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1971/04/25 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 農林水産委員会 第9号
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1971/04/25 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 農林水産委員会 第9号

#1
第068回国会 農林水産委員会 第9号
昭和四十七年四月二十五日(火曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                亀井 善彰君
                園田 清充君
                中村 波男君
                前川  旦君
                宮崎 正義君
    委 員
                梶木 又三君
                河口 陽一君
                小林 国司君
                温水 三郎君
                初村瀧一郎君
                山崎 五郎君
                工藤 良平君
                塚田 大願君
                中村 登美君
   国務大臣
       農 林 大 臣  赤城 宗徳君
   政府委員
       農林政務次官   佐藤  隆君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       農林省農地局長  三善 信二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○土地改良法の一部を改正する法律案(第六十五
 回国会内閣提出、第六十八回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
  〔理事園田清充君委員長席に着く〕
#2
○理事(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。
#3
○国務大臣(赤城宗徳君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 この案件は、東京輸出品検査所仙台支所を仙台市に設置することについて国会の御承認を求めようとするものであります。
 東北地方各県は、リンゴ、種ガキ等の輸出農林水産物の主要生産地であり、近年同地域における輸出体制は港湾施設の整備と相まって輸送経費の節減等から同地域の港から直接輸出を行なう傾向が強まっております。かような点から同地域において恒常的に輸出検査を実施する機関の設置に対する要請が高まっているのであります。
 また、近年における消費者保護対策の推進の見地から、輸出品検査所において、日本農林規格の検査格づけ機関及び製造工場に対する指導監督並びに市販品の検査を行なっておりますが、東北地方におきましてもこれらの業務の適切な実施をはかる必要性が強まっております。
 以上の理由によりまして、輸出品検査所の支所を仙台市に設置することにつき、国会の御承認を求める次第であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御承認くださいますようお願い申し上げます。
#4
○理事(園田清充君) これより本件に対する質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。――別に御発言もないようですから、質疑はないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより採決を行ないます。
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、輸出品検査所の支所の設置に関し承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#5
○理事(園田清充君) 総員挙手と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○理事(園田清充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○理事(園田清充君) 次に、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回すでに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○工藤良平君 私は、かねてから懸案でありました土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、これからその背景あるいはこの土地改良法の一部改正をしなければならない必要性、現在置かれておる農業の立場、そういうものをいろいろと見つめながら、具体的な内容に触れていきたいと思っているわけであります。
 まず、最初に、この土地改良法の一部改正にあたって、その背景となっているもの、またはその必要性、この点についていろいろとお聞きをいたしたいと思います。
 もちろん提案理由の説明の中でも、現在置かれておる農業の立場からして、農業の生産基盤の整備が新たな事態に即応しなければならない。したがって、計画的な推進が必要だということも書かれておるのでありますけれども、特に今回のこの土地改良法の改正というものの意図がどこにあるのか、まず、お伺いをいたしたいと思います。
#9
○政府委員(三善信二君) 提案理由の説明でもいたしましたように、御承知のように現在の土地改良法が二十四年に制定されまして以来、数次にわたり改正をいたしてまいったわけでございますが、御指摘のように最近の農業情勢、非常に急テンポで変わってきております。これに即応しまして農林省としましても、総合農政の推進とか、いろいろな諸施策を講じてまいってきているわけでございますが、具体的に最も今後必要とされる問題は、一つは農業の体質改善、これは御承知のとおりでございます。で、体質改善ということのためにも、この土地基盤整備というのは基本的に必要であるということは、当然のことでございます。
 もう一つは、やはり最近の農村と都市との土地と水の、何といいますか、競合といいますか、そういった問題が一般的に、最近特に傾向が強くなってきておる。そういう土地と水との農業的利用と都市的な利用との調整、これが非常に必要になってきておる、そういう問題が一つあろうかと思います。
 それに対処するために、まあ今回の改正におきましては、いろいろな新しい制度を設けているような次第でございます。さらに申し上げますと、最近特に農業の生産基盤を整備すると同時に、農村の環境整備という問題がうるさくなってまいっておりますし、また、この問題は、今後前向きに取っ組んでいかなければならない大きな問題でございます。そういった環境整備問題も含めまして、それに対処できるようなやはり土地改良の制度、それを改正していこうというのが一つのねらいでございます。
 そういうことで、土地改良自体も、従来は土地改良でやってまいりました事業が、やはりわりあい小規模、中規模的な事業が多かったわけでございますけれども、最近の情勢を反映しまして、非常にその範囲も広範囲な地域を対象とする、事業規模も大規模に基幹的な土地改良事業が必要になってきている、そういった事業の実施の実態なり、そういうのも考慮いたしまして、今回土地改良法の一部改正をして、制度的に最近の情勢また今後の農業の情勢に対応できるような一つの改善策を考えるという次第でございます。
#10
