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1971/05/16 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 農林水産委員会 第14号
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1971/05/16 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 農林水産委員会 第14号

#1
第068回国会 農林水産委員会 第14号
昭和四十七年五月十六日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     片山 正英君     小枝 一雄君
     和田 静夫君     辻  一彦君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     山田 徹一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高橋雄之助君
    理 事
                亀井 善彰君
                園田 清充君
                中村 波男君
                前川  旦君
                宮崎 正義君
    委 員
                梶木 又三君
                河口 陽一君
                久次米健太郎
                小林 国司君
                鈴木 省吾君
                温水 三郎君
                初村滝一郎君
                星野 重次君
                堀本 宜実君
                山崎 五郎君
                川村 清一君
                工藤 良平君
                辻  一彦君
                戸叶  武君
                村田 秀三君
                向井 長年君
                塚田 大願君
   国務大臣
       農 林 大 臣  赤城 宗徳君
   政府委員
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
       農林政務次官   佐藤  隆君
       農林大臣官房長  中野 和仁君
       農林省農地局長  三善 信二君
       水産庁長官    太田 康二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林省農政局参
       事官       松元 威雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○土地改良法の一部を改正する法律案(第六十五
 回国会内閣提出、第六十八回国会衆議院送付)
○漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、片山正英君及び和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として小枝一雄君及び辻一彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(高橋雄之助君) 土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○向井長年君 農林大臣、お疲れだと思いますので、答弁はひとつおすわりでやってください。私もそのかわりすわって質問させていただきます。
 土地改良法の改正案につきましては、これは総合的に土地改良を行なうことであろうと思いますので、この点については、われわれも非常に了としておりますが、しかし、この法案を提出した政府の基本的態度について、私は質問したいと思います。
 まず、これは昭和四十年度を初年度とする土地改良長期計画が、わが国の経済社会開発等の情勢の変化によって、合理的にこれを推進することができなくなった。したがって、土地改良法を全面的に改正をしなければならぬ、こういうように判断されて、提案されたと思うのですが、この点いかがですか。
#5
○国務大臣(赤城宗徳君) 社会情勢の変化によって、相当土地改良にも手を加えるといいますか、考えざるを得ないということももちろんございます。特に私どもが考えますのには、土地改良について今後も進めていきますが、明治からずっと、稲作に十分力を入れて米の増収ということに骨を折ってきたわけでございます。御承知のように、いまや生産面からかえって過剰ぎみということでございます。でございますので、農業についても畑作農業といいますか、畑作のほうに力を入れていくべきだ、畑作がよくできるような土地改良もすべきだ、こういう観点からも土地改良法の改正という必要が出てきたと思います。
 それからもう一つは、国土全体をやはり土地改良しなければ、従前のままではいけないと私は思っているのですが、そういう面におきまして、大規模の土地改良といろものが非常に進んできております。もちろん小さい土地改良もやらなくちゃなりません。そういうことからいいますと、個人、個人の承諾を得るということよりも、町村において相当大規模の土地改良というものを進めたい希望が多いのでございますので、そういう面で町村の議会等の大体議決を得て、そうして土地所有者にも意向を聞いて、そして進めていくというようなことでないと、大規模土地改良というものは進んでいかない、御存じのとおりでございますけれども、そういうような点もあると思います。でございますので、手続の点等において、私は非常に直していかなくちゃならない面があると思います。あるいはまたむしろ、この土地改良法は明治の初めの耕地整理法から発展してきたのでございますが、耕地整理法のほらが、より農村の事情や土地改良するに適当な法律の規定が多かったと思います。そういう面も考えて実際この改良法を見ますと、耕地整理法の趣旨を十分入れております。換地の問題等につきましても、その他についても、非常に耕地整理法の考え方が入っております。そのほうが私はいいのじゃないか。そういう面で、大ざっぱにいいますならば、第一点は社会情勢や食糧の需給関係などからいいましても、バランスをとる上において、米麦に適した土地改良ばかりでなく、畑作に適するような土地改良をしていかなくちゃならぬという面、大規模の土地改良を必要とする場合の手続、そういう点で土地改良法の改正を必要とする、こういうことに私は認識しております。
#6
○向井長年君 大臣も言われましたように、これは三十九年の法改正の際は、これは土地改良の長期計画に基づいて、少なくともこれは農業基本法に沿った、こういう形でやられたと思うのです。したがって、経済等の情勢の変化によって、まず十カ年計画をつくりましたですね。これがもう大体後半になろうといたしておりますが、これをいまここで改正しなきゃならぬということは、やはり計画が推進できなくなった、またしにくい、こういう状態から私はあらわれておると思うのです。そうすると、農業生産の選択的拡大と申しますか、こういう趣旨から考えて、農業基本法そのものに問題が起きているのではないか、こう思うのですよ。したがって、これはいろいろといま説明もありましたけれども、政府が特に四十年に策定された土地改良長期計画は、その後農産物の需給とか生産の長期見通し、こういう問題を基礎にして、事業種別なり事業実施目的なりを定めて今日に至っていると思います。しかしながら、農産物の需要と生産の長期見通しは、農業基本法の目的を効果的に達成する、ここに一つの大きな目的があるわけですから、その政策、施策に対する調整と同時に、いまもお話がありました民間に対しては、やはり政府の誘導指標というものを私は示したものである、こう考えるわけです。そうなってまいりますと、やはり農業基本法そのものを大局的な見地から農業の発展を保証する一つの計画法的なものに変えなければならぬ、こういうような感じがするわけです。この点について政府はどう考えておられますか。
  〔委員長退席、理事亀井善彰君着席〕
#7
○国務大臣(赤城宗徳君) お話のとおりだと思います。思いますが、農業基本法を変えなくちゃならぬ、こういうふうには、まだ私は考えておりません。御承知のとおり、農業基本法は一つの権利義務を規定したものでございませんで、いまお話しのように一つの指標でございます。それで指標のうちで、お話しの選択的拡大というものが進まなかったことは、事実でございます。そういう意味で、土地改良なんかもそれに相応するようにやるということでございますが、選択的拡大も進めなければならない。あるいは農業基本法にいっております自立経営農家の育成、こういうことで、自立経営農家の経営規模を拡大するというようなことでも、十分その目的は達せられて、御承知のように兼業農家が八五%にもなっているような状態でございます。そういう面から見ますと、基本法を変えたらいいじゃないかというような御意見も一応ごもっともと思いますが、先ほど申し上げましたように、基本法は権利義務を規定したものでございませんで、一つの指標を規定した。それでその指標がうまくいかなかったという面がございます。しかし、その考え方について悪いことはないと思います。たとえば選択的拡大というようなことも、これは食糧の需給面からいいましても、生産調整をしなければならぬ米のようなものは、これはある程度押えて、そうして足らないものはやはり自給度を増すとか、あるいは自給度を維持していく、そういう方面にやはり転向さしていく、変えていく。畜産とか、果樹とか、園芸とか、あるいは野菜、こういう方面に向けていくという考え方で、私はその基本法の考え方のとおりでいいと思います。また自立経営農家というものが、個人的に経営規模を拡大するということができないとすれば、段階的に兼業農家も含めて経営の単位を広くしていく、こういうことは、やはり基本法のいう生産性の向上という面にも合致していくわけでございまするから、ストレートでなくとも、いろいろ基本法で考えている方向に政策としては考えてやっていけばいいのであって、これを全部書きかえてやろうというようなことにはまだ機が熟さないといいますが、時期がきていないのじゃないか、こういうように感じます。
#8
○向井長年君 私はいますぐ農業基本法を変えようと、こういうことで言っているのではないのです。これは基本法そのものを計画法的な、そういう形に持っていかなければならぬのじゃないか、こういう立場からいまそういうことを質問したわけですが、こういうように質問をする理由は、これは少なくとも政府が、常に総合農政ということをいわれておりますが、あるいは農業の近代化ということをいわれているけれども、これはほんとうにことばだけであって、今日ほんとうに具体化し、そして実をあげたものは私はないと思うのですよ、まことに申しわけない言い分だけれども。したがって農業者のみならず、消費者も農政に対しては、非常に不信感を私は抱いているという感じがするのです。そういう立場から、いま言った農業基本法の、いうなれば計画性といいますか、計画法的な状態に持っていかなければならないのじゃないか、こういう立場からこの問題を私はいま提起いたしておるわけでありますが、政府の方針は、いますぐ変えるということではない、これはもっともだと思いますけれども、これは特に相当な財政支出を伴うような法改正の場合の政府の言い方は、常に農業をめぐる情勢の変化があった。したがって、消極的な態度に終始してきたと思うのですよ。農政に取り組む農政当局の主体が明らかにされておらない。ここに私は問題があると思います。この点についてどう考えられますか。
#9
○国務大臣(赤城宗徳君) 御意見非常に私も傾聴させられるわけでございますが、ことばの上だけではないと思うのです。たとえば総合農政ということばだけで言えば、農政は総合でなければならないことは当然でありますし、私は、総合農政にも、最近の  ほんとうは農業というものは、総合国政の上で農業というものを考えなければならぬような、農業の面から考えているようなわけでございます。そういう面におきましていろいろ財政的の面や何かで総合的、総合国政として取り上げてもらえないものですから、いろいろ理屈というか、そういうものをつけて財政的な裏づけを得ようとする傾向でずっといま御指摘のように向いてきておったと思いますが、私は、やはり農政そのものを総合国政の面として、国全体として農業というものをどういうふうに維持し、あるいは育成していくかという考え方から考えてもらわなくちゃならぬ、こういうふうに思うわけでございます。でございますので、計画的な財政的な裏づけもさることながら考え方を変えてもらって、そうして財政的にも出すべきものは相当出すというようなことでなければならぬのじゃないか、これは私の考えであります。
#10
○向井長年君 結局農政当局が常に受け身になっておると思うんですね。ここに私は問題があると思うんですよ。実は、前の倉石農林大臣のときにも、私は冒頭にこういうことを質問したんです、本年度の予算に対して農政として、あるいは大臣として幾ら要求して、そして決定がどれくらいの分野になるんだということを私は質問したことがあるんですが、結局そういう問題については、農政当局が常に受け身になっておるというところに問題があるんじゃないかと、こういうように私は思うわけですよ。こういうことであるとするならば幾らいい法案の改正をしても、結局は、これはもう常に経済情勢なり他の要因によってこれは変えていかなきゃならぬという状態が起きてくると思うんですよ。そういう問題をやはり少なくとも農政というものは、一本で強くこれは推進するんだという姿勢が、私は今日まで相当努力されたと思いますけれども、非常に弱いんじゃないかという感じがするんですが、その点、特にこれは幾ら農業外の経済の変化がどうあろうと、基本的にはやはり農業というものはこうあらねばならない、ここに一つの基本を持ってやらなければ、今回、土地改良法の改正も意味がなくなってくるんじゃないか、こういう感じがいたしますが、どうですか。
#11
