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1971/05/16 第68回国会 参議院 参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第14号
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1971/05/16 第68回国会 参議院

参議院会議録情報 第068回国会 社会労働委員会 第14号

#1
第068回国会 社会労働委員会 第14号
昭和四十七年五月十六日(火曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 五月十二日
   辞任          補欠選任
     川野辺 静君     吉武 恵市君
     山下 春江君     平井 太郎君
 九月十三日
    辞任         補欠選任
     吉武 恵市君     山下 春江君
     平井 太郎君     川野辺 静君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     橋本 繁蔵君     今  春聴君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
    委員長         中村 英男君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                高田 浩運君
                大橋 和孝君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上田  稔君
                川野辺 静君
                高橋文五郎君
                橋本 繁蔵君
                山下 春江君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤原 道子君
                高山 恒雄君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生省公衆衛生
       局長       滝沢  正君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省援護局長  中村 一成君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○藤原道子君 私は、すでに多くの同僚議員から御質問がございましたので、なるべく重複を避けて御質問申し上げたいと思います。
 まず第一にお伺いしたいのは、戦後処理の方針についてお伺いいたします。
 先日の大橋委員の質疑応答のときにも、戦争犠牲者の戦後処理方針については政府の明快なる答弁がなされていないので、再度お伺いいたします。
 戦争犠牲者について確固たる戦後処理方針があるのか、それから戦後処理は終わったのか、今後どのような計画があるのかについてお伺いをいたします。
#4
○政府委員(中村一成君) 戦後処理の問題は多方面にわたっておりますが、援護行政に限って、概括的に申し上げますれば、まず終戦当時海外におきまして六百万人をこえる邦人の引き揚げを緊急かつ主たる業務として行なっておりました。昭和二十四年までに九九%の引き揚げを完了しております。ついで、占領中諸般の事情で実現できなかった戦没者及び戦傷病者に対する援護に着手いたしまして、講和条約発効後、昭和二十七年に遺族援護法を制定いたしまして、以後、戦傷病者、戦没者の遺族、留守家族等に対する援護を主たる業務といたしまして、現在まで約十四万人の傷害者、約二百万人の遺族に対しまして援護の措置を講じてきております。現在は、遺族援護法及び恩給法、戦傷病者特別援護法を両輪とする法的援護は体系的に整備されております。年々の処遇改善もございますし、内容的にも充実をしてきたものと思っておりますが、今後とも引き続き処遇の改善を講じたいと思っております。
 一方、旧陸海軍関係の業務につきましては、おおむね終わっておると思うのでございますけれども、いまなお海外の遺骨収集は完了しておりませんので、このことにつきまして、今後さらに努力いたしますことと、さらにまた、三千七百名と推定されます未帰還者がおりまして、これらの方々の帰還につきまして、一そうの努力をいたしたい、こう考えておるところでございます。
#5
○藤原道子君 この点につきましてはさらに追求いたしますが、大体は終わったということですね。九五%ぐらい終わったということですが、まだ納得いかない点がございますが、いまおっしゃったことを今後真剣にお考えになって、戦後処理といいますか、に対しましては、もっと力を入れて、一日も早く解決できますように要望いたしておきます。
 そこで、国家補償についてお伺いしたいと思います。衆議院の審議、先日の本委員会の同僚議員の質問からしても、原爆被爆者の対策は国家補償でみるべきのが当然だと私は考えます。すなわち、国みずからの権限とみずからの責任において開始した戦争であるので、国が社会保障の範疇ではなく、戦争犠牲者に対しては国としての損害賠償を行なう義務があるのが当然と思いますが、政府の見解をお伺いいたします。
#6
○国務大臣(斎藤昇君) この問題はもうかねてからの問題であり、また御質問でございました。政府といたしましては、この人体に対する被害の問題については、やはり戦争業務に従事した者というものについては、これは国家補償という体系でやる、そうでない者については一般的な社会保障といいますか、そういった方向でやっていくというように割り切って今日までまいっております。原爆被爆者を国家補償にすべしという御議論も、まあごもっともな点もあろうと思いますが、そういうような観点から、国家補償と、それからそうでないものというように割り切って今日までまいっておりますので、ただいまのところ、政府といたしましては、これを国家補償に切りかえようという考えは持っておりません。御了承いただきたいと思います。
#7
○藤原道子君 おかしいと思うのです。とりわけ原爆被爆者の問題は世界に類のないおそろしい被害を受けたわけです。ことに、私ちょっと年を忘れましたが、たしか十四歳から六十歳だか六十五歳までは防空法というのですか、それによって義務づけられていたのですね。そうして国民のほとんどが戦争にかり立てられていたと言っても私は言い過ぎでないと思います。そういう中で受けました原爆の被災者なんですということになれば、国の責任で宣戦布告をし、そうして、あの激しい長年にわたる戦争を繰り返し、その結果原爆を受けて、そして、おそろしい犠牲者が出ておるわけです。ところが、これに対して国家補償でやることは当然だと考えるのに、どうして政府はそれに踏み切れないのか、私にはその気持ちがわからない。あくまでも国家補償で遺憾なき対策を講ずべきだと、こう思いますが、もう一ぺん御答弁をお願いしたい。
#8
○国務大臣(斎藤昇君) 原爆の被害というものは、これは世界にも類例のないこと、これはおっしゃるとおりだと思います。したがって、被害を受けた者も、他の焼夷弾攻撃や艦砲射撃で被害を受けた者とはまた違った被害を持っている。それだけにこの内容は充実していかなければならない、かように考えますが、これを法的に国家補償という形にするかどうかということになりますと、先ほど申しておりますように、防空業務に従事した者につきましても、これは防空業務に、国との関係で身分的にその業務に従事しておったということになれば国家補償になるわけであります、たとえば監視員のようなものでありますとか。しかし、そうでない者につきましては、まあ、一般的な社会保障という意味で、しかし社会保障といっても他の社会保障よりもこれは内容は充実してやらなければならないものと、かように考えております。その点は御了承いただきたいと存じます。
#9
○藤原道子君 国の責任で受けた被害に対して、国の何というのですか、従属者というのですか、国の支配下にある者は国家補償でやるのだ、そのために受けた正式なそういう肩書きのないものはやるわけにいかないということについては納得がいかないので、この点はさらに検討していただきたい。
 原爆被爆者の対策については社会保障の中でも最も手厚く救済して措置を行なっているように答弁されておりますが、所得制限については、原爆被爆者に対する特別措置法と、国民年金及び児童扶養手当法を四人家族で比較してみると、特別措置法のほうが所得制限がきびしいのは理解ができません。また同じ福祉立法であり、同じ厚生省所管でありながら、同一歩調をとっていない理由はどういうふうな点にありますか。
#10
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、私は概論といたしましては、所得制限につきましても一般の社会保障よりも所得制限は緩和すべきである、かように考えます。
 現実のやり方といたしましては、いろいろな給付がございますので、したがって中には非常に比較しにくいものもございますが、原則として私は所得制限は、これは大幅に一般の社会保障よりもゆるやかにすべきである。場合によったら撤廃すべきであるというくらいまでに考えておりますので、そういう点は今後深く手当ての内容に応じまして所得制限を緩和をする方向へ持ってまいりたい、私はできるなら撤廃をするくらいの考えでまいりたいと、かように思いますので、御趣旨の点は今後十分に尊重してまいりたいと思います。
#11
○藤原道子君 いまも申し上げましたように、福祉年金あるいは児童扶養手当及び特別児童扶養手当等の資料を見ますと、四人家族をあれしてみますと、たいへんこちらのほうが悪いのですね。この福祉年金の場合、四人家族でございましたら百九十二万三千六百二十五円までです。それから私が原爆のこの手当のほうを見ますと、百六十五万九千九百九十九円、こういうふうになっているのです。これはどういうわけでこちらのほうがきびしいのですか。
#12
○政府委員(滝沢正君) おっしゃるように、先生のあげられました数字は、原爆手当のうちの特別手当のほうの数字が百六十五万でございますが、今日議題の、主たる健康管理手当のほうについて百六十五万に相当する数字は百四十九万でございます。
 それから御指摘の二百五十万といわれております四人家族に直した老齢福祉年金が二百二十一万でございまして、確かにその間に差があるわけでございますが、この老齢福祉年金のほうは、配偶者、扶養義務者の所得と、それから受給者本人の場合とを二本建てで調査しまして、にらみ合わして、それできめる仕組みになっておりますが、原爆のほうは本人の税額とそれからこの扶養義務者の所得額とどちらか一本で、最多のほうで見るような仕組みになっておりますので、次の点が、必ずしもすぐ比較できない仕組みの違いがございます。しかしながら、老齢福祉年金の場合は、受給者本人の場合百九万ということになっておりまして、百四十九万を適用する原爆の健康管理手当よりも不利な場合もあって、ちょうどその中間が原爆の手当のようなかっこうになっております。
 しかし、結論を申し上げますと、大臣からもお答えがございましたように、われわれは所得制限というものは、特に原爆の実態にかんがみまして、できるだけ撤廃する、ないしは大幅な緩和をしたいということで、率直に申しまして、四十七年度はやや積み残しの感がございますので、将来にわたってこの改善をなるべくすみやかに実現できるように努力いたしたい、こういう気持ちでおります。
#13
○藤原道子君 私は、同じ厚生省で、いまのように、そういうのと別のとをやって、こういうふうになると、ちょっと見ると納得がいきませんわね。同じ厚生省の所管なんです。なぜ、そういうまぎらわしい体制をとるのか。
 それから、いま一つ、大臣からいままで発言があったのですが、あくまでも所得制限は撤廃すべきだと、それを局長のほうでもそうおっしゃいながら、撤廃ができないのはどういうわけか。撤廃を断行できるような自信ございますか。あくまでも私は所得制限撤廃をきょうは主張しよう、こういうつもりで来ておるんですから、その点の御答弁をお願いしたい。
#14
○国務大臣(斎藤昇君) 将来、できるだけ努力をいたしたいと、かように考えております。大いに努力をいたしたいと考えておりますから、御趣旨に沿うようにいたしたい、それが筋であると私は考えております。
#15
○藤原道子君 どうも答弁が気になる。来年、撤廃できますか。
#16
○国務大臣(斎藤昇君) 来年直ちに撤廃というところにいけるかどうかわかりませんが、少なくともまず大幅に緩和をいたしたいと考えております。
#17
○藤原道子君 まず第一に、原爆の関係は直ちに撤廃する。と同時に、各種の、他の方面のあれにいたしましても、所得制限というのはいろいろ問題があるんですよ。たとえて言えば、低い所得であっても、これがいろいろ努力したり、ことに老人の場合などは、苦しくとも年寄りには小づかいをあげるというような人もいるし、相当な所得があってもこれが全然老人なんて顧みないというような者もあるんですよ、いまの社会は。ですから、あくまで、とりわけ原爆の場合には、今年度はもうしかたがないから、来年度は所得制限撤廃に向かってあくまで努力していただく。他の問題についても考慮してもらいたいと思いますが、やってください。
#18
○国務大臣(斎藤昇君) 必ず厚生省当局はやると思いまするし、私もいつまでやっているかどうかわかりませんが、やっておってもおらぬでも努力を私はいたすつもりでおります。これが筋だと思います。
 他の所得制限の問題も、おっしゃるように、問題をたくさんかかえております。他の問題のときにも申し上げましたように、扶養家族の所得制限、本人の所得制限、これらはいつも問題になっておりますから、大幅に緩和をしていくべきだと。そうでなければ、社会保障というものが十分行き渡らないという観点に立ちまして、一般のものはもちろんでありますが、原爆は特に、先生おっしゃいますように、これは国家補償にすべきだと言われるほどの内容を持ったものと存じますから、そういう趣旨を踏まえまして、原爆のほうは特別に緩和するか、将来は撤廃に持っていくというほどに考えてまいりたいと思っております。
#19
○小平芳平君 関連して。いまの扶養者の所得制限ですが、厚生省当局は福祉年金の扶養者の所得制限は来年から撤廃しますと、こういうふうに約束しているわけでしょう。しております。したがって、原爆の場合も、少なくとも扶養者の所得制限は来年は撤廃することに厚生省はきめて、要求すると、このように御答弁いただきたいと思いますが、いかがですか。
#20
○国務大臣(斎藤昇君) 来年の予算編成のときに、私がおるかおらぬかわかりませんが、いずれにいたしましても、厚生省としてはそういう方向で要求するものと、かように考えます。その点は先ほども申し上げておったとおりでありまして、扶養義務者の所得制限は撤廃をいたしたい、そういう要求をいたしたい、こう考えます。
#21
○藤原道子君 大臣がたとえかわろうとも、厚生省の使命は一貫しているわけですね。ですから、かりに、かわったといたしましても、後任の方によくその主張をお伝え願いたい。そうして、来年度は必ず撤廃ができるように、ことに、局長も撤廃したいということを言っているわけですから、私は来年度は撤廃できると確信を持ちたい。大臣、戦争中には、あなたにも相当の責任があったように思うんです。したがって、戦後の処理につきましては、とりわけ御努力が願いたい。これを強く要望いたしておきます。
 次に、健康手帳の問題でございますが、国民健康保険の患者である被爆者の場合は、他県では保険証がきかないというような訴えがございました。また、広島、長崎以外の県では指定医療機関が少ないから、被爆者手帳は有効でないなどの問題があり、さらに手当を受けるために診断書も指定医療機関以外ではお金を取られるなどの問題もあって、医療の面では、さらに指定医療機関の充実などを早急にはかる必要があると思うが、どうですか。ことに国民健康保険が他府県では役に立たなかったということは、まあ、前議員でございますけれども、相当な権威者の御親戚がよそへ行って拒否されたというようなことを伺って、これはたいへんだと、こう思って、お伺いいたしますが、どうなっておりますか。
#22
○政府委員(滝沢正君) 先生御指摘の国民健康保険の他府県での医療の問題につきましては、原則として、医療機関側が広範な地域の医療を担当するような申請をして、そのお許しが得てありませんと、先生おっしゃるように、原則的には、よそで適用することが無理だと、こういう問題がございますし、もう一点、先生の御指摘の指定医療機関が少ないために、原爆被爆者の指定医療機関で無料で取り扱ってもらう診断書の問題等も含めまして、たいへん不便をしているんではないか。この点につきましては、われわれも資料を見ましても、県によって指定医療機関の数は、現在三万一千ございますけれども、非常に少ない県では、青森県の二十七カ所、栃木県の二十二あるいは山梨の五カ所というように、特定の認定患者の指定医療機関を含めますと、山梨の最低が七になりますが、いずれにしても、そういう不均衡があるということを、前々から問題意識を持っておりますので、衛生部長会議等を通じまして、指定医療機関の指定につきましては、県内の被爆者の実態に沿うように、できるだけ医療機関の賛成を得て――まあ医療機関からの申請制度でございますけれども、やはり県の行政指導によって医療機関の増加をはかるように、そうして地域内における被爆者の医療に不便がないように、御配慮を願うように、部長会議等を通じて、指示をいたしておりまして、年々、この医療審議会に対する――指定医療機関は医療審議会で審議して許可することになっておりますが、この申請の件数がだんだんふえてきておりますので、できるだけ早い機会に御期待に沿うように、各府県のアンバランスのないようにしたいというふうに考えております。
 ただ、問題は旅行先等で健康保険が適用できない問題については原爆被爆者だけの問題ではございませんが、特に、原爆被爆者の場合、制度上、特別被爆者は無料で医療が結果的には受けられることになっておりますので、非常に関心の高い大事な、原爆被爆者にとっては医療を受けることが大事な問題でございますから、この点については事務的にもさらに検討いたしたいというふうに考えております。
#23
○藤原道子君 気持ちが悪くなって旅行先で医者へ行って、医療機関へ行ってそして、それが役に立たないというようなときのショックというものを考えて、こういうことは一日も早く改正してもらいたい。
 そこで、原爆被爆者の医療費は医療保険制度からはずしてすべて公費負担制度とすべきだと思いますが、その点いかがですか。
#24
○政府委員(滝沢正君) この問題につきましては衆議院の本法案の審議の委員会で大臣からも公費負担について十分検討したいというお答えをいたしておるわけでございます。われわれといたしましては、現状、特別被爆者が医療を受ける場合、原則として原爆に関係ある疾病だけと、こう限ることは実態に合いませんし、現実にはいろいろの疾病もこれによって自己負担分を公費で負担しているという仕組みをとっておりますので、ただいまの社会保険をまず適用し、その残りの部分について公費で負担して、そして初診料等の自己負担分も予算上措置して実質無料になるようにいたしておる考え方は一応はこれで原爆被爆者の医療の面については事欠かない、対策としてはでき上がっておるというふうに考えますが、この点につきましては、保険制度等公費負担制度全般のからみ合いにおいて十分今後検討しなければならぬ問題だとは思っておる次第でございます。
#25
○藤原道子君 あくまでもこれは公費負担制度にして保険制度からははずすべきだ、これがあると、やはり地方自治体の負担もふえるのです。いろいろな点からいろいろ陳情も来ておりますから、これはあくまで保険制度からはずして公費負担でやるということで大臣にお願いしたいのですが、大臣のお考えはどうですか。
  〔委員長退席、理事鹿島俊雄君着席〕
#26
○国務大臣(斎藤昇君) いまおっしゃるような方向でさらに検討いたしてまいりたいと、かように思います。
 実際問題としてとちらが便利で――便利というか、本人にとって都合がいいかという問題を主にして考えてまいりたいと思います。
#27
○藤原道子君 何だがちょっとはっきりしないのですけれども、当然、制度上から考えましても、この問題は保険でなしに、あくまで国の負担でやるべきだということを強く要望して、その方針で進めていただきたいということを申し上げておきます。
