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1971/05/12 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 農林水産委員会 第13号
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1971/05/12 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第068回国会 農林水産委員会 第13号
昭和四十七年五月十二日(金曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     岩本 政一君     初村滝一郎君
     小枝 一雄君     片山 正英君
     辻  一彦君     和田 静夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                亀井 善彰君
                園田 清充君
                中村 波男君
                宮崎 正義君
    委 員
                梶木 又三君
                片山 正英君
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                温水 三郎君
                初村滝一郎君
                星野 重次君
                堀本 宜実君
                山崎 五郎君
                川村 清一君
                工藤 良平君
                村田 秀三君
                和田 静夫君
                塩出 啓典君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  赤城 宗徳君
   政府委員
       環境庁自然保護
       局長       首尾木 一君
       農林政務次官   佐藤  隆君
       農林大臣官房長  中野 和仁君
       農林省農政局長  内村 良英君
       林野庁長官    福田 省一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       食糧庁総務部長  森  整治君
       会計検査院事務
       総局第四局長   田中  稔君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (当面の農林水産行政に関する件)
    ―――――――――――――
  〔理事園田清充君委員長席に着く〕
#2
○理事(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、初村瀧一郎君及び足鹿覺君が委員を辞任され、その補欠として岩本政一君及び戸叶武君が選任されました。
 また、本日、辻一彦君、小枝一雄君及び岩本政一君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君、片山正英君及び初村瀧一郎君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(園田清充君) 当面の農林水産行政に関する件を議題とし、これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#4
○和田静夫君 大臣が四十分間お見えになる予定だったのがいま見えないようで、集中的に前段に大臣に対する質問の用意をしたわけですが、長官、次官からまず質問いたします。
 森林の保安林に指定する制度の趣旨、これはそもそも何ですか。
#5
○政府委員(福田省一君) 森林は、御承知のように、国土の保全、水資源の確保、あるいはまた、木材の生産、その他公益的な使命あるいは経済的な使命を持っておるわけでございますけれども、その中で、特に国土の保全、中身を申し上げますというと、土砂の崩壊防止とかあるいは土砂の流出の防備とか、そういうことを行なう機能を持っているわけでございます。あるいはまた、下流で必要とする水資源を確保する、こういう機能もあるわけでございます。そういう機能を完全に使命を達成するために、保安林という制度を設けまして、これに対していろいろと代採の方法とか、造林の方法とか、あるいはまたその中に治山工事の施設とか行ないまして、ただいま申し上げました機能を完全に発揮するためにそういう制度を設けているものでございます。
#6
○和田静夫君 近年、地域開発がずっと進んでくるにつれて、森林に対する保全上の要請が高まっていると思います。そういう要請が客観的に高まっているということは、日本の森林がいま私企業の開発攻勢の対象になっているということでもあるわけです、逆の意味では。そこで、農林当局は、観光業者などの開発の攻勢の現状をどのように認識をしてそれに対処をされているわけですか。
#7
○政府委員(福田省一君) 先生御指摘のように、森林は、そういう公益的な機能を維持するものでございますし、また、経済的な開発、そういうことも使命を持っているわけでございます。最近は、御指摘のように、森林に対する国民の要請は、特に経済的な機能はもちろんでございますけれども、そういう公益的な機能に対する要請が非常に高まってまいっております。都市に住む人たちは、特にレクリエーションの場としての森林、そういったことに対する要望が非常に強まってまいっておりますから、これに伴いまして観光に対するいろいろな施設の計画もなされておるわけでございますが、ただ、ただいま申し上げました森林のそういう公益的な機能を阻害しないように調整をはかりながらそういう要望にもこたえていくという考え方に立っておるものでございます。
#8
○和田静夫君 私は、私企業の攻勢から保安林な守っていかなければならない、こういう観点から制度の運用というものがなされなければならない、そう思います。それはいかがですか。
#9
○政府委員(福田省一君) 先生御指摘のとおりでございます。そこで、これに対しましては、たとえば、観光のためのホテルをつくるとか、あるいはキャンプ場をつくるとか、あるいはそのための道路をつくるとか、いろいろな設備の要求がございますけれども、それに対しましては公益的な機能を害さない範囲で最小限度にそれを認めてやるというような姿勢に立っておるものでございます。
#10
○和田静夫君 言われるとおり、森林法の二十六条は、確かに保安林の解除への道を開いております。しかし、いまの答弁の趣旨からすれば、この森林法二十六条の運用はかなりきびしくやっていかなければならない、そう思うのですが、そう曲解してよろしいですか。
#11
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございます。
#12
○和田静夫君 そこで、たとえば解除の申請があった場合でも、基本的には保安林の解除はやらないんだという否定的観点からその審査等に当たる、それぐらいの心持ちでちょうどいいんだろうと思う。いまの土地ブームの中で林野行政のそれぐらいまでのきびしい姿勢があって、はじめて保安林というものは守られていくだろう、私はそういうふうに考えているんですが、この点はいかがですか。
#13
○政府委員(福田省一君) 保安林の中には、先生御承知のとおり、いろいろな種類のものがございます。非常に重要なものから、まあその程度が比較的軽いものから、いろいろございますけれども、二十六条にあります趣旨は特にそういった点を配慮してできているものでございまして、できるだけ保安林はそういう施設については避けるとか、あるいはかわりの保安林を設けるとか、そういう措置を講じてまいっております。
#14
○和田静夫君 ところで、その保安林の制度、それから指定と解除の制度、これがいま土地売買が介在して利権を生んでいるのを散見するわけですが、この現実をどういうふうに理解をされますか。
#15
○政府委員(福田省一君) 具体的な事例がありますというと、そういったような問題があります場合には、できるだけ関係機関との調整をはかりながら保安林の機能を害しないようにできるだけの措置を講じてまいりたい、また、そういうふうな措置をとってまいっております。
#16
○和田静夫君 具体的な問題について触れますが、たとえば静岡県田方郡函南町平井南谷下にあります南箱根ダイヤランド、ここの総面積のうち七十一万五千平方メートルは御存じのとおり保安林だったわけですね。したがって、値段も安い。三・三平方メートル当たり約六百円です。そして、そういう形で開発事業者に買い取られ、その後この土地が保安林解除あるいは解除予定になって造成されて、約百倍の値段でいま売りに出されています。そこに巨額な利権が生じていますが、こういうことがまかり通ったら開発業者はみなそれをやりたがるでしょうし、したがって、保安林の値も上がるでしょうから保安林所有者も売りたがるということになって、たいへんなことになるのではないか。この南箱根ダイヤランドでこうした事態を生ぜせしめたのは、現行法上やむを得ない成り行きですか、それとも、この保安林の解除に問題があったのですか、どちらですか。
#17
○政府委員(福田省一君) ただいま御指摘の場所につきましては、土地の売買が六百円のものが百倍の値段で売買されたという事実は、寡聞にして私は承知いたしておりませんですけれども、こういうことは望ましいことではないとは思いますけれども、その保安林の解除の問題につきましては、村からの申請に基づきまして県の意見をいただき、林野庁で農林大臣の許可を与えたものであり、あるいはまたそれを与えようとしているものでございます。土地の売買につきましては、私は実は承知していないところでございます。
#18
○和田静夫君 県やら市の意見書などの具体的な問題については、森林法との関係においてたいへん取り扱いの問題があるように思いますから、それは後ほど触れますが、それじゃ、御存じないというなら、五月三日に「読売新聞」がかなり大きく書いていますね。ひとつ、この問題の経過を、この問題で質問すると昨日打ち合わせしてあるわけですから、ちょっと説明してください。
#19
○政府委員(福田省一君) この保安林につきましては、ただいま先生からお話しがございましたように約七十一ヘクタールでございますけれども、この解除の問題につきましては、昭和四十三年ごろから県で計画が出ておったもののように聞いております。これを一期と二期に分けまして、第一期分につきましては四十九ヘクタールでございますけれども、函南町長から静岡県知事あてに解除の申請書が提出されまして、これは水源涵養保安林でございますけれども、これが出ましたのが四十五年の三月二十三日でございます。それから四十五年の三月三十一日に県知事から意見書を付しまして解除の申請が農林大臣に出されたものでございます。そこで、四十五年の七月七日に解除の予定告示をし、四十五年の八月二十八日に解除の決定の告示をしたものでございます。四十六年の四月二十七日に代替の保安林の指定をいたしまして、この代替保安林は四十九ヘクタールに対しまして約四十三ヘクタールでございますけれども、四十ヘクタールの分は水源涵養保安林でございます。代替の保安林の四十三ヘクタールは保健保安林でございます。これは第一期の解除の経過でございます。
 次に、第二期の解除につきましては、四十六年の四月十六日に函南の町長から静岡県知事あてに解除の申請の提出がございまして、水源涵養保安林二十一ヘクタール、土砂流出保安林約一ヘクタール、合わせまして二十二ヘクタール、これが知事あてに出されたものでございます。次に、四十六年の六月十五日に県知事から農林大臣あてに解除の申請がございました。四十六年の十月四日に県の治山課長あてに照会いたしまして代替保安林の指定について計画があるがどうかということを出したものでございます。四十六年の十一月二十二日に代替保安林の指定の申請がございまして、これは四十八ヘクタールでございます。四十六年の十二月二十三日に上記のいま申し上げました代替保安林の指定の予定通知をしたものでございます。これは水源涵養保安林でございます。四十七年の一月五日に第二期申請分につきまして解除の予定通知をしたのでございます。
 ところが、ことしの四十七年一月十七日になりまして、田方郡韮山町の奈古谷区長、それから同じく長崎区長名によりますところの、柿沢川水源を守る会の合わせまして二百三名からの記名捺印で解除に反対する旨の陳情書が農林大臣あてに提出されまして、これを四十七年の一月十七日に受理しているものでございます。これにつきましてただいま県と連絡いたしまして実情を調査しておるところでございます。
#20
○和田静夫君 この昨日いただきました農林省告示第千三百二十号ですね、お持ちですか。
  森林法第二十六条第一項の規定により、次のように保安林の指定を解除する。
  昭和四十五年八月二十八日農林大臣倉石忠雄保安林として指定された目的
  水源のかん養
 解除の理由
  指定理由の消滅
 それから赤城農林大臣になってから本年の一月五日ですね。
  次のように保安林の指定を解除する予定であるから、森林法第二十九条の規定により通知する。
 このように、解除の理由は指定理由の消滅で、静岡県知事にあてた第二次分の解除予定通知の言ってみれば解除理由も指定理由の消滅と、こういうことになりますが、これはそれでいいわけですか。
#21
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございます。
#22
○和田静夫君 森林法二十六条一項の指定理由の消滅の内容ですね。これは、おたくの林野庁監修の「改訂保安林の実務」の九〇ページ以降によりますと、
  (1)受益の対象が消滅したとき
 たとえば、鉄道をその受益の対象とする土砂崩壊防備保安林において路線変更により鉄道が他に移転した場合等がこれに該当する。
  (2)自然現象等により保安林が破壊され、かつ、森林に復旧することが著しく困難と認められるとき
 たとえば、地盤沈下による海没等がこれに該当する。
  (3)当該保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設等(以下「代替施設」という。)が設置されたときまたはその設置が極めて確実と認められるとき
  (4)森林施業を制限しなくても一受益の対象を害するおそれがないと認められるとき
 そうしますと、南箱根ダイヤランドの場合、いまおたくの解説されている四つのうちのどれに相当するのですか。
#23
○政府委員(福田省一君) この場合は、代替の施設としての保安林を別に指定したということと、それから土砂の流出、特に災害が風水害等がございましたときにそれを防ぐための堰堤その他の施設を十分つくるということができましたので、これが保安林の機能を十分水源涵養として維持できるという判断に立ったものでございます。
#24
○和田静夫君 そうすると、(3)ですか。
#25
○政府委員(福田省一君) そのとおりでございます。
#26
○和田静夫君 そうすると、いま私が読みみ上げた(3)ですね、そこがやっぱり問題だと思うんですが、私はもちろんしろうとです。しかし、私はこれを取り上げなきゃならぬと考えたのは、ある意味では地方自治という形、あるいは開発問題、そういう観点から、こういうものが無制限にやられたら、たいへんなことになると考えたからです。この(3)であなた方が解説されたのは「代替する機能を果たすべき施設」でしょう。これは単なる土砂崩壊のための堰堤ができましたなどということではないんじゃないですか、この「施設」というのは。たとえば、ダムをつくるとかいうような形で、下流地域の住民の生命の危険、そういうものについての安全度というものが保障されるということが最大の要件でしょう。流域地域住民の生命があるいは毎日の生活の不安が増大するという状態の中で、消滅理由が考えられるということにならぬでしょう。どうですか。
#27
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございます。そこで、その点を十分県の意見書等を審査いたしまして、代替施設として、先ほど申し上げましたように、かわりの保安林をつくりましたことと、もう一つは砂防堰堤、これを一基設けました。それから谷どめ工を十九基設けております。これは、考え方は、下流の人たちが非常に心配なこともございますので、百年間に一度降るであろうという希有の雨量、そういったものを考えておりますし、また、この百年に一度の大雨が降った場合には全部それが地表を流れるという前提に立って一応判定しておるものでございます。そういった点を十分考慮いたしまして、ただいま申し上げましたような施設をつくっておけば、まず下流の人たちに心配をかけるようなことはなかろうというふうに考えたものでございます。
#28
○和田静夫君 さっきも御説明がありましたし、昨日保安林担当のおたくの課長補佐さんと十分打ち合わせをしたんですが、五月三日の「読売新聞」の記事はほぼお認めになったわけです。そうすると、この中には、「長崎地区の約四十戸は柿沢川の河床が上流からの土砂流失で年々カサ上げの状態となり、台風のたびに床上浸水している。」と指摘されている。百年に一回などというようなことをお考えになる前に、現象的にはすでにこういう形でもっていわゆる安らかであるべき市民生活が破壊されておるんですよ。こういう点というのはやっぱりお考えにならなければならぬわけでしなう。あるいは、「水源付近の保有林が宅造が進んでなくなれば、土砂の流出はさらに激しくなり、地区全体が冠水、流失する危険もある」と、こういうふうにも指摘をされておるし、汚水などが新興別荘地から流れてくると、付近一帯のイチゴ畑も大きな被害を受ける」と、生活のかてであるイチゴ畑が壊滅するのではないかという指摘もある。これらに対する手だてというのはなされていない。それでもこの保安林の宅造の正当性を主張されますか。
#29
○政府委員(福田省一君) 新聞を見まして、非常な不安を地元の人たちが感じておられるということについては、重大な問題だと考えております。したがいまして、ただいま申し上げましたような施設によって、この機能が完全に果たされて、もう未来永劫心配ないんだというふりに言い切ることも問題があろうかと思います。そういう点を考えまして、地元の人たちの御意見等も村あるいは県が十分聞いておったのであろうとは思いますけれども、こういう心配されているという事態が出たことを十分考えまして、県等と十分打ち合わせをいたしまして今後の対策を立てたいと、かように考えております。
#30
○和田静夫君 そこに林野庁の七一年版の「保安林のしおり」をお持ちですか。
#31
○政府委員(福田省一君) ちょっとただいま持ってきておりません。
#32
○和田静夫君 それをちょっと持ってきてくれますか。いまの答弁との関係では、あなた方、しおりの中に書いてあることを平然と変えるような答弁がなされていますね。しおりの中には、明らかに、涵養保安林はダムをつくるようなものである、こうなっているんです。それから流域住民の安全あるいは流域産業を守る。そういう意味で、保安林が解除をされるならば、第三の理由によって解除をされると言われたんだから、第三の理由によって解除をされるのならば、それにかわるべきまさに保安上のダム施設というものが完備をされなきゃならないんでしょう。
#33
○政府委員(福田省一君) そういう点も十分検討いたしまして今後の措置を考えたいと、かように思っております。
#34
○和田静夫君 そうしますと、やっぱりこの保安林の解除については誤りがあったとお認めになったわけですね。
#35
○政府委員(福田省一君) 水源の涵養についての機能は、先ほど申し上げました、かわりの保安林を指定したことによって十分果たせると思うわけでございますけれども、土砂の流出につきましては、ただいま申し上げております堰堤、それから谷どめ工、これによって十分防げると、かように判断をしてきておったものでございます。
#36
○和田静夫君 どうもわからないんですがね。それじゃ、代替保安林でもって理由が成り立つと、こう言うなら、この図面はわざわざおたくで色塗りしていただいたんだけれども、この状態のものを解除したわけですね。そして、三島なら三島のこんなところに代替保安林でしょう。代替の用をなすんでしょうか。
#37
○政府委員(福田省一君) 保安林のかわりを見つけます場合には、大体全国を二百十六の地域に分けておりまして、この地区は実は北伊豆地区に入っておりまして、十二万二千ヘクタールになっております。非常に広い地域で水源の涵養の問題を考えているわけでございます。なお、しかし、これをきめます場合は、広域的な観点からの水資源確保ということを考えておるわけでございますけれども、地域の地形であるとか、あるいは地質とか、あるいは土壌の状態、そういったものを勘案しまして、地元の意向も総合的に勘案して指定しておるのでございます。
 なお、代替保安林の指定につきましても、このような考え方に準じて行なうことにしておるのでございますけれども、具体的な選定にあたりましては、できるだ解除対象地域の周辺にこれを求めるように配意はしておるのでございます。ただ、御指摘のように、図面で見ますというと離れたように見えるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、基本的には狩野川の流域ということで、伊豆半島を大きく二つに分けまして、北伊豆地区ということを一本に考えてはおりますが、できるだけ対象地域の周辺に求めたいと思うわけでございますが、町あるいは県の意向等をいろいろと勘案しまして経過的にはこういう状態にきめたものでございます。
#38
○和田静夫君 さっきに返りますが、先ほど来、とにかく未熟な部分がある、よって今後その辺については十分検討をして対処しなけりゃならぬ、こういう長官の答弁ですから、したがって、さっき私が述べたように、この解除については、たいへん拙速であった、もっとやらなければならないことがたくさんあった、そういうことをお認めになったわけですね。――まず、それはお認めになったですね。
#39
○政府委員(福田省一君) 水田の上に土砂が堆積しておる問題であるとか、いろいろございます。先生御承知のように、治山治水計画というものは、農林省としましては山のほうを受け持っておりますし、また、大きい流域につきましては建設省のほうの分担で行なっておりまして、両省で十分協議いたしまして流域の住民の安全をはかるということを考えておるわけでございますので、この点につきましては、建設省とも十分連絡いたしましてこういう不安を除くように今後とも努力してまいりたい、かように思っております。
#40
○和田静夫君 ともあれ、結論的には、第一次解除部分については拙速過ぎた、そういうことでしょう、簡単に言えば。あとの問題については、具体的に提言をしますがね、処理のしかたについては。
#41
