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1971/03/16 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第4号
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1971/03/16 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第4号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第4号
昭和四十七年三月十六日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     藤原 道子君     矢山 有作君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 英男君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                高田 浩運君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上田  稔君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                徳永 正利君
                橋本 繁蔵君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                矢山 有作君
                柏原 ヤス君
                高山 恒雄君
   国務大臣
       労 働 大 臣  塚原 俊郎君
   政府委員
       防衛施設庁労務
       部長       安斉 正邦君
       労働大臣官房長  藤繩 正勝君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       道正 邦彦君
       労働省職業訓練
       局長       遠藤 政夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       沖繩・北方対策
       庁総務部振興課
       長        亀谷 礼次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (住友重機械工業株式会社玉島製造所における
 不当労働行為に関する件)
 (砒素鉱山における労働者災害補償問題に関す
 る件)
 (沖繩における婦人の労働問題に関する件)
    ―――――――――――――
  〔理事鹿島俊雄君委員長席に着く〕
#2
○理事(鹿島俊雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 藤原道子君が委員を辞任せられ、その補欠として矢山有作君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(鹿島俊雄君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○矢山有作君 それでは不当労働行為に関する数点の問題についてお伺いしたいんですが、この件につきましては実は昨年の九月の三日の衆議院の社会労働委員会でも社会党の小林議員のほうから質疑がなされ、さらに先般の十日の衆議院社会労働委員会で社会党の同じく後藤議員のほうから質疑がなされております件についてさらにお伺いしたいのでありますが、岡山県の、現在倉敷市ですが、玉島というところに、かつて浦賀重工業の玉島工場というのがあったわけですが、この浦賀重工業が四十四年の六月ごろだったと思いますが、住友機械と合併をいたしまして、住友重機械工業となったわけでありますが、それ以後住友資本のあの悪らつな労務管理政策というものが入ってまいりまして、特に四十五年ごろから労働組合に対する支配介入、あるいは労働者に対する不利益な扱い等が非常にふえてまいったんですが、昨年の春季闘争のときに、特にこういう傾向が激化をいたしまして、直接管理者からあるいはまた管理者の命令を受けた職制が、積極的に不当労働行為に出てまいりました。彼らの発言はもうきわめて露骨になっておりまして、企業防衛のためにはわれわれはこれをやらざるを得ぬのだとか、あるいは組合を分裂させるのがわれわれの仕事であるとか、あるいは不当労働行為だなどというようなことを気にしておったんでは、われわれの仕事はやれぬのだ。こういうようなことを公然と言いながら、本格的な不当労働行為をやってまいったわけでありますが、そういう状態の中で、実は昨年の八月に社会党といたしましては、実態調査をやる必要があるだろうということで調査団を編成いたしました。衆議院のほうから先ほど話しました小林議員、それから参議院のほうから地元の関係がありますので、私とほかに党所属の県会議員団、市会議員団等でもって実態調査にまいったんでありますが、実情というのを聞いてみると、まさに国鉄マル生で見られたような、それを上回るようなきびしい不当労働行為が行なわれておる。そういう実態であった。そこで、昨年の九月の三日、先ほど言いました衆議院社労で小林議員がこの問題を取り上げた。そして、さらにその後昨年の九月の中ごろ過ぎの段階だったと思いますが、組合が分裂いたしまして第二組合がとうとうできてしまった。その後、さらに不当労働行為が激化するというような状態が続きました。先般再び党といたしましては、これはほうっておけないじゃないかというので調査団を出しました。そして、その調査団には衆議院の後藤議員とそれから私と、さらに地元の県会議員、市会議員等が参加をしたわけでありますが、そこでまた、いろいろ組合側のほうからも事情聴取をいたしました。そういうことを踏まえて、先般十日に後藤議員の質問がなされたわけでありますが、私どもといたしましても、さらにその後の状況について、労働省としてどういうふうに処理をされたかということでお伺いいたしたいと思いますので、三点ばかりにわたって労働大臣なり、さらに政府委員の方々からお答えをいただきたいわけでありますが、まず第一点の問題と言いますのは、これもすでに触れられた問題でありますが、三十分賃金カットの問題です。昨年の四月の十三日に七一年春闘の総決起集会が行なわれましたが、そのときに時間内に約六分間食い込んだということで三十分の賃金カットを受けました。この問題については、その賃金カットが不当であるということで、昨年の六月三十日付で倉敷労働基準監督署に申告をしてあるはずであります。ところがその後一向問題が解決をしておりません。その後労働省としてどういうふうな処理をされておるのか、また現在の状況はどうなのかということを概略御説明をいただきたいと思うわけです。
#5
○政府委員(渡邊健二君) お答え申し上げます。
 住友重機の賃金カット問題につきましては、そのような申告がございましてから、監督署といたしましても事情を調査いたしておりますが、住友重機の賃金規則によりますと、遅刻、早退、その他いろいろな不就労の場合につきましては三十分単位で賃金計算をして処理することに相なっておりまして、一日未満の不就労につきましては、三十分及び三十分未満につきましては賃金月額の三百五十分の一を控除する、こういう規定になっております。そこで、御質問の場合につきましてもその規定によりまして三百五十分の一のカットをした、こういう実情に相なっているわけでございます。したがいまして、一応その会社のきめております賃金規則どおりの処理をした、こういう経過になっているわけでございます。こういう賃金につきまして不就労があった場合に賃金をどのように処理するかという点につきましては、たくさんの従業員を扱います場合に何分あるいはその端数について正確にするかどうかということになりますと、一人一人によりまして若干の時間の出入りがございましょうし、またたくさんの人間につきましてそれを一人一人必ず明確に把握しろといってもできない場合もございますので、そういう場合につきまして労働協約、就業規則で定めまして著しく不合理でない範囲におきまして一定の計算方法をもって処理するということは、これは考えられることでございまして、その場合にカットをした賃金が不就労の時間に厳密に対応していないからといって直ちにそれが基準法二十四条違反になるとは言えないのではないか、かように考えておるところでございます。そのような場合にしかし、相手側の組合側からそういう計算方法は自分らとしては納得いかないということをおっしゃることもこれは当然のことで、あり得ることでございます。したがって、そういう場合にその賃金計算方法が著しく不合理でない範囲におきましては、これは賃金の問題でございますので、労使で話し合って円満に解決していただくのがよいのではないか。かように存じておるわけでございまして、この問題につきましても会社の賃金規則どおりの精算はいたしているわけでございます。組合はその計算方法が納得がいかないということで言っておられますので、それらの点については労使で話し合いをされまして、そうして、もし行き過ぎだと思われる点があれば、それを話し合われるなりによりまして円滑に問題を処理されるように監督署としても監督をいたしておる、こういう状況に相なっているわけでございます。
#6
○矢山有作君 いまの御答弁ですが、私はこの事案の場合には四点ばかり問題があると思っているのです。その問題点を申し上げていきます。
 一つは、従来玉島工場における慣行では、こうした場合に賃金カットというのは就業規則にはあっても、これは実際やっていない。これが従来の実例です。それから、さらにこのときの総決起集会というのは、住友重機械工業の玉島、浦賀、新居浜、名古屋、本社、それから、千葉等の製造所で統一して行なわれておるわけです。ところが、その統一して行なわれたものに対する賃金カットのやり方というのがそれぞれの作業場、本社で全部まちまちである。
 それからもう一つは、六分間作業時間に食い込んだということで三十分の賃金カットをやっておるのですが、このとき私は一つ問題だと思うのは、六分間食い込んだ時点でそれぞれ職制が作業をやれという命令を出しているわけですね。その命令に従って作業にかかっているわけです。したがって、職制のほうが作業をしろといって命令をしていないのならいざしらず、命令を出して作業をやらした以上は、食い込んだ六分間について賃金カットをやられるのはまだしも、命令をして働かした二十四分を賃金カットされるのは私はこれは不当だと、そこまで労働基準法を拡大をして賃金カットを三十分認めるというのは、そういう解釈のしかたは私は間違いだと思う。それが第三点。
 それからもう一つ、第四点は、その当時、春闘の当時には、先ほども言いましたように、経営者側の組合に対する介入の激しく行なわれておったときです。したがいまして、出勤者の中でこの総決起集会に頭から参加しないでおった者、あるいは総決起集会には参加はしたがちゃんと時間内に帰ってきて仕事にかかった者、いろいろおるわけです。それを当日の出勤者全員に対して一律賃金カットをやった。これをそのまま私は見過ごしするのはこれはおかしいんじゃないか。そういう意味では、就業規則に定められておるから、これは労働基準法違反というところまではいかないんだと、まあまとめて言うならそういうおっしゃり方でありましたが、私は実態を見たときに、就業規則にきめられておるからやむを得ぬという見方はできぬと思う。まあ慣行の点は二の次におくといたしましても、先ほど言いました、一つは作業命令を出して作業にかかっておる、これは現場の勤労課長も認めておる、この点。
 さらに、当日の出勤者について、作業時間に食い込まない者も一律カットしておる。こういうやり方というのはそのまま基準法違反でないというような指導をやるから、経営者のほうがやりたいほうだいのことをやっていくということになるんじゃないでしょうか。この点の御見解を重ねてお伺いしたい。
#7
○政府委員(渡邊健二君) 従来の慣行、従来の例あるいは他の事業所におきます取り扱い等については、私はちょっとただいま承知いたしておりません。なお、細部につきましては、来週ぐらいになると思いますが、労働省からも調査団を出す予定にいたしておりますので、御指摘のような従来の例等につきましてはその際にさらによく確かめてくるようにいたしたい、かように思っておるわけでございます。したがいまして、従来の例との間に均衡を失するものがあるんじゃないかという点は、これは基準法違反かどうかということと別個の問題になるんではないかと、かように考えるわけでございます。
 それから、職制が職場復帰命令したということはあったかどうか、これも私は現在のところ存じませんが、それにいたしましても、賃金規則上は不稼働についてこれこれというような規定になっておりますので、不稼働の面については三十分単位で先ほど申し上げたような計算をするということになっておりますので、まあ条文どおりにあれすれば、その場合も賃金規則違反ということにはならないのではないか、かように考えるわけでございます。まあしかし、賃金規則では不稼働の者について三十分単位で三百五十分の一を引けと、こういうふうになっておりますので、もし引かれた者の中に就業時間中は一〇〇%就業しておったんで、全然時間内に食い込んだ不就労はなかったということになりますと、それについてまで引いたということになりますと、この点は就業規則の正しい適用ではないと、こういうことになる、かように考えるわけでございます。
#8
○矢山有作君 労働大臣、労働省の任務というのは何なんですか。労働者保護というのは重大な任務ですね、これは、労働大臣。
#9
○国務大臣(塚原俊郎君) これは言うまでもなく、働く者の立場を擁護し、明るい職場、人間尊重、福祉の増進、これをはかることが労働行政の中心であります。
#10
