきましては、昨年十月の仮調印の段階、あるいは本年一月四日の正式調印の段階におきまして、極力協定内容の改善あるいはその運用の、わがほうに有利な方向での要望をいたしておるのでございます。昨年十一月に第一回の専門家会議がございまして、また本年三月末から四月初めにかけまして第二回の専門家会議がございました。そのつど協定内容の改善、運用の改善を強く申し入れておるわけであります。今後、先生のおっしゃるような米国の繊維産業が上向いてくると、またわが国の繊維産業にこの協定の運用が非常に不利であるというような実態がございます場合には、もちろんこれにつきましては強く米側について協定内容の改定とか、あるいは運用の改善とか、随時強く申し入れる所存でございます。
#9
○辻一彦君 そこで、まあこれからは状況の変化によって私はそういう強い態度をぜひとってもらいたいと思うのです。
 で、第二に、十一品目に対するトリガー条項を発動して、三月二十七日からアメリカの国務省で日米繊維協定に基づく協議事項が行なわれたわけですが、その経過をまず聞きたいと思います。
#10
○政府委員(佐々木敏君) 三月の初めに、米側から協定に基づきます一般品目のうちで、協定の基準に基づいてトリガーを引いてきたわけであります。基準年次の一〇%増に最近一年間の日本からの輸出実績がオーバーした場合にはトリガーを引けるという協定六条(b)項に基づきました協議要請が十一品目についてあった次第であります。その十一品目のうちの四品目は合化繊の糸でありまして、この糸につきまして過去一年間の輸出実績は、ただいま私申し上げましたトリガーポイントのほぼ数倍と、これは、昨年十月以前の自由であった時代の実績も含まれておりますから、約数倍というような協議水準でありました。これにつきましては、わがほうとしては協議する必要はない、問題ないという判断をしたわけであります。残り七品目、製品類でありますけれども、これにつきましては、わがほうの事情あるいは米国における市況、需要状況等々を十分勘案いたしまして、三月末の第二回専門家会議におきまして、強くわがほうの要望を主張したわけであります。米側といたしましては、協定におきます弾力条項の精神に沿いまして、私どもの要望がほぼ通ったと、かように考える次第であります。
 七品目につきましても、トリガーポイントに比べまして二〇%から二五%増のレベルで合意は協議が成立した次第であります。
#11
○辻一彦君 四月一日の通産省の歓迎するという談話の中に、わが国の要求は合意点よりも高いものだったが、交渉の過程で米側の強い態度があってむずかしい点もあったと思うと、まあ云々とありますが、そのわが国の要求した、いわゆる日米合意点よりも高かった内容と、その実際の差はどのくらいあったか。その点ひとつ確かめておきたい。
#12
○政府委員(佐々木敏君) ただいま申し上げましたように十一品目でございまして、それぞれトリガーポイント並びに協議水準がきまったわけであります。ただ、この個別品目の数字につきましては、米側の要請もございまして公表をいたしておりません。したがいまして、恐縮でありますがトータルの数字で申し上げますと、この十一品目のトリガーポイントはほぼ四億平方ヤードでございます。これに対しまして協議水準の決定いたしました水準は七億平方ヤードということで、四億から七億、六割アップぐらいという状況であります。
 先生の御質問の、わがほうの要求に対してどうであったかということにつきましては、ほとんどわがほうの要求はいれられた。小さな水準であります個々の品目につきましては、若干の開きはございますけれども、トータル的に申し上げますと、ほとんどわがほうの要求がいれられたと、かような数字になっておる次第であります。
#13
○辻一彦君 どうして、個々の数字は米側の要請で公表しないというけれども、それは公表するとぐあいが悪いのか。明らかにすればわかりやすくて一番いいと思うが、その点どうなんですか。
#14
○政府委員(佐々木敏君) これは米側の事情もございまして、米側の国内業者との関係におきまして、米国政府といたしましては非常に慎重な配慮をしたようであります。
#15
○辻一彦君 慎重な配慮というのは、日本のほうにただいま有利な方向で内容を見ながら慎重に配慮したから、こういうことですか。
#16
○政府委員(佐々木敏君) 特に、品目のうちで糸につきましては、先ほど申し上げましたように非常に高い水準になっております。これは過去一年間、すなわち、昨年十月以前の自由であった時代の実績を含んだ数字でありまして、非常に高い水準になっておりますから、米国の糸メーカーに対する配慮があったかと思うのであります。
#17
○辻一彦君 それから、それに関連してもう一つですね。西欧諸国は、イギリスやドイツ、その他の国がありますね。西欧諸国の輸出の中で、今度のパイル織物についてわが国が不当な差別がなかったかどうか、実態ですね、その点はどうですか。
#18
○政府委員(佐々木敏君) 先生おっしゃいますように、パイル織物につきましては、ヨーロッパと非常に米国市場において競合しておるものであります。ヨーロッパからの輸出も相当ございます。したがいまして、わがほうといたしましては、ヨーロッパ諸国との公平論の立場で十分わがほうの主張を伝えたわけでございます。
#19
○辻一彦君 その主張を伝えて、結果としてヨーロッパ諸国と差別がなかったのかどうか、結論はどうなんです。
#20