○政府委員(福田省一君) この問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、四十三年当時から出ておるものでございまして、村の意向も非常に強かったのでございます。また、県もこの点につきましては非常に熱心に検討を重ねてまいりまして、最終的には林野庁にこういう協議があったわけでございます。四十三年から始まった問題でございまして、その後四年間の年月がございます。私たちとしましては、十分に検討した問題だとは思っておりますけれども、ただいまお答えいたしましたように、狩野川全体としては、過去において非常に大きな災害があった問題でございます。農林省はもちろんでございますが、建設省とも十分連絡をいたしましてこれに対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#42
○和田静夫君 先ほどから長官が答弁をされておることは、どうも客観的な指定理由の消滅ではないんですよ。いろいろ言われるけれども、保安林解除をしても実害がないという理由づけに持っていく努力だけを答弁されておる。私が言っておるのは、森林法二十六条にいうところの「農林大臣は、保安林について、その指定の理由が消滅したときは、」というこの客観的な指定理由の消滅について、一体どこにそのことが当てはまるのか、こういう立論でものを言っておるわけです。たとえば、ちなみに、理由は若干違いますが、四十三年の三月十三日の本院の決算委員会で、当時の片山林野庁長官がすでに――ここに同僚委員として同席されておるわけですが、「これは方針としてはおかしいのですが、」という前提で、保安効果が何かの関係で破壊されてしまうというような場合には解除をすると。やっぱり、片山前長官も、「これは方針としてはおかしい」と、こう述べられておる。あなた方みんなやはりそういうふうに考えていらっしゃると思う。それはいろいろ政治的な所作もあるでしょう。これは私はおいおい触れていきますがね。実務を担当されるあなた方としては、もっともっと実は慎重にやられなきゃならないと思っておるけれども、他から何かの理由がある、こういうふうに考えざるを得ないように実はなってくるんでしょうが。
 そこで、谷下山水系の韮山町に対しては指定理由はまだ残っているんでしょう。これはどうですか。
#43
○政府委員(福田省一君) 水源涵養保安林につきましては、代替の保安林も設けたわけでございまして、水源涵養機能につきましてはその機能は大体保たれるということで消滅したものと、かように考えておるわけでございます。
#44
○和田静夫君 長官、あんまり知らないんじゃないですか。そんなことじゃないんです。いろいろ耳打ちされていますけれども、林課長補佐、あなたは、昨日、韮山町に対しても指定理由というのはまだ残っているということをお認めになったんでしょう。それは関係者も私の部屋でお認めになっているじゃありませんか。そうでしょう。そして、残っているから、同地域におけるところの第二次の解除部分について反対の陳情があったから、ずいぶん保留をされてきている、こういう形になっているんでしょう。大体、いろいろ考えましたよ、しろうとなりに。言われるとおり、北伊豆流域というような形でもってそういう水素が違うところに保安林を代替として持っても、全体の流域としては効果があるんです、全国を幾つかに分けて効果があるんですと、こう言われるが、部分部分について指定理由があったわけでしょう。この場合には、谷下山水系、ここにおける部分としての指定理由はあったわけでしょう。それを川の流れの違うところに代替保安林を持っていって、ここの指定理由というのはもはや客観的になくなったんだという論理なんというのは、これは通用しませんよ。そうじゃないですか。私は、いま一番大切なのは、その地域におけるところの住民のアマチュアとしての危険度を考える感覚が政治の中に生かされることが大切なんであって、あなた方が全域をながめながらこれでよろしいんだと言ったところで、現実に災害に伴って生命の危険に脅かされるということになったならば、現実の問題としては住民はそれを納得できないのはあたりまえですよ。そうじゃないですか。たとえば佐藤総理が七〇年代は内政の年だと、こう言えば、それが内政の年の一番基本である政治の根幹に触れる問題ですよ。それを林野行政の中でおかされるということは、許されることじゃないでしよう。
#45
○政府委員(福田省一君) 林野庁におきましては、先ほどお話ししましたように、非常に広域的な観点から、二百十六と申し上げましたけれども、水源の涵養機能ということを判断しているわけでございます。局部的に見ますれば、狩野川の支流、またその支流、相当あるわけでございます。こまかい点につきましては、地方当局が十分地元の意向等も考え、また、そういう点を考慮して判断し、申請をしたものと、かように考えておるのでございますが、なお、その中間におきまして、先生御承知と存じますけれども、静岡県の土地利用対策委員会におきまして数年にわたってこの問題の検討をいたしておりまして、この地区の開発計画ということを十分念査した上でその森林の代替地をどこにするかというふうなことも検討した結果、こういうふうな進達が出てまいったものでございますので、私のほうとしましては、そういう細部の点における地元の関係等におきましては、十分ここ数年間審査をしたものというふうに判断をせざるを得ないと、こう実は思っておるわけでございます。新聞等に出ましたところによりますと、水田地帯等の問題もございますので、繰り返して申し上げますけれども、この辺に対する対策はどうするかということは、新しい観点から県なりあるいは建設等ともよく連絡をして不安がなくなるような状態にその対策を考えてまいりたい、こう申し上げているわけでございます。
#46
○和田静夫君 北伊豆流域全体の問題を考えるというさっきからの答弁ですが、これはやっぱり政治の主人であるアマチュアを納得させる論理にはならぬですよ。市民はやっぱり納得しません。林野庁側が保安林解除のためにつけてやった理由、そうゆうふうにしかこの問題はどうも調査していくと理解できません。そうじゃありませんか。
#47
○政府委員(福田省一君) 森林の機能の点から考えまして、水源涵養保安林は全国の保安林の中の大きな部分を占めておるわけでございます。したがいまして、地元の関係住民に対する影響ということは十分考えていかなければならぬと思っているわけでございます。ただ、こまかい流域の点につきまして一々農林省みずからこれを審査するということは困難な問題でございますので、地元町村からあるいは県からの意見書というものがございますれば、十分それを信頼しまして私ども判断するものでございます。ただ、決定しましたものは、七十一ヘクタールの四十九ヘクタールでございまして、まだ第二期計画として二十二ヘクタールが残っているわけでございます。この点につきましては、新たに先ほど申し上げましたようにこれに対する反対の陳情が出てまいっておりますので、これはやはり地元の意向を全然無視してこれを強行するということは非常に問題がございます。
  〔理事園田清充君退席、理事亀井善彰君着席〕
したがいまして、省を中心とし、なお、県の判断を待って、十分これを念査した上でなければこれを確定することは差し控えたいと、ただいまそう考えておるわけでございます。
#48
○和田静夫君 北伊豆流域というのは、伊豆半島から三島にまで及ぶ広大な流域ですよ。そうでしょう。そこを単位に考えて代替林をつければ何でもやれるんだということになりますと、それこそわれもわれもという形で、たいへんなことになりますよ。流域全体として指定の理由を考える法的根拠ですね、代替林という発想の法的根拠をひとつ教えてください。
#49
○政府委員(福田省一君) 北伊豆流域全体につきましては、熱海とそれから狩野川上流と、それから大瀬川上流、下流、土肥地区と十二万二千五百ヘクタールございまして、これらの全体の中で、農業用水、工業用水、生活用水として推定しまして水の需要というものは全体でどれくらいあるかということを計量しているのでございますが、農業用水としては一億八千八十三万六千立方、工業用水としては八千四百六十万九千立方、生活用水が一千三百七十九万五千立方、合わせまして二億七千九百二十四万立方という水がこの地域としては全体として必要なんであるという基礎に立ちましてこの保安林の配備計画は一つの目標をつくっているわけでございまして、それが全部でただいま申し上げました目標面積は一万二千六百九十五ヘクタールと、かようになっておるわけであります。それで、昭和三十八年度末現在の統計しかただいまございませんですけれども、指定しましたのが合計で水源涵養保安林が目標のただいま申し上げました一万二千六百九十五ヘクタールに対しまして、実績が一万二千六百二十三ヘクタール、かようになっておるものでございます。この法的な根拠は保安林整備臨時措置法でございます。
#50
○和田静夫君 私の質問に答えてください。いわゆる代替林ですね、それの法的根拠というのはありますか。
#51
○政府委員(福田省一君) 先ほど先生から御指摘がありました二十六条一項によりましてそれを判断しているわけでございます。二十六条一項によりまして代替保安林を指定することによってその理由が消滅したものであるというふうに判断しておるものでございます。
#52
○和田静夫君 いや、それじゃ、流域全体としての指定の理由を考える法的根拠――あなた、行政上こうやっているという説明は要らないんですよ。森林法を全部読んだって、代替林ということはないし、流域全体におけるところの指定の理由を考えるところの法的根拠なんてないでしょう。あなた方、行政的にやっていることだけでしょう。
#53
○政府委員(福田省一君) 保安林整備臨時措置法によりまして、全国的にどれくらいの保安林をつくるかということを一応きめてある。その中で、先ほどお話ししましたように、全国を二百十六の地区に分けまして、伊豆地区はそういう判断に立っているものでございます。
 なお、つけ加えて申し上げますけれども、保安林は、全森林の――国有林、民有林合わせまして、二七%でございます。水源涵養保安林はその中の七五%でございます。
#54
○和田静夫君 いまのあなたのやつを一歩譲って、二十六条の一項だと、こう言われる。そうすると、この場合はさっきのあなたの流儀で言う(3)だ。そうすると、「当該保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設等」この中に代替林が入っているということですか。代替施設だというのですか、代替林は。
#55
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございます。
#56
○和田静夫君 とにかく、あなた方がそういう解釈をするというのならば、それじゃこの代替林の面積、これをひとつ確認してください。いただいた地図のこの部分です。
#57
○政府委員(福田省一君) 第一期計画の分につきましては、四十三ヘクタールでございます。
#58
○和田静夫君 全部じゃなくて、分かれているわけでしょう。
#59
○政府委員(福田省一君) そうです。第一期の分につきましては、代替林が四十三ヘクタールでございます。
#60
○和田静夫君 分かれている部分部分について……。代替林は一つじゃないでしょう。一つですか、一カ所ですか。
#61
○政府委員(福田省一君) 二カ所でございます。予定は第一期分が四十三ヘクタール、それから第二期分の予定が四十八ヘクタール、合わせまして九十一ヘクタールでございます。もとの保安林は、第一期分が四十九ヘクタール、第二期分の予定が二十二ヘクタール、合わせまして七十一ヘクタールでございますから、合計しますというと、七十一ヘクタールを九十一ヘクタールにふやす結果になるわけでございます。
#62
○和田静夫君 二十ヘクタールふえたと、こういうことですか。
#63
○政府委員(福田省一君) はい。
#64
○和田静夫君 そこで、もう一つ答弁の落ちているのは、さっきから何べんも言うとおり、北伊豆流域全体の発想、それ全体をとらえての保安林発想ですね。しかし、部分的には、さっきからも言っていますように、谷下山水系、ここの部分でいわゆる保安林としての指定がされておった理由というものが存在いたしますね。ここの単位における解除理由というのは一体何ですか。
#65
○政府委員(福田省一君) ここの部分につきましては、こちらから指定解除するようにしたのではございませんで、先ほど来申し上げておりますように、町の計画と県の計画に基づいてその要請をいれて、全体としては水源涵養機能を阻害しないようにという判断で代替地を求めるように要求いたしまして、さように決定したものでございます。
#66
○和田静夫君 冒頭に原則的にきびしく対処しましょうということを確認し合いましたよね。開発業者の進出の過程などからも考えていって、解除についてはきびしくやっていくべきだ、きびしくし過ぎるほどして間違いがないんだと、そのことはお互いに確認したわけだ。その答弁したことを忘れずにおいてもらわないと困る。そこで、私が言っていることは、その答弁との関係では、あなたが、いまずっと言われている具体的問題に入ってくると、かなり今後において対処しなければなりませんというような不安要素を一ぱい残しているわけです。きびしさがなかった、その点が実はこの問題を取り上げる一番大きな問題の一つですよ。
 そこで、こういうふうに考えてみたらどうでしょうか。この代替保安林の所有者はだれなんですか。
#67
○政府委員(福田省一君) この地区の所有者は、富士市の財産区と、箱根山森林組合と、この両者にわたります。
#68
○和田静夫君 そうすると、この財産区と森林組合から町が買って、そうしてこれを代替保安林として申請したのですか。だれが買ってどういうような申請をしたのですか、これは。
#69
○政府委員(福田省一君) これは県知事がこの地区が代替保安林として適当であるというふうにこちらに申達があったのでございますけれども――失礼でございますが、先生のいまの御質問は、どこが買ったかという質問でございますか。
#70
○和田静夫君 そうすると、代替保安林は、いま言われたとおり、財産区のものであり、あるいは箱根の森林組合のもので現在もある。そこを代替の保安林として指定をした、こういうことですか。
#71
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございます。
#72
○和田静夫君 所有者がいま確認をした代替地の用意をしてそして全体として障害のない形で申請してきたものを却下するほど私権制限をする能力が林野庁にはない、こういうふうに昨日説明に平られた方は言われていますが、その点はそう考えておいてよいですか。
#73
○政府委員(福田省一君) これは私有地でございますので、これにつきまして制限を付することにつきましては慎重にしなければならぬ問題であると考えております。
#74
○和田静夫君 だから、私がいま述べたような形、また、きのうおたくの説明に来られた方が述べられたようなこと、いま私が大体概略言った――一言一句違わないとは言いませんけれども、いわゆる私権制限をする能力が林野庁にはないんだと、そういうことが前提になりながらいかれる考え方というのは、やっぱりあなた方の中にあるわけでしょう。
#75
○政府委員(福田省一君) これは私有財産でございますので、絶対に解除しなければならぬということは、代替地その他の条件がございませんというとできないことになっております。
#76
○和田静夫君 どうも答弁かみ合いませんが、この申請者はだれです。
#77
○政府委員(福田省一君) 申請者は函南町長でございます。
#78
○和田静夫君 そうですね。そこで、あなたは、さっきから私は黙って聞いておったのだけれども、県の意見書がありました、町の意見書がありました、こういうことです。申請者はいま言われたとおり町長でしょう。町長は所有者じゃないでしょう。所有者ですか、町長は。
#79
○政府委員(福田省一君) 町長は所有者でございません。
#80
○和田静夫君 そこで、町長が所有者じゃない。所有者でない者が申請をしてきた。そこで、私権制限も考えながら、その辺はきびしくどうも対処することができなくて、前段であなた方がお述べになったように、今後幾つかの問題を残したまま解除されていった、後ほど第二次計画分については住民の強い怒りが出てきたからあわててこれをとめている、こういう状態であなた方の失政というものが生まれた、こうなりませんですか。
#81
○政府委員(福田省一君) 森林法二十七条に、「保安林の指定若しくは解除に利害関係を有する地方公共団体の長又はその指定若しくは解除に直接の利害関係を有する者は、省令で定める手続に従い、森林を保安林として指定すべき旨又は保安林の指定を解除すべき旨を書面により農林大臣に申請することができる。」と、かようになっているわけです。今回は利害関係を有する地方公共団体の長から出ているわけでございます。
#82
○和田静夫君 どうも答弁がかみ合わないのだけれども、こういうことですね、一口に言えば。私の考えでは、来月の決算委員会でずっとこれは引き続きしますけれども、そこの部分をいまここで固有名詞をあげて明らかにしませんが、どうもいろいろの理由がある。ここであなた方が言いにくい理由もある、いまの段階では。その解除の理由、指定理由の消滅というのは、むしろあなた方が林野庁の中から知恵をつけてやった、そういう感じがしてしかたがないんです。なぜか。実体は転用目的だからです。そして、そのことをあなた方は御存じだからです。どうですか、この辺は。
#83
○政府委員(福田省一君) そういうことはございません。
#84
○和田静夫君 なかったら、それじゃ、おたくから持ってきた昨日の資料を読んでください。意見書を読んでください。県と市の意見書を読んでください。あなた方の資料に基づいて私は質問しているんですよ。
#85
○政府委員(福田省一君) 指定理由の消滅による解除につきましては、先方に通達を流しておりますから、行なわれておると思います。取り扱いは全部同じでございます。
#86
○和田静夫君 あなたからいただいた資料ですよ、これは。静岡県知事竹山祐太郎から農林大臣倉石忠雄あての意見書の「2転用目的の実現性について」の中で、「これらの事業遂行に当っては町行政と起業者の開発目的の合意のうえに要約して」と、転用目的は明らかでしょう。これは現実として認めない方針でしょうが。なぜお認めになったのですか。
#87
○政府委員(福田省一君) 原則としては、先ほど申し上げましたように、水源涵養機能というものは全体として保全されればいいわけでございますが、県の土地利用対策委員会におきまして、数年にわたってこの地区についての開発計画につきましていろいろと検討した結果、代替の保安林というものを別途につくるから、この辺についての解除をしてもらいたい、こういう意見がつけてあったわけでございます。原則は、冒頭から私が申し上げていますように、水源涵養機能というものがその地域全体として確保されるのであれば、県としてのそういう地域開発計画というものもやはり公共的な使命を持っておりますものでございますので、そういう判断に立ちまして、水源涵養機能全体がこの流域で確保されるということであるならば違当であろう、こういうふうに判断したものでございます。ただ、何べんも申し上げますように、具体的にはいろいろと下流の農民の方々が非常に迷惑をされておるということは十分に尊重してまいりたい、その対策を考えてまいりたい、かように考えております。
#88
○和田静夫君 あなた方のお書きになったものだから、読むのは釈迦に説法になってぐあいが悪いんですが、「転用を目的とする解除は、保安林の解除後における土地の利用目的による区分にすぎないから、転用することだけでは保安林の解除の理由とはなり得ず、」と明確に書いているでしょう。転用目的であることは、意見書で、県の場合あるいは市の場合に明らかなんですから「解除の理由とはなり得ず、当該転用が指定の理由が消滅したときに該当するかまたは公益上の理由により必要とされるかのいずれかでなければならない。従来の保安林解除は、公益上の理由による必要=転用のための解除・指定理由消滅の解除=普通林への復帰という形が一般的であったということができるが、近年、地域開発が進むにつれて森林に対する保全上の要請が高まる一方、保安林が開発の対象とされる場合も多くなった。このような動きに対応して保安林の解除を適正に処理するためには、法適用の前段階として「転用のための保安林解除の取扱い」について他と区分して対策を講ずることが必要とされるに及んでこの区分をするに至った。」と、こうされているわけですね。したがって、転用目的というものがもう明らかにこうなっているものに対して、あなた方が解説されているところの趣旨に基づいて、しかも何べんもあなたが答弁をされて認められたように、不安要素をたくさん残したまま解除をされたという理由について、納得をしてくれというほうが無理だと思いませんか。しろうとが納得できるようにしてください。
#89
○政府委員(福田省一君) 転用したからということでそれで代替保安林をつくったということでは決してございません。転用した理由は、県のこの地区に対する総合的な開発計画という公共的な考え方に基づいて転用計画をつくったものでございます。ただ、保安林をこの地区を解除して代替の保安林をつくるということは、二十六条一項にございますように、理由が完全に消滅する、つまり、かわりの保安林をつくるとか、あるいは代替の施設、まあ堰堤であるとか谷どめ工、こういうものを完全につくるということでなければ、理由は消滅したものであるというふうに判断しないわけでございます。ただ単純に消滅したから解除するという理由によって解除したものではございません。たびたび申し上げますように、この村の全体としての今後の発展計画、それに対して土地利用対策委員会が十分長年引き続いて検討した結果こういうふうな結果が最もよろしいという知事の意見を尊重いたしまして、二十六条の一項に該当する消滅理由を完全につくりましてこれを解除したといういきさつでございます。
 ただ、新聞でも言っておりますように、下流の人たちのためのことにつきましては、十分この対策は考えてまいりたいというふうに考えております。
#90
○和田静夫君 時間の関係がありますから、私は、先ほど述べたような理由でどうしてもこの保安林解除を納得することができませんから、引き続いてこの問題は取り上げていくことを明らかにしておきますが、この解除はどうも大きな政治的圧力によるものが介在をする。それは、南箱根ダイヤランドのオープン・セレモニーに政界の大物十数人が花輪を贈っている事実がきわめてそれを象徴しているものだと思うんです。
 そこで、お尋ねをいたしますが、この土地な買った大誠総業――いまは日誠総業に引き継がれていますが、この日誠総業の役員名をおっしゃってください。
#91
○政府委員(福田省一君) 私、実は、新聞で見ましたもので、その会社の内容につきましては、ただいまのところ承知しておりません。
#92
○和田静夫君 これは、御存じのとおり、ここの保安林の部分は日誠総業の持ちものですから、この謄本がありますから、御存じないというなら、この役員名を調査願って資料として提出を求めます。
#93
○政府委員(福田省一君) 調査の上提出いたします。
#94
○和田静夫君 四十五年の実績をちょっと聞きたいのですがね、保安林解除の。大体何件でどれぐらいございましたか。
#95