○矢山有作君 そうすると、こういうような事案の場合、総決起集会から現場へ帰っていったと、六分間作業時間に食い込んでおる。その時点で職制が、さあ作業にかかれと言ったら、いまの情勢なら全部作業にかかっていきますよ、現実に職制から命令されたら。そうして、実際に二十四分というものを働かしておいて、それを会社はただ取りするんですか。これはまさに強盗の論理じゃないですか。そういうことを見過ごしにしておるから、労働省と経営者となれ合いだと言われる。作業命令を出して働かしたら、その分だけは賃金を支払うのが至当じゃないですか。命令を出しておらぬのならいざ知らず、命令を出していないで、そうして賃金規則をたてにとってやるならいざ知らず、命令を出した以上は、これは賃金を払うというのがあたりまえでしょう。労働者保護という任務を労働省が貫こうというなら、その点についてはやはりきびしくチェックしなければいけないのじゃないですか。私はいまの局長の答弁には不満足ですよ。あなた、存じませんなんと言うけれども、これは私はあなたのことばじりを取るんじゃないけれども、倉敷労働基準監督署に問題を持ち出されたのは昨年の六月三十日ですよ。われわれが調査に行ったのは八月ですよ。そのときには岡山の労働基準監督局長にも会って、小林議員と私とはきびしくこの問題で話をしております。八月から数えても何カ月ですか、いま。まさに半年をこえているんですよ。その間、実態を存じませんなんというような答弁で、労働省の、あなた、局長としての仕事つとまるんですか。そういうような答弁をしなければならぬあんたというのは、大体それは職務怠慢ですよ。そんなばかなことはないでしょう。しかも、先ほどあなたもおっしゃったように、全部就労しておる者までも、会社としては見分けがつかないわけですよ。とにかく、だれが作業時間どおり仕事をやってくれたのか、だれが総決起集会に行って六分間おくれて帰ったのか、その見分けがつかないわけですよ、会社当局は。それだものだから出勤者一律ぴしゃっと三十分カットをやった。そういう状態、実態があるのをそのまま見過ごすというのは、私は納得できませんよ。あんた、責任ある答弁してください。こんなものを野放しにしておいたら、経営者側はこれから不当労働行為をやりたいほうだいだ、やったほうが得だということになりますよ。しかもあんた、昨年の六月に問題が起きて、いま三月だ。そんな労働省というのは機動性のないところなんですか。はっきり答弁をあなたのほうからしてください。
#11
○政府委員(渡邊健二君) 先ほども申し上げましたように、時間内に食い込む不就労がなかった、そういう者も賃金カットをされておるとすれば、その人については、それはカットをしたことは就業規則の適正な適用でないと、かように考えるわけでございます。
#12
○矢山有作君 だから、いわゆる賃金規則の、就業規則の適法な運用でないということは、基準法に照らすならば、いまの事案の場合、違法だということでしょう。そうですね。
#13
○政府委員(渡邊健二君) 賃金の未払いがあるということでございます。
#14
○矢山有作君 違法ですね。
#15
○政府委員(渡邊健二君) はい。その不就労がなかった人については、基準法二十四条違反になると思います。
#16
○矢山有作君 違反ですね。
 それと、もう一つの問題、作業命令を出して仕事をやらしたという分はどうなんですか、これは。これは職制が、上司が、さあ仕事をしろと言って仕事をやらしているんですよ。それで賃金カットをするのは、これは不当でしょうが。違法でしょうが。そうじゃないですか。これが命令を出していなければ私は問題にしないというんです、命令なしなら。職制から命令を出されれば、それは労働者働きますよ。そうしておいて、その分を賃金を払わないんだと、就業規則をたてにとって。これはおかしいじゃないですか。そこどうなんですか。
#17
○政府委員(渡邊健二君) 就業時間中は特別に働けという命令があるなしにかかわらず、やはり労務提供義務があると思うわけでございます。その時間に不稼働、不就労があれば、それについて賃金のカットをするというのが先ほど申し上げました就業規則、賃金規則の中身であると思うわけです。したがいまして、時間内食い込み職場大会から帰りました者に対して、職制が働けと言ったことはあったかと存じますが、特にそう言ったからといって、法律関係でそこに特別の差が出てくることはないのではないか、かように考えるわけでございます。
#18
○矢山有作君 そういう法律の解釈適用というものは、まさに実情を知らない机の前にだけすわってものを考える者の弊害ですよ。現実を見てごらんなさい、現実を。だれでも、何とも言わなきゃ、職制のほうから仕事をしろと言わなきゃ、労働者全部就業規則知ってんですよ。カットされるんだとわかっておって、職制のほうがだまっておってばかみたいに仕事する者がおりますか。幾ら労働者がとぼけておっても、就業規則くらい知っておるんだから。働いても賃金もらえないんだとわかっておってだれが働きますか。ところが、職制が働けというから、労働者のほうは賃金二十四分、食い込んだ六分はしかたがないわと、こう思って働くんじゃないですか。そういう、あんた現場の実態、労働者の実態というのを知らないで、法律解釈というものを四角四面にやっていたらそんなものは実際の生きた法律解釈適用じゃないんですよ。その点大臣、どうなんですか。ああいうような法律解釈適用をやっていたら、これは法律の精神を殺すものですよ。まして労働省の最大の任務である労働者保護という任務をみずから殺すんじゃありませんか。
#19
○国務大臣(塚原俊郎君) いま問題になっておる点につきましては、私も就任して関係局長から報告を受けました。またこの間衆議院でいろいろと御質問、やりとりも聞いておりました。それぞれ当事者両者の言い分もあると思います。現地に行って調べてこいというお話もございましたが、時間が許せば私も現地へ行ってみずから両者の言い分を聞けばいいと思う。しかし、国会中ですからなかなか解放してくれません。したがって、現在矢山委員のお話はお話として承る。それからまた労働省の話も私は承る。そういう立場以外にこの問題の判断をする基礎はないわけであります。しかし、御指摘のような不当労働行為のような点があれば、これは許せない行為だと私は考えている。そこで、どうも現地にまかしておいたのではいけないから、中央から直ちに調査団というものを派遣してやれというお話もありましたし、私自身それだけの問題があるならば、すみやかに本省から人を派遣して――倉敷でございましたね、倉敷、岡山その他で状況というものをしっかり把握してこいと。それについて私も情勢を知り、また下すべき判断もあると、このように考えておりまするが、現在においては矢山委員のお話、衆議院における野党の方のお話、それからまた事務局の方のお話、それを聞く以外に私としては判断を下す資料はないわけでございます。
#20
○矢山有作君 労働大臣、私はあなたの御熱意に対しては敬意を表しますが、私はきわめて具体的に実際を申し上げておるわけですから、したがって、大臣としての、私が話した範囲での判断による御見解を伺えると思うんです。というのは、私が言っているのは、作業時間に六分間食い込んで帰ってきた、その時点でそのままであったら、労働者各人が就業規則みんな知っているわけです。これは仕事に入ったらその時点で六分間も食い込んでおるから就業規則で三十分賃金カットを受けて金をもらえないことは知っているわけです。だまって、何にもならないことなら帰ってきても、やっぱり二十四分休んでいると思うんです。賃金もらえないのに仕事するばかはおらないから。ところがその時点で職制が仕事しろと言うんなら、六分間はもらえない、これは食い込んでおるから。残った二十四分間仕事しろ、金はくれるだろうと思うのが私は常識じゃないか。そうすれば、そういう実際の実情に踏まえて法律の解釈適用をやらなきゃならぬとするならば、これは命令を出して働かした二十四分についても賃金カットをやったことは違法ではないか、つづめて言うならば。こういうことで御見解を伺いたい。その範囲で御見解を伺えればいいと思います。
#21
○国務大臣(塚原俊郎君) 両方の話を聞かなければというのは私の先ほどの基本的な考えであります。しかし、それがそのものずばり答えろということならば、いまおっしゃったことが事実であるとすれば――失礼な言い方ですが、現地に行ってごらんになったし、地元ですから、そういうことがあるとすれば、これは確かに違法であると私は思います。
#22
○矢山有作君 わかりました。大臣は、きわめて、私はやっぱり常識的なものの考え方をなさる。それでなければ法律の生きた解釈適用できませんよ。労政局長、あなたはいまの大臣の言われたようなことが、ほんとうに行政担当者として生きた法律の解釈適用なんです。わかりましたか。
#23
○政府委員(石黒拓爾君) よく大臣の御趣旨を体して処置いたします。
#24
○矢山有作君 それでは、次の質疑に入らせていただきますが、実は私はこの間実態調査に行ってみてびっくりしたのですが、いま懲戒処分が第一組合の組合員に対して非常にきびしく行なわれているんです。この実態をまず御参考までに申し上げますと、昨年の十二月二十七日に懲戒解雇一名を出しております。それから、出勤停止五日の懲戒処分を同じく一名出しております。このときの懲戒処分の出し方は、二十七日の日に組合に文書で通告をしてきて、二十八日の十二時までに組合の意見を聞かしてくれ、回答がないときには処分手続に入る。こういうやり方です。それから明けて一月二十一日には諭旨解雇五名を出しております。これも二十二日の九時までに組合の意見を聞かしてくれ、回答がなければ処分手続に入る。こういう形。それから、引き続き一月二十五日に出勤停止三日を出しております。これ五名です。これも二十五日に組合に文書通告して、二十六日の正午までに回答がなければ処分手続に入る、こういう形でやっておるんですが、その実態をどういう理由でやったのかということを調べてみますと、就業規則の六十七条の十五号というのがありまして、「出勤常ならず」云々という号があるわけです。それに該当するということでほとんどがやられておる。それから出勤停止五日の一名の分だけは、これは六十七条のいわゆる懲戒処分の中の八号の規定で、これは注意しても朝礼や体操に出席しないというのですが、その八号の規定のほうを先に言いますと、「故なく上司の指図に違背し」云々という、この「故なく上司の指図に違背し」云々という号を適用したのが、先ほど言いました注意しても朝礼や体操に出席しないからだ。こういうことで、とにかくいま言ったような処分を出しておる。これも処分の内容につけられた文章を全部取って見てみますと、これは出勤常ならずということでやってあるのですが、たとえばその出勤常ならずということで、出勤停止処分にしたり、あるいは解雇をしたりやっておるわけですが、その出勤の状況として出されておる資料を見ますというと、これは欠勤日数が、出勤停止を受けたよりも処分になった者のほうが出勤状況がいいというような人もあります。これは出勤停止より重い処分の解雇を受けておる。こういうようなことは一体どこに基準が具体的にあって処分をしたのかわからないというような状態です。そして、組合のほうとしては、これはもうどういうことで解雇、出勤停止等が行なわれたのかわからぬじゃないかということで団体交渉をいたしておりますが、その団体交渉の席上で、いろいろ話し合いが進む中で、経営者側も認めているのは、今回の出勤停止処分や、あるいは解雇処分を受けた者以外に出勤状況が常ならないで非常に悪い者がおるということを経営者自身も認めておるわけです。そういう経営者が認めるような出勤常ならない勤務状態のよくない者がほかにたくさんおるのに、その者が処分対象にならないで、処分者が出た。しかも、具体的な経営者側の資料を見るというと、むしろ出勤状態のよい者が重い処分を受け、出勤状態の悪い者が軽い処分を受けるというような実態になっておるわけです。しかし、処分者は一名を除いて全部第一組合、第二組合員が一名だけ諭旨解雇になっておるということがわかった。これに対しては経営者側があわてて、第二組合の幹部と職制とが一緒になって何とかみずから退職をした形をとらそうというのでいま一生懸命説得活動を続けている、そういう状態です。これを私ども見た場合に、これは明らかにいわゆる労働組合に対する不当な介入であるし、労働者に対する不利益な取り扱いじゃないのかと、こう言わざるを得ないのです。こういう実態についてもすでに問題にされておるところですが、労働省としてはこの実態を少しでも――本省から実態調査にはまだ人をやっておらないにしても、現場のほうから何らかの情報を得ておられますかどうですか。認識しておられるなら承りたい。
#25
○政府委員(石黒拓爾君) ただいまの懲戒解雇問題につきましては、岡山県の労政課を通じまして、こういう事件があってそして、いま組合と会社の間で団体交渉が行なわれ、それに伴ってストライキも行なわせたという報告を受けております。
#26
○矢山有作君 それで、これはひとつ御判断願いたいんですが、この玉島工場におきましては、懲戒処分をやる場合には、労使双方から代表者を出しまして、従来は賞罰委員会というのが構成されておったんです。で、賞罰委員会の中で協議をして、そしてそれぞれの処分をするものは処分をする、協議がととのった上で。こういうやり方をやっております。したがって、従来の例を全部調べてみましたが、こういう「出勤常ならず」というような就業規則六十七条の十五号ですか、これによって解雇処分を受けた者は一人もありません。そういう実態なんですね。ところが、今度の場合はこの賞罰委員会なんかは全然無視して、これにかけないでストレートに組合に対して一方的に懲戒処分の通告をやってきているわけです。私は、これはやはり従来積み上げられてきた労使の慣行の中でこういう問題は処理していくべきものだと思うんですが、慣行の問題を出しますと、おそらく労働省のほうは、それは慣行のことであるから違法であるとは言えませんと、こうおっしゃるだろうと思う。また私も違法という問題にはならぬと思う。しかしながら、少なくとも従来の労使の中で確立された慣行というものは、私は尊重して事案を処理していくべきものだと思うんです。そういう立場から見るならば、今回のような賞罰委員会にもかけないで経営者側が一方的に懲戒処分に出てくるというのは私は不当なやり方じゃないか、こういうふうに判断をしておるわけですが、その点はどうですか。
