くにさくロゴ
1971/04/12 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第7号
姉妹サイト
 
1971/04/12 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第7号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第7号
昭和四十七年四月十二日(水曜日)
   午後一時十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 英男君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上田  稔君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                橋本 繁蔵君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤原 道子君
                柏原 ヤス君
                中沢伊登子君
                小笠原貞子君
       発  議  者  小平 芳平君
       発  議  者  柏原 ヤス君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生大臣官房長  高木  玄君
       厚生大臣官房審
       議官       信澤  清君
       厚生省公衆衛生
       局長       滝沢  正君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       厚生省薬務局長  武藤g一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       渡部 周治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障基本法案
 (小平芳平君発議)
○母子保健法の一部を改正する法律案
 (柏原ヤス君発議)
○麻薬取締法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○食品衛生法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障基本法案を議題とし、発議者小平芳平君から趣旨説明を聴取いたします。小平君。
#3
○小平芳平君 ただいま議題となりました社会保障基本法案について提案理由並びに内容の概要を申し上げます。
 わが国の経済成長が年々増大していまや国民総生産では自由世界第二位に台頭して、日本経済は表面的には大型になり繁栄する経済社会を現出してきているが、しかし他面一人当たりの年間国民所得は第十三位という状態にあり、この大きな格差は歴代自民党内閣の責任であり、政治の貧困を如実に物語っているといえるのであります。
 さらに、社会保障の問題については昭和三十七年八月の総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会は「社会保障制度の総合調整に関する基本方策についての答申および推進に関する勧告」を提出して昭和四十五年におけるわが国の社会保障が昭和三十六年当時の西欧諸国の水準に追いつくよう要望しております。
 今日の段階において、その後の実績を見ると社会保障制度審議会が昭和四十三年十二月二十三日の申し入れ書の中で「昭和四十年までは若干の進展があったがその後は停滞気味であり現在では人口一人当り水準でいえば目標のほぼ三分の一、国民所得に対する比率でいえば目標の二分の一にしか到達していない。
 すなわち、わが国の社会保障は表面的には大いにすすんだ形になったがその実質はむしろ後退ぎみといわねばならない」と述べております。政府の経済社会発展計画によれば、昭和四十六年には振替所得を二%引き上げ七・五%程度に到達せしめるということであります。昭和三十六年当時の西欧諸国に到達するためには昭和四十五年度までに一〇%以上の振替所得の上昇が必要であるといわれていたのであります。
 一九六五年における国民所得に対する振替所得の国際比較を見ると西独では一七・二%、フランスでは二二・五%、イタリアでは一七・二%と主要国ではすでに一五%以上を上回っているのであります。
 したがって、これでは先進国との格差はますます拡大の方向にあると言わねばなりません。わが党の主張する目標の一五%はこれを下回ってはならない最低の基準であります。
 政府は経済社会発展計画の練り直しを企図していると聞くが、これまでの計画によれば、昭和四十四年の振替所得五・二%を昭和五十年までに二%引き上げ七・二%程度に上昇されることとしているが、これは当初の計画である七・五%よりも低率になり、後退しているのであります。
 この程度のことでは、社会保障の拡充強化ははかられないのであります。
 このように、わが国の社会保障の渋滞あるいは後進性というのには種々要因がありますが第一に指摘できることは、いまだ社会保障の定義が明確でないということであります。
 政府部内においてもまた学者間においても異説のあるところであります。定義があいまいであることは有効な施策は期待できません。
 わが党は、この機会に社会保障に関する施策を次のように主張するものであります。
 すなわち、社会保障制度とは、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、「国民にひとしく疾病、負傷、廃疾、死亡、老齢、分娩、失業、多子等によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し所得の再分配的な効果をあげ、もってすべての国民が健全な生活の維持及び向上に寄与することをいう」と明快に定義づけているところであります。
 次にわが国において欠けているものは、社会保障計画の樹立であります。わが国にはそのビジョンがいまだかって明らかにされたことがありません。これは全く政府の怠慢というほかありません。
 経済審議会も四十二年二月の経済社会発展計画の中で「わが国の経済社会の実態とその将来の進路に即した適切な社会保障長期計画を策定し、これにもとづく体系的整備を行なうことが不可欠である。」と述べているのであります。人間性尊重の上に立って福祉国家の繁栄と発展を遂げるためにも当然長期展望を示すことが重要課題であります。
 目標がなく対症療法的施策に終始するならばわが国の社会保障水準はいつまでも低迷を続けるでありましょう。
 さらに、わが国の社会保障制度は戦後において著しい進展を遂げたのでありますが、その発展の推移は百花瞭乱のごとく乱立と分裂の歴史であり制度に一貫性総合性を欠いていることであります。そのため、いまだに不均衡で実効ある施策が確立されておらない状況にあります。
 また、社会保障費は年々増大しているとはいうものの昭和四十七年度の予算案では対前年度の伸びはわずかに二二・一%となっており、これは当然増が大半で先進国並みの水準にする努力は全く見られません。社会保障費は最優先的に確保し早急に拡充強化する必要があります。
 また、われわれが特に指摘すべきことは、わが国の社会保障制度の中で欠けていた唯一の児童手当制度が昭和四十七年一月から発足したものの、その中身は、その対象児童が第三子に限定し、完全実施する昭和四十九年においては、十八歳未満の児童約三千万人に対し、わずかの対象しか支給されないのであります。しかも所得制限を課しており、内容的には多くの問題点を内蔵しております。
 また、社会保障制度審議会の答申勧告が尊重されておりません。社会保障制度審議会が発足してから二十数年を迎えますが、その間昭和二十五年度に社会保障制度に関する勧告をはじめとし多数の答申勧告が提出されているが、一部においては実施を見ているが大部分は軽視されて顧みられていない状況にあります。
 したがって、社会保障制度審議会の権限を名実ともに高めるため改組する必要があります。
 さらに社会保障の国際的見地に立って見るときILO第百二号条約、すなわち社会保障制度の最低基準の条約はすでに一九五二年に決定され、わが国はすでに批准のできる最低条件を十分満たしておりながらいまだに批准をいたしておりません。さらに、一昨昨年第五十一回ILO総会で決議された第百二十八号条約、すなわち障害、老齢及び遺族給付に関する条約についてもこれを早急に批准すべきであります。前述のとおりわが国の社会保障水準は先進国に比較して十数年もおくれており国際水準に近づくためにも批准すべきが当然であります。いまにして以上の障害を克服しなければ悔いを千載に残すことになるでありましょう。
 平和国家、福祉国家の建設はわが国の国民的な終局の願望であります。そして、その進歩の指標は具体的には社会保障の整備統合、発達をおいてないのであります。
 以上が本法案の提出の理由であります。
 次に本法案の大要について申し上げます。
 第一には社会保障に関する施策であります。さきの提案理由の中で述べた社会保障の定義を具体化したものであります。すなわち一に国民の疾病・負傷・出産・老齢等の事故に対し充実した経済的保障をすること。二に生活困窮者に対する生活の確保。三に児童、老人心身障害者等の援護。四に医療及び公衆衛生の向上増進であります。
 第二には国及び地方公共団体の責務を明らかにいたしました。
 第三には年次報告及び社会保障整備五カ年計画の作成公表についてであります。政府が社会保障に関して講じた施策について国会に対し報告することとし、また社会保障整備五カ年計画の作成と公表を義務づけることとしました。
 第四には社会保障番号についてであります。すべての国民について社会保障の記録を行なうため個人ごとに社会保障番号及び社会保障手帳の交付を行なうこととしました。
 第五には社会保障制度審議会の設置についてであります。設置される社会保障制度審議会の権限を強化し、勧告についてはこれを尊重することとしました。
 第六には社会保障費の優先確保についてであります。国の予算編成にあたっては社会保障の予算を優先確保するため条文の上に明記しました。
 第七には特別会計の設置であります。社会保険の収入及び支出は特別会計とすることとしました。
 第八は専門職員の養成確保であります。国及び地方公共団体が社会福祉、医療及び公衆衛生等に関する専門の知識及び技能を有する職員の養成確保を行なうことを明記いたしました。
 第九は社会保障省の設置であります。社会保障の施策を総合的かっ計画的に遂行するための行政機関として、社会保障省を設置することにしました。
 第十は関連施策として最低賃金制、雇用の安定、住宅、建設及び税制の改善等、国民生活安定諸施策を推進することを明記しました。
 以上が本案の骨子であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(中村英男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(中村英男君) 次に、母子保健法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者柏原ヤス君から趣旨説明を聴取いたします。柏原君。
#6
○柏原ヤス君 ただいま議題となりました母子保健法の一部改正案について、その提案理由と概要について御説明申し上げます。
 わが国の母子保健活動は、昭和二十三年の児童福祉法によって実施されてまいりました。しかしながら、母子保健対策は、母子一体の体系のもとに進めることが母子保健水準の向上のため、最も必要であるという観点に立って、昭和四十年四十九国会において母子保健法が制定されたことは、御承知のとおりであります。
 このような母子保健対策の推進により、わが国の母子保健の現状は、一歩前進を示しているが、いまだ改善しなければならない点が少なくないのであります。すなわち、先進諸国に比べて、わが国の妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、また戦後、著しい改善、向上を見た乳幼児の死亡率、体位、栄養状態についても、その地域格差が依然として縮小されないなど、なお努力を要する課題が多く残されております。このことは当然、本法を諮問した社会保障制度審議会の答申において「本案は、母子の健康確保の方向にわずかに一歩を踏み出したにすぎないものであって、各部面に未熟不備不徹底な点が多く、特に優生保護法との関係その他医学的に検討すべきものがあるが、今後ひきつづき改善を図ることを条件として了承する。」と述べられておりますことはいまなお御記憶のあるところであります。さらに本法が、終始救貧対策にとどまっていたため実績が十分あがらなかったことは当初から憂慮されていたものであります。
 このような状況にかんがみまして、今後母子保健の向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護のための指導を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策の充実、強化をはかる必要があると考えて、この改正案を提出する次第であります。
 次に、改正案の概要について申し上げます。
 第一には、出産費の支給を新たに設けました。市町村長には、五万円を限度とし社会保険と調整してすべて出産費を公費で負担することといたしました。
 第二には、健康診査であります。健康診査は、三歳児以外の幼児、乳児及び妊産婦に対しても行なわなければならないようにしたことであります。
 第三には、栄養の摂取に関する援助を強化することであります。妊産婦及び乳幼児に対する栄養の摂取に関する援助は、市町村長が栄養費の支給等を行なわなければならないことといたしました。
 第四には、妊産婦の受診に関する援助の強化であります。妊産婦の受診に関する援助は、都道府県知事が医療費の支給等を行なわなければならないように義務づけることといたしました。
 第五には、母子健康センターの充実であります。母子健康センターは市町村が必要に応じて設置することといたしました。
 最後に、以上述べました五項目について国、都道府県及び市町村の負担割合を明記しました。なお、わが党の医療政策としては、将来、出産費については疾病と同様すべて医療保険の現物給付で行なうこととする所存であります。また、さきに提案理由に述べたとおり、優生保護法第十四条一項四号の規定を削除する改正を考慮いたしております。
 以上がこの改正案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#7
○委員長(中村英男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(中村英男君) 次に、麻薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#9
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました麻薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 沖繩の麻薬犯罪については、現在その取り締まり体制が弱体でありますために、麻薬事犯が多発するとともに悪質化しつつありまして、強力な麻薬取り締まり体制が要請されているところでございます。このような事態にかんがみ、沖繩の復帰と同時に九州地区麻薬取締官事務所沖繩支所を設置し、沖繩における麻薬の取り締まりに当たることといたしておりますが、これに伴い現在麻薬取締法において定められている麻薬取締官の定数を十名増員する必要があり、今回、この法律案を提出した次第でございます。
 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#10
○委員長(中村英男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。速記をとめて。
  〔午後一時二十八分速記中止〕
  〔午後一時五十二分速記開始〕
#11
○委員長(中村英男君) 速記を始めて。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(中村英男君) 食品衛生法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#13
○石本茂君 お伺いをいたします。
 今回、この国会に上程されております食品衛生法の一部改正のことでございますが、なぜ、今日までいろいろ問題が提起されまして、われわれ国民の側にとりましては、うっかりものも食べられないというような気持ちで日々おりますときでございますのに、十五年間もこの法律が改正されなかったか、そして、そのいきさつについてここで聞こうとは思いませんが、やっと改正されようとしているときに、私が非常に気になりますのは、この食品の安全確保ということを大目的にした今回の改正であると思っております。それなのに、この改正案を拝見しておりますと、第一条の目的の改正がされておりません。これは非常に私は不審の念を持つわけです。
 その理由は、現行法のこの第一条の目的では、適用範囲がたいへん狭いんじゃないか。いままでのいろいろないきさつを通しまして、単に飲食に起因いたします衛生上の危害の発生防止ということが主眼になっておりまして、それでは積極的に国民の健康を保護し、その福祉を増進するというような趣旨を加味したような条文にはなっておらぬのじゃないか。そういうことを加味するような条文改正が必要であるのに、なぜそういうことがなされておりませんのか、一点不審を持っておりますので、お尋ねをいたします。
#14
○政府委員(信澤清君) 大臣から御答弁申し上げます前に、今回立案にあたりまして、ただいま御指摘のございました問題を検討いたしましたので、その経過について申し上げたいと思います。
 お話のように、従来食品衛生法の目的に関しまして、飲食に起因する危害の防止だけがこの法律目的である、このように実は国会等の御質問についても御答弁してまいった経緯があることもよく存じております。したがいまして、ただいまお話しのように、今回改正にあたりましては、もっと積極的な、たとえば健康の保護とか増進とか、こういうことをうたい込むべきであろうということでいろいろ検討いたしたわけでございますが、ただいま先生お読み上げございましたように、第一条の目的は、いまの「危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。」このように規定いたしておるわけでございます。特にこの法案が、昭和二十二年、国会に提案されたわけでございますが、その際の大臣の提案理由説明を拝見いたしましても、この法律案は、単に飲食に起因する危害防止だけではない、積極的に公衆衛生の向上及び増進をはかるのが目的である、こういう提案理由をお述べになっておられるのです。したがいまして、率直に申しまして、私どもそういった立法の精神をやや狭く解して現在までこの法律を運用をしてまいったと、こういうことが言えるのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。それにいたしましても、何らかいまお話のございましたような趣旨の改正をいたしたいということで、いろいろ内閣の法制局とも相談をいたしましたが、ここに書いてございます「公衆衛生の向上及び増進」と申しますのは、御承知のように憲法二十五条に書いてあることばどおりでございます。したがって、これにかわるようないいことばはないはずだと、むしろ二十五条の目的を達するために食品衛生法というものは機能すべきである、このような経過がございまして、今回改正をしなかったわけでございます。