○政府委員(福田省一君) ただいま四十五年度の実績はございませんが、四十二年度、四十三年度、四十四年度の実績はございますが、全部申し上げましょうか。
#96
○和田静夫君 四十四年度だけでいいです。
#97
○政府委員(福田省一君) 四十四年度は、全体で件数で一千六十四件でございます。それから面積で七千二百四十二ヘクタール、かようになっております。
#98
○和田静夫君 私の調査によりますと、四十五年の実績は大体二千件です。そうして四千二十六ヘクタールが解除されておる。一件平均は約二ヘクタールとなっておりますね。これはまあ多くが道路です。宅造もあります。宅造が四十一件ぐらいあるんです。これが二千七百二ヘクタールくらいおたくの中でもう出ている。このうちに公営の事業がもちろんあります。五百ヘクタールぐらい公営の事業がある。そうすると、これは一件当たりには五ヘクタール以下ですよ、解除がね。ところが、この解除は、民営の事業ではきわめてまれな大規模解除ですね、この問題については。それはお認めになりますか。
#99
○政府委員(福田省一君) この一千件、四十五年度については先生は二千件とおっしゃいましたが、道路は、件数としては非常にたくさんございますけれども、面積は実は少ないわけでございます。それから、逆に、たとえば農業用の開拓パイロットであるとか、それから草地造成、これは件数は少ないのですけれども非常に大きな面積になっておるわけでございます。その場合場合によりまして、件数が多いけれども面積は少ないもの、逆に件数は少ないけれども面積が大きいものというふうな実情になっておるわけでございます。ときには、草地なんかにつきましては、非常に大面積のものがございます。
#100
○和田静夫君 それだから民営の事業では今度の部分は大きくないというのですか。最後のところをちょっと……。
#101
○政府委員(福田省一君) 資料がいまございませんので正確には申し上げ得ませんけれども、比較的大きいほうじゃなかろうかと思います。
#102
○和田静夫君 これぐらいの大きさのやつがもしありましたら、少し実例をあげてくれませんか。
#103
○政府委員(福田省一君) 後ほど報告いたします。
#104
○和田静夫君 そこで、南箱根ダイヤランドに隣接して昭和カントリークラブというのがございます。これは御存じですか。
#105
○政府委員(福田省一君) 実は、私、ここの地区にまだ行ったことがございませんで、カントリークラブがあるかどうかは承知いたしておりません。
#106
○和田静夫君 これぐらい大きな、しかもまれに見る解除をやったんだから、長官、一ぺんぐらいやっぱり出かける必要があるのじゃないですか。
#107
○政府委員(福田省一君) つとめて現地をよく視察するようにしたいと思っております。
#108
○和田静夫君 この昭和カントリークラブというのは、天城のゴルフ場、ホテルですね。これは昭和振興株式会社が日活から時価三十億ぐらいのものを六億何千万で買ったものです。買いたたいたと言えばいいでしょうね。日活の事情というのは、御存じのとおりの事情でしょうから、いま。この買いたたきをやるにあたって、幾つかのたいへんな事実があるのですが、その問題は別の機会に取り上げますけれども、この昭和振興株式会社の役員も、実は、後ほど提出を約束をしていただきました先ほどの日誠総業とダブっている。で、その両社に顔を出している方が、まあ政治的にいろいろうわさをされている。佐藤総理がいつおやめになるか、解散がいつになるか知らぬけれども、そういうことがあるわけですが、その日誠総業という会社の取締役が窓口になって、この問題についての政界からの働きかけというものが、解除についてですよ、林野庁にそういうような形のことが全然ありませんでしたか。
#109
○政府委員(福田省一君) 私のところには全然ございません。おそらく林野庁に対してはなかったであろうと思っております。
#110
○和田静夫君 いまの答弁は答弁としてとにかく一応きょうは承っておきますが、私はこの問題で何人かの不動産業者と会いました。その責任者の方々からお聞きをしましたものを総合的に考えてみますと、この中のあるかなり有力な方は、たいへんむずかい保安林解除のルートができ上がっている、林野庁OBの中にそれを商売みたいにしている人がいる、こう述べられている。これも私はおいおい立証いたしますが、少なくともここ――まあ前長官がいらっしゃるし、その前の長官も同僚議員でいらっしゃるわけですが、二、三代の林野庁長官というのはそういう人を御存じなのじゃないかと思うのですが、現在の林野庁長官であるあなたはこういう話について全然御存じじゃありませんか。
#111
○政府委員(福田省一君) 全然承知いたしておりません。
#112
○和田静夫君 それでは、この解除手続にだれとだれが林野庁に来ましたか。
#113
○政府委員(福田省一君) 解除手続には私のところには直接だれも参っておりませんが、治山課のほうには函南の町長が参ったそうでございます。
#114
○和田静夫君 それは函南の町長だけじゃないでしょう。
#115
○政府委員(福田省一君) 函南の町長だけと申しておりますけれども、あるいはそれ以外にもあるかもしれませんから、あとで調べて御連絡いたしたいと思います。
#116
○和田静夫君 それじゃ、それは、調査の上、すぐ連絡してください。
 そこで、もう一つ問題になるのは、その中に、函南町役場職員のような状態を装いながら、実はそうでなかった人がいるはずです。これはいま長官から答弁がおそらくできませんでしょうから、この問題を含めて後ほどの報告の中に明記してもらいたい。よろしいですか。
#117
○政府委員(福田省一君) 承知いたしました。
  〔理事亀井善彰君退席、理事園田清充君着席〕
#118
○亀井善彰君 私は、少しく小さな問題ではございますが、関係する方面も非常に広範にわたりますので、この際、食糧庁長官はお見えになりませんが、森総務部長がお見えになっておりますから、二、三の問題について伺いたいと存じます。
 四十七年の二月二十六日に省令の改正があり、それに関連をして長官からあるいは次官から通達が出されまして、それぞれ各地方において作業が取り進められた問題でありますが、第一の問題は、米の物価統制令からの適用除外でございます。この問題が実施されましてからここに一カ月半経過をいたしましたが、その間における消費者米価の動向をまずお聞かせを願いたいと思います。たとえば、全国的にというわけではございませんが、大消費地における消費者米価は、物統令廃止前と廃止後におきましてどういうふうな趨勢を示しておりますか、この点についてまず第一に伺いたいと存じます。
#119
○説明員(森整治君) 物統令の廃止後の米価についての御質問でございますが、われわれ毎週火曜日にスポットで食糧事務所の全組織を使いまして調査をいたしております。それによりますと、米価は安定した水準で推移をしておるというふうにわれわれは承知しておるわけでございます。
#120
○亀井善彰君 たいへんいい傾向のように承知をいたします。
 そこで、第二番目に伺いたいのは、物統令の適用除外がされると同時に小売り関係の新規参入という道が開かれたこともすでに御承知のとおりでありますが、この問題につきまして少しく私はこの機会に意見を伺いたいと思うのでありますが、一体、新規参入の指定をされたところ、あるいはまた、各府県におきます人口動向との関係、それぞれの指導によって指定をされた地域、そういうふうな新規参入の申請というものがどの程度ありますか、その点についてひとつ概数を承りたいと思います。
#121
○説明員(森整治君) 大都市の指定区域では、東京では千三百二十八件、大阪では九百件、川崎では百三十六件、横浜では五百六十五件、名古屋市では百七十四件、京都市では百二十三件、神戸市は百五十一件というふうに事務所に申請が一応出されておるというふうに承知しておるわけであります。これは五月七日現在の資料でございます。
#122
○亀井善彰君 なお、それに付随いたしまして、地方長官が指定をいたしました人口急増地域の関係、この関係におきまする新規参入の申請、この状況もあわせて伺いたいと存じます。
#123
○説明員(森整治君) ただいま手元にある資料によりますれば、茨城、埼玉、千葉、神奈川、静岡、滋賀、京都、奈良、高知というような府県におきまして人口増加等の地域指定が行なわれているように承知しております。
#124
○亀井善彰君 私は、この新規参入の道を開かれたこと、これ自体については、もうすでに経過した問題でありますから、賛成をしないものではございません。もうこうなった以上は、それでけっこうだと、こう思いますけれども、情勢を全国的にながめますというと、新規参入という道が開かれたというようなことが相当に解釈がはき違えられて、いまいろいろ御指摘のありました地域におきまして非常に多数の新規業者が申請をして、そしてこれがために地域によりましては業界の中に相当の混乱を起こしておる。この混乱を起こしておるという事態につきましては、食糧庁当局においてもあるいは御承知かと存じますけれども、あらためて、そういう点にも承知をしておられるか、あるいは何ら承知しておられないのか、こういう点について承りたいと存じます。
#125
○説明員(森整治君) 先生御指摘のように、まあ全部ではございませんれども、多くの地域で、既存の業界の方々が、何といいますか、当初予想をしていたよりも多く申請が出たというふうに感じられまして、いろいろ慎重に審査をしてほしいということを関係の知事に要請をしておるようでございます。まあそういう事実はございますが、何せ、新規参入ということは、米の価格水準を安定をさせていきたいということと、米の流通、販売の合理化ということを進めていくというのが基本でございまして、業界の間で混乱が起こるということをこの制度自身が考えておるわけではもちろんございません。どなたか、一応経験要件等、いろいろな必要な要件を備えておる方が登録の申請をされることは自由でございますから、たまたまそういうふうにこの際お米の販売の登録をとりたいという方が意外に多かったということがこういう事態を招いておるというふうにも考えられます。ただ、まあそういうことは事実でございます。
#126
○亀井善彰君 時間もございませんから、ごく簡単に伺いますが、実は、いまの新規参入の中で、こういう道が開けたらば新しく米屋ができると、こういうふうなことが相当にはき違えられまして、従来のやみ業者、従来公然とやみ業者として活動しておった者が、一人で五、六十件の店舗申請をしておる。あるいはまた、一つの卸が扇動をして、扇動ということばは穏やかではございませんけれども、そういう形で、一つの会社、一つの役員の名前で、百件もあるいは百二、三十件も申請をしておる。これは神奈川だけでなくて、神奈川から東京まで進出して申請をしておる。こういうふうな形で、一体、これらが、示されておりまする資格に適合するものかどうか。先ほどちょっとお話のございましたこれからの指導によってそういう関係者に適合しない者があるならば、地方庁はそれに対して拒否する。やみ屋が表に出てきて堂堂と従来の米屋の権益を侵してまで商売ができるということは、食糧管理法があるのかないのかというところに大きな疑問が出てくると思うのであります。食糧管理法はズルフンながらもまだ生きております。その中で仕事をしておりますのが、従来その法網をくぐっておった者が表に出てきて堂々と商売ができる、こういう姿は好ましくない。こういう問題は地方庁にゆだねられている問題かもしれませんけれども、これらについては食糧庁当局として十分にそれらの実情を調査されて、適当な御指導をされるべきではないか。御承知のとおり、現在の米穀の販売業者というものは、一部には非難を受けている向きもございます。だが、しかし、いずれにいたしましても、過去三十年間、政府の施策なりあるいは県の施策なりに協力をしてそうして営々として営業してまいった米穀業者であります。その中にいま申したようなやみ業者がこの際進出をして、そうして正規の業界を混乱させるというようなことは、まあいわばよく言う正直者がばかを見るということは、私はどうしても納得ができ得ない。こういう意味で、いま相当に混乱をしておるその姿、まあ特にあげて言いますれば、東京でありますとか、神奈川でありますとか、大阪でありますとか、そういうふうな地方に対しましては、食糧庁からの意図によって、指導について十分な配慮がされることが必要ではなかろうか。このまま放置するということは当を得ておらない。同時に、現在の声を聞きますというと、少し関係がありますから聞くのでありますけれども、こういうことを言っております。過去三十年間も政府に協力をして、県の食糧行政に協力をしてきた、それが最後のここになって血も涙もないような施策を講ぜられてはどうしても納得ができない、こういう声は盛んに聞くのです。私はこれはもっともだと思うのです。そういう意味で、県がその許可はするのでありますけれども、現在のような私からいえばルーズな姿で申請された者が許可されて、そうして正規の米屋が倒産のうき目にあうというような形は、これはどうしても許されるべきではなかろう、かように考えますので、この点については十分食糧庁から地方庁に対しまして指導を願いたい、かように考えますが、食糧庁当局ではそれに対してどういうお考えで対処されますか。何ら手をつけないか、それとも、適当に各地方庁に対しまして指導をすると、こういうお気持ちであるか、はっきりこの際承りたいと、かように考えます。
#127
○政府委員(佐藤隆君) 食糧庁から事務的に答える前に、私のほうから一言だけお答えをしておきたいと思いますが、新規参入の趣旨等についてはすでに亀井委員御存じのところでありますし、その趣旨にそぐうような形で取り運ばれるように重々配慮しながら進めておるわけでありますけれども、私どもも実は大都市においていまおっしゃるような不都合な申請の向きもあるやに漏れ聞いているわけでありまするけれども、それらは、ほとんど、審査保留になっているとか、そういう形で慎重な審査が進められておるようでありますから、それほど心配はないのではないかと思いまするけれども、しかし、この新規参入によって、しかも不都合な形で、その趣旨にそぐわない新規参入が行なわれた場合、いかに自由競争であろうとも、過当競争によって従来国策に協力をしてこられた米屋さんが倒産をするというようなことが万々ないように行政指導を進めていくと、こういうことで部内は一致した意見で、食糧庁においてその趣旨に基づいて指導をしておるところでございます。
#128
○亀井善彰君 そのようなお気持ちで御指導を願いたいと思います。
 きのうも、工藤委員がここにおられますけれども、物統令が適用除外されてからもうけるのは米屋だけだと。私はこの点はどうしても理解ができないんです。いま最初に申したように、総務部長からお答えのように、米価が上がっておらないというこの事態はそれを裏書きしていると思うんです。特にこれから地域流通米のごときは、鉄道運賃が上がる、こうなってまいりますれば、御承知のとおり、どうしても六十キロ二百円程度の運賃は増高されるのではなかろうか。そうなってまいりますというと、それにより必然的に米価の高騰というものはやむを得ない。いまの米屋があたかも悪いことをする本尊であるというような解釈は、もちろん先ほども申したとおり全面的にりっぱな業者ばかりではない、これは私も承知しております。しかし、それは一部でありまして、その大部分は食糧庁の指導のもとに、県の指導のもとに、法を守って現在まできたのでありますから、私は、物統令が適用除外されていま米価が横ばいをしておる、上がっておらないという姿は、やはり従来のよい惰性で米価が上がらないでおる、こういうふうに理解をいたしております。また、今後もそのような方向でこれを推し進めていかなければならない、そう指導しなければならない、こう思っております。どうか、いま次官から申されたようなそういうふうな方向でこの際大きな混乱を来たさないような形で農林省のほうで御指導願いたい。そして、消費者にも迷惑のかからない食糧配給行政というものが推進されるように希望する次第であります。
 なお、大蔵省から見えておりませんか。――見えておりませんね。それじゃ、以上で私の質問を終わります。
#129
○理事(園田清充君) 暫時休憩いたします。
 午後は三時から再開いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時二十四分開会
  〔理事亀井善彰君委員長席に着く〕
#130
○理事(亀井善彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、当面の農林水産行政に関する件を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#131
○工藤良平君 私は、きょうは、二つの問題について御質問いたしたいと思います。
 最初は農協短大の問題について、後ほど自然環境保護法とそれから林野庁の保安林の関係について御質問いたしたいと思います。
 最初、農協短大の問題について、ここ数年来、この短大廃止の問題で農協内部におきましても職員側とそれから理事者側との間においていろいろな問題が提起をされておるようでありますけれども、もちろん直接の当事者ではありませんけれども、当然農林省としては指導的な立場をとられているわけであります。この廃止の問題について、どの程度把握をし、また、その理由は一体どういうことなのか、すでに論議もかわされておるようでありますけれども、まずお伺いいたしたいと思います。
#132
○政府委員(内村良英君) 協同組合短大は、昭和三十年に、それまで大正十五年の産業組合附属産業組合学校以来伝統を持っております教育施設を短期大学にしたわけでございます。ところが、三十年代の後半に至りまして、系統の中からこの大学の教育につきまして批判が起こったわけでございます。それはどういう批判であったかと申しますと、二年制の短大では学力が十分でないのではないか、それから農協系統組織が大きな期待を持って財政のほとんどを、負担しているのにもかかわらず、現在の学校法人では、たとえば教員の採用については、一般的な学歴あるいは教員歴に基づくことに偏して、農協運動の貴重な体験を持つ人を加えてない等、結果として農協系統組織から遊離した実情になったというようなことが原因としてあげられたわけでございます。その結果、全国農協中央会では、組織内のそういった要請にこたえまして、昭和四十二年の五月に、中央地方の農協系統組織の代表者からなります農協教育整備対策委員会なるものを設けまして種々検討した結果、新たに三年制の中央協同組合学園というものを設けるということになりまして、四十四年の九月からこの学園が開かれ、同時に、四十四年から短大につきましては学生の募集を打ち切りまして、現在短大には通信講座の学生が八十五人残っておる、これは昨年の十一月現在の数字でございますが、そのような状況になっておるわけでございます。
 そこで、こうした農協の教育機関の問題について農林省もどのように考えておるかというような御質問かと思いますが、私どもといたしましても、農協運動というものを考えます場合に、農協が何らかの職員の教育施設を持つということは必要だと思います。ただ、どういう教育をするかとか、あるいはどういう機関によってやるということは、やはり農協自体がきめることでございまして、農協はある意味では公的な機関であり、ある意味ではまた自主的な機関でございすから、役所が一々こういう教育をやれというところまで干渉するのは行き過ぎじゃないか。したがいまして、私どもといたしましては、系統の意思というものを尊重しながら指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#133
○工藤良平君 大体の経過、概要についてはわかるわけでありますが、現在の短大で、たとえばいま一番先にお話がありました二年制で足らない、足らないとすればそれを三年制のものを別につくったようでありますけれども、三年制ということはできないのか、その点についてはどうでしょうか。
#134
○政府委員(内村良英君) 短大ということになりますと、二年制ではないかというふうに思います。
#135
○工藤良平君 先ほどお話がありました短大は二年制だと。したがって、それを三年にするということは不可能だろう。したがって、それにかわるべき一般にいわれております中組学園――中央協同組合学園というものを別につくったということなんですけれども、これは学校教育法に基づいた学校としてつくられたわけなんですか、どうなんですか。
#136
○政府委員(内村良英君) 中央協同組合学園は、いわば企業内教育というようなものと同じでございまして、別に各種学校にもなっておりません。
#137
○工藤良平君 私ども仄聞するところによりますと、実際にこれはこれからの農業、特に農協経営の新しい人材を求めていくという目的を持って進められてきたと思いますし、また、この中組学園についても私はそのことが一つの目的ではないかと思うのですが、そういう同じような目的を持っているとするならば、むしろ公教育としての役割りを果たしてきた短大ということのほうが、企業内の教育を進めていくというような行き方と比較してみますと、私は公教育の立場のほうが当然ではないだろうかという気がするのでありますけれども、その点はどうでしょうか。
#138
○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございました点につきましては、これはいろいろな考え方があると思います。そこで、先生の御指摘のように、ちゃんとした学校法人で教育したほうがいいじゃないか、そういう私塾的なあるいは企業内教育的なものよりいいじゃないかという考え方はもちろんあると思います。ただ、系統の中でいろいろ議論した結果、やはりそういった学校をつくって自分たちの非常に期待しているような職昌一層というものをつくっていこう、あるいは協同組合活動に専念する人をつくっていこうというふうに考えてやったわけでございまして、私どもといたしましては、その点については、いろいろ議論があると思いますけれども、まあ現在系統がそういうふうに考えて仕事を進めているということでございますから、それを見守りながら指導していきたいと、こういうふうに思っております。
#139
○工藤良平君 中組学園の問題についてはここでちょっと内容についても触れてみたいと思うのでありますけれども、廃止の二つ目の理由といたしまして農協系統から遊離したというような意見があるようでありますけれども、それはむしろこの短大を扱ってきた運営そのものに、理事者側そのものに逆に問題があるのではないかという気がするのでありますけれども、せっかくあるものをなぜこういう形に改組しなければならないのか。しかも、職員が現実の問題として中組学園三年を卒業してみても、公教育ではありませんし、何ら資格も得られないということから、高校卒というような形の資格しか得られないわけなんであります、公的には。そうすると、必ずしも職員そのものはこの中組学園そのものを好んでいないのではないかということを私は聞くのでありますけれども、もちろんこれは直接農協から聞けばいいのではないかと思いますが、しかし、農林省を通じてそれらのものについてもし実情がわかればお聞きをしたいと思います。
#140