#27
○政府委員(石黒拓爾君) 賞罰委員会にかけるということが協約に書いてございますれば、それにかけないでやればもちろん協約違反の解雇ということであります。協約がなくて単なる慣行であれば、御指摘のとおり慣行違反でございます。で、労使の慣行というものはこれは尊重されることが望ましい、いい慣行を積み上げていくということが望ましいわけでございまして、慣行を変えるという――まあ慣行でございますから絶対変わっちゃいかんわけではございませんが、慣行を変えるには変えるなりの合理的な理由がほしいものでございますし、またできるだけ労使が納得の上でそういうことをやることが望ましいと考えております。
#28
○矢山有作君 そのとおりですね。それからもう一つこの事案で問題になりますのは、従来のやり方で見ると、出勤状態の悪い者に対しては、まず組合のほうに経営者のほうから本人にひとつ注意をしてくれというような形で話がおりてきて、組合のほうで本人に注意するなり何なりして処置していく。それでもなおどうにもならぬというような場合に、いま言いました賞罰委員会というものがつくられておって、そこでその処分について協議をしていくと、こういうような形が行なわれておったわけですね。そして処分をする場合に、こういう出勤が常ならぬというような問題については、いわゆる始末書をとる。これは「譴責」といっておるようですが、始末書をとるとか、あるいは減給処分をやるとか、こういうようなことはいままで行なわれてきたことであって、先ほど言いましたように、出勤常ならぬ――早びけや遅刻があるということだけでこういうような頭から解雇をやってきたというような例はないわけです。そうすると、局長がおっしゃったように、これは労使間で長い間積み重ねられてきた慣行というものは大事にして尊重していかぬと労使関係というものを乱すもとになるのじゃないか、こういうふうに私は思いますので、こういう点につきましては、私は、労働省としては十分な監督がほしいと思うわけです。近々、常態調査のために本省から人を派遣されるということでありますが、この点等につきまして十分な調査をおやりになっていただきたいと思います。
 それで、特に組合側がこうした問題についてこれは明らかに不当労働行為だと言っている一つの有力な証拠は、この問題をめぐる団交の席上で、先ほども指摘いたしましたが、経営者のほうみずからが、処分対象になっていない――その所属は第二組合員のようでありますが、その人たちで非常に出勤状態の悪い者がおると、こういう点をみずから認めておるわけであります。そういうような者に何ら処分が出されないで、それよりもはるかに出勤状態等においてはいい者が、第一組合員の所属であるということでこういう懲戒処分の対象になっておるということは私は非常に問題だと思います。したがって、こういう点については十分な調査をなさって、労働組合に対する不当な干渉やあるいは労働者に対する不利益な処分がさらに激化するということのないように厳重に監督をしていただきたい。私はこのことを重ねて申し上げておきたいと思いますが、それについて、重ねて御答弁をいただきたいと思います。
#29
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘の点につきましては、私どもも、今回、調査に人を派遣するにつきましては特に念を入れて調べさしてまいりたいと考えております。ただ、この際申し上げておきますけれども、労使関係法、労働組合法等につきましては、労政局という役所あるいは県の労政課という役所は基準監督官署とは違いまして、これは違法だから是正しろという命令をするとか、あるいは強制的に立ち入り検査をするとかいう強制調査権を持っておりません。調査をするにつきましても関係者の協力を得て事情を聴取するということでございますし、また個別ケースについてこれは違法であるから是正しろという命令を下すというような権限はない。できるだけ、良識に従って当事者が円満な解決をされることを切望するというのがわれわれのなし得る限度でございますので、その点をお含みおきいただきたいと思います。
#30
○矢山有作君 その点はおっしゃられるまでもなしに、現在の労政の上からは私も非常に弱い部面の一つじゃないかという感じがしております。その点はわかっておりますが、しかし、少なくとも労働者保護という大きな任務を持った労働省としては、そういうような不当な行為が行なわれておるときには、強制的な調査権があるなしとか、あるいは命令権があるなしということでなしに、そういう誤りを正して、正しい労使慣行の確立という方向で経営者側に注意を促す、経営者側を指導していく、こういうことも、当然、私は、あなたのいまの御発言の裏側として考えていいんじゃないか。それを積極的にやるかやらぬか。ただ、おれのほうは強制的な調査権がないとか、命令権がないとかいうことで、そういうことをサボるか積極的にやるか、これによって私は違ってくると思う。だから、今後のあり方として、それを積極的に、そういう不当労働行為が起こらないような、あるいは起こっておるならば、それが今後もさらに激化し続くことのないように正しい指導、そういったものを積極的にやる、そういう方向で処置が願えるか願えぬか、こういうことですが、大臣、どうですか。
#31
○国務大臣(塚原俊郎君) この間の衆議院の社労それから本日のやりとりを聞いておりまして、繰り返すようでありまするが、それだけしか私の判断の資料はないわけであります。先ほど、そのものに答えろということでありまするから、矢山委員の質問が事実であるとするなら、ということを前提として私は申し上げました。それからまた、労政局長も、労働省として介入すべき限界について説明があったこと、私はそれはやむを得ないと思っております。しかし、いまのような大きな問題、不当労働行為というものがありますれば、ひいてはその会社自体にも、岡山の発展にも、日本の前進にも非常なひびの入る問題でありますから、そこは十分その点を考慮に入れて、今度の調査もそういう意味で、私はこれは就任以来初めてのそういう問題に対しての調査派遣でありまするが、私としては与えられた権限を越えることはいたしません。十分それを考慮いたしましてこの問題に対処したい、このように考えております。
#32
○矢山有作君 労働大臣、これはね、先ほど労働基準局長とのやりとりでもおわかりのように、問題が起こってから手を打つ、打ちようがおそいんですよね。それが私は問題だと思うんです。ですから、いまの大臣のお話を聞きまして、こういった問題というのは労働者の保護という点では重大な問題ですから、すみやかに機動性を発揮して、重大な労働省の労働者保護という任務を踏まえて積極的な行動をとっていただきたい。もちろん介入していくのに限度のあることは承知でありますが、いまのような大臣のお気持ちを生かすような方向で行政の実際の実務担当者が動かないと、大臣は幾ら委員会でいいことをおっしゃっても行政の担当者のほうがサボっておったら、しかたがないわけですからね、そういうことのないように、大臣の意図を明察をして、行政担当者は積極的に労働者保護の立場に動いていただきたい、このことを重ねてお願いをしておきます。
 それからもう一つの点は、実はこの間、私は実態調査に行って驚いたんですが、いま言ったような懲戒処分が出されると同時に、そのころから現在まできわめて悪質な不当労働行為が行なわれております。これは私は実態をすみやかに把握をしていただきたい。こういう問題について組合の側から労働委員会のほうに提訴して、そうして問題の処理を待っておったんではこれはどうにも間尺に合いません。ああいう住友重機械なんというようなあくどい経営者というのは、結論が出てもやるかもしれませんが、結論が出るまではやりたいほうだいのことを私はやる、こういう印象を受けてまいりました。その事例を一、二申し上げておきたいんですが、たとえばこれは名前までわかっておりますけれども、名前は差し控えます。A君としておきますか、A君という労働者に対して職制の数人の者がどういう働きかけをしたかという一つの例です。これは、このA君というのは七十からのおかあさんと二人住まい。A君自体がもう三十からになる。そこでやはり結婚を急いでおるわけです。ところがこの職制の連中がA君を第二組合にかわらすためにどういう圧力をかけたかというと、こういうことをやっているわけです。おれらが顔をそろえて来たんだからひとつわしらの顔をつぶすようなことをしないで第二組合に行ってくれ、こういうこと。本人が承知しない、じゃ、おれらは、おまえは赤じゃと言うて近所じゅう言うて歩く、こういうことを言う。赤じゃと言って近所じゅう言うて歩く。そうしたらおまえもう結婚ができないようになるんだ、こうしておどしているわけです。それで本人は徹底的に抵抗してまいりました。しかしながら、本人が一番困ったのは、七十からの母親と自分と二人住まい、もう三十からの年で結婚話が持ち上がっておる。母親は早う結婚してわしらを安心させてくれと言う。そうすると、本人はやっぱりこの結婚をまとめたいと。ところが、それを、その時期をとらまえて職制が、おまえ赤じゃと言うて言いふらして結婚ぶちこわしてやる、こんなでたらめな話はないと思うんです。そこでA君はとうとう往生して、第一組合の委員長のところに参りました。実はこういう事情であると、私は皆さんを裏切って第二組合に行きたくはないけれども、私が行かないとこの結婚話は逃げるんです、こわれるんです。そこまで私は母親を苦しめたくないと。母親も第二組合に行ってくれと、どうしても結婚話はまとめてくれというからひとつ許していただきたい。結婚が済んだら再び第一組合に戻ってまいりますと、こう言って第一組合の委員長に対して泣きながら訴えている。そうして、第二組合に行っているわけです。こういうようなことがはたして許されるか、幾ら金もうけ専門で、人の命がどうなろうと人の生活がどうなろうとおれは知っちゃおらぬという日本のあくどい独占資本でも、ここまでのことをやるのをこれは私は黙って見ておれぬと、私は当の対象者ではないけれども義憤を感じました。ほんとうにそのときに私は、もし私がそういう目にあったら社長を引きずり出して頭の一つもぶんなぐってやろうかと思いました。それほど私は腹が立った、あなた方どう思いますか。こういうようなあくどいことをやらしておいていいのかどうか。
 それからもう一つ御紹介します。これはB君としておきましょう。B君その他三名か四名です。この人間に対してどういう勧誘のしかたをやったかというと、この三、四名の者がこれから夜勤で勤務に出なきゃならぬ、そのときに、これもある職制が自宅に呼んで酒を飲ました。まあ酒を飯め、仕事をせずに寝とってもいいから酒を飲め。おまえらは第二組合に行けという、ところがそういうわけにはいかぬと、酒は飲みたいが、酒を飲んだらこれから夜勤に出るんだから困ると、こう言ったら、もし守衛のところでひっかかっておこられても、それは係長が酒を飲めというて飲ましたんだからかまわぬ、飲ましたと言えと、だいじょうぶだと、こう言っていっている。さらにその諸君が、おられは車で来ておるから酒を飲んで運転しておったらぐあいが悪いんじゃと、こう言ったら、車に乗ってきておってもかまわぬ。ええ、酒を飲め。飲んでもだいじょうぶだ。われわれが飲ましたと言えばだいじょうぶなんだ、こう言っている、これはまさに私は飲酒運転の奨励だと思います。こういうようなことをやってだな、その不当労働行為、私は常識外だと思うんだな。こういうことを職制や末端の管理者がやるというのは、私は末端の管理者、職制だけのみずからの発意じゃないと思います。これは経営者がやれと、かまわぬと、とにかくやって組合ぶっこわせいと、こう言っておるからやるんだと思うんですね。私がまあいま申し上げたのは非常に私が調査に行って目について、これはとんでもないことをやっておると思った代表的な例です。
 そのほかに、毎日毎日八時、九時、十時になって特定の人間のところへ行って、二時間も三時間も談じ込んでおまえ二組合に行け、一組合におったら出世ができぬ、首が飛ぶと、ここでこのまま第一組合におったらおまえ配置転換になると、あらゆるおどしをかけた。これはここに全部その陳述書がみなあります。これはやられた人間が、組合側に全部こういう状況でございましたといって書いたものです。そういうことがやられておる、それを私はじっとだまって見ておって、おれらが直接介入する権限がないんだと、あるいは労働委員会でまず提訴を受けてから、それからあそこでどうするか処理する問題だからと、こう私は言ってはおれぬと思うんですね。こういうあくどいことをやる経営者に対しては、私は、労働省としては経営者の最高責任者を呼びつけるなり何なりして私はきびしく注意してもらいたい。おそらくあなた方が呼んで注意すれば、いや、そんなことはやっておりません言いうでしょう。私たちが調査に行ってもやっておりませんと言うのですから、言うでしょうが、しかしながら、問題がそこまで発展してきておるということは、少なくともばかかチョンでない限り経営者も現場から多少は聞いておるはずです。そうすれば労働省が積極的に、こういうような個人の人権を積極的に侵害するような不当労働行為をやっておるということを具体的に指摘されて、厳重に注意されれば、私は良心の一片でもあるならば多少の反省はなさるのじゃないか。その点はどうですか。
#33
○政府委員(石黒拓爾君) 具体的な詳細の事例は私どももまだ把握しておらないわけでございますが、いろいろな話は聞いております。先ほども申し上げましたように、私どもの権限は非常に限定されたものでございますが、労働省が異例の措置として現地調査に乗り出したということ、またその結果につきましてはもちろん当然会社の責任者も呼び出しましていろいろ事情聴取をいたしております。そういう異例の調査をするということ自体が非常に影響力のあることであるということは十分意識してこの調査をするつもりでございます。
#34
○矢山有作君 私は時期はおそかったとはいえ、そこまで労働省が積極的に乗り出していただいて、この不当な事態の解決と積極的に取り組んでいただけるということは評価をいたします。したがって、ぜひともこれは私は前向きで対処していただきたい。回れ右の前向きじゃ困りますが、前を向いたままの前向きで対処していただきたい。これは積極的に対処していただきたいと思います。これは経営者を呼んで厳重に注意していただきたい。そして、その際、もう申すまでもないことでありますが、経営者だけの意見を聞かれないように、必ず組合側の幹部あるいは実際にそういうひどい目にあった人がおるわけですから、そういう人たちのなまの声を聞くように努力をしていただきたいと思います。そして実態を把握した上で、適切な御処置を――適切な処置というのは、私は経営者にきびしい反省を求めていただきたいと思うんです。その点を重ねてお願いをいたしておきまして私の質問は終わりますが、最後に労働大臣のほうから私の考え方をひとつ了とされて、積極的にやりましょうというお約束を願いたいんです。
#35
○国務大臣(塚原俊郎君) どうも罪状の数々というか、いろんな具体的な事例を列挙されましてややワンサイドゲームの感もあるようであります。繰り返すようでありますが、これは両者の話でありますから、当事者同士の意見を聞かなければなりませんし、労使が話し合って円満な解決をすることが一番望ましい姿なんですから。しかし、信憑性がないとは申しません、実際にあなたが御視察になって調べてきたのでありますから。先ほど来申しておるように、そういうことを十分頭に入れて、また調査団にもそういうことをよく考えるようにして、すみやかなるひとつ解決が得られるよう努力いたしたいと考えております。
#36
○矢山有作君 それで住友という資本は、なかなかこれは現地に調査に行ってみてあくどい、とても一筋なわや二筋なわでいく連中じゃないという感を非常に深くしたことがありますので、その気持ちで性根をくくってひとつ労働省がしっかりした係官を出して徹底的に調査をしていただきますように重ねてお願いしておきます。
#37
○小平芳平君 私は労災補償についてお尋ねをいたしたいと思いますが、まず労働省のほうから労災補償につきまして私がいま具体的に取り上げる問題は、砒素鉱山における労災適用についてであります。この砒素鉱山は、御承知のように昭和二十年代、三十年代で廃山もしくは休山になっているところがほとんどであります。したがって、そういうその当時の従業員の方々にしてみれば、現在は廃山あるいは休山になった会社も、現実には会社のあるところもあるし、会社がもう解散してしまったというところもあるわけです。したがいまして、そうした十年前あるいは二十年前、そうした過去の従業員が実際に職場で災害を受けた、その受けた災害に対する補償の請求、これはどのようになっているか、労働省としての基本的な扱いをお尋ねしたい。
#38
○政府委員(渡邊健二君) 砒素鉱山につきましては、昭和二十二年に労働省が発足し、労働基準法が施行され、同時に労災保険法が適用されまして以来、これは当然それらの法律の適用を受けておるわけでございますので、すでにそれらの会社が操業を停止し、会社が廃止になっておりましても、その当時の従業員がもし就業中に業務上の疾病にかかったということが判明いたしますれば、これは当然災害補償を受ける権利があるわけでございまして、労災保険といたしまして、過去にさかのぼりましても災害補償をいたす考えでございます。
#39
○小平芳平君 それはわかりますが、過去にさかのぼって適用する、補償するという、そうした抽象的な表現でなく、具体的に、たとえば昭和十六年につとめて二十年に、二十のときにすでに健康を害して会社をやめてしまったというような被害者も現在いるわけですが、はたしてその方が亜砒酸による健康被害かどうかということは、これはあとでまた問題にいたしますが、そうした時間的な問題についてお尋ねしているわけです。
#40
○政府委員(渡邊健二君) 先ほどお答え申し上げましたのは、昭和二十二年の基準法及び労災保険法施行後のことについて申し上げたわけでございますが、ただいま小平先生から御質問のような、労働基準法、労災保険法施行前にその鉱山の従業員であった人であって、しかもその業務上の疾病のためにそれらの法律の施行前に退職してしまったと、こういうような方につきましては、これはそれらの法律の施行前でございますために、現在の法律によりますと労災保険から補償をする根拠はないわけでございます。で、当時は業務上の疾病につきましても、業務外の疾病と同様に、健康保険によって療養等はなされることに相なっておったわけでございます。ただ健康保険から業務上の疾病については労災保険に移ります際には、現に療養中の者についてはなお従前の例によるということになっておりましたので、健康保険から労災保険に切りかわるときに、もし亜砒酸中毒によって療養を受けておったとすれば、その経過措置によりまして、健康保険が見るたてまえになっておる、しかし、退職後労災保険施行への切りかえのときに特段の症状がまだあらわれていなくて、当時何らの療養もされておらなかったということになりますと、ただいま申し上げました経過措置にも該当いたさないわけでございまして、そうなりますと、ただいま国といたしましては、それらの健康保険や労災保険上の対象からいいますと一つのブランクの状態に法律上はなってまいるわけであります。お尋ねの点はおそらく宮崎県の土呂久の例であろう、かように存ずるわけでございますが、土呂久の亜砒酸中毒につきましては、県が中心になりまして、現地の労働基準局とも協力いたしまして健康診断をいたしましたところ、そのうち第二次検診までで有所見者ということでさらに専門検診を要すると認められた者が八名ございます。そのうち三名は元従業員であった、こういう状況に相なっております。三名のうち一名はこれは労災保険適用後の発病でございますので、これは専門検診の結果、業務上の亜砒酸中毒であったということになれば、当然労災から補償がされるわけであります。他の二名の方は、たしか昭和十九年であったと思いますが、労災法の施行前にすでに退職をされておりまして、先ほど申しましたように切りかえ時にも健康保険による療養中ではなかったというようなことで、先ほど申しましたブランクに当たる方になっておるわけであります。これらの方につきましては、ただいま実は第三次専門検診をいたしておりまして、まだ正確にそれが亜砒酸中毒であるかどうか、しかもそれが業務上であるかどうかについて結論を得ておらないわけでありますが、もしその二名の方が就業中の、業務上に起因した亜砒酸中毒であるということになった場合には、先ほどから申しますように、現行法上は特別に補償の法的根拠がないわけでございますが、やはり何とかそれらの方々の保護のための措置を考える必要がある、われわれかように考えておりまして、そういう場合につきましては県当局その他関係者と十分協議をいたしまして、しかるべき措置をとるよう検討いたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#41
○小平芳平君 そこで、大臣にもお聞き願いたいのですが、いまの局長の御説明では、土呂久の例としまして、第三次検診に回った者が八名、うち砒素の暴露者と思える者が三名ということで、県が昭和四十七年一月二十八日、環境庁、県ほか、重松さん、あるいは土屋さん、あるいは衛生研究所等、これらの方々が集まって、そして八名、三名という発表をしているわけです。ところが、地元の実際の被害を受けられた方々は、とんでもないことだ。そんな八名、三名というような、そうして、しかも、砒素にたいして関係はない、早死にした者は特別多くはない、あるいは、死亡者が特に多いということはない、こういうような――何を調査したのだということで、要するに総反撃を食ったわけです。総反撃を食って、そこで環境庁も、これではぐあいが悪いというところで、あの発表は中間発表でした、今後資料が集まるに従って新しい事実がわかれば、その上でまた再検討いたしますと、こういうことを言っているわけですね。したがって、私は、労働省としてこの砒素鉱山に取り組む基本的な取り組み方が、そういう県と環境庁がまた何のためにこんなところに出ていって、そして、県庁で県の調査をそのまま聞いて、ああそのとおりです、大した被害でありませんと、よけいなことを言っているというふうに総反撃を食ったわけです。それで、いま申し上げるような弁解をするようになったわけです。したがって、私は、いま労働省基準局長並びに労働大臣にこの委員会でお尋ねをする理由は、そういう県とかほかの省にまかしておくのじゃなくて、少なくとも労働災害による被害者は労働省自体が積極的に乗り出して、検診なり、あるいはいまはちりぢりばらばらになっている従業員をさがしていただきたいわけです。そして十分な検診をやり直していただきたいわけです。ということは、私はこの委員会にもう前から、すでに労働省当局にしばしば要請してきたわけですが、そこで、土呂久のほうは住友ですね。現在これが鉱業権者は、土呂久は住友、それから松尾鉱山、これが日本鉱業ですね。どうも、住友が直接やったか、日本鉱業が直接やったか。特に土呂久のほうは、書類を燃やしちゃっているわけですよね。土呂久の公害が新聞に発表された段階で、わざわざごていねいに事務所の前で、どのくらいの書類を燃やしたかわかりませんが、燃やしたあとがある。燃やしたあとがある上に、灰まで片づけている。そういうことでは私がいま申し上げるような趣旨に反する。十年前、二十年前が問題なんですから、現在被害があるかないかといったって、もう十年から二十年過ぎちゃったわけです。その十年前、二十年前の被害を明らかにする上において、書類を燃やすとは何事ですか。まして、これも労働省がやったのじゃないのですけれども、ほかのまあ官庁の機関が行って、見るも見事に全部破壊しているのですね。当時の砒素焼きがまと称する原始的なかまを、見る目もなく全部破壊している。そういうことでは私がいま言うような趣旨に反するので、そういうことをやられちゃ困るということを、ほかの省に要請するとともに、労働省としましては、以上の住友金属鉱業と日本鉱業に従業員名簿が隠されている、あるいはそういうまだ採掘をされていた当時の書類が隠されているということが、これもまたもっぱら地元のうわさだったのですが、この点は住友あるいは日本鉱業に尋ねられましたか。そしてまた、書類は実際とりましたか。その点はいかがですか。
#42
○政府委員(渡邊健二君) 土呂久につきましては、当初地域の公害だということで問題が出ましたために、最初県等が乗り出したわけでございまして、あとからその中に従業員もおって就業中の問題もあるということで、基準局もこれに協力をいたしましてその後の調査等に当たっているわけでございます。そのために、いろいろ証拠になる書類だとかあるいは現地の状況が破壊されたといったようなことがあったようでございますことは、先生のおっしゃるとおりでございますが、労働省といたしましては、しかし、ともかく現在、当時従業員であった者の把握につとめているわけでございまして、現在までに、二月十五日現在で三百九十八名ほどの、土呂久につきまして把握をいたしております。ただそれにつきまして生死の有無、あるいは現在の住所等がはっきりいたしませんものが多いために、それらについてただいま調査中でございます。なお、土呂久につきましての調査では、県のほうでいたしておりますけれども、土呂久地区以外、たとえば熊本地区などからも土呂久の鉱山に通っておった者があったようでございまして、それらにつきましては現在熊本の労働基準局に命じまして、そういう従業員の把握をするようにつとめさしており、その上でそれらの人間についても健康診断等の処置をとるように指導をいたしておるところでございます。
 なお、松尾につきましては、そういう土呂久の例もございまして、すみやかに把握する必要があるということで、最初から宮崎の基準局が中心になりまして、いろいろ調査をし、これは宮崎の基準局が中心になりまして、県のほうがそれに協力するという形で現在進んでおります。従業員名簿とまではまいりませんけれども、いろいろな各般の書類なども、松尾につきましてはできるだけ把握につとめておりまして、現在百九十六名等を社会保険事務所の名簿だとか、けい肺検診名簿だとかその他の日本鉱業関係の書類等々から百九十六名を把握いたしまして、それらにつきまして住所の確認、生死の確認等を急いでいるところでございます。なお事業場の現地の状況につきましても、松尾につきましては、宮崎の基準局が調査いたしますとともに、二月の二十日前後に中央からも専門官を派遣いたしまして、そのかまの近所の土などを持ち帰りまして、現在衛生研究所で分析しておる等々、積極的に状況の把握、証拠の保全、それらにつとめておるところでございます。
#43
○小平芳平君 この土呂久三百九十八名、松尾百九十六名ということはわかりましたが、私がいま直接お尋ねしている点は、書類を燃やしちゃったのか、それともそういう肝心な書類は労働省が提出をさせたのか、その点はいかがですか。
#44
○政府委員(渡邊健二君) 土呂久につきましては、何か家族の健康保険関係の書類を焼却したという事実があったようでございます。
#45
○小平芳平君 わかっている人、答弁してください。
 要するに、私がいま問題にしている点は、こうした社会保険の関係あるいはけい肺の関係で元従業員がわかったというわけでしょう。その御努力は私はたいへんなものだと思います。ただ、そういうふうな労働省の努力が一方にありながら――当時の名簿さえあればわかるはずですよ、当時の名簿さえあれば。それを目の前で、こう公害問題が提起されたとたんに燃やしちゃうというのはけしからんじゃないですか、企業として。それは法律的にもう十年、二十年前のものだからいいかもしれませんが、そういうけしからんことをやったのかどうか、それとも現に入手できた書類があるのかどうか、これをお尋ねしておるのです。
#46