#15
○石本茂君 そういうようないきさつがありまして条文改正ができなかったというふうに、私は一応承知いたしますが、それならば、実際この食品行政の場面におきまして、もっともっと積極的に進める、行政の施策でございますね、大きな政策でなく施策の面で積極的に進めるということの必要が非常に大きく出てきたというふうな気がします。
 そこで、くだらぬことを一つ例にとるわけですが、以前でございましたね、鯨の肉を牛肉の大和煮だといってかんの上に張りましたレッテル、これはにせだと思うのですが、そういうふうなことがございましたね。これがいわゆる食品衛生法にいう「虚偽の標示」であるというふうに私は思うのでございますが、そういうふうなことにつきましても、一体この法の一条の解釈だけで、そういう虚偽の表現に対して、かつていろんな御答弁があったのを、ちょっと調べてみたのですが、そういうふうなところまで範囲を広げて、一体食品の行政などできるのかと思うのですが、かつての例を一つ引き出しましてお伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(浦田純一君) たしか、石本先生が前問で御指摘のとおり、従来ややもすればこの食品衛生法の目的というものを狭義に解釈し、その運用をしてきたというきらいがあったのでございます。御指摘の鯨の大和煮を牛肉の大和煮と称した、いわゆるにせ牛かんの事件でございます。これは昭和三十五年当時の事件であると記憶しておりますが、現行法の第十二条に規定する「公衆衛生に危害を及ぼす虞」というものを狭く解釈して、食品衛生上の虚偽の標示に該当しないということを申して、このように運用してきたのでございますけれども、今後は、このような場合でも「公衆衛生に危害を及ぶす虞がある虚偽の標示」として取り締まってまいりたい。また、いわば立法の趣旨に照らしまして、初心に返りまして法律の運用を誤らないように、御趣旨に沿うように運用してまいりたいと考えております。
#17
○石本茂君 そういうふうに行政措置の中で強化をはかっていきたいとおっしゃること、それから条文の改正がなされなかった理由をまあ一応私なりに承知をしておきたいと思います。
 そこで、この改正案が成立いたしましたとして、その暁におきまして、その法律そのものは大体整ったものになった、あるいはなるかもしれませんが、これを実施する体制がはたして一体十分なんだろうか、そして、法律の条文に従いましたような実際の効果をあげ得るのだろうかという点で、ちょっと私自身がいささか疑問を持っております。で、この実施体制を整えるために行政機構の整備、特に食品衛生のほうの監視員などの必要な人員の確保、あるいは試験とか検査機構の整備というようなことにつきまして、一体どのように考えていらっしゃるのか。特に私非常に気になりますのは、厚生省内の機構でございますが、これは現状を見ておりますと、はたして衛生関係を含めまして各局の所掌事務の配分が一体これでいいのだろうか。それから、現在のこのような情勢の中で、はたしてほんとうに申されますような法律を十二分に生かすような対応ができるのだろうかというようなことを考えるわけでございます。そういうことで食品行政の一元化ということをなぜおはかりになれないのだろうか。むしろそれが目下の急務じゃないだろうかというようなことを一応考えるわけでございますが、その点についてそういう行政の一元化あるいは行政の一本化というようなことが将来に向かって一体なされようとしているのか。いや、ばらばらになっているけれども、実質的にはそういう弊害はないのだということでございましょうか、この点を一点、この機会に伺っておきたいと思います。
#18
○政府委員(浦田純一君) いわゆる統一食品法の制定あるいは食品行政の一元化の問題でございますが、昭和四十四年の第二回消費者保護会議の決定に基づきまして、関係省庁間に食品行政の検討会を設け、一年間にわたって検討を行なってきたのでございます。その結果は、いわゆる統一的な食品法あるいは食品行政一元化の問題は今後も慎重に検討すべきであるが、当面の課題については、関係行政の改善とその統一的運営によって対処すべきであるという一応の結論を得ております。昭和四十五年の第三回消費者保護会議でこの結論が了承されております。もちろんすべて行政は新しい事態に応じましてできれば一元化してやるということに越したことはないわけでございますが、今回の法改正につきましては、先ほどもおっしゃったように、十五年間も実質上の法改正がなかったといったようなこともございますし、いろいろと食品衛生法の運用についても御意見、御批判もありましたわけで、当面の問題を取り上げまして改正法案を作成して、御審議を願ったようなわけでございます。今後はこれらの法の運用面で一そう各省庁間の協力体制を強めてまいりまして、実質的に統一的な行政が行なわれるよう、また御指摘の統一的な食品法の検討につきましても引き続き関係省庁間で検討してまいるようにいたしたいと思っております。
 いきさつは以上でございます。
#19
○石本茂君 食品問題はいま局長申されましたけれども、農林、通産に分かれておりますし、さらには厚生省の中を見ましても、公衆衛生局に所管されておりますものあるいは環境衛生局に所管されておりますもの、役所というところは間にございます壁がなかなか厚うございまして、はたしてそういうものがほんとうに気持ちよく、何のこだわりもなく、行政面においてといいますか、実際の行政として行なわれているのかどうか、行なわれていけるだろうか、法律ができたからそれができるというふうなことはちょっと理解できないものですから、こういうことをお聞きしたわけで、大臣、この点いかがでございましょうか。ほんとうにだいじょうぶでございましょうか。
#20
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、食品に関する行政を一本化したらという声、また御意見、ただいま局長がお答えいたしましたように、前からもございました。ところが、いよいよこれを一本化しよう、こう考えてみますると、たとえば食品に関するすべてのものということになりますと、いままで問題になった点を取り上げましても、計量の問題から、それから標示の問題から、まあいわゆる価格の点から、いろんな点、すべてに関係するわけでございますね。そこで、計量は計量として計量法が施行されているわけですが、食品の計量だけではなく、ほかの計量もやっぱり完全にしなければならない。そうすると、その計量の取り締まりをするものはやっぱり計量法一本で取り締まりをしたほうがいいと、こう言う。しかし、また実際さように思うわけでございます。厚生省で計量のことまで専門的にやるということになると、計量はいろいろな品物によって計量をやるところが変わってくるだろう。そういうことになると、計量という点から言うと、統一を欠くということにもなるわけです。また、標示にしましても、たとえば食品衛生に害があるというような標示は、これは食品衛生の関係からやれることにいたしておりますし、先ほどおっしゃいましたように、ただ、危害の防止というだけでなしに、食品に関しての衛生を向上させるという意味から、これは第一条の目的はいままで狭く解し過ぎておった、提案当時は、これは危害を防止し、あわせて衛生の向上をはかるということでございますという提案をしておきながら、危害を防止し、もって云々というようにこの法律でやるのは、危害を防止するためだ、それがひいては衛生の向上になるのですというような、まあ提案当時の考え方と違った運用を一時やっておった。そこで、これではいけないというので、最近は元に返って食品衛生の向上という点も目的にあるということを踏まえて運用することになったわけでございますが、そうかといって誇大な標示であるとかあるいはうその標示、これは衛生上何にも関係がなくても、これは消費者にとっては非常にたいへんなことでありますから、そういう誇大な標示あるいはうその標示というものは、その面からこれは公正な取引を害するというので、食品に限らずどの商品にしてもそういう見地からやる必要がある。これは公平な取引という意味で公正取引委員会がやるというぐあいにやはり分かれざるを得ないということで、食品に関する一切のものを厚生省で、あるいはこの法律でということは実際上食品の面からだけ考えるといいかもしれないけれども、他の面をあわせ考えると、ちょっとそれがいいというわけにはいかない、こういう結論に達したわけでございます。ただ、厚生省の中の食品に関する行政も、危害の防止もあれば、あるいは食品栄養を担当している栄養の増進という見地もある。また広く食べものに関係する一般の衛生という点もあるというんで、これは厚生省の中にありますが、しかしいま申し上げましたような関係から所管の課が違っているという面もあると思いますが、これらの点はできるだけ一つの課、一つの局にまとめることのできるものはさようにいたしたいと存じますが、それが不可能な場合におきましては、統一的な見地からやってまいるというように実施をいたしてまいりたいと、かように思っておりますので、ひとつこの上ともそういう面からいろいろお気づきの点は御注意をいただきまして、改めるのにやぶさかでない、かように思っております。
#21
○石本茂君 いろいろ諸般の情勢、今後もいろいろなことがあろうと思いますけれども、この食品問題は健康の阻害だけじゃなく、疾病の誘因につながってきておりますので、特段の御配慮をお願いしたいと思っています。
 そこで、もう一点お伺いしたいんですが、この食品の添加物とか、あるいはこの食品に残留いたします農薬の毒性についてでございますが、このことが非常にいま国民の多くの者が不安に思っていることでございますし、そういう意味から食品の添加物の再点検でございますとか、あるいはまた、この残留農薬の規制状況などにつきましてこの際に一応御説明をいただきたいと思います。
#22
○政府委員(浦田純一君) まず、食品添加物の再検討でございますが、これは昭和三十七年から実はプログラムに従って再検討を進めております。その結果、現在までに三十六品目の指定を削除いたしております。それで現在三百四十種の添加物が指定されていることになりますが、現在のこの添加物につきましては、安全性については問題となるものはないと言えると思います。しかしながら、なおやはり入念に、細心に学問的な水準に基づきまして、この安全性の再検討については、いささかでも疑いのあるものは排除していくという作業は続けていくという方針でございます。また、これに加えまして、安全な添加物であっても必要性の少ないというものについては、その使用を漸次規制を行なってきております。
 第二点の残留農薬でございますが、これにつきましては昭和三十九年度から主要農作物を対象にして実態調査を行なってきております。その調査の結果、米、キュウリ、トマトなど、二十五食品に対しまして、BHC、DDT、パラチオン等十二農薬の残留基準が設定されております。なお、昭和四十八年度までにさらに五十二食品、二十八農薬について基準を作成することを目標にして現在計画的に作業を進めているという段階でございます。
#23
○石本茂君 そこで、重ねてもう一つお伺いしますが、今度は改正法案の中で、標示制度の、何といいますか、改善を行なうというようになっておりますが、その内容につきましてお伺いできたらと思うのですが、お願いいたします。
#24
○政府委員(信澤清君) 現行法で標示という規定は、実は標示の定義がきまっておりまして、食品そのものに標示をするか、あるいはその食品の容器、包装に標示をするかと、こういうことになっておるわけでございます。その他標示事項をきめますことは、現在でもそのような規定がございますが、それで実際の標示の実態、それからまた食品が販売されている実情等を見ますと、必ずしも全部が容器包装に入ったまま売られているという、こういう実情にはないわけでございまして、たとえば、先生御承知のように、ハムなどはスライスをして店頭で販売をしておると、こういうことになっておるわけです。その場合、まあ包装されたままで一本買いますれば、当然標示がございますが、そういったバラ売りと申しまするか、店頭販売等いたしておりまする場合には標示の規定が働いておりません。したがって、製造業者がだれであるか、あるいは原材料として肉をどういうものを使っておるとか、あるいは製造年月日がいつであるかと、消費者として当然知りたいというような事項について法律的に規制が実は及ばないようになっておるわけでございまして、したがいまして、今回標示の規定と申しまするか、定義を削除することによって、いま申し上げましたような問題に対応できるように、できるだけ幅広く、表示によって消費者の皆さんに食品の姿を知っていただくような、そういう改正をやりたいというのが第一でございます。先ほども先生ちょっとお話ございましたように、現在の虚偽あるいはその他の標示についての規定があいまいでございますので、幸い、消費者保護基本法の中では虚偽あるいは誇大な表示あるいは広告を規制しろと、こういう御表現もございますので、そういった法律の表現上の整理もいたしております。それから、同時に従来から広告についての取り締まりもございませんので、これをも今回の改正によっていたしたい。以上申し上げたような点が改正の内容でございます。
#25
○石本茂君 大体お伺いしたわけですが、一番やはり最後に気にかかることはこの監視体制のことでございます。これは川野辺委員から具体的に聞かれると思いますが、現状を私ども、とてもよく知っておりましたりするものですから、ほんとうに法律がよくなりましても、われわれ消費者の側におりますものが安心していけるだろうかという危惧の念を持っておるわけですが、いまお伺いしておりますと、添加物のことにつきましてもあるいはまた今後残留する農薬等の問題にいたしましても、かなり安心して、現在の食品を日々の食膳の中に信頼しながらわれわれ摂取しているのじゃないかと思います。そういう意味におきましてもぜひ私はこの監視体制の強化と同時にやはり消費者への指導体制と申しますか、そういうものをも強化していただきまして、国民が安心して日々の食品を消化していけるような条件をどうしてもこの法律改正と同時に打ち出していただきたいことをお願いいたしまして、一応私の質問を終わります。
 あとは川野辺委員のほうから私の抜けておりますところをお伺いすることになります。どうもありがとうございました。
#26
○川野辺静君 このたびこの改正法案によりましてたいへんに前向きにいろいろと改正されていくということは、お互いにたいへん喜ばしいことと思います。ただいまも石本委員から言われましたように、実際これを行ないます第一線の部隊といたしましては、何としてもこれは監視員だと思うのですけれども、現在一億余の国民が毎日二度あるいはそれ以上食べる食品について、それを実際に監視する人といえばこれは四十五年度の総計ですが、それによりますと、五千四百九十五人ぐらいしかないということを伺うにあたりましても、たいへん案じられるところでございますけれども、まあそういった実際にできました法をさらによく運用するのには、その監視員の充実、また、いろいろの指定機関なども整備されるのにあたりましても専門の技術員などが必要になると思うのですけれども、そういったものの具体的な対策というものをひとつ伺わしていただきたいと思うわけでございます。
#27
○政府委員(浦田純一君) 御指摘のように、法律をやはり的確に施行するには、監視ということが非常に重要な柱でございます。食品衛生監視員は現在、昭和四十五年度末でもって五千四百九十五名という数字にのぼっておりますが、そのうち専任としては一千二百五十二名という数字でございます。これは現在、地方公務員といたしまして、いわゆる交付税の中身でもってこの経費が見られるわけでございますが、毎年その増員にはつとめてきておるところでございまして、たとえば、この三ヵ年間、昭和四十五年におきましては標準団体におきまして食品衛生監視員は四十七名でございます。それが逐次増員されまして、四十六年では五十七人、四十七年の予定といたしましては六十二人というふうに拡充はされてきているところでございます。
 それから、輸入食品についてでございますが、これにつきましても四十六年度の職員は三十二名でございますが、これを四十名にふやしていただくということを要求中でございます。また、予算といたしましても、四十六年度は、この関係が一千二百十万円余りでございますが、四十七年度におきましては二千四百九十七万円余りと前年度の約二倍という形でもって拡充をはかってまいる所存でございます。
 なお、今度の食品衛生法案の中で、いわゆる営業者側のほうにいろいろと食品衛生法上守っていただく事項というものを新たにきめまして、そちらの側からの体制も整えていくということで、一そう取り締まり、監視の実があるということも考えておるところでございます。
#28
○川野辺静君 お考えを伺いましていささか安心はしたんですけれど、さらにさらにこれは積極的にお考えいただきたいと思います。
 たまたま先ごろ神奈川の保健所、また港の検疫所などを視察する機会を得たわけでございますけれど、まことに涙ぐましいくらいの係官の皆さんの活躍ぶりなんですけれど、これは何としてもこの指導員、技術員というものをしっかり充実していかなければ目的は達せられないんだなということをつくづく感じたわけでございます。それと同時に、せっかく検疫所の建物などもたいへんによくできているんですけれど、その内部の設備というものが整わないために、その中で働く人が、設備がよければあるいは人間が少なくてもこれを補うということができるんですけれど、その設備もなかなか思うようでないという状態を現実に拝見してまいりましたが、こういったものに対してもひとつどんなお考えを持っていらっしゃいますかお伺いしたいと思うわけでございます。
#29
○政府委員(浦田純一君) ことに食品の監視につきましては、どうしても科学的な裏づけということが必要でございまして、この点の施設あるいは備品の整備ということについても、私どもとしてはやはり重要な問題として取り組んでいきたいと考えております。来年度の予算の中身では、衛生研究所の関係といたしましてやはり原子吸光光度計あるいは農薬分析器といったようなものを食品関係分として購入するように考えております。約二百七十万円が標準団体当たりの単価として要求するように考えております。
 それから、国立衛生試験所その他中央の機関の充実ということも非常に大事なことでございますので、この方面は現在いわゆる行政整理ということで定員の削減が行なわれておりますけれども、特に検査に従事する技術者の方は、この方面については三、四名の増員ということを考えておりまして、おそらくは実現するものというふうに承知しております。
 それからさらに、民間の公正な立場にある試験研究機関というものの活用ということを考えていく必要があるということで、現在それらの中の一つにつきましては、御承知かと思いますが、すでに建設に、準備に入っておるものもございます。ただ、これだけでなくて、既存の民間の有用な施設につきましても御協力を願うように考えていけばよろしいというふうにして、全般的にいままでの検査をさらに充実、拡充するようにつとめてまいりたいと考えております。