 そこで、健康管理手当でございますが、五十五歳からですね。ところが、広島の原爆病院ですか、昨年の資料を見ますと、四十歳未満の成年層に白血病とか甲状ガンその他の貧血が半数ぐらいあるというような資料が出ております。それから六十歳以上には甲状ガン、肺ガン等、ガン系統が老人には多くあらわれておる。成年層には何というのですか、血液関係の病気が非常に多いと、こういうふうに出ているのです。だから、原爆被害は老人と、若い人にあらわれる病状の姿には明らかに違いはあるようですが、健康管理手当は老人だからということでなく、やるんだったら全面的にやる必要があるのではないかと思いますがいかがですか。
#28
○政府委員(滝沢正君) この健康管理手当は当初のスタートが六十五歳ということでスタートいたしまして、老人というような概念が強く出ておったわけでございますが、おっしゃるとおり、文字どおり健康管理手当であるならばやはり若年で被爆した、子供のときに被爆した者というのは現在三十代あるいは四十代ということであって、おっしゃるとおり私の気持ちとしても健康管理手当はできるだけ早く拡大したいということで、この問題を担当して二年続き五歳ずつでしたけれども、本年度も五十五歳ということでやってまいりました。この点については、もう一つ健康管理手当をもらえる要件に、母子家庭という条件と、それから身体の障害という条件がございますけれども、こういうものとのハンディキャップの並び合いで、年齢だけを何でも下げてしまえばいいということじゃなくて、身障の面も見なければならぬ、母子家庭の条件もゆるめる必要がある、そして、なおかつ年齢についても私はできるだけ早い機会に、もっと健康管理手当にふさわしい条件に持っていきたい、こういう気持ちは先生のおっしゃるとおりでございます。できるだけ、そういうことで、今後努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
#29
○藤原道子君 私は、若い者ほどその点を考えていただきたいということを強く主張いたしておきます。
 次に、原爆二世の問題でございますが、原爆の放射能の遺伝による影響については、染色体の異常が認められるのではないかと考えられます。特に、国立予防衛生研究所の研究結果として四十五年度年報には「原爆被爆生存者における染色体異常および悪性疾患」という研究結果が出されておりますが、それを見ますと、この問題についての厚生省の見解はどうなっておるかという点。
 それから、遺伝の点は二世、三世では必ずしも結果が出てこないなど複雑な問題であります。今後とも、研究費の増額をはかるなどその進展をはかるべきだと思いますが、政府の方針はどうですか。
#30
○政府委員(滝沢正君) 先生のおっしゃる予研の年報の問題は、おっしゃるとおり原爆被爆者生存者における染色体異常及びそれに関連する悪性疾患ということの論文が出ております。この点につきましては一つの問題点としては、染色体の異常があるということは二世、いわゆる遺伝的にその子供に伝わりはしないかという御懸念が一つあるわけでございますが、その前の問題として、被爆者が――被爆生存者ですね、現在の生存者に染色体の異常のあることは、これは一般の人よりも高いことは認められております。この点について、この論文は一応触れ、しかし、それが遺伝の問題とは別なんだという結論になっておるわけでございますが、強度の放射線を受けた者が、正常人よりもからだの細胞の染色体の異常率が高いということは確かに認められております。この点については、白血球等の培養をいたしまして、この点が発見できるのでございますが、これを、同じ方法を二世の方に使って、二世の方のからだの中の細胞に、染色体の異常があるかどうかを確かめた実験はほかにもあるわけでございますが、これについては、遺伝が証明されておらないのでございます。
 ただもう一点、被爆者であって、二世じゃなくて、現在の被爆者自身がその染色体の異常にあることが、何かガンだとかいろいろの病気の発生の上に関連が深いかという、この一点もあるわけでございますが、この点が、まだ学問的に解明できないので検討されておる。その関連の論文の一つであるというふうに理解しておりまして、したがいまして、二世の方々のからだの影響の問題につきましては、先生おっしゃるとおり、まだまだ長期にわたって、これは研究をしていく必要がございます。ただ、研究の基本としては、どういうつかみ方をしたら、どういう影響があるとつかめるのかという、その方法論が、いま申し上げた細胞の培養という方法のほかに、新たに開発されつつあるのは、血液からとって、そのこまかい検査をすることによって、血液の中の血清たん白の分析によって可能であるという学説が出てまいりまして、この方法を使った研究が現在、広島にありますABCC等でも着手されていると聞いております。その結果についてはまだ承知いたしませんし、まだ、結果は出ていないと思っておりますが、今後、そのような新しい方法の開発によって、二世の方のからだの染色体の異常の状態というものが、通常の方とは――非被爆の二世の方とは違うというようなものが見出されるかどうかというところがポイントになろうというふうに考えておる次第でございまして、いずれにいたしましても、研究体制の推進ということは基本の問題でございますから、今後とも努力いたしたい、こういうふうに考えております。
#31
○藤原道子君 遺伝というものは二世にあらわれるというだけでないと思う。隔世遺伝もあり、三世あるいは四世にあらわれるかもわからない。これは遺伝の別の方面で私も承知いたしておりますけれども、そういうことだから、二世の血液の中に異常がないから、だから、もうだいじょうぶだというような考え方は間違いだと思う。あくまでもこれは検討を進めていただいて、そうして、悩みを後世に残さないようにやっていくのが厚生省の使命だ、私はこう考えております。ここに資料も抜粋してありますけれども、これは時間の関係で省略いたしますが、これはたいへんだなと私は心配をいたしております。
 そこで被爆二世の方々の間には、健康診断を望む声が強いのですが、本人、親の希望により、親の手帳によって実施することを考えてはどうか。被爆二世の数はおそらく百万人以上と推定されるといわれておりますが、健康、生活はどうでしょうか。山口大学の調査では二世の二八・六%は健康に異常がある、あるいは広島大学の調査によれば、被爆中心地に近い被爆者の流産率はとほうもなく高い。両親ともに被爆者である場合には七三・七%の流産、母親のみの場合は五九・五%、それから父親だけの場合には三〇%、こういうふうな資料が出されております。そしてまた、白血病にかかる者も多い。青年たちが遺伝について、就職について、結婚についていかに悩んでおるかということは想像に余りあるものがある。したがって、私は、この学術研究をあくまでも進めていただきたい。私も今度初めてそういう資料を見てびっくりしたんです。勉強不足であった、申しわけないというような気持ちでいま胸が一ぱいでございます。七三・七%も流産する、これはたいへんなことだと思いますが、これに対してのお考えを聞かしてください。
#32
○政府委員(滝沢正君) 先生のただいまあげられました流産の問題については、私もたいへん実は拝見いたしましてびっくりしたわけでございますが、これに関連のある研究の結果として、昭和二十三年から六年間七万二千人の妊婦について、広島、長崎で研究がなされ、その結果、いわゆる子供さんがどういうふうな状態になるかを調べております。で、先ほど先生が放射線の影響は二世だけではないとおっしゃったのは、まことにその影響というものが劣性遺伝であるというのが定説でありまして、したがって、かなり長期に遺伝の形態があらわれる可能性というものはないわけではございません。しかしながら、まず、遺伝の影響があらわれる場合、学問的に子供にあらわれるものをつかむのに男女の性比という問題が一点ございます。それから奇形の生まれる率、それからあと流産とも関係ございますが、死産――死産してしまう。この三点について検討されたのでございますが、先ほど申し上げました七万二千人の妊産婦の調査からは、この性比、奇形並びに死産の率については、被爆者と非被爆者の関係についての影響は一応見られない、こういう結果が出ております。いずれにいたしましても、この現状の二世の方の健康診断だけでつかめる問題ではございませんが、いずれにいたしま、しても、この問題は基本的なものさしがございませんと、たとえば、京都であるとか、先生のお話の山口であるとか、あるいはよその地区で二世の健康診断をなさる、あるいはなさった実態というものはございますけれども、さて、それでは二世と二世でない方――いわゆる全く被爆と関係のない方の子供さんとの、ほとんど同年齢の学生等を使って対比したデータを、いざ比べようとしたら、何をもって被爆グループと、非被爆グループに差があるという、このきめ手が、いま学問的にどこにもないものですから、みんなその問題で悩んでおる。個人個人の健康問題については二世の方に不安があり、あるいは結婚、遺伝の問題に対して、いろいろとその影響を与えていることは、われわれも承知いたしておりますけれども、この点について、二世からの健康診断側からつかむ方法論にきめ手がむずかしい。それでは、遺伝という形で何らか影響しているかという、この遺伝の側もいままであらゆる方法でつかもうとしておるが、この点についてもまだつかめていない。こういう、率直に申しまして現状でございますので、どうしても、このポイントをどこに置くか、どういうことで比較できるか、この問題を追及するのが今後の重要な課題でございます。
 先ほど先生のあげられました流産の問題については、私もたいへん、実はびっくりしている数字でございますが、流産という表現だけになっているんで、このこまかい内容については、私も十分先生のお教えをいただきましたので、この内容を、山口大学の研究結果を取り寄せまして、検討いたしたいと思っておる次第でございます。
#33
○藤原道子君 流産の問題は広島大、それから山口大学の調査は二世の二八・六%は健康に異常がある、こういうことでございますから、お間違いなくお調べになって対策をきめていただきたい。
 そこで、二世でございますが、いま同年の被爆者の子供と、それから普通の子供と比べた場合に云々ということがございましたが、原爆の被害はその当時何にもなくても将来起こる可能性があるわけですね。私の親類の者が、大学卒業するまでは何でもなかった、大学を卒業して三カ月ぐらいしまして突然、鼻血が出てきた。それでいろいろ医者にかかったら白血病だと、とうとう大学を卒業して一年で死亡いたしました。大学出るまでは何でもなかった。非常に活発な子供だった。ところが、それが大学を卒業したとたんに発病して、しかもたった一人の男の子、親の悲しみというものは想像もできない、昨日が三周忌でございましたけれども。だから、この間も、大橋さんのところの事務長ですか、お元気であったのに、突然異変でおなくなりになった、こういうこともあるわけでございます。いま異常がない、だいじょうぶだというような簡単な考え方でなく、いかに原爆被爆者の運命が深刻なものであるかということをお考えいただいて、遺憾なき対策を立ててもらいたい。
 そこで、これは陳情の手紙でございますけれども、被爆二世の検診は親または本人の希望によって、親の手帳によって見ていただきたい。遺伝の点についても調査費を増額して研究を進めていただきたいと思います。いま非常に結婚問題とか、いろいろな点で悩んでいるのですね。ですから、できたら本人の希望があれば、二世に別個に健康手帳を出してほしいというのがいままでのわれわれの主張だったのですが、本人または親の希望があった場合には、親の手帳の中へ入れていただきたいというような陳情が来ているわけです。それに対してはどうお考えでございますか。
#34
○政府委員(滝沢正君) この点につきましては、先ほど先生からの御要望もございましたような研究の段階で進めるということと、それから制度として着手することになりますと、よほどこれは慎重に検討する必要がございます。その二面をどういうふうに取り扱うか、確かに本人の希望ということのニュアンスも、私よくわかるわけでございますので、その点については、かなり実行の可能な面もありはしないか。しかしながら、これを制度として全国にやるという問題については、審議会等で十分御意見を聞いて慎重にやる必要がある。二世の問題は、やはりその及ぼす影響というものがいろいろございますので、それと健康診断はしたが、どこに判定なり問題のきめ手があるかということについての、先ほど来申し上げているような問題点が基本にございますので、御要望については、いわゆる研究面と制度面と両面から検討いたしたい、こういうふうに考えております。
#35
○藤原道子君 それから、「健康管理の中の診断書には、放射能の影響の有無についての欄がありますが、医者は、自分は放射能医学専門でないから診断書は書けないと断わる人もあります。厚生省にて指導指針を出して頂けないものでしょうか。」「全体的に申しますと手続きを老人ができるように簡素にして頂きたい」ということも陳情にある。それからもう一点は、「健康管理手当受給期限が病名により一年、三年となっておりますが、期限撤廃はできないものでしょうか。四十五年十月〜四十六年九月の間の手当受給者は八月になると又全部手続きをやり直して再申請しませんと引き続き三〇〇〇円の手当は貰えません。診断書一枚千円の手数料が必要ですし、住民票にしましても一枚五〇円とられます。税務署にも行かなくてはならず病人の老人には面倒すぎてなかなか渉らないようでございます。費用一切は法律の中で出して頂けないのでしょうか。」こういう陳情が来ているのですが、いかがでしょうか。
#36
○政府委員(滝沢正君) 最初の一点の診断書の問題につきましては、前回の本委員会の審議のときにもお答えいたしまして、これはできたらこのような項目は撤廃する方向で検討いたしたいというふうに私たちは考えておりまして、この点は省令でございますから厚生省の判断で検討の結果によっては撤廃できないことはないと考えておりますので、その方向で考えたいと思っております。
 それから健康管理手当の期限が三年のグループというのは、循環器系の障害と、それから造血臓器、いわゆる血液関係の病気、これはそう簡単に直りませんから一応三年ということで、その他の病気は一年ごとに健康状態によって更新すると、こういうことになっております。まあ、肝臓の障害等がよくなることもあり得ることですから、医療の内容から一年、三年をいじることはよほどこれは検討する必要があると思いますが、手続の問題が、最後におっしゃった点が、やはり検討する必要があると思います。
 それから診断書料の千円の問題は、最初、先生御指摘の指定医療機関等の活用が十分できるようになれば、この御負担は少なくて済むようになると思いますので、そういう面で、まあ、一般的には相談事業と申しますか、お年寄り、故老の方、こういう方にどういうふうにして、そういう手続やら、いろいろ手落ちのないようにしてあげるか、この問題がどうしても、こまかいことですけれども、従来、ときどき御批判を受けることでございますので、この点は、今度、福祉部会がつくられます。現地の民生関係の方々等を委員にして福祉部会をつくりますので、そういうこまかい問題で手続がなるべく簡素化できるような方向というものも、この福祉部会の、私は議題の一つにしたいと、こういうふうに考えておりますので、そういう陳情等の形でなされるようなこまかい問題について、現地の御意見を聞きまして、できるだけ簡素化いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#37
○藤原道子君 次に、沖繩県の原爆被爆者の援護の実情についてお伺いをしたいと思います。
 沖繩県在住者の原爆被爆者の援護の実地状況はどうなっておりますか。
#38
○政府委員(滝沢正君) 沖繩の原爆被爆者の問題につきましては現在二百七十名、一般被爆者が十九名、特別被爆者が二百五十一名、二百七十名おられまして、認定患者、いわゆる原爆症の一番重い患者は二十人おられるわけでございます。沖繩の被爆者対策というのは琉球政府自体では昭和四十一年、この医療に関する法律というものが最初わが国にできましてから、かなり、五、六年以上おくれておりますが、四十一年、それから四十三年にできました特別措置法、これを四十四年一月に日米琉三者の協議によりまして措置要綱というものが、実施要綱というものがつくられまして、それに基づいて全く本土と同じ仕組みの法律が適用できるようにされておりまして、今日を迎えたわけでございます。したがいまして、今日以後は、日本政府が従来の原爆対策を沖繩県においても実施するわけでございますが、そういう点で、沖繩の原爆対策というものの歴史がございますが、実質的には、琉球政府に日本政府から資金の援助の中で原爆対策費を、従来もこれはやってまいりましたが、実態としては、本土と同様の施策が行なわれておるというのが沖繩の実態でございます。
#39
○藤原道子君 とおっしゃいますけれども、沖繩には医者が足りないのです、医療機関がほんとうに。この間、私沖繩へ行ってきたのでございますが、よくこれまでしんぼうしたなと思うくらい医療機関は足りません。それだのに、いま、同じような方法で扱っているというけれども、医療機関が非常に少なくて、医者も足りない、専門医もほとんどいない、こういう中で二十七年間放置してきた、と言っては過言かもわかりませんが、私はそう思う。これに対して、今後どのようにおやりになる方針であるかをお答えしてください。
#40
○政府委員(滝沢正君) 先生の御指摘のとおり、沖繩の一番の問題は原爆被爆者が医療を受けることについてでございまして、先ほど問題になりましたような、たとえば、健康保険が先に出て、それから公費負担で無料にされるという仕組みが、健康保険がないために、療養費払い制度を使わざるを得ない。この点が沖繩の原爆被爆者の医療の面で、結果的には費用の支弁をいたしますけれども、どうしても先に費用を払っておくという療養費払い制度であることは、健康保険が充実するのを待って解消するしかできないことでございまして、この点が一点でございます。
 それから専門医が少ないという点については、前々から問題がございますので、引き続き四十七年度も専門医の派遣旅費を組んでおりまして、年二回検診に、広島、長崎等から交代で医師を三名、事務員を連れて派遣いたしております。これによって、大体、毎回百五十名程度の方が検診を受けていただいて、そうして、過去には内地にお連れして、病院で入院治療した例がございますけれども、ここ二、三年は、その例がまさに重症者と申しますか、そのような適用者が現在ないというのが実態でございまして、したがいまして、また老齢化してきますし、病気がいつ重くなるかわかりませんから、その原爆被爆者の本土への渡航費は五名分とりあえず組んでございます。いまは実績ゼロで、最近二、三年はゼロでございますけれども、いっこの必要があるかわかりませんから、そのような措置を講じまして、現地の原爆被爆者の医療にできるだけこと欠かないようにいたしたい。
 それから指定医療機関の問題等も、沖繩に今後すみやかに設定いたしまして、できるだけ本土に近づける対策というものをいたしたいわけでございます。特に、認定患者につきましては、指定医療機関ができれば根っこから公費でございますから、これはすぐ自己負担なしでやれるわけでございます。ただ、健康保険制度の成熟もそう遠くはないと思いますので、これによって、ほぼ本土に近い費用の問題の処理と、それから医療にこと欠く点については、専門医の派遣を積極的にやってまいりたいと、こういうふうに考えております。
#41
○藤原道子君 認定患者は、沖繩にどのくらいいるのですか。
#42
○政府委員(滝沢正君) 二十名でございます。
#43
○藤原道子君 何ぶんにも本土復帰を万歳で喜べないということが問題にされておりますけれども、言ってみればまさにそのとおりなんですよ。
 そこで、沖繩県の医療体制の現状にかんがみて、いまあなたのおっしゃった治療とか、被爆者のための本土へ呼び寄せる旅費、それから治療費、それから滞在費、こういうものはことしは五名分予算措置ができている、そういうことですね。これは沖繩の人が非常に苦しい立場にあると同時に、ちょっとしたことでも、私なんかもそうですけれども、ひがみたくなるわけです。どうかそういうことのございませんように、あたたかい対策をひとつ今後も続けておやり願いたいということを強く要望をしておきます。
 それから次に、治療技術の研究開発についてお伺いしたい。原爆被爆者の治療技術の研究開発と、国としての援助の実態、広島、長崎にある文部省の原子爆弾後障害医学研究所というものがあるんですか、それから科学技術庁の放射線医学総合研究所、これの研究の実態はどうなっておるか。また厚生省関係のそれとどういう連携をもってやっているか、お聞かせください。
#44
