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1971/04/18 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第9号
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1971/04/18 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第9号
昭和四十七年四月十八日(火曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     山下 春江君     栗原 祐幸君
     須原 昭二君     吉田忠三郎君
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     吉田忠三郎君     須原 昭二君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     栗原 祐幸君     山下 春江君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 英男君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                高田 浩運君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                上田  稔君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                橋本 繁蔵君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                柏原 ヤス君
                高山 恒雄君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       環境庁水質保全
       局長       岡安  誠君
       厚生政務次官   登坂重次郎君
       厚生大臣官房審
       議官       信澤  清君
       厚生省公衆衛生
       局長       滝沢  正君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  小島 康平君
       国立栄養研究所
       応用食品部長   岩尾 裕之君
       国立予防衛生研
       究所食品衛生部
       食品衛生第一室
       長        河端 俊治君
       農林省農政局参
       事官       川田 則雄君
   参考人
       主婦連合会副会
       長        高田 ユリ君
       医事評論家    水野  肇君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○食品衛生法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきまして、主婦連合会副会長高田ユリ君と医事評論家水野肇君のお二人を参考人として御出席を願っております。
 お二人には本委員会の審査のため御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 つきましては、本案について、それぞれ十分間程度の御意見を拝聴した後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じますので、何とぞ、よろしくお願いいたします。
 それでは高田参考人にお願いいたします。
#3
○参考人(高田ユリ君) このたびの食品衛生法の一部改正には賛成いたします。
 最近、食品中のPCB、残留農薬、抗生物質、それから環境汚染物の問題とか、厚生省で禁止している有害物だとか、無用の添加物の使用など危険な食品だとか、うそつき食品に取り囲まれて国民は非常に不安にかられております。そういう私たち国民にとっては、むしろもっとなぜ早くこのような食品衛生法の改正案が提案されなかったのか、おそ過ぎるではないかという、もどかしさといらだたしさで一ぱいでございます。ただこの一部改正には賛成いたしますけれども、これだけでは食品行政が食品の安全を確保し、国民の健康を守る姿勢を貫くというためには、まだ不十分と考えられまして、現在の食品衛生法をもっと拡充強化し、改善しなければならないということを痛感しておりますので、その点について述べてみたいと思います。
 食品をめぐる問題と考えられる対策などについては、厚生省の食品問題等懇談会が、昭和四十六年の六月十五日に内田厚生大臣に提出しました報告にも盛られておりますものが参考になると存じます。その内容は、食品の安全確保、監視指導体制の強化、情報の収集及び提供のシステム化、試験研究体制の整備、食品安全基準の整備、表示制度の改善、食品事故の場合の被害者の救済の件などに触れられております。私も懇談会の一員でございましたので、その内容には同感であることを申し上げて、時間の関係でできるだけ重複を避けたいと存じますけれども、報告でも強く述べられておりますように、今後はだれもが見てわかる、だれでも安心して食べられる食品、これが国民の要望する食品像であるという観点に立った法律でなければならないというふうに信じております。そういう観点に立って、現在の食品衛生法を見てみますと、たとえば第一条の目的については、「飲食に起因する衛生上の危害の発生」の防止だけになっておりますけれども、それだけではあまりにも限定的、消極的だと思います。たとえばアメリカの食品、薬品、化粧品法、フランスの不正食品製造防止法、西独の食品法、カナダの偽和防止法、イギリスの食品薬品販売法などに盛られておりますように、不良または不正標示の食品、要するにうそつき食品排除の思想、これを前面にもっと打ち出すべきではないかと思います。さらに、それだけでなくて、積極的により良質の食品、栄養的にも嗜好的にもより良質の食品を確保するということを目的に明示すべきだと思います。
 したがって、第四条の有毒、有害、腐敗、変敗ということを不衛生な食品としてきめるだけでは不十分であって、偽和食品なども含めるべきであると思います。また、人の健康をそこなうおそれがなければ認めるのは、先ほども目的のところで申し上げましたように、CMCのように――現在認められております添加物の中にCMCがございますけれども、このように栄養的に無益な添加物、こういうものは積極的に排除していくということを取り入れるべきだと思います。
 また、第四条の二に、「人の健康をそこなうおそれ」、「食品衛生上の危害の発生」の規定もそれに準じて改めるべきであると思います。
 次に、第六条では、第一に、食品添加物の規制を化学的合成品に限定するのは狭過ぎると思います。たとえば、コーラ飲料などに抽出法で製造されたカフェインは自由に添加される。限度規制はございませんけれども、化学的合成品であるカフェインは添加物としては禁止されているというような問題が出てきております。第二に、第六条の食品添加物は、たとえ人の健康をそこなわないものであっても、食品の偽和のために使用させないということをやはり第一条の目的に沿って改めるべきであると思います。
 それから、第七条、食品もしくは添加物の基準、規格の制定は「公衆衛生の見地」だけから行なうのも、やはり先ほどの目的にのっとってみますと狭過ぎますので、目的に合った要素を含めるべきであるというふうに思います。
 次に、第九条の有毒有害な器具または容器包装の販売などの禁止、これはやはり食品の品質劣化を来たすような場合も含めるべきであると思います。
 次に、第十一条の表示の基準についても、「公衆衛生の見地から、」ということだけでは不十分で、第七条と同じ思想にすべきだと思います。
 次に、第十二条の虚偽、誇大表示、広告の禁止、これはやはり公衆衛生に危害を及ぼすべきおそれがあるだけでは狭きに過ぎますので、「偽和防止」なども含めるべきであると思います。
 次に、第十五条で、「食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、」というふうにしるされておりますけれども、先ほど来申しておりますように、その規定の範囲を広めるべきだと思います。
 次に、第五章の二の「指定検査機関」について、新設されることになりましたけれども、これは、要するに公的な機関では手不足という理由であるというふうに理解されますけれども、ともすれば、この指定検査機関というのが外郭団体育成のためになったり、業界のひもつき検査機関になってしまうというような可能性がございますので、たとえば農林省で行なわれております検査機関の中にもそういう例が見受けられますので、そういうことのないように、ただ単にその機関が業界内部の利益のみを守るということのないように十分運用の面で監視される姿勢がない限り、私どもとしてはこの指定検査機関の公平中立性については不安を持つわけでございます。
 次に、第十九条の十八に「有毒な又は有害な物資が……混入することを防止するための措置」、この規定についても「品質劣化及び偽和」などの規制についても盛り入れるべきだというふうに思います。
 次に、第二十条の営業施設の基準の設定につきましても、「公衆衛生の見地から」を第一条の目的に沿って改めるべきであるというふうに思います。
 次に、取り締まりの結果は、必ず公表するように義務づけられるということ。
 また差し迫った健康に対する危害または消費者に対する大規模な欺瞞があるというふうに認められましたときには、これを公表するような義務づけが法律の中に盛り入れられてしかるべきではないか。私はそれを強く要望いたします。
 次に、第二十五条の「食品衛生調査会」については、「学識経験のある者」という定義をより明確にすべきではないかと思います。
 一応、法律の改正案について、より広げていただきたい点、それからつけ加えていただきたい点について述べましたけれども、法律を運用する上での問題点といたしまして、たとえば幾ら法律がりっぱでございましても、いま厚生省で――予算の時期でございますけれども、厚生省で厚生行政三課の予算が約一億六千二百万円と聞いておりますけれども、それについて添加物などの試験その他をやりますのに一年に三品目ぐらいずっと、非常に微々たるものでございます。ところがこれは比較をするのは適正かどうか。当たっていないかもしれませんですけれども、たとえば農林省の食品産業センター、これに対する補助金は約一億二千万円というふうに聞いております。ところが国民の健康、衛生を保持するために行政を担当しております三課の予算がほぼそれに当たる一億六千二百万円でしかないということは、やはり政府の考え方に問題があると思いますので、そういうせっかくいい法律ができましても、それが絵にかいたおもちに終わらないように、実効をあげるような予算の裏づけがぜひ必要だと思います。
 それと同時に、監視の強化、これは食品問題等懇談会でも指摘されておりますけれども、監視の強化という点について、たとえば貿易の自由化でもって輸入食品の件数が昭和四十五年度は十七万五千三百八十件、で、それに検査をいたしました検査件数が一万一千五百七件と、わずか輸入食品の件数の六・六%でございます。しかも不合格の件数が千八百四十一件と、一六%もございます。それに対します監視員は十一、羽田の空港を含めて十二になりますけれども、十一地区、監視員は二十四名と聞いております。こういうような状態の中で、たとえば輸入食品ではこういう状況でございますけれども、国内では昭和四十五年度に政令の監視回数のわずか一八・五%しか実施されていない。昭和四十五年度は非常に食品の安全性の問題が言われまして、機動班などが各地方自治体で設置されましたけれども、やはりわずか政令の監視回数の一八・五%しかやっていない。しかも国内に約三百万近くの監視対象業者がございますのに、監視員は五千五百名前後ということは、私どもはやはり行政の簡素化ということでいたずらに役人をふやすということを主張するのではなくて、新しく出てきております消費者行政関係の安全の問題その他価格の問題を含めまして、特にこの場では安全の問題について新しい事態が次から次へと出ておりますときに、必要なところに必要な人員を配置するという態勢がない限り、幾らりっぱな法律ができましてもそれは実現不可能ではないかというふうに考えられる次第でございますので、ぜひその点を御考慮いただきたいと思います。
 それから、次に、話が前後いたしますけれども、法案の中に、たとえば現在、添加物は厚生大臣が指定していくという仕組みをとっておりますけれども、一度指定されますとなかなか禁止されないというような状態ですし、これは疑わしいとわかりましても、今度の法案が成立しましたら幾らかはよくなるかもしれませんけれども、より手数をかけないためには添加物の指定の許可の期間を区切ってみる、たとえば一年とか二年というふうに区切って、そしてその段階でもって危険と疑われるものは排除していくというような仕組みにしておきますと非常に行政がやりやすいのではないかというふうに考えられる次第でございます。
 それから、行政の姿勢として見てみますと、たとえば昭和四十五年の五月二十九日以来約十八種類の添加物の削除が行なわれております。添加物の削除が行なわれるということは、たいへん私どもの不安を一つ一つはいでいくというような感じがされますけれども、添加物の削除の理由が、たとえば十八種類のうち十三種類が現在製造されていないという理由であること、それから三種類は安全性確認のデータが不十分であるという点、それから二種類については安全性に疑問を生じたものというように、削除の理由が結局現在使われていないから削除するんだということでは、その姿勢は一体どちらのほうを向いているのかという不安が私どもに出てまいりますので、このような安易な姿勢はぜひ改めていただきたいと思います。こういう姿勢にならざるを得ないのは、やはりいろいろの問題があると思いますけれども、たとえば危険な添加物なり、それから危険な食品、そういう問題が出ましたときの責任というのは、第一義的にメーカーであるという考え方が優先いたしますけれども、たとえば国民が被害をこうむりましたときに、国からも賠償請求ができるように、国が責任をとる形をつくっていきますれば、厚生省としてもむやみに安易に添加物を指定していくということにはなりにくいのではないかというふうに考えますので、国の賠償責任の問題についてもぜひ盛り入れていただきたいと思います。
 現在WHO、FAOの委員会で安全性の評価がないものに、厚生省で指定されておりますAF2とかデヒドロ酢酸とかタール色素の紫一号とか、こういうものもございますし、現在発色剤として許されております亜硝酸ナトリウム塩などの問題も出てきております。こういう国民の不安を払拭するためにも、ぜひいま申しました点などを取り上げて厚生省がやりやすいような形にしていただければたいへん幸いだと思います。
 それからそのほかに、これは私の聞いた話でございますけれども、穂積忠夫という弁護士の方から聞いた話でございますけれども、たとえば、アメリカで一八八六年にオーレオマーガリン法というのが発足しておりまして、要するに着色していない。――これは税収入に関する法律ですが、人工着色したものを強く取り締まるということの目的でもってつくられたという話でございます。たとえば、着色していないマーガリン一ポンド当たり四分の一セントの税金をつけて、人工着色したマーガリンには一ポンド当たり十セントの税金をつけるというような仕組みをとって、できるだけ添加物を取り入れないようにしていくというような仕組みの法律ができておりまして、これについてマックレイという人がアメリカ合衆国に対して、憲法違反であるというような訴えをして、そのマックレイという方が負けたというような事件の判例があるという話を伺いました。現在、この法律がどのようになっているかわかりませんけれども、このように何らかの形で有害無益な添加物をできるだけ国民の食卓から排除していくというような方向に持っていっていただければたいへん幸いでございます。
 そういう意味で、私どもとしては、この食品衛生法をぜひ、食品法とか、食品規制法とか、食品統一法とか、いろいろな名前がございますけれども、食品の安全性の問題と、品質の問題と衛生上の問題を組み入れましたそういうような法律をぜひつくっていただきたいと思います。この件につきましては、すでに昭和三十八年の六月五日に経済企画庁の国民生活審議会の消費者保護部会で答申を出しておりますし、また四十三年に成立しました消費者保護基本法の中の衆参両院附帯決議の中にも、やはり品質表示、それから衛生上の問題について担当各省が十分連絡し合うようにという意味の附帯決議がついておりますし、そういう意味でぜひ食品法の成立をお願いしたいと思います。そういう点につきましても、現在農林省できめられてできております、改正になりましたJAS法があるために、この食品法の成立がたいへんむずかしいという話も伺っておりますので、そういう問題についてできるだけ国民の立場に立った食品法ができることを期待してやみません。この点については、食品問題懇談会などでも行政が縦割りであるために農薬の規制にしても、抗生物質、ホルモン剤、こういうようなものが動物のえさに使われている問題についても、なかなか迅速、適確、着実に施策の施行ができないというふうに触れられております。
 大体、長くなりましたけれども、国民としてはやはり食品問題等懇談会が申しましたように、だれもが見てわかり、だれもが安心して食べられる食品を売ったりつくったり、扱ったりしていただけるような配慮をこの法律の食品衛生法の改正にあたって強く要望したいと思います。失礼しました。
#4
○委員長(中村英男君) どうもありがとうございました。
 次に、水野参考人にお願いします。
#5
○参考人(水野肇君) 水野肇です。
 十分間ということでございますので、総括的なことしか申し上げられないとは思うのでありますが、率直に申しまして、私はこの法案というのは、もしも三年前にこの場に出ておりましたのでございましたならばもろ手をあげて大賛成したい、そういう気持ちでございます。ただ時期としましてはいささかおそかったという感じは持っておりますけれども、出ました法案につきましては比較的たとえば、先ほど来、高田さんからもお話の出ました食品問題等懇談会の答申をきわめて尊重しているという点において、私は評価すべき点が多々あるのではないかと思われるわけであります。で、私も幾つかの懇談会とか審議会等に出さしていただいておりますが、答申案がこれだけ尊重されましたのは、少なくとも私の知っております範囲ではこれが初めてであるというふうな印象を持っておりまして、その点は確かに評価できるわけでございます。しかもそこに盛られました思想というものは、でき得れば今後の厚生行政全体が、最低この線で進んでいただければ国民も非常にしあわせになるのではないかというふうなぐあいにも思っております。まあ、評価すべき点につきましては、先生方もそれぞれごらんになっておりますとおりではないかと思いますが、要するに、疑わしきは使用せずということを表に出してきたということ、まあ当然だと言ってしまえばそれまでですけれども、それがやはりかっちりした形で出てきたという点がまず一つあげられるのではないか。
 それから、これからサイエンスの発達によってどういう食品が出てくるかもわからないということに対しての、いわばひょっとすればひょっとするような、危険な食品についての予防線も幾らかは張られたと、こういう点、あるいは検査体制、これはいろいろ問題があるとは思いますけれども、これはまあ半歩前進しておる。それから業者の責任の強化とか、あるいは調査会の意見を聞くことを明文化しておる、あるいは調査会のメンバーについては、学識経験者以外は入れないというふうなことがはっきりさせられたということにつきましては、それぞれにやはり前進ではないかと思われます。
 しかし、そうは申しますものの、やはり問題点がないことはないわけでございまして、まず第一番に問題点として指摘できる点は、これは厚生当局にそういうことを申し上げるのはちょっと無理かとは思うんでございますけれども、やはり私は、食品行政というものは単に厚生省一局だけでやれるものではないという点が非常に重要なのではないかと思っておるわけであります。御承知のように、これは厚生省はもとよりでございますが、公正取引委員会、経済企画庁、通産省、農林省、そしてまたこまかい点では運輸省あるいは大蔵、自治、それに法務といったところが全部関連しておるわけでございます。で、こういう問題をほんとうにやるためには、私はやはり少なくとも、たとえばアメリカのFDAがやっておりますような食品・医薬品庁というふうな、最低そういう形にしなければ、やはりほんとうの行政の妙味というものは出ないのではないか。しかしそれをつくりますためには、環境庁がつくられましたときのいきさつと同じように、総理が決断するというふうなことがない限りは、ちょっと今日の行政ではむずかしいかとは思うのでございますけれども、お願いいたしたい点としてはやはりそういう言い方もできようかと思うわけであります。と申しますのは、やはり縦割りの問題と横割りの問題というものは、今日あらゆる行政において全部引っかかるところがあるわけであります。それが単にシステム化ということだけでそういう問題が解決できるのかというと、現実にはそうはいかないことが多々あると、そういった点において、私はやはりそういうことが言い得るのではないかと思うのであります。
 それから、こまかい点につきましては、高田先生がおっしゃいましたことと私も大体同じように思うわけでありますが、おっしゃらなかった点だけを時間もないのでまず一番に申し上げますと、私はやはり、国民がなぜ食品について不安を持っておるか、あるいは食品行政というものについてどういうふうに考えていくかということの中で、一番大きな問題というのは、不安を持っておるということではないかと思うのであります。きわめて率直な言い方をいたしましたならば、それは、何かを食べるときに、これはだいじょうぶかしらと思うということ、これがやはり非常に私は一つの不安につながっておるんではないかと思うんであります。その点につきましては、このような改正法案が出て、かっちりとした姿勢を厚生省が見せる、あるいは国会が示していただけるということが、何よりもその不安を除去することであることは申すまでもないのでありますが、もう一つの点といたしましては、私はやはり情報というものが今日食品公害につきましては必ずしも十分ではないということが指摘できるのではないかと思うんであります。つまり、これがかりに不安、これはだいじょうぶかしらと思ったときに、どこに聞いていっていいかということについては、ほとんどわからないわけであります。それは法律の改正ということとは関係がないかもわかりませんけれども、私はやはり情報をどういうふうに提供していくか、つまり、情報をとってくることと、それからその情報をどういう形で行政ルートで流すかという、この二つの点において今後大いなる努力をお願いしたいと思うわけであります。まあこまかいことでございますけれども、たとえば各省から出ておりますアタッシェというのは、非常に各国にたくさん出ております。しかし厚生省から出ておりますアタッシェというのはアメリカにたった一人、それもほんの一年半ぐらいだったと思いますが、前から置かれておるにすぎないわけであります。しかし、何でもアメリカということではございませんで、たとえばこういう問題、あるいは薬に対する問題なんかを見ますと、イギリスの行き方というものについてはかなり学者の間では評価されている面もあるわけであります。まあ、これはほんの一例でございますけれども、やはりとってくる側にもいろいろと問題がありはしないかということが一つと、それから、さて、その情報をどういうふうにやっていくか、この点につきましては、確かに厚生省から県、県から保健所というものについては一本のルートが、公衆衛生行政の中では、あるいは環境衛生行政の中では、世界に比類を見ないぐらい数多くあるわけでございますけれども、はたしてこういうものが情報について完全に対応姿勢をとっておるかと申しますと、そうではないというふうに私は思うわけであります。その点につきましては保健所問題懇談会等がただいま審議中でございますけれども、やはり保健所がいいか悪いかは別といたしまして、そういうような情報提供ルートというものがきっちりした形でなされなければならないのではないかと思うんであります。現に幾つかの県では、県の段階でそういう情報センターをつくっておるところもございます。それは、やはり県民の要望というものに対して、知事がそれにこたえておるという形をとっておるわけでございますけれども、これは私はやはり、ほんとうは国がおやりいただいたほうが、国民としては、より一そうの安心感が出てくるのではないかと思います。
 それから、もう一点申し上げてみたいと思いますことは、私は、これは高田さんがおっしゃいましたからあんまり詳しくは申し上げませんが、やはり五千五百人では足らない、最低一万人要るというのが常識になっております、これは検査体制でございますが。そういうようなことをはじめ、いろいろなものがあるということが一つと、それから私は、この法律が実際にかりに可決されまして運用される段階になりまして、やはり残る問題というのは、業者の自覚と責任ということがかなり重要なんではないかと思うんであります。いろいろ御意見、見方等はあるかもわかりませんけれども、私は、やはり口から入るものをおつくりになる業者と申しますか生産者というのは、それ相応のやはり検査能力を持ち、かつまた、その、もしもというときについては対応姿勢がとれるだけの能力があるということがほんとうは前提なんではないかと思うんであります。そういう点で、きわめて業者の自覚と責任は強く要望されるわけなんでありますけれども、これが明文化される、されないは別といたしまして、ただ罰則を強めるということだけではなくて、より一そうの行政指導というものが期待されなければ、この問題というのは、やはりほんとうにはホール・ストーリーの解決とはならないのではないかと、まあそんなように私は考えております。
 まあそのほか、要するに総合行政という見地から見ましても、高田先生の御指摘になりましたように、食品統一法というものは私たちの望むべき点でございます。
 それから懇談会の答申、若干それがネグられたというのではないと思いますけれども、いろいろ理由はあるんだと思いますが、救済措置というものについて、やはり公害等に準じたやり方をしていただきたいということが答申案では出ておるわけでございますけれども、この辺について、まあ、もう少し明確であったほうがより一そう国民も安心したんではないか、そんなようなぐあいに思っておるわけであります。
 まあ大体十分になりましたので、この程度でとりあえず失礼します。
#6
○委員長(中村英男君) どうもありがとうございました。
 それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○田中寿美子君 皆さんが質問があると思いますので、私は一つ二つ、最初にいま述べられましたこの中で関連して、高田先生がおっしゃった公衆衛生の見地からのみではだめだとおっしゃった点、つまり、この食品衛生法の目的のところでは、危険の防止、食品の安全の確保と公衆衛生の見地ということですが、これまでは公衆衛生の見地もあまり十分に取り上げられていなかったということがあったと思います。先ほどから標示の点が非常におくれていやしないか、ネグられていやしないかという点をずっと各条にわたっておっしゃいました。私も外国の法律に比べて標示の点がたいへん軽視されているという点を思うのですが、それだけではなくて、統一食品法あるいは食品行政のできるだけの総合化といいますか、そういう観点からいって食品というものは同時に人間の健康をさらに増進していくという積極的な立場を考えに入れなければならないのではないかと思いますが、その点が一つ。これは御両人にお願いしたいと思います。
 それから、やはり食品問題等懇談会のあの答申の中にありました点で抜けていた点は、いまおっしゃいました総合的な食品行政と、総合的な食品法に向かう姿勢の問題ですが、もう一点は、御指摘になりましたように、被害の救済についてです。で、高田先生は賠償という形で国家から取るようにしてはどうかというふうにおっしゃっておりました。それから水野先生もその点が抜けているという点を指摘されました。私も先日の委員会のときに、厚生大臣にこの点についての御見解を伺ったわけなんですが、厚生大臣はその意思はある、たとえばカネミや森永の砒素ミルクというような問題に関連して、被害の救済のための独自の法律を考えるというふうに言われたわけですが、食品衛生法の中にこれを含むことは無理だとお思いになりますか。これは別個に法律として設けるべきだというふうにお考えになりますか。その二点について最初にお伺いしたいと思います。
#8
○参考人(高田ユリ君) 初めの先生のおっしゃられた食品の質の向上の問題、それは私も同意見でございます。
 それから被害の救済の問題について法律に、――これは、私は全くしろうとでございますので、法律的に技術的な問題、わかりにくいのですけれども、素朴に考えて取り入れられないはずはないのじゃないかというふうに考えております。
#9