#30
○川野辺静君 再び監視員のことにつきまして、おそれ入りますが監視員の資格の中で、政令第四条第一項に基づいて厚生大臣が指定した養成施設というのがございますが、これはどういうものでございましょうか。
#31
○政府委員(浦田純一君) これは、たとえて申しますと北里大学の衛生学科あるいは水産大学あるいは麻布大学でございますとか、日本大学とか、そういったところで食品関係または生物関係の学科を修了された方々がその資格を取れることになっておりまして、現在こういった施設が全国で、学校数で申しまして三十ございます。大体いままでに卒業生も約六千名といった数字がすでに計上されております。
#32
○川野辺静君 実は先ごろ港の検疫所を視察したときのことでございます。輸入食品がこれからますますふえるわけでございますが、その冷凍、冷蔵室、そしてまた、貯蔵庫などを拝見したわけでございます。私ども冷凍室、冷蔵室に入るときには防寒具を拝借して、着まして入ったんですけれども、なおかつ、非常にからだに急な温度の変化を強く感じたのでございます。私は、そのとき思ったんですけれども、こういうところで働く人の肉体に及ぼす健康というものはこれは長い間にはたいへんなことだなということを感じました。その中で仕事をするということはなかなかたいへんだということを感じたのです。また、落花生などの貯蔵庫に参りましたときには、南京袋に入りました落花生をうず高く天井まで、山のように積んでございます。その中からいろいろの検査をするわけなんです。万一これが落ちたりすれば、――それに飛び上がって身軽にいろいろやっておりますが、しかし、もしものこと、これはなきにしもあらずでございます。そんなことがもし起きましたならばたちまちそこで命の危険すらあると思うわけでありますが、こういうところで働く特別の方々に対しまして、何か職務面の対策というものをお考えになっていらっしゃるでしょうか。そのことを一つ伺いたいと思うわけでございます。これはぜひひとつ厚生大臣からお願いしたいと思うのです。
#33
○政府委員(浦田純一君) 実情を御説明いたします。
 確かに輸入食品の検査は御指摘のとおり、いろいろな危険あるいは健康に有害なと思われる仕事に当たっているわけでございます。現在、これらにつきましては、いわゆる特殊な手当というものは実はございません。しかしながら、食品監視員全体の処遇の問題ともからみまして、確かに食品衛生監視員の確保には私ども苦労もしておりますので、待遇の改善については、今後関係の省庁とも御相談いたしまして十分に考えてまいりたい。人事院あるいは自治省、あるいは大蔵省、そこらあたりとも、実態をよくわかっていただくようにしてまいりたい。現在のところはこれに対しての特別の手当はございません。
#34
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま局長が答えましたとおりなのが現状でございます。確かにおっしゃいますように、冷凍庫に出入りする作業、あるいは落花生等たくさん積み重ねて転落してくる危険のあるという、いわゆる身体的に危険を伴う仕事、これは、私考えまするのに、厚生省の食品検査の職員であるからということではなくて、そういう作業に従事する労働者に対する――労働者と言っちゃ悪いかもしれないが、働く者に対する処遇は、一般の場所で働いている者と同じであっていいかどうか一労働基準法等においてもそういうことは考えるべきではないであろうか、あるいは考えてもうすでに実施しておって、こちらのほうは知らないで見過ごしているかもしれないということでございますので、そういった危険な作業、あるいは身体に衛生上非常な危害を及ぼすおそれのある作業に従事している者への手当は普通のものでいいかどうかということを、労働省のそれらの専門のところともよく話をいたしまして、少なくともそれに見合う程度のものは公務員といえどもつけなければならないと、かような考え方でさっそく検討をいたさせます。
#35
○川野辺静君 それからもう一つだけお願いいたします。
 たいへん心強いおことばをいただきまして、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、食品公害ということばが最近、もう毎日口に出されているわけでございますけれども、その食品公害、それはやっぱり環境汚染からというわけでございますが、その環境汚染は何といっても、現在では例のPCBが大きく影響しているわけでございますけれども、そのPCBも特に最近これはもう東京都にしても人体の中に、あるいは大阪で母乳の中に、あるいは静岡県などでもサクラエビとか、そういう由比一蒲原あたりのサクラエビもすっかりそれに汚染されている。次々、毎日もう枚挙にいとまがないほどPCBの問題が何されております。これに対しまして、いろいろ厚生省でも対策をおやりいただいていることは承知しておりますけれども、これに対する対策、そしてまた、このPCBの毒性等につきましてちょっとお考えを伺いたいと思うわけでございます。
#36
○国務大臣(斎藤昇君) PCB問題は最近非常な大きな問題としてクローズアップしてまいりました。ところが残念なことに、わが国においても、外国におきましてもこのPCBがどうして人体の中に入ってくるかというこの機構がまだ十分解明されておらぬわけであります。まず、これを解明することが大事だと、かように考えますが、一番根本の問題は、PCBを使う、そういった品物を今後、もうつくらせないと、最小限度のものにする。これは通産省でその方途を講じておりますが、現に放出されたPCBが今後どういう経路を通って人体にまで入り込んでくるかと、この研究をする必要がありますので、これは環境庁、厚生省または科学技術庁、通産省一緒になってひとつ検討をしようということで検討を始めかけております。また、そうかといって、すでにPCBが、あるいは魚、食品の中にもう入り込んでいる。それから、それをとった人たちの中に入り込んでいるであろう、この想定は、これはおそらく間違いがないであろう、かように思いますので、そこで、これはそういった食品、魚や肉やその他の食品も含めまして、その中にPCBをどの程度含んでおれば危険な食品であるといって排除をしてまいらなければなりません。その基準をさしあたって暫定的にでも早くきめよう、これは外国の文献、その他から見てきめようと、いま食品衛生調査会で検討してもらっておりますが、二ヵ月以内にはとにかく暫定基準を設けて、そうしてその基準を上回る食品は、これは排除をするというようにいたしてまいりたいと、かように考えております。
#37
○田中寿美子君 いまPCBのお話が出たんですけれども、衆議院のほうで連合審査があったようですから、私はPCBについては後にまたもう少し質問したいと思っておりますけれども、まあ、斎藤厚生大臣はよく御存じのことで、PCBというのは、例のカネミ油症のあの原因物質で、そうして、カネミ油症の人たちの問題に関してはずいぶん私も厚生大臣のところに、あの患者と一緒に行ってその対策をお願いした、昭和四十三年からずっとやったのです。あのときにほんとうに、今度食品衛生法の一番の思想になっておりますところの、疑わしきは許可せずというような、その原則を早く適用していたら、いまのような大騒ぎにならなかったであろうということだけを最初に申し上げておいて、あとでもう少しそのカネミのことはお尋ねしたいと思います。
 それで、今度の食品衛生法の改正、これは食品がたいへん汚染されていて、それが日々に増大していく、PCB、BHC、カドミウム、有機水銀、そのほかいろんなものが入ってきて食品を汚染してきておる。そうして人間の健康がもう内部からも外部からも破壊されていく、何とかしなければならないという段階にいまきておると思うのです。
 そこで、さっき石本委員の質問に対する大臣のお答えを伺っておりますと、たいへん厚生行政の中で食品行政の比重が軽いんですが、これは厚生大臣だけじゃなくて、日本の行政全体の中での即応のしかたが、今日のように食品が汚染されてきておるのに、食品行政にもっともっと力を入れなければならないという、その対応のしかたが非常に緩慢なんじゃないかというふうに私思います。ですから、思い切っていま前進させなければならないときだと思うんですが、今回、食品衛生法の一部を改正されたことは一歩前進であると私思いますけれども、厚生省の予算の中で、この社会保障関係費の予算が、四十七年度の予算案に出ておりますものは、昨年度に比べて二二・一%増ですかね、その中で保健衛生関係というのは一三・九、非常に伸び率低いんですね。このこと一つとってみても、食品というのは人間のからだを丈夫にさせる、栄養をとらせ、健康にさせる、こういう種類のものなんで、その立場からの行政の扱い方というものが非常に欠けていたというふうに厚生大臣お思いになりませんでしょうか。
#38
○国務大臣(斎藤昇君) いま御質問の点ではございませんけれども、カネミのときにしっかりやっておれば、いまのPCBは、というお話でございましたが、カネミは申し上げるまでもなく、あれは全くの急性毒性であって、全く毒薬を入れたようなものだ、あんなものが普通の食品の中に入ってこようとは、あの当時はまだ考えておりませんでした。これが食品の中にだんだん入ってきて、しかもそれは慢性毒性としてどういうふうになるであろうかということで、文献によると、そういった研究が、カネミのあの事件が起こった前の年の、昭和四十二年ですか、そのときに、ドイツのある学者がやっとそういうことを言い出したというわけでありまして、その点はカネミのPCBによるあの被害というようなものは、いま言われているPCBの慢性毒性とは入り方が非常に違いますので、その点はひとつ御了承を願いたいと存じますが、なおいま、カネミのあのことがありましたので、ああいったPCBがたくさん体の中に入ったならば、どういうような影響を来たすかどうかということは、これはその後の資料、あるいは後遺症というような研究を今日まで続けておりますが、そういった意味におきまして、あれの毒性が非常に急激に入った場合にどうなるか、慢性毒性が非常に体内にも蓄積されたらどうなるかということの判断にこれは大きく役立つであろうと、かように考えております。
 なお、食品衛生の強化をしなければならないという点は、御指摘のように、ここ数年来非常な御意見がございまして、食品衛生法の改正も、早くやりたい、やりたいと、私が前の厚生大臣のときにもいろいろと督励をいたしたのでございますが、その後、検討を進めて、やっとこの程度ができたということで、その緩慢さをおしかりを受けましても、これは私はやむを得ないと、謙虚におしかりはお受けをいたしまして、さらに勉強してまいりたいと、かように考えます。
 なお、ことしの食品衛生関係の予算の伸びは、昨年に比べて三〇%増でありますから、厚生省全体の予算の伸びは二三%であったと思っておりますが、それから社会福祉関係の予算は三六・七%であったと思いますが、食品衛生は三〇%でありますので、厚生省全体の予算の伸びの二三%に比べますと、まあ幾らかふえているというわけでございます。しかし、これをもって足りるとは考えておりません。先ほどからお話がありました監視員の問題、その他の問題につきましても、今後さらに予算の増額に努力をいたしたいと、かように思います。
#39
○田中寿美子君 大臣、私の申し上げている点、少し説明も不十分だったかもしれませんけれども、観点がちょっと違うわけです。四十三年のあのカネミ油にPCBが入って、カネミ油症が起こったという事実で、PCBがいかに毒性のあるものかということはよくわかったわけですね。そこで、急性毒性だけじゃなくて、こういうものは慢性的に毒性があるということもわかるわけですから、ほとんど人体実験をしたようなものですね。だから、あのときにすぐにヒントを得てPCBというものがあらゆる食品の中に入ってきたらどうなるだろうか、あるいは環境の中に入っているかということについて気がついていたら、今日ほどひどく蓄積してしまうことはなかっただろうという意味です。ですから、そういう意味でPCB対策は、あのカネミ油症という非常にお気の毒な犠牲者の上で、もっと早く気がつくはずのものであった、そういう点では、すべて食品に関する行政がおくれていはしないかという意味でございます。
 それから、さっきの予算のことですけれども、私が申し上げているのは――食品衛生行政のおくれをとがめたんじゃなくて、いま非常に食品行政というものは大事だから、単に私は衛生だけの意味じゃないんです、食品全般にわたって、最初に申し上げましたように、食品というのは人間の健康をさらに進めていくようなものでなければならない。そうすると、単に危害を防止するとか、それからさっき公衆衛生の増進、向上ということが出ていましたけれども、公衆衛生の向上と増進だけじゃなくて、私は保健の強化といいますか、健康の保護、向上ということがあると思いますが、すべてを含めた食品行政というものがいま必要な時期に来ているんではないかということを申し上げたのです。
 それから予算のことは、私は保健衛生費というところで申し上げたんで、予算総額で見ると社会保障関係費というのは二二・一%増、これは私の見た資料ですけれども、その中で保健衛生費というものが一三・九%の増となっているのですね。食品衛生というのはどこに入っているか――その中に入っている一部分じゃないんでしょうか。それで、食品衛生そのものが三〇%ふえても、食品衛生行政というのは実に貧弱な体制でございますね、三課でたった三十人しかいない。それで三〇%ふえたって、ほんとうに私は足りないと思う。さっきからお二人がおっしゃいましたように、食品衛生監視員だって全然数は不十分でございますし、保健所の中に一人ずつぐらい置かれている食品衛生監視員だって、とても今日の飲食店――百六十万もありますね、そういうところの監視をすることはやり切れない、こういうことから考えて、総合的に見て食品行政というような考え方をお持ちになるべきではないかということを言うつもりだったんですが。
#40
○国務大臣(斎藤昇君) カネミの油症事件とPCB、私は言い争うつもりはございませんが、あのときに、いまのPCBにまで気づいておったらと。おっしゃいますように、いまになってみるとさようにも思いますが、あれは御承知のように、熱媒体に使うものがもろに食品の中に入ってきた、そういうようなことを将来ないようにしようというので、食品関係には、それに混入するおそれのあるようなそういう製造方法をしては相ならぬということにいたしまして、もろにPCBが食品の中に入ってくるというようなことはそういうことで防げる。しかしながら、自然のうちに、知らない間に、あるいはプランクトンを通し、魚を通し人体に入ってくる、あるいは食物から肉の中に入ってきてそれが人体に入ってくるというような機序といいますか、過程というものは当時ほとんどだれも気づかなかったということ、これは責められてもしようがありませんが、まあそういう状況であったということを申し上げたわけであります。
 それから、いまの数字の点は、間違うといけませんから政府委員から答弁をさせますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、監視員の制度、数にいたしましてもこれで決して十分と思っておりません。保健所の職員を増すということも必要なことであります。これは地方庁とも連絡をとり、それに備えるだけの予算の補助費をとりまして、そしてできるだけ強化をはかっていくようにつとめたい、かように申し上げたいと思います。
#41
○政府委員(信澤清君) 予算の点について申し上げますが、先生おっしゃいましたように、厚生省関係予算のうち、いわゆる社会保障関係費は、お話のように、二二・一%の増でございます。この中で、――この中と申しますか、これに対しまして保健衛生対策費というのがございます。実は、この保健衛生費の中には、環境衛生局が所管いたしております廃棄物の処理とか水道の問題とかがございますが、実は、そういうものは入っておりません。いわば公衆衛生局、医務局の環境衛生費の一部と、こう考えていただいたらよろしいかと思いますが、これの伸びは、御指摘のように一三%強でございます。
#42
○田中寿美子君 大臣、私がだんだんにお話ししようと思っていたのを、先にPCBの話に入っちゃったもんですから、少しおのみ込みにくかったかと思いますけれども、私は、食品衛生法というのを改正されたことは一歩前進だけれども、本来、食品に関する法律というのは、さっき、そちらでもおっしゃいましたように、統一食品法、つまり単に衛生面だけじゃない、さらに健康を増進させていく、栄養も十分とらせていくという積極面をも含んだ、それから標示のほうもあるいは農林物資規格なんかも含んだ統一的な行政であってほしい。今日、人間を中心にして考えますと、人間の口に入ってくる食物が安全であるだけでなくって、さらにそれがいい作用をして、人間の健康を増していく、こういうようなものにするべきではないか。そういう観点から考えると、衛生面だけじゃない、いろんな面を含んだ、もっと総合的な法律にするべきだという考えを持っているわけなんです。そういう考え方からするなら、非常に、今日の、まだ厚生省の食品衛生関係だけで取っている予算というものも少ないし、対応行政も不十分だと、こう考えているわけで、いまのように、食品が汚染され、心配になってきているときには、大臣は大きな決意を持って、さらに、この食品衛生法の改正だけにとどまらず、もっと、統一食品法に向かって進むべきではないかという意味なんです。
#43
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、趣旨といたしましても、私は大賛成であり、国民の健康を守り、増進をするという職責を一番に持っている厚生省が中心になってその点を考えていかなければならぬと、かように思います。
 そこで、そうかといって、食品法というもので、いまおっしゃいましたようなものを全部カバーをしようとした場合に、それじゃ、食品法の中に何を入れるかということになると、なかなか、ちょっと惑うわけであります。大きく申しますると、農林省のやっている農林行政はほとんど全部食品行政――国民の栄養に役立つような農産物をつくってもらいたい、あるいは乳肉品をつくってもらいたい、あるいはそれには汚染のないようなものにしてもらいたい、こういうわけで、大きく言うと、すべて食品の生産から、加工から、販売から一切ということになりまするし、さらに精神面から言えば、ただ口に入れるというだけでなくって、愉快な気持ちで、食べた食品が全部栄養に向かうような、そういう指導も、そういうような環境をつくることも必要であろうと、かように思います。仕事に追われて、何といいますか、皆ノイローゼになるような形のもとにおいて、一体、食品を口にほうり込んだからといって、すべてそれがいいかというと、そうではないというわけで、そういうことを考えますと、一般の、われわれの生活環境というものをよくしてまいらなければならないし、また、われわれの所得という面から考えても、所得に十分ゆとりがある、そうして生活がゆっくりしているという気持ちでないと、私は食べたものも十分な役割りを果たさない。こう考えますと、非常に広い範囲になってまいります。しかしながら、それらを一本の食品法にまとめるかというと、食品の栄養指導ということもありますから、これは栄養改善法と二本になっておりますから、この栄養改善法と食品衛生法を一本にしたらどうか、これは、やって可能かと思います。