○政府委員(内村良英君) 私どももその実情につきましてはいわゆる農協の系統から聞いているわけでございまして、しかもだいぶ古いことでございますから、農協の話に間違いがあればそれは多少違うかと思いますけれども、いろいろな資料等によって見ましても、短大との関係というのはやはりこの中央学園をつくるときに問題になったようでございます。そこで、その間の経緯について農協系統組織が言っておりますところを見ますと、短大は現在学校法人短期大学として運営されており、新学園が考える運営形態とはおのずから異なることになっている、新学園の構想がより農協教育としてふさわしいと判断されたというようなことが書かれてあるわけでございます。そこで、それは具体的にどういうことなのかということでございますが、その辺は私が持っております資料でははっきりいたしませんが、何か独自の教育組織が必要だというような立場から中央学園というものの構想が出てきたというふうに考えられるわけでございます。
#141
○工藤良平君 どうも、私ども、この問題をいろいろと検討してみますと、真意のほどがわからないわけであります。全くこのような教育機関というものが農協関係に必要でないということであれば、それなりにわかるのであります。しかし、そうじゃなくて、必要なんだ、必要だから別にそれにかわるべきものをつくるということで中組学園というものをつくって、そのつくったものは実は公教育の立場ではなくて、全く私企業の内部で行なわれている。私に言わせれば、極端にいえば講習所みたいなものになる。しかし、三年やっているようですから、もちろん講習所みたいな簡単なものではないと思いますが、資格なり公的な立場から見るとそのようなかっこうになる。なぜそのようなものに肩がわりしなければならないか、どうしても私どもは理解できないのでありますが、その真の理由は何であろうか。よく聞くのですが、たとえば、偏向教育が行なわれているとか、いま言った農協の運営そのものから遊離した教育が行なわれているということが真のねらいではないかというふうに思うのですが、この点についてはたいへん答弁しにくいと思いますけれども、これからの新しい農業に向かっての農協の役割りというものを考えてみると、そこはやはりきちんと問題点をえぐり出しておく必要があるのではないかと思いますから、できればお答えをいただきたいと思います。
#142
○政府委員(内村良英君) 私どもも農協から聞いている以外に特にほんとうの原因は何であったのかというところまで実は詰めておりませんけれども、先ほど申し上げましたような理由を聞いておるわけであります。
 そこで、短大と新しくできました中央協同組合学園とを見てみますと、中央協同組合学園のほうが現に組合の職員になっているという人が生徒としては多いようでございます。ほとんどそうじゃないかと思います。それに対して、短大のほうは、一般的に学生募集で、卒業してから農協外に就職している人もあると思いますけれども、その辺に違いがあって、やや企業内教育的な色彩が強まったというようなことは言えるのじゃないかという気がいたします。
#143
○工藤良平君 そこで、実は、問題が一つ出てくると思うのですね。さっきから再三私の意見も申し上げておりますように、必ずしも農協の短大を出たからといってきちんと農協に就職するということを義務づけるということは、公教育としては問題があると思いますね。できるだけそういう方向で就職をしてほしいという理事者側の願望というものはもちろんあるだろうと思うし、あっていいと思います。しかし、それがきちんと義務づけられることについては、公的な学校教育の面からやはり問題があるだろう。ところが、今度の中組学園については、私は就業規則を見せていただきましたけれども、これはまさに企業いわゆる理事者側に忠実な教育を行なう、それに従わなければ非常にきびしい態度で臨むような就業規則というものがあるわけであり、これは私はこれからの農業を背負って立つ職員に対する教育として、あるいはこれからの農協の職員となろうと志すものについての問題として重大なような気がするわけですが、その点についてはどうですか。
#144
○政府委員(内村良英君) 私どものほうも就業規則自体について一応検討と申しますか読んでみたわけでございますが、これもまたものの考え方になってくるのじゃないか。この規定は少し行き過ぎだと考えるか、まあこういった企業内の教育であればこの程度のものはこうかなというような、教育基本法に書いてあるのと似たようなこともございますし、それ以外のことも書いてございますが、どうもその辺は考え方の問題になってくるのじゃないかという気がいたします。
#145
○工藤良平君 考え方の違いで逃げられますと、これはどこまで論争しても平行線になる可能性がある。私は、できるだけこの考え方については一致点を見出だしたいと思っているんです。たとえば、一つの企業が非常に企業教育というものをやっております。農協の教育というものを一私企業の企業内教育と同一視することがいいのか、私はそこに大きな疑問を持つものであります。農協というものは、私企業と違って、きわめて公的な問題を持っておる。いわゆる農家という大衆を組織した農協でありますから、しかもそれは民主的に運営されなきゃならぬということになっているわけでありますから、私企業のいわゆる企業内教育とはおのずから性質を異にすると思うんですね。したがって、そういうことを考えてみると、この就業規則の中におけるいわゆる極端に言うと企業の言うなりの教育を行なうということは、農政がどういう方向に行こうと、あるいは農協運営というものがどういう方向に行こうと、それに対する反発をすることはいけないということに規定づけられてくるわけで、私はこの点については教育という面から言うと非常に大きな問題があると思うのですが、局長として、私のこの考え方に全く平行線なのか、基本的にはそのことが正しいと、こういうように思われるのか、いわゆる私企業と農協の持つ企業内のこの学園との関係というものはおのずから違ってくるのじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
#146
○政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘がございましたように、農協といわゆる私企業、株式会社というものとはやはり違うと思います。したがいまして、農協法上も、農協につきましては役所が定款違反とか法令違反ではないかというようなことから検査もいたしますし、指導もすることになっております。そこで、その点につきましては、私も、単なる私的企業と農協は違うと、だからかなり公的な機関であるということは全く同感でございます。そこで、それでは、そういった機関であるから、全く私企業と同じような教育であるかどうか、その点になりますと、私も別に株式会社の個別の企業内の教育というのはよく知りませんけれども、それと完全に同じであるか、あるいは違うか、あの就業規則自体が違うかということになりますと、もう少し比較検討して詰めてみなければならぬ問題があるのじゃないか。しかし、農林省といたしましては、農協が公的な機関である反面、その設立は自分たちの意思によって設立するわけでございますから、自主的な機関でもあるわけでございます。そこで、そういった教育等の問題につきましては、やはり、農協の自主性といいますか、その系統の意思というものを役所としては尊重すべきじゃないかというふうに私は考えております。
#147
○工藤良平君 農林省の立場というものが、いま言う農協の理事者側が一つの方向をきめた、それに対してどの程度に規制を加えられるかどうかということは、確かに疑問もありましょう。しかし、私は、全体的ないまの農業という問題をとらえながらこれらに対処していくということは必要ではないかと、このように思っているわけであります。
 そこで、先ほど廃止の事由の三番目ですかにありました農協実践家が教師に比較的入らない、こういうようなことから農協運営との間に大きなギャップが出る、こういうことが一つの理由だということも言われてまいったようでありますけれども、従来の実績としてそれでは全然入っていなかったのか、こういうと、私は資料をいただいているわけでありますけれども、教授陣の間においては全中なり全購、全販連等からかなりの陣容が投入されておるようなことを聞いておるのでありますけれども、その点についてはどのように把握をしていらっしゃいますか。
#148
○政府委員(内村良英君) 私は、先ほど申し上げましたように、どうも教員の採用について学校法人の場合には必ずしも農協の自由にならぬという面があるのだということを聞いております。具体的にそれではどういう人のケースかというところまでは、私は、人の名前をあげて聞くところまでは聞いておりません。
#149
○工藤良平君 まあごく一部で二、三ありましたけれども、私は先ほど局長がお話しになった廃止の理由を一つ一つ調べてみても、必ずしも短大を廃止して別のものをつくらなきゃならぬという理由はどうも見当たらないような気がするし、そういった意味から、さっき申し上げましたように、
 一体そうすると真のねらいというのはどこにあるのかという疑問を持たざるを得ない。そうすると、ただ単に偏向教育とか、あるいは全国連の経営者の意のままにならないということのほうがむしろ真のねらいではないのかという疑問を持つわけなんでありまして、私は、そのような点について、先ほどから再三申し上げますように、これからの農林行政は非常に大きく転換していく。しかも、極端に言うならば、いまの農協が官僚化しあるいは金融機関化してしまっているという状況をどのように変えて、ほんとうに農民のための農協をつくり出し農政をつくり出していくかということを考え合わせてみると、この問題は非常に重大ではないか。むしろ公的な教育機関として存続させ、それを育成強化していくということのほうが大切ではないかというように思うのでありますが、その点について、もちろん一つの農協の決定はありましょうけれども、基本的な考え方としてお伺いしておきたいと思います。
#150
○政府委員(内村良英君) 現在日本農業が直面している事態におきまして、農協の経営の問題は非常にむずかしい問題になってくる。特に、米の生産調整、あるいは最近の金融緩和というようなところから、農協の経営は非常にむずかしいことになってくる。そこで、農協を健全に育成していくためには、関係者一体となって、役所も指導の面から十分やらなければいかぬわけですが、そのような事態に直面しているということは私どもよく承知しております。さらに、農協の体質強化のためにりっぱな職員をつくっていくということもまた重要であることは、申すまでもございません。ただ、その教育をどうするかということにつきまして農林省としてこういう教育でなくちゃならぬということを農協に言うということにはやはり問題があるということになりますと、現在の系統の意思というものを役所としては尊重せざるを得ないという立場にあるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、現在の決定というものを尊重しながら指導に遺憾のないようにしていくというのが役所として最善の行き方ではないかというように考えているわけでございます。いうのは、各学校というものは、特に私立学校の場合には、建学の精神というのがありまして、理事者の人たちが集まって学校ができるわけですね。その理事者の人たちが、建学の精神がもうそこなわれている、だからこの学校は解散すべきであるという場合には、法律上も解散できることになっておる。その判断の問題になるわけでございまして、そこでそういう判断があったということ自体が基本になると思いますけれども、われわれ行政庁としてはそういう判断があったということを前提に問題を考えざるを得ないのではないかと思います。
#151
○工藤良平君 ただ、私がさっきから再三言っておりますような農協教育の基本的な問題について、私の主張していることが理解できるかどうか、全く理解できないということなのか、それは今後私どもが地域における農民との接触あるいは農協幹部との接触の過程の中で非常に重要な問題だから、私はそのことを言っているわけです。その点についてはどうでしょうか。
#152
○政府委員(内村良英君) 先ほど来先生から御指摘のあった点につきまして、私は、全然考え方が違うとか、全然わからないということは申し上げていないわけでございます。ただ、農林省という行政庁の立場からいけばその辺までしか指導監督はやれないのだということでございますし、さらに、役所といたしましては、そういった系統機関の公的な意思決定というものは尊重すべきではないかということを申し上げているわけでございます。
#153
○工藤良平君 もちろん、私も、農林省がその中で逸脱してはいけない領域があるということは当然だと思います。ただ、正しい考え方というものを披瀝するということもこれまたあってしかるべきではないか、このように思いますから、この種の問題については特に短大または中組学園との関連においてやはり大きな疑問も残るわけでありまして、今後の運営の中においてももしもこれが私企業内における教育機関のようなことが発展をしてまいりますと、これからの農協、さらには農家にとりまして重要な問題だと思いますから、その点については特に私は警告をいたしておきたいと思っているわけであります。
 それでは、あまり時間もありませんから、もうちょっと二、三話を詰めてみたいと思うのですが、いままでこの短大で行なわれてまいりました通信教育の問題でありますが、全国にこれだけ分散もしておりますし、経済的にも私は必ずしも農協の職員が優遇されているとは思っておりません。むしろ低賃金の代表が農協の職員ではないかということを私は極端にいつも申し上げるのであります。そのような人たちが、これからの農協経営を考え、農村の立場を考えて、やはり通信教育でもいいから勉強しようという熱意を持っている、それにこたえてきた短大の役割りというものは大きいと思うんですね。いま発足している中組学園についてはそういう通信教育という面はないようでございますが、いま行なわれている短大の通信教育という問題について、その意義と、これから一体どうするのか、その点についてもし農林省としての考え方なりあるいは農協の今後の対処のしかた等についての考え方がわかっておれば、お聞きをいたしたいと思います。
#154
○政府委員(内村良英君) 先ほども御答弁申し上げましたように、昨年十一月現在で八十五人でしたかの通信教育の学生が残っておるわけでございます。これにつきましては、今年、スクーリングをやったり、いろいろな論文指導というようなこともございまして、四十八年の三月で全部卒業することになっておるようでございます。そこで、今後それでは農協の職員の通信教育みたいな教育をどうするかということにつきましては、これは系統の人たちとも相談しながら必要があれば何らかのことをやる必要があるのではないかと思っていますが、具体的にどうこうということはまだいまのところ考えておりません。
#155
○工藤良平君 この農協の全中の資料によりますと、最近、中組学園を各種学校にしようと、このような動きが速報等を見ますと出ておるようでありますが、この点については、さっきから私が再三申し上げておりますように、いわゆる公的学校、公教育の短大をなくしてこういうものに変ええたといういきさつからして、各種学校にするということについては若干矛盾するのではないかという気がするのでありますけれども、そういう動きがあることを御承知ですか。
#156
○政府委員(内村良英君) 私のほうは、まだ農協から現在の中央協同組合学園を各種学校にするということは聞いておりません。
#157
○工藤良平君 もしもそのようなことが具体的になってまいりますと、現在ある――もちろん廃止という方向はきめておりますけれども、現在通信教育の八十五名も残っているというこの短大の関連というのはより複雑重大になってくると思うのですが、農林省としてはどうでしょう。
#158
○政府委員(内村良英君) 確かに、ただいま先生の御指摘になったような問題は、検討しなければならぬ問題として出てくると思います。しかしながら、いまのところ各種学校にすることも考えていないということでございますので、その問題は当面起こってこないのではないかと思います。
#159
○工藤良平君 その問題は当面は起こってこないということを確認しておきます。
 それからもう一つは、結局、廃止の問題をさっきお話しが再三ありましたように理事者側としてはきめているということで、そうしますと、この短大の財産の処分の問題、帰属の問題、これが今後どうなるのか。あるいは単組学園にこれを片がわりしていくというようなことはできるのか。その場合に、農林省としても若干補助金も出してきたような経緯等もあるし、これは関係が出てくると思うのですが、その点についてはどうでしょう。
#160
○政府委員(内村良英君) 確かに、短大は、現在土地、建物で相当な財産を持っております。そこで、解散する場合に、その財産の帰属がどうなるかという問題につきましては、残余財産の配分については短大の寄付行為で一応定めておりますので、その寄付行為によって措置するということになると思います。
 そこで、問題は、昭和三十年と三十四年に、特に三十四年度におきましては一千万円の施設補助金を出しております。これがどうなるかということでございますが、この補助金を出しました場合に、「補助事業により取得した財産の全部または一部を農林大臣の承認をうけて処分したことにより収入があったときはその全部または一部を納付せしめることがある」ということを補助条件としてきめておりますので、その残余財産の処分の状況いかんによってはこの補助金の返還を求めるということが起こり得るかと思います。
 それからたしか三十年だったと思いますが、三十年に出しました補助金につきましては、その補助金によってつくった施設が撤去されましたので、たしか撤去されましたのは四十五年の五月三十日に撤去されましたが、この件につきましては、七月七日に農林大臣から返還命令を出しまして、百三十五万円の補助金の――多少資産価値が減った部分等は引いてございますが、それに相当する額を返還さしたということがございます。
#161
○工藤良平君 これは財産の処分の問題等については今後さらに問題が残っていくと思いますし、私はまた事態を見詰めながらさらにこれらの問題については十分監視をしていきたいと思っているわけでございます。あとの問題がありますから、ここら辺で打ち切りたいと思いますけれども、ただ、一つ最後に、農協の職員はもちろんのことでありますが、単協いわゆる組織内部におきましても、この短大の廃止の問題については、下部に対してそれらの内容があまり明確に示されないままにむしろ唐突に行なわれたようなきらいさえあるような状態を私どもは聞くのであります。現在も署名その他によりまして存続を求める動きがかなり活発になってきておるということを実は把握しておるのでありますけれども、これらについては過去に衆議院なり参議院の場におきましても先輩諸士が論議をしてきたようでありますけれども、先ほどから再三私が申し上げておりますように、農協という比較的公的な立場にある団体の教育というものがほんとうに私企業的な内部の教育というものにすりかえていかれるということについては、私は大きな危惧の念を持っておるし、危険だと思っているわけでありまして、それらの点から当然これらの存続を希望し、さらに教育を求めている熱意を持った人たちのためにもこの廃止の問題については慎重を期さざるを得ないと、このように思っておるわけであります。もちろんすでに理事者側としてはそのことは決定をされておりますけれども、これらについてはなお今後農林省としても一つの限界はあろうと思いますけれども指導的な役割りを果たしていかなければならぬと、このように思っているのでありますが、この点については過去にこの委員会におきましても大臣は発言をなさっておるようでありますけれども、ぜひ大臣の、特にこの重大な時期を迎えた農協、さらにその中における教育問題に関係をいたしまして御意見をいただければ幸いだと思っているわけであります。
#162
○国務大臣(赤城宗徳君) 私はせっかくできている農協の短大をやめるということは、あまり好ましくないと思うわけであります。教育全般から考えますと、私は、産業組合学校なんというのは非常に必要だ。あれは産業組合精神というものがあって、そういう一つの精神に基づいて産業組合というものを経営していくということは必要だと思う。いまの農協の短大というものがどういう精神でやっていたかということはよく承知いたしておりませんが、そういう点では評価することはできませんので、やはり農協の主体性に基づいてやめるならやめるということはいたしかたないと思いますが、私はせっかくあるものをやめるということはあまり好ましいことではないと考えます。
 大体、農業教育というものを非常に軽く見ています、世間で。私の知っている農業学校なんというものも、だんだん普通科に持っていってくれというわけで、農業というものを何だか下のほうに見られるのをきらうというように生徒や父兄なども考え、先生も考えておる。そういう傾向は私は非常によくない傾向だと思うのです。これは世間がそうなっているからしかたがないといえばしかたがないけれども。それからまた、教育のあれで、これは教育の内容をよく考えないと私も言えないのですが、たとえば戦前に士官学校というのがありました。どうも、幼年学校から士官学校だということだと眼界が狭い。中学から士官学校へ行った者のほうが幅が広くて、幼年学校から行った者はどうも狭い。あるいはまた、師範学校という教育制度がありましたが、これらについても、一つの狭い、世間全体の国全体とか社会全体というものを考えないで、ある小さいところで固まってしまう教育というものが必ずしもいいか悪いかという問題があったと私は思います。
 そういう面から見ましても、農業関係の農協の短大等の内容がどういうふうな指導方針であったか、あるいは精神がどうであったかということを私も十分承知しておりませんから、これに対しては批判はできませんが、しかし、結論的に言えば、せっかく農協の短大をつくった趣旨というものは私は悪い趣旨ではないと思うが、それの経営が非常にまずいとかなんとかということでやめるということは好ましくない、私どもの立場から言えば。しかし、これも、創立者というか、農協のほうできめることにあまり容喙することもどうかと思いますが、私の考え方を述べますれば、以上述べたような気持ちでございます。
#163
○工藤良平君 あとの時間もありますから、私はこの程度で残念ながら終わらざるを得ないわけですけれども、この問題についてはなお今後尾を引くだろうと思いますし、同僚議員からも機会を与えられてこの問題に対する質疑をする予定にいたしておりますから、その点について私は付言をしておきたいと思いますが、私は再三申し上げておりますように、農協の性格なりあるいはいまの農家の置かれている立場からして、当然やはり公教育としての広い視野の農村指導者をつくるということは私はきわめて大切だと思う。特にこのような状態の中では大切だと思っているわけでありまして、ぜひ大臣のいまの考え方を生かしていただいて今後の指導に当たっていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 それでは、次の問題に移らせていただきます。これは一昨日ですか新聞に出ておりましたけれども、自然環境保全の対策として今度立法化を考えてきたようでありますけれども、これが林野庁との関係におきまして保安林の問題でだいぶ手間どったようでありますが、どうにかその点がまとまったということですけれども、当初考えておりました環境庁の考え方と、今回まとまりましたその結論との間において、どのような違いがあるか、また、どのようなそこには障害があったのか、その点をまずお聞きをいたしたいと思います。