○政府委員(佐々木敏君) パイルタフテット織物が一本になっておりますけれども、これにつきましても、トリガーレベルの十数%アップ、基準年次から比べますと二十数%アップというような数字でありまして、私どもヨーロッパ諸国との公平論からいたしましても、ほぼわがほうの主張は通ったと、かように考えておる次第であります。
#21
○辻一彦君 簡単でけっこうですが、そのほぼ通ったのはわかるんだけれども、ヨーロッパと比べて高かったんですか、低かったんですか。ヨーロッパ諸国に比べて一五%増ということですが、それは高かったのか、低かったのか、ヨーロッパに比べて。
#22
○政府委員(佐々木敏君) ヨーロッパ諸国は、申し上げるまでもなく、対米の協定はございません。また、ヨーロッパ諸国のこういった特定品目別の統計数字につきましては、ただいま手元にございませんけれども、先ほど申し上げましたように、ヨーロッパからアメリカに対します同種類の織物の輸出の増勢を十分考えまして、その公平の立場からわがほうの要望を主張し、ほぼそれが通ったというような実態でございます。
#23
○辻一彦君 まあ、これ、何回も聞いてもどうかと思うんですけれども、ベルギー、フランス、英国、西独等欧州諸国は協定を結んでませんね。その品目が非常にふえている現在ですね、その中でもし日本がこれらと比べて不当に差別されるようなことがあれば、これは通産省は協定第八条を援用して強く交渉すると、こういうことが言われておるけれども、実際としておよそのことはわかるんだけれども、実態としてヨーロッパよりもパーセントは高いとか低いとか、その点はどうなんですか――じゃそれはあとで見てもらって報告してもらえばいいです、時間も限られておりますから。
 次に私、日本製の梳毛織物に対してダンピングのおそれありと、こうアメリカの財務省が言って、五月の十一日から関税評価の差しとめを発表していますね。この梳毛毛織物は、いわゆる協定によって割り当てがきまっている品目なんだけれども、そういうものに対して関税差しとめ等の挙に出るということは非常に不当なやり方じゃないかと、こう思うんですが、そこらの見解は一体どうなのか、事情をまず……。
#24
○政府委員(佐々木敏君) 先生おっしゃいますように、この五月十二日に関税差しとめに相なりました梳毛織物につきましては、政府間協定の特掲品目として数量が規制されておるものであります。したがいまして、当然に、米国市場に対しましてわが国の織物がインジュリーを与えておるという事態はないはずであります。したがいまして、先生おっしゃいましたように、わがほうとしては、こういうものに対して関税差しとめを実施するということはまことに理解できない、かように考えておる次第でございます。
#25
○辻一彦君 この繊維協定が結ばれたときにわれわれが心配した一つは、こういう形で無理押しをしてくる――アメリカの協定を受け入れれば、それが歯どめになるんじゃなくて、それを足がかりにしてますます経済攻勢というか、無理押しをしてくるんじゃないか、そういう窓口を開くんじゃないかと、こういう点があったわけですね。最近におけるアメリカの動向を見ると、そういう感じが私は非常にするんですが、その点についての見解はいかがですか。
#26
○政府委員(佐々木敏君) 今般の関税差しとめは、五月十二日でございますけれども、本件につきましては、昨年の三月、米国業界から財務省に対する提訴があったのであります。その後財務省は、昨年の秋、わが国の毛織物業者、輸出業者の価格を調査しておったのは御高承のとおりであります。したがいまして、本件、昨年の四月の提訴といいますのは、業界の実態把握は昨年の初めもしくは一昨年の暮れの実態把握を出発にしておるわけでございます。したがいまして、私どもその一連の米側の事務処理の時期は、必ずしも十月十五日の政府間協定以降の措置とは考えないのでありますけれども、いずれにいたしましても、五月十二日に関税差しとめという事態でございますから、その点につきましては日米政府間協定を結んでいる現在、非常に理解に苦しむということで、強く米側に今後の関税委員会における処理につきましては、慎重に配慮するように要望しておる次第であります。
#27
○辻一彦君 これはかなり強く向こうに申し入れるつもりなんですか、ちょっと念のために。
#28
○政府委員(佐々木敏君) 政府といたしましても、ただいま申し上げましたように、理解に苦しむ判断でございまして、強く米政府に対して今後の事務処理についての善処方を要望いたしております。さらにまた、業界におきましても、毛織物業界、毛紡績業界、あるいは毛麻の輸出組合を中心にいたします商社団体そろいまして、関税委員会その他の方面に強く反対意見を出しておる次第であります。
#29
○辻一彦君 もう一つ伺いたいんですが、繊維協定がやはり結ばれるときに懸念をした一つは、二国間でこういう繊維協定を結べば、これが多国間協定に移される懸念が非常に強いんではないか。そういう場合に、日本がその道を開いたと、こういうことになって、ちょうどLTAのような形になる懸念がある、こういうことが指摘をされましたが、現に六月五日にジュネーブでその会議があり、あのジューリックはすでにジュネーブに行っているということでありますが、そういう土俵に上がれば多国間協定の中に追い込まれる懸念というか、可能性が非常に強いと思うのだけれども、この点について政府はどういうふうに考えておるのか、その点伺いたい。
#30