 そこで、おっしゃいますように、とにかく食品衛生法の中にこれも入れろ、あれも入れたらいいというものがございましたら、私のほうも、それは入れるにやぶさかではございません。先ほども申し上げたとおりでありますが、そういうわけで、具体的に何を入れるかということになると、今度は、標示についての指導あるいは取り締まりの面も広くするように標示の範囲を広めたというようなことで、これに計量が入っておりませんが、それは先ほど申し上げたようなわけでございますので、したがって、われわれの仕事をやる気持ち、それから関係各庁、関係のところに呼びかけ、それと連絡をとり、食品全体の、ただいまおっしゃいますような方向にまいるような努力は、これはいたさなければならない。要望があれば、そういった連絡会議というようなものを持ってやってまいる必要がある、かように考えております。
#44
○田中寿美子君 さっき消費者保護会議でも行政の一元化とその統一食品法に向かっての努力をするべきだという考え方の申し合わせがあったという御報告がありまして、それは私も存じておりますけれども、経済企画庁が中心になって、農林省、厚生省、公正取引委員会、関係する通産の一部が一緒になって、統一食品法に向かっての調整あるいは研究をしていらっしゃるはずでございますし、
  〔委員長退席、理事鹿島俊雄君着席〕
行政に関しても、かって厚生省の食品部という構想を出され、私どもは食品部じゃなくて、食品局――せめて食品に関する厚生省の中の機構は一緒にしたらというようなことを提案したこともあるわけですから、厚生大臣は、こういう問題に関して、ほんとうにイニシアチブをとって進める決意を出していただきたいと思ったわけでございます。
 で、今回の食品衛生法の改正案というのは、四十三年の消費者保護基本法制定のときに、衆参両院で附帯決議がつきましたですね。附帯決議に従っている部分が相当ある。参議院のほうの附帯決議のおもなポイントを申し上げますと、第一に、食品の成分規格を明確にすること。第二に、特殊栄養食品の標示制度を改善して食品衛生法において規定することを検討すること。――つまり、例の人形マークの食品ですね。それから、第三に、人工甘味料、着色料、漂白剤等の食品添加物、残留農薬及び洗剤等について、その毒性の研究を促進し、許可品目の再点検、規制の強化をはかる。それから、第四に、表示の問題で、食品衛生法、栄養改善法、農林物資規格法、不当景品類及び不当表示防止法を通じて食品の表示が、諸外国よりずっとおくれているから、ちゃんとせよというようなことが附帯決議についていたわけでございますね。そのうちの、この附帯決議に沿って努力をされたという点は、私は、今度の改正法案の中に評価したいと思います。
 で、私ども、ちょうど昭和四十四年の十二月に、六十二国会に、食品規制法案をつくって提案いたしました。で、それは審議未了になりましたけれども、その当時、私はこの規制法案の発議者の一人でございましたが、今回の改正法案は、部分的に私たちの考え方を取り入れて、内容に入っております。その辺は一歩前進だというふうに思います。
  〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕
 当時、例のチクロの騒ぎがありました。それから、牛乳の質についての騒ぎがあった。それから、さっき言ったうそつき食品ですね、牛かん――牛肉のかん詰めの話。そういうことで非常に騒がれて、食品の内容が粗悪になっている、そういうようなことから、私たちは食品規制法案を出した。で、まだ、私たちの案の中から取り入れられていない分もたくさんありますけれども、私たちは食品規制法というのが目的じゃなかったわけです。理想はやっぱり統一食品法だったわけです。私たちがそういうことを提案したのは、その当時食品総点検運動をしまして、その結果、幾つかの原則を立ててやった。それでですね、その原則というのは、消費者には知る権利がある。それから消費者は食品の危害から守られる権利がある。それから第三に、悪貨が良貨を駆逐している食品業界の姿勢を正すこと。第四には、政府には知らせる義務がある。第五に、よりよい品をより安く。たいへん物価値上がりのときでございましたので、値段を下げて質を粗悪にするということが非常に食品界にあった。それから第一番の大原則である、疑わしきは許可せず、この原則を立てて食品規制法案をつくったわけでございます。ですから、理想は食品法であって、さっき申しました食品に関係するいろいろな法律をできるだけここにまとめて、どうしても入らないものはやむを得ないとしても、統一食品法をつくりたいということだったのであります。食品というのは単に安全を維持するということでなくて、さらに健康の増進のためになくてはならない、積極性をもつと取り入れられなければならない、そういうことなんでございますが、このような理想的な統一食品法をつくろうとしましたら、これは法制局の段階でたいへん無理だということになりました。というのは現行の行政機関の状況では、それはたいへん無理なわけです。農林省、厚生省、通産省、公取、経企庁と、それぞれ違った行政機関が関係しているわけなのです。それでやむを得ずまあ食品規制法という形で出したものでございます。ですから、決して規制するとか、衛生の面だけを考えることが理想じゃないということを私ははっきりと申し上げたかったわけです。で、あなた方今度のこの食品衛生法の改正案ですね、これは食品問題等懇談会の建議と申しましょうか、意見、報告、その報告にも幾つか指摘されている点に沿ったり沿わなかったりしているわけですね。沿わない分というのはさっきのやはり山田精一会長が縦割り行政の弊害を指摘して統一食品法の方向に向かっていくことが望ましいと、こういうことを指摘しているわけですね。ですから、その辺は、私は何回も繰り返すようになりますけれども、最初の出だしがちょっと厚生大臣とペースが合わなかったのですが、厚生大臣はそういう意味では食品行政の一番の主管の大臣でいらっしゃいますので、そういう方向に向かっていくという決意をお聞きしたいわけなのですが、いかがでしょうか。
#45
○国務大臣(斎藤昇君) 決意は先ほど私が述べたとおりであります。まあ、御承知のようにだいぶ前のときでありますが、たとえば魚の養殖のえさに人工たん白を使ってこれをやるという、どうも農林省がやりそうである。そうして、企業ももうすでに相当準備をしたということでありましたが、しかし、そういう化学合成のたん白、これは御承知のように石油をもとにして材料をつくっているわけでありますが、なるほど、それでウナギや養殖の魚はふとるのですけれども、それを食べた人間がどうなるか。そこがきまりますまではそんなものを養殖のあれとして、そんなものを販売使用さしたのでは困るというので、とめて、いまだに研究をしているわけであります。それが魚の中にどう蓄積をされて、人体に及ぼす影響がないかどうかという、あれは農林省の事柄であって、まだ食品というところに危害が出てくるというわけじゃありませんが、よその所管であっても、将来人の口に入るものに関係をするものについては私は、農薬も事前にもっと早くこういうことをやって、あんなことは農林省がDDTを使ったりなんかしたときにもっと早く手を打っておったらよかったろうと思っておるのでありますが、これがおくれてしまったわけでありますから、これから新しい農薬をつくる場合には、それが食品を通じてどういうあれがあるかということが検討されるまでは、新しい農薬はやめてもらいたいということで、農薬をつくり、使用を許可する際には、厚生省がうんと言わなければだめだぞというようにやっているわけであります。そこで、食品統一法も、それはできれば私はありがたいと思うのでありますが、先般おっしゃいますように、経済企画庁が中心になり、関係各省がいろいろやってみたことも事実であります。私は、これは関係各省の所管争いといいますか、おれのところで持っているものを取られては困るというような点からできなくなったのではなくして、合理的に統一法をつくることは非常にむずかしいということで、まだその実現を見ないということであります。食品衛生法の中にこれとこれを入れるなら合理的じゃないかというものをお示しいただいて、――というのはちょっとおこがましいのでありますが、私のほうも検討いたしますが、お気づきの点があったら教えていただいて鞭韃をしていただきたい。私のほうで腹にはまったらどこまでも突進してそういう方向に持ってまいります。
#46
○田中寿美子君 食品規制法作成のときにおける縦割り行政の弊害みたいなものはたいへん、私もよくわかります。そういう意味ではなかなか困難なようですけれども、そして、何もかもみんな一緒にしろというわけではありませんので、その辺は今後さらに二歩前進していくようにしていただきたいと思います。それにしても、私は、食品問題を取り扱う行政官庁の機関が三つしかない、三十人という、たいへん貧弱な気がいたします。部だとか局だとかいうあれがあるわけですから、農林省も最近流通局なんというふうに、農政局をやめて流通局にしたり、ほうぼうで時代に即応した行政改革をしているわけですから、厚生省の場合も食品行政にもっとうんと力を入れてほしいということをもう一度申し上げておきます。
 それから、この法律の目的のところの「公衆衛生の向上及び増進」という、これは、私ははっきりと、どういうふうな意味になるかということをお聞きしたいのですけれどもね。「公衆衛生の向上」というのはどういうことですか。国民の健康の増進とか向上とは違うのですか。
#47
○政府委員(信澤清君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、「公衆衛生の向上及び増進」と申しますのは、憲法二十五条にこのことばを使っているわけでございます。したがいまして、先生いまいろいろおっしゃっておられます、国民の健康の保護あるいは健康の増進ということはこの「公衆衛生の向上及び増進」の中に当然入るものだと、このように私ども考えております。
#48
○田中寿美子君 一ぺんよくそれは検討してみていただきたいのでございますけれども、国民一人一人の健康を維持し、保護し、そうして増進させるということと「公衆衛生」、いつも社会的な単位でものを考えるのかどうかという面があると思うのですがね。その辺を私どもは目的を「健康の保護」、「危害の発生の防止その他国民の健康の保護のため」と、これは「健康の増進」にしようと思ったのですけれども、法制局が「保護」のほうがいいということで「保護」にしたのですけれども、「国民の健康」ということを入れてはいけないのかどうか、どういうことになりますでしょうか。
#49
○政府委員(信澤清君) 先ほど先生からお話ございましたように、四十四年に社会党から食品規制法案が出されておりますことは十分承知しておりまして、したがって、私どもも今回改正いたしますにつきましては、でき得る限りその御趣旨に沿うように今回の改正の中に取り入れたつもりでございます。決してつまみ食いをいたしたという気持ちはございません。そこで、やはり先ほど石本先生に御答弁申し上げましたように、従来私どもの姿勢が、食品衛生法の目的が単なる危害防止であるということをこの委員会でも政府委員が答弁しておるような経緯もございます。したがって、先ほど申し上げましたように一条は読むべきであるが、何とかこの際、いま先生おっしゃったような方向で法律の表現の上でその趣旨をあらわすような改正をいたすべきではなかろうかということで、内閣法制局ともいろいろ相談をいたしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、「公衆衛生の向上及び増進」ということの中には当然先生おっしゃいますような、「国民の健康の保護」というものが入るべきではないか、こういうようなことでもございまするし、それから一般的に公衆衛生と申しますと、従来の概念から、まあ私が申し上げますのはいかがかと思いますが、やや先生お話のように、社会的な集団として相手をとらえて、これについていろいろ指導するというようなことが中心であったように思います。しかし、だんだん私どもの行政も個人個人をとらえて、まあいわば対人行政と申しますか、そういう面に目を向けるべきだと、こういう意見もあるわけでございまして、現にそういうような転換をいたしつつあるわけでございます。そういう意味で公衆衛生ということばの定義というものは固定的に考えるべきではないので、いまお話申し上げましたような理解を含めて考えていくべきであろう、こういう提案でございます。
#50
○田中寿美子君 それで食品問題等懇談会の答申の中でもう一つ黙殺されている部分があります。それは食品事故の場合の被害者救済のことなんですね。私はこの辺が非常に重大なところだと思うので、なぜここに入らなかったかということを伺いたいのです。また斎藤厚生大臣とカネミの問題で言い合いをしなければならないのですが、食品が汚染してきたのは高度の産業化の中で、食品添加物なんというのは昭和四十年ごろまではもうほったらかしで、はんらんしてしまったわけです、化学合成品。それでまた産業の発達の中で、水が汚染される、空気が汚染される、微量金属が入ってくる。それで水俣病やイタイイタイ病が起こってくる。カネミ油症は、さっきおっしゃったように、PCBが、油の臭気を脱臭するために、熱を高度に出すからというので油の中に通した管だったわけですね。その管のあれに穴があいてPCBが中に出てきた。それで油が有毒になったわけですが、このカネミ油症の問題にしても、砒素ミルクの中毒症の問題にしても、食品による被害の救済制度ができていれば、こんなに長引くこともなかっただろう、被害者も苦しまなくて済んだだろう。懇談会の報告では、人間を最優先する立場に立って、食品営業に起因した食品事故が起こった場合は、まず被害者が救済されなければいけないという考え方に立っておりますね。で、被害者が広範囲にわたり、原因がすぐには判明せず、比較的長期の治療を要する場合の措置として、第一番目に、原因究明や治療方法の確立に必要な研究費の確保、第二に、加害原因者によって賠償がなされるまでのとりあえずの措置として、公害における被害者救済措置と同等の公費による救済制度を考慮すべきこと。第三に、さらに食品事故の場合、一般に最終責任が企業に帰すべきものであることにかんがみ、その賠償能力を担保するため、損害保険制度の強化等が望まれるというようなことが書いてございますね。厚生大臣この提案をどうお考えになりますか。
#51
○国務大臣(斎藤昇君) その点は非常にまあむずかしい点でございまして、よりよい実施をしようと考えますけれども、おっしゃいますように食品から起こった損害の賠償をどうするかという、これは民法の規定で、カネミもいまそれでやっているわけでありますが、そういうものが片づくまでに被害を受けた人が困っておる、これを暫定的にどう救済するか。私はやっぱりこれは公害に準ずるようなやり方をやって、そうして原因者がきまれば原因者に求償をするというやり方が一般的に考えていいのじゃないだろうかという気がいたしております。で、原因者がはっきりしないという場合はやむを得ない、これは公費で負担すべきではなかろうか。これは食品からの公害ではありませんが、先般のスモンなんかに対する救済もそういう考え方でやりたい。これを一つの突破口にして、国会が済めば急速に大蔵省とかけ合って、その措置を考える、要すれば将来そういったようなものに対する立法のとりでをつくりたい。実は私は、カネミの場合にもそういうことを考えたらどうであろうかということを、大臣は私一年しかおりませんでしたけれども、あの際に、そういうサゼスチョンといいますか、考え方を検討しないかということを、省内だけでなしに、関係各議員の方にも私は、カネミ関係の非常に熱心な議員が与野党ともにいらっしゃいますから申し上げたわけでありますが、それがそのままになってしまって、まあ今日ではカネミがどうやら治療費あるいは交通費その他を払っている。残っているのは後遺症の問題、治療方法の問題であるというようなことが主になっておりますので、これはそのままになっておりますが、ああいうものが起こった場合には、速急にそういう手の打てるようなやり方が、制度が私は必要であろう。これは食品だけではございません。私のほうであれば薬の問題もあります。その他の問題もあるだろう。一般の公害からくるものとそれに準じたような扱いが望ましいのじゃないだろうか。これは私は、いまの田中委員のお考えに同感でございます。
 それから、そういった損害を補償しなければならないいわゆる企業者、営業者、その損害を何か保険をするようなことはどうであろうかということでございますが、私はこういう仕事をやるについて、そういう損害が必ず起こるということを前提にした保険というようなものは考え方自身が私は賛成できないのであります。そういうようなことを起こさないと、起こしたらうちの身代限りでやる。会社がつぶれてしまうというくらいまでやってもらわぬと、損害が起こっても損害補償があるからいいわというような安易な考え方になられると困るし、この点は私は厚生省の考え方としてはどうであろうか、かように思います。
#52
○田中寿美子君 いま、スモンとかカネミなんかに公害に準じて救済の措置をとるべきだと、その法案も考えたいというふうにお話があったと思います。
 で、斎藤厚生大臣、この前、厚生大臣をしていらっしゃったときに、カネミの患者と一緒に伺ったときもそういうふうにおっしゃいました。カネミ油症の患者は準公害として救済したいというこうにあのときもおっしゃいましたので、お考えは変わっていないと思うのですね。それで食品から起こった事故でそういう被害を受けた者に対する救済の措置というものは、私やっぱりちゃんとしておかなければいけないと思うのですが、いまの大臣のお話ですと、たとえばスモンそれからカネミとか、まあケース・バイ・ケースで独立の立法をしようというふうなお考えでございましょうか。それから食品衛生法の中に入れること自体も私はこれはあるいは無理かもしれない、別のところでそういう救済制度を設けてもいいと思いますけれども、その辺はどんなふうにお考えですか。
#53
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、これは別の形態だと思います。いまおっしゃいますようなこれは別の形態の法律にして、そうしてケース・バイ・ケースに法律を出すのでなくて、そこに一定の何というか、抽象的な言いあらわし方になるかもしれませんが、そういうものはときどき政令なり何なりで追加をしていけるというようにすればいいのじゃないだろうか、やはりその事件をつかまえてというのは、政令かなんかに入れませんと、ただ、抽象的な言い方だけで、どういう程度のものに適用するかという点はちょっとむずかしいのじゃないだろうか、これは法案の際によく検討いたしたいと考えます。
#54
○田中寿美子君 これはひとつ研究していただきたいんですけれども、ケース・バイ・ケースなんて言っているとなかなか救われない、時間がかかっているのですね、これまでのところ。一昨年の暮れの公害国会のときに、六十四国会の連合審査のときに、無過失賠償責任制のことを私が議論しておりましたときに、当時の山中公害担当長官が毒物や劇物、薬物などに無過失賠償責任制を取り入れることを検討している。それでカネミ油症なんかも公害としてとらえて無過失賠償責任の対象にできるのではないかと考えているというふうな御答弁がありました。私はカネミは無過失じゃなくて、はっきりと過失はしているというふうには思いますけれども、それでもあの場合もなかなか原因の因果関係の立証ができなくて訴訟になっちゃって、ちゃんとした補償になっていないわけですね。ですから、そういう意味でやっぱり全体として食品から危害を受けた被害者の救済を考えておくということが必要ではないかと思いますが、重ねてお伺いします。