○政府委員(滝沢正君) この点につきましては、文部省の関係が広島に広島大学の原子爆弾の後遺障害の研究所がございます。これは研究所でございますから、一格、格が高いわけでございますが、長崎のほうはまだ研究施設ということで、教授は三名程度でございます。それからいまお話しの放医研――これは千葉県の稲毛でございますが、これは科学技術庁の関係でございまして、この点は放射線の専門的な医学研究機関でございまして、主として広島、長崎における原爆放射能の線量測定のことで基礎的なことを御研究願い、御協力、担当していただいております。それからおくれましたが、広島、長崎ともに大学関係は、臨床と基礎研究とが、両方が性格としてできる大学の研究機関でございます。
 それから広島にアメリカのABCCがございますが、このABCCは入院施設を持たない、いわゆる疫学的な患者の影響をずっと長期に、二十四年、二十五年ばかりながめ、今後も二十五年引き続いてながめていきたい、こういうような疫学的な、十万人の患者さんと申しますか、健康状態を把握するためにそういう人を登録しておきまして、そういう人の健康状態がどういうふうに変化していくかということを、定期的に来ていただいて検査するというような疫学調査が主たる調査でございます。そのABCCに厚生省関係の予研の支所がつくられておりまして、ここには長崎、広島を含めまして、わずか三十四名程度のいわゆるわが国の予算による職員が配置されております。それからABCCにも、もちろん日本人がたくさん働いておりますが、これは身分、給与はアメリカの原子力委員会からの支出になっております。
 もう一つ、医療の面では、長崎、広島ともに、日本赤十字の病院が原爆病院としてこれの患者の収容、治療に当たるほか、長崎市あるいは広島市等の市民病院、一般の病院等につきましても治療の面で御協力をいただく。それから医師会その他の診療機関におきましても、たとえば在宅で死亡する場合でも、原爆被爆者であるならば、やはり人体への影響を御遺族等の了解を得て解剖するというようなことについて、地域の医師会全体がやはり原爆の医療の研究に協力をいただいておる、こういうようなのが、非常に概略でございますけれども研究の実態でございます。
 ただ、この問題で、従来ばらばらではないかという点が一番御指摘を受けている点でございますので、われわれとしては、つい先ごろ、これら関係者の研究協議会を、第一回を持ちまして、今後予算要求にしても研究内容の推進にしても、ひとつお互いに連絡をとりながら十分進める必要があるじゃないか、こういうことで協議会を必要の都度開催して、そうして、これらの資料がばらばらに取り扱われることのないように配慮してまいりたい、
  〔理事鹿島俊雄君退席、委員長着席〕
こういうようなのが研究開発と、私のほうのこれに関与している概要でございます。
#45
○藤原道子君 それではこれだけのものが、いままでは全然別個でやっていたわけですね。私どもそれを聞いていたからけしからぬと、やっと二十五、六年たって協議会が持たれた、ちょっと納得
 いかないけれども、できたならば、そこでお互いの研究を持ち寄って、いい方針が打ち出されますように心から期待しております。
  ABCCの問題が出ましたけれども、多くの日本人の中には、ABCCは、日本に初めて原爆を落としたのですから、その結果をあれするために日本人を試験台にしているのだ。研究の結果は、成果はほとんど本国へ持ち帰って、高度な点はあまり明らかにされてないというようなことを言っている人も多いわけです。すべて米国へ持ち帰っていると言われておりますが、その点は明らかにしていただきたいと思います。
#46
○政府委員(滝沢正君) この点については、ABCCが発足当時多分に御批判もあり、また、疑念も持たれるのも無理からぬ実態があったわけでございます。ということは、研究が必ずしも公表されないという実態がございまして、その後、日本政府としても、予研を通じましてこの点について、研究はすべて両国の協議のもとに協議書を取りかわし、その結果に基づいて研究を実施し、その結果は公表する、したがって、現在におきましては、ABCCの研究は一切秘密はございませんで、全部学会に公表され、全国の、全世界の図書館その他に資料は配布しておりますし、予研の日本人職員が参画しておる点からも、そのような点について研究の秘密があるという実態は、われわれはいまや懸念はないものというふうに考えております。したがいまして、先回の委員会でもいろいろ御意見がございましたように、モルモットではないかというようなことでございますけれども、このような不幸な例ではございますが、原爆を被爆した人体というものが存在する、これを、やはり放射能の影響というものを、将来にわたり原子力の平和利用等を含めて、国民にとりましても、また、全世界の人類にとりましても、放射能の影響というものの基礎研究というものは非常に重要なことでございますので、むしろ、これからが、いままでの二十五年よりも、あの十歳以下の被爆を受けた人たちが成年期を過ぎて老齢期に入っていく、この二十五年以上の今後の観察というものこそ、これから重要な課題であるということが学問的にも正しいというふうに考えますので、そういう御批判のないような仕組みを十分とりながら、ABCCの研究というものは、今後両国協力して続ける必要があるというふうに考えておりまして、ABCCについても国内の諮問委員会がございまして、わが国の学者の方がアメリカ人の所長の諮問に答えて、いろいろ協議して進めるようになっておりますので、スタート当時の様相とは現状は全然違う実態として研究が進められておると私は信じております。
#47
○藤原道子君 発足以来、最初はずっとそうだったんですが、いつごろからそういうふうになったのですか。ところが、日本人は、あらゆる、政治家でも、学者でも、一般人でも、どうもアメリカに弱いのですよね。施設さえできれば、協議会というものさえできればだいじょうぶだというようなことでは納得がまだできない。相当主張しなければなかなか真実は得られないと思うのです。いつごろこれはできたのですか。
#48
○政府委員(滝沢正君) 大きな間違いはないと思いますが、私の従来この問題について記憶しておるところは、三十五年、いまのダーリングという所長が赴任以来――その前から準備が整い、赴任以来、明快に協議書を取りかわした上で研究を公表するという手続その他、従来、いろいろ御批判がありました点を全部改め、それからアメリカに行っておりました資料も全部こちらに返してもらい、特定の一部の問題がまだ残っておりますけれども、お返し願うということも実現いたしまして、三十五年以降はこの点については明朗な研究機関になっておる、こういうふうに理解しております。
#49
○藤原道子君 私は、よほどしっかりしていただかなければ、協議会ができたからというだけで安心はできない。強くこの点を主張いたしまして、あなた方の今後の御努力を期待しております。
 そこで実態調査でございますが、原爆被爆者の実態調査は完了しておると聞きますが、その概要もお伺いしたい。
#50
○政府委員(滝沢正君) 原爆被爆者の実態調査につきましては、この前の国会のときも附帯決議等でこの問題が取り扱われまして、入院患者の調査だけが当時残っておったという実態でございまして、今日の段階では、これも手元にございますが、刷りものにして公表してございます。そういう意味で完了いたしております。
#51
○藤原道子君 じゃ、原爆被爆者の死没者及びその遺族に関する調査も終わっておりますか。広島、長崎原爆死亡者数はまちまちであるけれども、公式な実数はどの程度になっておりますか。それから遺族の実数、遺族の実態調査。引き続き死没者数、遺族等の実態調査を行なうべきではないかと思いますけれども、この点はどうなっておりますか。
#52
○政府委員(滝沢正君) この死没者の数につきましては、結論を申しますと、わが国の数字として国外に報告された、日本政府を通じてGHQから報告されたものは、死亡が広島の場合九万二千となっておりまして、長崎は四万九千、約五万でございます。そのほかにも、当時の知事が報告した死亡者数が約四万六千、あるいは広島県の警察本部の発表によるものが約十万と、いろいろ数字の上に死没者の数字が差がございます。しかしながらこの死没というものを、その爆弾が破裂した、その瞬時一時間以内とか、あるいは一日以内、その日だけの死亡者というふうに限定することが非常にむずかしい。また、その翌日、あるいは一カ月以内ということで影響を受けた死没者が出ておるわけでございます。この点について死没者数というものの定義を、時期をいつにして死没者というものをつかむかということが非常に実態としては困難な問題がございます。
 それから、したがって遺族の問題につきましても、この四十年に行ないました実態調査では把握いたしておりません。しかしながら現地におきまして広島大学あるいはNHKの広島の厚生文化事業団等が広島市内の復元調査というものを実施、着手いたしたのでございまして、これに着目いたしまして、われわれは四十五年からこれに国の補助金を出しております。要するに、広島市内の各町内会ごとに被爆当時の町の様子を復元しよう、そうしてそういう地図をつくると、そうすれば、そこにだれが住んでおって、何名で、いまどうなっている。こういうことをたいへんな御努力によっていま復元地図がつくられておりまして、これに約四百万の国からの補助金が出、広島市当局の予算と合わせまして復元調査を実施いたしております。これが私はこの遺族ないしは死没の状況を、もう一ぺん別の面から把握できる機会ではなかろうかというふうに思っておりますが、大体四十七年度で完成いたす予定になっておりますが、どうも実態を聞きますともう一年くらいかかるということでございますので、当初三年計画があるいは四年になるかもしれませんが、これによりましてかなり遺族並びに死没者の別の面からの、当時の公表された数字と違う意味でまた把握できはしないか、こういう期待を持っておるわけでございます。
#53
○藤原道子君 私は、いろいろ御答弁がございますけれども、なかなかむずかしいと思う。
 先日広島の似島ですか、似島の原爆者遺体発掘の問題、びっくりいたしました。似島は広島からもう見える近さで、沖合い四キロくらいの島だそうですね。当時陸軍検疫所があったので、被爆者が半死半生で、八月六日船で運ばれた。しかし次次と死んでいく。最初は焼いて埋葬したが、しまいには横町にざんごん状の穴を掘って埋めた。広島市では昭和三十年までは市民から死体が埋まっているらしいとの連絡があれば掘っていた。なければ掘らない。昭和三十年をもって遺体発掘作業は完了と決定した、原爆史にもその旨を書いております。ところが似島の住民も三十年までに何度か遺体があるらしいと市に連絡をしてきたそうでございますが、ところが四十六年に護岸工事のために小学校の校庭のすみを掘ったところが骨が出てきた。大騒ぎになった。十月十日に最初の骨が出て以来、十一月中旬までに市の作業班が掘った二十五日間に七百十六体が発掘されたというのです。これはね、そこに検疫所があって、それで被災者を船で運んだんですということがわかっているのに、終戦後それを放置していた、これはどういうわけですか。おかしいじゃありませんか。もし、小学校の校庭をやり直しのために掘らなかったならば、この遺体は永久にそのままになってしまっていた。子供たちは遺体が埋まっている上で運動もすればいろいろなことをしていた。子供が受けたショックは想像以上のものだということの報告を私は聞きました。
 私が納得いかないのは、被爆者を八月六日に船で運んだことが明らかなんです。幾ら終戦後の混乱があったとはいいながら、それをいままで放置していたという、これは何としても納得がいかないのです。というようなことからくれば、それは死没者あるいは遺族の実態がわかるはずないじゃありませんか。どうお考えでございますか。
#54
○政府委員(滝沢正君) この似島の当時新聞記事が出ましたときも、われわれとしてはさっそく現地の広島市にいろいろの実態を教えていただいたわけでございますが、内容は、いま先生のおっしゃるとおりでございます。
 この問題につきましては、まあ、非常に平たい、率直な申し上げ方を差し許していただくならば、当時やはり関係者が、実際にそこにその死体を運び、処理した関係者は、おそらく軍の関係等であって、その後散逸して、いわゆる広島市民あるいは広島市当局の関係者であるということがほとんどなかったと。ただ、似島の町民の方で、そのままそこにいた方で、この問題について積極的に、ああいう実態があったのを放置しておくのはおかしいということの御発言でもあれば、あるいはもっと早くこの問題が処理できたかもしれません。ただ、周囲がそのまま放置された実態で、当時、どういうふうにしてその患者が運ばれ、続々と死亡し、それの火葬が行なわれた実態というのは、先生のいまのお話の、われわれの承知している範囲でもお話のとおりでございまして、当時、防空壕等を利用して、そこに埋葬したというような実態も一部報告されております。
 そういう意味で、今回の学校の校庭の工事を契機にこれが発見されたということになりますと、先ほど私も別の角度から申し上げたように、死没者の把握というものは非常に困難だという先生のおことばをさらに強く印象づけるわけでございまして、この点につきましては、現地の広島市においても、今後ともこのような関心が市民の中から強まって、そうして当時の情報が市当局にもたらされれば、確実であれば、それに応じた遺骨の発掘作業等を続けたいと思いますが、いまのところ、これ以外の場所について積極的に調査してみても情報が得られないから、現状においては、まあ、このような契機はまずかったかもしれませんけれども、一応、この地帯の処理は終わったと。したがって、今後の問題については、積極的な情報が受理できれば、市当局としては、やはり終わらない姿を終わらせる方向に努力したい、こういうことを申しておるわけでございます。
#55
○藤原道子君 私はね、軍が言わなかったといっても、そのときどういう状態であったかということを、十分軍に対しても、そこにいた責任者等に対しても、聞くような方法があったら、私はこんなばかなことはなかったと思う。こういう記事を見るたびに、遺族の受けるショックというものはどれだけ大きいものかということを肝に銘じていただきたいと思うんです。
 それで、私は、この問題につきましてNHKで取り上げました。それで伺うんですけれども、印鑑や指輪というのが見つかって、世田谷の友田よう子さんの母親ということが判明した。女学生の定期で、当時、女学校二年生だったことをおねえさんが証言したというようなことで、二人の遺体がわかった。ところが、あとは全然わからない。その後、何かうわさが出れば努力しますと言うけれども、もしも御記憶があったらぜひお申し出くださいというような宣伝というか、指導というようなことをしておいでになりますか。
#56
○政府委員(滝沢正君) この点につきましても、先生がその他の地域の問題についての御意見等もございますし、われわれとしても、当然のことながら、当時、その他について、このような実態があるかどうか確かめたわけでございますけれども、その点については、先ほども申し上げましたように、一応、情報が確認できるものが出たらやりたい。ただ、この点について、一部、東洋工業の工場等の周辺にそういううわさがあって、これは当時の看護婦さんあるいは医師の従事者等に意見を求めたところ、確実な情報が得られなかったために、この辺の発掘は見送っておるという事実が一部報告されておりますので、どの程度積極的に市民にそのような問題を訴えているかという実態は、必ずしも私明確にしておりませんが、一例としては、そういうような情報があったものについては確認の努力をして、そうして確認できないので、現在、発掘作業をする決心をしていない。
 こういう事例を受けておりますので、市当局としても相当の決意でこの問題に取り組んでおると私は理解をしております。
#57
○藤原道子君 広島市は、似島の件で、発掘作業は一切終了したと言っているんです。ところが、最近、大那沙美島というんですか、広島の沖の。たしか八月六日に被爆者が多数運ばれたといううわさが出ている。あるいは宇品の東洋工業の車庫になっているところに被爆者が運ばれたという住民の説もあるやに私は聞いております。ということになれば、そういう説があるならば、アメリカあたりは、たった一人の生死がわからなくても、国をあげて、その結末まで努力するというようなやり方をしておいでになる。ところが、世界で初めて受けた原爆の被爆者が、それが二十何年も遺体が放置された上で、いままた大那沙美島にも八月六日に被爆者が運ばれた、あるいは宇品の東洋工業の車庫になっているところにも被爆者が運ばれたという住民の説がある。だから、もしできるならば、広島なら広島の回覧板というんですか、町内会で出しているそういうものででも、もしもあなた方のほうへ情報があったら知らせてほしいというようなことを出させるようにしたらどうでしょう。住民はね、政治に関連したり、あるいはこういうことに発言することをちゅうちょする傾向がある。そういうことからいっても、これは重大なことでございますから、大那沙美島とかあるいは宇品の問題とかというようなものは、とりあえずどういうところから出た情報かというようなこともお調べになって、もし、一体でも遺体があるならば、私は処理をしてほしい。さらに詳しいことは、また御連絡くださいと言っている人もありますので、私ももう少し健康がよくなったら行ってみたいと思っておりますけれども、とにかく、こういうことがどれだけ国民に大きなショックを与えたかということをお考えになって、よりよい方向――少々金がかかっても、金で買えない犠牲者の問題でございますから、この点は十分御努力が願いたい。大臣、いかがでございますか。
#58
○国務大臣(斎藤昇君) 県市当局とよく連絡をいたしまして、そういった遺体が人知れず埋められているというようなことのないように、一つ配慮をいたしたいと存じます。
#59
○政府委員(滝沢正君) 具体的な手続として、来たる十九日に、現地の広島からお集まり願います審議会がございますので、先生の御趣旨をさっそく相談して、現地の実態、お考えを確めた上で、国会で御審議があったということをお伝えして、最大の努力をしていただこうと思っております。
#60
○藤原道子君 いろいろ伺おうと思って、衆議院の官報なんかも、速記録なんかも持ってきたけれども、時間がそろそろ来るようですから、最後に、静岡県に被爆者が約六百名いるんですってね。そのほとんどが軍人なんです。それで、やはり被爆者援護協会というんですか、というのができておりますが、ほとんど軍人さんだそうです。六百人いる。それで、内部疾患患者が多いそうです。肝臓とか何とか内部疾患が多い。そこで、せめて障害年金のようなものがいただけないものだろうかと。つまり、軍人だからほとんど何ら手当も何もしてもらえない、こういうようなことをきのう電話でありました。それから、身体障害者並みの扱い、つまり交通事故者並みに交通費とかなんとかいうような点についても御配慮が願えんだろうか。それから、医療法を年二回の検診というようにしていただいて――私たちも年二回の検診を受けたい。それは内部疾患というのは表にあらわれませんけれども、本人にすれば非常に心配ですよね。それから、二年に一回ぐらいはそれこそ精密検査をしていただけないだろうか。日常の不安を救ってほしい、こういうふうな陳情がございましたけれども、軍人のというと静岡県から向こうへ、現地へ駐在していたらしいのですね。ですから、六百名の被爆者のほとんどが軍人だというのです。ところが、その軍人の被爆者に対してはきょうまでどういうふうな扱いをしておいでになるかということをお伺いしたい。
#61
○政府委員(滝沢正君) 軍人の被爆者といえども当時の被爆の状況に応じて特別手帳なり、条件がよくて特別被爆者になる条件でない方は一般被爆手帳、これによって健康診断が年二回、それから必要に応じて精密検診も受けられるようになっております。それから、軍人の方で、特にあの八月六日の日の三日以内に広島市内の爆心地から二キロ以内に入市した人については特別被爆者の手帳を与えられる条件にもなっておりますので、要するに、広島以外の部隊におられた方でも当時応援のために広島におもむいた方は、軍人といえども被爆者の対象になるわけでございますから、結論を申しますと静岡の実態は静岡県もつかんでおりますから、この点について御要望に沿える準備が制度上はあるはずでございますが、あるいはそのうちの何人かがどういう条件でこういう制度にのらないか、その辺のところはその実態を調べることをお約束して、結果についてまた御報告したい、こういうふうに考えております。
#62
○藤原道子君 私も、電話のことでございましたから、あまり詳しいあれはよくわかりませんけれども、とにかく、六百人近い人がいるということでございますので、さっそく調査をしていただいて、軍人であっても一般人であっても被爆者の悩みは同じでございます。こういう点から十分御調査の上、期待に沿えるような方針をとっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#63
○政府委員(滝沢正君) 先ほど御質問の中で、私のほうから一つ明確でなかった点は、公務であった場合は戦傷病者の特別援護法による医療給付があり得るということがもう一つございますから、よく県と相談いたしまして、実態を調べまして、どちらでどう取り扱う条件の方がどういうふうにおられるか、この辺を調べたいと思います。
#64
○藤原道子君 ちょうど時間になりましたので、質問を打ち切りたいと思いますが、とにかく、被爆者の心境を考え、それで二世の不安ですか、こういうことも十分お考えになって、通り一ぺんでなしに答弁さえすればいいというのじゃなしに、真剣に対策を立てていただいて、ぬぐい去れない苦痛であろうとも、少しでも安心が与えられるような方向をとっていただきたい。
 それで、重ねて申し上げますけれども、やはり保険からはずして公費負担にしてほしい、それから所得制限ですか、これはあくまで撤廃してほしい、これを強く要望いたします。と同時に、広島の件につきましては、こういう記事も見て、テレビも見てびっくりしたわけでございますので、そういううわさがある以上は政府は責任を持って調査をしていただきたいということを強く要望いたしまして、最後に大臣の御決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#65
○国務大臣(斎藤昇君) 御要望の数々はまことにごもっともだと思いまするので、しかと御要望の点は胸に踏まえまして実現に努力をいたしたいと思います。
#66
○小笠原貞子君 私事になりますけれども、私は二代目のキリスト教の信者でした。私の主人のほうは三代目のキリスト教の信者でした。そして牧師さんや神学者をおじや、いとこに持って、そしてほんとうにキリスト教の立場で世の中を平和にしたい、神の国をこの世の中につくりたいというのが、私が運動に参加した初めでございます。そして、キリスト教なものですから、アメリカのミッションや諸外国のミッションとの関係もたいへん深うございました。しかし戦争が済みまして、そして戦争というものが一体なぜ起こったのかということがわかったとき、そして曲がりなりにもサンフランシスコ条約で日本が独立をいたしまして、そしてそのときに私が一番ショックを受けたのはアサヒグラフで原爆の写真集が出されたときでございます。広島が原爆でやられたときにわれわれは特殊爆弾ということばで実態はわかりませんでした。しかし、ニュースの関係の者はすぐそれを写してちゃんとフィルムを持っておりました。しかしそのフィルムもGHQにみんな押えられてしまった、だからわれわれが広島の原爆というものを初めてこの目で実態を見るということが全国的にできたのは残念ながらカッコつきの講和・独立のあとだったわけです。そのときに、私どもはほんとうにこれは一体どういうことなんだろう、これはほんとうに許せないことだ、これはもういろいろな考え方の違いはあっても、こういう原爆というものを落としたアメリカはまさに国際法的にも戦争責任は問われるべきだということを感じましたし、これによって、写真のときに一番ショックを受けましたのが一瞬にして住友銀行のあの石段にからだが焼きついて影にだけ残った。そのような実態を見て私はショックを受けたときに考えましたことは、これで死ねた人はしあわせだったのだなと、そのとき思いました。一瞬で死ねた、しかしそのあと一体どうなったのだろう。私は、だから、そのときから平和運動に私の人生を使おうと思いましたし、だから広島や長崎のたくさんの被爆者ともいまもずっと続いて親友としておつき合いをしております。そして、その人たちと毎年毎年お互いにつらいときには手紙で励まし合いながらいまもやってきておりますけれども、いまだに、その人たちの悩みというのが解消されない。私はそのことを考えたとき、何とかして一日も早く戦後を、ほんとうに、沖繩復帰なくして戦後はあり得ないと言われたならば、この原爆の患者さんたちが、せめて安心して暮していけるような、そういう処置がなされない限りほんとうの日本の戦後ということはあり得ないと、こう考えているわけなんです。このごろいろいろニュースを見たり、そして、その友だちや何かからのニュースを聞いたりいたしましてもだんだんその被災者が老齢化してまいります。ただでさえも病気がちな老齢化した被爆者の問題、それからまた二世の問題、そしてまた、壮年でありながらやはり被爆しているために健康に自信がなくて死んでいくという人たちの例がもうほんとうに、時間がなくてあげることができないのですけれども非常にたくさん出されてまいりました。また、やがて八月六日、九日がやってまいります。私がその日に一番つらいのは、その原爆の記念日を記念して自殺してしまうという人が、ことしもまた必ず出てくるのじゃないだろうか、私はせめてことしの原爆記念日にはそういう被災者の、被爆者の自殺がないように何とか御配慮をしていただきたいということを考えるわけなんです。
 それで、質問に入るわけですけれども、私は、そういう方々を考えたときに一体これの責任はだれにあるのだろうか、本人なんだろうか、またこの人たちを救わなければならない、援護の手を差し伸べなければならないのは一体どこの責任なんだろう、このことをまず大臣からお伺いしたいと思います。
#67
○国務大臣(斎藤昇君) こういう方々の苦痛を少しでも少なくし、また、治療その他いまおっしゃいました二世の問題にいたしましても、これは、考えるのは、国の責任だと思います。
#68
○小笠原貞子君 ほんとうにそうだと思います。確かに国際法違反の、あの原爆を投下した、当然これは国の責任以前にアメリカが責任をとらなければならないのを、サンフランシスコ条約でこれを放棄した以上は、やはり国の責任だろうと、まあ、大臣もそういう立場で国の責任だと言われたので、私はそれをたいへん当然のことだと思いながら、次の質問に入っていきたいと思うわけですけれども、被爆二世の問題なんですけれども、この前の衆議院で寺前議員が同じように被爆二世の問題について質問いたしました。また、いま藤原委員からもその問題をお話しになりました。この前も出ましたけれども、京都の被爆者にアンケートを出したら、二百六十六名の子供さんの健康診断をぜひやってほしいという切実な声が出ているわけなんですね。先ほどからいろいろ滝沢さんのほうから御答弁がございましたけれども、非常に困難だということはわかるわけですけれども、じゃ、その困難に対して政府として一体どういうふうに対処していこうかと、じゃ、今後努力しますと、いろいろと研究、調査というものも進めてきておりますということを言われておるわけなんですけれども、先ほどから伺っておりますと、まず、被爆二世の数もつかめない、状態もつかめないというような問題もございますね。そういう問題があって、そしてどういうふうに調査、研究をするというふうなことが考えられるのか、具体的にその問題をまずお伺いしたいと思います。
#69
○政府委員(滝沢正君) 確かに二世の問題については、京都の調査も私手元にございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろ結果は出ます。出ますけれども、やはり現地におきましても放射能の影響が二世にどうあるかは、この調査だけではわからないという御意見が付せられておりますし、また山口大学の社会学的な調査についても先ほどちょっとございましたが、いま手持ちの資料から見ますと、最終的にやはり研究担当者もこれが遺伝の影響なのか、環境の影響なのか、要するに、被爆者の社会学的な調査の実態についても、まあ、いろいろ御見解があるようでございます。いまお尋ねの数をつかむ、あるいは状況をつかむ、これも確かに必要なことでございますが、私たちは、先ほど来申し上げておりますことは、何を医学的尺度にして、二世の方の健康に問題があるかをつかむか、方法論を見出さずして、二世の方の健康問題を論ずることは、ただいたずらに不安を与えるような結果になる、あるいは不満な結果を与えるようになりはしないのか。そこで、状況の把握とは何を通じて状況を把握すべきなのか、数をつかむことは、これはある程度、私はその条件設定をやりますれば、国政調査ないしは実態調査で数の把握は可能だと思います。ただ、国民感情から一部にございますような、二世ということを率直に表現することを避けたいという人もないというわけではないということを聞いておりますので、このような調査というものが、先ほどの三十三万の被爆者の登録の状況からいけば、二人、三人子供があるだろうから、百万に近いだろうというような数字の話だけにいまのところ終わりまして、この数の把握そのものが、どういう方法で、どうすれば実態が推計できるか、こういう問題についても、私たちは、必ずしも現状で確信のある考え方を持つわけではございません。いろいろ福祉部会等もできますし、将来の実態調査に向かって検討を始めたい、こういうふうな現状でございます。
#70
○小笠原貞子君 これは医学的に確かに究明していただかなければならない問題で、私はそれを否定するわけではないんです。しかし、一体いつになったらそれがわかるかというめどがございますか。むずかしいでございましょう。
#71
○政府委員(滝沢正君) この点について、従来細胞学的に白血球の培養をしまして、二世の方の染色体の異常な発生率が、従来調べられている被爆者二世でない一般の方の、そのような発生率との比較論という、要するに、細胞培養方法論というものは、時間はかかりますけれども、時間と費用をかければ、かなり広範にできる可能性があります。しかし、かなり非能率的でございますが、最近、外国で開発されつつある血液の血清たん白で、非常に微量の血液で高度の分析が幾種類も、科学検査の結果が短時間で集団的に出せる方法論が開発されて、それを使ってのABCCの血液からの遺伝的要素の発見の研究というものが可能になってまいりましたので、私はそんなに、その結果がイエスと出るかノーと出るかという結果の問題はともかくとして、この研究そのものが、ある程度めどをつけることはそう時間がかからないんではなかろうか。そうして、それが二世の健康問題の把握に使えるか使えないかは結果によるのでございまして、その考え方が出るのは、そう五年も十年もかかる問題ではない、こういうふうに考えております。
#72
○小笠原貞子君 確かに一日も早くその結果が出てほしいと思います。しかし、現実に二世を持っております親の身にいたしますと、その結果がどういう方法でやったらいいのかというのがわからないからということは、親にとっては問題じゃないんです。やっぱり自分の子供が、こういうふうな、けがをしても血がとまらないとか、よく吐くとか、寝汗をかいちゃって普通の子供よりも病気がいつでも長引くとか、そういう一般状態の中から、いつでも自分の子供は私が被爆したために影響が出ているんじゃないかということで、たまらない気がするわけなんでございますね。そうしますと、その親にとってみれば、やはり被爆者であるということが知られるのはいやだという以前に、子供のためにやっぱり子供の健康診断をしてほしいという親心につながっているわけでございます。そういうような要望から、現在まで、北海道、これはことしの六月に実施の予定になっておりますけれども、対象者は百名でございます。それから予算は十七万八千円という、たいへん苦しい中なのでわずかの予算でございますけれども、希望者が百人おりまして、その希望に従って実態を、二世の実態調査、まあ、健康診断をするということがこの六月に行なわれるようになっておりますし、それから京都の場合にも、昨年度受診者は百五名いたしました。希望者は二百六十六名おります。それから川崎でもこれは実施をしていると、こういうように、やはりその子供を持った親にとってみれば、やはりまず安心したい。もういつも何かあれば、私が被爆したためではないかというので、親にとってはたまらないわけです。そういう立場から、こういうふうに実態調査を始めたということは私はたいへんいいことではないかと、それによって、またいろいろと今後の方針を出すお役にも立つんじゃないかと、そう思うわけなんです。そうしますと、こういうことをしますのにも非常にやはりお金の問題も関係してまいります。非常に散らばっておりますので、診断するところまで出てこなければならない。その費用がかかるとか、それからまた普通の日にされると、やはり共働ぎなんかしている場合には連れていきにくいというような、たくさんの問題がここで出てきて困っているということになるわけなんですね。私は、先ほど、そのためにも伺ったんですけれども、大臣がやはり、これは国の責任だとおっしゃったように、国の責任、これは一つの自治体としてもやっていく、自治体ももちろん協力してほしいけれども、国としても、こういう問題をやっぱり考えてほしい。いままでは希望がないのにそういうことをすると、いたずらに不安を起こすという御答弁でございましたけれども、希望があって、診断をして安心もしたいし、いろいろ今後も注意したいというような希望があるという、この切実な希望に対して、こういうことをやっている自治体のやり方は、私は、たいへん進んだやり方だと思うんですけれども、大臣そういうことをどうお思いになっていただけるかどうか。またそういうことについての希望があるならば、安心できるようにしてあげようというあたたかい政治の立場に立っていただけるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#73
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、前にもこちらで申し上げたことがあるかどうかわかりませんが、まあ、いたずらに二世の方に不安を与えるということは学問的な結果が出ないうちにどうであろうかという政治判断をいたしておりましたので、しかしいまおっしゃるようにぜひ健康診断をしてほしいというような希望が非常に多い、その声にこたえて地方でもぼつぼつやっておられるということでもございますから、そういう事態に対して国は費用をどう見るかということを考えてみたいと、かように考えます。
#74
○小笠原貞子君 具体的に考えていただけるというのはどういうふうに考えていただけるのでしょうか、時期的な問題や内容について。
#75
○国務大臣(斎藤昇君) これは予算的にまずそういうことが考えられるかどうか、まあ、考える方向で検討をしてみたいと、かように考えております。
#76
○小笠原貞子君 それじゃ、ぜひそういうふうに御検討いただきたいと思いますので、お願いをいたします。
 それから一体この遺伝子、染色体にいろいろ異常があるというのは、もうすでにABCC自身も言っているし、学会としてもこれは通説になっているわけです。ただ、遺伝するかどうか、その染色体の異常が直接二世になって被爆者になるかどうか、ここのところがたいへんむずかしいという、こういうようなお話でございました。そこで、結論が出ないということは絶対にそういう関係はないとも言えないということでございますよね、言えないということは。私もいろいろ調べまして、ABCCが一番調査もしているというのでいろいろその資料を出して見たわけなんですけれども、これは一九六七年に「原爆被爆者子孫における白血病ABCC業績報告書3−67」、これで見ましても「調査例数が小さいので、有意差が認められないことは実際に相当大きな差が存在する場合と矛盾しないか、あるいはその否定的結論を支持するための例数が十分であるかどうかを検討する必要がある。」と、こういうふうにもまた言ってますし、また要約されたところでは「放射線の影響が認められなかったということは、その影響がないということにはならない。それはただ、これまで観察できた範囲内では影響が認められなかったというにすぎない。」と、こういうふうに出ているわけなんですね。つまり、わからないということは関係があるということにもまたつながってくるわけでございます。で、先ほど藤原委員のほうから出されましたけれども、山口大でも被爆二世でざっと四人に一人の割合で出ているとかいろいろな例証も出ているわけなんでございますね。そういうふうなことを考えますと、やはり絶無でないと言い切れないわけですね。絶無でないと言い切れなければ、そこに何人かの犠牲というのは必ず出てくるということは当然のことでございますよね。そういう当然のことに対して、やはり公害なんかでも同じなんだけれども、疑わしきは罰すという、疑わしきはやはりそれに手厚い保護をしなければならないという形で先ほども補助ということをお願いしたわけなんです。そうするためにも、やはり実態がつかめませんとたいへん困難な仕事になると思うわけなんです。いままで国勢調査のときに被爆者の実態調査というのをやっていただいておりましたけれども、やはりこの際、二世の調査ということもやって医学的にも究明するという必要もございますし、私はそういうことをやる必要があるのじゃないか、やっていただきたいということを考えるわけですけれども、その点どういうふうに考えていらっしゃいますか。
#77
○政府委員(滝沢正君) 先生おっしゃるように、先ほども私一部触れましたように、遺伝の問題については、一世といいますか、F1−俗に二世のところに出ていないからといって、それですべてが問題ないという考え方は学問的にとりません、したがってABCCの論文等はすべてそういう断定を下さない。将来にわたって。したがって、将来先生のおっしゃるように、やはり肯定的な部分というところは残っているだろう。こういうことでございますが、したがって、私は、研究として進めることについてはですが、これを制度的に実施することについて、やはりどういう問題点を把握したら、それを予知したものとし、その健康をケアするために使うかと、こういう方法論の先を考えましたときに、やはりこの検診については、もう少し研究の成果を踏まえたもので制度化は考えたい。ただ、その実態の調査につきましては、国勢調査が四十年に原爆被爆者としての独自の実態調査をいたしました。それから四十五年には、国勢調査に関連して、お願いして調査をいたしました。これは、まあざっと言って被爆者のただ数を調べただけでございます。五十年の国勢調査は総理府統計局がコンピューターを利用するようになりましたので、その処理のしかたに変化がまいりましたから、あるいはプラスアルファのいろいろ要望にこたえていただけるかもしれませんが、私は国勢調査で知り得る要素としては限界があるのじゃないかと思っております。で、二世といいますか、要するに、被爆の両親あるいは片親、こういう条件を設定しまして、その方の子供が何人というような、国勢調査的に可能な要素のものがあれば導入できるのじゃないか。この点は十分検討いたしたいと思っております。
 それから、むしろ四十年にやりましたような原爆独自の実態調査をぜひとも五十年にやりたいという心組みで、四十九年はパイロットテスト、五十年には本調査というような順序を踏みたいと考えております。この際に、二世の姿をどういうふうにとらえるか、この点はいままで御議論申し上げてまいりましたような要素を、部会等が設定されますから、そこの専門家の御意見も聞き、統計処理の可能性を見出して、あるいは抽出調査による健康状態の把握というようなことも可能であれば十分検討いたしたい、こういうふうに考えております。
#78
○小笠原貞子君 それでは、そういう検討をして二世の調査というものも具体的にやっていただけるというように考えてよろしゅうございますね。
#79
○政府委員(滝沢正君) 二世の調査の可能性というものについて専門家の御意見を聞いて国勢調査でやる部分というものには限界があるのじゃないか。したがって、独自の調査で、しかも二世の問題がどこまで調査が可能であるか、この点を検討いたしたいということでございます。
#80
○小笠原貞子君 国勢調査にこだわっているわけじゃなくて、実態を調査して、そうして、その二世の方たちのほんとうに健康を守れるような、そういうための調査をしていただきたいということでございますので、そういう意味で御検討をお願いしたいと思います。
 それでは次に、健康診断の問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、先ほど、中年の方で自殺をされる方が多いということをちょっと申しましたけれども、ほんとうに四十歳代で自殺する方が多いのですね。それで被爆者で、そうして健康診断してもらったと、しかし、一般検診なものだから、いや、たいしたことないですよということで済ましてしまわれるのだと思うのですが、何といったって本人が一番わかっているわけで、からだがだるい、仕事ができないと、外形から見えませんものでね、やれ、なまけ病だとか、どうとかこうとかいうようないろいろな非難の中でとうとう生きる気力を失って死んでいくというようなこともたいへんございます。ですから、被爆者にとって一番切望されていることは、ほんとうの、――ほんとうの言ったらおかしいですけれども、健康診断をしっかりやってほしいというのが希望でございます。で、広島原爆病院の概況なんかも見せてもらったり、ほうぼうの病院を調べてみましたのですが、老齢化しておるという問題からするやはり成人病なんかとか、いろいろな病気とのかね合いがございますですね。そういたしますと、非常にいままでの一般検査の項目では不安だというふうな声がたくさん出ているわけなんです。で、わずかな例だけをきょうは持ってきたわけだけれども、富山なんかで見ますと、血液検査が重点になっている、総合的な精密検査というものがやられていないというのが非常に不満になって統計的にも出てきております。それから東京の、ある病院で原爆の被爆者を担当していらっしゃるお医者さんに行って伺ってみますと、ほんとうにもうちょっと早く来てくだされば打つ手はあったという例が非常に多いということを言われた、こういうことです。そういう患者が、なぜそこまでおくれたかというと、やはり一般検査――、専門医も少ないということのために、指定病院で、たいしたことないですよ、こう言われて、結局手おくれになって来られたという方が、非常に多かったわけなんですね。そこで非常に問題なのは、やはり一般検査というのが、いま視診、問診とか、外から見るのと、血沈検査、血球数、血色素、血圧、尿、ふん便検査というのが一般、あとずっとありますね。これがもう一般と精密というのがくっついてきて、一般というのでは診断ができないという不安を私は感じたわけなんです。これで四十五年の資料をもらってきたのですけれども、東京の指定病院、ずっと――、都立の荏原病院、大久保病院、大塚病院、駒込病院、墨東病院、豊島病院、広尾病院。それから国立の東大病院、東一病院、立川病院、がんセンター、日赤中央病院や武蔵野日赤病院、大森日赤病院。それから町田市立病院、都南総合病院、昭和医大病院、慈恵医大病院、代々木病院というような病院。それから中野共立病院とか、河北病院とか小豆沢病院、西新井病院、木下病院、四ツ木病院と、指定病児をずっと調べてもらったのですが、一体どのくらいの検査のときに、一般検査と、精密検査というのをやっているか。そこで見て、わっと思ったことは、一般検査、これは都立の大久保病院で見ますと、一般検査を百七十五件やっているのですけれども、精密検査は一件もないんですね。それが荏原ですが、都立の、さっき言いましたように、一、二、三、四、五、六、七、都立の七つの病院は、もう何百という一般検査をやっても、精密検査に入っているものは一つもないということが特徴でございました。日赤も、たとえば武蔵野日赤は百六やっても一つもやってない、こういう特徴なんですね。で、やっているところが、たとえば国立の東大は七十六の一般検査をやって、それから精密に回ったのが三件なんです。それから今度がんセンターでは、十九人一般検査をやって、十九人とも精密検査へ行っているのですね。そこのところ、ちょっと考えていただきたいのです。がんセンターでは十九人一般やって、十九人そのままもう精密やっているわけなんです。それから代々木病院と中野共立病院、ここも一般は全部精密をやっている、こういうふうに非常に差が出てくるわけなんですね。だから、全然一般でだいじょうぶだと言って、精密一つもないということは、私はあり得ないのですね、私のしろうとの考えでは。だからこう言われて、何でもないのですと、何百人の人が帰られて、そして、どうもぐあいが悪いと言って精密検査をした。精密検査したとき、先ほど言われたように手おくれが非常に多い、手おくれなんだとお医者さんに言われるような結果になってきたのじゃないかということが考えられるのですけれども、そういうような点、どう考えていらっしゃいますでしょうか。
#81
○政府委員(滝沢正君) たいへんいい問題が提起されたというふうに私、考えておりますが、実は、全国の数字からいきますと、四十三年は一二%程度が精密検診に回っていますが、最近では約一六%にふえて、――精密はそのくらい数字の上ではふえている。これは全国の数字でございますから、いまのような地域的な実態を把握された御意見には答える数字ではございませんし、また、六分の一程度が精密検診に回されているということで事足りるかというと、これはやはり問題があると思います。しかしながら一般検査というものは、からだの状態を判定し得る基礎的な調査でございますから、まずこれをやることによって、さらに精密検診というものの機能を活用して、実施していただくべきだということのほうが、――私、先生の御意見の、前向きにといって、精密全部ということは、医療機関の機能からすればちょっと無理じゃないか。したがって、結論を申し上げますと、御意見のような趣旨を、この原爆被爆者も老齢化してきますし、また重要な点、被爆した者が老齢期に入りますし、健康問題が非常に重要な時期に入りますので、一般検診、精密検査の、このつながりを、予算上の考慮と、また実施する医療機関の考え方を適切に指導してまいりたいというふうに思っております。
 それから一点、収容検査という制度があるのでございまして、この点は、私非常にいい制度であると思っておりますが、この点は、この精密検査の結果、さらに収容してこまかい検査をする人間ドック式の検査であります。これがすでに四百件ほど実績がございます。こういうものも踏まえまして、一般的に健康診断の強化、御意見の趣旨に沿うように、方法論としては、医学的と、医療機関の実態とに合わせて強化してまいりたい、こういうふうに考えております。
#82
○小笠原貞子君 私も、何も全部が全部精密検査までやれということを言っているわけじゃございませんけれども、やはりそこのところに、一般と精密と、こう分けられますと、ちょっと、ここのところでもう一つ調べたいと思っても、そこのところがまた区別があるということで、だからやはりできたら、こんな一般、精密なんという区別はなくて、必要な検査をするというふうに考えていただけないものだろうかというふうに考えたわけなんです。そういうことで、この項目ですね、一般と精密の分けられた項目、これに心配なく、必要だと思ったら十分患者さんの立場に立って精密ができるような、そういう措置をしていただきたいと、こう考えるわけなんですね。全然健康なのに、わざわざ精密まで持っていく必要はないけれども、来たときに一般をやって何ともないと思っても、何でもないですよと患者さんに言って、――そう言われるけれども、私はどうもくたびれがひどくて仕事ができませんと、いろいろ言うと思うのですね。そんなときに、一般のこの検査でだいじょうぶだと言って打ち切るのじゃなくて、やはりそうですが、それじゃもう一つ詳しく調べましょうか、というような調べ方ができるような道を開いていただきたい。具体的にこう行政指導をしていただきたいと思うのですけれども、それはやっていただけますでしょうか。
#83
○政府委員(滝沢正君) 御意見のようなことで、やや現場の先生方には予算的な問題等の考慮は御希望に沿うというような、――患者さんが言うからやると、これはそのとき、そのこと自体に問題はありますけれども、先生の御趣旨のように、自分で感じている健康感というのは本人でなければわかりませんから、ある程度、そういう訴えに対して形式的に流れないように健康診断を変えていくことは、先ほど御答弁申し上げましたような内容を踏まえまして、考え方として私はぜひやっていきたい、こういうふうに考えます。
#84
○小笠原貞子君 その精密検査になかなか行けないというのには、一つには予算的な問題があると思うのですね。精密検査をするのは大体一五%、先ほど一六%と、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、予算的な面では、大体一般が去年はこれぐらいだったから、本年度の精密検査の予算というのは大体一五%程度というふうにお出しになっていらっしゃるわけなんですか。そうじゃございませんか。その辺のところをちょっと教えてください。
#85
○政府委員(滝沢正君) 予算の単価につきましては、医療機関で実施する場合と、一般検診など保健所で実施する場合と、若干利用の費用の関係で違っておりますが、結論は、四十六年度予算に対して四十七年度予算は一二%増でお願いいたしておりまして、精密検査については約三千円、収容検査については一万八千円、一般検査については約千円ということで、これは予算上の数字でございますが。したがって、先生のようなお考えを、予算の今後の要求もあわせまして実行上これを強化していくことは可能でございます。
#86
○小笠原貞子君 その実行上可能ということは、たとえば、そういう患者さんが、医学的に見ましてお医者さんの判断で必要だというときには、そういう調査をやったり、収容の検査をやったりして、請求すればそれは予算として出していただけると、こういうことなんでございますか。
#87
○政府委員(滝沢正君) 健康診断の強化ということで、この単価についてはそれぞれの流れがございますし、内容がございますけれども、単価の増はもちろんのこと、件数の増等もはかりまして、健康診断が、先生おっしゃるように、あまり医療機関なり予算に拘泥した運営でなく、実質、患者さんの健康管理ができるような方向に持っていきたい、こういうふうに思います。
#88
○小笠原貞子君 それじゃ、いまのことなんですけれども、たとえば予算がないから、そんなに精密検査やったらだめだというような、そういうような締めつけなんというのはもししたら、間違いだということで考えてよろしゅうございますね、たいへんくどいようですけれども。
#89
○政府委員(滝沢正君) 一応結論としてはそういう方向に持っていきたいわけでございますが、本年度の予算は一応一つのワクでセットされておりまして、あまりに大きく変動がございますと、予算の処理の上では若干問題がございますので、私は、今後の、まあ、予算要求も間近にきておりますので、そういう要求の方向で前々から検討しておりますことですし、先生の、この問題の取り上げで、御意見もございますし、やはり健康診断の強化を将来の方向で予算要求上、はかって、そうして精密検診というようなものになるべく大ぜいの人が参加できるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
#90
○小笠原貞子君 たいへんそれで安心したわけなんですけど、これは私もう一つ厚生省がちょっと考えて、何とかいい方法ないかと思うのですけれども、結局、何百件一般検査やっても、全然あと精密検査しない、そういう患者さんがあとどうなったのかという追跡検査の調査というものが、こういう病院なんかではどうなっているのかなというのが心配なんですね。忙しくて、待ち時間三時間で、診療三分くらいで、そして、けんもほろろにやられちゃったから、一般検査したら、もうそんな病院行かないということになっちゃってどこかに散らばっちゃっているのですか。それともほんとうにこういうふうに、一般検査で、その後もほんとうにずっとよかったのか、あまりにアンバランスなものですから、この辺のところはどういうふうに考えていったらいいんだろうかというふうに思うんです。何かいいお知恵はありませんか、そちら、専門家でしょう。
#91
○政府委員(滝沢正君) いまの御意見につきましては、確かに医療機関で、一般検査でまあ、ほぼ問題ないとなりますというと、本人もそのまま帰えるということであるかもしれませんが、被爆者の手帳をお持ちの実態がございますので、それにはそのときの検査の結果が書いてございますから、若干医療機関の移動が本人の御都合等でございましても、その被爆者手帳の健康状態の把握されている実態を他の医療機関でも御利用願えれば、それに照らして、変化が出てきているというようなことが把握できますので、やはり、健康の問題は制度上の被爆者手帳を使っているということだけでは完ぺきなのかどうかはいろいろ御意見がありましょうけれども、私は、やはり広島のABCCのような特定な人をずっと制度的に追っかけているところは、ある程度、そこで結果を見てもらっているという実態がございますけれども、一般全国の場合は、本人もやはり健康に対する御注意を、やはりそういう被爆手帳を活用しながら御配慮願うことも必要ではなかろうか、こういうふうに考えております。
#92
○小笠原貞子君 今度調査されるとおっしゃっていましたね、さっき被爆二世の問題を含めて。その調査の中にはやっぱりこういった問題、たとえば病院に行ったときに一体どういうふうに扱われてたいへんよかったとか、もう、その後とっても行く気がしなかったとか、そのために行ったら手おくれになっちゃって、いまこんなにひどくなっているという者とか、そういうふうなこまかいほんとうに内容的なものもいろいろ考えて御検討いただくわけなんですか。
#93
○政府委員(滝沢正君) 今度の実態調査にいま先生が例示されたようなこと、世論的なこと、あるいはアンケート的なことまでやるか、これは、私はやはり相当の国費を使ってやりますので、特に、つかみたいのは健康と生活の状態、それから基本的にいまどういう被爆者が姿で数なり、手帳を持っているか。そういうところに、いまの御意見のような例示は無理かもしれませんが、先生のお気持ちが表現できるような、何か、医療機関の利用がどの程度便利か不便かそういう健康にまつわる問題の範囲は調査したいという気持ちでおりますが、福祉部会へ専門家もお入り願って、実態調査は、これは福祉部会の重要な課題にしてございますから、そこで専門家に検討を願った上で出したいと思います。アンケート、世論的なものは少し無理じゃないかと思います。
#94
○小笠原貞子君 そこまでは、私はたいへんだと思います。けれども、たとえば一項目でも、健康の問題で、あなたの健康を管理するときに、一体何が一番望まれますかというような欄を一つ置いておいてくだされば、もう、こういうふうにしてほしいというような被爆者自身の要望も出てくるわけなんですがね。その福祉部会ですか、いろいろ御検討なさる、その中に、被爆者というのは入れないのですか、入っていますか。
#95
○政府委員(滝沢正君) 衆議院のほうの附帯決議にもございましたように、「被爆関係者」ということで、現実に自身が被爆者である方の現状、重要な社会活動をしておられる広島、長崎等の関係者も入れたい、こういう……
#96
○小笠原貞子君 入れたい……
#97
○政府委員(滝沢正君) 委員の専門委員として入れたい。
#98
○小笠原貞子君 いままでは入らなかったのですか。
#99
○政府委員(滝沢正君) いままでの医療審議会のところにもお医者さん以外の委員も入っていただいておりまして、もちろん自身が被爆者である方もおりますし、また医学、社会学の面で学識経験者の方も入っていただいております。
#100
○小笠原貞子君 そういう意味ではやっぱり本人が一番詳しく、切実な問題を持っていますので、ぜひ被爆者というものを加えまして、意見を取り上げていただきたいと思いますし、それから、被爆者の問題をほんとうに具体的に調査しているのは、被爆者団体協議会といいます全く民間の団体でございまして、もうその人たちが、ほんとうに被爆者自身がたいへんに健康的にはつらい中で自分たちで組織して、そうして調査したり、要求を出したり、まとめたりしておりますですよね。私は、そういう団体にも、まあメンバーとして入れるということができなければ、それは無理かもしれませんけれども、そういうところは政府よりもやっぱり具体的に調査していますの、はっきり言いまして、自分のことですから。そういうような被爆者団体協議会というものの意見を何らかの形で尊重していただくという道を講じていただきたいと思うのですけれども、大臣いかがでしょうかね。ほんとうに地道に、具体的に全国調査もやっておりますのですけれども、お考えおきいただけないでしょうか。
#101
○政府委員(滝沢正君) この社労の附帯決議にも団体という表現でなく、「関係者」ということで、まことに適切な御意見だと思いますし、われわれはこのような福祉をはかる部会の審議会が、決して利害を代表するような「関係」というわけにはまいりませんから、団体のお持ちになっておる資料、お考えについては、従来も陳情その他を通じて、私たちは常に接触しておりますし、また、福祉部会ができますれば、現地の代表の委員の方々が、このような団体の御意見等を御披露願って、十分生かすような方向でまいりたいと思っております。
#102
○小笠原貞子君 じゃあ、最後の問題なんですけれども、生活保護を受けていらっしゃる方が特別手当というものを受けますと、収入認定ということになりますですね。一万円の収入認定と、こういうことになるわけなんですけれども、結局、収入認定されて、そして被爆者の加算のほうは五千円という形になるわけでしょう。何で五千円というので、普通の人たちには特別手当というのが一万円出ているのに、生保の人にはそういうふうに差別が出てくるのかなというのがどうしてもわかりません。ちょっとお考えをお聞かせください。
#103
○政府委員(加藤威二君) 被爆者に対する特別手当、これにつきましては、いま先生御指摘のとおり、一万円を、これは生活保護で収入認定ということで、−生活保護は、御承知のとおり、ほかの法律で、何かいろんな給付があるという場合には、それを優先しまして、それでも最低生活に足りない場合に補足して出すという、生活保護の補足性という原則がございます。それから、無差別平等といいますか、貧困になる原因のいかんを問わず、最低生活を保障するという無差別平等性という原則があるわけでございます。
 被爆者の場合、非常にお気の毒だという実態は、その認識において、私どもも先生と同様でございますが、この生活保護にその特別手当等の問題を適用いたします場合には、やはりほかの生活保護者とのバランスというようなものを考える必要があるわけでございます。それで、先ほど申しましたように、特別手当の場合は、全部これは収入認定として差し引きますけれども、しかし、それを全部差し引いてはお気の毒だということで、特別加算ということで放射線障害者加算というのを五千円つけているというかっこうでございます。これは生活保護の中にはいろんな加算がございます。たとえば、障害者の加算とか老齢者の加算あるいは母子加算がございますが、五千円の加算というのはほかにありません。三千五百円、二千三百円というように、母子であれば二千九百円というように、加算としては最高の金額をつけておるわけでございます。しかし、一万円をその特別手当としてもらっているのに、五千円差し引かれるという御不満を該当者の方が抱かれるということは、私どもももっともだと思います、そういう生活保護の仕組みになっておりますので。しかし、生活保護といたしましても、できるだけ放射線の障害者の方には優遇措置は講じておる。具体的に申しますと、たとえば男性の一般の五十歳の人が生活扶助を受ける場合、一万六千四百七十五円でございます。それが被爆者の場合はどうかといいますと、その一万六千四百七十五円のほかに普通医療手当が出ます。大体月に三日以上通えば六千円。これは全部収入認定はいたしません。そのまま認めると。それから先ほど申し上げました障害者加算が五千円ございます。そのほかに在宅患者加算もある、――これは放射線以外の方にも認めておりますけれども、病気でおるという被保護者には在宅患者加算が三千四百三十円ございます。そういうのを合わせますと、三万九百五円ございます。五十歳の男性の放射線障害者は、生活保護を給付している一般の保護者が、さっき申し上げましたように、一万六千四百七十五円でございますから、まあ倍ほどはいきませんけれども、相当の金額である。こういう実態でございますので、そういう一般の生活保護者とのバランスということを考えて、一応五千円ということにいたしたわけでございます。しかし、今後、いろんな障害者加算の増額の問題等が出てまいると思いますので、そういう場合には放射線障害者加算については最優先的に考えてまいりたいというぐあいに考えております。
#104
○小笠原貞子君 ほかのに比べたら五千円多いっておっしゃいますけれども、それだめですよ。ほかのが低いんですから、そんなのに比べるというのは全然だめです、その考え方は。
 それで、私が言いたいのは、たとえば、こういうのも出てきて、私もなるほどいいこと書いたなと思ったんですけれども、これは被爆者医療法の第一条「目的」というところに「原子爆弾の被爆者が今なお置かれている健康上の特別の状態にかんがみ、国が被爆者に対し」いろいろな措置をしなさいということがあって、また、昭和三十三年に厚生省の治療指針というものが出されまして、「被爆者に関しては、いかなる疾患又は症候についても一応被爆との関係を考え、その経過及び予防について特別の考慮がはらわれなければならず、」と、こういうふうに、まだ、こっちにも通知が出ているんですけれども、なかなかいいこと書いてあるんですね。厚生省にしては大できだと思うんですけれどもね。これがやはり被爆者というのは特別なんだということがここで私は強調されていると、こう思うわけなんですよ。これは自分の心がけが悪かったんでなくて、不注意だったわけじゃなくて、先ほど大臣もおっしゃったように、ほんとうに原爆で犠牲を受けたという方には特別な配慮をしなければならないとすれば、そうしたら、それだけ被爆しているということはマイナスのハンディになっているわけですよね。だから、無差別平等とおっしゃることは、普通の人たちと同じではだめなんですね。普通の人たちよりもそのハンディに対してプラスすることによって無差別平等と、こういうことになってくるんじゃないですか。私はそう思うんですよ。その点、大臣、どうなんでしょうか。やはり被爆者であるということのために非常にハンディを持っている。だから、それに対して、いろいろと手当てをするということでやっと平等になると、こう考えなければいけないと思うんです。
 で、例をお出しになりました男の人だったら一万六千四百七十五円だと、しかし、被爆者は医療手当だの、いまの加算だの、在宅加算だのがあって、三万九百五円だと、ちょっと倍近くになるということではなくて、この人たちがほんとうに健康がそこなわれて、働きが十分でない、収入が低い。それに加えて、いろいろな栄養もとらなければならない。また、いろいろ保険で見てもらえない、医療で見てもらえないようなお薬も飲まなきゃ――飲んできくというようなこともあったりいたしますしね。漢方とか、はりとか、きゅうとかいうことになると、そうすると、こっちは倍上げているんだからということではなくて、それだけもらってもなおかつつらいんだという考え方ですね。だから、やはりほんとうに平等にするためには、この被爆者に対する一万円というものを収入認定するのはけっこうです――けっこうと言うといけませんね、けっこうじゃないんですけれども。とにかく収入認定されてもしかたがないけれども、それじゃ、その収入認定をするなら、一万円という分を差し引きゼロになるような加算にするのがほんとうの平等ではないか。それこそが、ここにいわれたような特別な立場に立って配慮しなければならぬというふうにいわれていた趣旨だと私は思うんですけれども、大臣、その考え方間違っていますでしょうか。
#105
○政府委員(加藤威二君) 御趣旨一応ごもっともと思いますけれども、要するに、放射線の障害者に対しましては、医療面においてはそれぞれ十分な――まあ十分と申しますか、公衆衛生のほうで法律をつくって、医療面は国でめんどうを見ていく。
 私のほうの生活保護は、最低生活といいますか、要するに、食べて着て寝てというその生活を保障するというのが生活保護でございます。そこで、ほかの被保護者とのバランスという問題を考えざるを得ない。で、さっき申しました特別医療手当というようなものは、これは全部六千円出ますけれども、これは収入として認定しないということにしておりますが、特別手当というのは、やはりこれは趣旨が生活の維持のための特別の手当というニュアンスが相当濃いというぐあいに承知いたしております。そういたしますと、生活保護上の生活というものと性質が競合するわけでございます。しかし、これを一万円を全部アウトにしてしまうということではなくて、やはり五千円というのは、障害者というものに着目いたしまして、加算をつけた、こういうことでございまして、まあ、繰り返すようでございますが、生活保護といたしましては、放射線障害者に対しましては、法律として見得る限度と申しますか、限度がどこにあるかなかなかむずかしいわけでございますが、精一ぱいの努力はしているわけでございます。しかし、放射線の障害を受けられた方々にすれば、非常に冷たいという印象もあろうと思いますので、今後の生活保護全体の運営とにらみ合わせて、改善できるものについては、さらに改善をしてまいりたいと思います。
#106
○小笠原貞子君 特別医療手当やなんかは収入認定しませんというふうにおっしゃいました。で、特別手当というのは医療手当とは別なんだと、生活を維持するというような意味合いも含まっていると、こういうふうにおっしゃったわけですね。そうすると、それはもう不公平になるわけですよ、あなたの理論で言えばね。生活を維持するための特別の手当を出すんだったら、ほかのと平等じゃないんじゃないですか。やはり、ここで特別手当というのを出すというのは、被爆者であるというハンディを持っている方だから、だから特別に、その生活も栄養もとらなければならぬだろうし、というような、そういう立場で出されているのだというふうに考えなければならないわけですよね。そうすると、どうしても、ここのところ、収入認定で五千円しか加算しないという理屈はどう考えても、それは負けですよ。おたくのほうが理屈が合っていないです。
 それで、もう一つ、もう時間がないから続けて言いますけれども、今年度から特別手当が、年収百六十五万九千九百九十九円以下までの人は一万円もらえるということになりましたね。年収が百六十五万九千九百九十九円までの人は特別手当が一万円もらえるわけなんです。それで、それじゃ生活保護のほうは幾らかといいますと、一級地で調べましても六十五万六千九百二十八円なんですよ。そうすると、百六十五万九千九百九十九円、百六十六万円ぐらいもらえる人は一万円はもらえるのだと。生活保護で六十五万六千、約七千円、もう半分以下ですよね。半分以下しか収入がない、つらい生活保護の人で、しかも被爆しているという人には手当も五千円と、半分の加算というのはどう考えてもおかしいと思うのです。大臣どうですか。百六十六万ぐらいの人は一万円もらえるのです。生活保護の六十五万六千ちょっとの人は五千円しか加算でもらえないというのですね。これちょっとやはり普通の頭で考えたら変じゃないですか、どうでしょうか。
#107
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま局長が申し上げますように、生活保護という面と、それから原爆被害の方々の生活保護という面とダブっている点がある。ダブっている点は半分にというのも私は一つの理屈だと、かように思います。これは生活保護ということでなしに、ただもう原爆被害の医療のためにということであれば、これはもうまるまる収入認定をすべきではないと思うわけでありますが、その中に国からの生活保護という面が入っているということであれば、一般の生活保護との間にやはり関係を持つわけですから、そこで、どの程度にするかという問題がやはり起こってくるのじゃないか。非常にむずかしいのでありますが、私は事務当局の考えがなるほどそうかなというふうにいままで認識しておるわけでございます。
#108
○小笠原貞子君 それで、私ふしぎだと思いますのは、老人が老齢福祉年金、今度三千円になりましたね。あの老齢福祉年金、生活保護をもらっているお年寄りは老齢福祉年金三千円もらいますと、収入認定三千円になるのですよ。だけれども、老齢加算は三千円出ているわけですよ。だから、加算された分がちゃんとプラスマイナスゼロになっているわけです。だから、収入認定されても加算で三千円入ってくるから実質的には三千円生活保護の人も普通の人と同じようにもらえているわけですよ。そうすると、こっちの場合には何で一万円なのが、五千円にしなければならないかというのはどうなんでしょうか。
#109
○政府委員(加藤威二君) それは結局、金額の問題だと思うのです。要するに、さっき申し上げましたように、たとえば、一般の生活保護者の場合、一万六千円、その人に三千円という場合と一万円という場合、その根っこになる生活保護費との関係で、ですから、ほんとうは私も全部認定をしないで積み重ねれば一番福祉のためにいいと思いますけれども、そうすると、根っこの生活保護の人との関係からいってもあまりにも格差が大き過ぎる、こういうことで御老人の場合には二千三百円、――今度三千三百円になりますが、その程度のものは全部収入認定加算してしまう、実質的には認める、しかし一万円になりますとこれは生活保護のいまの金額からいってちょっとバランスがくずれるということで五千円という線を出したわけでございます。したがって、これは生活保護法の根っこが上がっていけばまたこれは考えようがあろうと思います。
#110
○小笠原貞子君 やっとわかりました、意味が。結局、その一万円のを五千円に、半額に削っちゃったというのは、ほかは三千円とか何とかで少ないのにこっちが一万円だから一万円をそのまま収入認定しちゃうとバランスがとれないと、こういうことですね、いまおっしゃったのは。結局お金の問題ですね、これはもうだから理屈じゃなくなったのですよ、おたくのおっしゃったのは。やっぱり三千円だったらその収入認定された分は加算で三千円出しますと、しかし一万円は多過ぎるから収入認定した分一万円は出しません、五千円という額になってくるわけですね、そこで、やっぱり問題の本質というのがはっきり出てきたわけなのですけれども、私がこれを言いますのはすごく予算がかかってたいへんだったら、こんなに言わないですけれども、調べてみましたら四十六年度で九十五世帯で百一件なんです。百一件だから五千円に値切らなくて一万円出しても予算的にはたいしたことないわけです、ほんとうに百万ですか、全体の予算から見たらわずかなものですよね、そうしたらやっぱりほかのバランスといつも言っておったら下のバランスに合わせてこう並べられていきますからやはりこの辺で一万円という特別手当を出したらこれくらいは当然加算して、そして被爆者を守ると、いままでの三千円だの何だのというのが低過ぎたというような立場で、私は何とか考えてほしいと思うのですけれどもどうでしょうか。もう予算もそんなにたくさんじゃないのです。それは大臣の決意のほど、どうなんでしょうか。
#111
○国務大臣(斎藤昇君) これは金がよけいかかるからという問題ではなくて、先ほど申しておりますように、生活保護一般の人と特別の人との間の加算をどの程度に見るかという問題であって、老齢加算はたまたま三千円、これは福祉年金とほとんどひとしいとおっしゃいますが、福祉年金が五千円に、あるいは一万円になった場合に生活保護の老齢加算をそこまで見るかというと必ずしもそうではないということでございますので、その点はこれは予算問題ではなくて、やはり生活保護、そして保護をやるについて、特別の人はどの程度加算を見るかという問題として御理解をいただきたいと思います。
#112
○小笠原貞子君 もう時間ですから、これで終わります。
 大臣の立場として、そういうふうにお考えになるのはわかりますけれども、やっぱり私たちとしてはほんとうに特別な被爆者であるという立場に立った方たちのことを考えて何とか低いのを高く上げていく。斎藤大臣のときに、この加算というのがばっとなったというくらいの実績をひとつ何とか私はつくっていただきたいと思うのです。もうぜひそのことをお願いしたいと思います。
 それで、おしまい、最後なんですけれども、大臣、二時間くらい日曜日に時間をとっていただけますか、本を読んでほしいのです。二時間くらい……。もらって読まれなかったら、私あげたくないのです。これは私の親友で、そして被爆二世の七つの子供さんをなくされた記録なんです。だから、大臣、きっと健保なんかの準備でお忙しいと思いますけれども、大臣だったら一時間くらいで読めちゃうと思うのですけれども、非常に具体的な真実なんで、ぜひ約束してほしいのです。読んでいただくということを約束していただけますか。していただけるのだったらこれを置いていって、そしてどうだったといって感想をちょっと聞かしていただきたいのです。それだけでおしまいにします。
#113
○国務大臣(斎藤昇君) 日曜と言わずでございますが、まあできたら一週間以内に読ましていただきます。
#114
○小笠原貞子君 そうですが、どうぞよろしくお願いいたします。
#115
○委員長(中村英男君) 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
 午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#116
○委員長(中村英男君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#117
○大橋和孝君 それでは援護法について初めにちょっと根本的なことをお伺いさせていただきたいと思います。
 今次の大戦後、もう四分の一世紀も過ぎておるわけでありますが、近年また経済的に著しい繁栄とも相まってまいりまして、もう戦後はすでに終わったように言われておりますけれども、その援護行政の現状を見てみますと、まだまだ戦後処理は終結したとは言えないように思うわけでありまして、いままでの間に戦後処理の状況を厚生省ではどう踏まえておられますのか、言われているような戦後処理はかなり進んで、終わっているというような考え方をお持ちなのか、まだまだ私どもは全然そこまでの域には達していないと思うのでありますが、その間の処理状況について概略をひとつ説明していただきたい。
#118
○政府委員(中村一成君) 戦後処理は多方面にわたる問題でございまして、援護行政だけに終わるわけではないわけでございますが、援護行政に関して申しますというと、まず第一、戦後、海外にありました約六百万をこえますところの邦人の引き揚げの問題がございました。この問題につきましては、昭和二十四年ごろまでに九九%の引き揚げを完了いたしておるのでございます。次いで、占領中、諸般の事情で実現することができなかった戦没者及び戦傷病者に対する援護の問題に着手いたしまして、講和条約発効後の昭和二十七年に遺族援護法を制定いたしたわけでございます。以後は、戦傷病者戦没者の遺族、留守家族等に対する援護を主たる業務として、今日までに約十四万人の傷害者、約二百万人の遺族に対しまして援護措置を講じてきたところでございます。現在は遺族援護法と、恩給法と、それから戦傷病者特別援護法を両輪としますところの法律制度のもとに、年々処遇の改善をいたしているわけでございまして、内容的にも逐次充実していっておるところでございます。しかしながら、先生がおっしゃいましたように、一般の繁栄におくれる面がどうしてもございます点がございますので、引き続き処遇の改善につきましては努力をするつもりでございます。
 なお、旧軍関係の業務につきましては、おおむね、概了と思うのでございますけれども、なお海外にあります遺骨の収集の問題でございますとか、あるいは未帰還者の問題につきましては、今後とも大いに努力を重ねていきたいと考えているところでございます。
#119
○大橋和孝君 この戦後処理の模様をいま聞きまして、かなり努力をされてきておられることはわかるのでありますけれども、その処理のしかたにおいて、一方、私がいま申しましたように、経済的には非常に大きな発展をしているが、それから取り残されているということから考えまして、やはり戦後処理の基本的な方針というものが打ち立てられて、そうして、それが具体的な計画のもとに進んで、とにかく、経済計画もこういうふうにきたときにこういうふうに、というふうな形で基本的な処理方針というものが明確にされてやってきているのであろうか。もし、そうであったとすれば、もう少しバランスのとれた、援護法も充実されていくわけであろうと思うのですが、そういう具体的計画がいままであってやられたのか。具体的計画としてはどんなふうなことを考えておられるのか。
#120
○政府委員(中村一成君) 援護の問題といたしましては、大きく分けて二つに分かれるわけでございまして、第一は、この戦争において犠牲になられました軍人軍属あるいは準軍族の方々の遺族に対する援護の問題、あるいは戦傷病者に関するところの援護の問題という一つの柱。それからもう一つは、旧軍の残務整理と申しますか、終戦処理に関するところの問題でございます。
 それで、第一の問題につきましては、冒頭申し上げましたとおり、法律の裏づけができておりますが、問題は内容でございまして、刻々、発展進歩いたしますところの社会情勢に即応して援護を全うするということが目標でございまして、そういう点について努力をいたしているところでございます。
 第二の問題、旧軍の復員事務等につきましては、これは初期の段階におきまして、おおむね、概了しておるところでございますが、しかしなお、最近、いろいろと問題になっておりますとおり、まだまだ問題が残っておるのでございまして、この点につきましてはケース・バイ・ケースで今後処理していきたいと、こういうふうに考えております。
#121
○大橋和孝君 先ほど、私、ちょっと指摘さしてもらったように、基本的な方針というのは、いま大まかにおっしゃいましたような形ではありますけれども、もう少し、具体性を欠くために、こういうふうなアンバランスが出てくるというふうに解釈されるわけでありますが、それであれば、いまの段階で、これから残された戦後処理の諸問題をどう考えておられるのか。どういうものがあると、いまこれからやろうとされるのか。それから、今後の戦後処理計画というものをいままでのような形で、基本的な計画のもとにされないためにバランスが開いてくるわけでありますから、今後まだやらなきゃならぬものもあるならば、それを計画的にどういうふうな形でこれをやろうとされるのか。そういう点について、具体的な方向を、いまとしてはもう打ち立てて、そしてごく短い時間にそれに追いつくようにしなければならぬ段階じゃないかと思うんですが、そういう観点からして、そういう計画なり処理計画なり、あるいはまた、今後残っている問題、こういうものをどういうふうに把握していられるか。
#122
○政府委員(中村一成君) まず、援護法系統について申しますというと、今次大戦におきますところの補償の問題につきましては、援護の問題につきましては、先ほども申しましたとおり、ほぼ制度としては完了しているわけでございまして、本日、御説明申し上げておりますところの援護法によりまして、日華事変におきますところの処遇がほとんどこれで完了するわけであります。
 しかしながら、まだ二、三の未処理の問題がありますことと、軍人、軍属、準軍属、特に、準軍属につきまして、まだ一部軍人、軍属との格差がございますので、そういう格差の解消ということ、それから戦没者の父母あるいは妻等に関する特別給付金というのがございまして、この給付金制度というものが一段落するわけでございますが、これをこのままにしていいかどうかという問題、これが明年以降の大きな問題となっているところでございます。
 なお、一般的に援護の水準を上げるということ、これが大きな問題でございまして、この点が、これからの引き続き大きな問題であろうかと思うんでございます。
 なお、いわゆる旧軍関係の残務処理につきましては、先ほど申しましたとおり、これから先は、海外におきますところの遺骨収集、特に、沖繩が復帰いたしましたので、沖繩におけるところの問題処理、そういう問題につきまして、早急に当たりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#123
○大橋和孝君 この段階で私は一つ特に考えてもらいたいと思うのは、これは援護局で援護法の立場からのみ、こういうふうなことで処理を考えておられるために、もう一つ行き届かない。私はもっとこれは国全体でこういう問題を完全に処理しようというふうな一つの方向に持っていかなければ、完全処理にならないと思うんですね。そういう点で、私は、大臣にもお伺いしたいと思うんですが、厚生省の援護局関係だけでこれを処理するという意味じゃなくて、もっと全体に広げて、政府としてどういうふうにやっていくのか。そういうためには、どこにどういうふうにもう少しこれを拡大して責任をとっていくかというような形でこれをもっと持っていく必要もあろうと思うわけでありますが、そういう意味で、完全な、こういう犠牲者の方々にほんとうに国家補償の立場で、完全にこれを処理するために、もう少し積極性を――計画を変えたり、あるいはまた消極的な考え方を変えない限り、もう一つ、いけない点はいけないとして残るんじゃないかというふうな感じを持つんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#124
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、大体、戦争によって受けた人的な被害といいますか、こういう問題については、ただいまでき上がっている法体系で、大体、大づかみとしてはこれでいいのじゃないだろうか。その内容を充実するという問題があります。それからまた、これだけやっているならば、漏れているものもありはしないか。いわゆる未処遇者の、そういったこまかい問題はまだありますけれども、大づかみのやり方としては、これ以上別の角度からもう一ぺん考え直すということは、いまのところ、そういったことは、政府としても考えておりませんし、いま、社会的にも一応こういったいき方で考え方は定着しているんじゃなかろうか、かように考えております。
#125
○大橋和孝君 たとえば遺骨収集の問題だとか、あるいはまた、そのほか、まだ実際の行くえが明確でなくて、もっと調査しなければならぬような島もある。また、この間うちはグアムでもあのような事例が出てくる。いろいろなことを考え合わせますと、何かここらで最終的にずっと行き届いたようなことを一ぺん洗ってみるといいますか、こまかしいところまで検討し直すという、そういうふうなものが最終的に必要じゃないか。そういう意味で、私は、もっといまのできてきた法律、援護法というふうな中からそれを充実していくというのも一つでありますけれども、もう一ぺん周辺をずっと、いまの援護法、あるいはまたいろいろなことで抵触することがあるかもしれませんけれども、それを検討してみる、それを計画してみるということがいまの段階で必要なような感じがするんですが、その点は、いまの大臣の答弁のように、ほぼいってるから、それには及ばないという考えが主体であっては、もう少し何かもの足らぬ気がするんですが、その点はいかがですか。
#126
○国務大臣(斎藤昇君) いままでいろいろな諸般の情勢で不徹底であったという点がございます。ただいまおっしゃいました遺骨収集の問題あるいは未帰還者の問題あるいは生存しているかもわからないという人に対する捜索の問題これらは大いに力を入れてやらなければならぬと考えておりますので、たとえば遺骨収集のごときも計画をいま一ぺん立て直すということで、最近新しい計画を立てて、そうして遺骨収集のできる範囲は早急にやる、海の中も含めてやるというように方針を立てて、計画を立て直しております。また、生存者の問題も同様でございます。これらが終わらなければ、ほんとうに戦後は終わらないと私は言っていいだろうと思います。
 ことに、遺骨収集のごときは、どちらかというと、いままで十分とは言えなかった。この際に、一ぺん見直そうじゃないか、こういうように考えております。他のすでに援護をせられている人とせられていない人との不均衡の問題は、いま局長から申しましたように、まだまだ、人数は多くなくてもあるわけでございますから、それらもできるだけ漏れないようにいたしたい、かように考えております。
#127
○大橋和孝君 いま大臣がおっしゃいました、給付を受けている人と受けていない人との不均衡の問題とか、まだ、いまの援護法のもとではどうもうまく入れなくて、何といいますか、そこのところになかなかすくい上げていただけないような、しかも同じようにまだ戦争の痛手をこうむっている人というような方があるわけでございまして、そういうようなことなんかはやはり視野を広げていただいて、いままでの考え方以外の方法で、この日本の経済やあるいはまた戦後これだけたって、こういうときにこうあるべきということで、ひとつ考え直してやってもらうということ。いまの不均衡だとか、あるいは援護の足らなさという、そういう面から考えてみると、やはりここらで別の角度からこれをひとつ見直してもらわなければならぬ。こういうことはやはり根本的な態度として、特に、その責任に当たっておられる大臣のほうで考えていただいて、ひとつ、政府の中にもそういうことを提唱していただいて、根本的に戦後処理がほんとうに国民の側から見ても真にこれで満足できるというふうなものに早く近づけていただきたい、そういう計画性を出していただきたいというのが私の念願でございますので、特に、国民もそういうことを考えているんじゃないか。いまの情勢からそういうふうな観点を新しくしてもらったら、一ぺんに前進があり得るというふうな点も考えられますので、特に御配慮をいただきたい。ひとつ大臣よろしくお願いしたいと思います。
 それから次に移らしていただきますが、私は、この戦傷病者戦没者遺族等援護法の目的を見ますと、「国家補償の精神に基き、」 とありますからして、むしろこの援護の内容は社会保障的であってはならない、ほんとうに国家が補償するという精神に徹しなきゃならぬと思うんでありますけれども、実際は社会保障的な性格が強いようであると私は思いますが、これに対しまして、ひとつ見解のほどを明らかにしていただきたい。どうも国家補償とは言いながら、そういうふうな傾向があるように私は思えてなりません。それはあとからまた指摘をして、個々の問題については質問さしていただきますが、そういうふうに見えますので、その辺の見解をひとつ伺いたいと思います。
#128
○政府委員(中村一成君) 援護法は第一条に、「(この法律の目的)」といたしまして、「軍人軍属等の公務上の負傷若しくは疾病又は死亡に関し、国家補償の精神に基き、軍人軍属等であった者又はこれらの者の遺族を援護する」と、こういうふうに規定してあるわけでございまして、事実この援護法を流れるものは国家補償のたてまえとなっているわけでございます。したがいまして、いわゆる社会保障あるいは社会保障的な法律とは相当具体的なケースにおきましてこれを異にいたしておるわけでございます。しかしながら、いい意味におきまして、社会保障的な考え方というものの色彩も実は加味されておるわけでございまして、その場合におきましてはそれは国家補償を押えるとか、あるいは国家補償を薄めるという意味じゃございませんで、場合によりましてはそういうような考え方も取り入れる。たとえば具体的に申し上げますというと、戦没者と遺族の関係におきまして、戦没者等の相互依存の関係というものを重視いたしておりまして、したがいまして、法律上の配偶者でないところの、たとえば、事実婚というものも処遇の範囲といたしておるという考え方でございます。これを比較しますというと、恩給法におきまして非常に厳格な親族関係が前提となるわけでございますけれども、援護法におきましてはやはり戦没者と遺族というものの関係につきまして、これをやはり現実の面を重視するという考え方で取り扱いをしているわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては、この援護法はあくまでも国家補償の精神に貫かれながら、一部におきましては御指摘のとおり、社会保障的な面も取り入れている、こういうふうに理解しているところでございます。
#129
○大橋和孝君 いままでのいろいろな取り扱いを見まして、ほんとうに国家補償ということが貫かれて、そしてそれに付随的に社会保障をいまおっしゃっているように付加するという形でなく、やはり問題によっては補償的な観念を薄くして、そうして、社会保障的なことで補っているというふうな形がとられているので、私は、内容的にもう一つ親身が足りないのじゃないか。これは総括的な話をいまいたしておりますので、総括的に、そう申し上げておるわけでありますが、局長としては、そういうことはないと言えるんでございますか。
#130
○政府委員(中村一成君) 国家補償としての精神を貫きながらも、ケースによりましては、これは社会保障的な新しい考え方と申しますか、そういう部面のいわゆる手法も取り入れまして、そうして、それをカバーしていく、こういう立て方になっておるわけでございます。
#131
○大橋和孝君 これはあとからまた私質問の中に具体的なものを出して考えていただきたいと思いますから、多くを触れませんけれども、私は、もうほんとうに国家補償という気持ちが先行して、補償的な考えでいけば、もう少し進んでやり得るものを、そういう場合に限って、社会保障的な考えで一時補償をしておこうという、そういうふうな観念が出てくるので、アンバランスも非常にあるような感じがしているわけでございます。一応、それはあとからやらしていただくようにいたしたいと思いますが、また、それであれば、援護法のやっておられる中の遺族年金の性格というものは一体どういうふうにお考えでありますか。
#132
○政府委員(中村一成君) 遺族年金は、軍人と軍属が公務に基因しますところの負傷または疾病により死亡した場合に、その遺族に対して経済的な面及び精神的な面の損失を国が補償するというのが、きわめて簡単でございますけれども遺族年金に対する考え方でございまして、これは名前は遺族給与金という名前でございますけれども、いわゆる準軍属に対しますところのこれも同様の趣旨のものであると考えております。
#133
○大橋和孝君 これの性格の中からも、やはりいま申されたような差といいますか、そういうようなものも私はもう一つ国家補償的な考え方に徹してもう少しやってもらいたい点があると考えるところがあるわけです。これもまた具体的な問題について私はあとからひとつお話をしてみたいと思います。
 それから次に、軍人等の処遇の問題でありますけれども、勤務関連傷病の処遇において、軍人、軍属、準軍属とも「(政令で定める勤務を除く。)」としておりますが、どのような勤務を除いているのか、またその理由についてちょっとお知らせ願いたい。
#134
○政府委員(中村一成君) 除かれますものは、陸海軍部内の官衛または特殊機関における勤務が除かれております。それから準軍属につきましては非現業の官公庁における勤務が除いてございます。この勤務がなぜ除いてあるかという理由ですが、官衛勤務等の者は通勤でございます。それで勤務の態様から見まして勤務そのものによるところの影響が薄く、一般の公務員との均衡をとるという必要があるということが大きな理由でございます。ただし、兵及び営内に居住すべき下士官は常時営内に居住しておって日常生活が拘束されておりますので処遇の対象といたしたのでございます。
#135
○大橋和孝君 それなんかも私は非常に問題があるわけでありますけれども、その勤務関連の中に、その勤務の途にのぼってからいろいろな災害を受けた者も、当然これはその勤務として入れられるべきものであるというふうなことも、やはり何か普通の社会保障的な考え方とかそういうものから考えて、厳に規定しているような感じがするわけでございますが、今後、この五条なんかも、こういう戦争状態とか、あるいはあの逼迫した状態でそういうことを考えることは、もう一つ無理があるんではないかというふうに考えるわけであります。また、本邦などで勤務関連傷病によって併発した疾病によって死亡した軍人等も遺族年金、遺族一時金を支給すべきであるというふうに思いますが、いまの問題と同じように、やはりそういうふうな形で併発した疾病でなくなった軍人の遺族、こういうものに対して遺族年金、一時金を支給されていないのは一体どういうふうなわけですか、これは同じことでいまの問題と私は関連すると言えると思うんですが。
#136
○政府委員(中村一成君) 本邦等で勤務関連傷病に併発した傷病によって死亡した遺族に対して遺族一時金を支給すべきじゃないかという議論はあるわけでございます。私どもがこれをとりません理由といたしましては、本法等で、勤務関連の傷病によってなくなられた方につきましては、御承知のとおり遺族年金を支給しておるわけでございますけれども、その「勤務関連」と申しますのは、これは勤務そのものではないわけで、いわゆる厳密な意味での公務ではないわけでございますが、その公務ではないにかかわらず、勤務関連傷病につきましては、これはやはり「関連」という点をとらえまして処遇の対象といたしておるわけでございます。その関連した傷病に併発した傷病になりますというとだいぶ関係が薄くなってまいりまして、結局どこで整理するかという制度上立て方の問題でございまして、私どもといたしましては、勤務関連傷病による死亡に対しましては処遇できることが妥当であると考えておるわけでございますけれども、その傷病にさらに併発したという場合には、遺族一時金につきましてはいささか広きに過ぎるのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#137
○大橋和孝君 そういうふうな考え方が、先ほど申したように、やはりこういうふうな経済状態であり、そういう人たちがはねのけられて入ってないというので、やはりそれはしかし関連であるということが明確であれば、私は、その関連したものであろうとも、それは原因はそこにあるわけですから、当然私はもっと拡大をしてこういうものは考えなきゃならぬと思うのですが、そういうことに対する考え方を直してもらう余地がないわけですか。いまの、当然そういうことになったら縁遠いということで片づけてしまわれているのですが、今後もそうされて、そういう点についてはもう少し拡大をして考えてやるべきではないかというそういうことをもう一ぺん考え直すことはできないのか。
#138
○政府委員(中村一成君) 援護法のたてまえといたしましては、援護法が軍人、軍属並びに準軍属といった、国との関連におきますところの関係が非常に深い方々に対しまして、この方々に対しまする補償をいたすわけでございますが、その場合に、対象が国とのそういう関係にある特定の人々であるということ、並びに、その方々の事故がそれがやはり公務によるものであるということ、この二つを合しまして援護法としてはこれを法律で援護すべき対象とするわけでございます。
 第一の身分につきましては、これは軍人、軍属のほかに準軍属という制度がございまして、その準軍属の範囲の拡大あるいはその解釈の問題につきまして、これは戦後の情勢の変化に従いまして改正等も行なわれたわけでございますけれども、行なわれますし、またその事故に対しましても、厳密な意味におけるところの公務に限らず、その公務に関連するものにつきましてもこれを取り上げるというふうにまいっております。したがいまして、先生御指摘のとおり、援護当局といたしましても、戦後の社会的な、あるいは年月の経過に伴いましてのものの考え方というものにつきまして、やはりその時代によるところの考えというものを取り入れまして、そうして、そういう時代の要請に即応するといういわゆる改善をいたしてきたわけでございまして、ただいま先生の御指摘の問題につきましても、これは現在の段階におきましては私どもとしてはとり得ないのでございますけれども、十分今後研究をさしていただきたい、こう存ずる次第でございます。
#139
○大橋和孝君 特に、そこらのところが、何といいますか、境目になっているところでありますので、特に私は、こういう問題を考えてもらうように、やはりこの戦争によって直接に国とのある明確な雇用関係にあって、そういう命令のもとに動いてやられる。しかし、それが途中であったとか、通勤の途中であったとか、あるいはまた、いま申したようなぐあいに、ある関連した疾病に併発したような疾病に対しては、やはり多少縁の遠さがあるためにこれが除外されてきておるわけでありますが、こういうことに対しては、特に私は、必要がある時期ではないかというふうにいまの時期を考えまして、特に、そういう問題に対してはもうすぐひとつ手をつけていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 特にまた、見舞い金の性格でございますけれども、あるいは入営、あるいはまた帰郷の途中での事故死、これは十万円、あるいは旧防空法関係の警防団員だとか医療の従事者七万円、警防団なんかは二千百円くらいのようですし、先ほどの十万円も二百人程度。こんなことから考えて、金額にしてもわずかではありましょうけれども、これはやはり国家補償としての性格で処遇すべきものと思いますけれども、額を考えましても、十万、七万というような少額に過ぎましょうし、こういう問題についてやはり再考を要することが必要じゃないかと思うのですが、この辺のところ、どうでございますか。
#140
○政府委員(中村一成君) 先生の御指摘になりました問題のほか、たとえば沖繩から学童疎開しましたときに事故の起こりました対馬丸における犠牲者の問題、あるいは長崎におきますところの原爆によって倒れた長崎医大の学生の問題、いろいろと援護法におきますところの取り扱いとすべきであるか、あるいはそれに至らずして、見舞い金をもってお見舞い申し上げるという行政措置、このほか予算措置で行なうかという切れ目の問題につきましては、従来から非常に議論のあるところでございます。私どもといたしましては、こういう問題の所在につきましては十分にかねて承知いたしておりまして、いろいろと部内におきましても絶えず研究議論を重ねておるところでございますが、現在の段階におきましては、現在の準軍属の運用におきましては、現在のところ現在の解釈が正しいものと私どもとしては考えておるところでございます。
#141
○大橋和孝君 いまちょうど局長もおっしゃいましたように、戦前にも学童が強制疎開して、これはもうみな国家の命令で、本人の意思でこれをやめることができなかった。むしろ国家の権力によってこれをやらせたと理解するわけでありますが、そういう疎開先で空襲などにあって死傷したような場合についても、これはまあ、やはり国としての国家賠償からいえば、何とかしなければならぬ話だと思うのですが、こういうようなことに対しても何も行なわれていない。おっしゃるとおりでありますが、こういうようなことを考えてみて、やはり見舞い金で済ましていいのかどうなのかということは、いまの援護法にとらわれ過ぎた考え方が先行するためと私は先ほどから申し上げておるところであります。ですから、この四分の一世紀が過ぎて、経済がこれほど発展をしてきている中で、こういうような人がわずか十万円とか七万円とかいうことで見舞い金で済まされておる。あまりたいした補償は何もしてもらっていない。こういうようなアンバランスがあること自身が、私はもういまごろ終戦処理云々と言われることから考えますと、こういうことでほっといてはどうしてもならぬという点があると、こういうふうに私は思うわけです。
 もう一つ言うならば、再婚を解消した妻に対する遺族年金の支給について、再婚解消の時期を遺族援護法の、何と申しますか、施行の日、いわゆる昭和二十七年四月三十日以後までに延長することもまた必要になってくると、こう考えるわけですが、こういうようなことをずっと洗っていきますと、まだそういう谷間にある人が非常に多くあるわけです。こういう問題はもういまの時期にやらなければたいへんじゃないかと思うのですが、いまの法律では適用しにくいとか云々ということでなしに、もう大事な時期に来ているのじゃないかと思うのですが、あらためて、こういうことについての考え方は、いまの問題点、どうお考えになりますか。大臣自身も、そこのところをひとつ踏み切って、いまのうちにやってもらいたいと思うのですが、その点、ひとつ前向きに考えてもらえぬでしょうか。
#142
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど局長からもお答えいたしておりますように、援護法の適用を受けるべき者と、それからそうでないという境目のところが非常にむずかしい。そこで境目のところは、あるいは見舞い金というので処理をいたしたのもございます。ただ、そういう考え方自身は、大体いままでの考え方でいいのじゃないかと思うのですが、具体的の適用問題になってくると、これは毎年こうして援護法の改正や何かもお願いしておりますし、また、いまおっしゃいましたように、妻の再婚の問題なんかも、あのときにきめた、あれだけでよろしいかと、その後の情勢を見れば、考え直す必要がありはしないか。これは確かにあると思っておりますので、次には何とかいたしたいと考えております。そういった社会的なニードというものもにらみ合わせまして、今後できるだけ適切な処理をやっていきたい、かように考えております。
#143
○大橋和孝君 それから勤務関連傷病にかかわるところの給付額は、公務傷病にかかわる給付額の七五%相当額となっておりますが、その理由は一体どこにあるのですか。これを九〇%相当額に引き上げるべきじゃないかと思うのですがどうですか。
#144
○政府委員(中村一成君) 勤務関連傷病にかかりますところの給付につきまして七五%という制限がございますのは、これは恩給法との関連でございまして、恩給法によりますところの特例傷病恩給、あるいは特例扶助料に準じましてそういうふうにいたしておるわけでございます。これは冒頭申し上げましたように、援護法は立て方といたしまして恩給法との関係が非常に深うございますので、したがいまして、これは恩給制度とともにこの問題は解決すべきものとなっております。もとより私どもといたしましては、この七五%を引き上げるということにつきましては、私どものほうとしましてもこれは望ましいことだと考えておりまして、この点、恩給局とも検討を重ねている問題の一つでございます。
#145
○大橋和孝君 それから、この日華事変中の勤務関連傷病による障害者、あるいは死亡者の処遇を軍人及び準軍人そのものに限っておられるわけでありますが、この理由をひとつ聞かせていただきたい。
#146
○政府委員(中村一成君) 理由といたしましては、二つの点があるわけでございます。
 一つは、まず軍人及び準軍人の方々につきまして、日華事変中の勤務関連傷病によりますところの死亡の場合の遺族に関する処遇は、この前の、昨年の改正でお認めいただいたわけでございます。したがいまして、本年度は障害関係につきましてお願いを申し上げておるのでございまして、そういう昨年の法律改正との関連でお願いいたしている点が第一であります。
 それから、軍属と準軍属を含めてない理由につきましては、これは軍属と準軍属の場合におきまして、その活動いたしましたところの時期が、沿革的にやはり太平洋戦争に入ってからでございまして、日華事変中におきましてはそのケースが非常に少ないわけでございまして、したがいまして、今回の対象にはしてないわけでございます。しかしながら、先生御指摘のとおり、今後の問題といたしまして、日華事変中の勤務関連傷病の軍属並びに準軍属の問題は、今後検討すべき事項としておるところでございます。