○政府委員(佐々木敏君) 申し上げるまでもなく、わが国の繊維産業あるいは今後の繊維貿易につきましては、当然にガットの原則にのっとりました自由な貿易、秩序ある貿易拡大ということが前提でございまして、今回の日米毛・化合繊の政府間協定、あるいはLTA等々の国際的あるいは多角的な制限的な取りきめが、毛・化合繊につきましても全世界に広がることはわがほうとしては絶対に反対である、そのような立場を堅持しておる次第であります。ただいま先生のおっしゃいましたジューリック云々の御指摘でございますけれども、ただいまガットの場で、繊維の国際的な貿易あるいは各国の繊維産業の実態を勉強しよう、そのためにガットの場に一つのワーキングパーティーを置こうというような動きがございます。わが国といたしましても、単に国際的に繊維産業、繊維貿易の実態把握の勉強会をするということであればむげに断わるべきではなかろう、そのような立場でございますけれども、このようなワーキングパーティーが将来、多角的な国際取りきめに進むというおそれがあるならばわがほうとしては絶対に反対である、かような立場で現在慎重に対処している次第であります。
#31
○辻一彦君 実態調査にとどめるということですが、そこにとどめるについての歯どめといいますか、具体的な対策はありますか。ずるずるやっているんじゃなしに、引きずり込まれるという例が多いと思うんですけれども、歯どめ策を具体的にどう考えておるのか。
#32
○政府委員(佐々木敏君) ガットのワーキングパーティーの議論は、ただいままだ関係国において非公式にいろんな前提条件の議論をしておる次第であります。まだ正式にこれが取り上げられ、正式な参加を迫られるというような事態ではございません。したがいましてわがほうといたしましては、ただいま申し上げましたような国際貿易の単なる実態把握の勉強会であるということを条件にいたしまして、その条件がいれられなければこういったワーキングパーティーには参加できないということを、強く非公式の場におきまして表明している次第であります。
#33
○辻一彦君 実態調査に限って、それを条件にするということですが、往々その場に、土俵に上がってしまえば引きずり込まれる可能性が、私はその懸念がやはり非常に強いと思うのです。そういう点でLTAの二の舞いをひとつ踏まないように、あれによって綿製品が非常な打撃を受けたわけですから、これが全部の繊維製品に及ぶとすれば非常な打撃を受けるのじゃないか。そういう点で、これはどうしてもいまの発言のとおり何としてもがんばってもらわなければいけない。そういう点でもう一つ政務次官から、きょうは大臣がおられませんから、決意のほどを伺っておきたいと思います。
#34
○政府委員(林田悠紀夫君) ただいま繊維雑貨局長から申し上げましたように、わが国としてはLTAは本来例外的であり、かつ暫定的に認められたものというように考えておりまして、昨年十月にわが国が再延長議定書に参加しました際にも、ガット事務局から文書の形で加盟国に対して、わが国としては一九七三年九月以降の再延長については反対であるという旨を申し送っておるところでございます。したがって、六月開催予定のそういう会議におきましても、わが国の立場を十分表明いたしまして、絶対にこれが延長にならないように大いに努力をしたいということでございます。
#35
○辻一彦君 第二に私は、開発途上国の追い上げに対してどう対処していくか、この問題について若干聞きたいと思うんです。
 開発途上国、東南アジア等の諸国の繊維における追い上げがきびしくなっているということは、これは十分わかるわけなんです。そこで、そういう中で化繊の大手が開発途上国に国内価格の半額程度の糸を輸出をして、そのかわりに第二次製品を輸入するという、こういうやり方がかなり進みつつあるというように新聞等で報じていますが、その量はいまのところどのくらいか、わかれば報告してもらいたい。
#36
○政府委員(佐々木敏君) 先生のおっしゃいましたように、わが国の糸メーカーと次の段階であります織物二次製品段階、日本と東南アジアの発展途上国、その相互補完関係は最近ますます密接になっておる次第であります。ただいま先生おっしゃいました糸を輸出して、その糸からつくった織物がどの程度入るかという統計数字はございませんけれども、今後ますますそういった関係の輸出入というものはふえるかと存ずる次第であります。もちろん、これにつきましては、その結果、わが国の織物以降の中小企業業者が大きな影響をこうむるというようなことのないように私ども十分な指導、監督を今後ともしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
#37
○辻一彦君 私、二月から四月ごろにかけて福井、それから大阪、京都、名古屋、愛知、静岡と繊維の調査に、これは私のほうの党で歩いたわけです。そういう中で一様に出たのは、やはり開発途上国からの追い上げに対してどうするかという、こういう心配がどこの産地でも聞かれた。いま言われるように、だんだんとふえていく傾向にあるということですから、私はそれはそれで、そういう数字で統計を出してもそうだと思うのです。
 そこで問題は、開発途上国は労賃が安い。そこで、ただでもなかなかたいへんなところへ、今度は国内価格の半額程度の安い糸で二重価格制として出される。そうなれば、その二次製品が国内に入ってくる場合には、なかなか中小企業はこれと対抗ができないという問題があると思うのです。そこで、そういう被害が出ないように、あるいは心配のないようにしたいというけれども、どういう具体的な対策によってこの問題に対処するか、この点をひとつ伺いたい。
#38