#55
○国務大臣(斎藤昇君) この点は、私はさらに検討さしていただきたいと、かように結論としては申し上げたいと思います。問題はやはり無過失であるか、過失があったかなかったかということよりも、何が原因であったかという、これが非常にむずかしいわけであります。何が原因であったかということがわかれば、私はほとんど無過失に近いような責任がとれるのじゃないだろうかという感じがいたします。ところが、すでに厚生省が認めていたその添加物から被害が起こった。これはその添加物をつくった会社に全部無過失でも負わせるかどうかという問題になるわけでございますね、食品でありますと。その場合に、具体的にどこでつくった添加物かということになると、ここに非常にむずかしいことになっていくだろうと、かように考えます。そこで、そういうようなものは一般的なものとして、先ほど申し上げました公害に準ずるというような形のものがつくれぬもんだろうかという気がいたしておるわけであります。なお、しかし無過失責任というものを食品のメーカーにまで及ぼすかどうかということは、さらに検討さしていただきます。
#56
○田中寿美子君 私は、過失か無過失かよりも救済が非常に急がれると思います。ですから、そういう意味でやらなければいけないし、さっき大臣が原因を究明してみて、もし、その原因者が企業でなかった場合にはまあしようがない、はっきりわからなかった場合にはしようがない、国が支払っておくよりしようがないというようなことをおっしゃったと思うけれども、私は、たとえばカネミ油の場合は、あれはちゃんと許して売らせていたもの、「子供の発育を助け、若返りの効果、血中のコルステロールを減少させる」といううたい文句ですね、これは国家の責任だと思うのです。あの場合はちゃんとわかっているにもかかわらず、法的に立証できないというようなことで逃げているというような問題があるけれども、そういうような事情がない場合でも、私は、ことに食品に関しては、どこからの原因かということがわからない場合が非常に多いと思うのですよ、これは幾つものものを一緒に食べるから。そういうふうなことがありますので、救済する制度はどうしてもせっかくこの食品問題等懇談会の会長さんの御報告、建議の中にそういうことがございますので、検討していただきたいと思います。そしてカネミのときに科学技術庁の特調費を使って研究なさいましたね、いまPCBがあれだけ問題になっているのですから、特調費を要請して研究をするということをお考えになりませんでしょうか。
#57
○国務大臣(斎藤昇君) PCBは、まあ科学技術庁の特調だけでなしに、科学技術庁の研究費、それから通産省、関係のところの研究費をできるだけたくさん出し合って、総額五億ですか、相当なものを出して、関係庁がやろう、そして、それでも足りなかったら特調のものをつぎ足していこうというので、きのうも参議院の予算委員会で科学技術庁長官もそれには賛成であり、その方向である、こう言っておりましたので、私のほうも足りなければそのほうから引っぱり出したい、かように思います。
#58
○田中寿美子君 それでは改正案の内容に少し入ってお尋ねしたいと思いますが、きょう十分やれない分は、各論はまた後にさせていただきます。
 一番最初に、安全性について疑念のある食品等の規制、こういうことで、これは一番重要なところでございます。食べるものが安全でなければならないということは一番大事なことで、その安全性について疑いのある食品の規制、少し立ち入ってここのところは伺いたいと思うのですが、四条第二号の「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは附着し、又はこれらの疑いがあるもの。」の販売の禁止ですね。この「疑いがあるもの。」というのはどういうふうな判断からなさいますか。どういう状況で……
#59
○政府委員(信澤清君) 最初に私から今回このような改正をいたしました経緯につきまして、法律的な見地から御説明申し上げたいと思います。
 ただいまカネミのお話が出ておりますが、実はカネミの問題の起きましたときに、いろいろ疫学的な調査をやりましたところ、あのカネミライスオイルというものが原因ではなかろうかという結論はかなり早く出たように承知をいたしております。問題は、いま大臣からもお話がございましたし、先生からも御指摘がございましたように、原因物質が何であったかということがわからなかったわけであります。かなりおくれてその原因がPCBであるということがわかったわけでございます。非常に行政の対応のしかたがおそいのではなかったかというおしかりを当時受けたことがございます。私どもはいまお読み上げになりましたように、現行法でも「有毒な、又は有害な物質が含まれ、又は附着しているもの。」、これは当然製造、販売を禁止しておるわけでございますが、今回その疑いがある場合でも、ちょうどいま例として申し上げましたとおり、疫学的調査によって、その原因物質は何であるかわからぬ、しかし何か有害な、有毒なものがあって、それが原因で中毒が起きているというような場合に、その製造販売等を禁止できるようにいたしたいということを前提にしまして、この改正をお願いしているわけでございます。
 なお、その疑いがある場合に、どのような判断をすべきかという点は若干科学的な問題でございますので、局長のほうから答弁いたします。
#60
○政府委員(浦田純一君) 先ほど経過の中でカネミ油症の原因を引き出して御説明したのでございますが、一般的に申しまして、そのように化学的な調査によりまして疑いが持てると客観的に認められるという場合でございます。
 御承知のように、食品衛生監視員につきましては、その資格要件としまして医師あるいは薬剤師、獣医師その他の専門技術を有することとなっております。したがいまして、このような専門の職員によりまして、製造のメカニズムなどはこれは理解される能力は十分あると思いますが、こういった製造メカニズムなどから、この食品は有害のおそれがあるということは化学的に推定ができるものがあるわけでございます。そのものの構造式あるいは物理的、生物学的性状といったようなことから推定がされるということができるわけでございます。こういったような化学的な知識、調査に基づいて疑いがあると、こういう意味でございまして、カネミ油症の場合の例も、ちょっとそれと範囲が多少違いますが、カネミ油症の場合には、原因物質が特定されなかったけれども、カネミ米油がそのいろいろな症状の原因であるということは、疫学的には十分に確かめられておりましたけれども、その原因物質が特定されなかったということでもって食品衛生法の発動がむずかしかったわけでございます。そういったような疫学的な調査というのももちろん化学的調査の中に入るわけでございます。これと、先ほども申しました当然の専門職員による化学的知識から、化学的に疑いが推定できるといったような場合をさしているものでございます。
#61
○田中寿美子君 そうしますと念を押すようですけれども、カネミライスオイルの場合は、あのライスオイルを買った人たちはみんな病気になったので、そのライスオイルの中に何が入っているのかを、その特定物質をきめるまでに至らなくても、ライスオイルを食べた者がみんな病気になった場合にはこれを禁止することができると、こういうふうに解していいですか。
#62
○政府委員(浦田純一君) 今回は、この改正によりましてそのように解していけるということでございます。
#63
○田中寿美子君 中毒事件なんかが起こって、疫学的な検査で疑わしいものが出てきた場合というふうな説明が、こっちの要旨のほうについていたと思うんですけれども、そうした中毒事件みたいなものが起こらなければだめですか。疑わしきものというのはどの辺まで拡大していくことができますか。
#64
○政府委員(信澤清君) 今回、この改正をお願いいたしました直接の動機は、先ほど申し上げたようなカネミの問題等が原因でございますが、御提案申し上げているように、改正されました場合には必ずしも疫学的な調査だけによって判断をするということではないと思います。たとえば、私も十分知識がございませんが、ある製品を調べたところが有害物質があったと、当然それと同じロットナンバーのものは一々調べなくても入っているか、あるいは疑いがあると、こういうことでございますから、そういうような場合にも、この規定を設けますことによって的確な処理ができるのではなかろうか。
 なお先生、御参考までに申し上げますが、今回改正いたしますのは四条の二号でございますが、三号のほうにも同じような趣旨の規定が現にございます。読み上げますと「病原微生物により汚染され、又はその疑があり、」と、こういう規定があるわけで、病原微生物の場合には、現在でもその疑いがある場合にはその食品をとめると、こういうことになっているわけで、まあ、私考えまするに、昔の食中毒というのは病原性のものが多かったんで、今日のように先ほど来いろいろ御議論のありましたような環境汚染の問題等があまり問題にならなかったので、この二号のほうになかったんではなかろうかと、さような意味で今回改正いたしますれば一号、二号、三号合わせまして、疑わしき場合に食品の規制ができるとこのように考えております。
#65
○田中寿美子君 その疑わしきはという場合、たとえば外国の検査機関で食品添加物の中に、たとえばDDTあるいはBHCはもう製造を停止いたしましたけれども、そういうものが有害であるということがわかったと、こういうふうな情報があった場合に、やはりこれもこちらでも疑わしいものというふうに考えていいんじゃないかと思いますがどうでしょうか。
#66
○政府委員(信澤清君) 外国で、十分化学的な試験、検査を行なってそういう結論が出ました場合には、それを参考にして必要な法律的規制措置をとりますことは、先般チクロの問題の際にもそのようにいたしておるわけでございますので、いまお話しのようなことも十分今回の改正によって考えられると、このように考えます。
#67
○田中寿美子君 それから第四条の二のほうの新しい食品ですね、これまで一般に食用に供されることがなかったもの、つまり、先ほどもおっしゃったように、石油たん白のようなものですね。有害の虞があった場合を、健康をそこなうおそれがないもの、支障がないものというふうになっているんですが、この石油たん白の例ですが、石油たん白は有害ではありませんか。有害のおそれがあるんじゃないですか。
#68
○政府委員(信澤清君) 石油たん白につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、さような問題があるであろうということで大臣の御指示もございまして、ただいま食品衛生調査会に特別の部会を設けていただきまして、安全性について検討していただいているわけでございます。ただし、これは人の食品ということではございませんで、いわば家畜の飼料として用いる段階で、大臣の御指示によって、いまそのような措置をとっておるということでございまして、問題は家畜の飼料として安全であるかどうか。またかりに安全であるとしても、家畜がその飼料を食べました場合に、牛乳でございますとか、卵でございますとかあるいは肉を、今度は人間が食べる場合に問題があるかどうか、こういう二段階にわたっての調査をいたしているわけでございます。
#69
○田中寿美子君 そのえさが非常にあぶないというふうに思うわけです。いつか私は、テレビで見たと記憶しておるんですけれども、魚の養殖に石油たん白を使っているというようなところを映しているのを見たんです。もしそういうことがあるとすれば、非常にあぶないじゃないかという気がいたしますので、すでに使われている事実は全然ないのかどうか、試験的にも使っていないかどうかということですね。
#70
○政府委員(浦田純一君) 石油たん白の有害といいますか、安全性の問題でございますが、これは現在、いわゆる長期慢性の毒性ということについていろいろと検討を食品衛生調査会でお願いしている段階でございます。もう近く結論が出ると思います。したがいまして、現在、要するに食品として販売するという目的でなくて、試験的にやっておられるところはこれはいざ知らず、これをいま工業化して広く販売しておるという事実はございません。
 なお、石油たん白の安全性の問題は、これは専門の方の御検討を経なくてはなりませんけれども、私どもは、要するに食物連鎖といいますか、そういったものを通じましてどのようになってくるかということをいわゆるわれわれとしては一〇〇%の安全性というものを確認した上で――たとええさといったようなものに使われるものであっても、工業化してほしい、一般化してほしいということを強く現段階でも要請してるわけでございますが、今回の法改正に伴いまして、それらのこういった手段も一そう法的に根拠を得てやれるようになると、こういうことで、ございます。
#71
○田中寿美子君 そのえさにね。いま動物、家畜のえさにもまだ使っていないというふうに思っていらっしゃるようですが、少し調べてみていただきたいんですが、魚のえさに使っていはしないかどうか。その石油たん白――石油の中にあるベンツピレンというのですか、たいへん有害だというふうに聞いておりますので……。それで私、まだたくさんありますので、これは次回に残しますけれども、化学合成品であるところの食品添加物、それから、それを含む食品の規制ですね。原則として、今後はこれは禁止していくという姿勢ですかどうですか。――新しいものです。
#72
○政府委員(信澤清君) 法律的な問題から先に紹介さしていただきますが、化学的合成品である添加物につきましては、これは原則は禁止でございます。つまり、「人の健康をそこなうおそれがない」と厚生大臣が認めた場合に限って使用、販売を認めると、こういうたてまえになっております。ところで問題は食品でございますが、食品一般につきましては、これは先ほど御論議のございました四条に触れるようなものとか、あるいは許可を受けないような添加物を使ってるような場合とか、あるいは添加物の使用量その他、使用方法に違反して使われてる場合とか、こういう場合に現行法では取り締まりをいたしているわけでございます。今回四条の二を設けますのは、さようないろいろな規制をいたしておるわけでございますが、最近いろいろ未利用資源の開発というようなこともいわれておりまして、従来私どもが口にしたことがないようなものが食品として販売されるという事態が予想されるわけでございます。その中には当然従来人間として食べた経験がないわけでございますから、やはり安全性についてきちっとした確証が得られるまでは食品として販売することをとめる必要があると、こういうものも出てこようかと思います。そういうようなことを含めまして四条の二の規定というものを今回御提案をいたしたわけでございます。
#73
○小平芳平君 先ほど述べられた問題ですが、この食品衛生の監視は、いつ、どこで、どういうふうになされているかという点についてお尋ねをいたします。
 私の県は野菜の供給県でして、洋菜を出荷しております。この洋菜の場合は殺虫剤は出荷のどの限度まで使われておるわけですか。
#74
○政府委員(浦田純一君) 農薬の使用につきましては、すでにかなりの種類の食品、それから農薬の種類につきまして残留の許容量を設定いたしまして、この規制を行なっているわけでございます。したがいまして、それは事実上出荷される前までも及んでくるわけでございます。つまり、出荷される時点で、その許容量をこさないというふうに守っていただくことになるわけでございますから、こちらのほうの食品の安全に対する規制はその時点までかかっておるということが言えるわけでございます。
#75
○小平芳平君 局長、それはね、実際は農林省のほうでやっているでしょうから、実態をつかんでいらっしゃらないかもしれませんが、十四日前までと、農家の方がそう言ってるんです、出荷十四日前。それ以後は、農薬、殺虫剤は使っちゃいけないといわれてるわけです。しかし、実際問題として、十四日間も殺虫剤を使わなければ虫に食われてだめになっちゃいます。したがって、二、三日前まで殺虫剤を使い、虫に食われない品物を、野菜類を出荷しているわけです。そうなると、農林省から来たか、どこから来たか、とにかくその指示に反しているわけです。反しているのですけれども、実際上そうしなければそういうところは商品価値がないというのです。ですから、どこで点検するのですかと、これを尋ねているのです。
#76
○政府委員(浦田純一君) それは農林省の系統でもって指導し、規制をしておるはずでございます。
#77
○小平芳平君 いや、はずでございますが、実際問題として、商品にならないから、統一的に出荷している農協団体等も黙認しているのです。それを食品衛生として、どこでどなたがチェックなさるのですかと尋ねているのです。
#78
○政府委員(信澤清君) 法律的な面について御説明いたしますが、ただいま御指摘のように、農薬取締法で農薬の使用方法について基準をきめております。私ども、食品についての残留農薬の基準をきめます場合には、同時にその農薬の使用方法について農薬取締法による基準をきめてもらう。したがって、そのきめられた使用基準のもとに使っていただかないと、結果的に食品として販売できない、つまり違反が起きると、こういうふうな連携を具体的に行政の上でやっておるわけでございます。したがいまして、いま先生のお話しのようなことが私はあると思います。あると思いますが、それは農薬取締法によって規制さるべき事柄だ、このようなことをいま局長が申し上げているわけです。
#79
○小平芳平君 ですから、農薬取締法によって規制しなさいとここで私が発言してもだめでしょう、皆さんは農林省じゃないのですから。いまは食品衛生法案の審議に入っているのであって、したがって、食品衛生、この食品の安全、野菜の安全を守るために皆さんの仕事として監視員も置いていらっしゃる。その皆さんの仕事として、どこでどういうチェックをされていらっしゃるのか。全然何もやってないならやってないでいいです。その辺を明らかにしていただきたい。
#80
○政府委員(信澤清君) 商品として出荷さ承るという段階になりますれば、これは私どもの問題でございます。したがって、私どもが農林省と相談いたしましたいわゆる農薬の使用方法に従わないで、かりに使っておりますれば、私どもの定めておりまする基準に違反する可能性というものはきわめて高いわけでございます。したがって、そのようなもののチェックを常時私どもは監視員を通じてやる。この体制から申しますると、そういうことになるわけでございます。そのために、私どもといたしましては、生鮮食品でございますので、非常に流通のスピードも早いというようなこともございまして、なかなかむずかしい面がございます。むずかしい面がございますが、さような意味合いでは、一つの県でやるのではなくて、たとえば高知の野菜が大阪に行くとか、かなり広い範囲に流通をしているわけでございますので、これはやはり地区別に、大きなブロック別に残留農薬の検査体制というものを考える必要があるのじゃないか。そういうようなことで、実際やっておりますのは、たとえば、キュウリは何県が担当するとか、トマトは神奈川県がやるとかというふうに、その季節季節に応じまして、県ごとに重点品目を分担をするというふうな形で、できるだけ検査をいたしたいと、こういうようなことを実際上やっておるわけでございます。