○参考人(水野肇君) 第一の点は私も全く同じ意見なんですが、要するに健康を増進するといいますか、要するに病気になるまいという形、同時に、毎日が前向きの姿勢で取り組めるような、そういう状態というのは、やっぱり私は一番関連のある食べものがその一つであろうと思う。そういう点で、ある意味におきましては、非常に栄養が少ないというようなものを提供しなければならないという場合もあるでありましょうし、また、病人食のようなものもあるであろうし、いろんな方向から、いろんなものが出てくると思うので、これは当然その中に含まれると申しますか、食品行政の総合化というものの中には入ってくるのではないかと、そういうふうに考えます。
 それから二番目の被害者の救済の問題でございますけれども、私は私個人の考えといたしましては、被害者というものがいろいろな形でいろいろ出てくると思うのであります。あるいは無過失責任というふうなものもございますし、そういうようなものを全体的にながめて、よりよいものをつくるのだということであれば、私は、それはそれでもけっこうなんじゃないか。ただ問題は、そのよりよいものをおつくりいただく時間がなるべく早いほうが国民にとってはありがたいのだ、そういうようなことではないかと思うのであります。したがいまして、何が何でもこの中に入れなければだめだというふうには私は考えておりませんけれども、もしおくれるのなら、とりあえずここに入れておいて、あとでまたいいのができるのならそれに吸収するという方法だってある。しかし、そこから先はやはり政治の判断であろうと思いますので、ちょっと私たちの鉄砲届きのしない、あるいはわからない点もありますので、まあお答えとしては何かと思いますが、大体そんなふうに考えております。
#10
○田中寿美子君 いま言われましたことの意味はよくわかりました。
 それから先ほど高田先生、指定検査機関の中に、たとえば農林省の検査機関の中に業者の利益の代弁的なものもあるように思うと言われましたけれども、たとえばどういうところのことでございましょうか。
#11
○参考人(高田ユリ君) 私も全く推定でございますけれども、たとえばJASの検査機関なり、それからたとえば、――そうでございますね、例が妥当かどうかあれですけれども、たとえば、罐詰協会には、罐詰検査協会というのがございます。しかしやはりチクロの問題がかなり取り上げられましたときに、チクロが検出されたとか、されないとか、そういう問題は、私どもの試験室でテストの結果では出ているけれども、罐詰検査協会では出ていないというような、いろいろな事件がありましたときに、そういう問題についての対処のしかたが、どうも消費者側に立たないというケースがございますので、そういう意味でもやはりこの検査機関というのは非常に私どもが信頼を置かなければならない機関でございますので、その点の問題を十分に御配慮いただきたいといろふうに考えるわけでございます。
#12
○田中寿美子君 先ほど水野先生、情報不足ではないかと、言われたと思いますが、全く私もそういうふうに考えます。それでことにいろいろと科学が進歩してきていて、第一線の検査業務に携わっている人も私は検査するときにたいへん困ることがあるのではないかと思うわけですね。ですから、やっぱりそういう人たちにも、あるいは消費者に向かっても、そういう食品に関する情報を常に流す、そのためには、もちろん中央の検査機関がちゃんとしていなければならないんですが、どういうふうな機構が考えられるというふうにお思いになりますでしょう。
#13
○参考人(水野肇君) これは考え方はいろいろあろうかと思うのでありますが、私はその場合に、食品だけの情報というふうにはやるのは行政的にきわめて効率が悪い。したがいまして、厚生省自体がほとんど厚生行政全般についての情報をキャッチしてそれを流すという、そういうやり方を考える。一般に厚生省に限りませんが、役所というのは情報とかPRとかと申しますと記者クラブに頼んで書いてもらうということしか考えていない。しかし私はそうではなくて、やはりそういう役所自体が一つの的確なる情報を持って、もちろんそれはクラブにも流すし、同時に全国に一つのルートを考える。田中先生の御質問というのは、おそらくその具体的な方法は何かあるか、かようなことではないかと思うのでありますが、それにつきましては、私はこういうふうに考えております。それは厚生行政全体として何か情報のシステム化を考える。その場合に、私は先ほどもちょっと触れましたように、保健所問題懇談会等の結論もまだ出ておりませんので、先走ったことを申し上げるわけにはまいらないのでございますけれども、ともかく一つは国の――食品問題で申しましたならば、国立衛生試験所、これをきっちりした形で、ただ検査をするだけではなくて、それの情報の整理もやる。それを厚生省が受けとめるということが一つ。
 それから各県にございます衛生研究所、衛研といわれております。これをどういうふうな形で活用していくか。単なる県の所属しているものというふうな考え方から、もう少しこのラインをつなぐというそういう考え方があると思うのであります。そこから先は、私は市町村もございますし保健所もございますと思いますけれども、結局はやはり官庁ルートというものをどう整備して、それの情報の対応姿勢をどういうふうにとっていけるようにするかということ。
 それからかようなことを申し上げては失礼かと思いますけれども、私はやはり官僚の方々が情報というものはたいへん重要なんだというふうに御認識いただきたいと思うのであります。それは何も外務省のこの問題のようなことをぼくが言うのではなくて、むしろありふれた、ほんとうに何でもないと思われる情報でも国民にとってはそれをいただいたときにはたいへんありがたい。食品問題等についてはさようなことが私はたいへん多いんではないか。当然常識だということが、実はこちらにはサイエンスの知識がないのでわからないということが多々あると思うのであります。そういう点で、どこに聞きにいけば一応の答えはしていただけるかという最後のところをどこに持ってくるか、これを保健所にするか、あるいは市町村にするか、もっとさきの出先にするか、ここらあたりにつまり医療関係者と一口でいわれておりますいろいろな方々のやはり協力体制というものがないと私はむずかしいではないかと思います。そういう点で一言例示的に申しますならば、スウェーデンには各地区に公害対策委員会というのがございます。そして、その委員長はすべて薬剤師であります。それはなぜかというと、そういう問題がわかる、基本的な素養があるというのは化学がわかっておるということになるのではないかというのがスウェーデンの判断でございます。そういう点で、委員長はたいてい薬剤師さんがなっておられるわけでございますけれども、そういうようなつまり、ある意味において半官半民のような組織の最終段階できめる。しかもそれにはしかるべき手当をもちろんお出しいただくことが必要なんでありますけれども、そういうふうに、上から下までかっちり通った形にする。ただし、これは私が、たとえばということで申し上げましたので、この方法しかないということでは決してございません。方法はいろいろあると思いますが、要するに、上から下まで全部通っているということが一つ重要で、しかもそれは、やはり国民が要求しておりますようなところに焦点の置かれたものであるべきじゃないか、そういうふうに思います。
#14
○田中寿美子君 いまおっしゃいましたことのついでですけれども、いまスウェーデンの例で薬剤師の話をなさいましたね。それで食品衛生法によりますと、特定の業種に関しては食品衛生管理者というものを置かせることになっております。その衛生管理者になる資格のある人というものの中に医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、それから薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学をそういう大学でやった人たち、それから厚生大臣の指定した食品衛生管理者の養成施設である一定の課程を終えた者、それから学校教育法に基づくような者と書いてあるんですが、理化学系統というものはないんですけれども、食品の知識というのは、いま化学合成品が非常に多くなってきておりますし、こういう管理者の中には大学の理化学系統のものも含めるべきではないかと思うんですが、その点をどうお考えになりますか。
#15
○参考人(水野肇君) 私は全く同感でございます。そのサイエンスを学んだ人というのは当然入るべきではないか。ただ、理化学というふうに一がいに申しましたならば、たとえば天文学ではいかがかというふうなことが出てくるためにこれは除外してあるんじゃないかと、ぼくはそう理解しておったんでありますけれども、常識的に申しましたならば、まさにそのとおりであると、ただしそれを修めた君でないとだめだという言い方にしてしまいますと、今度は人員不足という問題等も起きるのではないか。その辺が厚生大臣の指定する方々というところに、たとえばその一定の講習を受ければよいというような規定があるんじゃないか、そういうふうにぼくは理解しておったんですが、田中先生のおっしゃるように、それだけこまかくあれば、もちろん理化学ということも入るのではないか。一般的にはそのとおりです。
#16
○田中寿美子君 続いて、先ほど水野先生、業者のほうの責任ですか、業者の能力のほうも問うべきである、全く私もそう思います。食品関係は非常に中小零細企業が多いのでございますね。それで、施設その他非常に不安なことがたくさんあるわけなんです。それで、それに対して政府としては中小企業設備近代化資金貸し付けというのがありまして、それで特定の設備をちゃんとするためにお金を貸し付ける制度があるのですが、それを貸し付けて、設備の近代化をすることは、私はもうさらにもっともっとしなければならないと思うのですけれども、設備だけではだめなので、そのほかに、先ほど高田先生も五千五百人の監視員では全然不足だというように言われたわけですが、この辺は一万人というふうにおっしゃいましたけれども、それの根拠はどういうことでしょう。つまり設備のほうをよくする問題と、それから業者そのものが私はやはりこれは食品に関してはモラルがちゃんとしていなければいけない。それも賛成でございますが、では今度はそれだけでもまだ監視されるほうの体制が不十分だと思うのですけれども、その辺はどのくらいあったらいいとお思いになりますか。なかなかこれは予算がなくて数を言ってもしようがないみたいなものですけれども、私はそのことを国会の議論の場でちゃんと出しておきたいと思うのです。高田先生もその辺を実際に当たってみて監視員がどのくらいあったらいいか。これは私は東京都のほうで調べたのですけれども、受け持ち件数が非常に多いのですね。それで法定監視件数というのが東京都の場合二百二十九万三千八百二十三件、ところが実際の監視件数というのは五十万一千四百十四件ですから約四分の一でございますね。一年に二回ですか、場所によって、これは東京のことではありませんけれども、四年に一ぺんぐらいしか回ってこない監視の状態だと、こういう状況ですから、かりに設備を改善してもその改善の状況をまた見ることもできないし、今度はいろいろと営業者の責務というようなものもだいぶきびしくなったようであって、まわりに昆虫とかネズミがいないかどうかというのは都道府県知事の責任でこれを監視することになっているのですけれども、そんなことでできるかどうかですね。監視員一人の受け付け数ですが、多いところで千五百件、少ないところで五百件、これは東京都です。平均七百件、一人当たりそれだけ受け持っている。それでたとえばおすし屋さんの場合には、法定によりますと年四回見なければならない。実情は一回程度しか見ていない。こういうような状況で近代化設備のほうも私はもっともっと予算を出してやらなければいけないと思います。監視のほうですね、一万人とおっしゃったその根拠など、それから高田参考人はどのくらい必要だとお思いになるか。
#17
○参考人(水野肇君) 御質問の御趣旨は二点あるのではないか。要するに、貸付制度等を利用して設備の近代化をはかれと、私ももちろんそう思うわけでございまして、この点はそれと同時に私はやはり共同化というふうなものも進めるべきではないかと思うのであります。たとえば皆さまよく御存じのゾーリンゲンという刃物がございます。これは西ドイツのゾーリンゲンという町でつくっておるのでございますが、あの人間が二人か三人か手を組んだようなかっこうになっておりますマークというのは、あそこの組合の検査を通ったものがあのマークをつけるということになっておるように私はあそこへ参りましたときに伺いました。したがいまして、ただ単に一つ一つが伸びていくということ、従業員五人以下が私の聞いておりますのではたしか食品加工業者の場合には五一%か五二%と伺っておりますが、そういうところに一つずつふやすと同時に、私はやはり共同化ということを考えざるを得ないのではないかということが一つ、前半のほうのお答えであります。
 後半の一万人というのはどういうことか、それは必要最低限で厚生省あたりでもこの懇談会の席上でおっしゃいました数字でございまして、おそらくこれが理想だということではもちろんないと私も思います。したがいまして、もうぎりぎり一二〇%人間を働かしてやっとこさ一万人くらいならまた何とかなるという、こういうような数字であろうと思うのであります。したがいまして、これより多いことはより望ましい。ただ、はたしてそれだけの人間が来るがどうかというところにもまた一つの問題点があろうかとは思いますけれども、私も東京都というのは、何か特に数字としましてはきびしい数字なんだそうでございますけれども、やはり全国的に見ましてもそう違わないというような点から考えて、私も一万人で十分だと申し上げたのではなく、ぎりぎりというような、要するに大蔵の査定を通るかどうかというくらいの数字が一万人であろう、役人流に申しましたならば。さように私は解釈しておるわけでございます。
#18
○参考人(高田ユリ君) 私は、人数の点は全く想像がつかないのですけれども、たとえば対象業者の種類とか、それによっていろいろ政令の監視回数がきめられているわけですけれども、それの平均を見てみますと、昭和四十五年度には一八・五%しか回りきれていないという数字からすると、かなり一万人で足りるかなあというような不安が出てくるのですけれども、それにはなおかつ重点的なやり方という方法の問題もあると考えられますし、たいへん数の問題はむずかしくてはっきりお答えできないのです。ただこの政令の監視回数がきまっておりましても、これは要するに一八・五%しか回っていないということでも、これが義務違反にならないというような現状が先ほど田中先生が質問されました国家賠償の問題とちょっとからみ合って、こういうように監視の回数が少ない中で、たとえばこれはカネミ油症事件の訴状に対する被告団及び被告北九州市の答弁書の中にも、要するに、国家賠償の責任の問題とか、それから監視の義務の問題とかに触れられている内容を読んでみますと、部分的にすごく私どもとしては、「国としては、国民に対し食中毒その他の危害のある食品が供給されることを防止すべき直接の義務を法律上負うものではないし、」云々というようなことが書かれているのですね。「国が食品の品質を国民に対し保証しているものでもない。従って」云々とか、それから監視の項では、部分的に読みますので、前後を通じてお考えいただかないと誤解を招くと思われますけれども、「したがって、食品衛生法による監視にあたっては、通常食品に有害な細菌ないしは物質が含まれる危険が大であると考えられる点に着目して監視すれば足り、その余の点は、特に疑わしい状況が認められなければ監視の対象とする義務はないものというべきである。」ということで何か回らなくても義務違反になっていかないというような問題をからみ合わせますと、そういう人数と同時に、やはり法律上の何かの問題、もう少し何か責任感の問題とのからみ合いというのがありませんと、私ども国民としてはたいへん不安であるということを申し上げておきたいと思います。特に保健所の職員と業界とのつながりというようなこともときどきうわさとして聞いておりますし、そういう点についても非常にこの点がはっきりしていただければ、私どもの不安が少しずつなぐなっていくと思われます。
#19
○田中寿美子君 いま監視業務上の問題が出てまいりましたので、ついでにまたお二人にお伺いしたいと思いますが、たとえばカネミの場合、あのときには食品そのものというよりは施設に、管に穴があいていて油に入ったわけですね。そのときに、その当時の法律では、施設に関しては厚生省も農林省も何も義務を持たなかったという状況なので、そのあと、営業者のそういう状況についても監督できるように切りかえていくと。ところがその監視業務なんですけれども設備採点主義ですか、採点でやっているわけですね。それで採点主義の監視で、設備が大体おもに見られ、食品そのものの検査はその場でしていかないわけですね。たいへんその辺に欠陥があるように思うのですけれども、それをどういうようにすべきか、そのことは結局、食品というものの規格、成分の規格というものがきちんと基準になければならない。それに照らしての監視をしなければいけないというように思うのですが、この辺どうお考えになりますか。
#20
○参考人(水野肇君) その問題というのは、私はやはり非常に重要な御指摘じゃないかと思うのです。カネミの場合も確かにそういうこともございましたし、今後も再び起きないという保証は、いまの食品衛生法を改正しましても、やはり依然として残るというように思います。ただしこれを全部、じゅうたん爆撃のごとく全部やるためには、これはおそらくたいへんな役人の数が要るんじゃないか。よくいわれますことのように、ほんとうに医療を全部やるためには、国民の男の半分が医者になり、女の半分が看護婦にならなければ完全な医療ができない。これは多少比喩的なお話なんですが、そういうことがあるのと同じように、これをやるためには、私は数字的にはわかりませんですけれども、おそらく国民の五%とか四%とかいう数の者が食品衛生並びに食品業に従事しなければならないというようなことになってしまうのじゃないかと思うのです。そこで私は、さようなこともありますということで、実は業者の自覚ということをまあ、いささかここの場では筋違いかもわからぬとは思ったのですが、強調させていただきましたのは、実は、そういうような含みがあって申し上げたわけでございまして、できるだけのことをやって、いま田中先生の御指摘のような成分のチェックの方法というようなものも、もっときめこまかく考えるということはたいへん重要だと思うのです。と同時に、やはりそれについて、私は業者が全面的に協力して、やはり自分から、人さまの口に入るものについては責任を持つということも片一方ではないと、これはやはり、こういう問題の現実面から言いましたならば、やはり私は車の両輪みたいになるんじゃないか、そんなふうに思うわけであります。したがいまして、確かにもうおっしゃるとおりであると私も思うのでございますけれども、現実策としては、そういうようなことをカバーしてやっていかないとむずかしいのじゃないか、そういうように思います。
#21
○田中寿美子君 高田先生のいままでおっしゃったことで、私もいまの問題についての御意見は推測いたしますが、一点だけ、先ほど高田先生は、食品添加物は一度許可されるとほったらかしで、よほど何かが起こってこないと問題にならないような状況はよろしくない。だから許可したら期間を区切って一年か二年に一度というようにおっしゃいましたが、私ども先年食品規制法案をつくりましたときには、食品添加物を一たん許可したものには、五年ごとに再点検するということを入れたわけですが、このことはどういうようにお考えになりますか。
#22
○参考人(高田ユリ君) いろいろ事故が起きてから、あとで一生懸命治療したり手当てをしたりして大騒ぎをしている。そういうことから考えれば、やはり指定期限というものを区切っていくということのほうが、それもまた、いろいろな実際に行なう上での問題があると考えられますけれども、すべて何もかもということでないにしても、少なくとも問題として考えられるようなものについては、やはりそういう期限を区切っていく、そういうような形にやっていったほうがかえって効率的ではないかというように考えられるわけです。
 それから先ほどの食品衛生の監視員の問題を含めて、食品問題等懇談会でも、農業改良普及員による指導の強化ということも考えてはどうかということなどの報告を出しておりますので、それらを含めて効率的な監視のことは考えられると思います。
#23
○田中寿美子君 いまの問題、水野先生いかがですか。
#24
○参考人(水野肇君) 私も大体高田先生と同じように思います。ただ、農業改良普及員というのは、はたして食品についてどこまで知識があるかという問題はいささかあるんじゃないかと、だから一定の講習等をやらなければならないであろうと。もちろん、農薬については当然のことながらベテランですから、そこで広い意味で戦力になるのではないかと、これは食品問題等懇談会におきましてもかなり議論が出まして、その結果まあ総合戦力としては農業普及改良員というのにお願いするという方法もあるではないかというふうなことに一応なったと、そういういきさつがたしかあったと記憶しております。
#25
○大橋和孝君 きょうはそこに国立衛生研究所の方あるいはまた栄養研究所の方もおいでになっておるわけですが、先ほどからもいろいろ議論がありましたように、このごろは科学的にも非常に進歩してまいりまして、あるいはまたいろんな方向から添加物なんかもふえているわけですが、それを一番総元締めとしてやってもらっているわけでありまして、非常にまあ任務も重大であり、いま水野参考人からは監視員の数の問題の話もありましたけれども、私は同時にこういう研究機関がもっともっとフルに運転できるような――まあ、いまでもずいぶん努力はしていただいているが、手の回らないという点がたくさんあろうと思います。そういう点から、先ほど高田参考人あるいはまた水野参考人からもお話しになりました点で、衛生研究所のほうでは、特にいろんな添加物なんかに対しての取り組みを実際やっておられてどういうふうな点に問題点があり、あるいはまたどういうことをこういう法案をつくられる場合にもっと強調せなきゃならないかということを感じておられるか、現場からひとつ声を聞かしてもらいたいのが第一点であります。
 第二点は、先ほど情報の話も出ておりましたが、私は、これはもちろん水野参考人からもお話を承りたいと思いますが、国内的には当然でございますが、外国の情報、こういうようなものを知るために、一体厚生省ではどういうふうなことかしてもらいたいか、こういうような方面なんかにも何かあるんではないかと思います。ほかのいろんな機関としては海外の情報をキャッチするためのいろんな手当てがされておる。もっと厚生省からは積極的にそういうものを見せてもらわなけりゃならないが、同時に私は研究所あたりからも外国との直接の関連をとってもらわなければ、やはりアメリカでは発表されたが日本では一向まだその問題については手が届いていないという点なんかがたくさんあるわけでありますから、私は、やはりこういうふうな研究所の中では絶えず外国とも手をつないだ情報のものを持っていかなきゃならないのじゃないかと、こういう点なんかを私は考えるわけですが、そういうふうな観点からも、ひとつこういう法案を審議する中で何かいい御意見があれば承っておきたいと思います。
 それから第三点は、最近では食品の中でも年少、ことに離乳期なんかのほうの人に対してはベビーフードというふうな形でも進んでおりましょうし、あるいはまたいろんな意味でインスタント食品というようなものに成人のほうではなっていくわけでありますが、それを栄養学的な見地から申しますと、私は、非常にいろいろな問題がここんとこに出てくるわけでありまして、それをチェックしてもらう上においてもやはり非常に問題点があろうと思うんです。そういう意味では、栄養研究所あたりでは特に食品の衛生に関してやはりいろんな角度から問題点をお考えになっていると思いますので、そういう点についてもひとつあわせて御意見を伺っておきたいと思います。
#26
○参考人(水野肇君) 大橋先生の御指摘の点、私もいろいろこれはまあ感想程度ということでお受けとめいただきたいのでございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、私はアメリカにアタッシェを一人出しておるというだけではやっぱり不十分なんじゃないかということが一つございます。
 それから、それじゃ、何十人も出せということかということになりますと、それはやっぱり予算等もこれありということにもいずれはなるかと思いますので、私は、まあヨーロッパに二人、アメリカに二人という程度は最低要るんじゃないかと先ほど申しました最低と同じでございますが、それが一つと。それから私は国内、それから国の研究機関等で外国へいらっしゃっている方がたくさんいるわけなんです。そういう方たちがほんとうはいろいろな情報をお持ち帰りになっておられる。それをやはり私は何らかの形で、たとえば厚生省なら厚生省、国立衛生試験所なら国立衛生試験所という、つまり、窓口へ御報告いただくということが非常に重要なんじゃないかと思うんです。私は、この食品問題等懇談会の委員になります直前に、FDAの問題についていささか調べたことがごさいましたが、そのときに――FDAからFDAペーパーというのがいまから四年ぐらい前でございますが、出ておるんでございますが、それを持っておりましたのはほんの三ヵ所か四ヵ所しかないわけです、日本で。あれだけFDAというのが問題になっておって、FDAペーパーを持っておったところがほんの三、四ヵ所しかなかったということを見まして、それは、まあ全部ぼくは調べたわけじゃございませんけれども、ありそうだなと思われるところをいろいろ四十ヵ所ぐらい当たりました結果、ありましたのはたったそれだけでございました。いまはたくさんあると思います。そのようにやっぱり私は情報をとるんだと、つまり情報というのは寝ていて上から降ってくるものではなくて、自分から前向きの姿勢でとった情報こそ価値がある、そういうやっぱり姿勢が、そう言っちゃ失礼ですけれども、やっぱり私は厚生省行政担当の方々全員がお持ちになる。そうすれば、これは研究機関といえどもお持ちいただければ、これは情報の中でほんとうに質のいいものが相当入ってくるんじゃないかと、この二つをあわせて、まあ取材のほうから言いましたならば、私はそういうことじゃないかと思うんです。新聞に出てあわてるというのんではやっぱり万事手おくれという感じがたいへん強くて、――国民もそう思うと思うんであります。そういう点では、私は、もっと前向きに情報をとる、そのやっぱり姿勢が要るんではないかと、そういうふうに思います。
#27
○委員長(中村英男君) 参考人の方にはどうもありがとうございました。
#28
○説明員(河端俊治君) 予防衛生研究所の河端でございます。いまの大橋先生の御質問にお答えいたします。
 まず、研究の現状でございますが、まあ、私ども食品衛生の仕事を長年やっておりまして、食品衛生というものは結局飲食に起因する健康障害を防止するということでございます。その防止するためにいろいろな検査も行ない、試験も行ないます。しかし、たとえばいまいろいろな毎日のように新聞にPCBの分析の結果その他が出てまいります。そういうときに数字は、非常に分析方法が進歩いたしましたものですから、出てまいりますけれども、それがはたしてどれだけ国民に危険なのかどうかという評価でございますが、要するに、研究というのはそういう評価をするための裏づけがわれわれの一番重要な使命だと思います。で、それぞれの方法をきめる、――最も新しい精度の高い方法を開発し、その結果をやはり評価してより安全な食生活を営むというのが私どもの任務であろうと思います。私ども、まあ、我田引水的に理解されるとたいへん困るんでございますが、日本の国で食品衛生ということで看板をぶら下げている研究所といいますのは、予防衛生研究所の食品衛生部、これは部長以下十一人でございます。それから国立衛生試験所には食品添加物部にたぶん十一人、それから食品部、これもやはり十一人から十二人、そのほか私どもの研究所ですと、病理部その他、いろいろな関連した部門の御協力を得て仕事をしておりますけれども、日本全体の食品衛生の研究体制では三十数人で行なわれているというのが現状でございます。
 ひるがえってFDA、先ほど来お話が出ましたけれども、FDAが全部研究機関とは申し上げませんけれども、大体六千人ぐらい、このうちでやはり数百人の人が研究をしている。この研究というのは、先ほど言いましたようにただ分析そのものに従事しているわけではございませんで、その食品添加物なりあるいは新しく開発されるいろいろな食品そのもの、あるいは包装材料、食品の処理、加工方法、そういうものをひっくるめた意味で研究をし、いろいろな基礎的な生化学あるいは細菌学、いろいろな新しい知識というものを基礎にいたしまして、より安全な食生活を営むための基礎研究でございます。それが非常に多様化して、たいへん先ほどお話のありましたように、食品の業種が、加工、製造業が約三百万件ございます、日本の国に。その三百万の対象に対して五千五百人の人が監視しているわけでございますが、その監視をする、あるいは検査をする、それは結局は新しい学問なり知識というもので行なわれなくてはいけないのでございますが、あまりにも貧弱であるということを申し上げたいと思います。
 これはむしろ、私どもの研究などは、全体で約六百人おりますけれども、その中でわずか十一人、それで、しかもまた定員削減というふうな方向で、毎年のように研究体制の強化をお願いしているのでございますが、過去予研ができてから二十五、六年になりますけれども、その間全然ふえないというのが現状でございます。それに対して、かつては細菌学的な問題、ことに急性の食中毒などが重要でございましたのが、慢性の健康障害というものに非常に関心を持たれておりまして、私ども研究室では昨年、一昨年と厚生省のほうから研究費をいただきまして、ニトロソアミンなどの亜硝酸使用によります発ガン性物質の生成の問題、あるいはカビ毒のような問題、これまた非常に微量でガンができるということでございますけれども、ガンも非常に重要でございますし、その他いままでわれわれがわからなかったような、気がつかなかったようなことで慢性の健康障害というものも大いにやっていかなくてはいけないということで、現在非常に少ないスタッフが日夜努力している現状でございます。
