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1971/04/04 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第6号
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1971/04/04 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第6号
昭和四十七年四月四日(火曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     石本  茂君     重宗 雄三君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     重宗 雄三君     石本  茂君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     高山 恒雄君     中沢伊登子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 英男君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                高田 浩運君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上田  稔君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤原 道子君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
                小笠原貞子君
   衆議院議員
      社会労働委員長
      代理理事      谷垣 専一君
   国務大臣
      厚 生 大 臣   斎藤  昇君
   政府委員
      厚生政務次官    登坂重次郎君
      厚生省公衆衛生
      局長        滝沢  正君
      厚生省薬務局長   武藤g一郎君
      厚生省社会局長   加藤 威二君
      厚生省児童家庭
      局長        松下 廉蔵君
   事務局側
      常任委員会専門
      員         中原 武夫君
   説明員
      警察庁刑事局捜
      査第二課長     小林  朴君
      警察庁警事局保
      安部防犯少年課
      長         川崎 幸司君
      厚生省医務局国
      立療養所課長    野津  聖君
   参考人
      財団法人婦選会
      館理事長      市川 房枝君
      社団法人売春対
      策国民協会常任
      理事        山田弥平治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○社会保障制度等に関する調査
 (沖繩における売春問題に関する件)
 (低肺機能者対策に関する件)
○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○寄生虫病予防法の一部を改正する法律案(衆議
 院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中村英男君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 社会保障制度等に関する調査のため、沖繩における売春問題に関する件について、本日婦選会館理事長市川房枝君及び売春対策国民協会常任理事山田弥平治君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#5
○委員長(中村英男君) それでは社会保障制度等に関する調査を議題とし、沖繩における売春問題に関する件の調査を行ないます。
 この際、参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、本委員会の調査のため、御多忙のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 つきましては、本件の実情についてそれぞれ十分程度の御意見を拝聴した後、委員からの質疑に対しお答えいただきたく存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは市川参考人からお願いいたします。
#6
○参考人(市川房枝君) 私は、沖繩の売春については、三十六年の六月にキャラウェー高等弁務官から招待された衆参各党派の代表十余名の中に加わって参ったのが初めでございます。そのときちょうど一緒に参りました社会党の戸叶里子さんと二人で、ある晩おそく沖繩の新聞社の人に案内をされまして、沖繩のコザをはじめ売春街を見て回りました。そして、全く何らの制限なく、いわゆる売春花盛りとでも申しますか、そういう状態を見て実にびっくりしたわけでございます。その後三回訪問いたしまして、この問題についても心配をしてまいりました。
 しかし、きょうは沖繩立法院で売春防止法が制定された経過、その後の処置なんかについて、私が関係してまいりました、あるいは知っておることだけを簡単に申し上げたいと存じます。
 私は、一昨年すなわち四十五年の三月四日に開催されました本院の予算委員会で佐藤総理及び山中総務長官に対し、沖繩における売春問題について質問をいたしました。そのころは、ちょうど沖繩が一九七二年に返還されるということが大体きまっておりましたときでございます。返還されれば、この二十四年間の異民族の占領下にあった沖繩の方たちが、初めて人権の尊重を規定をしております日本の国の憲法のもとで生活ができる見通しとなったときでございます。ところが、沖繩の女の人たちだけは、その恩恵に浴することができないのではないかという心配がある。それは沖繩では、本土で施行されております法律はほとんど全部そのまま沖繩の立法院を通過して施行されていいのでありますが、売春防止法はできておりませんでした。琉球政府から立法院に法案は提案されておりましたけれども、ほとんど審議されていなかった、こういう状態でございました。売春防止法の実施には多少準備が要りますので、早く法律を成立させなければならないのじゃないか。こういうわけで、総理と官房長官に対して早く法律が制定されるようにしてほしい。何でも本土の政府の一部には、売春防止法だけは二、三年施行を延期するというような意見もあるということがありましたが、そういうことになってはたいへんなんだ、こういう意味で質問をしたわけでございました。
 それに対して総理と山中総務長官とお二人から答弁がございましたが、簡単でございますのでちょっとそのときのことを読んでみたいと思いますが、山中総務長官が、まず「沖繩を担当いたしておりますから私からお答え申し上げます。」ということで、「御指摘のとおり、現在沖繩におきましては、米軍の弁務官布令第百四十四号による主として米軍要員に対する売春の禁止、並びに一般刑法による管理売春の禁止、あるいは琉球政府の立法による婦女を売春せしめたる者等の処罰に関する法律等々が一応あるわけでございますけれども、それらの問題は、市川委員御指摘のとおり、現状において、米軍みずからが定めたそのような禁止法令が守られているかいないかは、はなはだ疑問に思われる点が現象としてございます。そこで私も沖繩の現地をよく知っておるわけでありますが、そこらの事情の視察だけを私いたしておりませんでしたので、総理府の売春対策審議委員の方をわずらわしまして、下調査と申しますか、現状を把握していただくように、いまお願いをいたして、もう出発されるところでございますが、結論といたしましては、本土に返りましたならば、売春防止法は直ちに現地に適用できるよう、その前に現琉球政府におきまして、本土の売春防止法そのままの、準じた立法をしていただくよう、またそれに対して琉球政府が立法の措置をいま議会に対してとっておられるようでございます。以上のことを御報告申し上げておきます。」という答弁でございまして、これに対して私が、「いま総務長官は沖繩でそのほうの問題だけを見てこないとおっしゃったのですが、実は一昨年秋、当時の園田厚生大臣が沖繩においでになって、ひそかに視察をなさった。さて、お帰りになってから、日本の新聞で「厚相、がく然、沖繩の売春」なんていうような見出しで大きく発表されたのですが、現在の数字は約七千四百人売春婦がいる(過去五年間に倍数にふえている)それでその九九%が平均五、六百ドルから、最高は四千ドルぐらいの前借金があって縛られ、まるで戦前の日本の遊郭の仕組みそのままが現在適用されているらしいのです。それでしかも、その総数の七七%は生活のために売春をしている。それから四〇%以上が子供を持っている人たちだということであります。これはまあ基地沖繩の社会経済構造のしわ寄せが、この女の人たちに集約されているわけであって、非常に私どもはつらい思いをしておるわけであります。沖繩立法院には昨年の六月に本土とほとんど同様な内容の売春防止法が提出されているらしいのですがほとんど進展をしていない。現在の沖繩立法院は、御承知のとおりに自民党の方々が過半数を占めておいでになりますから、私は総理から総裁として、立法院ができるだけ早くこれを成立させ、そうして準備をしていただきたい。女の人たちの更生あるいは業者の転職といいますか一そうして完全に本土復帰のときには婦人の人たちにも、日本の憲法のもとで人権が守られる状態にしていただきたいのですが、総理如何ですか。」これに対して山中総務長官からございましたが、最後に総理が「ただいま総務長官から詳細にお話をいたしました。私はもうこれで十分かと思いますが、これは政府の態度であることで一言つけ加えておきます。ただ、総務長官だけの態度ではない、政府自身が――と申しますことは、私の責任においてこの問題が徹底するようにいたしたいものだと、かように考えております。そのことをつけ加えておきます。またただいまの重大問題は、禁止も禁止だが、同時に基地経済から抜け出る、そのためにどういう処置をとるか。いろいろ救済措置等につきましても万全を期する。このこともつけ加えさしていただきます。」まあこういう御答弁がございましたが、このお約束をいただいた結果でございますが、政府は総理府にあります売春対策審議会の委員を派遣することになっていると、山中長官はおっしゃった、これはうそでございまして、あとで訂正がありまして、何も計画はなかったんでございますけれども、すぐ計画をして二人の方を沖繩に派遣をされました。そして現地でいろいろ政府の意思をお伝えになったせいでございますか、いまの国会での問答は三月の初めでございましたけれども、急に沖繩の立法院が法律を取り上げて、そして可決をし、四十五年の七月の十日に公布、即日実施をされることになったわけでございます。もっとも、本土の場合と同様に、第四章の更生関係は、一九七二年の一月一日から――これはことしの一月一日という意味でございます。第二章の刑事処分は、一九七二年の七月一日から――ことしの七月一日からとなっておりますが、第一章の総則はちゃんと生きているわけでございます。それから四十六年度の、そこで本土の予算の中に初めて沖繩における婦人保護関係の、いわゆる沖繩財政援助費として予算が計上されておりまして、その内訳は省きますけれども、四十六年度総額で申しますと、五千六百六十五万円という予算ができております。もっともこの予算の編成されますときに、前からの関係がございましたので、実は戸叶さんと私が北方対策庁に伺って、沖繩の売春は本土とは少し違うのだだから、本土並みでなくて、予算を少しふやしてほしい、あるいは婦人相談員もふやしてほしいというようなことを申し上げて、幾らか取り上げられましたけれども、いま申しましたような五千六百六十五万円ということで、この中にいわゆる保護施設の整備費というもの、それから婦人相談所の整備費あるいは婦人相談員の設置費、職員の設置費等々が計上されておるわけでございます。もっともこれより先、実は法案が通りましたあと、三、四カ月後の四十五年の九月に私は沖繩へ参りましたんで、立法に協力した婦人団体の幹部の人たちあるいは琉球政府の関係者の方々と御一緒に、この問題について話し合いをいたしました。ところが、そこで私が実はびっくりしたことは、その席には、たまたま社会党の土井さんが沖繩においでになっておりましたので、土井さんにも列席していただきました。で、話をしておりますうちに、沖繩の現地の、ことに一生懸命やった婦人団体の人が、法律はできたのだけれども、まだ施行されていないんですと、二年先に延びているんですと、こうおっしゃるんです。私はびっくりしてしまいまして、それから沖繩の売春防止法の法文を持っておりましたので、それをちゃんとお目にかけて、それで第一章は生きているんです。二章、四章はなるほど延期になっている。それで第一章の第三条に、日本の本土の売春防止法と同じように「何人も売春をし、又はその相手方となってはならない。」こういう規定がございます。もちろんこれは倫理規定でございまして、それに対する罰則はついてないのでございますけれども、それを私が申し上げましたら、それはそうでしたね、というようなことでみんなびっくりしていたわけでございまして、私のほうもさっき申しましたようにあ然としたわけでございます。沖繩では、したがって法律ができても何らそれに対する警察のといいますか、措置はしないで、前のとおりそのままほうっておいたと、こういう状態でございます。
 それから女の人たちの問題として、さっきも申しましたけれども、前借金の問題が非常に重要九問題だということで、私は、本土の場合には前借金は棒引きということで処理をしたんです。本土に売春防止法ができましたときは、私ども関係しておりましたので、そのことをよく承知しているわけです。ところが、沖繩でちょうどその席に沖繩の法務局の方にも来てもらっておりましたけれども、それは言えないと、こうおっしゃるんです。だから、裁判をすれば公序良俗ですか、に反する契約は無効だという、これは民法の規定によって棒引きになる、売春を条件とした前借は棒引きになるのだけれども、単に棒引きだということは言えないと、こうおっしゃるんです。そこで私は、その問題はむしろ沖繩の問題よりも本土の問題、本土の政府当局がどう考えているかという問題でしたけれども、とにかくそういう状態でございましたので、一般の沖繩の人たち、女の人たち、あるいは業者の人たちにももっとこの売春防止法の内容というものを徹底、普及する必要があるんじゃないですかと、こう申し上げて、沖繩立法院の当局の方々が、宣伝の予算も少しはあるとかおっしゃっておりましたけれども、少し私が差し出口をしまして、宣伝のためのポスターをつくると、その費用がなければ、私ども本土のほうで金をつくって送りましょうと、そうして本土の民間の団体の名前ならば、厳格な法律も必要ないから、前借金は棒引きですということも書きましょうと、それから売春防止法は生きているんだというものをつくろうということでしたが、同時に、その席に集まった人たちで、やはりこれも本土の場合で言ったように売春対策のための一つの委員会をつくって、そうして皆さんで協力してやっていただく必要があるんじゃないかというので、その場で直ちにその委員会ができたわけですが、これは後にもう少し公の団体なんかも入りまして変わったんですけれども、そういうことで帰ってまいりまして、さっそくポスターをつくって、なるべく早く張ってほしいと一万枚ほど沖繩の東京の出張所を通じて送りました。ところが、あとでの報告には、私どもはうっかりして日本の年月を書いちゃったんです。昭和何年と書いちゃった。ところが、沖繩では西暦で千何百年。ですから、ここのところはぐあいが悪いからすぐ出せないという話を聞いたのですが、ごく最近に沖繩に行って調べてみました方から伺いますと、沖繩立法院の政府のほうで、それはポスターはちょっと困るからと言うんで押えられていて、実は配布されていないんだということを聞いて私ども驚いているんですけれども、とにかくそういうことがございました。そのときに本土へ帰りましてから、厚生省あるいは婦人少年局なんかの方に一体前借金の問題はどうなっているんだということを聞いたんですが、まあ、政府のほうのいわゆる公の書類でもって棒引きだという通牒は出ていないことを確かめたんですけれども、しかし、結果としては事実棒引きで処理をしたわけでございますが、それでどうも何といいますか、私はそういう関係を持ちましたので沖繩の売春がどうなっているかと、ことに重大な前借金はどうなっているかということを心配をずっとしてきておりますが、その経過を見ても、沖繩がまだ施政権がアメリカにあるから、日本の政府があまり公に手が出せないということもあるかもしれませんけれども、しかし実質的にはもう前からかなり行政の指導はしておいでになるわけですし、本土の政府がやろうとお思いになれば、さっきの売春防止法がほんとに一夜にしてできたみたいな経過から見ましても、できるんでございますから、それが現在ちょうど返還を目の前にしてさっき申しましたけれども、ちゃんと予算が本土ではあって、そして、沖繩に女たちの保護施設をつくる予算が三千何百万円ちゃんとついておるんですけれども、それはことしの一月一日からほんとは婦人たちの保護の面は法律は施行されているわけなんですけれども、建物もできていない、その他非常に準備がおくれているということを知って、これはやっぱり本土の政府があまり熱意をお持ちになっていないんだ。私に、前に約束してくださいました山中総務長官あるいは佐藤総理のお約束が必ずしも実際に守られていないんだという感じを実は持っているわけでございまして、私の関係いたしました範囲内でだけ簡単に申し上げさしていただきました。