#164
○政府委員(首尾木一君) 自然環境保全法案でございますが、実はまだこれは最終的には政府としてもちろんきまっておらない問題でございまして、いずれ法制局の審査を経まして閣議決定をお願いするというような段階でございますので、まだ政府部内としてそれがきまったというわけではありませんが、ただいまやつでおりますのは、環境庁案につきまして各省との間で問題を煮詰めていっているということでございます。
 その内容といたしまして、一昨日の新聞で報道されておりましたようなことの問題でございますが、これはまだ案の段階でございますので、いろいろ今後も動くというか、さらに検討を加えるべき問題ではございますが、一応お尋ねの点につきましては、保安林の問題について、当初、私どものほうといたしましては、これは現在の自然公園法と同じような個々の許可制というか、保安林につきましても、保安林の上での許可制と同じというか、別個の立場からもう一つの許可をかけていく、そちらのほうで法案をかけていくというような考え方でございましたが、いろいろ保安林の運用の問題でありますとか保安林の制度ということをお話しをいたしまして、今回やります自然環境保全法案におけるそういう問題となっております地区の調整につきましては、これは一応保安林のほうで許可がすでにあったという場合には環境保全法案での許可は要しないというような形でいきますということに、一応事務当局の間ではそういう考え方でまとまったものでございます。
#165
○工藤良平君 環境庁としては、当初、保安林を林野庁の手から自然環境を保護するという立場からやはり一元的に扱うということが最も望ましいのではないかという考え方の上に立っておったのではないかと私は想像するわけでありますけれども、結果的にいまお話しのようなことになったようでありますけれども、この点について林野庁としては保安林の目的あるいはその重要性等からいたしまして、最終的に林野庁が固執をいたしました主たる理由というのは一体どういうことになるのでありますか。
#166
○政府委員(福田省一君) 林野庁といたしまして当初環境保全法案が出ました際の自然保護についての基本的な考え方を申し述べますと、第一点は、私たちは、森林の保護ということにつきましては、現在日本国土の約七割近くあります森林をそのままの原生の状態にしておくということは、これはほんとうの意味の保護ではない。現在ありますところの森林は、中には非常に老齢過熟な森林もあるわけであります。生長がすでにしていないそういう状態の森林は、たとえば北海道の風倒木が出ました際に一斉に倒れる、そのあと始末に数年かかったというような状態でございます。したがいまして、ある程度の伐採をいたしまして若い健康な森林に育てていく。しかも、その資源の内容は、現在持っておりますところの森林の蓄積約二十億立方メートルでございます。これを約倍にふやす、そういう考え方に立っておったわけです。そういうふうな健全な森林でございますれば、被害にも強いし、また森林の蓄積容量もふえるわけです。公益的な面におきましても、それからまた経済的な面におきましても、国民の要請に十分こたえることができるであろうという考え方に立っておるわけでございます。ただ、中には、学術参考林のようなものであるとか、文化財の保護に類するようなものであるとか、そういう重要なものにつきましては原生のままの状態に残しておく。かような意味におきまして、環境庁のお考えにはそういう点ではぜひ御協力したいという考えを持っておったのが第一点でございます。
 それから第二点でございますが、たとえば森林に火災が発生したとする。実は、青森管内に火災が発生しております。去年は広島に大きな火災が発生した。あるいはまた広島の赤松の虫害が入ってきた。あるいは台風の場合に相当立木が流失して下流の人たちに被害を与える。こういうふうな状態が発生した場合に、これを保全し保護していく仕事は、都会の人よりはむしろ地元の農山村の住民の方々の御協力を得まして自然を保護していくということは、第一点に申し上げました意味と関連しまして非常に重要なことであると考えておるわけでございます。かつ、また、それによりまして地元の農山村の人たちは現金収入の道も得られるわけでございます。したがいまして、自然保護というものは、やはり地元の農林業に従事する人たちのために、また、その人たちのおかけでできるのだ。換言しますと、農林業不在の自然保護というものは考えられない、これはぜひ重視していただきたい。
 それから第三点でございますが、第三点は、自然保護のためにいろいろと伐採規制をいたします。普通の工場の生産の仕事、あるいはまた農業と違いまして、森林の育成の仕事は、五十年、場合によっては百年以上かかるわけでございます。特に、民有林の場合には、零細な山持ちの方が多いわけでございます。こういう人たちが造林をします場合には、ことし、来年もうけようと思って植えるわけではございません。必ず子供とか孫のことを考え、子孫のためを考えて植えているわけでございます。それがもし伐採の時期に至りましてこれは自然保護のために切ってはだめなんだということになりますと、非常に不安になるわけでございます。これは造林意欲を停滞させる非常に重大な問題になるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そういう森林に対して自然保護の立場から規制を加える場合は、もしその土地の所有者がそれでは困るからこの土地を買ってもらいたいということが出た場合には、じゃ買ってあげましょうということを法律の上で約束しておく、いわゆる買取り請求権ということを法定することが必ず必要じゃないだろうかというふうな御意見を申し上げておったわけであります。
 以上が、私たちが今後のことを考えまして、自然の保護のためにぜひとっていただきたい措置でございます。
 なお、保安林の問題につきましては、先生御承知と存じますけれども、全国土の約三割、特に国有林の場合は五割近くでございますが、これが保安林になっております。森林法の中におきまして、保安林と申しましても、約十七種類ございます。水源涵養保安林、あるいは土砂が崩壊することを防ぐ保安林、土砂が流出することを防ぐ保安林、耕地の防風林、あるいは海岸の砂防林、いろいろございます。これらの保安林につきましては、森林法の中で、計画的にこれを組みまして伐採する場合には必ず許可を必要とするというふうに規制しているわけでございます。ただ、この計画に従ってやらぬ場合には、勧告制度はございますけれども、環境庁とその点につきましていろいろ協議いたしまして、勧告制度が非常に甘いという場合にはなお命令権を出す、あるいは罰則を設けるという点につきましても事務的に接衝を重ねてまいっておるわけでございますが、おおよそ環境庁との間では両方の意見が調整されている段階にまいっておると、かように考えておる次第でございます。
#167
○工藤良平君 特に林野行政についてはいま新たな任務というものが負わされていると思いますね。もちろん、農業につきましても、私は先日も農林大臣と議論をしたわけでありますけれども、人間の生活環境を保護するという立場から、大気、水質汚濁等の保護を私たちがやらなければならぬという任務が農土の場合にも新たな問題として提起をされてきたということを申し上げてきたのですけれども、林野行政の場合にも、ただ単に営利第一主義ではなくて、いま言ったように、国土の保全からいろいろな私たち国民生活の上にとりましても非常に重要な問題というのが提起されておるわけです。そういった意味から、環境庁としても、この山の問題については自然保護という立場から今回の立法という形になったのだろうと思うのですね。したがって、一体その調整をどうするかということが今後の非常に重要な問題であります。しかし、その点については、これから具体的な事例の中でたくさんの問題が提起されてくるだろうと思います。ですから、これは農林大臣のほうにも考え方として伺っておきたいと思うのですけれども、今後の山林行政というものが、ただ単に営利第一主義ではなくて、そういう新たな問題の立場から当然とらえられていかなければならない立場というものが出てきた。もちろん従来からもそうですけれども、新たに再認識をされるということが必要になってきたのではないか、このように思うのでありますけれども、その点、特に環境庁と林野庁との今回の問題もずいぶん詰められてきたようでありますから、大臣にその点をお伺いしておきたいと思います。
#168
○国務大臣(赤城宗徳君) 環境庁の考えも林野庁の考えも、根本的には同じだと思うのです。それは、森林の持つ公益的機能といいますか、そういうことの上に立って鋭意これを保護していこうと、それが環境庁のほうの立場でありまするし、林野庁の立場は、そのために、ただ現状のままでなく、よりいいものにしながら公益的機能を強めていこう、こういうことでありますから、その公益的機能を持っているということに対しての認識は、環境庁も林野庁も同一だということだと思います。ただ、環境を保全していく方法論についていささか違っておったと思うわけであります。林野庁としては、国有林全体についての林野の公益的機能という立場から、たとえば保安林というようなものを強く認識しておるし、環境庁のほうでは環境保全というようなところから方法論としての考え方が出てきたと思うのです。しかし、私は、いまの事務的に話し合ったことが一番現在としては当を得ているのじゃないかと、こう思います。もちろん、林野庁におきましても、経済的立場から経済利益を生み出そうというようなことだけで森林行政をやっているわけではないと思います。ただ、いま特別会計になっておるものですから、そうして責められるものだから、何とか伐採して収入を得ようというような出先なんかにあせりがあるようで、この間の事件なんかもそういう点もあるように考えます。ですから、これからの林野の公益的機能というものは、いま初めてではない、その林野の存在がそれなんですが、その存在価値を生かすような方向からいえば、特別会計でやっていくよりは、やはり、国全体、国民全体の林野というようなこと、それを現在のままではなくしてよりいいものに保持しながら国民全体のものとして大事にしていくというところに力を入れるということになれば、これは一般会計からも相当金を特別会計へ繰り入れるということは当然じゃないかと私は考えるわけであります。そういう意味におきまして、国全体のもの、国民全体の林野だと、そうしてこれを環境の面からいいましてもあるいは治水その他の面からいいましても大事にして育てていかなくちゃならぬという面を政府全体でも国民から認識してもらって、一般会計からもそれに必要な金は出していくというような方向で私は進めたいと、こういうふうに思っております。
#169
○工藤良平君 結論を私はそこへ持っていこうと思ったのですが、大臣がすでに結論を出してしまいましたけれども、これは後ほど最終的な締めくくりとしてもう少し大臣にその点は詰めてみたいと思っておるのですが、先ほどから林野庁長官、大臣のお話しのように、これからの林野庁の自然保護の立場からもいろいろ林野行政に対する重要性というものは増してくるだろうと、こういうふうに思います。ところが、たまたまいまの問題が解決をしたという新聞と同時に、五月十一日の「毎日新聞」に、私は新聞記事をことさら取り上げるわけじゃございませんけれども、「林野庁と業者のゆ着」ということで保安林の違法伐採が鹿児島県の川内署管内で行なわれたということが実は提起をされておるわけであります。特に保安林の伐採の許可権を持つ林野庁が、このようなみずから保安林の違法であるかのような伐採の方法をやったとするならば、私はたいへん大きな問題だと思っているわけでありますが、その事実関係について林野庁としてはどのように把握をしていらっしゃるか、その概要について御説明をいただきたいと思います。
#170
○政府委員(福田省一君) ただいま御指摘の熊本営林局管内の川内の営林署の問題は、私も新聞で見まして、ただいまのところは電話連絡である程度の情報をとったのでございますが、これは鹿児島県薩摩郡の宮之城町の宇都塚国有林十八林班というところで、昭和四十六年、四十七年両年にわたりまして伐採を行なうものというふうに聞いておるのでございますが、実は新聞の内容だけでも具体的な内容がどうもわかりません。営林局と電話連絡しましても、なかなかかゆいところに手が届かぬような状態がございまして、実はさっそく昨日打ち合わせをしまして林野庁の監査官を現地に急行させましてただいま調査しておるところでございます。この事実が判明次第さっそく善処したいと、かように考えておるところでございます。
#171
○工藤良平君 それでは、現在私のところでわかっている範囲でこれから聞いてまいりたいと思います、具体的な問題をですね。したがって、その具体的問題が森林法やあるいは現在行なっておる林野庁の方針に沿っているかどうかという点についてお答えをいただきたいと思います。
 まず、この保安林の伐採というのは、いわゆる森林法でどのような規定になっているか、たとえば面積の問題、これについて具体的にお伺いをしたいと思います。
#172
○政府委員(福田省一君) 保安林の伐採につきましては、森林法の中におきまして、それぞれ伐採の場合はその伐採の方法、たとえば、皆伐にするとか、あるいは択伐にするとか、あるいは全然切らない森伐にするとかということを保安林の種類別にきめてございます。また、そのあとは必ず造林しなければならないことになっておりまして、造林する場合にはどういう木をいつまでに植えつけなければならないというふうなことを指定施業要件を定めまして、それぞれこまかにきめておるものでございます。
#173
○工藤良平君 そうすると、川内署管内のこの事件については、十八林班の三十七・一五ヘクタールというのが施業計画に基づいて伐採され、新たに苗木が植えつけられているわけでありますけれども、三十七・一五ヘクタールというのは保安林の伐採基準からいたしまして別に問題はございませんか。
#174
○政府委員(福田省一君) この場合には、一応電話連絡等で聞いたところでございますけれども、御指摘のように、伐採の面積につきましては、この場合には二十ヘクタールということが一つの基準になっておるわけでございます。したがいまして、もし二十ヘクタール以上伐採しておるということになりますというと、これは問題があるわけでございます。その点につきましても、現地調査をただいまやっております。ただ、電話連絡によりますと、これは先生御承知かと思いますけれども、混合契約という方法によりまして二回にわたって契約いたしております。特に質の悪い木、昔いわゆる炭とか薪をとった低質広葉樹林と称しておりますけれども、これを早く針葉樹にかえまして、生長量の旺盛なそういう森林にかえるために、低質広葉樹というのは良材になりませんので、大体はパルプの主材のものでございまして、それを切ったあとに造林をさせる、そのほうが能率があがるというふうに考えまして、混合契約という方法をとりまして、二カ年にわたって伐採をし、そのあと造林させる、また、造林の前には地ごしらえをするというふうなことをしているわけでございますが、三十七ヘクタールと御指摘がございましたけれども、この場所は大体二団地に分けてこれを伐採し造林していくという連絡でございました。調べましたらこまかい規定がございまして、団地と団地の間の距離というものが二十メーター以上なければ少なくともいかぬと、これは地形によりましていろいろございますけれども、非常にしわの多い山とか平坦地とかによって条件は違いますが、少なくとも団地と団地の間は二十メーターなければだめだということにしてあるわけでございますので、三十何メーターとか離れていると、こういう連絡でございますが、その辺もあわせましてよく調べておきたいということで派遣しているわけでございます。
#175
○工藤良平君 私は、長官、そういう現地を見ていないからとかあるいは報告が来ていないからという言いのがれは許されないと思いますよ。なぜ二十ヘクタールという一つの基準をつくっているのか。保安林という性格からして、保安林をそれ以上一回に伐採をするということは防災上からもいろいろな関係から面積の制限というものがある程度つくってあるでしょう。同じ林班の中で十八林班の中でたとえそれが二十ヘクタールが二十一ヘクタールであったからそれは法規に違反するとかなんとかいう問題でなくて、なぜ二十ヘクタールということにしたのかというのは、安全性、災害防止という重要な問題があるからこそそういうことを規定するわけでしょう。もちろん、事実関係は、私も一ぺん行ってまいりましょう、あなたがそう言うなら。私は写真を全部持っていますけれどもね。そういう言いのがれは許されませんよ。もしもそれじゃ同じ十八林班の中で三十七ヘクタールが――もちろん年度はまたがっております。年度はまたがっておりますけれども、これが同じ個所で伐採されたとするならば、災害その他の関係から重要な問題だと思います。当然私は今後の問題として林野庁としては保安林の伐採については十分なる監視と措置が必要だと思いますが、その点についてはどうですか。
#176
○政府委員(福田省一君) 先生御指摘のとおりでございまして、二十ヘクタールという規則をつくりましたことを簡単にいま御説明申し上げますというと、これは全国的にそういう基準があるわけでございますが、全国の森林の中におけるこまかい渓流、これを拾いますというと、大体一団地が二十ヘクタールになっているということが第一点。それから第二点は、木の高さ、まあ平均しまして成林した木は十五メーターないし二十メーターあるわけでございますが、その十五メーターの三十倍ぐらいが風とかその他の影響を防ぐというふうなデータもございます。したがいまして、十五メーターの三十倍、それを一辺とする矩形の面積が大体二十ヘクタールになるというふうな一応の根拠があるわけでございます。で、全国的に一応二十ヘクタールという基準を設けてはあるわけでございますけれども、それを理由にして、先生御指摘のように、団地を連続して二十ヘクタールずつ、もし二年やれば四十、三年やれば六十ということになって、御指摘のように言いのがれになるという問題があるわけでございます。特に、最近、災害が頻発する状態にもございますし、また、レクリエーションの場その他のために、森林を自然のままに存置してほしいという要望もあるわけでございます。これらの問題を含めまして指定施業要件のあり方については実は本年の初めから検討しておりまして、これらの問題につきましてはもっときびしく規制していくというための法改正も検討中の段階ではございます。
#177
○工藤良平君 それでは、次に、契約の問題でございますけれども、契約とそれから現実の仕事の関係についてお伺いしたいと思います。契約は、さっきお話がありましたように、立木の売却と地ごしらえが混合契約、こういうことになっております。植えつけの場合には別契約になっておりますね。なお、その中で、十六・九二ヘクタールの分については次年度いわゆる四十七年度分の仕事として残されておるようでありますが、そこで、私、これは具体的にお聞きしたいわけでありますが、立木の売却と地ごしらえが混合契約となっておりまして、それが契約が四十六年の二月二十五日、初年度二十・二三ヘクタール、次年度十六・九二ヘクタールということでこの立木の売却の契約が行なわれております。作業期間が四十七年ことしの十一月三十日という期限になっておるようであります。もちろん、まだ期限はあります。ありますが、問題は、二十・二三ヘクタールの植えつけ契約が四十七年の二月三日から四十七年の三月二十五日の五十二日間ということで、すでにこれは完了して、植えつけの代金も支払われておるようでありますが、その点についてはすでに完全に植えつけがりっぱに終わったと、このようにおそらく報告はなされていると聞きますが、その点の確認はきちんとなされておりますか。
#178
○政府委員(福田省一君) 一応これも至急連絡をとりました回答の中では、四十六年六月二十五日から四十七年十一月三十日までの契約になっておるわけでございます、伐採につきましては。伐採の済みました分についてはすぐに造林をするということで、造林についての契約は、ただいま御指摘のように、二月の三日から三月の二十五日と、かようになっておるわけであります。現地のほうを一応調査した上でそれを確認して、仕事の完了した分については代金の支払いをしたという報告ではございますけれども、新聞記事はそういう状態ではないということもありますので、先ほど申し上げましたように、実際に現地をただいま調査させておるわけでございまして、もしかような事実があるとすれば、厳正に処置してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#179
○工藤良平君 ここに植えつけの契約書とそれから完了検査調書の謄本の写しがあります。これによりますと、「四十七年の三月二十八日に検査をしたところ、下記について契約のとおり完了したことを認めます。」と、こういうことで現場の検査官が川内の営林署長に対しまして報告書を出しているわけでございます。当然代金も支払われていると、こういうことになっているわけでありますが、そこで、私は、一体植えつけの手順というものはどういうことになるか、お聞きをいたしたいと思います。長官がどういう出身の方か存じませんけれども、私も植林の経験はあるのでありますが、林野庁としては、いわゆる請負に出した場合に、植えつけの手順というものはどういうことになるのか、お伺いしたいと思います。
#180
○政府委員(福田省一君) 実は、私も昔営林署の造林主任をやっておりまして、人手のないときに真室川の営林署で山に行って作業員と一緒に造林をしたことがありますが、伐採いたしましたあと、残っておる利用にならない木を今度はさらに刈り払いまして、地ごしらえと申しますが、それを片づけてから苗木を植えて、そのあと次第にはえてきた草を手入れする、こういう順序で仕事をするわけでございますけれども、伐採の仕事と、それから地ごしらえ、植えつけの仕事と分けてやりますというと、買い受け人はもうかるような木だけ持っていって、あとは山に投げておく。したがって、そのあと始末に非常に金がかかるという問題がありますので、買い受け人がそれを造林するということにしますというと、両方考えて、造林しやすいように、先に全部片づけるというようなことで能率があがるわけでございまして、そういうことを考えて実は混合契約というような制度を設けたものでございます。最近は、そういう低質広葉樹林につきましては、混合契約による方式も次第にふえてまいっております。ただいま御指摘の川内の営林署の例は、これがもし事実といたしますならばはなはだ遺憾な例でありますけれども、全国的に見まするならば、特に薪炭林の多い地帯でのこういうやり方については比較的よくいっているものと私たちは判断しているものでございます。
#181