 二番目の情報ということでございますが、研究者の考えます情報というのと、それから行政当局のお考えになります情報というものは多少ニュアンスが違うと思います。われわれ研究者といたしましては、絶えず新しく外国で発表される雑誌などに目を通して新しい知識あるいは新しい方法というものの取り入れに鋭意努力しなくてはならない立場でございます。それは研究者としての使令でございまして、これに、直接食品行政に役立ついろいろな、どこで食中毒が発生したとか、やれこの規制がどうなったとかというふうな問題は、どちらかといいますとわれわれのほうはたいへんうとうございます。したがいまして、やはりこれは研究者レベルでの個人的な情報交換、あるいは外国の学会に出席する、そういうことによってかなり知識は得ておりますけれども、そういうものを横に広げる何かルートをつくっていただければけっこうだと思いますし、それと同時に、規制その他の動き、そういうものもわれわれが知ることができますと研究上にたいへん役立つのではないかというふうに考えております。したがいまして、そういうもののシステム化というものを、私はどうしたらいいということを申し上げるだけの材料を持っておりませんけれども、やっぱり厚生省のそういう担当部局あたりが中心になられてその情報収集の組織化をしていただく。それから、われわれがまた入りましたものをそちらのほうにお持ちして、横に流していただくというふうな形のものをつくればよろしいのではないかというふうに考えます。
 それから、私、先ほどの田中先生の御質問に関連いたしたことでちょっとふえんさせていただきたいのですが、私ども、より完全な食品をつくり出すというために、考え方が、いまの食品衛生法ですと施設が基準になって許可がおりる。それに対して監視体制がとられるということでございます。もちろん監視体制を強化する、これは無限に人数をふやすことができれば非常にいいんですが、限られた人数でいかに能率よくやるかといったところで、五千五百人が一万人になってもおそらくたいへんむずかしいと思うのです。結局は、私は食品衛生法を現在の中でも活用すればいいと思われますのは、食品の衛生管理者制度というのがございます。これは法律で一部の業種に指定されてつくるようにしてありますが、それをもう少し拡大強化していただく。それで業種ごとに自主的な検査、自主検査体制をつくるということが一番重要ではないか。それを衛生監視員が指導する、あるいはそこで行なっている自主的な衛生管理、いろいろな検査を指導するということによって、かなり効率よくいくのではないかというふうに私は考えております。
#29
○説明員(岩尾裕之君) お答え申し上げます。
 いろいろときょうお話を承っておりまして、実は、食品衛生法にいいます食品衛生というのは、私どもの考えております栄養というような問題をあまり考えていないのじゃないか。言いかえれば狭い意味で食品衛生というものをお考えになっているというのが、私どもの実は考えなければならない問題だと思っておるところでございます。と申しますのは、先ほど来、いろいろお話が出ておりましたけれども、要するに、レベル以下の食品をレベルまで上げてくるというのが、今日お話に出ておりましたような趣旨であろうと思うのでございます。実は栄養と申しますのは、そのレベルにありますものを、よりもっとよいものにしようというようなことで努力をしておるのでございまして、そういうような意味で、栄養改善法というようなものの中に、いろいろとこの食品の問題も取り扱うようになっておるのではないかと、こんなふうに考えておるわけでございまして、したがって少しくお話申し上げますことが、御質問いただきましたことと、かけ離れるかもしれませんけれども、その点はお許しいただきたいと思うのでございます。それからまた、順序を少し乱しまして、お答え申し上げますので、この点もおわび申し上げます。
 まず、情報ということでございましたが、この点につきましては、私どもの大礒所長が私どもの図書室を中心にいたしまして、いま、川端さんからもお話がございましたように、学者として十分に習得をしなければならない情報を手に入れると同時に、栄養改善その他の実務に関しますような問題についての情報も集めたい、こういうようなことで、いろいろと計画を立てまして、当局のほうにもいろいろお願いをいたしております。いつ実現するかわかりませんけれども、それが現状でございます。
 それから、添加物についてのお尋ねがございましたけれども、私どものところでは、添加物の毒性というようなことについて、やっておるのではないのでございまして、いま、申し上げましたように、食品というものはそもそも栄養価のあるものでなければならない。したがって、食品添加物を用いることによりまして、もし、栄養価というものがそこなわれるということになりますれば、私どもの問題としてこれを考えなければならない。こういうような観点から研究をいたしておるわけでございます。一、二、例をあげさせていただきますけれども、たとえば先ほどもお話に出ておりましたCMCの問題でございますが、これなども、私どもが動物実験をいたしてまいりますと、当然、これの摂取過剰というような時点におきましては、消化吸収の阻害が起こります。そういうような実験例を出しまして、実は、それが基礎になっておるのだと思いますけれども、今日、二%というような使用制限がきめられておりますのも、実は栄養的観点から食品添加物というものをお考えになっておる証拠ではないか、こんなふうに考えておるわけであります。
 もう一つ、最近の例を申し上げますならば、たとえば過酸化水素というものに対して、最近制限がつけられたのでございますが、これなども、私どもがこの口の中に出てまいります唾液というようなものを取り出しまして、そして、これの糖化酵素というようなものを調べます場合に、過酸化水素が若干とも存在いたしますと、それに対してうまい澱粉の糖化が行なわれない、そういうようなところから、それの境目になるところがほぼ三〇PPMではないだろうかというようなことを、実験データとしてお示しいたしました、それが今日の一般食品における過酸化水素の制限の基礎に使われておるのではないだろうかと、こんなふうに考えるわけでございます。したがって、私どもは、食品の栄養価というようなものをそこなうか、そこなわないかというような観点から、添加物については研究をいたしております。
 もう一つの、インスタント食品あるいはベビーフード、そういうようなものについてのお尋ねがございましたが、これらのものに対しましても、私どもはいま申し上げましたように、食品は本来、栄養価のあるものである。それをそこなうような方向に、これらの食品が加工されるならばそれは困る。あるいはまた加工の時点において、栄養価がそこなわれるということであるならば、栄養価を復元するというような意味におきまして、強化食品というようなものを考えたわけでございます。御承知かと思いますけれども、栄養改善法の第十二条に「特殊栄養食品」というのがございますが、これの前段の項にうたわれておりますのが、いま申し上げましたようなものでございます。
 ベビーフードにつきましては、この法律の後段に出てくるものでございますけれども、いわゆる特殊用途標示というようなことで今日呼んでおるものでございますが、この点につきましては、業者用その他のものも含めまして、今日いろいろと委員会などもつくられまして、そこで論議されておるものでございまして、早晩、こういうようなものの規格、基準というようなものが、栄養学もしくは臨床医学的な面からつくられると、このように考えておるわけでございます。こういうような、積極的に栄養価を増していくというような研究と同時に、もう一つ、そういうような加工の段階におきまして、栄養価がそこなわれるというようなことがあればというので、たとえば、冷凍食品に例をとるならば、冷凍食品というようなものを長期貯蔵いたしました場合に、当然脂肪の変質が起こるわけでございますが、こういった変質脂肪の多い食品というものを、私どもが知らないで摂取した場合に、どの程度の栄養価の減少というものがあるであろうかというようなことを、動物を使いまして実験したわけでございます。イカのような非常に油の少ないものでございますと、いままでの実験では、三年間貯蔵いたしましてもほぼ栄養価の減少というようなものは認められないのでございますけれども、サバであるとかマグロであるとかいうような、油の多い食品を冷凍にいたしますと、ほぼ二年ぐらい貯蔵したものから消化吸収率その他のものがダウンしてまいりまして、そういうようなものを知らずに食べるということは、私どもが栄養価の一つの指標としております栄養成分表にあらわれました栄養価よりも低いものを国民がとることになるから、そういうようなものについての何らかの考え方というものを示さなければならぬというようなことで、研究を現在続行しておるというのが現状でございます。
 以上でございます。
#30
○委員長(中村英男君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#31
○委員長(中村英男君) 速記を起こして。
#32
○田中寿美子君 それでは、時間があれですから、私特に、念を押したいところがあったんですけれども、大臣がいらっしゃらないわけですね。ですからそれは省きます。そして、食品添加物の内容について、この前、質問を始めていたところでございますので、それについて少しお伺いをします。
 現在、三百四十種類一応食品添加物が許可されているわけなんですが、昭和四十年までは規制がほとんどちゃんとされていなくて、四十年以降規制されてきた。その中で、――消費者保護会議のほうで今後四十六年、四十七年、四十八年に向かって点検していって、そして疑わしいものをはずしていくという方向で幾つかずっとプランが出ているわけなんですが、その中でお聞きしたいと思いますのは消費者保護会議のこの表、それからさらに厚生省がそれにのっとって食品添加物再点検の年次計画をつくっていらっしゃいますね、その中で代謝試験、催奇型性試験と、二通りになって継続されているもの、新規のものとなっているわけなんですけれども、これは発ガン性についての試験というのはどこに入ることになりますでしょうか。
#33
○政府委員(信澤清君) お話の発ガン物質の問題は慢性毒性の試験の項目に入っております。
#34
○田中寿美子君 それでは、発ガン性の疑いのあるものというのは、色素の中で幾つかあると思うのですけれども、昭和四十年の四月一日に削除された赤色一〇一号というのは、これは発ガン性を認めて削除したわけでございますね。その後、いま検討しておるものの中で、その後削除したものの中で赤色一号が昭和四十年、四号が四十一年、五号が四十二年、青の二号が四十二年、それから青の三号が、これは何年でしたか、’それから緑色一号、黄色一号、これらは理由はどういうところにありますか、削除した理由。――それでは時間がかかりますので、あとでお答えをいただくとして、私はそれはたぶん発ガン性が理由であったのではないかというふうに疑いを持っているので、ここに催奇型性、代謝試験というふうになって、慢性毒性を見る場合に、発ガン性の疑いがあるというふうになぜ書けないのか。発ガン性の試験をするときになぜ出せないのかというふうに思うわけです。先ほど国立予防衛生研究所の第一室長さんは、発ガン性ということばをちゃんと出していらっしゃったわけなんですが、それで赤色一〇一号というのは日本の試験ですね。あとはFDAの試験データによったのじゃないかというふうに思うのですが、一〇一号が日本で試験されてそして削除された、その理由はどういうことだったのでしょうか。
#35
○政府委員(信澤清君) たいへん御答弁がおそくなりまして申しわけございませんが、先ほどの第一の御質問の赤色一号、赤色一〇一号でございますが、いずれも発ガン性の疑いがあるということで削除いたしております。このデータは実は日本のデータでございます。一〇一号につきまして完全に日本のデータがございましたが、構造式が似ているということで、同時に赤色一号も削除した、こういう経緯がございます。
 そのほか、ガンの関係で落としました着色料といたしましては、食用黄色一号、――先ほどお話の食用黄色一号は、これは発ガンの疑いがある。それから食用緑色一号、これも発ガンの疑いがあるということで四十二年に削除いたしておりますが、このデータは外国のデータを使っております。
#36
○田中寿美子君 発ガン性の疑いは動物実験をするのだと思いますが、大体においてタール系色素ですか、アゾ系色素ですか、アゾ系色素というのは非常に危険だということだと思いますが、これは禁止すべき方向、何か疑わしきというところに入りませんでしょうか。
#37
○政府委員(信澤清君) 若干専門的なことでございますので食品化学課長から御答弁さしていただきたいと思います。
#38
○説明員(小島康平君) お答えいたします。
 現在色素として使われておりますのには、アゾ系の色素以外に幾つかの種類の色素がございますが、御指摘のように、アゾ系の色素のうちには従来発ガン性のものも発見されておりますが、アゾ色素であっても酸性色素と申しまして体外への排せつが非常に早いものにつきましては発ガン性がないということが定説になっておりまして、現在、私どものほうで認めておりますアゾ色素につきましては、すべて慢性毒性試験で発ガン性がないということが確かめられたものだけを使用許可をしておるということでございまして、また国際的にも評価をされましたもののうちにアゾ色素も使用されております。
#39
○田中寿美子君 それから現在試験中のものですね、赤の一〇二、一〇四、一〇五、一〇六、紫一何とか。こういうようなものは、試験中というのは何を意味しているのでしょう。何を試験していらっしゃるかということなんです。私は、着色料というのはなければないほどいいというふうに思うわけですけれども、それで疑わしいというものであったら現在試験中のものは一時禁止しておいて、そしてあとではっきり安全性が実証されてから許すというふうにすべきではないかと思うのですけれども、今度の法律の改正と関連してその辺はどうお考えですか。
#40
○政府委員(信澤清君) お話のような御意見もあろうかと思いますが、実はいま再点検いたしております。おあげになりましたような色素のたぐいは、実は一応は過去に毒性試験をやっておるわけでございます。したがって、その時点におきましては慢性毒性等の問題はなかった、こういう色素でございます。しかし、なお入念的に検査をする必要があるのではないかと、こういういろいろな御意見がございますので、さらにあらためて毒性試験等をやり、ただいま御指摘のございましたような発ガン性の問題等も十分検討いたしましてその安全性を確認いたしたい、こういうことで、現在再点検をやっておるわけでございます。さような意味合いにおきましては、いわゆるFAO、WHOで評価をしております添加物につきましても、わが国独自でこの点検討計画の中に組み入れているものもございますが、さような意味合いでございますので、現在いままでの得られたデータから申せば安全であるが、なお入念的にやっていると、このように御理解いただけたらと思います。
#41
○田中寿美子君 この赤の一〇三というのは四十六年二月二十六日に削除しているのですね、これの理由は。
#42
○政府委員(信澤清君) これは一応は試験をいたしましたが、なお非常に資料が不十分であって、積極的に安全性を証明している資料が乏しいということで、いろいろ色素については種類があるわけでございますので、疑わしいものはこの際やめるべきであろうということで削除をいたしたわけでございます。
#43
○田中寿美子君 WHOでタール系色素で非常に安全なものというふうに言われているものが三つあるというふうに聞いていますが、それは何でございますか。
#44
○説明員(小島康平君) 先生御指摘の三つというものでございますが、現在黄色の四号以外に約六種類の色素が安全で、それからその他暫定的な許容量をきめているものを加えますと十数種類の色素が認められております。
#45
○田中寿美子君 それはいま試験中の色素はその中に入っておりますか。
#46
○説明員(小島康平君) 現在入っているものもございます。私どもとしてはWHO、FAOが認めたものであっても、私どもの独自の観点からさらに調査を行ないたいというようなことでやっております。
#47
○田中寿美子君 赤の二と赤の一〇二ですか、これはたいへん、きわめて注意すべきものだというふうにいわれていますが、それは疑わしきものというふうな基準にはめて、禁止すべきではないかと思いますが、いかがですか。この点、厚生省並びに河端室長さんにも伺いたいと思います。
#48
○説明員(小島康平君) 赤の二号はアマランスと呼ばれる色素でございまして、赤の一〇二号はそれに準じた構造を持つ色素でございます。赤の二号につきまして先生の御指摘がいまございましたのは、おそらくソ連で最近発表がございまして、赤の二号を投与いたしますと、ネズミの実験ですが、胎児の死亡率がふえるというような報告があったためと存ずるわけでございますが、これにつきましては、実は私どもも、その情報を入手いたしまして、検討いたしまして、現在赤の二号については生産を縮小させてはおるわけでございますが、その後、今月の初めから国連のFAOとWHOの合同の専門家委員会が開かれまして、その席上にソ連の研究者も出席いたしまして、詳細な質料につきまして専門家の検討が行われました。その結果赤の二号については従来安全であるとした評価を変更する必要はない。ただし、今後さらに詳細な研究を行なおうというようなことで結論が出ましたので、私どもとしては、赤の二号につきましては、そのようなことで、できるだけ使用量を制限した形で使用を認めていくような態勢にしたいというふうに考えております。赤の一〇二号につきましては、二号と非常に性質のといいますか、構造のよく似たものでございますが、これにつきましては国立衛生試験所におきまして慢性毒性試験等を終了いたしております。私どもとしては、安全性の一応の確認はされておるという観点に立っておる次第でございます。
#49
○田中寿美子君 せっかく疑わしきは許可しないという方針を出したのですので、無用な着色というのはなるたけこれは制限し、禁止できれば禁止してほしいと私は思います。いま、WHOで安全であると言われたからということでございますけれども、WHOの基準必ずしも高くはないわけで、私、旅行中に、きのう途中で見た新聞の記事でしたけれども、食品中の有毒金属についてのWHO、FAOの合同会議の基準をきめたということが出ておりまして、これで大体WHOの基準をきめるときというのは、WHOに参加している各国にその検査を分担するわけでしょう。それで、この基準でもWHOの水銀の許容量の数字はあまり低くはない、許容量はわりあい高くきめている。というのは魚の中に水銀が入っているんで、魚を食べる国民が多いから、その各国の水産業の現状を考慮に入れて基準をゆるめているというふうな記事が出ていたんですが、ですから、これは食品の問題を、先ほどからもお話が出ておりますように、人間の命をまず第一番に考えるということでなければなりませんですけれども、現状としてはたくさんの企業が関係していたり水産業が関係していたりするから、だから基準をそこのところで手かげんしているということが報道されているわけです。ですから、私は、特に日本がたくさん使う着色料とか、それから日本が特に使う食品の中に入っている添加物なんかについては、日本がイニシアチブをとってWHOが基準をつくるときにも発言すべきだと思いますけれども、国内の基準というものは相当きびしくしてほしい。そういう意味で、疑わしきはというのに該当しそうなものはできるだけやめさせていく。その方針をとっていただきたいと思うのですが、どうですか。
#50
○政府委員(信澤清君) 先生のただいまの御指摘は私どももそのように考えております。たとえ国連の機関で評価をされましたものでありましても、食生活のパターンが日本と西欧ではかなり違っておることは先生よく御存じのとおりでございます。したがいまして、いろいろな観点から専門家が集まりまして評価をいたすわけでございますが、やはりその国の食生活に合った添加物は必要な範囲において必要ならばそれを使う、こういう心ぐみであるべきだ、私どもはそのように考えておりますし、また、いろいろ添加物の指定あるいは削除について食品衛生調査会で御審議いただきます場合におきましても、そういう観点からの御審議を特にお願いをいたしておるわけでございます。ただいま御注意の点は、十分今後も守ってまいりたいと、このように考えております。
#51
○田中寿美子君 それで、先ほどの記事の部分ですけれども、魚をたくさん食べる国民が多いから、基準をゆるめるというのは、私は、これは反対だと思います。日本のように、非常にたくさん魚を食べるものは、その魚の中に含まれる有害な物質についてきびしくしなければいけない、蓄積していくものですから。この考え方自体は企業を保護するという立場にあるわけでわからないことはないけれども、人間のからだのほうから、ぜひその点は厚生省はきびしくやると、産業官庁のほうはそれに対して反対の立場をとるかもしれません。そういう点で厚生省がしっかりしていていただきたいというふうに思います。
 急ぎますので、次に相乗毒性についての研究についてですけれども、この研究ははたして十分されているかどうかということなんですが、これは予防衛生研究所の河端先生ちょっと御意見を伺いたい。
#52
○説明員(河端俊治君) 私のほうでは毒性試験を専門に担当しておりませんものですから、十分にお答えできないと思いますけれども、御指摘の点は非常に重要な点でございまして、また、いままでかなりおくれている分野でございます。これは日本の国だけでなしに世界的に見てもおくれている分野でございます。ただ一例、たまたま私どものほうでやっておりますことで、発色剤としての亜硝酸ソーダの問題がございまして、これが一種の相乗物と申しますか、亜硝酸ナトリウム自体では、毒性は使用基準以内ではほとんどないんでございますが、食品の中に含まれております第二級アミンと結合いたしますとニトロソアミンという発ガン性の物質ができてまいります。そういうことが新しい一種の相乗毒と申しますか、添加物同士でなしに食品成分との関係ということでいま一生懸命研究しておりまして、新しく非常に一PPBレベルで計量できるというたいへん精度の高い方法を開発いたしまして、現在いろいろな食品について調べておりますが、初めに心配されておりましたように、いろいろな魚、特にハム、ソーセージ、スジコといったような比較的第二級アミンが多く含まれている食品についても、現在までのところではほとんど心配ないというような考え方を持っております。もっとも、心配ないと申しましても、発ガン性物質に対しては許容量がないという考え方をどこまで通せるかということになると思いますけれども、添加物自体ですと、発ガン性のあるものは否定できますけれども、食品成分自体の中にもそういう可能性が出てくる、あるいは、違った種類の食品を食べると、胃の中でそういうものができる、ニトロソアミンができる可能性が出てまいりますと、どこまで許容するかということは学問的にも現在のところ十分に解明されておりません。しかしながら問題となりますのは、大体PPMオーダーで何十PPMというものを毎日食べますとガンができる可能性が出てくるわけでありますが、実際の分析ですと、一PPBから多くて十PPBということで、安全率が千倍から一万倍かかってありますものですから、通常食べる量では支障がないだろうという解釈が現在世界的にとられております。いずれにいたしましても、この種の研究は、今後やはりやっていかなければいけないというように考えております。
#53
○政府委員(信澤清君) 相乗毒性の問題につきましては、実は昭和四十五年から、これもまた年次計画をつくりまして、計画的に進めております。現在四十五年のデータが出ておりますが、たとえば、ソルビン酸と安息香酸、いずれも保存料でございますが、かなり使われております。そういったものの組み合せ等々につきまして、千葉大学の相磯先生を班長とする研究班をつくりまして、いろいろな研究機関で分担をしてやっていただいております。ただいまのところ、ネガティブな結果を得ておりますが、私どもが食べております添加物はたくさんあるわけでございますので、今後いろいろな組み合わせについて試験をしてまいりますが、とりあえず、多量に使用されており、かつまたいろいろな意味で相乗性が問題となるであろうというものから手をつけてまいっている状況でございます。
#54
○田中寿美子君 厚生省の御説明で、私もそのように伺っていました。動物と人間とでは感度が非常に違って、人間は動物の十倍も感度が強いということで、動物実験をされたものに、さらに百分の一にしてあるという御説明を受けているわけなんですけれども、一日に大体七十種類くらいの食品添加物が人間のからだに入ってくる。そういうのに対して相乗毒性の研究があまりにもおくれているし、これはどこの国でもほとんど人間の人体の実験ということはしにくいからやられていないかもしれませんですけれども、そうであれば、なおさら私は、食品添加物、ことに化学合成の添加物に関して、それから発ガン性のあるかもしれないと思われるもの、それから、それにタール系の色素、そういったものは使用しないように指導すべきではないかというふうに思うのですけれども、どうでしょう。
#55
○政府委員(信澤清君) 私どももお話しのような方向で添加物の問題に対処すべきだと、そういう基本的な考え方におきましては、ただいま先生のおっしゃいましたことと全く同じように考えております。したがいまして、無害であるから使わせるということではございませんので、それがやはり国民生活に有用であると、こういう判断がもう一つ必要かと思います。したがいまして、添加物の問題について食品衛生調査会で御審議いただきます場合にも、それが有用であるかどうか、特に、一般消費者がそういうことを望んでいるかどうかという観点を一つの目安として審議をしていただく、こういう方針を出しておるわけでございます。
 ただ、色素の問題につきましては、これはずいぶん整理をしておりますし、また、毒性の問題等いろいろ検討いたしておるわけでございますが、やはり、ある程度生活の潤いと申しますか、そういったような面も無視できない気持ちもございますので、今後は使用すべき対象食品を限定をしてまいる。つまり、使用制限をきびしくするという方向でまず第一段階考えていきたいと、こういうつもりでございます。
#56
○田中寿美子君 再検討するというのは、これはちょっとあぶないというのは見当つけてやっていらっしゃると思うのですね。ですから、それについて、私は、ぎりぎりどうしても使わなければならないというもの以外は使わせない方針でいっていただきたいというふうに思うのです。それで、どうしても使わなければならないものというのはどういうものがあるかということです。
#57
○政府委員(信澤清君) 的確な御答弁にならないかもしれませんが、むしろ逆に使わないで済むというほうを申し上げますと、たとえば色素について申し上げますれば、きなこでございますとか、コンブでございますとか、あるいはお茶、ノリ、こういったものに従来着色をしておったわけでございますが、かようなものを逐一拾い上げまして、およそそういうものについては着色料を使わせないという基本的な前提を添加物の使用基準として現在きめております。
#58
○田中寿美子君 たとえばハム、ソーセージ、さっきから出ておりますが、これの発色剤というか殺菌剤と申しますか、あれはどうしても必要なものだというふうにお考えでございますか。
#59
○政府委員(信澤清君) まあ予研の河端先生がお見えになっておりますので、御専門家でいらっしゃいますので、そちらから御答弁いただけたらと思いますが、先ほどもお話ございましたように、亜硝酸ナトリウムの使用につきましては、主として魚の中にございます第二級アミンと結合いたしまして、いわゆるニトロソ化合物を生成する、これが発ガン物質であるということで、昨年来いろいろ、あるいはそれ以前かもしれませんが、特に昨年来問題になっているわけでございます。そこで、物自身の、つまり、亜硝酸ナトリウム自身の安全性の問題につきましては、これは現在、再点検計画の中に入れてございます。問題は、そういうものを、ハムなりソーセージに使わせる必要があるかという点でございますが、まあ、御出席の河端先生を含めまして専門家の御意見も聞き、さらに、食品衛生調査会の毒性部会あるいは添加物部会等の合同の会議も開いていただきまして検討いたしましたが、実は日本では亜硝酸ナトリウムは発色剤という範疇に入れておりますが、外国では、これは殺菌剤あるいは保存料という範疇の中で考えておるようでございます。特に、肉類について問題になりますボツリヌス菌でございますか、これの殺菌効果につきましては、非常に効果がある。したがって、受け売りで恐縮でございますが、ハム、ソーセージのような肉類の製品につきましては、亜硝酸と加熱と、それから食塩を使う、この三つの要素によって、そういった危害を防止する必要がある、こういうふうにも伺っておるわけでございます。なお、日本の場合には、その使用状況につきましてかなりきびしい規制をいたしておりまして、外国で申しますと大体二〇〇PPMないし二五〇PPMというのが標準のようでございますが、わが国ではハム、ソーセージにつきましては、七〇PPMというふうに、かなりきびしくいたしておるわけでございます。
#60