#7
○委員長(中村英男君) どうもありがとうございました。
 次に、山田参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(山田弥平治君) 私は、売春対策国民協会のほうから沖繩のほうに一月の八日から十三日まで現地を一人で見てこいというふうなことで行って参ったわけでございます。ですから、非常に自由な立場で各地区を見てきたわけでございますけれども、いま、市川参考人から大体のお話がございましたので、私は、数字的その他の問題は省略さしていただきまして、沖繩の現状といいましょうか、私が一人で歩きました現状というところをちょっとお話ししたいと思います。
 沖繩に行って参りまして、非常に私は実情があまりにも貧困であるということで、がく然としたわけでございますけれども、ちょうど沖繩のその売春街といわれておりますところは、大体こちらでいう昭和二十二、三年ごろの、まあ東京で言います吉原とか、新宿の赤線、そんなような現状でございました。非常にわびしいものでございます。それで、私がいろいろ見ておりますうちに非常に気になりましたことは、本土におきましては、勅令九号によります公娼制度という公認下のもとにそういう赤線が存在しておった。しかし、沖繩にはそういうものがないままに、まあ、こちらでいう青線でございますか、そういうものがないままに現在の何と申しましょうか、その米軍の統治下によるいたしかたない経済事情といいましょうか、そういうものによって繁栄をせざるを得なかった現状、そういうものに本土復帰になりましたときにどういうふうに取り締まり行政といいましょうか、対処していくか。沖繩の婦人相談員は現在本島だけで五名でございます。あの広がりを持つ売春人口といいましょうか、そういうものにして、那覇で二人、それからコザで二名、名護で一名、それだけの人で、あの人たちの問題を対処していかなければならないということは非常にたいへんなことだと思います。東京におきましても、相当数のそういうものがあったにもかかわらず、各区に存在しておった数が、あれだけの現在いわれております公認、公娼でございますか、そういうものでいわれております約七千幾らという売春婦たちに対して、全部で離島も含めまして七名しかいないということで、この相談業務がはたしてできるのだろうかというふうなことを考えておりました。
 それから、その法の取り締まりでございますけれども、前借金の問題というのは、私は非常にこれはたいへんな問題だと思います。といいますのは、現在の沖繩の経済事情によりまして、各制度が非常に不備でございます。たとえば医療制度がない。そういうものから一人、家族の者が病気になれば、それに払う費用というものがばく大な金額になるわけです。そういうものを払うがために娘を前借金によってそういうところに預けてしまう。そういうことから彼女たちの転落が始まっていく。それが暴力団と結びつきまして、いろいろな地区に移り変わらされる巧妙なシステムになっているようでございます。そういうことによりまして、非常に雪だるまのようにふくらんでいく、そういうものをどういうふうに取り締まっていかれるのか。非常に私は気になった一点でございます。
 それからもう一つの目的は、私は、本土におきまして全国婦人保護施設連合会の事務局のほうを預っておりますので、その施設関係がどうなっているかという点を見に行ったわけでございます。それは本年の一月一日から保護が開始されるということで、施設ということも少しはどうかなっておるかと思って伺ったんでございますけれども、残念なことにまだ敷地だけが確保されているという状況でございまして、それと当初四施設ぐらいつくっていただいて、そこには更生の部分、それからその更生にも非常に長期的な更生を要する、コロニー的な性格のもの、それから一般保護、それから未然防止の意味を含めた施設、そういうものの分類を沖繩本島の中に置いていただけるような様子でございましたけれども、それが現在一カ所になっております。これは現在の沖繩の保護の状況から見まして、はたしてこういうことでやれるのだろうかというふうなことを感じてまいました。それから、その施設関係におきましては、私はどうしても未然防止施設ということが一つ必要だと思います。これは非常に長い戦いでございまして、現在、本土のほうでも昭和三十二年に施行されました売防法の実際の保護の状態が現在、形態を変えつつあります。それは本土のことなのであえて触れませんけれども、そういう目で現在の沖繩の売春というものをながめていきますと、どうしても現在、いままでつちかわれてきました民度といいましょうか、そういう売春に対する許容感といいましょうか、そういうものが、必要悪として認められているような一つの風潮がございます。これは歴史的にも、そういう一つの離島でもって、迫害にあったいろいろな歴史的背景があると同時に、その占領下における米軍の統治下で、生活のため、やむを得ずそういう形に走らざるを得なかった。現在の沖繩の産業基盤というものが三五%がサービス業において営まれているという現状から見まして、どうしてもそういう線に走らざるを得なかった沖繩の悲劇というものがあると思いますけれども、それを今後どういう形で売春が悪であるというふうな社会認識を広げていくかということは、一つの未然防止の大切な柱であると思います。これをしていかないことには、現在の保護という形を、完全に実施することにしましても、幾らでも後続部隊が出てくる、そういうものを予防しなければほんとうの売春防止法の意味がないと思います。
 まあ、いま思いつきましたまま申し上げました。
#9
○委員長(中村英男君) どうもありがとうございました。
 それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○田中寿美子君 私ども、日本婦人会議を中心にしまして去る三月一日から一週間、調査団に入りました。で、ただいま市川先生、山田先生お二人から沖繩における売春の状況、売防法の経緯、あるいは琉球政府、本土側の政府の態度、あるいは沖繩の人々の考え方、そういうものが問題として出されました。私たちが発見しました問題も大体その線に沿ったものでございますので、経過は省かしていただきます。
 で、帰りまして、実はたいへんこの問題は本土のときどころではないと。先ほど市川先生……、山田先生おっしゃったと思いますが、売春人口が非常に多い、本土の五倍ぐらいですね。こういうものであると同時に、売春の業態がほんとうに広範で、そして女の人の職場に健全な生産的な職場がないということから、もうすぐにあそこでお仕事をしなきゃならない。それは接客業とか、サービス業とかいう形でございますから、接客あるいはサービス業の人口は一万五千くらいある、これは政府の発表です。そして、そのうちに売春をしていると思われる者、六九年ですかの統計で七千四百人ぐらいでございますから、現在はあるいはもっとふえているかもしれない、最近の二年間というのはたいへんなまた拡張ぶりでございます。そういう人口に対して本土のときのようなやり方ではとてもだめなんだと。しかし、施政権のありますもとで、琉球政府と、それから本土の政府と両方がすくんでいるような、谷間の混乱状態のように私ども見たわけなんです。それで、これでは、ちょうど本土で売春防止法をつくり施行するまでの間に、婦人団体の運動あるいは売春防止のための大衆運動が非常に盛んになって、世論の盛り上がりがありましたし、国会の中では先輩の婦人議員たちが一生懸命にこれを問題にいたしましたし、私ども行政機関にあります者もたいへんこれが準備のために懸命になった経験がございますが、そういう状況がちっとも現在見えていないわけです。それで、五月十五日に返還になると、こういうような中でじっとしてられないので、帰ってまいりましてから、これは沖繩の売春問題と取り組む運動を起こそうではないかというので、私ども呼びかけを始めました。で、実は昨日、私は沖繩の婦人団体連合会のほうに電話を入れ、また、昨日帰ってこられた婦人相談員の方の話も聞きましたら、私どもが声をあげただけでたいへん効果が見え始めてきた。警察の取り締まりが急にきびしくなってきたし、それから先ほど山田先生指摘になりました保護施設ですけれども、あの四分どおりぐらい骨組みができてきたそうですから、やはりこれは政府まかせではいけないというような感じを非常に私ども持ちます。それで、本土側と沖繩側とで一生懸命にこの問題と取り組む運動を進めなければならないと思いますが、しかし、国会の中ではっきりとした政府の態度を伺っておきたいと思いまして、きょうお二人の参考人をわずらわせた次第であります。
 私たちが発見しました問題点、それは先ほどから幾つか述べられておりますけれども、本土のときのような世論の盛り上がりが十分なかったということ。ですから、それをやらなければいけない。それは先ほど未然防止の必要と言われたことば、つまり売春をせざるを得ない状況に追い込まれている人たちに対してどうやったら、そうしないで済むようにさせることができるか、あるいはその考え方のPRと申しますか、それが一つ大事だと思いますし、それから、市川先生の言われました前借金の問題、これはほんとうに重大な問題であって、この前借金の問題とどういうふうに政府が取り組んでいくのか、あるいは世論が取り組んでいくのか、こういう問題だと思います。それから、人権意識というものが一般に少ない。つまりたいへん同族意識が強いし、女の人がたいへん働き手で、自分が犠牲になって一家を背負う。子供が病気になれば金をつくる。非常に働き者で、そうして、夫が失職したりすればすぐこのサービス業に出ていく、こういうような背景があります。そうして、しかも米軍基地が膨大な地域を占領している。そうして、米軍人用のAサインバーという黙認された売春地域が広がっている。しかも、それは非常に巧妙な形で、売春防止法になかなかひっかからないような仕組みになっております。夜の十二時まではレストランやバーやカフェーであって、お酒を飲まして遊んでいる形で、それからあとは個人個人の契約のような形で売春をさせ、しかもその業者が売春の料金の半分ぐらいずつピンはねしていく。しかし、個人の契約の形をとる、こういうようなのが大部分でございますから、非常に取り締まりにくい状況の中にあるのであります。
 そこで、私、警察の方の関係でお聞きしたいのですけれども、一体沖繩の売春の状況ですね、どのようにつかんでいらっしゃるかということなんです。数字もさっき六九年の数字――みんなそれによって私ども考えているわけですけれども、参考人の方もあの資料を見ていらっしゃいますし、しかし、実態ははたしてあれなのかどうなのかということです。売春防止法をつくるためにあの六九年の調査をなすったと思うのですが、一体そういうものかどうか。それから、前借金の総額約二百万ドルというふうにあちらの警察の本部の方は私たちに説明されました。二百万ドルというと、三百六十円レートなら七億二千万円、それから三百八円レートだったら六億幾らになるのでしょうか、そういう総額があって、そうして、警察で調べられました地域では前借金を持っていない者は一、二%ですね。そんな状況に追い込まれていろという事情については十分把握していられるかどうか。現状で、もしその状況に違いがあったら指摘していただきたいと思います。
#11
○説明員(川崎幸司君) お答え申し上げます。現状につきましては、先生御案内のような実情でございまして、いわゆる赤線地域というふうなものが黙認されておりますと同時に、その他の地域におきましても、料理店、旅館、飲食店というふうな接客業務におきまして売春が行なわれているような事情でございます。売春婦の働いております業者の数は五千百十四業者、そのうち管理売春を行なっております業者につきましては六百八業者、売春婦と思われる者につきましては七千三百六十二名、そのうち管理売春業者に働いている者につきましては千八百十三名というふうな状況でございまして……。
#12
○田中寿美子君 それは六九年の数字ですね。そのままですね。
#13
○説明員(川崎幸司君) そういうふうなところでございまして、その後につきまして琉球警察におきまして、全部の事項につきまして正確に調査して承知しておるというところまでいっておらないようでございます。ただ、管理売春業者等につきましては若干の増加があるように聞いております。
 以上のような状況でございます。
#14
○田中寿美子君 警警は最近警察本部から係官を派遣されたそうですね。私どもが騒ぎ出してから、たいへんあわてて二人か三人派遣されたということは事実ですか。
#15
○説明員(川崎幸司君) 沖繩復帰が目前に迫ってまいりましたので、警察庁から何名かの係員が現地に最近出向いております。保安部系統からは、この沖繩につきましては、銃砲刀剣類の取り扱いの実態、それからこの売春の実態そういうふうなものを把握する意味におきまして一名派遣いたしております。
#16
○田中寿美子君 あとで、私暴力団のことを伺おうと思っておりましたが、いま銃砲刀剣類の取り締まりと、昨日私が現地の人の電話で聞いたところによりますと、売春ということのほかに、いま銃砲刀剣取り締まりですか、別件で暴力団の取り締まりを厳重にし始めたということを聞きまして、まあ幾らかずつ効果があるのかなというふうに思っているわけですが、その前借金の問題ですが、先ほど市川先生が、本土の売春防止法を実施するときに前借金が棒引きになったと、これは事実でございます。これは最高裁の昭和三十年の判例に基づいて、前借金の棒引きというのを広げて、運動の結果、事実上の指導で赤線地域の業者は全部前借金を棒引きせざるを得ない状況になったわけでございますけれども、現在の沖繩の前借金というものについて、こちらの本土の赤線のときの前借金なんかの形と非常に違っているのですね。さっきもお話が出ましたけれども、母子世帯が非常に多くて、子持ちでかせぎの少ない仕事しかない。夜どうしても売春せざるを得ない。で、病気になりますと借金しなければならない。その借金にすぐ業者が、金融機関が役割りを果たしてくれる。すぐ貸してくれる。そのかわりその借りた金を返すためには売春を強要されるような状況になっていて、そうして前借金が雪だるまのようにふえていくというような状況ですね。そうして契約なんかをきちんと入れていない。こういうような状況の場合に、その前借金を棒引きにする指導を、私はあちらの法務局も警察もそういう立場をとっておられなかったと思うのですけれども、市川先生に、行かれたときの前借金の問題について、先ほどちょっとお触れになりましたが、もう一度そこのところを前借金棒引きの指導はできないというふうに言ったのかどうか、お願いします。
#17
○参考人(市川房枝君) 私が会いましたのは、沖繩の法務局の、何といいましたか、名前は忘れましたけれども、責任者の一人だったのです。それで、私ははっきり前借金は棒引きでいいはずなんだと申し上げたのですが、それは当局としては言えないと、こう言いました。それははっきりおっしゃいました。それは裁判すれば勝つ。私は女の人たちが、そんな裁判なんて、金もかかるし、時もかかるし、それはとても、そんなことなら結局女の人はあきらめちゃう。だから、どうしても棒引きにしなければいけないのだというふうに申したのですけれども、現地ではそういうふうにおっしゃっていました。
#18
○田中寿美子君 それで、去年の暮れの沖繩対策特別委員会のときに、実はこの問題を前尾法務大臣と川崎法務省民事局長に私がただしましたときに、答えられていることを要約いたしますと、第一番に、売春を行なうことを条件として金を貸すということになると、これは売春行為そのものが公序良俗違反であるから、民法九十条、民法七百八条によって不法であるから、無効になるということははっきり言われました。
 それから第二点として、前借金を渡したのは消費貸借契約の場合であるが、しかし、そういう場合でも売春をするという契約と不可分だから、消費貸借契約になってどんどんふくれている部分も全部両方とも無効だということを答えられている。これは会議録でございます。