○政府委員(佐々木敏君) 東南アジア等の発展途上国との結びつきは、いい意味におきましては繊維貿易の健全な発展、あるいは諸外国との経済協力の拡大というものに結びつくわけでありまして、私ども前向きにこれは処理すべきものであろうと考えておるのでございますけれども、ただいま先生御指摘のように、これによりまして低労賃の発展途上国の加工品がわが国に輸入される、もしくは逆輸入されるというような事態は、これは厳正に判断をして適切なる措置をとる必要があろうかと思うのであります。
 具体的に申し上げますれば、まず、発展途上国の繊維産業の発展段階と先進繊維産業国でありますわが国の繊維産業の発展段階とを、いわば国際分業的に分けるということが一番大きな課題であろうかと思うのであります。したがいまして、わが国の繊維産業を、従来からやっております構造改善の一そうの進捗、あるいは低開発国の製品と競合しない高級化、ファッション化、新しい商品の開発という方向にわが国の繊維産業を伸ばしていくということがまず必要であろうと思うのであります。また、わが国の企業が海外に資本進出いたしまして、その製品が逆輸入されるというような問題もあろうかと思うのでありますが、この点につきましては、ただいま申し上げましたような無秩序な逆輸入が入るとか、あるいは第三国市場におきまして――そういったものが無秩序に競合するということのないように、海外資本進出につきましても、そういった観点から海外進出の場合の措置を講じてまいりたいと、かように考えておる次第であります。
#39
○辻一彦君 アメリカでも、資本の海外進出によって、それからまた多国籍企業というものがどんどんふえて、それが逆輸入という形で現地の安い労賃のものが入ってくる。こういうことがアメリカの私は赤字の大きな原因になっておると思うんです。同じようにわが国の場合でも、こういう形のやはり資本進出というものが非常に考えられるんですが、秩序ある輸入というのは、ことばではわかるんだけれども、具体的にそういうことが出てくる場合に、どういうように対処するのか。秩序ある輸入の具体的な中身をもうちょっと聞きたいんですが。
#40
○政府委員(佐々木敏君) 申し上げるまでもなく、ただいま一般の輸入製品はすべて自由であります。繊維製品は全部ただいま自由品になっております。したがいまして、発展途上国から安いあるいは低品質の商品が入ってくることは自由でありますけれども、私どもといたしましては、わが国の繊維産業の製品の高級化、品質の向上、国内の需要動向に即した製品の開発ということでもって、まず競合しないような形でおさめることが先決であろうと思います。ただいま申し上げましたわが国資本が海外進出いたしまして、その商品が無秩序に逆輸入されるというようなおそれのある場合には、海外進出の段階におきましてその企業に対して適切な措置をとる、かように申し上げた次第であります。
#41
○辻一彦君 これは私、福井の小さい中小企業を歩いてよく聞くことは、構造改善だ、買い上げだといっていろいろいま政府は手当てをしているけれども、先になって開発途上国に追い上げられてやめにゃならぬようなら、早くその見通しを聞かしてくれというぐらい、切実な問題であると思うんです。その点で私は、そういう状況の中で、織布を中心にするたとえば石川、福井、こういうところの産地のビジョンをどうするのか。きのうも参考人のいろいろな論議がなされましたが、民間自体、産地自体がビジョンを持たなければならないという問題もありますし、同時にやはり私は、日本の繊維産業をどういうふうに位置づけ、その中で織布の産地、たとえば輸出の合化繊では八割五歩を占める石川、福井等の産地をどういうふうなビジョンで位置づけるか、こういう展望がやはり必要ではないか。それがないと、その場その場の手当てはなされても、非常に不安というものが私はこの中小企業の中にあると思うんですが、その点についてお考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
#42
○政府委員(佐々木敏君) 先生おっしゃいますように、繊維産業の長期ビジョンは、このきびしい国内、国際的な景況に置かれておりますもろもろの繊維産業にとりまして、ぜひとも必要であるわけであります。特に、繊維産業はそれぞれの産地に分かれまして、特性のある特殊な繊維製品を生産しているというのがその実態であります。また、それぞれの産地の繊維産業は、その地域の地域経済に密接に結びついており、あるいはまた、地域の住民とも非常な関係を持っておるわけであります。したがいまして、それぞれの産地における伝統のある特殊な製品の発展ということはぜひ必要であろうかと思うのであります。通産省におきましても、四十二年以降行なっております構造改善施策も、いわばそれぞれの産地の特性あるいはその自主性を重んじまして、産地ぐるみで構造改善をやるということがたてまえになっておるわけであります。したがいまして、それぞれの産地におきまして、独自に産地の繊維産業のビジョンというものをつくっておるのでありますけれども、私どもといたしましても、繊維産業全体のビジョンにそれぞれの産地のビジョンが適合するように、今後も適切な指導をしてまいりたいと、かように考えております。
#43
○辻一彦君 まあちょっと抽象的な御答弁ですが、それはまあ十分ひとつ努力していただくとしまして、次に入りたいと思います。
 三つ目に、私は、特別措置の進捗状況、それからその問題点という点ですが、いま、自主規制と日米の繊維協定に対する特別措置で織機の買い上げがずっと行なわれておりますが、最近、どうも停滞をしてあまり進んでいないと、こういうように聞くのですが、どの程度の進捗状況であり、それから、おくれているとすれば、どういうような原因でおくれているのか。その点をまず聞きたい。