○工藤良平君 主として改正の要点となるものにつきましては、いろいろ要綱なりその他で説明が行なわれておりますし、いま御説明のあったとおりだと思いますが、現状の農業というものを分析をしてみますと、特にここ数年の傾向というものが、非常に急速な変化をしている。それが本来の農業というものの性格が大きく変わりつつあるように思うわけであります。それは特にいまの農業の形態から見ますと、非常に兼業化、しかも第二種兼業というものが圧倒的に多くなってきているという状態が生まれているわけでございます。そこで、私はこの土地改良法の意図するところというものを、また、これから後ほど順を追っていろいろ御意見を聞いていきたいと思うわけですけれども、特に私は農業の基本となるものは一体何なのか、これはありふれた当然のことなんでありますけれども、しかし、ここでもう一ぺん私どもは考え、見直してみなければならない時期にきているのではないかと、実は、気がするわけであります。それは改良法の目的の中にも、はっきりありますように、たとえば「農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善」、こういうようなことに資するのが土地改良法の趣旨である、こういうふうにうたわれておるわけでありますけれども、したがって、私はやはりものの考え方として農業による農業者の生活の向上というものが、やはり農業の本来あるべき姿であるし、またそうなるべきではないか。多様化してきているけれども、やはり基本というものはそこにあるのではないか、こういうように考えるわけでありますけれども、もちろんこれに異論はないと思うのですけれども、その点は現在の時点において私どもとしては、やはりきちんと位置づけておく必要があるのではないか、このように思うのでありますけれども、その点についてひとつお考えをお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(三善信二君) ただいま先生の御指摘のとおりございまして、私ども土地改良で事業をやります場合に、やはり目的及び原則に書いてありますように、農業サイドから見てその農業をいかに生産性を向上させ、その農業をいかに発展さしていくかという角度から、この土地改良の事業もやっているわけでございますし、今回の改正も、そういう面から見た一つの改正だというふうに私どもは当然考えておりますので、その点、先生の御指摘のとおりございます。
#12
○工藤良平君 近年、土地の改良事業におきましては、各地で進められておりますように、従来に見られなかったような非常に広範な農業の地域開発というものが進められておるわけでありまして、特に大規模な、しかも基幹的な土地改良事業を推進する必要というものは、新しい時点における農業として……。そういうように一方では、非常に極端に兼業が進んでいるけれども、何としてもやはり国際競争力をつちかっていくために、そういった大規模の農業の地域開発というものが必要であろうということから、そういう具体的なことが進められているわけです。ただ、問題は今度の改正案の主眼となっているものがどうも都市近郊農業、都市のスプロール化、それに対応する何か受け身的な感覚を受けざるを得ないような気が私は、するわけでおります。これはかって新都市計画法、それに関連をいたしました農業サイドからの農業振興地域の整備に関する法律案、こういうものの論議の過程の中でも、私どもそのことを非常に主張してきたのでありますけれども、そういったどうも気がしてならないわけのありまして、その点を逆に裏打ちできるような理論的な根拠ですね、そういうものが私は必要だと思うのでありますが、その点についてはどうでしょうか。
#13
○政府委員(三善信二君) まあ一見、先生言われますように、そういう感触が受け取れなくもないということでございますけれども、私どもが考えておりますのは、やはり都市と農村との利害の調整これは土地についても、水についてもそうでございます。たとえば土地について今度の改正法で創設換地で工業用地とかあるいは公共用地を生み出す、こういう場合でも農村におけるスプロール化と申しますか、そういったものをいかに事前に防ぐかという、いわば攻勢防御的な感じで、その裏はやはり農業をいかに守り、また農業の構造改善をいかにスムーズに、しかも効率的にやるかという角度からその非農業地の取り込み、あるいは非農業地を生み出す、こういうことも考えているわけでございます。それから水の問題にしましても、多種用水に転用する、一口に言えば農業用水をほかに分けてやる、これはおかしいじゃないかという感触を持たれるかもしれません。やはり大きな水系で都市と農村との接点にあるようなそういう地域においては、一方では農業の面では水は余ってきている。けれども、他方では都市の公用水は非常な逼迫をしており、このまま放置しておけば一体どういうことになるだろうか、逆にそういう都市側の要請に相当圧迫されていく危険性、可能性もなきにしもあらず、そういったところにつきましては、これも積極的にこちらから打ち出して、農業用水を、いかに必要な農業用水を確保し、それを保護していくかという立場から、農業用水の多転、その問題も考えているわけでございます。あくまでやはり私どもは、最初申し上げましたように農業サイドから農業をいかに、土地、水を守り、またその経営をいかに合理化していくか、そういう角度から今後の改正も考えていくというふうに考えているわけでございます。
#14
○工藤良平君 そこで私は、これからの農業のあり方といいますか、そういうものについてちょっと見てみたいと思うのです。
 それは特にいま言った私の考え方からすれば、都市近郊農業の中でだんだん押されてくる、それに対する一つの対抗的な手段として農業をどう守るのか、こういう立場のいろいろな政策も必要になってくるだろうと思うわけですけれども、しかし、現在の都市近郊農業というものが一体これからの農業の中心たり得るのかどうかと、もちろん、この都市農業が果たしておる、新鮮な野菜の供給、あるいはいま汚染されている、あるいは公害が非常に多発しているこの過密化した都市の中において都市近郊農業の果たす役割りというのは確かに大きいと思うのです。しかし、それがこれからの農業というものを、いわゆる食糧を確保していくという大きな立場から見た場合に、これからの日本農業のにない手として一体どのような役割りを果たすべきなのか、私は逆に言うと、これからの日本農業の大きなやはり立場から考えるならば、むしろこの山中部のほうに思い切った投資をすることによって農業というものの新しい転換というものが、逆に見出だせるのではないかという気がするのです。これは後ほどもちょっと議論したいと思いますけれども、そういうような考え方を私は持つわけでありまして、その点に対する農林省の基本的な考え方はどうですか。
#15
○政府委員(三善信二君) 御指摘のとおり、都市近郊農業というのも施設園芸とかそういった面で、これはそれとしてのやはり一つの価値はあるわけでございますが、やはり農業を本格的に基本的に推進していくとか発展さしていくというところは、やはり純農村地帯を考えていくべきだということは当然のことだと思います。ただその場合に、最近の動向としまして、やはり地域の自然的、条件、あるいは最近非常に交通等も発達しておりますし、そういう意味では、立地条件といいますか、そういう立地条件の変化に応じまして地域的な生産の分化と申しますか、そういった傾向は、最近強くなってきているのではなかろうかと思います。農林省でもそういう情勢に対処しまして、地域指標の試案というガイドポストで今後の農業を誘導していきたいというふうに考えているわけです。いずれにしましても、やはり農業自体生産性の高い、あるいは国際競争力をつちかっていけるような近代的な農業を確立していくということが、これが本来の仕事でございますし、そういうことを進めるためにも、やはりそういう地域性と申しますか、地域適産と申しますか、そういうようなことを踏まえて今後進めていくということにすべきではなかろうかと思っております。そういう意味で、土地改良事業もそういう問題を踏まえて今後積極的に推進していくということにならなければならないというふうに考えております。
#16
○工藤良平君 非常にむずかしい問題だと思うのですけれども、たとえば、いまのこの農業開発の実情というものを見ますと、確かにこの都市部における、さっきから再三言っておりますように、スプロール化、それと思い切ったやはり土地利用農業の形態を求めている。たとえば畜産団地、あるいは能登半島のようなクリとか、九州のミカンを中心とする生産団地というものです。そういうものが部分的に起こってくる。それはもちろん土地があり、水がある。これに基幹農道というものをつないでいくことによって、近代化された農業というものが描き出されていくだろうし、そのことによって、すでにいま非常に少なくなっている専業農家というものが、大きく浮かび上がってきているという実態もあるわけであります。私は、そういう意味から、小さなそういう土地改良の技術的な問題は、もちろん大切でありますけれども、もっと大きなマクロ的な視点からの日本農業というものを考えていく必要があるのではないか。非常に日本の農業は小さい、零細だということにこだわり過ぎて、そういう点をどうも忘れていたのではないか、こういうことを痛切に感じるわけであります。この前も、私は予算の総括質問の中でも、そのことを若干取り上げたわけですが、時間がなくてあまり深く掘り下げられなかったのですが、私は、従来からの主張でありますけれども、今日の日本農業が国際的になぜこのような窮地に追い込まれているのかということを考えてみると、やはり最も基本であるこの土地基盤の整備ということが非常におくれているという気がするわけです。