 それから第三点としては、昭和三十年の最高裁の判例によって、酌婦としての働きで前借金をした者、それを返していく契約、これは無効であったと、そのときも、その後にふくれ上がった消費貸借契約全部を無効にした。だから、法務大臣が業者から請求をさせないように返還後には棒引きの指導を直ちにやりますと答えていられるのですね。これはきょう、法務省はいらっしゃっておりませんから、私は、その沖繩国会での法務大臣と法務省民事局長のおことばそのままはっきりと今後の売春問題の取り組みの原則にしていきたいというふうに考えておりますが、お二人はどうお考えになりますか。
#19
○参考人(市川房枝君) 法務大臣がその前借金の中にそういう消費貸借なんかのこと、つまり売春と関連してのいろいろな前借金と、そういうものをみんな含めていいんだ、みんなそれは無効になると解釈していいんだと、そういう解釈なら、私はこれは非常に常識的に考えても当然そうあるべきなんで、幾ら法的にいろいろ抜け穴を通って擬装したって、それは具体的な事実として売春が条件になっておれば、私はそう解釈するのが常識として当然だし、まあ法的に法務大臣がそうおっしゃれば、その答えはまあまあけっこうだと思いますが、だから、それを特に沖繩の場合で言えば、沖繩の業者あるいは女の人たち、あるいは沖繩の一般の人たちにもはっきり知らせる。結局簡単に言えば、それは前借金は無効だと、こういうふうに言ってもいいわけだと思うのですが、警察といいますか、それをしっかりやってほしいし、これは政府が当然するわけですけれども、なかなか政府はそこまではっきりどの程度やってくれるか、どうも少し心配なんで、それは民間の団体といいますか、なんかが十分それをやっていただければいいと思います。
#20
○田中寿美子君 山田さん、いかがですか。
#21
○参考人(山田弥平治君) その問題で一番私が心配しておりますのは、沖繩の島情なんでございます。といいますのは、そういうふうに制度化といいましょうか、売春というものの許容感、倫理観の差というふうな言われ方をしておりますけれども、それが必要悪に結びついて、もうあっていいのだというふうな感覚を持っているわけでございますね。そういうものと、また借りたほうが、向こうではその業者の親をアンマーというふうな方言で呼んでおりますけれども、そういう人たちに対して、おかあさんたちに借りたものは返さなければいけないのだというふうな、非常に純情な見方と申しましょうか、そういうものが非常に根強いわけでございます。ですから、それと沖繩という一つの島の特徴としまして、同族意識といいましょうか、そういうものが非常に強いところでございます。まあ一つの門中という、そういう言い方をするのでございますけれども、そういうもので一族一党という、その血族関係がすみからすみまでつながりを持って、それで生活し合っている島の状態がございます。そういう中から、事、売春問題ということを取り上げます場合に、よほど行政側で深く強く当たっていただかないと非常に潜在してしまう危険が多いということなんで、ぜひその点はやっていただきたいと思います。
#22
○田中寿美子君 それで、現地の警察は、たとえば逃げてきた女性がいるわけなんですね。これは最初労働基準監督署に逃げてきました。それは強制的に休んでいる者を、生理日に休んでいる者を引き出しにきたり、それから借金と賃金とを相殺したりしておりますから、労働基準法違反になるわけです。それで監督署に飛び込んだ。監督署は警察へ連れていった。警察では一泊はさせてくれるけれども、これは受け入れ態勢がないことからくるわけですが、それで業者との間に入って、その前借金を返すためのいろいろと指導しているわけですね。警察のそういうのをどうお思いになりますか。そういう指導のしかたはいいでしょうか。幾つかの事例で、ほとんどが何とかして借りたものを返させるように指導しているわけです。
#23
○説明員(川崎幸司君) 前借金の契約としての民法上の効力につきましては、御指摘のとおり昭和三十年の最高裁判例、画期的な判決が出されたということになっているわけでございますが、この刑罰法規といたしましては、御案内のように売春防止法の九条、それから労働基準法の十七条が刑罰法規としてあろうかと思うわけでございます。警察といたしましては、沖繩の売春につきましては御指摘のように前借金と売春というものが非常にからみ合っているというふうな実態でございますので、そういう問題につきまして御案内のように何といいますか警察相談というシステムが現地の琉球警察にもございまして、売春婦の人からそういう相談がありました場合には、先ほど申し上げましたような前借金無効ということを指導して、教えてやっているというふうなかっこうになっておるわけでございます。それからまた、取り調べの過程におきまして、そういうものが判明いたしました場合には、当然そういうことを教えるということになるわけでございますが、ただいまやや具体的な形で例示されました事案につきましては、私どものほうで承知いたしておる限りにおきましては、不当な事案につきましては、売春に関して相談に来られた人に、そういうようなものをよくお話をして、金を出した業者を呼びつけまして、その者についていろいろ注意を与えておる。そうして無理のないその取り立てというふうなことが必要だというふうなかっこうに承知いたしておるわけでございます。
#24
○田中寿美子君 先ほど、抽象的に言えば、前借金無効という指導をする、こうおっしゃった。これは警察でも今後そういう指導をする、その精神で指導なさるということ、これは確認してよろしいですね。それからもう少し具体例になると、注意を与えて、理由のない借金は無効というようにやっていくというふうなお答えのようでございましたね。その理由のないという言い方は少しあいまいでございまして、具体的な例を私幾つかいまあげたいと思いますけれどもね。最初借りるとき、これはほとんど白紙の契約書を入れておりますね。しかし、女の人に何百ドルという金を貸す、あるいは千ドルという金を貸すのは売春が担保なんですね。それなしに貸すはずはない。そしてそのあと、いろいろまた、こっちあっちで借りかえしたり、さらに必要なものを売りつけられたり、いろいろなことをしながらふえていきます。それも全部売春に関連してふえていくわけですから、全くこれは売春のための借金と考えて、売春防止法そのものに違反していくし、そのほかいろいろな点に、民法にも全部違反していくというふうに考えるべきだというふうに思うのですがね。いかがですか。
#25
○説明員(川崎幸司君) 警察相談という形におきまして相談に来られた方につきまして、最高裁の判例の趣旨にのっとりまして、そういう前借金は無効でございますと、返す必要はないという指導は、今後とも琉球警察のほうにおいて続けていく予定でございますし、復帰後におきましても、当然にそういう方向で進む予定でございます。
 それから、先ほど申し上げましたように、前借金に直接かかわりのある刑罰法規といたしましては、売防法の九条、労基法の十七条というものがございまして、そういうふうなものにつきましては、売春形態の中でも一番悪質な売春形態というふうに私ども考えまして、それで琉球警察におきましてもそういうものを重点的に取り締まる方針やに伺っておりますが、復帰後におきましては、そういうものを重点的に取り締まってやっていくという考え方をいたしております。
#26
○田中寿美子君 少しポイントがそれましたけれども、警察としては、根本的には売春防止法九条に触れるところは違反として取り締まると、無効という形で取り締まっていくと、それからその他においては労働基準法の違反である強制労働とか中間搾取とか、あるいは賃金と借金との相殺というふうなことに違反する面、そういう面で取り締まっていくと、いまおっしゃったですね。ところが前借金がふえていくのに対して逃げてきた女の人の問題を解決するときに、事例を見ますと、ほとんどがやっぱりだれかが保証人に立って返すことにしたとか、どっかに勤めて少しずつ返すことにしたというような解決になっているわけですね。これは警察だけじゃないと思いますよ、関係するところは。しかし、今後そういう指導をはっきりしてもらわないと困るわけなんで、事実をよく調べていただくと、たとえば最初千ドル借りた女の人は、二、三年の間に四千ドルも五千ドルも業者に入れてるんですよね。それなのに前借金は何年たっても倍になったり三倍になったりしている。この事実をよく見て、業者に対してきびしい指導をしてもらわないと困ります。
 いま一つ訴訟中のものがあります。これは人権協会に持ち込まれたもので、訴訟しているんですが、これはある女の人、Sさんという人ですね。一九六七年に那覇のバーのZに入りました。このとき経営者から千八百ドルを前借したのですね。これは六歳をかしらに三人の子供をかかえて夫と離婚した女の人、母子家庭です。それで一カ月ほどたってさらに千ドルを借りているわけです。それで、毎日毎日自分のかせぎから業者に半分ずつ入れております。水揚げ料ですね。それをつけております。記入しております。で、それがしばらくたったら、業者が四千ドルの借用証に署名捺印を要求してきた。二千八百ドル借りてずっと入れているのに四千ドルにふえているわけですね。そのうちにだんだんそれがふえていくのでたいへん不安になって、届け出をしてきたわけです。裁判所に訴えてきたわけです。こういう非常に簡単な事例ですけれどもね。こういうふうにどんどんふえていくことについて、いま訴訟中で、あちらの婦人団体連合会、婦人有権者同盟、それからキリスト教矯風会、その他労働基準監督署なんかも、みんなこの問題にはいろいろと手をかして、そしていま係争中で、その判決を待っている。こういうようなことは、たいへん代表的なものです。
 それから幾つでもあるんですけれどもね、もうほんとにすごいのが一ぱいありますよ。経営主が脅迫して前借金を取り立てる。これはいま暴力団を使って取り立てております。この人は、これはやっぱり三人の子供と病気の母親をかかえた五人家族の母子家庭ですね。この人は非常に金に困って生活保護を受けていた。そうして、向こうでは模合いというのをしますね。頼母子講みたいなものですね。要するに、生活に困るから頼母子講を六千ドルで起こした。そうして何人かでやっているうちに、その頼母子講を落として逃げていってしまって、自分が全部しょっちゃった。それで困って、それを今度はある人が保証人になってバーに入っておるわけですね。それで一千ドルの前借金で入って、それで講の一部分を返しておるわけです。それから、それじゃ返せないから、次々とバーを幾つもかわって、かわるたびに五百ドルぐらいずつ、一軒、二軒、三軒と転々とかわった場合に返していっているわけですね。それで、しかもあとになってその前借金がどんどんふえる。三千八百ドルになっちゃっているわけです。こういうふうな幾つもの業者がまあ搾取している形になっている。どうしたって抜けられないような状況になって、もう困り果てて人権擁護協会に飛び込んでいます。こういうものの始末――前借金問題や人権侵犯事件の取り扱いにはやはりいまの警察や人権擁護局でも限界があり困っている。救済制度も何にもない。だから話し合いでやっぱり少しずつ返すというような解決しかできないんだ。そうして、その解決をするために、実はだれかが保証人になって、またその借金をごそっと返しますと、その保証人というのもまた怪しいわけで、次にまた別の業者のほうに行かざるを得ない。そうして宮古  最後には、宮古は非常にたくさんの借金をかかえた女の人がいるわけですね。宮古に行ったり大東島に行ったりするということになっています。こういう事実をごらんになったら、やっぱり警察は、さっきの抽象的な売春による借金は無効であるというようなことやら、それから労働基準法云々、これもけっこうですけれども、事実をよくごらんになりまして、いかに女の人がひどい目にあっているか。この人たちのほんとうに切々と訴える手紙が婦人会なんかに、沖繩の連合婦人会にたくさん来ているんですよ。しかしそれが会いに来て指導してもらうという勇気がない。こわいという。何がこわいかというと、これは暴力団ですね。そこで、私はその暴力団のことを警察の方に伺いたいのですが、一体いま沖繩の暴力団はどのくらいあって、どんなふうなことをやっているか。ちょっと警察で把握されていらっしゃることを言っていただきたいと思うのです。
#27
○説明員(小林朴君) 大体五団体で約千名というような暴力団がいるという報告でございます。
#28
○田中寿美子君 私が現地の警察本部へ行って聞いたところでは、二千名で、非常に有力な団体、旭琉会、東声会、日思会というのがありますね。その名前もみんな御存じでございましょうね。それで暴力団に、五月十五日に復帰するということで、その業者が前借金の取り立てがもしかしたらできないかもしれないという心配をして、それで暴力団に取り立てを依頼しているのがたくさんあるのを御存じですか。
#29
○説明員(小林朴君) 多少そういうような暴力団がおるということは存じております。大体暴力団が売春関係に入っておりますものは、直接にこれは暴力団が売春を営業にするというのは非常に少ないのでございますけれども、ただその妻の名義あるいはその愛人の名義というようなことで営業をやっておる者が十数カ所でございます。それから、暴力団をそういう取り立てとか、連れ戻し等に雇っておるといいますか、そういうものを利用しておるというような業者が約十カ所といいますか、まあ十の業者、それから暴力団がその売春婦のひもというような存在になっておるというものが、私どもの報告に参っておりますのでは約七十名程度把握をされておるというような現状でございます。
#30
○田中寿美子君 現地の警察の人は知っていると思いますけれども、本土の警察の人ももっとはっきりと実情を見ていただきたいのですが、さっきの労働基準法違反になるような、婦人が休んでいるところを連れ出しにいく、この連れ出しにいきますと、昼でしたら連れ出し料というのを九ドルぐらい取る。足代ですね。そして、それは前借金にふえていく。それから女の人が夜休むと六ドルぐらい取られる。前借金にふえていく。それから、それが土曜、日曜でしたら十ドル、兵隊のペイデーでしたら二十ドルというふうに前借金をふやしている。そして来ない者、逃げる者は暴力団が捜査しまして、島じゅうどこでもすぐ連れてくるわけですが、そういうことをしますと、二百ドルという大きな前借金に入れていく、こういうふうにして、いま逃げようとする女の人に暴力団の監視があるものですから、婦人団体の人もうっかり手を出すと暴力団が来るという心配で動けない。あるいは婦人相談員だって危うくされるというような実情があったわけです。それで、きのうの電話によりますと、警察が急にこのごろ暴力団の取り締まりを始めてきたということですけれども、これは十分きびしくやっていただかなければなりませんし、背後に有力な政治家もいるというふうに聞いておりますので、この前借金の問題、それから暴力団がこれにくっつき、ひもがつき、あるいは自分の妻や愛人を使っての女の肉体の搾取、こういうような沖繩の状況をですね。これは厚生省も警察もしっかりやってもらわなければいけないわけなんです。いままでの状況を聞いていてくださって、政務次官、これは重大なことだというふうにお思いになりませんか。どうしてくださいますか、ちょっと御決意をお願いします。
#31
○政府委員(登坂重次郎君) お答えいたします。
 人身買売、売春ということは、もう道徳上からいいましても、またこれは人権問題からいいましてもゆゆしき問題であります。ただいままでは施政権下の沖繩でありましたから、間接的な問題としてしか扱えないのでありましたが、今後は本土復帰と同時にこれは厳重に、またいままでのおくれを取り戻すためにも厚生省としては積極的に取り上げなければならない。その具体的な問題としては、まあ先生方のいろいろの御示唆もあるとおり、また、当局としても積極的に保健所、相談員あるいは施設あるいは職業の指導、こういう方面で更生なさるように早急に善処しなければならないと、こう思う次第であります。
#32
○田中寿美子君 私は、受け入れの問題を厚生省のほうに伺いたいのです。
 さっきも市川先生おっしゃいましたように、売春防止法はもう七〇年の七月十日から総則が実施され、そして七二年――ことしの一月一日から保護更生の部分は施行されているべきものなんでございますね。そして完全実施が七月一日のはずでしたけれども、返還が五月十五日になりましたので、完全実施が五月十五日から行なわれるはずです。いま次官は、復帰と同時にとおっしゃいましたけれども、これはもう去年の夏から施行されておらなきゃならない部分がたくさんある。ことに保護更生のほうは、ことしの一月一日から実施されていなければならないわけで、だから、女の人が宙に迷って、いま申し上げましたような、ひどい暴力団員や前借金の責め立てで逃げ出そうにも逃げ出されない、どうしても逃げ出したいという人も出てきているわけです。婦人相談員が、去年の十月、十一月に七名任命された。那覇に二人、コザに二人、名護に一人、宮古、八重山に一人ずつです。たいへんこれは売春人口に対して少なすぎると先ほど山田参考人も言われましたけれども、そういう状況でございますが、逃げ出してきて行く場所がないという状況、どうして一月一日に間に合うようにできなかったのか、厚生省社会局長に伺いたいのでございます。予算は四十六年度、つまり向こうの七二会計年度に三千四百五十一万四千円入れてある。入っているんだから、できるはずだというようなお話をおたくの係の人が言っていられましたけれども、なぜできなかったのか、その理由をあげていただきたいと思います。