○国務大臣(赤城宗徳君) お説のとおりだと思います。確かに受け身で、まあ自衛ということばがだいぶはやりましたが、どうも農業は自衛、自衛で守るほうばかりで、しかも守り切れなくて押えるというようなことで、受け身でずっとやってきたんじゃないかと思うんです。しかし、これに対しては、私も反省をいたしております。でございますので、受け身じゃなくて、先ほど申し上げましたように農業というものは、総合国政の一部で重大なる政治の問題の一つなんだ。とかく世間からも農業というものは、軽視されておる。また内閣としても、農業というものをネグレクトするような考え方、こういう考え方で、したがって、農林省そのものも常に受け身で、何といいますか、落ちてくる火の粉を払うというようなかっこうで農林省内の人々も活気がなくなっています。私が前にやっていたころより、だいぶ受け身、受け身で押えているものだから、元気を失っているようなことじゃ私はいけないと思っているんです。
 ですから国際的にも自由化とか何とか農業の実態をとらえれば、そういう段階じゃないなら段階じゃないということを強く主張してはね返すとか、あるいは先に向かっていかなくちゃならぬのでございますが、火の粉を払うというようなことばかりで逃げ回っていたようなかっこうでございます。しかし、ことしは予算面等におきましても、いまかかっています農業団体の共済法なんかでも、これだってもう政府の補助を上げなくちゃいかぬというようなことで、ある程度上げるべきだということを主張して法案にもはっきり組み入れております。あるいは団地の構想にしても、そういう方向でいかなければ農業はなかなかやっていけないというようなことでそういうこともやっています。
 それから土地改良、これも土地改良というものは、何といっても基本でございますから、土地に関係のない農業というのはないのでございます。その土地改良というものに対しましては、相当予算面においても、公共事業においてもほんとうの公共事業だ、土地は国有じゃなくても、だれかがその土地というものは耕したり使っていく公共的なものだ。単に公共事業というカテゴリーに入れるばかりじゃなく、実質上公共的なものだから、そういうものに対して土地改良をしていいものを次の時代の人に渡すということが必要だということで、土地改良などの予算なども相当突っぱったのでございます。でございますので、お話しのように、確かに受け身になって逃げ回って逃げ場所がだんだんなくなって、窮鼠ネコをかむようなかっこうで逃げ回っていたようなかっこう、そう言っちゃ悪いがそういうかっこうじゃなかったかと思うんです。これは間違いだと思うんです。だから御注意の点はなお一段と反省して、大いに農林省内も覇気を持って、勇気を持って国政を担当していくんだというプライドで大いにやってもらいたいと私は思っております。
#12
○向井長年君 まあ、大臣の気持ちはよくわかりますが、大体当委員会でもこれは農政問題については、与野党を含めてこれは推進しなければならぬと、こういう立場で従来から質問をされておるわけです。言うならば、基本的に理論的に反対というような問題は、当委員会ではほとんどないと思うんですよ。まだ足らぬぞという反対はあるんですよ。そういう立場でやりっ、いま大臣が言われたように相当自信を持ってやっぱり進めてもらいたい、こういう感じがするわけです。まあ、その反面、やはり農政当局としても少なくともやはり総合性というものを考えなければならぬ、あるいは計画性というものを考えていかなければならぬ、どうもその点がぼくは欠けておるような感じがするんですよ。常に生産の問題一つを見ても、これは自由化という立場もありますし、あるいはまた、自由生産という立場もあるでしょうが、やはり農業というものは、まあ統制経済はいかぬにしても、計画性を強く出して、それによっての指導というものを私は発揮しなければ、消費者もあるいはまた生産者も結局は何ら利益あらず、その不信感がやはり農政当局にくると、こういう感じがするわけです。その計画性あるいはまた総合性を樹立して、その指針というものを強く私は出すべきだと思いますが、いかがでしょう。
#13
○国務大臣(赤城宗徳君) お説のとおりで、私としては、まことにありがたい御意見だと思います。そういう意味でこれは農政ばかりじゃありません、時代の推移というものに対しまして――何も統制経済を私は主張するわけじゃございませんが、計画性というものはどうしても必要だと思います。ことに国民の生活問題に結びつくのでございますから、一つの計画性、総合性、いろいろ農業においてもそういう面に足を踏み出しておるわけでございますが、冒頭お話しのように、不満足の点などを御指摘願いまして、まことにありがたいわけでございますが、一そうそういう適切な計画と適切な総合性を強めながら農政を推進していくということに、なお一そうやっていきたいと思います。
#14
○向井長年君 これは私しろうとでございますからわかりませんが、地方に参りましても、農産物ですね、野菜にしても果樹にしてもいろいろありましょうが、そういう問題が、生産者というものは、いまこれが非常に売れ行きがいいということになれば、これをどんどんどんどんと生産する。そうして過剰生産になると、こういう状態で生産者も何らこれに対して利益を持たないし、やったかいがない。消費者は消費者で同じようなものばかりで必要なものはその地域においてはないとか、こういう問題が私は確かに起きておると思うのです。だから、やはり適地生産と申しますか、あるいはまた計画生産というか、こういう問題はできないものだろうかという感じをしろうとなりに思うわけなんです。で、それと同時に、もう一つは、言うならばわが国で十分な生産がある。ある問題についてでもまだ輸入をしなければならぬという情勢が現在まだあらわれておると思う。できるだけ生産をして国内消費をやり、それによってやはり外国にも輸出すると、これはたてまえでしょう。ところが、わが国に十分あるにもかかわらず輸入をしなければならぬという、こういう状態が自由化の波の中から出てまいっておりますけれども、そういう調整というものをやはり総合調整の中に入ってくると思うんですよ。そういう問題についても、やはり政府は十分なそれに適した指導なり、態勢をとっていかなきゃならぬと思いますが、この点について、やはりそういう矛盾を感じておられませんか。
#15
○国務大臣(赤城宗徳君) 確かにそういうことを感じておるものですから適地、適産といいますか、大きい面から言えば日本全国を米の地帯とか、畜産の地帯だとか、あるいは果樹の地帯だとか、あるいは土地の面積が狭くてやっていけるような養鶏の地帯であるとか、こういう地域に対する指標、こういうものはつくる必要があるというわけで、一昨年でしたか、地域指標を示したわけです。それで、これを今度は各県の中でもきめこまかく地域的に適当な作物をつくっていくように、そうしてこれはそれだけでやっていたのじゃできませんから、全国的な参謀本部みたいなものを農林省でやらなきゃいけないわけです。ただ、指標だけできてしまって、それがいまのお話しのように、過剰になってしまったり、売れ行きが悪かったり、そういう点から考えましても、流通という問題、需給のバランスを流通面からも十分取り入れるようにしなくちゃいかぬということで、流通方面にも力を入れようというようなことで、いま農林省の機構の中にも流通局を設けるようなことに踏み切ったのでございます。
 それで、国内もそうでございますし、いまお話しのように、国際的にもそうだと思うんです。国際的にもどうしても日本でつくっていっても、もうやり切れないと、割りに合わぬというようなものを幾ら進めてみたってしょうがない。たとえば明治の初めのころには日本でも、私のほうでもそうでございますが、綿なんかも非常につくったのでございますが、綿をつくっていても、これはなかなか国際的に成り立たないわけです。でございますので、そういうものはやめになったということでございますが、国際的にやれば、そうして出産性をあげれば十分に成り立つ。また、そうしたくちゃならぬものもございます。ですから国際的な調整というものも私はして、日本で自給していけるものは自給していく。そのものはどこの土地、どの辺が一番いいかというような地域指価も、それに組み合わせていかなくちゃならぬ。こういうふうに考えております。ただ、ちょっと理想的なことばかり申し上げて、実際そういかないんじゃないかというおしかりを受けると思いますが、考え方としてはそういうふうに、お説のような考え方で進めていかなくちゃならぬ。その進め方は、なお一そう強めていく、こういういま考えておるところでございます。
#16
○向井長年君 そういうことでひとつそれは強く要望しておきたいと思いますが、続いてこの農業の基盤整備にはこれは積極的に国がやはり投資すべきだと、基本的にね。そういう形でなければならぬと思うんですよ。したがって、何と申しますか、投資した以後は、この土地は工場とかその他に利用されていくという、住宅とかこういう問題については、極力これは回避しなくちゃならぬ、これは。食いとめなくちゃならぬ。ところが、投資してですね、その後工場用地になったり住宅になったりするところも、私は今日まであるのじゃないかと、また今後もあり得ると思うのですよ。そういう問題について、政府は今後どう対処されるか。あるいはまた、これは私は、二十四年に土地改良法が制定されて以来の実績はどうなっているかと、こういうことをお聞きしようと思ったが、二十四年くらいはなかなか資料が困難のようですが、これは三十年ごろからあるということを聞いておりますが、相当あるのじゃないですか。この点どうでしょう。
#17
○政府委員(三善信二君) 御指摘のとおり、二十四年から二十九年ごろまでの資料はあまりこうはっきりした資料ございませんで恐縮でございますが、土地改良の投資につきましてその資料はございませんが、土地改良の投資の対象になりましたその農地の転用面積、これについてでございますが、まず最初に農地の転用許可の面積は、二十四年から四十四年までとってみますと約三十四万四千ヘクタールでございます。このうち、これは転用許可をした面積でございますが、このうち土地改良事業の対象になった農地がどのくらいあるかというお尋ねだと思いますが、これは実は統計上、私ども明らかにしておりませんので数字的には申し上げられませんが、こういうことは申し上げられるかと思います。土地改良事業の対象となりました農地というのは、これは第一種農地ということにしまして、第一種農地の転用というのは、現実に非常にきびしく運用をしております。たとえば土地収用法の対象の場合とかあるいは農業用施設をつくるとか部落の集落の横に隣接して住宅をつくるとか、そういう非常に厳重にこれ縛っておりますので、まあ、いわば例外的に許可するというようなかっこうで第一種農地はやっております。
 そこで、第一種農地の転用の許可の実態を見ますると、大体五%くらい、全体の転用許可のうち五%くらいが第一種農地の転用許可をやっているということで、主として転用の場合には、第三種が多く次に第二種と、優良農地の第一種は、非常に転用はそういうふうに制限しておるということになっております。したがいまして、この第一種農地の転用の実績は大体五%くらいとしますと、その中に土地改良をやった面積がどのくらいあるかということで、土地改良を現にやった農地で、それが壊廃されていったという数字は現実にございませんけれども、いまの第一種農地の転用の実績からいいまして、実は非常に少ないというふうに私どもは考えております。
#18
○向井長年君 まあ、そういうようにして投資が行なわれて、改良されたという土地が転用されていく、あるいは壊廃されていくという問題については、基本的に農林省はどう考えておるのですか、そういう場合は。
#19
○国務大臣(赤城宗徳君) 土地改良は農地の改良なんですから農林省でやっておりますが、農地として使えるように、また有効的にこれが使えるように土地改良するというのが趣旨であると思います。でございますが、先ほどから話がありますように、社会情勢の変化等によりまして、工場の疎開とかあるいは工場の分散とか、こういうことも国全体としてあるわけでございます。でございますので、農用地、たとえば干拓の中でも、私が手をつけたのは笠岡に一つの例があるのですが、初めから農地として造成する場所と、あるいは工場用地としてやる場所が、その負担のあれもありますし、そういうことでやるのだから、非常にこれしかたないといいますか、そういう総合的に共同でやってもいいと思います、初めから。途中から農地としてつくったものを転用していくということは極力避ける。しかし、四囲の状況や何かでやむを得ず転用するというようなものがあれば、これはある程度認めざるを得ないと思いますが、原則としては農用地は農用地として農業用にみんなが使えるように、人が変わっても、そういうふうに持っていくべきだと思います。方針としては、そういう方針でございます。
#20
○向井長年君 私は、こういう質問をすることは、改良投資の受益者である農業者、生産者、この人の土地処分をけしからぬと、そういう意味で私は言っているんじゃなくて、都市計画が相当以前からあると思うんですよ。そういう中でやはり明確にしていかなければならぬという立場からこの問題を取り上げているわけですが、特にそこで、これから市街化調整区域というような形で、こういう中で今後土地改良については、原則としては農業サイドから改良投資を行なうことになると思うんですけれども、こういう問題について将来とも市街化しないのか、あるいはする予定があるか、そういう見通しですよ。そういう中からやはりこの問題は、未確定な問題ですし、また、調整区域に対する土地改良区域の判断というものは、非常にむずかしいと思いますよ。これは特に生産者である所有者でも、私は迷う問題だと思うんです。こういう問題についてやはり農林省としては少なくとも計画、長期の見通し、そういう中から改良の方向をとっていかなければならないのじゃないかと、こう思うんですよ、この点いかがですか。
#21