 で、若干の実績を申し上げますと、昨年の六月から十二月まで約七ヵ月間でございますが、その間に検査をいたしましたものが約千百件ございます。で、違反件数が、これは農薬別に出てまいりますので、野菜の件数にはなりませんが、いわゆるドリン系のもので約九十件違反が出ております。それからDDTで三件、それから鉛で二件、こういうようなことでございます。で、かような違反が出ました場合に、その原因が何であるかということを地方の農林部局と御一緒に調査をいたすわけでございます。で、先生御承知のように、個人個人の農家までわかるような仕組みで現在野菜は出荷されておりません。したがって、単位農協を中心に農薬の使用状況その他を調べる、こういう形で是正の措置をとってもらう。同時に、検査の結査、違反であったというものについては、これは廃棄させる、こういうような措置をとっているわけでございます。
#81
○小平芳平君 まあ、そういうたいへんりっぱな食品行政をやっていると説明をされますけれども、さて、具体的に私がこういうふうにあげますと、具体的な問題は全然お答えができないわけです。ですから、田中委員から統一的な、あるいは石本委員からも統一的な食品行政が必要だというのは、私もそこにあると思うんです。ですから、産地で出荷された段階で検査をするか、あるいは消費地へ到着した段階で検査をされるか、――実際問題は全部の野菜をこれだけの人数でとうてい検査できるわけのものではないと、こういう実情でしょう。いかがですか。
#82
○政府委員(信澤清君) 先ほど数字を申し上げましたように、実際にやっておりますのが半年で干件ということでございますから、お話のように、全部について検査を行なえるというような体制ではございません。
#83
○小平芳平君 全部でなくても、大臣も――大臣にお答えを求めませんけれども、そういう実情にあることをお考えになっておいていただきたいと思うのです。実際問題として、全部が全部点検するということは無理でしょう。無理でしょうけれども、疑わしきはということですが、現に出荷している農家の方々が非常にこれでいいだろうかという疑いを持っているわけです。消費地ではわからないわけですけれども、実際上商品価値のない、虫に食われたものを出荷するわけにもいかない、こういう現状にあるということです。
 それから次に、近ごろのミカンとかリンゴは非常に油が塗ってあって、特にリンゴの場合などそのままでは水で洗っても全然水がとどまらないではじいてしまうのですね。これはどうなっているのですか。
#84
○政府委員(浦田純一君) リンゴなどではやはり出荷する前に農薬がついていてはいけないといったようなことで、近ごろは十分に水洗いする。それで天然にあるろう分がとれましてあと差しつかえがある、早く乾燥するというようなことで、天然のワックスとか、あるいはオキシエチレン高級脂肪族アルコールといいますか、そういったようなものを塗っておる。そういったことが試験的に行なわれているといったような状態があるように聞いております。
#85
○小平芳平君 天然のワックスというのはどんなものですか。
#86
○政府委員(浦田純一君) 天然の植物性のろう成分、こういったものでございます。
#87
○小平芳平君 その点もよく検査していただきたいと思うことは、いなかから東京のある方にリンゴが送られてきた。そのいなかから来た手紙には、このリンゴには油が塗ってあるから皮をむい食べてくださいと書いてあった。それを子供が学校から帰ってきてたちまち一つ二つ皮ごと食べちゃった。そうしたら、ひどい下痢をしたり、あるいは病気をした、二、三日急性の病気をしたという。はたしてこのリンゴが原因なのか、あるいはほかのものが原因なのかはしろうとだからつかみようがない。そういうことはどうですか。あるいはそういうことを、天然の植物性の油だから、許可しているんだと、どこまでも安全だという確信の上でやっていらっしゃるのでしょうか。いかがですか。
#88
○政府委員(浦田純一君) 小平先生は長野の御出身でリンゴについては非常にお詳しいわけですが、従来ミカンなどについて、先ほど申しましたように、天然のワックスや、あるいはある種の高級脂肪族アルコールなどが使われているわけでございますが、リンゴについても農薬を使用する関係でよく出荷前に水洗いするところから、水分の蒸散を抑制する目的でワックスなどを使う、こういうことでございますが、いま使われております天然のワックスあるいは高級脂肪族アルコール、これらはいずれも食品衛生法上の違反にはならないのでございまして、いろいろとその有害性などについても慢性毒性についても十分検査がしてありまして、御指摘のような場合、どうして下痢を起こしたかよくわかりませんが、食品衛生法上からは健康上有害ではない、したがって食品衛生法上違反にはならないという取り扱いでございます。
#89
○小平芳平君 それは大臣いかがですか。いまのようになぜそういうようにワックスを塗るか。ワックスを塗らないほうが安心なのか、ワックスを塗ったほうが安心なのか。消費者の立場に立って、食品衛生という立場に立って判断された場合、どのように考えられますか。
#90
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまおっしゃいましたのは、厚生省の許可している添加物としてそのワックスを塗ったのか、あるいは許可外のものを塗ったのかという点が私は問題であろうと、かように思います。そこで、全然無害であるというものは商品価値を高めるという意味でこれは禁止する必要はなかろうと、かように考えているわけなんです。しかし、いやしくも有害であるというようなものは全部を禁止するという方針でやっておるわけであります。私は、大体添加物なんというものは無用だと、こう思っているのであります。したがって、その添加物が特に無害であっても、無用であるというものは使わせないというようにすべきだと、こう思っておるのであります。そこで、添加物は食品に添加することが有用であって無害だという場合にだけ認める、こういう方針でやっております。そこで、その有用というのは、食品の栄養価値を増すとかなんとかいうことのほかに、保存とかという点もあるだろうと思いまするし、それからまた、食べものはやはり目で食べるということもありますから、そういう意味でプラスがある。そうして無害であるというものは認めてもいいという方針でおるわけであります。具体的なものは、あるいは認めていない添加物を塗ったのではないだろうかという私は疑いを持ちます。
#91
○藤原道子君 関連で一つだけ。許可した油をはたして使っているか、ほかに類似のものを使っているかというようなことが問題だと、許可しっ放しではたしてそれを忠実に使っているかどうかということの調査というものは一体やっているんですか。
#92
○政府委員(浦田純一君) それは先ほど信澤審議官のほうから御説明いたしましたように、すべて、全数というわけではございませんが、重点を置いて系統的にやっておるということでございます。
#93
○藤原道子君 許可したものを使っていればそんなことはないはずでしょう。いまの監視だ何だの、そういう人数では間に合わないですとはっきり言いなさい。
#94
○政府委員(浦田純一君) 非常に数多い対象でございますので、全数調査する、チェックするということは間に合わないのでございます。
#95
○小平芳平君 監視員の充実、あるいは待遇改善については先ほどすでにお答えが出ておりますので繰り返しませんが、そういう点、御考慮願いたい、このように申し上げたい。それから、これはカネミ油症についてですが、大臣はあるいは局長は昨日の予算委員会における私への答弁、あるいは本日の田中委員に対する答弁では、カネミ油症の場合は亜急性の毒性であって、慢性毒性については検討されてなかったというような点、あるいは行政がもっと早く発見できたはずだと、気がついたはずだというような点についてもそういうような批判もあったけれども、当時の化学陣としてはあの程度でやむを得なかったんだというふうなことを答弁しておられました。私もきわめて時間がなかったものですから、その辺についてもっと正確に明らかにする時間がなかったことが残念だったわけですが、これは厚生省当局はアメリカ、イギリス、スウェーデン等でかねがねPCBの蓄積についての研究がこのカネミ油症の発生する段階以前に発表されていたということ、それからまた六八年二月から三月にかけて鶏が大量に死んだ、二百万羽が発赤し、四十万ないし五十万羽が死亡した。これが春のことでそして油症患者が三月以降に発生し、十一月になって大きく報道されたというような経過ですね。そういう点からしてただ当時の化学はそこまでいってないからやむを得なかったんだ、PCBの毒性について、蓄積についてはそういう研究がなかったんだということで済まされないいろんな経過があるということは御存じなんでしょう、いかがですか。
#96
○政府委員(浦田純一君) 今日、ただいまから当時のことをいろいろと考えてみますと、確かにカネミ油症の問題にいたしましても、ただ単に急性中毒、あるいは急性中毒という問題だけでなくていわゆる環境汚染といいますか、公害と申しますか、そういったものを通じまして、食物連鎖による長期の慢性の毒性というものに対する考え方が及ばなかったということはきわめて私は残念なことだと思います。経過から申しますと、一九六六年にスウェーデンのジャンセン博士が死んだ海鳥などの中から正体不明の有機塩素化合物が発見されたということで調査を、研究を始めたのが世界におけるPCBの環境汚染に対する調査の初めだと承知しております。鶏が非常にたくさん日本で斃死したということにつきましては、農林省からの連絡というものがございませんでしたので、この点については当時のこととしては承知いたしていなかったのでございます。カネミ油症は四十三年に発生したわけでございますが、PCBの環境汚染という問題につきまして、日本としてこの問題に取り組みましたのは先生御承知のように愛媛県の立川助教授が初めてでございまして、これはカネミ油症が起こったあとに取り組まれたように私どもは承知しております。なぜおくれたか、これは非常に弁解めきますけれども、御承知のように、PCBは単一体ではございませんで、異性体でも二百十種類から理論上あるということでございまして、これの測定ということは非常にむずかしいということで立川助教授にいたしましても非常に苦心されて分析方法を開拓していかれたわけでございます。いまでも分析方法ではなかなか誤差率が非常に高いと申しますか、そういったことで、少なくとも二つあるいは三つぐらいの分析方法でもって相互にチェックしながらこの結果を見ていくべきであるというようなことも立川先生は申しておられますが、いずれにいたしましても、その技術の開発ということがむずかしい問題でございまして、したがいまして、先生が日本におけるPCBの汚染状況を発表されましたのは四十六年の二月ということでございます。私どもは、四月に科学技術庁の特調費を出していただきまして、先ほど大臣からもお話がございましたように、関係各省、ことに厚生省が食物の関係あるいは人体における健康への影響の関係、慢性毒性関係について鋭意調査に、研究に取り組んだわけでございますが、いまだ慢性毒性については時日の関係もございまして、その結論を得るに至っていないということでございます。世界的にいろいろと私たちは文献を集めておりますが、しかしながら、文献を通じましても慢性毒性に関する確たるデータというものはどうもいまのところ私どもとしては入手していない段階でございます。
#97
○小平芳平君 アメリカの研究報告は五八年にすでにあるわけですね。これをそれじゃ、あとで見せてあげますが、そういうことで、必ずしもそこまで研究が進んでいなかったからやむを得なかったというだけでは済まされないものがある。厚生省の当局がそういう自覚を持っていてくださらないと困るのです。
 それから、この点については大臣はきのうの私に対する御答弁では、カネミ油症の患者に対しては企業が補償を出しているということでしたが、実際にはカネミ油症の方に対する補償は、医者にかかった場合――これは厚生省当局から答弁してください。実際に、この医者代ですね、病院へ行った場合の保険負担を別にした自己負担分、その分をいま会社が出しているだけでしょう。いかがですか。
#98
○政府委員(浦田純一君) カネミの被害者の救済措置の中身でございますが、これは、医療費につきましては、患者さんの自己負担分、これを見ております。それから医療手当が出ておるわけですが、これは大体に入退院時のときのタクシー代とか、あるいは入院時の必要な費用、それから雑費とか……。
#99
○国務大臣(斎藤昇君) いまおっしゃいましたように、医療にかかった場合に、保険の負担分は、これは保険者からカネミに求償をするということになっております。しかし現実には、私はまだ求償していないだろうと、かように思っておりますが、その点はよく取り調べます。当時の約束といたしましては、保険分は保険者から保険で出すけれども、自己負担分はおまえのほうで払えといって、それは払われておる。しかしながら保険分も、これは原因がはっきりしてカネミの責任だとなれば保険者から求償するし、ということをはっきり言うておりますし、その方向でやることになっております。現実に、もうすでに求償をしたかどうかという点は、私はまだ確かめておりませんが、そういう方針を確定をし、カネミにも、そういうことを私は当時、責任者として言い渡しております。
#100
○小平芳平君 そこで、私はこの全被害者にお会いしたわけではないので、地域によって異なる制度をとっておられるかもしれませんのでお尋ねをしておるんですが、私がお会いしたのは北九州市の市役所で、市役所の課長さんも立ち会いの上でお話を伺ったときには、会社が出しているのは医療費の自己負担分だけだと、こういうことでした。そこで、局長、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法を適用になれば、この医療費の自己負担分以外に何が出ることになりますか。
#101
○政府委員(浦田純一君) 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置といたしましては、医療費のほかに医療手当、それから介護手当というものが出ます。
#102
○小平芳平君 したがってですね、したがって要するにこの水俣病の場合も、加害企業は一社です。しかし原因の突きとめが手間どったわけです。そうして加害企業に対して被害者は補償要求をします。で、裁判等になっておりますが、そのほかに水俣の場合はいまの医療手当、介護手当が出るわけでしょう、公害被害者として。カネミ油症、森永砒素ミルクの場合も企業に、水俣の方がチッソに要求するのと同じように、企業に要求すべきが当然だと思うんです。したがって、森永あるいはカネミ、ここがチッソと同じように補償すべきなんです。ところが、この食品による被害者の方々、カネミ油症と森永砒素ミルクの被害者の方たちは、公害によるルートに乗れないわけでしょう。いま現在、乗っていないわけでしょう。どこが違うかというのですね。阿賀野川の水俣病は、相手企業は昭和電工一社です。昭和電工が補償しました、判決に基づいて。そうすると、カネミ油症と砒素ミルクの場合は早く原因が突きとめられたという点だけが違いますけれども、なぜ国が責任の一半をになって、医療手当、介護手当の、そうした公害と同じルートに乗せることができないのか、この点が私はかねがねの疑問なんです。
#103
○政府委員(浦田純一君) 水俣の有機水銀による中毒症、あるいはその他の公害による、いわゆる公害病というふうに認定されたものに対する救済措置に関しましては、先ほど私が御説明したとおり、医療手当、介護手当が出ているわけでございます。カネミのような場合に、どう違うかということでございますが、カネミ油症につきましても、やはり原因者はカネミの会社であるということがはっきりしているわけでございますから、その点だけを比較すれば、私は水俣の日窒が加害者であるということに関しては同様であると思います。したがいまして、もしもそのような観点から比較した場合に、一方に医療費だけしか出ていなくて、一方は公害救済法という特別な法律でもって介護手当、医療手当が出ているということは差別ではないか、おかしいという御趣旨だと思いますが、私どもの調べた限りにおきましては、カネミのほうで救済措置としてとっております中身は、ほぼ公害のほうの特別措置と同様、あるいは場合によっては多少それよりも上回っているといったところがございます。
 申し上げてみますと、医療手当につきましては、一カ月未満の場合は二千円ですか、一カ月以上は四千円。それから入院中の雑費として一日百円、そのほかに副食栄養補給費といったものも出ております。なお、介護手当といたしましては、これは付添婦はお医者さんの指示によるということになっておりますけれども、付添婦をつけた場合にはそれを見ます。それから家政婦、あるいは託児の場合の費用といったようなものについても、これは相談の上きめますということで、費用は会社が全部負担するということになっております。それから主たる生計維持者の入院等の場合は、生活保護基準を基礎として生計のほうの援助もいたしますといったように私どもあほうでは報告を受けておるわけでございます。したがいまして、私どもが承知している限りでは、水俣の場合あるいはカネミの場合、ほぼ同様な措置であるというふうに言えるかと思います。
#104
○小平芳平君 それをもう少し詳しく繰り返していただかないと、ちょっと、そう早口で言われたのでは書き切れませんですがね。
 ところで、そういういまのお話の医療手当から始まって生活保護に至るまでの適用を受けている、会社からそれだけの補償を受けている人は何人おりますか。
#105
○政府委員(信澤清君) 正確な数字はわかりませんが、とりあえず、概数を申し上げますが、現在カネミの油症患者という形で大学病院等で診断を受けました者が千八十名余でございます。この方々の医療費につきましては、少なくとも保険の自己負担分はカネミで支払っているわけでございます。問題はただいま、あとから局長が申し上げました見舞い金あるいは入院の際の手当、こういったものを出しておる患者数がどの程度かということは、実はただいま正確な資料がございませんので、至急調べまして御返事をいたしたいと思いますが、少なくともそういった医療費、見舞い金、その他の名目で、現在までにカネミとして約一億五千万円の経費を支出していると、こういう報告は受けています。
#106