#33
○政府委員(加藤威二君) 御指摘のとおり、婦人の保護施設につきましては、工事がおくれておりまして、その点、私どもといたしましても、まことに申しわけないというぐあいに感じております。で、この原因につきましては、婦人相談所、それから婦人保護施設でございますが、まあ私どものほうで調査いたしました範囲では、一つは沖繩の昭和四十六年度の予算編成が暫定予算で非常に推移いたしまして、昨年の八月二十四日まで暫定予算というかっこうで引き延ばされたというようなことが、それが押せ押せになって、こういった施設の整備についてもおくれてきているということが一つあったと思います。それから建設予定地が再三変更になったとか、あるいは建物の設計変更に手間どったというようなことを現地では言っておるようでございます。まあいろいろ若干の理由はあったと思いますけれども、しかし、やはりそうだからといって、ことしの一月一日まで絶対に間に合わなかったかどうかということになりますと、これは、やはり私どもの指導も不十分であったと思いますけれども、現地の熱意というものが、やや不十分であったということも免れないと思います。それで、私どもといたしましては、とにかくおくれたものはしようがないから、早急におくれを取り戻すように、大車輪でつくれという指示をいたしております。その結果、婦人相談所につきましては、五月十四日までには確実に建設を終わる。それから、婦人の保護施設につきましては、数日前も担当の係長が上京して参りましたけれども、現在昼夜兼行で工事を急いで、六月の二十八日までには完工するように最大限の努力を払ってやっておる、こういう状況でございます。おくれた点についてはまことに申しわけないわけでございますが、現在はフルに努力をいたしまして、一日も早く建設するようにやっておる状況でございます。
#34
○田中寿美子君 たいへん、いま昼夜兼行でやっていらっしゃるという事情を、昨夜私も電話で聞きました。それで、幾らか私たちががんがん騒いでいるのも効果があったかと思うんですが、おくれた理由ですね、私は三千四百五十一万四千円の予算に対して、これは三分の二補助ですね。で、琉球政府のほうに財源が十分ないのではないかということを一つ心配いたしております。
 それから、もう一つ。円・ドルの関係で、たいへん木材なんかが値段が上がっている。ですから、財源そのものが非常に苦しくなっているんだというようなことがあるんではないか。もちろん、それに取りかかる熱意の不足、これもあったと思いますが、現地の厚生局の方々は売春問題に関しては法務、労働、警察、厚生、全部の主管局になっていますね。それで人員も少ないし、どうしようもないような状況で、ほんとうに困っていられる状態を私ども見ましたけれども、この予算の組み方ですけれども、婦人保護事業関係の予算のことをちょっと説明してくださいませんか。本土の援助額と、それから琉球政府の予算額、その補助率、そして、それでどんなようなものができ上がっていくのかということ、それから婦人相談員の定員なんかも、こんなものでいいのかどうか。
#35
○政府委員(加藤威二君) 婦人保護関係の予算でございますが、四十六年度は婦人保護関係で五千六百六十五万円でございます。四十七年度はこれは保護施設を一カ所増設することにいたしておりますけれども、その金額はまだ確定しておりません。実は社会福祉施設全体のワクの中できめるということで、まだ沖繩の保護施設分幾らということはきまっておりませんが、それを入れまして大体六千万円くらいになるだろうという見込みでございます。
 四十六年度について申し上げますが、まず婦人相談所の職員設置費、これが四十六年度百九十三万人千円でございます。これは職員五人、二分の一補助でございます。それから婦人相談員の設置費、これが四十六年度で補助が百八万九千円でございます。これも相談員七人、二分の一補助、婦人相談員の数が少ないという御指摘、確かにごもっともでございますが、来年度は、四十七年度は十一人にふやすという予定でございます。それで婦人相談員の本土の全国の数が四百六十四名、一県当たり平均十名ということでございます。沖繩県は特殊性があって、本土の平均並みじゃ少ないという御指摘があろうと思いますけれども、一応そういうことで来年度は十一人にするという予定にいたしております。それから婦人相談事業費、これが二十一万三千円、啓蒙宣伝費、これは二分の一でございます。それから婦人更生資金、これが一千万円の補助、三分の二の補助でございます。したがって、金額は四十六年度で一千五百万、実際に婦人に貸しつけるワクといたしましては一千五百万円ということになります。それから婦人相談所の一時収容保護費、これは議員四名分も含めまして三百六十六万九千円でございます。これは相談所の一時収容保護については、二十名の収容が可能でございます。これは十分の八の補助でございます。それから婦人保護施設の運営費これが五百二十二万七千円、これも十分の八の補助でございます。そのほかに婦人相談所及び婦人保護施設整備費、先ほど先生御指摘になりましたように、三千四百五十一万四千円で、これが三分の二の補助、こういうことでございます。
#36
○田中寿美子君 いまあげられました四十六年度の予算ですね、これはいつまで使うわけですか。五月十五日までですか。それともアメリカの会計年度は七月からですね、六月一ぱいまで使うのか、本土の予算とその辺どういうふうに関係いたしますか。
#37
○政府委員(加藤威二君) 保護施設につきましては、繰り越し明許になっておりますので、一応年度を越えましても使えますが、その他につきましては復帰までということでございます。
#38
○田中寿美子君 そうすると、いまあげられた相当の金額が五月十五日までに使われなかった場合、どうなるのですか。このいまのぺースだといろんなものが残っちまいそうなんですが、それを返すわけですか、普通の予算のときのように。
#39
○政府委員(加藤威二君) 一番肝心なのは、たとえばいま申し上げました保護施設とか、あるいは婦人の更生資金、これは現実にいまほとんどまだ十件足らずしか申請がございませんので、ワクを入れまして千五百万、若干は減りますけれども、一千万以上余るということになりますが、これは県社協のほうに、沖繩県の社協のほうに補助するということによりまして、これは実質上そこでプールされて、年度を越えますから、これは現実に使えるということになると思います。ただ保護施設の運営というようなものにつきましては、これは現実に保護施設ができておりませんし、またそこに入ってきた人のいろんな食費やなんかでございますから、こういうものは使えない、こういうことになろうと思います。
#40
○田中寿美子君 沖繩の場合は、私は特別な配慮が要ると思いますね。全体として婦人保護関係はおくれておりますから、その予算がどっかへいってしまわないように使われるような配慮が必要なのと、四十七年度以降は、本土と同じような扱い方に予算がなりますわけでしょう。そうすると、どういうことになりますか。これはひもつきにならない予算ということになるのですか。厚生省の全般としての社会福祉関係予算の中に入れられてしまうわけですか。
#41
○政府委員(加藤威二君) これは当然復帰後は、いま申し上げました婦人保護関係の費用というものは、一般の本土並みということになりまして、プールということになります。したがって、保護施設その他につきましては、先ほど申し上げましたように、一カ所つくるということはきめておりますが、それも、たとえば社会福祉施設整備費が百十五億、沖繩を入れて百二十億でございますが、その中から沖繩分には社会福祉施設関係として大体五億余りを予定しておりますけれども、その中から出す、こういうことになります。したがって、結論を申し上げますと、御指摘のように、本土の一般予算の中に完全に溶け込んでしまう、こういうことになるわけでございます。
#42
○田中寿美子君 それで、非常にそれは強い指導が必要だろうと思いますし、それから県側が今度この配慮をしなければ思うようにそっちに予算がいかないという、それは沖繩はもうあらゆる施設が足りませんから、どこもみんなほしいと思います。その点で、先ほど四百六十四名、一県あたり平均十人の婦人相談員だから十一人というのは多いみたいな言い方をなさいましたけれども、売春人口が五倍もいるんですし、業態がものすごいんですから、そういうことを考えて、婦人相談員の配置ももっとふやさなければいけないし、それから予算の使い方にも特別の考えを、指導といいますか、していただかなければならないということを要望しておきたいと思います。
 それから保護施設ですが、そうすると、五月十四日にはでき上がるんだけれども、それ前に逃げ出してくる人はどうしますか。
#43
○政府委員(加藤威二君) 私どもといたしましては、現地に対して、そういう場合に、施設の設置がおくれるという場合には、そういう保護をしてもらいたいという婦人が出てきた場合には、それに対して対応策を考えろ。一つは、社会福祉施評のうちで、余裕のある施設を使ってそこに要保護女子を入れる……。
#44
○田中寿美子君 たとえばどんなところですか。
#45
○政府委員(加藤威二君) たとえば、老人福祉施設等について若干いまのところ余裕があるという話を聞いておりますので、そういうものをフルに活用しろ。それから現実にこれは二名ばかり収容した例がございますが、宿所提供施設、これは生活保護の施設でございますが、宿所提供施設に二名ばかり保護したという事実もございます。そういう施設をフルに使ったらいい。それから場合によっては、どうしても沖繩におるのはまずいという場合には、本土の婦人保護施設に収容するように、これは三月の初めの全国の課長会議で指示をいたしまして、沖繩側から要請があった場合には、そういう面で協力するように、そのための復帰までの移送費も若干は組んでございます。そういう本土の施設、これはいま必ずしも満員でございません。大体七割くらいの収容率でございますので、これは収容可能でございます。そういう措置もとれ、それでなお足らない場合には、たとえばあき屋等を賃借りしてでも収容するように、そういう指示を与えておるわけでございます。
#46
○田中寿美子君 いまのお話聞いていると、実際に実現不可能なことが多いんです。老人福祉施設が多少あいている、これは私たちの調査団も福祉班が参りまして老人で入りたい人が入れないでいる、非常にたくさんの老人がほったらかされている状況ですから、それはそれで使ってもらわなければ困ると思いますが、一つは暴力団をよほどしっかりと取り締まられませんと、このあき屋を借りた人があぶなくてしょうがない。それから、それをだれが一体見張ってくれるのか、警察の人員もたいへん不足をしているという話でございましたね、風俗営業関係の警察の人員は、とてもとてもないという話でございましたし、一体だれがそれを監督したり守ったりしてくれるのかということです。
 それから本土に送ったらいい、確かに本土はだいぶあいているようです。だけれども、沖繩の売春婦の状態は、さっきからお話しているように、子持ちで家庭の扶養をせざるを得ない人が大部分なんです。それじゃ一体、その子供をみんな連れて生活みてくださるのかどうかですね。これは非常に生活保護だのその他のいろいろの福祉対策と一緒にならなければならない。そんな簡単なものじゃないんで、たいへん本土復帰までの間に、一方脅かされながら出るに出られないという状況であるということを十分認識いただいて、かりに、私どもの会った一人はそうでしたけれども、本土に逃げたいんだけれども、暴力団が本土と系列化しているから、逃げたら本土でつかまることは目に見えている、あるいは波止場でつかまるかもしれないし、非常にそういうような状況でございますね。ですから、十分その辺は警察のほうとも連絡とっていただいて、おそらく十分指導がされないから、そうたくさんは逃げ出してこないかもしれませんし、暴力団の圧力のもとでは出てこないかもしれませんけれども、出たい人があったときにこれが守れるようにぜひ指導してもらわなければ困ると思います。
 それから更生貸し付け資金なんですが、これもある婦人相談員の人がやめようとした人に、まあやめた人に貸し付けしょうとして非常に努力して、――五百五十ドルまで貸せますね、更生資金。それじゃちょっと商売ができないんで、もっとほかの生活資金の貸し付けなんかと併用できないかということで非常に努力したけれども、ついにできなかった。それでまた、高利貸しから借りている。そうするとまた戻っていく。こういう実情がございますから、もっと実情に即した指導、具体的な指導をしてほしいとあちらの人は言っておるようですから、厚生省も、施政権があっても、もう戻ってくるものですから十分な技術指導、援助という名前でも何でもいいけれども、やっていただきたいと思います。
 あとの方がありますから、私は厚生省に関してはその辺で……。
 もう一点だけ業者の指導ですけれども、業者の指導いま厚生局やっていらっしゃいます。それはレクチャーをしていらっしゃるわけですね。業者はいかにしたら法をくぐれるかということを相談するなんといっておりましたけれども、ゆめゆめそういうことがあっちゃならないと思いますが、転業者、たとえば吉原ですね。あすこの沖繩の吉原というのは、あれは完全な管理売春で、そうして沖繩の人や本土の人を相手にしておるんですが、ああいうところは閉鎖するだろうと思います。しかし、さっきから言っているAサインバーというようなもの、これはアメリカ人相手のAサインバーは簡単に閉鎖はしない、できない状況にあります。それで業者が転業するということを理由で、資金の融資を求めた場合、これがあると思います。これはどういうふうになさいますか。
#47
○政府委員(加藤威二君) これは先生も御案内のとおり、前の三十三年でございましたか、本土の売春防止法の実施のときも、業者につきましては特別の国といたしましては資金の手当てというものをいたさなかったわけでございます。現在の資金、――ただ業者だからといって差別して貸さないということはやるな、他と区別なく融資をするようにということでそれぞれの金融機関の融資方針の中で処置するようにという指導をしたところでございますが、沖繩につきましても現在、沖繩琉球政府の金融検査庁ですか、金融検査庁で金融機関に対して指導を行なっております。それも特に業者だからといって差別して貸さないということのないように、他と区別しないで転業資金を貸すようにという指導をしておるようでございます。また、沖繩振興開発金融公庫法案というのが現在審議されておりますけれども、これが成立いたしますれば、当然貸し付け対象に含まれて比較的低利の融資がいくであろうということでございます。
#48
○田中寿美子君 本土の売春防止法が施行されましたときに、赤線地帯が全国的に一ぺんに閉鎖された。あのときに賠償要求したけれども、売春業者に賠償した国はありませんので、それで転業の指導と融資の世話はしたと思います。法務省関係なんかで一億幾らかは出ているようですね。それで、ただ沖繩の場合、非常にあぶないのは、擬装転業みたいなもの、これに十分気をつけていただいて、また女性の肉体を搾取するために国の金を借りたなんていうようなことにならないようにしてもらわないといけないと思います。
 それから、急いで、性病の問題ですが、沖繩の性病罹病率というのは非常に高いといわれておりますけれども、特に米軍のAサインバーの女性たちは健康診断を受けておりますね。定期の検診をしていますね。このことは黙認された売春地域ということになるわけですね。これが今後も残っていくようになるわけですか、どうですか。沖繩の性病の問題はあとで藤原先生がお聞きになると思いますので、一点だけ私はそのことに触れて、今後Aサインバーに働く女の人の検診をずっと続けていくのかどうか。そして、そうするとしたら人権との関係はどうかというようなこと。
#49
○政府委員(滝沢正君) 現在沖繩の性病につきましては、確かに非常に感染者の数が多いわけでございますが、いまお尋ねの復帰後の問題でございますが、これは売春防止法に基づいた取り扱いになりますので、現状のような、あるいは過去の口一本の公娼時代に検診をやりましたようなことは永う法律的にはできなくなりますので、要するに、感染者に対する保健所からの接触者の調査等を通じまして、引き続き沖繩の性病対策がやれるように予算措置をいたしております。
#50
○田中寿美子君 現状は。
#51
○政府委員(滝沢正君) 現状の数字について若干申し上げますと、接触者の統計報告でございますが、報告された接触者の数は、保健所の関係で七百四十三名でございまして、米軍より報告されたものが千五百九十四でございまして、これが最後に健康診断受診者のうち患者と判明したものが七百四十三から二百三十名、それから千五百九十四名から三百十五、こういう数字でございます。
 その他、一般に梅毒の血清反応その他の陽性率につきまして簡単に申しますと、沖繩の場合、売春常習者の梅毒血清反応陽性率が二二、本土の場合が十三・九、それから一般の本土の梅毒血清反応陽性率が一・八に対して沖繩は四・二というような率になっております。
#52
○田中寿美子君 それじゃ私は、時間があれですから、母子福祉のおくれのことをもう一点触れたいと思います。
 いままでお聞きいただきましたように、沖繩の売春をあのようにひどくさせる原因は、もちろんあそこに米軍の基地というものがあって、そして売春を必要とするような施設が業態として非常に広がっている。その付近には日本人も相手にするものがどんどんふえていっているということにあると思いますけれども、もう一面、非常にサービス産業に働く人の比率が高いものですから、女の人の職場として健全な職場が少ない。しかも収入が非常に低い。そして母子家庭の比率が本土よりずっと多うございますね。全世帯の五・二%という、まあこれはちょっと古い統計でございますけれども、本土よりずっと多い。それから統計に出ない準母子世帯みたいなものがずいぶんあると思います。沖繩には置き去り妻という人がおります。つまりだんなさんがいつの間にか蒸発してしまう家庭があるわけです。それから末娘の母というのも本土側はわずか一・九%なのに、沖繩は一二・八というのですから、結婚しないお母さんというのがあるわけです。そうして一人から四人までの子持ちがほとんど大部分だ。そういう中で収入が四十ドル、六十ドル、七十ドル、こういう低いものでございますから、サービス業で働いているというのも、表面のことだけでは済まなくて、売春におちいらざるを得ない。ことに母子寮なんか何もないんですね。厚生省の今後の母子寮対策、それから子供を持っているものですから保育所がほしいわけですが、保育所が圧倒的に足りませんために、まあ言ってみればほんとうにひどい普通の預かり屋さんともいうべき預かり所みたいなところに子供を置いていくわけです。気をつけてごらんになりましたら那覇なんかの通りに乳児預かりますという看板を出している家がたくさんあるのです。夜間預かりますとか、昼夜預かりますとか、こういうものに対して一体保育所対策をどういうふうになさるかということ、それの予算措置などを御説明いただきまして私の質問終わりたいと思います。
#53
○政府委員(松下廉蔵君) ただいま御指摘のように、沖繩の母子家庭が数におきましても本土よりはかなり多い率になっておるという点、それから御指摘のとおり、本土の一・八%に対しまして、全世帯に対する率が五・二%ということになっております。それからかかえておる子供の数が多いという点、それからその母子世帯となりました原因につきましても、本土におきましては死別が大半を占めておりますけれども、離別、遺棄あるいは未婚の母というような特殊な事情の者が多い。いずれも田中先生御指摘のとおりでございます。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
 生活状態につきましては、扶養児童が比較的多い。それから就職が容易でないというようなことで自立が困難な点がございまして、そういう意味におきまして特に今後、いままでもそうでございますが、復帰を控えまして、沖繩の母子福祉対策というものはそういった経済自立の面に重点を置きまして考えていかなければならないというふうに私ども考えております。現状といたしましては、昭和四十三年に沖繩の母子福祉法が立法として制定されておりまして、四十四年から母子福祉金の貸し付け、それから母子相談員による相談、指導というようなことを中心にいたしまして、さらに母子福祉年金あるいは児童扶養手当というような本土におきますのと同様な所得保障の対策と関連いたしまして推進いたしております。
 それから御指摘の母子寮につきましては、たいへん残念でございますが、御指摘のとおり、一九七二年度、本土で申しますと四十六年度の日政援助によりまして初めて一カ所つくったという状況でございまして、まだ十分ではございません。この点は、母子世帯の多い状況とも見合いまして年次計画をもって増設していかなければならないというふうに考えております。
 それから保育所の問題でございますが、保育所につきましても、ただいま先生御指摘のように子供のある婦人の就労の実態から見ましても、だんだんと子供のある婦人の就労が増加しておるということは事実でございます。この点は、率といたしまして特に既婚の婦人の就労が本土より多いということではないようでございますが、子供の数が多い、あるいは絶対数におきまして本土よりも多いという事情がございますので、むしろ母子家庭対策としての保育所の整備ということも考えなければならないと思っております。
 で、昭和四十六年の九月一日現在で調査をいたしましたところでは、施設数が七十七カ所――保育所でございます。定員が約五千人という数でございますが、向こうの会計年度、つまり四十七年の六月までの予定といたしましては、これを九十四カ所、大体六千人余りの定員に増加するということで計画を進めております。特に三歳児未満の入所が本土に比べましてかなり多いというデータもございまして、今後そういったことも含めまして保育所の整備を進めていかなければならない。この点は、復帰後は特例措置といたしまして、保育所に対する整備費の補助率をかさ上げするというような方法によりまして、重点的にこの整備を進めていくということを考えておる次第でございます。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
#54
○田中寿美子君 もう終わったつもりでしたけれども、ちょっといまおっしゃったことで御注意しておきたいと思うのですがね。統計で雇用者という数で出てくる中では、本土より既婚の働く婦人は必ずしも多くないかもしれません。ですけれども、実際に現実をよく認識していただきたいんですが、統計に出てこないのが一ぱいおります。たとえば、市場なんかですわっているのは全部おっかさんたちです。小さな間口でもってくだものを売り野菜を売り魚を売っているのは、みんな女の人ですしね、メイドさんも女だし、つまり、個人の自営のような形の婦人が一ぱいおるわけです。沖繩の女の人は、本土の人よりももっと働いているし、子持ち、家庭をささえているということが現実でございますね。その認識に立ちませんと、母子福祉はおくれていくと思います。
 それから、母子寮は、確かに四十六年度の予算づらでは一カ所つくったことになっているけれども、私ども行きました三月一日から十日の時点ではなかったですね。これも急いで取りかかられたのかどうか知りません。取りかかられているのじゃないかと思いますが……。
 それから、保育に欠ける児童、一万七千人ぐらいいるのでね、大至急、五千人を六千人にするだけでは間に合わない。長い間の落ち込みがありますから、本土並みというふうに考えていただかないようにしないといけないということと、サービス関係、夜の仕事の人が多いし、そういう方たち、あるいはメイドさんなんか、みんな子供を持って働いているものですから、さっきの無認可保育所ともいえないような預かり業者が一ぱいいるので、これはぜひよく一ぺん点検してもらって、どうするのかということの対策を立てていただきたいということをお願いして、私の質問は終わります。
#55
○政府委員(松下廉蔵君) ちょっといまのお話を補足させていただきます。
 私の御説明が不十分でございまして、統計上の既婚者の数字だけ申し上げましたので、たいへん失礼いたしましたが、母子福祉対策といたしましては、一般的に働いておるおかあさんが多いということ、それから一般的な県民の収入が少ないために共働きをしなければならない事情にあること、それから多子家庭が多いために保育所の需要が多いこと、いずれもよく承知しておるつもりでございますが、ただ、御指摘の乳児預かり所等につきましては、さらによく実態を調べまして、保育所の整備を進めていくことにいたしたい、さように考えております。
#56
○田中寿美子君 ぜひ調べてください、あれは重大ですから。
 政務次官、全体として、厚生大臣にかわって決意のほどを。
#57
○政府委員(登坂重次郎君) いろいろ先生の婦人対策全般について適切なる御報告、御質問及びお考えを拝聴いたしました。
 厚生省としては、もちろん立ちおくれている沖繩の婦人対策を、早急に本土並み、もしくはそれ以上にしなければならないと思うわけでございますが、いかんぜん、ただいままでのいわゆる施政権下の問題もありましたから、昭和四十六年度の予算執行にあたりましても、非常に手違いができたことを遺憾とするものでありまするが、今後、母子家庭を含め、また婦人対策全体の問題として、いままで非常に長く御苦労なすった沖繩の県民に対し、できるだけの誠意とあたたかい手段を持ってできるものから早急に、また一番必要とするものから早急に予算措置についても十分配慮したい。また私のほうとしては、厚生事業団の貸し付け金あるいは年金の融資等もありまするから、そういう方面も活用いたしまして、早急に切実な問題を解決するようにしたい、こう思っている次第でございます。
#58
○藤原道子君 ただいま、田中さんから詳細な御質問がございましたので、私は関連というような意味で簡単な御質問をしたいと思います。
 まず、山田参考人にお伺いしたいと思いますが、いま政府側からの答弁がいろいろございました。私は、なかなか納得がいかないのですが、あなたは現地を視察しておいでになるが、いまのようなやり方を、どういうふうにお考えになるか。
 もう一つ、お伺いしたいことは、沖繩では、内地の暴力団との結びつきが非常に進んでおるということです。それから、前借金なども暴力団に肩がわりするというようなことが、着々進められておるというふうにも私は伺っているわけなんですが、そういう点についてのあなたの御感想をひとつこの際伺わしていただきたい。
#59
○参考人(山田弥平治君) いまの前借金の問題でございますけれども、これは、本土のほうにおきましては、一応売防法が施行されましたとき、警察側とタイアップいたしまして、廃業宣言というのをしたわけでございますね。業者を呼び、そういうふうな行政機関からのお声がかりで婦人相談員等が中に入って、売春婦たちの接触を行なっていった。その場合に、前借金無効という形が成り立ったわけでございます。それを沖繩において、はたして、それをしてくださるのかどうか、私は非常に危惧を感じております。と申しますのは、先ほど申し上げたように、公娼制度のもとでやっております業態とは違うものがございまして、どうにでも言いようがあるという点をよほど押えていただかないと困る場合が一つございます。それの接触の方法としては、一つには本土のほうにおきましては、性病検診をしますのに、治療しますのに、無料券を配付したような形で、接触を深めておりますけれども、そういうような具体的な方法を行政側でお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点も心配でございます。
 それから、先ほど厚生省の方から、四十七年度に施設が一つふえるというふうなお話がございましたけれども、私、いままで感じておりまして、施設がふえること非常にけっこうだとは思いますけれども、売春防止法によります施設ということが、この本土におきます現在の推移から見まして、同じようなわだちを踏みやしないかという心配がございます。と申しますのは、確かにその売春ということで、更生を志す人たちではありますけれども、その保護の面におきまして、いつまでも売春というレッテルを張るということが、はたしてどうかということでございます。特に沖繩というあの離島環境、そのいわば狭い地域社会ですね、知り合った中の狭い地域社会において、あそこは売春婦の更生施設だよということが、彼女たちの自立についてどういう影響を与えてくるか。それは本土においても言えることでございますけれども、何か売春防止法という、私は刑法のように受け取っておるわけでございますけれども、それとその防止という、そのニュアンスと何かここで切り離すことをお考えいただければ、私は今後の婦人保護というものが少し進展をしていくんではないかというふうに考えるわけです。
#60
○藤原道子君 それから、さっきも御質問がございましたけれども、売春婦が子持ちだから、いろいろ事情があって、きょうは休むというような場合に、迎えに来ますね。その迎えに来たときの、暴力団が来るそうですけれども、それの費用も取られるんですね、九ドルとかなんとかいって。それから昼間休めば何ドル、夜休めば何ドル、アメリカ兵の給料日に休めばたいへん高い罰金を取られる、それが全部前借に加算されていくというふうに伺っておりますが、それはそうでございますか。
#61
○参考人(山田弥平治君) 私もそのように聞いております。それで実際に会わしていただいたといいますか、民間の方からの御好意でそういう方たちにも会う機会もございましたけれども、そこまで詳しくはおっしゃいませんけれども、そういうような状態はあるように聞いております。
#62
○藤原道子君 それから重ねてお伺いしますが、最近沖繩にもトルコぶろとか、あるいはモーテルとかいうようなものが盛んにできつつある。本土からの業者の進出もあるというふうに聞いておりますが、その点はごらんになりましたか。
#63
○参考人(山田弥平治君) 私が回っておりました、私の目で見ましたところでは非常にふえているように思います。それが非常に印象的でございましたのは、宜野湾市の近くに、本島のここが一番激戦地だという記念碑がございました。その下にモーテルの看板がずらりと並んでおりまして、これは向こうの、沖繩の売春対策協議会のほうともお話ししたんでございますけれども、内地でやっておりますトルコぶろの地域規制ですね、そういうものをできるだけ早く実施するような方向で運動なすったらいかがですかということはお話しておきましたけれども、いま田中先生がおっしゃいましたように、非常に本土の十何年間のこの歴史を業者側から考えれば、また別の意味の参考にして、別の形態で発展する可能性が強いと思います。そういうことで、非常に私は危惧を感じております。
#64
○藤原道子君 それからもう一点、麻薬の状態はお聞きになってきたでしょうか。
#65
○参考人(山田弥平治君) それは、私はちょっと聞いておりません。
#66
○藤原道子君 わかりました。
 そこで、警察庁にお伺いいたしたいと思うんですが、さっき、私ちょっと耳がおばあちゃんになって遠いものですからよくわからなかったんですが、理由のない前借金は返す必要がないというふうに指導しておるというようなことに、ことばは違うかもしれませんが、そういうふうに聞いたんですが、そうですか。
#67
○説明員(川崎幸司君) 先ほど申し上げましたのは、最高裁の判例の趣旨にのっとりまして、簡単に言ってみますと、売春稼業に従事することを実質的な内容とする契約については、どういう契約であっても無効であるというような最高裁の判例であったというふうに解しておるわけでございますが、これは民事上の契約のことでございますから、民事関係のことになるわけでございますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、沖繩の売春につきましては、前借金と非常にからんでおりますので、そういう点で、警察庁におきましても業者に対しまして、まだ御案内のように沖繩の売防法の刑罰法規の施行はございませんけれども、売防法全体についての趣旨の徹底ということから、関連いたしました業者に対する指導を行なっておりますと同時に、また要保護女子と申しますか、そういう方々から承りました場合には、警察も相談という趣旨において、ただいま申し上げたような趣旨の指導を相談業務として行なっておるということでございます。
#68
○藤原道子君 そこで先ほど来から伺っていると、私は、ちょうどからだか悪くて視察に行けなかったのですけれども、たいへんだろうということをしみじみ感じておる。それで、前借金がわずかで入ったのに、働いているにもかかわらず、どんどんふえてきておるんですね。それはふえるわけだと思うのです、こういうものまで前借金に入れるんですから。罰金制度というんですか、呼び出しの費用まで全部前借金に入るということになれば、これをかかえた、押しつけられておる女性の苦労というものは、それは思い余るものがございます。したがって前借金は無効であるということを、もう少し警察庁あたりも連絡をとって現地のほうへ、ひとつこれを強力に宣伝し、自覚を促していくというようなことにしてほしいと思うのです。
 私は、内地の売春防止法のときに、市川さんたちと一緒にやったんですけれども、九州へ行ったときに、私の両側にぴったりくっついている男性がいたんです。私は、新聞社の方かなと思って話かけると答弁が少し変なんですね。そうしたら、それは非常に暴力団が私たちを何していましたから、警察の方だったわけです。警察の方がぴったりくっついて守ってくだすったわけです。吉原へ視察に行ったときなんかも、何といいますか、自動車からおりたら、わあっと暴力団に囲まれて、私もどきっとしちゃった経験もあるんです。まして沖繩では、これからやっていこうとする婦人団体の運動にしても、あるいは婦人相談員にしても非常に身の危険があると思うんです。こういう点で、暴力団に対しましては、もう少し取り締まりをきびしくしていただかなければ、これはたいへんな問題が起こるんじゃないかと思います。そういう点について警察のお考えをちょっと聞かしておいていただきたい。