○田中寿美子君 河端先生、ハム、ソーセージ、いわゆる魚肉でつくったハムとかソーセージですね、これはたいへん腐りやすいというようなことがあるので、どうしても亜硝酸ナトリウムを入れなければならないというふうにいわれておりますが、一方発ガン性の物質の疑いがある、しかしこれは使わなければならない、こういうことでございますか。
#61
○説明員(河端俊治君) お答えいたします。
 いまの魚肉ハム、ソーセージの場合には、一つには、鯨の肉を使うものですから、発色剤としてどうしても必要であるということからきております。それからいま信澤審議官のほうからお話がありましたように、ボツリヌス中毒、たいへん食中毒細菌の中でも一番致命率の高い、猛烈な毒素をつくる細菌がおりますが、これが、もともとボツリヌスという名前は、ソーセージ中毒ということでございまして、古くからヨーロッパで非常にたくさん出て困っていた問題でございます。これが亜硝酸を使用するようになってから、この中毒が、少なくとも商業的につくったハム、ソーセージはほとんど起きていないというふうにいわれております。そこで、世界各国ではプリザーバティブといいますか、保存料として――保存料というのは、ただ防腐という意味のほかに、ボツリヌス中毒防止という立場でたいへん強調されているわけでございます。で、その実験のデータも外国ではかなりございます。日本の国では、いま言いましたように発色剤として役立っておりますが、ボツリヌス中毒の防止の役割りは何がやっているかといいますと、AF2という、私は別に特定の薬を肩持つつもりはございませんけれども、AF2という薬が現在使用許可になっておりますが、その薬がニトロフラン系化合物でございますが、これは非常に微量でボツリヌス菌をはじめ嫌気性菌の発育阻止をいたします。ただし、その薬は魚肉あるいは鯨の肉の入ったようなものの中ですと非常に不安定でございまして、それ自体がどんどんこわれてしまう。特に常温で流通しておりますから非常に早くこわれてしまう。このこわれてしまうことを今度亜硝酸が防止をするという間接的な効果でございまして、日本の国で許されている魚肉ハム、ソーセージですと五〇PPMの残存量でございますが、この程度の亜硝酸ではボツリヌス菌の防止効果はほとんどないというふうに私ども考えております。したがいまして、AF2が、もしなかったならば外国並みに亜硝酸をよけい入れる、そうしますと、ニトロソアミンの危険性がより多く出てくる。先ほど言いましたように、現在われわれのところで調べておりますけれども、魚肉ハム、ソーセージに使います原料の中で第二級アミンの多いのがタラでございます。タラの肉の中には非常に多いんですが、これは現在、冷凍すり身という形で水でさらしております。その工程でもって第二級アミンが非常に減ります。したがって、畜肉よりは多少多うございますけれども、そのニトロソアミンの生成の危険性がかなり少ないということが確かめられております。したがいまして、やはり私どもは、ニトロソアミンの危険性と、ボツリヌス中毒の危険性というものを、よく公衆衛生的な意味でバランスをとって判断する必要があるというふうに考えます。もし、ニトロンアミン、特にPPBレベルのニトロソアミンがほんとに危険ならば、もちろんいけないんですが、そうしますと、畜肉のハム、ソーセージを含めて、もう、ああいう形の食品は全面的に否定しなくてはいけないというふうなことにもなりかねないというふうに考えます。
#62
○田中寿美子君 その点私も、だから魚肉ソーセージとかハムの問題については、腐ってもらっては困るという観点から理解するのですけれども、その他、できるだけぎりぎりのところまでで制限してほしいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、時間がないもんですから、食品添加物の毒性――慢性毒性の検査あるいは催奇形性の検査も、非常にたくさんしなきゃならないはずで、国立衛生試験所の毒性部あたりでも、たいへん人数が少なくていらっしゃって、十一人でしていらっしゃるということを開いておりますが、一人で引き受ける品目の数からいっても、たしか、さっきから言っている相乗毒性の検査なんというのは、一体いつできるんだろうという心配をいたします。それで、先ほどの衛生監視員の問題も含めて、どういう研究体制についての強力な、何といいますか、強化のための行政を進めてほしいということを、厚生省には特に要望しておきたいと思います。
 それで、前回ちょっと触れました石油たん白のことなんですが、新しく開発される食品の問題ですけれども、まだ全然使っていないというふうにおっしゃいましたけれども、工業的に大量生産の段階に入っていないと思いますけれども、使うための試験的な生産をしているんじゃないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
#63
○政府委員(信澤清君) 御指摘のとおり試験的な生産はいたしております。同時に、現在、私どものほうで安全性を確認するためのおおむね二十数項目にわたるデータを要求いたしておりますので、そのデータを得る範囲内において、たとえば、家畜に使用するという等のことはやっておるはずでございます。
#64
○田中寿美子君 その試験的というのに、魚のえさにしたり、家畜のえさにしたりして試験をしていらっしゃるということはございますか。
#65
○政府委員(信澤清君) たしか、前回の委員会でさような御指摘がございましたが、調べました結果、いまお話のような実験段階での使用でございます。
#66
○田中寿美子君 で、石油たん白の害といいますか、有害性というものはどういうところにありますでしょうか。
#67
○政府委員(信澤清君) これはまあ、先生よく御承知の上でおっしゃってるんだと思いますが、石油たん白と申しますと、石油から合成されるたん白と通常考えるわけでございますが、くわしくは申し上げませんが、むしろ石油の中のノルマル・パラフィンをえさにして、ある微性物を繁殖させる、その繁殖させた微生物のたん白を利用すると、こういう考え方でございます。そこで、問題は直接合成するものではございませんが、やはり石油の中には、先ほどタール系の色素についていろいろ御質疑がございますように、私どもがまだ十分わからないいろいろな物質が入っているかもしれないわけでございまして、特に、それが微生物に摂取されました場合に、どういうような体内変化を起こすか、こういう点について十分なデータがございません。したがいまして、さような点について安全性をさらに確認いたしたいということで、さような点についてのデータの提出を求めている。さらにまた提出されましたデータにつきまして、これまた、食品衛生調査会で御検討いただくと、こういうことをいたしておるわけでございます。
#68
○田中寿美子君 私、この際だから申し上げておきたいんですけれども、石油たん白の中に含まれるペンツピレンというのは発ガン性物質であるというふうに聞いております。多少、私、石油化学をやっていらっしゃる方にお話を聞いたんですけれども、そのほか、いろいろ入っておるわけですね。そういうものが少量でも微生物から魚、家畜というふうに入っていきますと、食物連鎖を起こしますので、それが今日までいろいろな問題を引き起こしていることでもあるので、そういう不安定な段階で絶対に使用させないようにしてほしいということが一点です。
 それからもう一つは、いまおっしゃったノルマル・パラフィンという石油のそれから製造したものをわざわざ食べさせることによって、その魚などに有害な影響を起こさして、それが人間のからだに入ってくるという、こういう循環で危険を増していくというような方向をとらなくったって、むしろ今日では休耕田があったり田畑があいていたりするところに豊かな飼料をつくって、自然の飼料を食べさせることによって、海も汚染しないように、魚も汚染しないようにという方向をとるほうがほんとうではないかと思いますが、その点と、二点。どなたですか、厚生省はじめどなたでもお答え願います。
#69
○政府委員(信澤清君) まあ、農林省からお答えいただく筋合いかとも存じますが、私から申し上げたいと存じます。
 私ども承っておるところによりますると、家畜の飼料と申しますものは、ほとんど輸入に依存をしていると、こういう状況のように伺っております。特に、たん白源と申しまするか、たん白源として飼料に使われておりまする魚粉のたぐいというのは非常に昨今入手しがたいと、また値動きも大きいというようなことで、たん白飼料の確保についていろいろ農林省でも業界でも悩んでおられると、こういうふうに伺っているわけでございまして、さような観点から、いろいろ価格の面、その他問題があるわけでございますが、かりに、これが厚生省が安全だと、その安全もいま先生御指摘のように、家畜について安全だけじゃなくて、食べた家畜の肉なり、あるいは卵も人間が食べた場合にも安全であると、そういうような確証が得られるならばそれを使うこともけっこうじゃないかと、こういうような御結論を農林省としてはお持ちだというふうに承っております。
#70
○田中寿美子君 きょう、農林省の方もお見えになっているんですけれども、この点どうですか。えさ――たん白資源としてのたん白の飼料を確保するために石油たん白を使うということについて非常な心配があるので、むしろ農林省としては、お米の減産を指導し、減反さしているわけですから、そういうところでいろんな飼料をつくるとか、あるいは大豆その他自然のたん白をつくるということについて考えるほうが人間の健康のためにほんとうはいいんだというふうにお考えにならないかどうか。
#71
○説明員(川田則雄君) まことに恐縮なんでございますが、私は、農政局で、きょう農薬のことでお伺いいたしましたので、先生のお話があったということを畜産局のほうに通じて、畜産局のほうから先生のほうに御連絡をとりたいと思います。
#72
○田中寿美子君 それじゃ少し急ぎまして、照射食品のことなんですが、私たちは放射能照射食品というのは許可しないようにという方針で、この前、法案も作成したわけなんですが、いまコバルト六〇をかけて食品の鮮度を保つことと、それから発芽を押えるためにバレイショ、タマネギ、それからお米にも小麦にも使っていらっしゃるんですね。これをウインナーソーセージ、ミカン、水産練り製品にも使っているということを聞いているんですけれども、原子力委員会のほうがこれを進めているという話も聞きますが、一体これはだいじょうぶなのかどうか。特に、これは放射物質が残留するということだったら非常に重大だと思うのです。
#73
○政府委員(信澤清君) 食品に照射をするというのは、ただいま先生からお話がございましたように、発芽の防止あるいは殺菌と、こういう目的で使っているようでございます。で、この問題につきましては、昭和四十二年から原子力委員会を中心に研究を進めておりますことも、いま先生お触れになったとおりでございます。問題は、食品衛生法上、これをどう受けとめるかということでございます。実は、過去、社会党あるいは公明党から御提案になりました法案の中には、一条これに関する規定を設けておられたと思います。で、今回、私どももさような法律的措置を講ずることを検討いたしましたが、現在七条で、食品の成分規格をつくることができるようになっておりまして、たとえば、抗生物質の使用を原則的に禁止をするというようなことも、その七条の規格の中でやっておるわけでございまして、したがって、内閣の法制局とも相談いたしました結果、さような食品に照射をするということも原則的にとめるならば、現行の七条の成分規格で事足りるはずであると、こういう御見解でございましたので、あえて法律案としては御審議をいただくかっこうにいたさなかった経緯がございます。
 で、問題は、国内の開発状況でございますが、現在まで一応すべての研究が終わっておりますのがバレイショの発芽防止だけでございまして、これにつきましては、特に、安全性につきましては厚生省が分担をいたしまして資料を整えております。で、その結果、おおむね私どもの段階では安全であろうというデータがあるわけでございますが、ただいま食品衛生調査会に諮問をいたしまして、これまた、特別の部会をつくっていただきまして御検討中でございますので、いまだ結論が出ておりません。ただ、外国では、バレイショのほか、タマネギの発芽防止でございますとか、お話にございましたように、小麦粉に使うとか、あるいはハム、ベーコンの殺菌に使っているとかいうことを認めている国があるようにも聞いておりますが、わが国ではただいまのところございません。
#74
○田中寿美子君 お米はどうですか。私、急ぎますから、せっかく農林省の方も来ていらっしゃるので、残留農薬のことを急いでお尋ねしたいと思いますが、米には使っているかどうかということ。
 それから残留農薬が農作物に発見された段階では、もうちょっとおそいのではないかと思うので、私は農薬の問題はもうさんざん公害の委員会でBHCのときに議論をしたわけなんです。
  〔委員長退席、理事高田浩運君着席〕
この農薬の規制状況と、あわせてBHC、DDT、ドリン剤、水銀その他と、お願いします。
#75
○説明員(川田則雄君) 農薬の規制につきましては、取り締まり法の改正が行なわれまして、有機塩素系の農薬についてはきびしい規制を行なっております。それで詳しく申し上げますと、DDT剤につきましては、四十五年五月一日に使用の禁止をいたしております。それからBHCにつきましては、作物残留性農薬に指定いたしまして、森林以外の使用禁止を四十六年四月一日に行ないまして、その後、森林につきましても代替農薬の可能性ができたということで、四十六年十月二十三日に禁止をいたしております。その次にアルドリンでございますが、これは土壌残留性農薬に指定いたしまして、これは四十六年三月三十日に指定いたしまして、林木の苗畑以外の使用を禁止いたしております。それから次にディルドリンでございますが、これも土壌残留性農薬に指定しまして、
  〔理事高田浩運君退席、委員長着席〕
これも四十六年の三月三十日に伐採木以外の使用を禁止いたしております。それから次にエンドリンでございますが、これは作物残留性農薬及び水質汚濁性農薬に指定いたしまして、果樹、苗木以外の使用の禁止をいたしております。そして、そういう禁止をいたした農薬についての処分の問題がございますが、これにつきましては今年度予算で農薬安全処理対策費というものを予算計上いたしまして、目下その予算の執行について打ち合わせておりますが、早い機会にほかに漏れないような処理をいたしたいと思っております。
#76
○田中寿美子君 私、幾つか質問を用意していましたけれども、省きますが、一番心配にいつも思いますことは、厚生省で農薬の残留の基準、許容基準をきめる、それを受けて農林省のほうは使用基準をきめる。一体それがちゃんと使用の段階で守られているかということをどこがちゃんと見るかということなんですが、これはBHCのときに、私現場へ行って見て、だれも見に来たことはない、これはちょうどすべて食品監視員の不足の問題なんかとみんな同じような性質を持っていると思います。農林省と厚生省の間でそこのところはどういうふうな提携をしていくのか、それをちゃんとしてもらわないと、残留農薬の基準をきめても、実際には農薬を使うときに農民がわりあいに目分量でぱっぱっぱっと使ったりしているわけなんですが、その辺をどういうふうにしてくださるかということ。それから農薬を買う段階でどのように規制をするのかということですね。
#77
○政府委員(信澤清君) 最初に、私のほうから申し上げますが、まず、農薬の登録ということを現在、農薬取締法でやっておられるわけでございますが、その場合に、毒性については厚生省で研究したものをお使いいただき、その結果で御判断いただくという体制になっております。それから残留農薬の基準をつくりました場合、あとの指導の問題でございますが、やはり食品の問題でございますから、第一義的には私どもが責任を負うべきものと、かように考えておりますが、実際に調べまして違反が出たという場合の処理等につきましては、やはり実際に農作物をつくっておられる農家の御指導が徹底しなければお話のような事態になってしまうわけでございます。したがいまして、さような場合には、農林省関係の出先機関、先ほどお話に出ました農業改良普及員というような問題もございますが、そういう方々の御協力を得て、指導をやっていただいている、こういうふうになっているわけでございます。
 なお、最近、前回もお答えいたしましたが、個々の農家ごとにはよくわかりません。したがって、農協単位ぐらいに、やはり使い方が悪いんではないかということで、農協の中でお互いに理解し合うというようなことも農林省の御指導としてはやっていただいているように伺っております。
#78
○説明員(川田則雄君) いま、厚生省のほうからお答えになったと同じことでございますが、一つは農薬の検査、登録の段階において厚生省とよく相談して、そのデータを使うということと、それからもう一つは、厚生省のほうで残留基準ができましたら、それに基づいて農林省のほうでも安全使用基準というようなものをつくります。
 それから、先生御指摘の末端への伝達でございますが、これについては農林省には末端まで植物防疫所の組織がございます。また同時に農業改良普及所、そういう組織を使いまして、またできた製品が流通するわけでございますから、農業協同組合の営農指導員等も活用いたしまして、万全の措置を講ずるようにいたします。
#79
○田中寿美子君 農林省の方に最後に一つだけ、BHCが製造・使用禁止になったわけなんですが、その処分、回収の方法、それがはたしてちゃんとできているかということをあの問題を議論しているときから非常に私は心配していたんですけれども、はたして、ちゃんと回収してしまうことができるのかどうか、BHCだけではありません、その禁止される農薬ですね、安全にできますか。
#80
○説明員(川田則雄君) これにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、量といたしましては、昨年から安全処理を行なっておりますから、若干流動的でございますが、六千トンあるいは七千トンといわれる量がございます。これにつきましては、これも先ほど御説明申し上げましたが、四十七年度の予算で農薬安全処理対策費というものを約三千万計上いたしております。これは四分の一の補助でございますが、県も四分の一の補助を持つ、同時に製造をしたメーカーも責任を持つということで地域ごとに処理組合をつくって、それでその費用を使って、コンクリートその他のワクに完全に詰めまして、それが漏れるようなことのないような処理をしようと現在せっかく検討、打ち合わせ中でございます。
#81
○田中寿美子君 最後に、栄養研究所の岩尾先生も見えておりますので、私たいへん急いで十分の質問ができなくて申しわけございませんけれども、これは厚生省と両方です。特定用途向け食品のことなんです。先ほども御説明がすでにございましたが、栄養改善法の中で「特殊栄養食品」というのがあるわけですが、これまで指定されている人形マークの食品ですけれども、あれがはたして必要なんだろうかということ、それより、はっきりと特定の用途向け食品ということにして、乳児用と、妊産婦用と病院用というようなものを設けて、それを食品衛生法の中に入れていったほうがいいんではないか。将来、私どもは栄養改善法は食品法の中に入れて、最初の目的で申し上げましたように、危害の防止と公衆衛生だけではなくて、さらに、健康の保持、増進というところまで入れて栄養の観点を含めるのが食品法の大きな目的だというふうに考えているわけなんです。それで特定の用途向けの食品の問題についてどういうふうにすべきかということ、初め岩尾先生ひとつお願いいたします。
#82
○説明員(岩尾裕之君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、現在の食品衛生法という狭いワクの中では栄養の問題は取り扱われないのじゃないか。したがって、レベルにあります食品をより高度の栄養的なものにするためにはやはり栄養改善の中で扱うということが至当なのではないか、こういう考えに立ちまして私どもは研究をいたしておるわけでございますけれども、そういうようなことから食品に欠けますビタミン、ことに日本人が摂取不足と考えられますようなビタミンあるいはミネラルというようなものを加えまして、現在、人形マークというような名前で扱われております特殊栄養食品というものを販売しているわけでございます。これには十分の効果があるというふうに確信いたしております。というのは、もし、この標示の面を消費者が十分に読み、かつ、これに対して理解をしてくださるならば、食品あるいは栄養というものがどんなものでなければならないかという十分なPRに役立っておる、こんなふうに考えるからでございます。
 もう一つの病者用その他の特殊な用途向けと申しますのは、現在までにも二、三の食品がつくられておったわけでございますけれども、もう少し範囲を拡大し、そうして、今日、この方面に悩んでおられる方々にたやすく手に入るならばというようなことで研究をいたしておるわけでございます。基礎的なことも私どものところで若干いたしておりまして、ほかの研究者の研究と相まちまして、いま、こういうようなものの規格、基準というようなものを厚生省のほうで委員会をつくられまして、そうして検討をしておるわけでございます。
#83
○政府委員(滝沢正君) ただいま先生御指摘の人形マークの問題につきましては、消費者基本法の制定の際にもいろいろ御指摘がございました。従来、これが法律に基づきますと、申請があれば、その内容が適正であれば許可するというようなことで約百品目、千件に及ぶというようなことでキャラメルとかチューインガムにまで強化食品というような事態に至りました。私も、この行政の責任になりましたときに、その実態を聞きまして、また御意見等を踏まえまして、至急にこの問題について取り組んだわけでございますが、結果を申しますと、国民の主要なる食品でございます米から味噌、マーガリン、あるいは魚肉ハム、ソーセージ、ゆでめん、乾めん等も栄養調査に基づく消費の高い、しかもビタミンあるいはビタミンのA、耳、耳、カルシウム等の添加の適切な、化学的にも添加することが合理的な問題をとらえまして、しかも国民の栄養調査の結果もこれらのビタミン類、カルシウム等の不足がございますので、その強化食品については当分この制度を続けたい、しかし、内容的にきわめて乱雑な行政になっておったということを深く反省いたしまして、十品目にしぼりました。これは経過規定がございますので、四十八年の九月末をもって十品目だけに整理できます。ただいま、いろいろの更新と、それから新規のものを含めまして、先ほど申し上げましたように、一番多いときは千件というような状況でございましたが、昭和四十五年度の更新並びに新規のものを含めまして、二百六十三件というふうに著しく減ってまいっておりますので、この取り扱いは以上申し上げましたような方針でまいりたい。
 ただ、栄養改善法十二条にございます特別用途の食品につきましては、これは、実は改善法に、条文としてはありながら具体的な対策というものは、三十九年にちょうど私、母子衛生課長をやりましたときに、わが国の妊産婦の栄養の改善がどうしても必要であるというところから、学会におはかりいたしまして基準を定めました。これが唯一のわが国の特別用途食品になっておる次第でございます。ただいま栄養研究所の部長からもお話しのように、至急これも昨年の十二月から審査を始めていただきまして、病者用のたとえば低ナトリウム食品、あるいは低カロリー食品、あるいは高たん白の食品というような問題について次々御審議をいただいて、早急に病者用等に必要な問題について対処いたしたい。FAO、WHOの合同委員会等においてもこの問題についての委員会がございまして、それぞれ国際的な一つの基準、考え方を示しておりますので、これもステップ・バイ・ステップで各国の意見を聞きながら進めております。低ナトリウム食などが一番進んでまいっておりますので、こういう問題から手をつけたい、こういう考え方でございます。
#84
○田中寿美子君 最後に一点。
 さっき農林省の方にお伺いするつもりで一つ落としましたが、ずっといまPCBの問題が議論されております。けさの新聞でも、滋賀県でお米の出荷停止をしたということが出ておりましたですね。PCBがあまりにたくさんの量なので、お米の出荷停止をしたということですね。そういうことがあっちこっちにあるはずだから、お米の全般的な検査をしてほしいということを言いたかったんですが、農林省の方帰られたそうですから……。
#85
○政府委員(信澤清君) 私から御答弁申し上げますが、ただいま、お話のような事態がありましたことを昨夜滋賀県から私ども報告を受けております。すぐ農林省、それから環境庁と御相談をいたしておるわけでございますが、事実は事実として率直に認め、これに対する対策を講ずる必要がある、こういうことで、いませっかく検討中でございますが、ただ、幸いなことに、玄米では一・三PPMというような数字が出ておりますが、これを精白いたしますと〇・〇一というような、おおむね百分の一に減っている。その原因がどこにあるかというような問題もあろうかと思いますので、さような点を含めまして、米自身についての問題を検討する、同時に、いままでこの米を食べておった方々がおられるわけでございますので、その方々の健康状態についてさっそく調べる必要があるのではなかろうかということで、とりあえず、滋賀県庁にそのような具体的健康管理の方法をどうするかという問題を含めて、単に出荷停止だけじゃございませんで、健康面の配慮もすべきだという注意をいたしております。
#86
○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、午前中の審査はこの程度にいたし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十五分開会
#87
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
#88
○柏原ヤス君 いま、日本国じゆうに有害食品やうそつき食品が横行して、国民は一体何が安心して食べられるのかわからない非常に不安な食生活を行なっております。これに対して、だれが見てもわかる食品、だれもが安心して食べられる食品を国民に提供する、その実現のために食品行政がいまほど望まれるときはないと思います。
 そこで、すでにこの委員会でも討議されましたが、行政組織の一元化に積極的に取り組むべきであるということは国民の声であり、大きな問題であると思います。しかし、これは非常にいろいろ問題があるようでございます、そこで私は、せめて厚生省の内部の行政組織の一元化をはかるべきではないか、内部の一元化もできないで、どうして各省の一元化ができるか、この点についてお聞きしたいと思います。
 また、この一元化とともに統一的な食品法を制定すべきであるという声も国民の強い声でございます。今度の食品衛生法改正案要旨の冒頭にもこの点が取り上げられて、「この問題についていま直ちに結論を得ることは困難な事情にある。」といっておりますが、この困難な事情というのは各省の権限に問題があるのか、この点はどうなのか、この二点をお聞きしたいと思います。
#89
○政府委員(信澤清君) 御質問の順番と逆になりますが、最後に仰せになりました「困難な事情にある。」と、たしか私どもが先生方に法案の御説明を申し上げる際に使った資料の中にそのように書いてあるわけでございます。それは、こういうことを申し上げておるわけでございます。いまお話のように、前々から統一食品法をつくれ、あるいは食品行政を一元化しろと、こういう御論議はあるわけでございます。政府部内でも、昭和四十四年以来この問題について経済企画庁を中心に検討を進めてまいったわけでございますが、いろいろ役所の機構の問題もからみ合うことでございますので、なかなか結論が出ないまま今日に至っておるわけでございます。しかし、冒頭、先生仰せのように、食品衛生についてはいろいろな問題があるわけでございまして、その中には現在の法律ではどうしても対応できない、こういう問題もございます。そこで、統一食品法の問題あるいは行政一元化の問題というものを待っておっては、食品衛生法自身、いま私どもがやっておる仕事自身も円滑に動いていかないのではないか。そこで、そういう大きな問題がございますが、今回は食品衛生の分野について必要な改正をお願いをいたしたいと、こういう趣旨の意味で「困難な事情にある。」という表現を使ったわけでございます。
 なお、ただいまお話しの厚生省の中の機構の問題は、おそらくお話の趣旨は、栄養改善法によります特殊栄養食品が公衆衛生局の所管になっておりますので、その問題についてのお尋ねだと思いますので、この点については政務次官からお答えをいただきたいと思います。
#90
○政府委員(登坂重次郎君) 先生、仰せのとおり、食品法というのは非常に前から要望されておったところでありますけれども、厚生省の立場といたしますなれば、私のほうは製造物は扱っておりませんし、国民の保健、栄養という見地から公正に判断できるものからまず厳正にやっていこうと、農林省あるいは通産省、そういう各行政機構とそれは話は進めておることはおるのでありまするが、なかなか行政の一元化、それぞれの各省の所管事項としていろいろ困難な事情もありまして、にわかに結論が出せないのでありまするが、私ども厚生省としての立場からするなれば、国民の保健、栄養、予防、こういう観点からいま行なわれておりまするところの食品法のもう少し精査、そうして徹底を期して安心した食品行政が行なえるようにしたいと、これが当面の急務と心得て一部改正をいたしたわけでございます。
#91
○柏原ヤス君 そこで、いまの段階としてはこの改正案を生かして、そして食品の問題をよりよく前進させていく、そういうことでございますが、そこで一番問題なのは、やはり厚生省の私は努力であると思うのです。厚生省の権限で、最大に努力していただいて、そしてこの食品法の改正法も生かしていただきたい、こう思います。