#44
○政府委員(佐々木敏君) 特別措置の設備買い上げ分でございますけれども、先生御承知のように、設備買い上げ分は本年度、来年度三百七十七億円が計上されているわけでありますが、四十六年度の予備費で、うち百三十億円につきまして、本年三月末までに廃棄の契約を、買い上げ団体と企業者との間におきまして終了したわけであります。したがいまして、四月終わりからただいま設備の破砕を実施をいたしておる次第であります。六月末あるいは七月中旬ごろまでに、この百三十億円分の設備破砕は完了する予定になっております。
 次に、この百三十億円と同時に大臣承認をいたしました四十七億円分につきましては、近く補助金の交付決定をいたしまして、今月中にでも契約を開始させたいと、かように考えております。そうなれば、六月中には破砕の開始になりまして、大体九月ごろまでにはこの分については破砕が完了するであろう、かように考えておる次第であります。なお、その残りの百六十億円分につきましては、現在まだいろんな資料その他検討中でございますけれども、おそくとも九月初めから事務処理の段階に入ることが可能であろうと、かように考えておる次第であります。
#45
○辻一彦君 ちょっと具体的に伺いたいのですが、そこで、いま現地を歩いてみると、第一次、いわゆる自主規制による買い上げですね、これと、それから第二次というか、協定によるところの買い上げ、この二つが若干の時間を置いて同時に行なわれようとしている。それで北陸のほうを見ると、第一次の買い上げ、機の場合、一台大体二十五万、第二次の場合は三十三万というぐあいに、これは準備機等を私は含んでいると思うのですが、差があるわけですね。これは一体どういうことで差がついているのか、これについてのいろんな意見がただいま地元に、地元といいますか、現地であるわけですが、これをちょっと伺いたい。
#46
○政府委員(佐々木敏君) 自主規制段階も、今回の政府間取りきめの救済対策も、織機につきましては平均単価二十五万円、これは変わっておりません。ただ、自主規制段階と今回の政府間取りきめの買い上げの場合には、織機につきましては、区分を蔵幅の幅によりまして織機のその区分をするわけでありますけれども、区分を変えておる次第であります。それと自主規制段階におきましては、当時、主として老朽の過剰設備が対象になろうと考えておったわけでありますから、その区分といたしましてもジャガードのついているような高級の織機は当時想定をする必要もなかったと思うんでありますが、今回は過剰設備の全体的な縮小というような観点から、当然高級織機も入るわけでありまして、したがいまして、区分の拡大によりまして上限を引き上げておるわけであります。平均単価は同じで二十五万円ありますけれども、区分と高級織機も入るという前提のもとに上限が引き上がっているという実態であります。
#47
○辻一彦君 これは第二次の場合、準備機等の買い上げも含めるので、それでこの単価が三十三万円上限が出たと、そういうことはないんですか。
#48
○政府委員(佐々木敏君) 高級織機といたしまして、今回はジャガード九百口あるいは杼箱四口というような付属設備を含んで買い上げておるわけであります。自主規制におきましては、そういったものを予想する必要がなかったということで、そのような付属設備は買い上げの対象になっておりません。そういった関係からジャガードを持っておるような高級織機の上限が引き上がった、かような実態でございます。
#49
○辻一彦君 たとえばそういうような大きな織機でなくても、準備機という段階があるわけですが、そういうものは第一次の場合にもあったのはそのまま残っておるわけなんだけれども、第一次の場合には、全部準備機というものはない程度の簡単な機ですか、どうなんですか。
#50
○政府委員(佐々木敏君) 第一次の場合に、全くそういったジャガードなり杼箱というものがないようなものばかりであったとは思えないわけであります。ただ、買い上げ単価の計算上そういったものを予想しなかった。したがいまして、かりにそういったものを持っておる織機を一そろい形式がございましても、ジャガード、杼箱四口以上のものにつきましては、そういったものはいわば引き取らずに買い上げたというような実態であります。
#51
○辻一彦君 私、この織機の買い上げが進んでいかない一つの原因に一これはいろいろな主たる原因がまだほかにあると思いますが、一つの原因に、第一次では上限が二十五万、第二次だと三十三万、何か時間がたつと、だんだん価格が変わっていくのじゃないかという、こういう感じがやはり機屋さんにもあって、そういうことが買い上げが進まない一因にもなっているのじゃないかと、こういうように実感をするわけであります。そういう意味で、いまの御答弁であれば、一次には私は、買い上げ予備費がないというような御発言のようにいま受け取れるのですが、しかし、一次買い上げについても、そういう予備費等で買い上げるものがあるとすれば、私は、これは二次も一次に準じてそういう処置ができないものか。というのは、まあ私の場合は福井でありますが、第一次で織機を買い上げてもらったといいますか、出した、そういう機屋さんが百五十人ほど集まって、やはり一次と二次の価格の差があると、これはおかしいじゃないか。だから、国のやることだから同じように扱ってもらいたいというので、期成同盟会というのを結成して、いろいろ運動されておるわけなので、いまの御答弁では準備機のような区分のむずかしさがあるようですが、もし一次分についても該当するようなものがあるとすれば、やはりそういう公平な取り扱いをやってもらうようにお願いをしたい、こう思うのですが、その点どうでしょうか。
#52
○政府委員(佐々木敏君) 実は、織機の買い上げにつきましては、昭和三十一年から数回に分けまして買い上げをしておる状況であります。当初は絹、人絹織機につきましては三万七千円、その後におきましては十万円、自主規制と今回の政府間協定は二十五万でありますけれども……、というふうに、やはりこれは物価の上昇というようなことがもちろんございますけれども、その買い上げの措置の前提であります目的といいますか、そういったことによりましても単価が非常に変わっておるわけであります。今回の自主規制と政府間協定につきましては、これはほぼ同じ行政措置として、単価は同じような二十五万円にしたわけであります。しかしながら、先生御承知のように、自主規制対策におきましては残存業者負担が二〇%あると、今回は全額政府負担であるというような若干の相違もございます。また、先ほど申し上げましたように、その時点におきます過剰設備の態様から見まして、今回は業界の意見も十分いれまして区分を細分化したというのがその実態であります。ただ、先生おっしゃいますように、今回の措置をやったからといいまして、過去にさかのぼってまた適用するということになりますと、冒頭申し上げましたように、十万円の方もかつてはおるし、三万七千円の方もおられるということで、現実なかなか過去にさかのぼってならすということはきわめて困難であろうと、かように考えております。
#53
○辻一彦君 まあわずか一、二ヵ月の差ですから、物価ということはあまり問題にならないし、それからいわゆる三万七千円、十万円の単価がきめられたということ、これはかなり時間がたっておると思うのですね。ただ、一月や二月の差で価格が違うということで、現地の人にとってはどうしても納得ができない。こういう問題が私はあると思うので、前にさかのぼって全部それをやり出したら収拾つかないということはわかりますが、一、二カ月のときにその開きが設備や準備機の段階でこれだけ違うんだということが、納得できるものであればいいわけですが、もし似たような状況であれば、これはいろいろ私は考えてもらわなければいけないと思うわけです。
 それから次に、これは大阪の泉州なんかに参ったときにもよく聞いたんですが、買い上げをやってくれるのはけっこうなんだけれども、単価は安いということであります。これは高いほどいいということは一応別として、せっかく買い上げてもらっても税金を取られて、それから借金を差し引くと、まあ悪くすると何も残らなくなっちゃうと、せめて機を手放したとすれば、これは退職金ぐらいに見てもらって税金を取らないようにしてもらいたいと言う。買い上げをやってあとに赤字が残るようでは、とても無理でも運転しなくちゃならぬと、こういう声をずいぶん私は強く聞いたんですが、たとえば二十五万で十台買い上げた場合に、税金は一体どれぐらい取られるかわかりますか。
#54
○政府委員(佐々木敏君) 先生のお尋ねの具体的な項目につきましては、それぞれの企業の全体の収益との関連がございますから、一がいにお答えできないのでありますけれども、たとえば法人の場合に、平均単価であります二十五万円で買い上げをしてもらった人につきましては、つまり、二十万円以内で二年間以内に別な固定資産を取得した場合には圧縮記帳が認められるということになっておるわけであります。したがってその部分につきましては、二十万円以内につきましては課税対象の法人所得とされないということになっておる次第でございます。
#55
○辻一彦君 しかし、五台や十台の場合に、必ずしも法人組織をとっているのでなく、個人でそれぞれやっている機屋が多いわけですから、その個人の場合はどうなんです。
#56
○政府委員(佐々木敏君) 個人の場合につきましては、これも二十五万円で買い上げをされたという、その個人を例にとりますと、まず、五万円相当分が譲渡収入とされまして、譲渡原価を控除して、さらにこういった二十五万円の台数は当然多いわけでございますから、四十万円の控除を行なった残額の二分の一が課税所得になるわけであります。また、二十万円相当分につきましては、事業用固定資産を取得した場合には、収入がなかったものとみなされるということになっておるわけであります。事業用固定資産を取得しなかった場合には、一時所得とされまして、四十万円の基礎控除を行なった残額の二分の一が課税所得にはるわけであります。
#57
○辻一彦君 詳しい計算は別として、たとえば二十五万で十台売って、控除を引いても、そのあとの二分の一ということになれば課税対象はかなりなものになると思うんですね。そうすると、個人でやっている小さな機屋の場合には、やっぱり退職金ぐらいに見てもらいたいと。これを出して、そして税金を取られて、あと借金も返すと残らなくなっちゃうんじゃ、やっぱり長い間持っていた機は放せないんだと、こういう声がずいぶん強いんですよ。こういうものも実は、いわゆる織機の買い上げがなかなか進んでいかない一つの原因になっているんじゃないかと、こう思うので、この点について、税法上むずかしさは私はいろいろあると思いますが、やっぱり非常に強い声なので、何らかの対処する方法があればぜひ考えてもらいたいと思うんですが、何か方法はありませんか。
#58
○政府委員(佐々木敏君) 実は、ただいま申し上げました税法上の設備買い上げの特別措置が、これが自主規制対策のとき、あるいは今回の措置につきまして特に大蔵省と打ち合わせをいたしましてとられました特別措置でございます。したがいまして、ただいまのところこれ以上の税法上の措置はむずかしかろうと、かように考えておる次第であります。
#59
○辻一彦君 まあ困難とは存じますが、小さな機屋さんにとっては非常に切実な問題であるということをひとつ考えてもらって、なお検討を、いろいろな機会にこれは交渉をねばり強くしてもらいたいと思うんです。
 そこで、構造改善がかなり進んでいると思うんですが、全体として、出された表を見ると、二一%程度のこの進捗率になっているんですが、かなり計画としてはおくれているように思うんですが、その点はどうなんですか。
#60
○政府委員(佐々木敏君) 構造改善につきましては、ただいま四業種につきまして実施をしておる次第でありますが、特に紡績と織布業につきまして、予想以上に当初の目標に比べまして相当おくれておるというのが偽らざる実態でございます。
#61
○辻一彦君 この開発途上国の追い上げに対してもどうしても付加価値を高めた生産をしないと対抗はできないと、こういうことで産地においてはいろいろな形で付加価値を高めようという努力がせられていると思うんです。そこで合化繊等の織物の場合には、これは綿と若干違って、準備段階における準備機の役割りというものがかなり私はあると思うわけですね。その点で、準備機においてこれを高度化した場合にどの程度の付加価値が高められるか、そういう数字がある程度わかればひとつ知らしてもらいたいし、それが計算がなかなかできるものではないと思いますから、そういう場合にはこのいま産地でもって織機の構造改善、これも非常に大事であるが、付加価値を高める場合にはその前提になる準備機の段階の近代化、こういうことが非常に大事なので、これを構造改善としても取り組んでもらいたいという声が非常に強くなってきているわけですが、その点についてどう考えるか。
#62
○政府委員(佐々木敏君) 先生のおっしゃいますように、繊維産業の付加価値を高めるためには、織機本体のみでなくて準備機等の近代化が当然に必要であります。ただいまこの特繊法に基づきまして、構造改善の中小企業振興事業団からの貸し付け対象設備には、現在すでに織機のみならず、準備機、管巻機、撚糸機、整経機、サイジング機等々すべて含んでおる次第であります。統計的には、四十六年度までの構造改善の進捗状況を織機と準備機に分けて事業規模資金の比率で申し上げますと、当初計画に比べまして織機は現在四十六年度末におきまして、構造改善の進捗状況は六二%でありますけれども、むしろ準備機につきましては九二%と、非常に高い状況で進捗が進んでおる次第であります。業界におきましても、付加価値を高めるためには準備機の近代化がぜひ必要であるというような意欲のあらわれであろうと、かように考える次第であります。
#63
○辻一彦君 じゃ午前中で終わるということなので、ちょっと急いであと十分くらいで切り上げますが、ちょっとお聞きしたいと思います。
 並べますから、まとめて聞かしてもらってもいいんですが、一つは無籍織機の問題なんですね。これを私ちょっと時間をかけて伺うつもりでしたが、きょうはもう飛ばしてポイントだけ聞きたいと思います。一つは、政府のほうは無籍織機の問題に具体的に取り組み出したようですね、現実に。ただ、これは政策の点からいえば、これを放任しておくと構造改善等の努力をしても政策効果が十分あがらないという面がありますし、またしかし、無籍でやっている人のいろんな意見を聞くと、この人たちは、都合のいいときには商社のほうから糸をどんどん渡されてやれやれとこういって、それから国は所得税を取る、地方自治体は固定資産税を取ると、税金の面ではこれは認めているようなことになっておるんだし、片方ではやみだということで言われていると。そこで、何台かの機を持って生業として、これに暮らしがかかっているという問題、この点の私はむずかしさがあろうと思う。しかし、それをこのままにしておいてはやはりどうにもならないということは、これは問題のないところであると思う。そこで伺いたいのは、産地によってあるいは個人によってまじめに設備制限、規則というのを守って努力をしてきたところがかなりある。たとえば個人で言えば、これは毛織りの場合は協会のほうから二十三万円ぐらいで権利金がきて、それをひとつ無理をして買って権利を持つという場合ですね、あるいは産地として認定料というか、ある程度の認定料を取って有籍代行制というような形で、何かの合理的なワクの中におさめようという努力を長い間やっているところがある。ところが、そういうところは今度の対策によってどういうようになるのか。正直にやったところがばかを見ることがないように、これはひとつ十分に配慮をしてもらいたいということ、これはそういう取り組みをしたところの真実の声じゃないかと思うんです。そういう点でこういう面について、無籍織機の対策、取り扱いをどういうふうにされるか、時間の点もありますから簡単でけっこうですが、一点伺いたいと思います。
#64
○政府委員(佐々木敏君) 無籍織機の対策につきましては、ただいま無籍の実態を全国的に把握すべく調査中でございます。その結果が出まして抜本的な対策について講じたいと思うのでありますけれども、先生のおっしゃいましたような正直者がばかを見るというようなことは絶対に私ども避けたいと、かように考えている次第であります。あくまで無籍織機は違法でありますから、その前提に立ちまして抜本的な対策をひとつ検討したい、かように思っております。
#65
○辻一彦君 今後これが二次の区分というかこれを認めると、懸念されるのは、また三次、四次もあるんじゃないかというような、こういう懸念が産地にもあるわけですね。そういう点で中途はんぱなことをやると、かえって結果としては無籍織機をまたふやしていくことにもなりかねないと、そういうことで中途はんぱなことをやらないという対策というか、こういうことをちゃんと持っておられるのかどうか、その点。
#66
○政府委員(佐々木敏君) 基本的対策は実態調査の上に立ちましてつくりたいと考えておりますけれども、私どもは、あくまで現在の無籍織機をいかに実態に即して減少もしくは廃棄させるかということを考えておるわけであります。そのためには、まず、現在なおかつふえつつあるといわれておりますものは絶対にこれを取り締まるという方策が一つ、それと、過去十数年来発生してしまいました現在現存する無籍は、これは実態を正確に調べまして、いわばそれを凍結して逐次計画的に減らしていく、その二つの方法でもって無籍の減少をはかりたい、かように考えておる次第であります。
#67
○辻一彦君 掘り下げて聞きたいんですが、残念ながら時間の点もあるので、きょうはこの問題この程度にとどめます。
 もう一つだけ私、お伺いしたいのは、これをちょっと見てもらいたいんですけれども、この今度の法案改正の大事なポイントに、構造改善の振興の基金を積み立てるという問題があります。政府が十億円出資をして業界が、大体聞くところによると四十億出して五十億ぐらいを目ざしているという、それ自体私は、金額は別としてぜひ必要であると思いますが、その場合に民間が出資した資金については課税の対象になるのか、非課税の対象になるのか、その点はどうなんですか。
#68
○政府委員(佐々木敏君) 民間の出捐金をできるだけ十分協力していただくためには法人税についての損金扱い、または所得税についての必要経費扱いとしてそれぞれ非課税にすることがぜひとも必要でございます。ただいま国税庁と十分に折衝中でございまして、ただいまのところは国税庁も前向きで考えていただいておる次第であります。
#69
○辻一彦君 その場合の税法上の中の根拠は、国税庁前向きに考える場合にあると思うんですが、どういう根拠で前向きに考えているのか、簡単でけっこうです。
#70
○政府委員(佐々木敏君) 事務的にただいま私ども国税庁で検討しておりますことは、一つは業界全体の利益となるものであると、個別事業者の直接利益に返ってこない目的であるということ。もう一つは、出捐金は利子だけの運用ではなくて元本も場合によって充当されるものということ。将来、ただいまは十年間を考えておりますけれども、将来の終わった時期におきまして、そのときの残額についてこれは出損者にそのまま返らないというような、以上三点程度につきましてのことが一つの条件であろうかと思っておる次第であります。
#71
○辻一彦君 それでは、まあその点で私は交渉されるということであれば、実現するようにしてもらわなければいかないと思うんですが、それならば各都道府県において、特に重要な産地を持つ府県において、同様な性格のねらいによってこういう基金制度というものをとろうとした場合に、これは税法上どういうような扱いを受けるかどうか。これはそこに差し上げたのですが、ちょうどこの写真を見てもらうと非常によく似ていると思うんですよ。片方は田中通産大臣、片方は福井、産地の代表がやっていますが、福井では十月の二十四日にすでに五億円の基金を積み立ててこの対策を講ずると、こういうような点を打ち出しているわけですね。これに対して県はその二〇%を出す、最近、福井市も一〇%拠出すると、こういう決定を大体しておるわけなんです。ところが、これがどうもいまお聞きのような取り扱いを受けずに課税対象になると非常にその計画が進まないと、こう言っていま困っておるわけなんです。言うならば、政府も十二月十五日の閣議においてこれを取り扱っておるし、その産地では、十月の二十四日というとかなり前に、言うならば、政策の先取りのような形で努力をしている。こういう私は芽を伸ばすべきであると思いますが、これについて課税上の対策のしかたについて見解をお伺いしたいと思います。
#72
○政府委員(佐々木敏君) 先生おっしゃいましたこの福井県の構造改善基金につきましては、なお十分この性格、態様を検討いたしまして、大蔵省その他関係各省庁と十分相談をしてまいりたいと考えている次第であります。この目的が繊維産業の構造改善のために十分寄与するか、あるいは現行の信用保証制度の体系との関連において法理的にどうかというような点をあわせまして、今後関係各省とも十分にその相談をしたいと、かように考えている次第でございます。
#73
○辻一彦君 これで終わります。きょうは、この問題はこの法案改正点の骨子になるので、大臣の答弁を私はいただきたかったのですが、御都合で参れず、そういう面で政務次官、この問題について最後にどう考えるか、局長の発言をさらに前進させて伺っておきたいと思います。
#74
○政府委員(林田悠紀夫君) この問題は非常に重要な問題でございますので、関係各省庁と十分慎重に相談いたしまして対処してまいりたいと存じます。
#75
○委員長(大森久司君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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