○小平芳平君 それではもう制限の時間になりますので、あとはまた次回にいたしますが、いまいただいたこの資料では、カネミの被害者と公害に係る健康被害者と比べて、場合によってはカネミのほうがいいと言いますが、全然違うじゃないですか。公害に係る健康被害者は責任企業に補償させるんですよ。そうでしょう。そうして、これは金額で五百万か、一千万か、三千万か、それは問題がありますが、いずれにしても公害発生企業に被害の補償の要求をするんです。ですから、カネミ油症の場合は、こういう入院、退院のタクシー代、あるいは入院時必要費用、こうした適用を受ける方はむしろ数は少ないわけです。そうでしょう。実際問題は、顔へぶつぶつができたり、あるいは背中やおなかへぶつぶつができて、見るに耐えれない姿になってしまった。しかし全然入院しているわけにもいかないので、働きに通っている。ごく軽い作業をしているんですが、突然息苦しくなったり、手足が動きがにぶくなったり、あるいは特に、黒い赤ちゃんが生まれた、成長が悪い、あるいは特に悲惨なのは結婚前の娘さん、顔がぶつぶつになっちゃった。そうして働く気力も起きないという、そういう油症患者がある。あるいはまだ悲惨といいますか、青年――学問をする気力もない。いまから一生どうやって生きていったらいいかわからない、そういう青年。ですからこうした食品公害が二度とカネミ油症のような、森永砒素ミルクのようなものが次から次へ起きてくるということは現時点で考えられない。考えられないけれども、大臣、国はどう責任をとるかということなんです、こうした食品公害が発生した場合に、食品による健康被害が発生した場合に、国はどう責任をとるか。したがって、何回も説明しますように、水俣病の場合は企業が補償をする。また、国も公害被害者としての医療手当、介護手当等の補償とまでいきませんけれども、責任の一半をにないますというところにあるわけでしょう。食品の場合、さっぱりそれを無視していいものかどうか。先ほど御指摘された懇談会の答申にも被害者救済ということがうたってあります。被害が発生したらまず救済とうたってあります。こういう点について再度お答えをいただきたい。
#107
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど田中委員にお答えいたしましたように、まあ、そういう際にはやはり公害に準ずるような手当を国がやるというような制度を考えたい。これは食品だけでなしに、先般のスモンの場合においても同じでございます。そこで、加害者がはっきりすれば国がそれに求償をすると、これは公害の場合も同様でございます。そういうようにいたしたい。ただ、いまおっしゃいました一切の損害の補償というものになると、これはやはり加害者が負担をするという原則でありますから、そこまでは国としてはまあ手が届かない。公害の場合においても届かないということであって、しかしながら、少なくとも公害はさしあたっての救助という意味でありますから、その程度は国としてやります。そうして求償できるものは国が加害者に求償をするというたてまえをとったらよかろう、かように考えております。
#108
○小平芳平君 これは大臣もあるいは厚生省当局としても御検討願いたいのですが、スモンとはケースが違うじゃないですか。スモンのような、確かに先ほど来られた難病の方々に対する治療研究、あるいは医療費の補助ですね。それと同じようにと言われると、そういうものかとも思うのですけれども……、まあそれはいいです。今後検討をしていただけばいいんです。
 そこで、とにかく大臣は、もう四十三年当時ですか、四十四年当時ですか、前回厚生大臣のときに、公害に準じて救済しますと、こう皆さんの前で発言しているわけですよ。そのことを、斎藤厚生大臣、就任されましたので、いまかいまかと待っているわけです。きょうかあすかと待っているんです。公害に準じてってどういうことなんだろうといって待っているわけです。
#109
○国務大臣(斎藤昇君) 確かに、私はカネミのときもそう考えておりましたし、そういう検討をするように命じておきました。そうして間もなく私は職を退いたわけでありますが、そこで、その後の様子を聞いてみますと、ただいま御報告を申し上げましたように、カネミの会社自身で公害とほとんど同じまあ救済といいますか、金を出しているということでありますから、国がかわってやってカネミに求償すると、国でこの手続をとらなくても現実に公害に準ずるやり方をカネミ自身がすでにやっているということでありますから、したがってカネミの油症患者に対してはもう追っかけて公害に準ずるという法的なものをつくって政府が、ということをやらなくてもよろしいと、こう私は今日考えているわけであります。もし、カネミが財政力もないしそんなことをやらないということであれば国がさしあたってやって、それをカネミに求償をするということが必要でありますが、いま御説明申し上げましたように、公害患者に準ずるような、場合によってはそれよりも少し上回るような手当てをカネミ自身がやっているということでありますから、これはそれでよろしいと、かように考えております。
 なお、スモンは違うとおっしゃいますが、やはりこれはその他の難病、奇病とは違って、あれは薬の投与のしかたが大きな原因になったということであって、自然発生的に起こってきたと見られるような難病、奇病、これとはまた違うと、かように考えております。
 また、難病、奇病その他高額な医療を必要とするものについては、これは今度の健保の改正で、高額医療はこれは全部を保険で見るようにいたしたい。しかし、その高額医療を要する原因が他の社会的要因によって起こったというようなことであれば、それはやはり別個のたてまえとして公費負担ということを考えなければならない。自然発生的に起こったものであるなら、これはやはり保険の対象として高額医療は全額見るという立て方に変えるのがよかろうというので、近く抜本改正と称する、いわゆる保険の面でそれをまかなってまいりたいと、かように考えております。
#110
○小平芳平君 大臣、そこまで結論出さないでおいていただきたいんです。結局、このいまの大臣の御発言は、カネミ油症の被害者は公害健康被害者と同様、あるいはそれ以上のもう制度で会社側がやっているから国はやらないんだという結論なんですね。そこまで結論出されちゃ困るんです。まだ、そういう結論を出されるんなら、この実態をもっと当たらなくちゃいけない。一体こうした会社がこれだけのものを負担した人が何人いたのか。幾ら会社は出したのか。そのほかに、どういう公害被害者と同じような現在の被害者がいらっしゃるのか。そういう実態を明らかにしてから、大臣、その発言を撤回して、国がやらないという結論を出されるには、前回約束があるわけですから、そういう実態を的確に把握しないうちに結論出されちゃ困ると思うんです。だから次回までに詳しい資料をちょっとそろえてもらいたい。
#111
○国務大臣(斎藤昇君) 私は結論を出してしまったわけじゃないんです。いまの段階でどう考えているかとおっしゃるから、いまさように考えておりますというわけでありますが、それは違うぞと、カネミは公害に準ずるものをやってはいないと、ごく一部だと、またカネミがやるだけの資力がないんだということであれば、それは考え直します。私は、報告等を見て、これならばまあ、特別にしなくてもそういう制度をカネミ自身がみずからやっていると、公害に準ずるものをつくって、それをカネミが補償するぞということで、それじゃもう私の手でやりましょうということでやっていると、こう思っているからさっき申し上げたんで、それは実態と違うということであれば、私は幾らでも一考え直します。
#112
○小笠原貞子君 チクロ添加物で問題になって、カネミで問題になって、それからまた残留農薬で問題になって、またPCB――ポリ塩化ビフェニールで大問題だというわけで、いまの私たち国民の立場に立てば非常に食品衛生という問題に関心が大きくなっています。また、今度の法案も出された中で、食品行政についての厚生省に大きな期待も持っているわけでございます。また、いろいろのお話、きょうも出ましたように、あのときもっと研究が進んでいれば、そういうことがなくて済んだのにというような問題もあとになって出てまいります。そういうふうなことからすれば非科学的な、感情的な心配というのもいけないだろうし、やはりそこには科学的な調査というようなものがなされなければならない。私たちもそういう意味で科学的な調査研究というのが十分あり、安心して食べて、元気で健康になっていきたいと、こう思うわけなんです。
 時間がないから全般的に伺えませんので、具体的にお伺いしたいと思いますけれども、国立の場合で厚生省関係で、たとえば国立試験研究機関の中の衛生試験所というのと予防衛生研究所というのがございまして、その予算と人員というのをお調べをいただいたわけなんです。で、予算のほうはいろいろ物価も上がってくるからでしょう、年々上がっていることは上がっているんですけれども、人数になりますとさっぱり上がっていないわけです。たとえば、国立衛生試験所の場合、定員の中でも食品関係の定員を調べますと、四十三年から調べていただきました。四十三、四十四、四十五、四十六年度と六十四人がずっと続いておりまして、四十七年度は六十五人。四十三年から、いろいろいま言ったような食品行政に対して研究していただきたい、試験していただきたいというような問題がずいぶん起きてきているはずなのに、定員のほうは一向にふえないで、四年間据え置きで、今年度でやっと一人ふえたというような状態でございます。また予防衛生研究所のほうで、やっぱり予算は少しずつ伸びておりますけれども、人員を見ますと、四十三、四十四年が十人で、四十五、四十六年はマイナス一で九人で、四十七年でやっと十人というようなことで、ずっとここ、もう問題がこれだけ大きくなってきているのに、人員というのはふえても一名、減ったのがやっともとに戻ったというような状態で、厚生省としてもいろいろとなさることがおありだろうにこういうことではたしていいのか。いいとはおっしゃらないと思いますけれども、その辺のところはどういうふうに大臣も考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(斎藤昇君) その点はまことにごもっともでございまして、私どもも非常に実は困っておるわけでございます。
 そのもとは何かと申しますと、とにかく役人が多過ぎる。これを五%減らせ、総定員の五%減らせということで、それがどうしても大前提だ。大前提といいますか、どうしてもそれを実行する。そういうことになりますると、総定員五%を減らす中でどうして新規に増していくか。これが非常な苦労の種なんです。御承知のように、厚生行政は非常に、食品衛生をとりましても、医療関係をとりましても、あるいは病院、療養所を充実いたしたいと思ってもまず人手でございます。そこで、これらは少し例外として新規を認めてくれ。そのかわりこっちを減らすから、あるいは他の省で減らすものをこっちへ回してくれというわけでありますが、他の省で減らしたものをこっちに回させるということはきわめて困難であるということで、本年も医療関係の職員は他に比べて相当増しましたが、どうしても、何というか、もう背中に火がつくというのでないとふやせないというのが実情でございまして、ひとつ、そこらを御勘案をいただいて、あまり役人を減らせ減らせと言うなというように持っていっていただければありがたいと思うのですが、ざっくばらんに言えばそういうことなんで、ふやしたいことはやまやまなんですが、非常に苦労をいたしておるわけでございます。
#114
○小笠原貞子君 そういうふうなわけで、たいへん御苦労のほどはわかりました。
 それからまた、もう一つの問題としては、輸入食糧も非常に年々ふえております。これも伺いましたところ、輸入食糧の衛生監視員は、横浜、神戸、東京など十一の主要港と羽田を加えて全部でたった二十四人というような、まことにびっくりするような数字を伺いました。それから昨年度の輸入食糧というのが、一体どれくらいの件数で、どれくらいの量があるかということも伺いましたら、昨年度は十七万五千三百五十件、トン数にすれば千六百七万二千トンと、非常に膨大な数になっているわけです。こういうようなものに対しても、やっぱり二十四人というようなわずかでやっていらっしゃると。その結果、それでは検査なさった度合いですね、それはどのくらいあったのかと伺ったら、わずかに六・六%だというような結果で、これも御苦労なさっており、いまと同じような答弁が出てくると思いますけれども、そこで六・六%くらいの検査で、これで安心して私たちは輸入食糧を食べていていいのか。その六・六%検査なさった中で違反というようなものがあったのかどうか。その辺を伺わせていただきたいと思います。
#115
○政府委員(浦田純一君) 先生が御指摘のように、確かに現在では監視員二十四名によりまして輸入食品の監視が行なわれているということでございます。これを私どもとしては、やはり先ほど大臣のほうからもお話ございましたが、やはり重点的にふやすところはふやしていけということで四十七年度の要求といたしましては三十二名にふやすということで、もっとわれわれとしてはさらに増員することが望ましいと思っておりますけれども、とりあえずは三十二名と。もちろん沖繩の復帰という問題もございますが、それを含めて三十二名ということで対処してまいりたいと思っております。
 それから、四十五年度の数字を先生おっしゃったと思いますが、検査件数は、輸入件数に対しまして六・六%でございます。単純に比率を出したわけでございます。これのやり方については、やはり重点的に監視員の専門的な知能を駆使しながら合理的にやっていくといったいろいろな運用上の苦労はしております。不合格の件でございますが検査した件数の中で不合格の件数は一六%ということでございます。
 その他全般的な輸入食品の安全の確保ということにつきましては、たとえば検査能力の拡充といったようなことなどでもってさらに拡充するようにやってまいりたいと思います。
#116
○小笠原貞子君 その不合格になった一六%というものの内容はどうなんですか。これがもしそのまま見過ごされて入っていたら、たいへんまずかったと、たいへん私たちにとっては不安なものなのか、それともたいしたことはないけれども、規格上こうなんだというようなものなのか、その不合格の内容というものはどういうものなんでございますか。
#117
○政府委員(浦田純一君) 御指摘のように、法規上こうなっておったから、まあひっかかったというものもございます。それから、これを入れたらやはり問題がある、健康に被害を及ぼすといったようなものもございます。その事例数はちょっといま手元にございませんが、主要なものから申しますと、食肉類は、サルモネラ細菌汚染による例が多うございます。それから乾燥くだものでございますね、これが添加物の使用違反、たとえば二酸化硫黄の使い過ぎであるとか、それから次は、びん詰めのつけもの、これは私どものほうでは許されていない安息香酸という添加物の使用でございます。それからお菓子類、これはわが国で許されていない指定外の着色料を使っております。こういったような事例が多うございます。
#118
○小笠原貞子君 そうしますと、検査したのが件数の六・六%だと。その中で一六%の不合格があって、その中にはいま言われたように、食肉の細菌汚染なんという私たちにはちょっとけっこうじゃありませんものがあったとしますと、それじゃ、その六・六%の残りですから九三・四%ですか、この中には相当不合格のものが残されたまま入っているというふうに数字的に見ていきますとなりますが、事実はそういうことになりますね、いまの御説明でいきますと。
#119
○政府委員(浦田純一君) 摘出して検査いたします比率は輸入件数の六・六%ということでございますが、それを引き出すときにすでに怪しいものから引き出すということで、これはかなり経験も要するわけでございますが、現場に行ってみますとその辺が非常に的確にぴしぴしとやっているという印象を受けます。したがいまして、輸入の六・六%の残りのほう、これは全部が全部絶対一〇〇%安全だというわけにはいきませんけれども、実際問題として、差しつかえがないという程度まで苦心しているものと思います。疑わしいものを引き抜きまして、これが一〇〇%ということになりますと、その残ったものは汚染されている、あるいは有害であるというおそれが非常に強くなるわけでございますけれども、疑わしいと目をつけまして引き出したものから一六%ということでございますので、何とか実際問題として、ほぼわれわれとしては、まあぎりぎりのところ安全であるというふうに取り扱っているものと、また、そのように苦心しているというふうに御理解願いたいと思います。
#120
○小笠原貞子君 御苦心のほど、たいへんよく理解できるのですけれども、あまり歯切れのいい答弁でございませんし、絶対にないとは言えないということになりましたが、たいへん非科学的な、勘で怪しいものは抜いているから大体だいじょうぶだろうなんということでは、やっぱり心配が残ります。しかも、勘で見ているというその目がたくさんありまして、たくさんの目で監視して怪しいものを抜かれているということだったら、もっと、私たちも安心できるのですけれども、その怪しいものだと思って引き抜く目がわずかにさっき言われましたように、十一の主要港と羽田で、わずかに三十二人の六十四の目じゃ、まことにたいへん不安なわけでございますが、そういう意味で、もうお答えいただかなくても、たいへん人数が足りなくて残念だとおっしゃると思いますから、時間も足らないので、大蔵省のほうにお伺いするわけなんですけれども、事は、そういうふうに生命にもかかわるような問題でございますし、そちらがいらっしやらない前にカネミの問題とか、いろいろ深刻な問題が出てまいりました。そうしますと、やはりここで科学的な研究体制、調査というようなことも、国の責任でしっかりやってもらわなければ私たちとしては安心できないわけです。先ほど厚生大臣、総定員法があるからというようなことをおっしゃいましたですけれども、予算のワクですね、人数だけではないんです。総定員法で人数が足らないというだけではなくて、研究費というものが非常に不十分なわけなんですね。これはまだ草案の段階ですけれども、「厚生省試験研究体制の将来構想案」というものを見せてもらいましたら、「研究者一人当りの試験研究庁費および調査旅費についてみても、厚生省関係試験研究機関においては、十五省中最下位にある。」というわけですね。この費用というものが、こういうことで非常に厚生省は苦労していらっしゃるわけなんですよ。そうしますと、私たちやはり見ておりまして、一番強いのは金を握っているところが強いということがしみじみわかりますわけで、何とか、大蔵省のほうに少し顔の向け方を変えてもらいたい。どうしてもここで命の問題というような厚生行政の中での、こういうほんとうに切実な要求に対して厚生省というのが、毎年同じように、概算要求は二〇何%ぐらいということで形式的にきめられると、大臣が悩んでいらっしてもしようがないわけで、私がここで言ってもしようがないわけで、大蔵省としても、厚生省の予算に対してどういうふうな見方をしていらっしゃるのか。今後、どういうふうにしたいと考えていらっしゃるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#121
○説明員(渡部周治君) 厚生省関係の研究予算についてのお尋ねでございますが、計数で申し上げますと、厚生省関係の試験研究の経費といたしましては、四十六年度予算四十億九千八百万円に対しまして、四十七年度予算としましては五十四億二千百万円ということで、十三億二千二百万円の増、パーセンテージにしまして、三二・二%という増になっているわけでございます。
 それからただいま問題になっております食品衛生関係でございますが、これについての研究費予算といたしましては、本年度は研究調査委託費の関係で六千万円、それから試験研究費といたしまして九百七十万円という金額を計上しておるわけでございます。厚生省関係の研究費が不十分だという点につきましては、厚生省からも予算要求の際に、いろいろ御要望ございました。まあ全体の規模としましては、まだ不十分だという問題はあろうかと思いますけれども、先ほど申しましたような数字でございまして、一応、われわれとしましては、かなりの予算を計上したように思っておるわけでございますが、今後とも非常に大事な問題でございまするので、四十八年度以降につきましても、厚生省当局とよく御協議いたしまして、前向きに対処してまいりたいと、こう思っております。