 そこで、私、厚生省がそうした立場で、どのような努力をしていらっしゃるかということを具体的な例でもう少しお聞きしてみたいと思います。
 で、その一つは、これは昨年乳等省令が改正されまして、アイスクリームには異種脂肪の混入は認めない、けれどもアイスミルク、ラクトァィスには異種脂肪を混入してもよろしいというふうになりました。しかしその旨を標示しなくてもいいということになっております。これではごまかしアイスの横行がチェックできないというので、異種脂肪の混入を標示させようという要望が強かったはずでございます。このときに、厚生省はそれに対して何とお答えになったか。これは厚生省としては衛生上の観点から標示の規制をしているのだから、異種脂肪を標示することを義務づけることは法規上できないという、非常に消極的なお答えでございました。私は、これは厚生省が最大の努力を払うならば、公正取引委員会に働きかけて、いわゆる不当景品表示防止法のワクの中で、この異種脂肪の表示をさせることができたのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#92
○政府委員(信澤清君) 私どもの行政姿勢について、かねがねいろいろな御批判がございます。その中に、いま先生おあげになりましたように、厚生省の守備分野あるいは食品衛生行政というものが、単に飲食に起因する危害の防止である、それ以上のことはできないんだというようなことを確かに申してまいったわけでございます。その点が、私、率直に申しまして、従来の姿勢が間違っておったということを前回来重ね重ね申し上げておるわけでございます。さような意味合いで、ただいまのお話しの御議論が出ました際にも、あるいは食品衛生法では危害防止の観点あるいは衛生上の観点なんだということばが出たかもしれません。そのとおりであると思います。ただ、若干事実と違うという点を申し上げますと、これはおことばを返すようで恐縮でありますが、むしろアイスクリームのあの改正をいたしましたのは、およそアイスクリームという以上、諸外国でアイスクリームで通っているような同じような内容のものにすべきだと、そこで、アイスクリームと標示する以上、乳脂肪以外のものは使ってはならない、こういう意味であの改正をいたしたわけでございます。御指摘のように、そのほかアイスミルクでございますとか、いろんなアイスクリーム類似のものを認めております。これについて標示がないのが問題だという御指摘でございますが、確かにおっしゃるような問題があると思いますので、早急に検討いたしたいと思います。
#93
○柏原ヤス君 次に、また具体的な例で、牛乳についてお聞きしたいと思います。
 この牛乳はいろいろ問題がございます。牛乳は単なる飲みものとしてだけでなく、子供を育てるため、また病人に与えるものとして、衛生上の危害の発生を防止するという安全性の姿勢だけで見るべきものではないと思います。非常に栄養度を高くして国民に提供するというのが、私は厚生省の努力点ではないかと思うのです。そういう点で、牛乳の問題をお聞きしますが、最近のなま乳、これは原乳というふうに言ってもよろしいですね。この中に含まれている乳脂肪は平均三・三%、こういわれておりますが、市販の牛乳は三%と、こういうふうになっております。これは乳等省令で定められた最低基準ぎりぎりの量でしかないわけです。これはどういうわけかと調べてみますと、加工処理されるときに、乳脂肪を標準化するという名目で、乳脂肪分を抽出しているわけです。この抽出した乳脂肪分は、菓子メーカーには非常に高い値段で売られるとかいう話でございますが、このように消費者は栄養分のない、まずい牛乳を飲まされているわけで、これは許せない行為であると思います。そこで、厚生省が国民の健康の保持増進を積極的に進めると、今度の改正案でもいろいろ御説明がございました。狭義に取り組んでいくという、そういう姿勢で、この牛乳の問題をお取り扱いになるならば、牛乳とはなま乳を殺菌したものというふうに乳等省令を改正して禁止させるということは、私簡単にできることではないかと、こう思いますが、それを実行なさるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
#94
○政府委員(信澤清君) 牛乳が基本的な食品、特に乳幼児にとりまして大事な食品であることは、先生仰せのとおりでございます。したがいまして、牛乳につきましては、むしろ衛生の観点だけではなく、品質の問題にまで立ち入って、現在厚生省が所管をしている、こういう形に相なっておるわけでございます。問題は、御指摘になりましたように私どもの基準では脂肪分三%以上というふうにきめておるわけでございまして、この脂肪分――脂肪の含有率は、おおむね国際水率というふうに私ども承知をいたしております。ただ、お話のように、平均的に脂肪の含有率を見ました場合、これは全国平均でございますが、三%を上回っている事実がございますことも、これまた仰せのとおりでございます。反面、その脂肪が三%に満たないものも、実はあるわけでございまして、現在、まあ生乳の買い上げにつきましては、農林省がJASで格づけをいたしておりまして、二・八%以上の生乳――脂肪含有率二・八%以上は購入する、こういうようなことをいたしているわけでございますので、メーカーとしては、あるいは乳処理業者としては、そういう牛乳も買ってくる、三%以上のものと合わせて。そして、私どもがきめております三%以上という基準を満たすようなことを乳処理の段階でいたしておると、こういうことでございます。で、おそらく、御指摘の点は、そういう御事情は御存じでありながら、なおかつ、一部において脂肪を、率直に申しますれば抜き取っているというようなことをやっているんではないかという点の御指摘であろうと思います。この点は、いま申し上げましたような農林省の買い上げ政策と申しますか、価格政策と非常に関連がございます。私どもは先生と同じ考えでございます。牛乳というものはなま乳を殺菌をして、そして衛生的な条件を整えた以上の手を加えるべきではないと、こういう基本的な考えにおいては、先生のおっしゃるとおりでございます。ただし、反面、いま申し上げたような事情もございましたので、その点についてただいま農林省といろいろ相談をいたしております。基本的には仰せの方向に持っていきたいというのが厚生省の考え方でございます。
#95
○柏原ヤス君 牛乳の点について、もう一点、これは数年前にアメリカで、カゼインと乳糖とをもとの脱脂粉乳に還元するという技術が開発された。これをさっそくわが国の乳業メーカーが取り入れて機械を備えつけた。そして、この還元脱脂粉乳と、工業用に調製された植物性脂肪、まあヤシ油が主だそうでございますが、それとをまぜて、にせ乳脂肪をまぜて、これを牛乳として売っていると、これは事実でございます。こうしたことが行なわれていることについて、厚生省も御存じであると思うんですが、乳業メーカーの立ち入り検査、帳簿の点検というのはなさったのでしょうか。また、なさったとしたならば、その結果はどうなっているかという点でございます。
#96
○政府委員(信澤清君) お話のカゼインを使いますことは、牛乳ではもちろん何を入れてもいけませんが、加工乳という制度がございますが、これについても実は認めておりません。そういう意味で先生御指摘のような話がございましたので、実はもう数年前からその問題について各府県を督励いたしまして、そういうことのないよう指導してまいっておるわけでございまして、いろいろそういう話が出るものでございますので、毎年のように同じような通知を出しておるというのが実情でございます。その結果、府県を通じましていろいろ調べましたが、結論的にはそういう事実がいまのところ発見されておりません。しかし、申し上げておりますように、これは違反でございますので、もし事実について先生御存じでございましたらお聞かせいただきまして、さっそく応分の処置をとりたいと思います。
#97
○柏原ヤス君 ただ通知を出したとか、そういう事実はないというような表面的なことでなくて、厚生省は権限がおありなのですから、私は、立ち入り検査あるいは帳簿の点検というものは積極的にできるんじゃないかと、こう思います。、ぜひ、そういううわさを聞いたら、さっそくそういう行動に移っていただきたい、こういうことを希望いたします。
 それからもう一点、市乳に異種脂肪がまざっていたと、こういうようなことは故意に行なわれた行為であります。これはやっている会社は知ってやっているわけです。こういうメーカーの社会的責任というものをはっきりさせて、きびしい罰則を適用する必要があると思います。ただ、衛生上の危害防止というだけでなく、国民の健康保持、増進というものをはかるためには実際の行政面の積極的なあり方を進めていくとおっしゃっている厚生省の態度としては、私は、こういうきびしい態度が一面にあってもいいと思いますが、この点いかがでしょう。
#98
○政府委員(信澤清君) 実はカゼインについてはいろいろ調べましたけれども、お話のように帳簿の点検等いたしましたが、発見できませんでした。異種脂肪の問題については、ややその疑いがある事実が何件か過去出ております。いろいろ原因がございますが、中小のメーカーの場合、調べてみますると、加工乳をつくります場合に使いますバターとか、ミルク自身にすでに異種脂肪が入っておったと、こういう事実が最近明らかになりました。つまり、フレッシュミルクとか、そういうような何か上に名前をつけまして、そして、フレッシュバターとかフレッシュミルクとかいうような形でもって、本来ならお菓子の製造等に使う目的で売るならばこれはまあがまんができるわけでございますが、そういうものを間違って乳処理業者がお買いになって、それを入れたために異種脂肪の混入という事実が出てきたと、こういう事例も出てまいりましたので、そこで最近、私どもは、そういった加工乳をつくります場合の原料についてももう少しきびしい規制をする、同時に、乳製品を一部使いながら、たとえば、ココアをちょっと入れるとか、あるいは御指摘のような異種脂肪を入れるとか、こういう製品がかなり出回っておりますが、そういう点についての標示が必ずしも十分とは考えておりません。そこで、いまその改正についての作業を進めているところでございますので、御指摘のような方向について善処してまいりたいと、このように考えております。
#99
○柏原ヤス君 次に、具体的なこの条文の内容についてお聞きしたいと思います。
 まず最初に、第一条の目的についてたいへん問題がやはり論議されておりましたが、結論的には改正されていないわけです。この「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、」ということで、衛生上の安全確保に必要な限度にとどめられておりますが、この目的はあまりにも限定的であり、消極的ではないかと、こう思います。そこで、この目的の中に健康の保持と増進という一行を加えるべきであると私は思います。この点いかがでしょう。そうして、さらに栄養的にも嗜好的にもより良質の食品を国民に提供するというふうにしていただきたい。この点いかがでしょう。
#100
○政府委員(信澤清君) 今回御審議いただいておりまする法案の立案過程におきまして、私どもはいろいろの過去御論議のございました点について検討を加えた上で御提案申し上げたつもりでございます。当然のことながら、昭和四十四年に社会党から御提案になっております食品規制法案、翌年の四十五年に公明党から御提案になっておられます食品衛生法の一部を改正いたしまして、題名を食品法と改めるというような大改正案、この二については十分検討さしていただいたつもりでございます。その中に先生御指摘のように現在の食品衛生法の第一条の規定を改正いたしまして、お話しのように社会党の案では「国民の健康の保護」、それから公明党の案では「国民の健康の保持」、表現は違いますが、それぞれ同じような御趣旨の改正案が出されておりますことも存じております。なおまた、公明党案の提案理由の御説明も拝見いたしましたところ、この趣旨は個々人の健康について十分配慮すると、こういう趣旨を織り込むために今回このような改正をいたすのだと、こういう御説明もあるように伺っておるわけでございます。さような点につきまして、実は、私どもそういう観点から現行法の一条を改正したらいかがであろうかということで、私どもの内部ではそれなりの案を考えておりまして、そして、主として内閣法制局と問題の詰めをいたしたわけでございますが、その結果、たいへん申しわけないことでございますが、現行法の第一条の読み方と申しまするか、解釈について厚生省が過去、重大な間違いを犯しておったということがわかったわけでございます。その点は、いまお読み上げになりましたように、「飲食に起因する衛生上の危害の発生」の防止だけがこの法律の目的であるかごときことを私どもは考えておったわけでございますが、それだけがこの法律の目的ではございませんで、同時に「公衛衛生の向上及び増進に寄与すること」、このことがこの法律の直接的な目的であると、こういうことがわかったわけでございます。もちろん法制局で言われたからわかったわけじゃございませんで、それにしてもいまのようなお話もございますので、個個人の健康の保護、あるいは個人の健康の保持と、こういう趣旨がこの「公衆衛生の向上及び増進」の中で読めるか読めないかということまでもかなり突っ込んだ議論をいたしまして、実は、裏話を申し上げて恐縮でございますが、立案を担当いたしましたのが法制局の第四部でございますが、法律の解釈運用をいたしますのは第一部でございます。そちらのほうとも御相談の上、十分この現行法の一条を正しく解釈すればいま先生御指摘のような読み方ができるはずだし、またそうあるべきだと、こういうことでございましたので今回改正をいたさなかったと、こういう経緯でございます。
#101
○柏原ヤス君 そのようにいまよく承りましてわかりました。その目的が確かに狭義に解釈されてきたと、そのために、食品衛生行政が誤った運用をされてきたんだ、そうおっしゃったので了解いたしましたが、それでは、この各条文の中にいろいろ訂正しなければならないと思われる点がございます。どうしても衛生上の安全確保がうたわれている関係上、その安全確保のみが強調されているという感じが強いわけでございます。
 そこで、時間があまりありませんので、ずうっとまとめてお聞きいたしますが、この第四条のところに不衛生な食品として、有毒、有害、腐敗、変敗だけでございます。これに偽和食品が含まれていない、これを含めるべきじゃないか、これが一点でございます。また同じく人の健康をそこなうおそれがなければ認めるという消極的な条文です。こうなりますと、栄養的に無益な添加物が認められるということになるわけです。この栄養的に無益な添加物は排除したらどうか。まあ一つの例としては、CMCなどが取り上げられると思うんです。また第四条の二が今度新しく加えられましたが、これもやはりそうした姿勢の感じが強いわけです。また、第七条の食品もしくは添加物の基準、規格の制定、そこのところを見ますと、「公衆衛生の見地」というだけなので非常に狭いと思います。また第九条の有毒、有害な器具または容器、包装の販売等の禁止、これについても有毒、有害だけでは狭過ぎると思います。食品の品質が落ちるというような場合も含めるべきではないか。また第十一条の標示の基準も「公衆衛生の見地から、」とだけでございますが、これも不十分で、偽和防止という点から、よりよい良質のものという思想にすべきではないか。また今度の第十二条の虚偽または誇大表示、広告の禁止、これについても「公衆衛生に危害を及ぼす虞がある」ということだけでは不十分である。偽和防止なども含めるべきである。また改正案の中に示されている、第十五条にある「食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、」という、これも私は、狭過ぎる。改正案の第十九条の「有毒な又は有害な物質が」と、ずっとあって「混入することを防止するための措置」と規定されておりますが、品質の劣化、偽和なども加えるべきではないか、こう思いますが、一貫して申し上げている点は、やはり狭い解釈の条文が並んでいるわけです。この点いかがでしょうか。
#102
○政府委員(信澤清君) ただいま、るる御指摘ございました点について仰せのような問題点があろうかと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、この法律で「公衆衛生の見地」というふうに申しておりますのは、一条の「公衆衛生の向上及び増進」、これを受けているわけでございますので、その中身は先ほど申し上げましたように、先生方お考えの個々人の健康の保護あるいは保持ということを当然含むんだと、こういうふうに一条を読みました関係上、これで先生御指摘のような方向に具体的に持っていくということで、先生のお尋ねにお答えできるんではなかろうかと、このように考えておるわけでございます。
 なお、偽和の問題等につきましては、実は添加物を指定いたします際の食品衛生調査会の基準等もございます。その中でもはっきりと「粗悪な品質の原料または食品に用いて消費者を欺瞞する」ような、そういった添加物は認めないというふうにきめているわけでございます。具体的なお話が、CMCでございますか、出ましたが、そういう観点からこの基準に一体合うのか合わないのか、さっそく食品衛生調査会の御意見等も聞きまして善処をいたすということにいたしたいと思います。
#103
○柏原ヤス君 厚生省の御意見はよくわかりました。また、こ点がこうした委員会でいろいろこまかく検討されたはずでございます。そこで、目的についても立法精神に立ち返って広い意味で解釈されなければならないんだという、こういう点、また条文に明記されないいろいろな点がございます。これを、ただここで言っているだけでは私は第一線に立っている人には徹底しないと、また国民もこれを理解できないと思うんです。そういう点で政省令あるいは通達、その他行政指導などで広義の解釈の上からこれを改めさせなければならないと思いますが、そういうことをなされるかどうか。また、国民に対して報道機関とかパンフレット、そういうようなものでやはり徹底する必要があると思います。まあ、こういう点は厚生省でも努力なさっているようで、私は、この「知っておきたい食品衛生・改訂版」というのを読ましていただきました。これをずっと読みますと、やっぱりこの内容は、狭義の解釈の内容でございます。たとえば「法律の目的」というところを説明しているところを見ますと、「この法律では衛生上の安全確保に必要な限度に止められている。」と、こういうふうにいっているんです。これは直さなければ、たとえここで狭義の解釈、狭義の解釈と言っていてもだめだと思うんですね。これけさっそく書き改められるのかどうか。こういう点をお聞きしておきたいと思うんです。
#104
○政府委員(信澤清君) 先生からいろいろ御指摘がございました。厚生省といたしましては今後、国民の保健衛生、食品添加物標示、偽和製品の排除等に全力を傾けるつもりでございます。今度の改正法にいたしましてもその点、検査等を厳格にいたしまして、でき得る限りそういうものを放逐するというきびしい態度で行政指導も強めたいと、かように考えております。
#105
○柏原ヤス君 内容についてもう少しお聞きしたい点がございますが、特にこの法案に関係して、被害者救済の措置ということがやはりこれからの厚生省としての大きな仕事ではないかと思います。
 で、この食品衛生関係資料の中毒発生状況を見ますと、昭和四十年から四十五年までに毎年毎年事件の数で一千件以上、患者の数にしますと三万人から五万人の患者が被害者となっています。このような問題を今後どういうふうに扱うか。なぐなった方も百名前後といわれるほどでございます。この食品衛生法が改正され、また積極的な行政措置がされたとしても、私は、この中毒事故というものは絶滅することはできないと、そういう意味で被害者の救済措置というものは、政府として、これはとるべきではないかと思います。その点。まず、一点は、加害原因者が判明した場合には、その者によって治療とか賠償などがなされるのは当然でしょうが、それが判明するまで、また支払い能力が問題になるというようなときには、公費による救済制度が考えられても当然と私は思います。この点いかがでしょう。
 また、このために、公害における被害者の救済措置と同様の救済制度も検討すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#106
○政府委員(信澤清君) たいへん大きな問題でございますので、政務次官からお答え申し上げるのがしかるべきだと思いますが、多少問題の経過等につきまして、私から簡単に御説明申し上げます。
 お話のように、中毒が発生した場合の医療その他の問題を確保するための制度が必要なことはこれは私どももそのとおりだと思いますし、けさほどの参考人の御意見の中にもそういう御意見が出ております。さらにまた食品問題等懇談会の中の答申にもあるわけでございまして、そういうような意味で何とか、この問題を解決したいというように考えておりましたが、これもやはり部内で検討いたしますとなりますれば、そう簡単には整理がつかないというようなことで今日まで遷延しておりますが、方向としては、先生お話しの方向に持っていきたいということでございます。
 それから第二点の無過失賠償責任の問題につきましては、これは前々から御議論があり、私どもも検討いたしているわけでございますが、たいへんこれまたむずかしい問題でございまして、なかなか結論が出ません。たまたま昨年、たしか野党三党が共同で公害にかかわる無過失損害賠償責任制度を内容としました法案を御提案になったと承知をいたしております。
 この法案の中には、ひとりいわゆる公害のみならず、食品とか医薬品によって生じた被害についても無過失損害賠償責任制度を認める、こういう内容でございましたが、いろいろこの法務委員会等で御審議の結果、やはり食品の問題について現行法の規制をもっときびしくする必要があると、当面そちらのほうに重点を置いて早く食品衛生法の改正をやれと、こういうような御論議でございましたので、今回そういう方向に沿った改正をお願いをしておると、こういうことでございます。
#107
○柏原ヤス君 もう一点。この生鮮食料品の中にPCBが残留したり、また農薬や抗生物質が残る、その上一日に摂取している食品添加物というのは非常に多くて六十種も七十種もあるといわれております。これは十年、二十年と長期にわたったときに、その慢性毒性、相乗毒性が私たちのからだに影響を及ぼすわけでございます。そういうようなことを考えますと、いわゆる食品公害についても公害無過失責任法案というような措置が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#108
○政府委員(信澤清君) 実は私、御質問の趣旨を取り違えまして、先ほどの御答弁でいまの先生の御指摘の点についてお答えをしてしまったわけでございまして、たいへん申しわけございませんが、先ほど申し上げましたように、当面は食品衛生法の改正によって規制を強化するということをまずやれ、こういう御指摘もございましたので、さらに残された問題として今後検討さしていただきたい、このように考えております。
#109
○柏原ヤス君 この予想しない環境汚染や公害の発生など、急変するこういう時世を考えますときに、食品の安全性がたとえ確認されていたとしても、水銀とかPCBとかいう物質だけでなくて、いろいろな物質が混入する、残存する、付着する、こういうことが考えられます。いままでも過去の例からしてみますと、そこには必ず犠牲者が出て、そして、その犠牲者も犠牲者が出て初めてそうした問題がわかるわけです。この事態の発生を防ぐためには、食品の検査をある一定の測定基準を定め、品目あるいは地域、時期などを計画的に進めて国民の健康保持に万全を期す必要があると思いますが、その検討はお考えになっていらっしゃるかどうか。
#110
○政府委員(登坂重次郎君) お説のとおり、食品衛生というのは、これは国民の健康保持に絶対不可欠のものでありますし、このたびの改正法案はその趣旨においてできるだけ厳重に予防に重点を置き、検査を実施いたしまして、そういうものを未然に防ごう、また、法律を施行されたからには厚生省としても行政担当省として大きな責任を持つことでありまするから、私どもとしては真剣にこれに取り組みたいと思います。
#111
○柏原ヤス君 この改正案を行政面で積極的に徹底させていくということは、やはり衛生監視員の問題だと思います。で、この監視員の問題は非常に弱体である。調べてみますと、第二十六条に国庫負担の規定がございますが、そこに監視員の費用は国庫負担でやるというふうになっておりますが、現在は地方交付税になっております。これはなぜこのように規定されているのに効力が停止されているか、事情があると思いますが、これを簡単に言っていただいて、そして、この本条の効果を、効力を復活して、そして監視員の費用が全額国庫負担になるように、そして、この弱体な体制の強化をすべきではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
#112
○政府委員(信澤清君) 簡単に経緯を申し上げますが、この二十六条の規定は法律制定当初からあったわけでございます。ただ、国庫負担とあるところが国庫補助と書いてあった程度の違いでございますが、ところが昭和二十六年に特例措置法ができまして、この規定を二年間眠らせるということで、当時の平衡交付金のほうで費用を計上するという措置をとったわけでございます。その後、引き続き平衡交付金、その後改正されまして現在の地方交付税でこの費用を算定するということになっておりまして、たしか、昭和二十九年ごろ、国会でもいろいろ御論議があったわけでございますが、内閣の統一的な見解といたしましては、こういう規定がございますが、平衡交付金制度なり交付税制度というのはあとからできた制度なんで、いわゆる法律的な用語で申しますと、後法が先法に優先するんだということでこの規定は眠っておるんだという、こういうことで御答弁を申し上げてまいった緯緯がございます。なおまた、昭和三十二年にこの法律の一部改正をやりました場合に、政府案として、この二十六条を削除する案を出したわけでございますが、ただいまの先生のような御指摘もございまして、修正の際の御説明によりますと、ほぼ死文にひとしいけれども、ともかくこういう方向を考える必要があるから、この規定は残しておけということで参議院で御修正を受けた、そういう規定でございます。したがいまして、私どもの気持ちとしては、先生仰せのような方向を考えながら、当面は交付税でやっておりますが、将来は、やはりこの二十六条が生きてくるような方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。
#113
○柏原ヤス君 この業者の問題について、二点お聞きしておきたいと思います。
 この法律を見ますと、営業に際しては、施設の基準について非常にきびしく示されております。この基準になるものは施設の点だけなんですね。業者に対する資格ということは何もいわれておりません。一方理容師とか、美容師、クリーニングなどには資格を必要とすることになっておりますが、そういった点から、一定の資格を考える必要があるのではないか、こう思います。
 それからもう一点は、中毒発生状況の中で、原因がいろいろ区別されておりますが、施設別に分けられている一欄を見ますと、家庭を除きますと飲食店、事業所、旅館、仕出し屋、学校、というところが非常に多く、単なる販売ではなくて調理が行なわれているところにこの中毒が発生しております。そこで、調理師という国家試験を受けたのもあるわけですけれども、この調理師というものが、こうした点に有効に活用されておりません。そういう点、活用すべきではないか。また、衛生上にも責任を持たせてはどうか。そこで、初めて国家試験をもって与えた調理師というものがたいへん意義つけられてくる、こういうふうに思います。
 それからもう一点ですが、この従業員の健康管理制度を設けるべきじゃないか。検便とか、健康診断の義務化をはかってはどうか、この点をお伺いいたします。
#114
○政府委員(信澤清君) 第一点の問題は、先生御指摘のとおりでございまして、わずかに、特定の食品を製造加工する業者に対して食品衛生管理者を置くように義務づけている、これにとどまっておることは御指摘のとおりでございます。そこで、今回は、お話のような調理師の活用問題を含めましていろいろ検討いたしましたが、調理師の数も全部の飲食店にかりに置くといたしました場合に、まだその数が十分ではないというような事情もございます。そこで、今回御審議いただいております改正案では、第十九条の十八で、いろいろ公衆衛生上、業者が順守しなければならない基準を、都道府県知事がつくる、その基準が定められた場合には業者は従わなければならない、こういう改正をお願いしているわけでございまして、そういった面から、いろいろ御指摘のような点を担保してまいるようなことを考えていったらいかがであろうということで、改正についてお願いしたわけであります。
 なお、最後に仰せになりました従業員の健康管理の問題は、いま申し上げた都道府県知事が定める基準の中に当然織り込むべき規定であろう、このように考えております。
#115
○柏原ヤス君 最後に、食品添加物がたいへん問題になっておりますのでお聞きしたいと思います。これは、この委員会でたびたび検討されておりますが、私がお聞きしたいのは、食品添加物で、アメリカと比較して日本にしか許可されていない、そういう食品添加物は幾つありますか。
#116
○政府委員(信澤清君) 正確な数ははっきりわかっておりませんが、たとえば色素に例をとりますと、アメリカも日本もそれぞれ十二種類の色素を認めておりますが、そのうち、それぞれ四種類がお互いに認め合って使っていない、こういう状況でございます。
#117
○柏原ヤス君 お聞きしたのは、日本でしか許可されていない、そういう添加物は幾つくらいあるかということです。
#118
○政府委員(信澤清君) これも正確に数えますればたくさんあるかもしれませんが、大きなもので八つほどございます。
#119
○柏原ヤス君 私が調べたのはもう少し多いんですが、そんなものでしょうか。
#120
○政府委員(信澤清君) 私どもで調べました結果では八種類でございます。
#121
○柏原ヤス君 その急性毒性と人体への影響を教えていただきたいと思います。
#122
○政府委員(信澤清君) ちょっと答弁が間違っておりまして、日本では許可しているがアメリカで使っていない添加物は幾つかと、そういうお尋ねでございましたですね。それは七種類ございまして、私が先ほど八種類と申し上げましたのは、アメリカでは使っているが日本では使ってないというのが八種類だと、こういう意味で御答弁を申し上げたわけでございます。そこでアメリカで使っておりませんでわが国で使っておりますものの中で、色素が四種類ございます。このうち、食用の赤色一〇二号と申しますのは、これは国際的に評価が終わっているものでございます。それから一〇四号、一〇五号、一〇六号、いずれも赤でございますが、これは日本で開発された色素でございまして、さような意味合いで完全には評価が終わっておりません。ただ、日本で開発された色素の中でも、たとえば食用赤色一〇二号というものは、これはFAO、WHOの評価が終わっているわけでございます。しかし、日本での毒性その他の試験は一応終わっておりまするし、ただ、入念的にただいま再点検の中にこれを組み込んでやっているものもございます。それから、御承知のサルチル酸でございますが、これは日本とフランスしか使っておりません。これは現在、国税庁と相談いたしまして、お酒に対する使用をやめてもらっております。使っておりますのが〇・二%程度という状況になっております。これはたる酒だけ残っているというのが国税庁からのお話でございますので、これも何とかやめてほしいということでございます。一方慢性毒性につきましては、ただいま国立衛生試験所で試験をやっておりますが、現在のところ発ガンその他の問題は出ておりません。それから、私ども、非常に長たらしい名前なので簡単に、通常AF2と言っておりますが、例のとうふに使います殺菌剤でございます。これは日本のいわば特殊事情と申しまするか、食生活のパターンがアメリカと違いまして、おとうふ等は日本だけじゃないかもしれませんが、日本を含めまして東洋の特殊な食べものでございますので、さような意味合いではアメリカでは使っておらぬということであろうかと思いまするが、これにつきましては、最近の指定でございますので、慢性の毒性のみならず、催奇形性なり、代謝試験なり、あるいは次世代に及ぼす影響等の資料も全部そろっております。それから庶糖脂肪酸エステルというのがございますが、これはアメリカでは使っておりませんが、国際的には評価されております。
 以上でございます。
#123
○柏原ヤス君 日本では使っているけれどもアメリカでは使っていない、これを見ますと、確かに日本で使っているけれどもアメリカでは使っていないというものがたくさんあるわけです。チクロの例もそうでございました。あれはアメリカで禁止し、そして製造を中止し、製品回収というようなことが起きて、その結果、日本でもチクロが問題になったわけです。ところが、あのチクロはアメリカでも使っていたからああいう騒ぎがまた日本に及ぼしてきて、日本でもチクロを使わなくなった、こういうわけでございますが、アメリカで使ってないものを日本がいま使っていれば、そうした問題は起きないわけですね。また、日本ではこういう有害な添加物じゃないかと思われるようなものが使われていて、そして再点検の計画の中にも入っておりません。ですから、簡単に言うと、野放しになっていると、問題にならないで使われているということになるわけです。で、こういうものは人体に有害な影響があって、初めて発見される。そのときにはもう最悪の事態になっているわけです。そういうことを考えますと、私は、アメリカで使っていないものを日本が使っている場合は、やはり一応これは使用を禁止して責任ある検査を行なって、そして無害ということを実証して、しかも有用であるなら使用させるというふうにすべきではないかと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#124
○政府委員(信澤清君) 先生が最後に仰せになりました、かりに無害であっても益のないものは使わせるなという点、これは私どももそのように考え、そのように取り扱ってまいったはずでございまするし、今後もその方針を強化してまいりたいと存じます。
 なお、前段のアメリカで使っていないようなものは日本で使うなというお話は、お話の御趣旨はよくわかりますが、先ほども申し上げましたように、日本とアメリカでは食生活の様式等も違います。したがって、アメリカが使っておるものなら何でも日本で使っていいと、こういうことも言えない面もあろうかと思います。さような点では、各国それぞれ、そういった食生活の違い等を考えながら、必要に応じて使用基準をつくってきびしく使用制限するというような措置を講じておるわけでございますので、いまの御趣旨はよくわかりますが、しかし、単純にアメリカだけにならえという点だけはひとついま申し上げたことで御了解いただきたいと存じます。
#125
○柏原ヤス君 それから、最後にもう一点お願いいたします。これは輸入食品の安全確保についてでございますが、この輸入食品の監視体制の整備というものは、来年度増員になって沖繩を含めて八名、計四十名という現状でございますが、年々輸入食品が増加しているということを考えますと、非常にこの体制は心細い体制だ、しかも検疫所は駐在という間借りである。精密検査も地方の衛生研究所に依頼しているということではまことに弱体である、せめて充実した検査室をつくってこれをカバーしてはと思いますが、そうした点、根本的に再検討の必要があるのではないか。そこで、この検査については、食品の輸出については輸出検査法というものがございますが、輸入についても輸入検査法といった単独立法の制度が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#126
○政府委員(信澤清君) 輸入監視が重要なことは先生御指摘のとおりでございまして、私どももささやかでございますが、四十七年度予算の編成にあたりましては努力をしたつもりでございます。お話のように、検査室の整備を含めまして、いろいろ試験検査の器具を買うような経費についても、根っこの額が小さいのであまりいばれませんが、約二倍にふやしているような案を御審議いただいている状況でございます。
 そこで、後段に仰せになりました輸出検査法があるのだから輸入検査法があってしかるべきではないかという点でございますが、輸出検査法は御承知のように、良質の輸出品を確保するというこういう趣旨のものでございまして、外国の信用を落とさぬためにいいものを輸出する、こういう制度でございます。したがって、かりに輸出検査法にならって輸入検査法というものを考えますれば、それは食品だけではございませんで、ほかの貨物についても同じように考える必要があると思いますので、この点は十分政府部内で検討したいと思います。
 なお今回の改正案の中で、こまかい問題になりますのであまり申し上げませんが、十四条の二の規定と申しますのは、やや先生の御指摘になられました点に近づいた改正であると、このように考えています。
#127
○高山恒雄君 法案の内容についてはいろいろ午前中から御質問がございましたので、私はできるだけ重複を避けたいと考えております。
 そこで、極端な例を申し上げますと、この食品衛生の基本的な考え方は事前の処置がやっぱり必要だと思うのです。新聞に載ってから官庁がそれに対して動員をかけて調査して、そうして結論を出す、これはもう時代おくれだと思うのです。しかし、いままで実態を見ておると、それしかできなかったのではないか、こう思うのです。したがって、できない理由はどこにあるのか。これは少なくとも私はやっぱり法的な解釈から言いますならば、疑わしいものは立ち入り検査をして今度やる、こういう法案に改正になっておることはもう御承知のとおりです。そういう新しい法律のもとに今後、事前の取り締まりをどうしようかという問題については、もっと予算の処置並びにこの監視員の増員というものが必要ではないかという感を深くするわけです。昨年の人員から比較してみて、何名ですか、五名ふえておるだけです。したがって、法案は新しくいろいろ改正はされたが、これで実際問題としてやれるかということがやっぱり問題の焦点になろうかと私は思うのです。一つお聞きいたしますが、したがって先ほども御質問ございましたが、二十六条の規定はそのまま残してある。これを実はやるべきであるのだが、しかし現在はこれを残したままで、ペンディングにしたままで交付金でやっておるのだと、こういうことです。しかし、その交付金の分配に対する都道府県の実態調査というものができてないという話を私は聞いておるのです。そんなことで、一体この法に基づいた監視そのものが現実に実施できるのかどうか、疑わしい点ではないかと私は思うのですが、この点はどうですか。
#128
○政府委員(信澤清君) 監視員に関する費用が地方交付税に入っておりますために、先生御指摘のような事実があることは私どもも承知をいたしております。まあ補助金と違いまして、ひもつきでその人間を確保する、こういうかっこうになっておりませんためにお話しのような点が出てきているわけでございまして、そこで、まあ先ほどお話しのように、二十六条を活用して、むしろ国庫負担金なり補助金にしてきちっとひもをつけて財政的な手当てをすべきだと、こういう御趣旨のように承ったわけでございます。そこでまあ私どもとしては、現在交付税一般に通ずる問題でございますが、最低限交付税算定基礎に入っている人員は確保してほしい、こういうことをかなり強く言っておるわけでございますが、なかなか府県の事情によりましてはそのようになっておりません。しかし、まあ府県によっては交付税算定基礎以上の職員を置いてくれているところもあるわけでございまして、やはり要は私どもの努力と、それから府県のこの仕事に当たっている関係の長の方の考え方いかんだと思いますので、そういう点につきましてはできるだけ今後各府県の責任者に対して増員その他のお願いをする、少なくとも交付税で確保している人員は具体的に置いていただくようにつとめたい、このように考えております。
#129
○高山恒雄君 考えだけは私は了承しますけれどもね。実際問題として一般交付金と同時にしてその掌握ができなくて、たとえばこの第一項の問題にしましても、各知事は業界の指導に当たるということをしていますね、基準をきめて。一体そういうことが実際問題についてできるようなシステムかということです。これは大事なことです。先ほど参考人の御意見の中にもありましたように、この食品衛生なるものは、いかにりっぱな法律をつくろうとも、政府自体が直轄監視をしようとも、いわゆる業界の理解と消費者の理解がなければ目的を達することはできぬと、こう言っておる。私は、そのとおりだと思うんですよ。しかし、それにしても、あまりにも現状の交付金の実態がつかめないままで、いかなる法律をつくっても、私は、これはもうざる法と同じような形になって、いままでのような、いわゆる起こった問題の処理にしか対応できないのが現実ではないか、こういうふうに考えるわけですが、考えだけじゃなくて、今後もう少し、たとえて申しますならば、その地方交付税の経費別の単位ですね、こういうものを、やっぱり都道府県に、皆さんのほうである程度指示する。どうしても最低限これだけの予算というものは、新しい法案に基づく、衛生法の今後の実態を掌握、処理するために必要なんだ、これができなければ、食品衛生の、この法の適用というものは実際にできないんだという観点に立って、私は一応地方自治体の、まあ大臣は自治大臣に話をしてもらうと同時に、そういう、私はひとつ指導がなければ、考えておるだけでは、この問題は、私は実際は実を結ばない、こう考えるわけですが、この点どうですか。次官ひとつお願いしたい。
#130
○政府委員(登坂重次郎君) 全く先生の御意見のとおりでございます。私のほうとしても、地方交付税に人件費が含まれておって、それがはっきりわかっていないということはまことに恐縮で、それはいま五千五百人という定員は確保されておるわけですけれども、今後ますます重要性を帯びてまいりまする食品衛生法の資質の向上という観点に立って、厳重にまた監視体制を整え、保健所等も一あるいは県の衛生部、そういうものを総動員いたしまして、この法の精神が生かされるように、今後最大の努力をいたします。
#131
○高山恒雄君 そこで、私は監視員の資格別の調査をしてみたのですが、非常にこの構成を見て、あまりにも冷遇的な地位におられる人が監視員の位置におられるんではないかという感を深くするわけです。それは大体、四十七年度にしまして、平均賃金百六十七万円です。そうして、月別にしますと約十四万円平均です。構成を見ますと、お医者さん、――歯科医、薬剤師を含めまして、十分の一の人がそういう資格のある人格の方です。それから大学出の方が六百人、大体これも十分の一の人です。短大と高校卒の人はわずかに三百十九人、五千四百九十五人の中で。人員構成を言うと、このとおりです。その平均賃金が月額十四方円を切るという現状、年間百六十七万円ということでは、あまりにも、この国家公務員の賃金でしょうけれども、位のとり方を二けたくらい間違っておるんではないかと、私はこう思うんです。採用する場合の条件というものをもっと上げてやるべきじゃないか。高額所得者をごらんなさい。お医者さんで年間五百万以下の人は一人もおりませんよ。そういうお医者さんがどのくらいおられるかというと五百五十二人おられるんでしょう、そういう資格の人が十分の一おられる。それにしてはあまりにも私は、この監視員という立場におけるところの生活保障というものが十分でないのではないかという感じがするわけです。特に、お聞きしたいのですが獣医師の方が二千九百二十三人おられます。私は、決して不適任な方とは考えておりません。それで、この監視員の方に、そういう人を三千人近くも入れておるという事実は他に希望がないのではないかという感じすらするのです。その点はどうですか、ひとつお聞かせ願いたい。
#132
○政府委員(浦田純一君) 監視員の数あるいは資格、または待遇について非常にこまかい御指摘があったわけでございます。獣医師の点について端的にお答えいたします。ほかの資格を持っておる監視員の方についてもそうでございますけれども、正直申しまして、優秀な資格、経歴を持っておられる監視員の方を新しく採用する、あるいはとどまっていただくということについては、かなり難渋を感じております。獣医師の方につきましても決してほかに行く場所がないからといってとまっておられるのではございません。むしろ民間のほうに転出するという傾向のほうが強いわけでございます。ことに、若い方については、そのようなことが申されますので、先生御指摘の点につきましては、これはやはり、私どもはいろいろと実態の調査もいたしておりますけれども、待遇の改善につきましては、これはもっと格段の努力をしなければならないというふうに考えております。
#133
○高山恒雄君 私は、ここで申し上げたことは、決して獣医師さんが悪いというわけじゃないんです。あまりにも片寄った採用条件になっておるという事実はどこにあるのかということを聞きたいのですけれども、いまの御答弁でけっこうですが、そこで、一番問題になりますのは、結局若い人は監視員としての将来への採用は非常にむずかしいという現状もあるといういま御説明ですよ。だから、これは次官にお願いしたいのですが、私の希望意見として強く申し上げておきますが、少なくとも、こういう監視員の資格のある人に対しては、もっと優遇措置をとるべきだ、これはどういう点かと申しますと、何と言っても国家公務員ですから、採用してからはなかなか特定の賃金を出すわけにはいかぬでしょうから、採用条件のときに、いままでの級制を二階級なら二階級上げた地位で採用するとか方法があるはずです。これは人事院に対して私は申告していただきたいと思います。そうして、根本的にやっぱり変える必要がある。給与面では、こういう状態と同時に、先ほど私が申し上げました地方交付税の実態の予算というものは、政府では掌握していないという現実なんです。そうすると、たとえば過疎地帯に重要な問題が起こった場合、全部出張でしょう。それに行くのにも行けないというような状態があり得るかもしれません、地方の予算が組んでなければ。十分なる活動はできないようなシステムの中に監視員がおるという点を、私は指摘しておきたいのです。次官、この点はひとつ大臣と御相談願って、私は、徹頭徹尾こういうことから改善をして、初めて法の施行に対して実現することができるということを主張せざるを得ないのであります。一応次官のひとつ考え方をお聞きします。
#134
○政府委員(登坂重次郎君) 先生の御意見承って、私も全く同感に心得ております。そして、大臣も、私も含めて人事院に技術者の採用にあたっての待遇改善、処遇の改善というものを熱心に説いて、そして折衝いたしておるわけでございます。今度、公務員の給与改定でもだんだんは改善されてまいりましたが、まだ一般社会と比較するなれば、必ずしも十分とは言えません。特に技術者をわれわれ官庁に採用するということは非常に困難になりつつあることは御指摘のとおりであります。特に、お医者さんとかあるいは、そういう技術者の優秀な人をわれわれやはり採用しなければならないので、人事院とも特に相談いたしまして、年々改善はさしてもらっておるわけでございまするが、今後とも、また懸命の努力をいたしましてできる限り実情に即したような、そういう給与の改定、人事院に対して、この採用に際しての諸条件に備えたい、こう思っております。
#135
○高山恒雄君 その問題はお考え願うということで、特に民間企業から考えてみると、私は劣悪な状態にあるということを申し上げざるを得ないわけです。ひとつ大臣とも御相談願って人事院に申告していただくことを切に希望いたしておきます。
 次に、輸入食品ですが、よく新聞その他でもいっておりますが、うそつき舶来食品なんということが新聞等にも載っていますが、したがって、添加物の標示もない、今度はたとえば架空会社の輸入で架空会社のレッテルが張ってある、それが大体ジャムとして売られておるというふうなことも新聞に載っておりましたが、一体この輸入製品に対して先ほどの調査員の方からもお話がございましたように、日本の現状では六・六%ですか、私らは六%だと聞いておりますけれども、たいした変わりはございませんから、その点こだわりませんが、そういうふうにわずかしか検査をしていない、こういうことだろうと思うのです。自由化に備えて現状から考えますと、この輸入食品という問題は非常に重要な問題ではないか、こういうふうに考えるのですが、実際問題として、いまそういう問題が横浜であったということですが、これに対する処置をどうされたのか、あるいはまたそういう事実があったのか、これからそういう危険性があるのかないのか、この点ちょっとお聞かせ願いたい。
#136
○政府委員(信澤清君) 輸入監視が必要なことは御指摘のとおりでございまして、私ども、できるだけのことをやっているつもりでございます。先ほど来御議論に出ておりまする、いわゆる検査と申しますのは、その品物について、品質その他の検査をしたものが全体の六%程度、こういう意味でございまして、先生御案内のように、輸入をいたします場合には必ず届け出がございます。したがって、書類の上での検査と申しまするか、チェックはいたしているわけでございます。その際、輸入食品の標示につきましては、食品衛生法で標示事項がきめられております。当然外国の製品でございますので、そのとおりになっておりません。そこで、まあいろんなやり方をいたしているわけでございますが、最大限完全な方法はきちっとこれこれの事項を標示しますということを誓約書を出させまして、とりあえず通関をさせる、そして、あと標示をする際に、監視員が立ち会う場合もあるし、あるいは事務報告を受けるというようなことを実はやっているわけでございます。その点がなまぬるいということの結果、お話のような点が出てきているのではないかと思います。
 具体的に御指摘になりました、新聞記事の件はどれをおさしになっているかわかりませんが、たまたま、ことしの一月の初めにお話のように横浜でうそつき舶来食品という見出しで、たしかこれは朝日新聞でございましたか、そういう記事がございました。これは調べましたところ、実はコンシューマーズクラブという団体が調べた結果、そういうものが出たということでございますが、よく調べてみましたけれど、これに該当する団体がございませんでした。たまたま代表者としてお名前があがっている方がわかりましたので、その方と御連絡がとれまして、そうしてお持ちを願いたい、あるいはこちらから取りに行きますと、したがって、どういう違反なのか、確認させてほしいということでお願いをしたわけでございますが、実はそのままになってきております。それから重ねてこの記事を書きました横浜の新聞の支局のほうにも問い合わしたわけでございますが、このほうからは若干の資料をもらいましたので、さっそくその資料に基づきましてしかるべく手を打ってございます。
#137
○高山恒雄君 そういう架空の輸入品の商標が張ってあったと、こういう事実があったんですか。
#138
○政府委員(信澤清君) 業者は架空でございませんで、標示事項に一部違反があったということはございました。
#139
○高山恒雄君 これから自由化に備えて、輸入製品に対する問題の取り扱いとしては非常に重要な問題であると同時に、なかなか先ほどおっしゃるように検査をしましても、全部やるわけじゃないんですから、どういう誇大広告が出てくるかわからぬというようなこともあろうかと思うのです。したがって、非常に困難だと私は思うのですが、ただしこれも、輸入関係の方で、監視員の定員を見ますと、大体、四十六年度ですが、小樽で一人、東京で四名、東京空港で二人ですか、横浜で五人、清水で一人、名古屋で一人、大阪で二人、神戸で三人、門司で二人、博多で二人、長崎はゼロ、鹿児島で一人という、二十四名になっておるわけです。これでは長崎には一体そういう輸入はないのか。この点ちょっとひとつ詳しくお聞かせ願いたいと思うのです。
#140
○政府委員(浦田純一君) 長崎港で全然輸入がないわけではございませんで、年間七百件ぐらいあるのでございますが、これは博多港のほうからその都度出向いてやっておるということでしのいでおるわけでございます。
#141
○高山恒雄君 博多から長崎まで行こうと思うと、これはたいへんですよ。何でおいでになるか知らぬけれども、もしダブって船が入ったらどうなるのですか。
#142
○政府委員(浦田純一君) そのケースによりまして、やはり時間的に折り合いをつけなくちゃならないということに相なります。
#143
○高山恒雄君 いや、どうですか、これだけの人員で目的を達する、監視ができるとお思いになっておるのか。これではどうにもならない、われわれの要望としては、もっと何とか整備したいんだというお考えなのか。われわれしろうとが見まして、こんなことできるのかなという、てんで問題にならないほど心配するわけですよ。その点ひとりお聞かせ願いたいですね。唯々諾々として答弁しないで、一体できるのかできないのか、こんなことで……。
#144
○政府委員(浦田純一君) 御指摘の点、私どもこれでだいじょうぶだというふうに思っておるわけでは決してございません。毎年毎年定員の増、人員の増加につきましてはわれわれとしては要求し続けておるのでございますが、いろいろと定員削減その他の事情もございまして、意のごとくにまいっておりません。ただし、昭和四十七年におきましては、従来ほとんど認められなかった定員増というものが、この法律改正ということとも見合いまして、特に、従来の線からすればかなりの人員の増というふうになってあらわれてきたというふうに考えております。私どもは、それでもなおかつ、第一線の監視員は非常に不足しておるわけでございますので、今後さらに努力をしてほんとうに見合った定員、人員というものの獲得につとめてまいりたいと思っております。
#145
○高山恒雄君 まあ、いま御答弁なされたことが真実だろうと思いますから、私は追及いたしませんけれども、これは定員が今度ふえたとおっしゃっても、わずかな定員ですね。ところがこの監視員には、五千五百名の中には兼任の方がおられるわけですね。専門家ではあるけれども専従でやっておるわけじゃないんでしょう。私はそういう面でも、もう一つ、たとえば長崎港の場合に、博多から間に合わせるんだというようなことはちょっと国の施策としては、長崎と博多港とどのくらいあるか皆さんお考えになってもわかるように、常識で判断できない考え方ではないかと私は思うのですよ。だから、この兼任の人がおられるのだから、これも結局、せんじ詰めれば都道府県の予算、何としてもこれを掌握しない限り私は完全な監視体制なんていうものは充実できないと思うのですよ。これは、次官が大臣と相談して、必ず申告してやると、こうおっしゃるから、私はそれを信用いたしますが、これらの監視員の増員も、たとえば、兼任の方がおるならばそれをできるだけ活用する方法ですねそうして、この長崎港あたりにおいてやれば、私はもっと、博多から見なくても長崎で見れるんじゃないか。どうしてそういうことができないのか、こういう点をひとつお聞きしたいんですがね。
#146
○政府委員(浦田純一君) 輸入食品の監視につきましては、これは厚生省の職員、国家公務員が直接そこに駐在して当たっておるわけでございます。それから、いま先生の御指摘の食品衛生監視員、五千五百名ほどございますが、その中で御指摘のように兼任の数がかなり多いわけでございますが、この食品衛生監視員は、実は地方交付税によって見ておられるということは、地方公務員でございまして、その点は振りかえがかなわないわけでございます。つまり、食品衛生監視員、都道府県の職員の方を国家公務員として輸入食品の検査に当たらせるということは、制度上はむずかしゅうございます。したがいまして、私どもはやはり本筋といたしまして、厚生省の職員である各海港上に置きまする食品衛生の監視員、これの増員を努力していく。また県のほうの衛生監視員につきましては、先ほど御指摘のあったような点もございまして、待遇あるいは資格、任用、水準の向上といったようなことについて努力してまいりたい。これは地方交付税の中でもって積算基礎が一応示されておるようでございますが、自治省ともその点はよく相談して、できるだけ改善につとめてまいりたい、このようにしたい、当たりたいと思ったおります。
#147
○高山恒雄君 ちょっと私納得いかぬ点があるんだけれども、地方公務員を中央における支配権の中に入れるということ、これは無理ですよね。けれども、兼任という方は県、地方自治体で一人前の仕事を持ちながら、場合によっては動員をかけて県の施策として兼任でやっていただくことができると、こうなっておるでしょう、どうですか。動員計画はそうでしょう。監視員は監視員として中央でこういうふうにしてありますけれども、兼任という方は地方公務員でしょう、その公務員の方を各都道府県知事と話をして、こういう場合にはこうしてもらえんかという話はできないんですか。さっきの話では、使うことができないと言われるが、私はそれは話し合いでできるんじゃないかという気がしますから、その点をお聞きしておるのです。そんなむずかしいものかな。
#148
○政府委員(浦田純一君) 地方に、都道府県で任用しております食品衛生監視員の中の兼任と申しますのは、同じ地方公務員で、たとえば食品衛生監視だけでなくて、ほかの環境衛生の監視とか、あるいはほかの仕事もしておる……。
#149
○高山恒雄君 それは知っています。
#150
○政府委員(浦田純一君) したがいまして、お互いに非常に、それぞれ兼任とはいえ、仕事の、業務の量から申しましたら、決して軽いというわけではございませんけれども、ほかならぬ食品のほうの専門知識のある貴重な人的資源でございますので、できるだけ地方におきまして、国家公務員ではありましょうけれども、その輸入のほうに当たっておる職員と、それから地方の専門の方と、これはもう当然情報の交換だけでなくて、いろいろとその点は、いわゆる応援と申しますか、協力と申しますか、そのようなことで仕事が円滑に進むように、御趣旨に沿うように指導してまいりたいと考えております。
#151
○高山恒雄君 したがって、それはできるわけですね。
#152
○政府委員(浦田純一君) はい。
#153
○高山恒雄君 それが聞きたかったんですよ。
 そこで、私は最後に希望意見として申し上げたいと思うんですが、これは先ほど参考人も、まあ各先生方の御質問の中にもあったように、内部的にもある程度飛躍的な改正をされておる事実はないではありません、――あります。しかし、実際問題としては、これを施行する場合の実際面における、一体効果あらしめる処置というものは何かと申しますと、何といっても監視員の態度、あるいはまた監視員が先手、先手を打って、疑わしいものでもそれを摘発することができるような法案になったんですから、そういう姿勢で臨むことが、いまの日本の食品の現状から考えてみると、非常に重要だと私は思うんです。したがってこれは、まあ次官にお願いしておきたいのでありますが、先ほど私が申しましたように、あまりにも監視員の優遇処置というものが立ちおくれておるんではないかと、こういう面でひとつ、きょうは大臣も見えませんけれども、ぜひ御相談願って、これらの改善、そうして、先ほどの長崎と博多と兼任で持つようなシステムは、もうこの段階になれば、改正をして専任を置くと、こういう行き方を私やってもらいたいことを強く要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#154
○政府委員(登坂重次郎君) ただいま高山先生のお説、十分検討いたしまして、私どもも輸入監視員がごく少ないことは痛感いたしておりまして、何とかこれを増員さしたい。私もあちらこちら行ってみますと、監視員がわずかに一人とか二人とかで、こういうことであっては、今後ますます輸入食品が相当多くなりますし、また、多品目にもなります関係上、厳重にこれらを監視して、日本の国民の食生活に寄与しなければならぬと、そういう基本の姿勢を確立する必要があると、こう思いますので、今後鋭意努力いたします。
#155
○大橋和孝君 それでは、この法案につきましても、もうすでに多くの同僚の議員からいろいろな角度での御質問がされておるわけでございますが、私はちょっと、医療とかあるいはまた公衆衛生の問題のほうにいままで取り組んでまいった関係もございますので、若干この点について御質問をしたいと存じます。
 同時に、時間がありませんのでできるだけ簡単にやらしていただきたいと思います。答弁もひとつ簡潔にお願いしたいと思います。
 わが党が、先ほど質疑応答の中にも出ておりましたが、提案をいたしました食品の規制法案、この法案で、その目的を簡単に危害の防止にとどめることがなくして、積極的に国民の健康の保持をすべきであるということをいっていることは、もう御承知のことだろうと思うのでありますが、今回また、この法律の目的について改正が行なわれていない点につきまして、同僚議員から先ほどもお尋ねがございました際、政府側からは従来の解釈が違っており、本来積極的に公衆衛生の向上及び増進をはかることがこの法律の目的であると、こういうふうにおっしゃって、また第一条はこのように解釈すべきだという趣旨の御答弁でございましたが、そこで、そうであるならば、具体的にどのように行政の姿勢を変えるおつもりなのかという点をお伺いいたしたいと思うのでございます。たとえば法律第七条では食品の成分規格をつくって、第十一条では標示の基準を定めることになっておりますけれども、これらの規格、基準というものは従来、最低基準であって、品質の向上等の問題は農林省所管のいわゆるJASの問題だというようにいわれておったと思うのであります。しかしJASは、これは奨励的な制度でありまして、JASマークをつけるもつけないのもこれは業者が自由でありますので、これでは、ないよりはましではありましょうけれども、ほんとうにこの公衆衛生の向上をはかるということであれば、食品の品質の向上をはかるよう食品衛生法で規格をつくれば問題は容易に解決するはずであると思うのであります。このような点につきまして、今後どのような方針であるかをちょっと伺っておきたい。
#156
○政府委員(信澤清君) 第一条の読み方につきまして、私から御答弁申し上げましたので、その関連もありますので、私からお答え申し上げたいと思います。
 私があのように申し上げましたのは、ただいま先生が御指摘になりましたようなことを今後私どもはやるべきだと、こういうふうに考えて申し上げたつもりでございます。具体的に御指摘になりました七条の食品の成分、規格等につきましては、確かに先生おっしゃいますように、従来最低基準である、しかもそれも衛生上の最低基準であると、こういうことをしばしば私申しておりまして、その点は先ほど柏原先生からも御指摘がございました。しかし、これであっては私どもいけないと思うわけでございまして、やはりまあ、いわゆる最低基準であっても、時代時代に応じてその基準は高まっていくべきだ――国民の食生活が豊かになり、食品が豊富になれば、やはり品質も高まっていくべきで、いわばその意味で、俗なことばで恐縮でございますが、最低基準の底上げをやっていく必要があると、こういうふうに考えておるわけでございまして、さような面で努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#157
○大橋和孝君 特にそういう点でまだ私は第一条に不十分さを感じているわけですが、特にそういうお考えであるならばこれは非常にいいので、これ以上追及はいたさない。ほんとうから言えば、この辺のところは改正をしてもらおうかと、訂正をしてもらおうかと思っておったんでありますが、将来そういうふうに進んでいかれるのならば私は、これを了解します。しかし、これを間違いなく行政の面に反映をしてもらいたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。
 それから、ただいまの質問ともちょっと関連がございますが、栄養改善法の特殊栄養食品のことでございます。わが党の案では、この制度を食品衛生法に移すこととしておったのでありますが、そういう観点から、また国会の附帯決議もそうなっておったと思っておるのであります。これが改正案にないということについては、これ以上私も問題にしはいたしませんけれども、私がお尋ねしたいのは、栄養改善法のこの規定の運用状況についてでありまして、現在赤ちゃんの離乳時期が早まってまいるとともに、御承知のとおりベビーフードと称しますか、こういう食品が非常に数多く出てきておるわけでありまして、先ほども参考人の方にちょっと質問したところでございます。このベビーフードとは、文字通りで、乳幼児の食品のことでございますからして当然栄養改善法の規定によって厚生大臣の許可を受けなければ、子のような標示ができないはずであります。許可の実情がどうなっているのか、お尋ねいたしたいのでありますが、これは公衆衛生局のほうから御答弁を願います。
#158
○政府委員(滝沢正君) 栄養改善法の十二条の問題でございますが、先ほどもお答えしましたように、強化食品につきましては品目を限定いたしまして姿勢を改めたわけでございますが、いま後段でお尋ねの特別用途の食品につきまして、赤ちゃんの幼児用、乳児用というような規定がございます。これについても過去の経過を見ますと、いろいろ栄養価において検討されたようでございますけれども、当時離乳の機会に消化不良を起こして死亡する乳児が非常に多かった。特に終戦から、まあ最近は非常にその点が改善されましたけれども、そういうようなことを踏まえて、病者用と同様にそういうような問題に取り組むということを検討したようでございますけれども、一般的には一つのかん詰めで完全な赤ちゃんの食品というもの、総合された栄養が全部入っているというようなものを開発することは非常にむずかしい。また、そういうようなことをやりましても、実際に家庭の人が必要なのは、また赤ちゃんが必要なのは、いろいろの組み合わせが変わったものが赤ちゃんの口に入ってこないと、同じものをいつも与えられたのでは飽きてしまいますし、そういうようなことでいろいろ検討されたようでございますけれども、結論を申しますと、基準をいままでつくってなかったわけでございます。したがって、基準がないところに外国等においてベビーフードのようなものの考え方が出てきた。これはもちろん、そのベビーフードにはホウレンソウから肉類まで、それぞれ小さなかん詰めに一回ないしは二回分というような仕組みでつくられております。これはもちろん、栄養の面も組み合わせ上考慮することは母親の判断にもまかされておりまして、先ほど申し上げましたように、一かんで完全な栄養という仕組みじゃなくて、おかゆのようなものから、あるいはホウレンソウのようなものから、あるいは肉類でつくった製品というものがかん詰めにされている。非常に時間の経済というようなことも踏まえた観点でございまして、これがいわゆる乳児用の用途食品というものであるかどうかということが現状では問題だと思います。現状出ておりますものについては、こちらに基準がないので、したがいましてこれを取り扱い上基準に反するという仕組みをとれない段階でございます。で、私、午前中もお答えいたしましたように、この問題こそ、栄養改善法のむしろ柱として早く取り組むべきであるということで、栄養審議会に小委員会をつくりまして、いまの病者用、それから乳児用、幼児用というような問題について取り組む準備をいたし、すでに昨日はじん臓病患者等に使います低ナトリウのしょうゆ、こういうものについて基準の大体成案をお答えいただいておるような段階でございます。以上のようなことで、まあ野放しになっておるという形ではありますが、こちらにそれを判定する基準をつくらずにきておったというところにこの問題の問題点がございます。
 で、食品衛生法とこの栄養改善の、特に十二条の問題ですが、これは前の食品衛生法から栄養改善法ができるとき移されたものでございます。いろいろ検討されましたが、先ほども栄養研究所の部長からもお答えがございましたように、また、われわれも行政的にはこの栄養改善法というものの中で、しかも、この特別用途食品になりますと、かなり医薬品に近いような一つの厳密な基準と用途、使い方というものに対する標示等の問題が一般食品に比べましてプラスされなければなりませんので、栄養改善法の中で今後努力してまいる。また改善すべきものは改善したい、こういういまは判断でおります。
#159
○大橋和孝君 いまの御答弁を聞いておりましても、やはりこの時期が、離乳時というような人間の成長過程でたいへん重要な時期の一つでありますことは言うまでもありませんけれども、しかもいままでの御答弁にもありましたように、こういうようなことを考えてみると非常に大事なときであって、いま、そういうような形でいろいろ審議がされておるが、考えるならば、やはりこういうようなものをこれから許可していく上においては非常に問題があるんじゃないか、いま御指摘のとおりであります。ということを拡大して解釈するならば、やはりこういうふうな問題を許可して販売さすということに対しては非常に大きな、言うならば一件もそういうものは許さないほうがむしろいいじゃないかというふうなところまでいくんじゃないかと思うのですが、話を進めていけばね。そういうことで、この離乳食のベビーフードというものは、全般の栄養改善法の違反にもむしろなるかもしらぬ、こういうふうに考えていけば。こういうふうな点から私は、医者の立場から考えましても、非常にこういうフードというものが心配になるわけですね。
 それからそれはいまおっしゃるように、いろいろ改善はされて審議はされておると言いますけれども、やはり私はどうしてもこの制度を食品の衛生法でやるべきだと、こう言っているのでありますが、そこでもう一つ私の気持ちをお話申し上げたいと思うのですが、この乳幼児の食品については現在学界などの意見をもっといろいろ聞いているところでありますからして、いまおっしゃったとおりでありますからして、この栄養的な点はむろん、安全性のことも忘れないでいただきたいというところであります。特にアメリカなんかでは先般PCBの基準なんかもつくられましたが、その基準をつくった食品の数もそう多くはないということでありますからして、乳幼児だけはきちんと基準をきめてやらないとたいへんなことになると私は思うのであります。新聞を読んだだけでありますからして、よくわかりませんけれども、たぶん子供についての特別の配慮からだと私は思っておるんですが、アメリカでは乳幼児の食品にはグルタミン酸ソーダも使わせていません。こういうようなことを急いできちんとやっていただかないと、今後子供さんの離乳期なんかの大事なときにはたいへんなことになるわけでありますから、いまのようなむしろ野放し的なものではたいへん問題だと思います。特に、この点を考慮していただきたいやこういうふうに思うわけであります。
 それからまた、次は、国際的な情報収集のことに入りたいと思いますが、国連の各機関との連絡の問題先ほど、ちょっと私は参考人の人にもお聞きしたのでありますが、この質疑の中でFAO、WHOに設けられた添加物の、WHOに設けられた添加物の特別委員会のことが出ておりますけれども、この種の会議に厚生省は必ず出席をしてやってもらうことが必要だと。私は労働省なんかに比べれば厚生省あたりがそういうところに出ておられるのが非常に少ないように思うわけでありますから、国際的なこういう会議に情報収集のためにはもっと私は出てもらうようなことがほんとうに必要ではないかというふうに感ずるわけであります。この情報収集をする上で大切なことが考えられますので、との点についてひとつ伺っておきたい、こういうふうに思うわけです。
#160
○政府委員(滝沢正君) 情報収集、まあ、一般論として申し上げますと、先ほど来、午前中からも情報の問題がいろいろ議論されておりまして、私は伝染病を担当しておる立場から申しますと、このWHOが全世界の伝染病情報、特に、検疫伝染病情報等は日ならずして各国の行政機関に通報され、私のところからすぐ全国の検疫所に通報されまして、どこのどの地帯に天然痘が発生しておるという状況を伝えるわけでございます。したがって、この緊急性、もちろん性格に違いがあるとは思いますけれども、一般的に危害のような情報については、国も積極的にとる必要がございますけれども、WHOその他における国連機関としても、食品あるいは薬品等の情報について、たとえばサリドマイド事件のときにドイツの取り扱いと日本の取り扱いが時間的に経過があったというような問題は、私は一国の姿勢の問題はもちろんあるでしょうけれども、国際的にはやはり国際連合の立場としての医薬品の情報の交換を確立する、それを受けて、あるいはそれを動かすぐらいにわが国としてもやはり厚生行政の中には情報機構が必要だということを痛感いたしておるわけでございます。で、伝染病につきましても、国内に血清銀行をつくって国民の血清を見ることによって免疫状態を把握できるという予算が四十七年から通りました。これは外国では将来、国民の栄養状態も血液からとることによって把握できるという見解も出ております。いずれにいたしましても、そういう化学行政が今後の厚生行政の上に非常に必要であるというふうに感じております。
#161
○政府委員(登坂重次郎君) 先生御指摘のとおり、情報収集は全く大事でございまして、特に、これから日本の国も国際的にそういう会議になるべく出さすようにいたしたいと思いますが、なおもっと重要なことは、専門官を各大使館に駐在せしめたい、こう思いまして、本年度は外務省と大蔵省に折衝いたしまして、私がこの折衝役に当たったわけでございますが、インドネシアにアタッシェ一名認められることになりまして、まだまだ、各国に、できるだけ各大使館ごとに、アタッシェの増員を今後強力に推進していく方針でございます。先生の御趣旨に沿って、厚生省も大いに努力したいと思います。
#162
○大橋和孝君 先ほど御答弁をいただいていないので、ちょっと追加してお尋ねして御答弁をいただいておきたいと思いますが、いま、子供さんの食品、これの問題について、非常に大事だといよことを強調したわけですが、結局、食品衛生法の中でこういうようなものをもう少しはっきりしないと、これが十分なことにならなや。ですからして、やはり学会なんかのいま例をちょっとお話し申したのですが、学会なんかの意見を入れてと言っておりますけれども、なかなか声が反映してないわけですから、栄養学的な点で、もっと学会との密なる連携をとりながら、この安全性というものを忘れないで、うんとそれを具体的にあらわす方法をひとつ考えていただきたい。
 それに付随して、PCBの問題をあげましたが、食品の問題なんかにこういうものも考えてみると、子供さんたちには非常に大きな影響を及ぼします。こういうものに対する規制とか基準というようなものは、非常にないわけでありますからして、こういうのもひとつあわせてこの問題を十分に考えていただかないと、子供さんという大事な離乳期の幼児の食品に対しては、栄養的な見地と、またそういうふうな予防の見地と、非常に大きな問題がありますので、これをあわせてお願いをしておきたい。
 情報の問題は、先ほど次官から聞きましたが、これはほんとうに大事でございますので、もうほかの省でもかなり進んで駐在をしておられるわけですから、こういうことに対しては、ひとつ特に、十分な連絡をとって、先ほど参考人がおっしゃったように、外からとった情報は必ずうまく流していく。そういうことに対しては、一つの経路をきちっとつけてやることが、不安を持った国民に対する対処のしかただと、こういうふうに思いますから、その点ひとつ、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
#163
○政府委員(滝沢正君) 小児科学会等も、それらの点に積極的な御意見が出てまいっておりますので、安全性の面につきまして、特別、いわゆる病者用、あるいは乳児の特殊な状態に対する食品という観点ばかりじゃなくて、乳幼児というものの特殊状態にかんがみた安全性という問題についても、先生の御指摘のあるとおり、今後努力いたしたい、こう考えております。
#164
○大橋和孝君 じゃ、ちょっと、あと時間があまりありませんので、私は、まだ尋ねたいこまかい点がたくさんありますけれども、簡単にひとつお尋ねしたいと思います。
 食品について先ほどからいろいろ議論がされましたが、新しい、開発されたもの、添加物、あるいはまた加工食品、合成食品、あるいはまた食器等の器具、あるいはまた容器の包装について、あらかじめ予備実験をして、安全性を確認した上で許可をするならば、多くの事故は防げるように私は思うのであります。現在までは、まず許可をしておいて、その後に、事故が起こってきてから、安全性を確認したり、あるいはまたあわててそれを取り消したり、常に後手に回っているような感じがするわけです。こういうことに対しまして、私は、非常に初めからの取り組み方が問題だと、こういうふうに思います。生産、それから製造、販売、消費という流れの中にも、私はそういう問題があると思うわけでありますから、この問題について、どういうふうに取り組むかという、取り組む姿勢をひとつ伺っておきたい。
 それから、今度は、安全性の確認について少し聞いてみたいわけでありますが、疑いある場合は規制の対象としたことは、今度は一歩前進だと思っておるわけでありますが、疑いは、どの時点で、たれが一体確認をし、どのような規制をもってこれを徹底さしていくか、こういう点、まあ議論はありましたけれども、もう一つ私は尋ねておきたい。
 それから、たとえて言うならば、現在三百四十種類も許可されておるところの食品添加物、これは、現在まで、どのような研究体制でその安全性を許可してきたか。いままでの議論にも少し出ておりましたが、なお一そう、そういうことで……。それについてのお考え。それからまた、国立衛生試験所でこれやっているわけでございますが、この研究体制も、ちょっと先ほどのところで少し触れただけで、もう少しあとからお話をしようと思ってあとに回したら、もうお帰りになったから、私はちょっと国立衛生試験所の方にお話を聞くわけにいかないが、厚生省当局のほうで、この研究体制では私は非常にまだ不備だと思うんであります。まあ、それはちょっとお話しになっておりましたが、こういう点についても、ひとつ私はお考えを実は聞いておきたいと思います。
#165
○政府委員(信澤清君) 後手後手に厚生行政が回っているという点は、そういうような御批判がございますことは私どもも十分承知いたしておりまするし、同時に反省すべき点だというふうに考えております。
 そこで、具体的に御指摘になりました、いわゆる化学物質についての安全性の問題でございますが、食品に直接使いますようなものにつきましては、実は私ども及ばずながらやっているつもりでございます。問題は、産業上一般に使われております化学物質についてのチェックが行き届かぬために、今回PCB問題というようなものが出てまいりましたし、したがって、このような問題については、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、農薬については農林省が全部登録制をとりまして、安全性は全部厚生省の意見を聞くと、こういうふうにしていただいているわけでございまして、今後、各省が、この種のものを業界に使わせる場合には、安全性について厚生省の証明がない限り使わせないと、こういう体制を政府部内でつくっていただくようにしていただきませんと、あとからあとから、障害が出てから私どもが騒ぐということでは、御指摘のように後手へ後手へ回るわけでございますので、そのような方向で私どもとしては各省と折衝いたしたいと、このように考えております。
 それから、安全性確認の問題につきましては、私どもは、疑いがあるとか、あるいは安全性についての確証が得られぬとかという問題は、あくまでも専門家が化学的な判断によってこれをきめるべきものだと、こういうふうに考えております。そのような意味合いで、御指摘のございましたような、試験研究機関の整備というのが急務になるわけでございまして、衛生試験所の問題は、先生お聞き漏らしになったというお話でございますが、私ども見ておりましても、定員もほとんどふえておりません、来年は若干ふえてきますが、予算の面でも貧弱でございます。また、私どももできるだけ研究費その他応援をいたしておりますが、必ずしも十分でございません。しかし、やはりこういうところがしっかりしなければ、先生の御意思にかなわぬわけでございますので、できるだけ努力をしてまいりたいと思いますので、御了承をいただきたいと存じます。
#166
○大橋和孝君 どうも、ほんとうにそういうところにお金のつぎ込み方が足らない。ですから、私は、それをやはり先行してもらわぬ限り解決はしない。これは、ほかの委員の方々からも御指摘があったところであります。特に留意をしていただくように、大臣に強く要望しておいていただきたいと思います。
 それから、食品の添加物を、二十五種だけで、四十五年度から五ヵ年計画で再点検をしようということであるようでありますけれども、安全基準、規制するところの基準、あるいはまた使用基準、人体使用基準、ADI、さらにまた、添加物の食品の対象の限定などについて、全部、食品添加物に定めているのかどうなのかが、私よくわからないわけでありますが、この点についてもちょっと知らしていただきたい。WHOなり、アメリカのFDAの基準とわが国の基準と比較すると、先ほども少し御議論がありましたように思いますけれども、どんなふうになっているんかと。私は一ぺん、よくこの点、まだわからないので、一覧表でもつくっていただいて、どんなふうに格差があるかを知らしていただけたら、非常にはっきりしていいんじゃないかと思っております。
 それから、標示制度についてでございますけれども、現在、標示については、容器包装についてのみにとどまっておりまして、店頭における標示あるいは添付文書の標示等については規制していく改正案になってはいますけれども、標示の項目はどんなふうになっているのか。これも私はちょっと聞かしていただきたいと思います。製造年月日だとか、製品の検定の有無、添加物の内容、使用期間などについて明確化さるべきだと思いますけれども、この点についてもひとつちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#167
○政府委員(信澤清君) 添加物の関係は、たいへんこまかいお話になりますので、お話しにございますように、資料としてお届けをさしていただきたいと思いますが、ただいまやっております再点検計画と申しますのは、第一段階でございまして、これですべて終わってしまうものではないと、引き続きやるんだということだけを申し上げさしていただきたいと思います。
 それから、後段の、標示の問題につきましては、お話しのような改正を今回お願いをいたしておるわけでございますが、標示事項につきましては、法律自体の解釈運用が、先ほど来御議論がございましたように、非常に狭く読んでおりました関係上、消費者の皆さまから御要望のあります全部の事項は網羅されているとは言えない、こういう実情にあることも十分承知しておりますので、今回の改正を契機に、標示事項につきましてもいままで御議論がありました事項を取り入れまして改正をいたしてまいりたいと、このように考えております。
#168
○大橋和孝君 それから、昭和四十五年度で、食品関係の施設は非常に、先ほどから御議論がありましたが、三百万に近いほど施設があるということでありますが、これの監視員が五千何ぼで、これを一万にしたらどうだとかいろいろ御議論がございました。私はこの食品行政の末端は、本来の趣旨が全うできるかどうかという点にあるわけでありまして、この監視員の任用、業務、待遇その他いろいろございましたが、私はこれをひとつ年次的にも考えて、どういうふうにしていくんだということを、もうぼつぼつはっきりしていただかぬと、いつも議論して、一万人がよかろうとかどうだとか言うておる時期じゃなくて、もう少し明確な計画ぐらいをここではっきりしてもらったらどうだろうか、この法律が出る前にひとつ聞いておきたいというのが第一点。
 それからもう一つは、この食品にかかわる行政は厚生省や農林省だとか通産省にいまいろいろまたがっている。それで、厚生大臣の諮問機関であるところのこの食品問題の懇談会でも、この点を指摘して、ばらばら行政を一本化しようということが出ておるわけでありますが、この食品規制法をつくって行政のあり方を問い直すべきときにいまあるわけでありますから、今回の改正でできれば統一、先ほど答弁の中にありましたが、少なくとも厚生省の意見でもってやるというぐらいのことは、これはいまたいへん必要なことではないかと思います。こういう点についての考え方をもう一ぺんここで尋ねておきたいと思います。
 それから改正案の第四条の二項について再びちょっと聞いてみたいのは、「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは附着し、又はこれの疑いがあるもの。但し、人の健康を害う虞がない場合として」云々と、こうあるわけでありますけれども、この「疑い」とか「虞」の基準、あるいはまた基本となる条項というものはまだ明確じゃないように思うんですが、この点はどうなんですか。
#169
○政府委員(信澤清君) 前段の二つの御質問は政務次官からお答えいたしまして、最後の法律の解釈の問題だけ私から申し上げたいと思います。
 四条二項の「疑いがある」と申しますのは、先ほど申し上げましたように、これらの判断はすべて化学的な根拠のある判断によって「疑いがある」というふうな判定をすべきものというふうに考えているわけでございます。したがいまして、具体的な例で申し上げますと、たとえば、食中毒が発生いたしますと、先生は御専門でいらっしゃいますので御承知と思いますが、疫学的な調査をやりまして、原因の食品が何であるかをさがし出すわけであります。その段階でさらにその食品の中の何が問題であったかということまで確定いたしませんでも、「疑いがある」という判断は疫学的な調査で十分できるわけでございますから、そのような段階で行政処理をすると、こういうふうに運用いたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
#170
○政府委員(登坂重次郎君) 先生の仰せのとおり、監視体制の強化はこれは当然はからなければならぬ問題でありますし、ですから、この年次計画はさっそく立てさせまして、御趣旨に沿うように努力いたします。
 なお、食品衛生法がいま通産省とかあるいは厚生省とか各省にまたがっておるわけでございますが、これは当然政府の責任において行政の一本化をはかることは当然と考えて、今後なお一そう努力するようにいたしたいと思います。
#171
○大橋和孝君 それで、この第五章の二でいうところの「指定検査機関」の中身についてちょっとお尋ねしたいわけですが、指定検査機関の内容については多く政令だとか省令にゆだねられているのが現状のように思うんでありますが、どのような基準でどれくらいの数をお考えになっているのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
 それから第二十五条の「食品衛生調査会」の委員を五十人から四十人にしたのは一体どういうわけでしょうか、減らしましたですね。それから学識経験者のみに限られたのは、従来はこの食品関係業者寄りといわれたこの調査会の性格を中立性を保たせたことで一応評価はできると、こういうふうに思うわけでありますけれども、なお一歩前進させるには消費者の保護最優先の立場から言うならば、調査会の委員として消費者の代表なんかを加えるべきだと私は思うんですが、その点は一体どんなものでございましょう。
 それから食品衛生の調査会の中に「臨時委員」といいますか、臨時の委員を置くことができるとしているのでありますけれども、この「臨時委員」は一体何を想定して考えておられるのか、この三点についてちょっとお伺いします。
#172
○政府委員(信澤清君) まあ、「指定検査機関」につきましては、実は他の法律で同じような制度がございますので、しかもまた従来から民間の優秀な検査機関を活用したらどうかと、こういうお話がございましたので、今回の法律改正を契機に制度化をいたしたわけでございます。したがって、先ほどもお話に出ておりましたように、試験検査機関であればどこでもいいというわけではございませんで、やはり公正な検査が担保できると、こういう必要があろうかと思いまして、要件その他は実は法律で規定をいたしておるわけでございます。政令にゆだねておりますのは、たとえば設備の基準とかあるいは業務基準に書くべき事項とか、こういうものでございまして、基本的には法律でかなりこまかく規定をいたしておるわけでございます。なお、数等は、申請がございませんければ指定ができないわけでございますので、若干心当たりはございますが、必ずしもただいまのところ具体的に考えておるものはございません。
 それから二番目の二十五条の改正でございますが、今回、お話しのような改正をいたしました機会に、五十名の定員を四十名に減らしております。で、政府の方針は、先生御承知のように、審議会は二十名ということになっておりますが、やはり専門的な、しかも幅の広い委員会でございますので、今回まあ四十名ということで行管その他と話をつけたわけでございまして、改正の中身にございますように、関係行政機関の職員だとかあるいは生産者代表と考えるものを排除いたしましたので、まあ、これで十分審議できるのじゃなかろうかということでございます。
 それから「臨時委員」は、やはり非常に専門かつ多岐にわたる問題でございますから、場合場合に応じて、その方面の知識経験のある方に御参加いただかなければ審議ができない場合があります。たとえばPCB問題なんかは現在の調査会の委員さんだけでは審議できませんので、やはり現場で分析等をやっておられる方を臨時委員に加えまして現在やっておるわけでございまして、そのように活用してまいりたいというふうに考えております。
#173
○大橋和孝君 それでは、この添加物についてですが、これは三百四十種類も現在許されておるというのでありまするけれども、これらの中で私たちは生活の中に一日一体どれくらいのものが入ってくるかといえば、約六十種類から七十種類の添加物を取り入れると、こういわれております。ところが、その一つ一つの添加物の人体摂取許容量も明確ではないとされておりますし、それらの添加物の相乗作用についてはまだ、研究が十分でない。これも各議員によっていままで議論をされましたが、私も医者の立場で、こういうような状態というのはほんとうに見のがしならない重大な問題であると思いますし、現段階でも相乗作用を考えますと、非常に早くこれを処理しないと、とてもだめじゃないかと思います。最近肝臓疾患だとか、心臓疾患というのは非常にふえております。原因が十分突きとめられていないかもしれませんけれども、私は、こういうようなものの相乗作用なりあるいはまた慢性作用なりが自然にそういうところへ影響して不治の病に追い込まれていくという例は、私ども診療の間にしばしば見るところでございまして、そういうふうに想像されている点はたくさんあると思う。そういうことで考えますと、これは非常に大きな問題ですから、こういうことに対しては、まあ、御答弁の中でもかなり前向きの答弁はいただいておりますけれども、なお一そう、こういう瞬間もゆるがせにならない問題はどうするかということなんかはほんとうにもつと真剣に取り組んでもらう必要があるから、この問題にもう一つ触れさせてもらったわけであります。これについてのお考えをもう一つ聞いておきます。
 それから、今度食品添加物についてWHOを中心として国際的な情報交換が進められているといいますけれども、わが国ではどうこれを取り入れておるのか、どうやられておるのか。また外国で危険だと指摘されているものについて、わが国でもその安全性が確認されるまではその使用を一時中止しておくということが必要であると、しかもそれが研究されて、そして、どうもないということによって判断をするというくらいのほうがほんとうだろうと、ことに、サリドマイドの教訓なんかを生かして、外国で指摘されてから、危険だといわれて、しかも長い間使っておったというふうなことなんかも考えてみますと、安全性を確認されるまで、もうずっと中止してしまうほうがより便利じゃないか、よりやるべきことじゃないかというふうに考えられます。これもよく触れられておる点でありますけれども、重要な点でございますから、もう一回私はこれを確認しておきたい。
 それから、また現在試験を行なっているもの、あるいはまた過去に試験をして、許可、不許可としたものの試験の結果を公表すべきではないかというふうに私は思います。公表してきたものはあったのでしょうか。あるいは今後も公開の原則をしないと、非常に知らないでおる人があることを考えると、私は特に必要ではないかと、この点についてひとつお考えを聞いておきたいと思います。
 それから、残留農薬の基準はどうなっていますのか、詳しくもう一ぺん説明をしてもらいたいと思うのでありますが、いろいろ残留農薬について、従来から国立衛生試験所でその試験を行なってきたのでありますけれども、農林省のもとに残留農薬試験所ができて、そちらにその業務を移管したというふうに聞くところでございますけれども、まだ、国立衛生試験所で暫定的に行なっているという、この点はどんなふうになっているのか、少し聞いておきたいと思います。
#174
○政府委員(信澤清君) 第一点の添加物の相乗作用についての研究を進める点、さらにまた、国際的な情報を収集して外国で問題の起きた場合には、直ちに日本でも対応するような措置をとれというお話の点、これは、そのとおりだと私どもも考えております。したがって、相乗毒性の問題は先ほども御説明いたしましたようにまだ緒についたばかりでございます。いろいろな組み合わせがあると思いますので、今後はできるだけ努力をしてまいりたいと思います。
 それから、なお外国で問題が起きました場合には、従来から私ども機敏な措置をとったつもりでございますが、なお、いろいろおしかりの点もございますので、できるだけ正確な情報の収集につとめまして、かりに外国だけの資料であっても、必要があればおっしゃるような措置をとると、このように運用してまいりたいと思います。
 それから、なお添加物を認めました場合のデータ、その他について公表していないではないかというお話でございます。この点につきましては、私どもは添加物を指定いたします場合には必ず食品衛生調査会に御諮問を申し上げ、その御審議の結果そのような手続をいたしているはずでございます。したがって、まあ、一般の方にこまかいデータが必要でないということは申しませんが、従来そういうことをやっておりましたので、それをもっておおむね皆さんにお知りいただけるはずだというふうに考えておりましたが、先ほど来、厚生省自身のPRが不十分であるというお話もるる出ておりましたので、今後はそういう点についても十分研究をいたしてまいりたいと思います。
 最後に、お話のございました残留農薬の問題に関連いたしまして、農薬の慢性毒性試験に関する経費が一部今回できました残留農薬試験所にまいったという点でございますが、これは安全性の最終的な結論を農林省にゆだねたというわけではございません。従来、衛生試験所がやっておりました基礎試験をあちらのほうの試験機関にまかしたというだけでございまして、出てきたものの判断は従来どおり厚生省がやりまして、その結果で農薬の登録をすると、こういうことでございますので、いわば何と申しますか、衛生試験所が荷が重くなりすぎたので、あちらのほうに一部まかした、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
#175
○大橋和孝君 私は、こういうふうな問題はあくまで先ほどお話にありましたように専門機関であり、あるいはそういう専門的な人が判定をすることが基準になるとおっしゃっているのですが、そういう観点から、やはり農林省あたりで、これから前向きに品物を売ろうとか、こういう、あるいはJASの、先ほど私が申したような考え方であるところの本人にまかすのじゃなくて、やはり厚生省が人命あるいは健康、こういうふうな増進という衛生の面からはっきりとらえるところのネックはひとつ私は持ってもらわないといけない。いまの御答弁で、少し安心はいたしますけれども、特に、そういう点は、重点を置いてもらいたいことを要望したいと思います。
 それから、食品そのものの安全基準については、一定の方向が出されてきているというふうに私は考えますけれども、食肉だとか、あるいは鶏、その他食用肉となる牛、馬、豚、鶏などの身さの問題に対しては基準はどうなっているんでしょうか。ことにとるえさによって、――最近角が食べたものによって起こるように、こういう食肉、肉、獣類に対しましても、飼料の問題が非常に私は問題になるだろうと思います。この飼料について取り締まりをしなければ、しり抜けみたいになるように感ずるわけですから、この点についてちょっと御意見を伺っておきたいと思います。
 それから、先ほどから何べんも問題になっておりましたから、この輸入食品の監視体制については、触れる必要がないように私は思いますけれども、しかし、やはり十分な監視体制はとれていないことが、私が先ほどから申したような、国民の健康だとか、あるいはまた衛生の面から考えると、私は非常に心配のように思います。この規制は十分やってもらっても、まだ足りすぎるということはあり得ないわけでありまして、特に、この人員の問題なんかから比べますと、私は、そこに監視体制の足らなさを非常に感ずるわけであります。特に、その中でも旅行者が持ち込む食料品、こういうものなんかに対しても対策は万全でないと思うのです。こういう点につきまして、もう一つつけ加えて相当の明確な将来の考え方を聞いておきたいと思います。
 それから食品衛生の安全に関する調査、研究、試験、検査等を行なわせる目的で昭和四十五年の十二月に財団法人で食品薬品安全センターが設立されました、こう聞いておりますけれども、この内容、スタッフ、従来の機関との関係なんかについてちょっとお聞きいたします。
#176
○政府委員(信澤清君) 第一点の家畜の飼料の問題は、現在、農林省が所管されております規制と申しますか、飼料に関する法律としては、飼料の品質改善に関する法律というものがございまして、農林省がその施行をされておるわけでございますが、私どもの立場から率直に言わしていただきますれば、やはり家畜の飼料から人間にどういう影響があるかというところの問題については、先ほど石油たん白のお話が出ましたが、厚生省の意見を聞いてもらいたい、こういうことで具体的な問題につきましては、かなり密接な連絡をとりながらやっております。そういう点は、私どもの所管ではございませんけれども、そうだからといってほうっておくのではなくて、従来どおり、あるいはそれ以上に農林省とよく連絡をとりながら、御指摘の問題が出ないように努力をしてまいりたいと思います。
 それから輸入食品の問題はお話のとおりでございます。ただ、まあ、旅行者が持ち込む食品は、非常に率直に申し上げて私ども監視をいたしておりません。これは新しい問題だと思いますので、今後研究をさしていただきたいと思います。
 それから、最後の食品薬品安全センターでございます。これは実は先生御案内のように、おととしの十二月に認可をした財団法人でございまして、自転車振興会からお金をいただきまして工費約二十五億ということでございますが、ただいま土地の買収が終わり、建設工事に取りかかる段階でございます。大体スタッフとしましては、技術系を中心におおむね百名ということで、およそ現在の段階では考えられる高い水準の試験研究機関にいたしたいということで、目下は建物並びに施設の整備をやっている段階でございます。
#177
○大橋和孝君 先ほどから御答弁の中にも厚生省のほうでそういうふうな見地からやるのに対して各省とも連絡をとっていくというお話で、これは非常にありがたいことでありますし、当然やってもらわなければならぬことでありますが、私はこういうものをひとつくるめてやはり厚生省が主管になって、ほんとうにやるべき範囲のものを何か法律化して、そして、一本化する問題とからんでくるわけでありますけれども、こういうふうな健康、それから衛生という国民の側から考えますと、その最高責任はやっぱり厚生省にあり、そうして厚生省はまた同時にほんとうに学問的に、あるいはまたいろいろな研究所のその専門家の立場でこういうものをきちきちときめていく、そしてそれを他のいわゆる農林省なり通産省なりに明確にこれを指示していく、そういうものをもうつくらないで、横の連絡でするというようなことでは済まされない段階にきている、こういうものに対してはひとつほんとうに前向きにやってもらわなければいかぬ時期だ、こういうふうに思いますので、特に、それを要望しておきたいと思います。きょうは大臣もおりませんから、特にそういうことを十分に伝えていただきたいと思います。
 それから、もうあとちょっと続けて一、二点質問して、私は、終わりたいと思います、時間もだいぶ迫ってきましたから。
 それから通産省の所管の施策の中に中小企業の近代化促進のための貸し付け制度というのがあるわけでありますが、先ほどからこの食品の公害問題なんか盛んに言われておりますが、やはり私はこういう制度を十分生かして、ことに、先ほどの報告の中にもありましたように、三、四人のそういう食品に携わっているような小さい企業が五〇%も占めるとかいわれております中でありますから、こういう方々に責任をとらす、当然公害のときにもいわれておりますが、こういうものの何か被害者ができた場合には、もちろん企業は責任を持つべきでありましょう。それが当然なことでございましょうけれども、そういった二、三人を使っているようなところが責任をとるということは、なかなかむずかしい。だからして、私は、この近代化促進のための貸し付けなんかを十分に生かして、制度的にもあるいはまた、施設の整備に対しましても、十分使えるようにすることが第一要件じゃないかと思います。
 それから衛生施設や設備の近代化、その貸し付け制度を、厚生省の中で、そういうことをやる専門の部署を置いて、それを、そういう部門の中で私は、原資については国が全額で、しかも低利で長期の融資をもって、この食品衛生に、消費者保護の立場から、前向きにこういうものを使うようなことが明確にならぬ限り、やはり口で、空念仏的にそういうふうな責任をとれとか、――何といいますか、無過失賠償にまで発展をしていかなければ、食品といえどもこのように害が多いときにはいけないわけでありますから、当然、そういうことに踏み切ってもらわなければなりませんが、同時に、そういうふうなこともひとつ配慮をして、厚生省の中で一つの部門とかそういう専門パートを置いて、その貸し付けなんかをして、ほんとうに事業所をいいものにする。先ほどの議論の中にはそういう小さい業者に対しては共同的にそういうことをやれという意見も出ておりましたが、そういう中で、そういうふうな貸し付け資金、長期、低利の融資ということをして、また一つ、こういうことを促進さす特別のパートをつくるべきだと思いますが、そういうことについての御意見を伺っておきたい。
 それから第三番目には、消費者保護の見地に立ちまして、安全食品一覧表を設けて、食品に対する国民の不安を解消するなど、食品に対する正しい知識の普及をはかる具体的な措置等の考え方が大事だと思うんですが、こういうことについて、ひとつもっと具体的に示していただきたい。先ほどから、食品に添加物だとか、あるいは害があるものに対してはずっとPRをするような縦割りのものをせいというような話もありましたが、私はこういう消費者を保護するために消費者向けの一覧表といいますか、そういうものがどんどんと厚生省で出されるべきじゃないかというふうなことも考えているわけですが、この点についてのお話を承って私は質問を終わります。
#178
○政府委員(信澤清君) 最初のお尋ねは、私どもの基本的な姿勢に関する問題でございますので、あとから環境衛生局長から御答弁をしていただきますが、第二に仰せになりました、中小企業近代化促進法等の活用でございますが、お話のように、そういう必要が十分あろうかと思います。ただ、先ほどからお話のように、生産段階は主として農林省、それから販売業者関係あるいは飲食店営業関係が厚生省というふうに分かれておりますために、その間の連絡調整を欠いているために必ずしも、十分に私どものサイドでは生かされていないと、こういう面がございます。こういう点は十分改めてまいりたいと思います。
 なお、先生御案内のように、環境衛生金融公庫というものを数年前につくっていただきまして、私どもとしてはやはりこの金融公庫を活用していきたいと、このように考えております。
 なおまた、環境衛生同業組合というものもございますので、これが先ほどお話出ました共同検査施設等をつくります場合にここから援助する、こういう仕組みを実は考えかつ一部実行しているわけでございます。なお、この窓口は環境衛生局で担当いたしておりますので、お話のような趣旨で、さらにこの面を強化してまいりたいというふうに考えております。
 それから、最後に仰せになりました、消費者安全食品一覧表というふうなたいへん具体的な御提案でございますが、十分検討さしていただきまして、少なくとも、先ほど来お話ございましたように、懇談会の答申にもございますような、だれが見てもわかる、だれもが安心して食べられるような食品というような、こういうふうな実態が確保できるように私どもとしてはいろいろな機会にPRしてまいりたいと、かように考えております。
#179
○政府委員(浦田純一君) 食品の問題、ことに、健康に関連いたしましての食品の問題、あるいはさらに進んで、食品の質の向上といった面も含めまして、厚生省が従来の単なる関係省庁への連絡協議ということでなくて、リーダーシップを握って、臨むようにつとめてまいりたいと思います。
 なお、大臣はすでにそのように私どものほうに下命しておられますので、本日、出ました先生方の御質問、御意見につきましては大臣のほうに間違いなくお伝えして、適切な措置をとっていただくようにいたしたいと思っております。
#180
○小平芳平君 先ほど審議官から、公害と同じような無過失賠償制度をつくったらどうかということに対しての審議官の御答弁は、公害罪ですね、公害罪については、野党三党の提案に対して、それは食品衛生の面でやるべきだということではずしたということを言っておられましたですが、ちょっとその辺の認識がはっきりしないわけですが、私たちとしては、一般の公害被害者と同じように、食品による被害者も公費による救済制度を立てるべきであると、ということは、前回の委員会でるる説明しましたから、略しますけれども、水俣病の被害者と、砒素ミルクあるいはカネミ油症の被害者とどこが違うか。加害企業は一社です。したがって、企業が責任をとることがこれはもう第一ですが、とともに、いろいろな態様が出てきます。たとえば原因がなかなかわからない。あるいは補償要求してもなかなか企業がそれを受け入れない。あるいは現に蓄積する公害の場合などはどこの企業か、きめようがない。あるいは企業はすでにきまったけれども解散してしまっていたと、いろんな場合が出てきます。したがって、そういうことは起きることがないことが第一なんですが、万一起きた場合の対策をどう考えておられるか。
#181
○政府委員(信澤清君) 私の説明が不十分なために、――やや申し上げ足りなかった点が多かったように、ただいまのお話を伺って感じたわけでございます。小平先生は公害関係、たいへんよく御存じでいらっしゃるので、あるいは私のほうが間違っているかもしれませんが、問題は三つに分けて私は考えているわけでございます。一つは、先ほど仰せになりましたように、一昨年の公害国会の際に、公害罪を新設するという案で、これは政府提案で法律が出ました。これは刑事法の関係でございます。それに対して、単なるいわゆる典型公害を公害とするのではなくて、食品とか医薬品もその公害罪の対象にすべきだ、こういう改正案が野党から出されたことも先生御案内のとおりでございまして、その際は、やはり問題は別ではないかという御議論等があって、野党の案は必ずしも修正にならなかったというふうに承っております。
 それから第二番目の問題は、無過失損害賠償責任制度の問題でございまして、これは民事の問題でございます。私が御説明申し上げましたのは実はこの点の御説明をいたしましたわけでございまして、先生御案内のように、昨年、野党三党から「事業活動に伴って人の健康等に係る公害を生じさせた事業者の無過失損害賠償責任に関する法律案」、こういうものが御提案になったわけでございます。この御審議が衆議院の法務委員会で行なわれたわけでございますが、その際、やはりこの法案の中に、いわゆる典型公害のほかに、食品なり医薬品の製造業者について無過失損害賠償責任を問うような規定があるわけでございまして、かなり突っ込んだ御議論がございました。その際、いろいろ御議論があったわけでございますが、何といっても、いまの食品衛生法では、食品衛生法自身の規定が十分でないと、だからここで無過失損害賠償責任というたいへんむずかしい法律的な制度をつくることも必要ではあるが、それよりまず、食品衛生法自身を改正することのほうが急務ではないか、そういう意味で当面は食品衛生法の改正をまず先にやった上で、なおかつ、このような制度が必要かどうかということを、次の段階で判断をしたらどうであろうかということを、ちょっと私が申しておりますので、そのとおりの話があったというわけではございませんが、さような趣旨の御質疑なり、御答弁なり、御意見の開陳がございました。したがいまして、今回、私どもは、そういうような御趣旨を体し、最後にいま申し上げました法案の提案者を代表して、社会党の衆議院の畑先生が、早く食品衛生法を改正して、こういう無過失損害賠償責任が要らなくなるような、そういうきびしい体制をやりなさい、こう締めくくっておられますので、私どもは、今回は、そういう御趣旨に沿う方向で無過失損害賠償責任制度というものについては、法律改正の内容といたしませんでしたと、こういう御答弁を先ほど申し上げたわけでございます。
 それから三番目は、最後に仰せになりましたそういう無過失損害賠償責任制度があろうがあるまいが、企業がいろんな事故を起こしました場合の、企業責任の問題をどう処理するかという問題でございます。これは私どもは基本的には小平先生がいまお話になりましたように考えておりますことは、先般大臣から、さような趣旨の御答弁を申し上げたとおりでございます。ただ、若干私どもも聞いておりまして、やや大臣の御真意が伝わらない御発言があったように私自身感じましたので、大臣の御意向を確かめましたところ、かりにおまえが言っているように御理解されておるとするならば、それは自分の本意ではない、こういうお話でございました。と申しますのは、何か、カネミの問題は解決済みであるから、そういうような制度をつくってもこれは別なんだというような御答弁を大臣がしたように、私感じたわけでございます。その点は、そうではない、大臣はむしろカネミのような問題があるから、こういうものを制度的に解決する必要があるじゃないか、ただし、この場合には、食品だけではなくて「例のスモン病等の問題もございますので、そういった一連の問題を幅広く包括して、公害に準じたような、あるいは公害の救済制度と同じような制度を別に考えたらどうかと、また、早急にそういうものを検討しろと、こういうことを私どもに御指示さなっておるわけでございまして、ただいま小平先生が仰せになりましたような方向で、大臣以下、私ども検討をいたすつもりでおります。
#182
○小平芳平君 これで終わりますが、私もちょっと席をはずしてたいへん失礼しましたが、私の指摘しているのも第二点と第三点です。
 で、民事の無過失賠償責任についてですが、その点は厚生省当局が説明なさる趣旨もわからないのではございませんが、確かに法改正をすることは大きな前進であるということは参考人の方も述べておられました。かといって、そこで被害がこれから絶滅できるというふうにめきてかかるわけにはいかない。で、衆議院の審議の過程は私も詳しくは存じなかったのですが、それは食品衛生の問題は公害と違って、材料の仕入れから、生産過程から、運搬過程からいろんな点できびしく規制していかなくてはならない、そういう規制が今回の改正で相当きびしくなっていくということが一つと、先ほど来、すんなりと、だから、今回の食品衛生法の改正がきびしくなるんだから、無過失賠償責任については今回入れないんだということが結びつかないわけですよね。そこが私は結びつかないと思いますことが一つと、それからもう一つは、人の健康に係る公害被害者救済法、この公害被害者救済法と同じような形の、食品あるいは薬品等の、――人の健康に係る食品薬品等の公害被害者救済法案というようなものが検討されておるということであれば、私はそれで了解いたします。了解いたしますが、それは準備として、いつごろをめどにして検討にかかられるか、その点だけお伺いしておきたい。
#183
○政府委員(信澤清君) 前段のお話は、先生おっしゃるように結びついておりません。つまり、私もそういう御論議があったから、もうこの問題は終わったという意味を申し上げておるわけではございませんで、なお検討を続けなければならぬ問題として残っております、しかし、今回は率直に申して間に合いませんでした、こういうふうに申し上げるべきだったと思います。そのように御了承いただきたいと存じます。
 それから後段のほうの問題につきましては、先般、大臣からきちっと御指示がございましたので、さっそく省内で検討を始めることにいたしております。
#184
○田中寿美子君 関連。いまの問題を実は、きょうの質問の冒頭で私は、もう一度それを確認しようと思ったのですけれども、時間がなかったので、省いたわけです。前回の社労の委員会のときに、私もこの問題で大臣とずいぶん話し合いをしました。その折りに、やはり一昨年の公害国会のときに、公害に準じてカネミの問題は被害者救済の措置をとるべきだという意見が当時の山中長官から出ておりましたし、その後も斎藤厚生大臣が前回厚生大臣でいらっしゃったときに、この問題を何回かお話して、公害に準じた救済をするというお話がありました。それで、今回も、食品問題等懇談会で、やはり食品が原因となっている被害者の救済制度を設けよという建議が行なわれておりますけれども、今回はこの食品衛生法の改正案の中には入っておらなかった、それで、その点をお尋ねしましたら、カネミのことは忘れてはいないのであって、カネミ、スモン、その他の食品の危害から発生する被害者の救済の法律は別途に指示しているというお話がありましたので、私は、それを確認したかったわけでございます。
 で、これは過失であれへ無過失であれ、私は、食品から起こってくる被害というものは今後も相当考えられると思います。食品だけでなく薬品もあると思います。それですから、その場合、やはり国の責任ということを感じていただかなければならないと思います。たとえば、森永の砒素ミルクの問題なんかもずいぶん長くかかっていて、いまになっても被害者と森永の間で交渉を進めているけれども、ちっとも解決がつかない。一体、国はそれに対して介入をしないのかという問題、非常に私もふしぎに思っているわけなんです。で、森永の砒素ミルクの事件が起こってからずいぶん長いのだけれども、いままた再燃しているのは後遺症の問題でしょう。あとで後遺症が出てきたという。当時厚生省は昭和三十一年ですか、後遺症はないという判定をしているわけですね、関係した府県で検査をさせて。その後、やはり後遺症が出てきたというような、まあ、後遺症であるかないかの因果関係の判定というのは、これはなかなかできない。それでそのためにいつまでも放っておくと、これは被害者もたいへんでしょうし、両当事者がたいへんであろうと思う。なぜ、厚生省がこういうときに、いつまでも介入しないのか、ふしぎに思うわけですね。こういう問題も全部含めて食品、薬品、その他に関する国家の責任をやはり感じてもらわなければならない。企業そのものにも責任はあるけれども、それを許して使わせた国の責任ということがあると思いますから、やはり被害者を救済する法律をつくって、その制度を進めてもらいたいということ、この点について、この前は、カネミのことでお尋ねしまして、カネミのことでは厚生大臣もそういうふうにしていくというお話でございました。いま小平委員のおっしゃったような線であったと思いますし、そちらの御答弁の線だったと思います。スモンなんというのは食品ではないかもしれません、薬品ですから。それから、森永のケースなんかは、これも砒素が入っていたわけですから、これもカネミと同じようなケースだと思うんですね。こういうものを含めて、大企業であれ、小企業であれ、無過失であれ、過失がはっきりしている場合であれ、早くそういう法律ができましたならば、解決がもっと早まるんではないかと思いますので、その辺の私は大臣の意見を聞きたかったわけでございますが、ぜひ、伝えていただきたいし、また、機会があったら、その辺をはっきり伺いたいと思っております。
#185
○政府委員(信澤清君) お話の趣旨は大臣に十分に伝えます。
 なお、森永問題についても、当面している問題でございまして、いまお尋ねのように、厚生省、何をしているんだという御不審をお持ちになることはごもっともだと思います。私どもは、この問題につきましては、ある意味では公正な第三者の扱いを受けてないという点でやや特殊な立場にございます。つまり、患者の側から申しますれば、厚生省も森永と共犯であるということを言っているわけでございまして、それにしても、私どもはやはり患者がそうお考えになろうが、やはり国としての責任は果すべきだということでお話のような点をできるだけ早く皆さんに御理解いただけて、この問題が早く解決するように、かりにまた、企業ときっちり話がつかない場合でも、先ほど来お話がございましたように、現に困っておられる方々についての医療その他の救済措置が十分行なわれますように最小限度その実現だけはできるようにいたしたいと、このように考えております。
#186
○田中寿美子君 公正な第三者と思われていないというお話があったのですけれども、砒素ミルクの中毒患者を守る会ですか、あの会の方々が厚生大臣に対して介入を陳情したというふうに聞いておりますが、それはいつのことですか。そうして、それは早く、こういうものは、いま法案を考えているとおっしゃったのですが、それを考える段階では、この問題も頭に入れてやっていただきたいと思います。
#187
○政府委員(信澤清君) 大臣に御陳情のありましたのはたしか十日ほど前のことでございまして、問題のすべてではありませんで、いろいろ議論のございます一部の問題について厚生省の善処を大臣に御要望されたというふうに伺っております。しかし、いまのお話はよくわかりましたので、大臣によくお伝えしたいと思います。
#188
○委員長(中村英男君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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