○政府委員(三善信二君) 市街化区域と調整区域の関係でございますけれども、市街化区域の線引きをまずいたしますときに、私どもは農林漁業との調整というものを十分とって市街化区域内に線引きをする、その場合でも、たとえば土地改良の投資が行なわれておるような地帯、それははずすとか、そういうようなことで線引きの調整をやってきておるわけでございます。そこで、今後の方向としまして、市街化区域につきましては、やはりこれは長期的なそういう方向で土地改良事業をやるというようなことは、これは私ども今後のやり方としては考えておりません。ただ、災害復旧とか、そういうことで短期的なものについては、効果があるものについてはこれをやりますけれども、そういうことで調整区域につきましては、これは普通の農地、普通の農業地帯と変わらない、むしろ市街化区域を抑制すべき区域でございますから、個々については普通の場合と同じように、土地改良の投資というものはやっていくようにするわけでございます。ただ、市街化区域がだんだん広がって、市街化調整区域にまで食い込んでいくんじゃないかと、そういう心配もあるわけでございます。たとえば、市街化区域に隣接した調整区域、そういうところで土地改良事業をやる場合に、当分の間それは市街化区域に編入しないというような、事務当局と申しますか、建設省の担当部局、そういうところと事前に調整し協議をしながら土地改良をやっていく。やった以上は、それはそう簡単に市街化区域に編入するということはやってもらいたくない、また、やっては困るというような方針で、土地改良の投資というものはやっていきたいと思います。その場合も、やはり先生申されましたように、つけ焼き刃的な土地改良の投資、調整区域なら調整区域にしましても、そういうことはやはりできるだけそれは避けるように努力していかなければなりませんし、一つの計画性を持って、その計画というのはやはり市町村なら市町村の農振計画に基づく、あるいは市町村の今後の土地利用計画に基づく、そういうようなことと調整をとりながら、土地改良投資をやっていくというような方向で進まなければいけないというふうに思っております。
#22
○向井長年君 特にこの米の生産調整は、大体この市街化調整区域を中心に相当あると思うんですよね。こういうふうに考えられるのですが、そういう場合に、今後水田としての問題、あるいは畑地としての改良をする、どちらかこの問題が私は、密接な関係を持つと思うのですが、この点についてやはり先ほども申しましたように、農業者は非常にこれ迷いがあると思いますよね。どうしたらいいかというようなそういう迷いがある中で、水田、畑地両面の改良事業を望んでおるが、政府としてはこの問題についてどう取り組んでいくか、先ほどの問題にちょっと関連しておるんですが、この点どうでしょう。
#23
○政府委員(三善信二君) 調整区域と、その生産調整の実施面積ですか、この調整区域が多いとか少ないとかいうのは、数字的に私ども把握しておりません。一般的に特に市街化区域について、そういう生産調整の面積が多いというふうには考えておりません。といいますのは、ただ一般論で申し上げますと、最近のやはり米の過剰問題、そういうのを控えまして、水田を畑地に転換していく、そういう事業は特に推進をいたしております。と申しますのは、やはり畑地の土地改良というのは、従来あまり進んでいないというのが、これは実態でございますし、そういう面も含めまして、一般的には水田を畑地に切りかえ、そのために土地基盤の整備等もまたやっていくということでやっておりますが、これ具体的な問題としまして、具体的にそこの調整区域でございましても、その具体的農業の実態に応じまして、そこは畑でいったほうがいいのか、それは水田をやったほうがいいのか、そういうのはやはりその実態に即応して考えていくというのが、これは実際の考え方だと私ども思っております。特に調整区域はこうするのだというようなことを、特に考えてやっておるわけではございません。ただ一般的な方向としては、やはり水田を畑地に転換していくというような方向は、これは調整区域に限らず全般的にそういう区域にもっと今後はウエートを置いていきたいと、こういうふうに考えます。
#24
○国務大臣(赤城宗徳君) ちょっと私、考え方ですが、いま言うように水田にするか、畑地にするかということは、はっきりきめてかかるわけにはいかないと思いますが、調整区域においては大体水田といっても飯米というような形で、自家消費が多いんじゃないかと思います、調整区域のようなところの水田は。ほかにまで食糧を、米を供給するというような大きな農家は少ない、大体飯米。それで飯米としてならやはり水田としても必要であると思います。でございますが、一般的にいえば、畑地として家庭菜園的な野菜とか、そういうものをつくるというような形にだんだん進んでいくんじゃないかという見方からすれば、土地改良するなら畑地としての土地改良がいいと思います。それがまた調整区域におきましても、土地の値上がりを待って宅地化するというような傾向の強いところもなきにしもあらずであると思います。そういうのも私は土地改良法でいくんじゃなくて、都市計画法でやるというような方向で指導したほうがいいんじゃないか、こう思うのです。ですから一がいに水田化するか、畑地化するか、宅地化するかということは、いろいろ調整区域には希望があると思います。そういうものをよく見きわめながら、土地改良なら土地改良の方向として手をつけることが必要じゃないかと、私は思います。これは私のばく然たる見方ですけれども、そういう点で……。
#25
○向井長年君 いま大臣言われたように局長、それはやはり市街化区域、あるいは調整区域は将来一つのそういうことを予想して線引きしたものです。そうなればいま大臣言われたように、ただ農業の土地改良という問題だけじゃなく、言うならばやはり都市計画というか、そういう中でやはりそういう問題を見なければならぬと、こういうことにもなってくるんじゃないですか。いま大臣ちょっと言われたが、私はそういうふうな感じがするんです。そういうために線引きをやられた、将来の問題の中から。だから、そういう点、得に調整区域なんかの取り扱いについては、今後の土地改良問題として畑地あるいは水田、場合によれば畑地であれば別にこれは都市計画にならっていかれる、こういう問題も出てくるし、これは実情それぞれ違うと思いますけれども、基本的な問題は、ぼくは総合的に考えられていないんじゃないか、たとえば建設省なり、あるいはまた自治省なり、そして農林省、こういうところでやっぱり土地の利用に対するギャップというものは必ずあると思うんですよ。そういう問題がぼくは農業全般の総合だけじゃなくて、国土というものの総合もあわせての検討が特に必要になってくると思うんです。その点、いま大臣が若干触れられましたけれども、いかがですか。
#26
○政府委員(三善信二君) 調整区域は、やはり市街化を抑制すべき区域でございますけれども、いま大臣も申されましたように、やはり将来何かそういう市街化的な要素を呈しているというところも、近接したところには、これはあろうかと思います。ただ、私ども土地改良法でやります場合には、調整区域については土地改良で実施した、しかも今度の法改正で非農用地を取り込み、そういう工場用地等の敷地も出すというようなやり方も調整区域では、大いにこれはやってしかるべきだと思っておりますが、ただ、その場合に都市計画法との関係がございますので、あまりむやみに調整区域を都市化的傾向に進めていくというようなことは、一定のやはり範囲と規模というのがございますので、そういう調整はとっていきたい。
 それから問題になりますのは、市街化区域とそれから調整区域、この接点的なところがやはり事業のやり方としてどういうやり方でいくのかというのが一番問題になろうかと思います。たとえば、私ども今度の四十七年度の新規の予算の事業としまして、緑農住区の事業というのをやりたいということで実績経費もとっておるわけでございます。これは調整区域で農業はやめたいというような人が近接した区域におられる。それから市街化区域の中に自分は農業を続けてやりたいというような方がおられる、そういう場合に、その接点を建設省なんかと相談しまして、土地改良事業でこれは圃場整備等をやって入れかえるとか、農業をやりたい人は調整区域に移しかえる、調整区域の人は市街化区域に行って農業をやめる、そういうやり方も一つ考えておりますし、いろんな事業のやり方としてはあろうかと思うのですが、ただ、おっしゃるように、やはり将来の見通しをつけまして、値上がり待ちでそういうところにすぐ土地改良をやるというようなことはどうかと思っております。
 事業自体は、調整区域はほかの区域と変わらず、土地改良法の事業で、これも単に従来のやり方でなく、法改正ができますれば、先ほど申し上げましたような非農用地の取り込み等もございますわけでございます。そういうことで、土地改良法に基づいて事業は実施していきたい、こういうふうに考えております。
#27
○向井長年君 時間があまりございませんから私、先に進みますが、もう一つ、農地法の改正によって市町村なり農協が草地設定権とか、他の問題もありましょうが、適地に対してそういう権限を与えましたね。ところが、実際は設定権者たる市町村が財政的に非常に貧弱である。したがって、財政負担能力はない。またあっても微々たるものである、こういう中からこれは実際進んでないと思うんですよね。こういう問題について政府は言うならば財政助成といいますか、こういう問題を私は講じなければ目的は達しないと思いますよ。その点について具体的な方策を持っておりますか。
#28
○政府委員(三善信二君) 四十五年の農地法改正でそういう草地の利用権の設定をやれるようにしたわけでございますが、御指摘のように現状としてはあまり進んでいないのが現状でございます。むしろ北海道と東北の岩手、福島、こういうところで私どもが現在大体つかんでおります数字は、四十六年で大体千ヘクタール内外でございます。はっきりした数字はまだつかんでおりませんが、大体千ヘクタールと言っていいと思います。これはなぜ、そう進まないかという一つの原因をいろいろ調べてみますと、一つは法改正をしましてから、その趣旨の徹底というのが、まだ、そう行なわれていないという点もあろうと思います。それからもう一つは、やはりこの草地利用権の設定をするのは、やはり相当めんどうな話でございますから、市町村や農協等がやはり設定しやすいようなところを選んで、あまりごたつかないようなところでやっているというのが現状だと思います。今後やはり草地の利用というのは、だんだん多くなって、また、これを拡充していかなければいけないというときに、このせっかく改正しました草地利用権の設定をもっともっと活用していかなければいかぬというふうに私ども考えておりますが、ただ、御指摘がありましたように、市町村の財政問題で進まないのじゃないだろうかという御指摘は、私どもそうはっきりした状況を調べておりませんけれども、必ずしもそういう点だけには、これは限られないと思っております。で、現に私ども草地利用権の設定については、県に対して事務費の補助をいたしておりますし、今後もっと指導し、あるいは普及徹底していくということが先決問題であろうかと思います。それから市町村の財政負担の問題等につきましては、こういった草地利用権の問題のみならず、一般的な問題として、まあ、将来検討をしていく必要があろうかとは思っております。
#29
○向井長年君 それはほかにも理由はあるにしましても、やはりこれはとどのつまるところは、財政問題だと思いますけれども、したがって、これの助成が十分やられるならば、これに対する取り組み方も違ってくると思うのですよ。やはり市町村財政の中等で考えると、まあいろいろと適地適所の問題があるにしましても、やはり窮屈になってくるから、それには熱心に取り組まない、こういう状態が出てきていることは、事実なんです。これはしたがって、農林省のほうではそうではない、他のほうに理由があって、これもないとは言えぬといった答弁だけれども、それもう一ぺんひとつ十分調査してみなさい。おそらくこれだけ国から助成するのだということになれば、熱心にやります。権限だけ与えて、その裏づけがないということになれば、これは進まないということはあたりまえのことだと思います。この点、ひとつ十分検討いただきたいと思います。
#30
○政府委員(三善信二君) その問題は、もうひとつはやはり畜産政策の一環としまして、そういう草地利用権を設定しまして、草地造成あるいはそういう管理がうまくいくかどうかとかそういう問題も、またあろうかと思いますので、そういう点も今後調査検討したいと思います。また、先生言われましたような点につきましても、もう少し実態を私ども調査さしていただきたいと思います。
#31
○向井長年君 次に、この農業用水及びその施設を他の用途への転用を認めるについては、農業用水に支障を来たさないようにする必要がある、これは当然のことだと思うのですが、かりに工業用水なり生活飲料水ですね、供給する場合は、その性質上恒常的に量が暫時増大してくる傾向もありますね。そういう性格を持っておりますから、当分はまだいいと思いますけれども、しかし、今後やはりそういう問題を起こすと思います。こういう問題についてどう取り組むのか、何かございましたらひとつ答弁願いたいと思います。
#32
○政府委員(三善信二君) 農業用水の他転の問題でございますが、今度国営のそういう施設について、しかも概括的に非常に上工水が逼迫しているような地帯についてのみ、一応やるということに改正規定の中に織り込んでいるわけであります。私どもこれは他転をいたします場合には、やはり一方では農業用水として余ってきている、一方では非常に上工水として逼迫している、そういう実態が非常に顕著であるというところに限定をしていきたい。その場合にそれではどの程度の水量を他転に向けられるかという問題が一つの大きな問題だと思います。それは国でその測定をしまして、それと同時に、県あるいは市町村、土地改良区、そういうものと十分連絡をとってこれをやっていきたい、運用の面ではやっていきたい。水量自体は国で測定をしてきめていくというようなかっこうにしたい。そのきめ方のとき、やはり現在余っているから、すぐその余っている分は他転に回すというやり方を、将来のことも見通して農業用水の確保−現在はこうだけれども、将来いろんな計画がある場合があるわけです。そういう点も見通しをつけて、その農業用水の確保ということをはかる。御指摘のように、やはり将来のことを考えて、将来はそう言っておっても、また工業用水ではほしいと言ってくる危険性がある。その場合またわけてやる、そうしたら農業用水もまた逼迫してくるということが起こりはしないかという御懸念だろうと思いますが、
  〔理事亀井善彰君退席、委員長着席〕
 そういうことが起こらないようなやり方でやっていきたいと思っておりますけれども、将来そういう問題がもし起こり得るということになれば、そのときにやはりその河川の水資源の対策全般的な問題として見直していくというようなことをやっていく必要があろうかと思っておりますが、現時点において私どもがやろうと思っておりますのは、そういう実態を踏まえて、しかも農業用水の確保には将来の見通しもつけて、水量を測定をして他転をしていくというふうなことでやっていきたい、こういうふうに考えております。
#33
○向井長年君 現在、一般的に言われておることは、慣行水利権といいますか、これは農業者の場合がそうでしょうが、慣行水利権に対する軽視傾向といいますか、そういう状態が私は強くなるような感じがするのです。このような状態を放置したら、農業以外への水利を認めるとするならば、これはあとから工場にしましても、また飲料水にしましても、これが設定されたならば、その水利権というものは、その内容が非常に明確になってくる。しかし、農業の場合は、慣行的な問題ですから明確じゃない、こういう状態で、この慣行水利権は相対的に非常に弱い状態があらわれるんじゃないか、こういうような私は心配が起きると思います。もしそういうようになった場合に、特に工業用水とか、飲料水は増大していきますから、そういう中で慣行水利権の弱さというものが出てくる。こういうことについての合理的なあり方として明確にする必要があると思いますが、特に慣行水利権は、自然要因が非常に多いわけですから、この点を弱者の立場というか、言うならば農業者の立場からこの問題をどう政府は保護されるか、この点いかがですか。
#34
○政府委員(三善信二君) 慣行農業水利権につきましては、先生も十分御承知のとおりでございます。非常に権利の内容、実態も複雑でございまして、歴史的に形成された一つの権利でございます。しかし、ただ現在慣行水利権と申しましても、河川法上はこれはもう完全に保護されているわけでございますから、土地改良事業をやっていきます段階において、河川法に基づく水利権に切りかわって、近代化していくということは一面やっておるわけでございます。一般的な問題として、この慣行水利権をどういうふうに将来考えていくかということにつきましては、私ども実態を十分調べまして、そして権利の内容というのを、これは非常に複雑でございますので、できるだけ明確にしていくというようなことをやっていき、しかも基本的にこの慣行水利権の将来の取り扱い方、これは非常に簡単になかなかまいりませんし、と申しますのは、現在の慣行水利権だからその保護が非常に手薄になっておるというわけにもまいりませんし、基本的な問題として私どもいま農業水利の研究会をやっておりますので、そこでひとつ学者先生方も含めまして、これの明確化、それから将来の制度化がどの程度できるのか、そういう点を含めて基本的な研究をしてまいりたいというふうに思っております。
#35
○国務大臣(赤城宗徳君) いまの御指摘のことは、大事なことだと思うのです。慣行水利権は大体農業同士の慣行なんです。いままでどこの村でどう取るとか、そういうことでずいぶん争ったり何かしていた慣行水利権が、農業者関係の慣行水利権、それが工業のほうにこれが転用するというようなことになると、これは性質が変わってくるわけです。でございまするから、いま農地局長の御答弁申し上げましたように、十分研究、検討させてみたいと思います。御指摘の点は、非常に大事なことだと思います。
#36
○向井長年君 いま農林省に農業水利問題研究会というのをつくっておりますね。これは促進しておるですか、その問題。まあ、私は研究会とかなんとか、諮問機関というのがありますけれども、遅々として進まぬと思うのです、目的のために。したがって、そんなものを待っておったらいつになるかわからぬということになれば、皆さん方、いろいろ経験者でもあり、地方の実態もよくわかっている以上は、研究されることもいいし、また、そこの結論を待つこともいいけれども、往々にしてそういうものは具体的に推進できないわけですから、少なくともやはり早くそういう問題に対する基本的な結論というものを、あるいは方針というものを出すべきだと思うのですよ。どういう形でいまこの研究会が進んでおるか私、わかりませんけれども、その点、推移はどういうことなんですか。
#37
○政府委員(三善信二君) 慣行水利権につきましては、先生御承知のようにこれの実態をまず明らかにするということが先決問題で、これの実態を調査しているところは、農林省以外にはあまりないと思っております。私どももっとこの実態を調査をしていくと同時に、このいま申し上げました研究会でそういう基本的な問題を研究していきたい。それでこの研究会は、これまで研究いたしましたのは、やはり都市近郊の農業用水、この問題についてどういうふうに将来やっていったらいいかということを中心にやっておりましたが、今後はそういう準農村的な農村地帯におけるそういういわゆる慣行水利権、この基本問題に取り組んでいきたいと思っておるわけでございます。ただ、先生言われますように、これを制度化あるいは明確化すると申しましても、最初に申し上げましたような実態をどう整理していくか、ものすごい件数にもなりますし、非常に極端にいえば、各自治体ごとにも違った内容でもあるわけです。そういう慣行をひとつ整理をしながら基本的に研究していきたい、こういう考え方でできるだけ早くこれを研究の課題に移してやっていきたいと思っております。
#38
○向井長年君 きょう大臣十二時半に行かれるのですね、私、一時間ですか。
#39
○委員長(高橋雄之助君) 時間が来ております。
#40
○向井長年君 もう時間がきたんですか。まだ一ぱい残っておりますけれども、今度適当なときにやります。一応時間がきたようでありますので、私の質問は一応これで終わります。どうもありがとうございました。
#41
○塚田大願君 この法案の審議も大詰めになりまして、いままでずいぶん何人かの委員から質問がございました。重要な問題点といいますか、基本的な問題点はほとんどまあ、出尽くしたといっていいんじゃないかと思うのです。特にやはりこの法案の目玉としては、土地の問題、水の問題というのが、やはり何といっても農業の基本の問題でありまして、質疑もこれに集中したかと思うのでありますが、しかし、答弁を聞いておりますと、私はやはり質問された方も、あまり釈然とされなかったのじゃないかと思いますし、私ども聞いているものも、ちっともよくわからない。むしろいろいろ疑問が出てきたというのが、私の率直な印象であります。特に答弁はいろいろございました、確かに農業サイドで今後優良農地を確保していく立場を守るのだということ、あるいはときには攻勢防御であるというふうなことも言われました。またいま大臣はただいまの答弁でも大いに受け身を反省しているのだというふうに、かなり考え方としては積極的なものがおありのようでありますけれども、やっぱりしかし、具体的に考えてみましたときに、どうも問題ははっきり積極的に農業を守るという立場に立っているのかどうかという点では、非常にやっぱり強い疑問を持つわけであります。もしほんとうに農業を守るという立場にお立ちなんだったら、私はこういう改正案をなぜ出されたかということを感ずるわけでありますが、あえてこういう改正案を出されました基本的な考え方、つまりこれで農業が守れるのだという立場について、大臣からまず御所見を伺いたいと思うのであります。
#42
○政府委員(三善信二君) 非常に私いろいろ答弁を申し上げましたが、いま御指摘のとおりでございますが、この改正案を出しましたやはり理由と申しますのは、これはやはり現状、実態というのを相当考えていかなければならないと思っております。で、たとえて申しますと、都市と農村とのそういう土地と水について農業上の利用はもちろん、農業と他産業との利用の調整、これがやはり非常に多くなってきているというのが、これは実態でございます。水の問題で申しますれば、農業用水が一方では余ってきている、他方では緊急に上工用水としてこれの逼迫が行なわれている、そういう事態をこのまま放置するということは、全体の水利用の合理化、そういう観点から立てばやはりマイナスである。だからといって他に水を野方図に分けてやるということではなく、いまのうちに農業の必要な水というのは、そういう事態の生じているところについてはこれを守っていく、これ以上放置すればやはりずるずるとほかに持っていかれる危険性がある、そういうところについて攻勢防御と申しますか、新しい制度を打ち出してやはり守っていくということが一つの重要な問題だと思っております。
 それから土地について申し上げますと、これも先生御承知と思います。最近農村においても、やはりスプロール的に土地がつぶれつつある、また、つぶれる傾向が非常に強くなってきていると、そういうところで規模拡大あるいは生産性をあげていくというようなことは、なかなか将来やりにくくなるということも、将来の問題としてはおもんばからなければいけないということでございます。したがいまして、農村における土地利用計画というようなものを、やはり秩序あるものにしていくというようなことが、今後非常に必要になってくる。一面でいきますと、農地法に基づきまして、農地転用の規制を行なっておりますし、また、この土地改良の事業の一環としてそういうスプロール化を防止するために、大部分の農地を優良な農地として守っていくために、圃場整備という手段を通じてこういう農地を、一つのこれも攻勢防御といいますか、新しい土地改良法の改正のやり方で守っていく、それはひいては生産性の向上にもなるし、集団化にもなるし、優良農地を守っていくという趣旨であるわけでございますので、むやみに他産業に土地を供出するという意味ではございませんで、その点が私どもが基本的に考えて、この土地改良法の改正を出した具体的な理由でございます。
#43
○塚田大願君 この土地と水がとにかく他産業に回すほど一応余裕があると、水も少し余っているし土地もいまの情勢でもよそへ回しても、さほど農業にとっては差しつかえないのだというような感じのお話でありますけれども、そこで私はお聞きしたいのです。とにかく土地改良法の第一条は、農業総生産の増大ということが厳としてうたってある。農業の生産の増大というその農地法の基本の問題に立って土地改良というものが進められておるわけですね。要するに農業総生産の増大というために耕地面積を増大するということが、土地改良事業として最も重要な意義を持っているわけですが、しかし、現実には先ほども御答弁にありましたが、拡張よりも壊廃のほうが大きい。そして大体この十年間に三十万ヘクタールくらい耕地が減少していると、こういうお話で、この間もその話が出ましたが、はたしてこれで農業総生産の増大というものが可能になるのかどうかということを、私どもはまず第一に考えるわけです。疑問に思うわけですが、この点はどうでしょう。
#44
○政府委員(三善信二君) 農業総生産の増大と申しましても、単にその生産を増大するということより、やはり将来の需給の見通しに即応して必要な生産は増大していくというのが基本的な考え方だろうと私は思っております。そういう意味におきまして、今回の、たびたび申し上げております土地改良の十カ年長期計画も大体現在達成しておりますが、その基本となりますのは、やはり農業の面積をどのようにしていくか、あるいはそのために農用地造成というのをどの程度考えていくかというようなことも、やはり今後の農業生産を全般的に見て、どういうふうに十カ年後にその需給の関係等を見ていくかということから出発して考えていくわけでございますので、そういう需給問題ともからんで、この問題は考えていく必要があろうかと思います。御指摘のように、最近農地が非常に多くつぶれているということも事実でございますが、それに即応して農地の造成というのは、そこまで追いついていないというのが事実でございますが、いま私が申し上げましたような全体的な農業のあり方、農業生産の方向、それに即応して土地改良法も基盤整備の一環としての役割りを果たしていくというふうに考えていきたいと思っております。
#45
○塚田大願君 ここに四十六年十一月二十五日に出されました「農村地域への工業の導入に関する基本方針」、これがございます。この基本方針は御承知のとおり、農村地域工業導入促進法に基づきましてきまったものでございますが、これを見ますと、昭和五十年度までに導入すべき工業の規模に対応して、おおむね一万五千ヘクタールの用地の確保をはかることを目的とするものであるというふうに書かれてある。ところが、この促進法が制定される以前におきましても、農地の工業への転用というのはかなり進んでおりまして、昭和四十五年には八千ヘクタールになっておる。先ほど農地局長は、あまりはっきりした統計はないようにおっしゃっておりましたけれども、ここに「農林水産統計」農林省の統計調査部編で七二年度版とございます。これを見ますと、四十五年までに約八千ヘクタールというのが転用されております。この八千ヘクタールが五十年までに一万五千ヘクタールにまで拡張しよう、こういうことになるわけでありますけれども、この調子でいったら、今度は土地改良法も改正されて、こういう改正案に法案ができますれば、もっとこの工業用地への転用というものが進むんじゃないかと思いますけれども、この点はどうでしょうか。
#46
○政府委員(三善信二君) 先ほど、私、統計がないと申し上げましたのは、土地改良を実施したところで壊廃になった面積がどのくらいあるかという、その統計は実はございませんということを申し上げたことかと思いますけれども、いずれにしましても、いまの御質問の、いまの農村工業導入法の計画で相当将来つぶれていくだろう。で、このまま放置しておけば、野方図に、もっと工業導入用地としてつぶれていくんじゃなかろうかという御指摘だろうと思いますが、この農村工業導入法、これは、私から答えたほうがいいかどうかわかりませんが、これをもちまして農村に工業を導入し、農村におけるそういう農業の就業構造改善に資する、そういうねらいがあるわけであります。で、現在、私どもが農業の面で一番考えていかなきゃならないのは、やはり体質改善、規模拡大、こういう問題でございまして、それに資していくというのが、構造改善に資していくというのが、この工業導入法のねらいでございます。しかも、これが野方図に農村に入ってくるというようなことが、もし将来起こるとすれば、やはり先ほど申し上げましたように、スプロール的にこの工業導入が行なわれていくということにもなるわけでありますが、工業導入法でやります場合に、やはり計画的にこれをやっていこうというねらいでございます。したがいまして、計画的にやっていく場合に、このやり方の手法は、この土地改良法でやっていけば、秩序ある一つの計画的な農村の工業導入がはかられていくという意味でございますので、そういう意味におきましては、この土地改良法と農村工業導入法に基づく計画というものをマッチさせながらやっていくというのが、将来円滑なこの促進の方法になろうかと思います。で、こういう調子であればもっともっとつぶれていくかという御心配より、こういうやり方でやったほうが計画的に秩序ある工業の導入ができるというふうに御理解していただければ幸いだと思います。
#47