#147
○大橋和孝君 やはりこれも軍人及び準軍人に限るのじゃなくて、やはり私は軍属、準軍属もこれに入れられるべきだと私は考えるのですが、これはその太平洋戦争と日華事変との間の考え方の差、こういうようなことを、もうすでにいまの段階となっては訂正していいのじゃないかというふうに考えるのですが、その点、もう一つ了解に苦しみますけれども、どうなのか、もう少し詳しくお聞かせください。
 それからもう一つ、内地におる軍属は準軍属としているわけでありますけれども、身分を軍属とすべきじゃないかと思う。なぜ内地におる方だけが準軍属として取り扱われるのか、こういう点も不明確のような感じがします。これもまた不合理ではないかというふうに感ずるわけですが、いまのこの段階となって、そのとき法律がつくられたときの時点よりは、いま、少し変わっているわけですから、そういう観点から考えて、こういうものをもう一ぺん考え直す必要があると思うのですが、こういう観点に立ってこの問題をひとつ解明をしておいてもらいたい。
  〔委員長退席、理事高田浩運君着席〕
#148
○政府委員(中村一成君) 戦地に勤務します有給軍属と内地に勤務します有給軍属とは、もともと陸海軍の身分上同じ軍属でございますが、援護法上の処遇におきまして、戦地勤務の者を軍属とし、内地勤務の者を準軍属と、取り扱いを別にいたしておりますのは、これは戦地と内地とでは勤務の実態に差があるという点に着目してそういう制度になっておるわけでございまして、これはあくまでも援護法上の取り扱いでございまして、一般的に俗にいうところの軍属というものとはまた違うわけでございますが、援護法上はそういうふうに区分をいたしております。もともと内地勤務の軍属、大体、内地勤務の軍属は、これは旧令共済特別措置法の対象となっておったのでございますけれども、同法の処遇が受けられない者、これは遺族援護法の対象にいたす、こういうようないきさつになっているわけでございます。で、軍属、準軍属というふうに名称、取り扱いは別にいたしておりますけれども、具体的に遺族年金の額あるいは障害年金の額につきましては、逐年格差が縮小いたしておりまして、今回の改正では、一部被徴用者等の方々につきましては、全くもう軍属、準軍属の差がなくなったということに相なっておるわけでございます。
#149
○大橋和孝君 その援護法だけで分けておられる。やはり援護法に、先ほど私が申し上げているのは、いまの法律に縛られ過ぎておる点で、そういうふうなものが出て、格差はだいぶ小さくなったとはいいながらも、それならいまお話しになりましたように、内地だから戦地より危険度や戦時の苦しさに差があったかというと、やはり戦地も内地も同じような状態で、非常にきびしい戦争状態に置かれておった段階を考えてみると、それは内地におったという多少の差は、距離とかあるいはまたあれがあったかもしれないけれども、また別な観点からいえば、ほとんど同じような危険度もあったろうし、きびしさもあったというふうに考えられるわけですから、そういう点からいって、何か、時代的な、何といいますか、変化によって、いまから考えて、そのときのそういう援護法上のたてまえを固守するのじゃなくて、やはりこういうふうな問題は、一方では軍属といい一方では準軍属というふうな立て方をしておかないでやるべき時期じゃないか、というふうなこともまた一そう痛感するわけです。おそらく厚生省のほうもそういうお考えであろうとは思いますし、そういうために差を縮めてはおられると思います。そのやっておられることに対しては私は敬意を表しますけれども、もういまごろになってそういうふうな差別を置いておくということは、非常に私は問題じゃないかと思います。特に来年度ぐらいには、そういうことだけをもう一ぺん洗い直して考えてみるということは、いまの問題あたりでは考えてもらえないのかと思うのですが、どうですか、その点。
#150
○政府委員(中村一成君) 軍人、軍属、準軍属間の処遇に関しますところの差が解消いたすことを私ども念願といたしておりまして、それができますならば、準軍属という名称、援護法上の取り扱い、全くこれも沿革的なものとなりまして、実質は軍人、軍属、準軍属、同じものということになるわけでございまして、その段階におきましては、あるいは法律のていさいも考え直す必要があるのじゃないかと思っておりますが、これも早急に処理したいと希望いたしているところでございます。
#151
○大橋和孝君 それでは、この準軍属の処遇改善の問題についてちょっと触れてみたいと思うのですが、昨年の改正によりますと、準軍属の遺族給与金の額、遺族年金を、十分の七と十分の八に、二段階に分けておられるわけですが、この理由はどういうところにあるのですか。
#152
○政府委員(中村一成君) これは沿革的に準軍属に対しますところの遺族給与金等につきましては、軍人軍属と差があったわけでございます。だんだんその差を縮めてまいったわけでございまして、したがいまして、ことしの今回の改正におきましては、その準軍属のうちの約半数の方々につきましては全く軍人軍属と同じになりますし、また、残りの半分ぐらいの方々が九〇%というふうになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、なるべく近い将来におきましてこの格差を完全に解消したい、こういうふうに希望いたしておるところでございます。
#153
○大橋和孝君 今度の準軍属のうちの被徴用者等は、今回の改正によりますと、軍人軍属にかかわる年金額と同額となった、しかし、そのほかの準軍属については同様としないことになっているわけです。そこらの点の理由もまだ一つ私はよくわからないわけです。この点についての御説明もいただきたい。ことに準軍属の障害年金についても同様であるというふうに思いますが、この点、どうですか。
#154
○政府委員(中村一成君) これは現在の段階から考えますと、差のあるのはおかしいという考え方もあるわけでございますが、先ほど申しましたとおり、沿革的に、当初約五割でありましたものがだんだんと格差が解消してきておるわけでありまして、本年一挙に全部解決することを希望いたしたのでございますけれども、一部につきまして九割の者が残ったわけでございますけれども、それもなるべく近く完全に同額にいたしたい、こういうふうに希望いたしておるわけでございます。
#155
○大橋和孝君 厚生省は昭和四十七年度のこの予算要求の際には、一律に遺族年金と同額を要求しておったのですけれども、大蔵省と折衝の結果今日の改正のとおりときまったと承っておるわけでありますが、将来やはりこの準軍属の遺族の給与金は一本立てとして、しかも、この遺族年金と同額にする考えであるのかどうかについてもう一ぺんお聞かせください。
#156
○政府委員(中村一成君) そのとおり考えております。
#157
○大橋和孝君 いまのこととちょっと重複するような形ではありますけれども、この準軍属のうちで被徴用者だけが格差の是正があって、その他の準軍属十分の九という格差が残されているわけですが、この点ももう一回重ねて伺っておきたい。実際からいえば、同様の処遇をすべきじゃないかというふうに思うのですが。
#158
○政府委員(中村一成君) 準軍属の中におきまして、従来から準軍属の中にまた二段階が設けられておったのでございまして、これはやはり準軍属と申します中におきまして、徴用学生でございますとか徴用工員等につきましては、被徴用者につきましては、やはり国とこの本人との間におきますところの関係が、その他の準軍属に比較いたしまして、非常に厳密の度が強いという点からそういう格差が生まれてきたわけでございますけれども、したがいまして、沿革的に本年の今度の改正におきましても、まだ被徴用者だけが同額となったということになったわけでございますけれども、しかしながら、私どもも、先生のおっしゃいますとおり、準軍属も全部ひっくるめまして軍属と同様に扱うべきが至当だと、こういうふうに考えておりまして、ぜひそういうふうにいたしたいものと希望いたしておるわけでございます。
#159
○大橋和孝君 先ほどもちょっと触れたわけでありますが、この勤務関連の傷病者の処遇の中で、先ほどもいろいろ説明もありましたが、日華事変の期間中の軍人軍属のみが処遇されて準軍属は処遇されておらなかった、いまのような問題で一つにしたいといういまのお話、先ほどのお話、これもほんとうに同様であるわけですから、もう一度これを考えてみて、いまの話と同じようなぐあいにこの問題もひとつ考え直していただくということで理解してよろしゅうございますね。
#160
○政府委員(中村一成君) この問題も格差を解消いたしたい、こういうふうに考えております。
#161
○大橋和孝君 それから、防空監視隊員以外の旧防空法の関係者を遺族援護法の処遇の対象とすべきであろうと思うのですが、その点もいかがになりますか。
#162
○政府委員(中村一成君) 旧防空法によりまする防空従事者の中におきましては、防空監視隊員につきましては、これは旧陸海軍が防空計画の一環といたしまして、法令上軍の定めた基準に従って行動いたしております。その勤務態勢も常時同様の実態にあったという点にかんがみまして、昭和四十四年度の改正によりまして、この方々につきましては準軍属という処遇にいたしておるわけでございます。その他の旧防空法によりますところの関係の方々、たとえば警防団員の方々とかあるいは医療従事者という方々につきましては、その内容の実態、勤務の内容におきまして、防空監視隊員とはやはり差があるという点で、警防団員並びに医療従事者の方々につきましては、その事故がありました障害者、遺族の方につきましてお見舞いを差し上げる、こういうふうに処遇をいたしておるところでございます。
#163
○大橋和孝君 特に、こうした問題も関連して同じような考え方を持っているわけでありまして、特にこの問題、防空法の関係者に対しましても、遺族に対しましても、やはり遺族援護法の処遇が受けられるように早くひとつ処理していただきたいというふうに思うわけです。
 それからその次に、特別給付金について少しお話を承りたいと思いますが、昭和四十七年において戦没者の父母等に対する特別給付金、国債の最終償還を終える戦没者の父母または祖父母に対してどのような措置を講ぜられたか。
#164
○政府委員(中村一成君) ただいま厚生省に遺族等特別給付金問題懇談会というのが設けられまして、この懇談会におきまして、これからあとの措置につきまして御研究を願っておるところでございます。
#165
○大橋和孝君 遺族等のこの特別の給付金の問題、これは懇談会が、いまおっしゃるとおり、設立されるようでありますけれども、その目的、審議事項、期間、委員、来年度予算との関係等につきまして詳しく説明していただきたいと思います。
#166
○政府委員(中村一成君) 委員は、この問題に関しますところの学識経験のある方七名の委員で構成されておりまして、審議をお願いいたします事項は、先生御指摘の、戦没者の父母等に対する特別給付金、あるいは妻に対する特別給付金、戦傷病者の妻に対する特別給付金の将来の問題を御検討願うということになっておりまして、目標といたしましては、大体本年の半ばころまでに結論を出していただきまして、明年度以降の予算に結論を実現させていきたい、こういうふうに計画いたしております。
#167
○大橋和孝君 そこらの懇談会が非常にこれからいろいろなことを決定してもらう上において大事だと思うのです。ことに、このもう償還も終えるような人、それらの父母あるいは祖父母に対しては非常に措置を強く要望されている状態でありますね。それに即応するためにこの懇談会が設置をされるわけでありますけれども、どうも、こういう懇談会なりあるいはまたそういうものは、非常に何か一つの――これはきたないことばで言えば――隠れみの式なものになって、ほんとうに実のあるような方向にならない場合も起こり得るわけでありまして、そういう過去のいろいろなことから考えてみて、私は、この際こういう懇談会が設立されて、これに対してほんとうにそういうふうな方向でやっていただけるような一つの仕組みを持った目標を相当具体的に進めていただけるような形になって、先ほど局長がおっしゃるように、来年度の予算にそれがすぐ反映して、そしてすぐそれが発足をして、そして、その間にあまりの時間的なズレもないような、あるいはまた、いろいろな要望に対してこたえられるようなものになっていけるような形をとっていただきたいと思うわけですが、こういう点について、大臣、そういうふうな構想はいままでお持ちのことだと思いますけれども、そういう見通しのもとに、あるいはまたそういう計画のもとにそれが発足されて、その時間的なズレなんかもそういうことでカバーができるだろうと私は期待しますけれども、そういうふうな形についてどういうふうな展望をお持ちなのか、あるいはまたいろんな抱負の点についても少し伺っておきたいと思うんです。
#168
○国務大臣(斎藤昇君) この懇談会はまあ隠れみのに使うおそれはないかというお尋ねでございますが、むしろ、こちらをバックしてもらうつもりで設けております。そう言うとあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、懇談会の最初の会合に際しましても、私は、さらにこういった考え方を続ける必要があるように思うから、ひとつそういう意味で検討していただきたいと、こう言っておりますので、反対のような結論は出まいと、また、出ないようにわれわれの意のあるところを十分懇談会の方々と話し合ってまいりたいと、かように考えております。
#169
○大橋和孝君 もう一つ、いまの問題について、ちょっと一つだけ、だめ押しみたいなことになるかもしれませんが、伺っておきたいことは、戦没者の、先ほど申しましたように、妻に対する特別給付金二十万円の十年国債ですね、これは四十八年の四月三十日、戦没者の父母に対する特別給付金十万円の五年国債、これは四十七年の五月十五日で切れるわけですが、こういうふうに日にちは非常に迫っているわけですね。これを、先ほど、そういうふうな懇談会のあれにもかけるというお話でございますけれども、日にちからいったら非常に切迫しているわけでありますから、いま言ったような時間的なもの、そういうふうなものの処理なんかについては遺憾なきを期せられると思いますが、ちょっと御説明願いたい。
#170
○政府委員(中村一成君) したがいまして、ことしの夏までに結論を出していただく、こういうところで、ただいま開催いたしておる。もうすでに二回いたしましたけれども、大体予定どおりにまいるんじゃないかと考えております。
#171
○大橋和孝君 これはもうそういうわけで、いま大臣の言われるように前向きにやっていただけるわけでありますから、ほぼそれでうまくいけるだろうと解釈していいだろうと感じて、私は非常に心強く思っておりますけれども、いま御指摘申し上げましたように、日にちはこの五月で切れるのもあるわけですね。そうしたら、すぐ、そうやっていままでの人たちも終わりになるわけですから、少なくとも、今年じゅうはかかるかもしれませんけれども、できるだけひとつそれを結論を急いで、こういう方々のいろんな心配のないように処理をしてもらうことが、特に私は必要だろうと思いますので、ひとつ、お願いをしておきたいと思います。
 それから、相談員の処遇の問題について、私、ちょっとお尋ねしてみたいと思います。
 相談員の一覧表を見せてもらったんですが、婦人相談員が二万六千七百円、常勤で国庫補助が二分の一。母子相談員が二万六千七百円、常勤、非常勤がある。これは地方交付税の交付金になっておる。家庭奉仕員が三万七千円、これは非常勤、国庫補助が二分の一。それから戦傷病者相談員が五百円。これは手当として四十年以来据え置きになっているわけですがね、当初から。それから戦没者の遺族の相談員が五百円。これも非常勤で、四十五年以来据え置きでございます。それから身体障害者の相談員三百円で、非常勤で四十二年以来据え置き。それから民生委員は二万九千円で、国庫補助をもらっておるわけであります。
 こういうような一覧表を見てみますと、私は、この戦傷病者相談員あるいは遺族の相談員の活動状況なんかはどんなふうなことをしていられるのか。この金額から見てみまして、いろいろそういうことを考えるわけですが、一体、こういう方々の活動状況はどんなんでございましょうか。
 また、謝金が月額五百円で、従来からも据え置きにされておるというのも、あまりに経済の変動からいっておかしいような感じがいたします。
 この二点について、御説明を願いたい。
#172
○政府委員(中村一成君) まず、戦傷病者相談員でございますが、昭和四十六年度におきますところの取り扱い件数、相談件数を見ますというと、一人平均一カ月間に七・二件を処理しておられます。それから遺族相談員につきまして、やはり同様に調べましたところによりますと、平均月に一一・一件処理されておりまして、同種の相談員と比べまして非常に成績をあげておられる、こういうふうに考えております。
 確かに五百円でございまして、この額は私どもとしてはまことに少ないものでありまして、その活動に対して不十分であると考えておりまして、その増額につきましては、今後、ぜひ実現をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#173
○大橋和孝君 これは長い間据え置きにされておるわけでありますが、まあ、早い機会に上げようという考え方はさることと思いますが、この状態を振り返って見ると、もう少し具体的に、来年度にはどれくらいにするとか、もう少し考えを持ってもらわないと、もうすぐ予算の編成期にも入ってくるわけでしょうし、その辺から考え合わせまして、こういう機会に前向きに考えてもらわなければいけない。
 それから、一体、相談員の方々がこうやっておられる活動状況というのは、あまり動いていないんですか、どの程度に動いているんですか。その動き方によっても、私は、場合によっては――私の知っているところによれば、かなりいろいろな例等も見ているわけですが、また一面からいうと、案外うまくいってない。こういうことはやはりもう少し指導をして、そうしてほんとうにそういう方々に念の入った仕事ができるような一つの基準なりあるいはまた指導なりが必要じゃないかと思うんですが、その点ももう少し詰めてお話を聞いておきたい。
#174
○政府委員(中村一成君) 取り扱い件数につきましては、先ほどお答えしたとおりでございますが、この方々は、実は、私どもが申し上げるとおかしいようでございますけれども、非常にたよりにされておりまして、戦傷病者、戦没者の方々の処遇につきましては、制度が非常にむずかしくてわかりにくい点もございまして、一般のいわゆる学識経験者ではなかなかわかりにくい点が多いわけでございますが、この相談員の方々は、この道につきましてのみなベテランでございますので、たよりにされまして、各県とも増員を、相談員の数をふやしてくれという要望が非常に強いところでございます。
#175
○大橋和孝君 もちろん、私の聞いているところによると、非常に活躍をしてもらって喜んでおられる方々がたくさんある。そういう方に対して、先ほど申したように、もっともっと十分な待遇をしなかったらおかしいというような感じを持っておるところでありますが、中にはまた、非常にそうでなくて、不満を聞いたことも私はあるわけです。それからまた、みんなの方がそういうふうに相当やっていけるような御指導は願っておると思うんでありますけれども、特に、そういうような面も十分注意をしていただいて、十分にやっていただいて、十分な報酬を取っていただく、こういうようなことが私は特別に必要なことじゃなかろうか。こういうような金額を見ますと、私はつくづくそういうふうな感じを持ったわけであります。これに対しまして、いま局長から来年度から相当の考えをもって増額に踏み切っていただけるようでありますが、特に、この点はひとつ十分に考えていただかないと、特に、そういうふうに困っておられる方のたよりになる人なんですから、よほどそういうふうなところに力を入れていただいて、十分な報酬を出していただくとともに、十分活躍をしていただく。ほんとうに第一線の成果をあげていただきたい、こういうふうに思うわけであります。これはみな予算が伴わなければなかなかうまく運営ができないことは当然でありますので、特に、そういうことをお願いをいたしておきます。
 途中でありますけれども、質問を打ち切らせていただきまして、この次、あとの質問をさせていただきたいと思います。
#176
○理事(高田浩運君) ほかに御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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