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1971/05/11 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第13号
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1971/05/11 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第13号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第13号
昭和四十七年五月十一日(木曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月九日
    辞任         補欠選任
     鈴木美枝子君     佐野 芳雄君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     中山 太郎君     高橋文五郎君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          中村 英男君
   理 事
                鹿島 俊雄君
                高田 浩運君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
   委 員
                上田  稔君
                上原 正吉君
                川野辺 静君
                高橋文五郎君
                橋本 繁蔵君
                山下 春江君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤原 道子君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     橋本龍太郎君
   国務大臣
       労 働 大 臣  塚原 俊郎君
   政府委員
       労働大臣官房長  藤繩 正勝君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省安全衛生
       部長       北川 俊夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働安全衛生法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 鈴木美枝子君、中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として佐野芳雄君、高橋文五郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中村英男君) 労働安全衛生法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。塚原労働大臣。
#4
○国務大臣(塚原俊郎君) ただいま議題となりました労働安全衛生法案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 最近における労働災害の発生状況を見てみますと、いまなお交通災害を上回る年間百七十万もの人々が被災し、そのうち六千人にも及ぶ方々が尊い命を失つておられます。
 特に近年、機械設備の大型化や高速化、あるいは建設工事の大規模化等に伴い、重大災害を生ずる危険が多くなつてきており、また、この数年、職業病は急増の傾向を示し、新原材料、新生産方式等による疾病が目立つてきております。
 このような労働災害の状況にかんがみ、労働省では、産業活動の急速な変化に対応できる適切な防止対策を展開するため、労働安全衛生行政の今後のあり方について検討を重ねてまいりました。すなわち、その一環として、昭和四十四年に学識者の方々にお願いして労働基準法研究会を設置し、労働基準法の法制上及び運用上の諸問題について調査研究を依頼しましたところ、労働安全衛生に関しまして昨年七月に報告書が提出されました。
 労働省では、この報告書のほか、労働災害の実情及びその対策等について広く検討した結果、産業活動の変化に即応した労働安全衛生対策を推進していくためには法制の整備が必要であるとの結論に達し、労働安全衛生法案の構想を取りまとめ、昨年十一月これを中央労働基準審議会に諮問いたしました。
 同審議会では、慎重審議の結果、本年二月、若干の事項について配慮するよう意見を付した上、労働省の構想によることが適当である旨の答申がなされました。
 労働省におきましては、この答申の趣旨を尊重して成案を固め、ここに労働安全衛生法案として提案した次第であります。
 次に、その内容の概略を御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的は、労働基準法と相まつて、労働災害を防止し、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な作業環境の形成を促進することにあることを明らかにいたしました。
 第二に、総括安全衛生管理者制度の導入、安全衛生委員会の活用等、事業場における安全衛生管理体制を整備することといたしました。
 第三に、労働災害防止基準を変化する職場の実態に即応できるよう明確に規定し、整備することといたしました。なお、この基準の設定にあたつては、労働災害と密接な関係にある公害あるいは一般公衆の災害の防止にも貢献するよう配慮することといたしております。
 第四に、危険な機械等について製造段階から安全性を具備するよう規制するとともに、ベンジジン等の製造の禁止、特定の有害物についての製造許可あるいは有害性の表示などを実施することといたしました。
 第五に、入職時のみならず、配置転換時等における安全衛生教育を行なうとともに、職長等指導的な立場にある者についての教育を徹底することといたしました。
 第六に、健康診断の徹底をはかるとともに、職業ガン等に関係のある業務に従事した者について健康管理手帳を交付し、離職後もその健康管理を長期にわたり行なうことといたしました。
 第七に、労働災害を未然に防止するため、危険または有害な事業につき事前届け出制を整備するとともに、この制度における科学技術面での検討を確実にするため、専門家の意見を聴取することといたしました。
 第八に、事業者の作成する安全衛生改善計画に基づき、自主的な労働災害防止活動を推進することとし、その裏づけとして、労働福祉事業団による労働安全衛生融資制度を創設することといたしました。
 第九に、建設業、造船業等、重層下請関係にある職場について、元方事業主を中心とする総合安全衛生管理体制の確立をはかるとともに、ジョイント・ベンチャー、リース業者等の労働災害防止責任を明確にすることといたしました。
 以上のほか、労働災害防止計画、一定の危険な業務についての就業制限、監督機関の権限、国の援助等につきまして必要な規定を設けることといたしております。
 以上この法律案の提案理由及びその概略につきまして御説明申し上げました。
 なお、この法律案は、衆議院において一部修正されましたので、申し添えます。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(中村英男君) この際、本案に対する衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理理事橋本龍太郎君から説明を聴取いたします。衆議院議員橋本龍太郎君。
#6
○衆議院議員(橋本龍太郎君) 私は、衆議院の社会労働委員会を代表して、労働安全衛生法案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 その要旨は、
一 労働災害の定義について、その範囲を明確に
 すること
二 事業者の快適な作業環境の実現と労働条件の
 改善を通じて安全衛生を確保することの責務を
 明らかにすること
三 労働者は、労働災害の防止に関する措置に協
 力するようつとめなければならないこととする
 こと
四 労働者側から安全・衛生委員会委員の推薦が
 ない場合の措置について整備を行なうこと
五 労働災害の発生が急迫している場合の事業者
 の労働者を退避させる義務について規定するこ
 と
六 法令違反に関する労働者の申告の趣旨を明ら
 かにすること
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#7
○委員長(中村英男君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
#8
○須原昭二君 ただいま議題となりました労働安全衛生法案に関連をして、労働大臣並びに各局長と若干の質疑をかわしたいと思います。
 まず、いま御提案の中にもお話がございましたように、一年間の労働者の労災による死傷者が百七十万人と、こうおっしゃいました。これは、私の記憶をいたしますところによりますと、「朝日新聞」でしたか、昨年四十六年の三月九日のたしか社説だったと思いますが、もう一年前に百七十万というのは言われておるわけです。特に、当時の「朝日新聞」の社説によりますと、この十年間に、GNPは四・五倍になったが、労働災害も二倍になった。一日に十七人の死亡者、約千名の重傷者が出ている、そう言って、一年間の死傷者数が百万人といわれる交通災害を上回るわが国の労働災害の実態はまさに看過できない問題である。公害、交通災害とともに、尊い人命がちりや消耗品のように取り扱われておる、とすでに喝破をしているわけです。すでに一年数カ月経過しておるわけです。百七十万人とまだ同じようなことを言っておられますが、はたして政府は今日の労働災害の実情をどう掌握されておるのか、まずその点についてお尋ねをいたしたいと思います。
#9
○政府委員(渡邊健二君) 労働災害によります被災労働者は、ここ数年、年によって多少の変動はございますけれども、ただいま先生おっしゃいましたように、おおむね百七十万前後の被災労働者を出しておるわけでございまして、そのうち、死亡される方、これも大体ここ数年約六千人強が続いておるわけでございます。われわれといたしましては、まことに遺憾なことだと存じまして、労働災害の減少につきましてはあらゆる努力をいたしておるわけでございますが、昨四十六年につきましては、まだ最終的な詳細な結果は出ておりませんけれども、関係者の災害防止の努力がだんだんと実ってまいりまして、発生率は前年に比しまして約一〇%程度減少をいたしておりますし、死亡者もここ数年の六千人台というのを割りまして約五千六百人程度にとどまるという、近年にない好成績をあげておるところでございます。しかしながら、最近におきます事業の大規模化、高速化等に伴いまして、大型災害というものが引き続き多発いたしておりますし、また、新しい原材料等の使用に伴いまして職業病についても増加の傾向が見られるなど、今後の産業の発展過程における労働災害の発生問題はなお楽観を許さないものがあると、したがいまして、これに対しましては、今後ともあらゆる努力を傾注して災害の防止につとめなければならない状況にあると、かように考えておるところでございます。
#10
○須原昭二君 一〇%ぐらいその死傷者数が減っておると、こういうお話でありますが、私はそうは感じないんで、ここに統計上の多少の問題があるのではないかと思うわけです。実は、いただいた労働省の調査の表によりますと、労災による休業八日以上の死傷者数は、三十六年以降減少の傾向であった。ただし、四十一年から横ばいになって、四十五年には約三十六万四千人に達したと、こう指摘をしております。さらに、ここ十年間、先ほどお話がありましたように、毎年六千人余の死亡による犠牲者が出ておる。加えて、いまお話の中にもありましたように、職業性の疾患、この増加が著しく高いものでありまして、その度合いを加えますと、きわめて悲惨な状態に至っておるわけです。
 その数のいかんはともかくといたしまして、このように増大しておるところの犠牲者、その悲惨な状態、しかもその減少しない理由、増大の原因というものはどこにあるのか、この点を労働大臣はどういうふうにお考えになっておられますか、その原因を精査されておると思いますけれども、お話しをいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(塚原俊郎君) ただいま数字の問題でやや食い違いがあったように聞いておりまするが、このところやや減少しているのは、やはり不況によるものも若干あるのではなかろうか。仕事量が減っておるという点も考えなければならない面があると思います。しかし、いずれにいたしましても、労働災害の発生の背景としては、技術も日進月歩でありまするし、非常に複雑な大型化したものもどんどんできておる、これに対する訓練の徹底というものをいたしておりましてもなお追いつかないというような面から不慮の災害が起きるということも考えられると私は思うのであります。特に中高年齢者、あるいは先ほど申しました訓練が行き届いていないための未熟練労働者というようなものも増加いたしておりまするので、これがそういう災害につながっていくのではないか。この防止策について努力をすることはいま第一の急務でありまするし、今度の法案はそういう意味も含めまして提案いたした次第であります。
#12
○須原昭二君 きわめて抽象的な御答弁でありましたが、私の申し上げておりますのは、なるほど訓練の不徹底、防災設備の不備、そうした主体的なものだけではなくして、根本的に潜在的に日本の職場におけるところの労災の原因はどういうところにあるのか。GNPが四・五倍も上がってきた、そうして日本人は働き過ぎる、労働条件が劣悪である、こういう指摘が実は諸外国からあるわけでありまして、日本の労働者における長時間労働あるいは低賃金におけるところの労働、こうした労働条件というものについて労働大臣はどうお考えになっているか、その点が聞きたいんです。
#13
○国務大臣(塚原俊郎君) 質問の趣旨をやや取り違えましたことをおわび申し上げますが、これは各方面でもずいぶん問題になっておる点であります。つまり、労働災害の発生は、あまりこき使うからだ、労働時間が長過ぎる、低賃金のためにこれを縛り過ぎるんだ、だからこれが災害につながるというような御指摘も私はずいぶんいただいております。しかし、私は全然関係がないとは言いませんが、いま言った長時間労働あるいは低賃金があるから労働災害と断定するのは、いささか須原委員と私は見解を異にします。しかし、いずれにいたしましても、冒頭に申しましたように、無関係とは申しませんし、私自身、労働省に参りましても、労働時間の問題あるいは賃金の問題についても非常な関心を持っております。ことに、今日、福祉というものを重点とし、この法案は人命尊重を中心といたしておりまするが、そういう面から考えましても、労働時間の問題、賃金の問題等についてもそれこそ文字どおり前向きの形を示しながら、前向きの姿勢でその対策を講じながら、ひいては直接の関係はないにしても労働災害の防止にそれがつながれば幸いなことであろうし、また、その面に向かって努力する考えであります。
#14
○須原昭二君 原因の問題については、労働大臣から御指摘があったように、見解の違いもあるだろうと思います。したがって、この点は後ほど質疑をかわしたいと思いますが、ただ、労災事故と労働基準法違反との関係でまずお尋ねをいたしたいわけですが、労災の事故の発生と企業の労働基準法違反とはきわめて深い相関関係にあると思っております。その点についての見解を承りたいわけですが、労働者はもちろんでありますが、企業が労基法の安全義務を忠実に守っておれば、現在の労働基準法の労働安全事項というもの、あるいはまた、労基法の中にうたわれておる労働条件、そうしたものを完全に守っておれば、労災事故というものの発生は多少なりとも、多少といっても大きいほうでありますが、多く阻止できるのではないか、こう実は思うわけです。したがって、労災事故の発生と労基法違反との相関関係をどう労働省は御理解をいただいておるのか、その点についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
#15
○政府委員(渡邊健二君) 先生御指摘のように、各事業場にまだまだ基準法違反の状態が少なからずあるということは私どもまことに遺憾に存じておるわけでございまして、特にそういう基準法違反のあったために労働災害が発生し、労働者の生命や身体がそこなわれるということは、まことに使用者として責任が重大であると、かように考えるところでございます。事実、私どもが監督を実施いたしております結果について見ましても、労働災害の発生の原因として基準法違反というようなことが原因となっていると見られるものは約二〇%程度あるわけでございまして、そういう点につきまして基準法違反が行なわれず災害防止の諸基準が厳正に守られるならば、それだけ災害は当然減ってまいる、かように考えております。
 ただ、労働災害と申しますのは、いろいろな原因があるわけでございまして、たとえて申しますと、労働者のほうにいろいろ不注意がありまして、高いところから墜落をするとか、そういうような使用者の側の基準法違反と直接の因果関係のないものもあるわけでございまして、そういう点につきましては、基準法を厳正に使用者に守らせるということのほかに、労働者に対する安全教育、衛生教育、こういうものの徹底とか、その他、好ましい作業環境あるいは作業基準を設定しそういうものを進めるとか、そういったような対策も必要であって、基準の厳正な実施と、それらの教育、あるいは行政指導、措置、そういうようなものが相まちまして災害防止というものが効果をあげてまいるものだ、かように考えておるところでございます。
#16
○須原昭二君 じゃ、若干そのデータを御報告いただきたいと思うのですが、労基法違反率ですね、全体として何%になっていますか。
#17
○政府委員(渡邊健二君) これは四十六年におきまして約二十七万事業場につきまして監督を実施いたしておりますが、それにつきまして安全衛生基準関係の違反があった事業場はその約五〇%に相なっておるわけでございます。しかしながら、この二十七万事業場と申しますのは、全基準法適用事業場が約二百七十万事業場ございますので、その約一〇%に相なるわけでございますが、こういう監督は、全適用事業場のうちで、災害が多い、違反が多いと思われる工業的業種を中心に違反の多そうな事業場を重点的に監督を実施いたしておりますわけでございまして、たとえて申しますと非工業的な業種だけについて違反率を見ますと、それは約二〇%と全体の平均よりも非常に低いというような結果も出ておるわけでございます。したがいまして、五〇%の違反率というのは、そういう災害の多そうな、違反の多そうな事業場を重点的に実施しているためにそういう高い率が出ておりますので、全事業場について申しますとそれほどの率にはならないのではないかと、かように考えております。
#18
○須原昭二君 いま、四十六年に二十七万の事業場に対して調査をした、そこで違反率が五〇%ぐらいだと、こういう御指摘がありました。私の調べたところによりますと、三十五年が五七・二%、四十年が五四・四%、四十五年が七〇・四%になっております。この七〇・四%から五〇%と、二〇%低くなっているわけですね。この低くなった理由はどこにありますか。
#19
○政府委員(渡邊健二君) ただいま五〇%と申しましたのは、安全衛生関係の違反率だけを申し上げました。
#20
○須原昭二君 私は全体を言っているんです。
#21
○政府委員(渡邊健二君) 全体につきましては、まだ四十六年につきましては結果が出ておりませんので、ちょっとその数字を持ち合わせておりませんが、四十五年につきましては、先生おっしゃいましたように、全体の違反率は七〇・四%と、こういう数字になっております。
#22
○須原昭二君 それでは、四十六年の二十七万事業所に対する五〇%というのは安全事項だけであると。したがって、全体の労働基準法違反はいまのところない。四十五年の七〇・四%をいまのところめどとしてわれわれ考えてもいいですね。
 そこで、さらにお尋ねいたしますが、そういたしますと、労働省労働基準局の「監督業務実施状況」の報告書によりますと、全体の違反を一〇〇とする場合、危害防止安全基準違反四九・一%、危害防止衛生基準違反五・三%、健康診断違反一一・四%、こういうふうに実は出ているわけです。約半数以上が直接労災発生原因となるいわゆる労基法違反である。先ほど御指摘をいたしましたように、安全衛生事項以外の問題を加えますと、さらにふくれ上がってくるわけです。そこで、先ほど、労災事故発生と労基法違反の相互関係は深い因果関係があるのではないか、この点を私が御指摘をいたしましたら、二〇%と言われました。この二〇%の根拠ですね。その点については、いま労働大臣から提案説明がありました労働大臣の私的諮問機関の労働基準法研究会ですか、その四十六年七月十三日の報告の中にも、労基法違反が原因となって発生する労災は全体の二割あるいはそれ以下で云々ということで、大部分の災害は法定の最低基準とかかわりなく発生をしておる、こう実は指摘をしておるわけですが、この二〇%という根拠は、はたして、じゃ、だれがどこでどのような規模で行なわれた調査なのか、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
#23
○政府委員(渡邊健二君) この二〇%という数字は、昭和四十五年におきまして労働災害のために死亡されました事件につきましてその災害原因を調査いたしました結果、それらの原因のうち法規違反が原因となって災害が起き死亡されたというものは約二〇%であったということでございます。
#24
○須原昭二君 それはだれが調査をしたんですか。
#25
○政府委員(北川俊夫君) 死亡災害につきましては、すべて法違反がありましたら司法事件として立件いたしております。したがいまして、死亡事案につきまして基準監督官及び基準監督署・局が調査をいたしまして、いま局長が申し上げました数字をさらにふえんして申し上げますと、四十五年に死亡災害が五千五百六十九件、その中で司法事件として立件されましたものが千二十八件、比率にしまして一八・四六%、こういうことでございます。四十五年につきまして引例をいたしましたけれども、この傾向はこの十数年間ほとんど同じでございます。
#26
○須原昭二君 労災というのは、私は死亡だけじゃないと思うんです。当然重傷なりけがをした人も労災の中に入るわけで、ただ死亡だけの事件を見れば二〇%になってくるかもわかりません。私は知りませんけれども、この二〇%というものの根拠というものは、ここに研究会が発表したように、労基法が原因となって発生する労災は死亡事故が全体の二〇%として指摘すれば誤解はないんですよ。こういう不明確な根拠に基づくということはおかしいと思うんですね。ですから、けがをした人たち、そうした者たちも労災なんですから、それを一緒に考えれば、何%になりますか。
#27
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、一日でも休まれる方、あるいは不休の災害というのも労災でございまして、それにつきましての基準法との関連につきましては、いままでもいろいろ部分的な調査をいたしておりますが、全国的にこれにつきまして法違反との関係の調査は実はございません。ただ、部分的に調査をいたしました傾向は、いま私が申し上げております死亡災害と法違反との関係とほぼ一致をいたしております。
#28
○須原昭二君 そのように数字が上がってくるんですね。ですから、この労働基準法研究会の報告書に非常に誤解を生むんです。こういう表現は私は適当ではない、こう思うわけです。そこで、先ほども御指摘をいたしましたように、労働基準局の「監督業務実施状況」の報告によると、安全、衛生あるいは健康診断違反、そうしたものが約半数以上あるわけですね。これにさまざまな最低基準等の問題、そうしたものを加えると、法律違反というのは非常に多いわけです。そこで、私は、研究会の問題は後ほど議論を申し上げたいわけですが、やはり労働者はなま身のからだであって、機械ではないわけですね。したがって、身体が疲労を伴えば注意が散漫になることは言うまでもないし、労働災害の条件となり得るのですけれども、したがって、私が先ほど労働大臣に御質問申し上げました労災の原因とは何か。そこで明らかになってくるのは、合理化によるところの労働の強化だとか、あるいは低賃金によるところの長時間労働の強制だとか、そうしたさまざまな要件があると思うわけですね。したがって、それが直接にあるいは間接にからみ合いながら労災の発生原因であると私たちは思っているわけです。したがって、そうした総合的といいますか科学的な原因の探求が報告書の中からわれわれ見受けられないのです。そういう科学的な総合的な見地に立って報告書ができ上がっていない、そういう点を私たちは指摘をしておかなければならないのではないかと思うわけです。
 特にこの際関連をしてお尋ねをいたしておきたいのですが、労働時間あるいはまた休日、こうしたものの違反実態ですね。たとえば、労働時間、休日、あるいはまた、女子、年少者、この労働時間、休日を規定した労働基準法違反というものの違反実態はどうなんですか。
#29
○政府委員(渡邊健二君) 四十五年につきまして基準法違反の率を申しますと、労働時間関係につきましては、男子につきまして労働時間の違反があったものが一四・三、女子について七・一、年少者について一・八のそれぞれのパーセントになっております。また、休日につきましても、男子につきましては八・四%、女子について二・五%、年少者について〇・五%等々の違反率が出ておるわけでございます。
#30
○須原昭二君 私のほうでおたくのほうからいただいた資料によりますと、労働時間の違反率は三四・五%になっておる。これは間違いないですか。
#31
○政府委員(渡邊健二君) ただいま申し上げました数字は、四十五年の「監督業務実施状況」に基づく違反率でございます。
#32
○須原昭二君 その数字のやりとりは時間がかかりますから、先へ進んでまいります。
 私の調べたおたくのほうからいただいた資料によりますと、全体に占める労働時間の違反率というのは三四・五%です。そこで、三四・五%という数字の根拠は、先ほども御指摘があったように、二十七万の事業体を調べた。実は、二百七十万事業体があると、約一〇%だと。一〇%調べただけでも三四・五%が出ておるわけであって、表面に出ない違反というのはもっとかなり高いと私たちは指摘をせざるを得ないわけです。その点はどうですか。
#33
○政府委員(渡邊健二君) 二十七万事業所を監督いたしておりますのは、私ども、できるだけ重点的監督ということで、違反の多そうな業種等を重点的に監督をいたしておりますわけでございます。したがいまして、その他の事業場を加えた場合に、それ以上に著しくそれと違ったさらに違反率があるというふうには必ずしも考えませんけれども、確かに中小企業の中にはなおかなりの違反があるであろうということは考えられるところでございます。
#34
○須原昭二君 局長さん、重点的という表現は、私はあとから指摘をしますが、これはちょっとことばが過ぎると思います。いまの陣容からいってできないのですよ。取り分けてここだけやらなきゃならないというのじゃなくて、手が足りなくて重点的にならざるを得ないのですけれども、この点の表現は私は適当でないと思うわけです。
 そこで、先ほどの二〇%という違反、これは先ほど死亡事故だけであるという御指摘がありましたからここで明らかになりました。しかし、死亡事故は二〇%にしても、労災の原因というのはもっと深いところにあるわけですね。広い範囲にあるわけです。そういうものを加算をいたしますと、二〇%というのはごまかしてこう出してきたのではないか、こういうような私は表現を使わざるを得ないわけです。過小評価である、こういうふうに指摘をせざるを得ないのですが、その点はどうお感じになりますか。
#35
○政府委員(渡邊健二君) その点は、先ほども申し上げましたとおり、死亡事故が発生いたしましたもののうち二〇%が法違反が原因であったということを申し上げたわけでございます。死亡事故以外は全数についての調査というものはないわけでございますが、先ほど安全衛生部長から申し上げましたとおり、部分的ないろいろ状況を見てみますと、死亡事故以外の災害についても、災害が発生したもののうち法違反が原因となっているものはおおむね死亡事故の場合と同じような傾向にあるというふうにわれわれ把握をいたしておりますので、それらをひっくるめましておおむね二〇%程度であろうと、こういう推計をいたしたわけでございます。
#36
○須原昭二君 それで、先ほどの二〇%は、二〇%に固執するわけじゃないのですけれども、やはり死亡事故だけで調査の結果すべて出てきた数字であって、しかも、それは死亡事故だけでありますから直接的なもの、その他安全衛生事項以外の労働条件などによって出てきた災害、たとえば、けがであるとか、傷病だとか、そうした法違反を含めますと、私はかなり数字が上回ってくると思うのです。したがって、間接的なものは除かれていると、こう言っても間違いないのではないか、その点を確認をしたいのですが、それはどうですか。
#37
○政府委員(渡邊健二君) その二〇%という中には、先生おっしゃいましたように、間接的なものというものは入っておりません。
#38
○須原昭二君 そこで、研究会の報告は、労基法違反が原因となって発生する労災は全体の二割またはそれ以下であるという表現は適当ではない。したがって、発生する労災の死亡は二〇%で、これこそきちんと整理してもらわなければ正しい報告ではないと思うのです。
 そこで、私は、労働基準法研究会なるものについてまずお尋ねをしたいのです。これは労働大臣の私的諮問機関ということに実は聞いております。きょうの提案説明の中にもありましたように、昨年七月にこの研究会の報告書が出た。しかも、それは、労働基準法研究会第三小委員会報告という形で出てきておる。そして、昨年の八月に労働省はこれを骨子として要綱をつくり上げて労働安全衛生法の制定の意向を発表されております。十一月に労働省は中央労働基準審議会に諮問をし、そして答申を受け、ことしの一月に要綱を発表されているわけです。こういう経過は間違いありませんね。
#39
○政府委員(渡邊健二君) 経過は、そのとおりでございます。
#40
○須原昭二君 そういたしますと、今日提案をなされておる法案のたたき台は、研究会の報告を骨子として土台としてでき上がっておるというふうに理解をしてもいいですか。
#41
○政府委員(渡邊健二君) 基準法研究会が発足いたしましてからその御研究を願うテーマは非常に広範にわたるわけでございますが、労働者の生命と健康を守るという安全衛生問題、これは当面最大の緊急の問題だということで、まずお取り上げをいただいたところでございます。労働省自身といたしましても、数年来、先ほどから御指摘のような労働災害件数がなかなか減らない、何としてでもこれを減らす努力をいたしたいということでいろいろ労働災害の防止を効果的に進めるための方策につきましてかねがね検討をいたしておったところでございまして、ちょうど昨年の七月に研究会から安全衛生についての研究結果の御報告が出まして、われわれがそれまで日ごろ検討いたしておりましたところと相一致する点も少なくございませんでした。われわれといたしましても、いよいよ新労働安全衛生立法の必要性というものを確信を強めまして、そこで、労働安全衛生立法の骨子を発表し、さらに十分各界各方面等の御意向等も承って要綱をつくりまして、十一月に中央労働基準審議会におかけしたと、こういうことでございます。したがいまして、基準法研究会の御報告というのは一つの有力な参考資料ではございましたけれども、それのみによって安全衛生立法を考えたわけではなく、それ以外にわれわれのかねてからの検討の結果あるいは各方面の御意向等も十分考慮いたしましてこの立法を考えたわけでございます。
#42
○須原昭二君 いまお話を聞きますと、私たちが聞いておる見解と若干違うわけです。私はあくまでもこの研究会の中で一応構想が練られてきたと、こういうふうに感じています。
 そこで、実は、この研究会というのはどういうものなのか、この性格、任務、こうしたものについてわれわれはわかりません。率直にひとつお答えをいただきたいと思います。
#43
○政府委員(渡邊健二君) 研究会を設置いたしました趣旨は、労働基準法というのは、昭和二十二年の九月に施行されまして以来、もちろん一部の小規模な改正はその後ございましたけれども、大筋といたしましては制定以来ほとんど一貫いたしましてそのままの適用運用をされまして、ある意味では日本の労働者の労働条件の確保向上に寄与してまいりましたが、その後約四分の一世紀を経過いたしまして、その間産業事情等も大きく変わり、社会的ないろいろな環境もたいへんに変わってきておる、こういうような観点から、現在の基準法がいろいろな産業の事情あるいは社会の事情から見てそのままでいいかという問題があるのではないかということが各方面からいろいろ指摘をされておるところでございます。したがいまして、われわれといたしましても、そういう点を検討する必要を感じたわけでありますが、きわめて重要な問題でございますので、まず学識経験者の方々にその基準法の法制上あるいは運用上のいろいろな問題点、その実情と実際との間の問題点、こういうものを御検討願って問題の所在を明らかにしていただきたいと、こういう趣旨で労働大臣の私的な諮問機関として四十四年の九月に研究会を発足していただいて今日まで御検討を願っておるところでございます。
#44
○須原昭二君 その研究会が四十四年九月に発足したことも私は知っております。ただ、当時は、あくまでも研究会であると。したがって、研究結果が法改正につながるということではないということを説明されてきたわけであります。いま、皆さんが言ってこられたことと現実とは違ってきておるわけです。一昨昨日の八日でしたか、衆議院の島本議員の質問に対して、婦人少年局長は、勤労婦人の福祉に関する労働基準法問題の改正といいますか、こういう問題点についてはただいま研究会で検討をお願いしておると、こういう答弁をしているわけです。こういう点は、何らか研究会において骨組みをしてくると、こういうふうにわれわれは理解をせざるを得ないのです。したがって、研究会が発足した当時の見解といま皆さんがやっておられる行動とは大いに違っておるわけですが、その点はどうですか。
#45
○政府委員(渡邊健二君) 研究会は、別に基準法改正を前提とした、基準法改正のために研究をしていただくと、こういうことではございませんで、ただいま私が申し上げましたとおり、基準法の法制上運用上の現在の問題点を検討していただきたい、こういう趣旨でございます。したがいまして、婦人年少者の保護のいろいろな問題も検討されておりますけれども、別に基準法を改正という前提でやられているわけではないのでございまして、基準法施行以来四分の一世紀たちまして、いろいろなその後の社会情勢、産業事情の変化、こういう情勢の中で、現状にそぐわないとか、あるいはさらに保護をもっと最近の事情に照らして高めるべきだとか、いろいろな問題点の指摘、御意見が出ておりますので、問題の所在、そういうものがどこにあるかという御研究を願っておるところでございます。
#46
○須原昭二君 労働省にも、行政的な皆さんベテランばかりそろっているわけです。皆さんが検討して素材をつくって中央労働基準審議会に諮問すればいいんじゃないですか。なぜそんな研究会なんかに検討してもらうんですか。問題点が出てくれば、それは法改正につながる一つの発生原因をつくることじゃないですか。そういう問題はこの基準審議会に諮問すればいいじゃないですか、あなたたちが考えて。それが私は正しいルールだと思います。その点はどうですか。
#47
○政府委員(渡邊健二君) もちろん、私どもも基準法の施行運用の責任を負っておりますから、その運用上の問題点については絶えず把握をし検討をいたしておるわけでございますが、先ほどから申しておりますように、現在の基準法の法制上運用上につきましては、いろいろな立場の方から、場合によりますと全く相反する方向でのいろいろな問題点の指摘等がなされておるわけでございます。したがいまして、私ども、検討研究をいたしますけれども、社会的に見てその道の専門家でありかつ公正な立場にあると考えられる方々に御検討を願って、その御見解を私どもの行政の参考にさせていただきたいと、こういうことはきわめて有意義なことと考えまして研究会に検討を御委嘱いたしておるわけでございますが、しかし、法改正ということになりますと、これはもちろん基準法によって定められました正規の審議会であります中央労働基準審議会、ここにおはかりをして御審議を願うのは当然のことでございまして、私どもも、今回の労働安全衛生法を含めまして、もちろん、法改正をいよいよするということになれば、私どもでつくりました案を中央労働基準審議会に御諮問をして御審議を願っておるわけでございます。
#48
○須原昭二君 くどいようですが、研究課題、問題点を指摘してもらうんだ、すぐり出していただくんだ、こういうことで研究会にお願いをする、こういうことは、先ほど申し上げましたように、改正の発生原因を一つの動機をつくるものである。こういう視点から言うならば、私的機関によって実質上私たちから考えれば法改正が推進されておる。たとえ中基審にかけるとはいうものの、やはり法改正の機構として私的機関による公的職分が行なわれておる、こういうふうにわれわれ見ざるを得ないんです。私はきわめて重大な疑義を持たざるを得ないわけです。特に、労働基準法の問題点については、労働諸団体が従来多くの問題点について指摘をしてきておるんです。そういう問題点についての改善意見は何ら反映をされておらない。
 研究会の構成は、きわめて公平な人、学識経験者を集めておるとおっしゃいますけれども、どういう人たちですか、それは。
#49
○政府委員(渡邊健二君) 基準法研究会のメンバーは二十名でございまして、座長に成蹊大学の学長で中労委会長の石井照久先生がなっておられます。その他、労働関係の労働法学者、あるいは言論機関の方々、あるいは弁護士の方、あるいは研究機関の所長などをやっておられる方々等々、労働問題につきまして一般に非常に高度な識見を持っておられる公正な方と見られる方々を御委嘱申し上げているところでございます。
#50
○須原昭二君 まあいま小平先生から名前が言えないとおっしゃるのですが、実はここに委員の名簿を持っています。この名簿を通覧しますと、どう見ても公平ではない、こう指摘をせざるを得ない。たとえば、特定の名前をあげて恐縮でありますが、北川徹三さんという横浜国立大学の教授、これは非常に有名な方です。有名だというのは、水俣病の原因究明に当たっておられた方です。これは、御案内のとおり、新潟の水俣病の原因について有機水銀説とそれから農薬説とが対立したときに、この人は企業の側を代表して公判でも企業側の証言者となっているんですね。こういう人たちが入ってそういう公平な論議は私はできないと思うわけです。こうした研究会の運営費、財源、あるいは謝金、こうしたものはどういうところからどれだけ出ているのですか、北川さんの問題についてはどうお考えになりますか。
#51
○政府委員(渡邊健二君) 基準法研究会のメンバーの方々につきましては、いろいろ御意見はあろうと思いますが、私ども、それぞれの方いずれも公正なりっぱな方だと考えておるわけでございまして……
#52
○須原昭二君 だれが任命するんですか。
#53
○政府委員(渡邊健二君) これは労働大臣が御委嘱申し上げております。
 なお、この研究会の運営費につきましては、これはもちろん予算から運営費が出されておるわけでございます。
#54
○須原昭二君 あれほど対立した問題点で有機水銀説と企業側の農薬説とが対立したときに、終始企業側の説を主張して企業側の証言者となっているのですね。これはもうすでに環境庁においても厚生省においても有機水銀説であると、こういって認めているわけです。この人はあくまでも企業側を代表しているわけです。こういう人たちが公正適切な人だとは私は思いません。
 それからもう一つ、これは予算の中から支出をされておると言われますけれども、昭和三十六年四月十二日行政管理庁の第十九号の通達によって、こうした懇談会的な行政上の運営の会合については適当でない、こういう通達が出ているわけです。いまのそういう私的な研究機関だとか懇談会とかいうもので行政的な行政職分の処理をしていくということは私はおかしいと思う。ここに、おわかりないとわかりませんから、ちゃんと持ってきました、通達を。行政管理庁はいかぬと言っているじゃないですか。こういうものをなお残しておくのはどういうことなんですか、労働大臣にお答えを願いたい。
#55
○国務大臣(塚原俊郎君) 労働基準法研究会に限らず、先ほどの行政管理庁の通達もありましたし、また、私がかつて総理府長官をやりましたときにも、審議会とか委員会というものがあまりにも多いので、その整理というものに手をつけたことがございます。はなはだ穏当を欠くことばかもしれませんが、あるいは隠れみの的な委員会もなきにしもあらずということを考えまして、各省に対してその整理あるいは統合廃止というようなことを打ち出したこともございます。その後、順調に進んでいるかどうか。しかし、今度労働省に参りまして、いま御指摘になっておる労働基準法研究会が私が当時考えた時勢にマッチしないものであるかどうかということは、これはそれなりの役割りを十分果たしておると私は考えております。たまたま横浜国立大の先生の話が出ましたけれども、彼も学者としての考えを述べているのであって、私は全般的にはいい方が選んである――これは私が選んだわけではありません、私がこれを受け継いでやっているわけでありますが、ただ、立場立場によってはこういう意見を吐いてけしからぬということもあるかもしれませんが、やはりこういう方々の御意見も十分行政の上に反映さしていくということは必要であろう。また、国会においては、国政調査権がありまするので、法案の審議だけじゃなくて、しょっちゅう皆さん方から特に野党の方々からはいろいろな貴重な御意見を承り、また、おしかりを受けることもあります。それからまた、こういういろいろな審議会、委員会等においても貴重な御意見の出ることもあります。しかし、だからそれだけに基づいて役所が立法措置をやっているとは私は考えません。労働省にもそうそうたる有能な連中がおりますし、もちろん主体性を持ってこの方々がおやりになるが、しかし、広範な各方面の御意見、そういうものをお聞きして法律をつくる、また、その他の行政的な措置をとるということは、私はあってしかるべきであろう、このように考えております。
#56
○須原昭二君 行政管理庁の通達との関連で、労働大臣、これをどう処置されますか。この通達の文章からいけば、この研究会というのはだめだということですね。行政管理庁の言っていることは言っていることで労働省は勝手にやるんだと、こういうお考えですか。
#57
○国務大臣(塚原俊郎君) おそれ入りますが、私、その通達の全文を知りませんので、いま一回ちょっとお読み願いたいのですが。
#58
○須原昭二君 たくさんありますから、どうぞ。
  〔資料を手渡す〕
#59
○国務大臣(塚原俊郎君) 全文を読む時間はございませんでしたけれども、肝心なところは読んだつもりですが、いま問題になっておる労働基準法研究会がこの行政管理庁の通達に違反しているとは私は考えません。審議会にかわってこういう懇談会的なもの、しかも、これは恒久的なものじゃなくて、ある時期がくればなくなるものである。したがって、いま問題になっておる研究会はこれに該当しない。したがって、置いてはならぬ、直ちにやめなければならぬものであるとは私は考えません。
#60
○須原昭二君 これは「適当でない。」という表現であって、違法ということではないと思うのですが、この点は非常に議論を呼ぶところなんです。しかしながら、この精神を踏まえた場合に、一つの集団として会長を置き、予算執行をして、私的にそういう懇談会なり研究会を持つということは、行政管理庁はいかぬと言っているんです。このような精神はやはり労働省は受けなければならないと思うのです。今日、こういう問題があるから、ほかの省においては、委員という名前をつけて、会の名称をつけずにただ委員ということで招集をしているような脱法的な行為も見受けられるわけです。まだそれよりも悪いと思うのです、労働省は。だから、あなたが任命した人ではないんだから強くは言えませんけれども、これは再検討すべきだと私は思います。その点はどうですか。
#61
○国務大臣(塚原俊郎君) これは第八条によるものを言うておるのでありまして、これは決して審議会ではないから云々というような私はそんなことでことばじりをどうこう言うつもりはございません。しかし、私自身がかつて審議会とか委員会のあり方についてある考えを持って提案をしたりした一人でありまするから、それについては、いわゆる隠れみの的なものとか、ほとんど開かれないような委員会もたくさんありまするので、そういうものに対しましてはすみやかにやめるように私としても厳重な措置をとってまいったつもりで、ありますが、事実私が任命したものではないが、労働基準法研究会が果たしている割役りは、私は非常に評価いたしております。ですから、直ちにこれをやめるという考えはありません。これは恒久的なものではございません。須原委員の御指摘の点も私はわからぬわけではありませんが、いま直ちにこれをやめようとか、これは役割りを果たしていないとか、私はそうは考えません。むしろ、まあ特定の人のお名前をおあげになったようでありまするが、いままでいろいろとこういうものの御意見を聞いてきた中では非常にまじめな御意見をくださっている研究会である、私はこう解釈しております。まあ突然の御質問であり、行政管理庁のこの点についてももう少し勉強さしていただきたいと思いますが、いま直ちにこれを廃止するというような考えは私は持っておりません。
#62
○須原昭二君 ここでこの問題であまりやっておりますと時間が来てしまいますから、非常に遺憾ですけれども、この点はあらためて指摘をする機会を得たいと思います。いずれにしても、このメンバーを見ますると、ほんとうに働く労働者の実態からいってなまな問題について指摘をする、これは基準法を変えるとか変えないとかという論議でないというならば、私は、逆に、経営者も入れ労働者も入れて総合的な判断をすべきだと思います。両方おりますと混乱をしてしまうと。混乱をしてもいいじゃないですか、研究会なら。これが審議機関だったら別ですよ。いま局長が言われることもわかる。が、研究会だったら、結論が出なくてもいいじゃないですか。そこを私は何か逆から言えば一つの根拠にしておるような感じがしてならないわけです。したがって、行政管理庁からの通達もありますから、これは時間の関係がございますから再検討をしていただいて、メンバーについても私たちは非常に疑義を持ちます。それは前労働大臣が任命したんだから、今の労働大臣の塚原さんがこれは悪いということは言えぬと思いますから、この点は、労働大臣、今後ひとつ考えていただきたい。したがって、時間の関係上、前に進みたいと思います。
 そこで、中断してしまいましたが、労働災害防止の面からも、労働時間の短縮だとかという問題が特に諸外国からも指摘をされ、いま日本の世論にもなっているわけです。いち早く週休二日制が必要であると労働大臣は天下に公表されました。この点については私たちは高く評価をしたいんですが、しかし、これは意向の発表にとどまって、それを具体化する方策についてはまだ遅々としているんじゃないか。したがって、この問題について、はっきりした見解を聞きたいし、その実現をするためには、ただ週休二日制を実施すればいいんだと、こういうことではなくて、やはり具体的にいかなる行政指導を行なっていくか。たとえば、端的なことを言って恐縮でありますが、官公庁の指導のもとに行なっているサービス機関があるじゃないかと、こういう御指摘もありますが、サービス機関は二交代制にするとか、現業部門については週休二日制をまず官公庁が模範を示さなければできないと思うのですが、この点は、労働大臣、どうお考えになっておりますか。
#63
○国務大臣(塚原俊郎君) 週休二日制の問題は、最近、非常に論議を呼んでおりまするし、社会問題、むしろ政治問題になっていると私は考えております。ことに前労働大臣の原さんも非常に積極的にこれに取り組んでおりましたが、私自身それに劣らない積極さをもってこの問題の解決をしなければならないと、こう思っております。そこで、たとえば、この一月に、各企業に一番関係のある金融機関というものがどういうふうに対処してくるであろうか、銀行協会にお願いしたその中間答申も出ております。これも前向きな答申が出ておりますし、それから木川田さんのやっておりまする経済審議会のマンパワー委員会――人的能力開発委員会でありますか、それなどからも一月ほど前にやはり答申が出ております。いずれも前向きなものであります。これを歓迎するような答申であります。ただ、経済審議会のほうの委員会では、いまの日本の現状から見て、週休二日制にした場合、受け入れ側のレジャー、第三次産業がそのままの姿でいいかどうかというきわめて前向きな建設的な意見もあることを私は高く評価しております。今次ゴールデンウィークに対しましての各マスコミの論評を見まするというと、日本の住宅事情それから受け入れ態勢からも、はたして週休二日制にしてどういう効果があるかというような疑問点も投げかけられておるようでありまするが、いずれにいたしましても、完全な週休二日制、それから二週に一回、それから月に一回というような措置をとっている企業がかなり目立っております。四十六年の調査をいま私は手元に持っておりませんが、ちょうどドルショック以来非常に不況を伝えられたときでも、大企業においてはかなりの前進を示していることは、私は喜ばしいことであろうと思います。一方において、中小企業は、これと比べますると、何と申しますか、非常に少ない――いま数字がまいりましたが、四十六年の秋の調査でありまするが、企業数にして、千人以上のところは、昭和四十五年が二六・一%であったものが、三七・八%にまで上がってきておる。労働者の数にすれば、千人以上のところは、昭和四十五年が三四・六%が、四四・六%に上がっている。一方、中小企業を見まするというと、三十人から九十九人までのところは、企業数にして二・四%が三・三%にしかなっていない。しかし、これも前進をしております。労働者の数とすれば、二・四%が四・二%となっております。こういうような数字が、昨年の秋にちょうど日本が不況を伝えられてその渦中に飛び込んだときの数字でありまするが、今日はまだこれよりは前向きの数字が出ておるというふうに私は信じておりまするが、中小企業において非常な困難性がある。週休二日制がいろいろ問題になり、私なども雑誌や新聞に考え方を述べ、テレビ等でも述べますと、必ず反響が入ってくる。中小企業の方は、月のうち四日日曜日があれば、それを完全に休めるだけの体制というものをわれわれは望みたいのだと。完全に日曜日をとることもできないのがいまの現状であって、中小企業から見れば週休二日制なんというのは夢物語にすぎないから、労働大臣はよく考えてもらいたいというような、話はちょっと横道にそれましたが、そういう要請もある。しかし、それはそれとして、体質の改善、協業化、共同化をはかって中小企業そのものの体質を考えることも必要でありましょうが、大企業と同じように、週休二日制というものは、先進諸国がやっているからという意味からじゃなくて、今日の日本の現状から、また労働者の立場から考えても、私はこれはすみやかに実施しなければならぬ、このように考えております。
 そこで、先ほどお話しになった労働基準法研究会も、この問題をお話し合いになっているのを私は聞いておりまするが、この方々のお話ですと、大体一九七〇年代一ぱいということですから、あとまあ七、八年はかかる。私は、どうしてもこれは一九七〇年代の半ばには、多少なりとも、完全週休二日制とはいかないまでも、そういったものが実現することを望んでおる一人であります。また、そういう考えに立って行政指導もいたしておる一人であります。しかし、須原委員御指摘のように、しからばどういうきめ手があるかと。労働省の立場から、労働大臣の立場から、これは法律でもってお前たちはこうせいと言う筋合いのものではございません。また、それはできません。この前の春闘のときに申し上げましたように、のりを越えるようなことはできないということは御理解いただけると思うのでありますが、そこで、親方日の丸だから官庁が指導しなければいかぬと。金融指導型も一つの方法であろうが、官庁指導型をとれということをずいぶん言われます。もちろん、これは、公務員を持っておるのは、人事局を持っておる総理府、それから自治省、愛媛県庁でテストケースとしてだけじゃなくてこれはいま各方面の評判になっておりまするが、こういうものは自治省、それから人事院と、こういうものとの関係もありまするから、労働省が仲立ちとなりましてこの方面との連絡打ち合わせをいたしております。それから私自身が山中長官、渡海自治大臣ともこの問題で話をいたしておりまするが、今日の段階では、官庁指導型ということについては、私の考えとは違った方向に、やはり今日の現状から週休二日制は官庁指導型ととるべきではないと、こういうのがいまの段階における私の感触であります。しかし、半ドンをつくったのもやはり役所が先に立つたからやれたのであって、週休二日制も政府がやらなくちゃできないのではないかという強い要請もありますが、今日の段階で官庁指導型がとれるであろうかというと、私はこれは無理であろうと、このように思っております。したがって、金融指導型、まあ金融という特別のものを限りませんけれども、そういう形になれば、労使が話し合ってそしてコンセンサスを現て実施されていくという、そのための資料の提供、また世論の醸成、労働省としてのりを越えない範囲においてやり得ることは行政指導はどんどんやっていくつもりですが、いま直ちに政府が法律でこれをつくってしまえば済むじゃないかということは、須原さん御承知のとおりできませんので、その点は私の苦悩もあり、苦慮しているところもあるのであります。官庁指導型を直ちにとるということは、いまのところ、よい答弁ができないことを私は遺憾に思っております。
#64
○須原昭二君 私は、やはり労働大臣は週休二日制の必要性を高らかに公表されたわけですから、したがって、これは官公庁の指導性のもとでやるべきだと、実はそう思います。しかし、この見解については、まだ検討しなければならないということはよくわかりますから、なるべく早くこういう問題の処理は具体的に行なっていただきたい。
 そこで、監督行政の中に入っていきますが、現在基準監督官は大体二千八百人程度と聞いておりますが間違いありませんね。それから管理職を除いてほんとうに手足となって動いておる監督官というのは、その中の半分ぐらいである、私はこういう認識を持っております。したがって、先ほど、労働基準法の適用事業所数は二百七十万と言われましたが、二百六十八万とも言われておりますが、いずれにしても二百七十万ぐらいある、その二百七十万の事業体を二千八百人程度の監督官、しかも全力をあげ得る監督官というのはその半分、それでは、先ほども言われるように、法律違反というものを立件をしたり、あるいは防災を監督できないと思うのです。この点についての監督実施率は、データによりますと一〇・八%、一年間に全事業所の一〇%の監督率、これを称して下部ではキョロカンだと、きょろっとちょっと見るというので俗称をキョロカンといわれておりますが、先ほど局長は重点的に監督をしているのだと、これは詭弁ですよ。どうですか。
#65
○政府委員(渡邊健二君) 監督官の総数は、現在二千九百三人でございまして、そのうち、本省を除きますと、都道府県基準局におりますものが二千八百六十六人、かように相なっております。なお、もちろん、地方の基準局、監督署にも署長とか基準局長とかいう管理職がおるわけでありますが、その数は約七百五十人でございますので、実際に動ける監督官は二千人強、こういうような状況に相なっておるわけでございます。確かに、二百七十万という事業場からいたしますと、監督官の数はわれわれ現状で十分であるとは考えておりませんので、極力その増員に努力をいたしておるわけでございます。毎年若干ずつの増員は獲得いたしておりますけれども、もちろん十分ではございませんので、それに対処いたしますために、機動力の増強、あるいは重点的に監督等を実施いたしておるわけでございます。重点的に監督と申し上げました点について、一〇%というのは監督官の数が少ないからではないかとおっしゃいました点、それはまことにそのとおりでございますが、監督官の数が少ないために、一〇%程度の監督をする場合におきまして、単に機械的に一〇%ということではなしに、やはり問題の多いような、たとえば業種で言いますと建設業等は、出かせぎ労働者その他の問題がございまして災害率が高くて、そういう問題が多い。そういう業種につきましては、一〇%ではなしに三〇%程度の監督をするというような意味で、限られた能力の範囲内で重点的に実施をしておるんだと、こういう趣旨で申し上げたわけであります。
#66
○須原昭二君 そこで、まさにキョロカンというようなのは、いいことばだと思うんです。重点的という表現は言われないほうがいいですよ。この点は強くひとつ反省を求めておきます。
 そこで、労働基準監督というのは、監督官と事務官とそして技官の三者一体で行なわれておりますね。そこで、労働省は、四十七年度から五カ年計画で約千名ぐらい、一年間二百名の監督官の増員を打ち出されております。しかし、今度の四十七年度の予算を見ますると、実は七十名の増員にとどまっているわけですね。半分以下ですよ。今度の安全専門官あるいは衛生専門官三十五名、これは全国で三十五名といった微々たるものですね。それを加えても、百名、半分です。特に行政管理庁のほうの定員五%の削減計画で事務官がどんどん削減されます。そうすると、それだけ監督官が自分の監督だけではなくて事務的な処理までやらなきゃならない。そういうところに一つ問題点があるんですよ。こういう現状で本格的な監督行政ができないと思うが、特に今日の基準行政の象徴的欠陥というものは、十年に一回のキョロカン――キョロカンという名がふさわしいそういう監督状況に私はあると思う。今度の新しい労働安全衛生法は、この行政上の怠慢を企業内の安全組織、コンサルタントにすりかえているのではないか。特に、基準監督行政というものが、勧告行政や指導行政に転嫁をされていくきらいがあるのではないか、みずからの欠陥をおおい隠すためにそういう形に切りかえていくのではないかというおそれを持っておりますが、その点はどうですか。
#67
○政府委員(渡邊健二君) 監督官が監督を実施すべき対象事業場の増大に応じましてなかなかふえない。したがって、その結果、監督官が必ずしも十分な人数を確保し得ないでいるという点については、私どもまことに遺憾に存じておりまして、何とかそういう状況を改善いたしたとい考えて努力をいたしておるところでございますが、先生御指摘のように、四十七年度におきましては、監督官のほか、安全衛生専門官、あるいはさらに事務官等を含めまして、百二十名程度の増員、まあこれは前年度に比べますと約倍の増員獲得ではあったのでありますが、われわれの希望するところから見ればなおほど遠い数にとどまったということは、私どもまことに遺憾に存じておるところでございます。それに対応いたしまして、監督官の資質の向上や機動力の増強、それから事務の簡素化等々のことを行なって、できるだけ監督に力を注げるように業務の運営をはかってまいりたいと、かように考えておるわけでございますが、今回の労働安全衛生立法でコンサルタントを設けましたのは、決してそういう監督官の仕事を肩がわりさせようということではないのでありまして、安全衛生コンサルタントと申しますのは監督権等はもちろんございません。これは、中小企業その他で災害の多発しているところに改善計画などをつくらせる、そういう場合に相談に乗ってそして技術的な助言をするような面につきましては民間のそういう識者を活用してもいいのではないか、こういう趣旨でございます。したがいまして、今回の立法によって監督を薄めよう、あるいは指導行政等にあれして監督の力を注ぐことをやめると、こういうような考えは毛頭ございませんで、災害防止基準等の根拠も明確にしたばかりでなく、そういう違反に対して安全衛生法の罰則等は基準法のときよりもずっとずっときびしいものに相なっておるわけでございまして、われわれといたしましては、力のあとう限り、厳正な監督の実施、こういうものに今後力を尽くしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#68
○須原昭二君 監督行政を厳密にやると、こういう御見解ですから、それを信頼したいですが、われわれから見るとそういうおそれがある。それは指摘をしておきたいと思います。
 そこで、今度は、労働条件と安全衛生対策の関連についてお尋ねするのですが、労働基準法の第二条第一項に、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」と、労働条件の明記がされておる。さらにまた、労働基準法施行規則の第五条第七号に明記されておる。この労働条件の中に安全衛生事項が含まれておるわけです。したがって、安全衛生事項は労働者の労働条件の一つであると私は思います。この点は、いまうなずいておられますから、間違いないと思うのですが、労働者は労災で死んでしまえば生き返ってこないのですよ。したがって、労働者にとっては、安全衛生対策は、妥協とか条件のつく交渉ではあり得ない。こういうふうに厳密に私はとらえなきゃいけないと思う。こういう点から言いますと、今度の法規上に明らかになっておるように、安全衛生対策についても労使対等決定の大原則が私は必要だと思う。この大原則が実は新法の中にどこを見ても出てこないわけです。この原則は労働災害をなくする大きな手段である。いままでの行政面ではこれが忘れられているきらいがある。こういう原則にのっとって労災を絶滅する積極的な意思があるのかないのか、この点についてお伺いをいたしたい。
#69
○政府委員(渡邊健二君) 安全衛生は、これはもちろん先生のおっしゃるとおり労働条件でございます。今回の労働安全衛生法におきましても、それによって改正されました労働基準法におきましは、第五章の安全衛生の章を残しまして、改正後の四十二条といたしましては、「労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法の定めるところによる。」と、そういう条項が基準法の中に残るわけでございます。したがいまして、安全衛生法に定めます安全衛生の基準というものは、これは労働条件でございます。そういう意味で、基準法上の労働条件でございますから、基準法一条の基本原則も基準法二条の対等決定の原則をかぶるわけでございまして、その点は先生のおっしゃるとおりであるわけでございます。その点、また、ただいま申しましような規定によりまして、この新法におきましても明確にいたしておりますし、新法の一条におきましては、さらに、この安全衛生法というのは、基準法と相まってそういう労働者の安全確保をはかるのだということで、その趣旨をさらに再確認をいたしておるところでございます。
#70
○須原昭二君 各条項によりますと、そういう精神が出てこないのですよ。特に、たとえば、製造業で新しい製造設備の導入、合理化による新しい作業の工程、あるいはまた、新規に新原料を使用して新製品をつくる場合など、安全衛生に関する労働条件の変更について事前に労使対等で決定するような方途というものは見受けられないのです。この点について行政指導をどうされますか。たとえば、先ほど橋本さんから修正案が出ておりますが、二十五条ですか、「事業者」云々という項目ですね。「事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。」と、これは事業者が認定をすることであって、事業者が認定する場合と労働者がこういうふうに急迫した危険があるという認識と大きな誤差を生ずるわけです。この認定において労使対立をするんですよ。そういう明白な労使対等決定の大原則というのは、この項目からは出てこないわけです、たとえばですよ。そういう点について行政指導されますか。
#71
○政府委員(渡邊健二君) ただいまも申し上げましたように、この法律の附則で、改正後の基準法の四十二条といたしまして「労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法の定めるところによる。」ということで、安全衛生法上のいろいろな基準というものは労働条件である、基準法上の労働条件であるということで、基準法の二条をかぶってくることは明確になっておると、かように考えますが、さらにこの法律の中においてもその精神は決してないがしろにいたしておりませんで、たとえて申しますと、安全衛生委員会等の職務権限につきましては、労働者の健康を保持するための基本となる対策に関すること、あるいは労働災害の原因及び災発防止対策で衛生にかかわるもの、その他労働者の危険の防止に関する重要事項、これらはすべて労働者の推薦の委員が出ます安全衛生委員会で調査審議させることになっておりますのも、そういう安全衛生につきましては労働者が十分に使用者と対等の立場で意見を言い合う、こういう趣旨で設けられているところでございます。
 なお、行政指導につきましても、そういう精神から、安全衛生につきましては労働条件といたしまして労使が対等の立場で十分話し合って妥当な処理をするように指導してまいりたいと、かように考えます。
#72
○須原昭二君 そうしますと、二十五条の「事業者は、」という考え方は、その危険があるかないかというのは安全委員会で結論を出してやるというふうに解釈してもいいんですか。
#73
○政府委員(渡邊健二君) 二十五条で使用者に退避義務を課しましたのは、これは災害防止の第一義的な責任は使用者にある、こういう意味で使用者に罰則をもってそういう退避義務を課しましたわけでございます。したがいまして、それらについて労働者に意見があれば、しかしながらこれは労働条件として安全衛生委員会等で労働側の委員が意見を申し出る、これは当然にできることである、かように考えます。
#74
○須原昭二君 ちょっと具体的にお話を聞きますが、現実にいま起きた労災を私たちが検討してみますと、被害労働者がその危険な仕事を拒否しておったら死亡事故は起きなかったと考えられるケースが非常に多いわけですよ。ただ、現実の職場でありますと、危険である、あるいは有害であるとわかっておっても、個々の労働者では使用者や監督者の就労命令を拒否できない場合が多いわけです。こういう場合をどうするのか。労働災害を未然に防止するためにも、危険有害業務の就労拒否権を労働者に与える、それによる不利益処分を受けないように制度的に保障することが私は必要だと思うのです。そういう点については私は片手落ちだと思うんです。今日の労働基準法の四十九条、六十三条には就業制限、あるいは五十一条には就業禁止などの法規上の規定があるわけですね。そうしたものを、私たちは、少なくとも労働省は労働者を保護する立場から、これを優先的に考えなければいけないと思うんです。そういう点についてのお考えはどうなんですか。
#75
○政府委員(渡邊健二君) 今回、二十五条によりまして、使用者に、危険がある場合には労働者を退避させる義務を課したわけでございまして、もし、危険があるにかかわらず使用者が退避させなかった、客観的に危険な状態があったにもかかわらず退避させなかったということになれば、今度は使用者は罰則をもってその責任を問われることに相なるわけでございまして、使用者はそういう場合に労働者の安全のために退避させる義務責任は明確であると、かように考えるのでございます。
 なお、それにつきまして、しかし労働者に意見があるような場合に、先ほど申しました安全衛生委員会等で意見を申し述べることもできますし、あるいはもう非常に危険が急迫しておってそういういとまがないような場合には、自分の生命自体を守るために退避できる、これは法の条文をまつまでもなく当然の条理であると、私どもはさように考えております。
#76
○須原昭二君 ただ、前段で言われたお話ですね、事故が起きて死んでしまってから罰則がついておろうがおるまいが、そんなことはどうでもいいことなんですよ、われわれの言いたいことは。まず、死なせないように、死亡事故が起きないように、災害が起きないように未然に防ぐことが行政で一番真剣に考えなければならぬことなんです。罰則がついているからやるであろうというような願望であってはならぬと思う。その点は特に銘記しおいていただきたいと思うんです。
 そこで、さらに、職場の安全衛生状況を最もよく知っているのは、管理者や事業者よりも、そこに働く労働者、その職場に働いている労働者が一番よく知っているわけですよ。ですから、急迫した災害が起きつつあるという現象は、管理者よりもそこに働く労働者のほうがよく知っているわけですよ。この現実を踏まえなければならないと思うんです。特に、事前にそういう危険個所あるいはまた有害個所が発見できれば、就業拒否ができるような非常手段をとらなくてもいいように、たとえば毎朝だとかあるいは一定の日には点検の方法があると思うんですね。そういう点検の方法を労働者によるところの安全衛生点検権限を明確化することが必要ではないかと思うのですが、そういう点はどのようにお考えになっておりますか。特にキョロカンというような酷評をされるような一〇%の監督実施率の中では、この決定的な監督官の人手不足を補うためにも、労働者の点検権限、労働組合の参加というものが当然必要だと、私はこう思うのですが、その点はどうですか。
#77
○政府委員(渡邊健二君) 安全衛生の確保のためにその事業場に働いております労働者の意向をできるだけ反映させることが有効であるという点は、私は先生のおっしゃるとおりであると、かように考えておるわけでございまして、この立法におきましても、安全衛生委員会あるいは安全委員会、衛生委員会を設けることにいたしておりまして、それらの委員会におきましては、たとえば安全についていいますと、危険を防止するための基本となるべき対策だとか、あるいは労働災害の再発防止対策、あるいはその他労働者の危険の防止に関する重要事項、これらは安全衛生委員会の調査審議事項として法律で掲げられておるわけでございまして、その安全衛生委員会には委員の半数は労働者の推薦する者が委員として出るわけでございますので、おっしゃいましたような点につきまして十分その委員会におきまして意見を述べる、あるいはそれについて改善を求める、そうして安全衛生対策に労働者が参加し、その意向も反映されるように考えておるところでございます。
#78
○須原昭二君 安全衛生委員会、安全衛生委員会と、どうもそこら辺に逃げ込まれるような可能性があるわけですね。いま聞いておりますと。はたして安全衛生委員会というのは民主的にやれるかどうか。その企業の中におけるところの安全衛生委員会というのは、何といっても――そういうことではないと御指摘になるのは認識不足だと思うんですよ。大企業の中で、その安全衛生委員会は半分は労働者がおるから民主的にやられるんだと。その議長がどういうところから出されるかということは大体予測がつきますよ。そういう現実の認識を踏まえて、やはり対等決定というものをわれわれは導き出さなければならないと思うんです。さらに、労働者代表を安全衛生についての労働基準行政に参加させることは、国際的にも認められていることなんです。たしかILO三十一号勧告というのは、これはもうすでに四十年前に採択された勧告なんですね。産業災害の予防に関する勧告なんですが、ここに明確にうたわれているわけです。四十年前にもう勧告されているようなこういう大きな問題を踏まえて立法なり法制なりしていくことがやはり正しいのではないか。そういう点はどうお考えになりますか。
#79
○政府委員(渡邊健二君) まあ労働者の参加についてはいろいろな形があるわけでございまして、その事業場の安全衛生上の問題について最も詳しいのはその企業内の労働者だと、かように考えまして、安全衛生委員会等に企業内の労働者の代表者を参加させると、こういう規定を今回の立法において設けたわけでございますが、その他の労働者が安全衛生の問題について参与する例についてもわれわれは従来からいろいろ考えておるわけでございまして、たとえて申しますと、一般的な安全衛生指導啓蒙等につきましていま労働省の訓令で労災防止指導員というような制度を設けております。これにつきましては、使用者の方、労働者の方、あるいはその他の識者の方を御委嘱申し上げまして、それらの方が企業等を巡回されまして安全衛生についての啓蒙指導等に当たっておられるわけでございます。それらの処置によりまして、私ども、安全衛生につきまして労働者の方ができるだけ御協力御参加をいただくように考えておるところでございます。
#80
○須原昭二君 安全衛生委員会というところに何か固執をされていますが、安全衛生委員の任命方法からもう間違っているわけですよ。現行の労働安全衛生規則第八条、第二十条によると、「選任」になっているわけですね。今度の本法によりますと、それは「指名」になっているんです。当然使用者から指名して、自分の都合の悪いやつを入れずに、自分の都合のいい者だけ入れてくるというような、選任から指名に変わっている。その表現からもわれわれは危険性を見のがすことはできないのです。こういう認識を踏まえながら対等決定の原則を踏まえて、安全衛生委員会の運用にどういう決意で臨まれようとしておりますか。
#81
○政府委員(渡邊健二君) 今回の法律で従来選任ということばが使われておったのが指名になったので、その点後退したのではないかという御趣旨であったと存じますが、今回の法律の十七条(安全委員会)についていいますと、十七条四項におきましては「労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。」ということになっておりまして、これは恣意的な選択を許さない、推薦のあった者を指名する、こういうふうに拘束的に使用者の指名権の行使については規定されておりますので、私は御心配のようなことはないと、かように考えます。
#82
○須原昭二君 時間の関係がございますから、先へ行きましょう。
 そこで、現在、国から補助金を受けている災害防止団体、これは五つあるんですね。中央が一つ。これらの団体の事業内容と実績について御報告をいただきたいわけです。ことしの予算を見ますると、防災団体への助成は七億四千百五十七万円、この点については、けさほど、企画課長ですか、予算、決算の内容については受けたわけですが、この際、資料提出として、予算、決算は出てきておりますが、国庫の補助額、役員の構成、それから実績、こうしたものの資料提供をお願いしたい。委員長を通じてお願いしておきます。
 そこで、災害防止団体には労働者は参加していますかいませんか。
#83
○政府委員(渡邊健二君) 災害防止団体は、労働災害防止団体等に関する法律という法律に基づいて設置されております団体でございまして、その団体は、法律の一条の(目的)にありますように、「労働災害の防止を目的とする事業主の団体による自主的な活動を促進するため」につくるのだと、かようになっておりますので、事業主の自主的な団体活動の促進という意味で事業主ないしは事業主団体がそのメンバーに相なっておるわけでございます。ただ、そうはいたしましても、労働災害の防止につきましては労働者の意見を反映することがきわめて有効であると考えておりますので、私ども、それらの災害防止団体につきましては参与という制度を設けまして、その参与のうち相当数が労働組合の代表の方になっていただいております。そういう形で労働者の御意見を反映するようにいたしておるわけでございます。
#84
○須原昭二君 やはり、先ほど申し上げたように、労災の制度は、経営者の努力もさることながら、そこに働く労働者の意見も参酌してやっていかなければ完全なものにならないわけです。したがって、労働者を参加させない、参与としては入っているけれども構成メンバーに入っておらないということは、いまの法体系からいって、現在の中央労働委員会や地方労働委員会については労働者の委員が参加しておりますね、これに準拠して労災防止団体についても労働者を参加させるように、そういうふうに法改正をすべきだと思うのですが、その点、労働大臣、どうお考えになりますか。
#85
○政府委員(渡邊健二君) 私からお答え申し上げますが、ただいまも申し上げましたとおり、防災団体というのは、労働災害防止団体等に関する法律に基づいてできておりまして、この法律の目的自身が、「労働災害の防止を目的とする事業主の団体による自主的な活動を促進する」、こういうのが法律の目的でございますので、そういう意味において事業主ないしは事業主の団体がメンバーになるということは、これは法の全体の目的からして当然なのではないかと、かように考えるわけでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますとおり、労働者が災害防止についてはできるだけその意見が反映される、参加を得るということが有効であると考えておりますので、参与という制度を設けまして、先ほど申し上げたようにいたしておるわけでございますが、その他にも実質の運用におきましては、最近では中央防災協会の監事等役員の中に組合出身者の方も御任命を申し上げておる次第でございまして、そういう形で実質的に労働者の代表の御意見が反映され、かつそれらの方がそういう団体の運営にできるだけ御参加を得るよう今後いたしてまいりたいと、かように考えております。
#86
○須原昭二君 労働者出身者であってはいかぬわけで、現職でなければいかぬのですよ。かつては社会主義者であっても、今日資本主義者になっているやつもあるし、出身者であってはいかぬ。したがって、そういう点は、いま前向きで検討するとおっしゃいましたが、ひとつ検討していただいて早急に体制を整えていただきたい。
 ただ、七億四千百五十七万円という助成が出ているわけです。決算書をもらっただけで、数字で何をやっているのかさっぱりわからないわけです。建設業界で実は毎月速報というふうなものが出ているように聞いておりますが、最近、死亡事故についての数字は全部消してしまった。あまりこういうものを出すとわずらわしいものですから、そういうものは数字に出してあらわさないようになってきておる。特に、建設業界で、名前をあげると恐縮でありますが、東京のある電気工事の会社でありますが、会議室の横にわざわざ仏壇をつくって拝殿室までつくったんです。死ぬことを予想しているんだよ。ことしは何体、ことしは何体と、ちゃんと共同の祭りごとをするように、死ぬことを前提にして考えている。こんなばかげたことは私は許されないと思うんです。そういう防災団体なんかの運用、その仕事の内容、実績、そうしたものを具体的に資料にして出していただきたいと思うのです。
 それから七億四千百五十七万円というのは、非常に膨大な金なんです。この助成というのはどういうふうに使われているのか、私は理解に苦しむわけですが、その点についての御報告をお願いしたい。
 それからもう一つ、基準行政と労働組合の関係なんですが、法律違反と労働災害との有機的なつながりというのは、これは論をまたないと思うのですが、労働基準監督官が発見した違反事実、発令をした監督や命令、これは使用者や管理者に対しては通報しております。もちろん、それは改善命令をしなければいけないのですから、通報します。しかし、関係労働者や関係労働組合に通報しておらないわけです。また、法的にはそんな通報をする必要がない。法的にはそうでしょう。しかしながら、この改善命令を着実に確実にするためには、日ごろ見ている労働者が監視をしているわけですから、したがって、労働者を保護する労働省であるならば、生命につながり健康とつながる労災を防止するために、労働者団体にも、こういう通達を出しましたよ、こういう違反事実がありますよということを資料提供する、そういうサービスくらいあって至当ではないか。こういうことをやることによって相互的に批判勢力としてその改善を着実に実施をしていく、そういう監視体制になり、ひいては一〇・八%の低い監督率の補いにもなるのじゃないかと思いますが、そういうサービスをする気持ちはありませんか。
#87
○政府委員(渡邊健二君) 基準監督官の監督は、労働者の保護をはかりますために、使用者が基準法上の義務を順守しているかどうかを調べまして、もし違反の事実があれば使用者に対してこれを是正させることを目的として行なわれるものであるわけでございます。しかしながら、監督というものは、いまも申しましたように、労働者の保護をするために行なうものでございますから、法違反の是正のために労働者や労働者の代表の方と連絡をとることも必要な場合があろうかと思われるのでございますが、これは現実の行政運営の中で事実上必要に応じてしかるべき処置をしていくことが適当であると、かように考えておりますし、また、実際にも実情に応じて実際の場合に個々的にそのような運営をいたしておるところでございまして、今後とも先生お話しの趣旨を十分体しまして運営に当たってまいりたい、かように考えます。
#88
○須原昭二君 運営に当たっていきたいということばだけですが、実際は労働組合や労働者側にそういうことをしたとか、時によってやっているというお話ですが、やっていますか。どういうことをやっていますか、具体的に言ってください。
#89
○政府委員(渡邊健二君) 違反の是正を命じまして、あとから一応その是正報告をとるわけでございますが、なお確認のために組合等の意向を通じて確認したほうがいいというような場合には、そういうところに聞く場合もございます。それからこちらから聞くまでもなく、監督があったということになりますと、そういうことについて問い合わせが組合等からまいる場合がしばしばございますので、そういう場合においてはもちろんその結果を答えて教えておりますし、その他申告監督のような場合には、申告を受けて監督しますときには、監督の結果は必ず申告をいたしました労働者に通報をいたしております。
#90
○須原昭二君 申告をした労働者に報告する義務があるのは当然だと思うんですよ。ただ、私は、そういう違反事実があった場合、あるいはまた発令した勧告というものについては、すべてやはりそこに働く労働者に周知徹底をさせることが、労働災害を未然に防ぎ、あるいは経営者を前向きにして改善を忠実にやらせる一つの有効な手段であると思うわけです。また、労働者みずからも、その職場が危険であるか危険でないかを知ることにもなるわけでありますから、この点は明確にそういう方向で進むように、特に検討するというお話ですから、きわめてことばじりが軽いように感じますけれども、時間の関係上前へ行きますけれども、その点は十二分にひとつ考慮していただきたいと思います。
 そこで、今度は、現在労災指導員制度といいますか、何か労働省は訓令で昭和四十年十二月十八日の通達から行なっておられるというんですが、この点は、中小企業の事業所を対象として労働大臣がどういう人を任命しておりますか。
#91
○政府委員(北川俊夫君) 労災指導員につきましては、いま先生御指摘のように、労働大臣の訓令に基づきまして、経営者側及び労働側の安全衛生に関する有識者の方に選任をお願いいたしております。その総数は約千五百名でございます。
#92
○須原昭二君 千五百名ということですが、これはどういう分野の人たちですかということをお尋ねしているんです。年額何か三千円ぐらいの手当を出されているという話ですが、政治活動等をしない者、こういうことになりますと、現在の労働組合の幹部というのは、大体今日の労働条件というのは政治問題と密接な関係があるわけで、これは労働組合の役員ではいかぬということになるわけですが、そういう点はどうですか。そして、今度の法案との関連についてどうなっているのか。
#93
○政府委員(北川俊夫君) 非常勤の国家公務員という形になりますので、国家公務員である以上、政治活動をその職務と関連してやっていただくというわけにはまいりません。したがいまして、そういう点での制約をいたしております。
 ただ、現在労働組合の御推薦を得て御就任いただいております方は、大部分その地域における労働組合の指導的な立場の方でございまして、その点は良識をもっておやりになっていただいておりますし、災防指導につきましての指導も民間企業からいろいろ有益であるというような評価を受けておると私たちは聞いております。
#94
○須原昭二君 これは制度上もっと検討しなければならないと思うんですが、時間の関係で突き詰めて御質問申し上げる機会を得ませんけれども、実は、仕事の内容というのは、監督官が不足をしているからその補助員だという程度のものですね。年に二回ぐらいやる。それ以上やってはいかぬというように逆に締めつけている面もある。また、調査に行くときには、事前にその事業所に電話をして行かなければいけない。そんなばかげた調査はあり得ないわけですね。ここら辺に問題点があると思いますが、時間の関係がありますから、そういう点は適切に運んでいただきたい。
 労働災害に対する損害賠償で裁判の関係について若干お尋ねをしておきたいと思います。労働災害に対する労使の心がまえは、私は非常に大切な問題点だろうと思う。たとえば、労働災害が起きるたびに、使用者側は本人の不注意だと言うし、あるいは労働者側にしても、今日の段階では、運が悪いとか、ついていないとか、そういうことであきらめる場合が多いわけです。本人の不注意論だとか不運論だとか、こういうものは人権軽視と背中合わせの考え方から出てきていると言わなければならぬわけです。ところで、こうした考え方を教育として払拭させることが、そういう点を十二分にやっぱり徹底をしなければいけないと思うわけです。この点を一つお願いをしておくと同時に、もう一つ、こうしてできたたとえば死亡事故なんかで損害賠償請求の裁判が起きているわけですね。事件と比べて裁判になっているものの比率はどのくらいのものですか。それからその結果、損害の請求額に対して死亡補償の妥結額はどのような状況になっているか、簡単に御答弁願います。
#95
○政府委員(渡邊健二君) 民事上損害賠償の請求ができますものは、業務上の災害でございましても、事業主に故意過失がある場合に民事上の損害賠償請求ができるわけでございます。それからなお、裁判にそういうものがかかりましても、判決まで至らないで途中で両当事者の合意によって解決するという、こういうような和解等の合意によって解決する場合が多いために、民事裁判で判決まで至るものは比較的少ないとわれわれは理解いたしておりますが、ちょっとどのくらいの率になっておるかの数字までは私ども把握をいたしておらないわけでございます。
 なお、損害賠償の額につきましては、これは損害の程度あるいはそういう事故が起きますことにつきましての使用者側の過失なりあるいは労働者側の過失の度合いなりによって賠償額が変わってまいります。それからホフマン方式をとりますと、労働者の年齢によっても損失利益の算出の方法が非常に違ってまいりまして、額は、私ども二、三例持っておりますものについても、非常にまちまちでございます。
#96
○須原昭二君 平均は……。
#97
○政府委員(渡邊健二君) たとえば、ここに数例持っておりますが、最低は五十万円から最高は千八百万円までというふうに非常にばらつきがございまして、ちょっと平均的にどのくらいというところまでは申し上げる数字になっていないわけでございます。
#98
○須原昭二君 その事故件数に比べての裁判の比率ですね、この点は早急に資料としていただきたいと思います。委員長からお願いしておきたいと思います。
 それから賠償請求に関する訴訟で死亡補償妥結額というのは、私たちが聞いている範囲では、三、四百万円ぐらいできわめて低いわけですね。いま五十万円から千八百万円と言われたが、その千八百万円というのは特殊な例であって、たいがい三、四百万円だろう、こういう数字です。
 たとえば春闘なんかで、四十六年でしたか、死亡の特別補償額は五百万円ぐらい、四十五年は四百万円、造船なんかはちょっと高くて四十六年は六百万円ぐらいといわれておりますが、いずれも自動車事故に比べてきわめて低いと、こう言わざるを得ないんです。特に、二、三年前でしたか、大阪のガス爆発がありましたね。そこで働く労働者は非常に安くて、その上を歩いておった通行者、これは高いんですね。労働者に比べて高い。この差が非常に激しいわけです。働いている労働者が少なくて、通行者が高いんですよ。この格差からいっても、私たちは、いまの労災保険の死亡補償給付額についても再検討をしなきゃならないときにきておると思うんです。たとえば、千日分平均三、四百万円、あるいは年金として遺族のほうへ渡されますけれども、こうした問題を再検討する意思はありませんか。
#99
○政府委員(渡邊健二君) 先生おっしゃいましたように、春闘等で、組合と使用者の間に業務上災害についての労災の上積み補償額についていろいろ交渉がなされておりまして、それにつきましては、これは産業によって多少違いますが、三、四百万円ないし五百万円程度のものが最近の妥結額に相なっておることは、先生のおっしゃるとおりであると、かように考えます。
 それからそれを含めても低いじゃないかという御指摘でございますが、労災保険は、御承知のように、四十年の改正以後、死亡事故につきまして原則として遺族の方の長く生活を見てあげるという趣旨から年金制度に相なっておるわけでございまして、その年金額、平均の受給期間で申しますと、私どもの現在の試算では、約一千万円前後ぐらいに相なっておりますので、決して自動車事故等と比べまして特別に低いとは考えておらないわけでございますが、ただ、向こうは一時金で出されておりますが、こちらは年金であるということで、もらったときには非常に低いような感じがあることも事実でございます。一応、現在の労災保険というのは、ILOの国際基準等からいたしましても、百二十一号条約の補償基準とも大体はマッチいたしておりまして、特に私ども低いとは考えませんが、それにいたしましても、業務上の災害で命を失われた、あるいは健康をそこなわれた、こういう方々に対しては、できる限り厚い保護をできるならばして差し上げたいということは私どもも全く同感でございまして、そういうたてまえに立ちまして、三十年以後も数回にわたって給付額の改善を労災保険の改正で行なってきておるわけでございます。最近も四十五年に改正を行なったところでございますが、なお、今後につきましても十分そういう点を考えてまいりたいと考えております。しかしながら、現在の労災保険は、基準法の災害補償と補償内容が相関連した関係になっておりまして、基準法との関係をどうするかという問題が大きな問題に相なるわけでございます。基準法のそういう災害補償というのをどうするかという点は、大きな問題として検討いたしておりますので、それらと相関連をさせながら将来労災保険のそういう給付の改善についてもなお検討をしてまいりたいと、かように考えております。
#100
○須原昭二君 検討してください、これは早急に。物価はどんどん上がってくるし、遺族の方々の立場を考えますと、これはひとつ抜本的に考えていただきたいと思います。
 そこで、さらに、現在の労災補償を受けるために、労働者側が業務上であると立証しなければならないことになっていますね。これを労働者側が業務上であると認定をするということではなくして、私は、使用者側あるいは労働基準局がこれは業務外であると言わなければ労災にはかけられる、こういうふうに変えるべきだと思うんです。弱い者が業務上だ、業務上だと言ったって、これはなかなかできるもんじゃないわけです。ここに実は見えざる制限がある、見えざる制限が。したがって、業務上というものを、皆さんのほうがあるいは使用者側が業務外であると立証しない限り業務上にすると、こういう方向に改めるべきだと私は思うんです。その点、労働大臣のお考えを承りたいと思います。
#101
○政府委員(渡邊健二君) 私からお答えを申し上げますが、現在業務上外の立証については、給付の請求をいたします労働者が、その請求をする際に業務上であることを疎明することになっておるわけであります。しかしながら、これは労働者が業務上だという事情を一応疎明すれば請求はできるわけでございまして、労働者のその疎明が不十分で直ちにそれによって業務上かどうか判定しがたいような場合には、行政官庁がこっちから十分調査をいたしまして業務上外の判断をすることにいたしておりますので、労働者の立証能力がないためにそういうものが却下されて補償を受けられないというようなことがないように相なっております。現実にも年間に百六十万ないし百七十万の人たちがどんどん請求をいたしまして補償を受けておるわけでありまして、決して労働者の立証能力がないために保険給付が受けられないというようなことが生じないようにいたしておるわけでございます。
#102
○須原昭二君 いまのお話は、私が現地のほうで現実に起きている労災を見ますると、そうじゃないんですよ。本人は業務上だ業務上だと言っても、使用者側があかぬと言えばそれまでなんですよ。その点は現状をもう少し踏まえていただいて、業務上であるというものを、労働基準局なりあるいは使用者側が業務外だということを立証しない限り業務上だという方向に行政指導をやらなけりゃいけないと思う。その点は、労働大臣、後ほどでけっこうですから、御答弁をいただきたいと思います。
 さらに、それに関連をして、不幸にして労災によって死亡した場合、遺族から会社あてに損害賠償請求の裁判を起こしますね。起こしますと、会社側から、過失を立証する資料、これは弱いものですからなかなかとれないんですよ。それによって業務外の方向へ回されてしまうんですよ。そういう資料の提供について、警察なり、あるいはまた労働省なり、あるいは通産省なり、そうした災害調査をした関係官庁が、資料提出の要求があった場合はこれに協力する義務、そうしたものを明確にしてやらない限り、零細な弱い労働者の立場から言うならば、これが裁判にならない、立証されない、そういう原因をつくっているわけですよ。ですから、その過失を立証する資料の提供について協力義務を定める必要があると私は思うんですが、その点は、先ほどの問題点と一緒にひとつ労働大臣から明確に前向きの答弁を期待いたしたいと思います。
#103
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほど渡邊局長が答えたようなことも私は今日まで報告を受けておりまするので、何か該当しないからといって労働者側に対して非常に不利なことが多いという御発言は実は私は驚いておるわけでございますが、そういうことがあってはなりませんので、今後とも監督を厳重にいたしましてそういうことの絶滅を期したい、このように思っております。
#104
○須原昭二君 その点、両点の問題点については、裁判になりますと非常に論戦になっているわけです。この点を踏まえて労働者の弱い立場を保護するような抜本策を講じてもらわなければいけない。その点は、時間の関係からあまり追及しません。ただ、現場に行きますと、企業の秘密だとか、あるいは今後の行政調査に支障を及ぼすから、今後のことがあるからそういう資料は出せないといってこばんでいるんですよ。それは当然出してやるべきだ。人命尊重、遺族の保護など、人権にかかわる問題は優先されるべきだ。企業の秘密だとか、行政調査の今後に支障を来たすと言う前に、私は、人間尊重、人命尊重、遺族の保護というような人権というものがまず優先されるべきだと思うんで、そういう点は、労働省が先頭を切ってこの問題の解決に抜本的な改革をすべきだと私は思います。その点、あらためて労働大臣から明確にお願いをしたい。
#105
○国務大臣(塚原俊郎君) 人間尊重があくまでもたてまえでありまするから、人権が無視されるようなことがあってはなりません。御指摘のような例がどこにあるか私は存じておりませんけれども、よく調査いたしまして、そういうことのないようあくまでも人権尊重というたてまえから今後この問題に当たっていきたいと考えております。
#106
○須原昭二君 ひとつ前向きで御善処を願いたいと思います。
 今度、労働安全衛生法に関する四十七年度の予算の概要についてどういうものがあるのか、この点をちょっと御説明願いたいと思います。
#107
○政府委員(北川俊夫君) 今年度の安全衛生関係の予算につきましては、全体で約二十一億でございますけれども、そのおもなものを申し上げますと、第一としまして、安全衛生教育の充実ということで、安全教育センターを東京に三億の予算でつくります。
 それから第二といたしましては、特殊健康診断の推進ということで、このために労災病院の東京、中部おのおの一カ所ずつに、計二カ所、六億の予算で健康診断センターを設置することにいたしております。それから同じく特殊健診の推進の一環といたしまして、民間の特殊健康診断を行ないますところの医療機関に対しまして、そういう診断機関の整備費の三分の一を補助金として出すことにいたしております。この金額の総額は一億でございます。なお、中小企業につきましては、そういう特殊健診が十分受けられるように委託健診を行なうことにしておりまして、その金額が三千七百万で、対象労働者数が三十一万人を予定しております。
 あと、おもなものを申し上げますと、健康管理手帳制度というものを創設いたしております。それから今度の安全衛生法の施行に伴いましていろいろの科学的な調査等が必要でございますが、いまの労働衛生研究所を改組いたしまして産業医学総合研究機関、こういうふうに発展をいたさせますが、この費用が約七億でございます。等々でございますが、それ以外に、今回は、使用者が安全衛生のために施設改善をする、そういう場合の融資が新たに設けられまして、その総額が二十億でございまして、労働福祉事業団から、中小企業及び健康診断機関に対しては年六分五厘、その他の事業所に対しては七分ということで融資をいたすことになっております。
 これが融資及び予算の概要でございます。
#108
○須原昭二君 そこで、安全衛生融資基金二十億という話をいま聞いたのですが、なるほど間接的には労働者の健康診断等々ありますけれども、直接的に労働者に支出をするような項目が一つもないわけです。経営者側への支出、管理者への支出、そういうものが多くて、労働者側への支出というものは全く見受けられない、こういう点はどうですか。
#109
○政府委員(北川俊夫君) 労働者側に直接支給される予算といたしましては、健康管理手帳で健康診断の費用につきまして国が支出するというものが直接のものでございまして、それ以外につきましては、先生御指摘のように、使用者側に対する援助、あるいは監督の強化ということを通じて使用者側の責任をもって安全を確保させようというものでございますけれども、たとえば教育センターをつくるにいたしましても、その対象は労働者でございますので、やはり労働者にその利益が還元すると、こう考えております。
#110
○須原昭二君 時間がきたようでありまして、いま催促がございまして、したがって、あとは簡単に二点ばかりお尋ねをいたします。
 有害危険産業業務に対する特別健診は、時間内でできるわけですね。しかし、一般の健康診断については、これは労働基準法できまっておりますけれども、健診は時間外である。今日の通勤の状態から見て、労働者が時間外で健診を受けられるということはなかなかむずかしいわけです。したがって、これは行政指導で時間内にするように義務づける必要がある。この点は、私は医学関係の教育を受けたものですから特に留意しておるんですが、行政指導でやるべきである。この点を一つお尋ねしておきたいと思います。
 それからもう一つ、基本的な問題として一番私がおそれている問題があるわけです。労働基準法と安全衛生法との関係なんです。少なくとも、労働基準法というのは、労働者の基本権をうたったいわば労働者の憲法なんですね。この憲法の中の一条項だけを抜き出してしまって単独法をつくる、こういう傾向というのは、ひいては、たとえば労働時間に関する法律だとかあるいはまた賃金支払いに関する法律だとか、各項目を全部抜いていって、労働基準法、いわゆる労働者の憲法というのは形骸化されるおそれがあるのではないか、この点を特に私はおそれているわけです。この点についてどうですか。
 以上、二点について最後に伺います。
#111
○国務大臣(塚原俊郎君) 時間内における健診の問題は、衆議院でもだいぶ問題になりまして、附帯決議にも出ております。もちろんそれは尊重するということを私は申し上げましたが、これは時間内でやるように行政指導をいたします。
 それから第二問でありまするが、安全衛生の問題を特に取り上げましたのも、もともとはいまの人命尊重から出発したものでありますが、労働基準法が憲法である、基本法であるという考えは、ごうまつも変えておりません。したがって、この第一条にうたっておりまするように、「労働基準法と相まつて、」というのも、決して基準法をどうこうというような考えは毛頭ございません。あくまでも労働基準法は基本法であり、憲法であるという考えは、ごうまつも変わっておりません。これは十分にそういうたてまえをとっておりまするから、御安心を願いたいと思います。
#112
○須原昭二君 最後ですが、健康診断を受ける場合に私は疑義を感ずることは、労働者の医師の選択の自由を一般化することだと思うのです。使用者の指定する医師と労働者の選択をする医師の診断が異なった場合は、必ず労使の対立があるわけですよ。これは、現場に働く労働者の声を聞くと、まさにそうなんです。この問題についてのいわゆる行政指導というものは何もなされていないのです。この点は最後に聞いておきたいのですが、労働者の医師の選択の自由、これは時間内にやる場合と通勤途上でやる場合と家庭でやる場合といろいろありますけれども、この選択の自由をやはり行政指導できちんと位置づけなければ労使の紛争の絶え間がないと思うのですが、その点の行政指導をどうお考えになりますか、これをもって最後といたします。
#113
○政府委員(渡邊健二君) 健康診断を受ける場合の医師の選択につきましては、これは使用者側に健康診断の義務を課しておりますから、一応は使用者が定める医師ということになりますけれども、この法律の六十六条の五項で、労働者は、その事業者の指定した医師または歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師または歯科医師の健康診断を受けて、その結果を証明する書面を出せばいいという規定を設けておりまして、おっしゃるような労働者の医師の選択の自由を確保いたしておるところでございます。
#114
○委員長(中村英男君) 本案に対する午前中の審査は、この程度といたします。
 午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十九分開会
#115
○委員長(中村英男君) 午前中に引き続き労働安全衛生法案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#116
○田中寿美子君 午前中、須原委員が労働災害の問題と労働行政、特に、労働基準監督行政の問題について質問なさいまして、いろいろ非常に監督行政が手ぬかりではないかと、不十分だという点について御質問がありました。私もそれに関連して、最初に少し労働行政のことをお伺いしたいと思いますけれども、もうすでにこの労働安全衛生法は衆議院のほうで修正をつけて通ってきたものでございますから、別に反対するわけではありませんけれども、特に、最初に労働大臣ね、いまの情勢というのは労働基準法ができて、基準監督行政がスタートした当時と比べますと、非常に外部環境、内部環境、環境の汚染が進んでおりますですね。これは非常に高度な経済成長をしたためだと思うのですが、ですから、いわゆる佐藤総理大臣の言われる発想の転換のときだと思うのです。そういう意味では、最近、公害についてはだいぶん考え方が政府のほうも変わってきたし企業の側も変わってきたと思います。それで環境庁なんというものもできて、環境庁を中心に次第に公害のことを必要悪だと考えた時代からそういう考えを取り去ってきていると思うんですね。ですから、一般の市民が大気の汚染、水のよごれ、それから土壌の汚濁、汚染、それから食品の汚染とか、そういうようなものに囲まれて、外部からと内部からの生命の破壊が進んでいる。これに対して非常に対策のほうがおくれていますから、公害との取り組みも非常にたくさんのことを要するのですけれども、ところがそういう一般国民、市民の中に労働者が入っているわけです。公衆にとって有害な物質を排出した場合の被害があるという問題と、それから有害な物質を取り扱ったりそれを製造している職場の労働者の健康と生命を守るという問題、そこに区別があってはならないと私は思うわけなんです。それですから、そういう意味で、労働行政というもののいまの環境破壊がどんどん進んでいく社会に適応した対応のしかたが立ちおくれているのじゃないか。けさほどの須原委員からの御質問もそういう点にずいぶん集中していたと思うのですが、それで、そういう問題について最初に心がまえというものをお伺いしたいわけなんです。
 で、先日労働省の係官の方とお話をしておりましたら、もし職場から有害な物質を排出しなかったら公害は起こらないだろうと言われたわけです。私もそのとおりだと思うのですけれども、それが事実は排出しているわけでございますから、その排出に対しては業者、事業者も責任があるけれども、その有害物質を排出する職場で働いている労働者の健康、生命を守るためには労働省の考え方がもう飛躍的に転換されなきゃならぬと思うのですけれども、最初にその御決意のほどを伺いたいと思います。
#117
○国務大臣(塚原俊郎君) まあ、今日までの急激な経済の発展が公害をもたらしたものであるという、これはお説のとおりだと私は思います。公害そのものが問題になったのも、これまたかなりおくれてからです、率直に言って。ちょうど一昨年の秋の公害国会といわれた国会で、重要法案が審議されまして、非常に真剣に論議が展開され、世界でも珍しい公害関保の法案とまでいわれましたけれども、その後これに基づきまして、いろんな立法措置、またこれに伴う予算措置等もとられているわけでございますが、むしろ後手後手に回った感じ、これは私、率直に認めざるを得ないと思っております。そこで、労働省の仕事も率直に申しまして、私、驚いたのは、労働省そのものが、従来の労働省の仕事ももちろんでありまするが、厚生省の仕事、環境庁の仕事というか、そういうものまで私自身を勉強させなければならないくらい、いまおっしゃったような労働者自身が知らない間にむしばまれていく、また、よほど製造禁止というような、そういう強い措置をとらなければ健康の保持ということができないだろうというような点が今後確かにあるだろうと思います。今日まで気がついたものは関係各省とも連絡し、また、労働省としてとるべき措置もとっておりますけれども、しかし、今日まで、各委員会において与野党を問わず、委員の先生方から御指摘をいただいておる点も、また重点はそこにあるのではなかろうか。したがって、労働行政ももちろん労働三法というものは戦後二十二年でありますか、できてから実は四分の一世紀もたっておりまするが、これとて一つの憲法でありますから、これはりっぱなものであると私は考えております。しかし、今日の労働行政においては、公害を抜きにして考えることはできない時代にきておると私は思うのであります。今度の労働安全衛生法につきましても、もちろんそういうことを考慮いたしまして、労働基準法の中からこれを抜き出して、そして御審議を願っているわけでありますが、今度はこれを別としても労働行政全般の公害問題との関連なくしては考えられない時代にきておる、また、これを先取りして公害による働く者の被害を受けることのないような労働行政を展開していかなければならないと考えております。
#118
○田中寿美子君 公害との連関のことは、もう少し、私はあとでお聞きしたいと思うのですけれども、いま、特に労働大臣に私は御決意を聞きたいと思いますのは、環境の破壊に対して住民の命を守るためにいろいろな物質に対する許容基準などをつくっていただくわけですが、その外部の一般の公衆というものと職場で働く労働者の生命を守るということとに区別があってはならないと思うのです。その辺のお考えを、つまり職場の外の人はこんなものはあぶないと、職場の中にいる者の基準はもうちょっとゆるやかでもいいという考え方がありはしないかということです。
 それが一つと、それから企業の立場に遠慮がありはしないか、それがいろいろな面に出てきて、けさの御質問でもあったと思うのですが、突っ込んでまいりますと、企業の利益と労働者の生命の安全というものは対立する場合がしばしばあるわけです。たとえば、四日市ぜんそくとか、川崎ぜんそくとか、ああいうところの汚染はたくさんの企業がそれぞれよごれたものを排出している。その付近に住む者はぜんそく症状を起こすというけれども、その地元の職場で働いている人たちの問題が十分問われてこなかった。これは労働者の側にも問題があると思いますけれども、労働行政をやる者は職場の外と中で区別をするという考え方はやめていただきたいし、その点から、企業に遠慮をなさらないということの最初に御決意を聞きたいと思うわけです。
#119
○国務大臣(塚原俊郎君) もちろん、その区別があってよいものではありません。これは絶対なくさなければなりません。
 それからちょっと後手に回ったということばを使ったのですが、やはり公害というものに目ざめたというか、気がついたのがおそかったというために、一部企業者側もうろたえたし、それからこれに対応するための処置も完全でなかった面は、これは率直に認めざるを得ませんが、今日、企業者といえどもすべての者が公害というものを一番重要な問題として私は考えていると思います。ことに、一九七〇年代は内政の年といわれておりますが、それは過疎、過密その他いろいろあるでありましょう。これはだれもが公害をまっ先に打ち立てておる世の中でありますから、企業者といえどもこれを逃げて通ることは絶対できない、また、世論がそうさせておると私は考えておりますし、批判はありますが、政府のとっておる措置もその面に重点を置いて対策を練っておると私は考えております。したがって冒頭の質問で、ある区別があってよろしいかということ、これはもちろんあってはなりません。また、そういうことですべてに取り組んでいかなければならないと考えております。
#120
○田中寿美子君 企業への遠慮はなさいませんね。ちょっと念を押しておきます。
#121
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほど申しましたように、ある時期において戸惑った時代においてはそういう批判があったかもしれませんが、今日はみな目ざめております。目ざめていないものに対しては警鐘を乱打して、企業に対して十分な制裁と監視をして、そのための法律もつくられておるわけでありますから、公害基本法の修正というようなものもそういう面でなされたものである。ですから、もうすでに二年前において、時すでにおそしとはいいながら、今日まで推移しておる。それが非常に急テンポで進んでおるというふうに私は考えております。
#122
○田中寿美子君 公害の立場は公害の所管の役所があるのです。私は、労働の安全衛生の問題を議論するわけですので、労働省は労働者を守る役所であってほしいということを強く最初に要望申し上げるわけです。
 午前中の質疑応答の中で、安全衛生も労働条件であるということを十分確認された。そうすると、労働者の安全を守るために、どれだけの責任を労働省はとるべきか、とっているかどうかということが問題になるのですが、労働災害は減っていないわけですね。大体三十五年ぐらいから横ばいというふうに労働省の資料では出ております。この横ばいというのは、私、十人から三十人の中小企業に非常に多いんで、十人以下のところにもあると思う。しかし、そういう数字が出ておりません。それから下請企業とか、それから出稼ぎ者の災害というのがこういう資料には出ていないと思う。それからもう一つは職業病が急増しておりますね、四十年以降。こういうような統計に出ないものまでひっくるめたら、ひどく最近の高度の産業発展ということと一緒に災害も職業病もふえていっている。あるいは大型化するというか、あるいは重大な内容を持つようになっている。だから、そういう点で労働省は、たいへんくどいようですけれども、企業の側に立つ必要のない役所であるはずです。企業には通産省その他たくさんの役所がついております。ですからどうか労働省は、労働者の労働条件はもちろんですけれども、きょうは安全と衛生のことですから、生命を守る立場をどこまでもとると、こういうことを基本的な姿勢にしていただきたいということを申し上げるわけなんです。ですから、公害一般の問題ではなくって、公害の問題も職場の中での労働者の働く環境ですね、作業環境と外側の公害の基準とを分けていいものではないはずだ、こういう意味で申し上げているのです。もう一度どうぞ。
#123
○国務大臣(塚原俊郎君) 労働大臣になりまして、最初にこの席で皆さま方に私の考えを申し上げた、その冒頭のことばが、人間尊重と福祉の増進であります。言うまでもなく、労働省は働く者の味方でありまするから、先ほどは公害についての御質問だったものでああいうことを申し上げたのですが、全般について決してわれわれはいま言ったような企業云々というようなことは毛頭考えておりません。働く者の味方と、それを原則として、その立場に立って労働行政を推進しておる次第であります。
#124
○田中寿美子君 ところが、実際に、けさほどだいぶ須原さんも事例をあげて言われたけれども、基準行政が完全に労働者の立場を守らないような結果になっておるということをたくさん言われておるわけなんで、そういうふうに思いたくないんですけれども、しばしば企業に対する遠慮があるような気がする。たとえば、鉱山の場合ですね。これは通産省の鉱山保安局が長年所管をしておりました関係からかどうか知りませんけれども、基準監督署があまり干渉してこなかったわけですね。災害がしばしば鉱山では起こってまいりましたけれども、いま、どの程度介入なさっていますか、現在の時点では、鉱山の災害ですね。
#125
○政府委員(渡邊健二君) 鉱山につきましては、先生御承知のように、保安につきましては通産省の所管になっておりますので、そういう点については直接監督ということは労働省がいたす立場じゃないわけでございますが、その他の労働条件につきましては監督いたしておりますし、それからまた、保安につきましても労働省は通産当局に対しまして勧告権を持っておりますので、必要な場合につきましては、鉱山の保安につきましても労働省から通産省に対して勧告をするというようなことはこれまでもしばしば行なっておるところでございます。
#126
○田中寿美子君 いままでの、鉱山の爆発事故だとか、いろいろの事故がございましたけれども、そういうときにいずれも事故が起こってから基準局が調べに行くというようなふうになっているようで、保安のほうはほとんど通産省の縄張りになっているようでしたね。たいへん私は遠慮が過ぎると思うのです。もっと不断の労働者の安全を守るという立場をとってほしいと思う。
 それから例の安中の東邦亜鉛なんかのカドミウムの問題のときも、あれだって非合法な許可を通産関係では与えております。そうして、そこで労働者が働いていたわけなんですが、安中のカドミの場合は、カドミウムが外部に排出されたという観点から問題になったのです。あとになって、あの中で働いていた労働者が死んで、死んでから、からだの中を解剖してみると、カドミウムが一ぱいじん臓の中ですか、入っていたということがありましたね。ああいうふうに鉱山関係というのに対して、伝統的に労働省が十分関与していないような感じがいたしますので、その辺はもっと十分に、どこであろうと労働者が働いている場所においては労働基準法の適用のある、労働者を守っていくという立場をとっていただきたいと思うんですが、どの程度に今後こういうものには介入なさいますか。ことに、新しい法律のもとでは、何か変化があるかどうか。
#127
○政府委員(渡邊健二君) 鉱山の衛生につきましては、これは通気以外――通気は通産省の所管でございますが、通気以外の衛生につきましては労働省の所管でございまして、そういう点につきましては、労働省が監督をいたしておるわけでございます。で、カドミ等新しい物質については、先ほども大臣が申しましたように、なかなかそういう新物質についての問題が理解がおそかったために、これまで事態の急速な進展のほうが先に行くというような事例も見られたわけでございますが、御指摘のカドミの問題等につきましても、昨年特定化学物質等障害予防規則というものを制定いたしまして、この中にはカドミも特定化学物質だということでその中に指定をいたしておるわけでございまして、今後、それらの物質につきまして、労働者がそれによって障害を受けることがないように、同規則の厳格な適用をはかりまして、そういう問題の予防につとめたいと、かように考えておるところでございます。
#128
○田中寿美子君 私、ぜひ労働省は、鉱山だけではありませんが、特に、通産省の管轄のもとにある企業だとか、あるいは、これは科学技術庁が原子力発電なんかはそうですけれども、そういうものの所管のもとにある企業の職場の労働者の条件について、非常に私は遠慮があるように思います。私、公害対策委員をしておりましたので、カドミウムのときなんかもあそこにも行ったけれども、労働基準監督署がほとんど介入しておりませんでした。私たちの問題のつかみ方も、外部の一般市民に対する公害のほうに一生懸命になっておりまして、あそこの内部の労働者の問題というふうにとらえなかった点は反省しなければならないと思いますけれども、こういう点で、労働省は、いまおっしゃった特定化学物質の障害予防規則もつくられたわけですし、今度の法律もできたわけで、企業の利益を守る役所は一ぱいあるのですから、労働省は十分労働者の利益を守る発言をするということを、この際、はっきりとその決意を示していただきたいと思います。
#129
○政府委員(渡邊健二君) 他省庁の関係にある企業と申しましても、先ほど申しました鉱山の保安通気あるいは船員法の適用を受ける船員等につきましては、これはそれぞれ通産省あるいは運輸省の所管でございますが、それ以外につきましては、これは一般的に通産省が所管している企業、あるいは原子力委員会等とも関係する原子力産業等々につきましても、その安全衛生、これは当然に労働者の安全衛生につきましては労働省の所管でございますので、私どもといたしましては、企業の立場等々を考えるというようなことではなしに、労働者の健康と身体を守っていくと、こういう立場に立ちまして、強力に災害防止、安全衛生の確保につとめたいと考えておるわけでございまして、今回の労働安全衛生法を国会に御提案いたしましたのも、そういう趣旨で労働省が積極的にこういう問題に取り組むと、まあ、こういう姿勢から臨んでおるわけでございまして、今後とも私どもそういう姿勢で行政の運営にできる限りの努力をいたしたいと、かように考えております。
#130
○田中寿美子君 日本では行政機関の中で金もうけをする機関のほうにたいへん権力があるんですね。そういう意味では、労働省とか厚生省というものはもっともっとこれからは一番力を持つというふうになるのがほんとうだというふうに思います。それも労働者の立場を守るという力を持っていただきたい。そして今度の労働安全衛生法案のもとになりました労働基準法研究会の報告の中に、労基法違反の措置が原因で災害が発生したのは労災件数の全体の二〇%という指摘がありますね。ということは、あとの八〇%は労基法を守っていて災害が発生したということになりますね。そうすると、労基法の規定に従っていたのに災害が発生したというのは、労基法による監督行政が不十分だったということになると思うんですが、私はこれは人数の問題もあるし、いろいろあるだろうけれども、その辺の御反省はいかがですか。ここで、従来一生懸命にやっているけれども、しかし、こういう事実があるのだということを指摘してございますが、この辺はどのようにお考えでございますか。
#131
○政府委員(渡邊健二君) 確かに災害の発生につきましては、基準法で定めております最低基準を守っていなかった、そのために災害が起きたというふうなことはございました。そういう点ではわれわれ、まことに遺憾に思うわけでございます。しかしながら、災害が全部必ずしもそうだということではございませんで、基準法で定めます最低基準を守っておる場合におきましても、いろいろな他の事由で災害が起きる場合があるわけでございます。たとえて申しますと、労働者の不注意である場合もございましょうし、あるいは安全衛生の知識が十分でないというような場合もございましょうし、あるいは、最低基準は守っておったのだけれども、近ごろの技術の日進月歩の過程で、予測されないようないろいろな事故が起こってくるとか、そういうようないろいろな事由で災害が起きる場合がそれ以外にあるわけでございます。そこで、私ども、今回の労働安全衛生法案を御提案いたしましたのも、一方においてはそういう危害防止基準、これを一そう明確にいたしまして、こういう基準を確立いたしますとともに、さらにそれ以上に、たとえば安全衛生の教育の徹底であるとか、あるいは管理体制の確立であるとか、あるいはより好ましい環境基準なり作業方法なりの指導、そういったようなことをも規定をいたしまして、それらの総合的な施策によりまして、災害の発生全体を減らしていきたい、こういう考えに基づいて今回の法案を御提案いたしておるところでございます。
#132
○田中寿美子君 ですから、これは大部分の災害が法定の最低基準にかかわりなく発生しているということはいまおっしゃったようないろいろな原因がある。労働者の不注意があったり、知識の不足があったりと言われました。これは労働者の不注意、知識の不足をそのままにしておること自体が労働基準法の基準に合わないものだと思います。今回の教育センターなどもそのつもりでつくっていらっしゃると思いますから、ですから、法律があって最低基準を守っていると一応言われても、ほんとうに守っているのかどうかということは、十分な監督が必要でございますね。ですから、もちろん企業の自主的な管理も必要ですけれども、監督行政というものは、先ほど来ずいぶん言われたように、ほんとうにきびしくやるという立場でないと守れないものが今後はどんどん出てくると思います。さっきも私ちょっと問題にされました、労働者の安全に疑義のある場合に、一時就労拒否の権利がある――第二十五条ですね、これは修正されてきたものですね。「労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。」というふうに修正されたことは、私はよかったと思います。確かにこれは評価したいと思うんですが、さっき須原さんの議論の中で、労働者と使用者とがその急迫した状態というものに対して解釈が違ってきたときはどうするのかというような質問があって、それで、そちらからは、労働安全委員会だとか、安全衛生委員会ですかをつくって、半数ずつ労働者と使用者の側から委員が出て、それでチェックするからだいじょうぶだというような御説明がありましたですね。それに対して須原さんは、その半数というものにも疑義がある、はたして労働者の過半数を代表するものであるかどうかに疑義があると疑問を投げかけられておりましたんですけれども、私は、少し角度を変えて、つまり、急迫したような状態が起きたときは、そんな相談しているひまがないと思います。ですからすぐに緊急避難はできる。これは企業のほうだって押えるはずがないし、労働者だって逃げていくと思います。それから、外部から見てもこれは相当危険だと思うときには、私は当然、監督官が立ち入り検査すべきだ。それから労働者のほうも申告できる権利があるんですね。そんなんじゃなくて、私が問題にしたいと思いますのは、一番最初から申しておりますように、重化学工業化がどんどん進んで合成化学産業が発達した結果、取り扱うようになってまいりましたところのいろいろな有害な物質、あるいは新しい技術が導入されてくる、新しいやり方ですね。そういうもので労働者がこれはどうも危険だと感じているものがたくさん私はあると思うんですね。そういうものに対して一体、労働者がこれは自分たちの生命が危険である、これはたとえば化学関係の工場労働者なんか非常によく知っているわけですが、その労働者が自分たちの生命が侵される危険があるというふうに考えたときには一時的に就労を拒否する権利というのは、私は保留されておくべきだと思うんです。その点はどうお考えになりますか。
#133
○政府委員(渡邊健二君) 新しい物質がいろいろ出まして、その中には毒性が不明確なものに対して非常に懸念がされるような場合はあり得ると思うわけでございます。そこで今回の法律におきましても、五十八条に「有害性の調査等」の規定を設けてございまして、「事業主は、化学薬品、化学薬品を含有する製剤その他の物で、労働者の健康障害を生ずるおそれのあるものについては、あらかじめ、これらの物の有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、これらの物による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずる」、こういう義務が課せられておるわけでございますから、当然使用者は、新しい物質等についてはそういう調査義務なり、調査の結果に基づいて必要な措置を講ずる義務があるわけでございます。ただ、使用者が講じます措置等になお労働者が懸念を持つような場合につきましては、先ほども申しましたように安全委員会、こういう場合は衛生委員会等が多いと思いますが、そういうところにおきまして健康障害を防止するための対策、あるいは、労働者の健康障害の防止に関する重要事項として当然それは労働者側から意見を述べ、これについてその委員会で十分に調査審議をすることができるわけでございます。なお、そういうようなことがありましたといたしましても、そういう危険性、こういうものが客観的にある場合、もちろん、そういう場合には監督機関等も監督をいたしまして、必要な場合には使用停止処分等も事前にとり得るわけでございますが、客観的にそういう危険があるにかかわらず、使用者が急迫した危険を放置させて、労働者を退避させなかったという場合には、今回の、修正で入りました二十五条によりまして、使用者は、これは刑罰をもって責任を追及されることに相なっておるわけでございまして、それらによりまして、御懸念のような措置に対しては、労働者は十分に保護が与えられるものと、私どもはかように考えておるわけでございますが、なお、もし、それにもかかわらず、緊急な事態が急迫してまいりますならば、これは先生おっしゃいましたように、これは当然に、法律に書いてありますにかかわらず、緊急避難的に労働者が退避する、これは当然の権利であろうと、かように考えております。
#134
○田中寿美子君 緊急の場合の問題じゃなくて、いま、やっぱり問題だと私が思いますのは、急性の中毒というのは、これはすぐわかりますね。そんなんじゃなくて、新しい有害物質、合成物質、たとえばカドミウムなんかもその一つで、いま問題になっているPCBなんかもそうでありますけれども、そういうものは急性であったり、慢性毒性があったりするわけですね。それが、そう簡単じゃないわけですよ。学者に頼んだり、研究所に頼んで、それをちゃんと慢性毒性を立証するのに、動物実験で二年でも三年でもかかる、こういうようなものが非常に多いのじゃないかと思いますね。ですから、PCBだっていまだに許容基準ができていないわけです。まして、人体の中の摂取基準量、摂取許容量、ADIといいますね、あれがまだできていないものが大部分だと思います。そういうときに、私は、それを取り扱っている労働者は、自分の健康に障害を感ずるし、毎日毎日それに当たっているわけですから、わかるわけで、いまこれは非常にあぶないというふうに思うときに、そのくらいのことでは使用者が応じてくれるわけでもないし、労働省だって、ちゃんとしたデータがなかったら、それを差しとめることができないわけでしょう。そうすると、労働者が感じて、ようやく最後になって立証されたときは、もうからだが悪くなって死んでしまうときか、あるいは重体のときですね。ですから、あらかじめということばは、見分たちが作業をやっていて、これは危険だなと感じたときには、一時就労を拒否できる。そうしたら、本気になって検査するでしょう、使用者が。そういうふうな権利があるんじゃないかということなんです。これはいかがですか。法的には、おっしゃったとおりに、できますということにはなっているんですけれども、実際は、なかなか、そういうふうに法律のような文章では通用しない問題が一ぱいあるので、これに対して、労働者が自分たちの対等の立場――先ほど午前中言われましたように、労使対等の立場で、労働条件として話し合いたい。しかし、応じてくれない。そういうときには、一時就労を拒否する権利を留保してもいいんではないかと、こういうことです。
#135
○政府委員(渡邊健二君) 急迫した場合でなくて、新しくいろいろな物質あるいは新しい製造方法などで行なわれます業務が、非常に危惧があるといったような場合につきましては、私どもはそういう場合が大いにあるだろうと考えまして、今回の法案でも八十八条以下の「監督等」の規定におきまして、そういう新しい製造方法、新しい事業等をやる場合には、届け出制が事業主に課せられておるわけでございます。そういたしまして、八十九条で、労働大臣は、届け出がありましたものについて、これは問題があると思うような場合につきましては、学識経験者にそれを検討を求めて、その意見を聞くことに相なっております。そして、その結果、必要があると思うものにつきましては、勧告あるいは要請もすることができることになっておるわけでございまして、そういうことによりまして、行政官庁といたしましても、できるだけ事前に必要な手が打ち得るよう、この法案では処置もいたしておるところでございます。
#136
○田中寿美子君 いまの届け出制と、計画の届け出制ですね、これは議論していると非常に長くなるけれども、化合物質――合成化学物質とか、有害ないろいろな物質というのが非常にたくさんありまして、もうすでに使われているわけですね。いまから新しく導入するからといって届け出をするような状態になくて、すでにもう使われているわけです。こういうものに対して非常な疑義があちこちで起こっている。外部の環境破壊の問題では、公害のほうでずいぶん問題が起こってきていて、環境基準とか、許容基準をつくりつつある。そういうものは私はちゃんとしなければならないと思うんですが、それがないときの労働者、――労働者は、その事業場に雇用されるときには、賃金や労働条件の契約を取りかわします。だけれども、そのときに、もしかして、この作業、この物質を扱っていったならば、健康に障害を起こすかもしれないというようなことに関しては契約はしていないわけなんです。ですから、これは労働条件でございますから、労働者が、これはあぶないと感じたときに拒否して、これに対抗する権利、こういうものが私はあると思うのです。それで、労働省は今回の、この労働安全衛生法をつくって、やっぱり事態は進展していきますから、それに対応して、今後この問題を考えてみるということが必要じゃないかというようなのが一点。
 それからさっきおっしゃった学識経験者、中央労働基準審議会にかけるとか、あるいは企業の中に安全衛生委員会をつくってこれにかけるとかという、何段階かのその機関は考えられておりますけれども、それに必ずしも労働者の意見が十分反映されないうらみがあるから、こういうことを申し上げいるわけです。いかがですか。
#137
○政府委員(渡邊健二君) 先ほどから申し上げておりますとおり、新法の中では、繰り返しては申しませんが、いろいろな手段で、いろいろな措置によりまして、労働者のそういう懸念に対しまして必要な措置が講じられるように相なっておるわけでございまして、それにもかかわらず、労働者が危惧を持たれることはあるにいたしましても、そういう場合には、やはりあくまでも客観的なことでないと――主観的に個々の労働者が危惧を持ったということでは、やはりこれはなかなか法律上の問題にはなり得ないのではないかと、かように思うわけでございます。したがいまして、どうしても、やはりいろいろ措置をしても、なお危惧があるというような場合でございますと、先ほど御指摘になりました二十五条の指摘もとっていないというような、ことに、客観的な危険があるのに必要な措置をとってない、あるいは、五十八条によりまして、新しい物質についての有害性の調査をして、それを避けるための必要な措置をとるべき義務があるのに、使用者がしてないというようなことになりますと、これは安全衛生法違反じゃないかという、労働者の側からいたしますと、そういうことになるわけでございます。したがって、違反があると思われれば、やはりこれは監督機関に申告をしていただきまして、申告があれば、監督機関としては早急に監督をいたしまして、はたしてそれがなすべき必要な措置を使用者が講じていないのかどうか、こういうことを判断することになるわけであると考えるのでございます。
#138
○田中寿美子君 いまの主観的な危険の危惧ですか、主観的な危惧とか、あるいは客観的な危険が存在するという、その判定は、これは労使の間でいつでも、何べんも対立するわけですね。ですから、そういう意味で主観的には、かつて企業はこれは有害ではないと言い張ってきました。いままでだって、ずいぶんそうでしょう、水俣病だって、イタイイタイ病だってそうです。ですから、そういうふうに対立するときに、対等に労働者に発言権を与えよというのが私の主張でございまして、その場合に、いまおっしゃったように、申告すればいいじゃないかと。私もそれは申告権利があると思いますから、労働者はそうしたらいいと思いますけれども、そういう意味では、いまの問題について、幾つかのこの機関にかけていく時間が経過していくわけですから、それも含めて、いまの問題はひとつ労働者が、対等に、企業の中で自分たちの生命を守るために意見を、発言を加えることができるような措置というのを研究してみていただきたいのですけれども、私はたいへんここに一つ問題があるように思うものですから。いかがでしょうか。
#139
○政府委員(渡邊健二君) そういう問題について労使が対等の立場でお話し合いになる場といたしまして私どもは安全衛生委員会等を考えておるわけでございます。ただ、先生、はたしてこれがそういう十分な機能を果たすかどうかという点、なお疑義があるのではないかという御指摘ではないかと思うのでございますが、私ども、この法律が成立いたしました暁には、十分、そういった労働者がほんとうに対等の立場でこの委員会の中でそういう問題について審議に加わり得るような運営がされるよう十分に行政指導をしてまいりたいと、かように考えるわけでございます。
#140
○田中寿美子君 この点強く要望しておきます。
 それから次に、公害との関連で、いま最初、多少触ましたけれども、二十七条の二ですね。事業者が講ずべき措置の中に「前項の労働省令を定めるに当たっては、公害その他一般公衆の災害で、労働災害と密接に関連するものの防止に関する法令の趣旨に反しないように配慮しなければならない。」とありますね。この「労働災害と密接に関連するものの防止に関する法令の趣旨」というのは、たとえば、これは、もうちょっと具体的に言えばどの法令のどんなところをさすんですか、言ってください。
#141
○政府委員(北川俊夫君) 公害関係、たとえば排水処理に関する法律、あるいは建築関係で言いますと、建築基準法、あるいは避難に関する消防法、そういう関連のことをここでは意味をいたしております。
#142
○田中寿美子君 だから、公害に関して、たとえば大気の汚染、水質汚濁、地盤沈下、振動、それから土壌汚染が加わりましたね。それら全部こういうものに関連した法令の趣旨に反しないようにするということは、さっきから私が冒頭に申し上げましたように、外部の環境の基準と職場の内部の環境基準は同じにすべきだということにはなりませんでしょうか。
#143
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、事業場内の災害、特に職業病の問題と事業場外の公害、一般市民の方が疾病になられる関係はうらはらの関係だろうと思います。したがいまして、事業場内を安全にあるいは衛生にすることによって公害防止にも当然寄与ができると、こういう考え方でこの規定を設けたわけでございまして、したがいまして、われわれとしましては、事業場内の有害物を単に外へ排除すればいいというのじゃなくて、外に排除する際にも外のことも考え、中の衛生環境を規制する、そういう意味で、一体的に安全衛生と公害とを運営するという配慮でございました。
#144
○田中寿美子君 その方針でずっと推していただきたいんですがね。これは公害の概念について問題があると思います。公害に関係しては、環境庁で、前の公害対策本部をつくっていた当時に、各省が連絡して協議しておりましたね。いまもその機関がございますでしょう。そして、労働省も参加しておりますか。参加しているとすれば、労働省は強く職場の環境について発言をすべきだと思うんですが、いかがですか。どのように発言をしていらっしゃいますでしょうか。
#145
○政府委員(北川俊夫君) 公害対策に関する政府部内の打ち合わせ会議は当然労働省が――先生御指摘のように閣僚レベルでは大臣、それから事務レベルでは局長がメンバーになっております。先般のPCBの防止の問題につきまして、私のほうの局長代理をいたしまして私が出席をいたしましたけれども、事業場内のPCBを扱う労働者の健康の問題、あるいは代替品を使う場合の労働者の健康の問題というような問題につきまして、こちらがいろいろ検討しております結果、あるいは調査をしておる結果に基づいて政府の一環としてとるべき施策というようなことの意見を出しております。その点は環境庁、通産省とも高く評価をしていただいて、その方向へ施策が進められる、こういうふうにわれわれは信じておるわけでございます。
#146
○田中寿美子君 私は、それを大臣に強く発言をしていただかなければならないと思います。労働者というのは国民の大部分でございますから、労働者の働いている環境の中の空気なり水なり、扱うものが安全であって、そして施設がちゃんと衛生的で安全でなかったら外部に影響していくわけでございますから、強く発言をしていただきたいと思うんですけれども、公害の場合に公害の処罰法がありますね。これは工場または事業場の事業活動に伴って人の健康を害する物質――身体に蓄積した場合に――物質を排出し、公衆の生命または身体に危険を生じさせた者は三年以下の懲役または三百万円以下の罰金に処すとなっておりますね。このほか幾つか罰則がございます。いまのは故意のときですね。過失のときにも二年以下の懲役または禁錮、または二百万円以下の罰金ということになっておりますね。ところが工場の中で、あるいは事業場で有害物質を許容濃度以上に流した、そういうときには、これは少しも処罰を受けないわけでしょうか。
#147
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘の事業場内の被害防止基準につきましては、今度の新しい法律の二十条から二十四条までの間に詳しく書いてございますが、いま御指摘の排気、排液、残さい物の障害につきましては、そのうちの二十三条の第四号に「排気、排液又は残さい物による健康障害」、これを防止するために使用者は必要な措置を講じなければならない。これは具体的には、現在のところは特定化学物質等障害予防規則で定めております。したがいまして、この二十三条はあとの百何条かによりまして、罰則で担保をいたしております。
#148
○田中寿美子君 私もそれを見たのですけれども、特定化学物質の中の発ガン性のあるもの、あるいは発ガン性とは書いていないけれども、発ガン性の意味ですね。発ガン性の疑いのあるものに処罰があるんです。で三十万円以下ですか、一方は三十万円、一方は十万円ですよね。あとのものについてはその職場の中の空気が許容基準以上によごれていたからといって何も別に処罰を受けるようにはなっていないでしょう。これはどういうふうにするんですか。
#149
○政府委員(北川俊夫君) いま御指摘の工場内の空気、環境につきましては、いまの特定化学物質で申し上げますと、一類物質のいま先生おっしゃった発ガン性の物質のほかに二類物質というものもございまして、たとえばアルキル水銀であるとか、あるいは石綿であるとか、塩素とか、塩素化ビフェニル――PCB、こういうものにつきまして許容濃度といいますか、抑制濃度、これを各物質ごとにきめております。これ以上の空気濃度、すなわち有害な環境でございますればこの法律の二十三条違反ということで罰則がかかるわけでございます。
#150
○田中寿美子君 そうすると、三十万円と十万円の罰則がどこかにありましたね。三年以下は五十五条に……。
#151
○政府委員(北川俊夫君) 百十九条でございます。
#152
○田中寿美子君 百十九条……。これは全部かかりますか。
#153
○政府委員(北川俊夫君) 百十九条――罰則は百十六条以降ずっとございますけれども、いま私が申しました二十三条関係は百十九条の一号に「第十四条、第二十条から第二十五条」、この中に入るわけでございます。したがいまして、これに違反をすれば六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金、こういうことになります。
#154
○田中寿美子君 それじゃ、これは特定化学物質のところでお伺いしようと思っていたんですけれども、いま出てきたものですから、ついでにお尋ねするんですが、あれは大体空気の汚染空気について許容濃度がきまっていますね。排気について。水、その他にはありませんですね。それでその排気の許容濃度以上を出していて、そしてその有害物質が働いている人のからだの中に蓄積してくる、そういう状況になったときに、処罰というのはいまの非常に軽いものですけれども、やっぱりこれだけだということですか。それとも単なる警告か何かで済むものもあるわけでしょう。はたしてどれがその働いている人のからだを危険におとしいれているかどうかということがわからないようなこともあると思うんですね。ですから許容基準を守っているか守っていないかをきびしく取り締まって、そして、それを守っていないときにこれを処罰をするという点では非常に不十分だと私は思うのですが、いかがでしょうか。
#155
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、いろいろの有害物質の中には測定方法がたいへんむずかしいものもございます。特定化学物質で約四十三の物質を規制をいたしておりますけれども、その中でもPCB等につきましては、まだ測定方法について異論があるようでございます。その点は御指摘のようになかなか把握が困難でございますが、一応労働省といたしましては、特定化学物質以下、それ以外たとえば鉛その他有機溶剤中毒等いろいろなものにつきましては、基準あるいは測定方法というものを最近先生方の御意見を聞きまして、非常に確立したものを作成をいたしました。それによって使用者側に測定の義務を法律で強制をいたしております。さらに昨年もいたしましたけれども、全国の基準監督官を動員いたしまして、有害事業場につきましては、総点検をしてその結果の把握につとめるというようなことで、これにきめておりますような環境基準が守られるように最大の努力をいたしております。
 なお、先ほどから御指摘のように、人員あるいは能力的な面で必ずしも十分でなくて一〇〇%それがカバーできておるとは思いませんけれども、今後とも行政能力の向上につとめまして、そういう御趣旨に沿いたい。なおこれに関連しての罰則がまだまだなまぬるいのではないかという御指摘につきましては、そういう御批判、われわれ謙虚に承って今後の法律の検討の一つの材料にいたしたいと思います。御承知のように、基準法の罰則と今回の新しい安全衛生法の罰則と比較考量いたしますと、罰金額にいたしましても十倍以上というようにそれなりに強化はできたのではないか、こう考えております。
#156
○田中寿美子君 いま、たとえばPCBというのを例にあげられたけれども、確かにこのPCBの害一つとってみましても、ほんとうにこれをはっきりと分析をしてどういう害があるということを科学的に立証するにはずいぶん時間がかかる。現実には害のほうが先にどんどん起こっているから、だから一般消費者を対象にしてPCBの問題は非常に騒がれているわけですね。ですから、それをつくる側、取り扱う側、労働者の側をすっぽり忘れておる感じがするものですから、それでこれは事業場の外の場合と中の場合を同じように扱え、最初から私一貫して申し上げておるのはそういうことでございます。ですから、作業の環境基準というものをきちっとつくっていかなければならないし、それを守れないものに対してはきびしい取り締まりをする、こういうことを要望しておきたいと思います。
 こればかりやっているとたいへん時間がかかりますので、それで次に、第四章の「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」というものの中の二十三条の二ですが、いまさっき出てきた放射能のことです。特に、これを問題にしますのは、原子力発電がどんどん今後大きくされていこうとしておる。あちこちに新しい原子力発電所が開発されていく。まあ、公害のない発電所というふうにいわれて、実は非常に大きな規模の原電が開発されつつあるわけでございますね。それで去年の十一月の十七日に、科学技術対策特別委員会で私のほうの党の辻委員が原子力発電所の周辺の一般公衆に対する放射能の害の問題、それから安全基準の問題について質問なさった。そのときに私も関連の質問をしたのは、やはり職場の労働者に対する放射能の影響問題であった。議事録もありますけれども、そのときに労働省の安全衛生部長さんそれから科学技術庁の原子力局長がお出になって、そして答えられましたが、一般公衆に対する放射能の安全基準をもっときびしくすべきであるというのが一つ、私たちの主張です。それから原子力発電所の中に働く作業員または放射性物質を取り扱う作業員の被曝量の基準を非常に重要視しなければならないのではないか。一般人に対してはアメリカではこれまでの基準の百分の一に下げようとしていると、そうしたら、お答えのほうに、日本でも同じ方向で指導をしますというふうに答えられている。これは原子力局長の答えです。で、そのときに、私は一体作業員のほうは百分の一に下げないでいいのか。一般公衆に対してはアメリカで百分の一に下げろ、許容基準といいますか、放射線量の基準ですね、基準を百分の一に下げるのだ、だから作業員にも同じじゃないかということを言ったわけなんです。そのときに、労働省の安全衛生部長さんだったと思います。許容線量は三カ月三レム、年間五レムと定めてある。これは電離放射線障害防止規則の中にありますね、それを引用されて、国際放射線防護委員会の勧告値を取り入れております、それから日本の放射線審議会の審議を経て法律的にきめたので問題がないと思います、というふうに言われましたですね。一体それは、特に辻委員が若狭湾の、あそこの原子力発電の例を引いて、あのあたりの放射能の汚染を非常に心配して言われたのですが、それに対して私がそういう発電所の中で働いている作業員に対する許容度、これをやはり同じようにきびしくするべきではないかということを言ったわけです。そうしたら答えは、外部の公衆の十倍でいいということですね、これは電離放射線障害防止規則でそうなっておるからと。一体それでいいのかということなんですがね。労働省のほうは、実際はこれより相当低いレベルで仕事をしておるようですというふうに答えられた。具体的にどう思いますか。これは一つの場所だけでなく、あっちこっちの原子力発電の中のことですが。
#157
○政府委員(渡邊健二君) 現在、電離放射線障害防止規則によります被曝限度につきましては、いま先生がおっしゃいましたことが規定されておるわけでございます。で、これは世界的に権威のあります国際放射線防護委員会の勧告によっておるわけでございまして、現在外部の一般の方につきましては〇・五レムということになって、その間に基準に差があるわけでございますが、これは決して外部の方と業務に従事している労働者の保護について差があっていいという考え方ではないのでございまして、その保護の必要性というものは、先ほどから大臣も申しておりますように、これは何ら差があるべきではない、われわれはかように考えておるわけでございますが、ただその基準を算出するにつきましては、外部の方の場合でございますと、たとえば就業が禁止されておるような、幼児の方などまで外部の方にはおられるわけでございますから、そういう意味でおのずから被曝線量の限度は違ってくる。これは国際放射線防護委員会の基準におきましては、一般外部の方と従業員の場合とは基準に差が設けてあるわけでございまして、これは決して差別扱いをしておるということではないと、私どもかように考えておるわけでございます。
 なお、米国におきます一般の被曝量の基準を百分の一以下に引き下げることが問題になっている点等につきましては、これは科学技術庁の所管ではございますけれども、われわれ聞いておるところによりますと、アメリカの原子委員会におきまして軽水型の原子炉による発電につきましては、これまでの規制基準を変えるものではないけれども、設計にあたっての目標値を、発電所の境界線上において一般住民が受ける放射線を放射線業務従事者の受ける被曝限度の百分の一以下にするようにという提案がなされ、それについて米国で検討が行なわれているというように聞いておるわけでございます。で、もちろんわれわれといたしましても、労働者の健康保持の点につきまして、これら被曝基準等についても絶えず検討を続けておるわけでございまして、米国のそういうような情報につきましても、今後さらにその成り行きを見て、米国で具体的に検討の段階からどういうような措置がとられるようになるか、その辺も十分情報を得ながら今後さらに検討してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#158
○田中寿美子君 これは、原子力発電の問題に関連して、ずいぶん私たち、科学技術特別委員会では議論しておるところでございますけれども、私は、特に労働省にはお願いしたいのは、労働者の立場から、いかにして、その生命の安全を守るかという立場だけを守っていただきたいと思うわけなんです。それでいま、たとえば、国際放射線防護委員会、ICRPのことをおっしゃった、たいへん権威のあるものなんだと。私たちはその権威を疑っておるし、もし、その権威を認めるにしても、その勧告の内容の取り上げ方が、日本の原子力委員会の取り上げ方に私たちは疑義を持っているわけです。これはその原子力委員会の勧告の中には、このいまの三カ月三レム、年間五レムでいいというふうに書いてあるわけじゃなくて、少線量でも放射能というものは害があるのだ、だから、ないことが最も正しい。で、放射線障害の危険性はだんだん蓄積していくんだ、集積していくんだということから、だから直接どんどん蓄積していくものであるからないほうが好ましいんだということをいっているわけなんで、この基準が一番権威あるものというふうに考えないで、私は労働省自身は労働者の立場から、もう少し検討していただきたいと思いますのは、これは科学技術特別委員会でずいぶん議論したんだけれども、日本は取り扱いがずいぶんずさんで、御承知のようにイリジウムが飛び出して人がやけどしたりするようなことが行なわれていたり、それから開発があまりに急速で、百万キロワットの規模のものをどんどんつくっておるわけでしょう。こんな進み方であるということ。それからアメリカの、ほかの原子力発電所は広い場所にある。日本は密集して、たとえば若狭湾に幾つも幾つも持ってくる。こういう状態ですね。大型化と密集、そうして管理のずさんさということがあるわけです。で、百万キロワットの原子力発電という場合、アメリカでもやっていないのに、日本では若狭湾では全部あわせれば一千五百万キロワットになるような計画がされておるし、柏崎では一千万キロワット、福島県一千万キロワット、合計して数年後に二千万キロワット、もう少ししたらたいへんな、一億何千万キロワットというような原子力発電所の計画をされているわけですね。ですから、そういう点から申しましても、許容基準というものは、放射線濃度の基準というものは、非常にきびしく考えなければいけないというのが私は常識だと思うのです。そういう点から御質問したのであって、そして、労働省のお答えは、去年の九月の例の千葉県でイリジウムの不始末で、どっかの家の床下から発見された問題がありましたね。ああいう不始末のことがあったから、調査、総点検を、――放射能を扱う職場の総点検をしたと、その結果に基づいてきびしい規制を検討するというふうにお答えになっておるわけです。ですから、私はその結果を、どういうふうな結果が出たのであって、どういう方針で今後許容線量については指導しようとしていらっしゃるのかを伺いたいわけです。
#159
○政府委員(渡邊健二君) 先生おっしゃいますとおり、放射線被曝等につきましては、これはもう少なければ少ないほうがいい、なければないに越したことはないということは、おっしゃるとおりでございまして、先ほど電離放射線障害防止規則の四条、五条で掲げられております一年間について五レムあるいは三カ月について三レム云々というような基準につきましても、これは限度額でございまして、それよりも少ないこと、これが望ましいことはもう当然のことであるわけでございます。で、なお、先生おっしゃいましたように、日本では昨年の千葉の事故等々のごとく、いろいろ放射線につきまして管理が必ずしも十分でないような事例もあるわけでございます。そういう点も考慮に入れまして、こういう基準なども考えるべき必要があることはおっしゃるとおりだと思うわけでございまして、われわれも、この現在の電離放射線障害防止規則を全くそのままで今後検討の余地がないというふうには考えておりませんので、これらのいろいろな状況を勘案いたしまして、ただいま、それらの基準の改定等についても検討を行なっておるところでございます。
#160
○田中寿美子君 いまのその九月になさった一斉点検の調査結果はどんなものであったか、
  〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕
その結果の内容をお話しいただけないでしょうか。それで、たとえばどんな事業場に許容量を越えた事業場があったのか、管理のずさんなところはどういうところがあったのか。ごく最近の東海村の原研の管理が、外部に放射能が漏れているというようなことがありましたね。そういうようなことをおつかみになったのか。大体六十何件事業場をやったとおっしゃいましたね、その結果をちょっと聞かしていただきたい。
#161
○政府委員(北川俊夫君) 昨年九月に行ないました総点検では、監督指導対象事業場は、非破壊検査事業場が六十四ございます。それからその他の放射線の事業場が三百四ございます。対象労働者数はおのおの非破壊検査業のほうが千三百四十九、その他の放射線業務が四千四百六十三名。健康診断の実施状況を重点に行ないましたけれども、いずれも、非破壊検査業もその他の放射線業も、大体九割以上健康診断を受けておる。なお、この際に、たとえば管理区分を明示するとか、あるいは放射線の被曝限度をこえているかどうかというようなことをあわせて調査をいたしましたけれども、対象事業場そのものがやや元方といいますか、大企業に偏したせいか、あまり違反が認められなかったようでございました。ただ、四十五年にこれとは別に基準監督機関が監督指導を実施をいたしましたこの放射線関係の事業場では、違反のあった事業場が全体で三百十八ございました。その内訳は、保健衛生関係が二百三十、それから製造業が八十ということでございます。
 違反の内容を申し上げますと、特殊健康診断を実施していなかった、それから被爆線量の測定等が十分でなかった、あるいは電離規則できめております警報装置の装置がない、こういうようなものがおもなものでございまして、それぞれ是正の措置をいたしております。
#162
○田中寿美子君 いま報告がありましたように、四十五年度のときは下請まで全部やられたわけですね。非常にいま放射線を扱っている職場は多いのですね。あとでどういう職場があるか言っていただきたいと思うんですけれども、私たち一般人が想像する以上に多くの職場で放射能を扱っていますですね。近代的な産業の形態が進むにつれて使うようになっているわけですね。ですから、こういうところで違反がたくさん出ているし、だから、さっきのようなずさんな放射能漏れというようなことが起こったりしてくる。
 そこで、私、いま一つ先にお聞きしたいのは、放射線を扱っている職場、事業場ですね、これにはどんなものがあって、そこに働いている労働者の数はどのくらいあるか。事業場の数はどのぐらいあるか。それから造船なんかは下請が一ぱいあるわけなんですね。そういうところまでつかんでいらっしゃるかどうかを伺いたい。
#163
○政府委員(北川俊夫君) 放射線業務につきましては、先生御指摘のように、非常に最近の技術革新に伴いまして利用しておる事業場が多いわけでございまして、代表的なものは当然レントゲンその他の医療機関でございますが、それ以外に、最近非常に事故等で問題になりますのは、造船業あるいはボイラーの製造業における非破壊検査、これは、問題は、元請のほかに非常に零細な企業に下請をさせておるというようなところが問題でございまして、これは労務管理も十分でございませんし、かつ、われわれの監督機関の監督も及ばないというようなことは現実の事実として否定ができないものでございます。それのみならず、もちろん、大は原子力発電所、そういうものもございますし、あるいは各種の試験研究機関で、最近非常に手軽にこういうものが扱われておる、しかも、その扱いについて研究員あるいは科学者であるがゆえに、かえって紺屋の白ばかまといいますか、不十分な点があるというようなことが問題ではなかろうか。
 なお、これらの各種別の把握というものは実はいたしておりませんけれども、私のほうで健康診断を重点にいろいろ指導しておりますので、それの結果で把握をしております一番最近の数字では、事業所にしまして三千四十四事業所を把握をしております。そこで働いておりました労働者が二万五千七百五十人、こういう数字を持ち合わせております。ただ、実際はこれのおそらく倍以上の事業場あるいは労働者がおられるんではないか、その点まだ把握が不十分である、こう考えております。
#164
○田中寿美子君 その辺たいへん重大だと思うんですよね。
 第一に医療機関が多いので、これは厚生省の管轄になりますけれども、お医者さまはたいへん放射能を使う。私どもがレントゲンをかけてもらうのでも、医者に行って、ちょっとレントゲンで見なければならないといえばすぐレントゲンをかける。その次に、もしまた別の医者に行った場合、病院に行った場合に、やっぱり必要と思えばレントゲンをかけるということで、最近に何回かけたかというようなことも別に聞きもしないでかけるし、かけてもらうほうもあまり気にしないでかけている。
  〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕
だから、一般民衆にとっても大切ですし、それを扱っている人の面もあって、その辺は厚生省へ申し入れなど十分なさったかどうかということが一つ。
 それから、機械工業、造船業その他下請にずいぶん働いている。その人たちはどうも把握できないし監督もできない、これは重大なことなんで、一体、これに対してどうなさるかということ。それから、鋼材その他を検査するときに簡単に放射線で溶接が摩滅しているかどうか見られるということは非常に便利だけれども、それだけに盛んに使われているということに対していま把握していらっしゃる数字、つまり半分の数字と大体推定していらっしゃるんですが、そういう人たちをそのままほっておいていいものなのか。一体これにどういう手を打つお考えであるのかということですね。
#165
○政府委員(北川俊夫君) 病院等におきます従事労働者、看護婦さんほか、一般の医療対象の患者さん等につきまして、電離放射線から防護することがたいへん重要でございます。これは前も御指摘をいただきましたのでございますが、いま労働省できめております電離規則の中では、先ほど御指摘の国際放射線防護委員会の勧告に比べて、たとえば妊娠可能性ある女子に対する制限の点等につきまして不十分でございます。この新しい安全衛生法を制定するのを機会にいたしまして、科学技術庁は当然でございますけれども、厚生省とも非常に関係がございますので、放射線の防護に関しては十分に協議をいたして、でき得れば電離規則の改正について検討をいたしたい、こう考えております。
 それから、非破壊検査あるいは造船業の下請等で使っております放射線業務の従事労働者につきましては、たいへんわれわれとしては不十分で、この際おわびを申し上げたいと思いますが、われわれ今後これらの労働者の把握につきましては、元請単位で総合的に衛生管理をやらせるということで、元請を一つ一つはっきりつかんで、その配下で働いておられる下請労働者の実態、あるいは今後における対策の浸透というものを総合的な把握のもとで補っていきたい、こう考えております。
#166
○田中寿美子君 いま言われたことをぜひ実行していただきませんと、下請の労働者は出かせぎ労働者が多いわけですが、そういう人たちは災害も多いし、そういうことで、またからだの中にどういう放射能の蓄積を持つかもわからないというような問題があります。
 それから、どうしても労働省の側は健康診断のところに重点がありますね。施設のほうを点検する面が弱いんじゃないかという気がするんです。それで施設の点検、あるいはそれを使っているものの点検をさらに強化すべきだということ。
 それからもう一つは、たとえば原子力発電所あるいは原子力研究所みたいなところですね、ああいうところには労働省は立ち入り検査ができますか。またやっておられますかどうですか。
#167
○政府委員(北川俊夫君) 原子力研究所その他発電所につきましては、当然基準法の適用事業所でございますから、その労働者につきましての立ち入りはいたしておりますし、権限として当然あるわけでございます。
 なお、いまの電離放射線障害防止規則の運営にあたって、健康管理、健康診断に重点があるという御批判をいただきまして、私たちも反省をいたしておりますが、これはただ、いままでの把握のしかたが健康診断関係で把握することが数字としてかなり的確に把握できるという意味で、そういう面にやや片寄っておった面がございますけれども、御指摘のようにやはり防護のための諸施設、装置の点検、そういうものが予防の面ではたいへん大事でございます。そのために、職員につきましても、昨年アメリカに、このための研修に留学をさせたり、あるいは労働省だけで必ずしも研修が十分でございませんので監督官の一部につきましては原子力研究所に研修の委託生として出すというようなことで、そういう面の行政能力の向上をはかっております。今後、そういう御要請に沿うように努力いたします。
#168
○田中寿美子君 私、いまここにお医者さまが何人かいらっしゃるんであれですけれども、ただ、私、科学技術特別委員でありましたときに、特に原子力発電のことで、放射能の濃度のことを非常に気にしておりましたものですから、念のため申し上げておきますけれども、健康診断をして、そのときに障害は出てこないけれども、たとえば、これは多くの国際的な学者の研究でいわれているのですが、一レムで発ガン率が一%アップする。そうすると、年間五レム、もしこれを許しておくとすれば、年間五%以上の発ガン率がふえるということですね。だから、もし三十年間働いていたら、十年で五〇%は発ガン率を高くしていくという結果になるんじゃないか。ですから、この放射線に触れる労働者の健康という点を、もっともっとぜひ考えてもらいたいのですね。この点、ちょっと、大臣、日本の産業開発の中で原子力発電に将来は、エネルギーは移行していくものなんだと。それをどんどん進めていくことこそ進歩的なことであって、それに反対するようなのは進歩に反対するものであるという考え方があるんですね。だけれども、いま公害全般にわたって反省がきていると思うのですよ。ですから、科学技術をやたらに発展させていくとか、それから、合成化学薬品、薬剤をどんどん使っていくということが、結局、いまわけのわからない健康障害を起こしていくもとになっているかもしれない。人類全体が危機にあっているというような時代には、やっぱり、いまむしろ、環境庁がそういう反省をしておりますように、自然を守ったり、それから、より自然な方向――人間のからだでしたら、人間が自然に持っている循環機能を守っていくことが、あるいは生物の、植物の循環機能を守っていくような方向をできるだけ守るということのほうが、はるかに、生命を守るという立場からいったら、私は進歩的な立場だと思うのです。そういう意味で、原子力あるいは原子力発電の問題で、特に、放射能の害悪については、やっぱり労働者を把握できないところでずいぶん汚染しているかもしれないので、その立場からの発言をしていただきたいということを申し上げたいのですが、大臣いかがですか。
#169
○国務大臣(塚原俊郎君) いま原発を中心としたお話、私は非常に傾聴いたしておりました。というのは、私、東海村、私のところにあるものですから、再処理の問題をあぐり、また、今度、原発の問題をめぐり――火発ができない。そして、原発と、原発のほうが被害がない、公害がないのだというような議論が出ておりましたけれども、かといって、自然に戻った姿では、この参議院のエレベーターが何年か後にとまるということがあってはならないのですから、そこで、自然に返るということは、もちろんいいことではありますが、やはり公害を出さないような、いまのような産業に働く者がむしばまれないような形の検討というものが、どんどんどんどん進んでいって、あまり好きなことばではありませんが、そこにりっぱな、調和した形の原発なりなんなりができるということを私は望んでおります。実は私はしろうとなんですが、自分の郷里でそういう問題が起きているので、さっきから非常にいい勉強になって、伺わしていただきました。今後とも、十分その問題では、私自身も、いろいろこれから御相談に伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
#170
○田中寿美子君 私は昔に返れと言っているわけじゃありませんけれども、そういう被害がない、安全であるということが立証されるまでは、そういう危険なものを使っていかないとか、あるいは、これだけの濃度ならばだいじょうぶだという、その証明があるまでは、濃度をうんと下げていくとか、そういう努力を労働省はやってもらいたいということを申し上げておきます。
 次に、第五章の中で、第二節の「有害物に関する規制」、五十五条、五十六条のところ、関連して伺います。五十五条に「黄りんマッチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、」とありますね。この「重度の健康障害」というのは、発ガン性の物質であるというふうに解してよろしいですね。
#171
○政府委員(北川俊夫君) いま考えておりますのは、先生おっしゃるように、たとえばベンジジンとか、ベータナフチルアミン等、発ガン性のものを考えておりますけれども、ここで重度といいますのは、障害、それに限定せずに、さらに、たとえば精神障害を及ぼすというようなものをも含めて検討をしていきたいと考えております。
#172
○田中寿美子君 ここのところは、衆議院のほうでだいぶ問題になっているようで、私は議事録で読みました。それで五十五条はこれは禁止ですね、禁止をする。そうして処罰としては、さっきの三年以下の懲役、三十万円以下の処罰。それから五十六条のほうは、「重度の健康障害を生ずるおそれのある物」のほうですね。これは両方とも、ここにあげられておりますのは、発ガン性のおそれがある物ですね、動物実験では発ガンしている、こういうことですね。動物実験で発ガンしていたら、これは発ガン性というふうに言っていいのじゃないか。この五十五条と五十六条の間に区別を設けたのは、どういうわけなんだろうかと。人間にとって、両方ともこれは「重度の健康障害を生ずる物」じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#173
○政府委員(北川俊夫君) 五十五条の例で申しますと、ベンジジン等につきましては、大正五年くらいから日本で使われておりますけれども、終戦直後ぐらいからその従事労働者が膀胱ガンになるということが非常に騒がれまして、今回禁止することになったわけでございますので、ここで言っております発ガン性物質、禁止の対象となっておりますのは、たとえばイギリス等でも同じ扱いにいたしておりますけれども、それを扱った労働者のかなりの多くの方がガンにかかる可能性がある、そういう物質については、この際製造禁止に踏み切ろうと、こういう趣旨のものでございますが、それに対しまして五十六条のジクロルベンジジン、あるいはアルファナフチルアミンというようなものは、先生いま御指摘のように、動物実験等で発ガンの事例はございますけれども、それを使った方、あるいはそれの従事の労働者の中でガンを発生したという事例が、日本だけじゃなくて、ほかの、外国でもその事例が見られない。ただ、かといって、動物等で、そういう実験の結果もございますので、やはり厳重な施設の管理、あるいは健康管理ということを前提とするのでなければ、健康障害の発生のおそれがあるのではないかということで、非常に厳重な許可条件を付しまして許可を認める。こういうふうに若干の差異のあることを五十五条、五十六条では考えております。
#174
○田中寿美子君 私は、両方とも有害であるということについては同じだと思いますけれども、この有害性の実験ですね、この実験は労働省の研究機関でやったものでしょうか、どうでしょうか。
#175
○政府委員(北川俊夫君) ベンジジンあるいはジクロルベンジジン等、この五十五条、五十六条であげております物質の有害性につきましては、労働省の衛生研究所でも研究はいたしておりますけれども、日本の医学的な研究所、たとえば公衆衛生院等でも研究をされておりますし、日本のみならず、諸外国の研究機関での研究成果がございますので、そういうものを、この際、法律の制定の際の参考資料といたしまして、製造禁止物質と製造許可物質、いずれも先生御指摘のように、有害物質でございますけれども、そういう区分をいたしております。
#176
○田中寿美子君 私、労働省の研究機関が非常に貧弱だと思います。いままで、放射能のことだってほとんど原子力局に、科学技術庁のほうにおんぶしなければならないと思います。それから鉱山関係は、さっき言いましたように、通産省のほうにやらせる。労働者の立場からやる研究というのは、私はやっぱり特殊なものがあるはずだと思いますので、労働衛生研究所の機能というものを一体どのくらいに使われるものなのか、今後、使うつもりでいるのか、この辺を聞かしていただきたいと思います。
#177
○政府委員(渡邊健二君) 労働の安全衛生、特に職業病に対します予防、その他の災害防止をはかってまいりますためには、何と申しましても最近の技術革新のもとにおきましてはそれにおくれをとらないような研究開発の促進ということが非常に重要であると考えておるわけでございまして、今回の法律におきましても、百八条で「研究開発の推進等」ということで「政府は、労働災害の防止に資する科学技術の振興を図るため、研究開発の推進及びその成果の普及その他必要な措置を講ずるように努める」という規定を設けておるところでございます。労働省自身といたしましても、その必要性を非常に強く痛感をいたしておるところでございまして、従来、御指摘のように、労働衛生研究所というものがあったわけでございますけれども、先生から貧弱という御指摘をいただきましたが、必ずしも十分なものであったとは私も考えておらないわけでございます。そこで、最近におきましては、これを飛躍的に拡充強化するということで、産業医学総合研究所というものをつくるべくすでに予算を取りまして、現在三カ年計画でその建設に入っておるところでございます。そして、産業医学総合研究所ができましたならば、施設のみならず人員、機構等も、現在の労働衛生研究所よりははるかに拡充強化をいたしまして、今後の労働衛生行政の推進に必要なる研究開発というものを行ないますとともに、その研究開発をいたしましたものを供与する、あるいはその新しい研究の成果を産業その他必要な方々に研修させる、そういうような機能も果たすようにいたしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#178
○田中寿美子君 この産業医学総合研究所ができることは、それなりにけっこうだし、大いにやらなければいけないと思うわけですけれども、私がいま感じておりますことは、労働者の立場から考えますと、その労働者が働いている場所で、まず、作業環境がよくて、空気も水も安全で、自分の使っている施設あるいは機械、そういうものがだいじょうぶであって、そして取り扱います物質がかりに化学合成物質であるとして、それの許容基準というものがきちんと守れるような状態にあるというようなこと、そして健康のほうは、きちんきちんと一定の期間に健康診断を受けて、ちょっとでも障害があったら治療を受けるというようなこと、全部を含めてそれらがちゃんと見られているかどうかをチェックする。労働者のほんとうの安全と衛生を守っていくシステムというものが、一貫してそのシステム化されたような研究の状況がほしいわけです。いまのその産業医学総合研究所では、そういうもの全体を含めて研究をなさいますか。それから、それは技術者が必要なわけですね。ですから、技術者だけじゃなくて、まあ何回か午前中からも述べておりますけれども、労働者自身がそれに対してどう感じているか、労働者が作業環境の中でどう思っているかということも反映できる、そういう意味の非常に総合的なチェックをするシステムがほしいということなんです。それはどういうふうに保障されますか。
#179
○政府委員(渡邊健二君) 産業医学総合研究所におきましては、先生おっしゃいましたように、疫学的な研究あるいは環境などにつきましても、先ほどから御指摘のように、測定方法などが非常にまだ開発されていない問題もございますので、そういう問題の研究、あるいは労働強度、作業疲労等に関する生理学的な研究、あるいは健康管理面の研究等々、総合的に労働衛生行政推進のために必要な研究をいたす、こういう計画で現在進んでおるわけでございます。なお、そういう研究がなされましただけでもそれだけでは十分でないので、労働者がそれによって職場においては実際に職場環境が守られ、あるいはそういう職場環境の衛生を確保するための監督官その他の専門官もそういう最新の知識というものを身につける、そういったような全体的な体制が必要であるという点もごもっともでございまして、一方におきましては、そういう産業医学総合研究所におきましては研究の成果を、先ほども申しましたように、関係の産業に、あるいは行政機関の職員等に研修等によりまして必要な知識を修得さす場にいたすことも考えておりますし、さらに、この産業医学総合研究所だけではなしに、それぞれの地方におきまして、たとえば、環境の測定をしてほしい、あるいは疑わしい物質があるときに、その毒性検査をしてほしい、それを一々中央の産業医学総合研究所まで持ってこなくてもそういうことができるような体制というようなことで、現在、中央労働災害防止協会で労働衛生サービスセンターというようなものを設けまして、そういう毒性検査あるいは環境測定等もお引き受けをするような機構にいたしておりますが、今後ともそういう体制をますます全国的に整備強化いたしまして、全体的なそういう体制をつくるようにしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#180
○田中寿美子君 現場で働いている、たとえば化学産業の労働者、みんな相当な専門家なんですね。ですから、そういうところの労働者は毎日毎日実験しているようなものですから、ですから危険の度合いなんかについてもわかるので、先ほど須原さんの質問の中で、労災関係の事業者の団体に助成している話があったんですけれども、こういう研究機関には、そういう現場で働いている労働者の知識や経験が十分吸収されていくように私はするべきだ、それはぜひそうしてほしいということを提案したいと思うんです。ことに、疫学的な検査が一番大きいウエートを占めているかもしれないと思うんですけれども、そこをもう少し出て、これからの職場の環境を守っていくための許容の各種の物質ですね、化学物質の許容基準をきめるときにも労働省のほうがイニシアチブをとって発言ができるような、そういう機関にすべきだと思うんですが、どうですか。
#181
○政府委員(渡邊健二君) 先生ただいまおっしゃいましたように、産業医学総合研究所は、単に疫学的研究だけではございませんで、いま一応予定しておりますものを申し上げますと、疫学研究部のほか、健康管理研究部、あるいは労働生理研究部、あるいは物理環境衛生研究部等の各研究部を設けることに予定をいたしておりまして、そういうことによりまして、おっしゃるようなあらゆる労働衛生面の問題を総合的に研究する、こういう体制にいたしたいと思っておりますし、また研究機関だというので、非常に現場と遊離しました象牙の塔のようなものにならないように、現場の労働者のいろいろな経験等も反映し得るような、労働者の作業現場に密着した研究機関というものにしてまいりたいと、かように考えております。
#182
○田中寿美子君 ぜひそうしてほしいと思いますが、それで五十五条、五十六条のいまの有害物の「製造等の禁止」、及び「製造の許可」のところですね、決定するのにあたって両方ともこれは政令で定めるものということになっていますよね。そのほか幾つも政令で定めることになっておりますが、この辺を政令というのは、これは大臣、政令で定めるというのは閣議にかかりますわけでしょう。そして、通産省や農林省や生産官庁の大臣は、権力も大きいし、発言力も大きくて、いままで公害の立場からいうと、たいへんじゃまになった大臣たちがいたわけなんですが、このごろ少し心がけを変えていらしていると思いますけれども、私は労働者の立場を守る唯一の官庁である労働省、こういう労働者が取り扱うのに危険有害であるものの製造の禁止とか、許可とかいうことをきめるときには、労働省がイニシアチブをとるべきだというふうに思うんですね。だから、政令で定めるよりは、労働大臣が、労働省の中で研究してきめることが望ましいんじゃないか。まあ、省令の場合だって相談するわけでしょう、関係のある場合は。それにしても、イニシアチブをとるほうがいいという意味で、政令でないほうが望ましいんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#183
○国務大臣(塚原俊郎君) いま現在、公害について全閣僚非常な関心を持っておりまするし、御指摘のようなじゃまをするとかどうこうというようなことは絶対にございませんので、どうぞ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
 それから、製造の禁止等の対象物質としては、われわれは、当面、発ガン性物質を指定することを考えており、また、製造許可対象物質としては、当面、ガン原性物質の指定を考えているところでございますが、その指定にあたっては、公・労・使の三者構成による中央労働基準審議会におはかりすることはもちろんのこと、労働衛生の専門家その他各界の御意向を十分伺って、その指定の公正、妥当さを期することといたしております。
 なお、生産官庁の圧迫によるただいまの骨抜きのおそれ云々の件につきましては、この法律による有害物の指定は、もっぱらその製造等に携わる労働者の健康障害の防止という観点から行なわれるものであり、もし、その必要性が客観的に認められるものであれば、関係省庁の理解と協力は十分得られるものと考えております。なお、閣議等におきまして、御指摘の点、もしかりに、そういうことはないと思いまするが、つまらぬ横やりがあるような場合には断固として排撃いたします。
#184
○田中寿美子君 実際にいままでにたくさんありましたものですから。私は、農薬、BHCのことを一年半くらい追及しておりますが、もうずっと農林省が厚生省に圧迫を、圧力をかけていた。で、世論がすっかりやかましくなって、国会でさんざん議論して、そして実際に母乳からBHCが出てくるようになって、ようやく農林省が禁止するようになりました。PCBも同じようなことがありまして、通産省がなかなか……、ようやくこのごろ回収できないようなものは製造を停止するようにというような通達を出したようでございますね。ところが、これに対して、やっぱり労働省が十分のデータを持っていなかったり、労働者の立場をほんとうに守らないという状況で、これまできたように私は思います。ですから、その点で特に、御要望しておきます。
 それで、いまここに五十五条、五十六条にあげられております有害な物質、それから化学物質で有害なもの、これに関連して、特定化学物質等障害予防規則というのを、去年でしたね、労働省ではつくって、それですでにいま、今度の法律の実施の前にあたって、法律ができる前に、こういう規則をつくってきたわけですけれども、その中の有害な物質の許容量が、さっきちょっと触れましたけれども、出ていますけれども、これがみんな大気中の濃度の許容量。それでシアンとかなんかはその知理方法が出ておりますね、活性汚泥法だとか、中和のしかたとか。だけれども、許容濃度が出ていないですね、これはどういうわけですか。水も労働者はずいぶん使うわけですね。ですから、大気中の許容濃度だけでなしに、水に関しても必要だと思うのです。そのほか水でないもの、廃棄物に関しても私は規制が必要だと思いますけれども、大気中の濃度だけというのはどういうわけなんでしょうか。これは公害のほうでは、水質の基準も、それから大気汚染の基準もみんなつくっていますね、どういうわけでしょう。
#185
○政府委員(北川俊夫君) 作業場内の気中濃度につきましては、これは全国どの事業場におきましても画一的な基準がきめられておるわけでございます。ところが、排水、廃液につきましては、出ました地域につきまして、御承知のように公害の基準、排水基準というものが違うわけでございます。われわれとしましては、特定化学物質でいろいろ規制をいたしましたり、あるいは指導をいたします場合に、基準局で指導をいたしました、あるいは規制をいたしましたものと、都道府県が公害防止の観点で指導をいたしますものが一致することを最終の目標といたしております。公害の排水基準その他につきましては、たとえば東京の場合と九州の場合で、その工場の集合状態その他でおのずから違いますので、われわれといたしましては、その点に関連して、いま先生御指摘のように、たとえば処理方式、そういうものを中和方式であるとか、あるいは酸化・還元方式というふうに、処理方式のみをきめまして、これがまあおのおのの物質について一番有効と、こう考えておるところでございますけれども、その最終の排出基準につきましては、当該地域の公害基準に合わせる、そういうことを行政指導の指針といたして、この規則の運用をいたしております。
#186
○田中寿美子君 公害のほうの環境基準と合わせるという御説明ですけれども、やはり、職場の中で働いている労働者の立場からまずきめていただいて、そして外部の環境との問題は、それこそ公害に関する各省の連絡のところで調整していければいいんじゃないかと思うのです。もっとそこは意欲を持って、働いている人の触れるものについての、これだけはどうしても扱ってはいけないというものは早くきめなければ、企業のほうで野放しになってしまうというと、基準がきまっていても野放しになりやすいですから。
 それからもう一点、どうしても私は問題だと思いますのは、ここに出ておるものでもそうなんですけれども、許容基準をきめても、たとえばPCBなんかでも、根本的に申しますと、少しでも入るということはいけないわけなんですね。どんどんあと蓄積していって体外に排出されないものでしょう。重金属類の微量分子というものはみんなそうだと思うのですが、カドミウムにしてもそうですが、体内に入って出ていかない、PCBは例のカネミ油症でわかりますように。ですから、蓄積性のものについては、扱わせないということのほうが、ほんとうに例外的に扱わせるということのほうが正しいと思うのですけれども、それをどうお考えでしょうか。これは公害のほうでも問題だと思います。
#187
○政府委員(北川俊夫君) 有害物質、特に蓄積性といいますか、あとで遅発的な職業病を引き起こすような物質につきましては、先生御承知のように、本来ならばそういう物質に触れない、いわゆる許容濃度ゼロということが最も望ましい状態だと私たちも思っております。ただ、それらの物質がいろいろの経済の状況、活動のもとでどうしても必要である、その場合に全くないというわけにまいりませんので、しからば蓄積性の点も勘案して日常どの程度通常労働時間、働く時間の濃度として許されるかというのが、われわれが定めております抑制濃度でございます。この点につきましては、たとえばアメリカでいいますとACGIHという権威のある有害物の抑制濃度を定めた基準がございますし、わが国の場合には産業衛生協会という産業医の先生あるいは産業衛生の研究者の会合がございまして、それによりましてアルキル水銀塩であるならば一立方当たり〇・〇一ミリグラム、あるいは塩素の場合には三ミリグラム、そういうふうに抑制濃度が定められております。したがいまして、われわれはそれをこの特定化学物質の抑制基準として採用しておるわけでございますが、その基準は先ほども申し上げましたように、繰り返しになりますが、そういう蓄積性、鉛とかあるいはカドミとか、そういうような蓄積性も考えてこの抑制濃度というものを定めておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#188
○田中寿美子君 これは公害のほうの議論になりますので、私もう議論やめますけれども、ちょっといまのは理解できないわけです。蓄積性のあるものはもう許容度をつくっちゃいけないのですね、ほんとうは、原則的に言えば。ですから、そういうものを使わないで、ほかのものを使うという方針に持っていかなければいけないと思うんですけれども、これは日本の産業全体のそういう心がけがないとできないと思うんです。
 で、時間が少なくなりましたので、ちょっと少しPCBのこともやりたかったのですが、職場におけるPCBの扱いが私は非常に問題だと思うのですけれども、飛ばしまして、健康管理に関することにちょっと触れたいと思うのです。第七章第六十四条、六十五条に関連してです。六十四条で作業環境の維持管理、――快適な作業環境の維持管理につとめなければならないということがあって、六十五条で「空気環境その他作業環境について必要な測定をし、その結果を記録しておかなければならない。」とありますね。これは記録しておくだけなんですか。記録して、それが濃度をこえているというときには、これはどうなんですか。
#189
○政府委員(北川俊夫君) 記録をしておくだけ……。ここの六十五条の規定は、測定の記録の義務づけをしているわけでございますが、ここで定めております、たとえば先ほどの特定化学物質等障害予防規則で定めております抑制濃度以上の場合には、当然先ほどの障害防止基準の二十三条に基づきまして、事業者はそれを防止するための措置を講じないとこの法律の違反になりますので、二十三条の規定によりまして、空気環境を良好な状態に戻す、こういう義務が同時に発生してまいります。
#190
○田中寿美子君 それで、けさ須原さんが言われたキョロカンなんていうことば、私初めて聞いたのですけれども、十年に一ぺんくらいしか回ってこないような状況では、記録してありますけれども、それを見つけ出して業者に警告を与えたりすることもできないわけですね。これについては今後はどういうふうに監督行政をやっていくというふうに御説明いただけますか。
#191
○政府委員(渡邊健二君) 先ほど須原先生の御質問にもお答え申しましたように、必ずしも監督官の数等、十分でございませんので、毎年監督を実施いたします事業場の割合が必ずしも十分でない点はまことに遺憾に存ずるわけでございますが、その限られた能力の範囲内におきましては、こういうような非常に問題のある業種、問題のある事業場につきましては、これは優先的に監督を実施いたしておるわけでございまして、したがいまして、そういうところについては一般の監督実施率よりも、従来も高い監督を実施いたしておりますが、今後ともこういうような有害物質、それに伴う職業病発生のおそれがあるようなところにつきましては、十分にそういう点を配慮いたしまして、必要な監督を行なうようにしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#192
○田中寿美子君 まあ、この点は、監督行政というのは、かっての最初のスタートのときみたいに、新しい法律ができて監督官もだいぶふやすそうですから、もっとちゃんとやってもらわなければならないと思います。
 で、その六十六条の健康診断ですがね。1ですね。これは衆議院のほうでも問題になっていたようですけれども、「事業者は、労働者に対し、労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」これは、そのあとの有害な物質を扱うような特殊健康診断なんかと違って、事業者が費用の負担をする必要がない。さっき須原さんが時間のことを問題になされましたね。勤務時間中に健康診断を受けさせよということをおっしゃって、それはできるだけそういうふうに行政指導すると言われた。ところが、その健康診断の費用については、これはノーワーク・ノーペイで、働かない者に対して賃金を支払う義務が業者にはないというのが労働省のほうの御説明でございますね。衆議院のほうの議事録でたしかそういうふうにあったと思います。それで、大企業の場合はそんなこといっても、みんな健康診断受ける間の賃金をカットするということはあまりないと思いますけれども、一番問題なのは中小企業なんであって、中小企業の人は賃金カットされやすい。賃金カットされるなら健康診断を受けにいかないというのが、私は一番普通のことだろう、だから、当然これは時間中に有給とするのが、健康診断を受けにいくぐらいは、年に一時間そこらの時間、当然だと思うのですけれども、いかがですか。
#193
○政府委員(渡邊健二君) これは衆議院でもお答えいたしましたように、義務ということになりますと、そこまでの義務ということは言えないかと存じますが、しかし、衆議院の附帯決議におきまして、時間内にするように行政指導をするようにという決議をいただいております。これは、私どもは、時間内にということは、ペイを伴って時間内にと、こういう趣旨であろうと、私は理解いたしておりますので、行政指導に際しましては、この附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、時間内に、ペイを伴った形での時間内における実施をするよう行政指導してまいりたいと、かように考えております。
#194
○田中寿美子君 労働者の健康管理をする義務は事業者にあるかもしれないけれども、国家にもあると思うのです。ですから、もし万一、事業者が支払わない場合には、これは国家負担でもいいはずのものだと思うのですが、どうでしょう。
#195
○政府委員(渡邊健二君) まあ、これは事業主に課せられた義務でございますので、直接国が負担するということにはまいらないと思いますが、先ほど申しましたように、行政指導によりまして時間内にペイを伴いつつ行なわれるよう行政指導につとめてまいりたいと、かように考えております。
#196
○田中寿美子君 まあ事業者は労働者の労働力を買うわけで、それが健康でなくなるということはほんとは困るはずなんですね。当然支払っていいはずのものだと思います。
 健康管理手帳を与える範囲ですけれどもね。これは特定化学物質予防規則で指定しているもので、ごく限られているように思われますが、これはどの範囲までになりますか。
#197
○政府委員(北川俊夫君) 健康管理手帳につきましては、当面発足の現時点では、先ほど先生御指摘の製造禁止物質、ベンジジンあるいはベータナフトール、そういうものを扱った労働者を対象にするというふうに考えております。
#198
○田中寿美子君 指定してあるもの全部に広げるわけにはいかないんですか。当然私はこの特定化学物質等障害予防規則で指定してある第一類、二類、三類百二十種類ぐらいですか、全部をそれに広げるわけにはいかないんですか。
#199
○政府委員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、いま有害物質ということで、三段階ないし四段階に分けまして、製造禁止あるいは製造許可、それから特別の規則でいろいろの防護の措置をきめなければならない特定化学物質の対象物質等合わせまして百二十ございますが、一応健康管理手帳の交付対象の物質名としましては、第一段階の製造禁止というものを、この制度の発足の当初としては考えてまいりたい。ただ、今後、いま御指摘のような有害物質、特に新しい化学性の物質につきまして、労働者にいろいろの障害を与えるようなものがございますので、そういうものにつきまして広く検討をいたしまして、対象にするかどうか、前向きに取り組んでまいりたいと思います。
#200
○田中寿美子君 病気があとあとまで出る作業、職場におりましたときにからだの中に入った慢性毒性というものは今後はずいぶんふえていくと思うのです。それですから、それはいまの禁止規定のある物質だけというふうに限らないで、もっとこれは広げていくべきだと私は思いますが、今後そういう方向に検討していただきたいと思います。
 で、お尋ねしたいのでございますけれども、職業病が急増している、四十五年から……。この理由をどういうふうに把握していらっしゃいますか。
#201
○政府委員(渡邊健二君) やはり技術革新の進展等に伴いまして、いままで使われなかったようないろいろの新しい物質が使われると、それの有害性等について事前の検討が十分なされないままにそれが使われるというようなことが職業病等が増加しておる原因であろうと考えております。
#202
○田中寿美子君 時間がもうなくなったんで、私、職業病について十分の討論ができないんですけれども、この労災法の職業病の定義というのは「業務上の事由による労働者の負傷、疾病、廃疾又は死亡」というふうに定義してありますね。まあ「業務上の事由による」ということばの解釈のしかたなんですけれども、これは狭くも解釈できるし、広くも解釈できるんですが、私考えますに、労働と関係あるすべての疾病を職業病というふうに呼ぶべきではないかと思いますが、そのほうがはっきりすると思うのですがいかがですか。
#203
○政府委員(渡邊健二君) 業務上の疾病ということは、やはり業務遂行中その業務に起因して、それが原因で発生した職業病である。業務に起因するものというふうに私どもは解してまいりたいと思います。
#204
○田中寿美子君 これは実際に事例に当たると、一つ一つ、これが職業病であるかどうかということをケース・バイ・ケースできめているわけですね、ちゃんとはっきりわかったものは別として。あるいは、それで使用者のほうはできるだけそれを職業病としたくない。労働者のほうは職業病であると主張することがしばしばある。これも労働条件でございますから、対等の立場で労働者が自分たちの意見が言えるようにされなければいけないということです。それから企業家が有害な物質を取り扱っているときに、労働者に十分知らせているかどうかの問題なんですね。そして知らせる義務を負わせているかどうか、それは労働省でどういう指導をしているかということを、例のヘップサンダルの製造で人が死にましたね、ベンゼンを使っていて……。それから最近アスベスト、石綿についても、たいへんこれはPCBぐらいおそろしい物質であるということを私は化学雑誌で読んで驚いたわけなんですけれども、こういうことで次々と新しい有害な物質が発見されてきて、それを使っている。それに対して意外にちょうどPCBが非常に広く使われているように、アスベストもずいぶん使われているらしいですね。われわれの身辺でも石油ストーブのしんだとか、おふろの煙突だとか、屋根のスレートだとか、ふとんの詰めものに使っていたり、防火用、消火用、いわゆる熱や電気の絶縁、まあ、その他騒音防止にも使っているそうです。非常に範囲が広いそうですが、こういうことについて……。しかも針が突きささると絶対に出てこないそうですね。ですから、肺ガンの原因にもなるし、じん肺症の一つだと、石綿肺ということばで呼ばれておりますように、鉱山や工場にあるということも非常に最近やかましくいわれ始めているんですけれども、これはまあ化学者の間やら特定の専門家の間ではいわれていても労働者自身にはわかっていない。これは私は知らせる義務があるし、それからそれに対して保護をする義務があると思います。こういうものはどういうふうに指導していらっしゃるか、PCBのこともそうですけれども……。
#205
○政府委員(北川俊夫君) いま御指摘のたとえばアスベストの問題につきましては、われわれのほうのじん肺法の対象物質になるわけでございます。その他PCB等は特定化学物質等障害予防規則等によって規制をいたしておるわけでございますが、そういう安全衛生法あるいは基準法に基づきまして、従来規制をしておりました物質につきましては、新法におきましてはそのまま引き継ぎますとともに、新しい法律の第百一条で法令の周知ということを事業者に義務づけております。この法律及びこの法律に基づく命令の要旨、こういうものを必ず労働者に周知をさせなければならない、こういう義務づけを加えております。それとあわせまして、先生御指摘の非常に有害なあるいは危険な業務につきましては、この法律の五十九条に「安全衛生教育」の規定がございますが、それの第三項の中に「事業者は、危険又は有害な業務で、労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。」、こういうことになっておりまして、非常に有害な業務につきましてはどういう防護措置をするべきか、あるいは防護具のつけ方はこうであるという教育のしかたをしなければ、危険または有害業務にこれからはつけてはならない、こういうことになるわけでございます。
#206
○田中寿美子君 法律はけっこうだと思います。私、問題はそれをどんなに実行するか、たいへんなことだなと、これを読んでみんなそう思いますよ。いまのアスベストなんかはたとえば紡績工場なんかでもあるわけです。そこで働いている、これは大阪堺の付近の国立療養所の病院長が書いておられるものを読みましたけれども、七人のうち六人死んでいますよね。こういうことはみんな新しい材料を使って作業する場合には、慢性毒性、急性毒性その他いろんな有害な性質のものなんかについて知らせる仕事というのは、教育機関に入れて教育をしているのじゃ間に合わないような問題で、すべての事業者に早急にそういう手だてをしなければいけないし、事業者からは知らせる義務を負わせなければいけないし、労働者にも労働省から組合に通知をするというようなことをしなければ私はいけないと思います。ぜひ、それをやってもらいたいと思います。
 もう時間がありませんから終わりますけれども、大臣、朝から討論でわかりますように、安全衛生というのは労働者の重要な労働条件であるということ、ですから、これは労働省が意欲的にイニシアをとって守る立場をとっていただきたい。
 それからこの職業病のことを十分討論できませんでしたけれども、新しい作業工程を導入する、いわゆる合理化ですね、合理化を進めていく中で労働条件に非常に無理がいくと、あるいは新しい設備をつくる中で、職業病もしばしば起こっておりますわけですね。ですから、そういう点が十分考慮されないと、労働者の健康は守られないし、安全も衛生も守られないということをすごく大臣としては意識していただきまして、それで労働者の条件を守る立場での行政並びに行政指導、あるいは閣内での発言などをしていただきたいと思います。
 最後に決意を伺いたいと思います。
#207
○国務大臣(塚原俊郎君) われわれが今回いま御審議を願っている労働安全衛生法を提案いたしましたのも、もちろんいろんな御批判はあるかもしれませんけれども、やっぱり労災というものをなくそうという、いま有毒物質の問題も出ておりましたけれども、有害物質の問題も出ておりましたけれども、たとえば労働者の健康を守るために、こういうものの製造禁止、また規制をやらなければならない。もちろん関係機関と御相談することもありますが、そういう立場に立ってこの法案を提出したのであります。十分御審議を願いたいのでありまするが、御趣旨の、御指摘の点はよく承りました。
 これからますます世の中は日進月歩、新しいものがどんどん入ってくると思います。その行程におきまして、いろんな問題も出てくるでしょうし、特に、職業病についてはわれわれも十分考えて、それに対しまた万全の対策を立てなければならない問題も出てくると思います。御趣旨の点を体しまして、この法案が成立いたしましたならば、これの運営並びに今後の諸問題などにも対処していく考えであります。
#208
○大橋和孝君 ちょっと田中委員の質問に関連をして、私労働省のほうに資料をちょっと要求さしていただきます。昭和四十六年の十月に有害物一斉点検というのをやっておられますが、これについて、先ほど田中委員から言われた有害物についてのこともありましたが、これは資料が非常に多くて、工場も人もたくさんあります。そういうものの中で調査、点検をされました内容をずっといろんな有害物を項目に分けて、ひとつ詳しく資料をまとめていただきたいと思います。おそらく調査が相当前にできておるわけでございますから、そういうものはできていると思うから、そういうものの詳しいデータをいただきたいと思います。私は、前にPCBの資料を要求しましたけれども、その提出されたのを見ますと、ただ事業所が幾つあって、労働者が何人おって、その見込み率はどうだと、非常に簡単な資料しか出してなかったので、こんなのはわれわれとしては何の用にもなりませんので、この有害物の一斉点検の詳しいデータをひとついただきたいと思います。
 それから第二の資料は、女子の深夜作業、あるいはまた女子の年少者、こういう者の危険業務の就業制限に関する資料もおたくのほうでお調べになってあると思うわけですから、これのほうもひとつ詳しくデータとしていただきたい。
 第三には、PCBでございますが、先ほども論議の中にありましたが、これを製造し、または取り扱う事業場に対する監督指導結果、こういうものについてもう少し詳しいデータをいただきたいと思います。この調査を、一片の資料では非常に困りますので、全体のこまかしい点までこれをあらわせるまで詳しくあらわしていただきたいと思います。ことに、資料の中で、肝心のところを抜かしてもらうと意味がないので、どうかひとつ、当たりさわりのない資料ではなくて、肝心のところを抜かない資料をひとついただきたいと思います。
 以上でございます。
#209
○政府委員(渡邊健二君) ただいまの要求されました資料についてできるだけのものをつくりまして、お配り申し上げます。
#210
○小平芳平君 私もこの法案に対する質疑は次回に回されますので、従来私がこの委員会で提起した問題について、この法案との関連で三つの点を申し上げておきますので、次回までに整理してきていただいて御答弁を願いたい。
 第一点は、先ほどの須原委員の質問に対する御答弁で、労災請求をする場合の業務上という立証がむずかしい、企業がむしろ業務外だというなら、企業が立証すべきではないかという須原委員の御意見に対して労働省からはそういうことはない、きわめてスムーズにいっているんだという御答弁がありましたが、私が前回、委員会で提起した島根県津和野町笹谷鉱山、その製錬所におられた方から手紙がきております。概略だけ申しますと、笹谷鉱山製錬にて、七年間もあのおそろしい亜砒酸をやかされ、いま三十年余りもからだが病み、のどからは痛んでうみが出るし、鼻の障子に穴があき――鼻がなくなるんですね。会社はただ肺だけよければ公害ではないという。日本政府もそうなのだろうか。公害はただ、肺だけではない。目、口、手足までしびれる病気になる。――この人の奥さんは五カ年間、選鉱をしたのがもとで、いまからだの痛む重病となり、頭から足までしびれてしまっているんですね。――日本政府の命令で、こんなからだになったのだ。日本政府の方々がうそだと思われるなら、あの亜砒酸を他の動物に飲ませてみてください。たちまち死んでいくのです。死に残りの、亜砒酸におかされた情けない広中、柳井、藤村、その奥さん、この四人のお助けをお願い申し上げますということを手紙で訴えておられるわけです。その中の婦人の方は昭和二十四年まで製錬所につとめていた人です。けれども、いまの手紙の主の奥さんと、もう一人の人は終戦のときにもうやめちゃっているんです。ですから、こうした人たちが、どうやったら労災の請求ができるのか。それはどういう監督官が本人に会われてもわからないものですから、そういう点で、要するに医師の証明が必要だ、医師の証明が必要だとなれば、津和野町というところからあなたは明らかに砒素による被害です、こう言われた方は岡山にいらっしゃる青山先生なんです。この方々を岡山まで連れていくとなると命がけになるわけです。一人が八十三歳、もう一人は七十一歳、あと六十六歳の方二人というような方ですから。しかも、手足がしびれるのか頭がおかしくなるんですね。そういうところから、この方々は砒素による害を受けているというふうに青山先生はおっしゃっているんですが、なかなか仕事が進んでおらないということ、これが第一点です。
 それから第二点としまして、いまのPCBについてですが、昭和二十八年一月から大阪府衛生研究所で某コンデンサー工場の従業員の健康管理というものをやっておるんです。四十三年カネミ油症が発表になった段階で、大阪府衛研では昭和二十八年一月から二月、三月、四月と毎月やっておるわけです。その結果を四十四年に印刷して、政府へ提出してあるはずだというんですが、これを予算委員会で私が尋ねたところ、労働大臣はそういうものは一切ないとおっしゃっている。厚生大臣もそういうものは一切ないとおっしゃっておる。それは一体ほんとうに大阪府が提出してないのか、あったけれども知らなかったのか、その辺をひとつ次回に明らかにしていただきたい。
 それから、今度の法案にも出てきますが、第三点は、採石場です、石を出す。この第二十一条、第二十二条ですが、採石場についての規制。それから、それの暫定猶予期間があるわけですが、そういうことは伺っておりますが、具体的に私が別の委員会で指摘いたしましたのは、沼津市江の浦というところの大久保山採石場というところです。これは一方の山から採石している。この片側の山の別の側の人があぶなくて住んでおれなくて、立ちのき命令を受けて立ちのいているわけです。ですから、この反対側の住民が強制的に立ちのかされるくらいですから、まして、ここで作業している人、私なんかしろうとですから、見るとがく然とするような作業をしているのを見ましたが、この点はひとつ、まだ一週間ありますから、現場へ行って見てきていただきたい。
 以上三点です。
#211
○委員長(中村英男君) いいですね……。
 ただいまの小平委員の質問に対する答弁は、次回の冒頭でお願いします。
 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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