○政府委員(渡邊健二君) 土呂久につきましては、先ほど申し上げましたように、最初、地域の公害問題ということで出ましたために、県等が先に手を出しておりまして、労働省があとからこれに加わったような形でございますために、最初にそういったような書類の一部焼却があったことは事実でございます。それがどのような意図であったかまで、まだ私ども明確に承知いたしておりませんが、もし証拠隠滅をはかるために燃やしたということであれば、これはおっしゃるとおり、まことにけしからんことじゃないかと、かように考えるわけでございますが、私どもといたしましては、しかしその後も、先ほど申し上げましたような各般の資料の収集によりまして当時の従業員の把握につとめておる、こういう状況でございます。
#47
○小平芳平君 そんな同じことを何回も答弁しないで、まだこの会社が押えている書類があるのかないのか、それは明らかにできないのですか。
#48
○政府委員(渡邊健二君) 私どものほうは、もちろん会社側に対して書類があれば出せということで申しておりますが、会社のほうはないと言っておるわけでございまして、それ以上のことはわからないわけでございます。
#49
○小平芳平君 ほんとうにないですか。
#50
○政府委員(渡邊健二君) さように申しております。
#51
○小平芳平君 あるものもあるのですよね。全部が全部、一〇〇%燃やしたのじゃないですよ。あるものもあるのです。それわかりませんか、あるもの。
#52
○政府委員(渡邊健二君) 土呂久につきましては、どうもそういうものがあることは私ども確認できておりません。松尾につきましては、日鉱から必要な書類等を出させております。
#53
○小平芳平君 その必要な書類というのは何ですか。
#54
○政府委員(渡邊健二君) 従業員名簿でございます。
#55
○小平芳平君 それを初めから言えばいいのです。その従業員名簿によると百九十六人しか松尾はわからないのですか。それはある一時期の名簿ですね、おそらくね。
#56
○政府委員(渡邊健二君) そうだと存じます。
#57
○小平芳平君 そこで一つの点は、燃やしてしまう。住友が燃やしたか、日本鉱業が燃やしたか、あるいは下請が燃やしたか、だれが燃やしたか。とにかく法律的な責任があるなしはともかく、こうした従業員がどんな作業を強制されていたか、それこそ非人間的な非人道的な作業を強制されて、たいへんな被害を受けていたということが明らかなんです。ですからそういう点、大臣にお伺いをしたいのですが、企業もあるいは各省出先機関も、県も、そうした十年前二十年前の、しかも、同じ日本の国内で、同じ日本の労働者がどういう作業をして、どういう病気になったか、これはわれわれが明らかにし、そして、救済すべきものは救済する義務があるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#58
○国務大臣(塚原俊郎君) 労働省としてなし得る範囲はどこまでであるかというようなこと、これも事務当局からいろいろただしております。というのは、たとえば労災保険にいたしましても、二十二年の九月からでありますが、それ以前のものは適用されない、それ以後のものは適用される。いろいろな資料の点においても、先ほどからお話がありましたように、わからないものもある。お気の毒な状況にある方に対して救いの手をどうやって差し伸べるか。関係各省、厚生省あたりとの連携も十分とられておりますけれども、なお宮崎の知事にもこの間お目にかかっていろいろお話を承りました。ですから、労働省でなし得ることは全面的にやりますが、決して役所のなわ張りにこだわるわけではありません、なし得ないものについては関係省とも連携し、県とも連絡し、そういうものによってお困りの方に救いの手を差し伸べることは当然だと私は思っております。再三再四、事務当局から、もっと何か方法はないのかという質問をしておりますが、先ほどから局長が答えられた以上のことは労働省としてはなかなかやれないのじゃないか。しかし今後も特に厚生省、県との連絡を密にして、救済の手を差し伸べるべきである。そうすべきであるということを私は命令しております。
#59
○小平芳平君 労働大臣の態度は一応そういうことになると思いますが、私は国務大臣として、ほかの省にも働きかけていただきたいわけです。
 それからもう一つは、これも担当は労働省ということになるか、通産省ということになるか、はたして砒素焼きがまというものがどういうかまで硫砒鉄鉱を焼いて亜砒酸をとっていたか、その作業現場を再現すべきだと思います。とにかく私たちがいま写真で見る、あるいは当時の従業員の方から聞く範囲では、それこそ原始的な石を積んだかまどをつくって、硫砒鉄鉱を焼く。それを次のかまどに持っていって、そうするとさめるから白い亜砒酸がいっぱいつく。それをかき集めるわけです。これを焼き方というんです。かき集めるのには、顔と言わずからだと言わずいっぱい斑点ができるのですね。砒素負けと言っておられたようですが、入るときには、かまどの中にもぐっていくときには、熱くて、とても顔がもたないから石灰をまっ白に塗って、そうして砒素をよけよう、そうやって作業をやっていたわけです。この石灰のおしろいをいっぱい塗った写真もあります。現に持っている人があります。あるいは穴の坑内夫の方はのみでたたいて掘っていた、金づちとのみで硫砒鉄鉱をとっていた。そうすれば、当然粉じんも吸うし、砒素そのものも吸ってしまう。こういうような点は再現して、こういう作業をやらしたのか、ぶっこわしたほうが悪いのですから。そうして、こういう県やその他が発表したような八人の、三人のそんな簡単なことじゃなくて、もう少し納得のいく調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#60
○政府委員(渡邊健二君) 労働省といたしましても、現地の局を通じまして、当時の作業実態等の把握にいろいろな方法で的確な把握をするようにつとめておるところでございます。
#61
○小平芳平君 いや、それは当然のことであって、ですから、一つは、当時の把握をしようというが、どうすれば当時のことが把握できますか。人間のからだの中に、二十年たっても同じ分量の砒素が入っていますか。それが排せつされていけば現在のつめや髪の毛を分析しても砒素は少ないでしょう。そういう点、どうですか。
#62
○政府委員(渡邊健二君) 当時の関係者等をいろいろ呼びまして、それにつきまして、当時の作業の実情等を十分に聞きまして、まあ当時の作業の実態等どういう形でやられておったかというような点について、実態の把握につとめておるわけでございます。
#63
○小平芳平君 これは、ひとつ大臣やらしてください。ということは、それは当時の従業員から話を聞く、これは当然です。それはけっこうですが、はたしてどんなかまどで砒素を焼いたらどのくらいの毒物が出るのか、それを従業員が吸っていたのか、これはいまやって、はかれば科学的にはっきりするわけですから、それはいかがですか。大臣。
#64
○国務大臣(塚原俊郎君) 私、どうも専門家でございませんので、この問題について直ちに何年たてばどう、何年たてばどれだけ残っているというようなことは申し上げられませんが、小平委員は現地も視察されているでしょうし、ひとつお知恵を拝借いたしまして、そのお話を関係者にも伝えて、たとえばいまの何ですか、当時のそのままの姿を再現して実験をしろというようなお話もありました。これはやってやれないことはないと思っておりますから、ひとつお知恵を拝借して現地にも連絡をとっていきたいと思います。
#65
○小平芳平君 ですから、いまお知恵を言っているわけですから、あとやればいいんですよ。
 それから、同じような砒素鉱山が各地にあるわけです。で、いま私は全国の全貌をここで明らかにするわけに時間的にまいりませんが、各地に同じような砒素をとっていたというところ、これはいかがですか。きのうお知らせしておいた、一カ所は岐阜県の遠ケ根鉱山、岐阜県の遠ケ根鉱山の場合は昭和三十二年に休山をしている。それから十五年の間ほったらかしてあった。それが何と亜砒酸を八トン――八トンという亜砒酸がドラムかんと段ボールに入れて二月二十八日にいずれへか遠ケ根鉱山から運ばれていった。これは運んでいくについては名古屋鉱山保安監督部とかあるいは三井神岡鉱業所保健所の職員が立ち合っているということ、こういうようなところにも従業員を救済するというたてまえで、当然労働省としても、元従業員をさがし、そして、健康被害者があれば救済措置をとる。それはいかがですか。
#66
○政府委員(渡邊健二君) 鉱山関係につきましては、これは通産省の鉱山保安局になるわけでございまして、ただいまお話しの遠ケ根関係等につきましては、本日名古屋の鉱山保安監督部から七、八名の調査団が派遣されるように聞いておるわけでございます。鉱山以外のたとえば製錬等は労働省の所管に相なるわけでございまして、もちろんわれわれこのような最近のいろいろな職業病につきましては、近年は非常にこれを重視いたしましてこの予防につとめておるところでございまして、昨年の四月二十六日には特定化学物質等障害予防規則というものを制定し、その中で、特定化学物質の中には亜砒酸等も入れまして、そしてそれらを取り扱っております事業場につきましては、予防対策に万全を期してただいまは進めておるところでございます。
#67
○小平芳平君 いや、ですから、この遠ケ根鉱山は通産省にまかせておくだけで労働省は何ら動こうとしないということですか。
#68
○政府委員(渡邊健二君) 安全衛生関係はこれは通産の所管でございますけれども、もちろんそれで職業病が出るということになればこれは労災の問題でございます。したがいまして、私どもといたしましても、できるだけ実態の把握につとめまして、もしその結果職業病等が出ていることがはっきりいたしますれば、すみやかに労災によりまして補償の措置を講じていく、かような考えで実態の把握につとめておるのでございます。
#69
○小平芳平君 どうもあまり実態の把握につとめていないようですけれどもね。私がずっとるる申し上げておることは、労災に関して言っているわけです。そういう通産省がどうか、そういうことを聞いているのではない。通産省に幾ら労災の話をしても、通産省はそれはこっちじゃないというのです。ですから、労災について申し上げているわけです。で、遠ケ根鉱山の場合は明らかなものがありますから、とにかく八トンというものが十五年間ほったらかされていたと、それを急にどことなく持っていったと、他の官庁の出発機関が。そういう事実がはっきりしておりますので、御調査願いたいと思う。
 それから、そのほかにも同じようなところがたくさんありますけれども、これはまた別の機会にしまして、最後に、三菱モンサント四日市工場、ここでは四十五年九月に水銀中毒が発生した。急性水銀中毒が発生して七名の方が、これは六名が労災の適用になり、一名別の形で救済措置を受けているというのですが、最近この同じ三菱モンサント四日市工場でPCBによる健康被害者が発生した。三菱の病院で診察を受けると原因不明だ、おそらくPCBは関係ないだろうということになる。PCBは関係がないといえば、もう労災から出発点においてはずされているわけでしょう。そういう点いかがですか、労働省としまして。
#70
○政府委員(渡邊健二君) お尋ねの三菱モンサントの四日市工場におきましては、昭和四十四年以降PCBの製造が行なわれておりまして、その過程におきまして昨年七月ごろPCBの製造業務に従事している労働者二名に皮膚障害のものが発生をいたしております。で、一名は黒いぶつぶつのいわゆる皮膚炎が出ておりますし、一名はこれはやや違った薬物性の皮膚炎が出ておるというような状況が見られたそうでございます。しかしながら、事業場内の診療所で肝機能検査あるいはコレステロールの検査、血清たん白の検査等々の検査をいたしました結果については異常は認められなかったということでございます。しかし、それらの皮膚災につきましては、診療所で治療をいたしました結果その後治癒をいたしておるそうでございますが、労働省といたしまして、この問題が表に出て初めてわかりましたので、この三月の十五日に実地調査に行ってその実態の究明をいたしておるところでございます。したがいまして、その調査の結果によりまして、二名の者がPCBによる疾病であるということが明らかになりますれば、もちろんこれに対しては所要の労災の補償を実施することに相なるわけでございます。
#71
○小平芳平君 最後に大臣ですね、いま局長はPCBによる症状とはっきりすれば労災補償をすると答弁されますけれども、これは大臣、実際問題としてPCBによる健康被害とはそれでは何かということですね。これが労働省が今後私は労災を運用していく上において大きな問題点だと思うのです。といいますのは、昨年の参議院予算委員会で、私はカドミウムによる職場の健康被害者に労災適用をすべきであるということを当時の労働大臣に質問いたしまして、労働大臣はカドミウムによる健康被害者を労災適用をいたしますと、労働省として方針を決定いたしますと、こう答弁されましたが、じゃ、実際労災適用になった者がいるか。いまだにおりません。これは局長、いつのことかわからないでしょう。まだ目下審査会で審査中だと、答弁をお聞きするまでもなくですね。ですから、そういうふうにカドミウムによる健康被害者についても一年たっても審査中、ましてPCBの場合わからない点がきわめて多い。あのカネミ油症事件の被災者の方々がいらっしゃる。はたしてカネミ油症の方とこうした職場の被害者とどういう症状があらわれるか、そういう点きわめてまだ研究し尽くされておらない分野であります。したがって労働省として、こうした新しい化学物質による健康被害に対する労災補償、その基本的な考え方は――積極的に取り組む上においてよほど新しい分野になりますから、心して開拓をしていっていただきたいと思いますが、いかがですか。それだけ伺って終わります。
#72
○国務大臣(塚原俊郎君) PCBはいまや社会問題あるいは政治問題になっておると私は考えております。
  〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕
それから専門的な方がいろいろ調査に当たっているのですが、その結論の出方がおそいというようなお話もございました。こういうものはなるべくすみやかに結果を出していただきまして、労災の適用、これは決して拡大解釈するわけではございませんが、非常にこの問題は、いままでの問題ももちろんたいへんな問題でしたが、PCBというのはより以上たいへんな問題になっていると私個人としても考えておりますので、まず結果をすみやかに出すこと、それから、労災適用ということ、どうにもならぬものはしかたありませんが、決して拡大解釈するわけではありませんが、労災適用によって対処していくということは当然だろうと思っております。
#73
○田中寿美子君 私三月の一日から十日まで沖繩に行って参りまして、日本婦人会議を中心にして二十三人ほどの婦人の調査団をつくって現地の問題の把握のために参りましたわけで、ホットなところでぜひどうしてもお聞きしておきたいことがございますので、急に御質問するわけでございます。
 昨年の暮れ、沖繩国会の一番ぎりぎりのところで、私は女の人の人権の問題を中心にした請求権の問題とそれから少し労働の問題に触れたわけでございます。そのときはまだ質問も余っておりましたけれど時間がなくてはしょりましたが、きょうは具体的にいろいろな事実に触れてまいりましたものの中から、ちょうど時間もたいへんすいすいといったので私もそれに協力して、お昼前に終わらせようということでございますから、問題を少ししぼりまして、減らしましてお尋ねいたします。
 一つは沖繩の労働者の労働基本権に関係した問題でございます。それからもう一つは軍で働いておりますメードさんの身分の保障とか条件、そういうことに関係したことです。それからもう一つは、沖繩の売春問題に関連して労働省に関係のあるところをお尋ねしたいと思います。
 昨日、沖繩の官公労が年休闘争というものをやった。沖繩はちょうど私が参りましたときから全軍労が十日間のストライキに入っておりました。それから、賃金の三百六十円読みかえ要求のストライキも盛んに行なわれていたのです。復帰を前にして非常に働く人たちの不安が多いわけでございます。その中で官公労の要求なんですが、沖繩の官公労は年次有給休暇の積み立て買い上げ制度というものを持っております。昨日の要求を新聞で見ますと、一人平均六十日分の有給休暇が残っている。沖繩は有給休暇を積み上げておいてまとめて次の年に使ったりできるようになっておりますね。これはアメリカのやり方が入ってきてそういうふうになったんだと思いますが、そこでいま復帰を前にして一人平均六十日分残っている。だから復帰の際これをうやむやにしてしまうということはせっかく取った既得権を奪い去られることになる。それに対して現金支給をせよということを要求しているのですね。琉球政府側はそういう財源がない、その財源が約一千万ドルにのぼる。だからそういう財源がないから今後五年以内にこれを消化させたいというような方針を出しているというふうに新聞では読んでおります。本土のように戦後すぐ労働基準法ができたのではなくて、労働者はほんとうに手さぐりで自分たちの権利を次々に獲得していった。全軍労なんかも布令百十六号で締めつけられていたのを次第次第に交渉力を獲得した。その中でアメリカ式のものが幾らか入った労働基準法をとっておりますね。その労働基準法の中には本土の基準法と比べて、解雇手当を出す二十二条ですね、それから、産前産後休暇の賃金支払いの規定がございます。これは本土は有給になっておりませんから私どもから見ればこれは進んでいると思うのです。もう一つの特徴なのは、年次有給休暇の積み立てという制度なんです。そして、これを使わない場合に買い上げという制度が慣行としてできております。これに対してどうお思いになりますか。まず基準局長の解釈、さっきの解雇手当の問題、産休の有給の問題、それから年次有給休暇の積み立て、買い上げについてどのように好もしいと思われるかどうか、ちょっと御意見をお伺いいたしたいと思います。
#74
○政府委員(渡邊健二君) ただいま先生おっしゃいましたように沖繩の基準法、あるいは沖繩の布令百十六号等におきましては、本土の基準法よりも有利な部分が幾つかあるわけでございまして、おっしゃいましたように解雇手当三十日分の規定、あるいは産前産後六週間のうち五週間を有給休暇にするという規定、あるいは布令百十六号による病気有給休暇制度の問題、それから、最後におっしゃいましたような年次有給休暇を積み立て、それから一定限度ではございますが、積み立てられた年次有給休暇につきましては、退職の際に買い上げるといったような制度があるわけでございます。これらについては、沖繩はいろいろなアメリカの制度等の関係あるいは現地のいろいろな戦後における長い労使間の話し合い等々の中からそういうものが出てきたものと考えておりますので、それはそれとして評価されるものと、かように考えておるわけでございますが、ただ、今回沖繩が復帰してまいりますと国内法――現在の本土に適用になっている労働基準法以下の国内法が適用に相なるわけでございまして、それとの関係の調整が問題になるわけでございます。そこで御承知と思いますが、先般の国会で成立いたしました特別措置法におきましては、沖繩労働基準法による解雇手当、それから産前産後の有給の問題、それから布令百十六号による病気有給休暇の制度の問題、これらにつきましては、復帰後急激な変化を与えますことは適当でございませんので、復帰後一年間はこれらの権利を請求することができるように特別措置法で処置をいたしておるわけでございます。しかしながら、これらの制度を永続させますことは本土の制度と均衡の問題がございまして、同じ日本の国内で権利義務関係に長期にわたって差があるということは妥当でないということで、一年経過後はこれは法律の規定といたしましては、現在の労働基準法による措置、それが従来から沖繩の現地でございました数々のそういったような問題につきましては、労使間の話し合いによりまして、あるいは協約あるいは契約等によりまして処置されることは、これはもちろん差しつかえないわけでございまして、そういう法律の規制からははずすけれども、実際の取り扱いについては労使でしかるべく処理をしていただく、こういうことにいたしたわけでございます。
 なお、年次有給休暇の積み立て制度につきましては、復帰前に積み立てられました年次有給休暇、これは基準法適用関係者の関係でございますが、基準法適用及び布令百十六号適用関係者でございます。これにつきましては、すでに復帰前に積み立てられました年休は復帰後もこれを行使できる、そのような処置を特別措置法によってとった次第でございます。
#75
○田中寿美子君 そうしますと、一人平均六十日分ある年休は復帰後も使うことができるということですね。そういうことですか。
#76
○政府委員(渡邊健二君) 沖繩の労働基準法上は三十日が限度だと、かように私は承知いたしております。
#77
○田中寿美子君 そうしますと、本土に復帰したら、労働省の方針としてはどういうふうになさるのか。沖繩の労働基準法はもう無効になっていくわけです。そうしますと、その官公労の要求している一人平均六十日分の年休の積み立てがあるといっているのですが、この場合に、どういうふうに指導なさいますか。
#78
○政府委員(渡邊健二君) 官公労につきましては、先生御承知と思いますが、これは労働省の所管ではございませんで、総理府あるいは自治省、こういうことになるのでございますが、基準法適用関係者につきましては、これは、現在の沖繩基準法では積み立て制度が認められておりまして、それで復帰前までに積み立てたものにつきましては、特別措置法によって復帰後も行使できる、こういうふうにいたしておりますので、すでに何日間か積み立てられましたものにつきましては、今後も基準法上の権利としまして、今後積み立てられた年次有給休暇を復帰後も行使できる。こういう労働者がいる場合に、当然、権利として、基準法上の権利と同様に保護してまいりたい、こういう態度で進んでいるわけでございます。
#79
○田中寿美子君 それは一年以内に消化するようにさせるということですか。
#80
○政府委員(渡邊健二君) 年次有給休暇の積み立ての行使は一年以内という制約はございません。そうではなくて、これは先ほどの解雇手当とか、あるいは産前産後の有給制休暇、それから、布令百十六号による病気有給休暇、これは一年以内に限って従前の例による、こういう一年以内の制約はございますが、積み立て年次有給休暇の行使につきましては、制限はございません。
#81
○田中寿美子君 そうすると、官公労に関しては予算に計上されていることになりますか。予算というか、官公労のほうは、これは一括買い上げを要求している。それから復帰前に琉球政府に有給休暇を買い上げろと要求しているわけですが、こういうことに関連しては労働省の関係じゃないと思いますけれども、どなたか――もちろん、皆さんも関連していらっしゃると思うし、対策庁の方もお見えになっていると思うのですが、その辺は検討なさいましたでしょうか、労働省ではどうお考えですか。
#82
○政府委員(渡邊健二君) 私の申しましたのは、積み立て年次有給休暇の行使の問題でございまして、買い上げにつきましては、これは民間も沖繩の基準法によりまして三十日まで退職時に買い上げている制度が現在ございます。しかし、それは日本本土では買い上げ制度というものはとっておりませんので、しかも、退職時の買い上げということになりますと、これは何年先までそういう該当者が出るかわからない。非常に長期間にわたりまして沖繩の人と本土の人と法律の適用関係にまちまちな問題が出てくる、こういう問題もございまして、買い上げにつきましては、特別措置法では経過措置を設けておりません。したがいまして、復帰後は積み立てました年次有給休暇につきましては、民間でも買い上げということは認められないわけでございます。それにかわりまして、そのかわり積み立ててある年次有給休暇を今後行使する、こういう権利を認めたわけでございます。したがいまして、いま官公労につきましては、それぞれの所管の方からお答えがあると思いますけれども、買い上げについては存じませんけれども、行使については民間に基準法がこのような取り扱いをいたしましたので、同様の方向で検討されるのではないかと推察をいたしております。
#83
○田中寿美子君 私、そういうことを問題にしましたのは、本土で生理休暇の買い上げというようなことをやることもあるわけですが、せっかく、婦人が持っている権利を、使わなければ買い上げてやるというようなことをする企業があるわけです。私たちとしてはそういうことはよくない、基本的な権利だからこれは行使すべきだというように考えております。それがいま沖繩は特殊な事情があるものですから、そういう買い上げという制度が、われわれのそれに対して明確な指導方針を持っていらっしゃるかどうかを伺いたかったわけで、いまのことでわかりましたけれども、その指導的方針は。それで、あとは組合の問題ですから、あまり深く組合のやり方に対してここで介入をしたくないと思います。対策庁の方はいまの問題どなたかおわかりでございますか――。
 ついでに、労働基本権の問題とちょっと違ってまいりますけれども、労働省は離職者を大体五千人分くらいの費用をとっている、四十七年度の予算で。これ中身をどういうふうに計算していらっしゃいますかということなんです。法律のほうは早くできてしまったんですけれども、いま沖繩はごった返していてほんとうに不安だらけでございます。全然なくなってしまうような仕事もございます。たとえば税関などの人にも会いましたけれども、全然見込み、見通し持たないんです。やめるということだけわかっている。そして労働省の特別の措置ですね、離職者対策についても知らされていない。民政府に八十数名の日本人がいる。これは五月十四日付で免職するという通知だけ出ていて、その先のことは全然知らないということなんですが、こういう人たちもみんなもし求職すれば労働省の対策にかけてもらうことができるわけなんですけれども、こういうことについての何と申しますか、情報宣伝ということはほとんど徹底していないし、また自分たちがどうなるのかということについても不安が一ぱいなんですけれども、これはどういうふうに中身を、五千人なんというのも、中身をどう考えていらっしゃるのかということと、それをあちらにどういうやり方で周知徹底させていらっしゃるかということが知りたいんですが。
#84
○政府委員(道正邦彦君) 私ども沖繩振興開発特別措置法の中に「職業の安定のための特別措置」という章がありまして、これは先般の沖繩特別国会で御審議いただきまして成立をみているわけでございます。また予算といたしましても総額二十四億円の予算計上をすでにいたしておりまして、これは現在御審議いただいているわけでございます。法律の制定と同時に沖繩にももちろん連絡をいたしております。現に数回労働局長上京されまして直接お会いもいたしております。向こうからいろいろ問題点等についても相談をいたしております。現にあしたも労働局長が私のほうにお見えになります。そういうことで極力周知徹底をはかっておりますが、何ぶんにも関係者が数多くあるのでございまするし、徹底を欠いている点も多々あると思います。これはまことに申しわけないと思いますが、今後一段と周知徹底をはかるように努力したいと思います。
#85
○田中寿美子君 きょうは時間もあれですから、私それに入りませんけれども、賃金の読みかえなどの問題、それが民間と公務員あるいは地方公務員の間の格差、軍労働者との格差そして男女の間の格差これ一体どのようにしていくのか、たいへんな問題だらけだと思います。それでほかの問題でも向こうの行政官の人たちと接触してみても、いまちょうど施政権下にあるから動けないんだというふうなことになってしまうし、本土は本土でまだ施政権下にあるから十分手出しできないというふうな、両方がすくんでいる感じが非常に多うございますね。自衛隊のほうは先にどんどん入っていくのに、こういう大事な問題のほうは両方がすくんでいるというのは非常に残念だと思いますので、どうか向こうに直接係官を送っていただきたい、そして、現状を見ていただきたい。特に私は婦人労働者に対していろんな問題にたいへん触れてきて、まことにその点で胸の痛む思いがしたものですから、ぜひぜひ送っていただきたいと思います。
#86
○政府委員(道正邦彦君) その点はまことに御指摘のとおりでございまして、私どもも係官は十名近くすでにいろいろなテーマごとに現地に派遣いたしております。現に現在も行っております。そういうことで、できる限りのことはいたしているわけでございますが、先ほど御指摘ございましたように周知徹底方必ずしも十分とは考えておりません。今後十分進めていきたいと考えております。
#87
○田中寿美子君 それじゃ次にメードの問題を少し御質問したいのです。軍の労働者大体三万ちょっと、そのほかに軍労の中に入れられていないメードさんというのが一万ぐらいいるわけですね。先ほどもメードさんのことについて聞きたいと言ったのですが、所管がよくわからないようで、これは労働婦人ですから私は労働省がきちんとした指導をしてもらいたいと思うのですけれども、個人雇用ということになっているわけですね。ところが十五年もゲートをくぐって、みなそれぞれあそこの軍労働者と同じように入り込んでいって、そうして、集団している宿舎の中なんかに入って仕事をしている人が非常に多いわけです。沖繩の女子労働者の大きな雇用の口はメードさんとそれから接客婦ですね。そういう非常に大きな就職口であるところのメードさん、一番問題はこの人たちは昨年沖繩の労働局の調査でございますね。メードの調査、これで見てもわかりますように三十歳代、四十歳代で八〇%を占めているわけです。そうして家族が非常に多い。六人から九人、子持ちのおかあさんたちが圧倒的に多い。その中でも母子家庭が非常に多いのです。そうして、収入はいま七十五ドルぐらい平均とっている。女にとって比較的いい職場ということになっているわけです。しかし、問題はいろいろ人権の面からものすごい問題がたくさんあります。その辺は触れないとしましても、この人たちが今度軍労働者が間接雇用に切りかえられる際に全然手離されてしまう。いまは全軍労の保護も十分受けられておりません。そういう中でメードさんたちの身分の保障を何らかの形でするべきだと思うのですけれども、本土でもメードさんは個人雇用になっていると思うのです。この辺についてどういうお考えを、これは対策庁とどなたでしょう、施設庁ですか。施設庁、対策庁、労働省、それぞれお考えを伺いたいのですがね。
#88
○説明員(亀谷礼次君) 私のほうは復帰までの担当の事務及び復帰後の振興開発関係ということで仕事をやっております関係上、所管がまたがっておりますので、あるいは防衛施設庁及び労働省の御答弁に重複するかと思いますが、私のほうで先ほど労働省からの御答弁がありましたいわゆる沖繩振興開発法に盛られました一般のいわゆる離職者対策の一環の中にも含めたいと考えておりますので、私のほうから便宜お答えいたしますが、ただいま御質問がありましたようにメードさん、いわゆる沖繩における軍の関係の職員あるいは軍隊の構成員等に雇用された方の復帰後における措置でございますが、一応本土におきましても、これは防衛施設庁のほうで沖繩における一種、二種に類したものにつきましては、いわゆる基本労務契約に基づいて引き継ぎが、今後間接雇用の形で切りかえがなされると思いますけれども、いま御質問なされました方につきましては本土と同様これは一般の労務対策として考えていかなきゃならないわけでございますが、特に沖繩につきましてはこれまでの沖繩におきますところの雇用の経緯、それから先ほどもお話がございましたように、非常に多数の方が現実にこれによって生活しておられる。しかも、復帰に際しまして、今後アメリカの基地が縮小されてまいりますれば、予算の削減等に関連しまして、当然相当数の離職の方が出るであろう。こういうことも予想せられますので、先般、臨時国会において御審議をいただきましたとおり、沖繩振興開発法におきましてもこれらの方に対しまして、本土におきますと同様、いわゆるかつてとられました炭鉱離職者臨時措置法あるいは一般の離職者と同様に一定の期間、これらの方々に対する就職のあっせん、職業の指導等を行ないながら、なおかつこれらの機会の得られない方に対しましては、これらの措置に準じました法律に基づきまして、いわゆる生活上の、何と申しますか、ごめんどうを国の予算措置でみていくと、こういうたてまえをとろうと思っております。現在労働省と御相談をしまして、これまた最後の詰めを政令案でいま検討し、関係省庁と詰めておる段階でございますが、当然そういう考え方のもとに、これらメードの方、アメリカ合衆国の政府等の職員であって、これらの国民である者または軍隊の構成員あるいは軍属に雇用された者たちという方に対しまして、いわゆる第三種といわれていますが、こういったものを含めまして、これらの方に対する離職後のそういった必要な措置を法律の精神に基づきまして、政令に盛るように現在検討中でございます。非常に抽象的でございますが、そういう考え方でございます。
#89
○政府委員(安斉正邦君) お答え申し上げますけれども、私どもの防衛施設庁でやっておりますことは、いわゆる米軍の予算あるいは米軍の諸機関の予算によって米軍が雇用しているところの、労務に携わっている方々を、復帰後、防衛施設庁長官が雇用主になり、米軍の基地の中でつとめていただくという、いわゆる間接雇用に切りかえるという仕事をしておりますので、いわゆる私人としてのメードさんとしての雇用という問題につきましては、まことに申しわけないんでございますけれども、基地の中で働いておられるということは事実でございますけれども、まあ所管でないので、その辺のところについての措置あるいは知識というものは持ち合わせておりません。
#90
○田中寿美子君 いま実はポイントが違うんですね、私のお尋ねと。
 離職後の対策をお尋ねしているわけじゃないんです。現在働いていて、米軍が縮小されるとき、実はあまり縮小されないんです。二千七、八百人しか減らないで、現実に二万人ぐらいアメリカ人はまだいるんです、当分。そしてメードはほんとうにメードとして働きたい。これは調査でもいっているように、比較的いい仕事となっているんです、沖繩では。ですから、働きたいと言っている。しかし、身分がまことに不安定だということなんで、一種、二種を間接雇用に切りかえる際に、間接雇用の中には本土でもメードさんは入れてないから、入れるのは私はむずかしいじゃないかと思います。しかし、何かの形で身分の保障をしてあげなければ、実に不安定な状況なんです。しかも、私はもう一つ申しますと、メードさんの中には、どんどん出てきてみたら、もうきょうから来ないでよろしいと言われてみたり、それから、賃金不払いでいつの間にか帰ってしまうような、個人雇用ですからそういうことが非常に多いですね。そういうことで、個人雇用だからといって、米軍は何らそういうときに保障も何もしてくれない。そのくせメードさんの中で保安解雇にひとしいことを受けている人なんかもある。たとえば当山とみ子さん、この人は去年の十一月でしたか、あの軍のOSIか何かに呼び出されて、あなたのだんなさんはいまどこへ行った、だんなさんはソ連に旅行したのですね。そのことを聞かれて、そのときに別に本人は言わなかったので、真実を隠した罪とかいうことで解雇を申しつけられた。何回も呼び出された。個人雇用じゃないわけですね、実際には。軍がそういう思想統制もしている。思想なんというようなものじゃないですね。数えれば幾らだってあると思うのです。その程度のことでも呼び出して解雇にしているくせに、雇うほうは個人雇用でございますといって何の身分の保障も与えていない。この不安定な状況を救ってあげなければ、子供を五人も六人もかかえているメードさんは非常に心配なわけです。そして、この間、軍のストがありました、十日間。あのときでもメードさんたちは実に不安におののいていました。全軍労の人は組織があるから、十日間のストをやっても身分は保障される。自分らがもしそれに入ったら首になる。だから何とかゲートから自分たちを入れてくれということを全軍労に申し入れしているのですね。私は全軍労の婦人とメードさんがそのことで白熱した議論をしているところに一緒におったわけなんです。メードさんたちが不安におびえているし、いかに身分の保障がないかということを見たものですから、何とかこの人たちを……、特に沖繩は集団してあすこに入っている。十年も十五年、十六、七年とかいう人が多いわけですから、この人たちの身分を保障する方法は何かないかということをお伺いしているわけです。離職なんて望んでいない。離職する人の数は、いまのところそうありません。だから、労働省の離職対策に応じたところで、あの人たちは家族を養うことはできません、六人も九人もで。三九・三%ですか、女の、主たる家計の維持者なんです、家計をしょっている人たち。だから、この人たちを守る方法はないかということをお尋ねしているんです。労働省、いかがですか、労働大臣もお願いします。
#91
○政府委員(高橋展子君) 沖繩におきまして軍関係のメードというのが、女子にとっての非常に大きな雇用の市場であるということ、御指摘のとおりだと思いますし、また、その実態といたしましては非常に年齢の高いといいますか、子供を持った婦人、しかも家計をしょっている方が多いということも、私どもも把握しているところでございます。しかし、この方々が軍の家族の個人としての契約で働いているというようなことから、いわゆるその身分が不安定であるということも私どもも伺っているところでございます。この問題は、沖繩に限りませず、本土におけるメードについても同様なことかと思います。また、さらに一般に本土における一般家庭のお手伝いさんといいましょうか、いわゆる家事使用人と呼ばれる職種の人々についても共通の問題でございまして、法律上の保護ということが、たとえば他の職種の労働者のように及びかねるという点があるわけでございます。本土におきましては他に雇用の機会がたくさんありまして、特にお手伝い、家事使用人という職種は、むしろ非常な人手不足でございますために、近年はむしろこの家事使用人たちの地位といいますか、それはたいへんに高くなっておりまして、いろいろな問題も少なくなったようでございますが、かつては本土におけるところの一般家庭の家事使用人につきましても、ときどき問題があったところであったわけでございます。で、そのようなことでして、私どもといたしましては、これらの方々につきましては、従来から本土におきましてもその実態を明らかにするということとともに、その方々の持っておられますところの具体的な問題について相談にあずかるというサービスを通じましてその安定をはかるということにつとめてまいっているところでございます。
 それで、沖繩におきましても、労働局の中に婦人少年課が設けられておりますが、そこの職員、あるいは婦人少年課に付属いたしまして婦人少年課協助員という組織がございますが、この方々が相談業務を通じまして具体的な問題の把握あるいは相談等に加わりまして、個別の問題の処理に当たっていただいていると、このようなことでございます。で、抜本的な保護という問題になりますと、これは非常に大きな問題を含むのでございまして、今後の検討を待たなくてはならないと思っております。
#92
○田中寿美子君 労働大臣、どうですか。メードさん、ことに沖繩は軍が非常に横暴なところがありまして、そしてもう不払いで逃げて行ったり、きょう来たら、あしたから来ないでもいいと言ってみたり、ちょっと気に入らないから首にしたり。それだけじゃない。ここでいま言いませんけれども、この間沖繩国会で私言いましたように、メードに対する不法行為、暴行、一ぱいあるわけですね。こういう人たちは特殊な問題持っていると思いますから、ですから、これを守ること、それから本土の基地のメードさん、米国の軍人に雇われているメードさん――個人雇用だけれども、いまみたいに何の保護も受けないという状況に対して何か手はないのかどうか。いまもそれに対する直接の担当の責任を負う役所がないみたいな状況でございますので、何かつくり出していただけないものでしょうか。いかがですか。
#93
○国務大臣(塚原俊郎君) 私も前に沖繩を担当しておりましたので、現地にもたびたび参り、この問題についていま田中委員御指摘の点も非常に心配しておる一人でございます。しかし、いま担当官からも申しましたように、直ちに云々という、直ちに良薬というものはないわけですね。だから、復帰すればすべて本土並みということでありまするから、本土は人手不足で困っている、賃金もたいへんいいようにも聞いておりますが、沖繩では逆に、一方的に解雇を命ぜられる。そしてまた生活も不安である。またお話しのような不法なことも行なわれておる。これはまことにお気の毒な状況であります。しかし、いま、じゃこれについて何か立法措置でどうこうというようなことも、これは考えられません。ですから、本土並みという形で、復帰後といわずに、いまから、あるいは関係省――外務省を通じての交渉もあるでしょう。あるいは沖繩対策庁を通じての、総理府を通じての交渉もあるでしょう。ひとつできるだけの援護措置をというか、あたたかい手を差し伸べる措置は講じなければならないと考えております。ただ、それじゃこういう法律でどうこうということは、いまのところちょっと私には考えられません。
#94
○田中寿美子君 私、法律つくれなんて言ってないんですよ。ほんとにぎりぎりの線で働いているんです。これは売春の問題と関連するんですけれども、沖繩の母子所帯というのはほんとに低所得なんです。そして、たくさんの家族をかかえているんで、しかも、売春の口は幾らでもあるんです。最も大きな市場なんですね、あそこは。ですから、子供を夜、寝かしてから、ちょっと夜の仕事をしてくるというような母子所帯が多いんです。そして、それがまたさらにひどいことになっていくので、こういう人たちを守ることは私たちの任務だと思うものですから、何かいい方法を考え出してほしいということを申し上げているわけなんです。ですから、関係している省庁は話し合っていただいて、それで大体の労働条件とか、それからもしあの人たちが自分たちで組織というものができれば、健康保険にしても、あるいは年金の積み立てだってできるはずだと思います。私はあの人たちが自分たちでそういうような組織をつくることが先決じゃないかというふうに考えたんですけれども、しかし、それだけの力がなかなか出てこないんです。私は全軍労もそれの責任があると思っていますがね。それで、そういう点で手助けをする方法はないかということを申し上げているわけなんです。いますぐにというのは無理かもしれませんから、ぜひ考えてほしい。それから、ぜひ実態に触れてほしい。行ってメードさんに会ってほしいんです、本土の役人が。婦人少年局にぜひそれをやってもらいたいと思う。あの人たちはあらゆる問題を持っているんです。ですから、ぜひそれをやっていただきたいということにしておきます。