○塚田大願君 計画的にやるというお話しなんで、確かにそのことば自体は非常にけっこうだと思うのですが、しかし、この現実を見ましたときに、優良農地がかなりこうしてつぶれていっている。まあ第一種農地のつぶれた数字はいまないとおっしゃったのですが、しかし、現実的に、私ども地方へ参りますと、かなりこういう問題にぶつかるわけです。たとえばつい最近も筑波町に参りました。茨城県の筑波町、これは大臣の出身の茨城県でありますけれども、ここへ行きましたら、筑波町の六所というところで四十四年度から四十五年度にわたって構造改善を完了した優良な畑がございます。桃や桑を植えておるところでありますが、ここが約六ヘクタール、数字とすればそう大きな土地ではございませんけれども、この六ヘクタールの構造改善事業が実施された果樹園が、ゴルフ場に転用されておる。茨城開発株式会社という会社によってゴルフ場になっておる。ゴルフ場というのは、これは農地法の転用基準にきびしく規制されておるものだと思うのですけれども、こういう事態がある。あるいは同じ筑波町でございますけれども、上大島地区というところで、畑地かんがい事業が完成した地域でございますが、約六十二ヘクタールが製ぬか工場、ぬかをつくる工場に買収済みで、目下工場ができておる、こういう事態というものがかなりあるわけであります。ですから、これまあ具体的なことについていまここで一つ一つどうこうというほどの余裕はございませんが、しかし、これは事実として私どもが目で見てきたところでございます。こういう事実に立って考えましたときは、優良農地の保存といいましても、実際に土地改良が実施された地域内で、工場用地がどんどんできていっているわけですから、これでは今後とも優良農地が転用されないという保証は一つもないんじゃないかという感じがするのですが、その点はどうでしょう。
#48
○政府委員(三善信二君) 優良農地、集団農地、いわゆる先生もいま御指摘になりました第一種農地、こういうのがどの程度つぶれたかという数字は私ども持っております。ただ、一種農地の中で土地改良事業を実施したところがどの程度つぶれたかという数字は、持ち合わしておりませんということを申し上げているわけでございますが、この優良農地の一種農地、これの最近の三カ年、四十五年の数字はまだ集計されておりませんが、四十二、四十三、四十四年、この三カ年の平均を――平均といいますか、平均を見ますと、全体の中で第一種農地がつぶれているのは五%程度でございますので、そういう意味から考えますと、やはり集団的な優良農地の壊廃というのは、現に厳しく縛っておりますし、先生御指摘のように、どんどんつぶれるというようなことには将来もなっていっては困りますし、また、なっていかないように私どもも運用してまいりたい、こういうふうに考えております。
#49
○塚田大願君 第一種農地の問題は、まだ統計も、数字もはっきり出ておりませんから、ここで具体的に詰めるということもできませんが、しかし、今度の改正案の説明の中でも言われておりますように、大体いま農地局長の話によりますと、一種農地の転用する面積は大体二、三割ぐらいというお話をたびたび聞きましたけれども、私はどうもその点にも非常に疑問を持っておるわけです。というのは、企業というものが入ってまいりまして生産を始めれば、これはもう当然拡大再生産ということが一つの原則でございまして、いわば企業の論理としてどんどん拡張していくということは、当然のことでございます。そこで私が疑問をなぜ持ったかといいますと、この間、実はこれも茨城県で、大臣のところばかりで恐縮ですけれども、鹿島の臨海工業地域へ参りました。あそこはもう新聞その他でずいぶん宣伝されておりますので、もうあそこの農村がどんなふうになっておるか。あの臨海工業地帯がどんなひどい公害をまきちらし、農業をつぶしていっているかということは、あるいは農業だけではございません。ついこの間は魚が一トンもあの海岸から浮いて上がったということが、新聞に大きく出ております。こういうふうに農業も、水産もつぶれていっておるという実情を私、行って見てまいりました。実際に新聞だけじゃなかなかわかりませんから、あえて自分の目で、また耳で調べたいと思って行ったのですけれども、もうあそこに行きますと、いわゆる最初の農工両全という非常にりっぱなキャッチフレーズで出発いたしましたあの地帯では、ほとんど農業というものはつぶれている。村ぐるみでいわゆる公害移転が始まっておりまして、現在三つの部落がすでに移転を希望して移り始めたし、もし一つの地域ももう住めないということで農地は壊廃する。農家は全部もう空家になって、ひどい状態になってきていることを見まして、これを見たときに、私はやはりこの企業の論理、これはだれが悪いとか企業が悪いとかいいというのじゃなくて、一たびそういうふうに企業が進出すれば、これはもう当然必然の結果として私は生まれてくるものであって、これが予測できなくて、何か農工両全、農工一体なんというりっぱなことばでやってきたこの政策の破綻というものを、私はまざまざと感じたわけでありますけれども、こういう状態が将来起きないという保証がはたしてあるのでしょうか。いまむつ小川原開発地域でも、青森の六ケ所村の方々が鹿島の臨海工業地帯を視察に来て、そうしてもうとてもこんな状態になるんじゃごめんだといって、あのむつ小川原地域の農民、漁民の方々は反対運動をやっておられるわけですけれども、私は、こういう危険性があると思うんですが、その点では農林省どういうふうにお考えになっておるのか。特にこの鹿島のこういう事態、臨海工業地帯はおおむねこういうふうな状態になっているだろうと思うんですけれども、これではたして農村が守られ、農業が守られ、ほんとうに農工一体という実をあげることができるのかどうか。その辺について、これは大臣からお聞きしたほうがいいように思うんですが。
#50
○国務大臣(赤城宗徳君) 私は鹿島の工業開発に関してはよく聞いておって、最近は行っておりませんが、塚田さんも最近見られたのはそういうようなのを耳にしたと思いますが、あすこは農業地帯としては、砂丘地帯で砂があって、砂でスイカぐらいしか、せいぜい落花生ぐらいしかとれないような非常に荒れた土地であったんです。そこへあの港をつくって、そのうしろのほうへ工業を導入して、工業地帯をつくろうということで始まったわけでございますが、そこで県ではこういう対策を講じたようでございます。つまり土地の値段を上げないようにする。土地を売った人にはかえ地を与える、換地を与える。その換地は県が整地してりっぱな耕地にして換地を与える。こういうことで、土地買収が始まったようです。そこで、工業者のほうも、導入される工業のほうも、土地の値段が らないならば土地改良をする費用等については応分の負担をする、こういうような約束のもとで工業が入ってきたようでございます。
 そこで、農林省でやったわけでも何でもないんですが、土地改良をしまして、その土地改良をしたところは、水田なんか全然つくれない砂丘地でございましたが、水田もつくるし、それから畑地かんがいができるようにかん水もできるようにし、それから盛り土もする。区画整理もする。こういうので、農業地帯を区画して、よく整備しまして、そうして工場として土地を売っていく人に移ってもらうということで、私が三、四年前に視察に行ったときには、いい耕地ができていまして、それで農業のほうも市街地農業といいますか、たとえば野菜など横浜あたりで売るというようなことで、住宅などもたいへん集団的にいい住宅が建って、中に鉄筋コンクリートのうちなんか建って、自動車なんか一軒ごとみんな持っているんで、鉄筋コンクリートの住宅はぜいたくじゃないかなんという話も聞きましたが、そういうそれを農工一体という理由でやったんだろうと思うんですが、工場地として農地を手放す者については換地を与える、かわった土地を与える。そのかわった土地は十分整地して、土地改良をして農業として成り立つような、面積は少し減ったようでございますが、そういうものを、土地を提供する者に農地を与えて、農業としてりっぱにやっていけるような基盤整備をした、こういうのを私も見まして、いま御指摘のようにどうも工業の近接地帯において公害で非常に問題を起こしているのじゃないかと思いますが、農業のほうに移ったほうは、まあ、相当よくやっているのじゃないか。ごく最近は私も見に行きませんでしたが、私が見た当時ではそういうふうな状況でございます。でございますので、御指摘のように工業を導入して公害を受け、そうして農業が成り立たないようにするというようなことは、もう絶対に避けるべきだと思います。農業を保護するわれわれ農林省の立場としては、そういう方向に行ってはいけない。そういう方向でなくいけるならば、また私が見たときの鹿島のような状況ならば、そう排撃するようでもなかったと思いますが、しかし、御注意の点は十分注意して農業を守っていくということに進めていきたいと、こう思います。
#51
○塚田大願君 大臣からいろいろ説明があったんですが、私も現地でいろいろ説明を聞きまして、確かにおっしゃるように、四割の土地は提供して六割はかえ地をもらうと、こういうことでそれぞれ団地が造成されまして、約二十の団地ができたのですね、換地の団地が。そこでまあみな移ったところがですね。行ってみて驚いたのは、その二十のうちたった一カ所、横瀬団地というところが、わずかにハウス栽培をやりまして、ピーマンであるとかメロンであるとか、まあ、都会向けの蔬菜をやって、これは一応成り立ったようであります。ところが、残りの十九でありますか、また二十というのは正確でないかもしれませんが、残りのこの団地はほとんど農業を放棄しているのです。いわば住宅団地ですね、一つには。それから商業団地。まあそこに行きますとレストランだ、キャバレーだ、バーだ、軒並みなんですよ。商業団地です。ほとんどがそういうふうに転化してしまったんですね。たったわずかに一カ所の団地だけが、とにかくやっておると、団地として一応成り立った、こういう実態なんですよ、実は。それで、私もそれほどひどいとは想像してなかったのです。ところが、行ってみたら実態はそうで、確かにこの公害の問題なんかでは切実な問題でございますけれども、とにかく公害の問題だけでなくて、もう農業そのものが何かもうとてもつまらない。何か商売をやったり、あるいはどこかにつとめたり、出かせぎしたりというのが、ほとんどのこの地元の方々の実態でありまして、こういう形で農業というものがつぶされていくのだなと、だれが命令したのでもない、農林省に言わせればやはり農業は守るのだとおっしゃるのだけれども、実態はいや応なしにそういう方向に進んでいると、これが現実の姿なんで、これをこの実態の上に立って考えなければ、やはりほんとうの農政というものが生まれてこないのじゃないかというふうに私は考えますので、いまこの問題を出したわけでありますが、これはまあ、大臣も今度は三年前ではずいぶん違いますから、一度よく御視察になって、現実を認識していただきたいと思うのです。この問題は、これでけっこうであります。まあ、とにかく私は一つの例としてこの問題をあげただけでありますから、その事実がどうだこうだというこまかいことは抜きにいたします。
 次に、この問題と関連いたしまして、この農村地域工業導入促進法、これがまあ、先ほど農地局長も説明されました両々相まってうまくいくように考えているのだと、計画的に秩序ある云々というお話がありましたけれども、しかし、この問題にいたしましてもね、私どもやはりいろいろ矛盾を感ずるのですね。疑問を感ずる。で、ここにもう一つ申し上げたいのは、これは新潟の――政務次官も新潟でありますが、私も新潟なんで、ちょいちょい帰りまして、たまたまこの間も一つ聞かされたんですが、白根町に理研電線という工場が来たわけです。これが最近のドルショックでまいりまして、七百人の従業員がいるんですけれども、これの首切りが始まったわけですよ。まあ、工場閉鎖といううわさも出ているわけです。で、せっかく工業導入というので市当局もたいへん熱意を入れてやっておったんですけれども、この段階で、ドルショック、円の切り上げ、不況の問題でがたっときまして、農村工業導入促進法に対する疑問を非常にやっぱり当局が持ち始めた。この調子でせっかく誘致した工場がどんどんつぶされ、そして今度は新しく首切り問題というふうないろんなむずかしい問題が出てくる、これは一体どうしたらいいんだと、こういうお話を聞きました。これは私は、何も新潟だけではないと思うんです。農村ではいま繊維工場なんかは、ほとんどまいってきています、北陸筋なんか行きますと。その他の工場でも私は大同小異だと思うんですが、ですから、これが必ずしも成功してないということを考えてみましたときに、むやみやたらに、非農用地を確保するとか、水を取るとか、あるいは工業を導入するんだというこの考え方、政策というものが必ずしも正しくなかったというふうに言って差しつかえないんじゃないかと思うんですけれども、こういう問題につきましては、どういうふうにお考えでございましょうか。
#52
○説明員(松元威雄君) ただいま農村地域への工業の導入につきまして、いろいろな実例もおあげになって御指摘があったわけでございますが、私たちは、農村地域に工業を入れます場合には、そういった工業が入りますと、周辺の農業、農村、そういうのへいろんな影響を及ぼすわけでございますが、それをいいように、いわば農業と結びつけてまいりたい。もちろん、個々の企業としますと、これは企業の論理に従って行動するということはございますが、それをうまいぐあいに誘導いたしまして農業と結びつけ、両々よくなるということを期待いたしているわけでございます。そこで、この農工法は、まだできまして施行後一年たちませんものでございますから、現段階では計画をつくる段階でございまして、農工法に従って現に入った工業はないわけでございますが、過去に農村に工業が行ったという例をいろいろ見まして、いわば業種としましても、安定している業種、成長性のある業種というのを選ぶ。それからまた、周辺の農業者を多数いわば安定的に雇用する。そうしまして、それを契機としまして、いい意味で農業の構造改善に結びつける。そういう業種を選定しまして計画的に進めようと、そういうねらいでやっておるわけでございまして、いまお話しのように、過去に入った例としては、いろいろ一般経済の影響もございますからそういう例もございましょうが、今後は極力そういうことはないようにいたしまして、計画的にいい方向に誘導するということで進めたい。そういう考え方で工業の導入はしているわけでございます。
#53