○工藤良平君 いまお話しのように、植えつけの手順としては、混合契約になっているから、立木を切って搬出をして、地ごしらえをして、それから植えつけ契約をして植えつける、植えつけ完了で報告をして検査をして代金を払う、こういう手順だったように私も理解をするわけです。ところが、残念ながらこれは四月四日現在搬出は終わっていない。しかし、植えつけは三月二十八日に植えつけたということになっておりますから、代金も支払われております。搬出は終わっていない。地ごしらえももちろんしていない、搬出が終わっていないわけですから。そこで、結局、植えつけだけが行なわれている、こういう現実があるわけですね。これは写真がありますから、これを見ていただきたいと思うわけです。これが四月四日現在の写真でありますから、全く規則に違反をしてやられているわけであります。しかも、その植えつけられたものがどのような状態になっているか、それを見てください。切られた木がそのまま放置されている。その間に苗木が植えられているわけです。
  〔写真を手渡す〕
 それでは、長官、植えつけられた苗木の実態というのはどのように把握をしていらっしゃいますか。営林局からの三月二十八日に完了した報告に基づいて代金も払っているわけですね。ところが、現実は、そのようなかっこうで植えつけられておりますから、地ごしらえはもちろんしていないし、まだ搬出も終わっていないという大きな違反の問題が一つありますよ。それと同時に、植えつけられた苗木の活着の状態はどのような状態になっているか、この報告はお聞きですか。
#182
○政府委員(福田省一君) こちらから照会しましたところによりますというと、現地では――ただいま写真を拝見しますというと、杉木枝条のほかに丸たが残っているわけであります。こういう状態であることは、まことにふしぎな状態でございます。たぶん、これは、善意に解釈いたしますというと、造林作業を急いだために残しておいてあとから植えるつもりであったかもしれませんけれども、契約の問題もございますから、契約期間が過ぎてからこれを片づけて植えるということになりますというと、これは非常に問題でございます。現地のほうでは、ただいま御指摘のように、活着の状態はどうなんだということに対しましては、これは何%か枯れたのもあるけれども、大体において良好な状態であるというような報告でございます。したがいまして、この新聞記事等も見まして、もう少しこれは厳正に調査をしなければならぬというふうに判断いたしまして、先ほど申し上げましたように、現地に監査官を派遣して至急いま調査しているところでございます。その結果を見まして、もしいろいろと違反の事実がございますならば、しかるべき措置をとってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#183
○工藤良平君 いま長官がお話しのように、搬出、地ごしらえが終わっていないところにいわゆる坪植えといわれる状態で苗木が植えつけられている。これはおそらくその木材は搬出されるでありましょうから、搬出の段階で相当な損傷をこうむるということは私どもはいまから予測できるわけですね。それと同時に、いますでに枯れたものがあるという報告が来ている。しかし、一部を除いてはきわめて良好であると、こういうことでありますけれども、私どもが報告を受けておるその写真に基づいた現実では、たとえば百本の苗木の調査をしてみると、生育不可能と思われるものが二十八本、それから搬出の際にいわゆる枝木をのけたりあるいは木材を運び出したりしていかなければならない、したがって、損傷を受けると思われる苗木が三十一本、そうすると、あと大体生育可能であろうと思われるものが四十一本ということになるわけですね。半分に満たない。いま若干枯死しているものがあるということですけれども、植物というものは大体五月ぐらいから水分が動きかけるわけですね。したがって、春先までに植林をすれば苗木は活着をするわけです。ところが、まだ水分が動き始めて幾らにもならないわけです。だから、いま完全に枯死しているというのは、苗木がどうかしていると思うんですよ。大体において生育不可能であるというように見られるのが私は当然だと思いますね。夏を過ぎますと、活着の状態というものは、枯死するものは赤くなってまいりますからわかってまいりますけれども、いずれにいたしましても、やはり半数近いものがきわめて危険な状態、枯死するであろうという状態が生まれている。しかも、その写真にありますように、さらに植え残しの苗木がこの二十ヘクタールの各所にそのまま放置されている――まあ仮植えといわれているようでありますけれども、されているようでありますが、この苗木の実態について報告を求めましたですか。
#184
○政府委員(福田省一君) ただいま御指摘のように、仮植されてある苗木もあるようであります。どういう理由によるものか、先ほどちょっとお話ししましたように、これは片づけてから植えるつもりであったのかもしれません。ただいま御指摘のように、九州でございますから植栽の時期は北に比べれば早いわけです。そういう活着の問題を考えますというと、きわめて重要な問題でございます。御存じのように、そういう造林作業の季節性をなくするためにポット造林なんということもやっておりますけれども、これは現実に裸の苗を植えているわけですけれども、それらを含めましてきわめて遺憾な問題であるというふうに考えます。至急調査の結果をまちまして善処してまいりたいと、かように存じておる次第でございます。
#185
○工藤良平君 これ以上具体的な問題に詰めてもこれはしようがないと思いますけれども、しかし、いま私はごく初歩的なことから順を追ってこう言っておるわけですけれども、どれ一つ取ってみても満足なものは何にもないわけですね。このような造林というものが林野庁の中で行なわれているわけなんですか。これはたいへんな問題だと思う。さっき申し上げましたしかも保安林ですよ。保安林を伐採して、あと植えつけをするのにこのようなずさんな仕事というものが公然と行なわれ、報告をとってみると、一部を除いてきわめて良好であるというような報告が行なわれてくるとなると、私は熊本営林局のだれが報告したかわからないけれども、全く良識を疑う。これは虚偽の報告だと思うんですよ。そうでしょう。厳重な調査をしていただかなければならぬと思う。よろしゅうございますね、その調査については。
#186
○政府委員(福田省一君) 御指摘のように、十分厳重な検査をいたします。その結果によりまして林野庁としての処置を考えていきたい、かように思っております。
#187
○工藤良平君 さらに、もう一つ問題は、この混合契約は中越パルプと行なわれておるわけです。ところが、実際の仕事というのは中越パルプがするのじゃなくて、肥薩林業株式会社というのが行なっているようでありますが、この肥薩林業というのが、私、調べてみましたところが、かつて営林署の署長さんなり課長さんをしていた方が四名ばかりいわゆる天下り行政としておりてきた。国の林野行政を最も熟知された方が四名おりていったその会社が請け負ってやった仕事がこのような状態で、私はこれはまことに遺憾だと思いますね。林野行政の重要性を最もよく知っている人が四名行っている、その会社が請け負った仕事がこれなんですね。しかも、これはもう私が言いますけれども、いままで肥薩林業は何回か仕事をしておる。四十五年度もやっている。四十五年度にやったものを営林署が補植をしておるのですね、補植を。補植の率が何ぼか。三〇%から三八%も補植をしておるという結果が出ておるわけですね。このようなことを年々そのような重要な方が行かれた会社がやったということ、私はこの点についても当然林野庁としての何らかの対策というものを講ずる必要があるのではないかと思いますが、その点をお伺いしておきたい。
#188
○政府委員(福田省一君) こちらで調査したところによりますというと、御指摘のように、この会社には、元営林局長、営林署に勤務しておった者が八名参っております。それから退職者以外の民間から採用されている者が二名、合計十名でやっておるわけです。特にこの八名の者は、長年造林事業その他の事業に経験のあるはずの者でございます。私はそう思っていたわけでございます。かかる事実が発生したということによって、もしそれが事実であるとすれば、まことに遺憾なことであります。ただいま御指摘のように、その点についても十分対策を考えてまいりたい、かように考えております。
#189
○中村波男君 いま工藤委員の質疑に対するやりとりを聞いておって私からも確認をしておきたいと思うのですが、いまお手元にお渡ししました写真ですね、これはただ一枚の写真でありませんで、全体の写真もありますから、伐採あと地がどうなっているかということは大体写真で確認できると思うんですよ。そこで、さっき長官の御答弁を聞いておりまして、ことばじりをとらえるわけじゃありませんけれども、契約期限までに搬出ができなかったので、まず植えてから搬出する、そういう関係で搬出が全部完了しておらないのではないか、まあこういう意味の御答弁があったように思うわけです。そこで、これは、混合契約による伐採、地ごしらえ、植林、一連の計画に基づいて手続がとられておるわけですね。そうしますと、その造林事業の請負契約書の謄本を実は私は持ってまいりましたが、昨年の六月二十五日、いわゆる伐採というのは、当該計画の山の杉その他の材木を三百八十万円ですか、買却されておりますね。そういういわゆる期間的な関係から見まして、ことしの二月から植林が始まっておるわけでありますが、それまでに完全な材木の撤去、地ごしらえというものができる余裕を持って当然これが請負契約がなされなければなりませんし、特殊な天候その他の事情でそういう契約であったけれどもできなかったというような特殊事情がその後起きておるというのであれば別でありますが、そういうことは私たちの調査によっては全くない。もし期間的にできないというようなことであるならば、そういう契約をすること自体が、これは契約することが不当であるというふうにも言わなければならぬと思うわけですね。したがって、私は、そういう言いわけというのはこの場でしていただきたくないと思うんですよ。現地を長官は見ておられませんし、林野庁として調査されておりませんから、確たる回答はできないと、だからよく調査をした上で善処いたしますという答弁で逃げられることは答弁技術かもしれませんけれども、これは少なくとも「毎日新聞」も記事として出される以上はでたらめな内容であるということは考えられませんし、私たちも現地の調査を具体的に報告を受けて本日質問をいたしたわけでありますが、その点はどうですか。
#190
○政府委員(福田省一君) 御指摘のように、何らかのたとえば天候上の理由その他あるいはあったとするならば、それの時点におきまして正式に契約の変更をするとか、そういう手続をすればいいわけでございます。ただ漫然ともし契約期限が切れたのにこういう状態で木材を残しておるということがあったとするならば、確かに御指摘のように問題でございます。こういう事実を確認しますれば厳正な処置をとってまいりたいと、かように思っておるわけでございまして、こういう状態のものは私も実は寡聞にして初めて聞いたわけでございまして、ただ、平素毎年監査がございまして、こういった造林ばかりではなくて、ほかの問題につきましても監査をしておるところでございますが、林野庁のほかにまた営林局におきましてもそれぞれ監査をしておるわけでございまして、手抜かりのあったことにつきましては、重々これは申しわけないことであると、かように思っております。
#191
○中村波男君 立木を払い下げるにつきまする事務手続としては、搬出期限というものがきめられますわね。そうしますと、今度は、搬出が終わりますと、搬出済み届けというのを出すわけでしょう。その届けが出ますと、今度は現地の係官がその確認をして判を押して証明をすると、こういうことになるわけですね。それらの手続も一切なされておるわけですね。しかるに、現実には、搬出どころか、ほとんど現在なお木は切り捨ててありまして、切り捨てた合い間に、坪植えといいますか、木を植えるところだけ掘って植えたというのが現実の姿のようでありますね。これは重大だと思うんですよ。少なくとも検査官が検査したときに木が三本か五本まだ残っておるということならば情状酌量の余地もありますが、ほとんど搬出されておらないと、それを検査済みとして証明をし、書類手続を完了し、代金を支払ったというところに私は問題は許されないと思うのでありますが、いかがですか。
#192
○政府委員(福田省一君) そういう事務的な正式な手続をしておりながらなお現地の実態がそれに反しておったと、そういう事実はなかったということが、もしありますならば、これは非常に重大な問題でございます。そういう意味も含めまして、実は、先ほど来申し上げていますように、林野庁からも監査官を至急派遣しましてただいま監査をしておるところでございまして、御指摘のように、そういう事実が出ますれば、たいへん皆さんへ御迷惑をかけることになりますから、厳重な処置をしてまいりたいと、かように思います。
#193
○工藤良平君 そこで、私は続けますが、率直に申し上げて、私ども田舎のことばで言ういわゆる盗人に追い銭というやつですね。全くこれは盗人と同じですよ、金だけ取ってすることをしていないんですからね。それに金をやるというのは、林野庁というのはたいへんいいところだと思いますよ。そして、赤字だ赤字だと、こう言ってみても、私ども――もちろん国民も信用しないと思いますよ。一体このような状態をつくり出しているのはどこに原因があるのか、根本的にやはり検討してみる必要があるんじゃない。もちろん、私は、この川内の一つだけの問題じゃないと思いますよ。私も他に知っています。私はかつて国有林活用法案を審議したときにもこういう問題を取り上げてまいりましたけれども、至るところ、しかも各年度にわたってこれが起こっているわけですね。一体その原因がどこにあるのか、根本的な問題として長官にお聞きしたいと思います。
#194
○政府委員(福田省一君) このような仕事をさせます場合には、必ず仕事についての仕様書をきめておるわけであります。こまかに仕様をきめまして、その仕様書のとおりに実施させる約束の契約をしているわけなんです。契約どおりにそれが実施されているかどうかということにつきましてはときどきこれを監督しまして、仕事が終わりまするならば必ずこれを審査するというたてまえになっておるわけでございますから、これらのことを完全に実施しておりますならば、こういう手違いは出ないはずであります。そこいらの原因がどういうところにあるか、私たちの指導の問題もそれはあるかとは思います。ただいま監査の結果によりまして原因を十分吟味してまいりたい、かように思っているわけでございます。
#195
○工藤良平君 いまから検討することじゃないんですよ。これはもういままで各地で起こっていることなんですよ。私ども、こんな問題をこういうところで取り上げるというのは、ほんとに心外なんですよ。林野庁に対してそう申し上げたいんです。ただ、これは、従来から私ども主張してまいりましたように、冒頭に長官も言ったように、現在の林野行政の置かれている立場というものはきわめて重要である。大臣も、その点については、独立採算というものはむしろ問題じゃないかと。そのためには一般会計から財源をつぎ込んでもやはり国の財産である森林は守らなければならぬと、こう言っているわけですね。そのような立場を貫くためには、やはり直営直用という形のものが望ましい姿ではないか。ところが、この傾向々見ますと、三十一年には地ならしあるいは植えつけ、下払いにつきましては請負の率は非常に少なかったのでありますけれども、近ごろの傾向を見ますと、ほとんどもう九〇%近いものが請負という形で出されている。それが、いま、せっかく山を守ろうとする全体的な機運がありながら、逆に山が荒れていくという姿になっている。これは私は根本的な問題として検討すべきことではないかと思います。もちろん、技術的な契約の問題なり、あるいは監督不行き届きなり、あるいは一たん林野庁からおりていった人たちがつくっている会社ですね、そういう人たちがそういうことをやったという問題については、個々の具体的な問題としてももちろん指摘する事項はありましょうけれども、もっと大きな問題としては、この重大な林野行政については直営あるいは直用という形の姿というものが望ましいのではないか、こういうように私は思うんです。この点についてはどうですか。これはそれぞれ委員会等でも決議も行なわれておるようでありますけれども、あるいは市町村の段階でもそのことが望ましいという決議ができているようでありますけれども、その点について長官のお考えをお聞きしておきたいと思います。
#196
○政府委員(福田省一君) この川内の営林署にできました問題につきましては、ただいまお答えしましたように、退職者によって構成されておる会社でございます。先生御指摘のように、こういう造林の仕事は、全国的に、地ごしらえ、それから植栽、刈り払い、その仕事の種類別にまあいろいろございますけれども、平均しまして五割から六割ぐらいの仕事の分量が請負の仕事になされておるわけでございます。伐採のほうの仕事につきましては、現在のところ全体の約二割ぐらいが請負の仕事でなされておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、仕事の手順というものを厳正に守って仕様どおりにやり、かつ、監督を厳重にし、あと地の検査を十分にするならば、こういう手違いはないわけでございますけれども、ただ、請負の仕事というのは、全部が全部会社ではないわけでございます。中には、昔から、御承知のように、特に東北地帯には多いのでありますけれども、入り会い林野時代から国有林に依存して生計を立ててきておった農民が一ぱいございます。こういう人たちは、自然保護のために伐採量なりあるいは仕事の造林業が減少していく中において、ぜひ私たちにも国有林の中で仕事をさしてもらいたいというふうな熱烈な要求があるわけでございます。それは、たとえば、昔国有林の中に入りまして薪炭をつくったり何かをしておった人たちが、一つの部落共同体をつくっておりまして、会社でなしにこういう部落の共同体の人たちによって造林をしている仕事も相当ございますし、あるいはまた森林組合の作業員によりましてそのために仕事ができている場所もございます。おしなべて、国有林の中におりますところの作業員の数、それから民有林の中におきますところの林業に従事する人の数、どちらも――特に民有林につきましては減少しつつございますけれども、比較的多いところでございます。つまり、都市近郊圏から離れた山村圏は比較的余剰がございます。やはりそういうところに限って特に国有林に対する仕事の要望というのは強いわけでございます。これらのことを私たちが無視しまして、おまえさんたちはもうどこかへ行ってくれというわけにはまいらぬわけであります。伐採の仕事にしましても、造林の仕事にしましても、あるいはまたこれから出てまいりますところのいろいろなレクリエーションの仕事、これもございます。それらを含めて、国有林といたしましては、もちろん現在私たちがかかえておりますところの職員、作業員の安定もはかってまいらなければなりませんけれども、あわせてやはり昔から国有林に依存している地元の住民の人たちのことも考えてやる必要があると、かように思っております。それらを含めて、一律に全部直営にするとかいうことでなしに、やはり地域地域の実情によって問題を解決していかなければならないのではなかろうかと私は考えておるわけでございます。それらを含めて、ただいま林政審議会におきまして鋭意昨年から検討をお願いしておるわけでございます。先ほど大臣からもお話がございましたように、国有林の会計が非常に緊迫した状態になっております。しかも、また、公益的な仕事に対する要請も非常に強くなっている中でこれらの問題も含めて御検討をお願いしているわけでございます。四十八年度の予算編成時期にかけましてその基本方針につきましては林政審議会の御答申をいただき、政府としても十分これを検討して、早く確実な林産をしてまいりたいと、かようにただいま考えておるところでございます。
#197
○工藤良平君 長官、私は、この国有林の仕事を、もちろん常用職員ではないけれども、農村の人が季節的に働いてそれで生活の支えにする、むしろそれが中心的な生活の支えになっているということも十分承知しております。承知しているからこそ身分の保障、そういうものが必要ではないかということを言うわけですよ。いま言うように、幽霊会社みたいなものに仕事をおろしていって、中間で適当なこんな実態が生まれ、それが国民の批判を浴びて林野行政に対する全体的な批判となっているわけでしょう。そこで、どんなにあなたたちが赤字だどうだと言ってみても、国民は納得しませんよ。ほんとうに緑を守り国土を守るという観点からこのような対策を講じていけば、大臣が先ほどお話しのように、赤字が出ればそれは当然一般会計から埋めてしかるべきではないか。なぜ林野行政だけにそのことを無理にしいるのかということにならないですか。私はそういうことを言っているわけですよ。もちろん、地域地域によって違う条件はありましょうけれども、逆に国有林で働くことによって職員ではないけれども生計を立てなければならぬといの人たちについては、むしろ身分保障というものもやってやらなければならぬのじゃないか。そうしなければ、あの山間部でだれが仕事をする人がおりますか。おそらくなくなるだろうと思うんですね。困るだろうと思うんです。ですから、そういう意味で、私は、先ほど、これからの国有林野行政の行き方として、そういう直営直用という方向にもう一ぺん確認をし直してみる必要があるんじゃないかという気が現実にこういう問題に突き当たってみて思うわけですよ。そういう状態の中で、林野庁そのものの姿勢を正し、国土を守るという観点から林野行政が行なわれていくとするならば、私どもあえて赤字の問題についてはもちろん追及もしないし、むしろ一般会計からの補てんというものを考えるのだということを主張したいわけです。その点についてどうですか。
#198
○政府委員(福田省一君) 御指摘のございますように、先ほど大臣からお話がございましたように、私たちは、やはり公益的な仕事についての需要が非常に強まってまいっております。したがって、一般会計から援助をお願いするということにいたしますならば、国民全般の世論がこれはなるほどそうだということを認めていかなければならぬと思うわけであります。それには、先生から御指摘ございましたように、まずみずから姿勢を正していかなければならぬ、こういうことは絶対必要であると思います。先ほど来お話の出ましたような仕事のやり方はもちろんでございますけれども、経営全般につきまして、国民の批判を受けないような、姿勢を正した行き方が必要であると思うわけであります。木材の収入、これは収入全額の九割以上を占めております。したがって、木材の収入だけで公益的な事業をまかなっていくということは当然不可能でございます。そういう意味で、私は、治山事業あるいはその他の公益的な仕事については、一般会計からの導入ということは、大臣もおっしゃいましたように、必ず実施していかなければならない、そうしたいと思うわけでありますが、ただ、経営が非常に放漫な状態であるということにおきましては国民の皆さんの御賛同を得るわけにまいりません。
  〔理事亀井善彰君退席、理事園田清充君着席〕
この点につきましては、十分姿勢を正し、今後指導監督も十分してまいりたいと、かように思うわけでございます。
#199