 売春の問題に次に移りたいんですけれども、労働省に関しては、売春関係でやはり職業の指導ということを考えていらっしゃるんですが、その前に、あそこの売春の状態というものは全く本土で売春防止法ができた当時なんかのものじゃないんですね。五月十五日から本土の売春防止法が完全施行になりますから、ですから、法律は施行になるけれども、はたしてこれがあのときのように一応管理売春者をなくすことができるかどうか、心配もあるわけでございますけれども、ほんとうに問題なのは、売春婦がみな前借金を持たされているわけなんです。これは労働基準法でも五条で「強制労働の禁止」がありますね。それから六条で「中間搾取の排除」これにも当てはまるような実態が一ぱいあるわけです。それも私ぜひ見てきていただきたい。あちらの警察や法務局に行ってみたけれども、これはもう実に何といいますかね、二の足踏んでいる。施政権下であまりやれないという態度ですね。本土のほうも私は法務省や警察庁がそういう点で手ぬるいと思います。指導が手ぬるいと思うんですが、もう五月十五日に返ってくるので、前借金の問題なんかというのは非常に強力な指導をしないといけないと思います。事例を幾つでも申せば切りありませんけれども、ある年輩の売春婦の一人なんかは、もう更生したいんですよね。更生したいと思っても、暴力団をけしかけているわけです。業者は五月十五日から、あるいは前借金棒引きというようなことに、本土のときのようにされるのではないかと、こういうことで前借金を暴力団の手に移しているんです。そうして逃げそうな、あるいはやめそうな売春婦に対して暴力団が脅迫しているわけです。ある一人の人は、逃げ出そうとしているのに毎日暴力団が家の前に立っている。警察に飛び込んだら、警察は一泊しか置いてくれないんですね。で、これは厚生省のほうも非常におくれていると思うんですけれども、保護施設、一時収容施設が全然ないんです。本土は救世軍の家があったり矯風会の家があったりして、飛び込む場所があった。あの人たちにはないわけです。そうして、まあこれは子持ちのちょっと若い売春婦の話でしたけれども、昼休めば二ドルから三ドルの罰金がつく。夜休めば五ドルから十ドル、ペイデーには二十ドル。このことは完全に労働基準法の違反でしょう。いかがですか。
#95
○政府委員(渡邊健二君) 沖繩の売春につきましていろいろな姿があると思いますが、管理売春等、その他使用従属関係が認められるものにつきましては当然基準法の適用があるわけでございまして、前借金と賃金を相殺する――よく本土でもあった事例でございますが、こういうようなことになりますれば、それは御承知のとおり基準法の十七条の前借金と賃金の相殺の禁止の規定に触れるわけでございます。
 さらに先生がいま例示であげられましたようないろいろな精神または身体を不当に拘束する手段によって労働を強制したということになりますと、基準法の五条の違反にも明確に該当するわけでございますし、さらにその他中間搾取があるということになると、基準法六条違反にもなるわけでございますが、われわれ本土復帰後、これは売春等につきましても基準法を厳格に適用いたしまして、特に強制労働ということになりますと、基準法上も最高十年以下の懲役という一番重い罰則もかかっておることでございますので、それらにつきましては本土よりおくれた、いろいろなそういうものも残っていると思いますから実態的な面におきましても本土と同様の労働者保護を一日も早く実現する、こういう観点に立ちまして厳正に基準法の適用に当たってまいりたいと、かように感じておるところであります。
#96
○田中寿美子君 いまでも売春禁止法があるわけですよ、沖繩に。それで復帰はもうちょっとあとかと思って、七月一日に完全実施の法律をつくっていたわけですね。それで、人によっては婦人相談員が去年の十一月に初めてできて、たった七人ですよ、沖繩全体に。それで労働基準監督署に助けを求めてきた婦人もあるんです。それはいまおっしゃったような条項で中に入って解決したのもあります。だけれども、実際にあそこの警察で聞きますと、二千人から三千人くらい身柄を拘束されている、その人たちが飛び出してくる。本人が飛び出してこなければ指導できないんですが、あそこの警察の力もほんとうに少ないし、基準監督官も非常に少ないんです。あれだけのことを一体やれるかどうか私は非常に疑問なんです。その点。
 それから、米軍相手のキャバレーとかバーとかナイトクラブというのは、コザなんかの通りは、あれは簡単には売春防止法の適用できないんですね。一体どうやってやられるか。あの中の業者たちが事実上前借金を強要しているわけなんです。そういうことの摘発というのはどうやってやるかということなんです。向こうの警察の、そういうふうにして逃げてきた女の人、話し合いで分割してでも借りた金は返しなさいという指導をしているんです。その辺はどういうふうに皆さん方のほうは指導されるか。これは警察のことでもあり法務省のことでもありますけれども、労働省は労働基準監督官を使ってあるいは労働基準局あるいは婦人少年室でどういうふうなことをやられるおつもりがあるのか、陣容だとか予算とか教育宣伝の関係でしょう、労働省は。あとは職業の訓練、補導、もっと監督署のほうで、基準局のほうでももっと手が出せないか。
#97
○政府委員(渡邊健二君) 沖繩では確かに監督機関、全島で八十数人でございます。復帰後若干の増員はございますけれども、そう大幅に増員ができるということになっておりませんので、私どもこれをどう効果的に運用していくかという点、今後十分に考えてまいりたい、かように考えておるところであります。これらの売春婦等に対します基準法の適用に対しましては、本土でも過去にこういうことを日本の長年の慣行の中で基準法の適用にかかってきました経験もございます。そこで、それらの経験を生かしまして、もちろん婦人から申告があれば当然のことでございますが、本人から申告がない場合におきましても諸般の事情から基準法違反の事実、証拠等がつかめる場合には積極的にその違反を摘発するという態度に立ちましてやってまいりたいと、かように考えておるところであります。これらの基準法の実施運用等につきましてはこれまでも本土からいろいろ専門家をやりまして琉政の基準当局の指導等もいたしてまいりましたけれども、復帰後におきましては、若干名ではございますが、本土から長年なれました専門家も現地の基準局に配置する予定にいたしておりますので、それらの長年の経験を持ちました専門家等によりまして、でき得る限り効果的な処置によりましてすみやかに沖繩におきましても基準法の順守、こういう慣行をつくるべく監督指導してまいりたい、かように考えておるところであります。
#98
○田中寿美子君 それで、法務省、警察、それから厚生、労働、連絡とってやらないとだめだと思うのです。私は、あそこの売春対策協議会の委員の方々にもお会いしまして、非常に行政官庁がたよりにならぬ、民間の自分たちが動くよりほかは道がないような状況にいまある。それは両方がすくんでいるから、施政権がアメリカにあるあるということですくんでいるからだということだと思います。業者は、だから五月十五日までに早く金を取り立てようということでやっているわけです。最初は二百ドルぐらいで始まっているのが、たちまちにして数千ドルになり、ひどい人は一万ドル。非常にしょった人は宮古落ちで、最終的には宮古に生涯を埋めに行くわけですね。しかも、普通のこちらでいう売春とちょっと感覚が違うのでして、あちらで普通の母子世帯でも売春をやることが非常にたやすいものですから、ですから施設に収容して生涯をコロニーに入れなければならないようなIQの低い人というのは非常に少ない。普通の職場のように考えられていることや、それから普通の業態のように点在していたり、普通の業態の中で強制したり前借金をしいたり、そしてひもをつけたり、暴力団をつけたりということですから、私はなみなみのことではないと思いますので、その点はよほど連絡を密にしていただきたいし、私は労働省婦人少年局が、前に売春防止法をつくる当時に非常な意気込みでみんなをプッシュしたのですが、今度は、これも私は現場に見に行ってもらいたいし、復帰前にぜひ係官に行ってもらって、直接そういう女に会ったり、婦人相談員もたいへんな苦労をしておりますから、そういう話も聞いたりしていただきまして、業態をはっきりつかんでいただいて、そして、各機関との連絡、組織を進めていただきたいと思うのです。
 それからもう一つ、保育所の問題なんですけれども、沖繩にはこれは厚生関係で私もやりたいと思いますけれども、沖繩の保育所の足りないことは有名だけれども、保育所と数えられない妙なものが一ぱいあります。いわゆる預かり屋さん。乳児昼夜預かりますと至るところに看板をかけてあります。夜の仕事をしに行く人たちは子供をほうり込んで行くわけです。これは普通の板の間にほうり込んで行っている。中には助産婦、産婆さんがそういうことを経営したりしていますが。これは働く婦人の家は沖繩にはつくらないわけです。今度予算が出てないのじゃないですか。働く婦人の家はいままで本土はありますが、働く婦人の家というのは、保育室はあるが保育所を置くことはできない。これは働く人にとってはちょっと片手落ちだと思うのです。沖繩にはちゃんと保育施設を実際につくっていかなければいけない。普通のさっきのメードさんもそうですよ。メードさんなんかも子供を領かり屋さんに預けていくというのが手近だからそうやるわけです。公立の保育所も少ないし、私立もちゃんとしたものが少ない。で、あんな、手軽に安く預かってもらえる、だからいろいろ事故が起こっておりまするが、そういうものがありまして、きちんとした、さっきの一時逃げてきても収容できる施設と、それから子供たちを預ける施設が非常に急務だと思うのですが、働く婦人の家をたしか沖繩に今度つくらないんじゃなかったですか。もしそうでなかったら、ぜひ必要だと思いますがいかがですか。
#99
○政府委員(高橋展子君) ただいまお尋ねの中で、乳児を預かる預かり屋さんのことであるとか、あるいは売春婦が逃げてきたときの一時的な収容所のことであるとか。これらの点につきましては、先生御承知のとおり厚生省の所管で、それぞれ御検討を進めていることと思います。で、働く婦人の家につきましては、これは働く婦人の家という施設は勤労婦人の福祉に関します事業を総合的に行なう福祉施設といたしまして、国の国庫補助で地方公共団体が設置してまいっているものでございます。本土におきましては、ただいま三十二カ所ございまして、さらに来年度は八カ所ほどの増設をいたしたいと考えているところでございます。それで、沖繩におきましても、私どもといたしましては、この施設が沖繩の働く婦人の福祉のために必要であると考えておりますが、その具体的設置につきましては、復帰後の沖繩県当局と十分協議いたしまして、昭和四十八年度以降になるかと思いますが、設置するように進めてまいりたい、このように考えております。
#100
○田中寿美子君 沖繩の女性は、たいへん働いているわけなんですね。共働きというよりも、そうしなければ食えないものですから、低所得層が多いし、母子世帯が多いし、置き去られた妻というものが一ぱいおります。これは米軍と限りませんで、男性はやたらに逃げて行くらしいです。それで置き去り妻というものが多いので、保育施設や保護施設が非常に必要ですが、だから、あらゆるところから手を伸ばさなければいけませんので、私は、働く婦人の家というのは、本土でも保育所が併設されたらいい。ぜひそうしてほしいと思うのですけれども、沖繩にはぜひ至急、もう四十七年度で達成されなければ四十八年度にはつくって、そして職業の訓練と一緒に保育所を併設するというようなことにしてもらいたいということを申し上げまして、きょうはこれだけにしておきますけれども、大臣ね、労働問題、このごろは女がみんな働いていて、沖繩の婦人というものは、ほんとうに働き者であり、しんぼう強くて、犠牲的で、一番忍従をしているわけなんですね。ですから、こういう人たちを守っていく仕事というのに、ぜひ大きなウエートを置いていただきたいんですが、いかがですか。
#101
○国務大臣(塚原俊郎君) 現在、沖繩の人口が九十七万とも百万とも言われておりまするが、いずれにしろ、現状のままでは三十二、三万でなければ食べていけないというのが、沖繩の経済状況だと私は考えております。基地経済があるいは五五%ともいわれ、七〇%ともいわれております。そして、五月十五日戻ってくる。よほど沖繩の復興ということ、沖繩の経済の発展ということは、これはもちろん真剣に考えておりまするし、今後も、少なくとも日本の鹿児島県とかあるいは島根県並みにしなければならぬということは、これはもう常識であります。言われておることでありまするから。そこで、重工業はどうか、これはちょっと無理でしょう。軽工業、これも一部でしか可能でないと私は思います。そうなれば畜産業とか、あるいは観光、それから第三次産業ということにウエートが置かれてくる。ですから先ほどから働く婦人、いまお気の毒な状況にある婦人、ひとつの必要悪ともいわれておるような仕事にもつかなければならないような婦人、これを救うためには、やはり沖繩独特の産業の発展というものをはかりながら、職業訓練、職業指導をして転職せしめていく、ほんとうに住みよい家庭をつくらせるというような方向に、これからすべての努力を傾注していかなければならないと思っております。そういう面でこれは単に労働省だけの仕事でなくて、国全体が党派を越えて、沖繩の方々のために努力をしていく大事な問題だと思っております。私自身もその方向でこれから進んでいく考えでございます。
#102
○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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