#69
○説明員(川崎幸司君) この暴力団のからむ売春問題、これは何といいましても一番悪い形であるというふうに思っておるわけでございますが、現在沖繩の琉球警察におきましても御案内のように売防法の刑罰法規の規定は施行はされておりませんけれども、しかし暴力に関する取り締まり法規というものがございますわけでございますので、それを活用いたしまして、取り締まりを強化しているやに伺っておるわけでございますが、私ども五月十五日といえば目前の形になっているわけでございますけれども、諸先生が御指摘になりましたように、沖繩の売春対策ということにつきましては、やはり社会的な諸条件の改善対策というものと、そうして、その取り締まり対策というものを適切にかみ合わして推進していかなければいけないんじゃないか、そういう点で相当の努力を要するのではなかろうかというぐあいに考えておるわけでございますけれども、警察といたしましては、取り締まりにつきましてはただいま申し上げましたような暴力団が介在する、介入するような事案、そういったものについては一番悪い事案であるということで、最重点の取り締まり対象に選びまして、取り締まりを強化していくという考え方でおるわけでございます。
#70
○藤原道子君 その点はよほど勇気を持ってやっていただかなければ、沖繩では大きな問題が起こるであろうと私は不安に感じております。いま、暴力団の問題は係の方がさっきお帰りになったようですから、いずれあらためてお伺いするといたします。
 そこで、私先ほど来伺っていても、更生福祉施設ですか、こういう問題がばらばらのように思えるんですね。この間も売春婦が相談員のところへぜひやめたいというような相談に行ったけれども、相談員がそれは前借金は無効だから何とかなりますよと言っても、これをどうすることもできないわけね。入れるところもない、逃げていくといったって周囲の監視がきびしいし、相談員の身も危険なんだ。逃げてきた人も危険だろうと、そういう場合に、先ほどの答弁の中にもございましたが、沖繩には施設がない、これから施設をつくる、けれどもいまからつくるというのでは、たいへんのんびりしているようでございますし、沖繩に施設ができてもなかなか取り締まりその他でむずかしいから入ることにちゅうちょしておると、沖繩の施設へ入るよりも、本土に救われたいというような希望のある人からの私は、お手紙もいただいているんです。そういう場合に、さっき本土の施設へ入れましょうと、あいているところがあるから。こういうお話と同時に、三人も五人も子供をかかえながら売春をやっていらっしゃる人たちは、子供ごと来なければならないわけですね。そういう場合に、厚生省としては、母と子供とまとめて引き受ける計画をお持ちでしょうか。
#71
○政府委員(加藤威二君) 確かに沖繩のこういう売春関係の婦人の実態の特殊性として、非常に子供を持った婦人が多い、大体三割ぐらい。多い地域では、四割から五割が子持ちであるという非常に特殊性があると思います。そういう場合に、私ども本年度つくろうと思いますのは、そういった母子が一緒に入れるような施設を一つつくる。それから先生の御質問の本土の場合におきましても、小さい子供であったならば、子供と一緒に施設に収容できるということでございます。
#72
○藤原道子君 小さい子供って幾つぐらい。
#73
○政府委員(加藤威二君) 大体小学校に入る前ぐらいまではいいと思います。
#74
○藤原道子君 そんなこと言ったって、五人も子供があるとすれば、どうなるのよ。五人あれば、小学校に行っている子供もあるのも明らかだし、あるいは中学に行っている子供があるかもわからない。そういう場合にその子は引き離すんですか。親子ばらばらにするんですか。その残された子供は、一体どうなるの。
#75
○政府委員(松下廉蔵君) 学齢に達しておるような子供を持っております方につきましては、先ほどお答えいたしましたように、沖繩の母子寮、本年度でと申しますか、四十六年度で一カ所、これは田中先生も御指摘のように残念ながらまだ完成いたしておりませんが、復帰までには、必ずつくるということで工事を急いでおるという連絡を受けております。
 それと、本土へ連れてまいりました者につきましては、本土の母子寮は相当場所によりましてあきもございますので、大きな子供をかかえておる人につきましては、母子寮へ収容するということは措置いたすつもりでございます。
#76
○藤原道子君 それでは、小さい子供は一緒にと言ったのは取り消しますね。
#77
○政府委員(加藤威二君) ただ、学齢前の小さい子供が一緒の場合には、私のほうの婦人保護施設でもけっこうですということでございます。
#78
○藤原道子君 だからばらばらだって言うのよ。とにかく私は、施設も非常におくれているし、母親としては、もういてもたってもいられないから逃げ出したいという気持ちは、大きいと思うんです。そういう場合には、本土で引き受けてくれるということは私たいへん賛成なんです。けれども、あんまり相談してないんだね、いまの答弁聞いていると。検討中だね。
#79
○政府委員(登坂重次郎君) そういう緊急な場合、また特殊な方がどうしてもそうありたいという場合は、これはできるだけ御趣旨に沿うように、それが厚生省の役目だと思いますから、そういう具体的な例については、責任を持って措置いたします。
#80
○藤原道子君 私は、何も憎まれ口を聞きたくはないんですけれども、沖繩の人が戦争中から終戦後、きょうまでどんなに苦労してきたかということを思うと、ほんとうに申しわけなくて胸が痛むんです。だから、いま本土復帰を目前に控えてというときに、もっとしっかりした政府の考え方が、きょうは聞けるかと思っていた。そういう点で、どうか母子福祉という点も、内地でもおくれておりますけれども、沖繩はさらに問題になっていないぐらいな状態に放置されておる。したがって、政務次官のいまのおことばもございましたが、真剣に母子福祉の立場から、この親子を生きがいのある生活へ指導できるようにお願いをしたいと思います。
 私は、もう時間の関係もございますからあれですけれども、先ほど性病のお話がございました。いま内地の性病はどういう状態なのか。と同時に、沖繩は、先ほどお話ございましたが、それは、そのとおり信じてよろしいのでしょうか。私が申し上げたいのは、内地の統計でも届け出があったのが何%というのでしょう。ところが、この前も私はやかましく言ったことがあると思うんですけれども、お医者さんが性病として届け出ると、患者さんたちが逃げちゃう、あそこへ行くと届けられるからよせよというわけで。だから届け出ているのと、実際の性病との関係はどの程度に考えておいでになるか。それともあなた方は届け出だけをとって対策を立てていらっしゃるのか、この点をお伺いいたします。
#81
○政府委員(滝沢正君) 沖繩の、先ほど申しました数字を一つのよりどころにいたしまして、先生御質問の現在の本土の届け出と、それから実際の性病患者との関連の推測でございますけれども、先ほど申しましたように、沖繩の性病患者の罹患率は人口十万単位ですが、罹患率が、梅毒、淋病その他を含めまして、十万人に対して三百二十八、本土は十七という数字でございます。これは沖繩のいままで二十数年置かれた実態というものが、性病が多い条件があるということは、これはいなめないと思いますが、もう一つ、沖繩の患者の把握が合理的にいっております点は、沖繩の性病の治療は、保健所を通じてやっております。それから、把握も保健所が実施しておる、こういうことによって――わが国の、四十一年ですか、改正になりました性病予防法では、医師は性病患者を見たときには、住所やいろんなことを調べ、氏名も調べておくけれども、保健所に届ける場合は、氏名というものを除いて届けるように改正になっております。そういう点も含めまして、私たちは結論的に申しますと、沖繩がこれで約二十倍の数字になっております。しかし、沖繩はよくつかめている、本土はつかめていない、こういうふうな実態からいくと、まあ推測としては、現在われわれに届けられている性病患者の少なくとも十倍近いものが存在するのではなかろうかというような予測は、ある程度根拠があるものではないかというふうに考えております。
#82
○藤原道子君 それでは、本土ではいまの数字よりも十倍ぐらい多いということは、あなた方も考えている。そうすると、いま本土では全体としてどのぐらいの梅毒患者があるか、それをちょっとお聞かせ願いたい。
#83
○政府委員(滝沢正君) ただいま本土の性病の、梅毒の患者数でございますが、最も高かったのが昭和二十三年の二十一万という数字でございますが、四十五年が六千百三十八、淋病が、最高の二十三年が二十一万、現在が八千三百、軟性下疳が当時二十三年が三万六千、現在が百五十一という数字でございます。
#84
○藤原道子君 私は、本土へ沖繩が復帰するわけですから、本土の性病対策というものが、いまのような状態では心配なんですよ。それで、これにつきまして、性病予防法等によって、婚姻時における、何ていうんですか、健康診断、これはどの程度に進んでいますか。
#85
○政府委員(滝沢正君) 婚姻時の、百万ぐらいの婚姻の二十万程度が梅毒検査の血液検査を受けていただいております。その陽性率は〇・九ということでございます。約百人に一人というような実態でございます。
#86
○藤原道子君 そこで、普通の人はいま〇・九、ところが日本における売淫常習容疑者の場合は、もっと高いですね。
#87
○政府委員(滝沢正君) 一三・九ぐらいでございます。
#88
○藤原道子君 二二・九……。
#89
○政府委員(滝沢正君) はい。
#90
○藤原道子君 四十五年の統計では、一五・四となっておりますが、これは間違いない……。
#91
○政府委員(滝沢正君) 四十四年の数字を、いま沖繩と対比で、先ほど田中先生に申し上げた数字を申し上げたものですから、四十五年はちょっと高くて一五・四……。
#92
○藤原道子君 その後、四十六年はどうなんですか。
#93
○政府委員(滝沢正君) 四十六年はまだわかっておりません。
#94
○藤原道子君 そこで、沖繩が本土へ復帰した場合には、本土の施策としてやるのは当然でございますが、私がお願いしたいことは、性病予防法の中に、売春の著しい容疑者というんですか、というような場合は強制検診ができるとあるんですけれども、「著しい」という字を取り除いてほしいという陳情がずいぶんございますが、どうなんですか。で、あなた方は、人権に関係するとか、憲法違反になるとかいうようなことをよく言われるそうでございますが、私は、梅毒にかかっているのに知らずに過ごすとか、知っていてもごまかしていくということが、どれだけ大きなその人の一生の障害になるかということを考えれば、人権擁護の立場からも、疑わしきは検診をするということが当然だと思いますが、あの中にある「著しい」というのは、どの程度をもって著しいとお考えになるのか、あれを削る意思があるかないか、この際明らかにしてほしい。
#95
○政府委員(滝沢正君) 先生御指摘の問題は、性病予防法十一条に、売春の、売淫の常習容疑者に対する健康診断というものがございまして、「常習の疑の著しい者に対して、」と、こう確かにございます。これの解釈でございますが、健康診断は、現に売淫をしておって、かつそれが常習であると疑うに足りる事実をつかむことが前提になっておりまして、かりにこの「著しい」あるいは「者」を取りまして、一般的なおそれがあるという理由にした場合については、先生も触れられましたように、確かにこの問題を拡大することにつきましては、現行の法律ではそういうことが不可能でございますし、これの解釈について、人権上の問題等を踏まえまして、やはり法律改正ということを前提にした議論をしませんと、現状の解釈では、やはり現場をつかむとか、あるいははっきりとした事実をつかむということをもってこの「著しい」という問題に取り組むという態度になっております。ただ、沖繩の場合、先生御心配になるような問題点につきましては、たいへん先ほど来、民度の問題とか、あるいは沖繩の人たちの長い間の、ものの考え方という御指摘がございましたけれども、この点については、非常に本土よりも性病に対しては、わりあい理解のある態度が全般的に沖繩の人たちに見られます。したがいまして、本土よりも非常に、保健所活動等についても理解がございますし、そういう点は、引き続き予算上も対策が実施できるように措置してございます。したがって、沖繩の場合は、本土の法律の解釈からは、そういうことでございますけれども、一般の方の協力が得られる範囲内においては、従来どおり強力にこの性病予防対策は実施していきたい。また、そのいろいろの解釈なり考え方が変わることがあれば別でございますけれども、現状では御協力をいただけるんではないか、こういうふうに思っております。
#96
○藤原道子君 私は「著しい」というのをどの程度に評価しているのかということを聞いている。何も普通の人までやれというのではない。売春しているか、してないか。常習者であるかどうかの現実の証拠はつかめないかもわからないけれども、売春をしていることがわかっているのに――だけれども「著しい」という解釈がどうなっているか、それでごまかされているから、むろん私たちは法律の改正を要求しているけれども、厚生省がなかなか踏み切らないので、だからあなた方の考えはどうなのか。沖繩では、たいへんその点は、病気に対しては理解が進んでいるというけれども、理解のおくれている日本本土の方針でやられるんですから、日本本土がしっかりしてもらわなければ困る、性病問題は。最近食品公害もあろうけれども、心身障害児の出産も若干心配のような状態にある。これらだって、性病が基因していないとは断言できない。そういう点で、私は、この性病予防法、売春防止法あるいは麻薬の問題等をもっと厚生省でも真剣にやってもらいたいから御質問申し上げているのです。
#97
○政府委員(滝沢正君) 性病の問題は、確かに先生おっしゃるように、大事な問題ではありますけれども、非常に取り扱いのまたむずかしい問題でもございます。したがって、民間の活動等も踏まえまして、われわれは啓蒙等については、常時やっておりますし、また診断、治療の費用等についても、沖繩の場合は、実態としてはほとんど無料でできる。ただ、本土の場合は、制度上は若干経済の余裕のある人からは、自己負担を一部いただくことになっておりますが、原則としては、公費でやれるような仕組みになっております。で、伝染病、いわゆる性病というものを社会の悪習慣からきたものだというとらえ方じゃなくて、いわゆる伝染病としてもっと割り切ったとらえ方を諸外国と同様にやれるようにすることが、わが国の性病対策の非常に基本になるわけでございますが、こういう点は、今後の学校教育等の問題も踏まえまして、性教育というような問題も踏まえまして、やはり日本人自体の性病に対する考え方が変わっていくように、また行政もそれに対応できるように努力いたしたいと、こういうふうに考えます。
#98
○藤原道子君 それでは、これに対しては、真剣に検討しているんですね、うそじゃないわね。
 それじゃあ、これはあらためて御質問することにいたしまして、とにかく売春問題ということは、非常に重要なんですよ。ところが内地では、このごろ売春ということをほとんどやめろというのは無理だ、復活だというような意見すら出ているんですね。こういうことで、それこそ文化国家、福祉国家と言えますか。もう少し売春問題に対しての取り組みを真剣にやっていただきたい。
 そこで、最近ほとんど公になっておりますのは、トルコぶろの売春です。最近も新聞に出ておりましたけれども、モーテルなどは、もう明らかに売春の根拠地といってもいいくらいですねこれに対しての取り締まりは、その後どうなっているのか。最近沖繩にも非常にこれが発展してきているというので、よけい心配でございますから、その点を明らかにしてもらいたい。
#99
○説明員(川崎幸司君) 売春につきましては、御案内のように、売春防止法で取り締まることになっているのでありますが、トルコぶろにつきましては、営業そのものに対する規制といたしましては、御案内のように、風俗営業等取締法におきまして、ある特定の地域以外におきましては、営業してはならないというふうなかっこうになっているわけでございます。沖繩におきましては、まだそういうふうな具体的な県条例というものを定めていないようでございますけれども、復帰後におきましては、そういうことで県条例の制定ということになっておるわけでございますが、トルコぶろにおきまする売春の取り締まりというものにつきましては、警察としてもいろいろ苦労しながらやっておるわけでございまするけれども、何といいますか捜査が非常にむずかしゅうございまして、いろいろと努力しながら進めておりまして、四十六年中におきましては、約六十件前後の売春を検挙いたしておるわけでございます。モーテルにつきましては、現在旅館業法以外の規制法は、直接にはないようなかっこうになっておるわけでございますが、旅館業法におきましても、ちょっと正確なことは失念いたしましたけれども、間違いなしに売春防止法に違反するような、こういう旅館業をやっておれば、それによって旅館業法の規制を受ける、営業上の取り消しという処分を受ける、あるいは罰則を受けるということになっておろうかと思うわけでございますが、それ以上にモーテルにつきましては、さらに営業規制というものを強化する必要があるのではなかろうかというふうに考えておりまして、そういう方向で目下検討いたしておる次第でございます。
#100
○藤原道子君 私は、目下検討しておるということですが、あのままの状態を放置しておいてはなかなか取り締まりはむずかしい、売春しているか、していないかわかりませんよ。だけれども、入ればすぐ錠をかけて、何をしているか、お茶も持っていかないようなシステムになっている。それから顔も見ないで住所も書かないで、行きさえすれば幾らか金を払えば、さっと入って何時間かそこで遊んで帰る。これでは普通の娘さんが誤って車に乗って、いきなり連れて行かれたらモーテルだった。本人は行くつもりではなかった。そこに待ち受けている男性がいて、電話をかければすぐ来るようなシステムになっている。そこで売春を強要されて、自殺未遂をおかしたという人もいるんですよ。こういう施設をなぜそのまま認めておくかというところに、私は問題があると思う。
 それからもう一つ、トルコぶろをきょう私がここで取り上げるのは、最近沖繩でそういう施設がどんどんふえている。そうして、いままでのような売春形式はなくなっても、そのほうにかり立てられることは明らかだと思う。私はそれをしたくない、とにかく私どもが前々から主張しておりますように、一人きりのおふろで、女がほとんど裸体で世話をする、そこに性欲的なものが起こるのは、あたりまえだと思う。だから、これをもっと広いおふろにして、間にカーテンをするくらいのことでもいいから、そういうふうにするわけにはいかないだろうか。個室ですよ、それで出てきたところにベッドがあるんですよ。それで女性はほとんど全裸の状態で世話をしている。そういうことになれば、問題が起こるのはあたりまえだと私は思う。この間もトルコ嬢が殺された事件がありましたね、千葉県かどこかで。業者は、いや、あれは自分の部屋に一緒に入ったのだから、わしゃ知らぬ、自分の部屋だって、そういうことのために持たされている部屋じゃございませんか。そういうことをそのままで見過ごしておる厚生省も警察庁も私はおかしいと思う。規制すれば、モーテルだってちゃんと名簿に書いて、帰るときには公に金を払っていくような施設ができないはずはないじゃないか。それをあれほど大騒ぎしたあと、そのまま放置している。日本の本土がそういう状態だから、沖繩にこれがふえていけば、私はどんどん売春も温存されていくであろうし、性病もふえていくであろうというようなことが心配なんですが、その点はどうですか。何かお考えになっている点があったらお聞かせください。
#101
○説明員(川崎幸司君) トルコぶろにつきましては、御案内のように公衆浴場法というものの規制と、それから先ほど申し上げました風俗営業等取締法の二つの法律の規制を受けておるわけでございますが、現在の考え方といたしましては、トルコぶろにつきましては、もうほんとうに何といいますか、限られた汚染地域と申しますか、風俗的に汚染された地域だけに局限いたしまして、それ以外のところにおいては設立を認めないという都道府県の条例の定め方になっておるわけでございまするが、同様な方向で本土へ沖繩が復帰いたしました場合には、進めたいというふうに考えております。
 モーテル営業につきましては、先ほど規制について検討中と申し上げましたのですが、現在の旅館業法におきましても、やはり宿泊人名簿の義務であるとか、あるいは客に面接する施設を設ける義務であるとかというふうな旅館業法に基づく規制が加えられておるわけでございますが、そういうモーテル営業に伴いますいろいろの諸事案につきましては、地域規制、地域の風俗・環境に与えます影響と、それから、そういう場所の中でのいろいろの不法行為という両面があろうというふうに思うわけでございまするけれども、そういう当該場所におきます不法行為ということにつきましては、やはり管理業務の徹底をはかるということによって防止し得るものではなかろうか、それが筋ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。それが地域社会に与えます風俗上の弊害というものにつきましては、これまた旅館業法におきまして、単にモーテル営業には限らないけれども、学校だの特定の施設の周辺百メートル以内は、原則としてはやらないというような法の規制が掲げられておるわけでございますが、それで十分なりやいなやということにつきましては、名分に問題があろうと思います。そういう方面の立法案につきまして、目下検討を進めておるという次第でございます。
#102
○藤原道子君 私は、まだ三悪追放運動について御質問したいと思っておりましたが、大臣が予算委員会の関係でお時間がないそうでございますから、きょうは現地を視察されました田中寿美子さんから、非常に詳しい沖繩の売春問題、母子福祉等に対しての御質問がございました。これに対して大臣の責任ある御答弁をこの際伺いたいと思います。
#103
○国務大臣(斎藤昇君) 沖繩の売春問題は、非常に重要な問題の一つだと考えております。沖繩では、売春関係の法律も日本並みに逐次実施をしつつあることは、御承知のとおりでありますが、復帰いたしますならば、いままでより以上に力を尽くしまして、売春の禁止が徹底的にできますように、その保護、それから売春に転落しない措置というようなことをできるだけ徹底的にやってまいりたいと、かように考えております。
#104
○藤原道子君 沖繩はほとんどないといってもいいような状態なのよ。前借金だって特殊な前借りの方法なんです。これが本土復帰を前にして、本土復帰になれば前借金が無効になるからというようなことで、暴力団が介入していろいろ手段を講じているわけなんです。こういう大事なときに、かつて法務大臣や佐藤総理からの答弁等を見まして、それが必ずこの際行なわれますように、それから、もう少し沖繩の実情を御検討を願いまして、実情に即した性病対策なり母子福祉対策が欠けておりますので、こういう点についての大臣の御努力をぜひお願いしたい。
#105
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま申し上げましたとおり、厚生省の所管の仕事はむろんのこと、私のほうの関係でない法務省あるいは警察庁関係のことにつきましても、私からも関係省にお願いをいたしまして、そうしていまおっしゃいました趣旨が徹底いたすようにいたしたい、かように考えます。
#106
○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、沖繩における売春問題に関する件についての本日の調査は、この程度にいたします。
 参考人の方には、どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
#107
○委員長(中村英男君) 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#108
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年広島市及び長崎市に投下されました原子爆弾の被爆者につきましては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、健康診断及び医療を行なうほか、本法により、各種の手当の支給を行ない、その福祉の向上をはかってまいったところであります。
 今回、これら被爆者の福祉の一そうの向上をはかりますために、原子爆弾の放射線を多量に浴びたいわゆる特別被爆者で、原子爆弾の影響に関連がある疾病にかかっている老齢者等に支給される健康管理手当について、その支給の対象となる老齢者の範囲を六十歳以上の者から五十五歳以上の者に拡大するとともに、手当額を月額三千円から四千円に引き上げ、その療養生活の安定をはかることといたしました。
 以上がこの法律案を提出する理由及び内容の概略でありますが、この法律につきましては、衆議院におきまして、この法律は昭和四十七年四月一日から施行することとなっておりますものを、公布の日から施行し、昭和四十七年四月一日にさかのぼって適用することとするとともに、これに伴う経過措置を規定する修正がなされております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#109
○委員長(中村英男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 なお、本案はただいま大臣から説明がありましたが、衆議院においてお手元にお配りいたしましたように、修正が行なわれておりますので、御承知願います。
 本案に対する本日の審査は、この程度にいたします。
    ―――――――――――――
#110
○委員長(中村英男君) 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院社会労働委員会委員長代理理事谷垣専一君から趣旨説明を聴取いたします。谷垣君。
#111
○衆議院議員(谷垣専一君) ただいま議題となりました寄生虫病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 御承知のように、日本住血吸虫病は、山梨、佐賀、福岡、広島、岡山県において広く蔓延し、農耕その他地域住民の日常生活に重大な障害を与えておりますが、この疾病の根絶をはかりますためには、病原虫の中間宿主であります宮入貝を絶滅する必要があります。
 このため、昭和三十二年度より十カ年の基本計画を立て、宮入貝の生息地帯における溝渠のコンクリート化が行なわれ、また、昭和四十年には法改正を行ない、新たに昭和四十年度以降七カ年の基本計画を立て、溝渠のコンクリート化が行なわれているのであります。
 このような施策等の結果、新しい患者の発生が著しく減少する等相当の効果をおさめてはおりますが、日本住血吸虫病の予防の徹底をはかるため、本案は、さらに昭和四十七年度以降二カ年の基本計画を定めることといたしますとともに、政府は、この基本計画の終わる昭和四十八年度までに宮入貝の生息状況等を調査し、その結果に基づいて、昭和四十九年度以降の溝渠新設の基本計画の策定に関し必要な法的措置を講ずるものとすることであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#112
○委員長(中村英男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案を問題にいたします。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(中村英男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
    ―――――――――――――
#115
○委員長(中村英男君) それでは、再び社会保障制度に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#116
○小笠原貞子君 昨年の十二月末の本委員会で、肺呼吸不全の患者さんたちの切実な問題をこの場で取り上げまして以来、厚生省としてもいろいろ御配慮いただいたということを私たちたいへん喜んでいるわけです。たとえばIRCUとか、RCUとかの五つのうち、IRCUは、二つまで東京病院に置いてくださったとか、またRCUも九基設けられたというようなことで、その面においては、非常に喜ばしいということを私たち感じるわけですけれども、それだけのものが設けられて、はたしてこれが非常に効果的に活用されていくかどうかという点に、また一つの心配がそこから出てくるわけでございます。御承知のようにIRCUを使っての処置ということになりますと、患者さん一人に看護婦さん三人床頭看護しなければならないというような問題が起こってまいります。そうすると、たいへん人数もふやさなければならないというような問題が出てまいりますけれども、そういうふうにいろいろと進めてこられた中で、こういう問題について、たとえば具体的には看護婦さんの定員の問題などに対して、どういうふうに処置されるというふうに考えていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
#117
○説明員(野津聖君) この集中呼吸管理室の設置につきまして、一番緊急な問題といたしましては、そこで十分な医療が行なわれるということが前提になるわけでございます。また、それに必要な機械の整備ということも、重要な問題になってまいります。ただ、そのいま御指摘がございましたように、一番大事なことは、そこで医療と看護が十分行なわれるということが、一番大事な問題であろうと思っております。ただ、現在の段階で一体何ベッドを持つべきか、あるいはほかの看護単位との関連をどうするかというふうな問題もございます。これは直接厚生省、東京病院の問題ではございますけれども、そこら辺の関連を詰めながら、定員の問題についても、十分検討していきたいと思っておるわけでございます。
#118
○小笠原貞子君 これから詰めるということになるわけなんですか。そうしますとそういうような機械だとか、それからまたいろいろお医者さん、看護婦さんというようなものが、三つそろわなければ効果的に発揮できないわけですよね。だから片っ方で一つ喜んだけれどもぬか喜びで、今後そういう体制全体の問題、幾つベッドをつくって、どういうような人員でやっていくかというのは、今後詰めて考えるという今後とは、一体どのくらいを考えていらっしゃるのか。
#119
○説明員(野津聖君) できるだけ早急にというふうに考えておるわけでございますが、ただ、いろいろな機械の設備等につきましても、これから購入していかなければならない問題もございます。また医師等につきましても、これのいわゆる講習会なりあるいは研修会を開きまして、という問題もございます。今後三者が、御指摘ございましたように、まとまっていきませんと、ほんとうの意味の効果というものは出ないと思っておるわけでございまするので、その辺を目ざしまして、できるだけ早くというのが、私どもの一番の気持ちではございます。
#120
○小笠原貞子君 いろいろとお考えになるのにたいへんだと思いますけれどもね。たとえば具体的に言えば、IRCU二つ設けるということになれば、具体的には看護婦さんが一つでも三人がずっと看護しなければならない。それだけふえるということになれば、二基設備していくということになれば、東京病院を例にとってみれば少なくとも六人の看護婦が必要になってくるわけです。これはもう具体的にわかっているわけですね。そうすると、そのIRCUを設置することによって六人というのは、どこかから抜いてこなければならないということにいまの定員のままではなりますよね。そうすると、ほかにしわ寄せがいってしまう。決して呼吸不全の患者さんだけよくなればいいということでなくて、全体の医療の中から考えれば、どうしても定員ということ、特別なこういう医学が進んで、こういう処置をしなければならないというときには、特別の基準ということも考えられなければならないと思うのですが、これに関して特別の基準というようなことも含めて定員の問題を考えていらっしゃるかどうか。
 それから続けてお医者さんの問題ですけれども、全くお医者さんの技術的な面でも、これからたいへん御苦労なさると思うのです。全国にはそういうシステム、機械を入れますと、その講習というようなものは、具体的には早急にしないと、きょうして、あしたというわけにいきません。そういう各地の療養所関係に低肺の患者さんたちを担当するお医者さんの講習会というものの具体的に計画をお持ちでいらっしゃいますか。
#121
○説明員(野津聖君) 御指摘のとおりでございますが、ただ集中管理室というものをほかの看護単位との関連でどのように持ち込んでいくか、それからまた、すでに御承知のとおりと思いますけれども、いわゆる呼吸不全の患者さんの状態というのは、その季節なりあるいは気温なりというふうなものと非常に大きな影響もございますわけでございます。どの程度のいわゆる病床を確保するということとあわせまして、患者さんがどの程度あるかというような問題も念頭に置いていかなければいけないということがございます。したがいまして、これを別の看護単位として独立させるのがいいのか、あるいはその他の病気等の中に含めていいのかというような問題もございまして、その辺はあわせながらできるだけ早くきめていきたいと思っております。