特に戦中、戦後を通じまして、農産物の価格支持政策というのが農政の中、心であったと思うし、もちろん、その中心が、ことに米というものに対する価格支持政策というものが中心であった。もちろん、そのことによって日本農業というものがささえられ、今日まで維持されてきたということは、私はもちろん、非常に重要だと思っているわけでございます。しかし、そのことに終始したために、逆に言うと、この土地基盤整備というものに対する手だて的なものが十分であったかどうかということを考えてみると、私はその点については、若干の疑問を持たざるを得ない、このように思うわけであります。この前も実は、法制局長官が予算の場に出ておりましたから、ほんとうは議論をしたかったわけでありまして、これは余談になりますが、私は四十三年の米過剰の問題が提起されて、大蔵省から自由米が提起された段階で、国会で、いまの参議院に出てきております桧垣食糧庁長官と大論争を展開したことがあるわけです。あのときに自由米をやるのか、あるいは作付制限をやるのかという議論を、これはとっぴな話でありますが、私はやりました。私は作付制限をやるべきだ。それはなぜかといいますと、食管会計が全量買い入れということを前提に置いている以上、余った米をむしろ国が制限をする。しかし、その制限した所得の減額分については、他の手だてというものを農業のサイドで行なうべきだということを当時主張したわけなんです。今日過剰米に要する経費というものが、一兆二千億と計算が出てくるわけであります。全く、一般会計から通常の食管の中身といわれるものに対する二千四、五百億から三千億程度の繰り入れ外に、一兆二千億の過剰米だけの対策を必要とするというような状態をつくり出してきたこと、これは私は今日までの農政の考え方というものについて、どうも片手落ちだったような気がするわけで、そういった意味から、特に私は、この土地改良法の非常に重要な意義というものを浮き彫りにしていきたいと私は思っているわけでありますけれども、そういうようなことから、余談になりましたけれども、やはりこれからの農業というものを考えた場合に、さっきから再三申し上げておりますように、水がある、土地がある、労働力――もちろん、近ごろ若干問題があります。老齢化しているという問題もありますけれども、私は機械を使うことによってある程度のカバーができる。しかも、まだ少なくなったとはいえ、農村には若い労働力というものが意欲を持って待機をしておるという状態もあるわけでありまするから、私はそれを有効にどのように引き出していくのかどいうこと。これはやはりこれからの農業というものをどこに置くのかというところに、私はかかってくるような気がするわけでありまして、その点については、今後なお農林省の皆さんとも議論をしていきたいと、このように思っておりますが、特に十年、二十年あるいは三十年という長期展望に立つならば、私は日本農業の志向していかなければならないやはり地帯というものは、おのずから方向が出てくるのではないか、このような気がいたしますので、この点については、ぜひこれからのこの基盤整備の方向づけの中においても、十分に私は指導と方針というものを樹立していただくことのお願いをしたいと思うのです。
 そこで、現在までに投入をしてまいりましたこの基盤整備に要した大まかな予算、そしてまた、それが現在の日本の全耕地面積の中で一体どの程度の達成率をあげ、しかも、それはどのような効率をあげているか、その点について、若干ひとつ説明していただきたいと思います。
#17
○政府委員(三善信二君) 御承知のように、土地改良事業は四十年からの土地改良十カ年計画に基づきまして、現在事業を実施しているわけでございます。で、予算額で申しますと、参考資料をもとに多少触れましたけれども、農業基盤整備事業、端数は切り捨てますけれども、これが四十七年は全体で二千七百五十四億に伸びております。四十六年度が二千四百六十億、それでこれを四十年ごろに比べて見ますと九百二十二億ということで、この四十年ごろの約一千億から、四十七年には二千七百五十四億と、大幅に伸びてきているわけでございます。
  〔理事園田清充君退席、理事亀井善彰君着席〕
もっとも、この基盤整備事業の内容は、農業の事情の変更に応じてそのウェートの置き方、これはその事情によって変えてきておりますけれども、いずれにしても土壌整備それから農道の整備、かんがい排水事業、こういった土地基盤整備の主体をなす事業については大幅に伸びてきておるわけでございます。
 そこで御質問の、それじゃ現在まで一体どのくらい土地基盤整備によって基盤整備をやってきたかということでございますが、私ども四十四年度実施いたしました土地改良の総合計画の補足調査ということをやったわけでございますが、そのときの資料が一番現在では新しい資料でございます。多少古くなっておりますけれどもかんべんさしていただきますが、これによりますと、田の区画整理の状況を申し上げますと、大体区画整理済みの面積が百九万ヘクタールで、全水田面積に対する比率は三二%ということになっております。しかし、二十アール以上の区画、これは十アール、二十アール、三十アールと書いてきておりますけれども、二十アール以上の区画のものは二十万ヘクタールで、全体の八%ということで非常に微々たるものだということで、このよう群にあまり進捗はしていないといえると思います。
 それから水田の道路の条件、これがどういうふうに整備されているかということでございますが、まあ地区内道路と申しますか、圃場の中の地区の内部の道路、これが完備しているというものが六十一万町歩で、全水田面積に対して一八%。それから地区内道路及び取りつけ道路、これが完全に整備すれば一応これは完ぺきだということになるわけでありますが、そういった地区内道路と取りつけ道路が整備しているようなのが四十七万ヘクタールで、全水田面積の一四%。これも非常にまだテンポがおそくなっております。それから基幹的な用排水条件が完備している面積は、これが全体の二〇%ぐらいになっております。
 それから畑の整備状況でございます。これはいままで土地改良事業が、御承知のように、大体過去においては水田中心にやってきたというのが実態でございます。最近、畑のほうにウエートを相当置きかえてきた、これも実情でございますが、この畑の整備状況を見ます場合に、一番肝心なのは農道がどのくらい整備されているかということだろうと思います。それで、先ほど申し上げました取りつけ道路とか、あるいは地区内道路、これが完全に完備されているものは全体の一一%ぐらいだというふうな調査が出ております。
 そういう一般的な状況で恐縮でございますけれど、いままで土地改良事業予算も増加してやってきておりますが、まだまだ基盤整備のテンポというのは、非常におくれているということが言えると思います。
#18
○工藤良平君 さっきも申し上げましたけれども、日本農政の中心というものがそういう価格政策に置かれていたということは、いまの報告の中でも明らかなように、非常にテンポがおくれている、最も基本であるべきこの基盤整備が一番おくれているということを端的に私は、証明していると思うんです。これは、農業というものが、場合によれば、非常に食糧確保という意味で大きな意義があった。それはもちろん、米を確保するという意味において、主食を確保するという意味において。ところが、多様化した現在の新たな農業に対する任務というものが負わされてきていると思うんですね。しかし、いつも、農業というものは、どちらかというと受身の立場に置かれてきたという実情は、私はいなめないのではないかと思うんです。たとえば、土地の問題にしても、あるいは水の問題にしても、あるいは基幹道路の問題にしても、それは常に工業優先あるいは都市優先という形で、政策的に進められてきたというように思います。そういう意味かち、現在、人間の生活というものが取り直され、再認識されようとしている。過密化、公害あるいは交通災害、そういったいろんな問題を見た場合に、そういうような状態になってきた。したがって、農業の新たな任務というものをここで認識をしなきゃならぬという状態になってきた。
 で、そのような状態の中で、土地問題が取り上げられるということになるのでありますけれども、そうすると、やはり日本のような狭い、耕地利用率が非常に低いところにおいては、土地のやはり総合的な利用というものが、基本的に問題になってくるだろう、このように思うんです。この前も、予算の参考人の意見にもありましたけれども、一体、日本農業というものを考える場合に、何としてもいまの小農経営というものを拡大しなければならぬと私は思うんです。基本的には問題がある。それをしなければ、単に土地の生産性を高めてみても、総生産性につながらないのではないかということを言ったわけでありますけれども、それは、しかし、ただ単にいまの一ヘクタールというものを三ヘクタールにする、あるいは五ヘクタールにする、十ヘクタールにするという面だけの問題ではなくて、それをやはり有効に総合的に使うことによって規模拡大になるということもあり得るという発言がありました。私はなるほどそのとおりだとつくづく思ったんですけれども、そういう角度からのやはりこの土地の総合的な利用、こういうことが必要になると思うんです。それはもちろん土地改良事業そのものに技術的な問題も関連をしてきましょうし、あるいはさっき申し上げましたような大きなマクロ的な観点からの私は土地利用という意味からも、非常に重要になってくると思いますが、たいへん基本的な問題ですけれども、ひとつ、御意見を聞かしていただきたいと思うんです。
#19
○政府委員(三善信二君) きわめてごもっともな御議論だと思っております。
 土地の総合的利用、水につきましてもやはり総合的利用ということは、これは言えると思います。で、土地の総合的利用ということで一つ考えられますのは、これは技術的な問題かもしれませんけれど、やはり水田を水田としてだけ使うということではなくて、畑にも使う。そういった一つの利用形態ということも、非常に重要になってくるのではなかろうかと思います。そういう意味におきまして、私ども土地改良事業の圃場整備をやります場合に、やはりそういった点を十分加味しながら事業をやっておるわけであります。いずれにしましても、地域の実情によりまして、地形とかあるいは自然的条件、そういったものによって左右されますので、なかなか理想どおりにはまいりませんけれど、そういう目的で、私どもも土地だけをとってみた場合に、その総合的利用をいかに有効に実現していくかということをやはり一つの目的、ねらいとしてやっているというわけでございますが、これは土地改良事業の一つの圃場整備のやり方と申しますか、そういうことを考えながらやっているということを一つの例として申し上げておきたいと思います。
#20
○工藤良平君 近ごろ、特に農業に対しましては、貿易の自由化という大きな外圧というものがますます加わってきております。そういった意味から、日本の農業への、たとえば価格支持制度の問題、こういう問題が非常に大きな問題として提起をされているわけであります。あるいは国内的にも、製造部門の国際競争力の強化のために、農業部門の生産力の向上、特に安い低廉な農産物を供給をしていくという任務、そういうものがより一そう要請をされ、いわゆる労賃コスト軽減という意味からもたいへん大きな問題として提起をされてきているわけであります。それはますます圧力は加わるというように見なければならないと思うんであります。
 しからば、そのような外圧にわれわれがどのように対していくのか。国際的に見て、日本の農産物がきわめて割り高であるというようなことから、農業というものを放棄していいのかということになりますと、これは全く論外だと私は思っておるわけであります。そうすると、私どもがそのような外圧あるいは国内における低廉な農産物を供給して賃金コストを下げていこうとする大きな圧力の前に、どのような方策というものを考えたらいいのか。もちろん、それは、たとえば機械化の問題もありましょう、あるいは経営規模をさっき申し上げましたように拡大をするという行き方もありましょう。これはただ単に面積だけということでなくて、やはり立体的に土地を利用するという意味からも、拡大ということはもちろん含まれると思います。それから土地生産性の向上ということですね、これは土地改良事業を中心としてそういうことになると思いますが、このような方法が考えられてまいります。そこで、さっき局長からもちょっとお話がありましたが、特に今日まで進められてきた日本の土地改良事業というものが、主として水田ということに置かれてきた。しかし、それは農業の多様化という意味において、畑地の生産性向上のために、いろいろな土地改良事業が行なわれておるのであります。圃場整備あるいは水の開発、安い水を安定的に供給できるような態勢というものがとられつつあります。私も昨年参議院の農水の調査で鳥取、島根のほうに参りましたけれども、あの砂丘の地帯で、ラッキョウを植え、あるいはナガイモを集団的に栽培することによって、従来出かせぎ農家であった農家が、逆に百五十万、二百万という収入をあげる専業農家に転化をしたという実情も見まして、いわゆる水の農業への有効的な開発によってどのような農業が生まれるかということを現実に見てきたわけでありますけれども、そういう意味から非常に新しい技術開発によって新しい農業というものが見出され、取り出されているということになるわけですね。そういう意味から、特に水田では、かん排水方式の改善というものがいかに大切なものであるか、こういうことも実証されております。さっきちょっと局長も触れておったようですけれども、私もかつて何年か前ですが、この水稲の稲の問題で議論をしたことがありますが、たとえば、みな刈りすれば、六百キロ取れる圃場を、周囲をずっと回りを二列だけ坪刈りをすると、それが十七石とれるというような計算が出るんだという話をある学者の先生から聞きました。私どもは、それが現実に可能であるというやはり目標を立てて、このみな刈り六百キロを十七石とれるような努力をして、そのための研究をしてまいりました。その研究をした結果、どこにそういう関係があるのかというと、それはいわゆる土壌の上の部分と、いわゆる下にはえる根の部分の相関関係によってきまるのだと、それはさらに突き詰めてみると、いわゆる土壌改良の中において地下水の水位が一体どこにあるのかということによってその作物の生育、収穫というものがきまるのだということを私は聞いたことがあるのでありますけれども、そのことは特に水田のかん排水方式の改善というものが、そういう土地を多角的に利用できるという、しかも高収穫をもたらす水田として利用できるということですね、そういう実証というものがなされている。ということになると、やはり水秩序の改善あるいは個別圃場でのそういった自由な用水操作の実現ということ、こういうことが技術的な問題としては、きわめて重要な問題となってくる、このように私は思うわけでありまして、そういう意味からやはりこれからの農業の中における特に基盤整備について、いまウエートが畑地かんがいなり、あるいは果樹に対するそういった団地形成の中における土地改良事業が相当積極的に進められておりますけれども、もっとも水田地帯というのは平坦地が多いわけでありますから、その土地改良というものが途中で打ち切られて、こちらにウエートが移ってしまうということになると、これまた日本農業に対しては、大きな問題があると思うのです。ですから、本来やっぱり平坦地の基盤整備というのが一番やりやすいわけだと思うのです。そういう意味で、これを徹底的に早急にまず態勢をとり、もちろんそれと並行的に私がさっき言った山中部に対する農業の方向というものを打ち出していかなければならぬと思いますけれども、そういう点に対して、その考え方はどうなんですか。そうしないと、たとえば米の作付制限が行なわれる、もう水田の土地改良事業なんというものはということで、やはり農家そのものが非常に土地改良事業に対する意欲を失うという状態が起こっておる現実を私は知っておるだけに、非常に考え方として重要じゃないか、このように思っているわけで、その点もお聞きをするわけです。
#21
○政府委員(三善信二君) 私が申し上げましたのは、水田から畑のほうに土地改良事業の重点を移したと申しますのは、特に水田をおろそかにして畑のほうに重点を移したという意味ではございません。水田は水田として、やはりいま先生申されましたような、そういう水の利用の合理化、もちろん先ほどから申し上げておりますそういう水田としてではなく、水田を必要なときには畑としても利用できるようなやり方、そういうことを中心に、また、もう少し大きな面では、やはり水田の圃場整備を通じての生産性の向上、そういうことで水田についても当然それは必要な土地改良事業はやらなければならないと思っております。ただ、畑については、いままであまりにもやっていなかったということが非常にはっきりいたしておりますし、その面で特に畑と申しましても、需要が伸びている果樹、畜産、そういう面においては、特に力を入れて最近やってきている、そういうわけでございます。
#22
○工藤良平君 私はこの前、この農林省から出ております農林省広報、これの二月号の最初の「焦点」というところに江島さんが論文を書いているわけです。それは「農業生産力増強の原点にかえれ」ということで書いておりまして、私、非常に感銘を受けて読んだわけです。その中にこういうことが書いてあります。それ、長いわけですけれども、これは特に今回の米の生産過剰に伴います米作の転換、生産調整、こういうことから端を発しまして、これからの農業、土地改良事業のあり方という問題について、ちょっと触れておるわけです。私はこれを見まして、たとえば「米作転換が野菜供給を安定化しえないのは、流通機構と価格の問題以上に個別水田の灌排水条件の不備が障害となっており夏期水田の地下水位が高すぎることを、あらためて強く指摘しておきたい。ところで、水利秩序の近代化=水田豊度の増強を、米の反収増加=米生産過剰という図式として、 ストレートに描きがちである。現に過剰米発生を契機に、水田の土地改良に対する財政投融資が強く規制された。本質を見失ったといわれても弁解の余地はないはず。水利秩序の近代化=水田豊度増強は米転作の土地条件の整備であり、水田豊度増強=米の反収増加は、食糧確保の視点では米の減反の可能性の整備という図式が描かれて然るべきである。これを転作や野菜の安定的供給に導く条件こそ、流通体制の整備と生産者価格安定化の施策であろう。要するに、米の減反・転作・農地流動化、はては農業団地の形成まで含め、共通した最優先施策として、農業水利秩序の近代化を急ぐべきであろう。」云々と、こういうことでいろいろ書かれておりまして、さらにこの江島さんが、たとえば農協が米価闘争では非常に大きな運動を盛り上げるけれども、土地改良事業で、はたしてあのような運動をやっただろうか、こういうような指摘までも含めて書かれておるわけで、私ごく一部を紹介したわけでありますけども、私はやはり現在農業がそこまで来ている、そこでやはり思い切った基盤整備というものに取り組んでいく必要がある、このように思うわけです。先ほど局長からお話がありました予算の問題にいたましても、本年度二千七百億で、これは食管に繰り入れるとちょうど同じくらいのことで、さっき申し上げました過剰米の処理については、なおかつそのほかにことし中に三千億要るとか必要だというようなことを言っておるわけでありますから、私はやはり思い切ったここで二十年、三十年ということではなくて、やはり五年、十年という比較的短い期間にやはり大量の資本投下をして、思い切ったやはり改革というものをやる必要があるのではないか。そうしなければ、いまのような今日まで進めてきた土地基盤整備にぶち込んだ金が最高のもので三十何%、平均しても十何%しかいってないという状況のもとにおいて、私は日本の農業というものの将来の発展というものは、たいへんなことではないかという気がいたしますので、やはり思い切った資本投下というものを短期間のうちに完了する必要があるのじゃないか。そういう強い姿勢というものを少なくとも農林省は持ち合わせていかなければならぬと思うのですね。それがあるいはいろいろな政治的な問題で大蔵省から切られるいとうことはあるかもわからないけれども、しかし、それ以前に農林省自体としては、思い切った計画というものを出す必要があるのじゃないか。その点はどうでしょう。
#23
○政府委員(三善信二君) 非常にありがたいおことばで、私どもも非常に勇気づけられているわけです。実は先生、現在土地改良の長期十カ年計画というものを、私ども現在作業をいたしております。その作業の過程におきまして、やはり今後の十カ年の需給の見通し、そういう上に立ってこの土地基盤整備をどういうふうに積極的に進めていくか、先ほどもお話ししましたように非常にまだおくれております。そのおくれを取り戻すように、積極的な一つの基盤整備の事業の拡充強化をはかっていきたいという趣旨で現在作業をし、今年度中にその十カ年計画をつくりたい。まあ、需給の見通し、その他今後のやはり農業の見通し、先ほども申されました大きな意味で団地的な農業、あるいは都市と農村との利害の調整環境整備、そうのいうものも今後十年間をいろいろ見通しまして、ひとつ積極的に相当大幅に予算を今後拡充していきたい。そのための十カ年計画を現在作業中でございます。
#24
○工藤良平君 どうも近ごろこの農業に対して思い切った資本投下をするということが影をひめているような私は気がするのですね。いまから何年か前ですか、たとえば産業計画会議が今後の十年後の日本の農業というようなことで、思い切った十二兆円の金をつぎ込んでやれば、十年間に日本農業というものは、新たな展望が出てくるのだということを言う農業団体もある。至るところでそういう思い切った発想というものが出てきたわけですが、近ごろどうもそれが影をひそめてしまった。これは米の生産過剰というものが、そういうような意欲を失なわせるようなかっこうになったのじゃないかと思うのですけれども、私は逆に米がそれだけいままでは二百五十キロとか三百キロという水準で考えられていたものが六百キロ、七百キロというようなこの状態が、ほんとうに驚異的な反当収量の増加というものが出てきた。これはたいへんいい傾向だと思っておったのですけれども、それが過剰という問題に行き当たって一とんざを来たすというようなことで、これは横道にそれますけれども、たとえば、ことしの米の収穫高を見ましても、反当収量が減っているわけです。もちろんこれは冷害とか、そういうことであったのでしょうけれども、しかし、私は全体的な低下傾向にあるような気がするわけですね。これはやはりいけないと思う。単位面積当たりから上がる収量というものは、多いにこしたことはないわけですから、その生産態勢はずっと持続し発展させなければならぬと思うのですね、そういう意味から、私は思い切った農業改革というものを、どのような規模のものか知りませんけれども、少なくともこの十年間に向かっての私は農林省の構想というものは、突飛なほどの大きなものであっていいと思うのです。そういうものを出さない限りにおいては、日本農業というものは、ますます減少傾向をたどり壊滅の状態になるという気がするわけですね。そういう大きな計画というものの背景の中で、今回の土地改良法の改正が位置づけられ、あるいは団地の形成が位置づけられていく、こういうことにならなければいけないと思うのですね。これはですから農林大臣ちょうど幸いにいいときに来ましたから、実際これからの農業にひとつやはり短期間に思い切った資本投下をするという構想というものを少なくとも私は、この段階では出してもらいたい、このように思うのですけれども、その点はどうでしょう。たとえば道路整備五カ年計画なんというようなものは、かつては六億ちょっとぐらいだったのが五年後の計画では、それが十一兆円というような大きな計画を出すわけなんでありますから、少なくともこの日本の一億人の食糧を確保する農業の十年計画は、みみっちい二兆円や三兆円というものは出てこないと思う。おそらく十兆円近いものが出てくるだろうという期待を持つわけです。そういうものは思い切って出す。そういう背景の中で土地改良を考え、団地の形成を考えるということにならなければならぬと思うのですね。その点ひとつ大臣のお気持ちを披露していただきたいと思う。
#25
○国務大臣(赤城宗徳君) 御所見のとおりだと私は思うのです。とにかく農業というものは、土地というものを基盤として成り立っておるわけでございます。その土地の基盤というものがよく整理されておらなければ、いまの単位生産性でも、労働の生産性でも上がらないわけでございまして、それで、いま私どもが申し上げているように、国際的な競争力をつけるというようなことを申し上げましたが、国際的な競争力と言っても、結局は土地の生産性あるいは労働の生産性が上がらなければ国際的な競争力などもできてこないわけであります。あるいはただいま申し上げている団地構想におきましても、基盤は土地でございます。でございまするから、基盤である土地がよくなっておらなければこれは砂上の楼閣といいますか、いろいろの計画をつくっても実を結ばない。でございまするから、私は土地基盤の整備というものは、これは農業において一番基本的な問題だと思います。でございますので、この土地改良の計画等におきましても、そういう点を強調して、ことに日本の農村、農業に対して、高度経済成長で工業方面にばかり力を入れておったのですが、最近環境の整備ということが言われておりますときに、環境の保全をしていくのは、これは農業であり、その農業の土地でございまするから、土地計画の改定等にあたりましても、相当これに力を入れさせるように努力いたしたい、このように考えております。
#26
○工藤良平君 ぜひ私は、この土地改良法の改正の審議に当たってそういった大きな意味で農業十カ年計画を思い切ってやはり出していただきたい、そういう背景の上に、初めてこの土地改良法の意義が出てくるし、新しい農業というものが展望できるのではないか、このように思いますので、ぜひその点を要望しておきたいと思います。
 それから大きな第二の問題でありますが、なかなか入り口ばかりで中に入れないわけでありますけれども、大切なことですから議論をしておきたいと思うのですが、農業団地化構想というものが出されまして、具体的に進もうとしているわけでございますが、それと一体土地改良法との関連はどうなるのか。もちろんこれは切っても切り離せない団地確保ということ、それに伴った土地改良ということになると思うのですから、そこら辺で議論をしてみたいと私は思うのですが、特に日本の農業というものが集約型の農業でありますけれども、しかし、この国際的な競争力をつけていくためには、どうしてもやはり土地利用方、農業においてやはり高度の装置化農業の実現をはからなきゃならぬ、このように私は考えるわけであります。そういう意味で、この農業生産団地構想の最も重要な目標であるいわゆる家族労働からの脱皮という問題、これはもちろん、この土地生産性を高めていくためにも集団における農業経営の方式というものが当然取り入れられていかなきゃならぬ、そういうような方法というものが労働生産性を高め、土地生産性を向上していくという方向が私は期待されるのではないか、このように実は思っているわけでありますけれども、そういう意味からこの団地構想というものと、土地改良の結びつきと構想というようなもの、そういうものについてお伺いをしたいと思います。
#27
○政府委員(三善信二君) 団地構想と土地改良事業との結びつきという点でございますが、御承知のように団地構想と申しまして、当然その基本は基盤整備というのが中心になって、その基盤整備をした上で、あるいは流通施設あるいはいま申されました生産の集団組織、そういう経営の問題を、機械を導入してそういう経営の問題に結びついていく、こういうことが一つの団地構想の基本になろうかと思っています。そこで土地改良事業と直接具体的に関係いたしますのは、やはりこの農業団地の形成のためには、単に一つの土地改良事業だけやるということでなくて、総合的に土地改良事業をやるということが一つ、しかも一貫した計画のもとにやる、こういう点が重要ではないかと思います。まあ、今回の土地改良法の改正でも、そういう点を考慮しまして総合事業を新しく興こすとか、あるいは特に大きな事業として市町村の特別申請事業等を興こすと、まあそういうことを改正点の中に入れ込んでいるわけです。
 それから第二点は、やはり土地改良事業を通じて施設の配置と申しますか、あるいはその流通の施設あるいは生産の施設、そういう施設配置を有機的に関連づけて事業をやるということが、これはまた必要ではないか。そういう意味で土地改良事業の今回の改正にも、やはり非農用地の取り込みあるいは生み出しというようなことも改正の中に入れ込んでいるわけであります。
 それからもう一つは、これは全体的な意味として農村における土地利用地域全体のやはり合理的な土地利用ということを念頭においてこの団地形成ということもやっていかなければならない、そういう意味におきましても、全回の改正でやはりそういう合理的土地利用ができるような一つの圃場整備のやり方、そういうものをまあ改正点に含めているわけでございます。いずれにしましても農業団地ある高能率生産団地、まあ、小規模の面からあるいは大きな流通団地そういう面まで団地の種類もいろいろございますが、いずれにいたしましても、やはりそういう団地形成の過程において基本となるものはこの基盤整備事業であるというふうに考えております。そういう意味で今回の改正は、先ほど申し上げましたようないろんな点に取り組んで団地形成がスムーズにできるようにということを相当程度考慮をいたしているつもりでございます。
#28
○工藤良平君 いまの説明で、ほぼこの概要はつかめるわけでありますが、第一のこの改正点になっております点に関連をいたしまして、特にこの総合的な農業開発基盤整備なども必要になってくるわけでありまして、現実にまたそうあってほしい、そうなければならない、そうしたいと思っているんですけれども、現在のわが国の農村というものが非常に兼業化が進み、非農業者的性格を強めつつあるわけです。それはもちろん、たとえば私どものところのミカンですね。団地、あるいは能登半島に行ってみまして、あの非常に広大なクリの団地形成というものを見てみましたけたども、もちろんその中に一部やはり専業を求めて努力している農家もあるのですけれども、ほとんどもちろん個別経営でありますし、いまの傾向としての兼業化が進み、非農業者的性格がだんだん強まっているという傾向ですね。これを一体どこで
 ストップをかけて、いわゆる農業のサイドに食いとめるのかということ、これは非常に私は大きな問題だと思うのです。したがって、その意味でいま局長がおっしゃったように総合的な基盤整備と
 いうのは一体どういうことであるのですか。
 たとえば、この前も、私はここで例のミカンの共済の際のお話をしたんですけれども、せっかく団地形成をやろうとパイロット地域に指定をしてミカン園の開発をやっているわけですけれども、しかし、それは依然として農業経営全体がいま言うような兼業化の方向、非農業化の状態にいくというような中で、それが転売をされていくという状況他の業者の手に渡るという状態が生まれているわけですね、現地に入ってみると。本来このパイロット地域は機械が導入され、りっぱな農道ができ、スピードスプレーヤーがどんどん入って、やはり省力化していくという方向が出ていなければならないはずなんでんけれども、それがそのようにいっていないという状態が生まれている。これは今度の改正の中にもありますように、総合的なこの基盤整備というものがやはり達成されていなかったということは、一つの欠陥ではないかと思っている。それをどのように調整をし、どうやるのか。基盤整備のほうは農地局でやりなさい、営農のほうはこっちのほうでやりましょう、その結びつきがどうも私はまくいっていないのではないかということをつくづく思うのです。そういっていないといえば、それはけっこうなんですけれども、現実に入ってみるとそうなんですね。たとえば能登半島に行ってみると、クリの生産団地も生まれている。その中に畜産の団地というものも組み合わして畜産とクリ、水稲とクリとか水稲と畜産というようなことでいろいろとクリとの組み合わせが生まれているわけですから、だから行ってみますと実際に基盤整備でりっぱに牧場ができているんですけれども、それが二年たち三年たつりちにこの牧草がもっと収穫をあげなければならないのに、土壌改良がうまくいかないために二年、三年たって収量ががっくり落ちると、そこで結局、本来この牧草をもって牛を飼おうとしたその夢が破れて、依然としてよそから入ってくる飼料で仕事をしなければならぬという状態が生まれているわけですね。だからそこら辺も総合的なかみ合わせというものが、私は、さっきから言っている団地形成とそれから基盤整備との関係を、もちろん基盤整備が中心になってこういけるのですけれども、それが営農技術というような問題とどういう関係でかみ合わさって、それがさらに農村に対するアフターケアとして育成されていくのかということが、私はどうもそこら辺に問題があるような気がしてならないので、その関連をひとつ農林省としてはどう考えるのかお聞きしたいと思います。
#29
○政府委員(三善信二君) 私どもこの土地改良事業をやります場合に、まず調査をし計画をつくり、その段階で、たとえばミカンの場合でございますと園芸局、草地改良でございますと畜産局、そういう原局と経営の問題あるいはその生産されたものの販路の問題そういった面は実は十分調査をし、計画をつくる段階で打ち合わせてやっているわけでございます。ただ、現実にでき上がった場合に、先生方、第三者的にそれをごらんになって場合に、やはりどうもしっくりいっていないんじゃないか、別々にやっているんじゃないかという御批判あるいはそういう目でごらんになる場合も、私は現実にあろうかと思います。私どもは努力しているわけでございますけれども、そういう御批判を受ける点もそれは当然あろうかと思います。この問題は、やはり事業をやる場合に、もっともっと私ども自身がそういう点に十分意を用いてやっていくことが一番大事だろうと思っております。農林省でも本省だけじゃなく、出先の農政局もございますし、また、農地局では出先に事業所を、土地基盤整備のためのそういう事業所も持っておりますし、また試験場もございますし、そういう農林省の機構をフルに活動さして、そして一体となって、やはり基盤経営、将来の流通、そういう問題を真剣に取り組んだ上で事業をやっていくということはやはり一番肝心なことだろうと思います。そうやっているつもりでございますけれども、やはり今後ともその点は深く反省しながら、御指摘は甘んじて受けて、私どももひとつ強力にそういう点をやっていきたいと思っております。具体的に申し上げますと、樹園地の土地改良事業をやるという場合に、園芸局と農地局と協議会などを設けて、そこで十分対策調査を検討する、それから出先では農政局内部でやはりそういう点を十分協議し、打ち合わせをする。土地改良事業は非常に長くかかるという御批判がいろいろございますけれども、実は、そういう調査計画の段階で相当時間を要する点もあるわけでございます。そういうことを現実にやっておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、至らぬ点もあろうかと思います。今後もっとそれを強力に、しかも一体となって進めていくためには、御承知のように農林省の機構改良の改正を国会に出しておりますけれども、そういう点が幸いに通りますれば、非常に先生の御指摘のような点も、今後ともうまく一そう円滑にいくんじゃなかろうかと、私ども期待をしているというような状態でございます。
#30
○工藤良平君 私はさっきから申し上げておりますように、日本農業の形態というものは、よその国のような、非常に大きな規模の、それを専業とするというような立場ではなくて、いろいろな、まさにこん然社会で完全な農家もあれば、非農家もある、こういうような状態の中で、それの組み合わせというものをどのようにしてやるかということが、日本農業の私はむずかしさだと思っているんですけれども、そういう意味から、特にこれからそういったこん然社会の中で、日本の農業というものを考え、基盤整備を考えるとすれば、やはり集団的な一つの方向というものを考えざるを得ないというようなかっこうになるし、そういうように意味からすると、一体わが村の農業展望というものは、一体どういうものなんだ、一つの大きなやはり青写真を描きながら団地形成――もちろんそれは私が申し上げるまでもないと思うのですけれども、そういう計画が進められていくわけだと思うのです。しかし、御指摘がありましたように、いろいろ試験研究機関もあります、進められておるわけです。あるものは水稲の面については、まことにすばらしい技術を持ち、理論的な背景の中で進められております。あるいは畜産の場合も、それ専門の方々、いろいろな角度からの検討が進められており、あらゆる角度から進められておるわけですけれども、しかし、その技術者というのはややもすると水稲は水稲の専門、畜産は畜産専門と、こういうことになって、その総合的なものが私は試験研究機関の中にも必ずしも完全なものではないというように実は、思うわけでありますが、それが水稲の専門、畜産の専門、果樹の専門というものが寄り集まって、言うところの農業経営というものをどこで組み立てていくのか。これが私は試験研究機関の中では、うまくないような気がする。それを総合的に進めていくそのものは、やはり実際に最前線で実務に当たっている皆さんの努力というものが積み重ねられて、それが具体的に農業経営の中に組み込まれていくということになるんじゃないかと思うんですね。そうして最前線で働く技術屋、その総合的な知恵の結集というものが、農民の知恵と結合した中で具体的な農業経営として発展をしていく、それをささえてやる政治的な体制というものが農林省であり、あるいはこういう場における私たちの議論になってくるんじゃないだろうか、そうしてそれに伴った手だてというものは、あるいは補助という形において、あるいは融資という形において、いろいろ技術提供という形において行なわれるんじゃないか、私は、こういうふうに思っているわけでありまして、そういうことをひとつぜひこれからの基本の中において取り入れて、従来から私はしきりに言うんですけれども、いわゆる上意下達のやり方ではなくて、その中にある、最前線にある問題点をどのように引き出して、それに手だてを加えてやるかということですね。そういう方式というものを私は考えて生かしていただきたいと、このように思っているわけであります。
 それから次の問題は、効率的な農業的土地利用という立場に立って考える場合に、今日まで進められてきた食糧、農産物の生産と供給ということだけに限って必ずしもこれからの農業を考えるということではなくて、やはりこれからの、今後の農業の新たな任務というものの分野というものが非食糧農産物、たとえばいろいろな家庭園芸とかそういうもの、新築ブームで家をつくりますね、それに対して庭園をつくる。それに供給するいろいろな植木なり、そういうものはどこが供給していくのかというと、これはやはり農業の分野に入るだろうと思いますね。そうすると、そういった新しい分野あるいは環境保全、レクリェーション施設への供給という、そういったものが新たな問題として考えられてくるだろう。で、これは改正点の一つの要点でもある非農用地を取りれて、土地改良というようなことにもちろん含まれてくるだろうと思いますけれども、当然そういうような任務が新たな任務として出てきたその背景の上に立って、非農用地を取り入れた計画も進めるんですよと、こういうことになっていかざるを得ないと思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
#31
○政府委員(三善信二君) 非農用地を取り込み、また非農用地を生み出していくという新しい土地改良法の改正を今回出しているわけでございます。御指摘のとおり、一つは、これの一番肝心なことは、やはり農村地域においては土地の合理化、あるいはそういう面を市町村がつくります農振計画、こういう一つの計画とあわせて市町村内の合理的な土地利用という観点から、この事業を実施していこうということでございます。もちろん、いま言われました環境保全的なことになるかどうか、私もちょっとわかりませんけれども、たとえば緑地みたいのを、その敷地みたいのを生み出していくと、そういうことも当然やはり入れることになるわけでございます。また、特に都市近邸の地帯では私ども四十七年度から新しい事業として緑農住区の基盤整備事業というのを始めることにいたしております。線引きによって市街化区域になったところ、それと調整区域、この接点的なところに市街化区域の中におる農民の方で将来農業をやっていきたいというような方は調整区域に移していく、調整区域の中でやはりもう農業をやめたいという人があればそれを市街化区域に換地で移しかえていく、そういうようなやり方も新しい構想として始めたいと思っておるわけでございます。
 いずれにしましても、今回の土地改良法の改正ができますれば、そういったいろんな手法ができるわけでございます。御指摘のような点もやはり十分考慮しながら、この運営をしていきたいと思っておるわけでございます。
#32
○工藤良平君 具体的な内容にぼちぼち入りたいと思うのですけれども、この法案の第一の改正点の要点である換地を伴う土地改良事業について非農地そのものの中に組み入れていくと、いまその問題触れてまいりましたけれども、この問題でございますが、この中に、これは衆議院の農林水産委員会での議事録を見てみましても、農村工業の促進という意味における工業導入という関係で、どうも工業用地を優先的に確保するということが目的になるのじゃないかという議論がずいぶん集中をしてきているように私は思うのですね。確かに農村工業化の促進という点から考えますと、その工業用地を確保するために、非農用地を組み入れたやはり土地改良事業計画というものが必要になってくるだろうと思うのですけれども、しかし、これはやはりあくまでも土地改良事業法の第一条の目的達成のために行なうものであって、農業経営の合理的改善のために非農用地を組み入れるのだという原則が、私は成り立たなければならぬと思うのですね、そうすると、大きな意味でいうとやはり村落の再編成というたいへん大きな命題を取り入れて、その背景の上にまず初歩的に一部実施をしてまいりますよと、こういうことになるのか、私どもとしてはよくいままで農業団体なりそういうところからも出ておりますように、農村の生活環境の整備ということに非常に積極的に取り組まなければならぬということが指摘をされてきておりました。農林省の四十六年度の「農業の動向に関する年次報告」、農業白書においても「農家の生活に関係深い農村の道路、環境衛生施設等生活環境施設は近年改善されているとはいえ、なお都市との格差が大きい。」こういうことをもちろんみずからも指摘をしているし、こういう要請というのは非常に強いわけであります。ただ、その環境の整備というものが各省庁にまたがっておる事項等がたくさんあるために、非常にそこら辺の調整等から積極的な取り組みというものが、農林省自体どうも遠慮をしがちなような私は受けとめ方をせざるを得ないわけです。そういうことから考えてみると、何か工業の面だけが前面に出てきて、どうも工業中心のものになってしまって、農村全体がさっき言ったように兼業化の方向、非農業化の方向になって、そこへもって工業敷地を確保していくということになると、まさに日本全体が工業というものに埋まってしまうというような、極端にいうとそういう感覚を実は受けがちなんで、そうではなく、あくまでもこれは土地改良法の第一条の目的を貫く一つの前提に立つものだ、そう考えると、私はやはりこの農村における現在の土地基盤整備の中にある一つの障害として村落の再編成ということが当然必要になってくるのだ、こういうようなことが私は背景に出てこなければならないと思うのです。私は二、三年前ブルガリアに行きましたけれども、ブルガリアに行ってみますと、いまあそこの大きな課題は村落の再編成というのをやっているわけですね。ほとんど九〇%近く完成をしておりましたけれども、たとえば部落がありますと、それを集めるわけですね、そこにはもちろん託児所があり学校があり診療所ありということで、あらゆるものが集まってきている。そこで、一つ百五十百戸という村落をつくって、その周辺に農場があり、そしてその中に加工工場までも持っているという非常に合理化された村落の再編成というのが行なわている。したがって、こちらにある農業施設なり、あるいは住宅を動かそうとすればそれに対しては九〇%以上の補助金をもって国が家を移転をしてやるというところまで出てきているわけです。私は、この土地改良法の第一条の目的からすると、そういうふうな大きな計画というものを持ちながらそれを進めていきますよと、こういうことが出てこなければ何か工業敷地を確保するということが先になってしまって、本末転倒的な気がするわけですね。これは非常にむずかしいことですけれども、やはり将来展望としてそれは持たなければならぬと私は思うのですけれども、その点はどうでしょうか、その背景というものがあるかどうか。