○工藤良平君 これは最後に大臣のほうからもお答えをいただきたいと思いますけれども、あと塩出先生の時間もありますから、食い込んじゃいけないと思いますけれども、私は、極端に言いますと、長官に、きょうの午前中の和田議員の質問を聞きながら思ったんですよ。あなたがもし営林署の経験がなければ、長官だけれども、一ぺん一年ばかり営林署の署長になって現実を見てもらってそうして出直すべきだというところまで私は極端に考えました、正直に申し上げてですね。ただ、先ほど、営林署にもいてその実態も知っているということでありますから、知っているとするならば、なぜあなたは積極的に林野行政に命をかけて取り組まないのかというような私は気がするわけですよ。私ども、営林署を回ります。どこへ参りましても感じますことは、残念ながら組合の職員の内部においていろいろなあつれきがある。そういうことに終始するよりも、私は、林野庁の幹部はもう少し大きな見地からいまの林野行政に取り組むべきだ、命をかけるべきだ、こういうように思うんです。そうしなければ、これからのお互いの生活環境を守るために環境庁が一生懸命になってひとりで相撲をとっているけれども、林野庁から妨害されるという立場しか国民は受けませんよ。私は残念に思います。大臣、この点についてはぜひ――私はさっき非常に貴重な大臣の所信をお伺いしましたけれども、請負の仕事というのは事実こういう形で進んでいるということは私は残念に思います。したがって、いま一挙に全部の仕事を直営ということは困難でありましょう。私はそういうことは申し上げませんけれども、逐次その矛盾をなくしながら、できるだけ仕事がむだにならないように直営直用という方向を歩むべきではないだろうか、このように実は思っておるわけで、この点については、特に大臣のほうから御意見もいただきたい、このように思います。
#200
○国務大臣(赤城宗徳君) 直営直用の問題と請負などは、これは問題外にすべきだと思います。
 それから林野庁長官が答弁した、直営でないように言いましたが、部落共同体、そういうものを使わなくちゃならぬというこれは私は請負の範疇じゃなくて、むしろ直営の範疇に入っているんじゃないかと思います。そういう点も林野庁長官は非常にいいことだというふうに見て答弁しておると思いますので、そういう点も十分検討しながら、直営の方向で、いいほうは直営の方向に十分活用していくというか、利用していく方向に進めたほうが私はいいと思います。
#201
○工藤良平君 一応私の質問はこの程度にいたしまして、まだ白書の問題等もありますから、もっともっと勉強さしていただきまして、一般の行政と同時に林野行政につきましてもやはりこれからの重大な問題として取り組んでいきたい。特に林野庁につきましては全体的に姿勢を正して国民の前に出す、こういうことが必要ではないかと思いますので、そういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。
#202
○中村波男君 さっき、長官が、よく調査をして責任の所在を明らかにされる趣旨の答弁がありましたが、しかし、もうすでに、川内署長の内野さん、あるいは経営課長の山下さん、それから担当区主任の外山貢さん等々は、春の定期異動といいますか、先般の定期異動か何か知りませんけれども、異動をされておりますね。この異動は、そういうようなことが内部的に大体わかりましたから異動されたのじゃないかというような憶測もあるわけですが、この点はどうなんですか。
#203
○政府委員(福田省一君) そういう事実はございません。照会いたしましたときになかなか手間がかかりました理由も、実は異動がしてあったためもございますけれども、先生御指摘のような事実はございません。
#204
○中村波男君 今度の事件が象徴的に示しているのは、いわゆる国有林の関係の売り払いとかあると、営林署の退職者がこういう会社を組織してそしていろいろな営林署の下請的な事業をやってきた、こういうふうに聞いておるわけですが、そこで、さいぜんも工藤議員が指摘しましたように、肥薩林業技術KKは造林の下請けを二、三年前にやりました際には三〇%以上の補植を要した。補植ということになれば、これはまた別な予算で営林署がおやりになるわけですから、私は補植率というのは全国平均五%程度だというふうに統計的に承知しておるわけですが、請負をかりにさせる場合にも、特別な天災等による植林の結果枯死その他が出るという場合は別にして、普通の条件の中で一定割合をこえたような場合には、やはり請負業者に補植をさせるというような条件をつけて請負をさせるというようなことも一つの方法ではないかというふうに考えるわけです。したがって、言いたいことは、今回の事件等々からしてまだまだこういう問題というのは私はあとを断たぬと思いますし、まだまだ幾多の疑惑を持っていま調査をしているような事案もあるわけです。したがいまして、林野庁の一部の職員と特定の業者がぐるになって国民の山を食いつぶしておる、こういう強い批判を国民から浴びる結果になると思うんですね。これは国有林行政にとっても重大な問題だというふうに私は思うわけです。
 そういう点では、大臣にも特に要望いたしますが、林野庁としては姿勢を正していかなければならぬと思います。そのためには、やはり厳重な調査に基づく責任の所在というものを明らかにしていただくと同時に、かりに責任者を処分したからこれで事足れりというものであっては私はならぬと思うんです。再びこういうことのできないようないわゆる行政的な研究といいますか手段方法を考えていただいて、こういうことがあと起きないような措置というのを十分林野庁として考えるべきである、こういうことを、まず指摘をいたしておきたいと思うわけです。均衡、独立採算制にあるというふうに見ておるわけです。具体的には、国有林特別会計が赤字になりまして、いかにして赤字を解消するか、そのためには人減らしを中心とした合理化政策というのを全面的に最近林野庁が打ち出してきておる。人減らしをするということは、裏を返せば請負にどんどん仕事を出すということになるわけです。私は、全部とは言いませんけれども、やはり山をつくるという根本は木を植えるということでありますから、この重大な作業は最大限直営でやはり十分な技術といわゆる苗の活着を中心にして技術的に経験のある職員にさせるべきだと思うわけです。そういう点について、何といっても造林事業の請負化につきましては、突き詰めて言えば、林地を荒らして不成績造林地を大量につくり出す、そのことは財政悪化の大きな要因となってはね返ってくる、この認識にまず立っていただかなければならぬと思うわけです。そういう意味合いにおいて、今後の林業行政全般に対して言えることは、大臣もさいぜん御答弁をいただいたようでありますし、私の先般の当委員会における質問に対してもお答えいただいたのでありますが、いわゆる森林の公益性、特に国民の保健、レジャー、休養の場としての山、あるいは治山治水の面、その他いわゆる山の持つ機能というものを維持発展させますためには、いま私が指摘をいたしましたように、直営直用という衆参両院の決議を具体的に実践に移してもらうような前向きの姿勢で今後対処してもらいたいというふうに思うわけです。そういう点を特に要望いたしまして、以上私の関連質問を終わりたいと思います。
#205
○政府委員(福田省一君) ただいま先生御指摘の点、ごもっともでございまして、第一点の姿勢を正してまいることにつきましては、職員一丸となりまして国民の期待にそむかぬように対処してまいりたい、かように思っているわけでございます。だいま林政審議会におきましても検討いただいておるところでございますけれども、その答申をいただきました結果、林野庁としましても、林野庁だけでなしに、農林省、あるいはまたこれは作業員、職員の労働部面に関しますような各省にまたがる問題でございます。それらを包括しましてできるだけ御期待に沿うように努力してまいりたい、かように思っているわけでございます。特に、しばしば申し上げますように、国有林は私たち職員だけの山ではございません。国民全般の山であるというふうに平素考えているわけでございまして、そういう意味で、自然保護の立場、環境の保全ももちろんですが、それを含めて公益的な行政に対する需要に対処してまいりたい、かように覚悟している次第でございます。
#206
○塩出啓典君 私も、きょうは、林業問題について質問をしたいと思います。政府の林業に対する一般、その他、入札の問題、保安林の問題等についてお開きしたいと思うわけでございますが、きょうは御存じのように午前中から林業問題が期せずして、打ち合わせしたわけじゃないわけですけれども、こういうように林業問題が検討されるということは、一つは、日本の林業というものが一つの大きな曲がりかどに来ておる。私の住んでいる瀬戸内海の沿岸でも、環境悪化のためにマツクイムシで松がどんどん枯れておるし、また、外材の増大によって木材価格は低迷をしておる。また、そういう反面、一方、森林に対する国民の要望というものは非常に強くなってきていると思うのですね。それだけ私は今後ますます林業の果たす役割りが重要になってきておるんだと、そういうわけで本日の委員会においてもこのように問題になってきたんじゃないかと思うのですね。林野庁関係者も、そういう立場に立っていろいろ困難はあると思いますががんばっていただきたい、そのように要望する次第でございます。
 まず、最初に、最近外材の輸入が急増して、木材の価格が低迷をしておる。御存じのように、昭和四十年には外材のパーセントが二八・六%が、四十五年には五五・〇と非常な急速な勢いで上昇いたしまして、その結果、木材価格も最近は非常に下がってきているわけですね。もちろん、国民全体から見れば、木材が下がることは喜ばしいわけでございますが、しかし、一方、森林を営む人たちにとっては、物価も上昇するし公共料金も値上げする、そういうことで、拡大造林あるいは再生造林、そういう造林に対する意欲が失われていくということは、これはやはり国民全体にとって大きな損失であると思うわけであります。御存じのように、特に水源涵養林あるいは治山治水の立場からも、森林の果たす役割りは非常に大事である。特に今後日本の将来にとって水が不足するのではないか、そういうことも大きく憂慮されておるおりからも、これは非常に大事なわけですね。そういう点で、木材の価格が下がっていいじゃないかとばかり喜んではおれない。林業者のためばかりではなく、ひいては国民全般のためにも、やはり林業経営というものを希望の持てるものにしていかなければいけないと思うのです。そういう点で、非常に大ざっぱな質問ですけれども、答弁は時間がおそいですから簡単にお願いしたいと思うのですけれども、どういう対策を立てているかという問題ですね。
#207
○政府委員(福田省一君) ただいま先生御指摘ございましたように、最近特に木材の需要が増大してまいりましたことによって国内の生産が追いつかぬということから、外材が非常に大きな比率を占めてまいっております。一方、また、公益的な機能に対する要請、水資源の問題、あるいは国土保全の問題、そういった要請が強いわけでございます。昭和四十一年に、森林基本法に基づきまして、長期の見通し、大体十年先の見通しでございますが、需給の見通しを立てるということが一点、それからまた、資源の造成につきましても、森林資源に関する基本計画をつくって閣議の決定を見ておるわけでございますが、ただいま御指摘がございましたように、諸般の情勢が非常に変わってまいっておりますので、この林産物の需給の長期の見通しと森林資源に関する基本計画を今年度中にこれを改定いたしまして閣議の決定をお願いし、それによって今後の基本的な計画を立案したいと、かように考えておるわけでございます。
#208
○塩出啓典君 それで、林業基本法に基づく森林資源に関する基本計画というものを第十条でつくれと、そういうことで私がいただいた印刷されたのには、昭和四十一年四月一日、これでは昭和五十年には自給率は七一%という計画になっているわけですね。現実には五〇%以下に下がって非常に大きな食い違いができておるわけでございますが、計画予定が七一%だったのが五〇%になっちゃったわけですね。――五〇%ではない、四五%ですよね。現在では。こういうように食い違いが出てきた条件はどのように考えておりますか。
#209
○政府委員(福田省一君) この計画が、四十一年でございますから、六年目に入ったわけでございます。非常に急激に変わってまいったということは、一つは木材の需要量が非常に増大してきました。しかしながら、一方、国内の供給量というものは最近停滞しておりまして、外材の依存度が非常に高くなっている。四十五年度では五五%、もう全需要量の半分以上が外材になったわけでございます。そういうふうな大きな差を生じた原因はそこに一つあるわけでございますが、国内の生産を上げていくということが一つの大事な問題になると、かように考えておるわけでございます。なお、先ほど申しましたように、国土の保全、水資源の涵養、国民の保健休養、こういったような森林の持つ公益的な需要に対する国民全般の要請というものは非常に加速度的に高まってまいっておるわけでございます。こういう二点を重視いたしまして、先ほど申し上げましたように、長期の計画を改定する検討をただいましておるところでございます。
 その計画の改定の考え方でございますが、現在の計画では、非常に増大してまいりますところの木材の需要への対応、これを基本的な課題としているわけでございます。もちろん、森林には公益的な機能があることは重々承知しておりますけれども、過去におきましては、戦前戦後、軍用材の増産、あるいは復興材の生産、あるいは、三十六年当時でございますけれども、価格がほかの物価に比べて非常に上がったわけでございます。これらの価格の安定という意味もございまして、木材の増産ということについても国有林に対する要請というものは非常に強かったわけでございまして、まず木材の増産ということが第一義的に表に浮かび上がっておったのでございます。最近は、しばしば申し上げておりますように、こういう公益的な社会的な要請が非常に強くなってまいったということでございまして、木材の供給についてはもちろん大事ではございますけれども、特にこの点を重視しまして計画の立案をしておるわけでございます。
#210
○塩出啓典君 それで、木材価格が非常に低下しているということですね、これは私は林業経営者にとってもたいへんな問題だと思うんですね。もちろん、いま物価が上昇するといっていろいろ国内で言われていますけれども、それは国民全体から見れば木材価格が下がったほうがいいでしょう。それならば、それに対して林業経営者に成り立つ道を考えるということがやっぱり公平の原則でもあるし、また、これは単に林業経営者のみならず、国民的あるいは国土的立場に立っても私は大事じゃないかと思うんですね。そういう点については政府としてはどういう施策を講じておるのか。それはいろいろ方法はあるでしょう。たとえば、かつては自民党内においては賦課金を課せよという意見もありましたし、あるいは輸入を制限するやうに業者を指導するということもあるでしょう。あるいはまた、どんどん輸入はして、そのかわり木材の生産業者、森林経営者に対して補助金を強化していくと、そういうようないろいろなやり方がある。それをいずれをとるかということは、これはもちろん国民的立場に立ってきめていかなきゃならない問題で、ひとり森林業者のことだけであってはならないと思うんですけれども、そういう立場に立って、政府としてはどういう方向を考えているのか、それをお伺いしておきたいと思います。
#211
○政府委員(福田省一君) 御指摘のように、外材が非常な勢いで最近入ってまいっておるわけでございます。したがいまして、その影響を受けまして、国内の林業生産あるいは加工事業を含めた林産事業はきわめて停滞しておるわけでございます。この国内の林業・林産を振興するためには、外材に課徴金なりあるいは関税を設けたらどうかという御意見もございます。ただ、御承知のように、最近は自由化の時代でもございますので、単純に課徴金を設けるということはやはりいろいろと国際的な批判にもなりましょうし、その他いろいろと影響もあるわけでございます。この問題につきましては、政府の中におきましてもいろいろと検討を進めておるところでございます。ただ、当面の対策といたしましては、輸入をいたします木材の業者あるいはそれを利用いたしますところの加工業者と、国内の林業に従事しておる者と、それと政府と一緒になりまして、これに対する対策の一つの検討会を持っております。要するに、自主的に輸入を規制してまいろうということで、四十七年度は、ある程度共同してそういったような外材に対して個別に競争して買いあさるということはしないように指導しておるところでございます。一方、国内の林業・林産の振興につきましては、御承知と思いますけれども、特に民有林におきましては非常に零細な山の所有者が多いわけでございます。五町歩未満が九五%というふうな状態でございます。したがいまして、こういうふうな林業の生産に従事する山持ちの方々、あるいはまたそれに従事する労務者の方を考えますと、これをある程度大型にしまして共同して仕事をするということが能率を上げる一つの方法でもございます。これは森林法の中におきまして一つの計画制度がございまして、共同して林業経営を行なうという者に対してはいろいろと融資その他の助成策を講じてまいることにしておるわけでございます。一方、また、林業者が生産しました木材を加工する林産業も非常にやはり零細な形になっておるわけでございます。これも大きくまとめまして仕事の能率を上げていくということ、あるいはまた、工場ばかりでなくして、市場のほうにおきましてもこれを大型化していく、そして林業の生産と加工と市場と流通経路もやはり太く短くつないでいくという形にいたしますならば、国内の林業あるいは林産の振興も可能であろうという考え方に立ちまして、そういった方法でいろいろと助成策を講じていくと、こういう方法によって国内の林業というものが外材と対抗していくだけの力をつけてまいるというふうに私は考えておるわけでございます。
#212
○塩出啓典君 これは農林大臣にお伺いしますが、私は、率直に言って、林野庁も大蔵省とも折衝して予算を取って今年もいろいろ施策を講じておることは私もよく承知しておりますが、先般、繊維問題がいろいろ国会でも論議になりましたけれども、それに対して政府もいろいろ施策もしておりますし、また、私も、農林水産委員として、米に対する政府の施策、生産者米価もこの数年は据え置きだ、今年は何とか上げるということでわれわれも当然だと思っているわけですが、言うなれば、大きな企業に働く労働者は何とかして賃金も上がっていくわけです。それに比べれば、農民というのは差があると思うんですよね。それに比べてさらに林業というものは日陰にあるんじゃないか。林業労働者は、山村の部落にみな散らばって、組織もはなはだ弱いし、ストをしてもだれも困る者がいないので効果もないわけで黙々とやっているわけです。そして、一方、考えれば森林の果たす役割りというのはほんとうに国民のために大きな貢献をしていると思うんですよ。そういう立場から、率直に言って、林業というのはやっぱりもう少し国が重要視しなければならないんじゃないかなあという気がするわけなんですけれども、それに対して農林大臣の率直な感想を伺っておきたいと思います。
#213
○国務大臣(赤城宗徳君) 率直にと言われるから、率直に申しますと、大体、現在、農業・林業全体を国の姿勢として非常に軽視していると思うんです。日本の農業というのを見ますと、一つは経営者でありますが、実質は労働収入で農業をやっているというのが農業者だと思うんです。ですから、形は経営者でありますけれども、実は農業労働者みたいなものでございます。まして、林業などにおきましては、林業労務者は、他方におきましては新しい時代の恩恵というものに浴しないで、従前何十年前と同じような労働で生活条件も非常にひどいというふうなことで、いまのお話のように、しかも、林野といいますか森林というものの公益的機能――本人は公益的機能だと思わないでも、実際にやっていることは公益的機能に貢献していると私は思います。と思いますので、農林水産もそうですが、そういうものに対しての国の姿勢といいますか、国あるいは政府の姿勢ですか、そういうものを立て直してもらいたいと、こういうように思っています。
#214
○塩出啓典君 それで、まあ時間もありませんのでこまかくは聞きませんが、林業白書を読ませていただきますと、たとえば再生造林あるいは拡大造林ですね、そういうものも非常に低迷をしているといいますか、そういう状態だと思うんですね。これは林業白書の六九ページにも書いておりますが、拡大造林もかろうじていわゆる造林公社による公社造林というんですかね、これがかなり伸びているために、全体としては横ばいでございますが、私営の造林事業、こういうものは、四十年から四十二年、三年ごろまで下がって、四十四年にちょっと上がっているけれども、また四十五年に下がっておる、こういう状態になっているわけですね。私は、やっぱりこういうのにあらわれてきているのが、一つはそういう林業に対する希望がないというそういうことにつながっているのじゃないかと思うんですね。一方、農村の労働人口はどうかというと、これは同じく白書の八一ページにございますが、ともかく、非常に人口流出、しかも老齢化しているわけですね。十五歳から十九歳の間は六一%減っておる。これは四十年から四十五年の五年間ですが、五年で若い人が六一%、二十歳から三十九歳が三六%減っておる。反対に、四十から五十九歳層は八%、六十歳以上は一〇%増、こういうように、若い人は急激に減って、お年寄りが残っておる、全般的には減っておる、こういうことでは、日本の林業は一体どうなっていくのか、そういうしわ寄せが全部山村の林業経営者にきているという点については、私は国民的立場からもっと抜本的な対策を考えなきゃいけないと思うんですよ。そうなってくると、これは全部金の問題になってきますから、ここでわれわれ農林水産委員の間で幾ら検討しても、これは大蔵省が金を出してこなければいかぬわけで、そういうことを思えばあまり質問するのに意味がないような気がしますけれども、そういうような実態は、私が説明するまでもなく、農林大臣も林野庁長官も百も承知のことだとは思うんですけれども、こういうものに対するいわゆる現状についての抜本的な対策というものは、どうするつもりなんですか。
#215
○政府委員(福田省一君) ただいまの後段の労働の流出の問題でございます。御指摘のように、四十歳以上がふえて、四十歳以下が急速に減少しておる。特に若い人ほど山村から離れていく。全体としては非常に減少をしておりまして、ここ数年で半分近く減っておるわけであります。これにつきましては、国有林はもちろんでございますけれども、やはり老齢化、女性化の傾向がございます。特に民有林におきましてはそういう流出の度合いが大きいわけであります。
 そこで、民有林の林業に従事する作業員の人たちは、御承知と思いますけれども、社会保障も、労働災害の関係につきましては強制適用でございますけれども、あとはすべて任意加入になっております。国有林におきましては、大体公務員に準じた措置はとられております、不完全ではございますが。そこで、民有林の労働力というものを安定しそして林業に従事させるような施策としては、やはりできるだけ通年化した雇用ということが絶対必要なわけでございます。ただいま、一つは、通年化対策としまして、ちょっとこまかになりますけれども、百七十日以上働いた場合には、本人とそれから森林組合、市町村、県、国、これが一律ある程度のものを出しまして、百七十日ぐらい勤めますと、私の記憶では大体二万五千円ぐらいやめたときにもらえるという制度も実はあるわけでございます。できるだけそういう長期間働けるような状態をつくってやるし、また、本人も働きたいと、そうすればそういったものをもらえるからというふうな制度にしていきますと、社会保障の適用も可能になってくるというふうに考えるわけでございます。
 もう一点は、通年化したと同時に、林業に従事している作業員の方々は、大体は自分の家から通って、あまり通くへは出たがらないという傾向もあるわけであります。そこで、これができるだけほかのほうにも働くという場合には雇用期間の延長もできるわけでございますので、森林組合等を中心にしましてその世話をしてあげます。極端な場合には、東北から近畿のほうへ出る場合もございます。そういう場合の森林組合に対する一つの助成も実はしているわけでございます。そのほか、労働関係の改善等につきましてもいろいろ設備を考えておりますが、やはり賃金水準あるいは社会保障、これが他産業並みにできるような方策を急いでいかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
 一例を申し上げると、さようなことをただいま実施しております。
#216
○塩出啓典君 それで、今年の予算を見ましても、たとえば昨年度はいわゆる再生造林の補助を打ち切りまして、林野庁がそれでだいぶ皆さんから反撃があって、ことしは復活したようでございますが、これは一歩前進だと思うんです。補助単価も、千百五十円が千四百十円、人夫賃が。一二・二%上昇しているわけですよ。これはもともと基準単価というものが実勢単価の半分ぐらいなわけですね。しかも、白書によりますと、たとえば造林をやっている人の賃金にいたしましても、四十四年から四十五年にかけて平均一四%上がっていると白書が書いているんですよ。私は詳細に調べたわけではありませんが、賃金は一四%上がり、政府の補助率は一二・二%上がった、それが対前年度ですよ。それはまあもともと単価がはるかに安い単価基準になっているわけですけれども、それがますます実勢単価と開いているわけですよ。確かに、一二・二%上がったことは、上がらぬよりいいかもしれないけれども、ますますそういう実勢単価との差というものは開いていくわけですね。これでは、結局、まあ林野庁も一生懸命苦労して予算を取ったと思うんですけれども、これじゃやっぱり時代とともにむしろ林業経営が困難になってくる。いままでより一歩でも前進したのならいいのですけれども、結局、物価の上昇より以下の補助率アップじゃ、ますます苦しくなっていく。そういう点はどうなんですか。
#217
○政府委員(福田省一君) 御指摘のように、私たちは従来特に造林の重要性ということを考えまして、この補助単価の問題につきましては努力してきたつもりでございます。なお、造林のほうと同時に賃金の問題も同じようにございます。こういう森林の造成につきましてはできるだけ実勢に近い単価を認めていただくということにつきましては、今後ともできるだけの努力はしてまいりたいと、かように思っているわけでございます。
#218
○塩出啓典君 先般、私、広島県の布野町というずっと山奥へ行ってまいりましたが、そのあたりも非常に過疎地帯で、山を見ると、あのあたりはかっては薪炭林をだいぶやっておった。いまはもう全然やっていない。これは島根県の山でもそうでございますが、かなりあちこちにそういういわゆる雑木の山が放置されているわけですね。結局、それは、植林をするにもそういう余裕もない、人もいない、そういうことでそういうような山が多いわけでございます。雑木のいろいろはえ茂っているそういう山は、当然植林をしていかなければいけない。それが実際にできない状態ですよね。それで、実は、行政監察局が昭和四十五年九月に森林資源の開発造成に関する行政監察をいたしまして、拡大造林のあり方、それを読んでみますと、大体私が感じたようなことが書いてあるわけですね。だから、そういうのに対してはやはり造林公社による拡大造林をもっと増進していかなければいけない。農民が一人一人やるんじゃなしに、造林公社みたいなのが請け負って造林をして、そして、木材というのは四十年、五十年先に収入が入るわけですから、なかなか自分から金を出してやるということはいまの情勢ではむずかしいわけですから、そういう造林公社による拡大造林というものをもっと強力に推進をしていかなければいけないんじゃないか。そして、いろいろこういうものの採択基準等においても、ある一定の面積以上なければだめだというような基準があるのじゃないかと思うんですが、そういうような基準等も大幅に緩和をして、そうしてもっとそういう拡大造林についても力を入れていかなければいけない、そのように思うわけですけれども、そういう点はどうですか。
#219
○政府委員(福田省一君) おっしゃいますように、自分で造林をするいわゆる自営造林ということはなかなか困難な状態になってきていることは、御指摘のとおりでございます。特に最近は、山奥地帯にありますところのそういう森林に対する造林が非常にむずかしくなってきている。公社造林あるいは公団造林というものにつきましては、積極的にこれを推進してまいっているところでございますけれども、実績を見ましても最近は公社造林というのは非常に伸びてまいっております。これにつきましては、いろいろと政府としましても条件をよくしてこれが伸びるように考えてまいりたいと、こう思っておるわけでございます。公団造林あるいは公社造林、あるいは森林組合が行ないますところの委託造林、いろいろな方法によりましてこういった施策の拡充をはかってまいりたいと、かように思っております。それから基本的には、造林の仕事というものは、自分が植えてすぐもうかるのではなくて、子々孫々のために植えることは御承知のとおりであります。自主的な努力を助長してやるというのが国の一つの方針と考えているわけでございますが、自力でできないものにつきましては、御指摘のように、公社造林についてはなお積極的に努力してまいりたい、かように考えます。
#220
○塩出啓典君 それで、ことしの二月に、林野庁は、国有林のいわゆる新たな森林施業についてということで、皆伐とかそういうのを減らしていく、そういう方向を打ち出したわけですが、これは私は非常にいいと思うんですよ。しかし、ただそれを打ち出しただけでは、そういう国有林のある山元には国有林での仕事を頼りにそれを唯一の収入として働いている労働者がかなり多いわけですね。先般も鳥取県のほうにも行ってまいりましたけれども、そういうところはほかの産業はないものですから、地元の業者もそういうものを当てにいままでずっと続いてきているわけですから、そういうのを一ぺんにやめちゃうと、そういう影響が非常に多いと思うのですけれども、だから、そういうような点も十分配慮していただかないといけないと思うんですよ。そういうところは、なかなかほかの仕事といっても山の中だからないわけですね。そういうのは、そういう人たちをどんどん使って今度私有林のまだ拡大造林なんかできていないところにどんどん林野庁が中心になってやるとか、そういうふうにやっていかなければいけないのじゃないか。いずれにしても、林野庁で音頭をとってやってもらわないとみんな失業しちゃうと思うのですが、そういう考えはどうですか。
#221
○政府委員(福田省一君) 新しい施業方針によりまして伐採面積は減ってまいります。また、造林量も減るわけでございます。逆に、また、レクリエーションその他を目的として都市から相当の人が入ってまいります。その面に対しての管理の仕事はふえてまいります。それらを含めまして国有林・民有林合わせましてこれに従事しておりますところの働く人たちの生活の場を安定させていくということは絶対必要だ、それがまた冒頭申し上げましたように自然保護につながるということでもございますので、できるだけの努力をしてまいるつもるでございます。
#222
○塩出啓典君 この問題については農林大臣に最後に要望しておきたいわけでございますが、いずれにしても、予算も要ることでございますので、やはり大蔵省との関係もあるわけですが、森林というものは国民全体のためのものですから、そういう立場に立って強力に推進をしていただきたい、そのことを要望しておきます。特に、山林業者の人たちの意見を聞きますと、水利権というのがあるわけですね。けれども、実際は山があってそこに水源があるから水が出てくるわけですから、ほんとうは水源権というものをもっと認めろと。確かに、山林に住む人たちが営々として築いた森林をずっと流れて都会の水道になっていくわけですから、中には、最近は、車がどんどん山に入って、大気汚染のために車のために木が枯れちゃうのだから、ガソリン税の中に木材の振興の税を取ってそれを回してもらいたいとか、そういうような意見もいろいろとあるわけでございますが、いずれにしても、そういうような形で、何らかの予算というものを利益を受けている人から、それをつくっている山林業者のほうにも回すようにしていかなければいけないのじゃないか。これは一つの考え方を述べたわけでございますが、そういう立場に立ってひとつ御検討いただきたい、そのことを要望しておきます。
 それから次に、秩父営林署におきまして木材の入札について非常にいろいろ不正があった、そのためにいろいろ逮捕された、そういうようなことを聞いておるわけでございますが、これは昨年の二月、衆議院の決算委員会等においても、木材の国有林の入札にからむいろいろな疑惑についてわが党の同僚議員が質問をいたしたわけでございますが、私はこのような林野庁関係のそういう国民から批判を受けるようなことが起こるということは非常に残念に思うわけですけれども、こういう事件について林野庁としては長官としてどう考えているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#223
○政府委員(福田省一君) たいへん申しわけないことだと考えているわけでございますが、報道されました秩父の事件につきましては、現在司直の手によって取り調べ中でございます。その結果を待ちまして厳正な処置をとってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。また、事件の発生を未然に防止するためにも、業務の適正な執行なり、それから職員の綱紀の粛正につきましては、さらに厳正な指導をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#224
○塩出啓典君 そういう入札等の場合、たとえば営林局とその管内におる業者というのはどうしてもつながりが深くなりがちで、そういう点に不正入札が行なわれる危険性というのは多いと思うのですね。そこで、私、一つお聞きしたいのは、いわゆる予定価格というものはどういうようにしてきめておるのか。全国的にも、北海道もあれば、九州もある、中国もある、東京もある、場所によっていろいろ違いもあると思うのですけれども、そういうような予定価格というのはどういう方法できめられておるのか。
#225
○政府委員(福田省一君) 予定価格をきめます場合には、各営林局あるいは営林署におきまして、現実に取引しておりますところの市況を調査いたしまして、それは営林署だけじゃなくて、第三者も入れまして市況を調査いたしております。なお、その際に、また、公売の価格であるとか、あるいは市売りの価格であるとか、そういうものを組み合わせまして適正な市場価格というものを毎月算定いたしまして、その市況率というものを定めて予定価格を定めるように指導しておるわけでございます。
#226
○塩出啓典君 そうすると、各営林署が責任を持ってこの予定価格というものをきめるわけですか、各営林署長にその権限はまかされているわけですか。
#227
○政府委員(福田省一君) ただいま申し上げました市況につきましては、一つの営林署ばかりでなく、数署まとまる場合もございますけれども、指導は、営林局も入りまして、営林局の利用課というのがございます、そこが中心になりまして指導してまいっておりますが、決定しますことはやはり営林署がやるわけでございます。
#228
○塩出啓典君 やはりこういう予定価格というものが妥当であるかどうかということも一つのまず最初の問題じゃないかと思うのですけれども、そういう点については、林野庁としてはどういうチェックをしているわけですか、各営林署長にまかせっぱなしなんですか。
#229
○政府委員(福田省一君) 林野庁といたしましては、産物の売り払いにつきましては、収入の大宗をなすものでございますので、必ず監査をいたします場合に特に販売関係については重点を置いて従来やっております。また、林野庁ばかりでなくて、会計検査院におきましても、やはり販売の問題は特に重点的に取り上げて検査をするということによりまして、いろいろと第三者の機関におきましてもチェックをしておるものでございます。
#230
○塩出啓典君 それで、新聞報道によりますと、落札価格が市価として妥当な価格よりも非常に安い、そういうことが言われているわけですけれども、そういう点はどうなんですか。落札価格が安いということは、やはり予定価格が安いということでしょう、結局は。予定価格よりも下は落札できないわけですからね。そうすると、落札価格が低いということは、これは談合があったとかなかったということとは別個に、そういう予定価格そのものが妥当でない、そういうことになると思うのです。これは私は、林野庁として、これは国民の財産ですから、できるだけ高く売るために努力をすべき問題だと思うのですね。そういう点で予定価格というものが市価より安いということはなかったのかどうか。これは新聞の報道ですから、実際に確かめたのではありませんけれども、そういう点は林野庁としては予定価格は妥当であったかどうかということはこの秩父営林署の場合においては検討してます。
#231
○政府委員(福田省一君) 予定価格は先ほどお話ししましたような手順で立てるわけでございますけれども、こういう問題が出ましたので、営林局はもちろん、林野庁としましても、この問題についてはただいま検討をいたしておりますが、ただ、入札をいたしますというと、入札の方法には一般公売と指名競争とございますが、一般入札になりますというと、外部から全国的に集まってきて、享年の木曽のようなのは大体全国的なあれでございますが、ただ、地域の産業を擁護するという立場から、非常に値上がりがひどいときには、指名とか、あるいは公売にしましても限定する場合がございます。最近は、御承知のように、不況でございます。入札いたしましても、予定価格に達しない場合は、不落が相当あるわけでございます。不落になりました場合には再入札をいたします。それでも売れないという場合は、予定価格に近いところで随意契約をする場合もございます。また、一般の傾向としまして最近は不落の傾向が強くなっておるということは、予定価格に非常に近い値段になっておるということは、全国的な実態でございます。ただ、樹種によっていろいろ差はございます。傾向としましては、買い手市場から売り手市場というそれぞれの立場によって予定価格と落札価格との開きが大きくなったり小さくなったりする現実はございます。
#232
○塩出啓典君 最近はいわゆるそういう入札によらない随契が非常にふえている、そういうようにいわれているのでございますが、大体これは全国的にはどの程度の比率になっておりますか。
#233
○政府委員(福田省一君) これは全国の四十五年度の統計でございますが、立木で売ります場合とそれから丸太に生産して売る場合と両方ございますが、立木で売ります場合は、一般競争に対しますものは一八%、指名に供しますのは一一%、随契にしますのは七一%、素材の場合は、一般競争が三四%、指名が一九%、随契が四七%、こういう比率になっているわけでございます。原則としましては、会計法によりまして一般公開入札ということが原則でございます。ただ、地元産業の擁護であるとか、その他特殊な産業の開発のために必要な材であるとかいうものにつきましては、法律によりまして随意契約をするというたてまえになっておるわけでございます。最近ちょっと随意契約がふえてきておる理由の一つには、いわゆる先ほどお話しの拡大造林ということによりまして低質広葉樹を早く針葉樹に切りかえるということから買い手が非常に少ないわけでございまして、そういうことも一つの影響でございます。
#234
○塩出啓典君 やはり、本来から言えば、これは当然公平な一般入札にすべきだと思うんですね。それで、むしろわれわれ普通考えるには、随契のほうが不当に安くなりやしないかというそういう心配もするわけですけれどもね。ところが、そういう入札の場合においてすらこういうような事件が起きると、結局、一体どうなっているのかと、そういう国民の疑惑が来るのも当然じゃないかと思うんですけれどもね。
 ここで会計検査院の方にお伺いしますが、会計検査院も、当然、計算証明規則第十七条ですかに基づいて、そういう落札者の決定が妥当であるかどうか、そういうようなことを監査をしておる、私はそのように聞いておるわけでございますが、これは大体どの程度やっているわけでございますか。この秩父営林署の場合は、そんなことをやっていなかったんですか。
#235
○説明員(田中稔君) 秩父営林署につきましては、昭和四十二年に実地に検査に行ったのが最後でございます。私ども、人員の関係もございまして、営林署を、立木や素材の売り払い量と事業量の規模によりまして、幾つかのグループに分けまして、事業量の大きなところと小さなところでは検査の頻度に差を設けるということをやっております。秩父営林署は、たまたま事業量の小さい営林署でございますので、四十二年以来現在まで、まだ検査はいたしておりません。
#236
○塩出啓典君 四十二年のときには別に問題はない、そういうことだったわけですね。というのは、今回の問題になったというのは、すでに四十二年以前からそういうような不正があったと、そういうことでいま調査が進んでいるわけですけれども、会計検査院としてはそういうことはわからなかったわけですね。
#237
○説明員(田中稔君) 四十二年に検査に参りましたときには、営林署は林道をつくっておられたわけでございますが、その林道が計画がまずかったために十分活用できていないという場合につきましては注意をいたしたわけでございますが、そのほかの点に、ただいま問題になっておりますような立木の売り払いにつきましては、不当の事態は見受けられませんでした。四十一年度は秩父営林署はたまたま随意契約だけでございまして、これが二十四件あったわけでございますが、四十二年度におきましては先生がいま問題にしていらっしゃるような予定価格の積算に不当な事態があるというような点はなかったというふうに思っております。
#238
○塩出啓典君 いまのお話では、四十一年は随契だと、全部随契だったわけですね。いま長官のお話では、最近は木材の市況が悪くなって随契がふえているというけれども、四十一年はまだ外材の輸入もいまほどではなかった、木材の市況もいまほどではなかったわけでございますが、そういうときに一〇〇%随意契約、本来これは入札をすべきのがたてまえなんですけれども、それが全部随意契約になっておって、そういうのは、会計検査院の検査において、これはもっと入札にすべきじゃないかとか、あるいは入札も指名入札ではなくして一般入札にすべきじゃないかとか、そういうようなことは指導する必要はなかったんですか。
#239
○説明員(田中稔君) 私ども、営林署に参りますと、もちろん契約というものは原則的に一般競争契約であるべきだというふうに考えておりますので、どういう理由で随契なりあるいは指名競争になさったのか、その根拠はしさいにお聞きするということをやっておるわけでございまして、四十二年度の検査におきましては、そういう検査の結果、特にどうというふうに認められる事態はなかったということでございます。
#240
○塩出啓典君 まあ五年も前のことですから、詳細はちゃんといま調べているわけですから、ここでいろいろその過ぎ去ったことを論議する気持ちはありませんが、いろいろお話を承りますと、会計検査院も人員の関係でめったに会計検査はできない、しかも最近は非常に随契もふえている、そういうような状況でございますが、入札によらない随契が妥当であるかどうか、あるいは入札価格が妥当であるかどうか、そういうことは、まあ一番いいのは、営林署長さんを信頼してそういう人たちが正しくやってくれることが一番いいわけですけれども、人間というのはそうはいかないと思うんですね。やはり誘惑には弱いし、常にそういう点では監視の目というのが私は必要だと思いますが、そういう点について会計検査院は何年かに一回なんですから、そうではなしに、それならば林野庁自体としてそういうのに対してどういうようにチェックをしてどういう監督をしていくか、そういう点はどうなんですか。やはりそれをちゃんとぼくはやるべきじゃないかと思うのですけれどもね。
#241
○政府委員(福田省一君) 林野庁におきましては、毎年監査を実施しておるわけでございます。内部監査でございますので、そういう問題が起きないように平素心がけて毎年初めには監査計画を立てまして各営林局を実施し、また、営林局は同じ方針で営林署の監査を実施しておるのであります。事業全般にわたりますので、毎年全部の事業についてということはなかなか困難でございますが、重点事項を置きまして総合的な監視をし、チェックをすることにいたしております。今後は、こういうふうな問題ができませんようになお一そう指導につとめ、監査のやり方についても十分検討してまいりたいと、かように考えております。
#242
○塩出啓典君 きょうはもう時間もございませんのでこの程度にとどめますが、ひとつ、農林大臣におきましても、こういう問題についても、国民の財産を売るわけでございますので、こういう不正のないように、いろいろ検討すべき点が多々あると思うのでございますが、この際、そういう入札のあり方、あるいは随契のきめ方、そういうような点においても御検討いただいて、そういうことがあったのでは、国有林特別会計が今後非常に苦しくなるために一般会計からもどんどん入れなきゃならない、そういう大事なときに林野庁の中からそういうような問題が出てきたのでは、われわれも議員の一人としてそれを推進していく立場において非常にまずいと思うのですね。国民の立場からもこれは納得のできない問題でありますので、そういう点についてひとつ十分配慮していただきたい、そのことをお願いする次第でございます。
 きょうは保安林等の問題についてもいろいろお聞きする予定でございましたが、きょうはこの程度にとどめて、また次の機会にいたしたいと思います。以上で終わります。
#243
○国務大臣(赤城宗徳君) ただいまの御注意、またお考え方、正論だと思います。林野庁にしても、いろいろ重要な問題もありましょうけれども、少したるんでいるんじゃないか、こういう感じを受けます。御注意の点につきましては、十分私どもも心に置いてこれから厳正にやっていきたい、こう思います。
#244
○理事(園田清充君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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