○塚田大願君 いま、この農村への工業導入の問題について説明ございましたが、確かに考え方としては、当初、農業構造改善に資するのである、あるいは就業構造の改善をやるんだと、こういううたい文句でございましたが、これがやっぱり一つ一つ見ると必ずしもそうなっていない。たとえば、農業構造の改善のためにするんだというふうなうたい文句でありましたけれども、これはやはり新潟の西頸城の能生町の例でございますけれども、ここは今度導入法に基づいて今年度から指定された町でございます。ここでやはり新しく繊維会社が入ってくるというので、いろいろ用地の造成なんかを町が一生懸命にやった。しかし、工場のためのそういう基盤整備は一生懸命にやるんだけれども、農業の基盤整備はほとんどやってくれないということで、町当局も含めて一ぱい食ったんじゃないかという疑問がやはり農民の中にはあります。あるいはこの就業構造の改善の問題も、いま、おっしゃったけれども、この問題を一つ見ましても、ここに通産省の報告がございますけれども、四十五年十二月の資料――「農村地域工業開発調査事業所調査結果の概要」という調査であります。この調査報告を見ますと、現実にはこの就業構造ですよ、雇用の問題では。昭和四十年以降農村地域に進出してきた企業の雇用条件を見ると、五五・三%の企業が年齢制限を行なっておる。半分以上です。そのうち、四十歳以上の男子を締め出しておる企業は四九・四%ある。まあ、半分ですね。つまり、中高年齢層の雇用条件を非常にむずかしくして、当初言われたような就業構造の改善というものが実際に現実には進んでない。これが実態ではないかと思うんです。そういう意味で私は問題を一つ投げかけているわけですけれども、その辺はどうでしょう。
#54
○説明員(松元威雄君) ただいまの御質問は、前段は土地の問題、後段は雇用のしかたの問題でございますが、前段の土地につきましては、工業が入ります場合、工業用地が必要でございますから、これは当然造成するわけでございますが、その場合に工業用地の造成だけで終わらせずに、それと関連しまして農業の基盤整備を進める。つまり、農家の中で工場に行きたいという者と、農業に残って、しかも規模を拡大したいという者と両方に分かれてくる。その場合に、工場に行く者と農業に残る者との間を結びつけて構造改善を進めていこうということでやっておるわけでございますので、それを現実に今後の導入計画で具体化してまいろうということにいたしているわけでございます。したがいまして、農工法に伴いまして、農工法関連の基盤整備事業というものを組みまして、両々相まって実施してまいろうという体制にしているわけでございます。
 後段の雇用につきましては、御指摘のように、確かに、企業といたしますれば、企業の論理と申しますか、なるべく有利な条件で雇おうということは当然でございます。そこが私たちも、ある意味では悩んでいるところでありまして、とかく、工業としますると、なるべく若年者を雇いたい、――別に制度的に制限をしているわけではありませんが――なるべくならば若年労働者を選びたい、あるいはまた男子よりも女子を雇うと、これは、もちろん、業種によって違いますが、そういう傾向はございます。そこで、それに対応いたしまして私どもの一番の問題はいわば、中高年齢層でございます。この中高年齢層は、過去の経歴とかあるいは技能その他からいいましてなかなかむずかしい問題点を持っていますが、それを職業訓練等をいたしまして、極力、工業に入りやすい形にしていこうと。ほうっておきますれば、おっしゃるとおり、とかく若年労働者を選びがちになるわけでございます。それでは困る、むしろ、中高年齢層を積極的に雇ってもらうというふうにしたい。それが、いわば農業と工業側との調整になるわけでございますが、それを円滑にやらせるというふうに進めようと思っているわけでございます。
#55
○塚田大願君 先ほど、農地局長のお話、あるいは法案の趣旨説明でもスプロール化ということが盛んに出るんですが、一体、スプロール化の実態というものを農林省はどういうふうに把握しておられるのでしょうか。
#56
○政府委員(三善信二君) 具体的に数字的にはつかんでおりません。ただ、私どもが感じておりますのは、農村の現実から見まして、いま、先生も言われましたように、工場等もその虫食いが出てくるという危険性はやはりあるわけでございます。それと同時に、大きな道路等がつきますと、同様にその周辺の農地等が非常に転用が進む。そういういろいろな実態を踏まえまして、やはり地域の実態に即して、そういう無秩序に優良農地がつぶれていくということを私ども極力懸念し、心配をしているようなわけでございます。正直に申し上げまして、数字的にそれじゃスプロール化の数字を幾らかと言われましても、数字的にはつかんでおりません。
#57
○国務大臣(赤城宗徳君) 実態というと、私はこういうのは痛切に感じているんですが、地方に行きますと、土地改良したせっかくの水田なんかに工場が建っている、住宅がぽつりぽつりと建っているんです。聞くと、土地価格が水田買って、そうして土地に土を盛っても、そのほうが畑地を買うよりも安くつくとか、こういうことを不動産業者や宅地を買う人が言っているらしいんです。そうしてせっかく区画整理されたたんぼの中に、ぽつりぽつりと工場が建ったりなんかしています。千葉県なんか特に多いんですが、そうすると、そのまわりへ木が植わり陰になる、いまの日照権じゃないですが、そういうようなおかげでまわりは農業をやっていけなくなる。だんだん宅地に売っちゃったほうがいいとかいうふうな形になって虫食い的にやっていく、こういう現状は私から説明しなくても御承知だと思いますが、そういう点は農地局長も憂えて言っているんじゃないかと思います。
#58
○塚田大願君 実態が数字の上では出てこない。しかし、いろいろそういう事実は、もうみんな知っているわけです。そこで私どももスプロール化ということをやっぱり防がなければいけないと思っているんですが、ところが率直に言って私どもの考え方を言わせていただければ、農地法というものがだんだん改悪されて、たとえばここに四十六年六月に出されました水田暫定許可基準及び通達というものがありますけれども、こういうもので基準をだんだんゆるめていってしまう。農地の転用などの基準ですね、水田でもよろしいというふうな形の基準が、だんだん改悪されていっている。これではいまのようなスプロール化が進むのは当然なことであって、むしろ私は、農地法を厳密に適用することによってむしろ、このスプロール化というものを防げるんではないか。いまの法律だって十分できるのをわざわざこれを改悪していっている、緩和していっている。そして今度は、土地改良法の改正だと、こういうふうにおっしゃるんですけれども、どうもその論理は、私は矛盾してはいないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#59
○政府委員(三善信二君) 農地の転用というのは、やはり先ほどから申し上げましたように、一般的には優良農地の確保ということを原則としてやっているわけでございますが、やはり単に農地をどういう実態に即してどう守っていくかという客観的な一つの情勢というものを踏まえて、この転用の規制というものはやっていく必要があろうかと思っております。で、御承知のように米の生産過剰、そういう事態も踏まえまして、私ども基盤整備としましては水田から畑に転換する、そういう土地改良事業もやっておりますし、また、そういうやり方で畑の整備というものが非常におくれていますから、畑のそういう圃場条件をよくするという意味にも、これをやっているわけでございます。と同時に、やはり水田についてもそういう転用の基準というのを一部暫定的にこれ緩和いたしまして、一定の範囲内、その周辺の農業に影響を及ぼさないような範囲内においてこれを緩和しているというのは事実でございますし、また、そういう一般的な国民経済の働向に応じたそういう運用のやり方も、これは必要かと思っております。それを野方図にまた緩和していくという意味ではございません。そういう意味で、水田の転用緩和ということを暫定的にやっているということでございます。
#60
○塚田大願君 この問題は、ではそのくらいにしまして、時間がありませんから次に、私は、公害による農業の破壊の問題を御質問したいと思いますが、御承知のように土壌汚染防止法あるいは水質汚濁防止法が制定されまして、まあ農村地帯におきましても、公害を防止するという対策が一歩進んでいるわけでありますが、しかし、この土壌の汚染の場合をひとつ見ますと、これはいまカドミウムだけしか規制されておらないわけですね。ところが、現実には銅だシアンだ鉛だ砒素だ、とにかく最近はものすごい公害が広がっていることは、御承知のとおりだと思います。特にいま一番社会的に問題になっているのは、PCBの問題でありますけれども、最近このPCBの汚染でいま問題になっております滋賀県の草津の農地の問題であります。これも私どもが調査をしまして、非常に深刻な問題であることがわかりました。とにかく十五年間もこの地域においては、雑草さえはえなかった。PCBで十年間です。これは工場はやはり誘致されました日本コンデンサ工業株式会社という会社でありますが、そこからPCBが流れているということを農民の皆さんは前から知っておった。ところが十年間も手が打たれなかった。今度滋賀県が第四次調査をやりまして、この調査の結果を私どもいただいておりますが、とにかくこの地域で玄米から一・三三PPMというPCBが出てきておる、こういう結果が出ているわけですね、はっきり。そこで、ことしもいよいよ田植えの時期を控えまして、一体これをどうするのだということを農民の方はたいへん問題にされているのですけれども、しかし、これがさっぱり対策が進まないということで、私どもにも陳情がございました。行って調べてみると、確かにひどい。とにかく工場が十年間もPCBをたれ流しているという事実は、写真なんかにもはっきり出ているのです。大臣、こういう形で排水路にこう出しているのですね。排水路にPCBがどんどん流された、こういう実態なんです。これはあまりたいしていい写真ではありませんが、これはため池です、ここへやはりPCBがたれ流されている。これが十年間放置されているということですね。そこで、これはいわば人道問題とも言ってもいいほどのことなんで、町当局としても非常に苦悩しているようでありますけれども、とにかくいまのところPCBの基準がきめられてない、国で……。だから手の打ちようがない、こういうわけですね。企業は企業で、それはもしそういう責任が明確になれば手を打つけれども、いまのところわれわれそういう基準が示されてないのだから、こういうことで逃げ口上を張っておる。特にPCBが猛毒であることは、もうみんなの常識でございますが、こういう状態がいままでとにかく十年間も放置されるということは、一体どういうことなのか、お聞きしたいと思うのです。
#61
○政府委員(岡安誠君) PCBの問題でございますが、御存じのとおりPCBは相当前から日本でも製造され、いろいろ電気機械等に使用されている、こういうこのPCBにつきまして、カネミ油症事件という不幸な事件がございましたけれども、これは工場の操業上の事故等によります急性の中毒事件でございます。急性、亜急性の問題につきましては、従来からいろいろ研究がなされておりますけれども、現在特に問題になっておりますPCBの慢性毒性の問題でございます。この点につきましては、現在必ずしも人間の健康に与えます影響等につきましては、明らかでない点のほうが多いわけでございまして、現在関係省庁全力をあげましてその面の研究を進めておるという現状でございます。ところで、じゃ規制をどうするかということでございますけれども、私どもはまずPCBにつきましては、その製造につきまして必要不可欠なもの、またさらにその製造によりまして環境を汚染しないものに限りまして、製造は今後継続させるつもりでございますけれども、開放系その他PCBを必ずしも使う必要がないものものまで使いまして、その回収が完全でないものにつきましては、近くこれを全面的に中止をするという方向に向かっております。
 御指摘の草津におきます日本コンデンサにつきましても、PCB使用につきましての製造はすでに中止をいたしております。今後の問題は、日本コンデンサの周辺の汚染をどうするかということでございます。一つは、水の問題、もう一つは、土壌の問題がございます。水の問題につきましては、これは相当安定的なものでございますので、琵琶湖等に相当流れ込んで湖底等を汚染しておるおそれがあるというととは、十分考えられるわけでございますので、私ども近く琵琶湖の湖底等につきましても調査をいたしたいというふうに考えております。それから周辺の土壌につきましても、お話しのとおり、現在県において、個所数は少のうございますけれども、四点ばかり土壌中のPCBの検査をいたしておりまして、最高一二〇〇PPMというPCBが検出されております。これにつきましては、現在までPCBにつきましての人体影響等が必ずしも明らかになっておりませんので、これをどうするかということにつきましては、まだ具体的な対策は立っておりません。さらに、この土壌中のPCBがどのような作用をするか。農作物の成育に障害を及ぼす、また農作物に吸収をされまして、どのようなメカニズムによって吸収をされるかということも現在明らかでないわけでございます。私ども至急この間のメカニズムを明らかにいたしたいと考えております。かたがた人体影響等が明らかになりますれば、その基準をも勘案いたしまして、私ども土壌汚染防止法の対象であります有害物質にPCBを指定をいたし、対策事業等も実施をしてまいりたい、かように考えております。
#62
○塚田大願君 環境庁からのお答えがございましたが、これはこれからの課題だろうと思うのですが、私はここで主としてお聞きしたいのは、やっぱりこういう問題が十年間も放置されたという行政の責任の問題です。これはこれからひとついろいろ機会を追いまして論議したいと思うのですが、とにかくここで申し上げたいのは、いまこの地域の農民の方々は、とにかく全面休耕しなければいかんだろう。その場合に一体補償はどうなるのかという不安ですね。まあ、その危険区域についても抜き取り方式でやるのかどうかという問題もございます、線引きを。あるいはこの農家の飯米ですか、これをどうするのか、こういう問題もあるわけですが、まあこういう問題もきょうは時間がございませんから、いずれまたの機会にお聞きしなければならないと思っておりますが、ここで特にお聞きしたいのはこういうことです。
 今回の改正案の五十七条の三、一定の場合に土地改良区は管理規程によって廃水の排出の差しとめが求められることにしている、となっておりますね。「排出を停止すること――を求めることができる。」と、こういうふうになってるわけですが、これだけの規定で罰則規定というものがない。この罰則規定がなければ、こういうただ、「求めることができる。」という程度では、実効はあがらないのじゃないかと思うのですが、この点はどうなんでしょうか。なぜ、これがつかなかったのか、その点をお聞きしたいと思うのです。
#63
○政府委員(三善信二君) 御指摘の問題でございますけれども、やはりこの土地改良施設、この排水路等につきまして、管理の実態というのはいろいろございます。一概にすぐ差しとめ請求というようなことをどの程度やれるかということは、法律的にも非常に問題のある点でございますが、私どもが今回こういう規程を置きましたのは、従来はこの規程がなくてもほんとうはやれるのではないかということも考えておりましたが、法的に規制することによって一つの実効はあがる。と申しますのは、やはり部落あるいは市町村内部で従来の一つの慣行的な問題もありますし、それをどういうふうに指導し、または規制していくかというようなことで、農民の方自体が、あるいは最近団地等ができてそういう農家の方と一緒に予定外の排水をしていくというような実態がありますれば、それはそういう排水をするような人とか、あるいは市町村、そういうほうと協議をしながら運営をやっていくということが実効を期し得られるのではないか。単に法的にこれを規制するというだけじゃなくて、実際面で話し合いながら、しかも相当管理規程というものをつくりまして、その管理規程も皆の創意でやはりきめていくというようなことをやったほうが現実に実効は、この部落秩序、農村秩序の中においてはあがろうかと思っております。御指摘のように、法的な裏づけというものはございませんが、そういうふうに実態の運用によって私どもは実態を調査しました結果、こういう規程が必要であるし、また、これをやることによって相当実効があがっていくというようなことで、この改正をやったわけでございます。
#64
○塚田大願君 時間が来まして、まだ質問はたくさん残っておりますけれども、打ち切らなければいけないだろうと思います。とにかくいまの問題でありますけれども、この公害の問題、PCBの問題、カドミの問題、いろいろ深刻な問題になるわけなんで、いまのお話しですと、これをただ話し合いでやっていくというふうなお考えのようですけれども、現実はいま私が草津の問題で示しましたように、一つも進まない。十年間たってこれほど深刻な問題になっても、なおかつ話し合いが進まない、こういう事態を考えてみましたときに、私はやはり非常にこの改正案は不備であるというふうに考えます。これはこれでよろしゅうございます。
 で、とにかく最後に私が申し上げたいのは、時間がございませんからもう一方的な意見を申し上げるようになるかと思うのですが、この水の問題ですね。これは先ほどから何回も出ました工業用水に利用する、こういう問題。ここに私は、具体的な資料として、福島県の東根堰土地改良区の問題を材料として持っております。やはりここでも、これは県営でありますけれども、この用水の水を工業用水に使おうとしているのではないかというので、地元の方々は非常に反対しておられる、こういう問題がございます。しかし、これは時間がございませんから、これも次の機会に譲りますが、こういう水の問題は、やはり私はほんとうにほうぼうにたくさん問題があろうかと思うのです。ですから水が余っているから工業用水に回しても決して困らないのだという考えは、やはり非常に甘いというふうに私は、判断をいたします。
 それから最後に、改良区の民主的な運営の問題でありますけれども、この改良区の運営につきましても、今度いろいろ改正がございます。なとえば市町村申請事業ということで農民の三分の二の同意を必要としないで改良事業が申請できるということになる。八十五条のあるいは八十六条でありますが、あるいはその他土地改良区の役員選出の方法につきましても、選挙でなくて総会または総代会の議決で選任できるというふうに変わりましたけれども、やっぱりこれではほんとうの農民の声を聞くことができないのじゃないか。やっぱり従来の土地改良区の運営についてはかなり戦後の民主主義の思想が入っていて一定の役割りをしたと思うのですけれども、今度のこの改正によりますと、この運営が非常に非民主化される危険性がある。これではほんとうの土地改良のためにならないのじゃないかというふうに考えます。そういう点をきょうは質問ができませんけれども、最後に、こういう諸点を踏まえまして、大臣の御所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
#65
○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど私申し上げたのでございますけれども、もちろん土地改良区については、民主的にやらなくちゃならぬ面がございますが、考えようによっては土地改良区の前の耕地整理法のほうが民主的な面があります。それでいろいろ時勢に応じて大規模の土地改良をするというような面とか、あるいは需給の調整を十分土地改良区のほうでするとか、あるいは土地改良区によって農用地を確保するとか、こういうような面からいろいろ考えて御提案をしたわけでございますが、御指摘のいろいろな点などにつきまして完全といえない面もあろうかと思います。こういう点につきまして、もし運用面において十分考えられる面は、運用面において民主的にやっていきたいと思いますし、また、この改正案を通過してもらって、それからなお運用についていろいろ問題がありますときには、それを検討しながらなお前進させていきたいと思います。
#66
○委員長(高橋雄之助君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#67
○塚田大願君 私は、このたびの土地改良法の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行ないたいと思います。
 日本共産党を代表して、土地改良法の一部を改正する法律案に反対し、討論を行ないます。
 この改正案には、点在する非農用地を施行地域へ計画的に取り組むことができるとか、事業の総合化等、土地改良事業をより効果的に進めるための一定の改善面を持っています。しかし、今回の改正案の基本的内容が大企業本位の高度経済成長政策に農業を従属させる、いわゆる総合農政を土地改良事業にまで貫こうとするものであり、経済の自主的・平和的発展と、そのために日本農業を守り、発展させるという立場から考えて、賛成できない重大な改悪をはかるものであると考えます。
 次に、具体的に今回の改正案に対する反対理由を述べます。
 反対の第一の理由は、農民の生活と生産の基盤である農地と農業用水を、独占資本等の収奪から守るのではなく、逆に積極的に提供させる改正であるということであります。
 政府は資源の有効な再配分をはかるためと称して、工業用水等の需要増大に対処するため農業用水に目をつけ、農業の水需要を過小評価し、その合理的利用を強調、対価の支払いを条件に、用水及び水利権等の共有権を与えるという改正をしています。一たび共有権を与えたが最後、現在の行政のもとでは、農業上の水利用が大幅に制限され、不当に侵害されていくであろうことは明白であります。このことは、農業用水の権益を擁護するため、既得水利権を立法上明確化せよという要求が、今回の改正で見送られたことを考えますと、一そう明らかであります。今回の改正では国営施設のみでありますが、将来この点を県営の施設にまで適用させようとすることに対しましても、もちろん反対であります。
 また、非農用地の新規需要に対して、創設換地等の手段で確保できることとする改正についても、農民の利益に直接結びついた農業用施設等のためならば、もちろん、反対するものではありませんが、改正案の真のねらいが農村地域工業導入促進法に基づき、工場用地の安価な確保にあることは明らかであります。しかも、公害防止のための規定や、農民や、その地域住民の意思を十分に工場誘致の計画に反映させるという点の規定を欠いたものであり、公害等による農業生産基盤の破壊を激化させるものであります。
 第二には、農地保有合理化法人に対する土地改良事業の事業主体としての資格や、第三条資格を与えるという点でありますが、このことは、農地保有合理化事業の目的からすれば、中小農民の土地を集め、大規模農家に分け与えるという、いわゆる中小農民切り捨て政策を土地改良事業を通じて推進する道を開くものであります。大多数の農民の利益に反するものと言わざるを得ません。
 第三には、民主主義の問題であります。
 土地改良区の設立には、三条資格者十五名以上の申請と、三分の二以上の同意を基本要件とし、国営、県営事業も関係農民の三分の二の同意がなければ事業を行なえないという民主的な規定に対して、今回の改正案では、農民の同意なしに、市町村特別申請により、基幹的な事業を先行実施できることとし、しかも、同意なくして実施された事業の負担は、あとから農民に賦課するという、まさに非民主的な改悪であります。
 さらに、土地改良事業計画はすべて関係市町村長の意見を聞かなければならないとしていますが、このことは、農業振興計画に基づいて、選別的な土地改良事業を実施しようとするものであります。
 以上の点は、本来、農民が自主的、自発的に実施すべき土地改良事業を、市町村主導のものへの転換であり、土地改良法の基本を変える反農民的な改悪であると考えます。
 さらに、今回、土地改良区の役員の選出方法についても、従来は選挙に限られていたのが総代会の議決による選任の方法もとれるとしていることは、土地改良区のボス支配を許すものであります。
 以上の諸点で述べたように、法改正を貫いているものは、農業振興優先の立場ではなく、独占の産業発展を第一に、そのために農民の土地と水を提供し、産業発展の保障する範囲内で農業開発をはかろうとする総合農政推進の立場であります。
 以上の理由から、わが党は、本改正案に強く反対するものであります。
 これで討論を終わります。
#68
○委員長(高橋雄之助君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決を行ないます。
 土地改良法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#69
○委員長(高橋雄之助君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました土地改良法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が、先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案し、案文を朗読いたします。
   土地改良法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は都市化・工業化等農業をめぐる厳しい内外の情勢変化に対応し、国際競争に耐えうる農業の確立のため、土地と水の総合的利用の調整を図り、土地改良長期計画を改定し、長期展望に立つ農業基盤整備事業の総合的実施とその積極的推進を図るとともに、特に左記事項について検討し、速かにその実現に努むべきである。
     記
 一、土地改良事業の促進に当たつては、農業振興地域の整備に関する法律等の地域開発計画の中で、土地基盤整備と農村の環境整備等を位置づけ、スプロールを防ぎ優良農地を確保することを旨とし、国庫補助体系、融資体系の改善簡素化、特に国庫補助率の引上げ、償還条件の緩和等農業経営の発展と農民負担の軽減を図るよう努めること。
   なお、地方公共団体の負担にかかる土地基盤整備事業費に対し、起債等の所要の措置を検討すること。
 二、都市化、工業化に伴う農業用用排水の汚染と公害を防止するため、事業費負担の公平を図りつつ用排水を分離し、管理規程の整備、施設利用に関する権利関係の明確化等積極的な施策を講ずること。
 三、干拓は、必要に応じて多目的利用計画とし、農用地の造成を中心として構造政策上明確に位置づけ、その農用地として計画されたものの他用途への転用、計画の変更等は極力これを押えるとともに、他用途への土地の譲渡については農用地等の配分を受ける者の負担の軽減になるよう努めること。
   なお、適正な地域開発計画に基づき周辺地域の公害防止等に特に留意し積極的に農業の発展に貢献するよう配慮すること。
 四、農業用水の他用途への転用を認めるに当つては、慣行水利権、施設管理権が不当に侵害されないよう配慮すること。
 五、国有の土地改良施設について共有の規定が置かれることとなるが、県有の土地改良施設についても同様の措置を検討すること。
 六、土地改良事業団体の公共性にかんがみ、その整備育成を図り、換地技術者等の養成確保、処遇改善の措置を講ずるとともに、換地事務が渋滞しないよう登記の促進を図ること。
 七、排水施設、防災施設、農道等公共的性格をあわせ有する土地改良施設を維持管理する土地改良区等に対しては、その維持管理費について国の助成等のみちを開く措置を検討すること。
 右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#70
○委員長(高橋雄之助君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、赤城農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
 赤城農林大臣。
#71
○国務大臣(赤城宗徳君) ただいまの附帯決議につきましては、その決議の趣旨を体し、十分検討の上、善処いたしてまいりたいと存じます。
#72
○委員長(高橋雄之助君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#74
○委員長(高橋雄之助君) 次に、漁港法の一部を改正する法律案、漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案及び中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。赤城農林大臣。
#75
○国務大臣(赤城宗徳君) 漁港法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 漁港は、漁業生産の基盤であり、かつ、水産物流通の拠点でありますことから、水産業の発達をはかるためには、漁港の整備を推進することが不可欠の要件であることは、御承知のとおりであります。このため、政府におきましては、昭和四十四年に国会の御承認を受けました第四次漁港整備計画に基づきましてその整備を推進しているところであります。
 しかしながら、最近、漁獲量が増大するとともに漁船の大型化がはかられており、また、水産物の流通の改善が要請されておりまして、これに対処するためには、漁港の整備を促進することが一そう緊要となっているのであります。また、漁港につきましては、水域及び陸域並びに施設が有機的に結合することによって初めて十全の機能を発揮することができるものでありまして、このような観点から漁港の維持管理を一そう適正に行なうことが要請されているのであります。