#33
○政府委員(三善信二君) 先生言われましたように、公共用地をひねり出すための土地改良の改正じゃないかという御批判も相当ございました。しかし、これは決してそういう意味ではございませんで、たとえば非農用地を取り込みます場合でも、やはり農業構造改善に資するという見地から取り込むということになっておりますし、また非農用地を生み出して、その敷地を工業用地等をつくる、そういう場合でもやはりほっておけばスプロール化していく、そういうところをまとめて工業用地あるいは公共用地を生み出すという趣旨でございます。単にその工業用地をひねり出すということではなくて、やはり農業サイドから見て生み出すべき工業用地、それがやはりあまり大きい規模であってはこれはならないし、またその位置もかってばらばらにそういうところを生み出しても、これは困るわけで、一定の適切な位置にそういうのを生み出すというようなことで、法律の内容でもそういう一つの歯どめをつけて、あくまで先生おっしゃるとおりに第一条の目的に即して農業サイドからの一つのやり方であるということでございます。
 なお、農村の環境整備、これをもっと促進してやるべきじゃないかという御意見で、まさにそのとおりでございまして、農村の環境の整備というのは非常に立ちおくれているというのが正直に言って実情でございます。農林省でもいろいろな角度から施策はやっているわけでございますが、総合的に一つ大きな線でやるというようなことまではまだ至っていないかとも私は思っているわけでございます。たまたまこの土地改良事業のこういった手法でその農村の環境整備の改善に資することができれば非常に幸いだと思いますし、またそうしたいと、こう思っているわけでございます。ただ、御指摘のように、環境整備と言っても、これは非常に、何をやったらいいのか、それをやるためには一体どういうほかの、単に土地改良事業じゃなくてほかの点のいろいろなやはり対策も必要ではないかとか、いろいろなむずかしい問題は実は、あるわけでございます。私ども四十七年度からこれも新規の事業としまして農村の基盤総合パイロット事業、総パと通称呼んでおります、全国四カ所テスト的にそういう農村の一つの環境整備を手始めていこうということで実施設計工事も一部始めるという予算も要求しているわけでございます。この計画を考えましても、大体私どもが考えておりますのは、五百町歩から七、八百町歩程度の圃場整備をやって、その中で工業用地も生み出すし、あるいは公共施設用地も生み出すし、あるいはできればそういう宅地の集団化するようなことも考えていこう、また生活環境の問題もその事業の中に取りくんでやっていこうということで始めることにいたしておりますけれども何ぶんにも非常にむづかしい問題がやはりあるわけでございますけれども、こういう一つの経験を経ながら、もっと経験を経てどこにもつと重要な問題点があるのか、その問題点を解決するためにはどうしらたいいかということを、事業を実施しながらひとつ探っていこうという気持でいるわけであります。そういう意味で、この土地改良事業の改正によってそういう完全な何といいますか、環境整備ということは、これはなかなかやはり土地改良法のワク内でやるわけでございますから、そうはなかなかまいりませんし、その辺のところは土地改良法のワク内でやれる範囲のところの、最大どの程度やれるということを事業をやりながらひとつ考えていく、また、それが一つの方向でまとまればまとめていきたいというふうに考えているわけでございます。
#34
○工藤良平君 あと岡山の視察の日程等もありますので、ここら辺で打ち切ってくれということでありますので、ほんとうに入り口だけ、第一項の非農地を取り入れるということで、きょうの段階では打ち切って次回に譲りたいと思いますが、ただ工業化促進との関係の中において、私は特に気になりますのは、あくまでも農村工業というものは、農業というものが主であり、それに対してプラス何かを考えるという立場だろうと思うのですね。しかし、そうは言ってみても、やはり工業を入れるとすれば弱電機を持ってくるよりも、やはり農村工業というものは、いわゆる農村加工という立場のものを据えていくということは、これはやはり非常に意義があると思っているわけです。そういうものを全体に組み入れながら村落の再編というものをきちんと農林省サイドで位置づけて、それに対して自治省なり建設省なりに協力をしてもらってきちんと青写真をつくられるということを私は考えるべきではないか、積極的に考えるべきではないか、このように思うわけでありまして、そういう意味から、これはあと水の問題とか内容について逐次触れていきますけれども、きょうの段階ではこれらの点について農林大臣からのひとつ基本的な考え方を若干述べていただきまして、あとは次回に譲りたいと思うのでございます。
#35
○国務大臣(赤城宗徳君) 工業の分散等もありますが、農業地帯を見ますと非常に工業用地など虫食い的といいますか、いわゆる耕地、田んぼの真ん中にあっちに入ったりこっちに入ったりするというようなこともあって、だんだん農業に支障を来たすような工場敷地なんか入っているというのが現状だと思うのです。こういうことではいけない。いまのお話のように、土地改良などをする場合においても、工業地区などつくる場合に虫食い的なものがないように、工場用地なども入るならば、工場用地もある一定のところにきめて、耕地を、農地を虫食い的にやらないようにする。しかも、また団地形成をするときに、団地の中にやはり農業関係の工業といいますか、そういうものをなるべく導入するなら導入したほうがいい。それから基本的には公害のないように、せっかく農地の、農業の自然保護というような機能をそこなわないようにするには、同じく工業を導入するにも、公害などの少ないような、ですから、できれば食品工業なんというもので農業者の農産物がそこで処理できるようなことになれば、一番適当な工業導入じゃないかと思います。でございまするから、基本的には、公害のないような、農業がよりうまく行くような工業、そういうものと団地として農業が組んでいく。そしていまの二種兼業とか何かの労働力などもそこで、遠くまで出かせぎに行かなくても、そこでさばけるような、また団地に二種兼業の人が入ってもらって土地を提供して労働力が節約できれば、その節約した労働力でその地区で農業収入を、農外収入を得られるような、こういう両方のいいように考えなくてはなりませんが、主体としては農業者がよくやっていけるよべに、あるいは農地というものがよく、何というか、農地としての効用を発揮できるような形で工業の導入もしていく、こう基本的には私は考えておるのでございます。具体的にはいろいろ町村の計画等もあると思いますが、そういうふうにしていきたい、指導をしていきたい、こう思います。
#36
○理事(亀井善彰君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#37
○理事(亀井善彰君) なお、参考人の出席要求に関する件について、おはかりいたします。
 土地改良法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○理事(亀井善彰君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○理事(亀井善彰君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。本日は、これにて散会いたします。
  午前十一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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