 それから、医師の講習の問題でございますけれども、これも一応先般の所長会議でも指示もいたしてございます。現在、具体的な計画等もこれもちょうどいま学会のシーズンでございまして、相談をおかけしながら具体な計画については、できるだけ早くやりたいということでございますし、また、せっかくもう先生も御存じと思いますけれども、来年度の予算の予定になっております各種の医療機械等につきましても、早く購入いたしまして、そして、これが実用化されるということが、やはり私ども患者さんをお預かりしております立場では、大事なことでございますので、その辺もにらみ合わせながらできるだけ早く講習をしていきたいというふうに考えております。
#122
○小笠原貞子君 たいへんよく御趣旨わかるのです。当然できるだけ早くやっていただかなければ困るわけですけれども、おたくのほうのお仕事もたいへん忙しいでしょうが、できるだけ早くやります。ああそうですかと言って引き下がるわけには私はいかないわけなんで、できるだけ早くするためには、こういう手だてで、こういうふうにやっていって、大体いつごろならできそうだというような大体の目安でも置いていただかないと、できるだけというのが半年後か一年後か二年後かということになりましても、せっかくのことが残念な結果になりますし、相手は患者さんたちですから、その間にまた故障が起きてなくなるというようなことになっても、命の問題だというふうなことで、たいへんしつこいようでございますけれども、そういうお気持ちの上で、できるだけ早くというために、どういうふうに具体的に考えて時期的にも詰めていらっしゃるか伺わせていただきます。
#123
○説明員(野津聖君) 私ができるだけ早くと申し上げましたのは、いま御指摘ございましたとおり、もうできれば一カ月以内、二カ月以内というつもりでございまして、いまの御指摘もありましたように、半年とかあるいは一年を考えているわけではないものでございますから、できるだけ早くと申し上げたわけでございます。
 いずれにしましても、少なくとも学会シーズンが終わりましたあとで、具体的に研修を受けさせます施設も設備も整えなきゃいけませんので、したがいまして、半年も延びるようなことはないということだけは、いまの段階では申し上げられますけれども、何月何日にこういうことであるということまでは、詰められませんので御了承をお願いいたします。
#124
○小笠原貞子君 そういうことで、ほんとうの意味でできるだけ早くということをお願いして、次に移りたいと思うわけですが、こういうふうなことで機械やそれから体制を整えていただいて患者さんたちを守るということと一緒に、非常に外国なんかでも行なわれていますし、またこちらでも白十字なんかでやっていらっしゃいますけれども、転換療法といいますのですか、そういうふうなことで効果をあげてくださっているということを伺うわけなんです。これからの患者さんたちをそのまま病院に預けておくと、本人も病院に入っていたいというのではなくて、やっぱり一日も早く自分の体力でできる社会復帰をやりたいというふうに考えていらっしゃるとすると、私などのしろうと目でいろいろ伺ったりしますと、この転換療法というのも相当効果もあるし、社会復帰に得立つのではないかというふうに考えて、リハビリテーションの一つの役割りを果たすということになると思うのですけれども、そういうリハビリテーションの内容として、こういう肺や呼吸機能の不完全な方たちのリハビリテーションという問題についてどういうふうな構想をお持ちでいらっしゃるのか伺わせていただきたいと思います。
#125
○説明員(野津聖君) 転換療法の中身につきましては、ちょっと私十分存知しておりませんものですから、いわゆる呼吸不全者に対する全般的ないわゆるリハビリテーションという問題につきまして、医務局といたしまして患者さんをお預かりいたしておるという前提からまいりますと、やはり医学的なリハビリテーションが私どもの一番大事な仕事ではないかというふうに考えておるわけでございます。その中身といたしましては、いわゆる機能訓練と申しますか、あるいは理学療法と申しますか、この部門と、それから職能訓練と申しますか、いわゆるオキュペーショナル・セラピーという面と両方あるかと思っておりますが、主として現在のところ理学療法的な面でのリハビリテーションというものを医学的なリハビリテーションというものの中で押し進めております。おそらくいまも転換療法、私よくわからないのですけれども、おそらくいわゆる職能療法と申しますか、その面の御指摘ではないかと思いますけれども、これは逐次伸ばしていく必要があるのではないかと思っておりますが、いろいろな設備の問題あるいは特にこれを担当いたします職能療法士の数の問題等もございますし、現在のところ直接これを医学的リハビリテーションの中に直ちに織り込んでいけるかどうかということにつきましては、設備の問題あるいは専門の職種の不足の問題というふうなものがございますものですから、いずれにしましても、医学的なリハビリテーションは、私どもは十分尽くしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#126
○小笠原貞子君 いまのお答え、野津さんのいまの立場で、自分としてはそこまでわからないとおっしゃるのか、厚生省全体の中で、こういうたとえば問題についての転換療法みたいな問題はあまりよく知らないし、どれだけ取り上げるかというようなことも、いままで問題にならなかったというふうな意味でのお答えなんですか。
#127
○説明員(野津聖君) いまの転換療法というおことばでございましたものですから、十分熟してない面もあるのではないかというふうに思いましたので、私の理解の範囲内では、いわゆる職能療法というふうなものと理解して、お答え申し上げたわけでございます。
#128
○小笠原貞子君 私が言いましたのは、もちろんそういうこと、職能的なものもあるけれども、また気分を転換して、そうして社会につながる意欲をつくるという意味での転換療法なんで、これが全然こういうものの価値が認められていない、こういうのは全然まだ考えていないということになれば、これまた一つの大きな問題なわけで、それでいまお伺いしたわけなんですよ。もし野津さんの立場でわからなければ、全体としてはどういうふうに考えていらっしゃるかということは、またあらためて私伺いたいと思いますが、そういう意味で、きょうちょっと無理かと思いますが、時間がないと言われてせかれちゃって、ちょっとあれなんですけれども、
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
たとえば、いろいろこの委員会で、この前もたいへん積極的ないい御発言をいただいて、患者さん大喜びされたのですけれども、具体的にそれではどこまで進むかというと、なかなか進みません。たとえば、ちょうど野津さんいらっしったから話をするんですけれども、十八病棟ね、すぐに暖房つけましょう、あしたにでもつけましょうとおっしゃったのが、十二月二十五日でございましたね。それからずっと、結局、ついてないから、傍聴にいらっしゃった患者さんも五人倒れちゃって、十八病棟に戻れたのはたった一人で、あとはまだほかに移ったままになっているというようなことで、積極的ないい御発言をいただいても、すぐにしていただけないと、そういうふうな犠牲者が出るわけでございますので、その十八病棟の暖房というのが、やると言われながらやれなかったというのは、一体、どういう点でやれなくて、そういうことになったのかということをも伺いたい。
 もう一つ、続けて、時間がないからお伺いしますけれども、内部身体障害者の更生施設じゃなくて、収容授産施設ですね。社会復帰――一年も入ってすぐ出られるというような方でない方たちのためには、授産施設として、何年かでも入っているというようなものがないと、たいへん不安なわけでございますね。一般の授産施設の中に、窓口を広げているんだから入ればいいというような考え方でいらっしゃるかもしれないけれども、体幹の障害者と内部障害者とは体力的にもいろいろ違いますし、いろいろな条件が違います。どうしても、内部障害者のための授産施設というものがほしいということが切実な要求になるわけなんですが、それについても、東京都で、今度つくるというようなお話がこの前の委員会にも出まして、厚生大臣も、それはたいへんいいことだから、厚生省としても、積極的に、力になれることは力になりたいというふうにおっしゃっていただいたわけなんです。それで、何か資料でもあったら、どうぞ、知っているんだったら教えてくれというようなことまでおっしゃっていただいたんですけれども、東京都も、いま、もう都議会も済みましたから要請に来ると思いますけれども、具体的な援助をぜひお願いしたいと、土地の問題も、東京病院にくっついて、大蔵省が管理なさっておりますけれども、たいへんいい土地もあるし、そうすれば病院ともくっついているし、たいへんいいというような条件もありますので、その辺についても、再度、協力を惜しまないという立場でやっていただきたいと思うわけなんです。
#129
○説明員(野津聖君) 東京病院の十八病棟の問題、直接の問題でございますが、先般の委員会で、先生からいろいろ御指摘いただきました問題について、さっそく東京病院の中のいわゆる呼吸不全者の方をどう持っていくかという具体的な打ち合わせもいたしました。また、その後、いろいろ連絡をとりながら、指導もしてまいったところでございますが、一応の原則論といたしまして、国立の療養所といいながら、これは医療機関でございますので、いわゆる医療を必要とします呼吸不全の方々の医療につきましては、十分この機能を発揮していきたい、こういうこともございましたので、先ほど申し上げましたように、医療機械の整備費等の予算につきましても、確保していくということで努力してまいったわけでございます。ただ、その患者さんたちをどういうふうな形で各病棟の割り振りをするかという問題になってまいりますと、呼吸不全の状況も患者さんによっていろいろ違います。もと結核をわずらっておった方もあるわけでございます。したがいまして、排菌の状況が違っている、あるいは年齢の差がある、あるいは性別――性の差があるというようる、あるいは性別――性の差があるというような面がございますので、そういうふうな患者さんにつきましては、その患者さんのいろいろな状況に応じて、一番適した病棟で、ひとつ治療をしていただこうではないか、これが第一段階でございます。
 さらに、第二段階としましては、さっき先生から御指摘がありましたように、一つの、いわゆる集中管理室というふうな形の機能を持たせまして、そこに重度の呼吸不全の方、あるいは非常に緊急の呼吸不全が起こった場合には、そこで治療をしていきたい、こういうふうなことで、これを逐次整備していくという考え方になったわけでございます。
 したがいまして、今度は、その十八病棟の問題になるわけでございますが、個別の病棟の名前を出しましてあれでございますけれども、十八病棟につきましては、従来から、社会復帰前の患者さんが入られる。その場合には、いわゆる呼吸の機能がどうあろうと、社会復帰前の患者さんが入られるという前提で、ひとつ、その間、暖房がなければということで、早急に詰めようといたしたわけでございます。ところが、この暖房をつけますに際しまして、簡単に、実は私ども建築のほうは知識がなかったもんでございますから、つくんではないかと思って、だいぶ督促もしてみたわけでございますが、暖房を入れますに際しまして、やはり窓ワクを整備いたしましたり、床をはがしたりという状態もございます。たまたま、東京病院の患者さんも、ふだんでございますと、大体、患者さんの数が減ってくるわけでございますけれども、おかげをもちまして、非常に医療内容も充実しておりまして、患者さんもなかなか減ってはいないというなよう実態がございまして、いま入っておられる患者さんに御迷惑をかげながらの工事は、ちょっとむずかしいのではないか。とりあえず、昨年まで冬は越してこられたんでございますので、ひとつ、ことしの冬はがまんしていただきまして、あったかくなりまして、多少風が吹きましても、がまんいただけるというふうな時期を見て、工事にかかりたいというふうな考え方でおるわけでございまして、十八病棟がちょっとおくれましたのは、相当手を入れなければならないというふうな問題が出てきたことと御了解いただきたいと思います。
 あとの収容施設の問題につきましては、私のほうは直接関係ございませんので。
#130
○政府委員(加藤威二君) 内部障害者と申しますか、低肺機能の方たちの授産施設、これは一般の身体障害者の授産施設と別につくったほうがいいという先生の御指摘でございますが、これは私もそのように考えます。やはり肢体不自由その他と相当違いますから、内部障害者の授産施設というのは、でき得れば、内部障害者の授産施設という別な形でつくったほうがベターであるということは、御指摘のとおりだと思うんです。で、厚生省には、現在、内部障害者を主とした施設が五カ所ございます。ただ、これは主として低肺機能の方の施設でございますが、これが定員が二百四十五名に対して現員が百九十五名ということで、七九・六%の収容率ということで、若干、これが収容率が低いわけでございます。これはあるいは施設の運営その他について不備があるためかもしれませんけれども、社会福祉関係の施設、これは大体都道府県を通じて申請が出てまいりまして、国がそれに対して二分の一の補助をするということで、こっちは受け身でございますが、この内部障害者に対する授産施設の申請があまり出てこないというのが現状でございます。しかし、やはりこういったものについては、この現在の五施設の実情等もさらに検討いたしまして、必要なものについては、さらにこれを増設をしていきたいというぐあいに考えております。
 東京都のほうについては、私どもは何ら相談にあずかっておりませんし、まあ構想が出てまいりますれば、十分、それについて御相談いたしたいと思っております。
#131
○小笠原貞子君 それじゃ、最後に、一つだけお願いするんですけれど、この間も、指数が低く普通の方ではなく、働きもできないというような患者さんは、退所命令というなようなことで強要しないで、置いていただきたいということをお願いいたしまして、松尾医務局長も、そういう方を退所させるということは、命にかかわる問題だし、そういうことは考えられないということをおっしゃってくださいましてね、私もほっとしたんですけれども、あと、ちょっと聞いてみたら、また、直接出て行けと強く強制的にというんじゃなくて、やっぱり出て行かなければならないような、そういうふうにしむけられるというやさしいのから、相当強硬な態度でまた退所させるというような動きも出ていますんですね。そうすると、私は、東京病院ばっかり取り上げますけれども、あそこは一番そういう患者さんが多いし、日本じゅうが注目している。その中でも、そういうことが行なわれているということになれば、やっぱりそれは退所命令を出す病院側が悪いということだけではなくて、なぜ、そういう人に出ていけと言わざるを得ないような病院のいまの運営になっているか、人員の配置になっているかということまでも含めて考えていただいて、やっぱりそういう方たちは、安心して病院に残って療養できるような体制をどうしてもとっていただきたいと思うんです。十二月にそういうことはさせませんとおっしゃっておる。そのあとも出てましたので、最後に、重ねてそういうことが重々ないように、患者さんの命を守る立場でやっていただきたいということをお願いして終わりたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
#132
○説明員(野津聖君) 十二月のときの御指摘もございましたので、施設のほうにも、その面は強く申してございます。ただ、先ほど来、また十二月のときに局長さんからもお答え申し上げましたように、少なくとも医療機関であるという前提から、やはり医療がいまだに必要な患者さんについて、出て行けというようなことはいたしませんということを申し上げております。私どもも東京病院のほうには、その話も申し上げてございます。したがいまして、その辺調べてみまして、また、それに反するようなことがございましたら、適切な指導を行なっていきたいと思っております。
#133
○政府委員(登坂重次郎君) 私も責任者の一人ですから、お聞きしたことは、実行いたすようにいたします。社会復帰はわれわれとしても望ましいことでありまするけれども、そういう長期療養者及び内部疾患者は、非常に腺病質になっているし、体質的にもお弱い方が多いわけですから、その方が医療を断わられるような、また強制的に退院させられるようなことは絶対いたさないように注意いたします。
#134
○委員長(中村英男君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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