 このような事情にかんがみ、特に公共性が高く、かつ、事業規模の大きい特定第三種漁港の整備を促進するとともに、漁港の維持管理の一そうの適正化をはかることとし、この法律案を提案いたした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、特定第三種漁港の国の費用負担割合についての改正であります。特に公共性が高く、かつ、事業規模の大きい特定第三種漁港の漁港修築事業に要する費用についての国の負担割合のうち、外郭施設及び水域施設にかかるものを現行の百分の六十から百分の七十に引き上げ、地元負担の軽減をはかることといたしました。
 第二は、漁港の区域内における行為の制限についての改正であります。漁港の維持管理の一そうの適正化をはかるため、漁港の区域内においては、水域のほか、公共空地で一定の行為をしようとする者も農林大臣の許可を受けなければならないものとするとともに、許可を要する行為として土地の掘さく、盛土等を追加することといたしました。
 第三は、土砂採取料及び占用料を徴収し得る規定を設けたことであります。すなわち、漁港管理者の長は、漁港の区域内において土砂の採取または占用の許可を受けた者から土砂採取料または占用料を徴収することができるようにいたしました。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 次に、漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 漁業協同組合整備促進法は、経営不振にある漁業協同組合の整備を早急にはかるため、その指導及び助成を行なう法人の設立その他漁業協同組合の整備を促進するための措置を定めることを内容として昭和三十五年に制定されたものであります。
 この法律に基づき、漁業協同組合の整備につき指導及び助成を行なう法人として同年八月に設立された漁業協同組合整備基金は、全国漁業協同組合連合会等からの出資金及び国からの無利息の貸し付け金を運用することにより生じた収益を財源として、その整備計画が適当である旨を都道府県知事が認定した漁業協同組合に対し信用漁業協同組合連合会等の金融機関が債権の利息の減免をした場合にその金融機関に対し利子補給を行なうとともに、都道府県知事の勧告により合併した組合に対し合併奨励金の交付を行なう等、漁業協同組合の整備のため多大の寄与をしてまいってきたのであります。
 しかしながら、漁業協同組合整備基金の業務のうち主要業務である利子補給金交付業務は、漁業協同組合整備促進法に基づく漁業協同組合の整備計画の達成の最終期限が昭和四十七年三月三十一日に到来することとなっているため、昭和四十六年度をもって終了することとなっているのであります。
 このような漁業協同組合整備基金に関する経過と特殊法人の整理統合に関する政府の方針とにかんがみまして、この際、漁業協同組合整備基金を解散することとし、その根拠法である漁業協同組合整備促進法を廃止するためにこの法律案を提出いたした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、漁業協同組合整備促進法は、この法律の施行のときにおいて廃止することといたしております。
 第二に、漁業協同組合整備基金は、この法律の施行のときにおいて解散することとし、清算手続等につき所要の規定を設けることといたしております。
 第三に、清算人は、漁業協同組合整備促進法の規定により残余財産を分配した後なお剰余を生じたときは、これを漁業協同組合整備基金の目的に類似する目的のために処分することができるよう剰余財産の処分についての規定を設けることといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 次に、中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 わが国漁業の生産量は年々増加し、国民の動物性たん白質食料の重要な供給源として、国民経済上きわめて重要な役割りを果たしておりますが、中でも中小漁業は、国民の生活水準の上昇に伴い需要が増大している中高級魚及び多獲性魚の供給上主要な地位を占めております。
 しかしながら、近年、わが国の中小漁業は、経営規模の拡大、資本装備の高度化等その合理化につとめておりますものの、これを取り巻く環境は水産資源の制約、労働力の不足、国際規制の強化等一段ときびしさを加えつつあります。政府といたしましては、中小漁業のわが国漁業に占める重要性にかんがみ、かねてからその振興をはかるため、中小漁業振興特別措置法に基づき金融及び税制上の特別措置を講じてまいりましたが、わが国の中小漁業をめぐるこのような情勢に対処して、さらにその経営を安定させていくためには、特定の業種につき構造改善を進めることが緊要であります。
 このような見地に立ちまして、最近における漁業事情等の推移に即応して振興措置の対象とする中小漁業者の範囲を拡大するとともに、中小漁業の構造改善に関する所要の規定等を加え、中小漁業の振興をさらに計画的かつ総合的に講ずるため、この法律案を提出いたした次第であります。
 次にこの法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、振興措置の対象となる中小漁業者の定義につきまして、その使用する漁船の合計総トン数を二千トンから三千トンに引き上げ、その範囲を拡大することとしております。
 第二は、指定業種のうちその経営を安定させるため緊急に構造改善をはかることが必要な業種を特定業種として指定し、当該業種について中小漁業構造改善計画の認定制度を設けることとしております。
 第三は、この認定を受けた計画に従って構造改善事業を実施する中小漁業者に対し、農林漁業金融公庫からの必要な資金の貸し付け及び税制上の特別措置を講ずることとしております。
 その他構造改善計画の実施状況を把握するための報告の徴収等について所要の規定を設けることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#76
○委員長(高橋雄之助君) 次に、補足説明を聴取
 いたします。
  なお、三案のうち、漁港法の一部を改正する法律案及び中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案は衆議院において修正されておりますので、修正点の説明も便宜政府委員から聴取いたします。太田水産庁長官。
#77
○政府委員(太田康二君) 漁港法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一は、特定第三種漁港の漁港修築事業についての国庫負担割合を引き上げたことであります。特定第三種漁港は現在全国で十一港が政令により定められており、これらの漁港は、その利用範囲がきわめて広く、また、利用漁船数においても、水揚げ量においても特に規模が大きく、わが国の漁業生産の基盤として、かつ、水産物の流通拠点として重要な役割りを果たしております。このように特に公共性が高く、かつ、事業規模の大きい特定第三種漁港の整備を円滑に推進するため、国以外の者が特定第三種漁港について施行する漁港修築事業に要する費用のうち外郭施設及び水域施設の修築に要するものについての国の負担割合を現行の百分の六十から百分の七十に引き上げることといたしております。
 第二は、漁港の区域内における行為の制限に関する規定を整備したことであります。
 漁港の区域内における行為の制限は、現行法においては水域についてのみ行なわれているのでありますが、漁港の整備及び保全の現状から見て、公共空地について、工作物の建設または改良、土砂の採取、汚物の放棄、占用等の行為をしようとする者も農林大臣の許可を受けなければならないことといたしております。
 なお、漁港の区域内における行為の制限を公共空地に及ぼしたことに伴い、農林大臣の許可を要する行為として、土地の掘さく、盛り土等を追加することといたしております。
 第三は、土砂採取料および占用料を徴収し得るようにするための措置であります。漁港管理者の長は、農林省令で定める一定の基準に従って、漁港の区域内において土砂の採取または占用の許可を受けた者から土砂採取料または占用料を徴収できることといたしております。
 このほか、以上の諸措置に関連して所要の規定の整備をはかることといたしております。
 以上をもちまして漁港法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
 なお、本法案につきまして衆議院において修正が行なわれておりますが、引き続きその内容について私から御説明申し上げます。
 本法律案の施行は、「昭和四十七年四月一日」からとなっておりましたが、これを「公布の日」からと改めるとともに、この修正に伴い必要となる修正として、「昭和四十七年度に繰り越された昭和四十六年度の予算に係る国の負担金」を除き、「昭和四十七年度分の予算に係る国の負担金」について、特定第三種漁港についての国の負担率引き上げの規定を適用することとする修正が行なわれた次第でございます。
 次に、漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につきまして若干補足させていただきます。
 まず第一に、漁業協同組合整備促進法の廃止についてでありますが、これは第一条に規定いたしております。
 第二に、漁業協同組合整備基金の解散の時期についてでありますが、これは第二条に規定しており、この法律の施行の時において解散することといたしております。
 なお、この法律の施行の時は、附則第一条に規定しておりますように、公布の日といたしております。
 第三に、漁業協同組合整備基金の解散後における清算手続についてでありますが、これは第三条から第六条まで及び第八条から第十条までに規定しております。清算事務を適正に行なわせるため、農林大臣は清算人を任命し、清算人は基金の財産の現況を調査するとともに、農林大臣の定める清算計画に従って清算を行なうことといたしております。また、清算人の所定の行為につきましては、農林大臣の承認ないし認可を受けることといたしております。
 第四に、剰余財産の処分についてでありますが、これは第七条に規定しております。清算人は、漁業協同組合整備促進法第五十二条第一項及び第二項の規定により残余財産を各出資者に対し、出資額を限度として、出資額に応じて分配した後に剰余を生じたときは、これを基金の目的に類似する目的のために処分することができることといたしております。
 第五に、関係法律の規定等についての所要の整備及び経過措置についてでありますが、これは附則第二条以下に規定いたしております。
 以上をもちまして、漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案の提案理由の補足説明を終わります。
 次に、中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一は、振興措置の対象となる中小漁業者の範囲を拡大するため、第二条を改正することとしております。すなわち、近年の中小漁業における経営規模の拡大、資本装備の高度化の進行等にかんがみまして、その使用する漁船の合計総トン数につきまして、従来「二千トンをこえない範囲内において政令で定めるトン数」となっておりましたが、これを「三千トン」に引き上げることとし、その範囲を拡大しております。
 第二は、特定業種にかかる構造改善計画の認定制度についての規定を第四条の二として追加することとしております。すなわち、指定業種のうち、その構造改善をはかることが当該業種にかかる漁業を営む中小漁業者の経営を安定させるため緊急に必要であると認められるものを特定業種として政令で指定することとし、この特定業種にかかる漁業を営む中小漁業者を構成員とする漁業協同組合等は、その構成員たる中小漁業者が営む特定業種漁業にかかる水産資源の利用の適正化、経営規模の拡大、生産工程についての協業化その他の構造改善に関する事業につきまして、自主的に構造改善計画を作成し、これを農林大臣に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができるものとしております。
 なお、構造改善計画の認定及びその取り消しに関し必要な事項は、政令で定めることとしております。
 第三は、構造改善事業を実施する中小漁業者に対する助成措置についての規定を整備するため、第五条及び第六条を改正することとしております。すなわち、第二の認定を受けた計画に従って構造改善事業を実施する中小漁業者に対し、農林漁業金融公庫法で定めるところにより、同公庫から必要な資金の貸し付けを行なうものとするとともに、租税特別措置法で定めるところにより、課税の特別措置を講ずることとしております。
 これらの措置の内容についてあわせて申し述べますと、金融面では、構造改善事業の実施に必要な資金であって漁船の改造、建造もしくは取得または漁具その他の設備の改良、造成もしくは取得に必要なものを同公庫から年利六分五厘で貸し付けることとしております、
 税制面では、構造改善事業を実施する中小漁業者に対して構造改善計画の認定後五年間その有する漁船について二分の一の割り増し償却を認めるとともに、構造改善計画に従って合併出資を行なう者について法人税及び登録免許税の特例を認めることとしております。
 第四は、構造改善事業の実施状況にかかる報告の徴収等の規定を第八条及び第九条として追加することとしております。すなわち、農林大臣は構造改善計画について認定を受けた漁業協同組合等に対し、構造改善事業の実施状況について必要な報告を求めることができることとし、これに違反した場合に罰則を適用することとしております。
 以上をもちまして、中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
 なお、引き続き、本法案についての衆議院における修正について御説明申し上げますと、本法案の施行は、「昭和四十七年四月一日」からとなっておりましたが、これを「公布の日」からと改める修正が行なわれております。
#78
○委員長(高橋雄之助君) 以上で趣旨説明及び補足説明の聴取は終わりました。
 なお、三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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