#122
○小笠原貞子君 まことに大蔵省的な答弁でございまして、前年度に比べて、何十%増だから、年々ふえてきているからというような、その表面の数字だけでごらんになると、確かに前年度よりふえてきているし、ふえ方も多いかもしれない。それに対して要求というものは一体どれだけあるか、食品衛生研究にしましても、どんどんどん四十年からこのかたたいへんな問題が出てきているわけですね。そういうふうな添加物からポリ塩化ビフェニールから何からほんとうにいっぱい出てきているわけです。そういうような大きな要求に対してどうなんだという比較をしてもらわないと、前年度の数字に比べて、こうやっていますということでまた来年度もやられると、決してこれは解決にならないんです。そういう姿勢がまことにいままでの大蔵省的な姿勢なもんで、私は、またちょっと申しわけないけれども、しつこく言うようですけれども、そういう姿勢でやられてはこれからたいへん困るわけなんで、その点は、厚生省の予算というものは、私たちの直接人命にかかわる問題として、特に佐藤さんも人間優先だの、福祉優先だのおっしゃっているんだったら、発想の転換と同時に、予算の転換というものもやってもらわなければならぬということで、いままでどおりのそういう立場じゃなくて、しっかりやってもらいたいと私は思うんです。私が言うのは無理でしょうか、どうでしょうか。
#123
○説明員(渡部周治君) 私も決して本年度の予算がこう伸びたから十分であったということを言っておるわけではございません。まあ、一応客観的な数字を説明の材料として申し上げたわけでございますが、先生御指摘のとおり、厚生省関係のこういう研究につきましては、国民生活にとりまして非常に緊急かつ重大な問題でございます。厚生省当局からもいろいろとその点につきましてはわれわれも十分御説明を伺っております。予算は最終的には厚生省当局と協議しましてきめた数字でございます。この問題につきましては、われわれも十分今後とも勉強いたしまして、厚生省ともよくお話し合いをいたしまして、できるだけ要望に沿ったようなかっこうの予算をつくりたいと、このように思っております。
#124
○小笠原貞子君 厚生大臣、そういうお答えでございましたので、ぜひがんばってほしいと思います。
 予算を見まして、一円、二円なんというふえ方というのは厚生省だけですね、防衛庁で二円ふえたということはないんですが、一円、二円ふえた、前年度に比べて何%と言われたって、一円、二円というのが厚生省の予算では出てくるわけなんですよ、調べてみますと。そういうのが、私はたいへん根本的に問題だと思うんですね。さっき、試験研究費九百七十万円と言われたけれども、九百七十万円なんて全体の予算から見たら、私個人の金はないけれども、国家予算から見たら全くけちな予算なんですね。こういうところで唯々諾々としているところに問題が出ているわけですから、そういうことですから、大臣にもよくそのことをおっしゃっていただきたいと思います。
 厚生大臣もぜひがんばってほしいと思いますよ。お金でがんばっていただくと同時に、総定員法で、大臣も閣僚の中の一人でいらっしゃいますから、総定員法によって五%削減と言われてもその辺のところが厚生省は違うんだと言ってやってもらわないと、きめてからだめだということになると人間のほうもたいへんでございますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。そして、安心させていただきたいと思います。
 時間がありませんから、次に、食品衛生調査会の問題について伺いたいと思うんですけれども、今度調査会の権限がちょっと明確にきめられたというような点で、違った点が出てきたと思いますけれども、私たちとしましては、この調査会というものに私たちの意見がほんとうにひとつ反映してほしいということを考えているわけです。そして、そこでどういうふうな調査をされたかということをぜひ知らせてほしいのです。その調査会のメンバーというものは、私たちのほんとうに信頼のできる、賛成のできるメンバーで、はっきり権限を持ってもらうとすれば当然国会でも承認してほしい、そういうようなことを考えるわけですが、それのお答えの前に、今度の法改正でいままで学識経験者、それから業者、関係官庁というようなのになっていましたのが、学識経験者一本に変わりましたね、そこの表現を変えられたということは、内容でどう変わって、いままでとどう違ってくるかということをお伺いしたいと思います。
#125
○政府委員(信澤清君) 食品衛生調査会の構成につきましては、従来からいろいろ御議論がございまして、特にいま御指摘ございましたように、業者の代表が入っておる点が一つ問題かと思います。それからまたお話にははっきり出ておりませんが、消費者の代表を入れたらどうか、こういうような声があったことも事実でございます。そこでお話のように非常に重要な調査会でございますので、今回やはり公正な御審議をいただくためにはそういうような方々を排除いたしまして、真に学識経験者の名にふさわしい方々をもって構成をする、こういうふうに改正をいたしたい、こういうことでございます。したがって、関係官庁の職員とか、業者の代表ととれるような表現の部分を削除する、こういう改正をお願いしておるということでございます。したがいまして実はそういう規定ではございましたが、従来も業者の代表等は入れておりません。たまたま関係官庁の職員が入っておりますので、この方が排除されることになりますので、今回の法律改正によってどう変わるかということは実質的にはあまりないと思いますが、よりそれを明確にしていくという意味で法律改正をお願いした、こういうことでございます。
#126
○小笠原貞子君 そこがはっきりさせたいわけなんですね。現在の調査会のメンバーを見ましても、先ほど言ったように、業者、学識経験者、それから官庁というふうに三つに分かれていましたけれども、実際、こうやってみますと、そういう方々入っていらっしゃるわけでございますけれども、それじゃ学識経験者の方はどなたとどなたですかといったら、全部学識経験者なんですね。そうして、業者の代表と思われるような方も学識経験者、たとえば日本食品衛生協会常務理事、日本乳業技術協会常務理事、日本食肉協議会副会長さんという方も、私ら、見たら業者代表かなと思ったら、これも学識経験者だということで、お役所関係の方も学識経験者、それじゃ学識経験者でないのはだれだといったら朝日さんとおっしゃるんですか、東京衛生局長一人なんですよね。たった一人がお役所関係で、あと業者も一学識経験者、お役人さんもみんな学識経験者になっているわけでしょう、内容としては。そうすると今度も同じようになるわけです。いま、あまり変わらないとおっしゃいましたね。そういうことは、学識経験者というふうに一本にすれば、いかにもこの委員が博学で、これの専門家であって、公正で十分な審議ができる委員会だというふうに見せるだけのことになるんじゃないでしょうか。そういうことに受け取れるのですが、その辺のところどうですか。
#127
○政府委員(信澤清君) 私の御説明が足りなかったかもしれませんが、従来ございました御批判にこたえる意味で、現在の調査会の構成は今回改正をお願いする内容に実質上なっているということを申し上げたわけでございます。
 そこで、いまおあげになりましたような方々が委員の代表に入っておられますが、確かに肩書きだけを見ますと、業者の代表と思われる方々ではないかという御意見もあろうかと思いますが、私どもが考えておりますのは、やはり食品衛生の分野というのは非常に範囲が広いわけでございまして、それぞれ専門的知識に裏づけられた議論をいただくという審議会でございます。そういう意味から申し上げますれば、いまおあげになりましたような方々もそれぞれの分野においての御専門家であり、決して一つの業界なり一つの企業を代表するという意味合いの方ではございません。そういう意味で、学識経験のある方として取り扱ってしかるべきである、このように考えております。
#128
○小笠原貞子君 そこで、学識経験者というのがいつも出てくるので、これの定義というものを聞きたいんですけれども、時間が五時十分までしかないそうですから、長いことしゃべられると私困るわけなんで、具体的な質問を先にいたしますが、先ほど言いました、消費者の代表をぜひこの調査会に入れてほしいということと、それから審議内容を当然私たちに知らせるということで、公開させるということですね。ぜひ私たちの立場に立っていただきたいということと、それから、その調査会のメンバーは国会で承認するという手続をとることが私たちの党としてはいいんじゃないかということも考えておりますが、それについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
#129
○国務大臣(斎藤昇君) 消費者代表ということになると、生産者代表とかいうようなことにもなりますから……。しかしながら、消費者の立場でやはり学識経験者として一般の人というのがぜひ入っていただけるようにいたしたいと思います。
 それから公開については、その会議を公開にするということではなくて、その会議の要旨なり、あるいは議事録なり、そういうものを秘密扱いにしないで、一般にどなたにでも見れるようにしたらよろしいと、いままでのそのやり方が不十分であれば改善を行ないたいと、かように思っております。
#130
○小笠原貞子君 確かに、いままでも消費者の立場に立ってくださる方の、高田ユリさんなんかもそういう立場に立っていらっしゃいますね。私が言いましたのは、生産者のほうの団体が必ずしも悪いという――業者の代表を悪いと言っているわけじゃないんですよ。業者の方も責任を持ってやってもらうためには入ってもらってということで、のけろとは言ってないんですね。業者の方に入ってもらう、いままでどおりでもいいから、消費者という立場で入れたらどうなのかと、こういうことなんですね。そうしますと、いま消費者運動というのは非常に大きな国民的な運動になっておりますので、学識経験者として、消費者の立場に立った方というのではなくって、はっきりと消費者団体の立場に立った人を入れるということが一番すっきりしているんじゃないかと、そう思うわけなんですね。
 そこで学識経験者という定義は、いざ何かということになれば、消費者の立場に立って、学識が非常に深いという意味では学識経験者ということにもなるわけなんで、その辺をはっきりと、学識経験者というので、いかにも公正中立みたいなかっこうよくするんじゃなくて、はっきりと消費者団体をここに入れるというふうなことはお考えになれないでしょうか。
#131
○国務大臣(斎藤昇君) 消費者代表と申しましても、やはり食品衛生について相当の知識経験を持った方でないと、消費者代表を統合していくのに手腕があるというだけではこれは困るわけです。
#132
○小笠原貞子君 もちろんそういう意味で、私のほうも、専門のいろいろなことを考えた立場に立って、しかも消費者の立場に立ってという意味で申し上げたわけなんですが、そういうことでは考えられませんか。
#133
○国務大臣(斎藤昇君) 消費者のことも考えながら食品衛生についての学識経験を持った方というのではいけないでしょうか。そういうようにお考え願いたいと思います。
#134
○小笠原貞子君 ここのところであまり時間長くとってもしょうがないですから。考え方としては、消費者の立場に立って、ひとり学識経験者というのではなくて、たくさんの人たちの意見を集めて、そして消費者としての立場で食品衛生の専門的なものも持ってということで、消費者という方をぜひ加えていただきたいと、そう思っているわけなんです。
 もう一つお答えいただけなかったのは、こういう調査会のメンバーを国会で承認するというような考え方については、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
#135
○国務大臣(斎藤昇君) いままで国会承認人事でなかったわけですから、もし特別の国会承認人事でないために弊害があるというようなことでなければ、ひとつできるだけ手数を省く意味からもいままでどおりでお願いいたしたいと思います。
#136
○小笠原貞子君 まあ、大臣のお考えとしては承りましたという御答弁をして、またの機会にしたいと思います。
 もう時間がありませんから、あと二つ重ねてお伺いしておきますが、第五章の二のところで「指定検査機関」の規定というのを設けて、その指定検査機関が備えなければならない要件というようなものが詳しく定められておりますが、その中で、民間機関というものに公的検査を委託するということでありますが、そういうような民間機関に公的な検査を委託するという立場に立ったときに、国または都道府県というようなものがそこで十分な責任を持ってやっていけるというような見通りというものを持って、こういうことを考えられたかどうかということを一点伺いたいと思うんです。
 それからもう一点は、ささいなことのようでございますが、二十九条に参りますと、「洗浄剤であつて野菜若しくは果実又は飲食器の洗浄の用に供されるものについて準用する。」というようなことばがございまして、何かお野菜やくだものというのはこういう洗剤で洗うのがあたりまえなんだというふうな読み方になるわけなんですね。水洗いだけでもいいと思っていたけれども、あるいはいう書いてあると、テレビの広告を見れば、野菜をきれいに洗いましょうなんていって洗剤を売っているから、やっぱりそうなのかなというふうにも考えられます。そういうことばをここにお入れになったのは、そのほうが、それで野菜やくだものを洗ったほうがいいというふうにお考えになったのか。――首振っていらしゃいますけれども、その辺のところは、どういうふうな動機の上にこれが加えられたのかということをお伺いして終わりたいと思います。
#137
○説明員(信澤清君) 前段の「指定検査機関」でございますが、指定検査機関と申しましても、すべての検査をやるわけではございません。基準がきまり、かつ検査の手法がはっきりしたものをやるわけでございますので、検査の結果については公平な結果が出るはずでございます。問題は、それをむやみに悪用されるおそれがないようにいろいろ縛りをかけて機関を指定するという形でやっていきたい、こういう趣旨でございます。
 後段の、洗剤について今回規定いたしましたのは、むしろいままでこういうものについて法的な規制がないではないか、特に食品衛生に関係のある問題だから食品衛生法でそういう規制をすべきである、こういう御意見に基づいて改正をいたしたものでございまして、特にこれを推奨するために改正をいたすと、こういう趣旨ではございません。
#138
○小笠原貞子君 それじゃあ、ちょっと時間が残りましたのでお伺いしたいと思いますけれども、添加物がたしか、最高時三百五十二ございましたですね。そして現在三百四十種というふうに伺っておりますが、その三百五十二から三百四十と、十二減っただけで、そこに入れかわったものがあると思いますけれども、大体その添加物三百四十というのは、国際的に見て、日本の場合のこの種類と数というものはどういうふうになっているのか。そこら辺のところをちょっと聞かせてください。
#139
○政府委員(信澤清君) 局長が御答弁すべきかもしれませんが、添加物の定義というのは国によって違います。したがって、単純に比較できないわけでございますが、大体アメリカあたりの数を申しますと約四百というふうに聞いております。
 それから現在FAO、WHOで国際的に添加物の評価をし、安全なものをお互いに使おうじゃないか、こういう検討をいたしておりますが、その検討項目としてあげている品目が約三百七十品目ございます。ただし、この中にはわが国で添加物として認めておりますいわゆるビタミンのたぐいのようなものは入っておりません。したがいまして、全体的に考えますと約四百前後というのが実情だろうと思います。
#140
○小笠原貞子君 それで、たとえばグレープフルーツというのがたしか六月だったと思いますが、自由化になりましたね。その年の一月にジフェニールという、カピがはえないという添加物が許可になっているわけなんですね。そうしますと、そのカビがはえないような添加物をするということは、何かこのグレープフルーツ輸入のために添加物を加えたというふうに受け取れますね。それは確かに有毒でなくて、害がなくて商品価値を高めるということで許可されたというお答えになると思いますけれども、たとえば、商品価値を高めるとさっきも大臣おっしゃいましたけれども、私たち受ける側からすれば、新鮮なくだものが入ってきて、そうしてカビがはえたり、しなびたりしたらこれはもう鮮度が落ちているんだというふうにわかるようにするのが消費者の立場に立っては非常に当然の要求だと思うのですね。それを腐らないように、カビがはえないように、いつでも生き生きしているように見せ、商品価値を高めるということは、これは売るほうの立場に立っては商品価値が高められますけれども、私たち消費者の立場に立てばごまかされたものを買っちゃうということになるから、そんなよけいなものはつけないほうがいいという判断になるわけなんですね。そういうことから考えると、よけいな添加物というものはなるべく少ないほうがいいんじゃないかというふうに考えられると思うんですけれども、その辺のところの考え方としてはどうだったんでしょうか。
#141
○政府委員(浦田純一君) たしか、昨年であったと思いますが、ジフェニールの新規指定をいたしております。ジフェニールにつきましては国連のFAOあるいはWHOの残留農薬専門家委員会におきまして、ずっとその安全性についての評価を行なってきておりまして、国際的にも安全性というものは確認されております。ただ、日本が手続上その指定がおくれておったというのが実態でございます。添加物の有用性についての御議論、御意見はいろいろ分かれると思いますけれども、これがかんきつ類、オレンジあるいはグレープフルーツの腐れということを非常に的確に食いとめる、それによって安くてしかもいたみのないくだものが食卓にのぼるということでもございますので、国際的ないろいろな、そういったジフェニールに対する態度、それからジフェニールそのものの有用性と申しますか、そういったことも考えまして指定をしたと、こういういきさつでございます。
#142
○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#143
○委員長(中村英男君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 食品衛生法の一部を改正する法律案の審査のため、及び労働問題に関する調査のための松山赤十字病院における労働問題に関する件について参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#145
○委員長(中村英男君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
 午後五時十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト